←前へ  次へ→    『戒法門』
(★20n)
 までも仏法を行ずるにて侍るなり。慧遠法師が螻蟻をも超えずと云ひけん事も理なり。畜生云云、修羅云云、天云云、声聞云云、縁覚云云、菩薩云云、仏云云、天竺の人云云、唐土の人云云、日本の人云云。文に云はく「他我に色を恵む、与へざれば取らず。子の色の上に於て仁・譲・貞・信・明等の五戒・十善を起こさば人天の四運なり」と。余色と云ふは九界の身なり。余塵と云ふは九界の財物資生の具なり。余界と云ふは九界なり。「我他に色を恵む、与へざれば取らず」と云ふは人界の事なり。是則ち五戒なり。提謂経に云はく「五戒は天地の根本、衆霊の源なり。天之を持って陰陽を和し、地之を持って万物を生ず。万物の母・万神の父、大道の元、■泥の本なり」と。
                                 蓮 長
 
平成新編御書 ―20n―