←前へ  次へ→    『災難対治抄』
(★192n)
 星流れ地動き、井の内に声を発し、暴雨悪風時節に依らず、常に飢饉に遭ひ苗実も成らず、多く他方の怨賊有って国内を侵掠し、人民諸の苦悩を受け土地に所楽の処有ること無けん」文。大集経に云はく「若し国王有って我が法の滅せんを見て捨てゝ擁護せざれば無量世に於て施・戒・慧を修するとも悉く皆滅失して其の国の内に三種の不祥の事を出ださん、乃至、命終して大地獄に生ぜん」と。仁王経に云はく「大王、国土乱れん時は先づ鬼神乱る、鬼神乱るゝが故に万民乱る」文。亦云はく「大王、我今五眼をもて明らかに三世を見るに、一切の国王は皆過去世に五百の仏に待へしに由って帝王主と為ることを得たり。是を為て一切の聖人羅漢而も為に彼の国土の中に来生して大利益を作さん。若し王の福尽きん時は一切の聖人皆捨て去ることを為さん。若し一切の聖人去る時は七難必ず起こらん」と。仁王経に云はく「大王、吾が今化する所の百億の須弥・百億の日月・一々の須弥に四天下有り。其の南閻浮提に十六の大国・五百の中国・十千の小国有り。其の国土の中に七の畏るべき難有り。一切の国王是を難と為すが故に○云何なるを難と為す。日月度を失ひ、時節返逆し、或は赤日出で、黒日出で、二三四五の日出づ、或は日蝕して光無く、或は日輪一重二三四五重輪現ずるを○一の難と為すなり。二十八宿度を失ひ、金星・彗星・輪星・鬼星・火星・水星・風星・星・南斗・北斗・五鎮の大星・一切の国主星・三公星・百官星、是くの如き諸星各々変現するを○二の難と為すなり。大火国を焼きて万姓焼尽し、或は鬼火・竜火・天火・山神火・人火・樹木火・賊火あり、
 
平成新編御書 ―192n―