WRAPUP2: G20声明草案、世界の成長回復に向けた行動計画が柱に IMF財源強化も視野

2011年 11月 4日 10:39 JST
 
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 ◎G20声明草案、均衡の取れた成長回復のための行動計画が柱

 

 ◎G20、将来の危機対策としてIMFによる新たな6カ月信用枠設定とSDR特別配分を検討

 

 ◎ユーロ圏危機の深刻化でフランスが掲げたG20目標の影薄まる

 

 [カンヌ(フランス) 3日 ロイター] カンヌで開かれている20カ国・地域(G20)首脳会議(サミット)で各国首脳は3日、世界経済の均衡の取れた成長を回復するための行動計画の策定にあたった。このほか、経済が打撃を受けた国の支援に向け、国際通貨基金(IMF)の財源を強化することでおおむね合意している。

 ロイターが入手した2日付の声明草案によると、G20は巨額の財政赤字を抱える国の財政健全化、貿易黒字国の内需拡大という行動計画で合意する見通し。

 この中で、イタリアは債務の対国内総生産(GDP)比率を急速に低下させ、2013年までに予算を「ほぼ均衡化する」ことにコミットしている。

 G20首脳はまた、世界に信頼感をもたらし、将来の危機に備える手段としてIMFの財源を強化することで大筋合意した。

 オズボーン英財務相は「国際社会は世界の経済状況に対処する必要性を認識しており、伝統的手法によるIMFの財源強化について協議が始まったが、結論は出ていない」と発言。財源強化についての反対意見は聞こえず、中国もIMFへの支援に協力的であることを明らかにした。

 中国の胡錦濤国家主席はカンヌで、「この重大な局面において、G20は主要な問題への対処、市場の信頼感強化、リスクの除去、世界の経済成長と金融の安定化に取り組まなければならない」と語った。

 議長を務めるサルコジ仏大統領は当初、国際金融システムの見直しや商品相場の変動への対策などをG20の目標に掲げていたが、ユーロ圏の危機深刻化で目標を縮小せざるを得なくなっている。

 G20の最終的な声明は首脳会議が閉幕する4日に発表される。ただ現時点では、声明草案の為替政策とIMFの財源に関する部分は空白となっており、依然協議中であることを示している。

 声明草案には、G20の全ての国・地域が参加する、雇用と成長に関する行動計画で合意したと明記されている。詳細は含まれておらず、最終声明への添付文書に盛り込まれるとみられる。新興国経済を一段と反映した国際通貨システムの構築に取り組むとしているが、時間枠には触れていない。

 また、IMFの特別引き出し権(SDR)の構成について、「通貨の役割と特色の変化を反映」するよう時間を追って調整、拡大していくべきとの見解で一致したとしている。ただ、フランスが望んでいた人民元のSDR組み入れには言及していない。

 草案によると、G20はIMFが提案した短期信用枠の設定を検討しているほか、SDRの特別配分を通じて世界経済に流動性注入を行うことも視野に入れている。

 G20筋が3日明らかにしたところでは、サルコジ大統領はG20最終声明でSDR配分に言及することを強く求めている。G20首脳は2009年に2500億ドル相当のSDRの特別配分に合意しており、今回もこれにならう考え。正式な額は未定だという。

 主要新興国筋は、ユーロ圏加盟国のSDR配分を合わせると、欧州に2000億ドル近くが供給される可能性があると語る。

 別のG20関係筋によると、G20では、外的要因によって国際収支の悪化に直面する財政健全国向けに、新たな6カ月の予防的信用枠(PLL)を既存の融資枠組みの中に設定することが検討されている。この信用枠の利用にはIMF加盟国からの要請が必要だが、無条件で6カ月間の利用が可能だという。融資額は各国の出資拠出額の約500%を上限とする。

 これとは別に、草案によると、G20は証券監督者国際機構(IOSCO)にクレジット・デフォルト・スワップ(CDS)市場の影響評価を求める見通し。またIOSCOが示した、超高速取引などで生じるリスクへの対応策などを含む、市場の統合性や効率性に関する各種勧告を実行する決意が盛り込まれた。

 草案では、60兆ドルに上る影の銀行部門に対する監視の強化にも合意し、金融安定理事会(FSB)の勧告を承認した。監視強化の取り組みの進展については、来年4月のG20財務相会合で検討される可能性が大きいという。 さらに、G20がIOSCOとFSBに対して来年末までにノンバンクに適用する「大きすぎてつぶせない」ルールを用意するよう求めることで合意した。

 

 サミットでは、不均衡是正に向け、20カ国・地域すべてが対応策を公約する見通し。フランスは数十億ドルの予算削減を公約するとみられる。 

 財政問題が懸念されるイタリアについては、行動計画草案で「2012年から債務の対GDP比率を速やかに低下させ、2013年までに予算をほぼ均衡化させることにコミットしている」と明記。「夏季に議会が承認した600億ユーロの緊縮財政策の完全実施に基づくこの目標は、イタリア憲法での均衡予算関連規定の明文化や欧州法規の両面から財政ルールを強化することで支えられる」としている。

 イタリアのベルルスコーニ首相は10月26日、欧州連合(EU)首脳に対し、成長を支援するとともに2013年までに財政の均衡化を目指す一連の措置を提示。G20の行動計画草案は、2013年までに「ほぼ均衡化する」としており、G20がイタリアの目標達成に多少の融通をもたせていることを示唆している。

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