←前へ  次へ→    『念仏無間地獄抄』
(★38n)後
 
 0038  念仏無間地獄抄   (建長七年 三四歳)
 
  念仏は無間地獄の業因なり。法華経は成仏得道の直路なり。早く浄土宗を捨て法華経を持ち、生死を離れ菩提を得べき事。法華経の第二譬喩品に云はく「若し人信ぜずして此の経を毀謗せば、則ち一切世間の仏種を断ぜん。其の人命終して阿鼻獄に入らん。一劫を具足して劫尽き更生まれん。是くの如く展転して無数劫に至らん」云云。此の文の如くんば方便の念仏を信じて、真実の法華を信ぜざらん者は、無間地獄に堕つべきなり。
  念仏者云はく、我等が機は法華経に及ばざる間信ぜざる計りなり。毀謗する事はなし、何の科に地獄に堕つべきや。法華宗云はく、信ぜざる条は承伏なるか。次に毀謗と云ふは即ち不信なり、信は道の源功徳の母と云へり。
 
平成新編御書 ―38n―