Close Up
【第127回】 2010年11月30日
著者・コラム紹介バックナンバー
週刊ダイヤモンド編集部
RSS最新記事
印刷向け表示

中小企業の破綻増加は必至!
銀行がはめた為替デリバティブの罠

previous page
3
nextpage

 週刊ダイヤモンドの取材で判明した販売件数は、07年に3113件、08年に1674件。販売件数が減少した時期でもこれだけの量を売りまくったのだから、累計では数万件以上に達していたと推測できる。そのほとんどが1ドル=100円台の契約と見られるため、中小企業の経営に与える影響はそうとうだろう。

 通貨オプションの最大の問題は、みずほの売り方にある。

 取引を望まない人に訪問や電話で契約を勧める「不招請勧誘」は、金融商品取引法で禁止されている。ところが、例外規定があり、外国貿易や外国為替取引を行う企業への勧誘は認められている。

 みずほは、この「外国貿易」を拡大解釈したと見られる。たとえば、輸入木材を国内の小売り問屋からのみ購入しているある建設業者は、「円安時に輸入材価格の上昇を相殺できる保険的な商品」などといって売り込まれたという。

 契約時に説明義務を十分に行っていないケースも多い。経営者たちから聞こえてくるのは、「円高になるとリスクが急増するなんて説明されていない」「解約時に多額の違約金が発生するなんて聞いていない」などの怒りの声である。

 みずほは「商品を理解できない人には売っていない」と主張するが、前述のような経営者の声が小さくないのは事実である。

 なかには明らかな問題事例もある。07年に契約したある輸出企業。社長はくも膜下出血を複数回、起こし、その後遺症で判断能力が低下していた。にもかかわらず、「円高による為替リスクを回避するため」という事実に反する名目で通貨オプションを販売した。

 優越的地位の濫用の可能性を指摘する声もある。

 通貨オプションを契約した中小企業の多くはみずほの融資先だ。ある経営者は「数千万円の融資を申し込んでいる時期に話を持ちかけられたので断れなかった」と嘆く。取引がない企業に対しても、融資や融資枠を持ちかけた後に、通貨オプションの契約をするケースが散見されている。

 日本共産党の大門実紀史議員は「みずほの販売方法には法令違反と思われるケースがいくつもある。金融当局は行政処分も検討すべきだ」と指摘する。

previous page
3
nextpage
上枠
下枠
ダイヤモンド・オンライン 関連記事
今、親のためにしたいこと
  • Prologue あなたはあと何回、親に会えますか?
  • Part 1 親が死ぬ前にしたいこと
  • Part 2 1000人親子アンケート
  • Part 3 親孝行ビジネスの課題

週刊ダイヤモンド
2011年3月5日号
定価690円(税込)

underline
昨日のランキング
直近1時間のランキング
プレー曜日
プレー料金
円~
エリア

ゴルフ情報サイトOPEN
【ゴルフ情報サイトOPEN】
名門ゴルフ場でプレー 半蔵門ゴルフ倶楽部 名門の条件 東京ゴルフ倶楽部 他
「買い時!」ならば物件探しを
【「買い時!」ならば物件探しを】
新築・土地・中古の物件情報や、住まい探しのノウハウを公開中!
上司・部下のいい関係
【上司・部下のいい関係】
どういうリーダーなら、若い部下たちはついてくるのか? 女性起業家の意見

週刊ダイヤモンド1冊購読

話題の記事

週刊ダイヤモンド

特大号・特別定価号を含め、1年間(50冊)市価概算34,500円が、定期購読サービスをご利用いただくと25,000円(送料込み)。9,500円、約14冊分お得です。さらに3年購読なら最大45%OFF。

ハーバード・ビジネス・レビュー

詳しくはこちら

1冊2,000円が、通常3年購読で1,333円(送料込み)。割引率約33%、およそ12冊分もお得です。
特集によっては、品切れも発生します。定期購読なら買い逃しがありません。

ZAi

詳しくはこちら

年間12冊を定期購読すると、市販価格8,400円が7,150円(税・送料込み)でお得です。お近くに書店がない場合、または売り切れ等による買い逃しがなく、発売日にお手元へ送料無料でお届けします。
※別冊・臨時増刊号は含みません。

Keyword
Information

週刊ダイヤモンド編集部


Close Up

激動する世界経済の流れに、日本も無縁ではいられない。政治・経済、企業・産業、社会の注目テーマをクローズアップし、独自の視点、切り口で「詳説」する。

「Close Up」

⇒バックナンバー一覧