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1
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サハリン残留韓国・朝鮮人 補償請求訴訟
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東京地裁
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90.8.29 提訴 95.7.14 取下
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サハリンに強制連行された21人が国に1人 1000万円を請求
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2
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韓国損害賠償義務確認訴訟
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東京地裁
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90.10.29 提訴
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元軍人軍属ら22人が国に損害賠償義務確認と 陳謝などを請求
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大阪韓国・朝鮮人援護法の 援護を受ける地位確認訴訟
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大阪地裁 大阪高裁
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91.1.31 提訴 95.10.11 第一審判決 95.10. 控訴 99.9.10 第二審判決 |
在日韓国・朝鮮人の元傷痍軍属鄭商根が国に 援護地位確認と1000万円を請求
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4
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上敷香韓国人虐殺事件国家 賠償請求訴訟
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東京地裁 東京高裁
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91.8.18 提訴 95.7.27 第一審判決 95.8. 控訴 96.8.7 第二審判決
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敗戦直後、サハリンで起きた韓国人虐殺事件 。遺族が国に謝罪と計9000万円を請求
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5
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日本鋼管損害賠償請求訴訟
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東京地裁 東京高裁
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91.9.30 提訴 97.5.26 第一審判決 97. 控訴 99.4.6 和解〔注14〕
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日本鋼管に強制連行された金景錫が会社に弾 圧事件の補償1000万円などを請求
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6
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韓国・朝鮮人BC級戦犯国家補償請求訴訟
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東京地裁 東京高裁 最高裁 |
91.11.12 提訴 96.9.9 第一審判決 96.9.16 控訴 98.7.13 第二審判決 98.7.20 上告 (棄却)〔注4〕
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タイ、マレー、ジャワの元捕虜監視員7人が 国に戦犯となった補償1億7000万円を請求
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7
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アジア太平洋戦争韓国人犠牲者補償請求訴訟
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東京地裁
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91.12.6 提訴
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金学順ら元「従軍慰安婦」3人と軍人軍属ら 41人が国に1人2000万円を請求(92.4.13 元 「慰安婦」6人が追加)
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8
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強制徴兵・徴用者等に対する補償請求訴訟
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東京地裁
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91.12.12 提訴 96.11.21 第一審判決 請求棄却
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元軍人・軍属、強制連行の元徴用工や遺族24 人が国に1人5000万円の補償を請求
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9
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シベリア抑留在日韓国人恩給地位確認訴訟
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京都地裁
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92.1.9 提訴
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軍人として抑留された在日韓国人李昌錫が国 に恩給地位確認と1000万円を請求
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10
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光州千人訴訟
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東京地裁
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92.8.14 提訴 98.12.21 第一審判決 (棄却)〔注10〕
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光州市などの元軍人・軍属ら1269人が国に公 式謝罪と1人1億円を請求
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金順吉三菱造船損害賠償訴訟
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長崎地裁 福岡高裁 |
97.12 控訴 99.10.1 第二審判決 控訴棄却 [注21] |
強制連行され被爆した元三菱重工徴用工金順 吉が国、会社に未払い賃金1000万円を請求
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12
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援護法障害年金支給拒否決定取消訴訟
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東京地裁 東京高裁
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92.8.14 提訴 94.7.15 第一審判決
控訴棄却〔注6〕
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在日の元傷痍軍属石成基、陳石一が国に障害 年金却下取消を請求
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13
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浮島丸被害者国家賠償訴訟
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京都地裁
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92.8.25 提訴
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舞鶴から帰国途中爆発した浮島丸の韓国人生 存者・遺族50人が国に謝罪と計21億円を請求
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14
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日帝侵略の被害者と遺族 369人の謝罪請求訴訟
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東京地裁 東京高裁 |
92.8.28 提訴 第一審判決 控訴 99.8.30 第二審判決 控訴棄却 [注16] |
韓国人戦争犠牲者、強制連行された元徴用工 らが国に計 105億円を請求 9人が途中で訴訟をおりて 二審での原告は360人 控訴審では損害賠償額を1人 100万円に引き上げた |
15
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対不二越未払い賃金請求訴訟
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名古屋高 裁金沢支 部
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92.9.30 提訴 96.7.24 第一審判決 96.8.6 控訴 98.12.21 第二審判決 (棄却)〔注11〕
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富山の軍需工場に動員されていた韓国の元女 子挺身隊員らが会社に2400万円を請求
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16
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金成寿国家賠償請求訴訟
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東京地裁
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92.11.5 提訴 98.6.23 第一審判決 (棄却)〔注3〕
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戦争で右腕を失った韓国の元軍人金成寿が国 に2億4000万円を請求
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17
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釜山「従軍慰安婦」・女子 挺身隊公式謝罪請求訴訟 (通称関釜裁判)
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山口地裁 下関支部 広島高裁
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92.12.25 提訴 98.4.27 第一審判決 一部勝訴〔注1〕 98.5.1 原告・敗訴部分控訴 98.5.8 国側控訴
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釜山の「従軍慰安婦」・元挺身隊員各2人が 国に国会・国連での公式謝罪と計2億8600万 円を請求(93.12.13、94.3.14 追加)
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18
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フィリピン「従軍慰安婦」 国家賠償請求訴訟
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東京地裁 東京高裁
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93.4.2 提訴 98.10.9 第一審判決 98.10.23 棄却〔注7〕
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フィリピン人元「慰安婦」18人が国に1人 2000万円を請求(93.9.20 追加)
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19
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在日韓国人「従軍慰安婦」 国家補償請求訴訟
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東京地裁 東京高裁 |
93.4.5 提訴 98.10.1 第一審判決 99.10.7 控訴 棄却 [注20]
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在日の元「慰安婦」宋神道が国に国会での公 式謝罪などを請求
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20
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香港軍票請求訴訟
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東京地裁
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93.8.13 提訴 99.6.17 第一審判決 棄却〔注15〕
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香港索償協会のうち17人が国に損害補償と慰 謝料の7億6000万円を請求
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21
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在日韓国元傷痍軍属国家補償請求訴訟
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京都地裁 大津地裁 大阪高裁
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93.8.26 提訴 97.11 第一審判決 97.11 控訴 「99.10.15 第二審決」[注22] |
旧日本軍の軍属として徴用され負傷した在日韓国人・姜富中が、国籍条項を理由に援護法に基づく障害年金不支給は違憲だとして、国を相手に年金請求の却下処分取り消しなどを請求
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22
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人骨焼却差し止め住民訴訟
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東京地裁 東京高裁 最高裁
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93.9.2 提訴 94.12.5 第一審判決 94.12.16 控訴 95.12.20 第二審判決 95.12.27 上告
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旧陸軍軍医学校跡地で発見された人骨(100体 以上) 焼却公金支出差し止め訴訟
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23
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金成寿恩給不支給取り消し 請求訴訟
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東京地裁
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95.1. 提訴 98.7.31 第一審判決 (棄却)〔注5〕
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戦争で右腕を失った韓国の元軍人金成寿が日本国籍がないことを理由に傷病恩給の支給を認めないのは憲法違反と不支給処分取り消しを請求
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24
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オランダ人元捕虜・民間抑留者損害賠償請求訴訟
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東京地裁 東京高裁
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94.1.24 提訴 98.11.30 第一審判決 98.12. 控訴 棄却〔注9〕
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戦時抑留期における虐待などに対する損害賠 償、1人2万2000米ドルを請求。原告8人
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25
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英・米・豪・ニュージーランド元軍人・損害賠償訴訟
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東京地裁
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94.5.26 提訴
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戦時捕虜収容所おける人権侵害、1人2万米 ドルを請求
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26
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英・米・豪・ニュージーランド元捕虜・民間抑留者損害賠償訴訟
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東京地裁 東京高裁
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95.1.30 提訴 98.11.26 第一審判決 98.11.26 控訴 棄却〔注8〕
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収容所での過酷な労働・虐待などに対する損 害賠償、1人2万2000米ドルを請求。原告7人
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27
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韓国人元BC級戦犯国家補償請求訴訟
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東京地裁
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95.5.10 提訴 99.3.24 第一審判決 棄却〔注12〕
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BC級戦犯として処刑・拘禁された韓国人の 旧軍属と遺族8人、処刑された林永春の遺族 が5000万円、ほかの7人が各500万円を請求
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28
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鹿島花岡鉱山中国人強制連行損害賠償請求訴訟
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東京地裁 東京高裁
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95.6.28 提訴 97.12.10 第一審判決 97.12.11 控訴 99.9.10(裁判所が和解勧告) [注18] |
鹿島組花岡出張所に強制連行された中国人 986 名が過酷な労働や虐待に耐えかねて蜂起 した。官民一体の壮絶な報復が行われ、418 名がこの地で果てた。耿諄他10名(生存者9 名、遺族2名)が鹿島建設に対し一人 550万 円の損害賠償を請求
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29
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中国人「慰安婦」損害賠償請求訴訟(第一次訴訟)
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東京地裁
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95.8.7 提訴
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中国・山西省で日本軍の前線部隊に拉致され「慰安婦」にさせられた中国人女性4人が、謝罪と1人2000万円を請求
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南京虐殺・731部隊・無差別爆撃損害賠償請求訴訟
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東京地裁 東京高裁 |
95.8.7 提訴 99.9.22 第一審判決 99.9.30 控訴 請求棄却 [注19]
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日本軍による南京大虐殺、 731部隊および無 差別爆撃による中国人被害者と遺族が1人 2000万円を請求。原告は、南京8名、731部隊 8名、無差別爆撃1名。
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31
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新日鉄朝鮮人強制連行損害賠償請求訴訟
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東京地裁
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95.9.22 提訴 97.9.18 企業と和解成立〔注2〕
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釜石に強制連行され死亡した韓国人の遺族11 名が新日鉄と国に謝罪と総額2億4000万円の 損害賠償、遺骨の返還を請求
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32
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三菱重工朝鮮人強制連行損害賠償請求訴訟
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広島地裁
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95.12.11 提訴 99.3.24 第一審判決 棄却〔注13〕
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元三菱徴用工の韓国人被爆者6名が国と三菱 重工に対し被爆補償一人当り1000万円と未払 い賃金相当額6655万3510円の損害賠償を請求
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33
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中国人「慰安婦」損害賠償請求訴訟(第二次訴訟) |
東京地裁
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96.2.23 提訴 |
中国・山西省で日本軍の前線部隊に拉致され「慰安婦」にさせられた中国人女性2人が、謝罪と1人2000万円を請求
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34
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中国人(劉連仁)強制連行 強制労働損害賠償請求訴訟
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東京地裁
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96.3.15 提訴
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日本に強制連行され、事業所から闘争し北海 道の山中に13年間隠れつづけた劉連仁が国に 2000万円を請求
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35
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平頂山虐殺損害賠償請求訴訟
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東京地裁
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96.8.14 提訴
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1932.9.16 関東軍が3000人の中国・平頂山村 民を虐殺。生存者の3名が一人2000万円を請 求
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36
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三菱重工朝鮮人強制連行 (広島第2次)損害賠償請求訴訟
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広島地裁
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96.8.29 提訴
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NO.31 と同じ事件。追加提訴の原告40名
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37
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遺棄毒ガス・砲弾被害請求損害賠償訴訟(第一次訴訟)
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東京地裁
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96.12.9 提訴
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国際条約に違反して毒ガス兵器を使用した日 本軍は敗戦で各地に遺棄。その毒ガス及び日 本軍の遺棄砲弾によって戦後死傷者がでる。 その被害者と遺族が一人2000万円を請求。原 告12名。
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38
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東京麻糸紡績・沼津工場朝鮮 人女子勤労挺身隊公式謝罪等請求訴訟 |
静岡地裁 |
97.4.14 提訴
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東京麻糸紡績・沼津工場に勤労動員された韓国 在住の女性2人が公式謝罪と一人3000万円を 請求
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39
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731部隊等の細菌戦被害損害賠償請求訴訟
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東京地裁
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97.8.11 提訴
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731部隊等が中国で実行した細菌戦の被害 者の生存者と遺族 108人が国に公式謝罪と一 人1000万円計10億8000万円を請求
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40
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中国人強制連行・強制労働 第2次(集団訴訟)損害賠 償請求訴訟
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東京地裁
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97.9.18 提訴
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日本に強制連行された中国人被害者42人が日 本企業10社と国に1人2000万円計8億4000 万円を請求
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41
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遺棄毒ガス・砲弾被害請求 損害賠償訴訟(第二次訴訟)
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東京地裁
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96.12.9 提訴
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国際条約に違反して毒ガス兵器を使用した日 本軍は敗戦で各地に遺棄。その毒ガス及び日 本軍の遺棄砲弾によって戦後死傷者がでる。 その被害者と遺族が一人2000万円を請求。原 告5名。
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係属
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提訴及び判決・控訴・上告日
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事件・及び請求の内容
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42
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中国人強制連行・強制労働損害賠償請求長野訴訟
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長野地裁
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97.12.22提訴
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中国から強制連行され、長野県木曽の水力発電所工事などで強制労働させられた原告7人が日本企業4社と国に1人2000万円計1億4000万円のほか、謝罪広告の掲載、未払い賃金を請求
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43
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日鉄大阪製鐡損害賠償請求訴訟
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大阪地裁
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97.12.24 提訴
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戦時中、日鉄大阪製鉄所で強制労働させられ た韓国人申子洙、呂運沢の2名が新日鉄と国 に謝罪と未払い賃金一人約 285万円と慰謝料 1500万円を請求
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44
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西松建設強制連行損害賠償請求訴訟
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広島地裁
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98.1.16 提訴
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広島に強制連行された中国人被害者とその遺 族5名が西松建設に謝罪と1人 550万円の損 害賠償を請求
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45
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在日台湾元軍属損害賠償・恩給不支給処分無効確認請求訴訟
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宮崎地裁
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98.5.7 提訴
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旧日本軍捕虜監視員(軍属)にされ、戦後戦 争戦犯として約10年8か月服役した台湾出身 の林水木が2500万円の損害賠償と恩給不支給 処分の無効確認を請求。旧植民地出身者で日 本国籍を取得した原告の提訴は初めて
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46
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中国人強制連行・強制労働損害賠償請求京都訴訟
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京都地裁
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98.8.14提訴
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中国から強制連行され、京都・大江山の日本冶金で強制労働させられた原告6人が日本企業と国に1人2000万円計1億2000万円のほか、謝罪広告の掲載、未払い賃金を請求
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47
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中国・山西省性暴力被害賠償請求訴訟
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東京地裁
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98.10.30提訴
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中国・山西省で日本軍の前線部隊に拉致され、駐屯地に監禁されて性暴力を受けた中国人女性10人(被害者9人、遺族1人)が、1人2000万円を請求(NO.29.33と同じ地域の被害)
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48
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三菱重工名古屋・朝鮮人女子勤労挺身隊賠償請求訴訟
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名古屋地裁
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99.3.1提訴
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アジア太平洋戦争中、朝鮮半島から連行されて三菱重工名古屋航空機製作所(当時)で強制労働させられた韓国人女性5人が、国と三菱重工に1人3000万円の損害賠償と日本と韓国の新聞計12紙に謝罪文掲載を請求
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49 |
台湾人「従軍慰安婦」損害賠償請求訴訟 |
東京地裁 |
99.7.14提訴 |
「食堂の給仕」「看護助手」の仕事などとだまされて旧日本軍の「慰安婦」にされ、兵士から繰り返し性暴力を受けた台湾人の女性9人(当時14歳_22歳)が、公式謝罪と1人1000万円の損害賠償を請求 |
50 |
米国人元捕虜日本車両損害賠償請求訴訟 |
ロスアンゼルス地裁(カリフォルニア州) |
99.8.6提訴 |
フィリピンで旧日本軍の捕虜になり名古屋近郊の収容所に移送され、日本車両で無報酬の労働を強制され監視員に暴行を受けた元米軍兵士のラルフ・レベンバーグ等が日本車両製造と米子会社に損害賠償を請求。提訴作業に参加した元米兵の集団訴訟だが原告数は特定していない。 |
51 |
米国人元捕虜三井鉱山損害賠償請求訴訟 |
ロスアンゼルス地裁(カリフォルニア州) |
99.8.11提訴 |
フィリピンで旧日本軍の捕虜になり「パターン死の行進」で生き残ったが、福岡県の三池炭鉱に移送され、奴隷労働の強制や虐待を受けた元米軍兵士レスター・テニーが、三井鉱山・三井物産と両社の米子会社に損害賠償を請求。請求額は明示していない。 |
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52 |
中国人(張文彬)強制連行・強制労働損害賠償請求新潟訴訟 |
新潟地裁 |
99.8.31提訴 |
中国から強制連行され新潟の新潟港運(現リンコーコーポレーション)で強制労働させられ、後にえん罪の国防保安法違反容疑で逮捕・拷問を受け、広島刑務所に服役中に被爆した張文彬が国と同企業に2500万円の損害賠償と日中両国の新聞に謝罪広告の掲載を請求 |
53 |
中国人強制連行損害賠償請求北海道訴訟 |
札幌地裁 |
99.9.1提訴 |
中国から強制連行され、道内の炭鉱などで強制労働させられた中国人33人が、国と企業5社に謝罪と1人2000万円計6億6000万円の損害賠償を請求 |
54 |
米国人元捕虜川崎重工等損害賠償請求訴訟 |
ニューメキシコ州連邦地裁 |
99.9.13提訴 |
旧日本軍の捕虜になり過酷な労働を強いられ、暴行を受けたとする元米兵エドワード・ジャックファートら11人が、三菱商事・川崎重工・三井物産・新日本製鉄・昭和電工に損害賠償を請求。賠償請求額は特定していない。 |
55 |
米国人元捕虜三菱商事等損害賠償請求訴訟 |
オレンジ郡上級裁(カリフォルニア州) |
99.8.11提訴 |
旧日本軍の捕虜になり日本の銅山での強制労働させられた元米軍兵士フランク・ディルマンら3人が、三菱商事・三菱マテリアルと両社の米子会社に損害賠償を請求。 |
56 |
韓国系米国人太平洋セメント強制労働損害賠償請求訴訟 |
ロスアンゼルス地裁(カリフォルニア州) |
99.10.4提訴 |
1944年1月から45年8月まで、小野田セメント(現太平洋セメント)で強制労働させられたジェウォン・チョンが、賃金未払いと暴行被害などに対して、同社に損害賠償を請求。 |
57 |
米国人元捕虜新日本製鉄等損害賠償請求訴訟 |
ロスアンゼルス地裁(カリフォルニア州)など |
99.12.7提訴 |
旧日本軍の捕虜になり日本の現新日鉄広畑で強制労働させられた元米軍兵士ハロルド・プールら11人が、新日本製鉄と石原産業に損害賠償を請求 |
58 |
オーストラリア・ニュージーランド・オランダ・韓国・中国人元捕虜日本企業損害賠償請求集団訴訟 |
ロスアンゼルス地裁(カリフォルニア州) |
99.12.7提訴 |
インドシナやシンガポール、ビルマなどで鉄道建設などで過酷な奴隷労働を強いられた元豪軍兵士ら7人が、三井物産・三井鉱山・三菱商事・三菱マテリアル・三菱重工業・新日本製鉄と米国現地法人に損害賠償を請求。 |
59 |
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東京地裁 |
99.12.9 提訴 |
731部隊等が中国で実行した細菌戦の被害者の遺族72人が国に公式謝罪と一人1000万円計7億2000万円を請求(細菌戦被害者第2次訴訟)。 |
〔注1〕判決は、「従軍慰安婦制度が、原告らの主張するとおり、徹底した女性差別、民族差別思想の現れであった、女性の人格の尊厳を根底から侵し、民族の誇りを踏みにじるものであって、しかも決して過去の問題ではなく、現代においても克服すべき根源的人権問題であることもまた明らかである」「従軍慰安婦制度は、その当時においても、婦人及び児童の売買禁止に関する国際条約(1921年)や強制労働に関する条約(1930年)上違法の疑いが強い存在であったが、単にそれにのみのとどまらず、同制度は、慰安婦原告らがそうであったように、植民地、占領地の未成年女子を対象とし、甘言、強圧等により本人の意思に反して慰安所に連行し、さらに、旧軍隊の慰安所に対する直接的、間接的関与の下、政策的、制度的に旧軍人との性交を強要したものであるから、これが20世紀半ばの文明的水準に照らしても、きわめて反人道的かつ醜悪な行為であったことは明白であり、少なくとも一流国を標榜する帝国日本がその国家行為において加担すべきものでなかった。にもかかわらず、帝国日本は、旧軍隊のみならず、政府自らも事実上これに加担し、その結果として、先にみたとおりの重大な人権侵害と深刻な被害をもたらしたばかりか、慰安婦原告らを始め、慰安婦とされた多くの女性のその後の人生までをも変え、第2次世界大戦終了後もなお屈辱の半生を余儀なくさせたものであって、日本国憲法制定後50年を経た今日まで同女らを際限のない苦しみに陥れている」と事実を認定した。事実認定の根拠として「過去を長く隠しつづけ、本訴に至って始めてこれを明らかにした事実とその重みに鑑みれば」原告らの陳述の信用性は高い、として証言を全面的に採用した。そして、「(人権侵害が)日本国憲法制定前の帝国日本の国家行為によるものであっても、これと同一性ある国家である被告には、その法益侵害が真に重大である限り、被害者に対しより以上の被害の増大をもたらさないよう配慮、保証すべき条理上の法的作為義務が課せられているというべきであり、特に、個人の尊重、人格の尊厳に根底的価値をおき、かつ帝国日本の軍国主義などに関して否定的認識と反省を有する日本国憲法制定後は、ますますその義務が重くなり、被害者に対する何らかの損害回復措置をとらなければならないはずである」として、国に立法義務を認め、被告がその義務を尽くさなかった不作為は「それ自体が同女らの人格の尊厳を傷つける新たな侵害行為となるというべきである」とした。そして、1993年8月の河野官房長官談話後、国は賠償立法義務があったがこれを怠り、談話から3年後の96年8月には立法をなすべき合理的期間が経過して、立法不作為が国家賠償法上の違法となったとして、国の賠償義務を認め、賠償額は「将来の立法により被害回復がなされることを考慮し」立法がなされなかったことによる原告の精神的損害に対して、「慰安婦」原告に各30万円の賠償支払いを認めた。30万円は、一部のマスコミが誤って報道した「慰安婦」にさせられたことに対する賠償額ではなく、立法不作為が違法となってから判決まで1年半立法がなされなかったことに対する精神的損害への「慰謝料」である。公式謝罪は否定。元挺身隊員の請求は却下 〔本文に戻る注1〕〔注2〕『和解の内容』@遺骨未返還の原告10名に対し一人 200万円の支払い。遺骨返還の原告1名に対し5万円の支払い。A釜石製鉄所内にある鎮魂社に25名全員の戦災犠牲者名簿を奉納、かつ合祀祭の実施。B韓国における慰霊に関わる費用の一部負担(総額1000万ウオン=約 140万円)。〔本文に戻る注2〕
[注3] 判決は、「恩給を支給するための要件やその範囲を決めるのは国の立法政策に属し、憲法には違反しない」と請求を棄却した。一方で、「日本政府から何の補償も受けなければ、原告の多大の苦痛は全く報われず、憤まんやるかたない心情と境遇は想像を絶し、同情を禁じえない」「日本のために最も危険な南方の最前線で戦闘に参加して片腕を失ったにもかかわらず、国籍を失ったという理由だけで国から補償を受けられないのは不可解で、何らかの立法措置が取られるべきだ」と国会に対して立法措置を求めた。〔本文に戻る注3〕
[注4] 判決は、「諸外国も法律ができて初めて戦後補償が実施された。法律がなくても、条理によって補償を求めることができるというところまで、世界各国の共通認識は至っていない」「具体的な戦争被害の補償を求める権利を、憲法が保障しているとは考えられない」「何をどのように補償するかは、立法府の裁量にゆだねられている」として請求を退けた。 その上で、「原告らは、同じような境遇に会った日本人や(議員立法で弔慰金が支給された)台湾住民と比べて著しい不利益を受けており、問題の早期解決を図るために適切な法律をつくることが必要だ」と立法を促した。なお、控訴審で原告側は、「日本政府が原告の人格を侵害したことを認め、謝罪が口先だけでないことのしるし」という観点から、憲法も認める「条理」を根拠に「象徴的補償」として、一人一律200万円の賠償請求に変更していた。
〔本文に戻る注4〕[注5]判決は、「財政負担が国にあることなどを考慮すると国籍条項を設けることには合理性があり、立法目的も憲法や国際人権規約に違反しない」として請求を棄却した。しかし、「国際社会において国家の責任において引き起こされた損害について、その国家が内外人を問わずに補償を行うことが望ましい」「同様の立場にあった日本人と異なる扱いを受け、経済的に著しい格差にあることは平等、公平の観念に照らし疑義がないとは言えないが、立法的に解決されるべき問題」としている。〔本文に戻る注5〕
[注6]判決は、請求を棄却した一審判決を支持し「朝鮮半島出身者に援護法の適用がないとしてもそれは立法府の裁量の問題であり、憲法の平等原則には違反しない」として控訴を棄却した。しかし、「外交交渉を通じて適切な対応を図る努力をするとともに、援護法の国籍条項や付則を改廃して在日韓国人に同法の適用の道を開いたり、行政上の特別措置を取ったりすることが強く望まれる」と、日韓両国から補償を受けられない原告らの立場に理解を示し、政府や国会に対応を強く促した。筧裁判長は以下のような所見を述べた。「一方的に日本国籍を喪失させられた在日韓国人側において何らの落ち度も責任もない上、在日韓国人の側からは保証を受けるために採るべきすべは与えられていないことを考えると、原告が焦燥の思いで本訴を提起するに至った心情については、十分に理解でき、同情を禁じ得ない。人道的な見地からしても、また、国連の規約人権委員会から関心課題として指摘されていることに照らしても、速やかに適切な対応を図ることが、我が国に課せられた政治的、行政的責務である」「援護法の国籍条項及び本件付則を改廃して、在日韓国人にも同胞適用の道を開くなどの立法をすること、または在日韓国人の戦傷病者についてこれに相応する行政上の特別措置を採ることが、強く望まれる」。〔本文に戻る注6〕
[注7]判決は請求を全て棄却した。「占領軍(旧日本軍)の軍隊の構成員が占領地に住む個人に対しハーグ陸戦規則違反行為により被害を与えた場合に、被害者個人が占領軍の所属する国家に対し直接の損害賠償請求権を有するとの法理を内容とする国際慣習法が、ハーグ陸戦条約3条に成文化されていたとは認められない」「『人道に対する罪』に該当する行為を行った者の所属する国家が、右違反行為によって被害を受けた個人に対し、直接損害賠償責任を負い、賠償金を支払うという国際慣習法が成立していたとは認められない」。原告の主張する加害行為は、「国家無答責の原則により、不法行為として成立しないものである」。また、「フィリピン国内法に基づく損害賠償請求権は」「除斥期間の経過によって消滅したものというべきである」。日本の民法に基づく請求も、前記と同様に「国家無答責の原則」「除斥期間の経過」によって「被告は、損害賠償責任を負わない」。被害の事実認定については一切行わず、「仮に、本件加害行為が認められたとしても」ということで済ませている。また、最近の戦後補償裁判の判決で各裁判所が勧告した「立法措置による補償」にも言及しない、最悪の判決である。〔本文に戻る注7〕
[注8]判決は請求を棄却した。判決は、国際法について「国家間の権利義務を定めたもの」とした上で、「ハーグ条約の締結当時は、国民が国際法に違反する行為で損害を受けた場合には、被害者個人ではなく、国が個人にかわって賠償を求めることができるという理解がなされていた」という判断を示した。@「ハーグ条約規則には、条約に違反した交戦当事国が責任を負うべき相手方や責任の履行方法に関する定めはなく、個人の賠償請求権を定めた条項もない」。Aハーグ条約に基づいて国の個人への賠償を認めた例はない。Bハーグ条約の起草過程で「各国代表の発言に個人請求権を肯定・確認した発言はない」とした。また、条約違反で個人を救済できる国際慣習法が成立していたかどうかについては、「国家が被害者個人に賠償した訴訟の例はなく、大多数の国家で請求権を肯定・実行する国際慣行は確立していないうえ、法的な義務として確信していたということはできない」と判断した。原告の一人で英国人元捕虜のアーサー・ティザリントン氏は「この国には正義はない」と怒りの発言をした。〔本文に戻る注8〕
[注9]判決は請求を棄却した。判決は、原告の一人について「慰安婦として使役した」と認め、他の原告への収容所での待遇も虐待であると認定した。しかし、「ハーグ条約は賠償の相手方として明確に規定していないものの、国際法は国家間の法体系で(個人の請求が可能であるためには)個人の権利義務が条約で明確に定められていることが必要」。「各国の裁判所で、ハーグ条約を根拠に個人の請求が認められた例はほとんどない。個人の請求の可能性を認める考え方が存在することは認められるものの、いずれも独自の見解で採用できない」として、請求を退けた。原告は「日本軍の虐待」の事実を認めたことは「重要な一歩が切り開かれた」と評価したが、控訴することを明らかにした。本文に戻る9
[注10]判決は、原告らが日本やアジア各地で強制労働させられた事実について「一応認められる」と認定し、「補償措置の検討が求められる」としたが、請求は棄却した。判決は「憲法前文や9条、14条は、戦争放棄や平和主義の理念を規定したもので、これを直接の根拠として請求権が発生したり、立法義務が生じるものではない」と判断した。立法不作為については「日本の国会で何らかの直接的補償の健闘が望まれる」が、「立法措置を講じていないことが、立法府の政治的裁量の範囲を逸脱しているとは言えない」とした。本文に戻る10
[注11]判決は、一審同様未払い賃金の存在は認めたが請求権の時効(1年間)を理由に控訴を棄却した。時効の起算点については、一審判決は「『日韓協定は個人請求権を消滅させたものではない』との政府見解が示された1991年8月」と判断していたが、高裁判決は、それを後退させて「1965年の日韓国交回復時」とした。損害賠償などについては、民法の除斥期間(被害を受けてから20年を過ぎると請求権がなくなる)を適用して訴えを退けた。原告は上告する予定。本文に戻る11
[注12]判決は、「日本の軍属として従事した原告らの被害は、日本国民が被った戦争犠牲と同視することができる」「援護措置を講ずることが望ましい」などと原告側に理解を示したが、国家補償と公式謝罪については「どのように補償するかは国の立法政策に属する事柄で、法律がない状態では補償請求権は認められない」と訴えを退けた。国会が立法措置を怠ったという原告の主張に対しては、「国会の立法裁量への干渉となり、三権分立を脅かすおそれもある。違法を宣言しても実際に立法を義務づけることはできず、裁判所の単なる意見表明の効果しかない」と却下した。また、現憲法の規定に基づく主張に対しては、「当時の憲法は明治憲法で、現在の憲法の規定を適用することはできない」とし、さらに「戦争の犠牲は国民が等しく受け入れなければならないやむを得ない犠牲であって、憲法の規定のまったく予想しないもの」という判断を示した。本文に戻る12
[注13]「被爆するに至った経緯や健康被害の特殊性にかんがみると、原告らの主張には傾聴に値する部分がある」と理解を示したが、請求はすべて棄却した。棄却理由は、国家の責任については@「旧憲法下の国家の行為で個人が損害を被っても、国は不法行為責任を負わない」(国家無問責)、A「被爆者援護法などが在韓被爆者の保護規定を設けていなくても、憲法違反などとは認められない」とし、企業(三菱重工)の賠償責任についてはB「除斥期間(不法行為の時点から20年で損害賠償請求権が消滅する)の経過で消滅した」、C未払い賃金の支払いについても時効、というものである。本文に戻る13
[注14]東京高裁で成立した和解の内容は、日本鋼管(NKK)側が解決金として410万円を支払うというもの。鬼頭裁判長は公開の法廷で和解条項を読み上げるという異例の方法をとった。和解条項には、会社側の直接の謝罪の言葉はないが、会社側は「原告の主張を重く受け止め、真摯な気持ちを表す」としている。一審の東京地裁は、同社従業員が暴行に関与した事実は認めたが、動員については「強制連行ではなかった」と判断し、民法の除斥期間などを理由に賠償請求権は消滅したとして、すべての請求を却下していた。原告の金さんは、「生きている間に和解できてよかった」「日本の闇は今、ほのかに開くきざしを見せています。その狭い隙間に手を差し入れ、闇ゐ開くためにたたかいます」「これで戦後補償問題が解決したとわ思っていない。解決の糸口をほぐすためにこれからも頑張りたい」と語った 本文に戻る14
[注15]判決は、国際条約(ハーグ陸戦条約)は被害者個人の加害国への損害賠償請求権を認めていない、45年9月の政府・大蔵省の無効声明で、一切の軍票が無効・無価値になり、日本円に換金するという軍票の記載も無効になっている、として請求を退けた。また、慰謝料請求についても「国家無答責」を理由に国には賠償責任はないとしている。ただし、「香港ドルと軍票との交換は強制的に行われた」と認定し、原告を戦争被害・戦争損害と認めたが、損害を補填するかどうかは立法政策の問題とした。本文に戻る15
[注16]判決は、一審の判断を踏襲し「国際違法行為である侵略行為をした国家が、被害を受けた個人に対して直接損害賠償などの責任を負うとの国際慣習法が存在していたとは認められない」として控訴を棄却した。また、関釜裁判・山口地裁下関支部判決(注1参照)を受けて原告が二審で追加した立法不作為についての予備的請求についても、「三権分立の制度の下で立法の要否や内容、立法の時期などは、原則として立法府の裁量にゆだねられている」として、棄却した。
本文に戻る16
[注17]判決は、戦争による国の補償は「国民感情や外交政策などを考慮した立法政策に属する問題」で「朝鮮半島出身者に対する補償は二国間の外交交渉で解決することになっており、52年に成立した援護法が立法時、戸籍条項を設けて対象外にしたことには合理性があった」「戸籍条項などを理由に在日韓国人に援護法の適用がないのは立法府の裁量の問題で、法の下の平等に違反するとは言えない」ので憲法違反ではないとして控訴を棄却した。その上で、「植民地支配の下で強制的に徴用され、戦後一方的に戸籍をはく奪されたことや納税の義務を果たしていることを考えれば、補償についての立法政策は考慮されるべきで、原告の主張は人道的見地からうなずける」「在日韓国人が長年補償対象から除外されているのは由々しき事態で、今後の立法政策で最大限の配慮がなされるべきだ」として、政府や国会の対応を強く求めた。〔本文に戻る注17〕
[注18]東京高裁は、9月10日、職権で和解を双方に勧告した。新村正人裁判長は「原告は11人だが、強制連行された986人全員について解決を目指した」としている。第1回和解交渉は10月4日。本文に戻る18
[注19]判決は、南京大虐殺や731部隊の人体実験を「疑う余地がない歴史的事実」とし、旧日本軍の虐殺などの加害行為や原告らの被害を認め、「わが国の占領侵略行為や非人道的行為で多数の中国国民に甚大な戦争被害を及ぼしたことは疑う余地がない歴史的事実で、わが国は真摯に謝罪すべきだ」としながらも「当時の国際法と国内の法制上、認められない」として請求を棄却した。「個人が外国に戦争被害の賠償を求める権利はない。請求権を認めないことは再度の戦争を回避するという人類全体の正義にかなう」という、国際的にも通用しない次のような見解を示した。「個人が国家間の外交交渉によることなく、外国に対して過去の戦争被害につき損害賠償を求めることができるという権利を是認することは、たとえそれが個別の一般市民法的な正義に合致するとしても、国家間、民族間、各地域における平和と安全を図るというより大きな枠組みで見れば、全体としては紛争の火種を残すに等しく、将来にわたる戦争を防止するという観点からして有害無益と考えざるを得ない。すなわち、右戦争被害に関して、当該個人の被害の存否、右被害が戦争によるものであるかどうか、その損害賠償額を幾らとすべきかということを個々人と外国国家との間で決するべき権利関係として認め、右個々人と外国との間の直接の交渉によって解決することになれば、いずれ本件のような訴訟が無数に提起されることになり、前記のような平和条約等によって国家間等においては賠償問題が決着したにもかかわらず、延々と個人と外国との間の紛争が係属し続けることにならざるを得ない。もとより、それが正義であるということは一つの見解として可能であるが、国家間、民族間、各地域における平和と安全を図るというより大きな枠組みで見れば、戦争状態の解消後もなお大きな紛争の火種を延々と残し、賠償の存否、履行をめぐる権利としての戦争を正当化することにすらなりかねないであろうと考えざるを得ない」「戦争被害に関して、原告らが主張するような個人の市民法的レベルにおける正義を貫徹させることは、かえって、戦争ないし戦争状態が一応終結したにもかかわらず、なおその後も大きな紛争の火種を残し、再度の戦争状態を招来し、再度非人道的権利侵害を頻発させるという危険性すら有するものであって、再度の戦争ないし戦争状態を極力回避しなければならないということが至上命題であり、人類全体のより大きな正義に適うものであるとすれば、その実現のためには、たとえ個人の市民法的レベルにおける正義を犠牲にするに等しい結果となろうとも、戦争被害に係る交戦当事国に対する損害賠償に関しては、個人が直接外国に対して請求しうる権利としては認められず、戦後の国家間における平和友好条約などの締結によって一括処理されているのが実態であり、かつ、そのように処理されていることには、国際法上も実質的な戦争回避という事実上必須の要請からしても十分な合理性が認められると判断すべきである」。裁判長は、前記の見解を「たとえまったく役に立たないとしても、あるいは、有害無益と酷評されようとも」あえて言及するとして、判決文中に何回も繰り返している。 〔本文に戻る注19〕
[注20]判決は、「慰安婦」の徴集は、軍に委託された斡旋業者があたることが多かったが「業者らがあるいは甘言を弄し、あるいは畏怖させるなど詐欺脅迫により本人たちの意思に反して集められ事が多く、さらに、官憲が直接これに加担するなどの事例も見られた」。「慰安婦」を「船舶などで輸送するに際し、日本軍は特別に軍属に準じて扱うなどしてその渡航申請に許可を与え、また、日本政府は身分証明書の発給を行うなどした」。慰安所は日本軍が設置し、多くは民間業者が経営したが、一部は軍が直接経営した。民間経営の場合でも、日本軍が開設許可を与え、慰安所規定を定めるなど「日本軍は慰安所の設置、管理に直接関与した」。「従軍慰安婦は、戦地では常時日本軍の管轄下に置かれ、日本軍とともに行動させられ」敗走の折には「日本軍は従軍慰安婦を置き去りにした」など、「従軍慰安婦」についての歴史的事実を「争いがない事実」として認定した。また、原告・宋神道さんの被害事実についても、だまされて中国大陸に連れて行かれ、7年間も「慰安婦」にさせられ、その間、軍人から軍刀で刺されるなどの暴行を受けたなど、原告の証言をほぼ事実として認定した。さらに、「従軍慰安婦とされた人々の体験と境遇に思いをめぐらすと、言語に尽くしきれない苦痛と悲惨さを伴ったであろうことが推測されると」とした。ところが、法律論では、・国際法は「国家間の権利義務を定めたもの」で個人には請求権がない。・加害国が被害者個人に直接損害賠償を行うという国際慣習法は成立していなかった。・強制労働条約違反は適用されない。また、国内法(民法)による請求については、国家無答責と除斥期間を理由にして、訴えを全面的に棄却した。〔本文に戻る注20〕
[注21]判決は、強制連行や強制労働について、一審判決同様に国と旧三菱重工の不法行為を認定し「当時の国民徴用令で認められた範囲を超え、違法」としたが、
請求については、国家無答責と「旧三菱重工は解散し、現会社は債務を引き継いでいない」という理由で退けた 〔本文に戻る注21〕[注22]判決は「えんごほうのに基づく傷害年金は社会保障的な側面を持ち、その内容をどう定めるかは、一般的には国会の立法裁量に属する」などとして、請求を棄却した。判決は「援護法立法(52年)当時、在日韓国人に対する戦後補償は、日本と韓国の平和条約に基づき行われる予定になっていた」ので国籍・戸籍条項そのものは憲法第14条に違反しないとしたが、在日韓国人の元軍属らが補償を受けられない現状について、「著しい不利益な法的扱いを受けている」と指摘。日韓請求権協定が締結された65年6月以降も、「在日韓国人軍属の被害が日韓両国から補償されないことが分かったのに、引き続きこの条項を適用して補償をしないことは憲法に違反する疑いがある」と判断した。また、国際人権規約B規約26条は「差別なしに法律による平等の保護を受けられる権利」を定めており、「日本が条約を批准し、効力が発行した79年9月以降は、同規約に違反する疑いがある」と判示し、「国会にはできるだけ速やかに条項改廃や新たな立法措置で、差別的な取り扱いを是正することが要請される」とした。在日韓国人の戦後補償裁判で、高裁レベルで違憲の疑いを指摘したのははじめてである。また、国際人権B規約違反に言及したのも始めてである。松尾政行裁判長は異例の「所見」を朗読し、「政治的な解決はもちろん、人道的見地からの解決も進展せず、訴訟を提起せざるを得なかった原告の心情は理解している」「国(国会)は日本の国際社会での役割や地位を考慮し、国際社会からも納得が得られる是正措置をできるだけ速やかにとることを期待する」とのべた 〔本文に戻る注22〕
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