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経済・IT
【日曜経済講座】仙台、異形の現ナマ景気 増税より復興の道筋示せ
例えば、全国的にいちご栽培で知られている仙台郊外の亘理町では、いちご畑が津波に流され全滅した。専業農家の多くは遊休農地を借り上げ、自主努力で再起を図っている。国にできることは金融面での支援ばかりではない。大規模栽培の早期実現に向け、農地の集約を可能にする法制度面での整備である。
漁業の再建も、単に企業に漁業権を与えれば進むというわけではない。海洋の生態系保全や雇用維持を、短期的な収益よりも優先し、長期的な投資に徹する企業を選別する仕組みにしないと、地元漁民は不安になるだろう。
復興債の償還財源は増税だが、政府の増税路線の始まりしかない。財務省は野田首相を通じて、2013年には消費税の10%引き上げを確定させようともくろむ。増税に次ぐ増税は、全国的に消費者心理をますます冷え込ませ、デフレを助長する。デフレ分を加えた実質金利は上昇し、円高がさらに進む。
1995年の阪神大震災から2年後、橋本龍太郎政権が増税・緊縮財政に踏み切り、好転しかけた景気を一挙にデフレ不況局面に突入させた。このときはアジア通貨危機も重なった。今回の臨時増税規模は97年度を実質的に上回る。しかも泥沼の欧州金融危機と重なっている。欧州から逃避した世界の余剰資金は世界最大の対外資産国、日本の国債に向かい、円相場を押し上げる。超円高、デフレと増税の三重苦で企業は基幹技術ごと海外に逃避する。
仙台で突如出現した現ナマ主導景気は茫漠(ぼうばく)とした復興の道の脇に咲く異形のあだ花でしかない。
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