「教育の情報化」におけるGPSとWebGISの利用 1.概要 近年の「教育の情報化」の流れの中で、コンピュータやネットワークを始めとする情報通信技術(通称:ICT)の一般教科への利用が求められている。 ICTを利用した多くの授業事例を蓄積していくことは「教育の情報化」の流れを後押しすることと繋がる。 そこで本論では携帯情報端末とGPS受信機をつかったGPS測位、そしてインターネットを介した地理情報システムWebGISについて、教育への応用例案をいくつか紹介する。 2.はじめに 2000年に政府の「e-JAPAN戦略」が決定し、「5年以内に世界最先端のIT国家になる」ことを目標とした。 その結果、ICTの基盤整備(ブロードバンドを普及させる)や電子政府の枠組み(効率向上・情報公開・サービス向上を目標とした、政府・行政部門内および国民や企業など民間部門との間の情報化・ネットワーク化)の整備など、社会のICT化が進められてきた。 学校社会でも全公立学校の99.9%がインターネットに接続されていることがわかっている。 学校ではかつての「コンピュータを教える教育」から「コンピュータを使う教育」への発展がめざされている。 しかし実際にはICTを教えることのできる人材や学ぶためのコンテンツの少なさが問題視されている。 そこで、例えば一般教科でのICT利用の実践例や事例を集めたデータベース「教育情報ナショナルセンター(通称:NICER(ナイサー))」では多くの教材や授業事例が登録されつつあり、インターネットから検索できるようになっている。具体的に必要となるICTスキルについては文部科学省委託事業として日本教育工学振興会によってまとめられており、教員研修の指針の一つとすることができる。 本論は教育の情報化を推進するという目的で携帯情報端末とGPS受信機を利用したGPS測位インターネットを介した地理情報システムを組み合わせるいくつかの事例について述べるものである。本論ではインターネットを介し、Webブラウザから地理情報を参照できるサービスをWebGISと呼ぶこととする。 3.GPSとは グローバル・ポジショニング・システム (GPS: Global Positioning System) のことで、全地球測位システムとも言い、地球上の現在位置を調べるための衛星測位システム。元来は軍事用のシステムであった。 現在はカーナビゲーションをはじめとする航法、測量、測地、時刻同期、気象観測などに使用されている。 GPSの軌道面は6つあり、それぞれは60度ずる離れており、各軌道には4つのGPS衛星が配されており、時間や場所に関係なく、常に測位に必要な4つ以上の衛星が利用できるようになっている。 4.GPSの誤差 GPS受信機はGPSからの電波に付加されて送られてくる衛星の位置や時刻を受信して測位に利用する。 GPS衛星は誤差を最小限に抑えるように地上の制御