←前へ 次へ→ 『後五百歳合文』
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0033 後五百歳合文 (文応元年 三九歳)
経の第七に云はく 薬王菩薩品、宿王華菩薩を対揚と為す。 「我が滅度の後、後五百歳の中に広宣流布して、閻浮提に於て断絶して悪魔・魔民・諸の天竜・夜叉・鳩槃荼等に其の便りを得せしむること無けん」文。文句の一に云はく「但当時大利益を獲るのみに非ず、後五百歳遠く妙道に沾はん。故に流通分有るなり」文。記の一に云はく「然るに五五百とは且く一往に従ふ、末法の初め冥利無きにあらず。且く大教の流行すべき時に拠る。故に五百と云ふ」文。義決の一に云はく 道邃撰 「文旨を判ぜば、勧発品に云はく、後五百歳の濁悪世の中に於て、其れ是の経典を受持すること有らん者は、我当に守護すべしと。大師は彼に依るが故に後五百と云ふ。然れども毘尼母論の意に合せず。正しく大集に会へり。所以は何。安楽行品に云はく、末法の中に於て、是の経を説かんと欲すと。又云はく、後の末世の時此の経を持たん者と。明らかに知んぬ、五百は末法の初めを指すことを。彼の大集経の五五百の中、第四の多聞とは且く一往に従ふ。小乗の多聞なり。末法の初め大利無きにあらず。今は且く法華の大流行すべき時に拠る。
平成新編御書 ―255n―