政治

文字サイズ変更

選挙:大阪ダブル選 記者座談会 橋下人気、突破力期待も

 ◇都構想なお不透明

 ■これからどうなる

 --これからどうなるのだろう。都構想に向けて急展開するのか。

 D 都構想実現には法改正などが必要で、国政の場で既成政党の協力が不可欠だ。橋下氏は最初は既成政党との全面対決を避け、維新以外の会派に低姿勢で出て、様子を見るだろう。他会派の歩み寄りがないと、市議会のリコールに打って出るなど対決色を鮮明にするのではないか。

 A 橋下氏の勝利で市役所では「失われた10年が始まる」と嘆く声が出ている。ある幹部は、都構想について「ミッション・インポッシブル」(遂行不可能な使命)と表現する。都構想の実現には課題が多いからね。この幹部は「都構想に優秀な職員が駆り出され、他の事業は進まなくなる。大混乱は必至だ」と話しているよ。

 F 府民・市民にも大阪都構想がこのまま支持されるかどうか分からないよ。大阪市域の区割りも見直すけど、橋下氏は「24区24色の色とりどりの大阪市に」と訴えた。大阪維新の会は市内を8か9の特別自治区に再編する方針だ。財政力の豊かな区にとっては生活保護受給者の多い近隣の区と合併することに強い反発も出かねないのに、懸案事項を先送りにしている感が否めなかった。公明幹部は「後に住民から『あの時言っていたのはウソやないか』との批判が出て、維新の勢いは衰えるかもしれない」と言っていた。

 D 中央政界の橋下氏に対する見方も変化してきている。ある自民党の首相経験者は元々「教育改革の姿勢がいい」などと橋下氏を評価していた。だが今回電話すると様子が違うんだ。自民府連を「割った」として自民に反感をかっている松井氏を知事選に擁立したことで「橋下君は、やり過ぎだ」と相当憤っていた。都構想の今後に影を落とす可能性があると思ったな。

 E 重鎮を怒らせた一方で、自民・民主の若手には橋下氏や都構想に共感や関心を示す国会議員も現れている。都構想の実現は政界の動きも影響し、予断を許さないね。

 --「松井、橋下体制」の今後をどうみる?

 D 結局、橋下氏が、大阪府と大阪市を含む大阪全体に関わるグランドデザインを描くのではないか。松井氏は、この設計図を着実に実行しようとするだろう。

 E 大きな懸案の一つが、府咲洲(さきしま)庁舎問題だ。松井氏は安全面が確認されれば府庁舎の咲洲への全面移転を進める考えで、橋下氏以上に府庁舎移転への意思が今も強いんだ。松井氏が全面移転計画を再び進めようとすると、この問題が再燃し、大きな論争になる可能性があるね。

 --「橋下市政になったら潰される」と市の外郭団体は戦々恐々なのでは。

 M 男女共同参画関連施設の運営にかかわる関係者は「近年、外部からの評価を意識した運営をしてきたが、今後も淡々とやっていくだけ」と冷静だった。府政改革の4年を見てきただけに関係者もある程度「心の準備」があるのかも。

 N 文化関係者の関心事の一つは17年度の開館を目指している「大阪市立近代美術館」(仮称)の建設の行方だ。財政難で長年、着工のめどが立たなかったが、平松氏が建設に積極的な姿勢を示したことから動き出した経緯があり、「橋下さんが市長になったら真っ先に近代美術館計画が凍結されるのではないか」と不安視する声が上がっている。

 --知事選では、府内の市町村長が倉田氏と松井氏のどちらを支援するかにも注目が集まったが。

 O 知事選では両陣営に「檄文(げきぶん)」を送り、「中立」を装いながら、後援会の一部を松井氏の支援に回している首長もいたよ。後々の関係を考えたのだろう。

 E 倉田氏支援の首長は、自分の選挙で維新が対立候補を立ててくるかも、と恐れているという。政治的対立が行政運営に影響を及ぼさないと良いけど。

 P 堺市では竹山修身(おさみ)市長が早々に「中立」を宣言した。橋下氏の支援を受けて当選した経緯や、維新以外の会派が多数を占める市議会に配慮したようだが、双方から「なぜ態度を鮮明にしないのか」との声もあった。

 K 市長選でも両陣営に各地の首長が続々と応援に入った。また、和歌山県の仁坂吉伸知事が都構想に賛成の立場を示し、神戸市の矢田立郎市長は批判的な意見を述べるなど、立場が分かれた。今後、首長たちの都構想を巡るスタンスがどうなるかにも注目したい。

2011年11月28日

政治 アーカイブ一覧

 

PR

おすすめ情報


Click to learn more...

特集企画

ビジネスが進化「みんビズ」の可能性

ウェブサイトが15分で簡単作成、しかも無料で

東海大学:建築学で宇宙に迫る

「はやぶさプロジェクト」のサポートチームに参画

 
S