TS・性転換・女性化小説(非強制)

01-001 :名無しさん@ピンキー:04/01/10 20:47 ID:PSxJn7Nj
強制要素のない「男→女」の性転換ネタのスレです。
男性を無理やり女性化させて屈辱や羞恥を与えるまでもなく
女性化ネタ全体にハァハァしましょう。

2次創作はアリですが、いわゆる「パラレル」ものは不可。
あくまで♂→♀の変化に萌えるということで。

関連スレ
強制女性化小説ない? Part10
http://www2.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1073483120/l50

もし理想の女性に生まれ変わったら… その5
http://www2.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1073416983/l50
↑ここの>2-4に各種関連スレあり

01-002 :名無しさん@ピンキー:04/01/10 20:56 ID:Sh28pZ1V
非強制イイ!!

01-003 :名無しさん@ピンキー:04/01/10 21:00 ID:VczPXPQx
    | ̄ ̄|
  _|__|_    / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
  (  ゚∀゚ )  < かみが 3げっとなのです!
  (    )    \________________
  | | |
  (__)_)

>>4  ろうじんを さがしなさい!(命令)
>>5  あなたには たいくつしてきました
>>6  6げっと? それがどうかしましたか?
>>7  ちっぽけなそんざいが ひっしにコピペする すがたは わたしさえも かんどうさせるものがありました。
>>8  かみをあおるとは どこまでもたのしいひとたちだ
>>9  これも キモヲタの サガか・・・

01-004 :名無しさん@ピンキー:04/01/10 21:00 ID:PSxJn7Nj
一応、主な関連サイト

強制女性化小説投稿SS・イラスト保管庫
ttp://red.ribbon.to/~tseroparo2ch/
強制女性化スレの投下作品はこちらに。

八重洲メディアリサーチ
ttp://www14.big.or.jp/~yays/
ネットにおける当ジャンルの始祖。

異性体のアンテナ
ttp://a.hatena.ne.jp/iseitai/
各SS・イラストサイト巡回に便利。

01-005 :名無しさん@ピンキー:04/01/10 23:04 ID:Wv6cJ/6R
>>1 非強制ってことは「女になりたくて仕方が無い男がチムポ切ってマムコつける」って小説でつか?



















キモっ

01-006 :名無しさん@ピンキー:04/01/10 23:31 ID:Pjw25XgR
いーえ
男女入れ替わりが可能な小説・イラストです

01-007 :名無しさん@ピンキー:04/01/10 23:34 ID:RypxlVpc
>1乙!!
ようやく立ったね。職人さんの降臨を期待して待つ。

01-008 :名無しさん@ピンキー:04/01/10 23:57 ID:4N+F21lV
ベルクカッツェが主役のスレはここですか?

01-009 :名無しさん@ピンキー:04/01/11 00:21 ID:3JCASrl/
こんなの見つけたよ
ttp://www.dlsite.com/work/workshow.cgi?workno=gs0525

01-010 :名無しさん@ピンキー:04/01/11 00:32 ID:J745xLSe
二次創作OKとのことなので、ネタはあるけど本スレで性別転換ネタは投下しづらいという
各地の神々が舞い降りてくれればいいね。




ドラクエとかないかな(ボソッ

01-011 :名無しさん@ピンキー:04/01/11 00:40 ID:3JCASrl/
>>10
冬コミで買ったドラクエ同人誌で4のキャラ全員が朝起きたら性別転換しちゃったって言う本があった
(元男)勇者やクリフトが男マーニャに…(;゚д゚)=3、っていうお話

01-012 :名無しさん@ピンキー:04/01/11 00:57 ID:etG147KX
踊る男マーニャはいやぽん

01-013 :名無しさん@ピンキー:04/01/11 01:28 ID:Qz+V/wiT
即死は嫌なのでカキコ。
大丈夫かな?

01-014 :名無しさん@ピンキー:04/01/11 02:51 ID:5oCpaXpQ
いつの間にかこんなスレが……

強制スレに投下しようとしてたのですが、本人が(女性化に)同意している
ということで、即死防止もかねて、ここに投下します。

01-015 :アリス ◆Alice.9wCE :04/01/11 02:53 ID:5oCpaXpQ
アリスの娘たち~  ひろみ

「やはり、どうしてもですか?」
「君には不本意かもしれないが、これまで以上に君は皆から"愛される"ことに
なる。それでも嫌かね?」
「ボクは今の仕事が好きなんです。そりゃ、ボクは子供であまり役に立ってい
ないかもしれませんが、それでも"いらない人間"じゃないと思っているんです
けど……」
「"アリスの娘"に選ばれるには、性格や健康状態も重要な要素だ。
誰でもいいわけじゃない。君は"いらない人間"ではないよ。
むしろ"必要な人間"だ。それでも納得できないかね?」
----------------------------------------------------------------
ここは移民船の中。もう何百年も移住可能な星を探して、旅を続けている。
この船の人口はやっと200人弱。船内は狭いけれども、地上とそうは変わら
ない環境が整えられている。ただ、植物も含めて繁殖はほぼ完全にコントロー
ルされている。極僅かな人間を除いてすべてが男性。狭い閉鎖空間内で秩序
だった運営を行うには、いろいろとメリットがあるということが、経験的に得られ
ているのだそうだ。
僅かな人たち……。移民船のマスターコンピュータの名を取り、"アリスの娘"
と呼ばれる人たち。約300人の中の、今は11人だけ。その12人目になれと、
ボクは命じられたのだ。この船の誰もが、最初は男としてこの世に生を受ける。
そして、その中から必要に応じて、遺伝子操作をして女性になる。
"アリスの娘"になるのだ。女性となって、そして……

01-016 :アリス ◆Alice.9wCE :04/01/11 02:55 ID:5oCpaXpQ
>15
「これが"アリス"のシミュレーションした"5年後"の君だ」
「……これがボク?」
「生齢はちょうど20歳になるのかな?評議会はもちろん、アリスは君の性格分
析の結果を重視して選択したつもりだが、このシミュレーション画像を見れば、
そんなことはどうでも良いという気分になるね……。
いや、気を悪くしないでもらいたいのだが……」
「慣例なら、ボクの歳なら選ばれることは無い筈ではないのですか?」
「先月の事故のことは知っているね? 娘の一人が亡くなった。これはまった
く予定外のことだ」
「ええ、友達もとても残念がっていました。優しい女性だったとか」
「そうだ……。とても優しい女性だった。それがアリスが決定付けた性格だっ
たからな。つまり、同じくらい優しい性格の後継者が必要なんだ。」
「それで、ボクなんですか?」
「それに君はまだ"経験"がないだろう?」
「……。"経験"したくなかったわけじゃないんですけど……」
----------------------------------------------------------------
人工的に培養されたボクたちには繁殖力はほとんど無い。特別に調合された
薬を飲まなければ、2次性徴すら発現しない。だからある年齢になると、その
薬を飲んで"アリスの娘"と"経験"してオトナの男になる。
……だからといって、女性を妊娠させるだけの繁殖力は無い。"経験"するの
は繁殖が目的ではなく、もっと精神的な理由からなのだ。
----------------------------------------------------------------
「ともかく、これは評議会の決定でもあり、アリスの選択でもある」
「それなら、拒否できないのではないですか?なぜボクに同意を求めるので
すか?」
「もちろん決定は絶対だが、これは通常のケースとはいえない。君が納得し、
受け入れられる様になるまでは延期されることになる。私としては、他の女性
達の負担も考慮しなければならない立場なので、できれば早く返事が欲しい、
というわけなんだ」
「……わかりました。ボクの方はいつでも……。」

01-017 :アリス ◆Alice.9wCE :04/01/11 02:57 ID:5oCpaXpQ
>16
「やぁ、お帰り、ヒロミ。どうだった?評議長に呼ばれるなんて。
心配してたんだ。おとなしいだけが取柄のヒロミが、もしかしたら何か大変な
ことをしでかしたんじゃないかって」
同室のアキラが心配そうに、ボクの顔を見ながら話しかけてくる。

「うん。……"アリスの娘"になってくれって」
「ヒロミが? "アリスの娘"? 女になるってこと?」
「うん。評議会の決定だって。この前、事故で一人死んだでしょ?
その後任だって」
「レイラさんのことだろ?優しい人だったよね。でも何でヒロミが?
そりゃボクだって誰かを選べっていわれたら、ヒロミを推すけどさ。
でもその歳で?」
「ボク、まだ"経験"無いからさ……」
なんとなく顔が赤くなってしまう。

「そ、そか。そういえば、まだだったよね。で、いつなの?」
「これから」
「こ、これから?そ、そんな急に…。ボクはどうなるのさ、パートナーがいな
くなっちゃうじゃん」
「ごめん。早い方がいいかなと思って。アキラなら、きっと誰とでもやってい
けるよ」
「"娘"になったヒロミと一緒に…、なんてわけにはいかないよなぁ。
なんだかさびしいなぁ」
「そうだね。でもこの船からいなくなっちゃうわけじゃないし。
また会えるんだしさ……」
「それって、女になったヒロミと寝る……ってことだよね?」
「え?それは……、そういうことになるかな??」
ボクは親友に抱かれる(もちろんそれがどんなことか、ホントは良く知らない
けど)ということに、ものすごく羞恥心を覚えて、下を向いてしまった。

01-018 :アリス ◆Alice.9wCE :04/01/11 02:58 ID:5oCpaXpQ
>17
「あ、いや、その……ゴメン。余計なこと言っちゃったかな?」
「ううん、"アリスの娘"になるって、そういうことなんだよね。あんまり深く考え
ていなかったけど」
「怖くない……?」
「え?そりゃ、少し不安だけど。でも、伽を勤められる様になるまでは、ハルカ
さんが付いてくれるって言うし。たぶん平気。」
「ハルカさんって、あのハルカさん?よかったじゃん。あの人見かけはちょっと
コワイけど、亡くなったレイラさんに、負けず劣らず優しい人だって話だよ」
「アキラは、ハルカさんとも……??」
「え?いや、まだだけど……ボクだってまだ男になってから、やっと半年だし。
そのうち順番がくるとは思うけど…妬いてるの?目がコワイよ」
「え? そ、そんなことあるわけ無いじゃん。なに言ってんだよ」
「冗談だよ。その、なんていって言いか良くわからないけど、元気でね」
「次に会うときは、ボクは女の子になってるけど、アキラのこと忘れちゃうわけ
でもないよ。じゃ、もう行かなきゃ、"またね"」
「うん、"またね"」

…でもそれが最後だったなんて。その時のボクは思いもしなかったんだ。

01-019 :アリス ◆Alice.9wCE :04/01/11 03:00 ID:5oCpaXpQ
>18
「あら?早かったのね。パートナーとはちゃんと話をしてきたの?」
ハルカさんは、もう医務室に来て、医官と打ち合わせをしていた。

「あの、はじめまして……。ヒロミです。その、よろしくお願いします」
「ハルカよ、よろしくね。これからは、私があなたのパートナーよ。
まぁ姉妹みたいなものね」
「ワシは医官の伝助じゃ。もっとも、はじめからこの名では無いがの」
「は、はい、評議長からうかがってます」
「緊張しているの?無理も無いわね。私も最初はとても不安だったわ。」

確かに女になるのは不安だったけど、それよりもボクはハルカさんの
美しさにドキドキしていた。
黒くて長い髪、深い藍色の瞳。差し出された手を握ると、とても柔らか
だった。それにとってもいい匂いがする。アーカイブに記録されていた、
花の匂いってこんな感じなのかな……?

「それで、やはり駄目なんですか?」
「うむ、アリスはそのまま施術に入るべきだと言っている。まぁワシも
そう思うが。なんじゃ?この子があんまりかわいいから、先に食べて
みたくなったのかの?ヒヒヒ」
「もう、からかわないでください。先生!」
「……あの? 何の話でしょうか?」
「いえ、その……ね、あなたが女の子になる前に、"経験"させておい
てあげたほうが、いいかな?ってね。先生に相談していたの。何も知
らないままなんて、ちょっとかわいそうかなと思ってね」
ハルカさんは、頬を赤くしながらいった。ちょっとうつむき加減に、
上目遣いで……。その仕種がボクをますますドキドキさせた。

01-020 :アリス ◆Alice.9wCE :04/01/11 03:03 ID:5oCpaXpQ
>19
一見冷たそうな印象を与える、整った顔立ち。切れ長の目に、薄い唇。
最初部屋に入ったときにボクを見た時は、威圧するほどの存在感があった
のに、いま目の前で話しているハルカさんは、思わず抱きしめたくなるほど
かわいく見える。
ほんの一瞬のうちにその表情を変える。
女の人って、こんなにもドキドキさせてくれるものなのだろうか?
虚空の空間を当所ない旅を続けるボクたちの、心と体を癒す"アリスの娘"たち。
それにボクは、これからなろうとしているのだ。


「……ボクが、その、ハルカさんと?」
「ええ、まぁ……。でも、先生は、何も知らないまま女にするって言うのよ。
その方が初々しさが残るんだって。」
「ワシじゃなくて、アリスがそう決めたのじゃよ。そういや、オマエさんは、有無
をいわさずこれから世話になろうって相手を、無理やり押し倒したそうじゃな」
「あはは、そ、そんなこともあったかしら。だって悔しいじゃない、知らないまま
なんて、ね?」
「え?ボ、ボクは……、その……」
恥らう女性の表情から、今度は一変して悪戯女の表情に変わったハルカさん
に、ボクはもう
虜になっていた。抱きしめてみたい……という感情が少しずつボクの中で大き
くなってきた。

01-021 :アリス ◆Alice.9wCE :04/01/11 03:05 ID:5oCpaXpQ
>20

「やれやれ、ハルカに食べられちまわないうちに、さっさとはじめるかの……
ほれ、コレを飲んで、服を脱ぎなさい」
「え?あ、は、はい……」
僕の心の変化を見透かすように、医官は施術の準備を促した。

「え、もう始めるんですか?いろいろ聞いておきたいことがあるのに」
「時間なら後でいくらでもあるじゃろうが、ほれ、手伝いなさい」
「はいはい、残念ね……。じゃ、脱がせてあげるわ、それくらいはしてあげな
きゃね」
そういうとハルカさんは、ボクを軽々と抱き上げた。ハルカさんはボクよりも
頭ふたつ以上、背が高くて、まだまだ成長段階にあるボクを抱き上げるぐら
いは、なんてことは無いのだろう。

「思ったよりも軽いのね。うふふ、こうすると気持ちいい?」
そういって、ハルカさんはボクの顔を自分の胸に押し付けた。柔らかいふくら
みが、ボクの鼻や唇にあたって、なんだかとても気持ちいい。甘くてそれでい
てさわやかな匂いがいっそう強くボクを包む。体だけでなく、心までも……。

ボクをそっと診察台に下ろすと、今度は耳元で囁く様にいった。

「かわいいわね、ヒロミ。ホントに食べちゃいたいくらい。今服を脱がせてあ
げるわ……」
「あ、あの、自、自分で脱げますから……」
「駄目よ。これも勉強のうちなの。男を悦ばせる……ね」
そういうと、僕の耳元にキスをしながら、服の胸元のファスナーを下ろしていく。
上半身をはだけさせられ、インナーもとられた。ハルカさんと違ってペッタンコ
な僕の胸をなでる。

01-022 :アリス ◆Alice.9wCE :04/01/11 03:11 ID:5oCpaXpQ
>21
「まぁ、キレイな肌ね。船外活動もしたこと無いんでしょ?
何のお仕事をしていたの?」
「え、資、資料の整理です。アーカイブの。」
「そう、このキレイな手。畑仕事にも縁がなさそうだしね。孤独な仕事でしょ?
アーカイブの仕事って……。寂しくなかった?」
下のインナーにも手を入れながら、ハルカさんの声が耳をくすぐる。
ハルカさんの細い指先がボクの内股をなでたとき、
ボクは思わず声が出てしまった。

「ああっ……」
「鳴き声もかわいいのね。男の子なのに。薬も利いてみたいね」
ハルカさんの愛撫が、ボクの意識に少しずつ霞を降らせていく。他人に服を
脱がされるのがこんなに気持ち良いなんて思いもしなかった。いつの間にか
ボクはすっかり生まれたままの姿にさせられていた。

「寒い?ホントは肌と肌をくっつけあうと、もっと気持ちがいいのよ…」
「ほれ、遊んでないで、とっとと挿管せんかい」 医官が試験管ぐらいの管を
差し出してハルカさんに言う。

「もう、せっかく気分が出てきたのに。それよりも塗り薬が先ですわ、先にそ
れを入れたら、この子が痛がるわ」
そういうと、今度はぬるぬるした薬をボクの体に塗りつけていく。
足も、手も、背中も、胸も、おしりも、性器も……。
体が熱く燃えてくるような、激しい衝動が体の奥から湧き上がってくるのに、
ボクの意識は逆にまどろみ始めてきた。そのもどかしさを何とかして欲しくて、
ボクはハルカさんの目を見つめた。

「んー、その切なげな目もいいわね。きっと良い"娘"になれるわよ」
「だいぶ混濁してきたようじゃの、意識があるうちに機械に入れないと、面倒
じゃぞ」
「ああ、もう、はいはい先生。では挿管を…。ちょっと痛いかもしれないけど
我慢してね」
そういうと、ハルカさんはボクをうつぶせにして、少しだけ腰を持ち上げると、
おしりの穴にいきなり指を入れた。

01-023 :アリス ◆Alice.9wCE :04/01/11 03:14 ID:5oCpaXpQ
>22
「あ、いや……」あまりに恥ずかしい格好にさせられたうえに、自分でも触れた
ことの無い場所への異物感に、拒絶感を感じて体を強張らせた。

「力を入れないで。すぐに痛くなくなるから。ふふふ、後ろの初めては、わたし
がいただいたわ」
「あまえさん、やっぱりそれが目的では……」
「もう、先生は黙っていてください。いいところなんですから」
ゆっくりとマッサージを加えながら、ハルカさんはうしろの穴を揉みほぐしてい
る。ボクは恥ずかしさと、経験の無い感覚でめまいがしてくる。やがて指よりも
少し太い異物感を感じたかと思うと、ずぶずぶと何かを入れられていく感覚が
全身を刺激する。

「あ、あ、や、もうやめて。どこまで……」
柔軟性があるといっても、体の奥まで異物を入れられるのには、まだ不快感
しか感じない。

「我慢して。別に口から出るまで突っ込んだりはしないわ。これは長期間あな
たを機械に入れておいても、機械の中が汚さないようにするためと、体の内
側から光をあてるためのものなの。」
「光……?」
「そう、体のつくりを変えるためには全身を薬液に漬けて、特殊な光を当てるの。
でも外側からだけじゃ時間がかかって、あなたの体が持たないわ。だから体の
内側にも、このチューブを挿れて変化を促進するのよ。
入る穴には全部入れるから覚悟してね」
ハルカさんはこの時、恐ろしいことも言ったけれど、僕の頭はそれをされるま
で理解できなかった。

「先に口をふさいだ方がいいかもね。その前に……」
ハルカさんはボクを仰向けにひっくり返して、頭の後ろに手を回して少しだけ
抱き起こした。

01-024 :アリス ◆Alice.9wCE :04/01/11 03:16 ID:5oCpaXpQ
>23
「アナルバージンよりも、ファーストキスが先の方が良かったかしら?
乱暴でゴメンね」
そういうと何かを口に含んで、そっと顔を近づけた。
ハルカさんの潤みかけた深い藍色の瞳にボクの目は釘付けになる。
しばらく見詰め合った後、ハルカさんにつられてボクも目を閉じると、唇にそっ
と何かが触れた。

……やわらかい。

初めての感触に頭がますますぼうっとしてくる。いま、ボクはハルカさんとキス
してるんだ。男として最初で最後の女の人とのキス……。
やがてもっと強く押し付けられたかと思うと、今度は舌で口をこじ開けられて、
何かを流し込まれた。熱い液体が口の中から、喉の奥、胃にまで達するような
感覚がした。気持ちいい……。

「ん、はぁ、はぁ……何を飲ませたの?」
「ん、まぁ気付けみたいなものよ。今度はホントに苦しいかもしれないけど我慢
してね」
そういうと、表面はぶよぶよに見えるけど、ボクの腕ぐらいはある太いチューブ
を口の中に押し込まれた。確かに苦しいけど、さっき口移しに飲まされた何か
の感触を味わったせいか、それほどつらくは無い。
ハルカさんになら、どこに何を入れられても、耐えられるような気がする。
そうして、ハルカさんにされることなら、何でも平気になっていくんだろうか…?

01-025 :アリス ◆Alice.9wCE :04/01/11 03:18 ID:5oCpaXpQ
>24
「噛んではダメよ。つらい?」
少し涙が出ているからだろうか、ハルカさんはいたわるようにボクの背中をさ
すりながら、ゆっくりチューブを押し込んでいく。口をふさがれているので、
頭をゆっくり振ってだいじょうぶという意思表示をする。

「そう、もう少し我慢してね。もう少しでチューブからなら息ができるから……。
先生、どうですか?」
「うむ、さすがワシの助手だけの事はある。これほどスムーズに挿管すること
はわしにもできまいて……。む、そこでストップじゃ」
「さあ、ゆっくりと息をして……そうそう。大丈夫?」
口からの異物感と、肛門からの異物感で串刺しにされているような感覚が、
少し惨めな感じがして切ないけど、ハルカさんの優しい声と愛撫がボクを落
ち着かせてくれる。
ゆっくりとうなずくボクを見て、ハルカさんはまた何かを手に取った。

「今度はちょっとイタイかも……」
そういうと今度は下腹のほうに手を伸ばして、ボクのペニスをつまんだ。
あまりの突然の行為に今度こそボクは身を捩じらせて、抵抗しようとしたが、
肩を医官に抑えられ、腰はハルカさんに抑えこまれてしまって身動きできな
い。というより、薬の作用と今までの行為が、既にもう僅かな抵抗すらできな
いほどに、体の自由を奪っていた。

「動かないで、まだムケてないのね……て、未経験だからそうよね。
ま、勃たないから入れやすいけど……」
そういうとハルカさんはボクのモノを口に含み、舌を使って"ムイ"てしまった。

01-026 :アリス ◆Alice.9wCE :04/01/11 03:20 ID:5oCpaXpQ
>25
「んー!んんんーっ、ん……」
あまりの刺激に今度こそどこかおかしくなりそうな感覚が、ボクを蹂躙しかけた
が、次に襲ってきた激痛が現実の世界に引き戻した。

「んぉーぉ!!んぉーっっ!!!!!」
口を塞がれていなかったら、部屋中に響く叫び声を出したに違いない。

「我慢して!これが一番重要なの。痛いのは挿れている間だけだから」
ハルカさんの、拷問のような責めがやむと、ちょっとした爽快感とともに、何か
水音がしてあたりに匂いが立ち込めた。

「いけない、片側ピンチで止めとくの忘れてたわ……。粗相をして、
しょうの無い子ね」
激痛は尿道に挿管されたためで、その管が膀胱にまで届いたために、溜まっ
ていたものが垂れ流しになってしまったらしい。でもそれはボクが悪いの?
「やれやれ、こっちまでおかしな気分になりそうじゃったわい。片側止めていな
かったのは、ワザとじゃろが……。まぁ放尿の爽快感が無かったら、この子は
苦しいままだったじゃろうがの」
「へへへ、さすが年の功で……。先生は何でもお見通しなんですね」
「ついでに尿瓶も用意しとけば、GJだったが、床にぶちまけさせたのでプラス
マイナスゼロじゃ」
「お漏らしする羞恥心を、教えてあげたんですよ。先生」

……そんなの教えて欲しくないよ、ハルカさん。

01-027 :アリス ◆Alice.9wCE :04/01/11 03:23 ID:5oCpaXpQ
>26
「さ、歩ける? こっちが装置よ。ゆっくりでいいからね。」
ボクはハルカさんを見つめた。
……サッキ、ぼくヲハダカニシタトキミタイニ、ダイテホシイ……。

「ダメよ、そんな目をしても。抱きかかえて欲しいんでしょ?でも自分で歩かな
いと駄目」
……いじわるナはるかサン……。
ぼくはうながされるままに、歩くしかなかった。この部屋の大部分を占拠する
大きな装置のそばまで、何とか二人に両脇を支えられて歩いた。ほんの数
メートルなのに、体に挿し込まれたチューブが揺れたり肉壁と摺れたりして、
辛くて一歩進むたびに崩れ落ちそうになる。開放されたハッチのようなものの
中に浴槽のようなものが見えるけど、装置の縁をまたいで中に入ることがで
きるだろうか?
「もう少しよ……。さぁ、良くがんばったわね。じゃ、この中に横になりましょうね」
ハルカさんは、ボクのおでこに軽くキスをしながら優しく抱き上げて、装置の中
にぼくを横たえた。
……いじわるシタリ優シクシタリ、わざトぼくノ心ヲ翻弄シテルノ?……
「蓋を閉めると中は液体で満たされるけど、怖くないからね。目はなるべく閉じ
ておいた方がいいわ。あ、これは単なる栓だから。」
ハルカさんはボクの鼻の穴に栓をし、耳の穴にはチューブを挿し込んで、その
端は装置に接続した。挿管されていたチューブの端もいつの間にか医官によ
って装置に接続されていた。何かのセンサーも体に貼り付けられている。

01-028 :アリス ◆Alice.9wCE :04/01/11 03:24 ID:5oCpaXpQ
>27
「……聞こえる?音大きくないかな??」
耳に挿し込まれたチューブからハルカさんの声が聞こえてくる。ボクが大丈夫
という風ににっこり笑って頷くと、ハルカさんは装置のハッチを閉めた。同時に
生暖かい液体が流し込まれてきた。

体中の穴という穴に異物を詰め込まれ、真っ暗くて狭い装置に寝かされ、その
うえ得体の知れない液体がボクの体を嬲り始める。どうしようもない恐怖感に
襲われそうになったとき、頭の中でハルカさんの優しい囁く声がした。

……怖くないわよ、ヒロミ。大丈夫だから、落ち着いて。液体の温度と比重はあ
なたに合わせてあるから、そのうち暑くも無く寒くも無い、無重力空間に漂って
いるような気分になるわ……
……あなたの体調はすべてモニターしているから、安心して、次に目覚めたと
きは、あなたはかわいい女の子に生まれ変わっているわ……
……誰もが独り占めしたくなる……

その後は聞き取れなった。ハルカさんの声が、頭の中にこだましているうちに、
ボクは深い眠りの中に落ちていった。
ハルカさんは男だったボクの時間の最後に、抗うことのできない運命を、
意識と心の底に挿入したのだった。

01-029 :名無しさん@ピンキー:04/01/11 03:25 ID:5oCpaXpQ
とりあえず、今回はここまで。TS前でも萌えられるかな?

01-030 :名無しさん@ピンキー:04/01/11 03:34 ID:BJ/sZlG3
(*´д`) オアズケ…

01-031 :名無しさん@ピンキー:04/01/11 03:55 ID:etG147KX
GJ

レダみたい というのはなしですか?

01-032 :名無しさん@ピンキー:04/01/11 08:03 ID:pU0hG+uY
おおおお、おおおおおお

01-033 :名無しさん@ピンキー:04/01/11 08:18 ID:znPnhOJi
トリップが神。

01-034 :名無しさん@ピンキー:04/01/11 12:35 ID:U6oqGrQz
このスレ最初の職人キタ━━━━(゚∀゚)━━━━!!!!!

01-035 :名無しさん@ピンキー:04/01/11 16:10 ID:2cns0F2k
2次創作アリって事で2次創作だった場合ジャンル名とかカップリングとかは名前欄とかに
入れるとか投下前に書くとかした方が良し?女性化自体は好きなんだが創作ではネタが
出ないし自ジャンルスレでは禁止されてるし…って事でこっちに投下しようと思うんだが。
しかし2次創作の場合はそのジャンル知らない人がほとんどだろうからSSの中で軽く
世界観や設定を書いたほうがいいんだろうか…。

取り合えず暫くは様子見させて貰いつつ自分でやる場合の絡ませる相手は
1、男性化した元女性キャラとエチー
2、下手したら801っぽくなりそうだけど男キャラとエチー
3、女性キャラと百合エチー
のどれがいいか迷う漏れ…。切な系でいくかアホっぽいのでいくかも迷う。

01-036 :名無しさん@ピンキー:04/01/11 19:05 ID:U6oqGrQz
ぜひ、3でお願いします。切望。

01-037 :名無しさん@ピンキー:04/01/11 19:43 ID:raayliH6
そして切な系・・・2次創作の元の作品はなにかにゃー?

01-038 :名無しさん@ピンキー:04/01/11 21:17 ID:YV2+pwA4
>>35
元ネタとキャラ名明記でいいんじゃないですか。
読み手としては、興味があればぐぐるなりして調べるし、なければスルーするだけ。
ただ、元のジャンルやスレ独特の略語やスラングは避けるべきかと。

01-039 :名無しさん@ピンキー:04/01/11 21:24 ID:YV2+pwA4
でも道具などSS中で重要なモノは簡単な解説があると親切かも。
(たとえばワンピースの悪魔の実とか、FEでのチェイニーの能力とか)

個人的には2が801っぽくならなければ大希望。

01-040 :名無しさん@ピンキー:04/01/12 00:10 ID:GU69yXRW
>35

4・ふたなり化した女性に犯される
でもいいです。

01-041 :名無しさん@ピンキー:04/01/12 01:19 ID:GzRbKyKl
【禁断の】ワンピース女体化スレ8【誘惑】
ttp://www2.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1068068182/

今こそ封神演義で! 2
ttp://www2.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1058888045/


二次創作で女体化SSのあるスレだから、一応貼っておく。

01-042 :名無しさん@ピンキー:04/01/12 01:36 ID:Z+Pzb73P
女体化キラハァハァ2
http://www2.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1067859470/
○●○「ヒカ碁」女体化妄想スレ第1局○●○
http://www2.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1065165493/

忘れちゃいやんw

01-043 :名無しさん@ピンキー:04/01/12 02:47 ID:q4SSav4o
ヒロミ×ハルカのレズ調教シーンをどうするか悩んでいる最中なので、
その前に、ハルカの話を投下します。

01-044 :アリス ◆Alice.9wCE :04/01/12 02:49 ID:q4SSav4o
>28
アリスの娘たち~ ハルカ

「眠ったようじゃの」
「ええ、先生。いい夢を見てくれるといいんですけど。私はこの子の不安を取
り除いてあげられたかしら……」
「まぁ大丈夫じゃろ。さてオマエさんこの後……」
「ざーんねん! お仕事入っているんです。先生とは、またね」
「……つれないのぉ」
----------------------------------------------------------------

「はぁ、はぁ……。そ、そこは……」
「感じるのか?女ってヤツは何度ヤッても面白いな。こんなところも感じるのか
よ……」
ハルカは、アリスの指定した伽の相手に蹂躙されていた。
今日の相手はどうもSM嗜好らしい。待ち合わせの場所で待っていたらいき
なり後ろから羽交い絞めにされ、手錠をかけられた後、居住区画のサブ管理
室に連れ込まれた。最初、ハルカは決まりを無視した男に襲われたものと思
い、室内にある監視カメラに叫んだ。

「ア、アリス。助けて、モニターしてるんでしょ?」
しかし、合成音声の冷たい声がハルカの助けを無視してこういった。

「はるか、ソノ人ガ今日ノ相手デス。彼ノ思ウ様ニサセテアゲナサイ」
「へへへ、そういうことだよ。よろしく、ハルカさん。俺、こういうの一度やって
みたかったんだよね」
ハルカはアリスの指示どおりにするしかなった。
それが"アリスの娘"の仕事だから……。
男はコンソールにハルカをうつぶせに押し倒すと、そのままスカートと下着を
剥ぎ取り、後ろから犯し始めた。ハルカは何の抵抗もできないまま、男に犯
されるしかなかった。性転換して15年。もう何人もの男と何度も肌を重ねてき
たハルカは、最初は苦痛しか感じなかったものの、すぐに体が男の欲望を
受け入れ、相手の強引な性行為にも感じる体になっていた。

01-045 :アリス ◆Alice.9wCE :04/01/12 02:51 ID:q4SSav4o
>44
「おしりの穴も感じるなんてな。もしかして、女になる前から使われてたんじゃ
ないのか?パートナーにさ」
ハルカは心まで犯されていた。男の言うとおり、ハルカは性転換前に同室だ
ったパートナーと"した"ことがある。でもこの男と違って、彼は真剣だった。
彼はハルカのことを本気で愛していた。だから彼のために"アリスの娘"にな
ろう、そう思って、ハルカは偶然一人空いた枠に志願したのだった。まだ子供
だったハルカは"アリスの娘"がどんなものか知らなかった。ただ、ほんとうに
彼のものになるためには、性転換するしかないと思っていた。そうすれば、彼
にもっと愛してもらえると思っていたのだった。
だから、医官の先生がいつも冗談交じりに言う「転換前にパートナーを押し倒
した」というのは、本当は意味も立場も違う。
ハルカは性転換前に女性としたことは無かった。

「ほら、脱げよ。全部脱いで体を良く見せるんだよ」
ハルカの手錠を外しながら男はさらにハルカへの蹂躙を続けようとしていた。
ハルカよりも若く見えるこの男は、きっと最近"男になった"のだろう。乱暴で
直接的な性欲が、今度はハルカを視姦しようと強引に服を脱がせていく。

……あの人はこんなに乱暴じゃなかったな。
ハルカのパートナーだった彼は、ハルカよりも10歳以上も年上の立派な大人
の男だった。パートナーというよりも、実際は小さい子供の面倒を見る保護者
という役割だった。人口が厳密に管理されている移民船では、パートナーが
必ずしも近い年齢ではない。もっとも本人たちの希望や、その他の都合で
パートナーを変えることも良くあることで、中には数人のグループもある。

「あ、痛い!やめて!!」
秘唇を嘗め回していた男が、ハルカのクリトリスに歯を立てた。

「わりぃ、ちょっと強すぎたか?」

01-046 :アリス ◆Alice.9wCE :04/01/12 02:53 ID:q4SSav4o
>45
「……ゴメン、ちょっと強すぎたかな?」
初めて時、あの人もそういった。本当はアリスが決める初夜の相手を、ハルカ
は強引に彼に決めていた。そうでなければ何のために女になったのかわから
ない。
彼は黙って"アリスの娘"になってしまったハルカを、最初は「勝手な行動をし
て!」と叱ったが、すぐに苦笑しながらこういった。

「ありがとう、ハルカ。僕の為に。愛してるよ」
そういって、女になったばかりの……まだ未成熟な体のハルカを愛してくれた
のだった。小さいけれども、しっかりとした胸の膨らみに、彼は目を丸くしなが
ら手を伸ばして愛撫した時、ハルカは思わず彼を拒否してしまった。
男の体とはまったく違う未経験の感覚に、ハルカは驚いたのだ。

「……ううん。ちょっとびっくりしただけ。ごめん、続けて……」
あの時とおなじセリフに、ハルカは心の中で苦笑していた。
……いけない、この男に集中しなきゃ。
ハルカはそう考えたが、優しかった彼の思い出が、次第に頭の中を占拠し始
めてしまっていた。

女の感覚は男のそれとは、まったく感じが違っていた。もともとそういう目的
で作り変えられた体とはいえ、ハルカは自分の肉体に与えられる刺激と、
恐怖感と期待感をない交ぜにした感情に、打ち震えていた。
自分でもまだ見慣れていない裸身を彼の目に晒す羞恥心。
息を吹きかけられるだけで、意識が朦朧となる首すじ。
男の時には何も感じなかった、耳たぶや指の付け根への刺激。
"女は初めてのときとても痛い"それは彼も心得ていたので、初めての幼い
ハルカの体に、ありとあらゆる愛撫を執拗に加えていた。

01-047 :アリス ◆Alice.9wCE :04/01/12 02:54 ID:q4SSav4o
>46
「あ、いや……」
彼がハルカの両足首を持って開いたとき、快感よりも恐怖感が上回り、声を
出してしまった。

「怖い?やめようか?」
「ううん、ここでやめちゃったら何のために、ここへ来たのかわからないよ。
お願い、私がどんなに辛そうに見えても続けて。最後までして!」
「……わかった」
そういうと彼は、ハルカの股間に顔を近づけて、花唇を舐め始めた。

「……、んんん」
今までとは比べようが無い初めての快感に、ハルカは自分の口を押さえて、
声を出すのを我慢した。体の奥でムズムズとこみ上げていたものが、さらに
大きく広がるような感覚に、身を捩って耐えていた。ハルカの小さな突起を、
彼が甘噛みした刹那、電流のようなものがハルカの全身を爆発させるほど
の快感となって襲った。

「んんんーっ!!。はぁ、はぁ……」
「イったのかい?、少し休もうか?」
「……いいの。いいから、続けて……」
ハルカは息も絶え絶えに彼に応じた。すると彼は顔を近づけ、ハルカの
目尻にうっすらと溜まった涙を舐めとりながら、膣に指を入れてきた。

「痛くない?」
「ん、……大丈夫。そこまでは……、自分でもしてみたから……」
「ふふふ、エッチな子だね。じゃあ、もう一本挿れてみようか?」
「ん、ダメ。声が出ちゃいそう……」
そういうと彼は、自分の唇でハルカの口をふさいだ。

「んふん……、ふむ……」
舌を絡ませるディープキスに再びハルカの中の何かがこみ上げてくる。
ハルカは秘穴に指を2本入れられ、入り口をこねくり回される感覚に気が
遠くなりそうになっていた。体の中を荒れ狂う嵐のような快感とは裏腹に
静まり返った部屋の中に、くちゅり、くちゅりという音が響いて、ハルカの
羞恥心を煽る。

01-048 :アリス ◆Alice.9wCE :04/01/12 02:55 ID:q4SSav4o
>47
「はぁ、はぁ、もう……。気が、遠く、ん……。なり、そう……」
「じゃあ、いいかな?」
これだけ体の準備ができていても、やっぱり痛いのだろうか?
そう思うとハルカは不安を感じないではなかった。
彼を見上げて、その優しい瞳に映る、もう一人の自分に尋ねた。
……いいよね、痛くても、怖くても、我慢できるよね。だってそのために、私は
ここまで来たんだもの、自分を変えてでも、彼に愛されたかったんだもの……。
ハルカがそっと目を閉じたのを肯定と受け取った彼は、完全に強張りきった
怒張をハルカの入り口にあてがうと、少しずつ侵入を果たそうと腰を動かした。


「い、痛い……」
ハルカは突然現実に引き戻された。見ると男がフィストファックをしようと手の
先をすぼめてハルカの膣内を犯そうとしている。

「やめて、壊れちゃうわ……」
「うそつけ。もう何年もやってるんだから、これぐらい経験あるだろ?」
若い男の身勝手な要求に、ハルカは目を閉じて我慢しなくてはならなかった。
たとえ性器や内臓を傷つけられても、再生槽にはいれば傷は治る。
それゆえに大胆にハルカの肉体を傷めつける男もいる。
……でもね。心だって傷つくんだよ。それが仕事だってわかっていたって、
辛い事もあるんだから……。
ハルカは、男のしていることをあまり考えないように、再び優しかった彼の
思い出を手繰り始めていた。

01-049 :アリス ◆Alice.9wCE :04/01/12 02:57 ID:q4SSav4o
>48
股間どころか、下半身を切り裂かれるような破瓜の痛みに耐えかねて、絶叫し
かけたハルカの口を、彼は強いキスでふさいだ。そして片手をハルカの背中に
回して肩を抱き、もう一方の手で後頭部を押えて身動きできないように手に力
を込めた。ハルカは自分の中に押し込まれていく、焼け付くような痛みに耐える。
やがて、お腹の中の塊を押し上げるような感覚がすると、彼は動きをとめた。
……これが子宮に当たってる感覚なんだ…
目を開けて見上げると、彼は優しく微笑んでいた。

「大丈夫?痛いと思うけど、我慢できる?」
「うん、……大丈夫。続けて……」
そういうと、彼はゆっくりと抽挿を繰り返すように腰を動かし始めた。
……じゅぶっ、じゅぶっという愛液と血をハルカの膣内でかき混ぜる音だけが
部屋に満ちていく。何度も全身を刺し貫く痛みが、少しずつ快感に変化してい
った。やがて恥ずかしい水音よりも、二人の喘ぎ声が部屋を支配していった。
最初は消えるように、途切れ途切れだったハルカの喘ぎ声も、やがてはっきり
とした声に変わっていった。
暫くすると、彼のうめき声とともに、ハルカは体の中に何かをぶちまけられる感
覚がした。ドクドクと流し込まれる液体が彼の精液なのだと思った瞬間、ハルカ
の頭の中でフラッシュがたかれ、そのまま気を失ってしまった。

01-050 :アリス ◆Alice.9wCE :04/01/12 02:59 ID:q4SSav4o
>49
いつの間にか、ハルカを蹂躙していた男は姿を消し、一人部屋に残されていた。
毛布を掛けていってくれたのは、罪悪感を感じた男の、せめてもの思いやりの
つもりなんだろうか。股間に刺す様な痛みを感じたので見ると血が出ていた。
痛いのを我慢して傷口を確かめてみたが、傷の程度が良くわからなかった。
コンソールに押し付けて犯されていたのと、床に転がされていたのとで、全身
にも鈍い痛みを感じる。
……医務室よっていかなきゃダメかな……
ぼんやりとそう考えながら、ハルカは服を身に着けるために、コンソールに手
をついて立ち上がろうとしたが、腰に力が入らなくてその場に再びへたり込ん
でしまった。

自然に涙が頬を伝って、流れ落ちていった。
優しかった彼に独占されていたかった、あの頃の自分を思い出す。

「ひくっ。…ア、…ラァ、寂しいよぉ。もう一度ハルカを慰めてよぉ…」
囁くような小さな泣き声が、部屋に消えていく。

部屋の隅にあるモニター装置の光が、一瞬チカリと明滅した。
永遠に再会することのかなわない人物の名を呼ぶ、ハルカの傷ついた心を
知っているのは、アリスだけだった。

01-051 :名無しさん@ピンキー:04/01/12 03:01 ID:q4SSav4o
次回はレズシーンに挑戦します。

01-052 :萌絵師(もえし):04/01/12 10:46 ID:GOCabN6+
>>アリスさん

かなり萌えました、、、>>50が良かったです

01-053 :名無しさん@ピンキー:04/01/12 12:14 ID:jtX2sk1B
(;´Д`)ハァハァ 良スレのヨカソ・・・

01-054 :KINO ◆Nq.KINOKeY :04/01/12 19:05 ID:uJOa8zF0
質問です。ここはDQ2のサマルトリアの女体化はOKですか?

01-055 :35:04/01/12 19:18 ID:1Vkq8SlE
便乗質問。マイナーで申し訳ないけどサモンナイト3のケツと股間のガードが異様に固い
と評判の男主人公はOKですか?普通に女主人公使えよって感じかもしれませんが
女にされてそれに戸惑いながらも快楽に目覚めてしまうってシチュに萌えてしまうんだ…。

>>アリスさん
も、萌えました…。続きを楽しみに(;´Д`)ハァハァ

>>54
個人的には物凄く見てみたいです

01-056 :名無しさん@ピンキー:04/01/12 19:29 ID:zcZvDN1h
>>54
王?
王子?

01-057 :KINO ◆Nq.KINOKeY :04/01/12 19:45 ID:uJOa8zF0
王子。王はちょっと……w

01-058 :名無しさん@ピンキー:04/01/12 19:48 ID:s9PjAi3R
>56w
>54行って下さい。

誰か、Ⅳの勇者orクリフトの女性化やってくれないかなぁ。

01-059 :名無しさん@ピンキー:04/01/12 21:27 ID:NTbJnBYn
そしてアリーナたんへの百合ん百合んな愛情が

01-060 :名無しさん@ピンキー:04/01/12 21:41 ID:xAHuPeU6
>>57
ぜひおながいします。

IV男勇者がモシャスを使ってアリーナに変身してクリフトをからかったら
理性の切れたクリフトに押し倒されて(ry
みたいなのないかな。
あるいはIV男勇者が同様にロザリーに変身してピサロに(ry
または同様にミネアに変(ry

ネタのつもりでやってみたらえらいことに……みたいなシチュに禿萌え。

01-061 :名無しさん@ピンキー:04/01/12 22:31 ID:1p/5AarP
DQ3のルイーダの酒場には秘密の地下室があって、勇者と別れた仲間は一時そこに入れられる。
そして、勇者が新しく作った仲間は、実はその地下室でルイーダの秘術によって作り直された元仲間である。
という設定が頭を過った。

男戦士が女遊び人になったり・・・ハァハァ

01-062 :名無しさん@ピンキー:04/01/13 00:04 ID:4x82YkTp
読んで間もないけどなんだか「アリス」壊したくなってきた
てめえの趣味だろこの腐れコンピューターが

01-063 :名無しさん@ピンキー:04/01/13 00:45 ID:LDZOyzoE
>アリスさん
ヒロミ、ハルカの話、すごくいいです。
せつなくて、心が美しくて…。
これ、完結すれば間違いなく傑作です。
ぜひ続き読ませてください!

01-064 :名無しさん@ピンキー:04/01/13 00:53 ID:4x82YkTp
誤解を招くような発言で申し訳ない
むかつく「アリス」は作中のやつで、筆者じゃない。
スマソ

01-065 :名無しさん@ピンキー:04/01/13 00:57 ID:UWR2UAKs
>>54
全然okウェルカム
だけど「男だろうが女だろうがお前が好きだ!」みたいな801は勘弁。

>>55
>女にされてそれに戸惑いながらも快楽に目覚めてしまうって
まさにこのスレのためにあるようなネタ。是非是非きぼんぬ。

01-066 :KINO ◆Nq.KINOKeY :04/01/13 01:57 ID:Mt1we7lY
元々女だったってのはありなんだろうか?とか思いつつ書いてます。
TS、好きなんだけどもこのあたりが難しい……

01-067 :55:04/01/13 02:13 ID:bAR9/wtI
自分は
1、男だった頃から好きで、例え女になっても愛は変わらない!ってゆー女の子(いっそフタでもいい)
との百合エチー
2、男だった時は何とも思ってなかったけど女になって弱々しい姿見たら支えてあげたい衝動
に駆られてしまった男子とのエチー
のどちらにするかで迷ってるよ…。しかし実際に自分で書いてみると難しくて途中で
挫折しそうだ…_| ̄|○

01-068 :名無しさん@ピンキー:04/01/13 03:09 ID:5dU0bmCK
>>66
このスレは強制女性化スレの前スレ
http://www2.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1067058536/675-691
あたりの会話から、強制以外の性転換SSスレとして立ったと思われるので、
ベースは男性向TSFではないかと。
だから「実は最初から女だった」とかは違ってくるんじゃないかな。
>>1のパラレルお断りというのはそういう広い意味ではないかと勝手に解釈してみる。

01-069 :名無しさん@ピンキー:04/01/13 03:17 ID:P9La0EeZ
アリスの娘たち~ ヒロミ(2)
です。ちょっと短くなってしまいました。スマソ

01-070 :アリス ◆Alice.9wCE :04/01/13 03:20 ID:P9La0EeZ
>50
「はぁ、はぁ……、んくっ……」
「かわいいわね、ヒロミ。」
ボクの心を強く捉えて離さない、深い藍色の瞳が妖しい光を放っている。

「我慢しなくても良いのよ、怖くないから」
「でも……、はぁ……、きゃふんっ!」
それまで、頼んでも触ってくれなかった秘裂を、突然なぞりあげられた。
すでに恥ずかしい粘液で濡れていたボクのぷっくりとした恥丘が、ぬるりとハ
ルカさんの指を押し返す。ハルカさんはボクの目を瞬きもせずに見据え、愛液
で濡れた指をワザと見せつけるように舐めとって見せた。
……ボクはハルカさんに食べられてる…… そんな錯覚を覚えた。

「そうよ、もっともっと、そのかわいい声で鳴きなさい、ヒロミ」
"経験"しないまま、女になったボクは胸や性器以外に、こんなにも感じる場所
があるなんて、想像もしていなかった。男でいたときと比べると、まさに全身が
性感帯という体になっていた。服を着て食事をしたり、リモート端末でアーカイ
ブにアクセスしている時は、特にどうということはないのに、ハルカさんに抱き
すくめられただけで、性感帯のスイッチを入れられたように、どうしようもなく感
じ始めてしまう。

「…ハ…ハルカさん。はぁ……ん、も、もう許して……」
「お姉さま、と呼びなさい。て、何度も言っているでしょ?ダメよ。
あなたがイクまでやめてあげない」
「そ……んな、やぁ……!」
イジワルなセリフとは裏腹に、そろそろ限界と見切ったハルカさんは、
まだ発育途上のボクの乳房の頂点を甘噛みした。

「うぁん!あぅ……」
その一撃で、ボクは今日何度目かわからない絶頂に押し上げられ、気絶して
しまった。

「んふん。ホントにかわいいわね」
ハルカは、腕の中で寝息を立て始めたヒロミの髪を撫でながら言った。

01-071 :アリス ◆Alice.9wCE :04/01/13 03:21 ID:P9La0EeZ
>70
装置に入ってから約3ヶ月後、ボクの体は性転換を終えて装置から取り出され、
隣にある薄暗い部屋のベッドに寝かされていた。
目が覚めたとき、周りには誰もいなくて、身動きすらできなかった。
体全体がまだ焼けるように熱く、暗く落とされた照明が、ボクをどうしようもない
恐怖に突き落とし、いつの間にか声を上げて泣いていた。

「どうしたの!ヒロミ、怖い夢でも見た?」
ハルカさんは血相を変えて部屋へ飛び込んできた。わんわん泣き始めたボク
をぎゅっと抱きしめながら、背中をさすってなだめてくれた。思い出すと今でも
恥ずかしいけど、性転換したばかりの体は、脳と体の神経とがバランスをうまく
取れない状態になっていて、精神的にもとっても不安定になるのだそうだ。
だから、転換直後のパートナーはとても重要で大変な重労働だ。
最初の一日のほとんどを、ボクは泣きじゃくりながら過ごした。ハルカさんに抱
かれてうつらうつらし始めたボクは、寝かしつけるために照明を落とされただけ
で目を覚まし、泣き叫んでハルカさんを困らせた。
2日目は、口の中がざわざわして水を飲むことすら嫌がって、いくらなだめす
かしても食事をとろうとしなかった。痺れを切らしたハルカさんに、頭から流動
食をぶちまけられた。
3日目は、ほんの些細なことでも無性に苛立って、あたりかまわず手近な物を
投げつけたり、暴れたりした。ハルカさんは体中にアザや引っかき傷を作りな
がらも、ボクをなだめようと必死になってなだめてくれた。
4日目は何とか落ち着いたけど、今度はハルカさんに甘えていないと物足りな
くて、朝からまとわりついて離れず、結局あきらめたハルカさんと一日中、べた
べたしながら過ごした。
そうしてようやく9日目に、ハルカさんが部屋を留守にしても、ひとりで過ごせる
ようになった。精神的にも落ち着いたなと思ったハルカさんは、10日目の今日、
ボクに"調教"を始めたのだった。

01-072 :アリス ◆Alice.9wCE :04/01/13 03:23 ID:P9La0EeZ
>71
「気が付いた?ヒロミ。じゃ、第……何ラウンド目だったっけ?」
「ハル……、じゃなくて、お姉さま。もう勘弁して。これ以上続けられたら発狂し
ちゃいそう」
「そう、残念ね。んじゃ、いいもの見せたげる」
「ブックカード?ずいぶんアナクロだけど、妙に新しい……」
パスワードさえあれば、どこにでもある端末から、あらゆる情報が引き出せる
船内では、本来こうしたメディアを、わざわざ使う必要が無い。

「"お子様"だったヒロミは知らないかもしれないけど、"オトナ"の私たちには
こういう娯楽情報誌があるのよ。使い方わかる?」
そういって差し出された、カードのフレキシブルディスプレィに表示されたヴィ
デオを見て、思わず声を上げてしまった。

「お、お姉さま、これはいったい……?」
それは6日前、性転換後に始めてシャワールームに入った時のものだ。
すべすべした肌にシャボンを塗りつける行為が気持ちよくて、小鳥が水浴びし
ているみたいに、はしゃいでいる自分のあられもない姿が、リピート再生され
ている。

「"デビュー前のヒトコマ"、ってところかしらね。新しい"アリスの娘"には、
船内のみんなが注目しているのよ」
「姉さま!!いつの間に!!」
「あら、こわい。いいじゃない、かわいいわよ。初々しくて」
ボクは真っ赤になってうつむいてしまった。自分でもまだ見慣れていない上に、
明らかに子供っぽい姿を船中の人間に見られているかと思うと、恥ずかしさが
こみ上げてきて、どうにもいたたまれなくなってしまう。

「私も出ているのよ。静止画だけど。ほら」
そこには見慣れない服を着たハルカが、細長い武器を携え、獲物を見据える
ように、こちらを見つめる全身像が映し出されていた。長い黒髪をなびかせ、
切れ長の深い藍色の瞳に光を湛える凛とした姿に、ヒロミも目を奪われたが、
どう見ても戦いにふさわしくないような服装に思えた。

「お姉さま、この服は何?」
「セーラー服。……変かな?」

01-073 :名無しさん@ピンキー:04/01/13 03:29 ID:P9La0EeZ
感想をくださった皆さん、ありがとうございます。
私にとってTS系SS処女作になるので、励みになります。

>64さん ハルカのことを思って書いてくださったんですね。
ネタばれになりそうなので詳しくは今後のお楽しみですが、
”アリス”は作者同様、とっても鬼畜なコンピュータです(w

やっぱり”切ない系”の話が好まれるんでしょうか?
暫くは萌え系目指しての話が続きますが、後半のプロット
変えないとダメかも……φ(・・;)

01-074 :名無しさん@ピンキー:04/01/13 04:26 ID:4x82YkTp
切なくて腹立つのはどこぞのスレの153のだけで十分だ…
あっさり抜けるのきぼん。
あくまでも個人的意見だけど。

01-075 :名無しさん@ピンキー:04/01/13 04:46 ID:3BXA8fT4
GOOD

01-076 :名無しさん@ピンキー:04/01/13 05:26 ID:AWe0q29A
ごつい男相手はキモイけど
綺麗な女性相手ならうっとりしちゃいますね。

01-077 :名無しさん@ピンキー:04/01/13 05:57 ID:LDZOyzoE
>>70‐72
エロいんだけどよく考えると実はすごく切ない話なんですよね。
ハルカの優しさもキュンとしました。
アリスさんの活躍、楽しみにしています。

01-078 :名無しさん@ピンキー:04/01/13 22:51 ID:Y2ydpi3B
>>73
萌え系のまま続けて欲しい

01-079 :名無しさん@ピンキー:04/01/13 23:50 ID:1v922S6q
>>73
アリスさんの書きたいものが読みたいです。

01-080 :名無しさん@ピンキー:04/01/14 00:37 ID:RJanDA5H
どのような系統だろうと
当初のプロットのままが良いんじゃないでしょうか

01-081 :名無しさん@ピンキー:04/01/15 00:42 ID:lGWXiMmm
ヒロミたん(*´Д`)ハァハァ 

01-082 :名無しさん@ピンキー:04/01/15 00:57 ID:c1aHR3vw
漏れ的には、>>17-18のくだりに、最高グッときたな。
心に焼き付いてはなれない。
なかなか書けないよ、あんなの。

01-083 :名無しさん@ピンキー:04/01/15 14:43 ID:Hq73a/IK
ハルカタンのセーラ服姿・・・・・ハァハァ
葉月???

01-084 :エロは書けない:04/01/15 19:36 ID:i8kv04rS
何気に前のスレでは板違いだったので、移行します。
楽しんでもらえたら光栄です。

01-085 :エロは書けない:04/01/15 19:37 ID:i8kv04rS
ピピピピピピピ・・・・・。
携帯電話が鳴っている。
「誰だよこんな朝っぱらに。優か。まったく。」
優というのは、俺の親友。小学校から今の高校まで一緒の幼馴染だ。
「勝、大変だ。えらいことになった。」
「一体どうしたっていうんだ。お前なんだか、声妙に高いぞ。女みたいじゃないか。」
「そのまさかだよ。俺、朝起きたら女になっちまった。」
「いや、お前寝ぼけてんのか?AVばっか見てると頭が腐るぞ。」
「嘘じゃないって、うわ~、どうしよう。」
電話でそのやり取りはとても俺をからかってるとは思えなかった。
だけど信じられるわけがない。男が女になるなんて。
とりあえず、俺達は町外れの寂れた神社で待ち合わせることにした。
「おせぇな。もしもこれが嘘だったら承知しないぞ。」
(勝、勝。)
後ろの方で声が聞こえたので振り返ってみると、そこにはコートを着た1人の女の子が。
(うわ~、誰だろ。可愛いな。)
そう思っていると、
「俺だよ勝。そんなにじっと見られると恥ずかしい。」
「は?・・・、ええ~!、本当に優か!?」
「だから本当だって言っただろ。俺、女になっちまった。」
最初は半信半疑だったが、この姿を目の当たりにすると信じざるを得ない。
リボンで整えられた長い髪、俺より低い背、顔にほんの少しその面影が残っているだけで、前の男の優とは明らかに異なっていた。しかもかなり可愛い。
俺はぽ~っとその可愛い少女をみつめていた。
「だから恥ずかしいからあまり見るなって。」
「あっ、ごめん、ごめん。」
その恥ずかしそうに頬を赤らめる姿も可愛い。前のむさい男とは大違いだ。
取りなおして話を聞くと、どうやら、朝起きると女になっていて、びっくりしたこと。
前触れと言えば、昨日急に酷い頭痛に襲われてベッドに倒れこんだことだけらしく、
他に思い当たる節はないらしい。
そして、朝起こしに来た優の母はびっくりして病院に連れていったが原因はわからない。
優の心配はよそに、優の母は、待望の女の子の突然の誕生に喜んでいること。
だそうだ。

01-086 :エロは書けない:04/01/15 19:39 ID:i8kv04rS
「そういえば、お前なんで夏にコートなんて着てるんだ?脱げよ。」
「いや、これはあの~・・・。とりあえず脱ぐわけにはいかないんだ。」
なんだか挙動がおかしい。そこで俺は無理やりそのコートを脱がした。
「おい、やめろって、うわああああ。」
そこに現われたのは赤いワンピースに包まれた華奢な肢体と、
服の上からでもはっきりとわかる胸のふくらみだった。
思わず俺はごくりとつばを飲んだ。なんだか胸がどきどきする。
「お前、嫌そうなこと言ってたけど結構女の姿気に入ってんじゃないのか。
そんな可愛い服着て、そう言えばリボンで髪もちゃんと整えているしな。」
「違うよ。これは母さんが昔の服引っ張り出してきて無理やり俺に着させたんだ。
女の子は可愛くしなさい。てな具合に。たく、俺は男だっていうのに。」
優の母がそういうのもわかる。なんだか今の優にいつもの格好をさせるのは
少しもったいないような感じがするからだ。しかも、赤いワンピースがより
妖美に優を引き立てているような気がした。
「あっ、もうこんな時間だ。俺、もう帰らなきゃ。」
「えっ、もう帰っちゃうのか。」
なぜか俺はいつも以上に優と一緒にいたいと思った。
「母さんが生き生きしてさ。これから一緒に買い物に行くとこ。
なんでも娘と一緒に買い物をするのが夢だったんだってさ。」
そういって、優は走って行った。
そしてその夜。
(なんだろう、優のあの姿を思い浮かべると胸がどきどきする。)
俺は一晩中優の姿が頭から離れなかった。そして胸がどきどきする。
その感情がなんであるかを考えながら、夢の世界に入っていった。

01-087 :エロは書けない:04/01/15 19:40 ID:i8kv04rS
次の日、俺は商店街をぶらぶら歩いていた。
昔は駄菓子屋や、豆腐屋が並ぶ少々古臭く、客足も少ない商店街だったが、
数年前、市の計画ですっかり改装され、今ではお洒落な店も建ち並ぶ、
活気のある商店街となっている。
「彼女~、君可愛いね。ちょっと俺達とお茶しない?」
「えっ、ちょっとこれから用事があるんでお断りします。」
どこかで聞いた声だ。
俺はそのやり取りがする所に近寄ってみた。
「本当は用事なんてないんだろう。別に変なことなんてしないから、
ちょっとだけつきあってよ。」
そこには、男達にナンパされて困っている女の子=優がいた。
「困ります。俺、本当に用事が・・・、あっ、遅いぞ。何やってんだよ。
早くしないと、時間間に合わないよ。さ、早く行こ。」
優は俺を見つけると、助かったとばかりに腕にしがみついてきた。
「ちっ、彼氏持ちかよ。つまんねえの。」
「おい、これはいったいどういうことだ。」
「頼む、友達を助けると思って、少し我慢してくれ。それに女の子と
こうして歩けるなんて幸せだろ。」
「な、何言ってんだ全く。」
そう言ったものの、急に優に密着されて、俺は思わず赤くなってしまった。
シャンプーの良い香りのする長い髪が首筋をさらりと撫で、
胸のふくらみの感触が腕に伝わってくる。
その細く、華奢な体は、優が元男であったとは到底思わせないほど、女の子らしかった。
(やべ、なんか心臓がどきどきしてきた。何やってんだ俺。優は本当は男なんだぞ。
そりゃあ、今は女の子になってはいるけど・・・。)
「なんか顔が赤いぞ.大丈夫か?」
「ちょ、ちょっと今日は暑いかな。」
俺はごまかしながら、その場をおよそカップルのように立ち去った。

01-088 :エロは書けない:04/01/15 19:42 ID:i8kv04rS
そして、少し離れた公園にまで来ると、
「いや~、助かったよ。あいつらにからまれてて大変だったんだ。」
「お前、なんで1人であんなところにいたんだよ。もしかして女の姿に慣れちまったか?」
優は昨日の派手な赤のワンピースと違い、白いワンピースを着ていた。
なんだか、清潔感に溢れていて、これはこれで可愛い。
「違うよ。母さんに無理やり連れてこられたんだ。学校に行くのに必要だからって、
指定の制服を買ってたんだ。で、俺置いて先帰ったんだよ。」
(女の優の制服姿か、見てみたいな。)
俺は何かいけないことを考えている自分を戒めて、話題を変えた。
「えっと、優。どうするんだこれから。もう帰るのか?」
「う~ん、そうだな。たまには勝の家でも行ってみるか。母さんが帰って来るまで
鍵開いてないし。」
「俺の家!?」
現在、俺は親の仕送りを受けて、念願のアパートでの1人ぐらしを始めている。
当然、アパートの部屋では優と二人きりとなる。
「いや、それはちょっと。」
元男だったとはいえ、今の優は女だ。あまり女の子と縁がない俺は、
この提案に少しためらった。
「ほら、ぐだぐだ言ってないで、早く行く。」
そういって、優は俺にいたずらっぽく微笑んで見せた。
その仕草、笑顔は可愛らしく、俺は結局押し切られてしまった。
俺はもうすっかり優の魅力の虜になってしまったのかもしれない。
(俺、何やってんだろ。)

01-089 :名無しさん@ピンキー:04/01/15 19:54 ID:Hk8hm6FC
ageんなタコ!

01-090 :エロは書けない:04/01/15 20:07 ID:i8kv04rS
急に雨が降り出して来た。
今日の天気予報では確か降水確率が10%だったはずなのに。
「やれやれ、天気予報なんてあてにならないな。優、走るぞ。」
俺達は大急ぎでアパートへと走って行った。
雨足はとても強く、俺達がアパートへと駆け込んだ時にはすでに
俺と優は全身びしょ濡れとなっていた。
「やれやれ、びしょ濡れになっちまったな。」
「へっきし!」
服に染み込んだ雨が急激に体温を奪ったのか、優は少し寒そうに震えている。
「おい、風邪なんてひ・・・。」
雨で優の服が肌にぴっしりくっ付いており、さらに外側から下着が透けて見えていた。
白いワンピースであるために、色や形までも鮮明に映し出されている。
(黒・・・か。結構派手な下着身に着けているな。)
水に透けてくっきり現れているその肢体に見とれていると、
「うっ、恥ずかしいからあんまり見ないでくれ。」
頬を赤く染めて、優は体を隠すように座り込んでしまった。
自分では男のままのつもりでも、やはりこの姿は恥ずかしいらしい。

01-091 :エロは書けない:04/01/15 20:10 ID:i8kv04rS
「ほら、俺の服貸してやるから着替えてこいよ。」
「うう、有り難う。」
優にタオルと服を渡すと、さっさとトイレに駆け込んでいって行ってしまった。
(もう少し、見ていたかったなぁ。)
そう思いながら、自分の着替えを済ます。
一向に止まない雨。とりあえず優は服が完全に乾くまで部屋に留まることになった。
時間つぶしにつまらない痴話話を延々としていたが、気がつくと優は色々あって疲れているのか、うたた寝を始めていた。
・・・・、優はすうすうと安らかな寝息を立てて眠っている。
ソファに散るその美しい黒髪、触れるとすぐに壊れてしまいそうな華奢な体、透き通るような白い肌、そしてあどけなさが残る可愛い寝顔は、元が男であったことを微塵も感じさせないくらい可憐だ。
(かわ・・いいな。)
胸の鼓動が激しくなる。俺は目の前の少女が愛しくて愛しくてたまらなかった。
俺はふっと、優の顔の前に顔を近づけると、そっと口付けをした。
唇を重ね合わせると、今まで体験したことのない幸福感が俺を満たす。

01-092 :エロは書けない:04/01/15 20:17 ID:i8kv04rS
(もっと、もっとしたい・・。)
・・・・・、キスが長くなる。気がつくと俺は口内に舌を進入させていた。
クチュッ、クチュッ・・・
優の舌を絡めるように舌を動かし、その度に口の中で唾液が混じるような淫らな音が響く。
「んっ・・・。」
さすがに苦しくなってきたのか、優は喉を鳴らして息をしようとしている。
しょうがなく俺は、一旦優の唇を犯すのをやめた。
「んは・・・、はぁはぁ。」
唇を離すとき、優から甘い声が漏れる。
この淫らなキスですっかり興奮しきっていた俺は、その淫猥な声に触発され、
思わず胸に手が伸びる。
リリリリリン!
突然、優の携帯がなった。
それに驚いた俺はさっと優から離れた。
「ん、寝てしまったか。ふぁぁ。」
その音で優は起きると、まだ眠り足りないのか、眠い目をこすっている。
「うん、なんだこれ。汚ないなぁ。勝、俺よだれ垂らして寝ててたのか?」
「ああ、うん。」
(言えねぇよなあ。さっきまでお前にキスしてたなんてな。しかも舌まで入れて。)
そう思いながら、俺は何事もなかったかのように振舞った。

01-093 :名無しさん@ピンキー:04/01/15 22:25 ID:c1aHR3vw
>エロは書けないさん

禿しくGJ~。

顔と身体は可愛い女の子だけど、実は親友の男の子に悪戯しちゃうのって、
倒錯しててドキドキしちゃいますね。いけないことしてる感じ。
このあと優は心も女の子化してくのか、そのままなのか、
どちらでも面白そうですね。

あと、みんなにも読んでもらいたいし、広告だって最近ほとんどないから
ageでいいんじゃないでしょうかね。そのときの職人さまの意向なら。
じっさい、SSスレってのは、書いてくださる職人さまのおかげで成り立って
るわけですし。

01-094 :名無しさん@ピンキー:04/01/15 22:26 ID:wOkekGgt
http://images.jackmyhog.com/tfo/20031015/2.mpg

01-095 :通り縋りの名無し ◆Q6Jxe/mfU2 :04/01/15 22:29 ID:89cnTeGM
>>i8kv04rS
age、sageの意味が分からないみたいだから、今回だけ特別に教えてやる。
一回しか言わないから、耳の穴をかっぽじって頭に叩き込め。
ageはメール欄に"sage"が文中に入らない書き込みをした時になる。
(因みに書き込んだ後、スレ一覧の一番上に上がる。故にageと言われる。)
逆にsageはメール欄にsageと入れるとなる。(sageると書き込んでもスレ一覧の
一番上に上がらない。)故に荒らしや広告業者からスレを守る予防策として
書き込みの時にsageるのだ。
分かったらsageろ。分からないなら迷惑だから二度と書き込むな。
###以上###

01-096 :通り縋りの名無し:04/01/15 22:40 ID:89cnTeGM
>>ageで(・∀・)イイ!と逝ったヤシ
業者は確かに最近減ったが、荒らしがいるからageにするのはお勧めできない。
特に女体化は好き嫌いが大きいカテゴリなんで、age続けていたらアンチが
来るかも。(現に漏れの巡回先がage続けた結果、メチャクチャに荒らされた。)
だから、漏れは巡回先の二の舞に成らないようにsageを強制させたい。
###以上###
(これよりまたROMに逆戻り(w )

01-097 :名無しさん@ピンキー:04/01/15 22:58 ID:0e3gvU1e
>エロは書けない氏

(*´Д`)ハアハアでした
寝てるからってキスしちゃうなんて良いですね~

あと◆Q6Jxe/mfU2のような荒らしが湧くので
メール欄にsageと入れたほうが良いですよ

01-098 :名無しさん@ピンキー:04/01/15 23:00 ID:EcOUphUj
TSとかロリ・ペドとかのスレはアンチに荒らされやすいんだよね。
次スレのときにはテンプレにも sage進行で と入れてホスィ(´д`;)

01-099 :ageで(・A・)イイ!と逝ったヤシ:04/01/15 23:34 ID:c1aHR3vw
>>96
深く考えずにスミマセンですた。
尼寺に逝ってきます。

01-100 :名無しさん@ピンキー:04/01/16 02:41 ID:Dki0/ZzW
新キャラ登場です。今回話を進めるのに手間取ってしまい、エロな展開は
ありません。その向きを期待されている方はスルーしてくださいまし。

01-101 :名無しさん@ピンキー:04/01/16 02:44 ID:Dki0/ZzW
>72
アリスの娘たち~ シルヴィ
----------------------------------------------------------------
「ワタシ、こんなの絶っ対にイヤです!!」
バン!と机を叩いた拍子に、カップのコーヒーがしぶきをあげた。
アリスの指示で娯楽誌の編集部に来たシルヴィは、次号に掲載するヴィジョ
ン撮影の参考に、と見せられた映像を見て猛然と抗議した。
ディスプレィには先月からシルヴィの姉として、パートナーになったばかりの、
レイカの艶かしいSEXシーンが流れていた。複数の男に弄ばれながら、切な
げな嬌声を上げている。官能的というよりも退廃的で露骨なシーンは、まだ伽
を勤めて半年の"新人"であるシルヴィには刺激が強すぎた。

調整計画通りに"アリスの娘"として性転換したシルヴィは15歳。
人工培養によってこの世に生を受ける彼らには、他人の手を必要とし、労働力
もない乳幼児期が無い。培養中に様々な知識と疑似体験をインプットされ、10
歳位の姿で培養槽をでる。だから15歳といっても、実質まだ5年ぐらいしか人生
を歩んでいないことになる。新生児は最初一箇所にまとまって、保護者である
年長のパートナー数人との共同生活を過ごす。その後はたいてい一緒に過ご
した仲間の中からパートナーを見つけ、それぞれに自分に課せられた役割を
果たしながら生活を営んでいく。"子供"として扱われるのはせいぜい14歳位
まで。あとは性徴薬を飲んで大人になるか、シルヴィのように"アリスの娘"と
なる。
とはいえ、まだ若いシルヴィに過激な伽が課せられることはなく、単なる話し
相手や、じゃれあうだけで性行為にまで及ばないデートなどが中心で、その
相手も慎重に選ばれる。それでも、新人であるがゆえに、シルヴィと"関係"
してみたいという、リクエストは後を絶たない。
人口的にも圧倒的に少ない"アリスの娘"たちだから、今回のように娯楽誌の
紙面を飾ることも仕事のひとつで、今までは普通のポートレイトやせいぜい
セミヌードまでだったが、今回のはもっと過激な、有り体に言ってしまえば、
自慰行為のネタになれ、ということらしい。

01-102 :アリス ◆Alice.9wCE :04/01/16 02:45 ID:Dki0/ZzW
>101
----------------------------------------------------------------
「ワタシ、これでも"清純派"を目指しているんですからね!」
(性欲の対象である"アリスの娘"に"清純派"なんて……)と編集長は心の中
で悪態をついたが、そんなことはもちろん口に出さなかった。イメージこそが重
要、というのが彼の持論だった。

「でも、次号には"カラミ"が欲しいんだよ。スケジュール的にも、順番からいっ
てもキミしかいないんだ。頼むよシルヴィちゃん」
アルビノ(色素欠乏症)のシルヴィは紅い瞳をますます紅くして、編集長を睨み
つけた。確かにシルヴィが請けたアリスの指示にも、それらしきことが含まれて
いた。

「わかりました、じゃあひとつだけワガママ聞いてください。相手はタケル以外は
イヤです!もし撮影中にタケル以外の男が私に触れるようなことがあれば、
そのままエアロックへ駆け込んで、身投げするわ!」
性格も容姿も様々な"アリスの娘"たちだが、たった一つだけ共通点がある。
それは、性転換前の元パートナーへの"特別な感情"だ。憧憬とも思慕とも恋愛
感情とも違う、独特の想いを元パートナーに寄せている。

「わかった、その条件は呑もう。でも撮影場所はこちらの指定通りに」
「交渉成立ね。では、明日また」

シルヴィは、タケルに会えるというだけで、気分が高揚していた。
パートナー解消から約1年半、その間ほとんど会う機会すらなかった。
タケルは船外活動要員で、巨大な移民船の前部外周のブロックに居住している。
中央付近のブロックから出ることなど滅多に無い、シルヴィたちとの接点は少な
かった。無理をすれば会うこともできるが、女になってしまった自分を見られるの
が恥ずかしいのと、再会して自分の思いを伝えたい、という感情とがまぜこぜに
なって、これまでその努力をしてこなかった。タケルの方も、かつてのパートナー
を性欲の対象とみることになんとなく罪悪感を感じ、シルヴィと"関係"する希望を
出せずにいた。アリスの指示する伽の相手の名前を見るたびに、シルヴィは落胆
と安堵の入り混じったため息をついていた。

01-103 :アリス ◆Alice.9wCE :04/01/16 02:47 ID:Dki0/ZzW
>102
----------------------------------------------------------------
「なんかいいことあったの?シルヴィ。うれしそうじゃない」
シャワーを浴びて濡れた髪を乾かしていたシルヴィは、伽を終えて帰ってきた
レイカに声をかけられた。

「お帰りなさい、レイカ姉さま。えとね、明日ね、タケルに会うの」
性転換後の新しい名前の由来となった、ウェーブのかかった長い銀髪を指で
いじりながらシルヴィは答えた。

「へぇ……。ついに会う決心をしたんだ。でも良くアリスが頼みごとを聞いてくれたね」
「ううん、違うの。その、撮影……なの、娯楽誌の」
「へぇ……? あ、もしかして、カラミ? そうかー、思い出の彼氏と
うっふーん、あっはーん、ってか? やるじゃーん!!」
その言葉に、昼間見せられた映像を思い出したシルヴィはカチンときた。

「あーんたみたいな、インラン女とワタシは違いますぅ!」
「おーんなじだろ?どこが違うんだよ!」
「ワタシは誰だっていいってわけじゃないもん!まして複数の男性と同時にだ
なんて、私にだって仕事を選ぶ権利が……」
もちろん、シルヴィには自由に仕事を選べる権利は無い。程度の差こそあれ、
男に媚を売ったり、時には抱かれたりしなければならない、そんな生活にまだ
馴染めないでいる自分が急に悲しくなって、べそをかき始めてしまった。

「……ホントはワタシ怖い、タケルはきっと私なんか嫌いだわ。ワタシだって会
いたくない!。会わないほうがいいのよ! う、うっ…」
「今怒ったカラスがもう泣いた…か。からかってゴメンね、シルヴィ」
(やれやれ、まだまだ情緒不安定だな、このコは)そう思いながらレイカは泣き
じゃくるシルヴィをそっと抱きしめた。
(でもね、私だって相手が誰でもいいなんて思ってはいないんだよ。確かにあ
の雑誌では複数の男と絡んでいたけど、彼らはみんな元私の……。
ふふ、大方このコも編集長に強引にねじ込んだのかしらね)

01-104 :アリス ◆Alice.9wCE :04/01/16 02:48 ID:Dki0/ZzW
>103
翌日、居住区画と農園の間にある公園の大きな樹の下で、シルヴィは撮影用
の黄色いサマードレスを着て大きな麦藁帽子をかぶり、洗いざらしのシャツに
チノパンというラフな服装のレイカと立っていた。

「野外撮影か、大胆だね。アンタも」
「く、あの編集長……。」
(いけない、いちいち腹を立てていてはキリが無い)
深呼吸に咳払いをひとつして、上がりかけた血圧を自分で下げる。

「それよりも、どうしてレイカお姉さまがここにいるんですか?」
「あたし今日は非番。暇だからアンタの想い人とやらを見に来たの。
で、どこよ、その彼氏は?」
「まだ来ていないそうです」
「ふーん、……すっぽかされたか?」
再び急上昇する血圧を、今度は駆け寄ってきたアシスタントが下げた。

「じゃ、とりあえず一人で戯れているシーンの撮影から始めますから」
ニヤニヤしながら、離れていくレイカの背中に心の中でケリを入れて、シルヴィ
は傍に生えている大きな樹に片方の手を添え、もう一方の手で帽子をおさえて
風に飛ばされないようにした。結っていない長いウェーブのかかった細い銀色の
髪が、人工的に起こされた風になびく。
大きな樹……タイジュ。昔のワタシの名前。やっぱり編集長は意図的にここを選
んだのかしら?
せっかく努力して雰囲気を出そうとしたところで、件の人物が茶々をいれる。

「おーいいねぇ、さすが"清純派"のシルヴィちゃん。絵になってるよ」
く、く、く、どいつもこいつも、そろいも揃って……。ワタシの神経を逆なでするのが、
そんなに楽しいのかしら!?

01-105 :アリス ◆Alice.9wCE :04/01/16 02:50 ID:Dki0/ZzW
>104
「じゃあ、そろそろ脱いでもらおうか。下着も全部とって、"妖精が舞い降りた"、
ていう感じで頼むよ」
園内の小動物と戯れたり、特別に許可されて摘み取った花束を抱えたりと通り
一遍の撮影を終えて、カメラマンが指示を出す。
……イキナリ全裸になれって?確かに、下着を着けているのはこの場にふさわ
しくない気もするけど、こんなところで大勢に見られながら、服を脱ぐのは抵抗
がある。小さな部屋で明かりを消し、やわらかいベッドの上で裸になるのには
少しは慣れた。でもここは屋外で、自分の恥ずかしい姿を隠すものは何一つ
ない……。いくら顔見知りのスタッフ以外は立ち入り禁止になっていると知って
いても。
躊躇していると、アシスタントが、芝生の上に即席の草むらを作ってくれた。
脱いでいる所を見られないだけマシかな?そう覚悟して、シルヴィは草むらに
隠れ、体を包んでいる布を一気に脱ぎ捨て、意を決して再び姿を現した。
カメラマンにむかって、僅かに両手を開き、惜しげもなくその裸身を晒した。

 風の舞う公園に、真っ白な肢体を持った、銀髪の妖精が降臨した

その場にいた誰もがそう感じた。

「キレイね、あのコ。悔しいけどあの美しさはこの船で一番だと思うわ」
そばにいた編集長に、レイカは言った。

「おっしゃるとおりですね。ところで、折角ですからレイカさんもカラミませんか?」
鈍い音が編集長の腹の辺りでしたが、倒れこんだ本人以外は誰も気に止めなかった。

01-106 :アリス ◆Alice.9wCE :04/01/16 02:51 ID:Dki0/ZzW
>106
……見られている。

「じゃ、今度はひざを抱えてそこに座ってもらえるかな?」
……ワタシの裸。

「そう、じゃ首をちょっと傾けて……」
……なにもかも、全部。

「目を閉じてみて、抱えた膝を枕にする感じで」
……恥ずかしい。ほんとはこんな仕事。

「今度はうつぶせになって……」
……芝生までが、ちくちくと私の体を攻め立てる
「両手を突いて、上半身を起こして。顔は少しうつむき加減に」
……タケルにはみせられない、こんな姿。
シルヴィの感情が高ぶり始める。

「やばい、泣くかな?あのコ」
少し離れて見ているレイカからでもわかるほど、紅い瞳を潤ませ始めたシルビィ
に、レイカはいつでも駆け寄れるように身構えた。そのとき木陰から男がそっと
シルヴィに近づき、彼女の真っ白な肌とおなじぐらい真っ白な布をかけ、傍らに
膝をついた。

「タケル……?」
「久しぶりだね、シルヴィ」
「会いたかった!」
悲しみの頂点に達しようとしていたシルヴィは、突然現れた懐かしい彼に理性を
失い、なりふりかまわず抱きついてしまった。

「これも、あんたの演出なワケ?」
なにやら、手振りで合図をしていた編集長にレイカが尋ねた。

「まぁ、シルヴィちゃんも、いくら会いたいと思っていても、なかなか素直な気持ち
で会うことはできないでしょう? でもこれで、シルヴィちゃんも幸せ。良い絵が
撮れてワタシも幸せ。結構じゃないですか」
「アホらし、帰るわ。王子様が登場したんなら、私の出る幕は無いからさ」

01-107 :名無しさん@ピンキー:04/01/16 02:53 ID:Dki0/ZzW
次回は濡れ場から……w

01-108 :エロは書けない:04/01/16 03:52 ID:+pqXrwBH
wOkekGgtさん他、
ageてすみませんでした。そして、方法教えてもらって有り難うございます。
今度からsageるようにします。

01-109 :名無しさん@ピンキー:04/01/16 05:12 ID:y839V8of
うーむ。
どうせなら男を全て「アリスの娘たち」にしちゃえばいいんじゃないか。
女の子だけの典雅で優美な世界は憧れるなあ。

01-110 :名無しさん@ピンキー:04/01/16 06:44 ID:Ke4WQ8BH
>>108
全角じゃなく半角で

01-111 :名無しさん@ピンキー:04/01/16 08:53 ID:y9x3YXIG
そういえばここの保管庫作るとしたら強制のとは別サイトになるのかね?

01-112 :名無しさん@ピンキー:04/01/16 10:49 ID:oQjOJCtF
>109
全員女の子じゃ、そこに萌えやトキメキがないぽ
ま、現実の話をしちゃうと、女だけの集団はだめぽ。

01-113 :名無しさん@ピンキー:04/01/16 11:18 ID:qmill/HJ
>>112
女の子だけだから萌えるんじゃないか。
マリみてのヒットはそれを現してる。

01-114 :名無しさん@ピンキー:04/01/16 11:51 ID:Bj01c13w
熱い想いが激突している!!

01-115 :名無しさん@ピンキー:04/01/16 11:52 ID:Kb5qY/qU
更新キターー!!
ヒロミはもうパートナーに会えないみたいだけど、シルビィは再会できるんだぁ、良かったぁ。
離れ離れになってる元々のパートナーへの特別な感情って、なんか男の子同士版百合って感じですね。
それにハルカやレイカみたいに、心配してくれるお姉さまがいるっていうのもまた別の意味で。
ややこしいですけど素晴らしい設定と思います。
それになんか純愛ぽくていいです。
でもただじゃ済まないんだろうなぁ…。

>アリスさま
GJありがとうございます。
不安と濡れ場への期待に胸がドキドキしながら続きをお待ちしてます。

01-116 :名無しさん@ピンキー:04/01/16 12:00 ID:Kb5qY/qU
あ、それと自分もそうですが、いろいろな意見があるとは思いますが
ぜひアリスさんの思った通りの話になさってくださいね。
楽しみにしてます。

01-117 :うい:04/01/16 21:16 ID:xNftiDo+
アリスたんったら、、、じらし上手な文章かくよな、、、、

01-118 :名無しさん@ピンキー:04/01/18 11:47 ID:gj7pmAc8
35神とKINO神の降臨マダー?(AA略

01-119 :KINO ◆Nq.KINOKeY :04/01/18 21:22 ID:JpEmp5yJ
途中までは上がってるんですが、まだエロまで遠いのですよ。
ただ、アリスさんのような純粋TSじゃないんで、投下を見合わせてます。
原作設定の性別が逆で王子が王女、王女が王子なんですが……〆(゚▽゚*)
OKでしたら投下させていただきたいのですが。

01-120 :名無しさん@ピンキー:04/01/19 02:03 ID:P19Ig1tC
エロまで遠いんだったらエロシーン書き終わったら、ガッと
投下してみては?

01-121 :名無しさん@ピンキー:04/01/19 16:51 ID:l7BCYDmg
アクセス規制まだつづいてるのか?

01-122 :Arata:04/01/20 00:17 ID:gMNsi13t
朝起きたら、女の子になってました。

「って言えるはずない!!!」
思わずベットの上で叫んでいるのは京真月人(きょうませんと)ぴちぴち(?)の17歳の男子高校生だった。
昨日までは。
今は少し内ハネの癖のある黒髪、雪のように白い肌、大きい瞳、桜色の小さな唇、
どれをとってもかなりの美少女である。

「月人君。朝から騒いでいたら近所迷惑でしょう?」
と横で微笑んでいるのは月人の母、弥生である。
外見年齢17~22歳程でよく月人と並ぶと姉と間違えられるが月人の実の母親である。

「朝っぱらからうっせーな・・・。」
とのコメントは父、通(とおり)。弥生と並ぶと月人から見てもい美男美女な図にはなるが、
ヤ●ザのような非道な性格である。ちなみに父親も実の父である。

「何で母さんと父さんはそんなにマイペースなんだよ・・・。息子が娘になっちゃったんだぞー?」
朝から泣きたい気分ではあったのだが、そんな近所迷惑なことをしては
父親の鉄拳が降ってくるかもしれないので泣き叫ぶことはしない。
しかしどうやって現実を受け入れれば良いのか分からない。

「まぁ・・・よくあることだし・・・ねぇ?」
「だな。」
「・・・よくあることって何?」
性転換をしてしまって動揺を隠し切れない自分に対して、両親は普通ー。
何事も無かったかのような態度である。父親に至っては暢気に煙草を吹かしている。

「実はね・・・せんちゃんにはずっと黙っていたんだけど・・・。私の家、京真家ではたま~に性転換しちゃう人がいるのよ~。
通さんは婿だから私の家ね。」
あ、その醤油とって~。というかのようにサラリと物凄いことを言われた気がする。
一瞬母親を疑ったが、それ以外に女になってしまった理由はない。
おまけに父親が婿だというのも初めて知った。

「何故俺が?どうして?何か悪いことした?天罰?」
「ん~・・・詳しく説明すると・・・」

01-123 :Arata:04/01/20 00:19 ID:gMNsi13t
京真家という家は昔は此処らへんの地方の大名に仕えていた一族らしく、
昔から女性が巫女として大名に仕えていたらしい。
ところが一時期女性が生まれなかったらしく、一族は衰えていった・・・のだが、
当時の京真家の党首の男性が神に仕える巫女だったらもしかしたら・・・と、
違う一族の巫女を党首の正妻として向かえたそうな。
2人は子供を授かったのだがそれがまたもや男で、巫女は責任を感じて懸命に神に祈ったそうな。
するとまだ幼い子供の体に異変が起こり、先日まで男の子だった子供は
何故か女の子になってしまったそうな。
最初は誰もが疑ったのだが、京真家としての力量は党首である父親に勝るほどであったそうな。
それ以来、男ばかりが生まれる京真家の中では稀に男の子が女の子になってしまう・・・らしい。

「そんな漫画みたいな話が信用できないよー・・・」
「そうよね。私も最初は信じなかったもの~・・・」
男の子がある日突然、女の子になっちゃいました―☆なんてことを信じられるはずがない。
夢なら覚めてくれ、と頬をひっぱってみても痛みしか残らない。

「・・・・・今の話では男が女に~でしょう?」
ドアの方から声がした。其処には月人の双子の姉、櫂(かい)がいた。
しかし月人と同様、様子がおかしい。
母親似のどちらかというと可愛らしい月人とは逆に
父親似のどちらかというと綺麗、美人という言葉が当てはまる櫂は
何処かがおかしかった。

「今までに女から男へ~っていうパタ―ンはあったの?」
「もしかしてお姉ちゃんも?」
「大当たり。私の場合、元々女だったから男になっちゃったんだけど。」
昨日まで存在した女性特有の豊かな乳房は平らな筋肉だけがついた胸に、
ソプラノの甲高い声は低いバスの声に。
母親と対して変わらなかった背丈は父親ほどに。

「お姉ちゃん、ずいぶんとカッコ良くなったね。」
「月人はずいぶんと可愛くなったわね。襲って良い?」
京真櫂は女から男へ、京真月人は男から女へ。
これからどうなることやら・・・。

01-124 :Arata:04/01/20 00:20 ID:gMNsi13t
なんとなく書いてみました・・・。
変な文ですみません。

01-125 :名無しさん@ピンキー:04/01/20 04:47 ID:mB9WWONW
月人がレズに走り、櫂がゲイに走る。
だったら面白いな。

01-126 :名無しさん@ピンキー:04/01/20 07:49 ID:VzGa0P3k
>>125
 おまえわがまま主張しすぎ。
 全ての作品がお前の好みに合わなきゃならない道理はない。

 レズはともかく、ゲイは要らん。

01-127 :名無しさん@ピンキー:04/01/20 09:01 ID:mB9WWONW
>>126
何が全ての作品って?

01-128 :名無しさん@ピンキー:04/01/20 10:29 ID:e+y693Yr
>>119
KINO殿別スレで直球TS書いてたじゃない。
ああいうの頼んますよ。

個人的には、逆性別設定というのではなくて、
あくまでストーリーの中で変化が起こってくれないと萌えないな。
物語の中で、性別が変化するという「事件」そのものが、
とても大きな(人によっては最大の)ツボなので。
それさえ満たしてくれたら男とやろうが女とやろうがどっちでも。

01-129 :名無しさん@ピンキー:04/01/20 11:45 ID:hKgQCK64
>>126 落ちついて下さい。4時間前のカキコですから既に落ちついてると思いますが。

ゲイ嫌いなので反射的にレスされたのですね。お気持ちは分からなくもないですが。
それにしてももっとやんわり書くべきだったでしょう。

125 は、「だったらいいな」と希望を述べただけで、わがままな主張はしてないですし、
「すべての作品」どころか1つの作品に関して言っているだけですよね。

この手の嗜好の話は荒れますから、
「自分は~がいい」というのは良いですけど、他者の嗜好への攻撃は避けるべきですね。

自分としては女→男に性転換した作中人物が男と絡むのは、
現実のゲイ(ホモ)とは別物と考えられるので気にならないですが…

01-130 :名無しさん@ピンキー:04/01/20 19:37 ID:PtU5bayY
>>129
 >>125が強制女性化スレでやってる言動からして、一つ一つの作品に対して
常々要求しているから、一つに言ってるとは取らないだけ。

01-131 :名無しさん@ピンキー:04/01/20 20:57 ID:rWluZcXK
何か規制かかってるみたいだけど、投下申請です。
強制or非強制がよくわからないので、とりあえず
こちらに投下してもいいでしょうか?

01-132 :名無しさん@ピンキー:04/01/20 21:00 ID:hHJouMzZ
>>131
ドゾー

01-133 :131:04/01/20 21:05 ID:rWluZcXK
では、お言葉に甘えて・・・。

**********************************************

 20:30をまわっていた。
 僕は早足でバス通りへ出た。
(あの男は?)
 振り返ると、男はタバコに火をつけながらこちらの様子を伺っている。僕はい
よいよ気味が悪くなり、男の視界から離れようと、仕方なく交差点をいつもの逆
に移動した。
 見ると20mほど先に奥が痛くなるほどキラキラした場所だった。店内の壁や
フロアーの棚一面には、いかにも高級そうなクリスタルの食器や陶器が並べられ
ている。上品で整然とした雰囲気。

「何かお探しでしょうか?」
 若い女性店員が優しく声を掛けてきた。

「あ、あの…いえ…」
 必死に息を整えながら、そう応えるのがやっとだった。店員の落ち着いた応対
に平静を取り戻していく。考えてみれば僕は場違いな客だった。着つぶしかけの
ダボッとしたシャツに色褪せたジーンズとスニーカー。いつもの見窄らしい格好。

「このお店は何時までやってるんですか?」
 気恥ずかしさを誤魔化すように、僕は意味のない質問をした。

「21:00までです。」
「そうですか じゃぁもうすぐ…」
 また意味のない相槌を打ちながら、何気なくショーウインドゥに目をやった。

「キャーーッ!!」
 僕は驚きと恐怖のあまり、カン高い叫び声をあげた。そこには、こちらをじっ
と見つめる人影――あの男だ。
 ガシャーン
 けたたましい音をたててガラス食器が床に砕けた。驚きによろけた僕の肘が棚
の商品を倒してしまったのだ。店員は目を見ひらいたまま硬直している。
 再度ショーウインドゥを振り返った時、そこにもう男の姿はなかった。

01-134 :131:04/01/20 21:08 ID:rWluZcXK
                 ***
「ウチへいらっしゃいよ」
 濡れた髪の毛をバスタオルで無造作に拭きながら、僕はあの店の女社長の言葉
を反芻していた。
(もうそろそろ、変わらなきゃいけない)
 東京に戻って2ヵ月、このマンションに引きこもりながらそう思い続けていた。
このままでは本当に死んでしまう。いや、死なないまでも、このままでは一生ど
ぶネズミの様に人に怯え、夜の闇に這いつくばり、惨めに生きていくしかない。
 僕は窓の前に立ち、閉じられたカーテンを開いた。そしてゆっくりと頭にかか
ったバスタオルをとった。
 暗闇の窓に髪を濡らした若い女の姿が写る。

「奈緒…」
 色素の抜けたガラス玉のような瞳と、小さく柔らかそうな唇。
 僕は奈緒の――自分の顔を、これほどまじまじと見るのは初めてだった。美し
く整った顔だちなのかもしれない。しかし、それが今の自分の顔だと思うと気味
の悪いマネキンのようにも見えくる。
 そして一度目を閉じ、バスローブの紐に手を掛けた。

 再び目を開いた時、そこには全裸の女性が立っていた。その肢体を見て、僕は
まず意外な印象を受けた。自分が思い込んでいた身体よりはるかに豊満なイメー
ジ。首、肩、ウエスト、手、足はどこも折れそうなほど細い。しかし、同じ身体
に付いているとは思えないほど豊かな胸と抜けるような白い肌が視覚を膨張させ
ていた。
 一年前のようなショックや落胆はなかった。
 僕はだんだん自分の気持ちが軽くなってきているのを感じ始めていた。
 下に目を落とすと、たわわな乳房がある。
(けっこう大きいな)
 なぜか妙に可笑しさが込み上げてくる。僕は全裸のまま、声をあげて笑いはじ
めた。こんな乳房にやたら興奮し、いざ自身がそうなった途端、思い悩み塞ぎ込
んでしまった。いま、そんな自分が滑稽で仕方なかった。

01-135 :131:04/01/20 21:08 ID:rWluZcXK
 僕はクローゼットの奥から幾つかの段ボール箱を引っ張りだした。
 それは奈緒の実家――由崎家の家政婦が勝手に送りつけてきた彼女の“遺品”
だった。中には衣類や装飾品、書籍など、奈緒が以前使っていたであろう品々が
入っている。僕はその“遺品”を取り出しなだら、少し明るくなり始めた部屋で、
自分の“命日”でもある、あの日を思い返した。

 朝もやの立ちこめる海岸沿いの国道と真赤なBMWのテールランプ。
 バイト仲間達の浮かれた笑顔と頬にあたる冷気の感触。
 スローモーションで流れていく女の横顔と超然とした眼差し。
 絶叫とともに浮き上がる感覚。

 薄暗い病室の白い天井と壁。
 涙ぐむ初老の女と何か問いかけている看護婦の顔。
 ため息をつく医師と顔覆う初老の女。
 鏡に写る蒼冷めた女の顔。

 海の見える高台の古めかしい洋館。
 ひっそりとした二人だけの食卓。
 男達の野卑な視線。
 夕日の射す病室と母の葬儀。

 窓の外は青白く光りはじめていた。
 その光は、ローカウンターに置かれた古めかしいオルゴールを照らしている。
それは東京に戻る時、唯一、僕が由崎の家から持ち出したの物だった。オルゴー
ルのフタを開けると、どこか物悲しく不思議な旋律が流れはじめる。曲名は知ら
ないが聞き覚えのある旋律――。
 僕はゆっくりオルゴールのフタを閉じた。

01-136 :131:04/01/20 21:10 ID:rWluZcXK
「困ったわねぇ」
 女社長は呆れた表情で僕を見た。

「これじゃ、お店に出てもらうわけにはいかないわね」
 僕の格好に問題があったようだ。
 部屋を出る直前まで必死に考えた、精一杯のワーキングスタイル。ダークグレ
ーのパンツスーツに黒のコンフォートパンプス。奈緒の“遺品”からどうにか探
し当てたものばかりだ。何が悪くてどこがおかしいのかさっぱり解らず、僕はた
だキョトンとした顔で立っていた。

「とりあえずこれに着替えてちょうだい」
 渡されたのはクリーム色の制服らしきスーツだった。

「スカート…ですか?」
 社長は見ての通りという顔でうなずいた。
 それまでスカートを履いた事はなかったが、こうなったら着るしかない。右前
のブラウスのボタンに手間取りながら、僕は何とかスーツに着替えた。しかし、
その制服姿を見た社長の表情はさらに曇った。

「全く身に合ってないわね…背かっこうはこのくらいだと思ったんだけど」
 確かに着丈はさほど違わないように思えたが、胸と腰まわりが窮屈で、逆に肩
とウエストがブカブカだ。ブランド物のコンシャスなスーツなのに、着た感じが
だらしないのは僕にでも分かった。

「仕方がないわね。制服はリフォームするとして、あなた、ふだん髪型とかメイ
クは?」
「…化粧とかはあまり…というか、ほとんど…」
 呆れた社長の表情が驚きに変わっていく。

「ひょっとして、下着も全部そんな感じなの?」
「はぁ、そういうのもあまり興味がないので…」
「昨日…あなたの格好を見て少しイヤな予感がしてたのよ…」
 社長は目頭をつまみながら首を左右に振った。

「ちょっと出てくるわ。…夕方にはもどれるでしょう」
 そう言って、社長は僕の腕をつかみ店を出た。

01-137 :131:04/01/20 21:11 ID:rWluZcXK
 それからの半日、僕は女社長に街中を連れ廻されるはめになった。
 まず開店したばかりの美容院で明るい色のミディアムレイヤーにカットされ、
手足の爪をいじられた。それだけで2時間もかかった。午後からは百貨店に行き、
洋服、靴、バッグ、アクセサリー、下着からパンストまで、およそ女性が身につ
けるであるろう全てのアイテムを、まるで特売の食料品を買うようにポンポンと
買っていった。僕は後半さすがに気兼ねして、社長がレジでカードを切るたびに
遠慮しようとしたが、彼女はまったく取り合わなかった。
 気疲れしていく僕とは逆に、社長はこの買物を楽しみ始めていた。

「ほら、イイじゃない。素材はホントにイイんだから」
 試着や小物のコーディネートを確認するたび、社長はこの言葉をくり返した。
そして、最後の化粧品売場で美容部員に教わりながらメイクを終えた時、一層大
きな感嘆の声をあげた。

「由崎さん、あなた本当に綺麗よ!」
 美容部員も得意気にうなづいている。僕はただ気恥ずかしい思いで俯いている
だけだった。

01-138 :131:04/01/20 21:13 ID:rWluZcXK
・・・と、こんな感じなんですが。
TSって意味間違ってたらゴメンナサイ

01-139 :Arata:04/01/21 00:23 ID:aXhcUe8n
本日は夏休み中でもなく、冬休み中でもなく、休日でもなく、普通の平日。
月人と櫂が高校生ならば学校に行かなければならない。

「学校にどうやって説明をするの?」
性別が逆になってしまった2人が友人達に『今日から女に(男に)なったんだよー』と言える筈も無い。
言えたとしても恐らく簡単には信じてもらえないだろう。

「まぁ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・なんとかなりますよ。」
沈黙がやけに長かったが、母親は他人事のように結論を出す。(他人事だが)
「とりあえずご飯だから着替えたらすぐに来てね。」
さっさと居間へと戻ってしまう様子を見ると、子供のことよりも朝ご飯の方が大事らしい。
後に続くように父親もさっさと部屋を出て行く。
取り残された月人と櫂はその場に立ち尽くしたままである。

「・・・・・ねぇ。制服ってどうするの?」
「制服?」
「月人が今の女のまま学ラン着ても絶対に違和感があるし、私もこの状態で
制服を着るのは辛いものがあるよ。」
今の状態のまま月人が制服の学ランを着れば以前よりも小さくなっている月人にとって
制服はサイズが合わないであろう。
反対に背が高くなって完璧に男になった櫂が女子の制服を着ても変な人に見られるだけであろう。

「お、おれに・・・スカートを穿けと・・・?」
女子の制服といえば、スカート。女子の制服のスカートは水色を基調としたチェックのスカートである。
男の目から見れば可愛らしいスカートに柔らかい曲線を描く脚、と見る分には良い。
全然構わない。しかし、穿くとなれば話は別である。

「嫌だ。無理。死ぬ。」
怯えるような目で櫂を睨みながらも必死な様子は可愛くてしょうがないのだが。

「諦めなさい。私が着させてあげるv」
何故か持っている制服のスカートを片手にジリジリと追い詰めるかのように櫂は月人に近寄っていく。
その表情はとても楽しそうである。

「えっ・・・えっ・・・ええええええっっっ!!!!!!!!」

家中に月人の悲鳴が響き渡った。

01-140 :名無しさん@ピンキー:04/01/21 01:01 ID:zlFQCZa+
>>138
133と134の間が抜けて伊奈烏賊?

01-141 :名無しさん@ピンキー:04/01/21 01:03 ID:zlFQCZa+
>>139
GJ!!!!!!!!!!!!!!!!
って、これは強制なのでは……?
いいけど。

01-142 :名無しさん@ピンキー:04/01/21 06:28 ID:k5uyTxvQ
>>139
ageると業者が来るから、sageた方がいいと思われ。

>>141
もしかしたら可逆性があるのかもしれない。

01-143 :名無しさん@ピンキー:04/01/21 08:57 ID:NRPR4R2E
荒らしもやってくるから、ageてほしくないな

つーか、プロ婆規制受けたことの無いヤシ
にわ、ワカランのかも

01-144 :Arata:04/01/21 16:50 ID:aXhcUe8n
すみませんでした。
もう書きません。

01-145 :こっちにも貼っておこう:04/01/22 02:04 ID:MYMnHvTV
>144
メール欄( E-mail (省略可) って所)に半角で「sage」といれておいてくれ
注意されていたのはそれだけだよ

01-146 :名無しさん@ピンキー:04/01/22 11:06 ID:wzY1L59D


01-147 :名無しさん@ピンキー:04/01/23 00:25 ID:qxlgy6kc
規制解除されたみたいなんで、続き投下します。

01-148 :アリス ◆Alice.9wCE :04/01/23 00:26 ID:qxlgy6kc
>106
「泣いたら、かわいい顔が台無しだよ」
登場の仕方もセリフも、如何にも編集長らしいクサい演出だ、とスタッフたちも
思った。しかし、宇宙線焼けで浅黒い肌の少年と、透き通る様な真っ白い肌の
美少女の組み合わせは、完璧に絵になっていた。

「タケル、ワタシね……」
タケルは口ごもるシルヴィの肩をそっと引き寄せて、唇を重ねた。

「ん、ん…………」
(キスがこんなに感じるなんて……)
少しずつ落ち着きを取り戻したシルヴィは、薄目を開いてタケルを見る。

「……はぁ。タケル…、痛いわ。」
「ごめん、その、緊張してしまって」
「セリフが棒読みだったもんね。ふふ」
「へへ……。でも声までは録らないそうだよ」
タケルは、そっとシルビィの腰に手を回した。
びくん!思わず腰が引ける。

「ごめん、痛かった??」
「ううん、そうじゃなくて……」
(感じちゃった、なんて言えるわけ無いじゃない……)
「ねぇ、もう一度キスして」
「え、でも、その、次は……」
「……ダメ?」
上目遣いで、拗ねるように問う。シルヴィは女になって初めて、自分のために
武器を使った。

01-149 :アリス ◆Alice.9wCE :04/01/23 00:28 ID:qxlgy6kc
>148
「……はぁ、んん……」
不器用だけど濃厚なキス。ぎこちないけど心地よい愛撫。
(ただ抱かれてキスするだけで、こんなに気持ちいいなんて……)シルヴィは、
自分の何かが変わっていくような予感を覚えた。
タケルはシルヴィの腰に手をまわし、ゆっくりと芝生の上に横たえる。

「やだ、恥ずかしい……」
こんなにも近くで、はっきりと自分の裸体をタケルに晒すことに、恥ずかしさが
増していく。真白な肌を、瞳のように紅色に染め、女性の特徴を両手で隠す。

「キレイだよ、シルヴィ。もっと良く見せて」
タケルは折れそうなほど細いシルヴィの両手首を掴んで、頭の上へと押しやった。
(乱暴なタケル。でも無理も無いわ。まだまだ女の体に興味津々の年頃なんだから。
私だって最初は……)
「いいよ、タケル。好きなようにして……」
シルビィは体の力を抜いた。

「え?う、うん、その……、さわってもいいかな?」
顔を赤くしながら問うタケルに、シルヴィは答える代わりに、にっこりと微笑み、
彼の手を自分の胸に当てた。
ぎこちない愛撫ではあったが、タケルに触れられる喜びをシルヴィは全身で感じていた。

「ねぇ、タケルも服を脱いでよ。」
「う、うん」
タケルはあっという間に、服をすべて脱ぎ捨ると、シルヴィに覆いかぶさるように手をついて、
向き合った。

「やさしくしてね」
「……、う、うん」
しかしタケルは、まだリードがないと、その次ができない様子だった。
問うようにシルヴィを見つめる。

01-150 :アリス ◆Alice.9wCE :04/01/23 00:29 ID:qxlgy6kc
>149
「愛してるわ、タケル」
自然にでた言葉だったが、口に出して始めてその言葉の意味を悟った。
(そうだ、これが愛するってことなんだわ。プリンが好きだったり、ウサギが好き
だったり、ホントはやさしいお姉さまが好きだったり、そういうのとは違う、この感情。
だから、タケルの瞳を見ることが、タケルとキスをすることが、タケルに触れられる
ことが、こんなにも気持ちいいんだわ)
「ボ、ボクも……だよ、シルヴィ」
と、戸惑い気味にタケルが応える。

「ふふ、いいの、タケルにはまだわからないかもしれない。でもいいの。
……ほら、興味あるでしょ?」
セリフの最後は伽の時、戸惑う相手への常套句。シルヴィは大胆に足を開いて
タケルを誘った。

くちゅくちゅ……、という恥ずかしい音がシルヴィにも聞こえてくる。
タケルはシルヴィの股間に顔を埋め、秘唇を指で広げて舌を遣っていた。

「きゅんっ!うんんん」
女裂の頂部、紅色の豆粒に歯を立てられ、シルヴィの体が弓なりになる。

「はぁ、はぁ……。あまり強く噛まないで、おかしくなっちゃう」
「ごめん、ボク、その、あまり慣れていなくて……」
「…………」
「どうしたの?」
「ううん、ごめんね。タケルだけのワタシじゃなくて……」
「うん、でも今はボクだけものだよね?銀髪の妖精」
「……。ワタシはタケルに独占されていたいだけの女の子よ…。来て」
(タケルと"シテ"いる写真が娯楽誌に載るのは、本当は嫌。だけど、きっとタケル
もその雑誌を手に入れる。そして何度も今この時のことを思い出してくれるに違
いない。そしたら、今度もう一度タケルと会えたとき、もっと私がして欲しいように、
私を愛してくれるかも……)

01-151 :アリス ◆Alice.9wCE :04/01/23 00:31 ID:qxlgy6kc
>150

不安と期待が入り混じった、複雑な思いに感情が波立つのを抑えようとシルヴィ
は目を閉じたが、なかなかそのときは訪れなかった。

「どうしたの、タケル?」
「その、ボク、どうしていいのか良くわからなくて……」
「タケルは、その…男になったんじゃないの?"経験"してないの?」
「その……、一回だけ、その……ハルカさんと、お話して。ハダカは見せてもらった
けど、あとは……手で、その、気持ちよくしてくれただけだから…」
「…………」
「え、ええと、その……」
「ふう、なんかワタシ、気負いすぎていたのかな……」
「ゴメン。その……。なんていうか、その……」
「他の女の名前を出すのはルール違反だけど、正直に言ってくれてありがと、
だから……」
シルヴィは、タケルの股間に顔を埋め、彼を口に含んだ。

「……、ひゃっ、シ、シルヴィ!」
「んふ、ん……、はぁ。濡れていないと痛いのよ。私のほうは、もう準備できて
るから……。ほら、ここに指を入れてみて。」
シルヴィはタケルの手をとり、自分の入り口に導く。
妖精は淫魔に変貌を遂げていた。

01-152 :アリス ◆Alice.9wCE :04/01/23 00:32 ID:qxlgy6kc
>151
「ほら、奥まで入っていくでしょう?」
「あたたかくて、ぬるぬるしてる。」
「……はぁ、あんまり指を動かさないで、ココにあなたのを入れるのよ」
「……え、でもこんな狭いところに?」
「それは、ワタシのセリフよ。私の腰に手を当てて、そう。じゃあ手を添えてあげ
るから、ゆっくりと引き寄せて……」
「こう?」
「そう、そのまま……。んん……はぁ、ゆっくりね」
少しずつシルビィの中に、タケルが挿入されていく。
未経験の刺激に、タケルは思わず声が出る。

「ああ、あったかくて、気持ちいい……」
「もっと気持ちよくなるわ。もっと、……んぁっ!」
シルヴィは子宮を突かれて、思わず声を上げてしまった」
「大丈夫?」
表情が辛そうに見えるのだろうか、気遣うようにシルヴィの額に手を添える。

「はぁ……、平気よ。ねぇ、そのまま抱き締めてキスして」
タケルは言われるままに、シルヴィの背に手を回し抱き寄せてキスした。
お互いに舌を絡ませる濃厚なキス。シルヴィが下腹部に力を入れて、腰をゆっ
くりと動かすと、タケルがくぐもった声を上げる。シルヴィは自分の喘ぎ声が漏
れないように、タケルの頭の後ろに手を回し、もっと深く舌を差し込んだ。

01-153 :アリス ◆Alice.9wCE :04/01/23 00:34 ID:qxlgy6kc
>152
だんだんと律動が激しくなり、くちゅ、くちゅ……と音がしはじめる。
タケルは、少しずつ要領を得てきたせいか、積極的にシルヴィに自分を打ち付
けてくる。単純な動きだが、深いところまで突きあげ続けられるうちに、シルヴィ
は脱力状態となって、タケルのされるがままになっていた。既に主導権はタケル
に移っていた。時々じらすように、タケルの胸板がシルヴィの胸の尖りに触れ、
それがさらにシルヴィを高みに押し上げていく。

「はぁ、シルヴィ、ボク、もう……」
「わ……たし、も、もうダメ。いきそう……」
その刹那、タケルに一段と強く腰を打ちつけられたかと思うと、シルヴィは体の
奥に熱いものが広がっていく感覚を覚えた。

「はぁ!……ううっ、あぁ……」
「くっ、うぅんん……!」
2人は同時に果てた。

(あれ、そういえば、私……)
タケルはシルヴィに覆いかぶさり、まだ息を荒げている。
シルヴィは深い充足感に、タケルが愛おしくなってそっと頭を撫ぜる。

「……シルヴィ、ボク……」
「何も言わなくていいわ、タケル」
そう言ってシルヴィは軽くタケルにキスをする。

「そういえば、撮影だったんだっけ、つい夢中に……」
シルヴィは急に恥ずかしさがこみ上げてきて、髪以外の体中を真っ赤に染め
ていた。下を向かずにはいれず、とても周りを窺うどころではない。

「あれ?みんなは……。シルヴィ、ぼくたちしかいないよ」
「え、……?」
「ボクらが、あんまり……。その、自分たちの世界に入っちゃってたから、あき
れて撮影やめちゃったのかな……」
そんなことあるわけが……とシルヴィは訝しんだが、おそるおそる周囲を窺うと、
確かに他に誰かがいる気配は無かった。

01-154 :アリス ◆Alice.9wCE :04/01/23 00:36 ID:qxlgy6kc
>153
「シルヴィ……」
タケルが手を伸ばして、シルヴィを抱き寄せようとする。その意図をシルヴィは
見抜いたが、それを阻むようにじっとタケルを見つめていった。

「タケル、聞いてくれる。」
「……う、うん。」
「1年半、毎日タケルのことが気になって、頭の片隅から離れなかった。
だからね、絶対に会って言いたいことが、たくさんあったの。でも……」
「でも?」
「あんまり多くて、忘れちゃった……」
「何それ?」
「いいじゃない。ねぇ、私たち普段は離れて生活しているけど、お互いが望めば、
またきっとこうして会うこともできる」
「うん」
「本当はね、このままタケルに、ワタシを連れて宇宙のどこかへ、2人だけの世界
に連れて行ってもらおうと思っていたの」
「ええっ!!そ、そんな、ボクにはそんなことは……、先輩に怒られちゃうし……」
タケルはあわてて言う。しかし、シルヴィは意地悪く質問する。

「あら、タケルはワタシには独占したい、って思えるほどの価値が無いって言うの?」
「そ、そんなことは…。だいいち、宇宙(そと)は君が思っているほど、のんきな場所じゃ
ないよ。強力な恒星風だとか、ものすごいスピードでぶつかってくる宇宙塵とか……」
(やっぱりね……)必死になって弁解するタケルに、シルヴィは心の中で舌を出して、
こんどは目いっぱいしおらしくいう。

「ごめんなさい、無理を言って。タケルに毎日会えないのはつらいけど、でもまたタケル
に会えると思えば、つらい仕事もがんばれるわ。だからタケルも仕事がんばってよね」
シルヴィはにっこりとタケルに微笑み、そっと頬にキスをすると、何か言いたげなタケル
をよそに、着るものを探し始めた。

01-155 :アリス ◆Alice.9wCE :04/01/23 00:38 ID:qxlgy6kc
>155
一ヶ月後、シルヴィは購買部の併設された食堂の片隅で、問題の娯楽雑誌を
手に、中を見るかどうか考えあぐねていた。とりあえず目次だけでも確かめよう
と表示させてみると、"銀髪の妖精"とタイトルが付けられた記事に目がとまった。
おそるおそる再生してみると、例の公園で撮影されたサマードレス姿で戯れる
シーンと、静止画のヌード映像がいくつか収録されていた。いずれも若々しい
シルヴィの肢体を自然に捉えた、好ましい印象を与えるものばかりだった。
(あれ?カラミのシーンなんて無いじゃない……)
唯一、カラミといえなくも無い映像は、記事の最後にあった。泣き出しそうになった
シルヴィに、やさしく白布を掛けてくれた時の、二人がお互いに見詰め合うシーン
だった。
(ま、いい思い出ができたよね……)
そこへ、いかにもたまたまといった風に、編集長が通りかかった。

「あ、編集長!これ、カラミって……」
「やぁ、シルヴィちゃん。見てくれた?。"清純派"のシルヴィちゃんにふさわしい
記事だろう?おかげで評判も上々。じゃ、取材があるから、またね……と、忘れてた。
これは出演者へだけのボーナス映像」
と、一枚のプリントを置いて、そそくさと去っていった。
("清純派"はもう、卒業しちゃったんだけどな……)
シルヴィは頬杖をついて、裏返しに置かれたプリントをめくった。
それはあの映像の続き、"彼とのキスシーン"だった。一瞬また血圧があがったが、
それは怒りからではなく、恥ずかしさからだった。
(でもありがとう、編集長)シルヴィは素直にそう感謝した。


しかし、雑誌の発売後、"公園でシルヴィを撮らせて"というリクエストが殺到し、
またまた編集長を恨むことになるのだが……。

01-156 :名無しさん@ピンキー:04/01/23 00:50 ID:qxlgy6kc
まさか、アク規制でカキコできなくなるとは思いませんでした。

次回はまた新キャラになると思います。ヒロミのその後も書きたいのですが、
「マリ見て」を見たら、キャラがひきづられそうになってしまって……。
プロットは一応最後まで決めました。ご意見くださった方ありがとうございました。
あとはぼちぼち肉をつけて行きます。

姉妹スレが荒れちゃってますが、こちらはマターリとsage進行でがんばりましょう。
ではまた

01-157 :名無しさん@ピンキー:04/01/23 05:01 ID:1GyHcpjZ
アリスさん GJ!
シルヴィ かぁいいっす

01-158 :名無しさん@ピンキー:04/01/23 15:48 ID:TiXZZXmX
GJ!!!
少女から女への成長といったところでしょうか?
少年から少女への変化ももう少し書いてほしかった・・・・。

01-159 :名無しさん@ピンキー:04/01/23 17:31 ID:/DvcFn/2
ttp://w2223.nsk.ne.jp/~kitakazu/

01-160 :名無しさん@ピンキー:04/01/23 22:48 ID:ULKxsBxm
ああ「マリみて」みたくお嬢様女子校で
ラブラブ展開って萌えますね。

01-161 :名無しさん@ピンキー:04/01/24 07:08 ID:vDnEeoUJ
【へぇ~】トリビアの泉@えっちねた
http://wow.bbspink.com/test/read.cgi/hneta/1058188197/730

730 名前:すぱるたんX[] 投稿日:04/01/24 02:30 ID:hdwYMRjq
「女性の体」という本を図書室で借りた黒田君は、3ヶ月も延滞し

校内放送で
「2年3組の黒田君『女性の体』を早く返却してください」
と放送され、半泣きで早退した。
以来、不登校製となる。いまだ本は未返却であるらしい。






「せりふ」の部分だけ取り出すと、TSでした。
へ?
失礼しますた・・・

01-162 :名無しさん@ピンキー:04/01/24 14:30 ID:wi1IrlS9
 

01-163 :ageで(・A・)イイ!と逝ったヤシ:04/01/25 23:27 ID:hWhIVs62
>アリスさん
元のパートナーの愛撫に感じちゃうところが
TSものらしくってドキドキしますた!
とりあえず平穏な展開にひと安心。
さて、この先どんなお話になるのか楽しみにしてます。
これからもガンガッテくださいね!

01-164 :名無しさん@ピンキー:04/01/25 23:29 ID:hWhIVs62
↑名前欄しくじりました。
ごめんなさいm(_ _)m

01-165 :名無しさん@ピンキー:04/01/27 18:57 ID:8akAoYR/
俺も。

01-166 :?A´m:04/01/30 13:12 ID:ee6mQEMH
1

01-167 :名無しさん@ピンキー:04/01/31 04:08 ID:54gJo1fB
793 名前: (XFNyaRj2) 投稿日: 2004/01/31(土) 03:58


ゲイとレズが雪山で遭難した。

ゲイ「女と抱き合うぐらいなら死んだほうがマシだ」

レズ「わたしだって男と抱き合うぐらいなら死んだほうがマシよ」

一年後ゲイはレズの子を産んだ。


794 名前: (XFNyaRj2) 投稿日: 2004/01/31(土) 03:58



( ^A^)

01-168 :ギャグは苦手:04/01/31 13:42 ID:3G6CU4Wl
レズがゲイの子を産んだのではなくて??



いや、もっと深い意味があるのか??

01-169 :名無しさん@ピンキー:04/01/31 14:37 ID:/DpUzW8k
女性の同姓者(つまりレズ)も、ゲイと呼ばれる事はある。

01-170 :ギャグは苦手:04/01/31 15:06 ID:U4raYIDP
生物的性を基準にいうから、

ホモ=同性愛者
レズ=女性同士の同性愛者
ゲイ=男性同士の同性愛者

だと思っていたよ。
というか、そのレスつけたやつ、ごっちゃになっていないか??
性同一障害の女性同士の同性愛をゲイと言うのか?
セックスとジェンダーを混ぜたらわけわからなくなるよ。

01-171 :名無しさん@ピンキー:04/01/31 15:23 ID:pGyCPz31
いや、たぶんこうだ。

性同一障害の同性愛嗜好女性(ゲイ) と 性同一障害の同性愛嗜好男性(レズ)
が遭難したんだ。
いずれにしても、その手の連中の間でしか、ギャグにはならんな。

Σ(゚д゚;) 女になってみたい漏れは、男には抱かれたくないんだけど、
それってレズか?

01-172 :名無しさん@ピンキー:04/01/31 22:32 ID:WetQMoHX
漏れも女になってレズになりたいでつ。
171といっしょにレズりましょうか。

01-173 :名無しさん@ピンキー:04/02/01 01:39 ID:YvkMvdAQ
つーか単純にその2人が雪山パワーで性転換したんじゃないのか?

01-174 :名無しさん@ピンキー:04/02/02 00:58 ID:fOeA8VC/
>>173
「眠っちゃダメよ!」
「もう我慢できない……」
「眠ると女になってしまうわよ(w……しっかりして!!」
といいつつも、彼女は気付けといって、何かを漏れに飲ませる。

「ん、これは酒……?」
その意図を見抜いた漏れに、バツの悪そうな彼女はいう。

「その、体を温めあわないと……でも」
「いいよ、わかった。でもやさしくしてね」

一夜明けると、性転換を終えた一組の男女が、ひとつのシュラフで
ひとつになっていた。
やまぬ吹雪が2人を凍らせようとするが、狭い袋が互いに体を燃え
上がらせる2頭の獣へと変えていた……(´д`;)ハァハァ

誰か続き書いて(w

01-175 :名無しさん@ピンキー:04/02/02 01:00 ID:fOeA8VC/
またもやアクセス規制に引っかかってるみたいですが、
書き込める状態になったので投下しまつ……

01-176 :アリス ◆Alice.9wCE :04/02/02 01:02 ID:fOeA8VC/
>155
アリスの娘たち~  サァラ
----------------------------------------------------------------
サァラは姉のサヤカと共に、娯楽誌のヴィジョン撮影のためにスタジオにいた。
サヤカとサァラはまったく同じ遺伝情報を持つ双子だった。 サラサラのロング
ヘアに落ち着いた顔立ちの双子の姉妹には、二人同時の撮影の依頼が多かった。
編集長によれば今回のテーマは「マリオネット・シンメトリー」。
フリルやレースをふんだんに使った色違いのドレスを着て、1対の人形を思わ
せる演出だった。コーディネートされた色調は、サヤカは白、サァラは黒。それ
は2人の対称的な性格をも表現していた。誰にでも人当たりが良く、愛されよう
とする性格のサヤカと異なり、サァラは姉以外の人間とはあまり会話をせず、
どこか冷たい印象を感じさせる性格だった。

「じゃ、ドレスを脱いで。少し絡んでみようか?」
カメラマンの指示に、2人はドレスを脱いで、細かな装飾の施されたブラと
ショーツ、ガーターベルトにストッキングという悩ましげな姿で互いに向き合う。
撮影とはいえ、こんな姿で向き合うのは初めてだった。

「じゃ、お互いの頬に手を当てて、見つめ合ってくれないかな」
水面に移る自分に手を伸ばすような仕種の姉妹に、カメラマンも満足げに
シャッターを切る。

「お姉ちゃん……」
「撮影中よ、集中して」
普段と変わらない平常心を保つサヤカと違って、サァラは緊張していた。
まるでキスの直前のような体勢に、サァラは戸惑いと興奮を感じていた。
サァラは生まれたときからのパートナーである姉に、秘めた感情を持っていた。

01-177 :アリス ◆Alice.9wCE :04/02/02 01:04 ID:fOeA8VC/
>176
----------------------------------------------------------------
この双子の姉妹には、生まれる前から"双子のアリスの娘"となるべく、様々な
調整がアリスによって試されていた。しかし姉となる方には適性が発現したも
のの、妹となる方には外見はともかく、性格的には普通だった。外見がそっくり
だからという理由だけで、サァラは"娘"にされることになったのだ。そんなサァラ
が"娘"になることを受け入れたのは、「離れて暮らしたくない」というただ一点だけ
だった。自分と同じ姿を持つパートナーへの特別以上に特別な感情と、将来娘
となるための特別なカリキュラムが、サァラの姉への執着を強くしていた。
同性愛をタブーとする習慣はこの船には無かったが、"アリスの娘"たちがいる
以上、男の性愛の対象は彼女たちに向けられるのが普通だった。
またアリスが人間関係に介入し、生涯何度かパートナーを変える。したがって
特定の人間への執着心は薄められ、誰とでも分け隔てなく付き合えるようになる。
性転換を経験する"娘"たちの場合は事情がやや異なるが、幼少期を共に過ごす
元パートナーは通常は異性のままであるため、親愛の情は性転換後の不安定な
時期をやり過ごせば、伽を勤めるうちに徐々に異性たちへの憧憬を持つようになる。
対立と憎しみと執着を極力排除する努力。それは閉鎖空間内における安定した
営みの中で、もっとも大切なことであった。

サヤカから半年遅れて性転換したサァラは、普通なら年長の義姉と過ごす時期
を双子の姉と過ごした。サァラは親愛の情を目覚めさせる幼少期と、転換直後の
不安定な時期をサヤカと過ごしたのだった。それが彼女の人格形成に大きく影を
落としていた。サァラにとってパートナーは姉のサヤカ一人。それは心を向かわ
せるべき対象を限定してしまうことに、誰も気づかなかった。サァラは異端だった。
姉への背徳の想いに、姉以外に心を開くことを知らないサァラは、一人でじっと
耐えるしかなかった。
サヤカにはそうした妹の、本来ありえないはずの切ない気持ちに気づかないでは
なかったが、それは特殊な生い立ちが生む姉妹間の、屈折した愛情程度にしか
考えていなかった。今日までは……。

01-178 :アリス ◆Alice.9wCE :04/02/02 01:05 ID:fOeA8VC/
>177
----------------------------------------------------------------
「お姉ちゃん、ボク……」
「どうしたの?撮影中よ。"お人形"がしゃべっていたらヘンよ」
(そうだ、なるべく見ないようにすればいいんだ)
サァラはなんとか平常心を保とうとするが、姉の艶姿にどうしても目がいって
しまう。撮影用で実用性の無い下着は、姉の大切な部分もうっすらと透けて
魅せる。全く同じ体でも、サァラには違うものに見えた。

「……サァラ。私の横に座りなさい」
「え?あ、うん」
サァラはカメラマンの指示を聞いていなかった。姉がフォローしなければ、咎め
られていたところだろう。手がそっとサアラの肩にあてられ、身を寄せあう。姉の
髪がサァラの肩をくすぐり、くっつけられた肩と頬から、想い人の動悸を伝えてくる。

「じゃ、サァラちゃん。今度はお姉さんの背中と腰に手を回して、ゆっくりと押し倒して」
(そ、そんな……ボク)
サァラの緊張がサヤカにも伝わったのか、"落ち着いて"というふうに、サヤカは
やさしく微笑み返す。
(ボク壊れちゃいそう……)
「はい、ストップ、ストップ。どうしたの?サァラちゃん。顔真っ赤だよ?」
「あ、あの、なんかその……」
「大好きなお姉さん見てると、緊張しちゃうよね?サァラちゃん」
撮影の流れを見ていた編集長が、サァラの心を見透かすように言う。

「え、ええと……その……」
「大切なお姉さんを、男みたいに押し倒すなんて……かい?」
まるで、心を覗き見しているような編集長の言葉に、サァラは首まで赤くなる。

「お風呂で鏡を見ていると思えばいいわ、サァラ」
「でも、……鏡はこんなにあたたかく無いよ」

01-179 :名無しさん@ピンキー:04/02/02 01:09 ID:fOeA8VC/
短いですが、今回はココまで。
さて、次回サァラの切ない思いは、叶うでしょうか……?
でもそれ書いてると、また話が進まなくなってしまうなぁ(~_~;)

01-180 :名無しさん@ピンキー:04/02/02 11:21 ID:AH10hN3p
最後のセリフに萌えた!!!!!
サアラ×サヤカのカラミをきぼーん

01-181 :名無しさん@ピンキー:04/02/02 22:04 ID:uDP5gM1E
>アリスさん
次々といろいろな事情の‘アリスの娘たち’が出てくるんですね。
今回の話も、サァラの心が切なくてもろくて…。
とっても美しい物語と思います。
続きも楽しみにしてます。ぜひまたお願いします。

01-182 :名無しさん@ピンキー:04/02/03 22:49 ID:GpzNgQhA
浮上

01-183 :名無しさん@ピンキー:04/02/04 10:50 ID:FjKMwLYG
浮上してないぞ(w

01-184 :名無しさん@ピンキー:04/02/04 14:59 ID:S3gpjTyc
>>176
どうもです。
女同士の美しい関係萌え~

01-185 :名無しさん@ピンキー:04/02/05 18:54 ID:OF8I8N2R
乙です。
女が女を求めるのはエロティックですね。

01-186 :TS:04/02/05 22:57 ID:utn/HZTU
TSまんが
ttp://moe.homelinux.net/cache/res432879c3s0.html

01-187 :TS:04/02/07 22:47 ID:3cKR/W/p
ほしゅ

01-188 :名無しさん@ピンキー:04/02/08 15:19 ID:nKg7PIK4
>187
過疎化の波が……
めげずに、投下します。

01-189 :アリス ◆Alice.9wCE :04/02/08 15:21 ID:nKg7PIK4
>178
結局、攻め側(?)の"黒のサァラ"が緊張に身を固くし、受け側の"白のサヤカ"
が落ち着き払っていては絵にならないということで、下着も全部とることになった。
何も身に着けていなければ、どっちがどっちかは見分けがつかないだろう、と
カメラマンが言ったからだ。しかし、攻守入れ替わったおかげで、サァラは姉に
触れられたり、抱かれたりする嬉しさと恥ずかしさで、余計にぼうっとなってし
まった。秘めた想いを閉じ込める殻に、少しずつヒビが入っていく。

「サァラちゃん、そんな恍惚とした表情しないで。男女が絡んでいるわけじゃない
んだからさ。ちゃんと目を開けて、しっかりと相手見つめて!」
カメラマンも当初のイメージとは違う展開に、つい口調が強くなる。

「まぁまぁ。サァラちゃんも慣れないシチュエーションで戸惑うこともあるだろうか
らさ。ここは路線を変更して、男女のように絡み合う双子姉妹なんてのも艶っぽ
くていいじゃない。サヤカちゃん、積極的にサァラちゃんをリードして。サァラちゃん
は、お姉さんに全部任せて、流れに逆らわないでね」
編集長が助け舟を出す。しかし本格的にリードされることになったことで、サァラ
はさらに別の心配をしなくてはならなくなった。
体のあちこちに触れる姉の手の感触や体温に、サァラは心をかき乱され、次第
にセックスのような興奮を感じていたからだ。

「はい、じゃサヤカちゃん中腰になって、サァラちゃんを後ろから抱きしめて、
サァラちゃんは少しおいてから、お姉さんをゆっくりと見上げて、そのままね」
サァラはカメラマンの指示にも上の空だった。背中をくすぐる姉の髪。胸に回される
姉の腕の感触。逆に自分の肩に触れる、姉の胸の尖り。じゅんっ、とした感触を
下腹部に感じて、サァラはそれどころではなかったのだ。サァラは頬を上気させ、
潤んだ瞳で虚空を見つめていた。

01-190 :アリス ◆Alice.9wCE :04/02/08 15:23 ID:nKg7PIK4
>189
カメラマンが痺れを切らせる前に、サヤカは妹の頤(おとがい)に指を添えて
自分に向かせる。急に視界に入った姉の顔に、サァラは身をこわばらせる。
妹の瞳に緊張の色をみてとったサヤカは、落ち着かせるつもりで、そうっと唇
を重ねた。鏡に映した似姿を持つ2人の妖艶なシーンに、カメラマンたちから
もため息が上がる。

(やわらかい、お姉ちゃんの唇。ボク、お姉ちゃんにキスされてるんだ)
抑えていた感情が瞳から溢れだし、頬をつたう。

「すみません、少し休憩させてください。サァラの体が冷えてしまったわ。毛布
を下さらないかしら?」
つうっと余韻を残してキスを終えると、サヤカは妹の体を気遣うように、撮影の
中断を申し出た。

「サァラ、しっかりしなさい。濡れてるわよ」
姉に小声で注意されて下を見ると、内股に光るものが見えた。
感じてしまった証拠を見咎められた恥ずかしさで、サァラはうずくまるように身
を抱える。サヤカは受け取った大きな毛布で、妹の体をいたわるように包んだ。
周囲には妹を気遣う優しい姉という光景にしか見えない筈だった。

結局、撮影はそこで終了ということになった。
機材を片付けながら、カメラマンが話しかけてくる。

「おつかれさま、でもサァラちゃんにも意外な面があるんだね。サァラちゃんと
寝たことはないけど、ホントはあんなに……」
妹への遠慮のない言葉を、サヤカがさえぎる。

「予定通りの撮影にならなくてごめんなさい。サァラはこのところ体調があまり
よくないみたいで、今日はもう休ませてあげようかと思ってるんです。」
サァラはいたわるように肩を抱く姉の手を、ぎゅっと握り締めた。

01-191 :アリス ◆Alice.9wCE :04/02/08 15:24 ID:nKg7PIK4
>190
自室へ戻る前に食事を済ませよう、というサヤカの提案で、サァラはまだ人の
少ない食堂の片隅の席にすわり、姉がカウンターから戻ってくるのを待っていた。

「少しは栄養つけなきゃね。あなた、最近本当に元気が無いから…」
トレイの上は、サァラの好みを完璧に把握したセレクトで飾られていた。しかし、
サァラは下を向いたまま、料理に手を付けられないでいた。
いつもなら、たわいも無い会話とともに食事を進める姉が、黙って食事を続ける。
(やっぱり怒っているだろうな)
サァラは意を決して……しかし、下を向いたまま姉にあやまった。

「お姉ちゃん、今日はゴメンナサイ! でも、ボクは…」
「あんなに"瞳を"濡らしていたら、撮影にはならないものね」
特に怒っている風でもない声に、サァラは顔をあげた。

「お姉ちゃん、ボクはお姉ちゃんが……」
サヤカはすっと腕を伸ばして、開いた妹の口にポテトを差し入れる。

「お話は部屋でもできるわ。冷めない内に食事をすませましょう」
「……うん」
双子の"娘"は周囲の注意を引く。誰かにサァラの心を聞きとがめられないとも
限らないのだ。

食事中、交わされた言葉はひとつも無かったが、サァラは姉の唇の動きをずっと
見つめていた。フォークやナイフを使う姉の指も、いつもより艶めかしく見えた。

「私が食事をしているのを見るのが、そんなに楽しい?」
姉にはすべて見透かされている。自分の心をどれだけ隠し、ごまかしたとしても
無駄だ、とサァラは思った。
(部屋に帰ったらすべてを打ち明けよう。きっとお姉ちゃんが、行き場を失った
ボクを助けてくれる)

01-192 :アリス ◆Alice.9wCE :04/02/08 15:33 ID:nKg7PIK4
>181 さん、いつも感想をありがとうございます。
サァラにはこの後過酷な試練が待っています。ま、不幸なままで終わっちゃうのは、
ちょっとかわいそうな気もしますが……。

レズものが流行なのかな?と思ったので、もう暫く2人の話は続きます。もっとあっ
さり行くはずだったんですが(w
続きは明日の夜が明けるまでにうぷできるかな……?

01-193 :名無しさん@ピンキー:04/02/08 16:42 ID:d0FqZ+To
>アリスさん
妹(弟?)想いの優しいサヤカさんと
内気だけど情熱を秘めたサァラ…いいですね。
なんとなくサァラの方に感情移入しちゃいました。
アリスの娘たちはみんないい子ばっかりなのに
過酷な運命が待ってるなんて…。
でも、そういう物語なんですもんね。ぐすん。
今回もキスされてサァラが涙するところにキュンとしました。

01-194 :名無しさん@ピンキー:04/02/09 21:12 ID:nS//IFF3
>>192
乙です。
レズものが流行、というか
これからボーイズラブ以上の隆盛になっていくんですよ。

01-195 :名無しさん@ピンキー:04/02/10 00:27 ID:h0kZI3rv
>>192
乙!

01-196 :アリス ◆Alice.9wCE :04/02/10 02:22 ID:42y7RaIX
>192
「ボクは、お姉ちゃんが好きなんだ!!」
部屋に戻るなり、サァラは姉にそう叫んだ。

「……それで、どうしたいの?」
「どうって……。ボク、どうしていいのか、わからないんだ」
「私たち、姉妹にならない方が良かったのかしらね。」
「そんな、ボクはお姉ちゃんがいるから……」
「あなたが、本当は"アリスの娘"になりたくなかったのは、知っていたわ。
あなたが私のことを……その、単なる好きじゃないってことも。
私たち、生まれたときからずっと一緒にいるんですものね」
「じゃあ、どうして姉妹にならなかった方が良いなんていうの??
ボクはお姉ちゃんがいないと、ダメなんだよ」
サァラはもう自分の感情があふれ出るのを、止められなくなっていた。
しかし瞳にいっぱいの涙をためた妹の懇願であっても、サヤカは姉として
説き伏せなくてはならないことが、あると思っていた。

「サァラ、なぜこの船には、男と女がいるのだと思う? 
どうして、"アリスの娘"以外の誰もが、何度もパートナーを変えると思う?」
「そんなの……、わからないよ! ボクにはお姉ちゃんだけだよ。
他の誰もいらない。お姉ちゃんさえいれば、ボクは……」
「出かけてくるわ。」
「出かけるってどこへ? 戻ってくるよね?」
「さあね」
「それなら、ボクも連れてって!!」
「お留守番していなさい、サァラ」
「まってよ、置いていかないでよ!一人にしないで!」
泣いてすがろうとするサァラを振り切り、サヤカは部屋を出ていってしまった。

01-197 :アリス ◆Alice.9wCE :04/02/10 02:24 ID:42y7RaIX
>196
----------------------------------------------------------------
「……というわけなんです」
サヤカは、娘たちの中で最年長のハルカに相談するために、部屋を訪ねていた。

「サァラちゃんがねぇ。確かに他の人への態度と比べると、あなたへのそれは
普通じゃないと思っていたけど……」
「サァラは姉としてじゃなくて、恋人として私を求めているみたいなんです。
自分ではその気持ちを抑えていたつもりなんでしょうけど、編集長にも言われ
ていましたから」
「ま、あの人はね」
「ハルカお姉さま、サァラさんはどうして、サヤカ姉さまが好きではいけないの?」
「ヒロミ、大人の話に割り込んではダメよ」
「ボク、もう子供じゃないもん」
「はいはい。それは憧れのアキラ君に"オトナ"にしてもらったらの話ね」
「ヒロミ……ちゃん、だっけ? あなたは好きな男の人がいるの?」
「え?ええ。好きって"大切"ってことでしょ?」
「じゃ、ハルカお姉さまは?」
「もちろん大好き!」
「ふふ、いい子ね、ヒロミちゃんは。サァラにもそんな風に育って欲しかった。
私はダメな姉だわ」
サヤカはヒロミの頭を優しく撫でたが、その瞳はヒロミではなく、まだ性転換
したばかり頃の、サァラの面影を映していた。

「あなたはあなたなりに、役割を果たしているわ。サァラは……、そうね、
まだ成長の途中なのよ。だから、あなたがしっかりと妹を導いてあげなきゃ」
「サァラは、自分でもどうしていいのかわからない、って言ってました。
でも、私にもどうしていいのかわからないんです」
「それで、ここへきたの?」
「ええ。本当は、サァラのことをお願いしたいと、思っていたのですが……」

01-198 :アリス ◆Alice.9wCE :04/02/10 02:26 ID:42y7RaIX
>197
「うーん、そうしてあげてもいいんだけど、ヒロミはまだ手がかかる時期だし、
伝助先生のお手伝いもあるから、2人も面倒見切れないしねぇ……。シルヴィ
も途中でレイカに預けちゃったから、このコは最後まで面倒見てあげたいと
思ってるのよ」
そういって、ハルカはヒロミの手をとってひき寄せた。
ヒロミはくすぐったそうにしながら、ハルカにじゃれつく。

「こんな風に、スキンシップでもしてみたら?サァラがまだ成長できてないと思う
のなら、もう一度最初から始めてみるのもいいんじゃないかしら?」
「最初から?」
「そう、最初から。あなただって、最初はサァラに教えてあげたんでしょ?
どうしてもらうと気持ちいいのか。どうしてもらうと、人を愛したくなるか」
「それは……」
ハルカの言わんとしていることを、理解したサヤカは顔を赤らめる。

「その様子じゃ、あなたサァラにあまりかまってあげなかったんじゃないの?
だからサァラは行き場を失って、気持ちを自分の中に押し込めちゃったんじゃ
ないかしら?」
「でも、私たちは女同士で……」
「そうね。でも、したいときはすればいいんじゃないかしら」
「お姉さま!ということは……その、ヒロミちゃんにも毎日?」
「やぁねぇ、子供相手にただれた日常送っている、みたいな言い方しないで。
こうしてじゃれあってるだけでも満足するもんでしょ? 
その……、そんなに過激なことをしなくてもね」
ハルカはちょっと頬を赤くしながら、じゃれついてくるヒロミの前髪をかき上げて、
額にちゅっと軽くキスをする。お返しにという風に今度はヒロミがハルカの頬に
キスをする。
(それって、十分過激な気もするんだけど……)
サヤカは同性同士の性愛には、あまり免疫が無かった。

01-199 :アリス ◆Alice.9wCE :04/02/10 02:28 ID:42y7RaIX
>198
「そうね、相手がサァラちゃんじゃ、キスだけってワケにも行かないだろうし、
いいモノ貸したげるわ。ヒロミはココに座っていなさいね」
そういって、ハルカは部屋の入り口近くのワードローブから箱を取り出して、
サヤカに手渡した。

「何ですか?これは」
「うーん。まぁ開けて御覧なさい」
サヤカがふたを開けて中を見ると、そこには見覚えのある形をした、細長い
"物体"が入っていた。

「ハ、ハルカ姉さま。こ…、ここ、これはいったい……」
「えーと、その。見ての通り。どう使うかはわかるわね?それで、ここのところが
スイッチになっていて、強さも調節できるの。ほら」
ハルカがその"物体"の底にあるスイッチを入れると、鈍い音を立てて振動しな
がら、くねくねと動き始めた。

「う、動くんですか??気、気持ち悪いです」
「形はね。でも確実にイカせられるわよ」
「悪魔だわ……。まだいたいけなヒロミちゃんにこんなモノを……」
「まだ処女のあのコにそんな事しないわよ! レイカが持っていたのを取り上げ
たの。どっから見つけてきたのか知らないけど、それで私を……。いえ、そんな
ことはどうでもいいわ。電源はここにバッテリーを入れるようになってるの。
動かなくなったらチャージしてね」
サヤカはレイカとハルカが、どこでなにをしていたかを想像すると頭が痛くなった。

「…その、娘同士でって、結構あるんですか?レイカお姉さまとは……」
「ん?どうかしらね。私はレイカとしか……、彼女は中身は男のままね。
レイラとは、どんなことしていたのかは知らないけど」
「知らなかった……。お姉さま方がそんなことしてたなんて……」
「ああもう、今は自分たちのことを心配しなさい。サァラちゃんも、もしかしたら、
まだ恋愛感情は男のままで、そういう風にあなたを見てるのかもしれないわ。
だから、女としての悦びってのを教えてあげたら?」
にっこり笑ったハルカの顔は、サヤカには悪魔の微笑みのように思えた。

01-200 :アリス ◆Alice.9wCE :04/02/10 02:32 ID:42y7RaIX
>199
アリスの娘たち~   反乱の予兆
----------------------------------------------------------------
「……サァラ?寝ちゃったの?」
部屋へ戻ったサァラは、照明が暗く落とされた部屋の奥に声を掛けた。
照明を付けてみたが、やはり部屋のどこにもいなかった。
(どこへ行ったのかしら?留守番していなさいって言ったのに……)
サヤカは端末を叩いて、アリスを呼び出した。

「アリス。サァラがいないの。どこへいったか知らない?」
「アナタノアトヲオッテ、はるかノ部屋へムカッテイルトチュウデス」
「でも、部屋には来なかったし、帰る途中にもすれちがわなかったわ」
「ソウサクシマスカ?」
「そうして頂戴。今すぐ調べて!」
サヤカは胸騒ぎを感じて、即座にアリスへ要求した。
(どんなに広いといっても移民船の船内、結果は数秒でわかるはず)
「……ドコニモイマセン」
「どこにもいないって、どういうこと?中央ブロックの外にでたってこと?」
老朽化の激しい周辺ブロックには、確かにアリスの感知できないエリアも
存在する。

「ワカリマセン。C-7通路ノせんさげーとヲ通過後、ドノげーとヲ通過シタ
形跡モアリマセン」
「船内放送で呼び出して。ハルカ姉さまの部屋にもつないで頂戴」
「船内放送ニハ、申請理由ガ必要デス」
「行方不明者の捜索よ。あなたの許可があれば、放送できるはずよ!」
「許可シマス。……はるかガ出マシタ」
「ああ、ハルカお姉さま、サァラがいなくなってしまったんです。
アリスに探させても、どこにもいないって。あのコ私の後を追って部屋を
出たみたいなんですけど、どうすれば……」
「落ち着いて、サヤカ。IDカードを置いたまま部屋を出たのかもしれないわ。
まだこのブロックのどこかにいるかも」
「探してみます」
しかし通路や共有セクションのどこを探しても、サァラもカードも見つからなかった。

01-201 :アリス ◆Alice.9wCE :04/02/10 02:34 ID:42y7RaIX
>200
---------------------------------------------------------------
「嘘つき!お姉ちゃんなんていないじゃないか!縄を解いてよ」
サァラは、姉の行く先を知っているという男の後について、彼の部屋へ入った
が、そこに姉はいなかった。おまけに部屋へ入るなり、縄で縛られて身動きを
封じられてしまった。

「僕は嘘はついていないよ。きみのお姉さんを知っている、と言ったんだ。ここ
にいるとは言っていない」
「詭弁だわ。ボクを捕まえてどうしようって言うの?」
「伽を勤めてもらう」
そう言うと男はサァラの服をナイフで切り裂き始めた。

「バカいわないで、アリスの指示も無しにそんなことできるわけ……」
「僕はアリスに言われて、君を招き入れただけだよ」
男は下着にも刃を滑らせていく。

「そんなの知らない!」
「僕のところにはメールが来たよ。今すぐC-7通路へでて君と落ち合い、自分
の部屋で好きなようにしろってね。あんまり動くと怪我するよ」
「うそばっかり。アリス、アリス、アリス!!助けて!」
3度呼べば、危機を察知したアリスが助けてくれる。その身に危害が及ぶことは
めったに無いが、万が一の事態に備えて、"アリスの娘"たちは護られている筈
だった。

「無駄だよ。好きにしろってことは、君を殺してもいいってことだろ」
無理やりはだけさせられた乳房に、ナイフを突き付けられる。
(アリスが助けてくれない? まさか昼間のことを?)
スタジオにももちろん、セキュリティシステムがある。アリスがモニタしていたとし
ても不思議ではない。移民船のすべてのパーソナリティを把握しているアリス
だから、サァラの行動に問題を感じ、何らかのペナルティを課すことも想像でき
ないことではない。しかし、移民船内で誰かが誰かを罰するなんて、サァラには
信じられないことだったし、いままで聞いたことも無かった。

01-202 :アリス ◆Alice.9wCE :04/02/10 02:36 ID:42y7RaIX
>201
「ボクはあんたなんか知らない。名前も知らない相手に傷付けられる理由なん
て無いよ!」
「それはどうかな?」
突きつけられたナイフの先から、うっすらと血が滲み出してくる。
老朽船とはいえ、中央ブロックにいれば命の心配など無く、危険な船外作業も
したことの無いサァラにとって、それは真の恐怖だった。

「お姉ちゃんを愛することが、そんなにイケないことなの?」
男の理不尽な行動の理由が知りたかったが、それはむしろアリスへの問いだった。

「何のことだい?僕は君を恨んでいる。君が誰を愛しているかなんて関係ない」
「どいういうこと?さっき言ったように、ボクはあなたを知らない」
「覚えていなくても不思議じゃないけど、冷たいね。同期なのに」
男はサァラの胸に舌を這わせ、滲んだ血を舐めとった。

「同期?」
「きれいな胸だね、柔らかいし。下はどうかな?」
はぐらかすようにそう言うと、男は下腹部へも手を伸ばして、乱暴に下着を剥ぎ取った。

「痛いだけじゃかわいそうだからね。少しは感じさせてあげるよ」
「どうしてこんな酷いことをするの?同期だからって、それが何なの?」
濡れてもいないサァラの中に指を挿れられる痛みに、顔をしかめながら詰問する。

「僕は君のせいで、"アリスの娘"になりそこなったんだよ」

01-203 :アリス ◆Alice.9wCE :04/02/10 02:43 ID:42y7RaIX
つーわけで、続きです。しばらく登場しなかったせいか、ヒロミがいまいち
描けてないですね。まぁ成長途上ということで……。

このあとまだ続きますが、陵辱シーンはカットした方がいいんだろうなぁ……

>194さん
「ヤミ帽」、「マリ見て」に続く百合ヒットがでたら大きなムーブメントになるかも
しれませんね。潜在需要は大きい???

01-204 :名無しさん@ピンキー:04/02/10 18:27 ID:NTEG2N+H
>アリスさん乙です。
レズがどうとか言うよりも、本来女好きのTSキャラを
男を好きになるように心を改竄してしまうのが問題になると思います。
作者のご都合主義で無理やり男の相手をさせられる
やおい作品と同じ違和感を感じます。

01-205 :名無しさん@ピンキー:04/02/10 19:27 ID:1ynJ36Hm
>>202
乙です。
今204がいいこといった!
禿げしく同意!!

01-206 :名無しさん@ピンキー:04/02/10 19:41 ID:KnH5hFVX
>>レズがどうとか言うよりも、本来女好きのTSキャラを
>>男を好きになるように心を改竄してしまうのが問題になると思います

というのは、つまり強制女性化されたTSキャラの心理的葛藤ということ
なんだと思うんだが……。

それと、女性の読者がいるようだしTSキャラ=女好きではないよね?
801ってのが意味が良くわからないが、ショタのゲイ=801でもない
と思われ。
801ってのは意味も理由も無く、ただたんに、エチーしておわり
山無し、オチ無し、意味無しということだから……

01-207 :名無しさん@ピンキー:04/02/10 19:52 ID:1ynJ36Hm
>>206
では男のままだったら男を好きになったと思いますか?
本来だったら、男同士の恋愛にならないというなら
明らかに、女好きの性指向を改竄してるということでしょう。

そしてこの場合の「やおい作品」とは、
原作では女を指向してる男キャラを
男を好きになるように作り変えてる同人誌のことだと思います。

01-208 :206:04/02/10 21:30 ID:VlGv+EO0
>>207
なるほど。言いたいことはわかる。
だが、ゲイ小説(ショタ含む)はやおいではない。コレははっきりしていると思う。
やおい小説として成立するためには、まずパロディであるということが前提になると思のだ。
つまりまったくのオリジナルである限り、それはやおいでないと思うのだ。

しかしオリジナルといえど、やおい的というのは確かに存在するだろう。
だが206がやおい的と表現しているものは、TSの無い世界で且つ性同一障害の存在を認
めないという前提が必要になるのではないか?

自由なTS世界においてセックス=ジェンダーの図式は完全に崩壊する。
自分の性別を自由に選ぶことのできる世界において、果たして常に恋愛の対象が常に
男だけor女だけというのは考えにくいのだ。
魅力的な人間と結ばれたいという願望がエロスとリビドーの両方で常に満たされる。
それが強制でない自由なTSの成立する世界における、ありふれた人間像ではないかと
思うのだな。つまりジェンダーは完全にバイセクシュアルで、セックスはそれに追随すると。

01-209 :名無しさん@ピンキー:04/02/10 21:59 ID:ijJkPB6W
ど~もアリスさん乙カレー。

横レスだが魅力的なら男を選ぶというなら
私はやおい作品もそしてボーイズラブを読んでいるよ・・・

自由だからこそキャラクターの同一アイデンティティーが重要になってくる。
つまりキャラの性格、思想、そして嗜好(この場合は女好きの嗜好)
そういった同一性がなければキャラクター足り得ないんだ。
キャラのありのままの個性や習慣を描写しなければ、
作品は魅力が出せないと思うね。

01-210 :名無しさん@ピンキー:04/02/10 22:00 ID:t4ZAR9kJ
どこのスレだっけ、他のスレ住人おいてけぼりにした
たった2人の理論闘争のあげくに自然崩壊しかけたのは。

01-211 :名無しさん@ピンキー :04/02/10 23:04 ID:pMLHtgqQ
>>210
あ、あったよ。またここで無駄な議論はしてもらいたくないね。
職人さんが逃げてしまうよ。毎回、楽しみにしている方が多いんだから
無駄な議論でスレを汚してほしくない。( ̄^ ̄)

>>アリスさんど~も☆
 毎回、楽しみにしています。
 早く続きが読みたいです。

01-212 :名無しさん@ピンキー:04/02/11 00:21 ID:MMkE1hvu
>アリスさん
アリスの娘たち同士のやりとり、ドキドキしました。
ああ…でもこれがサァラに待ってる過酷な試練なんですね。
ちょっと読むのが苦しいかもしれませんが、
大好きな作品なので最後まで見届けたいです。

01-213 :名無しさん@ピンキー:04/02/11 03:00 ID:aZSNpj/z
>>209
 一つだけ簡潔に言わせてもらう。
 君がそれが好きなのは構わない。
 が、他人が別のスタイルの話が好きである事に文句を言わないように。
 嗜好はそれぞれであり、TSキャラクターに何を求めるかも人それぞれ

 自分の好きなものだけが絶対であるような発言だけは止めておけ。
 心の中で考える自由ほど、発現する自由は広くないんだから。

01-214 :名無しさん@ピンキー:04/02/11 03:22 ID:vqIAF8i1
神のSSキテタ━━━━(゚∀゚)━━━━!!
と思ったらいつものオナーニレスか
ショボン

01-215 :名無しさん@ピンキー:04/02/11 06:19 ID:1faydmYR
>>208 >>213
なんか気になったけど
そういうのも一つの流儀だからということ。
だからまた別の考えがあるということですよ。

アリスさん 乙~
女になっても好きな女性を思い続けるのが素晴らしい。

01-216 :名無しさん@ピンキー:04/02/11 17:27 ID:snO0j7gU
>>215
 おいおい、何を好きであるかの自由は他人の趣味に対して問題ではない。

 が、自分の趣味だけを言いふらして、他人の趣味を否定するのは、問題だと言ってるんだ。
 君が何を好きかが問題を起しているんじゃなくて、君が騒ぐ行為が他人に反感を買ってると
理解しろ。
 それぞれに正義があっても他人の正義に干渉しない態度を両者が守れば、衝突は避けられる
が片方が自分の正義を押しつければ衝突が起きるんだ。
 君の行為は自分の趣味、自分の正義を『他人に押しつけている』分かったら、人前で騒ぐ事は
控えることだ。

01-217 :名無しさん@ピンキー:04/02/11 19:39 ID:pYixno3O
熱い想いが激突している!!!!

ここは議論スレではないので、ソコントコよろしく!

01-218 :名無しさん@ピンキー:04/02/11 20:36 ID:7CrBVipF
>>215
「別の考え方」「個人の嗜好」というものを人それぞれ持っているのは
ここにいる人間はみんなわかってるんだから、
ことさらに「感想」に名を借りて自分の嗜好を叫びつづけるのをやめれってこと。

ところで二次創作の神は結局顕われずじまい?

01-219 :名無しさん@ピンキー:04/02/12 03:36 ID:Q4ETUHR2
二次創作の場合は、その作品スレがあったりするからね
該当スレがTS系OKなら、やっぱりそっちで投下するんだろうし

01-220 :名無しさん@ピンキー:04/02/12 16:04 ID:6RE7zQpu
強制女性化なら、
この板でもデジモンとかウルマニ(ウルトラマニアック)とかに少しあるんだけどね。

01-221 :名無しさん@ピンキー:04/02/12 21:53 ID:x+d7wZEc
つまらん長文投下して神学論争を気取っているはた迷惑なアフォどもに注ぐ。

とりあえず議論を止めるか、
隔離スレを作ってやるからそこでいつまでも愛し合ってくれ。
これはおそらく職人を待ち続ける一般ROM者諸氏にご賛同頂けると思われる。

01-222 :名無しさん@ピンキー:04/02/12 22:17 ID:c1jH0rX2
TSやトクサツヒーローものに「あり得る展開」もクソもあるかい。

01-223 :名無しさん@ピンキー:04/02/12 22:21 ID:nesTuYIX
正直、女性化モノは今まで書いた事が無いのですが、それでもいいのでしょうか?
また、書き始めてしばらくはえちぃ描写が無いと思いますけど、それでもOK?

んと。
まずは投下してからですね。

01-224 :名無しさん@ピンキー:04/02/12 22:44 ID:9q81pXOn
>>221
禿同

>>223
うん。まずは投下を(ドキドキ

01-225 :名無しさん@ピンキー:04/02/13 02:58 ID:JNLGr+P3
>>216
>>218
あんたらもやめなさいな。

01-226 :名無しさん@ピンキー:04/02/13 07:53 ID:fJev0Bni
連中があまり懲りないようなら、香具師らを変態キャラとして用いる手もあるな。

01-227 :名無しさん@ピンキー:04/02/13 11:27 ID:wkSh2L+M
い~ね~。226から一つ思いついたネタ。非強制かどうか微妙な気がするけど…

「216、また私を実験材料に?」
「そうだ、218よ!今回こそは成功する!」
とある高校の放課後の化学室で、男子生徒と女子生徒が向き合っていた。周りには妖しい機械と試薬がずらり、
一高校の化学室にはありえないくらいの規模で並んでいる。
そして、216の手にはフラスコ入りの薬品が。

「飲んでも……大丈夫なの?」
緑色をし、熱は加えられていないのに煙が出ている。見るからに
危険そうな雰囲気を漂わせている。

「そんなに心配なら、ほら!」
と言いつつ、216は薬品に少し口をつけ、ごく少量飲んだ。

「少し独特な味がするけど、大丈夫、大丈夫。僕を信頼してくれないのかい?」
自信たっぷりの笑みを顔一杯に表しながら、ぐい、と薬品入りフラスコを218の手に押し付ける。
受け取った218は、フラスコをしげしげと眺めながら、
「本当に痩せられるのかな?」
そして、一気に飲み干す。

01-228 :名無しさん@ピンキー:04/02/13 11:30 ID:wkSh2L+M
「少しどころじゃ無いじゃない!すっごく苦いよ、これ!」
「ふはははは、化学の進歩には多少の犠牲はつきものだ。しかし、大丈夫だ。
確実に痩せられるはず。体内での脂肪の燃焼と新陳代謝を活性化し……」
大声で笑いつつ、延々と演説を始める216。そのことはロクに聞かず、うつむく218。
(ホント…体が熱くなってきたみたい…体がカッカとしてきた…)
(あれ?やだ…なんで?なんか、216の体が欲しくなってきた)
(体がどんどん熱くなる…もう、我慢できない!)
急に顔を上げ、216の顔を見据える。

「…で、そのために使ったのが、この論文の中にあった
この理論を応用してだな…おい、どうした!218よ!何故抱きつく!あっ!」
熱烈なキス。化学室の外まで聞こえそうな位に、何度も音を出しながら
口だけでなく、頬に額に、耳に首筋に何度も何度も。

「ねぇ、あなたのせいなのよ?あなたが前に居て、そしてあんなもの飲ませるから。
欲しい、あなたが欲しくてたまらない、ね、いいでしょ。」

01-229 :名無しさん@ピンキー:04/02/13 11:31 ID:wkSh2L+M
キスしながら、実験机の上に216を押し倒す。押し倒したらすぐ、216の服に手を掛ける。
ボタンを外し、上着を脱ぐ。

「ちょっと待った!いきなり何する。体重を量らないと、せっかくの実験が
成功かどうかわからないではないか。今から…ぁぅ…口塞ぐな…ぁ」
「シャツ、次はシャツ~。あれ?ねぇ?なんで胸が膨らんでるの?」
「はぁ?216、何を言っているんだ?太ってなんかいないぞ?」
「だって、この胸って、…脱いじゃいましょ、早く、はやく!」
「だから脱ぐなって。ぁん!なんかからだが敏感だ、何かしたか?216よ!」
「なにもしてない、何もしてないって。でも、この胸、女の子みたい。つん、つん。」
「へ?まさか、さっきちょっと飲んだ薬品のせいで、…これは興味深いぞ。ぁん、なでるな、
なでないで。お願い、何故胸が膨らんだのかを調べる方が先だ。ってもしかして、下は?」
「は~い、脱ぎ脱ぎしようね~、218。」
体を立たせた後に、嬉しそうにズボンのベルトを外す。
そしてボタンを外し、下着と一緒にズボンを下ろす。

「あら、女の子になってる。毛は生えてないけど綺麗な形。」
「これは新たな事実だ、興味深い、今すぐ、今すぐこの副作用について記録しなければ。」
「そんなことより、ね?私の体の火照りはどう責任とってくれるの?」
「そんなの知るか!とりあえず写真写真。て、キスするな、しないで、なんかこの体は
えらく敏感だ、ね、ちょっと駄目だと、あん、胸揉むな、力抜けるって、あん!…」
前に立つ216から、延々と愛撫される。腰が定まらなくなり216のなすがままになる。
そして再び押し倒される218。そして胸に何度も何度もキスしたり、下にもキスしたり。
218の喘ぎ声が口から止まらなくなり、部屋中にずっと響き渡る。

01-230 :名無しさん@ピンキー:04/02/13 11:33 ID:wkSh2L+M
「あ、可愛い反応。もうこんなに濡れちゃって。すごく気持ちよさそ。」
「はぁぁぁん…だから、お願い、そんなに胸を何度も、弄るなと、言っているのに」
「だって、そんな顔しちゃ、いぢめたくなっちゃう…ちゅ。」
下の突起にキスする。

「な、何、はぁ!気持ちいい!」
そして216は218の足を上げ、自らのあそこと218のあそこをくっつける形にする。

「こうすると気持ちいいのよ、そして、この状態で動くと、たまらないぃ…」
貝合わせの状態にし、体を積極的に動かし始める。二人の喘ぎ声がますます高まり
部屋全体が二人の声で覆われる。

「はぁ…いい…女の体って、いつもこう?」
「いつもじゃないけど、何かが切り替わったらこうなる…あん…いいよぅ」
「や…なんかちょっと、体の制御が聞かない…はぁぁぁぁぁ!」
「ちゅ…イッたね、女の体って、イケるのは一回だけじゃ無いよ
それを確かめてみましょうね…ちゅ。」
声と粘膜のこすれる音、そして水分の音のみが聞こえる部屋。
日がさらに傾き、窓が夕闇に覆われるまで、この二人の行為は続いた。

01-231 :名無しさん@ピンキー:04/02/13 11:38 ID:wkSh2L+M
いじょ。
あんまりスレにガタガタ言うのが多いので、一人女性化してみました。
本来ならもうちょっと短く、もうちょっと変態に書くつもりだったのが
かなりマイルド風味になってしまったのは残念。

あと、自分の女性化小説を書いてもらおうとして、
わざと長文論争しないでくださいおながいします。

01-232 :名無しさん@ピンキー:04/02/13 12:54 ID:wHY/MHHW
>>231
グッジョブw

01-233 :226:04/02/13 19:11 ID:gTeQqVSh
>>227よ……オレが会社で真面目に仕事にいそしんでいる間に、こんなものを……

ああ、この前怖いもの見たさで覗いた801板で目撃した
恐怖の対・荒らし反撃技「 萌 え 返 し 」が、いま、ここに!
何という香具師だ。とんでもない! とんでもない……グッジョブ!

見事だ……見事と言うほか無い……
おれは、今猛烈に感動している……

01-234 :名無しさん@ピンキー:04/02/13 20:06 ID:4jWStm0h
>>227 僕妊スレを思い出した

01-235 :名無しさん@ピンキー:04/02/13 22:21 ID:LZYK6lYP
そういや、強制女性化のスレで回されてる(リレー)SSも
元は女性化した夢を見たとか書き込んだ香具師だった・・・(w

01-236 :名無しさん@ピンキー:04/02/14 09:56 ID:Bn3bhcCd
216と218があちこち混乱している。

01-237 :名無しさん@ピンキー:04/02/16 23:52 ID:tRAKmhgk
あげる

01-238 :名無しさん@ピンキー:04/02/17 01:51 ID:WVO9ejDR
もうずっと人大杉

01-239 :名無しさん@ピンキー:04/02/17 13:34 ID:WVO9ejDR
保守

01-240 :名無しさん@ピンキー:04/02/17 20:12 ID:tQ5DuzRL
さびれてるな

01-241 :名無しさん@ピンキー:04/02/18 22:20 ID:KEhAxxNH
終わったな...

01-242 :名無しさん@ピンキー:04/02/19 00:40 ID:argbHD6J
なんの、まだまだ!!

01-243 :名無しさん@ピンキー:04/02/19 21:58 ID:1bsJ4OG6
今はただ・・・耐えるんだ・・・じっと・・・

01-244 :名無しさん@ピンキー:04/02/19 22:09 ID:w67mOR+a
もうだめぽ

01-245 :名無しさん@ピンキー:04/02/20 00:07 ID:pD5qWx2W
ハイッ   消えた...

01-246 :名無しさん@ピンキー:04/02/20 01:11 ID:VQIuSglL
ざわ・・・
          ざわ・・・

01-247 :名無しさん@ピンキー:04/02/20 09:03 ID:/J3ldq3M
おざわ・・・
          おざわ・・・

01-248 :名無しさん@ピンキー:04/02/20 17:15 ID:9PogRxaz
しおざわ・・・
          しおざわ・・・

01-249 :名無しさん@ピンキー:04/02/20 21:12 ID:m1AiB2Oe
かねと・・・
          かねと・・・

01-250 :名無しさん@ピンキー:04/02/21 00:25 ID:7JaX28hh
ご冥福をお祈りします・・・
          ご冥福をお祈りします・・・

01-251 :名無しさん@ピンキー:04/02/21 01:15 ID:zQTClVFZ
ちくしょう・・・
          ちくしょう・・・

01-252 :名無しさん@ピンキー:04/02/21 04:55 ID:NyzeMhN1
何だこの流れは・・・
何だこの流れは・・・

01-253 :名無しさん@ピンキー:04/02/21 11:17 ID:xXKnZsqX
ぎわ・・・
          ぎわ・・・

01-254 :名無しさん@ピンキー:04/02/21 16:28 ID:S040wDUX
さわわ・・・
          さわわ・・・

01-255 :223:04/02/21 17:20 ID:vjhCAeNw
今、書いてます。
だいたい一週間後くらいにお会いしましょう。
このスレが無くなってなければ…。

01-256 :名無しさん@ピンキー:04/02/21 18:10 ID:imTNemdf
>>255
無くなってたら強制スレにウプしてくれ

01-257 :名無しさん@ピンキー:04/02/21 21:54 ID:Io/O6bHC
私も仕事が激忙しくて、続きがかけない……。
眠いヨ~

01-258 :名無しさん@ピンキー:04/02/22 00:55 ID:JmQ04imx
>>223>>257の為に保守しようぜ!!

やわ・・・
        やわ・・・

01-259 :名無しさん@ピンキー:04/02/22 15:56 ID:uajIbXP8
栄養溜めている最中なので、書く元気が出ない場合もあるかと思われ。
読む方は数十分ですむけれど、書く方は何倍も時間がかかるんだし。
ゆっくり待つのもまたいいものですよ ( ´ー`)y-~~

01-260 :名無しさん@ピンキー:04/02/22 22:12 ID:JRVmoKro
はげ・・・
          はげ・・・

01-261 :1OO1:04/02/23 02:09 ID:WqktcGTj
このスレッドは役割を終えました。
もう書かないので、新しいスレッドは立てないでくださいです。。。

01-262 :名無しさん@ピンキー:04/02/23 03:00 ID:lAvKUTa/
荒らしてるのは、以前論破された女×女原理主義者か?

01-263 :名無しさん@ピンキー:04/02/23 03:22 ID:bdHJsxqh
これって荒れてるんかな…w

01-264 :TS:04/02/23 08:18 ID:RpCl8JEB
なんとかならないのかなーー^^
人大杉、、、(;_;

01-265 :名無しさん@ピンキー:04/02/23 10:45 ID:CP5DDh7a
>263
いや、釣りだろ、263は

01-266 :名無しさん@ピンキー:04/02/24 01:44 ID:kw5+ZdTU
263は釣りなのか…釣りよりネタ、ネタよりSS書いてよ

01-267 :名無しさん@ピンキー:04/02/24 02:09 ID:nfXbzTso
>>265
いや、釣りは263じゃなくて261-262
でしょ?

って、漏れもネタが……(´Д⊂)

01-268 :名無しさん@ピンキー:04/02/24 02:20 ID:WEokLbsh
この 非強ものっ!





                  ........つまんねぇこと書いちまった チト吊ってくる

01-269 :名無しさん@ピンキー:04/02/24 10:34 ID:tUGkwsF2
保守。

途中までなら書きかけが‥
もう積年モノだがな‥

01-270 :名無しさん@ピンキー:04/02/24 11:48 ID:+o9FspdZ
>>269
途中でもOK

01-271 :269:04/02/25 22:47 ID:amSHwvtn
>270
とりあえず発掘作業してみます(w
保守ついでの駄文ですが‥

01-272 :名無しさん@ピンキー:04/02/27 03:39 ID:CQ4nkK81
>269
ガンガレ!!

01-273 :269:04/02/27 22:20 ID:7X4aRBvK
化石、発掘しました‥
あまりにアレな代物で、スレ汚しにならないか心配ですが。
投下してもよろしいでしょうか?

01-274 :名無しさん@ピンキー:04/02/27 22:38 ID:6tlBN06M
>>273
そんな心配ならず投下をお願いします。 m( _ _ )m

01-275 :名無しさん@ピンキー:04/02/27 23:05 ID:fV3xYnjV
投下お願いします。

01-276 :名無しさん@ピンキー:04/02/27 23:06 ID:fV3xYnjV
投下をゼヒ、お願いします。

01-277 :269:04/02/27 23:06 ID:7X4aRBvK
んじゃ、投下します。
恐ろしくヘボですが‥

01-278 :Angels:04/02/27 23:09 ID:7X4aRBvK
前日の夜、寝る間際までは確かに男だったのに・・・
朝、起きたら自分が女の体になっていた。

体に違和感を感じ目覚めてから数十分。
思考の切り替えは早い方だと自負していたが‥
薄いと言われていた胸板には、柔らかい脂肪の塊。
寝間着代わりに来ていたTシャツにプリントされた
安っぽいキャラクターが今の状況を笑うかのように広がっていた。
トランクスは細くなったらしいウエスト位置からずり下がっていて、
腰のところで留まっていた。
そこから下の方は‥見る勇気がなかった。
何となく物足りないような感覚があったのは、気のせいということにしておこう。

「んむー‥」
背後から聞こえたくぐもった声に、大事なことを思い出した。
隣で起こっている事態をまったく知らぬまま
いびきをたてる男を揺すった。

「光……光司朗…コウ‥起きろ、馬鹿兄貴!!!」
あまりにも呑気な寝顔に激昂し、枕を置いた上に
ドラ○もんの大きな目覚まし時計を振り下ろした。
直接顔に落とさなかったのはかろうじて残っていた理性からの優しさだ。

「っ、てぇぇ!何すんだよ、天!!」
飛び起きた男、コウこと光司朗は起きかけとは思えないくらい元気に叫んだ。

「うっせぇ!近所迷惑だ、叫ぶな。起きなかったお前が悪い!‥じゃなくて」
論点がずれそうになり、ガシッと伸びきった襟口を掴んで
光司朗の顔を至近距離まで近づけた。

01-279 :Angels 2:04/02/27 23:12 ID:7X4aRBvK
「あのな‥女になってんだよ」
「は?」
「体。女になってんだよ‥」
俺が顔を下に向けたのを光司朗は視線で追ってくる。
そこにある女としての象徴に目を留めて。
一度瞬きした後、いきなり光司朗の手が伸びてきた。
掌に触れられる感触に背筋を鳥肌が駆け上っていく。

「触るな!」
正面の後頭部に肘鉄を埋め込んだ。

「痛い‥夢じゃないな。サイズはBの75とみた」
どさくさに紛れて、分析している光司朗を殴る気力も既に無くなりかけていた。
俺も夢だと思いたかったよ‥
長いため息と一緒に肩を落とした。

「羽、出るのか?」
光司朗の言葉に、一番気にしなければならなかったことを思い出した。

「たぶん‥」
目を閉じて神経を背中に集中させた。
ぶわりと風を巻き込むようにして広がる純白の翼は、見たところ異常は認められなかった。
もう一度集中すると、翼は跡形もなく消えた。

「よかったーこれで力まで無くなってたらお笑いだよ」
今のところ唯一の光明を見つけられて、安心した。

01-280 :Angels 3:04/02/27 23:13 ID:7X4aRBvK
俺たちは人間が言うところの『天使』ってやつで。
普段はこの世のどっかにある天界で暮らしている。
そこには老若男女様々な天使がいるが、
子供時代を過ごした天使は一定期間研修として、
人間界に降り自力で生活をしなければ
立派な大人として認められない。
大人になれないということは、仕事だって出来ないし
もちろん結婚だって出来ない。
色々な特約や役職を得るための昇級試験なんて
受けるどころか、門前払いされてお終い。
だから研修はどんな天使でも真面目に受ける‥のだが。
過去にはよほど人間界が性にあったのかスカウトされ、芸能界デビューなんて
してしまった天使もいるらしい。
まぁ、なるべく気楽にやろうと降りてくる時に誓い合ったのだが‥
それが一変してしまったのが俺たちが生活し始めてから4日目の朝だった。

01-281 :269:04/02/27 23:15 ID:7X4aRBvK
とりあえず、書いてあったキリのいいところまで。
お粗末様でした。。

01-282 :名無しさん@ピンキー:04/02/27 23:47 ID:fNWo7+oj
>269乙
続きが禿しく読みたい。

01-283 :名無しさん@ピンキー:04/02/28 09:07 ID:GA1MbB8z
>>281
キタ━━━━━━(゚∀゚)━━━━━━ !!!!!

01-284 :名無しさん@ピンキー:04/02/28 09:40 ID:ebReycwi
久しぶりに
               ∧∧
   ┃   ┏━┃     (,,゚∀゚)     ┃┃
 ━┏┛ ┏━┃ ━━/ つ━━┛ .┃┃
 ━┏┛ ┛  ┃   ~( ,ノつ      ┛┛
   ┛       ┛     (/        .┛┛

01-285 :名無しさん@ピンキー:04/02/28 11:37 ID:nwESJmm3
キタワァ*・゜゚・*:.。..。.:*・゜(n‘∀‘)η゚・*:.。. .。.:*・゜゚・*ー

期待高まる内容に続きキボンヌ。

01-286 :名無しさん@ピンキー:04/02/28 23:18 ID:gE879qzA
ちょっと質問で申し訳ないんですが、
トップページが化粧中の女の人の画像が4つ正方形に並べてあって、
二人の男が性転換させられ、何かの戦場?みたいなとこに行かされて、
最後の方に倒れている気を失っている子ども(男)を助け、
その子が気づいたときに胸がふくらんで女として生きるって言う小説があったのですが・・・
どなたしりませんか?
おとといから探してるんですが見つからなくて・・・

01-287 :名無しさん@ピンキー:04/02/29 01:07 ID:ag3fGGBw
>>286
それは「戦場の天使たち」ですかねぇ。作者はMarieまたはReika。
政府に選ばれた男二人が看護婦と娼婦に性転換させられて戦場に行くってやつなんだが。
遺伝子爆弾(!)ってやつで唯一生き残った子供が女の子になって生きていくエピソードもあったな。

その作者ならHPは現在無期休業中だ。同じ作者のほかの作品なら一部が少年少女文庫に
再アップしてるが・・・。

01-288 :286:04/02/29 04:48 ID:OXwNGDhf
>>287

それですそれです!
ありがとうございます。記憶がつながりました。
休業中ですか・・・(´・ω・`)

01-289 :名無しさん@ピンキー:04/02/29 07:53 ID:+BJDy/bA
乙ヽ(´ー`)ノ(プゲラ

01-290 :名無しさん@ピンキー:04/02/29 23:18 ID:jGh9iGQ6
うーーん、ここに来たら書きたくなってきたな。
この手の小説・漫画は大好きです。

・・・・・・挑戦してみます。

01-291 :名無しさん@ピンキー:04/03/01 00:44 ID:OAKPjRJU
>>290
正座して待ってます。

01-292 :名無しさん@ピンキー:04/03/01 13:47 ID:V8Uks3Dw
アリスタンの続きはまだかな?

01-293 :223:04/03/02 19:59 ID:z2qqcVex
とりあえず冒頭部分まで書けましたので投下しときます。
冒頭なので人物紹介が主で、

エロがありません。

なので、エロナシに興味無い人はスルー願います。
(少しずつねちっこいエロ入っていく予定ですが)

NGワード「ボクたちの選択」

01-294 :ボクたちの選択(1):04/03/02 20:01 ID:z2qqcVex
>293
■■「ボクたちの選択」~ボクとワタシと本当の嘘~■■

 最初のその変化に気付いたのは、幼馴染の少女だった。


 満天にひろがる青空は、ゆったりと流れる雲と共にどこまでも広かった。
 5月。
 天気はすこぶる良い。
 風はゆるやかで湿気も少なく、初夏の爽やかな空気を制服の中に運んでくれる。昼近くにな
れば、温められた空気で汗ばむほどの陽気になるかもしれないけれど、少年は一年のうちで、
この時期の登校時間が一番好きだった。
 少年が通っている地元公立高校の始業時間には、まだたっぷりと余裕がある。ゆるやかな下
りの坂道になっている通学路には、同じ方向に向かう制服姿の学生達が大勢いた。
 男子は詰襟の黒の平凡な学ラン、女子は紺を基調にしたブレザーだ。昨今の少子化に伴い、
生徒を集める目的か何かは知らないが、その女子のブレザーは数年前になんとかという聞いた
ことの無いデザイナーにデザインさせたものだった。少年にはなじみの無いデザイナーだった
けれど、東京ではそれなりに有名な人らしく、見た目は一見地味だが、そこそこに創意工夫が
見られ、近隣の女子中学生には評判が良い。ただ、1年前にマイナーチェンジされてぐっと短
くなったチェックのスカートだけは、一部の女生徒を除いて甚(はなは)だ不評だったけれど。
 まだ、先を急いで走っている生徒は一人もいない。
 一般道から少し奥にある裏道のためか、車も、学校関係者以外にはほとんど通らず、ほとん
どの生徒が、結構道一杯にまで広がって歩いていた。

「あ~……ガッコ休んで河原とかで寝たら…気持ち良いだろうなぁ…」
 制服を第二ボタンまで外した少年が、欠伸混じりに呟く。清潔なシャツはパリッとノリが利
いてて、襟も汚れてなどいない。高校生としては、結構キチンとした姿だろう。
 けれど、その制服に身を包んでいるのは、少し高校生としては微妙に首を傾げそうな顔だ。

01-295 :ボクたちの選択(2):04/03/02 20:02 ID:z2qqcVex
>294
 小さな頭。
 短く切った、柔らかそうな毛質の髪。
 少し吊目っぽい、くりくりとした大きな目と、小さくて低いけれど、それがどこか可愛らし
さを感じさせる鼻。
 日に焼けて健康そうな顔は、少女のように整っていて、どこか中性的な雰囲気を醸(かも)
し出している。未分化の性を強く感じさせるが、それは、一見して「高校生」というより「中
学生」とか「小学生」とか……まあ、つまりは「少年」と形容する事が、至極まっとうな事の
ように誰もが感じる…そんな顔だった。
 そしてそれをさらに確かにさせるのが、
「ういっす圭介~今日もちっこいな~」
「うるせバカッ!蹴倒すゾこの野郎ッ!」
「山中、おはよ~」
「あっ!てめっ」
「遅れるぞ、ケースケ走れ走れ~」
「っ…てめーら!毎朝毎朝ふざけんなちくしょー!!」
 自転車通学の学生が3人、通りすがりに次々と少年の頭を軽く叩いていく。少年の頭は、自
転車に乗った彼らにとって、実に叩きやすい位置にあるのだ。
 身長159.9センチ。その数値は、高校二年生の男子としては、少し低い…かもしれない。
さっきからずっと少年の隣で一緒に歩いている少女と、ほとんど同じくらいの高さだった。

「ったく…馬鹿トリオが…後でめためたにしてやるかんなっ」
 鼻息も荒く、懐かしささえ感じさせる言い回しを口にした少年…圭介は、ぐしゃぐしゃになっ
た髪を指で適当に梳く。そんな彼を、隣の少女は「しょうがないな」といった顔で見つめていた。

「けーちゃん、毎朝おんなじこと言ってる…」
「オマエな、気付いてたなら言えよ、そーゆー事わっ!!」
「だって…吉崎くんが『しぃ~~~』って…」
「オマエはどっちの味方だ!?どっちの!」
「味方でも敵でもないよぅ。クラスメイトだもん」
 少女は、ほにゃっと笑みを浮かべ、どこかズレた事を口にする。

01-296 :ボクたちの選択(3):04/03/02 20:04 ID:z2qqcVex
>295
 制服の肩を撫でるセミロングの髪は、艶々と濡れたように真っ黒で、キューティクルが朝日
を受けてキラキラと天使の輪を作っている。眉が少し太いけれど、手入れをしていないという
わけでは無いようだ。目はぱっちりと大きく、ちょっと垂れているから、眉を細くするとやわ
らかすぎる……ハッキリ言えばしまりの無い顔になってしまうような印象を、見る者に与えか
ねないから、本人もそれを意識しているのかもしれない。……成果があるかは、微妙なところ
だけれど。
 159.2センチの身長は、女子でも低いうちに入るだろう。それでも隣を歩く圭介と、全
く同じ身長に見える。もっとも、たった7ミリの差なのだ。計測器の具合によってはどうとで
も変動する数値ではあった。もちろん、圭介にとってその差は断固として主張したい、いわば
男のプライドがかかった果てしなく大きな差であった。
 この少女を一言で表現すると…

 トロそう。

 …だろうか。
 決して可愛くないわけではないのだが、纏っている雰囲気が春の日向のタンポポみたいに
「ぽややん」としているため、そういういささか本人にとっては不本意な印象を見る者に与え
てしまうのだ。

「けーちゃん、だらしない。前はちゃんとボタン留めようよぉ」
 学校指定の革カバンと部活用のサブバッグを両手で持ち、少女は、第二ボタンまで外してあ
る少年の制服の前を横目で見ながら言った。唇を少し突き出すようにして言うのが、どうしよ
うもなく子供っぽい。背が低くて体の線もメリハリがほとんどない…いわゆる「幼児体型」の
ため、制服を脱ぐと中学生………いや、小学生にさえ間違われそうだ。

「うっせ。ガッコ行ってから留めりゃいいんだよ」
「学校は朝の登校から学校なんだよ?」
「遠足じゃねーつーの。ワケわかんねー事、真顔で言うな。学校は校門入ってから出るまでで
十分だ」

01-297 :ボクたちの選択(4):04/03/02 20:06 ID:z2qqcVex
>296
「でも…また高尾先生に何か言われるよ?きっとたぶん今日も校門のとこにいると思うし…」
「由香。あんまりうっせーと、もう一緒に学校行くのやめるぞ?ただでさえ先輩とかにからか
われてるんだからな」
「え~~~……小学校からずっといっしょなんだもん。なのに、一年生の時は、けーちゃんが
どーしてもやだって言うもんだから、私、我慢したんだよ?けーちゃんは寂しくないの?私は
寂しいよ?」
「…あのな、いくら幼馴染みでも、付き合ってるわけでもない男と女が毎日連れ立って学校行
くのは、やっぱヘンなんだよ」
「……………そりゃ…………そうだけど………」
 由香は、圭介の言葉に“しゅん”として俯き、
「でも、やっぱり…寂しいもん…」
 と小さく呟いた。

 彼、山中圭介がこの街に引っ越してきたのは、小学校の3年生の時だった。
 自分では、もうそれが本当にあったことなのか定かではないが、両親の話によると小学2年
生の1学期の時、原因のわからない高熱で一週間ほど昏睡状態となった事があるらしい。
 その時は夜間でもあり、家から近く、また救急救命センターとしても機能している大学医学
部附属病院へと運ばれたのだと、母は言った。
 けれど、その病院は地元でも優秀な医師が揃っている事で有名だったものの、医師達の少年
に対する扱いが気に食わなかったとかで、父が強引に病院を移してしまったのだ。
 昔も今も強引で人の迷惑を考えない自分勝手な父だが、もしそれで彼が死んでいたらどうす
るつもりだったのか、圭介は一度聞いてみた事がある。すると父親は、茶の間で近所の煎餅屋
で買ってきた堅煎餅をバリバリ齧りながら
「次は女の子が良かったな」
 圭介は何も言わず父の顔面にドロップキックを食らわせ、逃げた。

01-298 :ボクたちの選択(5):04/03/02 20:09 ID:z2qqcVex
>297
 その時の後遺症なのか、はたまた全く別の原因なのか、小学三年生の頃から毎年この時期に
なると、圭介は高い熱が出たり、やたらと眠くなったり…と、体の調子が不安定になる。季節
の変わり目でもあるし、今まで特に気にした事も無かったが、今年はもう一週間も微熱が続き、
時折襲ってくる倦怠感と慢性的な眠気も、例年に無く強烈だった。実際、由香がこうして毎日
わざわざ家まで起こしに来てくれていなければ、無理矢理にでも理由をつけて、家でゴロゴロ
と寝ていたいくらいだ。

「まだ、熱あるの?」
 不意に由香が心配そうに言った。眠くて眠くて仕方が無く、少し気を抜くと瞼(まぶた)が
“とろん”と下りてきてしまうのを、熱のせいで気だるくなっているのだ思ったのだろう。
 だが、微熱で少し体が重く感じる以外は、特に頭が痛いとか苦しいとか、不快感を感じる事
は無い。

「まあ、ちょっと、な」
「ねえ、やっぱり休んだ方がいいんじゃない?だってヘンだよ?声も、なんかヘンだもん」
「大丈夫だって」
「でも体だるいんでしょ?」
「だるいっていうか……眠いだけだよ。こんなのいつものことだろ?毎年、今頃はいっつもこ
うなるんだって」
「でも…なんか、けーちゃん声がヘンだよ?……あ、ひょっとして声変わり?」
「ばか、普通は高くなるんじゃなくて低くなるんだろうが」
「そうだよねぇ。なんかちょっと高くなってる気がするもんねぇ……じゃあ牛乳の飲み過ぎ?」
「……飲んで声が変わるような牛乳、どっかおかしいだろ。放射能でも入ってんのかよ」

01-299 :ボクたちの選択(6):04/03/02 20:11 ID:z2qqcVex
>298
 早く背を伸ばしたくて仕方ない圭介は、毎朝、コップに2杯の牛乳を必ず飲んでから登校す
る。本当は1リットル紙パックを1本まるまる飲みたい所だが、母が涙目になって抗議するも
のだからコップ2杯で手を打ったのだ。もちろん、過保護で子離れの出来ていない母親の、い
つも潤んでいるような黒目がちの瞳が届かない学校内では、水を飲むより牛乳を飲んでいる方
が多い。それでも、圭介の経済力では、1日100円のパック牛乳2本が限界だった。

 由香と話しながら、気だるい体を奮い立たせつつ豆腐屋の角を曲がる。ここを曲がれば後は
学校まで一直線だ。
 …と、
「おはよ」
 “のそっ”と、豆腐屋の看板の陰から背の高い男が、実にのんびりとした口調のまま姿を現
した。
 でかい。
 180センチはありそうだった。体つきも、背に比例するようにガッチリとして胸板が厚い。
そして、肩が盛り上がって、ひどく逞しく見えた。腕を一振りすれば、同じ歳の男子どころか、
上級生…いや、大学生ですら薙ぎ倒してしまえそうだ。
 にも関わらず、彼からは殺伐とした雰囲気は微塵も感じられない。いや、むしろ……牧歌的
…だった。
 眉が、海苔でも貼り付けたように太く、濃い。その下の目はくりくりとして大きく、けれど
笑うと“きゅっ”と細くなって皺に隠れてしまう。顎がガッチリと張っているので、顔の形そ
のものは角張ってゴツく見えるが、鼻が少し丸くてぽってりとしているため、怖さよりも愛嬌
が勝っていた。
 彼を一言で言い表すならば、たぶん
『牧場の牛』
 だろうか。
 牧場でのんびりと草を食(は)みながら道行く人を眺めている牛。
 そんな感じだ。

「おっす」
「なに?けーちゃん、また由香ちゃんいぢめてるの?」

01-300 :ボクたちの選択(7):04/03/02 20:13 ID:z2qqcVex
>299
 圭介と由香に歩調を合わせながら、牛男が歩き始める。背が高い分、歩幅も広いのだろうが、
二人の歩く速さにキチンと合わせていた。特に意識していないのは、もうすっかり慣れてしまっ
ているからだろう。

「いぢめてねーよ。コイツがヘンな事言うから教育的指導してやってたんだよ」
「ひどぉい、あたし、けーちゃんの事心配して…」
「はいはい。な?この調子だよ」
「ふーん…教育的指導…ね」
 牛男…健司は、きゅっと目を細めて、にこにこと邪気の全く無い笑みを浮かべた。笑うと、
左の口元に笑窪(えくぼ)が出来て、柔和な雰囲気がさらに促進される。体格からは想像も出
来ないくらい優しい笑みは、エプロンを着ければ今すぐにでも保父さんが勤まりそうな感じだっ
た。

「…んだよ?」
「将来のため?大変だね、由香ちゃん」
「……あのな健司…オマエ、たまには違ったこと言えねーのかよ…」
「仕方ないでしょ?俺の幸せは、けーちゃんと由香ちゃんが幸せになる事なんだから」
「いや、だからさ、なんでオレと由香がオマエの幸せのためにくっつかなきゃなんねーんだ?」
「俺の幸せのためじゃないよ。けーちゃんと由香ちゃんの幸せのためだよ」
「はぁ?」
「けーちゃんと由香ちゃんが幸せになる一番手っ取り早いのは、二人が結婚する事なんだ。そ
れで二人が幸せになれば、俺も安心出来るんだよ」
「何を安心するんだよ。…ったく…あたまいたくなってきた……おい、由香も何か言ってやれ」
「ひゅあ?」
「……何真っ赤になってんだよオマエわ」
 頬を真っ赤に染めながらにこにこと圭介の横顔を見ていた由香の頭を“ぺしっ”と叩き、圭
介は呆れたように溜息を吐(つ)いた。

「で、今日は朝錬はいいのか?」
「試験前だからね。それに、今週はプールの補修工事が入るから、陸トレ中心なんだ」

01-301 :ボクたちの選択(8):04/03/02 20:15 ID:z2qqcVex
>300
 健司を見る人は、大抵が、彼は柔道か空手かバスケットの選手だと思ってしまう。けれど本
当の所は、彼は県下でも指折りの水泳選手なのだ。豪快なストロ-クで水を掻き驀進(ばくし
ん)するその姿は、健司を知る圭介でさえも「すごい」と思ってしまう迫力だった。
 そして彼はさっきの豆腐屋の次男坊でもあり、その実家で彼が作る豆腐は、近所の奥様方の
間でも評判の味だった。
 背が高くて優しくて、運動も出来て豆腐作りも上手い………豆腐はどうか知らないが、これ
で彼女の一人もいないのは圭介も不思議に思っている。
 けれど、いいのだ。
 彼がイイヤツなのは事実だし、友人として、また小学校からの『兄貴分』として、コイツの
事が大好きなのだから。

「そういえば、けーちゃん、ちゃんと勉強してる?」
「ん~…オレは実戦派だからな。オマエも知ってるだろ?」
「まだそんな事言ってるんだ?いい加減、ちゃんと勉強しないと、どこにも入れないよ?大学」
「由香みたいな事言うなよ。オマエまでそんな事言い出したら、お袋が3人に増えちまうだろ?」
 顔をしかめる圭介に、由香が“ぷうっ”とほっぺたを膨らませてみせるが、もちろん彼はそ
れを見てやしなかった。

「おっと…」
 足を絡ませてよろけた圭介を、健司が支える。体の大きさに比べて俊敏な動きだった。

「大丈夫?」
「…わ、わりぃ…」
「まだ調子悪いの?」
 健司の逞しい腕に少し嫉妬を覚えながら、圭介は強引に体を起こして苦笑した。

「お前まで心配すんなってば。お袋一人でさえ鬱陶しくてかなわねぇのに」
「あんな美人なお母さんに、あんまりひどい事言うもんじゃないよ?」
「美人かよアレが」
「去年の映画、『ふた恋』の女優さんをつかまえてそれは無いんじゃない?」

01-302 :ボクたちの選択(9):04/03/02 20:18 ID:z2qqcVex
>301
 『ふた恋』というのは、去年の暮れに関東圏で公開された邦画で、一部に熱狂的なファンを
獲得したものの、年末公開のハリウッド大作に呑まれてしまった、圭介の母の出演映画だった。
『ふたりの恋』というのが正式な題名だけれど、一般には『ふた恋』と言った方が通りが良い
のだ。圭介はその、“母娘二人のそれぞれの恋模様”に“国家規模の霊的守護都市計画”を絡
めた、なんだかわけのわからない変化球的恋愛映画を、まだ一度も見ていない。自分の母親が
スクリーンに映る姿なんてものは、恥ずかしくて見てらんないというのが正直な感想だった。

「ダブルヒロインって言っても、主演だったアイドルの香坂舞菜を完全に食っちゃってたんだ
よ?」
「そうそう。冷たい視線と氷のような話し方、それと、すっごいプロポーション」
「ものすごい美人だから、ああいう格好も似合うんだよねー」
「ねー」
 圭介を真ん中にして盛り上がる健司と由香をぼんやりと見ながら、圭介は家を出る時、涙目
になりながら自分を抱き締めて離さなかった母親を思い出していた。
 いつまでたっても「過保護」を絵に描いて立派な額縁に飾り、美術館の特別展覧室に飾った
ような母。
 今の圭介よりもずっと若い時に息子を産み、32歳という年齢にしては、母親というより歳
の離れた姉と言われた方がしっくりくる顔立ちをした母。
 小学校の時、仕事が忙しい中、せっかく授業参観に来てくれたのに、友達の母親と比べて若
すぎる事を「気持ち悪い」と言ってしまい、泣かせてしまった母。
 ちょっと熱が出たらすぐに薬を持ってきて学校に休みの電話を入れようとするし、夜遅くな
る時など必ず電話して帰宅時間を言わないとすぐ拗ねて涙目で抗議する。たっぷりと豊かで重
たいバストにぎゅっと抱き締めて「けーちゃん、好きよ。愛してる」なんて言うのは日常茶飯
事で、高校生にもなる息子にそんなマネをする母親なんていうのはハッキリ言って異常だった。

01-303 :ボクたちの選択(10):04/03/02 20:20 ID:z2qqcVex
>302
 バストよりウエストの方が遥かに豊かになった健司の母親がそんなマネをすると気持ち悪い
だけだが、圭介の母親はそういうマネが妙に似合ってしまう分、ずっと質(たち)が悪い。
『でもなぁ…』
 自分があの時、高熱で死にかけた事を、母はまだ忘れられなくて、そしてそれを今でもまだ
恐れている。
 それがわかるからこそ、圭介も母親を邪険には出来ずにいるのだった。
 もし自分が息子ではなく娘だったら、そうしたら、母親ともっと正直に向き合えるのだろう
か?
「けーちゃん?」
 圭介がふと気が付くと、健司と由香が心配そうに顔を覗き込んでいた。いつの間か立ち止ま
り、じっとアスファルトを見ていたらしい。

「本当に大丈夫?」
「大丈夫だって」
「でも、すごい汗だよ?」
「天気いいから、な」
「でも…」
「本当に大丈夫だって。マジ体調悪かったら、ちゃんとそう言うよ」
 去年、風邪を引いて、それでも展覧会が近かったから無理に登校して、美術部の部活動時間
に倒れてしまった時、由香は保健室のベッドの横でずっと泣いていた。泣かれるだけでも勘弁
して欲しいのに、泣きながら「けーちゃんのバカ」と言われ続けるのは、精神的に堪える。
『けど…あ~…こりゃ…やべぇ…かも…』
 視界の中で、アスファルトが歪む。気だるさが全身を襲い、一歩一歩踏みしめる足が異様に
重い。痛みは無いけれど、意識に薄い膜がかかったようで、現実感が乏しかった。にもかかわ
らず、どきんどきんと心臓の鼓動がいやに大きく聞こえ、体中を嫌な汗がじっとりと濡らす。

「けーちゃん、アナゴだよ」
 健司の声に顔を上げれば、校門の所に生活指導の教師が2人立っていた。
 一人は3年の担任で、圭介には、あまり馴染みは無い教師だったが、もう一人は見覚えがあ
る顔だった。いや、見覚えなんてものじゃない。イヤになるくらい馴染みのある顔だ。

01-304 :名無しさん@ピンキー:04/03/02 20:24 ID:z2qqcVex
>303
ここまで。

まったりと気長にお付き合い下さい。

01-305 :名無しさん@ピンキー:04/03/02 23:02 ID:Mg/ptnUn
どんな話になるんだろう?
このゆったりとして穏やかな風景の先に
ねちっこいエロ!?(;´Д`)ハァハァ

01-306 :名無しさん@ピンキー:04/03/03 00:51 ID:EuOxvF+b
乙です。続きが楽しみだ~。

01-307 :名無しさん@ピンキー:04/03/03 11:34 ID:dpnUj6Oh
>>303
 乙。

 ちょっと気になった違和感の強いポイントを一つ。
 面白さを決定的に削ぐわけじゃないけどちょっと気をつけた方がぐっと良くなる点なので一つ。
 >>296で身長に言及しているんだけど、160弱が男子で低い方ってのはそのとおりだけど。
女子でも低いほうといわれると事実とまったく合わないので強い違和感が生まれる。高校生女子の
平均身長は157cmくらい。159あると平均より上なので、女子としては普通かやや高い部類。
 ここは『特別高い方じゃない』くらいにした方が良かったと思う。
参考資料は↓文部科学省が出してる統計データ。
ttp://www.mext.go.jp/b_menu/houdou/15/12/03121001.htm#hatsuiku

 平均では男女間に10cm以上身長差があるのが普通という事は知っておいた方が
お得です。
 面白かったので、喉に引っかかる違和感が惜しかったのでお知らせさせていた
だきました。いっそ2人とも155cmくらいまで下げちゃった方が良かったかも。
 それはそれとして、続き期待しております。

01-308 :名無しさん@ピンキー:04/03/03 15:18 ID:veKVRyZB
ocn.OTL ←じっと見てると幼女の股間を覗きこんでいるようにみえる

01-309 :名無しさん@ピンキー:04/03/03 15:29 ID:R5AsE0R1
>>307
読み終えて全く同じ事つっこもうと思った。

01-310 :名無しさん@ピンキー:04/03/03 20:10 ID:HJI0ZD5l
>308 ワラタ

01-311 :名無しさん@ピンキー:04/03/03 21:21 ID:Opsm3BpY
気絶してるナウシカたんにミラルパの霊体が入る
   ↓
ミラルパはナウシカたんの身体で寵臣チャルカの救出へ…(;´Д`)ハァハァ

01-312 :名無しさん@ピンキー:04/03/03 21:27 ID:01ln9V2v
>>311
お主、さては原作スレの住人か。

01-313 :304:04/03/04 03:10 ID:uXrAK18t
>307
ありがとうございます!
こういうレスってうれしい…。
至らない人間なので、こういうツッコミとか、ほんとにありがたいです。
これからも遠慮無くよろしくお願いします。
(いえ、だからといって、安心していい加減に書くってわけじゃありませんけれど)

圭介と由香の身長は、5センチ低くする事にしました。
154.9センチと、154.2センチ。

ゆるゆるとお付き合い下さい。

01-314 :名無しさん@ピンキー:04/03/05 01:11 ID:+HPuiW0w
>313
実は今回も、

エロがありません。

なので、エロナシに興味無い人はスルー願います。

NGワード「ボクたちの選択」

01-315 :ボクたちの選択(11):04/03/05 01:24 ID:+HPuiW0w
>314
 買い物しに街まで出掛けていながらお金を財布ごと忘れてしまうよう愉快な(これを「愉快」
というかどうかはかなり微妙な時代になったと思うけれど)主婦を主人公にした、日本人なら
たぶん誰でも知っている国民的アニメがある。そのアニメに出て来る、主人公の夫の同僚に良
く似ていることから、生徒からはそのキャラクターの名前で「アナゴ」とか、演じている声優
の名前から「ノリオ」とか呼ばれている教師だった。

「どうした山中?ん?体調でも悪いのか?」
 分厚い唇を歪め、角刈り気味に切った髪には「必要ないんじゃないか?」といつも思う整髪
量をべっとりとつけて、40代の中年教師が圭介に言った。その言いようは、言われた相手に
もれなく不快感を与えるくらい尊大で横柄だ。若い頃は生徒の生活が“乱れ”ないよう『指導』
する事に人生をかけていたけれど、いつの間にかその情熱が惰性に代わり、手段と目的がすっ
かり入れ替わってしまった………と言われたら思わず納得してしまうような、そんな目をして
いた。

「高尾先生…」
 由香が何か言おうとするのを止めて、圭介は背中をしゃんと伸ばして正面から教師を見上げ
た。昭和30年代生まれのくせに身長が180近くもある(偏見だ)教師には、どうしても見
上げるしかなくなってしまう。それでも、この教師に弱味など見せたくなかった。

「いやぁ…更年期障害っすよ」
「17でもう年か?体を鍛えんからだ。チマチマと絵なんぞ描いてるから体から先に老ける」
「それって偏見じゃないすか?はるかちゃんに言いつけますよ?」
 自分がこの教師に持っている偏見を心の棚に置いて、圭介は「反抗的」と書かれた矢でも射
そうな目で見上げる。口調がなんだか妙に蓮っ葉なのは、この教師に対する時の圭介のクセみ
たいなものだ。前に健司に聞かれた時は、「マトモな口を利くのもイヤだって体が拒否してる
んだ」と妙な屁理屈をこねていた。

01-316 :ボクたちの選択(12):04/03/05 01:26 ID:+HPuiW0w
>315
「自分の担任をちゃん付けするなと言っとるだろう」
「あれ?ヤキモチっすか?」
「たわけ。お前のように、無駄に人生を送ってるようなヤツに軽く扱われるような人間は、こ
の学校にはおらん」
 わざわざ『無駄に』の所にアクセントを置いて、アナゴは“ふんっ”と鼻を鳴らした。

「無駄じゃないっすよ」
「無駄だ。絵なんぞ描いとる暇があるなら、体を鍛えるなり勉強するなりしろ。くだらない事
で人生を無駄にするな」
「へぇ~~…くだらないねぇ…」
 軽い感じで口を開いているけれど、目が笑っていない。アナゴが暗に「絵を描くのはくだら
ない事だ」と言った事に、本気で怒っているのだ。

 毎度、顔を合わせるたびに応酬される2人の言い合いに、由香と健司だけでなく周囲にいた
登校途中の生徒までがうんざりとした顔をする。一回りも二回りも年の違う経験豊富で老獪な
中年教師に、たかだか17年しか生きていない少年が口で敵うはずも無いのだけれど、圭介に
それを言っても無駄だと幼馴染の2人は早々に理解し、それ以来、大人しく事の成り行きを眺
めるだけにしているのだった。

 中学の時、陸上部に所属してた圭介は、そこそこ良い成績を残していた。卒業式直前の休み
に由香と行った展覧会で、一枚の絵と運命的な出会いをしなければ、圭介自身、高校でも陸上
をやっていただろう…と、自分でも思っている。
 陸上部の顧問を担当しているアナゴは、そんな圭介に入学当時から目をつけていたらしく、
実際、何度か直接誘われた事があった。けれど圭介はあっさりとその誘いを断り、陸上部では
なく、あまり人気も無い上に部員も6人しかいない美術部を選んだのだった。
 問題はその後で、何度目かの勧誘の時、些細な口論からアナゴが洩らした「絵なんぞ書いて
いても無駄だ。お前に才能は無い」という言葉に、「うるせぇクソジジィ!」と叫んだのがま
ずかった。

01-317 :ボクたちの選択(13):04/03/05 01:28 ID:+HPuiW0w
>316
 きっとアナゴはその時の事を、まだ根に持っているに違いない。少なくとも圭介はそう思っ
ている。
 なにせ一年以上も、なにかと圭介の事を目の敵のように扱うのだから。

「はるかちゃん、今年から美術部の副顧問になったの知ってるっしょ?んな古臭い事、言って
いいんすかね?」
「オマエには関係無いだろう?おら、ボタンを留めんか!」
「さわんな!」
 手を伸ばしてくるアナゴを睨みつけ、圭介は胸元のボタンを右手で握った。アナゴの背後で
はもう一人の教師が、「まだやってるのか」という顔をしてこちらを見ている。けれど見てい
るだけだ。この2人の口論に口を出す教師は、この学校には一人もいない。口を出しても無駄
だという事が、よおくわかっているからだった。

「…あんまり世話を焼かせるな。また親を呼んでもいいんだぞ?」
「卑怯くせぇな。今月に入ってそのセリフ、7回も使ってんぞ」
「男のクセに細かいヤツだな?…あんまり小さい事言ってると、背が縮むぞ?」
「なっ!?」
「まあ、それ以上縮みようも無いだろうがな」
「んだとコラ!」
「けーちゃん!」
 気色ばむ圭介に、由香がしがみ付いて腕を引いた。気がつくと、いつの間にか健司もさりげ
なく圭介の左前にいて、いつでも圭介とアナゴの両方を止められるように立っている。
 健司は、圭介が実際に手を出す事は無いとは思っているが、子供の頃、やたらと喧嘩っ早かっ
た圭介もよぉく知っている彼は、いつもこうして圭介が熱くなり過ぎないようにフォローする
のが役目となっていた。
 しかも、アナゴは圭介に対して身長の事を口にした。
 この話題は、圭介には禁句なのだと知っていて。
 健司は、しかみつく由香を振り解こうとして、けれど乱暴には出来なくて苦々しい顔でいる
圭介を見ながら、
『結局、根っこのところでは良く似てるんだこの二人は』
 と、思った。

01-318 :ボクたちの選択(14):04/03/05 01:30 ID:+HPuiW0w
>317
「先生、そろそろ始業時間ですから、もう行っていいですか?」
「コラ健司!ナニ勝手にぬかしてんだ!」
「はいはい、けーちゃん、わかったわかった」
「わかってねー!おいっ!下ろせバカ!」
 ひょいっと圭介を担ぎ上げ、健司がにこやかに軽く会釈する。
 毒気を抜かれたアナゴは小さく笑うと、さっさと行けとばかりに右手をひらひらさせて、登
校する生徒の群れへと戻っていった。

 校舎を回り込んで校門から見えなくなると、圭介は途端に静かになった。
 微熱とはいえ、発熱が一週間も続けば、体だって結構だるいはずだ。しかも、さっきは足を
もつれさせてさえいた。
 こんな状態で、よくあそこまでアナゴにつっかかっていけるものだ…と、健司はのんびりと
思った。
『昔からけーちゃんは負けず嫌いだったしなぁ…』
 気に食わないヤツには、絶対に弱味を見せたくない。
 小学三年生で初めて会った時から、圭介は小さいなりに男のプライドを持った、子供だった。
 いじめっ子の薮本康史にも、いつも散歩で犬の糞の始末をしないニ丁目の芝オヤジ(気の荒
い柴犬を飼っていたから)にも、圭介は負けなかった。言いたい事を良い、自分の正しいと思
う事を通した。
 気が優しくて体も小さく、苛められっ子だった健司にとって、そんな圭介は兄貴分であり親
友であり、そしてヒーローだった。圭介のようになりたかった。圭介のように、強くなりたかっ
た。今は体も力も圭介よりも大きく強くなったけれど、もっと本質的な所で圭介にはまだまだ
敵わないと思っている。
 だから、健司は圭介が好きなのだ。
 親友として、幼馴染として、そして、同じ男として。

「けーちゃんにも困ったもんだよねぇ…」
 由香が小さく溜息を吐きながら、健司の右肩に担がれたままの圭介を見やった。

「…うるせー…」
 不機嫌そのもの…といった感じの声で呟きながら、当の本人はぐったりと健司の肩にしがみ
ついている。

01-319 :ボクたちの選択(15):04/03/05 01:32 ID:+HPuiW0w
>318
「調子悪いんだから、いちいち突っかかってても仕方ないでしょ?余計悪くしちゃうぶんだけ、
ソンだよ?」
「あいつはなぁ…あいつは…」
「『絵を馬鹿にした』」
「………そうだ」
 由香は、苦も無く圭介を担いで歩く健司と、どちらからともなく顔を見合わせた。その顔に
浮かぶのは「しょうがないね」という、まるでワガママな年下の弟を見る姉と兄の表情だ。
 陸上部でそれなりに活躍していた圭介が、ある日突然「高校に行ったら美術部に入る」と言
い出した時は、2人とも結構驚いたものだ。けれど実は2人とも圭介が、身長が伸びない事で
陸上競技において行き詰まりを感じている事を知っていたから、あえて止めようとは思わなかっ
た。「陸上を続けた方がいいよ」とも、言わなかった。
 ずっと、心の奥底に重い石を抱え込んでいるような、そんな思い詰めた顔をしていた圭介が、
由香と行った展覧会の日から、前みたいにまっすぐ前を見るようになり、ずっと明るくなった
だけで、2人にはそれで良かったから。

 二年生用の昇降口まで来た時、後から来た男子生徒が擦れ違いざま、
「お?今日の獲物か?」
「…別に狩りしたわけじゃないよ」
「食っても食いでは無さそうだしな」
 そう言ったのは、…どこからどこまでも「四角い」男だった。
 角刈りにした髪に、本当に高校生か真偽を確かめたくなる顔付き。全体的に、岩を削って肌
色に塗ったらこうなりました、といった感じだ。身長に比べて横幅のある体躯は、一見、太っ
ているのか筋肉なのか判断がつかない。港町で長靴を履いて歩いていたら、そのまま漁師か魚
河岸のオヤジに見られそうな男だった。

「おはよう。伸吾くん」
「おっす川野辺(かわのべ)。相変わらず仲良いな、お前ら」

01-320 :ボクたちの選択(16):04/03/05 01:33 ID:+HPuiW0w
>319
 川野辺というのは由香の苗字だ。他のクラスメイトは、ちょっと言いにくいこの苗字を縮め
て「のべ」とか「かわっち」とか好き勝手呼んでいるが、伸吾は律儀に「川野辺」と呼ぶ、数
少ない人間なのだ。

「仲良いな、じゃないよぉ。さっきは大変だったんだから」
「んだ?またアナゴとやりあったんか?」
「そぉなの。まったくコドモなんだからけーちゃんは」
 …男としては、制服を脱いだらきっとたぶんどこからどう見ても子供にしか見えない女の子
には、絶対に言われたくないセリフNo.1に違いない。

「ははは、まあ、圭介だから」
 白い歯を見せ、意外に爽やかな笑いを浮かべながら伸吾は何が言いたいのか良くわからない
事を言った。圭介がアナゴと折り合いが悪いのは、クラスの人間なら誰でも知っている事だ。
校門にアナゴがいた時点で、圭介が一悶着起こすだろう事は、登校してきた時点で誰もが想像
出来た事に違いない。

「ところで」
 不意に伸吾が真面目な顔で、健司に担がれたままの圭介を指差した。

「こいつ、死んでるんじゃないか?」

 ぐったりとして動かなくなった圭介を背負い直し、健司はそのまま保健室へ向かった。当然
のように圭介の自称『保護者』であるところの由香も、後を“てとてと”とついて行く。伸吾
には、教室に先生が来たら遅れる理由を伝えてくれるように言って、1Fのトイレの前で別れ
る。担任の「はるかちゃん」は、教師2年目の真面目さでもって結構時間に正確なため、きっ
と今頃なら、2階の渡り廊下を教室に向かって歩いて来ている頃に違いない。

01-321 :ボクたちの選択(17):04/03/05 01:36 ID:+HPuiW0w
>320
 この学校は、生徒用昇降口から入ったその建物が「教室棟I」で、隣の、職員室や保健室、
図書室などがある「管理・学習交流棟」とは、カッチリ並行に建てられている。ちなみに圭
介達の教室は、「教室棟I」の2階にある2C教室であり、「教室棟I」を真ん中にして
「管理・学習交流棟」とは対称の位置にある「教室棟II」には、視聴覚室や音楽室、美術室
などの特別教室がある。

 伸吾自身からの申し出で、3人のカバンは、彼がそのまま教室に運んでおいてくれる事になっ
た。彼は、自分のも合わせて4人分の革カバンと3人分のサブバッグを両手で軽々と持ち、
「お前らも早く来いよ?」
 と、階段を一段跳びで駆け上がって行く。
 あれで作法室の管理を任されている茶道部の副部長だというのだから、何かが間違ってる気
がしないでもない。

「けーちゃん、ねぇ、大丈夫?けーちゃん!」
 揺らさないように細心の注意を払いながら、けれど急いで、健司は「管理・学習交流棟」1
階の保健室に向かった。由香が小走りに走りながら背負われた圭介に話し掛けている。そのた
びに圭介は「おー」とか「うー」とか、意味不明の言葉を吐くが、答えるのが面倒臭いとかじゃ
なく、まともに答える元気が無いようだった。

「先生!」
 保健室の引き戸を開けて中に入ると、保険教諭の空山美智子が、目に何かを入れている最中
だった。

「ソラ先生!」
「…もちょっと待ってなー…今、入れちまうからさぁ…ちゃんと濡れてねーといてーんだコレが」
「そんなのは後でいいですから!」
「そんなのとは御挨拶だねぇ…粘膜ん中に硬いモノ入れる時はゆっくりしねーと、傷付けて後
がタイヘンなんだよ」
 ……微妙な“エロトーク”に、由香の顔が茹でダコみたいに真っ赤に染まる。幼児体型で
「のほほん」でも、年相応…それなりの性知識はあるようだ。外見で人を判断してはいけない。

01-322 :ボクたちの選択(18):04/03/05 01:38 ID:+HPuiW0w
>321
「あー……入った入った……うぅん…いいねぇ…ぁああぁ…」
 コンタクトを目に入れただけでピンク色に染まって見える甘い吐息を吐くのもどうかと思う
が、なんとも、彼女のしている格好もスゴかった。なんと言うか……外見的には、いわゆる
「色気」というものが全く無かったのだ。
 さっきの吐息からは、まるで正反対の印象だ。
 まだ来たばかりなのか、白衣は椅子の背もたれに掛けてある。そのため、擦り切れた紺のサ
マーセーターとモスグリーンの綿パンツに包まれた体の線が、バッチリクッキリ拝見出来るの
だけれど、見ていてどうにも嬉しくない。スレンダーな体躯には余計な肉というものが一切無
く、ついでに言えば、きっと男なら誰でも「女としてあった方がいいかな?いいよね?」と思
うバストとかヒップとか、そういう部分の肉も薄いのだ。きっと、遠目に「男だ」と言われた
ら、たぶんそのまま信じてしまいそうになるに違いない。
 そんなスタイルに紺のサマーセーターとモスグリーンの綿パンツというコーディネイトは、
妄想や幻想やその他モロモロ、青春のリビドー溢れる男子生徒の「保険室のせんせい」という
甘い夢を、完膚なきまでに叩き砕いて余りあった。
 おまけに、髪はベリィショートとでも言うのか、頭だけ見てるとまるで圭介みたいな髪型だ。
保険教諭のクセに一部分だけ金色に脱色しているのが、妙に目立つ。
 一応進学校で、アナゴみたいな生活指導の教師がいる一方、この学校はヘンに教師に対して
甘い所がある…と、圭介も伸吾も、常々ひそかにそう思っていた。
 由香だけは
「いいんじゃないかなぁ?ソラ先生、いいひとだもん」
 と、相変わらず「ぽややん」な事を言っていたけれど。

 美智子の指示で、健司は圭介をベッドに寝かせた。そして、ようやく白衣を着た美智子を心
配そうに見る。

「お前らがそんな死にそうな顔してどーするよ?大丈夫だ。こいつは別に死にゃしないよ」

01-323 :ボクたちの選択(19):04/03/05 01:40 ID:+HPuiW0w
>322
 彼女は、圭介をじっと見つめたまま動かない由香の頭に“ぽんぽん”と右手を置いて、健司
を見た。
 ベッドに寝かせると、圭介はすぐに眠りに落ち、もう寝息を立て始めている。額や鼻の頭に
うっすらと汗が浮かび、なんだか少し苦しそうなのが、由香にはとても気にかかった。時折ぱ
くぱくと、水面に顔を出す鯉のように口を開閉するのが、息苦しいのか何かを言いたいのかわ
からなくて、ひどくもどかしい。

「いや、実はさ、もうそろそろ来る頃じゃないかと思ってたんだ」
 圭介の額に手を当てて、それから机の上の物入れの中から体温計を取り出す。外耳に当てて
熱を測るタイプのもので、美智子はそれを慣れた手つきで圭介の耳の中に当てた。
 圭介達が入学する前からいるこの保険教諭は、去年の今の時期も、圭介が美術室で倒れた時
も、ここでこうして圭介の具合を見てくれたのだ。その時、由香から、毎年決まった時期に体
調を崩すのだと聞かされている。

「ふ…ん………相変わらず、微熱は続いてんのかい?」
「はい。なんか、もう一週間くらいとか」
「…生理みてーだなオイ」
 ニヤリと唇の端を引き上げて、美智子は圭介の首筋に指を当て、続いて瞼を開いて捲り上げ
たりする。

「咳とか、無いんだろ?」
「はい」
「喉の奥も腫れてる様子は無いしな。もうちょっとココに寝かせといて、起きてまだ気分が悪
い時は病院に行かせるんだね。モノホンの医者に見せた方がいい」
「はい」
「ホラ、お前らは授業があるんだ。後は私に任せてさっさと行きな」
「で、でもソラ先生」
「お前がすぐそばでそんな情けない顔してたら、良くなるモンも良くならねぇよ。いいから行
けってば」
 そう言われてしまえば何も言えなくなるのが、健司という人間だ。圭介から脱がせた制服の
上着をハンガーにかけ、健司は何か言いたそうな由香を立たせて、保健室の扉を開いた。

01-324 :ボクたちの選択(20):04/03/05 01:43 ID:+HPuiW0w
>323
「じゃ…じゃあ先生、後、お願いします。休み時間にまた見に来ますから」
「おう。はよ行け」
 6月には健康診断があるから、今は通常業務の他に、そのための書類の整理とか準備とかで、
それなりに多忙なはずだ。このままいても邪魔になりこそすれ、圭介にとっても美智子にとっ
ても役に立たないと思い、健司と由香は後ろ髪引かれる思いで保健室を後にした。
 後に残されたのは、眠りに落ちた圭介と、その横の椅子に腰掛けながら、いつもとは全く違
う真剣な眼で圭介を見つめる、保険教諭だけだった。

「まだ、固定してねぇんだな…」
 2人以外誰もいない部屋で、美智子が小さく呟いた言葉は、結局、誰にも聞かれる事は無かっ
た。


 目が覚めた時、圭介は一瞬、自分がどこにいるのかわからなかった。
 体が、ドロドロに溶けてしまったかのようだ。息をする事で、かろうじてコレが自分の体な
のだと認識出来る感覚…。
 熱い。
 服を脱いでしまいたい。
 ここは、どこだろう?
 白い天井。
 蛍光灯。
 クリーム色のカーテン。
 声。

「…こえ…??…」

 声が聞こえる。

 叫ぶ声。
 ボールを追う声。
 掛け声。

「お、起きたか?」

01-325 :ボクたちの選択(21):04/03/05 01:46 ID:+HPuiW0w
>324
 体が動かず、顔をちょっと動かして目だけで声の主を探す。すぐ、ザッ…とカーテンが引か
れて、髪の短い、やけに整った顔立ちの女性が顔を出した。

「ソラ…せんせ…」
「まだ体が動かねーだろ?いいから寝てろ」
「ここ…は…」
「私がいるとこって言ったら保健室しかねーよ」
 ああ、じゃああれは体育の授業のサッカーの声か。
 圭介は、ぼんやりとした頭で今日の時間割を思い出そうとして…思い出せなかった。
 今日は何曜日だっただろう?
 それで、今はいったい何時?
「…ぐ…ぅ…」
「お?あああああ…ちょっと待て待て待て待て待て!!」
 喉の奥からこみ上げてくる灼熱のモノを堪えると、美智子が慌てて枕元の洗面器を持ち、圭
介の上半身を抱き起こした。

「…うぇっ…げっ…げえっ…」
 朝食べたマッシュポテトのサンドウィッチとスクランブルエッグとブロッコリーと人参とキャ
ベツのサラダ“だったものたち”が、どろどろと洗面器に敷いた紙の上に溜まっていく。ツン
とした刺激臭に再び胃がぐるりと動き、口の中に大量の唾液が溜まった。

「全部吐け。吐いちまえ」
 美智子の手が、言葉の乱暴さとは裏腹に優しく優しく圭介の背中をさすった。

「…ぅ…ぐっ…」
 ひとしきり吐くと、ずいぶん楽になった気がする。美智子の差し出した水を飲むと、清涼な
感覚が胃の腑まで滑り落ちていくのを感じた。

「もう、いいのか?」
 声が出なくて、圭介は“こくっ”と頷いて再びベッドに横になる。
 美智子は洗面器を持ってカーテンの向こうに消え、圭介は急に心細くなって彼女が再び姿を
表すのを辛抱強く待った。
 甲高い笛の音と男子生徒の叫び声が、カーテンの向こうの開け放した窓から聞こえる。ゴー
ルしたのか、またはファウルしてしまったのか。

01-326 :ボクたちの選択(22):04/03/05 01:50 ID:+HPuiW0w
>325
「もうちょっと、寝とけ。私はここにいるからさ」
 カーテンの間から顔を出した美智子は、今まで見た事も無いくらい優しい顔をしていた。


 結局、あの後、圭介は再び吸い込まれるようにして眠りに落ち、再び目覚めたのは、昼休み
のさなかだった。

「あ、けーちゃん、起きたよ?」
 圭介の額の汗をハンカチで拭いていた由香が、思わず声を上げてカーテンを開いた。その動
きに誘われるように圭介が視線を巡らせば、保健室のテーブルから立って健司が歩いてくる。
口に咥えているのは箸のようだ。たった今まで弁当を食べていたのだろうか。

「……今、何時だ?」
「あ、起きちゃダメだよぉ」
「大丈夫だよ。なんか、もう平気みたいだ」
 起き上がろうとする圭介を、由香が支える。手に持った弁当箱をサイドテーブルに置いて、
健司が手を貸した。

「もうお昼だよ?けーちゃん、ずっと寝てた」
「由香ちゃんなんて、休み時間のたびにここに来てたんだよ?」
「だって…心配だったんだもん」
 手に持ったハンカチを、きゅっと握り締める由香は、心底ホッとした顔をしている。その顔
はまるで、
「まるで、子供の心配するお母さんみたいだった」
 健司が、圭介の心を読んだかのように言う。

「……せめて、弟くらいにしといてくれよ」
「彼氏でもいいんだけどね」
「ふえっ?」
「ばか。なに赤くなってんだ」
 健司の後では、いつの間にか美智子がニヤニヤと笑いながら3人を見ていた。由香と健司の
過保護っぷりが、よほど可笑しいのだろう。

「今更だけど、救急車…呼ぼうか?」

01-327 :ボクたちの選択(23):04/03/05 01:53 ID:+HPuiW0w
>326
「いいです、ここんとこ無かったけど、中学の時も年に何回か、こういう事があったから」
「ま、そうだろうと思ったよ。お前のオヤジさんに電話したんだけどさ、なんか、あんまり心
配してなかったしな」
「…薄情モノめ」
「で、お袋さんには連絡しない方が良かったんだろ?」
「………正解です」
 あの母親に「学校で倒れた」なんて言ったらどうなるか、考えただけで恐ろしい。今日は午
後からテレビの収録があるはずだけど、そんなものは当然のように投げ出して学校までやって
来るだろう。そして涙目になって「だから今朝、休めば?って言ったじゃないー!」とか言い
ながら救急車を呼ばれて、そのまま病院に担ぎ込まれて軟禁されてしまうのだ。

「さっきまで、はるかちゃんがいたんだけどね」
「はるか先生、すっごく心配してたんだよ?今、けーちゃんのカバンとか取りに行ってる」
「今日はもう帰った方がいいって、さっき言いに来たんだ。カバンは俺達が取りに行くって言っ
たんだけど、これも担任の仕事とか、相変わらずワケわかんない事言って走っていっちゃった」
 由香の言葉を受けて、健司が肩を竦めた。いつも穏やかな顔をしているけれど、彼も心から
ホッとしているのは明らかだった。
 長年付き合いのある圭介には、それがわかる。

「あ、はるかちゃんかな?」
 少しして、パタパタパタパタパタパタパタパタ…と、けたたましい勢いでスリッパの音が近
づいてくるのが聞こえた。生徒は靴型の上履きだけれど、教師は各自用意のスリッパなのだ。

「カバン持ってきたわよ。ねえ、どう?山中クンの具合」
 ガラッと引き戸が開き、髪をソバージュにして黒縁眼鏡をかけた女性が、両手でカバンを抱
えてパタパタと入ってきた。

01-328 :ボクたちの選択(24):04/03/05 01:56 ID:+HPuiW0w
>327
 臙脂(えんじ)色のスーツに薄いピンクのシャツ…という出で立ちは、学校の先生というよ
りどこか進学塾の講師…といった印象だった。けれど、それに対して顔付きは、教師二年目に
してはまだまだ学生っぽく、にゅにゅにゅと垂れた目とぷくぷくしたほっぺたが、年齢よりも
ずっと若く、可愛らしい印象を与えている。おまけにスリッパは大きなヒマワリの描かれた、
やらたとファンシンーなヤツだ。
 ……誰か、このスーツにこのスリッパは壊滅的に似合ってませんよ?と進言する生徒はいな
かったのだろうか?
 トータルとして、制服を着たら「ああ、こういう生徒いるいる」とか言われそうで、生徒か
ら「はるかちゃん」と呼ばれるのも、ある意味仕方ないのかもしれない。

「あ、山中クン目覚めたんだ?どう?もう大丈夫?どっか痛いとことか気持ち悪いとか無い?
あ、吐いちゃったんだっけ?お腹とか空かない?一応、パンとか買っといた方がいいのかな?
って思ったんだけど、高尾先生に『そこまでするのは教師の担当範囲を逸脱してる』とか言わ
れちゃったもんだから買ってないの。あ、でもお弁当はまだだから、もしお腹減ってたら先生
のお弁と」
「落ち着け」
 すぱーーん…と、いきなり美智子が手に持ったファイルで女教師の頭をはたいた。
 …いい音がした。
 全く容赦してないのが、由香にもわかった。

「いっ………たあぁい!」
「入ってきた早々マシンガンみたいにしゃべくり倒すんじゃないよこの子は」
「だってだってだってだって心配じゃないですか!心配したんですよ?朝のホームルームで3
人いなくて遅刻かな?って思ったら浜崎クンが山中クンが倒れたから谷口クンと山野辺サンが
保健室に連れて行ってるって教えてくれて、でも初めて持ったクラスで何かあったらって担任
として不安で不安で不安であたまぐるぐるしちゃって…きゃっ!」

01-329 :ボクたちの選択(25):04/03/05 01:59 ID:+HPuiW0w
>328
 ぷるぷると震えながらファイルを振りかざした美智子に、はるかが慌てて頭を抱えてしゃが
み込んだ。ひとめで2人の関係…というか、力関係がわかる構図だった。

「ぼーりょくはんたーい…」
 しゃがみ込んだままコソコソと美智子から距離を置き、由香の影に隠れながら右手でコブシ
を振り上げたりする姿は、とても教師には見えない。
 …しかも涙目になっていた。
 いつもの事とはいえ、こういう教師に授業を受けている自分達の運命というか、不幸という
か、とにかくなんだかそんなようなものに、漠然とした不安をどうしようもなく感じてしまう
圭介達三人だった。


 救急車はさすがにオーバーだという事で、学校にはタクシーが呼ばれた。担任のはるかは午
後から授業があり、また、美智子はいつ何があるかわからないため、職場である保健室を離れ
るわけにはいかなかったからだ。他の教師が送っていく事も考えられたけれど、そうすると話
が大きくなりそうで、それは圭介の方から辞退したのだった。
 病院に直接向かう事をはるかは主張したが、意外にも美智子がそれを却下した。状態も安定
したし、悪化してもいないため、自宅で休んだ方がいいだろう…というのが彼女の意見だった。
 原因は不明のままだ。

「成長期だから不安定なんじゃないかな?」
 と美智子は言ったが、それにしても微熱が長く続き過ぎる。
 圭介は、もやもやとした得体の知れない不安を胸に仕舞い込みながら、タクシーまで背負っ
てくれる健司の背中で、小さく溜息をついた。

 来客用の正面玄関に横付けされたタクシーが、廊下のずっと向こうに見える。保健室は正面
玄関の正反対の位置にあるため、少しだけ距離があった。
 圭介は健司の背中に揺られながら、弟分のはずの幼馴染が、すっかり男の体格になっている
事に今更のように驚いていた。
 やはり、いつも見てはいても、こうして触れるのとでは実感が違う。

01-330 :ボクたちの選択(26):04/03/05 02:01 ID:+HPuiW0w
>329
 健司の背中は、広く、そして逞しかった。
『小さい頃はあんなにちっちゃかったのにな…』
 昔は自分が兄貴分として護ってやった背中に、今はこうして背負われている事が、圭介の心
に少し痛みを感じさせる。
 嫉妬…だろうか?
 けれど、泣き虫で自分の後に隠れているしかなかった幼馴染が、いつの間にかこんなにも逞
しくなっている事が、どこか嬉しくも感じるのだ。
 そして、ほんの少しの寂しさも。
 もう、自分はコイツを護ってやる事は、出来ないんだろう。
 そう…心に思い浮かべて。

「悪いな健司」
「いいよ。けーちゃんには昔から世話になってるし。たまには俺にも世話させてよ」
「お前って、イイヤツだよな。オレが女だったら惚れてるぞマジで」
「けーちゃんに好かれてもなぁ…こんな手のかかる彼女じゃあ苦労しそうだ」
「なんだとコラ」
「くっ苦しい苦しい苦しいぃ~落っことしちゃうよ、けーちゃん~」
 健司はいいヤツだ。
 健司のそばにいてやりたい。
『いや、そうじゃない…な』
 圭介は健司の首をぐいぐいと締めながら、ひっそりと思う。
『オレは健司のそばにいたいんだ』
 いつかきっと、自分にも、そして健司にも彼女が出来るだろう。
 そして、卒業。
 健司の志望する大学が、自分とは別の大学だと聞かされたのは、いつだっただろうか。
 やがて自分と健司は別々の道を進み、そして、それぞれいつか恋人と結婚する。
 別の家庭を持ち、きっと、年に何回か会うだけの……そんな、関係に、なる。
 今感じているこの友情も、いつか色褪せ、思い出になって風化してゆく…。
『何考えてんだオレは…ホモじゃあるまいし…気持ち悪い…』
 圭介は、熱くなる目頭を強引に擦って、自分の考えを振り切った。

01-331 :330:04/03/05 02:06 ID:+HPuiW0w
ここまで。
早くエロに持っていきたくて大量投下させて頂きました…。

>305
私は、女性化の前と過程に萌えるので、どうしてもキャラの周囲から書いてしまいます…。
どういう人間(男)か書いた方が、女性化してからのエロ度が、ぐんと上がる気がするのです。

また数日後にお会いしましょう…。

01-332 :名無しさん@ピンキー:04/03/05 02:11 ID:yWfSQ0AO
>>331
               ∩ グジョバ
               ( ⌒)     ∩_ _
              /,. ノ     i .,,E)
             ./ /"    / /"
   _n  グッジョブ!! ./ /人.   / ノ'
  ( l    ヽ。/   / / 0w0)/ //H\    グジョバ!!
   \ \ (<::∨:> )(       / ( 0Μ0)      n
     ヽ___ ̄ ̄ ノ ヽ     |  ̄     \    ( E)
       /    /   \   ヽフ    / ヽ ヽ_//

01-333 :名無しさん@ピンキー:04/03/05 04:11 ID:kWch5CLU
> 私は、女性化の前と過程に萌えるので、どうしてもキャラの周囲から書いてしまいます…。
> どういう人間(男)か書いた方が、女性化してからのエロ度が、ぐんと上がる気がするのです。

禿しく同意。期待してまつ。

01-334 :名無しさん@ピンキー:04/03/05 08:09 ID:mTtSED0m
キャンキャン噛み付く野郎キャラは嫌いだがそれがしおらしいおなごに変化していくのなら良い感じだな。

01-335 :名無しさん@ピンキー:04/03/05 10:12 ID:UswN5GAN
/ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
| >>331
| グッジョブ
| 禿しく期待してまつ
\________ _____________________________
           .∨
    ∫    ∧_∧     
     ~━⊂(´・ω・`)つ-、
      ///   /_/:::::/   
      |:::|/⊂ヽノ|:::| /」
    / ̄ ̄旦 ̄ ̄ ̄/|
  /______/ | |
  | |-----------| |

01-336 :名無しさん@ピンキー:04/03/05 15:37 ID:cDzYPPQE
>>331
 結構なお手前でした。
 続きを熱望してお待ちしております。

01-337 :名無しさん@ピンキー:04/03/05 21:07 ID:0zpAQdpZ
>>331さん
お膳立ても整いますます面白くなってきました!
自分はホモではありませんが
男の子同士のこのまったりとして優しい雰囲気好きです。
続きを楽しみにしてます。
>>335
やけに生意気なその態度にワロタw

01-338 :名無しさん@ピンキー:04/03/05 22:50 ID:vpve9KcD
>>331
GJです。ここ最近、一番の収穫!
まったりと続き待っています。

01-339 :331:04/03/05 23:45 ID:7tAjFs6v
エロが近いので筆が進みます。
好意的に迎えて頂けて、嬉しいです。

今回は微妙な「えち」…かな?

「微妙なえちはエロじゃない」という人はスルー願います。

NGワード「ボクたちの選択」

01-340 :ボクたちの選択(27):04/03/05 23:47 ID:7tAjFs6v
>339
 家に帰り、玄関の鍵を開けて、どうにか2階の自分の部屋まで上がったところまでは覚えて
いる。けれど、圭介にはその先の記憶が無かった。
 気持ち悪い。
 胸がムカムカして、胃がぐるぐると動いているのがわかる。胃がせりあがって、何も入って
いない中身をそれでも放出しようと痙攣するように震えた。なんとか制服を脱いでベッドに潜
り込んだものの、圭介には、もう自分がどんな格好をしているのかさえわからなかった。
 シャツを着ているのかどうかもわからない。
 ズボンは?ベルトは外しただろうか?
 そもそも本当に自分は制服を脱いだのだろうか?
「…ぅ…んっ…」
 体の感覚が無かった。
 ただ、熱かった。
 汗の染みたシーツの中に、ずぶずぶとどこまでも沈み込んでいく気がする。
 暗闇に。
 覗き込めばそのまま見えない腕で引き擦り込まれ、2度と戻ってこられないような恐怖。

 闇に、喰われる。

 ゾッとして、全身が震えた。
 怖かった。
 こんな感覚は、もうずいぶんと感じていない。
 風邪で倒れた時も、「たかが風邪」とどこかで楽観していた。けれど今度のは違う。これは、
違う。このまま自分の体がどうなってしまうのか、自分がどうなっていくのか、ただ、恐怖だ
けがあった。
『…健司……由香……』
 幼馴染の名を呼んだ。
 ぽややんとした顔や、妙に牧歌的なのほほんとした顔を思い浮かべた。
『ちくしょう…オレが苦しんでるのに、なんでオマエらは笑ってんだよ…』
 理不尽な怒りが湧き起こり、次いで、すぐにそれは哀しみに代わった。彼等が離れていく。
遠ざかってゆく。

01-341 :ボクたちの選択(28):04/03/05 23:49 ID:7tAjFs6v
>340
 いや。
 自分が置いていかれるのだ。
 捨てられるのだ。
 お前などもういらない、と、置き去りにされるのだ。
『待ってくれ……待ってくれよ健司……』
 涙が溢れた。
 置いていかれる哀しさで心が凍て付いた。
 もう、ダメなのか?
 こんなオレではダメなのか?
 もう一緒にいられないのか?
 何度叫ぶように問い掛けても、優しい笑みの幼馴染は、ただ、笑いながら去っていくだけだっ
た。

 彼は一度、夢か現(うつつ)かはわからないけれど、自分を静かに覗き込む母の姿を見た。

「か……さん……オ…レ……」
「しゃべらないで。いいの。いいのよ?今は眠りなさい」
 いつも、黒目がちで大きな優しい瞳が、どこまでも澄んだ色を映していた。今、自分の息子
の体に起こっている事を全て理解し、そこには恐れなど無いのだと諭しているような瞳だった。
 額に当てられた、母の白くてほっそりとした手が、ひんやりと気持ち良かった。汗を拭い、
眠りながら少し嘔吐してしまった口元を拭い、母は、子供の頃のように熱く火照った額にキス
をしてくれた。それが、
 それが、涙が出そうになるくらい嬉しかった。
 闇は続き、体が溶けてゆく夢を見た。
 熱が出て、体が軋む。骨が、関節が、ギシギシと音を立てて罅割れ、砕け、形を無くしてい
くイメージが圭介の脳を満たした。
 そしてそれは、蛹(さなぎ)になる夢に変わっていく。手も足も体も頭も、全てがどろどろ
に溶けて、再構成され、生まれ変わる。
 自分は「何か」に生まれ変わるのだ。その感覚だけが、不思議と理解の中にあった。

 もう、何も怖くなかった。

01-342 :ボクたちの選択(29):04/03/05 23:52 ID:7tAjFs6v
>341
 目が覚めた時、窓の外には夜空が広がっていた。空には浩々と月が輝いている。
 静かだった。
 窓から見える家々には、明かりが一つもついていない。今がいったい何時なのか、知りたい
と思わなかった。だから時計も見なかった。聞こえるのは時計の秒針が時を刻む音。そして、
窓の外から聞こえる、近所の犬の声。
 住宅街のためか、自動車の走る音もしない。眠っている間に人類が滅びて、今、世界中で生
きているのは自分だけだと言われたらそのまま信じてしまいそうだった。
 重たくて、まだ感覚の戻らない体を、ほとんど引き摺るようにして部屋を出た。長時間正座
して足が痺れ、そのまま立った時の、あの全く感覚の無くなった状態に似ていた。床を確かに
踏んでいる筈なのに、足にはその感覚が無いのだ。どこか、自分の足じゃない借り物のような
感じがつきまとう。
 手摺に掴まって、転げ落ちないように気をつけながら階段を下りた。両親はまだ帰っていな
いのか、家の中は静まり返っている。眠っているのだろうか?とも思ったけれど、玄関を横切
る時にクツが無い事を確かめた。
 キッチンに行くと、テーブルの上に紙があるのが見えた。読まなくてもわかる。きっと今日
は帰れないとか、遅くなるとか、そういった文と「ごめんね」と「愛してる」の文字達が“い
つものように”綴られているのだろう。やはりさっき見た母は夢だったのだ。…いや、それと
も一度帰ってきて、それから再び仕事に出掛けたのだろうか?
 どちらでもいい。
 今はただ、喉がひりついて痛かった。
 シンクに寄りかかって水道の蛇口を開き、コップに水を注いで一口飲んだ。すると、今まで
感じた事の無いような喉の渇きを感じてそのまま立て続けに3杯の水を飲み、そして咽(むせ)
て、体を折りながら床に膝をついた。
 まだ、体が熱い。

01-343 :ボクたちの選択(30):04/03/05 23:54 ID:7tAjFs6v
>342
「…どう…なっちまったんだ?…俺…」
 ひゅうひゅうと、喉が鳴った。自分の声と思えなかった。甲高くて、声を出すだけで声帯が
じんじんと痛む。鈍い全身の感覚の中で、喉の痛みだけが、これが現実なのだと教えてくれて
いるようだ。

「…カッ…けへっ……っ……」
 咳き込みながら立ち上がり、グラスをシンクに置くと、圭介はトイレに向かった。尿意はほ
とんど無い。膀胱…というか、膀胱と陰茎の間に妙な違和感がある。何かが詰まっているよう
な、逆に何かが抜け落ちてしまったような、不思議な感覚だ。
 トイレに入り、洋式便器の蓋を上げて、そこでようやく圭介は、自分が身に着けているのが
Tシャツとトランクスだけだという事に気付いた。両方共、汗を吸ってぐっしょりと濡れてい
る。たぶん、冷えて冷たいのだろうけれど、その感覚さえも希薄だった。

「……おい…ぉぃ……」
 いつものようにトランクスの横から指で性器を引き出そうとして、思わず声が漏れた。
 陰茎が、小さく縮み上がっている。指で触れた感じは、まるで小学生のモノみたいだ。親指
の三分の二くらいの長さと太さしか無い。
『…やべ……高熱が続くと、インポになるとか聞いたな』
 陰茎も縮んで小さくなるのだろうか?
『……やだな……』
 トランクスの横から外に引き出せなくて、仕方ないので下着は脱いで「大」の方をする時み
たいに便座に座って用を足した。親指よりちょっと小さい陰茎を指でちょっと押さえながら放
尿する自分に、圭介は情けなくて思わず苦笑してしまう。小学生の頃は、上手に便器に放尿出
来なくて、よくこうして女の子みたいに便座に座って用を足した事を思い出したのだ。
『オレは…あの頃からなにも変わってねーや……』
 健司も由香も、どんどん変わってゆく。
 変わらないのは自分だけだ。
 それを、強く強く感じる。
 変わりたい。
 本当は、圭介も変わりたいのだ。
 けれど、どうすればいいのか、それが全くわからなかった。

01-344 :ボクたちの選択(31):04/03/05 23:56 ID:7tAjFs6v
>343
『…いや…』
 きっとわかっているんだろう。
 でも、わかろうとしないだけなのだ。
『ほんと……ガキの頃から進歩してねーよな……』
 健司や由香を護りたくて、本当は怖くて仕方ないのにカッコだけつけて強がって見せた、あ
の頃と。

 便座から立ち上がる時、膀胱に残っていたらしい尿が不意に漏れて、太股とトランクスを濡
らしてしまった。高校に上がってまでオモラシをしてしまう自分を恥ずかしく思ったけれど、
こういう状態なら仕方ない…と無理矢理自分を納得させる事にする。でも、小学校5年生まで
オネショをしていた健司を、これではもう笑えない。
 2階で着替えてから、また階下の脱衣所に戻ってくるのは難しそうだった。だから、家に誰
もいない事をいいことに洗濯カゴへ下着を放り込んで、下半身裸のまま2階へ上がる。なんと
も情けない格好だけれど、背に腹は代えられないというのはまさにこの事だ。

「ふう……ふぅ……」
 息が上がる。部屋に戻って新しい下着を履き、シャツを脱いでパジャマに着替える頃には、
もう体力が残っていなかった。体の中が全部、どろどろとした泥に変わってしまったような気
がする。
 ベッドに倒れ込むようにして寝転がると、毛布を被った。
 あっという間に意識を持っていかれる。
 夢も見ない闇の中、圭介は、ギシギシと体が軋み、内臓をかき回されるような不快感に全身
を震わせていた。


 それから3日間、圭介はただひたすらに眠り続けた。
 何度も夢と現を往復し、どれが現実でどこからが夢なのか、朦朧とした意識の中では判断出
来なかった。夢の中で母がめそめそと泣き、父がガハハと酒を飲みながら笑った。かと思えば
母がニコニコと嬉しそうに笑って何度も頬擦りしてきて、父は憮然とした顔で酒を飲んでいた。
現実でも夢でも、機嫌が良くても悪くても酒を飲んでいる父の頭を思い切り引っ叩いてやりた
かったけれど、ほとんど動かない体ではどうしようもなかった。

01-345 :ボクたちの選択(32):04/03/06 00:00 ID:M0CVgKLr
>344
 その間、口にしたものといえば、なんだかわからないけれど蜂蜜みたいなトロリとした金色
の液体と、やたらと喉越しの爽やかな水だけだった。金色の液体は、蜂蜜みたいに喉が痛くな
るような甘ったるさではなく、ふうわりとほのかに深緑の香りのする不思議な味がした。甘い
のは確かだけれど、後に残るような甘さではないのだ。口にするだけで、たとえようも無いほ
どの幸福感が全身を巡った。ただ、今の圭介には、まだ自分の舌が味を感じられる事の方が嬉
しかった。
 母に、この液体が何か聞いたような気がする。けれど母は、その「食事」が終わると、ただ
いつものように優しく微笑んで、熱い頬に軽くキスしてくれるだけだった。

 圭介が学校を早退した昼から、太陽が2回沈んで2回昇った。

 2日目にはすっかり熱も引き、汗をかく事も無くなっていた。
 それでも、彼は時々しか目覚めない。
 健司も由香も、毎日圭介を見舞ったけれど、圭介の母…涼子が会わせてくれなかった。いつ
行っても「眠っているから」と言うのだ。静かにしますからと言っても、ひと目だけでもと言っ
ても、やんわりとした優しげな微笑で拒絶された。
 さすが女優だと、健司も由香も思った。こんな時でも、感情を出さずに、微笑みの仮面で人
を惑わせる…。
 「そんなに具合が悪いのなら、病院に移してちゃんとした医者に見せた方がいいと」言った
時も、「そうね」とか「もう来てもらったわ」とか、本当か嘘かにわかには判断のつかない口
調と表情で言われては、それ以上問う事も出来なかった。
 2人とも、自分の子供が可愛くない親などいないと信じていたからだ。
 それに、相手はあの圭介の母親だ。
 子煩悩で超過保護で、子離れが全然出来ていない…と圭介自身に評される、あの母親なのだ。
 彼女が圭介にとってためにならない選択などするはず無いし、逆に、彼女に任せておいた方
がいいようにも、思ったのだ。

01-346 :ボクたちの選択(33):04/03/06 00:03 ID:M0CVgKLr
>345
「けーちゃん…大丈夫かな…」
 由香が、泣きそうな顔で2階の彼の部屋の窓を見上げた。下校途中に、彼の家に寄ったその
帰りだった。夜の帳(とばり)が空を濃紺に染め始め、夕焼けが、山のように地平から盛り上
がった雲の陰に隠れかけている。

「……明日、またこようよ」
 由香に付き合ってここまで足を運んだ健司が、同じように窓を見上げてポツリと言った。


 圭介が学校を早退して3日目の朝。
 太陽が3回沈んで3回昇った、その朝に、彼はようやく目覚めた。
 目覚めてすぐ、彼は異常に気付いて身を起こした。まだ体の調子がおかしい。ただ、痛みと
か、だるさとか、そういう不快感ではないのは確かだ。それはもう嘘のように無くなっていた。
そういう肉体的なものじゃなくて、どこか違和感がある。
 けれど、根本的な問題はそこには無かった。

 臭い。

 汗の臭いと、ツンとした刺激臭が鼻を突いた。

「…なんだコレ…」
 思わず自分の手や、パジャマの胸元の臭いを嗅ぐ。

「…ぅわ…」
 猛烈に汗臭かった。そして、手も首もべとべとして、擦ると皮膚が剥がれ垢(あか)となっ
てボロボロと落ちる。
 まるで、何日も何ヶ月も風呂に入っていなかったように。
 そして決定的だったのは、
「やべ……なんだよコレ……冗談だろ…?」
 トランクスとパジャマのズボンが、ベッドのシーツが、ぐしょぐしょに濡れているのがわかっ
た。しかも、股間を中心とした部分が、だ。
『……この歳で寝小便かよ……なんだよ……』

01-347 :ボクたちの選択(34):04/03/06 00:05 ID:M0CVgKLr
>346
「…冗談じゃねーぞ…」
 おまけに、声もまだおかしい。妙に高くて、ザラザラとした違和感を感じた。
 …と、いきなり何の前触れも無く部屋のドアが開く。

「あ、けーちゃん、気付いた?」
 何かの冗談かと思うくらい、たっぷりと重量感のある豊かな胸が、イメージそのままにゆさ
りと重たげに揺れた。

「ちょっと待ってね?今、用意するから」
 黒のサマーセーターにブラウンのジーンズ、そしてオレンジの靴下で部屋に入ってきたのは、
母親の涼子だった。艶々とした長い黒髪を背中の所で軽くまとめ、そのまま腰まで垂らしてい
る。一見、化粧っ気の無い顔は、それでもナチュラルメイクをしっかりしてあるためか、元々
整ったカメラ映えする顔のためか、とても高校生の息子がいるような女性には見えないほど綺
麗だった。また、切れ長で深い色合いの眼には優しげな微笑が浮かび、マスカラをつけていな
いにも関わらず長い睫はバッチリと綺麗に形を見せている。
 まるで、恋人とのデートに気合を入れて望んでいる女性みたいにも見えるけれど、涼子にとっ
てはこれが普通なのだ。妻であり母であり、そして時に主婦であり嫁である彼女だが、その前
に、男なら誰もが一度は寝てみたいと思う「女優」の1人でもあるからだ。

「ちょっ…えっ?…な、なんの!?」
 「用意」と言われ、無意識に圭介は毛布を押さえて、慌てて左右をキョロキョロと見た。肉
食動物に狙われた小動物が、必死になって逃げ場を探しているようで、はっきり言って、果て
しなく挙動不審だ。

「汗かいちゃってるでしょ?体拭いてあげようと思って」
 見れば、母はほっそりとした白い両手に、お湯を満たした洗面器とタオルを持っている。圭
介の勉強机の上にそれを置くと、母はタオルを浸して、圭介の側に膝を着いた。肌は白く、近
くで見てもシミや皺がほとんど無い。口元にある笑い皺は、老いよりもむしろ可愛らしさを際
立たせていた。

01-348 :ボクたちの選択(35):04/03/06 00:08 ID:M0CVgKLr
>347
 去年の出演映画では冷徹なイメージで売っていたはずだけれど、ここにいるのは息子が可愛
くて可愛くて可愛くて仕方ない、ただの子煩悩な母親でしかなかった。

「い、いいよ!自分でするからさっ!」
「もうっ!何恥ずかしがってるの?けーちゃんが眠ってる間、お母さんがずっと世話してたの
よ?」
 すごい迫力で“どーん”と迫ってくる胸に比べ、頼りないくらいほっそりとした腰に手を当
てて、涼子は“むうっ”と拗ねたように唇を突き出してみせた。とても32歳の女性がするポ
ーズではない。…いや、それどころか、母親が息子にするポーズとしても、果てしなくヘンだっ
た。

「せ…世話??」
「おしっことか、うん」
「わわわわわわっ!!!わかったから!!もういいから!出てってよ早く!!!」
「なあによぉ…赤ちゃんの時だってけーちゃんのうん」
「母さんっ!!」
「なあに?」
 顔を真っ赤にして毛布をギリギリと握り締め、圭介は睨み殺しそうなくらいの目付きで母を
見た。対して涼子は、圭介のそんな剣呑な雰囲気には全く意を解さず、にこにこと微笑みなが
らさっそく洗面器の中でタオルを絞り始めていた。

「あ、そうそう。けーちゃんが眠ってる間にね、由香ちゃんと健司くんが来てくれたのよ?そ
れも毎日。あの2人、よっぽどけーちゃんが好きなのね。いいわねぇ友達って。ああいうお友
達は大事にしなくちゃね。けーちゃんは、あの2人のどっちが好きなの?」
「…え?」
 この若い母親がこちらの話を聞かないのはいつもの事なので、圭介はうんざりした顔をしな
がら『いかにして母を追い出すか』という可及的速やかに処理されるべき問題事項を検討して
た。…が、半分聞き流していた母の言葉の最後に、何か聞き捨てならない一言を聞いたような
気がして、圭介は思わず聞き返してしまったのだった。

「あ、ああ、なんだ、友達として好きかって聞いたのか」
「ううん」
 ハハハと笑う圭介に、母はにこにこと笑いながら首を振った。

01-349 :ボクたちの選択(36):04/03/06 00:10 ID:M0CVgKLr
>348
「……いや、健司は男だし」
「そうね」
 にこにこにこ。

「ええと…母さん?」
「はい?」
 にこにこにこにこにこにこ。

「オレも男だよ?」
「そう?」
「そうに決まってるだろ?」
「そうかな?」
「はあ?自分の息子だぜ?何年顔突き合わせてんだって…」
 圭介は、ガックリと肩を落として深く深く息を吐いた。
 芸能界なんて場所に身を置く人間は、やっぱりどこかネジの具合が一般人と違うのだ。幼い
頃から母に紹介された芸能界の友人に、ロクな人間がいなかった事を思えば、いくら母親でも
やはり『あっちの人』なんだと息子ながら思ってしまう。感覚そのものがズレているのだ。
 どこの世界に、幼馴染の男と恋人になる母親がいるものか。
 少なくとも圭介には、健司と『おホモだち』になる気は、全く、これっぽっちも、無かった。

「母さんはオレをゲイにしたいのかよ…」
 すると、母は急に優しい笑みを消してタオルを再び洗面器に入れ、圭介のベッドの横に正座
した。そして、正座したためにずいぶんと低くなってしまった位置から、じっと愛する息子を
見上げる。艶やかな黒髪には天使の輪がかかり、切れ長の目が強い意志を感じさせる光を鮮烈
に宿していた。まるで、死地に向かう直前、王に我が剣と心を捧げる女戦士のような錯覚を覚
える。

「な…なに…?」
 なぜかわからない。
 けれど、圭介は初めてこの母親を「怖い」と思った。
 今まで自分の味方だと思っていた人が、急に見知らぬ人になってしまったような感じ。立場
は変わらないのに「本質的な部分で理解出来ていなかったのだ」と知ってしまった時のような
感じ。そんな、“ぞわり”と背筋を撫で上げられるような感覚に、肉体ではなく心が慄(おの
の)いたのだ。

01-350 :ボクたちの選択(37):04/03/06 00:12 ID:M0CVgKLr
>349
「ねえ、けーちゃん…落ち着いて聞いてね?」
 母はそう言うと、世界の終わりを告げる隠者のように、神託を告げる賢者のように、たっぷ
りと空白の時間を置いてから、おごそかに言った。

「おちんちん、ある?」
 圭介は、頭が真っ白になった。

01-351 :名無しさん@ピンキー:04/03/06 00:19 ID:M0CVgKLr
>350
 ここまで。

 話の中ではゲイを嫌悪的に書いてますが、私は、性癖は個人の自由で、
個人の責任においてなら構わないと思います。
 私はノーマルですが。

 直接性交渉はまだ先ですが、
えちぃ表現や微エロはこれからぼちぼち入っていきます。

 まったりとお付き合い下さい。

01-352 :名無しさん@ピンキー:04/03/06 00:27 ID:t7KAkV3I
GJ!
あせらず、マターリ 待ちます。

01-353 :名無しさん@ピンキー:04/03/06 00:31 ID:M0CVgKLr
>351
「どこの世界に、幼馴染の男と恋人になる母親がいるものか。」

ではなく、

「どこの世界に、幼馴染の男と恋人になる事を薦める母親がいるものか。」

でした。

01-354 :名無しさん@ピンキー:04/03/06 00:38 ID:8EgutTPo
名作の予感!
今回も肉体が変化していく?ポヨーンとした
時間の不思議な経過感が伝わってきますた。
女体化の謎解きも禿しく気になるところです。
エロなしでも物語として良作と思われましゅ。

01-355 :名無しさん@ピンキー:04/03/06 01:21 ID:k4W7LYFq
                ∩
                ( ⌒)      ∩_ _グッジョブ !!
               /,. ノ      i .,,E)
              ./ /"      / /"
   _n グッジョブ!!  ./ /_、_    / ノ'
  ( l    _、 _   / / ,_ノ` )/ / _、 _    グッジョブ!!
   \ \ ( <_,` )(       /( ,_ノ` )      n
     ヽ___ ̄ ̄ ノ ヽ     |  ̄     \    ( E)
       /    /   \   ヽフ    / ヽ ヽ_//

01-356 :名無しさん@ピンキー:04/03/06 01:25 ID:nQIhEW6a
>>351
イイヨーイイヨー
個人的には健司と結ばれて欲しいが

何はともあれグッジョブ

01-357 :名無しさん@ピンキー:04/03/06 01:54 ID:2IS20Kt8
母親が変な薬盛ったんだろうか
だとしたら殺す

01-358 :名無しさん@ピンキー:04/03/06 05:19 ID:tE6vlSzh
>351
過程萌えの漏れにはたまらんです。
ここまででご飯3杯はいけそうw

01-359 :名無しさん@ピンキー:04/03/07 01:10 ID:kyF667nR
>>357はけーちゃん

01-360 :名無しさん@ピンキー:04/03/07 06:06 ID:ZeEN8d5l
面白かったです。
なんとなく、フレックスキッドを思い出したよ。

01-361 :名無しさん@ピンキー:04/03/08 00:11 ID:6qyPYBcu
GOOOOOOOOOOOOOOOOD JOB!!

01-362 :353:04/03/09 01:12 ID:WE0lJe/K
今回は「ぷちえろ」…かな?

「そんなものはエロじゃない」という人は、スルー願います。

NGワード「ボクたちの選択」

01-363 :ボクたちの選択(38):04/03/09 01:14 ID:WE0lJe/K
>362
 川野辺由香が、幼馴染の少年の部屋に入ったのは、小学校の5年生以来だったかもしれない
。確かあの時は、圭介の誕生日会をするというので、友達といっしょに彼の家まで出掛けていっ
たのだった。
 小学3年生の時に引っ越してきた圭介は、まるで少女みたいな顔をしていた。『綺麗だな』
と思った数分後には、その事をネタにからかったクラスの悪ガキと取っ組み合いのケンカを始
めてしまったので、由香の中ではあっという間に『綺麗な子』から『乱暴な子』にランクダウ
ンしたのだけれど。
 そして、ちょっと猫背気味な初老のミサ子先生に言われて、彼が由香の隣の席になり、『や
だな』と思った数分後に、学校指定の教科書を持っていない彼に教科書を見せてあげるように
言われ、彼が血止めに鼻に突っ込んだティッシュを抜きながら「にこっ」と笑った時、

 恋に落ちた。

 長い春だな。
 自分でもそう思う。しかもあんな状況でよく恋になったものだと、そうも思う。けれど仕方
ない。初恋というものは、いつどこで誰に対して発症するか、当の本人すらわからない突発性
の不治の病気なのだから。
 あれから8年。
 実際、小学校3年生から高校になった今まで、ずっと一人の男の子に恋し続けるなんてのは、
とても人に言えたものじゃない。しかも初恋だ。ものには程度というものがある。
 始った恋は、終わらせなければ終わらない。

 では、始らない恋は?

 いつの間にか、由香は彼と一緒にいる事が自分の『普通』になってしまって、『特別な関係』
というものがどういうものかわからなくなっていた。小学校を卒業し、中学生になり、それが
まるで当然のように家から一番近い高校に進学した。なぜなら、彼がそこを受験したから。
 彼のそばにいるのが当たり前で、彼から離れる事が不自然な関係。

01-364 :ボクたちの選択(39):04/03/09 01:16 ID:WE0lJe/K
>363
 友達に言わせると、それはとっても不健康なのだそうだ。一人の男に“いれあげる”なんて
のは、女として“終わってる”らしい。
 余計な御世話だと、由香は思う。
 東京ではファッションのように彼氏を変えるのが普通みたいに言うけれど、たぶんきっとこ
のスピードが自分には合ってるんじゃないか?と思うのだ。
 けれど、そうあるのが当たり前過ぎて、『特別な関係』へ発展しない『始っていない恋』は、
どうすれば本当に始るのだろう。
 または、どうすれば終わるのだろうか?

 幸か不幸か、由香が好きになった少年は、同世代の女の子から「可愛い」と言われても「カッ
コイイ」と言われるような少年ではなかったし、そういう事にはまったくの“ニブチン”だっ
たので、本人が気付かないうちに散っていった恋の花もいくつかあった。しかも、彼は性的に
未発達なのか、こんな近くに食べ頃の(!)異性がいるのに、ちっとも、まったく、これっぽっ
ちも手を出してこようとはしない。こっちはいつでも(キスまでなら)準備おっけーだという
のに。
 いくら童顔の幼児体型で、中学生か、下手をしたら小学生にも見られかねない由香だって、
同じ年頃の女の子と一緒に行動していれば、おのずと“あっち”の知識は雪国の降雪のように
確実に積み重なってゆく。
 女3人寄って話す事と言えば「彼氏」と「恋」と「化粧」と「オシャレ」ばっかりで、さす
がの由香も中学を卒業する頃にはもう「夢のように素晴らしいとろけるようなはじめての時」
の事で、頭はぱんぱんになっていた。
 精一杯努力して、毎日女を磨いたりもしているのだ。童顔で幼児体型だって、髪はさらさら
だし肌だってツヤツヤのピカピカだ。いったい、誰のために少ないお小遣いから高いシャンプ
ーやリンスやパックや乳液やクリームや……その他モロモロの“オンナの秘密道具”を買い求
めていると思っているのか。

01-365 :ボクたちの選択(40):04/03/09 01:19 ID:WE0lJe/K
>364
 ところが、彼女の恋する彼は、中学の3年間はずっと陸上に打ち込んで、密かに彼に恋して
た下級生なんてこれっぽっちも相手にしてなかったし、むしろ恋愛とかエッチとか、そういう
ものから自分を遠ざけようとする修験者(しゅげんしゃ)のような態度を取り続けていた。
 由香も同じ陸上部のマネージャーをしながらずっと彼をそばで見ていて、彼自身は「ただの
幼馴染み」だと言うものの、周囲からはなかば公然と「できてる」と思われていたため、彼女
自身、どこか安心していたのだろう。「彼のそばにいるのは私よ」なんていう驕りがあったの
は否定しない。彼が他の女の子と仲良くしても、特に嫉妬したりなんてしなかったのだから。
 けれど、彼が恋とか女とかに「興味無い」という態度を取る限り、まさか由香自身が『実力
行使』に出るわけもいかなかったし、実際のところ、彼女にもそんな度胸も覚悟も無かったか
ら、恋が始るも何も、その兆しさえ顔を出していなかったのである。

 そして、高校2年の晩春。
 3日前。
 彼が倒れた。
 ここまでひどくなったのは、小学3年生以来だという。

 もう、待っているなんてのは、やめよう。

 そう思った。
 想いを伝えずに後悔するのなんて、嫌だった。
 彼もきっと自分の事は憎からず想ってくれているはずだ。でなければ8年も一緒にいてくれ
るはずが無い。

 だから、昼休みに少年自身からケータイに連絡が入った時、由香は心に決めたのだった。
 今日、ちゃんと言おう。

01-366 :ボクたちの選択(41):04/03/09 01:24 ID:WE0lJe/K
>365
 ずっと好きだったって、言おう。
 ずっとずっと、けーちゃんだけを見てきたのだと、そう言おう。
 そう、心に決めたのだった。

 なのに。


 由香は、圭介の部屋にぺたりと座り込んで、ぽかんと口を開けたまま、さらさらとした髪の
少年を見ていた。
 ちなみに、小学校の時の彼の部屋は、バスケット選手のポスターやアニメ映画のポスターや、
プラモデルとかなんだかわかんない透明なプラスチック箱に入った怪物のオモチャとかがある、
歳相応に子供っぽい部屋だった。そして、今日、6年ぶりに入った高校生の彼の部屋は、あの
頃とほとんど変わっていなかった。
 小学校の時と同じ勉強机と、ちょっと大きな物になったシングルベッド、サッカー選手のポ
スターや、漫画の本や絵画の本、それに絵の道具とイーゼルとスケッチブック…陸上(競技)
で獲った賞のトロフィーとかが全然見当たらなかったのはちょっと哀しかったけれど、どこも
彼らしいモノと匂いがした。
 だから、もしかしたら初めてえっちする時なんかは、この部屋でするのかな?などと思って
しまい一人赤面した由香は、
『壁紙がもっと可愛いのだったらいいのに』
 なんて妄想を暴走させてしまったりもしたものだ。
 だからこそ、圭介と同じく8年来の幼馴染みであるの健司と一緒に、数年振りに彼の部屋を
訪れて、開口一番に彼が

「ごめん、オレ、女になっちゃった」

 と言った時、由香は
『神様、私は前世で何か犯しがたい許されざる罪でも犯しましたか?』
 と、普段は別段信仰してもいない一神教の神様に、心のなかで涙ながらに問いかけてみたり
も……したのであった。

01-367 :ボクたちの選択(42):04/03/09 01:26 ID:WE0lJe/K
>366
「なあ健司、『仮性半陰陽』って知ってるか?」
 固まったまま動かなくなってしまった由香の目の前に、ひらひらと手を振ってみせている牧
歌的雰囲気の青年へ、圭介は世界の秘密を問いただすみたいに神妙な口調で聞いた。
 ベッドの上。新しいパジャマに着替えて、ついでにシーツも毛布も換えてある。掃除もちゃ
んとしたらしく、あれだけ匂っていた汗と小水の匂いも、今ではすっかり消えていた。

「かせーはんいんよー?」
 なんとなく、いつもよりもぼんやりとした口調で健司が問う。
 目の前にいるのが親友だと、まだ信じていないような顔だ。確かに、髪も肩まで長くさらさ
らとして、とても男には見えない。それでも、基本的な印象は変わっていないというのに。

「ん~…つまりだな、遺伝的には女なんだけど、外見は男で…つまりその…男に見えてたけど
実は女だったってぇ事で…」
「性同一性障害…みたいなもの?」
「…ムツカシイ事知ってんな?……けど、ちょっと違うかな?」
 最初に言った圭介の言葉を、たぶん全く信じずきれいに素っ飛ばした健司に、彼はゆっくり
と口を開いた。

「なんだ…その……オレの場合、なんか『女性仮性半陰陽』…ってーの、なんだと」
「……え?」
 健司の顔が半笑いになり、圭介の目がこれ以上無いくらい真面目だと知って、そこで固まった。
 あたまのネジが2、3本ふっとんだような顔になっていた。

「誰が?」
「オレが」
「なに?」
「『女性仮性半陰陽』」
 健司は、まだ固まったままの由香を見て、それから圭介を見て、それから床をじっと見つめ
てからおもむろに、
「誰が?」
「…何度も繰り返すなバカ!オレをおちょくってんのか!?」
「うそだぁ…」

01-368 :ボクたちの選択(43):04/03/09 01:28 ID:WE0lJe/K
>367
「いや、マジ。ホント」
「だって、俺、小学校の時、けーちゃんとおしっこの飛ばしっこだってしたんだよ?中学の修
学旅行の時だってお風呂でけーちゃんのチンチン見たし、水泳の授業の時だって」
「だーーーーーーーーーーーー!!う、うるさいなっ!!こうなっちまったもんは仕方ねーだ
ろうが!!恥ずかしいこといつまでも言ってんなよなっ!!」
 右手をブンブンと振って喚く圭介に、健司は黙り込んで疑わしそうな目を向けた。
 まるで信じていない。
 今日は何の冗談?
 そんな顔だ。
 それは誰にメイクしてもらったの?
 そんな事を言い出しそうだった。
 圭介は小さく溜息をつくとベッドから降り、健司の前にしゃがみ込んだ。

「ちょっとオマエ、ココ触ってみろ」
 そう言って、脚を開く。
 この時の健司の顔は見物(みもの)だった。
 “ふえ?”と顔が歪み、次いで、なんだか気の毒な人を見るみたいな目で圭介を見た。

「けーちゃん…そっちのシュミがあったの?」
「ちがわいっ!グダグダ話してても進まねーだろ!?こ、こーゆーのはな、実際に確かめた方
が早いんだよ!!」
 圭介は、しのごの言わせず健司の左手を取り、強引に自分の股間に当てた。
 “うわぁ…”とした顔をしていた健司だったが、
「…ない」
 健司は不意に呟くと、突然圭介の股間をまさぐり始める。

「ばっ!ちょっ!やめろばかっ!!」
 健司の手を撥ね退け、逃げるように慌ててベッドに飛び乗る。健司はその圭介を追ってベッ
ドに膝をついて身を乗り出した。第三者が見れば、なんだかベッドの上のいたいけな美少女を、
今にも襲おうとしているようだった。
 …いや、そのものに見えた。

「無いよ!?ねぇ!!けーちゃん無いよ!?チンチン、無いよ!?無い!チンチン、無い!!」

01-369 :ボクたちの選択(44):04/03/09 01:30 ID:WE0lJe/K
>368
「チンチン、チンチン、言うなバカ!!恥ずかしいヤツだな!?見ろ!由香のやつが真っ白に
なってんじゃねーか!」
 健司が由香の方を見ると、いままさに、彼女の体がゆっくりと後方に倒れていくところだっ
た。


 圭介は、玄関から出てきた2人が窓を見上げると、小さく手を振ってやった。
 太陽はすっかり地平に沈み、夕焼けの残照がわずかに残るばかり。町の家々の明かりが、そ
の中で笑いさざめく人々の笑みを思い浮かばせる。
『大丈夫かな…由香のやつ…』
 2階に上がって来た時、何か決心したような顔をしていたと思ったら、急に赤くなって黙り
込み、そして圭介の告白で固まって、健司の叫びでぶっ倒れた。
 なんとか健司と2人で解放したけれど、まだふらふらしていたから、ひょっとしたら明日は
学校を休むかもしれない。
 健司は……………
『あれから、オレと一度も目を合わせなかったな……』
 無理も無い。今日まで男だと信じていた親友が、突然「オンナだった」と言われたのだから。
 自分だって、すごくショックだったのだ。
 今だってショックから抜け出せているとは言いがたい。
 けれど、ちゃんとごまかせただろうか?
 母親に言われたとおり、自分は『女性仮性半陰陽』なのだと、彼らに信じさせる事が出来た
だろうか?
 元々は遺伝的に女だったのだと。
 毎年あった肉体の変調は、遺伝的な体質と肉体の“ズレ”が引き起こしていたのだと。
『信じられるワケねーか…』
 冷静になればわかるはずだ。
 たかが3日かそこらで、髪が肩まで伸びるはずはないと。
 たかが3日かそこらで骨格そのものが華奢になり、骨盤までもが張った形に変化するはずは、
ないのだと。

01-370 :ボクたちの選択(45):04/03/09 01:32 ID:WE0lJe/K
>369
 けれど、今は、こうでも言っておくしかない。
 本当の事など、とても言えやしない。
 それくらい、母が話してくれた事は、圭介にとって衝撃的な事だった。
 今までの、彼の17年間の生活そのものが、根底からひっくり返るくらいに。


 朝に目が覚めてからずっと続いていた母の話が終わると、圭介は11時頃になって、母が沸
かしてくれた風呂に入った。
 汗臭く、いくら母が世話してくれていたとはいえ、体中がなんだかベトベトして脂っぽくて、
擦るだけで真っ黒な垢がボロボロと落ちてくる。触ると全てのものに匂いと脂が付いてしまい
そうで、手摺りも持たずに階段を降りた。
 股間がむずむずする。
 痒かったので右手で掻いたら、何の手応えも無かった。いつもなら小さいながらも立派な陰
茎と、精巣の入った陰嚢が手に触れるはずだった。それが、どうしようもなく情けない。
 目を瞑って脱衣所のドアを開け、くるりと回れ右をしてからドアを閉めて、深く深く深呼吸
した。
 右手に鏡。
 洗面所の鏡。
 腰まで映る、壁面いっぱいの鏡だ。
 圭介は、ごくりと唾を飲んで、目を開けた。
 自分がいた。
 当たり前だ。
 けれどそれは、自分じゃ、なかった。

「……なんだこりゃ……」
 胸元まで伸びた髪が、ぼさぼさに顔に振りかかり、まるで落ち武者のようだ。元々細かった
体の線がさらに全体的に華奢になって、パジャマは心なしかブカブカだし、肩なんて健司が掴
んだだけで折れてしまいそうだった。今までは、いくら細いとは言っても、それは男の骨格の
範疇でのこと。けれど今、鏡に映っている人間の骨格は、男のものにはちょっと…見えなかっ
た。

01-371 :ボクたちの選択(46):04/03/09 01:36 ID:WE0lJe/K
>370
 パジャマの上着のシャツを脱ぎ、裸の胸を見下ろした。
 ほとんど、いや全く、男だった頃と変わらない。
『やれやれ…』
 これでもしおっぱいが母さんみたいに『どーん』となっていたら……もう、笑うしか無かっ
ただろう。
 それでも少し膨らんで見えるのは、たぶん気のせいだ。
 今決めた。
『問題はこっちだな…』
 パジャマのズボンを脱ぐ。ツンとしたアンモニアの匂いと、蒸れた汗の匂いが鼻についた。

「くせっ…」
 思わず顔を背けたけれど、確かめなければならないのは、もっと先だった。左手でトランク
スのゴムを引っ張り、中を見る。
 もじゃっとした陰毛があるはずのところは、まるで赤ん坊の肌みたいにツルツルだった。
『…全部抜けたっての…??……』
 左の脇の下に手を当ててみる。腋毛も、きれいに無くなっていた。
『なんだこれ………出来の悪いアニメか漫画みてぇ……』
 どこかのロリコン漫画じゃあるまいし、17歳にもなって腋毛も陰毛無い女がどこにいるも
のか。そういう体質ならいざ知らず、圭介はそういう毛が生えてきたのは、実は健司よりも早
いのだ。
 もっとも健司のそれは、圭介よりもずっと濃くて太い毛で出来ていたけれど。

「……はぁ……」
 もう笑う気力も無い。
 脱力して、無造作に右手をトランクスに突っ込んだ。そして中指で股間を撫でる。

「…っ……」
 痛かった。
 乾いた指で直接、傷口を撫でたみたいだった。
 圭介は、今まで一度も女性のあそこを見た事が無い。だから、女のソコがどうなっているの
か、どんなカタチなのか、まったくわからなかった。
『穴……開いてるんだ…よな…』
 保健体育の授業の時、男性器と女性器の断面図とか女性器の略図とかを見たけれど、ホンモ
ノの、生の、アソコは、圭介の想像の範疇の外にあった。

01-372 :ボクたちの選択(47):04/03/09 01:38 ID:WE0lJe/K
>371
 小さい頃に見た母のアソコはもじゃもじゃした陰毛に隠れてたし、幼稚園の時の水遊びで見
た女の子のアソコは、スジが1本走っているだけだったと思う。そのお陰で圭介は長い間、女
は大人になるにつれて、あのスジの中からもじゃもじゃした毛がたくさん生えてくるものだと
思い込んでいたのだった。

「……あ……なんだ…?」
 トランクスの内側にべっとりとついていたものが、指についた。ねとねととして、なんだか
ちんちんの先っぽの、皮の隙間に溜まる恥垢に似ている。
 顔をしかめながら鼻に近付けると、
「…んっ……」
 ………やっぱり、臭かった。

「ええいっ」
 ささっとトランクスを脱ぎ、浴室に飛び込む。
 軽くシャワーのお湯で体を流すと、お湯を張った湯船にゆっくりと身を沈めた。たっぷりと
満たされたお湯は、入浴剤のせいかオレンジ色をしていて、心地良いゆずの香りがする。
 圭介はざばざばと顔を洗うと、ふと思い立って右手を再び股間に伸ばした。

「んっ……」
 陰茎も、陰嚢も無い。
 男性器そのものが、きれいに無くなっていた。
 代わりにあったのは、
「…傷口……」
 肉が内側から縦に裂けたのではないか?と思わせる、傷口めいた亀裂だった。恐る恐る指で
触れる。ぽってりとした肉の盛り上がりの内側に、くにくにとした薄い肉の襞があった。
『ええと……これが大陰唇…で……これが……っ…ん……小陰唇……かな…?』
 むず痒いような、痛いような、ヘンな感覚だった。

「いっ…」
 襞のもっと中側に指を入れようとしたけれど、痛くて入らない。
 刺激に敏感過ぎるのだろうか。

01-373 :名無しさん@ピンキー:04/03/09 01:44 ID:2Z5g0y9W
 

01-374 :ボクたちの選択(48):04/03/09 01:51 ID:WE0lJe/K
>372
『ちんちんも、先の赤いところは触るだけで痛いもんな…』
 亀裂の先は、ちょっとぷくっとした後、すぐにお尻の穴だった。
『穴……が、あるんだよな……なんか不思議…というか、気持ち悪いな……』
 男と違って、女には剥き出しの尿道口と子宮に繋がる膣口があるはずだ。
『…オレにも子宮が出来てんのかな………』
 一瞬、お腹が大きくなってよたよた歩いている自分の姿が頭をよぎり、圭介は顔をしかめて
再びバシャバシャと顔を洗った。…と、
「けーちゃーん。あそこもちゃんと洗うのよー?」
 若い母が、にこにこしながらバスルームの戸を開けていた。

「かっ…母さん!!なんだよ!覗くなよっ!」
「ちゃんと洗ってる?清潔にしないとダメよ?」
「あ、洗うって、ど、どこを!?」
「やあね、けーちゃんの『オンナノコ』よ」
「『オンナノコ』?」
「うーん…正確に言うと、外陰部、生殖器、おま」
「わーーーーーー!!!!わかった!わかったから!!」
 なんてことだ。
 あの母には、『羞恥心』というものがこれっぽっちも無いらしい。
 尚も何か言おうとする母を睨みつける事で追い出して、圭介はぐったりと湯船の縁に顎を乗
せて溜息をついた。

 さっきは、『女性仮性半陰陽』ということでなんとか由香と健司に…強引に納得してもらっ
たが、圭介自身、母にそう言いなさいと言われたから言っただけで、それを本当に信じてもら
えるとは、正直…思っていない。
 圭介もバカではない。そしてそれは由香も健司も、そうだ。
 風呂から出て、母に髪を切ってもらい、それからパソコンを使ってネットで『仮性半陰陽』
の事を調べた。そして、あそこまで完璧に男だった体が、短期間にここまで女に変化すること
など完全に無いと知った。

01-375 :名無しさん@ピンキー:04/03/09 01:52 ID:WE0lJe/K
>374
ここまで。

この程度では「ぷちえろ」にもなりませんか?

また、数日後にお会いしましょう。

01-376 :名無しさん@ピンキー:04/03/09 02:26 ID:XgIKVkJP
既にここも「強制」女性化スレと一緒なんじゃなかろうかと。

圭介は女になることを望んでいたのか?違うだろ?
望んでいたとしても今まで男である事に同化していた自意識はシャレにならないほどの喪失感に襲われているだろう。

「無意識下で望んで」なんて言い訳は通用しない。
非強制ってのは一晩で元に戻るとか任意で変化するとか一日のうちに何度も変化するとかそういうのだろ。
少なくとも望みもしないのに永久に女でいなければならないってのは立派に強制だ。

この母親は何者なんだ?息子を女に改造してそんなに楽しいか?
子離れできない知恵遅れのように子供にべたべたして、自分の代理の肉体にでもしたいのか
それとも「わたしもそうだったのよぉ~んだからあんたも女にしてあげるわほら幸せでしょう下手な女と付き合うより男のほうがいいのよちんぽの味といったら以下略」
なんて低脳なわがままでも考えてるんだろうか?

01-377 :名無しさん@ピンキー:04/03/09 03:19 ID:S17WcUev
-何事も無かったかのように-

非常に話のテンポが良くて読みやすいですな。今後の展開が楽しみ。

01-378 :名無しさん@ピンキー:04/03/09 10:00 ID:5/nK36a1
>>376
 母親がなんかしたわけじゃないんじゃないか?
 俺は、この話フレックスキッドみたいな特異体質物だと思うが?
母親も同じ体質で男の子から女の子になったんじゃないの?

 誰だっけの商業小説でそういう設定の話があったし。
 仮性半陰陽物じゃないのは、男の子時代に精巣(と思うもの)があった
という時点で外れるだろうけど。
 他人が強制した証拠は現時点までどこにもない。
 元々成長すると性別が変わる体質ってのは強制じゃないだろう。
 芋虫は強制で蛹にされ、蝶にされるんじゃなく自然な成長過程でそうなるわけだし
そういう特異体質の持ち主っていうなら強制ではない。

 自分の趣味に合わないって理由で理不尽な言いがかりをつけるのは辞めような。
 基本的に文章が壊れている訳でもないし、キャラの心理に極端な飛躍があるわけでもない
つまり、作品に他人が余計な口を挟む道理はない。

きょうせい きやう― 0 【強制】
(名)スル 力によって他人を従わせること。むりじい。

01-379 :名無しさん@ピンキー:04/03/09 13:11 ID:eigrqbsP
今回も読みやすい文章で好感が持てます。
楽しみにしているのでこれからも頑張ってください。

しかし、今回の話では時間の流れが少し分かりにくかったです。
風呂に入ったのは由香と健司が家に来る前ですよね。
それなのに、>>374の後半で「さっきは、~」と彼女らが来たことを
過去の出来事として書かれているため、どうにも混乱してしまいました。
これは視点が現在に戻ったいうことなのでしょうが、そのすぐ後でまた
「風呂から出て~」と、視点が過去に戻っているように読めるので
通して読むと「さっきは、~」の部分も過去の視点で書かれているように見えます。

……って書いてて思ったけど、単に自分の読解力が足りなかっただけかも。
小説なんか書いたことのない奴の意見なので、見当外れの指摘をしていたらごめんなさい。

01-380 :名無しさん@ピンキー:04/03/09 16:44 ID:3mi7Zexg
おもしろければ全てヨシ(゚∀゚)!!

>>375サン
GOOD JOB!早く続きが見たい!!

01-381 :名無しさん@ピンキー:04/03/09 19:42 ID:ipE5A6kU
>>375さん
ドタバタ青春ラブコメ小説面白いですね!
難しいことはわかりませんが、内容も文章も
面白いので、読んでいてどんどん引き込まれます。
この先誰と誰がくっつくんでしょうね。ドキドキ。
ではまた会えるのを楽しみにしていまーす。

01-382 :名無しさん@ピンキー:04/03/09 22:54 ID:fZnaOFoV
>>378
SFネタとかだと、結構昔からある話だわな。
ある年齢までは性別が未分化とかどっちかの性だけとかで、
成長してから性別分化する種族ってのは。


何年か前に深夜アニメでやってた「宇宙海賊ミトの大冒険」なんかもそんな話だったとか思い出した。

01-383 :名無しさん@ピンキー:04/03/09 23:12 ID:QPg3MDij
> 成長してから性別分化する種族ってのは。

「エーベルージュ」ってゲームあったなぁ~

01-384 :名無しさん@ピンキー:04/03/10 00:40 ID:DG/iEGwP
そもそもこのスレの「非強制」の意図はどこにあるんだ? >>1読んでもあいまいだし。

「強制」とは陵辱やレイプのことなのか?それとも女にされることなのか?
俺は精神的屈辱を与えた時点で十分強制に値すると思うがな。

01-385 :375:04/03/10 00:42 ID:9iDryaMv
書いてはアプして…の綱渡り連載(?)。
色々不備はありますが、とりあえずラストまでのおおまかな流れは決まってます。

今回も「ぷちえろ」…かな?

「そんなものはエロじゃない」という人は、スルー願います。

NGワード「ボクたちの選択」

01-386 :名無しさん@ピンキー:04/03/10 00:43 ID:DG/iEGwP
精神的屈辱=その気がないのに異性にされること
すまん

01-387 :ボクたちの選択(49):04/03/10 00:45 ID:9iDryaMv
>385
 圭介が寝込んでから、まだ3日間しか、経っていないのだ。
 けれど、それでも、そう言わなければならないのが、圭介はひどく苦しかった。
 あの2人を、結果的に騙してしまう事になることが。


■■【9】■■
 担任のはるかには、母、涼子が連絡したようだった。
 翌日の午後、圭介の家を訪問した“はるかちゃん”は、リビングで何をするでもなくテレビ
をぼんやりと見ていた圭介を見て、
「か…かわいい…」
 と呟いた。けれど、剣呑な目で見やる圭介に気付いて慌てて居住まいを正すと、母と圭介と
3人でテーブルを囲み、定石通りの定例文を告げ、40分ほどで帰っていった。
 つまり、「君の苦しみもわかるけど」とか「みんな待ってるの」とか「外に出る努力をしな
くちゃ」とか「先生信じてる」とか、そういう、いわゆる「ひきこもり不登校生徒」に対する
ものと同じような対応の、新任教師にありがちな“マニュアル対応”をしたわけだ。
 初めての担任で一所懸命なのはわかるけれど、あまりにも配慮が足りないとしか、言わざる
を得ない。
 いつもの圭介であったら、そんな事を言われようものなら「勝手な事言ってんじゃねーよ」
とか「自分に都合が悪いからだろ?」とか「本当は心配なんかしてないくせに」とか「だった
ら変わってやろうか?」とか、ちょっとひねくれた言い方をしてしまったところだった。
 けれど、圭介を襲ったショックは本人が思ったよりもずっと根が深かったようで、その時の
彼は何も言えないまま、はるかが諦めて帰るまで「ああ」とか「はい」とか「うん」とか、彼
女の方を見ずに顔はテレビの画面に向いたまま、ただ繰り返し返事するのが精一杯だった。

01-388 :ボクたちの選択(50):04/03/10 00:47 ID:9iDryaMv
>387
 結局、はるかの事は、今まで頼りないとは思っても決して嫌いでは無かったけれど、今回の
事でますます「頼りにならない」と痛感し、そして、ほんのちょっぴり嫌いになった。一所懸
命だし、圭介の心を完全にはわからないまでも、せめて親身になろうというのはわかるから、
全然嫌いになった…というわけではない。
 けれど圭介は、本当に大事な事は決して相談出来ない人なんだ、という、そういう認識をし
たのである。

 そして、由香は次の日、結局夜になっても、来なかった。

 ちょっと、ショックだった。
 けど、仕方ないな、と思った。
 逆に、あの後、大丈夫だったのだろうか?と思った。由香は、「ぽややん」としているよう
で、実はいろいろ考え過ぎて、突然ポキンと折れてしまうようなところのある、そんな女の子
だったから。
 健司はと言えば、翌日の夜になってやってきて、前日からまた急激に髪が伸び、骨格が完全
に女性化して、ますます女の子っぽくなった圭介を見て、それでも
「けーちゃんは、けーちゃんだから」
 と言ってくれた。

 嬉しかった。

 他の誰に言われるよりも、心に染みた。
 男が人前で泣くなんてのは、とても恥ずかしい事だ。とてもとても恥ずかしい事だ。けれど、
涙がこぼれた。ぽろぽろと頬を伝い落ちて止まらなかった。外見とか、性別とか、そういうも
ので区別しない幼馴染が、かけがえの無い宝物に思えた。
 コイツには、何でも話せる。
 コイツなら、頼れる。
 コイツなら、何があっても、オレを裏切らない。
 そういう、確信めいたものが胸の中に芽生えたのである。

01-389 :ボクたちの選択(51):04/03/10 00:50 ID:9iDryaMv
>388
 それはまた一方で、健司に見捨てられるような事があれば、彼に嫌われるような事があれば、
自分はきっとひとりぼっちになってしまう。
 そんな、強迫観念じみた想いもまた、芽吹かせる事となったのだった…。


■■【10】■■
 目覚めてから4日間、彼が何もしなかったわけではない。
 その間、圭介は母からいろいろな事を教わった。
 正直、ちょっとうんざりした。
 17年間男として生きてきたのに、いきなり女の生き方を教えられても困惑するだけで、具
体的な現状の打開策なんてものはこれっぽっちも浮かびやしない。
 けれど、身体は心の器であり、心は身体のありように影響されるものだ。圭介の場合は、あ
る日突然…というわけでもなく、昏睡状態だった期間も合わせて一週間という時間をかけ、徐々
に心が肉体に引き摺られていった。
 それはいっそ、「馴染んでいった」と言い換えてもいい。
 「男であろうとする」「かつて男のものだった心」が、「女であることを強く感じさせる」
「女そのものの身体」に、徐々に“呑まれて”いったのだ。
 確かに喪失感は、強い。
 当たり前に男だった自分が元々持っていたものが、すっぽりと肉体から消失してしまったの
だから。
 それは「性器」だけではなく「力」であり「声」であり「肉体における自由さ」だった。

 たった3日間で、思い知った事がある。
 それは、男という生物は、「生物学的に」驚くほど「身軽」だった…ということだ。
 それをまざまざと実感する。
 男の時には感じなかった非力さを、些細な事で痛感した。
 前のように笑い合いたくて、訪ねてきてくれた健司を右手で軽く突いた事がある。
 健司の肩は、動きもしなかった。
 キッチンの椅子を運ぶだけで、腕が疲れた。

01-390 :ボクたちの選択(52):04/03/10 00:53 ID:9iDryaMv
>389
 親父の田舎から送られてきた、10キロの米が入った宅配便の箱を運ぼうとして、持ち上げ
る事も出来なかった。
 電話に出た時、圭介の声を聞いた相手が急に馴れ馴れしくなった時には、怒りを通り越して
呆れた。

 そして、女の肉体の不自由さを知った。

 トイレに行く度に、パンツもズボンも脱いで、便座に座らなければならない。たったそれだ
けの事が、とんでもなく面倒臭かった。
 それだけではない。放尿した後、トイレットペーパーを使わなければならないのがイヤだっ
た。男なら、陰茎の根元に力を込めて尿を切った後、“ぴっぴっ”と陰茎を振れば良かった。
それであらかた尿は切れるし、長い陰茎で尿が漏れる事もあまり無い。
 でも、女は違った。
 気を抜くと、尿が漏れる。放尿した後に丁寧に拭いておかないと、すぐパンツがおしっこ臭
くなる。一度など、くしゃみをした途端“ぴゅっ”と尿が漏れ、パンツがしっとりと濡れた。
なんだかそれが情けなくて悔しくて、パンツを換えながら、ちょっと、泣いた。
 うんちをした後は、もっとひどい。
 とにかく、拭くのが怖かった。ヘタに拭いて、うんちが性器についたら…あの繊細な襞につ
いてしまったら…。そう考えると、紙で強引に拭く事なんて出来なかった。幸い、ウォシュレッ
トが完備されていたから、圭介はそれを多用した。そして、トイレットペーパーを何回も何回
も使って、軽く叩くように、押し当てるようにして拭いた。
 以前はものの数分で済んでいた排泄作業が、5分も10分もかかるようになり、そういう些
細な事の繰り返しが、圭介の心の奥に、
「もうオレは男じゃないんだ」
 という、諦めにも似た思いを植え付けていった。

 17年という年月が、たった1週間という日々に、確実に侵され、呑まれ、そして、変化し
ようとしていた。

01-391 :ボクたちの選択(53):04/03/10 00:55 ID:9iDryaMv
>390
 もちろん、17年間男として培ってきたアイデンティティは、そうそうたやすく女性という
立場に対応出来るほど、柔軟でもいい加減でも無かった。
 それでも、その「変化」は着実に圭介の精神を、感情を侵食し始めていたのだった。

 涙が出やすくなったのも、変化の一つだった。
 確実に、情緒不安定になっている。涙もろくなり、感情に波があった。以前からその気はあっ
たけれど、女性化してからはそれが顕著だ。テレビから流れる、子供などの甲高い声に敏感に
なった。以前は鼻で笑っていたような、“あざとい”、いわゆる『泣きドラマ』で容易く泣い
たりもした。
 圭介も、「女」というものが、全てこんな感じだなどと思った事は無い。「女」にもいろい
ろいるし、基本的には男と同じ人間という生物なのだから。けれど、メンタリティの部分では、
圭介は確実に「圭介が思っていた女のイメージ」へと近づいていった。

 それは、本人の自覚も……無いままに。


■■【11】■■
 息子が突然娘になってしまった事について、母は特に気にしていないようだった。目覚めて
からずっと聞かされた話で、事の概要は理解したつもりだけれど、それでも、もうちょっと哀
しんでくれてもいい気がする。
 これで悲嘆に暮れて自殺でもしたらどうするつもりだったのか、圭介が少し不機嫌に言うと、
「そのための『ネクタル』よ」
 と言ってにこにこと微笑んだ。

 『ネクタル』というのはギリシャ(ヘレネス)神話に出て来る神々の飲み物であり、不死の
酒の事だ。同じく神の食べ物の『アムブロシア』と共に、全能の神「ゼウス」から眷属の神々
に振舞われたり、神々の子供達に与えられたりする、神話上の飲み物と言われている。

01-392 :ボクたちの選択(54):04/03/10 01:00 ID:9iDryaMv
>391
 …が、もちろん実際は、そんな伝説の飲み物が現実に存在する筈もなく、『ネクタル』とい
うのは母があの液体に、勝手に名付けた名前らしかった。圭介が夢現(ゆめうつつ)をさまよ
い、意識混濁の時、母が飲ませてくれた「蜂蜜みたいなトロリとした金色の液体」と「やたら
と喉越しの爽やかな水」が、共に母の言うところの『ネクタル』であり、どちらも基本的には
似たようなもので、その時の肉体の状態によってどちらを与えるかを変えたのだという。

「で、それって大丈夫なの?」
 圭介が、風呂に入ってさっぱりした身体で、覚醒した状態では3日ぶりとなる食事を口に運
びながらそう聞くと、母は傷ついた!という顔をして唇を突き出し、
「お母さんが、可愛いけーちゃんに危ないもの食べさせたり飲ませたりした事があった?」
 と大変憤慨あそばされた。
 圭介はキッチンのテーブルに載った母のたっぷりとした胸を見て、それから母の真剣な目を
ちらっと見て。

「おかわり」
 と、卵粥の2杯目を所望した。
 本当は、時々テーブルに現れる、生焼けのホットケーキや塩の入ったミルクセーキは危ない
ものじゃないのか、膝を突き合わせてじっくり聞いてみたい気もしたけれど、きっとたぶん
「愛情がこもってるからいいの」などと言って煙に撒かれるのは目に見えていたので、ちゃん
と無視しておいた。
 たぶん、実際には栄養剤とか、精神安定剤とか、そういうものなんだろうと、圭介は思って
いるのだが。
 とにもかくにも、圭介が必要以上に悲嘆したり、発作的に世を儚(はかな)んで自殺したり
しなかったのは、その『ネクタル』のおかげらしかった。

「ね?ね?お母さんだって、ちゃんと考えてるのよ?」
 そう言って、『どーん!』と白いブラウスを突き破るのではないかと思うくらい突出した、
豊かで重たげな胸を張って得意げに言う母を見て、それでも安心出来る人間は、きっとそうは
いないに違いないけれど…と、圭介はひっそりと思った。

01-393 :名無しさん@ピンキー:04/03/10 01:12 ID:9iDryaMv
>392
ここまで。

 好意的に受け入れられたので張り切ってしまいましたが、その分、なんだか文が整理されて
ない度が上がってしまった気がします…。

>379
 ありがとうございます。
 わかりにくくてすみません。御意見を頂き、あの後、大幅に書き直しました。時間経過も整
理しましたが、またアップするのもなんなので見送ります。
  379 さんの指摘で直っただけですので、筋道は変わっていません。改変に伴い、
■■【12】■■
 で最初から区切りをつけました。今回は【9】から入れておきました。

>ALL
 人の意見・感想は、いろいろあるから楽しいですね。
 皆さんがおっしゃるように、よくある話です。そして、もっと単純です。
 終わったら「な~んだ」です。
 でも、よろしければ、最後までお付き合い下さい。
 どうしても嫌な方は、いつも最初書いてるようにして下さい。

 私がこのスレに書いたのは、あっちのスレよりこちらのスレの作品がマイルドに感じたから。
 ただ、それだけだったりします。
 「強制」「非強制」の定義はムツカシイですね。
 転換した後の、主人公の心の流れ……は、基準になりませんか?

 それでは、数日後…。

01-394 :名無しさん@ピンキー:04/03/10 01:15 ID:DG/iEGwP
>転換した後の、主人公の心の流れ……は、基準になりませんか?

強制の陵辱小説にしてもいずれ女性である事に同化するんだから一緒だし
無理に違う性に変えられて一生癒えないかもしれない傷を負うという点では変わらない

第一あの母親が気味悪くてしょうがない
アリスの娘のコンピューターみたいに

01-395 :名無しさん@ピンキー:04/03/10 01:19 ID:DG/iEGwP
強制がマイルドじゃないってんならおまいが変えればいい
少なくともこの小説には陵辱要素はないし

01-396 :名無しさん@ピンキー:04/03/10 01:37 ID:eaaqqCEX
今回はうって変わって、淡々とシリアス風味ですな。圭介の心理描写や視点の出来事が中々良い感じ。乙です。

ところで、




NGワード:DG/iEGwP

でしたっけ?

敢えて釣られてあげますけど、何に一人でウジウジと固執してるんだか。いわゆる粘着?
嫌ならちゃんと作者が断り入れてるんだし、議論がしたいなら強制の方のスレに行って騒ぐきかなと。幸い向こうは今小説投下されてませんしね。

01-397 :名無しさん@ピンキー:04/03/10 01:49 ID:DG/iEGwP
人のこと粘着って言ったり変な憶測や言いがかりつける暇があったらもっと上手な文と挑発技術を身につけたらどうかなと。

01-398 :名無しさん@ピンキー:04/03/10 02:00 ID:ZIXldSki
>>397
句読点と改行を入れろい。

いちいち、こだわり杉なんだよ。
誰かに迷惑かけてる訳でもないし。むしろ大歓迎だっての。
この程度の事でガミガミ言うのはもう辞めよう。

01-399 :名無しさん@ピンキー:04/03/10 03:16 ID:utWuWRRC
>>397
粘着するなよ、鬱陶しい。

01-400 :名無しさん@ピンキー:04/03/10 09:03 ID:eAitpO01
>>397
How does it feel?

01-401 :名無しさん@ピンキー:04/03/10 13:22 ID:/Xx4hQwj
建設的な批判と単なる荒らしの区別はつけようや。
そして、荒らしは放置が一番嫌い。

それにしても、今回も良い出来です。
TS物は心と体の女性化の過程が一番重要な部分だと考える自分にとっては
その両方がじっくりと描かれているこの作品は、非常にツボを突かれます。
ただ、いきなり「ネクタル」と出てきたときにはちょっと焦りましたが。
そろそろ原因の解明かな? とにかく期待してます。

01-402 :名無しさん@ピンキー:04/03/10 13:35 ID:OQ86c5PD
不二家のネクターも、ネクタルが語源だったりする。

01-403 :名無しさん@ピンキー:04/03/10 22:10 ID:UuiMEBGN
これはやっぱり「強制」だよな……

01-404 :名無しさん@ピンキー:04/03/10 23:17 ID:s0ZMF5+W
>>403
そう思うなら、あなたが正しいと思うネタ&小説を書いて
流れを修正してくれ!

01-405 :名無しさん@ピンキー:04/03/11 00:21 ID:MyT/pBX5
懐かしのガッチャマンのベルクカッツェが

「一年ごとに男→女 女→男を勝手に繰り返した 」

という話をおもいだす

01-406 :名無しさん@ピンキー:04/03/11 00:28 ID:kPiGQoIy
>>403
 誰による強制?
 強制ってのは本来自動詞で、強制する人(神など人以外の人格を持つ物でも良い)がいないと強制にはならんよ。

 強制って主張する以上、強制した何者かを確信してるんだろ?
 ちゃんと誰による強制かを明確に主張してくれよ。

01-407 :名無しさん@ピンキー:04/03/11 00:45 ID:2JQJ5n1A
>>405
あれほど数奇な運命の美形キャラなのに、エピソードが
わずか一話だけだったところが悔やまれる。
それに比べてゲルサドラだっけ?
パート2の蜷川新右エ門みたいな格好のあいつの
安易なオカマ言葉だけは許せん!

01-408 :名無しさん@ピンキー:04/03/11 00:56 ID:OXZ0G689
なんか荒れ気味だな。
強制スレでも同じような話題になってるしこれ以上こんな事を
して、また書き手さんを追い出してこのスレを過疎化したいのねぇ

俺も書きたくなって様子見しているけど・・・こんな雰囲気では
書きたくなくなるなぁ。

01-409 :名無しさん@ピンキー:04/03/11 01:08 ID:fE+uL45r
>>408
こんなときこそ書くから大事にしてくれるとおもふ
それに釣りしてる香具師一人だけだし
できれば、書いて欲しい

01-410 :名無しさん@ピンキー:04/03/11 01:34 ID:ksDkH4yQ
393サン
好きだ!!応援してる!
続きYOROSIKU!!!

01-411 :393:04/03/11 02:16 ID:px7+KzDJ
数時後とか言いながら次の日にアプ。
短期間での執筆&アプで文が荒れ気味ですが、この刹那的活動が少し楽しかったり。

今回もまた「ぷちえろ」…かな?

「そんなものはエロじゃない」という人は、スルー願います。

NGワード「ボクたちの選択」

01-412 :ボクたちの選択(55):04/03/11 02:17 ID:px7+KzDJ
>411
 そんな母だったが、圭介が寝込んでいる間に買い物をしておいたのか、下着から何から女モ
ノをちゃっかり用意しておいてくれたのには、本気で、ちょっと…絶句したものだ。しかもサ
イズは測ったようにピッタリだった。眠っている間に身体を拭いた…とか言っていたから、きっ
とその時にでもサイズを測ったのだろう…と圭介は思ったけれど。
 確かに、正直に言えばズボンを履いていると、トランクスだと股間に当たる硬い布地があの
『肉の裂け目』に食い込んで、時々…ホントに時々、すごく痛くなったから、女モノの柔らか
い下着は……不本意ながら、ありがたかった。
 そう思っていた。
 実際に履いてみるまでは。

「さ、履いてみて」
 食事が終わった後で、にこにこと満面の笑みで言われながら、駅前の大きなデパートの紙袋
に入った、それなりに有名なメーカーの下着を母から受け取った時、圭介はたぶんきっと死刑
宣告を受けた囚人みたいな顔をしていたのだと思う。

 これを履いたら、もう戻れない。

 そんな気分だったのは確かだ。

「覗かないでよ?」
 そう言って、圭介は部屋に入り、袋から下着を取り出して広げてみた。光に透ける白い布地
のそれは、少年漫画でよく「パンティ」とか「ショーツ」とか「スキャンティ」とか呼ばれて
る、圭介が想像していたような、過度な細かい刺繍で彩られた色っぽい下着などではなかった。
サイドも幅があって、まるで前に穴が開いていないブリーフみたいだった。もっとブリーフと
の違いが顕著なのは、布地が想像していたよりもずっと薄い事だった。

01-413 :ボクたちの選択(56):04/03/11 02:19 ID:px7+KzDJ
>412
 圭介は一呼吸すると、意を決してパジャマごとトランクスを脱いだ。脱ぐ直前、あたりをき
ょろきょろと見てしまい、自分の部屋なのに何をそんなに警戒しているのか、自分で自分が可
笑しくなった。骨盤が張って、お尻の肉が、男だった時よりもむっちりと付いているため、そ
の肉を全部包むようにして下着に押し込む。腰骨の位置がなんだか微妙なためか、ゴムが当た
る部分がよくわからないけれど、たぶんこんな感じだろう…と適当に引き上げた。

「………ヘン…」
 鏡に映して見てみた自分の姿に、圭介は顔をしかめて溜息をついた。正面から見ると、前が
膨らんでいない股間がこんなにも頼り無く見えるとは思わなかった。それに、なんだか今にも
ずり落ちそうで、どうにも心もとない。
 くるっと背中を向けてパジャマの上着を捲り上げ、お尻を鏡に映してみる。そんなに大きく
ないけれど、それでも男だった時から比べると明らかに大きい。ぽってりとしたお尻の肉は決
して垂れてなどいないものの、下着からむちっとはみ出た肉が、なんだかすごく恥ずかしくて、
圭介は下着の端を指できゅっと引っ張って、隠した。
 その瞬間。
 圭介は、突然感じたのだった。
『ああ、もう、戻れないんだな…』
 鏡の中でパジャマの上と下着だけの姿で立ち尽くす少女は、肩を落として今にも泣き出しそ
うな顔をしていた。

■■【12】■■
 こうまで用意周到では、息子が女になったのを気にしていないどころではない。やはり、母
はむしろ喜んでいるのではないのか?…と、圭介は思った。
 けれど、それに対して圭介は、一抹の寂しさと共に「女親なんてこんなものか」と、思った
りもした。
 過保護に纏わりつく自分を疎ましく思う息子よりも、一緒に何か出来る…出来そうな娘の方
が、やっぱりいいのだろう…と。

 ところが、目が覚めて3日目の夜、リビングのソファで寝入ってしまった時、圭介は見てし
まった。

01-414 :ボクたちの選択(57):04/03/11 02:21 ID:px7+KzDJ
>413
 消えたテレビに映る、母の顔を。
 母は、辛そうだった。
 これ以上ないくらい、哀しそうだった。
 それも、ただの哀しみようではなかった。息子の境遇を思い、痛ましさに胸が張り裂けそう
な、聖母マリアのような顔をしていた(もちろん、実際に見た事なんて無かったけれど)。
 母は、息子が薄目を開けてテレビの画面に映った自分の顔を見ているなんて、ちっとも気付
いていないのだろう。
 顔を歪め、唇を震わせて、母は、息子の後姿をじっと見つめていた。
 圭介がいたたまれずにもぞもぞと身体を動かすと、慌てて欠伸したようなポーズを取り、
「お母さん、眠いから、もう寝ない?」
 と言って、優しく圭介の細い肩を揺すってくれた。

 胸が、痛かった。

 圭介がそばにいる時はいつもにこにこして、嬉しそうで、悩みなんてこれっぽちも無さそう
な母だったのに。
 思えば、テレビの収録やマスコミの取材などでいつも忙しそうな母が、圭介が寝込んでから
ずっと側にいてくれたのだ。超が付くくらい過保護で子離れ出来ていない“減点ママ”なのは
変わらないけれど、いや、むしろ加速しているような気もするけれど、今までなら圭介が目覚
め、身体的には異常が無いとわかった時点で、仕事に戻っていただろうに。
 ただ能天気に、息子の肉体が『固定化』したことを喜んでいたわけではなかったのだ。
 肉体的に精神的にもまだまだ不安定な圭介を、一番近いところで見つめ、癒し、そして慈し
むために、息子の姿がどうあれ、全てを受け入れるために、母にも時間が必要だったのだろう。
 そして、そばに能天気で何も考えていないような明るい人間がいると、大抵の人間は暗く落
ち込む事なんて出来なくなるということを、母は知っていた。能天気な人間に引き摺られて、
悩んでいることそのものが馬鹿らしくなるか、または、能天気な人間に対して呆れや怒り、ま
たは反発心からくる発奮を感じるようになる。いずれにしろ、暗いエネルギーを維持出来なく
なるのだ。

01-415 :ボクたちの選択(58):04/03/11 02:24 ID:px7+KzDJ
>414
 だからこそ、母はあの話をしてからずっと、能天気で何も考えていない母を演じ続けてきた
のだろう。
 母の言葉は、嘘では無かったのだ。圭介はそう、思った。
『信じて欲しいのは、お母さんがけーちゃんの事を愛しているってこと』
 あの言葉が、胸を締め付けた。
 もちろん、何も考えていない能天気で明るい母が地じゃないなんてことを、圭介はとても否
定なんて出来やしなかったのだけれど。

 圭介は、珍しく母に「おやすみなさい…お母さん」と告げ、階段を上がった。
 「おやすみ」でも「おやすみ、母さん」でもなかった。それは、小学生の頃、母の胸に抱か
れながらキスのお返しをして、そして甘えるように言った言葉だった。
 まだ、キスは出来ないけれど、
 母からキスされるのも照れ臭くて嫌だけれど、
 でも、ようやく母と、ちゃんと向き合えるようになれるのかもしれない…と思った。
 母は、いつものように優しく微笑んで、
「おやすみなさい、けーちゃん」
 と言った。
 その声を聞いた時、圭介は感じた。
 あの日、目覚めてから聞いた母の言葉を、ようやく冷静に振り返る事が出来そうだ…と。

■■【13】■■
「はあ?何言ってんの母さん」
 6日前のあの日、あの朝、圭介は、ベッドの側の床に正座して、今まで一度も見たことの無
いような真剣な目でこちらを見上げる若い母を、呆れたように見やった。

「いいから。ね?おちんちん、ある?」
 黒目がちでいつも濡れたような瞳を向ける母の言葉には、有無を言わせぬ迫力がある。けれ
どそれは、去年の出演映画『ふた恋』での「冷徹で氷の微笑が似合うヒロイン」とは、どうし
ても結び付かなかった。
 もっと切実だ。

01-416 :ボクたちの選択(59):04/03/11 02:26 ID:px7+KzDJ
>415
 まるで、「今度いつ帰ってくるのか」と、遠方に単身赴任している夫や父に聞いている新妻
とか娘みたいな声音で聞かれた気がする。
 つまり。
 『ちゃんと答えないと泣くぞ』と言われた気がした。

「ねっはやくっ」
 TV画面や雑誌の中では、母の真剣な眼差しを見た事もあった。けれど、今日のような母を
見るのは、初めてだった。
 母に急かされ、圭介は毛布の中に手を入れた。まだ、昨日の無感覚を引きずっているのだろ
うか。どうも、股間にいつも感じる感覚が無かった。
 右手を股間に当てようとして、その直前で躊躇する。寝小便してしまって、まだそこはしっ
とりと濡れているのだ。

「あの、母さん」
「もうっ、どうなの?あるの?無いの?」
 ベッドの端に両手を着いて詰め寄る母に、気圧されるようにして股間に触れた。

「……え?…」
 手に、何も感じなかった。夜にトイレに行った時、親指の三分の二くらいの大きさまで縮み
上がっていた陰茎を思い出す。

「…あ…ははっ…」
 手が濡れるのも構わないで、今度はさらにズボンの中へと手を入れる。
 けれど、やっぱり、無かった。

「うそっ!?」
 毛布を跳ね除け、膝立ちになり、母がいる事も忘れてしまったかのようにトランクスをズボ
ンごと引っ張って、中を見た。
 トランクスの裏地に、もしゃもしゃしたものが大量にへばりついているのが見える。さっき
からずっとむずむずとむず痒かったのは、オモラシをしてしまったから…というだけではなかっ
たらしい。
 右手でそのもしゃもしゃしたものを摘んでみた。
 それは、黒くて、艶々して、そして歪(いびつ)に縮(ちぢ)れた毛。

01-417 :ボクたちの選択(60):04/03/11 02:29 ID:px7+KzDJ
>416
 下腹部を触る。
 つるつるしてた。
 ……陰毛が、全部抜け落ちた??
 何がどうしたのかわからない、ただ、気が抜けた。

「どう?あった?無かった?」
「……ない……」
 圭介が手に縮れ毛を持ったまま呆然と言うと、
「きゃーーーーー!!!おめでとうーー!」
 急に女子高生みたいな黄色い声が響いて、圭介は母にむぎゅっと抱きしめられた。ふかふか
とした二つの豊満なふくらみに顔を埋められ、圭介はじたばたと暴れる。

「ちょ…かあっ…」
 いい臭いの母の香りを嗅いで、逆に圭介は、自分がツンとした酸っぱいような臭いとアンモ
ニアの臭いで、とんでもなく臭い事を思い出した。
 恥ずかしい。
 強烈な羞恥心が身体をカッと熱くした。恥ずかしくて恥ずかしくて恥ずかしくて、汗がます
ますどっと出た。
 けれど、離れたいのに母は離してくれない。

「ちゃんと固定化したのね?初めてだからお母さん、すっごく心配したのよ?」
「え?ちょ…え??固定化?なん……ちょ…かあっさんっ!」
「よかったぁ……ほんとうに…よかったぁ……」
 自分の豊満な胸で愛しい息子が窒息寸前に陥った事にこの母が気付くまで、あともう少し。


 ひとしきり『娘』の抱き心地を堪能したのか、母は満足そうに微笑みながら「お風呂を沸か
してくるわね?」と言いつつ部屋を出て行った。圭介はその間に…と、汚れてしまったズボン
とパンツを慌てて脱ぐ。
 そして母の持ってきた、お湯の入った洗面器でタオルを硬く絞り、とりあえず顔や手や首筋
や胸元などを拭いたけれど、一番汚れているだろう股間は、こびりつく陰毛と垢を手早く拭っ
ただけで、奥の方にはほとんど触れなかった。

01-418 :ボクたちの選択(61):04/03/11 02:32 ID:px7+KzDJ
>417
 怖かったのだ。
 自分の身体ではあるものの、まだ、自分の身体とか思えなかった。見慣れた陰茎も陰嚢も無
く、つるつるで、産毛だけしか生えていない。
 そんな所をヘタに触れて“取り返しのつかない事”になったりしたら、困る(どう取り返し
がつかなくなるのかは、さすがに想像も出来なかったけれど)。そう思ったから、ちょっとお
湯を含ませたタオルで軽く拭うだけにしておいたのだ。ねとねとした白っぽい粘液がいっぱい
ついて、すごく臭くなり、そのタオルではもう顔は拭けなくなってしまったけれど。

「……あ……」
 身体を拭き始めて、圭介は自分の髪が胸元まで伸びている事に、今更のように気付いた。気
付いて、自分がいかにパニックになっていたのかを知った。それとも、感覚そのものがマヒし
ていたのだろうか?
 ばさばさと顔に振りかかる髪をしきりに掻き上げ、圭介は今日、目覚めてから最初の溜息を
吐(つ)いた。

「けーちゃーん。下で話さないー?」
 ベッドの上やカーペットに散った“恥ずかしい縮れ毛”を拾っていると、階下から母の呼ぶ
声が聞こえた。
 まだ、パジャマの下の肌がべとべとしている気がするけど、我慢出来ないほどじゃない。そ
れよりも、長く伸びた髪から白いフケがパラパラと落ちて、それに気付いてからは、ずっと頭
が痒くてたまらなくて、そっちの方がずっと気になった。フケの浮いた不潔な頭など、自慢じゃ
ないが圭介は今まで一度だって人に見せた事は無い。はずだ。
 早く洗いたかったけれど、とりあえず応急処置として、リビングに行く前にトイレで頭をば
さばさと振ってフケを落とすと、水を流しながら手早く輪ゴムで髪をひとまとめにした。

「お風呂、今沸かしてるから、その間にちょっとだけ昔話するね?聞いてくれる?」
 パジャマにフケがついていないか確認してから圭介がリビングに行くと、ちょうど手にティ
ーカップの乗ったトレイを持って母が入ってくるところだった。

01-419 :ボクたちの選択(62):04/03/11 02:34 ID:px7+KzDJ
>418
 もう、いつもの母だった。
 いつもの、ぽやぽやとして、息子が可愛くて可愛くて可愛くて仕方ない、ただの子煩悩な母
親の顔だった。

「昔話?」
「ね、けーちゃんは、お母さんがどうして女優なんてやってるのか、不思議に思ったことは無
い?」
「へ?」
 突然、母はいったい何を話すつもりなのだろう?
 圭介は、自分が女性化したその理由を母が知っているのだと思っている。知っているからこ
そ、特に驚きもせずに普通に接し、あまつさえ
『きゃーーーーー!!!おめでとうーー!』
 などと言い、さらには
『ちゃんと固定化したのね?初めてだからお母さん、すっごく心配したのよ?』
 などと言ったのだろうと思っている。

 固定化。

 どういう意味なのか。
 “何が”固定化したのだというのか。
 身体が?
 女に?
 それは、いったいどういう意味なのか。
 それを母は、ちゃんと説明してくれるものだと思っていた。だから大人しくリビングに降り
てきたのだ。
 なのに。

「そんな怖い顔しないで。ちゃんとワケも話すから。ね?」
 むうっと唇を突き出して拗ねるように言う母を見て、圭介は不機嫌そうにするのも馬鹿らし
くなり、ティーカップを取って香りの良い紅茶を一口だけ口に含んだ。

01-420 :名無しさん@ピンキー:04/03/11 02:35 ID:px7+KzDJ
>419
ここまで。

おやすみなさい。

01-421 :名無しさん@ピンキー:04/03/11 03:19 ID:cstFtgee
グッジョブデス。
おやすみなさい。

01-422 :名無しさん@ピンキー:04/03/11 11:00 ID:cy+7ESIF
おはようございます。
グッジョブデス!

01-423 :名無しさん@ピンキー:04/03/11 11:03 ID:ksDkH4yQ
今回もハイレベルで、おもろしかったです。・゚・(ノ∀`)・゚・。
GOD JOB

01-424 :名無しさん@ピンキー:04/03/11 11:12 ID:QWh1HFZm
>>420
 面白いっす、続きが楽しみです。

 できれば、圭一の体験した時系列に沿って話を綴ってくれた方がありがたかったかと。
 事情のわかっていない圭一と事情のわかっていない読者は同じように話の流れを知った方が
無理がなく理解しやすいし、感情移入もしやすいかとおもいます。

 回想シーンを使ってドラマチックに話を見せるという手法は、時系列にそった物語本来の流れ
を完璧に仕上げきって、その上で効果的に少しずつ見せるようにした方が読者が付いていきやす
いかと。
 長い回想ってのは、タイムスリップになるんでせっかくの話にのめりこみ難くなります。

 作者は全貌が頭の中にあるんでどこから切り出しても大丈夫ですが、読者は0から読み取った
もので構築していくんで、1階の後に4階、5階、3階、2階とか渡されると組み立てるのが
大変になります。

01-425 :420:04/03/12 02:07 ID:Kbjsb35T
今日は設定消化の日…。
エロパロ板で設定厨みたいな文をアプするもどうかとは思いますが、
とりあえず。
今回はエロが

まったく

ありません。

「そんなものはいらん!」という人は、スルー願います。

NGワード「ボクたちの選択」

01-426 :ボクたちの選択(63):04/03/12 02:09 ID:Kbjsb35T
>425
■■【14】■■
 むかしむかし、あるところに一人の、それはそれは可愛らしい女の子がいました。
 女の子はたくさんの優しい人達と、ながいながい、気が遠くなるくらいに長い旅をしていた
のですが、ある時、哀しい事に事故が起こり、気がついた時には見知らぬ土地で、たったひと
りぼっちになっていました。
 そこは、言葉も心も通じない、とてもとても寂しくて恐ろしい場所でしたが、女の子はあの
優しい人達もきっと無事だと信じ、何年も何年も待ち続けました。
 1年経っても、誰も女の子を捜しに来ません。
 10年経っても、誰も女の子を見つけてくれません。
 女の子は、寂しくて寂しくて、あのまま死んでしまった方が良かったと思い、硬く心を閉ざ
してしまいました。
 でも、女の子の辿り付いた場所には心優しい動物達がたくさんいて、女の子を神様か宝物み
たいに大事に大事に扱ってくれていたので、どうしても自分から命を絶つ事は出来ませんでし
た。女の子は動物達が作ってくれた建物の中で、それから何年も何年も、自分の時間を止めて
暮らしました。
 女の子は動物達よりもずっとずっと長生きでしたから、動物達と暮らすうちに、彼らの言葉
や心を少しずつ理解していきました。なにしろ、時間だけはたっぷりあったのですから。
 女の子は、動物達が自分と同じように、考え、笑い、怒り、泣き、そして愛を持って子孫を
残す生き物なのだと知って、自分を今まで護り、称え、そして愛してくれた彼らを、自分も愛
するようになりました。
 20年が経ち、30年が経ち、女の子は事故の時に自分といっしょにこの土地に辿り付いた
乗り物の力を使って、自分の身体を、彼らと同じにしようと思い始めました。
 彼らと同じになり、彼らと共に生きよう。
 彼らに混じり、彼らの子供をつくろう。
 それが自分の、ここですべき事なのだと思ったのです。

01-427 :ボクたちの選択(64):04/03/12 02:11 ID:Kbjsb35T
>426
 きっとそのために、自分はここにやってきたのだと、女の子は思ったのです。
 おしまい。

 話し終わり、紅茶を飲んで「ほうっ」と幸せそうに一息ついた母は、「ほにゃにゃ~ん」と
した顔で、女の子の姿をした愛しい息子を見た。

「それで?」
「それで?って?」
「……それだけ?」
「なにが?」
 少女のように、きょとんとした無垢な瞳で見つめ返す母に、圭介はだんだんムカムカしてく
る。頬杖をつき、無意識のうちに右手の指でテーブルをとんとんと叩いていた。まるで、特別
補佐官の報告を受けるキューバ危機の時のアメリカ大統領のようだった。

「それで終わりかって聞いてんの」
「終わりよ?」
「………なんだよそれ…全然説明になってねーじゃん!!」
「そりゃそうよ。肝心のお話はここから始まるんですもの」
「…へ?」
 母はにっこりと笑うと、紅茶をもう一杯カップに注いで、今度はたっぷりとミルクを注いだ。
1杯目はストレートで、2杯目はミルクティーで…というのが、母の大好きなお決まりのコー
スだ。

「お母さんが善ちゃんと初めて会ったのは、チベットの山奥だって事は、前に話したかしら?」
「ぶっ!!?」
 吹いた。

「あらあらあら」
「『あらあらあら』じゃねーよ、聞いてないぞそんなのっ!!」
 圭介の口元をティッシュで拭いてやりながら、母は、父親に叱られた幼女のように首を竦め
た。
 「善ちゃん」というのは圭介の父親のことだった。正しくは「善二郎」と言って、煮ても焼
いても食えなさそうな、殺しても死ななそうな、実にふてぶてしい顔をしている。圭介は、一
週間のほとんどを家に帰って来ず、たまに帰ってきては好き勝手やってまたいなくなる父親が、
子供の頃からちょっと苦手だった。

01-428 :ボクたちの選択(65):04/03/12 02:13 ID:Kbjsb35T
>427
「そんなに怒らなくてもいいじゃない~…」
「なんでそんなとこで母さんとオヤジが出会うんだよ?なんかヘンだぞ?」
「ヘン…かなぁ?」
 小首を傾げて「うにゅにゅ」と唇を歪めた母は、肌の色も顔付きも体型も日本人離れはして
いるけれど、それでもやっぱり日本人にしか見えなかった。その上、言葉遣いは、何年も何十
年も日本で暮らし、日本の土壌で育まれた慣習や常識をその身に受けて育った人間のそれだ。

「出会ってすぐにわかったの。善ちゃんは“混じってる”って」
「は?……何が?」
「“他の人達”の血よぉ」
 “人の話、ちゃんと聞いてた?”と言われた気がした。

「ちょ…え?なに?“他の人達”?血??」
「んもうっ…話は最後まで聞いて」
 なんだか思いもよらない方向に話が流れていく事を感じて圭介が慌てて居住まいを正すと、
母は「めっ」と軽く圭介を睨んで、ミルクティで唇を湿らせた。

■■【15】■■
 それから母が話し始めた事の半分も、圭介は理解出来たとは言い難い。荒唐無稽で、とても
信じられるものではなかったからだ。
 そして、あまりにも馬鹿馬鹿し過ぎた。いまどき、中学生の妄想話でも、もっと出来のいい
話が聞けるだろう。

「お母さんが善ちゃんと出会ったのは、私が何回目かの休眠期から目覚める直前だったわ」
 母は、うっとりと夢見る恋乙女のような顔をしながら、自分の過去…だという話を語り始め
た。

 チベットの一部族……彼らの言葉で「天の一族」と呼ばれる一族に伝わる、古い古い洞穴
(どうけつ)の中で、圭介の母「涼子」と父「善二郎」は出会った。
 母は、部族でも代々の長老にしか伝えられない聖別された土地に眠り、父はその母を目覚め
させるためにやってきたのだ。

01-429 :ボクたちの選択(67):04/03/12 02:15 ID:Kbjsb35T
>428
 父は、母が目覚めると彼女を連れ、チベットを出て、一番最初にインドに渡り、そこからイ
タリア、オランダ、スペイン、英国、アメリカ…と、次々と住む土地を替え、戸籍を替え、時
には顔や体型そのものを変え、そして時には地下(アンダーグラウンド)に潜り世間の“目”
から身を隠した。
 長い長い旅だった。
 けれど、寂しくは無かった。
 父は、母の仲間だったから。半分……いや、数十分の一ではあったけれど、母と「同じ」だっ
たから。
 戸籍を買い、名を変え、日本にやってきたのは20年前のこと。それまでの旅の過程で、母
は自分と同じように“事故”の中で生き残った人達の…いや、正確には「その人達らしい噂」
を耳にした。
 それは時に、国の中枢に食い込み権力者の影に隠れながら人々を見守る『守護者』として。
 時に、人里離れた原生林の奥地でひっそりと暮らす隠遁者……『仙人』として。
 そして時に、弱き者を助け夜を駆ける『不死人』として。
 それど、彼(か)の人々との接触は、その頃の母には到底叶わない夢でしか無かった。

「ちょ……それっていったい何の話…」
「黙って聞いてて」

 母は何も、波乱を求めたわけではない。彼らと会いたいと願ったのも、それで何かをしたい
とか、生まれ故郷に帰りたいとか、そういう変化を求めたわけではないのだ。
 母は、夫との静かな、穏やかな生活だけを望んでいた。
 夫の故郷である日本に辿り付き、日本の風土や気候、人々の穏やかな気質に触れた時、母は
ここを「故郷」にしようと思ったのだという。
 ここで暮らし、人々に混じり、子を作り、育て、そして見守っていきたいのだと。
 それでも、同族に対する思慕、故郷を同じくする人々への想いは、どうしても断ち切る事は
出来なかった。
 ずっと一人ぼっちだったのだ。
 ひと目会うだけでも。
 自分の覚えていない、故郷の話を聞くだけでも。

01-430 :ボクたちの選択(68):04/03/12 02:17 ID:Kbjsb35T
>429
 想いはつのり、気の沈む日を送る事も多くなった。
 そんな母に、「女優」になる事を提案したのは、父だった。
 母にはそれを可能にする力があったし、父にはそれをバックアップするだけの人脈と財力が
あった。

「オヤジってそんなに金持ちだったの?」
「んふふ、ひ・み・つ」
「…なんだそりゃ……けど、住むとこ変えたり戸籍を変えたりして隠れてたのに、よくそんな
目立つことしようなんて思ったなぁ…」」
「だってぇ…」

 音と光の映像を広く伝えられる媒体であれば、実際には何でも良かったのだけれど、父の
「美人な妻を自慢したいから…ってのは、理由になんねーかな?」
 の一言で、母は即決したのだという。

「………単純……」
 痒さの増した頭を指でこりこりと掻きながら、圭介は呆れたような目付きで、頬を染めテー
ブルに“のの字”を書きまくる母を見た。

「だってぇ…善ちゃんの頼みなんだもん」
 この夫婦は今でも「涼子ちゃん」「善ちゃん」と呼び合う仲なのだ。昔は仲の良い両親を見
るのは嬉しかったけれど、年頃になっても息子の目の前で平気でキスする姿は、気恥ずかしい
を通り越してうんざりしていた圭介だった。

 母が芸能界に身を置き、特定の音と色彩と韻の組み合わせで世界中に散らばった仲間へメッ
セージを送り始めてから、徐々に彼らからの接触が増え始めた。細心の注意をもって構成され
たメッセージは、母と故郷を同じくする人々にしか理解する事が出来ない。母や、彼らを“追
う者”達には、ただの声や音や曲や色彩としか感じられなかったことだろう。

「ちょっと待ってよ。“追う者”ってナニ?母さん、いったいナニしたのさ?なんで母さんが
追われなくちゃなんねーの!?」

01-431 :ボクたちの選択(69):04/03/12 02:19 ID:Kbjsb35T
>430
「わかんない」
 勢い込んで身を乗り出す圭介に、母はカップを持ったまま「ぺろっ」とピンク色の舌を出し
た。

 日本という極東の小さな島国からの発信ではあったが、そのメッセージはTVを含めた映像
を媒介して、その“因子”を持つ人々から人々へと伝わっていったのだ。
 圭介が小さい頃、良く家に来ていた芸能界関係の人達は、みんな世界中に散らばっていた、
かつての仲間なのだという。

「けど、あれ?…うちに来た人って、みんな日本人じゃなかった?」
「見た目はね?みんな顔や体型を変えて来てたから」
「へぇ…………………って、たかが同郷の人間に会うだけで、整形までしてきたっての!?」
 頷きかけて、圭介は不意に顔を上げて母を見た。いくら小さかったとはいえ、日本人と外国
人の区別くらいはつく。

「整形?……整形手術?…そんなことしないわよぉ?」
 母はのん気に言って、くすくすと笑った。

「地球に来てから、みんな一度も手術なんてしてないわ。原始的な器具で身体を切り裂かれる
なんて、お母さんでも怖くてダメね」
「地球???」
 にこにこと聞き捨てならない言葉をのたもうた母上に、圭介はぎょっとして聞き返した。

「そう」
 その時の母の顔で、圭介は、彼女が意図してわざわざ「地球」という言葉を使ったのだと悟っ
た。

「………ええと……」
「けーちゃんが今いる惑星(ほし)よ?」
「んなこたわかってるよ!!」
「良かった」
「…母さん…オレ、真面目な話をしたいんだけど」
「真面目な話よぉ?」
「どこがだよ!!母さんの話聞いてると、まるで母さんが宇宙人みたいじゃないか!!」

01-432 :ボクたちの選択(70):04/03/12 02:20 ID:Kbjsb35T
>431
 チベットの山奥の洞穴に眠り続け、父に目覚めさせられてからは彼と何十年も世界をさまよ
い、日本にたどり着いて20年間、世界にメッセージを送り続けてきた。
 母の話をまとめると、そうなる。
 では、母は本当は何歳なのだろう。この、どこから見ても20代中頃にしか見えない、母親
というより歳の離れた姉と言われた方がしっくりくるような若く美しい母は。

「やあね。宇宙人だなんて」
 気色ばむ息子に、母はいつもの「ほにゃにゃ~ん」とした笑顔を向ける。

「せめて『星人(ほしびと)』って言ってよ。ずっとそう呼ばれてきたんだから」
「…なんっ………」
 圭介は開いた口が塞がらなかった。
 ふざけるのにも限度がある。こっちは真面目に話を聞こうとしているのに、よりによってこ
んなデタラメな話で人をからかおうとするなんて。
 圭介は顔を真っ赤にして立ち上がり、テーブルを思い切り叩いた。ガチャン!と、冷めた紅
茶の入ったカップが音を立てる。それなりにお気に入りなカップが傷ついたかもしれない事に、
母はちょっとだけ顔を曇らせた。

「そんな…そんな漫画とかアニメみたいな馬鹿話、オレが信じられるとでも」
 そこまで口にして圭介の言葉が途切れる。

 絶句していた。

 『漫画とかアニメみたいな馬鹿話』にそのまま出てきそうな人間が、今ここにこうして立っ
ている事に気付いたのだ。

「ね?ありえない話じゃないでしょう?」
 “えっへん”と胸を張る母の、たっぷりとした胸がゆさっと揺れた。

「じゃ…じゃ、じゃ、じゃあオレは…その…宇宙人……なのか!?」
「『星人』だってば」
「母さん!!」
「怒っちゃダメ」
 「ちっちっちっ」と、本気なのかふざけているのか良くわからないポーズで右手の人差し指
を振り、母はにっこりと笑う。圭介には、今まで17年間ずっと見続けてきたその顔が、今は
人間とは全く違う生物の顔に見えた。

01-433 :ボクたちの選択(71):04/03/12 02:23 ID:Kbjsb35T
>432
『オレは……半分人間じゃないのか??』
 じゃあ、オレはどうなったんだ?

 オレって本当に人間なのか?

 完全な男から完全な女に変わる人間なんて、この世にいるわけがない。いや、少なくとも人
間では有り得ない。
 圭介は、昔見た、自由に姿を変えられるアメーバ状の生物が主人公のアニメを思い出した。
 外宇宙探査船を舞台にした海外の宇宙冒険ドラマに出て来る不定形生物を思い出した。
 アニメ映画にもなった、旧式の蒸気機関車に似せて造られた星間運行列車を舞台にした漫画
に出てくる、不定形生物を思い浮かべた。
 果ては、RPGの一番最初のザコ敵で出て来るジェリー状の不定形生物さえ思い浮かべた。
 何にでも姿を変えられる不定形生物のモチーフは、ありとあらゆる作品で絶えず使われるあ
りふれた素材なのだ。

「あ~~…たぶん今けーちゃんが思い浮かべてるのとは、違うと、思う」
 顔面を蒼白にして固まってしまった息子に、母はちょっと冷や汗をかきながら慌てて弁明す
る。愛する息子に化け物でも見るように見られたり、自分を化け物だと思い込まれるのだけは
嫌だった。
 そんな風になったら、自分はもう生きていけない。

「…うーん…そうね…ちょっと違うかな?肉体を構成している組成組織は間違いなくこの星の
人間のものよ」

 星人と地球人とでは、当然のことながら子供をつくる事は出来ない。いくら母の今の肉体が、
地球人のものを模しているとはいえ、肉体の組成原理がそもそも違うために卵子は子宮内に排
卵出来ても、地球人の精子とは受精しないのだ。
 そこで母は、昔、チベットの山奥で現地の人々を相手に行ったように、自分の遺伝因子を組
み込む方法を使用した。
 しかも今度は、自分の因子と夫の因子を半分づつ組み込んだのだという。

01-434 :ボクたちの選択(72):04/03/12 02:24 ID:Kbjsb35T
>433
「仲間が協力してくれて、善ちゃんのお母様から卵細胞を頂いたの。これはお義母様自身にも
ヒミツなんだけどね」
 おいおい。
 今度はキャトルミューティレーションですか?
「同じ炭素系生物だったから良かったけれど、珪素生物だったら、ちょっと難しかったと思う
の。もっとも、そもそも珪素生物とは恋には落ちなかったと思うわ。ほら、あの人たちって岩
みたいにガンコだから」
 …ほら、と言われても困る。

「生物を構成する肉体の組成は、根本的には似たようなものなの。知的生命体は必ずと言って
いいくらい、次の世代に自分の形質を伝える機構を持っているから、地球で「遺伝子」と呼ば
れてるマトリクスさえ発見出来れば、基本的にはどんな生物とだろうと、遺伝因子の変換と再
構成で両方の形質を受け継いだ、いわゆる『子供』を作る事は可能なのよ」
「……ええと……」
「…わかんない?」
「全然」
「けーちゃんにはまだちょっと早かったかな?」
 意味のわからない言葉の洪水に飲まれて、寝起きの子犬みたいな顔をした息子を見て、母は
首をちょっと傾げて苦笑いした。

「つまり…ええと……」
 圭介は、すとんと椅子に腰を落とし、すっかり冷たくなったティーカップを両手で持って、
ずずず…と冷え切った紅茶を啜った。
 そして、たっぷり時間をかけて飲み込み、おずおずと聞く。

「オレは……地球人…なの?」
 その問いに、母は初めて辛そうな…痛そうな顔をした。

「けーちゃんはお母さんのこと、嫌い?」

 真正面から聞かれた。

 正直、まだよくわからない。

01-435 :ボクたちの選択(73):04/03/12 02:26 ID:Kbjsb35T
>434
 母が、この星の人間とほとんど同じ肉体を持っていることはわかった。けれど、母がもとも
とはこの星の人間とは違う肉体を持ち、最初に聞いた昔話が実は全部母の事で、身体は同じに
したけど子供だけは作れなくて、まるで動物実験みたいに自分が『造られた』のだということ
は、信じたくなかった。
 圭介は長いこと、首を縦にも横にも振らずに、じっと紅茶のルビー色した水面を見ていた。

「母さんは………」
 一瞬、ためらいがあった。

「母さんは、後悔してないの?」
 わからないなりに、色々な意味を込めたつもりだった。

 自分がもといた世界に返りたいとは思わないのか?
 肉体を地球人と同じにして後悔しなかったのか?
 日本で平凡な(?)妻や母や嫁をする事に不満は無いのか?

 子供をつくった事を、後悔してないのか?

「けーちゃんは………お父さんのこと、嫌い?」
 ゆっくりと、吐息を吐くように紡がれた言葉に、圭介の肩がぴくりと震えた。

「私ね?…どうしても善ちゃんとの子供が欲しかったの」
 ほんの少し、気をつけていないとわからないくらいわずかに、母の声は震えていた。
 ような気がした。

■■【16】■■
 この星で時々騒がれたりするけど、UFOって、あるわよね?
 未確認飛行物体。
 あれって星人の宇宙船とか言われてるけど、お母さん、違うと思う。
 少なくとも、お母さんの知ってる船とは違うわ。

 宇宙の距離ってね、地球の人が思ってるよりもっとずっとずっとずっとずっと遠いの。
 ひろぉいの。

01-436 :ボクたちの選択(74):04/03/12 02:28 ID:Kbjsb35T
>435
 望遠鏡とか覗いてるだけじゃ、ぜったいにわからない距離。
 何万光年…とか一口に言っても、ピンと来ないでしょ?
 ただ待ってるだけじゃ、ぜったいに他の知的生物とは出会えない距離。
 それって、タクラマカン砂漠の両端から同時に歩いて、砂漠の真ん中で、生きて、ちゃんと
元気に出会うよりも、ずっとずっと“遠い”距離よ?
 星間航路をちょっとでも外れたら、そこはもう未開の世界なの。
 この星なんて、衛星軌道から砂漠の砂粒を肉眼で見ようとするくらい、『中央』からは“見
えない”星。

 電磁波や粒子、重力波を捕まえて星を観察したり、
 宇宙から来る電波を拾って、地球の他にも文明を持つ星が無いか調べたり、
 そういうのは、お母さん、有意義だと思うし、知的生物の好奇心の発露としては、至極まっ
とうな方向だと思うの。

 だけど、地球のテクノロジーでわかった事からだけで、全てをわかった気になるのは、この
星の人間の悪いクセよね。
 電磁波や粒子や重力波、それに次元振動波なんかじゃその存在の有無を特定出来ない天体は
たくさんあるし、思いもよらない方法で星間コミュニケーションを取ってる知的生物だってた
くさんいる。

 自分達の周りに誰もいないからって、他にはもうだれもいないって断定しちゃったり、逆に
ほんの少しの痕跡から過大な期待を寄せてしまうのは、地球の人達が、自分以外の知的生物に
出会った事がない辺境の星に住んでいるからよね。

 だけど、そんな辺境な星で、お母さんは地球人っていう知的生物と出会い、そして善ちゃん
と出会った。
 これは、ほんとうに、とっても、とんでもなく、すっごい、ことなの。
 宇宙の歴史に比べたら、恒星系の寿命なんてすっごく短い。
 偶然に生まれた生物が、偶然に進化して、偶然に知識を高めて他の生物とコミュニケーショ
ン出来るまでの時間なんて、ほんの一瞬。

01-437 :ボクたちの選択(75):04/03/12 02:30 ID:Kbjsb35T
>436
 その一瞬が、この宇宙に流れる時間の中で重なる偶然は、それこそ奇跡以外の何ものでもな
いの。
 なのに、私は善ちゃんと出会って、お互いを理解し、愛を感じるまでになった。
 運命なんて言葉、軽々しく使えない。
 それくらい、すっごいこと、なの。

 私は、善ちゃんを愛してる。
 たった2つの生物的な性差の見地からなんかじゃなくて、一つの、一個の、生物として、ぜ
んぶを、愛してる。
 だから、2人の形質を受け継いだ、2人の生きた証(あかし)が欲しいって思ったの。
 私が善ちゃんを愛してる、善ちゃんが私を愛してるっていう、カタチが。

 けーちゃんにとっては地球人かそうじゃないかっていうのは、きっとものすごく大事な事な
のよね?
 ううん。大事な事なんだわ。
 でも、私にとっては…私と善ちゃんにとっては、けーちゃんが私達2人の子供だって事の方
が、けーちゃん自身が生物的にどうとか言う前に、ものすごく、大事なこと、なの。


 母は話終えると、じっと俯いたまま身じろぎもしない息子を見て、静かに目を瞑った。

「けーちゃんは、善ちゃんと私の形質を半分づつ受け継いだ、2人の本当の子供。今まで地球
人との間に一度として生まれなかった、ただ一人の新生児。期待の星。まさしく希望の星。こ
の惑星(ほし)で私達星人にも子孫が残せるかどうかは、けーちゃんにかかっているって言っ
ても言い過ぎじゃないわ」
 長い沈黙があった。

「…他の星人と子供を作ろうとは思わなかったの?他の星人となら、男でも女でも簡単に子供
が作れるんでしょ?」
 やがてポツリと圭介がつぶやいた言葉が、涼子の胸を刺す。

01-438 :ボクたちの選択(76):04/03/12 02:32 ID:Kbjsb35T
>437
「思わなかった」
「どうして?」
「私達純血種は、このまま滅ぶべき者達だから」
「どうして?」
「この星に流れ着く前から、ずっとそう決めてたの。それに」
「…それに?」
「善ちゃん以外の『人』の子供なんて、考えられなかったから」
 母の声が震えていた。
 泣いているのだろうか?俯いている圭介には、それはわからない。

「オヤジも“混じってる”って言ってたよね?オヤジも星人なの?」
「純血種じゃあないわ。遠い遠い昔に、仲間が自分の因子を組み込んで産み出した人達の子孫
よ」
「母さんが、チベットでしたみたいに?」
「……………遊び半分にしたわけじゃないの。それだけは、わかって」
 母は、この星の人々が愛しくて愛しくて愛しくて、それで彼らとの結びつきが欲しかったの
だ。
 たとえ、理解しあえなくても。
 だからこそ、理解しあえた父に、母は「愛」を強く感じたのだろう。

「オレが男から女になったのは、母さんの形質を受け継いでいるから?」
「…たぶん……ううん。そう。最初に変化が起こったのは、小学校の2年生の5月。夜中に高
い熱を出して、何度も性別が変わったの。事情を知らないお義母様が救急車を呼んでしまって
……映画の撮影中でけーちゃんのそばにいられなかった事を、すごく悔やんだわ」
「………病院を替えたのはオヤジだってのは、ホント?」
「本当よ。いろいろ手を尽くして、仲間にも手を貸してもらって、けーちゃんの性別が固定す
るまで、心配で心配で仕方なかった。やっと前と同じ男の子に固定化した時は、お母さん、も
うこの季節には絶対にけーちゃんから離れないようにしようって思ったの」

 5月は、この惑星上の星人達のバイオリズムが、この太陽系の恒星…太陽の影響で最も活性
化する時期なのだという。この星で生きていく事を決めてから、地球の公転周期に支配される
形へと肉体を調整した結果なのだと、母は言った。

01-439 :ボクたちの選択(77):04/03/12 02:34 ID:Kbjsb35T
>438
 圭介は、純血の星人と、因子を含んだ地球人との完全なハーフのため、その影響を他の誰よ
りもハッキリとした形で受けるのかもしれない。
 そして、圭介が小学校の時に肉体変換が起こったのは、その時が、彼の初恋の時期と重なっ
ていた。
 恋した相手の性別によって、精神が肉体を変化させてしまうのかもしれない。

 では、今回は?

 女に変化した今回は、いったい誰に『恋』しているのだろうか?
 圭介は、考えるとなんだか怖い考えになりそうで、慌ててその思考を振り払った。

「他のことは信じてくれなくてもいいい。けど、これだけは信じて欲しいのは、お母さんがけー
ちゃんの事を心から愛しているってこと」
「…そんなの…」
「…やっぱり、信じられない?」
 圭介は再び黙り込み、意味も無くテーブルの木目を数えた。
 昼近くになった窓の外は、太陽の光が燦々(さんさん)と降り注ぎ、洗濯物を干すには絶好
の日に思えた。

「…ね、けーちゃんて、テンプラ好きじゃない?」
「へ?」
 突然、母がさっきまでとは全く違う調子で言った。
 瞬間的な転換に、圭介は思わず顔を上げてしまう。
 母の目に涙は無い。
 『騙したな?』と思うより先に、自分を正面からじっと見つめる、母の深い色合いの瞳に引
き込まれた。

「海老のテンプラ、椎茸、ホタテ、ししとうも好きよね?それにアスパラ。けーちゃん、ちっ
ちゃい時から『今日はテンプラよ』って言うと、にこぉ…って笑うの。もう、天使みたいに。
可愛くて可愛くて、お母さん、一週間毎日テンプラでも良かったわ。…お父さんに『それはや
めとけ』って止められちゃったけど」
 あたりまえだ。

01-440 :ボクたちの選択(78):04/03/12 02:37 ID:Kbjsb35T
>439
「でもね、けーちゃん。ウチで作ったテンプラも、スーパーで買ってきたテンプラも、テンプ
ラはテンプラで、けーちゃんはどっちも好きだったじゃない?スーパーのはちょっとべっとり
してるけど、大根おろしたっぷりの天つゆにつけて食べると美味しいって。ね、けーちゃん。
『テンプラが好き』っていうけーちゃんの気持ちには、変わらなかったじゃない?それといっ
しょ」
「なにが?」
「お母さんが、けーちゃんが、好き。愛してるって気持ち。けーちゃんが、私がお腹を痛めて
産んだ子じゃなくても、けーちゃんはけーちゃん。私の大切な大切な大切な大切な子供なの。
善ちゃんと愛し合って産まれた、二人の愛の結晶なの」
 今まで、ドラマや漫画の中では何度も目にしたけれど、『愛の結晶』という言葉を、まさか
自分が言われるとは思ってもいなかった。

「…母さん…テンプラとこれとは話が」
「愛してるの」
 あまりに真摯な眼差しに、口をつぐむ。

「けーちゃんのオシメ替えてあげたのは私だもの。けーちゃんにミルクあげて、お風呂に入れ
て、風邪引いた時にお鼻に口つけて詰まっちゃった鼻水吸い出したのは私だもの。初めて立っ
た時も、初めて歩いた時も、初めて「まま」って言ってくれた時も、側にいたのはいつも私だっ
たもの。覚えてる?いっちばん初めは、けーちゃん、「おかあさん」じゃなくて「まま」って
言ったのよ?善ちゃんが、最初に口にするには「おかあさん」は難しいだろうって。私も善ちゃ
んも、2人の遺伝形質を受け継いでるから、とか、そんな理由だけでけーちゃんを愛してるわ
けじゃないの。けーちゃんの全てのためにお母さんは生きてきたし、けーちゃんの全てのため
にお母さんは生きてるの。それは善ちゃんもいっしょ。たとえけーちゃんがお母さんのことを
嫌いになっても、それでもきっとお母さんはけーちゃんのお母さんで、だからお母さんはけー
ちゃんを愛してる。ううん。愛したいのよ。

01-441 :ボクたちの選択(79):04/03/12 02:40 ID:Kbjsb35T
>440
それでもけーちゃんがお母さんのこと嫌いで、そばにいて欲しくないなら、お母さんはけーち
ゃんのそばからいなくなる。でも、ずっとずっとずうっと、けーちゃんの事愛してる。それだ
けは、きっと……ううん。ぜったいに変わらないわ」
 母の言葉に嘘は無かった。
 眼差しは優しく、強く、圭介を心から大切にしている者のそれだった。
 もし、この瞳が信じられないのなら、この世の全てのものを信じられなくなる。
 それほどの『力』がある瞳だった。
 この瞳に騙されるのであれば、それはそれで構わない。
 そう思わせる、瞳だった。

「…で、さしあたって、俺はどうすればいいの?」
 溜息とともに吐き出された言葉は、ぶっきらぼうではあったけれど、さっきまでの陰鬱とし
た雰囲気は春の野の残雪のように、すっかり溶けて消え去っていた。

「まずはお風呂、それから、髪を切りましょう?それじゃ、外は歩けないわよ?」
 男じゃなくなった時点で、もう外は歩けないと思ったけれど、母の笑顔に毒気を抜かれた圭
介には、もうそこまで主張する気力は残ってはいなかった。

■■【17】■■
 ただ一つ気になったのは、父の姿が見えなかった事だ。
 圭介は、風呂に入った後、母の作ってくれた卵粥を食べて一息つくと、今度は母に髪を切っ
てもらいながら彼女に聞いた。

 一人息子の一大事に、あのバカ親父は何をしているのか。

「そういうこと、言っちゃダメ。善ちゃんがいないのは、けーくんのために今いっしょけんめ
いに走り回ってるからなのよ?」
「オレのため?」
「そう。だから、あんまり善ちゃんのこと、悪く言わないでね?」
 胸まであった髪を丁寧に梳(くしけず)りながら、母は息子に懇願した。メンズ用のシャン
プーとリンスを使い、乱暴に洗髪したにも関わらず、髪は見違えるようにさらさらと、艶やか
な輝きを放っている。これも母の……星人の因子が発現しているからだろうか?

01-442 :ボクたちの選択(80):04/03/12 02:42 ID:Kbjsb35T
>441
 圭介は、リビングのフローリングにシーツを広げ、同じくシーツで身体を覆って、その真ん
中で椅子に座っていた。母は、切った毛で服が汚れないようにTシャツとズボンだけになり、
鼻歌混じりに彼の髪に櫛を滑らせていた。

「けーちゃん、善ちゃんがどんなお仕事してるか、知らないでしょう?」
「……どうせ、外資系企業のサラリーマンってのはウソなんだろ?」
「あたり」
 ふふふ…と、若い母親が豊かな胸を揺らしながら、恋する乙女の微笑を浮かべる。
 きっと聞いても教えてくれないだろうな…と思った圭介は、大人しく髪を切られながら、別
の疑問をぶつけてみた。

「……星人ってさ……普段は何してるの?」
「この星の人達を、見守ってる」
「……見守ってるだけ?」
「そうよ?」
「戦争してる国だって、あるのに?」
「?……そうね」
「平気なの?それで」
「……どうして?」
「星人なら、戦争を止められるんじゃないの?地球上から、争いや、飢えで苦しむ人達を無く
す事が出来るんじゃないの?」
 圭介の言葉は、若者がある時期に持つ、彼ら特有の正義感に溢れていた。
 “青い”と言われたらそれまでの、何の見返りも求めない真っ直ぐな、正義を求める心だった。

「どうして母さん達が手を貸してやらないのさ?母さん達は……母さんは、この地球が好きな
んじゃないの?ここの人たちが好きなんじゃないの?争いを無くしたいって、思わないの?」
「好きよ?護ってあげたいって思うし、私達星人なら、それはきっと可能だと思う」
「だったら…」
「でも、それはダメ」
「どうして?」
「この惑星(ほし)の人達の、本来あるべき姿を歪めてしまうことになるから」
 圭介は、母の言葉に納得出来なかった。
 力ある者が力のない者を護るのは、当たり前の事ではないのか?
 たとえ、それがこの星で生まれた者ではなくても。

01-443 :名無しさん@ピンキー:04/03/12 02:50 ID:Kbjsb35T
>442
 眠いのでここまで。

>424
 私も書きながらそう思いました。
 書きながら「あ、あれも書こう」「これ書いとかないと」と思いつきながら書いてるので、
かなり時事列がめちゃめちゃになってしまってますね…。
 その弊害はもう出てて、書いてる私が混乱したり、書きながら変更したりして辻褄の合わ
ない部分が多々出て来たり…(風呂に入る前は2階で話をしてたんじゃないのか?…とか)。

 今回のをここまで引っ張ったのは、圭介を変化させたのは母親で、すべての元凶はこの人
だと思ってもらうのも面白いかなぁなんて思ってたので。まあ…確かに元凶なんですけど。

 次回からまた「微エロ」「ぷちえち」が入り、後は「えろろーん」に直進です!
 ………たぶん…きっと…。

 では、また。

01-444 :名無しさん@ピンキー:04/03/12 02:51 ID:7Nd0GujV
良いところで切れている!
続き読みたいなぁ

毎度お疲れです。楽しみに読ませて貰っています。
頑張れ~

01-445 :名無しさん@ピンキー:04/03/12 02:52 ID:Kbjsb35T
>443
そうそう。

やっぱり手垢のつきまくった設定なので、「なーんだ」と思われても仕方ないです。
本人もそれはよくわかってますので、そのヘンのツッコミはほどほどに…。

01-446 :名無しさん@ピンキー:04/03/12 12:02 ID:Mrjj7NCP
>>443
 回想シーンを美味く使うなら。
 まとめてドカーンと回想をいれるんじゃなくて。
 いわれた事を実感する現状の事件が発生したタイミングでそれに関わる話を
少しずつ入れて行くのが良いかと。

01-447 :名無しさん@ピンキー:04/03/12 15:59 ID:3m61TKGB
連載お疲れ様です。 今回も楽しませて頂きました。

01-448 :名無しさん@ピンキー:04/03/12 16:37 ID:9yXXrd5n
>>446
こういう手法でもいいんじゃないですか?
長編て訳でもないんだし。

オイラ的には感情移入しやすくてイイ(゚∀゚)!

圭ちゃんのこれからの展開に期待age

01-449 :443:04/03/13 01:55 ID:tvel7ES7
今回は「微エロ」。

「微エロはいらん!」という人は、スルー願います。

NGワード「ボクたちの選択」

01-450 :ボクたちの選択(81):04/03/13 01:57 ID:tvel7ES7
>449
「……それで、地球人が滅んでしまう事になっても?」
「う~ん…ここの人達は、そこまで愚かじゃないと思うんだけど」
「………好きなら、大切なら、護ってあげたいって思うもんじゃないの?」
 困った顔の母に、尚も問い掛ける。
 母は、物分りの悪い生徒にそうする教師のように、そしてガンコな弟子にかつてそうしたで
あろうナザレの羊飼いの息子のように、熱くも冷たくも無く、ただ、深い慈愛に満ちた瞳で愛
しい息子を見つめながら、ひっそりと言った。

「ね、けーちゃん。好きだからこそ、見守る愛も、あるんじゃないのかな?」
 母の言葉に、圭介は息を飲む。
 母は、圭介よりもずっとずっと長い間、この地球の人々を見てきた。
 善二郎を「一つの生物として全部を愛している」と言った母が、彼以外の、けれど彼“では
ない”同じ種族の者達などどうでもいい…と、思うだろうか?
 そこには、『力』を持つがゆえに迷い、そして決断した苦しみがあったはずだ。
 ここに至るまでに、深い苦悩の日々があったはずだ。

「それにね、正直に言えば、星人はもう残り少ないの。純粋な星人は、私と、あと世界中でも
数人しかいないわ。その数人も、私とは違って文明圏から離れて静かに暮らしている。自分達
の『力(テクノロジー)』が、この惑星(ほし)の人達の正常な進化を妨げる恐れがあるって
知っているから」
「……進化……」
「そう。それにね?『力』で争いを無くすというのは、『力』で人々をコントロールする……
従わせるって事と、程度の差こそあれ、結局は同じことなの。私は、ここの人達を“支配”な
んてしたくはないわ」
 ここで母の言う支配というのは、「あるものの意志・命令・運動などが、他の人間や物事を
規定し束縛すること」だ。
 そのものの意志を無視し、特定のものにとって都合が良いように束縛する。

 それでは、人間(ひと)は、動物園の動物達と変わらない。

01-451 :ボクたちの選択(82):04/03/13 01:58 ID:tvel7ES7
>450
「血を流さないで人々を『支配』する事は、星人にとってはそんなに難しいことではないの。
それに、強い者に支配される事で得られる充足感とか安心感そのものを、お母さん、否定はし
ないわ。でも、そうなったらもう人々は星人に対して畏怖や恐怖、憧憬は抱いてくれても、親
愛や友情は感じてくれなくなる。『考える』というその自由意志まで奪ったら、それはもう人
とは言えない。ここの人達は、私達と同じ『愛』を知る人達だから、私はその『愛』を無くし
て欲しくないの。『愛』を感じられなくなったら、お母さん、それはとっても悲しいわ。それ
ともけーちゃんは、私達がこの星の支配者になって、全ての人々の力も夢も愛も全て、コント
ロールした方がいいのかしら?」
「…そんな…」
 突きつけられた事柄に、圭介は言葉も無くうなだれた。

 自分が口にした事は、たとえてみるならば学校で生徒同士の揉め事や決め事を、全て教師の
方で采配してくれと言っているようなものだと気付いたのだ。面倒な事、都合の悪い事、見た
くない事、そういう自分達にとってマイナスな感情を抱くものを、自分達の問題でありながら
自分達で解決する事を放棄し、高次の者に任せてその他のプラスなもの…都合のいい事、気持
ち良い事だけを甘受しようとする…。
 それは、赤ん坊のする事だ。

「それにね?けーちゃん。たとえば、もし……もし、よ?私達の『力』でこの地球から争いを
全て無くしたとしても、じゃあその後は?私達が力を無くして、争いを抑制していたものが無
くなったら、その後は?」
「………それは…」
「…平和はね?作り出すことより、維持することの方が何倍も何十倍も難しいのよ?…それに
ね、けーちゃん。誰かに監視され保護されながらでしか維持できない平和は、平和じゃないの。
それはただの怠惰。箱庭や実験室のケイジの中の、閉じた世界。外国の言葉で『モラトリアム』
って言葉があるけど、まさにそれよね」

01-452 :ボクたちの選択(83):04/03/13 02:00 ID:tvel7ES7
>451
 モラトリアムとは、『知的・肉体的には一人前に達していながら、それでも尚、社会人とし
ての義務と責任の遂行を猶予されている期間。または、そういう心理状態にとどまっている期
間』を言う。総じて昨今では、社会に出ていながら、その社会そのものを嫌悪したり社会から
拒絶される事を恐れて自分の殻に閉じこもる、精神的幼児であったり未成熟者であったりする
人間の状態を、そう呼称する。
 もちろん圭介は、そんな言葉など知らない。学校でも聞いたことが無かった。
 息子が要領を得ない顔をしているのを見て、母は「こほん」と咳払いをすると、再び口を開
いた。

「結局ね、ここの人たちの世界はここの世界の人たちの力で護っていくのが一番なの。そうし
ないと、いずれ『そと』に出る時、生きていけなくなっちゃう」
「『そと』…?」
「お母さん達は、それを信じてる。だから、見守るの。星人は、自分を護る事以外で社会に関
与してはいけない。それは、私達が自分達の架(か)した枷(かせ)でもあるわ。好きだから、
愛してるから、信じてるから。少なくともお母さんはずっとそうしてきたし、善ちゃんもそれ
が一番いいって言ってくれたし、だからきっとこれからも、そうすると思う」
 圭介は、まだ、よくわからなかった。
 母の言う事はわかる。
 少なくとも理性では。
 けれど、もし圭介にそんな力があったら、それで世界が平和になるのなら、彼はきっと……
いやたぶん躊躇いながらでも使ってしまうだろう。
 でもそれは、自分がまだ『子供』だからなんだろうか?
 『ただ見守る勇気』が持てないだけなんだろうか?

 圭介は口をつぐみ、母も時折話しかけるだけで、やがてリビングにはショキショキと、圭介
のさらさらの長い髪を母の白くてほっそりとした手が持つ、散髪用鋏が切り揃えてゆく音だけ
が静かに満ちた。

01-453 :ボクたちの選択(84):04/03/13 02:02 ID:tvel7ES7
>452
 彼はもともと短いのが当たり前だったので、前と同じ髪型を希望したのだけれど、母はガン
コに「もう女の子なんだから、慣れなくちゃね」と言って、セミロングにする事を強硬に主張
し、そして強行した。
 圭介が母に髪を切ってもらうのは、中学校以来だった。
 本当に久しぶりだったからか、それとも、ずっと気を張っていた疲れからなのか、いつの間
にか彼は、晩春の日差しの中、うとうとと居眠りし始めていた。
 だから、母が少し苦しそうな顔で不意に手を止めて、
「もし、女の子でいるのがどうしても辛かったら………」
 と呟き、そしてまたその考えを打ち消すように首を振ったことに、彼はとうとう気付かなかっ
た。

■■【18】■■
 髪を切った後、圭介は母と2人で2階に上がり、部屋の掃除をした。
 そして掃除をしながら考えた。
 自分がこうなってしまったことを、大切な幼馴染である由香と健司には話しておかなければ
ならない…と。
 そして母から『女性仮性半陰陽』の事を教えられ、彼らにはそう言うように言われて、由香
と健司に連絡を入れた。
 夕方に2人が家までやってくると、母に2階まで通してもらい、そして、真実は隠したまま
偽りの事実を話した。
 その結果、健司は前と変わらぬ笑顔を向けてくれて、そして由香は…
「やっぱり……受け入れられないのかな…」
 この部屋で倒れて、ショック覚めやらぬ顔で帰ってから、彼女はまだ一度も圭介に会いに来
てはくれていない。健司が誘っても、「うん」とか「わかってる」とか言うだけで、それきり
黙り込んでしまうのだという。
 もちろん、圭介も電話をしようかと思った。
 でも、すっかり少女の声になってしまった彼の声では、由香にまたショックを与えるかもし
れないと思い、とうとう今日まで連絡出来なかったのだ。

 次の日、担任のはるかちゃんが来て、夜には健司が来てくれた。

01-454 :ボクたちの選択(85):04/03/13 02:04 ID:tvel7ES7
>453
 そして次の日から3日間……つまり今日まで、母に女の身体の事、気をつけなくちゃいけな
い事、してはいけない事などを教わった。また、由香の事、これからの事、学校の事、星人の
事、母の事、父の事……たくさんの事も、圭介はずっと、考えていた。
 3日間、悶々と一人で考えた。けれど、どう接したらいいのか、答えはまだ出ていなかった。
 母の苦しそうな、哀しそうな顔を見た夜、子供の頃と同じ気持ちで母におやすみを言って2
階に上がり、自分の部屋に入って、圭介はこの6日間で何十回目かの溜息を吐いた。
『…まだ、よくわかんねーや…』
 彼は、目覚めたあの日に母の話してくれたことを反芻し、そしてようやく今、自分の置かれ
ている状況を正確に眺める事が出来るようになっていた。ただそれでも、まだ半分も理解出来
たとは言えない。母の口にした単語には、圭介の理解を軽く超えたものがたくさんあったし、
その中には彼が17年間溜めた知識と照らし合わせてみても、聞いたことの無い単語だってあっ
たから。
 あの時、本当はもっと母に聞いてみれば良かったのだ。いや、圭介自身、あまりに衝撃的な
告白で、その疑問そのものを忘れていたのかもしれない。
 それに、自分の身体について、本当は聞いておかなくてはいけない事が、まだまだたくさん
あった。

 自分の身体はこれからどうなるのか?
 元に(男に)戻れるのか?
 もし戻れるとしたらその方法は?
 『恋』をするたびに身体が変化するとしたら、それはもう止められないのか?
 自分が今回変化してしまった直接の原因を、母は知っているのか?
 自分の身体で、地球人との子供はできてしまうのか?
 女の身体の時、子供は産めてしまえるのか?

 何度もそれを訪ねる機会はあった。でも、聞けなかった。聞くことで何かが決定的になって
しまう事を本能的に避けたのかもしれない。「もう二度と男には戻れない」と言われたら、自
分はどうなってしまうのだろう?

01-455 :ボクたちの選択(86):04/03/13 02:05 ID:tvel7ES7
>454
 机に座り、アルバムを開いた。
 少年の自分がいた。
 幼稚園の、小学生の、中学生の高校生の、男の、自分がいた。
 机の上のカレンダーを見た。
 6月3日だった。学校を早退してから、もう6日が経っていた。
 そろそろ、学校に戻らなければならない。これ以上休めば、本当に戻れなくなってしまう。
『……覚悟……決めないとな……』
 転校する事も、決して考えなかったわけではない。けれど、自分の運命から逃げたくなかっ
た。『運命』なんていうクソッタレでふざけたもののために、自分の17年間を鼻をかんだティッ
シュみたいに丸めてゴミ箱に捨てたりなんかしたくなかった。
 椅子から立ち上がり、母が置いていった大きな姿見を見た。
 「女の子なんだから、これくらい無いとね?」と置いていった、ちょっとシックな感じの細
長い鏡だ。
 セミロングの髪を揺らして、可愛らしい色の白い少女が立っていた。肩はほっそりと細く、
胸も薄い。スウェットのズボンの曲線を、男とは明らかに違うラインで腰が描いていた。
 背も、縮んだ。
 健司が訪ねてきた時、隣に立ってみたら、健司が「由香ちゃんよりも少し低くなってるね」
と言ったのだ。でも、もう不思議と腹も立たなかった。
 顔の作りそのものは変わってないはずなのに、頭骨を含めた骨格そのものが女性形に変化し
ているため、アルバムの写真とは全く違う印象を与える。ナルシシズムの無い圭介には、ただ
の自分の顔だけれど、世間的に見れば整っている方だと思えた。長い睫(まつげ)とふっくら
として艶やかな唇が、やはり隠しようも無い男と女の性差を感じさせている。
 スウェットの上着を捲り上げた。
 ちっとも膨らんでいない胸には、赤ん坊の唇みたいにツヤツヤとしたピンク色の乳首があった。
 男に戻れなかったら、やがてこの胸も膨らんでくるのだろうか。
『もう、違う人間なんだ』
 改めて、そう思った。

01-456 :ボクたちの選択(87):04/03/13 02:08 ID:tvel7ES7
>455
 このまま生きていかなければならないのかもしれない思うと、気持ちが果てしなく沈んでゆ
く。母の遺伝形質を半分受け継いでいる自分は、普通の人間ではない。それを知ってしまった
今となっては、もう以前のようには戻れない。
 でも。

「でも、オレはオレだ」
 変わりたくない。
 身体はどんなに変わっても、自分が自分であること、この星に生まれてこの星で生きる自分
であり続けること。
 17年間、生きてきたこと。
 それだけは、忘れたくなかった。

「オレは……ただの、人間だ」
 不意に、左目から涙がこぼれた。
 泣くのはこれで最後にしよう。
 圭介はそう心に決めて、部屋の電気を消した。

■■【19】■■
 次の日は日曜日だった。
 ここ数日、ずっとテレビを見ていたのにも関わらず、それを忘れていた事に圭介は気付き、
自分が画面を見ていながら実はまったく何も見ていなかった事を知って、
 笑った。
 久しぶりの笑みだった。心の中にどんよりと溜まっていた澱(おり)のようなものが、笑
いと共に口からこぼれ出て霧散していくような気がして、身体に入っていた力が“すうっ”
と抜けた。
 笑いを人の気持ちを軽くする。
 それを痛感した。
 朝ご飯を母と食べ、やがて母のマネージャーから半泣きの電話があった事を幸いに彼女を仕
事に送り出して、久しぶりに一人きりになった。キッチンの後片付けをしてから、天気が良かっ
たので、ついでに洗濯も済ませる。炊事洗濯は、母の仕事が忙しい時には自分でもしていたの
で特に苦ではない。けれど、洗濯カゴに入ってる自分の下着を見ても、もう何も思わなくなっ
ている自分に気がついた時、圭介はやっぱり少し寂しくなった。

01-457 :ボクたちの選択(88):04/03/13 02:10 ID:tvel7ES7
>456
 もう、
 放尿するだけでもトイレでいちいち下着まで脱いで便座に座るのは、当たり前なことになっ
ていた。
 トイレットペーパーで女性器を拭く事も、特別苦痛を感じる事も無い。
 お風呂に入った時、お湯が膣内に入ってしまうのではないかと思い、体の力を抜くのを恐れ
る事も無くなった。

 こうして、「女である自分」に慣れてゆく。

 「女である自分」を苦痛に感じなくなってゆく。

 それが、圭介は少しだけ怖かった。
 確かに、女性に恋する以外で男に戻る方法があるのなら、それを知りたいとは思う。けれど、
心からどうしても男に戻りたいか?と問われれば、きっと今の圭介は一瞬考えてしまうだろう。
 そこまで彼の肉体は精神を侵食し、時間が経つに従って2つはますます馴染みつつあったの
だ。
 そして変化は、肉体的なものばかりではなかった。

 洗濯を終えて、ベランダに洗濯物を干した後、遅れた勉強を取り戻すために一週間ぶりに教
科書を開いた。
 そして、その単純さに目を見開いた。
 いや、教科書の内容が簡単だったのではない。何もかもが「クリア」だったのだ。苦手だっ
た数学も物理も、まるで小学生の問題を見るかのようだった。考える前に数式が鮮やかに脳裏
に描かれる。英語のグラマーは、最初はちんぷんかんぷんだったけれど、20分も読み込むと
大体のことが頭に入った。そして、リーダーに至っては生まれた時から英語を使っていたかの
ように、最初からすらすらと頭に入ってきた。
 これも星人の因子が発現したせいだとしたら、なんとも便利な形質だ。けれど、美術や音楽
は特に優れて変化したようには感じなかった。記憶力や応用力は飛躍的に増大するくせに、感
性や閃きなどは、歴史上有名な画家や音楽家のようにはいかないらしい。それだけは心から残
念に思った。

01-458 :ボクたちの選択(89):04/03/13 02:12 ID:tvel7ES7
>457
 そういえば、母も料理だけは今でもあまり得意ではなかった…と圭介は思う。
 料理は、あれでなかなか感性とセンスに左右される所があるから。
『けど、女優やってんだよな…』
 女優は感性の仕事では無いのだろうか?
 圭介はそれ以上深く考えないことにした。

 勉強においての不安が無くなった以上、教科書とにらめっこしていても時間の無駄だった。
ますます自分が人間離れしている事を実感してしまうだけだ。
 圭介はスウェットから、Tシャツとトレーナー、それにジーンズとスニーカーというラフな
格好に着替えて、一週間ぶりに外へ出る事にした。玄関を開け、塀の影に隠れ、周囲に人のい
ない事を確かめてから一番近い曲がり角まで走った。まるで空き巣に入った泥棒のようだ。
 けれど、泥棒にしては体力がものすごく低下しているのか、ちっともスピードが出ない。

「ちくしょう…」
 元陸上部だったプライドが、跡形も無く砕けて消えてしまい、圭介は「ぜぃぜぃ」と荒い息
のまま肩を落とした。
 向こうから来た顔見知りの近所のおばさんが「どこの子かしら?」という顔をして通り過ぎ
て行く。圭介は慌てて身体を起こし、何食わぬ顔ですたすたと先に進む。角を曲がって物陰に
隠れて振り返ると、おばさんは特に気にした様子も無く歩み去ってゆくところだった。

「……やっぱり気づかない…か」
 無理も無い。まさか近所の男の子が、いきなり女の子になったとは思わないのだろう。

 しばらく誰にも会う事無く、圭介は暖かい日差しの中、久しぶりの外出を楽しんだ。

「……あ…」
 右に曲がると商店街…というところで、圭介はごく自然に左に曲がり、立ち止まって再び曲
がり角まで戻る。
 この姿で大勢の人々の前に立つのは、これが初めてだ。けれど、明日からは学校にも行くの
だから、今から慣れておかないといけない。

「よしっ」
 圭介は鼻息も荒く、商店街へ続く道を進んでいく。
 その時の彼の顔は、まるで果し合いの場へ向かう武士のような顔をしていた。

01-459 :ボクたちの選択(90):04/03/13 02:14 ID:tvel7ES7
>458
■■【19】■■
 ところが数分後、圭介はすっかり挫けて、近所の神社の境内に逃げ込んでいた。
 へなちょこである。

 商店街に入る少し前から、周囲の視線がやたら気になった。
 道行く人の誰もが圭介を見る。汗が吹き出て、足が震えた。じろじろと無遠慮に見る男達が
いる。にやにやと笑いながら擦れ違う男がいる。こちらを見てくすくすと笑いながら、何か話
している女の子達がいる。出会う人みんなが、自分を笑っている気がして、圭介は小さな身体
をさらに小さくして歩いた。
 駅前から数百メートルに渡って続くアーケード商店街は、この街でも比較的賑わっている場
所だった。日曜で天気もいいためか、人通りも多い。その中を、圭介は人ごみに紛れるように
して歩いた。背が低く、しかも華奢に変化した圭介の身体は、大人の身体が当たっただけで容
易くよろけた。小さな肩を張って「このやろー」と思いながら足を踏ん張れば、ガニマタで両
足を突っ張る圭介を、ぎょっとした顔で見る年配の女性と目が合った。

「おい、あれ見ろよ」
 慌てて足を閉じて、後から聞こえた声に振り返ると、2人の高校生らしい男が圭介を指差し
ていた。圭介が通う学校とは別の学校の制服を着ている。部活帰りなのか、スポーツバッグを
足元に置いていて、かたわらには2人のものらしい自転車が見えた。

「かーのじょ」
「どこいくのー?」
 語尾にハートマークがつくくらい、気持ち悪い猫なで声に、圭介の背筋がぞぞぞ…と総毛立っ
た。男達はどちらも引き締まった体躯の、すらりとしたスポーツマンタイプだ。けれど、2人
とも顔には“らしくない”、にやにやした笑いを浮かべている。大方(おおかた)、試合に負
けたか、先輩にいいように使われたか、どちらにせよ何かむしゃくしゃした事でもあったのだ
ろう。
 そのうちの1人が自分の方へ足を踏み出した時、圭介は自分の中で“スイッチ”がカチリと
切り変わるのを感じた。

「なんか用かよ?」

01-460 :ボクたちの選択(91):04/03/13 02:15 ID:tvel7ES7
>459
 気がついた時には、その男達に向き直って、2人を睨み付けていた。
 言葉遣いなんて気にしちゃいられなかった。
 自分が、元は男だったのがバレたのだと思っていた。
 こういう手合いには、舐められたら何をされるかわからない。最初にガツンとやっておいて、
頃合いを見計らって……逃げるのだ。
 対して男は、声をかけた女の子が男みたいな口調で睨みつけてきたため、鼻白んでその場に
立ち止まっていた。この辺りでは見かけない自分の好みの女の子だったし、なんだか不安そう
な顔をしていたから、からかいついでに声をかけただけだった。なのに、いきなり喧嘩腰で睨
まれて、その対応に困惑していた。
 ひょっとして顔には似合わず百戦錬磨のケンカ上等な女の子なのだろうか。
 そういう不安が男の顔に浮かんでいた。

「…いや、その…なんかお困りかなぁ~…って…」
「別に困ってねーよ。ほっとけ」
「……口が悪いなぁ…おにーちゃん怒るよ?」
「なにがおにーちゃんだ。オレも高校生だからタメか1コくらいしか違わねーだろ?」
「……オレ……」
 さらさらの髪と、ぱっちりとした大きな目。
 長い睫(まつげ)と可愛らしい鼻。
 ぷっくりとやわらかそうな唇と、ふっくらとして今は怒りのためかほのかに紅潮したほっぺ
たは、少女の可愛らしさをひときわ際立たせていた。
 そんな女の子が、実に汚い言葉で罵(ののし)る。
 その倒錯的な現実に、もう一人の男は舌で唇を湿らせながら圭介に歩み寄った。
『ヤッたらどんな顔するかな』
 そんなイヤらしい思いが心に流れ込んできた気がして、圭介は“びくっ”と体を震わせる。
 たちまち、圭介の中でピンと張っていたものが“ぷつん”と切れた。

「あ、ご…ごめん…うそ、えっと…なんでもないから…」
「は?」
「じゃあね、ばいばい!」

01-461 :ボクたちの選択(92):04/03/13 02:17 ID:tvel7ES7
>460
「おい!待てよ!」

 後も見ずに、逃げた。

 身体が重い。駆ける足がもつれそうだった。
 声が追いかけてくる気がした。人にぶつかり、転びそうになり、それでも走った。途中でい
きなり横道に入りアーケードを抜け、お好み焼き屋の角を曲がってサンザシの垣根を左手に路
地裏に駆け込む。石垣を登って破れた金網をよじ登り、クヌギの林を抜けたらそこは高台の神
社の境内だった。
 心臓がバクバクと飛び跳ねていた。
 汗が吹き出て、背中がぐっしょりと濡れている。
 水飲み場で蛇口を捻り、流れ出る水に口をつけてゴクゴクと勢い良く飲む。それから圭介は
ようやく思い出したかのようにキョロキョロと周囲を見回して、誰も後を追ってきていない事
を確かめてからホッと一息ついた。
 歯がカチカチと鳴った。
 まだ、身体が震えている。なぜだかわからない。あの男の目付きを見たら、足がすくんだ。
どろどろとしたものが心に流れ込んできたような気がして、吐き気がした。
 理解ではなく本能的な恐怖だった。おかしいと思う。男のメンタリティを持つ自分が、どう
して女の本能で男に恐怖を感じなければならないのか。
 そう思った。

「ちくしょう……」
 圭介は神社の社の縁石に腰を下ろし、唇を噛みながら空を見上げる。
 空は、憎たらしいほど澄み渡っていた。

■■【20】■■
 神社を出ると、圭介の足は、自然と幼馴染みの家への道筋を辿っていた。なぜか、無性に健
司の、あののん気で牧歌的な顔が見たかったのだ。見れば安心出来る気がした。きっと元気に
なれる気がした。
 そう思った。

「ちょっと待っててね?今呼んでくるから」

01-462 :ボクたちの選択(93):04/03/13 02:18 ID:tvel7ES7
>461
 バストよりウエストの方が豊かで、洋画とかでよく見る酒樽みたいな体型の健司の母は、息
子から話を聞いているとかで「大変ねぇ」とか「もう大丈夫?」とか「困ったことがあったら
いつでも言ってね?」とか「なんでも力になるからね」とか、気が良くてちょっとおせっかい
焼きな気質そのままの笑顔に、わずかな困惑を貼り付け、圭介を迎えてくれた。
 小学校の頃からよく訪れていた健司の家は、玄関がそのまま豆腐作りの作業場と繋がってい
て、むあっとした湿気と蒸した大豆、それに豆乳やおからなどの良いにおいがいっぱい立ち込
めている。
 少しして、背の高い牧歌的雰囲気の青年が手に菜箸(さいばし)を持ったまま工場(こうば)
に顔を出し、彼はそこに可愛らしい少女が立っているのを見てぎょっとした顔をした。

「…………けーちゃん!…どうしたの?」
 一拍、間があった。

「…いきなり『どうしたの?』はねーだろ?」
「ごめん。でも、なんか顔色悪いよ?」
「ま、ちょっと、な」
 曖昧に笑い、圭介は鼻の頭を掻いた。

「なんだよその箸…」
「あ、これ?今、油揚げ作ってたんだ。食べる?」
「いいよ。オマエんとこの豆腐が美味いのは知ってるけど、まだキツネになるつもりはねーよ」
 健司と話していると、なんだかあたたかいものが心に流れ込んでくる。それはとてもとても
あたたかくて、心地よくて、きもちよくて、胸の奥がじわわわ…と熱くなる。強張った体が、
ほわほわとほぐれていくようだった。

「今日は部活じゃないのか?」
「ああ、今日は午前中に記録会があってね、隣の高校の水泳部が遠征に来てたんだよ」
「勝ったのか?」
「やだなぁ…別に試合したわけじゃないよ」
「速いか遅いかで、速けりゃ勝ちだろ?」
「大雑把だなぁけーちゃんは」

01-463 :ボクたちの選択(94):04/03/13 02:21 ID:tvel7ES7
>462
 圭介の視界の端には、こちらをちらちらと見ている健司の母の姿が映っている。『女性仮性
半陰陽』なんていう珍しい病気(?)で、いきなり男から女になった息子の幼友達が、やはり
どうにも珍しく好奇心を刺激されるらしい。きっと明日には、近所のおばさま連中の話題は圭
介の話でもちきりだろう。

「そうだ、上がってよ。ここじゃなんだから」
「あ、いい。すぐ帰るから…さ。なんとなくオマエの顔が見たくなっただけだから」
 圭介はぱたぱたと両手を振ると、そばにあった椅子を引き寄せて勝手に座った。足を開いて
どすんと座り、けれど、健司の視線がその開いた足にとまった事に気付くと、慌てて足を閉じ
て、なんとなく『女の子っぽく』座り直した。

「……女の子っぽくしろって、おじさんかおばさんに言われたの?」
「いや、…まあ…その…これからは女…なんだし…」
 微妙な表情で真面目に問い掛けてくる幼馴染みへ、なんと言ったらいいかわからず、圭介は
ごにょごにょと言葉を濁す。

「いや、けど、まあ…まだ…その、スカートとか…さ、履けなくてさ……覚悟っつーか、度胸
…無いよな、オレ」
「そんなこと…ないよ」
 健司の、どう見ても苦笑いにしか見えない顔を見て、圭介はおそるおそる上目遣いで幼馴染
の青年を見た。

「……オレがスカート履いたら、ヘンだよな」
「えっ?…」
 健司は、圭介の心細げな言葉に、思わず胸を突かれた気がして息を呑んだ。

 そして、突然理解したような顔で圭介を見た。

 一週間前まで男だった圭介が、それでも一生懸命『女』として生きようと覚悟を決めている。
 自分の運命を受け入れ、その上であくまで前向きに生きようとしている。
 今までの人生が全てひっくり返り、ともすると未来までも真っ暗になってしまったような思
いだろうに。

01-464 :ボクたちの選択(95):04/03/13 02:22 ID:tvel7ES7
>463
 なのに自分は、圭介を前の男だった頃の圭介とダブらせて、素直に見られなかった。
 と思ったのだ。

 そして、こうも思った。
『俺は最低だ』
 …と。

 今の圭介は、どこからどう見ても可憐な少女にしか見えない。声も、鈴を鳴らしたように涼
やかで可愛らしいものだ。実は「圭介の妹です」と言われたら、そのまま信じてしまいそうだっ
た。

「…そんなこと、ないよ。けーちゃん可愛いもん。きっと似合うと思う」
 健司は健司なりに気を使っているのだ。
 圭介が元々遺伝的には女で、本来こうあるのが当たり前で、あるべき姿に戻っただけだ…と
思っている。真実はどうあれ、そう信じている。健司なりに、圭介が早く女としての自分に馴
れて行くように気を使っているに違いない。
 それにしても、男だった圭介を知っていて、それでも「可愛い」と言えるあたり、健司もか
なり頑張っていた。

「そ……そうかな……似合うかな…」
 そして圭介は、健司に「可愛い」と言われて赤くなり、そしてはっと気づいて、
『なんだオレ…ナニ健司に可愛いって言われて、そんで赤くなってんだ!?な、なんかこれじゃ、
まるでオレが喜んでるみたいじゃねーか!?うわっ…ちょっと待てよオレ、大丈夫か?』
 そして、自分の頭をぽかぽかと叩いて小さくうめく。

「どうしたの?けーちゃん」
「…いや…あのな…その、ええと…そうだ、オレ、明日から学校行くよ」
「あぁそう…なんだ」
「ああ。だから、また…前みたいに一緒に学校行ってくれるか?」
 立ち上がり、健司を少し赤い頬のまままっすぐ見て、圭介は言った。
 “キッ”と、真面目な顔で睨みつけるように見つめているが、まるで子犬がいしょうけんめ
い大型犬に挑みかかろうとしているようだ。本人は大真面目なのだろうが、端から見ると微笑
ましくも可愛らしい情景にしか見えなかった。
 健司もそう思ったのか、なんだか口元がむにむにと動いている。

01-465 :ボクたちの選択(96):04/03/13 02:24 ID:tvel7ES7
>464
「う、うん」
「…なんだよ」
「……べつに?」
「………笑うな」
「笑ってないよぉ」
「ど、どうせオレはっ」
「あ、ねえ、それ、由香ちゃんにも言ってあげた?」
 ふてくされかけた圭介に、健司が思い出したように不意に言った。

「いや、まだ」
「言ってあげなよ。由香ちゃん、すごくショック受けて、ずっと沈んでるから」
 健司の顔は、本気で心配して本気で心を痛めている。
 圭介は思わず胸が熱くなり、
「オマエ、ホントにイイヤツだな。オレが女なら惚…」

 …口篭もった。

「えっと…」
 かああああ…と、圭介の顔がみるみる赤くなる。

「けーちゃん?」
「ばかってめっ見るなっ」
「え?」
「あっちいけ」
 くるっと背中を向ける圭介に、健司は不思議そうな視線を向ける。なんだか2人とも黙り込
んで、空気が重くなったのを感じた。

「じゃ…じゃあ…その……オレ…帰るよ」
「あ、けーちゃん」
「なんだ?」
 玄関から足を踏み出した格好で振り返り、圭介は自分よりずっと背の高い親友を見上げた。
その顔には、戸惑いとも、苦しみとも違う表情が浮かんでいる。

01-466 :ボクたちの選択(97):04/03/13 02:25 ID:tvel7ES7
>465
「その………俺達…友達だよね?」
「…そ………何言ってんだよ、ばか。当たり前だろ?」
 圭介は、どんっと、その細くて白い手で幼馴染みの厚い胸板を叩いた。
 健司の胸は、熱くて、そして岩みたいに硬かった。
 それがなぜか、圭介の胸を切なく締め付ける。

「そうだよね」
「…そうに決まってんだろ?」
「…うん」
「………じゃあ、オレ…行くわ」
「うん」
 圭介は、振り返らなかった。
 振り返ったら、なんだか自分は男としてはしていけない事をしてしまいそうだったから。
 ぎゅっと、したかったのだ。
 大きくて頼もしそうで、そして農場の牛みたいなのん気な顔の健司を、両手でぎゅって、し
たかったのだ。

「あ~もうっキモチワリィ!」
 駆け出しながらそう呟く圭介の顔は、言葉とは裏腹ににやにやとして、なんだか幸せそうだっ
た。
 健司の笑顔を見ていると、胸の奥がぽかぽかとあったかくなった。
 心に、“キモチイイ”が満ちる。
 そして同時に、苦しくなる。
 締め付けられる。
 わからなくもないけどわかりたくない、たぶんこれが、女の、キモチ。
 ああいう、すごくすごくイイヤツに対する、女の、キモチ。

 ………のような気がした。

01-467 :名無しさん@ピンキー:04/03/13 02:27 ID:tvel7ES7
>466
ここまで。

ようやくここまできたか、って感じです。
次は「ぷちえち」の予定。

それでは、また。

01-468 :名無しさん@ピンキー:04/03/13 22:57 ID:taUSGHzA
>.>467さん
GJ!結構な長編お疲れさまです。
最初予想してた展開と少し違いました。SFベースだったんですね。
でも小説としても読み応えあるし、えちなしでも興味深いストーリーです。
男の子として育った主人公が記憶を残したまま心も徐々に女の子化して
いったらどうなるのか…
すると、今までの自分をとりまく環境がどう変って見えるのか…
どんな風にそれをこれから467さんが描いてくれるのか楽しみです。
筆ものってるような雰囲気なので、これからも頑張ってくださいね。

01-469 :名無しさん@ピンキー:04/03/13 23:03 ID:V03faMhS
   ∩___∩
   |ノ ⌒  ⌒ヽ くっやしい けれっど♪
  /  ●   ● |   >>467にむちゅうっ♪
  |    ( _●_)  ミ
 彡、   |∪|  、` ̄ ̄ヽ
/ __  ヽノ   Y ̄)  |
(___) ミ彡    Y_ノ
     \      |
      |  /\ \
      | /    )  )
      ∪    (  \
            \_)

       ∩___∩
       |ノ ⌒  ⌒ヽ ギャランドゥ♪
      /  ●   ● |         
      |    ( _●_)  ミ         ギャランドゥー♪>
    /彡、   |∪|  ミ      
   (  (/     ヽノ_  |  ギャランドゥ♪
    ヽ/ ミ彡 (___ノ   
     |      /              ギャランドゥー♪>
   / /\  |
   (  (    ヽ |
  /  )    ∪
  (_/

01-470 :名無しさん@ピンキー:04/03/14 00:21 ID:mSv/OgTg
 激 し く 萌え!!

小説化もしくは文庫化きぼん。
絶対買います。

01-471 :名無しさん@ピンキー:04/03/15 00:47 ID:sDF2MBoR
ぽーーーーん

01-472 :名無しさん@ピンキー:04/03/15 07:43 ID:EbMzmj/l
>>470
文庫化は・・・ 採算が合わんだろうなぁ
あの手は高くつくから。

で、既にお手軽ライトノベル一冊分の分量はあるね。

01-473 :名無しさん@ピンキー:04/03/15 14:42 ID:trq6+ZqN
(*^ー゚)b グッジョブ!!

でも、もうちょっと、山場ごとにエロがあったら…。

01-474 :467:04/03/16 00:28 ID:F0gZKGeC
「ぷちえち」です。

「ぷちはいらん!」という人は、スルー願います。

NGワード「ボクたちの選択」

01-475 :ボクたちの選択(98):04/03/16 00:31 ID:F0gZKGeC
■■【21】■■
 指が動く。
 自分の意志とは無関係に。

 ぬるぬる。

 指に絡みつく、ねっとりしたもの。

 自分の中から出てきたもの。

 それをすくい、ぬりつけ、そしてこする。
 ゆっくり。
 時間をかけて。
 はやく。
 火がでるくらい。
 刺激は“そこ”を中心にさざめきのように広がり、腰を揺する。
 動く。
 意識がどんどん押し上げられ、白く濁ってゆく。

「…ぁ……あ……」
 声が漏れる。
 恥ずかしい…っ!!
 枕に顔を押し付け、声を殺す。
 声を殺した事で、もっと大胆になる。
 腰をくねらせてみた。
 そのいやらしさを想像する。
 毛布の中でうつ伏せになり、お尻を高く上げて、パジャマのズボンを膝まで引き下ろして、
そしてお尻を振る、そのいやらしさ。
 えっちな、格好。
 それを自覚するたびに、自虐的な想いが胸を焦がす。

「…んっぁっ……ーちゃん……けーちゃん…」

01-476 :ボクたちの選択(99):04/03/16 00:32 ID:F0gZKGeC
>475
 愛しい人を呼ぶ。
 見て。
 えっちな私を見て。
 こんなにあなたが好きで、あなたを想ってこんなにえっちになっちゃう、いやらしい私を見
て。
 途端に、ぐんっと意識が舞い上がる。
 高みに。
 真っ白なところに。

「んんぅん~~…」
 赤ちゃんがむずがるように。
 何かを請うように。
 しゃくりあげ、腹筋が“びくっびくっ”と痙攣するようにひくつき、足の指がシーツを突っ
張る。

「…けーちゃん…けーちゃぁん……」
 キス。
 記憶の中の彼。
 意志の強そうな唇。

「けーちゃん…けーちゃん…」
 その唇で、おでこを、ほっぺたを、唇を、ついばむように、キスされる。
 そして指。
 胸に、お腹に、そしてあそこに触れる彼の指の、

 ビジョン。

「んあっ…」
 枕に押し付けた口が、感極まった声を洩らす。

「……ぁ……」
 そして彼女は、高みに到達する。
 あとは……真っ白な、闇。

01-477 :ボクたちの選択(100):04/03/16 00:34 ID:F0gZKGeC
>476
 由香は、ベッドの中で“くたっ…”と体を横たえ、深く溜息をついた。
『なにやってんだろ…私…』
 もう、“在りし日の彼”を想い描きながら自慰をするのは、これで最後にしよう。
 …そう思いながら、もうこれで3回目だ。自分はこんなにもえっちだったのか…と、由香は
自己嫌悪に陥ってしまう。
 なんて、未練がましい女だろう。
 小学三年生から始まった彼女の『初恋』は、つい先日、意外な形で唐突に終わってしまった。
 彼に嫌われたわけでも、彼に彼女が出来たわけでもない。
 けれど、彼を嫌いになったわけでも、彼以外の人を好きになったわけでもなかった。
 彼が、女になってしまったのだ。
『サイテー……』
 正確には『女になった』のではなく、『女だった事が判明した』のだけれど、由香にしてみ
ればそれはものすごい“裏切り行為”だった。たとえ彼自身に由香を騙していた自覚が無くて
も、彼女が8年間も騙されていた事実に変わりは無い。
 それ故に覚悟が出来なくて、彼が目覚めてからも彼に会いに行く事が出来なかった。
 健司に言われても、曖昧な返事しか出来ない。
 彼が嫌いになったわけではないのが、余計に由香を苦しめている。
 『女性かせいはんいんよー』とかなんとか言う変な病気(?)だかなんだか知らないけれど、
8年間もあたためて、あたため過ぎて熟成しきってしまったこの恋心を、いったいどうすれば
いいというのか。
『忘れちゃうのが一番なんだけど…』
 忘れて、また、元の関係に戻るのだ。
 また仲の良い、ただの幼馴染みに、戻るのだ。
『できるわけないじゃない…そんなの…』
 圭介からメールをもらって彼の家に行った時、彼の部屋にいた可愛らしい少女。
 『美少女』と言ってもいいそのセミロングの少女が、自分の恋した少年だと知った時の衝撃
は、きっと誰にもわかってもらえないのではないだろうか?

01-478 :ボクたちの選択(101):04/03/16 00:36 ID:F0gZKGeC
>477
『東京に上京した恋人に逢いに行ったら、ニューハーフに…しかも自分よりもっと綺麗になっ
てゲイバーで働いてる…って聞いた時の心境と同じかも』
 「ふざけんなバカ!」とか言って彼の顔にビンタの一発も張って、それで全てを忘れてしま
えればどんなにか楽だろう。
 馬鹿なことを考えてる。
 由香はそう思いながら、ひとりえっちの余韻からようやく身を起こした。

■■【22】■■
 指についた水っぽい愛液をティッシュで拭き、ぐっしょり濡れてしまった下着を替える。ひ
とりえっちし過ぎるとあそこが黒くなるとか、頭が悪くなるとか色々噂されてるけど、自分が
馬鹿な女だって事は本当の事だと思う。始まってもいない恋に破れて、一人悶々と自分を慰め
ているなんていうのは、馬鹿のする事だからだ。
『ママ…早く帰ってこないかな…』
 婦人会の集まりとかで、午前中から出かけている母を思った。一人で家にいると、余計な事
を考えてしまってどんどん暗くなってしまう。それならばどこかに出掛ければいいのだろうけ
ど、もし圭介や健司と顔を合わせたりしたら、いったいどんな顔をしたらいいのかわからなく
て、どこにも出掛けられなかった。

「………晩御飯の用意でもしようかな……」
 そう一人ごちる。
 階下に手を洗いに行こうとした時、ケータイの着信メロディが鳴った。
 メロディは、最近見た映画のメインタイトルで、主役の男の子が圭介にどことなく似ている
気がした、フランスの古い映画だった。
 我ながらなんて乙女チックな行為だろうと想いながらも、ひそかに彼がそれに気付いてくれ
たらいいな…というかすかな打算もあった事は確かだ。
 馬鹿馬鹿しい。
 彼からかかってくる電話に鳴るように設定していたら、彼は永遠に気付きやしないのに。
 液晶の画面表示を見て、「けーちゃん」という文字を確認し、一瞬、躊躇する。
 居留守を使おうか。

01-479 :ボクたちの選択(102):04/03/16 00:38 ID:F0gZKGeC
>478
 けれど、彼からの電話なんて、もう何ヶ月もかかってきていない。当然だ、いつも一緒にい
て、学校のある日は毎日毎朝顔を合わせていたのだ。特に用も無い限り土日に電話する事も無
いし、そもそも彼から電話をかけてくる時は、大抵、明日の宿題がどうの、健司がどうの、今
日もらったプリントがどうの、色気の無い事甚(はなは)だしい。

「…はい」
 結局、彼の声が聞きたいという誘惑には勝てず、由香は小さく溜息を吐いてボタンを押した。
 沈黙があった。

「……けーちゃん?……」
 不安になる。
 彼ではないのだろうか?
「……由香か?…その……大丈夫…か?」
 おかしかった。
 まるっきり女の子の、可愛らしい声なのに、すぐに圭介とわかったことも。
 由香のケータイに電話しているのに、『由香か?』と聞いてしまう圭介の間抜けさにも。
 大丈夫じゃないのは自分も同じなのに、由香の事を心配している圭介の優しさにも。
 由香は胸がつまり、何か言おうとして、言えなかった。
『由香…?』
「あ、うん。私だよ?」
 本当は、聞きたい事がたくさんあった。
 眠り続けていた3日間に、彼の身にいったい何が起こったのか?
 目が覚めてから今日まで何をしていたのか?
 自分が女だって気付いてから、何を思ったのか?
 けれど、どれ一つとして口にする事が出来ない。
『悪かった…な。連絡しないで』
 それは私だよ。
 ずっと逃げてた、私だよ。
 そう言いたかった。
『……嫌いになっても仕方ないんだけど…出来れば、その…嫌いになって欲しくないかなぁ…
なんて…………ナニ言ってんだオレ…』
 胸がつかえて、苦しくて、どんどん目頭が熱くなってくる。

01-480 :ボクたちの選択(103):04/03/16 00:40 ID:F0gZKGeC
>479
 彼の声が嬉しかった。
 彼の声が苦しかった。
 彼の声が哀しかった。

 彼の声に、涙が出た。

「けーちゃん…」
『なんだ?』
「けーちゃん…」
『なんだよ?』
「けーちゃん…」
『だから、なんだ?』
「けーちゃん…」
『おい、由香?』
「けーちゃん…」
『……泣いてるのか?』
「…けーちゃん…どこにいるの?逢いたい…逢いたいよぉ…」
『由香…』
 戸惑う彼の声と、呼吸が聞こえた。
『下』
「…え?」
『今、オマエの部屋の下にいる』
「…………え?」
 慌てて窓に近づいて、レースのカーテンを開いた。
 窓の下を見る。
『上がっても、いいかな?』
 家の前の道路では、ぶかぶかのグリーンのトレーナーと裾(すそ)がかなり余ったケミカル
ウォッシュのジーンズ、それに赤いスニーカーという……なんだか男っぽいのか女っぽいのか
良くわからない格好で、セミロングの美少女が困惑顔のままこちらを見上げていた。

01-481 :ボクたちの選択(104):04/03/16 00:41 ID:F0gZKGeC
>480
■■【23】■■
 圭介を部屋に通すのは、小学校以来だった。
 由香は慌てて「だめっ!」と言いかけて思い直し、「ちょっと待ってて」と言ってケータイ
を切った。それから玄関に行こうと部屋のドアを明けてから、下着の中が濡れている事に気付
いて真っ赤になり、クローゼットから下着を取り出して、そして立ち上がったところで思い直
して今度はとっておきの可愛い下着を取り出した。それを持って階段を飛ぶように駆け下りる
と、トイレに入ってあそこをウォシュレットで念入りに洗ってから丁寧に拭き、新しい下着を
身に着けて、汚れた下着を洗濯機の中に放り込んで手を洗った。
 ここまで52秒。
 それから階段を下りた時と同じくらいの速さ(と思ってるのは本人だけで、実際には「トロ
い」由香がそこまで敏捷であるはずもなく)で駆け上って部屋に入ると、慌てて窓を開けてス
プレー式の消臭剤をベッドや枕やクッションやカーペットにたっぷり吹いて、粘着テープ式の
ゴミ取りで手早くカーペットを掃除する。
 ここまでで2分17秒。
 それから部屋を出ようとして思い直し、ばたばたと服を着替え始める。部屋着に使ってるちょっ
と縒(よ)れてくたびれたピンクのスウェットでは、あまりに体裁悪いと思ったのだ。けれど、
明るい色のパーカーとジャンパースカートとストッキングに着替えて髪を梳かしながら、
「……なにやってんだろ…」
 と気付いてしまい、彼女は思わず肩を落として溜息を吐いた。
 どんなに気合を入れても、パンツをおにゅーにしても、同性相手にどうしようというのか。
『でも、まあ…いいか…』
 よれよれのくたびれた格好で彼の前に出るよりは。
 そう思いながら、4分12秒後、由香は玄関のドアを開けた。

 圭介は由香の顔を、ちょっと見るだけのつもりだった。

01-482 :ボクたちの選択(105):04/03/16 00:44 ID:F0gZKGeC
>481
 それが、ずいぶん待たされた後で由香に引っ張られるようにして中に通され、そのまま彼女
の部屋に案内された。自分としては女の子の部屋に親もいない時に入るなんてのは考えられな
い事だったけれど、考えてみれば自分も今は女なのだと気付いて「まあいや」と階段を上った。
それに、今さら「下でいいよ」と言えるような雰囲気でもなかった。

「ど、どうぞ」
「あ、うん…」
 由香の部屋に入って、まず最初に匂ったのは、消臭剤の匂いで、それに混じって由香自身の
香りがした。甘いような、甘酸っぱいような、なんだかむずむずする匂いだ。

「あ、い、今、お茶入れるね!?」
「あ、いいよ別…に…」
 圭介の返事を待たずに部屋を飛び出していく由香に、圭介は少ししてから笑みを洩らした。
緊張しているのは圭介だけじゃないのだ。今までずっと一緒にいて、妹か従姉妹みたいな感覚
で付き合ってきたけれど、考えてみれば……いや、考えてみなくても、由香は年頃の女の子な
のだ。

 圭介は、由香が自分の事を好いていてくれている事に気付いていた。
 けれどそれは、兄とか従兄弟とか、そういう自分が由香を好きな気持ちと同じようなものだ
と思っている。今までも、そして今だってそうだ。
 由香と初めて出会ったのは、小学3年生の時だったと記憶している。
 隣の席だった由香は、圭介から見てもちょっと「トロい」ところがあって、よくクラスの悪
ガキに格好の餌食になっていた。それを助けたのは圭介で、それ以来ずっと由香は圭介に懐い
て彼の行くところどこでもちょこちょことついて歩くようになった。あの時は、単にその悪ガ
キのやり方が気に入らなくて殴ってやっただけだったのだけど、由香の目にはそうは映らなかっ
たのだろう。一人っ子だった圭介と由香は、それ以来まるで兄妹のように同じ時を過ごしてき
た。

01-483 :ボクたちの選択(106):04/03/16 00:46 ID:F0gZKGeC
>482
 高校進学の時、当たり前のように自分と同じところを受験する由香を、圭介は邪険には出来
なかった。けれど、由香の成績なら2ランクも3ランクも上の高校を選べたはずだと思えば、
あの時、喧嘩してでも別の高校を受験するようにさせれば良かったと思わないでもない。けれ
ど由香は、あの「ぽややん」とした顔で「え~~…けーちゃんのいない高校なんかに行っても、
つまんないもん」と言って「ほにゃほにゃ」と笑うものだから、それ以上は何も言えなかった
のだ。

「馬鹿だよな…ほんと…」
 同い年なのに甘えん坊で、そのくせ頭がすごく良いのにトロくて運動神経切れてる。圭介と
一緒に陸上部に入った時も、真っ先にマネージャー志願したのは走っても跳んでも人並み以下
だったからだ…と、今も圭介は固く信じていた。

「おまたせ~…あ、もうっあんまりジロジロ見ないでよぉ~」
 あぶなっかしく2人分のティーカップとティーポットをトレイに載せて持ってきた由香は、
圭介が視線をさ迷わせているのを見咎めて“ぷう”とほっぺたを膨らませた。

 いつもの由香がいた。

 圭介はホッと肩の力を抜き、ようやくいつものように笑う。

「泣いたカラスがなんとやら…だな」
「どういう意味?」
「わかんねーならいいや」
 いまどきの女子高生なら化粧の一つもしているのが普通(らしい)けれど、由香はその気配
がちっとも無い。やけにテカテカしてる唇にグロスを塗ってるくらいは、母に「女の子ならこ
れくらい」と持たされたリップで理解出来た。
 由香の持ってきた紅茶に砂糖を落とし、カチャカチャと掻き回す。2人とも、しばらく無言
だった。

「さっき、健司のとこに行ってきた」
 ずずず…と紅茶をすする。

「…うん」
 由香は俯いて、こくっと頷いた。言いたい事は山ほどあるのに、2人とも口がひどく重い。

「で、まあ…その…なんだ…由香のとこにも行っておかないと…って思ってさ」

01-484 :ボクたちの選択(107):04/03/16 00:48 ID:F0gZKGeC
>483
「健司くんの次なんだ…」
 圭介の顔を見て、彼の…彼女の睫(まつげ)が自分よりも長く、目もぱっちりとしているの
がなんとなく面白くなくて、由香は言葉にトゲをまぶして紅茶を一口飲んだ。

「…なんだよ」
「べつに?」
「…ナニ拗ねてんだよ。いーだろ?別にどっちが先でも」
「ふぅーん」
 よく見ると肌もきれいだ。赤ちゃんみたいにつるつるしてる。
 これだけ可愛くて肌もきれいなら、女の子としても十分やっていけるんじゃないだろうか。
 由香はなんとなくそんな事も思った。

「オマエだってな、ずっとうちに来なかっただろ?健司は次の日も来てくれたぞ?」
「それは…だって…」
「この薄情者」
「う…」
「そりゃ確かにオマエもショックだったとは思うけどさ、オレだってすげーショックだったん
だぞ?気がつきゃ女になってるし、母さんは星……」
「ほし?」
「………まあ、その、なんだ…………で、元気か?」
「…………………けーちゃんこそ」
 胸を突かれ、由香はようやくそれだけを口にした。

「お…女の体って、めんどくせーのな。トイレとか、風呂とか、パンツ履くだけでも、なんか
すげー焦った」
 重い空気を跳ね除けるように、圭介はおどけたように言った。顔が赤いのは、まだ女だとい
う事に慣れていないからだろうか。

「どうして?」
「なんか、ヘンタイっぽくてさ」
「ヘイタイ?」

01-485 :名無しさん@ピンキー:04/03/16 00:50 ID:F0gZKGeC
>484
ここまで。

あ、間違い。
最後の由香のセリフは
「ヘンタイ?」
です。

もうすぐ梅雨を過ぎて、プール開きです。
その前に健康診断とか。

01-486 :名無しさん@ピンキー:04/03/16 16:05 ID:I5NbEFLD
これからどうなるか楽しみです♪
続きを期待しています

01-487 :名無しさん@ピンキー:04/03/16 16:38 ID:84SFkjSB
圭ちゃんの容姿の描写萌え!

01-488 :名無しさん@ピンキー:04/03/16 20:18 ID:ko41H/1L
あいかわらずGJ!!です!
ああ、三人三様の苦悩があるわけですね、圭介を中心に。
想い続けていた相手が同性だったら・・
ぼんやりと…でも今度は異性同士になる健司とは違って、
由香はもともとが圭介のことをそうとう好きだったから、
果たしてどんな選択するんでしょうか。
複雑な三角関係。この話、なかなか面白くなりそうですね。
あと、
>…そう思いながら、もうこれで3回目だ。
の、やけに念入りな由香タンに
ちょっとハアハアしてしまいました(汗。

01-489 :485:04/03/16 23:47 ID:3+qXda86
今回はエロ無しです。
(いつも無い……?)

イヤな方はスルー願います。

NGワード「ボクたちの選択」

01-490 :ボクたちの選択(108):04/03/16 23:49 ID:3+qXda86
>489
「女モノのパンツ履くなんてさ、ちょっと前まで考えられなかったんだぜ?それがオマエ…こ
んな薄くてちっちゃいパンツ………なあ?」
「なあ…って……」
 同意を求められても困る。
 由香は物心ついた頃から女の子をやっているのだから。

「さすがにクツはサイズが合わなかったから母さんに買ってきたもらったヤツを履いてきたけ
ど、服は、なんかやたら可愛いモンばっか買って来てさ……恥ずかしいから前の引っ張り出し
て着てきたよ。母さん、男モノは全部押し入れに仕舞っちまいやがんの」
「……今は、女の子が男の子の服着てても別におかしくないんじゃないかなぁ?それに、女の
子の服でもカッコイイのいっぱいあるよ?色も男の子っぽいの、多いし」
「ほんとか?」
「なんか、子供の頃から男の子、女の子って区別しちゃダメなんだって。色だってほら、『男
の子色』とか『女の子色』とかあったでしょ?」
「ああ、あったあった。青とか黒とかは『男の子色』で、赤とかピンクとかは『女の子色』っ
てヤツだろ?」
「うん。それに子供服も『男の子用』と『女の子用』ってやめようって運動もあるみたい」
「へぇ…由香、よく知ってんなぁ…」
 気がつくと、2人は服のことを皮切りに色々な事を話していた。さすがに、以前と同じ屈託
無く……というわけにはいかないが、由香の中にあったわだかまりは、それで随分と解けていっ
たようだ。

「けーちゃんが知らなさ過ぎるだけだと思うけど…」
「…そうか?」
 実際、女は男よりも覚えなくちゃいけない事が多い。自分は平気でも、行動一つで周囲の人
を不快にしたり、意識させたりしてしまう。女とは、なんて不自由で、なんて窮屈な生き物な
んだろう。
 圭介はうんざりしながら紅茶を飲んだ。

「だからね?歩くときは、こうやって…」
「へぇ~…」

01-491 :ボクたちの選択(109):04/03/16 23:51 ID:3+qXda86
>490
「座る時はスカートをこうお尻につけるようにして…」
「へぇ~…」
「あそこのポッカの自販機の角から奥は、夜は暗くなるから気をつけないと…」
「へぇ~…」
「食べる時はこうやって顔を近づけるんじゃなくて…」
「へぇ~…」
「制服はミニだから、その、えっと、ト…トイレに行った時…」
「へぇ~…」
「それで、授業中にどうしてもト…イレに行きたくなったら…」
「へぇ~…」
「………………けーちゃん、ちゃんと聞いてる?」
「きっ聞いてる……聞いてるよ」
「もうっ!恥ずかしいの我慢して教えてるのにぃ!」
「わりぃ」
 由香の言った一つ一つを、全部意識しながら生活するなんて、圭介にはとても出来るはずも
無かった。
 圭介は明日からの生活が益々不安になる。
 自分は、ちゃんと“女をやれる”だろうか?
「…いいや。オレはオレだし、なんかもう、好きにした方が良さそうだ」
「けーちゃん…」
「わかんない事があったら、由香に聞くよ。それでいいだろ?」
「う…うん、だけど…」
「よろしくたのんます。由香センセ」
「先生?」
「そ。今日からオマエはオレの先生だ」
「先生……私がけーちゃんに教えるの?……………んふ~…なんかいいかも」
 今まで圭介に教えられたり護ってもらったりばかりだった由香にとって、それは新鮮な感覚
だった。
 思わず頬が緩む由香に、圭介は疑惑の目を向ける。

01-492 :ボクたちの選択(110):04/03/16 23:52 ID:3+qXda86
>491
「まさかオマエ…デタラメ教えようとか思ってねーだろうな?」
「なんでそーゆーこと言うの?もう何も教えてあげないから」
「あ、いや、それは、困る。わるい」
 しおらしく頭を垂れ、謝る圭介がたまらなく可愛かった。
 由香は心の中でくすくすと笑いながら、それでもそんな心の動きはおくびにも出さず、
「で、明日からどうするの?」
「ん…あ、そうそう、今日はそれを言おうと思ってさ」
「?」
「明日から、学校に行こうと思ってさ。それで、また、朝…その、一緒に行ってくんねーかなぁ
…って」
「今まで嫌がってたのに?」
 わざと言ってやる。
 これくらいのいぢわるは許されていいと、由香は思う。

「う…」
「ふふ…いいよ。こんなけーちゃん、ほっとけないもん」
「そ、そうか」
「そのかわり、これからはビシバシ鍛えてあげるから、覚悟しといてね?」
「あ~…いや…お手柔らかに頼むよ…」
 ふにゃっと情けなさそうな顔をして顔の前で両手を合わせる圭介に、由香は
『まあ、いいか』
 と思った。
 恋人は、いつか別れる時が来るかもしれないけれど、友達なら一生付き合っていける。
 前みたいな仲のいい幼馴染みとは、ちょっと形が違うけれど。

 ただ、自分の恋心に決着を着けることが出来るのは、もう少し先になりそうだった。

■■【24】■■
 翌日から、さっそく由香の『授業』が始まった。

01-493 :ボクたちの選択(111):04/03/16 23:56 ID:3+qXda86
>492
 圭介自身は、しばらく男子用の学生服で登校するつもりだったのだけれど、母はちゃっかり
女子用のブレザーを用意していた。あまつさえ彼が眠っている間に学生服を、予備も含めてど
こかに隠してしまったため、彼は心の準備もそこそこに、初日からミニスカートと格闘する羽
目になってしまったのだった。
 当の母は、午前中に収録があるとかで寝ぼけ眼の圭介のほっぺたにキスすると、さっさと迎
えに来た車に乗って行ってしまった。昨日までの数日間とはえらい違いだ。きっと圭介に全部
話してしまって、肩の荷が下りたとでも思ってるんだろう…と、彼は思った。
 そして、朝早くから圭介を迎えに来た由香は、
「いくら胸無いからって、ノーブラはだめ!せめてシャツくらいは着てよぉ」
 だの、
「昨日ちゃんと下着は替えた?え?替えてない?ミニなんだからちゃんと替えて!シミが出来
てるに決まってるんだから!」
 だの、
「ついでに替えの下着も2枚くらい持っていった方がいいと思う」
 だの、
「おばさんの部屋からポーチとか借りてきたよ。えっと…じゃあこれとこれとこれとこれとこ
れとこれとこれと…」
 とか言いながら、リップクリームとか髪留めとか輪ゴムとかティッシュとかハンカチとかブ
ラシとか折り畳みの鏡とかクリームとか…圭介自身、そんなものどこにあったんだ?と思うよ
うなものを手早く母のポーチに詰め込んでいった。

「大丈夫?忘れ物ない?」
 玄関で圭介は、今日生まれて初めて履いたスカートを両手でバサバサやりながら、後でクツ
を履いている由香を見た。

「…なんか、すーすーする……っつーか、これってヘンじゃねーか?」
「何が?」
「コレだよコレ。ミニスカ」

01-494 :ボクたちの選択(112):04/03/17 00:00 ID:3r/t0dLs
>493
 結論から言おう。
 このミニスカートという服を考え出したヤツは、よっぽどのスケベかバカか露出狂だと圭介
は思った。そしてこれを学校指定の女子制服にしたのは、頭が狂った大馬鹿野郎だ。
 膝上10センチなんていうのは、ほとんどパンツを出して歩いているようなものなのだ。座っ
たら確実に前からパンツが見えてしまうし、第一、すごく、
「さむっ……こんなの着て、よく平気で学校に行けるなオマエ…」
 玄関を開けた途端、すうっ…と風がスカートの中に入り、下着を撫で、圭介は太股を擦り合
わせながらぶるるっと身を震わせた。まるで下半身に何も履いていないんじゃないか…と思う
くらい心もとない。由香は手馴れた手付きで玄関のカギを閉めると、圭介にカギを手渡しなが

「平気じゃないってば。冬はコート着ててもすっごく寒いから、たいてい学校まではコートの
下にジャージ着てるし、毛糸のパンツは女の子必須!」
「いばるな」
「いばってないよぉ。けど、ほんとに毛糸のパンツって馬鹿にできないんだよ?それに、パン
ツ2枚履いて、腰のところに使い捨てカイロとか温感シップとか貼ってる子もいるよ。じゃな
いとすぐにお腹ゆるくなって学校着いたらすぐにおトイレ行きたくなっちゃうから」
 …つまり、登校途中に腹が冷えて下痢になって、学校に着いた早々トイレで座り込むという
ことだ。

「………それ、男子には絶対言わない方がいいぞ」
「言わないよぉ」
「それがいい。夢が壊れるからな」
 今思えば圭介もそうだったが、中高生の男子なんてものは同年の女の子にむやみやたらと幻
想を持ってるものだ。自分の中に勝手な理想を作り上げて、それを固く信じている。女の子は
花と砂糖菓子と白とピンクといい匂いで出来てると、本気で固く信じてるヤツだっている。恋
は盲目。姉や妹などで間近にリアルな女を見ているヤツだって、恋したらその相手はウンチも
オシッコもしないし、その子に自分が影でどんな風にキビシク評価されてるかなんて、これっ
ぽっちも考えなくなってしまう。

01-495 :ボクたちの選択(113):04/03/17 00:03 ID:3r/t0dLs
>494
 まったくもって愚かとしか言いようがないが、圭介もたった一週間前まではその男達の一員
だったと思うと、哀れでならない。
 そしてそんな男達の哀れな幻想を護るために、女達は薄着をして化粧をして無駄毛を剃って、
なんでもないよという顔で笑うのだ。
 なんて健気で、なんて可愛い生き物だろうか。
 ただ、圭介にはそこまでなれるとも、なりたいとも、ぜんぜん思わなかったけれど。

「はい、早く外に出る。ほらほらほら」
 そして、どうしても玄関先から道に出られなくて躊躇(ちゅうちょ)しまくっていた圭介の
背中を強引に押したのも、やはり由香だった。
 すっかり主導権を握られまくりである。
 あのちょっと「トロい」由香は、ひょっとしたら彼女の演技だったのではないか?とさえ、
彼が思ってしまうほどに。

 6月に入り、そろそろ梅雨入りを気にし始める季節だった。少し雲が多いせいか、心持ち気
温が低く感じられる。何より圭介には、風が強いのが気になった。

 あれだけ早めに圭介の家に来た由香だったが、結局彼の家を出たのはいつもと同じ時間だっ
た。始業時間には、まだたっぷりと余裕があるため、ゆるやかな下りの坂道になっている通学
路には、登校する学生達が大勢いた。衣替えの季節に入り、6月2日の月曜日…つまり今日か
ら一週間は、冬服でも夏服でもどちらでもいい猶予期間となっている。そのため、登校する生
徒の中に夏服を着ている生徒が少なくなかった。

「な…なあ……なんかみんな見てないか?」
「気にしないの。そりゃみんなだって驚くよぅ。ちょっと前まで男の子だったけーちゃんが、
いつの間にか女の子になってるんだもん」
「…けど、遠巻きにひそひそ話されるのは……やっぱこたえるなぁ…」
「いいのいいの。けーちゃん可愛いから、もっと胸張っていいんだよ?」
「ばっばか言え。こういう場合は可愛いとか可愛くないとかは関係ないだろ」
 そうでもないんだけどな、と由香は思った。

01-496 :ボクたちの選択(114):04/03/17 00:05 ID:3r/t0dLs
>495
 正直、今の圭介を見て以前の男だった彼を重ねるのは難しいだろう。遠巻きに見ている男子
生徒なんて、あからさまに興味深そうにじろじろ見ている。あの目は『なんだあの可愛い子…
何年生だ?転校生か??』って顔をしてる。ちょっと嫉妬してしまうけれど、圭介自身、自分
がどれくらい可愛いのか自覚が無いみたいだから、彼に怒ったりするのは理不尽だろう。
 そう由香は思って圭介を見た。
 その彼はといえば、由香の斜め左後にいて、まるで彼女に隠れるようにして歩いている。風
が気になるのか、しきりにスカートを押さえているのが「初めてミニスカートを履いた女の子」
そのもので、なんだか微笑ましいと由香は思った。

「もっと堂々としてればいいんだよ?」
「だってさ、なんか、ケツが見え」
「お尻」
「……お尻が見えそうで…」
「そんなの気にしてたら歩けないって」
「ク、クラスのヤツラに会ったらどうすんだよ」
「…あのね、どうせ教室に入れば嫌でも顔合わせるんだから」
「でもさぁ…」
「んもうっ。それでも男の子?」
「い、今は女だぞ!?」
「あはは。けど、けーちゃんが実は女の子だったって、クラスのみんなは知ってるから」
「…なんで?」
「この前、はるかちゃんが全部話してくれたもん。それで、クラス会議して、『普通に接しま
しょう』って事になったの」
「ひとのこと勝手に議題にすんなっつーの」
 圭介はしきりに首の紐ネクタイを気にしている。学生服を着ていた時は、いつも第2ボタン
まで外していたから、首を締めるような感覚に馴染めないのだろう。セミロングの髪が鬱陶し
いのか、うるさそうに髪を掻き揚げる仕草は、まだ少年の仕草のままだった。

「ほら、乱暴にしない。せっかくきれいな髪なんだから、痛めちゃダメでしょ?」
「あ~もうっやっぱ短く切っちまえばよかった」
「おばさん、泣いちゃうよ?」

01-497 :ボクたちの選択(115):04/03/17 00:06 ID:3r/t0dLs
>496
「………それが嫌だからこの長さに妥協したんだよ」
「だと思った」
 その時、車輪が軽快に回る音がして、3台の自転車が次々に側を通り過ぎていった。その内
の1人が不意に振り返り、ぎょっとして、
 コケた。

「………やっぱり驚くよねぇ……」
 由香が、盛大にコケて5メートルも転がっていった男子生徒を見て、ポツリと呟いた。

「吉崎くん、大丈夫かな?」
「あいつは頑丈だから死にゃしねーよ。毎朝人の頭叩いていきやがったバチがあたったんだ」
「もうっ…そういう事言わないの」
 コケて制服を破き、ボロボロになったクラスメイトを尻目に、圭介はさらさらの髪を揺らし
ながら平然と通り過ぎた。由香は心配そうに後を振り返るが、吉崎を含めたクラスの3馬鹿ト
リオは、呆然と圭介の後姿を眺めている。

「まだ見てるよ?」
「ほっとけ」
 由香と話しながら、圭介はニヤニヤと浮かぶ笑みを抑えきれないまま豆腐屋の角を曲がった。

「おはよ」
「あ、健司くんおはよー」
 にこにことした笑みを浮かべて、牧歌的雰囲気の青年が顔を出す。

「けーちゃん、制服着たんだねぇ」
「よ…よお…まあな…」
「こうやって並んでると、なんだか姉妹みたいだね」
「そ…そうか?」
 圭介の挙動がおかしかった。さっきまで浮かんでいたニヤニヤ笑いが引っ込んで、またしき
りにスカートを気にしている。

「うん。可愛い」
「ばっ……ヘンな事言うなよなぁ」
「…俺、ヘンな事言った?」

01-498 :ボクたちの選択(116):04/03/17 00:16 ID:3r/t0dLs
>497
 健司は隣でくすくすと笑う由香に、困惑した顔で聞いた。こうして2人が並んでいると、ちょっ
と遠目には確かに姉妹に見えなくもない。2人ともセミロングの艶やかな黒髪で、どちらも色
が白く、そして胸が壊滅的にまっ平らだ。それに、「ぽややん」とした顔の由香と、ちょっと
気の強そうな圭介が並ぶと、「少し天然入った優しい姉」と「元気いっぱいの生意気な妹」と
いう図式がピタリと当てはまる。どちらも十分に可愛らしく、男子生徒の人気を集めそうだっ
た。
 実際、由香はもともと隠れファンが多かったし、圭介がいなければ告白していた男子生徒も
きっといただろう。今回の事で圭介が女だとわかって、由香はこれで晴れて完全フリーになっ
たわけだ。これから、由香を口説こうとする男子が出てくる事は、誰にでも簡単に想像出来る。
 そして圭介は、元男……男として暮らしてきてはいたけれど、これからは女として学校生活
を送る事になる。元々、圭介は男にしては綺麗な顔立ちをしていて、一部の男子からは「本当
に男か」などとやっかみ半分で囁かれていたため、今回はっきりと女になった事で、逆に男っ
ぽいサッパリとした性格の女の子になるだろう。そうなれば、可愛らしい美少女然とした顔立
ちも相俟って、男子にも、ひょっとしたら女子にも(特に、下級生とか)人気が出そうだった。

「けーちゃん可愛いから、きっと男子にもてるよ」
「そうそう、きっと大変だよぉ?どうする?」
「うえっ…キモチワルイ事言うなよなぁ……。オマエら、なんかおかしいぞ?あんまり無理し
てオレを女扱いしなくていいってば」
「別におかしくはないと思うけど…むつかしいなぁ、けーちゃんは」
「むつかしいねぇ…きっとそーゆー年頃なんだよ」
「そっか」
「………オマエら…」
 圭介と由香に歩調を合わせながら、健司はゆっくりと歩いた。同い年の男子生徒に比べても
背の高い健司を間にして、同い年の女子生徒に比べるとちょっと低い由香と圭介が並ぶと、ま
るで中学校の修学旅行の引率の先生とその女子生徒のようだった。

01-499 :名無しさん@ピンキー:04/03/17 00:25 ID:3r/t0dLs
>498
ここまで。

>468
難しいけど頑張ります。

>472>473
もうそんなになりますか…。
贅肉を削いで、もう少しまとめるよう努力します。

目指したのは、「ジュブナイル風でエロ」でした。
中高生向け小説で濃厚エロ…が書きたいなぁ…と。
もうちょっとお待ち下さい。

>488
由香のひとりえっちは、このスレには合わないのでナシにしようかと思いましたが、エロが少
ないとお嘆きの貴兄がいらっしゃるようなので…。

>ALL
作者が顔出すのはウザい確率高いので、たまにしときます。

01-500 :名無しさん@ピンキー:04/03/17 00:26 ID:3r/t0dLs
>499
間違い。

「中高生向け小説風で濃厚エロ」
でした。
(エロ入ったら中高生向け小説ではない)

01-501 :名無しさん@ピンキー:04/03/17 00:26 ID:vEJKdltc
これからの展開に大いに期待がふくらみますた

01-502 :名無しさん@ピンキー:04/03/17 00:38 ID:Qy+RyWuI
萌え死にそうでした(*´Д`)ハァハァ
ほんとに文庫とか小説化して欲しい。

01-503 :名無しさん@ピンキー:04/03/17 00:42 ID:Qy+RyWuI
完成度は、本屋にある文庫なんかよりは遥かに上ですよ。
感涙ものですた。・゚・(ノ∀`)・゚・。

01-504 :名無しさん@ピンキー:04/03/17 00:46 ID:h6T2jdWT
               /  /     /   |      \ ヽ
               / /  /   / /    ||  |  i  ヽ i
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               |//  / /___, -一ァ|  /! |ト、|│ | | く」
                |,-‐¬  ̄---┘'7 |!  ハ! |,、-┼十|! | | |
          , -‐ ''"  し' '´_ /,ィ二l |ト、/!ヽト、\_ヽ!|!l | ハ |
       ,r/      __   ,イ|リ ヾハ! ヽ!  ,ィ⌒ヾミリノ!/リ  |
      / ||ヽ  -'     / ̄ )` __      |ヒノ:} '` ,イ/ |  |
    ,r '   ヾ、  ,-、____ , イ ̄,r==-      ==-'  レ' /|  |
  / ヽ    `ーソ  ' | |ト、,ヘ ′""          "" / / || |     >>499様、乙であります!
. /    \_  /  | ハ ヽ`゙'ヘ       ' '__. ィ  / / | |  |
           /   / / |  ヽ 川\    ヾ三ニ‐'′//! |  | |  |
        /    / / 八  \川| |`ト- ..  __ , イ‐ァヘ |  | ||  |!
      /    / / /  \  \ 「`ー- 、    /  .〉  ト、|  ヽ、
     ,イ    /-─=¬ニヘ、_  \   厂\ 厂ヽ /!|   | `ー=ヘ
 -‐  ̄ /─ '  ̄     ├- ヽ\  \ノ\ \ 人 ハ!ヽ ||  |-┤ ヽ
      /          /!‐-- | |\   ト、_`ヽ oヽ  ト、!  ||  |‐┤- ヽ
  // 〉      __ /  ├‐-  ||  | 川-‐  | |  厂7! ハ!  ├:┤  ̄ヽ
  / / ー ─    ̄       ├‐- リ  || ハ!ヘ   | |  ト┤|/′ ヾ,┤   ゙i_
  ‐ '              〉‐-    | / /\ .|o | /ヽ/(′    ∨     \
‐--─ ──-r、___-、    /ー_     {(   '´>、! /ヽ/       |\       \

01-505 :名無しさん@ピンキー:04/03/17 14:25 ID:E42Se5R7
>>499
 御疲れ様。毎度すばらしいできです。
 今はともかく完結するまでの展開が楽しみですが。
 完結したら、展開を整理しなおしてどこかにまとめてアップするとすばらしいかも。

01-506 :名無しさん@ピンキー:04/03/17 20:55 ID:Qy+RyWuI
激しく同意です。
編集してUPして下さいませ。

01-507 :500:04/03/18 01:36 ID:QErMSRcM
 今回は、なんだかムツカシイ話になってしまいました。
 これでも萌える方がいらっしゃるの…かな?

「んなもんはいらん!」という人は、スルー願います。

NGワード「ボクたちの選択」

01-508 :ボクたちの選択(117):04/03/18 01:38 ID:QErMSRcM
>507
「もうプール直ったんじゃねーのか?朝練はいいのか?」
「うーん…女の子としてのけーちゃんの初登校だから、サボっちゃった」
「おいおい…人をダシに休むんじゃねーよ。どうせゲームでもやってて寝過ごしたんだろ?」
「バレちゃった?」
「当たり前だ。何年付き合ってると思ってんだよ」
 言いながら、圭介はひどく嬉しそうだ。
 由香はそんな彼の横顔を、少し複雑な表情でじっと見つめていた。

■■【25】■■
 圭介が学校に出て、少しも混乱が起きなかったか?…と言えば、決してそんな事はない。
 一週間前まで男だった人間が、ある日突然、可愛らしい美少女になってやってくれば、誰だっ
て驚くし、気味悪く思う。
 最初の日は誰も、圭介の体がすっかり女の体になってしまったとは信じていなくて、圭介は
学校にいる間中、ずっと珍獣扱いだった。

 クラス会議で『普通に接しましょう』と決められた2年C組のクラスメイトはともかく、他
のクラスまでそれは徹底されていなかったから、中には「どこで手術してきたんだ?」と無遠
慮に聞く男子もいたし、擦れ違いざまに胸に触るハラスメントな男子もいた。
 もちろん、そういう連中には圭介は全く容赦が無くて、ミニスカートが捲くれ上がるのも構
わずにどこまでも追いかけていき、ぜいぜい言いながら上級生だろうが下級生だろうがキツい
ケリを食らわせていたりする。そのあたりは、男だった頃に身長の事で馬鹿にされた時と、ちっ
とも変わっていない。
 けれど、そのたびに由香に窘(たしな)められ逃げ回る圭介は、それはそれでとても可愛ら
しくて、特に上級生のお姉様方の間では人気が高かったから、本当に世の中はわからないもの
だ。

 由香が圭介に教える『授業』は、2人が学校にいる間ずっと続き、そのため、休み時間も授
業中も、時にはトイレの中まで一緒に行動しなければならなかった。

01-509 :ボクたちの選択(118):04/03/18 01:40 ID:QErMSRcM
>508
 その由香の『授業』だけれど、なんだか母が教えてくれた『女の常識』よりも、もっと実践
的で、もっと現実的な女子校生の実体験に基づく教えだった。圭介がひどく頭を悩ませたのは、
男だった頃にはなんでもなかった事が、女になった途端『してはいけないこと』になり、『言っ
てはいけないこと』になり、『見てはいけないこと』になったことだろうか。
 また、体だけでも不自由なのに、その上、考え方から話し方、男に対する態度から受け答え
の仕方まで、実に多岐に渡って「男に都合の良い女性」「男に好かれるための女性」というも
のが刷り込まれているかを知ったことも大きい。
 由香の『女の子チェック』はそれこそ多岐に渡って、
「男子にむやみに触ったりしてはダメ。勘違いする子とかいるから」
 とか、
「大きな口を開けて笑わない。みっともないよぅ?」
 とか、
「机の上で足を組まない。もっと自分はミニスカート履いてるんだって自覚して」
 とか、
「トイレから出たら手を拭いて。それと髪もチェックしてね」
 とか、
「お尻をかかない。せめて人が見てないか周りを見るくらいはしてよぉ」
 とか、
「鼻を服の袖で拭わないで。ちゃんとティッシュかハンカチで拭うようにね」
 とか、
「クシャミする時は手を当てるか、ハンカチで口を当てて。おツユが飛ぶでしょ?」
 などなどなど。数え上げればきりが無いが、それをいちいち覚えていられるような圭介では
ないのもまた、事実だった。
 それは当然といえば当然の事だ。17年間男として生きてきた人間が、一朝一夕で女の『仕
草』とか『たしなみ』を身につけられるわけがないのだから。
 というわけで、圭介の前途は、果てしなく多難だった。

 また、『授業』を受けるうちに、女が使う金のほとんどは今よりもっと「可愛くなるため」
「綺麗になるため」に消えていき、それは結局「男に好かれるため」「男に可愛いと言っても
らうため」なんだ…と圭介は知った。

01-510 :ボクたちの選択(119):04/03/18 01:42 ID:QErMSRcM
>509
 もっとも由香は、
「そんな風に考えないの。自分のためにするんだよ?自分が、あ、これ可愛いな、綺麗だなっ
て思うからするんだよ?別に男の子のためにするんじゃないもん。『可愛い自分』って、きも
ちいいもん。ほら、けーちゃんだって、もっと背が高くなったらいーなーって言ってたでしょ?
それとおんなじ。人よりちょっと…ううん、せめて人と同じくらい可愛くなりたいし綺麗にな
りたい。それって自然な事じゃない?」
 とは言うものの、結局はそれでイイ男に見初められたり、こっちからアプローチする時、他
の女より優位に立ちたいという目的に至るのは変わらないんじゃないか?…と圭介は思うのだ
けれど、そういうのとはまた違うらしい(もちろん、自分が男にアプローチするなんて考えた
くも無い圭介だったけれど)。
 由香にとってはそれが普通の事で、今さら疑問視するような事でもない。裏を返せば、それ
は小さい頃から「女の子なんだから」とか「女の子は」とか言われながら、いろいろな事を制
限される事を“当たり前”として生きてきたという事なのだろう。
 それに比べて男は、なんて自由で、なんて奔放なんだろうか。
<世の中は不公平で出来ている>
 圭介は、それを痛感した。
 そしてそれと同時に、今まで自分がどれくらい優位な立場で生きてきたか、それを実感した
のだ。
 女は、女であるというだけで、今の社会では既にハンデを負っている。
 それが、学校に通い始めて2日も経たずに痛感した、圭介の結論だった。

 学校といえば、圭介のトイレと体育の授業の際の着替えには、ちょっとした騒動があった。
クラスだけでなく、他のクラスの女子生徒も男としての圭介を知っているだけに、こんな時ど
う接すればいいのかわからず、「今は女の子なんだから一緒でいいんんゃない?」派と「心は
まだ男なんだから冗談じゃないわ」派に分かれ、ホームルームの時間いっぱいを使っても結論
は出なかった。

01-511 :ボクたちの選択(120):04/03/18 01:44 ID:QErMSRcM
>510
 結局、最初の日は混乱を避けて、「管理・学習交流棟」にある教員用のトイレと、ソラ先生
の根城の保健室を使わせてもらう事で一応の解決を見たのだが、圭介としては、別に男に混じっ
て用を足そうが着替えようが一向に構わなかった。
 …のだが、彼の主張は、ほぼ全ての女子生徒の反対に合って、たちまち却下されてしまった
のだった。

 それでも、そんな生活が3日も過ぎると、まだ少し気味悪がられたりする事もあるけれど、
徐々に「元男」ということで、“彼氏の気持ちが知りたい女の子”の相談などを、なしくずし
に受けさせられるようにもなり、なんとなく女子生徒の中では受け入れられているような気が
……しないでもない感じがし始めた。
 女子生徒達の言い分では、「教室棟I」のトイレを使わせてあげるから、その交換条件に…
という事だけれど、圭介としては、そもそも自分も生徒の一員なのだから、どこのトイレを使
おうが勝手……と思っていたのだが、群れを成した女は怖い…という認識をここ2日で新たに
していたので、彼女達の進言を大人しく聞く事にしたのだった。
 それでもまだ着替えは別々にさせられていたから、ひょっとしたらまだ交換条件を隠してい
るのではないか?と勘ぐってしまって、ちょっとビクビクしてしまう圭介であったのだけれど。

 困ったのは、彼女達の相談があからさまで、羞恥心ゼロなタイプが多かった事だろうか。
 時々、圭介にも答えられない相談を受ける事があった。

「やっぱりキスした時の顔って自分じゃわかんないっしょ?ヘンな顔になってたらもう2度と
キスしたくなくなっちゃう?」
 たぶんその時は、自分も目を閉じてるからわからないに違いない。

「彼、一度に何回も何回も求めてくるの。そういうのって、普通?」
 まだ一度もしたことない自分に、そんな事を聞かれても困ると思った。

「彼が口でして欲しそうなんだけど、やっぱり男の人って口でしてもらったら嬉しいの?」
 もう自分にはついてないから想像しようがないけど、自分がする事を考えたら吐き気がした。

01-512 :ボクたちの選択(121):04/03/18 01:46 ID:QErMSRcM
>511
「カレのアレがナニでさ、アソコが痛くなってくんの。アレの大きさって自分で調節出来ない
もんなの?」
 アレがナニってのはよくわからないけど、一度大きくなったら制御出来ないから『男』なん
です。

「パイズリしたくてもアタシちっちゃいからさ、出来ないんだ。男って胸でっかいのが好きじゃ
ん?アタシみたいなのって、やっぱり穴だけ利用されて捨てられちゃうのかな?」
 ……パイズリってなんですか?

 …聞いてるだけで頭痛がしてきた。

 最初の頃はいちいちなるべく親身になって、答えられる範囲で答えていた圭介だったが、と
ある女生徒の相談に
「で、結局、相手とどうしたいんだ?別れたいの?続けたいの?」
 と逆に聞いた途端、相手が怒り出すに至って、ようやく圭介も彼女達の真意がわかるように
なっていた。
 彼女達は、何も本気で答えを欲しているわけではなく、ただなんとなく話を聞いてくれる相
手が欲しかっただけのだ。それならば校内のソーシャルワーカーというかセラピストというか、
そんな立場でもある保険教諭のソラ先生がいるのだけれど、彼女達にすると
「先生に相談するのは恥ずかしい」
 らしい。
 ………自分に相談するより、もっと親身に話を聞いてくれそうなのに。

 ただ圭介は、彼女達の相談を受け、その悩みに触れるたび、思う事があった。
 男だった時、彼は、『女』というのは男とは全く違う別の生物なんだと思っていた。同じ人
間でありながら、考えている事がさっぱりわからない。理解しようとしても、相手はその理解
の範疇を軽々と飛び越えて、こちらが思いもよらない場所に着地してしまう。だから、なるべ
く関わらないようにしてきたし、由香を除いて特別関わりたいとも思わなかった。
 けれど、こうやって彼女達の一番近い場所で彼女達に混じっていると、女とはこんなにも打
算的でずるくて、そして可愛くて愛すべき生物だったのか、と改めて思ってしまう。

01-513 :ボクたちの選択(122):04/03/18 01:50 ID:QErMSRcM
>512
 それに対して、男とはこんなにもバカで騙されやすくてどうしようもなくて、それでもやっ
ぱり憎みきれない可愛い生物だったんだな、としみじと思う。バカ話で「彼女は俺にベタ惚れ
だ」だの、「俺のテクニックで離れられなくしてる」だの言っているのが、どうにも子度っぽ
くて可笑しくて、そしてほんのちょっと可愛く感じられるのだ。彼らは、その影で自分の彼女
から数倍の情報量でもって観察され、数十倍の観察眼で絶えず批評されまくっている事に気付
いていない。女は別れた後でも自分の事をずっと好きでいてくれるなんて本気で信じているし、
同時に何人もの男とは付き合えないと思っている。
 馬鹿馬鹿しい。
 女は過去の男なんて3日も経たずに忘れられるし、いつも他の男をチェックして、自分の男
が少しでも自分のターゲットから外れると、あっという間に好きじゃなくなってしまう。それ
は、今の自分が力においても金銭においても、男に頼らなければならないと知っているからだ。
自分にとって、より意義のある相手…言ってしまえば、より『利用価値』のある男を探さなけ
れば、安心出来ないからだ。
 もちろん圭介は、全ての女子がそうであるとは思わないし、そればっかりでもないと思って
いる。自覚している女生徒は、たぶんほとんどいないだろう。
 けれど、自分の生き残りをかけて伴侶を探すそのいじましさ、貪欲さは、生物としては愛す
べきものだと思うのだ。

 だが圭介はその考え方そのものが、母にひどく似ている事に、まだ気付いていなかった。

 そして4日が過ぎ、木曜日になった。
 わずか4日で、圭介は男と女の、両方のいい所も悪いところも全部知ってしまった…と思っ
た。変わらないのは、幼馴染みの健司と由香への印象で、特に健司は、いかに裏表無く正直に
付き合ってくれていたのかを、今更のように思い知ったのだった。

■■【26】■■
 この4日間で圭介が驚いた事が、もう一つあった。
 “あの”アナゴの変化だった。

 それは火曜日のことだった。

01-514 :ボクたちの選択(123):04/03/18 01:52 ID:QErMSRcM
>513
 あの小憎らしい居丈高の中年教師は、圭介が女だったと知ると(事実はどうあれ、学校では
教師も生徒もそう思っている)、昼休みに生徒指導室へ圭介を呼び出し、
「いろいろ悪かったな」
 と詫びたのだ。
 教師が生徒に、しかも、あのアナゴが圭介に詫びを入れるなんてのは、天変地異の前触れで
も無い限り起きる事は絶対に無い…と信じていた圭介だったから、アナゴが気まずそうにそう
言った時、今すぐここから逃げようかと本気で思ったものだ。

「…どういう風の吹き回しだよ」
 制服のブレザーを脱ぎ、丸襟ブラウスと紐タイとジャージズボン…という妙な出で立ちで、
圭介はパックミルクを飲みながら聞いた。内心ビビッて、いつでも逃げ出せるように椅子から
お尻を浮かしているのが可笑しい。
 アナゴはそんな圭介の様子には気付かず、窓の外を見ながら無精髭の生えた顎を撫でた。

「…………俺は俺が教師らしくないと気付いたから、それを正したまでだ」
「んなことに気付くのに1年半もかかったのか?」
「ま、そう言うな……お前が女だと、もっと前に知っていたら、あんなに陸上に戻れなんて言
わなかったよ」
「オレはオレの意志で陸上をやめた。男だからとか女だからとか、そんなのはカンケーねぇよ。
それに、女なら陸上にはいらねーっての、そっちの方が失礼じゃねーのか?」
「そう突っかかるなよ。……俺は、お前のバネに、瞬発力に惚れてたんだぞ」
「はぁ?」
 圭介は指導室備え付けのパイプ椅子の上で呆けたように口をぱっくりと開け、アナゴを見た。

「中学の県大会で初めてお前を見た時、うちに来るような事があれば真っ先に声をかけてやろ
うって手薬煉(てぐすね)引いて待ってたんだ」
「………嫌ってたの間違いじゃねーのか?」
「……坂上先生にも言われたよ。『どうして高尾先生は山中クンをいぢめるんですか?』って
な。俺はいじめてるつもりは無かったんだが……傍(はた)から見ればそう見えるらしい」

01-515 :ボクたちの選択(124):04/03/18 01:54 ID:QErMSRcM
>514
「ありゃどっからどう見てもいじめだっただろうが。オレは本気で世を儚(はかな)んで自殺
しようかと思ってたんだぜ?」
「本当か?」
「ウソだよ」
「だろうな」
 くくく…とアナゴがだぶついた喉を震わせて笑う。

「だが、俺がお前の体のバネを惜しいと思ったのは本当だ。身長を気にして陸上をやめたんな
ら、こんなバカな話はないって思ったからな。もともとお前は短距離向きなんだよ」
「ンな事、初めて言われたよ」
「でも、ま、肉体的な問題が原因なら、仕方ねぇわな」
 そういうわけでは決してないのだが、何か言うと話がややこしくなりそうだったので圭介は
黙っていた。何か誤解があるようだけれど、あのアナゴが謝るのなら、もうそんな事はどうで
もいい…そんな風に思えたのだ。

「まあ、そういうワケだ。確かに謝ったからな」
「その顔で言われても、ちっとも謝られた気がしねーよ」
 圭介の口元に笑みが浮かぶ。あんなに憎々しく思っていたアナゴが、今ではもうそんなに嫌
だと感じなくなっていた。

「話はそれだけだ。教室に帰っていいぞ」
「へーへー」
「あ、それとな、山中」
「へ?」
「その格好…どうにかならんか?」
「うるせー。よけいなお世話だ」
 圭介は空になった牛乳パックをゴミ箱に投げ入れると、なんともいえない顔をしたアナゴを
残して生徒指導室を出た。


 圭介が女子生徒の恋の相談を受け初めて、一つ変わった事がある。
 夢を、見るようになった。
 それも妙な夢だ。

01-516 :ボクたちの選択(125):04/03/18 01:57 ID:QErMSRcM
>515
 そして、“えっちな”夢だった。
 あからさまで羞恥心ゼロな女子生徒の相談で、圭介の頭はえっちな想像でいっぱいになって
いたのかもしれない。
 自分は一度も体験していないにも関わらず………いや、だからこそ、なのだと思う。
 想像が膨らみ、それが蓄積され…夢の中で圭介は、とても口では言えないような事を、した。
 そして、された。
 “その時”、自分が“どちら”だったのか、定かではない。
 男だったような気もするし、女だったような気もする。
 相手は圭介自身ではなく、確かに“誰か”だった。
 男として女の子にキスし、そのやわらかいおっぱいを手で触れて……そしてそのおっぱいか
ら伝わってくる切ない“波”に、あそこが………濡れた。
 しているのは、自分だ。
 なのに、されている事を知覚する。
 自分がどっちの性で愛し、愛されているのか。
 混沌のままに眠りは深まり、そして、朝を迎える。
 そんな朝は、決まって下着が濡れていた。
 時には、お尻の方までぬるぬるしている事がある。
 いくらなんでも、分泌液が多過ぎる…と、圭介は思った。
 自分の体はどうなってしまったのだろう。
 男だった時、圭介は既に夢精を経験していた。女にも、そういうものがあるのだろうか?そ
う、本気で悩んだ。けれど、こればっかりは母にも、由香にも、ましてや健司にも相談出来な
い。
 保健教諭のソラ先生なら、教えてくれるだろうか?
 そう思った6月5日木曜の朝、

 圭介は、『女』になって初めて、それを体験した。

01-517 :名無しさん@ピンキー:04/03/18 02:00 ID:QErMSRcM
>516
ここまで。

ラストシーンを書きました。
後は、そこまで持っていくだけです…が、それが大変ですね。
もうちょっとかかります。

01-518 :名無しさん@ピンキー:04/03/18 15:46 ID:bk4JTzLA
保管庫はあ?

01-519 :名無しさん@ピンキー:04/03/18 16:19 ID:qZ6yI7fR
お疲れ様でした。素晴らしいです。 思春期の頃を思い出しました。

01-520 :名無しさん@ピンキー:04/03/18 17:46 ID:KxMNZQjT
>>517
 グッジョブ。
 なかなか萌えました。
 個人的には、こんな事がありましたを並べるだけじゃなくて。実際に圭ちゃんが
恥ずかしがりながらトイレに行くシーンとかあると更にうれしかったかも。

01-521 :名無しさん@ピンキー:04/03/18 19:52 ID:K9S77kLB
おもしろ杉です(*゚∀゚)
静かに 激 し く 応援してます…

頑張ってください(*゚∀゚)ノシ

01-522 :名無しさん@ピンキー:04/03/18 20:41 ID:/5BpPZnL
女ってなかなか面倒ですね。
ああしなければならない、あれやっちゃあ駄目。
圭介を見つめることで、女の子達がそんなくだらない呪縛から解き放たれ、
自由に振舞えるようになれるといいんですが。

01-523 :名無しさん@ピンキー:04/03/19 00:19 ID:m55viWMe
あーでも、男でもきちんとしつけられてる奴は
>「机の上で足を組まない。
>「トイレから出たら手を拭いて。
>「鼻を服の袖で拭わないで。ちゃんとティッシュかハンカチで拭うようにね」
>「クシャミする時は手を当てるか、ハンカチで口を当てて。おツユが飛ぶでしょ?」
これくらい普通に護ってるんじゃないか?
#つーか、護んない香具師って嫌われる気がするんだが。

01-524 :517:04/03/19 01:52 ID:Mx9cYkE0
今日は「ぷちえち」です。

「ぷちはいらん!」という人は、スルー願います。

NGワード「ボクたちの選択」

01-525 :ボクたちの選択(126):04/03/19 01:55 ID:Mx9cYkE0
>524
■■【27】■■
 天井が見える。
 カーテンからの光が、薄明るい部屋の空気を切り裂くように差し込んできていた。

「……っ……」
 圭介は口を軽く開けて、はっ…と短い呼気を吐く。
 わかっていた。また、濡れている。
 お尻に“きゅ”と力を込めると、あそこがぬるぬるしているのがわかった。
 やはり自分は、異常なのかもしれない。
 この2晩、立て続けにいやらしい夢を見て、そしてあそこをぬるぬるに濡らしている。この
分では、またシーツまでしっとりと濡れているだろう。
 気だるい身を起こし、ベッドの上に座り直す。それだけであの“肉の亀裂”が縒(よ)れて
擦り合わさり、いっそうぬるぬる感が増してしまう。
 キモチワルイ…と、思った。
 けれど、それだけでもなかった。なんだかむず痒いような、くすぐったいような、不思議な
感じがする。腰から下が重たくて、感覚が“もったり”としていた。
 ベッドのヘッドボードにある時計を見た。
 時間は、朝の7時12分だった。7時50分には由香が迎えに来る。学校の始業時間が8時
30分だから、本当は8時10分に家を出れば余裕で間に合うのだけれど、女になってからは
毎朝由香による『女の子チェック』が入るので、今ではそれまでに一応の身支度を整えておか
ないといけなかった。
 圭介はのろのろとベッドを下り、部屋を出て階段を下りた。同じく2階にある父と母の寝室
のドアは、まだぴったりと閉まっているから、きっとたぶん母はまだ眠っているのだろう。昨
夜は、ずいぶんと帰りが遅かった。この分だと、毎週木曜日に局で行う収録の、時間ギリギリ
まで、ぐっすりと眠るつもりに違いない。
 ふと、いっそのこと漫画みたいにフライパンをおたまでガンガン打ち鳴らして安眠妨害して
やろうか……なんてことをちらりと思ったけれど、朝から無駄な体力を使うことも無いと思い
断念する。
『やだなぁ…』
 歩くたびに肉厚のお尻の中で、ぬるぬるとした感触をハッキリ感じてしまう。

01-526 :ボクたちの選択(127):04/03/19 01:57 ID:Mx9cYkE0
>525
 階下に下り、トイレのドアを開け、閉めきる前に便座の蓋を上げてパジャマのズボンとパン
ツを一緒に下ろす。ねとねとした粘液を見たくなくて正面のドアだけ見ていたけれど、座って
しまうとそういうわけにもいかなかった。
 両足の間にかかる白い下着の『橋』の真ん中には、ちょっと黄ばんだシミとべっとりとこび
りついた透明なぬるぬるが見えた。

 “濡れる”という事は、自分の体がなんらかの反応をしている…ということだ。そこまでは
わかる。けれど、実際にどういう刺激が与えられてこうなるのか、圭介はあまり考えないよう
にしていた。
 男だった時、マスターベーション……つまり自慰をしなかったわけではない。あの恍惚とし
た射精感は、まだかすかに覚えていた。でも……、と圭介は思う。
『女って、どうやるんだ…?』
 なんとなくは、知っていた。
 コンビニで売っている、書いた人間が脳の半分を便所にでも落としてしまったのではないか?
とさえ思えるノータリンなSEX雑誌や、同じような記事を毎年毎年飽きもせずに繰り返すイ
カれたメンズ雑誌などでは、男本位で妄想炸裂なピンク色のドリームしか載っていなかったか
ら、こうして女になるまではすっかりそれが疑いようのない真実だと思っていた。吉崎や加原
や金子の、通称「3馬鹿」は、そういう雑誌を学校にまで持ってきて、さも自分が見たかのよ
うに『女のマスターベーションのヒミツ』だの『女がひとりえっちする時のオカズ』だのを、
頼んでもいないのにわざわざ圭介に教えてくれたものだが、実際にどこをどうすると気持ち良
いのかとか、どんな格好でするのかとか、そういう詳細な情報はほとんど知識として蓄積する
ことはなかった。

 ただ、太いちんちんの形をしたバイブレーターを膣に挿入するとか、指を2本も奥まで入れ
てお腹の側のちょっとくぼんだ所を押すとか、そんなオナニーは、今の圭介にはとても怖くて
出来そうにも無い。
 体の中に異物を入れるという行為そのものに、本能的な恐怖を感じるのだ。

01-527 :ボクたちの選択(128):04/03/19 01:59 ID:Mx9cYkE0
>526
 いっそのこと、由香に聞いてみようかとさえ思った。
 進退極まった時の最終手段は、あの母に聞く事だけれど、それをしたらきっと母は手取り足
取り…それこそ、望んでもいないのに実践までして教えてくれそうで、それはそれでとても怖
い想像になってしまったので圭介は絶対にそれだけはやめておこうと固く心に誓っている。
 そもそも、あの『肉の亀裂』は、ちんちんを弄るのとはワケが違うのだ。あれは「体の亀裂」
であり、内臓がそのまま露出しているのである。そんなところを指や道具で触ったり弄ったり
して、もしバイキンでも入ったらどうするのか。傷付けて、出血でもしたらどうするのか。考
えただけで怖くなる。女になってたった1週間ちょっとの自分にとって、生まれた時から女だっ
た他の女性と同じような事が出来ようはずもないのだ。
 彼は、そう、固く信じていた。

 便座に座って力を抜き、ほっ…と息を吐く。
 ぷしゃっとオシッコがしぶき、便器の内側に勢い良く当たって大きな音がトイレに響いた。
ぶるるっ…と、腰から背中を震えが駆け抜ける。体から直接体温が流れ出していく気がした。
 少ししてから、トイレットペーパーをぐるぐると巻き取りつつお腹に少し力を込めて“ぴゅっ
ぴゅっ”とオシッコを搾り出すようにして切るけれど、なんだか、まだ中に残ってる感じが拭
えない。
 圭介は、お尻を少し動かして位置を調節してからウォシュレットのスイッチに手を伸ばした。

 もともとウォシュレットは、およそ1700年初頭……西洋で風呂とトイレがまだ無い頃、
女性が排便排尿の後や、セックスの後で陰部を清潔に保つために使用したフランスを起源とす
る「ビデ(bide)」から発展した……ものらしい。週に一度くらいしか入浴しないで、体臭を
香水で誤魔化してた国だからこそ生まれた……というとかなり語弊があるかもしれないけれど、
あながち外れてもいないようだ。圭介も、母に聞いただけだからちょっと半信半疑なのだけど。

01-528 :ボクたちの選択(129):04/03/19 02:01 ID:Mx9cYkE0
>527
 現代の「ビデ」は使用用途が広くて、陰部の感染症や膀胱炎などの時、お湯を溜め、消毒薬
を溶かして陰部を洗ったり、時には足を洗ったりクツを洗ったり(!)、それに、ちょっと変
則的ではあるけれど、トイレを掃除する時などにバケツ代わりに使ったりもするのだという。
 日本ではほとんど見かけないけれど、ウォシュレットがその発展形ならば、ここまで普及し
たという事はそれだけ「紙で拭く」だけでは汚れを落とした気がしない人が、多かったという
事なのだろう。
 男の陰茎みたいに、“ぶるるっ”と振ってオシッコを切ったり出来ない分、女の陰部は排尿
した後、紙で丁寧に拭かなければならない。けれど、粘膜が直接露出している部分の汚れを、
柔らかいとはいえトイレットペーパーで拭うようにして取る勇気は、女になったばかりの頃の
圭介には、無かった。どうしても痛みを感じてしまうし、濡れてちりじりになったトイレット
ペーパーが『肉の亀裂』の中に残ったら…と思うと『ちょんちょん』と軽く叩くように水分を
拭き取るのが精一杯だったのだ。
 家がウォシュレット完備のトイレで、本当に良かったと思う。幸い、学校の「教室棟I」の
トイレも、5つある個室のうち2つは洋式便器であり、しかも、家と同じメーカーのものが設
置されていたから、圭介も不安は無かった。
『あ、でもね、けーちゃんはお母さんの遺伝形質を受け継いでいるから、滅多に感染症にはか
からないから安心してね』
 と、母は言ったけれど、膀胱炎やクラミジアや…女性の内陰部疾患を散々聞かせてビビらせ
ておきながら、最後にそんな事を言う母は、やっぱり少し意地が悪いと、圭介は今でもそう思
う。

 小さな作動音の後、すぐにお湯が
「んひゃ…」
 腰が、少し浮いた。
 咄嗟にスイッチを切るが、“ぴくりぴくり”と体が震え、じわじわと腰から“あついもの”
が這い上がってくる。圭介は思わずお尻を緊張させ、正面のドアに両手をついた。

01-529 :ボクたちの選択(130):04/03/19 02:02 ID:Mx9cYkE0
>528
「…はっ…ぁ…」
 ぶるぶるぶる…と震えが走り、両足から力が抜け、そして同時にお尻の緊張が解けた。

 今のは、なんだったのか。

 お湯が女性器に当たった途端、びりっと痺れが走った。今まで感じた事のない“痺れ”だ。
 まだ、胸がどきどきしていた。
 なんだろう。
 物足りない。
 どうしよう。
 どうすればいい?
 “きゅっ”とお尻に力を込めてみる。あそこがじんじんとしているようで、圭介は困惑して
意味も無くトイレットペーパーをまた引き出した。
 とにかくトイレから出なければ。
 混乱している。
 落ち着け。
 そう自分に言い聞かせる。
 そして、濡れた股間の水分を拭こうとして、
「んはっ…ぅ…」
 手が、触れた。

「んっ…ぅ…」
 肉厚な陰唇に甘い甘い甘い甘い“痺れ”が走る。それはたちまち体の中心に走り、広がり、
下腹部のなかで“くくくっ”と何かが、動いたような気がした。実際に内臓が動いたわけでは
ないだろう…と思う。けれど思いながら、
『…子宮……』
 と認識してしまった。
 自分にも、子宮がある。
 膣があるのだから、当然それが至る場所もあるのだろう。けれど、それを今まで圭介自身、
強く自覚した事は無い。なんとなく体がだるく感じる時でも、下腹部が重たく感じる時でも、
子宮やそれに連なる女性器官の存在は、意識が自然と考えないようにしていたのだ。

01-530 :ボクたちの選択(131):04/03/19 02:04 ID:Mx9cYkE0
>529
「んっ…」
 “きゅうっ”と、胸が切なくなった。
 正確には、胸にある、2つの突起が。

「ち…くび…」
 声に出して、その言葉そのものに羞恥を感じる。自分はこんなところで何をしているのか。
どうしようというのか。
 何を、求めているのか。
 手に持ったトイレットペーパーが便器の中に落ちる。
 指は、そのまま下腹部を滑った。

「んっ…ひぅ…」
 しゃくりあげる。指の先が、厳重な守りで陰核を覆う肉鞘に触れたのだ。
『いた……』
 ひりひりと、じんじんと、指の触れたところが痛む。
 まるで、乾いた指で触れることの是非を、厳しく問うように。
 どうしよう。
 触れたい。
 どうすれば…
「…ん…」
 少し濡れた指を、躊躇いも無く口に含む。含んでから、その苦しょっぱい味に、指についた
のはオシッコではないのか?という考えが浮かんだが、それよりもこれから得られるものに対
する期待が大きく、その意識はすぐさま押し流され彼方に消えた。

 トイレというのは不思議なところで、特に西洋式便器の設置される場所は個室という事もあっ
て、秘密の隠蔽(いんぺい)性が高いものだ…と自然に思ってしまう。しかもここは、慣れ親
しんだ自分の家のトイレだ。だからこそこんな大胆な事もしてしまえるのだろう。
 これが学校や公園の、しかも男用トイレであったならこうはいかない。いくら男の性感が単
純で、射精に至る時間が短いとはいっても、開放的でいつ人が入ってくるかわからない場所で
自慰など、とても出来やしない。

「……っ……」
 圭介はトイレの便座に座りながら、両足をゆっくり開いていった。

01-531 :ボクたちの選択(132):04/03/19 02:06 ID:Mx9cYkE0
>530
 なんてことを。
 そんな、自分を咎める声が聞こえる。
 けれど、まるで男性誌のヌードグラビアがするような破廉恥でみっともない姿を、やめる事
が出来ない。

「…んぅ…んっ……んっ……んっ…」
 びくっびくっびくっと、体がはじける。
 揺れる。
 踊る。
 陰核そのものを触るのは刺激が強過ぎて無理なため、圭介の指は左右に盛り上がる陰唇の肉
を寄せるようにして刺激を繰り返していた。

「んぅふあっ…」
 やめなければ。
 由香が、来る。
 もうすぐ、迎えに来る。

「…だ……ぅ…」
 何かを口にしようとした唇は、そのままOの形で時を止め、その中で圭介の可愛らしい舌が
真珠のような歯の裏側をなぞった。
『…きもちいい……』
 なんだこれ。
 なんなんだこれ。
 こんなきもちいいのか。
 こんなにきもちいいのか。
 おんなってこうなのか。
 おとこよりぜんぜんきもちいい。
 思考がレバーを捻って蛇口から迸る水のように後から後から漏れてくる。
 くにくにと指先でふっくらとした肉を押し、包皮に包まれたザクロの実を刺激し続ける。

 ばかになる。

 男だったら、もう4回は射精しているだろう快感が、望むだけずっと続く。
 麻薬のようだ。

01-532 :ボクたちの選択(133):04/03/19 02:08 ID:Mx9cYkE0
>531
 どんどん、どんどん、高みに昇ってゆく。意識が押し上げられてゆく。
 このまま続けたら、そしたら

「けーちゃん?いるの?」

 突然、母の声と、ノックの音。

「…っは…っ…うっうんっ…」
 やっとそれだけ言えた。
 意識が急激に覚醒する。滲(にじ)んだ視界で、慌てて自分の格好を見た。放尿した後、便
座に座って、少し両足を開いていた。そしてその開いた足の間には、右手の
『なにやってんだオレ……なにやってんだオレなにやってんだオレなにやってんだオレっ!?』
 ざああっと血の気が引く。
 ワケのわからない衝動に呑まれ、朝のトイレでオナニーしてしまった。

「大丈夫?寝てない?由香ちゃん、もうすぐ来るんじゃないの?」
「あ…か……ぁ…母さん、起きたの?」
 顔が熱い。顔だけじゃない。体も、あそこも熱い。ほっぺたが腫れぼったくて、あそこが、
トイレに入る前よりもっとぬるぬるしてる気がした。

「うん。さっき善ちゃんから電話があって。そうそう、朝御飯作ったから食べてね?お母さん、
これから東京まで行ってくるから」
「そう……って、ええっ?これから?」
 一気に意識が覚めた。

「うん」
「………わかった。気をつけて…ね」
「あらあらあら…なんだかけーちゃん可愛いわ」
「…からかうんならもう言わねぇ」
 自分がしていた事を見透かされたような気がして、圭介は顔を真っ赤にして怒ったように言っ
た。

「うそうそ。ほんと、ほんとよ?」
 どっちなんだ?

01-533 :ボクたちの選択(134):04/03/19 02:09 ID:Mx9cYkE0
>532
 甘ったるい声を出す母に溜息をついて、もう一度ウォシュレットのボタンに手を伸ばした。
 …と、
「あ、けーちゃん」
「…なに?早く行かないとオヤジが待ちくたびれるぞ?」
 わざと不機嫌そうな声を作って圭介が言うと、若さ炸裂な母は『んふん』と笑って囁くよう
に言った。

「あんまり、しすぎちゃダメよ?」
「…っ!!!」

 ぜんぶ、ばれてた。

 母が出掛けていってから由香が来るまで、圭介が何をしていたか。
 それは、本人の名誉のために沈黙しよう。

 ともかく。
 圭介は、女になってからの初めての“目覚め”を、こうして朝のトイレの中で迎えたのだった。

01-534 :名無しさん@ピンキー:04/03/19 02:15 ID:Mx9cYkE0
>533
ここまで。

>520
あんまり細かくゆっくり書いていると、終わる前に皆さんに飽きられるので、飛ばしました。
ラストを先に書いてしまって、早くそこまでもっていきたくて焦っているようです。

>523
私もそう思います。
子供っぽい描写でかためてみました。

「圭くん?顔は可愛いんだけどねぇ…彼氏にするにはちょっと…」
というガキっぽい部分を出してみたのですが、やりすぎだったかも。


それでは、また。

01-535 :名無しさん@ピンキー:04/03/19 03:04 ID:m55viWMe
>>534
お疲れ様。
>というガキっぽい部分を出してみたのですが、やりすぎだったかも。

あー、いや、OKです。可愛い男の子そうした仕草は萌えますから(ぉぃ

01-536 :名無しさん@ピンキー:04/03/19 14:56 ID:2Wj/yK3v
今回もよかったよ~
毎回圭ちゃんに萌えまくりです。
次回も楽しみにしてますよ~

01-537 :名無しさん@ピンキー:04/03/19 19:17 ID:EKa9Smv4
今回もすごく(゚∀゚)イイ!です。
他にもイイと思われた方は、応援書き込みを是非お願いします。

01-538 :名無しさん@ピンキー:04/03/19 21:37 ID:Sv+Q7aHg
ちょっと今回はヤバイ。
マジヤバイ。
見ててドキドキしまくりでしたよ・・・。
激しく(゚∀゚)イイ!です!!

続きがメチャクチャ気になります!
引き続きがんばって下さい!

01-539 :名無しさん@ピンキー:04/03/20 00:08 ID:Whk3sB1X
あなたは素晴らしい作家さんです。

01-540 :瑠璃@KINO ◆Nq.KINOKeY :04/03/20 00:22 ID:smPXUjOT
流れぶった切ってすいませんが、こんな感じのものを投下したいと。
さわりの部分だけ落します。
二次です。ドラクエ2です。
オチとしてはものすごく簡単なものになる予定です。

01-541 :瑠璃@KINO ◆Nq.KINOKeY :04/03/20 00:23 ID:smPXUjOT
     ◆シュークリームを二つ◆






「一体何処にいるってんだ!!あの阿保王子は!!!」
怒りに肩を震わせながら宿屋のドアを蹴り上げるのはローレシアの第一王子レイ。
彼が探すのは同盟国の王子で共にハーゴンを倒すためのたびに出てくれるはずの少年だった。
レイが怒るのには理由があった。
行く先々に足跡は点在するものの、当の本人は存在しない。
肩透かしを食らいまくってリリザと言う小さな街に戻ってきたのだ。

「あの……もしかして、レイ王子ですか?」
翠を基調とするのはサマルトリアの王太子の証。
胸にはロトの紋章が織り込まれている。

「そう…だけど……」
「良かった。僕はサマルトリアの第一王子、リトルです。随分と探しましたよ」
そこまで言われてレイはリトルの首根っこを掴んだ。
探したのは紛れも無くこの自分なのだから。

「何処ほっつき歩いてんだこのスカポンタンがっ!!大体なぁ、探したのは俺なんだよ、俺!!」
「僕だって探しましたぁ……ローレシアにも行ったし、勇者の泉にだって……」
「まぁ、いいけどよ。とりあえず今日はここで一泊だな。もうじき日も暮れるし」
リトルは袋の中から小さな銀の鍵を取り出す。

「事のついでに、探してきました。何かの役に立つかもしれないし」
銀の鍵の洞窟に、このひ弱そうな少年が一人で入り込みあまつさえも鍵を手に入れる。
その行動力にレイは驚きを隠せなかった。

「サマルトリアは元々魔法を軸とした国です。僕も幼い頃から魔法を勉強してきました。
 ムーンブルクもそうだと聞いてます。王子のお役に立てれば」
物静かな口調。おそらく本来は戦闘向きではないのだろう。
それでも国のために覚悟を決めてきたのだから、断わる筋合いは無い。

01-542 :瑠璃@KINO ◆Nq.KINOKeY :04/03/20 00:24 ID:smPXUjOT
「よろしくな、リトル」
「こちらこそ、レイ王子」
差し出された手を受け取って、笑う顔。
柔らかそうな栗色の髪に、翠の瞳。

「レイでいいよ、リトル」
まるで弟のような存在。それでも、自分よりも二つ年上だという事実。
お互いのことを離していたらいつの間にか時間は過ぎていた。

「風呂入るけど、一緒に入るか?」
それは何の意味も持たない一言のはずだった。

「いいい、いい!!僕、後で入るから!!」
ぶんぶんと首を振ってリトルは力一杯拒絶する。
その様子を怪訝に思いながらもレイは浴室へと消えていった。
レイが出てきたのを確認してから、入れ替わるように今度はリトルが浴室へと。
その小さな背中を見送りながらレイは先ほどのリトルの態度を思い出していた。
(あの慌てぶりは何かあるよな。まだ、生えてないとかか?それとも名前の通りにアッチもリトルってか?)
湧き上がった悪戯心は留められなく、レイはそっと浴室の扉を開ける。
丁寧にたたまれたローブの上には王家の紋章の入った短剣と愛用のヘッドギア。
(よっしゃ、現場を押さえてやれ!!!)
勢い良く、扉を開ける。

「やっぱ男同士裸の付き合いしようぜ!!!」
「わーーーーーーっっつ!!!」
「って、えええええっっっ!!!???」
目の前に居るのは確かに紛れも無くリトル本人。
しかし、両手で隠されているのは二つの乳房なのも間違いは無い。

「な、な!!お前、それ!?」
「わけは後で話すから出て行ってくれっ!!!」
押し出すように背中を押されて、扉が閉まる。
言われるままに、レイはリトルが出てくるのを待つしかなかった。

01-543 :瑠璃@KINO ◆Nq.KINOKeY :04/03/20 00:25 ID:smPXUjOT
「んじゃ、わけとやらを話してもらおうか?」
湯上りの髪をタオルで拭きながらリトルはベッドに腰掛ける。
括れた腰と、膨らんだ胸。
改めてみれば顔つきも確かに女のように見える。

「ちょっと前まで、うちと君のところはそんなに親密な間柄じゃ無かったって知ってる?」
ローレシアとサマルトリアが同盟を結んだのはここ五十年余りの出来事。
それまでは一触即発までは行かないまでも微妙な関係だった。
ハーゴンという共通の敵が出来てからはその結束は強くはなった。
だが、それまでは同じロトの子孫ではあるものの、ムーンブルクを含めて三国は互いを見張っていた状態だった。

「ああ、じーさんが結構頑張って同盟結んだんだよな」
「そう。そして、それを破棄しようとしたのが君の父君だ」
リトルは指先でそっと火を灯す。
魔法国家サマルトリアの正当なる後継者。

「親父、そんなことしてたのか?」
「丁度そのときに生まれたのが僕なんだ。けれども、生まれたのは王子じゃなくて……王女だった。サマルトリアは
 他の国と違って男子相続制じゃない。国家最初の創設主は女性だった。僕の祖母に当たる人だ」
言葉をきりながら、リトルは続ける。

「そんな中で父は、僕を王子として育てることを決めたんだ。もしも、これが君の父君に知れたら大変な事になる。
 そう考えたんだ。事実、その後に生まれてたローレシアの後継者は男子……つまり君だ。事が知れれば婚姻という
 形でサマルトリアはローレシアに吸収合併されるかもしれないって考えたんだ」
先ほどまで頼りなく感じていたはずの横顔。
それが妙に年上に見えてしかたない。

「もう一人、王子が生まれればよかったんだけれども、生まれたのは妹だった。だから、ますます本当のことは誰にも
 いえなくなったんだ。そうして僕は王子として育てられてきた。剣も、魔法も、帝王学も、未来のサマルトリアの
 王になるべくね」
「でもさ、親父がそんなことを考えるってのもな……」
「ローレシア王は意外と欲が強いよ。サマルトリアを吸収できれば領土は広がるし、何よりもローレシアにはない
 魔法文明を取り込める。ムーンブルクと対戦するにも魔法が無ければ厳しいだろうしね」

01-544 :瑠璃@KINO ◆Nq.KINOKeY :04/03/20 00:26 ID:smPXUjOT
こきこきと首を鳴らして、ため息をつく。
それは等身大の十八歳の少女の姿。
翠の瞳が、僅かに歪む。

「うちの妹との縁談話がいっただろう?」
「ああ、でもあの子まだ十二だろ?何もできねぇよ」
「希望したのは、君の父君だ」
「………………」
「沢山話したら、疲れちゃった……今夜はここまでで良い?」
眠たげに、リトルは目を擦る。

「あ、うん……」
「おやすみ、レイ」
程無くして聞こえてくる寝息。暗闇の中で目を凝らせば薄っすらと浮かび上がる身体の線。
なだらかな曲線と円で構成された女の身体。
(まずは……寝るしかないよなぁ)
どっちにしても、この先は長い付き合いになる。
そんなことを思いながら、レイも目を閉じた。

01-545 :瑠璃@KINO ◆Nq.KINOKeY :04/03/20 00:27 ID:smPXUjOT
とこんな感じでもうちょっと続くのですが、スレ違いならここで素直に撤収します。
判定はお任せしますので。

01-546 :名無しさん@ピンキー:04/03/20 00:40 ID:AdXEUqYK
ヨロピク、お願いします。

01-547 :名無しさん@ピンキー:04/03/20 01:07 ID:NISElj/C
面白いです。続きを
 ヨ ロ ピ ク

01-548 :名無しさん@ピンキー:04/03/20 01:17 ID:0oYkTcTo
面白くないとは言わない。むしろ、はっきり面白いとおもう。
だけど、ジャンルが違う物だと思うな。
それは、二次創作系の女体化もの。本来の設定では男のキャラが初めっから女だったらっていう話。
一応このスレの趣旨は、女体化じゃなくてTS(性転換)で、作品中本来男であるキャラが何かの原因で
女に変わってしまう話。

男として生まれて育ったサマルトリアの王子が魔法や呪いで女に変えられたとかいう話なら問題なく該当だけど。
女としてうまれたサマルトリアの王女が、正体を隠して男として育ちましたっていうのは、TSが入らないので、
非該当話にあたる。

まあ、ジャンル訳的な定義はこうなる訳だが、俺専用のスレッドじゃないから多数派がOK出して、作者が納得する
なら別に続けられても構わない。話としては面白そうだし。

01-549 :瑠璃@KINO ◆Nq.KINOKeY :04/03/20 01:21 ID:smPXUjOT
分かりました。撤収します。すいませんでした

01-550 :名無しさん@ピンキー:04/03/20 01:32 ID:TUH7SIv0
>>549
こちらに投下してみては。
ttp://www2.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1071654054/

やおいとか平気で投下されているので女体化ぐらいは平気・・・なはず。

01-551 :瑠璃@KINO ◆Nq.KINOKeY :04/03/20 01:35 ID:smPXUjOT
元々そっちに投下予定だったんだですが、こっちに誘導されまして……
いきばねぇなぁとか思いつつ投下先を探しに行きます。

01-552 :名無しさん@ピンキー:04/03/20 01:50 ID:TUH7SIv0
あら、そうでしたか。すみません・・・。

01-553 :名無しさん@ピンキー:04/03/20 03:20 ID:Whk3sB1X
ここでいいと思うのだが

01-554 :名無しさん@ピンキー:04/03/20 03:21 ID:ZMI2817I
>>551
ここではどうか
男装してる美少女にハァハァするスレ
http://www2.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1020794488/

01-555 :名無しさん@ピンキー:04/03/20 07:45 ID:QcEdVovT
>>553
女体化はスレ違いだろう

01-556 :名無しさん@ピンキー:04/03/20 08:49 ID:4Jv4Bmq2
TSって、作中で男から女に「変化する」という事象自体に萌えるものだからなぁ。
このへんが「もし女だったら……」という女体化シチュとの狭くて深い溝。

KINO神の書くのはかなり面白いし他スレでもお世話になっているけど、
気が向いたら、ぜひひとつ作品中で女性化するネタでたのんます。

01-557 :名無しさん@ピンキー:04/03/20 13:27 ID:BiHOWSt+
>>556
禿同! 狭くて深~~~~い溝がありまつw

TS系女体化だったらまだ良いけど
パラレル系女体化は興味なし

01-558 :名無しさん@ピンキー:04/03/20 19:49 ID:5lcdccq8
たしかにTS(transsexal)には第一義として‘性転換者’の意味があるけど
‘性を超えて’っていう意味でもあると思う。
TSで海外エロサイトをぐぐると、同性愛と異性愛が入り乱れたみたいな画像が
でてこないか?
男装や女装もしかり。
だからその意味でなら充分当てはまるとも思う。
そして、ともかく面白そうな話なので、続きが読みたいです>瑠璃@KINOさん
ここでダメなら引越し先が決まったら教えてくださいね。

01-559 :名無しさん@ピンキー:04/03/20 20:10 ID:gBPXkItI
保守・・・・

01-560 :名無しさん@ピンキー:04/03/20 20:11 ID:gBPXkItI
良かったです。続きが楽しみです。

01-561 :名無しさん@ピンキー:04/03/20 20:38 ID:u3qtdAAD
>>瑠璃@KINOさん
正直言って面白いし、続きも気になる・・・・が、やはりこのスレとはちょっと違うかも。

「あくまで♂→♀の変化に萌えるということで」

01-562 :名無しさん@ピンキー:04/03/21 01:34 ID:vVu110xX
>>558
残念だが、>>1で「パラレル」ものは不可とあるんだよ

01-563 :名無しさん@ピンキー:04/03/21 02:51 ID:o6eFnA6r
並の投下だったら、「スレ違い」の一言で却下されるのに
ここまでレスがつくのも、小説自体は面白いから。
残念でならない。
実際、>>551の文章で女性化小説を読みたい自分がここにいる。

01-564 :Transsexualism:04/03/21 09:31 ID:j9HPPvgN
設定を変えて、リトルを元男の女性化進行途中にしちゃうのはどう?

----------------------------
本当は国を継ぐ王子様だったんだけど、リトルはそんな立場が嫌
押し付けられる帝王学、結婚したくも無い許婚、まるで牢獄みたい
そんな時に偶然手に入れた願いを叶える指輪・・・願うのはこの鎖から解き放たれること

そして幸か不幸か、願いは実行される。王子を王女とする事によって

指輪の力によってリトルの身体は徐々に女性のものへと変わっていく
とまどいと驚き、安堵と不安、何が起きているのかを確かめるべくおもむいた賢人のもとで
指輪の秘密が解き明かされる。賢人は言う、一日の終わりと始まりを結ぶ時、指輪は力を持つ
その力を受けるたびにリトルの身体は女に近づいていき、このまま指輪を外さなければ
次の満月が輝く夜に完全に女性へと変化すると。 リトルは悩み葛藤する・・・僕はどうすればいいんだろう・・・。

そんな折に突然舞い込んだ、魔王征伐の同盟計画。このまま変化が続けば、いずれは父も気付くであろう
そう考えたリトルはその計画にのることを王に告げ、供も連れず街の中へと繰り出していった。まだ見ぬ同盟者に思いを馳せて。。。
-----------------------------

01-565 :Transsexualism:04/03/21 09:34 ID:j9HPPvgN
こんな感じにしてくれたら、かなり萌えまつ♪ そのあとの私的妄想展開は。。。
本当にこれが自分の願いなのか、このまま女性になっても良いのかと葛藤し続けるリトルと
そんな彼(女)の秘密を知って、惹かれてはいけないと思いつつも、自分の感情を抑えきれないレイ王子
お互い旅を続け、危険を一緒に乗り越えていくうちに、リトルもレイ王子に惹かれていき、自分の中にある女を自覚する
しかしそれは間違った恋。決して許されない愛。これ以上レイ王子を苦しめない為に、女に変わる最後の時を前にリトルは指輪を外そうとする・・・
その手が指輪にかかった瞬間、レイ王子の制止の声が飛ぶ「リトル! ・・・たとえお前が男に戻ったとしても、俺にはお前しかいない。
祝福されぬ愛でもかまわない。王子の地位も名誉も必要ない。俺に必要なのはお前だけだ!」 そっと指輪から手を離しリトルは微笑む
「私も・・・私もあなたさえいれば、ほかには何もいらない」 指輪の輝きが増しリトルの身体を包む。その光に包まれながらレイはリトルの腕の中に飛び込んでいった。。。

・・・ん、、何か妄想がとまらないw 元のキャラと性格も違うし・・・暴走しすぎ?w まぁとにかく、そんな物語を激しく(・∀・)キボンヌ!ってことで(´∀`*)

01-566 :名無しさん@ピンキー:04/03/21 17:23 ID:NXgUp+sa
指輪――そんなのって、アイテム面白いですね。
大切な指輪をとりあげられてしまって
半陰陽状態のリトルが悪者にやらしく責められる
ってのもハアハアです。
面白いネタなのでがんばって!!

01-567 :名無しさん@ピンキー:04/03/21 21:04 ID:44dX9cE7
半陰陽もスレ違いだろうな

01-568 :瑠璃@KINO ◆Nq.KINOKeY :04/03/21 21:20 ID:UwGCy09B
どうも。何か論議の種蒔いちまってるようで。
えーとですね、なんで親父さんが王子としてそだてたのかのカラクリを書いてまして。
多分、趣旨にずれるほどではないくらいまで修正は可能かな?とは思ってます。
何にしろエロシーンまで書き上げないことには何処にも投下は不能ですし。

お褒めの言葉、ありがとうございます。直球TSも書く香具師なんでそれも今度持ち込ませていただきす。
半オリ、半パロですが。

01-569 :名無しさん@ピンキー:04/03/21 22:10 ID:vkEGjUHL
激しく期待してます。

01-570 :534:04/03/22 01:42 ID:DtLoCKgy
今日はえち無しです。

「そんなんいらん!」という人は、スルー願います。

NGワード「ボクたちの選択」

01-571 :ボクたちの選択(135):04/03/22 01:44 ID:DtLoCKgy
>570
■■【27】■■
 その日の昼休み、圭介は天気が良い時はいつもそうするように、「教室棟II」横のベンチで
健司と由香と、3人で一緒に昼食を取っていた。
 目の前には濃い緑色のフェンスがあり、その向こうには2面のテニスコートが見える。その
コートでは、早々と昼食を済ませた女生徒が数人、制服のまま軟球を使ってテニスの真似事を
して遊んでいた。

「ねー!圭ちゃんもやらないー?」
 フェンスの向こうから、女生徒の1人が声をかけてくる。髪を頭の左右で結んだ…いわゆる
ツイン・テールにしたその女子は、圭介には見覚えの無い顔だった。けれど、ここ数日ですっ
かり……たぶん校内一有名になってしまった圭介を知らない者はいないため、別に声をかけら
れても驚きはしない。
 圭介はそんな時「山中くん」と呼ばれる事が多いが、時にはこうして見知らぬ相手からでも
「圭くん」とか「圭ちゃん」とか、親しみを込めて呼ばれる事もあるのだ。もちろん中には、
からかいや嘲笑など、嫌な感情を込めた声もあったけれど。

「今、メシ食ってるから今度なー」
 最後に残しておいた、弁当箱の中の卵焼きを飲み込んで、適当に返事しておく。卵焼きは、
母が出掛ける前に作っておいてくれた甘くないヤツで、圭介の好物だった。

「えー圭ちゃんカンジわっるぅーい」
「うるせー」
 圭介の面倒臭そうな声に、女の子はキャハハと笑ってスカートを翻(ひるがえ)し、再びボ
ールを追って駆けていった。ミニスカートで走りまわるのはいろんな意味で果てしなく危険な
のだけれど、彼女達は蝶の様に蜂のように、コートの中でころころと笑いながらボールを追い
かけている。
『女の子…だなぁ…』
 なんだか、しみじみとそう思う。
『産まれた時から女の子で、つまり、女の子のプロなんだよなぁ…』

01-572 :ボクたちの選択(136):04/03/22 01:46 ID:DtLoCKgy
>571
 “プロフェッショナル”という言葉の意味についてちょっと誤解があるようだけれど、つま
り圭介は彼女達の自然な仕草に、改めて感心してしまっていたのだった。周りに男子がいる時
の、彼らの視線に対して無意識にとってしまう『女の子の仕草』は、まさにカンペキだ。
 可愛らしい…と、圭介が見てもそう思う。
 そんな事を思いながら圭介がぼんやりとテニスコートを眺めていると、
「けーちゃん人気者だね」
 健司が、厚揚げ豆腐に箸を突き刺しながらにこにこと笑った。豆腐はもちろん彼の実家『谷
口豆腐』製で、ついでに言うならば甘辛く煮付けたその厚揚げ豆腐は、彼自身のお手製だろう。

「……珍しいからからかってるだけだろ。すぐに飽きるよ」
 ペットボトルの緑茶をぐびりと飲み、圭介は彼の言葉にぼそぼそと答える。いつもはなぜか、
圭介を真ん中にして座る事が多いのだけれど、今日は由香を間に挟んで2人は離れて座ってい
た。
 圭介はなんとなく、健司の顔が見られないのだ。
 朝、あんなことをしてしまったからだろうか。午前中は、あの強烈な快感が体に染み込んだ
かのように、どこか腰が重く、ちょっとした拍子で“じわじわ”とお尻の谷間の帰結点から背
筋に沿い、甘い甘い“痺れ”が這い上がってきてしまう。そのたびに“きゅっ”と唇を噛んで、
その“嵐”をやり過ごすのだけれど、どこかで一度ちゃんと“終わらせて”しまわないと納ま
りがつかないような気がしていた。
 そして、その“嵐”は何故か健司の顔を見ると俄然(がぜん)勢力を取り戻し、圭介の体の
中で猛威を奮うのだ。

 切なさが、満ちる。

 健司を“ぎゅっ”としたい。
 そんな、押さえ切れなくなるくらいどうしようもない“欲求”が、圭介の理性を薙ぎ払おう
と暴れまわるのだ。
 なんだか、危険な気がする。
 すごくすごく、危険な気がする。

01-573 :ボクたちの選択(137):04/03/22 01:48 ID:DtLoCKgy
>572
「そうかな?……まあ、けーちゃんって可愛いから、からかい甲斐があるのかもね」

 ほら。

 健司の『可愛い』って言葉に、もう“反応”してる。
『ばかやろー…もと男に……ンなコト、言うなよなぁ…』
 わかってる。
 これは自分が招いた結果だ。
 母の言うままに『女性仮性半陰陽』ってコトにして、“遺伝的にはもともと女だったのだか
ら、これからはずっと女として生きていかなければならない”と健司と由香を始め、みんなに
そう思わせたのは自分なのだ。
 優しい健司は、圭介が早く『女であること』に馴れるように、『女だったことを嫌だと思わ
ないように』なれるように、一生懸命、なにかにつけて『可愛い』とかスカート姿を『似合う
よ』とか、言う。それが彼の優しさからきているものだから、圭介も怒る事が出来ず、彼がそ
う言う事を止められないのだ。
 あいにくこちらは女の体はしていても、心は男のままなのだ。少なくとも圭介はそう思って
いたし、半分は本当だった。
 だから、男子生徒にそう言われても素直に「わぁうれしい」とか「そお?」なんて言えるは
ずも無いし、言いたくもなかった。
 少なくとも健司以外には。
『…ったく……さぁ…』
 他の男子に『可愛い』なんて言われると背中の産毛まで“ぞぞぞぞぞ”と逆立つくらい気持
ち悪いのに、健司が言うと、どうしてこうも耳に心地良いのだろう。
 だからこそ体の中の“嵐”はすぐに勢力を取り戻し、主導権をよこせと主張してしまうとい
うのに。
『コイツのこの顔なんだよな……この顔。人畜無害でのほほんとして……』

01-574 :ボクたちの選択(138):04/03/22 01:50 ID:DtLoCKgy
>573
 馬とか牛とかゾウとか、とにかく大きな草食動物を見ると誰もが感じる、ある種の安心感と
いうか、空気……きっとオーラみたいなものを、たぶん健司はいつもいつも大量に周囲に放っ
ているのだ。そしてそのオーラは自分みたいな情緒不安定な人間の心と体を惑わすのだ。きっ
とそうに違いない。ぜったいそうだ。そうに決めた。

「けーちゃん、にやにやしてる。ヘンだよ?」
 由香が、とても女の子らしくないでっかい弁当箱を抱えたまま、圭介を見た。

「……オマエ、まだ食ってたのか」
「由香ちゃん、さっきのパンはもう食べたの?」
 圭介と健司が、ほぼ同時に声を上げる。
 片方は呆れた口調で。もう片方はただの確認のため。

「うん」
 2人の質問を一言でまとめて答え、由香はミートボールを一つ口に入れた。
 由香はよく食う。
 それはもう、「そんなちっこい体のどこにそれだけ入るんだ?」というくらい食う。
 「それ全部ちゃんと消化してんのか?」とか「腹ん中に蟲でも飼ってねーか?」というくら
い、よく食う。
 しかも、なんでもかんでも実に美味しそうに食べるものだから、見ているこっちが幸せで胸
がいっぱいになって食欲を無くしてしまうくらいだ。決して胸焼けがして食欲を無くすとかそ
んなんじゃなくて。
 圭介はポケットからハンカチを出して、由香の唇の左端についた、ミートボールの赤いソー
スを拭ってやる。
 最近はなんとなく、こうするのが圭介の役目になっていた。人のことを『女の子チェック』
で厳しく指導するくせに、由香は時々てんで子供っぽい。男子の目があるところでこんなデカ
イ弁当をパクつくのは、女の子としてどうかと、圭介でさえ思う。
 そういえば母も、結構食べる方だ…と彼は思った。
 母の場合は、食べた分がそのままあのでっかいおっぱいの維持にまわってる気がしないでも
ないけれど。
 けど由香は……。

「けーちゃん、えっち」
 由香の、校舎の壁面並みにまっ平な胸を見下ろしていた圭介は、由香のいたずらっぽい笑い
を含んだ言葉に、慌てて目を逸らした。

01-575 :名無しさん@ピンキー:04/03/22 01:54 ID:DtLoCKgy
>574
ここまで。

体調を崩して、いつものペースで書けませんでした。

>568
がんばって下さい!



さあ、盛り上がってきました!ヽ(´▽`)ノ

01-576 :名無しさん@ピンキー:04/03/22 02:01 ID:XXek5BgM
good job!
がんがってくださいね

01-577 :名無しさん@ピンキー:04/03/22 05:34 ID:PYkTcCdz
こんな状況でも本当はこれが普通だったんじゃ・・
とか思えるような優しい雰囲気。なんか温かい作品ですね。
お体に気をつけて頑張ってください。

01-578 :名無しさん@ピンキー:04/03/22 05:44 ID:1QsY6cwx
                  r''7
                   | |    ,-、
               , -‐r┘└;- 、  r' -、
              /..:::::::`ー‐':::::::..ヽ   r'  -、
             __,/.:.::::::::::::::::::::::::::#:::::ヽ    ,~'
            / ,、ヽ/:::::::l::::::::l:::、_,x:::::ヽ::l
        │{ }. レ'‐xレヘ、ハノ >ト、::::N
            ヽヽ' ムィlでヽ   '^ヒソ/V::::|  >>575
            ,ム‐'(\cー' r‐v c'/)::::|   Good Job!!
              |::\`丶、`-' イ´/::::::|
             |/レ\/´ ̄`Y´∨\|
                ヽ:::;;;;::ヘ、
                 〉:::::::::::ヽ.
                   /:::::::::::::::::::\
                  \::::::::::::::::;;;ノ二)
                   |`T´ ̄
                  し'

01-579 :名無しさん@ピンキー:04/03/22 09:32 ID:rC9HnX1d
はばねろタンきたー

01-580 :名無しさん@ピンキー:04/03/22 23:40 ID:o+JjAQ06
>>578
ヽ(´ヮ`)ノ ワハー

01-581 :575:04/03/23 00:13 ID:nJamO8PT
今回は「ぷちえろ」…かな?

「そんなものはエロじゃない」という人は、スルー願います。

NGワード「ボクたちの選択」

01-582 :ボクたちの選択(139):04/03/23 00:15 ID:nJamO8PT
>581
「…ンなぺった胸なんて見たって…べつに面白くもなんともねーや」
「ひっどぉい。けーちゃんにそんな事言われたくないなぁ」
「なんだよ」
「けーちゃんこそ、つるっつるのぺったぺたじゃない」
 なんだそりゃ。
 圭介は思わずムカムカして“ぺしっ”と由香の頭をはたいた。

「いたっ……女の子をぶったぁ…」
「うっせー。男が女をぶつのは問題だけど、女が女をぶつのはいいんだ」
「めちゃくちゃな理屈だよソレ…」
「健司は黙ってろよ」
 まだ何か言いかける健司を、“ぎろっ”と心臓の弱い御老人なら思わず心臓麻痺でも起こし
そうなくらいコワい目で睨みつけ、圭介は由香のほっぺたを両方から“きゅっ”と引っ張った。

「いひゃっ」
「オレの胸がなんだって?ンなのはいいんだよ。オレはもともと男だったんだから」
「いひゃぃ…へーひゃん、いひゃいよほぉ」
「胸なんてなぁ、ほっときゃ勝手に膨らんでくるもんだろうが」
「ひょれ、ひゅり」
「はぁ?」
「『それ、無理』だって」
「なんだよそれ」
「いや、通訳がいりそうだったから」
「ほー……ほーほーほー…そうかそうか」
 なんだかわからない。
 なぜか腹が立った。
 圭介はむにっむにっむにっ…と、由香のぷにぷにとしたほっぺたをさらに引っ張った。

「ふぉりひゃうひょー」
「『のびちゃうよー』………じゃなくって、けーちゃん、もうやめなよ」
「うるせ」
「ふぁ、ふぉりゃへんへー」

01-583 :ボクたちの選択(140):04/03/23 00:17 ID:nJamO8PT
>582
「『あ、ソラ先生』…?」
「ウソつくならもっとマシな」
 そこまで言ったところで横に誰かが立つ気配を感じ、圭介は由香のほっぺたを引っ張ったま
まその影を見上げた。

「コラ山中、落ちついたら一度保健室に来いってあれほど言っただろーが」
 プラスチック製の書類ファイルで圭介の頭を“ぱこん”と叩いたのは、ソラ先生こと、保健
教諭の空山美智子だった。

「う…やだなぁ、体育の前とか、いつも着替える時に行ってるじゃないですか」
「私は“お前一人で来い”って言ったハズだぞ?それを毎回毎回聞き流しやがって。いいかげ
ん……あ、コラ!」
 弁当箱を抱えたまま脱兎の如く走り出した圭介の襟首を、寸前のところで美智子の手が捉え
損なって空を切った。
 見事な逃げっぷりだ。

「……ったく、人の顔見りゃ逃げやがって。話くらい聞けつーの」
 美智子は右手に持ったファイルで肩をとんとんと叩きながら、左手で短く切った頭をガリガ
リと掻いた。ベリィショートの髪の前髪は、一房だけ金色に脱色してあり、白衣を着ていなかっ
たらとても保険のセンセイには見えない。

「お前もタイヘンだな」
 彼女は、ベンチに残されたまま最後のソーセージをパクついたちびっこい少女を見下ろす。
彼女はもぐもぐもぐと口を動かし、ペットボトルのノンシュガー紅茶で飲み下すと、
「もう慣れましたよぅ」
 と、にっこり笑いながら弁当の蓋を閉める。

「そか」
 目を細め、ふう…と息を吐き、美智子は肩の力を抜いた。
『まあ、警戒されても仕方ない…か』
 彼は、自分の体が異常なんだと、誰よりもわかっている。
『私が、学術的興味から調べたいと思ってる……なーんてことを考えてんだろうなぁ…』
 隣の、子犬みたいな少女を見た。
 わけもわからず、由香は“にこっ”と笑った。

01-584 :ボクたちの選択(141):04/03/23 00:19 ID:nJamO8PT
>583
『やっぱ、失敗だよなぁ…』
 美智子は深く嘆息して、晴れ上がった空を見上げる。
 空は、憎々しいほどに青く澄み渡り、もうすぐ雨の季節になるなんて思えないほどだった。

「しつけーなーもうっソラ先生てばさー」
 カッチャカッチャカッチャと弁当箱に付いている箸箱が音を立てる。
 圭介の弁当箱は、クラスの女子が持ってくるような可愛らしくファンシーな、ちっちゃいも
のではなく、男だった頃から使っている銀色のアルミの弁当箱だった。正直、他の女子のよう
に見栄を張るつもりはないし、足りない栄養を補給するように休み時間や食後にバリバリボリ
ボリとスナック菓子を貪るつもりもない。栄養は3度の飯でしっかり取る。間食はなるべくし
ない……が、山中家の原則だった。

「待ってよけーちゃん!」
 気がつけば、後から健司が追いかけてくる。そのまま一緒になって走った。

「なんでオマエまで逃げてんだよ?」
「なんとなく。けーちゃんこそ、なんでソラ先生から逃げてるの?」
「ありゃゼッタイ、オレの体に興味あんだぜ?」
「興味?」
「珍しい症例とかでいろいろ弄りまわされるのだけはカンベンだ」
「なるほど」
 「教室棟I」まで全力疾走すると、それだけでもう息が上がってしまう。女の体というのは
筋力でも肺活量でも、それなりに鍛えている男子には叶わない。息一つ上がっていない健司を
見ると、圭介はそれを痛感して少し悔しくなった。

「はい、掴まって」
「え?」
「ほら」
 不意に、健司に手を掴まれ引っ張られる。

「けーちゃん、運動不足?もう息が上がってるよ?」
「う…うるせー」
 それだけ言うのが精一杯だった。胸がドキドキして、苦しくて、なのに健司の触れた所から
じんわりと体中にあったかいものが広がっていく気がする。

01-585 :ボクたちの選択(142):04/03/23 00:22 ID:nJamO8PT
>584
 そして彼は、自分の表情がひどく苦しげだったのが、いつの間にか頬がゆるみ咲き誇る花の
ような笑顔になっている事に、自分の事ながらまったく気づいてはいなかった。

■■【28】■■
 午後になり、ホームルームも終わって、みんな、それぞれの時間を過ごすべく教室を出て行
く。圭介は真っ先に教室を出て、人が最も来ないだろう、「管理・学習交流棟」の3F女子ト
イレまで来ていた。
 健司は水泳部へ。
 由香はテニス部へ行っているはずだ。
 部活が終わってから健司とCDを買いに行く約束をしていたから、帰る時間までにこの“嵐”
を鎮めておく必要があった。
 周囲を見回し、誰もいないことを確かめる。
 中に入り、ウォシュレット付きの洋式便器のある個室に入った。
 由香がくれた少し大きめの巾着袋から母のポーチを出し、浄水層の上に置く。スカートをた
くし上げるのももどかしく、両手で下着の横に親指をかけて一気に引き下ろしながら、そのま
ま便座に座った。
 “ぷりゅっ”と音がする。カッと顔に血が上り、ほっぺたが腫れぼったくなる。膣内に入っ
た空気が、ぬるぬるとした薄肉を震わせて立てた、湿った粘液質の音だ。
『濡れてる…』
 昼休み。
 健司に手を引かれて、昇降口まで走った。
 それから、午後の授業はずっと頭に入らなかった。もともと星人の因子が発現して理解力が
飛躍的に跳ね上がり、黒板に書いてある部分だけで容易く先生の問いにも答える事が出来たか
ら、“ぼ~~~…”っとしていた事が教師やみんなに気付かれる事は無かった。
 困ったのは、気がついたら左斜め前の健司の背中を見ている自分に、気付いてしまった時だ。
 ゴツゴツした手、だった。
 力強い手、だった。
 あったかくて、頼もしくて、そして優しい手、だった。
 女の体というのは、こういうものなんだろうか?
 男の体に触れると、こんな風に自分ではどうにも出来なくなってしまうんだろうか?

01-586 :ボクたちの選択(143):04/03/23 00:24 ID:nJamO8PT
>585
 …たとえそれが、親友の体であっても。
『なんなんだよちくしょう…』
 圭介はトイレの中で頭を抱えて小さくうめいた。
 涙が出そうだった。
 親友の体に反応して濡れてしまう、情けない自分の体が厭(いと)わしかった。
『やっぱり…』
 下着の股間に当たる部分に敷いた、おりものシートを見た。
 べっとりと濡れて、少し黄味がかった白っぽいヨーグルト状のものがこびりついていた。
 生理は、まだ無い。
 そんなものあってたまるものかと、圭介は思っている。けれど、いつかくるのだろうと、心
の奥の奥の深いところで、諦めとも達観とも違うもので認めてしまっている自分もいた。

 おりものシートは、由香に言われて使うようになったものだ。下着が汚れてしまわないよう
に、何度も下着を替えなくて済むように、由香が買ってきてくれたものだ。
 気になって、由香からそれを受け取った夜にネットで色々と調べてみた。
 下着の内側につく、ねとねとした白っぽいもの、透明なもの、ちょっと黄味がかったもの。
それらは“おりもの”と呼ばれていて、“おりもの”とは、子宮頚管粘液と膣分泌が混じり合っ
たもの………だという。
 “おりもの”は、性器粘膜を潤(うるお)す事によって、外部からの細菌の侵入や乾燥を防
ぐ働きをしているため、いつも多少出るのが正常なのだという。また、分泌量や性質には個人
差があって、年齢や体調、ホルモンの分泌によっても変化するらしい。特に十代の、成長期の
女の子は、新陳代謝が活発なため、一日にちょっとした量が分泌されるようだ。
 今まで、女の子のあそこからはえっちで興奮した時しか液体は出ないと思ってた。何も出な
いと思ってた。けれど、そうではないのだと、普段でも、こういうものは出るのだと、圭介は
初めて知ったのだった。

 思い出すだけで、圭介は眩暈がする。
 汚い…と思った。
 まるで、涎をだだ漏れに垂れ流している大型犬みたいだ。

01-587 :ボクたちの選択(144):04/03/23 00:26 ID:nJamO8PT
>586
 自分は汚い。
 女は汚い。
 その上、自分の体は、親友の体にさえ反応してしまう…。
 それでも、止められなかった。
 どうしても、この体の中で荒れ狂っている“嵐”を鎮めなければならないと、思った。
 もしまた健司の前で“反応”なんてしてしまったら、もう自分はどうしていかわからなくな
るから。

「んっ…ふっ…」
 声が出てしまうのは朝にもう体験済みだったから、圭介はハンカチを噛み、そっと右手の指
をあそこに伸ばした。中指を軽く曲げ、陰核を覆う包皮を“ちょん”と突付く。それだけでビ
リビリとした刺激が全身を走り、腰が動いた。目の前でフラッシュを何度も焚かれているよう
な気がする。もう少し奥まで指を差し入れ、ねとねとした粘液を指に絡ませる。それさえも
『肉の亀裂』への堪えがたい刺激となった。

「んっ…んっ…んっ…」
 痛くないように、刺激が強過ぎないように、そろそろと、おそるおそる、たっぷりと愛液を
からめた指先で“ちょんちょんちょん”と包皮を突付く。
 電気が走る。
 あそこから子宮を通り背骨を昇って脳の中心まで、一本の“回路”が形成されたと感じる。
 繋がっている。
 熱が走る。

「んっ…ひっ…」
 圭介の恥丘には、産毛のような陰毛が生え始めていた。ようやく1センチになるかどうか…
という長さだが、濃く密集していて、“ぼわっ”とした手触りだった。色は薄く、毛質もまだ
全然柔らかい。その茂みを撫で付けるようにして手の平を被せ、人差し指と薬指で肉厚の大陰
唇をすりすりと擦る。

「…ふっ…んっ…ぅ…」
 口の中に唾液がいっぱい溜まる。ハンカチがくちゅくちゅと唾液を吸ってゆく。
 左手が、もっと違う刺激を求めていた。
 どうすればいいか、女の身体が知っていた。
 合服のベストのボタンをもどかしげに外し、丸襟ブラウスの上からゆっくりと右胸に触れる。

01-588 :ボクたちの選択(145):04/03/23 00:29 ID:nJamO8PT
>587
「~~~~~~~ッ~~~!!!」
 前傾して、内股になった膝を擦り合わせる。ぎゅううう…と右手を挟み込んだまま、“びくっ
びくっびくっ”と立て続けに体がはじけた。
 自分の体は、いったいどうなってしまったのか。
 どうなってしまうのか。

 恐い。

 考えるのをやめようと思う。
 涙がいっぱいに溜まった目をぎゅっとつむり、快楽だけに逃げようと思った。
 体の表面全部が、敏感になっている。
 口の中で舌を滑らせ、湿ったハンカチを嘗めた。布地のざらついた感じに、ぞくぞくした。
 不意に。

「んっ!!!!」
 右手で“ぎゅっ”と胸を掴んでしまい、刺すような痛みに顔をしかめた。
 痛い。
 右胸を触るだけで痛い。左胸も、痛かった。
 皮膚の下に、コリコリとした梅干の種みたいなカタマリがある。
 じんわりとした痛みは、“すりすり”と擦ると鈍い「痛痒さ」になって、じくじくと染みる
傷口のように胸に広がってゆく。
『こうすれば』
 いいんだ。
 圭介はそう思った。
 胸をゆっくり、撫でるようにして擦る。ブラをせず厚手のTシャツを着ているけれど、それ
すらも押し上げて乳首が固くしこっていた。
 それを、摘む。

「んぅっ…」
 痛い。
 きもちいい。
 むず痒い。
 いろんな感覚が一度に押し寄せる。

01-589 :ボクたちの選択(146):04/03/23 00:31 ID:nJamO8PT
>588
 右手の指は、最初よりもっと大胆に陰核を覆う包皮を擦っていた。痛みはほとんどない。け
れど、
『やべぇ…ショ……オシッコ、してぇ…』
 強烈な尿意が腰を震わせる。
 由香に「ションベンって言わないの。オシッコとか小さい方とか言うの」と言われた事を思
い出し、心の中の声であるにも関わらず訂正してしまうあたり、由香の『女の子チェック』の
影響が濃い事を思わせた。
『だめ…』

 だめだ。

『辛い』

 苦しい。

『きもちいい』

 もっと。

『強く』

 やさしく。

『捏ねて』

 つついて。

 思っている事と感じている事と実際にしている事が交差する。

01-590 :ボクたちの選択(147):04/03/23 00:35 ID:nJamO8PT
>589
 そして、

ぷしっ…

 水音がはじけ、圭介はたとえようもない開放感を味わった。

「……ん……」
 目を開けると涙が右目からぽろりとこぼれた。世界が滲んで、揺れている。
 悲しいわけじゃなかった。
 気持ち良かった。
 全ての感覚がクリアになったかと思ったら、次の瞬間にはずっとずっと高い所に持ち上げら
れて、そのまま強引に白い闇に引き込まれた。
『すご……い……』
 涎でぐちょぐちょになったハンカチが口から落ち、ブラウスに唾液をつけていても、それを
手に取る事も出来ない。
 ぐったりと浄水槽に背中を預けて、圭介はしばらくの間、ただ“ぴくっぴくっ”と全身を震
わせていた。

■■【28】■■
 圭介が肉体の満足感と精神的な喪失感、それと多大な罪の意識に苛まされながら美術室のド
アを開けると、そこにはもう5人の人影があった。
 珍しい。
 ほとんどフルメンバーだ。
 それで喜んでしまうというのもどうかと思うけれど、悲しい事にそれが現実である事も認め
なければならない。本当は圭介を入れて全部で7人なのだけれど、一人は3年生のため、6月
からは顔を出す程度になっているのだ。12日には引継ぎも完了し、その3年生は実質「OG」
となってしまう。
 よくこの人数で部として成立しているものだ。
 圭介は、それがいつも不思議でならなかった。

01-591 :名無しさん@ピンキー:04/03/23 00:36 ID:nJamO8PT
>590
ここまで。

今年の風邪は例年になくガンコです。
皆様もお気をつけ下さい……。

また、後日…。

01-592 :名無しさん@ピンキー:04/03/23 00:41 ID:tBXNaYCi
GJ!リアルタイムで読みました。
また待ってます。

01-593 :名無しさん@ピンキー:04/03/23 01:00 ID:r99URrYA
仲間とのやりとりは可愛いし
気持ちは切ないし
でも身体は気持ちいいし・・

こんな話でしか経験しようもない
不思議な感情、感覚ですね。
あいかわらず良かったです!

ご無理なさらぬよう、お体に気をつけて

01-594 :591:04/03/24 04:59 ID:AEd8JAB3
ヘンな時間に目が覚めました。寝過ぎです。

今日はえち無しです。

「そんなんいらん!」という人は、スルー願います。

NGワード「ボクたちの選択」

01-595 :ボクたちの選択(148):04/03/24 05:01 ID:AEd8JAB3
>594
「…はよー」
 まるで、くたびれたTV局のアシスタント・ディレクターみたいな顔で業界的挨拶をかます
圭介に、いち早くイーゼルの向こうから顔を覗かせた少女がいる。口に咥えているのはポッキ
ー……かと思えば、チャコールペンだ。
 やけに太いと思った。

「ういっす圭ちゃん。遅いよー」
 自分で切ったんじゃないか?と誰もが思わずにはいられないざんばら髪の下で、ゲジゲジの
眉がいたずら小僧のように動いた。浅黒い肌は、文化部系というより体育会系のノリで日に焼
けている感じに見える。また、ブラウスの前を大胆に開いたその間からは、綺麗な鎖骨の線が
覗いていた。
 胸が薄いから色っぽい胸の谷間などは拝めないけれど、鎖骨を含めた首筋の線はなかなかの
ものだと本人も自負しているらしく、よくこうして胸元を開けてアピールしているのだ。
 その前に髪型とゲジゲジ眉毛を何とかした方がいいと、圭介はいつも思うのだけれど。

「宮森さぁ…一応、男もいるんだから服の前閉じろよ」
 宮森倫子(みやのもり りんこ)は圭介と同学年で、隣の2Dのクラスだった。クラスの男
子を差し置いて、「アネゴ」と呼ばれながらクラスのボス的存在になっていた。

「いーじゃん、ここには男なんて久保塚(おまえ)一人しかいなんだからさぁ」
「それって俺の事っスかぁ?嬉しいっス。一応男として認めてくれてんスねぇ?」
 ワイシャツ姿で机の上に胡座(あぐら)をかいていた男子生徒が、自分を指差しながら嬉し
そうに言う。少し長めの髪を後で一つに縛っている。ポニーテールほど長さが無いので、まる
でホウキみたいだった。男子の長髪は基本的に許されていないけれど、「不衛生でない程度の
長さ」は黙認されているのだ。
 目が細く、例えてみるなら「キツネ」…だろうか。漫画やアニメなら間違い無く悪役で主人
公を騙すタイプの顔だけれど、圭介の後輩のこの少年は、これはこれで義理堅い正直な人間だっ
たから、圭介も決して嫌いでは無かった。

01-596 :ボクたちの選択(149):04/03/24 05:03 ID:AEd8JAB3
>595
「性別的には男だろうが。使う機会の無いチンコぶら下げててもな」
「ひでっ。それって差別っスよ…………先輩、ところであと20秒っス」
「うおっ!?」
 とても女らしくない呻き声を上げてイーゼルに向かう宮森に、圭介は思わず苦笑いする。
 猥雑なセリフが飛び交うが、それもいつもの事なので誰も咎めたりしない。以前は圭介もこ
の美術部で数少ない男子部員だったけれど、彼が女になってからというもの、男は久保塚裕一
(くぼづか ゆういち)ただ一人になってしまった。最近は力仕事や雑用をいつも任されるので、
圭介は事あるごとにぶちぶちとグチを聞かされている。

「先輩も早く用意して下さいよ。出来れば俺と代わって欲しいなぁ…なんつって」
「タイム・クロッキーだろ?何分?」
「今は2分っス」
 久保塚は左手の銀色をしたゴツい腕時計を振ってみせた。2000メートル防水とかの「ア
クア(なんとか)」という自慢の時計らしいが、圭介は別に時計フェチではないので綺麗に聞
き流して記憶に残っていない。

「んじゃ、一巡したらな。久保塚はそれから」
「ええーーー…………と、時間っスー」
 久保塚の時間終了を告げる声に、他の4人が“ふううぅぅ”と長い息を吐いて全身の力を抜
いた。
 モデル役が1人に、時間計測係りが一人、それ以外は全員手にクロッキー用の道具を持って
いる。全員が全員、宮森のようにイーゼルに向かってチャコールを持っているわけではない。
クロッキー帳を手に持ってる者、クロッキー帳ではなくスケッチブックを持っている者、子供
用のらくがき帳を持っている者……そこに描く描画用道具もまちまちで、チャコール、鉛筆、
サインペン、それに筆ペンだった。
 これは全部、今年から顧問になったはるかちゃんの提案だった。
 いわく、
『絵はもっと自由なものだもの。決まりきった道具使って描いても、つまらないでしょ?』
 との事だ。
 彼女に言わせれば、これでもまだ『既成概念に囚われてる』らしいのだけれど。

01-597 :ボクたちの選択(150):04/03/24 05:05 ID:AEd8JAB3
>596
 そして『タイム・クロッキー』というのは部長が勝手に名付けたもので、短い時間でモチー
フ(対象物)の形を正確に、的確に、直感的に捉えるための練習なのだという。時間は3分か
ら始まり、30秒ごと短くしてゆく。一番短い30秒までの6本を1セットとして、一度に大
体3セットというのがだいたいの流れだった。
 まるで運動部の練習メニューのようだけれど、圭介はこの『タイム・クロッキー』が結構好
きだ。頭を空っぽにして何も考えず、ただひたすらにモチーフの形を紙に写し取って行く瞬間
が、まるでスタートダッシュをひたすら繰り返すあの校庭のトラックでの日々を思い出させる
からかもしれない。
 そして『タイム・クロッキー』は、その時の心の在りようを紙の上にそのまま描き出してしまう。
 心に迷いがあれば迷った線を、悩みがあれば悩んだ線を、“ゆらぎ”のままに描き出してしまう。
 だから、好きだった。

 モデル役をしていた少女が部員の描く円の中心から外に出て、ぐるぐると腕を回した。かな
りふくよかな女の子で、将来はさぞ恰幅の良い肝っ玉母さんになるだろうと思わせる風体をし
ている。嫌な感じの“ふくよかさ”ではなく、どこか見る者を和ませるような、そんな体型と
表情だ。本人は結構嫌がってたりするのだけれど、あだ名は当初、そう呼ばれるのが当然とば
かりに「マミー(お母さん)」だった。今はそれが短くなって「マーちゃん」と呼ばれている。
ちゃんと「森本三奈(もりもと みな)という名前があるのだけれど、ここでは誰もそう呼ん
でいない。

「マーちゃん、またジャンケン負けたの?」
「…はい」
 高校一年生とは思えない包容力のある微笑で圭介に答えるけれど、この美術部に所属してい
る以上、彼女もただ優しい微笑みだけの少女ではない。圭介が珍獣扱いで生徒達に付き纏われ
ていた時、部室にかくまって助けてくれたのは彼女だし、これだけしか部員がいない美術部に、
しっかりと生徒会執行部から部費をぶんどってくるのも彼女だった。

「どうしたんですか?」
「え?」

01-598 :ボクたちの選択(151):04/03/24 05:07 ID:AEd8JAB3
>597
「なんだか、すごく疲れてるみたい」
 まさか、トイレでオナニーして初めてイッてしまったから…などと言えるわけもない。

「オナニーでもやりすぎましたか?」
 ギクリとした。

「久保塚ぁ~オマエ殺されたいのか?」
 宮森が物騒な目付きでキツネ目の少年を睨む。

「オマエみたいに毎日毎日センズリこいてるバカガキじゃねーんだからな」
「うわっひどっ!ひどいっスよソレ」
「圭ちゃんみたいな美少女は、セックスもオナニーもウンチもオシッコもしないの」
 めちゃくちゃ言ってる。

「美少女ってそんな……ほら、オレってもと男なわけだし…」
 圭介がそう言うと、
「あ。俺、センパイが男でも女でもおっけーっスから。バイなんで」
 キツネが“きゅうう”と口の両端を引き上げながら笑った。
 油揚げでもお供えしたくなってくる顔だ。
 …と、
「んひゃうあっ!?」

 突然、胸を揉まれた。

「ふむ。毎日揉んでやってるのに、ちっとも大きくならんなぁ」
 すぐ耳元で、やたらと理知的で、それでいて同性ですらゾクゾクするような女性の甘い声が
聞こえる。

「ぶ…部長……」
 いつの間にか背後に現れて、圭介の小さな両胸を優しく優しく揉んでいるのは、美術部部長
の3年生だった。
 勉強がやたらと出来るくせに教師に注目されて絵を描く時間が無くなるのが嫌で、いつもい
つも学年40位近辺をキープしている変わり者だった。今時、2日で1本の性欲励起電子遊戯
(エロゲー)を消費するディープ(駄目)でコア(ひとでなし)な「人間以下人種(そだいご
み)」しか反応しないような、三つ編みで黒縁眼鏡の立派なヘンタイだ。きっと、クラスでの
あだ名は「委員長」に違いない。

01-599 :ボクたちの選択(152):04/03/24 05:10 ID:AEd8JAB3
>598
 これででっかいおっぱいだったら、その手の社会不適合者に大人気だったかもしれないが、
あいにく彼女はBカップという標準的なガッカリサイズだった。

「失敬な」
「へ?」
「今、私の事を侮辱しただろう」
「してませんよそんなうわっ…いたたた…」
「ん?胸が痛いのか?」
「は、はい……いたたたたたたたたたたたたたたたっ」
「どうやら本当みたいだな」
「痛いって言ってるんですからわざわざ確かめないで下さい」
「許せ。探求心と好奇心は芸術の母だ」
「ナニわけわかんない事言ってんですか。いいかげん胸を揉むのやめてあひゃふえっ」
 黙って座ってれば深窓の麗嬢と言っても通用しそうな可憐な女性なのだけれど、わきわきと
圭介の胸をまさぐる指の動きは立派なヘンタイさんだ。
 見ている他の部員達は、圭介が女になって登校してから毎日毎日繰り返されたその場面にすっ
かり興味を無くし、早くも次の『タイム・クロッキー』に入っている。そもそも彼女等は、月
曜日に突然圭介がミニスカートを履いて美少女然と顔を出した時も全く動揺しなかったツワモ
ノ達であった。これくらいの事で動揺するわけもない。
 今の圭介には、とてもとても不幸な事ではあったけれど。

「いつまでもぺったぺたではまずいだろう?イロイロと。だからこうして大きくしてやろうと
いうのではないか」
「人に揉まれたからって…んっ…そんなに急に大きくなりますかっ…はっ…んっ…」
「感じるか?」
「感じません!!」
「なんだつまらん」
 顔を真っ赤にして怒鳴る圭介に部長はボソリと呟くと、表情をほとんど変えないままポイッ
と彼を放り出した。
 はあはあぜいぜいと、しどけなく机にもたれかかり、圭介は胸を押さえる。乱れた髪が紅潮
した可愛らしい頬にかかり、部長でなくともムラムラきてしまいそうだった。

「か…かんべんしてくださいよぉ……」

01-600 :ボクたちの選択(153):04/03/24 05:11 ID:AEd8JAB3
>599
 さっきから彼の口調が、普段のそれとは全く違う。教師にさえ厚顔不遜な彼が、この先輩に
だけはてんで弱かった。
 “天敵”と言ってもいい。
 こうまでされて、なぜ美術部を辞めないのか。
 それは、あの日あの時あの美術館で見た、圭介の人生を変えたあの絵を描いたのが、この杉
林部長だったからだ。
 圭介にとって、それは正真正銘の不幸だった。
『これさえなきゃ、いい先輩なんだけどなぁ…』
 一歩でも部長から離れようと、じりじりと後ずさる。

「い……いいいん…です…か?3年生…なのに…部活…なんか、きてっ」
 それにしてもあぶなかった。
 危うく決して踏み込んではいけない道に引き込まれるところだった。部長の指使いは、繊細
で優美でそれでいて大胆で、抵抗の無い女子生徒なら一発で堕(お)ちてしまいそうな恐るべ
き魔力を秘めている。

「かまわん。りんりんへの引継ぎは12日だ。それまで私は毎日圭ちゃんの胸を大きくするた
めに努力しようと思う」
「しなくていいです」
 腰に手を当ててふんぞり返る部長に、圭介は冷たい目を向ける。

「12日以降も続けて欲しいのか?私はそれでも構わんが」
「…誰もそんな事言ってません!」
「なんなら、直接じかに揉んでやってもいいが」
「結構です!!」
「むう………圭ちゃんは、私にいったいどうしろと言うのだ?」
 理知的な眉を寄せて腕を組み、本気で悩んでいるのが腹立たしい。

「も、好きにして下さい…」
「そうか」
 がっくりと肩を落として泣きそうな顔をする圭介に、部長は人差し指を顎に当てて思案げに
考え込むと、
「ではりんりん、後は任せたから今日も圭ちゃんをちょっとだけ借りていくぞ」
「あいよー。なるべく早めに返してねー?」

01-601 :ボクたちの選択(154):04/03/24 05:13 ID:AEd8JAB3
>600
 りんりんこと宮森倫子は、前衛的なポーズで固まったままピクリとも動かないキツネ顔の少
年をスケッチしながら、明るい顔で手を振った。

「では行こうか」
「え?え?」
 ずるずると手を引っ張られながら、圭介は部長と宮森と他の部員を見る。
 …誰も圭介達を見ていなかった。

 うらぎりものたちめ。

「『いざ、おともつかまつらん!ラピス・ラズリの鉱脈を探す旅に!』」
「なんですかそれは!」
「気に食わんか?では『行こう!おばさん!父さんは生きて帰ってきたよ!』」
「誰がおばさんですかっ!」
「ワガママだな。では『ここにいてはいけない。日が沈む前にすぐに帰るんだ!』」
「それもなんか違うー」
 部長は、日本で一番有名なアニメ映画スタジオのファンだった。

「たーすーけーてー…」
 圭介の悲痛な声が段々と遠ざかってゆく。
 部室の窓のすぐ外を、スズメが2匹飛んでいった。

「ねえ、今日はどこ行くのかな?」
「昨日は?」
「手芸部」
「その前は?」
「園芸部」
「月曜日は演劇部だっけ?」
「部長、前から圭ちゃん大好きだったもんねぇ」
「そうそう。綺麗な服着せて遊びたがってたし」
「可愛い女の子にするって燃えてるもんねぇ…」
「前、『オレ少女』って萌える!とか言ってなかった?」
「今日はどこかな?」
「……茶道部か華道部じゃない?」

01-602 :ボクたちの選択(155):04/03/24 05:15 ID:AEd8JAB3
>601
「今日って何曜日?」
「木曜」
「じゃあ茶道部だね」
「副部長って浜崎君だっけ?」
「伸吾くん?圭ちゃんと同じクラスだったよね確か」
「…着物かな?」
「着物でしょ。部長のことだから」
「無駄に金持ちだもんね。部長の家」
「着物姿の圭ちゃんか…」
「クラスメイトの前で…」
「「……おもしろそう」」

 美術室は、今日も平和だった。

■■【29】■■
 午後7時ともなると、日も沈んで辺りはぐんと暗くなってくる。空には、紫から群青色に移
りゆく夕焼けの残照がわずかに残るばかりで、星達がさっそく夜の瞬きを披露していた。
 夜空に黒々とそびえる校舎の黒いシルエットは、まるで堅牢な要塞のようだ。実際、実社会
から切り離された『学校』という空間は、世の中に満ち満ちている苦難から、幼い生徒を護る
最後の砦のように思える。辛く厳しい現実に飛び立つ前に、弱くて小さな翼にたっぷりと力を
蓄えるための場所。甘えが許される、最後の時間。
 だからこそ生徒達は毎日を精一杯楽しむのだ。本人達にその自覚は無いだろうけれど、時が
経ち、再びこの幼年時代を振り返ったとき、自分がどれほど大人達に“護られて”いたか、ま
ざまざと思い知るだろう。
 もちろん彼も、その一人だった。
 その体の中に、どんなにすごい力が秘められているとしても。今は、ただの無力な、自分の
運命に戸惑い、躊躇い、逡巡する、ただ一人の子供に過ぎなかった。

 グラウンド横にある、体育館より一回り小さい蒲鉾(カマボコ)型の建物は、内部から浩々
とした光が漏れている。それは、健司が属する水泳部が、夜遅くまで練習をしている室内プー
ルの光だった。

01-603 :ボクたちの選択(156):04/03/24 05:18 ID:AEd8JAB3
>602
 全天候型の半屋内プールというのは、ひょっとしたら県下でも珍しいのかもしれない…と、
圭介は思う。
 天井を覆う天蓋は、天候によって半分以上も開閉し、冬季にはボイラーと屋上の太陽式電池
の併用で水温を常時27度から32度に保っている。夏季でも水温は微妙に調整され、もちろ
ん、高温維持による雑菌繁殖を抑えるために水は常に滅菌フィルターを通されていて、消毒用
の塩素使用も最小限となっていた。
 8コースまである50メートルプールは、深さが1メートル50センチから1メートル90
センチと比較的深めに造られていて、圭介は1年生の時に足が攣(つ)り、危うく溺れかけた
事があった。
 それ以来、圭介はあまりこのプールが好きではない。

 その圭介は、グラウンド横の特殊舗装された小道を、プールに向かって足早に歩いている所
だった。右は雑木林…というか、樹木園となっていて、外灯があっても闇がわだかまり、どこ
か薄気味悪い。いくら自分が星人の子供…という非常識な存在だとしても、怖いものは怖いし、
不気味なものとはなるべくお友達になりたくはない。
『まだべたべたする…』
 今日は作法室で、茶道部と一緒にお茶を飲んだ。美術部であるはずの自分が、だ。
 いや、百歩………一万歩譲って、そこまではいいとしよう。
 我慢ならないのは、杉林部長の用意した着物だった。
 抵抗空しく茶道部の女子生徒全員に寄ってたかって着付けられ、白粉(おしろい)や紅まで
塗られてお人形さんよろしく畳の上で長時間正座させられれば、慈悲の心溢れるマリア様だっ
て不機嫌になるというものだ(マリア様は着物なんて着ません)。着物の下はパンツ無しが常
識だ!とばかりに、あのヘンタイ部長に裸にひん剥かれそうになった時はさすがに泣きたくなっ
たけれど、茶道部の部長さんが助け舟を出してくれて危うく事無きを得た。それでも襦袢(じゅ
ばん)、足袋(たび)は必須らしく、着付けに20分、化粧に15分かかって、実際にお茶の
作法を“習わされた”のは1時間くらいだった。

01-604 :ボクたちの選択(157):04/03/24 05:20 ID:AEd8JAB3
>603
「なんで…このオレが…」
 首までべたべたと塗られた白粉(おしろい)の残りをタオルで拭いながら、圭介はブツブツ
と呟く。いっそのこと運動部のシャワーでも借りれば良かったと思うけれど、彼は、まだどこ
のシャワー室も使わせてもらえないから、こうして水で濡らしたタオルで適当な状態まで拭う
しかなかったのだ。
 しみじみと圭介は思う。
 こんな事までして、いったい何になるというのか。
 たぶん部長は、
『おもしろいから』
 の一言で済ませてしまうに違いない。
 キチガイに刃物。
 ヘンタイに財力。
 なまじ実家がこの街有数の名家なため、金にあかして好き勝手やっている。
 前々から変だ変だと思っていたが、今週になってから以前より輪をかけて変になっている。
おかげで圭介は学校で、自分の置かれた異常な境遇に悩んでいる暇が無い。
 本当にいい性格をしているヘンタイだ。
 それをつくづく痛感してしまう圭介だった。


 屋内プールの入り口まで来ると、タイル地の階段を一人の女生徒が下りてくるところに出会っ
た。圭介がそれと気付く前に、軽快なステップで階段を駆け下りてくる。夜目にも豊かな胸が、
白いブラウスの下でゆさゆさと揺れているのがわかった。
 少し湿った感じのショートボブの髪を掻き揚げて、にっこりと笑うその顔に、圭介は見覚え
がある。

「圭介くん……ええと、今は圭ちゃんって呼んだ方がいいのかしら?」
 美人…だった。
 圭介と同じ丸襟のブラウスと紐タイに紺のベスト、そしてチェックのミニスカートという出
で立ちでありながら、纏(まと)っている雰囲気がまるで違う。出るところは思い切り出て、
引っ込むところは思い切り引っ込んでいる。それでいてバランスを崩したりせず全体のシルエッ
トはすらりとしていた。まさに理想的な体型と言える。

01-605 :ボクたちの選択(158):04/03/24 05:22 ID:AEd8JAB3
>604
 由香とはまるで正反対の女性だ。

「どっちでもいいですよ。玲奈さんの好きな方で」
「…じゃあ、圭ちゃん。……ふふ…なんだか、見ないうちにずいぶんと可愛くなっちゃったの
ね」
 彼女、岬 玲奈(みさき れいな)は、健司の従姉だ。
 あの樽型の母親(失礼)と同じ血を引いているとはとても思えない、彼女の姉の娘で、今は
女子水泳部の部長をしているはずだ。
 この学校よりもっと上を狙える頭がありながら、わざわざこの学校を受験したという、まる
でどこかの誰かさんを思い出させるような、とっても奇特な人だった。
 1年生の時にメーカーから競泳用水着のモデルを頼まれて、そのカタログが1週間で近隣の
街の店頭から消えてしまった…という、ウソか本当かわからない伝説を持っている。今は3年
生だから、きっと2年前よりも女らしいやわらかい体型になって、今モデルになれば3日で無
くなるに違いないとか言われていた。
 かくゆう圭介も、一時期、憧れていた時があった。
 健司の所によく遊びに来ていたから、その時は彼女目当てに用も無いのに彼の家まで行った
りなどしていたのだ。

「玲奈さんはもう帰り?」
「もう…って、やあね。それこそ、もう7時過ぎよ?」
 美人は、声まで美しい。
 玲奈は、「貴女は本当に高校生ですか?」と問いかけたくなるような、そんな美貌とスタイ
ルだ。それは、並々ならぬ努力の賜物なのだろう。なにしろ、水泳部にいるのは大会で記録を
出すためじゃなく、その類まれなプロポーションを維持するためだ…と実(まこと)しやかに
囁(ささや)かされているくらいだ。
 圭介は、思わず自分の体を見下ろした。
 見事なまでに何も無い、まるでモンゴルの大平原みたいにまっ平らな胸がある。場所によっ
てなだらかな起伏があるだけ、あちらの方がマシかもしれない。

「女の子なら、こんな時間に歩くのは危険よ?」
 『あなたは別だけど』と言われた気がした。
 確かにそうなのだけれど、なんだかムッとくる。

01-606 :ボクたちの選択(159):04/03/24 05:24 ID:AEd8JAB3
>605
 圭介が彼女を憧れの対象から外したのは、そんなに昔ではない。彼女の物言いがどこか挑発
的で、こちらを見下しているように感じ始めたからだ。
 それは圭介の気にし過ぎなのかもしれない。
 本当は、昔と同じように誰にでも優しく親切なお姉さんなのかもしれなかった。
 けれど、圭介は彼女の視線や口調や態度に、「自分が綺麗だと自覚しているためにおこる傲
慢さ」が滲み出ているような気がして仕方なかった。
 そんな彼女が、健司の従姉妹で、あいつと一番近い所にいるのがなんだか気に入らない。

 従姉は、結婚出来るのだ。

「3年生の第一次追い出し会の準備だったの。今年は人数が少ないから楽よ」
 玲奈はそう言って、グロスを塗ってやたらとツヤツヤ光る赤い唇で“くすくす”と笑った。
 12日の部長引継ぎを機に、水泳部の3年生は夏の大会出場者を除いて事実上部活から引退
する。その追い出し会は、夏休みに入る前に行われる毎年恒例のイベントだった。「会」とは
言っても、なにも食べ物や飲み物を持ち寄って騒ぐわけではなく、3年対1・2年生混合チー
ムでの全体記録会が行われるのだ。
 ただし、自己ベストを更新した部員から、抽選で選ばれた人に贈られる商品はちょっと豪華
で、去年は東京ディ●ニー・シーへの1泊2日の招待券だったと聞いている。
 …部員の大部分が彼女も彼氏もいないのに、そんなものをもらってどうするのか、という声
もあったけれど。

「健ちゃんなら更衣室にいるわよ」
「…どうも」
 なんだか余裕の表情(彼にはそう見えた)の玲奈の顔を見ていられなくて、圭介は目を逸ら
して階段を昇る。色々な意味で負けた気がして、まるで負け犬にでもなった気分だった。

「あ、そうそう。健ちゃん、夏の大会のメドレーの代表選手に選ばれたでしょ?応援に行くつ
もりなら…」
「え!?」
「…あら?聞いてなかったの?おかしいわね。選考会は先週末だったんだけど」
「…べ、べつに、オレ達だってなんでもかんでも話してるわけじゃないし」
 むっとしてセミロングの髪を揺らし玲奈に向き直る圭介は、まるで子犬が精一杯威嚇してい
るように見えた。一生懸命なのはわかるけれど、なぜかそれがひどく可愛い。

01-607 :ボクたちの選択(160):04/03/24 05:26 ID:AEd8JAB3
>606
「そう?じゃ、わたし行くわ。またね?」
 くすっと笑って、目を細め、ミニスカートを翻して階段を下りてゆく。
 彼女の姿が闇に紛れて見えなくなるまで、圭介はその後姿を見送った。それから“ふっ”と
肩の力を抜き、
「健司も、ああいうグラマーなタイプがいいんだろうな……あいつ、おっぱい星人だもんなぁ…」
 そう呟いてから、それが『男』として言った言葉なのか、それとも『女』として言った言葉
なのか、自分でも判断出来なくなっていることに愕然とした…。

■■【30】■■
 入り口でクツを脱ぎ、スリッパに履き替えるのが面倒なので黒のハイソックスを脱いで右手
にぶら下げながら、ぺたぺたとリノリウムの廊下を歩いた。ソックスをぶんぶんと振り回しな
がら裸足で歩く姿は、まるきり近所のいたずら小僧という風情(ふぜい)だ。ただ、それをし
ているのが可憐な美少女…という点がどこかおかしい。美少女なら美少女らしく、ちゃんとス
リッパに履き替えて足音を立てたりせずしずしずと歩くものだ。

「うるせー」
 圭介は誰にともなくそう呟くと、水飲み場のウォータークーラー(飲料用冷水機)で口を漱
(すす)ぎ、右手で口元をごしごしと拭いながら男子更衣室に行っていった。

 平気な顔で。

「うわっ!」
「きゃあっ!」
「いやーん!」
「なんだなんだなんだ!?」
 途端に沸き起こる悲鳴と怒号。

「ばーか、オレだよ。圭介だよ」
 あわてふためく部員達に、圭介はつまらなさそうに言った。
 水泳部の連中とは顔なじみだ。
 健司の応援や、今日みたいに彼を迎えに来る事もある上、由香と一緒だと彼女が菓子やらジュ
ースやらを差し入れるので、どちらかというと“ついでに顔を覚えられてしまった”と言う方
が正しい。

01-608 :ボクたちの選択(161):04/03/24 05:29 ID:AEd8JAB3
>607
 その上、今回の事で、校内に圭介の事を知らない人間は一人もいなくなった…と言っても過
言じゃなかった。

「…ふざけんなよオマエ…カンベンしてくれよ…」
 腰回りをバスタオルで隠した水泳部員が、ぐったりした様子で文句を言う。足元に競泳用パ
ンツが落ちているから、たぶん今は下半身素っ裸に違いない。

「お前らのチンポ見たって面白くもなんともねーよ。んな貧相なもん金払っても見たかねーや」
「ひでぇ…」
 いくら圭介がもと男だとはいえ、今はれっきとした女なのだ。しかも家族以外は、遺伝的に
は生まれた時から女だということになっている。
 その上、さらさらのセミロングの髪を揺らして可愛らしい美少女に「貧相」と履き捨てられ
ては、傷つきやすいガラスの心の青少年にとって、一生のトラウマになりそうだった。

「でさ、健司ってまだ中?」
「さらっと流すなよ、おめーよ…」
 むあっとした湿気の中、半裸の男達が十数人ひしめいている更衣室を、圭介は裸足のまま濡
れたスノコの上を平気な顔でぺたぺた歩いた。
 むせ返るような男臭さに、思わず顔をしかめる。男だった時には何も感じなかった彼らの匂
いが、女の体だとひどく不快だった。

「オマエさ、女なんだろ?こんなとこまで入ってくんなよ」
「固い事言うなよ。少し前までは平気だっただろ?」
「事情が違うだろが」
「オレはオレだ。何も変わっちゃいねーよ」
 ふふん、と鼻息荒く言う圭介に、ここにいる全員が思う。
『いや、十分変わってるし』
 その時、空気が動いて丁度良いタイミングでプールから入ってくる影があった。

「あ、けーちゃん。どうしたの?」
「健司てめー選考会のことだまって……」
 耳に心地良い声に顔を上げ、圭介は絶句した。

 当たり前だけれど、上半身裸の健司がいた。

01-609 :ボクたちの選択(162):04/03/24 05:31 ID:AEd8JAB3
>608
 その途端、圭介の体が意思に反して硬直する。健司の裸をこんなに近くで見たのは、実は1
年ぶりだった。大会や記録会の時は2Fの応援席からだったし、いつも迎えに来た時には大抵
着替えも済んで、後は靴下を履いて帰るだけの事が多かったのだ。
 健司は、制服を着ている時とは全く印象が違っていた。
 180センチはある体躯は、胸板が厚く肩も大きく盛り上がって、バタフライを主種目にす
る水泳選手らしい力強さに溢れていた。愛嬌があって牧歌的な雰囲気の方が勝っているために
そうとは知れないが、筋肉は引き締まってバネも強そうだ。贅肉が全く無く、腹筋はかすかだ
けれど割れていた。太股の筋肉はパンッと張って、いかにもしなやかでいながら、水を強引に
撥ね退ける強靭な力を内に秘めていそうだった。
 随分と長くそうしていたらしい。
 実際には5秒かそこらだったかもしれない。けれど、健司に話し掛けられるまで、圭介は
“ぽ~~…”とバカみたいに彼の裸の上半身を眺めていたのだった。

「ごめん。けーちゃん大変だったでしょ?だから……。それより、外で待っててくれれば良かっ
たのに」
「あ…うん…」
 ハッと気付いて、慌てて健司の顔に視線を上げた。
 海苔でもぺたりと貼り付けたような眉が、ふにっと下がり、なんともいえない雰囲気になる。
目がくりくりとして大きいため、その目で見つめられると心の底まで見透かされそうだった。
 慌てて視線を下げる。
 競泳用パンツの前が、『オマエなんか入れてるだろ!?』と突っ込みたくなるくらいの大き
さで盛り上がっていた。
『うわっ』
 心臓が破裂したかと思った。
 バクバクと血液が急激に頭に上り、くらくらして目を何度も瞬(しばたた)かせた。

「ご…ごめん、今日、付き合えねぇ…」
「え?けーちゃん?」
「オレ、帰るわ。ゴメン」
「どうしたの?」
 圭介は、きゅっと目を細めた邪気の無い健司の笑みに、逃げるようにして更衣室を出た。

「けーちゃん!?」

01-610 :ボクたちの選択(163):04/03/24 05:33 ID:AEd8JAB3
>609
 健司の声が追いかけてくる。
 圭介は振り返らなかった。
 涙が出そうだ。
 口元に出来たあいつの笑窪(えくぼ)が、
 体格からは想像も出来ないくらい優しい笑みが、
 圭介の動機をもっともっと激しくさせる。

「あいつ…」
 髭の剃り残しがあった。
『髭が生えてるんだ…』
 喉のところに、2ミリくらいの一本の髭。
 それが、瞼に鮮やかに蘇る。
『オトコ…なんだよな…』
 今さらのように心の中で呟く。
 ハイソックスを履き、クツを履き、入り口のドアを開けても、なんだか体が浮いてる気がし
た。
 深呼吸した。
 背中にびっしょりと汗をかいている事にも気付かなかった自分に、夜風が吹き付けて初めて
気付いた。

 健司の(上半身だけ)裸に反応した。

 それが、ショックだった。

「オレって…やっぱりヘンタイなのか…?」
 特殊舗装の歩道を、まるで母親に叱られた子供のように俯きながら歩いていた圭介は、保険
室の明かりが点いているのを見て、「ソラ先生に相談しよう」と思った。
 どうすればいいのかわからない。
 心が、体に支配されてしまう。
 親友の体を見てどきどきするなんて、ぜったいに普通じゃない。
 けれど、すぐに思い直して背を向けた。
 相談してどうする?
 全てを打ち明けるか?

01-611 :ボクたちの選択(164):04/03/24 05:35 ID:AEd8JAB3
>610
 一週間前まで、自分は遺伝的にも肉体的にも完全に男だった。
 けれど母から受け継いだ遺伝形質で、突然女になってしまった。
 心はまだ男なのだ。
 なのに、完全な女の体が、心を裏切る。
 そんな話、誰が信じる?
「……ばかみてぇ…」
 結局、圭介はその明かりに背を向けたまま、夜道をたった一人で帰っていった。
 窓のそばで、その小さく頼りない後姿を、美智子がじっと見つめている事に気付かないまま。

■■【30】■■

 これは夢だ。

 圭介は夢の中にいながら、それをはっきりと自覚した。
 なぜなら自分は、キスをしているからだ。
 相手が誰なのか、それはわからない。
 けれど、それが男だというのは、わかった。
 だからこれは夢なのだ。
 夢でしかありえない。
 そしてこの夢は、いつも見る、あのえっちな夢と感じが似ている。
 すごくすごく似ている。
 圭介は生まれてから今まで、意識してキスをした事は一度も無い。一番古い記憶は近所に昔
住んでいた柴犬のジョンだった。日本犬なのにジョンをいう名前はどうかと思ったけれど、そ
れよりももっと根本的にメスにつける名前じゃない。
 それ以来、人間相手でキスしたのは母親くらいのものだったけれど、母はほっぺただし、な
により家族なのでノーカウントだ。
 なのに、夢の中の圭介はひどく慣れた感じで情熱的にキスをしている。
 剃り残しがあるのか、少しちくちくくる男のほっぺたに、猫のようにすりすりと頬を摺り寄
せ、御馳走を待ち望む犬のように「くうん…」と甘えて鼻を鳴らした。いやいやと媚びた視線
で男の喉仏を“はむっ”と唇で甘噛みし、汗で少ししょっぱい喉元から鎖骨までをぺろぺろと
舐める。

01-612 :名無しさん@ピンキー:04/03/24 05:38 ID:AEd8JAB3
>611
ここまで。

えち無しのはずだったのですがアップしすぎました。
熱あるとダメです。

>593
ありがとうございます~順調に8度前後をキープしてますよぅ

おやすみなさい。

01-613 :名無しさん@ピンキー:04/03/24 05:49 ID:7PNDRIuS
   ∩___∩
   | ノ      ヽ
  /  ●   ● |    >>612
  |    ( _●_)  ミ   Good Job
 彡、   |∪|  、`\  
/ __  ヽノ /´>  )
(___)   / (_/
 |       /
 |  /\ \
 | /    )  )
 ∪    (  \
       \_)

01-614 :名無しさん@ピンキー:04/03/24 14:29 ID:9xzBIHTk
美少女になりたくなりました。

01-615 :名無しさん@ピンキー:04/03/24 17:43 ID:imWxHdmu
>>614
 なれたら報告に来てください。

01-616 :名無しさん@ピンキー:04/03/24 20:22 ID:qyZ1mMoM
もうすぐなれるよ♪

あとはオペだけw

01-617 :名無しさん@ピンキー:04/03/24 20:25 ID:qyZ1mMoM
おっと、感想忘れw

>>612
相変わらず萌え♪最高でつ

早く病気が治るように(・∀・)養生スレ!

01-618 :名無しさん@ピンキー:04/03/25 10:27 ID:nXFnivxt
書いてみようかなぁと思うんだけどエロ無しのほうがいい?
あと二次創作のほうがいい?

01-619 :名無しさん@ピンキー:04/03/25 11:06 ID:3yIxHmX/
>>618
 ここはエロパロ板なので、エロ度0は板違いになるのではないかと。
 好み的にはハードなエロエロより、ソフトなHの方が好きだけどね。
 二次創作かオリジナルかはどちらでもOK。

01-620 :名無しさん@ピンキー:04/03/25 11:56 ID:DGQMyASO
期待age(・∀・)

01-621 :名無しさん@ピンキー:04/03/25 12:27 ID:4wY3bLxc
オリジナルキボンヌ

01-622 :名無しさん@ピンキー:04/03/25 12:29 ID:dujO5U9E
>>618 よし、頑張れ

01-623 :618:04/03/25 12:33 ID:nXFnivxt
投下してみます。オリジナルです。


学校の帰り道、家に帰ってもすることが無いので鈴木有紀(スズキユウキ)は渋谷を徘徊していた。
ゲーセンに寄ってなんとなく1ゲームだけプレイしすぐにゲームオーバー。
ゲーセンを出てブラブラとCDショップ、本屋、ゲームショップに寄る。
何か買おうというわけではない。ただなんとなく寄り道をしているだけだ。

有紀はこうやって歩くのが好きだ。いや、正確に言うと歩くのが好きなわけではない。
道路を歩いている時にすれ違う女子中学生や女子高生、OLを見ていると非常に楽しい。
すれ違うロングヘアの女性を見ては「あのサラサラの髪に触れてみたい」と思い、
あるいは健気な女子高生を見ると「あの柔らかそうな身体に触れてみたい」と思い、
顔には出さないものの唾をゴクリと飲み込み、何か昂奮したものを得るのであった。

有紀は高校生だが小柄で顔も童顔であることを気にしていて女性と付き合うのはどうも
腰が引けてしまうところがあった。
内気で恥ずかしがりだということもあるだろう。
最近学校で多い女性経験の話題にはまったくついていけなかった。

そして今日もなんとなくという名目でギラギラとした目で都会を徘徊しているのだ。
ハチ公の前で一人の女の子が目に入った。
赤地のチェックのミニスカートを穿き、肩にかかるストレートの髪を手で
耳にかけ携帯電話をいじっている女子中学生らしき初々しい女の子だった。
(僕にもあんな女の子が欲しい、あんな女の子のすべてを所有してみたい…)
有紀の中で妄想が膨らみ、年下の女の子にイカされる自分を想像していた。

01-624 :618:04/03/25 12:34 ID:nXFnivxt
「そこの彼、もしも~し」
「えっ!?」
 突然の背後からの声に現実世界に引き戻された。
振り返ると有紀の高校と同じ女子のセーラー服を着た女の子が立っていた。
1歳上の先輩だろうか。彼女から放たれる女性めかしいオーラには惹かれるものがあった。

「キミ、今ヒマしてる?援交しない?」
「ハッ?」
 何を言い出すかと思うと彼女は突然とんでもないことを口にした。

「だってさぁ、キミ暇そうじゃない?私お金ないからさ…。どうしても今必要なんだ。ねっ、頼むよ!」
 有紀はすぐに断ろうとしたが学校での友人との会話を思い出した。
(そういえばまだ女性経験がないのは僕だけだ…)
 だからと言ってこうも簡単に初体験を済ませてしまっていいものだろうか。
有紀がシブっていると女の子は呆れたように
「はっはーん、もしかして童貞?大丈夫よ、今どきそんなの気にしてる人なんていないって」
 彼女はグイグイと有紀の手を強引に引っ張りどこかに連れていこうとする。

「お、おい…ちょ…ちょっと待ってよ。君、強引だよ…」
 口ではそうは言ったがこの先一体どうなるのか内心楽しみでもあった。

「あ、そうそう、まだ名前言ってなかったね。私1年生の藤堂愛(トウドウアイ)、よろしくねっ」
「え、あぁ…どうも…。僕は…」
「鈴木有紀先輩でしょ、知ってるよ。ユウ君って呼んでもいい?」
(彼女…僕より年下だったのか…)
 彼女が言ってることはあまり耳に入らず、有紀はボーっとそんなことを考えていた。

***

01-625 :618:04/03/25 12:36 ID:nXFnivxt
 愛は同性しか愛せなかった。
それを自覚したのは小学5年生のころだった。
一番仲の良い友人の女の子に恋をしてしまったのだ。
愛はその友人に過剰にスキンシップを取り、そしてある日友人を家に招き、
冗談めかしくキスをしてみたら友人もおもしろがり
愛のことを拒否しなかったため、中学を卒業するまで友人との関係は続いた。
愛は積極的に友人を攻め、友人は愛のされるがままになるのが専らであった。
しかし友人が親の都合で関西に引っ越してしまってからはつまらない日々だった。
高校で新しく出来た友人に自分の性癖を明かすことなんて出来ない。
何人かの男性とお付き合いもしたが、どの男性もあまり好きになれずすぐに破局した。

「はぁ…私に合う男性なんかいないのよね…やっぱ女の子と激しく愛しあいたい…」

 ある日愛は教師に頼まれた視聴覚機材をビデオ室に運んでいた。
そのとき前方の廊下でドーンと大袈裟な音を立て転んでいる生徒がいた。

「イテテテテ…」
 童顔で背が低く少女にも見える男の子。愛の心臓はドクンと高鳴った。

「おい、有紀!大丈夫かよ」
 有紀と呼ばれた生徒はゆっくりと立ち上がり泣きそうな顔をして
「大丈夫じゃないよ…。そんなことより人前で思いっきりコケて恥ずかしい…」
彼はそこから逃げるように走り友人たちも笑いながらそれを追いかけ
すぐにそこには誰もいなくなってしまった。
(有紀って呼ばれてた人…可愛い。先輩かな…。まるで女の子みたい…
しかも転んだ時の恥ずかしそうな顔…。マゾの素質もありね…フフフ
あの人ならもしかしたら…)
愛は無意識に口元をつりあげサディスティックな笑みを浮かべていた。

***

01-626 :618:04/03/25 12:41 ID:nXFnivxt
ここまで

すみません、あまり考えずに書いてしまったせいでまだここまでしか書いてません(;´Д`)
もうちょっと書いてからのほうが良かったかな…。一気に書いて受け入れられなかったら恐くて…
小心者でスマソ

01-627 :名無しさん@ピンキー:04/03/25 14:18 ID:dujO5U9E
>>618氏 ( ・∀・)< 早いな、個人的には良いと思うよ。よし、頑張った。
それと共にこのスレ人どれぐらいいんの?

01-628 :名無しさん@ピンキー:04/03/25 14:32 ID:4wY3bLxc
>>626
モツカレ
短いから感想としてはなんとも言えないが
とりあえず続き読みたいので、期待してる

01-629 :名無しさん@ピンキー:04/03/25 15:07 ID:ITLgzGBq
可愛い男の子を去勢してペットにしたい・・・・(はっ、今漏れは何を・・・・ヤヴァイw

>>618氏 先の展開が楽しみです。期待してるよ

01-630 :名無しさん@ピンキー:04/03/25 17:41 ID:DGQMyASO
応援してますよっ!!
続きをお願いします。

01-631 :名無しさん@ピンキー:04/03/25 20:06 ID:zYGug3Au
ビミョーに遅レスですが・・
>612さん
圭介、どんどん女の部分に支配されてきましたね。
最後の夢の中のしぐさなんか、生々しいぐらいに
女ぽくてゾクゾクです。いろんなキャラとの絡み、
これからどうなってくのか楽しみにしてます。
それと。早く熱が引くといいですね。お大事に。

>618さん
なんかすごく自分の好きそうな話の予感・・
612さんと対称に、激エロぽくなるんでしょうね(;´Д`)ハァハァ
続編、楽しみにしてます!

01-632 :612:04/03/26 01:26 ID:dqGoa8HC
なんとなく復活しました…。

今回も「ぷちえろ」…ぽい。

「そんなものはエロじゃない」という人は、スルー願います。

NGワード「ボクたちの選択」

01-633 :ボクたちの選択(165):04/03/26 01:28 ID:dqGoa8HC
>611
 汗の匂い。
 男の匂い。
 他の男では感じない、濃密で芳醇な香りに体が震えた。
 考えるだけで吐きそうになる事を、夢の中の圭介は嬉しくて嬉しくて仕方が無いという顔を
して行う。犬ならば尻尾をちぎれんばかりにふりたくっているだろう。実際、愛液滴るお尻を
ふりふりと振っていた気もする。
 男が、「仕方ないな」とでも言うかのように“ふっ”と溜息を吐き、圭介の細い顎に指をか
けて少し顔を上向かせると、夢の中の彼は本当に嬉しそうにうっとりと目を瞑って、ふっくら
とした唇をわずかに開く。
 そして、待つ。
 じっと、待つ。
 やがて、圭介が焦れて「ううん…」と拗ねたように鼻を鳴らすと、
「んふっ…んっ…」
 やわらかくてあったかくて濡れたものが唇に押し当てられ、ぬるりと男の舌が口内に入って
くる。
 それだけで頭が痺れ、“びくびくびくっ”と体が震えた。ちょっとだけ、オシッコが漏れた
かもしれない。それくらい圭介にとって激しい快感だった。
 男の舌は、圭介のやわらかい唇をなぞり、歯茎をなぞり、ほっぺたの内側をくすぐった。口
の中だけではなく、唇の下の窪みも嘗められた。くにくにと舌先で優しく撫でられたら、お腹
の奥の方が“きゅうううっ”となって、たまらなくなり泣きそうになった。舌を絡め、送り込
まれた男の唾液を甘露として嬉しそうに飲み下す様は自分でも、親鳥に口移しで餌をもらう、
雛鳥そのものだと思った。。
 男はたっぷりと念入りに、時間をかけて圭介の唇を味わい、舌を味わい、唾液を味わった。
 そして、圭介がもうこれ以上は絶えられない、今すぐ次のステップに移ってくれなければ泣
いてしまう……というところで、

 目が覚めた。

01-634 :ボクたちの選択(166):04/03/26 01:29 ID:dqGoa8HC
>633
 体が熱い。
 100メートルを全力疾走したみたいな疲労感が、べったりと体に張り付いている。額や胸
元に、汗が玉を作っているのがわかった。
『…なんて…夢…』
 ヘッドボードの時計を見ると、6時15分だった。
 いつも起きる時間まで、まだ2時間たっぷり眠っていられるはずだった。

「ちぇ…」
 舌打ちして、またぬるぬるになっている下着を替えるために身を起こそうとして、
「ん?」
 腕の間に、妙な違和感があった。
 起き上がり、ぼんやりと見下ろす。

 …胸が、ほんのりと膨らんでいた。


 登校前に圭介は、家に来て
「とうとう本格的に女の子として体が成長し始めたのかもしれないねぇ。良かったねぇ。けー
ちゃんの言った通りだよぉ」
 …と、「ぽややん」とした顔で能天気に言う由香の、触るとぷにぷにとやわらかいほっぺた
を両側から引っ張りながら、健司には黙っているように釘を刺した。
 幸い(?)、まだ胸は少し膨らんでいるだけで、Tシャツを重ね着すれば誤魔化せそうだっ
た。よほど胸をじっと注視しないかぎり、ばれない事は無いだろう。
 由香は
「ちっちゃくてもおっぱいって垂れるんだよ?」
 と、ブラを着用する事を勧めたが、とりあえず…と出されたのがパットの入った可愛らしい
花柄のブラだったので、一応聞いてみた。

「え?私の替えのブラだけど」
 …即座に返却した。

01-635 :ボクたちの選択(167):04/03/26 01:31 ID:dqGoa8HC
>634
 登校中、健司には昨日の事を聞かれたけれど、圭介は『急用が出来た』の一点張りで押し通
し、不承不承ながらも健司は納得したようだった。圭介が気まぐれで予定を変更する事は、今
までにも幾度もあったからだ。圭介としては複雑な思いだけれど、過去の自分の不誠実さに助
けられた形となった。
 胸が膨らんでしまった事がばれるかもしれないと思ったけれど、考えてみればスケベかよほ
ど無神経でもない限り女の胸をじろじろと見るような人間はいないし、そもそも健司がそうい
うマネをするはずが無いのでホッとした。ただ、本当に注意しなければならないのは男よりも
むしろ同性である女の子の方で、その辺のチェックの厳しさはこの4日間で身に染みていたた
め、学校に着いてからの方が気の休まる時が無かった。
 そして、金曜日は体育が無くて本当に良かったと圭介はしみじみと思う。
 歩くだけならまだしも、走ったり跳んだり跳ねたりなんてとんでもない。ふくらみかけて敏
感になった胸は、ちょっとの刺激にも痛みが走る。重ね着したTシャツの裏地が、まるでヤス
リみたいに感じるくらいに。
 かれど本当の試練は放課後にこそ、地獄の釜の蓋をフルオープンに開けっ放してニコニコと
満面の笑みで亡者を迎えるように待ち構えていた。

 さあ後は部活だけだ。
 ホームルームが終わってそう思った途端、原因不明の寒気がして、後ろも見ずに昇降口まで
早足で歩き、健司も由香も待たずに下駄箱からクツを取り出して脱兎の如く駆け出そうとした
その瞬間、眼前20メートル先の砂埃舞う中庭で、あのヘンタイさんな部長の黒縁眼鏡が陽光
をギラリとはじいて輝いた。こうなれば、圭介はもう観念するしかない。
 これは経験に培われた知識というやつで、彼はこの時ほど自分の意気地の無さを呪った事は
無かった。

 その日、圭介の胸が膨らみ始めた事をひとめで見抜いたヘンタイ部長は、大喜びでいつもよ
り5分も長く彼の胸を揉み続けた。

■■【31】■■

 翌日も夢を見た。

01-636 :ボクたちの選択(168):04/03/26 01:33 ID:dqGoa8HC
>635
 こうまで続くと慣れたものだ。
 「なんだまたか」と思った。
 またえっちな夢だったことは責められないけれど、目を覚ますという選択肢が無いのは心底
怨んでいいと思った。
 誰を怨むかは決まっている。
 自分にこんなクソッタレな運命を架した神様というヤツだ。
 または、愛情がたっぷり詰まったでっかいおっぱいを揺らしながら、生焼けのホットケーキ
や塩の入ったミルクセーキを自慢げに披露してくれる常識ズレした異星人でもいい。可愛そう
だからその場合は30パーセント減で許してやらないでもない。
 その日の夢がどんなえっちな夢だったのか、惜しいような気もしないでもないけれど覚えて
いない事が幸せに繋がるという事を身をもって知っている歳でもあったから、圭介は思い出す
のを目覚めて10秒でやめた。

 胸はさらに膨らんでいた。
 学校が休校日で、心の底からホッとした。


 その次の日は日曜日だった。
 もう何でも来いって感じだ。
 そう思ったからというわけでもないだろうけれど、今度の夢は天然色フルカラーでハイビジョ
ンで、おまけに体感システムバッチリだった。
 その上、今度の夢には録画機能もあったらしく、目覚めても記憶は細部までハッキリクッキ
リ克明に記録されていた。
 ベッドの上で、思わず反復してしまう。

 夢の中で圭介の胸は、お尻が前についたみたいに思えるほど大きかった。

01-637 :ボクたちの選択(169):04/03/26 01:35 ID:dqGoa8HC
>636
 女になってからの圭介の小さい手で掴んでも、ぜんぜん掴みきれないくらい大きい。指の間
から肉が盛り上がって“ぷりゅぷりゅ”と弾力で指をはじくのが面白くて自分で揉んでいたら、
いつの間にか手が、誰か知らないけれどどこかで見た事のあるような大きな手に変わっていた。
 男の手は指をいっぱいに開いて圭介の胸を包むけれど、男の大きな手でもってしても圭介の
重たく実ったい胸を包むのは無理だった。男の指の間から盛り上がる乳肉のやわらかさは、男
をよほど惹き付けたようで、男は何度も何度も何度も執拗に圭介の胸を揉みたて、捏ね、ぷる
ぷると震わせた。
 男の手はごつごつしてて、力強くて、あったかくて頼もしくて、そして優しかった。
 圭介は安心して男に体を任せきり、男の手が生み出す快楽の波に全身を震わせながら声を洩
らした。後から厚い胸板にだっこされている幸福感で胸が詰まり、目に涙がいっぱいに溜まっ
て、瞼を開けばぽろぽろとこぼれる。男の手はあくまで優しく優しく、まるでこわれものを扱
うみたいに圭介の大きくて重たくてやわらかい乳房を扱った。
 熱い吐息を感じて滲む目で見下ろせば、じんじんと痺れてこれ以上ないくらいに硬く勃起し
た乳首を、男がたった今からしゃぶろうとしているところだった。さっきまでだっこされてい
たはずが、いつのまにか真っ白なシーツに素裸で横たえられているのは、やはり夢だからこそ
の不条理だろう。男は口を大きく開け、舌を伸ばし、その舌から唾液がじんじんと喜びに打ち
震える乳首へと滴った。

 はやく。

 はやくして。
 切に願いたいのに声が出ない。
 声無き声で懇願するものの、男の口は見えるのにそこから上が見えない。ぼんやりと形を成
さず、色も無く、まるで口元だけにピントを合わせたカメラの映像を見ているかのよう。
 男の口が乳首に近づき、今触れる、もうすぐ吸う、舌で、歯で、唇で、おもうさましゃぶっ
てくれる。
 そう思った途端、

 目が覚めた。

01-638 :ボクたちの選択(170):04/03/26 01:39 ID:dqGoa8HC
>637
 目覚めてすぐは、自分が現実に帰ってきているのにも気付かなかった。思わず視線を下げて、
そこに誰もいない事に落胆した。自分の部屋に自分一人しかいない事が、たまらなく空虚に思
えた。
 身を起こしかけて、胸の上にずしりと感じる重みを認識した時、圭介は両手でその存在を確
かめてみた。

 胸は、さらに重たくなっていた。

 ベッドの上に座ったまま、パジャマの前をはだけてみた。
 ベッドから下りて、姿見に正面から映しても、みた。
 童顔そのものといった幼い顔の30センチくらい下に、巨乳グラビアアイドルみたいな真っ
白ででっかい乳房が、赤い乳首を尖らせながら重たくぶらさがっていた。

「うわ~~…あったまわるそ~~~……」
 ………思わず自分でそう呟いてみて、情けなくなってくる圭介だった。

 その日、圭介はバランスを崩して3回も転んだ。

■■【32】■■

 6月9日。

 月曜日は雨だった。
 もう何が起きても驚かないと思った圭介だったけれど、胸がさらに大きくなっていたのは本
気で驚いた。
 仰向けに眠っていたからか、苦しくて苦しくて目が覚めたのだ。

 今日の夢は今までは一番ひどかった。あれはない。あんなのは、絶対に上映禁止にすべきだ。
圭介の中に残ったなけなしの『男の自意識』を、根こそぎ刈り取って燃やして桜の枯れ木に撒
いてしまうようなひどい夢だった。
 『女の自意識』なんていう花が満開に咲いたら、いったいどう責任を取ってくれるというの
か。

01-639 :ボクたちの選択(171):04/03/26 01:43 ID:dqGoa8HC
>638
 あんな場所で、あんな格好で、あんな風にされるなんてのは、圭介の男の部分が許さない。
許さないどころではない。「やめてくれ~」と泣きながら跪(ひざまづ)いて、とっときのデ
ザートの杏仁豆腐をすっかり全部残らず献上してしまいそうになるくらいだ。
 それでも夢の中の男はあんな事やこんな事や、あまつさえあんな事まで圭介にして、そして
させて、それでも満足出来ずあの部分をあんな風にああして……………………思い出すだけで
濡れてくる。
『ちーがーうー…』
 許せないのは、そんな風に好き勝手されながら、それを圭介が心から喜んでいた事だ。頬を
染めて目を潤ませ、可愛らしい唇をうっすらと開いて恍惚の表情を浮かべていた。自分であん
なポーズやこんなポーズや、いろんなポーズをして男がナニしやすいように腰を動かしただな
んて!
 ともかく圭介は、今までに無い『大洪水』の状態で目を覚まし、そして今までに無く重苦し
い気分で目を覚ましたのだった。

「ううう……」
 ずりり…とベッドからずり落ちるように床に手をつき、姿見まで四つん這いで近づく。手を、
足を動かすたびに、胸のところで重量感たっぷりのものが揺れ動いた。
 ものすごく嫌な予感がする。
 果たしてそこには、
「は…ははは………ぼい~~ん……てな……」
 黙ってれば「お嬢様」で通りそうなくらい清純っぽい、セミロングで童顔の少女。そんな少
女には到底似合いそうも無い、豊かで重たげな胸が、鏡の向こうで紡錘型にぶらぶらと揺れて
いる。
 ここまでくると本気で笑うしかない。
 存在そのものがギャグになってしまったような気がして、圭介は乾いた笑いを貼り付ける。
何度も見直しても、自分の細い体から垂れ下がる、みっしりと実の詰まった重たい肉のカタマ
リは、消える事無くゆらゆらと揺れていた。

 重たい。
 重たくて、痛い。
 肩が凝ってもう首が痛い。猫背気味になっている事で背筋までもが痛かった。

01-640 :ボクたちの選択(172):04/03/26 01:45 ID:dqGoa8HC
>639
 これはやっぱり異常だ。
 おかしい。
 なんでこんなデタラメな体になってんだ?
 トイレに行ってオシッコとウンチをして、ウォシュレットで綺麗にする間、圭介はずっと前
屈みになっていた。見下ろせば、そこにもお尻がある。若くて張りのある肌のおっぱいは、触っ
た感じがお尻をもうちょっとやわらかくした感じにそっくりだった。もっとふにふにとやわら
かいかと思ったけれど、意外としっかりとした感じがする。
 もっとも、そうでなければきっと“だらーん”と垂れ下がって、「豊か」というより「長い」
と形容した方が適切じゃないかと思えるような姿になってしまっていただろうけれど。
 それだけはイヤだなぁ…と、圭介はなんとなく思った。
 そもそも、こうなったのはやっぱり星人の……母の遺伝形質の影響なんだろうか?…という
か、だいたいにして星人の肉体的形質って、なんなんだ?
 性別を自由に変えられる?
 肉体を自由に変えられる?
 でも、女になったのだって、こんなでたらめにおっぱいが大きくなったのだって、何も自分
で望んだ事なんかじゃない。
 ぜったいに。
 圭介はそう思う。
 たとえそうだとしても、ならばなぜ「男に戻りたい」とか「もとの胸のサイズに戻りたい」
とか思っても、全然、まったく、これっぽっちも元に戻る気配さえ無いのか。
『やっぱり来年まで待たないとダメ…とか?』
 それまでこの体で、いったいどうすればいいのか。
『グラビアアイドルでもして金稼いで贅沢三昧~~~…とか…?』
 はははは……と力無く笑って、そのあまりに虚しい考えに自分で落胆した。かつて自分が雑
誌のグラビアにしていたように、全国の男達に欲望のいやらしい目で見られるなんて思うと、
それだけでプツプツと全身に鳥肌が立つ。

「さて……ホントに…どうしようかな」
 現実逃避はこれくらいにして、そろそろ本腰を入れて問題に対処しなければならない。
 そう思いながらも、あと数十分でやってくるだろう由香の反応を思うと、やっぱり果てしな
く憂鬱になってしまう圭介だった。

01-641 :ボクたちの選択(173):04/03/26 01:48 ID:dqGoa8HC
>640
「うわぁ~~~~~ぁ~~~………………」
 由香の声は尻すぼみに小さくなり、最後には口をぽかんと開けたまま立ち尽くしていた。金
曜日まではAAカップくらいだったのが、月曜には巨乳グラビアアイドルも真っ青の巨大乳
(きょだいちち)になってれば誰だって驚く。

「思った通りの反応してくれて、どーも」
 皮肉げに口を歪めたセミロングの少女は、胸のところだけぱっつんぱっつんに張り詰めたT
シャツを着て玄関先に立ち尽くしていた。本人も、自分の胸にはずいぶんと手を焼いているよ
うだ。身長が低くて、体型もほっそりしてるのに、胸だけが何かの冗談みたいに“どかん”と
膨らんでいた。
 強いて言うならば、まるで
「体全体がおっぱいみたいだよ」
「…それってすげー不気味だな…」
 圭介はげんなりして、自分の重たい胸を持ち上げてみた。持ち上げる…とは言っても、だら
んと垂れているわけではないので乳房の下部分に手を当てて寄せ上げる…といった感じだ。中
身のしっかり詰まった乳肉はたっぷりと豊かで、ずしりと重たい。

「……なんか、『にくっ!』って感じ」
「肉…」
 由香の言う通りだ。自分だって、母のあの“無駄に大きい乳”(むだちちと呼んでいる)を
見るたびにそう思う。

「けど、どうしたのかなぁ?急に…」
「オレが知るかよ。朝起きたらこんなんなってたんだ」
 Tシャツの胸のところだけ、ぱっつんぱっつんで息が苦しい。かといって、胸をしっかり押
さえておかないと揺れてバランスを崩す。
 ……揺れるとバランスが崩れるくらいの乳…というのもスゴイが、圭介の今の体重が40キ
ロちょっとだった事を思えばわからないでもない。こんなにでっかい肉のカタマリが、たった
2・3日で体の前面に突出してしまっていては、身体的なバランスそのものが狂うというもの
だ。

「けーちゃん…猫背になると、もっと辛いと思うよ?」
「あ?……そうかな…」

01-642 :ボクたちの選択(174):04/03/26 01:51 ID:dqGoa8HC
>641
 胸を強調しないように前屈みに、猫背気味で歩いていた圭介は、「よいしょ」とばかりに背
筋を伸ばした。その拍子に、ぶるんと胸のふくらみが自己主張するように揺れる。圭介は腕を
組み、下から支えるようにしてその上に乳房を乗せる。

「あ、こうすると楽だわ」
 女になってから、もともと低かった身長が150センチを切り、全体的にほっそりとして、
そのままだと中学生か、下手をすれば小学生にさえ見られかねない圭介だったが、胸だけがど
こかの巨乳タレントから盗んできたかのように大きく盛り上がっている図…というのは、かな
りシュールだった。

「けど、ずっと腕を組んでるわけにもいかないでしょ?」
 勝手知ったるなんとやら。クツを脱いでさっさと上がり込んだ由香は、圭介を連れて2階の
彼の部屋に入った。クローゼットを開け、タンスを開け、何か使えないかゴソゴソと探してい
る。

「…うーん…おばさんのブラジャー借りるとか…は?」
「もうやってみた。ホック留めてもブカブカで胸がちっとも固定しねぇ」
「やっぱりアンダーが小さいのかな…」
 ぶつぶつ言いながら、由香は包帯を手に取る。

「サラシ……の代わりになるかな?」
「いや、無理だろ」
「……もうっ!自分の事なんだよ?もっと真剣になりなよぉ」
 勉強机の前で、椅子に前後逆に座り、椅子の背もたれにでっかい乳房を乗せて文句ばっかり
言ってる幼馴染みに、由香は立ち上がって膨れっ面を見せた。

 結局、Tシャツを2枚重ね着するしか手は無く、おまけに制服の丸襟ブラウスのボタンが全
然留まらないので、母の白いブラウスで代用した。合服のベストも一番下しかボタンが留めら
れず、仕方ないので前は開きっぱなしだ。
 登校途中も傘を前傾気味にし、通学用鞄を抱くようにして胸を隠し、教室に行くまで、通学
路でも昇降口でも廊下でも、なんだか擦れ違う人みんなにジロジロ見られている気がして体を
小さくするように歩いた。

01-643 :名無しさん@ピンキー:04/03/26 01:55 ID:dqGoa8HC
>642
ここまで。

>618さん
がんばって下さい~○(≧∇≦)o
愛ちゃん萌え
スレが賑わってきて嬉しいです。

>617 >631
ありがとうございます。
とりあえず元気です。
ゴハン美味しいです。

それでは…。
次にお目にかかるのは次スレ…かな?

01-644 :名無しさん@ピンキー:04/03/26 02:00 ID:7Xb/fqof
やっぱり圭介はママーンの血を継いでたのか 笑

そういえばママーンの反応が無いような?
仕事で合ってないのかな

ともあれ今日も乙です、goodjob!

01-645 :名無しさん@ピンキー:04/03/26 02:53 ID:oAE9qGtV
キタ━━━━━\(゚∀゚)/━━━━━!!!!

(*^ー゚)b グッジョブ!!

そろそろプチエッチからチョビットエッチでお願いします。

01-646 :名無しさん@ピンキー:04/03/26 07:44 ID:g2fhmmii
>>643
Good Job
マジで萌えますた(*´д`)

01-647 :名無しさん@ピンキー:04/03/26 07:54 ID:U4z0oi2i
個人的には微乳の方が(ry


今回も非常に面白く読ませていただきました!!

頑張ってください!!

01-648 :名無しさん@ピンキー:04/03/26 08:31 ID:BLSfZwvC
490kバイト。次スレは?

01-649 :名無しさん@ピンキー:04/03/26 13:15 ID:p2/v1KvT
保管庫どこー?

01-650 :名無しさん@ピンキー:04/03/26 18:49 ID:PWJw43Kh
nullpo

01-651 :名無しさん@ピンキー:04/03/26 21:43 ID:EdfWk0Fh
>>643さん
ええっ、次スレって、そんなに先なんですかぁ~!?!?

とりあえずお元気そうでなによりです。
今回も、本当に女になったみたいなリアル感、ゾクゾクしますた。
特に淫夢です。
発情したメスっぽいとこがやけに(;´Д`)ハァハァしてしまいました。
それにしてもこの圭介、ちょっとマゾ入ってませんかw

01-652 :名無しさん@ピンキー:04/03/26 23:20 ID:BLSfZwvC
>>651
違う。
500kバイトまでしか書き込めないから、もう次スレを立てないといけない時期。

01-653 :名無しさん@ピンキー:04/03/26 23:43 ID:na/Jnc89
新スレは強制の方と合流した方がいいのかな?

01-654 :名無しさん@ピンキー:04/03/26 23:48 ID:I/plZMJ0
個人的には別々に読みたいのでわけて欲しいです

01-655 :名無しさん@ピンキー:04/03/27 00:11 ID:2bwzhZ0x
もともと強制から分離したらしいしねーここ

01-656 :名無しさん@ピンキー:04/03/27 00:16 ID:ZTnu67/U
誰か誘導よろしく。

それか、オレが新スレ立てようか?

01-657 :名無しさん@ピンキー:04/03/27 00:23 ID:Y1ItC10x
>>656
立てられんかったのでよろしく

01-658 :名無しさん@ピンキー:04/03/27 00:24 ID:HMxG1E8o
>>656 スレ立てお願いします。

01-659 :名無しさん@ピンキー:04/03/27 01:58 ID:1RWD0Z5Z
TS・性転換・女性化小説(非強制) Part2
http://www2.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1080320162/

勃てたんで移動よろ

01-660 :名無しさん@ピンキー:04/03/27 03:59 ID:sKBg2KPn
1000まで書けないの?

01-661 :名無しさん@ピンキー:04/03/27 05:58 ID:JHKidGIG
>>660
スレ容量

01-662 :名無しさん@ピンキー:04/03/27 08:51 ID:sFikX9SQ
産め

01-663 :名無しさん@ピンキー:04/03/27 10:16 ID:O3/tMg+Q
いくら女の体になったからって、それだけはご免こうむる!

01-664 :名無しさん@ピンキー:04/03/27 12:22 ID:bV/iaPCU
産みたいでつ

激しく激しく子供欲しいーーーー!

でもおくすりでたまたまあぼ~んでもう無理でつ(><)

しょがないのでティムティムとてオナノコになてみますた:・・・・・・・んn・・・あぁ・・・ふぅ

セックルたのしーけど、でもでもでもでも子供はムリポムリポムリポ・・・・ふみゅ~~~~




・・・とか言ってみるテスト

なわけで埋めウメうめ生め産め~~~~              ・・・デムパはしんちゅう

01-665 :名無しさん@ピンキー:04/03/27 22:27 ID:x9xibemb
アリスさん、お暇になったら
帰ってきてまた読ませてくださいね。
自分、あのSSのファンなんです。
ヒロミタンたちの続きが激しく気になります。

01-666 :名無しさん@ピンキー:04/03/28 10:08 ID:6tbQaLRV
                _,,.--==r--y-==、、
           _,,.. - '';;;;;;;;;;;;:= '' " ̄ ̄`""'''' =、、
         ヾ;;;;;;;;;;;;;/      ,.-=ニヽ,r=-`ヽ、
           >;;;;;/l      /! ((⌒`ヾir彡=、ヽ ヽ
         ,,.-'';;;;/ll|    //l、lr=ニ     )) l! li,
     _,,.-'';;;;;;;;;;/  l| i   /// {{i´      `''=シ、彡'、
    ヾ;;;;;;;;;;;;:-''{   ヽ`ニ=彡/  `''ー    (´  iヽ  ヽ
       ヾ/   '、_,,ノ ,,..ニシ--、,,_        _,-i ヽ }!  
      /    /   / ((彡, ミ=r=≧;;-   /≦=ヤト、 )ツ
     {!   /    >、ミ= 、ヽゝヾ;;シ``   l"k;;シチ ))´ノ!
     lヽ、 ,'    (   ̄`ヾ.) ^^^`    i ´^^`/'´ ハ
     >、ヽ|    ヾミ=‐イ          '、  (__彡'  ',
    /,.- ヾミ、    {`=彡r,.       /  (´_彡'i、  ! 
    .l/=-'´ ̄ヽ、   `{´ { {{{i、_ノ  ー-`ニ-   ∧ !  ヾ!,ノ 
   /´/ ,,. ‐={ヽ、   ``ヽ ̄ヽ、 `''ー'  ,.イリノ' ヽ  |l!
  ./ ,,.=l/ ,,.=={ヽ、` = _  、ヽ  ` 、   ,.イ ,,.ノ  l ノ==、
  l/ ,r=f//´ ̄ト、 `= __ ヾ、ヽ ',    `´ !/  _,,,.ノヽ==、ヽ
 /〃/ f/ - ― ->ミ=、___`ヽ ヽ リ      ! /⌒ヾヽヽ}`ヽヽ}
 !{{l {'、 //´ _,,,..{/´_, ==`ヾ, }} !     |l/ ,.==、ヽヽ}⌒ヽリ
 '、'、 '、{ /   { /==- 、 リノヽ.     ヽ {(⌒))ヽソ- 、 リ!
   >{ /     〉///= 、ヽ. !   ヽ、 ノ  ``=/((⌒)ノノノ
  f  `!  ,.=彡!!|l/ /⌒)) }、リ' ̄``''‐-、___/"´ ̄ ̄| `( ((<
  ヽ、{{ヽf //  ヽY´,,.==、 リ|;;;;;;;;;;;;;;;;;ヾ!;;ヾ;;;;;;;;;;;;;;;;;! (__)) ) ',
     ̄ ヽ{{    !//- ‐ " |;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;!;;;ノ;;;;;;;;;;;;;;;;;|   ̄/  !

01-667 :名無しさん@ピンキー:04/03/28 11:01 ID:JcWJO9Y1
生め

01-668 :名無しさん@ピンキー:04/03/28 11:30 ID:/tczBnOI
埋め澤春人

01-669 :名無しさん@ピンキー:04/03/28 12:52 ID:Z1rBdFlw
:.,' . : : ; .::i'メ、,_  i.::l ';:.: l '、:.:::! l::! : :'、:i'、: : !, : : : : : :l:.'、: :
'! ,' . : i .;'l;' _,,ニ';、,iソ  '; :l ,';.::! i:.!  : '、!:';:. :!:. : : : :.; i : :'、:
i:.i、: :。:!.i.:',r'゙,rf"`'iミ,`'' ゙ ';.i `N,_i;i___,,_,'、-';‐l'i'':':':':‐!: i : : '、
i:.!:'、: :.:!l :'゙ i゙:;i{igil};:;l'   ヾ!  'i : l',r',テr'‐ミ;‐ミ';i:'i::. : i i i : : :i
:!!゚:i.'、o:'、 ゙、::゙''".::ノ        i゙:;:li,__,ノ;:'.、'、 :'i:::. i. !! : : !:
.' :,'. :゙>;::'、⊂‐ニ;;'´          '、';{|llll!: :;ノ ! : !::i. : : : : i :
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: i ,'. . : :',      、,,_            ,.:': ,r'. : , : : !: :
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i,': : : :.::;.'.:::;`、    |llllH". : : : :`、    ,rシイ...: : ; : :/:i : i:!::i:
;'. : :..:::;':::::;':::::`.、  |ソ/. : : : : : : ;,! ,/'゙. /.:::: :,:': :./',:!: j:;:i;!; ボクを元の体に戻してよ!!
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01-670 :名無しさん@ピンキー:04/03/28 12:57 ID:JcWJO9Y1
埋め宮アンナ

01-671 :名無しさん@ピンキー:04/03/28 13:02 ID:JcWJO9Y1
:.,' . : : ; .::i'メ、,_  i.::l ';:.: l '、:.:::! l::! : :'、:i'、: : !, : : : : : :l:.'、: :
'! ,' . : i .;'l;' _,,ニ';、,iソ  '; :l ,';.::! i:.!  : '、!:';:. :!:. : : : :.; i : :'、:
i:.i、: :。:!.i.:',r'゙,rf"`'iミ,`'' ゙ ';.i `N,_i;i___,,_,'、-';‐l'i'':':':':‐!: i : : '、
i:.!:'、: :.:!l :'゙ i゙:;i{igil};:;l'   ヾ!  'i : l',r',テr'‐ミ;‐ミ';i:'i::. : i i i : : :i
:!!゚:i.'、o:'、 ゙、::゙''".::ノ        i゙:;:li,__,ノ;:'.、'、 :'i:::. i. !! : : !:
.' :,'. :゙>;::'、⊂‐ニ;;'´          '、';{|llll!: :;ノ ! : !::i. : : : : i :
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01-672 :名無しさん@ピンキー:04/03/28 13:14 ID:HDgfYQlq
          _,,.-‐''":.: : : : : : : : : :  ̄ "'' ‐ 、      ヽ、_人
        / :.: :  :   : : : : : : : :; ; ; ; ; ; ; ;` ー、    _ノ
      /:.:: :  : : . .: : : : : : : : : : : : : ; ; ; ; ; ; ; ; ; ;\   ) 反
     /:.: : :  :   : : : : : : : : : : : : : : : : : : : ; ; ; ; ; ; ; ; ;ヽ ノ  対
     /: :.: : :.:  .: : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : ; ; ; ; ; ; i ヽ !
   /:: :  .: : : : . : : :: : : : .:.:.:.:.:: : : : : .:.ヽ.:.:.:.:.:.: . : : : ; ; ; ; i )
   ,' :.: .: .:   : : : : : : : :.i : : : : : : :. : . l.l:.:. :. :.: .:: .: ::}く
   l:.: .:. :.: .:.:.:.:. :.:.:.:.:i:..:l|:. :. :i:. :. i l:.:. :.::.:.:.:.:;r 、:.:.:.:l  Y⌒
   | : : : : : : : : : : : : : : ::l|:.::|| : : : :.l| : : : |-! : : : : : : lイ,} : ::{
   l : : : : :.:.:ii:.:.:.:i : : : ::.:.ll:.:.|| : :.:.:.:||;;;;;;;;;;ヒ:} : : : : : ::l }: : :}
   l:.:.i:.:.:.ヽ:.:ト、:.:.ト、;;;;l;;;;;;ll;;;;ll;;;;;;;;;;;kイ(ノ;;;;;;;;ケ7 : : :./ ノ:.:;;;l
   ヽ:ヽ:.、:::ミ{{"{;;;;;;;(ノ;;;ト~ ~  ̄ : ヽ;;;;゚;;;。ノ ケ//:/ー' : : l
   ヽ;ヽ;:.:ト;、ヽヾ;;;;;;;;ン_      ー---‐'''"ノ,///:. : : ::.:.}
    \\ヽミ、`ー‐''"   ,         / //ノ : : :;;;;ノ`ー 、
      \\、      〈 .          /i/ : : : :ヽ    `ー 、
        /ヽ.      _____,. -、      , ' i { : : : :..:ノ
    _,,. ‐''"     ヽ、    ヽ三ニ'    / .i 〉 : : :;;ノ
 _,,.ィ'"i       〉:.:..> 、   ー  ,  '    i {:. : : ::.:}
;;;l  l::::l       { : : :::i  ` ー--<   i   / ヽ: : :;;ノ
::::l  |::::|       〉 :;;;ノ   l   ヽ i   /  /: : : 〈
:::::l  |::::l      / : :.:;}    ヽー-  'ー /   {: : : : ::}