←前へ  次へ→    『当世念仏者無間地獄事』
(★315n)
 若し之に依って本願を疑はゞ仏説を疑ふに成りぬ。進退惟谷まれり。此の疑ひを以て念仏宗の先達並びに聖道の先達に之を尋るに一人として答ふる人之無し。
  念仏者救ふて云はく、汝は法然上人の捨閉閣抛の四字を謗法と過むるか。汝が小智の及ばざる所なり。故に上人此の四字を私に之を書くと思へるか。源曇鸞・道綽・善導の三師の釈より之を出だしたり。三師の釈も又私に非ず。源浄土三部経、竜樹菩薩の十住毘婆沙論より出ず。双観経の上巻に云はく「設ひ我仏を得んに乃至十念」等云云。第十九の願に云はく「設ひ我仏を得んに諸の功徳を修め菩提心を発こす」等云云。下巻に云く「乃至一念」等云云。第十八の願成就の文なり。又下巻に云はく「其の上輩者、一向専念。其の中輩者、一向専念。其の下輩者、一向専念」云云。此は十九の願成就の文なり。観無量寿経に云はく「仏阿難に告げたまはく、汝好く是の語を持て、是の語を持つ者は即ち是無量寿仏の名を持つ」等云云。
 
平成新編御書 ―315n―