←前へ 次へ→ 『災難対治抄』
(★191n)後
0027 災難対治抄(正元二年二月 三九歳)
国土に起こる大地震・非時の大風・大飢饉・大疫病・大兵乱等の種々の災難の根源を知りて対治を加ふべき勘文。
金光明経に云はく「若し人有りて其の国土に於て此の経有りと雖も未だ曽て流布せず、捨離の心を生じて聴聞を楽はず、亦供養し尊重し讃歎せず、四部の衆持経の人を見て亦復尊重し乃至供養すること能はず、遂に我等及び余の眷属無量の諸天をして此の甚深の妙法を聞くことを得ず。甘露の味に背き正法の流れを失ひて威光及勢力有ること無からしむ。悪趣を増長して、人天を損減し、生死の河に堕ちて、涅槃の路に乖かん。世尊、我等四王並びに諸の眷属及び薬叉等斯くの如き事を見て其の国土を捨てゝ擁護の心無からん。但我等のみ是の王を捨棄するに非ず、必ず無量の国土を守護する諸大善神有らんも皆悉く捨去せん。既に捨離し已はれば其の国に当に種々の災禍有って、国位を喪失すべし。一切の人衆皆善心無く、唯繋縛・殺害・瞋諍のみ有って、互ひに相讒諂し枉げて辜無きに及ばん。疫病流行し、彗星数出で、両日並び現じ、博蝕恒無く、黒白の二虹不祥の相を表はし、
平成新編御書 ―191n―