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選択形式で進めるスレIN型月板part04

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選択形式で進めるスレIN型月板part04
1 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/12/14(水) 17:03:20
 ああ、けれど―――
「―――それでも、選択肢には価値がある。
 悪を成す住人でも。
 匿名掲示板に価値がなくても、今まで積み上げてきたレスには意味がある。
 いつまでも間違えたままでも―――
 その文章で何かが出来る以上、必ず、表せるものがあるだろう」
 彼方(ほし)を目指す旅のようだ。
 遠い遠い完結を目指して、長い長いスレを埋めていく。

2 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/12/14(水) 17:04:45
・書き手はトリップ必須

・選択は先に5名が選んだものに決定される

・コース/ルート、ないしはシナリオ名を併記

・書き始める人間はシナリオを占有するかリレーにするか書く
 占有中のシナリオをリレー化した場合は後戻りできない

・採決中の選択肢が存在する状態で別シナリオの選択部分を投下する場合、
 選択肢のシンボルが重ならないようにする

・選択肢でBADENDになった場合、文句は言わない

3 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/12/14(水) 17:25:29
完結作品
『ライダールート』DEAD END
ttp://yozakuranosakumatild.hp.infoseek.co.jp/select/rider/index.html

『今夜はお赤飯です』END
ttp://yozakuranosakumatild.hp.infoseek.co.jp/select/sekihan/index.html

『Fate/MaskedRider』Ture END
ttp://yozakuranosakumatild.hp.infoseek.co.jp/select/index.html

連載作品
『仮面ライダー蟹』
『月を穿つ』
『傭兵殺人貴』
『Fate for Live』
『難易度の高い月姫』
無題(静駆氏作)
『Fate/star light』
『桜の下に花の束』

選択形式で進めるスレIN型月板part03
http://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/otaku/995/1104132458/

選択形式で進めるスレIN型月板part02
http://jbbs.livedoor.jp/otaku/995/storage/1100685553.html

選択形式で進めるスレIN型月板
http://jbbs.livedoor.jp/otaku/995/storage/1094950062.html

4 名前: 心得 投稿日: 2005/12/14(水) 17:26:49
必要なものは物語を綴る書き手である。
彼は欲望をコントロールできる人間でなくてはならない。
自己顕示欲や名誉欲のない人間で、
彼は人の法よりも、スレッドの法を尊ぶ人間でなくてはならない。
いつか、そのような者にこのスレッドが出会えるだろうか?

必要なものは『選択肢を選ぶ5名以上の住人』である。
住人の選択は、物語を進める力があるからである。

必要なものは『テンプレートになるべきルール』である。
住民はルールを忘れないように、この言葉を考え作り
スレッドそのものにレスとして刻みつけておこう。

必要なものは『勇気』である。
書き手達は物語を語り終える『勇気』を持たなければならない。
綴られていく物語達は、5人の同じ選択者の意思を集めて吸収。
そこから『新しい未来』を生み出すであろう。
『生まれた未来』は次の選択肢を産む。更なる選択者の意思に沿って…
『物語』は住民を信頼し、住民は『物語』を知る。

5 名前: るー ◆Kmt4qpE2Xs 投稿日: 2005/12/14(水) 19:01:34
1さんおつですー
前回選択肢で決定したinterludeは、埋めも含めて前スレに投下しました
こちらには選択肢つきの別視点を投下します。
順番で問題が生じることはないので、どちらからでも好きにお読み下さい。

6 名前: Fate/star light 『未知との遭遇 投稿日: 2005/12/14(水) 19:03:10

トンテンテントントンカンカンカンカンカン……


トンカントンカントンテンテンテンテンカンカンカン……


カンカンテントントンカンカンテンテンカントントンカン……


「ああああああああああああああっっっ!なんで僕がこんなことしなくちゃならないんだよっ!」

そう叫んで、ボクは持っていたトンカチを絨毯の床に投げつけた。
作業のせいで真冬というのに汗ばむ額をぬぐって、自慢のウェービーな髪をかきあげる。

「それもライダー!お前がちゃんと召喚されないからじゃないか、この役立たず!」

同じようにツナギを着て壁の補修をしていたライダーが、ボクの方に向き直った。

「……悪かったよ……でもそんなに言わなくてもいいじゃないか。
 こっちだってタイムトラベルした瞬間、自由落下するデロリアンの前に地面が現れて
 とっさに浮遊させて横方向にハンドルを切るのが精一杯だったんだ」

「だからって何もボクの部屋の方にハンドルを切ることはないだろ!
 仮にもサーヴァントならもっと何か方法が……」

そう言って、自分が間抜けにも鼻をたらしていることに気づいた。寒い。寒すぎる。
星空が見える部屋はステキだが、寒空が見える部屋はゾッとしない。
前者は女の子がよろこんでやってくるだろうが、後者は女の子を呼んでも何もできないまま帰られるだろう。
今のボクの部屋は、後者だ。この馬鹿サーヴァントが召喚されると共に
中庭とボクの部屋の間に、車一台分の縦にドデかい風穴をブチ開けたせいで。

「あの……兄さん、マーティさん、コーヒーが入りました」

ノックもおざなりに、桜がコーヒーの二つ乗った盆を持って部屋に入ってきた。

「お、ありがとうサクラちゃん。この部屋、寒くてさ〜助かったよ」

そう言ってライダーがコーヒーを桜から受け取った。

「誰が穴を開けたと思ってるんだよ!それと桜!
 ライダーの真名を軽々しく口にするなって何度も言ってるだろ、マキリの魔術師としての自覚がないのか!?」

「まぁまぁそう怒るなよ慎二。
 それに僕のマスターは本当はサクラちゃんで、僕がそのサクラちゃんに名前で呼ぶように頼んだんだからいいじゃない」

そう言ってライダーはコーヒーを美味そうに啜って、桜の方に親指を立てた。
桜は桜で、それに嬉しそうに親指を立て返してみたりしていた。

「なんでそんなお気楽なんだよ!戦争だぞ?聖杯戦争なんだぞ!?
 そりゃあお前みたいな無名なサーヴァントだったら真名を知られても対して問題が……」

また風が吹いた。また鼻がたれた。少し泣きたくなった。

……実は、こんなテンションもここ最近は珍しくなかったりする。
あれは、雪がちらつく四日前の寒い晩のことだった。
お爺様が桜を連れて蟲蔵に行ったので、ボクはいつものように暇だった。
それは聖杯戦争が近づいた夜のことだったので、ひょっとしたらサーヴァントの召喚かな、と思いもしたが
(お爺様はそういったことを何一つ教えてはくれなかったが、ボクは血の滲むような独学で掴んでいた)ボクはついて行かなかった。

小さい頃、あの趣味の悪いチンコ蟲
(こんなコトはお爺様の前では勿論、魔術師としての自分の意識の表層にも出せはしないが、あれは実際問題、問答無用でキモチワルイ)
に陵辱される桜を見て以来、呼ばれたとき以外は二人がいる蟲蔵にはできるだけ近づかないようにしていた。
桜が陵辱されるのを見るのがイヤだったのではない。自分ではなく、桜が主役なのが気に入らなかったのだ。

7 名前: Fate/star light 『未知との遭遇 投稿日: 2005/12/14(水) 19:04:18

いつものことなのに、毎回まるで処女のように泣き叫ぶ桜の声を聞くのも
その後段々と変わっていく嬌声を聞くのもまっぴら御免だったので
ボクはヘッドフォンをつけて、パソコンでゲームをし始めた。
段々と盛り上がってきたので、当然のようにティッシュを用意してズボンを下ろした。
地下で自分の妹が泣き叫んでいるかもしれないのにコイツは……と、思うヤツは一度間桐慎二に生まれかわってみたらいい。
人は何にだって慣れてしまうものなのだ。
キモチワルイと思ってはいても、吐き気を噛み殺して、ボクは蟲の腐臭の中で晩飯を取れる。慣れというのはそういうものだ。

だが、その後に起こった出来事は、ボクが慣れていない類の衝撃だった。
オナニーをするときの男は、例外なくCIAのエージェントより注意深くなる。
ボクはぬかりなく部屋の鍵を閉め、声の音量を男女キャラ別に細かく調節し、ヘッドフォンから音漏れがないか確認し
カーテンを閉め、ティッシュの残量を確認し、果たしてズボンを下ろして真摯に、そして紳士に画面に向き直った。

その直後、轟音と共に未来チックな自動車が、中庭に面する壁をブチ破って、縦向きにボクの部屋に突っ込んできた。

ボクはきっかり三秒動きを停止し、その後椅子から跳ね上がり、五歩ほどピヨピヨ歩きをしたところで
まずズボンをあげるべきだということに気づいた。

自動車はあろうことか、縦になったままバックすると空中に浮遊し、中庭に軟着陸した。
すると白い煙と共に開いたその車のガルウイングから、パイロットのようなゴーグルをした一人の男が抜け出してきた。
ゴーグルを外すその男は、袖がないオレンジ色のジャケットに、色あせたジーンズを履きこなしている――むしろ、青年か。
縦に開いた穴からそれを見ているボクに、その青年は照れくさそうに手を振ってきた。思わず振り返す。

廊下からドタバタと音がして、お爺様と桜が鍵のかかったドアを魔術でブチ壊してボクの部屋に駆け込んできた。
同じように、車から出てきた男が縦穴からボクの部屋に入ってきた。

「……お主が……サーヴァント……かの?」

お爺様が最初にそう声を発し、車から出てきた青年に問いかける。

「ええっと……多分、そうなります。どちらがマスター……さん、で……」

そう言って踏み出した青年が、何かのコードを踏んづけた。
そのコードはヘッドフォンのもので、つまりヘッドフォンの端子が引っ張られてPCから抜けたわけで
それで漏れた音というか、声というかが漏れたわけで、それで出てきた青年が言葉を止めたわけで……

三者三様にパソコンの方を向いた。ボクは遠い目をして部屋の隅を見つめた。

それから丸二日、桜とライダーはおろか、お爺様までボクのことを「お兄ちゃん」と呼んでくれた。

8 名前: Fate/star light 『未知との遭遇 投稿日: 2005/12/14(水) 19:05:45

こんな風な事件があり、ボクはそれからの四日間を、仕方なく今日まで客間で寝起きをした。
その間に偽臣の書によってボクにライダーの命令権が移ったのだが、それよりも重要なことがいくつかあった。

まず、ライダーはビックリするほどサーヴァントとして役立たずだった。
ボクの部屋に風穴を開けた宝具の使用と、玩具のような宙に浮く板を使って、ライダー補正で幾分か素早く動く以外は
普通の人間とさほど変わらず、それどころか術者からの魔力供給に全く頼っていなかった。
ようするに、宝具付きのちょっと素早い只の人間だったのだ。まぁその宝具は、ある意味規格外と呼べるものなのだが。
なので偽臣の書もたいした効力はなく、あくまで契約書のような形だけのものだった。

無論、お爺様はそれを良しとはしなかった。
かくなる上は、と自分でサーヴァントをもう一体召喚し、かなり強力なのを引き当てた。
ソイツを連れて――ボクはソイツを見ていない――毎夜敵マスターを探して、夜の町を彷徨い歩いている。
近頃巷間で騒がれているチェーンソー連続殺人鬼とは別らしいが、一度だけ昼に顔を合わせたお爺様の言からすると
どうやらあれもサーヴァントらしい。
何度か接触したが、お爺様のサーヴァントであるアーチャーとは相性が悪く、ひとまずは放っておくようだ。
とはいえ一昨日の夜、二組の敵マスターを脱落させ、うち一人を生け捕りにしたというのだから、やはりそこはお爺様という他ない。
蟲蔵一つとっても血族ながら外法と言わざるを得ないが、あれは優秀な魔術師だ。それも、この上なく。

というわけで、夜もすがら敵を探し歩き、吸血鬼のように昼に伏せるお爺様はボク達とめったに顔を合わせなくなった。
それだけでなく、役立たずのサーヴァントを呼び出した桜に愛想をつかせていて
桜に仕掛けていた何がしかの蟲も、昨日のうちに、魔力を奪う少量の刻印蟲を除いて、全て取り払ってしまったらしい。
蟲を取り除いた理由はそれだけでなく、どうやら一昨日生け捕りにしたマスターによって、桜の必要性が無くなったとかなんとかで
「こうなったからにはもはや保険は不要。お主に命を預けるより、我がサーヴァントと共に在った方がより確実よ」
とは桜からまた聞いたお爺様の言だが、そのせいか桜は今日パワフルだ。

桜は朝からホームセンターで買ってきた木材と日曜大工品を渡して
ボクとライダーに部屋の(聖杯戦争が終わって、業者が呼べるようになるまでの)ひとまずの補修をするよう促した。
面倒くさいと言うと、無言で客間の寝具を片付けられた。
そしてニコッと「頑張ってね、お兄ちゃん♪」と言った。
本気で犯してやろうかと思ったが、ほんの少しづつ本来の魔力が戻りつつあるらしく
微かとはいえ、確かな魔力(なんとなく感じられる)に後押しされる、えもいわれぬ圧力と
ちょっとした感傷に、ボクはとりあえず引き下がった。

ボクは桜が嫌いだ。憎んですらいる。
目の前に『桜殺してその分の魔術回路がもらえますよボタン』があったら迷わず押す。
ボクはボクの存在価値を、相対的だろうと絶対的だろうと少しでも薄めるものの存在を、全くよしとするつもりはない。
でもまぁ、そのときの開放されたかのような桜の笑顔は、その笑顔を汚し、犯すことに『慣れた』ボクからしても
もう少し長く続かせてやってもいいんじゃないかな、と思えるものだった。それだけだ。


「……だからってこんな作業黙々とやれるわけないだろっ!このボクが!」

コーヒーを啜る桜とライダーの横で、ボクは立ち上がってそう叫んだ。
ってあれ桜、コーヒー二つだったよね?それボクの?

「くそっくそくそくそくそくそくそっ!もう決めたぞ、こうなったら――」




1・衛宮だ!あのブラウニーなら、この日曜大工を手早く完璧に終わらせるに違いない。

2・散歩に行こう!……一人で。

3・自分の分のコーヒー淹れてきます。

9 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/12/14(水) 19:12:16
1 餅は餅屋

ヘッドフォン…慎二、お前は泣いてイイッ!

10 名前: 花の人 ◆HANAQYRzXI 投稿日: 2005/12/14(水) 19:13:25
何この超絶愉快な間桐家。
あえて危険に瀕して選択肢は2で。俺もそろそろ続き書こう。

11 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/12/14(水) 19:14:27
3しかねえよ!それにしてもイリヤの安否が不安じゃのう。

12 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/12/14(水) 19:14:39
1で 

ヘッドフォンのコードはきちんと纏めておこうぜ!

13 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/12/14(水) 19:15:16
ぜひ1で。

つか、公式だとモテてる設定なのに、なんでこんなに
エロゲやってる姿が違和感無いんだよ慎ちゃん(ノ∀`)

14 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/12/14(水) 19:15:17
選択肢まで泣ける
クオリティ高いな
1で

15 名前: 静駆 ◆EWxNN5VMR6 投稿日: 2005/12/14(水) 19:31:25
γでいいのか誰か答えてくれ、自信が持てん。
('A`)そういや名前つけてなかった。    ……どうしよう。

投票は1で。 ぶらうにーぶらうにー。



…あーもー、2次試験の結果まだかなぁ…

16 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/12/14(水) 19:34:29
>>15
γでOKだ

17 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/12/14(水) 19:56:01
1

18 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/12/14(水) 20:10:41
1で決定か
ライダーは戦闘機乗りかなーとか考えてたんだが
バックトゥザフューチャーで来るとは……
ホント今後が楽しみだww

19 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/12/14(水) 22:15:25
1
ブラウニー・ブラウニー・皆のブラウニー!
トップガンかよぅっ!

20 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/12/14(水) 23:00:44
なんかこの間桐家だと爺も
がんばれ!がんばるんじゃ桜!これを乗り越えたら衛宮ん所の小僧だっていちころじゃ!(色々な意味で)
とか脇で応援してそうだ

21 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/12/17(土) 21:28:43
そういやアナキンもブラウニーだったな
スピード狂だし共闘関係になったらデロリアンを魔改造しそうな予感

22 名前: Fate/star light『ファイト・シンジ・ファイト』 投稿日: 2005/12/18(日) 00:51:04

■interlude

私のおじいさんがくれた初めてのサーヴァント。

それはライダーで、本当は桜のものでした。

その実力はどう考えても最弱で

こんな特別なサーヴァントを与えられるのは

特別な僕にはありえないと感じました。

今では衛宮が特別なマスター。

後ろにいるサーヴァントの、赤く濁る目に光るのはもちろん殺意。

           ――ブゥン――

何故なら彼はどうみてもセイバーだからです。本当にありがとうございました。

■interlude out



「いいか衛宮、ちょっと頼みがあるからウチに来てくれよ」

慎二からそんな電話がかかってきたのは、セイバーとの午前の剣の稽古をちょうど終えた、昼のことだった。

セイバーを召喚し、冬木の教会に行ったのが一昨日の夕暮れのことだ。
昨日一日は、ほとんどセイバーとの話し合いでつぶれてしまった。
セイバーの真名とその戦闘スタイルを含めた上での、戦闘時の打ち合わせなど、話すことは多かったが
何より一番の焦点となったのは、俺の目的についてだった。

『全ての人を守る、正義の味方になる』

その目的――と言うより、夢というべきか?――を最初に口にしたとき、セイバーは今にも俺を斬り殺しそうな目で睨んできた。
まるで、そのような存在を一切許しはしない、とでも言うように。
だが、何故そのような夢を抱くにいたったか、という局面に話が及ぶと、セイバーは神妙な顔つきになり
やがて蔑むような哀れむような――嘲るような、そんな態度をとるようになった。

俺としては勿論、自分自身の全てと言ってもいいその夢にそんな反応をされるのは面白くなく、セイバーに食って掛かり
ならばお前はどのような人生を歩み、どのような夢を抱いたのか、と問い返した。
しかしそうするとセイバーは

「それを聞いてしまえば、お前は僕との契約を破棄しようとするだろう。今すぐそうなるわけにはいかない。
 どの道、サーヴァントの過去はマスターの夢見に現れる。事実そのものを見て、そしてマスター、お前が決めればいい」

と言って、頑として話そうとはしなかった。

初めてセイバーと出会った夜、教会から帰ってきた夜は、夢を見ることはなかった。
昨日の夜はセイバーとの初稽古や作戦会議をして、サーヴァントとマスターとしてのつながりが強くなったせいか、その夢を見た。

――――それは、長い夢。遠い昔、遥か彼方の銀河系を、駆け抜け、戦い続けた一人の男の生涯。その序幕だった。

奴隷として生を受けた少年は、しかし心優しき母の愛を一身に受けたくましく育つ。
やがてその天賦の才を認める師と出会い、自分を誰よりも強く愛した母の下を離れ、騎士として己が身を磨くことを選ぶ。
だが導き手であるはずの緑の騎士は紅い凶刃に倒れ、少年はその凶刃を打ち負かした蒼い騎士の下で修行をつむこととなる。
少年はその蒼い騎士を、見たことのない父と重ね、かけがえのない友とし、この上ない師と敬い、自らも蒼とする。
少年が選んだ、その蒼い星の輝きが――

――太陽の光と重なって、俺は目を覚ました。

23 名前: Fate/star light『ファイト・シンジ・ファイト』 投稿日: 2005/12/18(日) 00:52:16

セイバーとの話し合いの結果、急を要することがないのなら、打って出ることはせずともよいという結論にいたった。
俺としてはニュースにまで取り上げられるほどの騒ぎとなっている、連続殺人鬼と化したバーサーカーを追いたかったが
それよりも

「お前がその志をどうしても貫きたいと言うのなら、従ってもいい。
 ただそれなら、せめて必要最低限の戦闘における足手纏いになってくれるな。
 自分で満足に戦うこともできないのに、人任せでバーサーカーを追うのが、お前の正義か」

というセイバーの言葉のが俺に突き刺さり――重く、のしかかった。
冬木の管理者である遠坂も、バーサーカーを追っていると話していたこともあり、まず俺に必要なのは自身の鍛錬であるようだった。
そのためにと、セイバーに稽古をしてもらっていたそのとき、慎二から電話がかかってきた。

「……一体どういう風の吹き回しなんだ?慎二が俺を家に呼ぶなんて、久しぶりじゃないか」

「あ、ああ……ホラ、桜が普段世話になってるじゃんか。
 ここ二、三日はそっちに行かせてないけど、お前が来たら桜も喜びそうだし茶ぐらい出させるからさ」

電話の向こうに、慎二のあのなんともいえない笑顔が見えるようだ。
長い付き合いの経験上、こういうときは十中八九何かしらの面倒ごとを頼まれると相場が決まっている。
だが、桜とここ数日会っていないのも確かだ。
藤ねえには、昨日のうちにセイバーを親父の旧知の外国人として引き合わせ、学校を数日休むことを許可させたが
桜とは、桜本人から数日前に電話で、しばらくは俺の家に来れない、との連絡を受けてから、そのままだ。
そのときはそれほど気にとめず、むしろこうなった今としては好都合とすら言えたが、改めて考えると気に――――

「なんだよ衛宮。ボクがせっかく誘ってやってるのに、来るのイヤなのか?
 それともボクの誘い以上に優先すべき約束があるとでも?」

少し考えていると、慎二の声がすぐさま苛立たしげに変わった。
自分から誘っておいて、こちらが返事をしぶるとすぐにへそを曲げるのだ。
ああ――――そうだ、慎二は、俺の友人は、こういうヤツだった。

「……なんだよくすくす笑うなよ。気持ち悪いな」

思わず漏れた笑みを受話器が敏感に拾ったらしく、慎二がますます嫌がる。
しかしその声の端には、俺と同じように、冷えていたお互いの旧交が温まりつつあるのを感じている節があった。

「分かった。行くよ――――歩けば大体45分くらいだから、一時頃につくと思う。
 昼飯は、食わないでいった方がいいか?」

「そうだな、桜に何か作らせるよ」

「ああ、そうだ――今俺の家にお客さんが来てるから、その人も連れて行きたいんだけど、いいか?」

「全くあつかましいヤツだな……そうなると、昼飯は五人前だな」

「悪い。でもそうなると食材があるかどうか微妙だな……ってなんで五人なのさ?」

「ああ、ウチにも一人客が来ててね。そう問題はないと思うよ」

「そうか……じゃあ食材を揃えて下拵えをしといてくれたら、料理は手伝う」

「そういえば桜に料理教えたのは、衛宮だったな。本当に料理できるのか?」

「任せとけ。じゃあ一時頃に」

「分かった、じゃあね」

ガチャッ、ツーツーツー。

うん、男同時の電話というのは無駄がなく、簡潔で非常に良い。
なんだか肝心な情報を交わし損ねて、いらぬフラグを立てたような気もするが……

24 名前: Fate/star light『ファイト・シンジ・ファイト』 投稿日: 2005/12/18(日) 00:53:05

■


「桜、今から衛宮が来るから昼食を作れ。そうだな、シチューなんかいいな。五人前でいいぞ」

ボクがそう言うと、桜は顔色を変えて抗議した。

「にっ、兄さん!なんでこの時期に先輩を家に呼ぶんですか!?
 もし先輩が巻き込まれでもしたら――――」

「ウルサイな」

ボクはそう言うと、本気で桜を睨んだ。

「ボクがそうしろって言ったら、そうするんだ。
 いいか、さっきまでは多めに見てやってたけど、調子にのるなよ!大体お前なんかがこの家に――」

「慎二」

そこまで言ったところで、ライダーがぽつりとボクの名を呼んだ。
その体は桜をかばうようにボクと桜の間に割って入り、その目はボクを強く睨んでいる。
しかし、そのライダーの肩に手をかけて桜はあきらめの混じる声で言った。

「分かりました。シチューですね?食材がありませんから、商店街に買いに行ってきます。
 一時間ほどで済むと思いますけど、もしその間に先輩がきたら、待ってもらってて下さい」

「はっ、初めっからそうしてればいいんだよ!いちいち口答えするな!」

「はい……すいません、兄さん」

桜はそう言うと、さっと立って部屋を出ていった。
ライダーがボクの横をすり抜けて、桜についていく。

二人が出て行ってからも、ボクは隙間風が入るボクの部屋の真ん中に、一人でつったって――――

「糞ッ」

黒く薄い水溜りの出来た、二つのカップを見つめて、悪態をついた。


■


しかし、悪態をつけるだけまだマシだったのかもしれないと、今は思う。
衛宮が連れて来た客と言うのは、恐ろしく目つきの悪い男で、しかもその目は濁った血のような色をしていた。
それだけでさえ、関わりあいたくないタイプの人種であるというのに、その男が邸宅に玄関から入るなり
パチンッとはじけるような音が家中に響き――蟲が、いたるところから現れ始めた。
戸惑うボク、目を見開く衛宮、好戦的な笑みを浮かべるその男の、三人が立つ玄関に――
アーチャーを伴ったお爺様が、現れたのだから。

25 名前: Fate/star light『ファイト・シンジ・ファイト』 投稿日: 2005/12/18(日) 00:53:58

■


「ほう……衛宮の子倅がマスターとは、な。
 このマキリの館へと攻め込むとは、よほどの自信があるようじゃな……そこの慎二は、人質のつもりかの?」

小柄な老人が――否、老魔術師が、こちらへと眼光を光らせる。
それだけで俺は、足場が柔らかくなるような感覚を覚えた。

しかし、後ろにいる男の威圧感はそれ以上だ。
黒い皮ジャケットを着込んだその男は、セイバー以上の背丈と筋肉質な体格で、こちらを睨んでいる。
しかしその目は、なにやら生物的なものを一切感じさせない。
それは人間離れした――英霊だからこその眼ではない――――無機質。そう、機械のような眼なのだ。

「違う。俺は慎二から呼ばれたから来ただけだ。戦うつもりなんて、ない」

声をふりしぼるようにしてそう言った。
すると臓硯の眼光は次に慎二を射抜いた。

「……そうなのかの」

「そ、そう……だっ……だけど、衛宮が、ま、まさかマスターだったなんて……」

慎二の声はひきつるように震えている。
突然のこの事態に対する驚き、それ以上に、この場にいる異形――セイバー、皮ジャケットの男、臓硯
その三人全員に睨まれているとなれば、当然だろう。

「そういうことだ。俺も慎二の家にサーヴァントがいるとは思わなかったし
 戦うつもりで来たわけじゃなければ、これから戦うつもりもない。セイバー、剣をしまえ」

その声に応えてセイバーはひとまず光刃を消したが、視線はそのまま戦況全体を見渡すように抜かりなく動き
その手もまた、いつでも光刃を出して戦闘態勢に入れるようになっている。

「呵々……そうは言っても、臨戦態勢といったところじゃがの……
 ここはマキリの地。このまま戦ってもよいが……それ、そこの出来損ないでも、一応可愛い孫なのでな」

ヒッ、としゃくりあげて彼我の間に立つ慎二が動こうとする――それを

「動くな」

セイバーが止めた。
ただその一言の中に「動けば斬る」という確実な殺意が聞き取れる声色だった。

「セイバー!もし慎二に手を……」

「忘れたか。これは戦争だ。死にたくないのなら、甘さを捨てろ。心を鉄にしろ。
 どの道、そこの小僧を斬れば、その瞬間お前は無数の蟲とあのサーヴァントに襲われる」

「呵呵呵呵……マスターは半人前でも、そこは最優のサーヴァントと言ったところじゃな。
 さて、どうしたものか……」

状況が膠着した。誰も、何一つ言葉を発さず、身じろぎもしない。
聞こえるのはこの場にいる二人の人間――俺と、慎二の二人の息だけだった。
慎二の息はチアノーゼを起こしているのではないかと思うほど荒いが
俺はといえば、自分の心臓の音が痛くなるほど高鳴るのを感じている。
それが数瞬だったのか、あるいは数秒、数分、果ては数刻にも感じられたが――
沈黙を破ったのは、思い切り良く開かれた玄関のドアだった。

誰も。何も言わない。
変化は、変化自身も何も言わず――ただ、俺の前に両手を広げて、守るように立っていた。

「……桜……っ」

「先輩は……」

桜は俺に背を向けたまま、俺が今までに聞いた幾つもの桜の言葉の中で、最もはっきりと、強く、言った。

「先輩は――殺させません」

26 名前: Fate/star light『ファイト・シンジ・ファイト』 投稿日: 2005/12/18(日) 00:55:17

■


ドアを開けて駆け入ってきたのは、桜だった。

そのあまりの空気の読めない行動に、ボクは桜を殴り倒したくなる。
しかし、声を出そうとしても漏れるのはひぃっと言う音だけで何も言えず
まして足を、体全体を動かすことは全くできない。自分の周りだけ、空気ではない粘度の高い気体が集まっているようだった。

情けない。情けない情けない情けない情けない情けない情けない情けない……っっ!

違う。こんなのは、こんな情けない男は間桐慎二じゃない。

ボクなら、本当のボクなら、もっと、もっと――――

「なぁ、慎二」

桜と共に玄関に入ってきていたライダーがそう言った。
その声は、緊迫したこの空気の中でひときわ落ち着いていて――――
いや、落ち着いているというより、この空気をどこか馬鹿らしいと思っているような、そんな言い方だった。

「この状況、どうにかするとしたら、まず、キミなんじゃない?」

その言葉で、自分のどこかから少しだけ活力がやってくる。
そう――ボクは、間桐慎二は、いつだって自信に溢れ、誰よりも――

「ウルサイな」

もう少し。ボクは「大人しくしてようぜ」という体全体に働きかけて、無理矢理それを動かす。

「そんなこと――そんなこと、お前なんかに言われなくたって分かってるんだよ。
 ちょっと考えてただけさ――――もう、決めてある」

ボクは――――



1・マキリに殉じる

2・衛宮に寝返る

3・マキリと衛宮の共闘を申し出る

27 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/12/18(日) 00:55:56
3

28 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/12/18(日) 01:18:20
2!

29 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/12/18(日) 01:18:26
ここは2で

30 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/12/18(日) 01:58:57
ちょw慎二ワロスwww
とりあえず3に一票。

31 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/12/18(日) 02:01:28
3でいってみよう

32 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/12/18(日) 02:13:41
2!

33 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/12/18(日) 03:04:46
せっかくだから2

34 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/12/18(日) 03:12:00
2

35 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/12/18(日) 10:51:21
3とか面白そうだったんだが
桜の蟲はフォースでなんとかなるのかー!?

36 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/12/18(日) 11:02:59
フォースならやってくれる。

37 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/12/18(日) 11:23:43
ヨーダのおじーちゃんの言うには 万物全てにフォースは宿るからなぁ…
過去も未来も見えちゃうし本当にジェダイは魔法使いだな

38 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/12/18(日) 11:24:34
よりによって2に決定かw
ワカメが爺を裏切る日が来るとは・・・w

39 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/12/18(日) 11:36:57
いざとなればデロリアンで

40 名前: るー ◆Kmt4qpE2Xs 投稿日: 2005/12/18(日) 16:11:27
前スレ埋まりましたねー
というかよく見たらデロリアン起動回数三回制限って……
fate世界に来る→なんかの用途に使う→そこから帰ってくる……あれ?
これじゃマーティが元の世界に帰れないOTZ
――四回だったことに(´・ω・`)

41 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/12/18(日) 16:19:00
まあ肝心のフォースの使い手がアレだし素敵なカタルシスがまってそうだな

42 名前: 静駆 ◆EWxNN5VMR6 投稿日: 2005/12/18(日) 19:07:56
('A`)確かに“大規模時間移動”で過去なり未来なりに飛んじまうと戻って来れないね。
場所移動なら帰りは普通にデロリアン走らせれば良さそうだが。

…令呪使えばなんとかなるんじゃまいか。

4回に修正するかしないかは書き手の技量ですな…



―――就職決まったゼ。 落ち着いたら槍夢の続き書くね。

43 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/12/18(日) 19:21:14
やらかした場合のリセット用じゃないのか

44 名前: るー ◆Kmt4qpE2Xs 投稿日: 2005/12/18(日) 20:36:21
いやーもともと、展開に使用すると決めてあった(その通り行くかどうかは別として)ので
単に数を間違えた書き損じみたいなもんです。
深く考えず、四回だったことにしといてください(´・ω・`)

45 名前: Fate/star light『羊達の沈黙』 投稿日: 2005/12/20(火) 04:34:17

「ボクは――――」

その言葉に、場の全員に緊張が走った。
これから発されるボクの言葉で、この膠着状況の先行きが決まるのだ。
そう思うと、場違いな感情とは分かっていても、なにやら気分がいい。
ボクは両手を上げて、お爺様から――――マキリに背を向けて、衛宮の方へとゆっくり歩いていった。

「ボクは、投降する。煮るなり焼くなり好きにすれば?」

思わず笑みがこぼれる。これでいい。これが最も冴えたやり方だ。
マキリにつこうと思えば、まず間違いなくセイバーに斬り殺される。
かと言ってマキリと衛宮の共闘を申し出たところで、お爺様にはそれを受けるメリットが薄い。
ボクが生き残るには、これしかない。むしろ、この方法が一番いい――――
何故なら、一度仲間についてしまえば――衛宮に、ボクは殺せない。

マキリと衛宮、その中ほどまで歩くとセイバーが僕の肩へと手をかけた。そのまま力任せに衛宮の方へとボクを押し飛ばす。
それを、お爺様とそのサーヴァントは何も言わず見つめていた。

「に――兄さんっ?」

セイバーに押しやられるようにしてよろけたボクへ、桜がかけよってくる。
それもそうだろう。状況とボクの立場を考慮に入れず、ボクの行動だけを客観的に見たならば
これはボクがする行動とは考えにくい――もっとも、よく考えれば
ボクがこうする理由も見えてくるのだろうが、あわてる桜にはそれが見えない。
だが駆け寄ろうとした桜本人が――その場に、崩れ落ちた。

「愚かな……愚かな孫よ。二人ともな。
 蟲を移そうとしたときは、半ば情に流されているのではないか、と自分を疑いもしたが……
 こうして見れば、好判断といったところだったの。
 どれ、これで最後よ。残っている全ての刻印蟲で、魔力を頂いておこうかのう……」

「臓硯ッ!」

衛宮が歯を食いしばるような形相で、お爺様を睨んでいる。
セイバーは衛宮のその怒りに呼応するように、紅い光刃を現出させた。

「その大部分をワシに移しておいた故、命までは脅かせんが……魔術師としては再起不能だろうて。
 ライダーに影響がないのが残念じゃが……」

ちらりと一瞥されたライダーがお爺様を睨み返す。
しかし、その身に戦闘能力はなきに等しい。
中庭に置かれたデロリアンも、オートパイロットで来れるのは玄関前までだろう。
この邸内での攻防には助勢できない。

桜が数十年に渡り蓄え続けた魔力を吸収したお爺様の、その強大な魔力を糧とする蟲達が館の暗がりから無数に湧き出した。
同様にアーチャーが、杖を持つお爺様の前に立ち――その両手に、銃器を取り出す。

「桜、慎二――――逃げるぞ!」

衛宮が戦闘開始となるその叫びを上げた。
同時にセイバーがその身にたぎる――これは魔力だろうか――
得体の知れぬエネルギーを体全体、主に手先から放出して、紫の電光を空間全体に放った。
タイミングからして、レイラインによる連絡で合図をしたというところだろう。
ボク、桜、桜をかつぐライダー、衛宮の四人が館の外へと逃げ出すルートを除いて、その紫電は嵐のように荒れ狂った。
蟲がピギィッとでもいうような断末魔を上げ、腐臭の混じる肉のこげる匂いが鼻腔をつく。

ボクら四人はそれら全てに背を向けて、一目散に館から走り抜けた。
背後から銃声が聞こえる。おそらくアーチャーが発砲したのだろう。
庭先へとかけぬけたところで、四人共に倒れこみ、ようやく館へと向きなおる。
見慣れたはずの我が家は、いまや敵地の居城そのものとなり――
いつも以上に、その、黒い雲をまとっているかのような不気味さを増していた。

46 名前: Fate/star light『羊達の沈黙』 投稿日: 2005/12/20(火) 04:35:33

■


皮ジャケットの男が、その両腕をまっすぐ伸ばすようにして、持っているショットガンをこちらに向け、撃った。
飛び道具からして、アーチャーだろうか――そのようなおおまかな判断が、通用するとは限らないが。
眼前ではじけるようにして散らばる弾丸を、避け、ライトセイバーで斬り溶かし、フォースで止め、全て無力化する。
アーチャーはそれにひるまず幾度も引き金を引くが、その全てを同じように打ち落とす。
ブラスターの弾幕を退けるこの身に、この世界の弾丸などそれほどの脅威にはなり得ない。
そうしてマスターと他の三人が館から抜け出したのを確認すると、荒れ狂う『フォースの嵐』(フォースライトニング)を止めた。

「その剣、その膨大なエネルギー……お主は、本当にセイバーかの?」

老魔術師がこちらへと語りかける。

「答える必要はないな」

片手を突き出し、その老人へ向け、握りつぶすように手を閉じる。
フォース・グリップ――――空気中のフォースを凝固させ、その首を絞めるが
素手でも折れてしまいそうな、老人の枯れ木のような首はビクともしない。

「呵呵……首を絞めたぐらいでは、ワシは殺せんよ。さて……続けるかの?」

「悪くないが――この場で続けるほど、僕は馬鹿じゃないな」

四人が逃げ出したのなら、相手の魔術師の邸宅で戦いを続ける必要はどこにもない。
玄関前で、この蟲の大群なのだ。戦いを受け、館の奥へと立ち入ったのなら――――

「呵呵呵呵……!なるほど、なるほどな。お主が優秀なサーヴァントということは、よう分かったわ」

マキリ臓硯は、その和服の裾を翻すようにして、館の奥へ――光の届かぬ暗がりへと下がっていく。

「また、そう遠からぬうちに会うだろうて――――どうしても決着をつけると言うなら、いつでも来るがよい」

付き従うようにアーチャーも暗がりへと進む。
終始無言のその男は、まだ実力のいかほども見せていないのだろう――――。

かける言葉など、存在しない。
僕はライトセイバーをしまい、蟲の死骸を踏みつけて館を後にした。

47 名前: Fate/star light『羊達の沈黙』 投稿日: 2005/12/20(火) 04:36:33

■


五人全員が、オートパイロットで中庭から玄関へと回されたライダーの宝具『デロリアン』に乗り込んだ。

お爺様の言った通り――いや、ひとまずは寝返ったのだ。「臓硯」で構わないだろう。
もっとも、衛宮か臓硯お爺様、そのどちらかが死んだときこそ、僕は「マキリ」に立ち戻ることとなるわけだが。

ともかく、臓硯爺さんが口にしたように、桜の体が蝕まれている度合いはそれほど酷くないはずだ。
とは言え長年その体を蝕んだ蟲の暴走による痛みは、やはり地獄のものであるようで、息も絶え絶えである。
ボクは爺さんの言葉だけではなく、ここ最近の爺さんの様子からして、桜の命に別状はないと判断していたが
そのまま放っておけば、流石に危ないかもしれない。

しかし、マキリから譲られた刻印そのものでもある刻印蟲の大部分を取り除かれ
加えてさきほどの操作によって、その残りが魔力を吸い取られ死滅したとなると、もはや魔術師としては再起不能だろう。

衛宮は苦しむ桜に唇を噛みしめ、ライダーは桜を沈痛な面持ちで見つめながらも、決まらぬ行き先にハンドルを遊ばせている。
セイバーは――――コイツは、何を考えているか分からない。
あの状況で臓硯の爺さんとアーチャーのコンビを一時的にとは言え退け、ボク達四人を逃がさせたのは並大抵の実力ではない。
肝心の剣さばきの方は見れなかったが、あの紫電とその実績だけでその強さは十分に分かる。
どうやら衛宮と袂を分かつのは、コイツが死んでからになりそうだ。要注意のサーヴァントであることは間違いない。

オロオロしている衛宮とライダーはもちろん、桜にも行き先は決められないだろうし
セイバーは必要がなければ、このまま何年でもだんまりを決め込みそうですらある。
やはりリーダーとしてこの烏合の衆を束ねるのは、優れたボクの役割だろう――――!



1・教会に行って、桜をどうにかしてもらえないか頼んでみよう。

2・遠坂も巻き込んでしまえば、ボクはますます安全なはずだ。

3・桜は大丈夫だろ。衛宮ン家行こう衛宮ン家。

48 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/12/20(火) 05:21:40
1で程好い緊張を

49 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/12/20(火) 05:33:08
3かな

50 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/12/20(火) 05:42:30
1かな

51 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/12/20(火) 05:56:26
3!

52 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/12/20(火) 09:28:11
2、2!ぜんぜん安全じゃない2!w

53 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/12/20(火) 09:43:49
3
衛宮ン家行こうぜ衛宮ン家

54 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/12/20(火) 10:11:49
2にしたいけど……あえて1!

55 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/12/20(火) 10:14:13
2
遠坂にオラオラされる慎二タン(;´д`)ハァハァ

56 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/12/20(火) 10:15:08
2〜

57 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/12/20(火) 10:18:43
何も考えない愚者(しんじ)ならば当然2だよな?

58 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/12/20(火) 10:22:26
3

59 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/12/20(火) 11:09:31
3!
とりあえず休憩

60 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/12/20(火) 13:33:07
2
ドタバタ喜劇が見てみてぇ

61 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/12/20(火) 14:27:40
3で決定だな

62 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/12/20(火) 14:32:10
3か
しかし選択肢だけでも笑えるな

63 名前: Fate/star light『Eternal sunshine』 投稿日: 2005/12/21(水) 06:27:55

■

「さて、ひとまずは衛宮の家でいいかな。
 ライダー、車回してくれ。昼間は目立つから飛ぶなよ?衛宮は道の指示だ」

「待てよ慎二、桜をこのままにする気なのかっ!?」

突然の慎二の指図に、俺はもちろん抗議した。
ライダーも運転席から非難がましい視線を慎二に浴びせている。
すると慎二は、不機嫌そうに言葉を返した。

「ウルサイなぁ、ボクがそうしろって言ったら、素直に従えばいいんだよ。
 第一ボクは、何も知らないでずっとのんびり暮らしてた衛宮と違って
 ずっと魔術師としての目で桜を見てたんだよ?分かる?この違い。そのボクが大丈夫って言うんだ」

そう言われてしまっては、返す言葉がない。
思いが喉をつまらせ、顔を俯けかかったときに、桜が苦しそうに喋った。

「そんなこと……ないです……先輩は、ずっと、わたしのこと……力づけてくれました。
 わたしは、大丈夫、ですから……わたしは、汚れちゃってて、それが、先輩に分かっちゃったかも、しれない、けど……」

そこで桜は言葉をきって、もう一度俺の方を見て、言った。

「帰りましょう……先輩が、いいなら。わたしは、先輩の家に……居たい、です」

俺は、言葉ではないものが更に自分の胸をつまらせるのを感じた。
桜がどのような気持ちで俺の家に居たのか、どのような気持ちであの間桐の家に居たのか。
それは、正直なところ――――全く分からない。ただ。ただただ、胸がつまった。

「サクラちゃん、それでいいんだね、本当に大丈夫?」

ライダーのその言葉に、桜がこくりと頷く。
俺は桜を本気で心配してくれている人が、ここにもまた一人いると知って、ひどく心強くなる。

「そうそう、それでいいんだよ。ボクは全部分かってて命令してるんだからな!」

胸を張るようにして、慎二がそう言った。
車内に一瞬の間が訪れる。
俺もライダーも、セイバーも、苦しんでいる桜すらその一瞬の間を感じたらしかった。
俺は一つ咳払いをして

「あ、ライダー、そこの角、右に曲がってくれ」

と言った。
どうやらその微妙な間に、肝心の慎二だけは気づいていないらしく
ジャングルに踏み込む探検家一行に混じったお荷物の老人のように、一人だけ興奮に鼻息を荒くしている。
俺はそれを見て、ほんの少しだけ「友達やめようかな」と思った。

■

64 名前: Fate/star light『Eternal sunshine』 投稿日: 2005/12/21(水) 06:29:06

ひとまず俺の家についた。
離れに布団をしいて、桜を寝かせる。
しばらくすると、痛みも引いてきたのかすうすうと寝音を立て始めた。
本当はまだ寝入っておらず、安心させる為に半ば狸寝入りをしているのだろう。
それぐらいは俺にもわかる。
しかし、事実として落ち着き、少なくとも小康状態に入っていることから
真に寝入るのも時間の問題に思えたので、ひとまずはその場を離れた。後でもう一回様子を見に行くべきだろう。

桜が寝ている部屋の隣の部屋にライダーと慎二を通し、しばらくはここで寝泊りをしてくれるようにと頼んだ。
慎二はボロい布団だと嫌がったが、ライダーは「ベッドでしか寝たことがないから少し楽しみだよ」と言ってくれた。
セイバーは以前から俺の隣の部屋で寝起きをしている。
憎まれ口を叩いてはいても、基本的に俺のことを守ってくれるつもりでいるのだと思うと、少なからず心強い。

俺はつくづく周りの人に恵まれているなぁ、と思っていると
慎二が勝手に家の中を探索し、あまつさえ冷蔵庫を開けながら

「お、鯛あるじゃん。今日の夕食はこれな、煮付けで頼むよ」

と笑顔で言ってくれた。

■

65 名前: Fate/star light『Eternal sunshine』 投稿日: 2005/12/21(水) 06:31:10

車庫がないので、デロリアンは中庭の隅に乗り入れて駐車することになった。
雨が降るようなら、何かホロのようなものをかぶせなければならないだろう。
送ってもらったというのに、ロクな駐車をさせてあげられないデロリアンに
何か申し訳ないような気がして、ライダーに頭を下げると

「え、あぁいや、いいよ。それよりさ、マーティって呼んでくれない?
 シンジはライダーって呼びたがるけど、なんかさ、慣れないんだよね。サクラちゃんにもそう呼んでもらってるし」

そうライダーは言った。
サーヴァントの真名の重要性については、眼前で恐ろしい一例を見ているため、身にしみていたいたのだが
それによって、かえってライダーのそのあけっぴろげな様子に、俺は確かな信頼と
こちらも隠さず言ってしまえば、微かな友情の芽生えに近いものを感じていた。
男同士の友情は知らずに育まれるものだが、しかと言葉を出したときにそれが進展するのは、ままあることだ。

「分かった。悪いな、マーティ。デロリアンをちゃんと駐車してやれなくて」

「いいよ、気にしないで。しかしそれにしても……」

マーティと俺の視線の先には、デロリアンを遠目に、しかし明らかに眺めているセイバーがいた。
好奇心を押し隠そうとしているが、どうにも隠せていない。
俺たちの視線に気づくと、口をとがらせてそっぽを向いた。

「おーいセイバー、興味あるんならよく見せてもらったらいいじゃないか。
 いいよな、マーティ」

マーティも愛車に興味を持ってくれているのは、どうやら素直に嬉しいらしく快諾してくれた。
セイバーは最初いかにも面白くなさそうな風を装っていたが、見る見るうちに遠慮がなくなっていき
ためすすがめつ、細部まで調べだし、その仕組みについてなにやら専門的な用語でマーティに質問までしだした。
マーティはどうやらこの車のエンジニアではないらしく、あるときは首肯し、あるときは分からないと答え
またデロリアンを見つめだすセイバーに隠れて、俺に苦笑いしたりしていた。

「過去のドクがデロリアン見たときも、こんな反応してたっけな……」

と、マーティが独り言のように呟いたとき、仲間はずれにされていることに気づいた慎二が
縁側から不平を叫んだ。
セイバーとデロリアンをマーティに任せて、俺は慎二の相手をしにいった。
そろそろもう一度桜の様子も見に行くべきかもしれない……

■

その日の午後は、そんな風にしているうちに、すぐに過ぎ去った。
慎二とマーティは適応能力が高いようで、夜にはもう何年もいる住人のようになっていた。
夕食は好評で、セイバーは黙々と食べ、慎二は「意外にやるじゃん」との不遜なコメントをした。
布団とベッドのことからも、文化圏が違うことが知れていたマーティの口に合うかどうかが心配だったが
一口目を食べたのち、こちらに「Good!」とサムズアップをしてくれたので、こちらも笑顔で親指を立て返した。

さて、寝るまでには時間がある。これからどうしようか――――



1・桜におかゆを作ってもっていってあげよう。

2・風呂に入るまでに、稽古をつけてもらって一汗かこう。

3・慎二に、桜のことや、魔術のことについて聞いてみよう。

66 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/12/21(水) 06:39:04
2

67 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/12/21(水) 07:19:12
3de

68 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/12/21(水) 09:11:59
病人にこそ食事が必要 ということで1

69 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/12/21(水) 10:52:51
流石に桜が可哀想になってきたので1

70 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/12/21(水) 11:19:52
1じゃないと死亡or襲撃フラグがたちそうだがあえて2

71 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/12/21(水) 11:32:44
3!

72 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/12/21(水) 13:04:59
なんか慎二ルートに行きそうで怖いがあえて3!

73 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/12/21(水) 13:08:02
2だな
さあ、早くフォースに覚醒したまへ!(ぇー)

74 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/12/21(水) 13:08:54
ふと思った
今回のアンリマユの中身って……
「ほあーーーーん」とか叫ぶ悪魔人じゃあ……ない……よな?

75 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/12/21(水) 13:16:09
3と迷ったけど1にする

76 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/12/21(水) 13:23:09
1!1!

>>74
いやそれは流石にな……いよね?

77 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/12/21(水) 13:29:07
3か。

78 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/12/21(水) 13:29:17
3で

79 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/12/21(水) 13:48:28
>>73
素質があるなら目隠しして訓練用シーカーの前に立たせればOKだなww
Ep4でルークが覚醒したのは19歳とかどっかでみたからなれたら士郎は記録突破できるぞw

80 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/12/21(水) 17:29:03
>>76
「ああ、サタンだからな」
「サタンじゃあ、仕方ないな( ´∀`)」

81 名前: るー ◆Kmt4qpE2Xs 投稿日: 2005/12/21(水) 17:43:35
滅びろデーモン。
3で決定みたいですねー

82 名前: Fate/star light 『許されざる者』 投稿日: 2005/12/22(木) 21:28:40

■

……ボクは、衛宮に聞かなければいけないことがある。
それは、この家に来る道中で幾度も頭をもたげた。
それでも自尊心が邪魔をして、口にすることができなかった。
結果、過剰に道化を演じるぐらいでしか、自分を誤魔化すことはできなかった。

……だが、それもここまでだ。
ライダーは桜の元へ行き、セイバーは道場に行っている。

――今しかない。
衛宮は、台所でおかゆを作っていた。

「……衛宮、ちょっといいか」

こちらの、つまったものを吐き出すような声が伝わったのだろう
衛宮は調理の手を止めてコンロの火を落とすと

「俺もちょうど、慎二に話があったんだ……いいぞ」

こちらを向いて、そう言った。

「衛宮、オマエいつから……いや、いつから、なんて聞いても意味がないね。
 お前は……魔術師だったんだよな。どうしてボクに何も言わなかったんだ?
 ボクが『マキリ』だってことを、知ってたのか?遠坂のことは?」

衛宮はそれを聞くと、「ついにこのときが来たか」とでも言うような顔をした。
流石に鈍いコイツでも、それぐらいには思い至っていたのだろう。

「いや、俺は……慎二や、遠坂……それに、桜のことは何も知らなかった。
 でも、今まで一言も何も言わなかったのは確かだ。俺は……衛宮士郎は、魔術師だ。黙ってて、すまなかった」

爆発するように、狂おしいほどの憎悪が胸を灼いた。

ナゼだ。ナゼだ。ナゼだ。ナゼだ。ナゼだ。ナゼだ。ナゼだ。ナゼだ。ナゼだ。ナゼだ。
ナゼだ。ナゼだ。ナゼだ。ナゼだ。ナゼだ。ナゼだ。ナゼだ。ナゼだ。ナゼだ。ナゼだ。

ナゼ、ボクは、魔術師じゃ、ない。

魔術師の家系に生まれた。魔術師の祖父を持った。魔術師の父を持った。それを誇りにした。
自分は凡人とは一線を画して、圧倒的に、完璧に、特別な存在なのだと、疑いもしなかった。

だがボクは魔術師じゃなかった。

臓硯は魔術師だ。遠坂も魔術師だ。桜も魔術師だ。そして、何も、何も知らないコイツも――――

だがボクは魔術師じゃなかった。

血の滲む努力をした。生まれてこの方、何をしても努力一つせず人より秀でて生きてきたボクが。
遺さぬ父を憎み、応えぬ祖父を憎み、得りうる妹を憎み、幾つもの眠れぬ夜を、理解できぬ魔道書と共に過ごした。
理解は増す。魔術回路を持たぬ身ながら、魔道へと一歩ずつ足を沈めていく。そして分かる。

だがボクは魔術師じゃなかった。

狂おしい。この身を裂いて魔術が得られるのならば、いくらでも裂こう。
捧げよと言われれば、何でも捧げよう。この身に魔術を。この世の誰にも、ボクを見下させはしない。

だがボクは魔術師じゃなかった。

怨嗟の嗚咽を殺した。憎悪の叫びを殺した。殺戮の雄叫びを殺した。

ボクは――――



1・衛宮を殺そう。そう決心した。

2・魔術ではない、何か強い力を欲した。

3・何もかも馬鹿らしくなり、笑った。

83 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/12/22(木) 21:31:26
慎ちゃん慎ちゃん、魔術師は秘匿するモンですから!

3でいこう。

84 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/12/22(木) 21:31:34
ここは3だな。

85 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/12/22(木) 21:46:14
あえて慎二らしくない2に入れよう

86 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/12/22(木) 21:53:32
1で。
強い決心をした慎二は見てみたい。

87 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/12/22(木) 22:03:03
ここは1しかあるまいて

88 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/12/22(木) 22:52:08
1で

89 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/12/22(木) 22:52:39
2に入れる

90 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/12/22(木) 22:52:49
3de。
笑った後、港でいじけててくれw

91 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/12/22(木) 23:03:51
たまには自滅しない慎二も見たいので3

92 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/12/22(木) 23:06:29
3かな

93 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/12/22(木) 23:08:04
3だな。
なんか1だと慎二が死にそうだw

94 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/12/22(木) 23:42:50
3だな
この二人にはコンビを組んで欲しい

95 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/12/22(木) 23:45:39
3に7票もいれてどうするよ。

96 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/12/22(木) 23:51:19
俺も3で

97 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/12/23(金) 00:59:20
1がよかったんだけど無理そうですね

98 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/12/23(金) 15:21:51
もし2だったらもしかしてフォースでも学ぶんだろうかw

99 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/12/23(金) 15:34:26
OH化じゃね?w

100 名前: るー ◆Kmt4qpE2Xs 投稿日: 2005/12/23(金) 16:36:44
展開としてのギミックは、この後も使うかもしれないので伏せておきますが
1だと、慎二は士郎を殺そうとするところをセイバーに見つかり
マキリの家に戻るか、バサカに惨殺されるかになっていました。
2だと、慎二は何も言わずに真夜中、衛宮家を抜け出し
外道の方法で凛を殺し、ラスボスになる予定でした。
3でひとまず共闘ルート確定ですー

101 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/12/23(金) 16:46:10
ラスボス慎二!?
いや、それは、ちょっと、うん、すごく見たかった。

102 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/12/23(金) 18:05:00
ラスボス慎二もそれはそれで見てみたかったが、
まあ共闘してくれるようでよかった…「ひとまず」ってのが気になるが。

103 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/12/24(土) 07:44:01
1は何か燃え展開を予想してたんだが、入れなくてよかったw

104 名前: Fate/star light 『スタンドバイミー』 投稿日: 2005/12/24(土) 18:31:06

「はっはははっははっはははっあはっははははははは」

ボクはどうしようもなく、笑い出した。
どうすればいいと言うのか。

衛宮を利用して聖杯に至り、魔術回路を祈る?無理だ。
よしんばそこまで行けたとして、不意打ちでもいいから衛宮とセイバーをそこで殺害できる方法があるなら……
それも、あるいは可能だったかもしれない。
しかしセイバーのあのスキル――偽臣の書を通して見える、関わったサーヴァントのステータス――
ヤツの戦闘力の真の高さは、魔力ではない何らかの力による、先読みにある。
サーヴァントの攻撃を凌ぐほどの冴えを見せるその能力に、魔術すら――
――糞っ――魔術すら持たないボクに、何ができるというのだ。

「……慎二」

体を曲げるようにして、笑い続けるボクの名を、衛宮が呼ぶ。ウルサイ。
いっそコイツを説得するか……泣き落としでもして?

<衛宮、ボクは君のように魔術回路が欲しくて欲しくてたまらないんだ>

馬鹿か。そんなことを言ってしまえば、それはもうボクじゃない。
ボクはボクである為に魔術を欲するのだ。そんなのは本末転倒もいいところだ。

ならば――――ならば、一体どうすれば?

ボクは狂ったように笑い続ける。衛宮は為す術なく立ち尽くす。
それ見ろ。人一人救うこともできない。まして全てなど。オマエこそお笑い種だ。

そこに、ライダーが現れた。

「シンジ……サクラちゃんが呼んでる」

笑い続けるボクに、これといった反応もせず、そう用件だけ告げた。
全くどうかしている。おかしいと思わないのか、笑い続けるボクを?
魔術回路のない、役立たずのボクを、疎ましいと思わないのか?見下さないのか?

「全く……オマエラどうかしてるよ。本当におかしいんじゃないの?」

ボクはそれだけ言ってその場から去り、桜のいる寝室へと向かう。
ライダーと衛宮がどんな顔をしているかは分からない。
ただ――――多分あれが、アイツラがしうるうちで、最もボクを救う方法だったんだろう。
アイツラは本当におかしい。そして優しい。しかし、手をさしのべはしない。
それでも、そんな突き放すような優しさを、ボクは認めないわけにはいかなかった。
憎しみに灼けた傷口には、触れる羽毛より、離れた刃の方が優しいのだ。
そのことを衛宮もライダーも知っている。だからこそボクにこう接している。


居間を出たボクは、頼りなく彷徨う今の自分の思考のように、廊下をふらりと歩いた。
長い廊下。広い廊下。そして、耀い廊下。
ここはマキリではないが、ボクはマキリなのだ。それは何があっても変わらない。
そして、この部屋にいる女も――――


「兄さん……来てくれたんですね」

部屋に辿り着きドアを開けると、臥せっていた桜が半身を起こしてこちらを見た。

「……呼んだみたいだけどさ、一体何の用?」

桜はボクの方をしかと見て、話し出す。
ボクはここにきて、桜はボクより本当の意味でずっと強いということに、気づいてしまってきていた。

「兄さん……ごめんなさいっ」

だが、予想に反して突然謝罪を述べる桜に、ボクは呆然としてしまう。
こちらの戸惑いが伝わったのだろう、桜がそのまま続ける。

「その……シチューも作れなかったし……なによりあの場で気を失ってしまって……
 兄さんにも、先輩にも、マーティさんにも心配させて、迷惑かけちゃって……ごめんなさい」

――そうか。ボクはつい、桜が全て知っているような気がしながらここに来ていたが
桜は今の今まで眠っていたのだ。大方ライダーが最初に気づき、次にボクを呼んだのだろう。
だが……

105 名前: Fate/star light 『スタンドバイミー』 投稿日: 2005/12/24(土) 18:32:00

「なんで、謝るんだよ」

ボクの口をついて出たのは、理解しているその現実とは裏腹な言葉だった。

「なんで謝れるんだよっ!おまえは、この場の誰より傷ついてるんだぞ?
 あのときのことだけじゃない!それ以外にも!ボクはおまえを傷つけ続けた!
 なんで謝れるんだよ!どうして!ボクが憎くないのか!マキリが憎くないのか!どうしてっ!」

ボクはどうしようもなく叫んでいた。
しかし、それに対する桜の声は、ひどく落ち着いていた。

「……憎んでますよ」

桜はそう言った。ボクは胸がしめつけられて、呼吸も出来なくなるように感じる。

「わたしをマキリに渡した遠坂の家も憎かったですし、わたしに蟲を植え付けたマキリも憎かった。
 わたしは、わたしをとりまくほとんど全てを、心のどこかで憎み続けてました。今もそうです」

「……なら……どうして……」

「感謝もしてるからです。どうあっても、わたしがここまで生きてこれたのは
 生んでくれた遠坂のおかげで、育ててくれたマキリのおかげです。憎んでいても、それは変わりません」

桜は、打ちひしがれるボクを前に話し続ける。

「なにより……先輩に逢えました。ねえ、兄さん」

「……なんだよ」

「わたし、もうそれだけで、これから先、生きていってもいいんじゃないかなって思えるんです。
 わたしは――――先輩が、好きです。それだけで、きっと誰も憎まず生きていけます」

そう言って、桜は微笑んだ。

……きっとボクは、このとき、この笑顔を壊してしまうべきだったんだろうと思う。
だが、不覚にもボクはこのとき、この一瞬、これから続く永遠に――この笑顔を――
『もう少し長く続かせてやってもいいんじゃないかな』そう思ってしまった。

ボクはそうしてまた笑い出す。
だが、さっきまでの笑いとは違う。
自分の頬を伝っていた涙に気づいて、また笑う。
一体いつから泣いていたのか。
いつから泣いていたか。そう、ボクはこんな簡単なことすらよく分からないのだ。
そう思うと、より一層滑稽に思えて、なおのこと笑えてきた。

笑いながら泣くボクの頭を、桜が抱いた。
ボクはその行動に「調子のってんじゃないぞ」と文句の一つも言いたくなったが
胸のなかなか悪くない感触と、聞こえてくる心音に、その文句を引っ込めた。

ボクは、ロクに会ったこともない母親のことを、少しだけ考えそうになる弱虫なボク自身を必死で押し隠す。
しかしそれでも唐突に襲ってくる眠気だけは御しきれず、そのまま眠ってしまいそうになる。

「おやすみなさい、兄さん」

ボクはやっぱりそれに文句を言いたかったが、桜が笑顔だったので――――ボクは、そのまま寝ることにした。


■


桜の寝室にいる桜と慎二を、ライダーの提案でそのままにすることにして
俺とライダーとセイバーは、俺の近くの部屋でそれぞれに寝た。

そうして夜が明けると、慎二は何事もなかったかのように、いつもの調子に戻っていた。

ただ一つの変化としては、朝ご飯のお茶をつぐ桜に、慎二は笑顔で

「ありがとう」

と言った。

それは些細な、ちょっとしたことで、揺れて、霞んでしまいそうな変化だったが
きっと、永遠に折れることも消えることもないだろう、そんな変化だった。


■

106 名前: Fate/star light 『スタンドバイミー』 投稿日: 2005/12/24(土) 18:34:47

朝ご飯を食べ終わると、自然とこの家にいる全員
――俺、セイバー、桜、慎二、マーティの五人が――居間に集まった。

桜は病み上がりともいうべき状態なので朝食を作るのはもちろん、片付けるのも俺がやった。
一通り片付けが終わると、桜が淹れたお茶(俺が止めても、せめてこれぐらいは、と桜が聞かなかった)を
飲んでくつろいでいた四人も、テレビの電源を落としてこちらへと向いた。無論、視線は俺に集中する。

ええと……ひとまずは現状の確認と報告、か?

「あーっと……桜、体は本当に大丈夫か」

「はい、心配いりません。ただ、その……」

そういうと桜の表情にかげりが見えた。
桜の言葉を継ぐようにして、慎二が口を開く。

「その先はボクが話すよ。と言っても、どこから話していいのか難しいね
 衛宮、オマエはどれぐらい知ってるんだ?聖杯や……マキリについて」

俺は凛から聞いたことを中心に、自分が知っている魔術や聖杯戦争に関しての知識を全て話した。
話し終わると、桜に確認をとるようにして慎二は冬木の聖杯について話し出した。
マキリについて、遠坂について、アインツベルンについて。それら三家の目的、第三魔法について、根源という概念について。
……その中には、もう俺の手が届かない場所――過去となってしまった話もあった。いや、そんな話が多すぎた。
確信ではないが、親父が聖杯戦争に参加していたのであろうことも分かった。
そして――桜が、マキリにいる理由も、遠坂凛の妹であることも。

「……それで、ひとまず今の状況が大体全員に伝わったね。
 ここから先はボクの推理になるから、一応言っておくけど、絶対確実なわけじゃないからな」

そう前置きして慎二は話しはじめた。

「まず、爺さんが桜から蟲を取り除いたときの言葉や、その他、その後の言動から察するに
 おそらく爺さんが生け捕りにしたのはアインツベルンのマスター。
 というより、むしろソイツが持つ小聖杯だと思うんだよね。
 ソレが今回どんな形態をしているかは検討もつかないけど――多分、その一点に関しては正解なはずじゃないかな。
 もしそうなら、爺さんは今回の聖杯戦争において大きいアドバンテージを得たことになる。
 サーヴァントの消滅以外に、もう一つ聖杯起動に関する絶対不可欠な鍵を握ったことになるからね。
 それが交渉材料に使えるほど、簡単に操ったり壊したりできるかどうかは疑問だけれど……
 とにかく向こうにとって有利なのは間違いないよ」

慎二の縷々とした推理と解釈、その説明に、俺は口にこそ出さないものの
魔術回路が有るか無いかなんて本当は大した問題じゃないんじゃないか、と一瞬思ってしまう。
俺よりずっと――素直な意味で、慎二は魔術師として優れているだろう。

「だけど、実はこっちも爺さんに対して、武器になるものがある。
 ――桜、そのリボンは遠坂縁の品だよな?」

桜は驚いていた。
それは突然話を振られたから、というより何故それを知っているのか、という驚きが多分に含まれていた。

「え、ええ――そうですけど……兄さん、それはお爺様から聞いたんですか?」

慎二は呆れたように言う。

「バカ。小さい頃から肌身離さずで、ツラいことがあるたびにそれを握り締める癖があるだろ、オマエ。
 そんなの誰だって気づく」

目を丸くする桜に、続けて慎二は言う。

「説明する前に、見た方が早いだろうな。外してみろよ」

桜が髪を下ろした。俺は少しだけ、髪を下ろした桜の姿に目を惹きつけられたが、それを振り切ってリボンを見た。
リボンは二つ折りの二枚重ねで、薄い生地ながら、広げるとそれなりに大きくなる。
いつも結び目で隠れている部分には、布の二枚共に留め金として、小さく目立たないが、高価そうな宝石が光っていた。

107 名前: Fate/star light 『スタンドバイミー』 投稿日: 2005/12/24(土) 18:36:00

「パッと見は赤紫の普通の生地だけど、見えないように金糸と銀糸が混じっていて
 本来の役割以上に魔力を貯めるのに非常に適してる。
 留め金の宝石も、種類までは分からないけれど、かなり高価なはずだ。これも魔力を貯める為だろう?」

名探偵がトリックを明かすかのようにすらすらと説明するその様に
マーティや俺、セイバーまでもが「ほう」と声を漏らした。

「兄さん……い、いつからなんですか?この留め金には――――」

「魔力殺しもついてるのに、か?魔力なんか探知しなくても分かるさ、これは只の洞察だ。
 それから、放っておけば刻印蟲に食われていく魔力を、分からないぐらいほんの少しずつそれに貯めてたことも、な」

桜が息を呑む。

「マキリに来てからも、遠坂の魔術を使っていたこと、それを拠り所にしていたこと、それは別に今の問題じゃない。
 ただ重要なのは――――おそらく、これに爺さんも気づいてたってことだ」

「そんな、お爺様が気づいていたなんて――」

「いや、気づいてたはずだ。ボクがちょっと考えたぐらいで至る事実に、あの老獪な魔術師が気づかないはずがないんだ。
 だから、爺さんはそれを知ってて、あえて黙認してたことになる」

さっきまでに聞いた話によれば、臓硯の爺さんはそんなことを許すような人物ではなかったはずだ。
リボンを持っているだけならまだしも、それに遠坂の魔術を行使していたとなれば、見逃すとは考えにくい。

「それだけじゃない。爺さんの行動はここ最近のものだけ見ても、おかしいところがある。
 例えばセイバー、おまえがボクを人質にとったときがあっただろう?
 さっきまでの話を聞いて、ボクに大した価値がないと分かっていたら、あそこで手を引くのが正しい魔術師のあり方か?」

セイバーは少しだけ考えるようにして、口を開いた。

「いや、ないだろうな。聖杯が手に入り、悲願が目前となっているなら
 あそこでオマエを見殺しに――いや、あるいは、自分で殺してでも――」

そこでセイバーは慎二から俺の方へ視線を向けて

「マスターを煽って館の奥へと引き込み、そこで確実に全員殺すべきだったろう。
 セイバーのサーヴァントを、自分の工房で確実に始末できるチャンスがあるなら、それを見逃す必然性はどこにもない」

そう言った。
魔術師として正しくあることが、そんな残酷と直結しうるという過酷な現実に、その場は静まり返った。
しかし慎二だけは、そんなことは百も承知と話をつなぎ続ける。

「あのとき爺さんが言ってただろう?
『蟲を移そうとしたときは、半ば情に流されているのではないか、と自分を疑いもしたが』
 だったかな?その言葉の通りだよ。あの爺さんはほんの少しずつ情に流され始めてる」

臓硯を血も涙もない魔術師ととっていた俺たちは、慎二のその言葉に面食らった。

「爺さんの精神が長い時に耐え切れず腐ってきたから、肉体もそれに応じて腐り
 体を取り替える必要が出てきていた、これは話したよな?」

そう言った話からも、俺は臓硯に嫌悪感に近いものを抱いていた。
俺が頷くと、慎二はなおも続ける。

「この『精神』はもちろん、感情とか考えとか、すなわち人それぞれの個性につながる精神とは違って
 肉体と比して語られるときに便宜的に用いられる『精神』だ。
 だってそうだろ?魔術師は皆、己の目的の為に心を鉄にするもんだ。それは磨耗することがあろうとも、腐ることはない。
 便宜上の精神という器が長い時に耐えられず腐ろうとも、その中身である心は腐らない。
 腐りはせずとも――――爺さんの心は磨耗し、やがて第三魔法への到達という志が、その利用へとズレてきていた。
 ……まあ、ここまで来るとボクの推理というより、想像の域だ。
 それでもそう遠からずってとこだと思うけどね。爺さんが不死を求めてるのは確かだから」

108 名前: Fate/star light 『スタンドバイミー』 投稿日: 2005/12/24(土) 18:37:33

「なるほど……それで、なんでそれがあの爺さんへの切り札になるの?」

マーティが疑問を口にすると、慎二はようやく結論にたどり着いたとでも言うように締めくくる。

「要するに、爺さんはボクと桜を、利用価値云々とは抜きに『できることなら殺したくない』と思いはじめちゃってるのさ。
 この心の迷いは大きい。その老獪さが一番の武器ともいえる爺さんからしたら、致命的と言ってしまってもいい。
 ……無論、そうは言ってもあの人は魔術師だから、殺さなければ先に進めないとなったら、躊躇いなく殺すと思うよ。
 でも……おそらく、すぐさまこの衛宮の家に攻めてくることはないと思う。
 来るとしたら、最後――ボク達を殺さなければ、聖杯悲願へと達せないとなったときだけじゃないのかな」

「最後になったら、その心のスキをついてヤツを殺す、という決意表明だととっていいのか、それは?」

「セイバー!」

俺は非情な言葉を口にしたセイバーを非難した。しかし慎二は――

「そうだね。いざとなったらそれもしょうがないんじゃない?」

欠片の迷いもなく、そう言い切った。

「……慎二……」

「勘違いしないでくれるかな、衛宮。別にボクはおまえみたいに、聖人になることを目指し始めたわけじゃないんだ。
 これは戦争だよ。生き残るためになら、ボク自身や、ボクの守りたいものを守るためになら、なんだってやる。
 今はその一つの状況として、キミやセイバーと手を組んでいるだけだからね。そうだな、桜、ライダー」

俺はその言葉に、桜が悲しむのではないかと心配した。
だが桜は

「ええ――わたしは、兄さんについていきますから」

と、言った。
そこには何か、俺をはがゆくさせるような、言葉にする必要のない信頼があるようだった。
マーティも桜のその反応を聞いて

「オーケイ。僕もシンジについてくよ、サクラちゃんを泣かせたりは、しないんだろ?」

慎二にそう問いかける。
それに対して慎二は――

「任せろよ――ボクは間桐慎二だ。
 オマエラは黙って、全部このボクに任せてればいいんだからな!」

そう言って、こちらが驚くほどに――――優しく、笑った。


■


朝食後のミーティングは思いのほか長くなり、時間はすでに11時を回ろうとしていた。
これからどうしようかな――――



1・桜の様子を見にいくついでに、昼食の相談をしてみよう。

2・今度こそ、間桐兄妹に俺の魔術を見てもらおう。

3・ライダーと慎二がTVの前でなんかやってる……何してるんだろうか。

4・戦闘についての打ち合わせが何もできていない。
  セイバーのいる道場に行って、稽古ついでに確認しておこう。

109 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/12/24(土) 18:42:00
4

110 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/12/24(土) 18:43:51
すげえ悩むなあ
2で

111 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/12/24(土) 18:45:14
畜生、本編ならここでセーブして全部確かめられるのになあっ……!
3でいこう3で!

112 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/12/24(土) 19:00:27
判断しにくいが2に一票にしとく

113 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/12/24(土) 19:01:57
ここらでスイッチをなんとかしとかんといかんと思うので2

つかおもしれー何だこのSS

114 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/12/24(土) 19:02:27
決められねえよ!

115 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/12/24(土) 19:35:00
誰も投票していない1にしてみるチキンな俺

116 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/12/24(土) 19:52:16
ちくしょう!2だ。

117 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/12/24(土) 19:56:35
うーん、2

118 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/12/24(土) 20:01:44
衛宮家の男女比率が男優勢になるなんて・・・!

本編でアヴァロンの前例があったので4

119 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/12/24(土) 20:05:41
せっかくだから俺はこの"3"を選ぶことにするぜ

というか さっぱり何を選んでいいか解らねぇッ!!

120 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/12/24(土) 20:09:34
2で決まりだな。

121 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/12/24(土) 20:09:48
折角のクロスSSだし、鯖側との絡みがみたいので4

あと、士郎一人称の地の文で、凛と呼んでたところがあったのが気になった。
まあ、ちょっと間違えただけだろうけど。

122 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/12/24(土) 21:31:28
悩むわ、コレ
2、にしとく

123 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/12/24(土) 21:35:06
1:一票
2:六票
3:二票
4:三票

で2に決定だな。

124 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/12/24(土) 22:27:39
>>2よんどいたほうがいいよ
先着5名らしい

125 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/12/25(日) 11:11:14
というより、最初に5票集まった選択肢、が正解だな

126 名前: (´・ω・`) 投稿日: 2005/12/25(日) 14:57:48
ところで今まで黙ってたけど
>>3
ライダールートはうちじゃないです(´・ω・`)

127 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/12/25(日) 17:50:16
どっちにせよ2だね

128 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/12/25(日) 18:47:28
フォースは魔術に近い成長する事が出来る超能力かな
親のフォース(ミディクロリアン)の強さを子が受け継げて
ジェダイ・シスに多少の差はあれど予知能力を持ち
フォース使用によるジャンプ力や治癒能力は修行で鍛える事が出来るし

129 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/12/25(日) 18:57:07
某用語集のあるサイトで知ったのだけれど。
あの黒人坊主のジェダイ・マスター、メイス・ウィンドゥに直視の魔眼じみた能力があるらしい。
フォースを通じて世界を結晶のように感じ、そこに『物事の弱点=破砕点(シャッターポイント)』を感じることが出来るとか。
物体はおろか、状況や関係の壊れやすい部分を感じ取ることができ、
EP3のパルパティーンとの戦闘中にアナキンが現れた時、アナキンが皇帝の破砕点とわかったみたい。

130 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/12/25(日) 19:03:57
マジで何でもアリだな

131 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/12/25(日) 19:08:25
固有能力と普遍的な能力の差があるだけマシかな。
メイス・ウインドゥはダークサイドを受け流し跳ね返せる力を持っていても
ダークサイドを倒せる力を持っていなかったキャラだったが。

132 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/12/25(日) 19:44:22
>>130
アニメ版のヨーダ様ならグリップで戦艦掴んでビルに激突させたりするよ

映画でもジェダイは千里眼やら精神操作とか普通に使うので
死体を蘇らせろとか無茶な要求以外で、個人で出来そうなものは大抵やってしまうと思われ

133 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/12/25(日) 20:18:20
しかし凛と決裂、バゼットが脱落、イリヤは捕らわれてるこの状況で
唯一そばにいる桜をスルーしまくって…慎二ルート一直線?

134 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/12/25(日) 21:56:38
なかなかセイバーとの道場練習が開かれないからしゃーないw

135 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/12/25(日) 22:25:47
いや、どっちかっていうとマキリルートのような気もする。

・・・しかし、こんなかっこいいワカメはきっと長生き出来無いな。
どうも死亡フラグが立ってるような気がしてならないw

136 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/12/25(日) 23:55:14
慎二は実は女の子だったんだよ!

137 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/12/26(月) 00:03:45
>慎二は実は女の子だったんだよ!
ツンデレ・ボクっ子のコンボですな

138 名前: るー ◆Kmt4qpE2Xs 投稿日: 2005/12/26(月) 09:03:03
>>121
指摘ありがとうございますー
他にも士郎がマーティのことを「ライダー」と呼んでいるのがちらほらと……OTZ

皆さんお察しの通り、マキリルートに入ったと思います。
基本的に死亡フラグについては、あまり考えていません。
連載の宿命として、人気がない→出番がないキャラは生命線が細いので
逆に言えばメインに近づけば近づくほど、生き残りやすいかもしれません。

2で決定みたいですね。
Interludeの扱いに困っていたので、結局自分で保管サイトを作って
そこに補完する形にすることにしました。
初めてHPを作るので苦闘してますが……できれば公開したいと思います(´・ω・`)

139 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/12/27(火) 17:04:04
hollowネタバレ絡めて一本書きたいんですけど、OKですか?

140 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/12/27(火) 17:13:38
OKだ

141 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/12/27(火) 18:48:08
よし、がんばれ。

142 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/12/27(火) 20:09:48
俺は文才ないからできんがみんながんばれ
難易度の高い月姫まだー?

143 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/12/27(火) 20:39:40
俺も参加してみようととりあえず下書きをしたら、
一日目のストーブ修理中に遠坂と出会うところで力尽きた。
やっぱ書きなれたSS作家じゃないと難しいよなあ……タハハ。

144 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/12/27(火) 22:44:14
>>143
今長々と書いてる誰かさんは、SS初めてどころか
二次創作的な行為自体初めてだったりするので……大丈夫ですよ!……たぶん。
原作でフォローできる部分は、ちょろっと流しちゃった方がラクかもしれません。
全部書こうとすると、どうしても一つの選択肢までに凄い長文になっちゃうので……
あ、あと一番ツライのは伏線を張れない&張っても回収できるかどうか不明、なところなので
その辺も含めて、あまりカチコチなプロットを作るよりは
外枠だけ考えて、ラクーに始めた方が、詰まらずにいけると思います。
と、そこまで言えるほどのものは書けていませんが、ほんの少しでも参考になれれば幸いです。

145 名前: avenja-士郎 ◆ddg5.LZD9c 投稿日: 2005/12/27(火) 22:44:45
 まず最初に思い知らされたのが、コレの化物っぷりだった。

「置き去りにしてきたもののためにも、自分を曲げることなんて」
「決して、間違いなんかじゃ」
「いつか、俺以外の誰かの前でも、強く」

 未来の記憶。おそらくはコレが乗り越えるはずだった通過点が記録になって眼球を焼く。
 苦しみをよしとせず、苦しみに手をさしのべ、苦しみを撲滅し、笑顔のみを良しとする。
 全人類、憧れたことがあっただろう。そして憧れた数だけの挫折があった概念。
 誰も出来ない生き方。人に人は救えない。同価値の存在を無償で助けられるほど世の中は見事ではない。
 そんな諦めの全てを跳ね除け、いずれ「 」に成り果てる大馬鹿者。
 正義の味方。その理想が、衛宮士郎という男の起源らしい。

 ――――大したものだ。ここまで壊れてしまえば、ある意味完璧か。

 一人ごちて(口はないのだが)もっと深くを探ってみる。
 それからはもうつまらない事だ。黙々と作業を続けてるだけで、あっさりとコレの器が知れてしまった。
 空だ。コレには何もない。先ほどの理想を絵の具だとすれば、コレ自体は味気のないキャンパスだった。
 こんな滅茶苦茶なモノを信じているのも、それを否定する心が失かったからか。
 その原因は既に判っている。コレは元々、正義の味方など目指してはいなかった。どこにでもいる少年だった。
 それが十年前に火事、しかも大規模なそれに襲われ、何もかもが殺がれた。

 いやまあ、それの原因が全て■だという辺りに、罪悪感を感じないワケでもない。

 そして衛宮切嗣の養子になり、日々を過ごす。数年後、呪いによって衛宮切嗣が死亡。死の際を看取り、今に至る。
 その死の際とやらを確認しようかと思い、やめる。もう必要のないモノだ。
 魔術回路はこのまま放っておこう。強大な異能は同等の脅威を呼ぶが、さすがに防衛手段を手放すのは上手くない。
 扱える魔術は強化と投影。しかし投影は手間がかかるらしい。よって使用出来るのは強化のみ。
 交友関係は狭いので、外見をいじっても問題はない。藤村大河という人物がうるさそうだが、一人ならどうにでもなる。
 その他どの特徴も致命的な事ではない。どれも思うがままに過ごしてれば慣れてくるだろう。
 正義の味方。これは■では判断を下せるモノではないし、また下してはいけないモノだ。これからの人格に任せるとしよう。
 そうそう後は――――――――――――、



「―――――――、あり? こんなもんかぁ。実際やってみたらつまらないモンだね」

 愚痴を吐く。今度は口があるので、隣に人が居れば聞こえた筈だ。
 手を握って、開けて、握って、開けて、触覚をなんとなしに実感してみる。問題なし。
 視界は上等なもので、強化を使えば自殺しようとビルに登った女子高生の大事なとこも見えるだろう。つーか見えろ。
 足元の机を思いっきり踏んづける。ばき、と派手に割れる。うん、耳もバッチリだ。この分なら舌も鼻も大丈夫だろ。
 肝心の命綱たる魔術回路も実感出来る。これからの鍛錬次第でどれくらい伸びるかは謎だが。
 その他関節の可動性、脳の出来、衛宮士郎の人生の再確認、オールグリーンクリア。
 全て完璧だ。これ以上はないというぐらいの成功。これより上は神にも悪魔にも望めまい。

 ――――だから、本当につまらないモンだ。
 一秒後の光というのを浴びれば、オレはたちまち発狂死するだろうと期待していたのに。

「まぁしょうがない。それはこれからの努力次第って事で」

 人格交代ごっこはこれでおしまい。
 オレは長年使っている事になっている体を虐めぬく為に土蔵へと足を運ぶ。
 さて。この身唯一の武器とやらどれくらいのジャジャ馬なのか、試してみるとしよう――――。



 それが衛宮士郎の死。

 正義の味方を目指した無様で綺麗な少年は。

「この世全ての悪」という悪魔の貢ぎ物になってしまった。


1・舞台は3年後。奇跡を欲する戦争にて開幕する。(聖杯戦争ルート・Fate、UBW系予定)
2・舞台は5年後。街に影が侵食する頃に開幕する。(アンリマユルート・HF系予定)
3・舞台は俺が創る。(リレールート。ここからは任せろ系)

146 名前: アヴェンジャーエミヤ ◆ddg5.LZD9c 投稿日: 2005/12/27(火) 22:47:47
つーワケでアンリマユ士郎です。
リレー大歓迎ですので、「見てられねぇ!」と思われればがんがん突っ込んでください。
あと設定的に矛盾だよ。と感じた場合、これもがんがん突っ込んでください。
PS・上のはタイトルミスです。これの名前のが正しいです。

147 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/12/27(火) 22:49:10
よし2だ。

148 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/12/27(火) 22:53:09
とりあえず1かな。
新連載期待がんがれ。

あとテンプレにもある通り、選択肢のシンボルは変えた方がいい。
数字だとstar lightと被ってるし。

149 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/12/27(火) 22:55:00
1で

150 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/12/27(火) 22:55:03
1です。
がんばって下さい。

151 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/12/27(火) 22:59:06
1でいこー。

>>144
ありがとう、もう少し頑張ってみる。

152 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/12/27(火) 22:59:26
んじゃ1で・・・ってもうリーチ?

153 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/12/27(火) 23:00:51
いや決定

154 名前: アヴェンジャーエミヤ ◆ddg5.LZD9c 投稿日: 2005/12/27(火) 23:05:34
早ッ!? いや私も1かなー、とは思ってましたが…早い。
それでは燃えで頑張ってみます。

>>148
助言サンクスです。次からは記号を変えてみます。

155 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/12/28(水) 00:14:19
難易度の高い月姫はもうリレーでいいんじゃないか?
月姫やったことがあれば誰でも出来るんだし

156 名前: るー ◆Kmt4qpE2Xs 投稿日: 2005/12/28(水) 05:15:35
ようやく完成したので、こそっと晒し
ttp://starlights.xxxxxxxx.jp/index.html
ちなみに
05.【Interlude】『light saber -blue-�機�
だけが、スレで今までに投下していない文章です。
今までの文章で、誤字脱字・アドバイス・感想などあれば、ぜひウェブ拍手コメントからお願いします。

選択肢は僕も1に入れたかったですー

157 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/12/28(水) 11:52:24
うあ、1.に入れ損ねた!

>>156
黒字に青は見難いので色を変えて頂けるとありがたく……。
背景色と文字色は色相環の反対側とかコントラストの差が大きいものとかにすると良いかと。

158 名前: るー ◆Kmt4qpE2Xs 投稿日: 2005/12/28(水) 13:23:27
>>157
スターウォーズ風に黄色にしようと思っていたのを忘れてました(´・ω・`)
ご指摘どうもです

159 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/12/28(水) 18:02:44
しかし革ジャンでショットガンをぶっ放す奴、っていうと
やっぱり『アイツ』が一番最初に思い浮かぶ俺
……まあ、アイツの宝具はギターケースなんだろうが

160 名前: アヴェンジャーエミヤ ◆ddg5.LZD9c 投稿日: 2005/12/28(水) 20:51:11
『何か』が決定的に変わってから三年。
 人間は水で出来てるのか、変化への順応は思いの外楽なモノだった。
 周りの人も最初は驚きを繰り返したが、それも一週間も過ぎれば慣れるらしく。
 何かが変わったっつっても性別が逆転したワケでもないので、どうでもいいモノでもある。

 日々は廻る。緩やかに、だけれど駆け足に。苦しいけど、楽しげに。

 それを振り回しそれに振り回されるのを繰り返す内に、そんな事を悟ったりした。
 止められない循環であり、また止める意義はない繰り返し。
 山頂からの景色みたいなモノだ。その美しさの前にはどんな雑念も屈する他ない。
 ……まあ、なんだ。
 結局のところ、オレこと衛宮士郎は、こうして日常を甘受し続けてるというワケである。



「―――――にしても、お前それで平気なの?」

 穂群原学園生徒会室。
 愛用のHB鉛筆を削りがてら、柳洞一成にそんな疑問を投げかけた。

「無論……と言いたいところだが、やはり辛い。修行不足だな」

 喝、と加えてフキのキンピラを摘まむ一成。言葉とは裏腹に、橋を持つ右手は乗り気ではない様子だ。
 無理もない。成長期真っ只中の男子高校生の昼飯が魚肉類皆無な山菜づくし。鉄の処女なんかりよりよっぽど拷問らしい。

「まあ、あれは拷問っつーか処刑だよねぇ実際」
「衛宮。今のもそうだが、人前での独り言はもっと大声で呟くモノだ。さっきは廻るだとか甘受だとか……正直、不審者くさかったぞ」
「あ? お前そりゃ今更ってもんじゃん。オレ以上の不審者は冬木のどこ探しても居ないだろ?」
「まったく……呆れてぐうの音も出ん。お前がもっと質素だったら、俺も遠慮なく付き合えるというのに」
「何でさ」

 まぁ、一成のぼやきも判らなくはない。
 確かにオレはお世辞に優等生と呼べる外見をしておらず、一成と違ってブレザーも全然似合わない。
 日本人とは思えないような黒い肌と、その肌と被りまくりな黒髪。しかも髪型は寝癖と天パを百年間ぐらいほっといて合体事故の挙句オレショウネンマンガノシュジンコウコンゴトモヨロシク、みたいなボサボサぶり。
 きっぱりと不審者そのものである。我が麗しの生徒会長様は内側を見るタチらしいので、深くは言及してこないけど。

161 名前: アヴェンジャーエミヤ ◆ddg5.LZD9c 投稿日: 2005/12/28(水) 20:52:27
「……うむ、昼食はこれぐらいにしておくか。衛宮、茶でもどうだ」
「いらねぇ。ポカやってぶちまけちまったら目も当てたくなくなる」

 会話を切り上げて仕事に戻る。
 膝上にはまだ余白をふんだんに余したスケッチブックが、今か今かと持ち主の筆を待ち望んでいる。
 だが感情の赴くままに筆を走らせるのは性に合わない。絵は腕ではなく、頭で描くモノだ。
 一成(モデル)のカタチは今の十分間で脳髄に叩き込んだ。後はそれをどう鮮明に引き出し、どう修正するかである。

「それもそうだったな。それは気が足りなかった。こちらから無理を言ったのに、重ねて無礼だった」
「気が足りないと思うなら喋んなよ。動くのは構わねぇけど、喋られると気が散る」
「了解した」
「――――――――」

 今度こそ会話を断ち切り、無言で白色を睨む。
 白という色自体は好きではないが、絵を描く時は重宝する。混じり気のないそれは文字通り頭をまっさらにしてくれる。
 そしてそこに浮かぶ一つのイメージ。柳洞一成という一人の人間が、衛宮士郎の中で再現される。

(……とりあえず手足が一番鮮明かな。次は股関節、腰周り。顔は……ちょっと後回しすっか)

 HB鉛筆が滑らかに余白を埋めていく。
 続いて股関節、腰周り、首、髪、眼鏡、右手小指の修正、右肩、左胴、右目、とよりイメージが鮮明なモノから仕上げていく。
 模写というよりはトレースに近い。紙の上では既に絵が完成しており、オレはそれをなぞっているだけである。
 もちろんこんなのはセオリーじゃない。普通は全体の大きさを決め、その中でパーツ毎の配分を考える事から始まる。こんな子供の落書きみたいな、グチャグチャな有り得ない手法。
 そんな描き方で全国ベスト16に選ばれるというのは、詰まるところ衛宮士郎は普通の絵描きではないという事だ。

(元々は魔術に重要なイメージを鍛える為に始めた鍛錬の一環だったんだけどなぁ……)

 始まりはそれだ。最初は弓でもやろうかと思ったが、体育会系のノリにはどうにもついていけない。
 体は家やらたまのバイトで鍛えているし、人と群れるのも好きではなかった。その後も色々思案した結果「芸術って右脳っぽい」という理由で絵に落ち着いた。
 それが今や冬木の芦雪の異名をとる。人生どこでどう転ぶかマジで分からない。ところで芦雪ってなんだ。
 眼球を描き入れ、頬に影を加える。胴と胸をさらっと仕上げて、こちらにも陰影をつける。
 ここまで都合四分。イメージをなぞるだけなので、形にするのは速い。早描きだけなら全学生に負けない自負もある。
 いやまぁ、オレ本人としては、納得いった作品を一度も仕上げた事がないので、こんなの自慢にもなりゃしないけど。

「後は鼻を描いて……うし、出来た」

 自慢にもならないが、頼まれれば何でも描くのが絵描きの情である。たまにお金も貰えるしね。
 よくよく考えれば一成を描いた事は一度もなかったし、昼飯もおごってくれるという約そ――――、れ?

「どうした一成? 出来たぜ? 見ねぇの?」
「―――――――」
「一成クン? 出来たって。ほら、もう喋っていいぞ。約束に律儀すぎるのはどうかと思うよオレ」

 真面目の象徴みたいなコイツにそれを説くのもバカだが、今の一成はもっとバカ面だ。
 いや、そもそもオレの声なんざ届いちゃいない。もう別の事に完全集中しやがってる。

「あーそうですか絵のモデルは退屈ですかそりゃ確かに退屈だろうけどもうちょっと気を引き締めてほしいよコンニャロウ」
「―――――――」

 わざとらしくそっぽを向いてみるが、やっぱ反応なし。
 ……そーか。なるほど分かってきたぞ。
 要するに、今のオレの行動は大海に小石を投げる程度の事なのだろう。
 そして今、一成の意識を掴んで離さない、さっきの例えで言うなら大海がこの場に存在していてるという事で。

「――――呆れた」

 その大海は、背後からそんな言葉を投げかけてきた。
 振り返る。そこには――――


A1・不肖の姉貴分、藤ねえがやれやれという顔で微笑んでいた。
A2・優等生、遠坂凛が仁王立ちで突っ立っていた。
A3・宿敵、カレン・オルテンシアが蔑んだ目つきでオレを見ていた。
A4・こっからはリレー、俺が書く。

162 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/12/28(水) 20:53:27
A3しかないじゃないか!

163 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/12/28(水) 20:58:54
A1

164 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/12/28(水) 21:01:46
A2!A2!

165 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/12/28(水) 21:03:52
ここはA2だな。

カレンは出てほしいけど、出るならやっぱ教会か夜を好む俺。

166 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/12/28(水) 21:20:27
ヒロインは物語の最初に出るべきと思っている俺はむろんA3を選ばせて頂く。

167 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/12/28(水) 21:37:55
A3!
ツンデレ!
A3!
ツンデレ!
A3!
ツンデレ!

168 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/12/28(水) 21:41:03
A2ってことで

169 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/12/28(水) 21:45:16
A3とみせかけてA2で

170 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/12/28(水) 21:46:24
A3に決まってるじゃねぇか!

171 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/12/28(水) 21:50:05
A3で頼む

172 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/12/28(水) 21:53:59
よっしゃA3決まったーー
カーレーンッ!カーレーンッ!

173 名前: アヴェンジャーエミヤ ◆ddg5.LZD9c 投稿日: 2005/12/28(水) 22:02:08
A1・1票
A2・4票
A3・5票

何この接戦。そしてA1に一票だけ投じたあなたに藤ねえラヴァーの称号を。
つーわけで次回はカレン&アンリのやりとりをご期待ください。
「早漏」「誰かコイツに空気読み機能を」
ツン同士のぶつかり。それは一昔前のラブコメ漫画が再現だ! 何そのバカップル。

174 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/12/28(水) 22:38:36
つ「そこまでにしておけよ藤村」

175 名前: アヴェンジャーエミヤ ◆ddg5.LZD9c 投稿日: 2005/12/29(木) 14:04:39
 ――――宿敵、カレン・オルテンシアが蔑んだ目つきでオレを見ていた。

「ごきげんよう。相変わらずいたいけな一般人で遊んでいるようね」
「関口一番がそれか。相変わらず人をひねた視線でしか見れねぇんだなアンタ」
「失礼ですね。私は主に使える者です。今は性質の悪い悪魔じみた駄犬を躾ようと、仕方なく心を鬼にしているのですよ」
「犬には犬なり人権があるんだ。それを侵害しようなんざ思い違いも甚だしいね。駄犬っつーな」

 バチバチバチ。対峙する視線は互いを射抜き、二人の間には雷が発生する。
 オーケーコイツの前なら遠慮は不要だ。スケッチブックを机に投げ捨て、おもむろに足を組む。

「三秒やるからさっさと帰れ。さもなくば職員室に駆け込んで『カソック服来た不審者が現れました』ってチクんぞ」
「ご心配なく。今この時のみ、この学園でまともに思考出来るのは私達だけです。一般の方々の意識をちょっといじりましたので」

 ああ、なるほど。
 だから一成から反応がないのか。
 いや、反応がないのではない。反応したくとも他の何かに心を掴まされて離せないのだろう。
 暗示。魔術を知る者の基礎中の基礎。一般人をこちらの世界に引き込まない為の配慮であり、気づかれない為の防衛手段だ。
 ちなみにオレは全然使えない。この身が行使出来る魔術はただ一つだけである。
 ……そうか暗示か。コイツはウソは吐かないので、本当に学園中の人間の意識を操作した筈だ。
 ならいっそう遠慮は不要。100%自分を曝け出して、コイツと喧嘩出来るってモンである。

「そんで? まさか嫌味言い合うために現れたワケじゃねぇよな」
「私はこれでも引く手数多なので。あなたといちいち雑談出来る立場ではありません」

 ファーストコンタクト、様子見は以上だ。これからは犬も靴履いて逃げ出す悪態の吐きあいである。
 ……まあ、なんだ。こんなのが教会のシスターって辺り、日本はもちっと無神論を問題だと思うべきだと思う。

176 名前: アヴェンジャーエミヤ ◆ddg5.LZD9c 投稿日: 2005/12/29(木) 14:06:13
 カレン・オルテンシア。
 決定的な『何か』が変わった三年前、ちょうどオレの肌と髪が黒く変貌した頃にふらっと街に現れた少女。
 銀色のウェーブヘアーとくすんだ金色の瞳は正直奇麗で、ヤクかなんかやってれば銀白の紫陽花と見間違えるかもしれない。
 分かる事は四つ。
 一つ。外国のキリスト系組織が派遣した"代行者"とやらだという事。
 二つ。住居は新都にある教会という事。オレがコイツと出会ったのもそこだった。
 三つ。人様の心の疵を抉り、完膚なきまでに虐めるのが趣味という、とんでもねぇエセシスターという事。
 そして四つ目。オレはコイツが大嫌いで、コイツはその三倍、オレが嫌いという事。
 これでもオレが一番の馴染みだという辺り、幽霊の類じゃないかと考えたくなる。いや、主の遣いかもしれない。キリシタンだし。

「あっそ。じゃあさっさと済ましてくれる? これでも引く手数多の天才画家って設定なの。腐れシスターとは縁があってもぶった切らなきゃいけない人なんだよ」
「なるほど。それは今すぐ切ってほしいモノですね」
「ああ。でもオレは不器用だから。その包帯だらけの肢体ごと切っちまうぜぇ、もうバッサリと」
「では私はその傷口を切開いたしましょう。貴方の心はこんな場所では覗ききれないでしょうけど」
「やってみろよこのサドマゾ」
「あら。いつからご主人様に遊びをねだれる立場になったのかしらねこの駄犬は」

 バチバチバチバチ! 花が燃え鳥が散り風が飛び月も割れる頃に遠雷が響く!
 ヤツは笑みを保ちつつオレを蔑むように見下す。オレは薄ら笑いを絶やさずそれを迎え入れる。
 最早笑顔の定義が判らなくなる程の応酬。ふたつ○をつければちょっぴり大人さ。
 すげーぜ花鳥風月もここまで間違えれば芸術だ。画像付きでお見せ出来ないのが残念でならない。

「……もういい。アンタとは育った星からして違うようだ。せめて太陽系の思考を携えてから来い」
「あなたこそ。まずは第二魔法を身につけなさい。もっと紳士的な貴方と入れ替わってからお会いしたいわ。
 最も、そんな貴方が居る世界なんて千年かかっても見つけられないでしょうけど」
「………ッ!」

 やべぇ、今日はいつにも増してキてる。
 コイツの気に食わなさも然ることながら、どうやらオレはひどく気が立ってるようだ。
 さっさと会話終わらせてコイツを視界から消さないとマジで殺しそう。あー、もうなんでこんなヤツと知り合いなのか。
 仰々しく溜息を吐き出し、深呼吸。
 一……二……三、よし。

「……これぐらいにしようや。このまま続けたら五限目が永久に訪れない」

 それはそれで魅力的だが、視界の外で呆けている友人が更新中の無遅刻無欠席記録をこんなんで途切らすのはあまりにも惜しい。

「そうですね。飼い犬と戯れるのはいつでも出来ますし」

 そしていちいち暴言を吐かなければ気がすまないのかコイツは。
 いや、オレからの一言であっさりと話題を転換する辺り、お互い成長していると見るべきかもしれない。
 このまま成長を続ければ十年後には仲良しこよしも夢では……絶対ゴメンだ。悪夢のままにしておこう。

「んじゃ改めて。何の用だよ腐れシスター」
「ええ。貴方も魔術師ですので、一応尋ねます」

 魔術師、という単語に反応する。
 これでもこっち側の端くれだ。そういう単語を聞いてスウィッチを切り替えられない程命知らずではない。
 女は目を伏せ、間を置く。それなりの心構えが必要な話らしい。
 …………しばし沈黙が続く。
 気まずいと言えば気まずいが、コイツも同じ空気を味わってると思えば苦痛も最高のドラッグに早変わりだ。ひひひ。
 あーオレは本当にコイツが心の奥底ビンの端まで嫌いなんだなあ、と実感していると。
 
「―――――今回の聖杯戦争、貴方に干渉する意思はありますか?」

177 名前: アヴェンジャーエミヤ ◆ddg5.LZD9c 投稿日: 2005/12/29(木) 14:06:59
女は目を伏せたまま、祈るように、運命を問いてきた。
 空気が消える。比喩ではない。今の一言で酸素も雰囲気も何もかもかき消えた。

「聖杯、戦争?」

 聞き慣れない単語に首を傾げる。わざとらしく区切りを入れてもスウィッチを切り替えられない。
 何故だろう。聖杯という単語も、戦争という言葉の意味も知っている筈なのに。
 その二つを繋げただけで、オレは理解する事が出来ず、本当にただ首を傾げるしか出来ない。
 そんなオレの反応をどう思ったのか。女は伏せていた目を上げ、祈りを解き。

「―――どうやら知らないようですね。それならそれで構いません」

 では、と。
 貴方とはこれで今生の別れです、とでも言わんかのように背を向ける。
 いや、事実そうなのだろう。ここで彼女を逃がせば二度目の邂逅はない。
 それは困る。困るから、引き止める為に立ち上がろう。

「オイ、てめぇ何を――――!」

 だが動かない。悪ぶって組んだ足が。先ほどまで絵を描いていた右手が。
 動かない。腕が、肩が、胴が首が肺が肘が膝が目蓋が脳が心臓が、衛宮士郎が、まるで死んだように動いてくれない。
 暗示ではない。暗示をかけられても解く事は出来ないが、かけられてるかどうかを察するぐらいは多分出来る。
 だからこれはオレ自身の問題。
 オレの知らない何かが、これ以上この話に触れる事を拒否している。

 ヤメロ。ヤメロ。ヤメロ――――!

 金切り声が聞こえる。耳をふさぎたいのに腕の感覚は亡くなっている。
 女が遠ざかる。花が届かないトコロへ行ってしまう。
 それは困る。それはマズイ。それはイヤだ。それはあまりにもアッケない。
 確かに視界から消したかったが、それでもう一生会えませんよはちょっとサービス過剰じゃあるまいか。
 細い指がドアノブにかかった。廊下に出られたらもうおしまいだ。
 止めようにも抑止する行動はとれない。まともに動くのは悪態を吐き合った口だけだ。
 オレは―――――、

A1・聖杯戦争を知っている、と言う。
A2・ふと、握りこんでいた鉛筆が視界に入った。
A3・……別にいいか。
A4・それじゃリレーで。

178 名前: アヴェンジャーエミヤ ◆ddg5.LZD9c 投稿日: 2005/12/29(木) 14:08:51
丸判りですが、BAD混じってます。早いとか言わないように。
とりあえずまだルートは確定してませんので、他のヒロインスキーな貴方はご安心を。

179 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/12/29(木) 14:20:19
2はBADだかねえ?

A1で

180 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/12/29(木) 14:31:43
A3だ

181 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/12/29(木) 14:40:33
カレンをモデルにするのを期待してA2

182 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/12/29(木) 14:57:44
A3

183 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/12/29(木) 15:24:05
A2行ってみよう

184 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/12/29(木) 15:28:03
ここはA2で

185 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/12/29(木) 15:35:39
A1で

186 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/12/29(木) 15:40:43
A2

187 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/12/29(木) 15:46:02
A2だ!ってか微笑みの爆弾吹いた。

188 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/12/29(木) 17:40:04
A3で

189 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/12/29(木) 20:55:37
A3

190 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/12/29(木) 21:02:52
187の時点でA2確定じゃ?

191 名前: アヴェンジャーエミヤ ◆ddg5.LZD9c 投稿日: 2005/12/29(木) 21:03:57
五票先取、ということでA2で。
そしてやけに多いA3……そんなに道場とかそういうのが見たいか!

192 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/12/30(金) 03:06:35
むしろA4がバッドじゃね?
っていうかこういうのは卑下してるように取れるので書かんで宜しい

193 名前: アヴェンジャーエミヤ ◆ddg5.LZD9c 投稿日: 2005/12/30(金) 10:46:19
それもそうですね……ちょっと連載が嬉しくて浮かれてたようですorz
気分を害された方、萎えた方、すいませんでした。

>>192
助言ありがとうございます。リレーの事も含めて色々考えてみます。

194 名前: アヴェンジャーエミヤ ◆ddg5.LZD9c 投稿日: 2005/12/30(金) 12:33:41
 ――――ふと、握りこんでいた鉛筆が視界に入った。

 鉛筆? んなモンが今何の役に立つんだよ投げて突き刺せってのか?
 バカげてる。何でこんなモノに気を止めたか。何デこんナものガ視界に入ルノか。ナンデコンナモノモッテ―――

「―――――あ」

 そうだ。それなら。
 ちょっと滅茶苦茶な気もするが、この女を逃すよりはまだマトモだろう。

「待った。オレもアンタに言わなきゃいけない事があった」
「………なんですか? あんなに首傾げといて、聖杯戦争を知っているなんて言わないでしょうね」
「ああ。オレはそんなの知らないし、関わりたくもないね」

 本音だ。実際、女を呼び止めただけで肺が呼吸活動を停止しかけてる。
 時間はない。十年前を再現する前に、とっとと終わらせないと。
 女はそう、と息を吐くように返す。素っ気無いのはムカツくが、今はそれでオーケーだ。

「だからこれはその聖杯戦争ってのとはこれっぽちも関係ない。それでもいいな?」
「魔術に関する事は駄目ですよ。そろそろ暗示も切れる頃なので」
「そんなんじゃねぇよ。ただ教会貸してほしいってだけだ」

 女が振り返る。あ、驚いてる驚いてる。
 そりゃそうだよなあ。言ってる本人だって驚いてた上での発言なんだから、聞いてる方はその比ではないのである。

「……驚いた。あそこは性に合わないと言っていたでしょう」
「んー、そうなんだけど。ほら、さっきも言ったけど、オレは引く手数多の天才画家なの。描いてない題材があるのはヤなの」

 もちろんこじつけだ。
 描いてないモノは縁がないモノで、縁がないモノはどうでもいいモノだ。
 だがそれぐらいしか正当っぽい理由がない。理由がないのが理由とは、どこぞの哲学みたいだ。

「つまり、三年ぶりに我が家に押し入ろうという事ですか?」
「まーそんなとこ。ダメっつーならいいよ。庭あたりで描くから」
「いえ、構いません。主は何人であろうと分け隔てなく愛します。個人的な感情で受け入れを拒否する事はありません」

 それが我々の勤めです、とポーズをとる。
 言ってる事はいまいち分からないが、どうやらオーケーと受け取っていいらしい。

「そんじゃ適当な時間に寄るわ。勝手に描いて勝手に帰るから、別にお茶とか用意しないでいいぜ」
「しません。三年前の事を忘れた訳ではないですから」

 きっちりと若さ故の過ちを思い出させるあたりにらしさを見せながら。
 今度こそ銀白の腐れシスターは生徒会室から退場した。

「あ、動く」

 苦しげだった呼吸が清涼なそれに戻った。ふー、と息を吐いてからずっと捻っていた首を戻す。うわ、こりゃ寝違えてる。
 しかし、我ながら変な方向に機転が利いている。
 教会はアイツのホームステイ先みたいなもんだ。そこを題材に描くとすれば、アイツと会わないワケがない。
 要は虫の知らせを未来の事実で打ち消したのだ。空想は所詮現実には勝てないという良い例。
 それにしても本当に唐突な発言だった。もうちょっと他のやり方はなかったのかと首を傾げる。

「ま、いっか」

 世の中そんなもんだ。
 やり直しは出来ないので、反省はすれど後悔はしてもどうしようもない。
 何はともあれ逃げかけた花はまた手の中に。後はたまにしっかり掴めているかを確認すれば良い。

 しかし、まあ、なんだ。

「なーんでオレ、あんなにアイツを逃がしたくなかったんだろ」

 三度首を傾げる。
 その後、一成が昆布茶に掴まれていた意識を取り戻し、一緒に五限目に向かう頃になっても、その疑問が紐解かれる事はなかった。

195 名前: アヴェンジャーエミヤ ◆ddg5.LZD9c 投稿日: 2005/12/30(金) 12:34:47
 トントントントン。ジュウジュウジュウ。ゴウゴウゴウ。
 午後八時。衛宮亭の台所に一曲のBGMが流れる。
 曲種はロック。音源は三つ。そしてタイトルはマーボーと八宝菜。
 そう、料理である。オレにはこれっぽっちも手の届かない聖域が、今背中の向こうで展開している。

「くんくんくん。うむ、この匂いはもはや神の領域。
 さすが我が家の台所事情の神さまだけはあるわー」
「そうだな。アイツが来る前はもう悲惨なんてモンじゃなかったからな」

 言いながら落書きを続ける。
 大学ノートに鳥やら車やらタンスやらと節操なしに描き連ねる。
 もうそろそろ八十個目に差掛かるところだが、鉛筆を持つ手は休める事無く、独立した生き物のように素早く動かす。
 これもイメージの、ひいては魔術の鍛錬である。
 実戦では昼のようにモデルやお手本等の形ある物は存在しない。だから頼りになるのは自分の記憶だけになるのが常だ。
 だから一日の終わりにはこうやって落書きをする。今日道端等で見たモノを思い出しながら、なるだけ素早く多く描く。もちろんイメージをなぞるという型は崩さない。
 狙いは記憶力の強化及びイメージするまでの時間の短縮だ。あと暇潰し。
 秒針に合わせて一筆描き入れるとか、十本の線で完成させるとか色々やってると案外楽しいモノで、なかなか熱中出来る。

「藤ねえ。あとどれくらいっぽい?」
「もう出来ちゃうわよー。ていうか今盛り付けてる」
「うっわマジかよ。十秒経ったら頼む!」
「おう、背中は任せろジョニー!」

 スパートをかける。
 ガレキの壁、学校の椅子、ポンチバージョン一成、スケッチブック、夕焼け、犬、土蔵、気に食わないけどエセシスターのポンチバージョンも追加しておく。
 以上のモノのイメージを湯水のように湧かせ、片っ端からなぞっていく。
 六秒経過。まずい、まだ犬の前足がはっきりしてない。あとエセシスターの瞳も歪んでる。
 鮮明なイメージを生んでからなぞらなければ練習にならない。コレは絵の練習ではなく、あくまで魔術の訓練なのだ。
 七秒。HB鉛筆を握り締め、脳をフル回転。雑巾から水を絞り出すイメージで記憶の奥底から足りないパーツを引き抜く。
 八秒。前足の引き抜きに成功、描写。だが瞳の抜き出しがまだ甘い。もっとだ、もっと絞り込め。
 九秒。どうしても出てこない。ええいお前は頭ん中でもオレの前に立ちはだかるのかこのエセシスぴぃいいぃぃいぃぃいぃいぃぃぃ!!!!

「しゅーりょー!」
「あー、ちくしょー!」

 鉛筆も手足も投げ出す。ちなみに今のホイッスルは藤ねえが小学生から愛用してるリコーダーである。
 五分やって都合一〇三個。三秒に一個描いた計算だ。だがこれは描き上げた数だけで審査するべきではない。
 エセシスターの瞳は言わずもがな、五十六個目の石の凹凸とか、七十八個目の冬木の豹のスタイルとか、いくつか再現しきれなかった事実も査定に入れるべきである。もちろんマイナスで。
 と、聖域からその展開者がご褒美持って歩いてきた。
 その正体は―――――、


A1・穂群原学園のアイドルにして我がライバルが一、遠坂凛だ。
A2・美術部のマドンナにして我が愛弟子が一、間桐桜だ。

196 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/12/30(金) 12:52:16
マーボーと八宝菜ってことは中華か。
そして中華と言えばA1の遠坂だな。

まあ実際そろそろアンリ士郎VSあかいあくまが見たい。

197 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/12/30(金) 12:55:05
A1だぁ

198 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/12/30(金) 13:13:17
A1で

199 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/12/30(金) 14:26:17
A1がいいです

200 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/12/30(金) 14:34:13
うっ……迷う選択肢だな……
えっ…A1!えーいち!

201 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/12/30(金) 16:21:53
凛とカレンのダブルあくまでA1

202 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/12/30(金) 18:20:34
A1!

203 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/12/30(金) 18:27:44
もう5個か
1色で染まるのはもしや初ではないか?

204 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/12/30(金) 18:28:45
桜…

205 名前: アヴェンジャーエミヤ ◆ddg5.LZD9c 投稿日: 2005/12/30(金) 19:29:07
  穂群原学園のアイドルにして我がライバルが一、遠坂凛だ。

「ふーん……五分でこの数、この精度。
 さすがですね衛宮くん。さすが我が校が誇る天才画家ですわ」
「うるせえ遠坂。藤ねえの前だからって猫被ってんじゃねえよ」
「む……何よ、誉めてあげたんだから、少しは感謝するとこでしょ」

 そんなモンかね、と腹筋運動で食卓に復帰。
 目の前にはマーボーと八宝菜、そして自家製キムチが煌びやかに並ぶ並ぶ。
 待ちきれないのか、藤ねえが獣じみた速度で炊飯器を持ってきていた。

「早く食べようよぅ! ほら、遠坂さんも座って座って!」 

 エプロンを外そうとしてる遠坂を急かす。
 行動の自由を自分の欲望で剥奪しようとするコレが教師なんだから、ホント世の中他人に関心を向けるべきだ。
 まあ、藤ねえこと藤村大河女史の欲望はどこまでも真っ直ぐなので、問題ないっちゃ問題ないけど。

「藤村先生。ご飯は逃げませんよ」
「いや、味は逃げるぞ。中華料理は冷めると犯罪的に不味くなるんだろ」
「そうそう! だからほら! エプロンなんかそのままでいいじゃない」
「もう、しょうがないですね」

 口では呆れているが、顔が綻んでいるのは言うまでもない。
 白米を茶碗によそい、全員に配布する。炊き立ての湯気とおかずの匂いが混ざってなんとも言えない素晴らしさだ。
 コイツはメシが進みそうだ。今日はヤな事(もちろんエセシスターの件である)もあったのでたくさん食おう。

「それじゃー、遠坂さんに感謝してー。いただきまーす!」
「「いただきます」」

 団欒が開始するやいなや、三膳の箸をまったくの同時に繰り出し口に運ぶ藤ねえ。いや冬木の虎。
 なんか近い未来にコレに似た剣技を見る気がしてならないのだが、藤ねえに稽古をつけてもらう事はないので寄寓に過ぎまい。
 オレはマーボーを炊きたてご飯に乗っけてかっ食らい、遠坂は行儀よくキムチを摘まんでいる。

「遠坂。このナスの切れ目って何の為につけたんだ?」
「火の通りと味の染み込みを良くするため。ちなみに挽き肉はそこらで売ってるのだから」
「マジ!? 挽き肉ってボソボソしててうめぇモンじゃねぇだろ!?」
「それは偏見よ。挽き肉は肉汁がたくさん出るから、むしろモモ肉とかより重宝するのよ?」
「そうよ士郎ー。挽き肉さんだってちゃんとしたお肉なんだから、そんな事言ったらバチ当たるわよー?」
「キムチとマーボーまとめて頬張りながら言う台詞じゃねぇから。つーかもう味分からないですよねソレ」
「ええー? だってキムチだって美味しいじゃない。
 遠坂さんの料理は全部美味しいんだから、どう食べても問題なし!」
「ありがとうございます藤村先生。でももっと別々に、味わって食べてくれるともっと嬉しいです」
「そう? じゃあそうするねー。えへへー、遠坂さんにお礼言われちゃったー」
「へいへい良かったねー。
 それじゃあオレもお礼言ってあげるから人の取り皿からマーボ春雨盗るのはやめてねー」

 一膳の箸を抑え込まれながらも残りの二膳で春雨をかっ攫う虎への発言だ。つーかアレはメシに夢中で聞いてない。
 ひひひ、どうしてくれようかと虎退治に思いを馳せてみながら、無言でチンゲンサイを咀嚼する遠坂に目をやる。
 ……しかし、まあ、なんだ。
 藤ねえはともかく、遠坂までこの団欒に参加してるのが当たり前になってる辺り、月日の流れは強烈だ。

206 名前: アヴェンジャーエミヤ ◆ddg5.LZD9c 投稿日: 2005/12/30(金) 19:32:11
 遠坂凛は穂群原学園のアイドルと称される、オレや一成に並ぶ有名人だ。
 容姿端麗、成績優秀、文武両道、才色兼備、と語れば語るほどこっちがヘコみたくなるようなミスパーフェクト。
 穂群原学園で一番の才女。後輩だろうが先輩だろうが同輩だろうが男子はほぼ全て、遠坂に憧れている。
 そんな遠坂が、そのほぼから零れる貴重なオレの家で朝飯と夕飯を作ってくれるようになってから、もう一年が経つ。
 ちょうど一昨年の十一月だったか。あまりにも当たり前になりすぎて、つい忘れそうなる。

 誰もいない美術室。朝焼けに染まるオレとキミ。随分昔のコトのようだ。

 しかし、コイツはまだオレをライバルと認識してるのだろうか。オレは正直、もうコイツのコトを――――、

「あ、電話。士郎出て」
「そう電話に出る、てあれ?」

 いや何があれ、だ。なんでもない、ただ家の電話がやかましく鳴っていて、藤ねえがオレに出ろと催促してるだけの話。

「何があれなのよ、衛宮くん」
「い、いや。何でもない。
 でもなんでさ。藤ねえのが近いんだから、藤ねえが出ればいいじゃん」
「この家の主は士郎じゃない。私が出たらおかしいでしょ」
「その手に乗るか。どーせオレが立ち上がった瞬間に今度は六膳に増やすn」
「衛宮くん。切れちゃうわよ、電話」
「む。なんだよ遠坂。お前からも言ってくれ。こんな理不尽を教師がやってていいのか」
「ここはあなたの家よ。学校じゃないんだから、藤村先生はもう教師じゃないわ。
 それに、藤村先生の言い分も一理ある。衛宮くんへの用事だったら二度手間じゃない」
「うぐぅっ……」
「そうよー。もしかしたら切嗣さんが天国からかけてくれてるのかもしれないわよー?」

 へん、自分の願望を軽軽しく口にするなってんだ。
 だが遠坂はひたすらやかましいベル音がウザいのか、折れにくそうな藤ねえの味方をしている。
 一対一でも勝ち目がないのに、二対一ではお手上げお足上げだ。取ってあったオカズ全てパクられる事を承知して電話機に向かう。
 藤ねえの箸が六膳に増えたのを背中越しに確認する。ケケケ、盗るなら盗れ。だがその時はお主が虎である事を後悔する時だ。
 しかし。ったく、どこのどいつだ。出会い頭にガツンと言ってやらないと気が済まない。
 受話器をとる。先手必勝、まずはヤクザ風味で先制パンチだ。

「もしもし? 人様の食事中に電話するたあいい度胸…」
「あ、お食事中でしたか? ご、ごめんなさい、私、気が利かなくって」
「おうその通りだ。許してほしけりゃ三べん回ってど……って、間桐?」

 驚いた。
 何に驚いたって、間桐がウチに連絡してくる事に驚いた。こんな積極性あるヤツだとは。
 間桐桜。我が美術部のマドンナ的存在にして、オレの一番弟子だ(もちろん絵のである)
 知っての通り、オレのそれは弟子をとれるようなモノではないのだけど、まあ本人が熱望したのだから仕方あるまい。
 間桐はよっぽど落ち込んでるのか、用件も話せず黙りこんでしまっている。むう、ちょっと反省。

「あー、怖がらせてワリィ。てっきりメシ時に電話してくる無礼な輩かと思っちまった」
「そ、そうですよね。こんな時間に電話するなんて、失礼極まりないですよね……」
「い、いやそういうワケじゃ……」

 マズイ。何がマズイって間桐をヘコませるのもマズイが、自身の安全はもっとマズイ。
 このままで後ろのあかいあくまに絶好のエサを作ってしまう。つーかもうニヤニヤしてるに決まってる。
 何を隠そう誰が知ろう。
 誰もが羨む学園のアイドル遠坂凛は、人の隙を見つけてはそこをいじくって遊ぶあかいあくまだと………!
 あのエセシスターとは絶対に会わせられない。組まれたら死ねる。もちろんオレが。主に急性的胃潰瘍で。

「すいません。また後日、お電話します」
「あ、ちょっと待……!」

 そんなオレの命乞いは意味すらも届かず、電話は非情にも切られてしまった。つーつー、という音が今はとにかく恨めしい。
 ………こちらも受話器を置き、おそるおそる団欒に戻る。
 藤ねえはもう何膳増やしてんだか分からない。つーかアンタに満腹中枢は存在しないのか。
 そして問題の遠坂はというと……うあちゃあ。もうにまあなんて擬音がこの上なく似合う笑みをしていらっしゃる。

「な、なんだよ遠坂。さっさとメシ食わないと藤ねえに全部持ってかれんぞ」

207 名前: アヴェンジャーエミヤ ◆ddg5.LZD9c 投稿日: 2005/12/30(金) 19:33:56
 しかし遠坂はそんな誘導には乗らず、ただオレを眺めて"ふーん、へー"と繰り返すのみだ。
 いやもう完敗ムードむんむんだが、抵抗しないのは趣味ではない。ここは一か八か、勝負してみよう。

「そんなにジロジロ見るなって。
 オレは見られても全然感じねえの。感じさせたいならちゃんと恋愛関係に持ち込ませてからにしようぜ」
「ふーん……、へー……」
「ケッ。気に食わねえなその笑顔。
 言っとくけどな、今の電話はなんでもないぜ。オレに落ち度はねえし、あったとしても全部じゃない。
 だからオマエが食らいつく間隙も美味いエサも、これっぽっちも転がってねえんだよ」
「ふーん……、ふむふむ」
「ッ。わからねえヤツだな。だーかーら「衛宮くんってさ」

 突然の変化球。一定のリズムで言い返していたオレは反応出来ず。

「セックスの時、彼女の思うが侭にされるタイプでしょ?」
「ブッ!」

 マックス150キロを越えるトドメの直球。
 もうタイミングも心もガタガタだったオレは内角高めに決まったそれに動揺するしかない。
 脅威の黄金パターン。もう一年間も打倒しようとしてるのにカスるコトも出来ない、あかいあくまの必勝法にまた嵌ってしまった。

「な、な、ななななな……」
「あー、顔真っ赤。いやー、桜泣かせたぐらいであんなに動揺するなんて、もう可愛いわねー」

 このこのー、と頬を突っつかれる。

「チ、チゲーよ! 今のはオマエが近くに居たからで、いつもならこんな!」
「いつもなら? へー、衛宮くんって彼女持ち? フフ、だれだれ?」
「バ……ッ! バカなコトをほざくな! オレはあんな!!」
「え、あんな? まさかほんとに?」
「しまっ……!」
 口を抑える。こういう場合は黙りこくるのが常套手段だが、あまりにも手遅れすぎだ。
 バリバリスウィッチ切り替わっちまった遠坂は、もう楽しくてしょうがないと口を隠しながらオレに詰め寄る。
 そうだ。何故分からなかった、どうして理解しなかったんださっきのオレ。
 衛宮士郎ではこのあかいあくまと対等に張り合うなど、未来永劫出来やしないという確定事項を!
 つーかコレは反則ッスよ親父ー、なんで冬木市にはあくまが住むって遺言遺さなかったのさー、知ってたら五秒でパスポート発行してロンドンにでも逃げ込んだのによー。

「ねえねえ、どうなの?」
「うや、いや」
「にひひひ。知りたいなー。
 衛宮くんのぉ、か・の・じょ♪」
「〜〜〜〜〜〜!!!!」

 やっぱコイツは反則だ。
 極上の笑顔にそんななで声で囁かれたら、どんな男でも折れるしかない。
 だがない袖は触れないのだ。彼女なんか居ないオレは、遠坂が満足するまで耐えるしかない。
 これまでか……いや思えば短い生涯だったな。ごめんよマイファザー。アンタの息子はこんなトコロでデッドるらしい。
 でも悔いはない。そう後悔なんかしてはいけない。あえて悔いるなら間桐を慰められず終いというコ……ト……?

「強情ねぇ。ええいこうなったら私も泣きましょう! 教えてくれれば―――」
「――――――――」
「……どうしたの衛宮くん?」
「――――――フッ。今回はオレの初勝利だぜ、遠坂」
「はあ? 一体どうい「ぴろーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!!!!!!!」うぅうう!!?」

 遠坂が疑問の声を上げようとしたその瞬間、なんか凄そうな生き物が爆誕した。
 さあ知るがいいあくまを名乗る者。人をびっくらこかす秘策は、この虎が人様のオカズをパクッた瞬間に発動してた事を。

208 名前: アヴェンジャーエミヤ ◆ddg5.LZD9c 投稿日: 2005/12/30(金) 19:34:58
「なんだこりゃーーーーーーーー!!! この辛(から)さ! 辛(つら)さ! もはや我が味蕾は辛味処と化したーーーーーー!!!」
「ど、どうしたんですか藤村先生!?」
「へいへいへい遠坂さん!! この春雨は何の冗談!!? 新感覚!?
 飲むアイスが如く完成品にメス入れてミスっちゃったとか!!?」
「ええ? どれどれ……うっわ何これ! 香辛料まみれじゃない……しかも何故にガラムマサラ?」
「ああ、それオレのだ」
「衛宮くん!? 何でこんなことしてくれてんのよ!?」
「最近香辛料に目覚めてナ。良い絵は熱い体で描くモンだ。それを人が電話してる間にパクった藤ねえのがワリィのさ」
「言うにこと欠いて何をバカな……!」
「ほれほれ、藤ねえ暴走し始めたぞ。いやー、猫に香辛料あげちゃダメっつうけど、虎も同じなんだな」

 ケラケラケラ、と勝ち誇るように笑ってみる。
 遠坂は歯噛みするも、オレから視線を切って立ち上がる。理性を焼ききった藤ねえもとい虎ねえを止めるべきだと判断したようだ。
 まあ、なんだ。
 日頃の行いが悪いヤツってのは、全く関係ないトコロでとばっちりを喰らうのだな。
 いやー、まさか虎退治の一環に仕掛けた香辛料トラップが、まさかあくま退治に繋がるとは。
 きっと神さまが哀れな子羊を救ってくれたのだろう。
 
「まあ、んなモンいるワキャねーけど」

 頭をがりがり掻き毟ってきっぱり否定する。
 神さまとは邪念だ。未完成の人間が自分は特別である、という証明を得る為に創られた一つの偶像である。
 つまるトコロ日本の無神論というのは、大体の日本人は日常に満足し、そんな邪念は不要物だと判断してるから。
 そう、邪念は不要なモノだ。怒りも恨みも妬みも蔑みも恐れも憎しみも、日常には何一ついらない。
 邪険にするべきではないが、わざわざ求める必要なこれっぽちもないだろう。

 ここは眩しい。一日だけ目隠しで過ごしてみた事もあったが、周りの反応がもっと眩しくなっただけだった。
 本当、目を背けたくなる。コレは出来すぎている。とてもじゃないがオレには似合わない。
 けどそこに居座っている。なんたる矛盾。資格なき者が、資格あった者を踏みにじって幸せに浸かるのだ。ふやけるまで、ふやけても。
 ふと、オレはいつまでここに居れるのだろう、なんて疑問が湧いた。
 衛宮士郎の理想を叶える為には、この町にはいつまでも居られない。雛はいずれ若鶏となって巣を飛び立つ。
 オレはいつ雛から卒業するのだろう。高校を卒業したらだろうか。進学したら大学卒業までか。就職したら……さすがに諦めるのか。
 まあ、いつでもいい。人間五十年。医学が進歩した今は八十年。まだまだ時間はたっぷり―――

"―――――今回の聖杯戦争、貴方に干渉する意思はありますか?"

 ッ。何を考えてる。アレは知るべきではない。
 その言葉を聞いただけで体が亡くなりかけた。関わったらどうなるかなんてもう語るまでもないじゃないか。
 忘れろ。アレは腐れシスターのいつもの冗談か何かだ。そうだそうに決まっている。
 その花だって今は手の中だ。離さないように、しっかりしっかり掴んでおけば落とす事もない。
 認めたくないが、オレはあの女を気に入っている。アレだってオレの日常の一部だ。
 聖杯戦争はない。あんな悲劇は起こらない。そう思えば、まだこの輝きは――――

「キャー! ダメです藤村先生それは私の……!
 え、衛宮くん!!! ちょっと、ちょっとデンジャーってわはー!!?」

 あ、遠坂がなんか楽しそうだ。
 さて、難しい話はこれでお開き。まだまだ団欒は始ったばかりだし。
 オレは今行くー、と声をかけて、とっとと暖かい食卓に戻る。
 ……まあ、なんだ。
 確かに眩しすぎる日々ではあるが、これぐらいのおまけは、オレみたいなヤツでも手にして良いのだろう。



A1・さて、腹も膨れた。寝る前に土蔵で鍛錬鍛錬。
A2・手の中の花を確認しに教会へ。

209 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/12/30(金) 19:45:18
素直にA1で。

210 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/12/30(金) 19:46:28
A1

211 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/12/30(金) 19:48:13
A2を選んでもカレンじゃない気がするが
そこは思いに殉じる!A2だ!

212 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/12/30(金) 19:48:47
A2

213 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/12/30(金) 19:53:15
急がば回れでA1

214 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/12/30(金) 19:54:12
士郎だし日課はこなさないとね A1

215 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/12/30(金) 20:05:51
A1で決定

216 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/12/31(土) 14:09:19
む。
もう締め切りか。早い。

ところで、どうでもいいツッコミを一つ。
虎は、明らかに多重で次元な屈折現象を引き起こしていますが、何故凛はスルー?

217 名前: アヴェンジャーエミヤ ◆ddg5.LZD9c 投稿日: 2005/12/31(土) 14:15:33
 さて、腹も膨れたし。寝る前に土蔵で鍛錬鍛錬。



「ガ、ギガ、アアアアアアアアアアアアア!!!!」

 叫ぶ。肺も心臓もこの叫びを最後に活動停止してしまいそうなほど強く叫ぶ。
 獣じみた叫びはだけど外には漏れず、土蔵の中だけで反響する。
 バカげた痛みを叫びで弾き、ズレかける擬似神経を気迫だけで正しいトコロにブチ込む。
 今日用意したイメージは地上百メートルにかけられた綱を勢いだけで渡っている自分。縄は古ぼけ端から千切れかけ、脚は元から傷だらけだ。
 分かりやすく言えば。自殺である。

「ご――――、ぎ……ずあ、ああああああ……!」

 だがここで朽ち果てるのは少々意味がない。
 元から意味なんか求めちゃいないが、誰も救わずに死ぬのはあまりにも衛宮士郎らしくない。
 規格外のダッシュに綱が軋む。だが足は踏み外さない。体のリミットは越えながらもバランスは維持。
 あと三十メートル。走る走る走る。残り十メートルの距離でゴールへと飛び込み――――、

「―――――――、はあ! は、は、は、は――――」

 なんとか着地に成功。気分は宇宙に飛び立ったチンパンジー。気が気でない。
 都合五回、足を踏み外して地上に墜落しかけた。叫びをあげる程のイメージの中で墜落した時、体がどうなるかは言うまでもない。
 だが進歩はある。四十二分と端数が少し。一時間弱かけてた昨日の自分とは比べモノにならない大記録である。

 夕食が終わり、遠坂も藤ねえも九時過ぎに自分の家に帰った。
 オレは道場で肉体の鍛錬をしたり風呂に入って汗を流したりと、まあ適当に時間を潰し、午前零時をひたすら待った。
 そして明日の時間割も用意してしまい、さてどうしようかと首を捻ったトコロで、柱時計がその到来を告げたのだ。
 ぼーん、ぼーんと衛宮士郎が終わりを迎えた音をしっかり耳に刻んでから、オレは土蔵へ向かった。
 午前零時。それから夜明けまで時間、衛宮士郎は人間ではなく、正義の味方を目指す一つの魔術回路と化すのだ。
 
 ……そして今。オレはなんだか凄いハイペースで魔術回路の生成を成功させた。
 明確な理由は不明だが今はどうでもいい。今すべき事は、この勢いを利用して突っ走ることのみ。
 休憩はなし。そのまま呼吸を整え、一本だけの魔術回路にイメージを叩き入れる。

「同調、開始」

 今日のノルマは包丁の強化。使い古されたコレの切れ味を新品のそれ引き上げるのが目的である。
 イメージするは肉を切る自分。強化が済んだ包丁を気分良く使用する風景を幻視する。

「成功状況、想像」

『何か』が変わった三年前。それまでのオレは物質の構造、設計図を理解し、それを利用して魔術を行使していた。
 肌と髪が黒く変貌した頃、設計図どころか、配線の一本も理解出来なくなった。
 分かり易く言ってしまえば、才能が無くなったのだ。
 それと引き換えなのかどうかは知らないが、物質のカタチを空想、イメージする事は異常に上手くなった。
 親父にしてみればコレも無駄な才能なんだろうけど、これはこれでなかなか使える。
 強化のコツはモノの空いた隙間を見つけてそこに魔力を流し込む事であり、その性質はイメージを非常に噛みあっていた。
 昔はまず設計図を読み込み、そこから魔力を流し込めそうな隙間を読み取り、ようやっと魔力を流す……とまあ、非常に面倒な手順を踏んでいた。
 だが、今のオレなら『成功した場合どうなるか』をイメージするだけで良い。

「…ッ。成功形質、作成」

 強化が成功した結果を頭の中で経験すれば、目の前にある強化されてないそれはおかしい、とオレの体が判断する。
 後はもう流れ作業だ。オレ自身が自身を正当化させるべく、勝手に空いてる部分を見つけ、勝手に魔力を流し込んでくれる。
 意識的にやっていた構造の把握、設計図の理解と魔力流出を無意識にやらせるのだ。世界の修正ならぬ自己の修正というヤツ。
 コレをやっていく中で魔術は自己との闘いであると理解した。いかに鮮明に、どこまで自分を納得させられるかが勝負。
 外界に影響を及ぼすならまず自分を影響させられるようにする。千里の道も一歩からというヤツだね。
 ……とまあ、偉そうに語ってはみたが。

218 名前: アヴェンジャーエミヤ ◆ddg5.LZD9c 投稿日: 2005/12/31(土) 14:16:24
「――――あー、ちくしょう! ダメかあ……!」

 魔力が散る。包丁の隙間を見つける前に、行き場を失った魔力は霧散した。
 そう。偉そうに語ってみたが、成功率2%以下では説得力なんざ欠片もないのだ。
 成功した結果を頭の中で経験すれば良い、という利点は、少しでもイメージが劣化すれば魔力すら通せないという欠点を暗示している。
 なぞるどころの騒ぎではない。現実と区別がつかないぐらいの空想能力を求められるのだ。うわあ、犯罪者予備軍じゃんオレ。
 どんなに合った手法を見つけても、それを成功に導けなければ猫に小判豚に真珠あかいあくまにアイポッドというモノだ。
 まあ、設計図を読み取ってた頃は0.1%以下だった辺りから見れば、成長はしてるんだろうけど。

「どうすっかねえ……いっそ、コレに鞍替えすっかなあ」

 右手で包丁を弄くりながら、頭の中で一枚の絵を描く。
 題材は無論包丁である。モデルをまじまじと見て、頭の中で一から十まで組み上げながら捏ね繰り回す。
 一分にも満たない時間、オレの左手には実物と寸分違わぬ包丁が握られていた。
 投影。
 詳しい理論は親父からも教わらなかったが、要は魔力で物のカタチを編んで創り出す、パチモン作成術だ。
 親父曰く「絶望的に効率が悪いから使わないように」と言われたが、天邪鬼で臆病者なオレはコレの練習も一応している。
 コチラは強化と違って成功率は90%以上、だが成功したそれは一回でも使用したらまず壊れる。機械類に至っては使えもしない。
 その理由は明らかで、どいつもこいつも『空っぽ』なのだ。外見だけで中身が伴っていない。
 オレも中身まではイメージ出来ない。完全に知らないコトを想像で再現するのは不可能である。
 そして再現出来なければ魔術の編みようがない。よって、オレはオレが分かる外見のみを投影するコトしか出来ないのだ。
 設計図を理解出来る才能が残っていればまだ可能性はあったかもしれないが、ないモノはねだってもないのだ。きっぱり諦めろオレ。
 結果、衛宮士郎が行使出来る魔術は強化のみとなる。出来ても使えない魔術は行使出来るコトにはならないからね。

「せめて中身の代用かなんか出来りゃいいんだけどな……。
 単純に強化で重ね塗りしてオーケー、ってワケじゃねえし」

 そんなのは魔力を多目に流しただけの話。
 投影も強化も自分の魔力を運営した結果だ。自分で描いた絵を自分で審査する事に意味はない。
 強化は出来ない。投影は使い物にならない。二つを混ぜる事に意味はないし、他の魔術は知識すらない。
 ……まあ、なんだ。
 自分に出来るコトはイメージだけと分かってるクセに、衛宮士郎はこんな初歩で足踏みしてるワケである。

「ムカツく……。絵でも描いてウサ晴らそ」

 予め持ってきておいたスケッチブックに鉛筆で殴り書きを開始。
 もう遅いし、今日は土蔵に泊り込む。こうなったら意識が飛ぶまで鍛錬とウサ晴らしの繰り返しだ。
 とりあえずはこの見開き分、全部埋めてしまったらまた再開しよう。
 どうせ失敗だろうからまたウサ晴らしに絵ぇ描いて、そんでまた失敗して…うへえ、気が遠くなる。

「けどわっかんねえよなあ……どこをどう間違えてんだか」

 強化やら投影やらに囚われてるのがダメなのか。それとも鍛えるトコロが違うのか。
 まあ、元々から正義の味方なんて目指してる時点でメチャクチャ間違ってるけど。
 
「仕方ないよな。それが、衛宮士郎だし」 

 一人ごちて、まずは見開き半分を真っ黒にする。
 そう。それが理由だ。他に理由なんてありはしない。あっても大した事じゃない。
 衛宮士郎は衛宮切嗣のように、困ってる人を助ける正義の味方にならなければならない。
 義父との約束。この心を埋める唯一のモノ。生き残った事に対する贖い。それ等全てを埋める唯一のピースなのだ。

 ああ、でも。それでも――――

「――――、っと。やばいやばい。ただの落書きじゃダメだ。集中集中」

 何であろうと今は詮無きコトだ。こんな考え事に貴重な体力を使うワケにはいかないし。
 失敗した愚者は愚者らしく、無様に絵に八つ当たりしていよう――――。



A1・翌朝、元気に学校へ!
A2・翌朝、学校をサボって教会へ。
A3・どっちも知るか。たまには不良っぽく休んでやれ。

219 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/12/31(土) 14:21:54
無難無難でA1

特性まで変わっちまったのかねこれは

220 名前: アヴェンジャーエミヤ ◆ddg5.LZD9c 投稿日: 2005/12/31(土) 14:24:46
とりあえずリレーはやめにしました。
自分で始めた作品なので、続けられる間はなしにしようかなと。

>>216
今回の話からなんとなく分かるように、人間の思い込みは凄いモノです。
だから凛は虎ねえがまさか一つの到達点を行っているなんてもちろんハナから考えてません。
士郎が抑え込んでる時も、どうせもう片方の手でやってるだろうなと思い込んでるのです。
……まあ、虎ねえが第二魔法の応用をしてるなんて理解したら引きこもりモンでしょうし。

思い込みと、理解してるけど理解したくない防衛本能が働いたモノだと思ってください(苦笑

PS/虎が多重で次元な屈折現象を起こせるのはアサ次郎に教えてもらったからです。
嘘です。獣気が成せるただの秘技です。

221 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/12/31(土) 14:30:13
A1
学生は不良でもさぼるのだけはいただけない


きっとタイガーは剣道では同時斬りできなさそ
食卓専用必殺技(要:箸)みたいな

222 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/12/31(土) 14:51:02
A1

223 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/12/31(土) 15:20:20
A3で反逆する!

224 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/12/31(土) 15:23:40
A2行ってみるか

225 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/12/31(土) 15:35:55
A2で決まってるだろ!言峰シリーズ来いっ!

226 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/12/31(土) 15:48:20
A2

227 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/12/31(土) 15:50:10
A2!

228 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/12/31(土) 15:56:20
>あかいあくまにアイポッド
さりげない悪口ワロス

A1で。

229 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/12/31(土) 16:23:00
A1で

230 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/12/31(土) 16:33:26
A1で決定

231 名前: Fate/star light 『Huyuki History X』 投稿日: 2005/12/31(土) 23:20:52

「……衛宮、よく今まで生きてこれたもんだね。お前」

自分が唯一まともに行使できる強化の魔術を実演してみると、慎二はそう言った。

「本当にそのやり方で、今まで毎日毎晩鍛錬と称してずっとやってたの?」

慎二が蔵に転がる俺が強化・投影した物体を眺めながら言う。

「親父が死んでからずっと……うん、毎日やってたかな」

「……衛宮のこと、前から『ひょっとして馬鹿なんじゃないのコイツ』って思ってたけど……
 やっぱり訂正するよ。衛宮は超馬鹿だね」

俺は流石に慎二のその物言いにムッとして、言い返した。

「なんだよ、確かに俺が魔術を見てくれって言ったのが最初だけど、そっちだって
 『これから先の戦いで衛宮がどれぐらい魔術を使えるのかは知る必要があるね』
 って言ったから、俺がやってみせたんじゃないか、いくらなんでもそんな言い方……」

「あのさ、衛宮」

そう言って慎二が蔵に転がる道具から、俺の顔へと視線を移した。

「……ボクには魔術回路がない。加えて刻印も受け継いでないから、自分の力のみで魔術を行使することはできない。
 それでもこの程度のことは分かるよ――あのさ、衛宮。これ見たのが一昨日ぐらいだったら、ボクはキミを殺してたと思うよ」

その慎二の顔に、常にたたえている笑みのようなものが欠片もないのを見て、俺は黙りこくる。

「キミの魔術の使い方は無茶苦茶だ。毎晩やってたのは鍛錬じゃなくて死亡遊戯だね。
 まぁ責めたってしょうがないけど――これから先、命が惜しかったら魔術は一切使わない方がいいよ」

「っ……一切、って……でも慎二今まではなんとか……」

「そこのワカメ頭の言い分が正しそうだな。事実、僕に対する魔力供給は今までほとんどなかったと言っていい」

突然の声に振り返ると、蔵の入り口に寄りかかるようにして、いつの間にかセイバーが立っていた。

「今まではフォースで動力を確保していた。無論、マスターからの魔力供給があった方が好ましいが
 僕に限って言えば、なくても問題はない。ただし――――」

そう言ってセイバーは蔵全体を見回した。

「その体たらくで、僕をどうやって呼び出したのかは見当もつかないな」

232 名前: Fate/star light 『Huyuki History X』 投稿日: 2005/12/31(土) 23:23:23

「……ふん、なるほどね。衛宮、お前は魔術を親父さんに習ったんだよね?
 だったら疑問の余地なく、これで決まりだ。お前の親父さんは前回の聖杯戦争にやはり参加していた。
 そのときに使ったまま残されてた召喚陣を、お前がたまたま作動させてセイバーを呼んだんだ」

親父が前回の聖杯戦争に参加したかどうかは、朝の話し合いの段階では、まだ確定してはいなかった。
しかし、慎二の言ったとおりなら、すんなり行く部分が多い。おそらく……

「やっぱり、親父は……」

俺の親父は前回の聖杯戦争に参加し――おそらくは優勝して、その後も行き続けている。
だが、慎二の父は――

「別に、気にしなくていいよ。魔術師なんてそんなもんだ。ボクだって、気にしてない。
 そうだな、まずは桜を呼んでみようか。お前の魔術のコト、一応聞いておいた方がいいかもしれないね」

そう言って慎二は、桜を呼びに母屋へと帰っていった。
数分、考えを落ち着ける時間をお互いが必要としたのを感じ取っての行動なのかもしれない。
そこに、セイバーが唐突とも思えるタイミングで話しかけてきた。

「マスター」

「……なんだよ」

「夢は見たか」

「一回だけ。あのスピード狂の子供がお前だろ?」

「くっ、はっははは……そうだな。その通りだ――その様子だと、まだ肝心なところまでは見ていないらしい」

「やんちゃでも、素直で利発な子だったじゃないか。
 今のお前からは想像もつかないような」

セイバーの自嘲が止んだ。

「――――まあいい。最後まで見ろ。
 今までに僕を呼んだマスターは皆、お互いの過去を知ろうとなどしなかったが……
 お前には少しだけ興味がある。今までにはないパターンだからな」

「分かってる。それを見て、改めて組むかどうか決めろって言うんだろ?
 あと、ずっと気になってたんだけど」

そう言って俺はセイバーの方をしっかりと見る。

「何度も言っただろ、俺の名前は衛宮士郎。
 『お前』じゃなくて名前で呼んでくれよ」

マーティと名前で呼び合っていることもあり、俺は真面目にそう言ったのだが、

「仰せの通りに、マスター」

セイバーは、鼻で笑うようにしてそう返したのだった。

233 名前: Fate/star light『Tous pour un, un pour tous』 投稿日: 2005/12/31(土) 23:25:55

■

遡ること四日、聖杯戦争開始前夜――――


「……ほう、悪くない……いや、美味いな。うむ、美味い。なかなかの紅茶だ。娘、悪くないぞ」

ソファーにふんぞりかえる男は、尊大にそんなセリフを放った。
わたしは少しだけ自分のこめかみがひくつくのを感じた。

時計の時間がズレていたことから、誤って呼び出した英霊がこの男だった。
水色の生地と茶の皮革、アクセントに銀がところどころにちりばめられるという西洋貴族風の衣装に身を包んだこの男は
召喚の失敗によって、ガレキの山と化した部屋の片付けを手伝いすらせずソファーに寝っ転がり
あまつさえ衣服にかかる埃に眉を寄せてすらいた。
わたしは頭を抱えながらも、自分の不始末、と部屋を片付け
最後に、待たせたお詫びと秘蔵の葉で紅茶を淹れた。
それに対するコメント――――第一声がそれだったのだ。わたしのこめかみの痙攣を誰が責められるのだろう?

「……で、貴方のクラス・真名・宝具を聞かせていただけるかしら?」

わたしは笑顔をつとめた。否、何もしなくても顔は笑顔になっていた。
怒り心頭に達すると、自然と笑顔になる人間は少なくない。

「――いいだろう。我輩の名はダルタニャン。誇り高き四銃士が一人にして、第一銃士隊隊長ダルタニャンだ。
 クラスはランサーとなっておる。して、娘。お前がマスターか」

「えーえ、そうよ。見たところ、ステータスは平々凡々と言ったところだけど……
 大口を叩く貴方は、ところでどれほどの宝具をお持ちなの?」

「……そうか。マスター、この身が使える宝具はただ一つ。それもかなり特殊なものだ。
 論より証拠。レイラインからの魔力供給を断って、我輩を霊体にしようとしてみるがいい」

わたしは何やら試されているようで、不機嫌に輪をかけるように面白くなかったのだが
ひとまず言われたとおり魔力供給を断った。しかし――――

「霊体に……ならない……?」

「そうだ。この身は召喚された直後から、半ば受肉している。
 正確には、マスター、お主を寄り代として現世の存在に限りなく等しくなっている、と言った方がよいな。
 常から霊体であることは変わりないし、令呪を使用すれば霊体化することも可能だろう。
 我輩の宝具の効果の一端だ」

「……それって、他のサーヴァントよりマスターとの結びつきが強いってこと?」

「そうだ。なかなか察しがいいな。では次に、右手を上げてみるがいい。
 ただ単純に体を動かすのではなく、自分の中に存在する霊的な感覚を一緒に動かすことを意識して、上げるのだ」

わたしは釈然としないまま、精神を集中させて右手を上げた。
するとそれに合わせてランサーも右手を上げた。

「……ねぇ……」

堪忍袋の緒が悲鳴をあげている。

「……馬鹿にしてるのかしら……」

分かる。わたしは今物凄い笑顔になっているはずだ。

「いやっちょっ、ちょっと待つがいい。待て。待って下さいマスター。ふざけてるわけじゃない。ないです」

ランサーはソファーに座ったままだが、少し腰が引けている。
私はそれを見抜くまでもなく感じ取って……感じ?

ランサーが右手と同じように、左手を上げた。
すると、私の左手も、右手と同じように上がった。
無論、わたしが意識して真似をしたわけでは決してない。

234 名前: Fate/star light『Tous pour un, un pour tous』 投稿日: 2005/12/31(土) 23:26:51

「これは……」

「もちろん、全ての動きをお互いが模倣するわけではないぞ。それでは行動もままならん。
 ただ、意識してしようとすれば、こういうことも可能だと言うだけだ。こんな風にな」

そう言って、ランサーがまだ暖かい紅茶のカップに手をつけた。
するとわたしの手の平にも、同じようにカップの温かみが伝わってきた。

「この程度の変化ならば、任意で伝えるか否か選ぶことができるが
 身体への大きなダメージや影響、強烈な痛みなどは必ず伝わるようになっておる。
 この身が傷つけば御身も傷つく。御身の血が流れれば、この身の血も流れる。
 これが私の宝具――『剣に誓いし永久の友情』“Tous pour un, un pour tous”だ。
 生前、誓いあった友と誰とも一緒に逝けなかったせいか……因果なものだがな」

「……それは、ひょっとして死ぬときも一緒になるってこと?」

「そういうことだ。この宝具による我ら二人の結びつきは強い……マスターが死ねば我輩も死ぬし、我輩が死ねばマスターも死ぬ。
 前衛であるサーヴァントと完全に生死を共にするのは、後衛であるマスターからすれば、ありがたくはないだろうな。
 嫌なら、聖杯戦争からリタイヤして、令呪を放棄すればいい。そうすれば宝具の効果はもちろん消える」

ランサーは投げやりにそう言った。
『こちらこそ弱いマスターのせいで死にたくはないからな』といった風情だ。……上等じゃない。

「……いいわ。ひとまず宝具の効果を最後まで聞きましょう。
 契約続行かどうかはそれからよ」

「そうか。なら説明を続けるとしよう。この宝具の利点は大きく分けて二つある。
 一つは、我らの結びつきが強くなればなるほど、我輩の性能は上昇するということだ。
 サーヴァントはマスターの為に、マスターはサーヴァントの為に、お互いを信頼し、助け合うことができたならば
 我輩はたとえ相手がセイバーであろうと、真正面から打ち合い、それを打ち負かすだろう。
 ただし、お互いがお互いを信頼せず、捨て駒や手段の一つとしてしか考えられないならば、我輩の力は減少する」

「それは、単純なチームワークということではなく、貴方の性能ということなの?」

「そうだ。貴君が、我がマスターとして、真に仕えるに値する君主と証明し
 なお我輩をサーヴァントとして信頼するのなら――約束しよう。我輩は最強のサーヴァントだ。
 御身の剣となりて、戦場を駆け、敵を討ち、必ずや勝利をもたらそう。永久の友情を約束せしこの剣にかけて、絶対を誓う」

ランサーの目は、かぶっている鍔広の帽子の作る影に隠れていたが
鋭く光る眼光は、その小さな闇を切り裂くようにしてこちらに向いていた。

「――分かったわ。それで、二つ目の利点は?」

「ふむ……決断が早い。頭の回転が早いな。女子としては上出k……分かった。話すからそう睨むでない。
 二つ目は、意思疎通の効率化と、それに伴う命令の強化だ。普通のサーヴァントとマスターでも、レイラインによる通話が可能だが
 我々のそれは、もっとテレパシーに近い。あやふやなイメージや概念でも、それをそのまま互いに伝えることができる。
 戦闘中の連携をスムーズにとることができるであろうな。
 そして命令の強化――お互いの信頼が結ばれ、この利点を最大限に生かすことができるようになれば、究極的には令呪は必要なくなる」

「令呪と同じだけの効力を、ただの命令で発揮できるわけ……?」

「相違ないな。ただし、お互いの信頼がその要求に見合うほどの強度で結ばれていなければ、その対価として令呪は消費されるし
 十分なだけの結束ができていたとしても、その行動が無茶であれば、それ相応の魔力を消費することになる。
 例えば『死ぬ気で次の攻撃を放て』という命令を発し、それに耐えうるだけの魔力の供給が無ければ
 我輩は『死ぬ気で攻撃を放って』その結果として文字通り死に至る。そして我輩の死はすなわち――――」

「わたしの死とも直結してる、ってことか……」

235 名前: Fate/star light『Tous pour un, un pour tous』 投稿日: 2005/12/31(土) 23:27:49

「そうだ。それで、どうする。契約を続行するかどうか――今すぐに決めろとは言わんが」

「いいわ、一緒に戦いましょう、ランサー。これからよろしく頼むわ」

ランサーは、帽子の鍔を上げ、私を見た。

「相手が普通の魔術師なら、サーヴァントを失ったマスターをそのままにしておくはずがないもの。
 だったら死を共にするのなんて、どの道同じ。それに、最初っから負けることなんて考えててもしょうがないでしょう?
 やるからには、勝つ。そうでしょう、ランサー?私の名前は遠坂凛。これからの聖杯戦争――
 サーヴァントはマスターのために、マスターはサーヴァントのために。絶対勝ち残りましょう」

「……いいのだな?」

「主に何度も問いただすのが貴方の騎士道なの?」

それを聞いてランサーが吹き出した。
わたしのそれを咎めるような視線に対して、笑いを止め、ランサーは言った。

「ふっ……ははははは。いいだろう。先ほどから供給されている魔力も、申し分ない。
 素晴らしい魔術師だ。仕える君として、十分とお見受けした」

ランサーはソファーから立ち上がると、私のもとにひざまずき、羽のついた鍔広の帽子を取って頭を垂れた。

「我が真名はシャルル・ド・バッツ・ド・カステルモール――又の名を、ダルタニャン。
 槍の英霊となりて、御身と共に在り、御身を護り、御身の為に戦い、御身の為に朽ちましょう」

そう言うと、腰に携えたレイピアを抜き取り、抱えるようにわたしへと差し出した。
その背中に見える、第一銃士隊の紋章、水色の生地に光る銀十字に、わたしはその剣の重さを感じた。

――――臆することはなにもない。
わたしは遠坂凛。
ただそれだけで、ここに立っている。
揺らがず、折れず、わたしはここに立っているのだ。

剣を受け取り、柄を握って、持ち直す。
いつしか映画で見た騎士の任命を思い描きながら、彼の両肩に剣をそえて、言った。

「わたしの名前は遠坂凛。
 貴方のマスターとして、貴方と共に在り、共に助け合い、共に戦い、朽ちることなく勝利を掴みましょう。
 この命運、貴方に、貴方の剣に――預けます」


■


再び四日後――


「……うむ、悪くない。いや、美味い。マスター、いい紅茶だ」

「……ありがと」

連続猟奇殺人鬼として騒ぎになっているバーサーカーと対峙し、これと校庭で戦い
それを目撃し、殺されてしまった衛宮君を蘇生。
その後アフターケアに向かった衛宮邸で、セイバーにあわや全滅させられかけたのが、契約した次の日。
つまり今日からすれば一昨日の出来事だった。

昨日一日はスカ振りで、他のマスターとはもちろん、バーサーカーとの遭遇もなかった。

夜にしか行動を起こしていないのが原因なのかもしれない。
昼を早めにとって、今はまだ正午前だ。今日は昼から動いてみよう。

なにより……

「うむ、美味い」

することがないからといって、真昼間から、ソファーに寝っ転がって雑誌をピラピラとめくりながら
紅茶を飲みつつくつろいでいるコイツの姿を見ているのは、少し……なんというか……やるせないものがあった。

「行くわよ、ランサー」



1・マキリ邸に探りを入れてみる。

2・新都に行ってみる。

236 名前: るー ◆Kmt4qpE2Xs 投稿日: 2005/12/31(土) 23:30:43
今年最後に投下してみました。
時系列を表にすると

聖杯戦争開始前夜 → ランサー召喚
聖杯戦争開始日  → セイバー召喚(全サーヴァント召喚完了) セイバーVSバーサーカー アサシンVSキャスター
開始翌日      → セイバー&士郎打ち合わせ 間桐邸束の間の平和
開始翌々日    → 慎二&桜&ライダー衛宮邸へ 慎二青春白書 ランサー遠坂邸でまったり

ってな感じです。

237 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/12/31(土) 23:31:25
2で。

238 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/12/31(土) 23:37:24
1だと死亡フラグっぽいから、2で

239 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/12/31(土) 23:43:50
2

なんとなく!

240 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/12/31(土) 23:45:17
1で

241 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2005/12/31(土) 23:58:58
なんとなくだが2を。

242 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2006/01/01(日) 00:14:08
セイバーの動力源はフォースだったのかw流石はフォースwww
ここは2。

243 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2006/01/01(日) 00:25:24
2

初めてだ。投票するの。

244 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2006/01/01(日) 00:26:43
2で決定!

245 名前: るー ◆Kmt4qpE2Xs 投稿日: 2006/01/01(日) 01:09:30
あけましておめでとうございますー

>>242
た、確かに言われてみれば不思議な気も……
いやいや、魔力(フォース)って書いてあるからいいんだい!
ってかコイツラ本当、全然魔力使わなかったり、受肉しかけてたりで、正統派じゃないなぁ(´・ω・`)
2で決定のようですが、この後の選択肢によっては年明け早々、少しグロくなるかもしれません……

246 名前: バイオリン猫 投稿日: 2006/01/01(日) 01:14:31
【遠野志貴が直死の魔眼を持たなかった場合の、弓塚さつきの可能性の一つ】
目指すところ:シリアス

タイトル《砂月姫》
シナリオ/占有


作者:猫とお呼び下さい
SS:初めて
更新:きっと遅い
自身の程:さっぱり

247 名前: 砂月姫 投稿日: 2006/01/01(日) 01:15:33
 それは寒い夜の事。
 それは遠い冬の事。
 それは冷たい私の記憶。


 鋼を打ち鳴らす音が止んだ。
 開かない扉は扉ではなく、壁だ。壁に鉄棒を振り下ろし続けて、部長の腕は面白いぐら
いに張っていた。その手は目を背けたくなるほどぼろぼろで、それよりも顔が悲惨だった。
希望を尽くして絶望を通り越して、そこには何も浮かんでいなかった。いつからか、ただ
ただ惰性でバットを振り回して居る内に、鼓膜もやられてしまったのかも知れない。呼び
かけたが、溶けた雪だるまのようにバットを握ったまま硬直している。

 その音が終わって、此処は酷く静かになった。
 その音が止まって、此処は酷く酷く静かになった。
 海の底のように山の奥のように、夜のように静かだ。

 静寂をやり過ごすように、仕方がない、と虚脱している部長を救出に向かう事にする。
 あのままでは、良くて、風邪を引く。

 そっと、隣の友達を起こさないように、寄り掛かってきていた後輩を倒さないように、
今居た所から抜け出す。押しくらまんじゅう状態の真ん中あたりにいた所為で、抜け出す
のは酷く骨だった。
 途端、冷気が身を切った。
 隙間風は来るくせに、出口だけはないなんて、なんて皮肉。
 自分を抱きしめるようにしながら、部長の背後まで歩み寄る。
 どうやら、バットをひたすら振るという単純作業と寒さの所為で、半分眠ったようにな
っている。うわごととも寝言も、あるいは言い訳とも知れないが、時折ごめんなさい、と
いっていた。
 びっしょりと汗をかいていたので、今まで私が居た所に強引に押し込む。どうやらさっ
きの私の心配は杞憂だったようで、誰も目を覚ます気配はない。

 私もその隙間に入れるか、と思ったが、どうも無理のようだ。これ以上はいると布団代
わりのマットが足りない。体操の時に床に敷いたりするそれは体育倉庫の中で大分埃を吸
っていたが、それでも隙間風を防ぐ役には立って、温もりを逃さない。そのマットの中は
もう定員だ。仕方がない。もともと、風がしのげる所にみんなが寄って集ってこうなった
だけなのだから。
 だが、そうすると私の居場所がない。
 部活の時のまま、みんな体操着だったりジャージだったり。運動するには良くても、風
の吹く冬の夜を乗り切るには、いささか頼りない。中でも私は寒い格好をしていて、だか
らどうにか暖かい場所に潜り込みたいところだった。

 そうこうしているうちに、体はどんど冷え切っていく。
 躊躇している暇はなかった。多少強引でも、みんなの中に入っていくしかない。窮屈な
のは元からだ。それでも凍死するよりいい。

 凍死。
 唐突にそんな言葉を思いついた自分に違和感を覚えた。そんな。雪山でもあるまいし。
笑い飛ばそうとして、出来なかった。だってわたし達はみんな殆ど肌着で、天気予報によ
れば昨日まで暖かかったのが今夜からはまた寒くなって、ところによっては零下、なんて
事も。部活のあとで、お腹はぺこぺこ。そしてくたくただ。

 ごめんなさい。
 部長はそういっていた。それは、最近たるんでると普段の倍も基礎連をして普段より二
時間も練習を続けた事か。それとも、扉を不用意に閉めてみんなを閉じこめた事か。それ
とも、開かない扉を殴り続ける事しかできなかった事か。それとも。それとも。
 それとも。

248 名前: アヴェンジャーエミヤ ◆ddg5.LZD9c 投稿日: 2006/01/01(日) 01:16:18
 ―――――意味もなく、絶対に無理だと分かっているのに、それだけは放さなかった。

 ……体がない。らしいモノはあるが、体と呼ぶにはあまりにも機能が狂いすぎている。 
 手足は末端から機能が消えて、
 見える景色に変化の兆しは微塵もなく、
 眼球は体外に転がっていて、まばたきの一つも許されない。
 筆舌に尽くせるのはそれぐらいのモノで、とりあえず焼けてる個所を全部数えようとしたけど、百ぐらいを過ぎた辺りでやめた。
 これだけ体がポンコツだと、心が死んでいるのは瑣末な事なのかも知れない。
 そして何より、狂った全てが発する痛みが未だ辛い。
 焼けるように痛い、裂きたいように痛い、冷たくて痛い、苦しくて痛い、孤独で痛い、見えなくて痛い、とにかく、痛い。
 狂ってるトコロ全てから痛みが噴き出しいるので、きっと百なんか遥かに超す数の苦痛を感じてる。
 悶絶する事も出来ずにただ浮かんでるうちに、これは夢なのだと実感した。
 こんな現実はありえない。ここには何もない。理性持つ者はここを想像する事すら叶わない。
 夢だと分かっていながらも絶対に抜け出せないと思い知らせれる、絶対的な無間地獄が、ここだった。

 助ケテクダサイ。
     何を見当違いなコトを。

 コノ裏切リ者。
     それしかオレには出来やしない。

 セメテ■■■ダケデモ。
     役立たずの体でそんなコトは。

 手ヲ貸シテクレ。
     悪いがそれはお断り。

 アナタハナントモ思ワナイノ。
     それはシコウが違うが故に。

 人間ジャナイ。
     ……それはどういうカタチだったか。

 一緒ニ、逃ゲヨウ。
   …………そんな事、出来たらここで死んでない。

 ドロドロのまま意識が浮き上がる。現実味を取り戻していく。
 そうして悪夢から掬われる瞬間。
 役立たずの眼球が垣間見たのは、オレの生存を心底喜ぶ、一人の大事な―――――。




「―――――――チッ」

 わざとらしい舌打ちと共に目を覚ます。
 土蔵での目覚めは最悪。久しぶりだったからか、吐き気も催していた。

「あー……最悪だ」

 腰を上げ、屈伸をしながら愚痴を吐く。きっと寝汗もかいてるので、さっさと着替える事を自己推奨。
 まったく洒落にならない。これでは土蔵までトラウマになっちまう。
 さんざ寝室を変え続けて、まともに寝れるのはココと自分の部屋だけだというのに、これではその内無くなってしまう。
 そうするワケにはいかないので、先ほどの映像と土蔵とをリンクさせない為に、さっさと外に出る。
 とりあえずは自分の部屋に行こう。服を着替えて顔を洗い、ベトベトの体をなんとか見繕いたい。

「まあ、見たモンはしゃあないけど……驚いたな。
 まだ引きずってたのかよ、アレ」

 もう十年前の話だ。この冬木市で、おそらくは未来永劫まで語り継がれるであろう、一つの異常。
 大きな火事が起きたのだ。とてもとても大きな規模で、それはたくさんのモノを燃やした。
 まず建物が燃えた。次に近所が燃えた。次に自分の家が燃えて、気づいた頃には町そのものが紅蓮に呑まれた。
 もちろん人も燃えた。燃えて、燃えて、燃えて、もういいだろうって同情したいぐらい燃えやがった。
 何人ぐらい死んだかは知らないけど、生存者がゼロである事だけは知っている。
 なんらおかしい話ではない。
『士郎』はその火事で一度死んで、衛宮士郎になったのだ。
 詳しいコトは思い返すまでもない。感傷に浸るほどナルシストでもないし、いちいち思い返す必要はないからだ。
 ……そう、目を瞑ればいつだって思い出せる。
 あの絶対的な地獄。
 生存なぞ絶望的な状況の中でオレを救えた事を心底喜ぶ、切嗣の笑顔を―――――。

「―――――うんうん。よっしゃ、気合入った」

 あの笑顔はどんな時でも清涼剤。鞭打つ百倍はキク極上の人参だ。
 さて。どうせ遠坂はいつもの理由で来れないだろうし。
 今ごろ居間でオレの到着を待ってる藤ねえに、いっちょ腕を振るってやろうかねっ。

249 名前: 砂月姫 投稿日: 2006/01/01(日) 01:16:31
 なんとか入り込めないかと、テトリスは苦手なんだけどとか愚痴りながら居場所を造り
出していた手を止め、慌てて、部長の手を握る。息が荒い。頭が痛い。

 それは、人の体温をしていなかった。

 思わず手を振り払って、そして気が付く。私に触れている手、足、体、頬、みんなみん
なみんな、冷たい。
 悲鳴を上げて、狂ったようにみんなに触れて廻る。

 冷たい冷たい冷たい冷たい冷たい冷たい冷たい冷たい冷たい冷たい冷たい冷たい冷たい
冷たい冷たい冷たい冷たい冷たい冷たい冷たい冷たい冷たい冷たい冷たい冷たい冷たい冷
たい冷たい冷たい冷たい冷たい冷たい冷たい冷たい冷たい冷たい冷たい冷たい冷たい冷た
い冷たい冷たい冷たい冷たい冷たい冷たい冷たい冷たい冷たい冷たい冷たい冷たい冷たい
冷たい冷たい冷たい冷たい冷たい冷たい冷たい冷たい冷たい冷たい冷たい冷たい冷たい。

 だれも、ヒトの体温をしていない。

 イヤだ。
 うそだ。
 そんなこと、あっていいはずが、ない。

 みんなの輪郭が溶け始め、氷細工が溶けて地面に染み込んでいくように小さくなっていく。
 それを私は、自分の体温で溶かしながら狂ったようにみんなに触れて廻る。  寒い。
 まるでそうすればみんなが体温を取り戻すと信じているように。       寒い。
 まるでそうすればみんなを取り返せるとでも言うように。        寒い寒い。
 段々みんなはなくなっていって、ふと見ると。         寒い寒い寒い寒い。
 私の腕は氷になって溶けていった。      寒い寒い寒い寒い寒い寒い寒い寒い。

「…………あ」

 溶けていくみんな、溶けていく私、乾いた床、乾いた空気、溶けた水は床に染み込む、
溶けたみんなは帰ってこない、溶けていく私は、私は、私、わた。

 ――――――――――――寒い。


「あ、ああ、ああああ、ああああああああああああああああああああああああああああ」

250 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2006/01/01(日) 01:17:21
>>245
まぁ、死んでフォースに統合されると化けてでてこれる位だしええんでない?

251 名前: 砂月姫 投稿日: 2006/01/01(日) 01:17:23
 そこで、弓塚さつきは目を覚ました。
 いつものように、生き返ったような断末魔を上げて飛び起きた。
 僅かな温もりと、ありえない寒を同時に覚えて思わず自分を抱きしめる。
「――――――寒い」
 そこは、


壱:
 私の部屋。いつものようにお母さんが、心配げに入り口からこちらを見ている。

弐:
 保健室だった。いつものように“貧血”を起こして運ばれたのだろう。

参:
 ―――星が見えた。どうやら今は夜で、そして此処は路上、それも路地裏だ。

252 名前: アヴェンジャーエミヤ ◆ddg5.LZD9c 投稿日: 2006/01/01(日) 01:19:30
なんかこれ以上ないタイミングで邪魔して申し訳ございませんorz
つーかリロードぐらいしろよ自分……
このまま続き投下するべきでしょうかね?

あ、ちなみに選択肢は参で。

253 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2006/01/01(日) 01:23:59
なんとなく弐で。
がんばってね。

254 名前: 砂月姫 投稿日: 2006/01/01(日) 01:24:39
いえいえこちらこそ………OTL
寝不足で興奮気味だからって。

どうぞ、投下しちゃってください。

255 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2006/01/01(日) 01:26:47
裏路地! 参!

256 名前: アヴェンジャーエミヤ ◆ddg5.LZD9c 投稿日: 2006/01/01(日) 01:28:01
 ちゅるるるるるる。麺を啜る雑音こそが、この手の料理を美味しく食すキーである。
「うーん美味しい。さっすが士郎。インスタントだけは、まだまだだね」
「その言い方だと腕落ちたって勘違いすっからヤメロ。
 つーか遠坂の坦坦麺に比べりゃ弁当につっこまれたサバ同然だろ。
 オレはまだコレ好きだけど、藤ねえはこういう料理好きでもねえだろ?」
「そんなことないよー? 士郎のこれ系料理、私は好きだなー。
 むむむ、美味しい料理は手間と愛情と言うが、その手間はかける意味のないところにかけるからこそ愛情があるのか」

 えっへんと胸を張りながら、ちゅるちゅるとんこつラーメンを啜っていく。
 ……まあ、なんだ。
 今の発言は確かに名言だが、生まれたシチュエーションを考えると迷言に成り下がってしまうのは惜しいと思う。
 つーかそのとんこつ賞味期限切れてんだよねー。人間は思い込みからなので、言わなきゃ何も起きないだろうけど。

「……………」

 無言で醤油ラーメンを啜る。
 しかし、藤ねえが好むのも分からなくはない。
 確かに、オレのインスタントラーメンにかける拘りは常人のそれとはちと一線を画す。

 まずは麺とスープ用の熱湯は別々に用意し、同時に沸騰させる。
 沸騰したらスナック麺を麺用の鍋に入れ、二分三十秒にタイマーセット。ちなみに麺は一切ほぐさない。
 スープ用の鍋に粉末スープ、生卵、乾燥ワカメ、刻みネギ、一口サイズに切ったソーセージをぶち込み、二分三十秒をしばし待つ。
 そしてタイマーがなく頃に麺を一気にほぐし、ザルで湯を切る。
 スープもそろそろ頃合だ。丼に油等の汚れがない事を確認し、にんにくチューブをひとかけら落としてからスープを注ぐ。
 菜箸でにんにくを溶かして麺を投入、具を盛り付け……ゴマを御好みで撒いたら完成だ。
 インスタントの存在意義を覆す究極の一品! ポイントは麺とスープを別々に作る事。そして煮てる最中に粉末スープを入れる事だ。
 何を隠そう、オレはこういう「ちょっと手間かけた楽チン料理」が大好きで、遠坂が来る前はこの手の料理ばっか食ってた。
 そして遠坂は朝に弱く、朝食を作りに来てくれない事も多々あったりする。それが今朝である。
 切嗣が死ぬ前に目覚めなかったのが悔やまれる。親父はジャンクフードが大好物だった。きっとこの一品には感涙したに違いない。

 他にもコンビニ弁当をお得にいただく手法とか、未確認飛行物体の名を冠する焼きそばビックリ料理に化かすトリビア等あるのだが、それだけで一冊の本が作れるのでここでは伏せておく。
 つーかマジでやばい。正直一冊弐千円でも売り切れる程のクオリティは間違いなくある。
 間違いなくあるけどやっぱり身内にしか教えない意地悪なオレ圭ち○ん尊敬、ケケケケケ。

「ごちそーさま!」

 と、閑話休題。
 スープまできっちり飲み干した藤ねえは、ぱん、と豪快に拍手叩いてごちそうさまを告げた。
 うむ、まさしく料理人冥利に尽きる。
 オレもさっさとスープを飲み干し、藤ねえに続いて、ごちそうさまでした。

「あー、美味かったあ………だが朝っぱらから何故にラーメン?」
「いいじゃない。美味しかったんだし」

 それもそうか。
 よし、なんかどっかで悪乗りした気がするが、何事もなかったように、今日も一日を始めるとしよう。

「士郎ー。今日は学校来るの?」
「ん? そうだな――――――、行く。
 単位は全部足りてっけど、間桐に謝んなきゃいけねえし」
「え? ヤダ、間桐くんと喧嘩したの? ダメよダメよダメダメよ士郎ー。
 ただでさえ不良っぽいのに、行動まで不良さんにしちゃったらお姉ちゃん切嗣さんになんて言えばいいのよぅ」
「何も言わなくていいんじゃねえの? 切嗣はむしろ喧嘩は場合を考えればガンガンしろって言ってたし。
 それに、喧嘩じゃない。あと対象は慎二でもない。
 その妹の間桐桜にちょっと悪い事しちまったからさ。ほら、昨日の電話の」
「え? 昨日ここに電話なんてかかってったっけ?」
「――――――――」

 すげえ。この虎の前にかかれば電話なんて瑣末事なのか。
 その食に対する情熱をもうちょっと女ッ気に向ければいいのに。顔も(おそらく)スタイルも(きっと)悪かないんだから。

「それじゃあ、今日はちゃんとホームルームから出るのね?」
「うん。間桐に謝ったらフケるかもしんねえけど」
「む………まあ、それで良いわ。
 はあーあ。本当、誰の影響でこんな悪い子になっちゃったのかしら」
「さあね」

 食器を片付けながらの返答。
 影響なんざ関係ない。コレも衛宮士郎なのだから、もうちょい可愛がったっていいだろうに。

 っと。そうだ。

257 名前: アヴェンジャーエミヤ ◆ddg5.LZD9c 投稿日: 2006/01/01(日) 01:29:38
「藤ねえ、時間まずくね? もう出ねえと」
「え?」

 両手は食器で塞がってるので、顎で時計を指す。
 オレはまだのんびりとしてられるが、藤ねえは曲がりなりにも教師である。
 ホームルームの準備やらその日一日の授業の予定立てやら色々あるのだろう。
 だから藤ねえはオレとは違って朝食食ったらすぐ家を出るのだが、今日は何故かゆったりとみかんの皮なぞを剥いている。
 剥いているという事は食べるという事なのだろうけど、そんな悠長ま事やってたらアウトではあるまいか。つーかそうでもなくても遅刻魔だろアンタ。
 しかし当の藤ねえは心底意外そうな目でオレを見つめ、みかんを三房ほどいっぺんに毟り取り。

「何言ってるのよ。久々に士郎が朝から来るんだから、一緒に学校行くに決まってるじゃない」

 もむもむもむとみかん三房まとめて口にほうばりながら、堂々と断言した。

「あ」

 そうか。それも当たり前だ。こういうところが、衛宮士郎の姉であれる理由じゃないか。
 別段驚きはない。むしろしっかり可愛がってもらってる事実にまずまずの感激を覚えている。
 食器を片付けてる事に感謝する。今ヘタに藤ねえを見たら涙腺が緩んでしまう。
 ………さて、心遣いは嬉しいし、オレの方も準備は昨日のうちに終わらせている。
 ここは―――――、


A1・気持ちはありがたいが断る。オレはもう一人の大人だ。
A2・久々だし、ここはこちらも可愛がってる事を教えておくかな。

258 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2006/01/01(日) 01:32:37
最近、スレに活気が出ていいね。

>>251
ここは参だ!
あ、あとトリップ付けた方がいいです。

>>257
A2!
たまには虎にも愛の手を。

259 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2006/01/01(日) 01:37:26
参!A2だ!

260 名前: バイオリン猫(砂月姫の中の人 投稿日: 2006/01/01(日) 01:40:13
A2!
何を隠そう私は虎派。

参が3で弐が1、壱は0、と。


初歩的な質問かも知れませんが済みません、トリップって、何ですか?
いえ、規約は一応読んだんですが、異世界に逝くアレだとばかり……

261 名前: アヴェンジャーエミヤ ◆ddg5.LZD9c 投稿日: 2006/01/01(日) 01:41:51
はい。とゆうワケであけましておめでとうございます。
ぶっちゃけこの選択肢で藤ねえフラグはたちません。ご了承を。
おまけにこの話で予定してるルートは3つです。
カレン、凛、あとまだ出てすらないバゼットさん。どれもまだ可能性ありです(ちなみに今はカレン寄り)

>>219
説明しときますと、半々です。
このアンリ士郎にはまだ構造把握の特性は残ってます。意識的に出来なくなっただけです。
物質の内部だけを把握する事は出来ませんが、
こと投影などの「構造把握を過程として求める魔術」の精度なら原作のそれより上です。覚醒すればですが。
選択肢によっては無限の剣製が失われて、そこから零れたこれらの魔術が使えなくなる可能性もあります。
世の中油断なんねーですね。

猫さん。もっかい謝っときます。すんません。
そして新連載がんばってください。私も頑張ります。
トリップは名前欄に #適当な半角文字列 を入れれば出来ますよ。
(例。アヴェンジャーエミヤ#abcdef)

262 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2006/01/01(日) 01:44:13
ぐぁっ、名前隠してメルラン隠さずorz
名前欄に#を入れて、そのあとに自分の好きな文字列を入れると
ランダムな文字列に変換されるので、本人証明になります。
例えば、名前欄「名前#好きな文字列」で投稿すると「名前◆ランダムな文字列」になります。

263 名前: バイオリン猫 ◆aro9VWlUZY 投稿日: 2006/01/01(日) 01:50:44
ありがとうございます
こうですか?


それから、お気になさらず。
報われないキャラがどうも好みの私は、放置プレイもいける口です。

264 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2006/01/01(日) 02:15:18
A1

265 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2006/01/01(日) 02:16:44
A2!

タイガーだし

266 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2006/01/01(日) 08:43:22
A2
参

267 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2006/01/01(日) 10:01:32
この士郎はセイバー召還するか怪しいからそれはともかくとして、
登場するのにルートの予定すらないのか桜w
どうかstar lightの方で幸せになってくれ。

268 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2006/01/01(日) 12:32:39
だって衛宮邸に入り浸っていない設定だもんな
桜は性格自体変わっていそうで今から楽しみだ

269 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2006/01/01(日) 13:51:57
>>247-248を違和感なく読んでしまった俺ガイル

270 名前: アヴェンジャーエミヤ ◆ddg5.LZD9c 投稿日: 2006/01/01(日) 23:43:28
 ――――――、久々だし、ここはこちらも可愛がってる事を教えておくかな。

「そうだな。そうすっか」

 制服は着てある。
 さっき服を着替える際に、ついでにという事で制服をチョイスしたのだ。
 藤ねえは「うんうん、素直なのが士郎なのだ」とご機嫌にみかんの残りを一気に丸呑みにする。
 ちょっと見直したらすぐだらけるあたり、やっぱりこの人は藤ねえなんだなあと実感。

「よし、洗い物終わり。
 さっさと食べちゃえよ。こうなったら最初から一緒に行こうぜ」
「りょーかーい。ふっふっふ、今日はちょっとビックリさせる秘密があるのよー」
「そうかい。それは期待しないでおこう」

 ごくん、と藤ねえは合計一分足らずでみかんを呑み込み、皮を捨てに台所に歩いてくる。
 皮を捨ててオレに向き直った瞬間、藤ねえはむむ、眉をひそめた。
 そして何を思ってるのか、タオルで水気を拭いている人様の手を訝しげに観察しだす。
 今度はなんやねんと軽く溜息をつこうとすると。

「士郎。タトゥー入れた?」
「あ? どこ?」
「そこ。左手の甲」

 視線の先、右腕に目をやる。
 そこには確かにタトゥーとしか見えない模様があった。
 それは微弱ながら赤く輝いており、サファイヤのような神々しさもある。
 模様には形らしい形があり、例えるならそれは牙。神代の時代に人々を震え上がらせた、今は古ぼけた悪魔のようだった。

「なんだこりゃ……痣、じゃねえし、腫れ物、でもないような」

 なんとも奇妙な感じだ。藤ねえがタトゥーと疑うのも無理はないだろう。

「違うの? それじゃどこかでぶつけたとか?」
「いんや。どっちも違うと思う。
 まあ気にすんな。アンタの弟には、アンタが思ってるようにグレられるほどの度量はねえって」
「そんなの分かってるわよぅ。わたしは士郎が不良なんてこれっぽっちも思ってないわ」

 う、それはそれでグサリとくる。
 あーあー悪かったですね度量も甲斐性ないヘタレで手間のかかる問題児ですよオレは。
 いつものように軽く顔を背けてスネてみる。
 と、唐突にそれは発生した。

「でもお姉ちゃんとしては物凄く心配なのよねー。
 士郎がどこかの悪い人のせいで悪い人になっちゃわないかな、って」

 藤ねえはそんな保護者的発言をして、ぎゅっ、と右腕に抱きついてくる。
 ふざけやら酔いで抱きつく事は何度もあったが、シラフで行ってきたのは初めてだ。
 オレは声を張り上げる。

「ふ、藤ねえ――――?」
「ほら、三年ぐらい前から士郎、なんか黒づくめになっちゃったでしょ?
 あの時はすごく怒っちゃった。覚えてる?」
「………ああ、覚えてる。
 ひどかったなアレは。なんで家主のオレを追い出すんだー、って言っても聞かなくて、結局追い出されちまった。
 冬の夜だったかんねー。寒いわ暗いわお知り合いたくなかったシスターと出会うわで散々だった」
「うん。今でもあれはやり過ぎだったかなって思ってるのわたし。
 でもわたしは馬鹿だから、怒っちゃったらまたやり過ぎちゃうと思うの。
 だから、ね。
 もうやり過ぎさせないでほしいんだ。士郎が大好きな切嗣さんの為にも、士郎自身の為にも、さ」
「―――――――」

 それは遠く、オレの知らない約束。
 本当に推測に過ぎない確信。藤ねえはきっと、親父に宣言してしまったのだろう。
 衛宮士郎を真人間に育ててみせると。
 遠くに行ってしまうあなたの代わりに、いつまでも見守っていようと。
 気づいてまた一瞬声をあげかけたが、それは姉弟の間柄ではおかしなことなので、代わりに頭を撫でてやる。
 藤ねえは虎ではなく猫のように、可愛らしく喉を鳴らしてえへへー、と嬉しそうに笑う。
 まあ、なんだ。

「それじゃ離してくれ。このまま登校したら問題になんぞ」
「いーの。せめて玄関までこうさせてよぅ」
「仕方ねえなあ……この虎ねえは」
「わたしを虎と呼ぶなーーーーーーーーーーーー!!!!!」
「ケケケケケ」

 計り知れない獣気を笑いだけで受け流す。
 ……まあ、ホントになんだ。
 教師と教え子としては立場が逆転してる気がしないでもないけど。
 姉弟として見ればそれなりに良い仲なのかね、なんてどうでもいい事を思ってみた。

271 名前: アヴェンジャーエミヤ ◆ddg5.LZD9c 投稿日: 2006/01/01(日) 23:44:37
「で、そこはかとなく昼休みである」

 やけにハッピーな授業をする藤ねえは去り、民には一時の休息がもたらされた。
 教室で弁当を広げる者、肉分を補強しに学食へ向かう者、部活の仲間と部室へ向かう者、行動は様々だ。
 オレは行きがけに購買部でパンを二つ調達したので、後は食うだけである。
 とは言っても朝確認した通り、間桐に昨日の謝罪をしなくてはならないのも事実。
 さて、オレは―――――


A1・ごめんはさっさと言うに限る。間桐をつかまえて美術室で昼食をとろう。
A2・今出来る事は後に回す。普段の感謝を込めて遠坂と。
A3・フォームは崩すな。生徒会室で食物繊維を補強するべし。
A4・なんでさ? 教室で一人空しく菓子パン齧ろう。

272 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2006/01/01(日) 23:45:34
A2かな

273 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2006/01/01(日) 23:48:54
A3

弁当横取り40万

274 名前: アヴェンジャーエミヤ ◆ddg5.LZD9c 投稿日: 2006/01/01(日) 23:49:08
はい、藤ねえ萌え補強分のお話でした。
これを書いててふと思う。
藤ねえ、あんたはなんておいしい萌えなんだ、と。
つーかやべえマジやべえ。
もう公言した通りこの作品で藤ねえルートはありませんが、ついうっかり捏造しそうになりました(マテ
そのうち「そこまでにしておけよ藤村」と突っ込まれるようなブツを書きたいなあ…と幻想したりしたのでした。

あ、これで一つルート潰れます。
元から入る確率は非常に低いモノですが、とりあえず。

275 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2006/01/01(日) 23:58:24
A4でw

276 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2006/01/02(月) 00:04:34
参とA2

277 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2006/01/02(月) 00:07:13
まだ見れぬ姐さんを愛する以上
A4に入れないわけにはいかないな。

278 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2006/01/02(月) 00:29:44
よし、あえてA4だ

279 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2006/01/02(月) 00:32:05
参で決定!

280 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2006/01/02(月) 00:37:50
あえて、そして普通にA1
謝罪は計画的に

281 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2006/01/02(月) 00:45:47
A4

282 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2006/01/02(月) 02:14:50
A2で遠坂と

283 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2006/01/02(月) 02:21:55
A2で追っかけリーチ!

284 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2006/01/02(月) 02:37:18
止めのA4

285 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2006/01/02(月) 04:47:10
こっそり更新(´・ω・`)
22.【Interlude】『light saber -blue- �供�
は、スレに投下しておらず、本線に多少触れているので
かなりギャグに走っていますが、どうぞごらん下さい。
鯖ステータスも随時更新しております。

286 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2006/01/02(月) 05:00:13
ダース・ワカメすげえw

287 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2006/01/02(月) 11:25:24
しかしアーチャ−ってだれなんだろうか
…ターミネーター?

288 名前: アヴェンジャーエミヤ ◆ddg5.LZD9c 投稿日: 2006/01/02(月) 12:13:09
 ―――――なんでさ? 教室で一人空しく菓子パン齧ろう。


「―――――いや、ホントになんでさ?」

 間桐に謝らなくていいのかとか感謝は必要だよとか食物繊維は大事だよとかこのままではなんかマズイ。つーかヤバイ。
 本当にこれでいいのかよという疑問はつきないのだが、そう決めた以上は仕方ない。
 ラッキーなことに今日はこの教室で昼食をとるヤツは居ないようで、この空間に存在するのはオレ一人。
 一人が好きなワケではないが、赤の他人の目を受けて昼食をとるのは少々ストレスが溜まる。

「間桐には部活で謝るか……」

 久々に部活に出る事を決めといて、カバンからクリームパンを取り出す。
 金が無かったので、こういうカロリー高めな物を購入してある。最近の市民さんはケチなんだね。
 ………。
 …………。
 ………………。
 ………………………。
 …………………………………。
 ……なんか男は一度決めた事はさっさとやれ! という啓示が下りそうな不安が頭から離れない。
 とりあえずクリームパンまで肉の味じゃなくて良かったなあ、と思っていると。

 唐突に、教室のドアが開いた。

「む?」

 ドアの開く音と同時に顔を上げる。タイミング的にはクリームパンを完食して袋を丸めてるところ。
 んで、そこには。

「こ〜〜〜〜〜〜〜の〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜」

 学校では優等生の/

「あ〜〜〜〜〜〜〜〜ぱ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜」

 皮を被ってるはずの遠/

「ぼ〜〜〜〜〜〜〜く〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜」

 坂凛ことあか/

「ね〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜ん〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜!!!!」

 いあくまがオレに向か/

「人がああああああああああああああああああああああああああ!!!!!!!!!」

 っててててててててててててててててて。

 無限に永遠に思考したかった言葉を繰り返す。
 前に進む事も戻る事も叶わず、衛宮士郎は意識が途切れるまでこの行為のみを繰り返す。
 声を発するなぞ不可能。ひいては抵抗なんてもう露ほども出来やしない。
 ……まあ、なんだ?
 コイツがオレを殴る理由はもう分からないが。
 オレが人に殴られる理由というヤツは、分かりきっていたと思う。

 ててててててててててててててててててててててててててててててててててて。


                                          ―――DEAD END




 この先はアーサー理想郷(試)です。王命を受けますか?

 A1・YES(アーサー理想郷のお試しバージョンへ)
 A2・NO(何事もなかったかのように本編へ)

289 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2006/01/02(月) 12:23:36
A〜〜〜〜〜〜〜〜1〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

290 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2006/01/02(月) 12:34:53
A1
というか殺されたのか。非道えw

291 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2006/01/02(月) 12:49:09
昼休みにDEADENDが潜みおるとは

A1で。

292 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2006/01/02(月) 13:07:56
意外なDEADENDだな

A1で

293 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2006/01/02(月) 14:03:24
ここでA2と反抗してみる

294 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2006/01/02(月) 14:07:05
A1とグサリととどめ

295 名前: 砂月姫 ◆JPDdg5cgao 投稿日: 2006/01/02(月) 14:07:57
 そこで、弓塚さつきは目を覚ました。
 いつものように、生き返ったような断末魔を上げて飛び起きた。
 僅かな温もりと、ありえない寒さを同時に覚えて思わず自分を抱きしめる。
「――――――寒い」
 そこからは―――星が見えた。どうやら今は夜で、そして此処は路上、それも路地裏だ。


「…………なんで」
 思わず疑問が口をついて出る。
 たとえば、なんで自分はこんなところにいるのか、とか。
 たとえば、なんであんな懐かしい事を夢に見たりしたのか、とか。
 たとえば、なんで、こんなに―――空が明るいのか、とか。

 空を眺める。
 たとえば北に見えるのは北斗七星にカシオペア。
 転じてあちらにぐるりと黄道十二宮。サソリの赤き眼アンタレス。
 それを追うギリシアの英雄オーリオン。アルゴル掲げるペルセウス。
 熊に鯨にイルカに白鳥、コップに三角、琴に水瓶。
 確かあそこに……あった。山猫の目を以て見よ山猫座。

 むかし、星座占いにこった時期に、テストの逃避がてら覚えた星座達。
 それらが、手の届きそうなくらいに明るく眩しく輝いている。
 今まで、時々主だった星が見えるか見えないか、その程度だったのに。
 それが、今ではこんなにも、見える。

 そして―――そして!
 輝けるかな、月は無慈悲な夜の女王。
 蒼く、透く。硝子のような月の光が、その荒々しくも美しい面を上げて、私を睥睨して
いた。圧すように征すように。星々を束ねたように皓々しく、辰々を数えたように輝かしく。
 人の点す街灯を笑うかのように尚明るく、冷たく、されど日の光より尚優しく。
 不安なのに、その光の下にいるというだけで踊り出したくなるような、そんな光。

 ―――それは、私が覚えたのは、恐怖だった。
 まるで、夢からまだ覚めていないような。
 まるで、今まで全て夢だったかのような。

 ―――そして、私が覚えたのは、快感だった。
まるで、素晴らしい夢を見ているような。
 まるで、今まで全て夢だったかのような。

296 名前: 砂月姫 ◆JPDdg5cgao 投稿日: 2006/01/02(月) 14:08:42
 しばらく呆、としていると首が痛くなった。
 当たり前だ。起きてからずっと星を眺めて夢見心地だったのだから。
 ようやく首を下ろして、ついでに辺りを観察する。真っ先にやらなければならなかった
はずの現在位置の確認も。……こんなところに番地なんて書いてあるはずもないけど。
 路地裏とは言っても、比較的、比較的キレイだ。死体や生ゴミが散乱しているわけでも
なく、落書きでけばけばしく飾られてもいない。それでもどうもうらぶられている感じが
するのは、掃除をされもしなければ、人通りもなかったからだろう。どこかの店から漏れ
たのか、非道くいい匂いがしている。
 乾君が朝早くから学校に来る辺り、不良さん達も最近は―――

 連続吸血殺人事件。

 その単語がさっと頭に入り込んで、私の頭はさっと冷えた。
 そうだ。
 奇しくも乾君におしえてあげた事だ。その事件の被害者は、全員女性で―――

 例外なく、全身の血を―――

 吸血鬼。

 何か。
 何かがすぐそこまでやってきている。
 嘔吐感があるのにもう吐くモノがなくなるときのような、あの違和感。
 違う。なんだか知らないが酷く喉が渇いている。それこそ、吐いて胃液が喉を灼いたと
きのように痛む。
 イイ匂いがする。
 首はまだ痛い。
 何もかもが、考えるのを妨げる。
 知らず、手が頭に伸びてがりがりとかきむしる。
 ―――そんな癖、今まであったかな?
 わからない。
 寝っ転がっていた所為で、ただでさえ緩くなっていた髪留めが解けて、横で括っていた
髪が解ける。鬱陶しい。
 取り敢えず、髪を元通りに括ろうとして。
 今度こそ、自分がどうにかなったと思うくらい、寒気を覚えた。

 ―――首筋には、一対の、牙の跡が。

 頭の中で単語が踊る。記憶がうねる。
 吸血事件、路地裏、渇き、夜、匂いが、明るい、寒気、星空、灼ける、月、事件、男、
死、鉄、壁に囲まれて、逃げ道が、嫌、嘘、温もり、流れ出て、誰も、眼が、暗い、赤い、
私は、アレは、人間、吸血鬼―――吸血鬼吸血鬼吸血鬼。
 記憶がない。
 ―――わからない。
 牙の跡。
 ―――わからない。
 ■の匂い。
 ―――わからない。
 渇く。
 理性が理解を拒絶する。
 理解が理性を断絶させる。

 私、は。

 落ち着けパニックになるな誰も助けてなんかくれないそうだあの時だって今だって、
 誰も。
 助けになんか。
「………あ、あああ、あ」
 頭を壁に打ち付ける。額が割れたのか視界が朱い、血を失ったのか頭が重い、正気を喪
えないから理性が寒い。
「あ、ああ、あ、あああ、あああ、ああ、あ、あ、あ、あああ、あ、あ、ああああ、あ」
 私は、私は、私は死んでいない。生きてる。
 だから、大丈夫。
 他の事なんて、気になんかならない。
 へいき。
 へいき。
 へいき。

 ―――平気。

 壁に叩き付けた腕が湿った音を立てて潰れたのを、どこか遠くで聞いていた。

297 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2006/01/02(月) 14:09:12
スターライトの鯖ステータス表
クラス名を黒字にしてくれると反転の目安がつくので助かる

298 名前: 砂月姫 ◆JPDdg5cgao 投稿日: 2006/01/02(月) 14:09:32
 ダメだ。私は混乱している。頭のどこかで冷静な意見が出た。
 頭を冷やす為に―――

壱
 人混みにまみれてみようかな。
弐
 夜の公園なんて静かでいいかも。

惨
 お家に帰ろう。お母さんなら助けてくれるかな? かな?

299 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2006/01/02(月) 14:44:58
弐!
月姫をプレイできていないので先読みはできないが……
夜の公園が何か起こりそうなことは、経験で分かる!w

>>297
イジってみました。
ひとまず名前の方にしてみましたが
何かあれば、ウェブ拍手の方からでも構いませんので、どうぞご一報下さい。
字数制限が100文字程度に緩くなっているはずなのでー

300 名前: アーサー理想郷 ◆ddg5.LZD9c 投稿日: 2006/01/02(月) 14:55:55
ギギギギギ! キラァーン!
アーサー「アー、サー、りー、そー、きょう!!!!! ようこそ。私が黒き騎士王、ここではアーサーと呼ぶがいい」
アルトリア「助手の白き騎士王、ここではアルトリアとお呼びください」
アーサー「よくぞ参られたな。そして貴様等に言いたい事がある」
アルトリア「どうしたのですか私(アーサー)?」
アーサー「ああ。貴様等直感良すぎ。おかげで私の王命がこんなお試しで初お目見えとなってしまった」
アルトリア「いや、あんなところで○○に○○とか○○○○を○○○○○うなんて五人も選びませんって」
アーサー「何故伏せる? しかも完璧に分からないぐらい」
アルトリア「選んだ人への配慮ですよ。解読出来ない事もないですので、興味がある方はどうぞ」
アーサー「なるほど。さすがだな私(アルトリア)。ではついでにこの世界を説明してやれ」
アルトリア「はい」
アルトリア「ここはアーサー王ことアルトリアが死後辿り着いたはや辿り着けぬ理想郷。略してアーサー理想郷です」
アルトリア「ここに至れたのも全てはシロウのおかげです。だから、今度は私が――――――私、が」
アーサー「平行世界でデッドったシロウを鞘の加護で治療し、王命を授けるのだ。シロウ貴方を初めて憎んだ」
アルトリア「そう、そうです! ところで私(アーサー)。ご飯食べません? 腹が減っては記憶力も散漫で」
アーサー「我慢しろ。治療は五秒で完了するし、王命なぞすぐ授け終わる。更に耳寄りな情報もある」
アルトリア「?」
アーサー「オホン。私(アルトリア)よ。今回シロウがデッドった理由を。まあ、お試しだから本当は死んでないが」
アルトリア「はい。今回は凛のツン成分全快ツッコミ(ランクE〜A+++)が最大限発動された右フックでの脳挫傷ですね。脆い」
アーサー「その通り。では凛は何故そんな凶行に及んだのだろうか?」
アルトリア「はい! それはもちろん、シロウが桜に構わなかったからです!」
アルトリア「このお話でも凛と桜は姉妹です。凛は妹思いです。こんな事したら殴られても仕方なしです」
アーサー「うむ。ルートの有る無しで女人の扱いを変えるとは……正直失望したぞ下郎」
アルトリア「まあまあいいじゃないですか。これでアンサラーなあの人へ望みが繋がったのですし」
アーサー「その決定自体アンサラーでフラガラックだが。ここだけの話、本当はバゼットルートなんて予定してなかった」
アルトリア「え?」
アーサー「いや、正確には消滅した、というか。本当は生徒会室の選択肢でもうヒロインは決定してた筈だった」
アルトリア「そうなのですか!?」
アーサー「うむ。あそこで凛なら凛を、そしてカレンを選べばカレン、タイガならバゼットか桜に決定する予定だった」
アーサー「まあ、さすがに「それは無情じゃね?」と突っ込まれたのでこうなった。最も、凛ルートはこれで消滅したが」
アルトリア「そ、それは凄い! さすがです私(アーサー)! カリスマは私(アルトリア)より低いくせに、その王様的振る舞いには感服します!」
アーサー「―――――――さて、では耳寄りな情報だが」
アルトリア「あれ、今のではないのですか?」
アーサー「ああ。ところで私(アルトリア)よ。私の出番、ひいてはセイバーの出番はいつくると思う?」
アルトリア「そうですね………今日あたりじゃないですか? きっとこの後ごちゃごちゃして夜に土蔵へ」
アーサー「来ないぞ」
アルトリア「行って………」
アーサー「なんでも私は扱いづらいらしい」
アーサー「パワーバランスは崩れる、シロウを料理上手にするしかない、おまけにシロウの中でウェイト絞めすぎ、と色々不都合がある」
アルトリア「な、な、な、……(ピキピキピキ)」
アーサー「まあ、このシロウと私(アルトリア)は絶望的に合わないしな。私(アーサー)ならともかく、だが」
アーサー「以上の理由で私の出番はない。なにか質問は?」
アルトリア「(ピキーン)」
アーサー「お、石化したか。理想郷の中で魔術を受けるとは情けないぞ私(アルトリア)」
アーサー「あ、崩壊した。腑抜けだな………ふふふ、後で真実を教授してやるか」
アーサー「さて、お試しにしては長かったが、この話のアドバイスはこの形式である」
アーサー「また王命を受けたければどんどん死ぬが良い。一人一人、きっちり王命を授けよう。では、今度は正式な場で……さらば」
ギギギギギギ! バタン!
アーサー「(ぱか)ルビふる方法募集中である。いちいちカッコをつけるのは民に示しがつかん。そこの騎士、頼むぞ」
(今度こそ)バタン!

301 名前: アヴェンジャーエミヤ ◆ddg5.LZD9c 投稿日: 2006/01/02(月) 14:56:57
長いのはスルーで。選択肢は惨で。

302 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2006/01/02(月) 15:08:59
壱で

吸血しまくりなんていいかも・・・

303 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2006/01/02(月) 16:03:14
さらなる惨劇を求めて惨

304 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2006/01/02(月) 16:13:32
やっぱり弐だな

305 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2006/01/02(月) 16:31:28
>>300
セイバールートは最初っからなく、選択で圧倒的な人気を誇る凛のルートもなくなったんですか・・・
五人全員が即決したり、今回でもあと一人だった凛ルートがねえ・・・
まあ選択形式とはいえ、結局作者さんが方向を決めるんですけど、ちょっと今回はしゃべりすぎましたね
これからは選択に参加せずROMさせてもらいますががんばってね

306 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2006/01/02(月) 16:32:11
惨
さっちんがせつない目に合いそうだが、それがいい。

307 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2006/01/02(月) 17:20:20
惨で

308 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2006/01/02(月) 18:48:03
弐〜♪

309 名前: 第3回現時点での生存者 投稿日: 2006/01/02(月) 21:39:47
悲惨な惨劇をさっちんにささげよう、惨で

310 名前: 砂月姫 ◆JPDdg5cgao 投稿日: 2006/01/02(月) 22:39:24
 お母さんなら助けてくれる。

 唐突に、そう思った。
 なんでとか、どうしてとか、どうやってとか。そんな事は疑いもせずに、私はそう思った。ううん、そうじゃない。だって、お母さんだもの。あの日のあとだって、付きっきりでいてくれた。助けてはくれなかったけど、それでも一緒にいてくれた。

 だったら、■をくれるくらい何でもない、よね。

 嗚呼、それに。
 お母さんの温もりを考える。
 お母さんの■の温もりを考える。
 ―――ああそれは。
 どれだけ温かい事だろう。どれだけ甘い事だろう。その■に溶けた、鉄の味、塩の味。酸味を尽くしたその味を、想像するだけで舌を、喉を、腰を。待ちきれないとばかりに蠢かせる。はしたないかな、と思う。けれど、止める事が出来ない。
 その味は、想像だけでも至福だ。
 その感触は、想像だけで甘露だ。
 はやく。
 はやくはやくはやくはやく。
気が急いて、仕方がない。
 街には、時折とてもイイ匂いがするけれど、この先に待っているモノに比べればそれは本当にどうでもいいものだ。

 夜の街を疾る。
 ネオンが間延びして星座になり、人並みをかき分け遊泳し、人の居ない街を走破する。踏みそうになった黒猫さんにこんばんわといい、迷い出た鹿さんにははじめましてを言いながら。
 目指すは一路、私の家。
 おかあさんにあいにいくの!

 ――――――でも、私は何が欲しいんだっけ?


 その疑問は、家に帰り、遅くなった事を叱るお母さんを見たときに氷解した。
 なんだ。
 こんな簡単な事だったの。
 その■。
 その皮膚の下、廻り流れる、■。温もり、鉄の味。嗚呼なんだ判ってたんだ。
「―――さつき? どうしたの? なんで」
 ないてるの、ときかれて。
 わたしは、泣いてなんかいないよ、と応えた。

 そうだ。ないてなんかいない。ただひきかえせないことがわかったっていうだけ。
 ―――だって、お母さんがそんなに美味しそうだからいけないんだよ?

 そして、私はお母さんにぎゅっと抱きついた。
 お母さんの温もりだった。哀しい事があったとき、黙って抱きしめてくれた。
 ―――あれはいつの事だったか。
 お母さんの匂いだった。嬉しい事があったとき、自分の事のように喜んでくれた。
 ―――あれはいつの事だったか。
 懐かしい事とか、大切な事とかが、一気に押し寄せてきて。
 少しだけ、目の前が見えにくくなった。
 お母さんだけを、感じていた。
 それはきっと、時計を見れば十秒もなかった間だったろうけど。

 ありがとうと、さようならを言うには充分だった。
 そして、そう言った。


 そして、私は欲望を吐きだした。
 皮膚を月透す牙の感触、ぴくりと震える躯、小さな吐息と圧した悲鳴、紛れもなく見える悦楽の色、湧き起こる背徳の念、抱きしめ合う心地よさ。
 ―――そして、なにより素晴らしい血の味。
 ごくり、と。
 喉が鳴るのさえ、悦ばしい。
 何物にも代え難く、例えるならそれは、天国に近く、庭園に近く、諦念に近く、博愛に近く、悪徳に近く、背徳に近く、愛情に近く、異常に近く、被虐に近く、苦痛に近く、紅蓮に近く、零落に近く、紫苑に近く、闘志に近く、倒壊に近く、凍結に近く、高潔に近く、荒唐に近く、嚆矢に近く、嗜虐に近く、死活に近く、枯渇に近く、地獄に近かった。
 何よりも愛おしくて――――
 ――――何よりも厭わしかった。


 けふり、と。
 最後の一口を飲み干して、しかし充足感はない。
 あるのは更に体中を焼き尽くすような焦燥感だけ。
「………おかしいなぁ」
 ぽつりと呟く。
「………おかしいなぁ」
 血を失い魂を亡くし、お母さんの躯は非道く冷たい。それがいらだたしくて、投げ捨てる。思いの外軽くて、廊下の先まで飛んで、台所まで転がっていってしまった。
 そのままでいこうとして、思い直す。
 死んでもお母さんだもの。大切にしなきゃ。
 取り敢えず、台所に起きっぱなし早めて寝室に寝かせる事にする。布団を敷いて、そこに横たえた。お母さんの死に顔は、いろいろな表情が混ざっていた。自分はどうなるのかな、と思ってしばし立ち尽くす。
 それから、本当に私は決意を固めた。

311 名前: 砂月姫 ◆JPDdg5cgao 投稿日: 2006/01/02(月) 22:40:10
 いま、私は学校の校舎の、屋上にいる。
 東の空が明るい。
 夜はもう終わり。これから朝が始まる。
 死人の時間は終わり、生者の時間が始まる。

 もうすぐ夜が終わります、と私がいって。
 もうすぐ朝がきますね、と彼女がいった。

 職業柄、日の出の時刻は把握していて、それにはあと三分もないはずだった。
 その事は、彼女も感じている。
 彼女の終わりは近い。
 それなのに、彼女の表情には何もなかった。

 いままで、私は彼女のような存在を、数え切れないほどに殺して廻った。
 老婆がいたし、幼子がいた。恋人同士が手を取り合っていたのを見たし、姉妹のように互いを気遣っていた者もいた。どうしようもない善人もいれば、救いきれない悪人も、精神構造が遙か彼方にかけ離れている化け物も、いた。
 殺してくれと云ったモノがいて、死にたくないと云ったモノがいた。
 笑って死んだモノも、泣いて逝ったモノも、怒りを顕わに消えた者もいた。
 全部、私が殺した。

 彼女は、自分で死ぬといって此処にいた。
 それは、直感で本当だとわかった。
 彼女がどうして死ぬのかはわからないが、彼女が死ぬ事だけは判った。
 そんな感傷は、とっくの昔になくしたモノだと思っていたけれど。
 その、故郷の街の湖の、朝の静けさににた雰囲気に負けて、私は彼女を看取る事にした。

 死徒を殺す事は幾度となくしたが、看取るのは初めてかも知れない。


「ああ…じき、空が焼けるわね…」


 彼女はそう言って。
 そう言って、消えていった。
 空を見れば、陽はその姿を現している。
 日に灼かれた彼女の躰は砂のように、風に乗って消えた。
 蹟には、何もない。



 気が付けば、使い魔が私を見つめていた。
 その眼は何かを問いかけているようにも見えたし―――いや、気のせいだろう。
 いきますよ、と私がいって。
 だいじょうぶですか、と彼女は訊いた。

 沈黙。
 一度だけ足を止めて呟く。
 彼女の名前を。
 それから。
 私はね、それほど慈悲深くはないですよ。憶えておきなさい。それが貴女の主です。
 そう、一息でいって、それから歩き出す。

 振り返る事はない。
 これで、このことは終わった。
 埋葬機関、第七位。弓のシエルは死徒を殺す。その事に、何の変わる事もない。
 今日の事など、明日にはきっと憶えていない。
 私は、弓だから。きっとそんなものは、必要ないだろう。


 温もりを、背に感じる。
 ああ―――今日はどこか―――朝日が―――優し―――い。


                                ―――DEAD END


放棄少女★マジ刈る・アンバーの洗脳電波を受信しますか?

壱
 もちろん♪
弐
 そんな怪しいモノ知らない。選択肢に戻る。

312 名前: 砂月姫 ◆JPDdg5cgao 投稿日: 2006/01/02(月) 22:46:21
改 行 忘 れ て た

見にくくて済みませんorz

313 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2006/01/02(月) 22:47:47
えええええええええええええ
死んじゃったよ

もちろん壱で

314 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2006/01/02(月) 23:17:19
壱で。
みんなさくさく選んで早く続きを。

315 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2006/01/02(月) 23:22:08
ならば壱を!

316 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2006/01/02(月) 23:29:38
当然壱で

317 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2006/01/02(月) 23:34:49
とどめの壱ィ!

318 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2006/01/02(月) 23:36:53
決定か。
あとこの終わり方も味があってよかったと思う。

319 名前: 砂月姫 ◆JPDdg5cgao 投稿日: 2006/01/03(火) 13:35:30
 空は晴天。
 心地よい日差しは時間の感覚を麻痺させる。
 甘いお菓子と紅茶の薫りは鼻に心地よく、眠ってはイケナイという自制を緩和させる。
 文句のつけようのない絶好のお昼寝日和。
 鬼妹とかお付きのメイドとか割烹着の悪魔とかに秘密の一人と一匹のお茶会は、しかし。

 この上なく愉快犯な一人によって、ビリビリの電波空間になっているのであった………!
(推奨BGM:トッカータとフーガニ短調、バッハ


「う! ……………zzzzzzzzzzzzzzz」
「!」
「あはー」
「…………」


「ようこそ! ここは迷えるラム肉(ひつじ)を焼いて喰う! 弱者救済の志貴&レンのほのぼのお茶会(ティーパーティー)改め、

 放棄少女まじかる・アンバーと!」
「マスコットの喋る鹿、エトの!」

「「焼肉定食の洗脳空間へ、ようこそ!!」」

「………なぜ焼肉定食」
「あはー。マスコットのくせに、この魔法少女らしいラジカルでサイケデリックな試みが
理解出来ないと? 潰して肉にするところですね」
「………汝の思考系統には、私の域を凌駕する狂気があると理解した」
「判ってくれましたか。それではこのピンクのクスリと緑の注射のどちらかで勘弁してあ
げましょー。どっちで逝きたいですか?」
「待て。ここは適切かつ明瞭な解説と共に一人と一匹の楽しい掛け合いを以て不幸な死亡
事故の悲嘆を紛らわせる―――」
「さあ、このDDTとTTXの、どっちがいいかと聞いてるんです」
「死ぬ死ぬ死ぬ! 絶対死ぬぞ、本気で」
「あはー。勿論冗談ですよー」
「………」
「と、まあ。楽しく気持ちもほぐれたところで」
「殺伐としていた」
「さっちんの死因を解説しましょう。それからそこの鹿、今日から餌は紅天狗岳で?」
「……………キャラが違うぞ」
「作者がヘボですから」

「えー、今回の敗因は、『惨』なんて、怪しげな選択肢(ブツ)に手を出したのが敗因で
すねー。かなかな、蝉みたいに鳴く女は殺人鬼というのが相場でしょうに。わざわざ一個
下にずらしまでにしたのに引っかかるなんて。いえ、それともわざとでしょうか?」
「それはそうなのだが、死因を解明するのではなかったのか?」
「あはー。実はこの死因、此処で説明するとネタバレに」
「……つまり、DEADEND一つ使って伏線をはったのか?」
「なったり……ならなかったり……」
「どっちだ」
「作者はビギナーですから」
「……吸血衝動は親しい相手に強く働くという法則も、此処では押さえておくべきか」

「さて、此処で重大発表があります! これを知っておけば………作者が『裏切ったな!
 ぼくの気持ちを裏切ったな!』とか言われるのを回避出来ます」
「なんて勝手な」
「じゃじゃーん。『遠野志貴には構想段階からルートなんてねぇよ』。わー、ごーまんー」
「……まあ、魔眼を持っていない事になっているし、な」
「そうです。きのこ作品では下手に主人公でもない無力なキャラが出張ると、それだけで
死亡フラグですからねー」
「無情だな」

「さて、時間もおしてきました。寂しいですが、皆さん、あでゆー♪」
「時間?」
「コ・ハ・クさん〜〜〜」
「あは、もう復活しましたか。流石志貴さん。あと、この姿の時はアンバーと呼んで下さいね」
「出番を返せ〜〜〜〜〜」
「さよ〜〜な〜ら〜〜〜」
「飛んだ!? そして鹿(きょうはん)を置き去りにした!?」
「無情だな」


無理矢理、幕

320 名前: 砂月姫 ◆JPDdg5cgao 投稿日: 2006/01/03(火) 13:36:19
 あはー。
 それでは再度選択です。また、いきなり死亡、とかはありませんのでご安心を〜〜

だいじぇすと
 さっちんは吸血鬼になってしまった!?
 衝撃を隠せないさっちん、その運命やいかに!?
 取り敢えず、

壱
 人混みに洗われてみようかな。
弐
 夜の公園なんて静かでいいかも。

321 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2006/01/03(火) 13:40:34
弐

322 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2006/01/03(火) 13:52:16
弐

323 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2006/01/03(火) 14:15:51
弍

324 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2006/01/03(火) 14:17:36
弐

325 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2006/01/03(火) 14:45:46
弐で決定
なんか>323のだけ字体が違う?

326 名前: アヴェンジャーエミヤ ◆ddg5.LZD9c 投稿日: 2006/01/03(火) 17:33:58
「――――――はいぃ?」

 なんかすごい夢見たっつーか彼女が目指した理想郷はあんなんだったのか……!?

「衛宮くん! あんたって人は……なんでまだ桜のとこ行ってないのよ!」

 ってまだまだデンジャーデンジャー!
 このあかいあくま、現在完了形であかいまおうへワープ進化してますよ……?

「待て遠坂! 話そう、な! とりあえず脳挫傷はもうゴメンだってばよ!」
「わたしと話してるヒマがあるならさっさと美術室行けこの愚鈍!!
 そんなんじゃ万が一があった時に見捨てちゃうでしょうが!!!!」
「ま、万が一って何だよーーーーーーーーーーーーーーーーー!!!!??」

 もう会話成立度ゼロパーセント。つーか頭が痛くて何も考えられない。
 つーかこっちはてめえのパンチで壊れたCDみてえな思考回路になりかけたんだぞ?
 まあそれも謎の治癒能力で事なきをえたが、そこらへんに謝罪と賠償は発生しないんですか先生。

「なんでもいいからさっさと行く! それともここでガントを受けたいかしら……!?」
「悪かった! オレが悪かった! 謝るから! 謝るから行ってきます!!」

 脱兎を追うコンドルの勢いで遠坂の射程範囲から逃れる。
 ええいヤツは思考まで読むのか!?
 いや実際は口に出てたんだろうけど、そう思ってしまうほどの反応速度だ。
 逃れた勢いそのまま教室を飛び出し、言われた通り美術室へダッシュダッシュ。
 途中で先公に引き止められるのは間違いないが、そんな事より命の方が何倍も大事だ。
 今はもう一分一秒でも速く美術室へ向かい、きっと居るだろう間桐に謝ろう。
 しかし、まあ、なんだ。

「なんで間桐に謝らなかったのをアイツが怒るんだよ……」

 つーか、ガントってなにさ?




 美術室に着いた。
 乱れる息を整えて、扉を開ける。

「あ……、先、輩」
「よう。なんだ、一人か?」
「あ―――、はい」
「そっか。んじゃちょっと邪魔すんな」
「……………」

 無言で迎え入れる間桐の横に座る。
 少し肩を揺らしたが、とりあえず離れるとかはしないようだ。
 既に済ませてしまったのか、机に昼食らしい物はなく、代わりにノートが開いてあった。

「また絵か」
「……はい」
「そっか。題材は何?」
「け、景色です。ここは、あの、その……」
「窓からお日様が見える、か。
 いいねえ、選び方がオレ好みだ」
「あ――――、はい。ありがとう、ござい、ます……」
「…………」

 ダメだ会話が弾まない。つーか続けられない。
 もうちょっと明るく振舞えれば、もう文句の付け所のない美人なのになあ。

 間桐桜。
 前にも述べたとおり我が美術部のマドンナで、オレの絵の弟子。
 一歳年下の後輩で、性格の方は、まあ今のとおり。
 自信がないというか、未来に絶望しか抱いてないというか、常に俯いてるというか。
 一言で言い表せば、暗い女である。身も蓋もないが仕方あるまい。
 まともに話すのは美術部のみで、会話が成立したのは数えるほどしかなかったりする。
 だが絵の筋はなかなか良い。もし想像力豊かだったらオレを超える絵描きに成りえるぐらい。
 まあ、オレ並みに想像力豊かな人間は生粋の魔術師ぐらいなので、それは絶対にありえないし、絶対に御免だけど。

「―――――――」
「…………………」

 沈黙が重い。発声器官が空気に縛られている。十秒経ったら縄を解いて切り出そう。
 だが口を開けない。したら被る。ぜってー被る。約一年間の経験がそう言っている。
 秒針が痛いぐらいうるさい。鉛筆が紙に黒色を塗りつける音が厳しい。
 このまま昼休み終了までほっといたら今度こそ脳挫傷で死ぬのかなー、と思った時。

「……昨日はすいませんでした。わたし、でしゃばっ、ちゃっ、て」

 間桐はオレの思考を止めた。比喩でなく、この発言にはそれぐらいの力がある。
 解放された事への喜びで溜息をつきたくなるけど、ぐっと堪えて言葉を探す。
 ……どうやらこれは、オレが謝って済む話ではなさそうだ。
 こういう無口なヤツが自分から謝るという事は、その性格を覆すほど罪の意識を感じているという事。
 そういうのにただごめんと言っても意味がない。行き着く先は不毛な謝り合いである。
 だが、このアクション自体が千載一遇のチャンスなのに変わりない。
 これを利用しない手はない。言葉を探す。さくっと終わらせてさっさとこの空気から完全釈放されたい。
 いやもちろん、純粋に間桐を罪の意識から解放させたいという想いもありますよ。うん。

327 名前: アヴェンジャーエミヤ ◆ddg5.LZD9c 投稿日: 2006/01/03(火) 17:34:55
「――――まあ、そうだな。昨日の間桐はでしゃばってた」
「え」
「なにその反応。まさか一回謝りゃ済むとか考えてたの? そりゃオマエ、自分勝手だぜ?」
「あ、う、いや」

 言葉を失くしておろおろと動揺する間桐。
 その可愛さに嗜虐心が盛り上がる。

「いいか? 食事時に電話しちゃいけない。それぐらいは道徳で学んだろ?」
「あ、は、はい」
「分かってるじゃん。それじゃなんで電話したんだ?
 あ、まさか嫌がらせだったとか? だとしたら最悪だぞお前」
「ち、違っ……!」
「へー、違うの。それじゃいいけど。
 でもさ、だったらさっさと言おうぜ? なにそのおどおどした態度」
「う、あ……そ、その……」

 あーやべえ楽しい。
 オレの一挙手一投足を注目し、動く度に慌てふためく間桐はまさに小動物のそれだ。
 たっぷりと苛め抜きたい。どこまでも食い散らかしたい衝動に駆られそうだ。

「あー、オーケーオーケー。リスの物真似はそれでいいや。
 たっぷりと堪能したし、お前の気持ちは十分伝わったぜ」

 それはそれとしてさっさと絞めに向かう。
 食ってみたいけど当初の目的はさっさと果たそうとするオレ忠犬。誰か誉めろ。

「え、あ、の」
「大丈夫だって。お前は口下手だけどちゃんと伝わってら。
 悪かったと思ってるんだろ。自分の中できっちり反省出来てるんだろ?」
「あ、その……」
「その?」
「……………はい。ちゃんと、反省してます」
「よっし、オーケー! それが聞きたかった。
 世の中謝れる人間は全員だ。けど反省出来る人間はその半分にも満たない。
 お前はオレの見込んだ一番弟子だ。それがその半分に入ってないワケがない。そうだろう?」
「え、そんな、わたしは、別に」
「別にも何もないの。お前はもう謝って、オレも許したんだから、もっと堂々としろよ。
 まあ、なんだ。
 オレも悪かった間桐。不甲斐ない師匠をこのとおり、許してやってくれ」

 どうか黄門様ー、と土下座する。椅子の上なのでもちろんマネだが。

「そ――――そんな! 先輩は何も悪いことしてないじゃないですか!」
「あらそう? ならいいや」
「へ?」
「……ごめんなさい嘘です反省してます。
 でもさ、これぐらいでいいんだよ間桐。これぐらいの肩で、ちょうどいんだよ」

 言って、間桐の肩に手を置く。
 さっきのように揺れるような抵抗を感じたが、それもすぐになくなった。

「な? そっちの方が楽だろ。いいか、それを忘れるな。
 お互い悪かったってことで、喧嘩両成敗。二人ともごめんなさいでプラマイゼロ。
 これでいいじゃん。どこに問題あんのよ?」
「…………」
「ないだろ。問題はどこにもなく、罪も罰もどこにもない。
 なら後はハッピーにやろう。そうだな。とりあえず美術部らしく絵でも描こうぜ。
 ほれ、返事はどうした? 我が親愛なる一番弟子、間桐桜さんよ?」

 笑いかける。間桐はほう、とした顔をして、すぐに。

「――――――はい、わたしの尊敬する師匠、衛宮士郎先輩」

 そう返してくれた。
 少しだけ緩んだ頬は、もちろん極上の笑顔である。
 本当、こういう笑顔を常時出来るようだったらオレも惚れたかもしれない。
 明日にはまたいつもの調子に戻るだろうけど、それはそれだ。
 今日はもう部活に出ると決めたし、お互い五限目の単位に問題はない筈。
 ここは久しぶりに、師匠として可愛い愛弟子に極意を授けるとするかな――――。

328 名前: アヴェンジャーエミヤ ◆ddg5.LZD9c 投稿日: 2006/01/03(火) 17:35:41
 と、そうだ。

「ところでさ、なんでうちに電話したの? まさかマジで嫌がらせとか?」
「違います! ちょっと、心配だったんです」
「心配?」
「はい。なんでも、すごい傷害事件があったそうなんです。
 被害者さんは片腕が無くって、犯人はそれを引きずって運んでたらしいんですよ。
 兄さんがそれを橋の近くで見かけて声をかけたら、二人に物凄い顔で睨まれた、って」
「……なるほど。それでその犯人さんがうちに押しかけてなかったか心配だったと」
「はい」

 なんともエグい。こういう話を無表情で話す間桐もちょっとエグいが。
 ……片腕を失い、切断面から命を零していく被害者。
 それをなんとか隠蔽し、日常に戻ろうと必死で瀕死の人間を引きずる犯人。
 許される事ではないが、他に目撃者は居るだろうし、もう少ししたら警察も動くだろう。
 正義の味方の出番はない。オレはこの出来事には関わるべきではないと思う。
 だが、それにしても、だ。

「その二人ってさ、女だったんだろ? しかもかなり可愛いと見た」
「え? あ、ああはいそうです。そう言ってました。
『ちょっとマブいからってあんな事するなんて、世も末だよまったく』って言ってました」
「やっぱりな。あいつがそんな怪しい二人組に声かけるって事は、その二人は女って事だ。
 しかも美人だ。間違いなく絶世の、な」
「ひどいですね、先輩は」
「そう言う間桐も。ちょっとおかしいんだろ」
「そんな事ありませんよ」

 そっぽを向く間桐。
 視界の外側では笑いを噛み殺している彼女がいるといいのだが。

「ふーん、ならいいけど。
 よし、それじゃ本日のお題は慎二! その美女に睨まれてビビった一瞬を描こう!」
「え、えええ!?」
「これも練習だよ。モデルを頭の中で弄ってそれをイメージに使うんだ。
 さ、描く描く」
「………はい、分かりました」

 口調とは裏腹にさっさと下書きを始める間桐。あ、もう輪郭書いた。
 ――――しかし。

「傷害事件、ねえ」

 反復させるように呟く。
 片腕のない女。それを引きずる女。そして電話のかかった時間帯からして、それはきっと夜だ。
 治安の良い冬木では少々衝撃的な事件ではあるが、報道もない以上死体が見つかったワケでもない。
 オレも、間桐も、慎二も、時間が経つにつれ忘れてしまう、些細な出来事の筈。
 だが、何故か。
 オレは衛宮士郎としてではなく、魔術師としてその出来事を心に刻んでおく必要があると、確かに感じていた。




A1・部活後、手の中の花を確認しに教会へ
A2・部活後、慎二が二人の女を見かけた場所に寄ってから教会へ
A3・部活後、遠坂に夕飯はいらないと告げてから教会へ

329 名前: アヴェンジャーエミヤ ◆ddg5.LZD9c 投稿日: 2006/01/03(火) 17:36:29
このあと一度幕間入ります。
これはどれ選んでもルートには影響ないので、気軽にお選びください。

ああそれと。
またちょっと、でしゃばりすぎたようですね。
本当、テンプレと正反対な作者で申し訳ありませんorz
これに呆れず付き合ってくださると嬉しいです……。

330 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2006/01/03(火) 17:40:07
2で

331 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2006/01/03(火) 17:56:44
A1だな

332 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2006/01/03(火) 17:56:59
最近慎二を見ると票を入れなければいけない気がしてきた
2で

333 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2006/01/03(火) 18:01:03
A1

334 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2006/01/03(火) 18:26:19
ここはA1で。

あと、ガントじゃなくてガンドです。

335 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2006/01/03(火) 18:53:03
A2

336 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2006/01/03(火) 19:20:37
A1

花!花!

337 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2006/01/03(火) 19:21:58
2を所望したい

338 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2006/01/03(火) 19:25:42
A2で決定
しかし凛ルートがなくなったとわかればこうなるのね…

339 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2006/01/03(火) 19:28:28
A3

340 名前: 砂月姫 ◆aro9VWlUZY 投稿日: 2006/01/03(火) 22:24:56
 そんなわけない。

 歩きながら考えて考えて、結局出た答えがこれだった。
 だって。
 ―――吸血鬼?
 この現代に?

 どう考えたって、考えすぎ、妄想を逞しくしすぎだ。
 首の傷なんて、寝っ転がっている内に落ちていたモノで切ったか何かしたのだろう。
 喉の渇きなんて、学校から帰っていままでなにも呑んでいないと言うだけだろう。
 星が見えるのは、今日の空が特別綺麗なだけに違いない。

 それは確かに、学校からの帰りに友達と別れてから、おきるまでの記憶はない。でもそ
れだってきっと、説明が付く。
 全て判ってみれば、なんてことない。

 ―――でも、本当に?


 路地裏から出て、まず判った事は、此処から家へ真っ直ぐ帰るのは骨だという事。
 住宅街と繁華街の境目にあるそこは、まさに死角とも言うべき処で、番地を見付けても
しばらく現在位置を把握するのは大変だった。そもそも普段の私の行動範囲の外である事
もあり、どこか中継地点を介してそれから家へ帰る事にした。

「うう、でも夜の公園って不気味………」
 したのだが、その中継地点である公園の前で私は足踏みをしていた。
 最初に中継点にしようとしたのは近くの高層ビルだったのだけれど、その近くまで来た
ところでこの公園を通って帰ればあとは、近くはないにしても、帰り道は判った。

 しかし、夜の公園の予想外の不気味さに私は二の足を踏んでいるというわけだった。
 この不気味さは、やはり夜の、学校ににていると思う。いつもそこにヒトが居る事が当
たり前だから、逆に人が居ない事が非道く違和感を醸し出すのだ。最も、理屈を言ったと
ころで怖くなくなりはしなかったのだけれども。

 意を決して歩き始める。これから先も、結構長い。どれほど路地裏に寝っ転がっていた
のか、からだじゅうが軋んでいる。下手に走ったりしたら空中分解するかも知れない。部
活とかで、一応鍛えていたつもりだったけれどな。

 それにしても、視界の変化は星が明るく見えるようになったのではないようで、公園の
電灯に照らされていないところもしっかり見える。どうやら、単純に視力が良くなった、
という方が正しいのかも知れない。暗いところもよく見えるけど、明るいところを見てか
ら暗いところになれるには少し時間がかかった。なんだ。

 そんな事をしながら、街灯の所為で暗く見える公園の木々と、明るい空を見て、一枚の
絵を思い出した。美術か何かの教科書に載っていた絵で、タイトルは『光の帝国』。変な
風にモノをかく、ルネ=マグリットというヒトの絵だった。
 元から変なモノの絵を描くダリとは違って、パーツはおかしくないのに全体を見るとお
かしいという、そういう絵を描くヒト。たとえば『光の帝国』という絵は一軒の家の家が
描かれている。その前は真っ暗で街灯をつけているほどなのに、空を見ると明るい青空な
のだ。そのちぐはぐさが―――。
 その、歪さが。

341 名前: 砂月姫 ◆aro9VWlUZY 投稿日: 2006/01/03(火) 22:25:45
 行きすぎそうになって、立ち止まる。
 目の前に大きな噴水があった。噴水は止んでいて、水面は穏やか。鏡の役には立つだろ
うか。本当は鏡のあるお手洗いとかが良かったんだけど。

 ―――実は、女の子としては誠に恥ずかしい事なのだけれど、いままで身だしなみをち
ゃんと整える事をしなかった。
 いろいろと混乱した所為もあるし、人通りが少なかった所為で自分の格好がどれだけ酷
いものか、考えが及ばなかった。一度、帰りのサラリーマンらしき人がお化けでも見たよ
うな顔をして逃げていったのには、酷く傷ついた。確かに、髪が滅茶苦茶で、見苦しかっ
たとは思うけれど。

 そう言うわけで、公園を通過するついでに、こういったチャンスを探していたわけ。家
に帰るにしても、あんまり非道い格好をしていると何を言われる事か。とほほ。

 さてさて。どんな非道い格好になってるのかな。髪は中途半端にほつれてるし、結わえないと。いや、そもそも私は路上に寝っ転がっていたわけで。顔に変な痕とかついていな
いといいけど。服もよく見ると、細かいところが伸びたり解れたりしている。ううん、制
服のストック、あと幾つあったっけ? 結構高いのに。
 これはもう怒られるの、決定かなぁ。あーあ。


「娘。水面に貌が映ったとて、この現実には変わりない」


 ―――と。
 その声は後ろから。
 何の前触れもなく。
 獣の軋るような、機械の唸るような、そんな声が。

 振り返れば。
 其処には。
 金色の目を光らせた、コートを羽織った大男が。
 まるで、得物を前にした猛禽のような眼で私を見下ろしていた。
 男は、言った。  

「矢張り、死徒になっているか―――興味深い」



 私は―――


壱
 びっくりして腰を抜かした。だって、裸コート!
弐
 思わず逃げ出した。ろ、露出狂!?
参
 理性が何かしらの決定を下す前に、爪を振りかざして躍りかかっていた。変態には死を!

342 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2006/01/03(火) 22:29:18
弍
さっちん逃げてえ〜〜

343 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2006/01/03(火) 22:32:28
弐

昨今の悲惨な事件は変質者と遭遇した際迅速に逃亡を選ばない蛮勇が原因と愚考する次第

344 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2006/01/03(火) 22:39:19
壱
3は論外にしても、なんか逃げたら背中から切られそうな気が。

345 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2006/01/03(火) 22:51:08
死
 いきなり固有結界「枯渇庭園」発動! ようこそこの素晴らしき惨殺空間へ

うそです…弐で
地の果てまで逃げ延びろ、サチーソ!

346 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2006/01/03(火) 23:02:34
壱

347 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2006/01/03(火) 23:06:06
壱
ネロルートやな?

348 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2006/01/03(火) 23:16:54
壱だろ。

349 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2006/01/04(水) 00:23:20
死んだ振りだの壱

350 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2006/01/04(水) 00:32:37
壱で決定だ!

351 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2006/01/04(水) 01:30:34
教授の目って金だったっけ?

352 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2006/01/04(水) 01:30:53
壱で。教授!教授!

353 名前: 砂月姫 ◆aro9VWlUZY 投稿日: 2006/01/04(水) 12:15:38
「□□り、□トになっ□い□か」

 その、金色の眼から、目がそらせない。禽獣のような眼から、目が離せない。釘付けら
れたように、打ち抜かれたように―――まるで、殺されたように。

 耳が機能しない。なにも聞こえない。
 声も出ない。まるで、息も出来ない。
 痺れたように、躰が動かない。

 まるで、恋に落ちたかのように、私はその人を見つめていた。

「―――興味深い」
 私が見つめるその人は、最後にそう結んだ。心なしか、命題に悩む哲学者のようなその
貌が、その口元が少しだけ緩んだような気がした。それだけで心臓が跳ね上がる。
 まさか本当に恋に落ちたわけでもなく。
 私は、その存在に恐怖していた。

 目はそらせずとも、その偉容は認識出来た。私と頭二つ分も違うその背。少し古びたコ
ートのその下は、何かぴっちりとした闇色のセーターか何かを身につけていて、一見、首
だけが闇に浮かんでいるように見えた。
 一瞬、はだかコート!? と思ったのは六つある女子高生の秘密の三番目。

 私がこの人を観察しているように、この人も私を観察している。この人には私はどう見
えているのだろう。何か、見えているのだろうか。それが、恐ろしい。

 ―――見えて?
 そう言えば。
「………あの、どういう事ですか?」
 押し潰されてしまいそうな沈黙に耐えきれず、私は不意にわいた疑問を口にした。

 確か。
 最初。
 この人は。
「顔が映っても変わらないって、何が変わらないんですか?」
 かわら、ないと。
 きっと答えは返らないと思い、それを期待していたのに答えはすぐ返ってきた。

「無論―――貴様が死徒、吸血種となった事だ」


 吸血鬼。血を、吸う、鬼。吸血鬼は血を啜る。血を啜るのは吸血鬼。新聞も週刊誌もテ
レビも、友達も先生も家族も。寒い。吸血惨殺事件。暗い。開かない扉は壁だ。喉が渇く。
何であなたが。あの人が悪い。私の子は。私は悪くない。カルネアデスの板。鋼が、
 ―――ごめんなさい。その声が、血のように纏わり憑く。
赦■て。


「きゅう、けつ、き」
 何故だろう。喉が渇く。変だな、我慢出来ない。やだな、あの時から、寒いのも暗いの
も渇くのも平気だよ。何でこんなに、何でこんなに。

 お前か。
 ―――お前か。
 何を見ている。そんなに、吸血鬼が珍しいの。違う。だって仕方がなかった。違う。お
腹が減ったの。違う。喉が渇いたの。違う。寒いの。違う。だから。
 違う、のに。

私は嗤った。
 目の前の男も嗤った気がした。


 ―――お前の、血をよこせ。

354 名前: 砂月姫 ◆aro9VWlUZY 投稿日: 2006/01/04(水) 12:17:22
 腰を抜かし、その目に屈していたソレはいきなり行動を起こした。
 呆れるほどの瞬発力、驚くほどの狂気、舌を巻く殺気。
 ―――ソレを、獣を出すまでもなく蹴り飛ばす。
 所詮は成り立て、どれほどのモノでもない。
 だが。
「―――ほう」
 だが、その闘志は認めよう。
 それでこそ、わざわざ出向いた甲斐がある。
 成り立ては、半ば千切れ欠けた腹を押さえながら、無様に。それでも、立って私を威嚇
してきた。その眼には相変わらずの狂気。その躯には変わらぬ殺気。
 そうだ。
 それでこそ。
 私の■■に見込んだだけはある。
 口元が緩むのを感じる。
 これは、蛇が何せずとも二百、いや百年を待たずに王以上のモノに成りうる器だ。
 なんて幸運。
 思わず、独り言まで言ってしまう。

「時に娘。―――



壱:―――石杖所在という悪魔払いを知っているか?」
弐:―――零崎舞織という殺人鬼を知っているか?」

肆:―――王冠の名を持つ死祖を知っているか?」




今回の選択肢は、ブレがとても少ないので、気軽に選んでください。
参を選んでも、牢獄の鍵とか売りませんよ?


教授の目が金ぴか、は
つttp://www3.kitanet.ne.jp/~walachia/yougo-menu.html
ここで。ネロ・カオスの頁参照。

355 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2006/01/04(水) 12:36:06
それでは参の五十二人目の名無し将軍で

・・・元ネタ分かる人いるかなぁ・・・

356 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2006/01/04(水) 12:48:02
肆で

357 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2006/01/04(水) 12:49:56
死祖?

358 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2006/01/04(水) 12:51:12
壱

359 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2006/01/04(水) 12:52:04
え、ちょ、クロスッ!?

壱で

360 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2006/01/04(水) 12:55:13
誰か知らんが弐で。

361 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2006/01/04(水) 12:56:35
肆っす

362 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2006/01/04(水) 12:57:25
壱
所在も見てみたい気がするし、教授が所在をどう評するか気になる
まあ、このスレ的に知名度の高い人なんですが

363 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2006/01/04(水) 13:10:16
弐で。

364 名前: バイオリン猫 ◆aro9VWlUZY 投稿日: 2006/01/04(水) 13:19:52
済みません。
どれを選んでもクロスしたりしませんよ?
“ブレが少ない”んですってば。


期待を見事打ち砕いてしまったかも知れないので、この選択肢の真の意味を教えます。
ヒントは、数字と、キャラと、欠損。それから次回は少し?痛いめです。
中の人は、そう言う趣味もあります。変態。


弐の人は西尾維新の零崎一賊シリーズ一冊目のヒロイン?です。個人的に好き。
あと、型月世界で両の■が■■している人が居なかったので。
参は、“死祖”じゃなくて、“死徒二十七祖”でした。勝手に縮めて済みません。

365 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2006/01/04(水) 13:54:19
三行目の空欄選んだりとかできんの?

366 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2006/01/04(水) 14:14:21
つまり、総括すると
壱だと片腕「1本」
弐だと両手首「2本」
肆だとダルマになるというわけか?
えぐい選択肢だのう。

367 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2006/01/04(水) 14:17:06
決まる前にバラしちゃ意味ないと思うなあw

片腕とか両腕とかはありふれてるんで、肆でいってみよう

368 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2006/01/04(水) 14:29:42
壱で

369 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2006/01/04(水) 16:59:33
壱

370 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2006/01/04(水) 17:05:42
369の壱で決定か
自分の票で決定するとき、それを明記するようルール化しないか?
でないとすでに決定してるのに投票が続くからな

371 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2006/01/04(水) 17:49:08
言いたいことは分からなくもないが
それって投票する奴が事前に数えておけばいいだけじゃね?

372 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2006/01/04(水) 18:28:09
俺は数えたことないな
それに350で決定って書いてあるのに352で投票するヤツいるし
どうせ書いても無駄じゃないの

373 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2006/01/04(水) 21:05:13
俺はpart1からいっつも数えてる

問題は 人気沸騰状態の時とか数えてる間に5票揃ってしまう事だが
まぁきっと俺と同じような人もいるだろうしと我慢

374 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2006/01/04(水) 21:56:41
俺も大体数えてから投票するが、
人気沸騰状態だと更新に気づく前に決まっててへこむことの方が多い。

375 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2006/01/04(水) 23:52:53
>>373-374
あるあるwwwwwww

何度参加を逃したかorz

376 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2006/01/04(水) 23:58:43
数えると、Aが4票でリーチでCが3票か、よしCに投票して追っかけリーチ!
とか邪念が入るから最近は数えていない
まあ早めに投票してるけどね

377 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2006/01/05(木) 02:46:34
つまり1だとセラスみたいに欠損した片腕から固有結界ってな感じか。

378 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2006/01/05(木) 08:21:39
失った腕の代わりにアサルトライフルの銃弾も防ぐ義手を装備するよ。

379 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2006/01/05(木) 12:31:59
なにその闇のイージス

380 名前: 砂月姫 ◆aro9VWlUZY 投稿日: 2006/01/05(木) 22:29:41
■□■□■□〜間章・手折れる弓〜


 得物に触手を伸ばした瞬間―――つまりは、最大の隙。
 その瞬間に、私は標的に最大火力を集中した。
 典型的な、奇襲である。

 標的は死徒二十七祖が十位、ネロ・カオス。黒鍵の十や二十では揺らぎもしまい。だか
ら、私はかねてから考えていた“必殺技”を試す事にした。
 ―――先ずは、手持ちの黒鍵(火葬式典&鉄甲作用キメキメ)を七十七本、一時に(一
気に、ではない)用意出来るぎりぎりの本数を以て、それを投擲から魔術による転送まで
様々な径路を使って一目標に叩き込むのだ。回避不能、防御無価値なマッドな代物である。
それはもはや戦術の域を超えた戦略級の破壊力を誇るのだ。まさに、必ず殺すと描いて、
必殺な技なのである。
 ただ、試し打ちすらたしたことはないのだが。

“お金がかかりすぎますからね。七十七本って、それで普通に死徒を三桁滅ぼせるじゃな
いですか”
 相棒が金の亡者のような意見を述べてくる。そのあまりの冷酷さに涙が止まりません。
“対象人数が一人で、破壊力無限大? しかも避けられたら終わり? さらにリサイクル
不可? ペンシル○ケット並みに役立たずです。重装備しただけのガキにも掠りませんよ”
 なにやら私怨をぶちまけられている気がするのは気のせいか。やはり、テレビゲームは
青少年の脳を蝕むのかも知れない。即刻取り上げよう。ついでに人参も。

「―――そんな事よりも。行きますよ、セブン」
 私は相棒を構える。
 目前には標的。瞬時に現れた黒鍵群、内、七つが到着、被弾。と同時に上下前後左右か
ら真っ直ぐ、斜めに総計十九本。残りの全てが更に一瞬遅れてランダムな軌道を描きなが
ら定められた着弾点目掛けて疑似音速で炸裂。全方位の火葬式典の熱と鉄甲作用の指向性
圧力によって、中心地点では太陽黒点並みの煉獄が顕現する!
 それはまさに、縮刷版の太陽だった。月光の鎮座する夜の国に現れた、侵略者だった。

 足下には標的の得物。女の子だった。私が拠点の一つにしている高校の生徒のようだっ
た。攻撃に移る前にちら、と見ただけだが既に左腕を食いちぎられていた。死んではいな
い。腕が戻らない代わりに、生き続ける事は出来る。それは、コレに出会った時点で死な
なかった事は、それは幸いなのか不幸なのか。生きているという事は。
 邪念を一瞬で振り払う。

 肝要なのは此処から。此処が今回の白眉だ。
 わざと、此処だけは弾幕が薄い。それは、この娘を殺さない為というよりも―――
“―――来ます!”
 私よりも一瞬早く、相棒が敵の襲来を告げる。それにタイミングを合わせて、相棒を、
最強の武器を叩き込む。当たり前だ。この敵が黒鍵の百本を持っても殺しきる自身はなか
った。ただ大怪我は負っただろう。それだけ、と言えばそれだけだけれども。
 そのために、此処に追い込むだけのそのためだけに、先の黒鍵大奮発をしたわけだ。確
かに、少しだけ、無駄が多い気もする。でも、そのおかげでリーチが狭くてバカ重い相棒
をぶち込めるというモノなのだが。

 だが。
 だが、渾身の力を持って振り下ろした相棒は、何の手応えもなく空を切り。
「――――――え―――」
 その声は誰が発したモノか。
 目前には太陽。
 なれど、地を見よそこには汚泥。
 黒い――――――何か――――――が――――――?

 湿ったモノが跳ねるような音の跡には。
 重い鉄の塊が落ちた音だけが、夜の公園に虚しく響いた。


 埋葬機関、第七位。通称、弓。洗礼名シエル。年齢不明。国籍不明。女性。
 墓碑銘に刻む言葉は何も亡く、棺に入れるものなど何も無い最後だった。


〜間章/終わり〜□■□■□■

381 名前: 砂月姫 ◆aro9VWlUZY 投稿日: 2006/01/05(木) 22:31:03
“―――を知っているか?”

 記憶はそこで途切れた。
 朱く。
 今日は―――いや、もう昨日は、か―――よくよく気を失った。
 冷たく。
 自傷とも自重ともつかない倦怠感が身を包んでいる。
 暗く。
 そんなに気を失って、私、だいじょうぶかな。
 渇く。
 今度はどこで、目を覚ますのかなぁ。
 私は。
 ―――この身は閉じた■■也。
 混濁。
 起きよ、食事の時間だ。
 私は。
 出口などない。
 私は。
 ■■■。


 私は、見知らぬ処で目を覚ました。
 そこは、一言で言うならば体育倉庫で、おそらくそれに間違いはない。
 私はマットの上に寝ていて、横を向いて寝ていた私の目の前にはボールをしまう棚があ
った。下に敷いていた左手が少し痺れている。

寒い。
 既視感。学校だの、その施設だのは何処へ行っても同じようなモノだという通念を越え
て、何か、心に訴えかけてくる。
 何か。
「…………ああ、そっか」
 何だ。
 判ってしまえば他愛ない。
 昔、私は体育倉庫に閉じこめられた事がある。その時は一晩助けが来なくて、大変な想
いをした。出来れば思い出したくない類の思い出なので、体育倉庫という体育倉庫には無
意識にだけれどもそれから、近づかなかったのだけれど。

 さて、そう言う私はどうしてそんなところにいるのでしょう。
「っていうか今、何時かなぁ」
 太陽が黄色かったら、洒落にならない。お母さんに怒られるとか、お父さんに叱られる
とかのレベルじゃない。最悪、お小遣いカットなんてシナリオが脳裏を掠める。それはイ
ヤだ。女子高生という人種はとかく物いりなのだ。
 取り敢えず、外に出よう。
 ―――とは行っても、体育倉庫の中でも、此処は乱雑な部類らしく、用途不明な鉄棒だ
の布だの絵を描いた板なんかで埋まっている。体を起こした途端に板に描かれた目玉きら
きらのきのこお化けの絵と目があった気がして、少しだけ、びっくり。もしかしたら此処
は粗大ゴミ置き場なのかも知れない。ボールの棚とかマットがあったから勘違いしただけで。
 仕方なく、そろそろと手探りで 自分の廻りから探っていく事にする。痺れていた左手
の感覚が薄い。ないと言っていいほどで、非道くはかどらない。今度から寝るときは注意
しようと思う。
 恐ろしい事に、それらのゴミは適当に放り投げた結果、どうにかバランスをとっている
だけ、なんて代物がたくさんあって、進めない方向がありすぎた。つまりは一本道だった。

「これが行き止まりだったらどうしよう………」
 勿論、此処に私がいる以上、どこかから運び込んだに違いないんだけれども。
 それでも、という僅かな不安はあっという間に払拭されて、ボール棚の影に出口はあった。

382 名前: 砂月姫 ◆aro9VWlUZY 投稿日: 2006/01/05(木) 22:32:09
 ―――そこまできて、私は自分が寝ぼけていた事が判った。

 たすけておかあさん。わたし、なんかすっぱだかなんですけど。

 血の気がさあっと引いていく。実際は、靴と靴下とスカートとパンツははいているけど
それ以外なし、という極めてマニアックな状況で。それは全く、何かの慰めになんかには
ならなかったけど。っていうか気付こうよ、女の子。
 今まさに扉を開けようとしていた手が硬直する。出られない。

「彼氏(いないけど)にも見られた事ないのにっ!」
「羞恥心薄いよ、なにやってんの………」
「哀しいけど私、半裸なのよね」
「寒い倉庫だと思わない?」
「莫迦な。私は冷静だ」
 びっくりして、独り言を呟きながら硬直してみる。
 ………何言ってんだろ、私。意味わかんないや。

 しかし、どのみちこの扉を開けずにはいられない。今まで見た感じ、着られるモノなん
て見あたらなかったし、そもそもいつまでも此処にいるわけにはいかない。
 しかし、一度タイミングを逃すと、扉に掛けた手がなかなか動かない。
 時間だけが、過ぎて行った。


 ―――だから。
 がらりと。
 まるで遠慮も気負いもなくその人が扉を開けたとき、私はまともにぶつかってしまった。
距離が近すぎたこと。俯いていた所為で、私もその人もお互いに気付かなかったのが敗因。
「左手どう―――」
「―――ひゃっ」

 まあ、要するに。
 私はその人とぶつかって―――仰向けに倒れ込んだわけだ、これが。
 私は上半身素っ裸で。
 とっさに支えようとして手は後ろ。
 そのうえその人は私に躓いてきて。

「―――うわっ」
「…………きっ……」
「………………き?」
「きゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!」

 悲鳴なぞあげてしまいましたとさ、まる。




ところで、“その人”は、

壱/遠野志貴という、私の友人だった。
弐/遠野四季を名乗る、和服を着た白髪の青年だった。

383 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2006/01/05(木) 22:34:03
弐だっ!

384 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2006/01/05(木) 22:36:08
文章書いたらageたほうがよいかと

385 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2006/01/05(木) 22:40:57
壱だ!

386 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2006/01/05(木) 22:44:34
弐かな

387 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2006/01/05(木) 22:46:09
弐で

388 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2006/01/05(木) 22:49:50
壱ッス

389 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2006/01/05(木) 22:56:55
壱で

390 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2006/01/05(木) 22:59:46
壱だ!

391 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2006/01/05(木) 23:00:54
壱打ね

392 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2006/01/05(木) 23:01:29
あえて弐!

393 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2006/01/05(木) 23:06:56
壱で決定か
一番に弐に投票したのに(´・ω・`)

394 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2006/01/05(木) 23:23:22
太陽の黒点は周りより温度が”低い”から黒くなるのれす。

壱で決定かな?

395 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2006/01/06(金) 01:20:39
ひとつ確認だけど、シエルは死んだのか?
ロアがまだ死んでないから、シエルは死ねないと思うんだが・・・

それとも俺はなにか大きな勘違いをしているか?

396 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2006/01/06(金) 02:41:41
世界の修正で復活した666人のカレー先輩

397 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2006/01/06(金) 03:24:19
教授に取り込まれた?

398 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2006/01/06(金) 07:26:28
ガクガク動物ランドは修正の影響受けないんだっけか。

399 名前: アヴェンジャーエミヤ ◆ddg5.LZD9c 投稿日: 2006/01/06(金) 18:24:03
 結論から言えば、間桐の言った場所は寄りようがなかった。
 常人なら貧血で倒れそうな血の海を中心に、警察やら野次馬やらが集まっていたからだ。
“KEEP OUT”と印刷されたテープを境に、現実と非現実が混ざり合っている空間。
 現実とはテープの外、日常であり、非現実とはその内、事件の調査である。
 そして警察にコネクションがないオレは、まあ外側にいるしかしかないワケで。
 それにあの女には絵を描くと言ったのだ。こんな強烈な臭いのする所にはいられない。イメージに支障が出る。
 別にまともなモノを描く気はないが、アイツに下手なモノを見られてバカにされるのは耐えられない。
 さっさと教会に行こう。そう結論づけて踵を返した直後。
 まるで引きずったような、赤く太い血の跡が蛇のように続いているのを、網膜に焼き付けた。



――――interlude


 近くの茂みでひたすら存在を殺す。
 息を殺すだけでは足りない。気配を殺しても無意味。
 規格外である彼に気づかれない為には、自分自体を殺すしかない。
 こういう作戦は私の望むモノではないが、背に腹は返られない。苦渋の決断である。
 ……教会で待ち伏せを始めて十五時間経過。目標は未だ現れず。
 三時間ほど前に黒色の少年がシスターに招き入れられたが、こちらには視線の一つも寄越さなかった。
 まだ誰にも気づかれてはいない。引き続き、目標を待ち続ける。
 食事を採れないのがいたい。このままでは栄養失調でジリ賓だ。
 そんな焦りが存在を露わにしそうで怖い。恐怖も同等の理由で感じる事も出来ない。
 まるでサバンナの猛獣だ。四肢を土につけ、じっと、じっと自分を殺しつづける。
 獲物が見つからなければ餓死。たとえ三大欲求が自我を壊しそうなほど溢れても、鼓動の一回も乱してはならない。

 ――――もう私は生きていない。ここまで行動を制限されて、何が生きていると言うのだろう。
 何でこんなまだるっこしい事をしているのか。
 それを思い返そうとして、左腕をさする。まだそんな未練を残してる自分に苛立ち、軽く舌打ち。

(しまった、音を鳴らした!)

 これ以上ないというほど下げていた腰を更に落とし、窮屈この上ない姿勢で感覚だけを研ぎ澄ます。
 戦闘は不可能。もし気づかれていたら、もう離脱しかない。
 存在を殺す。自分を殺す。
 今この時のみ、私、バゼット・フラガ・マクレミッツは現世にいてはならない。
 ……誰も来ない。どうやら今は誰もいないようだ。
 彼は今のに気づけないような下衆ではない。という事は今は気づけない所に居るという事。
 その推定事実に少しだけ安心して、私は十三時間ぶりに小さく小さく息を吐いた。

「は―――、ふ」

 それでも油断ならないので、呼吸は一分おきに繰り返す。
 弱く長く、慎重に吐かれた吐息が生きる為のモノだとは、冗談でも信じまい。
 溜息なんて持っての他だ。一度行えば七度は心臓を串刺しにされるだろう。
 本当、生きていない。
 慣れない待ち伏せを敢行し、舌打ち一つに緊張し、敵がいないと分かっても虫のような呼吸を繰り返してる。
 どこまでもらしくない。体は生きているけど、思考や誇り等の心が死んでいるようだ。
 いや、それは違う。ただ生きず、彷徨う亡霊になっただけ。
 ……今一度、左腕をさする。
 右手は空を切り、代わりに肩口辺りにざらざらとした包帯の触感をなぞる。

 告白すると、私の左腕は、もう私とは繋がっていない。

 自分の不甲斐なさに舌を思いっきり噛み千切りたい。
 ぐちゃぐちゃに、ズタズタに。元が人間の一部だなんて分からないぐらいが良い。
 そうすれば尊厳も誇りも何もかも捨て去って死ぬ事が出来る。
 自殺は惨めだが、今の自分なんかよりはずっと綺麗な結末だろう。

 少しは軽くなってくれるだろうか。
 失ってしまった左腕の重みも、
 呆れと羨望を抱いた彼への疑問も、
 唯一尊敬出来たあの人の弱さも、
 ――――恥を晒してなお死なない、私の醜い妄念も。
 全て、放り出せるぐらい軽くなってくれるだろうか。

400 名前: アヴェンジャーエミヤ ◆ddg5.LZD9c 投稿日: 2006/01/06(金) 18:24:48
 世界を把握出来るようになったのは、事が起こってから半日が過ぎた頃。

「―――――、ぅ、ぁあぁ、」

 這いずって進む。血も凍りつく冬の夜を、映画のゾンビみたいに、前へ前へ。
 理性はない。そんな希望を持つほど現状判断が出来ないワケがない。
 生命活動を再開するには何もかも足りない。根本から引き抜かれている。
 否、今もこうして引き抜かれている。
 私が這いずって進むと蛇が生まれる。
 腕ほどに太くて、ペンキみたいに平面な、赤い赤いのっぺらぼう。
 進むば進むほどそれは成長していき、その肥料として私の時間が抜けていく。
 一センチ進めば一分、一メートル這えば一時間、十メートル抜かれれば――――私の時間はもう欠片もない。

「く、かぁ――――ぁ」

 そんな確信じみた死の直感が目の前にあるこの時、人を動かすのに理性はいらない。
 何もかも奪われた。
 体も、パートナーも、思い出も、憧れも、命も、人間たりうる条件だってもう残ってない。
 だから後は無様に死なないだけ。
 自分ながらゾンビという表現は言い得て妙である。
 人間じゃないクセに人間の殻だけは被って、生きてないのに死なないまま徘徊する情念。
 その情念というのは、私で言えば、妄念である。

「うぅ、ううぅう、ぅう……」

 残酷に濃かった夜が消えうせ、楽土の如く白明が私を覆う。
 白すぎて凄く不気味だったので、反射的にまばたきを繰り返す。
 景色は変わらない。どうやらこの映像は未来永劫変わらないらしい。
 続いて足がびくん、と大きく跳ねて、二本の肉塊に成り下がった。
 腕に向けていた全意識の幾分かを向けても、小指一本動かせやしない。
 きっと次は腕だ。筋から断節してるので、眠るように役目を終えるだろう。
 そうなればこの妄念にも幕が降りる。進めなければ叶えようもない。
 そして叶わなければ、私はきっと。

 「―――――死にたく、ない」

 ああそうだ。
 それが私の妄念のカタチ。
 こんなので死にたくない。こんな呆気なく死にたくない。こんな無様なのは耐えたくない。
 だってあの人に認めて欲しい。だってまだ彼に背中も任せてない。
 終わりたくない終わらせはしない。
 私が唯一生きられる世界、争いの中ではないコトで、
 後ろから命を奪られてこうして命を撒き土に塗りたくりながら惨めに死ぬなんて絶対――――!

“まあ、オレの場合、気に入ったヤツが全部敵に回っちまうんだけどな”
“おまえは、おまえを許す為に、多くの世界を巡らねばならない”

 ―――――ダメ。

“やった事は関係ねぇよ。オレが気に入るのは行動じゃなくてそいつだけだ”
“死ねないのなら生きるしかない。何かを感じる心がある限り、成し遂げられる事もあるだろうよ”

 ―――――進んで。

“やっぱいい女だよアンタ! 本当、このまま縁続けられんのか怖ぇぐらい!”
“私は君達とは違う。私は欠陥品でね。成し遂げられる事も、大した事ではないさ”

 ―――――少しだけあった思い出も満足に拾えない。

“ちっと出かける。なんかあったら令呪で呼べよ? アンタとオレならそんな小細工必要ねぇんだし”
“野暮用ついでだ。ああだが、これしきの事で感情を揺らしていては到底勝ち抜けんぞ?”

 ―――――声が出ない。

“おい、なんか返事しろよ。わざわざ伝達のルーン使ってんだから、聞こえてんだろ?”
“私は嘘はつかんよ。事実、君は私との競争に勝ち抜けなかっただろう?”

 ―――――頑張って動かしていた腕が止まる。

“今から帰るからな? いいか、バカすんじゃねぇぞ!”
“ではこれは頂くぞ。死にゆく君に、せめて主の加護があらん事を”

 ―――――何かアタタカイモノに引っ張られてる。

“てめぇ何 ざけ■■  マ■■  !”
“お前  ■  主 えに■■■  ”

 ―――――銀白の紫陽花。

“そ■は    う ■■な”
“■■■を に■ ■■    だ”

 ―――――走馬灯も終わる。

“■■■■■■■■■■■■■!”

“             。”

401 名前: アヴェンジャーエミヤ ◆ddg5.LZD9c 投稿日: 2006/01/06(金) 18:25:35
「――――何を、馬鹿な」

 忘れろ。
 意味なんてないだろう、思い出していいモノじゃないだろう……!

 かちかちかち、と震えたがる歯を食い縛って止める。
 気づけば自分で自分を抱いている。寒くもないのにとにかく震えが止まらない。
 仕方がないので左肩の包帯を引き千切れるぐらい握り緊めた。
 少しだけほどけて、隙間から血と痛みが垂れる。あんなに流したのにまだ流れるなんて、どこまで底なしなのだろう。
 到底割には合わないけど、それで震えも止まってくれた。
 生々しい赤色を前に、体も悪い夢を見てる場合じゃないと思ってくれたようだ。

「まだだ――――、まだ、死ねるワケ、ないじゃないか」

 弱気だった自分に火をつけて奮い立たせ、ほどけてしまった包帯を巻き直す。
 そうだ。惨めでも妄念でも、今はこうして死なない自分を貫くしかない。
 それが責務。あの人に裏切られ、彼を裏切らせてしまった自分に残った生存理由。
 否、それは違う。
 生きていない私が望む事が全てを放り出す事なら、死なない私が望む事は?
 冷笑。そんなのは決まっている。

 ……誰か出てきた。
 もう限界だ。このまま自分を殺していても衰弱死がいいオチだろう。
 二人を知ってるか聞いてみよう。彼はともかく、あの人の事は知ってるかもしれない。

「―――――よし」

 右手を胸に、せめてもの祈りを自分に授ける。
 言峰、ランサー。
 その二人の真意と、安否を。死なない私は、ただそれを祈るしかない。
 立ち上がる。そうして出てきた誰かに近づこうとしたその時。

「まったく。言峰の奴め、仕損じたのなら自分でやれというのだ」

 私が流した大蛇なんかよりずっと濃い、化生の真紅が私を捉えた。



                    ――――interlude out

402 名前: Fate/star light 『この服で、銃士はバスを降りた』 投稿日: 2006/01/06(金) 19:18:56

「……しまった」

人通りの少ない平日の昼間だったことが、逆に災いしたのだろう。
家を出てから「それ」に気づくことなくバスに乗り、乗っている間は車窓から町並みを見つめて考えを彷徨わせていた。
バスを降りるとき、二人分の乗り賃を請求されて、初めてその異常に気づいたのだ。
バスを降りたわたしとランサーは、駅前に二人で立ち尽くしていた。


「ねーねー、あれ何の撮影かな?」
「コスプレじゃない?」
「何のキャラだよ」
「クスクス」「うわー」「ママーあれ」「ジロジロ見ちゃ駄目っ!」


道行く人は皆、西洋騎士そのものの格好をしたランサーを見ると
『可哀想な人を見たときはどうするか』の見本とも言えるような反応をしてくれた。
そればかりか、ランサーはすれ違う人々と目が合うたびに
鍔広の帽子をとって、大仰かつ優雅に一礼をしている。これでは目立ってしょうがない。

「ちゃんと宝石も持って、何一つ忘れ物してないと思ってたのに……」

「令呪無しでは霊体化できないと、とっくに分かっていたではないか。
 家を出るときにわざわざ指差し確認までしているのに、服について考えてすらいないから
 既に何か用意してあるのかと思っていたら、なんだ。
 マスター、ひょっとして結構抜けているところがおありか」

「……遠坂家の血筋なのよ……」

わたしはここ最近いいところがなかった。
召喚の失敗、衛宮君の家でセイバーに襲われたときの失態、交渉の決裂。
今度こそは、と戦闘に備え、虎の子の10の宝石は勿論、アゾット剣まで持ち出して懐に忍ばせていた。
忘れ物は一つもない。たとえ玄関を開けた直後にセイバーと戦闘になろうと、倒してみせる。
そう気負っていたのだが――――やはり、肝心なところでやらかしてしまった。

「……それで、ランサー。目立つからせめてその礼だけでもやめてくれない?」

「何を言う。『どんな時でも余裕をもって優雅たれ』が、家訓なのではないのか?
 手袋を投げつけられない限りは、いついかなるときも優雅であるのが銃士の心得だ」

そういうランサーのしたり顔に、わたしは手袋を投げつけたくなる。
しかし今は仲間割れをしている場合ではない。

「お金は出来るだけ出したくないけれど……二つに一つね」

背に腹は変えられない。
このままでは若手漫才コンビの結成ライブになってしまう。しかも出オチ。

「売れそうにないな」

「こんな思考にコメントしなくていいわよっ!」

……どうしよう。



1・ランサーを路地裏に残して、恥を忍んで男物の服を買ってくる。

2・教会に逃げ込んで、言峰から服を略奪する。

403 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2006/01/06(金) 19:21:25
2で

404 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2006/01/06(金) 19:24:49
無難に1で

405 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2006/01/06(金) 20:18:29
急転直下の2を

406 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2006/01/06(金) 20:38:26
2でしょ

407 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2006/01/06(金) 20:41:59
2だな

408 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2006/01/06(金) 20:47:40
1。

409 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2006/01/06(金) 20:57:20
2

410 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2006/01/06(金) 21:04:31
アベさんはinterludeだから選択肢なし?('A`)

411 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2006/01/06(金) 21:37:12
ん?2で決まりか

ランサーオモシロ

412 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2006/01/06(金) 21:38:33
2で決定か。
・・・さらにいいところがなさそうだなw

413 名前: 砂月姫 ◆aro9VWlUZY 投稿日: 2006/01/06(金) 21:46:15
 遠野志貴。
 私と同じクラス。友達は少なくて、普段付き合いがあるのは乾君と私だけ。人付き合い
が悪いと言うよりも、どこか自分で完結している印象を与える。
 名字は遠野だけど、住んでいるのは有間家。遠野家から養子に出されて名字を変えなか
ったのは、もともと呼び戻される事が前提だったのかも知れない。この度、父親の死と時
を同じくして、新たに当主となった妹に呼び戻される。遠野家の親戚関係は雑多で、それ
をのぞけば血の繋がった肉親は妹を残すだけ。母は物心つく前に他界。
 経済観念が発達しているが、それは単に欲望が希薄だからかも知れない。養子として長
い間他人の家にいた所為で、遠慮と倹約が板に付いたとは本人の談。貯金をかなり持って
いる。刀剣に興味を持つ以外にコレと言った趣味はない。浮いた噂もない。ただし、拒む
意志もないから、来るモノは追わないだろう。
 運動神経はかなり良いが、体力はかなりない。すぐ息切れする。体に大きな傷があり、
小さい頃に交通事故で負った。その時から運動は控えているという。余談だが有馬家にも
妹がいて、この子と時々格闘技の模擬戦のような事をやっていたらしい。
 この世のモノではないモノを見ている、と言う噂あり。傍証として、目の色が時々変わって見える。


 それから―――生粋の、殺人鬼。




「…………えっと、だいじょうぶ?」
 おそるおそる訊いてみる。
 遠野くんはお腹を抱えたまま動かなくなってしまった。思わず蹴り上げた足がお腹に当
たってしまったらしい感触が、まだ足に残っていて申し訳ない気分になる。
「あー。だいじょうぶ」
 あまり平気ではない声でそう言って、遠野くんは器用にうずくまったまま上着を脱いで
こちらに寄越した。そのまま、やはりうずくまったまま向きを変えて扉の影に消えた。
 ごそごそと移動する姿は、はっきりと間抜けだった。悪いけど。
 いや、向こう向いたら立っても良かったんじゃないかな?
 靴は履いてたけど、そんなに蹴られて痛かったの―――蹴った?
 ふと。気がつけば私は、上半身は全裸、スカートは足を蹴り挙げた所為であられもなく
まくれあがっていて、しかも足はまだ下ろしていないという。
 かなり、恥ずかしい格好をしていた。
 ………えーっと。
 そっか。
 ごめんね。
 立てなかったんだ………。

414 名前: 砂月姫 ◆aro9VWlUZY 投稿日: 2006/01/06(金) 21:47:05
 よく見ると寄越されたのは学ランで、確かに遠野くんは学生服を着ていた。
 扉の向こうの外は、茜色をしていた。太陽は黄色くないらしいが、出来ればまだ沈んで
いて欲しかった。朝帰り決定。
 いや、それよりもそれよりも。
 何で私は此処にいて、そして遠野くんがいるのでしょう。何か昨日は色々あったし―――
いや、あったのか? あれはむしろ、悪夢を見たといった方が筋が通って、むしろ現実に
何があったのかを忘れてるだけ? あと、私の服、どこ?
 混乱が重複して、私はかえって冷静だった。単に麻痺しているだけだと思うけど。
 麻痺といえば左手がまだ痺れていて、ボタンが締めにくい。だいたい何で紳士用と婦人
用はボタンの付け方が違うんだろ。面倒くさい事この上ない。仕方がないので最低限三つ
だけとめてあとは諦める。今更見られたって何だ、と捨て鉢な気分である。もしかしたら
時間を掛けた方がいいのかも知れないけど、あまり待たせるのも気が引ける。
 見える範囲で身繕いをして、私は遠野くんに声を掛ける。
「えっと。どうぞ」
「ああ。調子はどう、弓塚さん? ああ、変な意味じゃなく」
「変な意味って?」
「え………あ、その―――左腕、違和感とかない?」
 違和感。左手は、少し痺れがある。それを言うと、遠野君はそれなら問題ないと言って
手を差し出した。此処じゃ何だから、ゆっくる出来るところに行こうと行った。デートの
お誘いみたいだね、といって、お手をどうぞお姫様、と返された。
 倉庫から出てみれば、日はもう沈んでいた。
 ―――あれ?
「って、夕陽!?」
「うん。夕陽。弓塚さんはまる一日眠ってたんだよ」
「まる一日って………」
「それもふくめて、ね」


 愕然とする私を連れて遠野君は淀みなく学校の中を歩いていって―――此処は何と、私
達の通っている学校だった―――地階の生物地学実験室の前で止まった。ポケットから鍵
をとりだして鍵を開け、そのまま隣の準備室に入っていく。こちらは鍵がかかっていなか
った。
 標本とか、用途のよく分からない器具とかと共に、そこにはうっすらと人が頻繁に出入
りしている形跡があった。多分、遠野君が。
 その遠野君は部屋の中心でくるり、とこちらを向くと、どこか芝居じみた身振りをして、
言った。


「ようこそ―――魔術師、遠野志貴の工房へ」

415 名前: 砂月姫 ◆aro9VWlUZY 投稿日: 2006/01/06(金) 21:47:53
 それから語られた事は、今までの私の常識を覆す事ばかりだった。

 魔術師、魔術、魔法。
 吸血鬼、死徒、真祖。
 境界と、協会、教会。
 彼の事、私の事―――いろんな事。

 所々脱線し、判らないというと解説し、信じられないというと実演した。
 いろいろな事が判って―――ひとつだけが解らなかった。
「―――さて。これで一応全部かな? ではおさらいしてみよう」
「ええっと」

 教師のように促されて、順を追って話し出す。先ずは私の事。
 最近、この街には吸血鬼がきた。私は昨日、吸血鬼に血を吸われ、めでたくなくその仲
間になってしまった。この街にいる吸血鬼は実は三派閥あって、私の“親”がいるところ
はその一つ。私は成り立ての間に潰そうと他の派閥に攻撃された。幸い、私は左手を奪ら
れただけですみ、街中を彷徨っていたところを遠野くんに保護された。

 遠野くんは昔、入院していたときに、たまたまであった魔術師の弟子になった。弟子に
なったといっても一度あったきりその人とは会っていなくて、独学でいるらしい。実はそ
れは魔術師の組合に知られるとマズい事で、だから家族にも知らせていない。どのみち大
したことはやっていないらしい。殆ど何もしていないから、見つかりようもなかったとい
う事だ。

 ―――それが、遠野くんが説明した情報と、打ち立てた仮説。私が見た“悪夢”もだい
たいそれで説明がついた。
 でも。
 でも。
 ひとつだけ―――




壱 何で私、裸だったのかなぁ?
弐 何か―――左腕―――が―――?
参 何で遠野くんは私を助けたの?

416 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2006/01/06(金) 21:52:18
壱で

417 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2006/01/06(金) 21:59:37
弐だ

418 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2006/01/06(金) 22:01:07
裸で。
あ、いや、壱で。

419 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2006/01/06(金) 22:01:32
なんとなく 弐

420 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2006/01/06(金) 22:06:08
壹。

421 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2006/01/06(金) 22:07:35
とりあえず弐

422 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2006/01/06(金) 22:08:29
まあ、まず壱だろw

423 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2006/01/06(金) 22:13:27
弐!弐!弐!

424 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2006/01/06(金) 22:27:06
ここで参だ!

425 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2006/01/06(金) 22:30:02
とどめの弐っ!

426 名前: アヴェンジャーエミヤ ◆ddg5.LZD9c 投稿日: 2006/01/07(土) 01:58:25
くああ……参加逃してもうた……。
>>410
今回はないです。スレの趣旨と作品の流れ、どちらとるかは悩みましたが…

427 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2006/01/07(土) 02:01:43
ここで作者の皆様にひとつお願いです。

現在、複数同時進行なので、前回の話を追うのがかなり大変になってきました。
そこで、以前行っていたように、先頭に前回選択肢へのリンクをつけてもらえないでしょうか。

それだけでかなり楽になるので、お願いします。

428 名前: るー ◆Kmt4qpE2Xs 投稿日: 2006/01/07(土) 02:33:58
了解ですー
http://starlights.xxxxxxxx.jp/
もどうぞー(宣伝)

429 名前: Fate/star light 『夕日の決闘』 投稿日: 2006/01/07(土) 02:40:15
>>402 『2・教会に逃げ込んで、言峰から服を略奪する』


新都まで来ているのだ。綺礼のヤツに服を借りよう。
アイツに借りを作るのは、ブラック印の消費者金融に大金を借りるより気が進まないが

『西洋騎士と女子高生、というワゴンに眠っているアダルトビデオのタイトルのような光景を繰り広げつつ
 男物の服を物色し、かつお買い上げ。男性用トイレの中で着替えるランサーを、その前で待つわたし』

なんて状態を想像しただけで、自分の葬式に誰が来て、誰が泣いてくれるかを考えそうになるのだからしょうがない。

かといって、人通りの多い駅前とはいえランサーをそこらに置いて一人で行動するのは危ない。
令呪も残り二回。
宝具の効果により重要性は低いとは言え
「襲われれば令呪で呼べばいいや」などと、気軽に考えるわけにはいかないのだから。

教会まで道のりの間は、わたしはランサーから最低4mの距離を置くことにした。
ランサーとの信頼ゲージがみるみる減っていくような気がしたが、気にしないことにする。

「……我輩の好感度が下がると、ランサールートに入れなくなるぞ」

「元からあるわけないじゃない!
 ……ってあぁもう、話しかけないでくれる!?」

喋っていると、段々漫才になってきてしまう。
これは相性が良いのだろうか、悪いのだろうか……。

430 名前: Fate/star light 『夕日の決闘』 投稿日: 2006/01/07(土) 02:41:38

■

ようやく目的地についた。荘厳にそびえる冬木教会。
わたしにとってここは、綺礼の居城というイメージが強すぎて、不吉なイメージが強いのだが
それでも坂の上に位置するこの白い教会は、やはり神々しい雰囲気をもっていた。

「……ここが冬木教会か」

「そうよ。で、私の師匠でもある腐れ神父の言峰綺礼がいるところ」

ランサーの言葉にわたしがそう返したとき、静寂であるべき教会の前の広場に似つかわしくない
聞き覚えのある、不吉なエンジン音が唸り出した。


  ……ドルンドルンドルンドルンドルドルドルドルドドドドドドド……


「……マスター、どうやら着替えの前に一仕事ありそうだな」

ランサーはそれまでと変わらず、減らず口を叩いた。
しかし、レイピアを引き抜き、音のする方向を見つめるその顔は、戦士のそれへと切り替わっていた。

「そうね、ランサー。
 そろそろ、ここで名誉挽回するチャンスなんじゃないかしら?」


  ……チュイイイイイイイィィィィィィィィィィィーーーーーーーーーーンン!!


チェーンソーの駆動音を唸らせ、白いホッケーマスクをかぶった男が、教会の屋根から飛び降りてきた。
轟音に混じり、着地音が地面を響かせる。舞い上がる砂埃の中、石畳に亀裂を入れ、男の殺意がこちらに向けられた。

ランサーが一歩踏み出し、わたしの前に立った。
彼自身の手で鍔広の羽つき帽子が投げ捨てられ、宙を舞う。

「違うな、マスター。元から我が名誉は傷ついてなどいない。
 御身を守れるか否か。それだけが、我輩の名誉の在り方なのだよ」

構えたレイピアを上向きに立て、顔の前へと寄せた後、刀をしまうように一旦腰の横へとレイピアを戻した。
再び半身を向けると、半円を描くようにして、レイピアを男の方へと突き出す。
描かれた半円の軌道は美しく、下弦の月を想起させる。

その仕草はあまりに芝居じみていたが、同時にあまりに自然すぎた。
幾度も繰り返され、その果てに完成された、完全な、完璧な動き。
その仕草が示すものは、決闘の開始、戦士の決意、騎士の誇り。
繰り返された決闘というその事実だけが、静かに彼の不敗を証明する。


「来い、バーサーカー。これから召し変えなのでな、丁度良い。
 ――――せめて、我輩に汗ぐらいはかかせてみせよ」


狂った戦士は言葉を持たず、突進を持ってそれに応える。

そして、打ち合う剣と鋸の音が再戦の開始を告げた。

431 名前: Fate/star light 『夕日の決闘』 投稿日: 2006/01/07(土) 02:42:27

■

サーヴァントでありながら、無差別に人を襲う連続殺人鬼と成り果てた
バーサーカーを見つけ出し、戦いに相応しい広所として、学校の校庭へと移動。
激突した、というのがあの日の戦いの経緯だ。

そのときは衛宮君が現れ、排除の対象を変えたバーサーカーによって、戦いは中断された。

中断されるまでの戦闘、それと同じ光景が今も眼前で繰り広げられている。

手数、体捌き、位置取り、全てにおいてランサーがバーサーカーを圧倒的に上回っていた。
事実、ランサーのレイピアは幾度もバーサーカーを貫いている。しかし。

「――――くっ」

バーサーカーはその刺し傷を物ともせず、チェーンソーを振り回す。
そればかりか、振り回したまま一回転し、傷口が視界から一瞬消えただけで、全ての傷が癒えている。
否、全ての傷が、元から無かったかのように消え去っている。
……デタラメだ。これは宝具の効果と思って、まず間違いない。

当てても滅しえぬ攻撃を繰り返す槍兵、当たらぬ攻撃を繰り返す狂戦士。
だが、それは互角ではない。

さて――――



1・秘蔵の宝石の一つをもって、ランサーを援護する。

2・ランサーに任せる。

3・教会に駆け込み、言峰綺礼に加勢を頼む。

432 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2006/01/07(土) 02:43:33
2で

433 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2006/01/07(土) 02:45:06
1で行くか。

434 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2006/01/07(土) 02:47:20
3で頼みます

435 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2006/01/07(土) 02:58:28
まぁ伊達男だし大丈夫でしょ… なので2

436 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2006/01/07(土) 03:03:07
2だな。サーヴァントを信じろ!

437 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2006/01/07(土) 03:56:20
1で

438 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2006/01/07(土) 04:24:09
3で行ってみる

439 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2006/01/07(土) 05:40:22
2で。

440 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2006/01/07(土) 06:36:55
2でお願いします。

441 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2006/01/07(土) 11:27:37
2で

442 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2006/01/07(土) 11:48:55
2で木鞠

443 名前: Fate/star light 『神父の異常な感情』 投稿日: 2006/01/07(土) 13:06:50

>>429-431 『2・ランサーに任せる』


幾度目かのバーサーカーの斬撃を避け、ランサーがこちらへと飛び退いた。
声を出すことなく、お互いの思考を交差させる。

<援護のタイミングを見計らっているようだが、マスター>

<……ええ。宝石を使えば、サーヴァントと言えど強力な対魔力が無い限り
 一時的に行動不能にさせるぐらいはできるはずよ。幸い、わたし達には合図が必要ないわ。次の――>

<いや、いい>

<――っ――って、アンタ自身がチームワークが不可欠だって……!>

<この程度で主の助けを必要とされるサーヴァントと思われても、面白くないのでな。見ているがいい>

言うが早いが、いや、伝えるが早いが、ランサーは再びバーサーカーへと突撃する。

地面を一蹴りするだけで、ランサーはバーサーカーとの数mもの距離を詰めた。
かと思うと、その動きを瞬時に止め、相手を翻弄するかのようにまた別の方向に向けてその神速を発揮する。
ここに至って、間違いなくランサーは最速の英霊と言えた。だが――――

ただの突きでは、バーサーカーの宝具を超えられない。
力量ではない、相性の問題なのだ。一瞬の火力さえあれば、それで終わるはずの相手。
だが、その一瞬の火力を持つ宝具が――――ランサーには、存在しない。

次第にランサーは攻撃の手を休め、防戦一方となる。
鋸の刃をこそ受けないものの、紙一重で相手の嵐のような斬撃を避ける姿は、いかにも頼りない。

<ランサー!>

わたしの呼び声に応えるように、ランサーが叫んだ。

「――――アン!」

バーサーカーの残撃を避けて飛び退いたランサーが、4mほど離れた距離から、瞬時にバーサーカーを突いた。
狙ったのは、バーサーカーの右目。寸分の狂いもなく、レイピアの切っ先がそれを抉る。

「――――ドゥ!」

猛りの咆哮を上げ、バーサーカーのチェーンソーが振り回される。
荒れ狂うその合間をぬって、またもランサーのレイピアが、今度はバーサーカーの左目を抉った。

「――――トロワ!!」

瞬間。ランサーの半身がこの世から消え去った。
こちらに向けているバーサーカーの前面が真っ赤に染まり
どう、と音をたてその巨体が倒れたのを見て、わたしはその意味をようやく理解する。

――見えなかったのだ。単純に速すぎるあまり、ランサーの肩から先が、わたしには残像はおろか全く見えなかった。
突きという点の攻撃でもなければ、斬りという線の攻撃でもない。
あれはもはや、面の攻撃だ。宝具も糞もない、単純な、だが究極の滅多刺し。
ただそれだけで、ランサーは不死のサーヴァントを打倒して見せた。

444 名前: Fate/star light 『神父の異常な感情』 投稿日: 2006/01/07(土) 13:09:58

「……無茶苦茶な」

「少々無骨すぎるきらいもあるがね。
 ……まぁ、これはこれで悪くはないとは思わんかな?」

そういってこちらを振り向いたランサーの背に、突如幾つもの黒鍵が襲いかかった。
ランサーはわたしと視界を共有していると言っても過言ではない。
その全てを手にしたレイピアで切り払い、わたしの横へと引いた。

「……ふむ。流石にバーサーカーだけでは荷が重かったようだな」

「――アンタ――」

見開かれたわたしの目の先には――――黒衣の神父が、超然と立っていた。

「師弟対決と行くか、凛。立てバーサーカー」

あきらかな致命傷と思える傷を受けたバーサーカーが、その体を起こす。
倒れたときに出来たほんのわずかな死角、ただそれだけで、抉られた眼を含む傷のほとんどが治癒していた。
あまりの異常にたじろぐわたしを見透かしたように、綺礼が――――言峰綺礼が、その謎に端的に答える。

「術者が近くにいることで、供給されている何らかの力が使い魔を強力にすることがある――
 この程度のことは、教えてあったはずだと思ったがな」

「……マスターとしての宣戦布告として受け取って良いのね、それは?」

綺礼が袖をまくりあげ、左腕の令呪をあらわにする。

                   、 、 、 、 、
「この通りだ。行くぞ、凛。私を愉しませてみせろ」

その言葉はなにか――この男に似つかわしくない――わたしは、ひどい違和感を覚えた。

……だが、それを追求している暇はない。



1・言峰はランサーに任せ、完全に回復したわけではないバーサーカーを燃やし尽くす。

2・マスター同士の勝負を挑む。

445 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2006/01/07(土) 13:12:23
やべえ、どっちも勝てる気がしねえ。
だがとりあえず2。

446 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2006/01/07(土) 13:13:55
凛の活躍も見たいんで
2。

447 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2006/01/07(土) 13:22:12
1
のほうが勝ち目はありそう。

448 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2006/01/07(土) 13:30:20
1に賭ける

449 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2006/01/07(土) 13:38:20
2で

450 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2006/01/07(土) 13:56:55
1
でも勝てない気がする

451 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2006/01/07(土) 14:00:46
どっちだ わからん… が1

452 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2006/01/07(土) 14:02:06
1。
生存を祈る。

453 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2006/01/07(土) 14:03:32
1で決まりか。
後は本家アーチャーエミヤさんの出番がないことを祈るのみ。

454 名前: バイオリン猫 ◆aro9VWlUZY 投稿日: 2006/01/07(土) 22:29:52
<a href="http://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/otaku/995/1134547400/413-415">413-415</a>

ええ、っと。こうですか? よく分かりません!

455 名前: バイオリン猫 ◆aro9VWlUZY 投稿日: 2006/01/07(土) 22:33:23
………あれ?
あれれ?

一応行けるけど………これは失敗?


誰かちゃんとしたやりかた教えてください………。
初めから聞けば良かったかな………orz

456 名前: 砂月姫 1/吸血衝動�機� ◆aro9VWlUZY 投稿日: 2006/01/07(土) 22:34:48
 あの、“悪夢”がもし本当にあった事ならば、この左腕は確か。
 憶えている事は本当に少ない。
 千切れた断片だけで。
 それでも。

 あのとき。金の鶏。あのとき。金の目。あのとき。獣の声。あのとき。絶叫。あのとき。
 あのとき―――私の左腕は。
 氷のように、餌食のように。
 ■ったはずで、■い■■られたは―――ず―――?
 あ――――――れ―――?


 何か―――左腕―――が―――?


 左手がおかしい。
 そう言おうとしたときには、“ソレ”はもう動いていた。

 ゴキリと音(ねいろ)を断てて骨が砕ける。
 メキリと声(きせい)を裁てて皮が破れる。
 ギリリと叫(さけび)を建てて肉が壊れる。
 変形し変成し変換し―――変わっていく。

 絵の具を全て、白から黒まで、銀から金まで、全てを混ぜたような狂った色彩で彩られた。
 虹のように遠く凶った、天の浮き橋のように太く、荒ぶる神のように狂わしい。
 ソレは。
 弓塚さつきの左手であったモノは。
 化け物のようなソレは。
 哄笑するように擬態を解き、号泣するように気勢を上げて、一路。
 悲鳴を
        あげる
   いとまも
            なく


 遠野志貴目掛けて―――疾る。

457 名前: 砂月姫 1/吸血衝動�機� ◆aro9VWlUZY 投稿日: 2006/01/07(土) 22:35:48
「――――――――――――!」


 ―――そして。
 そして、遠野志貴の唱えた何事かが、その動きを停めた。
 ただ一言で、嘘のように止まった。
歪なまま、変形しながら動いていたソレが、微動だにしない―――否。
 まるでビデオの逆廻しのように、まるで嘘だったかのように、ソレは速やかに弓塚さつきの左腕に戻っていく。


 それを、私は黙って見ていた。
 それを、遠野くんは黙って看ていた。
 痕には、まるで嘘のように元通り、ただ遠野くんの額から血が一筋流れているだけだった。
全てが一瞬で起こったようにも思えたし、一時間以上かかったといっても驚かない。

 弓塚さつきの左手は、動かない。
 弓塚さつきは動かない。
 遠野志貴は動かない。
 小部屋を、沈黙だけが通り過ぎる。

「    、  ?」
 遠野くんが何か言った。
 聞こえない。

 私は遠野くんに歩み寄り、遠野くんの頭を抱きしめた。
 目前に、遠野くんの顔がある。
 その額から、鼻の横を通り、口元まで。血が流れている。
 それを、舐めた。
 体を硬くする遠野くんを、これから取って喰うみたいに強く押さえつけて。
 キスするように、口元に口づける。それから、舌で唇で、放さずに傷口まで。

 ■は、■■しかった。

 私は、■■■になっている。
 私は、化物になってしまっている。
 理解はしていた。
 ようやく、受け入れた。

「なに、これ」
 ようやく絞り出した声は、震えていた。


 遠野くんの血は、美味しかった。
 私は、吸血鬼だ。



                               1/吸血衝動�機[�



選択してください


壱 ウニ
弐 トロ
参 タマゴ

458 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2006/01/07(土) 22:42:31
参かな〜

459 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2006/01/07(土) 22:47:49
タマゴで。

460 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2006/01/07(土) 22:49:10
弐!トロ好きー
例えば今回のをまとめるときにだったら
>>456-457と、そのまま打ち込んで大丈夫なはずですよー
見る人の環境によっては見れないかもしれませんが。

461 名前: バイオリン猫 ◆aro9VWlUZY 投稿日: 2006/01/07(土) 22:59:36
>>460
ありがとうございました。そのままとは、盲点

462 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2006/01/07(土) 23:06:40
参
ギョクとか好きだからー!

463 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2006/01/07(土) 23:25:52
弐のトロ!

464 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2006/01/07(土) 23:52:14
壱を選ぶ我高級志向

465 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2006/01/08(日) 00:50:52
トロ一丁お願いします

466 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2006/01/08(日) 03:05:19
弍をサビ抜きで

467 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2006/01/08(日) 03:56:54
弐のトロ。実を言うと俺はマグロの方が好きだが

468 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2006/01/08(日) 08:47:45
意味はさっぱりだが
とりあえず壱のウニで。

469 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2006/01/08(日) 09:05:19
このままスシバトル21に突入するんだよ!

470 名前: Fate/star light 『神父の異常な感情』 投稿日: 2006/01/08(日) 12:41:07
>>443-444 『1・言峰はランサーに任せ、完全に回復したわけではないバーサーカーを燃やし尽くす』


言峰がどういう男なのか。戦うべきか、そうでないのか。
そう言ったやりとりは、わたしとランサーには必要ない。
機先を制して素早く二手に分かれ、各々の獲物に狙いを定めた。

「――――ふむ」

綺礼が自分の前に立ちはだかったランサーを見て、意外そうに声をあげる。
それもそのはず、アイツをランサーに任せるということはすなわち――――


  チュイイイイイイイィィィィィィィィィィィーーーーーーーーーーンン!!


手負いとは言え、このバーサーカーを、わたし一人で相手することに他ならないのだから。

まず、こちらの唯一の武器である魔術に対しての抗力がどれだけあるのかを見極めなければならない。
チェーンソーの間合いの外からガンドを連射して様子を見た。

バーサーカーはそれしか攻撃がない、と言うかのように愚直な突進を繰り返す。
ガンドの直撃を受けても、その猛進は止まらなかったが、確実にダメージがある。
ガンドを重ねて喰らった部分が、病になるのを通り越して壊死し、今にも腐り落ちそうになっている。
HPと再生能力は高くても、魔術に対する防御力が低い。パワータイプの見本みたいなヤツだ。

<あるいは四天王の一人目、もしくは土属性の中ボスタイプだな>

<――――戦闘中にまでよくもそんな軽口を……!>

暢気なことを考えているランサーに、ちらっと非難のまなざしを向けた。

綺礼は黒鍵を手にランサーと戦っているが、その神父服が血にまみれていることからも
ランサーの優勢は明らかだった。

黒鍵は投擲するための武器だ。
しかし、中距離の間合いから瞬時に攻撃を当てるほど素早いランサーの射程距離から、逃れることはできない。
自然と、手にもった黒鍵で切り結ぶ格好となる。
だがそうなると、黒鍵もまたレイピアと同じ刺突用の武器だ。
そして、突きを主体とした接近戦において、ランサーを凌駕しうるものは一人として存在しない。
綺礼には魔術もある。今しばらくは持ちこたえるだろう。それなら――――

「――こっちも、いいところを見せなきゃね――!」

ガンドを乱射しつつ距離を保つ戦法をやめて、バーサーカーの突進を闘牛士さながらに避ける。
得意の近距離戦に持ち込めたバーサーカーは、わたしに向けてチェーンソーを振る。

ぶぉう、と空気を切り裂くようなチェーンソーの大降りが、わたしをかすめた。
避けると同時に、バーサーカーの顔へ目掛けてガンドを連射。反動を生かして後退する。

――――避けられる。このバーサーカーと、英霊と、わたしは真正面から向き合える。

衛宮君が、セイバーを呼び出すまでの防戦に成功した、と言っていたことから
同じことなら、自分にもできるのではないかと思っていたが、思った以上に上手くやれそうだ。
ランサーが与えた全身への傷が、まだ完全に癒えていないことも大きかっただろう。
目を離さず、絶えず視界に入れてさえいれば、その傷は癒えないことも分かってきた。

バーサーカーがガンドの連射を喰らった顔を、ぬぐうようにして手で隠すと
壊れかけたホッケーマスクともども、首から上のダメージが消え去った。

――次の激突で、勝負をつける――!

471 名前: Fate/star light 『神父の異常な感情』 投稿日: 2006/01/08(日) 12:42:14

バーサーカーがチェーンソーに合わせるように唸りを上げ、わたしへ突進してきた。
わたしは覚悟を決めて呼吸のタイミングを合わせると
そのチェーンソーに大した神秘がないことを祈りながら
10の宝石のうち、1つの魔力を開放して障壁とし、チェーンソーの一振りを弾き返した。

あらぬ方向へと弾かれるチェーンソーを横目に、もう1つの宝石の魔力を開放する。
バーサーカーのふところへと入りこみ、その胸へ、直前まで宝石を握りこんだ掌底を叩き込んだ。

「――Anfang――Mein Feind mus brennen!」

瞬時に発火、燃えあがる炎がバーサーカーの全身を包んだ。
声なき叫びをあげ、暴れ狂うバーサーカーから距離をとる。

「――勝っ――た――――!?」

相性が良かったことは確かだ。大事な宝石も二つ消費した。
だが――よもや人の身である自分が、英霊を打倒するとは。
その事実に、正直自分自身驚いている。

<……決着がついたようだな>

ランサーのその伝心に振り向くと
倒れた言峰の首に、ランサーがレイピアの切っ先を突きつけていた。

紛れも無く、これは完全な勝利だ。

「強く――――なったな、凛」

倒れたままの綺礼が、そんなことを言った。
わたしは、わたしがバーサーカーを打倒する最後の決め手となった体捌きが
綺礼から習った中国拳法の型だったことを思い出して、胸にくる何かを感じた。
だが、わたしは魔術師だ。それをなんとか飲み込んで、綺礼に向き直る。

「……勝負はついたわ。今すぐ令呪を放棄しなさい。それなら、命までは取らない」

<――――マスター>

ランサーが何か言いたげにこちらを見る。
分かっている。本当は、これでもまだ甘い。
本当の魔術師ならば、有無を言わさず――――しなければ、ならない。

「……ふ……教え子に命乞いを強要されるとは、な」

「――無駄口は――」

「聞くがいい、凛。これは、お前の父親の話だ」

突然出たその単語に、わたしは動揺する。
振り切ったはずの想いが、またわたしの胸に去来する。

「おまえの父――私の恩師、遠坂時臣は前回の第四次聖杯戦争で命をおとした。
 その話を、私はお前にしなければならない」

明かされなかった真実。
幼心に求め、それでも開けなかった。求めようとする自分を、戒めすらした。
その扉の鍵が、いま眼前にある。

今聞かなければ、父の死は永遠に私に届かない。今際の言葉すら、知ることはできない。
その想いが伝わるのだろう。ランサーはレイピアを言峰に突きつけたまま、口をつぐんだ。

472 名前: Fate/star light 『神父の異常な感情』 投稿日: 2006/01/08(日) 12:43:30

「わたしは――」

「命乞いをするつもりはない。聞くか、聞かないかだ」

永遠に思える逡巡。
その果てに、遥か昔に振り切ったはずの想いが、ついにわたしを捕まえた。

「――――話して、綺礼。わたしの父の最期がどうだったのか」

わたしは、とうとう自分からそれを求めてしまった。
魔術師になるため、鉄にしたはずの心が、わずかにほころびを見せた。その瞬間だった。



「お前の父、遠坂時臣は私が殺した。不意打ちによって――――今のお前のように」



――ブゥン――と、音がする。

それは何の音だったのか。
ひょっとすると、わたしの心がたてた音だったのかもしれない。
わたしの世界の完全な停止に、わたしだけでなく、ランサーも動けない。
後ろから振るわれた黒い刃に、わたしの右腕は根元から斬り落とされた。

わたしの傷に連動して、ランサーの右腕も根元から千切れ落ちる。

「――――おおぉぉぉっっ!!」

なりふり構わぬランサーのその雄叫びが、わたしとランサーの時間を再び動かした。
断たれた右腕が取り落としたレイピアを、左手で掴み取り、綺礼を狙う。
だが、それはほんの少しだけ遅かった。
半身を起こした綺礼の蹴りによって、バーサーカーのいた方へと飛ばされる。

わたしは飛びそうになる意識を必死に抑え、魔術で右腕の止血をする。

「――ふむ。よくやった、セイバー」

綺礼は私の右腕を拾い上げ、そう言った。
わたしはその言葉に耳を疑い、わたしの右腕を斬り落とした男を見る。

『コー……ホー……コー……ホー』と、不気味な吸気、呼気音が聞こえる。
黒い光沢のあるヘルメット、全身を包む黒い防護服、肩から足元まである大きな黒いマント。

違う。これは、衛宮君の連れていたセイバーとは、全く。
何より違うのは――――その手に握られている光刃までも、紅ではなく……黒だ。

「……イエス、マスター」

その男が――――セイバーが、綺礼の言葉にそう応えた。

「ふむ……令呪を移し『主変えに賛同しろ』とでも言いたいところだが……
 凛、お前の右腕が断たれるのと同時に、ランサーの右腕も落ちた。これは何かある……宝具の効果か……?
 もっとも、三体もコントロールするのは流石に有効な戦術とは言い難いが、な……」

綺礼は右腕の袖もまくりあげ、そこにある令呪を見せる。

「これは聖杯戦争の開始を控えて、教会に駆け込んできたおろかな魔術師のものだ。
 バーサーカーを呼び出したはいいが、コントロールができない。
 令呪を1つ使用してマスターを殺さぬようにはしたが、それ以上の制御はできそうにない、とな。
 令呪を移植しようかという私の申し出に喜んで協力した男は
 次の瞬間自分のサーヴァントでなくなったバーサーカーに殺されたよ。
 なかなか<面白い>見世物だった。
 もっとも、私以外にあのバーサーカーをコントロールすることができるものは、いないだろうが」

そう言うと、綺礼は遊び終わった玩具を投げるかのように、私の右腕を投げ捨てた。

473 名前: Fate/star light 『神父の異常な感情』 投稿日: 2006/01/08(日) 12:44:19

「さて、凛。話の続きをしようか」

「――っ――何が続きよっ!卑怯な手を……」

「卑怯?卑怯と言ったのかな。魔術師に、敵マスターに向かって?」

わたしは、自分の甘さに唇を噛み締めた。

「……聞くがいい、凛。
 十年前――――第四次聖杯戦争において、私とお前の父は師弟であり、同時に二人ともマスターだった。
 手を組み、勝ち抜き、残るは私とお前の父、そして衛宮士郎の父、衛宮切嗣のみとなった。
 私の連れていたこのセイバーは、他の二人の連れているサーヴァントに勝るとも劣らぬ強さだったが
 今のように、従順ではなかった。隠していた私の本性に気づき、それを恐れていたのだ。
 私は衛宮切嗣との決戦を翌日に控えた夜、私を信頼しきっていたおまえの父を、この手で殺した」

「……よくもっ……よくもそんなことができたものね。聖杯を手にするために……見損なったわ」

「今もそうでないが……そのときの私が求めていたのも、願望機でも、第三魔法でもなかった。お前の父と同じだ。
 根源へたどり着くため。報われず、彷徨い続ける人間達の祈りに応えぬ神へ、私は問わなければならないことがあった」

「同じよ。それが如何に尊い理想であろうと、正しい理念であろうと、汚れた願望であろうと
 アンタは外道に落ちた。ただそれだけよ。それを今も繰り返してる」

綺礼は、わたしのその言葉に冷笑を浮かべる。

「……話を続けよう。私は衛宮切嗣と戦い、そして敗れた。
 だが、五体のサーヴァントを吸収し、半ば以上起動していた聖杯にたどり着いたのは、私が先だった。
 私は衛宮切嗣を倒し、自分の目的を改めて願うため、衛宮切嗣の足止めを聖杯に願った。
 だが――――聖杯は、単純な願望機ではなかった。第三次聖杯戦争の折、その中身を汚染されていたのだ。
 歪んだ願望機は、その汚れた内容物である泥を辺りに撒くことにより、私の願いを間接的に叶えた。
 泥は近くにいた私、セイバー、衛宮切嗣を含めた全てを汚染し、辺りを火の海へと変えた。
 惨状から聖杯の汚染に気づいた衛宮切嗣は、己のサーヴァントに命じ、聖杯を破壊させたのだ……」

綺礼が喋るあいだ、わたしは必死で精神を集中させていた。
今なお燃え続けるバーサーカーの隣にまで蹴り飛ばされたランサーは、倒れ伏せているが、死んではいない。
当然だ。わたしが死ねば、ランサーも死ぬ。ランサーが死ねば、わたしも死ぬ。
ならば、私が死ななければ、ランサーもまた死なない。

今をおいて、宝具の効果を発揮するときはない。
宝具による命令だけでも、令呪による命令だけでも
今の状態からの行動は、マスターとサーヴァント両方の命に関わるだろう。
だがその両方ならば――――やってみる価値はある。いや、やらなければならない。

わたしとランサーは心を通い合わせ、最後の反撃に転じた。



1・言峰を狙う。

2・セイバーを狙う。

474 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2006/01/08(日) 12:51:51
1で行こう

475 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2006/01/08(日) 13:01:00
1だな。

476 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2006/01/08(日) 13:05:46
1だな。
とりあえずマーボーだけでも何とかしてくれw

477 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2006/01/08(日) 13:14:27
1で

478 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2006/01/08(日) 13:27:23
弐と1

479 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2006/01/08(日) 14:12:32
1で決定か。

砂月姫のほうは、弐でリーチといこうか。

480 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2006/01/08(日) 16:47:35
じゃあ参。
たーまごー たーまごー

481 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2006/01/08(日) 17:04:14
>460、>463、>465、>466、>467でもう「弐」の五つは決まってるだろうが…

482 名前: 砂月姫 2/反転衝動�� ◆aro9VWlUZY 投稿日: 2006/01/08(日) 21:08:58
>>456-457

2/反転衝動�機〇�


 ただ、理由も無しに、生きたいと思った。
 死にたくないと思って、無様に足掻いた。
 それだけの話で。
 それだけの理由で、俺は、彼女を殺した。
 ひとつ、償えない罪を犯した。




 魂が抜けていく首を眺めて、女はそれを血溜まりの中に棄てた。

 月のような女だった。月のような金色の髪、月のような赤い眼、月のような青白い肌。
そして、新月のように表情のない貌。その服装は白のセーターに紺のスカートと変哲もな
いが、それをドレスに見せるような高貴さを持っていた。
 象牙細工のような面持ちで、今投げ棄てたモノを見ていた。その先には血の池があった。

 肉や骨が浮いて厚みが一センチはあろうかというどろりとした血塊はそれを容易く飲み
込む。ただ魚の跳ねるような音を残して、混濁した平穏を取り戻す。
 血溜まりは、ひどく小さく、半径一メートルほどの綺麗な円形をしていた。大きさを度
外視すれば、当たり前の血痕にも見える。
 だが、この量の血を流す生き物とは一体何か。血溜まりの中を探せば、大半が粉々にな
った中でもヒトの左肩、そして先ほど投げ入れられた首だけが形を保っている。更によく
見れば、衣類の切れ端であろう布切れが血色に染まって見え隠れしていた。この血溜まり
は、間違いなくヒトが、そのまま血塊になったなれの果てである。
 再度、だが。だが、それは如何なる悪魔の所行になるモノか。一部を残して、ほぼ全体
を、おそらく一瞬にして粉砕されたに違いなく、それは人の業では決してなかった。

 月光は冴え冴えとしていて、蒼い光を投げかける。オフィス街に特有の灰色ばかりの景
色を背景に、青い月、紅い血溜まり、そしてそれを見下ろす白い女。退廃的とすら言い難
い、滅び去ったモノにだけ見られる、見た者に一種の感動を与えずにはいられない何かが、
この風景にはあった。

 女はどこか超然と。そして呆然と血溜まりを眺めている。その右手は血溜まりに沈む首
を握っていただけではとうてい纏わぬ量の血で濡れていた。とすればこの女がこの風景を
作り出したのであろうか。だが、この凄惨な計画に基づいたような風景を造り出したにし
ては、女の表情はあまりにも別の事を語っていた。
 こんなはずではなかった。そう語っている。罪の意識や、悔恨などとは無縁に、賽子を
投げたら七の目が出たとでも言うように。或いは、童女が月には兎がいないと初めて聞か
されたような、そんな困惑を見せいていた。それほどに、童女のまま成人したかというよ
うに、女はその容姿に似合わず幼い表情をしていた。

 その目は、先ほど自らが投げ入れた生首に注がれている。青年である。白子なのか、白
髪で、その眼も赤いし、肌も白い。紅い花の真ん中で、月が綺麗というように遠くを見つ
めている。互いの目線は交わらない。やはり、知らない顔だ。だが、此処にある首は、別
の者であったはずであるのに。殺す、その瞬間まで別の人間だと思っていたのである。何
時、何処で入れ替わったのか。
 悼む様子などなく、やはり、どこか無邪気に女はしゃがんで首に触れようとした。いさ
さか遠く、手が届かない。仕方が亡く、しかしその白い衣装が染まるのも躊躇いもせずに
女は一歩、血溜まりに歩み出で、再度首に手を伸ばす。今度は触れた。やはり、知らない。
あの男は、では何処へ行ったのか。思案するように首の頬に手を滑らせ、白い髪を撫でて
いく。死んだ子犬を起こそうとする童女のように、その光景は目を背けたくなるような不
気味さがあった。

 今まで空を見つめていた首は、少しだけ煩わしそうに面を歪めると。

「何すんだ―――死んじまったじゃねえかよ」

483 名前: 砂月姫 2/反転衝動�� ◆aro9VWlUZY 投稿日: 2006/01/08(日) 21:09:53

 そう言って、かはは、と嗤った。女の目が見開かれる。
 同時、血溜まりであったモノが、擬態を解いた喰虫花のようにその花弁を閉じ始めた。
血溜まりの上にしゃがんでいた女を包み込むように、喰らう為に。女は身動きが出来ない。
血溜まりから飛び出した花弁と同じく血で出来た茨でその掌が、腕が、躰が絡み捉えられ
ている。花弁は迅速に閉じていく。

 花弁が閉じ、できあがった血色の卵の中で何がおきたかは判らない。ただ一つ、苦悶と
もつかぬ声が響いたのみである。女のモノとも、青年のモノとも着かなかった。
 月が更に傾いた後、ひび割れがあって、卵は割れた。
 中からは少年。年の頃は、十に届くか否か。ちょうど、青年の少年期のような“そのも
の”の少年は裸で、夜の寒さにぶるり、と震えた。そのまま這い出し、産声のようなせき
をした。

 それから三歩、歩いて。自らの生まれ出た痕をちら、と見た。
 そこには、先ほどの情景の逆しまに、女の首と、元の判らない肉片が散乱していた。骨
格はしかしうっすらと形を残し、露出した心臓も僅かに脈打っていた。それを少年は、掌
大の脈動を、虫を潰すように停めた。この瞬間に、女は死んだ。
 今度は少年は振り返らず、迷いのない足取りで歩み去る。

「人を殺した責任、ちゃんととらねーとな?」
 諭すように、そう言い残す。振り返りもせずにもとより何か言うべき事など無かったか
ら、それはほんの戯れだった。どのみち、死者は想わない。その言葉は月だけが聞いてい
て、そして忘れられるのだろう。少年は、その戯れ言を記憶しなかった。だが、後に彼はそれを己が心に銘記する事になる。

 さしあたって、必要なのは衣類だった。文字通り、産まれたままの姿をさらすにはこの夜は涼しすぎた。ならば、




壱 さっさと家へ帰ろう。
弐 家に帰ったら何言われるか判らない。適当に追い剥ごう。
参 手近に、殺した女から追い剥ぐ事にする。

484 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2006/01/08(日) 21:35:37
弐。

485 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2006/01/08(日) 21:40:45
真祖を殺しちまった?

486 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2006/01/08(日) 22:03:19
弐で

487 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2006/01/08(日) 22:06:33
参

488 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2006/01/08(日) 22:18:54
參

489 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2006/01/08(日) 22:51:46
弐

490 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2006/01/08(日) 23:51:41
弐だな

491 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2006/01/09(月) 00:03:17
壱

492 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2006/01/09(月) 00:12:37
ラストの弐

493 名前: アヴェンジャーエミヤ ◆ddg5.LZD9c 投稿日: 2006/01/09(月) 09:56:00
 冬木市の隅に建つ、とある建造物。
 それは人の賑わいから遠く隔離調べと、それを奏でるエセされた神聖。
 一度見上げれば一キロの重力に身を潰されているような錯覚を覚えてしまう。
 来る者は拒まず、来ない者は徹底的に拒絶する告白場がここだ。
 ……まあ、なんだ。
 心内をぶっちゃける場所なんだから、もうちょっと緩く造れなかったのかと思うオレは、やっぱり捻くれてるのだろう。
 午後六時。月が太陽を寄り代に下界を照らす頃、オレは教会を訪れた。
 目的はただ一つ。この手からすり抜けかけた花を掴み直す為である。

「――――うっし、覚悟決めっか」

 五分ほど迷ってから英断を下す。
 この教会は衛宮士郎の鬼門だ。
 目の当たりにしたのはこれで五回目だが、その全てにまともな思い出がない。
 ちなみに一番最近は半年前の結婚式で、あの時はリンチにあった。
 経緯も原因も関係なく、結果が悪くなる。既に悪い結果が確立してるとしか思えない。
 だから近づかないようにしていたのに、と思うと昨日の自分はどうかしていたとしか考えられない。
 だが公言してしまったのは仕方がない。男なら口だけでも一方的でも約束は守るべきだ。
 せめてあのクソ神父がいませんようにと願いながら扉に手をかける。

(性悪シスターの顔見たら速攻扉閉める。寒いけど庭で描こう)

 ストーカーっぽい気もするが、誰かが見てるワケでもないので問題はないだろう。
 結論づけて、重く威圧的ですらある扉を開ける。
 オレの記憶が正しければ、この先には邪念の全部を呑み尽くしちまうような礼拝堂が広がって――――

「―――――、え?」

 礼拝堂に、真なる銀白が咲いていた。
 色を塗る事なく、筆で染める事なく、生まれたままを時間を止め続けた白紙の絵。
 味気ない筈のそれはしかし、何よりも眩しくそこにある。
 どこまでも静かに、そこにあるのだ。

「――――――――」

 紫陽花はオルガンを奏でていた。
 調べは静かに淡々と。鼓膜からではなく、心臓を直接侵してくる。
 傲慢、嫉妬、暴食、色欲、怠惰、貪欲、憤怒。
 かつて神の子と奉られた人間が定めた七つの大罪。
 その全てを否定し尽くしてなお、そのいずれかに染まってしまった誰かを赦してしまう何か。
 頭の中を好き勝手かき回される。描こうともしてないのにあるイメージが浮かぶ。
 それはどこまでも厳しく、果てしなく優しい、この箱庭を組み立てた曖昧な観測者。
 つまるところ。この調べは、オレの知らない神さまを思わせたのだ。

「―――――――」
「………、なあ、――――」

 とりあえず来た事ぐらい伝えようと思って、躊躇った。
 女はこちらに気づいてない。すました顔で演奏だけに意識を傾けている。
 いや、その表現はきっと間違いだ。
 この演奏は女にとって呼吸と同意なのだろう。
 技術に大したものはなく、曲自体はどこにでもありふれた賛美歌だ。
 なのに一人の人間にここまで受け止められるというのは、自身をつぎ込んでいるというコト。
 調べを奏でる指に自らを注いでオルガンを磨き、一時の命を見出す。
 考える事はなく、感じる事もない。
 ただ想う。数分、数時間だけの輝きを名残惜しく未練なく、旅立つ子供を、見守ってきた母親のように送り出す。
 始めると同時に命が生まれ、終わればもう手の届かない所へ飛んでしまう。
 そこに語るべくはない。感慨深く、一瞬一瞬を噛み締めるだけだ。
 だからアイツは無表情に調べを弾く。呼吸のように、当たり前のように行わなければ、その重みに耐えられない。
 どこが違う。
 自分の中で生まれたイメージを現実に送り出すオレと、何が違うというのか。
 だから躊躇ったのは驚愕から。まさかアイツが、オレと近い芸術を持っていたなんて。

 ハ――――、なんてタチの悪い、イカれた冗談だ。
 一節を終えるごとに心臓が侵されていくのは、正直いい気分ではない。
 むしろ最悪だ。頭には静電気が常時帯電し、退屈なリズムは眠気を誘って仕方ない。
 この調べは確かに人を侵し、呑み込む力がある。
 だがそれを素晴らしいと捉え感動するか、ふざけるなと罵倒を吐き苛立つかは別だ。
 ベタ誉めに近い表現をしといてなんだが、オレは後者である。とてもじゃないが、この音色は衛宮士郎に似合わない。
 オレに似合わないモノがオレの手法と被るなんて、カビの生えた御伽噺ぐらいおかしい。
 しかしコレは冗談じゃない、否定不可能な現実だ。だから余計に、腹が立つのだ。

494 名前: アヴェンジャーエミヤ ◆ddg5.LZD9c 投稿日: 2006/01/09(月) 09:57:40
 だからここで立ち続ける。
 このイラつく演奏が終わり、エセシスターがこちらに気づくまで、一番離れたここで待っておこうという事だ。
 ホントここは鬼門だよな、なんて愚痴がこぼれる。
 初めて出会ったのが違う場所なら素直に感動しただろうに、ここではそれも叶わないのだ。
 衛宮士郎にとって教会とはどこまでも腹立たしく、いつまでも恨めしくある対象だ。
 在り方と矛盾した威圧感が馬鹿馬鹿しい。
 オルガンの音が優しい礼拝堂が辛い。
 何もかも悟りきった口ぶりで諭すクソ神父が嫌い。
 ――――人の心に土足で入り込んできたこのシスターが憎い。

“それは楽しいのですか?”

 ……限界なのか、誰かさんに言われた幻聴が聞こえる。
 ムリもない。鍛錬とウサ晴らしの繰り返しで寝不足だし、昼は遠坂に殴られてなんか凄いトコロに逝きかけた。
 それだけで家でぶっ倒れるレベルなのに、トドメにこんな眠くなる演奏を聞いている。
 まどろんでいるのか。どうでもいい筈の幻聴をふり返る。
 そうして思い出していく。
 初めましてを言い合わなかった出会い。つまらない邂逅。
 まともな思い出のない教会で、ダントツワーストナンバーワンに君臨するあの出来事を夢に見る。
 俺がオレへと変貌した頃にかけられた、白く眩しい、的確すぎた一言を。



“士郎のバカーーーーーーーーー!!! もう出てっちゃえーーーーーーーーーーーーーー!!!!!”
“なんでさ……ってどわーーーーーーーーーーーーー!!!!”

 黒く変貌した少年は、そのやり取りを最後に家から追い出された。
 状況を明確に表せば投げ飛ばされた、というべきかもしれない。
 三年前のある冬の夜。暖冬の多い冬木には珍しく、骨身に染みる寒風吹きすさぶ日の話である。
 追い出された少年は切り替え早く、大体の事は許容できる人間だった。

“あー、しゃあねえ。適当なトコに転がり込むか”

 姉に等しい存在に追い出されての発言だ。
 それだけで彼はおかしいと断言出来るし、また断言しなければならなかった。
 社会は異端を弾き出す事で成り立つ。弾き出されたモノはそれらしい世界に行く事で保たれる。
 だからだろうか。
 彼が最も出会うべきではなかった異端中の異端、一輪の銀白に出会えたのは。

 あっさり決めた事を鑑みれば、実行はまるで上手くいかなかった。
 少年の友好関係は中学生にしては異常なまでに狭く深い。
 初めに訪れた間桐亭は友人不在。
 次に向かったコペンハーゲンは旅行で臨時休業。
 最後の砦である藤村組はその一人娘と喧嘩した手前、足が向かなかった。
 約束なしで泊めてもらえそうなツテ、知り合いはそれだけであり、その全てが全滅、狙いは頓挫した。
 それでも少年は天を仰いで。

“それもそうか。さて、どこ行くかね”

 追い出された元々の原因は、少年が元の少年とは似ても似つかないモノになったから。
 子供らしい赤毛が、日本人らしく明るい肌が、まずはドブに汚されたかのような黒に染められた。
 少年の姉は動揺し、問い詰め、答えた少年の口にした言葉の変貌ぶりに頭を焦がした。
 優しく男の子らしい言葉遣いは、テレビの中で暴れる悪役のモノに摩り替わっていたのだ。

 外見と中身。
 人を印象づけ、かたちどるその二つが、そのままごっそり取り変わったというワケである。
 その驚愕と動揺、まさしく自分の子を奪われたそれに近いだろう。
 彼は確かにそこにいるが、それは自分の知ってる少年ではない。
 人は記憶で人を知る。多少の誤差なら修正も可能だが、これが多少を逸脱してたのは言うまでもない。
 彼の姉は、自分の大切な少年が違う誰かになってしまったから追い出した。
 それを少年は悪だとは思わなかったから、許容できた。
 仕方のない事だ。車地獄からの巴投げで追い出されてもしょうがない。
 別に少年の心が広かったワケではない。
 少年は、ただ変貌してしまっただけ。

495 名前: アヴェンジャーエミヤ ◆ddg5.LZD9c 投稿日: 2006/01/09(月) 10:01:13
 行くあてもなく夜を歩く。
 気づけば郊外の坂を上がり、存在も忘れていた教会に辿り着いた。
 本当に忘れていたのだ。なにせ、少年はここを訪れた事は一度もなかった。
 それは少年が何かに迷っていたからなのかもしれないが、三年後の勘繰りは正に詮無きことである。
 泊めてもらおう、という思考は働かなかった。
 今晩の自分を考えれば無駄だと容易に察する事も、少年にとっての天敵がいる事も直感出来たから。
 ならばせめて凍死だけでも回避しようと、冬の一夜を過ごせそうな場所を探索する。
 だが中には入らない以上、そんな都合のいい所はそうそうない。これもすぐに頓挫してしまった。
 十分経とうが、二十分経とうが、仮に一日経っていたとしても、この夜は見つけられなかっただろう。
 本当、今晩の少年の行動は、全て裏目に出てしまうらしい。

 あー、そろそろ藤ねえに謝っちまおうかなー、と心にもない事を思案し出した頃。

“あん?”

 教会の境地内、隣の外人墓地に、一冊のスケッチブックを見つけた。
 少年に絵心はない。変貌した今でも、少年が興味を持てる対象は、只一つの理想だけである。
 しかし。

“ふーん……いいや。暇つぶしに”

 手近な墓石に腰をかけ―――、少し尖がってて辛かったが―――、スケッチブックを開く。
 幸運にも、HB鉛筆が金具に挟まれていた。お供え物か何かだろう。
 罰当たりな気もしたが、問題はない。墓石に座った時点で神は捨てた、と心に言い聞かした。
 鉛筆を手にとり、思い思いに絵らしいカタチを作り出す。
 繰り返すが、少年に絵心は皆無だ。学校の授業でたまに描くだけ。最低限のモノもない。
 スケッチブックに記される絵は絵ではなく、カタチに過ぎない。
 三年前の話だ。今現世にある技術なぞ一つたりとも身についていない。
 でも、没頭出来た。
 まるで初めて絵を描いた、否、鉛筆を握った赤ん坊みたいに没頭した。童心に返ったのではない。童心そのものだ。
 人でもなく、建物でもなく、ましてや風景でもない。
 そんな落書き以下の児戯にひたすら熱中する一人の少年が、そこにいた。
 そしてふと、この視界に広がる景色でも描こうかと思い立った頃。

“それは楽しいのですか?”

 自分とは百八十度違う、一輪の紫陽花に出会ったのだ。

 声は後ろからかけられたので、少年はつい飛びのいてしまう。
 元から不安定な椅子もどき。そのままバランスを崩した彼は受身もとれずに転落落下。
 鉛筆を確認すると、まあ当然の如く折れている。思いがけない娯楽はこれで終了。
 やはり頓挫した。だがこれは偶然でも常識でもない、人知によるモノだ。
 それには少々、いやかなり頭に来たので、声の主にふり返り、八つ当たり開始。

“おい、何してくれてんだよ。お陰で鉛筆、折れちまったぞ”
“それは申し訳ありません。少々、気になったもので”
“気になった?”
“はい。あまりにも、貴方が楽しそうに、嬉しそうにそれに没頭していたもので”

 言われて、ようやくそれに気づく。鈍い。自分に楽の感情は本当にあるのか。
 声の主は自分と同じ年頃の女の子で、奇妙な格好をしていた。
 カソック服が一番近い、だが遠い。スカート等は履いておらず、まるでTシャツだけを羽織ってるようだ。
 だが奇妙なのは自分とて同じである。文字通りの黒尽くめ。髪も肌もとにかく真っ黒なのだ。
 そんな自分が相手の格好を馬鹿にするのもお門違いなので、違う事を話す事にした。

496 名前: アヴェンジャーエミヤ ◆ddg5.LZD9c 投稿日: 2006/01/09(月) 10:02:02
“そんなにオレ、楽しそうだった?”
“それはもう。見ててちょっかいをかけたくなるぐらいに”
“それは良かった。ところでさ、アンタも宿無し?”
“いえ、私は教会の人間です。"も"と言う事は、貴方は宿無しなのですか?”
“うーん、まあ、そんなとこか。喧嘩しちまってさ、行く当てもなくうろちょろしてたワケ”
“なるほど。それで珍しい供え物に手を出し、落書き以下の娯楽を行っていたのですか”
“……はっきり言うねえ、アンタ”

 だが事実なので反論の余地はない。
 少年はちぇー、と唇を尖らせて、埃をぱんぱんと払いながら立ち上がる。

“んじゃ、オレはこれで。さっさと寝床探さねえと”
“? おかしな方ですね。教会に駆け込めば、一夜の宿ぐらいお貸ししますが”
“いらねえ。なんかヤな予感すんだよ。とんでもない敵がいる気がしてさ”

 はあ、と呆ける少女。
 スケッチブックを元あった場所に戻して、一礼。
 お借りしました、と一応の義理を通してから。

“そんじゃな。次会った時は、お互い自己紹介でもしようぜ”

 当たり前のように、再開を決めつけた。
 だが少女に驚きはない。少女は目を伏せ、音もなく手を絡め。

“はい。また、いずれ”

 こちらも当たり前のように、また会う日を夢に見た。
 少年はそのまま家に帰って姉に謝り、少女は普段どおり仮初の我が家に戻った。

 三年前の出会いはこれだけである。
 つまらないのは言うまでもなく、意味の有無は問う意味がない。
 ……二回目はこの一週間後。
 決めつけられた再会は、少々奇妙な所で訪れたのだった。



 ――――度が過ぎた。少し、深入りしちまったらしい。

「どうしたのですか?」
「え?」

 目の前にエセシスターがいる。
 胸糞悪い演奏はとうに終わっていて、礼拝堂は扉を開ける時に想像した静寂を戻していた。
 まいった。どうやら白昼夢を見たらしい。本気でヤバイな、オレ。

「……いや、立ち眩み。
 気にすんなよ。ちょっと昔話聞いてただけだから」

 はあ、と呆ける女。
 今思うと、あの時のコレは演技か何かじゃなかったのかと本気で思いたい。
 じゃないと符号点が多すぎる。一致しすぎもある意味詐欺だ。

「……まあいいでしょう。
 ではこちらへ。私の部屋にお連れします」
「アンタの部屋ァ? 何、礼拝堂とかじゃダメなの?」
「私はもう少し、演奏を続けようと思いますので。
 どうせ貴方の事です。オルガンは肌に似合わないでしょう」

 ありゃ、バレてら。
 すげーなコイツ。背中どころか頬に眼がついてるのか。
 体中に眼がついててぎょぎょろしてるシスターかあ、すげえ、本気で殺したい。

「……なにか?」
「いや、なんでも? ほら、とっとと案内しろよ。もう三年ぶりだから、構造も覚えちゃいない」
「言われなくても。飼い犬に急かされるほど落ちぶれたつもりはありません」
「いちいちうるせえんだよこの性悪腐れシスター」

 普段通りの悪態を吐く。
 目的は果たせた。花はまだ手の中でしっかりしてる。
 だが後始末、カモフラージュが残っていたりするのだ。
 この調子じゃあどうせ碌なの描けないだろうし、いっそ寝ちまおうか。
 どうせコイツの事だ。模様替えなんか一切やってないだろうから、何の遠慮もいらない。
 ……まあ、なんだ。
 思い出は美化するというのに、三年前と今とで印象が変わらないってのは、ホントに詐欺だと思う。

497 名前: アヴェンジャーエミヤ ◆ddg5.LZD9c 投稿日: 2006/01/09(月) 10:02:49
「――――――んむ? ああ、もうこんな時間か」

 身を起こす。
 腕時計の長針はとうに十を過ぎており、高校生ではバイトも出来なくなる時間帯だ。
 結局オレは絵を描くどころかスケッチブックも開かず、そのままベッドに横になった。
 寝こそしなかったが、起き上がる気力もなかったのでそのままダラダラ過ごしたら、まあ四時間ほど過ぎてたというコトだ。

「夕飯……いいや、買い食いで。今出れば今日中には帰れる筈だ」

 ベッドから降りて階段に向かう。
 エセシスターの部屋は二階で、玄関である礼拝堂とは階段一本で繋がっている。
 三年ぶりでも一度勝手を知った場所だ。案内されればすぐに思い出した。
 階段をリズム良く下って、ささっと礼拝堂に到着。
 エセシスターもクソ神父もいない。出かけてるのか、別の部屋にいるのか。
 まあどうでもいい。長居は無用、こんなイラつくトコロはすぐにでも――――、

「なんだこりゃ?」

 壁に人一人、いや二人は楽に通れそうな穴ボコを見つけた。
 削岩機でも暴走したのか、ここまでデカイと崩れないか少々心配になる。
 どうやらオレが上でグダグダしてる内に大変な事が起きたらしい。いやー、良かった関わらなくて。

「気味悪ぃなオイ。さっさと帰――――、」

 と。今度はなにか聞こえる。
 金属音がぶつかり合う、映画でしか聞かないような甲高い音。
 それも単発ではなく連発で。きんきんきん、と指揮者のいない音楽が響いている。
 統一性がない。期せずしてリズムになってる、そんな感じ。
 音源は……扉、いや、それより奥、外からだ。
 一応神聖な教会のまん前で何事か。ところでさっきの穴ぼこも何事か。
 もうワケが分からない。何だこのホラー力。

「…………」

 さてここで問題です。
 この教会から家に帰るには外に出なくてはなりません。
 外に出る手段は二つ。
 一つはいかにも怪しげな金属オーケストラ鳴り響く正面扉から。
 もう一つはいかにも不気味で存在からしてありえない穴ぼこから。
 衛宮士郎はどっちから帰ればいいんでしょうか?


A1・扉から
A2・穴ぼこから

498 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2006/01/09(月) 10:21:54
A2
アンリ士郎ツンデレ

499 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2006/01/09(月) 11:14:31
A1
何となくカレンと会えそうだし

500 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2006/01/09(月) 11:46:53
A1を選択

501 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2006/01/09(月) 12:32:24
A2かな

502 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2006/01/09(月) 12:54:32
A2
穴があったら入る。これ常識。

503 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2006/01/09(月) 13:02:58
A1ッス

504 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2006/01/09(月) 13:18:56
A2
穴へ突貫

505 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2006/01/09(月) 14:41:58
A2

506 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2006/01/09(月) 14:49:16
金属オーケストラが誰か気になるので
A1で

507 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2006/01/09(月) 15:10:53
A2

508 名前: 砂月姫 2/反転衝動�� ◆aro9VWlUZY 投稿日: 2006/01/09(月) 18:36:23
「さーて、どーすっかな」

 さしあたって、必要なのは衣類だった。文字通り、産まれたままの姿をさらすにはこの
夜は涼しすぎた。それに、人並みに羞恥心もある。ならば、適当に調達する事に決めた。

 家へ帰るという選択肢も浮かび、それはそれで魅力的だったが。同時に、よく考えれば
自分は屋敷からあまり出た事はない、と思い至る。その必要がないといえば、ない。同年
代の遊び相手には困らなかったし、親友も、女の子も、何より可愛い妹がいる。だがそれ
とは別に、この一夜、外を満喫するのもいい考えだと想った。帰ってから少しもめるだろ
うが、それはそれだ。

「ま、いっか」
 誘蛾灯に引かれる虫のように、取り敢えず明るい方へ歩く。屋敷が高台にあって、坂の
下の街を見下ろす事はあっても、その地理に明るくなるわけではない。現に、そこに立つ
ビル達など見覚えはない。建物ひとつひとつなど、あそこからでは判別も敵わない。だが、
どうにでもなるだろう。

「つーか寒ぃ。畜生、あの女。非道ぇ事しやがる」
 そう言えばどうしてあの女は自分を殺そうとしたのだろう。俺が何かしただろうか。い
やいや、俺はひとに恨まれるような事、やってないとは言わないけど。でもあんな女知ら
ねぇし。まさか人違い? でも俺って結構特徴的な外見よ? あ、もしかしてその所為で。
あの女が追ってたヤツも髪白いとか? や、それよりも寒い寒い。
 差し当たっては、服だ。どうすれば手にはいるだろうか。買わなければならないとする
と、非道く厄介だ。こちらは無一文どころか、無一物なのだ。物々交換すら利かないではないか。だが他にどうするべきか。そこら辺から布を調達するにも、そんなものは見あたらない。まさか服が落ちているわけもないし。

「いや、あった」
 酔っぱらって鼾をかいて道ばたに倒れ込んでいる酔漢から上着をひったくる。幸い今日
はそれで風邪を引く事もないだろう。雲行きが怪しいので手近なバス停の雨よけのあるベ
ンチの側に転がした。それくらいの事はしてやってもいい。一応だが恩がある。太ってい
る方では無し。やっぱり、少し曳き擦ったけど。
「うわっ、酒臭ぇ」
 少しだけげんなりする。まだ早いと言われても、呑むのは好きだ。ただし、そうであっ
ても酔った他人の息に寛容になれるはずもないが。むしろこの男、文字通り浴びるように
呑んだのか、この上着も少し酒臭い。着る前に少し風に晒す。
 ついでに財布も返そうと思い至るが、上着のポケットは空であった。ハンカチと鍵束を
彼のズボンにねじ込む。痩せ形だったのが助かった。容易く入る。やはりそこにも財布は
なく、首をかしげる。持たない主義なのかも知れないが、外では頻繁に使うと聞いていた
のだけど。

 無様なりにも―――裸の上にスーツの上着だけ、しかも少年の体格には大きすぎた―――
服を着た事で余裕が生まれたのか、しばらくその事を考えてみる事にした。帰らないにし
ても、考えてみればどこか行きたい場所があるわけでもなかったし。或いは、普段はしな
いその滑稽な服装に、我知らず浮き立っていたのかも知れない。愛しの妹は新しい服をも
らうと嬉しそうに誰彼構わず見せに行ったモノだ。勿論、彼女なりの人見知りも差し引い
て、だけれども。
 やっぱり、帰ろうかな。こんな格好、妹に見られたら生きていけない。

509 名前: 砂月姫 2/反転衝動�� ◆aro9VWlUZY 投稿日: 2006/01/09(月) 18:37:18

 月は蒼く、ビルの影に傾き隠れる。この街に星の光は届かず、その道に街の光は届かな
い。少年は、歩を進めたその道に、光が届いていない事を気に留めない。その道に、その
闇に何が潜んでいるかも知る由もない。
 この街が、この街の夜が、先刻見かけた酔漢以外見かけないほどに寂れているのは、何
故か。この街に何がいるのか。この街で何が起こっているのか。
 その道の先に何が待ちかまえているのか、知らない。



 暗闇にはいると、そこは別世界だった。
 表とは別の、不安定で、凶悪な何かが支配する世界。
 何とはなしに入った路地裏は、
「―――は。そう来なくっちゃ。このままふらふらしていても面白くも何ともない」
 ほんの僅かな気配。そこに何がいるのかさえ曖昧だ。
 だがそれだけでも、躰(からだ)は戦闘態勢に入り、意(こころ)は凶気に奮える。
 そこにいる何かは間違いなく、この俺に喧嘩を売っている。そして俺は応える用意もある。
 丁度いい。あの女を殺した跡で、やっぱり気持ちが高ぶっている。
「―――さあ、こい」
 知らず渇いていた喉を、唾飲み込んで潤す。腕を組むようにして手をもう片方の手に乗
せて、その甲を腕で掻き切り血を流す―――その血(からだ)が刃(くろがね)。
 俺の最も信頼する躰(ぶき)。

 三咲(みさき)、常世(うみ)と此の世(りく)に続く地の。遠野、常世(よみ)と此
の世(うつつ)に続く血(ひらさか)の。四季、廻り来て避け得ぬモノ―――変え得ぬ、
耐え得ぬ変化(シ)の名前だ。
 誰とも知らない、貴様を殺す者の名だ。
 三咲町に居を置く遠野の長子―――遠野四季が相手仕る。




壱。暗闇の先で、二対の朱い眼を持つ何かが動いた。
弐。紫色の灼ける空を背に、殺したはずの女が笑っていた。

510 名前: sage 投稿日: 2006/01/09(月) 18:46:29
壱。ファイトだ四季

511 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2006/01/09(月) 19:48:35
壱だね

512 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2006/01/09(月) 20:40:10
弐

513 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2006/01/09(月) 20:42:37
壱で

514 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2006/01/09(月) 21:12:23
弐

515 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2006/01/09(月) 21:49:40
壱でどうでしょう

516 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2006/01/09(月) 21:59:20
ラスト壱

517 名前: アヴェンジャーエミヤ ◆ddg5.LZD9c 投稿日: 2006/01/10(火) 00:05:36
>>493-497


 ――――、穴ぼこから帰ろう。
 火のない所に煙がたたないように、演奏も奏でる人がいない限り奏でられるコトはない。
 そしてこんな所で鉄琴らしき楽器を鳴らすようなのがマトモな確立なんて、遠坂がニーソをやめるぐらい低い。いや低くあれ。
 ここは胡散臭いが、穴ぼこから出よう。
 上手く迂回出来れば外人墓地に抜ける事も出来た筈だ。
 君子危うき近寄らず。根本から関わらないのが厄介事を回避する最上の手法である。ところで君子って誰だ。

 しかし。こちらも十分その危うきの範囲内であるのは間違いない。
 人の気配こそないが油断は禁物だ。慎重に歩み寄る。
 落ち着け。慌てるような展開じゃない。下手したらクソ神父が嫌がらせに落とし穴でも仕掛けてるかもしれないのだ……!

「ったく、つくづくヤになるよなここは―――、あん?」

 と。何か硬いモノにけつまづいた。
 視線をやると、その硬いモノは白く、しかも一つではない。
 数えられるだけで十一。数えられないのはもはや粉末に近く、みな白い。
 手頃な物を手にとる。質感、重量から多分コンクリ。
 最初見た時は気づかなかったが、これは壁だ。目の前の穴ぼこが壁だった頃の残骸だろう。
 削岩機が暴走したというニラミは間違いではなかったらしい。しかも。

「これ……魔術の跡かな」

 眼球に魔力を回し、かすかな残り香を感じ見る。
 本来衛宮士郎に魔力察知のスキルはないが、これは特別だ。
 異常な濃度。強力な魔術を行使した結果だろう。半人前のオレにも嗅ぎつかれてしまうぐらい極上の、だ。
 まいった。やはりこちらも、危うきの部類らしい。
 頭をガリガリ掻き毟り、愚痴をこぼしそうになった口を戒める。
 魔術師がいるとしたらシャレにならない。ちっとばかし、マジメに気を引き締める必要がある。
 
「―――――」

 無言で穴ぼこから外に出る。
 ちなみに気配遮断も魔力の隠蔽も一切なし。なるだけ自然体で歩を進める。
 感知されないのがもちろん理想だが、コンクリの壁に人二人は通れる穴を作れる化物だ。それは望み薄だろう。
 だからこうして普通に行動する。
 例え見つかっても、敵意も干渉意思もない人間をどうこうするコトはないだろうという魂胆だ。
 魔術、ひいて神秘とは隠蔽されるべきモノ。
 詳しい理屈は知った事ではないが、そんなモノらしい。素手で火が起こせれば手品師は商売上がったりである。
 必要以上に使用するのは目撃者を生み出す種だし、そうでなくてもスマートじゃない。
 元より害のない存在。なら無視して自身の目的に意識を回すのが当たり前だ。
 そう、オレは懺悔を求める哀れな子羊。
 ちょっとカラクリ知っちゃったけど、どうこうする気はございません。

 ……夜は深く。三年前のように冷風が鋭く突き抜ける。
 きんきんきんきん。
 演奏はいまだ止まず、指揮者もいないまま暴走を続けている。
 もしかしたら物陰から盗み見るぐらいしたかもしれないが、今は事情が変わった。
 さっさと帰ろう。外人墓地を経由して坂を降りれば、また日常に戻れる。
 エセシスターは不安とは裏腹にちゃんといるし、遠坂にだって明日になればまた団欒の中で会える。
 もちろん藤ねえや間桐とも。みんなミンナ、何一つ変わりはない。
 だからこのまま踵を返せ。
 目を閉じろ耳を塞げ。平常に、当たり前のようにしていれば。

「う――――、ああああああああああああああああああ!!!!」
「フハハハハハハハハハ!」

 悲痛な断末魔も、耳障りな高笑いも、何もかも分かるワケがないのに――――!

「チッ――――、さて、どうするかね」

 足は既に外人墓地を向いている。だが頭は今の叫びに囚われている。
 音源は教会正面。先ほどまで金属オーケストラが鳴り響いていただろうそこだ。
 否、演奏は続いている。今のは断末魔ではなく、裂帛の気合を込めた雄叫びである。
 だが戦況はおそらくは一方的。じゃないともう一つの高笑いの説明がつかない。
 駆けつけても何が出来るというワケでもない。衛宮士郎はまだ半人前以下である。
 しかし、同時に正義の味方を目指す一人の魔術師なのに変わりない。
 オレは―――――、



A1・教会正面に向かう……!
A2・理想を噛み殺して、このまま帰る。

518 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2006/01/10(火) 00:12:20
A1

519 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2006/01/10(火) 00:16:08
A2

520 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2006/01/10(火) 00:25:42
A2だなw

521 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2006/01/10(火) 00:26:39
Å1

522 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2006/01/10(火) 00:28:10
A1

523 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2006/01/10(火) 00:29:46
A1で
2はなんか死にそう

524 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2006/01/10(火) 00:30:43
A1

525 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2006/01/10(火) 00:42:47
A1

526 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2006/01/10(火) 01:37:48
しかしこの性格のシロウだとついつい正義の味方目指してないんじゃないかと思っちまうw

527 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2006/01/10(火) 13:41:43
U-1

528 名前: 砂月姫 2/反転衝動�� ◆aro9VWlUZY 投稿日: 2006/01/11(水) 00:01:59
>>482-483前回の分、忘れてた……
>>508-509

 暗闇の先で、二対の赤い眼を持つナニカが動いた。

 顕れたのは、黒い犬。
 否、それを犬と言うべきか。仔牛程もあるそれを、眼を凶星の如く紅く燃やすそれを、
そしてなによりも、
「―――チ。手前ぇ、何してやがるっ!」
 口を血塗らし、銜えた首を喰い契り、臓腑を散らして足蹴にし―――猫が鼠を追うよう
に、人を喰い殺すようなそんな化け物を、唯の犬とは呼べまい。

 数人分の、骸。
 血、脳漿、毛髪、皮膚、骨、腑、何か、ナニか、なにか。
 それをまるで絨毯のように敷いて、それは。
 間違いなく、嗤った。

 夜の河のような濡れた黒色の躰には、所々うっすらと、縦横に白い線が入っている。
 それは、怪物。途という途から、理という理から外れた忌むべきモノ。
 そしてそれは、遠野たる彼の敵でもあった。


 闇から浮かび上がるようにそれは、その巨躯を四季の首筋目掛けて撃ち放つ。食欲とも
殺意ともつかない悪意を纏い、必殺の一撃を仕掛ける。
 その巨躯、それ自体が凶器。その牙に捕まらずとも、その爪を交い潜ろうとも、その砲
弾が如き運動量それだけでこちらを圧倒する。
 まさに鎧袖一触。
 それに触れれば、次の瞬間化け物犬の晩餐に並ぶ事間違いなし。
 だが。

「莫ァ迦。当んねぇよ」

 だがそれは、あくまで当たればの話。
 その一撃は、あっさりと回避される。

 否。
 血刀が翳され―――そこに、黒い砲弾が着弾。
 黒々しい血が撒き散らされる。
 その速度で当たられればこちらは無事では済まされない。

 真逆、その速度で刃に当たれば彼方は無事では済まない―――!

 右前足を失い失墜する黒い影。
 無様に足掻き、それでもその狂気を微塵も失わないそれに。

「□□□□□□□□□□□□□□□□□□□―――――――――――――――!」

 息継ぐ暇も与えずに、喉、心臓、額、腹の四点。
 生物という生物に共通する弱点に狙いを定めて血刀を突き堕とす。
 血刀は抜かず、無様に大地に貼り付ける。
 それで、お仕舞い。
 命を失った黒犬は速やかに、何とも知れない泥と化す。

「話にならない。六道全部、廻り直せ」

 息も切らさなかった。全部が全部この程度だとしたら、やはり家に帰って寝ていた方が
有意義だったかも知れない。
 取り敢えず、最初の試練はクリアした。
 あとは。

529 名前: 砂月姫 2/反転衝動�� ◆aro9VWlUZY 投稿日: 2006/01/11(水) 00:03:19

 蒼い鴉がくあう、と啼いた。


 
 上に、羽音からして少なくとも三羽。内、ひとつはどう見ても今の黒犬程の大きさをし
て、何の冗談か足まで生えている。絵で見たギリシア神話の怪物にそっくりだった。
 前。水牛と獅子。どうやら黒犬と一緒に“餌”を漁っていたらしい。ようやく腰を上げ
て、こちらを赤い眼で凝視してくる。
 後ろには、今のと同じような黒犬が、三匹。敵を討とうというのか、それとも恐怖に駆
られてか。絶え間ない咆吼で威嚇してくる。
 やはり、腐った血のような色に白線の落書き。もしかしなくても同族だ。

 逃げるなら……いや、もう手遅れか。左右は建物、前後に上は敵がいる。
 それに、何か足早そうなヤツばっか。逃げたらむしろ、危険。

 ならば。
 獰猛な期待に、恋のような胸の高鳴りを憶える。
 殺すしか、無いよな。
 鏡があったら見たくない。きっと、どうしようもない貌をしている。
 嗚呼、楽しい。






壱=正面突破だ。獣を焦がす。
弐=退路を確保しよう。土を汚す。
参=制空権を手放させよう。鳥を堕とす。

530 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2006/01/11(水) 00:06:51
参かな

531 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2006/01/11(水) 00:07:43
弐

532 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2006/01/11(水) 00:40:41
ならば壱で

533 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2006/01/11(水) 00:44:16
壹を。

534 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2006/01/11(水) 01:49:09
参

535 名前: Fate/star light 『神父の異常な感情』 投稿日: 2006/01/11(水) 03:14:27
>>470-473 『1・言峰を狙う。』


斬られた右腕にある令呪を行使することはできないが、ランサーの宝具の効果なら
この状態からでも、反撃に転じることができる。
無論、決めたあとの命の保障はどこにもない。
今ならまだ余裕があるが、ランサーがその負傷を押して最高の一撃を叩き込むほどの魔力を消費すれば
腕の止血ができるかどうかは、五分五分だろう。少なくとも、二度とつながることはない。

――――ただそれでも。
わたしは、遠坂凛は、この男を見逃すことは決してできない。
復讐の念が全くないと言えば嘘になる。

だが、それ以上に確かなのは、それだけではないと言うことだ。
このままいいようにしてやられるのは、我慢がならない。
饒舌に喋るコイツに、目にものを見せてやらなければ、死んでも死に切れない。

目を合わさずとも、ランサーもそう思っていることが分かる。
わたしとランサーの同調は、この極限状況において、これ以上ないほどに高まっている。


そう。そこに言葉は不要ず――――!


倒れたままのランサーが、その場から消えた。

わたしには分かる。
わたしの命を受けたランサーが立ち上がり
知覚しえないほどの速度で左手に掴んだレイピアを綺礼へ突き立てようとし――――

その寸前で、レイピアを持つ左手首が、何の前触れもなくぽとりと落ちたことが。

「――――え」

ランサーからバックしてきた感覚で、はじめて
自分の左手がセイバーによって斬り落とされたのだということに気づいた。

レイピアを取り落としたランサーは、そのままの勢いで手の無い腕で綺礼を殴り飛ばした。
綺礼を殴ったランサーはその場に倒れ、吹っ飛んだ綺礼をセイバーが受け止める。

「――――見えていたのか、セイバー」

「……イエス、マスター。
 手を切り落として防ぐのが精一杯でした。申し訳ありません」

綺礼の言葉に、独特の呼吸音を出しながらセイバーが応える。
わたしは必死に両腕の止血をほどこしながら、それでも反撃の手立てを探す。

しかし、今もランサーとつながっている感覚が、彼の卓越した戦闘論理が
どうしようもなく決定的に結論を導き出してしまう。

――――万事休す。もはや、1つの糸口もない。

536 名前: Fate/star light 『神父の異常な感情』 投稿日: 2006/01/11(水) 03:17:04

「構わん。
 ……さて、凛。
 少々思った以上の反撃にてこずったが……ほかに手立てはあるのかね?」

「……さあね……生かしておいたらマズいと思うんなら……早く殺せば?
 そうじゃないと……今みたいに……やられるかもしれないわよ……?」

わたしは荒くなった呼吸をなんとか整えて、必死に綺礼と話す。
だが、綺礼は何もかも見透かしたように、ふっと笑って言った。

「……それも答えだ。
 なら凛、何故私がこうしてお前に聖杯戦争の内幕を話していると思う?」

「――――わたしの隙をつくためでしょう?
 もっとも……嘘を吐かないアンタのことだから、お父様を殺したのも本当でしょうけど」

「私がバーサーカーとセイバー両方を従えていると分かれば、お前は一旦引くだろう。
 もっとも、セイバーと私だけでお前たちを迎え撃ったところで、負けるとは思わんがね」

綺礼は嘘を吐かない。
本当のことを喋らないようにボカしたり、誤魔化したりはしても、嘘を口にすることはない。
なら、真正面から向き合ったとしても、セイバーはそれだけの強敵ということになる。
事実、その黒い光刃――否、闇刃というべきだろうか――
それを衛宮くんが連れていたセイバーと同じように振るうとすれば
それだけで、バーサーカーを圧倒したランサーに、不覚をとらない手だれだということは分かる。

「私がお前にこれらの話をしたのは、他でもない―――お前にわたしを満足させてもらうためだ。
『それが如何に尊い理想であろうと、正しい理念であろうと、汚れた願望であろうと』
 そう言ったな?それは正しい。たとえそれがどんな想いであろうと
 人は自分のエゴの為に他者に関与し、ときには傷つける権利を生まれながらに有している。
 私は、私のエゴを聖杯の泥の中に見出した。それは泥の中と同一であり、わたしの起源と同一だ。
 分かるか、凛?」

綺礼はそう言うと、断たれた私の右手首を拾い上げ
その斬り口に――――噛み付いた。

「――――っ――くっ――」

精神だけではこらえきれない吐き気を、なんとか押しとどめる。
肌色が、白が、黄が、赤が、血が――――したたり、流れ、綺礼の黒い神父服に跡をつける。

「……そう、泥の中身は『この世全ての恐怖』だ。
 聖杯を汚染したサーヴァントは一体ではない。
 第三回聖杯戦争に現れた全てのサーヴァントが人々の恐怖から作り出され、そしてその全てが聖杯を汚染した。
 バーサーカーもまた、人の恐怖によって作り出された存在だ。ゆえに、泥に堕ちた存在である私は、彼を使役できる」

537 名前: Fate/star light 『神父の異常な感情』 投稿日: 2006/01/11(水) 03:18:37

綺礼はそう言って、わたしの手首の縁を噛み千切った。
肉片を吐き出し、言う。

「最後に一つ、試しておかねばならないことがあるな。
 お前の右腕を断つと、ランサーの右腕が落ちた。お前の左手を断つと、ランサーの左手が落ちた。
 さて、その逆はどうなのか――――」

……ヤメロ。ヤメロヤメロヤメロヤメロヤメロヤメロヤメロヤメロヤメロヤメロヤメロヤメロ……!


「バーサーカー、ランサーの首を斬り落とせ」


全身を黒く焦がし、いまだくすぶる炎に身を焼きながら
不死のサーヴァントがまたも立ち上がり、伏せるランサーの下に近寄っていく。
振り上げたチェーンソーが唸りをあげる。


……チュイイイイイイイィィィィィィィィィィィーーーーーーーーーーンン!!


それは、どこか滑稽な音。画一的で、無慈悲な、機械の出すありふれた音。
この数日で、何度も聞いた音。そのすぐ近くに、死を常に起こしてきた音。


                             ……ごろり。


そうして『この』わたしは、そのときちかくにきていた、そらをとぶくるまのおとにさいごまできづかなかった。



          ――――DEAD END.




(本家Fateキャラの)サーヴァント道場へ行きますか?


1・はい(道場後、本編へ)

2・いいえ(本編へ)

538 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2006/01/11(水) 03:27:12
1

539 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2006/01/11(水) 03:29:53
1で
神父えげつねえ

540 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2006/01/11(水) 03:41:13
1で
さすがマーボー。容赦ないぜ!

541 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2006/01/11(水) 05:47:08
1。
こいつぁぐれーとだぜ。

542 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2006/01/11(水) 09:19:36
1しかない

543 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2006/01/11(水) 09:48:11
2は何かどんでん返しがありそうな予感だったが1で決定か

544 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2006/01/11(水) 09:59:09
参

545 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2006/01/11(水) 10:33:42
1と2ってやっぱり展開違うのかなあ?

546 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2006/01/11(水) 10:56:02
>>537
あれだ、凛が好きとか嫌いってよりも、アメ公系ホラーキャラなんてどれもこんなもんだしな…
チェーンソー然り、爪男然り、ピエロ然り、無限増殖ゾンビ然り…
あいつらのホラーはホラーというより理不尽スプラッタだから

547 名前: るー ◆Kmt4qpE2Xs 投稿日: 2006/01/11(水) 14:03:52
あっちのホラーは、精神的怖さというより、物理的・肉体的な怖さですからねー
「こうこうこうで、こうだからこうなって、なので怖い」というより
「ギャーッ!」「うわっ、びっくりした」「怖っ」みたいな怖さですから……w

言峰は洋画系ホラーの澱みを一身に受けたせいで
『外道マーボー』ならぬ『切開大好きスプラッタ神父』になりました……多分B級ホラー大好き人間です。

ちなみに、今回は1・2で展開に変わりはありません。
シリアス調なところに、ギャグ調の道場が入ると調子狂う人いるかなーと思っての選択肢です。
二月一杯、かなり忙しくなりそうなので
教会前の攻防が一段落ついたら、しばらくお休みして三月ごろに復帰しようと思います。

548 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2006/01/11(水) 20:00:54
芝刈り機で泥を蹴散らす凛の姿が脳裏に浮かんだ

549 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2006/01/11(水) 21:41:58
参

550 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2006/01/11(水) 21:47:10
とどめの参(砂月姫)

551 名前: 砂月姫 2/反転衝動�� ◆aro9VWlUZY 投稿日: 2006/01/11(水) 23:09:29
 ―――先ずは、鳥を堕とす。

 的はビルとビルの隙間、切り取られた空間に浮かんでいる。
 隙を見せればこの背中に降ってくるつもりだろう。

 だけど解っているのか。
 翼が無くば、空は飛べず。
 翼を羽翻かせなければ、翼は無いと同じだという事を。

 地に堕ちた鳥は、二度と空には孵れない―――!

 地を蹴る。
 当たり前に踏み込むのではなく、全体重を掛け、全身を使い、強く強く天へ。
 長い弧を描いて、風を切り。
 ビルの三階。失速したところで再度、今度は壁を踏む。
 ―――届く。

 飛びながら。
 血刀を翼の如く振りかざし、二羽。
 先ずは五月蠅い雑魚を。
 蒼い鴉を泥色に孵す。


 月が陰る。
 3度目の跳躍に入る直前に、それはきた。
 大物、グリフォンの突進。
 先の大犬にも匹敵する巨躯と、急降下による速度、その上に俺の不安定な足場。
 狙い澄まされた攻撃。
 鋭い嘴が突き出され、背中に鈍い重さが掛かる。

 だけど俺は、この攻撃を三歩前から知っていた。

 跳躍中に、後ろから。
 定石を通り越して、陳腐すぎる。
 だからこんな死に方をするんだ、莫ァ迦。


 堕ちた骸の落下音を聞きながら、再度壁を踏み込む。
 一度、下の獣を一瞥し、次の戦術を練る。

 落ちながら。
 背中から生やした茨の翼を振り払う。
 グリフォンを貫き根元近くで折れたとはいえ、これからあとには必要ない。
 自分でつけた背中の傷は、止血が済んでも少しだけ痛んでいた。
 少し血を大盤振る舞いしすぎたかも知れない。


 五つの顎(あぎと)が下には並んでいる。
 壁を撫でるように蹴ってその一つに軌道を逢わせる。
 速度を殺さずに一閃。
 五つに分かれた水牛が、鈍色の断面を晒して沈むのを背に、油断無く着地する。
 この瞬間が、最も危険な瞬間だった。
 くそ、少し足が痺れた。
 血も失って意識が薄れる。


 一瞬の隙。

552 名前: 砂月姫 2/反転衝動�� ◆aro9VWlUZY 投稿日: 2006/01/11(水) 23:10:28
 一瞬。
 たったそれだけ。
 たかが獣と、この俺。
 その力量差を埋める物量では、それはない。
 四方から跳んでくる獣。
 その内右手から跳んできた獅子に、こちらから飛びかかる。

 水牛を切り倒したときに折れたままの右の血刀を繰り出しその口に。
 血刀に阻まれ牙は閉じられず、舌を掴まれて身動きが取れない。
 そんな無様を晒す百獣の王を不憫に思い、ひと思いに殺す。
 左の血刀でもって首と胴体を分かつ。
 そのまま宙に浮いた首を、後ろに迫る獣に叩き付ける。
 鼻面に当たったらしく、黒犬の情けない泣き声が聞こえた。

 獅子の牙で傷ついた右手から、新しく血刀が生える。
 しゃがみながら体を前に蹴り出し、その勢いで振り向く。
 3匹の内2匹の黒犬が牙を剥いていて。
 ―――何が遭ったか判らなかっただろう。
 その、尽くを切り刻む。
 前足、鼻面、頭蓋、下顎、睾丸、肺腑、後足、胸、脳漿、尾、眼球、腑、牙、右臀部、にくきゅー。
 面白いようにバラバラになる。
 そして、泥に帰る。

 獣なりに呆然としている。
 残った一匹を追撃するように襲撃して。
 それで終わった。



 ―――そのはずだった。



「――――――え」
 視界が暗転する。音が溶けていく。死臭に埋まる。血の味に染まる。
 寒さに蹂躙される。

 まるで、命が切れたように。
 世界が消える。
 死んでいく。

 胸を
 グリフォン / の / 急降下 / から / の / 一撃 / が
 つら  ぬい   て    。



 さいごに。

「……ふうん。そのまま死んでもあなたの勝手だけど、その前に右に避けなさい」

 なにか、きこえたきがした。




壱+無条件に、俺はその声に従っていた。
弐+直感的に罠だと思って、胸を貫く獣を盾にした。
参+せっかくだから俺は、左に逃げるぜ!
肆+動けない。

553 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2006/01/11(水) 23:17:53
当然参+だ

554 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2006/01/11(水) 23:38:51
ムズイなあ
弐で

555 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2006/01/11(水) 23:42:00
素直に壱+

556 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2006/01/11(水) 23:46:18
参+かな

557 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2006/01/12(木) 00:00:20
壱+で。

558 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2006/01/12(木) 00:25:11
男なら参+

559 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2006/01/12(木) 00:26:34
壱+で

560 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2006/01/12(木) 00:28:15
無難に壱+

561 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2006/01/12(木) 00:37:58
壱+決定

562 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2006/01/12(木) 00:39:26
漢ならば参+

563 名前: 砂月姫 2/反転衝動�� ◆aro9VWlUZY 投稿日: 2006/01/12(木) 23:00:52
>>551-552 参
 無条件に、俺はその声に従っていた。
 そして、今度こそ俺の意識は消えた。



 そして、目覚めた。

 起きればそこは、見憶えない部屋。
 遠野の家には見劣りするが、十分に広い部屋に落ち着いた感触の家具。
 どうやら此処は寝室らしく、俺は窓際のベットに転がっていた。
 裸で。
 いや、いいけど。
 むしろ、何か着せられていたらそっちの方がイヤかも知れない。
 どのみち、拾った上着は戦闘の所為で背中に言い穴があいて両袖も取れ欠けていたはず
だ。今更惜しくもない。俺のじゃないけど。

 何か判る事がないか、と部屋を見回しても手がかりになりそうもない。
 まるで映画の書き割りのように、この部屋には持ち主の在り方を覗かせるモノはない。
 これがたとえば俺の弟分なら、仕込み刃だの暗器だののコレクションがあったりする。
 愛しの妹なら、可愛いぬいぐるみとかで埋まっている。
 そういう、生きていく上で“余計な”モノが、一切見あたらない。

 ずっとベットの中にいるのも退屈なので、シーツを巻き付けて着物の代わりにする。
 スカートでは断固、男として示しがつかない。よって、見よう見まねのトーガ風にして
みる。つまりは左肩に引っかけて、後ろから伸びたのを腰から前に回して―――何か違う
な。前に垂らしたのを巻いたり出したりしてみる。しっくり来ない。
 試行錯誤を重ね、ようやく長さが足りないだけだと気付くのには随分時間が掛かった。


 さて、部屋から出ようとして俺はその試みを放棄せざるを得なくなった。
 最初に言っておくと、鍵が掛かっていたわけではないし、出る手段がないなんてシュールなオチが付いたりもしない。
 俺を此処まで連れてきて、おそらく俺の命を救ったであろう謎の女の登場だった。

「あら、起きたの。それじゃ、改めて―――」
「いやあんた誰?」

 知らない女だった。
 いや、俺は知らない女だが、向こうはそれが酷く心外なようだった。
「覚えて、ないの」

 なんだか一度昼ドラ(秋葉の教育に悪いと、親爺が屋敷からテレビを一切排除した原因
だ。過保護な)で見た“玩んだ挙げ句の果てに棄てた男を見つけ出したが、しらばっくれ
られた女”みたいな貌だな、と思った。
 果てしなくどうでもいい。

 問題は、女の導火線にガソリンで火を着けてしまったらしい事で。
「人を殺しておいて、それはないんじゃない?」
 何か理屈に合わない事を言い出した。
「いや、もうさっぱり」
「そう―――でも」


 わたしを殺した責任、ちゃんととってもらうんだから


「――――――え?」
 その言葉は。
「思い出した? 私をガツガツと食べてくれたじゃない。心臓を潰してくれたじゃない」
「そんな――――――ばかな」
「莫迦な? 何が? 私がこうしている事? それとも」
 女はイヤな感じに言葉を句切る。
 そして、囁くように。
 言った。

「あなたが、五体満足で生かされている事かしら」

564 名前: 砂月姫 2/反転衝動�� ◆aro9VWlUZY 投稿日: 2006/01/12(木) 23:01:40

 鏡を見ると、そこには一人の女の子が映っていた。
 白い帽子に白いセーター。紺のスカートが肌の白さを際だたせる。
 サングラスの向こうには紅い瞳。
 華奢で、どう形容しても可愛い見た目十歳ちょっと上頃の“彼女”は。

 紛れもなく、俺だった。


 しかし、スカートというのはどうにも落ち着かない。
 思わず裾をめくったりつまんだりしてしまう。

 取り敢えず、何を話すにしても裸じゃ格好が付かない。
 その旨を伝えると、女は衣装戸棚を総ざらえして洋服を出してきた。
 当然、全て女物。しかも、女は外人で俺よりも体格がいい。つまり服もでかい。
 そんなわけで、着れるものなんて無かったりする。

「何わがままいってるのよ、裸で外をうろつく気?」
「にしてもスカートなんかはいてられるか!」
「仕方ないじゃない。それしかないんだから」


 結局、背に腹は替えられず、スカート初体験と相成ったわけである。
 屈辱的だった。

 普段着は着物なので、スースーする事自体は問題ない。慣れている。
 しかし、である。
 スカートなのだ。
 紛れもなくオンナノコのモノである。
 お年頃のオトコノコとしては、かなりアレだ。

 しかも、やはり上着も女物だ。
 スカート程に直接的に恥ずかしくはない。シンプルな白のセーター。
 ぎりぎり男が着ても問題はないモノを選んだつもりだ。
 下がアレの時点でアレだとかはこの際無視する。
 ただし、これは袖が少しあまっている。
 屈辱的だった。

 どうでもいいがそうしてみると女とおそろいの格好だった。
 秋葉ともした事なかったのにっ………!

 さらには、髪が目立つからと帽子まで被せられた。
 ライ麦畑で掴まえるような可愛らしいデザインだった。

 誰か、殺してくれ。


 これ以上自分の醜態(実際、見られたモノである事こそ醜悪だ)を見ていたら発狂する。
 それは振り返って、いそいそと出した服をしまっている女に向かう。妙に丁寧な手つきだ。

 訊くべき事は―――




壱「じゃあ、その“敵”とやらについて、教えてくれ」
弐「それで、お前がなんだかもう一度言ってみてくれ」

565 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2006/01/12(木) 23:05:40
>>>551-552 参
…壱だよね?

今回も壱で。

566 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2006/01/12(木) 23:39:36
壱

567 名前: アヴェンジャーエミヤ ◆ddg5.LZD9c 投稿日: 2006/01/12(木) 23:41:25
>>517


「ハ、考えるまでもねえだろマヌケ――――!」

 駆ける。金属オーケストラは都合よく悪態をかき消してくれた。
 本当、マヌケすぎだ。
 いちいち考えるまでもない。正義の味方はこんな状況で尻尾を巻いて逃げない。
 オレが憧れたモノが、誰かの断末魔を胸に留めてなお日常に甘んじれるクソッタレなワケねえだろう――――!
 
 ああ、でも、それでも――――、

「――――ッ。んな感傷に浸ってる場合じゃねえだろアホ」

 そうだ。こうして向かっている今でもやるべき事はある。
 土壇場でいちいちパニクらない為の現状確認だ。
 場所は教会正面の広場。状況は不明。だがおそらくはこちら側の人間同士による殺し合い。
 戦況はほぼ間違いなく一方的、金属音は剣戟によるモノだと思われる。
 オレの所持品は鞄。中は教科書、ノート、スケッチブック等の本が中心で、マジックアイテムは元から持っていない。
 だがそれでもいい。強化でどれかの強度を上げれば、数合程度持ちこたえられる筈だ。
 ホントはぶちのめしたいところだが、まずムリ。絶対却下。
 繰り返して言うが、衛宮士郎は半人前である。
 真夜中とはいえ、教会のまん前で堂々と打ち合いをやるような輩に太刀打ち出来る道理なんてない。
 オレは防衛戦で時間を稼ぎ、その間に嬲られてる方を自主退却させた後に離脱する。
 吐き気がする程耳障りな高笑い。
 嬲ってる方は油断してる。
 付け入る隙はそれこそ無限。オレが狙うのはその一点のみである。

「本当、きたねえよな」

 ぽつりと自虐した。
 自虐はどこまでも正しく、行動はひどくかっこ悪いが致し方ない。
 正義の味方が行うべくは撃破ではなく生還。
 過程と結果を取り違えてはならない。違えて死んだら犬死どころか虫けら以下だ。
 気を引き締めろ。ぶっつけ本番での魔術行使を恐れるな。
 コレはオレの初仕事。
 自分を助けた義父に憧れ、他人を救おうと日々やっきになったクソガキの、記念すべき最初の人助けなんだから。

 足を止め、壁に背中を押し着ける。
 剣戟らしき演奏はここに来て最高潮。フィナーレに向けて爆走中。
 澄んだ金属音など欠片もなく、演奏者そのものを噛み殺さんとハイからハイへ。
 時たま肉片が千切れ飛び散る切断音がするのは笑えぬご愛嬌だ。
 演奏者同士でも止める事、やめる事叶わぬ大演奏。
 その願い叶う時とは、どちらかの死亡か、第三者の乱入による中断のみであろう。

 ……音も気配も極力削ぎ、死地の一歩手前に到着。
 ここからは異界。今まで積み上げた常識も道徳も、この先では犬の糞ほどの価値もない。
 ひどく静かだ、となんとなしに思う。
 心臓も脈動も思考も、遠い世界にご臨終したみたいにことごとく止まっていた。
 最高だ。これなら何があっても冷静に残酷に済ませられるというモノである。
 鞄から引きずり出した武器代わりの大学ノートを片手に、深く苦しい深呼吸を三秒だけ行う。

 一、………、二、………、三、………!

 背中を離して体を捻り、今までに一時のさよならを。
 まともじゃないヤツ等、イカレた野郎のやかましく怪しい金属オーケストラ。
 そこに生まれ出でた必然の地獄を見いやり――――、

568 名前: アヴェンジャーエミヤ ◆ddg5.LZD9c 投稿日: 2006/01/12(木) 23:44:02
「――――――」

 瞬間、あらゆる理性を焼いて焦がした。
 オレの予想は当たっていた。オーケストラの正体は確かに剣戟だった。
 いや、この光景を剣戟と呼ぶべきかどうかは、個人の価値観に頼るべくかもしれない。

「はあ、はあ、はあ、は――――!」

 演奏者の片割れは女だった。
 男物のスーツを見事に着こなすその姿は凛々しく、あくまで艶々しい印象を持たせる。
 どういうご趣味か、右肩には長い筒のような入れ物をしょっている。
 だが問題はない。赤に近いボブカットヘアと、オレぐらいの高身長はそれぐらい魅力的。
 極上だ。三ツ星レストラン五万円フルコース料理ぐらいなら軽く鼻で笑えそうな最高素材。
 ……もっとも、人肉製ミートソースを塗りたくられたあの姿では、風情もクソもないのだが。

「どうした? 心の臓を晒したくなければもっとしっかり弾かぬか」

 もう片割れは金色の男。
 真紅の瞳と純正の金髪は神話の怪物を連想させ、否応なしにこの地獄を顕現させていると知らされる。
 女とは対照的に表情は緩く、この演奏、この地獄をどこまでも楽しんでるようにも思えた。
 否。あの男は、間違いなく愉悦に浸っている。
 ぞくり、と。その様に、深海に一人取り残された恐怖を感じた。
 確証のない直感が走る。確信のある危険信号が点滅を繰り返す。
 殺される。いや存在そのものから抹消されてしまうのではないかという悪夢が明確に浮かぶ。
 自分を抱きそうな腕を必死で抑える。
 硬直しても止まらないのに腹が立ち、壁に五回ほど叩きつけたら、ようやく落ち着いてくれた。

 ……そしてこの地獄の理由、あのやかましい演奏の正体を理解する。
 否、今でも理解しようと務めている。
 きっと徒労に終わるだろう。
 UFOを完全肯定する学者百人が集まろうと、この世界を理解するのは不可能だ。

「そらそらそらそら! 先刻と同じ剣だぞ? まさか防げないワケではあるまい!」

 絶対的な笑みを崩さずに女を攻める男。
 それは如何様な魔術か。
 ヤツの後ろには無数の刀剣が浮き、男の合図一つで意思を持ち、飛来する。
 その全てがデタラメな形とトチ狂った装飾に飾られており、武器として使うには余分が多すぎる。
 まるでゲームの中からそのまま引きずり出してきたみたいな、形容される事を考えてない無数の剣軍。
 しかし分かる。
 アレ等は触れたモノ全てを殺し尽くす滅殺の具現だ。
 女に剣が迫る。どれか一本でも喰らえば敗北するのは免れようのない確定事項。
 それを。

「なめるな――――!」

 激怒と裂帛を込めた渾身のストレートが、完膚なきまでに否定した。
 男の剣が滅殺なら、女の拳は必勝。
 砕く事は出来ずとも、その拳打は目前の脅威を悉く弾き打ち伏せる――――!

 正面から音速の三本。頭上から脳天を抉り潰す五本。左右から鋏の如く斬りかかる四本。
 漏らす事なく叩き、かわし、受け流し、剣同士をぶつけて相殺を計り――――、
 結果、必殺を掲げて突撃した筈の剣はかする事すらなく、その役目を終えた。
 計十二。それぞれが必殺である剣の軍隊を、あの女は徒手空拳で凌いだ。
 バランスを崩し、右手を地面につけ獣のような格好になる女。
 もはや世界チャンピオンどころの騒ぎではない。
 デビュー一日目で世界中のボクサー一同が引退を懇願するだろう体技である。
 それに何の不満があるのか、当の本人は顔を強張らせ、堅く歯を噛んでいた。

「よいぞよいぞ! 次はその三倍だ! 暴れもがいて、蝿のようにのた打ち回れ!」

 続けざまに発射される死神の第二射。
 もはや原形すら残すまいと、剣軍は地獄を楽しむ持ち主とは裏腹に女を解体しにかかる。
 女もこの撃退は不可能と察知したか。
 腕をついた格好そのままに地面に転げ、襲い来る剣軍から離脱する。
 あの奇怪な術も物理法則には敵わないのか、剣は軌道を変えられずに二秒前まで女がいた地面に突き刺さった。
 剣のほぼ全てがその刀身の半分近くまで突き刺さっていく様には、さすがに目蓋を擦ってしまう。
 発射された全部の無力化を確認して、女が立ち上がる。
 次はこちらの番だ。口にせずともその瞳が敵意を忠実に物語っている。

569 名前: アヴェンジャーエミヤ ◆ddg5.LZD9c 投稿日: 2006/01/12(木) 23:45:37
「ほう……さすがに慣れてきたか。
 既に半時ほど続けているが――――、存外にしぶといな女」

 だが状況は変わらない。
 今の攻防で男に与えられたダメージはなく、その背後にはいまだ無数の剣、滅殺の具現が眠っている。
 女の歯噛みはつまるところそういう事。
 勝ちがない。
 今この地獄内において、女は永遠と防衛戦に徹するしかない。
 それは目の前の男が放つ剣軍を常に防がねばならないという問題であり。

「だが敬意を表してやる。隻腕で我の財を凌ぐなど、前回は英霊でも行えなかった所業ぞ」
「くっ――――!」

 左腕がないという、大きすぎる欠損の問題なのだ。

 男に奪われたのか、それとも前からないのか、どちらでも変わらない。
 重要なのは女が生き残れるかどうかであり、その可能性は現時点では絶望的なまでに低い。
 事実、女の脇腹からは止め処なく命が溢れている。
 限界だ。パンクした自転車を力だけで漕いでいたツケが襲っている。
 眉間に皺を寄せて誤魔化そうとしているが、オレすら騙せてないのだから話にならない。

 破裂しそうな肢体。破滅した片腕。一秒後の破壊を運命づけられた命。
 これを地獄と表さずして何を地獄と呼べばいいのか。
 選択肢があってもその悉くが終わりに進んでいるのなら、いっそ最初から殺してやればいい。
 なら何故しないのか? ハ、そんなの簡単すぎる。
 そんなのは。

「見くびるな英霊。貴方を殺すのに左腕は勿体なさすぎる」
「……今代の雑種というのはどこまでも思い上がりが深いようだな。
 その業、もはや現世で洗い流す事は叶わぬ。
 王命だ。女、貴様はここで果てるが良い」

 あのクソヤロウが、
 弱者を嬲り殺す愉悦に浸かりたいが為に、
 必要ない地獄を平和ボケしたくなるこの現世に裏返してるだけじゃねえか……!

570 名前: アヴェンジャーエミヤ ◆ddg5.LZD9c 投稿日: 2006/01/12(木) 23:47:08
「だから、なめるなと、言っている――――!」

 女が腰を落とす。
 瞬間、空気が凍り、煮だった
 女の敵意は殺気にすげ替えられ、脇腹からの出血が一際強く吹き出た。
 血走った目は後先なんて考えてない。いや、今だってもう捨ててしまっている。
 自身の限界を感じ取ったか、役立たずの体そのもので特攻を仕掛ける気らしい。
 死は大前提。大切なのは敵を撃破できるかどうか。

「――――ほう」

 男の口端が歪に上がる。
 背後に浮かぶ剣軍が次々と鎌首をもたげる。
 女の意志を汲み取ってか、それともただ飽きただけか。
 どちらにしろ、最後の攻防に応える気は満満らしい。
 それで最後の一線を越えられたのだろう。
 女の右足に力が込められる。人間の殻を捨て去り、その身を一発の弾丸と化してしまった。

「マヌケ。そんなんでなんとかなるワキャねえだろが――――」

 千切った。焼き焦がすだけに留めておいた理性を自力で放棄した。
 無謀には程も無茶もある。そんなやり方じゃあ倒すどころか届く事だってない。
 仮に拳が当たったとしても、その頃には頭蓋が根本から吹き飛んでる。
 結末は変わらない。女は地獄に呑まれ、男は満足気に演奏を終えるだろう。
 そしてそれを易々見逃しては、覚悟してまでこんな所に来たオレがあまりにも情けない。
 情けないのはイヤなので行動する。
 チャンスは今この時のみ。女は男だけに全存在を集中させ、男は元より女を嬲る事しか考えちゃいない。
 オレは――――、


A1・女に走り寄る。
A2・鞄を強化して男のドタマをかち割る。
A3・ノートを強化して剣軍を防ぎにいく。

571 名前: アヴェンジャーエミヤ ◆ddg5.LZD9c 投稿日: 2006/01/12(木) 23:48:04
選択肢は壱をよろしく

572 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2006/01/12(木) 23:48:19
A3

573 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2006/01/12(木) 23:58:18
A2
それでもギル様なら……
ギル様ならきっとうっかりしてくれる……!

574 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2006/01/13(金) 00:07:47
A3で

575 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2006/01/13(金) 00:16:51
A2
慢心せずして何が王か!
ギル様ならやってくれるさ

576 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2006/01/13(金) 00:24:37
壱とA2

577 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2006/01/13(金) 00:32:18
上と同じく壱とA2

578 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2006/01/13(金) 00:33:03
A2で
響きでえらびますた

579 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2006/01/13(金) 00:37:57
A2
慢心王の行動に期待

580 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2006/01/13(金) 00:49:53
A2
西瓜!西瓜!

581 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2006/01/13(金) 00:53:25
砂月姫は壱で
アヴェンジャーエミヤはA2か

582 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2006/01/13(金) 01:12:07
いまだにシロウに気づいていないと思われるギル様。
もう十分油断してるってww

583 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2006/01/13(金) 08:19:59
弐とA2

584 名前: バイオリン猫 ◆aro9VWlUZY 投稿日: 2006/01/13(金) 23:42:36
今回は間に合いそうもないので、入れ処を迷っていたブツを落としておきます。
選択肢はありません。

>>565
その通りでorz

585 名前: 砂月姫 �供寝�昏の衝(つき) ◆aro9VWlUZY 投稿日: 2006/01/13(金) 23:44:02
 私は狂った同族を殺す為だけに生まれた。
 その定め通り、私は狂った同族を殺して。
 私は独りぼっちになった。
 だけど、ずっと気になっている事がある。

 本当は、私は――――――――――――?



 躰の状況を確認して、私はちょっとした驚きに見舞われた。
 胸から下腹部にかけて、たくさんの部品が欠損していた。
 他の部分と同じように血で出来た刃で切られ貫かれて躰の他の部分から離れているので
はなく、此の世から無くなっているという意味で。
 私を殺した相手は、ついでに私を食べていったのだ。
 その事から、相手の素性を推察出来るかも知れない。
 本来はそんな必要ないのだけれど、今回は場合が場合だ。

 先ず、どうやって彼は私を食べた? ゆっくりと咀嚼した?
 ―――否、触れた瞬間、ごっそりと奪われた。
 その記憶は確かで、鮮明だった。
 私は真祖で、だからそれは当たり前のことだけど。

 そうか、その事も考慮に入れる必要がある。
 真祖であるが故に敵対されない事はあっても、その逆は少ない。
 この世界に生きるモノにとって、真祖とはそういうモノ。
 例外だって、その大半は消極的なモノ。
 大きな例外に二つも当たると考えるよりは、もっと別の解釈が成り立つ。
 触れた感じ、見た目に反して随分と幼かった事も考慮に置かねばならないか。
 であるなら、私が誤って殺した殺された彼は、この世界について無知だという事だ。

 とにかく、彼は私をあっという間に“食べた”。
 これも驚愕に値する。
 欠片とはいえ私の端末、下手に躰に入れれば死徒になるか、最悪その場で消滅してしまう。
 何か、“消化”することに長けた能力を保有していたと考えられる。
 それに、ある程度はやはり、親和性があっての事だろう。
 何しろ、あれだけの量の血肉だ。

 そして―――そして、私を一度、“殺した”。
 実際には、私の体の生命力を一気に消滅させてその結果崩壊に導いた。
 それも、当たり前の行程を一切省略して一瞬に。
 流した血をそのまま使っていても、首から下は粉砕した。
 なにがしかの魔眼だ。バロールの魔眼とはいかなくても、それに匹敵する何か。

 彼の正体はおそらく、魔との混血。
 その能力から強力な血を受け継いでいるのだろうと判る。
 それなら、私の力を奪った彼と誤認した事もうなずける。
 私も、魔も、自然に属するモノであるのだから、その気配が似通っていてもおかしくない。


 ―――さて、彼の正体はそれなりの絞り込めた。
 当面、彼とは協力したいところだ。
 彼となら混沌を圧倒―――巧くすれば勝算だってある。
 その為にはある程度の信用を得たい。
 それには、こんなのはどうだろう。

586 名前: 砂月姫 �供寝�昏の衝(つき) ◆aro9VWlUZY 投稿日: 2006/01/13(金) 23:45:28

「ころ      」
 あれ、

「  して    」
 へんだな、

「    あげ  」
 こんなこと、

「      る 」
 ―――ずっと―――ずっと、考えてたのに。


 本当は。
 ずっと前から。
 疑っていたのではないか。
 狂った同族を殺してきた、私は。
 吸血衝動を我慢して我慢して、私は。
 私は、狂ってしまっているのではないか、と。


「あははははははははははははははははははははははははははははははははははははは!」
 狂ったように、笑う。
 笑ったのは初めてだった。


 ―――それでも、いい。
 そんなことは、アイツを殺してから考えよう。
 殺した責任を取れ?
 私は殺す事が存在意義なのに?
 じゃあ一体私はどうすればいいの?
 勝手な事を、言わないで。




 私は、狂った同族を殺す為だけに造られた。
 他の何も。
 □きる事でさえどうしたらいいか解らない。

587 名前: 砂月姫 �供寝�昏の衝(つき) ◆aro9VWlUZY 投稿日: 2006/01/15(日) 00:00:12
「じゃあ、その“敵”とやらについて、教えてくれ」



 ―――貴方が
 女は言った。
 ―――生かされている
 事実だった。

 俺は女を殺し、その前には女が俺を殺している。
 俺が寝ている間にいくらでも殺す機会はあった。
 それをしなかったのは単にいつでも殺せる、という確信を持っていたからに他ならない。

 少なくとも、女に言われたその瞬間に、俺は抵抗する意志を失った。
 殺すといわれて、俺は死にたくないと恐怖した。


 嗤うように。
「―――勿論、逆らうって言うなら止めない」
 女は言う。
 貌を、隠すように手で覆う。
 その隙間から。
「―――でも、その時は」
 朱い眼が。
 俺を。
 射抜いた。
「―――容赦なく」


「ころ して あげ る 」


 ―――死にたくないと思った。
 あの瞬間に、俺はこの女に負けたのだと思う。

 いや、そもそも格が違ったのだ。
 勝負とか、上下とかそんな話ではない。
 世界が違う。
 次元が違う。
 存在が違う。

 言い訳でもなく衒いも無しに、そう言いきれる。
 アレと敵対するのは、台風に立ち向かうようなモノだ。

588 名前: 砂月姫 2/反転衝動�� ◆aro9VWlUZY 投稿日: 2006/01/15(日) 00:03:23

 憂鬱を追い払う。
 今するべき事は、落ち込む事じゃない。
 今は。

「とっととその“敵”とやらをぶっ飛ばして、俺を自由にしやがれ」

 それだけを。
 この糞ッ垂れた運命だか何だかから逃れる事しか考えられない。


「ふうん。やる気になったんだ」
「ああ、なったなった」
「じゃあ、私が吸血鬼だって事話したよね?」

 半分聞き流してた。
 吸血鬼?
 この時代に?
 人の事を言えない、という事情がなければ笑い飛ばしていた。

「聴いてた聴いてた。そんでこの街には他に二匹吸血鬼がいて、あんたはその内片っぽを追っていて、もう片っぽに追われている。俺があんたと倒す“敵”はあんたを追っている方」

 確か、こんなモノだったと思う。
 間違っていなかったようで、女は頷くと次を続ける。
「そ。話が早くて助かるわ。それで、肝心のその敵の事だけど―――」

 女はそこでぴたりと口を閉ざす。
 自分で言ったとおり、そこが肝心だろうが。
 そのまま呆けたように空の一点を凝視する女をいい加減にしろと怒鳴りつけようとして。
 そして、気が付いた。


 なにか、ナニか、何か―――――――――酷く禍々しい、何かが。


 ニゲロ。
 本能が囁く。理性が告げる。感情が命じる。
 ニゲロニゲロニゲロ
 ニゲロニゲロニゲロ
 ニゲロニゲロニゲロ―――逃げろ。


 何かが此処へやって来る。
 そう、理解した。
 次の瞬間。



壱 黒い狂犬が大挙して顕れた。スティーブン・キングか。
弐 巨大な鰐が顎を開けて飛びかかってきた。ルイス・ティーグなんて知らねぇよな。
参 窓から蒼い鴉の群れが突っ込んできた。ヒッチコックかよ。

589 名前: バイオリン猫 ◆aro9VWlUZY 投稿日: 2006/01/15(日) 00:05:32
>>563-564

あと、>>587の題名間違えたorz

590 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2006/01/15(日) 00:24:58
参かな

591 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2006/01/15(日) 00:43:19
弐で。

592 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2006/01/15(日) 00:56:06
参

593 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2006/01/15(日) 02:13:54
参

594 名前: Fate/star light 『アーチャー道場』 投稿日: 2006/01/15(日) 02:26:37

……ぽんっ!

      『サーヴァント道場』


「よく来たな。
 ここは迷える雑種共に、王たる我がありがたい助言を授けるアーチャー道場だ」

「……」

「ちなみにここは先刻死亡した小娘の住んでいた洋館だ。
 このような粗末な建造物では雅に欠けるが、言峰の教会よりはマシだろう。楽にして構わんぞ」

「……何故お前がここにいる」

「……いたのか贋作者。まあ、我とてこのような舞台にたつのは本意ではない。
 雑種の死後にセイバーと道場で再会し、添い遂げるつもりだったのだが……」

「――――虎に阻まれたか」

「くっ……その通りだ。道場の固有結界が発動していて、我と言えども近づけなかった。
 ところでフェイカーよ、そのニヤついた笑みを力ずくで消して欲しいのか?」

「相手をしてやってもいいが……ひとまずは仕事をすませるとしよう。
 『アーチャー道場』ということもあり二人でいるが
 本来ならば、これは凛のサーヴァントである私の仕事だ」

「……ふん。まあいい。我の小間使いぐらいには利用してやろう。
 小娘の死因説明を始めていいぞ、贋作者」

「…………今回の死因は、あのエセ神父との決着に固執しすぎたことだな。
 とは言え、選択肢にこの戦闘から退却できるようなものはなかった。
 教会に向かった時点で、敗北はすでに決定されていたと言うことは否定できん」

「贋作が真作に敵わぬように、多くの場合、弟子は師に勝てん。
 子が、親や師に象徴される自分の命運を乗り越えることがテーマのシナリオとは言え、決着をつけるのが早すぎたのだろう」

「そもそも凛、彼女は、衛宮士郎や間桐兄妹、あちらのセイバーと違い
 迷い無く自分の命運を受け止め、ある面では既にそれを超えている。
 捨て切れなかった感情、微かな感傷がアダとなったわけだが、それは必ずしも未練ではない。
 普段の彼女なら、その死の真相を聞こうとも気丈にふるまっただろう。
 信じていたはずの相手から、極限状況において劇的に明かされたことで、初めて動揺が生じた。
 それは一瞬だったが――――ランサーであるダルタニャンとの宝具による同調も相まり、致命的なものとなったのだろう」

「それがあの男、言峰の狡猾なところでもあるのだがな。
 アレは本来、戦いを楽しむものではない。そうさせたのは今回の泥によるところが大きいだろう。
 今回は、連れているサーヴァントが我ではないからな。
 流れ込む泥を逃がす受け皿となりうるサーヴァントが
 マスター以上に泥の闇に堕ちているならば、言峰自身が泥に染まるのも無理はない」

「言峰綺礼という相手、教会という場所が遠坂凛にとっての鬼門だったというわけだ。
 どうやら何か、もう一転がりしそうだが……」

「あれは我の宝物庫にも無いものだな。効果として近いものはあるが……
 後世に人の手によって一から作られ、その上で霊長の後押しを受けたものだ。
 我のコレクションに加えてみるのも悪くない逸品だと言える」

「ほう……英雄王をしてそう言わせるか。では、これはどうかな……?」

「む。それは釣具屋で連日品切れのフ○セスーパーオートメーションではないか……!
 いいだろう、望むところだ。決着をつけてくれる、フェイカー。
 贋作になど興味はないが、貴様の鼻を明かすのに、これ以上に相応しい勝負はあるまい」

「……ではこれでこの道場はお開きだ。次の道場があるとすれば、おそらくマキリか本家の道場どちらかだろう」

「では、さらばだ雑種ども。この後も『Fate/star light』を楽しむがよい」

「……さて」

「……うむ」

「――――行くぞ英雄王、釣りの準備は十分か――――」



……がらがらがらがらっ ぽんっ


      『アーチャー道場』

                ――――End.

595 名前: Fate/star light 『ロック・ユー』 投稿日: 2006/01/15(日) 02:29:53


■


「最後に一つ、試しておかねばならないことがあるな。
 お前の右腕を断つと、ランサーの右腕が落ちた。お前の左手を断つと、ランサーの左手が落ちた。
 さて、その逆はどうなのか――――」

……ヤメロ。ヤメロヤメロヤメロヤメロヤメロヤメロヤメロヤメロヤメロヤメロヤメロヤメロ……!

「――――そうだ、その顔だ……!
 絶望しろ。哀願しろ、凛。そして――その恐怖を、私に見せろ……!」

綺礼がわたしのあごを持ち、顔を上げさせた。
わたしの目に、かすれる景色のその中に、ランサーが映る。
それだけで、全てが伝わった。

<すまない――我輩はまた『貴女』を護れなかった――>

折れなかった心が、緩まなかった涙腺が、その一言に悲鳴をあげる。

――――そのとき。

バーサーカーのすぐとなり、伏せるランサーのやや上の空間に、青い電光が走った。
わたしの横に居るセイバーが、異常に気づき、みじろぐ。だが間に合わない。

次の瞬間――――
何もない空間から一台の車が現れ、バーサーカーを跳ね飛ばし、空中に炎の線を描いた。


■


「ジャスト一分、過去へのタイムトラベルか――ギリギリ間に合ったね……行くよ!」

そう声をあげた慎二に続いて、俺、桜、セイバー、マーティがデロリアンから降りた。


電話の繋がらない遠坂を探して辺りを探し歩き
デロリアンで教会にたどり着いたときは、既にほんの少しだけ遅かった。
辺り一帯の魔力の乱れから、一刻を争うとデロリアンで教会の上空まできたところで
ランサーの首へ、バーサーカーのチェーンソーが振り下ろされたのだ。
と同時に、遠坂の魔力が完全に途絶えた。

遠坂の死に絶望しかけた車内において、しかしマーティだけがあきらめてはいなかった。
その場でデロリアンによるタイムトラベルを行い、一分前の過去へと飛ぶと同時に
デロリアンの位置を教会上空からバーサーカーへの眼前へとずらしたのだ。

結果、過去へとやってきたデロリアンは
ランサーにチェーンソーを振り下ろそうとするバーサーカーを跳ね飛ばし
ランサーの消滅と、遠坂の死という事実を改変した。

596 名前: Fate/star light 『ロック・ユー』 投稿日: 2006/01/15(日) 02:30:39

「遠坂――!」

右腕は肩から、左手は手首から切り落とされ、出血も尋常ではない。
おそらく本人の魔術による応急処置が施されているのだろうが
素人目に見ても、今すぐに病院に運び込まれて助かるかどうかの重傷だった。

「――――さく、ら――?」

あきらかに焦点の合っていなかった遠坂の目は、そう言うと同時に閉じられた。

「姉、さん――――!」

悲痛な叫びと共に、遠坂の下へと駆け寄ろうとする桜を慎二が制す。

自分の中に、抑え切れない激情が生まれた。
獣のように飛び掛りそうになる体を抑え、搾り出すように声を出す。

「言峰、綺礼――――今すぐ遠坂から離れろ。さもないと――」

「さもないと、どうするのかね衛宮士郎」

言峰はその手に持った遠坂の手首を、倒れる遠坂の顔へと投げ落とした。

「――――今すぐに、殺してやる――――!」

俺は言峰に向け、走り出した。
走っていってどうするかなど、考えてもいない。
今確かなものはただ一つ、あの男を――――殺す。

言峰へと迫る俺の前へ、黒い何かが立ちはだかった。

不気味な呼吸音。
見たことも無い、光沢のある黒い材質で出来た鎧の上に、黒いマントを羽織っている男が、そこに立っていた。
その手には――――黒い闇刃。

黒い刃は驚くほどの距離を瞬時につめ、俺に振り下ろされる。
その黒い輝きを、紅い輝きが受け止めた。

「――いいぞマスター、その目だ――その目が、いつかお前を鉄にする」

「セイバー!」

「行け!この――――」

セイバーはそう言って、黒い男を見る。

「このジェダイは、僕の相手だ」

すぐさま、空気を焼く音と共に激しい剣戟が始まった。
道場で訓練をしていたときとは、比較にならないその速さ。
振るわれる二つの刃が、二人の間の空間を黒と紅の残像で染め上げる。

597 名前: Fate/star light 『ロック・ユー』 投稿日: 2006/01/15(日) 02:31:30

その剣戟から目を離し、言峰を――――

「一人で行くなこの馬鹿!」

睨もうとしたところで、追いついた慎二に頭を叩かれた。

「あんなの挑発に決まってるだろ!
 気持ちは分かるけど、ただ突っ込んでどうする気だよ!死にたいの!?」

「いたっ、なにすんだよ慎二……ってそれ」

慎二はその手にリボルバー式の拳銃を持っている。
どうやらこれで頭を叩いたらしい。道理で痛いはずだ。

「ああ、これはライダーの宝具だよ。お前を止めるにはボクが来る必要があったからね。
 ライダーと桜に、ランサーをデロリアンに運び込むよう頼んだら、これを手渡された。
 ほとんどただの銃と変わらないみたいだけど、だからこそボクにも使える。それより――――」

慎二と俺の目が、言峰に、そして言峰の足元に倒れる遠坂へと向いた。

「あの糞神父を殺すってのには、ボクも賛成だ」



俺はふいに、慎二に因縁をつけてきていた上級生を相手どって
二人一緒に喧嘩するはめになったときのことを思い出した。


あのときはたしか、ボコボコになりながらも上級生五人相手に奇跡的に勝ちをおさめて
二人で一緒にヘラヘラ笑いながらヨロヨロ帰った。
慎二と別れて自分の家に帰ったら藤ねえがいて
「男の子だったら喧嘩の一つもするわよね、で、勝ったの?」
なんて言いながら、珍しくカップラーメンを作ってくれた。
しょうゆ味が口の中の切り傷にしみて涙が出そうになったけど
美味しさとか誇らしさとかの色々な感情がない交ぜになったものが、俺を泣かせなかった。



一瞬で湧き出た想い出が、俺の心の中から憎しみと殺意を吹き飛ばす。
胸に輝くのは、純粋な、正しい怒り。
隣にいるのは、俺の最高の親友だ。

「ああ――――そうだ。一緒に、アイツをブッ殺そうぜ、慎二」

待ってろ遠坂。絶対に――――助けるから。

懐に忍ばせていた二本の木製短刀を出し、俺と慎二は言峰へと立ち向かった。



1・慎二の援護射撃を受けつつ、遠坂を助け出す。

2・木製短刀を強化して、言峰と斬り合い、慎二に遠坂の救出を任せる。

3・二人で言峰と戦い、スキをみて遠坂の保護をライダーと桜に頼む。

598 名前: るー ◆Kmt4qpE2Xs 投稿日: 2006/01/15(日) 02:35:26
題名はあまりいいのが思いつかなかったので、大好きな映画から。
HP掲載時には適当なものになってると思います。
っとと忘れてた>>535-537 『1・はい(道場後、本編へ)』

壱でお願いします
キングはいいですねー
映画はあれですが。ITのピエロは花◎。ラストの怪物は大×。

599 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2006/01/15(日) 02:37:03
1・で

600 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2006/01/15(日) 02:37:09
悩むなあ
共闘が見たいので3で

601 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2006/01/15(日) 02:40:59
HFラストの士郎でもないしな、言峰を一人では押さえきれまいて
遠坂を信じるって事で「3」で

602 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2006/01/15(日) 02:44:11
3.

603 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2006/01/15(日) 02:47:41
漏れも共闘が見たいので3

604 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2006/01/15(日) 03:09:23
聖杯戦争終了から20年後位をベースにした、士郎と凛の間にできた子供の話書いてOKでしょうか?

605 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2006/01/15(日) 03:27:52
>>604
あくまで個人的な意見としてだが、それは自作SS晒しスレか自分のサイトで公開する方が向いていないか?
その内容から察するにオリジナル要素が前面に押し出る風に見えるのだがいかがか。

606 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2006/01/15(日) 03:35:41
二人の子供が主人公なら、魔術の才が凛並みか士郎並か、投影ができるのかできないのか、固有結界があるのかないのか
セイバーがいるのかいないのか等考察不可な要素を選択投票で決めて進めていくなら意味があるかもしれない

607 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2006/01/15(日) 04:35:28
3!共闘万歳。

608 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2006/01/15(日) 09:57:40
参

609 名前: アヴェンジャーエミヤ ◆ddg5.LZD9c 投稿日: 2006/01/15(日) 11:05:50
>>567-570


 時間がない。
 庇おうにも女にはスウィッチが入ってしまったし、鉄如きであの滅殺を防げるなどありえまい。
 なら元凶から潰すのみだ。

 手にしていたノートをしまい、少しでも鞄を重くしておく。
 鞄を強化し、男をぶん殴る。それしかない。
 擬似神経、魔術回路は作ってられない。
 完成した頃には女が何度殺されてるか分かったもんじゃない。
 魔力を通すだけで成功率一桁台の強化を成功させなければならない。
 その難度。昨夜行った綱渡りを片足でやれと命ぜられるのと何が違おうか。

「……だから、なんだってんだ」

 ああ、だからなんだ。迷う理由なんてどこにもない。
 元より無茶は承知の上。オレはもう別れを告げたじゃないか。
 右手の鞄を強く握り緊め、皮膚を少しずつ同化させていく。
 決めた以上は後戻りも巻き戻しも出来ないだから、燃え尽きるまで突っ走るだけだ。
 体中の意識を一本に纏め上げるイメージ。
 これを魔術回路として代用する。後は、普段の鍛錬通りに。

「同調、開始」

 眼球に強く確かに映る、鉄と等しい強度を持つ『強化の成功した鞄』。
 外観は変わらずとも、内観を覗けばオレの半身たる魔力が寸でのトコロまで溢れている。
 触ろうが叩こうが綻びはない。これにドツかれて平気な人間はまずいないだろう。
 オーケー、イメージはいつものように完璧だ。
 後は、これをどこまで信じきれるか。

「成功状況、想像」

 ――――想え、

「成功形質、作成」

 ――――信じろ、

「ッ! ……全工程、」

 ――――自分を、

「、完了―――!」

 打ち負かせ……!

 終了と、物陰から飛び出したのは、まったくの同時だった。
 どこかに歯車でも加えられたのかと勘繰ったぐらい一歩は軽く。
 右手には鉄の質量と硬度を持ちながらも重量は通常を保った鞄。
 強化は成功した。もう確変十連荘で決まったぐらいの、文句のもの字もつけられない程の大成功。
 いつもはダメでも土壇場でキメるなんて、どこの少年漫画の主人公だよってツッコミたくなっちまう。
 でもこれだけじゃ半々、50%なのは言うまでもない。
 まだ過程が済んだだけだ。
 これから、肝心な結果を導かなければならない。

「なっ!」

 ッ。気づかれた。
 女は第三者の乱入にあからさまな動揺を見せ、弾丸になった体を緩ました。
 当たり前だ。こちとら魔術行使を隠蔽する事も殺意を抑える事も出来やしない。
 バレるのは必然、もはや宿命とも呼べたが、もちろん関係ない。
 攻撃意思の隠蔽なんて高等技術はもう五年十年先に取り組む事項で、現時点じゃ鍛えてすらない。
 鍛えてない事をやるのは逆効果極まりないので、これは予想済みのコト。
 それに、正直に話せば、

「ギャ、ガア、ヒア、ア――――――!」

 あのクソムカツク演奏を聞いたその時から、そんなモノを隠す正気なんて、とうに亡くしていたのである。
 ケモノが如き雄叫びを推進力に、慢心だらけの背中に飛びつく。
 振りかぶられる武器。狙いはドタマ、後頭部。
 脊髄と脳髄。その二つを繋いでる以上、どうしようが脆くなくてはならない人体急所が一つ。
 どんなに離れていようが、人間である以上、ここに鉄の塊を叩き込まれては意識を切断する他ない。

「な――――、に?」

 突然の咆哮にか、女の異変にか、もしくは両方か。
 手遅れとも知らず男は振り返り、自身を襲おうとするケモノに驚愕を向けた。
 どちらでもいい。もう結果は覆らない。
 女の処刑に使われる筈だった内の一本を百八十度転換、オレの心臓に狙いを定める。
 意味がない。迎撃するにはもう手遅れだ。
 とうに、武器は振り下ろされている……!

610 名前: アヴェンジャーエミヤ ◆ddg5.LZD9c 投稿日: 2006/01/15(日) 11:06:37
「コノ、鬼畜野郎―――――!」
「ガッ――――!」

 ごす、という嫌な感触に右手が痺れる。
 振り向かれたせいで後頭部からはズレたが、その代わり脊髄は完璧に捉えた。
 通常なら脊髄損傷即死コースだが、もちろんそんな高望みはしちゃいない。
 男は倒れない。崩れたがる膝を奮い立たせ、転倒だけは免れたのか。

「――――、。、ッ、。キ、。。き、ぃ、。、様――――!」

 言語すら忘れてしまう衝撃の中、憤怒だけで顎を上げる。
 災害の象徴が向けられる。
 一度睨めば百回は人を壊せるだろうその紅い瞳が、オレを収めるわずか前に――――、

「静かに寝とけ、アホが――――!」

 トドメの鉄槌を喰らわしてやった。
 返す刀(鞄だが)で今度は喉笛に渾身の一撃をお見舞いする。
 一刹那で二度の奇襲。そのそれぞれが楽に死ねる、一撃必殺問答無用のクリティカルヒット。
 禍禍しい紅い瞳から失せていく男の自我。
 剣を飛ばす、という奇術使いもさすがに耐え切れなかったか。
 ごふ、と短く息を吐き出したのを最後に、捨てられた人形みたく、呆気なく背中から崩れ落ちた。

 ……それで熱が冷めたのか。
 右手は痺れに握力を失い、当たり前のように、鞄を土に落とした。

「ハ――――ハ、ハ、ハ、ハ、ヒァ、ア、ハ」

 そのまま膝をつく。
 人を傷つけた罪悪感も、成功した感慨も湧かない。
 脱力感だけが体も心も支配していて、気分が悪いったらありゃしない。
 このまま突っ伏したい欲求を死ぬ気で抑えて、息をどうにか整える。
 きれた呼吸は徐々に安定していくが、それでも犬みたいな呼吸音は止まらない。
 ちょっと疑問だな、と馳せてみたけど二秒で完結。すぐに答えは出てしまう。

「ハ、ハ――――ハハハ。
 ……悪役を背後から不意討ち。しかも急所に容赦なく二発、かあ。
 ホント、きたねえよな」

 つまるところ、コレは自嘲の笑いなのだ。
 結局、汚い手段で人を助けてしまった。
 それはいい。オレぐらいはそれぐらいしなけりゃ、誰かを助けられるワケない。
 今さっき確認した筈だ。
 正義の味方が行うべくは生還だと。
 望むは誰も傷つかず、オレも良かったと断言できるグッドでスペシャルなハッピーエンド。
 そんな都合のいいモンを目指す以上、過程に拘るのはちょいと余分すぎる。
 そこまでの贅沢は言えない。真正面から挑んで勝って、そのクセ誰も巻き込まないなんてずうずうしい。
 それはもう三年前に悟り受け入れた、絶対の法則だろう衛宮士郎?

 ああ、でも。それでも――――、

「もし、そこの君」
「へ?」

 と。
 一分の隙も見出せない、鎧みたいな声に思考を断たれた。
 うな垂れていた顔を上げて、声の主――――、十秒前は死を覚悟していた、あの女を見つけた。
 いつからそこにいたのか。
 当たり前のように、オレの前に佇んでいる。

「とりあえず、お礼を言いましょう。
 君が来なければ、もう私はこの世にいなかった」
「あ、いや、どうも」

 反射的にガキくさく返答。
 冗談じゃねえ、これが死にかけの女の言動かよ。
 動揺したのは確認したその時だけで、事が終われば簡単にお礼までしやがって。
 それとも、これはオレと自分の力関係を理解した上での行動か。
 よくある話だ。
 助けたと思っていた人が本当は黒幕で、正義の味方はそれにまんまと騙される、という三流特撮みたいなのが。
 テレビの中ならその後蘇るけど、コレはリアルな現実なので二度目はない。
 さて、ここは――――、


A1・女を信じて、自己紹介する。
A2・女を疑って、今の戦いの理由を聞く。

611 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2006/01/15(日) 11:38:43
参

612 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2006/01/15(日) 11:39:35
A2
原因は大事

613 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2006/01/15(日) 11:42:39
A2

614 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2006/01/15(日) 12:13:09
1
A2

615 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2006/01/15(日) 12:20:05
A2で。

616 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2006/01/15(日) 12:24:54
反逆のA1

617 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2006/01/15(日) 12:37:07
とどめのA2

618 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2006/01/15(日) 13:34:47
流石ギル様。俺たちの期待を裏切らない漢だw

619 名前: 604 投稿日: 2006/01/15(日) 14:01:59
>>605
>>606

どうもありがとうございます。
コンセプトとしましては、ほのぼのしつつドタバタとした物の予定でした。

子供は姉弟の双子で、どっちがどっちの資質を受け継いでるかを選択方式したりする考えでした。

それを踏まえたうえで、小さい頃の事を回想する話にするか、日常の生活を送るか
の選択をするという考えでした。

サーヴァントは全員存在する予定ですが・・・。

自分でHP作って公開したほうが良いのでしょうか?

620 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2006/01/15(日) 15:42:35
正直な話、士郎の魔術の資質は突然変異のようなものだと思うんで、子供には受け継がれないんじゃないか?
回路が全く無い一般人よりは、多少「魔術的に見て」良い子が生まれるかもしれんが、それだけだろう。

まあそこらへんは全く語られてないから自由と言えば自由だが、
士郎の子供が『固有結界・無限の剣製』とか使い出したら萎えること間違いないぞ

621 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2006/01/15(日) 15:54:16
果てしなく同意
士郎(英霊エミヤ)の投影魔術は唯一にして他には存在しない異端の中の異端とも言える
封印指定物の魔術で便宜上投影と言っているが実際は固有結界から零れ落ちた物だしな
たとえ子供でももしかしたら双子でも同じ固有結界では無いだろうし(同一の存在であるアーチャーとも微妙に違った(歯車とか)、固有結界が無限の剣製であるから使える魔術でもある
第一子供が同じ魔術使えるなら封印指定とかいってホルマリン漬けにする必要もないだろうしな
魔術特性くらいなら引き継がせて良いと思うけどね

622 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2006/01/15(日) 16:00:08
つーか固有結界は術者の心象風景を具現化させる魔術なんですけどー……

623 名前: Fate/star light 『マイノリティ・リポート』 投稿日: 2006/01/15(日) 16:58:51

>>594-597 『3・二人で言峰と戦い、スキをみて遠坂の保護をライダーと桜に頼む。』


言峰は突進する俺と慎二を見て、黒い十字架のような形をした剣を取り出し
両手の指の間に挟むようにして、複数本を構えた。

既にその神父服は血に染まり、明らかな負傷を示しているが
それでも俺と慎二、どちらかだけで戦えるような相手ではなさそうだ。
遠坂の保護はランサーを運び終わった桜とマーティに任せることにし、俺と慎二は神父と対峙する。

「ほう――――よもや衛宮の息子の隣に、マキリがいるとはな。因果なものだ」

「言峰、お前と話すことは何もない。遠坂から離れろ」

俺は言峰に取り合わず、一方的に告げた。

「……お前たちの父同士が殺し合い、一方が一方を殺したとしてもか?」

俺はその言葉に少なからず動揺した。
……だが、慎二から出た言葉には、欠片の震えもなかった。

「ウルサイよ、血まみれ糞神父。
 アンタがなんと言おうが、信じる根拠なんてどこにもない。
 たとえそれが本当だったとしても、ボクと衛宮はもうとっくの昔に友達だ。
 顔もロクに覚えてないような馬鹿な親父どもが勝手に争おうと、殺しあってようと、ボクらには何の関係もないね」

ああ――――

「ふっ、ふ、ふはははは……聖杯戦争を、馬鹿な親父どもの勝手な争い、か。
 いいだろう、来るがいい。衛宮士郎、マキリ――――」

まったく。

「間桐慎二だ。行くよ衛宮、ボクがこれで援護する」

まったく、お前は。

「ああ――――頼んだ。任せるよ、慎二――――」

――最高の親友だよ。

「――――同調、開始」

俺は手にもった二本の木刀を強化する。
視界の端で慎二が顔をしかめるのが見えたが
ここで張れない意地なんて、ここで賭けられない命なんて、なんの役にもたちはしない。

「――――同調、完了」

全身に感じる、炎に包まれたかのような焼ける痛みと引き換えに、見事一発で強化を成功させた。

言峰に向かって駆ける俺の後ろから、慎二が言峰に向けて銃を撃った。
言峰はそれを、手にもった黒い十字架で弾き飛ばすと同時に、十字架をそのままこちらへと目掛けて投げてきた。
その一つ一つを、渾身の力で叩き落し、言峰へと迫る。

俺と慎二は、セイバーからある程度フォースの訓練を受けている。
無論、戦闘中に戦術に具体的に組み込めるほどの効果は見込めないが
フォースとの同調による擬似的な無我の集中によって、狙いを正確にするぐらいはできる。
それゆえの正確な援護射撃。それゆえの投剣の迎撃。

624 名前: Fate/star light 『マイノリティ・リポート』 投稿日: 2006/01/15(日) 16:59:40

俺の突進が予想以上に早かったのだろう。
肉薄した俺がふるう強化された木刀を、言峰は手にもった黒い十字架で受け止める。

剣戟。

俺は型も何もなく、滅多矢鱈に木刀を振り回す。
後ろから響く銃声に合わせて、言峰が弾丸を払った隙を狙って、突きを放つ。
そのたびに言峰は、一歩ずつ、一歩ずつ、後ろへと下がっていく。

――――押している。流れはこちらにある。
「――――桜!ライダー!ランサーを運べたら遠坂を頼む!」


慎二がそう叫んだ。
俺はまた木刀を振るおうとし

「――が、ぐぉっ――」

その腹部を、言峰に蹴り上げられた。

5mぐらいは吹き飛んだか。
全ての臓器が口から出ようとし、圧迫された肺は空気を吐き出した。
視界が白く染まり、色も味も分からない液体を、ただひたすら地面にぶちまける。

「くっ――――衛宮ぁっ!」

慎二の声が聞こえる。

「先輩!」「シロウ!」

桜の声が、マーティの声が聞こえる。

白んだ視界が、少しだけ色を取り戻した。

「それ、より――早く、遠坂、を――――」

震える喉で、それだけ伝える。
桜は唇をかみしめて、遠坂の下へと走った。マーティもそれに続く。

視界が、輪郭を失いながらも、色を完全に取り戻すした。

言峰は俺を蹴り飛ばしたところから動かず、慎二に向けて十字架を投げ続けている。
慎二はなんと、その投剣を弾丸で打ち落とすという神業を見せていた。
が、それも全てを撃ち落せているわけではない。

全身から蒸気が上がりそうなほどの汗を流し、前のみを見つめる無我の集中。
だが、その手に握られているのはシングルアクションのリボルバーなのだ。
宝具ゆえ、弾丸を補給する必要はないが、撃鉄を起こすまでのタイムラグは致命的だ。
西部のガンマンさながらのファニングは、しかし言峰が黒い十字架を投げる早さに、はるかに及ばない。

見るまに投剣の幾つかが、弾丸をくぐり抜け、慎二をかすめ
ついにそのうちの一本がその腹部を深くえぐった。

弾丸の軌道が見えるようなスローモーションの世界で、慎二が地面に倒れた。


■

625 名前: Fate/star light 『マイノリティ・リポート』 投稿日: 2006/01/15(日) 17:01:06

――――強い。

この男は誰だ。このジェダイは誰だ。このシスは誰なのだ。
その装備は全てが黒く、手に持つライトセイバーまでもが黒い。

シスの歴史をはるか遡ったとしても、このようなジェダイはいない。
振るわれるライトセイバーは速く、巧みで、そして何より強い。

マスター・ヨーダの速さの剣、オビ・ワンの巧みさの剣
そして――――自分自身の、力の剣。
そのどれもであり、そのどれでもない。

誰だ。この男は、誰だ。

満身の力でもって、紅い光刃を一薙ぎに振り、黒い闇刃と距離をとる。

おおよその制空権の端ぎりぎりから、大上段に光刃を振り下ろす。
すると、相手も全く同じ構えから、大上段に闇刃を振り下ろした。
つばぜり合いになり、お互いの顔が近づく。
黒い男の、不気味な呼吸音が耳に届いた。

「――貴様は誰だ。名を名乗れ」

『コー……ホー……コー……ホー』と聞こえる呼吸音にまじり、男の返答があった。


「私の名前は……ダース・ベイダーだ。若きスカイウォーカーよ」


「ふ、ざける……なぁっ!!」

ライトセイバーを握ったまま、フォース・グリップで男の首を絞める。
ダース・ベイダーを名乗るその男は、やはり同じフォース・グリップでこちらの首を絞めた。

お互いのライトセイバーを持つ手がかすかに緩み、失われた均衡に二本ともが弾き飛び、光刃が失われる。

「それは……僕の、名前だ」

「……そうだ。私の名前であり、お前の名前だ。
 若きスカイウォーカーよ、無益なことはやめ、剣を収めろ。我々には、争う必要がない」

その言葉に取り合わず、両手を前に向け、全力でフォースと同調する。

「――――死ね」

指先から紫電が放たれた。
手加減はない。全身全霊全力のフォース・ライトニングだ。
普通の生物ならば、触れた部分が蒸発するほどの威力。
これを受けられるジェダイなど、一人として――――

ベイダーは手を前に突き出し、フォース・ライトニングを巻き起こした。
しかし、その雷光は黒く、こちらのそれより一層禍々しい。

電光はお互いの中間で炸裂する。
吹き荒れるフォースの嵐は、周囲の地盤を巻き上げ、触れる端から破壊する。

「――――馬鹿な」

お互いのフォースは拮抗していた。
それどころか、黒と紫の衝突点は、少しずつこちらへとずれてきていた。

「く……がああぁぁぁぁっっ!」

――――吹き飛ぶ――――!

電光の衝突は、黒が紫を塗りつぶして終幕した。
寸前でベイダーがフォースを止めていなければ、この身はもう霊体を維持できなくなっていただろう。
茶の胴着が、燃焼を通り越し、液化しているような音を立てて煙をあげる。

                          、 、 、 、 、
「受け止めよ、スカイウォーカー。そして、この暗黒面に身を任せるのだ」

626 名前: Fate/star light 『マイノリティ・リポート』 投稿日: 2006/01/15(日) 17:02:17

■


慎二が倒れると同時に、セイバーが俺の横にまで吹き飛ばされてきた。

その胴着からは煙が上がり、顔にはいつものような余裕が全くない。
セイバーがこちらに気づき、言った。

「マスター、令呪を使え。このままでは全滅する」

「令呪……一体、なんて?」

「僕のフォースの力の源は、負の感情だ。悲しみの果てに、相手を憎み、殺そうとする。
 焼けた鉄のように紅い感情だけが、俺を強くする。言え、マスター。俺に――――」

セイバーは憎しみに濁る紅い目で、立ちはだかる黒い男を見た。

「俺に――――あの男を、憎ませろ」





1・令呪に告げる――――「セイバー、敵を殺せ」(憎め)

2・令呪に告げる――――「セイバー、敵を倒せ」(憎むな)

627 名前: 604 投稿日: 2006/01/15(日) 17:03:27
断言しますが、もし固有結界を継承していたとしても「無限の剣製」は使いません。

受け継がれる内容は、例えばですが剣にしか魔力が込められないのと、宝石しか投影できない
みたいにするつもりです

628 名前: るー ◆Kmt4qpE2Xs 投稿日: 2006/01/15(日) 17:05:10
正しくは
「真実を受け止めるのだ、若きスカイウォーカー。そして、この暗黒面に身を任せよ」
ですね。直した方を貼りそこねた……(´・ω・`)
ちなみにどちらかで道場行きですが
道場に行った場合は、ここで選ばなかった選択肢に戻ろうと思います。

629 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2006/01/15(日) 17:07:54
2の方が士郎らしいので2

630 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2006/01/15(日) 17:28:27
>>626
1 目指せ鉄心

>>627
そもそも固有結界の継承事態デタラメだと思う。

それを抜きにすれば
>例えばですが剣にしか魔力が込められないのと、宝石しか投影できない
この辺りの設定は面白いと思う、ただ凛の子供としては才能がなさ過ぎる気もする。

631 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2006/01/15(日) 17:55:52
1で
力不足で殺られる気がする。2は

>宝石しか投影できない
宝石の投影って、具体的にどんなメリットが?
売るの?

632 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2006/01/15(日) 17:56:01
固有結界の伝承自体は有りらしいけどまあ考察スレ向きだな。

そしてここは2を選ぶ。

633 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2006/01/15(日) 18:03:33
2で

634 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2006/01/15(日) 18:33:02
2で
しくじっても戻れるのなら士郎らしくいこうw

635 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2006/01/15(日) 18:37:46
道場に行きそうな1で。

636 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2006/01/15(日) 18:38:54
2かな。士郎はらしくいってほしいところだ。

637 名前: 604 投稿日: 2006/01/15(日) 19:31:47
>>630

あまり強くしすぎるのもアレだと思ったのですが・・・
では、五大元素を持っていて剣と宝石の相性が良い(凛に剣を追加したような感じ)のと
宝石のみ投影可能。一応剣も投影可能だが、宝石で出来た剣として投影。(士郎の宝石Ver)
といった感じはどうでしょうか?

>>631
宝石に魔力が籠もった状態で投影可能とかにしようかと・・・。
籠められる魔力は、投影にかかった時間とか種類とかで増えたり減ったりしようかと思います。
ちなみに、売るのは・・・一つの騒動で語られます。

一応、選択によって色々決まる予定だったのですが・・・。

638 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2006/01/15(日) 19:58:31
そろそろ別スレでやってくれ。

やっぱり士郎なら2でないとな。

639 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2006/01/15(日) 20:02:30
2で決定か。ここで流れてる曲はDuel of The Fateなんだろうな、きっと。

640 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2006/01/15(日) 21:04:38
>>609-610
ギル様、やっぱあんた最高だ!

641 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2006/01/15(日) 21:48:07
なんつーか、もう書いたらって思う。

642 名前: 砂月姫 2/反転衝動�� ◆aro9VWlUZY 投稿日: 2006/01/15(日) 22:05:36
>>587-588

 何かが此処へやってくる。

 ―――くぁう。

 そう理解した、次の瞬間。


 ガガガガガガガガガガ
 ガガガガガガガガガガ
 ガガガガガガガガガガ
 ガガガガガガガガガガ
 ガガガガガガガガガガ
 ガガガガガガガガガガ
 ガガガガガガガガガガ
 ガガガガガガガガガガ
 ガガガガガガガガガガ
 ガガガガガガガガガガ


 まるで颶風。
 窓の外の、ネオン煌びやかな風景が一瞬で塗り変わる。
 初めは白に―――次の瞬間、闇色に。

 ―――とりが。
 鴉が、鵜が、鴛が、鴬が、鴨が、鶏が、鷺が、鳳が、嶋が、鶴が、鴇が、鳶が、鳩が、鷹が、鴫
が、鳥が、鳥が、鳥が、鳥が、鳥が、鳥が、鳥が、鳥が、鳥が、鳥が、鳥が、鳥が、鳥が、
鳥が鳥が鳥が鳥が鳥が鳥が鳥が鳥が鳥が鳥が鳥が鳥が鳥が鳥が鳥が鳥が鳥が鳥が鳥が鳥が
がががががががががががががががががががががががががががががががががががががががが
ガガガガガガガガガガガガッ。
 ―――百に届かんばかりの。百を超さんばかりの。

 鳥が。
 黒い鳥が。
 白い線を纏った鳥が。

 その数を暴力として。
 その嘴を弾幕として。
 その翼を緞帳として。

 ただ二人だけが居た部屋に、呑み込むように襲いかかる。
 ただ二人の、その人生に幕を引きにやってくる。

 どこからか。
 どの口からか。
 どの嘴からか、音が漏れている。
 喰らえ。喰らえ。喰らえ。
 出口など無い―――ここが、
「「「「「「「「「「此処ガ、貴様ラノ終着ダ!」」」」」」」」」」


 突かれ穿たれ切り裂かれ。
 余りの衝撃に意識が飛んで。
 それでも届いた―――唱和する、その声に。
 理性が引き戻される―――憤怒が呼び起こされる。

「――――――っけんなっ!」

 終わりだと?
 そうだ、終わりだ。
 嗚呼、間違いない。
 だが―――真逆。

643 名前: 砂月姫 2/反転衝動�� ◆aro9VWlUZY 投稿日: 2006/01/15(日) 22:06:41

「―――手前ぇが俺に、殺されろ―――!」


 叫ぶ。
 右手左手流血は充分以上―――血刀、展開。
 全身の打撲切り傷打ち身擦過傷、全て無視。
 全身の傷口から流れる血を固めて即席の鎧。
 全て、一瞬。

 ――――――懺、――――――斬。
 届く限り、眼に入る限りの有象無象。その、全てを薙ぎ払う。
 嘴が折れ血刀が朽ち、羽根が飛び血漿が交い。
 旋風のように群舞する。

 それでも―――それでも。
 まるで、この大群を、削り倒せない。

 血を流され過ぎた。
 肉を削られ過ぎた。
 そして、そんな事よりも、敵の数が多すぎた。

 もう、駄目かも知れないと。
 だから、思ったのに。
 そんな俺を嘲笑うかのように、アイツは。


「ちょっと本気出すわよ!」


 この黒い群れを、ただの一薙ぎで、消し去った。
 滅ぼし、尽くした。


「……っておいおい。何? 俺は道化ですか?」
 思わず愚痴が吐いて出る。
 でも、本当に。
 俺なんて、要らないんじゃないかこいつ。

 感じたとおり、一騎当千。
 信じたとおり、一網打尽。
 判じたとおり、一刀両断。
 古今無双―――快刀乱麻。

 とてもとてもとても、表現が追いつかない。
 それだけの、強さ。靱さ。壮さ。剛さ。大さ。勇さ。逞さ。悍さ。勁さ。頑さ。健さ。つよさ。
 凄まじいのただ一言。
 やべ、惚れたかも。抱いて。

644 名前: 砂月姫 2/反転衝動�� ◆aro9VWlUZY 投稿日: 2006/01/15(日) 22:07:39

 しかし。だというのに。
 その当人は、敵のいたときと同じく―――それ以上に、厳しい貌をしていた。
「やっぱ、駄目か」
 燦々たる部屋を見回してそう言う。
 アイツの一薙ぎで窓が割れ、壁が飛んで部屋の一面がそのまま穴になっている。それ以外の場所も、調度品は砕け、家具には穴があき、どこもかしこも化け物鳥だった泥が。
 壊滅だった。
 被害総額なんて、考えたくもない。
 でも、あんな敵を撃退したというのに。
 意外とケチなのか、こいつ。
 そんな事を思った。

「わたしじゃ、殺せない」

 だから、その言葉の意味が、一瞬わからなかった。
 一瞬、その間に。
 幾つかの泥が持ち上がり、形を成して空を飛び。
「………………っな!」
 五十程もの鳥となって、一面の大穴から逃げていった。

「―――何だありゃあ」
 呆然と。
 それらが飛んでいった先を見る。
 其処には、ナニカが。
 二対の翼と七枚の翅。滅茶苦茶に突きだした頭に手に足に脚に触手に触覚に角にナニカに何か。
 動物を捏ねて造ったオブジェが浮かんでいる。
 輪郭は、かろうじて丸い。
 点在する二十七の赤い瞳がこちらを舐めるように見ている。

「ネロ・カオス………!」

 答えと言うよりも、それは独白。
 それでも判った。
 先刻、女がその名を告げようとしていた、まさに。
 そいつは、俺の敵の名だった。




壱⇒戦場は屋上へ移る
弐⇒戦場は公園へ遷る
参⇒戦場は屋内へ残る

645 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2006/01/15(日) 22:11:16
>>641
書きたきゃ書けば良いんじゃないかなと言う気もする。
今でも興味ないのはスルーしてるし。

646 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2006/01/15(日) 23:00:13
ぐだぐだやるほどにここでの印象は悪くなるから、
すっぱりとやるかやらないか決めちゃったほうがいいと思うけどなー

それはともかく
壱

647 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2006/01/15(日) 23:30:22
壱

648 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2006/01/15(日) 23:40:10
数カ月前なら歓迎されたろうに、今は良作がたくさん連載されてるからなぁww
つっこまれる覚悟があるなら作者さんの好きでいいと思うよ、俺は
まあとりあえず言っておくと今のようなグダグダはやめて

649 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2006/01/15(日) 23:49:01
つかテンプレにある通り「勇気」がないなら辞めた方がいいだろな
作業量的なものだけじゃなく、最後まで駆け抜けると思えば色々勇気は必要になる

650 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2006/01/15(日) 23:52:37
とりあえず弐

651 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2006/01/16(月) 01:35:08
壱

652 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2006/01/16(月) 02:36:01
壱でリーチ

653 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2006/01/16(月) 03:22:37
壱で一発ツモ

654 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2006/01/16(月) 12:44:19
>>604
その内容だと、最初からギャグ的にぶっ飛んだ話なら、皆で笑いながら選択して行けると思う。
逆にシリアスでやると、考察とかでスレの方向性が変わってしまう可能性がある。

まあ書くか書かないかは>>604自身のの選択に任せよう。

655 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2006/01/16(月) 19:26:26
己の勇気を信じるんだ!

656 名前: 砂月姫 2/吸血衝動�� ◆aro9VWlUZY 投稿日: 2006/01/16(月) 22:29:07
 ―――かくて、戦場は屋上へ移る。

 暗天の月は照らし、虚飾の街は灯す。
 林立する摩天楼、その一つ。
 そのひときわ高き一つに、二つの陣営が対峙する。

 一つは黒色。無尽の獣。
 六百と六十と六の獣にして、一人の魔人。
 その数、既を群を凌駕し軍に値する。

 二つは白色。白き鬼。
 最強の姫君と、従う戦士。
 その力、既に個を超越し軍に値する。


 対なる色彩の両軍は、此処に―――


■□■□■□



「―――逃げるわよ!」

 女はソレを、ネロ・カオスと呼んだモノの姿を認めるや否や、俺の首根っこを掴んで走
り出した。
 そのまま扉を開け、部屋を二つ抜け、玄関を潜る。
 その間一度も俺は脚に地を付けなかった。
 くそ、体格差か。
 牛乳、イヤだけど………飲むか。
 そんな事を考えながらも、比喩でなく子猫のように運び出される俺。

「ちょ、やめ。見えるからっ、スカートの中、見えるからっ」
 そして、混乱の余りあらぬ事を口走る俺。
 でも、予期しないスリットなんかが入っていて、これは酷く。
 なんていうか、その。

 でも。
 僅かなりともうわっついていたのは、それが最後だった。


 タスケテ、と声がする。


 玄関を潜ると、そこは地獄だった。
 まさしく阿鼻叫喚。数々の扉から、獣が、血が、屍が。

 四肢を無くし、腑を晒している若い女がいた。
 首を噛み砕かれて、それでも体が痙攣している老人がいた。
 苦悶とも法悦とも知れぬ形相で、爛々と虚空を見つめて半身を無くした男がいた。

 みんなみんな、死んでいる。
 でも、それらは幸福な方で。

 あちらの若者にはまだ息があった。右肩から熊に潰されていて、次の瞬間に死んだ。
 咬まれながらも巻き付く蛇を叩く女、その視線の先のふくらみは幼子か。
 壊れた表情で失った右足に落ちていた子供の手を取り付けようとしている壮年の男。


 タスケテ、と声がする。


 見やれば、チン、と。
 匣が開く。
 光が洩れる。
 光景が、開かれる。
 俺の目の前で。


 タスケテ、といった小さな女の子が、獣に喰われて血溜まりになった。


「  あ 、 あ  」

 タスケテ、と,

「  、ああ  、あ  、あ」

 声が、しない。

657 名前: 砂月姫 2/吸血衝動�� ◆aro9VWlUZY 投稿日: 2006/01/16(月) 22:29:55

―――窓辺から俺たちを見下ろしている小さな女の子は、何時も口を閉じていた。話しか
けても黙っているばかりで。だから、応えを得られた日には、それだけで嬉しくなった。
だから、話しかけられるようになった日には、親父の秘蔵の酒をくすねて一人で祝杯を挙
げて酔いつぶれた。おかしな話で、名前を教え合ったのは時々にも話をするようになって
しばらく経っててからの事だった。いつものように四人で遊ぶのにそろそろ飽きていたこ
ろで、だから俺は彼女と二人っきりで話した。おまえ、と。あなた、と。おれ、と。わた
し。それだけで足りていたから、名前で呼ぶ事なんて必要ともしなかった。二人だけの世
界に、他にあるものなんて無いと思っていた。確か名乗ったのは彼女から。彼女は俺の名
前を知っていたけれど、それでも俺に訊いてきた。知っているならいいと、照れ交じりに
言う俺に、大切な事だよ、と珍しく食い下がってきた。だから俺は名乗って、彼女は嬉し
そうに、まるで宝物を仕舞うように俺の名を、楽しそうに呼んでいた。最後にあった時も―――



「あ、ああああ、ああああああああああああ、あああああああああああああああああああ」

 □スケ□
 タ□□テ
 タスケテ
タスケテタスケテタスケテタスケテタスケテタスケテタスケテタスケテタスケテタスケテ
タスケテタスケテタスケテタスケテタスケテタスケテタスケテタスケテタスケテタスケテ
タスケテタスケテタスケテタスケテタスケテタスケテタスケテタスケテタスケテタスケテ
タスケテタスケテタスケテタスケテタスケテタスケテタスケテタスケテタスケテタスケテ

 狂ったように、その声だけが残響する。
 俺は何も見えず、ただ一つの誓いを胸に。

 ―――赦しは、要らない。

「ちょっと、大丈夫? これから脱出するわよ」
 キコエナイ

 ―――契約しよう。貴様を囓るように■す。

「判らないの? あれだけの使い魔、わたし達じゃ」
 関係ナイ

 ―――何時かの、様に、貴様ヲ―――


 ぱしん、と。


 一瞬遅れて、頬が熱いのを知覚した。
 手を当てれば、やはり熱く。
 俺は女に叩かれた事に気が付いた。
 気が付いただけで、いきなり冷まされた感情は僅かも動かない。
 ただ、麻痺したように。

 その躰が崩れ落ちていくのを、見ていただけだった。

658 名前: 砂月姫 2/吸血衝動�� ◆aro9VWlUZY 投稿日: 2006/01/16(月) 22:31:14
 そして、遅ればせながら。
 とんでもない事に気が付いた。
 それは、俺とこいつが殺し合ってトントン、という事にはならないという事だ。
 俺はこいつに殺された。
 こいつは俺に喰い殺された。
 俺は生き返るに当たって、沢山の血肉をこいつから奪った。
 では、こいつはどうやって生き返った?

 自分の分でどうにかしたに決まってるだろうが。
 この、馬鹿。


 抱き上げた躰は冷たい。
 死んだばかりの死体の様だ。

「おい――――――おい!」

 揺さぶる。
 何だかよく分からない激情に押されて。
 だというのに。

「あー。やっぱり。本調子でないかー」
 のんびりと、こいつは言った。

「このバカ女。調子悪いなら―――そういえよ」
「んー。本当は大丈夫なはずだったんだけど。流石にあそこであの数は応えたな」

 声は無様に震える。
 見れば。
 女の躰、所々に赤いシミが。
 トマトケチャップだったらよくできた喜劇だ。でもそうじゃない。

 俺が無様に踊っている間、女はじっと耐えていたのだ。
 俺が、いたから。
 あの、女にとっては充分すぎるくらいに狭い部屋。
 あの威力。
 俺が部屋を滅茶苦茶に走っていたから使えなかった。


 何だ、俺の所為か。
 何て、―――道化。
 だというのに。

「というわけで、悪いけど敵前逃亡よ。この物量じゃあ負けなくても、ジリ貧だから」
「―――ああ」

 同じように笑えたかは、目の前の女だけが知っている。
 でもそれよりも。

「逃げるなら、上に。もうすぐ朝だから、屋上に出れば削り潰される前にあっちが逃げる
から」
「―――ああ」

 包囲が巡る。
 それを蹴散らして、天の側まで歩み寄ろう。

 でも。
 一つだけ、その前に―――



壱 謝らなければいけない事がある。
弐 訊き忘れた事がある。

659 名前: バイオリン猫 ◆aro9VWlUZY 投稿日: 2006/01/16(月) 22:39:21
前回は>>642-644
毎日のように書いているのに忘れてしまうorz
進歩がないなぁ

660 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2006/01/16(月) 22:43:55
壱かな

661 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2006/01/16(月) 22:48:52
弐

662 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2006/01/16(月) 22:55:04
壱

663 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2006/01/16(月) 23:46:15
弍

664 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2006/01/16(月) 23:46:32
弐

665 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2006/01/17(火) 00:07:39
弐に一票。

666 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2006/01/17(火) 00:09:36
弐でツモ

667 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2006/01/17(火) 00:40:47
666げと

668 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2006/01/17(火) 01:06:06
>667
(・∀・)ニヤニヤ

669 名前: 砂月姫 2/吸血衝動�� ◆aro9VWlUZY 投稿日: 2006/01/17(火) 23:07:25
>>656-658

「一つだけ教えることがあって―――二つほど訊くことがある」


 応えは待たない。
 この距離で聞こえないわけもあるまいし。
 それに、気遣いながら話せるほど冷静な気分じゃあない。
 雰囲気だ、雰囲気。
 流し流され言ってみようか。


「俺の名前はトオノシキ。遠い野原に四つの季節と書いて、遠野四季」
「へえ―――綺麗な名前ね。何だかあなた、爺やみたい」

 そう言った彼女は、何か素敵な事を思い出したように笑った。
 俺は素直に礼を言う。

「ありがとう。そう言うあんたはお姫様みたいだな」


 そうしている間にも包囲は巡る。
 もう声は聞こえない。獣が汚らしく食い散らかしたのだろう。
 もとより、この廊下に生きている人間なんて、いなかったから。
 ただ死んだ人間と、死んでいなかった人間がいただけ。

 死者の怨嗟に関わり合っている場合じゃあない。
 少なくとも、今は。


「俺は名乗った。あんたの名前は?」
「アルクェイド・ブリュ……長いからアルクェイドでいいよ」
「ダメだ。全部教えてくれ。大切な事なんだから」
「そう? じゃあ―――」

 まるで、生まれて初めて。
 秘密の約束を交わすようにぎこちなく。
 アルクェイドは。

「わたしの名前は、アルクェイド・ブリュンスタッド―――よろしく、四季」
「ああ。よろしく―――アルクェイド」


 そう言って。
 二人は手を差し出す。

 俺は下に。
 アルクェイドは上に。
 俺はしゃがんで。
 アルクェイドは跳んだ。

 次の瞬間、血刀でもって、落書きだらけの鮫の鼻面を切り潰す。
 振り向けば、アルクエイドの爪が、俺を叩き潰そうとしていた熊を屠ったところだった。

 潰されて。
 どろりと溶ける。
 緊張は解け、猛攻が始まる。

 目が合って。
 にこりと微笑う。
 初めてのコンビネーション。
 共闘関係、成立。

 さあ来いバケモノ。
 此処にあるのは殺戮に非ず戦争。
 戦争とは殺す事に非ず―――殺し、殺される事だと銘記しろ。

670 名前: 砂月姫 2/吸血衝動�� ◆aro9VWlUZY 投稿日: 2006/01/17(火) 23:09:02
 さて。
 あと一つだけ。
「でさ。さっきあんたはこいつらを『使い魔』と呼んでたけれど―――使っているヤツが
いるんだな?」
「ええ、いるわ」
「そいつは、あんたを追っている」
「ええ、わたしは追われているの」
「屋上に逃げれば、そいつはあんたを追って姿を現す」
「でしょうね。それでそれがどうしたの」

 解っているのだろうに。
 まるで俺の口からその一言が聴きたいとでも言うように。
 何でもないように訊き返された。

「いいや―――別に。そいつの事が、気に入らないのさ」
「そう。それで、全部?」
「じゃあ、あと一つだけ。これは単なる確認なんだけどさ」

 その瞬間だけは。
 その声が遠くに響く。

 ―――誓いは新たに。

 本当、気にくわない。
 まるであいつらは玩ぶかのように人を喰っていた。
 人を喰ったように、人を。

 それは、違う。
 命って言うのは、そんな簡単に摘み取られていいもののハズがないのに。
 だから―――だから。

「時間を稼ぐのはいいけど―――別にそいつを撲っ殺してもいいだろう?」

 俺は訊いて。
 いいよ、と。
 アルクェイドはとびっきりの笑顔で微笑んだ。


 途は遙かに。
 虹を渡って月に至るように。
 異形どもの牙をくぐり抜け、空の下まで上ろう。




壱 殿は任せろ! 俺が背中を守る。
弐 殿は任せた! 俺は血路を開く。

671 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2006/01/17(火) 23:15:46
壱

672 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2006/01/18(水) 00:10:20
壱

673 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2006/01/18(水) 00:29:12
壱だがや〜

674 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2006/01/18(水) 01:38:41
弐だな、後ろからバッサリやられそうだし

675 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2006/01/18(水) 01:51:23
弐じゃけん

676 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2006/01/18(水) 20:09:03
壱行こう

677 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2006/01/18(水) 20:09:23
弐

678 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2006/01/18(水) 21:11:06
弐で追っかけリーチ!

679 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2006/01/18(水) 21:13:01
壱でハイテイツモ!

680 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2006/01/18(水) 21:25:53
「―――“後より出でて先に断つもの(アンサラー)”」

「取った―――! 弐だ、死ねぇ……!」

弐に決定しました。

681 名前: アヴェンジャーエミヤ ◆ddg5.LZD9c 投稿日: 2006/01/18(水) 22:49:47
>>609-610



 ――――今の戦いの理由を聞く。
 戦いと呼ぶにはちょっと一方的すぎた気もするが、それはそれである。

「アンタさ。どうしてこんなトコでヤってたの?
 しかもこんな、化物みたいなヤツと」

 純粋に疑問を投げかける。
 どうしてああなったのかのも知りたいし、なんで捨て身をしてまでヤツに勝ちたいのかも気になった。
 勝ちへの執念は評価すべきだが、命を捨てるのはよろしくない。
 結果がどうあろうが死んだら終わりだ。死人は何も出来ないのだし。

「……残念ですが、詳しくは教えられません。
 しかし信じてほしい。私は目的あって彼の者と戦い、そしてここにいる。
 決して殺人鬼の類ではありません」

 女はほぼ即答という速さでオレの疑問を軽やかにかわした。
 リハーサルでも行ったのかという程のスラスラ空読みっぷり。
 それに驚きはない。むしろ予想通りだったりする。
 先に述べたよう、魔術は隠匿されるモノで、魔術師同士なら尚の事。
 これも親父の受け売りだが、一般人は生を基準にし、魔術師は死を基準としているらしい。
 そんな生業だ。殺し合うのは日常茶飯事であるべきだろう。
 女は動揺こそしたが、今ぶっ倒れてる男みたく意識がなかったワケではない。
 そしてオレの足元には鉄の硬度を進行形で失っていく鞄(凶器)。
 ようするにオレの魔術行使はモロバレなのだ。
 魔術師同士、いつかは殺し合うかもしれない相手。
 与える情報はなんであろうと少ない方がいいに決まってる。

「―――――」
「―――――」

 ……沈黙数秒。
 女には特に気まずそう様子もない。

 オレと言えば、まあ、気まずい空気は好きじゃない。
 なによりだ。
 そんなスマした顔した女に隠し事されて、黙ってられるほど性欲がないワケでもなかったりする。

「んじゃ、アンタの名前は?」
「バゼット・フラガ・マクレミッツです」

 そこらへんは言うのか。
 基本的に隠すのは苦手と見た。なら問題ない。
 昼の間桐とのやり取りを思い出す。アレを応用すればそれで済むだろう。

「所属は?」
「魔術協会です」
「何やってんの?」
「封印指定の執行者を主に」
「歳は?」
「二十三になります」
「へー、若いね」
「それはどうも」
「なんで戦ってたの?」
「待ち伏せしてたら彼に見つかったからです」
「今の動きはどこで?」
「独学が基本ですが、流れとしてはボクシングのそれでしょうか」
「処女?」
「――――、黙秘させてもらいましょう」

 チェッ、便乗作戦失敗。
 けどまあ。聞きたい事はしっかり聞けたから、よしとしよう。

「へー。待ち伏せって、なんで?」
「あ」

 ……直後、逆ギレの時速八十キロがオレの脳天を貫いた。
 鎧など、脱がしちまえば、ただの服。アバヨ。




「いっっっっっっっっっっっっってーよなー。
 命の恩人になんて事すんだよアンタ」
「そ、それは謝ります。
 ですが、貴方があんな卑怯な手段で情報を引き出したのも悪いでしょう」
「そりゃそうだけど、……さ!」

 お手を拝借して立ち上がる。
 素晴らしい打ち下ろしにピヨったので立てません、なんて情けない理由ではない。
 あの化物みたいな金色野郎をぶん殴ったせいで腰が抜けたという、もっと情けない理由なのであった。

「立場が逆なら文句ねえのにさ」
「何か?」
「別に」

 簡単に誤魔化せた事にかるく感謝を。
 埃やら土やらは二、三回払って、まあ気にはならなくなった。
 さて、と。

682 名前: アヴェンジャーエミヤ ◆ddg5.LZD9c 投稿日: 2006/01/18(水) 22:50:43
「それじゃもっかい確認すんぞ。
 アンタは魔術協会から派遣された魔術師のバゼット・フラガ・マクレミッツさん。
 殴り合い専門店営業者でちまちました小技とか苦手な体力派。
 任務で日本に来て、この教会に敵がいて待ち伏せしてたけど我慢しきれず飛び出した。
 そしたら金キラ男に見つかり、ボコされちまってたトコロをオレに助けられた、と」

 なんとも胡散臭い経緯である。
 しかし口先と体を張ってまで引き出した情報だ。ウソはないだろう。
 事実、隻腕の女―――、バゼット・フラガ・マクレミッツはそれを恥じるように苦い顔をしている。

「……どこかひどく誇張してる気がしますが、大まかな流れはその形です」

 渋々頷くバゼット。
 何が誇張なもんか。標的以外が出てきたトコロで待ち伏せやめるなんて素人でも考えないぞ。

 ――――しかし、魔術協会に所属しているとは驚いた。
 これまた親父の受け売りだが、こちら側の人間はある二つの機関に属するのが常識らしい。
 一つがエセシスターら“代行者”所属する教会。
 もう一つが今こうして説明してる魔術協会である。
 魔術を学問として使用する害のない集団らしく、それは全部本当、全て嘘だそうだ。
 ほとんどが宗教、概念じみたカタチとなってしまってるらしく、自分達以外は全て異端と見る節があるようで。
 簡潔に言えば『ウチで魔術を扱わないクソ共は問答無用でブッコロですよ』という事。
 仕方ない。魔術師も生命だ。自分を脅かす存在は怖いに決まってる。
 バゼットは自分の事を封印指定の執行者と呼んだ。
 封印指定が何かは全然知らないが、執行者という単語から、ブッコロの部類である事は分かる。
 そりゃべらぼうに強い筈だ。
 他の排斥が食ってくための職なんだから、強くあるのは必然の理である。

「ん? そんじゃこの教会にハグレの魔術師がいんの?」

 興味はないが、成り行きなので聞いてみる。

「いいえ。今回の任務に魔術師の抹殺は含まれてません。
 もっとも、そうせざるをえないでしょうが」

 淡々と回答。
 オレが色々考えてる間に着なおしたのか、挨拶した時と同じ鎧のような口調だ。
 ぶん殴った時の赤面が可愛らしい事この上なかったオレとしては、残念極まりない。

「もういいでしょう。
 私から教えられる事はもうないですし、君が聞きたい事はない筈ですよ」
「ありゃ。バレてた?」
「人が答えている時にそっぽを向かれては誰でも気づくというものです」

 そんなもんかね、と、とぼけるように返しておく。
 不満そうに皺を寄せているが、これから恋仲になるワケでもないので関係なしだ。

「では、すぐにでもこの場を去りましょう。
 もう私達は気づかれていると見るべきだ。
 今襲われたら太刀打ち出来ない。主義には反しますが、ここは撤退したい」
「あ? 何、しっぽ巻いて逃げてえの?」
「――――――――」
「悪かった。謝るから手袋着け換えんのだけはやめて」

 シークタイムゼロセコンド。脊髄反射で命乞い。
 つーかこの女には初対面とか恩人とかの境目はないのか。
 とりあえず悪だと認識=とりあえず殴ろうという方針は直すべきだと思う。

 だが、一方の撤退すべきという意見は丸々正しい。
 後ろでノビてる男が何者かは知らないが、アレ程度で死んじゃいないだろう。
 気絶は間違いないだろうが、今すぐ目を覚ましてもおかしくはない。どんなに油断してても、アイツもこちら側だ。
 正義の味方の仕事は済んだ。
 後はどこぞの語り話らしく、名乗る無粋も行わず去るだけ。
 いやまあ、人の返答も聞かずにもう踵を返してるあの女には名乗るヒマもなかったのだが。

「おいちょっ――――、じゃあな。縁があったらまた会おうぜ」
「それは遠慮しましょう。魔術師同士、次会うとしたら死地でしょうし」
「違いねえ」

 苦笑を交えて教会を後にする。
 オレはただいまを告げるべく坂へ、女は外人墓地へと歩み出す。
 そして―――――、



A1・バゼットが苦しげにうずくまったのを見た。
A2・異形の剣がオレの右腕を貫いた。
A3・レイピアらしき刃物がバゼットの脇腹を貫いた。

683 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2006/01/18(水) 22:54:51
A1

684 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2006/01/18(水) 22:58:21
A3

685 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2006/01/18(水) 22:58:58
A2で横並び

686 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2006/01/18(水) 23:03:03
A1
なんとなく

687 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2006/01/18(水) 23:03:19
A3で俺のターン(選択)エンドだぜ!

688 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2006/01/18(水) 23:07:05
A2で横並び

689 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2006/01/18(水) 23:13:13
>>680
何やってんだよダメットww

A1で

690 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2006/01/18(水) 23:15:06
A2でアベさんの覚醒に期待

691 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2006/01/18(水) 23:16:20
A1でイーシャンテン

692 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2006/01/18(水) 23:18:31
>>691
リーチでしたorz

693 名前: 砂月姫 2/吸血衝動�� ◆aro9VWlUZY 投稿日: 2006/01/18(水) 23:41:53
>>669-670

 二人分の足音を響かせて、俺たちは階段を上る。
 追いすがるバケモノどもに怯える必要はない。
 何故なら―――

「―――しつこいっ!」

 頼りになる相棒が、一手に引き受けてくれているからである。
 上層階への逃走という、相手が吸血鬼でもうすぐ夜明けという状況でしかありえないよ
うな決断。その一番のネックとなるのは、後から払っても払っても湧いてくるバケモノ。
地面を泳ぐ鮫とかなんだそりゃ。
 それを、実のところ消耗しきりの我が相棒に任せっきりなのは男としてとかなんとか、
非常に忸怩たるものがあるのだが。
 因みに、前衛たる俺の役割は血路を開く事だが、登り始めてから俺は一度も戦っていな
い。考えれば、そもそもあいつらはアルクェイドを狙ってきていたわけで。脚があるにし
ろ地面を泳ぐにしろ、下から来たわけで。飛んでくるような奴らは部屋に直接乗り込んで
きたわけで。要するに―――上に敵なんかいるハズがなかったのである。


「それで、敵さんの正体がわかったってのは本当か!?」
「ええ。あれだけの使い魔を操れるはずがない―――なら、アレはそもそものところ、使
い魔じゃないって事」
「済まん。よく分からない」
「ああ―――つまりね」


 最後の一段をすっ飛ばして上り詰め。
 鍵が掛かっているかも知れないのでドアは蹴り飛ばして開けた。
 そこは屋上。
 そらは群青。
 四角い灰色の地面の一角に。
 形容しようもない色の、ナニカが、陣取っていた。

「アレは、貴方自身なんでしょう―――ネロ・カオス」
 アルクェイドの呼びかけに。

「ようやく気付いたか、姫君」
 ソレは、応えた。

 求道者のような渋面の、男。そんな形をしたソレは声を発した。その事に僅かに驚く。
 ソレは、人の形をしているのは実のところ一部に過ぎなく。殆ど、何だかよく分からな
い―――蠍の尾と、象の巨躯と、猩々の豪腕と、羚羊の脚と、獅子の鬣と―――モノから
飛び出ている、冗談のような首だけだったから。


「此処が貴様の終着だ。その肉塊―――尽く喰い砕こう」


 そう言って、アルクエイド以外のどの一点も一瞥をしない。
 俺は眼中にない。
 そして、それでいい。
 せいぜい油断していろ。

694 名前: 砂月姫 2/吸血衝動�� ◆aro9VWlUZY 投稿日: 2006/01/18(水) 23:42:40

「―――つまりね、あれらは、わたしと貴方の敵というモノは、実のところ一個体じゃあ
なくて、幾つもの獣の集合だったのよ」
「ほんとによく分からないが―――それは、どういう事だ?」
「詳しい原理とかはどうでもいいけど―――その所為でわたしにはあいつらを殺しきれな
かった。倒しても倒しても、次が来て。多分、力任せに潰しても、それじゃあアイツとい
う存在(システム)には届かない」
「―――つまり、バラしても再生するプラナリアみたいなモノか?」
「話が早くて助かるわ」
「益々気にくわねぇな。それじゃあ何か、アイツは倒せないのか」
「いいえ―――いいえ」

「そこで、貴方の“眼”の出番なの」


 敵意でもなく、虚勢でもなく、観察でもなく、俯瞰でもなく。
 俺はそいつを視る。
 煮詰めた灰色のようなそいつ。その体中に。
 今では視える。

 縦横無尽に、皓い皓い線が奔っている。

 それが、こいつの“生命線”。
 こいつの僅かな命綱。
 それを、これから俺が―――叩き斬る。


「―――俺の、眼?」

「そう。貴方の目には、今までみえなかったはずのモノが見えている」
「は? いや、そんな事は全然―――」
 戸惑う俺に追いついて、アルクェイドはその貌を寄せてきた。
 今まで気が付かなかった、僅かで圧倒的な匂いが一瞬思考を空白にする。
「いいえ、そんな事はない。絶対にナニカが見えるはず。でなきゃ―――」
 射抜くように俺を視て。
「わたしを殺せたはずはない」


 時間は僅かに。
 黎明は近く、終結は近く。
 目交し遭ったのは一瞬だけ。
 バケモノの禍々しい金色の目と。
 アルクェイドの赤い眼と。
 俺のやはり赤い眼と。

 交錯のあとには、交戦が。
 対決のあとには、決別が待っている。


「―――線が。皓い線が見える。アンタの貌と手に、バケモノに見えた線と同じ、白い落
書きが見える」
 単純に。
 アルクェイドの肌が思いっきり白かったから見逃していた。バケモノの元々だと思っていた。
 埃だの返り血だので、今では少し認識出来る。
「それ―――それよ。それがわたしを殺した秘密」
 やっとの事で探し当てたナニカは、どうやらアルクェイドのお気に召したようだ。
 顔を離してもらえて、実はその事に一番安堵したのだが。なんでさ。
「顔と手。服には見えないのね? 階段とか、壁とかには?」
「いや、全然」

「そっか、判った。貴方の眼は―――」


 影が踊る。
 これから瞬く間に日が昇るのだ。
 
 だから、決着はその前に付く。



さて皆さん、これからの展開は―――
壱 ぐるぐる唸ってごー、ごー
弐 喰う喰うお腹が減りました
参 恐くなったので帰りましょう

695 名前: バイオリン猫 ◆aro9VWlUZY 投稿日: 2006/01/18(水) 23:44:03
選択肢は無難にA1で。
これで決定ですかね。

696 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2006/01/19(木) 00:00:08
あんたまさか自分で数えてないのか?
どう見ても壱が先に五票集まってるのだが。

それはともかく参でも選んどくか。

697 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2006/01/19(木) 00:20:45
弐で。

698 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2006/01/19(木) 01:33:36
>>696
ダメットのアンサラー(>>680)があるでわないか
・・・まあ、反則だし次から気をつけてもらえばいいんじゃね
わざとにしろ、素にしろ

699 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2006/01/19(木) 01:47:41
>>695
無難って・・・アヴェンジャーがバゼットと行動してしまうではないか

700 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2006/01/19(木) 02:40:06
弐で

701 名前: Fate/star light 『我が命尽きるとも』 投稿日: 2006/01/19(木) 06:09:21
『2・令呪に告げる――――「セイバー、敵を倒せ」(憎むな)』 >>623-626

「僕のフォースの力の源は、負の感情だ。悲しみの果てに、相手を憎み、殺そうとする。
 焼けた鉄のように紅い感情だけが、俺を強くする。言え、マスター。俺に――――」

セイバーの憎しみに濁る赤い目は、黒い闇刃を持つ男に向けられていた。

「俺に――――あの男を、憎ませろ」

倒れこんだ慎二を見る。
こちらからは伺うことのできない慎二の顔が、俺に向けて笑いかけた気がした。

俺は――――例えここで死んでしまうとしても、自分の想いを貫き通す覚悟を、決めた。

「令呪に告げる――――セイバー、あの敵を倒せ」

左手の甲に走る鋭い痛み。
二つ目の令呪が一瞬赤く光り、役目を終えたことを表すようにその輝きを失った。

「――――マスター、今、何を」

こちらを見たセイバーが言った。

俺はもうセイバーの方を向いていない。
倒れた慎二にかけよる桜とマーティ。二人に向け、黒い十字架を構える神父。
ただそれだけ。それだけを見据え、手のうちにある二振りの木刀を強く握る。

「憎む必要なんて――――ない」

自分自身に言い聞かせるように、そう呟く。

「俺は――――俺は、自分を張り通す。憎まなくたって――――」

手足に強化の魔術を使用する。
明らかに自分自身の器を超えた魔術行使だと言うことが知れる。
きしみを上げる体が、魔術回路が、限界を訴える。

引くわけにはいかない。
俺は衛宮士郎だ。これが、衛宮士郎だ。
たとえそれが、一人の男の在り方を否定することになろうとも、断じて張り通そう。

「憎まなくたって、俺は立っていれる。こうして、俺でいれる。そんな力に頼らなくたって――――」

強化された短い二振りの木刀。握り締めたそれが、みしりと音を立てたような気がした。

「俺は、みんな守ってみせる。誰一人だって死なせるものか。
 それが夢のような絵空事と言われようと、理想でしかない奇麗事であろうと――――」

輝きは遥か、失われた父の遺した思い。
それが如何に眩しかろうと、張り通すと決めた。
この身を支えるものは、頑なであっても、鉄ではない。


 それは、磨耗しえない―――― ■ ■ ■ ■。


       ――――ガキィン――――!

力任せに振るった二つの木刀を、甲高い金属音と共に、言峰の持つ十字架が受け止めた。

言葉を自分自身に言い聞かせるうち、いつの間にやら走り出していたらしい。
掴みかけた何かが、剣戟の合間へ消えていく。

俺は必死に言峰へと木刀を叩きつける。
そう長くは続かないと分かっている。
自分の限界を超え、無理をしているとも分かっている。
ただそれでも、不思議と倒れる気はしなかった。

何故なら

折れることも、揺らぐことも、ましてや磨耗することなど決してありえない


そう、この身はきっと――――■■■■で出来ているのだから。


■

702 名前: Fate/star light 『我が命尽きるとも』 投稿日: 2006/01/19(木) 06:10:28

衛宮の馬鹿が、また魔術を使いやがった。
糞神父に迫る衛宮は、人とは思えない速度で両の木刀を打ちつける。

一体どこからそんな力が沸いてくるのか。
魔術でもフォースでも説明がつけられそうになかったが
長く続かないであろうことは、はっきりしている。

「――――兄さん――――兄さん!」

桜が泣きそうな顔でボクを呼んだことで
初めて自分が横っ腹を抉られていることに気づいた。

相当深く抉られているように見えたが
お気に入りの白いブルゾンと本皮のベルトがお釈迦になるのと引き換えに、傷を浅くしてくれていた。
とは言え、ズボンは結構赤く染まっている。

「――――ライダー、聞こえるか」

ボクを支えてデロリアンまで運ぼうとしているライダーが応えた。

「聞いてるよ。シンジ、あまり喋らない方が……」

「放っておいたって死ぬような傷じゃないよ。
 それより、今ボクがしっかりしなきゃ、このままじゃ全滅する。
 一分限りの方だって、あんまり多用すると品がない……というか、マズイかもしれないけど……」

ボクはデロリアンをちらっと見る。
この一行の舵取りをする立場から言えば、同じような策を用いるのは気が引けたが――――

「しょうがないね、全く。
 ホント、手のかかるやつだよ」


■

703 名前: Fate/star light 『我が命尽きるとも』 投稿日: 2006/01/19(木) 06:11:25

紅い輝きへと、黒い輝きが打ちつけられる。

「――――くっ」

押し負ける。
おそらく、フォースとしての単純な自力ではこちらが勝っている。
斬り合ううち、技術や素早さという点では次第にこちらが優位に立ち始めていた。
が、本来ならば、こちらが得意とするはずの力の面で押し負けている。
相手は暗黒面に身を堕とすことによって、爆発的な力を発揮している。

もはやこの身に、一片の情もないと思っていた。

――――少し、このマスター達と関わりすぎたのだろう。
こちらの紅に対し、相手の黒。
その色が象徴するように、暗黒面への傾き方で、相手は圧倒的にこちらより上だ。

それを覆すための令呪行使のはずだったのだが――――


『全ての人を救う。誰一人死なせない』


くだらない。馬鹿馬鹿しいにもほどがある。
誰もが抱き、誰もが捨てる理想。否、それは夢想だ。

叶い得ない想い。しかし、それを――――

抱き続けるには、一体どれほどの強い想いが必要なのだろうか。

シロウ――――あのマスターが抱くその想いは、彼自身が考えているより、ずっと途方も無く強いものだ。
その想いは令呪を通して、サーヴァントであるこの身にまで浸透してきていた。

「敵を倒せ」という曖昧な命令では「憎め」という単一の命令の効果には及ばない。
それどころか、この「敵を倒せ」という命令は、言外に秘められた「憎むな」という意思によって
結果として、マイナスの効果まで生んでしまっていた。
紅いライトセイバーが、その輝きを失いつつあるのだ。

こちらの真名であるはずの――――ダース・ベイダーを名乗る男が振るう、黒いライトセイバーと斬り合うたび
薄れた紅い輝きは、呑み込まれそうなほどに侵食される。

それも令呪の効果なのだろうか。
体のどこからか、いつしか失っていた力が戻りつつあるのを感じた。
しかし、ライトセイバーはそれに反し紅い輝きを失いつつある。
これでは――――

ついに黒い闇刃が、紅い光刃を弾き飛ばした。
ベイダーを名乗る男が、弾き飛んだライトセイバーの柄をフォースで捕らえる。
いつかの決闘と、同じ光景。
残るはフォース・ライトニング――――しかし、それが通じないことは先刻はっきりしていた。
ここまでか――――

そのとき、男のやや左の空間が歪んだ。同時に青い電光が走る。
それを察知した男は、一歩引こうとする。
――――だが。
フォースの単純な自力では、こちらが勝っているのだ。

「行かせると思ったか?」

男に向け突き出した手。初歩の単純なフォースの使用。
下がろうとする男の体をひきつけ、その場に止まらせる。

突如虚空から現れたデロリアンが男を轢き、そのまま男ごと虚空へと消え去り――――

一時もおかず、今度は男なしでその場に現れた。


■

704 名前: Fate/star light 『我が命尽きるとも』 投稿日: 2006/01/19(木) 06:12:43

ここに来るまでに既に飛行を含めた長時間の運行をしているため
今残されている燃料では、長時間のタイムトラベルは不可能だ。
燃料を補給しているヒマもありそうにない。

使用できて最短の時間移動で五回といったところだろう。
この五回で、燃料を使い切る計算になる。

十分だ。むしろ、ちょうどよいと言っていい。

後部座席には、瀕死のランサーと遠坂、それを看る桜。
運転席に乗ったライダーの隣、助手席にはボクが乗る。

「いいかライダー、連続五回だ。
 一度もミスは許されないし、荷を下ろすときも注意を払って、それでも速く。
 ――――できるか?」

ライダーはハンドルを握り、前を見つめる。
決意の眼差し。ボクは、コイツが英霊であるわけが分かったような気がする。

「正直、ヘヴィだね――――でも、やるさ。やらなくちゃならない。
 こんなときにしっかりやれなくちゃ――――腰抜けって言われたって、言い返せない」

「……よし。行こう――――まず一分過去へ、衛宮家へのタイムトラベルだ」

神父と戦う衛宮を、黒い男と斬り合うセイバーを残し、衛宮家へと一旦帰還した。

着くさまランサーと遠坂を降ろす。
着いてこようとする桜に二人を看るよう言いつけ、再び教会へ。
これまでで既に、過去へ飛ぶことによって生まれた一分の余裕は消えている。

「次も一分過去、教会前にいるあの黒い男の前だ。セイバーを轢かない方向から」

         マ ス タ ー
「注文が多いお客さんだよ」

この時間移動と、次の時間移動が最も危ない。
ボクは覚悟を決める。

タイムトラベルの直後、正面に黒衣の敵サーヴァントが現れた。
そのまま間髪入れず、三回目のタイムトラベルに入る。

「一分未来で座標はこの真上だ!」

動けない敵サーヴァントを道連れに、一分後の教会上空へと移動する。
男は黒い闇刃を振り上げるが――――重力に引かれ、あえなく落下した。

「ギリギリだったね……ライダー、一分前の教会だ。座標はアイツを轢いた場所でいい」

再び、最初のタイムトラベル前の時間軸まで遡る。
教会前にいるのはデロリアンに乗った僕とライダー。
そして、ライトセイバーを失ったセイバーと、神父と斬り合う衛宮。

セイバーにライトセイバーがあれば、一分後に黒い男が教会上空から落下してくるまでに
神父をやれたかもしれなかったが……

「よくやったライダー、お前はセイバーを。ボクは衛宮を連れて来る。すぐに撤退だ」


■

705 名前: Fate/star light 『我が命尽きるとも』 投稿日: 2006/01/19(木) 06:14:03

もっと。もっとだ。
一撃でも多く。一瞬でも速く。一振りでも力強く。
言峰に向けて、木刀を振るい続ける。
幾度目かの斬撃を打ちつけたとき――――後ろから、頼れる銃声が響いた。

「衛宮ぁ――――っ!遠坂達は助けられた!引くぞ!」

手の動きを止めると、言峰と目が合った。

「……ここで勝負をつけるのはまだ早い。
 決着の前にもう一つ、潰しておかねばならぬ蟲もいる」

「――――遠坂に何かあったら、アンタただじゃおかないからな」

交錯する視線。
俺はきっと、もう一度コイツと殺しあうことになる。

「衛宮!」

俺は慎二の援護射撃を受け、デロリアンに向けて走り出した。


■


全員が衛宮家へと撤退した後、全員の手当てが行われた。

一番の重傷は遠坂とランサーだったが、幸い一命だけは取り留めた。
ただし、右腕と左手は、切断というよりも切断部分ごとごっそり焼き切られていて
たとえ病院に行っていたとしてもつながりそうにはなかった。

慎二の傷はそれほどでもなかった。
あの一瞬は、下腹部を抉り取られたのではないかと思ったが
実際は肉ではなく、上着を抉っていたらしい。
そのせいで、慎二の白いブルゾンは見事にお陀仏だった。

俺は――――情けないことに、全員の手当てを終えた瞬間倒れこんだ。
そのまま桜が夕食を持ってくるまで眠り続け、今やもうどっぷりと日は暮れている。

魔術回路の酷使による全身がマヒするような感覚。
肉体の疲労とあちこちの怪我。
――言峰に蹴りを入れられた腹が、どす黒く痣になっている――

それでも俺はちゃちゃっと夕飯を食べてしまうと
俺は弱った体を引きずって立ち上がった。
このまま倒れているわけにはいかない。

言峰はああ言っていたが、今また誰かが攻めてこないとも限らないのだ。

まず俺は――――



1・遠坂の容態を見に行く。

2・慎二にこれからの話を聞きに行く。

3・道場にいるセイバーに、あの男のことを聞きに行く。

706 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2006/01/19(木) 06:16:54
3

707 名前: るー ◆Kmt4qpE2Xs 投稿日: 2006/01/19(木) 06:20:26
ちょっと急ぎ足すぎる気もします……OTZ
間に挟む未投稿のInterludeを含めて、ここまでに書いたものを全てHPで更新しました。
これから二月一杯まで、とんでもなく忙しくなりそうなので、次の投稿は三月頃になると思います。
なにかと上手くいかず、申し訳ないです。
それではまた三月頃にお会いしましょう(´・ω・`)

708 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2006/01/19(木) 07:53:47
1

709 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2006/01/19(木) 08:48:07
3だな。
いい加減セイバーと交流しておかんと

710 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2006/01/19(木) 10:47:44
3で

711 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2006/01/19(木) 11:21:18
3で

712 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2006/01/19(木) 11:28:16
どれも魅力的な選択肢… とりあえず3にしておく

713 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2006/01/19(木) 11:34:46
む、もう決定か。乗り遅れてしまった……
と思ったが、自分も3だったから結果的にはいいや。

714 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2006/01/19(木) 12:30:14
参

715 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2006/01/19(木) 17:54:56
弐かな

716 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2006/01/19(木) 22:39:34
壱

717 名前: 砂月姫・お詫びと訂正 ◆aro9VWlUZY 投稿日: 2006/01/19(木) 22:47:10
>>696
ご指摘の通り、前回選択されていた選択肢は壱でした。
本当に済みませんでした。
これからはこのような事が無きよう、いっそうの注意をもってのカウントを致します。

尚、今回の選択肢に変更はありません。
元々行き先は決定していたので、本文は冒頭の以下の部分のみが訂正の対象になります。

>>693訂正

 二人分の足音を響かせて、俺たちは階段を上る。
 逆に言えば、あの鬱陶しいバケモノの影はなかったりする。
 何故なら―――

「―――もう一丁っ!」

 ぼたり、と血を吐きだす。
 吐きだされた血は一瞬奮えて、それからまるで花咲くように空間を征圧する枝を張る。
 原理は血刀と同じ。ただし、少し柔軟性を持たせてその分ねばり強い。
 要するに、即席の障害物である。これを一階上るごとに設置して、バケモノどもの追跡
を阻んでいる。無論、体当たりの二、三回で突破されてしまいはするが―――それで充分
時間は稼げる。少なくともこれ以上の消耗は避けられる。

 上層階への逃走という、相手が吸血鬼でもうすぐ夜明けという状況でしかありえないよ
うな決断。その一番のネックとなるのは、後から払っても払っても湧いてくるバケモノ。
地面を泳ぐ鮫とかなんだそりゃ。

 それを、実のところ消耗しきりの我が相棒に任せっきりなのは男としてとかなんとか、
そう思って少し強引なまでにひきうけてみたのだが。
 ……意外とうまくいった。慣れない事はしてみるモノだ。
 ……………でも……貧血おこしそ。

 因みに、前衛たるアルクェイドの役割は血路を開く事だが、登り始めてからは一度も戦
っていない。
 考えれば、そもそもあいつらはアルクェイドを狙ってきていたわけで。脚があるにしろ
地面を泳ぐにしろ、下から来たわけで。飛んでくるような奴らは部屋に直接乗り込んでき
たわけで。
 要するに―――上にこれ以上敵なんかいるハズがなかったりする。
 真面目に上を警戒している彼女を見て、心の中で何とはなしに謝ってみたり。

訂正此処まで。

718 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2006/01/19(木) 23:06:44
番外:
兄からお古のパソコンを譲りうけた
なかに「魔法使いの夜」というフォルダがあった
「兄の趣味(エロ)だ!!」と確信を持って覗いたら
1.txt〜エピローグ.txtまでがたんたんと存在していた

さて取るべき行動は?
1.兄の自作と断定しコピケ系スレで晒しモノ
2.いろいろ怖いので見なかったことにする

719 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2006/01/19(木) 23:09:45
>>718
  _  ∩
( ゚∀゚)彡 1! 1!
 ⊂彡

中身は一度くらい読んだの?

720 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2006/01/19(木) 23:18:20
>>719
見てガチだったらマズイかなぁーと思って見てない
だからコピペスレで真偽を判定してもらおうかなぁと思って

選択1があと4つでたら、とりあえず1.txtだけ晒す

721 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2006/01/19(木) 23:22:10
>>718
1で

722 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2006/01/19(木) 23:23:15
いつもの秋月修二というオチじゃね、どうせ。
個人的には>>720の兄の力作というオチを期待したいけどw

まあスレ違いだが、とりあえず1で。

723 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2006/01/19(木) 23:34:25
>>722マジで。
なら晒しても全然問題・・・あるか兄のならともかく
人様のサイトのものを勝手にコピペできないし

724 名前: 723 投稿日: 2006/01/19(木) 23:48:28
見つけたんで確認してきた、、、orz
晒しモノに出来ると思ったのに自分が晒しモノになっちまった<因果応報
でもちょっと安心

皆々様、迷惑をおかけした

725 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2006/01/20(金) 13:23:01
ん?
結他人のサイトのコピペってこと?

726 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2006/01/20(金) 17:53:27
>>718-725
この流れは
>>718の兄が「魔法使いたちの夜」の二次を作った
ということなのか
それとも単に>>718が「魔(ry」の存在をしらなかったってことなのか

727 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2006/01/20(金) 18:13:31
なんにせよ1だなw
でもこのスレでやるのか?

728 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2006/01/20(金) 18:40:18
きのこオリジナルのまほよだと思ってずっと張り付いてるんだがうpまだ?

729 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2006/01/20(金) 18:42:31
>>726
>>718が兄からもらったPCに「魔法使いの夜」が入ってるのをハケーン
兄のSSだったらプゲラ、でも本物だったらどうしよう。
そうだ、型月板で聞いてみよう!
↓
どう見ても秋月修二氏作の魔法使いの夜SSです。
本当にありがとうございました。

ってことだろ?よくこの手の話はあるじゃん。

730 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2006/01/20(金) 22:29:52
あれ? まだ砂月姫決定してないよね?
弐を。

731 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2006/01/21(土) 01:33:49
弐で決定。

732 名前: 砂月姫 2/反転衝動�� ◆aro9VWlUZY 投稿日: 2006/01/22(日) 23:21:39
 ―――くうくうおなかがなりました。



 それは。
 もしかしたら緊張で胃が縮んだのかも知れなかったし、無茶を無理矢理通した躰が崩壊
する音だったかも知れない。明らかに血を吐き出し過ぎた所為かもしれなければ、他の何
であったかも知れない。

 でもそんな事は関係なく。
 戦場にくう、と。
 哀れったらしい音が聞こえた。
 それが、開戦の狼煙だった。



 黎明を駆ける。
 異なる色彩の軍勢は、此処に、最初の激突を開始した。



「――――――噛――――――ッ!!」
 四不象のモノとも知れない怒号を猛らせ、黒い雷が迅る。

 無音を奏で。
 折れてしまいそうな全身を熱(いき)らせ、白い風が疾る。



 貴方の眼は生命を―――モノを活かすモノを観ている。
 だから。
 わたしにはあの数多の命の塊を殺し尽くすなんて出来ないけれど。
 貴方になら、アレを構成する―――命を束ねるその“点”を見付けられる。
 それを。


 ―――っておいおいおいおい、たくさんあるって。
 焦りを騙して戯言を謳う。

 表現の仕様のない混沌色、その表面を皓い命の線が。
 集中して視れば―――命の点が無数に。
 まるで無限じゃないかと思えるほどに這い回る。

 まるで、アルクェイドのように密に。
 微に入り細を穿って。
 アレの命は、一つの織物のように―――世界のように構築されている。

 それを。
 崩壊させるのは無理でも。
 たとえ今は殺せなくても。

 それでも。
 せめて、一矢を報う。


「アアアアアアアアアアアアアアァァァァァァァ―――――――――――――――!」


 ふたつの激突した――――――。
 ―――その瞬間を狙って―――。
 ――――――皓い命を罅割ろう。

 日の昇る前の、最も世界の暗い時間。
 黒い獣はその顎にアルクェイドを掴み、アルクェイドは獣を貫き。
 俺は横手から獣を串刺して。

 身の毛もよだつ、恐ろしい静寂。
 身の毛もよだつ、恐ろしい咆吼。
 身の毛もよだつ、恐ろしい静寂。

 全て、一瞬の硬直に停止していた。

733 名前: 砂月姫 2/反転衝動�� ◆aro9VWlUZY 投稿日: 2006/01/22(日) 23:28:22
 夜が終わって日が昇り、停滞は厭でも動き出す。

 まるであっけなく。
 一言の辞世もなく。
 黒い獣は―――ネロ・カオスと呼ばれたそれは、形骸を失った。
 カタチを喪い、泥と崩れる。



 真逆、真実“死んで”はいまい。
 倒しただけで、殺すには至らない。
 何時か、また。

 でも。
 目の前から脅威は去り。

「――――――〜〜〜〜〜〜」

 天を仰ぐ。
 未だ全身を晒していない赤い陽の、直ぐ側に明星が見える。
 身を投げる。
 どこかを打つ事も覚悟したが、形態を無くした泥がゆるやかに俺を受け止める。
 口を開く。

「疲れた。寝る」
「―――――――――は?」

 返事は待たず。

 そもそも体中が厭な悲鳴を上げだしていて、押さえていた傷口が開いているけど。
 放っておいたら死ぬ一歩手前まで一直線。
 ちょっと安心したら、これだ。

「あとは、任せた」

 そう言って。
 イイ笑顔を作って、相棒に全てをおっ被して。


 アルクェイドの手を取って踊り出したいのを誤魔化した。


 何か言ってるのが聞こえても、聞こえない。
 俺は、温かい眠りに落ちていく。



 反転衝動�機仁�




これらの中で読んで最も癒されたのはどれ?

壱 されど罪人は竜と踊る
弐 デビル17
参 ダブルブリッド

734 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2006/01/22(日) 23:35:12
参で

735 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2006/01/22(日) 23:36:18
どれも癒される作品でないのは狙いですかそうですか。
壱。

736 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2006/01/22(日) 23:53:12
どれも読んだ事ないけど
弐で

737 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2006/01/22(日) 23:54:55
ラボタソ萌えなので壱

738 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2006/01/22(日) 23:59:48
あとの2つは読んだことないので壱で
でもアナピヤたんみたいなのだけは勘弁な…

739 名前: アヴェンジャーエミヤ ◆ddg5.LZD9c 投稿日: 2006/01/23(月) 00:47:04
>>681-682



「――――あ、」
「あ」

 そして――――そのまま、バゼットは片膝をついた。
 唯一自由をもつ右腕を脇腹に巻きつかせるも、紅色のスーツは絶え間なく朱に染まっていく。
 しまった、失念していた。
 あの女はとっくに限界だと。
 そんな大前提を。
 彼女があまりにも平気そうに振舞うから、完っ璧に忘れてしまった。

 ったく。一仕事終わってただいま言おうとしたのに、またすぐ残業ですか。
 頭を掻く。ホント、メンドい。
 歩きの慣性はそのまま、くるりと方向転換。

「ねえ、生きてる?」
「ッ。
 ええもちろん。この程度で死んでたまるものですか」

 相も変えようとせず気丈に答える瀕死体。
『なんなのだろうコイツは』的な眉間の皺がその三倍(当社比)は増えてるのは心の迷いだろうか。
 どうでもいい。

「あっそ。じゃあ、ほれ」

 どうでもいいので、構わずしゃがんで、肩を貸した。
 もちろん脇腹から血液が吹き出るので、左手で止血も忘れずに。

「なっ?」

 お、意外と軽い。
 あんなバカげた動きをするのだから、中身は筋骨隆々ガッチガチだと思ってたのに。

「やっぱ美人はそれらしいってか。ちっと不公平だよなー」
「――――。………」

 驚愕が冷めるのは早く、訝しげに目を細めるバゼット。
 どうでもいいので歩く。
 とりあえず、コイツの行こうとした外人墓地にでも送ってやる事にしよう。

「つーか魔術師が肉弾戦出来るって時点で変だろ。狂ってる。古来より培われたイメージシカトしすぎだ。主にドラク○とか」
「………」
「世の中にはマトモに魔術使えなくても頑張ってんのがいんだぜー。アンタは規格外だろうけど、やっぱりヘコむわ」
「………」
「……なあ、反応ぐらいしてくれねえかな? 一人でバカみたいじゃん」

 溜息をこぼすが、返答はない。
 人見知りする性格なのか、それとも異性に肩を貸してもらうという経験がないのか。
 バゼットは皺を寄せたまま、まるで品定めでも行ってるかのようにオレを観察している。
 美人に肩を貸して歩く男と。
 その男に警戒しながらも貸される女。
 どういう組み合わせだよ、なんてぼやきたくなった頃に。

「君。いったい何者なのですか?」

 そんな、今更な問いをされた。
 あー、と納得したように天を仰ぐ。
 当たり前だ。
 その質問はもっともであり的確でありそして正しい。
 魔術師として警戒心が薄すぎる。裏があると邪推したくなるのもしょうがない。

「考えてないで。すぐに答えなさい」

 そしてオレに黙秘権は与えられてない。
 さて。なんて言えば適度に信用してもらえるか。
 いやまあ。言うべきことなんざ、とうに決まってたりするのだけど。



A1・「衛宮士郎。魔術師さ」
A2・「どんなご家庭にも一人はいる正義の味方だけど」
A2・「引く手数多の天才画家――――冬木の芦雪」

740 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2006/01/23(月) 00:50:32
冬木の芦雪はA3でいいんだよな?
A3で

741 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2006/01/23(月) 01:00:59
戦う絵描き燃え
A3

742 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2006/01/23(月) 01:01:40
A2
通りすがりの正義の味方で

743 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2006/01/23(月) 01:11:03
参・A2で

ダブルブリッド大好き

744 名前: 静駆 投稿日: 2006/01/23(月) 01:14:40
('A`)やっと書き込めると思ったらネタ書いてる時間が無ぇぇぇ?!

っと。 何やら盛況ですなぅ。 呼び水が私だとは到底思えん。
アレか。私がヘボすぎるせいか。 皆様方が輝きすぎて目が霞んできたぜ… ぃゃ、たぶん別の要因で目が痛いのもあるんだけどさ。(強がり

投票はA2で。 一家に一台、ブラウニー。

745 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2006/01/23(月) 01:14:44
どれも読んだ事ないけど「弐」で。

そして「A2」
面白い物言いだからな。

746 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2006/01/23(月) 01:31:00
数えてないが
壱 A2で

747 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2006/01/23(月) 02:44:44
阿部士郎はA2で決定か

砂月は参に一票

748 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2006/01/23(月) 10:54:24
じゃあ参に一票

>>744
お久しぶり。待っていたよ

749 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2006/01/23(月) 22:47:47
しかし、弐で

750 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2006/01/23(月) 22:51:50
だが、ここで壱だ

751 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2006/01/23(月) 23:19:03
砂月姫は壱で決定か

選択肢としてあがった作品からみる個人的選択肢の印象
壱:鬱一直線
弐:エロ系バイオレンス
参:グロ有り

752 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2006/01/24(火) 00:10:20
A3だ

753 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2006/01/24(火) 03:31:15
>>751
何故俺は弐を選ばなかったんだ…!

754 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2006/01/24(火) 12:47:38
A2で決定ですぜ

755 名前: 砂月姫 黄昏の衝(つき)�� ◆aro9VWlUZY 投稿日: 2006/01/28(土) 22:19:25
�宗燭修靴董�現在

 その後お姫様はたくさん眠って。
 綺麗な、それは綺麗な女の人になりました。

 お姫様だった女の人はその名前をアルクェイド・ブリュンスタッドといいます。
 その名前をお姫様はただいちど。
 宝物のように教えてあげました。

 教えてあげた人の名前は遠野四季。
 朝陽を浴びて、お姫様だった女の人に体を預けて。
 子供のように眠っています。
 実際、まだまだ子供なんですけれど。

 そうしていると、どうしてだか胸が高鳴るような気がします。
 お姫様だった女の人は、知っています。


 それはきっと、恋とか愛とかいうものです。






0/遠い過去のこと

 むかしむかし。
 まだ、ひるとよるが遠かったころの話です。
 まだ、女の人がお姫様だったころの話です。



�機燭�ひめさまのはなし

 世界でいちばん月にちかいお城に、ひとりのお姫様がすんでいました。
 白い白い、奇跡のようなお姫様です。
 お姫様は小さくて、まだ『恋』という物を知りません。



�供燭泙曚Δ弔�いのはなし

 お姫様は幼いので、ひとりの魔法使いがいろいろな事を教えていました。
 こわい王様をひとりで倒した、とても強い魔法使いです。

 お姫様はこわい王様のいちばん濃い血を引いています。
 だから、みんなに恐れられていて。
 いちばん危ない事をさせられた後、何もかもを忘れさせられてしまっています。

 それでも魔法使いは、お姫様にたくさんの事を教えます。

 楽しい事。
 哀しい事。
 教えられる事すべて。
 忘れられたらまた最初から。


□■□■

 お姫様は眠ります。
 たくさんの、哀れな同胞を殺して殺して、殺して。
 それ以外を赦されず。
 そのすべてを忘れて。

■□■□


�掘燭靴鵑廚気泙里呂覆�

 またあるところに、ひとりの神父さまがいました。

 人徳のある、すばらしい神父さまだとみんなはいいました。
 でも、じぶんではじぶんの事を、とてもつまらない人間だと思っていました。

 なにしろ、一度も心から笑った事がないのです。
 なにしろ、一度も心から泣いた事がないのです。

 神父さまはたくさんのひとに質問します。
 わたしは、どうしたらいいでしょう。

 たくさんのひとが、たくさんのこたえをくれました。
 でも、ひとりだけ。
 神さまだけが、どうしてもこたえてくれません。

756 名前: 砂月姫 黄昏の衝(つき)�� ◆aro9VWlUZY 投稿日: 2006/01/28(土) 22:20:14
�検燭靴鵑廚気泙里燭�

 ある日神父さまは、とうとう神さまにそのこたえをききにいく事にしました。
 神さま、どうして私はみんなのように笑えないのでしょうか。

 でも、神さまがどこにいるのかは、誰も知らないのです。
 でも、神さまがどこかにいるのは、誰もが知っていました。

 だから、すっとすっと探せば、きっと会えるはずです。
 エイエンにさがせば、きっと会える。

 だから、エイエンを探そう。
 神父さまは旅立ちました。

 旅にはいろいろな事がありました。
 いたましい事がありました。
 よろこばしい事がありました。

 神父さまは一度も泣きませんでした。
 神父さまは一度も笑いませんでした。

 神父さまは旅を続けました。
 神父さまは歩き続けて、月にいちばんちかいお城にやってきます。



�后燭�ひめさまのふあん

 お姫様はこわい王様のいちばん濃い血を引いています。
 だから、いつかはお姫様もこわい王様になってしまいます。

 そして、とうとうその時が来ました。
 まだまだ先の話です。

 でも、お姫様はとうとう、×××××に目覚めてしまいました。

 それは、こわい王様がのこした呪い。
 お姫様はそれを押さえる為に、たくさん眠らなければなりません。

 恐くなって魔法使いに相談しようとします。
 でも、その時魔法使いはいなかったのです。

 お姫様は不安な夜を過ごしました。
 そんなとき、お姫様は窓の下に、ひとりの男の人をみつけました。



�此燭佞燭蠅里任△�

 神父さまはいいました。
 私はエイエンを探しています。
 あなたはエイエンを知りませんか?
 お姫様はいいえ、といいました。

 お姫様はいいました。
 私は人を傷つけるようになってしまいます。
 あなたはどうしたらいいか知っていますか?
 神父さまはいいえ、といいました。

 二人はたくさんの事を話しました。
 二人はとてもよく似ていたので、たくさんの時間を過ごしました。
 二人とも笑う事も知らなくて。
 二人ともどうしたらいいかを知らなくて。

 だから少しだけ。
 二人は相手の事を、哀れに思いました。

 そして少しだけ。
 二人の胸は高鳴りました。
 でもどうしてなのかは二人とも、わかりませんでした。
 へんなの。


 もしかして―――これも×××××なのでしょうか?

757 名前: 砂月姫 黄昏の衝(つき)�� ◆aro9VWlUZY 投稿日: 2006/01/28(土) 22:21:52
�察燭修靴董△錣�れ

 そして陽が昇り、夜は新たな朝になる。

 お姫様にはたいへんなしごとがあります。
 神父さまは旅を続けなくてはなりません。

 だから、別れの時間はすぐやってきます。
 それでも二人は別れがたくて、黙ってお互いを見つめていました。

 やがて、神父さまがいいます。
 エイエンをください。
 そうすれば、あなたの側にずっといてあげる。
 あなたの悩みを、一緒に解決してあげられる。

 お姫様は悩みました。
 だって、お姫様はエイエンなんて持っていません。
 持っているのは、こわい王様ののこしたエイエンのまがいものだけです。
 それは、お姫様を蝕んでいる呪いそのものでした。

 そんなお姫様に、うたがわれたのかと思ったのでしょうか。
 神父さまがいいました。
 いった後に、自分でもびっくりするような事を。


「信じてください、私はあなたを愛しています」


 悩んで悩んで陽は落ちます。
 そして、朱い朱い月が出る。
 ―――永い永い夜がくる。

 お姫様はいいました。
 そうしましょう。
 私のエイエンをあなたに。
 あなたが私を愛しているというのなら。

 ―――それなら、×××××も恐くはないと、そう思って。

 でも。
 お姫様はそう言って、それから不安になりました。
 神父さまがとても恐ろしい顔をしていたからです。

 神父さまはいいました。
 ありがとう。そしてさようなら。
 私にはまだ、神さまを捜す旅がありますから。

 そういって、神父さまは。
 エイエンをお姫様からひったくり。
 あっという間にいなくなりました。

 あとにはお姫様がひとり。
 不安げな顔で立っていました。


■□■□

 なんで神父さまがあんなに怒っていたのか、お姫様にはわかりません。
 でも。
 そんな貌を、どこかで見た事があったような気がするのです。
 そんなはず、ないのに。

 信じていた相手から―――同胞から。
 手ひどく裏切られたような、そんな貌。
 でもそんなもの、お姫様は。

 知っているはずが、ないのでした。

□■□■

758 名前: 砂月姫 黄昏の衝(つき)�� ◆aro9VWlUZY 投稿日: 2006/01/28(土) 22:23:19
�次燭修里△函帖帖帖帖�

 魔法使いが帰ってきて、お姫様は尋ねました。
 どうしても、最後まで解らなかった事があります。
 あの、高鳴る気持ち。

 ―――愛しているとはなんでしょう。

 お姫様はそれを魔法使いに尋ねました。
 少しだけ驚いて。
 少しの間考えて、魔法使いは×××××という事だといいました。
 とても簡単な事を、とてもわかりやすくいいました。
 でも、それはお姫様にはとても難しくて、お姫様には理解が出来ませんでした。

 いつかわかる、と魔法使いはいいます。
 でも、同じ言葉を魔法使いは何度も、長い間いっていました。
 きっと、今度教えた事も忘れさせられてしまうのでしょう。
 少しだけ魔法使いは泣きたくなります。


 でも。
 お姫様には少しだけ、わかったような気がするのです。
 だって、神父さまはとてもお姫様に似ていたから。
 その神父さまの言葉なら、理解出来るにちがいありません。
 魔法使いのいう事がわからなくても、きっと。

 それはきっと、相手を殺したくなるようなもののはずです。
 だからきっと、神父さまはお姫様のことをおこったのです。
 いつかきっと、またあの高鳴る気持ちの後には―――――。


 歪な解答。
 間違った宝物を胸に。
 王様の呪いをともに。
 お姫様は忘却の眠りにつきます。


 天を見上げればそこには光。
 天の光はすべて星。
 今夜は月が見えません。

759 名前: 砂月姫 黄昏の衝(つき)�� ◆aro9VWlUZY 投稿日: 2006/01/28(土) 22:24:33
�勝世い弔�、きたるべき未来

 だから、お姫様だった女の人は知っています。
 それはきっと。
 だからきっと。
 いつか―――きっと。

 それは覚えていない昔の話。
 あのときの神父さまと同じように。
 いつかきっと。
 またあの高鳴る気持ちの痕には―――――。

 それは知るまでもない未来の話。
 あのときの神父さまと同じように。
 いつかきっと、
 ―――――あの日と同じ様に哀しい別れが。

「――――――×××××」

 女の人は摩天楼の上で、朝陽に溶けるようになにかを一言、呟きました。
 誰にも聞こえないように呟いたので、それは誰にも聞こえませんでした。


 空を仰げばそこには月が。
 骸のような白さを見せて。



 ――――――ああ、今朝はこんなにも。

 どうしてなのでしょうか。
 本当に、涙が出るほどに。

 ――――――朝陽が、眩し――い―――





今回のNG
>>755
 それはきっと、萌えとかショタとかいうものです(´Д`;)ハァハァ


今回の選択:好きな方を選んでね?

壱:後ろ姿すら出てきていない裏ルートヒロイン(複数)。
弐:生死不明(?)のカレ……………じゃなくて彼女。

760 名前: バイオリン猫 ◆aro9VWlUZY 投稿日: 2006/01/28(土) 22:45:26
>>751さんの推測は、弐については正解でした。
どのみち今回には関連がない、少し長期的な選択だったのでした。
つまり、先の展望を決めてなかったのでした。
因みに、参はお先真っ暗の暴走殺戮ヒロイン発生なのでした。

壱については、秘密。
でも、いちばん長くなりそうな、最初の脳内風呂敷一直線なので、先は長いのでした。

761 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2006/01/28(土) 23:30:13
弐

762 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2006/01/28(土) 23:32:15
弐を。

763 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2006/01/28(土) 23:40:10
弐

764 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2006/01/29(日) 00:18:00
壱

765 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2006/01/29(日) 04:19:19
壱

766 名前: アヴェンジャーエミヤ ◆ddg5.LZD9c 投稿日: 2006/01/29(日) 09:19:14
>>739


「誰って。
 どこのご家庭にも一人はいる正義の味方だけど」

 当然だろ? なんて含みも加えてみる。

「……真面目に答えなさい」

 うん、なんというか、ブチギレ一歩手前だ。眉間の皺が眉までいっちゃってる。
 命の恩人というアイデンティティがなければオレは今ごろ飛頭蛮になってたかもしれない。
 自分の選んだ行動、そして彼女が恩を仇で返すような人物でない事に感謝を一つ。
 だが。真面目に答えろ、と言うのはちょっといただけない。

「いやいや大真面目だって。
 オレは正義の味方なの。知らない? Fate/Masked Riderとか」
「ですから。それがふざけていると言っているのです」
「そりゃイカレた事だってぐらい分かってるよ。
 そんでオレはそのイカレた奴なの。どこにでもいるじゃん、そういうの」

 例えば赤子が桃太郎を読ませてもらったその時に。
 いうなれば小学生がイジメに不満をもったあの時に。
 すなわち通りすがりが非常識の殺し合いを見かけたこの時に。
 弱者を救いたいと求める。
 それだけでもうぶっ壊れ手前だ。オーケー、キミも立派な正義の味方入門者だぞ。
 いやまあ。手前、入門者の段から昇格するのは、ホント難しいけど。

「バキでもあったろ。世界最強を目指さない男子などいないって。
 いやまあ、アンタは女だけど」
「……………」

 そんな冗談に、眉まで届かんばかりまで増えた眉間の皺が返答する。
 もう疑う気概も失せました。好きにしてください、と。
 拒絶が痛い。命の恩人といえど、気にくわない相手に親しくする気はないらしい。
 最低限の義理は果たすが、最大限の感謝は行わない。
 まったく。
 再装着された鎧ってのは、オレ如きじゃ手も足も出せないようなレベルアップを果たしたらしい。

「ええと。外人墓地でいいんだっけ」
「はい。見えたら起こしてくだされば」
「起こして?」
「仮眠をとります。ではよろしく」
「は――――」

 それはかぐや姫ごと竹をぶち割ったようにはっきりしていた。
 言うやいなや、隣人の抗議なんざ聞く耳もたず、だらん、と力を抜く。
 そうして体重の全てがオレの右肩全てにかかるまで、四十秒もかからなかった。
 ○び太くんかコイツ。

「――――デタラメな」

 漏らせなかった抗議の代わりにぽつりとこぼれる。
 この一言には、立ったまま寝れる図太さと、どう転んでもオレが自分を襲わないだろう見切りへの賞賛が込められている。
 命令どおり。外人墓地へと黙々歩を進める。

 ……正直な話、コレは余計だったか。
 もう彼女がオレからの救いを必要としない以上、やはり正義の味方の仕事は終わっていた。
 だからこの残業は余分な話。意義はあれど有意義はない。
 …まあ、なんだ。
 バゼットがあそこで待ち伏せしてた『敵』の事とか。
 あの壊れた壁に残っていた、知っている香水の匂いとか。
 家のまん前であんなやかましい地獄を展開されてたのに出てこなかった住人とか。
 背中の向こうで気絶してる成金野郎の考察とか。
 どれか一つ、どれでもいいから暇潰しに考えていれば。
 こんな結末はなかったのかね、とか思うと、すごく無様なワケだ。



 ――――んで。

767 名前: アヴェンジャーエミヤ ◆ddg5.LZD9c 投稿日: 2006/01/29(日) 09:20:20
「ここはどこですかと」

 体感時間がざっと一時間を過ぎた頃に。
 衛宮士郎は寒空の下ど真ん中で迷子ってしまったとさ。

「……………」

 そして迷子宣言にもシカトこくBさん二十三歳女性。いや、寝てるからしゃあねえけど。
 電灯みたいな気の利いた明かりもないのであたりは冗談みたいにとっぷり暗い。
 一時間だけでこんなに変わるのか、とちょっびっと驚嘆。
 ひとまず足を止めてあたりを見回す。
 ヤバイ。教会の敷地内ってのは分かるが、情報はそれだけだ。
 怪我の方はバゼットが自己治療かなんかしてるらしく、脇腹の致命傷も出血だけは治まっていた。
 ほっといても大丈夫だが、このままはさすがに不毛すぎ、

「?」

 途端。
 ぶるり、と。
 とてつもなく古臭い擬音が似合う、そんな身震いをしてしまった。
 それで思い出すのは鈍感だが、今はもう二月の頭だ。
 真冬に吹きすさぶ痛みすらある寒風、鳥肌でもたてたのだろう。
 むむ。コレは少々応える。
 一時間も経過した今、人を殴った熱なんざ芯にも残っちゃいない。
 しかも健やかな寝息をたてる美人に肩を貸してるので、擬似摩擦で暖まる事も出来やしない。
 ……そう。肩を貸しているので暖まる事も。
 健やかな寝息をたてる美人に肩を貸しているので!

「―――オーケー。お膳立ては揃った」

 フッ、見くびったなバゼット・フラガ・マクレミッツ。
 確かにアンタの見切りは正しいオレじゃアンタを襲えないし遺憾ではあるが襲わない。
 だがこの滾る悪戯心までは見切れなかった。
 この場合の悪戯とは、起こした直後に肩を離して見事に尻餅をつかせるとか、まあそういうのである。

「……………」

 そんな陰謀なんて夢にも見ずに眠りこけるバゼット。
 そして素晴らしい思いつきにニヤけるオレ。
 遠慮はいらない。オレ達は他人ではなく、命も肩も預けあった仲だ。
 親愛とは時間ではなく密度だ、なんて格言が背中を後押しする。
 ――――そんじゃま、そういうワケで失礼します。
 心の中で拍手を打ち、脇腹の止血にあてがっていた左手で頬をぺちぺち叩く。

「おーいバゼット。着いたぜー、起きなー」
「……………」

 やかましそうに麗しき寝顔を歪ませて、バゼットは、



A1・起きた
A2・起きない

768 名前: アヴェンジャーエミヤ ◆ddg5.LZD9c 投稿日: 2006/01/29(日) 09:21:18
展開遅すぎるかな……。
選択肢は弐で。ほっときぱなしイクナイ!

769 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2006/01/29(日) 09:46:43
壱でA1

770 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2006/01/29(日) 10:06:54
A2

771 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2006/01/29(日) 10:20:01
A2だ。ここで起きるダメットじゃない。

772 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2006/01/29(日) 10:22:09
A2
まったくだ

773 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2006/01/29(日) 10:39:41
A1
寝起きにカウンターなのですよ、きっと

774 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2006/01/29(日) 10:44:41
A2で。起きちゃ遺憾

775 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2006/01/29(日) 10:46:40
よーしA2選んじゃうぞっと

776 名前: 静駆 投稿日: 2006/01/29(日) 12:42:57
A2に…   あ、決まってる。

さて、そろそろ書き始めたいところ。 アンカーどこだっけなー('A`)

777 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2006/01/29(日) 13:02:05
砂月は壱で

778 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2006/01/29(日) 14:28:20
ここで壱だ!

779 名前: 静駆 ◆EWxNN5VMR6 投稿日: 2006/01/30(月) 00:17:19
前スレ >>831

[select word 「γ」  …story start]



「何があったのかと聞いている……!」

呆けた俺の頭を掴んで、スーツ姿のそいつが喚いた。
精神世界に没入していた俺は、その声で現実に引き戻された。

そいつは、男モノの黒いスーツを着た…




――バゼットだった。

OK、腕は両方ある。 俺自身が飲まれてて認知できない可能性はあるが………
ま、大丈夫だろ。 この世界が■かどうかなんてさして問題はない。 問題はバゼ姐さんが見方なのか敵なのか。 さてさて第三者なのか。

「さて、ね。 呪いか何かは知らないが、気付いたら体育館倉庫でぶったおれてて―――どうも記憶が曖昧だ。 この体なんて俺のじゃない気がするし、魔術回路を確認したらやっぱり俺のじゃねぇや」

嘘はついてないですよー………信じてお願いぷりーず? なーんて思ってたらあっさり俺を解放して思案顔。  …お?

「召還魔術は不得手でして。 サーヴァントの召還は半ば聖杯が実行すると聞いていたのでそれほど失敗はしていなかったのですが…
 妙な負荷がかかると思えば召還した筈の貴方は姿を消すし、慌ててパスを辿ってここまで来たものの………」

およ? 槍の人ってば召還されたて? つーか召還時に誤動作して俺が乗り移った? へー。
ちゃんと面識あったらどうしようと思ってキャスターの仕業か何かにも見えるようにはでっちあげといたけど… そか、聖杯の誤動作か。
そんなこったろーとは思ってたけど…  俺、槍術なんて知らんしそもそも格闘技なんてやったこと無ぇし。     あ、ガッコで柔道習ったわ。役に立たんとは思うが。

にしても思考時間長いなバゼ姐さん。まだ何やら考えてるよ…… 魔術師らしいと言うんだろうかコレ。

「……いえ、経緯は些事ですね。 後で調べればいいことです。」

ん、終わったか。 俺にもシンキングタイムもー少しちょーだい? 混乱してきたよ? つかどうやって乗りきるのさこの場面?





「―――問いましょう。     貴方は私のサーヴァントか?」



α.わからん。 この身はアイルランドあたりの英雄らしいが、肝心の中身が槍術はおろか体術もまともに使えないであろう木偶ときた。
β.聞くまでもない。     ―――嬢ちゃんは俺のマスターに相応しい。
γ.パスが通っているというならそうなんだろうよ。 で、俺なんていう木偶をひいたアンタはあのサカズキに何を願うんだ?

780 名前: 静駆 ◆EWxNN5VMR6 投稿日: 2006/01/30(月) 00:23:28
('A`)相変わらず短いねー。     みなさん、ご機嫌如何?
就職決まって一段落と思いきや、今度は家の雑用に追い回される日々。

眠ぃ、寝てくる。

781 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2006/01/30(月) 00:24:30
α.正直に行こう

782 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2006/01/30(月) 00:34:01
αで。

783 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2006/01/30(月) 01:42:01
αでいってみよう。

784 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2006/01/30(月) 02:10:22
αだな。ダメットっぷりに打ちひしがれる様が見てみたい。

785 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2006/01/30(月) 02:44:53
αでとどめだ!

786 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2006/01/30(月) 02:45:01
αにしてωケテーイ

787 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2006/01/30(月) 18:18:32
す、ストレートぉ!?

788 名前: 静駆 投稿日: 2006/01/30(月) 19:17:02
('A`)あ、誤字ハケーン

サーヴァントの召還は半ば聖杯が実行すると聞いていたのでそれほど『失敗』はしていなかったのですが…

心配、ね。

αに決定か。
さて、そろそろ流れを戻さんと矛盾が発生する悪寒。 精進精進………

789 名前: アヴェンジャーエミヤ ◆ddg5.LZD9c 投稿日: 2006/01/31(火) 00:45:33
>>766-767


「……………」
「む」

 バゼットは起きない。
 寝息は規則正しいまま、歪ました眉をまた緩ました。
 挫けず続けて頬を叩く。

「起きなって。ねえ。イタズラすんぞコラ」
「……………」

 バゼットは起きない。

「なあ、いい加減に起きとけよ。今目覚めればもれなく勘弁してやるから」
「……………」

 起きない。まるで意識が抜かれたよう。

「バゼット?」
「……………」
「―――――オイ!」

 叫んだ直後。
 バゼットはオレの目論見どおり、豪快に尻餅をついた。
 そのまま仰向けに倒れこんだ様には、否応にも糸の切れた人形を連想させられた。

「! バゼッ……」

 抱き上げようとする。
 そしてまた。

 とてつもなく古臭い(理性を持たないぐらい前?)

 擬音が似合う(聞こえるぐらい大きい?)

 身震いが(寒いから?)

 した。

「ブッ――――!?」

 ぶるり、じゃなくて、グサリ。
 肉を裂く擬音は古臭くて、それだけで凶器は刃物だと悟れた。
 左肩から逆流し吹き出る赤い朱い紅い命の海。
 抱き上げようと近づいたので、返り血でもないのにバゼットに付着する。
 見た時から自分の血で真っ赤だったのに、オレのが混じっただけでもっと染まった気がした。
 ああ。
 なんて。綺麗な。血化粧――――

「―――――ギ、ギギャ――――!」

 逃げた。
 振り返るなんて余分はなかった。選ぶ事なんて出来なかった。
 染めてしまったのはまるでオレが悪いみたいで。
 なんでか汚してしまった申し訳なさで、心の杯は一を満たしてしまいそうだった。
 満たされるのはイヤだから、零す為に駆け出した。

「ガギ、ゲギャギャ、ガハ!」

 でも零れるのは血液だけ。罪悪感は薄まらない。
 とにかく気持ちが悪い。
 脊髄からゼリーの出来損ないが分泌されていて、その全てを吐きつくしたい。
 それは無駄だ。吐こうが捨てようが元の脊髄を頭蓋ごと引き抜こうがこの出来損ないはオレを犯す。
 腕を、肩を、胴を首を肺を肘を膝を目蓋を脳を心臓を、衛宮士郎を、死ぬまで。生きるまで。
 それでも感謝しよう。
 このどうしようもない嫌悪がなければ、オレは感情に人格を解かされていただろうから。

「ア――――、ガハ! ヒァアア、アア、ア……!」
 
 そして何も零せないまま、疾走は意思とは無関係に中断される。
 肺に篭もった熱気を冷やそうと、荒く肩で呼吸の反復を行う。
 逃げきれたなんて思えない。そんな希望はバゼットの意識を抜かれた時点で放棄した。
 それがどんな手法でやられたかは解らない。推測も不可。
 しかし、単純な、ある絶望と安堵が脳裏を支配している。
 
 ―――衛宮士郎は『敵』に狙われている―――

 バゼットを殺したいならオレの意識を保たせる理由はなく、二人とも葬りたいならなおさらだ。
 狙われていると表現したのは違いから。
 ただ殺したいのなら、やはり不意討ちでもなんでもして始末すれば終わりだ。
 それをせずに、わざわざこんなトコロまで逃げ出せるぐらいの致命傷に留めたのは、只一つ。
 ……呼吸に落ち着きが戻り、ようやく今踏みしめている位置を理解できる。
 確信。間違いなく。オレにとって最悪のシナリオが進んでいる。

790 名前: アヴェンジャーエミヤ ◆ddg5.LZD9c 投稿日: 2006/01/31(火) 00:46:35
「ア、ハハ、ハアア―――――!
 ……ざっけんじゃねえ。こんな陰湿なトコでくたばってたまるかよ」

 無我夢中に駆け抜けた果ては外人墓地。
 狙われているとは執着を込めての表現。
 留めた理由は、自分が死ぬんだという事実を認識させてから殺すため。
 つまるところ。

「……どうやら気づいたようだな。
 どうだ。正義の味方が果てるにはもっとも相応しい展開だと思わんか?」

 余裕に満ちた嘲笑が聞こえる。
 つまるところ。これ以上なくおあつらえ向きな処刑場に誘導されたという事だ。
 声の主が誰だかは解らない。
 そんな預かり知らぬ事実考察に脳髄を1%でも使うのは下手すぎる。
 そしてオレの扱える限りの100%で脳を動かしても、生きて帰れるとは思えなかった。

 見晴らしの良い外人墓地。後ろをとったのは『敵』。極上の魔術師であるバゼットの意識を抜いたその異常。
 敵う要素がどこにある。
 無限に散らばる可能性をどれだけかき集めようが、奇跡が見当たらない。
 もっとも、

「――――ハ、なんでさ。
 ぜんっぜん思わないね。正義の味方はむしろこういう場面に強いんだぜ?」

 それを受け入れられる程、現世に未練がないワケないのだ。
 強がりでも何でもなく、口端が歪に釣り上がる。
 上等じゃねえか。
 絶体絶命のこの場で見事生き残ってギャフンと言わせてやらあ……!

「―――――」
「―――――」
 
 お互いから消える軽口。
 背後から真横にズレていく気配。
 一歩ズレていく度に無色だった気配がドス黒く変質、殺気のそれに肥大していく。
 光源は天で輝く月と星だけ。見えない事はないが反応が遅れるのはさけられまい。
 闇に紛れての奇襲とは、なるほど正義の味方を殺す悪役らしい。
 出来損ないに侵食された全身が軋む。
 さあ、さっきのように、冷静に残酷に済ませるとしましょう。

「――――同調開始」

 蚊に吸われた血みたくかすれた声。
 打開の策は元よりコレのみ。さっきのように、強化した鞄で『敵』を殴りつける。
 その後バゼットの元に戻り、引きずってでも新都に降りれば元通りだ。
 しかも今は正気を失ってない。体は亡くなったように静か。
 ように、ではなく、より。
 もしかしたら、と希望がよぎる。それでも高揚しないのだから、今夜は感情の起伏が激しすぎる。

「……全工程、」

 言を紡ぐまでもなく構築されていく魔術。
 強化のイメージは堅く、実像に進化して現実をも侵食していく。
 鞄を握り緊める右手がじわりと疼く。まるで低温火傷したみたい。
 その中途半端な熱に、何故か。

“一緒ニ、逃ゲヨウ”

791 名前: アヴェンジャーエミヤ ◆ddg5.LZD9c 投稿日: 2006/01/31(火) 00:47:26
 今朝の悪夢を、引きずり出された。

「!」

 三字の方向、真右から殺気が迫るのを感知。
 余計なモノを幻視したせいか、反応が遅かった。
 間に合わない。これは避けられない。
 どうするかと思考するよりずっと速く、体を半ば強引に捻り鞄を遠心力に預ける。
 これでもう回避は絶対不可能。おそらくは右肺に、第二の致命傷を穿たれる。
 代わりにコチラもタダではすまさない。すませてはならない。
 シンプルに相打ち狙いだ。オレは肺をくれてやるから、テメエは意識をよこしやがれ――――!

 豪勢に命を撒き散らす胸。
 突き刺さった剣。
 遠心力に筋を殺されながらも振るわれる右腕。
 そして――――、空を殴った唯一の勝機。

 ぶうん、と。

 間の抜けた風切り音を、遠く遠く、二度と届かぬ位置で聞いた。

「ギ――――ッ!」

 断末魔は失敗を謡う。
 九時の方向、ちょうど正反対からバッサリと背中を斬られた。
 脊髄からだらしなく髄が流れていくのは、ハッキリとひどくみっともない。
 初撃は必殺にして絶命への布石。
『敵』は剣を投擲したその直後、オリンピックも白旗上げる脚力で逆に回り込み、勢いも加えてオレを断ったようだ。
 空ぶったのはその為。決死の相打ちも、その場に目標がいなくちゃ出来るワケない。
 正直な感想。やられたとしか言えない。

 左肩、右肺、背骨。
 その全てが致命傷なのだから、オレは既に三度死んだ。
 ならば、一度ぐらいは意識が消えないと道理が合わない。
 落ちていく。
 体も心も、酷すぎる苦痛の中でまっさかさまに、深く暗い黒に、沼に。
 ふと、聞こえる何か。

「まさか、な」

 何の言葉か。理解出来る程の知能指数は、残念ながら失せてしまった。
 最後に『敵』が踵を返す音と衛宮士郎が倒れた音が重なり、偶然にも協調。
 キチッ、と、ドサリ。
 まるでパズルが嵌ったような音だなと。
 どうでもよさ気に思ってみた。



A1・―――――何かが、聞こえる。
A2・interlude“RED MAGICAN”
A3・interlufe“RED ARCHER”

792 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2006/01/31(火) 00:51:53
A1

793 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2006/01/31(火) 01:00:01
A1

794 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2006/01/31(火) 01:09:43
A1!

795 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2006/01/31(火) 01:11:08
A1立直!

796 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2006/01/31(火) 01:20:56
A1!すとれーとぉぉおっ

797 名前: 17分割 投稿日: 17分割
17分割

798 名前: 砂月姫 3/反転衝動�� ◆aro9VWlUZY 投稿日: 2006/02/02(木) 23:51:23
>>755-759
3/反転衝動��


 あの日から、あなただけが私の支え。
 あなたは覚えていないだろうけれど。
 あなたは知りもしないだろうけれど。
 一緒にいなくても、一緒にいたから。
 不安だって、不安じゃあなくなった。

 ―――あなたがいて、笑っているだけで幸せだった。
      それは本当に、夢のような日々。




 その部屋は、どこか空虚だった。
 時代に取り残されたような様式の照明がその場を薄く照らす。
 照らし出さされたのはやはり古式の、骨董のような大振りの家具達。
 以前の主を失ってからまだ日が浅く、当代の主を迎えても日が浅い。
 充たされていたモノが流れ出て、再度充たされる一瞬前の寂寥感。
 その、部屋の寂しさが移ったかのように部屋の主は虚脱感に晒されていた。

「―――以上で、報告を終わります」
「ご苦労様。本当、久我峰でも見付けられないなんて………どこへ雲隠れしたのかしら」

 重厚な雰囲気を持つ部屋とは不釣り合いに、事務的な会話を交わす二人の人影は、年端
もいかぬ少女達だった。
 なにがしかの報告書を読み上げたのは和服を着た、髪にどこか赤みがかかった少女。
 給仕のように丸い盆を持つ姿を見ると、まるで時代劇の中にいるような感がある。
 それに応えたのは長い黒髪を伸ばした、この部屋の主たる少女だった。
 簡素な洋装は和服の少女と相まって、一層鮮やかに薄闇に映えた。軽く紅茶をくゆらせ
れば、確固とした貫禄を醸し出す。

 二人の表情は、固い。
 それもそのはず、彼女らが迎えるはずだった新しい家族が、相見える前に蒸発したのである。否、その表現は少し正しくない。八年前にこの家を放逐された彼を、新たにこの家
の主となった黒髪の少女が呼び戻したのだ。
 八年間。
 それは、長い。人が容易く変わってしまえる年月だ。
 だからこそ、不安と期待をない交ぜて待っていた彼は。
 本当に、目と鼻の先。
 彼の通う学校から帰宅する、この家までのどこかで消え失せた。

「こうなると、どうしたものかしら。まさか、さっぱりと足取りが途絶えるなんて」
「貯金にも手をつけた形跡はなく、友好関係を洗っても何も出てきません」
「先ず、どうやって消えたのが解らない。協力者がいたにしても、動機がない」
「同時に同じクラスの女生徒も失踪していますが、単なる友人だったといいます」
「怪しいわね。その女、混血の家系なんでしょう」
「ええ、刀崎の分家で、軋間の血も少し。でも、随分と古い話です。この街では」
「珍しくもない、か。そうよね。久我峰だって調べるまでは判らなかったのなら、関係ないか」

 ひとしきり、既に通った道筋を辿り、見落としがないかを探る。
 それは慎重を期すというよりも、既にでている結論を口に出すのを躊躇うかのように。
 そして、本当に見落とした事柄がない事を確信して。

「―――いいわ。もう夜も遅いし。続きはまた明日にしましょう」
「はい。それでは」

 ぱたん、と。ドアが閉まり、着物の少女が退室したのを確認して。
 ぱさり、と。手元にあった地方紙を広げる。その一面の見出しにはこうあった。
『連続吸血殺人、終了?!』
 ここのところ、ひっきりなしにでていた行方不明や猟奇殺人が、ある日からぱたりと途
絶えたのだ。まるで何もなかったといわんばかりに。
 まるで、或いは。犯人が■された、とでもいうように。
 ある日から―――あの日から。

 もし、そうだとしたら。
 この猟奇殺人の犯人と、それを■しうる人物。

「―――――――――き、兄さん―――」

 凛とした姿勢は崩さずに。
 だからこそ、その背は儚く陰る。

「―――兄さん。貴方はどこにいるんですか、わたし」

 出された紅茶は結局僅かしか口を付けていない。
 その水面には既に湯気はなく、慌てて飲み干す。

 それはまるで、こぼれ落ちそうな何かを呑み込む子供のようなでもあった。

799 名前: 砂月姫 3/反転衝動�� ◆aro9VWlUZY 投稿日: 2006/02/02(木) 23:52:39

 いつの間にか寝てしまったらしいと解ったのは、当然の事ながら起きて後の事だった。
 控えめに揺すられて起きれば、不自然な姿勢で寝た為か、体は硬く意識も呆としていた。
 見回りにきてみれば電気を点けたまま眠りこけているのを発見したのだという。

「やだ。机に向かって居眠りなんて………ごめんなさい翡翠」

 トンデモナイ醜態だった。少なくとも身内以外には見せられない。
 それだけ、今回の騒ぎが応えたのだろうか。
 そうかも知れないが、それだけではない。
 これまで、父親が死に、家督を継ぎ、その上で実権を握り、なにかと煩い姻戚を屋敷か
ら追い出し………。やるべき事も、やるはめになった事もたくさんあった。
 その上での今回の騒ぎだ。今までは処理するだけの事だったが、今回は出来た事などな
く、心配だけを募らせていた。

「やはり、見つからなかったのですか」

 顔をしかめたのが実際以上にそのことについての暗い結果を思わせたのか、おそるおそ
るといった声で、翡翠と呼ばれた少女は躊躇いがちに聞いた。
 その口調からは、事態が進展しない以上のなにかを警戒しているような風さえある。
 そして、事態が進展しない事も、決して良い方へ分類されるニュースではない。

「ええ―――でも、なにか悪い事があったわけではなくて………」
「そのことについて、先ほどこのようなモノが」
「―――なにかしら?」
「その、久我峰様がお送り忘れたようで………」

 手渡されたのは一枚のファックスだった。
 端に走り書かれた言葉と、手元の書類と照合して、それは間違いないようだった。
 内容としては、優先度の低い細々とした事。
 それから。

「怪談?」

 やはり走り書きされた、追加の情報。書き添えられている通り信憑性の高くない、たわ
いもない噂話の類だった。
 そして、一応にせよ報告されるに足る情報でもあった。
 彼の通っていた高校で、夜の学校に“吸血鬼”が出るという噂。
 発生したのはつい最近。
 それこそ、連続猟奇殺人が集束するのと、彼が失踪するのと前後している。
 鵜呑みにするどころか、確たる事は一つもないが。

 でも、もう限界だ。
 私は塔の上で、暗い洞窟で、助けを待っているお姫様という柄ではない。
 むしろ―――生半可な竜なんて蹴散らしてみせる。
 ああ、そうだ。
 今まで、隙を見せるのが恐ろしくて、ずっとここにいてなにも出来なかった―――しなかった。
 それは違う。それは、姻族連中に弱みを見せたくなかっただけの事。どうしようもなく
不安だなどと、知られるのが恐かっただけの事。
 なんだ、そんなこと。

「―――出かけます。翡翠、用意を」

 運良く的中なんて、そんな偶然はもとより期待していない。
 これは儀式。
 遠野家当主たる私が―――遠野秋葉が、こんな事でくじけてなんかいないと己に示す儀式。
 空回りかも知れない。虚勢を張っているだけかも知れない。
 でも―――もう恐れてなんかいない。

「秋葉様?」
「今すぐ。一秒だって惜しいくらい。心配は要らないわ、ちょっとそこまで用事が出来たの」

 私は―――



壱:一人で行く。
弐:琥珀を連れて行く。
参:翡翠を連れて行く。

800 名前: バイオリン猫 ◆aro9VWlUZY 投稿日: 2006/02/03(金) 00:02:08
orz
また改行一カ所忘れてました。読みにくくて済みません。

801 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2006/02/03(金) 00:05:40
壱だ

802 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2006/02/03(金) 00:17:56
壱

803 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2006/02/03(金) 00:34:31
弐ィ!

804 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2006/02/03(金) 02:10:21
参で
よく知らないんだけど、翡翠は戦えるの?

805 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2006/02/03(金) 05:33:59
弐

806 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2006/02/03(金) 11:13:18
難しいな。とりあえず翡翠好きなんで参。

>>804
戦えない。

807 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2006/02/03(金) 11:29:47
弐だな

808 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2006/02/03(金) 19:36:13
壱で

809 名前: 静駆 投稿日: 2006/02/03(金) 20:16:37
琥珀スキー。 弐で。

明日は調理師免許の為の健康診断。 ('A`)昼飯代要るなぁ…(貧乏

810 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2006/02/03(金) 22:52:01
弐ゃごー

811 名前: アヴェンジャーエミヤ ◆ddg5.LZD9c 投稿日: 2006/02/05(日) 11:06:41
>>789-781



「ハギ――――、アア、アアア……アァ!」

 どすん、と音をたてて、名も知らない誰かの墓標に背中を預ける。
 実際はそんなに元気な音はなかっただろうけど、心情的にはそれぐらい頑張った。
『敵』に殺された位置とこの墓標までは二メートルもない。
 それっぽちの移動で終末手前の蝋燭は完全に溶けきった。
 端的に説明すれば、もうハナクソほじる力もねえから好きにしやがれってカンジだ。

「カ―――、にし、ちゃ、ア、余、裕、ヒィ、あるよ――、な、ハ」

 独り言は途切れ途切れでひどく聞き取り辛い。
 原因は穴という穴、口という口から血を撒いているからなので、改善の余地はない。
 その血流が枯渇という絶望の果てに流れ着くまで、おそらくあと三十秒とかからないだろう。
 枯渇とはもちろん、衛宮士郎の死亡と同義である。
 そんな死に体でなお動いたのは気に食わなかったから。
 いちいち墓地で殺害する『敵』はもちろんの事。
 正義の味方のクセしてあっさりと悪党に殺された自分にもイヤになる。
 ……いや、そんなのは都合のいい後付けでしかない。
 本当に気に食わないのは。

 ヤラレタ。ヤラレタ。ヤラレタ――――!

 歓喜をもって怨み言を吐く、しつこい金切り声以外の何物でもない。
 昨日の焼き増しだ。
 耳をふさぎたいのにふさげない。やかましすぎて事実しか思えない。
 吐き気がする目眩がする耳鳴りがする鼻が曲がる舌が千切れる肌に電線を巻きつけられる。
 今朝の悪夢とは比ぶるまでもないが、死にかけの人間にはこれで充分。
 どうしようもなく、何もかも、投げ出したくなってしまう。

 モウスグ。モウスグ。モウスグ――――!

 ケモノを直列的にイメージさせる声が寿命を知らせる。
 オレは残り十秒を切った。撒かれる赤色も徐々に勢いを失いつつあった。
 ……さんざ抵抗しといてなんだが、死んでいくに恐怖はない。
 想像しうる死亡は十年前に存分と味わったし、今朝は復習すらした。
 やらなかった事もなければ、救った代償に殺されるというシチュエーションも上等だ。
 しいて怖い事を挙げれば、やはり今後の事。
 衛宮士郎が居なくなったら悲しむ人が結構いる。
 正義の味方を目指す存在としては、そこらへんが少し怖い。

「マあ、そレモ終わルコとカ」

 ぼやく。多分、遺言。
 自分が消えてなくなろうが、どうせ一週間も経てば誰の感傷もなくなる。
 確信でも悟りでもない、単純な体験談。
 昔、バカなクソガキが死んだ。
 最初は誰もが動揺した。慌てふためいた。中には少年を元に戻そうと無茶苦茶してくれた人もいた。
 しかし。それも永遠ではなかったのだ。
 死んだと言っても代わりはいたので、慣れてしまえばどうでもよかったらしい。

 日々は廻る。緩やかに、だけれど駆け足に。苦しいけど、楽しげに。

 誰が席から立とうが同じ事だ。
 人一人の喪失で砕けるほどその輝きは脆くない。脆くてはいけない。
 一週間というのは早すぎるかもしれないが、一生つきまとうワケでもないので、違いは早いか遅いか。重大な誤差ではないだろう。
 だから怖がる必要なんてない。
 むしろ納得さえしている。

 十年前には規格外の火事で死んで。

 三年前には生きたまま変貌した。

 あんなのと比較すれば、今回の終わりは、比較的マトモだ。

 だから、あるとしたら恐怖ではなく未練。
 あー、そういえば一枚も納得いく絵が描けなかったなあ、なんて。
 手段でしかなかった筈の趣味を、今際で惜しむぐらいである。

 サア。サア。サア。サア――――!

 残り五秒をきった。
 金切り声は止まずやかましいが、出来る事のなくなったオレにはちょうどいい暇潰しだ。
 ついで目蓋を落とす。目が開いたままの死体はあまりよろしくないから。
 人工的な闇はあちこちがグチャグチャに薄汚かったが、秒間を過ごすには心地良かった。
 そうしてついに一秒前。衛宮士郎が殻から崩れ去る間際。

「――――え」 

 あるべき運命が、オレを見つけた。

812 名前: アヴェンジャーエミヤ ◆ddg5.LZD9c 投稿日: 2006/02/05(日) 11:07:36
 ア―――、――――、

 金切り声が、ピタリと去った。
 ケモノのような叫びなら、その習性もケモノのものだったか。
 突然現れたそれに気づかれれば、間違いなく。そんな直感に憑かれたように、元のカタチに去った。
 おかげで崩れるタイミングを逃したらしい。
 指先の一本も曲がらないのは変わらないが、自我に若干の猶予が生じた。
 もっとも、その隙間もせいぜい数秒程度だ。
 その中で希望を持つほど調子よくはない。
 なので、何も考えないことにする。

「―――やめてよね。なんで、あんたが」

 団欒の象徴が聞こえても、考えない。

「背骨、右肺、左肩。特に背骨の裂傷がヒドイな。コレでは延命措置も無駄だろう」

 宣告のどこかが変貌以前のオレに似ていても、考えない。

「おい。何をする気だ凛。
 やめておけ。それは貴重な切り札なのだし、コレはきみの責任ではない」
「ええ。これはこいつの不運で、わたしはなんの関係もない。
 けど、だからって見捨ておく理由なんかには、ならない」
「落ち着けマスター。今のきみはひどく興奮している。
 この男ときみの関係は知らないが、それを使わせる事は出来ない」

 静かに、現状を過ぎるだけだ。

「サーヴァントとして反対する。きみの命令に逆らうのは辛いが、それだけの価値がそれには」
「―――じゃあ命じるわ。
 アーチャー。ことが終わるまで止めないでちょうだい」
「な――――っ!
 バカな、どこまで考えなしなんだきみは! こんな事で二つ目の、いや二つも切り札を消費するなど……!」
「使いものにならない機関は魔力で埋め合わせて作り直し、か。
 ま、大丈夫でしょ。心臓が潰れてないだけマシだわ、うん」
「ッ、――――。……………」
「……ありがとう。でも謝らないわよ、アーチャー」
「承知している。地獄に落ちろマスター」

 十年来の相棒みたいなやり取りも、考えない。
 なにかとても凄いものに包まれても、考えない。
 静かに。静かに。
 誰も喋らないから当たり前ではあるが、静寂のみが定義を果たしていた。
 ………それから過ぎた時間は十秒か、十分か、十時間か。
 ふいに、茂みが揺れる音。小さい物が落ちたらしい。
 次いで小さく体が爆ぜた。それは蝋燭に真新しい灯り火が与えられた証。

「―――――あー……、やっちゃった」

 やっと終わった。
 目前の誰かは生涯のライバルを打ち倒したみたく、喜びと寂しさの混じった溜息をついた。
 なら、もういいだろう。いい加減、眠くて仕方ないんだ。
 闇から闇に意識が渡され。
 沼から沼に身を預ける。
 もう邪魔出来るコトは何もない。
 この眠りの後、衛宮士郎は目覚める。漠然と、希望ではなく、当然に考える。
 何が起こったかは解らないし、如何な命運から導かれた結果なのかも不明だ。
 ただ、血流と鼓動と活気に溢れる体が、それは教えてくれた。
 ……まあ、なんだ。
 もう眠っちまったからいいけど。
 死人を狂ったように揺するのはらしくないぜ、遠坂。





「         」

813 名前: アヴェンジャーエミヤ ◆ddg5.LZD9c 投稿日: 2006/02/05(日) 11:08:27
 呆然と、声が聞こえた。
 鈴のように涼やかな気もすれば、騎士のように凛としてるとも感じた。
 曖昧だ。ドブのように醜いと考えれば湧き水のように美しい。
 その逆も然りである。ここでは一つを定義するのが 非常に困難だ。

「          。 
            」

 ……誰だろうか。
 声はどうやらオレにかけられてるらしい。
 確か、オレは外人墓地で墓標を背もたれに熟睡してた筈。
 そんな怪しい行動を黒ずくめのオレがしていれば大体はさけるだろうに。
 と、なると。
 必然的に、声の主はオレを起こしたいのだろう。
 体は痛覚以外の機能を停止しているが、ついてるので動かせない事はない。
 だから、ちょっとだけ起きてやろうかと思う。

「          」

 急かすな急かすな。
 大丈夫だって死んじゃいねえよ、ただ寝てるだけだ。
 血塗れで説得力なんざ欠片もないだろうが、純然たる真実だから反論は却下だ。
 あー、納得出来ない? じゃあしょうがない。
 今―――、ああ抉られたように痛みは走るが――――、我慢して目蓋を開けよう。
 長年油を差さなかった機械みたいに悲鳴を上げながらも、力づくで言う事を聞かせる。
 溶岩の灼熱を存分に味わった代償に、視界が開いた。
 目が合う。そこいたのは――――、


A1・銀白の紫陽花
A2・鎧を着込んだ麗人

814 名前: アヴェンジャーエミヤ ◆ddg5.LZD9c 投稿日: 2006/02/05(日) 11:09:19
ルート確定します。解りやすいですね。

815 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2006/02/05(日) 11:09:29
A2

816 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2006/02/05(日) 11:13:25
A1

817 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2006/02/05(日) 11:14:00
A1

818 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2006/02/05(日) 11:18:18
A1

819 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2006/02/05(日) 11:20:05
ここはA1で。

820 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2006/02/05(日) 11:36:17
しかしA2で、

821 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2006/02/05(日) 11:49:44
迷うがA2で。

822 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2006/02/05(日) 11:51:05
A1いくぜっ!

823 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2006/02/05(日) 11:58:37
A1レッツゴー

824 名前: 砂月姫 3/吸血衝動�� ◆aro9VWlUZY 投稿日: 2006/02/05(日) 12:47:05
 早くも後悔の念が頭をもたげてくる。
 最善を尽くした結果であっても、それが最良にはほど遠い事には慣れている。
 そう、他に途はなかっただろう。
 先ず、翡翠を連れてくるわけには行かなかった。彼女は屋敷から出られない。
 独りというのは幾らなんでも立場のある人間としては忌避すべき処。
 そして、“もしも”の時に備えて琥珀を連れてきた。
 だけど。


 ………おかしいなぁ。
 夜の学校の探索って、こんなにも騒々しいものだったっけ?


 なんか、琥珀が夜の学校を徘徊している―――いや、破壊している。
 言葉が出ない。
 なんであちこち首を突っ込んでみるのか。
 なんであんな負の方向に成長した掃除スキルを発揮して教室を荒らしているのか。
 それもすごい徹底的に。
 覚悟してくださいまし、とか燃え尽きろ、とか言い出さんばかりの魔法少女の如き破壊力。

 というか琥珀、意地になってるのかしら。荒らし方が尋常じゃありません。
 もしかして遠回しに文句を言ってるのかしら。あら琥珀今からちょっとそこまで行きた
くなったの付いてきてくれる、と有無もいわさず起こして連れてきたのがいけなかったの
だろうか。
 だとしたらイケナイ。現状はともかく後始末は………どうなるのかしら。

「………………」
 用心しながら、いやもうなにを用心すればいいのか解らないけれど、そっと跡をついて
いく。
 じっと、琥珀の散らかし具合を観察する。
 ………凄い。どうして参考書とか携帯ゲームとかお菓子がこんなにたくさんあるのかしら。
 まさか、この学校の人たちは学校でも家でも勉強をしないのかしら、と喉を鳴らしたとき。


 不意に琥珀の手が、停められた。
 見知らぬなにものかの手によって、その手は万力のような力強さで停止させられていた。


 今より――――――
 ――――――十秒間。


 死線が、交錯する。

825 名前: 砂月姫 3/吸血衝動�� ◆aro9VWlUZY 投稿日: 2006/02/05(日) 12:48:12
 次の教室(生け贄)の扉に手を掛けていた手が停められていた。

「――――――え」

 自身のものでなく主のものでもないその手にはどす黒い何かがこびり付いていたことま
でを瞬時に把握し、警告にならないにしろ、異変を告げる声を喉から絞り出した。
 すばらしい。ただのお手伝いさんの取れる“このような場合”への対処としては、取り
敢えず満足のいくものだった。テストだったら花丸がもらえるだろう。
 だからもしかしたら、そこで動けなかった事さえも帳消しにできるかも知れない。
 次の瞬間、遠野秋葉が正体不明のもう片腕の軌道との間に飛び込んできて視界が塞がれる。

 一秒経過。

 次の二秒、三秒を二人は廊下の滞空時間として消費した。
 諸共吹き飛ばされたのだと、理解するには短すぎた。
 ただ、三半規管が風斬音を捉え、内耳が体の傾きを訴える。そして浮遊感。
 生まれて初めて飛んだ次の瞬間、廊下の端の行き止まりに激突して琥珀の意識は刈り取
られた。四秒。

 正体不明の影が迫る。
 それはまさに二人の影と化したかのようにその軌跡を追撃しその手を鎌に見立てて死神
のように振り下ろそうとした。その腕が停まる。遠野秋葉が掴んでいた。薙ぎ飛ばされる
直前に背に庇った従者ごと後へ飛んでいたのだ。おかげで肋骨に罅が入って―――それだ
けだ。
 一秒の間、眼を交わした。

 それから、殺し合いが始まった。

 ―――六秒。
 死神はもう片方の手を繰り出す事はせずにその鐖門(あぎと)を開き、自分の手を停め
たその手を囓り伐ろうと眼を金色に光らせる。そこに迎撃。秋葉のアッパーが面白いよう
に決まる。手を離して、姿勢を正し、畳み掛けるようにその腹部を狙って蹴りを叩き込む。
確かな手応え。

 ―――七秒。
 その蹴りが自らの手放した腕に停められたと気づくまでの一瞬に足首が捻挫していた。
無造作に掴むだけで、握力だけで片足を使い物にならなくした。化け物は牙の覗く唇を歪
める。更にその足を引っ張り秋葉をその身に抱き寄せて、再度喰らい衝こうと牙を剥く。
飛び散る鮮血。

 ―――八秒。
 秋葉の頭突きがカウンター気味に化け物の鼻面を直撃する。鼻血で泥ついてしまった自
慢の髪を振り乱し、崩れてしまっている体勢を起こすことなく。むしろその勢いを駆って
螺旋を描くその拳を叩き込む、そう見せかけて、その掌は空を斬って襲撃者の脚を襲う。
骨の折れる音。

 ―――九秒。
 一瞬の体勢の差で、上からの腰も利いていない殴打が、無防備になった腹に墜ちてくる。
それを背中で受けた。肺から空気が駆逐される。なんて腕力。同時に晒される首筋は見逃
してはくれなかった。悲鳴のような歓喜を滾らせて、熊手のように広げられた鋭い鉄爪。
骨が砕け散る。

 ―――十秒。
 逸らした体を発条のように引き寄せ、廊下を穿った拳に纏い付く。反撃を与える暇を与
えさせずに。砕けた足を行使し、千切れた背筋を酷使し、背負い投げの要領で担いで、廊
下の外へ投げ棄てる。同時に爪に腹から肩を通り、首筋までに渉る長い長い疵が熱を持つ。
硝子が割れる。

826 名前: 砂月姫 3/吸血衝動�� ◆aro9VWlUZY 投稿日: 2006/02/05(日) 12:49:04
「――――――っあ」


 十秒の死線を越えて尚、危険は去らない。
 むしろこちらは満身創痍、立ち上がるのがやっと。
 それに引き替え―――。

「―――嘘、でしょ?」

 向こうはそうでもないらしい。
 既に窓の外で立ち上がって、嘲笑うかのようにこちらを見ている。
 金色に光る赫い眼が、闇夜に浮かんでいる。

 取れるべき手段は少ない。
 このまま、殺される。
 ―――却下。
 それだけはできない。秋葉の後には、琥珀がまだ意識を取り戻せずにいる。もしかした
ら頭を強く打ったのかも知れない。なにしろ意図せざる事といえ、着地の時にクッション
にしてしまったのだ。体の頑丈が違うというのに。

 琥珀。
 そう、琥珀だ。
 琥珀を使えば―――反撃できる。
 あの愚か者を、容赦なく奪い尽くせる。


 それは、いい考えだと、朱い色の心臓が囁いた。


 そうだ、そうだ。
 なにを躊躇う事がある。
 倒れたままの琥珀の処まで退却する。
 そのままその首筋に目を遣る。
 ごくり、と喉が鳴る。
 嗚呼。





壱>琥珀―――あなたの血をちょうだい。
弐>琥珀の血を―――飲んだりしない。
惨>琥珀―――あなたの命をちょうだい。

827 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2006/02/05(日) 12:51:44
惨

828 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2006/02/05(日) 12:53:19
壱ー。
外道ですかそうですか

829 名前: バイオリン猫 ◆aro9VWlUZY 投稿日: 2006/02/05(日) 14:01:17
うは。また忘れてました。
>>798-799

あと誤字
>>825 最後から2行目、
同時に爪に腹から肩を通り ×
同時に爪が腹から肩を通り ○
>>826 13行目
体の頑丈が違うというのに   ×
体の頑丈さが違うというのに ○

830 名前: アヴェンジャーエミヤ ◆ddg5.LZD9c 投稿日: 2006/02/05(日) 14:26:12
カレンルートですか……。了解です。

砂月は壱を。

831 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2006/02/05(日) 14:52:22
惨。

832 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2006/02/05(日) 16:25:31
壱ぃー!

833 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2006/02/05(日) 16:48:30
何か少ない弐で

834 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2006/02/05(日) 16:57:16
惨

835 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2006/02/05(日) 17:19:32
惨立直!

836 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2006/02/05(日) 17:25:13
弐

837 名前: 17分割 投稿日: 17分割
17分割

838 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2006/02/05(日) 21:52:44
弐で。

839 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2006/02/05(日) 21:55:01
壱でおっかけリーチ!

840 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2006/02/05(日) 22:07:26
惨

841 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2006/02/08(水) 13:25:23
弐

842 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2006/02/08(水) 17:02:03
>>841
もう決定してるんだが

843 名前: 17分割 投稿日: 17分割
17分割

844 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2006/02/10(金) 09:54:26
17分割されててカウントわからんw

845 名前: 静駆 ◆EWxNN5VMR6 投稿日: 2006/02/12(日) 02:15:57
>>779  青い人に取り憑いたヲタがため息。

「―――問いましょう。     貴方は私のサーヴァントか?」


……まぁ、この質問に対する答えなんて決めてたけどさ。

「わからん。 この身はアイルランドあたりの英雄らしいが、肝心の中身が槍術はおろか体術もまともに使えないであろう木偶ときた。」

やっぱり素直が一番だろ。

「…? ランサーのサーヴァント……  アイルランドの光の御子ではないのですか?」

「この精神っつーか魂っつーか… は、ホリンとかクー・・なんだっけ? とか呼ばれるタマじゃねぇよ。 この体がその英雄なのは確かだと思われるが… ランサーかどうかは認知出来ねぇ。」

「………は?」

さて、どこまで話したものか…  話すなら一気だな。 落ち着かれる前に畳み掛けといたほうが良かろう。

「聖杯からの情報も不完全なんでね。 彼の適正から言ってキャスターってのもありえない話じゃないだろう?」

いや、どう言い繕うか、かな?

「ついでと言ってはなんだが、霊体化も出来ねぇんだわ… ま、練習次第でどうにかなりそうではあるが。」

「つまり、戦闘力に乏しいと?」

「………うわ、手っ取り早く断言された」

「そう言っているようにしか聞こえませんが?」

はあ、と二人同時にため息をついて笑いを誘う。  すみませんねー、戦えなくて?!

「聖杯からの情報が不完全だ、と言いましたね? それは断片的な? サーヴァントシステムは認識しているのでしょう?」

………? あ、軽くスルーしちまった気がする………    どーしよ。

「…………曖昧、って表現が近いかな。」

「と、言うと?」

「聖杯戦争自体の理屈はわかるんだが… 自分のクラスがわからんし、この世界の時代背景とか観念とかもよくわからん。 幸い、日本人なもんで日本語はわかるよ。 言葉が通じて助かってる。 ルーンとか読めるのかなぁ…」

頭が痛いのは聖杯からのアクセスか、はたまた魔術のせいか。 マナが濃すぎるからか。 魔眼か何か目覚め掛かってるか。
…ランサーの持病か何かだったら嫌だな。 無ぇとは思うが。

「―――参加権を入手できただけでも良しとしますか。 貴方が弱いというならば私が前に出ましょう。貴方に知識が無いというのならば教授しましょう。」

「女性に戦わせて後ろにひっこむ、か。 なんかやるせないけど仕方ないし。 すみませんねー変なサーヴァントで。」

「聖杯の誤動作による人格の転移…? それとも精神崩壊か何か…? いいえ、素直に解釈すれば異世界の人格…? この世界の理を有しないということは…」

……あ、そのまま自己埋没しちゃうの? 俺が姐さんのサーヴァントになるのに異存は無いケド……

姐さんの前に跪く。 んー、そろそろ帰ってきて欲しいなー。

「我が槍は貴女の為に。 我が命運は貴女と共に。  貴女をマスターと認め、貴女の為に戦おう。」

変わった雰囲気にとまどい、少し硬直する姐さん。 あ、可愛ぇ。


�機ァ 屬箸海蹐如⊆蟠霑�やしたくはありませんか?」
�供ァー蠅旅辰�差し出されるのを待つ。
�掘ァゞ燦気鳳砲い任い襪修亮蠅鬚劼辰燭�り、そのまま口づけする。

846 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2006/02/12(日) 02:19:38
��

847 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2006/02/12(日) 02:42:59
��

848 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2006/02/12(日) 03:58:02
�兇世覆海海蓮�

849 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2006/02/12(日) 07:27:35
��

850 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2006/02/12(日) 08:06:59
��

851 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2006/02/12(日) 08:11:30
��

852 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2006/02/12(日) 08:17:33
��
アテはあるのか?

853 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2006/02/12(日) 11:22:04
��

854 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2006/02/12(日) 12:55:39
��

855 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2006/02/12(日) 13:09:46
ここまで3票ずつで横並び。よって�兇縫蝓璽舛鬚�けて�兇鬘管爾法�

856 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2006/02/12(日) 13:49:01
止めの��

857 名前: 17分割 投稿日: 17分割
17分割

858 名前: 静駆 ◆EWxNN5VMR6 投稿日: 2006/02/12(日) 21:31:22
17分割ウゼェ。

>アテ
('A`)本文よく読もうぜ


……さぁて、どうすっかな……

859 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2006/02/13(月) 03:04:50
静躯の人、いいんだけど一々愚痴っぽい一言言わないほうがいいと思う。
>>……さぁて、どうすっかな……
みたいなのとか。
気持ちもわからなくはないが、正直言って見ててうざく感じる。

860 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2006/02/13(月) 03:07:04
一応、念のために言っておくが叩きじゃなくて親切心からの忠告な。
まあ、どう受け取るかは勝手だが。

861 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2006/02/13(月) 04:52:51
まあ、何も考えずに書いてることを
わざわざばらさなくてもいいのに、とは思うがね。

862 名前: 砂月姫 3/吸血衝動�� ◆aro9VWlUZY 投稿日: 2006/02/13(月) 19:29:29
>>824-826

その首筋は白桃色その血はきっと柘榴色甘く甘く甘いあの味を思い出す蹂躙するように陵
辱するように略奪するように地に杭を立てるように牙を起て血を吸い出す為に牙を刺し食
い入るように奪って喰い千切るように貪って情交の後の檸檬味破瓜の痕の珈琲味走破の跡
の鉄錆味痛むように傷むように悼むように追想し追討し追悼するいつかのようにいつもの
ように舌の上で転がし歯の隙間を潜らせ鼻孔にその匂いを巡らし喉が唸る胸が締まる腰が
跳ねる欲望する欲情する犯せ侵セ込セ姦セ冒セ淫セ攻セ痴セ奪セ欲セ貪セ、オ カ セ―――

 ゴクリ、と咽が啼く。
 アアァ――――――ッ―――

 琥珀――――――身を寄せ。
 貴女ノ―――――抱き締め。
 命ヲ――――――牙を立て。
 頂戴――――――血を奪う。

「あ………………ふぁ………ら、めぇ、らめぇぇ」

 ―――なにがだめなのかしら。
 命を搾り取る。
 その、何と甘美な事か。
 衝き起てた牙からは歓喜の声。
 愛しむように、琥珀に身を寄せその血を奪う。
 卑しいほどに、琥珀に体を擦りその命を削る。

「ちが、はふぁっ………らめ………こんなぁ」

 ―――なにがちがうの。
 視界が歪む、世界が謳う。
 琥珀に触れた肌が熱い。琥珀に触れていない肌が熱い。
 熔けるように潤跳。
 灼けるように枯凋。
 四肢も背中も陰部も下腹も頬も首も胸も舌も、平等に極上に。
 脳髄が脊髄が子宮が、真っ赤に真っ白に真っ黒に燃え上がる。

       アア、■■、あなたも。
       あなた、も、私の■を―――?

 ―――ほらこんなにきもちいい。
 湿った、恥ずかしい音が聞こえる。
 ―――くちゅり。
 琥珀を抱いていた手は、いつの間にか自分を抱いていた。
 ―――ぴちゃぴちゃ。
 琥珀を庇っていた手は、いつの間にか自身を慰めていた。
 ―――じゅぽっ、じゅぽじゅぽ。
 羞恥が一層、その手を回す。
 ―――くちゃくちゃく、ちゃくちゃ。
 自分の胎を、掻き回す。
 ―――ぽたりぽたり―――ぽたりぽたり。
 なま暖かいモノが足の付け根から垂れていく。

「うぞぉ………やぁ………たりないのぉ………まだたりなひぃ」

 牙は琥珀の首を離れない。
 ―――四季が廻り巡るように停まらない。
 はしたない事が止められない。
 ―――輪廻を繰り返すように終われない。

 もう、止めたいのに―――それはうそ。
 うそなんかじゃ―――ないわけ、ない。

863 名前: 砂月姫 3/吸血衝動�� ◆aro9VWlUZY 投稿日: 2006/02/13(月) 19:30:26

 そんな。
 融け行く夢の中で。
 錆びた獣の吼(こえ)を聞く。


「心配は―――不要無為(いらない)」


 吹き飛んだ、とは気づかなかった。
 捻りもない、怒りに捲かせた一撃。
 宙を再度跳ぶ。
 ―――そんな事よりも、温もりが消えた事の方が大事だった。

「貴様に、続きは亡いのだから」

 あれ。
 どうしたのかしら。

 頭蓋の砕けるようながつん、という重い音。
 どこからか首筋に、何か粘る液体が。
 地に落ちた身が傾ぐ。
 ―――寒い。

 あれ?
 これ、血?
 なんで?

 何かが視界に。
 黒い影を捉える。

 ―――なんだ、てき。


 畳み掛けるように、黒い影は駆(かけ)る。
 そこに――――――朱い糸が趨(はし)る。


 金色の眼が捉える。
 朱い糸が縦横に無尽に。
 結界のように結果のように。
 隙間無く細密に、間断なく迅速に。

 勢いは殺せず、その線を越えた。

 それだけ。
 それだけで焼き切られた両足を、両腕を黒い影は信じられないというように見つめた。
 紅く染まりつつある黒髪。
 それを見て“ソレ”にやられたと理解できただけだった。

「な――――――に?」

 だがその認識は、正しくない。
 それは焼かれたのでもなければ、切られたのでもない。
 一瞬にして絶対零度に極限したその肢の一面が、一線を越したその一面が。
 凍って、砕けただけの事。

 ―――何かが断絶する音が聞こえた。

 アカイイトが、世界を塗りつぶすように貼って行くのをその目で見て。
 ―――それで、終わり。
 黒い影の金色の瞳はそれだけを最後に映して首ごと、鼠のように転がっていった。

864 名前: 砂月姫 3/吸血衝動�� ◆aro9VWlUZY 投稿日: 2006/02/13(月) 19:31:27

 あは。
 あははは。

 哄笑する。
 なんて―――無様。

 ひとしきりわらうと。
 くうくうおなかがなりました。
 そうだ、まだたりない。
 いただき
       ま、

 ―――何かが隔絶する音が聞こえた。

 す。
 ―――あれ?
 ぶつん。

 ―――何かが途絶する音が聞こえた。

 世界が廻る。
 踊る影が凍る。
 目眩。
 停止、する。

 ―――――――――――――ぶつん。

 あれ。
 さむい。
 ねむい。
 いたい。
 あたまが、いた、い。ちがでて、る。
 どくどくどくどく、どくどくどくどく。

 ぶつん―――ぶつん――――ぶつん。

「―――あ、いや」
 いや、いやいやいやいや。
 こわい。
 たすけて、こは、く。

 ぶつん。


「―――左様なら、秋葉様。地獄で遭いましょう」


 手を伸ばしたと思って、動けずに。
 かつん、とリノリウムのたてる。
 遠ざかる靴の音を聞いてた。


 目論見とは違ったお相手でしたけれど、結果的には次善でした。
 ええ。
 貴女に死んでいただく為に誘い込んだんですけど。
 ええ。
 うまくいくなんて期待はしませんでしたけど。
 ええ。
 でもこれで、やっとわたしもおわれます。
 ええ。
 さようなら、さようなら。


 次第に遠く。
 降り行く夢の帳の下で、そんな唄を聞いた気もした。

 悲劇も喜劇も幕切れ。
 終ればもう開かない。



 ――――跡には、死骸と校舎と照らす月。
       紅く赤く、慟哭すらするように。




■■DEAD■END■■




□□□AND□SO□□□

ぐるぐる翡翠ワールドが大展開中。寄り道しますか?

壱>躊躇いなく進入する
弐>何事もなく本編へ

865 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2006/02/13(月) 19:33:34
壱


ちょwwwwwww琥珀wwwwwwwwwwwwwwww








だがそれがいい

866 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2006/02/13(月) 19:34:43
普通は壱なんだろうが
天邪鬼で弐を選んでみる

867 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2006/02/13(月) 19:45:31
さくさく壱で

868 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2006/02/13(月) 20:21:47
壱さんですね。

869 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2006/02/13(月) 20:56:43
壱を

870 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2006/02/13(月) 22:44:52
壱でむしろ大回転

871 名前: アヴェンジャーエミヤ ◆ddg5.LZD9c 投稿日: 2006/02/20(月) 00:15:33
>>811-813



 ――――体は空虚を知っている。

 血潮は伽藍で 心は壱つ。

 幾億の悪を背負い続け不滅。

 ただの一度も報いはなく、

 ただの一度も後悔しない。

 彼の者は常に留まり 地獄の中で花を見つけた。

 故に、生涯に意味はなく、

 その体は――――、



 ――――さて、復習と洒落込もうか。

“子供の頃、  正 の味     た”

 古く輪郭すら曖昧な月の夜。其の人は言った。
 
“なん そ  。   たって、   なの  ”

 月を見上げたまま答える。
 其の人は笑って、同じ月を仰いだ。

“  、残    。  ーロ  は     、      な    。
     、    に    た”

 ……いまいち解らない。
 この人の言う事に間違いはないのだけど、理解出来る事は少ないのだ。
 回りくどいと言うか、知ってほしくない言葉を秘めている感じ。
 それでも頷いた。間違いはないのだから、とりあえず納得したのだ。

“そ か。そ   ゃ   な  ”
“   そ だ 。本当   、 い”

 必要ない筈の愛想笑い。
 悲しいのか、哀しいのか、どれを用いて償えばいいのか。
 判らないのでとりえず笑ってみたようだった。
 ……何年も経った今でも、そこに込めた真意は謎なのだが。
 対してこちらは、決まりきった台詞を吐いたらしい。

“  、   い   から、    や よ。
  は  も   だ  、俺    ろ  。
ま    。 の     ”


"――――   、     "


 最後は聞き取れなかった。
 あまりにも古いから、忘れかけているのだろう。
 しかし、朧げな記憶に居てなお、其の人は確かに笑った。
 これ以上なく、これ以上は見れなかった微笑みを浮かべて、

“  ――――安心した”

 あっさりと、まどろみに終わりを告げた。
 途端、テレビの電源を切ったみたく映像が暗転する。
 復習が終わり、夢に成り下がった走馬灯が薄れていく。
 目覚める頃には跡形もない。必要のない話は覚えておくべきではない。
 まあ、それでもこの復習には十分意味があった。
 だって、

「なんでこんなに虫食いなのかねえ」

 だって、こんな伏線めいた疑問を抱けたのだから。



「…………………ッ!」

872 名前: アヴェンジャーエミヤ ◆ddg5.LZD9c 投稿日: 2006/02/20(月) 00:16:20
 起き上がってすぐ、楽という楽が殺がれる痛みが奔った。
 体がくの字に曲がる。それで下を向いたので、長椅子に横たわっている自分を知れた。
 ついで辺りを見回す。
 壁、天上、長椅子。どれもこれもが重苦しく、礼儀正しい雰囲気を醸し出している。
 その中で穴―――というか、破壊の跡がぽつねんと残っているのは、はっきりと場違いだった。

「……なんだ。ここ、教会の」

 言うまでもない。礼拝堂だ。
 直後、電光石火の勢いでフラッシュバックする記憶。
 教会に訪れて、訳の分からないまま誰かを助け、悪役に襲われた。
 その末路が、衛宮士郎の未熟を明確に実感させやがる。
 背中、否、背骨が疼く。零れた髄を補給しようと体が働いているのか。畜生、袈裟切りは普通正面からだろうに。
 骨髄を垂れ流すほどの致命傷はしかし、オレを殺すには至らなかった。
 正確に殺されはしたのだが、こうして痛がってる以上、それは過程で済んだ話なのだ。
 そこらへんがいまいち思い出せない。
 靄がかかっているのではなくシャッターで遮断されている。
 死の結果を変えた奇蹟も、死を過程に留めた必然も完ッ璧に見えてこない。
 ……しかし、なんだ。
 例えばその見つけた必然とやらを思い出し、偶々町で見かけたとしたとしても。
 お礼より『なんで教会に棄てたんだよ』と文句を言いたいと思うのは、哺乳類として最低なのだろう、やっぱ。

「―――――――よし」

 意を決して立ち上がる。
 生死のかかったど忘れとか、720度は捻くれている道徳心とか、そういうの全部うっちゃって家に帰ろう。
 一宿の恩義もちろん大切だ。二つ三つ前の昔ならそれだけで喧嘩に付き合わされる。
 ただ、オレというヤツはそれに殉じるほど義理堅くない。
 再び述べるが、教会は衛宮士郎にとって鬼門である。
 四回目にはリンチにあって、五回目には殺されたという事実が何よりの証拠だ。
 そんなとこから一刹那でも早く離れようと考えるのは人としての理性、いや尊厳だ。
 もしこの場に暇人が居れば、独裁者が如く両手を広げてこの因縁をじっくり演説したい。
 もっとも、迷える子羊をバリカンで剃って谷底に突き落すような肉食教会に人なんか絶対に、

「居るのだな。これが」
「ですよねー」

 背後から伝わる謎の声。だが驚くに値しない。
 だって起きてからこっち、刺すような視線をビンビン感じてたからネ!
 いやはや夏冬に湧く虫ばりに痛かった。地の文に出さずにすんだのが今でも信じられない。

「どうした? 帰るなら扉に行け。帰らぬなら座れ」

 投げ遣りな口調で話し掛けてくる。
 本当にぶっきらぼうで、心を覗けば“なんで我が……”なんて文句が隙間無くと並んでいるコトだろう。
 いや視線が痛くて帰るどころか歩けもしないのだが、今ので気付いた事がある。
 それはこの声が――――、



A1・子供のそれだという事だ。
A2・女のそれだという事だ。

873 名前: アヴェンジャーエミヤ ◆ddg5.LZD9c 投稿日: 2006/02/20(月) 00:17:05
age忘れたのでage

874 名前: アヴェンジャーエミヤ ◆ddg5.LZD9c 投稿日: 2006/02/20(月) 00:18:01
失敗した……orz
レス消費しまくり失礼。

875 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2006/02/20(月) 00:21:32
A1で。

876 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2006/02/20(月) 00:25:37
A1

877 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2006/02/20(月) 00:32:02
A1でお願いします。

878 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2006/02/20(月) 00:40:54
A2なのかもしれない

879 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2006/02/20(月) 00:54:47
A2

880 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2006/02/20(月) 01:06:44
A2でよろしく

881 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2006/02/20(月) 01:24:30
A1

882 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2006/02/20(月) 01:26:48
A1でターンエンド!

883 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2006/02/20(月) 03:54:21
A1に決まりみたいだね。

884 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2006/02/26(日) 13:31:06
定期age

885 名前: アヴェンジャーエミヤ ◆ddg5.LZD9c 投稿日: 2006/02/26(日) 23:21:52
>>871-872



 淀みのないラ音。
 女ではなくあくまで未完成という印象を抱かせる音程。
 背後からの声は、間違いなく子供のそれだった。

「なんだ子供か」
「む?」

 ほっと胸を撫で下ろして長椅子に座り直す。
 そうかそうか子供か。なら可愛いもんだ。
 最近の子供はマセてるナメてる中二病がデフォである。
 そしてそれら全てには『早く大人と対等になりたい』という心理が例外なく存在する。
 小学生が唐突にブラックコーヒー飲むのと一緒だ。“なあ切嗣、煙草くれ”“おいおい士郎にはまだ早いよ”“む、ケチ。んじゃいいよ、こっち使うから”“そ、それは駄目だ! 安全装置がついてない!”“おーい、藤ねえこっちー”“凄い標準ピッタリだ士郎には才能があるなって大河ちゃん逃げてー!”みたいな。
 若さゆえの過ちというヤツだ。ちなみにその後を語る必要はない。
 足を組んで天上を仰ぐ。脱力してるからか首が小さく振り子に動く。
 そうかそうか子供かー、子供ねー、はいはいなるほどね―――え、子供?
 ちょっと待て。オレは今子供と言ったのか。

「!」

 振り向いた時には遅かった。
 昨日は木曜日。なら今日は必然的に金曜日だ。
 壁の穴ぼこから外が窺え、まだまだ明るい。詳しくは不明だが、光の差し具合からまだ午前である事は知れた。
 つまり、今は平日の昼間という事だ。
 そんな時間帯にまだ声変わりもしてない子供が学校に行ってない筈がない。
 ならばどういう事か。今の声はなんなのか。
 さてここで仮定を持ち出そう。
 今の声、子供の音程をした王様口調。
 それを聞いてオレは『子供が背伸びをしたくて王様=大人っぽい口調で話した』と推測した。
 だがそれはあくまで推測に過ぎない。
 もし、もしもだが。
 それがまったくの逆。『大人がなんらかの方法で声帯を変えて普段の口調で話した』のだとしたら。
 犯人は自ずと解明される。

「気付いたか。だが遅かったな衛宮士郎。
 私は既に目的を達してしまったぞ」
「テメエ――――!」

 背後を陣取った人物―――声の主は心から楽しそうに底から嬉しそうに心底愉快そうに、そんな言葉を口にする。
 右手に携えるはかのスプレー缶。ロゴはポップに『体は大人頭脳も大人、ただし声帯のみ子供☆』。
 頭上には天然なのか養殖なのかは一切不明(つーか知りたくねえ)な焼き海苔の出来そこないが如きモジャ髪。
 神父服を見事に着こなす、正直嫉妬したくなる体格。隙間なんて一片も見出せない、重く低い声。
 そしてなにより、人間の内面を映し出しそうな、輝くのを拒絶した水晶のような眼がこの人物を象徴していた。
 やっぱりだ。畜生、だからここには来たくねえのに。
 だが始まってしまった事は仕方ない。オレは間髪いれずに問いただす。

「なんの、つもりだ」

 ヤツが答える。オレが跳ぶ。

「そうだな。さしあたっては嫌がらせだ。
 さあカッとなれ。私に怒りを向けろ。その負こそが私のごらブォ!?」
「ざけんなボケガアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!!!」

 シークタイムなぞ無用。
 オレは衛宮士郎である為に、言峰綺礼に渾身のライダーキックをぶちかました。
 ここにウルトラ○ンVS○ルタン、マジン○ーZVS機○獣にもヒケをとらぬ宿命。
 衛宮士郎と言峰綺礼の拳と拳、脚と脚、口と口での対決が二ヶ月ぶりに訪れてしまった。
 エセシスターとの対決を柔とすればこの男との対決は豪。
 否、エセシスターを宿敵と表すならば、コレは侵略に来た宇宙人と示すべきですらある……!

「はっはっは、二ヶ月ぶりだな衛宮士郎。どうだ、学業の方は」
「まったくの問題なし優良で単位落とす心配もなしだがそんな田舎の爺ちゃんみてーな質問すんな!
 大体なんだその右手のスプレー缶は! 前半は色々マズイからツッこまんが最後の☆マークだけはツッコませてもらうぞ!」
「何を言うかと思えば。そんなのお前を苛立たせる為のオプションに決まっておろう」
「自作かよ! 相変わらず嫌がらせに関しては無駄に天才なんだなゴルァ!」
「そちらこそ意見の筋違いが激しいのだな。
 お前はこの教会で一泊を過ごし、あまつさえ治療も受けたのだぞ? ならば宿主の娯楽に付き合うのは必然ではないかな。
 それに、だ。この展開は私の本意ではない。本来は子供の声でお前に性欲を持たせ、その後私だという事実にガッカリさせようt」
「人を勝手にショタ認定すんじゃねえよクソ神父がああああアアアアAAAAAAAAAAAA!!!!!」

886 名前: アヴェンジャーエミヤ ◆ddg5.LZD9c 投稿日: 2006/02/26(日) 23:22:41
 まったくの互角で競い合うオレと言峰は礼拝堂中に被害を撒き散らす。
 長椅子が折れ、壇が砕け、エセシスターのオルガンが踏み台になる。(ちょっとスッキリだ、ひひ)
 言峰の中国拳法らしき動きに圧倒されるが、それでも負けるワケにはいかない。
 人の不幸、ガッカリした姿を見て悦に浸る輩に、正義の味方が屈してはならないのだ。
 ……そう、ならないのだが。

「――――あぐぅっ」
「む」

 十二の攻防の末、間抜けな断末魔と共に倒れる。
 勝利敗北云々以前に、オレにはもう数十分ぐらいの休憩が必要らしい。
 そういえば殺されてから一日も経ってなかったっけなー。
 そんなんで動こうなんて正直阿呆じゃねえかオレ?

「ふむ。どうやら完治は出来なかったようだな。
 おいギルガメッシュ。食事にするぞ」
「……この人はどうするんです?」
「私が運んでおこう。お前は先に行って用意をしておけ。レトルトで構わん」
「コトミネは?」
「昨日の余りを温めろ。お前達用の食事は少々舌に合わんのでな」
「はーい」

 返事が遠のいていく。
 愛らしい、天使のような声。
 マセてもなければナメてもない、絶滅危惧種とも呼べる純な子供のもの。
 それは間違いなく、さっきまでオレに話し掛けていた声だった。
 ……もし、もしもだが。
 今の誰かがオレには見えない所から話し掛け、クソ神父が背後に陣取って痛い視線を送る。
 そんな単純明快な役割分担をもっと早く見抜けていれば。
 暴れるぐらいキレる事なんてなかったのかなー、なんて思いながら、オレはクソ神父に担がれたのでした、まる



「……ギル、粗茶くれないか」
「あ、はいはーい」

 注がれてすぐに飲み干す。
 食道を通る最中はさすがに熱かったが、喉元過ぎれば熱さ忘れるである。
 熱を帯びた溜息が漏れた。

「それで三杯目だぞ衛宮士郎。いい加減に落ち着いたらどうだ」
「へ、テメエの目の前で落ち着いてたまるかってんだ」
「ほう。その口振り、まるで私がこの場でお前を串刺しにすると予言せんばかりだな」
「いい自己分析だぜ言峰綺礼。正直、神父としてどうよ」

 あの後、五十二分の仮眠を経てオレは朝食にありついた。
 よくよく思えば昨日は夕食を抜いてしまっていたので、きっちり二食分は平らげた。
 毒が混入されてる不安は皆無。そんな初歩が使用されるほど、教会の人間と衛宮士郎の縁は浅くないのだ。

「お兄さん、もう一杯どうです?」
「ああ、いらね」

 素っ気無い返事にもめげず、むしろ極上の笑みを持ってギルは返した。
 金色の髪に赤い瞳。冬にも関わらずヘソ出しルックなのは違和感ありありだが、チラリと見える腹は見事な黄金比である。
 どう見ても十代前半、下手すればまだ一桁ともとれる、子供の見本みたいな子供。
 彼(と表すべきかは知らんが)、ギルガメッシュはどうやらこの教会の孤児(みなしご)らしい。
 キッパリと初対面なのだが、子供にはそういう事実は不要らしい。
 まるで昔に面識があるかのような人懐こさに、オレが心を許すのは早かった。
 うむ。敵しかいなかった教会の中にこんないいヤツがいるとはビックリだ。

「……………」
「……なにジロジロ見てやがるクソ神父」
「うむ? ああ、いやなに。先ほどの作戦はあながち的外れというワケでもなかっ」

 言い切る前に湯飲みを投げた。
 もう語尾を言い終えるあたりだったので無駄だった気もするが。
 ま、この危険物の事はうっちゃっとくとして。

「さて、と」

 どうしようか?


A1・聖杯戦争について知っているかを聞く。
A2・オレが担ぎ込まれた時の話を聞く。
A3・ギルの事を詳しく聞く。
A4・エセシスターがいない理由を聞く。

887 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2006/02/26(日) 23:27:18
A3

888 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2006/02/26(日) 23:31:26
A4

889 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2006/02/26(日) 23:34:05
A2

890 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2006/02/26(日) 23:40:09
A4

891 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2006/02/26(日) 23:47:50
A4

892 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2006/02/26(日) 23:50:03
A3

893 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2006/02/27(月) 00:04:04
A4でリーチ

894 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2006/02/27(月) 00:09:31
A3

895 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2006/02/27(月) 00:15:55
A2

896 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2006/02/27(月) 00:24:07
A3

897 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2006/02/27(月) 00:29:08
追っかけリーチ一発A3

898 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2006/02/27(月) 03:01:13
A2

899 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2006/02/27(月) 03:06:41
A4で

900 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2006/02/27(月) 03:08:17
って、A3に決定してるしorz
すまんかった。

901 名前: 砂月姫 ぐるぐる翡翠ワールド ◆aro9VWlUZY 投稿日: 2006/02/28(火) 15:32:45
>>862-864
るぐるぐるぐるぐるぐ
ぐ             る
る             ぐ
ぐ   ぐるぐ   る
る   る      ぐ
ぐ   ぐ      る
る   るぐるぐるぐ
ぐ
る
ぐるぐるぐるぐる…………



「ここは、迷わずパッドな選択肢を選ぶアレな貴方を―――」※バッド
「処刑、スル」
「―――洗脳して、正道に質す、ぐるぐる翡翠ワールドです」※正す
「まいなすニまいなすヲカケレバ、ぷらすニナル道理デス」
「私はこの偽固有結界で主、翡翠です」※固有結界の?
「ワタシハ、翡翠、デス」
「…………」
「…………」
「サタデーナイト「フィーバー!」「フォーエバー!」

 ―――なんかすっげえ戦いがあったと思いねぇ。

「ルックス5%低下。シオン、洗浄ヲ要求シマス」※何も言わないでください
「…………いってしまいました。というよりも私は撒けたのでしょうか?」※負けた
「“世の中には勝利よりももっと勝ち誇るに足る敗北があるものだ”」※モンテーニュ
「シオン様? どうして。………というか私は撒けたのですか?」※負けた
「なんでも何も、メカヒスイが退場してしまったからですよ。貴女は一人ボケツッコミというキャラではないでしょう」
「はあ。それでは改めて、秋葉様がお隠れになった原因を憲章しましょう」※検証
「なんでも何も、全てこは―――」※小春穏沖津白浪。こはるなぎおきつしらなみと読む。歌舞伎狂言。世話物。

 ぐ〜るぐる。

「貧しいんですが………これは一体?」※まず死因ですが
「ぐ〜るぐる………はっ」
「本分を読むと、どうやら直接には脳をやられたようなのですが」※本文
「………色々考えられますが、恐らく体中に重傷を負いながら遠野の異能を使った事ですね」
「姉さんも何かしたようDEATH死ね」※ですしね
「共融の力を切ったのでしょう。月姫では狂うだけでしたが………」※記憶が非常に不確かです
「今回入ってしまわれた。つまり無理をしすぎたと」※今回は逝って
「そういうことです」
「では、どうしてそこまで無理をしてしまったので消化」※でしょうか
「ズバリ、勢い剰って血を吸いすぎたのでしょう。“過ぎたるは及ばざるが如し”」
「なるほど、よく判りました」
「………というか、ここは元々貴女がメインなのでは? 判りましたではないでしょう」
「ああ、そんな設定もあったね」※何も言わないで(ry
「触れて欲しくないと思っているのはよく判りました。あと何か言うべき事は?」
「何ですかシオン様。私はメカヒスイなんかじゃあ有馬線よ」※ありません
「だれもそんな事を言ってません。もう終わりでいいですね」
「ああ、もう終わりですか。私の出番ももう最期ですか」※最後
「翡翠? 気を確かに!」
「んー。なんかもうさー。無理遣りな観じで誤字るのも面倒になってきたさー。したっけさー、好きで間違えているわけではありませんー」※感じ
「誰だよアンタ」※何も(ry



るぐるぐるぐるぐるぐるぐ
ぐ               ぐ
る               る
ぐ   るぐるぐるぐ   :
る   ぐ      る   :
ぐ   る      ぐ   :
る   ぐるぐ   る   :
ぐ           ぐ   :
る           る   :
ぐるぐるぐるぐるぐ

902 名前: 砂月姫 3/吸血衝動�� ◆aro9VWlUZY 投稿日: 2006/02/28(火) 15:36:25
       ■

 面白いと言えば面白い。
 学校に吸血鬼がいる。他愛もないこの怪談は、実は巷間で連続吸血殺人が発生するその
少し前に、一部の生徒の間で発生していた。
 その筋書きはこうだ。大戦中この学校には、正確にはこの学校が今ある処には、一つの
防空壕があった。ある日、空襲を受けて人々がそこに避難し、そして閉じこめられた。人
は水も無しでは三日も持たない。そして、ざまざまな要因が重なって救助は遅れた結果、
二桁いたともいわれるその壕から、助け出されたのはたった一人だった。一週間経った後
の話だったという。水も無しで。食料も無しで。他人の血を啜って生き延びたのだという。
奇妙な縁で、彼は学校の教諭で、理科を教えていた。何時も着ていた白衣が、助け出され
た時には血で黒く染まっていたらしい。助け出されて彼が初めて呟いた言葉は二重にも三
重にも解釈できるモノで、その所為で会談の内容は多数のバリエーションを持つ事になる
のだが。
 さて。賢明な読者諸君はそんなセンセーショナルな事件がどの新聞を当たっても見つか
らない時点で、少しばかりの落胆を抱いてこの件からの興味をなくすだろう。ただ約一名、
どこのコミュニティにもいる数奇者が、この事件は国家的に隠蔽されたのだと主張して、
さらなる真相の究明に踏み出そうとした。ちなみに彼女は一人で調査を始めてから一月後、
ぱったりと調査を止めた。彼女の唐突な行動は珍しくなかったが、しかし同時にその行動
を曲がりなりにも貫徹させる事だけはした彼女らしくないという声も聞かれた。彼女は黙
して語らない。ただ、その事に関しては“バームクーヘン”なる言葉を時々口に上らせる
だけだった。バームクーヘンとはドイツ発祥の丸太を模した菓子である。
 そして、その怪談の中で、防空壕に一人生き残った男はこういったという。

 ―――太陽からは逃げられない。


       ■


 その首筋は白桃色。
 その血はきっと柘榴色。
 甘く甘く甘い、あの味を―――。
 ―――――――――■セ


「―――琥、珀」
 そこまで這い寄って、しかし、わたしはどうするか決めかねていた。
 血を吸うか否か。反撃か、敗走か。己の誇りを踏み砕くか、己の矜持を踏み抜くか。そ
して後悔する、後悔する、絶対に後悔する。何を選んでも後悔する。何をしなくても後悔
する。その事には疑いがない。その事に疑いを持たない。滑稽な話だ。昔。遠野の家を継
ぐと決まった日から、或いは今日までの夕べに、どれほど己を蔑ろにすると誓いを立てた
か。だから、そんな事では遠野秋葉は惑わない。今わたしを煩わせているのは―――。
 琥珀は身じろぎもしない。頭を打ったのだから。気を失っているのだから。それでは駄
目だ。あの闇はあの男から。それを、赦すわけにはいかないから。あの夜は彼女から。そ
れで、自分も許せなくなったけど。でも、だから。恕(ゆる)しが要る。地獄に浮かぶにも
天国に沈むにも。貴女の。
だから。

 ―――――――――■セ

 起きなさい、と。
 そう言おうとして、脈を診ると自分に言い訳までして、その首筋に舌を這わせかけてい
た自分に気付いて愕然とした。何をしているのか。応えは直ぐに裡から孵ってきた。この
血を飲もうとした。そうして、何ができるというのだろう。なんでもできるはずだ。直ぐ
にもとって返して来るであろうあの化け物を、紙を千切るように殺す事でさえ。それは選
択肢だった。でもそれは、わたしのモノではなかったというのに。

 ―――――――――■セ

 慌てて居住まいを正して、何かを表明するかのようにわたしは琥珀の体を揺すっていた。
まるでそうすれば、何かを無かった事にできるかのように。

 ――――――■―――セ―――!

「琥珀、琥珀、こはく、こはくこはくこはくっ」
 だけど。

「―――頭打ったのなら、あんまり揺らさない方が良いですよ。私が言えた義理じゃない
ですけど」
 だから。それは幸いだったのか、どうか。少なくともあと一本、足らなかったと思った。
どう在れ、どうなったと云え、どうしなかったとは言っても。どうしようとしたか、とい
う事実は遠野秋葉にとって辛いモノではあったのだから。
 その、なにか憑き物が落ちたような平坦な声は、しかしそれでも一種救いではあった。
 それ以上琥珀を呼び続けていたら、何かがどうにかなってしまいそうだったから。

903 名前: 砂月姫 3/吸血衝動�� ◆aro9VWlUZY 投稿日: 2006/02/28(火) 15:39:38
「―――ええ、じゃあお願い」
 ぱたり、と携帯を仕舞う。出かけるときに連絡用にと持たされたものだった。ちょっと
そこまで、な気分だったので大げさなとは思ったのだが。取り敢えず、当座の手配はつい
た。帰りの車から、琥珀の入院まで。あと、処理を待っている懸案は一つだけだ。
 目線はあえて逸らして、しかしそれとなく観察していた間、彼女は無反応だった。わた
しの話している内容にも頓着した様子はなく、窓越しの月を眺めているだけ、といった風
で。時々、手元の本を月明かりで読んでいる。学校の教科書だった。何かを悼むような表
情は、死を待つ死刑囚を容易く思わせた。では、最後の懺悔に読む聖書は教科書か。それ
はこの学校という場に相応しいような気もしたし、まったく相応しくない気もした。



 まるで、昔話の鬼のようだ。
 その姿を初めて観察して、そう思った。瞬間瞬間で認識し反応する、戦闘という時間で
は見えなかったモノが見えて、そして愕然とした。
 琥珀に手を添えたまま硬直したのを警戒したと取ったのか、相手は両手を挙げ戦意のな
い事を示し、一歩下がった。それでもわたしの目は彼女を離れない。
 ボロボロの服。もとは男物の学生服だったようだ。二つを残すだけのボタンが袖と胸に
光っている。そして生地の黒色を染めるような血と獣の臭い。
 ボサボサの髪。もとは長かったのであろうその髪は幾房かを残して肩下まで無惨に切り
払われている。そして元の茶色を薄めるような血と獣の色合。
 眼は爛々と赤く。犬歯は剣呑と白く。左腕は奇妙に隆々―――思えば彼女はわたしと腕
一本で渡り合っていた。その奇形の左腕を以て。
 絵に描いたような、■■。その途中だった。

 削げた頬、窪んだ眸。憔悴も顕わな顔の、その中で。結んだ口元だけが写真と何一つ変
わっていなかった。確か新学年の学生証にする為に撮った写真の一つだったはずだ。新し
い学年、新しい出会い。それは人間関係も一からやり直しという事で。だから、浮かんで
いたのは不安。終わった日常への郷愁。未知へ流されて行く事への諦念。
 言うべき事が何かあったはずだった。

「弓塚、さつきさんですね」
「―――はい」
「貴女を、連れて行きます」
「―――はい」
「司法の及ばない処です。貴女に人権は在りません。拒否権も有りません」
「―――はい、わかっています」

 思わず、何がわかっているのかと聞き返したくて―――何も言えなかった。わたしだっ
て、わかってなんかいないのだから。何を。訊く事も、応える事も。きっと、本当には。
 それが悔しくて、非道く無様な問いかけをした。

「だから。死ぬのは今のうちです―――よ?」
「―――あは」

 花咲くような笑み。それだけ切り取れば普通の、年相応の、当たり前の、十七歳の高校
生みたいだった。みたいだった。そこだけ切り取る、なんて真似は誰にもできないのだけ
れども。
 その笑顔で、弓塚さつきは言った。言い切った。恐らく、万感の思いを込めて。

「絶対、嫌です。私は死にたくありません」

 わたしは。
「……………………………………………」
 言うべき言葉を何も持っていなかった。
 何も、無い。
 対話はそこまでだった。
 会話はそこで終わった。
 わたしは譫言のように喋った。少なくとも、そのつもりだった。何度も練習した死刑宣
告。これからも繰り返す慈悲。たったひとつの冴えたやりかた。彼女の立場とわたしの立
場。古の契約と、履行の手順。決定した運命と、決着のついた天命の事。言い間違いなど
有るはずもなく、ただ一つとして語れなかった。決定的な事を致命的に呑み込んでいた。
遠い明日の話をせず、一息ついて。電話を掛けて、月を眺めて。一息ついて、それから今
の話をした。
 ただ一つ。
 弓塚さつきを―――


壱 遠野家に軟禁する事。
弐 遠野家地下に監禁する事。

904 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2006/02/28(火) 17:45:33
普通なら壱だろうが、このさっちんは油断すると簡単に惨殺しそうだw
よって弐

905 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2006/02/28(火) 17:47:16
弐

906 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2006/02/28(火) 20:12:19
壱

907 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2006/02/28(火) 23:05:02
じゃ壱

908 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2006/02/28(火) 23:23:08
弐

909 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2006/03/01(水) 00:55:13
弐で

910 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2006/03/01(水) 01:05:43
壱かな

911 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2006/03/01(水) 10:34:48
壱で追っかけリィィィィィチ!

912 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2006/03/01(水) 13:06:09
で、最後に弐

913 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2006/03/07(火) 01:59:07
先生質問
エロ短編(中編?)はあり?

甲 おk
乙 やめれ

914 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2006/03/07(火) 15:18:17
03月07日 晴レ ☆☆☆☆☆☆
先輩がえちい選択ばかり選ぶ
許せない


丙:選択肢がえろい内容以外にもあるなら許す

915 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2006/03/07(火) 18:24:29
甲。でもみさくらは勘弁な

916 名前: 言峰士郎-21 投稿日: 2006/03/08(水) 04:32:14
 ――――で、窓の外。
 全力ダッシュしてる蒼い槍兵と、そいつに抱えられてる隻腕の女の姿があった。
「ジーザス!神は死んだ!」
 ああもう考えなくても神に祈らなくても三人集まらなくたって文殊の知恵だ畜生っつーか仏教帰れ!
 この文明万歳の現代社会に『槍抱えた男』なんてのが聖杯戦争以外で歩きまわってて溜まるかってんだ畜生め。
「――どうするのだ、代行者殿?」
 ハサンのやけに冷静な声。それで一気に思考を冷やそう。
 ポケットから引っ張りだした紙巻きを口に咥えて、息を吸う。
「ベラボーに状況がわからねえ」
 あの糞馬鹿阿呆間抜親父は何やってたんだ畜生とか。
 てかバゼットさんいきてんのとか。
 つーか青タイツ野郎がバゼットの腕叩き切ったのかどーか。
 だが、けど、しかし、だ。
 思考時間はゼロコンマ5秒。何処ぞの宇宙刑事の変身速度にだって負けやしねえ。
「こんな状況で何もしなかったらジーザスにケツの穴掘られちまう!」
 ―――――そう、バゼット・フラガ・マクレミッツは良い人だった。
 多くは知らない。が、あの根性捻じ曲がった親父の友人やってたんだ、良い人に決まってやがる。
 そして一方言峰士郎は、と言えば。
 たった数十分しか話したことのない相手であっても。
 そういう人間を見捨てられない程度には。
 ――――認めたくないことに、お人よしなのだった。
「――ならば、さっそく行動に移るとしよう」
 何処か楽しげなハサンの言葉。そう言って彼女が窓を開けたのを見て、俺はニヤリと笑う。
「OK、ハサン……先行してくれ、俺は自力で追っかける」
「承知!」
 そう言って、ハサンが窓枠に脚をかけ、夜の闇へと飛んだ。
 その後に続いて、俺も窓枠に脚をかける。
 ライターでドラッグに火をつけ、甘ったるい煙を肺一杯に吸いこんだ。んな事をシラフでできるかってんだ。
「あー、神様イエス様ジーザス様マリア様、えー……あと色々いすぎて覚え切れない聖人の方々。
 どうか俺を護ってください。っていうか魔術失敗して潰れたトマトになるバッドエンドだけは勘弁を」
 ―――撃鉄を落とし、脚に意識を集中。二七本の魔術回路から、笑っちまうほど少ない魔力が両足に叩きこまれる。
 言峰士郎100の必殺技の一つ『強化』の魔術である。
 畜生、あかいあくまの野郎――失礼――アマならもっと重力制御だのでサッサと行けるってのに!
 目を一瞬だけ閉じ、そして開く。
「HAVE A NICE FRIT!」

 ――――そして言峰士郎は。
 聖杯戦争へと、飛びこんだ。


 ――――地面に叩きつけられた両足を踏ん張って、そのまま全力で駆け抜ける。
 畜生。やっぱ言峰士郎の魔術じゃ速度がでねえ!つか痛ぇよ、糞!
「ガッデム!テメエ俺の脚だろうが、根性見せやがれ!」
 さもなきゃ切り落と――すと俺が大変なんでやらないが。チキンめ。

 役立たずの魔術――だったが、それでも少しは役に立つ。
 ハサンが追跡していた事に気付いたらしい槍兵は脚を止め、此方を鋭くにらみつけていた。
 俺――否、ハサンを迎え撃つつもりらしい。
 障害は振り切るのではなく、叩き潰す。いいね、その性格。最高。惚れた。抱いて!
 ――とはいえ、テメエの相手は彼女じゃねえ。
 「――ハッ、良く見ろよ、坊や……ッ!」
 そう叫ぶなり、俺は―――……

 い:黒鍵投影……ッ!投擲する。
 ろ:銃剣投影……ッ!切りつける。
 は:鉄拳強化……ッ!殴り飛ばす。

917 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2006/03/08(水) 04:34:13
どーも皆さんお久し振りです
トリップ忘れるぐらい長い間、放置して、本当に申し訳ありませんOTL
待っていてくれた人がいたかどうかは、自分にはわからないですけれど……

とにもかくにも、言峰士郎、再開したいと思います、はい

918 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2006/03/08(水) 04:35:05
ろに一票

919 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2006/03/08(水) 04:58:07
は

920 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2006/03/08(水) 05:57:48
い

921 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2006/03/08(水) 05:59:56
ろで

922 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2006/03/08(水) 06:06:49
待ってたYO!
は・・・といきたいとこだけど無謀すぎるんで「い」に一票。

923 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2006/03/08(水) 06:13:18
は

924 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2006/03/08(水) 07:21:41
は。 あと、お久しぶりです。

925 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2006/03/08(水) 10:52:55
威嚇 で い

926 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2006/03/08(水) 11:21:12
は で決まり!

927 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2006/03/08(水) 13:39:22
ここで は に入れて本当に決定。

928 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2006/03/08(水) 22:16:14
言峰死労キタコレ!
ずっとずっと待ってたんだから…!
あんまり待たせないでよね…その…アンタの作品好…嫌いじゃないんだから!!

929 名前: 言峰士郎-22 投稿日: 2006/03/08(水) 22:48:53
 ガチン、と撃鉄を落とす。
 両足に溜めこんでいた魔力を一気に解除。膝が笑って崩れそうになるのを無視。むしろそのまま前のめりにぶっ倒れる勢いで。
 ついで、その筋力を両拳に叩きこむ。魔力の急激な移動に耐えきれず、腕の血管が数本破裂するが無問題。
 向こう槍持ってんだぜ、槍。気にしてられるかってんだ。
 腕の筋肉を、文字通り『引き絞り』――――――……。
「良く見ろよ、坊や……ッ!」
 ――こうして、言峰士郎の聖杯戦争が、始まった。



「――邪魔すんじゃねぇッ!」
 一撃目は、あっけなく槍兵によって防がれる。
 振るわれた槍の柄によって拳を弾かれた。音よりも速い。そんな印象。
「おい坊主――……俺は、テメエにかまってる暇は無ぇんだ。
 見逃してやる。死にたくなけりゃ、とっとと逃げろ」
 ――――見たモノを、そのまま殺せる視線。
 大気が――空気中の魔力が全て凍りつく。
 それだけの殺気。それだけの殺気を出せる実力。
 ――コイツが英雄か……ッ。畜生、とんでもねぇぞ、糞。
 逃げたい。言われなくてもとっとと逃げたいです。マジで。
「――けどまあ、悪いけど」
 ―――だけど。
「俺も、そーいう訳にゃあいかないんだ」
 ニヤリと笑って、息を吐き出す。
 ――吐き切ったところで息を止め、数秒耐えてから、フッと腹の力を抜く。肺の中に、酸素が自然に入りこむ感覚。
 中国拳法独特――なのかは知らんが――体内の『流れ』を正常に戻すことで、傷を癒す呼吸法。
 魔術回路の連続行使で乱れ切った『流れ』。コイツを元に戻さない事にゃあ、一瞬でぶち殺されちまう。
 ま、元に戻したって一瞬でぶち殺されるのは確定っぽいけどさ。畜生め。
「その人は、俺の客人でね。怪我した上に怪しい奴に拉致されてるのを見捨てたら、
 ジーザスにケツを掘られちまう」
「―――――……なんだと?」
 ――殺気が高まる。なんか拙いこと言ったんだろーか、俺は。
 ブンと振るわれる赤い槍。あ、ヤベエ。ケツに穴開かなくても胸に穴開きそう。
 その穂先が此方に向けられる。
 先ほどまで向こうが持ってた『見逃してやる』雰囲気が、完膚無きまでに消滅してるのはきっと気のせいじゃない。
 ――マズイな、俺きっと死ぬ。
「テメエ、アイツの仲間……ってわけか。なら、逃げなくても良いぜ。
 それならどの道、俺が殺す筈だからな」
 ――――瞬間、槍が動いた。
 不可避の槍。英雄の槍。ぶっちゃけ当たるとマジ痛そう。
 そんなくだらない事を考える余裕があるんなら、とっとと避けろと自分に呆れながら。
「代行者殿…………ッ!」

 聞こえて来る声に申し訳無い、と思う暇も無く、ぷっつりと意識を消した。
 そりゃまあ、無理も無い。

 い.自分の心臓に槍が突き刺さってるんだもんなあ。
 ろ.鳩尾に槍の柄を思い切り叩きこまれりゃあなあ。

930 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2006/03/08(水) 22:50:03
いに一票

931 名前: 言峰士郎-22 投稿日: 2006/03/08(水) 22:51:02
あ、ちなみにどっち選んでもデッドではないんで安心して選択を4649
ただ言峰士郎の能力がコイツで決定しますぜー、と言っておきます、ヒントヒント

932 名前: 913 投稿日: 2006/03/08(水) 23:08:28
どやらダメそうなので普通のSSに書き直しますノシ

933 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2006/03/08(水) 23:09:55
全然読めねー。ので原作とは違う ろ で。

934 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2006/03/08(水) 23:27:38
せっかくだから
ろ を選ぼう。

935 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2006/03/08(水) 23:43:59
鳩尾にいいの貰うと本気で呼吸が出来なくなって苦しくて素敵だぜ
と体験談から ろ を選んでみる
よいこの皆は真似しちゃダメだ

936 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2006/03/08(水) 23:45:48
すかさず い が反発

937 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2006/03/08(水) 23:48:17
折角だから、俺はこの赤い『い』を選ぶぜ!

938 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2006/03/08(水) 23:49:24
ここで一発「ろ」

939 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2006/03/08(水) 23:50:04
ろにリーチがかかりました。

940 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2006/03/08(水) 23:50:10
い、かな

941 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2006/03/08(水) 23:51:18
じゃあここでトドメの「ろ」

942 名前: 言峰士郎-23 投稿日: 2006/03/09(木) 00:50:58
――――interlude

 ――少年が、崩れるようにして地に倒れた。
 そこに、音も無く……だが必死の様子で歩み寄る暗殺者。
 睨みつける先は、蒼い槍兵。この男が主を殺そうとするのならば、一命を賭してでも防ぐ所存。

 暗殺者は知らぬ事だが――少年が心臓を貫かれずに済んだのは僥倖であった。
 何故ならば、この槍兵こそクランの猛犬、ケルト神話の大英雄『クー・フーリン』なのだから。
 かの英雄の持つ槍は、如何なる者の心臓とて貫き、千の棘をもってして破壊する、古の魔槍。
 マスター……否、『今のマスター』が、禁じていなければ、目の前の少年の心臓を食い破っていた代物である。
 最も、ただ一人で一国の軍勢を相手にしたこともある英雄だ。
 魔槍の力など用いずとも、確実に少年の命を奪う事ができただろう。
 ――だが、しかし、だ。そう言う訳にはいかなかった。
「――ほう、しっかり約束は護ったようだな、ランサー」
 ……暗殺者が、驚いたようにして振り帰る。
 彼女の背後には、暗い瞳の、黒い男が立っていた。
 いつの間に? 反英雄とはいえ、彼女も一角の英霊である。
 目の前の少年に気を取られていたとはいえ、如何なる術を用いれば、その感覚を潜りぬけて接近することができるのだろうか。
「……………………」
 ランサーは答えない。令呪さえなければ殺そうと、そう考えていた男である。
 殺す。必ず殺す。確実に殺す。少なくとも今は気が立っている。抑えられそうにはない。
 それがわかっているのか。否、この男ならばわかっているからこそだろう。
 黒い男、暗い男は、唇の端に笑みを浮かべた。
「――行け。早くしないと、その女……死んでしまうぞ?」
「―――――――」
 射殺すような視線。それを平然と受け流す男。舌打ちをすると、槍兵は隻腕の女を抱え、夜へと飛んだ。
 それを見送る事もなく、男の目が倒れた少年へと向けられる。それを阻むように立ちはだかる暗殺者。
「ふむ。あまり持たないだろうとは思ったが、初日でコレか。予想済みではあったが――……」
 残念そうな言葉。だがしかし、そこに現れている感情は喜び、だろうか。
 暗殺者は外套の内から短刀を取り出し、構える。寄らば切る――否、主に危害を与えるつもりならば、この位置からでも心の臓を貫こう。
「安心しろ。貴様の主に手は出さん。なに、死んでしまうと私も困るというだけだ」
 言って、男が少年に歩み寄った。隣りにいる暗殺者を無視するように。
 一瞬気圧された様子の暗殺者であったが、男が胸に手を宛て、其処から取り出した『黒』を少年の口元に運ぶに到って、ようやく口を開いた。
「――待て。貴様……何をするつもりだ?」
「先ほども言ったろう、安心したまえ。治療をしてやるだけだ。
 ああ、いや、正確に言えば実験でもあるし、そして彼の助けにもなる行為だがな」
 ゴブリ、と少年の口に流しこまれる『黒』。
 ――――……止める事ができなかった暗殺者。慌てて少年の様子を窺うが……今の所、目立った変化は無い。
 むしろ、少し呼吸が楽になったような気さえする。
 それでようやく安心したのか、はあ、と暗殺者が息を吐いた。

「――――さて、量は少なくとも代用品では無いからな。
 どのような結果になるものか…………」

 黒い男は笑みを浮かべて呟き――暗殺者が少年を抱えあげるのを見ると、音も無く姿を消した。





 これが、言峰士郎の――聖杯戦争、最初の一日の、幕切れである。


――――interlude out

943 名前: 言峰士郎-23 投稿日: 2006/03/09(木) 00:52:59
ちなみに
心臓貫かれてたら代用としてハサンの心臓を云々という展開があったりとかしてました
弓腕士郎ならぬ暗心士郎ってなわけで、最終的にゃあ妄想心音ぶっ放す奴になってたかも

でもって、待っててくださった方がいるというのが何だかすっごく嬉しいです
ありがとう、待っててくださってー

944 名前: 言峰士郎-24 投稿日: 2006/03/09(木) 02:14:32
 あるところに、女の子がいました。
 女の子は山のおくの小さな村でうまれました。
 女の子のお父さんとお母さんも、この村でうまれました。
 だから女の子も、この小さな村のだれかを好きになって、お母さんになるつもりでした。
 女の子は、だれかを好きになるということを、よくわかっていませんでしたが、
 それはとてもとても良いことで、胸がドキドキするんだ、ということは、わかっていました。
 だから、女の子はそれで良かったのです。
 村の人はみんなやさしい人ばかりでした。
 お父さんもお母さんもやさしい人でした。
 ほんの少し退屈なときもあったけれど、女の子はそれで良かったのです。

 その頃、村の外、お山の外では、大きな大きな戦いがおきていました。
 西のほうから来た人たちが、『せいち』をとりもどすため、女の子の住む東の国に攻めてきていたのです。
 西の人たちはカミサマのために戦っていたので、これはきっと正しい戦いだったのでしょう。
 でも、攻められた人たちは大変です。
 だって『せいち』は彼らにとっても『せいち』だったし、
 西の人たちの中には、お金をうばう為に戦いについて来た人もいたから、
 負けたらみんな取られてしまいます。
 困った東の人たちは、考えて考えて、山に住むおじいさんのところに行きました。
 むかし、おじいさんはカミサマを守るために、いっぱい人を殺してしまったので、みんなから嫌われていました。
 でも、こうなってしまったらおじいさんに助けてもらうしかなかったのです。
 西の人をとめてくれ、と頼まれたおじいさんは考えました。おじいさんは、もうおじいさんでした。
 西の人たちと戦うには、ほんの少しばかり年をとりすぎてしまっていたのです。
 困ってしまったおじいさんは、自分の住んでる山のそばの、小さな村に行きました。

「カミサマを守る為に、子供がひとり必要なのだ」


 村にすむ人たちは、とてもやさしい人でした。
 そして、とてもカミサマを大事にしている人でした。
 だから、えらい人たちは集まって、話し合って、村の子供たちの中からひとりを選びました。

 顔も知らない、会ったこともない、名前もいままで知らなかった子供。
 あの、女の子でした。

 こうして女の子は、お爺さんのところへ行きました。
 そこで女の子は、カミサマを守るため、人を殺す方法を知りました。
 そして、カミサマを守るため、お爺さんのかわりに人をいっぱい殺しました。
 女の子は、皆からほめられました。西の人には怖がられたけれど、東の人はみんな女の子をほめてくれました。

 けど、女の子は、カミサマを守る為に、名前を捨てさせられました。
 カミサマを守る為に、昔のことを忘れさせられました。
 カミサマを守る為に、顔を削られました。

 女の子は、いろいろ手に入れたけれど、いろいろ無くしてしまって。
 結局、女の子が、どんな女の子だったか、知ってる人もいなくなってしまいました。

 ――――これは、おとぎばなしです。
 おとぎばなしなのだから、むかしむかしのおはなしです。
 だからもう、これはおわってしまったおはなし。
 どうにもならない、おはなしなのです。


 ―――……ふざけんな。
 だから、それが、無性に腹立たしくなった。
 ―――――糞ったれめ。
 だが、結局――コイツは夢だ。既に終わってしまった話。どうにもならないお話。

 ――――――ほんとうに?

945 名前: 言峰士郎-24 投稿日: 2006/03/09(木) 02:15:22
「………ん、あ――……」
 ぼんやりと、眼を開く。見知らぬ天丼……どんな天丼だそれは。
 もとい、見慣れた天井。どうやら俺は、自分の部屋――ベッドの上にいるらしい。
「………痛ッゥ」
 身を起こそうとすると、腹に響く、鈍い痛み。
 ああ、そうか。この糞ッたれチキンのヘタレ野郎は、あっけなく全身青色槍男にぶっ倒されたのだ、まる。
「――起きたか、代行者殿ッ」
 俺が起きたのを見ると、あわてて駆け寄って来る黒い影。ちまい身体がラブリーです。
 が、別にロリ趣味、というわけじゃない。イリヤ先輩と仲良くしてる時点でアウトだと、某幼馴染は言ってるが、知ったことか。
 つーか俺は、あの『大草原の小さな家』というタイトルがピッタリくるような代物の持ち主である所の彼女こそがロリだろうと思っているんだが。面と向かって言う根性は無し。
「腹の傷だとか、他に痛むところだとかは――?」
「いや、糞くだらないこと考えてないと痛くてしょうがない程度には痛い。痛い、が。
 まあ、うん、大丈夫、だと思う。
 それで、ハサン――俺が情けなくもぶっ倒された後、どーなったんだ?」
 ――だったのだが。ハサンから、昨夜の事情を聞いて、ちょっぴり変更が加わった。
 つまりは『大丈夫だと良いなー』だ。ガッデム。ジーザス。ファック。
 つーか、その得体の知れない黒い泥ってなんだ。
 んな代物を勝手に他人に飲ませたのは何処のどいつだ畜生。
 いやま、誰か、については予想はついてるんだが。
「――……それで、どうするのだ、代行者殿。
 なるべくなら、今日はゆっくり休んだ方が――……」

 時計を見る。時刻は――ま、朝飯食う時間はないっぽいが、遅刻タイムってェわけじゃない。
 ついでに言うと今日は土曜で半ドンだ。
 学校に行って帰って来るくらいは大丈夫だろう。そーいやイリヤ先輩から頼み事があったっけか。
 しかし、自分の身体のことも気になるが――……。

 い.おっしゃ、学校行こうぜ、学校。
 ろ.エスケープエスケープ。休むに限る。

946 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2006/03/09(木) 02:52:24
見知らぬ天丼吹いた

947 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2006/03/09(木) 02:53:21
い

948 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2006/03/09(木) 03:33:09
い

949 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2006/03/09(木) 05:35:46
い

950 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2006/03/09(木) 06:02:40
問答無用でい!

951 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2006/03/09(木) 06:33:27
なら、ここで決め手のい!

952 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2006/03/09(木) 07:27:35
い

953 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2006/03/09(木) 07:34:23
大草原の小さな家て……w

954 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2006/03/09(木) 12:27:11
大草原の小さな棟

955 名前: 砂月姫 3/吸血衝動�� 投稿日: 2006/03/09(木) 12:28:39
>>902-903

 その迷い犬はわたしが餌を投げると躊躇いもなくそれを食べた。のみならず、わたしに
すり寄って来さえした。
 よく見れば首にはすり切れた首輪があり、飼い犬であった頃の名残を人なつっこさと共
に留めていた。名前は―――読めない事もない。だが、あえて読む事をわたしはしなかっ
た。どちらにしろ、その犬は捨て犬だった。カラスにやられたのかふさふさした毛は所々
千切られていて、それでなくても汚らしくて人に構ってもらっていない事は明白だった。
あまり食べていないのかやせ細ってしまっていて、肉はあまりないかもしれない。関係な
い事だ。どちらかといえば内蔵のほうが大切だそうだから。

 事前に悩んでいた事の大半はあっさりと解決した。そのまま歩いて行けば、犬もまたつ
いてきたから。高々ひとかけらのパンの為に千切れてしまうのでは、と思うほどに尻尾を
振っていた。それほどに、餓えていたのだろうか。

 やがて辿り着いた一画は、一見土蔵のような処で、実際そう使ってもいた。古いもの、
長らく使われていないもの特有の嫌な匂いが鼻につく。ただわたしが犬を連れて通る路は
最近人の出入りがあったため、以前のように歩けば埃が舞うというような事はなかった。
その先に、一つの穴がある。以前は大きな空箱で蓋をして隠してあったのだが、隠してお
かねばならない程の人数は今この家にはいない。そもそも母屋の現状維持で手一杯な家政
婦は余計な土蔵の中身など気にもするまい。

 その穴は、木組みの口を空け、石組みの咽を晒して獲物を待ちかまえている―――そん
な気がして、目眩がする。無論気のせいだ。だが、嫌な気分になる事は免れない。だから、
さっさと済ませてしまう事にした。
 そして、わたしはその穴に犬をけり込んだ。しかし、力が弱かったのかそれとも角度が
悪かったのか、私の方がバランスを崩して墜ちそうになってしまう。犬はちょっとびっく
りしたような貌をして―――またわたしにすり寄ってきた。遊んでいるとでも思ったのだ
ろうか。
 いや、違った。

 全然、違った。

 その目は確かにおびえを孕んでいた。身を縮み込ませてしかし尻尾だけは盛大に振って。
服従のしるしとばかりに身を低くして哀れっぽい声で泣いていた。何かを確かに判ってい
て、その上でこの犬はそうしている。

 血液が沸騰する感触を、確かに感じた。

 なんだその卑屈な目は。ふざけるな。判っているのか。お前をこの穴に落とそうとした
のを判っているのか。だったら何でそんな目をする。蹴落とそうとしたのが判っているん
だろう。哀れっぽい声を上げるな。お前の牙は飾りか、ならへし折ってしまえ。何のつも
りで尻尾を振る。許してもらおうとでも思っているのか。許すとでも。何を。止めろ。何
でわたしを責めない。なんだ、その目は。見るな。その眼で見るな。見ないで。

 わたしは犬を蹴り続けた。
 殺してしまいそうになるまで、駄々を捏ねるようにして、地団駄を踏むようにしてわた
しはその犬を蹴り続けた。骨が折れた音が聞こえたような気がして、蹴った。啼き声が癇
に障って、蹴った。目があったから、蹴った。蹴ったから、蹴った。



 気がつけば、ぐったりした犬を前に、荒い息を吐いてわたしは座り込んでいた。無様だ
った。涙が出た。嗚咽を漏らさなかったのは最後の見栄だった。ここで泣けばその声はあ
ちらに聞こえると思ったから。
 動かない犬を、わたしはその穴へ放り込んだ。千切れた首輪がその場に残っているのを
見つけて、それも一緒に放り込めば良かったと思って止めた。それは部屋までの帰り道に
どこかへ投げ捨てておく事にした。一刻も早くその場を離れたくて、わたしはそれを手に
したまま外へ飛び出していった。



壱=この地下に、わたしはその結果を見届けに行かなければならない。
弐=非道く疲れたので、居心地悪い夢でも見るために寝室へ向かう。
参=メイドが厨房に訃報侵入していないか調べないと。

956 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2006/03/09(木) 13:04:22
壱

957 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2006/03/09(木) 13:55:56
まぁ、壱でしょう

958 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2006/03/09(木) 13:59:46
あえて参で

959 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2006/03/09(木) 15:03:19
>>954
むしろ「大草原の小さな胸(いえ)」

960 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2006/03/09(木) 16:03:42
こういう雰囲気いいな。GJ

弐で行ってみよう

961 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2006/03/09(木) 16:17:53
壱でいきましょー

ここ最近で一気に連載作品増えたな。どれだけ期待すればいいんだ俺はw

962 名前: 言峰士郎-25 投稿日: 2006/03/09(木) 22:01:45
「――うし、決めた」
 そう呟いて飛び起きる。まだ少し腹が痛むが、まあ、なんだ。
 十字架に貼り付けられて槍叩きこまれるよかマシだ。
「代行者殿?」
 すぐ傍で此方を見上げて来る小柄な影。
 心配してくれるのは非常にありがたい。ありがたいんだが。
「悪いけど、俺、学校行くわ。
 つーかぶっちゃけ、アレ。あの糞野郎に殴られた程度で学校休む、ってェのは負けた気がする」
 いや、実際負けたんだけどさ。
「いや、代行者殿。それよりも――あの『黒い泥』の方が……ッ」
「あー」
 気の抜けた声をあげて、ボリボリと頭を引っ掻く。
「まあ、誰がやったかは見当ついてるし」
 つーか、この近辺でんな怪しげな代物持ってそうな奴って限られてるしなー。
 あの糞親父、義理とはいえ息子にワケワカラン代物飲ませるな、ってぇの。
 つか、普通あの状況なら『親父も殺されたんじゃ!』とか思うはずなのに、
 ぜんぜん思ってないあたり俺超外道ー。イエー、コンゴトモヨロシクー。
 ハンガーにかけてた学生服に手早く袖を通しながら、チラリと視線をハサンに向けた。
「ま、大丈夫だよ。どーせ今日は半ドンだし。
 まっさか学校にマスターなんざいるわけないしなー。あ、いや、いるにはいるが」
 そもそもアレはマスターとか以前に要注意対象である。あかいあくまめ。
「だから、大丈夫だって」




「――それで、代行者殿。なにか仰りたいことは?」
「えーっと……。
 いや、すみません、ごめんなさい」
 そりゃまあ、あんな会話の後で学校に結界――まだ未発動っぽい――を見つけちまったら、
 こんな台詞くらいしか出てこない。
 隣りで霊体化してるハサンに『謝るためなら死ねる!』勢いで謝ってみる。
 ちなみに結界を見た時の第一声は『ついにやっちまったのか、凛!』であった。
 聞かれてたら殴ッ血KILLられて14へ進んでしまうに違いない!
 俺は信心深いのだ。死んだらバルハラに行きたい。異教徒だけどなー。
「まあ、どーにかしなきゃならんよなあ、この結界」
 つってもま、言峰士郎が使える魔術は『強化』くらいのもんだ。
 ぶっちゃけ自分一人じゃ、結界をどーこーするのは難しい。
「一応知識としてはあるんだが……」
 対処法知ってても実力伴ってない時点でダメダメだ。オーマイゴッド!
 あの糞親父が親父やってんだから、せめてちょっと凄い力くらいくれたって良いじゃないか。
 実は固有結界が使えるとか、空から女の子が降って来るとか、一緒に帰ると噂されるから嫌とか。
 そーいや、うちのガッコにも伝説の樹ってぇのはあるんだろうか。
「それで、どうするのだ、代行者殿?」
「まあ、あとで凛にでも連絡しときゃ良いだろ。俺にどうこうしてくれってェのが無茶だ」
 つーか基本、人の理から外れた異端や外道どもをブチ殺すのに、
 連中と同じように人の理から外れた方法とっちゃ意味が無いのである。
 人間なのだから、両手両足武器に脳味噌。こいつで戦って、こいつで勝とうぜ。
 教会の代行者ってェのは、そんな連中が多い――らしい。
 まあ、人の理から外れなくても、人の規格から外れちゃった人も多いが。
 あと異端ぶち殺すためなら何でもOK!なチョースゲー人もいるっぽい。
 閑話休題。
「んじゃま、遅刻しそうだし、とっとと行きますか」
 そう言って歩き出す俺in校門前。今までの会話も全てin校門前。
 つまり校門の前で突っ立って(傍から見れば)独り言をぶつぶつ呟いてるわけだが無問題。
 ああ、言峰士郎だからな。言峰士郎じゃあ、仕方ないな。どうなんだそれは。

 さて、今日はどうしようか。
 1.正々堂々、普通に入る。
 2.防具を用意してみようか。
 3.窓から突入するんだ、スネーク!

963 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2006/03/09(木) 22:05:51
3
ったら3

964 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2006/03/09(木) 22:06:07
3.!

965 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2006/03/09(木) 22:09:05
3に行くしかないでしょう

966 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2006/03/09(木) 22:09:43
大佐、3を選ばざるをえないぞ!

967 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2006/03/09(木) 22:17:43
せっかくだから俺はこの赤い3を選ぶぜ

968 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2006/03/09(木) 22:22:18
そろそろ次スレの時期ですね

969 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2006/03/09(木) 22:34:03
もちろん、3

970 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2006/03/09(木) 22:48:33
壱

971 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2006/03/09(木) 22:50:50
>>970
残念、すでに参でFAです。

972 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2006/03/09(木) 22:54:33
まだ決まってなくね?

973 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2006/03/09(木) 22:57:57
ごめん、言峰士郎のと勘違いしてた。

974 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2006/03/10(金) 00:56:52
次スレ立てたよー
http://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/otaku/995/1141919424/l100
あとは今スレの感想って事で

975 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2006/03/10(金) 02:19:22
乙ー。
ただ、どうせならStar lightのまとめサイトも載せておいた方が良かったな。

976 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2006/03/10(金) 04:48:49
今スレは、やっぱ言峰士郎復活が嬉しかったなあ

977 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2006/03/10(金) 10:42:23
あきらかにほっぽかれてる連載作品はどうしたものか……。
ある程度放置されたら連載から外してもいいんじゃないか?

978 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2006/03/10(金) 10:51:07
砂月姫
壱:4
弐:1
参:1

ここで止めの壱

979 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2006/03/10(金) 11:40:11
>>977
連載から休載に格下げでもしておくとか

●●先生の次の作品をお楽しみください

980 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2006/03/10(金) 20:51:02
>>979
ケン・イシカワな展開に突入。

981 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2006/03/10(金) 22:01:02
全然見ないのは
『仮面ライダー蟹』
『月を穿つ』
『傭兵殺人貴』
『Fate for Live』
『難易度の高い月姫』
の五つだな。

982 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2006/03/14(火) 19:34:48
感想・・・
いいかげん埋まれ

983 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2006/03/14(火) 21:55:33
starlightはいい感じで止まってるから早く進めてほしいな
あとダース・ワカメ

984 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2006/03/14(火) 21:58:54
うめ

985 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2006/03/14(火) 23:34:31
埋め

986 名前: 17分割 投稿日: 17分割
17分割

987 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2006/03/15(水) 13:26:39
埋め

988 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2006/03/15(水) 16:50:38
梅

989 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2006/03/15(水) 16:50:55
ウメ

990 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2006/03/15(水) 16:51:35
うめ

991 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2006/03/15(水) 17:43:08
おつかれさま、選択(略)04。後はレスに埋まって眠りなさい。

992 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2006/03/16(木) 01:31:04
梅さん

993 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2006/03/16(木) 03:00:15
うめ

994 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2006/03/16(木) 06:54:10
元より止まりやすい物、無数のレスに埋まって消えよ。

995 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2006/03/16(木) 07:48:19
折角だから、俺はこのスレを埋めるぜ!

996 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2006/03/16(木) 09:19:50
もうちょっと・・・

997 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2006/03/16(木) 09:27:50
梅埋め

998 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2006/03/16(木) 10:06:41
私が埋める、私が落とす、私が罵倒し私がフォローする(以下略)
"このスレッドに祝福を(キリエ・エレイソン)”

999 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2006/03/16(木) 10:18:47
埋め

1000 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2006/03/16(木) 10:20:14
 さて、ここに星や砂や黒がある。
 君達が挑むのはIFの物語だ。
 何を選んで何を成すべきかは。
 決して、彼らにだけは知られてはいけないよ――――

    from:code[■■]
           ….TYPE-MOON select fictions

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