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平田オリザの騒動 - 米国による汚染水放出強要事件
平田オリザの発言をめぐる騒動の件、テレビの報道番組は、NHKも報ステも朝ズバも一言も触れずじまいだった。米国問題はタブー。見事に報道管制が敷かれている。まさかと思ったが、今日(5/19)の朝日紙面にも何も記事が出ていない。念入りに全紙面を隅々まで読み直したが、一字も書かれていない。昨日(5/18)の報道全体の中で、最も人々の関心が高かった重大事件が平田オリザの問題だったはずで、報道関係者はその周辺を掘り返していたはずである。世間の関心に応えるのが報道の仕事であり、昨日はこの情報が最も売れる商売のネタだったからだ。今夜のNHKと明日の新聞は、果たしてこの事件を正当に報道するだろうか。それとも無視したまま握り潰すだろうか。普通に考えれば、米国の指示を受けて、あるいは米国の意向を斟酌して、マスコミが電波と紙面で報道するのを控えていて、裏で辻褄を合わせて説明する情報内容(ストーリー)を調整加工しているように見える。官房長官会見では質疑もされ、ネットでは情報が飛び交っている。奇妙で異常な報道の光景だ。最初に、平田オリザの発言が事実かどうかだが、私は事実であると100%確信する。事実だからこそ、米国のプロパガンダ機関である日本のマスコミは、それを国民に説明する言葉がなく、真っ青になって沈黙しているのである。それでは、平田オリザは、なぜ迂闊にも、重大な政治外交問題に発展するこの話をポロッと口に出してしまったのか。


それは、平田オリザが政治家でも官僚でもなく、一般人の感性を持っていたからだ。そして、ここが重要だが、政権と政府の周辺では、この件は公知の事実であり、知らない者は誰もいなかったということである。平田オリザは政権の中枢にいない。すなわち、単なる一介の食客にすぎない外縁の立場の平田オリザにも、この情報は耳に届いていたのであり、ということは、平田オリザがこの情報を政府内の公知の事実と判断するのは当然だし、実際にそうだったのである。官邸や外務省だけが知る機密の案件ではなかったのだ。マスコミも、岸井成格ら上層部は全員知っていた話だろう。傍証として、4/8の東京新聞の記事がある。ここでは、米国の政府関係者が官邸で政府高官(枝野幸男)に面会し、「汚染水を海に放出し、早く原子炉を冷却できるようにしないといけない」と言っている。記事の論調は、米国の政府関係者がアドバイスをしたという表現だが、単なる助言ならば、わざわざ枝野幸男に直談判して詰める必要はない。米国で会見して言えばいいし、マスコミに書かせる発信方法でいいだろう。これは、明らかに米国政府からの要請の伝達であり、指示に従えという強制的な命令なのだ。汚染水を海に流したのは4/4だが、何で米国がこの件をこれほど強く日本側に催促したのか、気になって私も記事であれこれ推測している。私の見方は、仮設タンクのコストを嫌った東電が、米国政府に袖の下を使い、いわゆる低濃度汚染水を海に棄てることを日本政府に了解させたとするものである。

このようにでも考える以外、この件は説明がつかなかったし、今でも合理的な理由はわからない。この低濃度汚染水の海中投棄とは、敷地の南にある廃棄物集中処理施設に貯めていた1万3千トンの汚染水のことである。東電とマスコミは、ここの低濃度汚染水を海に流し、空っぽにして、建屋地下に溜まっている高濃度汚染水6万トンのうち3万トンを移し入れると釈明していた。この説明は不可解で、なぜなら、緊急に高濃度汚染水をどこかに移す必要があるのなら、1万3千トンの低濃度汚染水の上にそのまま高濃度汚染水を注ぎ足せばよく、わざわざ低濃度汚染水を海に棄てる必要はなかったのだ。東電は、集中処理施設で足らない分は、仮設タンクを設置してカバーすると言っていた。であれば、1万3千トン分の仮設タンクを追加で用意すればよかったのであり、何も海に汚染水を流す必要はなかった。どうにも不審なので、どのように辻褄合わせを言うのか、続報を注意して聞いていたが、集中処理施設を空にした後、高濃度汚染水が漏れないように修理工事をしたとか、そうした情報を出していた。しかし、もし集中処理施設が工事を必要とするほど漏水する状態であり、貯水槽として機能不全だったのなら、1万3千トンの低濃度汚染水も最初から漏れ出ていたはずである。この辺りは説明が矛盾するのだが、マスコミは誰も指摘せず、注目して問題を取り上げなかった。東電と政府の説明を妥当なものとして、そのまま報道で流していた。廃棄物集中処理施設の件には謎がある。海への汚染水投棄も真相が隠されている。

平田オリザが菅政権でも内閣参与を続けていることを私は知らなかったが、この劇作家は鳩山由紀夫のスピーチライターである。例の、ガンジーの「七つの大罪」を基調にした鳩山由紀夫の所信表明演説は、今でも印象が強く残る格調高い名文で、平田オリザが原稿を書いた。その平田オリザが、政敵である菅直人に内閣参与として再雇用されていたとは意外だったが、これまでの菅直人の演説草稿に平田オリザが筆を入れた形跡は見当たらない。どういう意図で配下に置いていたのか。鳩山由紀夫に寝返りを見せつけようとしたのか、それとも、鳩山由紀夫とのパイプの意味で飼っていたのか。あるいは、単に菅直人のアクセサリーの一つなのか。菅直人は無闇にアクセサリーを収集する趣味がある。アクセサリーの費用は税金で、菅直人のポケットマネーではない。内閣参与と言っても、スピーチライターしか能力がないのだから、主人の鳩山由紀夫と心中して政治の一線から身を引くのが当然だった。その出処進退によって、「七つの大罪」をモチーフにした鳩山演説も作品として光を放つ。菅直人に囲われて貞操を売っていたなど、芸術家として恥もいいところで、歴史に残るはずの名演説の威光を台無しにしたと言える。カネと地位の魅惑に勝てなかったのだろうか。給料は事務次官並みで、黒塗りの車が付くと言う。内閣府の個室に官僚が腰をかがめてお伺いに来るし、官邸のロビーを歩けば記者たちが駆け寄ってくる。小汚い内閣を綺麗に飾るため、アクセサリー稼業を続けている若い人間もいる。カネと地位には誰も目が眩む。

それと、今回の任務が韓国での講演だったという点、そしてその中で米国批判を漏らしたという点などを見ると、やはり、平田オリザの本来の思想的スタンスが垣間見え、それが鳩山由紀夫の「東アジア共同体」にある文脈を感知させられる。この要素は見逃せない。つまり、米国と距離を置く「東アジア共同体」にも少し足をかけてるという疑似的な二股のポーズを、韓国や中国に政治演出するための平田オリザの「国際交流担当の内閣参与」であり、日中韓三か国首脳会議に先駆けてのプレ・イベント・プロモーションの位置づけだったのだろう。その任務の趣旨をよくわきまえた平田オリザが、つい飛ばして「公知の秘密」の暴露による米国批判の言に及んだのである。背景と文脈の中に今回の事件を解く鍵がある。汚染水の海洋投棄について、日本政府は韓国に事前に連絡していない。WSJの記事によると、中韓露については、どうやら大使館に通知だけしたようで、それで形式手続を踏んだというアリバイ工作をしている。だが、周知のとおり、韓国はすぐに懸念を表明した。汚染被害が海流で直接及ぶロシアの反発も大きかった。この問題については、4/8の記事を書いた東京新聞が責任を持って事実を究明し、続報を国民に伝えて事件の全体像を浮かび上がらせるべきだろう。関連して、米国の「専門家」を官邸に駐在させていた件については、ネット上に4/21の朝日の記事の証拠がある。これについては政府が正式に認めているが、どういう経緯で、そして法的手続きで、米国の政府関係者を官邸に駐在させたのか。野党は国会で追及するべきだが、そういう野党の存在がない。

さて、昨夜(5/18)、平田オリザの問題は一言も報じなかった大越健介が、福島の20ミリシーベルトの問題であくどいプロパガンダ報道をやっていた。浜岡の政治攻防で一敗地に塗れた大越健介が、次は福島の20ミリシーベルトが争点になると踏み、「福島は安全」を刷り込むキャンペーンに打って出たのである。放送内容は実に悪質なもので、不愉快な気分になった視聴者も多かっただろう。番組の特集では、医師でチェルノブイリでの治療経験を持つ松本市長の菅谷昭が登場、福島市内の保育園児と母親を集めた場での講演が紹介され、年間20ミリシーベルトの環境でも避難の必要はない旨をメッセージするのである。不安を抱いて集会に来た母親たちは、講演の後で、「先生の話を聞いて安心した」と言い、安堵した表情が撮影されていた。このときの講演記録がNHKの科学文化部のBlogに公開されている。放送でも出たが、菅谷昭は、「チェルノブイリの話をイコールすぐ福島とは、決して思わないで下さい」と言い、チェルノブイリと福島の被害の規模の違いを強調する。この主張は、当初、福島の事故を過小評価した東電や政府や御用学者の口癖だった。そして、内部被曝こそが問題で、子供についてはそれさえ防げばいいという意味の所見を説いている。避難が必要だとか、政府の対策に問題があるとは言わない。挙げ句に、連れて来たベラルーシ出身の若い女性医師に発言させ、彼女はチェルノブイリに近いゴメリで事故に遭遇しながら健康被害を免れたのだが、政府が定期的に健康診断をすれば安心だと言わせるのである。

ウクライナの「チェルノブイリ身体障害者同盟」は、事故に関連した国内の死者数が150万人とする報告書を発表している。チェルノブイリはウクライナとベラルーシの国境にある町で、事故後の風向きのため、放射能汚染された地域の面積はウクライナよりも広い。ウクライナでこれだけの被害が出ていれば、ベラルーシでも同程度の被害が出たと考えてよく、この女性の例は幸運なサンプルと見るべきだろう。しかし、ウクライナの犠牲者数の情報を知らない福島の人から見れば、この女性の健康な姿は一つの安心材料になる。3/11の後、チェルノブイリで活動したとか調査したとかいう放射線医学の専門家が出て、セシウムでの被害例は1件も報告されてないとか、体内に入ってもすぐに体外に出るから大丈夫だとか、現時点から考えれば信じられないようなデマ情報をテレビで拡散していた。この講演会に参加した母親たちが、本当に菅谷昭の話を聞いて安心したのか、それともNHKのいつものヤラセだったのかは分からない。ただ、一般に信用の高い菅谷昭がテレビに出て、その講話で福島の母親を安心させたとすれば、世論への影響と効果という点で、政府に学童疎開を要求している側が政治的に打撃を受けたことは間違いない。原発擁護派の狂信的なイデオロギー戦士である大越健介は別にして、フラットな立場に見えるNHKの科学文化部が、なぜこのような番組取材をしたのだろう。その一方で、NHKはETV特集で独自に福島の汚染地図を作成、政府が安全と言っている土地がいかに危険かを検証し、警告を発している。報道姿勢が明らかに矛盾している。

放射能被害の因果関係に閾値がなく、乳幼児が受ける影響が大人とは全く違い、なおかつ小佐古敏荘の一件があった以上、福島に来て「安心安全」を母親に説く菅谷昭の行動は、医師として無責任と言えるのではないのか。



by thessalonike5 | 2011-05-19 23:30 | 東日本大震災 | Trackback | Comments(0)
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