野田佳彦首相は29日夜、民主党の税制調査会、社会保障と税の一体改革調査会の合同総会に初めて出席、消費増税を柱とする一体改革の実現が「政治家としての集大成」と訴え、年内の素案取りまとめへ協力を呼び掛けた。しかし、消費増税に反発する議員が集団離党したことで、首相が掲げた「挙党態勢」は事実上破綻。求心力は確実に低下しており、正面突破で政権運営の展望を切り開ける保証は全くない。
「離党届を出されたことは残念だ。そういう困難があったとしても、今避けては通れないテーマだ」。首相は合同総会でこう語り、社会保障の安定財源と位置付ける消費増税への道筋を付けるには、多少の離党者はやむを得ないとの考えをにじませた。改革実現へこれまでは「不退転の決意」を強調してきたが、この日は「集大成」との言葉を用い、さらに踏み込んだ。
9月の就任以来、首相は党内融和に腐心してきた。小沢一郎元代表に近い議員らが野党と連動して倒閣運動に走った結果、菅政権が短命に終わったのを閣内で間近で見ていたからだ。しかし、増税反対派が一体改革素案の年内策定阻止へ攻勢を強める中、融和路線の旗を降ろさざるを得なくなったようだ。
総会では、来年1月召集の通常国会の運営に関し、従来の「安全運転」から攻めの姿勢に転換することも宣言。首相は「野党に協力を呼び掛けることはこれからもやっていくが、少しスタンスは攻めていかなければならない」と述べ、野党に先んじて歳出削減や税外収入確保のための法案を積極的に提出する考えを示した。世論を味方に付け、消費増税は公約違反と批判する野党の軟化を促す狙いがある。
ただ、野党は参院で問責決議を受けた2閣僚の更迭を求め、通常国会冒頭からの審議拒否も辞さない構え。一方、民主党内の増税反対派は、消費増税関連法案の国会での採決時を「本番」と捉えているとされ、「離党予備軍はまだいる」との見方も広がる。素案策定をめぐる攻防を乗り切ったとしても、首相には厳しい状況が続く。(2011/12/29-21:23)
首相、展望なき「攻め」=党内融和の旗降ろす−消費増税
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