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thessalonike5
「政治改革」がもたらした泥沼 - 約束されていた失敗の終末
昨夜(6/1)の報ステで、この不信任案の政局について、三浦俊章が当を得たコメントをしていた。不信任案が可決され、菅直人が降ろされても、政治はさらに混乱して復旧復興は遅れるだろう。政局を仕掛けている者たちが言うように、菅直人を辞めさせれば、すぐに復旧復興のスピード感が増すなどということはなく、逆に、次の政治体制をめぐって混迷が長引き、時間を浪費してしまうだろう。私も同じ予想をする。不信任案が可決されても、否決されても、政治と報道の世界は政局で騒然となり、政局の論理と空気に支配され、復興に必要な予算や法案の審議と成立は後回しにされ、国の被災地への支援行政は停滞するだろう。テレビを見ながら、政治が国民の生活を無視して無責任に暴走する姿に、誰もが憤懣やるかたなく、そして途方に暮れているはずだ。私は、日本の政治がこれほど酷く劣化した理由について、国民は真剣に考えなくてはならないと思う。いつからこうなったのか。どうしてこうなったのか。昔から同じだったのか。一人一人が真剣に考えて、答えを見つけてもらいたいと願う。昔はこれほど悲惨ではなかったはずだ。私は、20年前の「政治改革」が日本の政治を堕落させたのだという仮説を提出する。そして、この主張に多くの人が同意して欲しいと思う。認識を共通にして欲しいと思う。日本の政治を根底から腐らせた責任は、誰よりも「政治改革」を扇動した者にある。糾弾されるべきは、山口二郎と後房雄だ。
小出裕章は、今回の原発事故の責任問題に言及し、根拠のない「安全神話」を言いふらし、膨大な国家予算を浪費して原子力開発を進め、国民に生命の危険をもたらした100人に対して、各自が懲役100年の刑を受けるべきだと正論を吐いた。同感する。小出裕章の頭の中には、100人の面々が具体的に思い描かれていただろう。東大や阪大や原燃や原子力開発機構でふんぞり返り、地位を得て、税金を貪り食っている者たちの顔が思い浮かんでいるだろう。私は、今の日本の政治の惨状は、福島の原発事故よりも問題として重大で、国民の生命が脅かされ、国家が破滅の危機に瀕した状態だと思う。20年前の日本はこうではなかった。これほど蝕まれてはいなかった。もし、日本の政治をこのように破壊した直接の原因が「政治改革」にあり、その責任が問われるとするなら、「政治改革」を扇動した学者たちの罪は、懲役100年では済まないだろう。大川周明はA級戦犯として東京裁判に起訴されたが、歴史に正義があるのなら、「政治改革」を扇動した者にも同じ罰が与えられて然るべきなのではないか。原発は安全だ、日本人を幸福にすると、原発推進派はそう嘘を言い、国民を騙し続けてきた。小選挙区二大政党制にすれば、日本の民主主義はバージョンアップされ、日本の政治はよくなると、彼らは国民にコミットし、新しいレジームの選択を迫った。国民は、騙されたことに気づき、彼らを責任追及しなくてはならない。
議場で汚いヤジを飛ばしている野獣のような議員たちがいる。議員に品性や知性がなくなり、最低限の節度や、国民の前で示すべき謙虚さがなくなった。彼らの意識に被災者の苦しみや国民の生活がないのは明らかだが、彼らがそういう正体の人物であることは、議員になる前から、候補者で立った時点で分かっていることである。二つの政党が公認した時点で、その男や女がどういう人物か、議員になった後で何をするか、それは投票前に分かっていることだ。われわれ有権者は、どうしようもないのである。小選挙区制の下で、死票しか入れられない国民は、政治を変えようとしても変えることができず、見識と良識と責任感と正義感を持った者を候補者に立てて選挙を戦うことができないのである。二つの政党は、同じ世界観を持ち、同じ基本政策を持っている。だから、同じような人物が候補者に選ばれる。血統、学歴、経歴、思想信条、等々が同じエリートの種族の中で、適齢の候補者が選抜される。二世とか、官僚出身とか、外資経験とか、マスコミとか、米大留学とか、松下政経塾とか、プロフィールはよく似ている。そうした人間たちが笑った顔が選挙ポスターになって掲示板に貼られるときは、もう誰が当選するかは、その選挙区でほぼ決まっているのだ。政治に参加するとか、選挙で国政を変えるという契機は、「政治改革」以来、一人一人の国民の中で本当に小さなものになってしまった。地域の現場で政治が失われた。政治はテレビの中で行われている。
この政治抗争によって、震災対策の諸行政は間違いなく滞る。具体的に、法案が出ていない原発賠償スキームは一からやり直しになり、自民党が権力を握るか勢力を伸ばせば、東電を救済する性格が色濃いものに変わるだろう。文科省の原子力損害賠償紛争審査会は、場合によっては解散になる可能性もある。同様に、復興構想会議も、中間報告を出さないまま散会するだろうし、仮に存続したとしても、この政局の影響で方向が大きく左右されるのは間違いない。政争が長引いて混乱すれば、6月末の報告書提出は難しく、会議は自然消滅になるだろう。私はそれがよくないと言うのではない。復興構想会議など、所詮は名ばかりのお飾りで、売名と勲功に涎を垂らした二流の学者や文化人が官僚に顔を貸しているだけである。中身は官僚が全てを仕切っている。しかし、それをまた新しい政権が一から立ち上げ直せば、当然ながら被災地にプログラムが届くのは遅くなる。自民党が権力を握れば、中身は今の構想案よりも悪くなるし、国は何もせず、民間資本に任せるという規制緩和路線が徹底する結論になるだろう。小沢一郎が影響力を増して政治主導の色を強めようとすれば、官僚が牙を剥き、政治と官僚との抗争となり、官僚がサボタージュして事務は停頓するだろう。肝心の原発政策も、この政争で自民党が勢力を強める結果となれば、脱原発は遠のき、経産省の維持拡充方針が復活する事態になる。同じく、福島の20ミリシーベルト問題も、政治の争点ではなくなり、結果的に放置されることになる。
原口一博がどのように言い繕っても、ここで政争の混乱に持ち込めば、官僚は模様眺めの高見の見物ができ、20ミリシーベルト撤回は関心の背後に退いてしまう。自民党が権力を握れば、「20ミリシーベルトでも安心安全」の大合唱になるだろう。政治は結果が全てだ。結果を冷静に考えれば、ここでの不信任案の政局はあまりに無責任であり、国民のことを無視した無謀な行動だと言わざるを得ない。WSJのインタビューで小沢一郎が政策論を何も言わなかったのは、政局次第で政策が振れるからである。自民党と組むとなれば、自民党との間で政策を妥協しなくてはならない。だから、小沢一郎は政策については白紙にした。ネットの小沢信者たちは、小沢一郎が「国民の生活が第一」の政策軸を堅持していると期待しているが、それは確実なものではないのである。期待は幻想となり、裏切られる可能性もある。政治家も政党も、理念と政策を実現するのが使命であって、権力はあくまでその手段である。ならば、政局を発動するとしても、自身の理念と政策を提示した上でやるべきで、そうでなければ、私怨と復讐に狂って暴走し、自民党による奪権に手を貸したと言われても仕方がない。実際に、不信任案の結果がどうあれ、政局は流動化し、政界再編の流れは確実に激化することだろう。政界再編は、現状では、右翼的で新自由主義的な勢力が大きくなることにしかならない。世界観が同じで基本政策が同じ二つの政党が、現在の看板と垣根を壊して一つになったり、新しく二つになることだ。そして、ヤジを飛ばす野獣たちがポストを求めて争うことだ。
被災地や国民のための政策は置き去りにされる。
by
thessalonike5
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2011-06-02 23:30
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東日本大震災
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