作題:絆 作:なかさとあきら 場所:飛行船内、コロッサス内、ノースタウン地方 登場キャラ:ルシア、グローム、ドン・ヴァーミリオン、FE10終了時までに必ず仲間になっているPC(おそらく全員)、ほか 概要:ルシアが世界中に広げてきた『絆』。それは、意外な形で広がっていた・・・ ・・・・・・・・・・・・・・・・・・ある日の飛行船にて・・・・・・・・・・・・・・・・ ルシア「ねえ、グロームさん」 グローム「ウショショショショショ。なんじゃ?」 ルシア「グロームさん、私達がコロッサスから脱出したとき、近くにいたわよね?」 グローム「・・・そうじゃ。ノースタウン地方に居ったわい。それがどうかしたかの?」 ルシア「あの時、私達がどうして助かったのか、知らない?」 グローム「ウショショショショショ。おヌシ、自分がどう逃げたか、覚えておらんのか?」 ルシア「覚えてはいるんだけど・・・正直、よく分からないところがあって・・・」 グローム「ウショショショショショ」 ルシア「実はね・・・」 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・事件当時、コロッサス内・・・・・・・・・・・・・・・・ ヴァーミリオン「あはははははは!ほら!どうした?早く脱出しないと、爆発に巻き込まれちゃうよ?」 ルシア「くっ・・・」 ヴァーミリオン「何とか出来るものなら、してみろよ!絆がどうだとか適当なこと言っておいて、本当はなんにも出来ないんだろう!?」 ルシア「・・・・・・・・」 ヴァーミリオン「ボクの言ってる意味、分かるよねえ!?君達の負け、君達の負けなんだよ!!」 ノイズ「そ、そんなことはねえ!」 ヴァーミリオン「あぁ?」 ノイズ「お前みたいな悪いヤツに、姉ちゃんが負けるもんか!」 ルシア「ノイズ・・・」 ヴァーミリオン「あは・・・あはははははは!お前みたいなガキに何が分かるんだい!?ルシア=マーベリックは、ここで死ぬんだよ!」 レル「いいえ!ルシアさんも私達も、こんな所で死んだりしませんわ!」 エメラルド「そ、そうよ!あんたの思い通りになんか、なるもんか!」 ミルカ「そ、そうです!わ、私たちは、だ、脱出できます。絶対です!」 ルシア「レル、エメラルド、ミルカさん・・・」 ウォルソン「ああ、その通りだ。ヴァーミリオン、お前の負けだ。だろ?カート、コリオ?」 カート「ええ、当たり前だわ!」 コリオ「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・こく」 ルシア「ウォルソンさん、カートさん、コリオ王子・・・そうね!私達は絶対に生き延びる。ノースタウンの人たちだって、助けてみせる!!」 ランス「そうだ、ルシア。・・・ヴァーミリオン、お前には分からないだろう。これが、絆というものの力だ」 ヴァーミリオン「あは・・・あはははははは!だから!?それが一体、何の役に立つって言うのさ?どうせ、ただの負け惜しみだろう!?」 ルシア「そう思うなら、そうやって笑っていればいいわ」 ヴァーミリオン「あははははは!僕の勝ちだ!!君達は何も出来ない!君達はここで死ぬ!」 ルシア「・・・・・・・・」 ヴァーミリオン「僕の言ってる意味、わ」 ズガァァン!(※←爆発音) ヴァーミリオン「かあああああああぁぁぁぁ!!?」 ルシア「きゃあああああ!!な、何!!?」 フィーシャ「もう爆発が始まったの?」 ランス「・・・いや、破片が前から飛んで来た。どう見ても外側からの衝撃だ」 ヴァイス「しかも・・・何か禍々しい力を感じたぜ?」 エリオス「そうですね。まるで、呪われた物から出るような・・・」 イラルヤ「そ、そんなことより、奴はどうなったの?」 アリス「ほ、埃が舞ってて、良く見えへん・・・」 リーフェン「気配を感じない」 リーティル「あ、でも、だんだん・・・」 ミーティル「見えてきたです、はいっ!」 ゴッグ「こ、これは・・・!」 モーラ「外が見える・・・」 レイン「・・・今の衝撃で、外壁が崩れたようですね」 コノハ「ヴァーミリオンは・・・見当たりませんが」 テュリラ「どこかに飛ばされたんじゃない?」 ソニーJr「と、とにかく、これで脱出できるよね?」 ディストル「そ、そうだ!嬢ちゃん、早くしねぇと、爆発に巻き込まれるぞ!」 ルシア「そうね。チビ!おいで!」 フレナ「あ、ルシアさん!あのゴブリンさんたちはどうするですか!?」 ルシア「ああ、忘れてた!タメゴロー、聞こえる!?」 伝声管からタメゴローの声「聞こえてるゴブ!ゴブたちのいるところも、穴が開いてるゴブよ!」 伝声管からゴメスの声「あ、後で合流するんだな、マイハニー」 ルシア「無事のようね。早く脱出しましょう!」 ・・・・・・・・・・・・・・・・・再び、ある日の飛行船・・・・・・・・・・・・・・・・ ルシア「・・・という次第だったんだけど」 グローム「ウショショショショショ。それは幸運だったのう」 ルシア「でも、あの衝撃が何だったのか、結局分からなくて。誰かが助けてくれた、ってことだけは分かるんだけど・・・」 グローム「ウショショショショショ。分からないと何か困るのかの?」 ルシア「そりゃあ・・・別に困ることもないけど・・・」 グローム「ウショショショショショ」 ルシア「でも、助けてもらったんだから、ちゃんとお礼、言わないと」 グローム「ウショショショショショ」 ルシア「・・・なんだけど、知り合いには当てはまる人がいないし」 グローム「ウショショショショショ」 ルシア「コロッサスを外側から破壊するなんて芸当、ゴメスのほかには・・・」 グローム「ウショショショショショ」 ルシア「・・・ねえグロームさん、さっきからずいぶん笑ってない?」 グローム「ウショ・・・ショ?」 ルシア「本当は何か、心当たりがあるんじゃないの?」 グローム「そ、そんなことは、そんなことはないぞい」 ルシア「・・・やっぱり!何か知ってるのね!?」 グローム「さ、さあのう・・・?そ、そうじゃ!急用があったんじゃった!悪いがこれで失礼するぞい」 ルシア「あ、ちょっと!待ちなさい!」 ・・・・・・・・・・・・・・・・・事件当時、ノースタウン地方・・・・・・・・・・・・・・・・・・ グローム「ウショショショショショ。こっちじゃ、こっちじゃぞい」 謎の男その1「ああ、もう見えてきたぜジイさん。あれが・・・」 謎の男その2「デスペラードの移動要塞だな!ついに、ついに見つけたぞ!」 グローム「・・・ワシはそこまで言うとらんぞい。巨大なゴーレムがあると言うただけじゃ」 謎の男その2「いいや、それで十分だ!情報提供、感謝する!!」 謎の男その1「ようやくここまで来た・・・長かったな、フィンク!」 フィンク「ああ。だが、喜ぶのはまだ早い。ここからが本当の戦いだぞ、サドラー!」 サドラー「分かっているさ。さあ、最後の決戦に挑もうじゃないか!」 フィンク「ああ、行こう!」 ガサッ(※←物陰で何かが動く音) フィンク「む!誰だ!?」 サドラー「デスペラードの尖兵か!?」 謎の男その3「ひいっ!ち、違います!僕ちがいます!僕ちがいます!」 フィンク「!その声は・・・!」 サドラー「ヨーデル!ヨーデルじゃないか!!」 ヨーデル「ひいいいっっっ!ひ、人違いですっ!!僕、ヨーデルとかじゃないです!」 フィンク「無事だったのか!?心配したんだぞ!」 サドラー「究極大魔王ベルゼバブを倒した後、急に姿を消したから・・・」 ヨーデル「い、いや、あれは故郷に帰ろうとしただけで・・・」 フィンク「そ、そうか!!分かったぞ!」 ヨーデル「うわっ!」 サドラー「な、何が分かったんだ!?フィンク」 フィンク「お前はきっと、デスペラードに捕まっていたに違いない!そうだろう?ヨーデル!」 ヨーデル「いや、だから・・・」 サドラー「そうだったのか!・・・おのれデスペラードめ!あの究極大魔王は囮だったんだな!」 フィンク「そうだ。戦いで消耗した俺達を狙うために・・・!」 ヨーデル「お、お願いだから話聞いて・・・」 フィンク「それでも、俺達三人が相手じゃ勝ち目がないもんだから、一人ずつ狙ってきたんだ!」 サドラー「卑怯な真似を・・・許せねぇ!」 フィンク「ああ!・・・だがヨーデル、よく、奴らの魔の手から脱出した。見直したぞ!」 ヨーデル「そうじゃない・・・道に迷ってただけなのに・・・」 サドラー「それもタイミングよく、俺達が突入する直前に合流するとはな」 フィンク「ふっ・・・どうやら俺達は、強い絆で結ばれているらしい」 サドラー「『絆』か・・・そうだな!俺達の結束は、何ものにも壊せやしねぇ!!」 ヨーデル「嫌だ・・・そんなの嫌だ・・・」 フィンク「さあ、あの要塞に乗り込むぞ!!俺達三人が揃えば、もはや敵はいない!」 サドラー「おう!!!」 ヨーデル「うう・・・」 グローム「ウショショショショショ」 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ フィンク「くっ・・・入り口が見つからない!サドラー、そっちはどうだ!?」 サドラー「こっちもだめだ!」 フィンク「おのれデスペラードめ!俺達を中に入れない作戦か?」 ヨーデル「いや、誰の要塞かは知らないけど、普通はそう簡単に入れてくれないんじゃ・・・」 フィンク「ヨーデル!お前は情報提供者のジイさんを守っていてくれ!!奴らがどんな卑怯な手を使ってくるか、分かったもんじゃない!」 サドラー「そうだ!こっちは俺達に任せておけ!」 ヨーデル「いや、それは助かるんですけど・・・」 グローム「ウショショショショショ。若いの、しっかり護衛を頼むぞい」 ヨーデル「はあ・・・ねえ、おじいさん・・・」 グローム「ん?なんじゃ?」 ヨーデル「あの要塞が何なのかはともかくとして・・・どうしてあの二人を、こんな所に連れてきたんですか・・・?」 グローム「ウショショショショショ。単に、お得意さんを失わないようにするためじゃよ」 ヨーデル「?」 グローム「これ以上は企業機密じゃ。顧客の情報を喋る訳にはいかんからのう」 ヨーデル「はあ・・・」 フィンク「くそ!全然見つからない!」 サドラー「こうなったら・・・壁を壊して入るしかねぇ!」 フィンク「まさかサドラー・・・あれか!?あれをやるつもりなのか!?」 サドラー「ああそうだ!!究極大魔王と戦ったときの経験から編み出した必殺技・・・真・究極粉砕剣・影の太刀!!!」 ガキイィン!(※←剣がはじかれる音) サドラー「くっっ!!馬鹿な!?この技で破壊できないとは!?」 ヨーデル(・・・前に見た技とあんまり変わってないんですけど・・・というか、あんな壁壊す威力があったら、剣のほうが折れるんじゃないですか?・・・) フィンク「仕方がない・・・この聖剣の力を使うしかないか・・・」 サドラー「フィンク!?よせ!!これ以上、その剣に命を吸わせたら・・・」 フィンク「ああ。今度こそ本当に、死ぬかもしれないな。だが・・・この技なら、あの要塞ごと奴らを倒せる!!」 サドラー「馬鹿野郎っ!」 バキッ!(※←殴る音) フィンク「なっ!?サドラー?」 サドラー「お前はそうやって、また自分の命を投げ出すつもりか!?後に残されたお前の奥さんや・・・俺達がどういう思いをするのか、考えたことがあるのか!?」 ヨーデル(・・・うわあ、すっかり忘れてた。フィンクさん、結婚してたんだっけ・・・) フィンク「それは・・・俺もそれは、つらいと思っている・・・」 サドラー「だったら!」 フィンク「だがなサドラー!!俺は『このため』に生まれ、『このため』に生きてきたんだよ!!」 サドラー「よ、よせ!フィンク!!」 フィンク「うおおおおおっ!!!唸れ!俺の命いぃぃっ!!!!」 サドラー「フィンクううぅぅぅ!!!」 ズガァァン!(※←爆発音) サドラー「フィンク、フィンク!しっかりしろ!」 フィンク「くっ・・・や、やったか?・・・奴は、奴はどうなった・・・?」 サドラー「ああ!ああ!もちろんだ!頭が吹き飛んでる!!お前はやったんだ、相棒!」 フィンク「ふっ・・・相棒、か・・・。悪くない、ひび・・き・・・だ・・・・・ガクッ」 サドラー「相棒おおおおぉぉぉぉっっ!!!!」 ヨーデル(ええと・・・フィンクさん、思いっきり寝息たててるんですけど・・・というか、要塞なんだから、頭が急所とは限らないんじゃ・・・) グローム「ウショショショショショ。お手柄じゃのう」 ヨーデル「はあ・・・」 サドラー「むっ!?何だ、あのロック鳥は!?」 フィンク「な、何だ!?何かあったのか?」 ヨーデル(あ、起きた) サドラー「相棒!生きてたのか!?」 フィンク「ああ、どうやら、まだ死ぬ時じゃないらしい・・・それで、何があったんだ?」 サドラー「ああ。見えるか?あのロック鳥が」 フィンク「な、何だあれは・・・だ、誰か乗り込んでいるぞ!」 サドラー「あれは・・・ルシア=マーベリック!?」 フィンク「な、何だと!!?」 サドラー「間違いない・・・あれはルシア=マーベリックだ。何度も戦った俺が、見間違えるはずもない」 フィンク「どういうことだ?・・・はっ!!そういうことか!?」 サドラー「何!?どういうことなんだ、相棒!?」 フィンク「ルシア=マーベリックはデスペラードの一味・・・それも、幹部だったに違いない!」 サドラー「何っ!?」 フィンク「そう考えれば、奴の活躍ぶりも納得がいく・・・すべて、デスペラードの手先を使った猿芝居だったんだ!!」 サドラー「そ、そうだったのか!・・・許せねぇ!!!」 ヨーデル(いや・・・流石にそこまで言っちゃったら、名誉毀損なんじゃ・・・) フィンク「くそ!奴ら、要塞を捨てて落ち延びるつもりだ!!」 サドラー「くっ・・・!どうする?相棒!?」 フィンク「決まっている!もう一度、この聖剣で・・・」 サドラー「駄目だ!!そんなことをしたら、今度こそ確実に死んじまうぞ!!」 ヨーデル(うわあ・・・この展開、三度目だよ・・・) フィンク「だが・・・今倒さないと・・・奴らは復活する!」 サドラー「駄目だ!今度こそやらせねえ!」 ガバッ!(※←寝ているフィンクに覆いかぶさる音) フィンク「離してくれ相棒!!奴らが逃げちまう!俺の命のことはもう、構わないでくれ!」 サドラー「馬鹿なこと言ってんじゃねぇ!」 フィンク「だが・・・!」 サドラー「そ、それに・・・今倒したって、何にもならねぇだろうが!」 フィンク「何だと!?」 サドラー「奴らはロック鳥まで手懐けてる組織だぞ!あの要塞のほかにも、本拠地があるかも知れねぇじゃねぇか!!」 フィンク「そ、それは・・・!」 サドラー「お前はまだ、死ぬべきじゃねぇ!俺達の戦いは、まだ終わっちゃいねぇんだ!」 フィンク「・・・分かった。悔しいが、今回は奴らを見逃してやろう」 サドラー「分かってくれたか!」 フィンク「ああ。・・・ちょうど、近くに村があったはずだ。そこで体勢を立て直そう」 サドラー「そうだな。・・・歩けるか?相棒」 フィンク「すまない・・・実は、限界だったんだ」 サドラー「馬鹿野郎。無茶しやがって・・・」 ザッザッザッザッ・・・(※←歩く音) グローム「ウショショショショショ。行ってしまったのう」 ヨーデル「はあ・・・。あの、さっき言ってたお得意さんって、ルシア=マーベリックのことだったんですか・・・?」 グローム「さあのう。・・・ところでおヌシ、あの二人について行かんでよいのか?」 ヨーデル「な、何言ってるんですか!?むしろ、連れて行かれなくてほっとしてる位ですよ!」 グローム「そうか?それは勿体ないのう」 ヨーデル「な、なんでですか?」 グローム「あ奴ほどの男はそうそう居らん。ワシも商売柄、多くのハンガーと知り合っておるが、あの要塞を壊せる者など、人間ではあの男しか居らんぞい」 ヨーデル「そりゃあまあ、バカみたいな破壊力ですけど・・・」 グローム「ひょっとすると、五人目の赤の英雄は、あ奴かも知れんのう」 ヨーデル「な、なに言ってるんですか!?そんなこと、あるわけないでしょう」 グローム「何もおかしいことではないぞい。あの男は、それだけの力を持っておる」 ヨーデル「で、でも、あれ、呪われた武器ですよ!?それに、デスペラードなんて架空の組織を信じてるし」 グローム「じゃが、現に、ルシアのお嬢ちゃんを助けたじゃろう?」 ヨーデル「そ、それはそうですけど・・・」 グローム「あのお嬢ちゃんは、これから先も多くの者を助けていくじゃろう。あの男が居らんかったら、それも出来なんだぞ?」 ヨーデル「で、でも、それはただの偶然で・・・」 グローム「その偶然は、あの男だからこそ起こすことが出来たんじゃ。あの要塞をデスペラードと信じ、己の聖剣の力を信じておったからのう」 ヨーデル「だ、だから、それは間違ったことで・・・」 グローム「ウショショショショショ。正しいか間違っているかなど、関係ないわい。信念というものは人を動かす。たとえ架空の組織や、呪われた剣であってものう」 ヨーデル「そ、そうなんですか・・・?」 グローム「そうじゃ。おヌシがさっき偶然と呼んだものは、そうした信念が生んだものじゃ」 ヨーデル「・・・・・・」 グローム「呪われた剣も、世の中の役に立ち続ければ、やがて聖剣と呼ばれるかも知れん。デスペラードという言い回しも、ただの照れ隠しと受け取られるかも知れん。そうなれば、あ奴は間違いなく赤の英雄じゃ」 ヨーデル「で、でも、フィンクさんに赤いところなんて、ないですよ・・・」 グローム「ウショショショショショ。それは問題にもならんわい。人は英雄を求めておる。名前など、適当にこじつけられるじゃろう。死神ブレイズの様にのう」 ヨーデル「で、でも・・・それは、偶然が上手くいったときの話でしょう?フィンクさんのせいで迷惑がかかる事だって、あるじゃないですか」 グローム「そうじゃのう。それはあり得るのう。一歩間違えれば、あの男はただの犯罪者じゃ」 ヨーデル「だったら・・・」 グローム「じゃが、英雄なんてものはそんなものじゃよ」 ヨーデル「・・・・・・」 グローム「人からどう呼ばれようと構わん。信念こそが一番大事。英雄なんて呼び名は、おまけみたいなものじゃ。先の三英雄もそうじゃったろう?」 ヨーデル「それは・・・よく知りませんが、そうなんですか?」 グローム「そうじゃ。そして、あの男とてそれは同じ。目指すものはあくまで、打倒デスペラードじゃ。その結果悪人と呼ばれようと、気にもせんじゃろう」 ヨーデル「・・・・・・」 グローム「ウショショショショショ。ところで若いの、おヌシも本当は、英雄になりたいんじゃろう?」 ヨーデル「!ど、どうしてそれを!?」 グローム「ウショショショショショ。顔に書いてあるわい。安心せい、おヌシにもそのチャンスはあるぞい」 ヨーデル「ほ、本当ですか!?」 グローム「なんだかんだ言うても、あの男はルシアのお嬢ちゃんを狙っておる。それを止められるのは、今のところおヌシだけじゃろうて」 ヨーデル「そ、それは・・・」 グローム「赤の英雄を救うんじゃ。新たな英雄になれるかも知れん。なれなんでも、英雄には大きく近づくのう」 ヨーデル「・・・な、なるほど・・・。ちょ、ちょっと俺、フィンクさんたち追いかけます!一緒に行って、変なことしそうだったら俺が止めます!」 グローム「ウショショショショショ。頑張るんじゃぞい」 ヨーデル「はい!ありがとうございました!」 ザッザッザッザッ・・・(※←走る音) グローム「・・・まあ、道に迷わなければの話じゃがの」 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・再び、ある日の飛行船・・・・・・・・・・・・・・・ 遠くからルシアの声「グロームさーん!どこに隠れたのー?出てきなさーい!」 グローム「ウショショショショショ。上手くまけたようじゃのう」 遠くからルシアの声「あーっ、もーっ!どこよーっ?」 グローム「お嬢ちゃん、正義の味方には気をつけるんじゃぞい。ウショショショショショ」 END