鮮やかでレイジーなジャケットにまず引かれる。こんなしゃれたデザインはブルーノートならではのセンスだろう。中身も外側に劣らずよくできている。60年代の新主流派ジャズのエッセンスが凝縮された演奏。ボビー・ハッチャーソン(vib) 、 ハービー・ハンコック(p)、 ボブ・クランショウ(b)、ジョー・チェンバース(ds)とくれば役者も揃っている。特にハンコックの参加がこのアルバムのベクトルを大きく定めているように感じる。4の処女航海だけがハンコックのオリジナルで、後の6曲はハッチャーソンのオリジナルだが、いずれもモーダルな曲想の中にドライブ感が感じられ、過度な前衛にもコマーシャルにも傾かない、60年ジャズの王道をいくようなスタンスが見事。ハッチャーソンのヴァイブは透明感があり、ミルト・ジャクソンに代表されるソウルフルなインスピレーションと一味違ったシステマチックな新時代の奏法が新鮮である。 |