;プロローグ ;背景白でウィンドウなしに黒字・フォントは明朝辺りで中央ぐらいに表示? ――寒さは唐突にやってくる。[pcm] 暦の上での変化と同時に、朝、玄関のドアを開けた瞬間の空気に季節の変化を鮮やかに感じる。[pcm] そんな頃……俺は、人生の転機を迎えた。[pcm] ;以下通常ウィンドウスタイル ;背景:自宅室内(夜) ;SE:着信音 携帯が鳴っている。[pcm] 表示される見覚えのある番号。[r] 疫病神を示すそれ。[pcm] 俺はうんざりしながら通話ボタンを押した。[pcm] ;多分家電引いてないと思う ;SE:携帯のボタンを押す ピッ [?]「もしもし、公太郎君?」[pcm] 苗字 公太郎(みょうじ こうたろう)。[r] ……それが俺の名前。[pcm] ;名前、早く、決めないと。 ;各キャラ初登場時にはフルネームに振り仮名使用 ;暫定苗字は全部「苗字」で表記 [公太郎]「……久しぶり、母さん。[r]めずらしいね。電話なんて」[pcm] もうだいたいの用件は読めている。[r] あとは覚悟をするだけだ。[pcm] [母]「うん……それがねぇ、悪いお知らせなの。[r]お父さん、大変なのよぉ」[pcm] [公太郎]「……そう。[r]俺は母さんから良いお知らせを聞いた覚えがあんまりないんだけど」[pcm] [母]「ごめんねぇ公太郎君。[r]でも、今夜はハンバーグよ! って言うといっつも喜んでくれたじゃない」[pcm] [公太郎]「……毎回ウソだったけどね」[pcm] [母]「アハハ。そうだったかしら?[r]……それでね、話なんだけど……また……ね」[pcm] 『また』という言葉がなくてもロクな話じゃないことはわかっていた。この親たちからマシな話を聞けたのは十年以上前が最後だ。[pcm] というか……それから先はあまり会ってないしな。[pcm] ;両親と叔父の設定の確認を。 [母]「また……つぶれちゃった!」[pcm] [公太郎]「……ちょっと待てよ。[r]少し前に立ち上げたばっかじゃなかったか?」[pcm] [母]「うん……。でもお父さん不器用だからね。『父さんだけにまた倒産か』って言ってて」[pcm] つっこまないぞ。つっこまないからな![pcm] [公太郎]「いや、不器用で済む話じゃねえって![r]ていうかもう会社なんか興さないで真面目にこつこつ働いてくれよ!」[pcm] [母]「それは私からも言ってるんだけどねぇ……お父さんは夢がないと生きていけないから」[pcm] [公太郎]「そんな歳でもねえだろ!」[pcm] [母]「それでね……公太郎君の預金あったじゃない?[r]お父さんも協力した」[pcm] [公太郎]「……親父の金は一割もないけどな」[pcm] もう嫌な予感しかしない。[r] 冷や汗が頬を伝う。[pcm] [母]「それなんだけど……お父さんが借金返済のために全部つかっちゃった!」[pcm] [公太郎]「…………は?」[pcm] 一瞬意識が遠のく。[pcm] ;画面上でも表現してほしいな つまり、夏の間必死こいて働いて貯めた百万近くを吹っ飛ばしたと、そう言うのか。[pcm] ……予想はしていてもショックは大きかった。[pcm] [母]「私もね……あんまりそれはよくないよって言ったんだけどねぇ」[pcm] [公太郎]「え……? ちょ……ま……」[pcm] [母]「『息子のものは家族のものだから気にすることはない。あいつもわかってくれる』[r] って」[pcm] [公太郎]「な……[l]な……[lr]何考えてんだよっ!!!」[pcm] 声はむなしく響いた。[pcm] ………………[lr] …………[lr] ……[pcm] ;背景:大学構内 [公太郎]「はあ……。俺、もう大学やめて働いた方がいいのかな……」[pcm] [長岡]「二年のこの時期になって何言ってんだよ。[r]俺の秘蔵おっぱい本『萩野雪歩T純白』貸してやっから元気だせ」[pcm] こいつの名前は長岡貞治(ながおか さだはる)。[pcm] 稀代まれに見るおっぱい星人で、変態紳士・ジョルジュ長岡を自称しているが定着しているのを見たことがない。[pcm] しかも性的なことはあまり関心がないらしく、あくまで『おっぱいがあればいい』そうだ。[pcm] ……意味が分からない。[pcm] 大学入ってすぐに同じ授業を取っていたこいつに声をかけられて以来の付き合いだが、未だに測りかねる部分の方が大きい。[pcm] [公太郎]「……そんなもの見て解決するような問題じゃない」[pcm] [長岡]「一発抜けば賢者になれるって言うだろ?」[pcm] [公太郎]「誰がそんなこと言ったんだ。[r]てかそんな賢者嫌すぎるだろ常識的に考えて」 [長岡]「細かいやつだな」[pcm] 今日は授業の合間にこうやって愚痴をずーっと聞いてもらっている。[pcm] 親友、かどうかは分からないが得がたい友人であるのは確かだった。[pcm] ;SE:携帯バイブ音 長岡は着信したメールを見ると別の話題を振った。[pcm] [長岡]「ん、次の授業休講だってさ」[pcm] [長岡]「……ほら、行くぞ」[pcm] [公太郎]「……どこに?」[pcm] [長岡]「どこにでも……だ。[r]とにかくついてくりゃわかる」[pcm] ;↑真顔 [長岡]「そんでお前は俺に感謝することになる」[pcm] ;↑笑顔 [長岡]「むしろ常日ごろからうやまってへつらえ」[pcm] ;↑邪笑 [公太郎]「最後のは断る。[r]……話の流れからするといかがわしいところじゃねえだろうな?」[pcm] [長岡]「面白い冗談だ。[r]採用してやってもいいぞ?」[pcm] [公太郎]「……勘弁してくれ」[pcm] こいつがやるといったら本気でやる。それを俺は身にしみて経験していた。[pcm] [長岡]「ま、かわいい女の子が待ってるって意味じゃ間違ってねえよ」[pcm] [公太郎]「…………もうどうにでもしてくれ」[pcm] 母親と長岡。 似てないんだけど話していると疲れるのは共通していた。 ――喫茶店内 [公太郎]「……?[r]ここは?」[pcm] 長岡に連れられて大学に程近い店の前に立つ。[pcm] [長岡]「さ、入った入った」[pcm] 一瞬、本当にいかがわしい店かと疑ったが、分厚い扉をくぐるとごく普通の喫茶店だった。[pcm] 内装は派手じゃないが、それぞれの調和がとれてて居心地がいい。それに紅茶の甘くていい匂いが鼻をくすぐる。[pcm] [?]「いらっしゃいませ。何名様ですか?」[pcm] 案内に現れた店員に俺は見覚えがあった。 [公太郎]「あれ、ひなたじゃないか。[r]……こんなところでバイトしてたのか」[pcm] [ひなた]「あ、公太郎。……久しぶり」[pcm] 苗字(みょうじ)ひなた。一口には説明しづらいけど、中学からの腐れ縁、といったところだろうか。[pcm] 明るく社交的で、長岡もそうだけど俺なんかとつるむようなタイプではないはずなのに何かと気にかけてくれている。[pcm] もっとも、最近はそれほど交流はなかったのだが。[r]……腐れ縁も潮時ということか。[pcm] 改めて彼女のことを見て制服が似合ってるなと思ったが、俺はすぐにその考えを破棄した。[pcm] [公太郎]「で、ここに連れてきてどうしようって言うんだ?」[pcm] [長岡]「まま、とりあえず座って。[r]……ひなたサン、カモミール、ポットで」[pcm] [ひなた]「分かった。あとで店長呼んでくるね」[pcm] [長岡]「よろしく〜」[pcm] 話が読めない。店長?[r] 疑問ばかりが膨らんでいく中、一つだけ口をついて出た言葉があった。[pcm] [公太郎]「……かわいい女の子って、まさかひなたこのことか?」[pcm] ……長岡はひなたことを名前で呼ぶんだな。[r] という言葉はすんでで飲み込んだ。[pcm] [長岡]「半分正解。[r]いいから君は黙って座ってなさい」[pcm] もう何を言っていいのか分からなくなった。[pcm] …………[pcm] [bkdr]「ティーセット、カモミールをお持ちしました」[pcm] [長岡]「よ、bkdr」[pcm] [公太郎]「……かわいい女の子どころかかわいい男の子が来たぞ」[pcm] 中学生か? と思ったが時間的にそれはないので言わないでおいた。[pcm] [bkdr]「や、ジョルジュ。[r]……コレ、ジョルジュのカレシ?」[pcm] ……初めてジョルジュって呼ぶやつ見た。[pcm] [公太郎]「初対面で失礼なやつだな」[pcm] [bkdr]「ジョーダンだろ、あったまカタいな!」[pcm] [公太郎]「……左様か」[pcm] なんかもうこんなんばっかかよ。疲れる。[pcm] [長岡]「マスターは?」[pcm] [bkdr]「ひなたさんと話してる。呼ぶ?」[pcm] [長岡]「いや、待つよ」[pcm] [bkdr]「そ。じゃね」[pcm] こいつも名前で呼ぶのか。[pcm] [公太郎]「今のは?」[pcm] [長岡]「bkdr(ふりがな)。[r]まぁ、見たまんまだな。かわいいだろ?」[pcm] [公太郎]「……ふーん」[pcm] 砂時計の砂が落ちたので長岡は紅茶をカップに入れ始めた。なかなか手馴れているように見える。 [長岡]「ここのは結構いいの使ってるからな。[r]……ま、飲みねぇ」[pcm] ひなたとの関係が気にならないといえば嘘になるが、とりあえず今は気にしないでいよう。[r] そう思いつつ、紅茶をひとくち。[pcm] [公太郎]「あっ……」[pcm] [長岡]「……どうだ」[pcm] 芳醇、といえばいいのだろうか。不思議な香りがゆったりと広がり、口の中を満たしていく。[pcm] お茶を美味しいというのは変だと思っていたが、なるほど、これなら……[pcm] [公太郎]「……すごいのは分かる」[pcm] [長岡]「だろ?」[pcm] お前が得意げでどうする。[r] ……とはいわないでおこう。[pcm] [公太郎]「……」[pcm] もうひとくち飲んで、一息ついて。[r] 自分が大分疲れていることに気が付いた。[pcm] ……いや、肩肘張ってないと何かが崩れそうだったのかもしれない。[pcm] 長岡はわけのわからないやつだがこういうところはよく人を見ていると思う。[pcm] ……ちょっとだけ感謝してやろうかな。[pcm] …………[pcm] 飲み終わったころ、なにやらダンディなおじさんが柔らかな微笑をたたえてやってきた。[pcm] [店長]「やあ! 君が公太郎君だね。[r]話はひなた君から聞いているよ」[pcm] [公太郎]「はあ……どうもはじめまして」[pcm] [ひなた]「こちらがこのお店の店長」[pcm] [店長]「どうぞよろしく……。[r]それで、早速だけど、このお店で働きたいってことだったね?」[pcm] [公太郎]「……え?」[pcm] [ひなた]「ってなによ……まさか長岡君、この話してないの?」[pcm] [長岡]「ああ。言ったら絶対に『頼ると悪い』だのなんだのでごねるからな。言わずにつれてきた」[pcm] 性格読むのはともかくその言い方はないだろう。[pcm] [ひなた]「……はあ。[r]……まあいいわ」[pcm] [ひなた]「大変なんだって?[r]生活費がなくなったとか」[pcm] [公太郎]「なんでそれを?」「pcm] [ひなた]「長岡君から全部聞いたの。[r]だから……このお店で働いてみない?」[pcm] [公太郎]「えっと……いいんですか?」[pcm] 正直に言えばありがたい。[r]これからアルバイトを探すにも少し時間が掛かるだろうと踏んでいたからだ。[pcm] ……というか愚痴垂れといてなんだけど他人のプライバシーを何だと思ってるんだ法学部生。[pcm] [店長]「今ちょうど人手不足でね。/*住み込みは無理だけど、通いなら*/君たちの紹介なら大歓迎だよ」[pcm] ;店設定暫定に付き保留 [公太郎]「……じゃあ、せっかくのご好意ですし、甘えさせてもらいます」[pcm] [店長]「いえいえ、こちらこそ」[pcm] そういって互いにコメツキバッタのようにおじぎしあう。[pcm] [長岡]「……な? 話さないで連れて来たほうが簡単だっただろ?」[pcm] [ひなた]「ふふっ、そうだね……」[pcm] [公太郎]「……うっせ」[pcm] 感謝はする、が、素直になりたくないなちくしょう。 [店長]「そうそう、色々と条件の説明しないといけないね」[pcm] [ひなた]「……学生は学生証を見せると二割引、働いていたら三割引であわせて半額になるから。[r]結構助かるでしょ」 [店長]「それと、働いている間のまかないはサービスということで」[pcm] [公太郎]「そこまでして大丈夫なんですか?」[pcm] [店長]「まぁ、なんとか。[r]その代わりといっては難だけどバイト代はそれほど出せないんだ。申し訳ない」[pcm] しかし提示されたのは地域の最低賃金よりはほんの少し上だった。[pcm] [公太郎]「いえ、そんな。十分すぎます」[pcm] [ひなた]「あとはそうね、シフト制で早番と遅番を自己申告で決めるの」[pcm] [店長]「シフトは週末に調整するから細かいことはそのときになったら説明するということで」[pcm] [店長]「今週のシフトは組んでしまっているし、今日は制服の用意があるから、できれば明日からヘルプとして来てくれないかな」[pcm] [公太郎]「……分かりました」[pcm] ……どうやら人手が足りないのは本当らしい。[pcm] ;てかこの辺の説明台詞ラッシュ全削除してしまいたいわけだががががががががが …………[pcm] こうして俺はこの店、「開店☆準備中(仮)」で働くことになった。[pcm] 考えてみれば俺の住んでいるアパートからも遠くはない。今まで気付かなかったのが不思議なぐらいだ。[pcm] ……これを機に、ちょっとは散歩してみるかな。 ;MAP選択の伏線を無理やり乗っけてみる さて、これからどうなるのだろう。[pcm] 将来に対する一抹の不安と、振って沸いたような旧友との交流に、俺は複雑な気持ちになった。[pcm] ………………[lr] …………[lr] ……[pcm] ;END