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「産業突然死」の時代の人生論

長期的な視野に立った経済改革が必要

 しかし、韓国は流動性を確保するだけではいけない。そこから先に何をするかが問題なのだ。もっと本格的な経済改革が必要なのである。長期的に解決しなくてはいけない問題の筆頭は、韓国の産業のインフラ(裾野)が貧弱なことだ。

 韓国は、急速に経済を発展させてきたために産業のインフラ作りを置き去りにしてきた。例えば韓国の電化製品や自動車などは、日本から優れた素材、部品などを輸入して、それを組み立てて輸出するような構造で作られている。組み立て機械や工作機械も日本製がほとんどだ。最近は、韓国のブランドも世界の一流の仲間入りを果たしたように思われているが、その中身はと見ると実は大部分が日本の部品ということがよくあるのだ。だから韓国から欧米への輸出が増えると日本からの輸入が増える、という構造的な問題を抱えている。これをわたしが指摘し始めたのは20年以上前だが、いまだにそのパススルー経済の実態は変わっていない。

 産業のインフラ部分を整備するのに近道はない。それこそ10年単位で計画を立てていくしかない。ところが韓国の財閥には、インフラに経営資源を割こうとする気持ちがなくなってきている。財閥の経営陣は韓国を立て直すことよりも、国外、特に発展途上国に出て行くほうに気持ちが向かっているのだ。これもまた深刻な問題だ。

 産業のインフラ以外にも、韓国には改善するのに10年単位の長いスパンで取り組むべきことが山積している。労働組合の問題、若者の海外への移住、極端な少子化、財閥と政府との葛藤など難題山積である。現在のウォン下落の危機を乗り越えたとしても、楽ではない道のりが待っている。前途多難な韓国経済だが、とりあえずは日本の助けを借りて流動性の確保を図るべきだろう。日本人が韓国でも定期預金ができるようにして資金を流し込み、流動性を確保するのだ。その上で日本からのウォン安を利用した観光客が大幅に増えれば経済にとっても大きなプラスになる。米国との通貨スワップよりも、これが現状一番の早道だ。

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