Close Up
【第127回】 2010年11月30日
著者・コラム紹介バックナンバー
週刊ダイヤモンド編集部
RSS最新記事
印刷向け表示

中小企業の破綻増加は必至!
銀行がはめた為替デリバティブの罠

previous page
4

販売実態は他行も同様
企業破綻が急増の恐れ

 通貨オプションのトラブルは、みずほのケースが目立つものの、他行とて販売の実態は同じようだ。

 西日本のある商社は、大手3行などから「営業マンがノーアポで毎日のようにやって来て、“手数料はゼロなんだから契約してくれ”と言われ、押し切られてしまった」と悔やむ。

 悔やんでも悔やみ切れない企業も少なくない。今年6月に倒産した、キャラクター商品製造のアイ・ティ・ディ。本業は堅調だったが、「通貨オプションで巨額損失を被り、運転資金や借入金返済のメドがつかなくなった」(同社資料)。

 販売したのは、三菱東京UFJ銀行、みずほ、りそな銀行、東京都民銀行、商工中金の5行である。取引銀行との関係を円滑に保つ必要から、勧められるままに契約したという。

 契約企業の多くは本業が黒字の企業だ。だが、リーマンショック以降の景気低迷と円高の進行により、通貨オプションが原因の倒産が増え始めている。

 帝国データバンクによれば、通貨オプションなどの為替デリバティブが原因の倒産は、08年は3件だったが、昨年は9件、今年はすでに15件に上る。さらに「潜在的には数百社が危機的な状況にあるのではないか」(藤森徹・帝国データバンク情報統括部長)という。

 また、事情に詳しい本杉明義弁護士の元には、「今年に入って中小企業からの相談が急増し、すでに約100件に上っている」。

 金融庁は今年4月、金融商品の契約などにかかわる監督指針を見直したが、遅きに失したと言わざるをえない。通貨オプションで苦境に喘いでいるのはいずれも過去に契約した企業だ。早急に、実態調査と対応に乗り出さなければ、今後、経営破綻が急増する可能性は高い。

(「週刊ダイヤモンド」編集部 松本裕樹)

週刊ダイヤモンド

previous page
4
上枠
下枠
ダイヤモンド・オンライン 関連記事
今、親のためにしたいこと
  • Prologue あなたはあと何回、親に会えますか?
  • Part 1 親が死ぬ前にしたいこと
  • Part 2 1000人親子アンケート
  • Part 3 親孝行ビジネスの課題

週刊ダイヤモンド
2011年3月5日号
定価690円(税込)

underline
昨日のランキング
直近1時間のランキング
プレー曜日
プレー料金
円~
エリア

ゴルフ情報サイトOPEN
【ゴルフ情報サイトOPEN】
名門ゴルフ場でプレー 半蔵門ゴルフ倶楽部 名門の条件 東京ゴルフ倶楽部 他
「買い時!」ならば物件探しを
【「買い時!」ならば物件探しを】
新築・土地・中古の物件情報や、住まい探しのノウハウを公開中!
上司・部下のいい関係
【上司・部下のいい関係】
どういうリーダーなら、若い部下たちはついてくるのか? 女性起業家の意見

週刊ダイヤモンド1冊購読

話題の記事

週刊ダイヤモンド

特大号・特別定価号を含め、1年間(50冊)市価概算34,500円が、定期購読サービスをご利用いただくと25,000円(送料込み)。9,500円、約14冊分お得です。さらに3年購読なら最大45%OFF。

ハーバード・ビジネス・レビュー

詳しくはこちら

1冊2,000円が、通常3年購読で1,333円(送料込み)。割引率約33%、およそ12冊分もお得です。
特集によっては、品切れも発生します。定期購読なら買い逃しがありません。

ZAi

詳しくはこちら

年間12冊を定期購読すると、市販価格8,400円が7,150円(税・送料込み)でお得です。お近くに書店がない場合、または売り切れ等による買い逃しがなく、発売日にお手元へ送料無料でお届けします。
※別冊・臨時増刊号は含みません。

Keyword
Information

週刊ダイヤモンド編集部


Close Up

激動する世界経済の流れに、日本も無縁ではいられない。政治・経済、企業・産業、社会の注目テーマをクローズアップし、独自の視点、切り口で「詳説」する。

「Close Up」

⇒バックナンバー一覧