田中宇の国際ニュース解説 会員版(田中宇プラス)速報分析 2011年2月23日 http://tanakanews.com/si.php ●米国、南北アメリカ 米国とカナダは、どちらかの国でテロや住民の反乱が起きて国家的な緊急事態 になったら、双方の国の軍隊が国境を越えて相互に軍事活動できるようにする 協定を、2月14日にテキサス州において締結した。以前から言われてきた米国 とカナダの軍事統合であり、経済面のNAFTAによる市場統合と並び、米加 の国家統合が進展している。米軍の北方司令部はこの件について発表したが、 カナダ政府は何も発表していない。米軍は、他国の勢力に指揮されることを禁 じており、本件は事実上、米国がカナダを軍事的な傘下に入れることを意味し ている。カナダ国民の反発が強くなりそうなので、カナダ政府は発表しなかっ たのだろう。 http://www.canada.com/topics/news/story.html?id=403d90d6-7a61-41ac-8cef-902a1d14879d&k=14984 Canada, U.S. agree to use each other's troops in civil emergencies 米国ウィスコンシン州では、財政緊縮のため州職員の解雇や賃金引下げが検討 され、州職員労働組合の反対を抑えるため、州知事が労組の交渉権を抑制する 州法を提案している。同州の州都マジソンでは、ベトナム反戦運動以来の規模 といわれる7万人の反対集会が開かれ、1万人の反対運動参加者が州議会議事 堂に寝泊りして篭城している。州知事は、州兵を差し向けて反対運動を潰すと 警告した。同様の州法が検討されている近隣のオハイオやインディアナ州にも 反対運動が広がっている。米国で40年ぶりの反政府運動の盛り上がりを受け、 ウィスコンシン州議会前は「米国のタハリル広場」と呼ばれ始めている。本件 は、米国のマスコミで小さくしか報じられず、人々はネット経由の外国報道や ブログで情報を得ている。報道管制も中東革命的だ。 http://www.youtube.com/watch?v=DV2dCdIiZ_o Wisconsin protests here to stay http://www.bbc.co.uk/news/world-us-canada-12541294 US union protests: Demonstrations move beyond Wisconsin http://www.rawstory.com/rs/2011/02/21/exclusive-police-would-absolutely-carry-out-order-to-clear-wisc-capitol-union-president-tells-raw/ Troopers would `absolutely' use force on Wisc. protesters if ordered, police union president tells Raw http://tanakanews.com/sj.php?n=10686 2月19日の分析 米国の不動産協会が2007年以来、全米の住宅販売件数を、実態より20%も多く 水増しして発表し続けていたことが明らかになった。協会は、昨年の中古住宅 販売を490万軒(前年比5.7%減)と発表していたが、実際の数字は330万軒し かなく、前年比の減少幅は発表の2倍の10.8%減だった。今夏、統計を下方修 正する予定。水増しは意図的でなく統計上の誤差と釈明されている。「専門家」 の中には、米住宅市況が回復に向かっていると言う者もいるが、それは誇張で ある可能性が強まった。住宅は、米金融界の回復を主導する債券市場の主な担 保であり、住宅市況の悪化は債券市場の危機につながる。 http://online.wsj.com/article/SB10001424052748704476604576158452087956150.html Realtor Group May Have Overstated Number of Existing Houses Sold Since 2007 米国では、住宅価格が下落して自宅の価値がローンの残額を下回ると、自宅と ローンの両方を放棄する債務者が増える(日本では銀行が強いので放棄できな い)。全米でローン返済中の5300万軒の住宅のうち、27%にあたる1400万軒の 価値がローン残額を下回っており、この比率は数か月前の25%と比べ増加傾向 にある。債務者が自宅とローンを放棄して銀行が抱えたまま、競売にかけられ ない在庫物件が、ニューヨーク州ではこの数か月間に61%も増えた。米国の住 宅市況の悪化が、米銀行界の破綻につながっていく流れが見える。 http://www.huffingtonpost.com/dan-dorfman/housing-mess-could-squash_b_825956.html Housing Could Sink Recovery, Squash Obama ●東アジア、南アジア パキスタンのラホールで銃を発砲して地元民2人を殺害し、逮捕されたレイモ ンド・デービスについて、米政府は「不逮捕特権のある外交官だから釈放しろ」 とパキスタン政府に要求していたが、実はデービスは外交官でなくCIAの要 員で、パキスタン当局に知らせずタリバン系組織に対する秘密工作をやってい たことを米政府が認めた。デービスの任務は、イスラム過激派の若者を勧誘し てタリバンに入れることで、タリバンを潰すのではなく逆に強化していた。こ の一見不可思議な任務は、かつてアルカイダが米英諜報機関に強化されていた ことや、911事件の自作自演性と合わせて考えると納得できるものだ。米政府 は依然としてデービスを釈放しろと言っているが、パキスタン側は激怒してお り、デービスをスパイ罪で裁くと言い出している。アフガン占領の敗色が強ま るとともに中東革命がパキスタンにも波及しそうな重要な時期に、アフガンへ の玄関口であるパキスタンと米国の関係が、急速に悪化している。 http://news.antiwar.com/2011/02/21/raymond-davis-a-cia-contractor-us-confirms/ Raymond Davis a CIA Contractor, US Confirms http://timesofindia.indiatimes.com/world/us/Did-Davis-double-cross-US-as-recruitment-point-man-for-Taliban/articleshow/7553226.cms Did Davis double-cross US as recruitment point man for Taliban? http://tanakanews.com/f0818terror.htm アルカイダは諜報機関の作りもの http://tanakanews.com/sj.php?n=10674 2月15日の分析 ●西アジア、中東、アフリカ 中東のリビアでは、主要な油田がある東部地域が、独裁者カダフィに反逆し、 カダフィの地盤である西部地域と内戦になりそうになっている。カダフィは東 部地域に石油利権を奪われる前に、油田やパイプライン、精油所などを破壊し ようとしている。西部にある首都トリポリでも反カダフィのデモが起き、カダ フィ傘下の空軍機がデモ隊を空爆した。リビアは部族社会なので、東部の部族 は西部のトリポリに引っ越しても集団で住んでおり、東部出身者が反政府デモ を展開したと考えられる。 http://www.time.com/time/world/article/0,8599,2052961,00.html Gaddafi's Next Move: Sabotage Oil and Sow Chaos? http://tanakanews.com/110222Libya.php リビア反乱のゆくえ この速報分析はウェブサイトでも読めます。 http://tanakanews.com/si.php これまでの全分析が、日別、大区分・小区分別に整理されています。 メールアドレスの変更、購読料の支払いは、以下の会員メニューで行えます。 https://tanakanews.com/menu.php?i=8611&u=6caef