←前へ 次へ→ 『四恩抄』
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0037 四恩抄 (弘長二年一月一六日 四一歳)
抑此の流罪の身になりて候につけて二つの大事あり。一には大なる悦びあり。其の故は、此の世界を娑婆と名づく、娑婆と申すは忍と申す事なり。故に仏をば能忍と名づけたてまつる。此娑婆の世界の内に百億の須弥山、百億の日月、百億の四州あり。其の中の中央の須弥山・日月・四州に仏は世に出でまします。此の日本国は其の仏の世に出でまします国よりは丑寅の角にあたりたる小島なり。此の娑婆世界より外の十方の国土は皆浄土にて候へば、人の心もやはらかに、賢聖をのり悪む事も候はず。此の国土は、十方の浄土にすてはてられて候十悪・
平成新編御書 ―265n―