誰にも邪魔されたくなかったんだ。 私の世界を作っていた輪郭が 今崩れていくんだ。 粉みたいになって。 さして傷ついていない自分って最低かな。 そんなはずないよ。 それは外見だよ。 上辺だ。 今またひとつ終わったのかな。 そんなわけないって、 自分で壊しといて また元通りって。 そんなはずないのに。 所で。 電話はやっぱり来ませんでした。 これで二年目です。 今年もやっぱり駄目でした。 私の書く文章は通用しないようです。 密かに物語を作っていました。 自分で言うけど素敵なお話です。 でも今ならきっともっといい物が書ける気がします。 一年目に書いた物はひどいものでした。 だけど物語に出てくる自分で作ったアパートが この世界のどこかに存在する気がして、 そこに私の作った世界が在る様な気がしてなりません。 去年書いたものは今 自分で読んで馬鹿にできます。 下手くそだなぁ。なんて身の程知らずなんだろう。 原稿用紙換算で125枚。 去年より少し長い。 パソコンのキーボードをパチパチと打っていました。 書いたのは10月。 お話の中は真夏で 夏が終わっていくお話でした。 素敵な。 何度も何度も加えたり消したり。 インクが切れるまで何百枚と印刷しました。 何度もペンを加えて、 自分の物が表に出るのを夢みていました。 やっぱり駄目だなと思いながらも はなから期待していなきゃ、応募なんてしないんです。 去年の10月ごろ 連絡なんて来てないのに、 本誌で何度も何度も自分の名前が無いか確認した。 受賞者の名前に私の名前なんか勿論無かった。 本屋で悔しくてじわっと涙がでた。 恥ずかしかったんです。 今も恥ずかしい。 自分が作家になりたいなんて。 無知で馬鹿なくせして。 根拠も無いのに自信があったんです。 特に今回は。 もしかしてもしかしてと ずっと思っていました。 125枚の紙が 綺麗に装丁されて ハードカバーで 1050円くらいで インクの匂いがして 重くて 書店に並ぶのを 夢みていたのですが、 なかなか そうも上手く行かないものですね。 電話はきませんでした。 作家になりたかったんです。