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主従キャラバトルロワイアル part1
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主従キャラバトルロワイアル part1
1 :
創る名無しに見る名無し
:2011/10/22(土) 22:17:16.82 ID:0MFGkM38
当スレッドは、漫画やアニメに登場する主従キャラでリレーSSの形式でバトルロワイアルを進める
「主従キャラバトルロワイアル」という企画の為のスレッドです。
前スレ
(なし)
主従キャラ・バトルロワイアル@wiki (まとめ)
ttp://www38.atwiki.jp/msbr/
主従キャラ・バトルロワイアル専用したらば掲示板
ttp://jbbs.livedoor.jp/otaku/15038/
【参加主従一覧】
【Fate/Zero】 衛宮切嗣/セイバー
【Fate/Zero】 ウェイバー・ベルベット/ライダー
【Fate/Zero】 雨生龍之介/キャスター
【コードギアス 反逆のルルーシュ】 ルルーシュ・ヴィ・ブリタニア/ジェレミア・ゴットバルト
【コードギアス 反逆のルルーシュ】 ユーフェミア・リ・ブリタニア/枢木スザク
【コードギアス 反逆のルルーシュ】 天子(蒋麗華)/黎星刻
【東方儚月抄】 レミリア・スカーレット/十六夜咲夜
【東方儚月抄】 西行寺幽々子/魂魄妖夢
【東方儚月抄】 蓬莱山輝夜/八意永琳
【HELLSING】 アーカード/セラス・ヴィクトリア
【HELLSING】 インテグラル・ファルブルケ・ウィンゲーツ・ヘルシング/ウォルター・C・ドルネーズ
【スター・ウォーズ】 ルーク・スカイウォーカー/C-3PO
【スター・ウォーズ】 ダース・シディアス/ダース・ベイダー
【ゾンビ屋れい子】 姫園れい子/百合川サキ
【ゾンビ屋れい子】 雨月竹露/姫園リルカ
【戦国BASARA】 伊達政宗/片倉小十郎
【戦国BASARA】 織田信長/明智光秀
【うたわれるもの】 ハクオロ/トウカ
【おまもりひまり】 天河優人/野井原緋鞠
【ジョジョの奇妙な冒険】 DIO/ヴァニラ・アイス
【そらのおとしもの】 桜井智樹/イカロス
【まよチキ!】 涼月奏/近衛スバル
【北斗の拳】 シン/ハート様
【魔法少女リリカルなのは】 八神はやて/シグナム
【物語シリーズ】 阿良々木暦/忍野忍
25組50人
テンプレ
>>1-4
2 :
創る名無しに見る名無し
:2011/10/22(土) 22:18:04.00 ID:0MFGkM38
【バトルロワイアルのルール】
1.バトロワイアル
送り込まれた土地を舞台に、主従同士が殺し合い、最後の一組が残るまでこれを続ける。
2.主従
参加者は主従一組で選ばれ、主には赤の★が、従者には青の★がそれぞれ左手の甲に刻まれる。
バトルロワイアルの優勝は一組の主従であることが条件なので、片方を失えば優勝の権利も失う。
ただし、あぶれた主と従者同士で新しい主従を組むことは可能。
その場合、赤の★と青の★を触れあわせれば新しい主従契約が成立したとみなされる。
3.禁則
これを破ると強制的にその場から退場させられ死を与えられる。
・殺し合いの舞台となる土地から逃げ出した場合。
・主あるいは従者が死に、一人あぶれた状態で12時間が経った場合。
・後述する「禁止エリア」に進入した場合。
・バトルロワイアルによる死者が出ない状態が24時間続いた場合。(全員に適用される)
・バトルロワイアル開始より72時間が経過しても決着がついていない場合。(全員に適用される)
4.放送と禁止エリア
バトルロワアイアル開始より6時間ごとに、その間に死亡した参加者の名前を読み上げる放送が流れる。
また同時に、禁止エリアの場所と禁止となる時刻も読み上げられる。 ※詳細は実際のSSで決定。
5.支給品
参加主従には、それぞれ一組ごとに背負い袋がひとつ支給される。
中身は、「舞台となる土地の地図」「参加者の連名簿」「筆記具」「明かりとなるもの」。
それと、内容が不明な「殺し合いに使う道具(不明支給品)」が4つ。
背負い袋の中身は不思議な空間となっており、いくつでも道具を入れられるし重さも一定で変わらない。
6.優勝
最後の一組となり優勝した者らには願いを叶える権利と元の世界への生還が約束されている。
3 :
創る名無しに見る名無し
:2011/10/22(土) 22:18:47.51 ID:0MFGkM38
【書き手向けのルール】
1.リレーSS企画
当企画はリレーSS企画です。なのでルールを無視した作品の投下は受け付けないのであしからずご了承ください。
2.予約制度
作品を投下するにあたっては、まず該当スレにてその旨を書き込むことをお願いしています。
必要なのは書き込んだ人物の同一性を保証するトリップと、予約するキャラクター(全員分)の名前です。
予約すればそれから5日間(※1)、そのキャラクターの作品を投下する権利を得ることができます。
期間を過ぎれば権利は失効(※2)しますが、失効後続けて予約することは期限が無限に続くことと同じなので禁じます。
※1 作品が3作以上採用されている書き手には+2日。
※2 予約期間を過ぎた後でも、他の人の予約が入っていなければ作品の投下は認められます。
予約スレ
ttp://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/otaku/15038/1319268571/
3.修正/破棄要求
投下された作品内に修正や、部分的もしくは全体として破棄する必要な箇所があると感じられた場合、
該当スレを使用し、それを指摘し改善を求めることができます。(※)
要求が出た場合、該当作品およびそれに関わる部分の進行を凍結し、該当スレで話し合いを行います。
そこで、修正や破棄の要不要が決定すればその通りにし、凍結状態を解除し通常の進行に戻ります。
※単純な誤字や表記ミス等、簡単に修正できるものであればわざわざ修正要求スレを使うことはありません。
修正/破棄要求、議論スレ
ttp://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/otaku/15038/1319268687/
4.自己リレー
リレー企画であることを尊重し、原則として自己リレー(自作の後に自作を続けること)を禁止とします。
ただし、投下以後2週間経っても続きが書かれなかった場合はそれを解禁するとします。
5.登場時期や能力制限等々
バトルロワイアルおよびリレーがつつがなく進行するよう、それを害する能力は制限されているとします。
また参加者が原作のどの時点から登場するかは書く人に委ねられていますが、これもある程度の制限があります。
詳細についてはまとめwikiの該当ページを参照してください。(>ttp://www38.atwiki.jp/msbr/pages/18.html)
4 :
創る名無しに見る名無し
:2011/10/22(土) 22:20:07.74 ID:0MFGkM38
【状態表のテンプレおよび時間表記について】
作品内の情報を共有するため、それをテンプレートにそって記し作品内に付け加えることを義務とします。
【(エリア名)/(具体的な場所名)/(日数)-(時間帯名)】
【(主従の属性):(キャラクター名)@(登場元となる作品名)】
[主従]:(現在、主従を組んでいる相手の名前)
[状態]:(肉体的、精神的なキャラクターの状態)
[装備]:(キャラクターが携帯している物の名前)
[方針/目的]
基本方針:(基本的な方針、または最終的な目的)
1:(現在、優先したいと思っている方針/目的)
2:(1よりも優先順位の低い方針/目的)
3:(2よりも優先順位の低い方針/目的)
[備考]
※(上記のテンプレには当てはまらない事柄)
例)
【A-1/森の中/1日目-黎明】
【主:衛宮切嗣@Fate/Zero】
[主従]:セイバー
[状態]:魔力消費(小)、令呪(3画)
[装備]:レイジングハート@魔法少女リリカルなのは、種籾@北斗の拳
背負い袋(基本支給品)、ゼロの衣装@コードギアス 反逆のルルーシュ
[方針/目的]
基本方針:優勝し生還する。
1:土地と建物を把握し、有利な場所を見つける。
2:はぐれた従者を見つけ、利用できるよう言いくるめる。
3:爆弾の材料となるものを調達する。
[備考]
※レイジングハートから一時的なマスターの承認を受けました。
コピペ用)
【-//-】
【:@】
[主従]:
[状態]:
[装備]:
[方針/行動]
基本方針:
1:
2:
3:
[備考]
※
方針/行動の数は不定です。1つでも10まであっても構いません。
備考欄は書くことがなければ省略してください。
時間帯名は、以下のものを参照してそこに当てはめてください。
[00:00-01:59 >深夜] [02:00-03:59 >黎明] [04:00-05:59 >早朝]
[06:00-07:59 >朝] [08:00-09:59 >午前] [10:00-11:59 >昼]
[12:00-13:59 >日中] [14:00-15:59 >午後] [16:00-17:59 >夕方]
[18:00-19:59 >夜] [20:00-21:59 >夜中] [22:00-23:59 >真夜中]
5 :
◆Su10.RK3MU
:2011/10/22(土) 22:21:08.18 ID:0MFGkM38
本日24時丁度より予約解禁、企画スタートです。
6 :
創る名無しに見る名無し
:2011/10/22(土) 22:24:38.54 ID:y1oyh1q/
>>1
乙
7 :
◆Su10.RK3MU
:2011/10/22(土) 22:37:01.23 ID:0MFGkM38
オープニングを投下します。
8 :
Gnossienne No.4
◆Su10.RK3MU
:2011/10/22(土) 22:37:58.75 ID:0MFGkM38
【001】
異例事態である。
僕は――僕こと阿良々木暦はこれまでに語り部として様々な《物語》を語ってきた。
それは僕という人物のことであったり、僕の周辺にいる人物のことであったり、あるいはそれらにまつわる事件、
また取り留めのない出来事、戯言であったり、逆に含蓄のあるエピソードだったりを、それこそ悲喜交々に
多くの無駄と脱線を含んだ上で、好き勝手に自由奔放に、僕の思うままに語ってきた。
しかし、今回のこれはそれらとは全く異なる。
繰り返すが異例事態なのだ。
なにが起きたのか。あるいはなにが起きなかったのか。そういうレヴェルにおいての異例事態ではない。
そういう意味で異例だというのならば僕の語る物語は毎回が異例だと言えるだろう。
高校2年生から3年生に移る春休みより僕の人生は予想だにもしない展開を、唐突に、理不尽に、衝突するように迎え、
滅茶苦茶に転がり始めた。七転八倒なんてものじゃない。百転百一倒なんてものである。
とはいえ、後悔の数は山ほどあれ、僕は同時に満足もしている。
例えどんな人生を生きようと人生はかけがえなく、そして今の僕がいるのだ。なのでIFに思いを馳せることに意味はない。
さておき、そんな人生訓めいたものを、しかもまだ若造でしかない僕が語ったところでそれは滑稽でしかないし、
今は滑稽でしかないそれを語っている場合ではない。
異例事態なのである。
何が異例なのかというと、簡単に言うとこの《物語》はまだ終わっていないのだ。というよりも始まったばかりである。
まだ語るほどのストーリーがあったわけではないし、無論オチもついていないし、現在進行形だったりする。
ミステリで例えるなら第1の殺人事件が発生したところ。
アニメで例えるならアバンが終了しこれからオープニングアニメが流れ始めるといったところか。
もっとも、ここ最近のアニメじゃ1話の場合オープニングアニメを流さないって場合も多々あるようだけど、ともかく。
ならば何故語るかというと、終わってもないことを語り始めるのかというと、やはり起こった事も異例事態だからだ。
これまでのどの物語よりも異例。先が読めない。命の保証がない。後々、僕が回想できるかも想像できないし、
オチがついたとて僕がそれを知りうるかも定かでない。知ったとしても語れる立場にあるのかもわからない。
故に、異例として、例外として僕はこのまだ物語にもなっていない語り部である僕ですら知らない物語を語るのだ。
もし僕がこの物語の最後までいられなくなったとしてもこれがなにかの切欠になるように。
助けを呼んでいるわけじゃない。追ってもらうためでもない。
感心してほしくも、経験にしてほしくも、笑ってもらうためでも、ましてや悲しんだり憤ってもらうためでもなく、
無論アニメ化などを望むべくもなく、誰に届かなくてもいいと諦め、けど語った事実だけはどこかに残るはずだからと、
存在証明として僕はこの物語を語る。
まだ誰も知らない。名前のない《■物語》を――
【002】
その時、僕はなんの変哲もない路をただ歩いていた。
この場合、路というのは別段人生や何かの隠喩だったりはしない。正真正銘、ただの道路だ。
僕は街中のアスファルトで舗装されている道路をただ歩いていたのである。
そこに不正行為やフラグ立てはなかったはずだ。
あるいはもしかしたら何かあったのかもしれないが、それについての推察は割愛する。必要があれば後に語ろう。
で、落ちた。
ストンという感じだ。なんら警戒も予想もしていない場面で僕は唐突に落ちた。
最初はマンホールの穴にでも落ちたのかと思った。
誰かの悪戯でマンホールの蓋が外されており、僕は間抜けにもそれに気づかずに落ちたのだと。
ヒューストンとアメリカの都市の名前のように、カートゥーンの登場人物のように落ちたのだと僕はその瞬間思った。
そうではないとわかったのは、その後のことだ。
9 :
Gnossienne No.4
◆Su10.RK3MU
:2011/10/22(土) 22:38:50.41 ID:0MFGkM38
【003】
次に気づいた時、僕はどことも知れぬ場所に倒れ伏していた。
気づけばとは言ったものの、感覚的には一瞬だ。まさに、落ちたと思ったら地面に伏していたのである。
途中、気を失っていただけなのかもしれないがそれもはっきりしない。
普通だとここで身体の調子や空腹の度合いでブランク(空白期間)がどれほどあったのかを推測するところであるが、
いかんせんそういう意味では僕の身体は不便にできていた。
吸血鬼なのである。それも中途半端ななりそこないの半人前以下の吸血鬼。
詳しい経緯と説明は省くとして、半端なりにも再生能力を備えた僕は通常に比べて体調の変化が鈍い。
故にこの場合、自らの体調でもって経過した時間を計るというのは不可能、ではないにしろ当てにはならなかった。
不死性故に気を失っていた時間もわからないのだ。
吸血鬼がおしなべて寝太郎なのはこのせいかもしれない。
だが、語り部をしている僕が寝太郎なのでは話が進まないだろう。
正しくは僕が寝ていたとしても話は進むし、この世界の有様は刻一刻と変化していくだろうがそれでは語れない。
伝えられない。少なくとも、僕という立場からは。
なので起き上がり、立ち上がる。
少し湿り気を帯びた芝生の地面から立ち上がってみれば、そこは実に奇妙な空間だった。
星の瞬きが見える夜空の下、薔薇の垣根で囲われたそこは一見してどこかお屋敷の中庭という風だ。
その印象を補強するかのように、その空間には等間隔で白いレースのクロスをかけられたテーブルが並列している。
テーブルの上には食事や飲み物とおぼしきものが並び、ここで奇妙だと思うのだが小さなぼんぼりが立っていた。
これも和洋折衷と言うのだろうか。ともかくそこはそういう少し奇妙なパーティ会場のような場所だった。
ぼんぼりが灯す橙色の明かりはささやかなものであったが、吸血鬼の視力ならば問題はない。
僕は現状を把握すべく更なる情報を得ようと辺りを窺う。そして、そこでまた奇妙なことに気がついた。
どうやら、この空間には僕以外にも多数のゲストがいるようなのである。
何故そこであやふやな物言いになるのかというと、これはそのままあやふやだからなのである。
人はいる。その数は決して少なくない。一見しただけでも数十人はいる。多分、学校の1クラスよりも少し多いくらいだ。
もっとも学校の1クラスなんて地方と年代によってバラバラなんだろうけど、じゃあ具体的に言えば50前後ってところだ。
50前後の人――いや、人影と称するべきか。
人影としか言えないようなそんな認識が曖昧な存在がそこらじゅうにいるのである。
存在として曖昧なのではない。存在は確かだとはっきり言える。幽霊でもない。実体はある。けど認識が曖昧なのだ。
そこに視点をあわせた途端、まるでカメラのピントがズレたようにはっきりと見えなくなるのである。
これは一体なんなのか?
考えるまでもない。僕の脳みそが落下の衝撃でいかれてしまうなんてことは吸血鬼の再生能力が否定してくれる。
ならば、もう答えは一つだ。いつもどおり、不思議なことは――《怪異》の仕業なのである。
【004】
「ようこそいらっしゃいました」
そう思い至った瞬間、その言葉は会場の中へと響き渡った。静かだがはっきりと耳に届く声だった。
声のした方を向いてみればこの奇妙なパーティ会場の端に一人の女性が立っている。
曖昧でなくはっきりと認識できる僕以外の唯一の人物がここに登場したのだ。
「私は貴方達を此処へと誘った張本人、八雲紫と申します。まずは無理矢理に御呼び立てしたことを詫びましょう」
そう言って彼女は頭を下げ、また上げた。
波がかった長い金髪に不思議な色の瞳。大人の女性なのに少女人形のような、そんな印象のある顔だった。
紫色のドレスを着こなしており、その有様はどこか僕の相方である吸血鬼の在りし日の姿に近い。
彼女は“貴方達”と言った。ということは、僕を含めてこちら側の人影は同じ境遇なわけだと推察できる。
つまり、僕を含む数十人の何者かが互いが認識できないよう術をかけられ、ここに軟禁(?)させられている。
回数をこなしたこともあるが、鈍い鈍いと言われる僕も随分と頭の回転が早くなったものである。とここは自画自賛。
10 :
Gnossienne No.4
◆Su10.RK3MU
:2011/10/22(土) 22:39:59.28 ID:0MFGkM38
「また、企てていることに皆様を巻き込むことにも、張本人としてここにお詫びします」
そして彼女はまたぺこりと頭を下げた。そして再び人形のような顔がこちらを向く。
わざわざ拉致してきたのだ。呑んで喰って帰れという話ではないだろう。じゃあ彼女は僕達に何をさせる気なのか?
「これより、集まっていただいた皆様の中で“殺し合い”をしていただきます」
ストレートな言葉だった。殺しあってもらうだって?
僕はこの会場の様相から金持ちが主催する殺人遊戯のようなものを想像した。
次にスティーブン・キング原作のバトルランナー。思い浮かべるのは映画版のほうだ。原作は読んだことがない。
実に明快な話だ。この先どういった流れになるのかも容易に想像できる。
どうせ簡単には逃げ出すことなどできないのだろう。人質をとられている可能性もある。
僕達は抗う術もなく殺し合いを強制されるのだ。大いなる闇やら、権力者やら、はたまた《怪異》と呼ばれる者に。
「私は皆様をそれぞれ主従一組としてこの場にお招きしました。
ですから、正しく言い直すならばその主従と主従の間で対立し、殺し合いをしていただくということになります」
そして、一番最後まで残った主従には生還を約束すると彼女は言った。
僕は自分の足元。芝生の上にかかった自分の影を見る。主従一組と言うなら僕のパートナーはこいつしかいない。
鉄血にして熱血にして冷血の吸血鬼――の成れの果てであり、吸血鬼の絞りかすでしかないあいつだ。
「生還では気にいらぬ。気が入らぬと仰るのでしたらなんなりと望みも叶えましょう。
――兎にも角にも殺し合いをしていただきたいのです」
兎にも角にもってなんだよ。そんなどうでもいいからさっさとやってくれみたいな理由で殺しあいなんかできるか。
もちろん、どんな理由があったとしても殺し合いなんか絶対に認めたりはしないけれど。
「残るのは主従一組だけ。主と従者、どちらを失っても生き残る権利は失われてしまいます。
あくまで一組の主従でなくてはならないのです」
矜持としての不戦不殺はともかくとして、情報を聞き逃すことはない。なので僕はひとまず彼女の話に集中する。
「ですが、これだとあまりにも可能性がない。始まってしまえば皆が皆早々に権利を失ってしまい誰も残らない。
なのであぶれた者同士で新しい主従を組みなおすことを認めます。
例えそれが仮初めの関係であろうと、主と従者の一組であれば、私はその者らの生還を認めましょう」
意味はわかるが目的がわからない。主従の間柄が本物でもなくていいのなら最初からそうでもいいんじゃないか?
それともそこに対した意味はなく、ゲームが不成立になりやすいから加えただけのルールなのか?
「それぞれ左手の甲に《印》を打ちました。統べる者には赤い星(★)を。傅く者には青い星(☆)を。
もし本来の主や従者を失ったのならば、同じく失った者を探し出し赤と青の星同士を触れ合わせてください。
そうすれば、その者らは新しく主従一組であると認められます。
よいですか? あぶれたなら赤と青の星を触れ合わせるのです。そうすればまた主従であると認めます」
僕は左手の甲を見た。いつの間にかにそこにはシンプルな赤い星印が痣のようにつけられている。
うぐぐ、俺の左手が疼く――って感じだが、これ後で取ってもらえるんだろうな?
なんか皮膚に染み込んでるっぽいんだけど。例え生きて帰ってもこのままじゃ家には戻れないぞ。
「逆に、あぶれたにも関わらず新しい連れを探そうとせずにいるのであれば、それは生還を諦めたとみなします。
半日。半日経っても新しい主、あるいは従者を見つけられなかった者はその場において死を与えます」
12時間、新しいパートナーが見つからなければ強制的にゲームオーバー。見つければゲーム続行。
一見救済措置に見えて、実際は逆だ。これは“諦めることもできずに殺しあうしかない”ってルールにすぎない。
胸クソが悪くなる。沸々と怒りが湧いてくる。こんな残虐を押し付けてなお平然としているあの美しい顔に。
「押し付けた無理難題ではありますが、理解できたでしょうか?」
ああ、理解できたともさ。八雲紫が悪逆を働く、人によって成敗されねばならない《怪異》だってことが。
11 :
Gnossienne No.4
◆Su10.RK3MU
:2011/10/22(土) 22:40:44.95 ID:0MFGkM38
【005】
「ならば、この殺し合いにおける進行といくらか存在する禁則を説明いたしましょう」
間を置くと、彼女は殺し合いゲームのルールをこれまでと変わらない調子で静かに語り始めた。
さて、お約束に従うならここらでそろそろ文句をがなりたて彼女に楯突く者が出てきてもおかしくないし、
なんなら僕が命を顧みずその役割を負ってもいいんだが、しかしどうやらそれは不可能のようだった。
「この後、皆様にはこちらが用意した土地へと移動していただき、その土地を舞台に殺しあっていただきます。
同時に地図を配りますが、まずそこから逃げ出すことを禁則とします」
先ほど、僕以外の者らの姿が曖昧なことは語ったばかりだが、どうやらそれは姿だけに限らず声もそうらしい。
いくつかの人影は身振り手振りを加え、なにやら発言しているようなのだが僕の耳には何も届かないのだ。
彼女には聞こえているかもしれない。けど、こうしているということは僕達の意見などは無視するということだろう。
「そしてこの殺し合いには限られた期限があります。
与えられる時間は丁度三日。これを過ぎることもまた禁則とし、過ぎれば全員に死を与えることになります。
また誰も死なない状態が一日過ぎれば、生還のための殺し合いを放棄したと解釈し、禁則を破ったとみなします」
猶予は最大で3日。誰も死ななくていい時間で考えると1日。
果たして、この時間でなにもかもが解決するのかというとかなり微妙な時間設定だ。
「殺し合いが始まれば、四半日(6時間)が過ぎるごとに、殺し合いから脱落した者の名を読み上げます。
同時に殺し合いの土地で立ち入りできなくなる場所も読み上げます。
この後、禁じられた場所に踏み入れば、これも禁則を破ったとみなし即座に死を与えます」
逃げ場のないフィールドが時間と共に狭くなり追い立てられてゆく……。ますますゲームじみた設定だ。
時間設定といい、なにかそういった部分に人間の作為的なものを感じるのは気のせいだろうか。
「禁則はこれだけです。殺し合いそのものに禁じ手はありません。貴方達はただ殺し合いから逃げなければよい。
そうすれば、この中で一組の主従、二人の者が望みを叶え生還できるのです。
――殺し合う。たったそれだけのことです」
たったそれだけとは言ってくれる。確かに人間と怪異の死生観は違う。人の間だって時代と場所で変わる。
もしかすれば彼女には深刻な理由があるのかもしれないし、怪異としての習性で悪気なくしているのかもしれない。
けど、どんな理由があろうとそれは認められない。
この世が弱肉強食というのならば、何者にだって、弱肉でしかない者にだって抗う権利は存在するのだから。
だから、僕はこの殺し合いを認めない。断固、阻止してみせる。そうこの時僕は決心した。
【006】
「では始める前に質問を受け付けましょう。
貴方方同士で声は通じませんが私には届きます。その場で質問を言葉で発してください」
などと言われても、僕はなにも質問する気が起きなかった。今後のことを思えばできるだけ情報は欲しいところだが、
生憎僕はそういうところで頭が回らないので、情報を引き出す為の質問というのが思いつかない。
逆に下手なことを言って殺されたり、僕が言ったことでルールの不備などを先に封じられては、と考えてしまう。
「なんじゃ、いかようにして願いを望めば最低限の罪悪感でもって女共を侍らすことができるのかと考えておるのか?」
って! 僕の名誉を不必要に貶めるような発言をするのは誰だ!? と思って振り返ればそこに僕の従者がいた。
正確には、いや正確に言えば従者なんだが、気持ちの上ではなんというのだろうか……運命共同体?
なんにせよ、振り返ったそこにはかつて鉄血にして熱血にして冷血の吸血鬼であった少女がいた。
忍野忍――半人前以下の吸血鬼もどきに主としての権利を奪われたその成れの果てである。
八雲紫のことを忍と似ていると評したが、今の忍は八雲紫とは似ても似つかない。
吸血鬼としての力の大半を失った彼女はその身もまたそれに応じて幼いものへと変じているのだ。
およそ10歳程度。こんなロリっちぃ身体。よろこぶのはせいぜい僕くらいなものである。
12 :
Gnossienne No.4
◆Su10.RK3MU
:2011/10/22(土) 22:41:32.15 ID:0MFGkM38
「そんなこと考えてないってのはわかるだろう」
「まぁの。儂とお前様は感情が通じておる故、そのような懸想をしていないというのは一目瞭然じゃ」
「見えてないけどな。で、じゃあなんでそんな悪評が立つようなデタラメを言うんだ?」
「なぁに、お前様が今にも後先考えずに特攻などを仕掛けようと、そんな気がしたもんでの」
む。そうか、そんなに昂ぶっていたか。
自分では密かに闘士を燃やすクールな反逆者のつもりだったが、忍が言うならそれは間違いないんだろう。
僕と忍は一蓮托生だからそのためってこともあるんだろうけど、ともかくとして忍には感謝だ。さすが年長者。年の功。
「む、儂を後期高齢者扱いすると……」
「思ってない! 思ってない! そんなこと微塵も思ってない! って、お前なにしてるんだよ?」
「見てわからぬか?」
と言って忍は両手に持ったドーナツをこちらに向けて見せた。ちなみに口の中にもドーナツが入っている。
それぞれ、ゴールデンチョコレート、オールドファッションハニー、フレンチクルーラーである。いい趣味してやがる。
だから先ほどの台詞は正しく表現するなら「みへわひゃらぬは?」だ。翻訳してあげたのである。
「見てわかるから言ってるんだろうが」
「なぁに、戦の前の腹ごしらえじゃよ。これからバトル展開なんじゃろう?」
「言っとくけど――」
「わかっておるよ。でも、それでも……じゃろう?」
確かに、こちらが白旗を上げたからといって戦いを止めてくれる者ばかりじゃないだろうさ。
そこまで僕は理想と主義に殉じてはいない。止むを得ない戦いがあるということも理解はしてる。納得はしてないが。
しかしどうしてここでミスタードーナツなんだ? 怪異は等しくドーナツを好むなんて話聞いたこともないぞ。
って、よくよく見ればテーブルの上に並んでいるのはミスタードーナツばかりでなく僕の好物もあるみたいじゃないか。
これはつまりあれだ。死刑囚が死刑執行の朝に好きなものを食べられるとかなんとかみたいな。なんて悪趣味。
そして食べ物の好みまで把握されていることに僕はゾッと肝を冷やした。
「さてわがあるじよ。そろそろ話を進めるところじゃ」
言われて僕は再び振り向いた。あの八雲紫の方へ。どうやら質問タイムは終了し回答タイムへと移るらしい。
【007】
「……望みはなんでも叶うのかと? 正直に申し上げましょう。この世に絶対という言葉はありません。
なので、どんな願いでもとは確実には保証できません。ですがそれでもこの私なら多少の道理は曲げてみせましょう。
過去を見せろと言われれば見せましょう。
未来が見たいと言うのならば案内しましょう。
御伽噺の中にある宝が欲しいと言われれば取ってきましょう。
誰も知らない問題の答えが欲しいというのならば答えてみせましょう。
愛する者を亡くしたのならば、黄泉路へと足を運び連れ戻してまいりましょう」
死者蘇生。……できるのか? それならば、いや、信じてどうする。仮に真実だからといってそれがなんだ。
それは人を殺してもいいという免罪符にはならない。生き返らせるから殺させて、なんて通る話じゃない。
「……ならば、『この殺し合いをなかったことにしてみろ』と言われますか。ええ、勿論それは可能な願いです」
その発想はなかった。なるほど、終わった後に全てをチャラにするというわけか。
死んだ者を生き返らせろなどという対処ではなく、根本的な意味での完全解決。事象ごとの完全抹消。
確かにそれを願えば途中経過がどうであろうが問題ではない。だがしかし、可能だからといって叶えてくれるのか?
それにランプの魔神の寓話じゃないが、こういった根源を揺るがす願いというのは手痛いしっぺ返しがあるのが相場だ。
「確かに、皆がその願いを叶えてもらうとここで誓うならば、これから殺し合いをする必要もないでしょう。
あってもなくてもどちらにせよなかったことになるのならば、してもしなくても同じというのは道理です。
ならばここにいる皆に問いかけましょう。それを望むのか。
全員が等しく望むのであれば、貴方達はここで起きた全てを忘れただちに元の世界へと解放されます」
13 :
Gnossienne No.4
◆Su10.RK3MU
:2011/10/22(土) 22:42:20.32 ID:0MFGkM38
更に話の流れは変わった。もし、実現するというのであればこの願いと質問はたったひとつの冴えたやり方だ。
どこの誰かはしらないが僕は心の中で拍手喝采を送ろう。もしこれで元の日常に帰れるのならばいうことはない。
命の大切さをひしと噛み締め、素敵な提案をした誰かに感謝して(忘れるはずだが)生きていこうと思う。
「忍」
「わかっておるよあるじ様。儂も肯定し誓おう。仮に優勝すれば全てをなかったことにするとな」
じゃがな、これは無駄じゃよ。と忍はぼそりとこぼした。そして、儚い望みはやはり儚いままに終わったのだ。
「……残念ながら、また私には都合のよいことに、それでもなお殺し合いを望むという方がおられました。
なので、やはりこのまま殺し合いをはじめたいと思います」
落胆は、それほどない。
全く素性のしれない僕達以外の数十人だけど、全員が同じ価値観を持っているなんてそれこそ天文学的確率だ。
そもそもこれは真偽の確認が取れない問題なのだ。八雲紫が嘘を吐いている可能性は多分に存在する。
願いを叶えるというところからして嘘である可能性もあるのだ。
なので、それらを含め、殺し合いが始まる前に様々な可能性を検討できた。今はこれで十分だとする。
妥協でしかないが。妥協は時に可能性を殺すが。しかし大事なのはバランスだ。分不相応を得ようとすれば人は死ぬ。
「ですが、その前に……禁則を破った者の末路を見せましょう」
ドキリと心臓が跳ね上がった。なんてこった。このまま始まるのなら、最低限“ここでは誰も死なない”と思ったのに!
所謂みせしめというものはあると思った。殺しあえなどと素直に従う人間がそういるはずもない。
そうなれば言うことを聞かせるための脅しは必要だ。それを欠かさずしてゲームが始まるわけがない。
けど、もし始まるまで相手の掌の上で転がるように従順に行動すれば、それも必要なくなるのではないかと、
そういう意味での“妥協”だったが……しかし、みせしめはやはり規定路線だったらしい。妥協の甲斐もなく誰かが死ぬ。
「主たる《エンリコ・マクスウェル》とその従者《アレクサンド・アンデルセン》」
僕の前方。僕と八雲紫を繋ぐ距離のおよそ半分くらいのところにあった人影がパッと鮮明な人の形となった。
後姿だから顔は見えない。けど名前からするに外国人だろう。そして彼らは揃いの黒衣に身を包んでいた。
おそらくは神父。そしてつまりは吸血鬼ハンター。いや、これはただの偏見と勘だが、
一度吸血鬼として神父と対決したことのある僕にとっては神父=吸血鬼ハンターなのである。
「殺し合いの始まる前に殺してしまうというのは私が禁を破ったに等しい。
なので代わりに貴方達二人の願いを今叶えましょう。――《私と殺しあいたい》という願いを」
先ほどの全員の願いが一致しなかったのは、欲にかられた者がいたからと思ったがそんな願いを思う人もいたのか。
いや、僕には理解できるはずだ。あれが僕の知っている神父と同種なのだとしたら彼らは《怪異》を見逃さない。
【008】
「――悪しき者の計略にあゆまず、罪人の道に立たず、あざける者の座にすわらぬ者は、さいわいなり。
かかる人は主の法をよろこびて、昼も夜もこれをおもう。かかる人は、流れのほとりに植えし木の、
期にいたりて実をむすび、葉もまたしぼまざるごとく、そのなすところみな栄えん。
あしき人はしからず、風の吹き去るもみがらのごとし。
されば悪しき者は審きにたえず、罪人は義しき者のつどいに、たつことをさえざるなり。
そは主は義しき者の道を知りたもう、されど悪しき者の道はほろびん」
神父の一人、従者だと言われた方が前に出る。
彼はただの人間だろう。しかし僕は知っている。《怪異》を狩るほどまでに突き詰めた人間のエゲつない強さを。
「あいつらはあいも変わらず念仏が長いの。儂の可愛い耳が腐って落ちるわ」
お前が間違えるなよ。あれはどう聞いても聖句だろ! と、僕が内心でツっ込んでいる間にそれは始まって終わった。
実に1秒にも満たない時間でのできごとだ。言葉ひとつ発する間もないことで、だから台詞もなにもなくそれは終わった。
14 :
Gnossienne No.4
◆Su10.RK3MU
:2011/10/22(土) 22:43:30.89 ID:0MFGkM38
最初に動いたのは従者の方の神父。突然加速したかと思うと黒い雷のような猛スピードで八雲紫へと突進した。
後ろから見ていたのが幸いした。でなければ吸血鬼の反射神経と言えどあの速度ではすぐに視界外だったろう。
そして次の瞬間、その神父が唐突弾けて、跳ね返った。何が起こったか、理解するまでに数瞬かかる。
彼が見えない壁にぶつかって跳ね返されたと理解したのは、半ば肉塊と化した彼が僕の前に落ちてきた時だった。
この時点で彼は死んだと思った。
だってそうだろう。普通の人間は身体が半壊するようなぶっ飛ばされ方をしたら即死だ。彼が人間なら間違いなく死ぬ。
けどそんな常識は容易く打ち破られた。彼は再生し、立ち上がったのだ。
無論、吸血鬼ほどの再生スピードではなかったが、逆に人間の常識の中にある再生スピードでもなかった。
正直に言おう。これまでの時点で僕はこの殺し合いをどこか舐めているところがあったことを。
曲がりなりにも吸血鬼とその眷属である。忍の本当の力は反則なまでに強い。最悪、それを解放すればと思っていた。
積極的には望まないまでも、そういう奥の手。最終手段があるのだと心の底で安心しきっていたのだ。
しかし、そんな軟弱な覚悟ですらない腐った性根はこの後木っ端微塵なまでに打ち砕かれる。
再生しながら立ち上がる神父の前で、彼の主人である神父の姿が消えた。それこそ神隠しのように一瞬で。
わけがわからなかった。また見えなくなったのかと思った。そして、僕の目の前にいた神父の姿も消えた。
今度は見えた。
近かったのもあるだろう。けどそれよりも、絶対的な危機感が僕の吸血鬼としてのスキルを強化したという方が正確だ。
それでも一瞬だが。一瞬とはいえ見えた。得体の知れない《何か》が神父を呑みこむのを。
「これが禁則を破った者の末路です」
八雲紫の声が聞こえた。その次の瞬間――
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15 :
Gnossienne No.4
◆Su10.RK3MU
:2011/10/22(土) 22:44:18.20 ID:0MFGkM38
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絶叫が響き渡った。いや、そんなものではない。声とは思えなかった。ならば絶音。いや絶怨と表現するのが正しいのか。
例えば人間を雑巾を絞るように頭と足の先を持ち実際に絞ってみたなら、こんな悲鳴が絞りだせるのかもしれない。
あるいは喉に細かいガラス片をびっしり詰めて叫ばせれば人間はこれほどの音を口から発せられるのかもしれない。
しかししかし、こんな想像では生温い。今聞こえているこの怨声はそんな程度では到底及びもしない心に罅く断末魔だった。
16 :
Gnossienne No.4
◆Su10.RK3MU
:2011/10/22(土) 22:45:27.15 ID:0MFGkM38
悲鳴とはそもそも危険を知らせる為に発信されるものである。危害を音声に変換して周囲に知らせるサイレンである。
聞いた者の恐怖を喚起し、警戒を促し、危険を自覚させ、逃走を実行させる根源的で本能に直接響く音声信号。
故に不快でありながら決して忘れられることのない動物としての機能。重要だからこそ、これは不快に深く機能する。
そして、それは十全に機能していた。耳から入った信号は全身に危険をこれでもかというほど詳細に伝えてきている。
いや、それは過剰すぎた。思考能力は機能しなくなり、眼球は振るえ、噛み鳴らす歯が口内をザクザクと傷つける。
身体中の筋は千切れんばかりに引き絞られ、膨張した心臓と血管が今まにも破裂しそうだった。
聞いているだけで死ねる。それは、それほどまでに怨嗟と苦痛に満ちた悲鳴だった。
【009】
悲鳴が聞こえたのはほんの一瞬だったと思う。
長くとも5秒といったところだろう。無限の時間のようだったが、本当に無限だったのなら僕は精神は破壊されている。
地面に膝をつき、手もついて、四つん這いの格好で僕は上がった息を整えようと静かな呼吸を繰り返した。
吐き気がする。手足の先まで悪寒に包まれていて感覚があやふやだ。汗がぐっしょりと全身を濡らしていて気持ち悪い。
「今のが、禁則を破った者の末路」
八雲紫の声が聞こえる。顔を上げる余裕は今の僕にはなかった。なので声だけを耳で拾い続けた。
「私は……、
『死などは生ぬるい』『死など怖くもない』『死など知りすぎている。何度も繰り返した』『今まさに死んでいる』
という方ばかりをここに集めたつもりです。
ならば、ここで与えられる死がただの死では意味がない。罰は死よりなお厳しくなくては禁則に意味がない。
その為に特別な死を用意しました。私の力でここで死した者は直接地獄の最下層へと送りましょう。
――阿鼻地獄。
それがどのようなものかは先ほどの魂を砕き漂白する絶鳴を聞けば理解できたはず。
あれを五千四百万年通してようやく輪廻転生の機会を得られる。地獄の最下層とはそのような処なのです。
これならば、ここにおける死は誰にとっても重大なものであるはず。
逆に生還がこの世のなによりも価値を持つものだと考えることもできるようになるでしょう」
滅茶苦茶だ。どんな業を背負ってくればそんな馬鹿げたデスペナルティを受けるゲームに挑戦しなくちゃならないんだ。
負けたら地獄落ち。文字通りに地獄落ち。しかもただの地獄でなく阿鼻地獄だって? 糞ッ! 滅茶苦茶だッ!
「ただ死すれば亡骸を残し魂だけを地獄に送りましょう。しかし、禁則を破れば先程の者達と同じ末路を辿ります」
それはつまり、死んでから地獄に落ちるよりも、生身のまま落ちるほうが責め苦は辛いってことで、
戦って死ぬほうが少しはましだってか? けど、僕はどっちにしたって地獄落ちは真っ平御免だ。畜生めッ!
「この恐怖と興奮が冷め遣るまで待つのもよくない。では早速殺し合いの舞台へと貴方方を飛ばしましょう」
殺し合いが始まる。始まってしまえばもう止めることはできないだろう。否が応にも僕は選択を迫られる。
17 :
Gnossienne No.4
◆Su10.RK3MU
:2011/10/22(土) 22:46:12.72 ID:0MFGkM38
どうすればいいのか? 僕はそれだけを目を瞑りながら心の中で繰り返し――
――そして、再び。唐突に落ちていったのであった。
殺し合いの舞台。地獄の真上へと。
【010】
「最後に。
貴方達主従と一緒に背負い袋を一組につき一つずつ送りました。
土地の地図と、殺し合いに参加する者の連名簿。それらに印を打つ為の筆記具に、明かりのつくもの。
それと殺し合いに使う道具を四つ中に入れておいたので、自分の物として自由に扱っいなさい」
【エンリコ・マクスウェル@HELLSING 死亡】
【アレクサンド・アンデルセン@HELLSING 死亡】
【主従キャラバトルロワイアル 開幕】
※
【主催者】:八雲紫@東方儚月抄
18 :
◆Su10.RK3MU
:2011/10/22(土) 22:46:57.95 ID:0MFGkM38
以上で投下終了です。
19 :
創る名無しに見る名無し
:2011/10/23(日) 00:25:42.85 ID:AxqS4Kzg
なにこれどうやって死んだの?
20 :
創る名無しに見る名無し
:2011/10/23(日) 03:39:43.16 ID:458+IKHQ
>>19
三途の川をショートカット
21 :
創る名無しに見る名無し
:2011/10/23(日) 06:17:02.82 ID:AxqS4Kzg
>>20
それだけで悲鳴あげるものなの?
22 :
創る名無しに見る名無し
:2011/10/23(日) 16:15:46.62 ID:q5dYJvRG
阿鼻地獄(無間地獄)
殺生・盗み・邪淫・飲酒・妄語・邪見・犯持戒人、父母殺害・阿羅漢(聖者)殺害。
地獄の最下層に位置する。大きさは前の七つより大きく、縦横高さそれぞれ二万由旬。最下層ゆえ、地獄に落ちるまで、まっ逆さまに(自由落下速度で)落ち続けて到着するまで二千年かかる。
前の七大地獄並びに別処の一切の諸苦を以て一分として、大阿鼻地獄の苦、千倍もあるという。剣樹、刀山、湯などの苦しみを絶え間(寸分・刹那)なく受ける。背丈が4由旬、64の目を持ち火を吐く奇怪な鬼がいる。
舌を抜き出されて100本の釘を打たれ、毒や火を吐く虫や大蛇に責めさいなまれ、熱鉄の山を上り下りさせられる。これまでの地獄さえ、この無間地獄に比べれば夢のような幸福だという。
この無間地獄の寿命の長短は1中劫という。1中劫とは、この人寿無量歳なりしが100年に一寿を減じ、また100年に一寿を減ずるほどに、人寿10 歳の時に減ずるを一減という。
また10歳より100年に一寿を増し、また100年に一寿を増する程に、8万歳に増するを一増という。この一増一減の程を小劫として、20の増減を一中劫という。
例えの一例としては、一辺が一由旬の巨大な正方形の石を、100年に一度柔らかな綿で軽く払い、その繰り返しで石が磨耗、消滅するよりもさらに長い時間だと言われる。
この地獄に堕ちたる者は、これ程久しく無間地獄に住して大苦を受くという。
要するにめちゃくちゃキツイ地獄に落とされましたということでは
23 :
創る名無しに見る名無し
:2011/10/23(日) 20:21:50.80 ID:3eKxpRRm
叫び声はマクスウェルだけだな
アンデルセンはむしろ大喜び
地獄の底で十字軍やれるんだから本望だろう
24 :
◆Su10.RK3MU
:2011/10/25(火) 20:57:36.29 ID:8HzLJGUl
投下します。
25 :
ツェペシュの幼き末裔
◆Su10.RK3MU
:2011/10/25(火) 20:58:35.28 ID:8HzLJGUl
【001】
「こんなに月も紅いのに……ええっと、あの時はなんて言ったんだっけ?」
「『楽しい夜になりそうね』ですわ。お嬢様」
しんと静まり返った闇の深い森の中、そのもう少し奥に木々が開き月光の降り注ぐステージのような場所があった。
そして、闇の中よりなお静謐なその場所に、可愛らしいドレスに身を包んだ幼き少女と彼女に仕える瀟洒なメイドがひとり。
「ああ、そうだった。あの夜は楽しかった」
「そうですね。後片付けは大変でしたけれども」
夜天に浮かぶ満月を見上げる少女――メイドのほうもまだそう言えるくらいには見える。は、どちらも、
あのような地獄、それも一番深く恐ろしい地獄の一端を垣間見たというのに平然としている。
それはそもそもの気性なのか、それとも二人が尋常な存在ではないからなのだろうか?
「私は夜が明けたら寝てしまったけど」
「私は夜が明けても寝る暇なんてありませんでしたけど」
ドレスに身を包んだ幼き少女――レミリア・スカーレットは吸血鬼である。
彼女に仕える瀟洒なメイド―― 十六夜咲夜もまた人間でありながら普通ではない力を持っている。それも強大な。
そしてこの二人は幻想卿というところから来た。
人の心から怪しいものを恐れる気持ちが失われつつある今、妖怪や神がそのままの姿でいられる数少ない場所である。
彼女達二人(とその仲間)もまた人の記憶から追われ、あるいは置いていかれた幻想の一員なのだ。
そして、その幻想卿を生み出したと言われているのが、あの他でもない八雲紫なのであった。
なので二人は八雲紫を知っている。
よくは知らないが。しかしこれは彼女達のせいではない。八雲紫は皆に自分を分かり易くは知らせていないのだ。
「それで、どうしましょうかお嬢様?」
「どうって?」
二人は丸い月を見上げながら会話を続ける。月光は怪しに近いものにとっては清流のようなものなのだ。
「これが《異変》でしたら解決しなくてはいけないと思うのですけど……」
「あー、あのスキマ妖怪をやっつけるってこと?」
八雲紫はスキマ妖怪と呼ばれる。しかし正式名称ではない。そんな名前の妖怪の分類は存在しない。
けど、彼女のことをどう呼んでいいかわからないから、皆はスキマを操る妖怪なのでスキマ妖怪だと呼んでいるのである。
「そうですね。立ちふさがる相手と戦いながら《異変》の主を探して」
「いつか満月がおかしくなった晩も私と咲夜でそうしたわよね」
幻想卿では幻想卿の存在を揺るがすような大きな事件のことを《異変》と呼ぶ。
《異変》は解決されないといけないのでそれ専門の者が対処することとなっている。そこに物好きも多少加わることもあった。
レミリア・スカーレットもかつては「紅霧異変」と呼ばれる《異変》を起こしたことがあり、《退治》されたこともある身だ。
そしてそう言ったように、《異変》を解決する側として動いたこともある。
何を隠そう、同じくこの場所に連れて来られた「蓬莱山輝夜」と「八意永琳」、
彼女達が起こした《異変》――「永夜異変」の解決に大きく寄与したのがこのレミリアと咲夜の二人なのである。
「ええ、ですから今回も……」
「だめだめ。咲夜、それはもう無理なことよ」
咲夜は主人の言葉に首をかしげた。
この500年も生きているのに見た目と精神とがそう変わらないご主人は「無理」なんて言葉を口にしないと思ったからだ。
26 :
ツェペシュの幼き末裔
◆Su10.RK3MU
:2011/10/25(火) 20:59:31.02 ID:8HzLJGUl
「はい?」
「これが《異変》だとしたら私達はもう《異変》の真っ只中にいることになる。外から見たら人質みたいなものよ。
だからもう私達にはこの異変を解決する側に回る資格がない」
「そういうものなんですか?」
「それに、相手はあのスキマ妖怪よ。ただの《異変》じゃないし……そもそも《異変》じゃないかもしれない。
だったら私達が気に病む問題でもない気がするわ。
そもそもあんな口上に乗ってあげる必要はないのよ。私は私の理由がなければ動かないことにしている」
「はぁ……」
理屈がわかるようなわからないような。咲夜は首をかしげたまま相槌を打った。
そしてどうやら、ご主人は降りかかった問題を解決するよりも、あえて無視するほうがより格好がつくと考えたようだった。
ならばそれに逆らうこともない。粛々と従うだけだ。殺し合いが好きな人間なんてそんなにいない。
「紅白巫女に任せましょう。これが《異変》ならあいつの仕事よ」
言って、レミリアは深い森の中へと足を進めてゆく。咲夜はあわてて背負い袋を拾い上げるとその後を追った。
森の中に踏み込むと途端に光は失せ視界は閉ざされる。
夜族であるレミリアは平気だが、まがりなりにも人間な咲夜はそうもいかないので足元もおぼつかない。
背負い袋を探ると、咲夜は骨董品のランタンを中から取り出しマッチを擦ってそれに火を灯した。
「では、どうなされるのですか?」
主人の小さな背中に追いつくと咲夜はこれからどうするのかを尋ねる。
「……そうね。せっかく幻想卿の外の世界に来たんだし、色々見て回りたいわねぇ」
「ああ、それは……私も興味があります」
率直な感想を述べる。
幻想卿では外からのものが中々見ることができない。そもそも幻想に近しいほど忘れられてなくては届かないからだ。
なので数少ない外からのもの――“最新の忘れられたもの”なんかは珍重され、価値はともかくとしておもしろがられる。
ここが幻想卿でないとしたら、普段幻想卿の中にはないものが色々と見られることだろう。
「面白いものが手に入るかもしれないし――ほら、あれを見て!」
「何か光っていますね」
森の中を歩き、そろそろ途切れるかというとこらへんで二人はその先に真っ白でまぶしい光を見つけた。
空に輝く星ではない。地上スレスレの低い場所にあるし、星はあんなに強く光っては見えない。
ならば、それはなんだろうか? いきなり、幻想卿では見たこともないものである。
「流星が落ちてきたのかも」
言ってみましょう。というとレミリアは無邪気に走り出した。
咲夜も慌てて――ランタンの中の油を零さないよう注意しながらその後を追って駆け出した。
【002】
「不思議ですねこの明かり。とても明るいのに強い力を感じない」
街道の脇に立てられた細い柱。そのてっぺんまで上った咲夜は先っぽから吊るされている明かりを見てそう言った。
森の中から見た光。その正体は現代社会に住んでいるものならよく知っているただの電気の街灯である。
しかし彼女達は行灯は知っていても電気の存在には馴染みがないのでそれがなにだかわからない。
ガラスの中に妖精が入ってるわけでもない。流星の欠片が入ってるわけでも、魔法がかかってるわけでもない。
となれば、実に不思議なものと彼女達の目には映るのであった。
「向こうの方にも並んでいるねぇ。なんだろう。明かりの実をつける鉄の樹とか?」
レミリアは街道に沿って立ち並ぶ街灯を見てそんなことを言う。
そして夜の静けさの中に沈む見たことのない街並みと見たこともない光に、ここは天人か月人の世界かもと思った。
27 :
ツェペシュの幼き末裔
◆Su10.RK3MU
:2011/10/25(火) 21:00:14.59 ID:8HzLJGUl
「しかし、空を飛べなくなっているのは不便ですね。明かりを確認するだけでも服に埃が」
するすると鉄柱をすべり降りてきた咲夜がそう零す。
どういうわけだか不明だが、彼女達の空を飛ぶ力が発揮できなくなっていたのである。
「大方、あのスキマ妖怪は空を飛べたんじゃあ私達が逃げ出すとでも考えたんだろうさ」
幻想卿では彼女達妖怪や魔法みたいなものを使える者は皆空を飛べる。
逆に空を飛べないのはただの人間か獣などの地面の上で暮らすことを選択した、また余儀なくされたものだけだ。
生物の進化に囚われない“浮いたもの”である妖怪達が飛べない道理はない。
しかし、その空に浮かび飛ぶという性質はなんらかの(十中八九、八雲紫の)力で封じられていた。
「ちょっと上のものを確認するためだけに、上ったり踏み台や梯子が必要なのは不便ですね」
「かまいやしないさ。この世界はこのレミリア様が飛ぶには狭すぎるからね」
やはり動じない二人であった。
「それよりもあの光る硝子球。木の実みたいにもいで持って帰れないか?」
「どうでしょう? もいだら光も消えてしまいそうな気がします」
「だったらこの柱ごと持って帰る?」
「それはちょっと……」
そして変な会話をしている二人に近づく、これも普通ではない二人の人間がいた。
【003】
「今晩は。お嬢さん方」
レミリアと咲夜が振り向くと、道の真ん中に黒いスーツを着た女とその傍らに控える老執事の姿があった。
「こんばんは。変な人間」
レミリアの不遜な態度(本当は率直なだけなのだが)にスーツの女の口角が上がる。
浅黒い肌に長く伸ばした金髪。眼鏡の奥の瞳は鋭く、その笑みはまるで猛禽類を思わせるものだった。
対して笑みを浮かべるレミリアの小さな口の中にも鋭い牙が覗いた。
俄かに、周囲を包む空気が剣呑なものへと変化してゆく。
「……変な人間か。然り。確かに私は変わり者だ。ならば、お前はどうだ? 幼い吸血姫よ」
「さぁねぇ。私の周りは変なものばかりだから変じゃないものがなにかわからない」
静かな夜の空気が風もないのにゆらゆら揺れる。
「私は、インテグラル・ファルブルケ・ウィンゲーツ・ヘルシング。“お前達のようなもの専門”だ」
「私は、レミリア・スカーレット。“お前達みたいなもの”には一度も負けたことがない」
ふんと、インテグラと名乗った女はレミリアを見下ろし鼻をならす。
レミリアも平べったい子供の胸をそらしてインテグラを見上げふんと鼻をならした。
「幼いからといって侮りはしない」
「侮ったりしないほうがいいわ。このツェペシュの末裔たるレミリア様を」
「……ツェペシュ?」
「そう。正統なる吸血鬼の血統よ」
ツェペシュの末裔――その言葉を聞いてインテグラの目が見開かれた。そしてその肩が小刻みに震え始める。
その名。吸血鬼の祖、串刺し公たるブラド・ツェペシュの名に畏怖したのか?
いや、そうではない。彼女はその名を、その者を“よく知っている”。だから、その肩の震えは――
28 :
ツェペシュの幼き末裔
◆Su10.RK3MU
:2011/10/25(火) 21:00:57.91 ID:8HzLJGUl
「くっ……く、はははははははははははははははははは!」
――滑稽に対するものであった。
「は、ははは……。まさか、“あいつ”にこんな幼い娘がいたとはな! 知らなかった! いやあいつも“水臭い”!」
「お前、何がおかしい!」
肩を震わせ、いやもう腰を折って身体を抱いて大笑いするインテグラを前にレミリアの顔がかっと紅潮する。
どうして彼女が笑うのかレミリアは知っている。だからこそ恥ずかしく、そして怒り心頭だった。
「咲夜! こいつ、私を馬鹿にしたわ! 半殺しにしてあげなさい!」
「お嬢様。相手は二人いますけど、一人殺すんですか? それとも半分ずつですか?」
「残り半分は私が殺すから半分ずつよ!」
「…………御意に」
いつの間にか腰に刀を携えた咲夜が一歩前に出る。
「ウォルター。彼女達からはよく話を聞きたい。丁重におもてなししろ!」
「畏まりました」
対して、インテグラの後ろからはウォルターと呼ばれた老執事が一歩前に出た。
慇懃に一礼すると、戦闘態勢を取り名乗りを上げる。
「ウォルター・C・ドルネーズ。ヘルシング家執事(バトラー)。元国教騎士団ゴミ処理係――行きますぞ」
黒手袋を嵌めた老執事の手の中で透明な糸が引き絞られギリギリと空気を掻き鳴らす音が響いた。
「十六夜咲夜。紅魔館メイド長。現役のお掃除当番――と応えればいいのかしら?」
同じく名乗りを上げ咲夜が鯉口を切り鞘から刀を抜くと、月の光を跳ね返したのか、キンと澄んだ音が鳴り響く。
静かに構えられた切っ先はそのまま真っ直ぐと老執事の面へと向けられる。
月光の下。緊張に息を潜めるように周囲から音は失われ、そして――華麗な武闘の幕が切って落とされた。
【004】
最初に動いたのは咲夜だ。抜いた刀を水平に構え老執事へと突進してゆく。
しかし、先手を打ったのは老執事――ウォルターであった。
彼が手を振ると、その指に絡められた糸がひゅるひゅると口笛のような音を鳴らしメイドへと殺到してゆく。
十重二十重に絡み取ろうとする糸の群れ――だがしかし、メイドはそれをなんなく避けてみせた。
「――ほう!」
老執事の片眉がぴくりと上がる。
メイドは群がる糸をただ避けたのではない。群がる糸の隙間を潜り抜けたのだ。
いかにこれが“本調子”ではないにしろ、神業とも言うべき回避を見せたメイドにウォルターは心の中で賞賛を送った。
「――ええいっ!」
肉薄し袈裟に斬りかかってきたメイドの刀を老執事はなんなくと軽快なステップで回避する。
年を重ね老いたとはいえまだまだそこいらの若者に劣るような男ではない。
回避と同時に隙を見せた相手へと攻撃を重ねる。今度はひうんと鳴った糸がメイドの足元を絡み取ろうと地を走った。
が、それも容易く回避された。その場で跳び上がったメイドは空中で一回転すると捻りを加えて着地して見せる。
口笛を吹きたくなるような見事なアクロバットだ。
29 :
ツェペシュの幼き末裔
◆Su10.RK3MU
:2011/10/25(火) 21:01:41.93 ID:8HzLJGUl
「ならばこちらも気張りませんとなぁ……ッ!」
これまで片手で糸を繰っていたウォルターは更にもう片手に仕込んでいた糸を解放する。
空気を掻き鳴らす音は単純な旋律から重奏へと変化した。倍に増えた糸は乗数のパターンを生み出しメイドを追いつめる。
前後左右天地。四方八方。縦横無尽。
糸は鳴り響かせる音を変化させながら、時に直線的に、時に曲線を用いて弾幕ならぬ糸幕、あるいは網幕を描く。
日本刀を持ったメイドはもう近づくことも叶わない。時折包囲の薄い部分を潜り抜けるがそれも最早老執事の計算の内。
「“王手(チェックメイト)”」
両手の解放から四手目。
一本の糸を跳躍して回避したメイドの、その着地点に残りの糸が殺到する。最早いかようにしても回避は不可能。
メイドは蜘蛛の巣に飛び込んだ蝶と変わらない。そしてこうなってしまえば生かすも殺すもこちらの思うまま。
そのはずだったが――
「――なっ!?」
糸の先に獲物を捕らえた感触はあった――だがしかしそれはあのメイドではなかった。そこにあったのは街灯だ。
ギリギリと音を立てて糸が鉄柱に絡みつきその表面を擦る。
いかに年を取ろうと敵と街灯を取り違うことがあろうか? そんなはずはない。ならばこれはどんなトリックなのか?
「ウォルター!」
主の声にウォルターは我を取り戻す。消えたメイドは視界の端を刀を構え突進してきていた。
その速度は疾風のようで今までになく早い。後、数瞬で刃は身体に届く。
迎撃体勢を整えるべく両手の糸を引く――が、引き戻せない。糸は鉄柱に絡みつき、ただ不快な音を奏でるだけだ。
普段使用している専用の鋼糸であれば鉄柱くらい紙に鋏を通すように断ち切ってしまうのだが、これはそうではない。
いつの間に消えうせていたそれの代用品として、つい先刻に釣具店の軒先から拝借した糸と錘でしかないのだ。
「……ッ!」
糸を諦めるとウォルターはそれを手から離し、代わりに半歩下がりながら腰に挿していた大振りのナイフを抜き出した。
心得がないわけではないが得意の獲物ではない。そして相手が糸を回避したトリックも見当がつかない。
勝算はいかほどか? しかし、そこに不平を言ってもしかたない。
見たところメイドの刀捌きも滅茶苦茶だ。ならばメイドにとっても日本刀というのは本来の獲物ではないのだろう。
そうであるなら、戦略的には条件は五分と五分。後は引いたカードの運と己の力量のみが計られる勝負でしかない。
眼前に迫るメイドに老執事の眼がギラリと光った。彼の本性は獰猛だ。ここで負ける気などさらさらなかった。
老執事とメイドの影が交差する。
メイドは再び上段に構えてからの袈裟斬り。ウォルターはそれに打ち合わせるようにナイフを斬り上げ――
「あっ」
と、メイドの声。ウォルターは打ち合わせると見せかけ、その瞬間にナイフを引いた。
くるりと逆手に持ち替えるとそのまま刀をかわし、前に泳ぐメイドとダンスを踊るように身体を反転させると
勢いをそのままに構えた肘を隙だらけのメイドの顎へと繰り出した。これが本命。これが戦闘における経験の差!
「…………ッッ!?」
が! 再びウォルターの決着の一撃は空を切った。そこにいるはずのメイドが何故かいない。
一瞬前のメイドのように攻撃をすかされたウォルターは同じように身体を宙に泳がせ、一歩二歩とたたらを踏む。
体勢を整えようとするがもう遅い。それはこの瞬速の勝敗を決するには十分以上に過ぎた隙であった。
「“王手(チェックメイト)”――ですわ。ご老人」
ひやりとした冷たい刃が首筋へと当てられる。
いかような手品を使ったのか、よろめいていたはずのメイドの姿は彼の真後ろにあった。
最早次の手はない。勝敗は決した――そう悟ると老執事はナイフを地面に捨て、両手を上げて降伏の意を表した。
30 :
ツェペシュの幼き末裔
◆Su10.RK3MU
:2011/10/25(火) 21:02:28.76 ID:8HzLJGUl
【005】
「あなたはよいメイドをお持ちだ。レミリア嬢」
「そうでしょう。咲夜は私が認めたメイド長なのだから」
決着の後。あれほど怒りを表していた吸血鬼のお嬢様は一転してころころと笑い一際上機嫌なご様子だ。
見た目通りの幼い振る舞いを微笑ましく思いつつ、インテグラは一命を取り留めたと冷や汗を拭う。
ウォルターがいれば並の吸血鬼に遅れを取ることはないと思っていたが、まさかそれ以前のメイドに一本取られるとは。
「“捕虜”になった以上はおもてなしが必要よ。ねぇ、咲夜、お茶の準備をなさい」
「それは結構ですが、しかし道具もなにも持ち合わせていませんが」
いかに瀟洒なメイドであろうと虚空からお茶は出せない。それはもうメイドではなく魔法使いかなにかだ。
もっとも魔法使いであろうと、わざわざお茶を飲むのにそんな大仰なことはしないだろうが。
「この通りを戻れば街がある。我々の口に適うものがあるかはわからないが――」
「いいわ! おもしろそうじゃない」
インテグラの言葉に機敏に反応すると、レミリアは彼女の横をすり抜け急ぎ足で街の方へと歩き始めた。
それを慌ててメイドが追いかける。
あまりの無邪気さに笑いと呆れが半分ずつの溜息がインテグラの口から零れた。
自分も“お嬢様”ではある。しかしあんな風に子供らしい子供の時代を生きれたのはいつくらいまでだったろうか。
「“あれ”はどこから現れたのでしょうな」
老執事の言葉に「さぁな」と応えてインテグラは吸血鬼とメイドの後を歩き始める。
八雲紫と名乗った何者か。そして、眉唾だがツェペシュの血統を名乗った幼き吸血鬼とそのメイド。
あれほどの者らがこれまでどこにいたのか。そして彼女達が何を求めて存在しているのか、興味は尽きない。
「……そういえばウォルター。あのメイドが消えた技は一体なんだ?」
「さぁ、相対した私にもまだ計りかねます。ただ、言えるのは……」
「言えるのは?」
「催眠術だとか超スピードだとか、そういったチャチな子供騙しなどでは決してないということでしょうか」
なるほどとインテグラは神妙に頷く。実際に体験したウォルターが言う以上、その言葉は嘘偽りはないのだろう。
実際、傍から見ていたインテグラにしてもあれがそういった簡単な理屈で片付けられるものとは思えなかった。
「真ならよろしいのですがな」
「なんの話だ……?」
「ツェペシュの末裔という話です。それが本当ならば、“話は早い”」
「確かにな……ククク」
ウォルターの言葉にきょとんとし、そしてインテグラは失笑する。
もし本当にこの幼き吸血鬼が彼の――“アーカード”の子供だというのならばそれはそれは愉快なことだろう。
それも、あるいは悪くない。インテグラはその光景を幻想し、ゆるやかな笑みを浮かべた――。
【B-3/北西・路上/1日目-深夜】
31 :
ツェペシュの幼き末裔
◆Su10.RK3MU
:2011/10/25(火) 21:03:17.59 ID:8HzLJGUl
【主:レミリア・スカーレット@東方儚月抄】
[主従]:十六夜咲夜@東方儚月抄
[状態]:健康
[装備]:なし
[方針/行動]
基本方針:八雲紫の言うことは聞かない。現状を楽しむ。
1:インテグラ達を歓待し話を聞く。
【従:十六夜咲夜@東方儚月抄】
[主従]:レミリア・スカーレット@東方儚月抄
[状態]:健康
[装備]:黒龍@戦国BASARA
背負い袋(基本支給品)、不明支給品x3
[方針/行動]
基本方針:レミリアお嬢様に従う。
1:街の中でお茶とお茶の用意ができそうな場所を探す。
【主:インテグラル・ファルブルケ・ウィンゲーツ・ヘルシング@HELLSING】
[主従]:ウォルター・C・ドルネーズ@HELLSING
[状態]:健康
[装備]:なし
[方針/行動]
基本方針:状況(バトルロワイアル)の打破。屋敷へと帰還する。
1:レミリア達から話を聞く。
2:アーカード、セラスとの合流。
[備考]
※参加時期は、北アイルランド地方都市ベイドリックでアンデルセンと対決した後。(1巻)
【従:ウォルター・C・ドルネーズ@HELLSING】
[主従]:インテグラル・ファルブルケ・ウィンゲーツ・ヘルシング@HELLSING
[状態]:健康
[装備]:アゾット剣@Fate/Zero
背負い袋(基本支給品)、不明支給品x3
[方針/行動]
基本方針:インテグラお嬢様に従う。
1:インテグラを警護し続ける。
[備考]
※参加時期は、北アイルランド地方都市ベイドリックでアンデルセンと対決した後。(1巻)
※咲夜との対決で使用した「テグスと錘@現地調達」は対決した場所で破棄しました。
【黒龍@戦国BASARA】
片倉小十郎の愛刀。特別な能力は備えてないが手に馴染みやすく使いやすい。
【アゾット剣@Fate/Zero】
アゾット剣はと一般的に魔術教会で一定の成果を修めた者に送られる礼装であり、
短剣であると同時に杖としての機能も有し、魔術師の魔力を増幅させる効果がある。
この1本は遠坂家に伝わるもので、柄に真紅の宝石がはめこまれている。
【テグスと錘@現地調達】
ウォルターが鋼糸の代わりにと釣具店で調達したポリエチレン製のテグス。
しかし普段使用しているものとは比べるべくもなく、早々に破棄された。
32 :
◆Su10.RK3MU
:2011/10/25(火) 21:04:02.35 ID:8HzLJGUl
以上、投下を終了しました。
33 :
創る名無しに見る名無し
:2011/10/25(火) 21:44:38.61 ID:5dw/GIQN
投下乙です!
余裕のレミリア主従の口ぶりがいいw
なにより、ヘルシングと他作品の吸血鬼のクロスに胸が躍りましたw
ただ……幻想「郷」が全て幻想「卿」に……。
と、とにかく乙でした!
34 :
創る名無しに見る名無し
:2011/10/26(水) 00:05:42.47 ID:hwTVrHZq
投下乙です
一番手に相応しいほどほどの濃さというか、よかったです
レミリア主従の余裕っぷりがらしいし、そこからヘルシングとの絡みがよく出来てました
とりあえずレミリアは今は乗らないが自分から解決する訳でもないか
情報源としては紫を知ってるから重要なんだが…インテグラらはどう立ち回るかな
35 :
創る名無しに見る名無し
:2011/10/26(水) 00:44:13.77 ID:LVzQNkbj
やばい、このレミィはブヒれる
アーカードと会ったら・・・・「パパー!」とか言っちゃうのか
36 :
創る名無しに見る名無し
:2011/10/26(水) 01:15:44.32 ID:yLSnERoc
両作品の原作の雰囲気が出過ぎです! 脳内で映像に変換余裕でした。
それにしてもウォルターさんの台詞w
37 :
創る名無しに見る名無し
:2011/10/26(水) 09:29:53.86 ID:zs5wkX7T
アンデルセン瞬殺で東方キャラTUEEEEEかよ
38 :
創る名無しに見る名無し
:2011/10/26(水) 17:13:38.58 ID:oGT6K3Z+
予約からして東方厨の巣窟なんやから(踏み台にされても)しょうがないやろ
まあこの流れなら三ヶ月もたずで終わるし、カリカリすんなや
39 :
創る名無しに見る名無し
:2011/10/26(水) 17:29:32.96 ID:Iqx4FIJR
ここは参加者のほとんどがカタギじゃねえな
例外が数人いるが地位やらなんやらも入れたら普通の奴いないなあ
それはそれで面白いけど
40 :
創る名無しに見る名無し
:2011/10/26(水) 20:50:03.06 ID:OOEyqnQZ
投下乙
ウォルターも咲夜さんもかっけえ
どっちも今のところ乗る気はなさそうだけど、どうなるか
>>39
主従関係って時点で普通じゃないしなw
41 :
◆YwLV7iJ2fw
:2011/10/27(木) 09:14:48.45 ID:uclXAIRQ
投下致します。
42 :
ドールズトーク
◆YwLV7iJ2fw
:2011/10/27(木) 09:16:58.24 ID:uclXAIRQ
「―――ウォーカー、ルルーシュ・ヴィ・ブリタニア、レミリア・スカーレット………どうやら某達以外の知った名前は無いようですな」
「そうか…それは不幸中の幸いだったな」
月明かりの下、ハクオロとトウカは会場に飛ばされて早々に、名簿と地図の確認を行っていた。
化学文明に慣れ親しんだ世界の人間ならいざ知らず、彼等のもといた世界はそういったものとはほぼ無縁で、かつ、
夜戦なども幾度と無く体験していた二人にとっては、最低限の光源さえあれば、夜でも図や文字を正確に見る事は難しくない。
「八雲紫と言ったか…あの女の言葉を信じるならば、主従関係にある者達ばかりを呼び集めていたようだからな。
オボロとドリィかグラァ、或いはクーヤとゲンジマルなども呼ばれて―――」
「なんと!! 聖上はかのゲンジマル殿と知遇を得ておられるのですか!?」
「あ、あー、まあ、ちょっとな」
口が滑ったな、とハクオロはバツが悪そうに軽く頭を掻く。
自分とクーヤ達との密会を知る者は、当人達も含めて数える程しかおらず、御側付たるトウカでもそれは例外ではない。
だのに、いきなり『生ける伝説』とまで言われた同族の英雄の名前を、自分の主の口から聞かされたのだ。それは驚きもするだろう。
「詳しい話は後々にするとして……次はこれを確認しなくてはな。トウカ。周囲に人影は」
「ございませぬ」
「よし」
周囲の安全を確認した後、ハクオロは支給された背負い袋から、八雲紫の言うところの『殺し合いに使う道具』を取り出し始めた。
ちなみに、ハクオロが地図と周囲の地形と月の位置とを照らし合わせて確認した結果、現在地はA−2のほぼ中央だという事が判明していた。
三方を海に囲まれた岬に当たる場所の為に視界は開けており、近くに誰かいれば容易にそれが分かるのだ。
「おお、これはなかなかの名刀でござる!」
最初に取り出したものは、黒い鞘に納まった業物の刀だった。それを確認したトウカの表情がパッと明るくなる。
「――フッ、ハッ! …ふむ。これなら聖上を御守りするのに過分はございませぬ!」
二、三振り空を撫でて、刀の使い心地を確かめたトウカが満足そうに言う。
その様子を見たハクオロも、幾許か安堵の表情を浮かべていた。
43 :
ドールズトーク
◆YwLV7iJ2fw
:2011/10/27(木) 09:17:39.64 ID:uclXAIRQ
「さて次はと……む? 何だ、また別の袋が…」
次にハクオロが取り出したものは、軽くて大きな半透明の、見た事も無い材質の袋――所謂大きめのビニール袋だが彼等はそれを知らない――だった。
中にはこれまた見た事の無い材質の布キレが何十枚と乱雑に詰め込まれており、その殆どに様々な意匠の飾りや模様が付いていたり、
或いは様々な色に染め上げられたりしており、また、それらの布キレは全て共通して三つの穴が開けられており、それが更に二人の頭を悩ませていた。
「これは……何かの民芸品か? まるで見た事が無いが…。よく見ると、三つの穴の内二つは大きさが同じで、もう一つの穴より一回り小さいな」
「某もこの様な物は初めて目にします…。用途は皆目解りませぬが、この完璧に均一な縫製、職人芸などと言う言葉では済ませれませぬ……!」
「…染めの技術や意匠の一つ一つを取っても見事なものだ。だが……」
「だが…?」
「正直、この場では火を熾した時の焚き付けぐらいにしか使い道はなさそうだな」
「…確かに」
途中までは、未知の技術で作られたであろうこの布キレを真剣に調べていた二人だったが、実用性に乏しいと判断するや、すぐに興味は失せたようだ。
まあ重量のある物ではないし、取り敢えずは焚き付け用に、とハクオロは布キレをビニール袋に詰め直して脇に置き、三つ目の道具を取り出した。
「むっ!? これはかなり重いな……トウカ、ちょっと手伝ってくれるか」
「はっ」
「「せえ……のっ!」」
主に請われてトウカも背負い袋の中に手を伸ばし、二人で力を込めて持ち上げて取り出す。
果たしてそこに現れたのは、簡素な止め具で閉じられた一つの木箱だった。
「随分と重かったが中身はいったい…」
「お待ちを聖上。それがしが開けまする」
止め具を外そうとしたハクオロの手を自らの伸ばした手で遮り、トウカが申し出る。
危険が無いか調べようとしてくれているのだと察したハクオロはその意を汲み、コクンと小さく首肯した。
「ではまず…」
最初に先程入手した刀の鞘で木箱を軽く叩き、明らかな危険が無いかを確認し、次いで、刀の切先で器用に止め具を外し、その蓋を開ける。
――ここまで特に変わった反応は無い。
44 :
ドールズトーク
◆YwLV7iJ2fw
:2011/10/27(木) 09:18:26.81 ID:uclXAIRQ
「…どうやら罠の類は無さそうですな。では中身は……うん? これは…」
「何が入っていた」
「ギヤマンの瓶でござる。それも、中に何がしかの液体が入ったものが大量に」
「瓶?」
言われてハクオロも木箱の中を覗き込む。すると確かにそこには、大量のガラス瓶が整然と並べ立てられていた。その数は実に十本もある。
「鉄(かね)製の回し蓋と、瓶の側面に張られた紙に何やら文字らしき物が書かれていますが…」
「これも見た事の無い文字だな。中の液体の透き通り具合を見るに、薬の類ではなさそうだが…」
「一つだけ蓋を開けてみましょう……ぬわっ!」
「どうした!! …うおっ!? こ、これは…」
突如叫び声を開けて瓶の口から顔を背けたトウカの様子に、何事かとハクオロが蓋の開けられた瓶を覗き込もうとするが、すぐにその原因が解った。
着物の袖口で口元を覆い、呼吸を整える。
「これは……酒か。それもとんでもなく強いもののようだな」
「は、鼻が曲がるかと思いました…」
念の為にと二人で手分けして調べてみたものの、木箱の中に入っていた瓶は全て、洋酒の瓶だった。
とは言え、最初の一本のような極めて強い酒はほんの僅かしか無く、それだけは二人にとって些細な救いだったが。
余談だが、この酒は全てとある世界のサザンクロスと言う町の酒場にあった物で、その酒場のマスターを殺害した者もこの殺し合いに呼ばれているのだが、
勿論そんな事など、この二人には知る由も無い。
「もしこの場にカルラがいたら、諸手を上げて喜んでいただろうな」
「某にもその様子が容易に想像できまする…。ともあれ、これは如何致しましょう」
「背負い袋には術法がかけられているようだし、邪魔にはなるまい。何かの役に立つやも知れんし、これも持って行くとしよう」
「御意」
トウカが酒瓶を木箱に詰め直し、その木箱を更に背負い袋に詰める。
それと入れ違える形で、ハクオロが最期の支給品を取り出し――直後、トウカの表情が一気に緩んだものへと変わった。
45 :
ドールズトーク
◆YwLV7iJ2fw
:2011/10/27(木) 09:19:06.42 ID:uclXAIRQ
「か……かわいいにゃ〜…!」
「人形…?」
最期に姿を現したのは、金髪碧眼の女児を意匠した手縫いの人形だった。
先の布キレと比しても遜色ない見事な縫製と出来栄えで、変わった服装をし、頭部には赤い大きなリボンが取り付けられている。
「む。なにやら文が付いているな……どれどれ」
破顔して人形にほお擦りするトウカを余所に、ハクオロは人形の足に括り付けられていたメモを読んでいく。
どうやらこの人形は、遠く離れた所にいる人物と言葉を交わす事ができるという代物らしい。
ただし会話できる相手は、対となる青いリボンを付けた人形を持つ人物に限られるようだ。
「ふぅむ。…トウカ」
「ああ、かわいいにゃ〜、かわいいにゃ〜」
「トウカ」
「はっ! す、すみませぬ聖上! ついうっかり…」
「いや、いい。それよりもその人形をちょっと貸してくれ」
「はっ?」
頭に疑問符を浮かべるトウカだったが、メモを読んだハクオロの説明を聞き、得心がいくと「おお」と感心して頷く。
「であれば、特定の誰かと合流するのが格段に便利になりますな」
「ああ。だがその人物が友好的な人物であるとは限らない。なにしろ地獄(ディネボクシリ)とはどういうものかをまざまざと見せ付けられたのだ。
考えたくはないが、他者を殺めてでもこの場からの脱出を計ろうとする者がいても不思議ではあるまい」
「……」
一瞬、トウカがつい先刻の光景を思い出し無言になる。
『魂を砕き漂白する』と八雲紫が評したあの絶鳴は、歴戦の猛者たるトウカですら聞いた事も無いような、身の毛のよだつものだった。
「だが、それはだけ阻止しなければならない。我等が討つべきはあの八雲紫ただ一人。それ以外の者は皆、一様に被害者なのだ。殺し合う必要など何処にも無い。
怯える者を救い、狂った者を正し、皆と力を合わせて、この島から脱出せねばならない。
――力を貸してくれるな。トウカ」
「無論。その尊き志、それでこそ聖上でござる。
このエヴェンクルガが末子トウカ、どこまでも聖上と共に参りまする!」
誓いの口上と共に足元に納刀した刀を置き、トウカが片膝を付いて深々と頭を垂れた。
46 :
ドールズトーク
◆YwLV7iJ2fw
:2011/10/27(木) 09:21:08.12 ID:uclXAIRQ
◇◇◇
「さて、最初は街に出て物資と情報を集めるつもりだったが……まずは移動しながらこいつで誰かと話をしてみるか」
先も述べたが、二人の現在地は三方を海に囲まれた岬。
周囲の見晴らしは良いものの、それは裏を返せば身を隠す建物や遮蔽物も無いという事で、飛び道具をもった狩人などに発見された時にはいい的だ。
故にハクオロは、先ずは近くの街にあるらしい漁港か病院へと、情報と物資の収集も兼ねて向かおうと決めていたのだが、
遠距離通信のできる人形が支給されていた事で、若干、行動方針に追加事項が増えた形となった。
「会話中の周囲の観察は頼んだぞ、トウカ」
「はっ!」
会話中に若干とはいえ発生する隙を補うべく、ハクオロはトウカにそう命じてから、人形の頭のリボンを外した。
これを外さないと対の人形に声が届かないという記述が、あのメモにあったからだ。
「あー……聴こえているだろうか。私はハクオロ。この殺し合いを止めようとしている者だ。
誰かはわからないが、この声が聴こえていたら返事をしてほしい」
【A-2/中央・岬/1日目-深夜】
【主:ハクオロ@うたわれるもの】
[主従]:トウカ@うたわれるもの
[状態]:健康
[装備]:通信用人形(赤リボン)@東方儚月抄
[方針/行動]
基本方針:他の参加者と協力して八雲紫を討伐し、島から脱出する。基本的に参加者は殺めるつもりは無い。
1:通信用人形で他の参加者と話をする。
2:病院or漁港へと向かい、物資と情報を集める。
[備考]
※参加時期は、アニメ20話『初陣』直前。その為、まだ自分の正体(ウィツァルネミテア)には気付いていません。
【A-2/中央・岬/1日目-深夜】
【従:トウカ@うたわれるもの】
[主従]:ハクオロ@うたわれるもの
[状態]:健康
[装備]:六爪@戦国BASARA、背負い袋(基本支給品。以下は背負い袋内)、大量のパンツ@そらのおとしもの、洋酒(木箱入り)@北斗の拳
[方針/行動]
基本方針:ハクオロを守りながら他の参加者と協力して八雲紫を討伐し、島から脱出する。基本的に参加者は殺めるつもりは無い。
1:周囲に気を配り、ハクオロを守る
2:病院or漁港へと向かい、物資と情報を集める。
[備考]
※参加時期はハクオロと同じく、アニメ20話『初陣』直前。その為、まだハクオロの正体(ウィツァルネミテア)は知りません。
※会場のどこか、もしくは他の参加者の支給品に【通信用人形(青リボン)@東方儚月抄】があり、ハクオロの声を通信しています。
47 :
ドールズトーク
◆YwLV7iJ2fw
:2011/10/27(木) 09:21:50.64 ID:uclXAIRQ
【六爪@戦国BASARA】
伊達政宗が『六爪流』で振るう刀の内の一振り。その名が示す通り本来は六本一組で、正宗は両手の指と指の間に三本ずつ挟んで使用している。
【大量のパンツ@そらのおとしもの】
イカロスが智樹の命令(?)を誤認した為、不幸にも世界中を飛ぶ羽目になった空美中学校の女学生達のパンツ。
この会場では空は飛ばない。
【洋酒(木箱入り)@北斗の拳】
サザンクロスの酒場から持ってこられた、多種多様の洋酒が十本と、それを収めた木箱。とんでもなく強い酒も若干数ある。
【通信用人形(赤リボン)@東方儚月抄】
地底での異変の際に八雲紫が用意し、アリス・マーガトロイドを介して霧雨魔理沙に手渡された物。
頭のリボンを外す事で、対となる青リボンの人形の持ち主と会話する事ができる。要するに通話先が限定されている携帯電話のような物。
本来は戦闘支援機能もあるが、このロワではその機能は取り外されている。
48 :
◆YwLV7iJ2fw
:2011/10/27(木) 09:22:43.40 ID:uclXAIRQ
投下完了致しました。
49 :
創る名無しに見る名無し
:2011/10/27(木) 18:35:24.87 ID:jdWhN9Aj
投下乙です
トウカは可愛いなあw
この二人は乗ってないけど通信できる人形かあ
さて、相手次第では…
50 :
◆10fcvoEbko
:2011/10/27(木) 20:00:40.28 ID:+cU73EaQ
織田信長、明智光秀投下します。
51 :
獄界のエデン
◆10fcvoEbko
:2011/10/27(木) 20:01:16.55 ID:+cU73EaQ
暖かくも冷たくもない夜の空気が二の腕あたりにまとわりつくのを感じる。空気は鉛が溶けたかのように重い。
どろどろのぬめりに喉が詰まりそうだ。作り物のように紅く丸い月の下で、明智光秀は恍惚に呻いた。
飛ぶ鳥さえ落とす邪気の主は、光秀の主君、織田信長である。
「検分が終了致しました。事態はやはり、非常に不可解かつ面妖なものと思われます」
光秀は厳かな忠臣の声で言った。
かしずくと、石床のざらざらとした加工の違和感がより強くなる。これまで触れたことのない冷たい仕上げだ。
視界の端に覗く街は押し並べて陰湿で、光秀が知るどの城下とも違っていた。
主従は市街地の中でもとりわけ強く天を衝く摩天楼の屋上に居た。都会に見るそれとは流石に一段劣るが、戦国の世に生きる光秀には知る由もない。
濡れたは虫類を思わせる銀髪越しに、深く凝った憤怒の情が伝わってくる。
静脈を流れる血に汚物が集うように、主の怒りは時間とともに濁っていく。
「書状に名を記された者のうち、我らが知るのは奥州の独眼竜とその右眼のみ……あの八雲紫なる女の意図、皆目検討もつきません」
詰まるところ、分かったことはない。
第六天魔王、織田信長にすれば万死でも足りぬうつけといったところか。
万死。その言葉は光秀を刺す氷の刃だ。震え上がるような快感が背筋をかけめぐる。
頭の先で、古びた大樹を思わせる黒灰色の甲冑が鳴った。信長が振り返ったのだ。
怒り、猛っていることは顔を上げずとも分かる。主の瞳はこじ開けた肺腑から溢れる血のように暗い。
光秀は今頭から尻までを、冷酷に貫かれている。この視線だけで、楼閣が足元から崩れてしまいそうだ。
平時なら、光秀は斬首を覚悟しなければなるまい。尾張に聞こえた織田軍に無能の居場所はない。
過去の武勲など、盾とするには紙切れよりも頼りなかった。
52 :
獄界のエデン
◆10fcvoEbko
:2011/10/27(木) 20:02:24.23 ID:+cU73EaQ
「誠にお詫びの申し上げようもございません。ですが、あの八雲紫なる女、およそこの世の理に沿うものとも思われません」
美しい女だった。胸を刺せば立てた刃ごとこちらが飲み込まれてしまいそうだった。
あれにかかれば世の道理さえ、畜生でも手懐けるかのように容易く曲げてしまうのではないか。
女には、そう思わすだけの、甘美な妖しさがあった。
「闇雲に動くのは得策ではないでしょう。ひとまずはこれにて、御身をお守りください」
光秀は一振りの剣を恭しく差し出す。主の身を第一とする臣下の構えだ。
掲げた剣は雄々しさの中に気品を滲ませる業物だった。大剣であることは同じでも、信長が得意とする武具に装飾品としての美はない。
信長が刀を手に取り、光秀の手から重みが消える。遠雷と地鳴りが同時に起きたような主の息吹に、月さえ雲間へと潜んだ。
暗がりに深紅の外套が振るわれる。信長は下界の様子を確かめるかのように、再度背を向けた。
柄に刻まれた荘厳なる獅子は、魔王の瘴気に包まれ、少し黒ずんだようだ。
与えられた武器はもう一振り。光秀の得意とする鎌があった。
これで存分に戦えということだろうが、刃を波のように歪めた細工は、光秀にとっては趣向が足りない。
「恐れながら」
落ち着いた、知将としての声を崩さず、光秀は敢えて進言することにした。痩せた左手に青い<<印>>が刻まれている。
「まずは信長公御自らの目で、此度の事態を見極めることが先決かと思われます。
我らは既に喉元に刃を突き付けられたも同じ。対処に要する情報はいくらでもあります。
地の利を得、諜報に努めたうえで兵を用いずば、戦には勝てない。そのことは信長公が誰よりよくご存知のはず。
道中刃向かう者あらば皆殺しにし、従う者は駒とし使い潰せばよいだけのこと。
子細は知れぬとはいえ、屍の山を築くことは、八雲紫の望みとも重なりましょう。
この地を平らげ、地と慟哭が満ちれば、いずれあの妖の者に至る道も開けるかと」
およばずながら、私が露払いを務めましょう。
地に接する頭を一層低くして、光秀は言った。
「光ぃ秀ぇ……」
「はっ……」
53 :
獄界のエデン
◆10fcvoEbko
:2011/10/27(木) 20:03:57.85 ID:+cU73EaQ
参謀の鑑とも取れる直言に、主は刃を向けることで答えた。
切っ先が光秀の登頂にぴたりとあてがわれ、皮一枚を隔てて止まる。
主が手を突き出せば、光秀の頭蓋にはくり抜かれたかのような丸い穴が空くだろう。
刃を引いて撲りつければ、首から上が憐れな水風船と化す。
沈黙を、光秀は己が死に気を巡らすことで満たした。散じた吐息が雲に届く程に、長い時が過ぎる。
果たして信長は刃を掲げ、躊躇いもなく振り下ろした。
狙いは光秀の命ではない。伏した身から拳一つ前に刀が刺さり、同時に、火薬が壷ごと弾ぜたかのような爆風が巻き起こった。
災害にも等しい魔王の豪腕が、その怒りを吹き荒ぶ風に変えたのである。
ごうごうとしたうねりに髪を巻き上げられながら、光秀は従順な姿勢を崩さない。
屋上の四方を囲う金網が、荒れ狂う力に無残に折り曲げられてさえ、光秀が動くことはなかった。
風が止む。他方、鞭打つように続く信長の罵声は、収まることを知らない。
「小賢しいわぁ……我は第六天魔王、織田信長ぞ。
地獄など、とうに我が内にあり。我が覇道を阻む愚者は、残さずそれに飲まれるのみ、よぉ……」
「これは出すぎたことを申しました。この光秀、心よりお詫び申し上げます」
凪そのものの口調で光秀は詫びた。対応を誤れば、今度こそ死ぬことになる。
息絶えた骸のように微動だにしない光秀に、信長の興は失せたようだ。襤褸屑を見るような一瞥と、剣を収める気配を察した。
顔を上げると、とりわけ大きく歪んだ金網の一角を、主が踏み潰すように乗り越えている。
出陣である。
「是ぇ非も無しぃ」
地上までの距離を意に介さず、魔王は暗黒の空にその一歩を投じた。
◇ ◆ ◇ ◆
54 :
獄界のエデン
◆10fcvoEbko
:2011/10/27(木) 20:05:31.46 ID:+cU73EaQ
土壁の上を行くような踏み慣れぬ感触を足元に味わいながら、光秀は主君の後に続く。
異界の街には夜が蔓延るのか、月が出ているにも関わらず街並は暗い。
あるいは、この闇もまた光秀の三歩前を行く主、織田信長が発るすものかも知れない。
(信長公のこれ程までの怒り……まさに甘露というものです)
味わったばかりの愉悦を反芻すると、思わず舌がのぞいてしまう。
国も兵もなく、自らの野望にさえ枷を嵌められた信長のどす黒い感情は、決して一度で味わいきれるものではない。
一歩ごとにきしむ甲冑の冷たい音が今の織田軍の全て。戦わずして敗残の将となった信長の腹は、自らを焼き殺す程に滾っているだろう。
鎧の継ぎ目から立ち昇る焼け爛れた毒の香りは、光秀がもっとも愛するものの一つだった。
このために、織田軍に仕えていると言ってもいい。
だが、一方で、二つとない好物を貪って得る悲鳴のような喜びが己に以前程の刺激を与えぬことを、光秀は自覚する。
原因ははっきりしている。
(あれが地獄……亡者たちの、絶望に満ちた歓喜の調べ……)
半刻程前、八雲紫の手でさらし者となって消えさった、あの偉丈夫の叫びである。
耳にこびりついて離れない。いや、離したくない。
巨大な臼で身を粉にでもされたか、焼けた鉄に目を溶かし潰されたか。想像はもはや無為だ。
光秀の知るあらゆる責め苦を同時に受けたところで、あのような声は出まい。
思い返すだけで恐怖に我が身を抱きたくなる。できるならずっと聞いていたい。
内面の光秀は色を知った小娘のように、陶然と宙を舞っていた。辛うじて被っている知将の皮が、今にもとろけてしまいそうだ。
(私は、己が世界の狭さを知りました)
55 :
獄界のエデン
◆10fcvoEbko
:2011/10/27(木) 20:07:07.40 ID:+cU73EaQ
ここがどこで、何が起きているのか。光秀にはどうでもいい。
文字通りの地獄。阿鼻といえば獄界の最下層、仏説に聞く悪鬼の世界である。
死してからの楽しみととって置いたものが、眼前に像を結んだこの喜び。来迎を得た僧は、まさに今の光秀のような心持ちだったのだろう。
気を許せばすぐにでも飛び込んでしまいそうになる。方法が与えられているのが、また心憎い。
(ですが、私一人では片手落ちというもの……最高の食卓には、それに見合う食材が相応しい)
鬼と張り合うには、やはり魔王。
温もりを求めるかのように、主との距離を詰める。
近付いた分だけ、信長の背が広くなった。この世の事どもで我に従わぬものは無しと、全身でそう語っている。
あの世ならば、どうか。
(果たして、貴方といえど獄卒の責め苦には膝を屈するのでしょうか。それとも、所詮退屈な里帰りとお笑いになるのか……。
ああ、考えるだけで、口元がだらしなくなってしまいます。信長公…………んふ、んふふふ……)
謀反には、何より機が重要となる。
今すぐにことを起こすのではない。焦りは禁物だ。億に一つの僥倖が、泡となって消え失せる。
信長の、海洋のごとき大欲が、潮で満ちるそのときに。
八雲の檻を踏み躙り、天に返り咲くその瞬間こそ。
共に。
(宴は待つ間が最も楽しいと申します……今は、この焦れるような疼きさえ、愛しき快楽のうち……)
待ち切れぬ。
訴えるように、光秀の胸が騒いだ。
56 :
獄界のエデン
◆10fcvoEbko
:2011/10/27(木) 20:08:14.03 ID:+cU73EaQ
【D-3/市街地/1日目-深夜】
【主:織田信長@戦国BASARA】
[主従]:明智光秀@戦国BASARA
[状態]:健康
[装備]:キュプリオトの剣@Fate/Zero
[方針/行動]
基本方針:八雲紫を含む全ての敵の抹殺。
1:感情の赴くまま進む
【従:明智光秀@戦国BASARA】
[主従]:織田信長@戦国BASARA
[状態]:健康
[装備]:小野塚小町の鎌@東方儚月抄
背負い袋(基本支給品、不明支給品x2)
[方針/行動]
基本方針:栄華を極めた信長に謀反を起こし、共に地獄へ行く。
1:臣下として信長に従う。
【キュプリオトの剣@Fate/Zero】
第四時聖杯戦争にて召喚された英霊イスカンダルの愛刀で、極めて強靭かつ軽量。
イスカンダルはこの剣で空間を切り裂くことで、自らの宝具を召喚する。それが剣の力か、イスカンダルの能力によるものかは不明。
【小野塚小町の鎌@東方儚月抄】
三途の川の船頭を務める小野塚小町の鎌。
本来渡し守の仕事には不要であり、小町が持っているのは死者に「死神って本当にいたんだ」と喜んでもらうため。
57 :
◆10fcvoEbko
:2011/10/27(木) 20:09:07.94 ID:+cU73EaQ
以上で投下終了です。ありがとうございました。
58 :
創る名無しに見る名無し
:2011/10/27(木) 20:30:27.55 ID:GfKdy8cx
お二人とも投下乙です。
同じような戦乱の世に生きる主従なのに、このあまりにも極端な差はなんだろう…w
つか、最初から死ぬ気満々の参加者なんて、パロロワ界隈広しと言えどそういねぇぜw いなくはないが。
信長達の参戦時期は、少なくとも光秀が裏切る前か。
59 :
◆HHH/WB.Ks2
:2011/10/28(金) 03:56:54.43 ID:dLHqpFjq
予定より遥かに遅刻してしまいましたが、
シンハート組と、八神はやてシグナム組を投下したいと思います。
60 :
I Made It
◆HHH/WB.Ks2
:2011/10/28(金) 03:58:28.94 ID:dLHqpFjq
★ ★ ★ ★ ★ ★ ★
燃えている。
街が燃えている。
愛するおまえの街が、燃えている。
草も木も人間でさえも、愛するおまえのものだった。
それが全て燃えている。
終焉か。 違う。
無に帰ったならば、また新しく作り直せばいい。
もっと大きく、もっと煌びやかで、おまえが女王としてふさわしい王国を。
できる。
おまえがいれば、できる。
しかし、おまえは拒んだ。
罪のない人々をさらに苦しめ殺めることを、同じ過ちを繰り返すことを、おまえは拒んだ。
お前はもう耐え切れなかった、だからおまえ死んでしまったのだ。
俺の心から、俺の魂から、俺の記憶から、俺の全てから消えてしまった。
俺は泣いた。
生まれて初めて泣いた。
俺はおまえの心を最後まで掴むことが出来なかった。
街が、お前のために築いたこの街が、灰になってしまった街が。
墓標となってしまった。
だがこんな街も、富も、権力も、今ではもう全てが虚しいだけだ。
俺が欲しかったものはただ一つ……
ただ一つ……
★
☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆
「おお! ハート!! 蛇口をひねると水が出るぞ!!!」
「おやまあこれは驚きですねえ。 まるで大破壊が起きる以前の地球を思い出しますな」
電波塔。
名前だけでは殺風景な建造物の一つだと抱かれても仕方はないであろう
しかし実際は建造物内はもちろんのこと、建造物外もきちんと観光施設として映えている。
日本で一番有名な電波塔、東京タワーも内側ではファストフード店などの飲食店や、
お土産を取り扱っている雑貨屋、ちょっとした水族園や蝋人形館などの展示コーナーなどが行き渡っている。
(もっとも後者の二つはとてもタワー内でなければ許されないであろう粗末なものだが)
もちろん外も例外ではない。
たこ焼き、たい焼き、今川焼き、クレープ焼き、ホットドックなど軽食屋が多数存在し、
それらのご馳走を楽しく食べるための洒落たベンチやパラソル付きテーブルなども完備されている。
このように一言に電波塔といっても、全くもって観光名所なのである。
61 :
創る名無しに見る名無し
:2011/10/28(金) 03:58:57.35 ID:vKCO9Gpo
sien
62 :
I Made It
◆HHH/WB.Ks2
:2011/10/28(金) 03:59:30.44 ID:dLHqpFjq
さてそんな電波塔、D-1電波塔の外部にて金髪で雲のように白い服とマントを羽織った男と
サスペンダーを着たピンクのズボンを履いている山のような大男が、なにやら蛇口から水が出ることに興奮している。
傍から見れば『ばかめぇ!』などと煽らても致し方ないであろう。
だが彼ら二人にとって意図も簡単に水が手に入ることは、少なくとも彼らが存命中の時点では奇跡には近かったのである。
「ともあれキング、これで菓子にあうお茶が沸かせますな。 ささ、どうぞ席にてお待ちください。 このハートめが、殿下の為に最高のお茶を入れて差し上げます」
「うむ、期待しているぞ」
山のような大男であるハートが、やかんに水を入れながら、キングと呼ばれる男を席に待つように促す。
それに対してキングは奨励の言葉を放ち、水口から離れ先にティーセットと菓子を置いたの四人がけのテーブルの席にもたれかかる。
席に座る姿を確認したと同時に水が満杯に収まったことを確認すると、どこからか持ってきた電磁調理器具の上にそのやかんをセットして
調理器具のスイッチを押す。
沸くまでは結構時間がかかりそうですな、それじゃあその間少し休んでおきますかとハートはその場を離れキングの下へと向かう。
キングの隣へ向かうと、そこには鉄製のベンチがキングの席の左隣に鎮座されている。
座っても構わんぞとキングは言いつけると、ありがたき幸せと感謝の意を述べ鉄製のベンチへと着座する。
(これは十中八九備え付きの椅子にハートが座ると壊れることを懸念した、キングからの心配りである)
「水も出て電気もあり食事にもありつける…… ふっ、どうやら死後の世界というやつは随分快適な世界だな」
「左様でございます。 それに血生臭くない空気、生い茂っている木々。 正直天国と言っても大げさではありませんなあ」
「ユダがこの世界に呼ばれていたらさぞかし『う、美しい…… この世界こそ俺の理想郷!』などとほざいておっただろうな」
キングとハートがこの世界についての率直な感想を言い合う。
何一つ不備のない世界、これが二人の出した共通の感想である。
実に不可思議だと思われかねない。
なぜならば二人は『殺し合い』と呼ばれる悪辣非道極まりない行事に参加させれらてしまっているのだからだ。
たとえ快適な世界であっても、このような断りがある限る決して幸せとは思えない。
だがこの二人のとっては大したことではない。
理由は簡単である、二人のいた世界は『殺し合い』は日常茶飯事であった。
無論二人とも両手の指の数だけでは数えきれない程の殺傷を犯している。
そして彼らはそんな死が当たり前の世界で、常に死んでしまっている。
なぜ蘇っているのかはここに集めたやつかなんかしたんだろうとしか考えてはいない。
ただ、現世で死んだことは確かなので、最早世に未練などなかった。
そういうこともあり、二人は軽く電波塔を見学したあと、袋に入っていた菓子とお茶っ葉を確かめると先に食べておくかと言う結論に至り
現在にいたるのである。
本来ハートもキングも、共に一ヶ月程度なら食わずとも生きられる。
キングに至っては水さえあれば一年近くは生きていける超人的な躰の持ち主だ。
だからこそ今日より明日のことを考えなくて良い現今においては、とれる時に食事をとっておく。
何も異論はあるまい。
「しかしいいのかハート? サザンクロスを壊滅させられ、ユリアの心を掴めず、ケンシロウに敗れたこの俺に、まだ付いていきたと思うのか?」
キングと呼ばれるこの男は、死ぬ時には全てのものを失った。
築いた街も、愛する者も、そして自分自身の身体も。
そんな落ち武者に等しい自分にまだ付いていくのかと、キングはハートに問いかける。
「何をおっしゃいますか。 私ハート、南斗孤鷲拳伝承者であるキングの人柄、そして技量に惚れているのでございます。
例え何があろうと、このハートは一生キングの部下でございます」
席から立ち上がり、真剣な眼差しで膝をつきハートはキングにそう告げる。
そんな姿にもう良い座れとキングはハートに伝える。
63 :
I Made It
◆HHH/WB.Ks2
:2011/10/28(金) 04:00:13.63 ID:dLHqpFjq
「ふっ…… 満更でもない。 すまんな、今後も頼む」
「畏まりました…… っと、そろそろお湯が沸きましたかな?」
そろそろお湯が沸いていても可笑しくはないでろうとハートがやかんを取りに行こうと席を立つ。
瞬間、ハートとシンの目と鼻の先でガシャンッ! と爆音を立てて何かが地面に落下。
ハートもキングも思わずその何かに目を奪われる。
「「車椅子ですね(だな)」」
二人の目先に降ってきた、それは歩行困難者の必需品といっても過言でもない福祉用具の一つ、車椅子であった。
なぜこんな所に車椅子が? と疑問を浮かべるまでもなく、既に両者の答えは出揃っている。
「ハート、まさか車椅子だけが落ちてくるわけではあるまい。 大元俺たちをここに呼んだ輩の仕業だろう。
まあいい、とにかく俺は後から落ちてきた方をどうにかする、お前は先に落ちてきた方を」
「そうでございましょうなあ。 承知いたしましたキング、わたくしは先の方を行かせてもらいます」
そんな会話をした後、シンは電波塔の脚から猛スピードで駆け上がる。
ハートはそれを見ながら、自身は空を見上げ呟く。
「今夜は星が綺麗ですねえ。 北斗七星もくっきり見えますなあ〜」
☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆
世の中にはどうにもならんことがあるんやな〜。
ホンマにそう思うわ。
だってな、殺し合いっちゅーわけのわからんもんに巻き込まれてしまっておることにすらまだ理解できへんのに、
私が飛ばされた所ってどこやと思う?
頂上や。 もう一回言ったる、頂上や。
それも山とかビルの頂上やない、タワーの頂上や。
………………
え、あの偉ぶっていた人馬鹿なん?
よく考えてみ? 地上から数十メートル超もあるタワーの頂上に二人、そのうち車椅子に乗っている人が一人おるのに、アホなん?
もう一度言うわ、アホなん? なんどでも言わせてもらうわ、アホなん?
とりあえず頑張ったほうだと思うんや、だって数十分はあの狭い所で耐えられたんやから。
でもなー流石に無理やった、バランス崩して車椅子が落っこちて、そこから先はもう坂道を転げ回るようにスイスイと最悪の方向へ向かって行きおったわ。
それでも数分はシグナムが必死で支えてくれたけど、私のほうが限界が来て…… あーもう語りたくないわ。
私が落下してからすぐシグナムも追って同様に落下したんや。
でも、シグナム、一つ言わせてくれへん?
もしかしたらシグナムは飛べるのかもしれんけど、今のシグナムは完全に落下しているだけやで?
……………………
64 :
I Made It
◆HHH/WB.Ks2
:2011/10/28(金) 04:01:15.47 ID:dLHqpFjq
なんか物凄く落下スピードが遅いような気がする。
そう言えば死ぬ間際は物事がスローに感じるってどっかで言ってたっけ。
あーそうかー私死ぬんかー、死んじゃうんかー。
死ぬ間際ってこんなにもあっさりしているんやな。
北斗七星もくっきりと見えるで〜、目を瞑っても、なんかこう、光りの感覚が降り注いでくる。
…………………………
あかん。 現実逃避しとる場合やない。
死にたくない。
こんなギャグみたいな死に方いやや。
誰でも何でもええ。
神様仏様キリスト様ブッタ様アッラー様お犬様お猫様悪魔様……
誰でもいいです……
私は…… 私は…… 死にたくない!
ばい〜ん。
口で表したらこんな感じやろうか?
全てを諦めて色んな者に願っていた私の体は、こんな音を立てて再度宙を舞った。
「え? ひゃあ!?」
思わず情けない声を上げてもうた。
そして再び地面へと私の体は向かっいく。
「よっと」
野太く、優しい声と一緒に私の体はその声の出す者へ包まれていく。
落ちた衝撃は一切感じなかった。
私はその包まれたまま、瞑っていた目をゆっくりと開いた。
「豚や」
「お嬢さん、人を豚扱いするのどうかと思われますよ? ブヒ! ブヒヒ……!」
「あ、ごめんなさい」
確実に私の命を救ってくれた人に第一声で豚やはないやろ私。
と言うかこの人も結構慣れているんやな、おもいっきり鳴き声やりおったで。
こんなやり取りをしているうちに、私の大切な家族のシグナムも無事に私の下へ現れたんや。
金色の髪で真っ白な服をきた男の人にお姫様抱っこされながら。
…………………………
ノーコメントや。
私が向こうのほうが正しいんちゃうかな? と思ったりしたけど、それは気のせいや。
☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆
「ハートさん、キングさん、本当に私とシグナムを助けてくれてありがとうございます」
「なあに、気にすることはありません。 困ったときはお互い様ですよ」
65 :
I Made It
◆HHH/WB.Ks2
:2011/10/28(金) 04:01:51.07 ID:dLHqpFjq
空から降ってきた少女達の騒動から早数十分がだった。
四人はハートが準備したお茶と菓子を嗜みながら、軽い情報交換と自己紹介をしている最中である。
そうして一通り相互のことが解りはじめた後に、八神はやては改めてハートとキングに感謝の意を述べていた。
対してはハートは笑顔で感謝を受け取る。 その笑顔に企みなどは一切感じられない。
続けて、今度ははやての従者であるシグナムが口を開く。
「しかし信じられぬな…… そなた達が既に死人であるなどと……」
「信じられるも信じられぬも、事実なのですからなあ。 まあ私もあなたについてはにわかに信じがたいので、そこはお互い様でしょうな」
シグナムは自らを命を救ってくれたこの二名が、常に死んだ人間であることは到底信じられなかった。
もちろんハートもキングも完全に理解しているわけではない、だが常に蘇ってしまっているのだから、
それ以上に深く考えてもしょうがないというのが見解である。
対するキング側もシグナム(とはやて)が『魔法』と呼ばれる非現実的な技を会得しているとには若干疑いを持っている。
けれども彼女らの出す雰囲気から、信認しても良いとは思っている。
もっとも、本来なら空を飛べるはずなのに、現在は飛べないという点が気がかりではあるが。
「で、ハートさん、キングさん。 これからどうします?」
しばらく他愛もない時間が流れ、それなりにお茶と菓子を満喫した頃であろうか。
はやては率直にこれからのことを口にする。
自分たちをこの場に追いやった輩から支給された名簿とやらには、二組とも他に知り合いなどは書かれていなかった。
だからこの二組にとって、現在の交友は自らの相方と目の先にいる二人だけどなる。
「私は…… こんな体やけど、殺し合いなんて絶対にやっちゃいけないと思うんや。
そりゃあハートさんやキングさん、シグナムは甘い考えって言われちゃうかも知れんけど、
それでも、私は絶対にあんな人の言う通りにしちゃいけないんと思うんや」
はやては思い切って自分から考えを唱えてみた。
殺しあいなんて絶対にやってはいけないし、そんな目先の欲にかられて大事なもんを失う訳にはいかない。
たしかに私は脚も動かない足手まといだけど、それでも誰かの命を奪ってまで助かりたくはない、と。
その言葉を言い放つはやての姿は、とても真摯で綺麗なものであった。
「主はやて、私も同様です。 主はやてを葬り去ろうとした輩の戯言には付き合う義理はありませぬ」
それに追随するのは無論シグナム。
当然シグナムもはやての発言に同意する。
「そうですなあ、私はあまり深く考えてはおりませんでしたなあ。
ただ、はやてちゃんのような純粋無垢な少女まで巻き込むとは感心いたしませんな」
対するハートは、本音を言ってしまえば何も考えてはいなかった。
自分とキングは既に死んだ身、ここでさらに何が起ころうと知ったことではない。
ただ、はやてのような純粋無垢な少女までこのようなことに巻き込む奴はとても許しがたい。
だからハートははやてと同じように、人を遊び道具にする奴には従いたくない。
三者が思い思いに言葉を放ち、最後の一人であるキングの方へと目を向けられる。
急かされているようであっても、キングは優雅にカップに入ったお茶を口に含み、空を見上げる。
それに釣られてか、ハート、シグナム、はやても同様に星空を仰ぐ。
そしてキングは、静かに口を動かす。
「今夜は星がよく見えるな…… 北斗七星も、そしてその脇に輝く蒼星もくっきりとな……」
66 :
I Made It
◆HHH/WB.Ks2
:2011/10/28(金) 04:02:47.71 ID:dLHqpFjq
「あ、ほんまやなあ。あ、私、こんなに満天な星空見上げたの初めてかも」
「確かに……」
「……そうですなあ」
キングの発言に他の三名も同調する。
そのまま星空を見ながら、更にキングは口を走らす。
「そうだな…… 俺もあいつが気にくわないのは同意だ。
だがな…… そう意図も簡単に殺し合いを破綻などはできるまい、奴も相当に手を打っているであろう」
キングはそのまま、今度は空ではなく電波塔の方向へ目を移す。
「だから俺は築こうと思う……」
「築く……?」
キングの言葉をシグナムが反芻する。
それを耳にしながらキングは三人の目を見て、一瞬目を瞑り何かを悟る。
そして目を見開くき、口角を広げる
「サザンクロスをだ!」
キングの思わぬ発言に、ハートは思わずおおっと声を上げる。
「奴に打ち勝つには俺たち四人では絶対足らん。
だから集めるのだ。
奴を打ち破る人材を。
奴を凌駕する知識を。
奴を排除する団結を。
奴を戦慄させる拠点を。
奴を喪失させる勇気を。
奴を絶望させる奇跡を。
奴を超える技を。
奴を認めさせる愛を。
奴を覚悟させる執念を。
このふざけた殺し合いを壊す全てを集めるのだ。
一つや二つではない、全部だ!」
キングの演説にはやてとハートは思わず心が熱くなる。
食事中は口数が一番少なく、何も考えているようにはなかったキングが、こんなにも大望を掲げているとは、側近であるハートさえも見誤っていた。
だからこの言葉に、大きく感銘を受けるている。
「ひとまず、この電波塔をサザンクロスの第一拠点して行動を取る。
この電波塔が、俺たちの第一歩となるのだ!」
高陽している場にキングは高らかに宣言をする。
それは決して生半可な気持ちではない、凄まじい気迫であった。
67 :
I Made It
◆HHH/WB.Ks2
:2011/10/28(金) 04:04:04.81 ID:dLHqpFjq
☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆
ユリア……
お前は例え何でも願いが叶うとしても、殺戮を認めはしないだろう。
おそらく同じ状況なろうとも、お前は慈母の愛で救いの光となるだろう。
だから、今度こそはお前が望むであろう新たなるサザンクロスを築く。
そして打ち破る。
それでもお前は俺を許しはしないだろう。
だが、これが死んだ俺ができる唯一の贖罪だ。
それがこの世に再び生まれた理由なのだからな。
☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆
南斗孤鷲拳伝承者シン。
彼は己が拳の星、殉星に従い肉体が滅びようとも奔走し続ける。
新たなるサザンクロスが必要とされなくなる、その時まで。
【D-1/電波塔外部/1日目-深夜】
【主:シン@北斗の拳】
[主従]:ハート様@北斗の拳
[状態]:健康
[装備]:なし
[方針/行動]
基本方針:サザンクロスを築く。
1:サザンクロスを築く。
【従:ハート様@北斗の拳】
[主従]:シン@北斗の拳
[状態]:健康
[装備]:
背負い袋(基本支給品) やかん@現実 ティーセット@現実 紅茶葉(1�s)@現実
サーターアンダギー×138@現実
[方針/行動]
基本方針:キングの野望に付き従う。
1:全てはキングの仰せのままに。
【共通備考】
※参戦時期は両者ともアニメ版の死後です。
68 :
I Made It
◆HHH/WB.Ks2
:2011/10/28(金) 04:05:19.32 ID:dLHqpFjq
【主:八神はやて@魔法少女リリカルなのはシリーズ】
[主従]:シグナム@魔法少女リリカルなのはシリーズ
[状態]:脚が不自由
[装備]:なし
[方針/行動]
基本方針:キングさんを手伝う。
1:キングさんを手伝いたい。
2:いきなりあんな位置に飛ばすなんてやっぱりアホやと思う。
【従:シグナム@魔法少女リリカルなのはシリーズ】
[主従]:八神はやて@魔法少女リリカルなのはシリーズ
[状態]:健康
[装備]:背負い袋(基本支給品) 不明支給品x4
[方針/行動]
基本方針:主はやてに従う。
1:全ては主はやてのままに。
【共通備考】
※参加時期は八神はやてはやての足の障害が治っていない時期からの登場です。
※ハート様がシンの説明をしたため、シンの名を『キング』と勘違いしています。
【やかん@現実】
やかんである。
最近はケトルとか電気ポットに圧されて見かけない。
【ティーセット@現実】
内容は
カップ&ソーサーが各六つ、
ポットが一つ。
綺麗だけどもブランド物ではない。
【紅茶葉(1�s)@現実】
紅茶に使われる紅茶葉である。
特に高級なものではない、大型デパートに行けばで売っていそうなものである。
【サーターアンダギー×150@現実】
沖縄名物の一つである、揚げ菓子。
表面はサクサク、中はシットリもしくはモッソリとした食感があるおいしいお菓子。
沖縄行ったら是非食べるべきものの一つであろう。
69 :
I Made It
◆HHH/WB.Ks2
:2011/10/28(金) 04:08:11.94 ID:dLHqpFjq
以上で投下終了です。
誤字脱字、とんでもなく違和感がある所や矛盾などがありましたらご報告ください。
遅刻と見苦し言い訳をして大変申し訳ありませんでした。
ちなみに北斗の拳はアニメ版と漫画版に大きな相違点はありません。
70 :
◆dFZPiudNYU
:2011/10/28(金) 07:09:04.37 ID:iCIGbAoh
予約していた阿良々木暦、忍野忍を投下します
71 :
創る名無しに見る名無し
:2011/10/28(金) 07:11:42.86 ID:iCIGbAoh
>>70
ハンネが◆gqRrL0OhYEじゃなくなっているけど本人で間違ってないので大丈夫です
72 :
◆dFZPiudNYU
:2011/10/28(金) 07:13:29.45 ID:iCIGbAoh
予約していたハンネの◆gqRrL0OhYEじゃなくなってしまったのですが本人で間違いありません
ご了承ください
73 :
トラワレビト
◆dFZPiudNYU
:2011/10/28(金) 07:14:28.85 ID:iCIGbAoh
月の光が映る広大な海。
その光が良く見える砂浜には2人の人影があった。
1人はごく普通の高校生の少年。
もう1人は月の光の様にキレイな金髪の幼女であった。
彼女は少年とこのゲーム、2つのトラワレビトとなっている。
だがその表情は絶望には屈していなかった。
「お前様これからどうするのじゃ?」
僕は目が覚めて忍に血を吸わせていたので吸血鬼の力が普段より高くなっている。
その為暗い今も周りは普通に見えている。
「わかってんだろ忍。決心した通り僕はこのゲームには乗らない」
今までに見た人間の死は3人。
ギロチンカッターにあの2人組。
僕はまた目の前の人間の死を助ける事が出来なかった。
それが僕は悔しくて堪らない。
そして主催側の人間にはそれをわからせたい。
八九寺との別れを通し僕自身、『命』の価値観がどのくらいかを知った。
絶対にこのゲームを終わらせる。
74 :
トラワレビト
◆dFZPiudNYU
:2011/10/28(金) 07:15:18.15 ID:iCIGbAoh
「そうか。まぁお前様ならそう言うとわかっておったがの」
ニヤリと笑う忍。
それからしばらく無言になっていたが、忍が何かを思い出したかの様な声を出した。
「ところでなんで儂らはこんな砂浜で大の字になって寝ておるんじゃ?」
「……」
あっ、多分シリアスパートの終わりが見えた……。
「僕は一度誰かとこういう風に寝てみたかったんだ。青春みたいだろ」
「なんでその誰かが儂なんじゃ!ツンデレ娘や猫委員長とでもやればよかろう!」
「戦場ヶ原も羽川もやってくれるわけないだろっ!」
「じゃあ他の奴に頼めば良いじゃろ」
「僕は人望が少ないから無理だ!」
「なんで偉そうなんじゃ」
というかシリアスパートを終わらせたのは僕の責任だった。
「まず何をするにしても背負い袋じゃ。その中身を確認せい」
「そういえばそんな物があったな」
75 :
トラワレビト
◆dFZPiudNYU
:2011/10/28(金) 07:16:35.70 ID:iCIGbAoh
背負い袋を開けると地図、名簿、筆記具、ライトを中から取り出した。
多分これはみんなに配られているのだろう。
「他の物も出すのじゃ」
「わかった」
僕が奥の深い背負い袋に手を突っ込み、何かを手に取った。
「何かすごい物出ろよ」
中から現れた物は何かがぐちゃぐちゃに壊された物でなんらかの金属の材料だった。
それに、何かのメッセージが付いていた。
『これは阿々良木暦の壊されたマウンテンバイクです。これを本人に見せて凹ませよう!』
謎のメッセージが付けられてあった……。
「それが支給された事に凹むわ!それに僕の名前は阿良々木暦だ!」
「おっとお前様、その下にもう一枚紙があるぞ」
「本当だ」
一枚目の紙を下に落とし、それに重なっていた二枚目の紙を読む。
『失礼。誤字でした』
「人の神経逆撫でしてんのか!?」
これを読んで思いついた人物はもちろん八九寺である。
泣きたくなってきた……。
76 :
トラワレビト
◆dFZPiudNYU
:2011/10/28(金) 07:17:09.29 ID:iCIGbAoh
「くそっ、今度は仮面ライダーの様に変身出来る物が欲しい」
「そうそうそんな物ないじゃろ。大体もう吸血鬼じゃろ」
「普通の人間にお前の噛み痕を付けたくらいしか見た目は変わらないじゃないかよ。僕は見た目重視だ」
また背負い袋に手を突っ込み何かを掴んだ。
「これは!?」
「……ドン引きじゃの」
誰の物かわからないパンツが姿を現した。うひょー、パンツだよパンツ。
忍の視線が痛いぜ。
「あれ?なんかまたメッセージがあるぞ」
ついさっき酷い目にあったのだが懲りずにそのメッセージを読んでみる。
『これはただのパンツではない。マスク・ド・パンツのマスクのパンツだ!これで君もプロレスラーに変身だ!』
このメッセージをさっきの八雲紫が書いたのか疑問である。
「良かったなお前様。仮面ライダーではないがマスク・ド・パンツじゃ」
「嬉しくないよこんな物。ただの変質者だよ。それにマスク・ド・パンツのマスクのパンツってもうパンツなのかマスクなのかわかんねーよ!」
ろくじゃない物ばかり出てきてそろそろ僕もキレそうだ。
「もう、何か身を護れる武器でも出て来い!」
僕は掴んだ物を引っ張り出す。
多分感触的にこれが最後らしい。
77 :
トラワレビト
◆dFZPiudNYU
:2011/10/28(金) 07:18:58.11 ID:iCIGbAoh
「は……?」
ついさっき目が覚めてすぐに忍から血を吸ってもらい吸血鬼の能力を上げていなかったら持ち上げられなかった物であろう。
メッセージには物騒な名前の武器が書かれていた。
『対怪物戦闘用13mn拳銃ジャッカル』
「物騒過ぎるわ!」
「悪趣味じゃな」
壊れたマウンテンバイク、パンツときて急にこんなガチな武器が出ようとは。
「どうするんじゃこの拳銃?お前様は持てるみたいじゃが……」
「一応この拳銃は僕が武器として使う。忍は心もとないかもしれないけど僕の壊れたマウンテンバイクの金属部品を持っていろ。もしそれが無くなっても、他のマウンテンバイクの壊れた部品はまだいっぱいあるから」
「まぁこんな必要のない物とっておいても仕方ないものな」
本当は壊れた物といってもあまりこういう事はしたくないのだが……。
目くらましくらいなら使えるだろう。
「安っぽいけど文句言うなよ」
「お前様、これ安っぽくない?」
「人の話聞いてたかお前!?」
忍の右手には違和感なく、シュールにマウンテンバイクの一部品が握られていた。
チャンバラをする幼女みたいだな。
それを口に出したら害を悪くしてしまうだろうか。
――ところで忍や僕って死ぬのか?
ふとそんな疑問が浮かぶ。
忍や僕って不死能力があるから死なないんじゃないか?
そう思うのに何故かこのゲームからは、不吉な何かを感じずにはいられなかった。
78 :
トラワレビト
◆dFZPiudNYU
:2011/10/28(金) 07:19:51.12 ID:iCIGbAoh
「しかし今一度確認じゃ。お前様はなるべく戦わないんじゃろ」
「あぁ、もしこのゲームから抜け出したとしても牢獄でまずい飯なんかを食べる生活なんか送りたくもないぜ。火憐ちゃんにも月火ちゃんにも会えなくなるし」
「なんで殺す事より殺したあとの心配をしておるんじゃ。しかも儂やツンデレ娘より妹達の方が大事かよ」
「嘘に決まってんだろ、そんな事。あと妹達もみんなと同じくらい大事だから、みんなと会えないのが嫌だよ!」
いつもの様に忍とアホな話をしていたせいかさっきより落ち着いている自分が居た。
こんなにも信頼出来る奴が居るのは心強いものなんだな。
忍の横顔を見てそう思った。
「お前は参加者達と戦うのか?」
「儂は今までたくさんの人間を捕食して来た。男、女、子供、お年寄り。未だに全員の顔が思い出せるぞ」
「まったく答えになっていないじゃないか。……ところであまり聞きたくないが約600年で何人くらい捕食してきた?」
「覚えてるわけないじゃろが!」
「え……?じゃあさっきの嘘かよ……」
忍は慌てて「と、ともかく」と話を戻す。
説教してやりたかったが今は忍の話に合わせよう。
79 :
創る名無しに見る名無し
:2011/10/28(金) 07:20:17.08 ID:rrTJIHiO
支援
80 :
創る名無しに見る名無し
:2011/10/28(金) 07:48:27.38 ID:rrTJIHiO
したらばより転載
2: ◆gqRrL0OhYE
11/10/28(金) 07:32:05 ID:psuf9o/.O
トラワレビトを投稿中だったのですが分割しすぎて書き込めなくなったので時間を置いてから投稿させてもらいます
まだあれは未完成ですので
今日か明日には続きを投稿します
81 :
創る名無しに見る名無し
:2011/10/28(金) 08:04:32.13 ID:TCBDYOV8
構ってちゃんか?
何で最初から明日に纏めて投下しないの?
うわータノシミだー早く続きヨミタイ
82 :
創る名無しに見る名無し
:2011/10/28(金) 08:09:11.37 ID:rrTJIHiO
>>69
投下乙です。
正直この4人で予約が入った時は、絶対ハートとシグナムのバトルになると思ってたぜ!
原作の名台詞をうまく使ったシンの言い回しや、予想外の展開が見ていて面白かったです。これはいい対主催チームになりそうだ。
にしても、北斗組の支給品ひでぇw
ただ、ちょっと誤字脱字が気になりましたので報告を。
>>62
、
>>65
常に→既に
>>62
煽らて
>>63
大元→大方?
>>65
会得しているとには
83 :
創る名無しに見る名無し
:2011/10/28(金) 09:51:22.72 ID:Vk+XSK8O
>>80
天然物やな
まぁ期限残ってるしいいんじゃね
84 :
創る名無しに見る名無し
:2011/10/28(金) 10:23:06.37 ID:+OzcM42B
>>69
乙です
しかしながら初っ端から死兆星を光らせるのは良いのか?
85 :
トラワレビト
◆dFZPiudNYU
:2011/10/28(金) 16:44:34.27 ID:iCIGbAoh
>>78
の続き
「ゲームに乗らないのはわかったがせめて命くらいは護れお前様。正当防衛の時には殺すまではしなくとも気絶ぐらいまでなら許されるじゃろ。それに儂にかかればお前なんか簡単に護れるわい」
「わかった……。それで良い」
背負い袋を持ち上げ、身長の低い忍に目線を向ける。
「忍、こんなゲームなんか終わらせて無事に平和な元の世界帰るぞ忍」
戦場ヶ原、羽川、神原、千石、火憐ちゃん、月火ちゃんの居る日常へ帰る為、
僕達は決意の一歩を踏み出す。
「ちょっと待てお前様、なんで砂浜に居て目の前に海があるのに遊ばんのじゃ」
「せっかく話をキレイにまとめたのにそんなくだらない事で呼び止めるな。それに遊んでヘラヘラいられる様な状況でもないのはわかってるだろ」
「……今まで遊んでヘラヘラしていた様にしか見えんがの」
忍の動きが活発になる深夜で海に居るとなどないからか、今の忍は生き生きしていた。
86 :
トラワレビト
◆dFZPiudNYU
:2011/10/28(金) 16:45:00.46 ID:iCIGbAoh
【Fー4/砂浜/1日目ー深夜】
【主:阿良々木暦@物語シリーズ】
[主従]:忍野忍@物語シリーズ
[状態]:健康
[装備]:対怪物戦闘用13mn拳銃ジャッカル(残弾30)@HELLSING、背負い袋(基本支給品)、壊れたマウンテンバイク(一部)@物語シリーズ、マスク・ド・パンツのマスク
[方針/行動]
基本方針:ゲームを終わらせて島から脱出し元の日常に戻る。 忍と行動を取る。
1:なるべく戦わない。襲ってくる人間が居ても極力殺さない。
[備考]
参戦時期は鬼物語終了後です。それ以降の時系列の出来事はまだ知りません。
【従:忍野忍@物語シリーズ】
[主従]:阿良々木暦@物語シリーズ
[状態]:健康
[装備]:壊れたマウンテンバイク(一部)@物語シリーズ
[方針/行動]
基本方針:暦と行動を取る。
1:暦を護る。
[備考]
参戦時期は鬼物語終了後です。それ以降の出来事はまだ知りません。
【対怪物戦闘用13mn拳銃ジャッカル@HELLSING】
純銀マケドニウム加工水銀弾頭弾殻マーベルス化学薬筒NNA9の13mm炸裂徹綱弾を用いる超大型拳銃。
下手な対物ライフルより重く、普通の人間が撃てる物ではない。
【壊れた阿良々木暦のマウンテンバイク@物語シリーズ】
阿良々木暦の所持していた物で、通学用は別にある。
レイニーデビルの乗り移った神原駿河に大破された。
【マスク・ド・パンツのマスク@そらのおとしもの】
マスク・ド・パンツ(桜井智樹)がお祭り時に被っていた女子用の白いパンツ。
87 :
◆dFZPiudNYU
:2011/10/28(金) 16:46:15.14 ID:iCIGbAoh
ハプニングがありましたが投下終了です
因みに『トラワレビト』の元ネタはキラークイーンのOPです
88 :
創る名無しに見る名無し
:2011/10/28(金) 16:48:28.47 ID:iCIGbAoh
>>85
誤字
ラスト数行
居ると→居る時です
89 :
創る名無しに見る名無し
:2011/10/28(金) 17:11:34.80 ID:rrTJIHiO
乙。無事投下できて何よりです。
ところで支給品が一つ足りない様ですが、これはまだ不明という事でしょうか?
後、吸血鬼の力が高くなっているのは、状態に明記しておいた方が良いかと。
>>84
いいんじゃないかな。
原作からして途中で死兆星が消えたマミヤの例もあるんだし。
90 :
◆dFZPiudNYU
:2011/10/28(金) 17:45:26.06 ID:iCIGbAoh
>>89
さん
ご意見ありがとうございます
その辺を修正していきたいと思います
91 :
トラワレビト
◆dFZPiudNYU
:2011/10/28(金) 18:12:53.58 ID:iCIGbAoh
>>75
と
>>76
にこの修正文章を挿入します
「他にも何かあるな」
「お前様……。よくバカにされても支給品を取ろうと考えるな」
「僕はよくバカにされた人物と付き合っている人間だぜ?」
次はさっきのマウンテンバイクなどの金属とは別の触り心地のする物を手に握り、引っ張り出す。
「なんじゃ、つまらんな」
「え?結構かわいいじゃん。とあう反応を普通は僕よりお前の方がするべきだろ。性別的にも、高校生と幼女の見た目からしても」
中から大きな大きなぬいぐるみが出てきた。
なかなかかわいいのだが忍の評価は今の通り。
また付いていたメッセージを読む。
『チーズくんのぬいぐるみだよ。C.C.からいつも抱かれているピザ屋の景品でもらえます』
「C.C.って誰だよ!?男だったら気持ち悪いぞ」
「また二枚目があるぞ」
忍から言われてまた一枚目の紙を下に落とし、重ねられていた二枚目を読む。
『これがC.C.だよ〜』
写真がコピーされていた。
そのコピーには長い髪のキレイで不思議系な見た目の少女が映っていた。
「僕もチーズくんになりたい!抱かれたい!」
「……とことん堕ちていくのお前様」
なんてまたふざけた支給品であった。
もうちょっと真面目になれないのかと僕は問いたい。
92 :
トラワレビト
◆dFZPiudNYU
:2011/10/28(金) 18:13:38.82 ID:iCIGbAoh
修正版
【Fー4/砂浜/1日目ー深夜】
【主:阿良々木暦@物語シリーズ】
[主従]:忍野忍@物語シリーズ
[状態]:健康(現在吸血鬼の力が高まっております)
[装備]:対怪物戦闘用13mn拳銃ジャッカル(残弾30)@HELLSING、背負い袋(基本支給品)、壊れたマウンテンバイク(一部)@物語シリーズ、マスク・ド・パンツのマスク
[方針/行動]
基本方針:ゲームを終わらせて島から脱出し元の日常に戻る。 忍と行動を取る。
1:なるべく戦わない。襲ってくる人間が居ても極力殺さない。
[備考]
参戦時期は鬼物語終了後です。それ以降の時系列の出来事はまだ知りません。
【従:忍野忍@物語シリーズ】
[主従]:阿良々木暦@物語シリーズ
[状態]:健康
[装備]:壊れたマウンテンバイク(一部)@物語シリーズ
[方針/行動]
基本方針:暦と行動を取る。
1:暦を護る。
[備考]
参戦時期は鬼物語終了後です。それ以降の出来事はまだ知りません。
【対怪物戦闘用13mn拳銃ジャッカル@HELLSING】
純銀マケドニウム加工水銀弾頭弾殻マーベルス化学薬筒NNA9の13mm炸裂徹綱弾を用いる超大型拳銃。
下手な対物ライフルより重く、普通の人間が撃てる物ではない。
【壊れた阿良々木暦のマウンテンバイク@物語シリーズ】
阿良々木暦の所持していた物で、通学用は別にある。
レイニーデビルの乗り移った神原駿河に大破された。
【チーズくんのぬいぐるみ@コードギアス反逆のルルーシュ】
C.C.お気に入りのピザ屋の景品。黄色くて大きなぬいぐるみ。
【マスク・ド・パンツのマスク@そらのおとしもの】
マスク・ド・パンツ(桜井智樹)がお祭り時に被っていた女子用の白いパンツ。
93 :
永夜儚月抄
◆Ok1sMSayUQ
:2011/10/28(金) 23:48:51.58 ID:lCFdY+gE
しんと凍てつくような青白い光を放つ満月が、夜をいっそう恐ろしい舞台へと仕立て上げているのか?
それとも、方々に散った戦いを望む輩の殺気が、月ですら冷たくしてしまうのか?
そんなことを考えながら、蓬莱山輝夜は己の知覚を少し広げてみる。
木々を揺らし、肌身を通り抜ける風は決して冷たくはない。けれども、どこか生暖かさを含み、耳朶に浸透する風音はどこか生物の息吹めいたものを感じるのだ。
人間は夜になると感覚の大半を失う。視界は狭くなり、色彩は判然としない。人間を襲うには絶好の機会である。
いや、人間だけではないのだろう。あらゆる生物、この穢れた地上に住まう命あるものたちが己の生存をかけて過ごす夜という、それは戦いの時間だ。
だからすぐ近くに何者かの胎動を感じる。影のごとく忍び寄り、我が身の隙を狙って牙を突きたてようとするのは――
「ああ、貴女だったの忘れてた」
「急に走り出さないで。何事かと少し焦ったわ」
「月が見たかったのよ。どこでも変わらないわね、やっぱり」
くるりと振り返り、輝夜は仏頂面に少しだけ険を滲ませている己の従者に向かって微笑した。
八意永琳。かれこれ数百年か千年かは一緒にいる、『元』月の賢者にして『現』輝夜の従者である。
もっとも地上に移り住み、隠居同然の生活を過ごしながらも永琳の聡明さは劣ることを知らない。
聞けば大抵のことは知っているし、解説を交えて話してくれる。ただ、分かりやすいかというとそうでもない。
学者によくある、やたら難解な言葉を交えての話ばかりだから曖昧に頷いていることしかできない。
だから賢者の言うことはなんでもかんでも正しく聞こえてしまうのかもしれない。
「いいえ、変わっているわ。あの満月は天蓋に描かれた絵のようなものよ」
「絵なの? へえ、だったら素晴らしい才能だわ。私でも見間違えるなんて」
「そうね、とても素晴らしい才能よ。……あのスキマ妖怪の業とは思えないくらいに」
珍しく引っかかっているものを含んだ声だった。永琳でもそういうことがあるのかと思い、輝夜はくすくすと笑った。
こういうことが度々あるものだから、地上も捨てたものではない。
一昔前は穢れた地上とひとくくりにして嘲笑っていたのに、歴史を進み始めた途端こうも変質するものなのだろうか。
「余裕なのか、暢気なのか……全く、輝夜も動じなくなったわね」
「失礼ね、どっちでもないわよ」
ぷうと頬を膨らませてみせると、固い表情が霧散し、苦笑の色へと変わる。
それを見て、ようやく永琳もいつもの顔つきに戻ってきたかと安心した気分になった輝夜は、先ほど永琳が口に出したスキマ妖怪のことを思い返す。
八雲紫という、神出鬼没で派手な格好をした、よく分からない妖怪。輝夜自身はあまり面識がなく、以前宴会に呼ばれたときに顔合わせをした程度である。
そういえば、あのときの宴会も永琳はひどく驚いていたような気がする。尋ねてもはぐらかされてしまっていたが、もしかするとあの時も「分からない」ことがあったのかもしれない。
聡明な賢者は理由のない不可思議を認めたがらないものである。それだけが永琳の弱点だと輝夜は思っていた。
と、評した割に、輝夜自身も今回の事態の道理については見当がついていなかった。
これも一種の月面戦争なのだろうかと考えはしたものの、そうであるならばこんな遠回りなやり口ではないだろうし、紫個人の復讐としても、やはり装置が大袈裟に過ぎる。
そもそも永琳に分からなくて輝夜に分かるはずがないのであるが、不思議と輝夜は考える気分になっていた。
「ねえ、永琳は見当くらいはついてるの? 今回の黒幕」
「……ごめんなさい。恥ずかしいけれど、今のところはまるで思いつけないの。動機も目的も不明ときては……」
今のところは、などと言うあたり、いずれは分かってみせるという賢者らしいプライドが垣間見える。そういう意味では永琳も分かりやすい手合いである。
ただ、彼女の場合は本当の智慧者であるから虚勢でも何でもないのであるが。
「道楽、ってわけでもなさそう」
「ありえなくはないけど……自称でも『紳士』ならこんな野蛮な真似はしない。彼女ならもっと利口なやり方を思いつくはずよ」
「そっか、野蛮すぎるから永琳にも分からないのね」
「……『殺し合い』なんて私でも思いつかないわよ、もう」
94 :
◆Ok1sMSayUQ
:2011/10/28(金) 23:49:46.00 ID:lCFdY+gE
嘆息交じりに首を振られる。これまた滅多に見せることのない姿に輝夜は可笑しい気分になった。
そう、ここは色々な意味で異常だった。見知った顔はいくらかいるものの、基本的に幻想郷内のどこでも見たことのない異形の数々に、見知らぬ土地。
決して逃れえぬ殺し合いのルール。三日限り行われる、生存者二名を賭けた壮絶な共食い。
たった数十名の、観客もない寂しい死の舞踏会である。
と、そこで輝夜はふと、頭の中で形にした言葉に疑問が浮かんだ。
「ねえ、永琳」
「どうしたの。何かものすごい大発見をしたって顔をしてるけど」
「そういえば、私達って死ねるのかしら」
「どうかしら……」
反応自体は早かったものの、僅かに声を詰まらせたのを輝夜は聞き逃さなかった。
永琳は真っ先に気付いてはいたであろう。自分達は蓬莱人。どんなに時間が経過しようが、どんなに無残な殺し方をされようが決して死ぬことのない『永遠』を備えているのである。
正確に言えば、死ななくなったのではなく自らの歴史を止めたと言うべきか。変化することを忘れた身体は、どんなに手を尽くそうが消滅することはないのだ。
が、件の紫は殺し合いをしろと言っている。死なない自分達が脱落することは不可能であるはずなのだが、この矛盾はどうしたものだろう。
紫が何がしかの術を用いて、自分達の不死をなくした可能性。自分達以外の参加者全てが、実は不死を打ち破る術を備えている可能性。
輝夜が思いついたのはそのくらいのものだったが、果たしていずれであるのかは文字通り『死』に足を踏み入れてみなければ分からないであろう。
そう。死ぬか、死なないか。試してみなければ結論は出ないのである。かと言っても試すわけにもいかない。だから永琳は口を濁した。結論の出ない問答は学者の嫌いな分野であるからだ。
だが逆に、輝夜はすぐに「自分達は死ぬであろう」という結論を出していた。明確な理由があるわけではない。ただ、死ねる可能性があると分かった瞬間、輝夜は嬉しくなったのだ。
「やっぱり、そうなのね。私達は死ぬことができるかもしれないんだ」
月明かりの下、長い黒髪を風に躍らせて輝夜はくるくると舞う。
咎めもせず、呆れることもなく、永琳はただ輝夜の踊る姿を見つめていた。絶句しているのかもしれない。
「死ぬってことは、私達は生きてる。生きているのよ、永琳。こんなにも素晴らしいことはないわ」
生きて、生きて、しかし生きることすらできなかった自分達は、今この瞬間を駆け抜けている命になっているのだ。
心臓の鼓動、唇から漏れる吐息、己が身に流れている血の暖かさ。全てが脈動し、一体となって現在に収斂してゆく。
何にもなれない永遠はなくなり。なにかになれる可能性が残されている。
ひとしきり舞った輝夜は、少しだけ息を切らし、世の男性が見惚れずにはいられないほどの笑顔を永琳に差し向けて、言った。
「私のやりたいことが決まったわ」
そして、姫の口調で告げる。
「この《異変》を解決するわよ、永琳。今を生きている人間として、幻想郷の一員として、為すべきと思ったことを為すわ。ついてきてくれるわね」
不死であるかどうかだとか、この企みの先にある目的がどうであるかは輝夜にとっては瑣末な事柄だった。
ようやく真の地上の住人として、幻想郷に住まう者としてやれることがでてきたのだ。
生きて、生きて、そして死ぬかもしれない。けれども、それがたまらなく嬉しい。
だからこれは、命に対するほんの少しの手向けというものだった。
そうした情緒と感傷を抱けるほどには、自分は地上というゆりかごで育てられてきたのだから……
95 :
永夜儚月抄
◆Ok1sMSayUQ
:2011/10/28(金) 23:50:40.79 ID:lCFdY+gE
「……お供いたします。どこまでも。それが私の為すべきと思ったことですので」
恭しくかしずくと、永琳も臣下の声を以って応じた。
こうして、彼女が畏怖と敬意を抱いた声を寄越してくれたのはいつ以来だっただろうか。
地上に降り立つ前、幻想郷にいる間。どの記憶を探っても、いつだって永琳は教育者というような顔ばかりだった。
本当に珍しいことばかりだ。地上の人間達は毎日こうなのかもしれないと思うと、ますます今の状況に喜びを感じるのだ。
「さあ、行きましょう。えーっと、この近くって何があったっけ?」
「はい、確か……」
「待って、思い出せそう」
答えようとする永琳を押し留めて、輝夜は額に指を当てながら少しだけ見ていた地図の内容を思い出す。
山の近くにあった施設。文字を見ただけで心地よい気分になれそうな、それは確か……
「温泉! そう、温泉よ! 温泉といえば『命のお洗濯』よね! 私一度やってみたかったの!」
「……姫様。《異変》は?」
「何を言ってるの。まだ何もわかってないんだから、行きたいところに行くのが一番よ」
「了解です、輝夜」
永琳は大きく溜息をついた。溜息は幸運を逃してしまうという。どのくらいの幸運が逃げていったのだろうか。
まあ、そんな瑣末事も温泉に浸かれば気にしなくてもいいだろう。温泉は思わず「極楽、極楽」と口に出してしまうほどの心地よさがあるらしい。
言霊を自然に吐き出してしまうほどの温泉が、輝夜は本当に楽しみだったのだ。
「いつまで突っ立ってるの。動かなきゃ物語は始まらないわ。早く始めるわよ」
やれやれという風に首を振って、立ち止まっていた永琳もようやく後をついてきた。
温泉は山を下ってすぐ近くにある。少し歩けばすぐだろう。
月下の散歩から始まる異変解決というのも風情があると思いながら、輝夜は従者を引き連れて進み始めた。
こうして、蓬莱山輝夜と聡明な従者の物語は、まずは「楽」を貪ることから始まったのである。
【D-5/山頂付近/1日目-深夜】
【主:蓬莱山輝夜@東方儚月抄】
[主従]:八意永琳@東方儚月抄
[状態]:健康
[装備]:なし
[方針/行動]
基本方針:《異変》を解決する。
1:温泉で命のお洗濯!
【従:八意永琳@東方儚月抄】
[主従]:蓬莱山輝夜@東方儚月抄
[状態]:健康
[装備]:なし
背負い袋(基本支給品)、不明支給品x4
[方針/行動]
基本方針:輝夜に付き従う。
1:やれやれ……
96 :
◆Ok1sMSayUQ
:2011/10/28(金) 23:51:26.19 ID:lCFdY+gE
投下は以上になります。
97 :
創る名無しに見る名無し
:2011/10/28(金) 23:56:31.29 ID:lOd0XUMb
投下乙です
信長はこうなるよなあ
そして光秀はきめええw こんな理由で死にたがるのはお前だけだあっ
死ぬ理由を除けば少数だが死にたがりはいなくはないがなw
少なくともこんな連中と関わりたくないなあ…
俺もシグナムとシンらと派手なバトルかなとは思ったら変化球来たなあw
カオスぎりぎりだが…後続書けるのか? 反対意見来たらどうなるか判らんがワロタわw
はやてはとんでもない相手に絡まれたなあ。だがとりあえずは組めただけマシか
この二人も対主催か。もっとも修羅場になったらありゃりゃ木さんと忍の考えがずれる危うさもあるが…
それと投下するならやっぱりまとめてした方がいいですよ。もっとも周りから揶揄されるほどでもありませんが
98 :
◆7RGbmc1fRg
:2011/10/29(土) 00:01:17.21 ID:yjoKOHTJ
枢木スザク、ユーフェミア・リ・ブリタニア、投下します
99 :
覚醒の白き騎士
◆7RGbmc1fRg
:2011/10/29(土) 00:04:57.36 ID:yjoKOHTJ
神聖ブリタニア帝国第99代皇帝ルルーシュ・ヴィ・ブリタニアの騎士、ナイトオブゼロ。
この名を聞き、彼を憎悪せぬ者がこの世界に存在するだろうか。
圧政を敷く悪逆皇帝ルルーシュの腹心として、その武を振るう無双の騎士。
父を殺し、友を売り、同胞を殺し、使えるべき主君を替え、皇帝暗殺を決行し、そして今はかつて売り払った友を皇帝と仰ぎ仕える。
枢木スザクの人生は、迷いと苦悩と裏切りの人生だった。
鞍替えをする度にのし上がり、気高い理想と引き換えに日本人の敵から世界の敵へとその身に受ける憎悪を増した。
恐らく自分は、このゲームの参加者全員から憎まれ、恨まれ、命を狙われることだろう。
だが、それはもう覚悟したことだ。
ゼロ・レクイエムのその日まで、皇帝ルルーシュとナイトオブゼロは死ぬわけにはいかない。
約束の日まで、ゼロが皇帝ルルーシュを殺す日まで。
たとえ、どんな手段を用いても。
異常な状況ながらも、枢木スザクの行動は冷静だった。
まずはいつの間にか背負わされていた袋を地に落とし中身を検める。
「地図」、「参加者名簿」、「筆記具」、「懐中電灯」
地図を確認するとどうやらここは陸地と分断された孤島であることが分かる。
また再び袋の中をまさぐると奇妙なことに底に触れる感覚がない。
だが常軌を逸した現象にも枢木スザクが驚愕することはない。
八雲紫が先ほど見せつけた『阿鼻地獄』も含め、ギアスに準ずる超能力のようなものだと当たりを付けていたからだ。
次に袋から引っ張りあげたものは一振りの魔剣。
スザクがこれをただの刀剣でなく、魔剣と称したのには訳がある。
漆黒に彩られたその剣は、美しいと呼ぶことすら憚られる魔貌をさらけ出していた。
―――尊い。
スザクにはその一言でしか讃えることができない。
この魔剣を永遠に眼にしていたい欲求を押さえ、スザクその剣を鞘に収める。
いつでも抜けるよう腰に下げ、手をかざしてみると、驚くほどに違和感がない。
初めて眼にし、初めて握った剣にもかかわらず、まるで体の一部のように感じられる。
自分のためにあつらえられたような魔剣を頼もしく思いながらスザクは名簿を確認していく。
自分が組んでいる相手は間違いなくルルーシュだろう。
検めるべきことでもないがスザクやルルーシュが知る人物が参加している可能性もある。
この戦いで彼は八雲紫に抗うか、従うか。
どちらにせよ情報は必須となる。
参加者はおよそ半数が日本人。
コードネームらしき名称の者や、なぜか一人だけ様付けの者も含まれる。
蒋麗華、黎星刻。
問題外だ。元から敵対した者同士。会えば殺す。ただそれだけだ。
ルルーシュ・ヴィ・ブリタニア、ジェレミア・ゴットバルト。
この状況でルルーシュの他にひとりでも信頼できる味方がいてくれたことは頼もしい。
ジェレミアはルルーシュの忠臣であり、彼の忠義と実力はスザクも一目置いている。
さらにジェレミアが備えるギアス・キャンセラーはルルーシュのギアスと最適な相性と言える。
同じ相手に一度しか使用することが出来ないギアスの欠点を完全にカバーすることができるからだ。
100 :
覚醒の白き騎士
◆7RGbmc1fRg
:2011/10/29(土) 00:07:36.17 ID:yjoKOHTJ
「……えっ?」
彼らしくない、間の抜けた疑問符がこぼれた。
『私は皆様をそれぞれ主従一組としてこの場にお招きしました。』
八雲紫は確かにそう言ったはずだ。
スザクはそうはっきり記憶しているし、天子と黎星刻が組まされていることからもそれは明らかだろう。
ジェレミアとルルーシュが組んでいることはなんの疑問もない。
あの二人の主従関係は本物であり、ゼロ・レクイエムの真相を伝えていることからもルルーシュがジェレミアに寄せる信頼は並々ならぬものであることは確かだ。
今の今までスザクはルルーシュと組まされているものだと思い込んでいた。
だから名簿など半ば見る必要はないと思っていたし、はっきり言えば読み飛ばしても構わなかった。
冷静さを保っていたスザクの脳内が混迷を極める。ぐにゃりと視界が折れ曲がり、その名を確かめることができない。
嘘だ、ありえない。認められない、間違いに決まっている、なんの冗談だこれは?
なぜ―――どうして―――!?
なぜ僕と■■■が―――?
なぜ■■■の名前があるんだ―――!?
だって■■■は……■■■は……
「―――――スザク?」
101 :
覚醒の白き騎士
◆7RGbmc1fRg
:2011/10/29(土) 00:10:56.43 ID:yjoKOHTJ
背にかけられる、鈴を振るような声。
ああ、この声は――――聞き間違えるはずはない。
鮮烈なる出会いの日、彼女と過ごした短いながらも満ち足りた日々。
「ただの偽善」と看破され、苦しみ悶える僕に救いをくれた彼女。
僕が愛し、そして死を看取ったはずの彼女……。
「―――うあ゛ぁ……あ あ゛ぁ……! あぁ゛……ああぁう……っ!!」
「えっ? な、なに? どうしたのスザク?」
血に染まった彼女の姿。弱々しく、行政特区日本の成果を問いかけた最後。
ギアスをかけられながらも、死の間際まで他人の幸福と、優しい世界を望んだ彼女。
偽物じゃあない、本物の、あの日のユフィがここにいた。
平和を望み続けた皇女を騎士はきつくきつく抱きとめる。
なにもかもが変わらない。あの日のユフィがここにいる。
ただそれだけで騎士は嗚咽し、どこに敵がいるかも知らぬ殺し合いの場で涙を流す。
枢木スザクは、八雲紫に感謝する。
今日この場に来れたことを、最愛の人と再会出来たことを。
「だっ、大丈夫……大丈夫よ、スザク……。殺し合いなんて怖くないから、きっと大丈夫だから。
安心して……私がスザクといるんだもの。絶対大丈夫だから……。」
突如号泣する騎士の真意を皇女は知りはしない。
勇敢な騎士が見せる涙に戸惑いながらも抱擁し、自分よりも大きな背中を赤子をあやすように撫でていく。
「違う゛……違うん゛だっ……ユフィ……、僕は、君を……」
嘘と裏切りに塗れた自分は、もう二度と正しき道は歩めないだろう。
重ねた罪はあまりに重く、十字架を一生背負い続けたとて贖罪しきれぬ永遠の咎人。
だけど僕は―――もう二度と、ユフィを失いたくはない。
湖の騎士は、再び裏切りを重ねる―――――。
102 :
覚醒の白き騎士
◆7RGbmc1fRg
:2011/10/29(土) 00:13:21.60 ID:yjoKOHTJ
【C-3/一日目-深夜】
【従:枢木スザク@コードギアス 反逆のルルーシュ】
[主従]:ユーフェミア・リ・ブリタニア
[状態]:健康
[装備]:無毀なる湖光@Fate/Zero
背負い袋(基本支給品一式、不明支給品0〜3)
[方針/目的]
基本方針:なにがあってもユーフェミアを守る。
1:もう二度とユフィを失いたくはない。そのためならば優勝さえ厭わない。
[備考]
※ナイトオブゼロ就任後からの参戦です。
【主:ユーフェミア・リ・ブリタニア@コードギアス 反逆のルルーシュ】
[主従]:枢木スザク
[状態]:健康
[装備]:
[方針/目的]
基本方針:これからどうしましょう?
1:いったいどうしたのスザク?
[備考]
※死亡後からの参戦です。ギアスの効果は解けているようです。
【無毀なる湖光(アロンダイト)@Fate/Zero】
かつて最強と謳われた騎士が愛用した名剣。
エクスカリバーと起源を同じくする神造兵器であり、その強靭さにおいてはエクスカリバーにも匹敵する。
当代最高の騎士だけが帯びることを許された誉れの剣だが、同胞だった騎士の親族を斬ったことで聖剣としての格を喪失し、魔剣としての属性を得てしまった。
103 :
◆7RGbmc1fRg
:2011/10/29(土) 00:14:14.68 ID:yjoKOHTJ
投下終了です。
104 :
創る名無しに見る名無し
:2011/10/29(土) 00:57:27.53 ID:2+R1DMjr
投下乙!
阿良々木さんは流石すぎるw
OPといい登場話といい、馬鹿な会話のテンポが良くて楽しいw
というわけで作品については問題ないです
書き手さんはロワ企画は参加するのは初めてでしょうか
これまで言われているように、書きながら投下するのではなく、期限中に書き終えてからまとめて投下されることが求められています
ご注意を
イキイキしているな、姫さま
なんだかんだでその立ち振る舞いが尊く思えてしまうのはカリスマ故か
永琳は色々苦労しそうだが、がんがれ、超がんがれ
だからお前らちょっとは悲壮感感じろとry
でもスザクにとってはそりゃ仕方ないよなあ
アロンダイト支給はお見事
こいつにこれ以上合う武器はないし、この先のことを暗示してそうですごい胸がたかなった
皆様おもしろかったです、GJ
105 :
創る名無しに見る名無し
:2011/10/29(土) 01:27:38.07 ID:zDLmM6c5
皆さん投下乙です。早速、各主従達の特徴出てるわー
>>103
ひとつ疑問なんですけど、参戦時期的にスザクに生きろギアスがかかってるはずでは?
106 :
創る名無しに見る名無し
:2011/10/29(土) 01:45:11.88 ID:zDLmM6c5
連レス失礼
展開に関してではなく、状態表への指摘です。
何か言葉足らずでスイマセン
107 :
創る名無しに見る名無し
:2011/10/29(土) 02:01:46.69 ID:AadnzeTN
じゃんじゃん投下されてるねー。イイヨイイヨー。
姫様危機感あるんだか無いんだかw
まあ何にしても入浴シーンが楽しm(ry
そしてああスザク。お前はいったいどうなってしまうんだ…。
正直、無印の時間軸から来ると思ってたから、この展開は予想してなかった…。
でもちょっと気になったのが名簿。
先に投下されたうたわれ組の話での名簿は五十音順になってたっぽいけど、こっちは主従別?
108 :
創る名無しに見る名無し
:2011/10/29(土) 02:30:39.93 ID:3Msk3YK4
OPで暦と忍は会話してたし、主従のスタ地は同じなんだから
スザクがあのタイミングまでユフィに気づかなかったのおかしくないか?
いくらユフィを守りたいからって、本文で触れられてない優勝狙いの可能性が状態表に載ってんのもおかしい
ゼロレク放り出してルルーシュ裏切るなんて、そんなあっさりできることじゃないだろ
まあ、この書き手は、ヘタクソな文章で出オチやってる奴やまともにトリップも出せない奴
馬鹿丸出しの東方厨に比べれば、突っ込む気になるだけマシだけどなw
109 :
◆Su10.RK3MU
:2011/10/29(土) 02:37:01.32 ID:DcFhahAo
投下します。
110 :
BAD TO THE BONE
◆Su10.RK3MU
:2011/10/29(土) 02:37:57.70 ID:DcFhahAo
【001】
殺し合いの舞台となる島の南に、頂に大きな湖を湛え広い裾野の端にまで深い緑に包まれた、なだらがだが
どこか幽々とした不思議な印象を抱かせる山がある。
そして、その頂上から南西に向けてなかあいの辺に一際深い緑に覆われた森があった。
細く背の高い木々が立ち並び、広げた枝葉で森の天井を覆っているので森の中は真っ暗だ。
時折、風が吹けば枝葉の中に隙間ができてちらほらと光が射し込んでくるが、それも明かりとするにはとても頼りない。
加えて暗い森の中は光の量も少なければ空気の流れもよくなく、湿気を帯びた苔の匂いが充満している。
苔ばかりとなれば普段立ち入る人間もほとんどいない。人が行き来しない場所は必然として神秘を得てゆく。
とはいえこの森の有様は神聖などとは真逆だ。見通しが悪く代わり映えのしない風景は訪れた者の不安ばかりを煽る。
ありていに言えばまるでお化けや妖怪でも出てきそうな、一言でいえばそこは“不気味”な森だった。
【002】
月明かりすら届かない暗く不気味な森の中、懐中電灯で手元を照らし、いそいそと荷物を確認している人の姿があった。
「……知ってる名前は竹露と、リルカ姉さんだけか」
懐中電灯に照らされた名簿を見てひとりごちてるのは、山の風景にはまったく馴染まないギャル系の女子高生だ。
金髪に染めてカールをかけた髪の毛をツーテールにくくり、メイクはライン、シャドウ、睫毛とアイ中心に濃い目。
学校指定のセーラー服は改造こそしていないものの、スカートの丈はギリギリのところまで上げられている。
「リルカ姉さんは元々死んでるから地獄に帰ってもらえばいいけど(どうせ会っても仲良くできないだろうし)、
竹露を死なせるのは(いくら願い事で生き返らせられると言っても)気が引ける……」
そして、その内面はというとギャル系の見た目にそぐわぬ修羅場慣れしたプロの貫禄があった。
彼女の名前は――姫園れい子。
人呼んでゾンビ屋れい子。現役の女子高生でありながら、ソンビ屋として死者蘇生を請け負うプロフェッショナルだ。
ソンビ屋とは不慮の死を迎えた者を黄泉返らせ、その者自身から死に秘せられた情報を聞き出す職業。
そして彼女には死体をソンビにするという特技の他に、“もうひとつの特技”があった。
「(どっちが1度死ぬかはじゃんけんでもして決めるか)……と、いいもの発見。――百合川ッ!」
れい子が闇の中に声をかける。と、そこには彼女の従者であるもう一人の少女が立っていた。
これも不気味な森の中という風景には似合わないパンクファッションの少女の名前は――百合川サキ。
彼女は“ゾンビ”である。しかし、死体から黄泉返らされたゾンビではない。“地獄より召喚された”ゾンビなのだ。
《ゾンビ召喚術》――地獄より手下となる亡者を召喚するこれこそが、姫園れい子のもうひとつの能力なのである。
「ナイフは全部没収されてるんでしょう? だったらいい武器が見つかった。装備しておきなさい」
言って、れい子は背負い袋の中から一対の鉤爪を取り出し、百合川へと放り投げた。
百合川は無言でそれをキャッチすると、言われた通りに鉤爪を両腕に装備する。召喚主の命令は絶対なのである。
そう、本来はそのはずなのだが――
「姫園れい子。いざ“それ”が起きた時に後から文句を言われても困るんで今のうちに言っておくわよ」
「…………は?」
百合川の発言に、れい子は背負い袋を漁る手を止めあんぐりと口を開け、唖然とした表情を浮かべた。
これまで百合川から話しかけられたことなど皆無なのだ。そしてれい子の命令に彼女が返事をしたという記憶もない。
“生前は互いに”会話をしたこともあるが、つまりゾンビとして召喚してからはこれが初めての会話だった。
「ちょ、ちょ、ちょっと、どういうこと? もしかしてここにきて、賃上げ交渉やストライキって言うんじゃないでしょうね」
「あんたに対する文句は山ほどある。そもそも“あたしを殺したのがあんた”なんだしね」
そう、まだ生きていた頃の百合川サキを殺害したのは他でもない姫園れい子なのだ。だがしかし……、
111 :
BAD TO THE BONE
◆Su10.RK3MU
:2011/10/29(土) 02:38:42.73 ID:DcFhahAo
「それを恨むのはお門違いってもんよ。そもそも“あんたがあたしを殺した”のがいけないんじゃないッ!」
そう、姫園れい子は百合川サキに殺された。だから、身体をゾンビ化して百合川を“殺し返した”のである。
れい子がゾンビ屋として捜査に協力したある《事件》。そこで二人は出会い、文字通り互いを殺しあう結果となった。
その後二人は揃って地獄に落ち(いくら善良でもゾンビ使いが天国に上れるはずもない)、話は終わるかに見えたが
れい子は数奇な運命により復活を果たし、地獄から百合川をゾンビとして召喚する運びとなったのだ。
「あんたが素直に逮捕されてりゃ、どっちも死なずに事は済んだのに――」
「――ま、まぁ、それは“おあいこ”ってことでいいわよ。
あんたがあたしのことをコキ使って、戦闘で身体が壊れた場合のメンテなんかも一切ソンビ任せにしてるのもいい。
それどころか武器の調達すらもゾンビ任せで、あたしが召喚されてない間それに忙殺されていることも今はいい。
あたしはあんたのゾンビ。それはサタンの契約だから、ここでつべこべ文句は言わない」
「(言ってるじゃない)……けっこう根にもつのね。記憶力がいいのは知ってたけど」
「あたしが今言いたいのは、ここじゃあ“あんたの支配がゆるい”ってことよ」
「支配が弱まってる……?」
「あたしがこんな悪態をつけるぐらいにはね」
れい子の顔が神妙なものになる。ゾンビ使いにとってゾンビへの支配力が弱いというのは致命的だ。
ゾンビはゾンビ召喚術を使う者にとって最大の武器であり、身を守る為の生命線である。
それが言うことを聞かないとなると、ゾンビ使いなど“ドラえもんのいないのび太くんみたいなものでしかない”。
つまりゾンビのいない姫園れい子なんて“おっぱいが大きいだけの美少女でしかない”。(実際はそれだけってこともないが)
「……つまり、あたしを裏切って積年を恨みを晴らすってこと?」
「そうじゃない。そこまで支配力は落ちちゃいない。召喚者を殺せるほど自由じゃない。
それに、ここにはゾンビ召喚術とは違う“縛り”もあるからね。あたしがあんたを殺すってのは今のとこ“なし”よ」
言って、百合川はれい子に左手の甲に浮かぶ青い星を見せた。
れい子も左手の甲に浮かび上がっている赤い星を見る。これもゾンビに対しては多少の強制力があるらしい。
そして、手を返して掌の方に浮かぶ“もうひとつの星”も確認する。こちらは彼女が生来より持つゾンビ召喚者の星だ。
ゾンビ召喚術の才能を持つ者は生まれた時に、あるいは能力に覚醒した時にこの痣が浮かび上がるのだ。
「じゃあ結局何が言いたいのよ」
「私の――《暴走》に気をつけろってことよ。このゆるい支配じゃ《暴走》は止められない」
「ぼ、暴走……?」
「そう。あたしには《暴走》を始める“トリガー”がある。もしそれを引かれたらあたしは、あんたの命令を無視するかも――」
暴走とは、そしてその引き金とは一体なんなのか?
それを聞き出そうとして、しかしれい子は開いた口を開けたまま硬直してしまった。
彼女の眼前。見通しのきかない深い暗闇の中からぬぅっと《幽霊》が浮かび上がってきたのである。
【003】
「あら、死人の匂いを辿ってきてみれば、あなた達ゾンビとネクロマンサーね」
れい子達の前に現れたのは女の幽霊だった。
周囲に霊魂のようなものを漂わせ、涼しい色の着物に頭の三角巾(正確には天冠)までしているのだから疑いようもない。
強いて言うなら足がついているのが幽霊らしくないが、もう幽霊には足がないというのもメジャーな設定ではないだろう。
「そういうあなたは何者なの。同業者ってわけじゃなさそうだけど……」
じりと足を擦ってれい子は後ずさる。幼い頃からゾンビや死者の魂に触れているので今更幽霊が怖いなんてことはない。
だがしかし、ゾンビ使いとして数々の修羅場を潜った経験が目の前の幽霊が“只者ではない”と告げていた。
ここは殺し合いの場である。つまり見誤れば死ぬ。故に初めて見る幽霊を前にれい子の緊張は限りなく高まっていた。
「そうねぇ。私は霊魂をあるべき場所に導くのが仕事だけど、あなたはすでに選別された霊をちょろまかしているのね」
「なるほど。あんたは魂のリサイクル業者ってわけなのね」
「そしてあなたは分別した魂を勝手に使っているわね。閻魔にばれるとひどい目にあうわよ?」
112 :
BAD TO THE BONE
◆Su10.RK3MU
:2011/10/29(土) 02:39:25.63 ID:DcFhahAo
れい子はゾンビ使いであるが、それは血統により発揮された能力でしかなく、魔術や秘術といったものには実は弱い。
眼前を塞ぐ敵は常にゾンビという実力行使で排除してきたし、相手もゾンビやイカれた人間ばっかりなのでそれも通用した。
だが、幽霊は未知数だ。ゾンビが通用するのか、そして相手の攻撃にどう対処すべきなのか全く経験と知識がない。
「ご忠告痛みいるわ。でもね、こっちだって魔王サタンの免状を貰ってやってるわけ。不法じゃないのよ」
「え〜と、悪魔の約束って合法なのかしら、非合法なのかしら……?」
顎に指を当てて考え始めた幽霊を前に、れい子は百合川の様子を見た。
先ほどは暴走がどうのこうのと言っていたが、今は普段と変わりなく武器を構えて目の前の幽霊へと対峙している。
今のところ手綱が緩んでいるという感触もない。
いざとなったらゾンビを捨て駒にする(というひどい)算段を立てながら、れい子は幽霊の次の動きを待つ。
「幽々子様〜っ!」
と、そこに新しい影……いや明かりが闇の中より近づいてきた。届いた声は幼い少女のものだ。
おそらくは目の前の幽霊の主従相手だろう。苔を踏む小さな足音を聞いているうちにその姿はすぐに見えてくる。
片手に提灯を持ったおかっぱ頭の背の低い女の子である。年の頃は中学生くらいだろうか。
身体に比して大きな背負い袋やミッション系の制服っぽい衣装を見るともう少し幼くも見えるが、普通ではない銀髪が
それを曖昧にしており、どこか浮世はなれした印象の可愛い女の子だった。
加えて、少女の後ろにぼんやりと光るモチのようなものが浮かんでいた。あれはなにか武器の類なのだろうか?
「あら、妖夢ったらいつのまに迷子になっていたのかしら?」
「逆です! 幽々子様がいつの間にかにいなくなっていらしたんじゃないですかっ!」
どうやら、飄々とした幽霊の名前が幽々子で、息を切らせて駆けて来た少女の名前が妖夢というらしい。
少女はどうやら人間のようだが、しかし様づけで呼んでいるということは幽霊が主なのか? とれい子は疑問に思った。
幽霊が人間を召喚するなど聞いたことがない。ならば、少女は召喚主でありながら幽霊に対し様をつけているのだろうか?
二人には年齢差があるようだから、それも考えられる。ゾンビの中にだって召喚主より偉そうなのもいるのだ。
「それで幽々子様、この方達は……?」
「この子ったら何を聞くのかしら。殺し合いの相手に決まっているじゃない」
ええっと驚いた顔で少女がこちらを見る。その様子を見るにこのコンビはボケにボケを重ねるタイプらしいが、
それはともかくとしてこれで互いに2人ずつ揃ったのだ。そしてここは幽霊が言うように殺し合いを強制させられる場。
素性の知れない相手と戦うのは気が引けるが(しかも女の子)、そろそろ話をしているだけの時間も終りらしい。
まずはあの弱そうな少女を人質に取ろう。れい子は百合川にそう命令しようとし、そして自分のゾンビの異変に気づいた。
【004】
「ど、どうしたの? そんなブルブル震えて……――“まさかッ”!?」
百合川が命令もなしに、震える足で幽霊と少女のほうへと一歩踏み出した。これが言っていた《暴走》なのか?
「あ、あたしは警告したんだ……“トリガー”を引けば、“暴走”すると……ッ!」
れい子はまだ百合川になんの命令も下してはいない。ならば、この《暴走》の引き金(トリガー)とはなんなのか?
「こうなれば、あたし自身でもあたしを抑えることができないッ! この、“衝動”は我慢できない……ッ!」
「ゆ、百合川ッ! 止まりなさいッ!」
れい子は静止を命令する。だが、百合川はそれを無視して駆け出した。《暴走》とは真実だったのである。
「ヒィィイイイアアアアアアアァァァァァアアアアッッ!!!」
怪鳥のような雄たけびを上げて突進する百合川。その先には唖然とした顔の幽霊と怯えた表情の少女がいる。
なにが、暴走の引き金なのか?
瞬間、れい子の脳内に生前の百合川の記憶が蘇り、それを“理解”した。
113 :
BAD TO THE BONE
◆Su10.RK3MU
:2011/10/29(土) 02:40:32.28 ID:DcFhahAo
「ま、マズい……! 百合川、止まれェ――ッ!!」
しかし、気づいた時にはもう遅い。風のように疾走した百合川はもう怯える少女の目前まで迫っている。
そして鉤爪を装備した両腕を鳥の羽のように広げ――
「妖夢ちゃん! あたしの“妹”になって〜〜〜ッ!」
――と、その小さな身体を優しく抱きしめた。
数年前、白池町という町で閑静な住宅街を中心に多数の被害者を出した連続幼女誘拐殺人事件が起きた。
その事件の犯人こそが当時女子高生だった――百合川サキ。
彼女は“妹にしたい”という理由から幼い少女ら25人を次々と手当たり次第に誘拐してゆき、
自分の“言うことを聞かない”というそんな理由からその全員を得意のナイフで猟奇的に殺害しまくった。
その後、警察官や記者などを含め計29人の死者と多数の負傷者を出し、事件は彼女の死で幕を閉じられる。
そして! 彼女は自分を殺害した姫園れい子の手によって地獄からその衝動を抱えたまま現世に帰還したッ!
“かわいい女の子を妹にして可愛がりたい”――それこそが百合川自身にも抑えることのできない彼女の衝動なのだッ!
【E-3/山の中/1日目-深夜】
114 :
BAD TO THE BONE
◆Su10.RK3MU
:2011/10/29(土) 02:41:19.10 ID:DcFhahAo
【主:姫園れい子@ゾンビ屋れい子】
[主従]:百合川サキ@ゾンビ屋れい子
[状態]:健康
[装備]:背負い袋(基本支給品)、不明支給品x3
[方針/行動]
基本方針:殺し合いを勝ち抜く(?)
1:さ、最悪だ……ッ!
[備考]
※参加時期はイーヒン編終了後です。(8巻)
【従:百合川サキ@ゾンビ屋れい子】
[主従]:姫園れい子@ソンビ屋れい子
[状態]:健康
[装備]:クラブの鉤爪@北斗の拳
[方針/行動]
基本方針:基本的にれい子に従う。
1:妖夢ちゃん! お姉ちゃんと一緒に遊びましょうッ!
[備考]
※参加時期はイーヒン編終了後です。(8巻)
【主:西行寺幽々子@東方儚月抄】
[主従]:魂魄妖夢@東方儚月抄
[状態]:健康
[装備]:なし
[方針/行動]
基本方針:不明。
1:あら……?
【従:魂魄妖夢@東方儚月抄】
[主従]:西行寺幽々子@東方儚月抄
[状態]:健康
[装備]:背負い袋(基本支給品)、不明支給品x3
[方針/行動]
基本方針:幽々子様に従う。
1:ひ、ひえええええええええ〜〜〜!?
【クラブの鉤爪@北斗の拳】
KING(シン)の配下の一人であるクラブが装備していた一対の鉤爪。
某有名格闘ゲームのスペイン忍者がつけてるものみたいなもの。と理解すれば早い。
115 :
◆Su10.RK3MU
:2011/10/29(土) 02:42:09.74 ID:DcFhahAo
以上で投下を終了します。
116 :
◆STvdrPmVks
:2011/10/29(土) 05:53:24.25 ID:570eC8yc
投下します。
117 :
運命の星夜
◆STvdrPmVks
:2011/10/29(土) 05:58:16.31 ID:570eC8yc
星夜、二人、運命に出会った。
◆
118 :
運命の星夜
◆STvdrPmVks
:2011/10/29(土) 06:00:48.41 ID:570eC8yc
その日、運命に出会った。
幾千の銀が降るような、荘厳の夜天。
その下で男は、彼女の声を聞いていた。
『永続調和の……契りを……』
鼓膜を振るわせた小さな言葉は、男にとって誓約だった。
これより一生を懸けて完遂すると、自ら定める祈りとなった。
命救われた恩義を果たすべく。
目前で輝く、睡蓮花の咲くような笑顔。
泡沫の雪の如き白く儚い少女の未来を守り抜く。
これぞ私情にして大義であると。
胸の内から溢れ出す歓喜、そして礼賛。
ならば我が主よ、天の子よ。
この魂魄、全て貴女に捧げよう。
乱れた現世を変えて見せよう。
心優しい少女の生きる将来を造る為に。
誰もが自由に堂々と、外の世界を歩けるように。
そう、いつか交わした約束(ちぎり)を、果たすため。
滾る熱と誇りを胸に、この夜から、男の戦いは始まった。
◆
119 :
運命の星夜
◆STvdrPmVks
:2011/10/29(土) 06:04:17.12 ID:570eC8yc
日の光も無く、街灯の灯りも無く、陽の無き深夜である。
鮮やかな月明かりのみが地を照らし、陽炎のようにその光景を映し出している。
そこは、広大な花畑であった。
強く、東方の風が吹いている。
一面の白き花々が揺られ、波打って伝播する。
ざあざあと鳴る、葉と葉の触れあう音にまじり、さくりと、微かな足音が響いていた。
睡蓮の花が延々と咲き誇る白色の大地。
そこに、一組の主従が並んで立っている。
並んで立ち、並んで歩く、男女がいた。
「星刻……」
その、片側の女――少女が、自らの手を引く男の名を、震えた声で、呼ぶ。
「どうされましたか、天子殿」
消えそうな声を聞き逃さず、答えた男は齢二十後半に至らぬほどの若者であった。
しかし磨き上げたような頑強な肉体、不足や余分のない体格。
そして聡明を思わせる鋭き眼光が、青年という呼称を酷く不釣合いなものにしていた。
男の身に纏う軍服は中華風の意匠刻まれた鮮やかな青と白。
たなびく黒髪は長く、流れるようで、ともすれば女性以上に美麗である。
正に眉目秀麗、容姿端麗を顕現させたかのような、星刻とは、完璧さを備えた武人であった。
「わたしたちは、これからどうなるのだろう?」
無垢に問う少女は、真逆。
それは美しさ、力強さが星刻に比べて劣位に在るという意味では、無論ない。
美しさの総量ではなく、性質が真逆なのである。
「あの女性……紫とはいったい……それに、殺し合いとは……」
星刻を眉目秀麗と評するに対し、この小さき少女は純情可憐と呼ぶが相応しい。
雪のように白い髪、柔肌。潤んだ赤い瞳。
身につけたドレスもまた純白。
体弱く、力無く、儚き、故の美しさ。
粗雑に触れれば壊れてしまうかのような、危うきガラス細工を思わせる純情こそが、少女に宿る美の形であろう。
曰く、天子。
中華連邦という一つの国にして大陸。
その頂点に座する存在こそが、この少女なのである。
「恥ずかしい限りですが」
己が主である少女に、従者たる星刻は嘘偽り無く答えた。
「現状、この星刻にも事の推移は理解しかねます」
何時から立っていたのか、或いは立たされていたのか。
二人は気がつけばここにいた。
どのようにして移動させられたのか、
紫と名乗った女は如何なる術をもって、このような怪奇な状況を創り上げたのか。
星刻にも、ようと知れない。
120 :
運命の星夜
◆STvdrPmVks
:2011/10/29(土) 06:08:05.15 ID:570eC8yc
「しかし一つだけ、ご理解頂きたい事が」
言い切れることは一つ。
星刻は足を止め、己を見上げる少女と向き合って、膝を折る。
「天子殿。ここは既に戦場です」
それだけが星刻にとって、唯一確かなことだった。
「御身にも危害が及ぶ、及ぼさんとする敵が、ここにはいるのです。
勿論私に、それを許す気など欠片もありませんが。
しかしご理解いただきたい。ここはもう、安全では無いのだと」
「…………うん」
握った手の平が、ぎゅっと、硬くなった。
怖がらせたのだろうと、理解している。
けれど伝えておかなければ、ならない事だった。
「申し訳、ありません……」
歯がゆさに星刻は、天子の姿を見ていられなかった。
見つめ返す赤色の瞳から、目を逸らす。
「安心なされよ」と、言えぬ己が疎ましい。
「何も心配はないのだ」と、嘘でも言えぬこの身を呪う。
しかし現実問題、これは星刻にとって、過去最大級の危機的状況である。
ここには敵がいるのだ。
国をあげて厳重に警護されていたはずの天子と己を攫い、殺し合いを強要させる怪物がいる。
少女が誰であろうか知りもせず、道理の通らないであろう魑魅魍魎の影が、間も無く二人を襲いに来る。
ここには味方がいないのだ。
敵を打ち倒す砲、連邦の軍はここにない。
少女を守る剣、星刻の神虎はここにない。
こうなってしまえば、此処で天子を守れる存在は己が身一つ。
そのどれほど矮小なことか。
神虎と軍、そして策無き身では限界がある。
怪物を打ち倒す以前に、十を超える武威の主従を超えることすら、この二本の腕しかない今は苦難。
更に言えば、星刻には残された時が少ない。
この身は癒えぬ病魔に侵されている。
環境によっては何時果てるかも分らない。
「しかし、この命にかけて、必ず貴女を守り抜きます」
しかし、それでも斃さねばならないのだ。
魑魅魍魎を払い、いずれはあの怪物を打破せしめねば。
後の世で、彼女が民草と心安らかに暮らせるように。
121 :
運命の星夜
◆STvdrPmVks
:2011/10/29(土) 06:09:31.00 ID:570eC8yc
「このような醜態を見せること、お許しください。
ですが必ず、貴女は必ず、この私が命に代えても……」
膝を付き、頭をたれて、決意に震えながら。
星刻は堪えきれぬ、心の激情を軋らせていた。
対する少女の、返答は、
「顔を……上げて、星刻」
たどたどしい、小さな声。
驚いたことに震えはない。
怖の色の無いように、聞こえた。
「ですが、」
「しんくー」
尚も自らを罵倒する言葉を吐こうとしたとき、それを優しく押し留めるものがある。
それは星刻の名を呼ぶ声であり、同時に暖かい、熱だった。
あの夜から変わらない、柔らかな響き。
「天子、どの……」
すうっと、星刻の頭に手を回し、抱き寄せた天子の腕と胸の、その温かさ。
震えのない少女の身体と乱れない鼓動の音に、絶大の信頼と優しさを感じ取る。
お前を信じていると、だから大丈夫だと、言われずとも骨身に染みて伝わった。
「ありがとう、星刻。ここに、いてくれて、嬉しい」
あの日、あの夜、誓った約束を彼女もまた忘れていない。
少女の心もまだ、あの夜のままあったのだと。
星刻の心と、同じように、此処に在るのだと。
理解した故に、星刻は思う。
「勿体無い……お言葉です……」
この少女だけは、必ず。
何が起ころうとも、どんな手段を使ってでも、必ず守らねばならないと。
あの夜の、誓いに懸けて。
◇
122 :
運命の星夜
◆STvdrPmVks
:2011/10/29(土) 06:15:09.42 ID:570eC8yc
その日、運命に出会った。
幾千の銀が降るような、荘厳の夜天。
その下で男は、彼女の声を聞いていた。
『問おう。貴方が私のマスターか?』
鼓膜を振るわせる毅然とした言葉は、男にとって誓約だった。
これより戦いの終着地まで相克せよと、外界から定められた縛りとなった。
一人でも多くの人々を救うため。
遍く犠牲の数を最小限に留めるべく。
そのために繰り返してきた負の連鎖に終着を。
これぞ聖杯に懸ける願いであると。
心の底から信じる意志、そして義務。
ならば我が従よ、英雄よ。
この意志、全てお前には渡さない。
今だ癒えぬ現世を救おう。
全ての流血が消え去るように。
誰も不当に傷つかず、失わない未来を得るために。
そう、いつか言えなかった夢を、果たすため。
冷え切った闘志を胸に、この夜から、男の戦いは始まった。
◇
123 :
運命の星夜
◆STvdrPmVks
:2011/10/29(土) 06:20:10.36 ID:570eC8yc
その場所は地図上ではただホテルとだけ記されていた。
少なくとも、そこがスタート地点であった一組の従者にとっては、その程度の意味しかなかった。
「ならばマスター。
北上を選べば花畑、映画館、水族館に。
南下を選べば温泉や博物館に行き当たることになるでしょう」
このように切り出したのはダークスーツに袖を通した金髪の美少年。
否、男装の少女であった。
切り出されたのはその前を歩く一人の男性である。
かつかつと、磨き上げられた薄茶色の大理石の床を、男と少女の黒革靴が静かに叩いていた。
「移動を行うならば、何れかの施設を偵察するのが肝要かと」
高級なブランドスーツを着こなした少女の立ち姿。
歩き方一つ一つが貴族の男性と見まごう程、様になっている。
厳格で硬い印象を与えるはずの、しかしそれは少女の少女たる美しさ、そして荘厳さを隠しきれてはいなかった。
「とはいえ、霊体化が不可能な私では短時間で様子を伺うことは難しい。
そこでまずは二人で南下し、地図の中央を目指すことを提案します。
我々は双方ともこの戦場を知りません。知らぬ地で戦い続けることは避けたい。
フィールドが限られている以上……兵法の観点から見ても地の利を得ることは至上命題と考えます。
そしていずれは……あの奇怪な女を打倒せねば……」
結われた金の髪。鬣である。
澄み渡る緑の瞳。宝石である。
誉れと武功と神威の一端が、彼女の全身から世界に散らされて止まない。
如何なる凡夫も彼女を一目見れば理解できよう。
空間から彼女だけが浮き出たように、それは特別であり、極位の存在であると知らしめていた。
支配し、統べる、王者のみが備える風格を、男装の少女は放っている。
「そもそもこの戦いについて、あなたはどう思いますか、マスター」
ならばこそ、如何なる凡夫も到底信じられまい。
少女、聖杯より現世に招かれし英雄の一人、セイバーのサーヴァント。
彼女が此度の戦いにおいて、従者と呼ばれる立ち居地に甘んじているなどと。
それも主が、いま彼女の目前にて先を進む男。
黒スーツの上からくたびれた黒いコートを羽織った、ボサボサ頭に無精髭の男、衛宮切嗣であるとは。
「マスター……」
しかし、現に切嗣の、
己を追ってくる少女に対する態度とは、従者に対するそれである。
いや、従者に対するそれですら、なかったのかもしれない。
「マスター……、……っ…………キリツグッ!」
堪えきれない、と言うように。
セイバーは、声を荒上げていた。
「いい加減、なにか言ったらどうなのですか!!」
膨大な怒気。積もり積もった屈辱によるものか、端整な顔を顰めている。
対して、どこ吹く風と、切嗣は夜空を眺めながら紫煙を吐き出していた。
一方的な無視、無言。干渉と不干渉。言するセイバーと、黙する切嗣。
かようなやり取りが、二人がホテル内に移転させられてから既に数度、行われている。
124 :
運命の星夜
◆STvdrPmVks
:2011/10/29(土) 06:23:49.73 ID:570eC8yc
傍目には主従関係とは思えない程の断絶。
それはここに至る以前の戦い――第四次聖杯戦争――の時点から始まっていたことであり、一応は戦略に則った行いであったはずだ。
とはいえ、戦略の重要なファクターであった女性が今は欠員。
「あなたは状況が見えているのですか?
ここにアイリスフィールはいない。
いったい何時まで、無駄なそれを続けるつもりだ!?」
至極真っ当な怒りをしかし、切嗣は未だ黙殺する。
何も語らず、黙し続け、己だけの思考に浸り、そして思うことは辛辣だった。
ああ、やはり、煩わしくてならない。
と、男は再び紫煙を、ため息と共に夜空へ吐く。
「状況は変わったのです!!
もう我々の意思疎通無しには事は運べない、そうでしょう!?」
「…………」
不可能なのだと、魔術師、衛宮切嗣は断じていた。
この少女とは、戦いに取り組むことが出来無いのだと、彼は今に至るも揺らいでいない。
聖杯戦争、七人の魔術師による願望機を巡る殺し合い。
マスターの内一人――衛宮切嗣――とセイバーのサーヴァント――アルトリア――との相性は最悪。
手段を選ばぬ外道の殺し屋と、誇り高き騎士王の矜持、これ不倶戴天。
喩え聖杯戦争が崩れようと、状況が如何に変化しようと、結論は変わらない。
故に今、ホテルを出立し、静まり返ったビジネス街を歩く切嗣が思うこと。
それはつまり、これからをどうするかという、先ほどセイバーが語ったこととほぼ同一の事柄だった。
しかしその行き着く先は、おそらくセイバーが落ち着いた場所から大きくズレている。
「どうやって……駒を進める?」
漸く発された切嗣の、掠れた言葉。
当然セイバーに向けられたものではない。
ただ己に向って問いかけたに過ぎなかった。
125 :
運命の星夜
◆STvdrPmVks
:2011/10/29(土) 06:28:17.42 ID:570eC8yc
この戦い、従者との連携は必須であり、それが為せぬものに勝ちはない。
しかし結託しては勝てない、結託できないからこそ、そもあの戦略を取っていた。
今も変わらぬ道理。
だが今はアイリスフィール、仮のマスターはいない。
こうなっては、セイバーの存在は切嗣にとってただの制約のようなものだ。
とはいえ騎士王の火力、有効活用しない手はないのだが。
「ようは最優のサーヴァントを最優のまま使う。それがここでも出来るか否か」
見切りを付けるか、歪ながら続けるか。
切嗣は最終的に、決めなければならない。
戦いの形式が変わった以上、関係にどのような修正を加えるか。
そして切嗣にとって、戦いの最終目的とはなにか。
「…………」
再び黙した切嗣の、下ろした視線は己の両手に向けられる。
火のついたタバコを挟む指の繋がる先、右の甲には赤アザのような模様があった。
刃が繋がりあったような、先の尖った十字の形。
此処に来る以前から見知った、主従の印である。
逆の手、左の手の甲には同じく赤の、しかし違う模様。
星形をした、違った意味での主従、付け加えられた印がある。
この二つ、事によれば使うこと。
変ずること、ありえるかもしれない。
少なくともこのとき切嗣は、それすら辞さない覚悟であった。
勝つために、否、終わらせるために。
必要で、あるならば。
◆ ◇
126 :
運命の星夜
◆STvdrPmVks
:2011/10/29(土) 06:32:02.45 ID:570eC8yc
姫たる主と、護者たる従。
傭兵たる主と、王たる従。
相応と、不相応との、両の主従。
遭遇したのはちょうど、花畑と都市部の中間に差し掛かる辺りだった。
◇ ◆
127 :
運命の星夜
◆STvdrPmVks
:2011/10/29(土) 06:41:15.69 ID:570eC8yc
冷え切った星空に、刹那の闘気が揺らめき昇る。
奔る剣戟。
轟く銃声。
閃く火花。
しかし熱が燃えたのは一瞬だった。
壮絶の武闘なれど。
戦はあまりにも呆気なく、終わりを告げた。
「見事。鋭き刃物のような戦意でした。
感服します、人の身でよくぞここまで。
若干奇襲めいていたとはいえ、魔力の加護無しに我が鎧に一刀を加えられる存在など、そういません」
黄金の騎士はこう語るが、
どちらがどのようにして勝利したかなど、わざわざ語る必要もなく。
火力の差、地力の差、結果は覆せぬ道理だったといえよう。
敗北した主従、勝利した主従、自明である。
「貴様……ッ」
苦悶と嚇怒の混じった念が、夜に響いた。
雑草の生い茂るあぜ道で膝をつく星刻が、発する怨嗟の声だった。
取り落としていた己が武器、輪刀を探せど、手の届く位置に無く。
「なんの、つもりだ……?」
星刻は敵手に対して睨み据えながら、問うた。
目前で星刻の喉元に剣――不可視だが星刻にはそれが在るとしか思えない――を突きつけた黄金の騎士、セイバー。
ではなく、そのさらに後方にて佇む、黒コートの男を。
冷たい目をこちらにむけながら、星刻の守るべき天子へと拳銃を突きつけている、衛宮切嗣の姿を見ていた。
「私からも聞きたい。なんのつもりですか、マスター?
性急に戦いを始めておいて、決着も付けず人質など恥知らずな……」
同時、セイバーもまたそれを、不愉快そうな表情で見据えている。
彼女にとっても意図せぬ事態であるようだった。
「そちらから仕掛けておいて何故、我々を殺さない。何を考えている?」
重ねて星刻は問う。
数分前、先に干渉を仕掛けたのは星刻だった。
支給されていた遠見鏡によって、数キロメートル先に切嗣とセイバーの姿を確認した彼は干渉するかはさて置き、偵察を行うと決めた。
苦虫を噛み潰すような気持ちで、天子に安全な場所に隠れているように言い渡して。
「質問はこちらからする。まずは状況と立場を理解してほしい」
そんな星刻に今、返された答えに棘はなく、しかし同時に容赦もなかった。
「聞きたいことがある。君たちは、何者か」
128 :
運命の星夜
◆STvdrPmVks
:2011/10/29(土) 07:03:19.77 ID:570eC8yc
答えねばこの少女を殺すと、魔術師の凍った眼差しが告げている。
数分前、先に交戦を仕掛けたのはこの男、切嗣だった。
セイバーの有する直観スキルと、少し遅れて切嗣本人の索敵技能が近づく星刻と天子を捉え、
次に気配から害意の薄さを悟ったセイバーの提案――様子見または交渉――というを言葉を完全に無視した切嗣の発砲。
これが開戦の狼煙となった。
「名と、立場を、知っていること、知らないこと、全て聞かせてほしい」
戦闘の結果、一瞬にて趨勢を決めたセイバー。
極めつけには切嗣の握るグロック17の銃口が、星刻を按じ近くから様子を窺っていた天子を捕えて、
チェックメイト、徹底された決着の形。
現在、星刻の目前には絶望的状況がある。
「我々は……」
星刻にできることは、ありのままを語るのみだった。
勝敗は明瞭、結末は不動、全てこの問答にかかっていると言って過言ではない。
しかし語りつつも星刻の胸中では自責と激怒の念が膨らむ一方であった。
星刻を今も縫い付ける、騎士の剣、強かった。
話にならないほどに、度が抜けて強かった。
これほどの強さが己にあれば、きっと天子を守りきれよう。
不甲斐ない姿を晒さず、彼女を安心させてやれるだろうに、と。
「中華連邦、天子か……なるほど、知らない文化だな」
「キリツグもういい、勝負はついている。その子から銃を下してやってもいいだろう?
私がこうしている限り、この男は何もできない」
だがしかし同時に、星刻にはもう一つ気づくことがあった。
「おそらくその方が、交渉もやりやすくなる筈だ。
いまだに彼らを殺さないということは、あなたにもそういう考えがあると――」
「では、もう一つ聞こう、星刻」
この男、出会ってより一度も、従者の声に応えていない。
顔を見てすらいないのだ。
その上で星刻を制する為にはきちんと利用した手際。
まるで空気と接するような扱い。協調と呼べるものを欠片も感じられなかった。
「やはり応えてくれないのか……」
「星刻、君たちの目的はなにか。僕の目的と合致するのか。それ次第で、次を決めよう」
無理なのかと、少女もまた諦めかけていることを、星刻は悟った、
これほどの強さを誇る従者を持ちながら、いったい何が不満なのか。
それは甚だ疑問だったが、今はかかずらっていられなかった。
男の問いと、今から返す答えに、星刻の命、すなわち天子の命が掛っている。
故に彼もまた黄金の騎士を素通りして、男へと口を開いた。
「私の願いは……天子殿の安寧。ひいてはこの世の安寧だ。
飢えて死ぬ民の無きように、不当な戦火で消える命の無いように」
それは、偽らざる本心だった。
129 :
運命の星夜
◆STvdrPmVks
:2011/10/29(土) 07:09:13.00 ID:570eC8yc
「その未来のためならば、全てを捨てる覚悟、手放す意志があるか」
愚問、成す為ならば。
「他の一切を犠牲にしようと厭わない」
男からも視線を逸らし、星刻はあぜ道に蹲った少女、守るべき天子の姿を見る。
「……しんくー」
赤の目が、見返していた。
銃口を突きつけられ、命の危機に瀕しつつも、我が身を案じてくれる。
信じてくれている。彼女を守るためならば、いいとも、何を捨てようと構わない。
どんな非道に手を染めようが突き進む。
喩え己が破滅しようともその先に、かなう願いがあるのなら。
この身、果てる前に。
「何でもしよう」
彼女の願いを叶えると、誓ったのだから。
「そうか、ならば僕と君らは、協力できるだろう」
答えを受けた男は、頷いて、
「お互いのために、―――――と、いかないか?」
「……なんだと?」
覚悟を決めた星刻をしても、驚愕を禁じえぬ提案を述べた。
それは突拍子も無く、こんな状況でなければ到底受け入れられないことであるが。
「そんな事が、可能なのか?」
「見ての通りだ、僕は僕の従者とはやっていけない。ならばすべきことは限られる」
「キリ……ツグ……」
しかし驚愕とそして落胆は、おそらく黄金の従者にとってすれば、星刻の比ではない域にあったことだろう。
が、依然無視し、魔術師はその右の手の甲を、星刻に突きつけた。
そこには赤い刺青のような、複雑な十字の模様があった。
「これは令呪という。僕のサーヴァント、従者に対し、絶対の命令を下せる印だ。
使えば、可能だろう」
皆まで言わずとも、意図は知れた。
「この提案、受け入れるか、否か、答えを聞こう」
変則的であって、同時に合理的、だが切嗣以外の誰にとっても屈辱となる策だった。
しかし元より選択肢もなく、またこれは紛れもなく星刻が望んだことでもあって。
「…………ッ」
苦情に歪みきった顔で今度こそ、星刻は結論を告げる。
「――わかった。好きにしろ」
そして、答えを受けて、魔術師は頷き。
この時初めて、己の従者の姿を、見据えていた。
◆
130 :
運命の星夜
◆STvdrPmVks
:2011/10/29(土) 07:11:40.64 ID:570eC8yc
儀式のように、それは執行された。
「――令呪をもって我が傀儡に命ず」
セイバーに向き直った衛宮切嗣の右手の甲、令呪の内、一画が紅の光を放つ。
「待て、キリツグ、私は……っ。本当に、無理なのか、私達は……!」
その時まで、ついぞこの主従は言葉を交わさなかった。
一切の問答を許さず、過たず下される指令、それは絶対である。
間隙、己は如何にするべきなのか、最後までセイバーは決めかねて。
「――セイバー、これよりお前は天子の盾となり、剣となれ」
「…………ッ」
告げられた。
それはあまりにも簡単で、単純な、別れ言葉だった。
◇
131 :
運命の星夜
◆STvdrPmVks
:2011/10/29(土) 07:16:11.53 ID:570eC8yc
「これで……?」
「ああ、令呪の一画によって、
セイバーのサーヴァントは彼女の従者に等しき存在と化した」
そこまで言って漸く、切嗣は天子の頭部から銃口を下した。
瞬間、つい先ほどまで彼の腕のあった場所を、透明の剣が切り裂く。
一足でセイバーは天子の元に参じ、切嗣へとその刃を向けていた。
腕を切り落とさなかったのは切嗣の迅速な判断ともう一つ、渾身の力で耐えたセイバーの抵抗である。
それほどに、今の彼女は制約に縛られてる。
「この通りだ。もはや主の僕にすら、セイバーは矛を突き出すだろう。彼女を傷つけようとするならば」
見せつけられ、星刻は理解する。
すなわち従と従の交換。やはり、この男は本気だったのだ。
一人の男は目的を達する為に、連携可能な従者を求めていた。
一人の姫にはその命を維持する為に、絶対無敵の守護者が必要だった。
利害が、ここに一致する。
「天子殿には黄金の守護者を」
「引き換えに、僕にはいかなる手段も選ばぬ兵を」
それぞれに与えられた。
加えて、これより星刻は天子をセイバーに預けることで、自身をこの状況改善のために動かすことができる。
切嗣は馬の合わない従者に独自行動を強いつつ、星刻を使い、あるいは天子を通じて外部から、ある程度は有効に扱うことが見込める。
「ならば私も、渋々だが、全力で協力しよう」
「ああ、そうでなくては困る」
対等な交換条件、しかしそれは、否だった。
「令呪を二画も消費したくない」
「……外道が」
取り消せない令呪の束縛も、更なる令呪であれば上書き可能。
いくら主従の関係がより歪なものに変わったからといえども、
つまりこの状況、星刻は天子を守護されているようで同時に、人質に取られたに等しいのだ。
星刻も理解はしていた、しかしセイバーと切嗣の二人を見て、やはりこのままではいけないと確信したからこそ、こうした。
虎穴に入らずんば虎子を得ず。
諺にある通り、虎穴に姫を押し込む無礼は許されぬと知って言えど、それで守れるならば、先に進めるならば厭はない。
「外道、か。否定はしない。だが君もそうすることを選んだのだろう?」
その通り。
こちらも否定はしない。
「重畳だ。ならば早く行こうか。
このような下種の行いに、我が天子を付き合わせるのは最小限に留めたいからな」
大切な者に、血は見せたくない。
外道は、外道同士。
清廉なる者は、永久に綺麗にあってほしい。
だから相応しいものと、共に行くべきなのだと、星刻もまた同意する故に。
彼はこの道を、肯定した。
◆
132 :
運命の星夜
◆STvdrPmVks
:2011/10/29(土) 07:18:04.03 ID:570eC8yc
「では暫しの別れになります、天子殿」
お互いを心配し、同時に信頼する瞳と言葉。
「星刻、どうか……」
最後まで、目前の主従は通じ合っていた。
「どうか死なないで」
「当然です。必ず私は、天子殿の元に戻ってきます」
暗い夜の、月明かりに照らされたあぜ道で、
主と従者は再見の誓いを交わしていた。
「それなら……約束」
俯いた少女が星刻へと、すっと小指を差し出した。
「もう一度、ここで、わたしとしてほしい」
「……はい」
男も微笑んで、応じる。
絡められた、小指と小指。
「永続調和の……」
「……契りを」
そうして二人は再び誓い合った。
いずれまた出会うこと、生きて願いを叶えること。
永遠かもしれない別れを、暫く、惜しんで。
やがて指は、解かれた。
【B-5/野外あぜ道/1日目-深夜】
133 :
運命の星夜
◆STvdrPmVks
:2011/10/29(土) 07:20:47.93 ID:570eC8yc
【主:衛宮切嗣@Fate/Zero】
[主従]:セイバー
[状態]:健康、令呪(2画)
[装備]:背負い袋(基本支給品)グロック17、タバコ、不明支給品x1
[方針/目的]
基本方針:詳細不明。ひとまず従者(セイバー)とは別行動。
1:星刻と行動。
【従:黎星刻@コードギアス反逆のルルーシュ】
[主従]:天子(蒋麗華)
[状態]:健康
[装備]:輪刀 覇幻@戦国BASARA、双眼鏡
[方針/行動]
基本方針:天子を守るために動く。
1:ひとまず切嗣と行動。
【主:天子(蒋麗華)@Fate/Zero】
[主従]:黎星刻
[状態]:健康
[装備]:背負い袋(基本支給品)不明支給品x2
[方針/目的]
基本方針:星刻が心配。
1:セイバーと行動(?)
【従:セイバー@Fate/Zero】
[主従]:衛宮切嗣
[状態]:令呪による強制『天子の盾となり剣となれ』
[装備]:何らかの刀剣(風王結界により不可視、詳細不明)
[方針/行動]
基本方針:考慮中。ひとまず主(衛宮切嗣)とは別行動。
1:天子の守護。
【輪刀 覇幻@戦国BASARA】
毛利元就の扱う、均整のとれた質実剛健な輪刀。
134 :
◆STvdrPmVks
:2011/10/29(土) 07:21:30.79 ID:570eC8yc
投下終了です
135 :
創る名無しに見る名無し
:2011/10/29(土) 16:06:39.12 ID:AadnzeTN
お二人とも投下乙です。
サキワロスw
ゾンビ屋は読んだ事なかったが、これだけの描写でも原作が面白そうだと思う。ちょっと漫喫行って読んでくる。
ただ、幽霊組の不明支給品が3つになってますのでそこだけ指摘を。
そして星刻は辛いなぁ……確かに天子の安全は増したが。
にしても切嗣ったら外道さんめ!
この二人はこれから何を為していくのか…。
136 :
創る名無しに見る名無し
:2011/10/29(土) 16:21:17.60 ID:ut38S80S
【主:天子(蒋麗華)@Fate/Zero】
137 :
創る名無しに見る名無し
:2011/10/29(土) 18:24:55.48 ID:bNQATzgH
二人とも投下乙です
>>115
暴走ってそっちかw
なんちゅー歪んだシスコン(?)…妖夢にげてーww
>>134
セイバー無視されまくりw
ZERO未把握だけど、あまり当てにされてないんだな…
ああ、それと指摘がひとつ
星刻の天子への敬称は天子殿じゃなく天子様です
138 :
創る名無しに見る名無し
:2011/10/29(土) 18:44:07.22 ID:mDLyEWbQ
スザクの裏切りの歴史
____
/ \
/ \ / \ ゼロは親友のルルーシュだったお
/ (●) (●) \ でもこいつはユフィの仇
| (__人__) | だから俺はこいつを皇帝に売って出世するお
\ ` ⌒´ ,/
↓
枢木スザクの裏切りの歴史
____
/ \
/ ─ ─ \ フレイヤは俺が撃ったお・・・
/ (○) (○) \ 手段だけじゃ駄目なんだお・・・
| (__人__) | 必要なのは結果なんだお・・・
\ ` ⌒´ ,/
↓
____
/ \
/ \ / \ もう手段を選ぶのはやめたお
/ (○) (○) \ シュナイゼル陛下に皇帝になってもらって
| (__人__) | ギアスで世界を弄んだ皇帝を殺すお
\ ` ⌒´ ,/
↓
____
/ \
/ ─ ─ \ 皇帝の計画を阻止したお
/ (@) (@) \ それでもルルーシュはユフィの仇なんだお
| (__人__) |
\ ` ⌒´ ,/
↓
____
/ \
/ \ / \ 俺がナイトオブゼロだお!
/ (@) (@) \ 皇帝ルルーシュと共に世界平定を目指すお
| (__人__) | シュナイゼル?誰だお?
\ ` ⌒´ ,/
↓
____
/ \
/ _ノ ヽ、_ \ 僕はもう二度とユフィを失いたくないんだお・・・
/ o゚⌒ ⌒゚o \ ゼロレクイエム?そんなのどうでもいいお・・・
| (__人__) |
\ ` ⌒´ /
139 :
創る名無しに見る名無し
:2011/10/29(土) 20:58:13.31 ID:2+R1DMjr
投下乙〜
ゾンビ屋と亡霊が出会ったと思ったら、そんなの全然関係ない方向に話が進んでいた
何を言っているか分からないかも知れないが、俺のほうが分からない
ゾンビだとか亡霊だとかオカルトだとか関係ないもっとお恐ろしいシスコンを見たぜ……
切嗣が実に切嗣していてすごかった
なるほど、そう来たか
そしてロワですら続くセイバーいじめw
状況的には誰にとってもいい方に傾いたはずなのに、素直に喜べないな、これは
140 :
◆Su10.RK3MU
:2011/10/30(日) 02:26:43.90 ID:9pKwyYHI
>>135
>幽霊組の不明支給品が3つになってますのでそこだけ指摘を。
指摘感謝です。wiki収録時に修正します。
141 :
大好きな人を想って
◆XUXOJJW/Zg
:2011/10/30(日) 08:29:15.64 ID:wen7cOn2
投下します
142 :
大好きな人を想って
◆XUXOJJW/Zg
:2011/10/30(日) 08:29:57.10 ID:wen7cOn2
「うぇ……うぇぇ……あぁ……あぁあぁあああ!!」
暗い暗い夜の街の中で、一人の少女が肩を抱きながら、泣いていた。
執事服を完璧に着こなし、一見男の子に見えそうな少女は目を虚ろにさせながら。
耐えようとしても、耐え切れない身体中からわいて来るどうしようもない嫌悪感に、身体をただ振るさせて。
「どうして……ボクは……ボクは……ジロー……ぅ」
ただ、恋して、大好きになった人の名前を少女――――近衛スバルは呼んでいた。
どうしてこんな事になったのだろうと自問しても、答えなんて帰ってくる訳が無い。
訳も解からないまま、混乱していく中で、頭に響き続けるのは怨嗟の叫び声。
まるで見せしめのように死んでいった牧師達の苦痛に耐え切れないような絶叫がずっとリフレインしている。
耳の奥まで残り続けているあの声が、スバルには耐えられなくて、吐き気すらわいて来ていた。
地獄と、あの女の人は言っていた。
スバルはどんなものだろうと想像しようとして、出来る訳が無かった。
だって、こんな事は今まで経験した事が無いし、身に覚えが無い。
「嫌だ……嫌だ……帰りたい」
そうだ、帰りたい。
自分が過ごしていたあの日常に。
決まりで、男の子として高校に通っていた日々。
執事として勤めながら、その中で出会った少年。
スバルの秘密を知っていて、それでも仲良くしてくれていた少年。
困った時、助けて欲しい時に助けてくれた少年の顔が浮かんでくる。
とてもとても、頼りになって……本当に大好きでたまらない少年だった。
今は、ただ逢いたくて逢いたくて、とても恋しくて。
「ジローぅ……ジローぅ」
近衛スバルは、大好きな人の名前をずっと呼んでいた。
ただ、怖くて、怖くて。
どうしようもない哀しみと恐怖に身を振るわせ続けていて。
「…………バル、スバル! スバル!」
スバルの隣から呼びかけてくる声にも、反応する事が出来ない。
黒髪の美少女といってもいい、少女がスバルの名前を呼び続けているのに。
スバルは怖くてで、ずっと立ち竦んだままで。
「スバル! スバル!…………しっかりしなさい!」
どうしようもないまま、恐怖に心が支配されて。
ガタガタと身体から崩れ落ちそうになる、その時。
143 :
大好きな人を想って
◆XUXOJJW/Zg
:2011/10/30(日) 08:30:38.15 ID:wen7cOn2
「しっかりしなさい!――――私の執事でしょう! スバル!」
その一言で、スバルはハッとした。
振り向くと自分の仕えるべきお嬢様が憮然と立っていた。
護るべき主人で、そしてなによりも大切な親友が。
「涼月の家の執事なのだから冷静になってもらわないと困るわ。ね? スバル」
親友――涼月奏が困った風にウィンクしていた。
そして、スバルはその言葉に落ち着き、思い出して行く。
あの女の人は主従で殺しあえと。
そして、自分の主人は奏だ。
ずっと前から約束していたのだ、彼女と。
彼女の傍にいて護ると。
そうだ、今、自分は一人じゃない。
一人では恐怖に震えるしかないけど、今は二人だ。
二人なら、奏となら、怖くない、頑張れる。
だから、スバルは
「申し訳ないです……お嬢様」
佇まいをただし、奏に言葉をかける。
もう、怖さで身を震わせることなど、なかった。
今は護るべき人の為に。
「いいえ、そこはありがとうよ?」
奏は謝罪の言葉に困った風に笑い。
お茶目に、スバルの言葉を正す。
スバルも、困った風に笑い。
「それは、失礼しました……カナちゃんありがとう」
大好きな親友の名前を呼んだ。
そして、その親友は今度は満面の笑みを浮かべて
「よろしい」
◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇
「それでは、お嬢様……とりあえずは人が集まりそうな所に行くという事でよろしいですね?」
「ええ……危険はあるけど、私達二人じゃ正直な話、なす術もなく殺されるだけよ」
スバルが落ち着いた後、二人は現状確認をしていた。
どうやら、知り合いは他に呼ばれて無いらしい。
その事にほっとしながら、とりあえず誰かを探そうという事になった。
144 :
大好きな人を想って
◆XUXOJJW/Zg
:2011/10/30(日) 08:31:18.74 ID:wen7cOn2
殺し合いに乗る……というのは、スバルの性格を考えて奏は言わなかったし、何より無理だろう。
自分達は弱い少女でしかないだろう。
あの会場では強そうな人たちが沢山視認できた。
スバルも鍛えてるとはいえ、叶うレベルではないだろう。
だから、奏は、とりあえず、誰か同じ志を持つ人に助けてもらうと考えた。
それに、スバルも同調し、とりあえずの方針が定まった。
スバルの腰には支給された拳銃がささっているが、役に立つかは非常に疑わしかった。
自分達が住んでいた日本では拳銃を使うなんて事は無かったのだから。
まあ、無いよりはましかとスバルが持つことになったのだ。
「じゃあ、行きましょうか……そして、帰りましょう……待ってるでしょうしね」
「待ってる?」
「ジロー君よ、きっと寂しさに怯えてに違いないわ」
そして、二人はもとの場所に帰ることを誓う。
彼女達が好きな少年の元に。
「ええ、そうですね……帰りたいな……」
スバルが、そう呟いて。
二人は夜の街を歩き出したのだった。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇
145 :
大好きな人を想って
◆XUXOJJW/Zg
:2011/10/30(日) 08:32:20.22 ID:wen7cOn2
ボクは帰りたいなと呟いて。
それはきっと叶わないと思っていた。
だって、ボクは執事だから。
カナちゃんの事が大好きだから。
考えた見たことで、結局絶望しかない。
あんなデモストレーションみたいに、人が派手に死んで。
ボク達二人が揃って、生還できるなんて、思える訳が無い。
だから、ボクは考え、そして思い出した。
主従を入れ替えられる事を。
ボクが死ねば、カナちゃんは新たな従者をつけられる。
ボクより強い人が。あの牧師の様な人が。
ボクは執事で、カナちゃんには生きて帰って欲しい。
だから、ボクは決めた。
カナちゃんを護ってくれる従者を見つける。
それが、ボクがやるべき事。
カナちゃんは帰らなきゃならない。
だって、カナちゃんはジローの事が好きだから。
ボクの為に身を引こうとしたけど、そんな事させない。
僕の代わりにジローと幸せになってほしい。
だから、ボクは死んでも構わない。
だって、だって。
カナちゃんに幸せになってほしいから。
【B-6/街/1日目-深夜】
【従:近衛スバル@まよチキ!】
[主従]:涼月奏
[状態]:健康
[装備]:トンプソン・コンテンダー@Fate/Zero、起源弾×10、通常弾×10、背負い袋(基本支給品)不明支給品x3
[方針/目的]
基本方針:お嬢様を帰還させる
1:とりあえず人を探す。
2:奏に腕の立つ従者をつける。自分の命は捨てる覚悟
※登場時期は七巻以降からです
◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇
146 :
大好きな人を想って
◆XUXOJJW/Zg
:2011/10/30(日) 08:33:06.31 ID:wen7cOn2
そう、スバル。
貴方はジロー君の下に帰らなきゃならない。
だって、貴方は堪らないほど彼の事が好きだから。
そして、私は貴方の事が大好きだから。
考えた見たことで、結局絶望しかなかった。
あんな、人が派手に死んで、実力ある人が沢山いて。
私達二人が揃って、生還できるなんて、思える訳が無い。
だから、私は考え、そして思い出した。
主従を入れ替えられる事を。
私が死ねば、スバルは新たな主人をつけられる。
私より強い人が。あの牧師の様な人が。
私は彼女の親友で、スバルにはどうしても生きて帰って欲しい。
だから、私は決めた。
スバルを護ってくれる従者を見つける。
それが、私がやるべき事。
スバルは帰らなきゃならない。
だって、カナちゃんはスバルーの事が好きだから。
親友がやっとつかめそうな親友なのだから。
私の代わりにジロー君と幸せになってほしい。
だから、私は死んでも構わない。
その為に私の想いを誤魔化して、そして捨ててみせる。
だって、だって。
スバルには幸せになってほしいから。
【B-6/街/1日目-深夜】
【主:涼月奏@まよチキ!】
[主従]:近衛スバル
[状態]:健康
[装備]:無し
[方針/目的]
基本方針:スバルを生還させて見せる
1:とりあえず人を探す。
2:スバルに腕の立つ主人をつける。自分の命は捨てる覚悟
※登場時期は、6巻以降からです。
147 :
大好きな人を想って
◆XUXOJJW/Zg
:2011/10/30(日) 08:33:47.05 ID:wen7cOn2
投下終了です
148 :
そして1人しかいなくなった
◆dFZPiudNYU
:2011/10/30(日) 08:44:27.86 ID:JQ9HiuTC
ボガーン。
そんな静かそうな真夜中の島に似合わない破壊音が2人に聞こえたのは。
「な、何があったんだ……」
天河優人とその従者野井原緋鞠が600メートルほど西に走る。
「ひ、酷い……」
「これは血のにおい。しかもついさっき亡くなったばかりの新しい血だ」
2人の視界に人が映り、その場に現れた時にはすべてが終わったあとであった。
木の破片がバラバラと崩れている。
壊された金属の塊の様な部品散らばっている。
そしてその隣には人らしき者の血が飛び散り、腹の中身らしき臓器も原型なくこびりついている。
そこにショックを受けた様に立ち尽くしている優人と同じ年くらいの少年。
服には血が若干こびりついて模様の一部になっている。
「なぁ君、大丈夫なのか?」
「若殿良いのか、この者が襲いかかってくるかもしれないのだぞ?」
「うん、彼は多分襲ってくる様な人じゃないよ。何かあったんだ」
優人は目の前の少年へ疑いなく話しかける。
「俺は天河優人で、彼女は野井原緋鞠。君は?」
「お、俺は桜井智樹だ」
智樹と名乗る少年は気が気で入られない表情。
やはり智樹が何かショックを受ける出来事がこの場には起きていたらしい。
「イカロスが暴走を始めたんだ」
「イカロス……?」
「それは確か私でも聞いた事がある。日本が打ち上げた技術実証機だな」
「……それは多分主人でも従者でもないよ」
素で言う緋鞠に優人は愛想笑いをしながら智樹の話を耳に傾ける。
「俺の……従者になるのかな?未確認生物なんだけど」
「未確認生物!?」
智樹の言う事にもっとわけがわからなくなる2人。
だが緋鞠も妖である故、2人共落ち着いていられた。
もしかしたら智樹は自分と緋鞠と同じ様な出会いをイカロスさんと果たしているのかもしれないと思い至る。
「今からさっき起きた事を話すよ」
智樹は思い出しながらさっきの出来事の惨劇を語り始めた。
149 :
そして1人しかいなくなった
◆dFZPiudNYU
:2011/10/30(日) 08:45:30.98 ID:JQ9HiuTC
※ ※ ※ ※ ※
「どうするよイカロス?」
俺はあの時イカロスが暴走を始めるとは想像すらしていなかった。
「マスターを護ります」
イカロスならそう言う事はわかっていた。
いつだってイカロスは俺の命令を聞いては失敗をして俺がそはらチョップの犠牲になる。
ただ今回だけはそれだけでは済まされないのだ。
「その背負い袋を開けましょう」
「……そうだな」
実は智樹は背負い袋を開けるのは乗り気ではなかった。
智樹はわざわざ殺し合いをさせる人間に武器以外の物を支給する意味がないと考えているからだ。
それなら武器をベルトなどに引っ掛けるだけで済む話だからだ。
つまりこれ自体が罠で爆発を起こしたりするという考えもあった。
「どうしたんですかマスター?」
「な、なんでもない」
少々深く考え過ぎていたかもしれない。
イカロスは何事もなかった様にしている。
「中の物取り出します」
「う、うん」
大丈夫なのだろうか?
この中の支給品を見たら自分は日常から遠ざかる気がしてならなかった。
でももう2人は死んだ以上、この事は受け入れるべき真実としてこのバトルロワイアルで数日は生きていかなければならない。
「サングラスです」
「サングラス?」
興味を持ったイカロスはそれをかけている。
サングラスは少し怖いというより、オシャレな感じがする。
「どうですかマスター?」
「いや、似合わないな」
「そうですか」
残念そうにサングラスを外すイカロス。
最近人間らしくなってきたイカロスの仕草がこの場で見れて智樹は顔が赤くなる。
最近どうもイカロスに対してこんな調子になる。
「こんなのもありました」
イカロスは白いフワフワした物を背負い袋から出す。
「羊?」
「スイカみたいです」
イカロスはスイカの様に気に入ったのか羊のぬいぐるみを撫でていた。
だがスイカよりはシュールで女の子らしくて智樹も自然と笑っていた。
150 :
そして1人しかいなくなった
◆dFZPiudNYU
:2011/10/30(日) 08:54:01.27 ID:JQ9HiuTC
「なっ!?」
「……」
中からはパイナップルの様な物、いやこれは映画などで見る手榴弾だ。
それがゴロゴロと何個も入っている。
「こんな物が何個も……。マスターを殺せる武器……。私達以外にも38人……。マスター、マスター、マスター、マスター、マスター」
マスター、マスター、マスター、マスター、
マスター、マスター、マスター、マスター、
マスター、マスター、マスター、マスター、
マスター、マスター、マスター、マスター、
マスター、マスター、マスター、マスター、
マスター、マスター、マスター、マスター、
マスター、マスター、マスター、マスター、
マスター、マスター、マスター、マスター、
マスター、マスター、マスター、マスター、
マスター、マスター、マスター、マスター、
マスター、マスター、マスター、マスター。
呟くイカロスに智樹はぞっとした。
両翼を全開に赤い瞳の「空の女王(ウラヌス・クイーン)」になっていた。
しかも最初の頃の感情がなくなった様に。
151 :
そして1人しかいなくなった
◆dFZPiudNYU
:2011/10/30(日) 08:55:00.56 ID:JQ9HiuTC
そしてくるりと木へ目を向けるイカロス。
「金属反応と生体反応があります。武器は使用不能」
といつもの兵器は出さずに手榴弾を5個ほど取り出し、目を向けた視線の先の木に向けてピンを外しそのまま投げつける。
「なっ!?」
木の影からは外国人の男と金ピカのロボットが現れてあたふた慌てだす。
なんと智樹は気付いていなかったが木には最初からルーク・スカイウォーカーとCー3POが隠れていたのだ。
普通なら気付いていたかもしれないが深夜という条件が智樹にとっての不幸であった。
ボガーン。
優人と緋鞠が駆けつける原因となった爆発音が辺りに鳴り響く。
手榴弾5発を一度の爆発音は智樹も聞いた事がなかった。
「私はマスターを護ります。待っていてください」
「待て、イカロス」
イカロスは振り返らず、俺が走っても間に合わない速度で未確認生物は立ち去った。
あのイカロスは俺が知るついさっきのイカロスと同じだというのか……?
残ったのは人間とロボットの壊された残骸と、俺だけだった。
152 :
そして1人しかいなくなった
◆dFZPiudNYU
:2011/10/30(日) 08:56:49.74 ID:JQ9HiuTC
※ ※ ※ ※ ※
「そ、そんな事が……」
優人と緋鞠が歩いて協力出来る人を探しているあいだにこんな事が起きていた事に驚いていた。
「頼む優人、緋鞠。俺と協力してイカロスを止めてくれ!俺は人が死ぬのは嫌だ」
智樹は優人と緋鞠に土下座した。
優人と緋鞠の答えは決まっていた。
戦うつもりのない2人としても智樹とは協力をしたかった。
「うん、俺もイカロスさんを止めるよ」
「若殿が言うから仕方なく協力するんだからな」
「ありがとう2人共」
「それと黒い服があったなら着替えなよ」
「そうだな」
自分の大事な親友でもあり家族でもある未確認生物のイカロスを正気に戻す為智樹は決意を固める。
そして智樹と一緒に惨劇を眺めていた羊のぬいぐるみを拾い上げ、イカロスにこれを渡す使命を決める。
153 :
そして1人しかいなくなった
◆dFZPiudNYU
:2011/10/30(日) 09:00:11.13 ID:JQ9HiuTC
【Dー5/路上/1日目ー深夜】
【主:天河優人@おまもりひまり】
[主従]:野井原緋鞠@おまもりひまり
[状態]:健康
[装備]:不明、背負い袋(基本支給品)、不明支給品×3
[方針/行動]
基本方針:緋鞠と智樹と協力しイカロスを止める。
1:殺し合いには乗らない。
[備考]
参戦時期はクリスマスの事件終了後です。それ以降の時系列の出来事はまだ知りません。
【従:野井原緋鞠@おまもりひまり】
[主従]:天河優人@おまもりひまり
[状態]:健康
[装備]:なし
[方針/行動]
基本方針:若殿と智樹と協力しイカロスを止める。
1:殺し合いには乗らない。
2:若殿に手は出させない。
[備考]
参戦時期はクリスマスの事件終了後です。それ以降の出来事はまだ知りません。
【主:桜井智樹@そらのおとしもの】
[主従]:イカロス@そらのおとしもの
[状態]:健康、心に大きな傷
[装備]:手榴弾(残り45個)@現実、背負い袋(基本支給品)、明夏羽のサングラス@おまもりひまり、羊のぬいぐるみ@まよチキ! 、黒の騎士団の制服@コードギアス反逆のルルーシュ
[方針/行動]
基本方針:優人と緋鞠と協力しイカロスを止める。
1:殺し合いには乗らない。
2:イカロス……。
[備考]
参戦時期はカオス戦(1回目)終了後です。それ以降の時系列の出来事はまだ知りません。
【従:イカロス@そらのおとしもの】
[主従]:桜井智樹@そらのおとしもの
[状態]:健康(現在『空の女王』になっており身体能力が上がっています)
[装備]:なし
[方針/行動]
基本方針:マスター以外の全参加者の皆殺し。
1:マスター、マスター、マスター、マスター、マスター、マスター、マスター、マスター、マスター。
[備考]
参戦時期はカオス戦(1回目)終了後です。それ以降の出来事はまだ知りません。
どこに向かったのかは次の書き手に任せます。
【ルーク・スカイ・ウォーカー@スターウォーズ……死亡】
【Cー3PO@スターウォーズ……死亡】
背負い袋はDー5に放置されています
154 :
そして1人しかいなくなった
◆dFZPiudNYU
:2011/10/30(日) 09:03:40.81 ID:JQ9HiuTC
【明夏羽のサングラス@おまもりひまり】明夏羽が再登場した際に付けていた普通のサングラス。わずか数ページで外され行方不明に。
【羊のぬいぐるみ@まよチキ!】
近衛スバルの大好きな羊のぬいぐるみ。白いフワフワのあれ。
【黒の騎士団の制服@コードギアス反逆のルルーシュ 】
ゼロ(ルルーシュ)が黒の騎士団に配った黒い制服。
智樹に支給されたのは男用。
155 :
◆dFZPiudNYU
:2011/10/30(日) 09:04:02.13 ID:JQ9HiuTC
これで投稿を終了いたします
156 :
◆dFZPiudNYU
:2011/10/30(日) 09:08:49.53 ID:JQ9HiuTC
すいません
>>153
のイカロスの備考に
空中飛行と殺戮兵器は制限、バカ力は制限されていません
と追記してください
157 :
創る名無しに見る名無し
:2011/10/30(日) 09:13:22.32 ID:JQ9HiuTC
天子はFate/Zeroじゃなくコードギアスだろ
158 :
創る名無しに見る名無し
:2011/10/30(日) 10:35:00.20 ID:m+9P4J1z
◆Su10.RK3MU以外は誤字や問題点を指摘されても無反応だし
自分が投下する時に他の書き手に対して「投下乙」の一言もないって、とんだダメ書き手集団だなww
挙句の果てに描写ほとんどなしでズガンとか、萎えるわ〜www
面倒がられてる実写キャラを処分して俺えらいとか思ってんのかな〜?
予約スレと本スレでトリップ違うってことは別人かもしれないってことだからこの投下は無効だろうけどなwww
159 :
創る名無しに見る名無し
:2011/10/30(日) 12:15:05.63 ID:br5P5dRQ
黙って議論スレに行くが吉
別人なら当然のこと、本人であっても投票時にスターウォーズがどうこう言ってたやつなら一発規制で済む話
160 :
創る名無しに見る名無し
:2011/10/30(日) 12:54:15.09 ID:TgJtQueR
お二人とも投下乙です。
>>大好きな人を想って
まよチキ組は…二人とも光秀とは違う意味で死ぬ気満々か…。
殺し合いそのものには乗ってないからまだいいが、一緒の生還をハナから諦めてるのが何とも痛々しい。
ただ、重箱の隅をつつく様ですいませんが、OPや他の作品からも判りますが、「あの会場」では他の参加者は認識できない状態でしたので、
>>144
と
>>146
は微修正した方がいいかもです。
>>そして1人しかいなくなった
ちょ、イカロスそのタイミングからかい!
このロワのマーダーは数が(現時点では)少ない代わりに戦闘力が高いなぁ。
ただ、参加者は50名ですので、
>>150
の38名は誤りです。
あと、書き込みをする時はメール欄にsageと入れておく事をお勧めします。そうすればスレが上がりませんので。
以下マジレス失礼。
>>157
>>136
の事を言ってるんなら、書き手さんとID違うし、作品の展開を見ての単なるネタレスだと思う。
>>158
たぶんだが、書き手も読み手としてレスする時はトリを出さないのが普通だから、感想のレスの内いくつかは書き手のレスだと思う。
まあ、指摘等のレスに無反応な書き手さんが多いのは何だが…。
161 :
創る名無しに見る名無し
:2011/10/30(日) 12:55:42.64 ID:5lPTE02V
しばらく時間置いてたら大量に来たなあ。誤字や問題点の指摘は議論スレだぞ
投下乙です
原作ではニートに近かったけどここでは生き生きしてるなあ
レミリア組と違って怪異解決に乗り気だなあ
うん、これはこれでカリスマあるなあ
スザクはなあ、あれ、参戦時期は主従ともに同じ時期限定だったような気がする…
人外見て暴走しただと、と思ったらこれはワロタw
確かにこいつこういう性癖の変態さんだったわwww
よりにもよってなんて奴に妹認定されてるんだよおw
星刻と天子の二人は最初に出会った二人がキリツグとは、しかもいきなりこう来たかあ
星刻が酷使される想像しか思い浮かばねえェ
まよチキ!は詳しくないんだがお互いがお互いに大事に思い合ってるのがよく判るなあ
そしてそれが微妙にすれ違ってるのもロワでどう転ぶか…
こういう人間が色んな意味で好みって奴が複数いるんだよなあ…
そらのおとしものも詳しくないけどイカロスは暴走キャラなのか?
突然すぎ気もするがまあ、破棄するほどでもないかな…
162 :
160
:2011/10/30(日) 12:55:47.17 ID:TgJtQueR
って、自分で言っといてsage忘れるとか阿呆か俺はorz
163 :
創る名無しに見る名無し
:2011/10/30(日) 13:03:36.63 ID:m+9P4J1z
修正が必要かどうか意見が割れた時のための議論スレだろ
誤字や明らかなミスに議論も何もない
天子の出典は、投下されたSSがミスってんだよ
参戦時期は主従同時期は推奨レベルで強制じゃない
互いを主従と認識できる範囲内でのズレは事前の決定事項には抵触してないから、そこは問題じゃねーよ
何を言ってるんだか
書き手も読み手もろくにログも読めない可哀想な奴ばっかだな
164 :
創る名無しに見る名無し
:2011/10/30(日) 16:41:26.29 ID:p8xo7jw/
まぁイカロスはスイカやマスター傷付けられそうになると確かにキレてウラヌスクイーン状態になるけど
ギャグ漫画だから主に智樹が酷い目にあうくらいで終わるんだよな
しかし、それを踏まえても切れるタイミングが唐突すぎるだろw
なんで人が隠れてるくらいでいきなり切れて暴走するんだよ
マスターから離れたらマスター守れないじゃん
あと可変ウイング完全に封印された状態でウラヌスクイーン状態になられてもなぁ……
なんか黄金に輝くスーパーサイヤ人になったけど、気の大きさは制限で元のままですよ的ながっかり感がある
これで負けたりしたら更なるがっかり感が来る事間違いないわ
まぁ最強クラスのキャラをマーダーにしたてて、邪魔なセーフティになる主人と別れさせたい
そして腕の立つ連中と合流させておいた的な設計図は見えるけど、ちょっと腕が足りない典型みたいな感じやな
165 :
創る名無しに見る名無し
:2011/10/30(日) 16:56:42.97 ID:p8xo7jw/
と思ったが、イカロスに武器持たせてないのかい!
どーしろっていうんだ…
あと手榴弾は最初に殺すにはいい武器だけど、立ち回りとかが書きにくいから50個も支給されても
扱いに困りそう
修正案としては、支給品確認パートのあたりをイカロス視点で心情描写多めでやれば
いきなり感が減っていいと思います
166 :
創る名無しに見る名無し
:2011/10/30(日) 17:01:24.69 ID:tkw5f4Fr
手榴弾45個って……
物には限度があるだろ
167 :
創る名無しに見る名無し
:2011/10/30(日) 17:03:01.68 ID:gxXw0dZ+
いいじゃん
ルークとかめんどくさいし
イカロスTUEEEEで
168 :
創る名無しに見る名無し
:2011/10/30(日) 17:12:15.85 ID:p8xo7jw/
イカロスTUEEEEならまだいいけど、これじゃ他の参加者に捻り殺されてもしょうがないくらい弱体化してるもんなぁ
169 :
創る名無しに見る名無し
:2011/10/30(日) 18:21:19.50 ID:UjuCT44v
こ れ は ひ ど い w
170 :
◆Su10.RK3MU
:2011/10/30(日) 18:28:51.83 ID:9pKwyYHI
遅れましたが、したらば管理人として意見を。
>◆dFZPiudNYU(=◆gqRrL0OhYE)氏へ
したらばでのレスからIPで同一とは把握しているのですが、予約時と投下時のトリップが違うというのは厳密にいえばNGです。
1回目はらただのミスとして流しましたが、続くと余計な混乱を生み出すだけなので以後気をつけてください。
後、これは余計かもしれませんがトリップキーを単純な単語にしていませんか?
したらばならIPで判断できますが、それ以外の場所でトリバレでなりすましされると対応できませんのでご注意ください。
171 :
創る名無しに見る名無し
:2011/10/30(日) 18:30:19.08 ID:8lI6LPyd
スターウォーズゴリ押ししてた奴さっさと書けよ
把握簡単なんだろう?
172 :
◆dFZPiudNYU
:2011/10/30(日) 18:45:51.52 ID:9uDqQnRJ
てすと
173 :
創る名無しに見る名無し
:2011/10/30(日) 18:53:55.98 ID:m+9P4J1z
>>170
なんで創発にある本スレと、したらばにある予約スレとでIPが同一だって確認できるのかなー?
馬鹿にもわかるように説明してねー
174 :
創る名無しに見る名無し
:2011/10/30(日) 19:24:11.51 ID:PoxxmwOP
指摘内容をまとめたものを議論スレに書き込みましたので、書き手氏は内容を確認のうえ、早急に対応をお願いします
175 :
◆Su10.RK3MU
:2011/10/30(日) 19:24:13.15 ID:9pKwyYHI
>>173
>>80
1度目の投下の途中にしたらばにレスしているので、それで確認しました。
176 :
創る名無しに見る名無し
:2011/10/30(日) 23:00:57.59 ID:m+9P4J1z
書き手さんたちー
早く議論スレに答えてあげないと、真面目にやろうとしてる人たちが可哀想ですよー
それとも、みんな書き手荒らしだったのかなー?
177 :
創る名無しに見る名無し
:2011/10/30(日) 23:55:29.83 ID:m+9P4J1z
覚醒の白き騎士がすでにwikiに収録されちゃってるけど、修正なしで通すの?
後になって「そのためならば優勝さえ厭わない。って状態表に書いてあったから」「本文には書いてないから」で
泥沼議論になったりしてなwww
名簿だって描写が他の作品と食い違ってるって議論スレに書かれてんのに、強引だねーwww
178 :
創る名無しに見る名無し
:2011/10/30(日) 23:56:19.24 ID:cNhh/fev
一日中張り付いて書き手がいるロワを批判とかあんたも暇ねえ。
179 :
創る名無しに見る名無し
:2011/10/30(日) 23:59:02.24 ID:n6GVdd12
批判じゃなくていちゃもんだけどな
スルーしたらしたでこうやってレス連発して荒すんだよ
とりあえず議論は議論スレ
そして名無しの煽りはスルーがいいぞ
180 :
創る名無しに見る名無し
:2011/10/30(日) 23:59:56.91 ID:m+9P4J1z
別に一日中張り着いてたわけじゃないけど、暇なのは否定しないw
けどさ、感想レスさえまともにつかないんだから、俺がレスしなかったら寂しい日曜だっただろ?
181 :
創る名無しに見る名無し
:2011/10/31(月) 00:00:24.64 ID:BGt3goZD
NGっていう便利な方法があるでしょ
182 :
創る名無しに見る名無し
:2011/10/31(月) 00:23:24.85 ID:mPnCUFlJ
議論は議論スレって言われても、指摘のまとめがあって誘導もされてるのに
肝心の書き手が反応してくれないんじゃこれ以上どうしようもないだろ
ほとんどが誤字とかの単純ミスで、リレーに支障きたしそうなのはイカロスたちの話くらいだけどさ
183 :
創る名無しに見る名無し
:2011/10/31(月) 00:35:37.73 ID:SpfsRPEv
変身ロワにいくからどうでもいい
184 :
創る名無しに見る名無し
:2011/10/31(月) 01:00:04.19 ID:sEeZE2B9
質問なのですが
185 :
◆ZEROtky0Rg
:2011/10/31(月) 01:04:32.36 ID:sEeZE2B9
すみません
>>184
はミスです
改めて質問なのですが、ルルーシュのコンタクトとジェレミアの腕に仕込まれてる剣は
没収されずにそのまま所持しているという認識で問題無いでしょうか?
186 :
創る名無しに見る名無し
:2011/10/31(月) 01:16:40.98 ID:L5CxBFdp
あれは剣が飛び出すグローブを装備しているのであって、ジェレミアの腕に直接改造して仕込んでるわけじゃない
どっかのファンブックか何かで見た記憶だからソース出せないけど
本人の装備をそのまま本人に支給し直すのがありなら、初めから持っててもありかな
187 :
創る名無しに見る名無し
:2011/10/31(月) 02:57:16.98 ID:Ktvn20oS
コンタクトは流石に眼鏡と同じで日用品の範疇だと思うが
少なくともあれが支給品という話は見たことないな
188 :
創る名無しに見る名無し
:2011/10/31(月) 03:08:01.60 ID:WQqJ7Hrj
>>187
同意。
はやての車椅子と同じで、「無いとすぐに生きていけなくなる」程の物じゃないけど、本人には必要不可欠な物だからなぁ。
ルルはアレが無いと、ジェレミアとスザク(つか、ギアスかけた相手)以外とは目を見て話す事すらできんし。
189 :
創る名無しに見る名無し
:2011/10/31(月) 07:37:33.55 ID:mPnCUFlJ
ジェレミアの剣って腕にくっついてるもんだと思ってたわ
簡単に取り外し可能なら没収されてるだろうな
190 :
創る名無しに見る名無し
:2011/10/31(月) 14:04:42.60 ID:HuRhUuhs
多ジャンルロワでは両方とも最初から所持だった気がする
191 :
創る名無しに見る名無し
:2011/10/31(月) 18:20:41.17 ID:TXjd3zox
あっちはSSが投下されてからかなり後に取り外しが可能と分かったのでしょうがなく最初から付いていることにした
192 :
◆ZEROtky0Rg
:2011/10/31(月) 19:10:09.79 ID:sEeZE2B9
それでは、ルルーシュのコンタクトは没収されていない、ジェレミアの剣は没収されているということにします
コンタクトは無いなら無いって書いとかないといけないなと思ってたんですが、
あるなら別にSSの内容にはまったく関係な(ry
ご意見ありがとうございました
193 :
創る名無しに見る名無し
:2011/10/31(月) 22:35:39.86 ID:tDc5LrUh
質問なのですが、そのトリップは偶然出来たものではなく、自分で育成したんですか?
もしや、貴方がゼロなんですか?
194 :
◆ZEROtky0Rg
:2011/11/01(火) 02:21:44.46 ID:UV2KIwai
期限をオーバーしてしまい、申し訳ありません
ルルーシュ・ヴィ・ブリタニア、ジェレミア・ゴットバルトを投下します
なお、このトリップの中の人は、残念ながらただの庶民です
195 :
悪逆と反逆
◆ZEROtky0Rg
:2011/11/01(火) 02:26:54.51 ID:UV2KIwai
夜の遊園地に、八雲紫の手によってこの地に招かれた一組の主従がいた。
ベンチに腰かけ、名簿と地図を眺めるのはこの主従の主。
白を基調とした豪奢な衣装に身を包んだ、見目麗しい青年。
名は、ルルーシュ・ヴィ・ブリタニア。
第二次東京決戦において黒の騎士団を打ち破り、事実上世界の頂点に立った神聖ブリタニア帝国第99代皇帝である。
その傍らに跪き、ルルーシュの手元を懐中電灯で照らすのがこの主従の従者。
丈の長いコートを纏い、左目にオレンジ色の装飾品を着けているように見える男。
名は、ジェレミア・ゴットバルト。
現在、皇帝ルルーシュの第一の騎士とされている人物である――――表向きは、の話だが。
ルルーシュの真の騎士は別にいる。
世間では死んだと思われ、もう二度とルルーシュに膝を折ることのない騎士が。
「ジェレミア」
名を呼ばれ、それだけで主の意図を解したジェレミアは求められた答えを返す。
「名簿と地図の内容は把握致しました。しかしこれは……」
「ユーフェミア、か」
背負い袋の中に入っていた連名簿に記された一人、ユーフェミア・リ・ブリタニア。
彼女は、一年前に死んだはずの人間だった。
「主従一組として招いたというのなら、スザクと組んでいるのは間違いなくユーフェミアだ。
同姓同名の赤の他人、ということはないと考えていいだろう。
それならばまだ、実際にいるのはナナリーやシュナイゼルで、名簿の記述が誤りだというほうが理解できる。納得はできないがな」
納得はできない。
その言葉が係るのは、ナナリーやシュナイゼルがスザクの主としてこの地に招かれる可能性に対してではない。
名簿に、名前を間違えるなどという、単純な誤りがある可能性に対してだ。
ジェレミアもそれには同意を示す。
これだけのことをやってのける女が、そんな初歩的なミスをするとは思えない。
しかし、だとすれば――
「陛下はユーフェミア殿下が生き返ったとお考えなのですか」
「八雲紫が、自分の言葉が真実なのだと俺達に証明するのに、これ以上わかりやすい方法はないだろう?」
名簿と地図をジェレミアに渡し、ルルーシュは支給品の一つである剣を手に取る。
背負い袋の中身を確認した際、ジェレミアが一目見て、
王たる者が持つに相応しいと評し、自身が持つことを頑なに辞退し、半ば押し付けるようにルルーシュに手渡した剣。
鞘から引き抜けば、気品ある美しい刃が姿を見せる。
196 :
悪逆と反逆
◆ZEROtky0Rg
:2011/11/01(火) 02:28:09.45 ID:UV2KIwai
「ユーフェミアがこの地にいるならば、俺達はあの女の言葉がまったくの出鱈目ではないと信じざるを得なくなる。
そして、おそらくは、俺達にとってのユーフェミアのような存在がこの島には他にもいると見ていい。
彼女だけでは、俺達とスザク、あとはせいぜい天子と星刻くらいにしか効果がないからな」
剣を鞘に収め、ルルーシュは立ち上がる。
ジェレミアはルルーシュから剣を受け取ると手早く背負い袋に入れ、背負い袋をルルーシュに差し出す。
差し出された背負い袋を受け取ったルルーシュはそれを背負って歩き出し、ジェレミアは鎖のついた巨大な碇槍を携え後に続く。
どちらが何を持つかの打ち合わせは済ませていたとはいえ、一切の言葉なく行われた動作は
二人が長年の主従であるかのように錯覚させるほど自然なものだった。
従者であるジェレミアではなく、主であるルルーシュが背負い袋を持つのには当然、理由がある。
まずは、重さだ。
背負い袋の重量は、女性や子供が長時間持ち運んでも苦にならない程度。支給品だった剣よりも軽い。
荷物が軽ければその分、体力の消費が少なくて済む。これを利用しない手はなかった。
次に二人の役割分担。
ルルーシュは武人ではない。運動神経は悪くないが体力、特に持久力に関しては同年代の平均にも劣る。
必然的に、戦闘を行うのは優れた身体能力を持ち、軍人でもあるジェレミアの役割になる。
ジェレミアにとって背負い袋の重さなど無いに等しいが、戦いの最中に肩紐の位置がずれることは十分に考えられる。
つまりは、いざという時に動きを阻害されかねない。
これは絶対に避けねばならないことだ。
ならば最初からジェレミアに背負い袋を持たせなければいい。それで問題は回避できる。
また、何らかのトラブルではぐれてしまった場合に、支給品を持つのがルルーシュであるようにとの思惑もあった。
「俺がゼロに討たれるのは三日後。
最低でもそれまでにはスザクと共に帰還しなければならないが、
幸か不幸か、あの女が提示したこの殺し合いのリミットと、俺達のリミットは一致している。
死者が出なかった場合の24時間の制限は、俺達で参加者を一人仕留めればそれで済む」
観覧車。コーヒーカップ。ジェットコースター。
様々なアトラクションの位置に合わせて作られたのであろう道を、主従は一切の躊躇いを感じさせない足取りで進んでゆく。
197 :
悪逆と反逆
◆ZEROtky0Rg
:2011/11/01(火) 02:29:45.76 ID:UV2KIwai
「最優先はスザクとの合流。と言っても、知らぬ土地で人を一人探しだすのは至難の業だ。
出会った奴に『スザクを捜せ』と……いや、『俺に従え』とギアスをかける。駒は多いに越したことはない」
「はっ」
「この島の広さから考えて人に会うことは難しいだろうな。まずは行動範囲を広げるため、移動の足を確保するのが先か」
「街であれば車の入手は可能かと。運転は私が」
「ああ。他の参加者の支給品に含まれている可能性も考えられる。
どういう仕組みかは不明だが、この袋ならば車くらい入りそうだ。
ついでに銃の一丁くらいは調達したい。……これもギアスをかけ、背負い袋ごと頂けば済む話か。
キャンセラーがあれば、一人に一度しか使えないという制約はなくなる。ギアスを出し惜しむ必要は無い」
「御意」
「最も警戒しなければならないのは、ギアスをかける隙のない状況……特に不意打ちだが」
「ご安心を。陛下の身は私がお守り致します」
「ああ。頼みにしているぞ、ジェレミア」
ルルーシュの言葉に、ジェレミアはその場に膝をつく。
当初の計画通りとはいえ、咲世子やロイド、セシル達が去った今、ルルーシュが『頼みにしている』などという言葉をかける人間は、
自身を除けば、次代のゼロとなる騎士、枢木スザク以外には存在しない。
世界でたった二人だけ―――それは、喜びであり、誉れだ。
主君からの信頼に、ジェレミアは打ち震える。
「有難きお言葉。ジェレミア・ゴットバルト、必ずや陛下の騎士としての務め、果たして御覧にいれましょう」
半歩後ろを歩いていたジェレミアの姿は、ルルーシュの視界に入っていない。
だが、それでも良かった。そもそも、ジェレミアはルルーシュに見て欲しいと思って膝をついたわけではない。
ジェレミアの忠誠心がそうさせただけなのだ。
必ず、守り抜く。
たとえルルーシュが三日後には死ぬのだとしても、それまでは命を賭けて守り通す。
死なせるために守ることに、悲しみはあれど虚しさは無い。
全てはルルーシュの意思―――ゼロレクイエムのために。
決意を新たにしたジェレミアが立ちあがろうとした、その刹那。
前を歩いていたルルーシュの足が、不意に、進むことをやめた。
198 :
悪逆と反逆
◆ZEROtky0Rg
:2011/11/01(火) 02:30:42.09 ID:UV2KIwai
「ジェレミア」
今までとは明らかに異なる声音に、ジェレミアは思わず動きを止める。
膝をついた姿勢のまま黙して待つジェレミアに、ルルーシュはゆっくりと振り返り、口を開く。
「八雲紫の言葉、どこまで信じる?」
「ユーフェミア殿下の生存が確認されれば、彼の者の言葉、信じざるを得ないかと」
ジェレミアの言葉は、ルルーシュが言ったことを繰り返しているも同然だった。
だが、ジェレミアは、この場に相応しい答えをみつけることができなかった。
わかるのは、主に求められている答えを己は導き出せないという事実のみ。
沈黙するジェレミアを前に、ルルーシュは淡々と言葉を並べる。
「ユーフェミアが生きていれば、奴に死者蘇生が可能だということは信じてもいいだろう。
だが、死者蘇生が可能だからと言って、この殺し合いを無かったことにすることが可能だと信じられるかと言えば、答えはNOだ。
禁則にしても、この地から逃げだせばどうなるか程度なら、確かめるのは容易い。
ギアスで他の参加者に命じ、そいつを観察すればいいだけだからな。
しかし、三日経過しても優勝者が決まらなければどうなるかは、実際に三日経ってみなければわからない。
奴に人間を地獄に送る能力があるということと、それを行使するかどうかは話が別だ。
最後の一組は生還できるという約束にしても、守られるという保証はない。
奴はおそらく、いつでも俺達を殺せる。約束を反故にできる。そんな約束は、最初から存在しないのと大差ない」
紡がれた言葉は、八雲紫に与えられた僅かな希望を否定する。
「疑い出せばきりがない。奴を信じることはできない……そうできているんだ。
結局のところ俺達は、実際に現実にならない限り、八雲紫の言葉が真実であるという確証を得られない」
そしてこれが、ルルーシュの結論。
自分達がこの地で得られるのは、提示された結果とそこから生まれる推測。
信じられる未来など欠片も存在しないという事実。
「ならば陛下。これから我々はどう動くのですか」
ジェレミアの問いに、ルルーシュは笑みを浮かべる。
それは正しく、悪と呼ぶに相応しい微笑。
199 :
悪逆と反逆
◆ZEROtky0Rg
:2011/11/01(火) 02:31:59.51 ID:UV2KIwai
「――――八雲紫を、殺す」
ルルーシュの言葉に、ジェレミアは黙したままだった。
答えは簡単だ。決まっている。
自分はルルーシュに従う。勝ち目のない戦いであろうと、ルルーシュが望むのであれば挑むのみ。迷う余地などどこにもない。
それでも何も言えずにいたのは、目の前の皇帝に気圧されたからだ。
言葉を発することを忘れるほどに。
ジェレミアはただ、ルルーシュを見つめる。
だから気づいた。
ルルーシュの纏う空気が緩んだこと。そして、ルルーシュの額に僅かに滲んだ汗に。
「……どうやらこれは、禁則ではないらしいな」
小さく呟き、ルルーシュは息を吐く。
それと同時に、ジェレミアは気づく。
八雲紫がいつでも参加者を殺せる立場にいるのならば、彼女への反逆の意思表示など、殺してくれと言っているようなものだ。
それをルルーシュは行った。
もちろん、殺されないというルルーシュなりの自信はあったのだろう。
だがそれでも、危険な賭けであったことは確かだ。
本来ならば、従者である己が止めなければならなかった。
主君に背負わせてはならなかったリスク。どうしても必要ならば、自分が行うべきだった行為。
事ここに至るまで気づけなかった不甲斐なさに、ジェレミアは唇を噛みしめる。
だが、謝罪の言葉は口にしない。できない。それはルルーシュが最も嫌うことだ。
再び歩きだしたルルーシュの後を、黙って追う。
「まずは駒を増やし、スザクの捜索に当たらせる。並行して移動手段の確保。武器の調達。
それから八雲紫に関する情報の収拾だ。これらは全て、出会った参加者に『俺に従え』とギアスをかけることで対応する」
「御意」
「その後、用の済んだ者から順に、この殺し合いの参加者には死んでもらう」
「全員、ですか?」
「そうだ。八雲紫の始末は最後にする。
生き残った者に、実は枢木スザクは生きています、なんて話を吹聴されては堪らないからな。
スザクの生存を知った者……この殺し合いに関わった全員になるだろうが、生かして返すわけにはいかない。
別に構わないだろう? 今更50人にも満たない命を奪うことなど、些事だ」
「ユーフェミア殿下も?」
「一人残らずだ。例外はない。
……だが、そうだな。ユーフェミアはぎりぎりまで、俺達は手を出さず、誰かに殺されるのを待つか。
もう一度俺が殺して、スザクが俺を殺すのを予定の日時まで待てなくなっても困る」
自嘲気味に、ルルーシュは言う。
その姿は痛々しいほどだが、ジェレミアはルルーシュの決定に口を挟むことはしなかった。
仮に助けたところで、ユーフェミアが帰れる場所は存在しない。
それに何より、ジェレミアはルルーシュの覚悟を知っている。
200 :
悪逆と反逆
◆ZEROtky0Rg
:2011/11/01(火) 02:36:44.70 ID:UV2KIwai
「―――ジェレミア」
「はっ」
「もし…………」
その続きを、ルルーシュは言わなかった。
だが、ジェレミアには伝わった。
もし、力の限りを尽くしても、八雲紫に抗う術がみつからなければ。
もし、主従一組しか生還することが叶わないことが確定すれば。
その時は、俺とスザクの生還の為に――――
言葉にされなかったその命に、ジェレミアは騎士として応じる。
「Yes, Your Majesty」
【B-4/遊園地内/1日目-深夜】
【主:ルルーシュ・ヴィ・ブリタニア@コードギアス 反逆のルルーシュ】
[主従]:ジェレミア・ゴットバルト@コードギアス 反逆のルルーシュ
[状態]:健康、ギアス常時ON状態(制御用コンタクトレンズ着用)
[装備]:背負い袋(基本支給品、約束された勝利の剣@Fate/Zero、不明支給品x2)
[方針/行動]
基本方針:ゼロレクイエム遂行のため、スザクと共に生還する
1:スザクの捜索と情報収集
2:八雲紫を殺す方法、対面する方法を探しだす
3:最終的には、スザクとジェレミア以外の、この殺し合いに関わった者全員を殺す
[備考]
※参戦時期はTURN25『Re;』 ルルーシュ死亡の3日前
※自身のギアス、ジェレミアのギアスキャンセラーへの制限には気づいていません
※不明支給品に、少なくともルルーシュの扱える銃はありません
【従:ジェレミア・ゴットバルト@コードギアス 反逆のルルーシュ】
[主従]:ルルーシュ・ヴィ・ブリタニア@コードギアス 反逆のルルーシュ
[状態]:健康
[装備]:碇槍@戦国BASARA
[方針/行動]
基本方針:全ては我が主、ルルーシュ・ヴィ・ブリタニアのために
1:ゼロレクイエム遂行のため、ルルーシュとスザクを生還させる
[備考]
※参戦時期はTURN25『Re;』 ルルーシュ死亡の3日前
※自身のギアスキャンセラー、ルルーシュのギアスへの制限には気づいていません
201 :
悪逆と反逆
◆ZEROtky0Rg
:2011/11/01(火) 02:37:36.58 ID:UV2KIwai
【約束された勝利の剣(エクスカリバー)@Fate/Zero】
アーサー王のシンボルにしてセイバーの宝具。
人々の「こうであって欲しい」という想念が星の内部で結晶・精製された神造兵装。聖剣というカテゴリーの中において頂点に立つ。
なお、一緒に支給された鞘は持ち運び用に用意された物で、特殊効果等は一切無い。
【碇槍@戦国BASARA】
長曾我部元親が扱う、鎖がついた碇のような槍。かなり大きく、相当な重量だと思われる。
202 :
◆ZEROtky0Rg
:2011/11/01(火) 02:38:17.92 ID:UV2KIwai
以上で投下終了です
203 :
創る名無しに見る名無し
:2011/11/01(火) 02:41:40.42 ID:pQnTpijF
投下乙です
最後の「Yes, Your Majesty」でグッときた…
穏やかじゃない主従が多い中、ジェレミアは正統派な従者だなぁ
ルルの考察もすごいが、ギアスの制限に気付いてないのが今後に響きそうだw
204 :
創る名無しに見る名無し
:2011/11/01(火) 11:02:21.99 ID:1+c6g7fX
覚醒後のジェレミアは本当に従者の鑑ですね
205 :
創る名無しに見る名無し
:2011/11/01(火) 13:06:17.40 ID:elwgyoMP
投下乙でした!
流石というべきか、ルルの考察は序盤から凄い。
ただ他の参加者は別の世界から来ているので、
殺すのは限りなく無意味なんだがw
後、一つ疑問。
ルルーシュは両目ギアスになってから、コンタクトではなく、
制御化出来ていると公式見解で出ていませんでしたっけ?
206 :
創る名無しに見る名無し
:2011/11/01(火) 22:25:31.69 ID:XaoqhQhL
投下数と比較して感想も雑談も少ない寂しいスレですね
指摘するだけしておいて、修正稿がしたらばに投下されても何の反応も示さない
素晴らしい住人しかいないなら、そろそろ終了でしょうか
お疲れ様でした
207 :
創る名無しに見る名無し
:2011/11/01(火) 22:38:23.13 ID:W+RyHNwt
ロワ荒らしご苦労様です
二度と来ないでくださいね
208 :
創る名無しに見る名無し
:2011/11/01(火) 22:40:32.67 ID:XaoqhQhL
感想を書かず荒らしの相手だけする貴方には言われたくありません
209 :
◆Su10.RK3MU
:2011/11/01(火) 23:48:36.44 ID:cok3wLg2
投下開始します。
210 :
Vampire Killer
◆Su10.RK3MU
:2011/11/01(火) 23:49:27.37 ID:cok3wLg2
【001】
引いては寄せる黒色の波頭。繰り返し潮に洗われる岩棚の上に、波の音よりもなお騒がしい声が響いていた。
それはもう、「ワー!」とか「ギャー!」という、月下の海辺という雰囲気を台無しにしてしまうような嘆きが。
「地獄ですよ地獄! 地獄ですよマスター! ぢッ! ごッ! くぅー!」
大騒ぎし嗚咽を漏らしながら頭を抱えいやいやを繰り返すのは、まだ幼い印象の残る女性警察官だ。
金髪を掻き乱し岩棚の上でタップのように地団駄を踏んでは現状に対する混乱をこれでもかというほど表現している。
対して、マスターと呼ばれた彼女の主人はその姿をほとほと呆れたという風に見下し、深い溜息をついていた。
「……婦警。我々は《夜族》だ。よもや天国に上れるなどとは考えていたわけではあるまい?」
女性警察官の主人ではあるが、しかしてその男は警察官などではない。
最高級に誂えられたスーツの上に無骨な真紅のコートを羽織り、黒髪を風に流されるままにしているその姿は異様だ。
眼鏡の奥の毒を湛えた杯のような眼。そして口の中に垣間見えるただの人間よりも長い獰猛な犬歯。
彼は、彼が口にした《夜族(ミディアン)》という言葉の通りに人間などではなかった。
その名を“アーカード”――永劫の夜を往き続けるノーライフキング――彼は《吸血鬼》なのである。
「で、でもー! “本当に地獄がある”だなんてそんな……ッ!」
そして彼の前でそのイメージとはかけ離れた所作を繰り返す婦警もまた吸血鬼であった。
セラス・ヴィクトリア――吸血鬼禍に襲われていた村の唯一の(この表現は不正確だが)生き残り。“元”婦警。
アーカードに血を吸われて眷属となった後は彼と共に彼の主人とその組織に仕え、合法的な非道に身を費やしている。
「地獄がどうした。神の国があるなら、地獄もまた“ある”」
インテグラル・ファルブルケ・ウィンゲーツ・ヘルシングを現当主と仰ぐ王立国教騎士団(通称ヘルシング機関)。
二人はその合法的非公開組織に従属する、吸血鬼にして吸血鬼殺しを専門とする殺し屋なのであった。
「じゃあマスターは死んだら地獄に落ちるって知ってたんですか?」
「死ぬとは正確ではない。何故なら我々はもう生きているとは言えないからだ。死ぬのではなく塵に帰るにすぎん」
「それで、知ってたんですか? 地獄が本当にあるって――」
不意に、潮に濡れた岩棚の上に沈黙が落ちた。
忘れられていた波音が主張を再開し、原初の子守唄ともいえるそれだけが今ここの空間に満ち渡ってゆく。
婦警に見つめられた吸血鬼の主人は岩棚の上から腰を上げると、何かを言いかけ、そして背を向けた。
「…………さぁ、行くぞ」
「あー! ごまかしたあああああああああああああああああああ!」
【002】
「それで、どこに行くっていうんですかー?」
「インテグラと合流する。我々が活動を開始するには《命令(オーダー)》が必要だ」
「目的地があるんですか? 合流する当てとか……」
吸血鬼の主従は海を背に歩を進める。
現在地がどこかはいまいち判別できなかったが、島の中央に向かって歩けばその内、道に当たると考えたからだ。
211 :
Vampire Killer
◆Su10.RK3MU
:2011/11/01(火) 23:50:10.81 ID:cok3wLg2
「ない」
「デスヨネー……」
主人の背を前に、警察の制服に背負い袋が変によく似合う婦警は溜息をついた。
アーカードがセラスに対し溜息をつくこともあるが、実際はその逆の方が何十倍か百倍も多かったりする。
彼女の主人は自信に満ち満ちているからか、時折ひどくいい加減な行動や物言いをするのだ。
「あちらもこちらを探しているはずだ。ならば歩いていればいつかは行き当たる」
「まぁ、そうですけど」
とはいえ、セラスも案外楽観的だったりもする。しかしこちらは彼女の性格ではない。
主人や、主人の主人たるインテグラ、また彼女の執事に対する強い信頼からくるものである。
このような状況に落とされてなお、彼女は自分の主人や上司が死ぬなんてことはまったく心配してなかったのだ。
かくして、吸血鬼の主従はそれよりほどなく車道に行き当たった。
地図を信用するならば、島の外周を巡る道に沿えばいずれかの市街にたどり着くはずである。
そうすれば現在地もはっきりと確認でき、上司を探すに当たってもいくらかメドがつけられるというものだろう。
と、道の上に立った時。吸血鬼の主従は道の片方からやってくる奇妙な二人組を発見した。
「サ、サムラァイ……?」
婦警が半ばほど呆れを含んだ驚きの声を上げた。道の向こうからやってくるのは時代錯誤甚だしい鎧武者だったのだ。
果たしてこの鎧武者はどこから来たのか。しかし奇妙なのはその鎧姿だけはなかった。
二人組のサムライの片方、弧月の前立がついた兜を被っている方が巨大な十字架を引きずってきているのだ。
それは全体を銀で覆われてながらもまるで磔に使うような巨大な十字架だった。明らかにサムライの倍の大きさはある。
サムライはまるで殉教者のようにその十字架を背負い、先端を地面にこすりながらこちらへと歩いてくる。
「あの、マスター。あれはなんでしょうか……?」
「………………」
問いかける婦警に吸血鬼の主人は無言だった。
何かを知っていたわけでも、知らなかったというわけでもない。ただ、彼は“嗅ぎとった”のだ。
目の前のサムライ達から立ち上る血と油――“戦場”の匂いを。そして、これから始まる“闘争”の予感を――。
【003】
「Hey! そこな旦那。こんな往来でぼーっとしてちゃ馬に蹴られてこの世から Falling down しちまうぜ?」
かける言葉を選ぶうちにサムライ達はついに眼前へと到達し、そして吸血鬼の主従の前に立った。
十字架を背負っていたほうがそれを地に下ろし、軽口とともに表を上げる。
右目に眼帯。しかしサムライとして想像していたよりかは若い印象だった。まだ少年と言っても通用するかもしれない。
だが残った片目に宿るギラギラとした輝きを見るとその印象は吹き飛んだ。
黒色の具足に、目が覚めるような青の陣羽織。兜の上に立つ弧月は月光を跳ね返し真の月のように輝いている。
間違いなくこの眼帯の男こそが大将なのだと、吸血鬼の主従はその一瞥だけでそれを理解する。
「正宗様、用心を……こいつらの漂わせる妖気。ただの人のものとは思えません」
そして、もう一人のサムライが主人の死角を補うようにその隣へと立つ。
一寸の隙もない所作。髪を後ろに撫で付けた顔には古い向こう傷があり、その有様は歴戦の勇士を思わせた。
果たして我が主人は、そして目の前のサムライはこの邂逅をどう判断するのか。
婦警は主人の横顔を見やり、それが予想の通りだったことを確認する。
212 :
Vampire Killer
◆Su10.RK3MU
:2011/11/01(火) 23:51:08.60 ID:cok3wLg2
「(笑ってる……)」
主人は目の前の人間を刈り取られるだけの麦の穂ではなく、闘争に値する戦士――“人間”だと判断したのだ。
婦警は喉を鳴らし、覚悟を決めて拳を握った。
2対2である。人間と戦うことにはまだ抵抗があるが、足手まといにはならないよう闘争に参加しなくてはないらない。
理解すれば、その場にもう言葉はない。波音は遠く、風もないそこに闘争を直前とした独特の静寂が満ちる。
緊張は引き絞られ、空気は張り詰める。七つの目は全て闘争の色を映し、なんの切欠もなしに幕は切って落とされた。
【004】
「奥州筆頭が伊達政宗――推して参る!」
先制したのは弧月の前立のサムライ――伊達政宗であった。
正宗は自身の倍以上はある十字架をまるで重さを感じさせない風に振りかぶると、そのまま突進してきた。
その先には吸血鬼の主人――アーカード。
無闇に打たせることもない。そう考えるとその従者である婦警――セラスは主人の横から飛び出そうとした。
警察時代に仕込まれた、体勢を低くした地を這うようなタックル。
これで突進してくる正宗の足をすくい地に引きずり倒せば、後はもう腕なり足なりを極めて勝負ありである。
「う、わ――?」
だがしかし、そのタックルは半歩進む間もなく止められることとなった。
セラスは後ろから首根っこを掴まれると、そのままあらぬ方向へと放り投げられる。
何者がこんなことを?
考えるまでもない。そんなことができるのは自身のマスターであるアーカードだけだ。だがしかし何故こんなことを?
「――クハッ!」
悲鳴と嬌声とが交じり合ったような吐息を聞き、地面に転がったセラスは主人の方へと振り返る。
見れば、正宗の振るう十字架がアーカードの肩口へとめり込んでいるところであった。
見た目相応に重量のある十字架は易々とアーカードの身体を抉ると、そのまま地面に突き刺さって爆音を響かせる。
そして、爆音に重ねて轟音。
分厚い防火扉にマグナム弾を撃ち込んだような頭に重く響く音とともに、正宗の身体が宙へと浮いていた。
アーカードが抉られた方とは逆の腕で拳を繰り出し、十字架ごと正宗を打ったのだ。
「マスタ――ッ!?」
セラスの目は吹き飛んだ正宗を追うことなく、“負傷した”主人の姿に釘付けだった。
十字架に抉られた肩口は固まった灰のような傷口をさらし、しゅうしゅうと音を立てて白煙が立ち上らせている。
今までに見たことのない光景だった。吸血鬼には尋常でない再生能力があるのである。
例え機関銃で何百発の弾丸を撃ちこまれようと次の瞬間には元通りになっているという再生を超えた復元能力が。
なのに、今最強の吸血鬼であるアーカードは苦痛に呻きを漏らし、再生もままならないでいた。
「十字架が利くたぁ、どうやらお前さん普通の人間じゃなくマジで Monster らしいな」
膝をつくアーカードを前に、着地に成功したか、あるいは従者に受け止めてもらえたかした正宗が余裕の口ぶりで言う。
その傍らにはいつの間にかに機関銃を構えたサムライがこちらを油断なくポイントしていた。
二人に隙はなく、殺気は十二分以上。まさかの展開にセラスの背中に怖気が走る。
「やはり、“ただの十字架”ではないか――くっ、おもしろい」
ようやく白煙が治まってくるとアーカードは立ち上がり喉を鳴らした。
そうして、セラスへと一瞬目配せをし――この時になってようやくセラスは主人が自分を止めた理由を悟った。
十字架は吸血鬼の“数多い”弱点の一つだ。だが特別なものでなければ十字架といえどただの鉄か木の塊でしかない。
ただの巨大な鉄の塊であれば主人はタックルを止めなかったろう。だがしかし、十字架はやはり特別だったのである。
あの最強の吸血鬼が再生能力を著しく減じている。
213 :
Vampire Killer
◆Su10.RK3MU
:2011/11/01(火) 23:51:52.46 ID:cok3wLg2
ならばもしそれが自分だったならば――そう考えると再び怖気が走った。
「……い、いいんですかマスター?」
「構わん。これを喰らえばお前は“ひとたまりもない”。いるだけ足手まといだ」
そして、主人からの命令をセラスは理解する。念話をするまでもなく、それはただの一瞥で読み取ることができた。
「では、インテグラお嬢様とウォルターさんを援護しに行きます」
「早く行け」
「ヤ、ヤーッ!(り、了解ッ!)」
膝立ちの姿勢からクラウチングスタートの要領でセラスは猛ダッシュを開始した。
投げ飛ばされた方向は主人を挟んでサムライの逆側。
加えて吸血鬼の脚力。闘争ならともかく、逃走だけならば半人前のセラスとて人間を遥かに凌駕する。
「行かせるか――」
逃げ出したセラスを追って向こう傷のサムライが追走を開始する――が、それは目の前に飛び出してきた影により阻まれた。
「なっ!?」
その目が驚愕に見開かれる。目の前に飛び出してきたそれは吸血鬼ではなく、巨大な“犬”だった。
吸血鬼アーカードが体内で飼っている有象無象。その内の一頭――名を黒犬獣バスカヴィルと呼ばれている。
だが、そんなことを知る由もないサムライ達からすれば、ただいきなり出現したようにしか見えない。
黒犬獣が巨大な――それこそ人間一人を押し潰しそうな前足を上げて、振り下ろす。
向こう傷のサムライは間一髪でそれを飛んで避けると、着地と同時に機関銃のトリガーを引き目一杯の弾丸を浴びせた。
賞賛に値する反射神経と決断力である――と、その姿を横目に吸血鬼が口角を上げる。
「こいつには火縄は利かねぇのか!?」
が、しかし数十発と撃ちこまれた弾丸に黒犬獣はなんら痛痒を感じている様子ではなかった。
ただ不機嫌そうに向こう傷のサムライを睨みつけ、ぐるる……と喉を鳴らすだけである。
そして、追おうとしていた女の吸血鬼はというと、もう闇の中に姿は見えなかった。
【005】
「OK……どうやら今夜は百鬼夜行という趣向らしい。小十郎、俺に遅れを取るんじゃねぇぞ!」
正宗が突然現れた黒犬獣に圧倒されたのは一瞬だけだ。身体の震えはすぐに武者震いへと転化した。
肩にかついでいた十字架を構えなおす。六爪に比べれば融通の利かない武器だが、今夜の出し物相手には丁度いい。
「正宗様こそ、無理をなされないように」
向こう傷のサムライ――片倉小十郎は、素早く弾倉を交換すると機関銃を再び黒犬獣へと向けた。
一度は通用しなかった。だがしかしそれは全くとは限らない。一度で駄目なら二度、それでも駄目なら弱点を探ればよい。
チリ……と、2人のサムライの身体から青白い火花が散る。対する吸血鬼はそれを全身全霊で迎え撃つことを選んだ。
ず・ぞ・ぞ・ぞ……と、アーカードの身体から何かが浮かび上がる。
吸血鬼の腹から突き出したそれは“柄”だ。吸血鬼はグッと柄を掴むと、ずるりとそれを一気に抜き出した。
サムライ達が息を飲むのが解る。それはそれほどまでに美しい刀だった。それほどまでに妖しい力を秘めた刀だった。
214 :
Vampire Killer
◆Su10.RK3MU
:2011/11/01(火) 23:52:48.10 ID:cok3wLg2
絶刀、斬刀、千刀、薄刀、賊刀、双刀、悪刀、微刀、王刀、誠刀、毒刀、炎刀――妖刀、あるいは神刀「心渡」
月夜に曝す刃渡りは六尺半(およそ2メートル)。月夜に濡らす刃は白銀。こと切れ味においてはその刀は絶対無比。
吸血鬼は哂う。サムライも笑う。夜が明けるまでにはまだ時間がある。さぁ――
――Let's Party!! (闘争を楽しもう)
【D-6/北東・路上/1日目-深夜】
【主:伊達政宗@戦国BASARA】
[主従]:片倉小十郎@戦国BASARA
[状態]:健康
[装備]:巨大な十字架@物語シリーズ、伊達政宗の具足@戦国BASARAシリーズ
[方針/行動]
基本方針:???
1:Let's Party!!
【従:片倉小十郎@戦国BASARA】
[主従]:伊達政宗@戦国BASARA
[状態]:健康
[装備]:トミーガン@現実、トミーガンのマガジン(.45ACP弾50発入り)x9
背負い袋(基本支給品)、不明支給品x1
[方針/行動]
基本方針:正宗さまを守る。
1:黒犬獣を始末する。
【主:アーカード@HELLSING】
[主従]:セラス・ヴィクトリア@HELLSING
[状態]:ダメージ(小/回復中)
[装備]:神刀・心渡@物語シリーズ
[方針/行動]
基本方針:???
1:闘争を楽しむ。
2:インテグラの命令(オーダー)を待つ。
[備考]
※参加時期は、北アイルランド地方都市ベイドリックでアンデルセンと対決した後。(1巻)
215 :
Vampire Killer
◆Su10.RK3MU
:2011/11/01(火) 23:53:35.99 ID:cok3wLg2
【D-6/北東・路上/1日目-深夜】
【従:セラス・ヴィクトリア@HELLSING】
[主従]:アーカード@HELLSING
[状態]:健康
[装備]:背負い袋(基本支給品)、不明支給品x3
[方針/行動]
基本方針:マスターに従う。
1:インテグラ&ウォルターを探し出し合流する。
[備考]
※参加時期は、北アイルランド地方都市ベイドリックでアンデルセンと対決した後。(1巻)
【巨大な十字架@物語シリーズ】
ヴァンパイアハンターであるエピソードの得物。
およそ成人男性の3倍ほどの大きさがある銀製の巨大な十字架。怪異の類がこれを喰らえばひとたまりもない。
【伊達政宗の具足@戦国BASARA】
伊達政宗が戦場に立つ際に身につけている鎧兜一式。兜に取り付けられた弧月型の前立が特徴的である。
【トミーガン@現実】
トンプソン・サブマシンガンM1921。通称・シカゴタイプライター。使用弾薬は「.45ACP弾」
タイプライターを打つ様な発砲音と、前方についたグリップとドラムマガジンが特徴のマフィア御用達の機関銃。
【神刀・心渡@物語シリーズ】
レプリカではなく、初代怪異殺しが実際に所持していた刃渡り2メートルほどもある大太刀。
怪異に対し(またそれ以外も含め)、壮絶な切れ味を誇る。
216 :
◆Su10.RK3MU
:2011/11/01(火) 23:54:20.59 ID:cok3wLg2
以上で投下を終了します。
217 :
創る名無しに見る名無し
:2011/11/02(水) 00:39:36.68 ID:hmmaO8Io
投下乙です
ルルーシュの性格と参戦時期の立場ならそう動くよなあ…
確かに異世界の住人だからそれは無駄なんだけど最初でそこまで推理できんわなw
そして上でも言われてるが覚醒後のジェレミアは本当に従者の鑑と思うよ
この連中が出会ったら…まあ、こうなるわなw
理屈じゃねえんだよ、こいつらは
そしてこの状況に相応しい武器まで支給されてるとは…
さて、この戦いの続きが気になるなあ
218 :
◆ZEROtky0Rg
:2011/11/02(水) 01:18:42.79 ID:n7DDmrIu
指摘への対応が遅くなり申し訳ありません
>>205
で指摘されたルルーシュのコンタクトの件ですけど、調べてもよくわかりませんでした
調べた範囲では、コンタクト使用か、自力で制御しているのかはっきりしないみたいなので
状態表のルルーシュのギアスについての記述はwiki収録時に削除するつもりです
ただ、よくわからないままというのも気持ち悪いので、両目ギアスは制御可能という公式見解について、
詳しく教えていただくことはできないでしょうか?
最後になりましたが、◆Su10.RK3MU氏
投下乙です
219 :
創る名無しに見る名無し
:2011/11/02(水) 11:17:08.88 ID:mh0PY7+k
投下乙です
筆頭ノリノリだなオイw新たなロワ充の誕生か…
熱いバトルになりそうだな
220 :
創る名無しに見る名無し
:2011/11/02(水) 16:14:33.96 ID:Wg5CerLp
お二人とも投下乙です。
ルルジェレ組……決意が重いよ…。
つうかジェレミアが格好良過ぎるのだが。
本当にこいつらは参加者の殆どが異世界人って事に気付くか否かが鍵だなぁ。
現状、危険耐主催ってよりもスザク以外へのマーダーって感じだし、近くには外道さんや剣の持ち主やギアス知ってる奴やらいるし。
初手から危険フラグがたっぷりだなぁこの二人。
…と思ったら死亡フラグと対峙する主従もいたぜ!
正直、予約が来た時点では片倉の死は覚悟してたんだがw
ひょっとしたら大番狂わせあるか?
セラスは別行動になったが、さてどうなるやら…。
にしても、◆Su10.RK3MUさんの投下は早過ぎる!
しかも作品の質が落ちないし。パネェ。
トリの頭を略して須藤さんって読んでもいいですk(ry
221 :
◆ZEROtky0Rg
:2011/11/02(水) 23:40:57.73 ID:n7DDmrIu
wiki編集作業してくださった方、ありがとうございます
結局、絶対にコンタクトだという証拠もみつからなかったので、wikiにて
ルルーシュの状態表から「ギアス常時ON状態(制御用コンタクトレンズ着用)」を削除しました
……今更なんですけど、したらばの議論スレ使ったほうがよかったんでしょうか?
222 :
創る名無しに見る名無し
:2011/11/02(水) 23:44:26.76 ID:n7DDmrIu
あと、ひとつ質問なんですけど、wikiの「地図(現在地付き)」のページって
今後どうなるんでしょうか?
他のロワにあるような、みんなで編集できるようなのを用意したほうがいいんですか?
やりかたよく知らないけど、あったほうがいいなら調べてみます
223 :
◆Su10.RK3MU
:2011/11/02(水) 23:52:28.98 ID:UzXFKYE4
>>221
これくらいだったら本スレや雑談スレで十分だと思いますよ。議論スレはほんとに議論になる時くらいってことで。
>>222
今のところ、地図の上に名前を置いた画像をこちらで用意するつもりでいます。
そろそろ2周目ですし現在地がほしい頃合かな? とりあえず、すぐに現状の分を更新しますね。
224 :
創る名無しに見る名無し
:2011/11/02(水) 23:54:39.73 ID:n7DDmrIu
わかりました
回答ありがとうございます
では、現在地地図のほうはよろしくお願いします
225 :
◆Su10.RK3MU
:2011/11/03(木) 00:09:55.50 ID:cQgxB05a
現在位置更新しました!
226 :
創る名無しに見る名無し
:2011/11/03(木) 00:53:10.27 ID:HODhHBgJ
>>225
更新乙です
227 :
創る名無しに見る名無し
:2011/11/03(木) 01:19:04.64 ID:0os5Df+r
乙です!
結構みんなあちこちに散ってるのね
ランドマークあんまり使われてないなーw
228 :
創る名無しに見る名無し
:2011/11/03(木) 01:29:23.06 ID:qKgqRHnj
地図乙
スザクとユフィの現在地って、SS本文には
>地図を確認するとどうやらここは陸地と分断された孤島であることが分かる。
ってあるけど、状態表通りのC-3ってことでいいのかな?
229 :
創る名無しに見る名無し
:2011/11/03(木) 01:40:19.00 ID:cQgxB05a
孤島というのは、会場全体を指した言葉だと思いますよ。
230 :
創る名無しに見る名無し
:2011/11/03(木) 01:54:44.75 ID:qKgqRHnj
そうなのか
地図を見たら小さい島がいくつかあるから、てっきりそこのことかと
231 :
創る名無しに見る名無し
:2011/11/03(木) 08:45:02.01 ID:+8F0zvX8
俺も最初は周りの小さい島のことだと思ったわw
あの島ってどうやって行くんだろうな
海にサメとかピラニアとかいなければ、その気になれば泳いで渡れそうな感じだけど、参加者にカナヅチキャラはいなかったっけ?
232 :
創る名無しに見る名無し
:2011/11/03(木) 11:03:52.99 ID:8joj8ES9
ここの参加者くらいの身体能力があれば海を走って渡るくらい造作も無いこと
233 :
◆YwLV7iJ2fw
:2011/11/03(木) 17:11:14.85 ID:7c1aF67U
投下致します。
234 :
このままではヴァニラさんも死んでしまう!
◆YwLV7iJ2fw
:2011/11/03(木) 17:12:54.06 ID:7c1aF67U
『――まかせたぞ。ヴァニラ・アイスよ』
そのDIO様の言葉を、私はごく短い時間の内に、二回聴く事となった。
一回目はDIO様の館に侵入したジョースター達の始末を任された時。
そして二回目は、この説明し難き現状及び現在位置の把握を任された時。
二回目の命を受けてからはそれなりに時間が経っているが、一回目と二回目の間に経った時間は、私の主観だが、十分と無かったはずだ。
そう。確かに私はつい先刻、私はDIO様からジョースター達の始末を任され、DIO様の寝室を後にした。
しかし、そう思った次の瞬間にはどういう訳かDIO様と共に、あの奇妙な庭園にいた。
しかも、直前までは確かに夕暮れ前だったのが、見上げれば満点の月夜となっていて、だ。
そして告げられた、八雲紫なるスタンド使い(そうでなければこの状況に説明がつかない)の東洋系の女からの、『殺し合い』という催しを。
あの女はよりにもよって私達を浚い、挙句にそんな事を命じたのだ!
私に! そして何よりもDIO様に!!
「あの……クソビッチがァーーーーーーッ!!!」
怒りの衝動の赴くまま、そこらにあった青々とした広葉樹に目を付け、殴り、蹴り、折り、砕く。
いずれ八雲紫も同じ目に遭わせてやらんとばかりに、一撃一撃にあらん限りの力を込める。
殴っている最中に左手の甲に青い星の印が見えた時、殺し合いのルールを説明するあの女の涼しげな顔が脳裏にフラッシュバックし、更に怒りが増した。
最初の木をバラバラにし終えてもまだ気は治まらず、近くにあったほかの木々も同じように、しかし手の甲を見ないように蹴りだけで存分に折り砕く。
数十分ほどかけてようやく、目に見える範囲に立ち木が存在しなくなった。
最期にクリームを呼び出して木々の破片を一つ残らず飲み込んで暗黒空間にバラ撒き、そこでやっとほんの少しだけだが溜飲が下がった。
…無駄な時間を過ごしてしまった。後でDIO様に謝罪せねばならない。
235 :
このままではヴァニラさんも死んでしまう!
◆YwLV7iJ2fw
:2011/11/03(木) 17:13:56.07 ID:7c1aF67U
◇◇◇
「北東に陸影、南西に小島―――ふん。どうやら間違い無さそうだな」
さて、DIO様に任された現状及び現在位置の把握だが、私達が八雲紫のスタンド能力で送り込まれた場所は、
周囲の散策の結果と背負い袋の中にあった地図を照らし合わせた限り、現在位置はF−2の砦跡で間違いなかった。
こんな所に送り込んでおいて何が殺し合えだと言いたいところだが、最初に確認した支給品の中に折り畳みカヌー(丁寧な事に組み立て済みだった)が入っていたので、
その辺りはあの女も始めから折込済みなのだろう。
また支給品には、粗末だがDIO様に昼日中や移動中にお休み頂くに適した棺や、戦闘に役立つ武器や防具も入っていた。
この上ない無礼を働いていながらも、DIO様への最低限の優遇だけは流石に怠らなかったようだ。その点だけはあの女を評価してやってもいい。
だからと言って許す気などは皆目ありはしないが。
第一、私達のスタンド能力があれば、生半可な武器や防具などは全く必要ないのだ。無礼の侘びの品程度に思っておいても構わないだろう。
もう一つの任である現状の把握だが、こちらはこの小島から出ない事にはこれ以上進まない。
手早くDIO様への報告を済ませて、支給品のカヌーでこの島から出るとしよう。
日が昇ってしまうとDIO様には棺に入って頂かなくてはならないが、あのカヌーのサイズでは棺を載せる事ができない。
いや、正確には棺だけなら載せれない事も無いのだが、そうすると漕ぎ手となる私が乗れなくなってしまう。
DIO様を一人、潮の流れに任せて海へと放り出すなどという無礼かつ危険な真似、できる訳が無い。
首尾良く陸地に流れ着いたとしても、もしその時太陽が出ていて、通りがかった誰かにその場で棺の蓋を開けられては、如何にDIO様と言えどお命が危ない。
また、砦跡にとどまり続けるのも論外だ。そうやっていて、もしここが日中に禁止エリアになった場合、私達は脱出する事さえ叶わなくなるのだから。
故に、報告もその後の拠点移動も、この夜の内にきわめて速やかに行わなくてはならないのだ。
「―――チィッ!!」
そこまで考えて、八雲紫の定めたルールに縛られている事を改めて認識してしまい、足元に生えていた花を思い切り踏み躙った。
236 :
このままではヴァニラさんも死んでしまう!
◆YwLV7iJ2fw
:2011/11/03(木) 17:16:00.18 ID:7c1aF67U
◇◇◇
「なるほど……いい調査と考察だ。苦労だった、ヴァニラ・アイスよ」
「もったいないお言葉、痛み入ります」
砦跡の三階の寝室らしき部屋で、私はDIO様に自身の考察を踏まえた報告を行った。
ベッドに身体を預けたまま、背負い袋から取り出した地図を見ながら私の報告に耳を傾けられるDIO様のお姿は、
一部が損壊した天井から差し込む月明かりの美しさと相俟って、さながら一枚の絵画のようであった。
――尤も、その損壊した天井や壁の存在もまた、昼になれば日光が差し込む為、DIO様がここに長くとどまれない一因となっているのだが。
「それでは、まずは急ぎ本島へと向かわねばな…。一番近いのはE−2の鍾乳洞か」
「はっ」
本当はそのような品の無い場所はDIO様には相応しくないのだが、そこが一番近い日の光を避けれる場所である以上、選択の余地は無いに等しい。
日が昇るまでに移動でしそうな施設は他にも警察署と放送局があるが、街中へ行くと他の参加者と接触する事になり、思わぬ時間を喰う羽目になるかも知れない。
可能性の話とは言え、DIO様を要らぬデメリットにさらす必要などあってはならない。
それを考えると鍾乳洞という所は、地図に明記されているとは言え、そうそう人の近寄らない場所だ。次の夜までの拠点としてはうってつけだろう。
(全く、本当に自分達があの女の掌の上にいる事が癪に障る!)
DIO様に傅いた姿勢のまま、掌の肉に爪が食い込むほどに拳を握り締め、歯軋りをする。多少手に血が滲んだが、この程度の痛み、私の怒りの前には微かなものだ。
この屈辱、必ず数十倍にして八雲紫に返さねばなるまい。
おそらくDIO様とて、表面上はいつもどおり平静であられるが、内心ではさぞかしお怒りであろう。
「…だが、鍾乳洞では駄目だな」
「!?」
DIO様のその一言に、私は驚いて頭を上げた。
やはり鍾乳洞などというじめじめして品の無い場所ではお気に召されなかったのだろうか。
「状況が状況だったから話していなかったな……。ヴァニラ・アイスよ。お前も既に私と同じ吸血鬼になっているのだよ」
237 :
このままではヴァニラさんも死んでしまう!
◆YwLV7iJ2fw
:2011/11/03(木) 17:18:05.37 ID:7c1aF67U
―――今、DIO様はなんと仰った?
私がDIO様と同じ吸血鬼になっている!?
「死の直前の事は記憶に残らないか…まあ無理もあるまい。だが、事実なのだ。
お前がジョースターの始末に赴く直前、私は首のキズをなじませる為に、お前にの血を求めた。
そしてお前は自ら首を刎ね、私に生き血を捧げてくれた。しかし、お前を惜しんだ私の血で蘇ったのだ。私と同じ吸血鬼として」
そこまで言われてようやく、私の脳裏にその時の光景が蘇った。
確かに私はDIO様の求めに応じ、自らの首を刎ねたはずだった。
もしやと思い、自分の首筋に手を当ててみる。……傷の跡が無かった。
まさかと思い、ついさっき握り締めた掌を見る。……爪の食い込んだ傷口は既に跡形も無く、掌の中心がいくらか血で汚れているだけだった。
この私が! 同じ吸血鬼に!! DIO様と同じに!!
常にDIO様のお側にある事が! 同じ時を生きる事が!! 仕える事が出来る身体になれたとはッ!!
「理解したようだな……ヴァニラ・アイスよ。だが、だからこそ鍾乳洞では「駄目」なのだ」
歓喜に打ち震えていた私だったが、そのDIO様の言葉にハッと気付く。
そうだ。私も吸血鬼になっていると言う事は、私もDIO様と同じように、太陽の出ている間の行動が制限されるという事になり、
そしてそれはつまり、我々は「エリアをまたぐ、日光からの遮蔽物が無いエリアにとどまれない」と言う事だからだ。
地図を見る限り、E−2の鍾乳洞の周囲には、薄い森林が僅かにあるだけだ。木漏れ日などいくらでも差し込んでくるだろう。
となると、もし鍾乳洞を拠点としていて、そこが昼日中に禁止エリアになるような事があれば、それだけで我々は『詰み』となってしまう。
「…つまり必然的に当面の拠点は、影に入ったままエリアを越えれる――市街地と言う事になるという訳ですか」
「そういう事だ…。具体的にはD−2の放送局か、F−4の警察署のどちらかが望ましかろう」
「解りました」
238 :
このままではヴァニラさんも死んでしまう!
◆YwLV7iJ2fw
:2011/11/03(木) 17:20:22.39 ID:7c1aF67U
◇◇◇
かくして、向かうべき場所は決まった。
放送局。警察署。どちらにせよ、日が昇るまでの数時間の内に辿り着かなくてはならない。
となると残す課題は、根本的な問題。この殺し合いで私達がどう動くか(八雲紫への制裁を除く)だったが、これは私の杞憂だった。
「さて……では行くとしよう、ヴァニラ・アイス。あの思い上がったスタンド使い、八雲紫とやらを始末しに。
そしてこの島に喚ばれた全ての人間達を倒し、支配し、このDIO様こそがこの島の、そしてこの世の支配者だと知らしめる為にッ!!」
「ははっ!!」
【F-2/砦跡/1日目-深夜】
【主:DIO@ジョジョの奇妙な冒険】
[主従]:ヴァニラ・アイス
[状態]:健康
[装備]:不明支給品×2(なんらかの武器と防具)
[方針/行動]
基本方針:八雲紫を始末する。他の参加者に自分が支配者だと知らしめる。
1:日が昇る前に警察署か放送局へと向かい、当面の拠点とする。
2:他の参加者は倒すか支配する。
[備考]
※参加時期は26巻冒頭直後。その為、まだジョナサンの肉体は完全にはなじんでいません。
※八雲紫をスタンド使いと誤認しています。
【F-2/砦跡/1日目-深夜】
【従:ヴァニラ・アイス@ジョジョの奇妙な冒険】
[主従]:DIO
[状態]:健康・吸血鬼
[装備]:背負い袋(基本支給品。以下は背負い袋内)、折り畳みカヌー@現実、セラスの棺@HELLSING
[方針/行動]
基本方針:八雲紫を始末する。他の参加者にDIOが支配者だと知らしめる。
1:日が昇る前に警察署か放送局へと向かい、当面の拠点とする。
[備考]
※参加時期は26巻冒頭直後です。
※自分が吸血鬼になった事に気が付きました。
※八雲紫をスタンド使いと誤認しています。
239 :
このままではヴァニラさんも死んでしまう!
◆YwLV7iJ2fw
:2011/11/03(木) 17:27:14.09 ID:7c1aF67U
【セラスの棺@HELLSING】
その名の通り、セラス・ヴィクトリアの棺。いたって粗末な造り。
これがあればセラスでも流水の上を移動できる。
【折り畳みカヌー@現実】
組み立て式の二人乗り用カヌー(パドル付き)。軽くて丈夫。
折り畳みといっても実際に折り畳めるのはラバーの船体布だけで、骨組みは組み立て式のアルミサッシ。
240 :
創る名無しに見る名無し
:2011/11/03(木) 17:27:44.26 ID:EUXkaXER
投下乙です
タイトルで盛大にふいたwww
ヴァニラさんのキレっぷりは相変わらずだ
DIO様達は日光がネックだしなぁ、強マーダーだが活躍できるか?
241 :
◆YwLV7iJ2fw
:2011/11/03(木) 17:32:45.04 ID:7c1aF67U
投下完了しました。
投稿中に予約期間が過ぎるという薄氷を踏むようなギリギリの投稿になってしまいました。申し訳ありません。
>>225
地図更新お疲れ様です!
他の予約作品と開始位置が被らなくてホッとしましたw
>>240
お早い感想有り難う御座います。
タイトルは色々と悩んだ挙句こうなりましたw
242 :
創る名無しに見る名無し
:2011/11/03(木) 20:48:24.79 ID:mehFRXjs
地図更新&投下乙です。
タwwwイwwwトwwwルwww
ヴァニラの狂信は相変わらずだなぁ。
原作と違って吸血鬼になった事に気付いたが、これがどう影響するか…。
243 :
血まみれ 女王 クレイモア:
◆MSR/tu9uRE
:2011/11/03(木) 23:26:37.08 ID:e5kbHeqP
雨月竹露とは、そういう女である。
そう、例えば周りから偽善者だ何だとバカにされても、捨てられている犬猫を助けてしまったり。
或いは、突然空から学校のプールに落ちてきた、どう観ても尋常じゃない不気味な女に食事を作ってあげたり。
文字通りに、バカが付くほどのお人好し。
そしてだからこそ ―――。
◆◆◆
「はぁあぁぁ〜〜、豪人くん……」
溜息をつきつつ想い人の名を口にする。
月明かり星明かりのみの暗い夜空の元、短く切りそろえられた黒髪が微かに揺れている。
聖黒須学園剣道部の中でも一際小柄なその姿が益々小さく見えるのは、不安の為かそれともこの夜の粘つく闇のせいか。
「はっ! いくら名前を呼んだって豪人のバカはここにゃ居ないし、助けに駆けつけるなんてことを期待するもんじゃないね」
冷たく言い放つドレス姿の少女は、姫園リルカ。制服姿で嘆いていた雨月竹露の召還するゾンビ ――― 地獄の亡者 ――― である。
「そんなの分かってるよー! 別に、そーゆーんじゃなくて…」
ただ、心細さから意図せず口に出ただけ。
そこまで言葉に出来ずに、気恥ずかしげに口ごもる。
周囲は完全な闇。近くに大きな建物がある。深夜と思える時間に、さして灯りも無く人の気配もしないとなれば、心細くなって恋人に思いを馳せるのも自然な事。
まして、自分達がいつの間にか拉致され、訳の分からぬまま殺し合えなどと言われたとなれば、慌てふためき混乱するのが普通だろう。
「でも…ちょっと良かったよ」
「はァ? 何が?」
ぼそりと続けた竹露の言葉にリルカは怪訝そうに返す。
「だって、なんでかしらないけどさ。こうやってまた、リルカと話が出来るんだし」
少し微笑む竹露の顔を見て、リルカは再び思う。
そう。雨月竹露とは、そういう女である。
雨月竹露と姫園リルカが、生前交流していたのは、ほんの一晩。或いは数時間にも満たない。
ゾンビ使いとしての力の源である星を失い、しかし運命の弾丸によって一時的に怪物と化した姫園リルカは、特殊部隊の急襲により囚われてしまう。
運送用ヘリから脱出したものの、動けずに落下した先は宿敵でもある妹、れい子のいる聖黒須学園。
そこで否応なしに襲ってくる特殊部隊相手に共闘したほんの数時間。そのほんの数時間だけが、雨月竹露と姫園リルカの関わりだった。
竹露は、リルカを知らない。
リルカがゾンビ使いとしての才に溺れ、その力を元にこの世界をゾンビに満ちた死の王国へと変え、自らが女王として君臨するという野望を持っていた事を知らない。
そしてそのために、幼児の頃に父母を謀殺し、その後も敵対する者、邪魔する者、全く無関係な者、そしてその野望を阻止せんとする妹れい子の仲間友人など多くの人間を平然と殺していった事も、知らない。
ただ、ヘリから逃れ、体力を失い窮していたのを観た竹露が、何等他意無く助けた。それだけの事だった。
れい子は言う。
「竹露は、今まで姉さんの周りに居なかったタイプの人間だ」
部下。敵対者。そして無関係な一般人。
邪悪な野望に取り憑かれたリルカの周りに居た人間の反応は、欲望か、敵意か、恐怖だけだ。
リルカ同様の邪な野望を満たすために従う者か、敵意を持って刃向かう者か、恐れおののき怯える者か。
雨月竹露は、そのどれでも無かった。
そしてだからこそ ――― 死の間際の姫園リルカ唯一の友となり、死して地獄に堕ちたリルカの、"召還者"となったのだ。
実の妹れい子とすら、憎しみでしか結びつくことの出来なかったリルカにとって、唯一無二の存在。
雨月竹露とは、そういう女である。
244 :
血まみれ 女王 クレイモア:
◆MSR/tu9uRE
:2011/11/03(木) 23:27:58.49 ID:e5kbHeqP
◆◆◆
「こりゃまた、ちょっとした要塞だね」
地図上に"博物館"と書かれたその建物を観た、リルカの第一声である。
事実その建物、クレイマン博物館は、堅牢なゴチック様式の古い外観が要塞めいているという事以前に、真実本当に要塞としての機能を備えた博物館だ。
奥深くに封印された、邪悪な魔女カーミラ・エステバンの魂である"魔女の石"を外部から守るため。或いは、外へと逃げ出さず捕らえたままにしておくために建造されたものなのだ。
しかしそんな事は、竹露もリルカも知らない。
リルカにとって重要なのは、この建物に自分が今求めている機能があるかどうか。それだけなのだ。
「入るよ」
そう言って先に立って進んでゆく。
建物内は真っ暗で灯りもないが、既にゾンビと化したリルカにはあまり関係がない。
「わっ、わっ、ちょ、ちょっと待ってよリルカ!」
慌てて付いていく竹露は、躓き転びそうになりながら正面ロビーへと向かう石の階段を昇る。
しんと静まりかえった博物館内は、流石に月明かりすら届かない。
荷物の中にあった懐中電灯を手に、竹露は慎重にリルカの後を追う。
「うわ〜、深夜の博物館って、なんか本気で不気味だよね…」
本当の本気で怖がっているのか分からない口調だが、やはり微かに震えている。
雨月竹露はつい最近になってゾンビ使いとしての才に目覚めた。
元々性根は据わっている方だし、いざとなれば恐れを退け戦うことも出来るが、かといってそれまで幾度となく修羅場をくぐり抜けてきたリルカやれい子に較べれば、やはり経験の差が大きい。
持ち前の根性と生来の優しさに、剣道の腕前。そして何より、姫園リルカをゾンビとして召還できる事のみが、竹露の武器なのだ。
博物館内には中世イギリスの物を中心とした展示物が残されている。
中には甲冑だとか刀剣類などの武器が残されているが、いくら竹露が剣道有段者とはいえ、小柄で非力な彼女に使える物は少ない。
「…しかもご丁寧に、刃は潰してあるか…」
使うとしたら、巨大で重い鉄の棒としてのみ、という事になる。
2階、3階を一通り見て回り、リルカは地下階を目指す。
「ねェ、リルカ。何か探してるの?
何探しているかわかんないけど、まずれい子ちゃん達と合流した方が良いんじゃないかな?」
「ああ、そうね。れい子ね。
探すわよ。あんな妹でも、今なら役には立つ。
でも…見つかった」
245 :
血まみれ 女王 クレイモア:
◆MSR/tu9uRE
:2011/11/03(木) 23:29:14.04 ID:e5kbHeqP
◆◆◆
その地下室は、元々はクレイマン博物館内で決して公に出来ない物を安置、補完しておくために作られた場所だ。
つまりは、魔女カーミラの遺物である"魔女の石"を、である。
この要塞めいた博物館内で、さらには最も厳重かつ安全な場所。
空調も完備してあり、扉は鋼鉄製。最も重要なものを守るための場所。
「ちょっと! リルカ! 何してんのよ! どーゆーつもり!?」
中から聞こえる声は、さほど大きくは響かない。分厚い壁と扉に吸収されている。
「ちょっとそこで待ってな。周りの安全を確認してくるだけさ。
ついでに、見つかったられい子も連れてくるわ」
扉の外に大きな大理石の像を数体置いて、実質閉じこめた状態。
食べ物や水など含めた、全ての荷物は竹露と共に部屋の中へ置いておいた。
死して地獄に堕ち、ゾンビと化したリルカには、それらは必要無い。
暗闇でも敵の気配は分かる。素手でもたいていの人間なら引き裂ける。水も食料も必要ない。
そして、立ちはだかる者を平然と殺せる。
女だろうと子どもだろうと、油断もしないし容赦もしない。
音がした。
爆発音だ。
博物館の周囲数�qのエリアの安全を確認していたそのときだ。
音の発信源へと駆けつけると、遠目に3人ほどの男女に、血と火薬の匂い。
へぇ、早速、殺る気まんまんじゃないかい。
男は2人とも背が低い。子どもだろうか。リルカより若いかもしれない。
だが、そんな事は関係ない。
姫園リルカは、敵と見なした者であれば、平然と殺せる。
女だろうと子どもだろうと、油断もしないし容赦もしない。
何より、自分自身が、幼児の頃から平然と殺戮を行ってきたし、自らの両親さえ殺しているのだ。
地獄の女王姫園リルカには、今更殺人を忌避する心はない。
彼女が第一に考えているのは、雨月竹露の"安全"である。
唯一リルカを「友だち」と呼んだ、雨月竹露のゾンビとして、彼女を守り通す事。それのみである。
とはいえ、リルカには瞬間の閃きや卓越し鍛えられた戦闘技術に、ゾンビとしての脅威的身体能力はあっても、かつて部下の志呂子に指摘されたとおり、計画性や戦略性はほとんど無い。
その異常な性格と能力を除けば、ただの「学校にもろくに通ってない無学な17歳」でしかないのだ。
だから、リルカの考えた事はこうだ。
ひとまず竹露を安全な場所に隠す。
しかる後数時間周りを探索して、危険な輩を一掃する。
それを繰り返し、れい子が見つかればれい子に竹露の守りをやらせる。
最終的に殺し合いの勝者を目指すかとか、いずれれい子も殺すことになるのかとか、そんな事は後回しで良い。
れい子を殺したら、竹露は私を恨むだろうなと、そうは思う。思うが、必要となればそうするだろうとも思う。
あの八雲とかいう女をどうするかというのも、後回しで良い。
まずは数時間ずつを凌いでき、成り行き次第でなんとかする。
無計画で戦略性など無いが、リルカにしてはまだ、上出来な指針といえたかも知れない。
まずは…あの爆弾魔の連中をさくっと始末しておくか…。
あいつらが今さっき誰かを殺したのは間違いないだろうし、爆弾なんか持って博物館に行かれたら竹露の身も危うい。
右手に掲げた両手剣、クレイモアは、博物館内から持ってきたものだ。
重く、硬い、ただの鉄の棒としてしか使えぬ代物だ。
それをもって、迅速に、速やかに、叩き潰す。
「女王リルカを…お嘗めでないよッ……!」
姫園リルカとは、そういう女である。
246 :
血まみれ 女王 クレイモア:
◆MSR/tu9uRE
:2011/11/03(木) 23:29:41.11 ID:e5kbHeqP
----
【E-5/クレイマン博物館地下室/1日目-深夜】
【主:雨月竹露@ゾンビ屋れい子】
[主従]:姫園リルカ@ゾンビ屋れい子
[状態]:健康
[装備]:背負い袋(基本支給品)、不明支給品x3
[方針/行動]
基本方針:れい子ちゃんと合流!
1:いやー、出して〜。
[備考]
※参加時期はイーヒン編終了後です。(8巻)
【D-5/林の中/1日目-深夜】
【従:百合川サキ@ゾンビ屋れい子】
[主従]:姫園れい子@ソンビ屋れい子
[状態]:健康
[装備]:鋼鉄のクレイモア@現実
[方針/行動]
基本方針:雨月竹露を守る。
1:竹露の害になりそうな輩をブチ殺す。
[備考]
※参加時期はイーヒン編終了後です。(8巻)
247 :
◆MSR/tu9uRE
:2011/11/03(木) 23:33:15.24 ID:e5kbHeqP
以上にて、
雨月竹露/姫園リルカ
を投下、おしまい。
ちなみにこれは、ししまい。
248 :
◆MSR/tu9uRE
:2011/11/03(木) 23:47:44.25 ID:e5kbHeqP
あ、状態表コピペって間違えている!
訂正
----
【E-5/クレイマン博物館地下室/1日目-深夜】
【主:雨月竹露@ゾンビ屋れい子】
[主従]:姫園リルカ@ゾンビ屋れい子
[状態]:健康
[装備]:背負い袋(基本支給品)、不明支給品x3
[方針/行動]
基本方針:まずはれい子ちゃんと合流!
1:いやー、出して〜。
[備考]
※参加時期はイーヒン編終了後です。(8巻)
【D-5/林の中/1日目-深夜】
【従:姫園リルカ@ゾンビ屋れい子】
[主従]:雨月竹露@ソンビ屋れい子
[状態]:健康
[装備]:鋼鉄のクレイモア@現実
[方針/行動]
基本方針:雨月竹露を守る。
1:竹露の害になりそうな輩をブチ殺す。
[備考]
※参加時期はイーヒン編終了後です。(8巻)
249 :
創る名無しに見る名無し
:2011/11/03(木) 23:55:02.61 ID:OKGD//Bn
投下乙です
タイトルがおまwww
とりあえず危険な連中だがまずは拠点探しか
夜か昼でもそこに来た連中は危ないな
ちなみに相手はスタンド使いじゃないぞ。真実を知ったらどうなるやら…
この二人はよく判らんが片方は頭の悪い危険な奉仕マーダーだなあ
て、誤解で爆弾魔認定されたがまずいなあ…
次は戦闘か?
250 :
◆DZllJyXPF2
:2011/11/04(金) 03:46:06.39 ID:ml9j/o9P
したらばの仮投下スレの方に、龍之介・キャスター組を投下させていただきました。
できればご意見の方よろしくおねがいします。
それと◆MSR/tu9uRE氏、投下乙でした
主人を軟禁する従者とはまた新しいパターンww
リルカの思考も物騒すぎる……先が心配だ
251 :
創る名無しに見る名無し
:2011/11/04(金) 14:50:37.57 ID:RZ5PxbuG
投下乙です。
誤解フラグはロワの華!
…でも今回は誤解された側が圧倒的に弱者!
三人とも逃げてー!w
ところで◆YwLV7iJ2Fwさん。予約時間、投下終了時でもギリギリ間に合ってますよ?
252 :
◆DZllJyXPF2
:2011/11/04(金) 21:46:18.19 ID:uCQ5i2CB
投下させていただきます。
253 :
謀略の夜
◆DZllJyXPF2
:2011/11/04(金) 21:47:15.03 ID:uCQ5i2CB
最初に説明しておくと、雨生龍之介のテンションは最高潮であった。
「く…………COOOOOOOLッ!!!」
此度の殺し合いの舞台となった孤島の南の外れ。
地図上では【F−5】と記されたその場所に建つ神社の境内で、
龍之介は先程見せられた光景に対する興奮を、包み隠さず表現していた。
「なんつーCOOLなコトやらかしてくれるんだよ、あの紫って女!
殺し合い?このご時世にそんな馬鹿みたいなこと考えるヤツがホントにいるのかよ!
いいねぇいいねぇ!そういうブッとんだ考えって大好きだよ俺!
それに加えて地獄だって?スゲェ!
俺地獄なんて見たことねぇけど、想像してたモンよりずーーーーーっとスッゲェとこみたいじゃん!
何をどうやったら、あんな声で人間が鳴くんだろ……想像しただけでワクワクが止まらねぇや!」
背負い袋のたまたま入っていた鉄製の扇を振り回して小躍りする青年の姿は、
お気に入りの玩具を手にした子供のように無邪気で、未知の迷宮を発見した冒険家のように好奇心に満ち溢れていた。
死という存在の本質を知りたいがために、心の赴くまま何十人もの人間の命を奪った純真無垢な快楽殺人者。
それが、この殺し合いの地に呼ばれた主従の“主”雨生龍之介である。
「ああ、生で見たらどうなるってんだろうなぁ……リアルで見てみたいなぁ……!
ん?地獄ってリアルで見るにはやっぱり死ななきゃいけないのか?
そこんとこどうなんだろ、生きたまま地獄だけ見て帰ってくるって出来んのかなぁ……
―――ねぇどう思う、青髭の旦那ぁ?」
254 :
謀略の夜
◆DZllJyXPF2
:2011/11/04(金) 21:47:55.70 ID:uCQ5i2CB
散々1人ではしゃぎまわっていた龍之介は、ふっと浮かんだ疑問に答えを求めて後ろを振り返る。
振り返った先……神社の賽銭箱の側に、1人の男が立っていた。
雲を突くような長身に漆黒のローブを纏い、浮世離れした雰囲気を持つ土気色の顔をした男。
両生類を思わせる大きな瞳が、時折何かの思考に気難しげに細められる。
青髭の旦那と呼ばれたこの人物こそが、龍之介の“従”キャスターという名で名簿に記されている男だ。
その真の名をジル・ド・レェ。
英仏百年戦争のフランス軍の元帥にして、黒魔術と悪魔召喚に心酔した“聖なる怪物(モンストル・サクレ)”
聖杯の奇跡によって呼び出された、魔術師の英霊(サーヴァント)である。
もっとも、龍之介は旦那のことを従者だなんて全く思っていない。
それどころか、自分が彼から学んだ素晴らしき死と恐怖の哲学を考えれば、龍之介の方こそ彼の弟子と呼ぶべきかもしれないのだ。
そんな従者であり師匠でもあるこの男は、先程から一冊の「本」を手にしたまま何かをブツブツと呟いている。
支給された背負い袋から取り出された本には、龍之介もよく見覚えがあった。
元々、青髭の旦那の持っていた本―――彼が不思議な術を行使する時に使用する、人の皮膚によって装丁された書物である。
どうにも気になり、龍之介は彼の傍らに寄っていく。
「なぁ旦那、さっきから何かもごもご呟いてるけどどうしたの?
その本って旦那がいっつも持ってる奴だよねぇ……なんかおかしなことでもあった?」
「おかしな事……そうですね」
ぎょろり、とキャスターの視線が龍之介に向けられる。
「確信は深く持てませんが……少しばかり、試してみた方がよいのでしょう。
リュウノスケ、少し下がっていてください」
「えー?」
怪訝な顔をしながらも龍之介が後ろへ下がったのを見ると、キャスターは手にした書物を広げた。
細長い指がページを捲り、目当てらしき場所で、その指が止まる。
「■■■■、■■■■■■■■―――」
龍之介には上手く聞き取れない、聞き取れたとしても意味を理解することはできないであろう言葉。
唯一理解できたのは、キャスターがいつも怪物を呼び出す時に紡ぐ呪文……ということだけ。
255 :
謀略の夜
◆DZllJyXPF2
:2011/11/04(金) 21:48:39.97 ID:uCQ5i2CB
キャスターの手にする書物から溢れ、夜気を震わせる異能の波。
魔書とその持主たるキャスターから放たれる、常人には知られることのない「魔力」の奔流。
その迸る力を受け……キャスターの目の前、境内の石畳の上に赤黒い異物が湧き出る。
極限まで濃縮された血の様な色をしたそれは、うねり、膨れ上がり、異形の姿と変貌を遂げ―――
ごぽり。
と、呼び出されようとしていた異形が揺らぐ。
赤黒い表面が沸騰するように沸き立つと、ぶるぶると震え………爆ぜた。
ぶしゅう、と大きな音を立て、生命になりそこなった肉塊が破裂する。
沸き立つ血液が溢れ、血煙となって辺りに流れ出る。
「うわ……」
別にスプラッタな物には慣れっこだが、むせかえる血の臭いに顔をしかめる龍之介。
キャスターはその光景に「ふむ」と頷き手にした本をぱたりと閉じた。
「やはり、そうですか。
……ヤクモユカリ、と言いましたか。なかなか厄介な真似をしてくれる」
「え?あの、旦那……1人で納得しないでほしいんだけど……
どういうことか説明してくんない?」
小首を傾げる龍之介に、キャスターは穏やかな笑みを作って振り返る。
「リュウノスケ、私がこの書物をいつも何に使っているか覚えていますか?」
「とーぜん、旦那が怪物呼びだしたり、不思議なチカラ使う時に読んでる本でしょ?」
「ええ、その通り。この魔書は我が盟友が遺してくれた物。
これにより私は自らの魔力を気にすることなく、数々の秘術を使いこなすことができる」
しかし、とキャスターは言葉を途切れさせ、表情を歪める。
「―――忌々しいことに、この魔書になんらかの細工が施されているのです。
普段のように書から無限の魔力を引き出すことができず、術自体にも枷が掛けられている。
……十中八九、あのユカリという者の仕業でしょう。」
256 :
謀略の夜
◆DZllJyXPF2
:2011/11/04(金) 21:49:15.55 ID:uCQ5i2CB
苦々しげに語るキャスターに、龍之介は彼の言った事を反芻する。
一拍、二拍の沈黙の後、龍之介は驚愕して慌てふためいた。
「えっ……つまり、いつもみたいに怪物呼びだすとか、真っ二つになっても死なない様にするとか……
あの力、使えなくなっちゃったの!?」
「完璧に使えない、という訳ではありません。
記された術には使える物もありますし、私自身の魔力を書に送り込めば、ある程度は行使することができるでしょう。
幾分普段より劣った力になることは避けられませんし、消費する私自身の魔力も少なくはないでしょうが……ね」
そんな、と悲しそうにうなだれる龍之介に、キャスターは申し訳なさそうな顔を向ける。
子供のおねだりを聞いてあげられない親の様に優しげなその笑みは、異形の怪物を操る魔術師としての側面は一片も感じられなかった。
「すみません、リュウノスケ……この異様な戦いの地では、私の力を存分に振るうことはできない。
普段の力さえあれば、すぐさま他の主従達を皆殺しにすることも可能なのですが……」
「……やだな、そんな事言わないでよ旦那」
謝罪の言葉に、慌てて龍之介は顔を上げて弁解する。
「そもそも、俺がいっつも旦那に頼りっぱなしなのが駄目なんだしさ。
細工されちゃったもんはどうしようもないし、仕方ないよ。
何とかして細工を解くか、旦那の負担が少なくて済むように俺が頑張ればいいんだよ」
「ありがとうございます、リュウノスケ。
幸いにも術を使う術は、私自身の魔力を使う以外にも手段は残されている。
いつものように贄の血肉を介して召喚の呪詛を紡げば、多少は負担を軽減する事が出来るでしょう」
「ニエ?贄……ああ!それって死体のことね!
オッケーオッケー!なら話は簡単だ!いつもの様に何人かちょちょいっと引っ掛けて、ズパッとやっちゃえばいいんだろ!
真正面からの殺しは苦手だけど、お人好しそうなのを騙すのなら大得意だし……なんとかなるって、旦那!」
ぽんぽんと安心させるようにキャスターの肩を叩き、笑いかける龍之介。
その姿を見、キャスター自身も安堵の笑みを浮かべて微笑んだ。
―――全くもって余談だが、雨生龍之介とキャスター“ジル・ド・レェ”
この2人は第四次聖杯戦争において、1,2を争うほどに強い絆によって結ばれたペアである。
龍之介はキャスターを自らの狂った感性の共感者、ひいては殺人の師と仰ぎ。
それ対してキャスターは、特異な世界観・哲学を持つ龍之介に対し敬意を評す。
王道な主従の繋がりではなく、倫理の楔から外れた異常者達に生まれる同族としての繋がり。
それこそが2人の間に、奇妙奇天烈な絆を作り上げていた。
257 :
謀略の夜
◆DZllJyXPF2
:2011/11/04(金) 21:50:00.21 ID:uCQ5i2CB
キャスターの顔から悲しみの色が消えたのを見ると、龍之介はよし、と気合を入れるように声をあげた。
「まずは当面の方針が決まった所でさぁ、これからどうする?旦那。
やっぱ、俺達以外の人間皆殺しにしちゃう感じ?」
「勿論、と言いたいところですが……少しばかり、様子を見た方がよさそうです。
私達以外にもどんな人間がいるか分かりませんし、できれば私の魔力も温存したい。
……何よりあのユカリという者の言った事、それがが全て真実かどうかは疑わしい。
戦の礼儀を知らない相手に、律儀に約束を守る気があるかどうかも怪しいものです。
それに我が盟友の書物に手を加える程の異能の術……それがある以上、侮ってかかれる相手ではない」
「あー、そりゃそうだ……そう考えるとムカツクよねぇ、あの女。
こっちの都合も考えないで勝手に呼び出しやがってさぁ、せっかく旦那がスッゲーお祭り騒ぎの企画立ててたのに」
頷く龍之介に、弟子を導くようにキャスターが続ける。
「ええ、そのことは残念という他ありません。
しかし、かの地で宴を催せなかった事を嘆く必要は無い……
多少難易度は上がりますが、ここでも同じような宴を催せばいい」
「おお!さっすが旦那!こんな時でもCOOLな事する気満々じゃん!」
目を輝かせる龍之介に、キャスターは気を良くした様に笑いながら言葉を続ける。
「まずは我が軍勢を呼び出す為の贄の捕獲。私達の安全の為にも、これは最優先で行うべきでしょう。
それと並行し、あのヤクモユカリの情報を集めるとしましょう。
ここには少なからぬ参加者がおり、またこの地をあの者が用意したのなら、なんらかの痕跡も残っているはず。
どのような力を持っているか、あの者の元へ至る方法はあるのか、何が目的でこの殺し合いを行うのか……なんでも良い。
状況把握は、戦に勝利する道への重要な足がかりとなるのですからね」
何か質問は?という視線を龍之介に向け、キャスターはそこで言葉を止めた。
「うん、よく分かったよ旦那。
言いなりになるのも気に食わないし、あの女を出し抜く方法も探さなくちゃな!」
「ええ、その通り……我らが従う理由はなく、道理もない。
相手が手段を選ばないのですから、こちらも選ぶ必要はありません。
―――それでは、」
魔術師はニコリと聖者のような笑みを浮かべ、マスターへ告げた。
「我らが求める至上の殺戮、神へ見せつける嗜虐と絶望の宴の為に。
参りましょうか、リュウノスケ」
「合点だぜ、青髭の旦那!
俺がアンタについてくのに、つまんねぇ許可なんかいるもんか!」
258 :
謀略の夜
◆DZllJyXPF2
:2011/11/04(金) 21:50:23.98 ID:uCQ5i2CB
笑い合う主従はとても平和で、キャスターの時代錯誤な衣装を除けばどこにでもありそうな光景だった。
彼らの人となりを知らなければ、ここが殺し合いの地でなければ、違和感のないものだった。
ただ、神社の石畳の中央に色濃くその痕跡を残す、生命になりそこねたおぞましい肉塊が。
ここが殺戮の地であり、彼らが紛れもない異常な存在であることを、血の香りと共に物語っていた。
【F-5/神社/1日目-深夜】
【主:雨生龍之介@Fate/Zero】
[主従]:キャスター@Fate/Zero
[状態]:健康、令呪3画
[装備]:鉄扇@うたわれるもの、背負い袋(基本支給品、不明支給品x2)
[方針/行動]
基本方針:青髭の旦那に付いていく。
1:旦那が怪魔を呼ぶ為の生贄を探す。
2:八雲紫についての情報を集める。
3:殺せる相手は、いつも通り楽しく殺す。
※参戦時期は巨大海魔召喚の直前です。
※名簿未確認。
【F-5/神社/1日目-深夜】
【従:キャスター@Fate/Zero】
[主従]:雨生龍之介@Fate/Zero
[状態]:魔力消費(小)
[装備]:螺湮城教本@Fate/Zero
[方針/行動]
基本方針:殺し合いを盛り上げつつ、八雲紫を出し抜く術を探す。
1:怪魔を呼ぶ為の生贄を探す。
2:八雲紫についての情報を集める。
3:螺湮城教本の制限を解きたい。
※参戦時期は巨大海魔召喚の直前です。
※名簿未確認。ジャンヌ(セイバー)が参戦していることに気付いていません。
259 :
謀略の夜
◆DZllJyXPF2
:2011/11/04(金) 21:50:58.94 ID:uCQ5i2CB
【鉄扇@うたわれるもの】
ハクオロがヤマユラの集落の長トゥスクルより授かった鉄扇。
リーチは短いが、打、斬、突の武器として使える他、広げて矢などを弾く楯としても使える。
【螺湮城教本(プレラーティーズ・スペルブック)@Fate/Zero】
人間の皮膚で装丁された書物。深海の水魔の類を召喚し使役できる。
呪文が記されているだけの紙の束ではなく、それ自体が大容量の魔力炉を備えている。
キャスターはこれから呪文を読み取って行使するのではなく、魔力の発動源であるこれを自在に使役する。
作中では表紙を裂かれても復元したことから、ある程度の自己再生能力を持つと思われる。
ロワ内では以下の制限を受けている。
・使用可能な魔術は「怪魔の召喚」と「治癒」のみ。
・怪魔の召喚には、使用者の魔力消費(大)を必要とする。
・生贄(死体や人体の一部等)を使用することにより、魔力消費を軽減する事が可能。
・召喚された怪魔が倒された場合、その怪魔を生贄として新たな怪魔を召喚することは可能。ただし魔力を必要とする。
・怪魔の大きさは成人男性と同程度。
・治癒魔術の魔力消費は治す怪我の度合いによって変わる。ただし致命傷を治す事はできない。
260 :
◆DZllJyXPF2
:2011/11/04(金) 21:51:48.38 ID:uCQ5i2CB
以上で投下終了です。
261 :
創る名無しに見る名無し
:2011/11/05(土) 01:08:28.07 ID:HKAAbPvf
投下乙です〜。
またロワ充が増えやがった!w
絶対有り得ないだろうけど、こいつと光秀が組む事になったらさぞかし愉快だろうなぁ。
それにしても聖上。あなたの大事な鉄扇は、とんでもない人の手に渡ってしまいましたw
位置的にも島の反対側だしなぁ……手元に戻ってくるかなぁ…。
262 :
◆5.g1Aj/XLM
:2011/11/05(土) 02:18:03.00 ID:vew87YcX
遅れましてすみません
これよりダース・ベイダー、ダース・シディアス投下します
263 :
創る名無しに見る名無し
:2011/11/05(土) 02:20:56.37 ID:vew87YcX
漆黒の闇に包まれた森のその奥深く。
その闇をさらに凝縮したかのような人影が2つ、佇んでいた。
かたや全身を黒き甲冑に身を包み、仮面にて顔を隠し不気味な呼吸音を繰り返す騎士。
銀河にその名を轟かせたダース・ベイダー。
かたや黒きローブに身を包んだ老人。
銀河帝国皇帝にしてフォースの暗黒面を支配するシスの暗黒卿、ダース・シディアス。
バトルロワイアルというシステムに組み込まれたことに対する二人の戸惑いは、無いとは言い切れない。
しかし両名ともにこのような危機に直面したことはこれまでいくらでもある。
誘拐されて幽閉されたことなど数えきれない。
丸腰で大怪獣の目の前に突き出されたこともあった。
その危機をすべて機知と勇気と技量によって克服してきた二人にとって、この状況は狼狽するモノではない。
そう、考慮すべきは銀河帝国の深奥、余人の手の届くところにないはずの銀河皇帝を誘拐せしめた主催者の手際なのである。
皇帝といえど、かつてはグランドマスター・ヨーダの暗殺を身一つで撃退したシディアスを、である。
しかも銀河有数の腕利きであるダース・ベイダーごと。
尋常の手合いでないことは確かであろう。
そしてそれほどのことをやってのけたあの主催者の名を、シディアスは知らなかった。
銀河の表も裏も熟知しているシスの暗黒卿が。
皇帝は自らの情報網の至らなさ、そしてこのような手練をみすみす見逃していた自分をしばし恥じたのちに、ふと想起した。
かつてフォースより警告されていた予知である。
銀河系外からの侵略者
馬鹿げた予知とは思っていたが準備を怠っていたわけではない。
なにせフォースである。
宇宙の意志なのだ。
絶対である。
それが為もあって銀河帝国を一枚岩として成立させた。
軍事力を一つの意思にまとめ上げ、外敵の侵入に備えた。
抑止力としては強大すぎるデススターの建設そして再建を急がせたのも、未知の敵に備えてのものである。
そして今現在置かれた状況と主催者の未知なる力も、既知外の力のなせる業と考えるのならば合点は行く。
予知は的中したのだ。
皇帝にとっては全くありがたくない、おそらくは最悪に近い形で。
無論、己の無力を宇宙人などという馬鹿げた妄想に責任転嫁している、という思考も脳の端にはあるが。
264 :
幻燈蝶蛾銀河帝国
◆5.g1Aj/XLM
:2011/11/05(土) 02:21:42.81 ID:vew87YcX
ともかくもこの場に空気はあり、適温適湿で呼吸も問題なく出来る。
そのような環境で居住可能な惑星など銀河には数が限られている。
惑星でなくとも50人を超える人間が主催者曰く最大3日も生活できる宇宙船、宇宙ステーションも限られている。
今までの所ハイパースペースに入った様子もないので、現在地は未だ銀河系内であろう。
ならば皇帝不在の緊急事態に、帝国軍はこぞって捜索隊を出し、ここを探し当てる。
それにかかる期間は…
「捜索隊がここを見つけ出すまでに3日、というところでしょうか陛下」
黒衣の騎士が皇帝の意思に気付いたかのように告げた。
フォースの使い手が他人の思考を読むのは別段不思議なことではない。
意思の集合体であるフォースを操るということは、人の意思を感知できるということだからである。
ただ達人は自らの意思を気付かせない。
シディアスが同じくフォースを操るジェダイたちを出し抜いてきたのは意思の隠蔽が敵対する誰より巧みであったからだ。
その彼が自分より力も技術も劣る弟子に、思考を悟られるわけがない。
単に思考の帰結が同時に達しただけのことだ。それも気にくわないことではあるが。
シディアスは自分を納得させると、鷹揚に肯いた。
「このふざけたゲームが終了するまで、臣民は我らを見つけ出すことが出来ぬ、ということだな」
最後の一組が主催者の言うとおり無事に帰される可能性もなきにしもあらず。
ただ他人を信用するということがない皇帝にとって、主催者が約束を守るとは考えられなかった。
ならばどうするか。
脱出か、主催者の打倒である。
そのいずれにしても人智を超えた主催者を出しぬく必要があり、それは非常に困難に思えた。
だがそれは彼個人の力のみで考えた場合である。
他人を利用し使役し支配することに関して、銀河において彼の右にでるものはないであろう。
その際を最大限に利用し、他人を踏み台にすれば目標の達成は決して無理なことではない。
幸運にもここには自分の意のままに動く男がいる。
しかも銀河においてこれ以上の人材もない。
…いや、支給された名簿に、そして彼が知りうる限りにおいてももう一人、匹敵する人間が居た。
「陛下、名簿を見た限りルーク・スカイウォーカー。きゃつめもこの会場内に居るようです
フォースの力がこの場においては若干弱まるせいか、これほど狭い空間にいるのに居場所を探れませんが」
光のフォースを操るボランティア軍の英雄にして、帝国最大の邪魔者。
グランドマスター・ヨーダ亡き今、暗黒面を脅かす、ただ一人のジェダイマスターである。
またしても思考を先読まれたかのような錯覚に陥ったシディアスは苦虫を噛み締めるかのように声を絞り出す。
「あやつの力は非常に有用。状況の打開のためにも出来れば暗黒面に引き入れたいものだ」
皇帝の言葉に黒衣の騎士もまた肯く。
強大なフォースの使い手は、また暗黒面に近づく。
困難な状況であればあるほど、彼の者は力を求め、その求めは必ずやフォースの暗黒面に至るであろう。
かつてジェダイの戦士として活躍したダース・ベイダーが暗黒面へと堕ちたのと同様に。
ましてやルークは暗黒面に興味を持っている。
なぜなら彼の父こそ、皇帝の傍らにて忠誠を誓う黒衣の騎士、ダース・ベイダーその人だからである。
265 :
幻燈蝶蛾銀河帝国
◆5.g1Aj/XLM
:2011/11/05(土) 02:22:08.34 ID:vew87YcX
シディアスがアナキンを虜としたのはアナキンの妻であるパドメの寿命を示唆してのことであった。
軍門に下ればパドメの死を回避することができる、と。
結果アナキンはシディアスの部下となり、ダース・ベイダーとなった。
状況としては今はその時と似ている。
バトルロワイアルという困難な状況。肉親というコマが手元にある有利。
なによりも血が、ジェダイを裏切ったアナキンの血が、ルーク・スカイウォーカーには流れている。
蕾はすでに開花の瞬間を待っている。あとは両者が邂逅するのを待つのみ。
そして彼らの出会いはフォースが導くであろう。
銀河という拡大し続ける広大な舞台ではない。地図が示すとおり、広いといっても限りのある空間だ。
シディアスとベイダーとルーク。
三者は必ずや出会うであろう。
これは運命であり、必然である。
そして銀河を代表する三人のフォースの使い手が揃えば、困難など存在しない。
最悪でもベイダーとルークを使い潰せば、悠々とこの場を脱出することができるであろう!
「支給品に武器は一つでした。他はどうでしょうか」
眩しい未来予想図に水を刺すかの如く、ダース・ベイダーは大剣を取り出して告げた。
支給品はすでに確認済みである。
残念なことに手持ちの武器は見当たらなかった。
優美なライトセイバーや、野蛮なブラスターでもあれば先の展開も進めやすかったが致し方ない。
「いや、残念ながら有用なものはない」
無論自衛だけを考えるならば皇帝にとってはライトセイバーすら必要ではない。
シスの暗黒卿が両腕から放つ「シスの雷」は強力無比であり、ストッピングパワーに優れた武器である。
両手両足を機械のものと置き換えているベイダーには不可能な技。
そして師匠と弟子を分ける絶対的な壁がそこにある。
シディアスもこの技を習得することによって、師であるダース・ベレイガスを越えたことを自覚し、師の闇討ちを決意させた。
彼にとってこの技を習得し得ないベイダーは相手ではなく、それが故に裏切られても返り討ちにする自信があった。
フォースによる先読みに関してもシディアスのそれはベイダーを上まっており、不意を突かれる危険性もない。
第一、帝国内においては皇帝は絶対である。
もしベイダーが皇帝を弑逆しようものなら、決定的な混乱に陥るより圧倒的に早く帝国軍がベイダーの息の根を止めるであろう。
師匠を殺すということは、殺した後の未来を生きるという事である。
ソレが見込めないのならば師匠殺しをする必要はない。
それにそのような思考に至らぬように、弟子へのマインドコントロールも万全にしておいた。
かつての自分と同じように弟子に殺されるという失態はありえない。
帝国内においては。
そしてここは帝国内ではない。
266 :
幻燈蝶蛾銀河帝国
◆5.g1Aj/XLM
:2011/11/05(土) 02:23:44.94 ID:vew87YcX
■
「ならば貴様にワシを止める力はないということだ!」
黒衣の騎士は大剣を手に疾風の如く飛びかかる。
数瞬前ではあるがその襲撃をフォースによって予知していたシディアスは剣の軌道から身を反らす。
半歩体を躱しただけではあるが、これで十分であると判断した。
そして無様にも空振りに終わった斬撃に身体を引っ張られた愚かな弟子めがけて、雷を投げかければ大勢は決する。
確信を持って身を捻った皇帝の身体を、白銀の残光を伴って斬撃が通りすぎる。
だが上段より袈裟懸けに振り下ろされたそれは、シディアスの脇腹を切り裂いた!
斬られた者、そしてなにより打ち下ろした者に衝撃が走る。
シディアスにとっては確実に避けられた攻撃である。
ベイダーにとっては牽制にすぎない一撃である。
しかし当たった。
当たっただけでなく左腕を支える左脇腹の筋をえぐった。
シディアスの左腕が痺れるように痛みを発し、興奮状態であるというのにもはや力が入らない。
実際の痛みや傷、左腕の状況など問題ではない。
問題なのは確実に避けられた攻撃を一撃を食らったということ。
混乱した。
フォースによって得られた先読みの力が意味を為していない!
驚愕が両者を支配した。
どういうことなのか分からない。
今が生死を分かつ瞬間だというのに体が動かない。
時間にすれば極僅か。
一秒にも満たない。
刹那といっていい。
二人にとって見れば永遠とも言える時が過ぎ…
硬直をより早く抜け出たのは襲撃者。
ベイダーがシディアスより身体を自由に出来た時間は数瞬であろう。
しかし達人にとってはそれで十分であった。
大上段に構え、一直線に振り下ろす。
わずかに身体をのけぞらせて脳天への攻撃は避けたものの、みぞおちから下をローブもろとも一文字に切り裂かれる。
醜く老いさばらえたシディアスの顔が、そして腹圧によって腸がこぼれ出る。
苦痛と言うよりは驚愕に彩られたシディアスの顔は、だがしかし勝利を諦めてはいなかった。
とっさのバク転により距離を取ると右手にフォースを集め雷を纏う。
死に瀕してこのようなアクロバティックな動きが取れるのも彼がアタールの使い手であるからであろう。
詰めに入る直前に距離を取られる失態を晒したが、シディアスが機動力によって先を取るアタールの達人であるならば、
ベイダーは攻撃と爆発力に特化したドジェム・ソの達人。
大剣の切っ先に全体重を乗せて疾走し突進する。
それはシディアスから見れば隙だらけ。ベイダーの一撃が届くよりも早く雷が彼の身体を貫くはず!
「アァァァンリミテッド・パゥワァァァァッッー!」
シディアスの叫び声とともに雷光が迸った。
◆
267 :
幻燈蝶蛾銀河帝国
◆5.g1Aj/XLM
:2011/11/05(土) 02:23:58.87 ID:vew87YcX
雷光はベイダーを捉えたものの、その突進を止めるに至らなかった。
大剣を伴ったベイダーの一撃は銀河帝国を統べる皇帝の身体を貫き、黒き血が背中より盛大に吹き出した。
シディアスの身体中から血が吹き出る。
まるで身に湛えた膨大なフォースが吹き出ていくかのように。
「何故…だ…。雷は貴様を捉えたはず…」
「この地はフォースの力が僅かに弱まる」
崩れ落ちるシディアスの身体を見下すようにベイダーは続ける。
「ならば貴様をあと一歩にまで追い込んだメイス・ウィンドゥ。その流派ヴァーパッドならば貫ける。そう判断した」
倒れたシディアスの身体から大剣を引き抜き、右腕を切り裂いたのちにトドメの一撃を放たんと振りかぶる。
「ワシはメイスが貴様に肉薄するさまを一番近くで見ていたからな」
メイスがシディアスに及ばなかったのは、他ならぬベイダーがメイスを裏切った為であるが。
「なぜ…余を…裏切った…」
シディアスの頭に残るのは「なぜ?」の二文字のみである。
中でも強烈な疑問を最期に口にした。
「パドメの、仇だ!」
理不尽な答えと共に振り下ろされた一撃で、銀河帝国皇帝はその一生を閉じた。
■
268 :
幻燈蝶蛾銀河帝国
◆5.g1Aj/XLM
:2011/11/05(土) 02:25:20.53 ID:vew87YcX
身体のダメージを身長に測り、大した傷がないことを確認したベイダーは大剣を支えに立ち上がった。
積年の恨みを晴らしたというのに笑みも浮かばないのは、もはや哄笑する事すら出来なくなってしまったからなのか。
オビ=ワン・ケノービによって身体の大部分を欠損し、全身にくまなく火傷を負い、身体の殆どを機械に組み替えた。
施術の最中麻酔も掛けられず、生きながらに皮を剥がされ、甲冑の中に付けられた生命維持装置無くしては死んでしまう身体。
復讐を果たした喜びを体全体で表現できないのは、身体同様に心まで機械になってしまったからなのか。
冗談ではない。
自分はまだドロイドではない。
ドロイドであるならばパドメのことなど既に忘れてしまってるはずだ。
ダース・シディアスを裏切ったのはパドメを失った怒り、だけではない。
帝国から密室に切り離された皇帝という状況。
皇帝殺しを衆人が環視せぬ状況。
フォースが若干弱まる状況。
自分が武器を持ち、シディアスが持たないという状況。
シディアスすら出しぬく主催者の「優勝者のどんな願いでも叶える」という甘言。
主従システムと主人ルークという状況。
そしてなによりルークがこの場にいるということ。
息子を手に入れることが出来る状況だったということ。
パドメを失った穴を、ベイダーは埋めたがっていた。
それを息子ルークに求めていた。
妨害なしにそれを為せる状況にあるというのならば、もはやベイダーに躊躇する必要はなかった。
故にルークと自分の間に立ちふさがる最大の障害であるシディアスを殺した。
それを容易にせしめたのは初手の一撃。
ベイダーにとって見ても、あの一撃は不可思議であった。
まるで剣先が伸びたかのような…奇妙な手応えであった。
ともあれ有用な武器を得たことは確か。
障害を取り除いたからには一刻も早くルークと合流し、C3POなどというポンコツを破壊してルークと主従の交わりを得る。
あとはシディアスが考えていたように、ここより脱出して銀河帝国皇帝の座につく。
もしそれを阻むものがあれば、自らの手で打ち砕くのみ。
「パドメ、ワシとルークを見守っていてくれ」
自らの身勝手と不義により失われた最愛の人を思い、黒衣の騎士の旅が始まる。
【D-4/森/1日目-深夜】
【従:ダース・ベーダー@スター・ウォーズ】
[主従]:なし
[状態]:健康、首輪爆発まで残り12時間(主人を確定すれば解除)
[装備]:信長の大剣@戦国BASARA、(基本支給品、不明支給品x3)
[方針/行動]
基本方針:ルークを見つけ出して会場より脱出する。
269 :
◆5.g1Aj/XLM
:2011/11/05(土) 02:26:04.60 ID:vew87YcX
投下終了します。
遅くなり申し訳ございませんでした
270 :
◆5.g1Aj/XLM
:2011/11/05(土) 02:33:22.83 ID:vew87YcX
すいません、↓を入れ忘れてしまいました。ほんとうに申し訳ありません。
【ダース・シディアス@スター・ウォーズ 死亡】
271 :
創る名無しに見る名無し
:2011/11/05(土) 03:11:40.03 ID:Tn5xQIRv
投下乙です。
ファーザー……息子さんはもう既に……
272 :
創る名無しに見る名無し
:2011/11/05(土) 05:18:54.02 ID:56tht3jY
>謀略の夜
GJ。分かりきってた事ではあるがロワ充だなこいつらw
制限は厳しめだけど元々戦闘力よりえげつなさの方が際立つ奴らだから愉快な立ち回りをしてくれそうだ。
あと余談だけど。
>―――全くもって余談だが、雨生龍之介とキャスター“ジル・ド・レェ”
>この2人は第四次聖杯戦争において、1,2を争うほどに強い絆によって結ばれたペアである。
少し考えて、ほんとだ、と気づいて噴いた。
第四次じゃライダー組しか競う相手が居ないw
>幻燈蝶蛾銀河帝国
一組位は出るかなと期待してたらほんとに出たよ、主従で殺し合い。
流石はシス、酷い師弟関係だ。
投下乙。
273 :
創る名無しに見る名無し
:2011/11/05(土) 16:56:33.24 ID:XS7HzT9E
投下乙です
スターウォーズは詳しく知らんが、息子を思う父の気持ちはよく伝わるよ
それだけに今後が怖い…
274 :
◆Su10.RK3MU
:2011/11/05(土) 17:31:54.60 ID:imiynypU
>謀略の夜
>幻燈蝶蛾銀河帝国
投下乙です。実にらしく、かっこいい話が続いて痺れますね。
しかし、ベイダーお父さん放送聞いたら大変なことになりそうだ。
息子に代わる新しい主を探さないといけないわけだけど、どうなることやら……。
では、私も投下を開始します。
275 :
Preparation
◆Su10.RK3MU
:2011/11/05(土) 17:32:55.84 ID:imiynypU
【001】
普段見上げているものとは比べものにならないほどに透き通り、深い漆黒の夜天。
見渡す限りにおいて、石と砂ばかりで一切の色彩を見つけることのできない灰色(モノクロ)の大地。
荒涼というよりも静寂。静寂というよりも最早死の世界。そんな場所に一隻の船が立っていた。
船の胴体は金属でできており、幾何学的な形状を組み合わせたそれは非常に複雑な形をしている。
その下肢は黄金でできており、これも金属でできた虫のように節くれだった四本の足が地面をつき船を支えていた。
このような奇妙な物体を一見して“船”だと看破する者はそうはいないだろう。しかしこれは本当に船なのだ。
――『Apollo Lunar Module(アポロ月着陸船)』
“展示”されていたそれの前に立てられていたプレートにはそう書かれている。
そう、それは人類が月旅行をするために作った今はもう幻想に近い古い船で、ここは《航空宇宙展示場》であった。
殺し合いの舞台となる島。その中央よりやや北西。盛り上がった山の頂上に巨大な天体望遠鏡を備えた天文台がある。
そして、主である天体観測施設に、来場者を楽しませる為のプラネタリウムや航空宇宙展示場が併設されていた。
とりわけ大きなスペースを当てられた航空宇宙展示場には、人類が月に至るまでの過程が余すとこなく収められている。
それは地に縛られた人類が遂に空へと進出した初期の飛行機から始まり、ジェットやロケットへと続いてゆく。
重力を引きちぎり星の大海にまで達する手段を得ると、今度はそこを航海するための道具を人類は発明していった。
羅針盤となるコンピュータを。重力の軽い月面を走るための車を。宇宙から地上へと降りるための落下傘を。
それら、人類の飽くなき挑戦の過程とその成果がこの航空宇宙展示場の中には所狭しと並んでいる。
そしてそんな夢と希望(と挫折と失敗)がひしめき合う向こう側。
「STAFF ONLY (関係者以外立ち入り禁止)」と書かれた扉の向こうに一組の主従が息を殺して立て篭もっていた。
【002】
「なぁ、小僧よ。いつまでこんな辛気臭い部屋に篭っておればいいんだ?」
こらえ性のない従者(サーヴァント)の声が彼の言う辛気臭い部屋に響いた。大男の朗々とした声は控えめでもよく通る。
声をかけられた青年――ウェイバー・ベルベットは繰り返しの催促を無視し、目の前の機械と格闘を続けている。
仮にも魔術師たる自分が機械に身の守りを頼るなどとは痛く自尊心を傷つける行為だったが、それも現状だと仕方ない。
地獄。その片鱗を見せられたのだ。その上でなんの覚悟も用意もなく戦場に放り込まれた。
ならばもう自尊心などは一先ず脇に置き、現状でできることをするしかないのである。
とはいえ、こう考えるまでにも随分と時間がかかった。繰り返すが生きながらにして地獄に落ちる様を見せつけられたのだ。
そんなもの普通の人間なら恐慌を起こして当然だ。それが魔術師でも、いや魔術師だからこそよりよく理解しよく恐怖した。
もしウェイバーが一人きりだったのなら、途方に暮れ未だに床に突っ伏して嘆いているだけだったろう。
しかし不幸中の幸いか彼は一人ではなかった。彼の従者がそこに一緒にいたのだ。
ライダーのサーヴァント。その正体は征服王イスカンダル。またの名をアレキサンダー大王その人である。
自身が召喚した最強と信じて疑いようのないこの偉大なる英霊。
彼の存在があったからこそ、ウェイバーも(それでもかなりの時間を要したが)早々に立ち直ることができたのだ。
「せめて、何をしてるのかぐらい説明せんか」
赤い髭に覆われた厳つい顔がウェイバーの隣にぬっと突き出てくる。
最初に遅れを取った分、一刻も早く作業を完了させたいところだが、この奔放な王はあまり気が長くなく実に行動的だ。
勝手なことをされても困るので、ウェイバーは作業をする手を休ませず視線もそのままに渋々と質問に答えた。
「陣地作成だよ」
276 :
Preparation
◆Su10.RK3MU
:2011/11/05(土) 17:33:47.77 ID:imiynypU
「陣地作成……? とするとなにか、この部屋が我々の根城ということになるのか?」
とりあえずはね。とウェイバーは答える。万全を期すなら陣地を構える場所は選ばなくてはならない。
だがなにもかもがいきなりなのだ。土地の知識も白紙な以上、まずは目に付いたところを確保するのが優先である。
「それで、そのカタカタやってるのは“コンピュータ”という奴だろう? 現代の魔術師はそんなもので陣を張るのか?」
「魔術師の陣地はこんなものでは張れないよ。でもとりあえず、ないよりはましなくらいの結界は張れる」
ウェイバーが先ほどから悪戦苦闘していたのは、この展示場の奥――“監視ルーム”にあるコンピュータ相手にだった。
まずは停止していた監視システムをなんとか立ち上げ、監視カメラの映像を部屋のモニタに映し出せるようにまでした。
今は防犯用の侵入者感知システムを、説明書片手にセッティングしているところだ。
「あぁ、そういえば余がこの世に現界した時、図書館でこれに引っかかったことがあったのう」
所詮、科学技術による結界など霊体や気配遮断を行う者相手には用をなさないが、それでもないよりは何倍もいい。
ライダーが記憶を振り返ったように、英霊や魔術師相手でも相手が備えていなければ通用する場合もあるのだ。
「――よし、これで完了だ」
ウェイバーが設定を終了しエンターキーを叩くと、画面に防犯システムが作動した旨を伝えるメッセージが表示された。
慣れない、そして魔術師としていささか屈辱的な作業が終り、ウェイバーは力を抜いて身体を椅子に預ける。
無論、これはまだ気休め程度の陣地作成が終わっただけでしかないのだが、それでももう気を張るのは続かなかった。
「ひょっとすると、これでは我らはこの部屋から出られんのではないか?」
「まぁ、しばらくはね。まずは状況を見守り、この戦いにおける有効な戦術を練らないことには」
「そんなもの、出たとこ勝負でいいではないか。それに余は展示されていた“ロケット”やらに興味があってだな――」
「駄目だっての!」
「それにあの大きな望遠鏡! 貴様も魔術師ならばあれを使って星詠みのひとつもしたいと思うだろう?」
「だから……はぁ。とりあえず最初の放送までは様子見だよ」
「いたしかたあるまい」と、ライダーは腰を下ろした。彼の巨躯を支えるに足る椅子はないので床の上に直接だ。
はて、やけに素直だなとウェイバーは首を捻る。止めろと言って彼が素直に聞いたためしなどほとんどなかったからだ。
「なぁに。訳もわからず得体の知れぬ戦いに借り出されたのは我々以外の者達も同じのはず。
となればここで急いて挑んでも十全な戦いとはなるまいよ。ならば、貴様の言うとおりまずは様子見というのも然りだ」
ウェイバーは零れそうになった溜息をこらえる。どちらにせよ、遠からずこのライダーは飛び出して行くつもりのようだ。
だがしかし、それでもこの数時間は大人しくしていてくれるのだというのなら及第点と言えるだろう。
ここで藪蛇を突き、辛うじて得た心構えの為の時間を不意にすることもない。
「それまではこの名簿を読み、これから相見える英霊共の姿に想いを馳せるとしようではないか……と、おお!」
ライダーが大きな手で器用に畳まれた紙を開く。そして目を通すと途端に彼は大きな声を上げた。
嬉しそうな表情を浮かべると、ウェイバーの方へと名簿を突きつけてくる。
「おい、いきなり“当たり”だ。この一番最初の名前を読んでみろ」
「“Alucard(アーカード)”……?」
「うむ、“Alucard(アーカード)”とはこれすなわち“Dracula(ドラキュラ)”の逆さ綴りに他ならん。
そして、ドラキャラとはすなわち“竜の子”を意味する。
このアーカードとやらの《真名》はおそらくドラキュラと呼ばれた《ヴラド三世》に相違あるまい。これはいきなり大物だ」
顔を引きつらせるウェイバーの前でライダーは呵々大笑とし、笑い声を響かせる。
これから矛を交えるかもしれない相手に自らと同じ“王”がいたことに彼は喜び、不足はないと喜んでいるようだ。
だが、征服王たるイスカンダルが不足なしと認める相手だということは、つまりはひどく強敵であるということを意味する。
「なに喜んでるだよ! 聖杯戦争と違って、今度は僕達の他に24のマスターとサーヴァントがいるんだぞ!」
「だからいいのではないか。この様な機会が得られることなどまさに奇跡。だったら敵の数は多いに越したことはない」
277 :
Preparation
◆Su10.RK3MU
:2011/11/05(土) 17:34:32.78 ID:imiynypU
「お前はそれでよくても僕はそうじゃないんだよ! こんなことになるはずじゃなかったんだ……」
「まぁ、そうしょげかえるな。始まってしまったものはどうしようもあるまい。ならば、後はこの状況をどう楽しむかだ」
ウェイバーはがっくりと肩を落とす。楽しむだなんて余裕は一切ない。
まだこれが聖杯戦争ならば、命を落とすという危険は少なかった。サーヴァントが討たれればそこで終りだからである。
サーヴァントを失えば教会が戦いの終了まで保護してくれるという約束がある。だが、ここでの戦いにそんなものはない。
あの八雲紫と名乗った女は“マスター諸共に殺してそこで決着”だと言ったのだ。
つまり、勝たなければ死あるのみ。そんな状況でどうすれば剛毅にも戦いを楽しむなどという気持ちが生まれようか。
【003】
「ふーむ……しかしなにやらこの名簿。おかしなところがあるな」
名簿を読み終わったライダーが怪訝な顔した。一体なにがおかしいのか、ウェイバーは彼の顔を見て次の発言を待つ。
「《ライダー》、《セイバー》、そして《キャスター》……。この名簿の中には聖杯戦争のサーヴァントが3つしかおらんぞ」
「それってどういうことなんだ……?」
自分達一組だけならば偶然にも不幸に招かれただけだと納得できただろう。
または全ての組が巻き込まれていたのだとすれば、事態の根幹に聖杯戦争が関わっているのだと考えただろう。
しかし3組だけとはどういうことだろうか? それは随分と半端で座りが悪いように思える。
「《アサシン》はもう破れておったのだな。
とするとここに招かれなかったのは《アーチャー》と《ランサー》と《バーサーカー》の三騎ということか……」
「《アーチャー》と《ランサー》と《バーサーカー》……」
聖杯戦争に参加する7人の英霊が召喚を確認され、戦争が開始されて早々にアサシンのサーヴァントは撃破された。
故に残った英霊は6人。そしてここに3人が巻き込まれたのだとすると、もう3人が冬木の地に残っていることになる。
果たしてこの場合、聖杯戦争はどうなっているのかと疑問が生まれたが、しかしその3という数には何か引っかかった。
「余はこの不可思議な殺し合いは、聖杯を得んがためキャスターが仕掛けた幻かその類かと最初は疑った。
あの八雲紫という女は実にそれっぽかったからな」
「けど、名簿の中にキャスターはいる……」
「うむ。無論、この名簿を彼奴が用意した以上、素直に信じることもないがここにキャスターの名前はある」
「それに、キャスターが黒幕って言うんなら他のサーヴァントとマスターは全員いないといけない」
「その通りだな。そこで小僧。貴様の知識を借りよう」
「僕の……?」
言って、ライダーは名簿を差し出してきた。読んでみろということだろう。
「そこに貴様の知っているマスターの名前はあるか?」
「知ってるって言われても、他のマスターの正体なんて……あっ!」
思いつき、そしてウェイバーは声を上げた。
戦争に参加するマスターは、聖杯自身が聖杯を欲するに相応しい願望を持った者の中から年月をかけて選び出す。
基本的に魔術の素養があることが前提だが、選ばれるマスターの人種や年齢は幅広く立場も様々だ。
そして闇討ちを警戒しなければいけないマスターは基本的にその名前と身分を他のマスターには明らかにしない。
なので名簿を見せてもらったところで他のマスターの名前など分かる由もない。だが――
「ない……ないぞ。“あいつら”の名前が……」
この名簿の中にいない3つの名前をウェイバーは知っていた。いや、聖杯戦争を知る者ならば誰もが知ってる名前だ。
つまり、聖杯を作り上げ、地脈の通った場所を用意し、英霊召喚のシステムを築き上げた者達の末裔。
聖杯戦争を生み出した――アインツベルン家、遠坂家、間桐家――御三家と呼ばれる存在である。
この御三家は聖杯戦争の生みの親として優先的にマスターの権利が与えられる。
故に、7人のマスターの内、3人がアインツベルン、遠坂、間桐の名を持つのは最初から確定しているのだ。
実際、それを知ってたからこそウェイバーは遠坂の家に使い魔を遣わし、そこでアサシン敗退の様子を知れたのである。
278 :
Preparation
◆Su10.RK3MU
:2011/11/05(土) 17:35:15.41 ID:imiynypU
「どうやら、余が思いついた通りだったというようだな」
「あいらがズルしたってことかよ……」
「聖杯戦争を生み出したのはその御三家とやらなんだろう? なら、レギュレーションの変更もそいつらの手の内だろうよ」
「それでもズルはズルだろう! ルール変更があるなら前もって知らしておくべきだ」
「ま、実際は我々ははめられたんだろうがの。
余としてはより多くの英霊と直接言葉を交わし、刃を交えられるというのは願ってもないことだが……」
僅かに立ち上った気概の火が瞬く間に消え失せるのをウェイバーは感じた。
もし、この殺し合いの真相が御三家による策謀なのだとしたら、ここでの勝利にいかほどの価値があるのだというのか。
願いを叶えるという言葉も空々しい。願いという言葉で釣ってただ殺しあわそうという算段に違いない。
それは邪魔者をマスターごと排除して口を封じるということに加え、聖杯に注ぐ英霊の魂を増やすという算段だ。
如何様にしてこのような大掛かりなことを成し遂げたかは不明だが、最早自身はまな板の上の鯉でしかない。
「まぁ、そうしょげかえるでない。聖杯はともかくとして勝利すれば命は得られるかもしれんではないか。
それに、仮に敗北を喫し地獄に落ちたとて、これはこの征服王であるぞ? 余と地獄を征服するのもまた一興。
《世界》に魂を召抱えられた故に地獄とやらついぞ足を運んだことがなかったが、転生の機会もあると聞く。
英霊の座へと永遠に縛り続けられることを思えば、地獄での責め苦をしばらく我慢するだけで人の身がまた得られる
というのは余にとっては法外な報酬とも言えるだろう。どうだ? そう悪いことばかりではなかろう?」
「――悪いよ! なんで地獄に行くことが前提になってんだよ! 僕はまだ死にたくないし、地獄なんかに行きたくもない!」
「ならば、剣を取るしかあるまい。勝ち取れ――さすれば与えられん。余はいつもそうしてきた」
「勝算はあるのかよ……」
「愚問だな。24のマスターとサーヴァントを相手取ると言った言葉、決して虚言の類ではない」
「……………………」
口からは深く重たい溜息しか出てこなかった。
もし叶うのなら、聖杯戦争を目前にして意気揚々と準備を進めていた頃の自分を止めに過去へと戻りたい。
ウェイバーはそう考え、そしてそれが決して実現しないだろうことにまた絶望を重ねる。
それでもまだ思考を重ねられるのは目の前にいる豪気な大男のおかげだが、それは癪なので口にはしなかった。
【004】
「なぁに、実際は我々の及びもつかん所で力が働いたのかもしれん。確証のない疑いに怯えるなどなんら益のないことだ」
「そうだね、とりあえず今は様子見。落ち着いたら……できればセイバーかキャスターのマスターに会いたいな」
「それはどうしてそう考える?」
「他のマスターがどう考えているか知りたい。それに本当に御三家の仕業ならそいつらとは協力しあえるはずだから」
「なるほど。沈んでいるばかりではなく考えておるではないか。それでこそ余のマスターよ」
その思考はやや逃避的でもあるがさておき、二人は名簿に目を通すと次に与えられた“殺し合いに使う道具”の確認に移った。
八雲紫によれば4つ入っているとのことだったが、その通りに4つ入っており、1つはライダー、残りはウェイバーのものとなった。
「おお! これは神代においてキュクロプスが打ったとされる一品ではなかろうか? いや、あるいは――」
最初に出てきてライダーを喜ばせたのは、それこそ巨人が使うような“巨大な槍”だった。
形状としては西洋のランスに近いが、敵を突く円錐状の部分にドリルのような切れ込みが入っているのが特徴的だ。
大きさはライダーの巨躯をしてもってもなお余るといった具合で、天井についてしまうので今は床に寝かせている。
その造りは宝具にも匹敵せんとはライダーの言葉で、それが真なら巨人の武器というのもあながち間違いではないだろう。
実際、2人は知る由もないが、この槍の持ち主は《本田忠勝》と呼ばれるその名の知れた武将である。
彼の者が英霊として現界すればその槍も宝具になったであろうから、ライダーの見立ても遠からずといったところであろう。
そして、一つが征服王を満足させる武器であったなら、ウェイバーに渡った3つは魔術師の為の道具であった。
279 :
Preparation
◆Su10.RK3MU
:2011/11/05(土) 17:35:58.89 ID:imiynypU
「……なんて高度な礼装なんだ」
一つは4つで一組の指輪であった。
魔術師が魔術の成功率を高めるために用いる装備を礼装と言うが、その中でも指輪は至極オーソドックスなものだ。
故に、それそのものの形に驚くことはないが、しかしその指輪は溜息が出るような優れた一品であった。
4つの指輪はそのままだとどれも金の指輪でしかないが、指にはめるとそれぞれに青と緑の宝石が浮かび上がる。
宝石はカットされることで光を閉じ込め輝きを増すのと同様に、魔力を封じ指向性を持たせるのに重宝するものだ。
御三家の遠坂家が宝石魔術を専攻するように、これもその形状性質はオーソドックスなものである。
ここに僅かな魔力を注ぐとこの指輪はまた形状を変化させ、宝石を下に金の鎖を垂らすペンデュラム(振り子)となる。
これもダウジングに代表されるように魔術師としては基本の道具だ。そして高度な魔術師であれば、
失せ物探しだけではなく、センサーとしても使えたり、時には自身の指先の延長としても使用することができる。
あくまで基本的な礼装であり魔術の発動体でしかないが、その用のほとんどをひとつでこなすこの指輪は実に高度だった。
名家と呼ばれる家柄の魔術師ならば同程度の物は持っているかもしれない。
だが、“時計塔”に通う身でも家に力もなくまだ見習いの身分であるウェイバーからすればまさしく至高の一品に見えた。
「ふふふ……」
「なんだぁ? 宝石を指に通して笑うなど女みたいで気色悪いぞ?」
侮蔑するライダーの声など耳に入らない様子でウェイバーはかみ殺しきれぬ笑い声を漏らした。
一流の礼装を手にしたくらいで舞い上がっているのはやはり子供じみているが、しかし彼はまだ子供なのである。
さて、泣いていた子が笑ったとばかりに気分高揚したウェイバーであったが、残りの2つは彼を落胆させるものでしかなかった。
「なんだこれ……?」
ひとつは魔導書――のようなもの。装丁を見れば一見そうとも見れないこともないが、実際はただの記録帳だった。
魔術と関係ないわけではない。書いてある中身は概ね魔術に関することばかりである。
その内容は多岐に渡る――と言えば格好もつくが、しかしその内容はというと浅く、中にはデタラメなものもあった。
主に野外学習による発見と、実験室における研究の成果を綴っているようだが、どうにもあまり役立ちそうにない。
「まぁ、魔術協会に属してない魔術師だとこんなものなのかな」
本には《霧雨魔理沙》と署名があった。風変わりな名前だが、おそらく日本の魔術師だろう。
易学や陰陽道ならともかく東洋で魔術を学ぶのは難しい。なので、記された内容が我流で稚拙なのも微笑ましいというものだ、
とはいえ、いくらか内容に気になるところもあった。時折、これは真の魔法に迫っているのではと思わせる箇所があるのだ。
「こいつ……、“どこで”魔術を学んでいるんだ……?」
結局、最終的にはそれが最大の疑問となった。この本の持ち主は間違いなく独学で魔術研究を進めている。
だがそれにしては、手に入る触媒や物質、身の回りで起きる現象、実践される結果が不思議めいていた。
まるで、そこでは未だに神や怪異の類が行き交い、魔術が当然のこととして使われているような、そんな気配がある。
冬木の地を代表に、日本にもパワースポットは数あるが、しかし果たして彼女はどこで魔術を学んでいるのだろう?
「おい小僧。それは食い物か?」
「――違う」
最後のひとつは、袋詰めにされた油の塊の様なものだった。
見た目は石鹸のようにも見える。実際、作り方はそちらのほうに近いだろう。だが、性質は油のほうが近い。
「なんだ、にこごりかと思ったぞ」
「どうしてお前はサーヴァントの癖にそう食い気が多いんだよっ!」
現世に来たからには楽しむだけ楽しみたいというのが彼の趣旨であったが、ともかく。
280 :
Preparation
◆Su10.RK3MU
:2011/11/05(土) 17:36:42.36 ID:imiynypU
ウェイバーが袋から取り出した物体はどれも拳大よりやや小さめで、様々な色をした燃料の塊であった。
それも先ほどの書によると“魔法の燃料”である。
無論、そんなわけもない。魔法などと、これはもう本の内容に輪をかけてデタラメな代物だ。
「しかしいい匂いがしたと思ったんだがなぁ」
「これが? 確かに茸のエキスを抽出したものらしいけど」
「ならば食い物ではないか」
「違う! これは魔術の触媒だ!」
乾物を触媒とするのはこれも魔術としてはさして珍しいことでもない。
昨今の錬金術や宝石魔術ではそう見られないかもしれないが、交霊術や呪術の分野ではまだよく使われているものだ。
その性質を凝縮させた乾物は保存が利き、分量を量って使用するのも難しくないので未だ廃れることもない。
「では、それが貴様の武器となるわけだな。我がマスターがいかな魔術を見せてくれるか今から楽しみだ」
「期待されても困るんだけどな」
まず茸魔術など修めたことがない。というかそんな学科など時計塔には存在しない。どこの魔術協会にだってないだろう。
その上、この色とりどりの塊はどれがどんな効果を及ぼすか全くの謎である。
先ほどの本と見比べれば多少は判別がつくようになるのかもしれないが、成果を考えるとあまり乗り気にはなれなかった。
「とはいえ、今はすることもないし……」
ウェイバーは脇に置いた本をまた取り上げ開いた。
こんなものでも役立つ可能性があるならそこに縋らなくてはならない。地獄に落ちてからではどんな後悔をしても遅いのだ。
あまりに雑然としてとりとめのない内容に溜息を漏らしつつ、ウェイバーはそのページを一枚ずつ捲り続けた――。
「うわ、これまずっ!」
「だから食うなって言ってるだろうがっ!」
【B-3/天文台・監視ルーム/1日目-深夜】
281 :
Preparation
◆Su10.RK3MU
:2011/11/05(土) 17:37:31.80 ID:imiynypU
【主:ウェイバー・ベルベット@Fate/Zero】
[主従]:ライダー@Fate/Zero
[状態]:健康、令呪3画
[装備]:クラールヴィント@魔法少女リリカルなのは
背負い袋(基本支給品)、お手製魔導書@東方儚月抄、魔法の燃料@東方儚月抄
[方針/行動]
基本方針:生きて元の世界に帰る。
1:まずは放送まで様子見。
2:他のマスター/サーヴァントと接触して情報収集と現状把握。
[備考]
※参加時期は、最初のアサシンが敗退した晩からセイバーとランサーの戦いに乱入するまでの間です。
【従:ライダー@Fate/Zero】
[主従]:ウェイバー・ベルベット@Fate/Zero
[状態]:健康
[装備]:機巧槍・黒王@戦国BASARA
[方針/行動]
基本方針:戦い、そして勝利する。
1:まずは最初となる戦いを前に期待を昂ぶらせるとしよう。
2:ライダーとして、征服王として、航空宇宙展示場にある色んなものに興味がある。
[備考]
※参加時期は、最初のアサシンが敗退した晩からセイバーとランサーの戦いに乱入するまでの間です。
【機巧槍・黒王@戦国BASARA】
戦国最強と名高い本田忠勝がその得物とする巨大な槍。西洋のランスのような形状をしている。
全長は大よそ4-5m。槍の穂先がドリルとなっており、回転する仕組みがある。
【クラールヴィント@魔法少女リリカルなのは】
ヴォルケンリッターの一人、湖の騎士シャマルがデバイスとして使用していた4つの指輪。
待機状態ではただの4つの金の輪だが、使用する際はリングフォルムやペンダルフォルムへと変形する。
【お手製魔導書@東方儚月抄】
普通の魔法使い、霧雨魔理沙が常日頃持ち歩いている魔導書。
実際には本物の魔導書ではなく、発見した魔法やそれっぽいものを記しただけの記録帳のようなものでしかない。
【魔法の燃料@東方儚月抄】
普通の魔法使い、霧雨魔理沙が化物茸を元に作り上げた魔法の燃料。
化物茸のエキスを煮詰めた固形状のもので、火薬や燃料、魔法の触媒として様々な使い道がある(?)。
282 :
◆Su10.RK3MU
:2011/11/05(土) 17:38:33.63 ID:imiynypU
以上で投下を終了します。
これで登場話は出揃ったかな? 2周目解禁は今晩0時からでいいでしょうか? 意見よろしくです。
283 :
創る名無しに見る名無し
:2011/11/05(土) 17:46:46.23 ID:O6Ijg0Sb
投下乙です
外出先からなので、SSは後でゆっくり読ませていただくとして、要件だけ
予約解禁って、時間決めないといけないんですか?
次の0時ならもうすぐだから別に異論はないんですが、二周目の予約がまだないのは
たまたまだと思ってました……
284 :
◆Su10.RK3MU
:2011/11/05(土) 17:59:14.46 ID:imiynypU
取り急ぎ現在位置を更新しました。
>>283
いや、私も全員出ればすぐ解禁でいいと思ってたんですけど、
私が最後になっちゃったんで、じゃあそこで「もう解禁ですよね」と次の予約にいくのははばかれるというか……そんな感じですw
もういつでも予約していいというのなら、それはそれでOKです。
285 :
創る名無しに見る名無し
:2011/11/05(土) 18:28:01.24 ID:HKAAbPvf
同じく外出先より失礼します。お二人とも投下乙です。
ベイダー卿……もうすぐ貴方の息子が爆死する音が、隣のエリアから聞こえてくるんです…。
折角強マーダーを倒してくれましたが、即座に貴方がマーダーになってしまわないかとても心配です…。
あ、それとちょっと重箱の隅をつつく様で申し訳ないんですが、このロワ、首輪は無いです。
それにしてもSu10さんは本当に投下のペースも早く、作品の質も高くていらっしゃる。見習いたい限りです。
イスカンダルも我慢してくれてますが、他の参加者が近付いたらさてどうなる事やら。天文台が破壊されなきゃいいんだがw
そしてやっとなのはからの支給品が。使いこなしたら鬼(弱気)に金棒ですが、はてさて…。
あ、予約解禁は私も0時からでいいと思います。
その方が今よりも手が空いてる書き手さんが多そうですし。
>>283
私見ですが、2週目の予約が無かったのは、1週目の未投下主従が予約したいキャラの近くに配置される可能性を考慮したからではないかと。
実際私もそれで予約を控えてましたしw
286 :
創る名無しに見る名無し
:2011/11/05(土) 18:30:00.04 ID:HKAAbPvf
おっと書き忘れ。
>>284
wikiの更新お疲れ様です。
287 :
創る名無しに見る名無し
:2011/11/05(土) 19:06:09.57 ID:XS7HzT9E
投下&wiki更新乙です
だいぶ参戦時期が初期とはいえ、相変わらず安心して見れるコンビだ
御三家の仕業っつー考察は見事だな、ハズレだけどwww
にしてもデバイスがウェイバーに渡ったか…これはバリアジャケットを期待しても(ry
288 :
創る名無しに見る名無し
:2011/11/05(土) 22:04:37.94 ID:KUR0N5/I
Fate/Zeroのヒロインであるウェイバーが魔法少女になっても何も問題はないよね!w>BJ
289 :
創る名無しに見る名無し
:2011/11/06(日) 01:12:58.35 ID:PomWn259
一週して全キャラが配置された地図を見てみたが…何この北西と南東の温度差w
基本的に北西に行く程安全度が増し、東か南東に行く程人口密度と物騒さが増している。
唯一の完全一般人であるまよチキ勢が凄く…心配です…。
290 :
創る名無しに見る名無し
:2011/11/06(日) 03:42:18.12 ID:0bDIPFev
皆様投下乙です
そしてご感想有難う御座います。
>>285
>あ、それとちょっと重箱の隅をつつく様で申し訳ないんですが、このロワ、首輪は無いです。
あ…
誤字と一緒に修正しておきます…。
291 :
◆5.g1Aj/XLM
:2011/11/06(日) 03:43:27.74 ID:0bDIPFev
あ、トリつけ忘れてた…
292 :
創る名無しに見る名無し
:2011/11/06(日) 03:58:21.47 ID:jhVTVmXV
Wikiの支給品一覧その他諸々更新しました
天子&黎星刻ペアの双眼鏡と切嗣&セイバーペアのグロック17、タバコは
勝手に現実出典にしちゃったけど大丈夫かな?
293 :
◆YwLV7iJ2fw
:2011/11/06(日) 18:29:56.88 ID:KVUzLqW7
>>251
うあ、確かに…。
30分ぶん覚え間違えてたようです。わざわざ有り難う御座います。
ついでに誤字脱字を修正致しました。
>>292
更新お疲れ様です。
出典の是非の程は◆STvdrPmVksさんのご意向待ちでしょうか。
294 :
◆STvdrPmVks
:2011/11/07(月) 14:04:52.25 ID:I7VQLHad
>>292
更新お疲れ様です。
支給品の出展に関しましてはそれで問題ありません。
わざわざ確認の手間まで割いていただいて、有難うございました。
295 :
◆Su10.RK3MU
:2011/11/08(火) 18:16:18.34 ID:OMXHaRl6
投下します。
296 :
夜だから眠れない
◆Su10.RK3MU
:2011/11/08(火) 18:17:01.85 ID:OMXHaRl6
【001】
「はぁ……、極楽、極楽♪」
ゆるゆると揺れる水面の上を蕩けるような声がすべり、渡る。
ほどよく温かい湯の中に浸かり、蓬莱山輝夜はひとり“命の洗濯”を堪能していた。
あの後、小高い山の中腹に位置する温泉はすぐに発見することができた。
輝夜だけならともかく永琳がいるのだから当然のことだろう。
温泉は小さな温泉宿でもあったので、先客がいては――と、建物の中に不審人物がいないかと調査し始めたのだが
輝夜は脱衣場とその先の温泉を見つけるとそれを永琳に任せることにし、ひとり湯の中へと身を滑らせた。
大きな石を敷き詰めてつくられた湯船。そこに湛えられた透き通った湯は地上のものとは思えぬほどに清く心地いい。
湯気のヴェールと揺れる水面の歪みは気品を損なわぬよう輝夜の肌を隠し、彼女はその中で自由に四肢を伸ばす。
周りを囲む目隠しは言い訳程度で、湯船の中からは夜空とその中に浮かぶ満月がよく見えた。
「永琳も早くくればいいのにねぇ」
恍惚とした表情を浮かべ、熱い吐息とともに言葉を漏らす。
実際に温泉に入り、「温泉は命の洗濯」だとは全く言いえて妙だと輝夜は実感していた。
命とは月の民ならば元より永劫に損なわれることのないものだと理解されているが、地上のモノからだとそうではない。
地上のモノは、命とは時間をかけてくすみ、汚れ、古びて乾き、あるいは熟して果てるものだと思っている。
それは確かに地上においては間違いではない。
しかし、本来不変であるはずの命が古び果てるのは地上に《穢れ》というものが存在するからだ。
《穢れ》は、あるいは業などと言い換えてもよい。
地上の命は穢れているからこそ、寿命という終りを持ち、それ故に生存競争という醜さを宿命づけられているのだ。
永遠の命を持つ月の民からすれば、生きるために奪い、喰らい、それでも結局果てる地上のモノなどは実に醜く映る。
月の姫君である輝夜も以前はそう考えていた。それもあまり古い話ではない。
だが数年前より地上のモノとして地上に住むようになってからその考えはみるみる内に変化していった。
それは地上のモノからすれば緩やかに見えたかもしれないが、数千数万年と生きる者からすれば劇的なものだった。
うつろいゆく世界には色々な価値と発見があった。
月の民の在り方を否定するわけではないが、これからずっと地上のモノでもよいと思うくらいの魅力があった。
そして、今体験しているこの温泉――命の洗濯である。
命に課せられた寿命は穢れによる。穢れはすなわち汚れと同義である。そして洗濯とは汚れを払うことを言う。
つまり、温泉に入るということはその言うとおりに命の洗濯なのだ。
湛えた湯により身を清め、命に纏わりついた穢れを払う。そうして命は新しく新生した状態へと還されることになる。
温泉に入った時に「極楽、極楽」と口にするのも当然のことだ。
なぜならば、温泉に入る時に穢れ(死)を纏い、温泉から出る時にはそれが払われている(新生している)のだとすれば、
温泉に浸かっている間とはこれすなわち死から転生の狭間――極楽にほかならないからである。
「はぁ、極楽極楽♪」
輝夜は地上におかれた擬似的な死と新生を体験し、その狭間の中にある極楽を堪能する。
一糸纏わぬ裸で。しかしそれも当然だろう。なぜならば、生まれてきた時に服を着ているものなどいはしないのだから。
【002】
八意永琳は温泉宿の中の見回りを終えると、一室に陣取り与えられた荷物の内容を検分していた。
温泉に入りたくないのかというと嘘になるが、ここは殺し合いの場でありいつどこから危険が見舞うとも限らない。
なので、温泉は輝夜一人に楽しませ、自分は殺し合いに備えて行動しようと考えたのだ。
無論、備えるのであれば二人がかりのほうがいいだろう。しかし永琳は輝夜の積極的な体験を邪魔したくないとも思った。
彼女は今、永く止まっていた歴史を動き始めさせ、自らが生きる意義を模索しているところだ。
このような無粋な殺し合いにそれを邪魔されたくない。なので永琳はそれを一人で請け負おうと決心した。
それだけの余裕がまだこの時はあったということでもある。
297 :
夜だから眠れない
◆Su10.RK3MU
:2011/11/08(火) 18:17:44.50 ID:OMXHaRl6
「困ったわね。不思議なことばかり増えて」
永琳のいる部屋は畳敷きの和室だったが、その中央に置かれた卓袱台の上には分解された“何か”が整列していた。
それを永琳は組み立ててゆく。するとそれは逆回し再生のように形を取り戻し、一丁の拳銃となった。
幻想郷の外で言う現代的なデザインの銃だが、その外見からは特に不思議そうなところは見当たらない。
月の賢者である永琳が不思議だというのは、その銃が《コイルガン》だったからである。
「こんなものは地上人には作れなかったはずなのだけど」
コイルガンとは簡単に言うと中に磁石の入った銃で、磁力で弾丸を押し出して発射する銃のことだ。
これそのものは現代の地上人でも作ることはできる。その原理はとても単純で決して難しいものではない。
ただし――今、永琳の手の中にあるような“実用的”なコイルガンは作れないはずだった。
コイルガンの発射プロセスは、バレルの端に直列させた複数のコイルに順に電流を流すことで磁力を連続発生させ、
磁力線に絡められた弾丸をまるでバケツリレーのように運んで加速させ発射させるというものだ。
しかし、これにはどうしても機構上の限界値というものがあり、地上人に火薬式の銃に及ぶようなものは作れないはずだった。
なのに今手元にあるこの銃は永琳の見立てだと、通常はあり得ない火薬式の銃に匹敵する威力を持っている。
威力が同等ならば発射の際の音や反動が少ないこちらのほうが何倍も上等な銃だと言えるだろう。
なぜ実現できたのか? その秘密は銃の中に組み込まれたひとつの石にあった。
地上人が“まだ発見してないはず”の常温超伝導を可能とする石である。これがあればあらゆる常識は覆る。
この銃がどこから現れたのか。それは月の賢者たる永琳からしてもとても不可思議なことだった。
しかし、不可思議ではあるが、その不可思議の答えの先は見当がついている。あのスキマ妖怪の仕業だ。
あのあらゆるものの境界を操ることでどこにでも行ける妖怪は、ひょっとしたら“別の世界”にすら行けてしまうのかもしれない。
それは最早、一妖怪の領分を遥かに越える所業であったが、しかしそんな可能性を永琳は否定できなかった。
永琳はあの得体の知れないスキマ妖怪に、一度敗北を喫しているのである。
第二次月面戦争――戦争などと大仰ではあるが、実際に起きたことはそうたいしたことはない。
その中で永琳はなんら危機を覚えることはなかったし、物事は万事彼女の思うとおりに進行し、想定したとおりに決着した。
はずだった――が、しかし最後の最後で永琳は意表を突かれた。
どうやってか、八雲紫は永琳が月に置き残していったはずの超超古酒を持ってきて飲ませてみせたのだ。
たかが酒一本である。それ以外の全ては永琳が勝利を収めた。しかし、上回られたということには変わらない。
あのスキマ妖怪は月の賢者の頭脳を酒一本を盗む分上回ったのである。
それはつまり月の賢者の想定を正しく読み取り、その一歩先を行ったことになる。
酒一本は、頭脳としては一回り上であることの証明であった。
これに畏怖を感じない永琳ではない。
そして、故に永琳はあれから、八雲紫が自分の想定していないなにかを持っているのではという疑念を払拭できないでいるのだ。
永琳は巧智があるからこそ小さな可能性を際限なく追ってしまう。
そして限りない可能性にその思考の糸を伸ばし続ければ、それは隙を作り容易く八雲紫の思惑に絡められるだろう。
「やれやれ困ったわ」
あまり困ったという風ではない表情で永琳は呟く。
今現在、永琳に与えられた情報は数多いが、しかしそれはどれも思考の堂々巡りを誘うものばかりだ。
例えば見せしめとなったあの幻想郷の住人ではない神父二人組。
彼らには悪いことをしたものだと永琳は申し訳なく思う。
なぜならば、あの場所にて『この殺し合いをなかったことにしてみろ』と提案したのは他でもない永琳自身だからである。
あの気性ならば遠からず同じ目にあっていただろうと想像できるが、あの時点で犠牲を出したのは永琳の責任に他ならない。
元々、あの質問はどれほど八雲紫が願いに対し誠実であるか、またその願いの範疇はどれほどかを計るものであったが、
それも結局確かだと言える回答は得られなかった。
判明したのは、あのスキマ妖怪は自分を得体の知れないものだと見せることにひどく長けているということだけだ。
298 :
夜だから眠れない
◆Su10.RK3MU
:2011/11/08(火) 18:18:27.34 ID:OMXHaRl6
今は無闇に考える時ではない。そう判断すると永琳は思考の糸を手繰り寄せ、焦点を目の前の現実にあわせた。
コイルガンを脇に置き、他の“殺し合いに使う道具”を改めて見直す。
銃などとは本当に殺し合いの為の道具でしかなく血生臭いが、もうひとつあったそれも同じ銃だった。
こちらは特別驚くことのない普通の火薬式の銃である。《WA2000》と銘打たれた狙撃銃だ。
弾倉と薬室を銃床の中に移すことで銃身長を短くする機構を採用しており、狙撃銃という印象よりかはかなり小柄である。
取り回しが容易になった分、素の目視で狙いを定めるのがやや難であるが、これは弓矢に通じる永琳には問題とならない。
不恰好ながら、暗視用と熱感知用の二つにスコープが取り付けられており状況を問わず威力を発揮できる作りにもなっている。
本来ならば先の物も含めて銃などに頼りたくはないが、しかしどちらの銃も有用であるのは確かだ。
コイルガンは密やかに速やかに殺害するのに向いているだろう。
狙撃銃があれば能力や叡智を用いなくとも遠く離れた敵を狙い撃つことができる。
無論、このような物はその身により強い穢れを呼ぶことになるが、だからといってそれを避けている場合でもない。
「はぁ」
思わず溜息も出る。はっきり認めてしまえば、ここに連れて来られたという時点ですでに八雲紫には負けているのである。
しかしそれを認めながらも勝負を捨てるようなことは許されないし、そんな気も毛頭ない。
状況はあの第二次月面戦争と変わらない。八雲紫が状況を用意した。その中で各人が彼女の思惑通りに行動した。
永琳もその中の一人だ。そして最終的に一歩先を行かれた。
ならば今回はその意趣返しである。全てが相手の思惑の内だと認めてなお、最後に相手を一歩出し抜く。
永琳は決心した。この知恵比べ、今度こそは全力を以って挑み、必ず八雲紫を上回ってみせると。
【003】
「あ、こんなところにいたんだ」
かけられた声に振り向くとそこには襖を開けて中を覗き見る輝夜の姿があった。そして永琳はその姿に驚く。
「輝夜ったらなんて格好なの」
「あら、そうかしら? 温泉に入った後はどうすれば、なんて知らないのだもの」
輝夜は温泉から出たままの姿――新生し(生まれた)たままの姿だった。
それはとても美しい。
お湯に濡れた肌は赤子の肌のようにほのかに赤く染まり、その上を空気で冷やされた幾条もの水滴がなぞっている。
十分に水気を含んだ豊かな黒髪は身体を抱くように張り付き、その先端から雫を垂らし続けていた。
彼女が“かぐや姫”として地上にいた頃は、都中の男が一目見ようと屋敷に殺到したらしいが、これならば然もありなん。
目を奪われるような姿だがしかし、さてどのように注意しようかと永琳は思案した。
みっともないと言えば良いだろうか。いやしかし、彼女の姿はこれでいて高貴であり非の打ち所もない。
ならば病を患うと言えば良いだろうか。まさかである。蓬莱の薬を飲んだ彼女はもう病などとは永遠に無縁なのだ。
「床が濡れてしまうわよ」
なのでこう言うことにした。豊かすぎる水は滞り溜り濁る。地上では清浄であるはずの水もまた腐れを齎すことがあるのだ。
不要な水を吸った畳も床板も本来の寿命をその分減じたことだろう。
「あぁ、そうね。これもとてもよい気分だったのだけど、それじゃあしかたないわ」
納得すると輝夜は踵を返して部屋を出て行った。脱衣場に戻るのであろう。
永琳も腰を上げてそれを追うことにする。あの姫様は多分、一人では身の支度を完璧にはこなせないだろうから。
299 :
夜だから眠れない
◆Su10.RK3MU
:2011/11/08(火) 18:19:09.89 ID:OMXHaRl6
廊下に出ると開けた中庭の方から満月を見上げることができた。贋物でしかない満月を。
あれは八雲紫から月の民に対する挑発行為だろうか。それとも助けは得られないぞという通告なのだろうか。
はたまた、あるいはそれは――……。
【D-5/山頂付近/1日目-深夜】
【主:蓬莱山輝夜@東方儚月抄】
[主従]:八意永琳@東方儚月抄
[状態]:健康
[装備]:なし
[方針/行動]
基本方針:《異変》を解決する。
1:???
[備考]
※参加時期は東方儚月抄終了後。
【従:八意永琳@東方儚月抄】
[主従]:蓬莱山輝夜@東方儚月抄
[状態]:健康
[装備]:ブリタニア軍制式拳銃@コードギアス(弾数x12)、ブリタニア軍制式拳銃のマガジン(専用弾12発入り)x2
ワルサーWA2000@Fate/Zero(弾数x6)、ワルサーWA2000のマガジン(300 Win Magnum弾6発入り)x4
背負い袋(基本支給品)、不明支給品x2
[方針/行動]
基本方針:輝夜に付き従う。八雲紫に勝つ。
1:やれやれ……
[備考]
※参加時期は東方儚月抄終了後。
【ブリタニア軍制式拳銃】
蓬莱山輝夜&八意永琳に支給。
ブリタニア軍で制式採用されているコイルガン(拳銃)。レーザーサイト標準装備。
ピストンモーターとサクラダイト電磁誘導レールの2段加速により火薬式のものと同等の性能がある。
【ワルサーWA2000】
蓬莱山輝夜&八意永琳に支給。
ワルサー社が警察向けに開発したセミオート式の狙撃銃。
銃床の部分に弾倉と薬室を収納するプルパップ式なので、銃身の長さが650mmと短く取り回しやすい。(全長は905mm)
これは衛宮切嗣が「魔術師狩り仕様」にカスタムしたもので、2つのスコープ(暗視/熱感知)を併用できるようカスタムされている。
300 :
◆Su10.RK3MU
:2011/11/08(火) 18:19:54.21 ID:OMXHaRl6
以上で投下を終了します。
301 :
創る名無しに見る名無し
:2011/11/08(火) 19:48:34.56 ID:oKvWX/mC
早っ!
執筆早っ!!
ともあれ投下乙です。
永琳がやる気だ……果たして紫に一矢報いる事ができるのか…?
一気に武装が強化されましたが、残りの支給品も気になります。
そして相変わらずマイペースな姫様w
302 :
創る名無しに見る名無し
:2011/11/09(水) 01:57:38.90 ID:B6kJbOuQ
投下乙です。執筆速度ぱねぇw
若干フリーダムな主を御しつつ、対主催として頑張って欲しいが大変だろうなあ
303 :
◆YwLV7iJ2fw
:2011/11/10(木) 01:04:20.87 ID:kWjG832+
投下致します。
なお、今作のタイトルは若干長く、トリップを加えると名前欄に明記しきれない為、
最後のレス内で表記させて頂きます。ご了承くださいませ。
304 :
◆YwLV7iJ2fw
:2011/11/10(木) 01:05:22.31 ID:kWjG832+
D−1、電波塔。もしくは、サザンクロス。
殺し合いの舞台たるこの島に点在するランドマークでは、海上の難破船を除いては最西端に存在するそこは現在―――戦場となっていた。
戦場と言っても、実際に戦闘行為をしているのは二人だけなのだが、塔外部の数々の屋台群が、ある物は切り裂かれ、ある物は破砕されて打ち捨てられた有様が、
まさしくそこを戦場と呼ばせるに相応しいオブジェとなっていた。
そして、そのオブジェを作り上げた二人が今、片や相手をを見下ろし、片や相手を見上げる形で、何度目かの激突をせんとする所だった。
「おおおおおおおおっ!!」
「南斗獄屠拳!!」
タワー近くにあった今川焼きの屋台を踏み台にして高く跳び上がり、日本刀を構えて急降下するのは、剣の騎士、シグナム。
それを迎え撃つべく、同じように跳びあがり蹴り足を繰り出すのは、サザンクロスのKING、シン。
…二人がこうして闘っている理由を説明する為に、少々時間を遡らせて頂く。
305 :
◆YwLV7iJ2fw
:2011/11/10(木) 01:06:09.18 ID:kWjG832+
◇◇◇
電波塔を第一拠点として行動する事を決めたシン達四人が最初に行ったのは、電波塔の内部構造の把握だった。
当面の活動拠点とするのだから、地の利を得ておこうと考えるのは当然の流れである。
シンが基本支給品の松明を手に先頭を歩き、続いてハートと、彼におんぶされているはやて。最後にシグナムが殿を勤める隊列で移動している。
この隊列をシンに提案された最初こそ、「はやては自分が守る」と不満を漏らしていたシグナムだったが、
ハートの方がはやてを守りながら戦うに向いているというシンの言葉と、それを実践して確かめようとした彼女の拳がハートの肉体にめり込んで抜けなくなった事で、
渋々ながら彼女もこの隊列に納得せざるを得なかった。
ちなみに、電気が通っているのにわざわざ建物内の明かりを点けずに松明を使って移動しているのは、
他の参加者達に自分達の存在をアピールする事になるのを避ける為である。
彼等の目的を考えれば他の参加者と接触するのは望むべき事なのだが、電気の灯りに引き寄せられた参加者が、必ずしも自分達に同調してくれるとは限らないし、
最悪、いきなり襲撃してくる可能性も考慮すると、この時点ではこういう風に行動せざるを得ないというのが四人の共通見解だった。
「ふぅむ。フロアーを上下する手段は、北側に一つある非常階段と、中央に二つ並んだこのエレベーターのみか」
「このエレベーターは大きくていいですねぇ。おかげで私でもスピーディーに移動できます」
「せやけど、非常階段の方はちょっと狭ぁて、ハートさんでは通れへんかったなぁ」
最初に彼等が確認したのは、各階層間の移動手段だった。
全十階にも及ぶフロアーを松明の灯りだけを頼りにで虱潰しに探したものの、彼等が言う以上の移動手段は発見できなかった。
「まあ、降りるだけならガラスを突き破って飛び降りればいいんですがねぇ。弾んで衝撃は殺せますし」
「そんな降り方ができるのはお前だけだ。まあ、上るだけならさっきの様に反った外壁を駆け上るという手もあるがな」
「それができるのもキングだけですなぁ」
「あはは…」
二人の冗談交じり(本気だったかも知れないが)のやり取りを見て、はやてが自然と小さな笑みをもらし、更にそれを見たシグナムもまた、かすかな微笑を浮かべていた。
306 :
◆YwLV7iJ2fw
:2011/11/10(木) 01:06:49.87 ID:kWjG832+
◇◇◇
「倉庫、会議室、給湯室、休憩室、配電室、トイレ、ロッカールーム、モニタールーム……これでここも全部かな」
「そのようです、主はやて」
次に四人が回ったのは、二階に存在した『STAFF ONLY』と書かれた扉の向こう側の空間だった。
より正確に言えば、二階にだけはエレベーターが止まらず、非常階段からのみ入れる構造となっており、その非常階段側からの入り口のドアに先の
『STAFF ONLY』の文字が書かれていた為、二階はその全体がスタッフの為の空間となっている訳だ。
ちなみに、前述の理由によりハートはこのスタッフルームには入れなかった為、現在は別行動を取っている。
「キングさん。倉庫の方はどないでした?」
「ああ、大半はこの電波塔の照明やネジやらのこまごまとした物ばかりだったが、多少は役に立ちそうなものがあったぞ。
後でお前達の支給品を確認する時に一緒に出そう。ところでそっちはどうだったのだ?」
「あー、わたしらの方はさっぱりでしたわ…」
二階入ってすぐの所にあったのが倉庫で、ここでシンは一人で物資の調達を、残るはやてとシグナムが、残りの部屋の探索を行っていた。
だが、それなりの収穫があったシンとは異なり、残りの部屋を調べた二人の成果は、決してよいものではなかった。
探索した部屋部屋は軒並みがらんどうになっており、物資と呼べるような物はおろか、雑品と呼べるような物さえ全く存在していなかった。
強いて言うならロッカーや椅子、テーブルや冷蔵庫と言った大物備品ならあるにはあったのだが、いくら背負い袋の収納量に上限が無いとはいえ、
そんな物を持ち運んだところで何の役にも立つまいと、二人はため息を吐くしかなかった。
モニタールームにはその名の通り、電波塔の要所要所に配置された監視カメラの映像を映し出す為のモニターが並んでいたのだが、
それらは全て丁寧な事に液晶を割られており、映像を見る事はどうあがいても不可能だったのだ。
(そう簡単に篭城はさせない、という事なのだろうな…。忌々しい事だ)
ありありと伝わる主催者、八雲紫の思惑に、シグナムは一人、歯噛みしていた。
「そうか。それでは仕方ない。詳しい話は後で聞くとして、先ずは地下のハートと合流しよう」
307 :
◆YwLV7iJ2fw
:2011/11/10(木) 01:07:55.17 ID:kWjG832+
◇◇◇
「お待ちしておりました、キング。地下の探索は既に終了しております」
「うむ、ご苦労だった」
シン達が二階の探索を行っている間、一人、二階に入れなかったハートは、電波塔の裏側にあったスロープを降りて、地下階層の探索をしていた。
と言っても、地下部分は一階層しか無かった為、探索はかなり早く終わったらしく、本人曰く、
『皆さんを待つ間は些か手持ちブタさでしたよ。ブヒヒ』
との事だった。
ちなみに八神はやてはこの発言に笑いを堪えるのに必死だった。
ともあれ、ハートの探索によってこの地下階層は、駐車場であるという事が判った。
車こそ一台も止まっていなかったが、等間隔に引かれた白線や、車輪止めの縁石などのおかげで、誰にでもそれは容易に判別でき、
また、フロアーの隅の方には小さな管理人室とトイレがあったが、ハート曰く、そこにも特に役立ちそうな物資は無かったとの事だった。
「ふむ。それではそろそろはやて達の支給品と、俺が倉庫で見つけた物資の検分といこう」
「はい」
シンのその言葉を受けて四人がその場に腰を下ろし、まずはシンが背負い袋から倉庫で調達した物資を取り出し始めた。
内訳は、消火器が一つ、作業用のヘルメットが一つ、成人男性用の安全靴が一足の計三点で、消火器とヘルメットは護身用にとはやてに、
安全靴はサイズ的に他に履ける者がいないからとの理由でシンに手渡された。
続いてシグナムが、自分達の背負い袋から順番に支給品を取り出し始める。
「これは、日本刀だな……それも刃に曇りが無く、刀身も恐ろしく美しい。余程の業物だろうな」
最初に出てきたのは、見る者を魅了するかのごとき佇まいを発する、美しい日本刀だった。
普段から剣を使っているシグナムのみならず、10歳にも満たないはやてや、世紀末に生きるシンやハートですら、その刀の存在感には目を奪われた。
この場にいる全員が日本刀に関する知識などろくすっぽ持っていないので知る由も無いのだが、この刀の銘は『安綱』。
鬼切りの刀として数多の伝承を持つあまりに名高き逸品、童子切安綱その現物である。
「なんとも見事な刀ですが……私達にはこんな物を使える技量はありませんなぁ」
「拳一つで戦ってきた身だからな。武器など不要だった」
「そやったらこの刀はシグナムに持たせてもろてもええでしょうか? シグナムやったら剣は得意ですし」
「ああ、構わんさ。それに、そいつはもともとお前達の支給品なのだしな」
「有り難う御座います、主はやて。キング殿も恩に着る」
安綱を納刀して腰に佩いたシグナムが次に取り出した物は、無骨な漆黒の鉄の塊だった。
308 :
◆YwLV7iJ2fw
:2011/11/10(木) 01:08:57.65 ID:kWjG832+
「うわ、ホンマモンの拳銃?」
「いえ、添付されている注意書きによると、スタンガンのようです。こう、引鉄(ひきがね)を引くと――」
そう言ってシグナムが銃口を真上に向けて引鉄を引くと、バチバチッ! とけたたましい音を立てて、青白い電流が周囲を照らした。
その勢いにうひゃあ、とはやてが驚いてのけぞり、シグナムが慌てて謝罪する。
どうやらかなりの改造をされているようだった。
「日本で持ってたら間違いなくお巡りさんに捕まってまうなー」
「いえ、主はやて。説明書によるとこのスタンガン、近衛スバルとかいう参加者の私物だそうです。名前からして間違いなく日本人かと…」
「えー……日本も物騒になったもんやなぁ…」
「この程度なら可愛いものだと思うがな」
「ですねぇ」
はやてはまだ見ぬ参加者近衛スバルと、シン達の生きた世界に僅かばかりの寒気を覚えながら、尤も非力なのでとこれも護身用に所持する事となり、
ずしりとくる鉄の質感に戸惑いながらも、それを懐にしまいこんだ。
「では、次です」
シグナムの手で三つ目の支給品が取り出された時、シンとハートは最初、思わず己が目を疑った。
果たして出てきたものは、バイク。それもサイドカー付きのえらく立派なものだった。
別に、彼等がバイクも知らないような前時代の人間という訳ではない。寧ろ、バイクそのものは世紀末ではとてもよく目にする物なのだが――
「どうやらこの背負い袋には魔法がかけられているようですね」
「せやなぁ」
「こ、これが魔法というものなのか…!」
「これは驚きですねぇ…!」
普段から魔法に慣れ親しんでいるはやてとシグナムには兎も角、シンとハートにとっては、明らかに物理法則を無視した物体が現れたこの現象は、
ここに来てのみならず、世紀末の世界にいた頃を含めても、初めて目の当たりにする超常現象である。
流石の世紀末の住人たる二人も度肝を抜かれて、かすかな冷や汗を流して狼狽していた。
些かみっともない所を見せてしまった二人だが、彼等の名誉の為に言うならば、彼等の支給品は全部併せても、
「なんら特殊な仕組みの無い普通の背負い袋」にでも入る物ばかりだった事も一因だろう。
309 :
◆YwLV7iJ2fw
:2011/11/10(木) 01:10:33.74 ID:kWjG832+
「さて、最後の支給品は……ッ、これは…!」
最後にシグナムが背負い袋から取り出した物は、なんらかの携帯端末であった。
大きさは手のひらサイズの小さな物で、丈夫には液晶があり、一見すると携帯電話のようにも見えるが、ボタンの数は三つと明らかに少ない。
だが、その数少ないボタンの内の二つには、この島に喚ばれた者なら誰でも目を引く模様が描かれていた。
「赤と、青の星…」
誰ともなく、そのボタンと自分の左手の甲を見比べる。
この殺人ゲームに於いての主従を示す、赤と青の星。それと瓜二つの図がそこにあったのだ。
「主はやて、これにも説明書が付いています」
シグナムが端末に付いていた説明書を取り、声に出して読み上げる。
「『これはペアを失った参加者の位置を受信・表示する端末です。
主または従者を失い、一人となってしまった者の位置情報を、主なら赤い光点で、従者なら青い光点で表示します。
最初にPOWERボタンを押してください。電源が入り、この島の地図が表示されます。
その状態で赤のボタンを押すとはぐれ主人の、青のボタンを押すとはぐれ従者の位置が判ります。
ただし、それ以外の参加者の位置情報は表示されませんので、お気を付け下さい。』――以上です」
シグナムの説明が終わり、誰かのごくりと息を飲む音が静かに響いた。
「なるほど……主従を失った者がそのまま契約できずに死んでいくのは、やはりあちらにとっても不都合という事か」
「でしょうなぁ。しかし、参加者が殺し合うのは彼女にとっても望むべき事ですから――」
「余計な参加者を回避できるようにはできてへん…って事か。意地が悪いなぁ」
「とは言え、役立つものには違いありません。うまく活用するように考えていきましょう」
そうして四人が思い思いの感想を言い合いながら、物資の検分はこれにて終了した。
310 :
◆YwLV7iJ2fw
:2011/11/10(木) 01:11:45.30 ID:kWjG832+
◇◇◇
「さて、取り敢えずこの場でできる事はこれで一通り済んだ。当面は待機班と行動班の二手に分かれて行動しよう。
待機班は当面この電波塔で待機し、行動班はC−2のデパートを中心とする市街へ赴き、物資、情報、人員を集める」
地上に出てシンが最初に行ったのは、分担行動の提案だった。
『比較的安全な拠点』と『有事の際の足手まとい』(勿論これははやての事だ)の両方を有するこのグループが安全に活動する為には、
この提案は至極当然のものであると言える。
「ならば私達がここで待機しよう。主はやてを危険にさらす訳にはいかないからな」
「いや…待機班は俺とはやてだ。シグナムとハートには行動班の方を頼みたい」
「なっ!? それはどういう事だ!」
シンのその振り分け案に、シグナムが食いかかった。
「一番力のある者が被保護者を守るのは当然だろう。それに――!」
シンが理由を説明しきる前に、納刀されていた安綱の切っ先が、シンの胸元すれすれの位置に突きつけられていた。
「どちらが一番強いかなど、お前が判断する事ではない。主はやてを守るのはこの私だ」
「シグナム!!」
「おおっとと。あんまり身を乗り出さないで下さい」
突然のシグナムの暴挙に、ハートの肩の上のはやてが慌てて声を上げるが、シグナムの視線も、抜刀された刀身も揺らがない。
シンもまた視線や姿勢を揺らがさず、怒気を孕んだシグナムの視線を向けるシグナムを見つめ返していた。
そして、決定的な一言がシンの口から放たれた。
「…ならば、どちらが強いか試してみるか?」
「望むところ!!」
「あかん! シグナム!! キングさん!!」
――――――かくして、現在に至る。
311 :
創る名無しに見る名無し
:2011/11/10(木) 01:12:00.81 ID:rvhDRXyR
支援
312 :
◆YwLV7iJ2fw
:2011/11/10(木) 01:12:39.40 ID:kWjG832+
◇◇◇
「フッ。よもや女の身でこれ程までに戦える者がいたとはな。さっきは失礼な事を言った」
「いや、こちらこそ血気が逸っていたようだ。すまなかった」
―――結論から言えば、両者の戦いは互角のまま決着がつかず、一昔前の少年漫画のように、戦ってお互いの力を認め合った二人は、
すっかり楽しげな表情で打ち解けて、さながら十年来の友人同士のような雰囲気で、お互いの力量と戦いぶりを賞賛しあっていた。
そしてその傍らで、うんうんと満足そうに頷く巨漢と、よく分からない展開にぽかんと口を開ける少女。
「シグナムってあないな一面があったんやなー…知らんかったわ」
本来なら遠くない未来で知る事になる事実を早々と知ったはやては、自らの騎士の意外な一面に何とも言えないという表情になっていた。
「そう言えば戦いの前に何か言いかけていたな。キング殿、あれは何を言おうとしていたのだ?」
どこかしら堅苦しさと刺々しさの薄れた口調で、シグナムがシンに問いかける。
その問いかけに、ああ、と短く一拍置いてから、改めてシンはシグナムへの説明を再開した。
「今の戦いで俺とお前の力は互角だと判ったが…それでも俺がはやてと共に行動するべきだと思う。理由はあのバイクだ」
「あの支給品のか。どういう事だ?」
シグナムが何故だと頭上に疑問符を浮かべて続きを促す。
「あのバイクにはサイドカーが付いていた。あれなら有事の際にはやてを移動させるのに誰かが背負ったり抱きかかえたりする必要は無いだろう。
だが……お前はバイクを運転できるのか?」
「「あっ」」
一緒に話を聞いていたはやてと、そしてらしくもなくシグナムが、目から鱗が落ちたような表情になって間の抜けた声を漏らした。
脚が不自由――と言う以前に免許証を持てない年齢のはやては勿論、現代日本に現れてからさして月日の経っていないシグナムがそんな物を操縦できるはずも無く、
逆に、徒歩以外の移動手段がほぼバイクか四輪自動車オンリーとなっている世界に生きてきたシンにとって、珍しいサイドカー付きのバイクとは言え、
それを乗りこなすなどは極めて造作も無い事なのだ。
「確かに、今の私は魔法が使えぬし、その事を考慮すればキング殿に主をお任せするのが最適だろうな。
しかしそれなら、私も悪かったが、あんな挑発をしなくても良かったのではないか? おかげですっかり塔の外部が戦場跡になってしまったのだが」
「いや、我々の方針を考えれば外部はこうなった方が寧ろ都合がいい」
「「?」」
シンのその言葉に、再びシグナムの頭上に疑問符が浮かび、はやても首を傾げ、ハートは「ああなるほど」と一人得心していた。
「いいか。例えばある参加者がここにやってきたとしよう。当然ここで戦闘があったと思うだろう」
うんうん、とはやてが相槌を打つ。
「そしてその参加者が、我々と同じように殺し合いに乗らず、仲間を集めているのなら、生存者なり手がかりなりを探して塔に入るだろう。だが――」
「逆にその参加者が殺し合いに乗っているのなら、他の乗った参加者に先を越されたと見て引き返していく…という訳だな」
「そういう事だ」
今度はシグナムも、過去に幾度と無く戦場を経験していただけあって、説明の途中で答えに辿り着いた。
いつの時代も、困った人を放って置けない心優しい人間もいれば、人に先んじて略奪行為を行わんとする不心得者は存在するのだ。
古代の異世界にも、そして世紀末にも。
313 :
◆YwLV7iJ2fw
:2011/11/10(木) 01:15:27.47 ID:kWjG832+
◇◇◇
「それではキング殿。主はやての事をよろしく頼みます」
「ああ。任せておけ」
色々とあったが結果全員が有意義だったと思える時間を経て、いよいよ別行動開始の時が来た。
シグナムもこの時間でシンの実力やら知慧やらをすっかりと認めたらしく、いつの間にか彼に敬語を使うようになっていた。
傍から見ていても、彼女の表情や言動の端々からは彼に対する信頼が窺え、彼女の主たるはやても、
自分の騎士が自分達以外にそういう接し方が出来る相手が増えた事に、心からの笑みを浮かべて喜んでいた。
「ハートさんもシグナムの事、よろしくお願いします」
「ええ、もちろんですとも。キングが認められたお方なのですから、私も全力を以ってサポートさせて頂きますよ〜」
ブヒブヒと人の良い笑みを浮かべて笑いながら、ハートもはやての願いを快諾する。
シンが認めた人物なのだから、と言うのは紛れも無い彼の本音であり、それだけシンへ寄せる信頼と忠心の高さが見て取れた。
勿論、それに伴ってハートがシグナムに寄せる信頼も同様に増していた。
「それでは、日が中天まで昇る頃には再びここへ戻ってくるのだ。
もしなんらかの理由で俺達がここにいれなくなったら、D−2の港へと向かっておくので、そこで合流する事にしよう」
「畏まりました、キング」
「解りました。では我々はこれで」
「絶対無事に帰ってくるんやで、シグナム!」
「もちろんです、主はやて。私は主の剣にして騎士。必ずまたあなたの下に戻って参ります」
「ハートも息災でな。必ず我が下に戻ってくるのだぞ」
「はい。もちろん心得ております、キング」
かくして、二人の従者は電波塔を後にした。
必ず戻ってくるという主との約束を胸に抱いて。
【D-1/電波塔外部/1日目-黎明】
314 :
◆YwLV7iJ2fw
:2011/11/10(木) 01:20:49.76 ID:n4lA+kEq
テスト
315 :
創る名無しに見る名無し
:2011/11/10(木) 01:21:58.35 ID:rvhDRXyR
規制か何かかな?支援
316 :
◆YwLV7iJ2fw
:2011/11/10(木) 01:22:37.23 ID:n4lA+kEq
携帯からすいません。
一度に書き込みすぎてばいばいさるさんを食らってしまいました。
残りはしたらばの方に投下しますので、すみませんがどなたか代理投下をお願い致します。
>>311
支援有り難うございました。
317 :
◆YwLV7iJ2fw
:2011/11/10(木) 01:31:38.16 ID:n4lA+kEq
ただいま残り分のしたらばへの投下を完了しました。
>>315
支援有り難うございました。
318 :
代理投下
:2011/11/10(木) 01:32:52.57 ID:rvhDRXyR
75 : ◆YwLV7iJ2fw:2011/11/10(木) 01:23:14 ID:N69EwX0c0
【従:ハート様@北斗の拳】
[主従]:シン@北斗の拳
[状態]:健康
[装備]:背負い袋(基本支給品)
[方針/行動]
基本方針:キングの野望に付き従う。
1:全てはキングの仰せのままに。
2:C−2のデパートを中心に、物資・情報・人員を集め、正午までに電波塔に戻ってくる。
[備考]
※シグナムへの信頼感が上がりました。
※背負い袋の仕組みに気付き、それを“魔法”によるものと判断しました。
【従:シグナム@魔法少女リリカルなのはシリーズ】
[主従]:八神はやて@魔法少女リリカルなのはシリーズ
[状態]:健康
[装備]:童子切安綱
[方針/行動]
基本方針:主はやてに従う。
1:全ては主はやてのままに。
2:C−2のデパートを中心に、物資・情報・人員を集め、正午までに電波塔に戻ってくる。
[備考]
※シンへの信頼感が上がりました。
※背負い袋の仕組みに気付き、それを“魔法”によるものと判断しました。
319 :
代理投下
:2011/11/10(木) 01:33:29.89 ID:rvhDRXyR
76 : ◆YwLV7iJ2fw:2011/11/10(木) 01:24:00 ID:N69EwX0c0
◇◇◇
「行ってもうたなぁ…」
己の騎士の背中が見えなくなるまで笑顔で見送っていたはやてだったが、いざ離れてしまうと、どうにも拭えない寂寥感が胸中に広がった。
はやてにとって、この島に喚ばれた家族はシグナム一人きり。その彼女が側にいなくなると、心寂しくなるのは当然の事だった。
ましてや、彼女は満足に動く事さえままならない、まだ若干9歳の少女なのだから尚更だ。
「あの二人ならそうそう心配はいらんだろう。取り敢えず中に戻ろう」
「あ、はい――って、ひゃっ!?」
シンの呼びかけに答えきる前に、はやての視界が急にぐっと高くなった。
何があったのかと言えば、たいした事ではない。シンがはやてを抱きかかえたという、それだけの事である。
ただし、「それだけの事」なのはあくまでシンのみであって、抱きかかえられた当のはやては軽いパニックに陥っていた。
(い、いやいや、確かにさっき向こうのほうが正しいんちゃうかなとは思たけど、いきなりこれは何て言うか……。
お父さんが死んでもうたんも随分昔やったし、覚えてる限り、男の人に抱きかかえられるのってこれが初めてちゃうか……?
しかもこれ、いわゆるお姫様だっこやし……)
「しっかり掴まっていろよ」
「は、はい」
突然にして初めての経験に僅かに頬を赤らめながら、シンの言葉どおり、彼の服を掴む指に込める力を強める。
だが、どうにも視線をシンと合わせ辛く、はやては視線をはるか上空に泳がせた。
見上げた満天の星空で真っ先に目に付いたのは、最初に四人で一緒に見上げた北斗七星と、その脇に輝く蒼星の下だった。
(そういえばあの蒼い星、名前なんてゆうんやろうなぁ…)
その星の名も、それを目にしたという事の意味も、まだ誰も知らない―――。
320 :
代理投下
:2011/11/10(木) 01:33:50.43 ID:rvhDRXyR
77 : ◆YwLV7iJ2fw:2011/11/10(木) 01:25:09 ID:N69EwX0c0
【主:シン@北斗の拳】
[主従]:ハート様@北斗の拳
[状態]:健康
[装備]:安全靴、背負い袋(基本支給品、やかん、ティーセット、紅茶葉(1�s)、サーターアンダギー×138、リヴァルのバイク)
[方針/行動]
基本方針:サザンクロスを築く。
1:サザンクロスを築く。
2:はやてを守る。
3:正午までハートとシグナムの帰りを待つ。
4:何らかの理由で電波塔に留まれなくなった場合は、はやてを連れて港に移動する。
[備考]
※シグナムへの信頼感が上がりました。
※背負い袋の仕組みに気付き、それを“魔法”によるものと判断しました。
【主:八神はやて@魔法少女リリカルなのはシリーズ】
[主従]:シグナム@魔法少女リリカルなのはシリーズ
[状態]:脚が不自由
[装備]:作業用ヘルメット、消火器
[方針/行動]
基本方針:キングさんを手伝う。
1:キングさんを手伝いたい。
2:正午までシグナムとハートさんの帰りを待つ。
3:何かの理由で電波塔に留まれなくなった場合は、キングさんと一緒に港に移動する。
4:近衛スバルって、ちょっと怖い人なんかな…。
[備考]
※シンへの信頼感が上がりました。
※背負い袋の仕組みに気付き、それを“魔法”によるものと判断しました。
321 :
代理投下
:2011/11/10(木) 01:34:23.98 ID:rvhDRXyR
78 : ◆YwLV7iJ2fw:2011/11/10(木) 01:25:50 ID:N69EwX0c0
【童子切安綱@おまもりひまり】
伝承に名高き鬼切の刀。天河の緋剣たる野井原緋鞠の愛刀。
【改造スタンガン@まよチキ!】
アニメ3話でスバルが護身用にとプールに持参した、拳銃型のスタンガン。かなり強力に改造しているらしい。
余談だが、原作では改造されていたのは一緒に持参していたガスガンだった。
【リヴァルのバイク@コードギアス】
ルルーシュの学生時代の悪友リヴァル・カルデモンドが、ルルーシュの為に貯金をはたいて購入したサイドカー付きのバイク。
【単独行動参加者探知機@主従ロワオリジナル】
島の地図と、主従を失った参加者の位置を、主人なら赤の、従者なら青の光点でそれぞれ表示できる携帯端末。
ただし、それ以外の参加者(主従が健在な参加者及び死体)は表示されない。
【安全靴@現地調達】
シンが電波塔の倉庫から調達。
工事現場などでよく使われる、つま先に鉄板の入った安全靴。成人男性用。
【作業用ヘルメット@現地調達】
シンが電波塔の倉庫から調達。
工事現場などでよく使われる、ごく普通の作業用ヘルメット。
【消火器@現地調達】
シンが電波塔の倉庫から調達。
特殊な薬剤で空気を遮断して消化する。一般的な物より小型で携帯可能。
79 : ◆YwLV7iJ2fw:2011/11/10(木) 01:28:49 ID:N69EwX0c0
これにて投下完了です。
連続書き込みが過ぎて途中で規制されてしまいましたので、途中から此方に投下させて頂きました。
お手数をおかけしますが、どなたか代理投下をお願い致します。
なお、今作のタイトルは、
約束されし死亡の旗(シチョウセイガー)
です。
322 :
創る名無しに見る名無し
:2011/11/10(木) 01:37:38.85 ID:rvhDRXyR
代理投下終了です
最後の最後にタイトルでw
ここは主組と従者組に分かれて行動か、吉と出るか凶と出るか
てっきり最初のシーンで仲間割れしたかと思ったけど、殴り合って友情が芽生えたみたいでよかったよ
323 :
創る名無しに見る名無し
:2011/11/10(木) 03:32:50.28 ID:LgsB3d37
投下乙です!
チーム分けはベターなんだけど、すっごく大切なことをいい忘れている気がする
ハート様って確か血を見ると・・・・・・
324 :
創る名無しに見る名無し
:2011/11/10(木) 15:36:10.90 ID:n4lA+kEq
>>322-323
代理投下と感想、有り難う御座いました!
昨夜は規制で焦ったせいか、投下直前のチェックにかなりの抜かりがありましたorz
すみませんがwiki収録の際、シグナムの装備に『単独行動参加者探知機』を、はやての装備に『改造スタンガン』の追加をお願い致します。
誤字は収録後にこちらで修正しておきます。
325 :
◆YwLV7iJ2fw
:2011/11/10(木) 16:55:33.38 ID:n4lA+kEq
度々すみません。トリップが抜けていましたが↑のレスは私のものです。
326 :
創る名無しに見る名無し
:2011/11/11(金) 00:44:23.74 ID:09d18Y8w
感想2つって
327 :
創る名無しに見る名無し
:2011/11/11(金) 00:52:59.20 ID:waNzCrKY
何か問題でもあるのか?
328 :
創る名無しに見る名無し
:2011/11/11(金) 01:01:07.63 ID:09d18Y8w
ない、可哀想で逆に泣けてきた
329 :
創る名無しに見る名無し
:2011/11/11(金) 01:10:39.30 ID:qgunQ8qY
したらばの方にも感想上がってるぞ。
330 :
創る名無しに見る名無し
:2011/11/11(金) 16:10:41.00 ID:PkcuZ9ui
投下乙ー
手持ちブタさわろたw
>>329
感想少ないどうたらの奴はあまり相手せん方が良いと思うぞ
俺みたいに読み専で毎感想残してるわけじゃないけど
毎話楽しみにしてるやつだってわりと居るだろうし
331 :
創る名無しに見る名無し
:2011/11/13(日) 21:35:10.65 ID:WHa56ACd
新しい予約も入ってるし、投下待ち保守。
332 :
創る名無しに見る名無し
:2011/11/14(月) 09:06:05.81 ID:oeuVloYY
今更だけど、東方と戦国BASARA以外は原作からの参戦でいいんだよね?
スタンガンくらいならリレーできなくなるようなことはないだろうから構わないけど、今後のこともあるので確認しときたい
333 :
創る名無しに見る名無し
:2011/11/14(月) 09:40:50.46 ID:Cktl75dY
それ+うたわれるものもだな。
334 :
創る名無しに見る名無し
:2011/11/14(月) 15:33:47.15 ID:QbvbCyJ2
ん?東方と戦国BASARAは原作じゃなければ一体なにから参戦してるんだ??
335 :
創る名無しに見る名無し
:2011/11/14(月) 15:48:10.90 ID:xsDjQmWo
>>334
BASARAとうたわれはアニメ、東方は
>>1
に書かれた作品タイトル通り
参加者決めるときに、ゲームはハード持ってない人もいるだろうって理由で
アニメや漫画になってるやつだけ参加可能って話になった
336 :
創る名無しに見る名無し
:2011/11/14(月) 20:55:37.74 ID:rv9aw8AC
たしか東方は漫画
BASARAはアニメが出典だったと思うが
337 :
創る名無しに見る名無し
:2011/11/15(火) 08:03:20.80 ID:HYo4nES/
そりゃ東方とかは原作だけだと描写不足過ぎてすぐ変な妄想入るしな
確かに性格や口調の固定されてる漫画版を基準にするのは書き易そうだし正しいと思うわw
338 :
332
:2011/11/15(火) 09:38:56.27 ID:pZR8S3qA
東方は漫画、うたわれとBASARAはアニメ、他は原作だな
わかった
ありがとう
339 :
◆Su10.RK3MU
:2011/11/15(火) 17:40:19.63 ID:i8fvEnoU
投下します。
340 :
Evilution
◆Su10.RK3MU
:2011/11/15(火) 17:41:11.85 ID:i8fvEnoU
【001】
繰り返し拳を叩きつけ、しまいには体ごと体当たりしてみても結局目の前の鉄扉はビクともしなかった。
どうにか開ける術はないかと探っても、厳重な宝物庫である部屋に内側から開けられる方法が用意されてるはずもない。
その上、ご丁寧なことに通路へと向かって両開きになる扉の前には重石となる物まで置かれているようだった。
閉じ込めて行ったきりのリルカが己の所業を省みて戻ってくるなどということもあるはずもなく。
時間にして三十分くらいだろうか、大きな溜息を吐くと竹露はようやくにして部屋から出ることを諦めた。
「あ〜あ、どうしようか……」
閉じ込められてしまってはどうしようもない。都合よく他の出入り口が見つかるなんてこともないだろう。
竹露はまた小さく嘆息すると、床に放り出していた懐中電灯を取り上げそれとなしに光を部屋の奥へと走らせる。
地下宝物庫の広さは大体学校の教室を二つ繋げたくらいだった。
天井が少し高く、部屋の左右にはその高さにあった棚が並び、中央には腰くらいの高さの机やショーケースが並んでいる。
そしてそのどこにも仰々しい装飾を施された箱や杯、彫像などが所狭しとひしめき合っていた。
どれも一見しただけで上階で見たものとは比べ物にならないほど高価であろうとわかるものばかりだ。
「……ごくり」
喉を鳴らし、竹露は手前にあった小さな箱を開けてみる。すると中には親指の先ほどの大きさの宝石がいくつも入っていた。
懐中電灯の光を吸い取って輝くそれらは果たしてサファイアだろうか、それともダイヤモンドだろうか。
知識のない竹露にわかるのは、おそらくこれらは自分が生涯通じて稼いだ金を払っても買えない物であろうということくらいだ。
見惚れるとこ半分、手に入れられぬものへの諦観を半分の溜息をつくと竹露は箱を閉め、その視線を部屋の奥へと向ける。
「う〜ん……こっちは悪趣味……」
棚や机に並べられているものは、奥に向かうほど骸骨や悪魔などをモチーフにしたおどろおどろしいものになっていく。
羽を広げた悪魔の彫像。頭蓋骨の杯。眼球を縫い繋げたネックレス。苦悶の表情が描かれた油絵。
獣の腕の木乃伊。人の顔の形の染みが浮かんだ布。脱皮した蛇の皮。血のような赤が詰まった立方体。
吸血鬼が入っていそうな黒い棺桶。骨が山積みにされた猫車。複数の動物の四肢を縫い合わせた剥製のキメラ。
そして更に奥――部屋の一番奥に設けられたスペースに置かれたものらを見て竹露は小さな悲鳴を上げた。
「こ、これは……」
内側に棘のついた鉄の籠。天井から鎖で吊るされた鉤爪。刃に赤く錆の浮いた断頭台。手足を万力で挟む椅子。
歪な刃のついた人間大の鋸。焼き鏝に火かき棒。人の頭のサイズに合わされたカキ氷器のようなもの。
部屋の一番奥に並べられていたそれらは、どれもが拷問か処刑に使われるようなものばかりだった。
それも、刃や棘に染みた黒ずみを見るにどれも実際にその目的どおりに使用されていたと思われるものばかり。
どうしてこんなものがこんなところにあるのだろうか。
それはこの博物館の持ち主の趣味なのかもしれないし、もしかしたら以前は拷問展などしていたのかもしれない。
なんにせよ見ていて気分のいいものではない。竹露は懐中電灯の光を背けると、逃げるように扉の前へとかけ戻った。
【002】
「はぁ……なんでこんなことになってるんだろ」
閉じ込められてからもうどれほど経ったろうか。部屋の中には時計がないのでさっぱりわからないが、
待つことも怖がることにもとうとう飽きた竹露は、扉の前に座り込み唯一今できることである食事をしていた。
懐中電灯の仄かな明かりの中、背負い袋の中にあったミスタードーナツを愚痴を零しながら食べる。
細長い箱の中に入っていたのはオールドファッションをはじめとしたドーナツが10個。
パイや焼きドはなく、どれもオーソドックスな甘いドーナツばかりだ。
竹露ははじめにそのオールドファッションを頬張り、その次はゴールデンチョコレートに手を伸ばした。
三つ目は柔らかいシュガーレイズド。そしてフレンチクルーラー……と、続けてドーナツばかり食べるとさすがに喉が詰まる。
「水、水と、……って何この匂い?」
ドーナツと併せて背負い袋の中にあった液体の入った瓶。その口を開いて竹露は異臭に顔をしかめた。
341 :
Evilution
◆Su10.RK3MU
:2011/11/15(火) 17:41:53.90 ID:i8fvEnoU
どこかで匂いを嗅いだことがあるような気はするが、これはなんだろうか?
お酒ではないと思う。じゃあなんだろう? そう考えて、少ししてガソリンの匂いだと思い至った。
「他に飲み物はないし……あぁ、憂鬱になるぅ」
水だと思っていた瓶の中身はガソリンで、そしてその他に飲む物は――無論ガソリンも飲めるものではないが――なく、
竹露はもう何度目になるかわからない溜息を吐き、もう食べる気もなくなったドーナツを背負い袋に戻した。
「リルカはいつ戻ってくるんだろう……」
とうとうすることのなくなった竹露は、リルカが護身用に残していった槍を背負い袋から取り出し、
それを胸の前に抱えながら行ってしまったリルカのことを考えた。
彼女の目的は自分を守るということだ。
友達である彼女に守ってもらえるのは嬉しい。しかし、彼女の守るという行為はすなわち敵を“殺す”ということに他ならない。
自分がお荷物としてこんな風に避難させられている現状は取り合えず置いておくとして、
この外にいる自分達以外の者らが全て外道な悪漢ばかりだというのなら、心はこんなにもざわついていないだろう。
竹露が今一番不安とすることは、リルカが自分を優先することで他の悪くないもない人を殺してしまうかもしれないことだ。
それはないとは言い切れない。むしろ、彼女の苛烈さを思えば確実にあるとさえ言えてしまう。
そして、自分やれい子がここにいることを考えれば、望まずしてこれに巻き込まれた者もまた多数いるだろうと想像できる。
つまり――リルカが雨月竹露の生還を優先する限り、他の罪もない人達は諸共に虐殺されていくことになるのだ。
「やっぱりダメだ……どうにかしてリルカを止めないと」
再び立ち上がると、竹露は固く閉ざされた扉を見つめる。
友達であるリルカが不要な殺人を犯すのは見過ごせないし、そもそもじっと待っていられる性分でもなかった。
もう一度、この扉が開けないか挑戦しよう。そして出て行ったリルカを追おう。
そう決心すると竹露は今度は使える物がないかと部屋の中を見渡す。
手にしている槍は鋭いが、鉄扉には隙間がないのでこじ開けることはできそうもない。
閉じられた扉を開くにはなにかハンマーのような物が必要だ。体当たりよりも遥かに強烈な衝撃を与える物が。
そう考えて竹露は棚と机に並べられた品をひとつひとつ見てゆく。
手前の方にある宝石や美術品の類では用をなさない。では、奥の方にあった拷問や処刑用の道具ならどうだろう。
振り回せるかはともかく、大きな物がいくつかあったはずだと、竹露は再び奥へと足を進め――
「…………ん?」
そうしようとして、ある棚の前でピタリと立ち止まった。
「こんな箱、さっきはあったっけ?」
取り立てて豪奢な装飾が施されているわけではない。むしろ、この部屋の中にあるものの中では地味な部類だった。
大きさもそんなに大きくはない。しかしどこか“妙に気になる箱”だった。
「………………」
竹露は、まるで“操られているかのよう”にその箱へと手を伸ばすと、封印の為のシールを破き、蓋を開い――……
『――おーい。誰か中にいるの?』
開こうとしたが、その行動は突然聞こえてきた声に中断された。
どこから声が? 考えるまでもない。外からだ。
「えっ? あ、はいっ! って、あぁ〜っ!?」
驚いた竹露の手の中から箱が滑り落ち、床の上で箱が壊れ中に入っていた宝石が辺りに飛び散る。
高価そうなものを壊してしまったということもあるが、今こんなとこを誰かに見られたら泥棒だと思われかねない。
そんな風に思い、半ばパニックに陥った竹露は床に這い蹲ると飛び散った宝石を掻き集めはじめた。
342 :
創る名無しに見る名無し
:2011/11/15(火) 17:42:24.02 ID:8O2NJ5Uc
343 :
Evilution
◆Su10.RK3MU
:2011/11/15(火) 17:42:37.40 ID:i8fvEnoU
『ん? 人の声が聞こえたような……』
「わっ! ちょ、ちょっと待ってって……!」
扉の向こうで声と何かを動かす物音がする。どうやらやって来た人物は扉を開けてくれるらしい。
願ってもないことだが、こんな姿を見られては困る竹露は宝石を集める手を早める。
あらかた宝石を集めると適当に組み立てた箱の中へと突っ込み、蓋を被せて急いで元の棚へと戻した。
箱は壊れており、少し突けばまたバラバラになりそうだったがぱっと見には不自然なところはない。
ほっと胸を撫で下ろすと、竹露は犯行現場から逃れるようにそそくさと扉のほうへと向かった。
――実はこの時、このクレイマン博物館で一番“危険な宝石”が封印を解かれ、棚の下へと滑り込んだのだが、
それを知る者は、その封印を解いた竹露を含めてまだ誰もいない。
【002】
殺し合いの儀が始まってよりしばらく、雨生龍之介とキャスターの二人は神社を離れ夜の街中を東に歩いていた。
愉悦と背徳の探求に興じるにはまず“工房”の存在が必須。なので一路、その候補地へと向かっているのだ。
「それにしてもここの博物館ってのはどんなものがあるのかなー?」
先刻、地図を広げた龍之介に対し、彼の従者であるキャスターは候補地を博物館と指し示した。
怪魔を呼び出すのに神霊の力が宿る神社は論外であるが、診療所や学校という場所も手近にあるのになぜ博物館なのか?
旦那と呼び慕うキャスターの判断に龍之介は疑問を呈した。
どちらも工房を構えるにあたって適した部屋が見つかりそうであるし、隠れ家とするのにも向いているように思える。
だがキャスターが言うには、普段あまり人の出入りが激しい場所は“気の風通し”がよく工房には向いてないらしい。
逆に、博物館も人の出入りはあるものの基本的には何かを保管維持する場所である。
ならば気の風通しに関しては心配の必要はない。博物館の内容にもよるが適した環境が見つけられるだろう。
これが彼の従者と先導者を兼任するキャスターの説明であった。
最善を求めるのであれば冬木の地で工房を構えたような下水道の貯留施設などが好ましいのだが、
唐突に召喚された二人がこの島における下水事情に明るいわけもなく、これは今後余裕があればということに落ち着いた。
「ここを曲がれば……と、見えてきた。って、すごい立派な博物館じゃん」
「どうやら博物館を選んだ我々の判断は正しかったようです」
目の前に現れた威容を誇る博物館を前に、龍之介とキャスターは自分達の判断に間違いがなかったと喜びをあらわにした。
そして子供のようにはしゃぐ龍之介と、父親の様にその背中を見守るキャスターは、中に入ってその喜びを更に確信へと変える。
「すっげー! いいじゃんこういうの。俺達の望むフィーリングにぴったしっていうかさー」
「確かに。私にも“馴染みの深いもの”があるようですし、工房を構えるにあたっては申し分ない所でしょう」
彼らは展示物のひとつひとつに反応しながら歩を奥へ奥へと進めて行く。
より陰の気が溜まる場所。より血を流すに相応しい場所。より人目を忍び隠れた行いをするのに適した場所。
それらを探す彼らが、この博物館の最奥にある地価宝物庫へと至るのにそれほどの多くの時間はかからなかった。
【003】
「よいしょっ……て、あ。女の子だ」
緊張してその瞬間を迎えた竹露の前に現れたのは、いかにも浮ついた“チャラい”といった風貌の青年だった。
重い扉を両手がかりで開けると、細身の青年はなんの警戒感もない足取りで部屋の中へと入ってくる。
「えーと、俺は雨生龍之介って言うんだけど。君は誰? ていうか、なんでこんなところに閉じ込められてるの?」
子供のような無邪気さを含んだ声で聞かれる。
344 :
創る名無しに見る名無し
:2011/11/15(火) 17:43:16.15 ID:8O2NJ5Uc
345 :
Evilution
◆Su10.RK3MU
:2011/11/15(火) 17:43:20.53 ID:i8fvEnoU
一見の印象よりも悪い人でもないのかもしれないなどと思い、声の甘さに竹露は張り詰めていた警戒心を解きそうになるが、
しかし続けて入ってきた怪人物を見て緩みかかった警戒心はを最大限にまで跳ね上がった。
「ほう……、ここはいい部屋ですね。少々手狭ですが、我々の工房とするには最適の環境です。それに――」
ゆったりとしたローブを纏った怪人物は、台詞を途中で区切るとぎょろりとむき出した目で竹露を睨め付ける。
チャラい青年はともかくとして、いかに鈍感な竹露にだってこの怪人物が尋常でないのは容易に察することができた。
青年よりも頭一つ以上ある大柄な体躯。肌の色は生気のない土気色をしているのにむき出しの目だけは爛々としている。
声色も脳が痺れるほどの気色悪さで、どう見てもゾンビ使いか、召喚されたゾンビそのものという風だ。
「わ、私は雨月竹露。……あ、あんた達も《ゾンビ使い》なわけなの?」
もう間違いなく危険人物だと判定したにも関わらず、竹露は素直に名前を名乗った。
さて、彼らは次にどのような反応をするかと身構えたが、しかし彼らはぽかんと口を開けると互いに顔を見合わせるのだった。
「…………ソンビってあれでしょ。死人が動き出すっていう。旦那ってそういうこともできちゃうわけ?」
「いえいえ。私は屍術などには全く。私が学び、そして行使できるのはこの友人より賜った本による召喚術のみです」
「だよねぇ」
「よもやこの様な女子が屍術を用いるとは、意外な出会いというものもあったものです」
「あ、そっか。『あんた達も』ってことは竹露ちゃんはゾンビ使いってわけなんだ」
顔を見合わせていた二人が今度は揃って竹露を見つめる。
その目の色は先ほどとは打って変わり好奇心の色がありありと浮かんでいた。
対して竹露は少しずつ奥へと身を引きながら、この状況をどう切り抜けるかを考えていた。
この二人は“敵”ではない。それ以上のおぞましい“何か”だ。
彼らが竹露に向ける視線はどう見ても人に向けるそれではなく、新しい玩具か檻の中のモルモットに対するものに他ならない。
例え言葉を交わさなくても、その視線だけで彼らを乗り越える。あるいは避けるべき障害と認定するには十分だった。
「あー、なんだか警戒されてるみたいだけど。どうしようかキャスターの旦那?」
「そうですね。私はこの子供の言うゾンビというものに多少興味を引かれますが……」
キャスターは大きな目で何かを探すように室内を見渡す。
「この子供の連れはどこでしょうか?」
「ねぇ、竹露ちゃんさぁ。もしかして君の相方ってゾンビだったりするの?
それで、そのゾンビに殺し合いを任せて自分はここで隠れていた……とか?」
問いかけられ、しかし竹露は言葉に詰まる。彼の推測は、経緯を無視すれば現状を正しく捉えていると言える。
だがしかし、ここでそれを素直に肯定するということは危険な二人を前に自分は無力であると白状することに他ならない。
もしそうすれば、二人は一切の懸念を捨てて竹露を憐れな子供として始末しにかかるだろう。
今竹露にできることは、できるだけハッタリをかましその間にこの二人から逃げ出す突破口を見つけることだ。
だが――この竹露の沈黙はあまりにも露骨で、雄弁すぎた。取り返しがつかないほどに。
「図星ってわけだ。じゃあ、とりあえず――」
鳥が羽ばたくような音が聞こえ、次の瞬間竹露の眼前に何かが飛来する。
それは龍之介がベルトに挿していた鉄扇だったのだが、不意を突かれた竹露には身をよじって避けるのが精一杯だった。
「――最初の生贄になってもらおうか」
突進してくる龍之介に対し竹露は構えていた槍を突き出したが、無理な体勢から放ったそれは虚しく空を切る。
そして、――それが竹露のできた最後の抵抗らしい抵抗だった。
【004】
346 :
Evilution
◆Su10.RK3MU
:2011/11/15(火) 17:44:03.91 ID:i8fvEnoU
「竹露ちゃん、おまたせー」
言いながら戻ってくると、龍之介は上の事務所から調達してきた電動ドリルをギュンギュンと鳴らした。
対して、床に這いつくばった竹露はひゅうひゅうと擦れた呼吸を繰り返すだけで彼の言葉は耳に届いてないようだった。
あの後、龍之介は足を払って床に転がした竹露に革靴の爪先を何度も突き刺した。
身を捩って転がって逃げようとする彼女が動かなくなるまで執拗に繰り返し、最後には両の手首足首を踵で踏み折った。
そして身動きもままならなくなった彼女をこれからどうしようかと思案すること数分。
部屋の奥に“丁度いい”スペースを見つけた龍之介は彼女をそこまで引きずり、“工作”の為の準備を始めた。
途中、“穴を開ける”道具がないことに気づき上の事務所へと向かい――そして今戻ってきた所である。
「さてと、はじめようか」
床にうつ伏せに転がされた少女は裸に剥かれ、その上で目隠しをされている。
服を脱がしたのはただ作業の邪魔になるからで、目隠しは見えるよりも見えないほうが恐怖すると知っているからだ。
龍之介は身動きのできない竹露の背中に手を這わせると、肩胛骨の下角にドリルの先端を当てトリガーを引いた。
「ひ、ィィイイィィ……ッッ!!」
背中に穴を開けられた竹露が痛みに悲鳴を上げ背中を逸らす。
龍之介はそれを体重をかけて押さえつけると、失敗しないように丁寧にドリルの刃を進めた。
電動ドリルの刃は鋭く、固い肩胛骨も簡単に穿つことができるが、やりすぎて肺にまで刃が届いたり骨が割れては失敗だ。
「OK。我ながらいい仕事する〜♪」
両方の肩胛骨の下角に穴を穿つと、龍之介は口笛を吹いて電動ドリルを脇に置いた。
そして壁際にぶら下がっていた鎖を二本手繰り寄せると、その先端についていた鉤爪を今開けた穴に通す。
「あが……あががぅあああぁあああ……!!」
錆びついた鉤爪に身体の中を擦られる激しい痛みに悶え、竹露は嗚咽を漏らして身体を捻る。
だが龍之介はそんなことには取り合わず慣れた手つきで作業を進めると、もう片方の肩胛骨にも鉤爪のついた鎖を繋げた。
後は天井で滑車に巻きついている鎖を引けば、少女はこのままの姿で吊り上げられることだろう。
だが、工程はこれだけではなかった。
なにより、ただフックをかけた女の子を吊るすというだけでは芸がない。龍之介とキャスターはそんなものには満足しない。
「暴れると痛いからね〜」
少女が暴れられないよう背中に圧し掛かると、龍之介はナイフを取り出して刃先を肩胛骨の内側へと当てた。
そしてそのままナイフを滑り込ませ、肩胛骨を背中から剥がすようにブチブチと筋肉を切ってゆく。
「うぇがあああおおああがあがががががああああぁぁぁぁあああああ!!!!」
今までとは比べ物にならない痛みに竹露の身体が魚のように跳ねる。
龍之介は流れ出る血で服が汚れるのも気にせずに、暴れる少女を全身を使って押さえつけ、肩胛骨を剥がす作業を続けた。
悪戦苦闘しながら左側の肩胛骨の下から3/4ほどを切り離すと、次は右側へと取り掛かる。
作業が終わる頃にはシャツもズボンも真っ赤に染まっていたが、しかし一仕事終えた龍之介の表情はとても満足げだった。
「よーし、後は吊るすだけだ」
一息つくと、龍之介は足元で荒い呼吸を繰り返す少女の身体を抱え上げ、壁際にもたれさせるように座らせる。
そして離れた場所で、いらない机をどけたり魔方陣を描いたりと工房を作る作業を進めていたキャスターを呼び寄せた。
「ふむ。小娘を鎖に繋いだようですが、一体……」
「これは完成する瞬間が見物なんだ。今からこの鎖を旦那の力で思いっきり引っ張ってみてよ」
龍之介から二本の鎖を手渡されたキャスターは少し当惑しているようだった。
青年は実に才能に溢れる若者ではあるが、しかしどう見ても今目の前にあるのは鎖を繋いだだけの少女にしか見えない。
鎖を引けば少女は壁に沿って吊り上げられるだろう。だがしかし、それでは何の変哲もなさすぎる。
347 :
Evilution
◆Su10.RK3MU
:2011/11/15(火) 17:44:46.71 ID:i8fvEnoU
「……ふむ。よろしいでしょう」
何の変哲もないが、しかし龍之介のことだから何か自分を驚かせてくれる仕掛けがあるに違いない。
愛弟子は自分の期待を裏切らないはず――と納得すると、キャスターは両手に握った鎖を力のままに引っ張った。
「っ、ぁ、あごぉおうあああゔゔゔゔゔゔあああああおあああがあ゙あ゙あ゙ああああ゙あ゙ああァァアア!!!!」
少女の身体が絶叫とともに壁を天井まで駆け上る。
そして、同時にそこに“描かれたもの”を見てキャスターは感動に震えた。それはまさに彼の心を震わすに値する光景だった。
「リュウノスケ……貴殿は、なんという……なんということを」
「どう、気に入ってくれた? 俺達の勝利の天使」
吊り上げられた少女には、まるで熾天使(セラフィム)のような壁一面を覆う巨大な翼が生えていた。
それは壁面に描かれた血の翼である。
キャスターの怪力で引き上げられた少女の肩胛骨はその衝撃で左右に“開き”、そこから噴出した血が壁に翼を描いたのだ。
「背徳的でありながらなんという崇高さ……これはまさしく我々を勝利に導く天使に相応しい」
「へっへー。一発目だからさ。俺達の気分を盛り立てるようなものがいいと思ったんだよね」
キャスターは潤う瞳で龍之介を見ると、会心の笑みを浮かべる彼の肩を抱き寄せた。
彼は思う。果たして、聖ジャンヌ・ダルクを失って以来、これほどの“理解”と“祝福”を得られたことがあっただろうか。
姦計の内に死した後、世界に召され《座》について幾星霜。
聖杯戦争のサーヴァントとして呼ばれたその先には捜し求めていた聖ジャンヌ・ダルクの姿があり、そして自らの理解者がいた。
この巡りあわせを奇跡と言わずして何を奇跡と呼ぶのか。
死する前に積み重ねた悪逆非道は無駄ではなかったのだ。神への冒涜こそがジル・ド・レェをこの現在に導いたのである。
「ありがとうリュウノスケ」
「なんだよ。そんな改まっちゃってさ。俺と旦那の仲じゃんか」
キャスターは首を振る。
「いいえ、このような時だからこそですよ。
あの八雲紫とやらの術に嵌り、私は十全の力を持って貴殿を守ることができなくなった。なのにあなたは私を慮ってくれた。
不幸中の幸いなことにジャンヌはまた私と同じ世界にいます。そしてリュウノスケという味方もまたここにいてくれている。
ならば、私にはこれ以上の望みはありません」
キャスターは龍之介からそっと身体を離すと、その足元に跪いた。
「私は誓いましょう我がマスターよ! 私は貴殿の願いの為に戦い。必ずやこの戦いを勝ち残ってみせると!」
「旦那……」
龍之介の胸にも熱いものがこみ上げる。
龍之介もまた同じだった。彼にとってもキャスターは初めての理解者であり、師であり、喜びを分かち合う友人だった。
「俺も戦うよ。俺もあんたにとってのいいマスターであろうとする」
「リュウノスケ……ッ」
跪いたキャスターの前に屈むと龍之介はその手を取った。
そして二人で立ち上がると、新しい決心の漲る瞳を互いに交し合う。
そこに言葉はもうなかった。この時の彼らはもうそれ以上の言葉を必要とはしなかった。
互いが互いの全てを理解していたならばわざわざそんなものを交わす必要はもうなかったのだ。
そこは、蝋燭の灯が妖しく揺れ、真新しい血臭の漂う陰惨な儀式の現場でしかなかった。
そこにいたのは外道の限りを尽くす殺人鬼達でしかなかった。
348 :
Evilution
◆Su10.RK3MU
:2011/11/15(火) 17:45:27.86 ID:i8fvEnoU
しかし、彼らにとってそこは崇高な誓いの場であり、彼らの間に固く結ばれた友情があったこともまた確かな真実なのであった。
【雨月竹露@ゾンビ屋れい子 死亡】
【E-5/クレイマン博物館地下室/1日目-黎明】
【主:雨生龍之介@Fate/Zero】
[主従]:キャスター@Fate/Zero
[状態]:健康、令呪3画、服が血まみれ
[装備]:百合川サキのナイフ@ゾンビ屋れい子x8、鉄扇@うたわれるもの
背負い袋(基本支給品)、背負い袋(基本支給品)、破魔の紅薔薇@Fate/Zero
ミスタードーナツ@現実x6、ガソリンの入った瓶@現実、電動ドリル@現地調達
不明支給品x1(龍之介/キャスター)、不明支給品x1(竹露/リルカ)
[方針/行動]
基本方針:青髭の旦那と一緒にこの戦いを勝ち残る。
1:怪魔を呼ぶ為に必要な生贄を調達する。
2:八雲紫についての情報を集める。
3:殺せる相手は、いつも通り楽しく殺す。
[備考]
※参戦時期は巨大海魔召喚の直前です。
【従:キャスター@Fate/Zero】
[主従]:雨生龍之介@Fate/Zero
[状態]:魔力消費(小)
[装備]:螺湮城教本@Fate/Zero
[方針/行動]
基本方針:殺し合いを盛り上げつつ、八雲紫を出し抜く術を探す。
1:怪魔を呼ぶ為に必要な生贄を調達する。
2:八雲紫についての情報を集める。
3:螺湮城教本の制限を解きたい。
4:ゾンビ使いというものにやや興味を引かれている。
[備考]
※参戦時期は巨大海魔召喚の直前です。
※魔女の石@ゾンビ屋れい子が棚の下に落ちています。
【百合川サキのナイフ】
雨生龍之介&キャスターに支給。
姫園れい子が召喚するゾンビ、百合川サキが愛用するナイフ。
刃渡りは15cmほどと小さめのナイフだが、研ぎ澄まされておりその切れ味は抜群。
複数本がセットになっており、投げナイフとして使うこともできる。
【破魔の紅薔薇(ゲイ・ジャルグ)】
雨月竹露&姫園リルカに支給。
ケイネス・エルメロイ・アーチボルトに召喚されたライダーであるディルムッド・オディナの持つ二槍の内の片方。
全体が赤い色をした長槍であり、その本領を発揮すると接触している魔力を打ち消すようになる。
349 :
Evilution
◆Su10.RK3MU
:2011/11/15(火) 17:46:12.17 ID:i8fvEnoU
【ミスタードーナツ】
雨月竹露&姫園リルカに支給。
お持ち帰り用のボックスに入った10個のドーナツ。内容は以下の通り。
「フレンチクルーラー」「エンゼルフレンチ」「オールドファッション」「ハニーディップ」「シュガーレイズド」
「チョコリング」「ダブルチョコレート」「ゴールデンチョコレート」「エンゼルクリーム」「ポン・デ・リング」
【ガソリンの入った瓶】
雨月竹露&姫園リルカに支給。
透明なガラス瓶の中に入ったガソリン。
一見すると水が入ってるように見えるが、蓋を開ければ臭いですぐそうでないとわかる。
【電動ドリル】
雨生龍之介が博物館に事務所で調達。
一般的な電動ドリル。充電式バッテリーがついており、コンセントのない場所でも使える。
【魔女の石@ゾンビ屋れい子】
博物館の地下室に保管されていた。
魔女、カーミラ・エステバンの魂が封印された宝石(ネックレス)。
見た者の魂を乗っ取りその者に成り代わると非常に危険な為、クレイマン博物館で永らく封印されていた。
350 :
◆Su10.RK3MU
:2011/11/15(火) 17:46:53.88 ID:i8fvEnoU
以上で投下を終了します。
351 :
創る名無しに見る名無し
:2011/11/15(火) 18:08:32.22 ID:jNGHp+0O
ぎゃああああああああ!! 読んでて痛い痛い痛い!!
と、投下乙です…。
やっぱり竹露はこうなっちゃったか……合掌。
で、ゾンビ屋は原作見た事無い(つーか古本屋行っても見つからない)んだが、なんだか大変な事になっちゃった!?
>>血のような赤が詰まった立方体
ちょ、それってまさか某怪盗さんの?w
352 :
創る名無しに見る名無し
:2011/11/15(火) 18:36:30.52 ID:o+/6MO5W
投下乙です
>「私は誓いましょう我がマスターよ! 私は貴殿の願いの為に戦い。必ずやこの戦いを勝ち残ってみせると!」
>「旦那……」
>龍之介の胸にも熱いものがこみ上げる。
>龍之介もまた同じだった。彼にとってもキャスターは初めての理解者であり、師であり、喜びを分かち合う友人だった。
>「俺も戦うよ。俺もあんたにとってのいいマスターであろうとする」
>「リュウノスケ……ッ」
……ナカヨキコトハ、ウツクシキカナ
ここだけ見ればすごくほっこりするのに
353 :
創る名無しに見る名無し
:2011/11/15(火) 18:52:21.79 ID:dRNMFXP0
投下乙です。
予約の段階で竹露がどうなるか大体予想は出来ましたが、ゾンビ屋、ZERO両原作と比べても痛々しい描写でした。
>>351
>>なんだか大変な事になっちゃった!?
QUEENをキュエーンと読んじゃう女王リルカ様が、カーマゲドンのように車でひき殺しにきますよ。
この舞台でも殺した後地獄でも。
354 :
創る名無しに見る名無し
:2011/11/15(火) 19:56:41.22 ID:bcPvT7CL
投下乙です
殺人の凄惨さよりも二人の絆にほっこりしちまった・・・・・・不覚!
355 :
創る名無しに見る名無し
:2011/11/15(火) 21:35:12.58 ID:9E8HEDWv
投下乙です
これは…人間オルガン並みにひでぇや…
予約の時からうっすら予想はしてたけど、やっぱりロワは地獄だぜ!
しかし最後の部分だけみると、仲良し外道主従にほっこりする不思議
356 :
創る名無しに見る名無し
:2011/11/15(火) 23:43:52.10 ID:Ac9o1PI2
投下乙です!
何だろう……やってることは最悪なのに
不覚にも最後のシーンにジーンときちまったw
セイバーと切継の仲の悪さを見てからだと尚更に…
357 :
創る名無しに見る名無し
:2011/11/16(水) 06:37:01.30 ID:a94oK3Hg
やっぱ超coolだよあんた!
あとリュウちゃんと旦那仲良すぎwww
358 :
創る名無しに見る名無し
:2011/11/16(水) 09:51:03.87 ID:b3ZeOHsC
mono
359 :
創る名無しに見る名無し
:2011/11/16(水) 09:52:30.35 ID:b3ZeOHsC
失礼しました
物凄く悲惨なのに物凄く笑えました
やっぱりこのコンビ最高だw
360 :
創る名無しに見る名無し
:2011/11/16(水) 15:02:22.07 ID:DKmvyguk
飛んでいる蠅を居眠り状態からでも撃ち落とす、雨月烈風剣の出番は無かったか…!
361 :
創る名無しに見る名無し
:2011/11/16(水) 21:23:00.27 ID:2WtF4H0q
キャーリュ-チャーン!
旦那も感激する超クールな芸術にほれぼれするぜ
362 :
351
:2011/11/16(水) 22:28:06.49 ID:HMdhq2fo
>>353
いや、魔石とやらの事を言ったつもりだったんですがw
ただ、おかげでしたらばの雑談スレで初耳だったキュエーンの意味は判りました。ありがとうございます。
363 :
創る名無しに見る名無し
:2011/11/16(水) 22:59:04.85 ID:hP1JQ5Ua
主催者曰く、死んだら阿鼻地獄だっけ?
竹露…そしてルーク…報われないね…
364 :
創る名無しに見る名無し
:2011/11/17(木) 00:51:58.00 ID:fFl9BrL/
ルークはとことん報われないままSW6以降を過ごしてるからなぁ
まぁ最強にはなるんだけどさ
365 :
創る名無しに見る名無し
:2011/11/17(木) 03:34:31.49 ID:MA+a7m8T
おー、6人予約が!
366 :
創る名無しに見る名無し
:2011/11/17(木) 12:36:27.85 ID:vuGzOD2u
レミリアとヘルシング組の絡みはかなりスキだから楽しみ
とりあえず旦那に甘えるレミィ想像してムホムホしとく
367 :
創る名無しに見る名無し
:2011/11/17(木) 16:04:31.62 ID:IMQ+ZwuN
問題はレミリアとアーカードが合流できるかだよなぁ。
距離があるのは勿論だが、今アーカード死亡フラグ立ってるし。
368 :
創る名無しに見る名無し
:2011/11/17(木) 21:23:16.20 ID:oqlX5jNX
wktk
369 :
創る名無しに見る名無し
:2011/11/19(土) 12:24:31.13 ID:TdG9NARL
>>350
外道コンビが絶好調のようでw
最後だけ見ると普通の友情コンビだが……
370 :
◆YwLV7iJ2fw
:2011/11/19(土) 19:16:01.24 ID:YEVzxyho
規制解除確認カキコ。
このレスがちゃんと付いたらこのままこちらに投下致します。
371 :
ある女の受難
◆YwLV7iJ2fw
:2011/11/19(土) 19:17:00.79 ID:YEVzxyho
「はっ……はっ……はっ……はっ……!」
インテグラ達を探すべく戦場を離脱したセラスは、舗装された車道を西へ西へと走っていた。
その方向を選んだ事に深い理由は無い。と言うか、先刻までの状況が状況だったので、いちいち地図を確認して行く先を決める余裕などあった筈も無い。
故に彼女は何も考えずに、人間だった頃の常識で、舗装されていて走りやすい道を、適当な方向に走ったというだけにすぎない。
だがそれでも、彼女はそれ故に幸運だった。
もし道路を南に走っていたらその先で、仕える者の為に狂った堕天使や、凶刃を振るう化物(おなかま)と見えていたかも知れないのだから。
だがそれでも、彼女はそれ故に不運でもあった。
この方向を選んでしまったせいで、あんな事になってしまったのだから。
◇◇◇
「あー……そういやそうだったっけ……」
走り始めてしばらくした頃、彼女は呆然と目の前に存在する物を眺めてがくりとアスファルトに膝を突いていた。
彼女の視線の先にあるのは、無骨で大きな、今時珍しい石造りの頑強そうな橋。
しかし、彼女を落胆さしめている物はその橋ではなく、その下にあった。
そこにあったのはもちろん川。深さはさほどでもなく、澄んだ水が緩やかに流れる、どうという事はないごく普通の川である。
ただし、「どうという事はない」というのは、人間にとっては、である。
吸血鬼にとって流水は数多い弱点の内の一つ。それに触れたりその上を渡る事は、まだまだ未熟な新米吸血鬼であるセラスには不可能なのだ。
「うーん、やっぱりどの方向に行っても川がある…。どーしろっていうのよー…」
他のルートは無いかと背負い袋から地図を取り出してみるも、水域はセラスの行動を阻むかのように周囲に広がっており、
まるで八雲紫が意図的にあの位置に自分達を飛ばしたのではないかと思える程の手詰まりっぷりだった。
372 :
ある女の受難
◆YwLV7iJ2fw
:2011/11/19(土) 19:17:52.80 ID:YEVzxyho
「このまますごすごとマスターの所に帰る訳にもいかないし…ん? これを使えば…ひょっとしたら!」
どうしたものかと悩みながら地図を背負い袋に仕舞い込もうとした時、ふと、ある支給品がセラスの視界に入り、そして閃いた。
最初に支給品を確認した時に、アーカードが選んで取った品はあの刀一振りのみ。それ以外の支給品は現在全て彼女の手元にある。
その中で唯一この状況を打開できるかもしれない“ソレ”を、セラスはゆっくりと取り出す。
“ソレ”は、鉄とも銀とも判らない素材で作られた、不思議な力を感じる長身の赤い戦槌だった。
一見するとゲートボールのクラブにも見えるその戦槌の名は、グラーフアイゼン。とあるベルカの守護騎士が愛用している、一級品のアームドデバイスだ。
ご丁寧にカートリッジも装填されている――といってもセラスにはその意味もそれの使い方も知る由も無いが――それを握る手に力を込め、ゆっくりと振り上げる。
そして橋の中心よりやや手前、川岸からグラーフアイゼンでギリギリ叩けるポイントに狙いを定め、思い切り振り下ろした。
「やった!」
結果、彼女の目論見は見事に成功した。
吸血鬼の怪力が上乗せされたグラーフアイゼンの一撃に、如何に頑強な石橋といえど耐えれる訳が無く、
鈍い音を立てながら無数の破片へと砕かれて無残に川に落ちていき、綺麗さっぱり跡形も無くなった。
そしてそれによる変化はすぐに表れ、橋だった瓦礫によって堰き止められた川の流れは瞬く間に細く小さくなっていき、逆に瓦礫より上流の水位は次第に上昇していった。
この川と海との標高差が大きかったのも、セラスにとっては幸運だった。
「後は“これ”で隙間をっ……と―――あ……」
が、ここで初めてセラスは気が付いた。
橋を巧く壊す事だけに神経も視線も集中させていた為に気付かなかった、その直前から対岸側の遠くに立ってこちらを見ていた、二つの人影に。
明らかにこちらを警戒した様子で細身の剣と拳銃を構える、長髪の少女と執事服の少年、涼月奏と近衛スバルの存在に。
意図せずパフォーマンスとなった橋破壊のインパクトが強烈だったせいか、二人の表情にはいくらかの怯えや焦りが見えていたが、
奏の手にしていた剣の正体に気付いた時、セラスもまた同じように、その表情にありありと怯えと焦りの色を浮かべる事となり、
――そして、非常時とは言えそれを見逃す程、涼月奏という少女は甘くなかった。
373 :
ある女の受難
◆YwLV7iJ2fw
:2011/11/19(土) 19:19:00.80 ID:YEVzxyho
◇◇◇
取り敢えずの行動方針を定めたボク達が最初に向かったのは、5−Cにあるらしいホテルだった。
地図を見ると近くには花畑や映画館もあったけど、それ等とホテルを比べてどっちに人が集まるだろうって考えたら、当然ホテルの方だからだ。
道路にはいくつも街灯があったから、方向が判らなくなるなんて事も無かった。
……途中、花畑の方から銃声が聞こえてきた時は本当にビックリした。
それは間違いなく人のいる事の証明だったけれど、だからと言ってそんな音が聞こえてくる物騒な場所に行くなんてのは願い下げだったから、
慌ててカナちゃんの手を取って市外を離れ、海岸沿いを走って南下して行った。
海岸線には街灯は無かったけれど、海を左手に進んでいけば方向を間違える道理も無いし、地図にある川に当たれば、それを目印にしてホテルに行けると思ってた。
だけどその川に着いて、橋の近くまで上って行った時、ボク達は見てしまった。
ボク達の存在には気付かずに、背負い袋から長いハンマーを取り出して、それを振り下ろして頑丈そうな石橋を木っ端微塵に破壊する女の人を。
遠目だから判りにくいけど、ボク達より少し年上ぐらいだろうか。街灯に照らされて輝く綺麗な金髪と――橋を破壊したパワーそのものよりも、
破壊した時に垣間見えた、どこかゾッとする人間離れした笑みが、あまりにも印象的だった。
「…お嬢様。念の為これを持っていてください」
「ええ…」
金髪の女性がこちらに気付かないように静かに、ゆっくりと、背負い袋から奇妙な形の剣を取り出してカナちゃんに手渡した。
それを渡すボクの手も、それを受け取るカナちゃんの手も、冷や汗でかすかに湿っていた。
最初に二人で荷物をチェックした時は、今ボクが持っている拳銃以外はあまり役に立たない物ばかりだなと思った。この剣もそうだ。
柄と刀身が一直線でなく、刀身の根元が短く直角に曲がっている、鍔の無い細身の片刃剣。パッと見た感じに連想する物は、
『上手に焼けましたー』で有名な、肉を回しながら焼く為のあの鉄串だろうか。
日本では見た事も無いその剣は、とうていボク達に巧く扱えるようには思えなかったし、
拳銃と違って持ってるだけで走るのには邪魔そうだったからしまっておいたのだけど、今はそうも言ってられなさそうだ。
あの女性が危険人物であれそうでなかれ、ほんのちょっとでも威嚇や牽制になる事をしておくに越した事は無い。
危険人物なら言うまでもないし、橋を破壊した理由はどうあれ危険人物でないようなら、ちょっと悪いがこのまま脅かして話を聞けばいい。
二人で銃口と剣先を金髪の女性に向ける。と同時に、あちらもボク達に気が付いた。
お互いの視線がかち合う。正直言って凄く怖い。でも逃げ出す訳にはいかない。ボクはお嬢様の――カナちゃんの執事なんだから。
(……あれ?)
何分、いや何十秒ぐらいか、そうして睨み合ってただろうか。不意に相手の表情が一変した。よく判らないが、何か驚いてるような感じだ。
ボク達が特別何かをした訳じゃない。となると、彼女の体に急になんらかの変化があったのか、何かに気が付いたという所だろうか?
「…ねえ、そこの貴女」
ふと、ボクのすぐ隣からそんな声が聞こえてきた。誰の声かなんて考えるまでもない。カナちゃんだ。
穏やかな声で話しかけながらも、剣を持つ手は下げていない。
そして、カナちゃんに呼びかけられた金髪の女性がビクリと肩を震わせたのがボクにも解り、続けざまにカナちゃんはこう言った。
「ひょっとして……“コレ”が怖いの?」
ああ、カナちゃんがすごくいい目をしてる。あれはボクやジローをからかったりする時の目だ…。
374 :
ある女の受難
◆YwLV7iJ2fw
:2011/11/19(土) 19:19:55.15 ID:YEVzxyho
◇◇◇
「それにしても、最初はまさかと思ったけど、吸血鬼って実在したのねぇ…これはびっくりだわ。ねえスバル」
「まったくです、お嬢様」
「とほほ…どうしてこうなっちゃったのかなぁ…」
どこかしら楽しげににすら見える雰囲気でそう言葉を交わす奏とスバルとは対照的に、セラスは一人落ち込みながら、ハンドルを握っていた。
ちなみに、右のわき腹には先程の剣――セラスにとってはつい先日、自分をズタズタに貫いたアンデルセン神父の銃剣――の先端が、
助手席に座るスバルの手によって突き付けられている。あからさまな脅迫だ。
奏に核心を突かれた直後、それでも最初に歩み寄りの姿勢を見せたのはセラスの方だった。
もとよりセラスには人間を害する気は無いのだし、橋を破壊した理由も(本当の理由は誤魔化しつつ)ちゃんと弁解しておきたいと思ったからだ。
だから、相手を刺激しないようにすぐには武装解除は求めず、背負い袋から文々。新聞と書かれた新聞紙をありったけ取り出して瓦礫の隙間を埋めるようにバラ撒き、
水流が完全に堰き止められたのを確認してから、ぬかるんだ土の上を渡って渡河したのだが、その行動が奏にセラスの正体を――すなわち、
吸血鬼である事を気付かせるきっかけとなってしまったのだ。
そうして渡河した直後にセラスを待ち受けていたものは、背負い袋から新たにニンニクの首飾りを取り出してにっこりと微笑む奏の姿であり、
「…じゃっ! そーゆー事で!」と言いながら回れ右しようとしたが時既に遅く、スバルのトンプソン・コンデンターの銃口に補足され、
「これの弾丸もこの剣と同じ性質の物ですわよ?」と奏からトドメの一言をにこやかにかけられ、ここに僅か数分で絶対的な上下関係が形成された。
勿論、最後の一言は奏のハッタリに過ぎなかったのだが、それを看過できる要素は残念ながら“今の”セラスは有していなかった。
結局、セラスは奏の尋問に自分及びの関係者の素性、残りの支給品(この際没収された)や単独行動している理由などを洗いざらい白状させられ、
それならば双方の目的がある程度一致するという事で、現在はインテグラ達を探すべく一緒に行動しているという次第だ。
とは言え、共に行動する以上不都合が無いように、奏達からもセラスに最低限の情報は開示している。
ちなみに、彼女等が乗っている車――それも高級そうな外車だった――は奏達に支給されていた物だったが、これが「あまり役に立たない物」に分類されていたのは、
単に二人とも車の運転ができなかった為である。こうして運転手を得た今では、大変に有用な物へと変わった訳だが。
「じゃ、改めて当面の目的を整理するわね」
後部座席でニンニクの首飾りと、セラスの最後の支給品である拡声器を弄びながら、奏が切り出した。
「まずはこの車で西側の都市部へ移動しながら、インテグラさんを始めとする協力してくれそうな人を探す。
途中で誰かに襲われたら即離脱。万一逃げ切れないようだったら、セラスさんを中心に撃退もしくは拘束を狙って、それも無理そうだったらこれで助けを呼ぶ」
あくまで殺害は無しよと付け加えられた奏の言葉には、二人とも深く頷いた。
もとより平和な世界に生きてきた奏とスバルは勿論、夜族たるセラスとて、つい最近までは人間だったので、人を殺めるという行為には大いに抵抗があるのだ。
尤も、このバトルロワイアルの参加者にはセラスとアーカード以外にも結構な数の人外がいるのだが、それは三人の知る所ではなかった。
ちなみに、一度セラスが「もし私があなた達を襲うと言ったら…どうするつもり?」と逆に脅しをかけてみたものの、
「その時はこの拡声器で『吸血鬼に殺されるー』って叫ぶだけね。貴女達の他に吸血鬼がいる訳も無いのだし」と奏に返され、ぐうの音も出なかった。
「セラスさんが川を渡れない以上、行動範囲は島の北側に限定。さっきも言ったように北は危なそうだから進行方向は時計回りで。
立ち寄るランドマークは、人の集まり難そうな天文台と、そもそも行きようが無い難破船を除く、キャンプ場から病院まで。依存は無い?」
「「はい。お嬢様」」
きわめて自然なスバルの声と、複雑そうな心境がありありと伝わるセラスの声が重なった。
375 :
ある女の受難
◆YwLV7iJ2fw
:2011/11/19(土) 19:20:46.67 ID:YEVzxyho
◇◇◇
カナちゃんの機転でセラスさんと一緒に行動できる事になったのは、ボク達にとって大きな収穫だった。
さっきの笑みの怖さはまだあるけれど、カナちゃんがうまく手綱を握っている以上、ボク達に危害を加える事はないだろう。
なにより、これでボク達の…いや、カナちゃんの安全度は飛躍的に上がったと言える。
それになにより、もしセラスさんがカナちゃんの従者になってくれたら、カナちゃんが無事ジローのもとへ帰れる目算はかなり高くなる。
もし……もし、彼女の主であるアーカードさんとやらが死んだなら(セラスさんより強い吸血鬼らしいからまず無いだろうケド)、即座にボクが自殺するか、
単身で危険人物に特攻して死んでしまえば、カナちゃんとセラスさんは主従関係を築かざるを得なくなる。
「……我ながら、酷い事考えてるな……」
前の座席の二人にも聞こえないぐらいの小さな呟きが、口から自然に漏れていた。
誰かが死ぬ事に期待を寄せるとか、自分の死を材料に人に行動を強いるなんて、人として最低の考えだとは思う。
だけど、それでもやっぱり、カナちゃんには無事でいてほしいから。
生きてあの日常へ帰って、ジローと一緒に幸せになってほしいから―――
376 :
ある女の受難
◆YwLV7iJ2fw
:2011/11/19(土) 19:22:23.99 ID:YEVzxyho
◇◇◇
正直、自分でも綱渡りな駆け引きだとは思ったけど、やるしかなかった。
セラスさんが吸血鬼だという中(あた)りは川を完全に堰き止めた時点でついていたけど、私達の支給品に彼女の弱点が入っていなければどうなっていたか。
いや、仮にそれ等への恐怖を乗り越えて私達に危害を加えに来ていたら、きっとどうしようも無かったに違いない。
途中で脅はk……交渉の匙加減を誤っても、逆ギレされて襲われていた可能性はあったかも知れない。
今回の交渉がうまくいったのは、彼女がまだ荒事の経験が少ない(生前は警官だったそうだけど)新米の吸血鬼で、
人間には手を出したくないという彼女自身の意思と、本来の性格があったからに過ぎない。
でも、それは今回この上無く私達に優位に作用してくれた。
セラスさんと手を取り合えた事は、本当に私達にとって僥倖だった。これでしばらくはいくらか安全に行動できるし、それはスバルの身の安全にも繋がる。
それになにより、もしアーカードさんって親吸血鬼と無事合流できて、その上でセラスさんが死んでしまうような事があれば、
後は私が自殺する事で、スバルとアーカードさんは主従関係を築かざるを得なくなるし、
もうひとつの可能性として、私がアーカードさんに吸血鬼にしてもらえれば、或いはスバルを守って一緒に帰れるかも知れない。
私は死ぬか、二度と日の光を浴びる事も、ジロー君と顔を合わせる事もできなくなるだろうけど、そんなの構わない。
スバルには無事でいてほしいから。
生きてあの日常へ帰って、ジロー君と一緒に幸せになってほしいから―――
【C-4/T字路/1日目-深夜】
【従:セラス・ヴィクトリア@HELLSING】
[主従]:アーカード@HELLSING
[状態]:健康
[装備]:背負い袋(基本支給品)、グラーフアイゼン@魔法少女リリカルなのは(残カートリッジ×6)、
ウィルソン。フィリップス上院議員の車@ジヨジョの奇妙な冒険
[方針/行動]
基本方針:マスターに従う…が、当面は奏に従う。
1:奏達と共にキャンプ場から病院までを時計回りに移動しながら、インテグラ&ウォルターを探し出し合流する。
2:危険人物に遭遇した時は、逃走>撃退or捕縛>拡声器で助けを呼ぶ、の優先順位に従って行動する。
[備考]
※奏達からB−5での銃声を始めとするいくらかの情報を得ました。
※グラーフアイゼンをただの丈夫な戦槌だと思っています。
377 :
ある女の受難
◆YwLV7iJ2fw
:2011/11/19(土) 19:24:00.19 ID:YEVzxyho
【従:近衛スバル@まよチキ!】
[主従]:涼月奏
[状態]:健康
[装備]:トンプソン・コンテンダー@Fate/Zero、起源弾×10、通常弾×10、銃剣(バヨネット)@HELLSING、背負い袋(基本支給品)
[方針/目的]
基本方針:お嬢様を帰還させる
1:セラス達と共にキャンプ場から病院までを時計回りに移動しながら、インテグラ達を始めとして人を探す。
2:奏に腕の立つ従者をつける(現在はセラスが最有力候補)。自分の命は捨てる覚悟。
3:危険人物に遭遇した時は、逃走>撃退or捕縛>拡声器で助けを呼ぶ、の優先順位に従って行動する。
[備考]
※セラスから彼女が持つ全ての情報を搾取しました。
【主:涼月奏@まよチキ!】
[主従]:近衛スバル
[状態]:健康
[装備]:拡声器@現実、大量のニンニク@現実
[方針/目的]
基本方針:スバルを生還させて見せる
1:セラス達と共にキャンプ場から病院までを時計回りに移動しながら、インテグラ達を始めとして人を探す。
2:スバルに腕の立つ主人をつける(現在はアーカードが最有力候補)。自分の命は捨てる覚悟。
3:場合によっては自分をアーカードに吸血鬼にしてもらって、スバルと共に生還する。
4:危険人物に遭遇した時は、逃走>撃退or捕縛>拡声器で助けを呼ぶ、の優先順位に従って行動する。
[備考]
※セラスから彼女が持つ全ての情報を搾取しました。
[共通備考]
※C−5の橋が破壊されました。車両の通行は不可能ですが、下流の水が引いている為、よほど身体能力の低い参加者でない限り渡河は可能です。
また、上流の水位が上昇していってます。
※文々。新聞(50部)@東方儚月抄は全て川に破棄されました。
378 :
ある女の受難
◆YwLV7iJ2fw
:2011/11/19(土) 19:25:39.18 ID:YEVzxyho
【グラーフアイゼン@魔法少女リリカルなのは】
ヴォルケンリッターの一人、鉄槌の騎士ヴィータがデバイスとして使用していた長身の戦槌。
カートリッジを消費して巨大化させたり火力を上げたりする事も可能。
【銃剣@HELLSING】
アンデルセン神父の愛用する、彼のアダ名のひとつにもなっている銃剣。
教会で祝福儀礼を施されており、コレで斬られると吸血鬼でも傷を塞ぐ事ができない。
【文々。新聞(50部)@東方儚月抄】
幻想郷最速のブン屋、射命丸文の発行している新聞。
情報紙としてよりは娯楽紙としてそれなりに親しまれている。
【ウィルソン。フィリップス上院議員の車@ジヨジョの奇妙な冒険】
エジプトの上院議員、ウィルソン・フィリップス氏の車。左ハンドル。
【ニンニクの首飾り@現実】
吸血鬼ものの洋画などで時折見かけるアレ。一部の吸血鬼にはたまらなく効く。
【拡声器@現実】
パロロワではおなじみの拡声器。よくあるハンドスピーカータイプ。
379 :
◆YwLV7iJ2fw
:2011/11/19(土) 19:27:10.51 ID:YEVzxyho
これにて投下完了です。
380 :
◆YwLV7iJ2fw
:2011/11/19(土) 23:28:02.71 ID:zpmJR1gD
携帯より修正漏れ確認orz
>>377
の奏の装備、正しくは、
大量のニンニク→ニンニクの首飾り
です。失礼しました。
381 :
創る名無しに見る名無し
:2011/11/20(日) 13:27:25.82 ID:wngx8n01
投下乙。
言われてみれば確かに、この時期のセラスのスタート地点があそこって、嫌がらせ以外の何物でもないよなw
よほど身体能力の低い参加者……まあ普通に考えれば天子とはやてぐらいだな。
382 :
創る名無しに見る名無し
:2011/11/20(日) 13:38:57.32 ID:MZATJ0Ys
投下乙です
この時期のセラスはまだへタレだからなあw これは仕方ないわ
人間の二人にとっては僥倖だわ。当座の安全は確保されたが人外、異能力者の集まりでどこまで持つか…
スバルは健気だねえ。ただ、そんなに上手く行く保障ないぞ
奏の考えてる事はそれよりは大胆だが旦那や他の吸血鬼は…いや、奏なら或いは…でも…
383 :
創る名無しに見る名無し
:2011/11/20(日) 17:50:58.02 ID:ag86zh6z
投下乙です。
>「その時はこの拡声器で『吸血鬼に殺されるー』って叫ぶだけね。貴女達の他に吸血鬼がいる訳も無いのだし」
まさか七人も吸血鬼がいるなんて普通は思わねぇわw
そしてここで出たか拡声器。
本人の思考と合わせて、奏にバカでかい死亡フラグがたったのは気のせいであってほしい…
384 :
創る名無しに見る名無し
:2011/11/20(日) 19:59:02.14 ID:8Jxjtg7E
投下乙
流水がダメって橋も渡れないのか
385 :
創る名無しに見る名無し
:2011/11/20(日) 21:40:21.94 ID:wngx8n01
参戦時期より未来にあたる3巻の時点でも、(棺が無いと)飛行機でも海を渡れないって言われてるからな。
で、その棺は現在川の向こうどころか海の向こうw
DIO様達が川のこっち側に来るか、セラスの吸血鬼としての格が上がらにゃ渡河できんだろうなぁ。
386 :
創る名無しに見る名無し
:2011/11/21(月) 12:01:13.44 ID:VeO9Vf+8
KING、悪の帝王、仮面王、第六天魔王、独眼竜、不死王、悪逆皇帝、騎士王、征服王の王様問答が見たい
387 :
創る名無しに見る名無し
:2011/11/21(月) 12:04:41.07 ID:CUsi8lO7
銀河皇帝がいないのが残念だw
388 :
創る名無しに見る名無し
:2011/11/21(月) 15:27:51.21 ID:s1a/ywK6
シン「ユリアのために王国を作るぞ!お前を女王にしてやる!」
DIO「頂点は常にひとりッ!支配してやるぞ、人間ども!」
ハクオロ「民が安寧に暮らせる國を作るため、私は立ち上がろう」
信長「天下布武ゥゥゥ!この第六天魔が武で日の本を制してやるわァ」
政宗「お前ら!パーリィーしようぜ!」
アーカード「敵いっぱい串刺しにしちゃったわー。ついでに家臣と領民も串刺しにしちゃったわー」
ルルーシュ「全ての憎しみを俺に集める。智略とギアスで世界を征服する。」
セイバー「ブリテンを救済します!」
ライダー「もう一回世界征服やるわ」
一人の女のために頑張ったシンや、ずっと過去引きずってるセイバーちゃんは虐められそうだ
この中だと謀略で皇帝の座についたシディアスだけ違う感じするけど、迫力では劣らないな
389 :
創る名無しに見る名無し
:2011/11/21(月) 15:51:40.78 ID:vuBsg6RY
その中ではDIO様は自称・帝王なだけで血統的にも領土的にもチンピラと大差ないんだよなあ
390 :
創る名無しに見る名無し
:2011/11/21(月) 16:02:10.94 ID:s1a/ywK6
>>389
ただDIOが承太郎たちに倒されず、あのまま組織拡大してたら世界が支配されてた可能性は大
異能者の集団を完全に掌握して時間停止の時間もどんどん延長。肉の芽で各国首脳を操作して闇の帝王に。
そのうちザ・ワールドをメイドインヘブンに進化させて運命そのものを支配して敵なしに。
承太郎がDIO倒せなかったらマジやばかった。
391 :
創る名無しに見る名無し
:2011/11/21(月) 16:35:34.48 ID:nIxjQH5Y
>>388
それぞれの従者も混ざって問答したらカオスだなーと思ったが、
元々従者やってる王もいたなw
392 :
創る名無しに見る名無し
:2011/11/21(月) 16:41:56.72 ID:D+BBS3tb
領土の広さなら銀河皇帝が断トツで、次がルルーシュ、その次にライダーってところか?
393 :
創る名無しに見る名無し
:2011/11/21(月) 18:39:40.21 ID:BELKXcdU
>>388
パルパティーンは武闘派ジェダイマスター三人を瞬殺して
最強ジェダイのヨーダを撃退したくらいだから戦闘力においても当代一なんだけどね
394 :
創る名無しに見る名無し
:2011/11/21(月) 20:55:14.96 ID:BFK6aQ9d
帝王やら王族なんぞは最初に成り上がった奴の子孫なだけだし。
最初に成り上がった奴が帝王名乗っても問題ないはず。
395 :
創る名無しに見る名無し
:2011/11/21(月) 21:32:20.78 ID:VeO9Vf+8
お前ら中華連邦代表天子様を忘れるとは何事か!
396 :
創る名無しに見る名無し
:2011/11/21(月) 21:57:45.57 ID:wSfaxjBu
天子様は成り上がりではないぞ
ちゃんとした血筋の帝王だぞ
一時期宦官共の傀儡だったけどなw
397 :
◆7RGbmc1fRg
:2011/11/21(月) 22:12:47.57 ID:stVQ6NtJ
投下します。
398 :
姫ふたり
◆7RGbmc1fRg
:2011/11/21(月) 22:15:28.31 ID:stVQ6NtJ
本来のマスターと別れ、天子の守護を命じられた騎士が取った選択は帰陣だった。
傭兵たる主と護者たる従。姫たる主と王たる従。それぞれが主従を入れ替えた野外のあぜ道より一路元いたホテルへと舞い戻る。
現在はそのホテルの一室にて天子は待機し、セイバーはその側に着いている。
本来ならば弱者を救うため各所を巡り、殺し合いに乗った不埒な輩を討つべきなのであろう。
だが現在セイバーに課せられた令呪の束縛は『天子の騎士(けん)となれ』ということのみ。
それは天子の忠実な配下となり、命に代えても彼女を護れという命令に他ならない。
これを命題に置くならば、魔術や武術の心得などなく、戦力的にはかつて自分と行動を共にしたアイリスフィール以下の天子をそう連れまわすわけにはいかなかった。
「……護者との別れ、さぞかし辛いものだと御察しします、天子様」
「うん……でも約束したから。星刻は必ず私の元に戻ってくるって」
当初は長年連れ添った護者と離れ離れになったせいか、寂しさと怯えが入り混じっていた天子もセイバーが膝を着き、忠節を示すといくらか心を開いてくれた。
天子───王の上に立ち、血に塗れることを許されない、ただ在るだけで民の心の拠り所となる存在。
王であるセイバーよりも、天意の代行者と言える天子の階位は上の存在にある。騎士としてだけでなく、王としても礼節を払うべき相手だ。
そのような相手を護るのは騎士の本懐と言えるし、アイリスフィールと同じく姫の属性を持つ天子とセイバーの相性は良好と言える。
状況は奇しくも以前のものと酷似していた。
キリツグはサーヴァントと離れ、別の部下を連れ単独行。
サーヴァントであるはずのセイバーは、令呪を持たない偽のマスターの守護に着く。
キリツグの言う、最優のサーヴァントを最優のままに使い切る方法とやらそのままだ。
恐らく、この判断は正解なのだろう。この異常の極みと言える局面でもキリツグはその考えを変えることはなかった。
主と従者の連携が肝と言えるこの戦いで、互いの意思疎通すらなしに戦えるとはセイバー自身も思ってはいない。
──だから期待してしまっていた。キリツグがこれまでの態度を改め、自分に接してくれるのではないかと。
「ねぇ、セイバー。ひとつ聞いてもいい?」
「ええ、構いませんよ。今の私は貴女の騎士(けん)なのです。なんなりと仰ってください、天子様」
そして対極的に、主従として最高峰の信頼を寄せ合っている天子と星刻の姿。
……羨ましいと思った。あのような主人を得られた星刻を、あのような配下を従えられる天子を。
互いに信頼を置き、相手への嫌疑など最初からないものを当然とする美しき主従の絆への羨望。
王であったときも、英霊の座へと至った今でも、セイバーが得ることの出来なかったものをこのか弱い少女は得ている。
399 :
姫ふたり
◆7RGbmc1fRg
:2011/11/21(月) 22:18:04.50 ID:stVQ6NtJ
「セイバーは、キリツグのことが嫌いなの?」
天子から発せられた問いにセイバーは声を詰まらせる。
騎士道とは相反するキリツグの戦法、自分をないものとして扱うキリツグの態度。
世界の救済という同じ目的を持つにも関わらず、そのための手段が違うだけでここまですれ違ってしまう。
そんな相手に、好感など持てるはずがない。
「──はい。少なくとも、私とは相容れない種の人間です」
「でも本当は、セイバーはキリツグと仲良くしたい?」
天子の言葉に再びセイバーは困惑の色を浮かべる。
「……キリツグは、私にはなにも話してはくれない。私を嫌う理由も、なにもかも……。
私がかける言葉も全て聞き流しているのです。どうしようもないでしょう……これでは……」
「……いじわるなのね、キリツグは」
英雄だから、女だてらに王として戦っていたから。そんな自分だけでなく、それを許容した周囲も許せなかった。
……全てアイリスフィールから伝え聞いた話だ。その真意を、私はキリツグから直接聞くことすらできない。
いつかは、またいつかはと日を重ねても埋まらない決定的な溝。その溝を埋めようとしても、キリツグはそれを拒絶する。
セイバーという従者と分かり合おうという努力すら放棄している。
そして今回の主従入れ替え。
……決定的だった。もう私とキリツグは、お互いを分かり合うことなど出来ない。
それが悲しかった。天子と星刻の契りを見せられたあとだからこそ辛かった。
ズウゥン──
その時僅かな揺れと、なにかが崩落したかのような音が聞こえた。
すぐ様窓から身を乗り出しセイバーは外を確認。
音源の方角は南西。距離はそこまで遠いわけではない。
夜間であることや、千里眼スキルのないことを差し引いてもその変化はすぐに認められた。
橋が破壊されている──!
あの場にて戦闘が起こったと見て間違いないだろう。
複数のサーヴァントが呼び出されていることからも、他の参加者も一流の手足れが揃っているのは確実だ。
ならば戦闘の余波で石橋を破壊してみせる者がいてもなんらおかしくはない。
すぐにでもあの場に向かわなければならない。もし天子のような守るべき者たちがいるのなら救わなければいけない。
(だが──今は天子様がいる!)
この暗闇のなか、少女に一人きりで過ごせなどあまりに惨過ぎる。
だが連れて行くこともまた危険が伴う。天子を守護することが最優先ならば戦闘に介入するなど最も避けるべきことだ。
静観するか? しかし騎士としての義務が、王としての誇りがそれを悪手と断ずる。
意思は身体を動かし、あの場へと赴けと急かす。だが後ろには守るべき天上の御子。
取れる手は三手。守護対象を置き出陣、安全策を取り生還、守護対象と共に出陣。
……どうする?
400 :
姫ふたり
◆7RGbmc1fRg
:2011/11/21(月) 22:21:11.34 ID:stVQ6NtJ
☆ ☆ ☆
永琳が主の髪を梳き乾かし、身なりを整えるのを手伝った後に報告したことは2つほどであった。
そう遠くない場所での爆発音と橋の崩落。方角は違うがどちらも戦闘が発生したものと見たほうがよい。
殺し合いに招かれる以上、不死であるはずの自分たち蓬莱人が死ぬこともあり得るのは前提に置くべきだ。
八雲紫に勝ち、第二次月面戦争の時の借りを返すことを最終目標に定めた永琳であるが、姫である輝夜の守護はそれを上回る。
八雲紫に勝利することとはつまり、1.輝夜を守りぬき、2.八雲紫の企みを粉砕し、3.この《異変》を解決することを差すのだ。
敵に捕捉される危険がある以上、すぐさまこの場から離れることを永琳は献策する。
撤退ルートはこの温泉から最も近い西側の橋よりの脱出。
崩落した北側の橋からの撤退はならず、南へと繋がる橋は距離がある。
さらに南側は橋がひとつきりのため、橋を落とされたり待ち伏せをされたら中央への移動手段が封じられるという要因が存在した。
だがその策も姫の言葉ひとつで切って捨てられる。
「言ったでしょ。動かなきゃ物語は始まらないって。僅かの危険も恐れては異変解決なんてできやしないわ」
主にこう言われてしまっては永琳も従うしかない。
だが危険確実の爆発音と、まだ事故の可能性もあり得る橋の崩落ならば後者であると永琳は強く主に薦める。
これが永琳にできる最大限の譲歩だ。輝夜の保護も重要だが、そればかりでは八雲紫を打倒はできない。
折衷案とも言える半端な策ではあるが、危険を避けつつも異変解決の糸口を掴む初めの一歩だ。
そして輝夜と共に南へと歩を進め、『さぁここでなにが起こったか調べましょう』と言うところで見止めたふたつの人影。
橋の残骸を挟み対峙するは当代風の黒い衣装に身を包んだ金髪碧眼の美丈夫と、彼に守られるよう背後に身を隠した銀髪の小さな女の子。
どこかの姫と、そのボディガードってところかしら?
あちらも姫の護衛を優先しているのか、今のところ睨み合うのみで仕掛けることはない。
「この場で起こったことを知っているのなら教えてほしい! こちらに交戦の意思はない!」
黒服の男が声を張り上げるが信用できるか否か。現在は判断材料が少な過ぎる。
──さて、どうしましょう……この選択如何によっては益とも不益とも転ぶ。ここはひとまず慎重に……
「それはこちらも同じことよ!今を生きている人間として、私たちもこの《異変》を解決したいの! あなた達も知っていることがあるなら教えて!」
……輝夜、お願いだから私の話を聞いてください。
401 :
姫ふたり
◆7RGbmc1fRg
:2011/11/21(月) 22:24:40.89 ID:stVQ6NtJ
☆ ☆ ☆
「えぇ……と、セイバーさんでよかったかしら? 主である蓬莱山輝夜に代わり応対をさせてもらうわ、八意永琳よ」
「相違ありません、エーリン。天子様も不安がられていた様子でしたので……。そちらの姫には、感謝しています」
場所を変え、情報交換の場を設けようというセイバーの提案を受けた輝夜はそれを了承。
セイバーたちが元居たホテルの一室へと移動し、輝夜は小難しい話は永琳に任せると告げ天子と一緒に別室へ。主に代わって交渉の席に付いたのは従者二人。
元より雑事は従者に任せる輝夜と、まだまだ幼い天子ならば妥当な判断と言える。
ガラスのテーブルを挟み、革張りの高級そうな椅子に腰を下ろすとあらまぁ……──近くで見るとますますいい男。
「まずはお互い如何なる者なのか明かしておきたいと思うのだけど、そちらの主は天子……つまり皇帝と解釈していいのかしら?」
「……はい。彼女こそが中華という一つの天下を治めるお方です。お二方は、何処の姫とその従者であられるか」
「その言葉には些か齟齬があるわ。正確に言えば輝夜は『元』姫。面倒事が重なって、あの子が幼い時からずっと竹林の奥で隠れ暮らしていたの。
外界とは隔絶している分、私たち《外の世界》の情報には疎くて──」
……嘘は言っていない。意図的に一部の情報を伏せただけ。
もっとも外の世界出身であろうセイバーに、幻想郷や月人のことを話したとて気が触れているだけと思われるであろうが…。
「あの石橋の崩落については、なにか情報は?」
「……ごめんなさい。私もあなたたちと同じで、駆けつけたときには既にあの光景。 あれが故意の犯行か、事故かすらも知りえないことよ」
……これは嘘。既にこの件の犯人など目星が付いている。
瓦礫の隙間を埋めるようにバラ撒かれていた天狗の新聞。水流が完全に堰き止められた河。
わざわざこんなことをして得をするのは小さな流れ水も渡れない者だけ。
そう、吸血鬼・レミリア・スカーレットの仕業だ。
大方向こう岸に渡ろうと、吸血鬼の膂力に任せて橋を破壊したのだろう。
「……そうですか、残念です。改めて問いますが、私達の共通する目的はこの《異変》の解決です」
「だけれどお互い主を守りながら、《異変》を解決しなくちゃならないってのが辛いところねぇ。現状戦えるのは貴方だけのようだし」
戦いは男に任せる、というのも随分全時代的な話だがこの場限りはそれを許そう。
幻想郷に住む妖や一定の実力者では当然のスキルと言える飛行能力が軒並み封印されていることから、私や輝夜の能力、その他弾幕に関しても制限を受けていることは容易に推察できる。
恐らくは私に支給された現代兵器以下の威力にまで落とされているだろう。でなければ拳銃を支給する意味などなくなってしまうのだから。
能力の制限、不死性の排除、弾幕の威力減退。いつもの半分の実力も出せるかどうかというところだ。
だが吸血鬼が橋を破壊したことから見ても、身体能力に関する制限はされていないのでは? というのが私の見解だ。
この条件であるならば荒事に慣れた男手の存在はありがたい。
幸いセイバーは紳士的であり、弱者の守護に己の意義を見出す性質を備えている。
さらに自分は医療に通じているとも伝えているので、セイバーは私達を守らざるえない。
「戦えるのが貴方だけとなると困ったわね……。チームを分散できないわ」
「移動は危険を伴う。したがってそのような場に主を連れ出すわけにもいかない。 ですが《異変》を解決するためには他の協力者、情報、兵糧、武器などの調達は必須……」
もっと戦力が必要になる。八雲紫と戦うにも、殺し合いに乗った者たちと戦うにも。
それが八意永琳とセイバーの共通見解。現状戦力足りえるのがセイバーのみでは守りと攻めを同時に行うことができない。
騎士王とて率いる兵がいなければ一介の戦士に過ぎず、月の賢者とて動かせる駒がなければ献策のしようもない。
手詰まりだ。
402 :
姫ふたり
◆7RGbmc1fRg
:2011/11/21(月) 22:29:42.19 ID:stVQ6NtJ
「──えーりぃん、まだ話終わらないの? 私たちもう待ちくたびれちゃったわ」
二人が長い思慮の時間に入り、会話もしばらく途絶えた頃しびれを切らした姫が天子を連れ従者たちの部屋へと押し入る。
永琳が部屋に備え付けられた時計を見ると、もう一時間以上経過していた。これ以上は時間の無駄になるかもしれない。
「聞いて聞いてセイバー! 輝夜ね、月のお姫様だったんだって! 他にもたくさんお話してくれたよ?」
「なんと、月の姫とは……ふふっ、それには私も驚きました天子様。ならば天子様と同じく、私も礼を尽くさねばなりませんね」
硬い表情の多かった天子が今ではほころんだ顔を見せている。
よほど輝夜との話が楽しかったのだろう。
「で、話はまとまったわけ? 私たちはこれからどうするべきだと永琳は思った?」
「……ひとまずはここに留まるべきね。外は危険も多いですし、大人数で動けばそれだけ敵にも気取られる。
本音を言えば探索班、待機班とチームを分けたいところなのだけれど、戦力がまったく足りていないわ」
「ひとまず……ってそれいつまで待つつもりよ? 永琳、私がここでなにを為すと言ったか、覚えているでしょう? またずっと閉じ込められるなんてごめんよ」
《異変》を解決するため、幻想郷の一員として、為すべきと思ったことを為す。
その輝夜の意思についていくと永琳は言った。そして今、輝夜の興味は内ではなく未知なる外へと向いている。
篭っているだけでは何も得られない。行動を起こせば何か得られるものもある。
「……わかりました、輝夜。どこまでもあなたの供をする。それが私の為すべきことですものね」
どれだけ永琳が策謀を巡らそうとも、輝夜の気まぐれな行動ひとつでそれは無用のものと化す。
それを嫌と思うことはない。月の姫は美しい御心のまま、自らのあるがままに自由に過ごせばよい。
従者の了解を得ると輝夜はくるりと向き直し、セイバーと相対する。
「──ごめんなさいセイバー、私たちは行かねばなりません。一緒に行くか、それとも留まるか……。
無理強いはしないわ。あなたはあなたの主を守ることに、全力を傾けるべきですもの。
あと、それとねセイバー。これは私からのお願いなんだけど……」
セイバーだけに聞こえるよう、彼女の耳元で輝夜はそっと呟く。
(……麗華から大体の事情は聞いたわ。元の主と喧嘩して、別れたって──)
(別にそのことを咎めるつもりはないわ。……ただね、麗華も政略結婚させられそうになったり、結構苦労したらしいの)
(──あの子をちゃんと守ってあげて。それだけ、私からのお願い。)
「……内緒話ですか、輝夜?」
「主は大事にしなさいって忠告しただけよ。はい、さっさと行くわよー。永琳荷物持って」
輝夜の号令の元永琳が背負袋を持ち、部屋から出ていこうとする。
仮の主の小さな手がセイバーを掴む。一緒に行きたい。私たちもみんなと行こう?
その目から発せられる意思はセイバーとて汲み取っている。だが……
決断の時は迫る。
403 :
姫ふたり
◆7RGbmc1fRg
:2011/11/21(月) 22:32:32.05 ID:stVQ6NtJ
【C-5/ホテル/1日目-黎明】
【主:蓬莱山輝夜@東方儚月抄】
[主従]:八意永琳@東方儚月抄
[状態]:健康
[装備]:なし
[方針/行動]
基本方針:《異変》を解決する。
1:動かなければ始まらない
[備考]
※参加時期は東方儚月抄終了後。
※天子からセイバー組の事情や、天子自身の話を聞きました。
その他二人で話したことの詳細は不明です。
【従:八意永琳@東方儚月抄】
[主従]:蓬莱山輝夜@東方儚月抄
[状態]:健康
[装備]:ブリタニア軍制式拳銃@コードギアス(弾数x12)、ブリタニア軍制式拳銃のマガジン(専用弾12発入り)x2
ワルサーWA2000@Fate/Zero(弾数x6)、ワルサーWA2000のマガジン(300 Win Magnum弾6発入り)x4
背負い袋(基本支給品)、不明支給品x2
[方針/行動]
基本方針:輝夜に付き従う。八雲紫に勝つ。
1:私は私の為すべきことをするだけよ
[備考]
※参加時期は東方儚月抄終了後。
※橋を破壊した犯人はレミリアだと思っています。
※「〜程度の能力」や弾幕、不死性、飛行などの特殊能力は制限を受けている。ただし身体能力に関する制限はされていないと推理しています。
※セイバーを男だと思っています。
【主:天子(蒋麗華)@コードギアス反逆のルルーシュ】
[主従]:黎星刻
[状態]:健康
[装備]:背負い袋(基本支給品)不明支給品x2
[方針/目的]
基本方針:星刻を信じる。
1:セイバーと行動
2:輝夜は友だち
【従:セイバー@Fate/Zero】
[主従]:衛宮切嗣
[状態]:令呪による強制『天子の騎士(けん)となれ』
[装備]:何らかの刀剣(風王結界により不可視、詳細不明)
[方針/行動]
基本方針:天子の守護。
1:留まるべきか、否か──
[備考]
※輝夜が月の姫であるという事は、天子を楽しませるための空想話だと判断しています。
404 :
◆7RGbmc1fRg
:2011/11/21(月) 22:33:01.28 ID:stVQ6NtJ
投下終了です。
405 :
創る名無しに見る名無し
:2011/11/21(月) 22:42:02.01 ID:t9xG0WtM
投下乙です
ほのぼのした情報交換&交流だったなぁ
さり気なくセイバーが性別間違えられてるのに吹いたw
あと健気な天子様マジ天使
406 :
創る名無しに見る名無し
:2011/11/21(月) 22:59:43.09 ID:MFAfQ7u7
投下乙です。
…って、早ッ! 投下早ッ!!Σ(°Д°;)
予約からの時間は元から書いてたからだとしても、セラス達の話が投下されてからまだ2日しか経ってないのに…なんちゅう速筆ですか。
それでいて面白いと言う…。
あちこちでいい感じの関係ができててほっこりするねぇ。姫様たちかわいいよ姫様たち。
でも、この話の中だけで随分と誤解がw
407 :
創る名無しに見る名無し
:2011/11/21(月) 23:12:11.96 ID:wSfaxjBu
投下乙です
確かにほのぼのとした情報交換&交流だが…セイバー虐めの伏線に見えるのは俺の気のせいか?
天子ちゃんも健気だが輝夜もこういう時だと普通に気遣いできるんだなあ
さて、セイバーはどちらを選択するだろうか…
408 :
創る名無しに見る名無し
:2011/11/22(火) 02:18:50.11 ID:KKyqjQCC
そう言えばふと気付いたんだが、天子が友達になった「かぐや」はこれで二人目なんだな。不思議な縁もあるもんだ。
んで、政略結婚の話が過去形で出たって事は、少なくとも参加時期は9話以降か。
時期によってはルルーシュを見ても「誰?」ってなる可能性もあるし、これからの天子達の同行に期待。
409 :
創る名無しに見る名無し
:2011/11/22(火) 23:13:58.36 ID:s1nNvHqm
予約がぽつぽつと来てるなあ
二つとも怖い組み合わせだがw
410 :
創る名無しに見る名無し
:2011/11/22(火) 23:23:59.91 ID:vziPq9qY
ペースといい質といいここの書き手さん達はほんと凄いわ
411 :
◆Su10.RK3MU
:2011/11/23(水) 17:25:12.72 ID:CFe7y10e
投下します。
412 :
フラワリングナイト
◆Su10.RK3MU
:2011/11/23(水) 17:25:56.36 ID:CFe7y10e
【001】
月満ちて光垂る殺し合いの夜。
巨大な墓石を思わせる薄灰色な建物の中において、ささやかなお茶会が開かれていた。
丸いテーブルには三人の主が向かい合うように着席しており、その後ろにはそれぞれの従者が控えている。
幼き姿でありながらも絶対的な実力を持つレミリア・スカーレットと、その瀟洒なメイドである十六夜咲夜。
彼女達に敗北し、名目上は捕虜という扱いのインテグラと、彼女の忠実な老執事であるウォルター。
そして、そこに新しく合流したトゥスクルの皇ハクオロと、彼の忠臣であるトウカである。
「トゥスクルに幻想郷……、どちらも我々の世界では存在を知られてない国家だな」
「私も、英国(グレートブリテン)という国名には覚えがないが、これは――」
「幻想郷は外の世界とは隔絶した隠れ里だからね。知らないのは無理もないけど」
言葉を交わす主人らの前にはそれぞれメイドと執事の淹れた紅茶が湯気を立てている。
そのうち二つは透明で真っ当な紅茶。残りの一つは吸血鬼の為の赤く紅く濃い真っ当ではない紅茶だ。
どちらも道中の商店と、今滞在している病院の中にて幸運にも調達できたものである。
特にティーセットに関して言えば、高貴な彼らに相応しい代物が見つかったのはまさに幸運と表す他ないだろう。
先刻、レミリアとインテグラが邂逅し、その従者同士の勝負の決着がついた後のこと。
彼女達はインテグラの所持していたリボンの巻かれた人形を用い、もう一組の主従とコンタクトすることに成功した。
インテグラは当初、この人形にかかったまじないについては全く以って信じてなかったので、
ここには偶然――あるいは運命の悪戯というべき転換と喜劇があったのだが、その経緯はさておき、
ハクオロと名乗る者と互いにこの殺し合いを覆そうという意思を確認しあった後、両者は病院で合流することとなった。
これは、まず彼らはそこを目的地としていたことと、インテグラ達が向かう方角も同じくそちらであったからだ。
そして、あちらこちらに目移りするお嬢様を彼女のメイドといっしょになだめすかしながら進むことおよそ一時間。
予想よりも大きく立派だった総合病院の前でハクオロとトウカの二人と合流し、今に至るというわけである。
【002】
面を向かい合わせ、改めて八雲紫の目論みの破壊と自分達の生還とを最終目的とすることを確認しあった三組は、
あらかたの情報交換を終え、では具体的にどう行動すればいいのかという話へと移ろうとしていた。
「――まずは尋ねたいのだが、あの八雲紫とは何者でどのような実力を備えているのか。
また、その背景や仲間の存在など、分かっていることがあるのなら情報を提供して欲しい」
インテグラの問いに、レミリアは「んー」と少し難しい顔をした。その質問に対する明確な回答を持ち合わせていないからだ。
「あいつはよくわからない奴なのよねぇ。割と有名な奴ではあるんだけど、そうそう人前に姿を現す奴じゃないし。
まぁ……、好かれている奴ではないから友達とか仲間はいないんじゃないかしら?
式神はいるみたいだけど……後は、あー、そうね。咲夜が説明して。知ってること全部をこいつらにね」
曖昧なことを曖昧なままに言うのは沽券に関わるのか、レミリアは説明を途中でメイドに放り投げる。
なんとも横着だが、メイドはそんなことに不満な様子はひとつ見せず、一礼してテーブルに歩み寄ると、よどみなく説明を続けた。
「詳しくは判明していませんが、八雲紫は“境界を操る程度の能力”の持ち主だと言われています」
境界を操ると聞いて、インテグラとハクオロ、そして後ろに控える従者達の顔に怪訝な表情が浮かぶ。
炎や氷を操れたり、力が強かったり足が速かったりというのならば分かりやすいが、境界を操るとは実に曖昧な表現だ。
「物体と物体。物事と物事。概念の中にある境目――境界と名のつくものならなんでも操ることのできる能力ですわ。
具体的に言うと……空に浮かぶ月と水面に映る月との境界を曖昧にして、水面から月の上へと移動したりできるそうです。
これは本物と偽物の境界を限りなく曖昧にしたという場合ですね。逆に境界をはっきりさせることで結界を張ったり――」
413 :
フラワリングナイト
◆Su10.RK3MU
:2011/11/23(水) 17:26:42.14 ID:CFe7y10e
“知ってることを全部”というのが主の命令だからか、メイドは八雲紫がこれまでに起こしたとされる事象を延々と述べ上げた。
その気になれば夢の世界にでも移れるだとか、何者も寄せ付けない結界を張れるのだとか。
はたまた、《隙間》を使えば一瞬にしてどこにでも姿を現すことができるのだとか。
主人であるレミリアもけっこう知らないことがあったりしたらしく、時に「へぇ」とか「ほぅ」などと息を漏らしている。
しかし、残り二人の主人であるインテグラとハクオロの顔にそんな暢気さは欠片もなかった。
話を聞けば聞くほどに眉間に皺が寄り、口角の端が引き絞られるばかりだ。
なにせ、あらゆる事象をあったりなかったりにすることのできる八雲紫の能力は神の領域ではないかと思えるほどなのである。
これから対決しようとする相手の強大さばかりを知らされるのは、ただ心にノミを打たれているようなものでしかなかった。
「では、我々はそんなことができる相手にどうすればいい?」
聞き終わり、ハクオロが苦々しい口調でレミリアへと尋ねた。
話を聞いても平然としているレミリアなら、あるいは具体的な打開策を持っているのではと希望的に考えたからだ。
「さぁね。とりあえず勝負するってなら私は負ける気がしないけど」
だが、幼き吸血鬼の返答はつれないものであった。
ハクオロは、そして隣のインテグラも彼女の気ままさと展望のなさに大きな溜息を吐く。
「しかし、このような幼子があのような得体の知れない妖怪変化を倒せるというのですか?」
溜息を吐く主人の後ろで意見を述べた――いや、うっかりと口を滑らせてしまったのはハクオロの忠臣トウカだ。
事実、レミリアの見た目は幼子のそれでしかない故にその感想は無理もないが、しかし言ってしまうには相手が悪い。
「あー? 口の利き方に気をつけたほうがいいわよ。弱いのは」
レミリアの表情が悪魔のものに変わり、吸血鬼の紅い視線がトウカを穿つ。
その気などなかったのだが、戦士として一流が故に、トウカは反射的に腰に佩いた刀へと手を伸ばしてしまい、そして――
「あれ?」
と、手に空を切らせた。見れば主である聖上から預かり、彼を守るために佩いていた刀がなくなっている。
一体いつから、どこでなくしてしまったのか? 失ったのだとしたら、これはさすがにうっかりではすまされないだろう。
顔を青くしてトウカは辺りを二度三度と見回し、そしてレミリアの後ろに控えるメイドがその刀を持っていることに気づいた。
「これはお返ししますね」
メイドはにこりと微笑んで刀を差し出し、呆気に取られたトウカは「あ、かたじけない」と受け取ってしまう。
これはどういうことなのかと、トウカの頭の中は混乱に満ちていた。
だが、その一部始終を見ていた他の面々もそれは同じ、いやあるいはそれ以上に混乱し驚いていた。
一触即発――と思われる瞬間まで確かに刀はトウカの腰にあったのだ。それが一瞬にしてメイドの手中に渡った。
これでこの光景を目にするのも繰り返し三度目になるインテグラと彼女の執事達すらももまた目を丸くするばかりであり、
ただにこにこにやにやとしているのは、レミリアと彼女のメイドだけである。
「どうやら分はわきまえたようね」
目を白黒させるトウカを見てレミリアは表情を一転させ、ふふと笑う。
トウカというと未だ釈然としない様子だったが、彼女がいたずらに燻られるのもよくないと悟ったインテグラが話を元に戻した。
「それじゃあどうすればいい?
仮に戦えば君に勝算はあるとしても、そんな力の持ち主ではまず見つけることができるかどうかというとこからして問題だぞ」
八雲紫をどう捉えるか? その問題は現状不可能に思えるがしかしレミリアは動じる様子もない。
血の注がれたカップより口を離すと、小さな唇を紅く濡らしながら次の言葉を吐いた。
414 :
フラワリングナイト
◆Su10.RK3MU
:2011/11/23(水) 17:27:25.97 ID:CFe7y10e
「仮に――じゃないわ。これは絶対。
それとね。私達が殺し合いをしないとなったら痺れを切らして出てくるんじゃないかしら? あいつはそんな奴よ。多分」
メイドに口元を拭いてもらっているレミリアを見ながら、インテグラはふむと唸る。
殺し合いを続けなければ全員死ぬというルールがあったが、裏を返せば何かなんでも殺し合いを完遂したいのだとも取れる。
実際、あの最初の場所での八雲紫の口ぶりには殺し合いさえしてくれれば他はいいというニュアンスがあったのも事実だ。
「なるほど。確かに現状で我々が取れる手段というのはそれくらいしかないのかもしれない。
楽観的になるわけではないが、殺し合いをしないということを当面の目標とするのも悪くないだろう。
仲間と合流したいのもあることだし……ハクオロ殿、この方針に何か疑問はないだろうか?」
問われ、ハクオロはインテグラの前でふむと頷いた。
「確かに、殺し合いを放棄するというのはこちらとしても前提として置いていたものなのでその方針に異論はない。
だが八雲紫を釣り出す為に殺し合いを止めるとなると、それはこの島全体で行われている全てを掌握する必要がある。
インテグラ殿はその点においてなにか手立てを考えておられるだろうか?」
問い返され、インテグラは苦笑しゆるゆると首を振った。
「いえ、全くありません。
しかし、方策があろうがなかろうが、どれだけそれが難儀なことであろうとそれは同じことではありませんか。
我々はそれを実行しなくてはいけない。元々、最初からそのつもりだったはずだ」
然り、とハクオロはインテグラの言葉に首肯した。
「その通りだ。我々はこの悪逆非道な行いを認めてはいない。いかな艱難が待ち構えていようと食い止めねばならない」
そしてインテグラとハクオロの二人は顔を突き合わせ目的を具体的な計画へと練り上げてゆく。
「さしあたっては、我々がこうやって合流できたように仲間となる者等を探し、取り入れていくしかないでしょう。
我々にはまだ手も足も足りてはいない。」
「加えて、実際に殺し合いを是としている者を食い止めることも肝要だ。それに弱き者を保護し守る術も必要となる」
「足の向くまま運の向くままに任せたのでは三日という日数は短く思えますが――」
「その点は、なにかしら狼煙のようなものなどで衆目の注意を集めることをしないと――」
「しかしその場合、襲撃の意図で寄ってくる者や、寄ってくる者の背を狙う者も――」
「我々は自分達も含めて全ての者を守らなくてはいけない。故に安易には――」
インテグラもハクオロも共に組織を指揮する立場にいるものだ。作戦の立案はよどみなく瞬く間に組み上げられて――
「おーい。こらこら。誰が一番偉いか忘れたのかい?」
ドミノか、あるいはジェンガのようにそれは幼子の足で蹴っ飛ばされる。
【003】
「勝手に話を進めちゃ駄目。手下が増えるのはいいけどね、行き先は決めるのは私なんだから。咲夜、地図!」
メイドから地図を受け取るとレミリアはそれをテーブルの上に広げ、小さな指先を歩き回らせる。
「ここ、病院でしょ? だから次は〜……えーと、この《遊園地》ってなに?」
レミリアの問いに、しかし答える者は誰もおらず場に沈黙が落ちる。
そして数秒。答えられるのが自分しかいないことに気づいたインテグラが慌てて口を開いた。
「遊園地というのはあれだ……その、楽しい乗り物が、観覧車とかメリーゴーランドとかがある施設だ」
「楽しい乗り物?」
「うーん……、すまんな。私も知識はあるが、実際のところは詳しくない」
415 :
フラワリングナイト
◆Su10.RK3MU
:2011/11/23(水) 17:28:11.29 ID:CFe7y10e
子供の仕草のままに聞いてくるレミリアにインテグラはたじろぎ苦笑して誤魔化す。
幼くしてヘルシング家当主となってしまったインテグラにとって、遊園地などの子供らしい遊びなどは到底縁がない。
そして、それからより自分よりもずっと年長の大人ばかりを相手にしてきていたからか、子供相手はどうしても苦手だった。
なのでレミリアが見た目相応の仕草を見せると途端にインテグラはしどろもどろになってしまう。
心理的な盲点なのか、トラウマや願望に起因するのだとしたらカウンセリングが必要だなと、インテグラは内心思った。
「まぁ、どちらにしろ遊園地には一度行ってみるとして……。天文台は別にいいわよね。どこでも星は見えるし」
レミリアが遊園地に強い興味を示さなかったことを、インテグラは複雑に思う。
彼女が遊園地で遊ぶなどと言い出してしまうのは困るが、そう思わせることのできなかった自分もまたどこか情けない。
やはり子供は鬼門だなと思いつつ、インテグラはもう冷めてしまっている紅茶を口に流し込んだ。
「漁港にある市場じゃ、並んでるのは魚ばかりよね。人がいないんじゃ並んでないかもしれないけど……」
インテグラの苦心(?)をよそに、レミリアの指先は地図の上をとことこと南に進んでゆく。
山の西側をぐるりと迂回して辿りついたのは《デパート》であった。
「デパートって何かしら?」
レミリアがインテグラの顔を覗き見る。
よくよく考えれば、ハクオロ達も異文化圏から来たということが判明している以上、こういう質問は全てこちらに来るのだ。
インテグラはこれではまるでガヴァネス(女家庭教師)だなと思いつつ、今度は先ほどよりも落ち着いた態度で説明をした。
「小さなお店がいくつも入った大きな建物のことだ。
パン屋、時計屋、靴屋、本屋、宝石店、あらゆる店がひとつに集まったそこだけでなんでも揃う巨大な建物のことだよ」
今度はそれなりに説明できたろう。
そう、ほっと胸を撫で下ろし、しかしキラキラと輝くレミリアの眼を見てインテグラは「自分の馬鹿ー!」と頭の中で叫んだ。
「決めた! 次はデパートに行くわよ!」
大人相手の権謀術数はすでに修めている。怪物を御する術なら心得ている。だから次は子供をあやす手管が欲しい。
そう、インテグラはころころと笑う幼き吸血鬼を見て思った。
【004】
「〜〜〜〜♪」
上手でない鼻歌交じりに一番偉いお嬢様であるレミリアは日傘を片手に振って夜道を先へ先へと歩いてゆく。
そして、その後を彼女の“捕虜”であるインテグラは苦笑いを浮かべて追っていた。
日傘は彼女達の袋に入っていたものだ。
袋の中の道具を見せ合った際に、必要だというので彼女達の持っていた拳銃と交換してもらったのである。
「申し訳ありません、ハクオロ殿。このような成り行きに巻き込んでしまい」
隣を歩くハクオロにインテグラは謝罪の言葉を述べる。
とはいえ、別にここは彼女が特別悪いというわけでもなく、ハクオロもそれを承知していた。
「いや、それには及びません。
こちらこそ、このような知見のない地において早々にインテグラ殿のような勝手を知る方と出会えて幸運だと思っています。
それにそれはあの子にしてもそうだ。まず掴むべき八雲紫の情報がこうも早く得られたというのは大きい」
ハクオロとインテグラは神妙に目を細め、先を行くレミリアの背を見る。
416 :
フラワリングナイト
◆Su10.RK3MU
:2011/11/23(水) 17:28:54.04 ID:CFe7y10e
「ええ、些かできすぎのきらいもあるほどです。……ハクオロ殿はこれが八雲紫の思惑の内である可能性もあると考えますか?」
「さて……、判断するにはまだ私には知らないことが多すぎる」
殺し合いの舞台に下りてより数時間。広い島の中ですでに三組の主従が遭遇し、手を組んで道を同じくしている。
これは偶然というには出来すぎていると考えても不思議ではない。
ならば盤上に駒を配した八雲紫の思惑がそこにあるのか、あるいはこれはただの“運命”の悪戯なのか。
「とりあえず、行く当てがない現状、彼女の稚気の向くままに行く先を決めるのも愚作ではないでしょう」
「そうですね。なにしろ、彼女は私達の中で一番偉いのですから」
インテグラが笑い、そしてつられてハクオロも吹き出した。
月はまだ高い。運命も回り始めたばかり――
【A-3/病院近くの路上/1日目-黎明】
【主:レミリア・スカーレット@東方儚月抄】
[主従]:十六夜咲夜@東方儚月抄
[状態]:健康
[装備]:風見幽香の日傘@東方儚月抄
[方針/行動]
基本方針:八雲紫の言うことは聞かない。現状を楽しむ。
1:デパートに向かう。
【従:十六夜咲夜@東方儚月抄】
[主従]:レミリア・スカーレット@東方儚月抄
[状態]:健康
[装備]:黒龍@戦国BASARA
背負い袋(基本支給品)、不明支給品x2
茶葉とティーセット(一式)@現地調達、輸血用血液パック(多数)@現地調達
[方針/行動]
基本方針:レミリアお嬢様に従う。
1:レミリアお嬢様に従う。
【主:インテグラル・ファルブルケ・ウィンゲーツ・ヘルシング@HELLSING】
[主従]:ウォルター・C・ドルネーズ@HELLSING
[状態]:健康
[装備]:ワルサーPPK@現実(弾数x6)、ワルサーPPKのマガジン(.380ACP弾x6発入り)x6
[方針/行動]
基本方針:状況(バトルロワイアル)の打破。屋敷へと帰還する。
1:レミリア組、ハクオロ組と同行しながら、殺し合いを停滞させるために動く。
2:アーカード、セラスとの合流。
[備考]
※参加時期は、北アイルランド地方都市ベイドリックでアンデルセンと対決した後。(1巻)
417 :
創る名無しに見る名無し
:2011/11/23(水) 17:29:04.50 ID:8xLelZX5
しえん
418 :
フラワリングナイト
◆Su10.RK3MU
:2011/11/23(水) 17:29:45.03 ID:CFe7y10e
【従:ウォルター・C・ドルネーズ@HELLSING】
[主従]:インテグラル・ファルブルケ・ウィンゲーツ・ヘルシング@HELLSING
[状態]:健康
[装備]:アゾット剣@Fate/Zero
背負い袋(基本支給品)、通信用人形(青リボン)@東方儚月抄、不明支給品x1
茶葉とティーセット(一式)@現地調達、輸血用血液パック(多数)@現地調達
[方針/行動]
基本方針:インテグラお嬢様に従う。
1:インテグラを警護し続ける。
[備考]
※参加時期は、北アイルランド地方都市ベイドリックでアンデルセンと対決した後。(1巻)
【主:ハクオロ@うたわれるもの】
[主従]:トウカ@うたわれるもの
[状態]:健康
[装備]:通信用人形(赤リボン)@東方儚月抄
[方針/行動]
基本方針:他の参加者と協力して八雲紫を討伐し、島から脱出する。基本的に参加者は殺めるつもりは無い。
1:レミリア組、インテグラ組と同行しながら、殺し合いを停滞させるために動く。
[備考]
※参加時期は、アニメ20話『初陣』直前。その為、まだ自分の正体(ウィツァルネミテア)には気付いていません。
【従:トウカ@うたわれるもの】
[主従]:ハクオロ@うたわれるもの
[状態]:健康
[装備]:六爪@戦国BASARA
背負い袋(基本支給品)、大量のパンツ@そらのおとしもの、洋酒(木箱入り)@北斗の拳
[方針/行動]
基本方針:ハクオロを守りながら他の参加者と協力して八雲紫を討伐し、島から脱出する。基本的に参加者は殺めるつもりは無い。
1:周囲に気を配り、ハクオロを守る
[備考]
※参加時期はハクオロと同じく、アニメ20話『初陣』直前。その為、まだハクオロの正体(ウィツァルネミテア)は知りません。
【風見幽香の日傘】
インテグラル・ファルブルケ・ウィンゲーツ・ヘルシング&ウォルター・C・ドルネーズに支給。
花を操る妖怪、風見幽香の持っている日傘。
一見、普通の日傘だが弾幕を防御できるくらいに頑丈。その上紫外線も完全カットしてくれる。ついでに雨傘にもなる。
【通信用人形(赤リボン)】
インテグラル・ファルブルケ・ウィンゲーツ・ヘルシング&ウォルター・C・ドルネーズに支給。
地底での異変の際に八雲紫が用意し、アリス・マーガトロイドを介して霧雨魔理沙に手渡された物。
頭のリボンを外す事で、対となる赤リボンの人形の持ち主と会話する事ができる。要するに通話先が限定されている携帯電話のような物。
本来は戦闘支援機能もあるが、このロワではその機能は取り外されている。
【ワルサーPPK】
レミリア・スカーレット&十六夜咲夜に支給。
ドイツのワルサー社が開発した小型拳銃。全長が15cm程度と小さく、士官や警官が好んで携帯していた。
007のジェームス・ボンドのメインアームとしても有名。
【茶葉とティーセット】
十六夜咲夜とウォルターとが、市中の商店にて調達。
インテグラお嬢様が文句を言わずに飲む程度の紅茶とティーセット一式。
【輸血用血液パック】
十六夜咲夜とウォルターとが、病院にて調達。
本来は失血した者に輸血するためのものだが、吸血鬼にとってはそのままおやつや食料になる。
二人はこちらの用途でこれを調達した。ちなみにレミアリはB型の血が好みらしい。
419 :
◆Su10.RK3MU
:2011/11/23(水) 17:30:27.68 ID:CFe7y10e
以上で投下を終了します。
420 :
創る名無しに見る名無し
:2011/11/23(水) 17:44:40.31 ID:8xLelZX5
支援をしたと思ったら投下が終わっていた……なにをされたのか(ry
全員が戦闘経験ありの紅魔組ができたか
戦力不足に嘆く永夜組とはえらい差だw
そしてデパートとなるとハート様、シグナムと合流できるかな?
ルルーシュ、信長、スザクと危険人物と遭遇する可能性も高いが…
ウェイバー組はしばらく動かないだろうし
421 :
創る名無しに見る名無し
:2011/11/23(水) 20:12:28.43 ID:WFu3YGje
投下乙です。
なんかこのインテグラは可愛くて新鮮だw
しかしまあ改めて思うが、島の北西と南東の温度差が凄いな。
このまま順調にサザンクロス組とも合流できるのか、はたまた信長達に引っ掻き回されるのか…。
422 :
創る名無しに見る名無し
:2011/11/23(水) 20:47:49.22 ID:y/cYL+4+
インテグラ嬢や皇相手に主導権を握れる……
これがレミリアのカリスマだというのか!?
423 :
創る名無しに見る名無し
:2011/11/23(水) 23:41:55.40 ID:+LzR6gUy
いいえ、「泣く(鳴く)子には勝てぬ」と言うやつですw
424 :
創る名無しに見る名無し
:2011/11/23(水) 23:44:25.41 ID:Sz0i4JsA
単に東方キャラSUGEEEだろ
425 :
創る名無しに見る名無し
:2011/11/24(木) 01:13:41.74 ID:uurUeSQM
投下乙です
ここのチームは順調に組んだなぁ
向かう先はデパートだけどそこには信長などが……w
さてどうなるか楽しみです
426 :
創る名無しに見る名無し
:2011/11/24(木) 14:08:50.03 ID:BDlsGCSt
現状咲夜の能力が異常だから、それをメイドにしてるレミリアはどんだけなんだっていうのがお嬢と皇の本音だろう
427 :
創る名無しに見る名無し
:2011/11/24(木) 14:23:18.55 ID:lBUmmBMD
ちょっと内容がアレだな
428 :
創る名無しに見る名無し
:2011/11/24(木) 14:48:13.40 ID:ksO+TMSo
投下乙です
一波乱起きそうかなと思ったが意外とすんなりと組めたのは大きいなあ
ただ、違う意味でトラブルが起きそうだがw
そしてマジで危険な意味では信長とかも多いけどな
既に上で言われてるが主催の情報と異能力者のメイドを従えてるレミリアはどんだけって意味だろうなあ
少なくともこの状況で対立、或いは喧嘩別れしたくはないだろう
429 :
創る名無しに見る名無し
:2011/11/24(木) 14:53:05.96 ID:IWURs8zx
投下乙
ただ、トウカが武器を取られたとき
誰がどう見ても咲夜がなにかやったって思われる状況だったのに
何をやったかについて誰も言及しなかったことが少し気になったかな?
一緒に戦う方針となった一応の協力者同士なんだから、
全部は話さなくとも多少の戦力提示くらいはする方が自然だと思った
特にインテグラやハクオロは作戦指示をする側の人間だろうし、
不明な要素をそのままにしといてキョドるだけっていうのはちょっと違和感が
それはそれとしてこのインテグラ新鮮でいいなw
430 :
創る名無しに見る名無し
:2011/11/24(木) 16:28:26.89 ID:qAG3N2WB
>>429
レミリアの性格考えたら教えるわけがない
むしろ「ぷっwあんたたちそんなこともわからないわけぇ〜?w」
と笑われますます見下されるだけ
その程度聡明なハクオロとインテグラなら分かってるだろう
431 :
創る名無しに見る名無し
:2011/11/24(木) 18:03:58.78 ID:24lvt54d
東方は知らないが
そこまで堂々と他作品を踏み台にされると好きになれる理由が思い当たらない
432 :
創る名無しに見る名無し
:2011/11/24(木) 18:18:24.55 ID:vCFNjPF3
そりゃ吸血鬼から見たらただの人間なんて食糧にしか過ぎないわけですしおすし
433 :
創る名無しに見る名無し
:2011/11/24(木) 18:21:05.62 ID:X9anjRt/
踏み台というか、子供のレミリアを大人のハクオロさんがおだてているだけだろ。
アルルゥやクーヤに慣れてる訳だし
434 :
創る名無しに見る名無し
:2011/11/24(木) 18:43:44.61 ID:vCFNjPF3
経験などから見てインテグラかハクオロさんが指揮とるべきなんだけど
咲夜があれだけの実力示してるからレミリアに主導権握られて関係が歪なことになってる
トウカへの反応を見ても分かるようにヘタに機嫌損ねるとなにするか分からんのでとりあえず大人の対応しとくってのが正解
435 :
創る名無しに見る名無し
:2011/11/24(木) 18:53:28.17 ID:X9anjRt/
まあまた鉄火場になれば違うと思うな
436 :
創る名無しに見る名無し
:2011/11/24(木) 19:22:54.36 ID:nmiUTLL9
結論:インテグラかわいい
でおk?
437 :
創る名無しに見る名無し
:2011/11/24(木) 19:53:53.09 ID:r6eWonGW
おk
438 :
創る名無しに見る名無し
:2011/11/24(木) 19:54:25.95 ID:lZpmGTNx
おk
それにしても思ったんだが、
>なにせ、あらゆる事象をあったりなかったりにすることのできる八雲紫の能力は神の領域ではないかと思えるほどなのである。
このチーム領域どころか神そのものがいたりするんだよなぁw
まあ、本人に自覚が無い上に覚醒しても制限対象な訳だが。
439 :
創る名無しに見る名無し
:2011/11/24(木) 21:09:53.50 ID:8sN9DJfk
【王様】
セイバー、ライダー、ルルーシュ、アーカード、信長、ハクオロ、DIO、シディアス
【吸血鬼】
レミリア、アーカード、セラス、DIO,ヴァニラ、忍、阿良々木
【騎士、武士】
セイバー、シグナム、ジェレミア、スザク、政宗、小十郎、トウカ、妖夢
【貴族、お姫様】
ユーフェミア、天子、幽々子、輝夜、インテグラ、奏
【執事、メイド】
咲夜、ウォルター、スバル
共通点ある参加者多いな
執事メイド少なかったのは意外だけど
440 :
創る名無しに見る名無し
:2011/11/24(木) 21:52:48.62 ID:lZpmGTNx
>>439
武士扱いされない光秀哀れ。
まあ…無理も無いがw
441 :
創る名無しに見る名無し
:2011/11/24(木) 23:19:20.89 ID:ksO+TMSo
セイバーらは鯖だから違う意味で人間外れだわ
おれに戦国武将の連中の戦闘力も生身の人間じゃねえw
442 :
創る名無しに見る名無し
:2011/11/24(木) 23:33:55.13 ID:24lvt54d
火縄銃で死ぬけどな
443 :
創る名無しに見る名無し
:2011/11/24(木) 23:54:09.90 ID:8sN9DJfk
あいつらが火縄銃で死ぬとか想像できねぇよ
チート円卓揃ったブリテンと戦争しまくってた蛮族ってもう何者だよ
444 :
創る名無しに見る名無し
:2011/11/24(木) 23:55:44.32 ID:KEWC0UtZ
ベイダーは元ジェダイナイトなのに!
ジェダイマスターになれなかった半端者なだけだが…
445 :
創る名無しに見る名無し
:2011/11/24(木) 23:57:01.69 ID:KEWC0UtZ
>>443
バンゾクには勝てないけどローマには勝てたんだっけ
どんなんだ
446 :
創る名無しに見る名無し
:2011/11/25(金) 00:02:47.48 ID:6zs8r42+
スザク、ベイダー「王よ、あなたには人の心が分からない」
セイバー「ぐぬぬ」
447 :
創る名無しに見る名無し
:2011/11/25(金) 02:25:46.48 ID:QKbazsvB
そういえばこれで複数の異世界から人間や人外が呼ばれてると判った組は増えたが
それでもまだまだ少数だよな
それを知ったら行動方針変える連中は一部だけだろうからあまり意味ないけどさw
448 :
創る名無しに見る名無し
:2011/11/25(金) 04:03:59.76 ID:7yFAr+wH
>>446
お前らどっちも自分勝手に裏切りかました癖にそれかよwww
449 :
創る名無しに見る名無し
:2011/11/25(金) 18:39:20.92 ID://VSw89c
しかしアーカードの娘とかフカシこいた(公式でも事実ではなくレミリアがノリでスペカにしてるだけ)
レミリアはアーカードと実際会ったらどんな反応するんだろうね
450 :
創る名無しに見る名無し
:2011/11/25(金) 19:08:21.66 ID:2vh1nrnE
とりあえずパパと呼んで甘える
フカシでも既成事実さえ作ってしまえば・・・!
451 :
創る名無しに見る名無し
:2011/11/25(金) 20:26:18.79 ID:SdHEHJAf
まあ、一応自称は末裔だし、世代的にも500歳程度のレミリアからすれば直の娘ではありえないわけで……
ヴラドの家系は続いてるようだからお前は知らないかも知れないが子孫なんだよ! といっておけば一応名目は立つ……かも
452 :
創る名無しに見る名無し
:2011/11/25(金) 20:49:56.59 ID:+e7yp2G7
つうか英王室はその末裔だしぃ
453 :
創る名無しに見る名無し
:2011/11/25(金) 22:31:03.59 ID:7yFAr+wH
年齢別に並べると永夜組が圧倒的で次点に旦那、忍、レミリアと続くのかな?
454 :
創る名無しに見る名無し
:2011/11/25(金) 23:44:01.48 ID:xk/0VnTP
エーリン一人で平均寿命が何万倍になってるんだろう。
455 :
創る名無しに見る名無し
:2011/11/25(金) 23:58:39.75 ID:JiPWHgYF
おまえらそれ以上年齢の話はやめ…おや、誰か来たようだ
456 :
創る名無しに見る名無し
:2011/11/26(土) 07:34:44.49 ID:BktXoKL1
天津神、永琳(あめのやごころおもいかねのみこと)の年齢は億単位です
457 :
創る名無しに見る名無し
:2011/11/26(土) 18:46:39.11 ID:qynzlMTV
まぁこのままだと東方キャラ強い!な展開だろうな
458 :
創る名無しに見る名無し
:2011/11/26(土) 18:53:17.93 ID:kz6Stywu
やっぱり時間停止は強いしポルナレフ状態になるからインパクトもすごい
DIO様たちが端っこにいる分しばらくは咲夜の世界だろう
459 :
◆7RGbmc1fRg
:2011/11/26(土) 21:21:35.92 ID:8c3iltNq
投下します。
460 :
悪鬼夜行
◆7RGbmc1fRg
:2011/11/26(土) 21:23:38.97 ID:8c3iltNq
ふたりの姫、王たる騎士と月の賢者が異常を聞きつけ邂逅を迎えていたのとほぼ同時刻。
異常を察知していたのは彼女たちだけではなかった。
一分の隙もない甲冑に覆われた異形の騎士。時折不気味な呼吸音を響かせるはシスの暗黒卿、ダース・ベイダー。
D-5に置いて発生した爆発音は、彼にただならぬ不安を抱かせた。
怖じているというのか? だがあの程度の爆発、スペースシップのそれと比べたらどうということもないであろう。 ならば何故だ?
(なぜワシは今、こんなにも焦燥している!?)
銀河帝国皇帝、ダース・シディアスは倒し、パドメの仇は討った。
あとはルークを探し出し、ここより脱出して後は銀河帝国皇帝の座につくだけ。なんの問題もないはずだ。
ベイダーと同じ闇がこの島を覆っている。夜目に慣れぬ者には不利と働く闇が、足元さえ隠す暗黒が。
しかし機械により補われたベイダーの視覚はそれに意味をなさない。
橋を超えた先でそれらはすぐに見つかった。少年少女3人と路上で寝ている男、金色のドロイドの残骸。
「――――」
ダース・ベイダーの思考は停止した。 とうとう発見してしまった、少年の死体が原因で。
ベイダーとルーク。 二人は必ずや出会うであろう。
これは運命であり、必然である。
フォースの導きは親子という強い繋がりをもつ彼らを必ずや引き合わせる。
――だがベイダーの願いは、悲劇という形で実現した。
461 :
悪鬼夜行
◆7RGbmc1fRg
:2011/11/26(土) 21:24:35.44 ID:8c3iltNq
◇ ◇ ◇
総身に殺意を纏わせ、大地を蹴散らし突撃する黒騎士に対応できたのは唯一武術の心得がある緋鞠のみであった。
「???????????????????ッッッ!!」
「下がれ若殿っ!!あれはもはや人ではない! 魔人の類いだ!!」
もはや人の声とは思えぬ、悪鬼のそれと同質の斬撃が不気味な気迫と共に振り下ろされる。
力による攻撃に集約させた『ドジェム・ソ』のフォームから放たれた一撃を受けるは長刀『楼観剣』。
白玉楼剣術指南役が持つ、二振りの刀のうちの一本。妖が鍛えた刀でありながら幽霊10匹分の殺傷力を持つ妖剣。
刀ごとへし折らんばかりに放たれた剣圧が二撃、三撃と容赦無く緋鞠の命を刈り取るべく攻め立てる。
だが短い時間ながらも緋鞠はその流派の長所を見抜き、為すべき対応を正確にこなしていた。
黒騎士の流派は攻撃と殺害に全てを傾けた殺人剣。
初撃で見抜き、ならば長所を潰すべくこちらは守。相手を殺さず、生かして勝つべき刀法・活人剣。
真空のような静寂の中、刃鳴散らす達人同士の剣戟が幾重も切り結ぶ。
剣士としての実力、経験、ともにベイダーに分があるだろう。
だが激情により精彩を欠いた『ドジェム・ソ』では防御に重点を置いた緋鞠の型にその長所を潰され、本来ダースベイダー優位に進むはずの戦いが五部の状態にまで引き戻されていた。
黒騎士の絶技を捌ききり、互いに拮抗したはずの戦いの中いち早く死線を垣間見たのは緋鞠。
(動きが……先読みされているッ!?)
剣士としての勘や、反射などという生やさしいものではない。
黒騎士は緋鞠の思考そのものを読み取り、守りを潰す最善最速の魔手を穿つ―――。
462 :
悪鬼夜行
◆7RGbmc1fRg
:2011/11/26(土) 21:25:45.32 ID:8c3iltNq
―――勝敗はやはり短時間で決した。緋鞠の手にした楼観剣が空を舞い、大地へと突き刺さる。
元より自力が上の相手と互角の戦いを演じたのだ。野井原の緋剣を笑うことが誰にできよう。
悪鬼の義手が緋鞠の首根を捉え、そのまま握り潰さんとその手に力を込める。
「貴様か――! 貴様がルークを、こんな目に合わせたのか……ッ!!」
全身を黒甲冑で包んだ騎士の相貌を見ることは叶わない。
だがその声から読み取れるのは明らかな悲しみと怨念。
魔人と言えど人の子か。苦痛に顔を歪ませたまま緋鞠はどうにか首を横に振る。
「ならば貴様かッ! ルークを殺したのは誰だ!!ワシの息子をこんな目にあわせた奴はどこにいる!!」
二人のやり取りに割って入れず、遠巻きに見守っていた智樹はその光景に驚愕した。
黒い人影――ダース・ベイダーの右手が前に突き出されたかと思うと、触れられてもいないのに優人が自分の喉元を押さえ、顔を真っ青にして苦しみ始めたのだ。
さらに、その両足が地面を離れ、バタバタと無様に空を蹴る。
「――答えろ、小僧。 知らなければ殺す、喋らなければ殺す。この者たちの命惜しむなら即座に答えよ。ルークを殺したのは、誰ダ?」
自分の大事な親友でもあり家族でもある未確認生物のイカロスを正気に戻すと智樹は決意を固めた。
だが既にイカロスは罪を重ね、この人にとってのイカロスを彼女は殺してしまった。
もし自分がイカロスや、幼馴染のそはらを殺されれば同じく悲しむだろう。そしてきっと、自分はその相手に殺意を抱く。この人と同じように。
この窮地に置いて智樹の選択したフォームは、謝罪の最上級形とも言うべき土下座。
「俺です! 俺がやりました! なんでもします!だから優人と緋鞠だけは助けてください! そのためなら俺、どうなったっていい!!」
だがそれでも、智樹はイカロスを売ることなどできない。
イカロスの名を伝えれば、この黒い影はきっと暴走したイカロスを殺しに行くだろう。
それでもなお、イカロスは家族だ。彼女の重ねた罪はマスターである自分が償う。
これからも殺戮を続けるであろうイカロスの罪を、自分ひとりの命で僅かでも軽くできるのならば。
「黙れ小僧ッッッ!! フォースの力が弱まっているとは言え、その程度の虚言見抜けぬと思ったかッ!!
ルークを殺したのは貴様ではないな? ならなぜそやつを庇う? 次は許さぬぞ、正直に言えッ!」
見抜かれた……。優人を持ち上げたのと同じく、不思議な超能力をこの黒い人影は持っている。
正直に語らねば、次は智樹だけでなく緋鞠と優人も殺されるだろう。
いっしょにイカロスを止めると言ってくれた彼女たちを……これ以上巻き込むわけにはいかない。
智樹は思い出しながら、震える声で先ほどの惨劇から語り始めた。
463 :
悪鬼夜行
◆7RGbmc1fRg
:2011/11/26(土) 21:26:54.49 ID:8c3iltNq
◇ ◇ ◇
(……なるほど。この小僧、トモキのドロイド『イカロス』。この状況で暴走を始めおったか。そしてそやつがルークを――ッ!!)
未確認生命体、エンジェロイド。
それらの単語に対するベイダーの理解は早かった。
恐らくは今だ発展途上にある未開の惑星に、これまた高度な文明を持つ惑星のドロイドがなんの手違いか落下。そしてこのトモキを主人と定めたのだろう。
主の世話だけでなく守護も任とするドロイドならば、他は全て敵という状況で暴走を起こすというのも頷ける話だ。
緋鞠と優人を解放し、話を聴き終えた黒騎士はその刃の切っ先を智樹へと向ける。
「トモキ……主ならば部下の不始末は貴様が清算しろ。
ワシに代わって、貴様がそのドロイドを破壊するのだ。己の大事なものを失う苦しみ、貴様にも味わせねば気がすまんッ!
ワシの恨みを、息子を奪われた悲しみを晴らさせろ――! 」
ベイダーのその要求に異を挟めるものはいない。
イカロスの罪を償うため従うしかない智樹。
もし失った相手が自分の隣に立つ人であったらと思えば、顔を伏せるしかない緋鞠と優人。
「……わかった、俺はイカロスを―――殺す」
それがどれだけ辛いことなのか、優人を失うことを考えた緋鞠は身が引き裂かれんばかりだった。
そんな人を自分の手で殺す……それだけの酷い仕打ちは見過ごせるはずもない。
だが既にイカロスは罪を重ね。ここに一人の魔人を産み出してしまった。
この黒騎士の凶行も全てはイカロスと、智樹が産み出した罪。
◇ ◇ ◇
「……緋鞠。なぜ智樹を、あいつと黙って行かせた」
緋鞠や優人のことなどもはや眼中にない黒騎士が、意思を固めたトモキを連れ去ってからの二人は無言だった。
智樹たちを追おうとする優人を緋鞠が黙って静止し、その理由も話そうとしない緋鞠。
これまで彼女に向けたことのない声色で、優人は緋鞠に問う。
「だめなのじゃ、若殿……」
「なんでさ!? 智樹をあんな危ないやつと二人にさせておくだなんて!」
「――八雲紫の言った言葉を思い出してくれ、若殿……。奴は優勝すれば、黄泉路へと足を運び愛する者を連れ戻すことも可能だと言っておった。
あの男は……事が済めば他の者を皆殺しにし、息子を取り戻す気でいる」
馬鹿な――と思うが、そんなありえない話に飛びついてしまうほどにあの男の悲しみは深い。
そしてなにより、優人が緋鞠を失ったのなら、緋鞠が優人を失ったのならば。
あの男と――同じになってしまうことを否定できない。
「――わしだけでは、あの男には勝てん。恥ずかしいことだが、先ほどそれを身をもって体感した。
今は、どうか今は耐えて欲しい……。 智樹は助ける、より多くの仲間を集め必ずや」
「……緋鞠」
464 :
悪鬼夜行
◆7RGbmc1fRg
:2011/11/26(土) 21:27:28.66 ID:8c3iltNq
(イカロスを共に止めると誓った智樹との約束。わしは忘れてなどおらぬ。
……だがやはりそれ以上に、わしは若殿を失いたくないのじゃ)
イカロスを智樹に殺させた次に、あの黒騎士は智樹を殺すだろう。
それが終われば側にいるものから次々とその剣の錆へと化える。
知り合ったばかりの少年と、何年も思い続けた相手ならば言うまでもなく後者を取る。
そんな当然の選択をした自分に、緋鞠は吐き気を覚えた。
「ごめん緋鞠……。俺、そんなことまで全然考えられなかった」
イカロスは智樹が止める。その智樹は自分たちが助けなければいけない。
それが約束を果たすことのできなかったせめてもの罪滅ぼし。そのために優人たちはみんなを助けて、仲間を集めなくてはいけない。
決意新たに踏み出した緋鞠たちは、ひとまず人の集まりそうな学校、負傷した人が避難しているであろう診療所を目指すことを決定する。
だが意外にも、彼らの目指す他参加者との合流は早期に実現された。
「緋鞠、あれ! 人が倒れてる!」
◇ ◇ ◇
優人たちと別れた智樹と暗黒卿を名乗る謎の剣士、ダースベイダー。
イカロスと自分の罪を清算するため、ベイダーの後を歩く智樹だがその足は重い。
前を歩き、時折『コーホー』と機械的な呼吸音を鳴らす彼はまるで、SF映画の悪役そのものだ。
「時にトモキよ……あの二人を見ていて気づいたことはあるか?」
あの二人……優人と緋鞠のことだろうか。
正直あまり答える気にもなれない。智樹が答えぬと見ると、ベイダー卿は言葉を続ける。
「ここには主従関係にあるものが集められていると最初に説明を受けた。ちょうど貴様と、イカロスのような者らだ。
だがあの二人は主従関係でありながら、お互いを好いておる。男と、女としてな。恋人と言っても差し支えはあるまい。
そしてワシとルークのような……親子関係にあるもの。ここに集ったのは、主と従者だけではないらしい」
「あの二人が恋人って……。 まぁ、そうかもしれないですけど。それも『ふぉーす』ってやつの力で知ったんですか?」
「……ワシも貴様らと同じように恋をし、親を敬ってきたつもりだ。あの程度読心せずとも顔を見れば容易に分かるわ」
(そうだ……現に今、この小僧の心を読むことはできん。あの女との戦いの最中、僅かに成ったフォースによる先読みも今この瞬間成すことなど出来ぬだろう。
ワシはまだ機械になったつもりはない。ドロイドならば息子を失ったとて悲しみも、憎しみも沸かぬだろう。
あの二人に若き日のワシとパドメの影を重ねることも……愛する二人を裂くことの呵責に悩まさせることも……)
そう、皇帝を討ち果たした時と同じく現在はフォースの流れは微弱なものとなっている。
やはりこの地ではフォースは弱まるらしく、深い読心や元から意思の強い者には通じぬ精神操作などは不可能だろう。
だからこそ普段なら気づいて当然の追跡者にも、ダースベイダーが気づくことはなかった。
465 :
悪鬼夜行
◆7RGbmc1fRg
:2011/11/26(土) 21:28:27.57 ID:8c3iltNq
◇ ◇ ◇
「……手遅れじゃ、もう既に息を引き取っている」
「そんな……」
倒れていた中年男性の身体は酷く傷めつけられていた。
鼻をへし折られ、手足の骨はあらぬ方向に曲がり、前歯も二本引きぬかれていたという常軌を逸した状態。
……なぜこんな拷問じみたことをする必要があった? 普通こんなことをされれば悲鳴のひとつでも上げるものだろうし、それならば緋鞠たちも事前に聞きつけるはずだ。
殺害は別の場所で行われたのだろうか? 異常者の仕業にしても、死体をこんなところに放り出しておくことになんの意味が……。
緋鞠の思考がひとつの可能性に至る直前、彼女の眼前で死体が真っ二つに爆ぜ噴血する。
そしてその体内から産まれ出でたのは無数の蛇の群れ――妖である緋鞠にも見覚えのない、おぞましい異形の触手。
彼女の手首と変わらない太さのそれらが、瞬時に伸び広がって巻きつくや万力のような力で締め上げていく。
緋鞠を捕えた触手は彼女の身体を確かめるかのようにそのラインをなぞり、手や足に、ヌルリとした粘液をこすりつける。
「クソっ!なんだよこいつ! この、離せよ!緋鞠を離せ!」
優人が触手を緋鞠から引き剥がそうとするも、一度張り付いたそれはビクともしない。
跳ね退ける事も出来ず、逆に手足を搦め捕られた緋鞠は一切の抵抗が封じられる。
――生贄の血肉を介し、異界より呼び込まれたそれは胴もなければ四肢もない、巨大なオニヒトデとでも形容すべき異形の生物。
鬼斬り役である、天河家に仕える緋鞠にも見覚えがないのは無理も無い。
これは妖怪の類でも、幻想に追いやられた生物でもない。これはまったくの別次元に住まう、知る者の存在などありえるはずのない怪魔。
「逃げ、ろ……若殿っ……」
「バカ言うな! 緋鞠を置いて行けるわけないだろ!」
こんなときでも緋鞠は優人を、優人は緋鞠を、それぞれの身を案じていた。
自分が傷つくよりも、目の前の大事な人が傷つくことはもっと耐えられない。
主従関係を超えた美しき愛に、その人物は感嘆を隠せなかった。
466 :
悪鬼夜行
◆7RGbmc1fRg
:2011/11/26(土) 21:31:15.86 ID:8c3iltNq
「おおお、なんと素晴らしい……愛の嘆きほど楽しいものはなく、愛の苦しみほど嬉しいものはなく、愛に苦しむ事ほど幸福なことはありません。
やはり悲劇というものは愛によって彩られてこそ華となります。
あなたがたは今、正しく真の愛へと到達している! これを祝福せぬ者がありましょうか!」
緋鞠を救い出そうとする優人を余所に、突如姿を見せたその怪人物は熱弁を振るう。
ぎょろりと剥いた大きな双眸に緋鞠と優人を焼き付け、ドラマや映画で憧れ続けてきたシーンを演ずる彼らに喝采を送る。
「人が神より心を授かっているのは、人を愛するために他なりません。
あああ、だが神はどこまで残酷なのか! 愛する二人を引き裂くだけでは飽きたらず、その愛を永遠とすることも許さぬというのかァァァ――!」
感嘆し、喜び涙しているのかと思えば憤る。
先ほど出会った黒騎士の憤りは理解もできたし、同じ状況に陥ったときのことを思えば共感もできた。
だがこの男は異常だ。異常過ぎる。目の前で苦しみ、異形の怪物に襲われている優人たちを見ても神だの愛だの口にしてばかりいる。
圧倒的な強者に襲われる恐怖ではなく、なにか得体の知れぬ不気味なものにべったりとまとわりつかれている恐怖。
「ちょっとちょっと旦那ぁ、餌に引っかかった奴が来たらもっとじっくりゆっくり見よって約束じゃン?
あァ〜、でもカップルかぁ。 うんうん♪ イイね、イイね!
インスピレーションってやつ? いい感じに湧いてきちゃったよオレ!」
そしてまたもう一人、怪人物と同じ雰囲気をまとった軽薄そうな青年が姿を見せた。
ああ――そうか、あの死体は言わば撒き餌。興味をひいた者を収穫すべく置かれた、こいつらにとっては遊ぶ価値すらなかった青草。
緋鞠目掛け青年の赤槍が振るわれる。もう優人にできることは緋鞠を庇い、代わりに赤槍を受けることだけ。
緋鞠の呻きを耳に残し、優人の意識はそこでぷっつりと途切れた――。
467 :
悪鬼夜行
◆7RGbmc1fRg
:2011/11/26(土) 21:32:07.09 ID:8c3iltNq
【E-5/1日目-黎明】
【主:天河優人@おまもりひまり】
[主従]:野井原緋鞠@おまもりひまり
[状態]:破魔の紅薔薇に殴打され気絶中。
[装備]:背負い袋(基本支給品)、不明支給品×3
[方針/行動]
基本方針:緋鞠を守る
1:???
[備考]
参戦時期はクリスマスの事件終了後です。それ以降の時系列の出来事はまだ知りません。
【従:野井原緋鞠@おまもりひまり】
[主従]:天河優人@おまもりひまり
[状態]:怪魔に囚われている。行動不能。
[装備]:楼観剣@東方儚月抄
[方針/行動]
基本方針:若殿に手を出させない。
1:この状況をなんとかする。しかしこれでは……!
[備考]
参戦時期はクリスマスの事件終了後です。それ以降の出来事はまだ知りません。
【主:雨生龍之介@Fate/Zero】
[主従]:キャスター@Fate/Zero
[状態]:健康、令呪3画、服が血まみれ
[装備]:百合川サキのナイフ@ゾンビ屋れい子x8、鉄扇@うたわれるもの
背負い袋(基本支給品)、背負い袋(基本支給品)、破魔の紅薔薇@Fate/Zero
ミスタードーナツ@現実x6、ガソリンの入った瓶@現実、電動ドリル@現地調達
不明支給品x1(竹露/リルカ)
[方針/行動]
基本方針:青髭の旦那と一緒にこの戦いを勝ち残る。
1:生贄が増えるよ!やったね旦那!
2:八雲紫についての情報を集める。
3:捕まえた二人をこれから楽しく殺す。
[備考]
※参戦時期は巨大海魔召喚の直前です。
【従:キャスター@Fate/Zero】
[主従]:雨生龍之介@Fate/Zero
[状態]:魔力消費(小)
[装備]:螺湮城教本@Fate/Zero、怪魔×1
[方針/行動]
基本方針:殺し合いを盛り上げつつ、八雲紫を出し抜く術を探す。
1:この二人の美しき愛を永遠のものとするため、速やかに贄としなければ。
2:八雲紫についての情報を集める。
3:螺湮城教本の制限を解きたい。
4:ゾンビ使いというものにやや興味を引かれている。
[備考]
※参戦時期は巨大海魔召喚の直前です。
468 :
悪鬼夜行
◆7RGbmc1fRg
:2011/11/26(土) 21:33:13.01 ID:8c3iltNq
女だろうと子どもだろうと、油断もしないし容赦もしない。
自分の両親さえ殺した地獄の女王姫園リルカには、容易く人を殺せるという自負があった。
だが予想外だったのはあの女と黒い剣士の強さ。
3人組を襲撃するつもりが黒い剣士に先を越され、結局戦いの始まりからその顛末まで見守ってしまった。
とうとう戦闘に介入するタイミングを掴めなかったリルカは、今だ彼らの尾行を続けている。
だが収穫もあった。あそこで爆発を起こしたのはイカロスという奴で、そいつに自分の息子を殺されたダース・ベイダーとやらは怒り心頭。
自分で殺すだけでは満足できないのか、イカロスと組んでいるらしい智樹という小さい男子にわざわざ殺させるという鬼畜なやつだ。
胸のデカい緋鞠という女とその主らしき少年、鬼畜黒剣士と智樹というグループに別れたようだが当然狙うは後者。
黒剣士からみんなを守ろうとしたことからも分かるように緋鞠とその主の危険度は低いと見ていい。
やばいのは緋鞠以上の実力と不思議な術を使う黒剣士だ。
息子を失った今なにをするかわからない、見た目からして怪しいAAAクラスの危険人物。
ちょうど爆弾持ったやつも一緒のようだし、隙を見てサクッと殺っちゃいますか……。
獲物を狙う狩人は気付かれぬよう尾行を続ける。主を失ったことに、姫園リルカは気づかない。
【D-5/路上/1日目-黎明】
【従:ダース・ベイダー@スター・ウォーズ】
[主従]:なし
[状態]:健康、死亡まで残り約10時間
[装備]:信長の大剣@戦国BASARA、(基本支給品、不明支給品x3)
[方針/行動]
基本方針:イカロスをトモキに殺させ、ルークの仇を討つ。
【主:桜井智樹@そらのおとしもの】
[主従]:イカロス@そらのおとしもの
[状態]:健康、心に大きな傷
[装備]:手榴弾(残り45個)@現実、背負い袋(基本支給品)、明夏羽のサングラス@おまもりひまり、羊のぬいぐるみ@まよチキ! 、黒の騎士団の制服@コードギアス反逆のルルーシュ
[方針/行動]
基本方針:イカロスを、殺す。
[備考]
参戦時期はカオス戦(1回目)終了後です。それ以降の時系列の出来事はまだ知りません。
【従:姫園リルカ@ゾンビ屋れい子】
[主従]:なし
[状態]:健康、死亡まで残り約10時間
[装備]:鋼鉄のクレイモア@現実
[方針/行動]
基本方針:雨月竹露を守る。
1:竹露の害になりそうな輩をブチ殺す。
2:尾行を続け、黒剣士と智樹をサクッと殺る。
[備考]
※参加時期はイーヒン編終了後です。(8巻)
469 :
悪鬼夜行
◆7RGbmc1fRg
:2011/11/26(土) 21:34:03.85 ID:8c3iltNq
【楼観剣@東方儚月抄】
白玉桜剣術指南役兼庭師、魂魄妖夢の持つ2本の刀の長い方。
妖怪が鍛えた刀であり、一振りで幽霊10匹分の殺傷力を持つと言われている。
【ウィルソン・フィリップス上院議員の死体@ジョジョの奇妙な冒険】
高校・大学と成績は一番で卒業した。 大学ではレスリング部のキャプテンをつとめ…
社会に出てからもみんなから慕われ、尊敬されたからこそ政治家になれた…
ハワイに1000坪の別荘も持っている… 25歳年下の美人モデルを妻にした…
税金だって、他人の50倍は払っている! どんな敵だろうとわしはぶちのめしてきた…
いずれ大統領にもなれる! わしは…
ウィルソン・フィリップス上院議員だぞーーーーーーーッ
雨生龍之介&キャスター組に支給。
自動車に興味を示したDIO様の目にたまたま留まり、無理やり運転手をさせられた一般人。
最後はDIO様に飛び道具として使われるなど無残な死を遂げた。
怪魔召喚の贄にされ、その餌として食い尽くされ消滅。
470 :
◆7RGbmc1fRg
:2011/11/26(土) 21:34:24.55 ID:8c3iltNq
以上、投下終了です。
471 :
◆7RGbmc1fRg
:2011/11/26(土) 21:42:48.83 ID:8c3iltNq
>>461
あぁお、文字化けしてる
あとで修正しておきます
472 :
創る名無しに見る名無し
:2011/11/26(土) 22:03:24.67 ID:onOqpaLt
智樹の選択が安易すぎない?
こいつは超事無かれ主義っつーか、日常に戻れなくなるような事が大嫌いなはずだけど
473 :
創る名無しに見る名無し
:2011/11/26(土) 22:05:06.76 ID:Pz9oySy+
うわ、またおいしそうな状況が出来上がっちゃって……って、また議員かよwwwwww
ジョジョからの支給品が2つとも議員関係ってのはどういうことなの……w
緊迫した状態なのに、またしても支給品説明で吹いたw
ともあれ、触手に絡められた女の子に気絶した男の子。うわー、これ期待しちゃうなw
474 :
創る名無しに見る名無し
:2011/11/26(土) 22:16:28.98 ID:rgfmLIq+
投下乙です
智樹の選択は微妙かなと思いつつもまずは感想を
拗れるだけ拗れたなぁ。まだ底が見えてないのが余計にタチが悪いw
緋鞠も弱くないがそれを簡単に倒すとはベーダーこえええっ
ここで分断かあ…と思ったら二人して外道コンビに捕まるとか最悪に1歩手前じゃねえかよっ
そして主の死亡や仇の存在を知らずに尾行するリルカ…
女の子が触手とかおまw
475 :
創る名無しに見る名無し
:2011/11/26(土) 22:46:46.20 ID:JyX/yQBB
投下乙
あれ、このペースだとマジに海魔召喚できんじゃね?
KMFvs大海魔な怪獣決戦も夢じゃない!
トモキはなぁ、もうイカロス人殺してるし父親名乗る人まで出てきたしでカオス
476 :
創る名無しに見る名無し
:2011/11/27(日) 02:11:37.74 ID:5gtd+7JB
投下乙
リルカは仇であるキャスター組とニアミスか〜
あと龍之介の思考の一番目はひょっとして「家族が増えるよ」のパロかw
477 :
創る名無しに見る名無し
:2011/11/27(日) 08:01:43.80 ID:1d8bNygZ
これ、このまま通すの?
いろいろ微妙すぎるだろ
特にトモキの「イカロス殺す」
478 :
創る名無しに見る名無し
:2011/11/27(日) 08:13:57.26 ID:LZugC08t
つってもなぁ……
イカロスがもう人殺してる
嘘は看破される可能性がある
自分がヘタこけば緋鞠や優人が殺される
そして息子が殺されて怒ってる人が目の前にいる
この状況でなにすんだよ
479 :
創る名無しに見る名無し
:2011/11/27(日) 10:19:58.97 ID:fQwP8EA5
ちゃんとそのキャラらしく捌けないような状況作っちゃうから、おかしなことになる
480 :
創る名無しに見る名無し
:2011/11/27(日) 10:30:02.83 ID:fQwP8EA5
というか、お前がそんなに被害者面して怒れる筋合いかよw
>ベイダー
481 :
創る名無しに見る名無し
:2011/11/27(日) 11:07:44.00 ID:eJQOGjix
流石自分の師匠殺して寝返って、また寝返った先の師匠殺した奴は言うことが違うな
482 :
創る名無しに見る名無し
:2011/11/27(日) 12:29:42.74 ID:0Ie/7ZeN
暗黒面とはエゴの発露と見つけたり
483 :
創る名無しに見る名無し
:2011/11/27(日) 13:34:52.05 ID:H/TlbGnx
投下乙です。
智樹が精神的に四面楚歌すぎる…。
おまひま組は殺人師弟に捕まっちゃうし、まさに最悪一歩手前だわ…。
まあ、インパクトはたえちゃんネタと議員の死体に全部持ってかれた感もあるがwww
484 :
創る名無しに見る名無し
:2011/11/27(日) 13:56:14.46 ID:1d8bNygZ
そういやこの書き手って、Cの世界でマリアンヌの誘いをきっぱり拒絶してゼロレクイエムを決意した時期のスザクを
たいした描写もなく、唐突に「ユフィ守るためならなんでもします」にした人か
だったらまあ、どうしようもないな
トモキたちも登場話の時点でメタ的には死んだようなもんだしな
485 :
創る名無しに見る名無し
:2011/11/27(日) 13:59:22.30 ID:LZugC08t
スザクってマリアンヌと面識あったっけ?
ルルーシュじゃないの?
486 :
創る名無しに見る名無し
:2011/11/27(日) 14:10:48.03 ID:XzaqK9Yf
Rで会ってるよ
487 :
創る名無しに見る名無し
:2011/11/27(日) 14:15:58.71 ID:qjJ4+Ok+
特定のキャラが瞬殺されてもそのまま通したんだから問題ない
488 :
創る名無しに見る名無し
:2011/11/27(日) 14:22:55.79 ID:SSRYGfEk
>>485
>>484
の意見の是非は別として、スザクがCの世界でラグナレクの接続を否定したのは事実
TURN21のBパートの最初5分くらい
489 :
創る名無しに見る名無し
:2011/11/27(日) 14:31:34.49 ID:s7vJnXAQ
あれはマリアンヌ&シャルルの善意の押し付けだからな
そんなものより自分で選ぶ未来の方がいい!ってのがスザクとルルーシュの見解
しかしスザクの過去の行いを見ると・・・
ロイドぶん殴って出て行った時にあれほどゼロはオレが倒す!とか
ユフィユフィ言いつつコーネリアにも半端に良い顔してしまったり、
いざゼロを捕えたらトドメ刺すどころかそれを手土産に皇帝にラウンズにして下さい!と言ったり
ラウンズになった理由はナイトオブワンになって日本を〜だけど、正直ブレブレ。
ユフィの敵を取る為だから〜、日本の為だから〜、ナナリーのためだから〜、と次々なにか理由を見つけて自分の行動を正当化してるようにしか思えなかった。
こいつの言う誓いとか約束ほど薄っぺらいもんはないと思うぞ。
490 :
創る名無しに見る名無し
:2011/11/27(日) 14:32:13.00 ID:fQwP8EA5
けっきょく、あの時も議論スレには顔も出さなかったんだよね
鳥付き以外の人からの話なんて聞く耳持たないタイプの書き手なのかもしれないけど、
それは相当の実力派書き手以外がやるとロワが滅びるよ
この人がトップで書いてた二次元も廃虚状態だし
>>487
まぁあれを判断基準にするなら、確かにそうだな
491 :
創る名無しに見る名無し
:2011/11/27(日) 14:37:35.57 ID:fQwP8EA5
>>489
まぁ要するに親父とか、ユフィとかルルーシュとかナナリーなどの大事な人よりも「思想」を優先する人物だろう
更に後期にはそれまでにとった行動のせいでがんじがらめになって、もう自分の思いなんて殺すのが当たり前みたいな
感じになっちゃった
492 :
創る名無しに見る名無し
:2011/11/27(日) 14:48:03.55 ID:SSRYGfEk
既に次の予約が入ってるんだし投下から日数たってるんだから
スザクの登場話はいいとして、今は昨夜投下されたSSをどうするかじゃないの?
今回の件だけなら、今のところ出てる意見は愚痴かただの感想で
修正要求の体を為してない感じなんで書き手さんが対応する必要性は薄いように思うけど
493 :
創る名無しに見る名無し
:2011/11/27(日) 14:52:08.70 ID:s7vJnXAQ
それでもお前はユフィの仇だお!
だからなんだよ!!!
/ ̄ ̄\
/ノ( ゝ 、_,ノヽ r'´ ゙ヽ /`ヽ ____
| ⌒(( ひ)(ひ) ヽ ヽ从从/ / \ /\
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| ` ⌒´ノ |`'''| �煤@ヽ/ / そ / (__人__) ⌒ \
/ ⌒ヽ } | | ,)/ / \ く | |!!il|!|!l| |
/ へ \ }__/ / / /\ \ \i⌒ヽェェ| /
/ / | ノ ノ / / YYY\ \ \ \ /⌒,/´
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ヽ / \ ,r' /
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↓1ヵ月後
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/ ヽ_ .\
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_,,二)99代皇帝/ 〔― ‐} Ll | l) )
>_,フ / ナイトオブゼロ }二 コ\ Li‐'
__,,,i‐ノ l └―イ ヽ |
l i ヽl
>>491
あいつはもう本編からして散々ツッコまれてたからな…
ゼロレクするにはユフィ殺さなきゃいけないが、スザクにそれが出来るか?というと疑問
またルルーシュ裏切って「もう僕はユフィだけの騎士になろう(キリッ)」とかやらかしそう
494 :
創る名無しに見る名無し
:2011/11/27(日) 14:59:08.68 ID:fQwP8EA5
ユフィをあれだけ信奉してたのは、彼女があの時点でのスザクの理想を体現してたからだよな
あれから世界は随分変わって、もはやユフィがしゃしゃりでてきたところでどーにもならんところまで行ってるんだから
人間的感情を排除すれば、もう「利用価値」はないんだよな
まー、コードギアス論は今はどうでもいいんだけどね
495 :
創る名無しに見る名無し
:2011/11/27(日) 15:08:20.92 ID:90wQXZP/
ロワが滅びるよ(キリッ
496 :
創る名無しに見る名無し
:2011/11/27(日) 15:55:35.02 ID:1d8bNygZ
>>493
すざくあんちおつ
497 :
創る名無しに見る名無し
:2011/11/27(日) 15:59:25.39 ID:fQwP8EA5
じゃあ、キャラ崩壊してるけど、前例もあるので問題なしという事で纏めますか
投下乙でした
498 :
創る名無しに見る名無し
:2011/11/27(日) 16:40:44.66 ID:NBbcxPzg
おう、おめえもあったかくして寝ろや
499 :
創る名無しに見る名無し
:2011/11/27(日) 19:03:15.10 ID:S69TJOiL
それにしても、ロワ参加者で東方キャラに勝てそうなのっていねーな……
アーカードとかの猛者達を参加させるほどの実力を持つ主催者も東方の紫たった一人。アンデルセンをも瞬殺しちまったし。時間操作能力を持つ咲夜でさえ、飛べない以外に特に制限ないっぽいし。対抗できそうなDIOは遠い場所にいる
このまま無双かね
500 :
創る名無しに見る名無し
:2011/11/27(日) 19:18:32.99 ID:ewa5BlLw
>>499
ロワ内の話を言ってるならはっきり言ってパロロワ知識なさすぎ
最強能力者決定戦をやってるんじゃないんだから、どうとでもなる
主催戦のこと言ってるなら気が早すぎ
むしろ東方とか以前に、第一回放送前から主催の優位性が崩れてたらロワなんか成り立たねーよ
まあ、そういう問題をごっちゃにしてる時点で程度が知れるか
501 :
創る名無しに見る名無し
:2011/11/27(日) 20:06:49.94 ID:LZugC08t
えるしっているか
じつはさくやはきりつぐでたおせる
502 :
創る名無しに見る名無し
:2011/11/27(日) 21:03:40.37 ID:fQwP8EA5
むしろマーダー少なすぎて、当面キャスター組の残虐無双が続きそう
みんなこっち来てるし…
で、予約来たね
503 :
創る名無しに見る名無し
:2011/11/27(日) 21:19:21.12 ID:fQwP8EA5
つか、あの人か…
504 :
創る名無しに見る名無し
:2011/11/27(日) 22:47:28.13 ID:H/TlbGnx
一作目のクオリティなら問題は無い。
でももし二作目のクオリティだと…。
505 :
創る名無しに見る名無し
:2011/11/27(日) 22:50:00.67 ID:XmmCknRG
オレが書くしかない
506 :
創る名無しに見る名無し
:2011/11/27(日) 23:06:51.33 ID:LZugC08t
期待
507 :
創る名無しに見る名無し
:2011/11/27(日) 23:40:17.81 ID:1d8bNygZ
2話目の予約も入ってないパートがあるのに、キャスター龍之介組は
登場話数も参加者との遭遇率も飛ばしすぎだろ
508 :
創る名無しに見る名無し
:2011/11/28(月) 03:55:44.70 ID:Qy+zBgcY
このままいくと、美味しいパートが下手な書き手に台無しにされて、廃墟になるパターンかな
腕がない奴に限って、慌ててがっつくんだよなあ
509 :
創る名無しに見る名無し
:2011/11/28(月) 11:09:49.81 ID:tCRo51OX
下手な書き手なんていません。
510 :
創る名無しに見る名無し
:2011/11/28(月) 12:14:51.09 ID:Xz8uvIpy
上級読み手様(笑)はたくさんいます
511 :
創る名無しに見る名無し
:2011/11/28(月) 12:32:44.06 ID:Ipa3bdnS
>>507
とりあえずまともに動けそうなマーダーこいつらだけだし、みんな集まってるしでハードワークになるのはしょうがない
512 :
創る名無しに見る名無し
:2011/11/28(月) 15:14:29.18 ID:Qy+zBgcY
集まってるんじゃなくて、バラけさせる選択肢もあったのに集めたんだろ
513 :
創る名無しに見る名無し
:2011/11/28(月) 15:28:42.72 ID:tCRo51OX
ID:Qy+zBgcY
↑
凄腕書き手様
514 :
創る名無しに見る名無し
:2011/11/28(月) 17:14:21.95 ID:Ipa3bdnS
ここに集めたのだけは悪くない選択だと思う
ちょっと時空が歪んでる気もするが
まぁあとは捌けるかどうかだろう
515 :
創る名無しに見る名無し
:2011/11/28(月) 21:49:31.09 ID:DoPe5jsN
青ひげの旦那ってシグナム見て「おお、聖処女よ〜!」とか言うのかな。
女騎士ってところしか共通点ないけどあの人頭おかしいしありえないとも言えない。
516 :
創る名無しに見る名無し
:2011/11/28(月) 21:52:57.49 ID:wafpDoZ1
たしか青ひげの旦那がセイバー(アルトリア)とジャンヌを間違えたのって、あの世界では本当に二人がよく似てるからじゃなかったか?
517 :
創る名無しに見る名無し
:2011/11/28(月) 21:56:03.67 ID:46+4zZXc
ttp://gamesquare.up.seesaa.net/image/2e58df2f25462c74308085fd96a102f4.jpg
まだ見れるかな?
右下がジャンヌ
518 :
創る名無しに見る名無し
:2011/11/28(月) 22:03:49.13 ID:DoQ5aYzo
そんなに似てるかなぁ・・・
ttp://brunhild.sakura.ne.jp/up/src/up526401.jpg
519 :
創る名無しに見る名無し
:2011/11/28(月) 22:15:17.78 ID:Xz8uvIpy
セイバーともそんなに似てないな
ジャンヌは優しい感じでセイバーはキリッとしてる感じ
まぁ、旦那ならシグナム見ても
「発狂し絶望し髪色が変わってしまうまでになるとはおいたわしやジャンヌぅぅぅ!!」
とか超解釈もあり得るのでw
520 :
創る名無しに見る名無し
:2011/11/28(月) 22:47:58.98 ID:46+4zZXc
シグナムはちょっとデカいと思う
521 :
◆YwLV7iJ2fw
:2011/11/29(火) 00:12:50.13 ID:clqM6h3T
投下致します。
522 :
◆YwLV7iJ2fw
:2011/11/29(火) 00:14:24.40 ID:clqM6h3T
C‐3西部、市街地の外れの平地で響いていた騎士の歓喜の嗚咽は、たっぷり十五分程続いてようやく収まった。
敬愛する主君に背中を抱かれていた枢木スザクの姿は、ナイトオブゼロと呼ばれ恐れられた騎士の面影など全く感じさせず、寧ろ、歳相応どころかそれよりも幼い、
どこにでもいそうなただの少年のようにしか見えず、そんな彼の初めて見せた姿と、この状況そのものに困惑しながらも、
ユーフェミア・リ・ブリタニアは何も訊かず、ただずっとスザクを優しく抱きしめ、「大丈夫だから」と繰り返し声をかけていた。
満点の月の光に照らされる彼女のその姿は、さながら完成された一つの芸術のように、慈悲と母性に溢れて輝いているように見えた。
「……申し訳ありません、ユーフェミア様。みっともない所を――」
「ユフィ」
「え?」
「今ここにいるのは私とあなただけなんだから、そんな呼び方はしないで、スザク」
「…うん。ごめん、ユフィ」
「いいのよ、スザク。こんな状況じゃ仕方ないものね。でも、私の知らないスザクの一面を見れたのは、ちょっと嬉しかったかも」
ふふっと小さく微笑みながら言われたユーフェミアの言葉に、スザクもつられて表情を綻ばせる。
ブラックリベリオン以降は殆ど見せる事のなかった表情を自分が自然と作っていた事に、スザクはただ純粋に幸せを感じていた。
悲しみ、怒り、裏切り、嘘を吐き、戦い、戦い、また戦い―――ユーフェミアを失ってからのスザクの一年近い時間は、ほとんどそんな感じに過ぎていた。
どれだけ彼女の存在が自分の中で大きな物であったかを、スザクは改めて認識した。
◇◇◇
「でも、本当にいったいどういう事なのかしら? 私は確かル……ゼロをG1ベースの中に招いて、それから……それから……あら……?」
場所を近くの雑居ビルの一室に移してからの話し合いの口火を切ったのは、ユーフェミアのその一言だった。
(そうか、ルルーシュのギアスの影響で…)
ルルーシュの絶対遵守のギアスを受けた者はごく一部の例外――ここにいる二人がまさにその例外だ――を除き自由意志を失い、ギアスをかけられた前後と、
ギアスが発動している時の記憶が欠損する。
死の直前までギアスの影響下にあったユーフェミアの場合は、すなわち死ぬ前のある程度の記憶と、自分が死んだという記憶が欠損していた。
尤も、これは二人にとっては喜ぶべき事でもあったのだが。そんな記憶が残っていたら、今こうして正面から言葉を交わす事などできたかどうか。
兎も角、この島に喚ばれる以前の彼女の最後の記憶は、行政特区日本の会場にてゼロ(ルルーシュ)をG1ベース内に招き入れた時のものだった。
「…たぶん、連れ去られる時に気を失わされたせいで、直前の記憶が曖昧になってるんだよ。僕もそうだし」
「スザクもなの?」
「うん。僕もあの会場でユフィを見送ってからの記憶がはっきりしなくて…」
真実を知ってはいるもののそれを告げれる訳も無く、スザクは話を合わせてそう誤魔化す。
実際、気が付いたら連れ去られていたという部分はまったくその通りなのだから、話の筋を合わせるのは難しくない。
とは言え、この点を深く追求されればすぐにボロが出るのは目に見えているので、即座にスザクは話を切り替える。
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