←前へ 次へ→ 『十二因縁御書』
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0053 十二因縁御書 (康元元年 三五歳)
凡そ成仏とは、我が身を知るを仏に成るとは申すなり。我が身を知るとは、本よりの仏と知るを云ふなり。一切衆生螻蟻蚊虻まで生を受くる程のもの、身体は六根・六境・六識の十八界をもて組み立てたる身なり。此の衆生は五陰和合の身なり。釈に云はく「五陰和合を名づけて衆生と為す」と。此の五陰は十二因縁なる故なり。
其の十二因縁とは、無明・行・識・名色・六入・触・受・愛・取・有・生・老死。此の十二因縁をば三世両重の因果と云ふ。初・八・九此の三つは煩悩なり。第二・第十此の二つは業なり。識・名色・六入・触・受・生・老死、此の七つは皆是苦なり。十二因縁とは煩悩・業・苦の三道なり。無明・行の二つは過去の二因なり。識・名色・六入・触・受の五つは現在の五果なり。愛・取・有の三つは現在の三因なり。生・老死の二つは未来の両果なり。身に三つとは殺・盗・婬 苦。口に四つとは悪口・両舌・妄語・綺語なり業。意に三つとは貪・瞋・癡煩悩。此の十二因縁を如法に信じ持てば即身成仏疑ひ無し。此の十二因縁より外に仏法無し即ち法華経なりと我が身を知る故なり。是をしらざるは即ち謗法なり。「若人不信毀謗此経則断一切世間仏種」とは是なり。我が身より外に別に仏無く、法華経無きなり。縁起・非縁生は過去の二支、縁生・非縁起は未来の二支、縁起・縁生は
平成新編御書 ―53n―