←前へ 次へ→ 『爾前二乗菩薩不作仏事』
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0024 爾前二乗菩薩不作仏事 (正元元年三八歳)
問うて云はく、二乗永不成仏の教に菩薩の作仏を許すべきや。答へて云はく、楞伽経第二に云はく「大慧、何者か無性乗なる、謂はく一闡提なり。大慧、一闡提とは涅槃の性無し。何を以ての故に、解脱の中に於て信心を生ぜず涅槃に入らざる。大慧、一闡提とは二種あり、何等をか二と為す。一には一切の善根を焚焼す、二には一切衆生を憐愍して尽一切衆生界の願を作す。大慧、云何が一切の善根を焚焼する。謂はく、菩薩蔵を謗じて是くの如き言を作す。彼の修多羅毘尼解脱の説に随順するに非ず、諸の善根を捨つと、是の故に涅槃を得ず。大慧、衆生を憐愍して衆生界を尽くさんとの願を作すは是を菩薩と為す。大慧菩薩方便して願を作す。若し諸の衆生の涅槃に入らざれば我も亦涅槃に入らずと。是の故に菩薩摩訶薩涅槃に入らず。大慧、是を二種の一闡提名づく。涅槃の性無し。是の義を以ての故に決定して一闡提の行を取る。大慧菩薩仏に白して言さく、世尊、此の二種の一闡提、何等の一闡提か常に涅槃に入らざる。仏大慧に告げたまはく、菩薩摩訶薩の一闡提は常に涅槃に入らず。何を以ての故に。
平成新編御書 ―181n―