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『爾前二乗菩薩不作仏事』
(★180n)
此の迹の意は、本門未だ顕はれざる以前は本門に対すれば尚迹門を以て名づけて虚と為す、若し本門顕はれ已はりぬれば迹門の仏因は則ち本門の仏果なるが故に、天月・水月本有の法と成りて本迹倶に三世常住と顕はるゝなり。一切衆生の始覚を名づけて迹門の円因と言ひ、一切衆生の本覚を名づけて本門の円果と為す。修一円因感一円果とは是なり。是くの如く法門を談ずるの時、迹門爾前は若し本門顕はれざれば六道を出でず、何ぞ九界を出でんや。
平成新編御書 ―180n―