←前へ  次へ→    『念仏無間地獄事』
(★319n)後
 
 0045 念仏無間地獄事   (文永元年九月  四三歳)
  所詮念仏を無間地獄と云ふ義に二有り。一には念仏者を無間地獄とは、日本国一切の念仏衆の元祖法然上人の選択集に、浄土三部を除きてより以外の一代の聖教、所謂法華経・大日経・大般若経等の一切大小の経を書き上げて「捨閉閣抛」等云云。之に付きて上人の亀鏡と挙げられし処の浄土の三部経の其の中に、双観経に阿弥陀仏の因位、法蔵比丘の四十八願に云はく「唯五逆と誹謗正法とを除く」云云。法然上人も乃至十念の中には入れ給ふといえども、法華経の門を閉じよと書かれて候へば、阿弥陀仏の本願に漏れたる人に非ずや。
 
平成新編御書 ―319n―