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多ジャンルバトルロワイアル Part.15
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多ジャンルバトルロワイアル Part.15
1 :
創る名無しに見る名無し
:2013/01/18(金) 22:42:35.68 ID:FrJBWnDs
ここは様々な作品のキャラを使ってバトルロワイアルの企画をリレー小説で行おうというスレです。
みんなでワイワイSSをつないで楽しみましょう。一見さんも、SSを書いたことのない人も大歓迎。
初投下で空気が読めないかもしれない? SS自体あまり書いたことがなくて不安?
気にせずにどうぞ! 投下しなくちゃ始まりません。
キン肉マンのラーメンマン先生曰く「最後に勝負を決めるのは技(SSの質)ではない! 精神力だ! 心だ!」
リレー小説バトルロワイアル企画とは……
原作バトルロワイアル同様にルールなし、特定会場で最後の一人が生き残るまで続くという企画です。
キャラをみんなでリレーし、交わらせ、最後の一人になるまでリレーを行う、みんなで物語を作るスレです。
ここしか書けない、このキャラしか書けないという人も分かる範囲で書けるし、
次どうなるかを期待して次の人にバトンを渡すこともできます。
全ての作品を知りつくてしなければ参加できない企画ではないので、興味が沸いたらぜひ参加を!
詳細ルールに関してはこちらを
ttp://www44.atwiki.jp/tarowa/pages/13.html
〜予約、トリップについて〜
予約する際はトリップをつけてしたらばの予約スレに書き込んでおいてください。
トリップのつけかたは、名前欄に #の後に半角8文字以下、全角4文字以下の好きな言葉を打ち込んで書きこんで。
したらばに予約するのは、「他の人が書いてるから避けよう」という心理を利用し、予約だけして放置することで
企画を妨げる「予約荒らし」という行為を防ぐためです。予約期間は5日(120時間)ですが、
間に合わないからもうちょっと伸ばして!という報告があればさらに2日予約期間を追加(48時間)できます。
したらば(予約などいろいろな時にご利用を)
http://jbbs.livedoor.jp/otaku/11918/
wiki(まとめサイトです)
http://www44.atwiki.jp/tarowa
2 :
創る名無しに見る名無し
:2013/01/18(金) 22:42:52.67 ID:FrJBWnDs
★キャラクター能力制限★
・シャナ@灼眼のシャナ、C.C.@コードギアスは再生能力を落とす&急所(頭)をぶち抜かれたら即死。
・ルルーシュ・ランペルージ@コードギアスのギアス能力は、「死ね」「殺せ」など、 直接相手や自分の生死に関わる命令は無効。(「死ぬ気で頑張れ」などはあり)
・らき☆すたキャラのオタ知識、ラノベ知識は制限。
・仮面ライダー龍騎キャラのミラーワールドへの侵入禁止。
・ローゼンメイデンキャラのnのフィールドへの侵入は禁止。
・泉新一@寄生獣はミギー付き。
・シャナ@灼眼のシャナの封絶は禁止。
・雛見沢症候群@ひぐらしのなく頃には、まあ、空気読む方向で。
★支給品としてのアイテム制限
・KMF@コードギアスなどのロボ系は禁止。
・仮面ライダー龍騎キャラには、自分のカードデッキを支給品枠2つ分としてカウントして支給。それ以外のキャラに支給される場合は支給品1つの扱い。
・デスノート@DEATH NOTEは禁止。
・サタンサーベル@仮面ライダーBLACKはシャドームーンから没収&世紀王の呼び寄せ禁止。
・カードデッキの変身は10分で解除。
・カードデッキは変身すれば1時間、ファイナルベントを使えば更に1時間使用不可となる。
3 :
創る名無しに見る名無し
:2013/01/18(金) 22:43:45.34 ID:FrJBWnDs
2/6【コードギアス 反逆のルルーシュ@アニメ】
● ルルーシュ・ランペルージ/●枢木スザク/○C.C./ ● ロロ・ランペルージ/ ● 篠崎咲世子/○ジェレミア・ゴットバルト
0/6【ひぐらしのなく頃に@ゲーム】
● 前原圭一/●竜宮レナ/ ● 園崎魅音/ ● 北条沙都子/ ● 園崎詩音/ ● 北条悟史
1/5【スクライド@アニメ】
● カズマ/ ● 劉鳳/ ● 由詑かなみ/○ストレイト・クーガー/ ● 橘あすか
1/5【らき☆すた@漫画】
● 泉こなた/○柊つかさ/ ● 柊かがみ/ ● 高良みゆき/ ● 岩崎みなみ
2/5【るろうに剣心-明治剣客浪漫譚-@漫画】
● 緋村剣心/ ● 斎藤一/○志々雄真実/ ● 瀬田宗次郎/○雪代縁
2/4【仮面ライダー龍騎@実写】
○城戸真司/○北岡秀一/ ● 浅倉威/ ● 東條悟
0/4【ルパン三世@アニメ】
● ルパン三世/ ● 次元大介/ ● 石川五ェ門/ ● 銭形警部
1/4【ローゼンメイデン@アニメ】
● 真紅/ ● 水銀燈/○翠星石/ ● 蒼星石
1/3【ガン×ソード@アニメ】
○ヴァン/ ● レイ・ラングレン/ ● ミハエル・ギャレット
0/3【寄生獣@漫画】
● 泉新一/ ● 田村玲子/ ● 後藤
0/3【ゼロの使い魔@小説】
● ルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエール/ ● 平賀才人/ ● タバサ(シャルロット・エレーヌ・オルレアン)
0/3【バトルロワイアル@小説】
● 稲田瑞穂/ ● 千草貴子/ ● 三村信史
0/2【相棒@実写】
● 杉下右京/ ● 亀山薫
1/2【仮面ライダーBLACK@実写】
● 南光太郎/○シャドームーン
1/2【真・女神転生if...@ゲーム】
● 男主人公/○狭間偉出夫
0/2【DEATH NOTE@漫画】
● 夜神月/ ● L
1/2【TRICK@実写】
● 山田奈緒子/○上田次郎
0/2【バトルロワイアル@漫画】
● 織田敏憲/ ● 桐山和雄
0/1【ヴィオラートのアトリエ@ゲーム】
● アイゼル・ワイマール
0/1【灼眼のシャナ@小説】
● シャナ
13/65
4 :
創る名無しに見る名無し
:2013/01/18(金) 22:55:20.16 ID:FrJBWnDs
5 :
創る名無しに見る名無し
:2013/01/18(金) 22:55:38.57 ID:kHfnVYEI
スレ立て乙です
6 :
◆KKid85tGwY
:2013/01/18(金) 22:56:04.63 ID:d1ockvjM
投下を続けます。
7 :
因果応報―始まりの終わり―
◆KKid85tGwY
:2013/01/18(金) 22:57:10.10 ID:d1ockvjM
「うぅーん…………フェ、フェルマー先生……あなたの最終定理は、足し算を間違えていますよ…………。
ハッ!! ゆ、夢か……フェルマーの最終定理を解いた時の夢を見るとは……」
「その解答は、おそらく間違っているぞ……上田次郎」
「ははは! フェルマーならともかく、私が計算を間違えるわけが無いだろう…………き、君は誰だ!?」
「私は狭間偉出夫、殺し合いには乗っていない」
気絶から眼を覚ました上田。
その傍らには、見知らぬ白衣の少年が佇んでいた。
あからさまに警戒をした上田だが、近くにヴァンやC.C.の姿が見えることから、
やがて落ち着きを取り戻す。
C.C.の(極めて雑に行った)説明によって、狭間たちがシャドームーンの戦闘中に現れて上田たちを助けたことが判る。
「……シャドームーンはどうなった?」
上田とほとんど同時に眼を覚ましたヴァンの質問。
狭間は自分の背後を指して答えた。
「シャドームーンはそこだ」
確かに狭間が指し示す先に居た。
瓦礫の上に座り、その身を休めるシャドームーンが。
ヴァンは反射的に構えを取ろうとするが、身体が言うことを聞かない。
上田は立ち上がることもままならないほどあたふたしている。
「落ち着け! シャドームーンは我々の味方になった」
『お前は何を言っているんだ?』
ヴァンと上田の浮かべた表情を、端的に表現すればそんな言葉になる。
狭間は言葉を続ける。
「疑うなら、C.C.に事情を聞けば良い」
「……私はシャドームーンと味方になった覚えは無い」
「では敵か?」
「…………事情の説明なら自分でしろ。お前の起こした事態なんだからな」
ヴァンも上田も全く事態が掴めない様子だ。
狭間は嘆息すると、徐に説明を始めた。
C.C.の言う通り今の状況の責任は、功罪を合わせても狭間にある。
少なくとも狭間はそう思っていた。
ヴァンたちの危機に、狭間が助けに入ったこと。
狭間からシャドームーンに持ち掛けた交渉。
それに異を唱える翠星石。
そして真司が翠星石に殺されたことを。
上田は神妙な表情で沈黙する。
彼らだけでなく、シャドームーン以外のその場全員を重い空気が包んでいた。
8 :
創る名無しに見る名無し
:2013/01/18(金) 22:57:16.50 ID:kHfnVYEI
9 :
創る名無しに見る名無し
:2013/01/18(金) 22:57:58.27 ID:yQSaWv4p
10 :
創る名無しに見る名無し
:2013/01/18(金) 22:58:15.73 ID:GiI2DHr7
�C
11 :
因果応報―始まりの終わり―
◆KKid85tGwY
:2013/01/18(金) 22:58:17.87 ID:d1ockvjM
シャドームーンと一時的とはいえ休戦した。
そして真司が死んでいる。
と言うだけに尽きず“翠星石に殺された”と言う事態は、それだけ重たかった。
「……要するに、真司が死んでシャドームーンとあんたが組んだんだな?」
「極めて粗雑な纏め方だが、概ねその通りだ」
ヴァンは話そのものを理解することに苦戦していた様子だが、要点は理解したようだ。
事態に対して、どんな感想を抱いているかは読み取れない。
翠星石は未だ狭間の腕の中で、意識を失っている。
しかしその翠星石に、真司を殺された怒りを向ける者は居なかった。
全員が、それを過失だと承知しているからだろう。
ヴァンも上田も落ち着いたと判断した狭間は、ヴァンとC.C.にディアラハンを唱えた。
二人の負傷の大半は治り、体力も回復する。
しかしヴァンの右目は潰れたままである。
それでもヴァンは、特に気にした様子は見せなかった。
今すぐにシャドームーンに挑みかかるつもりもないようだ。
「……私と北岡とつかさとジェレミアとシャドームーンは、これから同行することになった」
狭間たち四人とシャドームーンは、ヴァンと上田が気絶している内に同行することで話を付けていた。
自分たちの知らない内に、シャドームーンの立場が余りにも変わっていることに、
ヴァンも上田も、言いようの無い居心地の悪さを覚える。
「君たちはこれからどうする? 我々と同行するなら、それで構わない」
ヴァンも上田も、狭間の問いにすぐには答えられない。
状況が急激に変わりすぎたため、未だに気持ちが追い付かないのだ。
ヴァンと上田が返答に窮していると、C.C.が狭間に語り掛ける。
「……ストレイト・クーガーはどうなっている?」
「……何?」
「お前らの所有しているパソコンで、参加者の動向が確認できるのだろう」
C.C.に求められるがままに、狭間はノートパソコンを開いて、
ストレイト・クーガーの動向を確認する。
「……ストレイト・クーガーは現在、総合病院に居る」
「生きていたか……後藤はどうだ?」
「……死亡している」
C.C.たちとクーガーは、総合病院を出発する際に後藤の襲撃を受けた。
その時に後藤をクーガーに任せて、C.C.たちは別れている。
クーガーの安否は、C.C.たちにとって気掛かりなことであった。
しかしこうしてクーガーの生存と後藤の死を確認することができて、微かな安堵を覚えた。
クーガーが生きて後藤が死んだと言うことは、クーガーが後藤を殺した、と言うことだろう。
C.C.は立ち上がり、狭間に背を向ける。
「……私は病院へクーガーを迎えに行く」
12 :
創る名無しに見る名無し
:2013/01/18(金) 22:58:22.34 ID:d9YxzWFP
13 :
創る名無しに見る名無し
:2013/01/18(金) 22:58:24.42 ID:PeCExfqf
14 :
創る名無しに見る名無し
:2013/01/18(金) 22:58:48.06 ID:GiI2DHr7
�C
15 :
創る名無しに見る名無し
:2013/01/18(金) 22:58:54.07 ID:kHfnVYEI
16 :
因果応報―始まりの終わり―
◆KKid85tGwY
:2013/01/18(金) 22:59:08.90 ID:d1ockvjM
「……我々全員で向かった方が良いんじゃないか?」
「その必要は無い」
「そうか……」
はっきりと言葉にしないが、C.C.の声には明確な拒絶の響きが含まれていた。
狭間を、ではなくシャドームーンを拒絶しているのだろう。
それでもはっきりと拒絶を言葉にしないのは、まだC.C.にも迷いがあるからだろうか?
何れにしろ、今すぐシャドームーンと同行と言う訳にはいかないようだ。
「……君たちはどうする?」
「すまないが、俺もクーガーを迎えに行くわ」
ヴァンも立ち上がり、狭間に背を向ける。
ヴァンはシャドームーンから拷問を受けた張本人だ。
その上この成り行きでは、無理も無いと狭間も考える。
「……すまない狭間くん。C.C.もヴァンくんも、君が助けてくれたことは判っているんだろうが……」
「構わん……それで君は?」
「私は、C.C.やヴァンくんを見捨てる訳にはいかないからな。決してシャドームーンが怖い訳では無いぞ!
ただ……彼らは私が居ないと何にもできないからな」
上田は単純にシャドームーンが怖いのだろう。
ある意味、判り易い人間だと狭間は思った。
C.C.もヴァンも上田も、狭間から離れていく。
当初は三人と接触した後は、そのまま合流する予定だったが、それも破綻した。
しかし三人を止める権利は自分に無いことを、狭間は了解していた。
「待て。まだ話は終わっていない」
それでもまだ狭間は、三人の背中に話を続ける。
C.C.は背を向けたまま、
ヴァンは立ち止まりもせず、歩き去って行き、
上田だけが狭間の方へ振り返る。
狭間はそれに構わず、上田に向かって探知機を投げ渡した。
「これはなんだ?」
「それは参加者の位置情報を得られる探知機だ。我々と合流したくなったら、それで我々の位置を確認できる。
これは判っていることと思うが、雪代縁には気を付けろ。あの男は未だ殺し合いに乗っている。
それと、雪代縁は殺し合いの脱出に繋がる物を所有しているらしい。奴と接触することになったら気を止めて置け」
「殺し合いを脱出できるのは、翠星石だけじゃなかったのか?」
狭間の背後からシャドームーンが口を挟む。
シャドームーンの声が響いただけで、場の空気が明らかに重くなった。
上田などシャドームーンの声が聞こえただけで、身体を震わせている。本当に判り易い人間だ。
狭間はシャドームーンを見向きもせずに返答する。
「あの時点で確認できた限り、脱出方法を有していたのは翠星石だけだった。
……だが、今は違うな。貴様もnのフィールドへの入り口を開けることを確認できた」
「…………フッ、まあいい。魔人皇なら大過なく契約を履行してくれると、期待しているぞ?」
あっさりと引き下がるシャドームーン。
17 :
創る名無しに見る名無し
:2013/01/18(金) 23:00:37.02 ID:yQSaWv4p
18 :
創る名無しに見る名無し
:2013/01/18(金) 23:00:55.93 ID:d9YxzWFP
19 :
因果応報―始まりの終わり―
◆KKid85tGwY
:2013/01/18(金) 23:01:04.92 ID:d1ockvjM
気を取り直して、狭間は上田たちに話し掛ける。
「その探知機は私からの餞別だ。代わり言っては何だが、貴様たちに……提案と頼みたいことがある」
上田たちに頼みごとをする狭間。
何かを頼むのを狭間は慣れていないのが、出会ったばかりの上田やC.C.にも伝わって来る。
それだからこそ、あえて頼みごとを行う狭間の背負った物の重さが伝わってきた。
「君は恩人だ。私が聞けることならば、何でも言ってくれ」
「C.C.も構わないな?」
「早く言え」
C.C.の高慢な、しかしどこか力の無い返答。
ヴァンはさっさと立ち去ったが上田とC.C.は、未だに聞く姿勢を見せている。
ならば問題は無い。
「提案は翠星石のことだ。彼女は私が預かる。貴様たちでは、再び薔薇水晶が来た際に対処できまい」
C.C.は背を向けたまま、狭間に鋭い視線を向ける。
「……お前たちなら安全を保障できるのか?」
「我々の方から翠星石に危害を加えるつもりは無い」
「…………眼を覚ましてシャドームーンが居た方が不味いと思うがな」
「他にどうすれば良い? 翠星石をその辺に放置しておけと?」
「…………では好きにしろ」
自分たちから危害を加えるつもりは無いと言う、狭間の返答。
それは即ち、翠星石から仕掛ければ安全の保証はできないと言うこと。
しかしそのことを指摘したところで、どうしようもない。
C.C.がそれ以上異論がないことを確認した狭間は、話を続ける。
「頼みごとの方は言伝だ。クーガーとヴァンに伝えてくれ。城戸真司の死の責任は私にあると考えて貰って構わん。
それでも易々と命をくれてやるつもりは無い。それがシャドームーンの物であってもだ」
それはクーガーとヴァンのみならず上田とC.C.に対しても訴えた伝言。
シャドームーンは一人の味方も居ない状況で、正に満身創痍となり片腕を失って、尚もただ一人で戦い抜こうとした。
それでも自らの誇りを守るためにあえて主催に反旗を翻してまで、敵と契約を結んだのだ。
誰一人味方など居ない、孤高の王のままにだ。
それがどれほどの強固な意思を必要とするか、かつての魔神皇であり今は魔人皇である狭間にはよく判る。
無論、シャドームーンはいずれ討ち果たすべき敵であり、そうなった非はシャドームーンにある。
しかしそれだからこそ、狭間にとってこの契約は必ず守らなければならない。
「判った、そう伝えよう。そして、なるべくそうはならないように尽力する」
「……頼む」
狭間は再び慣れない頼みごとを口にする。
上田はそのような事情を知らないが、狭間が戦いを望んでいないことはよく伝わってきた。
そしてそれでも避けられない戦いならば、覚悟を決めていることも。
「……では私の方からも、君に餞別の言葉を送ろう」
上田はそう言って、デイパックから一体の人形取り出した。
20 :
創る名無しに見る名無し
:2013/01/18(金) 23:01:10.73 ID:FrJBWnDs
21 :
創る名無しに見る名無し
:2013/01/18(金) 23:01:27.05 ID:kHfnVYEI
22 :
創る名無しに見る名無し
:2013/01/18(金) 23:01:52.97 ID:FrJBWnDs
23 :
因果応報―始まりの終わり―
◆KKid85tGwY
:2013/01/18(金) 23:01:59.84 ID:d1ockvjM
ローゼンメイデンとは似ても似つかない、むさ苦しい印象を与えるその人形は、
明らかに上田を模している。
それこそ、世に僅かしか存在しない上田次郎人形である。
『なぜベストをつくさないのか』
上田次郎人形それ自体が言葉を発した。
「この言葉は魔法の言葉でな。私はこの言葉を聞けば、不思議な力が沸いて来るんだ。君への餞別として受け取ってくれ」
そう言って上田はC.C.の後を追って行く。
狭間は陰を負った表情で、その後姿を見詰める。
(『なぜベストをつくさないのか』……か)
確かに狭間は狭間なりにベストを尽くした。
それが万人にとってベストの結果に繋がるとは限らない。ある意味、当然の話だ。
狭間の交渉は、シャドームーンがあそこまで追い詰められていなければ成立しなかっただろう。
そしてシャドームーンをあそこまで追い詰めたのは、状況から推測して真司の功績が大きい。
その真司をあんな形で死なせてしまった。
狭間にとって、これは翠星石を制御できなかった自分の失態。
自分の認識の甘さがこの惨状を生んでしまった。
それが狭間に重く圧し掛かる。
魔神皇であった頃には、こんな重責は無かった。
ただ自分の欲望のままに行動して、何を犠牲にしても思い煩う必要は無かった。
しかし魔人皇となった今は、失態の一つ一つが重く圧し掛かる。
人の命を背負うと言うことは、これほどままならないことだったのか。
(レナは……今の私を見て、どう思うだろうな……)
それでも、ベストを尽くすことを止める訳にはいかない。
だからこそ、上田の餞別が何よりも重かった。
「……よかったな。ご主人様の所へ行けるぜ」
停めてあったバトルホッパーの元に行ったヴァンは、車体を撫でながら呟く。
シャドームーンと休戦したからには、戦いの前に交わした約束により、
バトルホッパーはシャドームーンに譲るのが筋だろう。
バトルホッパーは何の反応も示さない。
ヴァンはバトルホッパーを置いて、真司の亡骸に向かう。
先ほど北岡と話し合って、蛮刀をジェレミアから譲って貰った代わり、と言う訳ではないが、
真司の遺体はヴァンたちが病院まで運んで弔うことになった。
真司の遺体と荷物を抱えて、ヴァンは上田が運転して来た車に乗る。
遅れてC.C.も車に乗り込む。
C.C.が狭間たちと同行しなかったのは、シャドームーンと離れたかったため。
24 :
創る名無しに見る名無し
:2013/01/18(金) 23:02:25.92 ID:GiI2DHr7
�C
25 :
創る名無しに見る名無し
:2013/01/18(金) 23:02:42.66 ID:PeCExfqf
26 :
創る名無しに見る名無し
:2013/01/18(金) 23:03:09.99 ID:kHfnVYEI
27 :
因果応報―始まりの終わり―
◆KKid85tGwY
:2013/01/18(金) 23:03:56.10 ID:d1ockvjM
C.C.にとって真司を殺したのも、それに至るまで翠星石を追い詰めたのもシャドームーンだ。
理屈では判っている。
真司の死の全責任をシャドームーンに負わせるのは無理があることを。
それでも、真司が死に至ったまでの経緯を即座に水に流してシャドームーンと同行できるほど割り切ることはできない。
人の数倍以上もの生を送ってきたC.C.でも、そこまで悟ることはできなかった。
更に遅れて、上田が運転席に乗り込む。
シャドームーンとの戦いを生き延びた三人と、命を落とした一人。
そして水銀燈の遺体も乗っている。
五人を乗せて、車は病院へ向けて発進した。
後部座席には真司の遺体、ヴァン、C.C.の順番に並んで座っていた。
重たい沈黙を破るようにヴァンはC.C.へ、不躾に質問する。
シャドームーンとの戦い以来、気に掛かっていた疑問を解消するために。
「…………護衛はもういいって、本気か?」
「冗談に聞こえたか?」
改めて確認しても間違いは無い。
狭間とシャドームーンの契約が始まったのと対照的に、ヴァンとC.C.の契約は終わった。
ヴァンもC.C.もこれから何を目的として、どのような行動を取るかは定かでは無い。
しかし確かなのは、ヴァンもC.C.もこれからはお互いを行動の理由にできないことだ。
ヴァンもC.C.も自分だけを根拠にこれからの行動を決めなければならない。
ヴァンは更に不躾な質問をする。
「死にたいってのも本気か?」
「さあな……」
ヴァンは他人の情緒には鈍感、と言うより関心の低い人間である。
それでもC.C.とは殺し合いの当初から付き合っている。
それゆえか、C.C.の“死にたい”も虚仮では無いと察することができた。
本来、C.C.が自殺志願者であろうとヴァンにとっては関心のない話である。
そもそもヴァンはエレナ以外の女性に極端に関心が薄いのだ。
しかしC.C.はヴァンと契約していた。
確かにヴァンは殺し合いの間は護衛すると約束している。
しかし本人に生きる意志が無いと言うのなら話は別だ。
自殺志願者を護衛するほど馬鹿馬鹿しい話は無い。
ヴァンの方には何としても生きて為すべきことがあるのだから。
だからヴァンは不躾な質問を続ける。
「死にたい奴が、何で護衛頼んだり首輪外したりしたんだよ?」
「……………………」
ヴァンの問いにC.C.は答えない。
C.C.は黙ったまま、デイバックから取り出した白梅香を自分に掛ける。
そしてデイバックへ白梅香を仕舞うと、寝返りを打つようにヴァンから背を向けた。
「…………私は寝る。起こすなよ」
C.C.の背中からは全てを拒絶するような空気を放っていた。
答えを得られないと悟ったヴァンも、それ以上を追求することは無かった。
世界の全てを拒絶するように硬く目を瞑るC.C.。
28 :
創る名無しに見る名無し
:2013/01/18(金) 23:03:59.18 ID:d9YxzWFP
29 :
因果応報―始まりの終わり―
◆KKid85tGwY
:2013/01/18(金) 23:04:48.60 ID:d1ockvjM
眠気は無い。だが、これ以上ヴァンの質問攻めに付き合える心境ではなかった。
それはC.C.にとって、あまりにも重い問いだったからだ。
もっと早くに気付くべきだった。気付く機会は幾らでもあった。
殺し合いの中ならば死ぬことができる可能性。
その可能性は本来、C.C.にとってこれ以上ない福音だったはずだ。
人の数十倍にも達する、長過ぎる人生をやっと終わらせられる。
そのはずなのに、C.C.の気持ちはこの上なく落ちたままだ。
おそらく、彼女の長過ぎる人生においても最も重く。
(私は何をやっていた…………)
V.V.が何故自分を殺し合いに参加させたのかなど、疑問視している場合ではなかった。
そもそも殺し合いが始まった時点で、さっさと自分の首輪を爆破して死ねるかどうか確かめれば良かったのだ。
自分の不死身をよく知っているはずのV.V.が、わざわざ殺し合いに参加させたのだから、
試すだけの価値は充分に有ったはずである。
そうすれば永遠に思えるほど長い人生において、あれほど望んだ死が得られたかも知れないのに。
しかしもう首輪を外してしまった。
あるいは首輪の爆破こそが、自分の不死身を破って殺すことができる唯一の方法かも知れなかったのに。
それを捨てて今も、殺し合いの脱出を図る集団の尻馬に乗っている。
多くの屍の上を踏み越えてだ。
例えば竜宮レナ。
レナはC.C.よりも平和な世界を生きて来た学生だ。
当然、元の平和な世界ではその世界なりの生活があり、共に生活をしてきた家族や友人が居たはずだ。
レナ自身にも何か元の世界に心残りがあったのかも知れない。
しかし、殺し合いの中で死んで行った。
レナだけではない。
この殺し合いに参加した者は皆、帰るべき世界がある。
しかしその大半は望まぬままこの場に召喚され、首輪で殺し合いを強いられ、無念の内に死んで行った。
そして誰よりも死を望んだ自分がさっさと首輪を外して、半ば殺し合いから脱落してしまっている。
この上なく理不尽な話だった。
それは余りにも滑稽で、
余りにも愚かで、
余りにも無様で、
余りにも皮肉な話だった。
(……私は…………何をやっていたんだ……………………)
重苦しい心地を抱え、C.C.は胸中で一人ごちる。
応える者は居ない。
隣に居るヴァンとは、契約という名の繋がりを失った。
そのこともまた、C.C.の気持ちを重くしていた。
白梅香を掛けたのも、C.C.がその香りを密かに気に入っていたことも有るが、
何より少しでも自分の気を紛らわせるため。
白梅香に縋りたくなるほど、今のC.C.は孤独だった。
ヴァンはシャドームーンを倒すことを諦めたわけではない。
30 :
因果応報―始まりの終わり―
◆KKid85tGwY
:2013/01/18(金) 23:05:41.18 ID:d1ockvjM
狭間の回復魔法でもヴァンの右目は治っていないままだ。
シャドームーンにはまだ借りがある。
狭間とどんな契約を交わそうが、それを水に流すつもりは無い。
だからV.V.に借りを返した後、必ずシャドームーンを殺すつもりだ。
ヴァンは単純な人間だ。
それゆえに最終的な目的を決して見失うことは無い。
いかに恨みがあっても、所詮ヴァンにとってシャドームーンはカギ爪に辿り着くための通過点に過ぎない。
シャドームーンと今決着を付けようがV.V.の後で決着を付けようが、通過点の順番の問題に過ぎないのだ。
守るべき物も無くなったヴァンは、一人静かに牙を磨く。
運転席には上田と水銀燈
上田は運転席に設置した探知機を見ながら運転していた。
幾ら休戦したと言われても、上田にはシャドームーンへの恐怖は未だに存在する。
上田もすぐにシャドームーンと同行すると言うわけにはいかなかった。
しかしシャドームーンと狭間と共闘している以上、いつまでも避けて通る訳には行かない。
何れ自分もシャドームーンと共同戦線を張るのかと思うと、上田の武者震いは収まらなかった。
(…………そう言えば……)
上田は不意に、Lから授かった餞別を思い出す。
(……Lさんからの餞別を、翠星石に渡したままだったな)
【一日目/真夜中/F−8 市街地】
【ヴァン@ガン×ソード】
[装備]:薄刃乃太刀@るろうに剣心-明治剣客浪漫譚-(先端部欠損)、ヴァンの蛮刀@ガン×ソード
[所持品]:支給品一式、調味料一式@ガン×ソード、ナイトのデッキ@仮面ライダー龍騎(二時間変身不能)、サバイブ(疾風)@仮面ライダー龍騎
[状態]:右目欠損
[思考・行動]
0:カギ爪の男に復讐を果たすためさっさと脱出する。
1:V.V.を倒した後シャドームーンを殺す
[備考]
※まだ竜宮レナの名前を覚えていません。
※C.C.の名前を覚えました。
31 :
創る名無しに見る名無し
:2013/01/18(金) 23:06:31.95 ID:kHfnVYEI
32 :
因果応報―始まりの終わり―
◆KKid85tGwY
:2013/01/18(金) 23:06:36.90 ID:d1ockvjM
【C.C.@コードギアス 反逆のルルーシュ R2】
[装備]:ファサリナの三節棍@ガン×ソード、S&W M10(6/6)、黒の騎士団の制服@コードギアス 反逆のルルーシュ
[所持品]:支給品一式×4、エアドロップ×2@ヴィオラートのアトリエ、ゼロの仮面@コードギアス、ピザ@コードギアス 反逆のルルーシュ R2、
カギ爪@ガン×ソード、レイ・ラングレンの銃の予備弾倉(60/60)@ガン×ソード、白梅香@-明治剣客浪漫譚-、確認済み支給品(0〜1)
S&W M10の弾薬(17/24)@バトル・ロワイアル
[状態]:健康、首輪解除済み
[思考・行動]
0:???
[備考]
※不死でなくなっている可能性に気付きました。その公算は大きいと考えています。
【上田次郎@TRICK(実写)】
[装備]君島の車@スクライド、ベレッタM92F(10/15)@バトルロワイアル(小説)、ニンテンドーDS型探知機
[支給品]支給品一式×4(水を一本紛失)、富竹のポラロイド@ひぐらしのなく頃に、デスノート(偽物)@DEATH NOTE、予備マガジン3本(45発)、
上田次郎人形@TRICK、雛見沢症候群治療薬C120@ひぐらしのなく頃に、情報が記されたメモ、浅倉のデイパックから散乱した確認済み支給品(1〜3)、
銭型の不明支給品(0〜1)
[状態]額部に軽い裂傷(処置済み)、全身打撲
[思考・行動]
0:ヴァン達に協力する。
※水銀燈の遺体と真司の遺体が車内に置かれています。
※水銀燈のデイパック(支給品一式×10(食料以外)、しんせい(煙草)@ルパン三世、手錠@相棒、双眼鏡@現実、首輪×3(咲世子、劉鳳、剣心)、
着替え各種(現地調達)、シェリスのHOLY隊員制服@スクライド、農作業用の鎌@バトルロワイアル、前原圭一のメモ@ひぐらしのなく頃に、
カツラ@TRICK、カードキー、知り合い順名簿、剣心の不明支給品(0〜1)、ロロの不明支給品(0〜1)、
三村信史特性爆弾セット(滑車、タコ糸、ガムテープ、ゴミ袋、ボイスコンバーター、ロープ三百メートル)@バトルロワイアル)、
Lのデイパック(支給品一式×4(水と食事を一つずつ消費)、ニンテンドーDS型詳細名簿、アズュール@灼眼のシャナ、角砂糖@デスノート、
情報が記されたメモ、首輪(魅音)、シアン化カリウム@バトルロワイアル、
イングラムM10(0/32)@バトルロワイアル、おはぎ×3@ひぐらしのなく頃に、女神の剣@ヴィオラートのアトリエ、DS系アイテムの拡張パーツ(GBA)、
才人の不明支給品(0〜1)、ゼロの剣@コードギアス)、真司の確認済み支給品(0〜2) 、劉鳳の不明支給品(0〜2)、発信機の受信機@DEATH NOTE
カードキー、神崎優衣の絵@仮面ライダー龍騎がデイパックにまとめられ車内に置かれています。
33 :
創る名無しに見る名無し
:2013/01/18(金) 23:07:27.14 ID:GiI2DHr7
�C
34 :
因果応報―始まりの終わり―
◆KKid85tGwY
:2013/01/18(金) 23:08:04.60 ID:d1ockvjM
「あんまり気負ってもしょうがないよ? やっちゃったことは、戻らないんだからさ。
気持ちを切り替えて、これからのことを考えないと」
「…………そうだな」
いつの間にか狭間の下に、北岡とつかさとジェレミアがやって来ていた。
北岡に言われた通り、狭間がここで何時までも逡巡していてもしようがない。
自分の行いを無闇に卑下するのは愚者のすることだ。
狭間の行った交渉が、ヴァンとC.C.と翠星石から危険を遠ざけたことは事実である。
その上で翠星石が、契約を不服としてシャドームーンに危害を加えようとするならば、
狭間自身が翠星石を敵として戦うだけだ。
シャドームーンと共に地獄に落ちる覚悟とは、即ちそう言う覚悟だ。
狭間は自ら契約を破るつもりは無い。
詭弁を弄して契約を汚すつもりも。
その先にいかなる地獄が待ち受けていようと、人と向き合い地を這ってでも進んで行く魔人皇としてあるだけだ。
「……しかし、これは私の責任だ。それを認めなければ、先に進むことはできん……」
「ホント生真面目だねぇ。そんなんだから、魔神皇なんて恥ずかしい名前自称しちゃうのよ」
「スーパー弁護士に、そんなことを言われるとはな」
「……どこで知ったのよ?」
「プロフィールに書いてあったぞ」
「……しょうがないでしょ、本当にスーパーな弁護士なんだから」
北岡の軽口に狭間は軽口で返し、やがてつかさまで巻き込んで笑い合った。
まだ笑い合うことができるほど、仲間との信頼関係は在る。
そう思えただけで、狭間の気持ちは軽くなった。
「……でも、俺は直接怨みがある訳じゃないけど……あれと仲間ってのはやっぱり馴染めないよねぇ」
北岡がごちる。と同時に全員の視線がシャドームーンに向かう。
シャドームーンは周囲の誰を省みることなく、相変わらず瓦礫の上で身体を休めている。
変わらぬ威圧感を身に纏って。
つかさなど、あからさまに怖がっている。
「……あの人、ちょっと怖いね」
「人じゃない。人と相容れぬ存在に作り変えられた物だ。それでも、仲魔であることに違いは無い」
人でない悪魔を、仲魔にする。
狭間以外の者には、やはり抵抗があるのだろう。
「まあ、そっちは一応仲間ってことで良いんだけど……あっちと仲間になった覚えは無いよ?」
そう言って北岡が冷たい視線を向けた先に居るのは、鞄の中で眠る翠星石。
35 :
創る名無しに見る名無し
:2013/01/18(金) 23:09:00.68 ID:GiI2DHr7
�C
36 :
創る名無しに見る名無し
:2013/01/18(金) 23:09:17.24 ID:d9YxzWFP
37 :
創る名無しに見る名無し
:2013/01/18(金) 23:09:21.12 ID:yQSaWv4p
38 :
因果応報―始まりの終わり―
◆KKid85tGwY
:2013/01/18(金) 23:09:23.26 ID:d1ockvjM
水銀燈が入っていた鞄だが、今は翠星石の身を休めるため使っている。
北岡は翠星石に良い感情を持っていない。
散々場を荒らした挙句、真司を殺したのだから無理もない。
「あの人形を生かしておく理由は無くなったな」
ジェレミアも、北岡ほどの敵意はないが翠星石を危険視しているようだ。
事実として目下、最も危険な存在であることには違いは無い。
ことここに至って、シャドームーンと翠星石の和解は至難だろう。
「……C.C.にも言ったことだが、こちらから仕掛ける訳にはいくまい。そうなれば、C.C.とヴァンとクーガーまで敵に回しかねないぞ」
しかし狭間の言葉通り、翠星石に対して自分たちの方から仕掛けられる状況ではなくなった。
隠そうとしてもホームページの動向を見れば、翠星石を殺害したことは露見してしまう。
そうなれば、本当にC.C.とヴァンとクーガーを敵に回すことになりかねない。
狭間たちは爆弾を抱えたまま、先へ進む以外に無いのだ。
シャドームーンと翠星石と言う、二つの爆弾を。
「翠星石は私が何とかする。命に代えてもな」
狭間はそう言って、翠星石の眠る鞄の所まで足を運ぶと、
鞄の中、翠星石の傍らに自分が持っていた庭師の鋏を置いた。
「何やってるのよ!?」
「あの鋏は蒼星石の物だ。持ち主が亡くなった今、翠星石に返すのが妥当だ」
「……今の翠星石に武器を与える意味が判っているのか?」
「今更、翠星石の武器が一つ増えた所で何も変わらん……」
狭間の翠星石に対する懸念は、鋏一つで左右される物ではない。
翠星石がシャドームーンと対峙した時に見せた、異常な力。
それは狭間やシャドームーンに匹敵する物だった。
もし魔力が回復する前に、それが自分たちへ向けられればどうなるか。
今や翠星石は、狭間たちにとって真に爆弾と化していた。
(…………回復をしない)
未だ満身創痍のシャドームーン。
全身を覆う傷は、シャドーチャージャーにまで達している。
シャドームーンは自分の回復力が発揮しないことに気付いた。
理由は不明。
あるいはシャドーチャージャーが破損したためかも知れない。
世紀王である自分が、実力で龍騎に敗れた。
そして人間と手を組まざるを得ない状況にまで追い込まれた。
回復すらままならない。
シャドームーンは自らの限界が近いと感じていた。
(これが世紀王の限界だと言うのなら……超えてみせるまでだ。創世王を、全ての人間を制するまでな)
それでもシャドームーンの、王としての威信は揺ぎ無い。
シャドームーンにとって殺し合いを優勝してから、創世王を殺すことが、
創世王を殺してから、殺し合いの参加者を皆殺しにすることに変わっただけの話だ。
世紀王の威信は未だ失われていない。
39 :
創る名無しに見る名無し
:2013/01/18(金) 23:10:31.46 ID:kHfnVYEI
40 :
創る名無しに見る名無し
:2013/01/18(金) 23:10:38.95 ID:FrJBWnDs
41 :
創る名無しに見る名無し
:2013/01/18(金) 23:10:38.66 ID:yQSaWv4p
42 :
因果応報―始まりの終わり―
◆KKid85tGwY
:2013/01/18(金) 23:11:14.15 ID:d1ockvjM
ただ、シャドームーンには気掛かりがあった。
それは翠星石があの時見せた赤い輝き。
それは自分の知る物に、余りにも似ていた。
(…………まさか、な)
あの王の輝石が、翠星石の中に宿っているはずが無い。
それでも、シャドームーンの疑念は尽きなかった。
翠星石は鞄の中で眠り続ける。
真司は劉鳳を殺した因果応報と言う形で殺された。
では真司を殺した翠星石に、因果はどんな報いで応えるのか?
それを知る者は居ない。
翠星石は何も知らず鞄の中で眠り続ける。
その中では、四つのローザミスティカ、
そしてキングストーンの力が眠っていた。
【一日目/真夜中/F−8 市街地】
【北岡秀一@仮面ライダー龍騎(実写)】
[装備]:レイの靴@ガン×ソード、ゾルダのデッキ@仮面ライダー龍騎
[所持品]:支給品一式×3(水×2とランタンを消費)、CONTRACTのカード@仮面ライダー龍騎、CONFINE VENTのカード@仮面ライダー龍騎
FNブローニング・ハイパワー@現実(12/13) 、RPG-7(0/1)@ひぐらしのなく頃に、榴弾×1、
デルフリンガーの残骸@ゼロの使い魔、確認済み支給品(0〜1)(刀剣類がある場合は一つだけ)
[状態]健康
[思考・行動]
0:殺し合いから脱出する。
1:つかさに対する罪悪感。
※一部の支給品に制限が掛けられていることに気付きました。
※病院にて情報交換をしました。
※レナ、狭間と情報交換をしました。
※『多ジャンルバトルロワイアル』のホームページを閲覧しました。
※ミニクーパー@ルパン三世は近くの民家に駐車してあります。
【柊つかさ@らき☆すた】
[装備]なし
[支給品]支給品一式×2(水のみ3つ)、確認済み支給品(0〜1) 、レシピ『錬金術メモ』、陵桜学園の制服、かがみの下着、食材@現実(一部使用)、
パルトネール@相棒(開封済み)、こなたのスク水@らき☆すた
[状態]健康
[思考・行動]
0:殺し合いから脱出する。
1:錬金術でみんなに協力したい。
[備考]
※錬金術の基本を習得しました。他にも発想と素材次第で何か作れるかもしれません。
※アイゼルがレシピに何か書き足しました。内容は後続の書き手氏にお任せします。
※会場に連れ去られた際の記憶が戻りました。
※『多ジャンルバトルロワイアル』のホームページを閲覧しました。
43 :
創る名無しに見る名無し
:2013/01/18(金) 23:11:32.40 ID:GiI2DHr7
�C
44 :
創る名無しに見る名無し
:2013/01/18(金) 23:11:39.23 ID:FrJBWnDs
45 :
創る名無しに見る名無し
:2013/01/18(金) 23:11:42.12 ID:yQSaWv4p
46 :
創る名無しに見る名無し
:2013/01/18(金) 23:11:58.10 ID:kHfnVYEI
47 :
創る名無しに見る名無し
:2013/01/18(金) 23:12:37.15 ID:FrJBWnDs
48 :
創る名無しに見る名無し
:2013/01/18(金) 23:12:41.22 ID:kHfnVYEI
49 :
因果応報―始まりの終わり―
◆KKid85tGwY
:2013/01/18(金) 23:13:55.09 ID:d1ockvjM
【ジェレミア・ゴットバルト@コードギアス 反逆のルルーシュ】
[装備]無限刃@るろうに剣心、贄殿遮那@灼眼のシャナ
[所持品]支給品一式×2(鉛筆一本と食糧の1/3を消費)、咲世子の煙球×1@コードギアス 反逆のルルーシュ、USB型データカード@現実、ノートパソコン@現実、
琥珀湯×1、フラム×1、リフュールポット×2、不明支給品(0〜1)、薬材料(買い物袋一つ分程度)、エンドオブワールドの不発弾(小型ミサイル数個分)、
メタルゲラスの装甲板、メタルゲラスの角と爪
[状態]疲労(小)、精神磨耗、両腕の剣が折れたため使用不能
[思考・行動]
0:殺し合いから脱出する。
1:V.V.を殺す。
2:他の参加者に協力する。クーガーとの約束は守る。
3:全て終えてからルルーシュの後を追う。
[備考]
※病院にて情報交換をしました。
※制限により、ギアスキャンセラーを使用すると疲労が増大します。他にも制限があるかも知れません。
※『多ジャンルバトルロワイアル』のホームページを閲覧しました。
【狭間偉出夫@真・女神転生if...】
[装備]:斬鉄剣@ルパン三世
[所持品]:支給品一式×2、インスタントカメラ(数枚消費)@現実、真紅の下半身@ローゼンメイデン、空飛ぶホウキ@ヴィオラートのアトリエ、
Kフロストマント@真・女神転生if…、ブラフマーストラ@真・女神転生if…、鉈@ひぐらしのなく頃に
[状態]:人間形態、疲労(中)、魔力消費(極大)
[思考・行動]
0:殺し合いから他の者達と一緒に脱出する。
1:シャドームーンとの契約を遵守する。
2:翠星石を保護する。
[備考]
※参加時期はレイコ編ラストバトル中。
※『多ジャンルバトルロワイアル』のホームページを閲覧しました。
※『多ジャンルバトルロワイアル』のホームページのユーザ名はtakano、パスワードは123です。
またこれらを入手したことにより、以下の情報を手に入れました。
全参加者の詳細プロフィール
全参加者のこれまでの動向。
現時点での死者の一覧。
各参加者の世界観区分。
nのフィールドの詳細及び危険性。
「彼」が使用したギアスの一覧。
※目的の欄を閲覧することはできませんでした。
50 :
創る名無しに見る名無し
:2013/01/18(金) 23:14:18.17 ID:kHfnVYEI
51 :
因果応報―始まりの終わり―
◆KKid85tGwY
:2013/01/18(金) 23:14:35.54 ID:d1ockvjM
【シャドームーン@仮面ライダーBLACK(実写)】
[装備]:サタンサーベル@仮面ライダーBLACK
[支給品]:支給品一式、不明支給品0〜2(確認済み)
[状態]:疲労(大)、ダメージ(極大)、全身に負傷、全身に火傷、右腕欠損、シャドーチャージャーに負傷
[思考・行動]
0:創世王を殺す。
1:創世王を殺した後、他の参加者を皆殺しにする。
2:狭間との契約は守る。
3:キングストーン(太陽の石)を回収する。
【備考】
※本編50話途中からの参戦です。
※殺し合いの主催者の裏に、創世王が居ると考えています。
※会場の端には空間の歪みがあると考えています。
※空間に干渉する能力が増大しました。
※nのフィールドの入り口を開ける能力を得ました。
※回復が始まっていません。回復するかどうかは後続の書き手に任せます。
※バトルホッパーは近くに停まっています。
※狭間偉出夫とシャドームーンは契約を交わしました。内容は以下の通りです。
・シャドームーンは主催者を倒すまで他の参加者を殺害しない。(但し正当防衛の場合は例外とする)
・狭間はシャドームーンの首輪を解除する。
・狭間はシャドームーンが首輪を解除するまで護衛する。
・シャドームーンは首輪を解除できれば他の参加者と協力して主催者と戦う。(シャドームーンは会場脱出や主催者の拠点へ侵攻する際は他の参加者と足並みを揃える)
・主催者(の黒幕)の殺害はシャドームーンに一任する。
・主催者を倒した後はシャドームーンと他に生き残った全ての参加者で決着を付ける。
・主催者を倒すまでにシャドームーンが誰かに殺害された場合、狭間は必ずその報復を行う。
【翠星石@ローゼンメイデン(アニメ)】
[装備]庭師の如雨露@ローゼンメイデン、真紅と蒼星石と水銀燈のローザミスティカ@ローゼンメイデン、キングストーン(太陽の石)@仮面ライダーBLACK(実写)
ローゼンメイデンの鞄@ローゼンメイデン、庭師の鋏@ローゼンメイデン
[支給品]支給品一式(朝食分を消費)、真紅のステッキ@ローゼンメイデン、情報が記されたメモ、確認済支給品(0〜1)
[状態]首輪解除済み 気絶中
[思考・行動]
0:???
[備考]
※スイドリームが居ない事を疑問に思っています。
※ローザミスティカを複数取り込んだことで、それぞれの姉妹の能力を会得しました。
※キングストーンを取り込んだことで、能力が上がっています。
52 :
創る名無しに見る名無し
:2013/01/18(金) 23:14:40.36 ID:yQSaWv4p
53 :
創る名無しに見る名無し
:2013/01/18(金) 23:15:21.22 ID:kHfnVYEI
54 :
因果応報―始まりの終わり―
◆KKid85tGwY
:2013/01/18(金) 23:15:44.82 ID:d1ockvjM
一枚のカードが宙を舞っていた。
主の下を離れ、自らの意志など無く、ただ風に運ばれるままカードが飛ぶ。
カードはやがて水面に着いた。
エリアにしてG−7。
既に禁止エリアと指定された場所の、南西の一角を流れる河川の水面にである。
寄る辺も無く、ただ無為に浮かび続けるカード。
誰ももう触れることすらなくなったはずのカード。
そのカードが何者かの手に捉まれた。
水中、ではなく“水面”から出現したその手は、
カードと共に水面へ消えて行った。
◇
壁一面が大量のモニターで埋め尽くされた、異様な部屋。
その中でも一際大きなモニターの前に置かれた座椅子。
その座椅子に座る長い髪を巻いた少年・V.V.は、ヘッドホンに耳を貸しながらほくそ笑んでいた。
モニターにはV.V.にとって旧知の女性・C.C.の沈んだ姿が、大写しになっている。
「フフフ……君もようやく気付いてくれたんだね。そう。君が人生を掛けて求めていた物が、既にその手中にあったんだよ。“死”がね」
自らの死の可能性に気付いたC.C.。
その姿にV.V.は喜びを禁じ得ない。
V.V.はC.C.を古くからよく知っている。死を望んでいたことも。
死の前に立たされた人々の姿は、大いにV.V.の興味を引いたが、
その中でもC.C.のそれは、V.V.にとって興味深い。
「C.C.、君は僕が嘘が嫌いだと知っていただろう? その僕が『君を殺し合いに参加させた』と言った以上、それは本当のことに決まっているよ。
君は殺し合うことが最初から可能だったんだ。もっと早く、そのことに気付くべきだったね」
C.C.の様子をモニター越しに観察し続けるV.V.。
その背後の壁に掛けてあった、大きな鏡から人形が姿を現す。
薔薇水晶の姿が。
「僕の指示通り、カードを回収してくれたんだね。ご苦労様」
V.V.は振り返りもせず、薔薇水晶に労いの言葉を掛ける。
55 :
創る名無しに見る名無し
:2013/01/18(金) 23:16:03.64 ID:GiI2DHr7
�C
56 :
創る名無しに見る名無し
:2013/01/18(金) 23:16:45.70 ID:yQSaWv4p
57 :
因果応報―始まりの終わり―
◆KKid85tGwY
:2013/01/18(金) 23:16:55.47 ID:d1ockvjM
V.V.が薔薇水晶に与えていた指示。
それは参加者の元を離れ、禁止エリアの水面に着いたため、
もう参加者の手に拠る回収は不可能と判断した、あるアドベントカードの回収である。
「翠星石は……構わなかったのですか?」
薔薇水晶は翠星石を放置した件を、V.V.に問い質す。
翠星石は確かに脱出条件を満たしていた。
しかし、何故V.V.が翠星石を放置するのか?
それが判らない。
「薔薇水晶、君はあくまで案内役だ。脱出は、翠星石本人の意思によって選択されなければならない」
V.V.はようやく薔薇水晶の方へと振り向く。
V.V.からも薔薇水晶からも、何の感情も読み取れない。
「もし翠星石が眼を覚ましても、あくまで脱出するか否かは彼女自身の意思に任せることだ」
「……判りました」
再びV.V.はモニターに向き直る。
「回収したカードは……どうしますか?」
「……それは僕たちには使い道が無い物だ。使うことができる人に渡しておいてよ。脱出を果たした褒章としてね」
それきり振り返りもしないV.V.を置いて、薔薇水晶は鏡の中へ消えて行った。
V.V.はまた愉悦を含んだ笑みを、モニター越しのC.C.に向けた。
「C.C.。この殺し合いは、君への贈り物だと考えてくれて構わないよ。
でも僕に贈ることができるのは、選択肢だけ。死を選択するのは、あくまで君の決断だけだ。
君が自分に嘘をつかない決断をすることを祈っているよ」
◇
壁にコンピューターが幾つも並ぶ、無愛想な部屋。
各コンピューターに向かって白衣を着込んだ者たちが作業を行っている。
58 :
創る名無しに見る名無し
:2013/01/18(金) 23:17:21.88 ID:FrJBWnDs
59 :
因果応報―始まりの終わり―
◆KKid85tGwY
:2013/01/18(金) 23:17:48.65 ID:d1ockvjM
その背後に立ち、作業の様子を見守る二人の男。
一人は包帯を全身に巻いた着流しの男、志々雄真実。
志々雄はもう一人の男から、この部屋の説明を聞いていた。
「成る程。こんぴゅうたあってので、この施設や殺し合いを管理しているって訳か」
志々雄は元々知能が高い上、コンピューターについての基本的な知識を三村から得ていたため、
この部屋がコンピューターに拠る管制室であると言う説明を、すんなりと理解することができた。
「まあ、かく言う私もこんぴゅうたあを知ったのは、つい最近のことでしてねェ」
この部屋の説明をしたもう一人の男は、面長に小ぶりの眼鏡を掛けたいかにも神経質そうな男。
話では、男も志々雄同様に明治の人間だったらしい。
「それでも人を使って操れる立場となれば、実に愉快な物ですよ。
椅子に座って指示を出すだけで、殺し合いに興じている人たちの運命を左右することができるのですから」
しかし今や、支配者としての傲岸さを剥き出しにして、
コンピューターに向かって作業に励む者たちと、
そしてディスプレイに映る、殺し合いの参加者を睥睨している。
目前に在る全てを支配する男へ向かい、志々雄は薄く笑い掛ける。
「しかし……まさかあんたみたいなのが黒幕だったとはな――――武田観柳」
志々雄に黒幕と呼ばれた男、武田観柳もまた薄く笑った。
60 :
創る名無しに見る名無し
:2013/01/18(金) 23:18:41.93 ID:kHfnVYEI
61 :
創る名無しに見る名無し
:2013/01/18(金) 23:19:00.70 ID:4KM0Bjek
観柳wwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwww
62 :
創る名無しに見る名無し
:2013/01/18(金) 23:19:05.49 ID:FrJBWnDs
ちょwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwww
63 :
因果応報―始まりの終わり―
◆KKid85tGwY
:2013/01/18(金) 23:19:32.48 ID:d1ockvjM
「冗談が過ぎますねェ。今の私はぶいつぅの下に付いているだけのものですよ」
「何だ……ただの使い走りとは、拍子抜けだな」
「これは手厳しいですねェ」
大袈裟に肩を竦める志々雄だが、本気で観柳が黒幕だと考えていた訳ではない。
観柳をからかっただけだ。
志々雄から見れば、観柳は小物に過ぎない。
少なくとも、これだけの規模の殺し合いを統括するだけの器量は無い人物だ。
実際、V.V.に勧誘された観柳は、現在この管制室の管理を任されているだけである。
そもそも明治の人間である観柳を、何故V.V.がコンピューターの管理者に据えたのかは不明。
V.V.ならば、もっと文明の進んだ世界からもっとコンピューターに通じた人材を幾らでも調達できたはずなのだ。
しかし志々雄には関係の無い話。
志々雄に重要なのは“自分にとって”利用価値が有るか否か、だ。
「しかし『今の私は』、ね。野心が隠しきれてないぜ」
「おっと、それは失言でした。どうか、ぶいつぅには内密に」
観柳と会話をしながら、志々雄は観柳が主催陣営の中でどれほどの立場にいるか、どれほどの情報を有しているか、
そして観柳自身がどんな人物かを探って行く。
どうやら観柳はV.V.の真意も知らされず働かされている、使い走りのような存在だ。
それでも観柳がV.V.に付いているのは、V.V.から与えられる未知の情報や技術に眼が眩んだからだろう。
それらを明治の時代に持って帰れば、富も権力も思いのままにできる。
即ち観柳は欲望で動く人間である。志々雄はそう踏んだ。
欲望で動く人間を信用はできない。しかし利用するのは簡単だ。
そして観柳もまた、志々雄を値踏みしているようだ。
おそらくその心中には、V.V.に取って代わる欲望が渦巻いているらしい。
野心家二人の水面下での探り合い。
しかし志々雄はそれを唐突に打ち切る。
観柳の口を手で制した志々雄は、ディスプレイに鋭い視線を向けた。
ディスプレイが突如として混色に濁り、中から人形が姿を現した。
狼狽する白衣の男を無視して、人形は志々雄の前に降り立つ。
「薔薇水晶、だったか? 俺に何のようだ?」
薔薇水晶は志々雄へ一枚のカードを差し出した。
「これを……脱出の褒章です」
「……ほう」
薔薇水晶から手渡されたカードを見て、志々雄は再び薄く笑みを浮かべる。
それは鳥の羽のような物が描かれたアドベントカード。
そこには、SURVIVE―烈火―と書かれてあった。
【一日目夜中/???】
【志々雄真実@るろうに剣心-明治剣客浪漫譚-(漫画)】
[装備]:サバイバルナイフ@現実、ヒノカグツチ@真・女神転生if...、サバイブ(烈火)@仮面ライダー龍騎
[所持品]:支給品一式×3、リュウガのデッキ@仮面ライダー龍騎、確認済み支給品0〜3(武器ではない)、林檎×8@DEATH NOTE、鉄の棒@寄生獣
マハブフストーン×4@真・女神転生if…、本を数冊(種類はお任せ)、工具@現実(現地調達)、首輪の残骸(銭形のもの)、首輪解除に関するメモ
[状態]:各部に軽度の裂傷、疲労(小)、首輪解除済み
[思考・行動]
1:ぶいつぅの掌の上にいる。(飽きるまで)
2:気が向いたらガリア王国のジョゼフを持て成す。
3:可能なら武田観柳を利用する。
[備考]
※クーガー、C.C.、真司らと情報交換をしました。ギアスとコードについて情報を得ました。
64 :
創る名無しに見る名無し
:2013/01/18(金) 23:19:33.55 ID:yQSaWv4p
ちょwwwwwっw!!??!KANRYUが多ロワにwwっw!>!>!??!?!!
65 :
創る名無しに見る名無し
:2013/01/18(金) 23:19:33.19 ID:d9YxzWFP
wwwwwwwwwwwwwwwwwwwwww
66 :
創る名無しに見る名無し
:2013/01/18(金) 23:19:43.18 ID:Tsf1Jy8x
wwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwww
67 :
創る名無しに見る名無し
:2013/01/18(金) 23:20:20.62 ID:kHfnVYEI
ヒョーホッホッホホー!
68 :
創る名無しに見る名無し
:2013/01/18(金) 23:20:35.17 ID:FrJBWnDs
たまんねぇなぁ!!
69 :
創る名無しに見る名無し
:2013/01/18(金) 23:22:58.02 ID:kHfnVYEI
70 :
創る名無しに見る名無し
:2013/01/18(金) 23:23:22.91 ID:GiI2DHr7
�Cwwww
71 :
◆KKid85tGwY
:2013/01/18(金) 23:24:05.08 ID:d1ockvjM
投下完了しました。
支援ありがとうございます。
前スレの>>904-
>>948
までのタイトルは『因果応報―世紀王 シャドームーンが1体出た!―』とします。
問題点があれば指摘をお願いします。
72 :
創る名無しに見る名無し
:2013/01/18(金) 23:25:09.21 ID:GiI2DHr7
乙ー
73 :
創る名無しに見る名無し
:2013/01/18(金) 23:25:58.13 ID:yQSaWv4p
乙でした! 最高でした!! ありがとうございました!!
74 :
創る名無しに見る名無し
:2013/01/18(金) 23:26:55.05 ID:d9YxzWFP
投下乙でした!
もう言葉にならない
75 :
創る名無しに見る名無し
:2013/01/18(金) 23:30:22.23 ID:8vcq1JKl
◆KKid85tGwY氏 is God
76 :
創る名無しに見る名無し
:2013/01/18(金) 23:30:37.92 ID:3XkikcxX
支援
77 :
創る名無しに見る名無し
:2013/01/18(金) 23:31:05.72 ID:kHfnVYEI
大作投下乙です!
おお、真司……正義武装ぉぉぉ……!
因果応報なのかもしれないけど、こんなのひどすぎるよ……!
翠星石もこんなになっちゃって……仮面ライダー龍騎に合掌
一方でハザマとシャドームーンの交渉……!
これは完全に不意を打たれた!
まさかそんな流れになるとは……!
どちらの王もそれぞれの味を出しつつ波乱に満ちた交渉の末にこの結果!
続きがすごい楽しみだ!
そして最後に観柳wwwwwwwwwwwwwwww
しんみりした後にこんな草ボーボーに生やしていいのかわかんないけど観柳wwwwwwwwwww
年始に実写版のDVDを買って見たからもうwwwwwwwwwwwwwwwww
とにかく大作投下乙でした!
78 :
創る名無しに見る名無し
:2013/01/18(金) 23:35:03.66 ID:Bimn4nwF
おお……
これは予想外だった!
まさかシャドームーンが説得されるとは!
ハザマvsシャドームーンのバトルになると思ってたから意表つかれた
しかも真司死亡とか、えええええええがとまんねえwwww
これはもう色々やばい気がする、終わりが近いって感じで最高すぎる
すまくまとまらないけどマジGJでした!!!
79 :
創る名無しに見る名無し
:2013/01/18(金) 23:47:15.15 ID:Tsf1Jy8x
投下乙です!!!!!!
龍騎と絶影が融合してシャドームーンにダメージを与えたのには燃えました!
そこに狭間の交渉、そしてもはや対主催では起こらないだろうと思っていたいさかいに至るとは・・・!
あんなに熱く戦っていた真司が因果応報ともいえる形で呆気なく死んでしまい、翠星石はこれからどうなるのか
狭間はまさに二つの爆弾を持っている状況、不穏な予感がちらほらと。
でも最後wwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwww
80 :
創る名無しに見る名無し
:2013/01/19(土) 00:29:11.69 ID:5q5HRUHA
投下乙! 言わずには居られない!!
絶影龍騎! カッコよすぎる! 言わずには居られない!!
そして、まさかのTALK上級編! ハザマがかっこいいぜ!
その後の緑の子はちょっとかわいそうになっちゃったけど……
しかし、シャドームーンまさかの対主催にこれは縁の命が待ったなしですなあ
で、最後の人は……wwww
81 :
創る名無しに見る名無し
:2013/01/19(土) 01:44:47.69 ID:cnM5f6/A
投下乙です
待った甲斐がありました
この戦いで、犠牲者1人とは予想外だったけど、熱かった!
真司おつかれ!
82 :
創る名無しに見る名無し
:2013/01/19(土) 01:58:29.80 ID:xuhS4s6q
投下乙!!
本当に予想できない結果になった…読みながらすげーすげーとしか言えなかった…!
真司も翠星石も、シャドームーンも、まさか…!!というところに行くとは
そして狭間がすっかり対主催の中心になっていて、それでいてレナの存在が影を落としていて切なくて、ホント主人公だな!
まさしく終わりの始まり、完結が間近に見えてきているのに、先が全く予想できない!
しかもwwwwww観柳wwwwwwww果たして漫画出展なのか映画出典なのか
改めて投下乙でした!
気になったのは
>>925
>今まで黙って見守っていたつかさとジェレミアも、流石に口を挟んだ。
後の会話からすると、つかさと北岡ではないでしょうか。
83 :
◆KKid85tGwY
:2013/01/19(土) 02:12:18.96 ID:VKX+m0jx
>>82
そうですね。つかさと北岡でした。
後日、修正したいと思います。
84 :
創る名無しに見る名無し
:2013/01/19(土) 09:42:17.02 ID:2txnS0zZ
>>30
の
>運転席には上田と水銀燈 の水銀燈はミスかな?
どうあってもシャドームーンとの決着はここで着くと思ってただけにここでTALKとは想像もできんかったなぁ
85 :
創る名無しに見る名無し
:2013/01/19(土) 15:28:15.73 ID:UMhu9hsX
「終わりの始まり」が90KBほどあるようなのですが、分割して収録した方がいいでしょうか。
分割であれば分割点の指定をお願いします。
86 :
創る名無しに見る名無し
:2013/01/19(土) 19:58:05.77 ID:Sqdgh5L+
投下乙です。
王と王の契約により、シャドームーンがまさかの対主催に。
一方、太陽の石を取り込んだ翠星石が最初にしたのは有り得ない仇討ち。光太郎が不憫でならん。
87 :
◆KKid85tGwY
:2013/01/20(日) 01:04:22.65 ID:TL0iM34h
>>85
前スレ
>>822
の
>翠星石はシャドームーンと龍騎の間に立つ。
までを一つ目と
前スレ
>>859
の
>飛び散る火の粉から逃れるため、上田は再び走り出した。
をまでを二つ目として分割をお願いします。
88 :
創る名無しに見る名無し
:2013/01/20(日) 03:21:42.53 ID:lnd2We1y
投下乙です!
なんていうかもうすげえすげえすげえすげえすげえ!!!!!
予約の時点で絶対に面白くなるのは分かってたけど、それでも予想を遥かに上回る面白さでした
読んでる間なんかずっと叫びっぱなしだった
というか、感想書くために読み直してもまた叫んでた
特に龍騎 正義武装出たところなんかは本当に最高だった
サバイブ二体ですら勝てないのかと絶望したところでの、まさかまさかの龍騎覚醒
真司と劉鳳の掛け合いも滅茶苦茶格好良かったし、どうしようもないくらいに熱くなった
……でも、真司死んじゃったんだよなぁ
前の話の時点で予想はしていたけど、まさか翠星石による誤殺とは……
ちょうどシチュエーションも真司が劉鳳を殺したところに似ていたし、まさに因果応報になっちゃうのか
タイトルの意味はずっとシャドームーンだけだと思ってたけど、真司も含んでたんだな……
他でもない劉鳳がこれをお前の最後の戦いにする訳にはいかないって言ったのに……
二人が守ろうとした翠星石が、真紅と光太郎の力を使って真司を殺したのが皮肉過ぎる
そして上田は今回も光ってたなぁ
blood bathでもマジキチコンビと一緒に数々の名言を生み出してたけど、今回もやっぱり名言のオンパレードだった
スリット美香子とか懐かしすぎるわ
他にも狭間は相変わらず主人公してて格好良いな
あのシャドームーンを説得するなんて、こいつ以外には思い付かないし出来ないと思う
結局シャドームーンは味方になったけど爆弾抱えすぎだろ
もう対主催側にトラブルは無いと思ってたけど
まさかの翠星石暴走で北岡ジェレミア狭間から総スカン喰らうし、ヴァンとC.C.の間にも不穏な空気が流れ始めるし
好転していた状況がぐにゃりと揺らいだ気がする
そして一番恐ろしいのは志々雄にサバイブが渡ったところだよなぁ
龍騎よりスペックが高いリュウガがサバイブしたら、もうオーディンに匹敵するくらいなんじゃないだろうか
しかも変身者は志々雄だし、能力を上げるヒノカグツチまである
これもう分かんねえな
もう散々他の感想で触れられてるけど武田観柳wwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwww
出てきたら面白いなと思ってたけど、本当に出てくるとは夢にも思わんかったwwwwwwwwwwwwwwwwwwww
いつかこいつの心理描写が書かれる時が来たら、腹抱えて笑う自信がある
今回の話は笑いあり、涙あり、バトルあり、熱血あり、残酷描写あり、鬱有りと何もかもが盛り沢山
六分割もの容量がありながら、少しもダレることのないすごい作品でした
本当に投下乙です!
89 :
創る名無しに見る名無し
:2013/01/21(月) 01:17:03.10 ID:ufGruFB6
支援絵のようなものを作ってみた
tp://www20.atpages.jp/r0109/uploader/src/up0188.jpg
キャラチョイスは印象的だったところから
90 :
創る名無しに見る名無し
:2013/01/21(月) 01:25:39.75 ID:pZhSnz2T
す、すげえ!
すげえぞこれ……
91 :
創る名無しに見る名無し
:2013/01/21(月) 01:29:33.97 ID:61IFpHNI
うおおおおおおおおおおおお格好いいです!!!!!!!!
92 :
創る名無しに見る名無し
:2013/01/21(月) 01:47:19.28 ID:ObmPXpu1
うおおおおおおおおお!
支援絵乙です!
93 :
創る名無しに見る名無し
:2013/01/21(月) 01:48:09.75 ID:/K4G/uxS
うっひょおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!
祭だ祭だ!!
94 :
創る名無しに見る名無し
:2013/01/21(月) 01:55:37.49 ID:ObmPXpu1
せっかくだしいつぞやの書き手紹介もペタリ
1761 :やってられない名無しさん:2012/12/18(火) 19:03:26 ID:???0
とりあえず簡易的な書き手紹介
◆.WX8NmkbZ6氏
[投下数]37
[代表的なSS]それぞれの行く先、Re:寄り添い生きる獣たち
[備考]
多ジャンルロワ投下数トップ書き手。
第一回放送後に書き手参加し、それから本日まで投下し続けるエースその一。
繋ぎにクライマックス、バトルに考察など様々な方面をカバーする。
それぞれの行く先のように静かにみなみの心情と光太郎の善人の描写をしたかと思えば、はぐれ者/夢やRe:寄り添い生きる獣たちのようなド派手な熱血バトルも出来る万能型のすごい人。
多ジャンルロワは◆.WX8NmkbZ6氏と◆ew5bR2RQj.氏の両輪で動いている。
◆ew5bR2RQj.氏
[投下数]31
[代表的なSS]DEAD END、魔人 が 生まれた 日/ひぐらしのなく頃に
[備考]
多ジャンル開始初期から書き手参加していたエースそのニ。
◆.WX8NmkbZ6氏と同じく繋ぎやバトルなどのジャンルに関係なく書いているが、大規模バトルによる多人数死亡SSを書く傾向がある。
派手なバトルが多いことに目を奪われるが、決してバトルだけで終わらせずにキャラの掘り下げやキャラとキャラの関係性の構築、心情描写などを細かく入れる縁の下の力持ち。
多ジャンルロワは◆.WX8NmkbZ6氏と◆ew5bR2RQj.氏の両輪で動いている。
◆EboujAWlRA氏
[投下数]18
[代表的なSS]Ultimate thing、杉下右京の正義
[備考]
ルルーシュ死亡SSでデビューした投下数三位の書き手。
前述のルルーシュ死亡SSであるBe cool!や杉下右京の正義など、キャラの動きの起点となるSSが目立つ。
また、Ultimate thingや寄り添い生きる獣たちと言った寄生獣のキャラをメインキャラとして書いたSSも多い。
◆KKid85tGwY氏
[投下数]12
[代表的なSS]Blood bath、銀の邂逅 月の相克
[備考]
開始当初から書き手参加していた、ザ・シャドームーンと言うべき書き手。
多ジャンルがマーダー有利と言われる原因の一因は間違いなくこの人の書いたシャドームーン。
また、志々雄の登場話である弱肉強食の理のように、とにかく強いキャラを強く魅せることに秀でている。
この人がシャドームーンを予約しただけで本スレの空気が引き締まるという奇特なすごい書き手である。
◆U1w5FvVRgk氏
[投下数]10
[代表的なSS]スザク と 銃口 、BATTLE ROYALE 世界の終わりまで戦い続ける者たち
[備考]
開始当初から書き手参加していた書き手。
『BATTLE ROYALE 世界の終わりまで戦い続ける者たち』では登場キャラ九人全員の動きを書きつつ、
冗長にならないスピード感を出して拡声器の呪いを見事に魅力的なSSとして書き上げた。
また、水銀燈に惚れ薬を使わせてスザクの今後を決定づけるなど、繋ぎのSSによる影響も目立つ。
残念ながら第一回放送以降によるSSの投下はないが、初期の多ロワを支えていた書き手である。
◆GvGzqHuQe. 氏(元◆OS/EHl54Zk氏)
[投下数]3
[代表的なSS]真・女神転生if...{break;} 、Switch(Choice[Player]){...}
[備考]
真・女神転生if…の男主人公の登場話を書いた後、反応がなかったが最近に帰ってきた書き手。
メガテン専用機と言ってもいいほどメガテンへの愛が感じられるSSを書き上げる。
ボッチ皇と呼ばれるほど孤立していた狭間偉出夫を、二つのSSで一気に主人公と呼ばれるほど中心キャラに仕上げた。
95 :
創る名無しに見る名無し
:2013/01/21(月) 02:22:00.04 ID:ufGruFB6
ついでに前に作った参戦作品アイコン(問題がありそうなら消します)
tp://www20.atpages.jp/r0109/uploader/src/up0190.jpg
96 :
創る名無しに見る名無し
:2013/01/21(月) 02:50:01.38 ID:61IFpHNI
再び乙です!!!
それぞれの出典作品がわかるチョイスなのがいい!!!
97 :
創る名無しに見る名無し
:2013/01/21(月) 02:53:35.67 ID:/K4G/uxS
すげぇよ……すげぇよ……
98 :
創る名無しに見る名無し
:2013/01/21(月) 10:51:08.25 ID:iGvc7dwX
支援絵(?)見た
うおお、この支援方法は新しいなw
書き手さん方かっっけえええ!
今書き手ロワあったらうち無双できそうなレベルだw
99 :
創る名無しに見る名無し
:2013/01/22(火) 16:21:01.89 ID:xUOhjHTg
無双っていうか、怪獣大戦争だな
100 :
◆EboujAWlRA
:2013/01/23(水) 03:20:25.85 ID:tmlkZL2O
仮投下スレに放送案を投下させていただいました
禁止エリアや、放送後の会話の内容に問題があれば指摘おねがいします
101 :
◆EboujAWlRA
:2013/01/23(水) 23:16:33.53 ID:tmlkZL2O
放送案、本投下させていただきます
102 :
創る名無しに見る名無し
:2013/01/23(水) 23:17:08.84 ID:mTM8v0lk
103 :
第四回放送
◆EboujAWlRA
:2013/01/23(水) 23:17:18.10 ID:tmlkZL2O
やあ、皆。
今回の放送で四回目の放送……つまり、これで丸一日だね。
こちらが提示した情報を見た人たちもかなりの数が居るよね。
でも、忘れないでほしい。
これは殺し合いで、殺し合いはまだ終わってなんか居ないってことをね。
まあ、その心配は要らないかな?
なにせ君たちは、僕の想像よりもよっぽど上手に殺し合ってくれているんだから。
……少しお喋りになってしまったかな。
ごめんね、僕も少し興奮しているのかもしれない。
皆はもっと聞きたいことがあるよね。
そう、禁止エリアと死亡者だね。
それじゃあ、禁止エリアの発表に移るよ。
G-3
B-8
E-5
これが次の禁止エリアだよ。
無造作に選んでるように見えるかもしれないけど、これでも色々と考えているからね。
じゃあ、次は死者の発表。
浅倉威
岩崎みなみ
L
カズマ
城戸真司
桐山和雄
枢木スザク
後藤
シャナ
水銀燈
三村信史
竜宮レナ
以上、この十二人が前の放送からの六時間で死んだ参加者。
これで八割の人間が死んでしまったことになるけど、ある意味ではここからが本番だからね。
君たちが希望を紡ぐのか、それとも絶望を呼ぶか……それは君たちが重ねてきた選択が運んでくる。
そう、これで一つの答えが出る。
その先にまた新たな選択が強いられるかもしれないけど、それが人生というものだからね。
それじゃあ、夜明けを見れるのが何人なのか……僕も楽しみしてるよ。
頑張ってね、みんな。
104 :
第四回放送
◆EboujAWlRA
:2013/01/23(水) 23:18:08.00 ID:tmlkZL2O
◆ ◆ ◆
「人間とは弱いものだ……」
円卓には四人と一体の人形が並んでいた。
コード所有者、V.V.。
怪人、志々雄真実。
百年の魔女、古手梨花。
孤独な人形、薔薇水晶。
死の商人、武田観柳。
この四人の前には上等な牛肉が人数分だけ並べられている。
「口では理想を語るが、結局は三つのものの前では獣と同じ。
金のため、快楽のため」
武田観柳は右手で五つのグラスにワインを注ぎながら、左手で数えるように指を一本ずつ折りながら呟く。
ワインレッドの名に相応しい赤ワインが、グラスに満たされていく。
このワインはV.V.の用意したものではなく、観柳がV.V.の部下に用意させたものだ。
観柳にはそれを可能とする程度の権威が与えられていた。
「そして、自分のため……では、乾杯」
観柳はワインを注ぎ終えると、素っ気ない言葉で乾杯の音頭を取った。
そして、観柳は目の前のビーフステーキへとナイフを滑らせる。
ひと目で上等な肉と分かるそのステーキ肉は、ゼリーやプリンかと勘違いするほど簡単にナイフが沈み込んだ。
観柳は油の乗ったビーフステーキをハムハムと呵責し、赤ワインを口に含む。
「このワインは肉によく合いますな」
その味に満足したのか、観柳は自身の細い目をさらに細める。
志々雄と違い、すでに観柳は二十一世紀の暮らしに順応しているようだった。
「何よりも人の金で食べているという事実がいい、箸がこれ以上なく進む」
観柳は今までのV.V.の協力者とは少々違っていた。
苛立ちに襲われ続けていた鷹野とも。
紳士を装いながらもその奥底を一切見せないラプラスの魔とも。
一切の感情を見せずにV.V.に従っている薔薇水晶とも、誰とも違う。
観柳はいわゆる『俗欲』というものに溢れた協力者だった。
「……なんのつもりよ」
そんな観柳に対して、鷹野三四によって強制的に『観客』とされた古手梨花の表情は冴えなかった。
先ほど、梨花の最後の友人である竜宮レナが死んだ。
また、時を同じくして鷹野も死んだ。
鷹野の死に爽快感などない、ただひたすら後味の悪い終わりだ。
「お嬢様にはジュースでも出したほうがよろしかったですかねぇ?」
「ッ!」
そんな梨花に浴びせられるものは観柳の嘲りだった。
梨花は観柳を鋭く睨みつけ、作法もへったくれもなくワインを豪快に飲んでいく。
グラスの中にあった赤ワインは見る見るうちに姿を消していく。
105 :
第四回放送
◆EboujAWlRA
:2013/01/23(水) 23:19:34.04 ID:tmlkZL2O
「品のない……お里が知れますな」
観柳はニヤつきながら言い放つ。
その笑みは圧倒的な優位に立つ者だけが浮かべることの出来る笑みだ。
梨花は苛立ちを隠そうともせずに、ワイングラスをテーブルへと乱暴に叩きつけた。
「なんで私をまだ拘束しているのかって聞いているのよ!」
今の梨花には怒りしかない。
あまりにも悪趣味な催しを見せ続けられているのだから当然だろう。
古手梨花の友人は全員が死んだ。
古手梨花が『観客』となることを望んだ鷹野三四ですら死んだ。
今、梨花がここに居る理由も、ここに居ることを望む人物も死んでしまったのだ。
「ふぅ……あまりギャーギャーと喚くものじゃありませんよ」
梨花の激昂を真っ向に受け止めた人物は観柳だった。
観柳の顔に張り付いていた笑みは消えており、鋭い表情で梨花を睨み返す。
「命がなけりゃワインも飲めんぞ?」
「あんまり梨花をイジメたら可哀想だよ、観柳」
そこでようやくV.V.が口を挟む。
観柳は演技がかった様子で肩をすくめ、再び牛肉にナイフを滑らせる。
「梨花の言いたいことはわかるよ。
鷹野が死んでしまった以上、僕らに君を拘束する理由はない」
「だったら!」
梨花の言葉に対して、V.V.はワインを一口だけ飲んでから応える。
「だから、君に任せようかと思うんだ」
「……君?」
梨花は思わず振り返るが、そこには人影はない。
「梨花、君って言ってるんだから君のことだよ」
「……私が決める?」
「このまま帰るのか、ここで僕たちと一緒に結末を見守るのか。
それを君に選んで欲しいんだ」
V.V.の言葉を聞き終えると、梨花は視線を落とした。
テーブルに敷き詰められた料理に目をやっているわけではない。
梨花の脳裏には視覚が伝えてくる情報ではない。
この場でただ黙って見つめるしか出来なかった惨劇の記憶が蘇っているのだ。
シャナという超人に無残に殺された園崎魅音。
東條悟という狂人に身勝手な理由で殺された北条沙都子。
「私……私は……」
「自分の為となれば……二つとない命のためとなれば人も獣と一緒。
貴方もそれを見てきたでしょう?」
梨花の回想を邪魔するように観柳が口を挟む。
観柳の言葉によって脳裏をよぎった人物は二人の友人である。
消極的にではあるが、恐怖によって最後まで殺し合いに乗った前原圭一。
北条悟史の死によって他者への殺意を向けた園崎詩音。
いや、それだけじゃない。
梨花の濃厚な記憶の中には自己を満たすためだけに動いている人々の姿も存在しているのだ。
106 :
創る名無しに見る名無し
:2013/01/23(水) 23:21:48.68 ID:izJIBJnd
107 :
第四回放送
◆EboujAWlRA
:2013/01/23(水) 23:22:12.60 ID:tmlkZL2O
「無償の愛情だとか永遠の友情だとか……ま、それもいいでしょう。
そんな金にならないものに重きを置くのも個人の自由。
ですが、明治に限らず世の中ってものはしごく現金なものですからねぇ。
そんなものだけじゃ飢えもしのげなきゃ娯楽も楽しめない、自分の命だって守ってくれやしない」
そんな梨花の心中を覗きこんだように、観柳は言葉を続ける。
観柳の言葉に深い意味は無い。
ただ、目の前の少女の心を痛めつけることで自身の心を満たそうとしているだけだ。
「数えきれないほど人生を繰り返してるっていうのなら、いい加減楽しい生き方って言うものを覚えましょうや」
観柳の言葉は梨花にも思い当たるところはある。
この地で、その人の善意というものを求めて呼びかけた北条悟史はすぐに死んでしまった。
雛見沢の地で、梨花が観柳の言う『金』にならないものを追い続けても何度もその希望を潰された。
「私は……私は、ここに残るわ」
だが、同時に梨花は覚えている。
この場に置いても、竜宮レナが狭間偉出夫の心を変える一端を担ったことを。
雛見沢に置いても、観柳の言う『金』にならないものが梨花の脚を進ませたことを。
「レナが残したものを最後まで見届けたい……なによりも、私は貴方たちが気に入らないもの」
「うん、そうしてくれると僕も嬉しいよ」
しかし、V.V.は梨花の決意の言葉を軽い言葉で簡単に流す。
「出来る限りのおもてなしはするからね」
「別に要らないわ」
梨花はV.V.と視線を交錯させる。
梨花はV.V.の真意を測ろうとするが、その真意は一向に見えてこない。
それでも梨花はここに残ると決めた。
竜宮レナが狭間偉出夫に希望を託した、その結果を梨花は知りたい。
「ただ、一本だけもらっていくわよ」
だが、今はこの場には留まることはしない。
梨花はワインを丸々一本片手に持って、残りの三人と一体に背中を見せた。
梨花の足取りは重々しかった。
梨花は残ると言ったが、自分が残って一体何ができるのだという気持ちも当然あった。
所詮ただの少女だ、この殺し合いの打破をサポートできる奇跡の力などあるわけがない。
「それでも、私は……!」
圭一を追い詰めたものを。
レナが残したものを。
魅音の命を奪ったものを。
沙都子を残酷に殺したものを。
詩音の全てを翻弄したものを。
悟志が破ろうとしたものを。
そんな、殺し合いに対して何も出来ずに逃げ帰るという選択だけは出来なかった。
観柳は『何度も人生を繰り返してきた』と言ったが、本当はそんなものじゃない。
梨花は繰り返しているのではなく、続けているだけだ。
楽な生き方よりも、もっと欲しい物がある。
毎日が宝石のように輝いていたあの日々を無為にすることが出来ない。
梨花にとって、あの日々はかけがえのない宝物だから。
108 :
創る名無しに見る名無し
:2013/01/23(水) 23:22:21.32 ID:Sgk1W3O3
支援
109 :
第四回放送
◆EboujAWlRA
:2013/01/23(水) 23:23:34.15 ID:tmlkZL2O
◆ ◆ ◆
「では、私も失礼しますかね」
梨花に続くように観柳が席を立つ。
布巾で口元を丁寧に拭くその姿は紳士そのもの。
だが、この観柳の胸の内はどす黒い欲望だけが渦巻いている。
「さて……」
観柳は緩んでいる心を引き締めるように、顔を無表情なものへと変化させた。
そして、ある場所へと足を向ける。
そこにはV.V.から与えられたものが眠っている。
「フ、フフ……!」
引き締めた顔から思わず笑みが溢れるほど、観柳は梨花と対照的に興奮していた。
もっとも、拉致同然に連れて来られた監禁されていた梨花とでは待遇が違うのだから当然であるが。
ある場所へと辿り着き、その扉を開ける。
そこにはあるものが眠っている。
観柳が使うことを許された、未来の兵器が眠っているのだ。
「……悪魔、召喚プログラム!」
その名は悪魔召喚プログラム。
悪魔召喚の儀式に必要な作業をコンピュータで単純化した情報を発信する。
本来ならば必要である緻密な作業を全て不要にする、画期的なプログラムだ。
そして、その召喚の儀式を受信した悪魔は、『生体マグネタイト』と呼ばれる未知の物質をタンパク質などに変化させて肉体を構築させる。
悪魔召喚の儀式と同じく、召喚された悪魔は召喚主に従うのだ。
「こいつを……ク、クク……!」
悪魔召喚プログラムとはあくまでソフトである。
ソフトを起動させるハードさえあれば、誰もが使うことが出来る。
特別な力を持たない観柳でも扱うことが出来るのだ。
(このプログラムで悪魔どもを召喚する。
そして、私の命令だけを聞く悪魔どもを潜ませるのだ……何処に?
日本中に……いや、世界中に!
悪魔の力で富や力を支配すれば……!)
観柳はその薄い頬を歪ませる。
人はそこまで汚い表情が出来るのかと思うほど、その表情は貪欲に富を求めていた。
「観柳帝国だ……!」
笑いをこらえる観柳の足取りは軽かった。
110 :
創る名無しに見る名無し
:2013/01/23(水) 23:23:59.52 ID:Sgk1W3O3
支援
111 :
第四回放送
◆EboujAWlRA
:2013/01/23(水) 23:24:48.71 ID:tmlkZL2O
◆ ◆ ◆
「志々雄、君はどうするんだい? バトルロワイアルの会場に戻ろうとは思わないのかい?」
「変わらず、状況次第で対応って言ったところだ」
新たに手に入れたカードを収めたライダーデッキを触りながら志々雄は応える。
志々雄が望めば会場に舞い戻ることもできる。
このままV.V.とともに主催側と対話を続けるか。
それとも、会場に舞い戻って殺し合いに復帰するか。
その選択権は志々雄の手に委ねられている。
「俺としては殺し合いやあのガキよりも、そっちの人形が気になるんだがな」
志々雄の視線は一度も梨花に向いていなかった。
ただ、獣のように、今にも喰らいつくんばかりに薔薇水晶へと向けられている。
「ローゼンメイデン、だったか?」
「私は……ローゼンメイデンじゃないわ」
薔薇水晶は寡黙を保ったまま、志々雄と視線を交錯する。
人形そのものといった色のない瞳を見て、志々雄は笑みを深めた。
志々雄が出会ったローゼンメイデンは翠星石だけだが、その翠星石と決定的に違う何かを感じたのだ。
「私はローゼンメイデンを超えるだけ……それだけ」
「じゃあ、あの石はどうなんだよ。ローザミスティカだ」
「私にはローザミスティカはない」
相変わらず目の前の食事には手をつけず、義務的に薔薇水晶は応え続ける。
志々雄は言葉を投げかけるのをやめ、じっと薔薇水晶を睨みつける。
対して、薔薇水晶も志々雄の視線から目を逸らさずに受け止める。
「……フッ、世の中ってのは面白いもんだなぁ」
志々雄の脳裏には様々なものが渦巻いている。
ローゼンメイデンとローザミスティカ。
仮面ライダーとライダーデッキ。
世紀王とキングストーン。
アルターと向こう側の世界。
錬金術という秘術。
悪魔という化け物。
銃や剣よりも恐ろしい異端の兵器を、志々雄は知ってしまった。
そして、知ってしまった以上は求めずにいられない人間が志々雄だ。
112 :
創る名無しに見る名無し
:2013/01/23(水) 23:24:54.97 ID:Sgk1W3O3
支援
113 :
第四回放送
◆EboujAWlRA
:2013/01/23(水) 23:25:43.86 ID:tmlkZL2O
「面白い、かい?」
「……」
「お前は欲しくねえのか、力がよ」
志々雄に特別な過去があったわけではない。
ただ、修羅と修羅が刃を交える地獄で生き続けただけだ。
だからこそ、力という美酒に酔い、さらなる力を求めているのだ。
この場における三村信史のように、酔い潰れるその時まで力を求めることは人の性である。
新たなる美酒を知ってしまった以上、志々雄がさらにそれを求めることは当然であった。
「その力を手に入れるためにも、君は勝たないといけないね」
志々雄と薔薇水晶の間にV.V.が口を挟む。
その目からV.V.の真意をうかがうことは出来ない。
巧みに心を隠しているのだ。
「君はあくまで会場から抜けだしただけで、殺し合いから抜けだしたわけじゃない。
会場で一人になれば僕らはその一人をこの場に呼んで、君と殺し合わせる。
この殺し合いは『六十四人の死』が成された時にしか終わらないんだからね」
「そんなことはわかっているさ」
余裕ぶるV.V.を前にしても、志々雄は笑みを消さない。
志々雄の目的はV.V.の持つ全てを奪い取ることだ。
決してV.V.は味方ではない。
V.V.を殺して全てを奪い取る、もしくは志々雄の膝下へと従属させるその瞬間まで敵なのだ。
そして、その敵であるV.V.は志々雄の物理的な手札を把握している。
だからこそ、目に見えない心理だけは悟らせてはいけない。
「まあ、楽しくやろうや。まだ祭りは終わってないんだからな」
【一日目夜中/???】
【志々雄真実@るろうに剣心-明治剣客浪漫譚-(漫画)】
[装備]:サバイバルナイフ@現実、ヒノカグツチ@真・女神転生if...、サバイブ(烈火)@仮面ライダー龍騎
[所持品]:支給品一式×3、リュウガのデッキ@仮面ライダー龍騎、確認済み支給品0〜3(武器ではない)、林檎×8@DEATH NOTE、鉄の棒@寄生獣
マハブフストーン×4@真・女神転生if…、本を数冊(種類はお任せ)、工具@現実(現地調達)、首輪の残骸(銭形のもの)、首輪解除に関するメモ
[状態]:各部に軽度の裂傷、疲労(小)、首輪解除済み
[思考・行動]
1:ぶいつぅの掌の上にいる。(飽きるまで)
2:気が向いたらガリア王国のジョゼフを持て成す。
3:可能なら武田観柳を利用する。
[備考]
※クーガー、C.C.、真司らと情報交換をしました。ギアスとコードについて情報を得ました。
114 :
創る名無しに見る名無し
:2013/01/23(水) 23:26:06.87 ID:mTM8v0lk
115 :
創る名無しに見る名無し
:2013/01/23(水) 23:30:10.54 ID:Sgk1W3O3
支援
116 :
創る名無しに見る名無し
:2013/01/23(水) 23:32:51.97 ID:mTM8v0lk
117 :
創る名無しに見る名無し
:2013/01/23(水) 23:35:25.17 ID:XaZG+bPr
�C
118 :
第四回放送
◆EboujAWlRA
:2013/01/23(水) 23:37:03.83 ID:3Kn92JZl
【古手梨花@ひぐらしのなく頃に】
[装備]無し
[支給品]無し
[状態]健康
[思考・行動]
1:殺し合いを最後まで見届ける。
※銀髪の少年により『鷹野三四に従え』というギアスをかけられています。
携帯からですが投下終了です
仮投下の段階では梨花の状態表を張り忘れていました、申し訳ありません
119 :
創る名無しに見る名無し
:2013/01/23(水) 23:56:39.06 ID:cVTVqaka
放送投下乙ですー
浅倉、桐山、後藤という強マーダーが3人も脱落したんだなぁ
レナまで死んでしまって、梨花が悲嘆に暮れてるんじゃないかと思ってたけど
レナの「信じる心」を遺した相手である狭間に希望を見出しているのか
そして悪魔召喚プログラム・・・!
女神転生ifの悪魔の登場が控えめだなと思ってたから今後どうなるのか楽しみ
てか1話限りのゲストじゃなかったのか観柳www
レギュラーに昇格、というより今回の話ほぼ観柳メインwww
誤字脱字の修正は
>観柳は油の乗ったビーフステーキをハムハムと呵責し
の「油」を「脂」、「呵責」を「咀嚼」
でよろしくお願いします
120 :
創る名無しに見る名無し
:2013/01/24(木) 01:46:45.56 ID:WafDrAsB
投下乙!
裏がありそうな連中ばかりだった主催陣に一石が投じられたな……
どうしようもない程に底が浅い観柳とかいう主催勢
話題の渦中にいる人物の登場に今後も目が離せません
そして梨花がここに残ることで一体何が起きるのか
主催陣も一枚岩ではない感じだし、未だに結末が見えてこない
でも多分これが最後の放送なんだろうなぁ
121 :
創る名無しに見る名無し
:2013/01/24(木) 01:58:01.49 ID:IaofhwV4
Auau
122 :
◆EboujAWlRA
:2013/01/24(木) 04:31:22.51 ID:G9R/R9/g
>>119
指摘ありがとうございます、修正させていただきました
123 :
創る名無しに見る名無し
:2013/01/24(木) 21:55:55.63 ID:wwSJ8HIO
第三回放送から第四回放送までのSSで人気投票をやりたい
今期は大作揃いだら来週の週末まで時間を置いて
124 :
創る名無しに見る名無し
:2013/01/25(金) 00:35:29.51 ID:T7Uwc4+K
仮予約スレがすごいことになってた
>>123
じゃあ投票日時は2月2日(土)が好きな話と好きなバトル、2月3日(日)が好きなキャラと好きな死亡キャラになるのかな
125 :
創る名無しに見る名無し
:2013/01/25(金) 01:06:35.89 ID:VldfRLRY
>>124
だね
今まで貯めてきた因縁みたいなのを回収するSSが多いから選ぶのも大変だ
126 :
創る名無しに見る名無し
:2013/01/25(金) 01:17:11.12 ID:PgJI/biU
本当に第三回放送‐第四回放送はどの話もボリュームがあるから選ぶのが難しい
127 :
創る名無しに見る名無し
:2013/01/25(金) 14:35:26.00 ID:SlAPzO1D
えーと……仮予約スレ見てきたけどどうなってんのこれwwww
有効なのは ◆ew5bR2RQj.氏と◆.WX8NmkbZ6氏で、
現在予約されてないキャラは参加者主催者合わせて梨花ちゃまだけってことでいい……のか?
128 :
創る名無しに見る名無し
:2013/01/25(金) 15:35:13.30 ID:oeGFiaAv
かな、仮予約だけど
ぼっち梨花、か・・・
129 :
創る名無しに見る名無し
:2013/01/25(金) 19:05:19.15 ID:ViMwxeyJ
分岐ということで全て予約してもらいましょう(提案)
130 :
創る名無しに見る名無し
:2013/01/25(金) 23:16:05.36 ID:ywvWo+LC
今の仮予約分が終わればあと1、2話くらいで終わりそうね
まだ黒幕とかが本格登場してないけど
131 :
創る名無しに見る名無し
:2013/01/26(土) 00:17:12.86 ID:CnAVe8Xs
書き手&読み手の皆さんいつも乙ですー
毎回楽しみにしております
ついに第四回放送突破か・・・!
参加者65人+6人で名簿風の支援絵を作ったので投下します
ttp://www20.atpages.jp/r0109/uploader/src/up0192.jpg
132 :
創る名無しに見る名無し
:2013/01/26(土) 00:27:58.96 ID:3k7sKyYy
>>131
すげえええええええええええええええええええええ!!
支援絵乙です!
133 :
創る名無しに見る名無し
:2013/01/26(土) 00:30:21.73 ID:t9j2P26K
最近の多ロワは全速力で突っ走りすぎだろ……
支援絵すげえええええええええええええええええええええええええええええええええ!!!!
134 :
創る名無しに見る名無し
:2013/01/26(土) 00:31:09.32 ID:tZnZRdl8
すげええええええええええええええええええええええええええ!!!!!!
135 :
創る名無しに見る名無し
:2013/01/26(土) 02:20:22.88 ID:CnAVe8Xs
9枚分割ver
ttp://www20.atpages.jp/r0109/uploader/src/up0193.png
ttp://www20.atpages.jp/r0109/uploader/src/up0194.png
ttp://www20.atpages.jp/r0109/uploader/src/up0195.png
ttp://www20.atpages.jp/r0109/uploader/src/up0196.png
ttp://www20.atpages.jp/r0109/uploader/src/up0197.png
ttp://www20.atpages.jp/r0109/uploader/src/up0198.png
ttp://www20.atpages.jp/r0109/uploader/src/up0199.png
ttp://www20.atpages.jp/r0109/uploader/src/up0200.png
ttp://www20.atpages.jp/r0109/uploader/src/up0201.png
136 :
創る名無しに見る名無し
:2013/01/26(土) 15:02:33.46 ID:wAS+U2eH
支援絵乙、すげえとしか言えない…!
137 :
創る名無しに見る名無し
:2013/01/27(日) 14:30:10.12 ID:1EatP5DK
Wikiに収録されたやつ観柳増えてるwwwwww
138 :
創る名無しに見る名無し
:2013/01/28(月) 00:07:44.20 ID:MHGzvI9B
観柳追加verを壁紙にしようと思ったけどちょっと小さいな・・・
139 :
創る名無しに見る名無し
:2013/01/28(月) 21:02:37.11 ID:+dgJiKJ9
○どもども
140 :
創る名無しに見る名無し
:2013/01/28(月) 21:03:21.39 ID:+dgJiKJ9
ざっと1から見させてもらいましたがあんまり面白くはなかったです
141 :
創る名無しに見る名無し
:2013/01/28(月) 21:03:56.39 ID:+dgJiKJ9
書いてる人頑張ってください
142 :
創る名無しに見る名無し
:2013/01/28(月) 21:54:48.79 ID:+dgJiKJ9
>>135
全部見てみたんだけどすごい上手だね
わからない人の方が多いけど(笑)
5枚目下段右から2番目って誰?
オードリーの若林?
143 :
創る名無しに見る名無し
:2013/01/28(月) 22:50:33.00 ID:FdWIEkEz
五十音順だろうからてつをじゃね?
144 :
創る名無しに見る名無し
:2013/01/29(火) 13:42:53.27 ID:5fzpJQ9b
いや、東條だろ
雰囲気掴んでるよ十分
俺は蒼嶋がわからなかった
145 :
創る名無しに見る名無し
:2013/01/29(火) 15:24:08.10 ID:D/sWIe0o
てつをは下から三枚目の右上
しかし現実勢の中でも一目でわかる上田先生の存在感、伊達にここまで生き残ってないわ
146 :
創る名無しに見る名無し
:2013/01/30(水) 02:21:55.42 ID:Kg9ooxTA
if主人公の画像ってあんまり見当たらないからなぁ
147 :
創る名無しに見る名無し
:2013/02/01(金) 18:45:17.14 ID:uDKSaDVA
気づいたら投票期間まですぐじゃないか…
148 :
創る名無しに見る名無し
:2013/02/01(金) 18:54:37.69 ID:7PtvnTjJ
明日が好きな話と好きなバトルの投票で、明後日が好きなキャラと好きな死亡キャラの投票だったか
149 :
創る名無しに見る名無し
:2013/02/01(金) 20:21:31.15 ID:uV0PUq9V
第四回人気投票
146話[はぐれ者][夢]〜161話[第四回放送]が対象になります。
http://www44.atwiki.jp/tarowa/pages/440.html
(対象SS作品)
2日は好きな話、好きな戦闘。
3日は好きなキャラ、好きな死亡キャラです。
したらばの投票スレ
http://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/otaku/11918/1266589657/
150 :
創る名無しに見る名無し
:2013/02/01(金) 23:28:01.65 ID:7QwvKphf
したらばの死者スレで死者紹介きてるぅぅ
乙です
真紅とレナの会話、というのがホロリとくる
まさに真紅のいう「立派なレディ」になれてたんだよなレナは
今回の放送で死んだ連中は一人ひとり濃いドラマがあったなぁと改めて感じた
そういえば不幸四天王の話題はスザク一強ではないかと結論が出てたけど
翠星石の件で真司も不幸といえる気もしてきた
殺人を犯させまいと止めようとした結果、まさかの自分を翠星石が殺してしまう結果になったから…
投票はもちろん参加!
151 :
創る名無しに見る名無し
:2013/02/02(土) 23:23:27.93 ID:uBGFf+zC
魔“人”皇…イデオは完全に原作から昇華したな。熱かった。
152 :
創る名無しに見る名無し
:2013/02/02(土) 23:29:09.22 ID:KUIorhHf
投票忘れてたー!
やばいやばい今からでも急ごう
153 :
転載
:2013/02/03(日) 00:44:18.05 ID:dcPLs/Ze
102 名前:好きな話[sage] 投稿日:2013/02/03(日) 00:10:43 ID:3WiT6G9s0
1位←3点、2位←2点、3位←1点で集計
1位:12点
160話[因果応報―終わりの始まり―][因果応報―世紀王 シャドームーンが1体出た!―][因果応報―薔薇乙女 翠星石が1体出た!―][因果応報―始まりの終わり―]
2位:10点
157話[Re:寄り添い生きる獣たち]
3位:7点
159話「魔人 が 生まれた 日(前編)」「魔人 が 生まれた 日(後編)」「ひぐらしのなく頃に」
4位:6点
155話[Switch(Choice[Player]){...}]
5位T:2点
146話[はぐれ者][夢]
150話[幕間1][幕間2][2nd STAGE]
158話[太陽と月]
8位:1点
149話[真・女神転生if...{break;}]
103 名前:好きなバトル[sage] 投稿日:2013/02/03(日) 00:11:05 ID:3WiT6G9s0
1位:12点
16話:仮面ライダー龍騎 正義武装vs世紀王シャドームーン
2位:9点
147話:北岡&つかさvs浅倉
3位:8点
157話:ストレイト・クーガーvs後藤
4位:7点
148話:志々雄真実・城戸真司vsシャナ1
5位:5点
146話:カズマvs桐山1
6位:1点
159話:狭間vs鷹野
104 名前:名無しさん[sage] 投稿日:2013/02/03(日) 00:11:42 ID:3WiT6G9s0
好きな話、好きなバトルともに160話の大作が1位をゲット!
一方で2〜4位までが僅差で争うなど終盤ということもあり今までのフラグや因縁を解決した面白いSSが集中していることがわかる。
今日は好きなキャラ、好きな死亡キャラの投票です
146話[はぐれ者][夢]〜161話[第四回放送]が対象になります。
ttp://www44.atwiki.jp/tarowa/pages/440.html(対象SS作品)
154 :
創る名無しに見る名無し
:2013/02/04(月) 00:20:12.36 ID:AJXz0lAS
シャナェ…
155 :
創る名無しに見る名無し
:2013/02/04(月) 00:38:33.13 ID:DMx8yGvM
スザクェ…
156 :
転載
:2013/02/04(月) 01:43:24.60 ID:6PpRanEO
117 名前:好きなキャラ[sage] 投稿日:2013/02/04(月) 00:13:51 ID:lQCmf4QE0
1位:15点
ストレイト・クーガー
2位:14点
狭間偉出夫
3位:7点
上田次郎
4位T:5点
シャドームーン
雪代縁
6位:4点
北岡秀一
7位:3点
ヴァン
8位:1点
志々雄真実
118 名前:好きな死亡キャラ[sage] 投稿日:2013/02/04(月) 00:14:16 ID:lQCmf4QE0
1位:13点
竜宮レナ
2位:10点
カズマ
3位T:8点
城戸真司
後藤
5位T:4点
浅倉威
桐山和雄
7位:3点
L
8位T:2点
三村信史
岩崎みなみ
119 名前:名無しさん[sage] 投稿日:2013/02/04(月) 00:16:56 ID:lQCmf4QE0
好きなキャラは1票差でクーガーがトップ!
クーガーの15票に一歩届かずの14票のハザマは惜しかった!
好きな死亡キャラではレナがトップで、今まで投票ではいまいち票の集まらなかったひぐらし勢の面目躍如である!
いよいよバトルロワイアルも終わりまで秒読み!
果たしてどのような結末を迎えるのか……
「読みますか?読みませんか?」
157 :
作品ごとの累計投票数
:2013/02/04(月) 02:53:51.14 ID:6PpRanEO
1位 【スクライド】 46点
2位 【仮面ライダー龍騎】 39点
3位 【仮面ライダーBLACK】 37点
4位 【るろうに剣心】 30点
5位T【寄生獣】 28点
5位T【真・女神転生if...】 28点
7位 【相棒】 25点
8位 【らき☆すた】 24点
9位 【TRICK】 23点
10位 【ガン×ソード】 21点
11位T 【コードギアス 反逆のルルーシュ】 20点
11位T【ルパン三世】 20点
13位 【ひぐらしのなく頃に】 18点
14位 【DEATH NOTE】 13点
15位 【バトルロワイアル(漫画)】 12点
16位 【バトルロワイアル(小説)】 8点
17位 【ヴィオラートのアトリエ】 6点
18位 【ローゼンメイデン】 6点
19位 【ゼロの使い魔】 4点
20位 【灼眼のシャナ】 0点
スクライドがカズマとクーガーの大量投票で一気に躍進
その他にも龍騎が真司、浅倉、北岡の三人の入賞により一気に上昇
でもBLACKも負けてない!
158 :
キャラクターごとの累計投票数
:2013/02/04(月) 03:06:50.54 ID:6PpRanEO
1位 シャドームーン 26点
2位 狭間偉出夫 23点
3位 ストレイト・クーガー 20点
4位T竜宮レナ 18点
4位T上田次郎 18点
6位 カズマ 17点
7位 杉下右京 16点
8位 東條悟 15点
9位 後藤 12点
10位T南光太郎 11点
10位T石川五ェ門 11点
10位T北岡秀一 11点
13位T柊つかさ 10点
13b位T泉新一 10点
13位Tヴァン 10点
16位T城戸真司 9点
16位T亀山薫 9点
16位T斎藤一 9点
16位TL 9点
20位T雪代縁 8点
20位 ジェレミア・ゴットバルト 8点
20位T岩崎みなみ 8点
23位T劉鳳 7点
23位Tルルーシュ・ランペルージ 7点
23位T瀬田宗次郎 7点
26位Tレイ・ラングレン 6点
26位T志々雄真実 6点
26位T田村玲子 6点
26位Tアイゼル・ワイマール 6点
159 :
キャラクターごとの累計投票数
:2013/02/04(月) 03:09:03.10 ID:6PpRanEO
30位T蒼嶋駿朔 5点
30位T桐山和雄 5点
30位T次元大介 5点
30位Tミハエル・ギャレット 5点
30位T山田奈緒子 5点
30位T真紅 5点
36位T浅倉威 4点
36位T泉こなた 4点
36位Tルパン三世 4点
36位T夜神月 4点
40位T織田敏憲 3点
40位T平賀才人 3点
40位T枢木スザク 3点
40位T稲田瑞穂 3点
40位T三村信史 3点
45位Tロロ・ランペルージ 2点
45位T千草貴子 2点
45位T橘あすか 2点
48位T小早川ゆたか 1点
48位T柊かがみ 1点
48位T緋村剣心 1点
48位T蒼星石 1点
48位Tタバサ 1点
一位は不動のシャドームーン
しかし二位以下は結構な変動があり、今まで溜めに溜めてた狭間が二位にランクイン
他にも後藤との激闘で株を上げたクーガーが三位、女神のような活躍を見せたレナが四位に入賞
そんな中、未だにトップ5を守り続ける上田先生は対主催の鑑、はっきり分かんだね
160 :
創る名無しに見る名無し
:2013/02/04(月) 18:55:33.97 ID:mHZTScWJ
シャナェ…
161 :
創る名無しに見る名無し
:2013/02/04(月) 20:03:52.93 ID:29L7ze74
翠の子の人気の無さも相当
162 :
131
:2013/02/04(月) 23:46:37.23 ID:DMx8yGvM
人気投票の集計&コピペ乙です
今クールはスクライド勢3人が活躍しましたなぁ
カズマvs桐山、クーガーvs後藤、真司(劉鳳/正義武装)vsシャドームーン
支援絵という主旨から外れ右上部分がビックリ系になってしまいましたが
おまけ/差分も作ったので投下
ttp://www20.atpages.jp/r0109/uploader/src/up0206.png
163 :
創る名無しに見る名無し
:2013/02/04(月) 23:53:50.71 ID:6PpRanEO
ふぇぇ……右端が怖いよう……
164 :
創る名無しに見る名無し
:2013/02/05(火) 00:02:48.85 ID:K8nqw8n9
すげえ…!!!
165 :
創る名無しに見る名無し
:2013/02/05(火) 10:32:40.41 ID:XiSD279D
後藤の本気バージョンって全身の皮を剥いだような姿なんだな
166 :
創る名無しに見る名無し
:2013/02/07(木) 20:39:17.99 ID:zr4FKKgq
るろ剣実写映画をまだ見てない人は是非見よう(オプマ)
167 :
創る名無しに見る名無し
:2013/02/08(金) 02:57:49.12 ID:a6FE398t
すごい、前の分から変身している!
168 :
[―{}@{}@{}-]
創る名無しに見る名無し
:2013/02/08(金) 17:50:18.59 ID:LcnTj+tw
安美沙略歴 【2013年2月8日現在】
・在日最大派閥の和田アキ子(金福子)傘下、東京の母と慕う
・コリア系ネームは安美沙(アンミサ)か? *安重根/梁美沙/辛美沙
・在日最凶ウトロ育ちとの噂あり、第二の故郷もコリアタウン舞鶴
・在日企業広告塔(サラ金アイフル/パチンコ豊丸産業)
・バーニング系フロント企業アーティストハウスピラミッド所属の肉弾接待疑惑あり
・島田紳助、不動産会社社長、事務所社長の元愛人疑惑(紳助愛人がのちのトライスロンに繋がる)
・枕、マラソン、トライアスロン、競馬、不潔、スカトロ、ヤリマンとマルチ営業活動展開
169 :
創る名無しに見る名無し
:2013/02/08(金) 23:03:37.62 ID:SDQYl+12
ここってシスコン多くね?
170 :
創る名無しに見る名無し
:2013/02/08(金) 23:25:14.17 ID:OCX/DUxv
ルルーシュ、悟史、縁、三村、シャドームーン 、月あたりか
女性含めたらもっと多いかも
ていうか、兄弟姉妹いる奴多すぎ
171 :
創る名無しに見る名無し
:2013/02/12(火) 01:01:51.11 ID:Bb45FLQK
兄弟持ちといえばレイだけど姉妹持ちの方が圧倒的に多いな
172 :
創る名無しに見る名無し
:2013/02/12(火) 17:24:50.74 ID:/FxEg+Rt
姉妹揃っての参加は園崎姉妹だけだけど、兄弟揃っての参加はランペルージ兄弟(義理)と南・秋月(兄弟同然)か
173 :
創る名無しに見る名無し
:2013/02/14(木) 00:07:02.28 ID:te8fSceE
今日はバレンタインということで
ttp://www20.atpages.jp/r0109/uploader/src/up0208.png
以下から拝借させていただきました
114話「人形劇」 ◆ew5bR2RQj.
http://www44.atwiki.jp/tarowa/pages/382.html
151話「doll dependence syndrome」 ◆EboujAWlRA
http://www44.atwiki.jp/tarowa/pages/460.html
174 :
創る名無しに見る名無し
:2013/02/14(木) 02:08:20.12 ID:nCEp+C0Z
おお、また支援絵が! 乙です
そして左下の上田w
175 :
創る名無しに見る名無し
:2013/02/14(木) 14:28:35.20 ID:ojLqmu7y
銀様かわいい
176 :
創る名無しに見る名無し
:2013/02/14(木) 23:06:16.17 ID:5yyNUVS3
織田「バレンタインなんて無かった」
予約がきたぞ
177 :
創る名無しに見る名無し
:2013/02/15(金) 19:19:36.78 ID:V92TkJ3L
予約来てるぅぅぅ!
全裸待機
178 :
創る名無しに見る名無し
:2013/02/18(月) 13:10:13.02 ID:TxZln/vO
死亡者名鑑更新乙です
自称対主催www
179 :
創る名無しに見る名無し
:2013/02/18(月) 20:48:31.42 ID:fSSLJh1I
tes
180 :
◆.WX8NmkbZ6
:2013/02/18(月) 22:41:52.21 ID:fSSLJh1I
ヴァン、C.C.、上田次郎、雪代縁を投下します。
181 :
創る名無しに見る名無し
:2013/02/18(月) 22:42:59.47 ID:qDftePgh
支援
182 :
永すぎた悲劇に結末を――Please hold on to small children.
:2013/02/18(月) 22:44:06.19 ID:fSSLJh1I
限りあるものを生命と呼ぶ。
『死』があるから人は『生』を自覚出来る。
死なない積み重ねを人生とは呼ばない、それはただの経験だ。
生きているのではない、死なないだけだ。
故に今までただ経験を積み重ねてきた私は、人生を歩んでいない私は、人間ではない。
ただの魔女だ。
世界に囚われている、繋がれている、束縛されている。
だから私は“私の存在が永遠に終わる事”を願って彷徨ってきた。
そんな私がヴァンに護衛を依頼した事に、深い理由などなかった。
不老不死とは言え傷付けられれば痛みがある。
殺し合いに乗るような輩をいちいち相手にするのも億劫だ、だから面倒事を任せられるような都合のいい盾が欲しかった。
他意はない。
……ないはずなんだ。
――俺は……このくだらねぇ殺し合いの間だけだがよ。
――あんたの護衛を、続けてやってもいい。
けれど私は。
――あのな……俺は筋を曲げるのが嫌いなんだ。
――この殺し合いが終わるまで、俺はあんたの護衛。
――それで問題あるのか?
ろくに話を聞いていない、深く考えてもいない、それでも無条件に味方すると宣言した男に――
――ヴァン、私は初めて会った時よりもお前を見直している。
「護衛する」と……つまりは「守る」と言われて。
あの時私は確かに、僅かでも救われていたのだろう。
死にたかったはずなのに。
『死』によって『生』を自覚しようとしていたはず――いや。
もっと単純に……生きる事に疲れていたはずなのに。
――死にたい奴が、何で護衛頼んだり首輪外したりしたんだよ?
その質問の答えを知りたいのは、私の方だ。
理由ぐらい幾らでも付けられるけれど、ヴァンが問うているのはそんな事ではないし、私が知りたいのもそんな事ではない。
問われているのは私の、本心。
死にたい。
疲れた。
私を憎む人も、優しくしてくれた人も、全て時の流れの中に消えていってしまったから。
果てる事のない時の流れの中に呑まれていってしまったから。
捨ててしまった人間らしさを、この長い旅路の最後に取り戻したいから。
だから自らの死を願ってきた。
本 当 に ?
ただ死にたいだけなら相応の振る舞いがあったはずだ。
死ねる可能性を、死ねる方法を、私は模索すらしていなかったのではないか。
「ルルーシュの死を知って涙したのは、自らの死が遠のいたからだ」と断言出来るのか?
竜宮レナや蒼嶋駿朔を心配していたのは?
シャドームーンとの戦いに覚悟をもって臨んだのは?
183 :
創る名無しに見る名無し
:2013/02/18(月) 22:44:43.03 ID:qDftePgh
184 :
永すぎた悲劇に結末を――Please hold on to small children.
:2013/02/18(月) 22:45:10.43 ID:fSSLJh1I
振り返れば不要なものが、遠回りが余りに多い道筋だった。
ずっと願ってきた、その為に多くの者と契約した。
契約し、見込みがないと判断しては捨ててきた。
世界そのものを作り変える計画にさえ賛同した。
そうしてでも叶えたかった、悲願だった。
それを今更、どうして――
▽
深夜、人の気配のない荒廃した市街地の大通りを一台の車が通過していく。
運転する上田次郎、後部座席で蹲るC.C.、その隣りにヴァン、次いで城戸真司の遺体。
ストレイト・クーガーと合流すべく、生存者三人は総合病院へ向かっていた。
車内は長い沈黙に包まれていた。
暗く、重く、息苦しささえ感じられる張り詰めた空気。
呼吸音さえ邪魔になるような静けさで、同時に何気ない一言で壊れてしまいそうな脆さがある。
その空気を作った張本人であるC.C.は、ヴァンから顔を背けたまま目を閉じていた。
眠ったふりをしていても、まるで微睡む気配はなく。
何も見たくない、聞きたくない、考えたくないと無言のまま主張する。
それは放送の時が訪れても変わらなかった。
日付変更線を越えると共に、会場中の空気を振動させて伝わってくる第五回放送。
メモを取るべく上田が車を停めたものの、C.C.は動く気にならなかった。
隣にいるヴァンもまた名簿や地図を取り出そうとする様子がない。
上田が一人「やはり君達には私が必要らしいな」などと言いながら鉛筆を走らせているが、最早どうでも良かった。
かつて目的を同じくしたV.V.の声が聞こえても。
顔なじみの枢木スザクや竜宮レナの名前が読み上げられても。
眠ったふりを続けながら、C.C.はただ漏らしそうになる溜息を堪えるだけだった。
放送が終わっても特に会話はなかった。
運転席と助手席の間にはカーナビゲーションのように設置した探知機があり、上田がそれを見て周囲の安全を確認する。
そして上田は気分を一新したいという意図が見え見えの、わざとらしい程に明るい声を上げた。
「では改めて、出ぱ――」
「おい、起きてんだろ」
上田の出鼻を挫く、ヴァンの一声。
間違いなくC.C.へ向けられた言葉だった。
上田はアクセルを踏み損ない、C.C.はヴァンの語調の強さに微かに肩を揺らしてしまう。
「いいか、あんたが生きたかろうが死にたかろうが俺にはどうでもいい」
その物言いに、ちくりと胸が痛んだ。
何らおかしいところのない意見だ。
ヴァンとC.C.は出会ってまだ一日にしかならない他人同士であり、お互い他人に干渉するような趣味はない。
関心があると言われた方が困る――それなのに何故胸がざわめくのか。
C.C.にはやはり答えを出す事が出来ず、ヴァンに背中を向けたままだった。
「だがよ……自分で決めたんなら、あんな顔してんじゃねぇ」
「ッ……!!」
目の奥が熱くなった。
喉がひくついて、溢れそうになった嗚咽を飲み込んで押し殺す。
ヴァンの声は厳しいものだった。
それで泣きそうになっているというのなら、自分は優しくされたかったのだろうか。
「意地なんざ張りたきゃ幾らでも張りゃあいい。
185 :
創る名無しに見る名無し
:2013/02/18(月) 22:45:12.32 ID:dC3heYJF
186 :
創る名無しに見る名無し
:2013/02/18(月) 22:45:33.08 ID:qDftePgh
187 :
創る名無しに見る名無し
:2013/02/18(月) 22:45:54.60 ID:dC3heYJF
188 :
創る名無しに見る名無し
:2013/02/18(月) 22:46:13.39 ID:qDftePgh
189 :
創る名無しに見る名無し
:2013/02/18(月) 22:46:29.29 ID:fL/se4gj
190 :
創る名無しに見る名無し
:2013/02/18(月) 22:46:58.95 ID:qDftePgh
191 :
永すぎた悲劇に結末を――Please hold on to small children.
:2013/02/18(月) 22:48:03.35 ID:fSSLJh1I
だが後悔するぐらいなら、そんなもんやめとけ」
『意地』という言葉に、シャドームーンと戦った時の事を咎められているように思えた。
あの時C.C.は「どうせ要求を飲んでも全員殺されるのなら」と、せめて意地だけでも通そうとした。
意地を張って、ヴァンを見捨てようとした。
意地を張って、ヴァンから光を奪おうとした。
意地を張って、それが魔女の選択の結果なのだと全てを諦めた。
けれどヴァンは責めているわけではないのだろう。
ただ思った事を、相手に構わず口に出しているだけだ。
咎めに感じられるなら、それはC.C.が負い目として捉えているという事。
それこそヴァンが言うようにその事で後悔しているという事。
今更。
人々が死に行く中、のうのうと生き残ってきた分際で。
経験だけを積み重ねてきた愚かな魔女の分際で。
戦争で、疫病で、老衰で、人々が例外なく命を落としていく世界で、死にたいなどとのたまいながら。
意地とプライドと見栄で、C.C.はペルソナという仮面を被る。
本心は誰にも、C.C.自身にさえも分からない。
C.C.が何も返さずにいると、ヴァンは小さく舌打ちしてテンガロンハットを目深にかぶり直す。
それきり沈黙して車内に静けさが戻ったが、車はなかなか走り出さなかった。
上田がヴァンやC.C.の機嫌を窺っているのかも知れない。
そして決心がついたのか、上田は再度声を上げる。
「では今度こそ、出ぱ――……ん!?
これは――」
今回は上田が自らアクセルを踏む足を止めた。
切迫した声だったが、C.C.はなおも顔を上げようとはしなかった。
「誰か近付い――」
「伏せろ!!」
上田の呟きを遮るヴァンの怒声、その直後にガラスの破裂音が響いた。
けたたましい音と共に無数の弾丸がフロントガラスを突き破ったのだ。
C.C.が横になったまま視線だけをやると、ガラスには弾丸が通過した穴を中心に白く細かい亀裂が広がって視界を塞いでいた。
探知機は無事かと見回せば、蹲った上田がちゃっかりと抱えている。
ヴァンが腰に巻き付けていた蛮刀を刀の形状に戻しながら、乱暴にドアを開けた。
そして車外へ出ると同時にドアを蹴飛ばして閉める。
蹴られた衝撃が車全体に伝わってフロントガラスが砕け、ばらばらとガラス片が飛び散った。
風通しの良くなった窓から、C.C.が僅かに顔を上げて外の様子を窺う。
数十メートル先に、車のヘッドライトと街灯に照らされた青年が立っていた。
距離があってもその特徴的な髪色は見間違えようがない。
「……チッ」
銃を構えた雪代縁を前に、ヴァンは舌打ちして不快感を露わにした。
上田にさっさとクーガーと合流するよう言い、歩き出す。
一見無防備な様子ではあったが、縁がそれを狙い撃つ事はなかった。
「お前だったカ」
「ああ、悪いな」
「目が潰れているな、ドジを踏んだカ?」
「余計なお世話だ」
答えながら如何にも面倒そうに、億劫そうに頭を掻くヴァン。
しかし帯びる殺気は本物だった。
「どうやらアンタを倒さなけりゃ、俺は先に進めないらしい」
192 :
永すぎた悲劇に結末を――Please hold on to small children.
:2013/02/18(月) 22:48:41.44 ID:fSSLJh1I
「そういう事ダ」
ヴァンと縁の間で行われる会話を聞きながら、C.C.は縁を注視する。
縁と会うのはこれで三度目だった。
一度目は心を失った幽鬼のように思えた。
二度目は泣きじゃくる子供のように思えた。
今も、やはり寄る辺をなくした迷子の子供のように見える。
心なしか二度目の時よりも更に覇気が薄れ、その髪色も相まって儚ささえ覚えた。
そして、その姿を良く知っている事に気付く。
――C.C.、君は何て静かなんだ、君の心だけは読めないよ。
脳裏に浮かぶのはかつてC.C.が捨て、そして殺したギアスユーザー。
――やっぱり君は最高だよ……。
愛情に飢え、無邪気にC.C.を求めていたマオ。
縁はマオと同じだった。
姉に、仇に焦がれていた縁もまた、幼い頃に時を止めてしまったままなのだろう。
車が一度斜め後ろへ下がる。
上田がハンドルを目一杯切り、来た道の逆走を始めた。
正面で始まる戦闘を避けて別の道からクーガーのもとへ向かうつもりらしい。
「ま、待てっ!!」
C.C.は思わず上田を止めようとしていた。
あの戦場に戻ろうとしていた。
しかし「何故」という疑問に、C.C.は続く言葉を飲み込んでしまう。
沈黙してしまったC.C.を尻目に、上田はそのまま車の速度を上げた。
C.C.が後方の窓から振り返る。
ヴァンの背は瞬く間に小さくなっていった。
▽
改めて縁の目を見て、ヴァンは「やっぱ気に食わねぇ」と一人ごちた。
鏡を見ているような。
それでいて根幹が決定的に違う。
言いようのない不快感は、縁の方も同様に抱いているのだろう。
コンクリートを叩く靴音が静謐な市街地の中を反響する。
一歩ずつ縁の方へと歩み寄るヴァンに対し、縁はそれを待ち受けるように突っ立ったままだった。
銃を下ろしており、奇襲を仕掛けてくる気配はない。
ヴァンは歩き続け、数十メートルあった距離は十メートル程まで短くなっていた。
「あの小箱は、使わないのカ」
自信があるのか相手の全力を叩き潰したいのか、縁はわざわざそう確認してきた。
ナイトのデッキはシャドームーンとの戦闘に用いたばかりであり、もう一時間程は使えそうにない。
だが初めから、ヴァンはこの男を相手にデッキを使うつもりはなかった。
「……要らねぇよ」
縁は比較的落ち着いた様子ではあったが、接近するにつれて瞳に籠もる殺気を濃くしていく。
ヴァンが更に歩を進め、残り五メートル。
「アンタは俺の力でボコる。
そうじゃなきゃ俺の気が――収まらないんだよ!!」
言いながら右脚で踏み切り、急発進する。
縁が銃口を持ち上げるのを見て、振り上げようとしていた蛮刀の軌道を変えた。
193 :
創る名無しに見る名無し
:2013/02/18(月) 22:49:37.56 ID:qDftePgh
194 :
永すぎた悲劇に結末を――Please hold on to small children.
:2013/02/18(月) 22:50:45.58 ID:fSSLJh1I
刀を回転させて盾代わりにし、放たれた銃弾を残らず斬り落とす。
「だいたいそいつはレイの銃じゃねぇか!
東條もアンタも勝手に人のもん使ってんじゃ、ねぇッ!!!」
連射が途切れたのを見計らって跳び、蛮刀を振り下ろした。
縁がそれを銃身で受け止め、銃と刀が交差する。
「くそっ、見えづれぇ!!」
狙いと実際の攻撃がズレていた。
ヴァンが右目の視力を失ってから初めての戦闘であり、まだその距離感に慣れていないからだ。
そんなヴァンの状態に縁が気付いていないはずがないが、縁は無表情のまま小さく呟く。
「『俺の力で』、と言ったナ」
蛮刀がレイの銃を弾き、銃が弧を描いて宙に舞う。
ヴァンが押し合いに競り勝ったのではない、縁が自ら放棄したのだ。
「同感ダ」
ヴァンが力任せに蛮刀を振るうも縁は軽く避け、更にデイパックに手を掛ける。
そして自らの刀を抜き放った。
ヴァンはそれを受け止めようとするが、すぐに回避へと転じる。
ヴァンの目の前を通り過ぎていく切っ先。
やはりヴァンの目測は外れていた。
持ち前の勘で防御から回避に移っていなければ斬られていただろう。
「お前は俺自身の力で殺す」
その宣言通り、縁は手にしていたデイパックを投げ捨てた。
これまでに出会った時のような、不気味なわざとらしい笑みを浮かべるでもなく。
憎悪をたぎらせて睨み付けるでもなく。
縁の表情はただただ、疲れ果てて見えた。
それでも互いに止まらない。
どちらからでもなく斬り合いは再開され、剣戟の音が辺りに木霊する。
しかし縁はシャドームーンの前で用いていた剣技を見せようとしない。
ヴァンが片目の状態に慣れるまで付き合うかのようにペースを合わせている。
「気持ち悪ぃ、やる気ねーのか!!」
「聞きたい事がある」
「またかよ!
あいにく俺に、お前とお喋りする趣味はねぇ!!」
大振りで斬り掛かる。
だがそれは半身になる事で容易に躱され、逆に縁の蹴りがヴァンの手首を打った。
ヴァンの右手から落ち、地面に突き刺さる蛮刀。
それを左手で掴んで引き抜き、後ろへ跳んで距離を取る。
右手が痺れ、指先の動きが悪い。
縁はさほど力を入れているように見えなかったが、純粋な腕力なら縁に分があるだろう。
そこに剣技、更に超人的な反射神経が加わる。
縁はヴァンよりも強い――それを思い知る事になった。
ただしヴァンはそれで止まるような男ではない。
右手の感覚が戻るとすぐに蛮刀を握り直す。
ヴァンが見せた一連の隙を、やはり縁は狙わなかった。
そしてヴァンの都合を無視して口を開く。
▽
放送の後、縁は発見した車めがけて遠距離から発砲した。
ここまで生き残ってきた人間がこの程度で死にはしないだろうと、そう把握した上での威嚇射撃。
195 :
創る名無しに見る名無し
:2013/02/18(月) 22:50:54.15 ID:qDftePgh
196 :
創る名無しに見る名無し
:2013/02/18(月) 22:50:54.32 ID:fL/se4gj
197 :
創る名無しに見る名無し
:2013/02/18(月) 22:51:49.48 ID:fL/se4gj
198 :
永すぎた悲劇に結末を――Please hold on to small children.
:2013/02/18(月) 22:52:47.68 ID:fSSLJh1I
それによって車から燻り出された相手は、最悪と言ってもいい相手だった。
出来れば殺し合いの最後まで出会いたくなかったような。
出来れば真っ先に出会って決着をつけたかったような。
複雑な感情を抱かずにはいられない相手。
殺し合いとは関係なく、白黒を付けねばならない。
それも支給品に頼らず、純粋な己の力で勝たなければ意味がない。
相手は自分自身に限りなく近い存在なのだから。
だが戦いが始まっても縁の気分は高揚する事なく、重く沈んだままだった。
殺意はある、怒りもある。
己の道に忠実で、揺らぐ事のないヴァンに苛立ちが募った。
それなのに振るう刀が鈍るのは、脳裏に枢木スザクの最期がちらつくせいだろうか。
復讐者の末路。
見せ付けられ、胸に残ったのはどうしようもない嫌悪感と虚しさだった。
復讐の対象を失ってもなお、生き返らせて改めて復讐しようと思っていた。
姉の為の人誅、それこそが縁を十五年間支えて縁自身を形作っていた。
それをヴァンの言葉が揺るがし。
スザクの姿が亀裂を入れた。
薄れてしまった憎悪――それでも今更、許す事も出来ずにいる。
姉を奪った相手を許せるはずがなく、かと言って人誅以外の決着の付け方も分からなかった。
だから縁は揺さぶられたまま、不安定な足場の上に立っている。
似た境遇にあるヴァンに、尋ねずにはいられない。
「……虚しくはならないカ。
あのカギ爪の男を殺す事に」
「なるわけねーだろ。
俺はカギ爪を殺すんだ、俺が殺らなきゃいけないんだ。
誰にも邪魔はさせねぇ」
返答はやはり単純なもので。
微塵の迷いもない姿は、眩しくさえあった。
それでも納得出来ずに食い下がる。
「だが……」
ヴァンの口からどんな言葉を聞けば、満足するのだろうか。
ヴァンが自分と同じように揺らげば溜飲が下がるのか。
「復讐は、……醜い」
「知るか」
けれどこの男は、迷わない。
縁とは決定的に違う。
惑う事がない。
「……アンタ、仇が死んだんだったな。
つまりアンタはノロマでドジだったってこった!!」
またもヴァンは正面から斬り掛かってくる。
片目で距離感が掴めていないのか、余裕で回避する事が出来た。
なおもヴァンは蛮刀を振り回し、漸く到達した刀身を縁が倭刀で受け止める。
先程とは違い、刀と刀での拮抗。
近くなった距離の中、縁は話を続ける。
続けようとした。
「貴様は何故、生き返らせようと思わナイ。
復讐を誓う程に愛していたんだろう。
そこに可能性があるというのに、何故ダ……!」
199 :
創る名無しに見る名無し
:2013/02/18(月) 22:53:18.26 ID:qDftePgh
200 :
創る名無しに見る名無し
:2013/02/18(月) 22:53:47.49 ID:fL/se4gj
201 :
創る名無しに見る名無し
:2013/02/18(月) 22:54:55.05 ID:dC3heYJF
202 :
創る名無しに見る名無し
:2013/02/18(月) 22:55:00.00 ID:qDftePgh
203 :
永すぎた悲劇に結末を――Please hold on to small children.
:2013/02/18(月) 22:55:31.19 ID:fSSLJh1I
「死んだやつは生き返らねーからだ」
ヴァンに対し怒りが生まれていたのは、ヴァンが愛する者を求めないことへの憎しみ故か。
それとも自分が到達できない答えにヴァンが辿り着いているかもしれないという憧れ故か。
恐らく、両方だったのだろう。
ヴァンの言葉を欺瞞と断じながら、それでも決してブレる事のない生き方に羨望を覚えていた。
自分と同じ境遇に立たされながらも蘇生の可能性に頼ろうとしないヴァンが不快で、同時に嫉妬していた。
「だから、可能性が――」
「だから、生き返らねーだろうが!」
だから、知りたかった。
何故そんな生き方が出来るのか、何故失ったものを求めずにいられるのか――
「そう断言する理由を聞いている!」
「うるせぇ!!
生き返らねーもんは生き返らねーんだよ!!!」
「理由になっていない!!」
「だーかーらー、生き返らねーからだっつってんだろうが!!!
人の話を聞きやがれ、このバ――――カ!!!!」
しかしそこから先にあったのは、会話などではなかった。
余りに幼稚で稚拙な言葉の応酬。
刀が弾かれて互いに距離を取るが、すぐに肉薄して再びぶつかり合う。
縁の方も受け流す余裕がなくなりつつあった。
力の香と速の香の効果があるはずなのに、押され始めている。
ヴァンが片目での戦闘に慣れてきた、というだけでは説明がつかない。
蛮刀の切っ先が肌のすぐ傍を通り過ぎて行く――だが縁は未だ戦いに集中出来ずにいた。
ヴァンの生き方が勘に障る。
一時的であれ、虚しささえ消し飛ばす程の苛立ちに支配されていた。
「バカは貴様だ、バカめ!!」
「ごちゃごちゃうるせえ、バカ、バカ、バ――カ!!!」
この男は自分の行き着けなかった答えに辿り着いているのかも知れない。
その事に怒りを覚えていたが、同時にどこかで期待もしていたのだ。
「愛していたのではなかったカ、このバカが!!」
「愛してるに決まってんだろうが、このバァーカ!!!」
自分も答えを知る事が出来れば、胸に抱えた虚しさが消えるのではないかと。
しかし、答えなどなかった。
ただこの男はバカなだけだ。
「いいか、俺はエレナが好きだ、愛してる、今だって夢中だッ!!!
だからカギ爪は俺が!! この手で!!! ぶっ殺す!!!!
それの何が悪い、お前の都合も考えも知った事か!!!」
204 :
創る名無しに見る名無し
:2013/02/18(月) 22:55:56.90 ID:PFa8cqYg
支援
205 :
創る名無しに見る名無し
:2013/02/18(月) 22:57:01.44 ID:qDftePgh
206 :
創る名無しに見る名無し
:2013/02/18(月) 22:58:26.28 ID:qDftePgh
207 :
創る名無しに見る名無し
:2013/02/18(月) 22:58:51.70 ID:wAVd0CM4
支援
208 :
永すぎた悲劇に結末を――Please hold on to small children.
:2013/02/18(月) 22:59:08.75 ID:fSSLJh1I
殺し合いの催される空の下、会場の中心で全力で愛を叫ぶ姿はまさしくバカ。
理屈もなく、一直線に迷いなく突き進むただのバカだった。
縁と同じく愛する人間を失い復讐を誓いながら、ヴァンは絶望していない。
故に更なる苛立ちが募る。
期待していた分の落胆と――改めて感じる、羨みを織り交ぜながら。
しかし苛立ちに反し、振るった刀は当たる気配すらなく空を斬った。
逆に蛮刀が縁の肌を掠め、血が滲む。
「チッ……蹴撃刀勢!!」
切っ先を低く下げた刀を蹴り上げる。
ヴァンは倭刀を蛮刀で受けたが、その勢いのまま背後の建物の壁へ叩き付けられた。
割れた額から地面にバタバタと血が滴るが、ヴァンの気勢は削がれない。
むしろ先程よりもギラついた目で縁を睨む。
「へっ、やっと本気になったかよ!」
「貴様との会話は無駄だ、殺す!!」
縁は一流の剣客だ。
資質がある。
鍛錬も積んだ。
半ば我流ながら倭刀術を体得した。
過酷な環境の中で生き抜いた経験がある。
常に精神が肉体を凌駕し、痛みを知らない。
超一流の『伝説』とさえ称される緋村剣心と互角に渡り合うだけの実力を持っていた。
まして今は二つの香によって力と速度が強化されている。
目の前の男に敗北する道理は、ない。
(何故――)
それなのに押されている。
振り下ろした斬撃が受け止められる。
横薙ぎの一撃が躱される。
ヴァンの眼光に、気圧されている。
どんなに恵まれた才能が、たゆまぬ努力があったところで、雪代縁は緋村剣心や志々雄真実には届かない。
誰にも知られずに歴史を動かした二人と縁は、違う。
この二人に届かせるものがあるとすれば、それは己の身も心も焦がすような憎悪と憤怒。
ありとあらゆる負の感情が負の強さを滲ませる。
しかし今は。
人誅を下すべき相手を失ったのみならず、復讐に虚しささえ覚えてしまった今の縁には。
緋村剣心の不殺の信念に、志々雄真実の弱肉強食の狂気に、届くものは何もない。
生きる原動力としてきたものの価値を見失い、それでも僅かな希望を手放す事も出来ずにひたすら刀を振るうだけだ。
仕方なく、それ以外の道を選べないから、ただ刀を振るう。
それに縋らなければ生きていく事さえ困難で、呼吸さえ止めてしまいたくなる。
対するヴァンはひたすらに真っ直ぐだった。
花嫁への愛も、仇への復讐心も、何一つ曲げずに突き進んでいる。
縁が過去を見続ける中、ヴァンは前を見ていた。
気持ちの上で既に、縁はヴァンに敗北していたのだ。
縁が仇を地獄へ叩き落とす方法を考えている時、ヴァンは殺す事だけを考えていた。
縁が姉の蘇生の可能性に翻弄されている時、ヴァンは何も考えていなかった。
縁が世界の全てに、姉にすら苛立っている時、ヴァンはそれまで通り変わらず婚約者を愛していた。
似ているのはやはり表層のみで、内面は全く違った。
ヴァンのようにいられたならば、何かが違っただろうかと。
縁は僅かに想像し、すぐにやめた。
209 :
創る名無しに見る名無し
:2013/02/18(月) 23:00:01.04 ID:qDftePgh
210 :
永すぎた悲劇に結末を――Please hold on to small children.
:2013/02/18(月) 23:00:23.33 ID:fSSLJh1I
「今更戻る道はナイ……」
どんなに迷おうと、惑おうと、姉が生き返る可能性がゼロにならない限り縁は止まれない。
未だ微笑まない姉も生き返ればいつかは微笑ってくれるだろうという、僅かな希望に縋る事しか出来ない。
十五年間抱えてきた人誅という目的もまた同様。
醜く見えようと、虚しくなろうと、今更抜刀斎への憎悪を捨てられない。
ヴァンのように理屈の外側で悟る事も、諦める事も、出来るはずがない。
ヴァンと距離が開き、縁は一つ息を吐き出す。
ヴァンに怒りを抱こうと、羨みを抱こうと、縁は変われない。
開き直る事もなく感化される事もない。
ただ姉への想いを一層強くするだけだ。
自身を鏡に映したような男が愛を叫ぶ姿に、自らの姿を重ねるだけだ。
ただ復讐の果てに姉にもう一度会いたいと、あの笑顔をもう一度見たいと願うのみ。
縁の眉間と胸の二点を中心に、目に見える形で管が走る。
血管ではなく、異常発達して肥大化した神経だ。
ピシピシと亀裂が走るような音と共に全身を覆う。
「覇亜亜ッ!!」
五感全てを鋭敏にする狂経脈。
姉の死が与えた、剣心にも志々雄にもない縁だけの力。
倭刀を逆手に握り直し、動く。
「 戰 嵐 刀 勢 ! 」
軸足を交互に変えながら回転し、その遠心力を乗せて斬る。
最初の数撃を弾かれても、更に回転を加えて追撃。
さながら小規模の竜巻だ。
ヴァンが蛮刀を構え直して防御に回るが、縁の反応速度であればその防御を見てから攻撃位置を変えられる。
蛮刀を避け、無防備な胴を両断する。
「ガッ……!」
ヴァンが痛みに表情を歪め、肺から空気が絞り出される音が漏れる。
しかしヴァンの腹を斬り裂くはずだった一撃はタキシードを裂くのみだった。
その原因は接触の瞬間の金属音が示している。
(鉄……!!)
服の下に防具を身に付けていた。
衝撃で肋数本は折れただろうが、決定打にはなっていない。
ヴァンはバランスを崩していたがすぐに立て直し、蛮刀を突き出す。
それも戰嵐刀勢による猛攻で跳ね返し、更に斬撃を叩き込んだ。
相手が防具を用いていようと、圧倒的な攻撃力によって押し潰す。
縁の性格通りの戦い方だった。
「哈亜亜亜亜!!」
ヴァンの顔面に掌底を打って跳ね飛ばす。
地面に倒れるのも許さず、倭刀を手放してからヴァンの背後に回って蹴りを入れた。
更に前面へと動き、腹を掌で突く。
浮き上がった体に連打を加え、最後にテンガロンハットごと頭を掴んで投げ飛ばす。
ヴァンが道路に打ち付けられて動かなくなるのと同時に、縁の手から離れていた倭刀が地面に突き立った。
「ヒュー、ヒュー、……」
狂経脈を用いた猛攻で乱れた呼吸を整える。
返り血で汚れた手で倭刀を抜き、倒れたヴァンを睨む。
この程度で終わるはずがない。
「いてーだろ、おい……!」
「くたばり損ないめ」
211 :
創る名無しに見る名無し
:2013/02/18(月) 23:00:35.09 ID:dC3heYJF
212 :
創る名無しに見る名無し
:2013/02/18(月) 23:00:36.60 ID:PFa8cqYg
支援
213 :
創る名無しに見る名無し
:2013/02/18(月) 23:00:50.69 ID:dC3heYJF
214 :
永すぎた悲劇に結末を――Please hold on to small children.
:2013/02/18(月) 23:01:27.33 ID:fSSLJh1I
「うるせーバカ」
「黙れバカ」
「バカはお前だろ」
「貴様だバカ」
蛮刀を杖代わりにして立ち上がったヴァンが縁に向かって斬り掛かる。
胸の高さ、地面と水平に振るわれた蛮刀を縁は悠々と回避した。
縁から見て右から左へと流れていく切っ先を目で追いながら、倭刀を上段に構える。
「 掌 破 刀 勢 ! 」
掌で刀を押し出し、その勢いで斬り下ろす。
ヴァンの左肩を食い破る一撃。
そして縁の視界の端で、蛮刀が逆の軌道を描き始めた。
振り抜かれた切っ先が再び向かってくる。
狙いは僅かに上方に修正され、縁の顔へ。
だが縁はその動きを確認した後から動いても充分に対応出来た。
避けようとして、動きが止まる。
ヴァンは肩を抉られた状態のまま、倭刀を手で握り締めていた。
肩や掌からの出血も構わずに、ヴァンは蛮刀を振る。
精神が肉体を凌駕していなくとも、この男には元より痛みもつらさも苦しみも関係ないのだ。
「クッ……」
縁がヴァンに掴まれた倭刀を手放して躱す。
空を斬る蛮刀――その切っ先が、変形した。
それは縁にとって未知の技術。
目では追えても一瞬、何が起きているのか理解出来なくなる。
蛮刀が左の目尻に突き刺さった。
後退しようとし、そこへヴァンが容赦なく踏み込む。
「チェェエエアアアアッ!!!」
なりふり構わない一撃。
今度こそ、蛮刀が振り抜かれた。
水平ではなく角度の付いた一閃で縁の左目が潰れ、眉間を跨いで右の額を切り裂いていく。
左の視力は失われ、右の視界も溢れ出た血液に覆われて塞がってしまう。
だがそれ以上に縁を蝕んだのは。
「がッ、亜、ぁああああ゛あ゛っ!!!!」
目を押さえて膝を着く。
焼けた火箸を目の中に押し込まれたような熱が、縁の脳に突き刺さる。
精神が肉体を凌駕している縁には、本来このような事態は有り得ない。
例え己の三半規管を握り潰したとしても何も感じないだろう。
しかし縁はこの殺し合いの中で痛みを覚え始めていた。
感じないはずの苦痛に悩まされていた。
痛覚は完璧には遮断されておらず、更に狂経脈により過敏に察知してしまう。
「ぎぃ、あぁ、あ……!!!」
狂経脈は痛みを感じないという盾があってこその矛。
盾が脆くなっている今、その矛は縁自身に向けられていた。
久しく痛みを忘れていた縁に、痛みへの耐性などあるはずがない。
ヴァンは左肩に刺さったままだった倭刀を抜いて投げ捨てた。
そして蹲った縁に蛮刀を振り下ろす。
それを縁は体を地面に倒して避けた。
そこから姿勢を低く保ったまま、両腕を地に着けてヴァンの腹に蹴りを入れる。
吹き飛んで道路に転がったヴァンを尻目に、縁は這いながら手探りで倭刀を拾った。
倭刀を突き立てて支えにし、血の滴る左目を押さえながら両足で立つ。
ここで諦められる程度の思いなら、十五年の月日でとうに風化しているのだ。
215 :
創る名無しに見る名無し
:2013/02/18(月) 23:02:08.63 ID:dC3heYJF
216 :
創る名無しに見る名無し
:2013/02/18(月) 23:02:14.53 ID:qDftePgh
217 :
永すぎた悲劇に結末を――Please hold on to small children.
:2013/02/18(月) 23:02:16.46 ID:fSSLJh1I
相手が誰よりも自分に近く、それでいて遠い存在だからこそ負けられない。
生死以外にこの戦いを終わらせる決着はない。
それを肯定するように、霞む視界の先でヴァンもまた立ち上がった。
▽
覚束ない足取りのまま、ヴァンは「あーあ」と溜息混じりの声を漏らす。
左肩が上がらなくなっていたが決着はまだ付いていない。
ヴァンとしてはこれ以上痛い思いをするのも嫌だったのだが、お互い相手を殺さない限りは止まれない。
始まる前から分かり切っていた事だ。
そうでなければ相手の眼球を狙うような真似はしていない。
雪の日に惨殺された着物の女。
式場で惨殺された花嫁。
あの日から仇を追い続けている。
夢を奪われ、どうにもならない決して埋まらない苦しみに、怒りに、悲しさに、心と体を苛まれてきた。
偶然であれ、共有する事になってしまった悪夢。
だがそれも今日終わる。
どちらかが死ぬ事によってどちらかの悲劇が終わる。
永すぎた悲劇に結末が訪れる。
この戦いに、純然たる決着を。
向かい合うだけで空気が震えた。
二人の周囲でパァン、と甲高い破裂音を立てて小石や木の葉が弾ぜる。
風が吹き荒れ、粉塵を巻き上げた。
「俺はお前が気に入らない。
だが、……気持ちは分からんでもない」
「そうカ。
俺には貴様がまるで分からナイ」
「あーはいはい」
片目になっても縁の威圧感は変わらなかった。
縁は血糊で隠れたもう一方の目も不要と考えたのか目を閉じる。
そして、動く。
刀を逆手に持ち変えて低く下げたその姿勢は、地に伏せる虎の如く。
シャドームーンを最初に相手にした時にその技は一度見ていた。
縁の奥の手。
それを知っていてもヴァンは今まで通り正面から突っ込むだけだ。
それ以外の生き方を知らないのだから。
――奴をぶっ殺すだけだ。
――俺が!!! この手で!!!!!
――その後どうなろうと知った事か!!!!
――そんな捨て身の復讐なら、自分で勝手にやってよ!!
踏み込んだ瞬間、以前ぶつけられた言葉が思い起こされた。
殺し合いから脱出した先にあるカギ爪の男への仇討ち、その更に先。
まだどうするのかなどまるで考えていない。
けれど少なくとも、こんな所で死ぬわけにはいかない、まだやる事があるのだと再認識する。
――返事は、帰ってから聞かせてくれる?
――あたし、待ってるから!
――ヴァンが元気になって戻ってくるのを待ってるから。
――……その時、聞かせて?
218 :
永すぎた悲劇に結末を――Please hold on to small children.
:2013/02/18(月) 23:03:26.85 ID:fSSLJh1I
(あれ……?)
夕焼けに染まった空の下での約束。
何故今、ここで思い出すのだろう。
――なら気長にやれ。
――カギ爪は俺が殺しておく。
(ヤバイ……)
ダンの修理の為に宇宙へ旅立つ前のやり取り。
ポンコツとガラクタによる不恰好な演舞。
次々に思い出されては消えていく。
――お前がいなきゃ記念にならんだろうが。
(これ、ヤバイんじゃないか……?)
そう言えば、半ば無理矢理だが記念写真とやらに巻き込まれた覚えがあった。
目まぐるしく移り変わっていく過去の景色。
それを走馬燈と呼ぶ事をヴァンは知らないが、それが危険を表す事は本能的に察していた。
――ヴァン、具合はどう?
(そうだ、俺、帰らなきゃ……)
ヴァンのゴールラインはここではない。
ヴァンの目的はこんな所にはない、それなのに。
このままでは自分も死ぬと、ヴァンの本能が警鐘を鳴らしていた。
我流で勘と力任せのヴァンの剣に対し、縁の倭刀術は年月と叡智を積み重ねて練り上げられたもの。
その奥義は、勝敗さえも覆す。
腹に巻き付けた薄刃乃太刀ごと両断される、自分の死による決着が見えてしまった。
――だから無事で帰ってきてね。
――行ってらっしゃい、ヴァン。
その可能性が見えていたから。
自分が帰らなければならない場所を見ていたから。
ヴァンは止まる事が出来た。
気付き、反応する事が出来た。
前へ、前へと突き進んでいた。
しかしその踏み込んだ足で全身に急ブレーキを掛ける。
攻撃から一転して踏み込みが浅くなり、振るった蛮刀が描く弧が歪に変形した。
そして――
▽
219 :
創る名無しに見る名無し
:2013/02/18(月) 23:03:53.89 ID:qDftePgh
220 :
創る名無しに見る名無し
:2013/02/18(月) 23:05:01.99 ID:PFa8cqYg
支援
221 :
創る名無しに見る名無し
:2013/02/18(月) 23:05:43.59 ID:qDftePgh
222 :
創る名無しに見る名無し
:2013/02/18(月) 23:06:40.42 ID:dC3heYJF
223 :
創る名無しに見る名無し
:2013/02/18(月) 23:07:11.11 ID:qDftePgh
224 :
永すぎた悲劇に結末を――彼女の名を知らず
:2013/02/18(月) 23:07:31.57 ID:fSSLJh1I
縁は止まらなかった。
目を閉じたままヴァンの勢いが弱まった気配を感じ取っても、それを好機としか捉えない。
「 虎 伏―――――――」
ヴァンの変調の理由が『第三者の足音』にあると気付いても、縁は止まらない。
邪魔が入ろうと、それごと斬るだけだ。
それを可能とするからこその『絶技』。
故に止まる理由はなく、渾身の奥義を放つ。
「―――― 絶 刀 ――」
だから、その時には既に止まれなくなっていた。
(これは――)
鋭敏になった五感のうちの嗅覚が『それ』を捉えた時には。
(この香りは……)
目蓋を閉じた、光のない世界。
自らの振るった刀が肉を裂き骨を断つ感触が腕に伝わってくる。
動脈から血の噴き出す音が聴こえてくる。
己の口内の血の味が濃く染み込んでくる。
溢れ返る血の匂いの中に、微かに混ざる懐かしい香り。
「――白梅……香――」
縁は目を開ける。
血糊で霞んだ視界に映り込んだのは、かつて見た景色。
「ぁ、あ、」
はぜる鮮やかな赤い血と、踊るように揺れる長い髪。
異なるのは、自身がその惨劇の当事者になったという事。
目の前にいる女の正面から斬り付けていた事。
ゆっくりと女の細い肢体が傾いていく。
その様を凝視しながら、縁の思考は過去へと埋没する。
「まさ、か、」
呆けたような声を漏らす縁めがけて蛮刀が突き出される。
腹を破られ、感じないはずの高熱と激痛が脳へと駆け抜けた。
狂経脈によって増幅された痛みが全身を貫いていく。
熱が、雪の日に凍て付いたはずの感情を溶かしていく。
十五年前に止まった時が動き出す。
225 :
創る名無しに見る名無し
:2013/02/18(月) 23:07:39.02 ID:nl92M5K4
sien
226 :
創る名無しに見る名無し
:2013/02/18(月) 23:08:13.07 ID:qDftePgh
227 :
創る名無しに見る名無し
:2013/02/18(月) 23:08:14.64 ID:PFa8cqYg
支援
228 :
永すぎた悲劇に結末を――彼女の名を知らず
:2013/02/18(月) 23:08:32.05 ID:fSSLJh1I
苦痛は現実のものとは思えなかった。
蛮刀が引き抜かれると共に血と内臓が溢れ、膝を着き、それでも視線は倒れ伏した血塗れの女に釘付けになったままだ。
女を斬れるようになれば、神谷薫を斬れるようになれば、姉は微笑ってくれると思った事もあった。
違う。
こんなものは、違う。
こんなものは。こんなものは。こんなものは。こんなものは。こんなものは。こんなものは。こんなものは。こんなものは。こんなものは。こんなものは。
……本当は、心のどこかで考えていた。
気付きながら気付かないふりをして、自分に嘘を吐いていた。
十五年前、姉と再会したあの日。
あの時見せた笑顔は縁の知らない、姉だけが知る感情から浮かぶ笑みだったのではないかと。
あの時見せた憂いの顔は縁の知らない、姉と抜刀斎だけが知る感情から浮かぶ悲しみだったのではないかと。
――なんでアイツをかばうんだよ!!
――アイツは姉ちゃんの敵だろ!!
――姉ちゃんから幸せを奪った憎き仇のはずだろォ!!!
そう叫んだ時、姉は否定しなかった。
あの男をかばっていると、姉は認めていた。
――オマエさえ…
――オマエさえ最初からいなければ……!
姉との再会の後、抜刀斎に叩き付けた憎悪の言葉。
抜刀斎が姉の許嫁・清里明良を斬らなければ。
……姉が、抜刀斎と過ごす日々の中で抜刀斎に情を抱かなければ。
死が二人を別つまで――姉は幸せになれたはずなのに。
そうだ、気付いていたのだ。
あの時浮かべた表情は――
あの惨劇の瞬間、縁が直視出来ずに離れてしまったあの場所で、姉が最期に抱いた想いは――
抜刀斎が斬ろうとしていたもの。
姉が守ろうとしていたもの。
復讐への執着が、憎悪が、憤怒が、薄らいでしまった今だからこそ胸を抉る。
縁は理解した。
思い知った。
あの雪の日、あの惨劇の時、姉と抜刀斎の間に何が起きたのか。
「う あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛! ! ! ! ! ! ! 」
叫びと共に血を吐く。
そうだ、あの時。
自分は逃げたのだ。
血に染まった姉と血濡れた刀を握る抜刀斎の姿を見ただけで。
抜刀斎を押しのけて姉に駆け付ける事をせず、あの場から逃げ出した。
姉の死から逃げた。
現実から逃げて、復讐に逃げ込んだ。
事実から、自分の弱さから、目を逸らした。
229 :
創る名無しに見る名無し
:2013/02/18(月) 23:08:49.09 ID:qDftePgh
230 :
永すぎた悲劇に結末を――彼女の名を知らず
:2013/02/18(月) 23:09:37.51 ID:fSSLJh1I
姉が抜刀斎を、抜刀斎が姉を真に愛していたのだと、本当は気付いていたのに。
人誅を理由に何もかもを踏み躙った。
そして自分を正当化してきた『姉の無念』が今、失われた。
盾に出来るものは何もない。
――人を殺めた罪は死という罰によってのみ償われる。
縁が抜刀斎に抱き続けていた思いが縁自身に跳ね返る。
上海で殺めた者達、自分が売り捌いた武器で死んだ者達、この会場で殺した者――自身の犯した罪が押し寄せてくる。
姉は微笑わない。
血に染まった手で掴んだものが正しいわけがない。
幸せな結果を生む事はない。
「神谷薫を殺せるようになれば」などという仮定が間違っている事もどこかで分かっていた、だから縁の中の姉は微笑わなくなった。
それまで微笑っていた姉の表情が悲しく沈んだのは、縁の心の内が反映されたからだ。
立ち止まる機会、気付く機会は何度もあった。
それでも後戻りは、出来なかった。
「姉さん……僕は、どう、すれば……」
痛みに呻き、のたうちながら考える。
あれが姉の望んだ結末だったのならば。
抜刀斎を真に想っていたというのならば。
自分はどうすれば良かったのか。
自分はどうすれば良いのか。
既に何もかも壊した後で、何もかも終わっている。
死んだ人間は戻らない。
ただ流れる血が地面を濡らしていく。
「どうすれ、ば……姉さ……」
「もう、いいだろう……縁……」
むせ返るような血の匂いに満ちた場で、倒れ伏した女の声が耳に届く。
血塗れの顔が姉のものと重なった。
今まで自分の都合で歪めてきた、姉の虚像。
「もう、いいんだよ……。
もう、終わりにしよう」
『もう、いいの……。
もう、終わりにしましょう』
姉が目を伏せる。
縁の母代わりとなって支え続けてくれた姉。
許嫁の仇すらも許してしまった雪代巴。
その悲しそうな表情に、謝らなければならないと思った
姉は「江戸へ帰れ」と言ったのに、自らの道を生きろと言ったのに、過去に囚われる道を選んだ。
過去に縛られ続けていた。
自分の人生を歩もうとはしなかった。
手を汚し、姉の望みに何一つ応えようとはしなかった。
「う、ぁ……」
謝罪の言葉は紡げない。
姉に対しても、他の全てに対しても。
一生を懸けても償えるか分からない罪――だが縁には既に時間がなかった。
全てを悔いながら死ぬしかない。
231 :
創る名無しに見る名無し
:2013/02/18(月) 23:09:52.87 ID:PFa8cqYg
C-EN...
232 :
創る名無しに見る名無し
:2013/02/18(月) 23:10:11.04 ID:qDftePgh
233 :
永すぎた悲劇に結末を――彼女の名を知らず
:2013/02/18(月) 23:10:23.57 ID:fSSLJh1I
咎人は藻掻き苦しみ絶望と後悔の中で死んでいく。
姉は最期まで微笑わない。
儚く悲しげなままだった。
今まで縁が手を汚し続けてきたから。
何の償いもしていないから。
縁自身が笑う事が出来ないから。
姉が微笑うはずがない。
『疲れたでしょ、縁。
だから、今は……今だけでも――』
だが縁は、知っている。
姉は笑うのが苦手な人だった。
いつも無表情でいる事が多かった。
それでも姉は。
姉はいつだって、誰よりも何よりも優しかった。
『――おやすみなさい、縁』
握り締めていた倭刀を手放す。
手に良く馴染んでいたはずのその刀はただの鉄の塊となり、乾いた音と共に転がり落ちた。
「……うん。
おやすみ、姉さん……」
もう血の匂いはしない。
芳るはほのかに白梅香――
【雪代縁@るろうに剣心-明治剣客浪漫譚- 死亡】
▽
234 :
創る名無しに見る名無し
:2013/02/18(月) 23:10:31.86 ID:dC3heYJF
235 :
創る名無しに見る名無し
:2013/02/18(月) 23:11:04.60 ID:qDftePgh
236 :
永すぎた悲劇に結末を――彼女の名を知らず
:2013/02/18(月) 23:11:05.33 ID:fSSLJh1I
車内から遠ざかって行くヴァンの背を見ながら、私は胸に焦りを抱えていた。
ヴァンと縁が殺し合う。
戦闘自体はこれまでに幾つも見てきたというのに、今回に限っては何故か強い焦燥を覚えた。
体が震えている。
やる事なす事全てが裏目に出て、もう嫌になったはずなのに。
自分が何をしたいのかも分からないのに。
このまま二人を戦わせてはいけないと、何かをしなければ必ず後悔すると、心が悲鳴を上げている。
だから私は今だけ、ペルソナを剥がす。
ヴァンの言葉に触発されて。
ヴァンの生き方に振り回されて。
意地を、プライドを、見栄を忘れて、愚かしくも真っ直ぐに見詰めれば自分の本心が分かるだろうかと。
私がルルーシュと共に過ごした時間。
詰めの甘い坊やのサポートをしたり、黒の騎士団の連中と会話したり。
カレン・シュタットフェルトを中心としたメンバーと行動を共にしていた事もあった。
そうした時間の中で、確かに希望を見出していた。
久しく忘れていた生を実感出来た。
ここでなら自分の“本当の望み”が叶うのではないかと、思えた。
その期待と執着があればこそ、私は今着るものに騎士団の制服を選んだのだろう。
私の望みは“私の存在が永遠に終わる事”。
けれど私の、本当の望みは。
本当は、ただ。
嘘を吐かれたくなかった。
労って欲しかった。
温かみが欲しかった。
……優しくされたかった。
愛されたかった。
愛されるギアスを欲しいままにして嫌気が差し、その報いまで受けたというのに、何も学んではいなかった。
私はただただ“魔女”の名に相応しく、我儘なだけだったのだ。
ただ黙って死ぬだけでは、満足出来なかった。
普通の人間のように喜んで。
普通の人間のように怒って。
普通の人間のように哀しんで。
普通の人間のように楽しんで。
幸せに、笑って死にたかった。
だから殺し合い開始直後にも首輪を爆破しなかった。
ヴァンを護衛にし、ルルーシュとの合流を目指した。
第一回放送で呼ばれたルルーシュの名に涙を流した。
ルルーシュが死んでからも生き続けて仲間を作った。
私を無条件に信じてくれたレナの言葉が嬉しかった。
私の命を容易に奪えるかも知れない首輪を解除した。
死にたくなかった――まだ死にたくない、こんな所で不幸に死ぬのは嫌だった。
それだけの事に意地を張って、見て見ぬふりをした。
弱いから。
Lとは、ヴァンとは、他の多くの参加者達とは違うから。
弱い自分を隠す為のペルソナが必要だった。
他人からも、自分からすらも、見えないように。
嘘のない世界を創る計画に賛同しながら、私はペルソナを――嘘を使い続けていた。
私は嘘が嫌なんじゃない、嘘を吐かれるのが嫌なだけだったんだ。
きっとV.V.も、シャルルも、マリアンヌもそうだったんだろう。
私達はずっと身勝手で、我儘で、分不相応で、おこがましい夢を見ていたんだ。
237 :
創る名無しに見る名無し
:2013/02/18(月) 23:11:35.80 ID:dC3heYJF
238 :
創る名無しに見る名無し
:2013/02/18(月) 23:11:59.17 ID:dC3heYJF
239 :
創る名無しに見る名無し
:2013/02/18(月) 23:12:05.47 ID:qDftePgh
240 :
永すぎた悲劇に結末を――彼女の名を知らず
:2013/02/18(月) 23:12:26.29 ID:fSSLJh1I
「車を、止めろ……」
考えているうちに車は戦場から随分離れた地点まで来てしまっていた。
それに私には何の力もない。
けれど――今ここで逃げても、私の望む未来は得られない。
ヴァンと縁の殺し合いを止めなければならない。
「それは出来ない、決して怖いからではなくここはクーガーさんと早く合流して助けを求めた方が全員の安全に繋がるという私の冷静な判断が、」
「私は止めろと言ったんだ、聞こえなかったかこの童貞男!!」
上田が顔に驚愕と絶望を織り交ぜた表情を張り付け、ハンドルを握った手を滑らせる。
車の進路が不自然な方向に傾き、速度が僅かに緩んだ。
それに乗じて私は走行中の車のドアを開けた。
上田が悲鳴のような声を上げるのも構わずに飛び降り、地面に叩き付けられる。
速度が落ちていたとは言え勢いは殺し切れず、コンクリートは固い。
私は何度も横転し、それから漸く停止した。
肘や膝、掌は擦りむいて血を流している。
痛みに顔を顰め、それから走り出した。
ヴァンと縁の間の因縁の種は私が蒔いた。
ショックイメージによって二人の過去を結び付けた。
殺し合いに乗る者と乗らない者というだけではない、互いに衝突し殺し合うしかない関係を作った。
ならばその殺し合いの芽を摘む役目は私が負わねばならない。
ルルーシュとマオを前にして引き金を引いた、あの時のように。
あの時私は――終わらせてやりたかった。
マオをあそこまで追い詰めてしまった自分の手で。
それが私の罪だから。
――好きだったよ、マオ。
――マオ、先に行って待っていろ。
――Cの世界で……。
縁の状況は完全に詰んでいる。
生存者十二人の顔ぶれは既に割れており、縁以外の全員が停戦を決めている。
あのシャドームーンですらもそこに含まれている。
縁が殺し合いを続けても、望みを叶える術はない。
だがそう伝えたところで縁は止まらないだろう。
そこに最愛の人間の蘇生の可能性がある限り、止まる事は出来ない。
だから私が止めに行く。
シャドームーンを相手にした時は、ヴァンの視力を犠牲にしようとした癖に。
圧倒的な力に屈して、ただ意地を張っていただけの癖に。
身勝手も我儘も承知だ。
そうとも、私は……C.C.なのだから。
私は私のやりたいようにやり、本当の望みを願い続ける。
車を止めた上田が呼ぶ声には振り返らない。
遥か後方に追いやられた戦場へ、走る。
息を切らして、足をもつれさせて、汗を流して、走って、走って、走った。
その結果がこれではお笑い種だな、と自嘲する。
241 :
創る名無しに見る名無し
:2013/02/18(月) 23:12:49.47 ID:qDftePgh
242 :
永すぎた悲劇に結末を――彼女の名を知らず
:2013/02/18(月) 23:13:06.66 ID:fSSLJh1I
戦場に戻ってヴァンと縁の姿を確認し、二人が今まさに決着を付けようとしているのだとすぐに分かった。
その結果、どちらかが――或いは両者が死ぬだろうという事も。
そして私はヴァンを庇うように、二人の間に割って入っていた。
ルルーシュと初めて接触した、シンジュクゲットーでギアスを授けたあの日のように。
ルルーシュを庇って銃弾を浴びた時のように、ヴァンの代わりに刀で斬られた。
脇腹から入った刀は斜めに突き上げられて肋骨ごと私の肺を破り、背骨もろとも心臓を二つに裂き、反対側の肺を半ばまで割ったところで停止した。
血が止めどなく流れていく。
余りの痛みに気が狂いそうだ。
気管が血に塞がれて苦しい。
初めての事のはずなのに、今、死が近くにあるのだと実感出来た。
それでも縁の方が先に逝ったのだから、流石は元不死者と言ったところか。
「おい、何で助けた……!」
「……さぁ、な」
珍しく動揺した様子を見せるヴァンに、適当に返す。
わざわざ守ろうとしたのは、ヴァンに対してルルーシュに似た『拾い物』の感覚を覚えていたからだろうか。
今までの習慣で一瞬、自分が不死ではなくなっている可能性を忘れていたからだろうか。
分からない。
私は再び仮面を被る。
本心は誰にも分からない。
だが――
――君はどうすれば英雄になれると思う?
――……そうだな、世界のために自らの命を犠牲にでもできたら、間違いなく英雄になれるだろうよ。
ふと、数時間前の会話を思い出す。
あの時は思い付いたままを口にした。
だが、その後に千草が『英雄』と呼んだ蒼嶋は、世界の為に犠牲になろうとしていたわけではなかった。
英雄の条件。
それは「他者がその者を英雄と認める事」だ。
だから東條は英雄ではない。
だから蒼嶋は英雄だった。
だから、そのバカさ加減に救われたと思っている自分にとって、ヴァンは英雄なのだろう。
そしてこんなバカが、きっとV.V.の『我儘』を台無しにするのだろう。
そう思うと少し、気分が良かった。
千草の最期がどこか満足気な表情だったのも分かる気がする。
それに「死なせたくない」と思ったのは偽りのない事実だ。
少なくとも私は、この結果に後悔していない。
「お前は……こんな所で、死ぬな」
ヴァンはそれに対し、素直に「分かった」と短く答える。
相変わらずの子供じみた受け答えに少しだけ安堵したが、私はここに来て未練を覚えた。
本当の望みに。
本当の願いに。
「名前……」
「あぁ!?」
「名前、呼べ……」
子供じみているのはどっちだ、と言いたくなるが……私はヴァンに求める。
たどたどしくシーツーと呼んだヴァンに「違う」と駄々をこねる。
「■■■■」
243 :
創る名無しに見る名無し
:2013/02/18(月) 23:13:16.50 ID:PFa8cqYg
支援
244 :
創る名無しに見る名無し
:2013/02/18(月) 23:14:00.38 ID:qDftePgh
245 :
永すぎた悲劇に結末を――彼女の名を知らず
:2013/02/18(月) 23:14:05.78 ID:fSSLJh1I
名前。
ルルーシュにすら、偶然聞かれてしまっただけで教えようとも思わなかった、私の本当の名。
今更、会ってたった一日しか経たない男に聞かせるようなものではない。
それでも私はどうしても、心細かったのだろう。
優しさを、人間らしさを渇望していたのだろう。
意味が分からないといった顔で呆けるヴァンに、私はもう一度「呼べ」と顎で指して促す。
ヴァンが言われるがままに口にする。
私は思わず肩を揺らして笑った。
「ダメだな、全然、ダメだ……坊やより、酷い」
咳き込んで、血を吐いて。
ヴァンが「喋るな」と言っても黙ってなどやらない。
優しさも。
素直さも。
労わりの心も足りない。
発音も怪しい。
何より温かみに欠ける。
ルルーシュに呼ばせた時の方がまだマシだったぐらいだ。
「……どうしろってんだ」
「もう、一度……今度はもっと、丁寧に……」
言い直させる。
その度に「違う」「もう一度」と注文を付けて、繰り返させる。
――いい名前じゃないか。
――C.C.よりずっと人間らしい。
「下手だ……何回やっても」
「……すみません」
不器用な丁寧語も相変わらずだった。
ヴァンにこんなものを期待した私が間違っていた。
それでも、このどうしようもなくお子様で不器用でバカな男の努力ぐらいは、認めてやってもいい。
そう寛大に受け入れられる程度には、私は満たされていた。
これまでの人生で渇き切った心を癒すには到底足りないが……今はこれぐらいで勘弁しておいてやってもいい。
「だが……悪くなかった」
それはきっと、私の歩んできた道への感想でもある。
悪くなかった。
嫌な事も、絶望する事もたくさんあったけれど、楽しい事だってあった。
こう言えば、まるで私が人並みの人生を送ってきたかのように錯覚出来た。
――雪は何故白いか知っているか?
――自分がどんな色だったか忘れてしまったからさ。
――C.C.、私はどうして雪が白いのかは知らない。
――しかし、白い雪は綺麗だと思う。
そうだ、後悔などない。
お前との出会いだって――
246 :
創る名無しに見る名無し
:2013/02/18(月) 23:14:50.05 ID:qDftePgh
247 :
永すぎた悲劇に結末を――彼女の名を知らず
:2013/02/18(月) 23:15:02.51 ID:fSSLJh1I
お前にとっては悲劇へ繋がる最初の一歩だったのかも知れない、それでも私は――
【C.C.@コードギアス 反逆のルルーシュ R2 死亡】
▽
目の前には、物言わぬ女の死体。
自分を庇い、自分の代わりに死んでいった女。
最期に「死ぬな」と言っていた。
その姿に、ヴァンは自らの婚約者の姿を重ねずにはいられなかった。
「エレナ……」
彼女の名を呼ぶ。
誰よりも、何よりも愛しい。
やっと見つけた大切なもの、守る事が出来なかった大事な存在。
瀕死の状態でヴァンに施術し、ヴァンの命を救って死んだ純白の花嫁。
「俺は、お前が好きだ。
愛してる、お前に夢中だ」
ヴァンは生きている。
生きているから、今も彼女を愛し続ける事が出来る。
彼女が再びヴァンの前に現れる事はないけれど、いつまでも何度でもヴァンは彼女への愛を叫ぶ。
「……あんたには感謝してる。
あんたのお陰で、俺はまたエレナを愛せるんだ」
血塗れの死体に語り掛ける。
この殺し合いで最初に出会った相手。
口やかましく、結局何を考えているのかは分からなかった。
「だけどあんたは死んじまったから、悪いがこの恩は返せない。
仇は一応、とっといたんだけどな」
ヴァンはテンガロンハットを手で押さえながら立ち上がる。
ちりん、とハットの端のリングがか細く鳴った。
「だから俺はせめて――あんたが言ったように、こんな所で死なない。
あんたのせいでこの殺し合いが始まったってんなら、俺があんたの代わりに全部終わらせてやる。
生きて、俺がやらなきゃならない事をする」
拾い上げた蛮刀を握り締める。
シャドームーン。
V.V.。
カギ爪の男。
自分が殺さなければならない者達の顔を想起する。
揺らぐ事なく、真っ直ぐに、自分の成すべき事を確かめる。
そして横たわる二人をそのままに、背を向ける。
視線はただ前へ。
ただ明日を見詰める。
▽
結局車を方向転換させ、エンジン音を気にしながらそろそろと戻ってきた上田は呆然としていた。
今までと同じく何も出来ず。
着いた時には全てが終わり、二つの死体が転がっていた。
248 :
創る名無しに見る名無し
:2013/02/18(月) 23:15:23.70 ID:qDftePgh
249 :
創る名無しに見る名無し
:2013/02/18(月) 23:16:22.08 ID:qDftePgh
250 :
永すぎた悲劇に結末を――彼女の名を知らず
:2013/02/18(月) 23:16:37.42 ID:fSSLJh1I
暫しC.C.の死体の傍らに佇んでいたヴァンが向きを変え、車の方へ歩いてくる。
掛ける言葉など見付かるはずがなかった。
不規則に煌めく原色のネオンと、寂れて明滅する街灯、微かな月明かりの中。
激しい戦闘によって巻き上げられた粉塵は、二つの亡骸とヴァンの上に静かに降り積もる。
テンガロンハットとタキシードの黒に対し、その色は白。
光を反射して煌めく細かな塵はどうしてか、降りしきる粉雪のように見えた。
【一日目/深夜/F−8 市街地】
【ヴァン@ガン×ソード】
[装備]:薄刃乃太刀@るろうに剣心-明治剣客浪漫譚-(先端部欠損)、ヴァンの蛮刀@ガン×ソード
[所持品]:支給品一式、調味料一式@ガン×ソード、ナイトのデッキ@仮面ライダー龍騎(一時間変身不能)、サバイブ(疾風)@仮面ライダー龍騎
[状態]:右目欠損、疲労(大)、各部裂傷と打撲
[思考・行動]
0:カギ爪の男に復讐を果たすためさっさと脱出する。生き残る。
1:V.V.を倒した後シャドームーンを殺す。
[備考]
※まだ竜宮レナの名前を覚えていません。
※C.C.の名前を覚えました。
【上田次郎@TRICK(実写)】
[装備]君島の車@スクライド、ベレッタM92F(10/15)@バトルロワイアル(小説)、ニンテンドーDS型探知機
[支給品]支給品一式×4(水を一本紛失)、富竹のポラロイド@ひぐらしのなく頃に、デスノート(偽物)@DEATH NOTE、予備マガジン3本(45発)、
上田次郎人形@TRICK、雛見沢症候群治療薬C120@ひぐらしのなく頃に、情報が記されたメモ、浅倉のデイパックから散乱した確認済み支給品(1〜3)、
銭型の不明支給品(0〜1)
[状態]額部に軽い裂傷(処置済み)、全身打撲
[思考・行動]
0:ヴァン達に協力する。
※水銀燈の遺体と真司の遺体が車内に置かれています。
※水銀燈、L、C.C.のデイパックが車内に置かれています。
※水銀燈のデイパック
支給品一式×10(食料以外)、しんせい(煙草)@ルパン三世、手錠@相棒、双眼鏡@現実、首輪×3(咲世子、劉鳳、剣心)、
着替え各種(現地調達)、シェリスのHOLY隊員制服@スクライド、農作業用の鎌@バトルロワイアル、前原圭一のメモ@ひぐらしのなく頃に、
カツラ@TRICK、カードキー、知り合い順名簿、剣心の不明支給品(0〜1)、ロロの不明支給品(0〜1)、
三村信史特性爆弾セット(滑車、タコ糸、ガムテープ、ゴミ袋、ボイスコンバーター、ロープ三百メートル)@バトルロワイアル
※Lのデイパック
支給品一式×4(水と食事を一つずつ消費)、ニンテンドーDS型詳細名簿、アズュール@灼眼のシャナ、角砂糖@デスノート、
情報が記されたメモ、首輪(魅音)、シアン化カリウム@バトルロワイアル、イングラムM10(0/32)@バトルロワイアル、おはぎ×3@ひぐらしのなく頃に、
女神の剣@ヴィオラートのアトリエ、DS系アイテムの拡張パーツ(GBA)、才人の不明支給品(0〜1)、ゼロの剣@コードギアス、
真司の確認済み支給品(0〜2) 、劉鳳の不明支給品(0〜2)、発信機の受信機@DEATH NOTE、カードキー、神崎優衣の絵@仮面ライダー龍騎
※C.C.のデイパック
支給品一式×4、エアドロップ×2@ヴィオラートのアトリエ、ゼロの仮面@コードギアス、ピザ@コードギアス、カギ爪@ガン×ソード、
レイ・ラングレンの銃の予備弾倉(60/60)@ガン×ソード、白梅香@るろうに剣心、確認済み支給品(0〜1)、S&W M10の弾薬(17/24)@バトル・ロワイアル
※C.C.の遺体の側にファサリナの三節棍@ガン×ソード、S&W M10(6/6)、縁の遺体の側に倭刀@るろうに剣心が放置されています。
※付近にレイ・ラングレンの銃@ガン×ソードと縁のデイパックが放置されています。
縁のデイパック
逆刃刀・真打@るろうに剣心、玉×5@TRICK、紐とゴム@現実(現地調達)、夜神月が書いたメモ、ルパンの不明支給品(0〜1)、、
菊一文字則宗@るろうに剣心、支給品一式
鷹野のデイパック(さざなみの笛@真・女神転生if...、魔力の香@真・女神転生if...、体力の香@真・女神転生if...、???@???、その他不明支給品)
251 :
創る名無しに見る名無し
:2013/02/18(月) 23:16:42.78 ID:dC3heYJF
252 :
創る名無しに見る名無し
:2013/02/18(月) 23:17:40.31 ID:qDftePgh
253 :
◆.WX8NmkbZ6
:2013/02/18(月) 23:17:40.62 ID:fSSLJh1I
投下終了です。御支援ありがとうございました。
誤字脱字、問題点等がございましたら御指摘戴ければ幸いです。
254 :
創る名無しに見る名無し
:2013/02/18(月) 23:17:52.31 ID:PFa8cqYg
支援
255 :
創る名無しに見る名無し
:2013/02/18(月) 23:25:33.21 ID:nl92M5K4
投下乙です!
C.C.に緑……ついに死んだか。今まで、よく頑張ったね……
ヴァンもヤバいと思ったけど、どうにか生き伸びましたか。本当、これからどうなるだろう。
256 :
創る名無しに見る名無し
:2013/02/18(月) 23:49:47.71 ID:qDftePgh
投下乙でした!
おお……縁とC.C.逝ったか……!
ヴァンとC.C.、ヴァンと縁の因縁にも決着がついていよいよ最終盤へと突入していこうとしているなぁ
そこでシャドームーンを含んだ組との関係で……!
そして縁もC.C.も綺麗な終わり方だった……これまでのことや原作を考えるともう……(´;ω;`)
改めて、投下乙でした!
257 :
創る名無しに見る名無し
:2013/02/19(火) 00:24:26.53 ID:FxEoyn5v
投下乙!
おおう……縁……
なんていうか、三者三様に依存してて、それに対する答えが出てるなぁ
絵面が綺麗で、もうね、すごいです。
258 :
創る名無しに見る名無し
:2013/02/19(火) 04:58:24.92 ID:DJo8BZkJ
馬鹿馬鹿言い合う馬鹿二人がすごくガンソでさ、そっから後の縁とC.C.の最後がるろけんでギアスでたまんねえんだよ
特にC.C.がヴァンに名前呼ばせるのが本当にやばかった
確かに棒読みかもで色々欠けてるかもだけど、でもさ、C.C.
ちゃんと、そいつ、あんたの名前覚えたから
安らかに眠ってくれや
259 :
創る名無しに見る名無し
:2013/02/21(木) 20:46:10.42 ID:EuUtmO5M
第四回放送を超えて更に二人脱落か…!
トラウマによる拒絶反応で今までできなかった「女を殺す」をここで達成してしまうとは
縁の時間は抜刀斎があの日姉・巴を斬り殺してしまうのを見てしまって以来時間が止まってるんだよなぁ
それで復讐を誓っていたというのに今度は自分が惨劇の当事者になってしまうとはなんたる皮肉
それでもマオと縁を重ねていたC.C.の言葉で少し救われたのが切ないな
C.C.に渡った白梅香をここできかせてくるのがニクいです
ちーちゃんのエピソードも出てきて嬉しいし、
人のぬくもりを求めていたC.C.がヴァンに自分の本当の名前を呼ばせるのが泣ける
ヴァンもエレナ一本でひたすらバカで愚直でまっすぐな男だなぁ
「……あんたには感謝してる。 あんたのお陰で、俺はまたエレナを愛せるんだ」の台詞がいいです
投下乙です!
260 :
創る名無しに見る名無し
:2013/02/23(土) 00:30:01.47 ID:IQxmlXw8
読んでみて気づいたが
シャドームーン戦で使った龍騎のストライクベントが
ディケイドが変身した龍騎の技に変わってるんだな
261 :
創る名無しに見る名無し
:2013/02/24(日) 04:22:51.14 ID:z1I1lBT4
投下乙
放置させてるデイバッグの???が気になるけど、なんで書き手さんはヴァンに拾わせなかったのかしら
262 :
創る名無しに見る名無し
:2013/02/24(日) 07:50:22.67 ID:uXQxbf6g
ヴァン(バカ)だからじゃね?
もとい、次の話でいくらでも補間可能だし問題ないとも思う
263 :
創る名無しに見る名無し
:2013/03/04(月) 01:25:48.14 ID:2vfsN6UP
671 名前:名無しさん 投稿日: 2013/03/04(月) 01:05:36 ID:tZ8bFyjY0
SSでなく支援絵ですが、規制されていましたので
もし良ければ以下の内容で代理投下よろしくお願いいたします。
3/3は雛祭り=女の子の日ときいて(絵はむしろバレンタインですが)
ttp://www20.atpages.jp/r0109/uploader/src/up0210.png
支援絵だあああああああ!!!!!
264 :
創る名無しに見る名無し
:2013/03/10(日) 22:03:14.01 ID:SkRerq0m
予約ktkr
265 :
創る名無しに見る名無し
:2013/03/11(月) 17:31:23.82 ID:lLFzjcOw
とっつぁんが……
266 :
創る名無しに見る名無し
:2013/03/13(水) 20:19:28.17 ID:6t09kPn1
死者スレェ…
267 :
創る名無しに見る名無し
:2013/03/13(水) 20:35:43.06 ID:4j2lMIGL
死者スレしんみりした
御冥福をお祈り申し上げます
268 :
創る名無しに見る名無し
:2013/03/13(水) 23:54:16.93 ID:OLBcvW17
これより代理投下を行います
269 :
聖少女領域/贖罪か、断罪か ◇ew5bR2RQj (代理投下)
:2013/03/13(水) 23:54:54.05 ID:OLBcvW17
後藤との戦闘を終えたクーガーは、上田の運転する車を追い掛けた。
というより、それ以外の選択肢は無かったのだ。
脚部にアルターを装着し、夜空の下を駆けようとして止まる。。
彼らの行き先を知らないことに気付いたのだ。
別れ際に聞いておけばよかったと唸るが、過ぎ去ったことを気にしても仕方がない。
虱潰しに探すしかないかと肩を落とした瞬間。
地面が大きく揺れ、遠方で夜闇を照らすほどの爆発が起こる。
そこで戦闘が行われていることは、もはや疑いようがない。
それもあの規模の爆発が起こるような激戦が、だ。
シャドームーンと真司達が戦っている。
そう確信したクーガーは、勢いよく地面を蹴った。
一刻も早く、援護に駆け付けなければならない。
その思いの下、全速力で走る。
だが、その努力も虚しく、走り続ける途中で振動や爆音は止んでしまった。
それでもクーガーは足を止めない。
真司や翠星石達の無事を祈りながら、ひたすら走り続ける。
走って、走って、走り続けて。
ようやく辿り着いた場所は、あまりにも閑散としていた。
駆け抜けてきた薄汚い路地から察するに、本来ならばここもアスファルトが続いているはずだろう。
打ち捨てられたビルや、目障りに光り続けるネオンがあるはずである。
しかし、ここには何も無い。
この一帯だけ削り取られたように、意味のあるものが存在しない。
存在するのは、焼け焦げた地面と無数に散らばる瓦礫。
まるでロストグラウンドの崩落地域である。
故郷の残滓を感じさせる土地だが、懐郷の念は抱かない。
散乱する瓦礫の中でも、とりわけ大きな瓦礫。
その上に腰掛ける銀の鎧姿。
外見の特徴から、それがシャドームーンであることはすぐに察した。
一瞬、嫌な予感が脳裏を過る。
だがシャドームーンの逆位置に見覚えのある顔触れが揃っているのを見て、クーガーは胸を撫で下ろした。
撫で下ろして、疑問を抱いた。
――――なんで、シャドームーンとあいつらが一緒にいるんだ?
距離はあるものの、互いに危害を加えようとする様子はない。
これでは彼らがシャドームーンと協力関係にあるようではないか。
いまいち状況を掴むことができないため、座り込んでいる集団へと近づいていく。
すると接近に気付いたのか、純白の学ランを着込んだ少年が立ち上がった。
「貴様がストレイト・クーガーか」
「そうだが……アンタは?」
「失礼した、私は狭間偉出夫だ」
やはりか、と脳内で呟く。
先の情報交換で得た情報と狭間の容姿はあまりに似通っていた。
「狭間? 俺はそいつを危険人物だって聞いてるぜ」
同時に、危険人物でもあると。
「狭間さんは危険人物なんかじゃありません!」
狭間の背後にいたつかさが捲し立ててくる。
穏やかな性格の彼女の発した大声に、クーガーは気圧されてしまう。
270 :
聖少女領域/贖罪か、断罪か ◇ew5bR2RQj()
:2013/03/13(水) 23:56:21.36 ID:OLBcvW17
「誰に吹き込まれたか知らないけど……狭間は信頼できるよ」
続いたのは、総合病院の時よりも幾分か萎びた顔の北岡。
奥の方で座り込んでいるジェレミアが無言で頷く。
彼らの様子を見て、クーガーは情報の出処が水銀燈だったことを思い出す。
「疑って悪かったな」
「気にするな」
そう告げる狭間の表情は、だいぶやつれているように見えた。
「つばささん、南岡さん、ジェロニモさん、まずは無事で良かったです」
互いの無事を祝うための一言。
会話に切り込むための常套句。
多くの命が潰えているとはいえ、知り合いの無事は喜ばしいことだろう。
「つばさ……?」
「ジェロニモ……?」
「南岡……?」
――――名前が間違ってなければの話だが。
「えっと……それってもしかして私達のことですか?」
「ジェしか合ってないではないか」
「俺なんか一文字増えてるんだけどさ、もしかしてわざとやってる? 絶対わざとやってるよね?」
呆れたようにクーガーを見る三人。
「ハハッ、すいません」
彼らに対し、クーガーは乾き笑いを浮かべた。
「そんなことよりも、ここで何があったか教えてくれないか?
というより、なんであいつがいるんだ?」
クーガーが指差した先にいるのはやはりシャドームーン。
右腕が欠損し、装甲は所々剥がれ落ち、そうでない箇所も焼け焦げている。
生きている事すら不思議な重症だが、纏う空気は一流の武人のそれだ。
幾多の死線を潜り抜けてきたクーガーですら、安易に近付く気にはなれなかった。
「それは――――」
「ここは俺が説明するから、狭間は休んでなよ」
狭間が口を開いた瞬間、軽い口調で北岡がそれを遮る。
だがそれもどこか痛々しく、空元気だと察するのは容易だった。
「そうか、頼む」
疲れ果てたように座り込む狭間。
彼の様子を見て、これから北岡が語る出来事が決していい話ではないとクーガーは確信した。
「城戸が……翠星石さんに……」
北岡の口から語られたシャドームーンとの戦闘の顛末は、クーガーにとってあまりに予想外であった。
271 :
創る名無しに見る名無し
:2013/03/13(水) 23:56:24.38 ID:Y/AlzAif
272 :
創る名無しに見る名無し
:2013/03/13(水) 23:56:56.04 ID:Y/AlzAif
273 :
創る名無しに見る名無し
:2013/03/13(水) 23:57:20.54 ID:mqhd7uAe
代理投下の大役を取られた!? この俺が遅い!? この俺がスロウリィ!?
ありえなああああい支援!
274 :
創る名無しに見る名無し
:2013/03/13(水) 23:57:37.91 ID:6t09kPn1
支援
275 :
聖少女領域/贖罪か、断罪か ◇ew5bR2RQj.(代理投下)
:2013/03/13(水) 23:57:43.30 ID:OLBcvW17
――――城戸真司が翠星石に殺された。
殺し合いが始まった頃からずっと一緒にいた二人。
出会いは最悪であったが、彼らの間に確かな絆があったのはクーガーの目からも見て取れた。
出来ることならば、彼らが共にここから脱出できることを祈っていた。
あまりに残酷過ぎる終点。
ここに至るまで多くの死別を体験してきたクーガーでも、胸の内を掻き毟られるような痛みを覚えた。
「私がもう少し早く治療魔法を使っていれば……」
「いや、アンタが悪いわけじゃないさ」
北岡が齎した情報はこの一件以外にも色々とあった。
その中の一つが、目の前にいる狭間偉出夫という少年。
優れた頭脳を持ち、多彩な魔法を使い熟す。
性格には癖があるものの、非常に頼りになる仲間だということだ。
彼が知る中でも最上級の治療魔法を施しても、真司の死を止められなかった。
どの道、彼の死は避けられなかったということである。
「それよりも心配なのは、翠星石さんの方だ」
真司の死は非常に痛ましいが、それ以上に不安なのは翠星石である。
あれから眠り続けたままだが、起きた時に一悶着あるのは想像に難くない。
「翠星石、ねぇ……」
翠星石の名前を聞き、露骨に顔を顰める北岡とジェレミア。
「……やっぱり、そういう反応になっちゃいますか」
「わざとじゃないのは分かってるんだけどねぇ」
「散々場を荒らしたのだ、当然だろう」
やんわりと苦言を呈する北岡に、ピシャリと言い放つジェレミア。
どちらも翠星石を疎んでいるのは同じである。
狭間が苦心の末に取り付けたシャドームーンとの停戦協定。
最終的に締結したものの、彼女の乱入で破談寸前まで陥った。
その挙句に真司を殺したとなれば、嫌悪感を抱くのも当然だろう。
「今は眠っているが、目覚めたらどうなるか」
背後に目配せをするジェレミア。
瓦礫の影に隠れるように、豪華な装飾の施されたトランクケースが置かれている。
気絶した彼女はその中で眠っているが、いつ目覚めてもおかしくない。
起きた瞬間にシャドームーンを襲撃されたら、取り付けた停戦協定が破談になってしまう。
故に視界にシャドームーンが入らないように配置し、交代で見張っているのだ。
「さっきまでは翠星石しかnのフィールドに入れないと思ってたけど、今はシャドームーンも居るからなぁ
はっきり言っちゃうと、翠星石を仲間にする意味も無いんだよね
あいつがシャドームーンと手を組むとも思えないし」
当初の彼らの目的は、唯一主催陣営に乗り込む手段を持つ翠星石の保護だった。
しかしシャドームーンも同じ能力を所持している上、翠星石の希少性は大きく薄れる。
今や彼女も立派な危険人物であり、シャドームーンと大差ない。
彼らの一方としか協力できない場合、もう一方は不要な存在と化すのだ。
276 :
創る名無しに見る名無し
:2013/03/13(水) 23:58:04.61 ID:mqhd7uAe
支援
277 :
創る名無しに見る名無し
:2013/03/13(水) 23:58:24.51 ID:6t09kPn1
支援
278 :
創る名無しに見る名無し
:2013/03/13(水) 23:58:30.01 ID:Y/AlzAif
279 :
創る名無しに見る名無し
:2013/03/13(水) 23:59:01.66 ID:Y/AlzAif
280 :
聖少女領域/贖罪か、断罪か ◇ew5bR2RQj.(代理投下)
:2013/03/13(水) 23:59:11.53 ID:OLBcvW17
「随分と翠星石さんのこと根に持ってるんですね」
「当たり前じゃない、あいつは城戸を殺したんだよ?」
悟ったように語り掛けるクーガーに対し、北岡は僅かに語調を荒げる。
「アンタが城戸のことでそんなに怒るなんて意外だな」
「え?」
「いやぁ、アイツから北岡さんとは敵対してたって聞いてたもんですから」
北岡の口がぽかんと開く。
厳密には以前敵対していたであったが、仮面ライダーである以上は敵同士だったのは間違いない。
にも関わらず、北岡は真司の死を随分と根に持っているように見える。
「さぁね」
一言残してそっぽを向く北岡。
その反応が可笑しく、クーガーの顔からは自然と笑いが溢れていた。
「た、大変です! 翠星石ちゃんが!」
つかさの大声で、崩れた表情が引き締まる。
「翠星石ちゃんが目を覚ましました!!」
☆ ☆ ☆
目を覚まして最初に目に入ったのは、見覚えのない少女の横顔だった。
彼女の目線を追うと、これまた見覚えのない男が三人いる。
状況が理解できずに首を傾げていると、真っ白な服に身を包んだ痩せ型の少年が近づいてきた。
「起きたか?」
服と同じように青白い肌をした少年を見て、翠星石は桜田ジュンを思い出す。
しかし、ジュンのような温かみは感じない。
幽霊のように不気味な顔を直視することができず、彼女は顔を逸らす。
その先に居たのは先程の少女。
大きなリボンを揺らしながら、心配そうに彼女を覗き込んでくる。
面識がないので無視。
再び視線を逸らして、今度は二人組の男が目に入った。
「ッ!?」
二人の表情を見て、彼女は思わず俯いてしまう。
蔑むような視線。
少年や少女と違い、二人組の男は明確な敵意を放っている。
「翠星石さん!」
居心地の悪さに震えているところに助け舟。
聞き覚えのある声を聞き、翠星石は顔を上げる。
そこには想像通りの人物がいた。
281 :
創る名無しに見る名無し
:2013/03/13(水) 23:59:34.66 ID:mqhd7uAe
支援
282 :
創る名無しに見る名無し
:2013/03/13(水) 23:59:54.68 ID:Y/AlzAif
283 :
創る名無しに見る名無し
:2013/03/14(木) 00:00:20.17 ID:mqhd7uAe
支援
284 :
聖少女領域/贖罪か、断罪か ◇ew5bR2RQj.(代理投下)
:2013/03/14(木) 00:00:26.49 ID:0jsx1wpu
「クーガーじゃないですか!」
二時間ほど前、後藤の奇襲で殿を務めた男・ストレイト・クーガー。
シャナとの戦闘から行動を共にしており、絶大な信頼を置ける仲間だ。
鞄から出ると、脇目もふらずにクーガーの下に駆け寄る。
「無事だったんですね! 良かったです……」
「え、えぇ、なんとか」
クーガーの足元に辿り着くと、彼を盾にするように背後に回る。
歯切れの悪い返事であるが、彼女が気付いた様子はない。
「あんな化け物にたった一人で勝つなんてさすがはクーガーです!」
「あの、翠星石さん」
「翠星石も鼻高々ってやつですよ!」
「聞いてますか?」
クーガーに喋る暇も与えず、翠星石は捲し立てる。
「ところでクーガー、一つ聞いていいですか?」
「何でしょうか?」
狭間達を見回し、きょとんとした顔を浮かべる翠星石。
「こいつら誰です?」
空気が凍りつく。
呆然としていた少年達の顔が、驚愕一色に染まっていく。
再び訪れる居心地の悪さに、翠星石は辺りを見回す。
クーガーですら同じ顔をしていた。
「貴様、何を言っているのだ?」
二人組の男の一人――――橙色の仮面をした男が一歩前に出る。
「なに言ってって……翠星石はお前らなんか知らねーです」
「ふざけているのか!?」
「ひっ」
仮面の男の怒鳴り声が響き渡る。
その声に怯えた翠星石は頭を引っ込め、クーガーの背後へと隠れた。
「ク、クーガー……あいつ、怖いです!」
「そうですねぇ、ジェロニモさん、女性相手に怒鳴るのは駄目でしょ――」
「真司? 真司は何処ですか!?」
絶句する一同。
沸騰しつつあった空気が、瞬く間に凍り付いていく。
「お前……ホントになに言ってんの?」
「だから真司は何処かって聞いてるんです! なんで真司がいないんですか!?」
引き気味の北岡を無視し、翠星石は大声で喚き散らす。
忙しなく首を動かし、真司の姿を探し続ける。
誰も言葉を挟むことはできない。
縋るように喚く翠星石を、呆然と眺め続けている。
285 :
創る名無しに見る名無し
:2013/03/14(木) 00:00:42.81 ID:ZDzqA3AZ
支援
286 :
創る名無しに見る名無し
:2013/03/14(木) 00:01:15.58 ID:OZhKz7zY
支援
287 :
創る名無しに見る名無し
:2013/03/14(木) 00:01:32.75 ID:ZDzqA3AZ
支援
288 :
聖少女領域/贖罪か、断罪か ◇ew5bR2RQj.(代理投下)
:2013/03/14(木) 00:01:46.55 ID:0jsx1wpu
「何処! 何処にいるんです!? 真司!」
許容量の限界を越える出来事があった時、人間はその記憶を封じ込めて精神の安定を図るという。
俗にいう記憶喪失。
忘却の彼方で眠ることで、幻の幸せに身を委ねるのだ。
翠星石は人間では無いが、ローゼンメイデンは人間以上に繊細に作られている。
この一日で姉妹や仲間との死別を数えられないほど経験し、その末に真司を殺してしまった。
その重責に耐えることができず、彼女は気絶する直前の記憶を封印してしまったのである。
「城戸はお前が殺したんだろ!」
だが、そんな事情は他人に関係ない。
翠星石の態度に苛立ったスーツの男が、背けていた事実を突き付ける。
「はぁ?」
スーツの男の言葉を受け、翠星石の挙動が止まる。
「翠星石が真司を殺した? ふざけたこと抜かすのも大概にしやがれです!」
しかし、認めない。
スーツの男を睨み上げ、事実から顔を背け続ける。
彼女が決してふざけている訳ではないと察したのか、男は二の句を継ぐことができない。
「黙るってことは適当なこと言ったですね! 次に同じことを言ったらその口を縫い付けて――」
「翠星石」
大声で叫び続ける翠星石を見かねて、最初に話しかけてきた不気味な少年が前へと出る。
「私は狭間偉出夫、ストレイト・クーガーの仲間だ
今から言うことが全て本当のことだということを踏まえた上で、私の話を聞いて欲しい」
幼子に接するように丁寧な口調で前置きを述べる狭間。
だがその奥にあるのは、有無を言わさずといった無言の圧力。
尋常ではない様子を感じ取ったのか、翠星石は怯えるように後退りを始める。
「君が探している城戸真司はいない。彼は死んだ。君が――――殺したんだ」
翠星石の目を見据え、悼むように狭間は告げる。
「な、なに言ってるですか……なんで翠星石が真司を殺す必要が――」
『やあ、皆』
翠星石の言葉を遮るように、支配者の声が空から降り掛かる。
禁止エリアと死者を告げる放送。
事実から目を背け続ける少女を嘲笑うように、支配者は言葉を並べていく。
『城戸真司』
そして、呼ばれる。
ずっと一緒にいた仲間の名が。
死者を告げる目的の放送で、城戸真司の名が呼ばれる。
つまり、その意味は――――
――――てめーさえ死ねば、全部片が付く話です
身に覚えがないはずなのに、記憶の中の翠星石はシャドームーンと対峙している。
自身の内側に眠る太陽のような力を過信し、たった一人で暴君に立ち向かおうとしている。
289 :
創る名無しに見る名無し
:2013/03/14(木) 00:02:30.12 ID:6t09kPn1
支援
290 :
聖少女領域/贖罪か、断罪か ◇ew5bR2RQj.(代理投下)
:2013/03/14(木) 00:02:59.73 ID:0jsx1wpu
――――止めろ翠星石!!
周りには大勢の人がいた。
ヴァンやC.C.といった仲間の他に、狭間と名乗った少年や仮面の男の姿も見える。
真司も、いる。
「い、や」
彼女は、その記憶を知っている。
思い出してはいけないと、脳が警鐘を鳴らしている。
それでも記憶は溢れてくる。
手で押さえ付けても、指の隙間から漏れ出てくる。
――――死にやがれですっ!!!
周囲の制止を振り切り、翠星石はシャドームーンに攻撃を仕掛ける。
真紅から受け継いだ薔薇の花弁を発射し、ジャンクのように傷だらけの鎧を穿とうとする。
だが、花弁はシャドームーンに命中しなかった。
「いや……」
薔薇の花弁が、真司の頭部を通り抜けていく。
頬を剥ぎ取り、顎を砕き、首元まで抉り取っていく。
「いや、イヤ……」
そうだ、城戸真司は。
今までずっと一緒にいた城戸真司は――――
翠星石が、殺したんだ。
「イヤアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアッッッ!!!!」
記憶と現実が重なる。
二重の悲鳴が脳内で響き渡り、彼女に現実を知らしめる。
嗚咽を漏らし、狂乱し始める翠星石。
心が許容できないと判断した事実を思い出したのだ。
惨劇は鮮明に再生され、最初に経験した時と同様の衝撃を齎す。
「アアアアアアアアアアアアアアアアァァァァァァァァァァッッッ!!!!」
それでも忘却は許されない。
気絶することもできず、激闘の末に残った死は彼女の精神を蝕んでいく。
頭を押さえ、翠星石は狂ったように叫ぶ。
狂うことができないまま、現実を噛み締めて叫び続ける。
「ッ!!??」
視界の隅で何かが月光を反射する。
振り向いた先にあったのは銀の鎧。
憎き仇敵、シャドームーン。
291 :
創る名無しに見る名無し
:2013/03/14(木) 00:03:13.33 ID:OZhKz7zY
支援
292 :
創る名無しに見る名無し
:2013/03/14(木) 00:04:09.93 ID:aW8fvm21
支援
293 :
創る名無しに見る名無し
:2013/03/14(木) 00:04:20.42 ID:OZhKz7zY
支援
294 :
聖少女領域/贖罪か、断罪か ◇ew5bR2RQj.(代理投下)
:2013/03/14(木) 00:04:27.13 ID:0jsx1wpu
「シャドームゥゥゥンッッ!!!」
弾けたように駆け抜ける翠星石。
黒翼で加速し、庭師の鋏を構える。
それらを一瞬で行った後、遠くの瓦礫に腰掛けているシャドームーンへと突進した。
「ッ!」
だがその動きは唐突に停止する。
シャドームーンの射線上に狭間が立ち塞がったことで、停止せざるを得なかったのだ。
「そこを退けです! 私はあいつをぶっ殺してやらなきゃいけないんです!」
「シャドームーンに危害を加えることは許さん!」
「お前が交わした契約があるからですか!?」
「そうだ、シャドームーンとは契約を交している、主催を潰すまでは互いに危害を加えない『王の契約』だ」
王の契約。
魔人皇と世紀王が王の名の下に取り付けた契約。
V.V.を始めとした主催陣営を倒すまで、互いに一切合財の危害を加えることを禁じる。
狭間がシャドームーンの首輪を解除する代わり、シャドームーンは狭間と協力して主催陣営を潰す。
そしてそれを終えた後、残った面子でシャドームーンと決着を付ける。
「そんなもの翠星石は一言も賛成などしてないです!」
「お前の気持ちは痛いほど分かる。私もシャドームーンを許す気などない。主催を倒したら必ずあの男を殺す」
「お前の許す許さないなんかはどうでもいいんです! とにかくアイツと協力できるわけなんかないです!」
あくまで理論的に説得する狭間に対し、翠星石は感情論を振り翳す。
本人すらも御しきれていない感情を、他人である狭間が理解できるはずがない。
「C.C.も言っていただろう。シャドームーンと同盟を結べば、奴が齎す被害を主催の連中に押し付けられると」
「だから何度も言ってるじゃないですか! あいつが約束を守るはずがないって!」
「シャドームーンは約束を守る、この私が保証する!」
「お前の保証なんか知ったこっちゃないです! 何度も同じこと言わせるなんて馬鹿ですかお前は!」
彼らの言葉の応酬は、やがて説得から口喧嘩へと形を変えていく。
もし狭間の交渉術が本当に意味で熟成していれば、彼女の説得も可能だったかもしれない。
しかし数時間前まで彼は魔神皇であり、他者とのコミュニケーションは苦手であった。
特に女性は天敵である。
支離滅裂な感情論を振り翳す翠星石は、既に狭間の手に負える存在ではない。
「ストップ」
苦戦する狭間を見兼ねたのか、今まで静観していたスーツの男が一歩前へ出る。
「頑張ってるとこ悪いけどさ、俺に交代してもらえないかな?」
「だが、翠星石は私が何とかすると……」
「はぁ、ホントに糞真面目だねぇ、でももしお宅が頑張りすぎて倒れたらシャドームーンが契約無効とか言い出すかもよ?」
「しかし……」
「このまま続けても、翠星石が折れるとは思えないよ」
選手交代を渋る狭間に対して、早口で捲し立てるスーツの男。
翠星石は知らないが、この男は元の世界では白を黒に変えると謳われた敏腕弁護士だ。
悪どい方法も当然使うものの、弁護の世界とは舌戦が本分である。
感情的になる相手も多く見ており、交渉なら狭間より適任と言えた。
295 :
創る名無しに見る名無し
:2013/03/14(木) 00:05:03.65 ID:6t09kPn1
支援
296 :
創る名無しに見る名無し
:2013/03/14(木) 00:05:46.55 ID:0jsx1wpu
「スマン、任せる」
「いいって、ゆっくり休んでなよ」
背を向け、肩を落としながら、狭間はその場に座り込む。
代わりに前へ出たのはスーツの男。
「えっと、翠星石だっけ?」
「……なんですかお前は」
「そういやちゃんとした自己紹介はまだだったっけ、俺は北岡秀一、そっちが女の子が柊つかさで、向こうにいる怖そうなのがジェレミアだよ」
ここに来て、翠星石はようやくこの場にいる全員の名を知る。
――――しかし、ここで自己紹介したのは致命的な失敗だった。
「……北岡?」
聞き覚えのある名前。
今から数時間前、総合病院で行った情報交換で何度か出た名前。
よくよく振り返れば、警察署でも頻出した名前だ。
首を上げれると、山の方では未だに炎が広がり続けている。
「そうか……お前が北岡ですか」
「あれ、何処かで会ったことあったっけ?」
「蒼星石や水銀燈を遠くから襲った卑怯者が随分とデカイ口叩くじゃねーですか!」
北条悟史が拡声器を使用したことが発端となった乱戦。
終焉の狼煙を上げたのは、北岡が所持するゾルダのエンド・オブ・ワールドであった。
無論、本当の下手人は彼ではない。
ゾルダのデッキを奪い取ったレイ・ラングレンである。
しかしレイがエンド・オブ・ワールドを発射する時、浅倉が北岡の名前を叫んだ。
それがその場に居たものに定着し、誤情報として各地に広まっていた。
廻り回って、その情報が翠星石の耳にも入ったのである。
「はぁ? なに言ってんの」
「惚けるんじゃねーです! 蒼星石や水銀燈から聞いてるですよ!
最初の放送が始まる前に北岡って奴にあそこで襲われたって!」
今も燃え盛る山を指差し、翠星石は言葉を叩き付ける。
「そんなこと俺はしてないよ! 誰かの勘違いじゃ――――っ!!?」
ここで北岡も思い出す。
第一回放送直前に山岳方面でエンド・オブ・ワールドが発動されたことに。
総合病院で散々詩音に罵られた一件だ。
「ゾルダのデッキはずっと奪われてたんだ、だから俺じゃない」
「口ではどうとでも言えるです
それに真司も言っていたですよ、昔のお前に遠くから襲われたって!」
真司と北岡は最初は敵対していたものの、時間を重ねていくにつれて共闘することも多くなった。
それでも最初の頃に敵対していた事実は変わらない。
真司に悪気があったわけではないが、彼は北岡のことを舌先三寸で上手く誤魔化すような奴であると告げていた。
297 :
創る名無しに見る名無し
:2013/03/14(木) 00:05:56.02 ID:OZhKz7zY
支援
298 :
創る名無しに見る名無し
:2013/03/14(木) 00:06:38.29 ID:ZDzqA3AZ
支援
299 :
聖少女領域/贖罪か、断罪か ◇ew5bR2RQj.(代理投下)
:2013/03/14(木) 00:06:50.14 ID:0jsx1wpu
「それは昔の話だよ!」
「一度でもそれをしてたのが問題なんです!」
警察署を出る寸前、真司は今の北岡がそんなことをしないとも言っている。
が、そもそも騙し討ちをしていた時期があったことが問題なのだ。
総合病院で考察をした際、Lが参加者ごとに時間軸が違う可能性があるのを述べた。
今の真司と北岡が同じ時期から参戦しているとは限らないのだ。
その証拠に、上田次郎から北岡を異常に怖がっていた少年がいたという話も聞いている。
「北岡さんは絶対にそんなことしません!」
「このパソコンには参加者事の詳細な行動記録が――――」
「黙るです! お前達が用意したものなんて信用できないです!」
雲行きが怪しくなったのを見て、つかさとジェレミアが加勢に入る。
だが翠星石は彼らの言葉に耳を傾けない。
今までの出来事で異常な精神状態下にあるため、新たな登場人物を信用することができないのだ。
元々先走りやすい性格であるが、普段の彼女ならもう少し冷静に物事を判断しただろう。
「それにジェレミア・ゴットバルト! C.C.からお前に追い回されたことがあるって聞いてるです!」
激情に駆られた翠星石は止まらず、今度はジェレミアに攻撃対象を移す。
「何時の話をしている、それは一年も前の話だ
貴様は寝ていたから知らないだろうが、その食い違いの話は既に終わっている」
「フンッ、どうですかね。……ん? そこのお前」
「えっと、私ですか?」
そして、つかさへと。
彼女の首から下を舐めるように見回すと、翠星石は歪に笑う。
「もしかしてお前、泉こなたや岩崎みなみと知り合いですか?」
「そうですけど……もしかしてこなちゃんやみなみちゃんと会ってるんですか!?」
「ええ、そりゃあもう随分とお世話になったですよ」
つかさのが着用していのは、こなたやみなみと同じ白いブラウスに赤いスカート。
彼女達が通う、陵桜学園の制服だ。
「泉こなたが逃げたせいで色んな奴が死にましたし、岩崎みなみに至っては南光太郎を殺したです」
心の内側から湧き出てくる悪意を抑えることができない。
事実を告げる度に瞳が潤んでいくつかさを見て、翠星石は胸が空くような気持ちを覚えた。
「こなたのせいで私の大事な妹が死んだんですよね〜
それに光太郎はとっても強い奴でしたから、あいつが生き残ってりゃ死ななかった奴もいたんじゃないですかね」
つかさの表情が、今にも泣き出しそうなところまで崩れている。
「仲間がこんな体たらくなら、お前も誰か殺したりしてるんじゃないですか?」
ついに翠星石は”禁句”に触れた。
300 :
創る名無しに見る名無し
:2013/03/14(木) 00:07:21.71 ID:ZDzqA3AZ
支援
301 :
聖少女領域/贖罪か、断罪か ◇ew5bR2RQj.(代理投下)
:2013/03/14(木) 00:07:39.64 ID:0jsx1wpu
「貴様、言わせておけば!」
我慢の限界を迎えたのはジェレミア。
軍靴をかつかつと鳴らし、拳を握り締めながら踏み出す。
僅かに恐怖を覚える翠星石だが、今の自分は以前よりも圧倒的に強い。
本気で喧嘩になれば、分があるのはこちら側だ。
「やめなよ」
激情するジェレミアを制したのは意外にも北岡。
右手を伸ばして進路を塞ぎ、ジェレミアを押さえ込む。
「しかしこいつは!」
「最初から乗り気じゃなかったけどさ、今はっきりと思ったよ」
憤怒の熱に染まったジェレミアとは違い、北岡が向けているのは冷たい侮蔑の視線。
氷のように冷えきっていて、暖かみなど欠片もない。
「翠星石とは協力できない。こいつが俺達に協力する気がないんだからどうしようもないよ」
「同感ですね。お前達と協力なんかこっちから願い下げです」
「ふーん、でもいいのか?」
翠星石の返事を聞くと、北岡が意地悪く笑う。
「俺達はもう全員が協力するって決めてるんだ、お前だけ仲間外れになるってことだけどその意味が理解できる?」
「何が言いたいんです?」
「もし俺達が脱出しても、お前は一人ここに取り残されるんだ」
「――さん」
「ああ、それともう一つ、もしシャドームーンに攻撃とかしたら俺達は全員でお前を攻撃するからね?」
「――岡さん!」
「それに――――」
「北岡さん!!」
鋭い言葉で胸を抉り続ける北岡を止めたのは、翠星石に侮辱された張本人であるつかさだった。
「私のことはいいですから……」
目尻に涙を溜めながら制止を訴えかけるつかさ。
彼女の言葉で冷静になったのか、北岡はバツが悪そうに辺りを見回す。
「ッ、ごめん……」
踵を返しながら、彼は短く呟いた。
「悪い、失敗した……」
数メートル先で腰を下ろしている狭間の下まで行き、彼は再び謝罪する。
「いや、いい」
北岡が座り込むのと同時に立ち上がる狭間。
暗い表情で歩いてくるつかさとジェレミアとすれ違い、彼は改めて翠星石の下へ向かう。
だが、それを塞ぐように対峙する影が一つあった。
302 :
創る名無しに見る名無し
:2013/03/14(木) 00:08:43.11 ID:ZDzqA3AZ
支援
303 :
創る名無しに見る名無し
:2013/03/14(木) 00:08:57.65 ID:OZhKz7zY
支援
304 :
聖少女領域/贖罪か、断罪か ◇ew5bR2RQj.(代理投下)
:2013/03/14(木) 00:09:42.78 ID:0jsx1wpu
「ここは俺に任せな」
そう告げるやいなや、狭間の返事も聞かずに翠星石の隣へと歩き出すクーガー。
困惑する狭間達を尻目に、彼は彼女の隣にある瓦礫へと座り込む。
北岡や狭間と違い、彼はこの場で唯一信用できる人間である。
それでも自分を説得するため赴いたのには変わりない。
自然と警戒心が湧き出てくる。
「翠星石さん」
「何ですか」
夜空を見上げながら、翠星石を呼ぶクーガー。
地面を見下ろしながら、クーガーに答える翠星石。
「無事でよかったです」
クーガーの口から出てきたのは、説得のための詭弁ではなく無事を祝う言葉。
身構えていたため、思わず力が抜けてしまう。
「……クーガーも……無事でよかったです」
だからなのか、彼女の口から漏れ出た言葉も彼の無事を祝うものだった。
たった一言だというのに、やけに口にするのが憚られた。
口にした瞬間、奇妙な感覚を覚える。
水分を失って乾き切った地面を如雨露で潤すような、そんな感覚だった。
「ええ、何とか」
「……真紅や水銀燈の仇を討ってくれてありがとうです」
「はい、後藤はしっかりと倒してきました」
「真紅や水銀燈もきっと喜んでるですよ」
何気ない会話なのに懐かしい。
壊れそうなほどの痛みが、胸を締め付けている。
「……よく、一人であいつに勝てたですね」
突風のように現れて、水銀燈とLを虐殺した後藤。
最初に戦った時、三人で挑んでも勝てなかったとクーガーは語った。
にも関わらず、どうして今回は一人で勝てたのだろうか。
「俺の方が速かった、それだけの話です」
返ってきた答えは単純明快。
何処までもクーガーらしい答えだ。
「いや、違うな」
その答えを、クーガーはあえて否定する。
「今回ばかりは、Lや他の奴の助けがなかったら勝てなかったかもしれないな……」
クーガーは右掌を広げると、慈しむように自身の胸部を擦る。
その仕草は彼に不似合いだと、翠星石は思った。
305 :
創る名無しに見る名無し
:2013/03/14(木) 00:09:46.08 ID:OZhKz7zY
支援
306 :
創る名無しに見る名無し
:2013/03/14(木) 00:09:50.46 ID:2gp9ftSn
sien
307 :
創る名無しに見る名無し
:2013/03/14(木) 00:10:39.19 ID:ZDzqA3AZ
支援
308 :
創る名無しに見る名無し
:2013/03/14(木) 00:10:52.86 ID:OZhKz7zY
何故支援を尽くさないのか!
309 :
創る名無しに見る名無し
:2013/03/14(木) 00:10:53.05 ID:JQfJOsLF
310 :
聖少女領域/贖罪か、断罪か ◇ew5bR2RQj.(代理投下)
:2013/03/14(木) 00:10:54.82 ID:0jsx1wpu
「……そうなんですか?」
「はい、そうです」
再び夜空を見上げるクーガー。
彼に続くように、翠星石も空を見上げる。
紅と翠の瞳が写したのは、黒夜の中で煌々と輝く満月。
その大きさは、彼女のちっぽけな身体を覆い尽くすほどに大きい。
「知ってますか? 月は自分で光ってる訳じゃないんです」
「そのくらい知ってるですよ、月は太陽の光を反射して光ってるんですよね?」
首肯するクーガー。
太陽のような恒星とは違い、月は自ら光を発することができない。
太陽光を反射することで煌めいているのである。
「それと同じです」
まるで独白のように、クーガーは静かに語り続ける。
「月と同じで、どんな生き物も一人じゃ生きられないんですよ」
「……何が言いたいですか?」
首を傾げる翠星石。
北岡との問答とは違い、今回は本当に意図を理解することができなかった。
「シャドームーンも同じで、一人じゃあ生きられないんです」
その言葉を聞いた瞬間、身体が沸騰したように熱くなる。
「お前も……クーガーですらも、アイツと協力しろって言うんですか!?」
怒轟を飛ばす。
真司や水銀燈と深く関わっていたクーガーだけは、彼らの無念を継いでくれると信じていたのだ。
「大体! あんな強い奴が一人で生きてけないわけないじゃないですか!」
「強いからこそ、一人じゃ生きていけないんです」
視線を逸らした先に居るのはシャドームーン。
瓦礫の上に鎮座する姿を、淡い月光が照らしている。
「いくら強くたって、一人じゃ意味はありません
敵や味方がいるからこそ、強さは初めて意味を持つんです」
どれだけの強さがあろうと、一人では意味を為さない。
戦う敵や守る味方がいてこそ、強さとは初めて発揮される。
「そんなの……そんなの私には関係ないです!」
言葉の意味自体は理解できる。
だが、そんなこと、翠星石には関係ない。
311 :
聖少女領域/贖罪か、断罪か ◇ew5bR2RQj.(代理投下)
:2013/03/14(木) 00:11:46.35 ID:0jsx1wpu
「翠星石さんだって同じです
いつまでも意地を張っていたら、貴女はいつか孤立してしまう
シャドームーンは俺達を敵に回しても生きていけるでしょうが……貴女はどうですか?」
クーガーの言葉を聞き、翠星石は閉口する。
現時点での生存者は十二人。
志々雄と縁を除けば、全員がシャドームーンとの共闘を掲げている。
つまりは翠星石の敵。
いつの間にか彼女と関わりの深かった者は全滅し、生存者の殆どは敵に回った。
ヴァンやC.C.や上田も共闘を掲げる以上、もはや相容れることはないだろう。
その中で唯一残ったのがクーガー。
もし彼すらも敵に回ってしまうのなら、味方は誰も居なくなってしまう。
「俺は孤立する貴女の姿は見たくない……協力できませんか?」
共闘はあくまで一時的なものであり、最終的にはシャドームーンも倒す。
それにシャドームーン同様、V.V.も許せない存在である。
効率を求めるのならば、共闘しない理由はない。
頭では理解することができる。
「シャドームーンは、新一やミギーや……水銀燈に酷いことしてるです」
だが、心では認めることができない。
新一やミギーの命を奪い、水銀燈の尊厳を踏み躙った者との協力は。
「それに、真司だって……ッ!」
咄嗟に真司の名前が出てしまう。
絶対に口に出さないようにしていたのに、とうとう漏れ出てしまった。
脳裏に蘇る惨劇。
翠星石の放った凶弾が、真司の顔面を通り抜けていく。
薔薇の花弁のように噴き出す鮮血。
昆虫のように藻掻く肢体。
「……城戸のこと聞きました」
重苦しい声色で一言。
それが罪を糾弾しているように聞こえ、翠星石は耳元に手を伸ばす。
「分かってます、わざとじゃないんですよね?」
そうして耳を塞ぐ寸前、クーガーの言葉が通り抜けていく。
「翠星石さんがアイツを殺そうとするわけがないじゃないですか、事故だったんですよね?」
先程とは一転して優しい声色。
引き裂かれた心を癒すように、クーガーの言葉が染み渡っていく。
「当たり前です! なんで……なんで翠星石が真司を殺さなきゃ……」
視界が歪んでいく。
翠の左眼から一滴の涙が零れ落ちる。
続いて、紅の右眼からも涙が溢れ始める。
312 :
創る名無しに見る名無し
:2013/03/14(木) 00:11:52.82 ID:ZDzqA3AZ
支援
313 :
創る名無しに見る名無し
:2013/03/14(木) 00:11:59.18 ID:OZhKz7zY
支援
314 :
聖少女領域/贖罪か、断罪か ◇ew5bR2RQj.(代理投下)
:2013/03/14(木) 00:12:43.09 ID:0jsx1wpu
「わざとじゃないんです……真司が急に前に出てくるから……」
「翠星石さんが城戸を殺す気が無かったことくらい、狭間さんも北岡さんもジェレミアさんも分かってます」
今まで彼女の罪を赦す者は居なかった。
クーガーの言う通り、狭間達も彼女に殺意が無かったことは承知している。
しかし、それを言葉にする者はいなかった。
「じゃあ! なんで! 翠星石は責められるです!?」
一番大切な仲間を殺した後、彼女を待ち構えていたのは侮蔑の視線。
無論、暴走した彼女に原因の一端があることは間違いない。
それを理解していても、頼れる仲間を失った彼女は心を痛め続けていた。
「頭では分かっていても、心では許せないんです
翠星石さんがシャドームーンを許せないように……」
「え……?」
「貴女なら、とっくにシャドームーンと組んだ方が得だと気付いてるのでしょう?」
図星だった。
先程、シャドームーンと共闘した方が効率的だと認識したばかりである。
「頭で分かっていても、心がシャドームーンを許すことができない
水銀燈さんや泉新一さんのことを思うと、シャドームーンを受け入れるわけにはいかないと思ってしまうんですよね?」
諭すように語り掛けるクーガーを見て、翠星石は素直に頷いてしまう。
喉を鳴らしながら、何度も何度も頷く。
「それと同じです。貴女に城戸を殺した責任が貴女に無いことは分かっていても、心では赦すことができないんです」
「じゃあ、どうすれば許してもらえるんですか!?」
頭では分かっていても、心では赦すことができない。
ならば、どうすることで罪を贖えるのか。
「ハハッ、そんなの簡単じゃあないですか」
笑い掛けてくるクーガー。
その悩みが馬鹿らしいとでも言うような明朗快活な笑み。
散々悩んでいるにも関わらず、どうして笑い飛ばすことができるのか。
彼の態度に怒りを覚えて、それを口に出そうとする。
「貴女自身がその答えになってるはずです」
口に出そうとして、止まる。
「劉鳳を殺した城戸と、貴女はこれまでずっと一緒にだったじゃないですか」
気付かされる。
悩み続けていた答えが、自分自身の中にあったことに。
315 :
創る名無しに見る名無し
:2013/03/14(木) 00:13:15.01 ID:OZhKz7zY
支援
316 :
創る名無しに見る名無し
:2013/03/14(木) 00:14:30.67 ID:JQfJOsLF
317 :
聖少女領域/贖罪か、断罪か ◇ew5bR2RQj.(代理投下)
:2013/03/14(木) 00:14:34.09 ID:0jsx1wpu
「あ……」
浸透していく言葉。
凍り付いた身体が、ゆっくりと溶けていく。
冷え切っていた手足に力が漲る。
震えていた肉体に熱が戻る。
心が、解き放たれる。
そうして、胸の奥底から蘇る。
――――なんで……なんで、劉鳳を殺したですか!?
出会いは最悪だった。
真司は劉鳳と戦闘を始め、その末に彼を殺害した。
最終的に誤解だったことが分かったが、それで劉鳳を殺した罪が消えるわけではない。
そう簡単に、赦せるわけがない。
――――お前ら! …………翠星石を庇ってくれたんですか?
それが切欠だった。
シャナによって振るわれる長槍。
その穂先が翠星石を貫く寸前、真司がそれを払い飛ばしたのだ。
そうして彼女を撃退し、気が付いたら一緒に歩き始めていた。
――――我が名はシャドームーン、次期創世王にして貴様らの命を終焉に導く者だ
立ちはだかる強敵。
世紀王・シャドームーン。
吹き荒ぶ雷光が、煌めく紅剣が、容赦なく襲い掛かる。
それでも翠星石が生き残ることができたのは。
真司が命懸けで護ってくれたからではないだろうか。
それだけではない。
警察署の惨劇を経て、翠星石はLの下を離脱することにした。
あの時はLが極悪人に見えたが、思い返せば彼も最善を尽くしていたのだろう。
警察署を出て行ったのはただの我儘。
蒼星石や右京の死をLに押し付けて、果たすべき責務から逃げたのだ。
でも真司は、我儘に付き添ってくれた。
本当はまだ休息が必要だったのに、自分の後ろを付いて来てくれた。
318 :
創る名無しに見る名無し
:2013/03/14(木) 00:14:57.39 ID:ZDzqA3AZ
支援
319 :
創る名無しに見る名無し
:2013/03/14(木) 00:15:42.46 ID:0jsx1wpu
――――お、俺なんか、あいつの悪趣味な剣ぶんどってお箸にしてやるからな!
――――正義。仮面ライダー龍騎……!
その後も、ずっと、ずっと、真司は一緒に居てくれた。
時には前に出て、守ってくれた。
時には後ろに下がり、励ましてくれた。
翠星石と真司の関係を考えたことがある。
仲間であることに間違いはないが、もう少し特別な関係でもいいだろう。
だが、相棒ではない。
おそらく彼の相棒は別にいる。
他にも色々な言葉を探したけれど、ピタリと合致する言葉は中々見つからない。
そうして、ふと思いついた言葉。
それは『兄妹』だった。
離れたくても離れられない関係。
時には傷つけ合い、時には守り合う関係。
城戸真司という人間は、翠星石にとって他の姉妹達と同様に特別な存在になっていた。
真司という『兄』の背中を、翠星石という『妹』は追い続けた。
多くの者との死別を経ても、翠星石がここまで来れたのは。
城戸真司という『兄』が傍に居たからではないだろうか。
「貴女がアイツと一緒だったのは、アイツのことを赦したからなんじゃないですか?」
劉鳳を殺したことを憎んでいたのなら、ここまで同行するわけがない。
ここまで頼りにするわけもない。
言葉にはしなかったものの、翠星石は疾うの昔に真司のことを赦していたのだ。
「なら、貴女が次に為すべきことも分かりますね?」
背負った十字架の重さに悔い、悩み、苦しむ。
それでも投げ出すことなく、バカ正直に背負いながら歩き続ける。
そんな兄の姿を、翠星石はずっと見てきた。
道標は、前に続いている。
「分かったです、クーガー、私も――――」
――――そんな簡単に赦されていいの?
手を伸ばそうとして止まる。
頭の奥から、囁くような声が聞こえる。
――――貴女に彼の真似ができるの?
「イヤ……」
脳裏を埋め尽くす惨劇。
まるで墓場から蘇った亡者のように手を伸ばしてくる真司。
顔に大きな穴を開けて、地面に横たわる。
虚ろな目で翠星石を見上げながら、空気が通り抜けるような声を漏らす。
怨みと嘆きを抱えるその姿は、ホラー映画に出てくるお化けとは比較にもならない。
320 :
創る名無しに見る名無し
:2013/03/14(木) 00:16:08.79 ID:OZhKz7zY
支援
321 :
聖少女領域/贖罪か、断罪か ◇ew5bR2RQj.(代理投下)
:2013/03/14(木) 00:16:19.16 ID:0jsx1wpu
「真司は翠星石のことを怨んでるです、せっかく護ってやったのに……な、なんで殺したんだって……!」
翠星石が真司のことを赦していたのは事実だ。
絶影が発現したことから、きっと劉鳳も赦していたのだろう。
城戸真司が赦免されていたことは間違いない。
しかし、翠星石は誰に許しを請えばいいのだろう。
劉鳳が死ぬ直前、真司は誤解を解いて謝罪している。
その上で、翠星石を護り続けた。
だが、今はその土台がない。
真司は既に死に、仲間もクーガー以外は全滅した。
そのクーガーも優しすぎるため、翠星石を簡単に赦してしまうだろう。
それでは駄目なのだ。
真司のように、責任を果たす相手が必要なのだ。
真司が背負い続けてきた十字架が、翠星石の上に倒れ込んでくる。
伸し掛かる十字架は、余りに冷たくて重い。
「翠星石さん?」
「きっとそうに決まってます……お前を絶対に許さない、お前を殺してやるって!」
尋常ではない翠星石の様子を不審に思ったのか、クーガーは声を張り上げる。
「嫌です、私は……殺したくなんか……」
「翠星石さん、聞いてください!!」
翠星石の肩を掴み、大声を上げるクーガー。
「城戸の奴が倒れた時、その顔は本当に貴女への怨みや怒りが篭ったものでしたか!?」
真司の最期の形相は、赤黒い血に塗れて見えない。
「今までずっと一緒にいた真司は、貴女の中にいる城戸真司という男は!
何時までも怨みを引き摺るような奴でしたか!?」
反響する大声。
脳裏で再生され続ける真司の最期。
だが、そこに声はない。
真司の最期の言葉は、薔薇の花弁が掻き消してしまった。
真司の遺志は、永遠に分からない。
322 :
創る名無しに見る名無し
:2013/03/14(木) 00:17:03.67 ID:ZDzqA3AZ
支援
323 :
聖少女領域/贖罪か、断罪か ◇ew5bR2RQj.(代理投下)
:2013/03/14(木) 00:17:04.07 ID:0jsx1wpu
「なんで……どうしてこうなってしまったです……?
私は戦いたくなんてなかった、ローザミスティカなんて欲しくなかった、ただ皆と一緒にいられれば良かったんです」
胸を掻き毟る。
小さな手に力を込めて、何度も何度も掻き毟る。
その内側で輝き続ける石の欠片達は、何も応えようとはしない。
翠星石はアリスゲームには反対していた。
自らが傷つくのも嫌だったし、それ以上に誰かを傷つけるのが嫌だった。
戦わなければならない運命の中、翠星石は別の道を探し続けた。
その最中、新たな殺し合いが始まる。
今までの努力を嘲笑うように、袋小路の中に放り込まれたのだ。
どうしてこんなことになってしまったのか。
翠星石に殺し合いを強制される理由はない。
蒼星石にも、真紅にも、水銀燈にも、劉鳳にも、新一にも、真司にも。
誰一人として、こんな理不尽な殺し合いに巻き込まれる理由はない。
十字架を背負う理由は無かったのだ。
「もう……もうこんなところに居たくないです!!」
限界を迎える。
多くの姉妹や仲間を喪い、摩耗していた心が完全に擦り切れる。
十字架を背負い切れるほど、翠星石は強くない。
『兄』で在り続けた真司ほど、彼女の心は強くない。
「分かりました、翠星石」
そんな彼女の叫びを聞き、道化師の使いは現れる。
☆ ☆ ☆
324 :
創る名無しに見る名無し
:2013/03/14(木) 00:17:26.98 ID:OZhKz7zY
支援
325 :
聖少女領域/黒龍見参 ◇ew5bR2RQj.(代理投下)
:2013/03/14(木) 00:18:58.61 ID:0jsx1wpu
大量の紫水晶が焦土から突出する。
一人一人を分断するように、幾重にも連なった巨大な水晶が取り囲む。
まるで水晶の牢獄。
それを眺めているのは、一人だけ囚われずにいる翠星石。
彼女が呆然としていると、一際大きな水晶が目前に現れる。
鏡のように自らの顔を映し込む水晶。
その一面が水面のように揺れ、中から一人の少女が出現する。
「迎えに参りました」
薄紫のドレスを着こなし、薔薇の眼帯が目立つ少女。
直接会ったわけではないが、真紅から容姿と名前を聞いていた。
ローゼンメイデン第七ドール・薔薇水晶。
「なんで、お前が……」
「貴女は先程こんなところに居たくないと仰りました、だから迎えに来たのです」
空中に浮遊する薔薇水晶は、地上にいる翠星石を見下ろしている。
「よくもまた私の前に出てこれたものだな、その蛮勇。褒めてやる」
甲高い音を立て、遠方に聳え立っていた水晶が砕け散る。
牢獄から解き放たれた影は大きく跳躍して、彼女の前に着地した。
「シャドームーン……」
「私を虚仮にした代償、今度こそ支払ってもらうぞ」
シャドームーンは左腕を掲げ、サタンサーベルの切先を突き付ける。
右腕を喪ってなお、王の威厳は少しも欠けていない。
「ククク……」
そんな彼を嘲るように、笑い声が聞こえる。
薔薇水晶のものではない。
第二次性徴を迎えて声変わりした大人の男の声だ。
「何者だ!?」
憤慨するシャドームーン。
彼に応えるように、薔薇水晶が扉にした巨大な水晶が薄く輝く。
水晶面に波紋が走り、腕が突き出される。
現れる漆黒。
濃密な存在感を纏いながら、覇王が焦土に君臨する。
その姿に、ここにいる多くの者は見覚えがあった。
全身を包み込む強化スーツに、胸部や手足を守る装甲。
左腕には龍を模した召喚器が装着され、腰に巻かれたベルトの中心には龍が刻印された長方形が飾られている。
そして、頭部に嵌められているのは仮面。
スリットの下から、赤い複眼が覗いている。
「龍騎……?」
水晶の隙間から北岡が呟く。
だが、疑問形。
目の前の存在が信じられないと言うように目を強張らせている。
彼らの前にいるのは、一見すれば城戸真司の変身する仮面ライダー龍騎と瓜二つ。
しかし、龍騎とは決定的に違う。
全身は邪悪なほどに黒く、纏わりつく雰囲気はあまりに剣呑。
326 :
創る名無しに見る名無し
:2013/03/14(木) 00:19:15.66 ID:OZhKz7zY
支援
327 :
聖少女領域/黒龍見参 ◇ew5bR2RQj.(代理投下)
:2013/03/14(木) 00:19:45.87 ID:0jsx1wpu
「志々雄……!」
水晶を砕き、クーガーが顔を出す。
黒い龍騎の正体に、彼は見覚えがあったのだ。
「久しぶり……ってほどでもねぇか、なぁ、クーガー」
「どうしてお前がそこから出てきやがる!」
幕末が作り上げた覇王・志々雄真実。
それが闖入者の正体であり、彼が変身しているのは仮面ライダーリュウガ。
鏡の魔物が産み落とした龍騎の影だ。
「貴様が志々雄真実か」
地面に足跡を刻みながら歩を進めるのは狭間。
彼の背後では、溶解した水晶の成れの果てが打ち捨てられている。
「一人だけ脱出した男が居るのは知っていたが、噂に違わぬ下衆な男のようだな」
「志々雄が脱出した? どういうことだ?」
事情を飲み込めないクーガーが狭間に問い掛ける。
「首輪を解除した上で、十二時間以上同行した者を殺害する
この二つを満たすことで、この会場から脱出する権利が与えられるのだ」
狭間の説明を受けると、クーガーは志々雄に視線を移す。
その表情は、驚愕から憤怒へと変貌していた。
「じゃあ、三村が死んでいたのは、お前が脱出するためだってのか!?」
「ああ、そうだ、あいつはよく働いてくれた」
「お前……!」
「この男に何を言っても無駄だ、改心するような男ではない」
緋村剣心の後任になる形で影の人斬りとなった志々雄真実。
実力は申し分なかったが、異常なほどの支配欲を危険視され続けた。
仲間にすら危険視されるほどの支配欲。
これといった理由もなく、この世に生を受けた瞬間から悪の心を抱いていた。
謂わば、生まれついての悪。
誰かの言葉で改心するようなら、今頃地獄に墜ちている。
「だが主催に加わった以上は私達の敵、容赦はしない! マハブフーラ!」
狭間の手に冷気が集結し、直径一メートルほどの球体と化す。
そこから猛吹雪が放射され、志々雄と薔薇水晶を呑み込もうとする。
マハブフーラは凍結系の中級魔法だが、攻撃範囲が広いという特徴を持つ。
そして中級魔法と言えども、狭間は魔法の天才だ。
並の悪魔であれば、一撃で氷像と化すだろう。
――――SURVIVE――――
志々雄と薔薇水晶を中心に、二条の黒炎が螺旋状に巻き上がる。
二匹の龍が絡み合い、天を目指しているようだ。
吹雪は黒炎の渦にぶち当たり、音を上げて蒸発する。
328 :
創る名無しに見る名無し
:2013/03/14(木) 00:19:49.34 ID:ZDzqA3AZ
支援
329 :
創る名無しに見る名無し
:2013/03/14(木) 00:20:17.13 ID:OZhKz7zY
支援
330 :
聖少女領域/黒龍見参 ◇ew5bR2RQj.(代理投下)
:2013/03/14(木) 00:20:40.92 ID:0jsx1wpu
「効かねぇよ」
渦が収まると、無傷の志々雄――――リュウガが立っている。
狭間が舌打ちしたのも束の間。
背後の山を焼いている炎が猛り、変化が訪れる。
「ああぁぁ……」
最初の変化は左腕。
手甲のように一体化していた召喚器が、龍の顔を模した銃型に変わる。
続いて、両脚と右腕。
銀と黒に彩られた装甲は膨らむように重厚さを増していき、黄金の模様が刻まれる。
そして、胸部。
地を這うような雄叫びが唸った瞬間、龍の顔が飛び出る。
後頭部の角は三本に分裂し、肩部の装甲と融合。
顔は面影を残した巨大な鎧へと姿を変え、紅の眼が目の前の全てを威圧する。
最後に仮面の上部に黄金の線が走り、触覚が突き出ることで生誕。
本来の歴史には存在しない。
仮面ライダーリュウガのサバイブ形態。
龍騎サバイブと酷似した容姿を持つが、何かが決定的に違う。
あまりの禍々しさに、北岡やつかさは生唾を飲み込む。
「なんでお前がそのカードを持っている!?」
志々雄が使用したサバイブ―烈火―は、かつてクーガーが真司に譲ったカード。
彼が死んだからといって、志々雄の手に渡っていいはずがない。
「さぁな!」
答えると同時に疾走。
デッキから一枚のカードを抜き取り、馴れた手付きで召喚器に投げ込む。
――――SWORD VENT――――
龍騎やナイトとは異なる低い機械音声。
ブラックドラグバイザーツバイの口から鉛色の刃が吐き出される。
「メギド!」
呪文を唱えたことで、狭間の右掌からいくつもの火球が連射される。
機関銃のように発射され、全てが志々雄を狙い撃つ。
だが、効かない。
剣を巧みに操り、命中する前に全て叩き落されてしまう。
新たな魔法を唱えようとするが、志々雄の接近の方が速かった。
振り落とされる刃を、斬鉄剣を抜刀して受け止める。
「さぁ、翠星石、行きましょう」
狭間の動きが封じられたのを確認すると、薔薇水晶が動き出す。
狙いは目前にいる翠星石の奪取。
空中から滑るように下降し、抱き着くように両腕を伸ばす。
331 :
聖少女領域/黒龍見参 ◇ew5bR2RQj.(代理投下)
:2013/03/14(木) 00:21:14.47 ID:0jsx1wpu
「させるか!」
それを妨害したのはクーガーの飛び蹴り。
脚部には流線型の装甲・ラディカル・グッドスピードが装着されている。
側面からの攻撃に対し、薔薇水晶は杭のように先端が尖った水晶を射出。
空中では回避できないと判断しての行動。
だがクーガーは伸ばしていた脚を上空に掲げ、靴底から空気を噴射することで地上へと落下していく。
着地と同時に加速し、呆然と突っ立っていた翠星石を回収。
そのまま脇目もふらずに走り去っていった。
回避と回収を同時に熟す動き。
端からそれが狙いだったのだろうと、薔薇水晶は推理した。
「つかさちゃん!」
一方で北岡はゾルダに変身することで檻から脱出し、脱出する手段の無いつかさの救助を行なっていた。
彼女が破片で負傷しないよう、慎重に水晶を砕く。
ジェレミアも刀を振るいながら、彼女の脱出に手を貸していた。
戦闘が始まった以上、時間は掛けられない。
得体の知れないライダー相手となれば尚更だ。
作業の開始から一分程で、人が通れる程度の隙間が開く。
「ありがとうございます、北岡さん、ジェレミアさん」
「礼などいらん、それより何処かに隠れて――――」
「いや、薔薇水晶は自分でnのフィールドの入り口を作れるから隠れてるのは意味ないよ」
鏡のように滑らかな水晶を産み出す薔薇水晶は、オーディンのような瞬間移動能力を持っているに等しい。
いくら距離を離そうと、一瞬で追い付かれてしまう。
「俺達で守りながら戦うしか……」
「その必要は無い!」
翠星石を抱えたクーガーが走り込んでくる。
「俺がつばささんも一緒に抱えてます! だからアンタらあいつを!」
クーガーが指差した先を見ると、薔薇水晶が飛び込んできている。
辿り着くまでの時間は幾許もない。
迷っている暇は無かった。
「頼んだよ!」
クーガーにつかさを預けると、北岡はマグナバイザーを抜く。
同時に薔薇水晶が水晶の礫を大量に浮かべ、射出してくる。
「行け、ジェレミア!」
叫ぶと同時に発砲。
一分間に百二十発もの弾丸を吐き出すマグナバイザーであれば、水晶を撃ち落とすのは不可能でない。
幾重にも重なる銃撃音を背景にジェレミアが走り出す。
贄殿遮那と無限刃を抜刀。
薔薇水晶は空中で停止すると、水晶の剣を右手に形成した。
332 :
創る名無しに見る名無し
:2013/03/14(木) 00:21:26.44 ID:OZhKz7zY
支援
333 :
聖少女領域/黒龍見参 ◇ew5bR2RQj.(代理投下)
:2013/03/14(木) 00:21:47.46 ID:0jsx1wpu
「今度こそ逃さん!」
無限刃と水晶の剣が衝突。
僅かな拮抗を経て、押し負けたのは薔薇水晶。
水晶の剣に亀裂が走り、表情が苦悶に歪む。
それを好機と見たジェレミアが、今度は贄殿遮那を横薙ぎに振るう。
水晶の剣は完全に砕け散り、薔薇水晶は丸腰となった。
「これで終わりだ!」
二本の刀を交差し、薔薇水晶に斬り掛かるジェレミア。
いくらローゼンメイデンでも、致命傷を避けられない。
「ジェレミア、避けろ!」
背後から聞こえる北岡の叫び声。
発言の意図が理解できず、ジェレミアは小首を傾げる。
しかし、数瞬もしない内に、本能がそれを悟らせた。
薔薇水晶の背後に迫るシャドームーン。
月光に照らされ、怪しく光るサタンサーベル。
切先は薔薇水晶の胴体に向いている。
「くっ!」
水晶の礫を発射した反動で剣先から離脱する薔薇水晶。
彼女が居なくなったことで、ジェレミアが紅の剣先の前に曝される。
背筋を駆け抜ける恐怖。
根源的な命の危機に直面し、咄嗟に地面に倒れ込む。
直後、頭部の上を紅の剣筋が走った。
「あの人形は私の獲物だ、貴様らが手出しすることは許さん」
上空の薔薇水晶を見上げながら、威圧的に語り掛けるシャドームーン。
反論は許さないと言うように直ぐ様跳躍する。
ジェレミアは地面に座り込みながら、その様子を眺めていた。
「おい、大丈夫か」
北岡が上から覗き込んできている。
それに気付くのに、ジェレミアは数秒の時間を必要とした。
頬を拭うと、グローブが仄かに湿る。
シャドームーンはジェレミアを殺そうとしたわけではない。
彼は『王の契約』を遵守している。
無論、屁理屈を捏ねて薔薇水晶と一緒にジェレミアを手に掛けようとした訳でもない。
先程の一撃は、純粋に薔薇水晶を狙ったものだ。
ただ、その剣先にジェレミアが居ただけの話。
わざわざ蟻を避けて歩く者がいないように、シャドームーンにも攻撃の手を止める必要が無かったのだ。
334 :
聖少女領域/黒龍見参 ◇ew5bR2RQj.(代理投下)
:2013/03/14(木) 00:22:37.55 ID:0jsx1wpu
「これからどうするよ」
「……仕方がない、あの男ならば薔薇水晶の相手も容易だろう、我々は狭間の助太刀に――――」
溜息を吐きながら、ジェレミアは立ち上がる。
その時だった。
「ハハハハハハハハハハ!!」
志々雄の笑い声が聞こえてきたのは。
龍の口から生えた刃――――ドラグブレードが空から振り下ろされる。
狭間は斬鉄剣を横に構えることで防御。
両腕から肩に掛けて、電流が走るような痛みが駆け抜ける。
「どうした、その程度か、魔人皇さんよ」
そう、両腕だった。
狭間が魔法を使用する際、手を翳す必要がある。
しかし今は、斬鉄剣の柄を両手で握り締めている。
片腕だけでは、志々雄の猛攻を受け止めることができないのだ。
志々雄の剣筋は大胆にて緻密。
剣の心得があるからこそ、目の前の男の圧倒的な実力が理解できる。
綿密な足捌きで身体を支え、放たれる剣戟は全て必殺。
狭間に反撃の隙を与えぬよう、距離を離さないように戦っている。
魔法の弱点を知られていると推理する狭間。
実際、志々雄は彼と鷹野の戦闘を観察していた。
「アンタ、俺をあの鷹野って女と同じように考えてないか?」
志々雄が不意に話し掛けてくる。
それでも剣の嵐が止むことはない。
「カードデッキは簡単に力を手にすることができるが、それでも元の力が関係ないわけじゃない」
先の戦いがいい例だろう。
オーディンのゴルトフェニックスのAPが8000なのに対し、ベルデのバイオグリーザはその半分の4000。
数値だけを鑑みれば、オーディンはまさに桁違いと言えるだろう。
しかし実際の戦闘では、オーディンとベルデにそこまでの差は無かった。
その理由は変身者の違い。
オーディンが素人に毛が生えた程度の鷹野なのに対し、ベルデは戦闘のプロフェッショナルであるスザク。
狭間への憎悪を含んだとしても、鷹野とスザクの間には歴然とした力の差がある。
「あの女は素人だが俺は違う。そしてこのリュウガサバイブはオーディンとほぼ同じ力を持つ、この意味が分かるか?」
龍騎のカードに比べ、リュウガのカードは常に1000AP高い。
例えば同じドラグセイバーでも、龍騎が2000APでリュウガが3000APだ。
それはサバイブ形態でも同じ。
龍騎サバイブのドラグブレードが3000APなのに対し、リュウガサバイブは4000AP。
これはオーディンのゴルトセイバーと同じ数値である。
そして、リュウガサバイブの契約モンスターであるブラックドラグランザーのAPは8000。
ドラグランザーの7000APを凌駕し、ゴルトフェニックスに匹敵している。
つまりリュウガサバイブとオーディンは同格なのだ。
335 :
創る名無しに見る名無し
:2013/03/14(木) 00:22:38.59 ID:ZDzqA3AZ
支援
336 :
創る名無しに見る名無し
:2013/03/14(木) 00:23:36.13 ID:OZhKz7zY
支援
337 :
創る名無しに見る名無し
:2013/03/14(木) 00:23:51.56 ID:JQfJOsLF
338 :
創る名無しに見る名無し
:2013/03/14(木) 00:25:11.65 ID:JQfJOsLF
339 :
聖少女領域/黒龍見参 ◇ew5bR2RQj.(代理投下)
:2013/03/14(木) 00:25:38.47 ID:OZhKz7zY
「オーディンを倒したテメェでも、この俺には勝てないってことだよ!」
腰元から放たれる逆袈裟切り。
やはり回避は不可能であり、狭間は斬鉄剣で受け止める。
刹那、脇腹を突き抜ける衝撃。
志々雄の回し蹴りが、狭間の脇腹に刺さっている。
踏ん張ることができず、跳ね飛ばされる狭間。
十数メートルほど宙を舞った後、瓦礫の山に叩き付けられた。
「狭間!」
加勢に加わろうとする北岡とジェレミア。
「遊び相手がいないなら用意してやるぜ」
――――ADVENT――――
傍に生えていた巨大な水晶を入り口とし、ブラックドラグランザーが召喚される。
全長十メートルを越える漆黒の身体がが蠢き、夜の空を覆い尽くす。
「殺れ」
志々雄の指示を受け、ブラックドラグランザーが咆哮を上げる。
天地を揺るがすほどのその声量に、北岡とジェレミアは身震いした。
「あぁん?」
ふと、真横を振り向く志々雄。
いつの間にか立ち上がっていた狭間が、志々雄に右手を向けていたのだ。
「油断したな……」
モンスターを召喚している隙に体勢を整えた狭間。
痛手は喰らったが、今の彼と志々雄の間にある距離は大きい。
接近戦では志々雄が有利だが、遠距離戦となれば多彩な魔法のある狭間に分がある。
「油断? 何のことだ」
ドラグブレードの刀身が黒い炎を纏っていく。
「これは『余裕』というもんだ!」
志々雄がそれを振るうと、刀身から黒炎の衝撃波が放たれた。
バーニングセイバー。
龍騎サバイブが使用可能な必殺技の一つであり、影であるリュウガサバイブも当然使用可能な技だ。
狭間の呪文を唱えるよりも早く、衝撃波は彼の下に到達。
爆発が起こり、周辺の瓦礫が黒炎に呑み込まれる。
「ハハハハハハハハ、ざまぁねぇな」
盛大な高笑いを浮かべる志々雄。
夜闇の中を、炎のように真っ赤な双眸が光っている。
その先にいるのは、ブラックドラグランザーと激闘を繰り広げている北岡とジェレミア。
340 :
創る名無しに見る名無し
:2013/03/14(木) 00:25:55.64 ID:ZDzqA3AZ
支援
341 :
聖少女領域/黒龍見参 ◇ew5bR2RQj.(代理投下)
:2013/03/14(木) 00:26:42.67 ID:OZhKz7zY
「奴は私が止める!」
「あ、おい、待て!」
志々雄の視線に気付いたジェレミアは戦線を離脱する。
北岡が制止の声を投げ掛けるが、彼らを分断するようにブラックドラグランザーの火球が地面を焼いた。
「アイツ……!」
黒炎の幕の先では、ジェレミアと志々雄の剣戟が繰り広げられる。
だが、いつまで持つか。
リュウガサバイブがオーディンに匹敵するというのが事実なら、ジェレミアが一人で挑んで勝てる相手ではない。
だが、誰かが志々雄の足止めをしなければならないのも事実。
その役目は、ブラックドラグランザーへの決定打が無いジェレミアが適任だった。
「早く合流しないと!」
適任といっても、志々雄とジェレミアの間にある力量差は著しい。
一刻も早くブラックドラグランザーを撃破し、二人掛かりで対応する必要があった。
ギガランチャーの照準を空中のブラックドラグランザーに合わせる。
その巨体ゆえ、狙いを定めるのは容易だ。
周囲に細心の注意を払い、素早く引き金を絞る。
同時にブラックドラグランザーが黒炎の火球を発射。
砲弾と火球が空中で衝突し、大きな爆発へと発展する。
上空で起きた爆発なため、地上への被害は軽微。
ブラックドラグランザーへの被害の方が大きいが、致命傷には到底及ばない。
再びギガランチャーの照準を定め、引き金に手を掛ける。
――――その瞬間だった。
「フフフ……」
目の前を薔薇水晶が通過する。
背筋が凍るような感覚が北岡を突き抜け、引き金に掛けた指から力が抜けていく。
その直後、ギガランチャーの射線上をシャドームーンが通過した。
『王の契約』により、シャドームーンに攻撃の手を加えることは禁じられている。
抵触する可能性がある以上、北岡は攻撃することができない。
先程から薔薇水晶はこれを利用し、ギガランチャーの射線上にシャドームーンを誘導しているのだ。
「クソ!」
悪態をつく北岡。
戦力的には此方側が有利なのに、まるでその力を発揮できていない。
先程からシャドームーンが薔薇水晶を追い続けているが、その攻撃は明らかに精彩を欠いている。
その理由は、薔薇水晶とシャドームーンの移動法。
シャドームーンが跳躍なのに対し、薔薇水晶は飛行。
空中戦において、空を自由に移動できるというのは非常に重要なアドバンテージだ。
さらに薔薇水晶が防御に徹しているのもあるだろう。
一流の戦士であっても、防御に徹した相手を打ち崩すのは困難だと言われている。
そして、もう一つ。
薔薇水晶が窮地に陥りそうになると、ブラックドラグランザーは彼女の援護に回る。
北岡の攻撃が緩んでいるため、それは容易に行うことができた。
342 :
創る名無しに見る名無し
:2013/03/14(木) 00:26:54.63 ID:JQfJOsLF
343 :
創る名無しに見る名無し
:2013/03/14(木) 00:27:18.56 ID:ZDzqA3AZ
支援
344 :
創る名無しに見る名無し
:2013/03/14(木) 00:27:32.89 ID:JQfJOsLF
345 :
聖少女領域/黒龍見参 ◇ew5bR2RQj.(代理投下)
:2013/03/14(木) 00:27:37.04 ID:OZhKz7zY
「いくらなんでも滅茶苦茶過ぎる……」
薔薇水晶とブラックドラグランザーの連携は万全。
対する此方側は滅茶苦茶。
数も力も優っているにも関わらず、戦況は相手側に大きく傾いている。
「クーガー、何とか戦えないの?」
「無茶言うな!」
つかさと翠星石を両脇に抱えながら、クーガーは上空から降り注ぐ火球を回避している。
彼女達がいる以上、クーガーが攻撃に回るのは不可能。
翠星石の目も焦点が定まっておらず、戦力としては期待できない。
「クソ!」
空を仰ぐと、黒龍の身体が満月を覆い隠していた。
「おおおおおおおッ!」
雄々しく猛り声を上げながら突撃するジェレミア。
対する志々雄の体勢は制止。
ドラグブレードを胸の前で構えながら、悠然とジェレミアを待ち受ける。
訪れる衝突。
贄殿遮那とドラグブレードが拮抗し、耳障りな金属音を鳴らす。
だが、ジェレミアは二刀流。
右腕が受け止められても、左腕が残っている。
側面から胴体を狙うように、次なる斬撃が迸った。
「ほう、二刀流か」
胴体の寸前で、何かが斬撃を阻まれる。
火焔のように真っ赤な刀身の剣が、無限刃の刃を受け止めていた。
「……ッ!?」
再び全身を駆け抜ける恐怖。
全身を焼かれるような錯覚が網膜に写り、ジェレミアは背後へと跳ぶ。
「一目でこいつの強さが理解できるとは、流石と言ったところか」
志々雄が新たに取り出した剣はヒノカグツチ。
大地母神を殺した炎神の力を封じた魔剣。
余程の強者でなければ、振るうことすら許されない。
「アンタが持ってたんだな」
「……何のことだ」
「アンタが左手で握っている刀、そいつは元々俺の物だ」
ジェレミアが左手で振るっているのは無限刃。
元々はアイゼルの支給品であり、彼女の死後に譲り受けたものだ。
346 :
創る名無しに見る名無し
:2013/03/14(木) 00:28:07.09 ID:ZDzqA3AZ
支援
347 :
創る名無しに見る名無し
:2013/03/14(木) 00:28:23.77 ID:JQfJOsLF
348 :
聖少女領域/黒龍見参 ◇ew5bR2RQj.(代理投下)
:2013/03/14(木) 00:29:08.18 ID:OZhKz7zY
「そうか、貴様の刀だったか、悪趣味なのも頷けるな」
無限刃が普通の刀で無いことは一目瞭然だった。
刀身が鋸状に拵えられているのだ。
その理由は刃こぼれを防ぐためだと推察できたが、ジェレミアが悍ましさを抱いたのはそこではない。
刃先にこびり付いた脂と、残った僅かな焦げ跡。
多くの人間を惨殺した末にこびり付いた脂を、抜刀した際に生じる摩擦で発火させる。
その使用法に気付いた時、嫌悪感を抱かずにはいられなかった。
「それでも名刀なのには違いない、返すわけにはいかんな」
「そうか、なら奪い返してやるぜ!」
言葉を叩きつけると同時に踏み込む志々雄。
「それにしてもアンタも二刀流か、流行ってんのか?」
「知るか!」
突き出される左腕。
龍の口から生えた刃が、目の前の敵に喰らいつこうとする。
ジェレミアは半身になることで回避。
そのまま志々雄の背後に周り、彼の首に贄殿遮那を伸ばす。
だが、その背後から紅の刃が忍び寄ろうとしていた。
「なら、俺も流行に乗ってみるとしようかね!」
ジェレミアの一連の行動は、志々雄に見透かされていた。
刺突の踏み込みに利用した左脚を軸に身体を半回転させ、その勢いを乗せた一撃で背後を狙う。
一流の剣客に備わる”読み”があってこその芸当。
空中に描かれる紅の軌跡。
咄嗟に横に飛んでいなければ、ジェレミアの首は胴体から離れていただろう。
「普段は一本だけだが今回は特別だ、別々に試すのが面倒くせぇ」
左手にドラグブレード。
右手にヒノカグツチ。
炎の力を宿した剣を同時に構える志々雄は、まるで神話に登場する炎神のような威圧感を放っている。
「おおおおおおぉぉぉぉぉぉぉッ!」
今の志々雄が想像を絶する力を手にしているのは理解できる。
しかし、ジェレミアは退かない。
炎を扱う刀を両手に携え、志々雄へと斬り込む。
攻撃の隙を与えないよう、怒涛の勢いで刀を振るう。
必死で動き続けているためか、あるいは志々雄が纏っている異常な高熱のせいか。
ジェレミアは全身を大量の汗が流れているが、それでも刀を降ろさなかった。
身体のあらゆる箇所を動かし、自身の知る全ての剣技を叩き付ける。
だが、それでも志々雄には通じない。
放った斬撃は全て避けられ、流され、受けられる。
349 :
創る名無しに見る名無し
:2013/03/14(木) 00:29:23.29 ID:ZDzqA3AZ
支援
350 :
創る名無しに見る名無し
:2013/03/14(木) 00:29:55.24 ID:2gp9ftSn
支援
351 :
聖少女領域/黒龍見参 ◇ew5bR2RQj.(代理投下)
:2013/03/14(木) 00:30:19.75 ID:OZhKz7zY
「シャアアアァァッ!」
不意を狙った一撃。
炎のように紅い剣が、ジェレミアの脇腹に放たれる。
回避は間に合わず、防御も届かない。
だが、問題は無い。
ジェレミアの左半身はKMFの攻撃にすら耐え得る特殊な金属に覆われている。
いくら強大な剣と言えど、この防御を突破できるはずがない。
「がッ!?」
鈍い痛みが左半身から全身に広がる。
ピシッと音が鳴り、脇腹の装甲に亀裂が走る。
突破されないはずの防御が突破される。
痛みと共に焦燥感が身体を支配し、ジェレミアは突き動かされるように跳躍した。
空中で腕を交差させ、落下の勢いをつけて斬り付ける。
「中々の腕だな、世が世ならそれなりに名を馳せたかもしれねぇ」
それも志々雄は受け止めた。
ジェレミアと同じように剣を重ね、刀の交点へ衝突させる。
「だが、それだけだ、アンタの剣は軽い」
鍔迫り合いが始まり、力と力の押し合いへと突入。
その瞬間も、志々雄は口を閉じない。
饒舌な気質なのか、言葉を紡ぎ続けている。
「アンタ、生き残る気ないだろ?」
動揺が走る。
「図星か、そうだろうな、アンタの剣からは生きる気力を感じねぇ、空っぽだ」
ルルーシュを失い、奈緒子を失い、アイゼルを失い、他にも多くを失った。
既にジェレミアの中身は失われ、生きる気力は枯れ果てている。
ここから脱出したとしても、ルルーシュの後を追うつもりだ。
故に、図星。
志々雄が突き付けた言葉は、寸分の狂いもなく当たっている。
「俺を止めるとか言ってたな?」
ジェレミアの身体が徐々に押し込まれていく。
引き摺るように後退させられるが、やがて一歩ずつ下がり始める。
無限刃に亀裂が入っていく。
「自分の命も掛かってねぇような軽い剣で、この志々雄真実を止められるわけねぇだろ!!」
無限刃が砕け、贄殿遮那が弾かれる。
鍔迫り合いに敗北したジェレミアは大きな隙を曝す。
352 :
創る名無しに見る名無し
:2013/03/14(木) 00:30:55.10 ID:JQfJOsLF
353 :
創る名無しに見る名無し
:2013/03/14(木) 00:31:25.96 ID:ZDzqA3AZ
支援
354 :
聖少女領域/黒龍見参 ◇ew5bR2RQj.(代理投下)
:2013/03/14(木) 00:31:40.98 ID:OZhKz7zY
「壱の秘剣――――」
志々雄の意思に応えるように、二本の剣が炎を纏い始める。
ドラグブレードは光を埋め尽くす暗黒の炎。
ヒノカグツチは闇を切り裂く紅蓮の炎。
対照的な色合いの火焔が交じり合い、叫ぶように猛っていく。
「焔玉!!」
二つの魔剣が十字を描く。
夜闇の中を二筋の炎が迸り、耳を劈くような絶叫が響き渡った。
圧倒的戦力差にも関わらず、長期化していた戦場。
長らく続くと思われていたが、ついに終末が訪れる。
「これで終わりだ!」
何時までも逃げ続ける薔薇水晶に痺れを切らすシャドームーン。
大きく身体を屈め、薔薇水晶やブラックドラグランザーを見下ろせる高度へと跳躍する。
脚部やレッグトリガーの損傷は少なく、普段通りの力を発揮できた。
「シャドービーム!」
腰のバックルに埋め込まれたキングストーンが点灯。
全身からエネルギーが収集され、高密度な光へと転換される。
そして、凝縮された光は地上へと降り注いでいく。
まるで雷撃の豪雨のように、全方位にシャドービームが照射された。
全体に攻撃を加えれば、薔薇水晶が身のこなしに長けていようと意味は無い。
鬱陶しいブラックドラグランザーも一掃でき、理想的な戦法と言えた。
だが、その戦法は予想だにしない形で破られる。
目前に巨大な長方形の水晶を生み出す薔薇水晶。
同時にブラックドラグランザーが、素早い動きで彼女を握り込んで回収。
そのまま水晶面へと侵入し、別世界に避難してしまったのだ。
「嘘でしょ……!?」
上空を見上げながら北岡が叫ぶ。
薔薇水晶とブラックドラグランザーは消えたが、一度発動したシャドービームは止まらない。
シャドービームは、北岡とクーガーに降り注ぐ。
「ぐあああぁぁぁぁっっ!!」
大気が爆ぜ、地面が膨張する。
降り注いだ光の奔流は、北岡とクーガーを呑み込む。
北岡はギガランチャーを盾にするも、玩具のように簡単に破壊されてしまう。
それによって発生した爆風に大きく弾き飛ばされた。
355 :
聖少女領域/黒龍見参 ◇ew5bR2RQj.(代理投下)
:2013/03/14(木) 00:32:27.02 ID:OZhKz7zY
「クソッ……!」
雨のように降り注ぐ光線を紙一重で回避し続けるクーガー。
悪かった足場がさらに悪化していくため、次第に回避は困難になっていく。
「イヤ……!」
怯えるような翠星石の声。
シャドービームで恐怖心を刺激されたのか、翠星石が腕の中から逃れようと藻掻きだす。
「翠星石さん、大人しくしてください!」
青白い顔のつかさを傍目に捉えながら、クーガーは翠星石を宥める。
だが、無意味。
聞こえていないのか、彼女の抵抗はさらに熾烈を極めていく。
その最中、彼の正面に光線が着弾。
クーガーは宙に投げ飛ばされ、翠星石も腕から離れていく。
手を伸ばすが、既に届く位置に無い。
つかさだけでも庇い切ろうと、自らの身体で覆うように抱き締めた。
「がっ……あぁ」
背中から叩き付けられ、クーガーは呻き声を上げる。
意識が飛びそうになるほどの激痛が、全身に広がっていく。
「つばささん……大丈夫、ですか……」
それでも彼が気にしたのは腕の中にいるつかさの安否。
気絶はしているが、目立った負傷は無かった。
「翠、星石、さん……」
続いて、遠くで地に伏せている翠星石に手を伸ばす。
つかさと同様に気絶しているようだ。
震える脚で立ち上がり、彼女を回収しようとするクーガー。
そんな彼を嘲笑うように薔薇水晶が掻っ攫っていく。
瓦礫に背を預けながら北岡がマグナバイザーを連射するが、薔薇水晶は難なくそれを潜り抜けてしまった。
「また逃げる気か、許さん!」
地面に着地したシャドームーンが、薔薇水晶の下へ駆け出そうとする。
「待てよ」
それを止めたのは一人の男。
漆黒の装甲で身を固め、彼と同様に紅の剣に選ばれたライダー。
356 :
創る名無しに見る名無し
:2013/03/14(木) 00:32:44.20 ID:ZDzqA3AZ
支援
357 :
創る名無しに見る名無し
:2013/03/14(木) 00:32:59.79 ID:aW8fvm21
支援
358 :
聖少女領域/黒龍見参 ◇ew5bR2RQj.(代理投下)
:2013/03/14(木) 00:33:27.03 ID:OZhKz7zY
「世紀王ともあろうお方が、背を向けるつもりか?」
仮面ライダーリュウガサバイブ――――志々雄真実。
「知らんな、貴様など」
「そうかい、なら今覚えてくれや」
「覚える必要などない。世紀王の邪魔をした罪、ここで清算してくれよう」
「ははっ、いいねェ」
サタンサーベルが鮮血なら、ヒノカグツチは獄炎。
シャドームーンが魔王なら、志々雄真実は覇王。
強大な力を支配する二人の王が、ここの対峙する。
「ザンダイン!」
志々雄の背後から忍び寄る衝撃波。
身体を反転しさせ、その遠心力でヒノカグツチを振るう。
発生した炎に切り裂かれ、空気の刃は消滅した。
「生きてやがったか」
「……お生憎様でな」
志々雄の背後から十メートル後方に立つのは狭間。
その背中では、赤いマントが真っ二つに切り裂かれている。
それはKフロストマント。
火属性への耐性とある程度の防御力を装備者に付加するマントだ。
バーニングセイバーを撃ち込まれた際、彼はこれを身体に巻き付けて防御した。
だが、バーニングセイバーは焼くと斬るの同時攻撃。
炎は消滅したものの、斬撃は防ぎ切れなかった。。
狭間の制服はぱっくりと裂け、そこから血が滴っている。
「二人掛かりか、くくっ……ハハハハハハハハハハ!!」
前方にシャドームーン、後方に狭間偉出夫。
二人の王に挟まれながらも、志々雄は笑うことを止めない。
現状が心底楽しいとでも言うように、仮面の下で笑い続けている。
「翠星石は回収できました、帰還します」
そんな彼の真上で、翠星石を抱えた薔薇水晶が告げた。
「なんだよ、もう終わったのか」
笑い声が止み、志々雄はつまらなそうに言葉を漏らす。
ヒノカグツチを腰の鞘に収め、腰のデッキから一枚のカードを抜き取る。
「逃がすか!」
シャドームーンがサタンサーベルを構えて疾走。
併せるように、狭間も電撃を放射。
二対の攻撃が志々雄に襲い掛かるが、避けるように彼は上空へと昇っていく。
彼の真下から塔型の水晶が生え、彼の身体を持ち上げたのだ。
そして水晶から出現するブラックドラグランザー。
シャドームーンと狭間を蹴散らし、上空に舞い上がっていく。
359 :
聖少女領域/黒龍見参 ◇ew5bR2RQj.(代理投下)
:2013/03/14(木) 00:34:30.85 ID:OZhKz7zY
「次に持ち越しだな」
ブラックドラグランザーの頭部に飛び乗る薔薇水晶と志々雄。
地上を見下しながら、召喚器にカードを放り込む。
――――STRANGE VENT――――
――――NASTY VENT――――
『グオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオォォォォォォォォォォォォ――――!!!!!!!』
天地を揺り動かすほどの咆哮。
瓦礫が粉砕し、粉塵が突風となって飛び交う。
志々雄が使用したのは、状況に適した様々なカードに変化するストレンジベント。
今回選択されたのは、ナイトが所有しているナスティベントだ。
本来のナスティベントは、ダークウイングによる超音波攻撃である。
しかしブラックドラグランザーに超音波を放つ能力は無いため、咆哮という形で代用したのだ。
あまりにも規格外の咆哮に、シャドームーンも狭間も体勢を維持することができない。
音は空気の振動によって伝わる。
あまりに巨大な咆哮は、衝撃波となって地上へと襲い掛かるのだ。
「おおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ――――!!!!!!!」
だが、それを乗り越える男が一人いた。
己の速さを信じ、揺れ動く地面を蹴り上げ、天に反逆する。
360 :
創る名無しに見る名無し
:2013/03/14(木) 00:34:42.70 ID:ZDzqA3AZ
支援
361 :
創る名無しに見る名無し
:2013/03/14(木) 00:35:13.63 ID:ZDzqA3AZ
支援
362 :
創る名無しに見る名無し
:2013/03/14(木) 00:35:55.85 ID:JQfJOsLF
363 :
創る名無しに見る名無し
:2013/03/14(木) 00:35:57.45 ID:ZDzqA3AZ
支援
364 :
聖少女領域/黒龍見参 ◇ew5bR2RQj.(代理投下)
:2013/03/14(木) 00:36:12.16 ID:OZhKz7zY
「翠星石さん! 目を開けてください!」
最速の男――――ストレイト・クーガー。
アルター能力を振り絞り、上空へと飛翔したのだ。
「翠星石さん!!」
黒龍の眼前に対峙するクーガー。
鋭刃の如き紅蓮の双眸に睨まれても、彼が射竦められることはない。
薔薇水晶の腕の中で眠り続ける翠星石に手を伸ばす。
あと少しで届きそうな距離。
だが、その僅かな距離がどうしようもない程に遠い。
近づいたことで衝撃波はより苛烈さを増し、彼を阻んでいるのだ。
それでも彼は退くことなく、叫びながら手を伸ばし続ける。
「……邪魔です」
水晶の杭を投擲する薔薇水晶。
身を捩って飛来する杭を回避するクーガーだが、姿勢を変えたことで衝撃波に耐えられなくなる。
まるで滝から押し流されるように、身体が後方へと下がっていく。
抵抗しようとしても、荒れ狂う濁流の前には無意味。
気が付けば、翠星石の姿は小さくなっていた。
「翠星石さん! 待っていてください!!」
落下しながらも、クーガーは叫ぶ。
「必ず、必ず、貴女を迎えに行きます!! だから――――」
咆哮で掻き消されまいと、声を張り上げ続ける。
「心を強く持ってくださいいいいいいいいいいいいいいいいぃぃぃぃぃぃぃぃぃ――――――――ッ!!!!!」
☆ ☆ ☆
365 :
創る名無しに見る名無し
:2013/03/14(木) 00:37:40.90 ID:ZDzqA3AZ
支援
366 :
聖少女領域/薔薇獄乙女 ◇ew5bR2RQj.(代理投下)
:2013/03/14(木) 00:37:58.53 ID:OZhKz7zY
「ったく、無茶し過ぎだよ」
「いやぁ、スイマセン……」
荒れ果てた地面に座り込んでいる北岡とクーガー。
愚痴を吐く北岡に対し、クーガーは困ったように笑っている。
空から墜落する寸前、北岡が彼を受け止めることで事無きことを得たのだ。
「あーあ、さっきので腰に来ちゃったよ、どうしてくれるのさ」
「歳ですか? 普段からもっと鍛えないと駄目ですよ」
あくまでも軽い調子を崩さないクーガーに、北岡は露骨に肩を竦める。
「ふぅ……」
彼らが談話を続けていると、溜息を吐きながら狭間が戻ってきた。
「ジェレミアは大丈夫だったの?」
「ああ、辛うじてな」
回復魔法を連続で使用した影響か、元々青白い狭間の顔はさらに血の気が失せている。
血の海の中に沈んでいたジェレミア。
騎士服には大きな十字傷が刻まれ、その淵には黒々とした焦げ跡もあった。
北岡が気付いた時点で相当危険な状態だったが、狭間の応急処置で辛うじて命を繋いだのだ。
「私の魔法では機械部分の修復まではできない、しばらくは眠ったままだろう」
沈痛な面持ちで告げる狭間。
ジェレミアを斬り裂いた斬撃は、彼の左半身に深い傷跡を残していた。
後藤の猛攻ですら耐え抜いた装甲。
それを容易く斬り裂いた志々雄の実力は、想像を絶する段階に達しているだろう。
「だが、生体部分であの斬撃を受けていれば即死は免れなかっただろう、皮肉な話だがな……」
瓦礫の傍で眠り続けるジェレミアを見ながら狭間は言う。
彼の隣では、つかさも寝息を立てていた。
「次はお前達が回復する番だ」
「いや、俺はいいよ」
「俺もいらねえな」
狭間の申し出に対し、北岡とクーガーは首を横に振る。
「俺達よりもお前の方がヤバそうじゃない、さっきも言ったけど頑張り過ぎだよ」
回復魔法には大きな枷が嵌められている。
それを乱用した狭間は、大幅に魔力を消費していた。
「迷惑をかける……」
悔しそうに奥歯を噛み締める狭間。
だが、彼はまだ休憩を摂らない。
北岡とクーガーに背を向け、ゆっくりと歩き始める。
その先に居るのは、シャドームーン。
367 :
創る名無しに見る名無し
:2013/03/14(木) 00:38:42.32 ID:JQfJOsLF
368 :
創る名無しに見る名無し
:2013/03/14(木) 00:38:44.77 ID:aW8fvm21
支援
369 :
創る名無しに見る名無し
:2013/03/14(木) 00:38:48.10 ID:ZDzqA3AZ
支援
370 :
聖少女領域/薔薇獄乙女 ◇ew5bR2RQj.(代理投下)
:2013/03/14(木) 00:39:44.23 ID:OZhKz7zY
「随分とあの男に深手を負わされたようではないか」
接近してくる狭間を一瞥すると、シャドームーンは嘲るように言葉を投げ掛ける。
「問題はない、既に回復済みだ」
「忘れていないだろうな? 私が貴様らに失望した瞬間、契約は無効になることを」
「忘れてないさ。だがあの志々雄という男。
悔しい話ではあるが、剣の腕では確実に私やお前の上を行くだろう」
剣を携えて悪魔が巣食う塔を登りつめた狭間。
脳に直接剣術を刻み込まれたシャドームーン。
彼らが剣術を嗜んでいるのは事実だが、それは戦術の一つでしかない。
一方で志々雄は、刀一つで明治政府を掌握する寸前までのし上がっている。
期間にして十年以上、殺した人間の脂が刃先に染み込む程だ。
文字通り、彼らとは年季が違う。
「だとしても、越えるだけだ」
「頼もしい限りだ。それよりも翠星石が攫われた以上、主催に乗り込むには貴様の力を借りる他ない」
「勝手にしろ」
一つ一つの言葉のやり取りですら、異様な重さを秘めている二人。
静寂が訪れると、彼らがそれっきり言葉を交わすことはない。
くるりと身体を反転させ、狭間は北岡達の休憩する場所に戻った。
「何しに行ったんだ?」
「翠星石が居なくなったからな、確認のようなものだ」
「それよりもこれからどうするのさ?」
「主催に乗り込む方法は整えた。後は首輪を解除する手段だ」
「研究所にあるゲフィオンディスターバーってやつで無効にできるんだっけ?」
首輪の機能を停止させる手段は二つ。
一つ目は停止させる首輪の半径二メートル以内に機能停止していない首輪を四つ用意すること。
しかしこの方法では、全員の首輪を解除することができない。
全員での脱出を約束した以上、この方法は使用不可能だ。
となると、残った方法は一つ。
研究所にあるゲフィオンディスターバーを起動させることだ。
「だが、それを起動させるためのカードキーが無い」
「カードキー? それっぽいのを城戸とC.C.が持ってたぞ」
「それは本当か!?」
思わず声を張り上げる狭間。
棚からぼた餅はまさにこのことだろう。
「首輪を解除する手筈は整った、か」
「でも研究所ってちょっと遠くない?」
「移動に関しては任せてください、俺のアルターなら一っ飛びですよ」
クーガーのラディカル・グッドスピードは、あらゆる乗り物を超高速仕様に改造できる。
ここから研究所までの道路も整備されているため、移動は容易に行えるだろう。
「でもそれってあいつと同じ車に乗るってことでしょ? 正直勘弁して欲しいなぁ」
傍目にシャドームーンを捉えながら北岡は愚痴を零す。
先程の防衛戦の際、シャドームーンの独断専行によって彼らの連携は崩れた。
しかも翠星石が奪われた最大の原因は、シャドービームによる無差別攻撃である。
371 :
創る名無しに見る名無し
:2013/03/14(木) 00:39:50.44 ID:ZDzqA3AZ
支援
372 :
聖少女領域/薔薇獄乙女 ◇ew5bR2RQj.(代理投下)
:2013/03/14(木) 00:40:41.26 ID:OZhKz7zY
「奴が手出しすることは有り得ない、私が保証する」
「それにアイツは自前のバイクを持ってますし、俺達と車に乗るってことはないでしょう」
「あっ、そっか。でもやっぱりアイツと仲間ってのは難しいんじゃないの?」
拡散して放たれていたためか、シャドービームによる負傷は大きくない。
それでも身体の節々に鈍い痛みは残っている。
シャドームーンは停戦協定に同意したが、他の参加者を気遣うつもりはない。
この一戦で、それがはっきりと理解できたのだ。
「どちらにせよ、もう引き返すことはできません
進むも地獄、退くも地獄なら、せめて進むしかない、そうでしょう?」
普段と変わらない微笑を浮かべ、クーガーは問いかけてくる。
だが、その瞳の奥には強い覚悟が秘められていた。
目の前に広がっているのは地獄への直通路。
退路は断たれ、道を逸れることも許されない。
最大の武器は自分達すらも巻き込みかねない諸刃の剣。
導火線は、今も減り続けている。
「ま、分かってるけどさ」
北岡は何度目か分からない溜息を吐き、疲れを隠すように笑った。
【二日目/深夜/F−8 市街地】
【北岡秀一@仮面ライダー龍騎(実写)】
[装備]:レイの靴@ガン×ソード、ゾルダのデッキ@仮面ライダー龍騎 (一時間変身不可)
[所持品]:支給品一式×3(水×2とランタンを消費)、CONTRACTのカード@仮面ライダー龍騎、CONFINE VENTのカード@仮面ライダー龍騎
FNブローニング・ハイパワー@現実(12/13) 、RPG-7(0/1)@ひぐらしのなく頃に、榴弾×1、
デルフリンガーの残骸@ゼロの使い魔、五ェ門の確認済み支給品(0〜1)(刀剣類では無い)
[状態]ダメージ(中)
[思考・行動]
0:殺し合いから脱出する。
1:つかさに対する罪悪感。
※一部の支給品に制限が掛けられていることに気付きました。
※病院にて情報交換をしました。
※レナ、狭間と情報交換をしました。
※『多ジャンルバトルロワイアル』のホームページを閲覧しました。
※ミニクーパー@ルパン三世は近くの民家に駐車してあります。
【柊つかさ@らき☆すた】
[装備]なし
[支給品]支給品一式×2(水のみ3つ)、確認済み支給品(0〜1) 、レシピ『錬金術メモ』、陵桜学園の制服、かがみの下着、食材@現実(一部使用)、
パルトネール@相棒(開封済み)、こなたのスク水@らき☆すた
[状態]気絶中
[思考・行動]
0:殺し合いから脱出する。
1:錬金術でみんなに協力したい。
[備考]
※錬金術の基本を習得しました。他にも発想と素材次第で何か作れるかもしれません。
※アイゼルがレシピに何か書き足しました。内容は後続の書き手氏にお任せします。
※会場に連れ去られた際の記憶が戻りました。
※『多ジャンルバトルロワイアル』のホームページを閲覧しました。
373 :
創る名無しに見る名無し
:2013/03/14(木) 00:40:57.35 ID:ZDzqA3AZ
支援
374 :
創る名無しに見る名無し
:2013/03/14(木) 00:41:59.44 ID:ZDzqA3AZ
支援
375 :
聖少女領域/薔薇獄乙女 ◇ew5bR2RQj.(代理投下)
:2013/03/14(木) 00:42:08.59 ID:OZhKz7zY
【ジェレミア・ゴットバルト@コードギアス 反逆のルルーシュ】
[装備]贄殿遮那@灼眼のシャナ
[所持品]支給品一式×2(鉛筆一本と食糧の1/3を消費)、咲世子の煙球×1@コードギアス 反逆のルルーシュ、USB型データカード@現実、ノートパソコン@現実、
琥珀湯×1、フラム×1、リフュールポット×2、不明支給品(0〜1)、薬材料(買い物袋一つ分程度)、エンドオブワールドの不発弾(小型ミサイル数個分)、
メタルゲラスの装甲板、メタルゲラスの角と爪
[状態]気絶中、機械部分に深い裂傷、疲労(小)、精神磨耗、両腕の剣が折れたため使用不能
[思考・行動]
0:殺し合いから脱出する。
1:V.V.を殺す。
2:他の参加者に協力する。クーガーとの約束は守る。
3:全て終えてからルルーシュの後を追う。
[備考]
※病院にて情報交換をしました。
※制限により、ギアスキャンセラーを使用すると疲労が増大します。他にも制限があるかも知れません。
※『多ジャンルバトルロワイアル』のホームページを閲覧しました。
【狭間偉出夫@真・女神転生if...】
[装備]:斬鉄剣@ルパン三世
[所持品]:支給品一式×2、インスタントカメラ(数枚消費)@現実、真紅の下半身@ローゼンメイデン、空飛ぶホウキ@ヴィオラートのアトリエ、
ブラフマーストラ@真・女神転生if…、鉈@ひぐらしのなく頃に
[状態]:人間形態、疲労(大)、魔力消費(極大)
[思考・行動]
0:殺し合いから他の者達と一緒に脱出する。
1:シャドームーンとの契約を遵守する。
2:翠星石を保護する。
[備考]
※参加時期はレイコ編ラストバトル中。
※『多ジャンルバトルロワイアル』のホームページを閲覧しました。
※『多ジャンルバトルロワイアル』のホームページのユーザ名はtakano、パスワードは123です。
またこれらを入手したことにより、以下の情報を手に入れました。
全参加者の詳細プロフィール
全参加者のこれまでの動向。
現時点での死者の一覧。
各参加者の世界観区分。
nのフィールドの詳細及び危険性。
「彼」が使用したギアスの一覧。
※目的の欄を閲覧することはできませんでした。
【ストレイト・クーガー@スクライド】
[装備]:なし
[所持品]:基本支給品一式
[状態]:身体中に鈍い痛み、疲労(極大)、貧血
[思考・行動]
1:生きる。
2:翠星石を迎えに行く。
※総合病院にて情報交換をしました。
※ギアスとコードについて情報を得ました。
※真司、C.C.らと情報交換をしました。
※田村玲子が同化して傷を塞ぎました。アルターについては応急的な処置なので寿命が延びる事はありません。
それ以外の影響があるか否かは後続の書き手氏にお任せします。
376 :
創る名無しに見る名無し
:2013/03/14(木) 00:43:09.67 ID:ZDzqA3AZ
支援
377 :
聖少女領域/薔薇獄乙女 ◇ew5bR2RQj.(代理投下)
:2013/03/14(木) 00:43:37.08 ID:OZhKz7zY
【シャドームーン@仮面ライダーBLACK(実写)】
[装備]:サタンサーベル@仮面ライダーBLACK
[支給品]:支給品一式、不明支給品0〜2(確認済み)
[状態]:疲労(大)、ダメージ(極大)、全身に負傷、全身に火傷、右腕欠損、シャドーチャージャーに負傷
[思考・行動]
0:創世王を殺す。
1:創世王を殺した後、他の参加者を皆殺しにする。
2:狭間との契約は守る。
3:キングストーン(太陽の石)を回収する。
【備考】
※本編50話途中からの参戦です。
※殺し合いの主催者の裏に、創世王が居ると考えています。
※会場の端には空間の歪みがあると考えています。
※空間に干渉する能力が増大しました。
※nのフィールドの入り口を開ける能力を得ました。
※回復が始まっていません。回復するかどうかは後続の書き手に任せます。
※バトルホッパーは近くに停まっています。
※狭間偉出夫とシャドームーンは契約を交わしました。内容は以下の通りです。
シャドームーンは主催者を倒すまで他の参加者を殺害しない。(但し正当防衛の場合は例外とする)
狭間はシャドームーンの首輪を解除する。
狭間はシャドームーンが首輪を解除するまで護衛する。
シャドームーンは首輪を解除できれば他の参加者と協力して主催者と戦う。(シャドームーンは会場脱出や主催者の拠点へ侵攻する際は他の参加者と足並みを揃える)
主催者(の黒幕)の殺害はシャドームーンに一任する。
主催者を倒した後はシャドームーンと他に生き残った全ての参加者で決着を付ける。
主催者を倒すまでにシャドームーンが誰かに殺害された場合、狭間は必ずその報復を行う。
☆ ☆ ☆
翠星石が目を覚ました時、目の前の景色は大きく移り変わっていた。
物がない荒廃した街中から、大量のモニターが壁に埋め込まれた屋内へと。
照明は設置されているものの頼りなく、モニターが不気味に光っている。
しばらく周囲を見渡していると、自分がソファーに座らされていることに気付いた。
「やぁ、起きたんだね」
背後から声。
振り向いた先にいたのはV.V.。
一度しか姿は見ていないが、特徴的な外見のため間違えようがない。
「V.V.……ッ!」
黒翼を展開して飛翔。
V.V.の頭上を取った後、頭部に掌を翳す。
「そんなに怒らないでよ、僕は説明しに来ただけなんだから」
「どういうことですか!?」
「君は条件を満たした上で脱出する意思を表明したからね、ちょっと乱暴だったけど脱出してもらったのさ」
長い白髪を地面に引き摺らせながら、V.V.は説明を続ける。
378 :
創る名無しに見る名無し
:2013/03/14(木) 00:43:52.65 ID:ZDzqA3AZ
支援
379 :
聖少女領域/薔薇獄乙女 ◇ew5bR2RQj.(代理投下)
:2013/03/14(木) 00:44:59.23 ID:OZhKz7zY
「条件……?」
「首輪を外した上で、十二時間同行した参加者を殺害する
君は城戸真司を殺害したことで、この条件を満たしたんだよ」
人を小馬鹿にするような口調。
真司の名前を告げられ、翠星石の頭は憤怒に侵されていく。
「だったら私の願いを叶えるです! 蒼星石達を生き返させやがれです!!」
「ううん、それはで出来ないよ
君は脱出しただけで、殺し合いに優勝したわけじゃない
願いを叶える権利があるのは、殺し合いに優勝した人だけなんだ」
「黙るです!!!」
叫びと同時に噴射される花弁。
弾丸の如き速度で床へと到達し、V.V.の周辺を抉り取る。
「次は外さないです、さぁ、さっさとするです!!」
「はぁ……僕は話をしに来ただけなんだけどなぁ……」
困ったように溜息を吐くV.V.。
その素振りも憐れむようなもので、翠星石の怒りは更に募っていく。
「翠星石への説明は私がしましょう……」
V.V.の背後から現れる新たな来客。
ローゼンメイデン第七ドール・薔薇水晶。
「V.V.は休んでてください」
「うん、そうさせてもらうね」
踵を返して、部屋から立ち去ろうとするV.V.。
逃すわけがない。
庭師の鋏を召喚し、V.V.の背中へと急降下。
一瞬で肉薄し、開いた鋏をV.V.の首に伸ばす。
そのまま閉じようと力を込めるが、刃は閉まらない。
内側に水晶が挟まれ、支え棒の役割を果たしていた。
「待ちやがれです!」
翠星石は叫ぶが、V.V.は振り向かない。
自動扉を潜り、そのまま立ち去ってしまう。
「よくも邪魔したですね……絶対に許さねぇですよ!」
さらに力を込めることで、挟み込まれた水晶を強引に砕く。
間髪入れずに腕を伸ばし、薔薇水晶の首に鋏を宛てがった。
380 :
創る名無しに見る名無し
:2013/03/14(木) 00:45:59.68 ID:JQfJOsLF
381 :
聖少女領域/薔薇獄乙女 ◇ew5bR2RQj.(代理投下)
:2013/03/14(木) 00:46:10.43 ID:OZhKz7zY
「その鋏で、どうするの?」
「決まってるです! 滅多刺しにした後、身体を細切れにして……ッ!?」
激情に任せて言葉を吐き出し、途中で止める。
遅れるようにやってきた悪寒は、瞬く間に全身を支配していく。
耐え切れずに鋏を下ろし、背後へと後退る。
自らの口から漏れ出た血腥い言葉に、言いようのない恐怖を覚えたのだ。
これではまるで――――
「では、乗るのですね……アリス・ゲームに」
「ち、ちが……ッ!」
薔薇水晶の言う通り、アリス・ゲームに乗っているようではないか。
「乗っていないのなら、どうして貴女はローザミスティカを四つも持ってるの?」
薔薇水晶の詰問に言葉を詰まらせる翠星石。
彼女の中には、他の姉妹のローザミスティカがある。
手を掛けたのは他の参加者だが、ローザミスティカが眠っている事実は変わらない。
「それに、もう一人殺してるじゃないですか」
くすり、と薔薇水晶の顔が歪んだ気がする。
翠星石にとって、最も触れられたくない領域であった。
「翠星石は……戦いたくなんか……殺したくなんか……」
しかし、反論することができない。
北岡やクーガーとの口論を経て、既に彼女の精神は磨り減っている。
「翠星石は、城戸真司を殺したことを後悔してるの?」
「当たり前です!」
唐突に投げ掛けられる質問。
分かり切っている答えに、翠星石はしきりに首肯する。
「なら、話は簡単」
「え……?」
「あと、九人」
「何が……九人なんです?」
恐る恐るといった様子で尋ねる翠星石。
尋ねた瞬間、彼女は自分が質問の答えを知っているのではないかと気付いた。
故に声が震えているのだ。
耳を塞ごうとするが、既に賽は投げられている。
抑揚のない声で、薔薇水晶は答えを口にした。
「願いを叶えるため、翠星石が殺さなければいけない人の数」
心が凍り付くように冷えていく。
「お前、何を馬鹿なことを言ってるですか!」
取り繕うように反論の言葉を述べる。
だが、余りにも中身が無い。
妙に白々しい発言であると、放っている彼女自身が思ってしまった。
382 :
創る名無しに見る名無し
:2013/03/14(木) 00:46:30.12 ID:JQfJOsLF
383 :
創る名無しに見る名無し
:2013/03/14(木) 00:46:43.40 ID:Yx3RUowO
支援
384 :
創る名無しに見る名無し
:2013/03/14(木) 00:47:21.37 ID:JQfJOsLF
385 :
聖少女領域/薔薇獄乙女 ◇ew5bR2RQj.(代理投下)
:2013/03/14(木) 00:47:33.56 ID:OZhKz7zY
「今、生き残っている人達は、貴女にとってそんなに大事?」
「え」
「今、生き残っている人達は、真紅達や城戸真司、劉鳳、泉新一よりも大事なの?」
狭間偉出夫、北岡秀一、ジェレミア・ゴットバルト、柊つかさ、ストレイト・クーガー、上田次郎、ヴァン、シャドームーン、志々雄真実。
現在の生存者である九人。
狭間の連れて来た四名――――狭間、北岡、ジェレミア、つかさ。
彼らは後から現れた癖に、新一や水銀燈の犠牲を踏み躙るような協定を結んだ。
しかも四人が全員危険人物であり、全く信用することができない。
上田やヴァンもその協定に乗った時点で同罪だ。
シャドームーンは考えるまでもなく、志々雄も決して善人では無いだろう。
「でも、クーガーは……」
「彼もシャドームーンとの協定に乗ってる、だから変わらない」
「違う! クーガーはあいつらとは違うです!」
「……確かにストレイト・クーガーは違うでしょう」
薔薇水晶はやけにあっさりと退く。
訝しげに首を傾げるが、不意打ちを掛けるように再び口を開いた。
「むしろ彼らよりよっぽど酷い、翠星石は騙されてる」
目を丸くする翠星石。
クーガーに、騙されている。
脈絡もない言葉なのに、翠星石は聞き行ってしまう。
「シャドームーンと協力するのは分かる……でも、狭間偉出夫達と協力するのは何故?
狭間偉出夫も、北岡秀一も、ジェレミア・ゴットバルトも、柊つかさも
他の参加者を襲ってる……危険な人達
ストレイト・クーガーは……それを伝えてない」
薔薇水晶の指摘で気付かされる。
確かに話し合いの際、クーガーは狭間達が危険人物である可能性に一切触れていない。
シャドームーンや真司ばかりを抽出し続けた。
狭間やジェレミアへの嫌疑は微弱であるものの、北岡に関しては確かな証拠が上がっている。
北岡に関しては疑いようもないだろう。
その北岡の仲間なら、他の三人の余罪もあるかもしれない。
そして、クーガーは狭間達の仲間のように振舞っていた。
「じゃあ、クーガーは……」
「そう、ストレイト・クーガーは……狭間偉出夫の仲間」
クーガーは狭間達の仲間なら、何故翠星石を騙したのか。
そんなこと決まっている。
一人では倒せない主催陣営やシャドームーンの打倒に協力させるためだ。
「じゃあ、翠星石はもうひとりぼっち……」
今になって、北岡の暴言が心を抉る。
真司が死んだ時点で、翠星石は孤独になっていたのだ。
「違う……翠星石はひとりぼっちじゃない」
「え……?」
「翠星石には、私がいる」
薔薇水晶が両手を広げる。
ぎこちない笑顔を浮かべながら、翠星石を抱き締めるように大きく。
386 :
創る名無しに見る名無し
:2013/03/14(木) 00:48:19.66 ID:0jsx1wpu
支援
387 :
創る名無しに見る名無し
:2013/03/14(木) 00:48:44.80 ID:Yx3RUowO
支援
388 :
聖少女領域/薔薇獄乙女 ◇ew5bR2RQj.(代理投下)
:2013/03/14(木) 00:48:55.00 ID:OZhKz7zY
「たった七人の姉妹、どうして嫌いになれるですか」
新たに言葉を放つ薔薇水晶。
それは、総合病院で翠星石が水銀燈に放った言葉。
よくよく考えてみれば、翠星石は薔薇水晶のことをよく知らない。
真紅から話を聞いただけだし、一時間前に会ったばかりである。
それだけで敵と断定するのは、余りにも酷ではないだろうか。
「世界の全てが翠星石を裏切っても……私だけは貴女の味方」
「薔薇水晶……」
「だから……私と共に戦いましょう」
一歩ずつ、前へと。
薔薇水晶の腕の中へ飛び込もうとする。
その、瞬間だった。
――――翠星石さん! 待っていてください!!
耳の奥底で。
――――必ず、必ず、貴女を迎えに行きます!!
クーガーの叫び声が聞こえた気がしたのは。
「……どうしたの?」
抱き締める直前で後退った翠星石を訝しむ薔薇水晶。
小さな顔を可愛らしく横に倒している。
「す、少し考えさせて欲しいです!」
動揺を隠すように、翠星石ははにかみ笑いを浮かべる。
理由は分からないが、咄嗟にそう言い放っていたのだ
「……そう」
薔薇水晶は残念そうに顔を伏せている。
その仕草に心が痛めるが、すぐに決断するべきことではない。
少しは考える時間があってもいいだろう。
「決めるのは翠星石……私は待ってる」
穏やかな口調で薔薇水晶は語る。
389 :
聖少女領域/薔薇獄乙女 ◇ew5bR2RQj.(代理投下)
:2013/03/14(木) 00:50:07.86 ID:OZhKz7zY
「でも、その前に、渡したい物がある」
「何ですか?」
「脱出の褒章……きっとこの子も翠星石と一緒の方がいいと思うから」
薔薇水晶の身体が淡い光を放ち始める。
それを見つめる翠星石。
光は彼女の胸部へと集合し、強い輝きに変化。
そして発芽するように胸部から小さな欠片が解き放たれ、翠星石の身体へと吸い込まれた。
「これは……雛苺のローザミスティカ!?」
薔薇水晶が差し出したのは雛苺のローザミスティカ。
身体の中で五つのローザミスティカが共鳴する。
にわかには信じ難いが、これが雛苺のローザミスティカであることは間違いない。
「まさか、お前」
「誤解しないで……雛苺はもう脱落してたの」
薔薇水晶は語る。
過去に雛苺は真紅に敗退し、彼女の軍門に下った。
そうすることでローゼンメイデンで在り続ける道を選んだのだ。
だが、真紅は死んだ。
それで雛苺もアリスゲームに敗退したと判断され、機能停止したのである。
「それでnのフィールドを彷徨っていたところを……私が預かった」
「そうだったんですか、疑って悪かったです」
雛苺が敗退しているのは知っていたし、三人も脱落した現状となっては有り得ない話ではない。
薔薇水晶の説明は十分に納得のできるものだった。
「それじゃあ翠星石……また、なにかあったら呼んで」
背を向ける薔薇水晶。
正面にあった自動扉が開き、薄暗い廊下が顕になる。
ヒールの足音を響かせながら、薔薇水晶は去っていった。
「あ……」
薔薇水晶を呼び止めようとして、声が出ない。
寂しさが込み上げてくるが、ぐっと胸の中に仕舞い込んだ。
薔薇水晶の申し出はとても魅力的なものだった。
にも関わらず、何故か断っている自分がいた。
クーガーの声が聞こえたからなのか。
しかし、クーガーとの共闘も正しいものとは思えない。
もはや何が正しいのか分からない。
「どうすれば、いいですか……」
呟いた言葉は、薄暗い部屋の静寂の中で霧散した。
☆ ☆ ☆
390 :
創る名無しに見る名無し
:2013/03/14(木) 00:50:24.24 ID:JQfJOsLF
391 :
創る名無しに見る名無し
:2013/03/14(木) 00:50:45.03 ID:Yx3RUowO
支援
392 :
聖少女領域/薔薇獄乙女 ◇ew5bR2RQj.(代理投下)
:2013/03/14(木) 00:51:33.48 ID:OZhKz7zY
薄暗い廊下に響き渡るハイヒールの足音。
寸分の狂いもなく、常に一定の間隔でそれは刻まれている。
足音の主は薔薇水晶。
美麗な顔に無表情を貼り付けながら、片目だけで目前を見据えている。
「よお」
暗闇から音もなく現れる影。
それだけでも恐怖に値する上、その影は全身に包帯を巻き付けた異形だった。
一般人なら卒倒しかねないが、薔薇水晶は表情を崩さない。
「なかなか面白いもんを見せてもらったぜ」
包帯の合間にある口を薄く笑わせながら、志々雄は悠然とした口調で話し掛ける。
「ああいうのを迫真の演技って言うのか? なぁ、ローゼンメイデン第七ドールさんよ」
皮肉交じりの志々雄の言葉を受けても、薔薇水晶は眉一つ動かさない。
そう、薔薇水晶はローゼンメイデンでは無い。
本来のローゼンメイデン第七ドールは雪華綺晶という名前である。
なら、彼女は何者なのか。
ローゼンメイデンを越えるため、ローゼンの弟子である槐が作り上げた人形。
つまりは贋作なのである。
「黙りか、せっかく協力してやったんだから少しは話してもいいんじゃねぇのか?」
「貴方にはサバイブを試す場所をあげた……それでおあいこ」
これこそが志々雄が協力した理由。
新たな切り札を渡された志々雄は、それで試し切りをしたくなったのだ。
いずれV.V.を出し抜くことを画策している志々雄。
自らがどの程度の力を有しているか把握するため、自らの力を推し量る戦場が必要だったのだ。
それを考えていた時、薔薇水晶に話を持ち掛けられたのである。
「サバイブは悪くねぇ、刀を折っちまったのが残念だがな」
「そう、私はこれで……」
「おいおい待てよ」
「なに? 私に用は無い」
「当ててやろうか?」
「何を?」
「お前が俺に力を借りてまで、翠星石を誘拐した理由」
威勢よく言葉を紡ぎ続ける志々雄。
対する薔薇水晶は無口。
数秒の間、二人の視線が交差する。
沈黙を肯定と判断したのか、志々雄は再び口を開いた。
「翠星石の中にあるキングストーンが、シャドームーンの手に渡ることを恐れたからだろ?」
シャドームーンはキングストーンを回収しようとして、ラプラスの魔にそれを妨害されている。
鷹野の独断専行を除けば、これが主催陣営によって初めて行われた参加者への干渉だ。
二つのキングストーンが一箇所に集合することは、主催陣営も恐れているのである。
393 :
創る名無しに見る名無し
:2013/03/14(木) 00:52:20.47 ID:Yx3RUowO
支援
394 :
聖少女領域/薔薇獄乙女 ◇ew5bR2RQj.(代理投下)
:2013/03/14(木) 00:53:03.45 ID:OZhKz7zY
「……」
そこまで分かっているのなら仕方がないと言うように、薔薇水晶は首肯する。
彼女の解答に満足したのか、志々雄は満足気に笑う。
「――――それともう一つ」
追撃が訪れる。
「実験だろ?」
志々雄の浮かべていた笑みの真意に気付かされる。
満足気に笑っていたのではなく、薔薇水晶を手玉に取っていたが故の笑みだったのだ。
「図星って顔してやがるな」
傍に設置された窓に目を移す薔薇水晶。
自身の目が僅かに見張っていることに気付いた。
普通の人間であれば小さな変化だが、感情に乏しい彼女ならば話は別である。
そして、志々雄はそれを見逃すほど愚かではない。
「……そこまで気付いているのなら仕方がありません」
観念したように薔薇水晶は自らの真意を語り始める。
「ローザミスティカは元々一つの石
それをは七つに割られ、それぞれのドール達に分けられた
欠片を奪い、一つの石に戻すのが……アリスゲーム」
薔薇水晶の話を志々雄は黙して聞き続ける。
「でも、翠星石はあれを取り込んでしまった」
「キングストーンか?」
「そう、だから翠星石は強くなった」
キングストーンを取り込んで以降、翠星石は比類なき力を手に入れている。
力も、速さも、能力も、以前とは比べ物にならないだろう。
「ほう、ならアイツから奪い取ってやろうか」
「止した方がいい、あれは危険」
「あぁ?」
「キングストーンは完全な状態のローザミスティカみたいなもの……もしかしたらそれ以上かもしれない」
キングストーン自体に善悪は無く、純粋な力の源に過ぎない。
そしてその力は、使う者によって大きく変質する。
例えば本来の歴史で南光太郎がゴルゴムを壊滅させた後、クライシス帝国が地球を侵略しようとする。
無論彼は立ち向かったが、仮面ライダーBLACKへの変身機構を破壊された上で宇宙空間に放り出されてしまった。
しかし彼の地球を守りたいという強い意思にキングストーンが応え、太陽光線を浴びることで仮面ライダーBLACK RXへと進化を遂げたのだ。
他にも更なる進化形態を生み出すなど、キングストーンの力は想像に及ばない。
395 :
創る名無しに見る名無し
:2013/03/14(木) 00:53:33.77 ID:Yx3RUowO
支援
396 :
聖少女領域/薔薇獄乙女 ◇ew5bR2RQj.(代理投下)
:2013/03/14(木) 00:54:31.52 ID:OZhKz7zY
「翠星石はおそらくキングストーンに耐えられないでしょう」
淡々と告げる薔薇水晶。
アリスになる義務が課せられている以上、翠星石には七つのローザミスティカに耐え得る器がある。
だが、それ以上はどうなのか。
「今のところ肉体に変化は無い、けど、精神の方には兆候がある」
南光太郎は改造でそれに耐え得る外殻を手にし、強靭な精神力で押さえ込んだ。
しかし、翠星石にそれは出来ない。
器から溢れるほどの力は、暴走に繋がる。
目覚めた直後の記憶喪失や、クーガーとの会話の最中に起きた突然の恐慌がいい例だろう。
既に彼女の精神は、キングストーンの巨大な力に呑み込まれつつある。
「私が翠星石を回収したのは、キングストーンを取り込んでどうなるかを観察するため」
「なるほどねぇ。新しいローザミスティカを取り込ませたのも暴走を早めるためってところか」
志々雄の問いに、薔薇水晶は首肯する。
「ククッ……小さい癖して末恐ろしいもんだぜ
だが、一つだけ覚えときな」
喉を鳴らして志々雄は笑う。
「全ての力を手にするのは、この志々雄真実だ
キングストーンも例外じゃねぇ、必ず俺の物にして見せるぜ」
笑い続ける志々雄の顔は、何処までも狂気的なものであった。
【二日目深夜/???】
【翠星石@ローゼンメイデン(アニメ)】
[装備]庭師の如雨露@ローゼンメイデン、真紅と蒼星石と水銀燈と雛苺のローザミスティカ@ローゼンメイデン、キングストーン(太陽の石)@仮面ライダーBLACK(実写)
ローゼンメイデンの鞄@ローゼンメイデン、庭師の鋏@ローゼンメイデン
[支給品]支給品一式(朝食分を消費)、真紅のステッキ@ローゼンメイデン、情報が記されたメモ、確認済支給品(0〜1)
[状態]首輪解除済み
[思考・行動]
0:???
[備考]
※スイドリームが居ない事を疑問に思っています。
※ローザミスティカを複数取り込んだことで、それぞれの姉妹の能力を会得しました。
※キングストーンを取り込んだことで、能力が上がっています。
またキングストーンによる精神への悪影響が見られ、やがて暴走へ繋がる危険性があります。
【志々雄真実@るろうに剣心-明治剣客浪漫譚-(漫画)】
[装備]:サバイバルナイフ@現実、ヒノカグツチ@真・女神転生if...、サバイブ(烈火)@仮面ライダー龍騎
[所持品]:支給品一式×3、リュウガのデッキ@仮面ライダー龍騎(一時間変身不可)、確認済み支給品0〜3(武器ではない)、林檎×8@DEATH NOTE、鉄の棒@寄生獣
マハブフストーン×4@真・女神転生if…、本を数冊(種類はお任せ)、工具@現実(現地調達)、首輪の残骸(銭形のもの)、首輪解除に関するメモ
[状態]:各部に軽度の裂傷、首輪解除済み
[思考・行動]
1:ぶいつぅの掌の上にいる。(飽きるまで)
2:気が向いたらガリア王国のジョゼフを持て成す。
3:可能なら武田観柳を利用する。
4:翠星石の中のキングストーンが欲しい。
[備考]
※クーガー、C.C.、真司らと情報交換をしました。ギアスとコードについて情報を得ました。
397 :
創る名無しに見る名無し
:2013/03/14(木) 00:55:27.72 ID:Yx3RUowO
支援
398 :
創る名無しに見る名無し
:2013/03/14(木) 00:59:15.20 ID:JQfJOsLF
399 :
創る名無しに見る名無し
:2013/03/14(木) 01:01:45.61 ID:ZDzqA3AZ
支援
400 :
創る名無しに見る名無し
:2013/03/14(木) 01:02:55.00 ID:ZDzqA3AZ
支援
401 :
◇ew5bR2RQj.(代理投下)
:2013/03/14(木) 01:03:43.07 ID:OZhKz7zY
以上で代理投下終了です 支援下さった方ありがとうございました
そして◆ew5bR2RQj.氏、仮投下乙でした
翠星石がどうなってしまうのかが心配で仕方ありません。ただ真司が死ぬだけでもこの上なく追い込まれただろうに、
自分が殺してしまった上、支えてくれる仲間がもはや残っていない……そこに甘く差し込まれる偽りの姉妹の誘いとかもうやめてぇええ
キングストーンの影響で精神不安定で、人間不信に陥りつつあるのが在りし日のレナを連想させずには居られない……
彼女に救いを与えないのはきっとレナも真司も望まない、何とかしてくれ対主催! 特にキングストーンあげた上田先生!
しかしそれを阻むには志々雄リュウガサバイブは大きな壁過ぎてもう……シャドームーンに協調性を望むのが間違いでしたか。
ダメだ、もう俺が頼れるのはあなたしかいない、頼んだクーガー兄貴!
改めて氏と、代理投下に協力してくれた皆様に感謝を。お疲れ様でした!
402 :
創る名無しに見る名無し
:2013/03/14(木) 01:38:56.82 ID:JQfJOsLF
ぬおおおおおおおおおおお、投下乙!!
主催側が干渉してきた、となるとやはりそれ相応の理由があるよね。
CCOがCCOじゃなくて志々雄でカッコイイですわ。
狭間を救ったKフロストマントは、蒼嶋とレナを救ったアイテム……!
なんていうかもう、終盤で当たり前なんだけど、凄く大きく一歩を踏み出した感が!
頑張れ、もう超頑張れみんな!
403 :
創る名無しに見る名無し
:2013/03/14(木) 07:48:01.37 ID:0jsx1wpu
投下乙です!
志々雄かっけえええええええええええ! しかも強すぎる!
彼の変身したリュウガサバイブがここまで恐ろしいなんて……シャドームーンもそうだけど、どうやって倒すの?
対主催はみんなボロボロだし……
翠星石もこれからどうなるんだろう。
404 :
創る名無しに見る名無し
:2013/03/14(木) 18:04:46.75 ID:mxTIUT8h
投下乙です
ここにきて北岡やジェレミアの悪評が効いてくるとは思わなかった
翠星石は予想通りでっかい爆弾になってしまったがこのまま転落していくのか、それとも兄貴が何とかするのか
そして志々雄も圧倒的だけどシャドームーンが足枷になるとは
こいつに限って味方になった途端に……はないと思いたい
誤字脱字は
>>294
の
この男は元の世界では白を黒に は黒を白にです
405 :
創る名無しに見る名無し
:2013/03/14(木) 19:17:46.25 ID:HCFN4fnM
投下乙です。
シャドームーン、協調性0。
配慮しないどころか、利用する気すら無いじゃないですか。
翠星石の中には、単純計算で1.5個分の賢者の石が入ってるのか。
そりゃ、体が保たないわ。
406 :
創る名無しに見る名無し
:2013/03/17(日) 07:32:37.91 ID:eFLkJOkb
最近やたら体重が減って喰っても喰っても減り続ける。
癌にでもなったかなと心配し検査したけど糖尿でもなく
大体だるさや腹痛などの自覚症状がない。
407 :
創る名無しに見る名無し
:2013/03/17(日) 07:42:22.69 ID:eFLkJOkb
おれは一人暮らしだがマンションの一階がコンビニでしかもEdyが使えるから、
小腹が減るとついつい携帯を持って食い物を買いに行ってしまうのだ
408 :
創る名無しに見る名無し
:2013/03/17(日) 13:38:44.48 ID:v2zOQ6qP
何のスレだよここwwwww
409 :
創る名無しに見る名無し
:2013/03/18(月) 22:10:22.31 ID:TaQe5ruT
いけないいけないと思いつつ
今日も昼の3時に会社地下のコンビニで買った
20%引きのおにぎりを会社のトイレの個室で
隠れて食ってしまった。
昨日の夜も夜中に腹が減ってカップ天ぷらそば食ったし
何だかんだで俺、一日五食食っているな。
410 :
創る名無しに見る名無し
:2013/03/18(月) 23:06:26.26 ID:abP1Vavc
まぁ多ジャンルだから、多少はね?
411 :
創る名無しに見る名無し
:2013/03/19(火) 06:23:28.89 ID:iQcMoEpt
みんな!遊びに来てね!
http://www.geocities.jp/destiny_br/
412 :
創る名無しに見る名無し
:2013/03/31(日) 23:39:53.08 ID:P8txZSrk
予約入った!
413 :
創る名無しに見る名無し
:2013/04/01(月) 00:13:21.70 ID:EfKPI2Ye
wikiのトップwwwww
くそ、笑うしかねえwwwww
でも一瞬やりたいと思ってしまった……
414 :
創る名無しに見る名無し
:2013/04/01(月) 00:18:53.65 ID:vdFF5VCt
開発・資金提供・発売 武田観柳
とか細かいとこも無駄にこってやがるwww
415 :
創る名無しに見る名無し
:2013/04/01(月) 01:08:58.86 ID:cmi7qbSJ
ちょっとやそっとじゃ笑わないと高をくくってたのにwiki開いた瞬間腹抱えて笑った
やっぱり上田先生って凄い
416 :
創る名無しに見る名無し
:2013/04/01(月) 01:10:25.42 ID:Yl9qMbUQ
ときめきロワイアルwwwwwwwwww
417 :
創る名無しに見る名無し
:2013/04/01(月) 01:28:39.60 ID:0G7vvHq8
没ネタにはRPG風作品の投下が来たぞ
418 :
創る名無しに見る名無し
:2013/04/01(月) 01:53:09.42 ID:UavNdlSb
今年も上田先生がやったかww
419 :
創る名無しに見る名無し
:2013/04/01(月) 21:32:56.71 ID:9f+P55C1
そういえば前スレに恋愛ゲームの話題が出てたよな…
420 :
創る名無しに見る名無し
:2013/04/06(土) 00:44:38.49 ID:X8bS+uqC
てす
421 :
◆.WX8NmkbZ6
:2013/04/06(土) 00:46:00.74 ID:X8bS+uqC
全員を投下します。
422 :
創る名無しに見る名無し
:2013/04/06(土) 00:46:52.99 ID:ibh6rhS1
423 :
創る名無しに見る名無し
:2013/04/06(土) 00:47:20.02 ID:X8bS+uqC
殺し合いの開始から丸一日と少し。
時刻は黎明、未だ夜は深く朝は遠い。
会場を照らし出す満月と瞬く星々の輝きは、殺し合いとは無関係と言わんばかりに鮮やかだった。
生存者十名、うち脱出せずに残っている者は八名。
会場に戦う意志のある者はいなくなり、一台の車のエンジン音だけを残して静まり返っていた。
しかし一人の悪意に満ちた参加者の求めに応え、会場は動き出そうとしていた。
会場にいる者達よりも遙か高みに立った怪人が笑う。
己の強さと絶対の摂理を信じた、幕末の亡霊。
志々雄真実は、下界の者達を嘲笑った。
会場に残る者達が思い知らされるのは、もう暫し先の事である。
▽
「ここらで本格的に組む気はねぇか」
薔薇水晶と志々雄の会話は続いていた。
薄く、余裕のある笑みを張り付ける志々雄と無表情の薔薇水晶。
互いに腹を探り合う。
「貴方の目的は、全てを手に入れる事。
私の目的とは一致しない」
「そうでもねぇさ。
少なくとも、俺はあの連中よりは物分かりがいいと思うぜ」
会場に残っている者達。
シャドームーンとの協力が決まり翠星石も雪代縁もいなくなった今、志々雄が手を加えない限りあの集団はもう崩れない。
首輪を外してこの『アジト』に到達し、全てを終わらせようとするだろう。
シャドームーンは薔薇水晶を完全に敵と見なしており、他の者達も翠星石を放置しようとはしないはずだ。
薔薇水晶にとっては確かに、どう転んでも邪魔な存在だった。
「お前にとって損な取引にはしねェ。
何なら、ローザミスティカに関してはお前にくれてやってもいいんだぜ」
「……?」
際限なく貪欲に力を求める、全てを手に入れようとする男。
薔薇水晶が志々雄の性質をそう捉えている。
故に、この譲歩は志々雄らしからぬものであり、関心は抱くもののすぐに食い付く事はしない。
「それぐらいの譲歩は構わねえさ、そこでケチケチするような狭い器を生まれ持った覚えはねえ。
お前はあの連中よりよっぽど見込みがあるしな」
「……」
薔薇水晶は表情を崩さないまま考える。
確かに相互に利益のある話だが、志々雄を信用出来るのか。
「組むったって、何もあの連中みてえに仲良しごっこをしようってわけでも戦えってんでもねえさ。
むしろてめえが戦う時には手伝ってやるぜ。
代わりに会場の行き来の送り迎え、それにちょっとした『おつかい』を頼みたいってだけだ」
「…………私は、中立」
先程は利害の一致によりアジトと会場の間の移動を手伝いはしたが、それだけだった。
志々雄の提案に揺れはしたものの、これ以上一人の参加者に荷担する決断は、薔薇水晶には出来ない。
「いいじゃないか、薔薇水晶」
その時、少年の声が薔薇水晶の背を押した。
424 :
創る名無しに見る名無し
:2013/04/06(土) 00:47:30.56 ID:ibh6rhS1
425 :
創る名無しに見る名無し
:2013/04/06(土) 00:48:30.84 ID:X8bS+uqC
振り返った先にいるのはウェーブのかかった長い髪を床に引きずらせた子供。
薔薇水晶と大差ない背丈しかない幼子、その外観に見合わぬ老獪さを併せ持った主催者が、志々雄と薔薇水晶の間に立つ。
「君が率先して参加者を殺して回るようでは、僕も困ってしまうけど。
志々雄にそれぐらい手を貸しても僕は怒らないよ。
君が志々雄とどんな契約を結ぼうと……ね」
V.V.と志々雄の間で、薔薇水晶は悩む。
そして幾つかの言葉を交わし、出現させた水晶の中へ消えた。
▽
上田次郎はヴァンに対し、C.C.と縁の遺体を移動させたいと強く求めた。
カズマ達の時と同じく、野晒しには出来ない。
しかしヴァンはほとんど興味を示さず、最終的には上田が一人で屋内へ運ぶ事になった。
病院まで運ぶ予定だった真司と水銀燈の遺体も合わせ、四人。
汗だくになって動き回る上田には、車のボンネットに腰掛けてぼんやりしているヴァンの胸中は分からない。
ただ、責める気にはならなかった。
四人を民家のソファーやベッドにそれぞれ安置し、手を合わせて一息。
きちんとした弔いには程遠かったが、少しだけホッとした。
それに手放しで喜べる結果ではなかったものの、この会場にはもう殺し合いに乗った人間はいない。
丸一日求め続けていた安全がここにはある。
上田は今までよりも少しだけ軽い足取りで車に戻った。
「そう言えば……」
ふと縁のデイパックの存在を思い出す。
殺し合いの脱出に繋がる物を所有していると、狭間から聞かされていた。
上田は胸を期待に満たして周囲を見回す。
目に留まったC.C.や縁の所持品を手早くデイパックにしまうが、肝心のデイパックが見当たらない。
ヴァンによれば縁は戦闘の最中にデイパックを手放しており、隠す暇はなかったはずだ。
「どういう事だ……?
この私が探しても見つからないとは……」
歩き回る事十分程。
デイパックは終ぞ、発見出来なかった。
▽
志々雄と薔薇水晶の襲撃の後には六人の参加者が残っていた。
パソコンを操作する狭間偉出雄。
その傍らで画面を覗き込む北岡秀一。
付近の民家に台所を借りに行った柊つかさに、単独行動をさせまいと付き添ったストレイト・クーガー。
意識を失ったまま目を覚まさないジェレミア・ゴットバルト。
そして瓦礫に腰掛けて休息を取るシャドームーン。
研究所に向かうという目標こそ立っているものの、彼らはまだ動かない。
クーガーと入れ違いになってしまった上田達三人を待っているのだ。
無闇に探し回るよりも、探知機を持った彼らに合流を委ねた方がいい。
付近の民家前に停めてあったミニクーパーは北岡が運転し、すぐに乗れる位置に移動させていおいた。
狭間は作業の手を止めて目を閉じた。
ふ、と小さく溜息を漏らす。
魔法の連続使用による疲労もあるが、これは落胆によるものだった。
竜宮レナを看取って以降、目の前で死なせてしまった城戸真司、連れ去られた翠星石。
そしてパソコン画面に浮かぶC.C.と縁の死亡表記。
レナへの誓いに反し、参加者は見る間に数を減らしていく。
クーガーを含めた多くの参加者がこの場で戦闘を繰り広げていたにも関わらず、クーガーを探しに行った者達は未だ戻らない。
426 :
創る名無しに見る名無し
:2013/04/06(土) 00:48:34.21 ID:ibh6rhS1
427 :
創る名無しに見る名無し
:2013/04/06(土) 00:49:09.90 ID:ibh6rhS1
428 :
創る名無しに見る名無し
:2013/04/06(土) 00:49:41.39 ID:ibh6rhS1
429 :
創る名無しに見る名無し
:2013/04/06(土) 00:49:42.68 ID:X8bS+uqC
道中で何かあったのは分かっていたのだ。
だからC.C.と縁の死という結果に驚きはなかった――しかし胸に湧く無力感は抑えられない。
魔神皇ではなく魔人皇。
人を信じ、人と共に生きると決めた。
だが成し遂げられた事は未だ少ない。
「何度も言うようだけど、あんまり根を詰めて考えない方がいいんじゃない?」
狭間の様子を察したようで、北岡が軽い調子で言う。
行動を共にするようになってまだ数時間にしかならないものの、こうして良く声を掛けてくる。
「随分、私に気を遣うのだな」
「ホントはこういうの、俺のキャラじゃないんだけどね。
狭間が死んだら俺達詰むんだし、しっかりしてもらわないと」
北岡はわざとらしく打算的な話を加えてさらりと返してきたが、狭間の心は晴れない。
レナは真紅やC.C.と親しかったと聞いている。
真紅の姉妹である翠星石との和解に失敗し、C.C.らが別行動を取るのを止められなかった。
殺し合いに乗っていた縁にしても、レナならばやはり元の世界への帰還を願ったのではないか。
「貴様も、クーガーも、ジェレミアも。
この一日、ずっとこんな思いでいたのだろうな」
狭間が歩み始めたのは余りに遅い、第三放送前後の事だった。
対して今残っている者達は殺し合いが開始された頃から戦い、無力を噛み締めてきたはずだ。
狭間は自身の選択を恥じ、悔いる。
「色々あったし、否定はしないけどさ。
でも、狭間が今それを気にしたって仕方ないじゃない」
「……そうだな」
確かにこれ以上はただの愚痴で、甘えにしかならない。
北岡は「それより、」と話題を切り替えた。
「研究所に向かうのはヴァン達が戻り次第?」
「……いや、つかさの調合が終わるまでだ。
休憩も兼ねてもう暫く留まる事になるだろう」
目を覚ましたつかさは北岡から事情を聞くと、ジェレミアのデイパックから一つのアイテムを取り出した。
琥珀湯、という名の錬金術で調合した薬品。
アイゼル・ワイマールが作ったというそれを、つかさは狭間に差し出した。
言われるままに口にすると心が落ち着き、消耗した魔力が回復するのが分かった。
どうやらチャクラポットと同様の効果が得られるらしい。
それを伝えると、つかさはそれを量産すべく民家に篭もった。
その際に、今ある材料で作れるだけのものを作るので時間が欲しいと言っていた。
「志々雄は今、デッキを使えない。
主催側も翠星石の時のようなイレギュラーがない限り、率先して介入してくる可能性は低い。
ひとまずつかさの作業を待ってもいいだろう」
どういうわけか志々雄は主催側の者と手を組んでいるらしい。
そこで驚異となるのはその戦闘力だけでなく、神出鬼没であるという点だ。
鏡面さえあればそこが出入り口となってしまう。
「確かに休んでようが移動してようが来る時は来るんだから、今ぐらい休んでもいいかもね」
やれやれ、と北岡が肩を竦めて適当な瓦礫に腰掛ける。
つかさの調合が終わるまで、まだ時間があるようだった。
▽
430 :
創る名無しに見る名無し
:2013/04/06(土) 00:50:22.00 ID:ibh6rhS1
431 :
創る名無しに見る名無し
:2013/04/06(土) 00:51:21.19 ID:ibh6rhS1
432 :
創る名無しに見る名無し
:2013/04/06(土) 00:51:26.88 ID:X8bS+uqC
翠星石に友人達の事や『本当の事』を指摘され、つかさはただ涙を堪えていた。
それ以外何も出来なかった。
あの時ジェレミアが真っ先に激昂したのは、つかさの為だ。
北岡が敢えて翠星石に嫌な言い方をしたのもつかさの為。
今まで通り、つかさは守られていた。
本当は、つかさ自身が翠星石に向かい合い、言い返さなければならなかったのに。
けれど、どうすれば良かったのかは未だに分からない。
あの病院で罪を認めた結果、ジェレミアと衝突した。
ロロ・ランペルージの神経を逆撫で、アイゼルが死んだ。
一時的であれ罪を伏せた時は、レナの疑心暗鬼を加速させてしまった。
翠星石にも結局罪を隠した形になるが、彼女とも分かり合えなかった。
どうすれば良かったのか。
今、ただ分かる事は。
つかさが目を覚ました時、隣りにジェレミアがいた。
騎士服には新たな傷が刻まれていて、名前を呼んでも目覚める気配がなかった。
すぐ近くにいた狭間の端正な顔は青ざめ、細い体はますます細く見えた。
北岡も平静を装って話をしてくれたが、やはり声や表情に疲れが表れていた。
自分の煮え切らない態度と無力さが、何ら事態を好転させなかった事は良く分かった。
つかさは北岡から事情を聞き、琥珀湯の有用さを確認してすぐに民家に篭もった。
メタルゲラスの装甲板、その角と爪、薬材料、エンドオブワールドの不発弾。
ジェレミアのデイパックに入っていた材料とその分量を確認してから、作るものを考える。
アイゼルのレシピにはそれなりの種類のアイテムの調合方法が書かれているが、今回はそちらには手を出さない。
作るのは、アイゼルと共に一度作った琥珀湯とリフュールポットとフラム。
初めて作るものに挑戦して失敗している時間はないのだ。
それにどれも狭間の疲労を軽減するのに必要なアイテムであり、無駄にはならない。
薬を混ぜ、容器に移していく。
リフュールポットに至っては調合は三度目になるので、落ち着いていれば失敗はない。
「つばささん、俺はその錬金術というやつの事を全く知らないんですが――」
つかさの背後から声を掛けてきたのは、台所に隣接したリビングのソファーで休んでいたクーガーだ。
それに対してつかさは「何ですか?」と、手元から目を外さずに応える。
「その手付きで器具を扱うのは危ないですよ」
ガシャン、と空のガラス容器が床に落ちて割れた。
「あ、あわわわ、」
「あー、いいですいいです」
いつでも動けるようにと靴を履いたままだったので足に怪我はなかった。
走り寄ってきたクーガーが床に膝を着けて大きい破片だけ片付け、つかさは作業を続けながら謝罪した。
「すみません……」
「気付いてます?」
「え?」
クーガーはしゃがんだまま、顔を上げて話を続ける。
つかさはクーガーの視線から逃げるように、手を動かし続ける。
「手、まだ震えてますよ。
それではまた落としてしまう」
つかさは今度こそ作業を止めた。
両手を強く握り締めてみるが、やはり震えは止まらなかった。
「ご、ごめんなさい……しっかりしなきゃって、分かってるんですけど……」
433 :
創る名無しに見る名無し
:2013/04/06(土) 00:51:59.72 ID:ibh6rhS1
434 :
創る名無しに見る名無し
:2013/04/06(土) 00:52:51.12 ID:X8bS+uqC
何とか落ち着こうと深呼吸をしてみるが、心臓の音が大きくなり、掌にじわりと汗が滲む。
幾ら息を吸っても胸が苦しい。
そこでクーガーは立ち上がり、つかさの肩を掴んだ。
「はいはーい。
肩の力、抜いて下さーい。
緊張してますね、薬品を扱ってるからですか?
それともさっきの志々雄の顔が怖かったとか?
はたまたもしや俺と二人っきりの状況で大人の階段を上る心の準備を」
「ち、違います!
志々雄さんは確かに怖かったですけど、そうじゃなくて、」
つかさの必死の否定に、クーガーは落胆の表情を見せて肩を落とす。
それを見て「そういう意味じゃないんです!」と慌ててフォローをしてから、大きな溜息を吐く。
震えは少しだけ小さくなっていた。
「……焦ってました。
ちょっと落ち着きました、ありがとうございます」
頭を下げるつかさに、クーガーは一つ頷いて立ち上がった。
猫背気味ではあるが、その背丈はつかさよりもずっと高い。
「貴女は周りを良く見ている――疲れていないか、困っていないか。
こんな状況で独りよがりにならないで他人の事を考えられるというのは、立派な事ですよ。
錬金術なんてものまである」
「それは、周りの人達がいたからです。
錬金術だって、アイゼルさんが」
守ってくれる人達がいた。
その人達がいたから周りを気にする余裕がある。
そもそもルルーシュ殺害後に北岡達に出会えなければ、きっとどこかで独りで死んでいた。
今かろうじてやれる事があるのも、アイゼルが自分のわがままに付き合ってきちんと技術を伝えてくれたからだ。
話している今もこうして、クーガーが弱音に付き合ってくれている。
「つばささんはそれを自覚してその人達に感謝している、素晴らしいじゃないですか。
その気持ちを忘れずに、人に伝えていけばいいんですよ」
「伝える?」
聞き返すつばさの前で、大仰に両手を広げてみせるクーガー。
つかさも続きが気になって聞き入ってしまう。
「お返しというやつは、必ずしもその相手にしなきゃならないものじゃないんです。
貴女が優しくしてもらったというのなら、元の世界に帰ってから周りの人達にたくさん優しくしてあげて下さい」
つかさは元いた世界の事を思う。
双子の姉――妹が、一番親しい友人達が、いなくなってしまった世界。
寂しくなってしまった世界。
そこに帰った後の事までは、まだきちんと考えていなかった。
「帰った後だって、人生幸せな事ばかりじゃありません。
でも大勢の人に助けてもらったつばささんだからこそ出来る事がきっとあります」
家族に、他の友人達に、何から話せばいいのか。
二人も人を殺した自分がどんな人生を歩むのか。
不安や悲しみや後悔が渦巻いていた道に、少しだけ光が差した気がした。
「そしてそれは周りの人から更に周りの人へ、次の世代やそのまた次の世代に繋がっていく。
それが人間というもので、文化というものですよ」
クーガーが目元に手をやり、空振りする。
恐らくサングラスがなくなっている事を忘れていたのだろう。
435 :
創る名無しに見る名無し
:2013/04/06(土) 00:54:34.27 ID:X8bS+uqC
その様子に少しだけ笑ってしまってから、つかさは「ありがとうございます」ともう一度頭を下げた。
「私は頭が良くないから、まだ分からない事ばっかりです。
でも今は皆と一緒に帰る為に、もうちょっとだけ頑張ります」
今やれる事を頑張る。
結論は結局今までと変わらないけれど、そこに向かう為の心境をほんの少し変化させた。
作業を再開する――が、その前に気になっていた事を口にする。
「少し、変わりました?」
つかさとクーガーが過ごした時間はそう長くない。
しかし以前と纏う空気が変わったような、そんな気がしたのだ。
「まさか!
俺は俺ですよ」
それをクーガーは即座に否定した。
話が済んだ事を示すように台所を離れ、背を向けたまま一言だけ付け足す。
「少し、新しい隣人の考え方に感銘を受けたただけです」
頭に疑問符が浮かぶが、つかさは追求しない。
ただ、その隣人はとても素敵な人なのだろうと思った。
「今回俺は随分説教臭くなっているがこれではまるでおっさんだ、これは俺が速さを求める余り行きすぎて老けてしまったという事なのか!?
いやいやそんな事はない、俺はまだまだ恋をしたいお年頃だしピチピチの二十一歳、年齢よりちょっぴり上に見えるというだけでおっさんの域には達していないはずだ!
現に俺よりもおっさんと呼ぶにふさわしい連中が外に」
一人喋り続けるクーガーを余所に、つかさは調合を進めていく。
震えはなく、慣れがある分これまでよりも手際よく出来ているぐらいだった。
程なくして錬成に使った素材は綺麗になくなり、代わりのアイテムが出揃った。
唯一手付かずで残った角と爪は、北岡が持つデルフリンガーの残骸と組み合わせれば武器に出来るのではと考えた。
しかし、想像で終わってしまう。
アイゼルは生前、この角と爪の加工には特殊な施設が必要だと説明していた。
施設、それにつかさ自身にそこまでの知識も技術もない以上、今は実現させられそうにない。
調合を終えたアイテムを手に狭間達のもとへ戻る。
そこには既に上田達が帰ってきていた。
▽
ミニクーパーの隣りに車を停め、上田達は狭間と北岡に出迎えられた。
すぐ傍にいるシャドームーンの視界に入らないようヴァンの影に隠れ――もといいつでも動けるように待機しながら、ここで何が起きたのか説明を受ける。
その後で上田の方も自らの体験を詳細に説明しようとしたのだが、狭間は「おおよそ把握しているから不要だ」と一刀両断した。
そもそも狭間が学生の身分である以上、「教授」或いは「先生」と呼んで敬語で接するべきではないか。
これではフランス人の女性記者と共に愛と希望の物語を紡ぎ、ローマの温泉に再び革新を起こす上田も形無しである。
しかしそれを口にするには狭間の視線が余りに鋭く、黙って大きな図体で体育座りをして落ち込むしかなかった。
露骨なヘコみ方をする上田に、狭間は「C.C.を犠牲にしてしまった事は申し訳なく思っている」とフォローする。
そして、話題は縁のデイパックへと移った。
「見付からなかった……暗かったとは言え、見落としは有り得ない。
日本橋署で警部補として勤務していた事もある私の観察眼をもってしても、どこにもなかったんだ」
「そうか」
436 :
創る名無しに見る名無し
:2013/04/06(土) 00:54:43.12 ID:ZajMH0lO
�C
437 :
創る名無しに見る名無し
:2013/04/06(土) 00:55:47.14 ID:ZajMH0lO
支援
438 :
創る名無しに見る名無し
:2013/04/06(土) 00:55:59.40 ID:X8bS+uqC
やはり短く会話を終わらせ、難しい表情で考え込む狭間。
彫像のように白く整った顔立ちに憂いが差し、同性の上田でさえ美しいと思ってしまった。
対抗して上田も精一杯のアンニュイ顔で俯いてみるが、誰も見ていないようなのですぐにやめた。
狭間が中心となって支給品の整理が始まり、指示に対して上田も粛々と従う。
途中からつかさとクーガーも合流してアイテムが追加され、支度が整った。
北岡がデッキを窓に映すと、腰にベルトが装着された。
戦闘から一時間――志々雄もまた変身出来るようになったという事だ。
折角の安全がまた去ってしまったのを悲しみながら、上田はすごすごと車へ向かった。
▽
薔薇水晶がnのフィールドへ消えた後、V.V.は歩を進めて志々雄の目前へ立つ。
そして志々雄見上げながらふっと微笑む。
「雪代縁が死んで『マーダー』がいなくなった今、君が動き出す頃合いだとは思っていたよ。
試し斬りに彼らを使ったという事は、君は優勝を目指していると捉えていいのかな?」
「少し違うな。
俺の目的は国盗り、あの連中はその余興。
露払いの結果優勝しちまうってだけの話さ」
その余興も楽しませてもらうがな、と付け加える。
既に生存者の中に志々雄の配下にふさわしい者はおらず、生かしておく理由がない。
かといって全滅させる為に力を尽くすような真似もしなかった。
国盗りと明治政府への復讐を同時に楽しんでいたのと感覚は変わらないのだ。
余興であり、前座であり、遊びであり――しかし油断はしない。
そんな志々雄の姿勢を確認して満足したのか、V.V.は肩を揺らして笑っていた。
「それにしても……観柳の説明。監視カメラの映像。
一通りこの会場について見聞したが、随分立派なもんだな」
「気に入ってもらえたようで何よりだよ」
続いて交わされるのは何気ない雑談。
雑談に見える会話。
「お前が幾つか持ってる『隠し玉』の事も聞かせてもらったぜ。
それも実物が堂々と設置されてるとあっちゃあ、俺も黙ってはいられねえな」
しかしこれは、交渉だ。
「俺に寄越せ」と乾いた唇が紡ぎ出す。
「気になっちゃあいたんだ。
てめえの『誰にでも優勝の機会はある』って言葉はただの挑発じみちゃあいるが、妙に嘘くささがなかった。
初めから用意してたんだろ?
『圧倒的弱者でも戦況を覆すような品』をな」
「……ははっ。
そうか、志々雄真実……確かに君なら気付いてもおかしくなかったね」
志々雄の追求に動じる事もなく、V.V.もまた笑う。
それは少年の姿に似合わぬ、少なからぬ狂気を混じらせた笑顔だった。
「そうだね……全部は渡せないけど、幾つか譲ってあげるよ。
君に返すものもあるしね」
「随分あっさりしてるな」
「ふふ……確かに。
だから幾つか条件を出すよ」
もったいぶりながら、少しいたずらっぽく。
V.V.は両手を背中側で組み、その場で軽いステップを踏みながらくるくると回る。
439 :
創る名無しに見る名無し
:2013/04/06(土) 00:56:43.94 ID:ZajMH0lO
�C
440 :
創る名無しに見る名無し
:2013/04/06(土) 00:57:32.32 ID:X8bS+uqC
「君は脱出に成功した。僕らに『選択』を見せてくれた。
だから僕は君の要求に出来る限り応えたいと思っている。
けれど、同じ条件の参加者がもう一人いるだろう?」
堪え切れなかったのか、V.V.の口から吐息と共に乾いた笑い声が漏れる。
志々雄の威圧もどこ吹く風と、軽くいなしながら。
「翠星石にも聞いてくるよ、要るか要らないか。
もしかしたら奪い合いになるかも知れないけど、君はそれで構わないだろう?」
V.V.の試すような視線。
下から覗き見る目は、志々雄の答えを待っている。
値踏みするような態度を、志々雄は笑い飛ばした。
「はっ、望むところだ」
そこで丁度薔薇水晶がnのフィールドから戻る。
そして彼女が持ち帰った品を受け取りながら、誰に対してでもなく呟いた。
「選べるもんなら、な」
▽
ジェレミアを起こそうと、眠ったままの彼に向かって歩き出していた狭間はその足を止める。
初めは微かな振動だった。
地震かと思われたそれは次第に大きくなり、同時に西の方角から音が近付いてくる。
車のエンジン音よりも大きく、豪快に、速く。
地面と空気の両方から伝わる震えに、ジェレミアの意識が覚醒して跳ね起きた。
「狭間、これは――」
ジェレミアが言いかける。
心当たりがあったのかも知れないが、それよりも音源の接近の方が早かった。
道路の遙か先に見えたものは白く、人の姿をしていた。
だが人ではない。
それは、人よりも遙かに大きい鋼鉄製の体。
踝部分に取り付けられたランドスピナーという車輪によって、足を動かす事なく疾走する。
人型自在戦闘装甲騎、有人ロボット兵器KMF(ナイトメアフレーム)。
その中でもこれは、ルルーシュとC.C.が契約を交わした運命の日に導入されたもの。
動力源となるサクラダイトの量は従来の比ではなく、各地の戦場で数多のKMFを屠り恐れられた。
特別派遣嚮導開発部という研究機関で開発された特別な機体。
型式番号Z-01、円卓の騎士にあやかったその名をランスロットという。
ジェレミアがつかさの、ヴァンが上田の、クーガーが北岡の襟を掴む。
そして狭間とシャドームーンも跳び、全員が道路の中央を蹂躙していくランスロットの巨体を回避した。
一同の居た地点を通過したランスロットは方向転換し、ランドスピナーで地面を削りながら停止。
そしてずるりと、傍らの建物の窓ガラスから包帯に覆われた手が伸びる。
「貴様の差し金か、志々雄……」
狭間が苦虫を噛み潰したような表情で憎々しげに言う。
魔人皇に威圧された志々雄は、なおも悠々とした態度を崩さないままnのフィールドから全身を晒した。
それに続いて薔薇水晶が姿を見せ、志々雄の後ろに控える。
441 :
創る名無しに見る名無し
:2013/04/06(土) 00:57:58.10 ID:ibh6rhS1
442 :
創る名無しに見る名無し
:2013/04/06(土) 00:58:11.62 ID:ZajMH0lO
支援
443 :
創る名無しに見る名無し
:2013/04/06(土) 00:58:35.81 ID:ibh6rhS1
444 :
創る名無しに見る名無し
:2013/04/06(土) 00:58:49.72 ID:X8bS+uqC
「俺が用意してやった余興は、どうやらお気に召さなかったらしい」
「志々雄真実」
狭間の前に進み出たのはジェレミアだった。
斬り掛かろうという構えはまだとっていないが、殺気が伝わってくる。
「よう、くたばり損ない」
「あの機体に乗っているのは、誰だ」
「……ククッ」
志々雄の挑発を無視してジェレミアが問う。
握り締めた拳を震わせるジェレミアに対し、志々雄が返すのは嘲笑。
ジェレミアの問い掛けの意味を知る者は、ランスロットの知識を持つこの両者しかいない。
「わざわざこの俺にそれを聞こうってのか?
もう察しはついてるようじゃねえか」
狭間も怪訝な表情を浮かべる中、志々雄が着物の袖口からアイテムを取り出した。
志々雄は一層口元を歪ませ、一同を見下ろしながらその名を告げる。
「枢木スザクだ」
志々雄の手にあるそれは、さざなみの笛。
鷹野三四がアジトから持ち出した死体を操る道具。
雪代縁の手に渡っていたはずの品。
誰もが息を飲み、数秒呼吸を忘れた。
ジェレミアの殺気が膨れ上がる。
「貴ッ様ぁああ!!!!」
「やはり貴様が持っていたか……!」
ジェレミアが刀に手を掛ける。
狭間も腕を振り上げて魔法を行使しようとし、クーガーやヴァンも臨戦態勢に入る――
――その瞬間を図ったように、東のから閃光が放たれた。
その方角だけが昼と見紛う程の明るさに包まれ、数秒遅れて耳をつんざく爆音が届く。
目を焼く光と鼓膜を揺さぶる音、全身に響く振動で一同は再び動きを止めた。
視線だけを東へ向ければ、一角から火の手が上がっている。
「“らんすろっと”だけじゃあ華が足りねえからな、もう一品持ってきてやったぜ。
今のは俺の『船』の試し撃ちだ」
腕を組み、誇るように語る志々雄。
状況は全て志々雄の手の中で動き、狭間すら動くのを躊躇った。
「沈んじまった俺の煉獄をV.V.が回収、改造した戦艦。
名付けて“煉獄・改”……ま、こっからは見えねぇが。
準備が出来次第、本格的に砲撃開始だ」
一同は動けない。
志々雄という実力者、その背後にいる薔薇水晶に鉄の巨体ランスロット、そして新たに現れた煉獄。
だが続く言葉によって、一同に掛けられた呪縛が解けた。
「攻撃目標、『研究所』」
445 :
創る名無しに見る名無し
:2013/04/06(土) 00:59:32.21 ID:rXkBH5Qn
446 :
創る名無しに見る名無し
:2013/04/06(土) 01:00:00.15 ID:ibh6rhS1
447 :
創る名無しに見る名無し
:2013/04/06(土) 01:00:16.47 ID:X8bS+uqC
志々雄の意図を理解するよりも早く、速く、動き出す。
「ラディカル・グッドスピードっ!!!」
並べて駐車されていたミニクーパーと君島の車がクーガーのアルターで同化、紫の装甲を纏う一台の大型車となった。
状況についてこれずに呆然としていた上田とつかさを後部座席に放り込んだ後、クーガーはエンジンを掛ける。
「アギダイン!!!」
狭間の手から放たれた複数の火球がランスロットに襲い掛かる。
だがランスロットが両腕を交差させると薄緑の透明な縦が出現し、余さず弾かれた。
それでも狭間はアギダインを重ねて唱え、ランスロットに攻撃へ転じる余裕を与えない。
「貴様、よくも……よくも枢木を……ッ!!」
贄殿遮那とヒノカグツチが鍔迫り合いになる。
ジェレミアが既に一度敗北した攻防であり、ジェレミア自身もここでも勝敗は変わらないだろうと理解しているはずだ。
理解していても、収まらない。
しかし怒りを露わにするジェレミアに対し、志々雄の表情は涼しげなままだ。
「G−9」
そして志々雄の口が、ゆっくりとそれを発音する。
「そこにぶいつうからの『ぷれぜんと』がある」
「何を馬鹿な事を、」
「力が欲しけりゃ素直に縋るこった――『あの病院』と同じ轍を踏みたいなら、話は別だがな?」
「ッ!!!」
持ち前の洞察力、そして会場内外で得た情報。
それによって志々雄は相手の心理を読み取り、『嫌な一手』を打つ。
力だけではない、頭脳をも持ち合わせた生まれながらの悪。
だが狭間とてジェレミアの事を知っている。
付き合いが短くとも会話は重ねた。
ランスロットへアギダインを唱える手を止めないまま、その背に向かって叫んだ。
「ジェレミア、退け!!」
ジェレミアの反応は早く、指示を受けて即座に後方へ跳んだ。
この一日で失敗と後悔を重ねたジェレミアに、仲間の声が届かないはずがないのだ。
ランスロットに向けていた火球のうちの一つがジェレミアと志々雄の間に着弾して追撃を阻み、その間にジェレミアは車まで後退する。
それらの攻防と平行していたのが薔薇水晶の行動。
背後で泥水の如く澱む窓ガラス――nのフィールドへの撤退だ。
それを、彼らは見逃さなかった。
無表情だった薔薇水晶の目が僅かに見開かれる。
左右から攻め込んだのはヴァンとシャドームーン。
他の者達が志々雄やランスロットに目を奪われる中、この二人だけは薔薇水晶を狙っていた。
シャドームーンは何度も彼女の逃走を許している故に、そしてヴァンは真っ先に逃げようとした彼女に反応した。
先の戦闘で薔薇水晶はシャドームーンをあしらっていた。
だがシャドームーンはただ強大な力を持つだけの存在ではない。
マイティアイにより観察した情報を改造された脳で処理、それを更に並外れた戦闘センスで駆使する事にある。
そのシャドームーンが薔薇水晶と交戦するのは既に三度目であり、動きを読み切っていた。
ヴァンも連戦によって感覚が研ぎ澄まされたまま。
地面から幾つも突き出す巨大な水晶。
それを掻い潜って蛮刀が薔薇水晶の二の腕を、水晶を砕いて突破したサタンサーベルが彼女の頬を掠めた。
掠めただけだった。
だがドレスが裂け、陶器のように滑らかな肌に毛程の微かな傷が生じた。
薔薇水晶は出現させた剣で次々に襲いかかるサタンサーベルと蛮刀を弾くものの、次第に捉え切れなくなっていく。
448 :
創る名無しに見る名無し
:2013/04/06(土) 01:01:01.26 ID:ZajMH0lO
�C
449 :
創る名無しに見る名無し
:2013/04/06(土) 01:01:03.28 ID:ibh6rhS1
450 :
創る名無しに見る名無し
:2013/04/06(土) 01:01:41.87 ID:X8bS+uqC
「潮時だ」
窓ガラスから出現した黒の暴龍が牙を剥き、ヴァンとシャドームーンに襲いかかる。
二人は後退を余儀なくされるもののそれ以上の攻撃は行われなかった。
志々雄と薔薇水晶、そして黒龍はnのフィールドへ吸い込まれるようにして消える。
「ヴァン、車に乗れ!!
シャドームーン、これから研究所へ向かう、付いてこい!!!」
狭間の指示と共に狭間の魔法が途切れ、ランスロットが動く。
ワイヤー付きの錨が手の甲から射出されて地面に突き刺さり、ランスロットは上空へ押し出される。
空中で回転し、落下。
ランスロットの高速の蹴りはクーガーの車へと叩き落とされた。
▽
ランスロットの襲撃よりも僅かに時を遡り。
壁一面にモニターが配置された薄暗い部屋の中、翠星石はソファーで微睡んでいた。
画面に映し出される景色をぼんやりと眺めながら、部屋を出て歩き回る気にもならずにただ座っていた。
こつこつと小さな足音が耳に入っても、視線をそちらに向けるだけでそれ以上は動かない。
「翠星石、少しは僕の話を聞く気になったかな?」
V.V.の姿を見ても、先程のように攻撃しようとは思わなかった。
薔薇水晶との会話で、少しだけ落ち着きを取り戻している。
「これから君にするのは、君にとって悪い話じゃないよ。
ただ、聞かないと悪くなる話かも知れないね」
「な、……何だってんですか……」
V.V.が憎い主催者である事に変わりはない。
しかしV.V.を攻撃しようにも、花弁で切り裂く瞬間を考えると真司の事を思い出してしまい手が震える。
やむなくこの場は大人しくV.V.の話を聞く事にした。
「君は、力が欲しいかい?」
それは単純な問い掛けだった。
それ故に意味が分からず、翠星石はつい「は?」と気の抜けた声を返してしまう。
意図が伝わっていない事を察したのか、V.V.は説明を付け加えた。
「会場内にとても強力な支給品を眠らせていてね、志々雄がそれを欲しがっているんだよ。
僕としては彼にあげてもいいんだけど、もし君も欲しがるようなら考え直そうと思ってね」
「い、……いるわけねーです!!
翠星石は、そんなものいらねーです!!!」
力なんて欲しくなかった。
戦いたくなかった。
ただ姉妹と、兄と、楽しく過ごせればそれで良かった。
力さえなければ真司だって、と思うと、目には涙が浮かんだ。
「話はそれだけですか!!
とっととどっか行きやが――」
「本当に?」
「本当に決まってます!!!」
激しく否定する翠星石を目前にしても、V.V.はまるで動じていなかった。
「本当に、いいの?」としつこく確認して来る声を聞くうちに、翠星石の頭に再び血が上る。
しかし続く言葉で、熱くなった頭が冷水を浴びせられたかのように冷めた。
451 :
創る名無しに見る名無し
:2013/04/06(土) 01:02:15.94 ID:ZajMH0lO
支援
452 :
創る名無しに見る名無し
:2013/04/06(土) 01:03:03.33 ID:ibh6rhS1
453 :
創る名無しに見る名無し
:2013/04/06(土) 01:03:26.76 ID:X8bS+uqC
「君が要らないなら、志々雄のものになる。
志々雄はこれらを会場で使う……残った参加者達は『困った事』になるだろうね。
それでも本当に、君はこの力が要らないの?」
「……ッ」
『困った事』。
とても子供じみた言い方だったが、それがどれ程深刻なものなのか。
あの志々雄が悪意のままに強大な力を振るえばどうなるのか、想像するだけで身震いした。
けれど――あの連中に、助ける価値があるのか。
「僕は君をここに拘束しているわけでも自由を奪っているわけでもないんだよ。
この力で彼らを積極的に助けに行ってもいい。
この力を志々雄に渡さずに消極的に助けてもいい。
この力を志々雄に渡して消極的に見捨ててもいい。
この力で彼らを積極的に殺しに行ってもいい。
君は、君の意志で選んでいいんだよ」
「助ける」、「見捨てる」、「殺す」、その三つの声がぐるぐると頭の中を巡る。
突然渡された選択肢を前に、翠星石は混乱していた。
「わ、わた、し、は、」
「私は?」
続きを促すV.V.。
翠星石の声は震え、息を何度も吸い込んでも胸の苦しさは消えなかった。
「私は、ち、力が、」
「力が?」
――心を強く持ってくださいいいいいいいいいいいいいいいいぃぃぃぃぃぃぃぃぃ――――――――ッ!!!!!
助けるのか、見捨てるのか、殺すのか。
翠星石は選択する。
――むしろ彼らよりよっぽど酷い、翠星石は騙されてる。
「私は、力、……力なんて、……要らないですッ!!
あ、ぁ、ぁあんな奴ら、せいぜい苦労す、すればいいですぅっ!!!!」
ピシリと、翠星石の胸の中心で亀裂の走る音がした。
それは体に走った傷なのか、心に走った傷なのか、分からない。
ボロボロと目から落ちる涙の意味も分からない。
クーガーの声が聞こえた気がして、薔薇水晶の申し出を断った。
けれどその声は、翠星石に「彼らを助ける」という選択をさせるには至らなかった。
翠星石がV.V.に背を向けて走り去る。
何も考えたくない、何も見たくない知りたくない何もしたくない。
精神を蝕まれ、何もかもから逃げ出した。
モニタールームに一人残ったV.V.は高笑いをしていた。
けらけらと、心の奥底から楽しそうに。
454 :
創る名無しに見る名無し
:2013/04/06(土) 01:03:40.38 ID:ibh6rhS1
455 :
創る名無しに見る名無し
:2013/04/06(土) 01:03:55.03 ID:ZajMH0lO
�C
456 :
創る名無しに見る名無し
:2013/04/06(土) 01:04:50.66 ID:ibh6rhS1
457 :
創る名無しに見る名無し
:2013/04/06(土) 01:04:56.85 ID:X8bS+uqC
nのフィールドを経由してモニタールーム前に戻った志々雄を出迎えのは、観柳だった。
しかし浮かべる表情は決して明るいものではない。
「少し遊びが過ぎるのでは」
「お前には分からねえかもな。
お前は商人、俺は侍。
ある程度は馬が合わねえのも仕方がねェ」
ランスロット、そして煉獄・改。
そしてリュウガのデッキや志々雄の実力あれば、会場にいる八人を『詰み』に追い込むのは容易。
しかし志々雄はそれをしない。
枢木スザクの遺体の回収やランスロットと煉獄の起動に薔薇水晶を行使し、周りくどい事をしておきながらもどこかで手を抜いている。
「殺すのは簡単だ。
だがそれじゃあ楽しめないだろ」
「それは油断では?」
「これは余裕ってもんだ」
志々雄が言う通り、この点では馬が合わないと言う他ないだろう。
KMFも鋼鉄艦も、今後の志々雄の世界掌握に一役買う事になる。
その前の予行演習と動作確認を兼ねて実戦投入するのは利にかなっている。
またあれらは今はV.V.の所有物であって観柳のものではなく、これから先にも手に入る機会はある。
納得に足る理由は多く挙げられるのだが、それでも観柳は愚痴を零してしまう。
何しろ、高いのだ。
売った時の利益や効果を考えると口の端から涎が垂れそうになる二つの兵器が、使い潰されようとしている。
それが残念でならなかった。
だが説得は無駄と理解しているので、諦める。
「そう落ち込むなよ。
さっきも言ったが、俺と組んで悪いようにはしねェさ」
そう、観柳は志々雄と組んだ。
だから今更ぼやいても仕方がないのだ。
――俺が、儲けさせてやるよ。
それは観柳にとってこの上なく甘美な響きを持つ文句。
儲ける。
この世にこれ以上素晴らしい事はない。
志々雄と観柳は馬が合わない――だが志々雄は商人というものを理解していた。
これからバトルロワイアルが壊されても先進技術を持ち逃げする準備は既に済ませているが、欲が出る。
会場に残った連中が勝つよりも、志々雄が勝った方が観柳が儲かる世界が訪れる。
武器、麻薬、観柳の『商品』が活躍するのは志々雄が作る世界なのだ。
志々雄の甘言に、観柳は二つ返事で協力を約束した。
鷹野三四のように処分される恐怖はあった。
しかし「飽くまで志々雄の要求に従って」という体裁を取れば大抵の事は大目に見ると、V.V.にも確認済み。
観柳は志々雄に対し、迷いなく尻尾を振る。
「煉獄については任せていいんだな?」
「ええ、お望み通り攻撃目標だけ設定してオートで航行させていますよ」
元は明治時代の船だった煉獄。
一度は沈没したものをV.V.が引き揚げて改修・改造を行った結果、ほぼ別物として生まれ変わった。
その最たる特徴が、ブリタニアと惑星エンドレス・イリュージョンの技術の粋を集めた遠隔操作システム。
パソコンから指示を出せば乗組員無しでも動作するのだ。
状況次第でV.V.から参加者に与えられるはずだったパソコンは、今はこうして観柳の手に渡っている。
458 :
創る名無しに見る名無し
:2013/04/06(土) 01:05:28.37 ID:ibh6rhS1
459 :
創る名無しに見る名無し
:2013/04/06(土) 01:06:00.22 ID:ibh6rhS1
460 :
創る名無しに見る名無し
:2013/04/06(土) 01:06:11.67 ID:X8bS+uqC
座礁船に偽装する為の外装を爆破した後は研究所を砲撃、もし攻撃を受けた場合は自動反撃。
手動で操作しなくとも充分な成果が期待出来た。
「残るはらんすろっとの方だが――」
「志々雄、その笛は返して貰えるかな」
モニタールームから顔を出し、観柳と志々雄の会話に割り込むV.V.。
ランスロットのパイロット、スザクの死体を操るさざなみの笛の事だろう。
「主催側の者が持ち出したものとは言え、ランスロット達とは別の形でパワーバランスを崩してしまう品だからね」
「ああ、いいぜ」
特に逡巡する間もなく、志々雄はV.V.にさざなみの笛を返却してしまった。
それがあればもっと優位に立てるのに、幾らの値が付くかも分からない価値があるのに、と観柳は密かに涙を飲む。
それでもこれが志々雄の余裕の余裕の表れだと思うと、一人肩を落とすしかなかった。
「枢木にはもう必要な指示は出してある。
暫くは見物と行くか。
あの二つが落とされるなら、そん時はそん時だな」
「追い打ちは掛けないので?」
「俺の体の事は知ってるだろ」
幕末に全身を焼かれた事による発汗機能の死滅。
以来体温調節が出来なくなった志々雄は一度に十五分以上の戦闘が出来ない――志々雄が持つ『弱点』だ。
それを観柳が知っていると明かした事はないのだが、主催側の人間なら知っていて当然と考えたのだろう。
現に観柳はその弱点を把握しており、志々雄の読み通りと言える。
先程の戦闘はデッキで変身している間の約十分間。
それでも肉体に帯びた熱は未だ冷め切っていないのだろう。
「俺はゆっくり体を冷ますとするぜ。
新しい煉獄とらんすろっと、それに残ってる連中のお手並み拝見ってとこだな」
上機嫌な様子で観柳に背を向ける志々雄。
それを見送った後、観柳もその場を後にする。
行き先は自身にあてがわれた部屋だ。
「これはV.V.から譲り受けたもの、つまり元手はタダ。
使用にあたってのリスクも無し。
ホォッホー!! たぁまんねぇなあッ!!」
志々雄の前で見せていた大人しい姿から一変し、観柳は欲望を晒け出す。
志々雄が手を抜くなら自分がその分を補えばいい。
志々雄の勝利、そしてV.V.の技術さえあれば最早『国』という器すら狭くなる。
そう、覚えたての横文字で言うならば。
「観柳帝国どころの話ではない……ワールド オブ 観柳……!!」
目の前にあるのは悪魔召還プログラム。
金の亡者の手によって、プログラムが起動しようとしていた。
【二日目/黎明/???】
【志々雄真実@るろうに剣心-明治剣客浪漫譚-(漫画)】
[装備]:サバイバルナイフ@現実、ヒノカグツチ@真・女神転生if...、サバイブ(烈火)@仮面ライダー龍騎
[所持品]:支給品一式×4、リュウガのデッキ@仮面ライダー龍騎(一時間変身不可)、確認済み支給品0〜4(武器ではない)、林檎×8@DEATH NOTE、鉄の棒@寄生獣
マハブフストーン×4@真・女神転生if…、本を数冊(種類はお任せ)、工具@現実(現地調達)、首輪の残骸(銭形のもの)、首輪解除に関するメモ
逆刃刀・真打@るろうに剣心、玉×5@TRICK、紐とゴム@現実(現地調達)、夜神月が書いたメモ、菊一文字則宗@るろうに剣心、
鷹野のデイパック(魔力の香@真・女神転生if...、体力の香@真・女神転生if...、???@???、その他不明支給品))
[状態]:各部に軽度の裂傷、首輪解除済み
461 :
創る名無しに見る名無し
:2013/04/06(土) 01:06:38.24 ID:ZajMH0lO
支援
462 :
創る名無しに見る名無し
:2013/04/06(土) 01:06:57.08 ID:ibh6rhS1
463 :
創る名無しに見る名無し
:2013/04/06(土) 01:07:38.14 ID:X8bS+uqC
[思考・行動]
1:ぶいつぅの掌の上にいる。(飽きるまで)
2:気が向いたらガリア王国のジョゼフを持て成す。
3:翠星石の中のキングストーンが欲しい。
4:間引く。
[備考]
※クーガー、C.C.、真司らと情報交換をしました。ギアスとコードについて情報を得ました。
※さざなみの笛@真・女神転生if...はV.V.が回収しました。(効果は持続中)
※J−1の座礁船は動き出しました。
▽
古手梨花はアジトの中を探索していた。
これまでの殆どの時間を鷹野の部屋で過ごしていたので、アジト内部の土地勘はない。
しかし鷹野がどこからか支給品を調達していた事などから、どこかに武器庫のようなものがあるとあたりを付けていた。
「絶対……これ以上、好きにさせないんだから……!」
中立を謡いながら、主催者達は明確に志々雄に肩入れしている。
会場にいる者達は不利になるばかりだ。
ならば自分こそが動かなければならないと、梨花は奮起する。
ただ見ているだけでは、逃げ帰るのと何も変わらない。
圭一なら、魅音なら、レナなら、沙都子なら、悟史なら必ずこうするはずだと信じて。
志々雄や薔薇水晶には敵わない。
だが観柳ならまだ付け入る隙があるはずだ。
既に観柳を尾行して部屋の位置は確認してある。
後は子供の自分でも扱える強力な武器さえ手に入れれば、戦える。
「私は絶対諦めない……!」
百年の魔女は一人、誰にも知られない場所で戦う。
【二日目/黎明/???】
【古手梨花@ひぐらしのなく頃に】
[装備]無し
[支給品]ワイン
[状態]健康
[思考・行動]
1:殺し合いを最後まで見届ける。
2:武器庫を探す。
※銀髪の少年により『鷹野三四に従え』というギアスをかけられています。
▽
「でかいだけあって速いッ!!
まさかこんな所でうちのスーパーピンチばりのロボットと出会う事になるとは驚きだっ、だが!!!
俺の方がっ速いッ!!!!」
ヴァンがクーガーの車の上部に飛び乗り、シャドームーンはバトルホッパーに跨ってエンジンを掛ける。
そしてクーガーはガン、と蹴飛ばすようにアクセルを踏み込んだ。
乗っている者達全員に強烈なGが掛かる程の急加速で、ランスロットの上空からの強襲を回避する。
そのまま舗装された道路を東へ一直線。
ランスロットは小さくなって見えた――が、見えなくはならない。
「追って来ているな……」
普通の車のものよりも広い助手席に座り、狭間は誰よりも速く、深く、考える。
ランスロットと車がお互いがこのスピードでは数分で沿岸部に出てしまう。
464 :
創る名無しに見る名無し
:2013/04/06(土) 01:07:45.46 ID:ibh6rhS1
465 :
創る名無しに見る名無し
:2013/04/06(土) 01:08:05.38 ID:ZajMH0lO
�C
466 :
創る名無しに見る名無し
:2013/04/06(土) 01:08:56.33 ID:X8bS+uqC
そうなれば最悪の場合、煉獄とランスロットの挟み討ちに遭う。
志々雄の言葉を信じるなら煉獄の攻撃目標は決まっているようだが、こちらに標的を移さない保証はないのだ。
ランスロットが研究所に接近する前に、この数分で打つ手を決めなければならない。
「二手に別れるしかないか……」
いつでも奇襲を仕掛けられる立場にある志々雄の動きがいる以上、当然全員で動いた方がいい。
それでも煉獄とランスロットを同時に相手にするにはこれしかない。
チームを分割するにあたって最も問題になるのがシャドームーンだ。
契約上シャドームーンの安全を確保し、かつ狭間が目を離さずに見張っている必要がある。
そうなると狭間は細かく動き回るランスロットではなく、ある程度動きが読めるであろう船の方へ向かう事になる。
そしていつ砲撃が始まるか分からない為クーガーはこの速度を保ったまま沿岸部へ。
KMFの知識があるジェレミアはランスロットへ。
残るは北岡、つかさ、上田、ヴァン。
「ジェレミア、あれはどの程度不味い相手だ?」
「そもそもKMFは生身の人間が相手に出来るような兵器ではない。
あのランスロットはそのKMFの中でも特別製だ」
「具体的な装備は?」
「私が知る限りではスラッシュハーケン……攻撃と移動用の錨が四機、MVSが二振り。
それから両腕にブレイズルミナスというエネルギーシールドがある。
幸いフロートシステムは装備されていないようだが……」
エネルギーシールドと聞き、アギダインを弾いたのはそれかと得心する。
同時に舌打ちもしたくなった。
「……厄介なもん作ってくれるねぇ」
「次に会う事があれば、開発者に良く言っておこう」
北岡が狭間の心中を代弁するようなぼやきを漏らした。
状況は最悪。
狭間はその中でも打てる手を探す。
「破壊は可能か?」
「……難しいな。
だが機能を停止させるか機動力を奪うだけなら、まだ可能性はある」
かろうじてだが、とジェレミアは付け足した。
曰く、付け入る隙は相手が対人兵器ではないという点にある。
サイズが異なりすぎる上に、主な脅威となるハーケンは『点』、MVSは『線』の攻撃。
超至近距離で動き回ればランスロットの攻撃手段は限定され、持久戦に持ち込みやすくなる。
弾幕を張ってブレイズルミナスを発生させ続ける事で電力を消費させ、エナジー切れを誘う事も可能。
また移動に用いる脚部のランドスピナーを破壊すれば著しく機動力が落ちる。
「とは言えどの道、私一人ではどうにもならん。
攻撃が当たりにくいとは言えランスロット自体が速すぎる。
火力も足りない」
「それ、俺に付き合えって言ってない?」
ジェレミアの呟きに、北岡が呆れたような声を出す。
遠距離からの牽制があれば戦い易さは格段に上がるだろう。
それにジェレミアと北岡は既に何度か共闘しており、互いの勝手を知っている。
「うむ、協力してくれ」
ジェレミアの方は既に覚悟を決めているようだった。
北岡は返事代わりに肩を竦めて溜息を吐く。
「ヴァンもそちらに行かせるか?」
狭間は車の上に視線をやる。
しかし北岡は「いいよいいよ」と手を振った。
「さっきも言ったけど、俺達は狭間が死んだら詰みなんだよね。
護衛がいた方がいいでしょ――って思うんだけど、どう?
やっぱ二人だけでロボ相手は無理?」
467 :
創る名無しに見る名無し
:2013/04/06(土) 01:09:25.74 ID:ibh6rhS1
468 :
創る名無しに見る名無し
:2013/04/06(土) 01:10:23.35 ID:X8bS+uqC
北岡がジェレミアの方を伺うと、難しい顔で「何とかするしかないだろう」と答えた。
狭間としてはそんな気遣いで二人の生存率を下げさせたくなかった、しかし『詰み』というのは確かに正論なのだ。
戦力的な意味もあるが、狭間が死ねばシャドームーンとの契約が切れる。
それに煉獄の装備自体が不透明だった。
志々雄があのランスロットと同じタイミングで持ち込んだ品である以上、ただの船であるはずがない。
志々雄が購入したという事は明治時代の船。
しかしV.V.が『改造』したというのなら、それは狭間から見て未来の兵器になる。
戦力が必要になるのはランスロット側も煉獄側も同じなのだ。
「……ランスロットには北岡とジェレミアで対応してくれ。
柊は――」
「志々雄さんが言ってた場所に行かせて下さい……箒がありますから、すぐに行けます!」
「……聞いていたのか」
つかさは逡巡する事なく応える。
自分に出来る事を、自分なりに考えていたのだろう。
「罠かも知れない――いや、罠の可能性の方が高いぞ」
「何があるか見てくるだけです、近付きません。
私が弱いのは分かってますから……だから、これだけはやらせて下さい」
引く気がないのはすぐに分かった。
それに、これが一番つかさを戦線から遠ざけれる形でもある。
更に言えば、狭間は志々雄の言う『プレゼント』が本当に主催に関わるものである可能性を捨て切れなかった。
ジェレミアとV.V.が知り合いだという点で、妙な信憑性を感じたのだ。
「分かった。
G−9を確認次第、北岡達に合流してくれ。
くれぐれもランスロットには近寄るな」
「はい!」
▽
「私はどうしたらいい?」
「好きにしてくれ」
そんな上田と狭間の随分雑な会話を余所に、ジェレミアは北岡にランスロットの説明をしつつ支給品を調える。
ジェレミアがランスロットの戦闘を直接目にしたのは一度だけだ。
しかし第二次東京決戦での交戦に備え、黒の騎士団が集めた情報を与えられていた。
その際は自らの乗機での戦闘を想定していたが、まさか生身で戦う事になるとは思いもよらなかった。
その間にアイテムの受け渡しをしながら、特に必要だと言われたのが昇天石だった。
縁のデイパックが発見出来なかった時点で「笛が志々雄の手に渡った」と判断した狭間が、皆に分けさせたものだ。
笛でUNDEAD状態になった者にはあらゆる攻撃が通じないが、回復魔法とこの石による破魔魔法ならば死体に戻せるという。
狭間が一同にタルカジャとラクカジャを何度か掛け、支度を終えたところでジェレミアは車のドアを開けた。
時速は百キロか、二百キロか、それ以上か。
吹き込んで来る強い風に思わず目を細め、外の景色は瞬く間に流れていく。
北岡の「あーあ」という何度目になるか分からない溜息も、暴風の中へ飲み込まれていった。
「危険だと判断したら逃げていい。
それで研究所や我々が襲われる可能性があるとしても、とにかく絶対に死ぬな」
「分かってるよ、ついでにそっちもお互い様だからね」
「武運を祈る」
「狭間さん、また後で……!」
ジェレミアが北岡とつかさを抱えて飛び降りる。
着地の衝撃を両足で受け止めて殺し、車は三人を置いてすぐに見えなくなった。
469 :
創る名無しに見る名無し
:2013/04/06(土) 01:10:34.27 ID:OENpqjZJ
470 :
創る名無しに見る名無し
:2013/04/06(土) 01:10:36.43 ID:ibh6rhS1
471 :
創る名無しに見る名無し
:2013/04/06(土) 01:11:11.47 ID:ZajMH0lO
支援
472 :
創る名無しに見る名無し
:2013/04/06(土) 01:11:18.76 ID:ibh6rhS1
473 :
創る名無しに見る名無し
:2013/04/06(土) 01:11:30.82 ID:X8bS+uqC
地面に下ろしてやると、つかさはデイパックから箒を取り出して浮き上がる。
「すぐに戻りますから!」
「うん、つかさちゃんも無理しないでね」
つかさが夜空へ舞い上がると北岡はもう一度、小さく「あーあ」と諦めの声を出す。
そして道路脇に設置されたカーブミラーにデッキを翳し、変身した。
「ロボットは好きだったけど、まさか戦う事になるとはねぇ」
「変身が解けた時は逃げて構わんぞ」
「安心してよ、俺は言われなくても逃げる時は逃げるから」
場所は市街地の中でも十階建て程のビルが立ち並ぶオフィス街。
足から伝わってくる振動が、接近してくるランスロットの姿が大きくなっていく。
二人の間にハーケンが打ち込まれ、左右に別れて避ける。
そしてジェレミアは贄殿遮那を構えて前へ、北岡はマグナバイザーを手にビルの上へと跳躍した。
ランスロットが二つのランドスピナーのうちの一つを止め、そちらを軸足として旋回。
その巨体の回転が生み出す暴風は竜巻に等しく、完全に停止するのも待たずに二機のハーケンを射出した。
両の手の甲から打ち出されたそれぞれがジェレミアと北岡を狙う。
ビルの屋上にいた北岡は一歩後方へと跳んで避け、ジェレミアはランスロットの間合いに踏み込む事で回避した。
粉塵が巻き上がる中、ランスロットがハーケンを巻き取りながら蹴りを繰り出す。
鋼鉄、大質量にして高速の蹴り。
命中すれば一撃で文字通りの命取りとなる。
ジェレミアは進路を横へと変えてそれを躱した。
下手に跳躍すれば足場がなくなり、続く攻撃を避けられなくなるからだ。
ランスロットはハーケンの先のブレード部分だけを手の甲から突き出させ、その拳を地面に打ち下ろす。
ジェレミアが足に力を籠め、前へと加速してその地点から逃れる。
ランスロットが拳を下ろした状態で旋回してジェレミアを狙うが、そのタイミングで北岡がマグナバイザーを連射。
ランスロットは振るおうとしていた腕のブレイズルミナスを展開して受け止め、追撃を免れたジェレミアが更に走り抜ける。
ジェレミアがランスロットの背後を取り、脚部や肩を足場にして駆け上がった。
そして贄殿遮那を振るう対象は胸部に二機設置されたファクトスフィアのうちの一つ。
赤外線など様々な外部情報を一括して収集・処理するオープンセンサーカメラ――これを破壊出来れば、夜目が利くジェレミアとゾルダが一気に有利になる。
しかしファクトスフィアは展開していない時は装甲に覆われており、展開するのは一時のみ。
その瞬間を狙うよりは、装甲ごと何度も攻撃した方が破壊しやすいという判断をした。
刀を突き立て、軋むような金属音。
KMFの装甲は当然刀で傷付けられるようなものではないが、この刀はヒノカグツチとドラグブレードとの衝突さえ物ともしなかった特別製。
更に今のジェレミアはタルカジャの重ね掛けにより攻撃力が強化されている。
ファクトスフィアの外装に亀裂が走った。
ランスロットが拳のブレードをジェレミアに叩き込む。
ジェレミアはそれを贄殿遮那で受け止めるがその威力を殺す事は出来ず、ビルの内部へと吹き飛ばされた。
拳を振り抜いたランスロット――その目の前に、フラムがあった。
北岡が投げ込んだものだ。
ジェレミアの攻撃を成功させた上でそれを囮にし、ブレイズルミナスに防がれる事なくフラムを命中させるところまでが作戦。
ゾルダが素早いランスロットを相手にするには重火器を捨てざるを得ない、その上で装甲を破る為の策だった。
フラムが炸裂し、ビル街が一瞬照らされる。
煉獄の一撃に比べれば花火程度の爆発であっても、その威力は既にこの会場内で証明されている。
傷付いていたファクトスフィアは破壊され、残るは一機となった。
ガラスが割れ、室内に整然と並べられていた机や椅子は瞬く間になぎ倒され、ひしゃげて壊れ、原型をかろうじて残すのみとなった。
窓から投げ込まれて反対側の壁に叩き付けられたジェレミアは、切れた口から滴る血を拭いながら立ち上がる。
474 :
創る名無しに見る名無し
:2013/04/06(土) 01:12:13.06 ID:ibh6rhS1
475 :
創る名無しに見る名無し
:2013/04/06(土) 01:12:59.50 ID:ibh6rhS1
476 :
創る名無しに見る名無し
:2013/04/06(土) 01:14:01.48 ID:ZajMH0lO
�C
477 :
創る名無しに見る名無し
:2013/04/06(土) 01:15:07.14 ID:X8bS+uqC
ラクカジャで防御力を底上げされていなければこの程度では済まなかっただろう。
一歩進み、左の脇腹から火花が散って膝を着く。
志々雄に斬られ、装甲の奥深くまで達した傷。
焼けるような痛みと共に思い出されるのは、志々雄に突き付けられた言葉だった。
生き残る気がない。
空っぽだ。
それらは何ら言い訳の出来ない事実だった。
「狭間に命を預けた」等と宣っても、ジェレミア自身がその命に価値を見出していなければ何の意味もない。
「だが私は……こんな所で死ぬつもりは、ない」
全てが終わった後、主を追って死ぬ。
今はまだ、何も終わってはいない。
生き残った者達が元の世界に帰る、その背を見送るまでは死ねはしない。
柊つかさが家族や友人のいない日常に戻る。
狭間偉出夫が学校と向き合い、罪を清算する。
帰った後に彼らが辿る道は彼らが決める事だが、そこに至るまでの道を切り拓くのは大人の役目だ。
「その為にも……私は今度こそ君を止めるぞ、枢木!!」
ジェレミアはスザクの死後にサイトを閲覧し、生前のスザクが惚れ薬によって生き方を狂わされたのだと知った。
会場内で二度もスザクに接触しながら、彼を正気に戻す事も凶行を止める事も出来なかった。
涙を流している姿さえ見ながら、何も出来なかった。
ならばここで、死してなお弄ばれるスザクを止めるのは自らの役目。
ジェレミアは己を鼓舞し、再びランスロットの駆ける戦場へ戻る。
【二日目/黎明/F−9 市街地上空】
【柊つかさ@らき☆すた】
[装備]空飛ぶホウキ@ヴィオラートのアトリエ、
[支給品]支給品一式×2(水のみ3つ)、確認済み支給品(0〜1) 、レシピ『錬金術メモ』、陵桜学園の制服、かがみの下着、食材@現実(一部使用)、
パルトネール@相棒(開封済み)、こなたのスク水@らき☆すた、昇天石×1@真・女神転生if…、メタルゲラスの角と爪、リフュールポット×2
[状態]精神的疲労(中)、タルカジャとラクカジャ重ねがけ
[思考・行動]
0:殺し合いから脱出する。
1:錬金術でみんなに協力したい。
2:G−9に何があるのか確認し、北岡達に合流する。
[備考]
※錬金術の基本を習得しました。他にも発想と素材次第で何か作れるかもしれません。
※アイゼルがレシピに何か書き足しました。内容は後続の書き手氏にお任せします。
※会場に連れ去られた際の記憶が戻りました。
※『多ジャンルバトルロワイアル』のホームページを閲覧しました。
※調合したリフュールポット×6は北岡とクーガーとつかさで二個ずつ(北岡とクーガーが一個ずつ使用)、琥珀湯×3は狭間に(1個使用)、
フラム×2はヴァンと北岡で配分しました。
【二日目/黎明/F−9 市街地】
【北岡秀一@仮面ライダー龍騎(実写)】
[装備]:レイの靴@ガン×ソード、ゾルダのデッキ@仮面ライダー龍騎
[所持品]:支給品一式×3(水×2とランタンを消費)、CONTRACTのカード@仮面ライダー龍騎、CONFINE VENTのカード@仮面ライダー龍騎
FNブローニング・ハイパワー@現実(12/13) 、RPG-7(0/1)@ひぐらしのなく頃に、榴弾×1、デルフリンガーの残骸@ゼロの使い魔、
五ェ門の確認済み支給品(0〜1)(刀剣類では無い)、昇天石×1@真・女神転生if…、リフュールポット×1
[状態]変身中、タルカジャとラクカジャ重ねがけ
[思考・行動]
0:殺し合いから脱出する。
1:つかさに対する罪悪感。
2:ランスロットを倒す。
※一部の支給品に制限が掛けられていることに気付きました。
※病院にて情報交換をしました。
478 :
創る名無しに見る名無し
:2013/04/06(土) 01:15:31.96 ID:ibh6rhS1
479 :
創る名無しに見る名無し
:2013/04/06(土) 01:16:08.85 ID:nPBiP1Yh
480 :
創る名無しに見る名無し
:2013/04/06(土) 01:16:46.43 ID:X8bS+uqC
※レナ、狭間と情報交換をしました。
※『多ジャンルバトルロワイアル』のホームページを閲覧しました。
【ジェレミア・ゴットバルト@コードギアス 反逆のルルーシュ】
[装備]贄殿遮那@灼眼のシャナ、ブラフマーストラ@真・女神転生if…
[所持品]支給品一式×2(鉛筆一本と食糧の1/3を消費)、咲世子の煙球×1@コードギアス 反逆のルルーシュ、フラム×1、リフュールポット×2、
不明支給品(0〜1)、昇天石×1@真・女神転生if…
[状態]機械部分に深い裂傷、疲労(小)、精神磨耗、両腕の剣が折れたため使用不能、タルカジャとラクカジャ重ねがけ
[思考・行動]
0:殺し合いから脱出する。
1:V.V.を殺す。
2:他の参加者に協力する。クーガーとの約束は守る。
3:全て終えてからルルーシュの後を追う。
4:ランスロットを倒す。
5:G−9に向かう……?
[備考]
※病院にて情報交換をしました。
※制限により、ギアスキャンセラーを使用すると疲労が増大します。他にも制限があるかも知れません。
※『多ジャンルバトルロワイアル』のホームページを閲覧しました。
▽
風圧にテンガロンハットが飛ばされないよう手で押さえ、進行方向とは逆の方を向いて鎮座する。
ヴァンは車内の会話へは関心を寄せず、後方から追ってくるランスロットを眺めていた。
ヨロイより小さいな、などと考えていると後部のドアが開いてジェレミア達が飛び降りる。
ランスロットと相対する顔ぶれは決まったらしい。
彼らの背を、ヴァンは眠たげな目のまま見送った。
やがて降りた三人もランスロットも見えなくなった頃、狭間が窓から頭を出した。
風に流されないようにしているのか、声はやや大きい。
「ヴァン、これから海に出て煉獄を落とす。
接近には上田の支給品にあるクルーザーを使う予定だ」
狭間が「クーガーのアルターは船にも」などと説明を加えているが、ヴァンは聞き流す。
「それで?」
「煉獄を実際に見てみない事には動きが決められない。
しかし、……不本意だろうが、貴様には私とシャドームーンの護衛を頼む事になるだろう」
ヴァンは露骨に顔をしかめた。
気が進まない、どころの騒ぎではない。
「契約の事は既に話してあるな。
シャドームーンに及ぶ危害は――」
「そいつは、生き残るのに要るのか」
狭間の話を遮り、ヴァンは確認する。
ヴァンにとってはそれが最も重要だからだ。
「そうだ、必要だ。
鷹野の残した支給品が奪われた以上、この契約を守れなければ脱出は不可能だ」
「分かった」
ヴァンは馬鹿だが、優先順位は理解している。
まずは生き残る。
生き残らなければならない。
殺すのはその後でいい。
「それなら、これを渡しておく。
必要になった時は使ってくれ」
狭間から渡されたのは飴だった。
水中呼吸が可能になるという説明を受けつつ、ヴァンはそれを適当にデイパックに突っ込む。
一度それを口にした事があるのだが、ヴァンは覚えていなかった。
481 :
創る名無しに見る名無し
:2013/04/06(土) 01:16:51.30 ID:nPBiP1Yh
482 :
創る名無しに見る名無し
:2013/04/06(土) 01:17:41.03 ID:nPBiP1Yh
483 :
創る名無しに見る名無し
:2013/04/06(土) 01:17:54.93 ID:OENpqjZJ
484 :
創る名無しに見る名無し
:2013/04/06(土) 01:18:01.66 ID:ibh6rhS1
485 :
創る名無しに見る名無し
:2013/04/06(土) 01:18:30.90 ID:X8bS+uqC
話は済んだようで、狭間は頭を車内に戻した。
ヴァンはクーガーの車の速度に悠々と併走するバトルホッパー、それに乗ったシャドームーンの方へ視線を動かす。
銀の仮面は当然微動だにせず、ヴァンは一つ舌打ちをした。
▽
車内に三人、車外に一人を乗せるのみとなった車は海に向かって走行する。
海岸へ続く道路はひたすらに一直線。
既に道の先には水平線が見え始めていた。
戦闘が近い、しかし狭間が纏う空気はひたすらに重い。
ランスロットと煉獄の突然の出現。
鷹野から託されたという脱出手段を奪われ、北岡とジェレミアを死地に追いやってしまった。
狭間が如何に優秀でも狭間はつかさとさして変わらない年齢の学生なのだ。
重くのしかかる責任に対し、いつまでも平然とはしていられない。
クーガーは狭間の肩をバシバシと叩き、笑ってみせる。
「心配しなくてもどうにかなる、あの二人だって大人だ。
こっちは研究所の死守が最優先、って事でいいのか?」
「ああ、しかし……」
確認を取ったクーガーに、狭間は返事を濁らせた。
上田が「YOU、言いたい事があるならはっきり言いたまえ」と無理矢理促し、狭間に続けさせる。
「……研究所を落とされたとしても、手がないわけではない」
「はぁ!?」
「何という事だ、そういう話ならもっと早く――」
「確証がなかった、だから全員の前では言えなかった。
出来れば取りたくない手段だ」
研究所でゲフィオンディスターバーを使って首輪の爆破機構を停止させる、以外の手段。
狭間は躊躇いがちに告げる。
それは首輪の構造が至極単純だからこその方法――“解除されて機能停止した首輪の配線を繋ぎ直し、再起動する”。
通常の方法では、首輪を解除出来るのは五人の中で一人だけ。
爆破機構を停止させるのは、解除されていない首輪が四つ必要だからだ。
逆に解除されていない首輪が四つありさえすれば、全員の首輪を解除出来る。
だから解除済みの首輪を再利用する、という発想だった。
幸いにも上田が三人分の停止した首輪を所持しており、練習台として使える。
理屈では、だが。
「……出来たら最高だが、失敗したらアンタの手首から先が吹き飛びそうな話だな」
「それもあるが、これはあのサイトに掲載されていない方法だ。
薔薇水晶に妨害される可能性がある」
「なら、せいぜいそんな手に頼らなくていいように頑張りますか……!」
海岸に出る。
即座にハンドルを回し、研究所がある北へ。
急なターンではあったがシャドームーンの駆るバトルホッパーはピタリとついてきた。
「気に入らないッ、が、今はあのデカブツを潰すのが先だな……!」
沖には志々雄の言葉通り船が浮かび、やはり北へと航行していた。
しかしクーガーは目を疑った。
助手席の狭間もまた眉間に皺を寄せて船を注視している。
志々雄がランスロットと共に用意したその兵器は、「明治時代の船」に相応しい薄汚れた木造船だったのだ。
大きさもクーガーの世界にはもっと大型の戦艦がある。
『肩透かし』に近い感覚があった。
「はっはっは、あれなら私だけでも充分落とせ――」
486 :
創る名無しに見る名無し
:2013/04/06(土) 01:18:34.75 ID:nPBiP1Yh
487 :
創る名無しに見る名無し
:2013/04/06(土) 01:19:06.33 ID:ibh6rhS1
488 :
創る名無しに見る名無し
:2013/04/06(土) 01:19:46.26 ID:X8bS+uqC
途端に調子付いた上田の声を一つの爆音が遮る。
船が爆発し、炎に包まれたのだ。
「自爆……!?」
「違う、あれは……!」
火が収まり、夜の闇が海に戻ってくる。
同時にそこには、志々雄が語った“甲鉄艦”が鎮座していた。
爆発したのは木造船に偽装する為の外側部分のみで、その内部は確かに狭間から見て未来の技術によって作られている。
「わざわざ手が込んでいるな、腹立たしい……」
言いながら、狭間の額には汗が浮いていた。
北岡達が向かったのは確かに死地であったが、こちらもさして変わらないようだ。
「ま、デカかろうと強かろうと俺が片を付ければいい話だ。
俺は最速の男だからな!!」
速さはサイズに、強さに優る。
クーガーの意思に呼応するように、車のエンジンが唸りを上げた。
【二日目/黎明/F−10 沿岸部】
【狭間偉出夫@真・女神転生if...】
[装備]:斬鉄剣@ルパン三世
[所持品]:支給品一式×2、インスタントカメラ(数枚消費)@現実、真紅の下半身@ローゼンメイデン、USB型データカード@現実、ノートパソコン@現実、
鉈@ひぐらしのなく頃に、琥珀湯×2
[状態]:人間形態、疲労(小)、魔力消費(中)、タルカジャとラクカジャ重ねがけ
[思考・行動]
0:殺し合いから他の者達と一緒に脱出する。
1:シャドームーンとの契約を遵守する。
2:研究所を防衛する。
3:翠星石を保護する。
[備考]
※参加時期はレイコ編ラストバトル中。
※『多ジャンルバトルロワイアル』のホームページを閲覧しました。
※『多ジャンルバトルロワイアル』のホームページのユーザ名はtakano、パスワードは123です。
またこれらを入手したことにより、以下の情報を手に入れました。
全参加者の詳細プロフィール
全参加者のこれまでの動向。
現時点での死者の一覧。
各参加者の世界観区分。
nのフィールドの詳細及び危険性。
「彼」が使用したギアスの一覧。
※目的の欄を閲覧することはできませんでした。
【ストレイト・クーガー@スクライド】
[装備]:車
[所持品]:基本支給品一式、昇天石×1@真・女神転生if…、リフュールポット×1
[状態]:身体中に鈍い痛み、疲労(大)、タルカジャとラクカジャ重ねがけ
[思考・行動]
0:生きる。
1:煉獄を落とす。
2:翠星石を迎えに行く。
※総合病院にて情報交換をしました。
※ギアスとコードについて情報を得ました。
※真司、C.C.らと情報交換をしました。
※田村玲子が同化して傷を塞ぎました。アルターについては応急的な処置なので寿命が延びる事はありません。
それ以外の影響があるか否かは後続の書き手氏にお任せします。
※君島の車@スクライドとミニクーパー@ルパン三世はクーガーのアルターで同化しました。
489 :
創る名無しに見る名無し
:2013/04/06(土) 01:20:05.91 ID:nPBiP1Yh
490 :
創る名無しに見る名無し
:2013/04/06(土) 01:20:20.50 ID:ibh6rhS1
491 :
創る名無しに見る名無し
:2013/04/06(土) 01:20:38.72 ID:nPBiP1Yh
492 :
創る名無しに見る名無し
:2013/04/06(土) 01:21:00.23 ID:X8bS+uqC
【ヴァン@ガン×ソード】
[装備]:薄刃乃太刀@るろうに剣心-明治剣客浪漫譚-(先端部欠損)、ヴァンの蛮刀@ガン×ソード
[所持品]:支給品一式、調味料一式@ガン×ソード、ナイトのデッキ@仮面ライダー龍騎、サバイブ(疾風)@仮面ライダー龍騎、昇天石×1@真・女神転生if…、
フラム×1、エアドロップ×2@ヴィオラートのアトリエ
[状態]:右目欠損、疲労(大)、タルカジャとラクカジャ重ねがけ
[思考・行動]
0:カギ爪の男に復讐を果たすためさっさと脱出する。生き残る。
1:V.V.を倒した後シャドームーンを殺す。
[備考]
※まだ竜宮レナの名前を覚えていません。
※C.C.の名前を覚えました。
【上田次郎@TRICK(実写)】
[装備]ベレッタM92F(10/15)@バトルロワイアル(小説)、ニンテンドーDS型探知機
[支給品]支給品一式×4(水を一本紛失)、富竹のポラロイド@ひぐらしのなく頃に、デスノート(偽物)@DEATH NOTE、予備マガジン3本(45発)、
上田次郎人形@TRICK、雛見沢症候群治療薬C120@ひぐらしのなく頃に、情報が記されたメモ、浅倉のデイパックから散乱した確認済み支給品(0〜2)、
小型クルーザー@ルパン三世、ファサリナの三節棍@ガン×ソード、倭刀@るろうに剣心、レイ・ラングレンの銃@ガン×ソード
[状態]額部に軽い裂傷(処置済み)、全身打撲、タルカジャとラクカジャ重ねがけ
[思考・行動]
0:ヴァン達に協力する。
※水銀燈、真司、C.C.、縁の遺体がF−8民家に安置されました。
※水銀燈、L、C.C.のデイパックが車内に置かれています。
※水銀燈のデイパック
支給品一式×10(食料以外)、しんせい(煙草)@ルパン三世、手錠@相棒、双眼鏡@現実、首輪×3(咲世子、劉鳳、剣心)、
着替え各種(現地調達)、シェリスのHOLY隊員制服@スクライド、農作業用の鎌@バトルロワイアル、前原圭一のメモ@ひぐらしのなく頃に、
カツラ@TRICK、カードキー、知り合い順名簿、剣心の不明支給品(0〜1)、ロロの不明支給品(0〜1)、
三村信史特性爆弾セット(滑車、タコ糸、ガムテープ、ゴミ袋、ボイスコンバーター、ロープ三百メートル)@バトルロワイアル
※Lのデイパック
支給品一式×4(水と食事を一つずつ消費)、ニンテンドーDS型詳細名簿、アズュール@灼眼のシャナ、角砂糖@デスノート、
情報が記されたメモ、首輪(魅音)、シアン化カリウム@バトルロワイアル、イングラムM10(0/32)@バトルロワイアル、おはぎ×3@ひぐらしのなく頃に、
女神の剣@ヴィオラートのアトリエ、DS系アイテムの拡張パーツ(GBA)、才人の不明支給品(0〜1)、ゼロの剣@コードギアス、
真司の確認済み支給品(0〜2) 、劉鳳の不明支給品(0〜2)、発信機の受信機@DEATH NOTE、カードキー、神崎優衣の絵@仮面ライダー龍騎
※C.C.のデイパック
支給品一式×4、ゼロの仮面@コードギアス、ピザ@コードギアス、カギ爪@ガン×ソード、レイ・ラングレンの銃の予備弾倉(60/60)@ガン×ソード、
白梅香@るろうに剣心、確認済み支給品(0〜1)、S&W M10の弾薬(17/24)@バトル・ロワイアル
※浅倉のデイパックから散乱した確認済み支給品のうちの昇天石×5@真・女神転生if…は、北岡・つかさ・ジェレミア・ヴァン・クーガーの五人で配分しました。
【シャドームーン@仮面ライダーBLACK(実写)】
[装備]:サタンサーベル@仮面ライダーBLACK、バトルホッパー@仮面ライダーBLACK
[支給品]:支給品一式、不明支給品0〜2(確認済み)
[状態]:疲労(中)、ダメージ(極大)、全身に負傷、全身に火傷、右腕欠損、シャドーチャージャーに負傷
[思考・行動]
0:創世王を殺す。
1:創世王を殺した後、他の参加者を皆殺しにする。
2:狭間との契約は守る。
3:キングストーン(太陽の石)を回収する。
【備考】
※本編50話途中からの参戦です。
※殺し合いの主催者の裏に、創世王が居ると考えています。
※会場の端には空間の歪みがあると考えています。
※空間に干渉する能力が増大しました。
※nのフィールドの入り口を開ける能力を得ました。
※回復が始まっていません。回復するかどうかは後続の書き手に任せます。
493 :
創る名無しに見る名無し
:2013/04/06(土) 01:21:28.91 ID:ibh6rhS1
494 :
創る名無しに見る名無し
:2013/04/06(土) 01:21:35.96 ID:nPBiP1Yh
495 :
創る名無しに見る名無し
:2013/04/06(土) 01:22:22.03 ID:nPBiP1Yh
496 :
創る名無しに見る名無し
:2013/04/06(土) 01:22:50.07 ID:ibh6rhS1
497 :
創る名無しに見る名無し
:2013/04/06(土) 01:23:19.91 ID:nPBiP1Yh
498 :
創る名無しに見る名無し
:2013/04/06(土) 01:23:36.38 ID:X8bS+uqC
※狭間偉出夫とシャドームーンは契約を交わしました。内容は以下の通りです。
シャドームーンは主催者を倒すまで他の参加者を殺害しない。(但し正当防衛の場合は例外とする)
狭間はシャドームーンの首輪を解除する。
狭間はシャドームーンが首輪を解除するまで護衛する。
シャドームーンは首輪を解除できれば他の参加者と協力して主催者と戦う。(シャドームーンは会場脱出や主催者の拠点へ侵攻する際は他の参加者と足並みを揃える)
主催者(の黒幕)の殺害はシャドームーンに一任する。
主催者を倒した後はシャドームーンと他に生き残った全ての参加者で決着を付ける。
主催者を倒すまでにシャドームーンが誰かに殺害された場合、狭間は必ずその報復を行う。
▽
会場から戻った薔薇水晶は一人佇み、頬に手を当てる。
そこには先程負った小さな傷があった。
「……」
表情は動かない。
ただ立ち尽くす。
そこに小さな足音と、啜り泣く声が聞こえた。
「翠星石……」
名を呼ぶと、翠星石は顔を覆っていた手を離す。
憔悴しきった彼女の目元は赤く、ずっと泣いていたのだと分かった。
闇雲に歩き回っているうちにここに着いたらしい。
薔薇水晶が崩れ落ちそうになった彼女を支えてやると、薔薇水晶の胸に顔を埋めて泣きじゃくった。
「分からない」「分からない」と、何度も口にしながら。
数分程そのままでいると、少しは落ち着いたのか泣き止んだ翠星石が顔を上げる。
しかし目が合った途端、翠星石の表情が歪んだ。
「その、傷は……どうしたですか、薔薇水晶……?」
不安そうに、心配そうに、翠星石が薔薇水晶の頬に手を伸ばす。
そこで二の腕の傷にも気付いたようで、顔がますます強張った。
「これは、会場で襲われたの。
彼らに攻撃された」
翠星石の涙が落ちる。
一度は止まったはずなのに、次から次へと滴っていく。
「悲しいの?」
「だってっ……同じ、姉妹なのに……っ」
真紅も、蒼星石も、水銀燈も死んだ。
雛苺も脱落した。
金糸雀も今となってはどこにいるのか分からない。
翠星石にとって、今や姉妹は薔薇水晶は大切な姉妹。
その薔薇水晶が傷付く事に、まして死ぬ事に、翠星石が耐えられるわけがないのだ。
薔薇水晶に縋って泣く翠星石。
小さく一度だけ、嗚咽に「あんな奴ら」と呪う言葉が混じった。
彼女が薔薇水晶の手の中に落ちるまで、恐らく時間は掛からない。
【二日目/黎明/???】
【翠星石@ローゼンメイデン(アニメ)】
[装備]庭師の如雨露@ローゼンメイデン、真紅と蒼星石と水銀燈と雛苺のローザミスティカ@ローゼンメイデン、キングストーン(太陽の石)@仮面ライダーBLACK(実写)
ローゼンメイデンの鞄@ローゼンメイデン、庭師の鋏@ローゼンメイデン
499 :
創る名無しに見る名無し
:2013/04/06(土) 01:24:20.50 ID:nPBiP1Yh
500 :
創る名無しに見る名無し
:2013/04/06(土) 01:24:39.11 ID:ibh6rhS1
501 :
創る名無しに見る名無し
:2013/04/06(土) 01:25:15.36 ID:nPBiP1Yh
502 :
創る名無しに見る名無し
:2013/04/06(土) 01:26:34.32 ID:nPBiP1Yh
503 :
創る名無しに見る名無し
:2013/04/06(土) 01:26:53.51 ID:X8bS+uqC
[支給品]支給品一式(朝食分を消費)、真紅のステッキ@ローゼンメイデン、情報が記されたメモ、確認済支給品(0〜1)
[状態]首輪解除済み
[思考・行動]
0:???
[備考]
※スイドリームが居ない事を疑問に思っています。
※ローザミスティカを複数取り込んだことで、それぞれの姉妹の能力を会得しました。
※キングストーンを取り込んだことで、能力が上がっています。
またキングストーンによる精神への悪影響が見られ、やがて暴走へ繋がる危険性があります。
▽
V.V.は一人、モニタールームで会場を見守る。
「それが君の選択なんだね、C.C.」
数刻前、誰よりも長い月日を生きた魔女が自ら凶刃の前に躍り出た。
それはつまり、死のうとしたという事。
自ら死を選んだという事。
「随分満足そうだったね……僕からの贈り物は、気に入って貰えたのかな」
監視しても、盗聴しても、参加者の心の内までは分からない。
C.C.は最期に何を思ったのか。
想像し、クツクツと声を殺して笑う。
「志々雄に追い詰められれば、残された彼らはまた新たに『選択』を強いられるだろう。
僕はそれを見られる時が、楽しみでならないよ」
画面に映るのは白い鋼鉄の騎士と戦艦。
そしてそれに立ち向かう者達。
「彼の策は成功するかな……?
彼は素直にあれを受け取ってくれるかな……?
それに彼女達は――」
丸一日以上続いたバトルロワイアルの、全ての結果がもうすぐ出る。
V.V.はその時を待ち続ける。
薄く笑いながら、楽しみにしながら、待ち続ける。
【ランスロット@コードギアス 反逆のルルーシュ】
特別派遣嚮導開発部が開発したKMF(ナイトメアフレーム)。
B−5山頂付近、外観を偽装したKMF格納庫に収容されていた。
起動キーはV.V.の手元にあり、バトルロワイアルの進行状況次第で参加者に渡す予定もあった。
型式番号 Z-01
全高 4.49m
重量 6.89t
装備 スラッシュハーケン×4、ブレイズルミナス×2、メーザーバイブレーションソード×2、ヴァリス、ハーケンブースター
従来の量産型よりも性能が高い分扱いが難しいが、枢木スザクが操縦した場合の通常稼働率は94%となる。
ファクトスフィアが頭部でなく胸部に2基装備され、スラッシュハーケンも腰部の2基に加え手の甲から射出するメッサーモードが2基、計4基装備されている。
腕部中央からブレイズルミナスというシールドを発生し、様々な攻撃を弾く。
脱出装置とフロートシステムは実装されていない。
504 :
創る名無しに見る名無し
:2013/04/06(土) 01:27:19.95 ID:ibh6rhS1
505 :
創る名無しに見る名無し
:2013/04/06(土) 01:30:31.08 ID:ibh6rhS1
506 :
創る名無しに見る名無し
:2013/04/06(土) 01:32:08.65 ID:X8bS+uqC
【煉獄・改@るろうに剣心-明治剣客浪漫譚-】
元は十本刀の一人である佐渡島方治が、雪代縁の組織から買い取った大型甲鉄艦。
一度は沈没したものをV.V.がブリタニアやエンドレス・イリュージョンの技術を用いて回収・改造を施した。
J−1の座礁船として偽装されており、観柳が持つ専用パソコンをバトルロワイアルの進行状況次第で参加者に渡す予定もあった。
志々雄「この大型甲鉄艦“煉獄”には全財力の五分の三をつぎ込んだんだ」
アームストロング砲や回転式機関銃を装備していたが、改造後の装備は不明。
専用パソコンによる遠隔操作やオート航行が可能になっている。
【昇天石@真・女神転生if…】
ルルーシュ・ランペルージに支給。
敵2体に破魔属性の魔法をかけるアイテム。
5個セットで支給。
【小型クルーザー@ルパン三世】
銭形警部に支給。
TV SPECIAL「霧のエリューシヴ」に登場し、ルパン達が使用したクルーザー。
投下終了です。御支援ありがとうございました。
ルールに抵触する部分については仮投下スレにて他の書き手氏の了解を得ています。
この他に誤字脱字や問題点がございましたら御指摘戴ければ幸いです。
507 :
創る名無しに見る名無し
:2013/04/06(土) 01:39:49.33 ID:ibh6rhS1
投下乙です!
おお、ランスロットと煉獄が登場とは!
そして、スザク……死んでもなお悪意ある他人に利用されちゃうのか……(´;ω;`)
その影でワールド・オブ・観柳wwwwwwwwwこいつ上田と同じ方向性になってきてるwwwwwww
しかし、クーダーの兄貴はカッコイイな。対主催チームの柱ではないけど架け橋になってる!
『新しい隣人』って台詞もイイネ!
ジェレミアはすれ違いつつも決着を付けられなかったスザクとの対面……どうなるのか楽しみだ
様々な思惑でキャラが動いてて面白かったです!
508 :
創る名無しに見る名無し
:2013/04/06(土) 01:46:12.78 ID:X8bS+uqC
タイトルが抜けていました、失礼しました。
前半が「Marching Ever Onward To Tomorrow」
>>457
からの後半が「3/5」です。
509 :
創る名無しに見る名無し
:2013/04/06(土) 20:56:48.66 ID:j0AQj/Ya
投下乙です。
すっかり忘れてたけど、狭間もつかさと同じ高校生なんだよな。
夢を追い、大人に守られるべき立場。
今は新しい生き方を歩き始めたばかりだし、いろいろ負担だよなあ。
510 :
創る名無しに見る名無し
:2013/04/07(日) 11:26:18.56 ID:kdGwwCe/
もうスザクは不幸王でいいんじゃないかな
511 :
創る名無しに見る名無し
:2013/04/09(火) 23:00:29.72 ID:8Wa/GTVu
126 名前:名無しさん[sage] 投稿日:2013/04/09(火) 22:38:54 ID:6GdIDhYM0 [1/2]
>水中呼吸が可能になるという説明を受けつつ、ヴァンはそれを適当にデイパックに突っ込む。
一度それを口にした事があるのだが、ヴァンは覚えていなかった。
ヴァンとC.C.の丁度この下りの過去の話とが最期に一緒だった前々話が思い出されて泣ける
他の参加者に対する不信から翠星石が薔薇水晶の手に…!
まさに薔薇の獄に囚われる乙女
その方面からもどうなる〜!?と思ってしまう…!
127 名前:名無しさん[sage] 投稿日:2013/04/09(火) 22:42:05 ID:6GdIDhYM0 [2/2]
そしてこのロワで最もボロッボロになって頑張ってるとある人物に向けての支援絵
次のパートも楽しみにしております
ttp://www20.atpages.jp/r0109/uploader/src/up0224.png
512 :
創る名無しに見る名無し
:2013/04/09(火) 23:07:38.70 ID:fVM/Ib9q
うひょおおおおおおおおおおおおおおおお!
支援絵乙です!
513 :
創る名無しに見る名無し
:2013/04/10(水) 10:04:44.82 ID:BcRLRvTO
相変わらずすげえええええええええ!!!
514 :
創る名無しに見る名無し
:2013/04/11(木) 22:46:54.33 ID:PKiOmMwj
支援絵乙です
515 :
◆EboujAWlRA
:2013/04/21(日) 22:50:23.21 ID:UbFtxbLR
ヴァン、上田次郎、シャドームーン、ストレイト・クーガー、狭間偉出夫、志々雄真実、武田観柳、翠星石、薔薇水晶、V.V.、古手梨花を投下します
516 :
創る名無しに見る名無し
:2013/04/21(日) 22:50:46.83 ID:GvIecIWh
517 :
創る名無しに見る名無し
:2013/04/21(日) 22:51:02.46 ID:5oNPsbHs
518 :
創る名無しに見る名無し
:2013/04/21(日) 22:51:15.15 ID:9+a5++qE
待ってましたー!! 支援
519 :
HELL ON EARTH
◆EboujAWlRA
:2013/04/21(日) 22:51:18.60 ID:UbFtxbLR
焔に焼かれた全身には体毛の一本すらも残っていない。
本来ならば皮膚の下に隠されているはずの筋肉は露出しており、轟々と豊かな山脈を築き上げている。
大木の幹のように太い首筋。
そこから扇状に広がる僧帽筋、三角筋、広背筋などの背筋。
どす黒く焼け爛れたしなやかな筋肉の群れは志々雄の強さを支える源である。
山脈に流れるように川のように筋肉の鎧に熱湯を流しながら怪人は、志々雄真実は笑っていた。
「煉獄、か。随分と弄ってくれるじゃねえか」
自身の右腕、佐渡島方治を中心としてかつて上海マフィアから買い取った大型甲鉄艦・煉獄。
東京を火の海に沈めるはずだった煉獄は、三人の敵によって逆に東京湾へと沈んでいった。
それがなんの因果か、再び志々雄の敵へとその猛威を振るおうとしている。
「あれがどうなるか……まあ、予測はついてるがな」
湯の張った湯船へと身体を沈めながら、志々雄は呟く。
今の煉獄は志々雄の知る煉獄ではない。
同時に今回の志々雄の敵もまた志々雄の知識の外にある力の持ち主だ。
どちらが有利かは分からない。
だが、直感的にどちらに軍配が上がるかは理解していた。
それは志々雄たち戦士の、いや、修羅の持つ独特な感性。
かつて焔の中で確かに感じた、戦闘の匂い。
その匂いが、どちらに勝利を運ぶか伝えているのだ。
「ふぅ……」
今は待つだけだ。
すべての事柄は志々雄の元へと戦闘を運んでくる。
終わりなき戦闘を、より素晴らしい闘争を。
志々雄が生きている限り、戦闘は消えはしない。
仮面ライダーリュウガのデッキも。
魔剣ヒノカグツチも。
烈火のサバイブカードも。
志々雄が戦闘を行うために、運命が運んできたものだ。
「俺達はこの世の地獄に生まれ落ちた修羅、『闘う』ことそのものが『生きる』こと……そうだろ、先輩よ?」
もはやこの世から消え去った緋村剣心へと向かって、志々雄は獰猛な笑みを浮かべた。
520 :
HELL ON EARTH
◆EboujAWlRA
:2013/04/21(日) 22:51:52.13 ID:UbFtxbLR
◆ ◆ ◆
海上に浮かぶ鉄の城、大型甲鉄艦――その名を煉獄・改と言った。
荘厳と佇む圧倒的な暴力が形となった煉獄は、ゆっくりと船首をハザマイデオ達へと向ける。
その船首に一つの巨大な砲口が湾岸部からでも見て取れる。
ひと目で主砲と分かる大砲だ、陸に居る五人の反逆者たちへと殺気を振りまいている。
そんな死を呼びこむような大砲を見て、上田次郎は【ジョーズ】のポスターを思い出す。
あの悠々と構えた大口径砲は、まさに巨大な鮫の顎を連想させる『死神』そのものだった。
「ハァ……こいつはまたでかい主砲ですねぇ」
その横でストレイト・クーガーは呑気に呟きながら支給品のクルーザーへと乗り込む。
あの煉獄がどのような兵装を積んでいるかは未知の領域だが、それでもこのまま眺めていては仕方がない。
煉獄が敵意を剥き出しにしている以上、何らかの対抗手段を取るしかない。
しかし、相手は海という人間にとっての異世界を自由自在に動き回る鉄甲艦。
ならば、その異世界で戦うための『脚』こそクーガーの役目である。
「ラディカルグゥッドスピィィィド!」
クーガーの叫び声とともに海水が虹色の光に変換され、装甲となりクルーザーを覆っていく。
特徴のないクルーザーが桃色……と言うよりも、塗料めいた人工的なピンク色の塗工が施された奇天烈なクルーザーへと変化していく。
クーガーのアルター能力、ラディカルグッドスピードの力である。
平凡なクルーザーはラディカルグッドスピードによってジェット船を凌ぐ超高速船舶、ラディカルグッドスピード・クルーザー(以下RGSクルーザー)へと姿を変えたのだ。
「うーん、実に文化的な船だ。そうは思いませんか皆さん?」
お世辞にも万人受けするとは言えない派手なクルーザーを見てクーガーが呟く。
少々独特の感性を持つクーガーと精神力の具現化とも言えるアルター能力が掛け合ったからこその奇抜さなのだ。
その尖鋭的なデザインを自賛するように、クーガーは深く息を吐いた。
「ああ……? ……そうですね」
痛みか疲労か、ヴァンは呆けたように呟きながらRGSクルーザーへと乗り込む。
ヴァンはクルーザーの中でゆっくりと地べたに座り込み、エアドロップを握り締める。
ちょうど前日に扱った、水中の中でも呼吸が出来る不思議なドロップだ。
もっとも、ヴァンが気絶している間に無理やり口にねじ込まれたため、使用していたことを覚えていないが。
「ふむ、独創的なセンスだが少々アクが強すぎるな。
私は嫌いではないが、庶民には受け入れがたい造形ではあるだろう。
……うん、よし! この私がこの船の名付け親になってあげようじゃないか!
名前は重要だよ、それ一つで見る目が変わる。
故にこう名付けよう……『ジェット次郎号』と。
この私と縁の深い船だとわかれば、先入観で多少評価が上がるだろう」
一方で上田はいつもの調子だった。
恐怖、高揚、勇気。
上田次郎にはそのどれもが足りない。
だが、逆にこの感情のどれにも偏っていない。
その全てを持ちあわせて、その全てが混ぜこぜになっているのだ。
この場で最も『人間』である上田次郎は、怯えを抱え込んだままRGSクルーザーへと軽快な動きで乗り込んだ。
521 :
HELL ON EARTH
◆EboujAWlRA
:2013/04/21(日) 22:52:50.83 ID:UbFtxbLR
「おや、ご両人は乗り込まないんで?」
湾岸部に仁王立ちするハザマとシャドームーンへとクーガーが問いかける。
シャドームーンはクーガーへと一瞥もくれず、煉獄の大砲をその複眼で睨みつけている。
シャドームーンから剣呑な雰囲気は消えない。
相変わらず隣に立つだけで息が詰まりそうな重圧感を放つシャドームーン。
クーガーは演技がかったように肩をすくめ、ハザマはちらりとクーガーへと視線を移して言葉を返した。
「私とシャドームーンは、少しの間だけここに残る……研究所への砲撃に対応する必要があるからな」
煉獄の大砲からは巨大な穴に吸い込まれそうな、そんな尋常ならざる威圧感が発せられていた。
間違いなく煉獄のメインウェポンだ。
研究所へと向いていることから、火力は推して知るべしといったところか。
「退け」
そんな中でシャドームーンはハザマへと短く言い、肩を掴んで強引に位置取りを変える。
シャドームーンの複眼と、顎を大きく広げた大砲が睨み合っていた。
煉獄の船首に備えられた大砲がどれほどのものかは分からない。
通常の実弾である可能性もあれば、ハザマの固定観念から離れた未知の超兵器である可能性もある。
煉獄という甲鉄艦の戦力を計ることが出来ないのだ。
「……クーガー、ヴァンと上田を乗せて離れるんだ。
余波に巻き込まれないようにな」
だが、煉獄の性能は未知のものではあるものの、シャドームーンという魔王の恐ろしさは十分に把握をしている。
この攻防による流れ弾で上田たちに被害が及ぶことを危惧しての言葉だった。
ハザマの言葉にクーガーは小さく頷き、RGSクルーザーを発進させる。
「フン、来るか」
シャドームーンは左腕に持ったサタンサーベルを天空へと向けて掲げた。
同時に、シャドームーンの腰元に装着されたシャドーチャージャーが妖しく光り始める。
サタンサーベルの深紅の輝きを深めるように、翠緑の光が増していった。
「サタンサーベルよ……!」
王者の輝石・キングストーン、王者の宝剣・サタンサーベル、王者の騎馬・バトルホッパー。
ゴルゴムが誇る三種の神器が揃った瞬間に世紀王は限界を超えた力すら手に入れるのだ。
シャドーチャージャーから溢れ出た翠緑の光が、シャドームーンの左腕を伝ってサタンサーベルへと昇っていく。
サタンサーベルの深紅の刀身はシャドーチャージャーから放たられる翠緑の光によって染められていく。
螺旋を描くようにして幾つものシャドービームがサタンサーベルへと纏わりつく。
シャドーチャージャーによって引き出される月の石の力が、さらにサタンサーベルの持つ力を増幅させている。
「……来る!」
単なるシャドービームとは、はるかに比べ物にならない破壊光線がサタンサーベルへと集まっていく。
攻撃態勢を取ったシャドームーンを迎え撃つように、煉獄の主砲が唸りを上げる。
空気が変わる、とでも言うのだろうか。
その変化をハザマは感じ取る。
当然、シャドームーンも感じ取っているはずだ。
「王へと向けて……不遜な輩が!」
増大されたキングストーンの力が纏ったサタンサーベルを、シャドームーンは強く振り下ろした。
522 :
創る名無しに見る名無し
:2013/04/21(日) 22:54:05.22 ID:GvIecIWh
523 :
HELL ON EARTH
◆EboujAWlRA
:2013/04/21(日) 22:54:11.28 ID:UbFtxbLR
迎え撃つように煉獄の船首から荷電粒子砲――――『ハドロン砲』が発射された。
ハドロン砲とシャドービーム。
二つの高エネルギー物質は海水を蒸発させ、分子と分子の繋がりを崩壊させていく。
海面は円形に抉れていく、まるで二つの砲弾を避けるかのようだった。
すでに遠く離れていたRGSクルーザーも海面の変化が生んだ大波の影響を受けるが、クーガーの神がかった操縦技術によって転覆は免れる。
ついに、人間の背丈ほどの直径を持つ巨大なシャドービームと煉獄から発射された粒子砲が接近する。
だがしかし、二つの高エネルギー体がぶつかり合うことはない。
二つの強大なエネルギーの接近によって歪曲した磁場がそれぞれの狙いを僅かにずらしていく。
サタンサーベルより放たれたシャドービームの螺旋は煉獄が浮かぶはるか後方の海水を蒸発させた。
煉獄より放たれたエネルギー砲弾は研究所の脇を通り過ぎ、一定の距離――飛程まで放たれると霧散していった。
尋常ならざる破壊力。
しかし―――研究所、煉獄! ともに損害なし!
524 :
創る名無しに見る名無し
:2013/04/21(日) 22:54:22.13 ID:9+a5++qE
RGS支援
525 :
HELL ON EARTH
◆EboujAWlRA
:2013/04/21(日) 22:55:26.45 ID:UbFtxbLR
「なっ、まさか……!?」
「荷電粒子砲!?」
ハザマと上田が煉獄の主砲の正体に気づき、悲鳴じみた叫びを上げる。
煉獄に備えられた主砲は荷電粒子を粒子加速器を用いて亜光速の速さで撃ち出す粒子加速器、ハドロン砲である。
亜光速で動く荷電粒子の束とシャドームーンの放ったシャドービームの束が磁場を一時的に狂わせてハドロン砲の進行方向を歪ませたのだ。
シャドームーンが居なければ……そんな状況の想像がハザマの背筋に悪寒が走らせる。
「なんということだ……そんな、実装されるわけが! ましてや、あれほどまでに小型化されるなど……」
また、クルーザーの中から上田が半ば魂の抜けたような呟きを漏らす。
物理学者である上田次郎だからこそ、その恐ろしさを承知しているのだ。
クーガーの心情ではないが、スピードとはすなわちパワーだ。
早ければ早いほどに威力が増す。
10km/hで徐行する車と100km/hで高速走行する車ならば、後者のほうが危険であるようにだ。
「っと、上田先生! 喋らないでくださーい! 舌を噛みますよぉ!」
クーガーの言葉と同時にRGSクルーザーが動き始める。
単純な直線移動ではなく、ドリフト走行を思わせる蛇行運転で海上を走りだした。
そのRGSクルーザーを襲うように、煉獄の船腹部に備えられたガトリングガン――『4銃身4mm回転式機関砲』が火を噴く。
幾つものの4銃身4mm回転機関砲がラディカルグッドスピードによって補強されたクルーザーへと襲いかかる。
しかし、RGSクルーザーはスピードの急激なアップダウンによって4銃身4mm回転式機関砲が打ち出す銃弾の雨を掻い潜っていく。
クーガーは単純に銃弾から離れるだけでなく、時には無茶な航行移動を行うことで波を作り電子頭脳の狙いを乱しているのだ。
幾つか被弾をするものの直ぐ様に海水が虹色に光り装甲へと変化され、RGSクルーザーを補修していく。
速さの化身ストレイト・クーガーの操縦技術と人智を超えたマシーン・RGSクルーザーの前では電子頭脳も型なしである。
「ゥウォオオォォォァァァアッェェエエェ!!!」
「イィィィャャヤァァァァッホゥゥゥゥゥゥ!
どうしたどうしたァ、その程度で世界を縮める俺のスピードについてこれると思ってんのかァ!」
上田が度重なる負荷に、たまらず嘔吐する。
しかし、クーガーはそんな上田を無視するようにクルーザーを自在に操っていく。
むしろその態度こそが自身のスピードの証明であると言わんばかりにスピードとテンションを上げていく始末である。
もちろん、その自信は決して過信などではない。
RGSクルーザーは煉獄を嘲笑うかのように銃弾の嵐を掻い潜っていく。
一方で、ハザマは険しい顔をしながら煉獄を睨みつけていた。
「……荷電粒子砲、テトラカーンならば返せるか?
しかし、今の状態では失敗した時のことを考えるとあまりにも危険過ぎる……か」
煉獄はその大きさからは想像できない素早さで小刻みにその巨体を動かしていく。
その動きを可能とされるのは、流体サクラダイトを使用した『ユグドラシルドライブ』。
そして、そのエンジンから伝わるエネルギーを煉獄に負荷を限りなく小さくしている『GER流体制御システム』の賜物だ。
「……他の装備が気になるな」
現状、ハザマが把握している兵装は船首のハドロン砲と船腹部の機関砲だけだ。
煉獄の事実を深く知ることこそが、煉獄撃沈の最大の近道だ。
526 :
創る名無しに見る名無し
:2013/04/21(日) 22:55:27.78 ID:mkTwlvxs
527 :
創る名無しに見る名無し
:2013/04/21(日) 22:56:11.09 ID:GvIecIWh
528 :
創る名無しに見る名無し
:2013/04/21(日) 22:56:25.85 ID:NImbCGOz
529 :
HELL ON EARTH
◆EboujAWlRA
:2013/04/21(日) 22:56:42.22 ID:UbFtxbLR
「……マハブフーラ」
ならば、と考えてからは行動が早かった。
ハザマは海水を凍らせて、非常に脆弱な氷の道を駆け出していく。
シャドームーンとて研究所の重要性は理解しているはずだ、船首のハドロン砲はシャドームーンが相手をするだろう。
シャドームーンという強力な敵が味方となった今、ハザマは遊撃的に動くことが出来るのだ。
ハザマが十メートルほど進んだ瞬間、砲身を煉獄の回転式機関砲が火を噴く。
「マハブフ!」
その銃弾の嵐をRGSクルーザーの航行が起こした波を凍らせる。
魔界の氷結によって『海水』から『絶対停止の壁』となった波が盾となり、4銃身4mm回転式機関砲の銃弾を防ぐ。
だが、これ以上進むと帰還が困難となる。
今のハザマは平時のように気安く魔法を扱うことが出来ないのだ。
ハザマは体勢を低くし、口を小さく動かして呪文を唱える。
「マハラギ!」
「フン!」
ハザマが呪文を唱えると同時に、海の上を滑るようにして業火が煉獄へと襲いかかる。
そして、湾岸部に留まっていたシャドームーンもシャドーチャージャーからシャドービームを放つ。
ハザマの放つ炎の群れとシャドームーンの放つ翠緑の雷、二つのプラズマが最新技術の塊である煉獄へと襲いかかる。
「ムッ……!」
しかし、その瞬間だった。
煉獄の船腹部に丸い紅玉が浮かび上がり、その紅玉から特殊な波動が照射される。
炎の群れと翠緑の雷は煉獄の持つ紅玉――『輻射波動機構』が生み出したマイクロウェーブによってかき消される。
何が起こったのかハザマの頭脳は理解していた。
荷電粒子砲が装備されているのならば、装甲面においても相当なものが装備されているだろうと予測していたのだ。
「電磁波か。アギとジオの類では効果が少ないか……」
ハザマは小さく呟きながら、素早くマハブフーラで作り上げた氷の道を引き返す。
しかし、そのハザマを煉獄は簡単に逃しはしない。
次の攻撃は4銃身4mm回転式機関砲ではなく、浮かび上がった輻射波動機構から輻射波動砲弾が飛び出る。
直撃すれば身体中の水分が蒸発し、まさしく血が爆発し血管から弾け飛び肉片だけを残して爆発する。
「……チッ、マカラカーン!」
ハザマは反射の魔法マカラカーンで輻射波動砲弾を跳ね返す。
だがしかし、その輻射波動砲弾を船腹部に装備された二つの輻射波動機構によって生み出された電磁場が防ぐ。
「やめるんだハザマくん! 炎も電気もプラズマだ!
その甲鉄艦は巨大なマイクロウェーブによって炎による攻撃を防いでいるんだ!
火炎は意味が無い!」
その光景を遠目から眺めていた上田が再びハザマが火球を放ったと勘違いして、ハザマへと声を荒げて注意を促す。
すでにハザマが推測していたことではあったが、その気遣いがどこか気恥ずかしい嬉しさを覚える。
ハザマはやはり波を凍らせて後退する。
その瞬間、ふと輻射波動機構でも機関砲でもない砲口がハザマへと向けられていた。
530 :
創る名無しに見る名無し
:2013/04/21(日) 22:56:57.43 ID:NImbCGOz
531 :
創る名無しに見る名無し
:2013/04/21(日) 22:57:17.75 ID:mkTwlvxs
532 :
創る名無しに見る名無し
:2013/04/21(日) 22:57:39.14 ID:NImbCGOz
533 :
創る名無しに見る名無し
:2013/04/21(日) 22:58:05.37 ID:GvIecIWh
534 :
創る名無しに見る名無し
:2013/04/21(日) 22:58:22.12 ID:NImbCGOz
535 :
HELL ON EARTH
◆EboujAWlRA
:2013/04/21(日) 22:58:28.09 ID:UbFtxbLR
「……ッ、テトラカーン!」
煉獄から光が発せられる。
すなわち、光学兵器――『レーザー砲』である。
煉獄に装着された兵装のうちで最速の武器だが、ハザマの判断がレーザー砲の発射よりも一瞬だけ早かった。
唱えられたテトラカーンによって反射される。
しかし、そのレーザー砲はエネルギーシールド――『ブレイズルミナス』によって防がれる。
「クッ、二つの盾に四つの武器か」
「レーザー砲……光学兵器まで持っているのかァァアゥゥゥッァァアア!?」
上田がその光の束からレーザー砲だと気づき、呆然と煉獄の砲身を眺める。
4銃身4mm砲の砲身は無慈悲にRGSクルーザーへと向けられて、さらにはレーザー砲や輻射波動機構、ハドロン砲まで備えられている。
たった六人で、しかも武器は拳銃程度で勝てるような相手ではない。
希望があるとすれば、ここには上田の常識を超える存在があるということだ。
例えば、上田の三半規管をいじめ倒すアルター使いのクーガーとか。
「ブゥラボォォォォォォォ! 背後を取ったぜェ!
船首部に荷電粒子砲! 中間部に大口径機関銃とマイクロウェーブ装置にレーザー砲!
さーて、船尾には何を仕込んでる!?
さぁ、上田センセイ! 銃撃銃撃ィ!」
「ミ、ミーがか!?」
上田は手に持ったベレッタM92Fとクーガーの背中を交互に見ながら叫ぶ。
しかし、奇声を上げながらRGSクルーザーを運転するクーガーの耳には届いていないようだった。
僅かに躊躇の念を覚えるが、それでも上田はベレッタM92Fを構えた。
「こなくそっ!」
窓を開き、上田はベレッタM92Fの引き金を絞る。
相手が人間ではなく単なる無機質の塊だからこその行動だった。
ましてや狙ったのは船腹部だ、さらにこの甲鉄艦の装甲では銃弾一つで沈むような作りではない。
万が一、船員が居た場合にも上田が『人殺し』になることはない。
そんな「自分も仕事をしている」という打算と、それでもどうにか『煉獄撃沈』の力になりたいという勇気が相混ぜになっての行動だった。
しかし、そんな上田の攻撃行動も煉獄の装甲に傷ひとつつけることなく、ブレイズルミナスによって阻まれてしまう。
「ワッツ!? 銃弾が弾かれた……エ、エネルギーバリアーか? なんと馬鹿らしい!」
ベレッタM92Fの銃撃と反射されたレーザー砲を防いだ完全なる盾、ブレイズルミナス。
先ほど現れた第七世代ナイトメアフレーム、ランスロットに装着されていたものと同じ装甲である。
発生させたエネルギーバリアーによって物理的な攻撃の全てを防ぐ万能バリアーだ。
これではベレッタ拳銃では太刀打ち出来ない。
ひのきの棒で巨大金庫を破壊しようとするようなものだ。
「くっ……悔しいが一度戻ろう。まさかこの私の射撃でもノーダメージとは……む? ヴァン君はどうした?」
こうなるともはやシャドームーンやハザマイデオを持ってしなければ太刀打ちが出来ない。
そう判断した上田がクーガーへと話しかけるが、先程まで座り込んでいたヴァンの姿が消えていることに気づいた。
536 :
創る名無しに見る名無し
:2013/04/21(日) 22:59:17.09 ID:5oNPsbHs
537 :
創る名無しに見る名無し
:2013/04/21(日) 22:59:36.68 ID:GvIecIWh
538 :
HELL ON EARTH
◆EboujAWlRA
:2013/04/21(日) 22:59:52.53 ID:UbFtxbLR
「ヴァンさんなら、近づいた時に海を潜ってあの甲鉄艦へといかれましたよ。そのために近づいたんですから」
「なっ……私の華麗な銃撃のために近づいたのでは……あ、い、いや、そうだな!
ハハハ! わかっていたとも、ユーたちの作戦はな!
そうとも! 私は煉獄の注意を引き付けるために、クリント・イーストウッドも真っ青の銃の腕前を見せたのだからな!」
「そいつぁーさすがだ! 大学教授の肩書きは伊達じゃありませんねぇ!」
そんな上田のあからまさな虚勢にクーガーは快活に笑いながら話を合わせる。
素直というか褒められることが大好きな上田はハッハッハと高笑いを上げる。
クーガーはRGSクルーザーを旋回させ、ヴァンの潜入を確実にするために煉獄の注意を引く。
「それじゃあ、見逃すんじゃねえぜデカブツ……まっ、俺のスピードについてこれるならの話だけどなぁ!」
「なるべく、揺れさないように頼むよ」
クーガーがRGSクルーザーのスピードをあげたちょうどその頃。
漆黒のバトルスーツに身を包み、同色の仮面を身につけたヴァンが海面へと浮かび上がった。
仮面ライダーナイトへと変身したヴァンは海中を泳いで煉獄へと接近していたのだ。
「……ッ!」
そんなヴァンの元へと迫り来るは水中魚雷。
複数の魚雷が迫り来る中でヴァンはバックルに備えられたデッキから三枚のカードを取り出して素早く読み込ませる。
―― NASTY VENT ――
―― TRICK VENT ――
―― GUARD VENT ――
超音波を発するナスティベントが水柱を揺らして魚雷の狙いを逸らしていく。
その間にトリックベントによって仮面ライダーナイトが複数に増えて撹乱。
極めつけは盾となるガードベントを召喚し、強引に突破する。
「ふぅ……」
強化された肉体とエアドロップによって水中での呼吸を可能としたヴァンは荒れ狂う波を物ともせずに煉獄への接近を成功させていた。
ヴァンは煉獄の鋼鉄の装甲へと翼召剣ダークバイザーを突き刺す。
差し込まれたダークバイザーを足場にして海面から浮かび上がり、さらに薄刃乃太刀を煉獄の船尾へと巻きつける。
「よっと」
ヴァンは足場にしていたダークバイザーを引きぬく。
足場をなくしたヴァンはロープのように煉獄へ巻き付いた薄刃乃太刀にぶら下がるような状況になった。
その薄刃乃太刀をたぐり寄せるようにしながら煉獄の船腹を昇っていく。
ライダーへと変身したその身体能力は煉獄への潜入をいともたやすく成功させた。
甲板へと躍り出たヴァンは周囲を見渡す。
539 :
創る名無しに見る名無し
:2013/04/21(日) 23:00:52.14 ID:mkTwlvxs
540 :
創る名無しに見る名無し
:2013/04/21(日) 23:00:52.55 ID:5oNPsbHs
541 :
HELL ON EARTH
◆EboujAWlRA
:2013/04/21(日) 23:01:13.19 ID:UbFtxbLR
「さて、船員は……あん?」
甲板に上がれば船員との戦闘を覚悟していたヴァンであったが、その想像とは裏腹に甲板上に人が見当たらなかった。
人の気配のしない、無人の戦艦。
さすがのヴァンも仮面の奥で怪訝に眉を顰めた。
これほどの戦艦ならばそれ相応の船員が居るはずだからだ。
とは言え人が居ないのならばそれはそれで構わない、仕事が早くなるだけだ。
操縦室へと侵入し、ただ破壊すればいいだけだ。
そう考え、周囲を見渡しながらヴァンは甲板を歩き出した。
『……げて』
「……!」
揺れ動く煉獄の中で、ヴァンは自身の背後に立つ少女の存在に気づいた。
濡れ羽色の長髪に角を思わせる奇妙な髪飾りをつけた巫女服の少女だった。
しかし、少女から気配がしない。
動けば生じるはずの風の動き、煉獄の床を鳴らすはずの足音。
そのどちらも感じさせず、少女がヴァンの背後に立っていた。
ヴァンは身構えながら、その不気味な少女から距離をとる。
『……逃げて』
「あん……ッ!?」
少女の突然の言葉に、ヴァンは間の抜けた声を出す。
突如、甲板上に現れる複数の回転式機関砲。
分間100発の連射速度は仮面ライダーゾルダのマグバイザーを超えるものである。
ヴァンは素早く甲板を駆けながら、ダークバイザーにアドベントカードを読みこませた。
―― AD VENT ――
月光を浴びて鏡面となった海面から闇の翼ダークウイングが現れる。
巨大なコウモリが回転式機関砲の銃撃から庇うとナイトと合体をする。
そして、飛行能力を得たナイトは上空へと舞い上がるが、追尾するように回転式機関砲の銃口もまた空へと向けられる。
「チッ……!」
ヴァンは小さく舌打ちを漏らすと闇空に紛れるようにして宙を舞い、煉獄から離れていった。
360度から襲いかかる回転式機関砲を回避する術は、現時点のナイトは持たない。
542 :
創る名無しに見る名無し
:2013/04/21(日) 23:02:03.65 ID:PVeGqmZG
sien
543 :
HELL ON EARTH
◆EboujAWlRA
:2013/04/21(日) 23:02:53.68 ID:UbFtxbLR
そのヴァンの姿を確認したクーガーはRGSクルーザーを操り、ハザマたちの居る岸へと戻っていく。
先の上田の言葉通り、作戦の練り直しのためだ。
「むっ、海面が……?」
その最中、上田は海面がせり上がっている事に気づいた。
何かに引っ張られるように、海面が空へと向かって盛り上がっていた。
いや、違う。
これは波だ、海水に浮かぶ巨大な物体の動きによって生まれる波だ。
「……は?」
上田は眼鏡を外して右腕で両目を擦る。
しかし、上田の勘違いなどではない。
今目の前に起こっている現象は上田が観測した通りの出来事なのだ。
――――煉獄が空へと浮かぼうとしていた。
「な……ななななな!?」
上田は驚愕の余り舌が回らずに『な』としか言えなかった。
海面が大きく波打つ。
煉獄の沈んでいた船底が上田の目にも映る。
今までそこにあったはずの煉獄の体積が失くなったことで生じた波だったのだ。
「アンビリバボー……こいつは厄介だ……」
クーガーもまたその姿を眺めて呆然と呟く。
煉獄に仕込まれた飛行装置――『フロートユニット』だ。
空にそびえる鉄の城。
この瞬間こそ大型甲鉄艦煉獄が、真に大型空中甲鉄戦艦煉獄・改へと変化した瞬間だった。
544 :
創る名無しに見る名無し
:2013/04/21(日) 23:03:18.27 ID:GvIecIWh
545 :
創る名無しに見る名無し
:2013/04/21(日) 23:03:44.61 ID:5oNPsbHs
546 :
HELL ON EARTH
◆EboujAWlRA
:2013/04/21(日) 23:04:23.26 ID:UbFtxbLR
◆ ◆ ◆
ハドロン砲。
4銃身4mm回転式機関砲。
ユグドラシルドライブ。
GER流体制御システム。
輻射波動機構。
レーザー砲。
ブレイズルミナス。
水中魚雷。
フロートユニット。
そして、現段階では使用されていないが、光学迷彩マント。
「これが真の煉獄・改……さしもの世紀王と魔人皇のコンビも苦戦しているようですな」
武田観柳は六人の反逆者に襲いかかる煉獄を眺めて笑みを深める。
本来、この状態の煉獄は登場するはずはなかった。
あまりにも強すぎる煉獄を、さらに無敵の存在へと変えてしまうからだ。
しかし、使う者が主催者側となれば、武田観柳となれば話は別である。
相手は反逆者だ。
逆らうものに慈悲を与える必要はない。
「ふふ……殺しても良いというのなら、本当に殺してしまいますよ?」
誰に言うでもなく、無人の空間で観柳は小さく言葉を漏らす。
V.V.達はどれだけ『殺し合い』に拘っているのかは分からない。
なるべく参加者同士で殺しあってほしいという考えがあるのかもしれない。
だが、観柳にはどうでもいい話だ。
この煉獄を使っていいと言われたから、煉獄を最大限に扱うだけだ。
「『空中』大型甲鉄艦、煉獄・改」
観柳は薄い頬を緩ませる。
この煉獄こそが金の力だ。
金が作り上げた、金を生み出す絶対の兵器なのだ。
故に、この空中戦艦・煉獄に――――
「――――弱点は、ない」
547 :
創る名無しに見る名無し
:2013/04/21(日) 23:04:45.75 ID:04fDEO2O
支援
548 :
創る名無しに見る名無し
:2013/04/21(日) 23:04:51.61 ID:GvIecIWh
549 :
創る名無しに見る名無し
:2013/04/21(日) 23:05:18.00 ID:5oNPsbHs
550 :
創る名無しに見る名無し
:2013/04/21(日) 23:05:58.72 ID:PVeGqmZG
支援
551 :
HELL ON EARTH
◆EboujAWlRA
:2013/04/21(日) 23:06:00.69 ID:UbFtxbLR
◆ ◆ ◆
「荷電粒子砲、光学兵器、回転式機関銃砲、マイクロ波場発生装置、そして巨大な艦体を覆うエネルギーバリアー。
さらに看板には幾つものガトリングガンが待ち構えている、か」
「そういうこった」
ハザマは宙へと浮かび上がった煉獄を睨みつけながら、湾岸部まで引き返したヴァンとクーガー、上田の話を聞く。
浮かび上がった、と言っても煉獄はそれほど宙高く空を舞い踊っているわけではない。
精々が高さ15メートル程度、ビルの四回ほどの高さだ。
とは言え、この高さが最大の浮遊距離と決まったわけではないが。
「無茶苦茶だ! 戦艦につぎ込む武装じゃない!」
「で、どうするんですかぁ? まあ、追いかけっこじゃ負けませんからじっくり考えてくださーい」
上田が叫び声を上げ、クーガーは車へと背をもたれながら揚々とした声を投げかける。
「少し借りるぞ」
ハザマはベレッタM92Fの引き金に指をかけ、躊躇いなく引き絞った。
ベレッタM92Fの銃口から一発の銃弾が煉獄へと向かって放たれる。
飛び出た弾丸は、しかし、煉獄へと到達する前にブレイズルミナスの生み出すエネルギーシールドによって煉獄に触れることすら叶わない。
「全面方位か」
輻射波動機構とブレイズルミナス、この二つの防御は強力だ。
どちらも乗り込むことはもちろん単純な物理攻撃を防ぐ鉄壁の盾だ。
しかし、この装甲とて万能魔法であるメギドならば通る。
メギドとはすなわちソドムとゴモラを滅ぼした神の炎、天罰の力だ。
どれだけ人が知恵を振り絞ろうと防ぐことは出来ない絶対の力。
故に、煉獄を破壊するすべは確かに存在する。
ただ、マイクロウェーブ装置や光学兵器、ハドロン砲が厄介だった。
「……っ」
ハザマは考える。
仮面ライダーナイトは空を飛べるが、先ほどのように簡単に侵入を許すわけがない。
空を飛ぶ方法も全くないわけではないが、その間の防御が手薄となる。
かと言ってただ眺めているだけではジリ貧だ。
先ほどのハドロン砲はシャドームーンによって防いだが、シャドームーンは手負いなのだ。
極大の損傷を受けているシャドームーンが倒れれば、煉獄の撃破もとより会場からの脱出すら不可能となってしまう。
「問題はない」
そんなハザマの思考を遮るように、シャドームーンは低い声で発する。
神の力を手に入れた魔人皇ですら、心が底冷えするような声だった。
552 :
創る名無しに見る名無し
:2013/04/21(日) 23:06:08.19 ID:GvIecIWh
553 :
創る名無しに見る名無し
:2013/04/21(日) 23:06:15.23 ID:9+a5++qE
支援
554 :
創る名無しに見る名無し
:2013/04/21(日) 23:06:29.57 ID:mkTwlvxs
555 :
創る名無しに見る名無し
:2013/04/21(日) 23:06:38.52 ID:PVeGqmZG
556 :
創る名無しに見る名無し
:2013/04/21(日) 23:07:06.07 ID:GvIecIWh
557 :
HELL ON EARTH
◆EboujAWlRA
:2013/04/21(日) 23:07:07.53 ID:UbFtxbLR
「荷電粒子砲、光学兵器、あらゆる装甲……全て、この次期創世王の前では問題とならん」
そう言うと、シャドームーンは踵を返してバトルホッパーに跨る。
バッタを模したスーパーマシーンは王の騎乗に応えるようにして複眼型のライトを数度だけ点滅させる。
ハザマはシャドームーンの意図が読めず、困惑するしかなかった。
シャドームーンが満身創痍であることは間違いない。
仮面ライダー龍騎・正義武装との死斗に間を置かずに薔薇水晶との戦闘。
月の石の力を利用した修復の時間もなかったのだ。
シャドービームとて無制限に連発できるものではないはずだ。
「道を作れ」
困惑するハザマを無視するようにシャドービームを放つ。
ただし、煉獄へ向けてではなくその煉獄の下に広がる海水へと向けて、だ。
海水は衝撃を受けて大きく水柱をつくり上げた。
その瞬間、ハザマはシャドームーンの意図を理解した。
狂気の沙汰、だがシャドームーンの複眼はハザマを射抜いている。
躊躇は一瞬だった。
「マハブフダイン!」
海が凍りついていく。
ちょうど坂を作るようにして出来上がった氷の道。
その道を確認した後にシャドームーンはバトルホッパーを発進させた。
ちょうど、煉獄の船首を突き刺すような氷の道へと向けてバトルホッパーは走りだす。
「ま、待て! 確かに道……といえば道だが、あの空中戦艦には届かないぞ!」
上田は何度目かになる叫び声を上げる。
その言葉通り、氷の道は確かに天へと伸びるように続いているが煉獄の船首には届かない。
このままバトルホッパーで進んでも途中で海へと落ちるだけだ。
いや、まず氷の上をバトルホッパーを走れるのだろうか。
「……走れるのだろうな」
ハザマは舌打ちをしながらバトルホッパーに跨ったシャドームーンを眺める。
あのマシンはただのバイクではない。
やがて全宇宙を支配するとまで言われる創世王の騎馬となるバイクだ。
不可思議な力を用いてそのタイヤを変質させることも可能だろう。
その証拠に、シャドーチャージャーから溢れ出る緑光がバトルホッパーの両輪を包んでいく。
光りに包まれたバトルホッパーのタイヤは、普通ならば進めるはずのない氷の道をなんの問題もなく進んでいった。
558 :
創る名無しに見る名無し
:2013/04/21(日) 23:08:06.16 ID:04fDEO2O
支援
559 :
HELL ON EARTH
◆EboujAWlRA
:2013/04/21(日) 23:08:17.60 ID:UbFtxbLR
「……クーガー、クルーザーを出せ!
上田はここに残っているんだ……少し危険だ。
それと、ヴァン!」
「あいよ」
ハザマは瞬時にこれからの戦略を組み立てる。
シャドームーンが走りだした以上、それに続くしかない。
自惚れか確信かは判断がつかないが、シャドームーンなりに何らかの思惑があっての行動だ。
「フラムを貸せ」
ならば、それに乗じるしかない。
幸いというべきか、シャドームーンのおおよその狙いは想像がついた。
ただ、その行動が本当に可能なのか――――ハザマには、はなはだ疑問ではあったが。
「ほれ」
「お前は機を見て空から煉獄に侵入しろ、経路は私とシャドームーンが作る……ただ、無理はしなくていい。
確信が持てるまでは上田を護衛してくれ」
フラムを受け取ると同時に、ハザマは最大最出力の氷結魔法で海面を凍らせる。
そして、クーガーのRGSクルーザーへと乗り込んだ。
クーガーのアルター能力で作られたRGSクルーザーは、クーガーの意思に応じてどこにでも扉や窓を作ることが出来る。
「クーガー、クルーザーを出せ!」
「了解いたしましたァァァ! さァァァ行くぞォォォォォォ!」
クルーザーが走りだした瞬間、煉獄の4銃身4mm回転式機関砲が火を噴く。
しかし、クーガーのRGSクルーザーは銃弾の雨を巧みに回避する。
それに調子を良くしたのか、クーガー自慢の舌が回り始めた。
速さの中にある瞬間こそ、この男は輝きを放ち始めるのだ。
「この世の理はすなわち速さだとは思いませんか!?
本来ならば通るたびに破壊されていく氷の道も俺の速さならば消滅してしまう前に走り続けることが出来る!
そう、俺が破壊するのは氷ではなく必要とする時間なんですよカザマさぁぁぁぁん!」
「私はカザマではなくハザマだ……アギ」
ハザマはクーガーの話を聞きながら、RGSクルーザーの窓を開く。
今も変わらず4銃身4mm回転式機関砲がRGSクルーザーを襲うが、その銃弾が被弾することはない。
ハザマは窓からフラムをなるべく遠方へと投げつけ、海水へと着水する前にフラムにアギをぶつけて爆発を起こさせた。
そして、爆発によって水柱が生まれる。
「マハブフダイン!」
ハザマはフラムの爆発で生み出した水柱にマハブフダインを直撃させて急激な坂を作り上げた。
バトルホッパーの走る氷の坂と同じく煉獄へと向かう道だ。
クーガーの運転するモンスターマシンへと向かって煉獄の4銃身4mm回転式機関砲と輻射波動機構が放つ輻射波動砲弾が襲いかかる。
560 :
創る名無しに見る名無し
:2013/04/21(日) 23:09:02.86 ID:5oNPsbHs
561 :
創る名無しに見る名無し
:2013/04/21(日) 23:09:20.03 ID:NImbCGOz
562 :
HELL ON EARTH
◆EboujAWlRA
:2013/04/21(日) 23:09:37.21 ID:UbFtxbLR
その光景をシャドームーンは眺めていた。
「……無意味なことを」
シャドームーンはハザマの意図を理解しながら、それを無意味だと切り捨てた。
煉獄は強大だ、おおよそ人の叡智の詰まった最大の戦艦。
ハドロン砲。
4銃身4mm回転式機関砲。
ユグドラシルドライブ。
GER流体制御システム。
輻射波動機構。
レーザー砲。
ブレイズルミナス。
水中魚雷。
フロートユニット。
全自動迎撃機能。
――――全て、シャドームーン一人で事足りる相手なのだ。
「このサタンサーベルが方舟を切り裂く……!」
シャドームーンは左手にサタンサーベルを所持しているためにバトルホッパーのハンドルを握っていない。
しかし、王の愛馬として生み出されたバトルホッパーはキングストーン所持者の意のままに動く。
まかり間違っても王を振り落とす不敬を働くわけがないのだ。
バトルホッパーに跨ったシャドームーンの眼前にそびえるハドロン砲と向かい合う。
左手に持ったサタンサーベルを振り上げる。
「無駄だ……貴様の正体が単なる粒子の塊だというのならば、この世の覇者である世紀王の敵ではない」
ハドロン砲の巨大な砲口がシャドームーンの眼前で唸りを上げる。
巨大な質量の塊がストレイト・クーガーと比類するスピードで撃ち出されるその瞬間。
シャドームーンは自身の丹田に備えられたシャドーチャージャーへと、サタンサーベルを握った左手をかざす。
「シャドーフラッシュ!」
シャドーチャージャーからシャドームーンの姿を包み隠すほどの翠緑の光が発せられる。
翠緑で彩られた光の壁にハドロン砲が激突する。
光の壁はあくまで光だ、そこに物理的な存在を遮る障害は存在しない。
しかし、シャドーフラッシュはただの光でもない。
この世のどんな光とも似つかぬ王の光。
その光によって重力場が、磁場が、世界を構築する全ての数値が変化する。
シャドームーンの周囲一体に『異次元』が構築されたのだ。
563 :
創る名無しに見る名無し
:2013/04/21(日) 23:09:54.39 ID:GvIecIWh
564 :
HELL ON EARTH
◆EboujAWlRA
:2013/04/21(日) 23:11:00.31 ID:UbFtxbLR
「バカな……こんなことが……!」
上田が何度目にもなる呆然とした言葉を漏らす。
シャドーフラッシュを浴びて、ハドロン砲の軌道がぐにゃりと歪む。
地上から飛び立とうとする影の月から目をそらし、天に聳える真実の月へと逃げ去った。
「化け物め……」
RGSクルーザーの中からハザマが忌々しく呟く。
ハドロン砲は覇王の威光を前に、奴隷のごとくひれ伏した。
ハドロン砲が真なる月よりも、偽りの月を恐れた瞬間を確かにハザマは目にしたのだ。
「よし……クーガー、その道を昇るんだ」
ハザマの言葉とともに、クーガーは氷の坂へと向かってRGSクルーザーを走らせる。
そして、氷の坂へとたどり着いた瞬間、RGSクルーザーの船底が再構成される。
そこに生まれたものはタイヤだ。
ラディカルグッドスピードによってスーパーカーすら凌駕するモンスターマシンと化したRGSクルーザー。
その車体は氷の道をガリガリと削りながら疾走していく。
単なる車ではこの氷の坂をまともに走ることは出来ない。
しかし、アルター能力であるラディカル・グッドスピードによって生み出されたこのモンスターマシンは『普通』という概念から最も遠いマシンだ。
四つのタイヤは特殊な材質で構成されスパイクの仕込まれた四つのタイヤと車の底に備えつけられたブースターがブレーキングとコーナリング可能とさせる。
ラディカル・グッドスピードに再構成されたRGSクルーザーは氷の坂を駆け登る。
「カザマさぁん! 俺はね、こう思ってるんですよ!
どいつもこいつも車を選ぶにあたって燃費や価格ってやつにばかり目が行って単純なスピードというものを蔑ろにしている、と!
確かに一般人が150kmも200kmも出す必要はないのだから仕方がないとも言えるでしょう!
だがしかぁぁし! それでもスピードというものは出せれば出せるほどいいんですよ!
なぜなら車は速く走るための道具だから、でぇぇぇぇぇす!」
「お、おい! クーガー、そこまで行かなくていい!
メギドが当たる距離まで近づけばいいだけで……それと私はハザマだ!」
ある程度まで近寄れば後は海へとダイブすればいい。
このRGSクルーザーならば着水の衝撃をほぼ0に出来る。
しかし、行き過ぎた。
RGSクルーザーは、いや、ストレイト・クーガーは止まるという言葉を忘れてしまったかのように氷の坂を走り続ける。
「大は小を兼ねるのか!? 速さは質量に勝てないのか!?
いやいやそんなことはない! 速さを一点に集中させてぶつかればどんな非常識な盾であろうと砕け散るゥゥゥゥッ!
ハッハッハッ、ハァァァァァァ!!!!」
クーガーの言葉通りスピードは同時にパワーとなるが、今回の場合は別だ。
このスピードではブレイズルミナスを打ち破ることは出来ない。
障壁にぶつかったRGSクルーザーはその運動エネルギーの行き場を失い、自身の身体を崩壊させるだろう。
RGSクルーザーが氷の坂から飛び立ち、その巨大な機体が宙を舞う。
「……ッ! フロントを外せ、クーガー!」
「はいぃ!?」
ハザマの言葉にクーガーは間の抜けた声を漏らすが、しかし素早くフロントボディを再分解する。
フロントが見開きの車体となったRGSクルーザーとブレイズルミナスのエネルギーシールドが激突しようとする。
その瞬間を見計らったように、ハザマはベレッタM92Fの引き金を絞った。
銃口から飛び出した銃弾が煉獄へと到達する直前でブレイズルミナスが阻む。
そのエネルギーで作られた壁の姿を視認すると、ハザマは手を伸ばす。
565 :
創る名無しに見る名無し
:2013/04/21(日) 23:11:10.12 ID:04fDEO2O
支援
566 :
創る名無しに見る名無し
:2013/04/21(日) 23:11:54.08 ID:GvIecIWh
567 :
HELL ON EARTH
◆EboujAWlRA
:2013/04/21(日) 23:12:03.71 ID:UbFtxbLR
魔人皇ハザマイデオの乗るRGSクルーザーの背後に時の神の姿が映し出された。
白い法衣と同色の王冠、そしてその顔色はすべてを飲み込むような漆黒の皮膚。
ハザマイデオが取り込んで生まれた、この姿こそが真の『魔神皇』の姿なのだ。
時の神は天を仰ぐように空を眺め、両手を翳した神から力の波が放流される。
神ならざる身でありながらも神の力を手に入れたハザマならば扱える天の炎。
ブレイズルミナスのエネルギーシールドを歪めるように強大な力の塊が渦巻き始める。
超常の存在である悪魔ですらも力を理解できる者が限られる神の御業。
光すらも含む、『万』物が『能』うことのできない力。
すなわち『万能』の力。
「メ」
エネルギーの集合体であるブレイズルミナスのシールドもまた万物のうちの一。
「ギ」
ハザマの身体から放流される力の集合体、それは何物であろうと防ぐことも耐えることも出来ない真なる神の力だ。
「ド」
『そこに存在する全て』を砕く力が空間を捻じ曲げていく。
「ラ」
故に、ありとあらゆる衝撃を拒絶するはずの煉獄の壁は。
「――――オン!」
断罪の光の前に容易く打ち消された。
568 :
創る名無しに見る名無し
:2013/04/21(日) 23:12:20.11 ID:PVeGqmZG
569 :
創る名無しに見る名無し
:2013/04/21(日) 23:12:23.42 ID:NImbCGOz
570 :
HELL ON EARTH
◆EboujAWlRA
:2013/04/21(日) 23:13:13.36 ID:UbFtxbLR
「……ッ」
しかし、ハザマは力が身体から抜け出す虚脱感に膝を折る。
ラプラスの魔という魔物を取り込んだ主催から科せられた枷は神の力を持ったハザマを蝕んでいる。
その状態で最大の魔法を放てば、当たり前のように然るべき反動を受ける。
とは言え、その成果は絶大だ。
煉獄を覆っていたブレイズルミナスのエネルギーシールドの半分が砕け散っていた。
RGSクルーザーがその穴へと飛び込んでいく。
「ラディカル・グッドスピィード脚部限定ィ!」
ブレイズルミナスのシールドを打ち破った事実と、ハザマの異変を理解したクーガーの行動は素早かった。
クーガーはラディカル・グッドスピード脚部限定を発動させ、フロントを足場にして大きく跳躍して煉獄へと飛び移る。
その際に疲労の激しいハザマの身体を抱え込むことも忘れない。
そして、RGSクルーザーは船体から離れたクーガーとハザマを尻目に煉獄へと突き進む。
RGSクルーザー自身が弓矢となり、煉獄と激突。
衝撃に耐え切れずにエンジンが崩壊し、燃料と引火して巨大な爆炎を巻き上げた。
「ンゥゥゥ……ドラマティーック……エスセティーック……ファンタスティーック、ラーンディーングー……!」
ラディカル・グッドスピードの力によって甲板上へとたどり着いたクーガーは肩で息をするハザマをゆっくりと地面へと座り込ませようとする。
しかし、無数の銃口がクーガーたちへと向けて口を開けている姿に気づき、直ぐ様にハザマを抱え直す。
止まったクーガーへと向かって回転式機関砲が火を噴く。
龍が放つ火の息吹じみた周囲に火薬の匂いが立ち込める。
「おぉっと……激しいお出迎えじゃねえか」
だが、そんな速さではストレイト・クーガーを捕らえることは出来ない。
ストレイト・クーガーは一つ一つ、その装甲が施された脚部で回転式機関砲を破壊していく。
だが、一つの回転式機関砲を破壊した瞬間に生まれる隙を残った複数の回転式機関砲は逃さない。
「テトラカーン……!」
しかし、その隙はクーガーが一人だけだった場合に生まれる隙だ。
魔人皇ハザマイデオが反射魔法を唱えることで、逆に攻撃の機会へと変化する。
ストレイト・クーガーとハザマイデオが着実に煉獄の甲板を破壊していく。
そんな中、船首の方角でブレイズルミナスに罅が入り、魔王の声が響き渡る。
「容易い……所詮、この程度か!」
時はほんの少しだけ遡る。
571 :
創る名無しに見る名無し
:2013/04/21(日) 23:13:19.00 ID:NImbCGOz
572 :
創る名無しに見る名無し
:2013/04/21(日) 23:13:23.76 ID:mkTwlvxs
573 :
創る名無しに見る名無し
:2013/04/21(日) 23:13:39.73 ID:GvIecIWh
574 :
創る名無しに見る名無し
:2013/04/21(日) 23:13:59.11 ID:04fDEO2O
支援
575 :
HELL ON EARTH
◆EboujAWlRA
:2013/04/21(日) 23:14:21.33 ID:UbFtxbLR
シャドームーンはハザマの放ったメギドラオンを目視すると、バトルホッパーの鞍に立ち上がる。
氷の坂を駆け登るバトルホッパーは、しかしそれでもシャドームーンを振り落とすことはない。
やがて、その坂が途絶えようとしている。
しかし、バトルホッパーはスピードを落とそうとはしない。
そのまま断崖への道を駆け出し、断崖の数メートル前までたどり着いた瞬間だった。
閃光のような素早さでシャドームーンはバトルホッパーの鞍を蹴りつけて天空へと向かった飛び出す。
そして、バトルホッパーはシャドームーンのジャンプの衝撃で氷の坂に後輪をえぐり込ませ、強引にストップをかける。
氷の道が終わる数十センチ手前で止まったバトルホッパーはくるりと踵を返し、坂を下っていく。
一方でシャドームーンは宙を舞う。
無数の星と巨大な月が照りつける夜空の中、その全ての光をかき消すようにシャドーチャージャーから光が放たれる。
シャドーチャージャーから放たれた翠緑の光がボロボロのシャドームーンの装甲に纏い始めた。
「シャドーキック!!」
キングストーンの力がそのまま蹴り足へと伝わっていく。
ブレイズルミナスの障壁とシャドームーンの両足が激突し、周囲に火花が走る。
しかし、損傷したシャドーチャージャーから力を引き出し過ぎたためか。
シャドームーンの放ったシャドーキックは、普段のシャドーキックを大きく下回る威力だった。
シャドーキックはブレイズルミナスを破壊できず、シャドームーンは煉獄甲板に乗り込むことなく再び宙に舞うこととなった。
シャドーキックとブレイズルミナスの対決はブレイズルミナスに軍配が上がった。
――――かに見えた。
「バトルホッパー!」
シャドームーンは宙を舞いながら大きく叫ぶ。
王者の輝石、キングストーンが埋め込まれたシャドーチャージャーが月夜のもとに妖しく光る。
マハブフダインにより氷の道と化した海をバトルホッパーが再び駆け出す。
今度は途中で止まることなく、断崖目指して突き進み大きく飛び出した。
月を背にしてシャドームーンが空を舞う。
そして、シャドームーンはバトルホッパーの回転する前輪へと脚を掛ける。
ぐっと膝を大きく折ると、シルバーガードに隠された強化筋肉・フィルブローンが膨れ上がり始める。
シャドームーンはその膨れ上がった筋肉を爆発させ、バトルホッパーを大きく蹴り返す。
バトルホッパーは乱暴に押し戻されて氷の上へとバウンドするように着地し、そのまま氷の坂を滑り落ちていく。
そんなバトルホッパーには目もくれず、シャドームーンは月の光を浴びながらシャドーチャージャーから再び光を放つ。
「シャドーキック!」
シャドー反転キック。
その勢いのまま、再びブレイズルミナスのシールドへとシャドーキックを放った。
キングストーンの力だけでは足りなかった威力がバトルホッパーの推進力で補うのだ。
ブレイズルミナスのエネルギーシールドに罅が入る。
その罅割れをシャドームーンが認識した瞬間、シャドーチャージャーから放たれる光が増し始める。
シャドームーンが翠緑の光りに包まれ、シャドーキックの破壊力が増していく。
光が増すごとにブレイズルミナスが悲鳴を上げる。
ブレイズルミナスの表面がパズルピースの集合体のようにひび割れていき、ついにはその鉄壁の壁が崩れ落ちた。
「所詮、人の盾……相手になどならん!」
シャドームーンはそのまま煉獄の甲板へと降り立った。
そして、降り立つと同時に360度全方面に向かってシャドービームを放つ。
現れる回転式機関砲を破壊する。
576 :
創る名無しに見る名無し
:2013/04/21(日) 23:15:05.37 ID:5oNPsbHs
577 :
創る名無しに見る名無し
:2013/04/21(日) 23:15:13.30 ID:NImbCGOz
578 :
創る名無しに見る名無し
:2013/04/21(日) 23:15:26.69 ID:GvIecIWh
579 :
HELL ON EARTH
◆EboujAWlRA
:2013/04/21(日) 23:15:29.98 ID:UbFtxbLR
だが、撃ち漏らした回転式機関砲がひとつだけ存在した。
ちょうどシャドームーンの背後に現れた回転式機関砲だ。
―― FINAL VENT ――
シャドームーンに続くようにヴァンが空中から煉獄へと潜入する。
仮面ライダーナイトのファイナルベント、飛翔斬を用いた大胆な潜入方法だ。
ファイナルベントのカードによって身につけたマントが身体に巻き付き、ヴァン自体が一本の槍へと変化する。
そして、煉獄へと向かってその槍を突き刺した。
この攻撃こそが仮面ライダーナイトの必殺技、飛翔斬だ。
「……」
「余計な真似を……恩でも売ったつもりか?」
「うるせえ」
ヴァンは明確な敵意をシャドームーンに向けつつも、しかし、煉獄の甲板を歩きまわる。
シャドームーンもヴァンの敵意を確かに認識していたが、無視するように突き進む。
煉獄の内部が四人の戦士によって破壊されていく。
「……」
ヴァンは月光を照り返すシャドームーンの鎧を眺めながら、手の中に残ったエアドロップを握りしめた。
エアロドップの感触がペリドットの髪をした女の顔を連想させる。
なぜ連想してしまうのかはヴァン自身はわかっていない、無意識のものだった。
ただ、大事なものは連想されるビジョンだ。
その女――C.C.の顔がゆっくりと血に染まっていく。
やがて、C.C.の顔は別の女の顔へと変わっていく。
雪代巴の顔だった。
この女もまた血に染まっている。
そして、ヴァンにトドメを刺すように、雪代巴がエレナへと変わる。
当然のように白いウェディングドレスが血に染まっていた。
C.C.、雪代巴、エレナ。
三人の女が血の海に沈んでいる。
いや、三人だけではない。
そこにはやはり血に染まった雪代縁と――――南光太郎の姿もあった。
そこに立つのは、やはり血に染まったヴァンだけだ。
血に染まっても、ヴァンはまだ生きていた。
「……ったく」
ヴァンのシャドームーンへの消えない敵意は、南光太郎への哀れみも関係しているのだろうか。
それはヴァン自身すら分かっていない。
彼の単純な精神性とは裏腹に、現在の状況は複雑すぎた。
姉の死を忘れられなかった雪代縁の記憶、伸ばした手が親友へと届かなかった南光太郎の過去、笑みを浮かべて死んでいったC.C.。
光景は把握できても、その心情を理解することはできなかった。
ただ、はっきりしていることは一つ。
南光太郎の届かなかった手が、血に染まった花嫁へと伸ばした花婿――ヴァン自身の手を連想させたのは事実だ。
秋月信彦という青年を奪ったシャドームーンという魔王を、どうしても許せなかったのかもしれない。
いずれにせよ、いつかは決着を付けなければいけない。
それが今でなくても、いつかは必ず。
580 :
創る名無しに見る名無し
:2013/04/21(日) 23:16:05.94 ID:9+a5++qE
支援
581 :
HELL ON EARTH
◆EboujAWlRA
:2013/04/21(日) 23:16:25.98 ID:UbFtxbLR
「ヴァン、お前も来たのか!」
「じゃあ、上田先生は地上に一人ってことか……さっさと終わらせますかね」
そんなヴァンへとハザマとクーガーが駆け寄る。
空中を浮かぶ煉獄の甲板に乗り込んだ四人。
その四人の中でシャドームーンだけが一人、会話に加わらずに破壊行動を続けていた。
「しかし、ド派手な真似ですねぇ」
シャドームーンがやたらめったらに煉獄の甲板へとシャドービームを放っていく。
内側からの攻撃では輻射波動機構によって無効化することもできない。
煉獄の操縦室を、機関室を、全てを破壊していく。
ヴァンやクーガー、ハザマが居ることも構わず、いや、自分自身の安全すら無視するかのような破壊行動だった。
人間の作り上げた方舟が王である自身の頭上を跨ぐ。
その事実に対する怒りの感情もあるのだろう。
破壊行動には一片の悔いも見受けることが出来なかった。
「くっ……脱出するぞ! ヴァン!」
ハザマはシャドームーンの容赦の無い攻撃に、唯一空を飛べるヴァンへと駆け寄る。
このままではシャドームーンのシャドービームへと被弾してしまう。
シャドームーン自身に害意はないというのにシャドームーンの攻撃を受けてしまう、これほど馬鹿らしいことはない。
「へいよ」
ヴァンはシャドームーンを尻目にダークウイングが変形したマントを広げて天高く舞い上がる。
その際、脇に抱えるようにしてハザマとクーガーを抱きかかえる事も忘れない。
煉獄からの追撃はなかった。
船内ではシャドームーンのシャドービームが内側から破壊していた。
「落下しながらでも壊してやがる……」
やがて、シャドームーンがフロート機能も破壊する。
大地の持つ強大な力である重力を無視して宙を泳いでいた煉獄が、大地へと引き摺られる。
ゆっくりと、空気の塊を押し出すようにして落下する煉獄。
機関室だろうか、船腹部から凄まじい爆発音が響き渡った。
爆発によってバランスを崩した煉獄は船尾を下にして落下する。
「ッ!」
その中で、船首から銀燭の光が閃いた。
光学兵器かとヴァンは身構えるが、その正体は光も捻じ曲げる王の姿。
隻腕のシャドームーンが煉獄から飛びだった姿だったのだ。
トドメの一撃とばかりにシャドービームが一撃、煉獄へと放たれた。
そして、王の帰還を待ちわびるようにバトルホッパーが氷の坂を駆け上る。
坂の頂上まで登りつめたバトルホッパーの鞍へとシャドームーンが着地。
これで全員が煉獄から離脱した結果となる。
「……」
ハザマはヴァンの腕の中で落ちる煉獄の姿を眺めていた。
煉獄が、沈んでいく。
主催者が明確にハザマたちバトルロワイアルの参加者に牙を向いた、その象徴である煉獄が沈んでいっているのだ。
582 :
創る名無しに見る名無し
:2013/04/21(日) 23:17:18.60 ID:GvIecIWh
583 :
HELL ON EARTH
◆EboujAWlRA
:2013/04/21(日) 23:17:33.34 ID:UbFtxbLR
「時間だな」
ヴァンはハザマとクーガーを乱暴に降ろすと、仮面ライダーナイトへの変身を解除する。
黒いバトルスーツは霧状に霧散していく。
ファイナルベントを使用したことによって、これで向こう二時間は変身が不能となる。
しかし、戦力がダウンした要因はヴァンのナイトへの二時間の変身不能だけではない。
シャドームーンは相変わらずの猛威を振るったが、破損したシャドーチャージャーで無理矢理にキングストーンの力を引き出せば当然反動が生まれる。
ただでさえ仮面ライダー龍騎・正義武装との死闘で右腕を失い、シルバーガードは本来のそれとはかけ離れた穴あきの鎧となったのだ。
シャドームーンも着実に現実を迎えようとしている。
同時に、ハザマもまた制限によってその力を縛られている。
そこから無理矢理に魔法を絞り続けることは危険だ。
煉獄をなんなく落としたように見えてその実は非情に綱渡りの行動だった。
「ここからだな」
「あん?」
「ここから、本当の戦いが始まる」
ヴァンによって地面に降ろされてから、ハザマは小さくつぶやいた。
それでも、陥落させた煉獄は狼煙となった。
この会場に居るハザマたち八人は、主催側が用意していた道筋とはいえ、バトルロワイアルを放棄したことを明確に証明したのだ。
この瞬間、ハザマ達の戦いの舞台は六十五人の殺し合いという惨劇から反逆の革命へと姿を変える。
その最初の戦闘はまずハザマたちに軍配が上がった。
首輪を外す上で必要となる研究所を守りきったのだから。
「で、どうするんですか?」
「そうだな、追撃の可能性を考えるとここから離れることは……待て、上田はどこだ?」
上田がハザマ達の姿を確認したら喜び勇んで出てくるだろうと考えていたハザマは、未だに姿を見せない上田に怪訝な
悪寒が背中を走る。
恵まれた巨体を縮こませて隠れているだけならば良い。
しかし、ハザマ、ヴァン、シャドームーン、クーガーたちが離れている隙に上田を殺されていたのだとすれば不味い。
「くそっ!」
ハザマは一も二もなく駆け出す。
ここで死人が出たとすれば士気に関わるのは当然として、ハザマ自身がそれが許せなかった。
手には今も竜宮レナの重みが残っている。
生命が失う姿を確かに覚えている。
「ン、アイツは……」
その中でヴァンが疲労に塗れた声で呟く。
多くの戦闘と隻眼となったことで不自由で不慣れな視界により大きな疲労がヴァンを襲っている。
ヴァンはそんな状態でも獣じみた五感により一つの影を目ざとく発見した。
その影は煉獄の内部に存在していた巫女服の少女だ。
「……悪魔、か?」
ハザマはその少女から悪魔と同じ気配を感じた、髪飾りにも見える角はアクセサリー等ではなく確かな角だ。
この角は皮膚が硬質化して生まれた、少女の身体の一部分だ。
そして、妖気とも呼ぶべき奇妙な威圧感が少女から溢れ出ている。
584 :
創る名無しに見る名無し
:2013/04/21(日) 23:18:34.51 ID:04fDEO2O
支援
585 :
HELL ON EARTH
◆EboujAWlRA
:2013/04/21(日) 23:19:03.89 ID:UbFtxbLR
『……』
少女の視線からは敵意は感じない。
だがしかし、悪魔とは人智を逸した存在である。
楽しみながら人を殺せば、邪鬼のない笑顔で人を騙す存在だ。
「ならば、アギラ――――」
そうなると、先手必勝。
この場に悪魔らしき存在が居るとすれば、V.V.の手先である可能性は高い。
ハザマが単体中級火炎魔法であるアギラオを威嚇射撃のように放とうとしたその瞬間だった。
『竜宮レナ』
「ッ!?」
少女の口から、一人の少女の名前が漏れる。
ハザマは動揺して動きを止める。
神の力を持ちつつも人の心のままであるハザマイデオにとって、その名前は心を揺さぶるには十分すぎる言葉だった。
『……助けて、レナの友達』
そのハザマを眺めながら少女は言葉を続けた。
敵意はない、ハザマはそう確信する。
少女の目はハザマと同じだ。
ハザマと同じ、人間の感情を持った悲しい目だ。
『貴方と同じレナの友達を、梨花を助けてください』
「待て、お前はいったい……!」
ハザマは少女を呼び止めるが、少女は水晶の中へと消えていく。
薔薇水晶の能力である世界を渡る力だ。
少女が何者なのか、それは今のハザマでは理解できない。
しかし、竜宮レナと関わりのある人物の可能性は高い。
囚われた、あるいは利用されている人物。
そう考えるのが妥当だろう。
「Hey! Hey you!」
そんな中で野太い声が響き渡る。
先ほどの少女のか細い声の記憶すらも上書きするような、無駄に精気の溢れた声だった。
「ユーたち! ひどいじゃないか、この私を置いて行くなんて! その上、銃も持っていく!
この私でなく一般ピーポーがこんな状況に置かれたら恐怖のあまり失神していたところだぞ!」
「……上田か。銃ならばもう一つあっただろうが」
「上田『か』!? 上田『か』と言ったのか!?
さすがの防弾ガラスじみた強靭な私のハートでもちょっと挫けてしまうぞ!」
「いやぁ、上田先生。ご無事で何よりです」
「君だけだよクーガーくん……やはり文化人を自称するだけのことはある」
その声の先には巨体を揺るがしながら駆け寄る上田の姿があった。
ハザマはどこかで安心しながらも、気の抜けたような気持ちになった。
そのため、素っ気ない返事となったハザマの言葉に大げさに叫び声を上げた上田に対してクーガーが対応を引き取る。
クーガーの言葉に気を良くした上田はクーガーとの会話に熱中する。
巨大戦艦・煉獄を落としたという高揚感から感情が昂ぶっているのだろう。
「梨花……レナの、友達……」
586 :
創る名無しに見る名無し
:2013/04/21(日) 23:19:25.02 ID:GvIecIWh
587 :
HELL ON EARTH
◆EboujAWlRA
:2013/04/21(日) 23:20:01.28 ID:UbFtxbLR
その横でハザマは確かめるように小さく呟く。
ハザマの心に謎が生まれたが、同時に決意も生まれた。
レナの友人と会いたい。
そこから何かが生まれるかもしれないのだから。
完全に、心を人へと戻すための大事なものを。
「戻ったぞ」
「……シャドームーンか」
シャドームーンがゆっくりと歩み寄ってくる。
ボロボロの肉体と色の鈍くなったシャドーチャージャーは全盛のシャドームーンとは程遠いが、しかし、その威圧感は消えない。
先ほどの煉獄はシャドームーンを無くしての打倒は難しかったが、同時にシャドームーンこそがハザマたちの最大の障壁であることを思い知らされた。
「よぉ」
「なんだ」
「別に用ってわけじゃねえよ」
そのシャドームーンへとヴァンが簡単な声をかける。
シャドームーンはヴァンの言葉を無視してドサリと勢い良く座り込む。
確かにシャドームーンの身体にも大きな反動が生まれていたのだ。
「……」
「先走るなよ、ヴァン」
今なら殺せるんじゃないのか。
そんなヴァンの考えを見ぬいたようにハザマはストップをかける。
それはもちろんシャドームーンの力を理解しているための静止ではある。
いくら満身創痍とは言え、シャドームーンとまともにぶつかればただでは済まない。
下手をすれば返り討ちをあって全滅の恐れすらある。
「今はV.V.を倒す。それが優先事項だ」
「わかってるっての……」
しかし、何よりもこの殺し合いの会場から抜け出すためにもシャドームーンは必要不可欠な人材だ。
ここでシャドームーンが剣を振るっても、ハザマは簡単にシャドームーンを殺すことが出来ないのだ。
シャドームーンを失うことは絶対にできないのだ。
「で、もう一度聞きますが、これからどうします?」
「……今考えている」
クーガーの言葉にハザマは思考を巡らせる。
脱出のことだけを考えたならばこの研究所に留まるべきだ。
いつ研究所を破壊しようと追撃が来るかわからない。
何よりもハザマもシャドームーンもヴァンも、そして表立って態度に出さないが、クーガーも疲労が溜まりきっている。
先に研究所の中で首輪を外してジェレミアと北岡、つかさを待つ。
ベストではないかもしれないがベターの選択ではあるはずだ。
しかし、ハザマたちが助けに向かわなかったため、ジェレミアたちが生命を落とすという自体も当然考えられる。
そして、ランスロットは強力な機体だ。
その可能性は当然ある。
研究所で待つか、研究所で首輪を解除してから向かうか、特定の人物だけがジェレミアの元に向かうか、全員で向かうか。
選択肢ならば多く存在する。
「私たちは――――」
ハザマが出した答え――――それは果たしていったい。
588 :
創る名無しに見る名無し
:2013/04/21(日) 23:21:01.01 ID:NImbCGOz
589 :
創る名無しに見る名無し
:2013/04/21(日) 23:21:05.07 ID:5oNPsbHs
590 :
創る名無しに見る名無し
:2013/04/21(日) 23:21:32.33 ID:GvIecIWh
591 :
HELL ON EARTH
◆EboujAWlRA
:2013/04/21(日) 23:21:35.65 ID:UbFtxbLR
【二日目/早朝/F−10 沿岸部】
【狭間偉出夫@真・女神転生if...】
[装備]:斬鉄剣@ルパン三世、ベレッタM92F(7/15)@バトルロワイアル(小説)
[所持品]:支給品一式×2、インスタントカメラ(数枚消費)@現実、真紅の下半身@ローゼンメイデン、USB型データカード@現実、ノートパソコン@現実、
鉈@ひぐらしのなく頃に、琥珀湯×2
[状態]:人間形態、疲労(大)、魔力消費(大)
[思考・行動]
0:殺し合いから他の者達と一緒に脱出する。
1:これから――――
2:シャドームーンとの契約を遵守する。
3:翠星石を保護する。
[備考]
※参加時期はレイコ編ラストバトル中。
※『多ジャンルバトルロワイアル』のホームページを閲覧しました。
※『多ジャンルバトルロワイアル』のホームページのユーザ名はtakano、パスワードは123です。
またこれらを入手したことにより、以下の情報を手に入れました。
全参加者の詳細プロフィール
全参加者のこれまでの動向。
現時点での死者の一覧。
各参加者の世界観区分。
nのフィールドの詳細及び危険性。
「彼」が使用したギアスの一覧。
※目的の欄を閲覧することはできませんでした。
【ストレイト・クーガー@スクライド】
[装備]:車
[所持品]:基本支給品一式、昇天石×1@真・女神転生if…、リフュールポット×1
[状態]:身体中に鈍い痛み、疲労(大)
[思考・行動]
0:生きる。
1:翠星石を迎えに行く。
※総合病院にて情報交換をしました。
※ギアスとコードについて情報を得ました。
※真司、C.C.らと情報交換をしました。
※田村玲子が同化して傷を塞ぎました。アルターについては応急的な処置なので寿命が延びる事はありません。
それ以外の影響があるか否かは後続の書き手氏にお任せします。
※君島の車@スクライドとミニクーパー@ルパン三世はクーガーのアルターで同化しました。
【ヴァン@ガン×ソード】
[装備]:薄刃乃太刀@るろうに剣心-明治剣客浪漫譚-(先端部欠損)、ヴァンの蛮刀@ガン×ソード
[所持品]:支給品一式、ナイトのデッキ@仮面ライダー龍騎、サバイブ(疾風)@仮面ライダー龍騎、昇天石×1@真・女神転生if…、
フラム×1、エアドロップ×2@ヴィオラートのアトリエ、調味料一式@ガン×ソード
[状態]:右目欠損、疲労(大)
[思考・行動]
0:カギ爪の男に復讐を果たすためさっさと脱出する。生き残る。
1:V.V.を倒した後シャドームーンを殺す。
[備考]
※まだ竜宮レナの名前を覚えていません。
※C.C.の名前を覚えました。
※ファイナルベントを使用したため、二時間変身不能です。
592 :
創る名無しに見る名無し
:2013/04/21(日) 23:22:28.57 ID:NImbCGOz
593 :
HELL ON EARTH
◆EboujAWlRA
:2013/04/21(日) 23:22:39.79 ID:UbFtxbLR
【シャドームーン@仮面ライダーBLACK(実写)】
[装備]:サタンサーベル@仮面ライダーBLACK、バトルホッパー@仮面ライダーBLACK
[支給品]:支給品一式、不明支給品0〜2(確認済み)
[状態]:疲労(極大)、ダメージ(極大)、全身に負傷、全身に火傷、右腕欠損、シャドーチャージャーに負傷
[思考・行動]
0:創世王を殺す。
1:創世王を殺した後、他の参加者を皆殺しにする。
2:狭間との契約は守る。
3:キングストーン(太陽の石)を回収する。
【備考】
※本編50話途中からの参戦です。
※殺し合いの主催者の裏に、創世王が居ると考えています。
※会場の端には空間の歪みがあると考えています。
※空間に干渉する能力が増大しました。
※nのフィールドの入り口を開ける能力を得ました。
※回復が始まっていません。回復するかどうかは後続の書き手に任せます。
※狭間偉出夫とシャドームーンは契約を交わしました。内容は以下の通りです。
シャドームーンは主催者を倒すまで他の参加者を殺害しない。(但し正当防衛の場合は例外とする)
狭間はシャドームーンの首輪を解除する。
狭間はシャドームーンが首輪を解除するまで護衛する。
シャドームーンは首輪を解除できれば他の参加者と協力して主催者と戦う。(シャドームーンは会場脱出や主催者の拠点へ侵攻する際は他の参加者と足並みを揃える)
主催者(の黒幕)の殺害はシャドームーンに一任する。
主催者を倒した後はシャドームーンと他に生き残った全ての参加者で決着を付ける。
主催者を倒すまでにシャドームーンが誰かに殺害された場合、狭間は必ずその報復を行う。
【上田次郎@TRICK(実写)】
[装備]ニンテンドーDS型探知機
[支給品]支給品一式×4(水を一本紛失)、富竹のポラロイド@ひぐらしのなく頃に、デスノート(偽物)@DEATH NOTE、予備マガジン3本(45発)、
上田次郎人形@TRICK、雛見沢症候群治療薬C120@ひぐらしのなく頃に、情報が記されたメモ、浅倉のデイパックから散乱した確認済み支給品(0〜2)、
ファサリナの三節棍@ガン×ソード、倭刀@るろうに剣心、レイ・ラングレンの銃@ガン×ソード
[状態]額部に軽い裂傷(処置済み)、全身打撲
[思考・行動]
0:ヴァン達に協力する。
※水銀燈、真司、C.C.、縁の遺体がF−8民家に安置されました。
※水銀燈、L、真司、C.C.のデイパックが車内に置かれています。
※水銀燈のデイパック
支給品一式×10(食料以外)、しんせい(煙草)@ルパン三世、手錠@相棒、双眼鏡@現実、首輪×3(咲世子、劉鳳、剣心)、
着替え各種(現地調達)、シェリスのHOLY隊員制服@スクライド、農作業用の鎌@バトルロワイアル、前原圭一のメモ@ひぐらしのなく頃に、
カツラ@TRICK、カードキー、知り合い順名簿、剣心の不明支給品(0〜1)、ロロの不明支給品(0〜1)、
三村信史特性爆弾セット(滑車、タコ糸、ガムテープ、ゴミ袋、ボイスコンバーター、ロープ三百メートル)@バトルロワイアル
※Lのデイパック
支給品一式×4(水と食事を一つずつ消費)、ニンテンドーDS型詳細名簿、アズュール@灼眼のシャナ、角砂糖@デスノート、
情報が記されたメモ、首輪(魅音)、シアン化カリウム@バトルロワイアル、イングラムM10(0/32)@バトルロワイアル、おはぎ×3@ひぐらしのなく頃に、
女神の剣@ヴィオラートのアトリエ、DS系アイテムの拡張パーツ(GBA)、才人の不明支給品(0〜1)、ゼロの剣@コードギアス、
※真司のデイパック
真司の確認済み支給品(0〜2) 、劉鳳の不明支給品(0〜2)、発信機の受信機@DEATH NOTE、カードキー、神崎優衣の絵@仮面ライダー龍騎
※C.C.のデイパック
支給品一式×4、ゼロの仮面@コードギアス、ピザ@コードギアス、カギ爪@ガン×ソード、レイ・ラングレンの銃の予備弾倉(60/60)@ガン×ソード、
白梅香@るろうに剣心、確認済み支給品(0〜1)、S&W M10の弾薬(17/24)@バトル・ロワイアル
※浅倉のデイパックから散乱した確認済み支給品のうちの昇天石×5@真・女神転生if…は、北岡・つかさ・ジェレミア・ヴァン・クーガーで配分しました。
594 :
創る名無しに見る名無し
:2013/04/21(日) 23:23:15.55 ID:GvIecIWh
595 :
HELL ON EARTH
◆EboujAWlRA
:2013/04/21(日) 23:23:32.26 ID:UbFtxbLR
◆ ◆ ◆
「馬鹿な!」
武田観柳は画面越しに映る煉獄の沈没に叫び声を上げる。
煉獄に積み込まれた兵器、煉獄を動かせるための燃料、煉獄を築き上げた材質。
そこに注ぎ込まれた金は、数字は今の観柳のキャパシティを超える程のものだ。
どれだけ頭を捻っても、血汗を流しても観柳では手にすることが出来ない。
V.V.が居たからこそ手に入れることができた金の化身・煉獄。
それがたった五人の人間によって、見るも無残に破壊された。
「馬鹿な馬鹿な馬鹿な馬鹿な馬鹿な馬鹿な馬鹿な!!」
現実を否定する言葉だけが観柳の口から溢れる。
煉獄で全てが終わると信じきっていた。
会場に残った八人を殺し、強制的に志々雄と翠星石の殺し合いが始まる。
観柳はそれを高級酒でも口にしながら観覧しようと考えいたのだ。
「ふざけんじゃねえぞ……なら、どれだけ金を出せばアイツらを殺せるってんだ……!」
観柳から常の気取った口ぶりは消え去り、チンピラじみた乱暴な口調へと変化する。
目に映るものは海底へと眠っていく煉獄の姿だけ。
ならば、今度は煉獄を超える金を使わなければ勝てない。
煉獄では勝てなかったのだから、もっともっと金が必要になるはずだ。
身銭を切る、それは観柳にとって血肉を削るよりも辛い出来事だ。
「おーおー、思ったより早かったな」
「……ッ! これはこれは……湯加減はどうでしたかな?」
そんな観柳に志々雄が近づいてくる。
さすがに人前となると弱みを見せないためにも、平静さを気取ろうとする観柳。
動揺を見せることはすなわち弱みを、器の底を見せることであると商売で学んでいる。
そして、弱みを見せることは一銭の得にもならないこともまた承知しているのだ。
「しかし、思ったよりとは……志々雄殿は煉獄が倒せることを予測していた、と?」
「煉獄が全員を殺したらここで終わっちまうだろ? それほど甘い連中じゃないんじゃねえかと思ってな。
ま……一人も殺せなかったってのはさすがに笑っちまうがな」
「ッ!」
志々雄の挑発に観柳の頭に血がのぼる。
しかし、自制する。
志々雄に怒りをぶつけて得をすることなど一つもないからだ。
「とにかく、盤面は動いた……次は、こっちに乗り込んで来るぜ?」
「……でしょうな。その時は私の悪魔召喚プログラムの出番ということですか」
自身の武器は煉獄だけではない。
観柳は言外にそう告げていた。
596 :
HELL ON EARTH
◆EboujAWlRA
:2013/04/21(日) 23:24:29.94 ID:UbFtxbLR
『……戻りましたです』
そして、悪魔召喚プログラムという言葉に反応するように、一人の少女が姿を現した。
その姿を発見した観柳は眉間に皺を寄せて怒りを露わにする。
目の前の相手ならば怒りをぶつけても問題のない相手だからだ。
「貴様! この役立たずが!」
観柳は怒りを隠そうともせずに巫女服の少女――――羽入へと近づいていく。
羽入、雛見沢という山村で崇め奉られるオヤシロ様その人だ。
不可思議な力を持ち、巫女である古手梨花の傍に立ち続けた土着神。
その神がなぜ梨花から離れて観柳の側へと現れたかというと、すなわち悪魔召喚プログラムの力だ。
梨花を人質にされて結ばれた契約は確かに羽入の自由を縛っている。
しかし、心までは屈していない。
羽入は相変わらず無表情のまま、半ば睨みつけるように観柳と視線を合わせる。
『……』
「何だ、その目は。なにか文句でもあるのか?」
羽入は何も口にしない。
もとより、煉獄の甲板に置いたのは大した理由があるわけではない。
ただ、羽入の存在を気にする余りに回転式機関砲への対処が怠るかもしれない。
そんな、願望めいた軽い考えからだ。
現在の羽入は単純な戦闘には使えない。
「貴様……悪魔合体でもされたいのか!」
『……』
無言を貫く羽入に観柳は怒りを深める。
それでも羽入は口を閉ざしたままだ。
悪魔召喚プログラムによって優位に立っているはずなのに反抗的な様子の羽入。
観柳はついに怒りを爆発させようとしたその瞬間。
「悪魔合体?」
観柳の漏らした『悪魔合体』という単語に志々雄が反応する。
志々雄の存在が頭を冷やさせたのか、観柳はぴくりと動きを止める。
そして、深く息を吸い直すと、志々雄の問いかけに応えた。
「……………ええ、邪教の館と呼ばれる施設から悪魔合体の儀式を行う設備を切り取ったものですよ。
二匹、あるいは三匹の悪魔を合体させることでより強力な悪魔へと生まれ変われさせる儀式ですね。
もっとも、専門家が居ないために成功率は低くなっていますが。
大半が液体と肉片で構築された悪魔であるスライムになってしまいますよ。
なんなら、そこまで案内をしましょうか?」
「ぜひ頼むぜ」
志々雄へと説明することによって頭が冷えていく。
羽入がどれだけ反抗的な態度を取ろうとも、悪魔召喚プログラムが存在する限りは自分に逆らうことは出来ない。
あそこに居る五人は観柳の想像よりも恐ろしい相手であるということがわかっただけだ。
597 :
創る名無しに見る名無し
:2013/04/21(日) 23:24:39.80 ID:04fDEO2O
支援
598 :
HELL ON EARTH
◆EboujAWlRA
:2013/04/21(日) 23:26:10.11 ID:UbFtxbLR
「しかし、ここで待ち受けると言いましたが……貴方から攻めるようなことはしないので?」
観柳は慇懃無礼に志々雄へと問う。
観柳としては志々雄が出向いて八人を皆殺しに出来るのならばそれが最良だ。
死んでしまっては金も使えないというのに、なにが悲しくて自身の命を危険を晒さねければいけないのか。
「それも選択肢の一つだな……まぁ、適当にやるさ」
一方で志々雄は気楽に構えるだけだ。
懐が深すぎてその心中を読むことが出来ない。
『貴方たちは――――』
志々雄と観柳のやり取りに今まで口を閉ざしていた羽入が口を開く。
その目は概世的な色を含んだ、志々雄と観柳に対する嫌悪が混じっていた。
観柳は落ち着きを取り戻したのか、羽入の瞳が強がりでしかないことを理解している。
どれだけ反抗の意を示そうと、悪魔召喚プログラムがある限り羽入は観柳の言葉に唯々諾々と従うしかないのだ。
『戦ってばかりなのですね』
「ハッ、戦わないなら何のために生まれてきたんだよ」
『……』
観柳の代わりに志々雄が羽入の言葉に応えた。
その言葉をどう思ったのか、そっぽを向いて黙りこむ羽入。
その羽入に対して志々雄はぐっと近づき、観柳の耳には入らずに羽入だけに聞こえるように、耳元で小さく囁いた。
「この地獄じゃ戦わない弱者は食われるだけだ。お前だってそうだろう?」
『僕?』
羽入は眉をしかめて尋ね返した。
「お前も戦うんだろ、俺と、そしてこいつらと、な」
『……やっぱり、僕には貴方のことがわかりません』
羽入がその言葉に初めて感情を露わにしたように見えた。
志々雄と自身が同じであると言われたことに対する、明確な嫌悪だ。
それを感じ取った志々雄は小さく笑い、羽入の肩を軽く叩いた。
「まっ、楽しく行こうぜ……悪魔様よ」
その様子を眺めながら観柳は悪魔召喚プログラムがインストールされたハンドベルトコンピュータをなぞる。
煉獄が失われた今、この悪魔召喚プログラムの出番が来る。
その時とはすなわち、商人でしかない観柳が矢面に立つ時だ。
(まだ、まだ私は優位に立っている……V.V.や志々雄とともにある限り……私の黄金の栄光は決して……!)
599 :
創る名無しに見る名無し
:2013/04/21(日) 23:29:29.70 ID:swEjP609
支援
600 :
創る名無しに見る名無し
:2013/04/21(日) 23:29:58.81 ID:NImbCGOz
601 :
創る名無しに見る名無し
:2013/04/21(日) 23:30:04.94 ID:WQ2ldVqf
支援
602 :
創る名無しに見る名無し
:2013/04/21(日) 23:30:35.66 ID:NImbCGOz
603 :
HELL ON EARTH
◆EboujAWlRA
:2013/04/21(日) 23:30:48.10 ID:UbFtxbLR
【二日目/早朝/???】
【志々雄真実@るろうに剣心-明治剣客浪漫譚-(漫画)】
[装備]:サバイバルナイフ@現実、ヒノカグツチ@真・女神転生if...、サバイブ(烈火)@仮面ライダー龍騎
[所持品]:支給品一式×4、リュウガのデッキ@仮面ライダー龍騎(一時間変身不可)、確認済み支給品0〜4(武器ではない)、林檎×8@DEATH NOTE、鉄の棒@寄生獣
マハブフストーン×4@真・女神転生if…、本を数冊(種類はお任せ)、工具@現実(現地調達)、首輪の残骸(銭形のもの)、首輪解除に関するメモ
逆刃刀・真打@るろうに剣心、玉×5@TRICK、紐とゴム@現実(現地調達)、夜神月が書いたメモ、菊一文字則宗@るろうに剣心、
鷹野のデイパック(魔力の香@真・女神転生if...、体力の香@真・女神転生if...、???@???、その他不明支給品))
[状態]:各部に軽度の裂傷、首輪解除済み
[思考・行動]
1:ぶいつぅの掌の上にいる。(飽きるまで)
2:気が向いたらガリア王国のジョゼフを持て成す。
3:翠星石の中のキングストーンが欲しい。
4:間引く。
[備考]
※クーガー、C.C.、真司らと情報交換をしました。ギアスとコードについて情報を得ました。
※さざなみの笛@真・女神転生if...はV.V.が回収しました。(効果は持続中)
◆ ◆ ◆
「煉獄が落ちたそうです……」
「煉獄?」
薔薇水晶の発した聞きなれない単語に、翠星石は疑問の色を多く含んだ言葉で返す。
薔薇水晶はゆったりとした言葉で煉獄についての簡単な説明を告げた。
強大な兵器を装備した空中を泳ぐ大戦艦、それが煉獄。
同時に煉獄を撃墜せしめたグループの名前もまた翠星石へと告げる。
「ハザマイデオ、上田次郎、ヴァン……シャドームーン」
「シャドー……ムーン……!」
「それと、ストレイト・クーガー」
「あの銀色お化け……!」
明らかな敵意が翠星石から溢れ出す。
薔薇水晶が取ってつけたような口ぶりで加えたストレイト・クーガーの名前も聞こえていないようだった。
ローザミスティカに眠る記憶、シャドームーンへの恐怖を確かに覚えている。
あの誇り高いローゼンメイデン第一ドール・水銀燈から誇りそのものを奪い去った魔王の姿。
ローザミスティカから伝わる水銀燈が味わった屈辱と恐怖は忘れようとも忘れない。
真司という一人の人間を奪い去った人物もまたシャドームーンだ。
この場に居た確かな味方を、『守ってみせる』と言ってくれた人間を殺した。
いや、正確に言えば真司を殺したのは翠星石だ。
翠星石にとっては受け入れがたい事実だが、真司の死から目を背けることは出来ない。
それでも、真司の死はシャドームーンにあると、そう思いたかった。
そう思わなければ、翠星石の小さな身体は立ち上がる気力すら奪われてしまう。
604 :
HELL ON EARTH
◆EboujAWlRA
:2013/04/21(日) 23:31:51.51 ID:UbFtxbLR
「翠星石」
そんな翠星石へと薔薇水晶は、やはり無感情に言葉を投げかける。
俯いていた翠星石はハッとしたように顔を上げる。
その顔は、当然のように怒りの表情に染まっていた。
薔薇水晶はその怒りに触れることはなく、言葉を続けた。
「戻るというのなら、戻れますが……どうします……翠星石……?」
「戻る?」
「バトルロワイアル会場に戻る、ということです。
私は、常に貴方の意思を尊重する……
『悲しいこと』ですが、戻るというのならば私は道を開きましょう」
「そうは言うですけど、無理やり連れてきたじゃね―ですか」
「あれは一度こちらに連れてくる必要があっただけのこと……
こちらに一度訪れて、V.V.と出会う必要があるのです……
それが終わったのならば……ここで待つのも、会場に居る彼らと合流するのも貴方の自由です……」
薔薇水晶は感情の乏しい表情のまま翠星石へと殺し合いに設けられた、いわば『裏のルール』を告げていく。
翠星石はそのルールを聞かされ、しばしの間、思考の海に脳の機能を沈める。
「……薔薇水晶はどうして欲しいですか?」
「先も言いましたが、私は貴方の意思を尊重します……」
「お題目じゃなくて、気持ちを聞いてるんです」
「これも、先ほど言いましたが……『悲しい』ですね……しかし、それでも翠星石の選ぶ戦う道を選ぶべきでは……?」
その言葉と同時に薔薇水晶は翠星石から視線をそらした。
当然、演技である。
薔薇水晶は自身の持つ知識を総動員して、翠星石の唯一の味方となる道を歩き続ける。
薔薇水晶は翠星石の本質などまるで見ていない。
ただ、『姉妹』としてそれらしく振る舞っているだけだ。
そんな薔薇水晶の真意を気づかずに、翠星石は顔を悲痛に歪める。
薔薇水晶の言葉に、感情に、翠星石は確かに反応した。
「……戦えと言うんですか? 薔薇水晶は、翠星石に?」
「戦わなければ生き残れない……違いますか、翠星石……?」
「……」
「戦わずに生き延びる道はありません……誰かを倒さなければ、生き残ることは出来ない……
今でなくとも……貴方も、いつか戦わなければいけない……戦い無くして生はない……
誰かを傷つけなければ、人は生きることができない……いつかは、誰かを傷つけに行かなければいけない……」
「それは、違うです」
翠星石は薔薇水晶の言葉が正しいとは思えない。
薔薇水晶の言葉を否定しながらも、闇の中を手探りで探るように言葉を選んでいく。
なるべく、自分自身の気持ちが薔薇水晶に伝わるように。
「確かに生きるってことは闘うことです。
きっと、生きてれば辛いこともいっぱいあるし、泣きたくなる時だってある。
それに、許せない相手もいる……!
そんな時は戦わなきゃいけない、自分のためにも……そ、その、だ、大事な人のためにも……!」
大事な人という言葉に過ぎったものは真紅と、蒼星石と、水銀燈。
そして、城戸真司。
一日程度しか行動を共にしていない相手が大事なのかと問われると、翠星石は強がるかもしれないが、本心では大事だと思っている。
自分自身と姉妹と彼のためにも、戦わなければいけない。
溢れ出る力をシャドームーンへと向けなければいけない。
605 :
創る名無しに見る名無し
:2013/04/21(日) 23:32:11.94 ID:swEjP609
�C
606 :
HELL ON EARTH
◆EboujAWlRA
:2013/04/21(日) 23:33:36.55 ID:UbFtxbLR
誇り高きローゼンメイデンを踏みにじったシャドームーンを倒さなければ、
城戸真司の命を奪う原因を作ったシャドームーンを倒さなければ、翠星石はローゼンメイデンとして生きられない。
そのために邪魔するものとも戦わなければいけない。
ハザマイデオも、北岡秀一も、ジェレミア・ゴットバルトも、ヴァンも、上田次郎も、柊つかさも。
全てと、戦う覚悟もしなければいけない。
「でも、薔薇水晶の言う戦いは……違うです。戦うことそのものを目的にするような、そんな……」
しかし、薔薇水晶の言う『戦い』は翠星石の考える『戦い』とは齟齬が存在していた。
潤んだ瞳を薔薇水晶へと向ける。
そして、はっきりと言葉を口にした。
「悲しいですよ、きっと」
「……」
薔薇水晶は応えない。
もとより、翠星石とは『姉妹』という『設定』で『おままごと』をしているだけだ。
翠星石がなんと言おうと、薔薇水晶は問題としない。
「……そうですね」
「薔薇水晶?」
そう言うと薔薇水晶は翠星石を抱きしめる。
翠星石の小さな身体を薔薇水晶が小さな腕で抱きしめると、静かに言葉を続ける。
翠星石へと向けて、
翠星石の心を理解したかのような、
それでいて自身だけを見つめた言葉だ。
「きっと……戦うだけの生き方は……悲しいでしょうね」
翠星石を抱く腕が、父の腕に重なる。
翠星石の言葉を切り捨てられない心があった。
戦いの果てに、父の腕に包まれることが出来るかと。
弱い考えを抱いてしまったから。
「今は、一緒に居てくれますか……?
貴方の戦いの力になりたいから……傍に居させてください……」
愛娘に戻るその日を、常に夢見ていたから。
【二日目/黎明/???】
【翠星石@ローゼンメイデン(アニメ)】
[装備]真紅と蒼星石と水銀燈と雛苺のローザミスティカ@ローゼンメイデン、キングストーン(太陽の石)@仮面ライダーBLACK(実写)
ローゼンメイデンの鞄@ローゼンメイデン、庭師の鋏@ローゼンメイデン、庭師の如雨露@ローゼンメイデン
[支給品]支給品一式(朝食分を消費)、真紅のステッキ@ローゼンメイデン、情報が記されたメモ、確認済支給品(0〜1)
[状態]首輪解除済み
[思考・行動]
0:???
1:戦う……
[備考]
※スイドリームが居ない事を疑問に思っています。
※ローザミスティカを複数取り込んだことで、それぞれの姉妹の能力を会得しました。
※キングストーンを取り込んだことで、能力が上がっています。
またキングストーンによる精神への悪影響が見られ、やがて暴走へ繋がる危険性があります。
607 :
創る名無しに見る名無し
:2013/04/21(日) 23:33:52.14 ID:5oNPsbHs
608 :
創る名無しに見る名無し
:2013/04/21(日) 23:34:22.55 ID:NImbCGOz
609 :
HELL ON EARTH
◆EboujAWlRA
:2013/04/21(日) 23:34:37.18 ID:UbFtxbLR
◆ ◆ ◆
古手梨花が歩きまわるV.V.の本拠地は広大な敷地だった。
どれだけ歩いても『端』に辿り着いた実感が沸かない。
あるいは、単純に入り組んだ作りなのかもしれない。
迷路に閉じ込められたモルモットのような、不快な気持ちが梨花の心中を染めつつあった。
「やぁ、梨花」
そんな梨花の前にV.V.が現れる。
閉じ込められた梨花の前へと簡単に現れるV.V.、その姿に梨花は自身の行動が操られているような錯覚を覚えた。
いや、恐らく操られているだろう。
それも操られているのは梨花だけではない。
バトルロワイアル会場から脱出しようとしている八人もまたV.V.に提示された情報に右往左往している。
この殺し合いはまだV.V.の手のひらの中だ。
「志々雄は観柳と一緒が良いみたいだし、薔薇水晶は翠星石につきっきりだし、ラプラスと鷹野はもう居ないし……
正直な話をすると、僕、暇なんだよね」
「人望がないのね、日頃の行いが悪いのよ」
梨花が口にできた精一杯の言葉はV.V.を煽るものだった。
ただ憎まれ口を叩くことしかできない無力さが苛立たせる。
V.V.はその幼体には似合わない老練な笑みを浮かべたまま、梨花へと問いかけてくる。
「だからさ、少し話をしないかな?」
「私から唯一の持ち物である、せっかくのお酒も奪おうっていうの?」
手に持ったワインを掲げながら憎々しげに呟く。
V.V.は静かに首を横に振った。
「僕はお酒はいいよ……こんな身体だからかな? あんまり、飲みたいとは思わないんだよね。
相手が同い年ぐらいの君だし、余計にね」
「私は好きよ、お酒。貴方が単純に心も子供だからじゃないの?」
憎まれ口を叩き続ける梨花に、V.V.が初めてぴくりと動揺を示した。
梨花はその様子を確かに確認したが、なぜ動揺したかという理由までは判断がつかない。
「……そうだね、僕が、僕だけが変わってないだけなのかもしれない」
「……」
「立ち話でいいかな、梨花も別に僕と話したいことがあるわけじゃないんだろう?」
「そうね」
梨花は、V.V.に話はない、という部分に同意を示す。
事実、今の梨花にV.V.と問いかけることはなかった。
仮に問いかけたとしてもV.V.がまともに応えるとは思えない。
ならば、『梨花はなにかをしている、その何かはわからないが』という状態にしておきたい。
『武器庫を探っている』ということが、ひょっとすると何かの切り札になるかもしれないからだ。
「僕たちの目的を言っておこうかと思ってさ。多分、知らないのは梨花と志々雄ぐらいだから」
その言葉と同時にV.V.は『ラグナレクの接続』計画について語り始める。
610 :
HELL ON EARTH
◆EboujAWlRA
:2013/04/21(日) 23:35:35.49 ID:UbFtxbLR
「僕らは嘘が嫌いなんだ……知ってたかな?」
「意外ね。こんな悪趣味なことやるぐらいだから嘘なんて大好きだと思ってたわ」
「……僕らはずっと騙されてたから。薄汚い笑顔の下で殺意を持って舌なめずりしてくる下衆のことを知っていたから」
V.V.の記憶にあるものは王宮内部のドロドロとした闘争だった。
誰も彼もが王家の人間であるV.V.とシャルル・ジ・ブリタニアの兄弟利用しようとし、
あるいはV.V.とシャルル・ジ・ブリタニア兄弟の存在を削除しようとしていた。
そこで見たものは、守るべき弟と兄弟を傷つけようとする醜い嘘。
それだけだった。
「だからね、僕は嘘が嫌いなんだ。僕たちを傷つけようとする、僕たちに敵対する嘘がね。
『ある力』を使った計画でその嘘を無くすっていうのが、昔の僕の目的。」
「……今は違うの」
「さぁ、どうだろうね……君はどう思う?」
「ふざけないで」
「まあ、色々とあったってことさ」
その脳裏にあるものは、シャルル・ジ・ブリタニアの姿。
V.V.の心中には一言で表せられない感情の渦がシャルル・ジ・ブリタニアへと向けられている。
文字通り、一言では言い表すことが出来ない、V.V.の全てが込められているのだ。
「君はどう思う?
相手の嘘がわかっていれば、前原圭一は何度も死ぬことはなかった……そうは思わないかい」
「……何が言いたいの?」
V.V.は梨花の問いかけを無視するように言葉を続けた。
それはV.V.特有の自分勝手な一面が現れる言動だった。
「レナと魅音の気持ちがわかってれば前原圭一は死ななかった時もあっただろう?
君の住む雛見沢って村は、嘘で塗れてたじゃないか。
前原圭一も、竜宮レナも、園崎魅音も、北条沙都子も、園崎詩音も、北条悟史も……君自身も、皆に嘘をついていただろう?」
「……嘘?」
「そう、嘘だよ。君も随分と嘘に振り回されてきたみたいだから、僕たち……仲良く慣れるんじゃないかな?」
V.V.の問いかけは敵対するのではなく、共に動こうという勧誘だった。
梨花が必要だとは思わない。
単純に、V.V.は梨花を試しているのだろうが。
「アンタが……」
梨花は顔をうつむかせて、ポツポツと言葉を漏らし始める。
「アンタが、どう思うと勝手よ。
嘘を無くしたいと考えようが自由よ……」
顔をうつむかせたまま、言葉を続ける。
梨花の小さな肩が震えていた。
それは怒りからか、それとも悲しみからか。
「でも、私の友達を否定だけはさせない……!」
そこで梨花は顔を上げる。
涙が混じっていることを自覚する。
それでも、涙の滲んだ瞳でV.V.をはっきりと睨みつけた。
611 :
創る名無しに見る名無し
:2013/04/21(日) 23:35:54.38 ID:swEjP609
支援
612 :
HELL ON EARTH
◆EboujAWlRA
:2013/04/21(日) 23:36:17.65 ID:UbFtxbLR
「圭一は私達を疑いながらも、それでも私達を信じていたいと願っていた! だからあの時、圭一は自分を取り戻した!
レナは全部壊してぐらい辛い毎日だったのに、私達との平凡な日常を楽しむためにそんな感情を押し殺していた!
魅音は園崎の鬼としての非情な一面を自覚しながらも、私たちのことを本当に大切な友だちだと思っていた!
詩音は悟志と一緒に居たいのに、それでも抑えこもうとして壊れてしまった!
悟志は沙都子を疎ましく思いながらも、それでも沙都子に家族の情を確かに持ってた!
沙都子は、あの子は……悟志が居なくなって本当は泣きたいのにそれでも私達と一緒に強く笑っていた!」
言葉にするたびに友人の姿が頭をよぎっていく。
この場で死んでしまった、かけがえの無い友達の姿だ。
「全部が正しい訳じゃないわ……そのせいで、みんな救われなかった時間もある……!」
でも、全部みんなの優しさよ! 本当の心よ!」
我慢が出来なかった。
友人の全てを嘘だと断じられたことが、どうしても耐えられなかった。
「それを全部……全部『ただのウソ』だって一纏めにするっていうの!?」
涙が混じって声が震える。
羽入が居ない今、もう二度と会うことが出来ない大事な友達。
その全てを侮辱された怒りが、怒声とともに涙を生み出している。
「私を、私たち皆を馬鹿にするのもいい加減にしなさいよ!」
それだけ言い切ると、V.V.を鋭く睨みつけた後にくるりと振り返って歩み始める。
梨花は勝つ、と決めた。
自身から全てを奪ったV.V.に勝つと決めたのだ。
運命に勝利した自分ならば出来る、そう勇気づけながら梨花は歩みを早める。
「ふう……振られちゃったかな」
V.V.はそんな少女の背中を眺めながら、薄ら笑いを浮かべる。
現在のバトルロワイアルはV.V.の思惑通り進んでいるのか。
それともすでにV.V.は自身の手から離れすぎたこの殺し合いに動揺しているのか。
「彼女はどうするべきなんだろうねぇ」
それすら、誰にもわからない。
【二日目/早朝/???】
【古手梨花@ひぐらしのなく頃に】
[装備]無し
[支給品]ワイン
[状態]健康
[思考・行動]
1:殺し合いを最後まで見届ける。
2:武器庫を探す。
※銀髪の少年により『鷹野三四に従え』というギアスをかけられています。
613 :
◆EboujAWlRA
:2013/04/21(日) 23:37:07.84 ID:UbFtxbLR
投下終了です。
展開の矛盾、誤字脱字などの指摘お願いします
614 :
創る名無しに見る名無し
:2013/04/21(日) 23:48:18.23 ID:ynjPnG46
投下乙です!
シャドームーン「イヤーッ!」煉獄「グワーッ!」
615 :
創る名無しに見る名無し
:2013/04/22(月) 05:55:46.78 ID:l2ARa6aW
うおおおおっ! 投下乙!
煉獄さんが強くなってきて帰ってきた!
W王になんて負けないんだから! → やっぱり勝てなかったよ…… の黄金パターンの片鱗をもたらしたのはカンリュウさんなのでは。
その裏ではいろいろと起こっているし、梨花や翠はどうなるやら……ばらしーは考え読めないしなあ
616 :
◆EboujAWlRA
:2013/04/22(月) 19:23:38.13 ID:K87yevvT
申し訳ありません、
>>519
の
>東京を火の海に沈めるはずだった煉獄は、三人の敵によって逆に東京湾へと沈んでいった。
ですが、煉獄が沈んだのは大阪湾でした、失礼しました
そして、遅れましたが多くの支援ありがとうございました
617 :
創る名無しに見る名無し
:2013/04/22(月) 22:40:54.78 ID:9E1E6M0U
投下乙です
煉獄が飛んだwwwwwwwwギアスの技術使ってるんだから当然ありえる話なんだけど、字面が笑えるwwwwww
一話で沈められる運命は免れなかったとはいえ、煉獄はよく頑張ったよ…総力戦だったもん
クーガーのアルタークルーザーも狭間のメギドラオンもヴァンの飛翔斬も上田の一般人らしさもシャドームーンとの共闘も熱かった!
シャドームーンがハドロン砲曲げたときは、頼もしさより絶望の方が強かったけどね…!
薔薇水晶は翠星石を踊らせる一方かと思ったらそうでもないようで、どうなるこれ!?
今まで面識薄かった組み合わせでも面白くなってて、ここからが本当の対主催戦なんだなぁ
指摘として、
>>538
>「なるべく、揺れさないように頼むよ」
>>551
>精々が高さ15メートル程度、ビルの四回ほどの高さだ。
>>557
>仮面ライダー龍騎・正義武装との死斗に間を置かずに薔薇水晶との戦闘。
死闘?
>>583
>シャドームーンも着実に現実を迎えようとしている。
限界?(誤字じゃなかったらすみません)
>上田がハザマ達の姿を確認したら喜び勇んで出てくるだろうと考えていたハザマは、未だに姿を見せない上田に怪訝な
途中で文が途切れている?
>>612
>レナは全部壊してぐらい辛い毎日だったのに、私達との平凡な日常を楽しむためにそんな感情を押し殺していた!
以上は誤字かなと思いました
618 :
創る名無しに見る名無し
:2013/04/22(月) 23:11:20.95 ID:d4ZoU0SW
投下乙です
煉獄は相手が悪すぎたwハドロン砲を曲げる奴なんてどうしろとw
羽入は悪魔召喚プログラムで登場か。とりあえず観柳は足をすくわれないためにもシュークリームを準備しないとな
誤字脱字は
>>612
の
詩音は悟志と一緒に居たいのに、それでも抑えこもうとして壊れてしまった!
悟志は沙都子を疎ましく思いながらも、それでも沙都子に家族の情を確かに持ってた!
沙都子は、あの子は……悟志が居なくなって本当は泣きたいのにそれでも私達と一緒に強く笑っていた!」
で悟史の名前が間違っています
619 :
◆EboujAWlRA
:2013/04/23(火) 01:28:30.19 ID:evMPlDfg
>>617
>>618
指摘ありがとうございます
wikiに収録する際に修正させて頂きました
620 :
創る名無しに見る名無し
:2013/04/24(水) 01:05:54.57 ID:pgi3yqCJ
次の仮投下もうきてるwwww
621 :
◆GvGzqHuQe.
:2013/04/24(水) 20:21:24.59 ID:jzjdEMyD
武田観柳、古手梨花、志々雄真実、V.V.投下します。
622 :
package h.GRY.ed
◆GvGzqHuQe.
:2013/04/24(水) 20:22:10.25 ID:jzjdEMyD
禍々しい装置が佇む、男性器と女性器を象った内観が印象的な薄暗い一室。
その中央に座す装置の片側には、年端もいかない巫女服の少女。
反対側には、液体と固体の中間のようにどろどろと蠢き、たまらないほどの異臭を放つ存在。
少女はギロリと男を睨みながらも、その筒の中でじっとしている。
「がぁっ、ああぁっ、あがあああぁぁぁっ!!」
筒の中に何かが満ち始めると同時に、身を焼かれるような痛みが彼女を襲う。
激痛から来る悲痛な叫び声が、筒の中で何重にも反響する。
そして自分の体がドロドロと融けだしていき、やがて分子分解のごとく砕かれる。
そして、筒は何もなかったかのように"何か"を飲み込んでいく。
禁忌の邪術を執り行う施設、邪教の館に存在するはずのそれが行うものは、一つ。
悪魔を混ぜ合わせることで新たな命を生み出していく邪法、悪魔合体である。
その最中、俗に"素材"と呼ばれる悪魔たちは、筒の向こうで激痛に身を捩りながら、この世の物とは思えない断末魔を上げて行くのだという。
そして"自分"であった証を全て失い、新たな命へと転成していくのだ。
やがて、筒の中央に座す六芒星が、柔らかく光り始める。
そして一呼吸置いた後に、まばゆい光の柱が立ち上っていく。
瞬間的な輝きがじわりじわりと薄れゆく中、ゆっくりと現れる一人の陰。
それは、つい先ほど"融けた"はずの少女だった。
……悪魔合体には、特殊な例がある。
そのうちの一つに、固形と液体の中間を彷徨う物質、俗に言う"スライム"との合体がある。
通常の合体は、ニ体ないし三体の悪魔の分子(のようなものだと考えてもらっていい)が融合しあい、新たな生命となる。
だが、スライムとの合体の場合はそれがない。
スライムの分子が、もう一方の肉体に吸い込まれていくだけなのだ。
故に、スライムと合体した悪魔は姿をそのままにすることが出来る。
一見、意味がないように見えるが、体力の回復及び一時的な上昇など恩恵はある。
まあ、これを突き詰めると話が長くなるのだが……。
ともかく、スライムと合体すると"そのままの姿でいられる"ということだけ覚えておいてほしい。
話を戻そう。
悪魔合体において、素材となる悪魔は言葉にできない"激痛"に襲われる。
この点をふまえて、先ほどの"スライム合体"を考慮した場合、どうなるか。
もう、おわかりだろう。
羽入は、先ほどの反抗的な態度に目を付けられ、矢継ぎ早に生まれていくスライムとの合体を強要され、激痛をたたき込まれているのだ。
それも、一度や二度ではない。
スライムが生まれる度に、COMPの空きを作るために"合体"させられている。
合体の度に襲い来る"激痛"、体が無くなっていく感覚が鮮明に残っている記憶、そして強制的に拭われる疲労感。
ただ、痛みだけを植え付けられる"拷問"が、この殺し合いの裏で何度も何度も何度も続いていたのだ。
そして、数えるのもバカらしくなってきた頃。
同じように筒に放り込まれ、激痛を与えられ、鮮明な記憶を植え付けられ、疲労を拭われていく。
今回、唯一違ったのは隣に志々雄がいるということぐらいか。
それでも羽入は屈することなく、光の柱から現れると同時に観柳を睨みつける。
623 :
package h.GRY.ed
◆GvGzqHuQe.
:2013/04/24(水) 20:22:45.44 ID:jzjdEMyD
「悪魔合体ってのは、悪趣味なもんだな」
未だに屈する様子を見せない羽入に、観柳は若干の苛立ちを見せていたが、志々雄の前と言うことで少し押さえる。
当の志々雄に関しては、つまらなさそうに悪魔合体を見つめている。
興味本位で見に来たはいいものの、観柳の言う通り成功率は低い。
魔ッ貨と呼ばれる金を使い、狭間の作り上げた擬似魔界空間の悪魔を従え、即合体にぶち込む。
それでも出来上がるのは大半がスライム、滅多にまともな物はできやしない。
志々雄がこの部屋に来てからの合体は全てスライムになっていた。
焦った観柳が、成功の一例としてスライム合体を見せたのだが……志々雄のリアクションは渋い。
「まぁ、これは躾の一環ですな」
「躾?」
いかにも退屈そうにしている志々雄に向けて、観柳は笑顔のまま語りかける。
そう、少しでも反抗の気配を見せる者の心は、徹底的に折っておかねばならない。
あの時と同じ事を繰返してはいけない。
自分の手札だと思っていた"物"に、反旗を翻されるなど、あってはいけない。
もう、失敗は出来ないのだから。
「飼い犬の躾はしっかりしておかないと、手を噛まれますからな」
「は、飼い犬に手を噛まれる程度の飼い主ってことだろ」
笑顔を保ったまま語り続けていた観柳に、志々雄は含み笑いで答える。
一瞬表情が凍りついたのを見た上でのことか、それとも本心からか。
そのまま志々雄は部屋から立ち去ろうとする。
「どこへ?」
「散歩だよ。フラフラ歩けんのも、今の内だろ。ま、せいぜい頑張れよ」
そうして、志々雄は悪魔合体の間から立ち去って行った。
その背中を、観柳はじっと見つめながら。
「糞がァ! 舐めやがって!!」
振るい所の無い拳を羽入にぶつけ、そのまま羽入を再び装置へとぶち込んでいった。
.
624 :
創る名無しに見る名無し
:2013/04/24(水) 20:23:06.06 ID:1hDbHXJG
支援
625 :
創る名無しに見る名無し
:2013/04/24(水) 20:23:36.12 ID:1hDbHXJG
ヒョーッホホ! 規制が解除されてやがる! たまんねぇなぁ!
626 :
創る名無しに見る名無し
:2013/04/24(水) 20:23:58.04 ID:pgi3yqCJ
支援
627 :
package h.GRY.ed
◆GvGzqHuQe.
:2013/04/24(水) 20:24:02.85 ID:jzjdEMyD
フゥ、と冷静な溜息をつきながら、志々雄は廊下を歩く。
"金"で望みのものを手に入れ続けてきた者が粋がったところで、"力"で何かを手に入れられるわけも無い。
あの虐待劇をいくら続けたところで、観柳が彼女を"手に入れる"事は無いだろう。
それどころか、自分の無力さを見せびらかすだけだ。
飼い犬を躾けているつもりが、逆に飼い犬に隙を見せていることに気づいていない。
「所詮商人は商人、か」
もう一度皮肉めいたセリフを吐いた後に、前方に人影が映る。
「おいおい、どうしたってんだよ」
音を立てるように一歩一歩を踏みしめて歩く少女、古手梨花に軽く声をかけていく。
「うるさいわね、ほっといてよ!!」
「ギャーギャー喚くなよ、女が腐るぜ?」
涙を浮かべながら、ぶっきらぼうに怒りを露にしていく梨花に、志々雄は思わず両手を前に広げてしまう。
だが、それに押されるわけではなく、淡々と話を続ける。
「そうだ、てめェに聞きてェことがある」
ぴたり、と梨花の足が止まり、そのままくるりと振向いていく。
「……何?」
精一杯の威圧をする梨花に対し、志々雄は笑うでもなく言葉を続ける。
「気になってんだ、てめェが"残る"っつった時からよ」
そしてカバンから一振りの刀を抜き出し、梨花の目に留まらぬ速度でそれを振るう。
丁度真横、垂直に突き刺さる刀、僅かに頬を伝う赤い血。
「てめェ、何がしたい? どうしたい? その手に何を掴もうとしてんだ?」
驚愕に目を見開く梨花をよそに、志々雄は黙々と言葉を続ける。
「まさか力が無いのを言い訳に、黙って見てるだけか?」
従わない、見届ける、そんな言葉を聞いてはいたものの、志々雄は梨花がこれといって動くところを見ていない。
ただの少女である彼女が何をするのか、僅かながらに興味はあった。
だが、待てども待てども彼女は行動を起こさない。
抗うだけの力が無いからか? それは言い訳にしか過ぎない。
「……とはいえ、ポンと力が沸いて出て来る訳も無ぇ。難しい話だな」
まあ、それは別の話として。
志々雄が梨花に抱いているのは、純粋な興味。
梨花は今、あの日の宗次郎のように、この上なく力を欲している。
ならばもし、力を手にすることで"変われる"のならば。
「だが……"お友達"は助けてやれるかも知れねぇぜ」
"それ"を少しだけ、見て見たいと思う。
志々雄が梨花に見出したのはそれだけであり、それが全てだ。
「ここを真っ直ぐ行って、右に曲がった突き当りの部屋」
だから、エサを撒く。
餓えた獣から、"力"を引き出すために。
「そこで、面白いモンが見れるかもな」
楽しいものが見れるかもしれないから、志々雄は動く。
退屈に参加者を待つよりは、少しエキサイティングな方が良い。
「そいつは持ってけ、餞別だ」
そこまで一息に言い切り、志々雄は歯を見せて笑う。
「……何が狙い?」
あからさまに怪しい志々雄の動きに、梨花は睨みながら問い返す。
「そう怖い顔すんな、どうってことはねぇよ。ただ――――」
その言葉に、フッと笑ってから志々雄は上を向き。
「俺は戦うために地獄だろうと前向いてるヤツの方が、好きだからな」
最高の"笑顔"を作って、梨花に答えた。
628 :
package h.GRY.ed
◆GvGzqHuQe.
:2013/04/24(水) 20:24:34.05 ID:jzjdEMyD
刃向かっても勝てるわけが無い、それは梨花本人が分かりきっている。
何より、武器を渡しても勝てるという自信が志々雄にはある。
だからこそ、梨花に武器を渡そうとしているのだ。
何のため? 簡単な話、己の愉悦のため。
手の平で踊らされているとは分かっているものの。
二度と来ないかもしれないチャンスを、ふいには出来ない。
「ありがたく、借りるわ」
地面に突き刺さっていた刀を一息に引き抜き、言われた方角へと走り出していく。
「おう、がんばれよ」
背中を見せ、一気に駆け出していく梨花の姿を。
取りだした林檎を齧り、歯をむき出しにするように笑い、志々雄はその姿を見送った。
「うあ"っ、あががが、いぎっ、がっ、あ"ぁああっ!!」
筒の中で叫びが反響し、耳に突き刺さる。
同時に、体を蝕んでいく激痛。
常人ならとっくのとうに気が狂っていてもおかしくはない痛みに、彼女はまだ耐え続けている。
いや、彼女が耐えられるのは肉体的な"痛み"だからか。
ここに至るまでほとんど、スライムと合体させられ続けるだけ、言ってしまえばそれだけである。
手が届くのに届かない場所で仲間が死んでいく梨花の痛みを考えれば、この程度の痛みなどどうという事はない。
だから、羽入は観柳に屈さない。
身を焼く痛みに何度包まれようと、不快感が体を包み込もうと、絶対に屈さない。
一方の観柳は、平常心でいられるわけもなかった。
莫大な金と未知の技術、その全てをつぎ込んだ結晶は、瞬く間に砕け散っていった。
そして未だに反抗的な態度を続ける羽入、皮肉の混じった志々雄の台詞。
観柳から平常心を奪うには、十分すぎる要素が揃っていた。
COMPにはそこそこの悪魔が揃っているが、まだ足りない。もっと強い悪魔を我が手に納めておかねば、あの連中と渡り合うことなど出来ない。
もっと強い、圧倒的な悪魔を求めねば。この世の全てを蹂躙するような、悪魔を我が手にしなければ。
そんな焦りが、彼に襲い掛かる。
だから、COMPの無駄なスライムを、次々に合体させていく。
ここに居るべきなのはスライムではなく、強い悪魔なのだから。
629 :
package h.GRY.ed
◆GvGzqHuQe.
:2013/04/24(水) 20:25:18.27 ID:jzjdEMyD
ふと、そのとき部屋のドアが開く音がする。
志々雄が戻ってきたのか、はたまたV.V.が何かを告げにきたか、もしくは薔薇水晶か。
「おや、どうしまし――――」
クルリと振り向き、観柳はニコニコと笑顔を作って応対する。
が、振り向いた先にいたのはその誰でもなかった。
「これはこれは、珍しい客人が来たものですな」
水色の長髪の少女、古手梨花が目を見開いて前を見る。
「何やってるの……」
焦点を合わせるのは、手前にいる観柳ではなく、奥の合体装置。
左の巨大な筒の中に放り込まれている、羽入の姿。
「何、と申しますと悪魔合体としか」
淡々と告げる観柳、筒の中から筒を叩き何かを訴え続ける羽入の姿。
言葉は一切伝わらなくても、観柳が何をしているかはだいたい予想がつく。
「お前ッ……」
「まぁ落ち着きましょうや、これから楽しいモンが始まるんですから」
怒りと悲しみの混じった声の梨花に、観柳は笑顔のまま語りかけ、一つのボタンを押す。
その瞬間に"何か"が筒を満たしていき、筒を叩く羽入の動きが激しくなる。
まるで痛みと苦しみにもだえるように、形振りをかまわずに筒の中で大暴れてしていく。
だが、筒の中を満たしていく"何か"が広がるにつれてその動きは弱まっていき、ついには羽入ごと砕けて消えた。
思わず、息をのむ。
あの筒の中で一体何が起こっているのか、想像することは難しくはない。
「お前ッ!!」
大体を理解したからこそ身丈よりも大きな刀を手に、梨花は観柳へ飛びかかっていく。
「そう慌てなさんな」
怒りをむき出しにして飛びかかる梨花の軌道を読むのは、観柳でも容易い事だ。
振りかざした刀は観柳を傷つけることなく空を切り、梨花の体は地面を擦っていく。
同時に、光の柱が立つ。
薄くなっていく光の中央に立っているのは、ほかの誰でもない羽入だった。
『梨花……』
梨花と羽入の目が合う。
羽入の目は少し濁っていて、それでも前を見続けている。
梨花は改めて"ここ"で、何があったのかを悟る。
『にげ』
「余計なこと喋んじゃねぇぞ」
何かを喋ろうとした羽入の姿は、観柳の言葉と同時にかき消えていく。
COMPによるRETURN命令、契約している身である羽入は、COMPの命令に逆らうことが出来ない。
吸い込まれるように、COMPの中へと戻っていく。
だが、それは梨花にとっては羽入が"奪われた"ようにしか見えなかった。
「どういうことなの」
「悪魔召還プログラムですよ。
彼女を有効に使わせてもらってますよ、まだまだ私の言うことを聞いてくれませんがね」
これ見よがしにCOMPを見せびらかす観柳の姿は、梨花の目には入らない。
「使……う?」
観柳の言葉に、ずっと引っかかり続けていたから。
焦点が微妙に合わない目のまま、震えた声で観柳へと問う。
「じゃあ、羽入は"モノ"だとでも言いたいの」
「お察しがいい」
ぷつん。
梨花の中で何かが切れ。
「ふざけるなァァァッ!!」
ここ一番の怒号が、部屋中に響いた。
刀を両手で握り、力の限りに全力で駆け抜けていく。
もう少しで刀が届く、と分かったとき。
軽い破裂音のような音が、一発鳴り響いた。
630 :
創る名無しに見る名無し
:2013/04/24(水) 20:25:36.50 ID:lkYwFU9r
.
631 :
創る名無しに見る名無し
:2013/04/24(水) 20:26:00.30 ID:pgi3yqCJ
支援
632 :
創る名無しに見る名無し
:2013/04/24(水) 20:26:07.40 ID:1hDbHXJG
支援
633 :
package h.GRY.ed
◆GvGzqHuQe.
:2013/04/24(水) 20:26:07.97 ID:jzjdEMyD
「ん〜んっ〜、回転式機関砲とは違って単発銃には単発銃の良さがある。
その上、威力も精度良い、更に塗装が黄金と来りゃあ、文句なしですなあ」
一瞬の浮遊間と共に、梨花の体は大きく後ろに吹き飛ぶ。
煙の臭いをかぎとると同時に、大きな血の固まりを吐き出す。
腹部を大きくえぐられた所為で、起きあがろうにも力がうまく入らない。
じたばたしている間に、観柳が自分の側まで近づいてくる。
「何、殺しゃあしない……が、ちょいと"実験"につき合ってもらう」
がしりと梨花の頭をつかみ、そのまま荒々しく引きずる。
観柳が立ち止まった瞬間、何かに放り込まれるようにぶつかる。
周りを見渡せば、薄いガラスのような壁。
先ほど羽入が飲み込まれていた、装置の中だった。
「悪魔に応じ、新たな未知の悪魔が生まれるという人体合体!!
その実験台になってもらうぜェ! うっひょほほほっほ〜〜!!
この際だぁ! 贅沢に生意気な神様も使っちまうかァ!」
観柳は下卑た笑いを浮かべながら、COMPを忙しく操る。
梨花と丁度向かい合うように現れるのは、羽入の姿。
「喜べ! 新たなる生を受けた暁には、この観柳帝国首領の観柳様の右腕としてコキ使ってやるぜぇ!!」
声を上げる間もなく、始まっていく。
満ちていく"それ"、羽入は幾度となく経験し、梨花は初めて経験するもの。
全身がぼろぼろと崩れ落ちていくような感覚、ワンクッション置いてから始まる痛み。
のた打ち回ろうにも、逃げようにも、何も出来ない。
ただただ、激痛を味わうしかない。
其々の筒の中で響き渡る叫び声。
そのどちらも、男には届かない。
――――ああ、聳え立つ光の柱が天を貫く。
.
634 :
package h.GRY.ed
◆GvGzqHuQe.
:2013/04/24(水) 20:26:38.50 ID:jzjdEMyD
「……はっ」
息を取り戻す、という表現がピッタリなくらいに飛び起きる。
慌てて辺りを見るが、見覚えのない景色が広がっている。
と、いうより、ここは"現世"なのだろうか。
時を越える経験を幾度となくして来た梨花だから、ここがそうではない事はなんとなく分かる。
謎の虹色空間で考え込んでいる内に、梨花の目の前をあるものが通り過ぎる。
それは、無数のシャボン玉。
大きなものから小さなものまで、それは群をなしてふわふわと梨花に迫ってくる。
手を伸ばせば届くような距離になった時、梨花は"それ"に驚いた。
まるで映画のフィルムを落とし込んだかのように。
大小問わず全てのシャボン玉には見覚えのある光景が映っていた。
「これは……」
上を向く、めらめらと燃え上がる魅音が居る。
その上を見る、幸せそうに笑う沙都子が居る。
少しだけ下を向く、何かに照れている悟史が居る。
もっと下を見る、珍しく少し悲しそうな顔を浮かべる圭一が居る。
ぐるりと左を見る、しっかりと前を見据え、未来へ向かおうとする詩音がいる。
そのまま右へと流れる、おーもーちーかーえーりー!! モードと化したレナが居る。
いや、最後のはどうなんだろう、と突っ込んでみながらも、梨花はそのまま左を見て、右を見る。
あれもこれもそれも、どれも。
見覚えのあるどころではない、梨花が過ごしてきた"世界"が映っていた。
「一体、これは……」
そのうちの一つに触れようとしたとき、シャボン達は急激に加速する。
「待って、待って!!」
全てが梨花の隣を過ぎ去った時、遠くに人影のようなものが見えた。
少しだけ不審に思いながら、その人影に近寄ろうともがいてみる。
だが、ちっとも前に進まない。
海で溺れる子供のように手足をバタバタさせても、その影には近づけやしない。
「わわっ!!」
それでももがき続けていると、今度は世界が動く。
一部の空間が圧縮されたかのように、先ほどまで遠くに居たはずの影が今は目の前にいる。
突然のことに驚く梨花だが、さらに驚くことが待っていた。
635 :
package h.GRY.ed
◆GvGzqHuQe.
:2013/04/24(水) 20:27:24.03 ID:jzjdEMyD
人影、いや"影"は"人"ではなかった。
燃え上がる炎のように揺れる頭部。
鎧のようなラインを所々に見せる黒い体。
白の左腕、黒の右腕。
そして、顔は"人"であり、"人"ではなかった。
「……違う」
何を聞かれたわけでもないのに、梨花は否定する。
「私は、力が欲しい」
何を聞かれたわけでもないのに、梨花はそれに語りかける。
「この状況を覆せるだけの、運命を変える力が!!」
ただただ、それは黙って梨花の叫びを聞いている。
「あの時、みんな一緒になって変えた運命のように!!」
ただただ、梨花は言葉をぶつけていく。
「今は、力が欲しい!!」
少し、間を置いて。
それは、手を差し伸べてきた。
動いたことに驚いているのか、梨花は少しだけ息を呑む。
それは手を伸ばしたまま動かず、じっと梨花を見つめている。
梨花は、その伸ばされた手を。
しっかりと、掴んだ。
暗転する。
暗い暗い闇の中に落ちていく。
即座に切り替わるように黒が白へと染まっていく。
目を開けては居られないほどに視界が光に包まれていく。
やがて、ゆっくりゆっくりと視力を失っていくように。
ガラガラと音を立てて、崩壊するように。
世界が"無くなって"行った。
目が、覚める。
.
636 :
創る名無しに見る名無し
:2013/04/24(水) 20:27:48.17 ID:pgi3yqCJ
支援
637 :
package h.GRY.ed
◆GvGzqHuQe.
:2013/04/24(水) 20:28:00.00 ID:jzjdEMyD
「よお」
挨拶。
「……君はやっぱり、"お話"が上手いね」
褒。
「僕は君のように話を振っても、僕は拒まれてばっかり。ついさっき、フラれてしまったばっかりさ」
皮肉。
「ハッ、まだまだ男が磨き足りてねえってことだな」
返答。
「返す言葉もないよ」
沈黙。
「……ところで、どういう心境の変化?」
問。
「見たくねぇか」
問。
「人間が、覚悟を決める所をよ」
笑。
「そうだね」
同意。
「僕としては、梨花が自分で道を選んでくれたのがとても嬉しいよ」
本心。
「いいのか?」
疑問。
「問題ないよ、彼が欠けた所で大局に影響は無い」
事実。
「どうやら、彼は僕達を"利用"できる気でいたらしいからねぇ」
笑。
「ハッ、力のない犬ほど、よく吠えるって言うぜ」
笑。
「まあね」
638 :
package h.GRY.ed
◆GvGzqHuQe.
:2013/04/24(水) 20:28:40.52 ID:jzjdEMyD
汗が、流れる。
ありえない、ありえない、ありえない。
脳味噌が爆発しそうになるくらいに処理を重ね、否定をしていく。
それでも事実は書き換わらない、目から入ってくる情報は変わらない。
何故、何故何故何故何故。
野良の狂信者を合体にぶち込んだときは悪魔になったと言うのに。
おかしい、こんなことは、バカな。
あの時と同じように「悪魔」と「人間」を合体させたと言うのに。
どうして、なんで、わからない。
"古手梨花"がそこに立っているのか。
「……まさか、傷まで治ってるとはね」
声がする。
間違いなく、それは古手梨花の声。
否定に否定をしても、耳から入ってきた情報は書き換わらない。
でもありえない、だって悪魔が生まれるはずなのに。
何故"人間"がそこに平気な顔をして立っていられると言うのか。
いや、落ち着け。
こういうこともあるのだろう。
装置から生まれた以上、ヤツは悪魔であるはずだ。
COMPには逆らえない、そう思ってCOMPから命令を送る。
エラー、エラー、エラー。
RETURNもLEAVEも、それどころかSUMMONすら効かない、そう、もはやLEAVEしていると言わんばかりに。
それもその筈。
起こったのは悪魔合体であり、悪魔合体ではない。
悪魔の力を手にするほどの強力な意志を持った人間を用いた合体は、"人間"が生まれる。
悪魔をその身に宿した人間を、COMPでどうこうできるわけがない。
人間を用いた合体は何度も行ってきたが、金で釣られるような人間にそんな強固な意志の持ち主などいるわけもない。
だから観柳はそれを知らない、知るはずもない。
いや、もう一度落ち着け。
ここは人間だと言うことを認めよう。
だが、ヤツがそのまま戻ってきたところでただの少女じゃないか。
悪魔の手を使うまでもない、自分ひとりで十分だ。
黄金に光輝く銃を持ち、狙いを定め。
引き金を、引く。
639 :
package h.GRY.ed
◆GvGzqHuQe.
:2013/04/24(水) 20:29:15.39 ID:jzjdEMyD
「"Alter"」
言霊を呟く。
梨花の周りの物質が姿を変え、虹色の粒子が舞う。
それは瞬く間に、梨花の周りへと集まり。
何かが、出来上がっていく。
金属と金属がぶつかり合う音が、する。
観柳は、今度こそ己の目を疑った。
メガネが割れたか? いやメガネは正常だ。
脳が狂ったか? 阿片は売っても吸っては居ない。
では、目の前に映るのは何だというのか。
中心に立つ、古手梨花。
うっすらと巫女服の少女の姿が、重なっているように見える。
梨花のすぐ隣。
一人目、金髪のショートヘアが特徴的な少女が笑っている。
一歩か二歩ほど置いて、梨花の前に立ちはだかるように立つ二人の人間。
二人目、金属バットを持った白いシャツの少年が自分を睨んでいる。
三人目、巨大な鉈を持ったセーラー服の少女が自分を睨んでいる。
交差しているバットと鉈が、先ほど打ち出した銃弾を弾いていた。
その二人の少し後ろ。
四人目、白いタートルネックの服に括らずに伸ばしたロングストレートヘアの少女。
五人目、長い髪をポニーテールにした手前の少女とは違う制服の少女。
共通するのは緑の髪、すらっとしたボディライン、そして構えた散弾銃。
そう、この五人は今、観柳の目の前に。
「突然現れた」のだ。
ガタガタと震える観柳は、慌ててCOMPを操る。
無意識の内に、集めておいた悪魔達をこの場に呼び寄せていく。
そんな姿には目もくれず、梨花はとことこと歩いて落ちていた刀を拾う。
「羽入」
そして、告げる。
他人には精々気配を感じることしか出来ない存在に。
彼女だけが見る事が出来る存在に。
まさか悪魔合体、なんて方法で再び共になるとは思っていなかったが。
「行くわよ。私たちの思い出を、彼らの事を"笑う"奴等を叩きのめしに行くわよ」
その一言と同時に、すっと刀を構えていく。
見据えるのは、一点。
未来と言う、前だけ。
「"みんな"と!!」
640 :
創る名無しに見る名無し
:2013/04/24(水) 20:29:24.61 ID:lkYwFU9r
.
641 :
package h.GRY.ed
◆GvGzqHuQe.
:2013/04/24(水) 20:29:56.32 ID:jzjdEMyD
【二日目/早朝/???】
【志々雄真実@るろうに剣心-明治剣客浪漫譚-(漫画)】
[装備]:サバイバルナイフ@現実、ヒノカグツチ@真・女神転生if...、サバイブ(烈火)@仮面ライダー龍騎
[所持品]:支給品一式×4、リュウガのデッキ@仮面ライダー龍騎(一時間変身不可)、確認済み支給品0〜4(武器ではない)、林檎×7@DEATH NOTE、鉄の棒@寄生獣
マハブフストーン×4@真・女神転生if…、本を数冊(種類はお任せ)、工具@現実(現地調達)、首輪の残骸(銭形のもの)、首輪解除に関するメモ
逆刃刀・真打@るろうに剣心、玉×5@TRICK、紐とゴム@現実(現地調達)、夜神月が書いたメモ、
鷹野のデイパック(魔力の香@真・女神転生if...、体力の香@真・女神転生if...、???@???、その他不明支給品))
[状態]:各部に軽度の裂傷、首輪解除済み
[思考・行動]
1:ぶいつぅの掌の上にいる。(飽きるまで)
2:気が向いたらガリア王国のジョゼフを持て成す。
3:翠星石の中のキングストーンが欲しい。
4:間引く。
[備考]
※クーガー、C.C.、真司らと情報交換をしました。ギアスとコードについて情報を得ました。
※さざなみの笛@真・女神転生if...はV.V.が回収しました。(効果は持続中)
【古手梨花@ひぐらしのなく頃に】
[装備]菊一文字則宗@るろうに剣心
[所持品]ワイン
[状態]健康、羽入憑依
[思考・行動]
1:"みんな"と奴等をぶっ飛ばす
[備考]
※銀髪の少年により『鷹野三四に従え』というギアスをかけられていますが、三四が死亡したことで効力をほぼ失っています。
※悪魔合体を経て羽入を取り戻しました、常人には不可視の存在に戻っている(?)ようです
※さらに発生した合体事故により、辿り着いた向こう側にてアルター結晶体と接触したことで、自身の記憶を元にしたアルター能力"雛見沢"に目覚めました。
常夏三姉妹のような自立稼動型のアルター五体(圭一型、レナ型、魅音型、詩音型、沙都子型)が扱えます。
詳細能力など、喋れるかどうかなどは不明ですが、祭囃し編をベースに構成されているようです。
【武田観柳@るろうに剣心-明治剣客浪漫譚-】
[装備]黄金銃@真・女神転生if...、COMP(ハンドベルトコンピュータ)@真・女神転生if...
[所持品]
[状態]焦り
[思考・行動]
1:梨花に対処
[備考]
※たまんないことになってしまいました
※使役している悪魔については不明です
【黄金銃@真・女神転生if..】
黄金の輝きを持つ銃。弾丸を装備するタイプの銃の中では最強の全体銃である。
モデルは元ネタの007と同じ「ワルサーPPK」だと思われる。
/**ここからは余談だが、真・女神転生if..では中盤以降のボスはガン無効があたりまえなので、専らザコ掃討用の武器になりがちである。
よって、終盤は回数の多い銃より、敵全体に一発ずつ撃ち込める銃の方が使いやすい。
攻撃力の数値上ではメギドファイヤ及びピースメーカーがあるが、これらの銃は弾丸を装備することが出来ない。(しかもアキラ編しか手に入らない)
ifは弾丸の追加効果が非常に強力なため、弾丸を装備できるかつ全体を攻撃できる黄金銃を最後まで愛用するプレイヤーが多い。
眠りに耐性の無い悪魔は神経弾で一発SLEEPだし、アキラ編では「メデューサの弾」というクッソ頭おかしい弾丸が簡単に手に入る。
終盤の悪魔でも耐性を持つ悪魔が少ないSTONEで、あとは煮るなり焼くなり状態である。
そんなこんなで、事実上のif...最強銃の名を欲しいままにしている。*/
642 :
創る名無しに見る名無し
:2013/04/24(水) 20:30:06.69 ID:1hDbHXJG
支援
643 :
package h.GRY.ed
◆GvGzqHuQe.
:2013/04/24(水) 20:30:51.12 ID:jzjdEMyD
Q.
禁忌:人体を用いた合体とは?
A.
悪魔と人間は、相容れぬ存在だ。
通常の悪魔合体では悪魔と悪魔の分子(のようなもの)が溶け合い、互いに反応しあうことで法則どおりの悪魔が誕生する。
だが、人間の分子は悪魔であり悪魔では無いという微妙な存在である。
これにより通常の悪魔合体法則が無視され、合体の度に融合分子が変わるので結果が分からないと言うことになる。
この結果を予測できるようになるまで、おおよそ20年はかかると言われている。
なお、誕生する悪魔は合体に使われる悪魔に依存すると言われている。
これが「ごく一般的な人間を悪魔合体に用いた場合」、定説である。
Q.
では、例外が?
A.
存在する。
「ごく一般的な人間ではない場合」だ。
詳しい事は分かっていないが、合体に使われる人間の意志が尋常では無い時。
悪魔の力を取り込んだ人間が生まれるのだと言う。
さらに、記憶も何もかもがそのままだと言う話らしい。
悪魔合体の際には激痛が走るといわれているが、それすらをも乗り越えられるという自信のある方は試してみてはいかがか。
勿論、筆者には無い。
Q.
合体事故ってなんで起こるの?
A.
その時不思議な事が起こった、と言わんばかりに発生する事故。
筆者も経験がある、必死の思いで作った魔王がスライムになったときは泣いてしまう。
それはさておき、合体事故が起こる理由としては諸説ある。
一番有力な説としては、悪魔合体自体が行われているのは実は現世ではなく。
現世でもない魔界でもない、人工的に作られたかのような擬似空間で融合しているからだと言う説だ。
詳しいことが分かっていないが故に、想定もしていないタイミングで合体事故が起こるのだという。
しかし、近年この擬似空間に外部から一方的に干渉することが出来る、ということが判明した。
近年では任意に合体事故を起こすことも、未然に合体事故を防ぐこともできるのだと言う。
この空間についてだが、呼び名は各地によって異なる。
「紅世」、「ミラーワールド」、「nのフィールド」、または「向こう側」などと呼ばれているらしい。
その他の地域では謎の世界征服を目論む組織が居るとか、死神たちが彷徨う世界だとかいう可能性もあるのだとか。
まあ、これらはただの一説に過ぎない。
可能性として頭の隅に置いておく程度で良いだろう。
混・沌喝兇執/狼栖王子・賛 著 グーペ社 より引用。
644 :
◆GvGzqHuQe.
:2013/04/24(水) 20:31:30.53 ID:jzjdEMyD
以上で投下終了です。
ご意見ご感想などありましたらお気軽にどうぞ。
645 :
創る名無しに見る名無し
:2013/04/24(水) 23:25:15.76 ID:pgi3yqCJ
投下乙です。
ここまで無力を噛みしめてきた梨花が遂に…!!
ひぐらし勢勢揃いが熱すぎる、悪魔合体とアルターの向こう側の世界がまさかのクロスオーバー!
観柳が残念なことになってるけどまるで同情する気にならない…逆にすごい!
まだまだ志々雄もV.V.も余裕綽々だけど、一矢報いれるのか…!?
すごい面白かったです、改めて乙!
646 :
創る名無しに見る名無し
:2013/04/25(木) 02:33:22.98 ID:A2CFhSTl
投下乙です。
まさかのアルター能力覚醒……!
本来交わるはずのない異世界のクロスオーバーがたまりませんね!
一方で観柳は鍍金がはがれてきましたなぁ……。
さて、アルターという力を手に入れたとはいえ、志々雄もV.Vも余裕そのもの……対主催陣営ー! 早く着てくれー!
そしてこのQ&Aの著者wwwwwww
確かに前メガテンのガチ攻略やってたけどwwwww
小学四年生とかに良く食いつきませんかね……この人……w
主催サイドを描きつつネタもたっぷりな話、面白かったです!
あ、あとどうでもいいことですが余談部分のコメント文は冒頭の*が一つ余計かと思われます。
647 :
創る名無しに見る名無し
:2013/04/25(木) 20:22:54.10 ID:0EOYQImS
おー、故人ペルソナ召喚来た。
基本同質なんかなぁ、その辺の能力。
648 :
創る名無しに見る名無し
:2013/04/25(木) 20:40:20.68 ID:TfFr3Ej5
投下乙です。
梨花のアルター覚醒! しかも部活メンバー勢揃い!
異世界同士がまさかクロスオーバーを果たすとは!
主催サイドで余裕のあった観柳も一転ピンチでどうなる!?
って言うか備考欄wwwww
649 :
創る名無しに見る名無し
:2013/04/26(金) 01:51:19.11 ID:eb2m5OBI
お二方とも投下乙です!
>HELL ON EARTH
これこそ本当の怪獣大決戦。
ランスロットパートが元の知り合い同士での予約に対し、こっちは今まであんまり絡んで無かった連中の総力戦だー!
煉獄はわけわからないくらいに魔改造されてたけど、やっぱり煉獄だったなぁ
相手が悪かったのが一番の理由だろうけど、やっぱり煉獄って時点で敗北は見えていたとしか言えない……
そして派手派手なバトルの裏では心情のやり取り
翠星石はもう駄目かなって思ってたけど、今回の話で少し巻き返した気がする
あくまで戦いは手段であって、決して目的であってはならないんだよなぁ……
未だにどう動くか分からないけど、やっぱり最後は幸せになってほしい
指摘なのですが、
>>541
で
>分間100発の連射速度は仮面ライダーゾルダのマグバイザーを超えるものである。
とありますが、マグナバイザーは分間120発なので回転式機関砲の方が劣っています。
>package h.GRY.ed
なんかたまんないことになってる!?
なんでタイトルにスクライドが入ってるのかなと思ったら、まさかこんな展開になるとはww
熱い、熱すぎる
死んでいったひぐらし勢の無念を背負って、梨花には頑張ってほしい
とりあえず目の前にいる成金野郎はぶん殴れ!
そして観柳はやっぱり影で見下されてたなぁ
分かっていたし当然のことなんだけど、裏で嘲笑されてる場面を想像すると面白い
状態表がついたことで事実上の主催陣格下げだし、次からはどんどんと転げ落ちていくんだろうな
650 :
◆EboujAWlRA
:2013/04/26(金) 20:54:57.83 ID:vtpyhLb2
>>649
ご指摘ありがとうございます
甲板上の回転式機関砲はるろうに剣心本編で武田観柳の使用していた分間200発の回転式機関砲でした
その際、両方の数値を確認することなく、マグバイザーよりも連射機能が高い!?、と言う記憶で書いたためにケアレスミスをしてしまいした……申し訳ない
修正しておきます、申し訳ありませんでした
651 :
◆GvGzqHuQe.
:2013/04/27(土) 01:34:50.45 ID:VMPRsWCc
>>646
/**はドキュメンテーションコメント用のヤツでしたね……
単なるコメントアウトなら指摘どおり/*ですな、指摘ありがとうございます。
652 :
創る名無しに見る名無し
:2013/04/27(土) 19:25:36.30 ID:JGOAILdy
投下乙です。
梨花がまさかのアルター獲得。
梨花のエゴは、皆との「日常」なのかなあ。
653 :
創る名無しに見る名無し
:2013/05/06(月) 04:16:51.12 ID:h/FyEx7B
ニコ動でブラックとRX見たがバトルホッパーとキングストーンて喋るのな
654 :
創る名無しに見る名無し
:2013/05/06(月) 23:53:26.46 ID:pTMqh5Ud
雑談スレより代理カキコ
131 名前:名無しさん[sage] 投稿日:2013/05/06(月) 23:50:17 ID:L0GkNNPY0
(喋るんだキングストーン・・・)
↓ここから本スレに代理投下お願いします
志々雄withリュウガサバイブ装備&ヒノカグツチの支援絵
ttp://www20.atpages.jp/r0109/uploader/src/up0231.png
655 :
創る名無しに見る名無し
:2013/05/07(火) 14:00:22.89 ID:WUyRdErN
かっけえ、支援絵乙です!
656 :
創る名無しに見る名無し
:2013/05/08(水) 22:57:02.95 ID:4+d7NO+g
てす
657 :
創る名無しに見る名無し
:2013/05/08(水) 22:57:44.15 ID:4+d7NO+g
規制解除されてるやったー
最近やたら規制多いよね
658 :
創る名無しに見る名無し
:2013/05/09(木) 20:37:27.62 ID:N4pYBWgU
解けてた!
支援乙ですーこれは主催の貫禄
659 :
創る名無しに見る名無し
:2013/05/09(木) 23:22:35.56 ID:7wLRO9/p
ついに本予約来たか……!
660 :
創る名無しに見る名無し
:2013/05/11(土) 22:54:25.54 ID:qJRePW/q
tes
661 :
創る名無しに見る名無し
:2013/05/11(土) 23:56:07.56 ID:+5ZcJpza
662 :
◆.WX8NmkbZ6
:2013/05/12(日) 00:29:07.30 ID:f8Ch1cCx
北岡秀一、ジェレミア・ゴットバルト、柊つかさを投下します。
・携帯投下なので間隔が空く事があるかも知れません。
・途中で次スレに移行します。
ttp://engawa.2ch.net/test/read.cgi/mitemite/1368281287/
代理スレ立てありがとうございました。
663 :
創る名無しに見る名無し
:2013/05/12(日) 00:30:13.70 ID:CPt07XXI
よっしゃー!支援
664 :
創る名無しに見る名無し
:2013/05/12(日) 00:30:54.27 ID:y0QrZhmN
支援だああああああああああああ
665 :
CODE GEASS――鋼のレジスタンス
:2013/05/12(日) 00:31:00.58 ID:f8Ch1cCx
北岡秀一とジェレミア・ゴットバルト。
二人が最初に接触したのは第一回放送直後の頃であり、別行動を取っていた時間を鑑みてもそれなりに長い付き合いになっていた。
お互いの能力も性格も把握済み。
片や近距離、片や遠距離での戦闘に特化しており役割分担もはっきりしている。
ジェレミアが銃弾に耐性を持ち、北岡が多少無理な弾幕を張って巻き込んでもそうそう被害が出ないという利点もある。
共闘する上で、二人の相性は決して悪くない。
それでまお苦戦を強いられているのは一点、ごくごく単純に、相手が強大過ぎるというだけの話である。
第七世代KMF(ナイトメアフレーム)、ランスロット。
踵部分に取り付けられた車輪・ランドスピナーによって、足を動かす事なく地を滑るように疾走する人型兵器。
生身の人間であるジェレミア達と交戦している今、使用する武器はスラッシュハーケンに限られていた。
ランスロットの両手の甲など計四カ所に設置された、ワイヤーロープ付きの錨状の装備だ。
ハーケンの先端は鋭く鉤になっており、形状も使用方法も矢尻に似ている。
射出して相手に突き刺す――突き破る事も、手の甲に収納したまま近接戦闘に用いる事も可能。
その威力は一撃で量産型KMFを破壊出来る程である。
また例えば高層ビルの壁面などに突き立ててそのままワイヤーを巻き取れば、ランスロット本体が引っ張られて高所へ移動出来る。
立体的な動きにより活動範囲が広がり、移動速度も跳ね上がる。
KMFの装甲を破る硬度のブレード、KMFの重量をも支えるワイヤー、この二つが組み合わさった主武装こそがスラッシュハーケンだ。
だがランスロットが最も得意とする攻撃は武器を必要としない「ただの蹴り」だった。
これにはランスロットのパイロットである枢木スザクの戦い方がそのまま反映されている。
それが北岡達を優位にする要因となるかと言えば、否。
ランスロットは全高五メートル近く、重さ七トンにもなる巨体を持つ。
そんな物体が車輪とハーケンによる高速移動中に蹴りを繰り出せば、ハーケン以上の脅威にさえなるのだ。
どんな戦況からでもブリタニア軍を勝利させる嚮導兵器。
同じKMFの中で比較しても怪物と呼ぶに相応しいスペック。
フロートユニットを装着した状態で活躍したE.U.戦線では『ブリタニアの白き死神』と称された。
それを相手どっているのが人間だと説明したところで、信じる者はいないだろう。
無謀でこそないが、無茶に変わりはない。
そして北岡がゾルダに変身していられる時間は、僅か十分間。
この十分間で、勝敗が決する。
▽
晴れた日の空のように深く鮮やかだった青は、見る陰もなく血と泥を吸って汚れ。
陽光を浴びた雲の如き白も同様に黒ずんで。
度重なる戦闘で斬り裂かれた騎士服は元の高貴さをとうに失っていた。
几帳面に整えられていた碧色の髪も乱れたまま、服に隠していた機械の左腕を外気に晒して。
常ならば醜態とさえ称していたであろう姿となっても、ジェレミアは足を止めずに駆け抜ける。
月が天頂から大きく傾き、朝が近付くものの辺りは未だ暗い。
そして危険が嵐のように絶え間なく降ってくる状況。
それでも、北岡もジェレミアも諦めてはいなかった。
F−8を東西に横断する大通りに、激しく砂埃を立てながら駆けるランスロット。
KMFが動き回ってもなお余裕がある広さの四車線の道路、その両側に聳えるのは高さ十メートルを超えるビル群。
ジェレミアは地上を、北岡はビルの屋上から屋上へと飛び移って走る。
666 :
創る名無しに見る名無し
:2013/05/12(日) 00:32:43.32 ID:CPt07XXI
支援
667 :
創る名無しに見る名無し
:2013/05/12(日) 00:33:00.01 ID:f8Ch1cCx
ゾルダの攻撃は、本来は更に遠距離から定位置を作って狙うのが理想的だった。
しかしランスロットのサイズでは距離が空き過ぎればビルの陰になってしまう。
またランスロットの至近距離にいるジェレミアの危険が余りに大きく、すぐにサポート出来る距離を保つ必要があった。
片腕を北岡のマグナバイザーを防ぐブレイズルミナスの展開に使い続けるランスロット。
その状態でジェレミアに踵落としを繰り出す。
ランドスピナーに装着された車輪が頭上から降ってくるその攻撃を、身を低くして地上を這うように跳んで回避した。
そしてジェレミアは右手に贄殿遮那を構えたままデイパックからブラフマーストラを抜き、コックピットブロックめがけて撃つ。
一度に最大七発の弾丸を、無尽蔵に撃ち出すボウガン。
初撃――五発の弾丸が吐き出された。
ランスロットの装甲は拳銃の弾程度なら跳ね返してしまう。
故にランスロットはブレイズルミナスの展開も防御行動も取らなかったのだが、弾丸を受けて巨体が僅かに揺れる。
コックピックブロックには確かに五ヶ所の傷が付いていた。
貫通こそしていないが無視出来るものでもない。
ブラフマーストラは強力な銃であり、それを扱うジェレミアの攻撃力もタルカジャによって上昇しているからだ。
ジェレミアは走りながらブラフマーストラを撃つが、二撃目はランスロットが急発進し回避されてしまう。
そしてランスロットはジェレミア達に背を見せた状態で止まり、片足の車輪だけを逆回転させる事によってその場で旋回。
一層濃く粉塵が舞い、車輪と地面が擦れ合う耳障りな音が空気を掻き乱す。
両腕にブレイズルミナスを発生させ、マグナバイザーとブラフマーストラを防ぎながら突進する。
ジェレミアはギリギリまでその場に留まって引き付け、衝突の瞬間にランスロットとすれ違う形で躱す。
だがランスロットは再度旋回して振り返り、ジェレミアに向けてハーケンを打ち込んだ。
「くっ……!」
右手に贄殿遮那を構え、左腕で刀の峰を支えてハーケンを受け止める。
両腕に掛かるのはトラックに衝突されたような衝撃。
足に力を籠めて踏み止まろうとするが押され、アスファルトに罅を入れながら五メートル以上後退させられた。
ハーケンを巻き取りつつ、ゾルダ対策に左腕で発生させていたブレイズルミナスを解除するランスロット。
無防備を晒すが、マグナバイザーは当たらない。
ランドスピナーを細かく動かす事で前後左右に高速で移動しており、北岡の射撃でも捉えられないのだ。
そして跳躍しながらハーケンを真下に向かって突き立てて更に上昇、そこをマグナバイザーが狙うもランスロットが突然軌道を変える。
北岡が立つビルの外壁に向かって、引き寄せられるように速度を落とす事なく移動。
残りのハーケンを壁に刺した上でワイヤーを巻き取り、機体をそちらへ引っ張らせたのだ。
両のハーケンを収納しつつランスロットはその外壁を蹴り、道路上空を横断して向かいのビルの外壁を蹴る。
ただ蹴るだけでなく、左右を行き交いながら上へと向かって駆け上がっていく。
北岡でさえ捕捉出来ない複雑な軌道を描き、弾丸の如き速度でビルの最上階へ。
「一人だけ安全な場所からってわけにはいかないか……いや、知ってたけどね!!」
ランスロットが壁を離れ、屋上よりも高くに舞い上がった。
668 :
創る名無しに見る名無し
:2013/05/12(日) 00:33:01.40 ID:IJBn7Rab
支援
669 :
創る名無しに見る名無し
:2013/05/12(日) 00:33:02.71 ID:y0QrZhmN
670 :
創る名無しに見る名無し
:2013/05/12(日) 00:34:07.21 ID:y0QrZhmN
671 :
創る名無しに見る名無し
:2013/05/12(日) 00:34:12.49 ID:f8Ch1cCx
そしてブレイズルミナスを展開してマグナバイザーを防ぎつつ、縦に回転。
足が天高くに振り上げられ、それが北岡に向かって落ちていく。
ビルの屋上を砕く一撃に、北岡は回避を兼ねてビルから飛び降りた。
ただし、それは軽率な行動である。
北岡は地面を背にしながら落下し、追い掛けるように飛んできたハーケンをマグナバイザーで撃って弾く。
そこまではいいが、もう一つのハーケンが北岡を逸れて真下の地面に刺さった。
ランスロットが北岡を追って飛び降りる。
ワイヤーが巻き取られる。
自由落下する北岡よりもワイヤー移動をするランスロットの方が、速い。
危険。
ジェレミアも北岡もその二文字の単語を脳裏によぎらせる。
だが唐突にランスロットが腕を振ってハーケンを地面から外した。
地上にいたジェレミアがワイヤーの切断するべく刀を構え、ランスロット側がそれに気付いて対処したのだ。
自由落下よりも多少速い程度であれば、先に落ちた北岡の方が着地が早い。
北岡は地面に着いて即走り、北岡がいなくなった着地点にランスロットが落ちてきた。
ここまでの一連の攻防が、一分に満たない時間に行われている。
ジェレミア達が有利か不利かで言えば、圧倒的に不利。
ブレイズルミナスを多用している以上ランスロットのエナジーは長く保たないはずだが、時間制限があるのはお互い様だ。
ゾルダの変身が解除される時は刻一刻と迫っている。
しかし諦めて退避した時、それは狭間偉出雄の負担となる。
ランスロットの破壊が無理でもせめて装備やエナジーを削らなければ、戦う意味がない。
それにジェレミアはスザクに大きな借りがあり、自ら止めると覚悟を決めている。
日本最後の侍と呼ばれた枢木ゲンブ首相。
その息子であるスザクは、世が世ならやはり侍と呼ばれていたのだろう。
日本人でありながらブリタニア軍に身を置き、第三皇女の騎士となり、ナイトオブラウンズにまで登り詰めた少年。
彼が何故そのような手段を取ったのか、理由も目的もジェレミアが知る事はない。
だが少なくとも地位や名誉、私利私欲の為に祖国を裏切るような人物ではないという事だけははっきりしている。
そうせねばならない理由があったのだろう。
そうせねば果たせない目的があったのだろう。
その為に同胞を手に掛ける事すら厭わず、独り戦い続けた――侍のように。
ルルーシュの為に祖国ブリタニアを裏切り、黒の騎士団の一員となった今だからこそ、ジェレミアにもそれが理解出来る。
理解出来るからこそ、志々雄が用意したこの現状を許せるはずがない。
――意味のない戦いを、見過ごすわけにはいきません!!
スザクはそう言って純血派同士の戦いに止めに入った。
誰よりも正しさを求めていた。
今ここで行われている戦闘もまさに、意味のないものと言えるだろう。
スザクがこんな戦いを望んでいたはずがない。
彼の抱いていた決意を嘲笑い、尊厳を踏み躙る行為。
それに対して死したスザクが何も言えないというのなら、ジェレミアが代わって異議を叫ぶ。
借りを返すべき相手は既に死に、何もかもが手遅れで。
それでも今こそが、筋を通す時だった。
▽
再びビルの上へと移る機会を窺いながら、北岡が地上を駆ける。
ランスロットが射出するハーケンを何度か躱すものの、北岡は仮面の下で冷や汗をかいていた。
672 :
創る名無しに見る名無し
:2013/05/12(日) 00:35:20.66 ID:y0QrZhmN
673 :
創る名無しに見る名無し
:2013/05/12(日) 00:35:58.26 ID:CPt07XXI
支援
674 :
創る名無しに見る名無し
:2013/05/12(日) 00:36:39.01 ID:f8Ch1cCx
危険とは知っていたが、ジェレミアの言った通りランスロットは人間が相手にするような兵器ではない。
またランスロットのこの速度では、鈍重なマグナギガを召還しても攻撃を当てられないまま破壊されてしまう。
まして一度壊されてしまえばゾルダがブランク体となって役に立たなくなるとあっては、迂闊には出せない。
危険なラインのまま膠着する状況に、北岡が手で合図するとジェレミアが頷いた。
車内で練り、言い含めてあった策のうちの一つ。
成功する確率は高くない上にデメリットもあるが、成功すれば一気に優位に立てる。
ジェレミアが仮面を開いて左目を晒し、ギアスキャンセラーを発動。
左目を中心に青い光が球体状に広がり、北岡もその領域の中に巻き込まれる。
北岡の脳裏に、会場に連れてこられた際の記憶が蘇る。
そして北岡はランスロットの蹴りを回避しながら『ビルの窓ガラスに体当たりした』。
だがガラスは割れない。
北岡の体が溶けるようにガラスの中に飲み込まれたのだ。
北岡を追っていた蹴りがガラスを叩き割っても、そこに北岡の姿はない。
足下のジェレミアに向かって蹴りを繰り出そうとするランスロット、その背のコックピットブロックで弱い爆発が起きる。
そこにはゾルダのマグナバイザーによる射撃が命中していた。
ランスロットの背後の窓ガラスの中には、銃を構えたゾルダが映っている。
――北岡秀一、大人しく私についてこい。
――そして会場に着いたらこの事を忘れ『ミラーワールドには入るな』。
銀髪の青年から受けたギアスが解除され、ミラーワールドへの行き来が可能になったのだ。
「これなら……!」
一方的に攻撃する事が出来る、つまりマグナギガの召還とファイナルベント・エンドオブワールドが可能。
ランスロットにブレイズルミナスがあっても全身を覆えるわけではなく、大ダメージは必至。
北岡がデッキからカードを抜いた。
だがランスロットは会場に残ったジェレミアではなく、北岡の映るガラスに向かってハーケンを飛ばす。
その一撃は、北岡には届かないにも関わらず。
「えっ……」
届かない、はずのハーケンが。
ガラスを割る事なく『ガラスの中に吸い込まれた』。
「な、やば、」
先端が鋭いブレード状になったハーケンが、ミラーワールド内の北岡に迫る。
北岡は咄嗟に別の窓から外の世界へ逃れ、ランスロットもミラーワールドからハーケンを引き寄せて回収した。
「ちょっと、あんな機能が付いてるなんて聞いてないんだけど!」
「私も知らん!!
V.V.が手を加えたのだろう、相手の手の内の一端が知れただけ無駄ではない!」
ランスロットの攻撃を避けながら、道路の両端にいる相手に届かせる為に互いに怒鳴るような声量で言い合う。
仕切り直しと言っても状況はむしろ悪化していた。
ジェレミアは掛けられた制限により、キャンセラーを使うと体力が削られる。
今は些細な差でも、戦闘が長期化すれば確実に大きな負担になるだろう。
ランスロットの両のハーケンが同時に射出され、すぐ脇の窓へ沈む。
そしてランスロットと併走していた北岡とジェレミアのそれぞれの真横の窓に映る景色が歪み、ハーケンが飛び出した。
ランスロットのスラッシュハーケンにはブースターが搭載されており、射出後にある程度軌道を曲げる事が出来る。
675 :
創る名無しに見る名無し
:2013/05/12(日) 00:37:05.62 ID:y0QrZhmN
676 :
創る名無しに見る名無し
:2013/05/12(日) 00:37:43.81 ID:CPt07XXI
677 :
創る名無しに見る名無し
:2013/05/12(日) 00:37:47.83 ID:f8Ch1cCx
ミラーワールドに入ったハーケンが中で向きを変化させ、別の窓から元の世界に戻ったのだ。
どの角度から来るか予測のつかない攻撃に、ジェレミアは反射的に身を反らして躱したが北岡は間に合わない。
ハーケンが腕を掠める。
掠めただけ、ラクカジャによる防御力の上昇もある――だがハーケンはKMFの装甲をも容易に突き破る代物。
結果ライダースーツが裂け、腕の肉を抉れた。
「ッ……やっぱり最悪じゃないか!!
ジェレミア、頼む!」
「分かっている!」
北岡がリフュールポットで回復する間、ジェレミアがランスロットの注意を引き付ける。
北岡はランスロットと距離を取り、ジェレミアはランスロットの前で敢えて高く跳んで無防備を晒した。
ランスロットが巨大な腕でそれを振り払う。
ジェレミアが贄殿遮那で受け止めながらもビルの外壁へと弾かれる。
だが空中で身を捻らせ、外壁に対し垂直に着地。
間髪入れずに外壁を蹴り、その着地点に振るわれた拳を躱した。
ジェレミアの体が自由落下を始めると、落下する先には既にランスロットの蹴りが迫っている。
足場のない状況でジェレミアは外壁に刀を突き立て、強制的に急停止。
ビルの一階部分にランスロットの蹴りが刺さり、建物全体が揺れるがジェレミアは落ちない。
壁に刺さった刀に片手でぶら下がった状態でブラフマーストラを持ち上げ、ファクトスフィアを狙い撃つ。
ランスロットがそれをブレイズルミナスで防ぎつつハーケンで反撃し、ジェレミアは外壁から刀を抜いた勢いを利用して回避した。
漸く地面に降り立ったジェレミアに、ランスロットが拳からハーケンのブレードを突き出させて殴り掛かる。
しかしランスロット目掛けて張られた弾幕に、ランスロットは攻撃から防御へ移った。
北岡は既にリフュールポットでの回復を終えており、ランスロットがブレイズルミナスを張りつつ後退。
状況は仕切り直しである。
しのぎを削る戦いに、時間は刻々と流れていく。
この事態を好転させるかも知れない鍵を握った少女は、まだ戻らない。
▽
柊つかさは箒に跨ってF−9上空を飛ぶ。
目指すのは南隣りのエリア、志々雄真実が示したG−9。
月と星による限られた明るさの中、コンパスに従って移動していた。
冷たい夜風を切り、たった一人で空を泳ぐ。
輝く月や星には目もくれず、ただ遙か下にある地上を凝視する。
「何も、ない……?」
会場の南東部は市街地が大半を占めている。
故に、そこには街灯が夜空の星の如く輝いている――はずなのだが。
G−9と思われる地域、その一部には何もなかった。
他の地域には光が点在するというのに、そこだけが大穴を空けたかのように暗闇に満ちている。
つかさには知る由もない事だが、G−9の中心部はカズマと桐山和雄が衝突した場所。
街灯はおろか、建物すらも軒並み吹き飛んでいたのだ。
「騙されちゃった……のかな」
心に湧いた疑念を口に出してしまい、頭をぶんぶんと振って切り替える。
実際の地上にエリアを区切る線が走っているわけではないが、G−9は決して狭くない。
何もなくなってしまった箇所だけがG−9ではない、探してみなければ分からない、そう自分に言い聞かせた。
G−9を通り過ぎてしまわないよう目印にしたのはG−10遊園地。
G−9の東隣りのエリアだ。
遠くからでも見える観覧車は虹色にライトアップされ、くるくると彩りを変えながらゆっくり動いている。
678 :
創る名無しに見る名無し
:2013/05/12(日) 00:38:58.02 ID:f8Ch1cCx
皆で遊べたらきっと楽しいだろうな、と。
「もういない」と分かっていても無意識のうちに姉妹や友人達の事を考えてしまっていた。
目元を拭い、心に思い浮かべるのはランスロットや煉獄に立ち向かう仲間達。
彼らの為に成果を持ち帰らなければと、つかさは高度を落とし始めた。
中心部に何もないのなら、周囲の家屋を一つ一つ調べるべきだろうか。
『G−9にプレゼントがある』という言葉だけでは余りに曖昧だった。
しかし地上が近付くと、何もない地域について気付く事があった。
街頭がなく「大穴を空けたかのように暗闇に満ちている」。
しかし近付いてみれば当然、そこには大地がある。
大地がほのかな月明かりを反射し、夜目の利かないつかさにもその存在を捉えさせる。
だがその中で本当に「大穴を空けたかのように」――否、確かに「大穴を空けた場所」があったのだ。
定規で線を引いたかのような、十メートル四方ほどの正方形の穴。
自然に出来たものではない、人工的なものだ。
周囲を見回しながら、つかさは更に地上へ接近していく。
大穴の縁に降り立って、中を覗き込んでみるが何も見えない。
深さも分からない。
ランタンを点けても光が奥まで届かない。
つかさは生唾を飲み込んだ。
(狭間さん、ごめんなさい……)
見てくるだけ、近寄らないと、そう言った。
けれどここで引き返してしまっては彼らに何も持ち帰れない。
意を決し、ランタンを片手に再び箒に跨る。
バランスを崩さないようにしながら少しずつ、穴の中に降りていく。
「えっ……」
そしてつかさは、“それ”を発見した。
▽
ランスロットと二人の間の距離は五十メートル以上。
交戦開始以来走り詰め、更にキャンセラーによって体力を消耗したジェレミアが一つ息を吐いた。
熱くなった体に、ビルとビルの間を吹き抜ける夜風を当てて冷ましていく。
北岡に目配せして頷き合うと、北岡はビルの上へ移った。
北岡は屋上から、ジェレミアは地上からという元の陣形で、ランスロットを迎え討つ。
前傾姿勢を取るランスロット。
ランドスピナーが起動、車輪の回転で爆発的な推進力を得て発進した。
巻き上がる砂埃、足から伝わる地震の如き振動。
一直線に向かってくるランスロットを狙い、北岡がマグナバイザーを連射する。
ランスロットの左腕はブレイズルミナスを展開してその状態を維持、同時に右腕のハーケンを撃ち出した。
ハーケンは窓ガラスに飲まれ、ジェレミアの死角となる斜め後方から出現。
ジェレミアは地面に転がる形でギリギリの回避に成功するが、ランスロットが跳躍してブレイズルミナスを消し、上空から左のハーケンを放つ。
ジェレミアの手と膝がまだ地に着いた状態にある中、ハーケンが到達する。
「くっ……おおおおおお!!!」
手足の力で跳ぶ。
今まさに迫り来るハーケンに向かって、だ。
弾丸にも等しい速度のハーケン、その軌道の僅かに上。
ハーケンとジェレミアがすれ違う瞬間、ハーケンを足場にして更に前へと跳ぶ。
「はあああ!!!!」
679 :
創る名無しに見る名無し
:2013/05/12(日) 00:39:11.17 ID:CPt07XXI
680 :
創る名無しに見る名無し
:2013/05/12(日) 00:40:07.79 ID:f8Ch1cCx
ハーケンを蹴る際に角度を付け、体に回転を加える。
そして宙で刀を構え、真っ直ぐに伸びたワイヤーに向けて振り下ろした。
KMFの巨体すら支えるカーボンワイヤーが切断される。
ハーケンが地に突き刺さり、動かなくなった。
だが先端の重りを失ったまま巻き取られるワイヤーが蛇のように蠢く。
ジェレミアの腕がワイヤーで弾かれ、中空でバランスが崩れたところへ、ビルの壁面を蹴って落下地点を調節したランスロットが降ってくる。
着地するまでジェレミアに足場はなく、それでは回避が間に合わない。
――SHOOT VENT――
ジェレミアが踏み潰される寸前、北岡が巨大バズーカ砲――ギガランチャーを両腕で支えて撃つ。
ブレイズルミナスによる防御の上からでもランスロットの巨体が揺れ、落下地点がズレた。
その恩恵でジェレミアは回避に成功するものの、ランスロットの連撃は続く。
着地してすぐにランドスピナーが起動、回転する車輪によって推進力を得て蹴りを放った。
下から掬い上げるような一撃をジェレミアが避ける、今度はそれが踵落としとなって戻ってくるのをまた避ける。
踵落としでコンクリートが砕け、ジェレミアの足場が不安定になったところへ残る右のハーケンが飛来。
北岡のギガランチャーで再度ランスロットの体が傾き、ジェレミアは軌道が逸れたハーケンをかろうじて回避した。
ハーケンを一つ奪った事は大きなアドバンテージになるが、それでもランスロットの強さは健在。
北岡はギガランチャーを装備した事で火力が上がった代わりに、連射は出来なくなった。
移動速度も著しく下がり、ここまでのように動き回るのは難しいだろう。
ジェレミアにもキャンセラーによる疲労が現れ始め、次から次へと襲ってくる巨大な凶器を避けるのがやっとである。
ジェレミアは手にしていたブラフマーストラをデイパックに戻し、贄殿遮那による防御に専念する。
攻撃と回避で一進一退だった攻防は、少しずつ防戦に追い込まれていく。
だがランスロットの蹴りを回避して地面を蹴った瞬間、路地から飛び出した影がジェレミアの足に組み付いた。
転倒しないよう咄嗟に踏み出した足で踏み留まるが、速度が急激に落ちる。
足にしがみついていたのは、一度殺したはずの相手だった。
「ロロ……!?」
黒の学生服に身を包んだ栗色の髪の少年。
志々雄がさざなみの笛で蘇らせたのは一人ではなかった、そこまで考えが及んだ時にはランスロットの爪先が迫っていた。
防御しようとして構えた刀が弾かれ、手から離れる。
車よりも重く速く鋭い一撃が腹部にめり込み、そのままコンクリート製のビルの外壁との間に挟まれて潰された。
前後からの圧迫は一瞬。
ランスロットの蹴りを受けた壁は砂の城の如く容易く崩れ、ジェレミアはビルの中へ押し込まれた。
▽
北岡は大通りにいるランスロットに向けてビルの屋上から射撃していた。
ギガランチャーを抱えたままでの全力疾走、内心にあるのは焦り。
ライダーには暗視能力があり、視力も優れている。
故にジェレミアが突然何者かに襲われ、そのままランスロットの攻撃の直撃を受けたのも見えていた。
生存者が残り少ない今、横槍を入れられる者は限られている。
「まーた志々雄が余計な事をしたってわけ……!」
いい加減にしてよね、とごちようとするが、足下にハーケンを打ち込まれて跳び退る。
ジェレミアが離脱すれば狙われるのは必然的に北岡。
681 :
創る名無しに見る名無し
:2013/05/12(日) 00:40:25.02 ID:y0QrZhmN
682 :
創る名無しに見る名無し
:2013/05/12(日) 00:40:55.34 ID:CPt07XXI
683 :
創る名無しに見る名無し
:2013/05/12(日) 00:41:18.78 ID:f8Ch1cCx
屋上に刺さったままのハーケン、ワイヤーを巻き取りながらランスロットが迫ってくる。
「このっ……」
北岡はギガランチャーで迎撃するが、ランスロットは通りを挟んだ左右のビルの外壁を蹴りながら高速で移動していた。
ギガランチャーはブレイズルミナスを発生させるまでもなく回避され、見る間に接近される。
二人でも限界があるというのに、一人でランスロットを相手にするのは無理だ。
逃走が一歩遅れた北岡はギガランチャーを放棄した。
ほんの一秒前に北岡が立っていた場所にランスロットの脚部の車輪が振り下ろされる。
使い捨てられたギガランチャーが砕け、屋上全体に亀裂が走り、蹴りを受けた場所には穴が空いていた。
北岡は既に隣の建物に跳び移っていたが、背筋にぞっと悪寒が走る。
「ちょ、冗談じゃない……!」
まさか死んでないだろうなとジェレミアの安否を気に掛けるが、確認しに行く余裕はない。
それどころか今この瞬間も北岡自身が危うい。
逃げる北岡の進行方向にあった、北岡が今立っているビルよりも高い建物の壁にハーケンが打ち込まれた。
ワイヤーが巻き取られ、横へと跳んで回避した北岡をランスロットが追い抜く。
ランスロット本体に気を取られているうちにランスロットが振り返り、もう一方の手からもハーケンが射出。
近くの窓に吸い込まれたハーケンが北岡の背後の窓ガラスから飛び出し、肩口にハーケンのブレードが突き刺さった。
「ぐああ!!」
吹き飛ばされてビルから落下し、地面に叩き付けられる。
その上からランスロットが縦回転を加えながら落ちてきた。
ランスロットそれ自体の重さに加え、遠心力。
先程はジェレミアのサポートで免れたが、今ジェレミアはいない。
回避する手段は残されていなかった。
▽
ランスロットの蹴りに揺さぶられ、ビル全体が大きく揺れる。
天井や壁に罅が入った内部、そこにジェレミアは倒れていた。
ラクカジャの効果でかろうじて意識を繋ぎ留めていられたが、全身を痛みに蝕まれる。
「っ……ぐ……」
仰向けのまま瓦礫の上で呻き、血の混じった胃液を吐く。
離れた場所に転がったデイパックを手繰り寄せようと右手を伸ばすが、阻むようにロロがその手首を掴んだ。
さざなみの笛でUNDEAD化した者は物理攻撃を無効化する、故にランスロットの攻撃でも無傷だったのだ。
ジェレミアの手首を押さえ付けたまま、ロロは先程ジェレミアが手放した贄殿遮那を構える。
顔面に突き立てられようとした刃を、ジェレミアは左手で握り込んで食い止めた。
「こ、の、……っ」
しかし、手の力が抜けていく。
睨むジェレミアに対し、ロロは無表情。
殺害した際に彼が見せた激情は影もなく、そこにあるのはただの死体だった。
ジェレミアの手が震え、ロロの体重の掛かった切っ先が徐々に近付いてくる。
歯を食い縛り、軌道を逸らしてから手を離す。
贄殿遮那はジェレミアの頬を斬り裂きながら床に突き刺さった。
刀を抜こうとして動きを止めたロロに対し、ジェレミアは自由になった左手で懐の昇天石を掴み取る。
至近距離から投げ付け、ロロの周囲に石の輝きと共に現れたのは無数の護符。
ロロに纏わり付き、目に刺さる程の強く白い光が迸る。
瞬きする間に光が止まり、ロロの体が糸が切れた操り人形のように崩れ落ちた。
後に残ったのは、死体一つ。
ジェレミアは息を乱しながら、倒れ込んできた死体を押し退けた。
改めてリフュールポットを使用して立ち上がる。
684 :
創る名無しに見る名無し
:2013/05/12(日) 00:42:34.01 ID:f8Ch1cCx
御支援ありがとうございます。
危険域に入ったので、早いですが次スレに移行します。
685 :
創る名無しに見る名無し
:2013/05/12(日) 00:43:11.59 ID:CPt07XXI
686 :
創る名無しに見る名無し
:2013/05/12(日) 00:44:17.34 ID:y0QrZhmN
687 :
創る名無しに見る名無し
:2013/05/18(土) 15:56:45.16 ID:CkGKJHrp
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創る名無しに見る名無し
:2013/05/18(土) 15:57:25.69 ID:CkGKJHrp
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