「Mirrors」1曲がとにかく突出している。ボビー・ハッチャーソンのスロー・バラッドの中で最高の演奏だと思う。静謐な楽想と湧き出る情感の対比がすばらしい。これを聴くとなぜか学生時代通っていたジャズ喫茶を思いだす。夏の暑い日にひんやりした暗い階段を降り外界から隔絶された空間に入ってゆくあの気分がよみがえる。
1曲目の「If Ever I Would Leave You」でいきなりジョーヘンがソロを取る。デューク・ピアソンがピアノでバッキングをしているのでボビー・ハッチャーソンの音は聴こえない。が、セカンドソロでボビー・ハッチャーソンが登場。この曲だけだと誰のリーダーアルバムか分からない。この時代は前衛的な作品にも参加しているボビー・ハッチャーソンだが、ここではデューク・ピアソンがピアノで参加しているということで大体想像がついたが、前衛的な演奏ではなくハードバップ的な演奏。目的がジョーヘンだったのでスタンダードを演奏しているジョーヘンが聴けたから満足しました。
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