中国の原材料輸出制限はWTO協定違反-紛争処理小委が米欧支持(2)
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7月5日(ブルームバーグ):世界貿易機関(WTO)の紛争処理小委員会(パネル)は中国が原材料9品目に導入している輸出制限が国際貿易ルールに違反し、同国の製造業に不当な優位性を与えているとの判断を示した。米国と欧州連合(EU)、メキシコの主張を支持した。
WTOの判事は1年半以上前にコークスや亜鉛、ボーキサイトを含む工業用原料の輸出に対して中国が課している割当枠や輸出税、ライセンス要件が差別的かどうかを調査することに同意。一連の規制は中国と貿易相手国との緊張を高め、中国政府は不公正な通商・為替政策を実施しているとしばしば非難されている。
WTOはウェブサイトに掲載した315ページのパネル報告の要旨で、「中国の輸出税は、同国が加盟時に同意した誓約に反するとパネルは判断した。一部の原材料に中国が課している輸出割当枠もWTOルールに違反するとの結論に達した」と説明した。
この日のWTOの決定を受けて、米国とEUは中国によるレアアース(希土類)の輸出制限についても、WTO提訴があり得るとしていた警告を実行に移す可能性がある。
中国がレアアースの国内生産と輸出を制限していることによって、一部のレアアース価格は6倍に上昇。米国や日本など主要ユーザーとの関係が悪化した。ゴールドマン・サックス・アンド・パートナーズ・オーストラリアは、中国政府がレアアースの輸出枠をさらに減らし、価格がさらに押し上げられる恐れがあると5月に指摘していた。
法律事務所グリーンバーグ・トローリグの弁護士で、WTO上級委員会の元委員長であるジェームズ・バッカス氏は、中国のレアアース輸出政策に対しては、強力な法的論証が可能だと主張している。
同氏は5月20日付の米紙ウォールストリート・ジャーナル(WSJ)への寄稿で、「中国はレアアース問題ではWTO提訴に対して特に立場が脆弱(ぜいじゃく)とみられる。レアアースの輸出制限を強化して外国の生産業者に不利益を与える一方、国内の生産業者には制限をほとんど課していないからだ」と指摘した。
記事に関する記者への問い合わせ先:Jennifer M. Freedman in Geneva at [email protected].
記事に関するエディターへの問い合わせ先:James Hertling at [email protected].
更新日時: 2011/07/06 07:23 JST