←前へ  次へ→    『戒法門』
(★18n)
 水の敵は土、土の敵は木なり。
 
  土 水 火 金 木   五行なり
  地 水 火 風 空   五大なり
  黄 黒 赤 白 青   五色なり
  意 耳 舌 鼻 眼   五根なり
  □ ○ △ ■ ■   五輪なり
 
  雨の五味の次第の事。東方の雨はすし。不殺生戒、青・眼・春・草木。南方の雨は苦し。不飲酒戒、赤・舌・夏・火。中央の雨は甘し。不妄語戒、黄・意・土用・大地。西方の雨は辛し。不偸盗戒、白・鼻・秋・風・金。北方の雨は鹹し。不邪婬戒、黒・耳・冬・大海・江河。
  五山は即ち五戒なる事。東は木の山、不殺生戒。南は火の山、不飲酒戒。中央は土の山、不妄語戒。西は金の山、不偸盗戒。北は雪の山、不邪婬戒なり。
  五常は即ち五戒なる事。仁と云ふは人を憐れみ、生を慈しみ、物を育くむ心なり。義と云ふは事の謂はれを違へず、邪なる事をなさず、万事に理を失はざる是なり。礼と云ふは父を敬ひ、母を敬ひ、天道仏神を貴び、ないがしろにせざるを云ふなり。智と云ふは事の有り様をよく知りて、善事悪事を弁へ、作すまじき事をなさず、作すべき事をなす是なり。信と云ふは事に於て誠を致し、仮事をなさず、心の底に思ひ解くる是なり。又仁は不殺生戒、物を憐れむ故に物の命を断たざるなり。義は不偸盗戒、万の理を失はざる故に、人の物を主に知らせずして我が物とせず、又押しても取らざるなり。礼は不邪婬戒、婬は必ず礼を破る。愛心あればさるまじき人なれども、邪なる振る舞ひをなす。是を守れば上下濫れず、行法もたゞしきなり。智は不妄語戒、物の有り様を知りぬれば
 
平成新編御書 ―18n―