テリー伊藤 対談 伊集院静(1)あの日の夜は星が綺麗だった

連載745 天才テリー伊藤対談「オフレコ厳禁」
 東日本大震災から1年、仙台で被災した伊集院静氏が震災以降の日本を語る。ガレキ処理の難航を「日本人が震災を理解できてない象徴」と一刀両断。さらに話は尽きず、「日本人とは」「老いとは」、そして前妻・夏目雅子と天才テリーの知られざる交流まで、大放談を展開した!

ゲスト 伊集院静
いじゅういん・しずか 1950年生まれ、山口県出身。CMディレクターを経て、81年に「皐月」で作家デビュー。以降、「機関車先生」や「海峡」三部作などベストセラー小説を次々と世に送り出す。「受け月」で直木賞を受賞。また、作詞家としても「愚か者」「ギンギラギンにさりげなく」など多くのヒット曲を手がけている。

テリー 3・11から1年たちますが、振り返られてどうですか。
伊集院 まだ日本人全体が地震があって、津波が来て、原発事故があったということをあんまり理解できてないんじゃないかな。その象徴がガレキだと思う。今、ガレキが2200万トン残ってて、まだ全体の5%ぐらいしか処理してない。
テリー そうですね。
テリー 本当に復興を願うなら、日本人みんなが灯油缶サイズのものでいいから、取りに行って、家に持って帰ってもいいと思うんだ。みんな国がやれって言うけど、それだけじゃ進みません。3・11っていうのは日本人がこの50年でダメになったところを象徴してる面もある。東京都は引き受けたけど、それは石原さんだから。
テリー 今、東京だけですもんね。
伊集院 いや実際は北海道、東北4県、埼玉、神奈川、京都、大阪とあるんですが、それでも足りない。私は郷里の山口とかにも言ったんだけど、返ってきた答えは、住民が大事だって。それはわかるけど、緊急時っていうのはそういうことじゃない。この前もスポーツ紙に高田高校野球部が復活するって、校舎のところに選手がいる写真が出てたけど、校舎の右隣には凄いガレキがあるんだよね。
テリー ガレキがあると気持ちが晴れないですよね。僕も何カ所か行ってきましたけど、正直、夜怖いですよ、不気味すぎて。
伊集院 そうですね。ガレキっていうのは、精神が恐怖、絶望のほうへ行きます。
テリー あの日、伊集院さんは仙台にいて、被災されたわけですよね。
伊集院 ただ、私は海のそばではないからね。最初の夜はNHKの放送も舞い上がってて、荒浜に無数の死体が転がってるって、そういうことは言っちゃいけないんだけど、もう動転していたわけです。ヘリコプターから見た人は、「町がない」とか「消えてる」とか。
テリー 被災地を実際に見られて、どうでしたか。
伊集院 不気味でしたね。特に家内なんかクリスチャンだから、現実を認めることに凄く時間がかかってね。私はどっちかというと、神も仏もないという考え方だから、お前たちのやってることは何なんだという話になったんだけど。
テリー 普通はなかなか受け止められないですよね。
伊集院 あの日の夜は星が凄くきれいで、それは明かりが消えてることもあるけど、星っていうのは絶対的な力、神々の象徴みたいなところがあるから、「キミたちがしたことはこれか」と思ったんだけど。あの日はまだ何千人も死なずに、ガレキにつかまったりして流されてたはずだけど、氷点下に下がったら、いずれ手を離さなきゃいけない。
テリー そうですね。
伊集院 最後に見るものが闇じゃなくて光だったというのはよかったんじゃないかとは思うけれども、それは理屈づけだからね。ただ、そういうことを考えさせられました。

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