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長周期地震動 20分以上続く予測も
4月30日 17時32分

東海地震と東南海・南海地震がおよそ10分の時間差で発生した場合、東京では超高層ビルなどを大きく揺らすゆっくりとした揺れ「長周期地震動」が20分以上にわたって続くという予測を東京大学の研究グループがまとめました。研究グループは「超高層ビルに深刻な被害が出るおそれがある」と指摘しています。

東海地震と東南海・南海地震は、東海から西の「南海トラフ」と呼ばれる海底付近で繰り返し起きている巨大地震で、過去にはほぼ同時に発生したり、数10時間から数年の時間差で起きたりしています。
東京大学総合防災情報研究センターの古村孝志教授の研究グループは、3つの巨大地震が一定の時間差で発生した場合に周期が数秒以上のゆっくりとした揺れ「長周期地震動」が、各地でどの程度続くのかを推計しました。
このうち東京では、先に東南海・南海地震が同時に発生して10分後に東海地震が起きた場合、揺れが20分以上続くと予測されることが分かりました。また、大阪と名古屋では、東南海地震の5分後に東海地震が発生し、さらにその5分後に南海地震が起きた場合、それぞれ、揺れが20分以上続くと予測されるということです。
去年3月の巨大地震では、東京や大阪などで超高層ビルが大きく揺れましたが、「南海トラフ」で巨大地震が起きた場合、去年の地震の際よりさらに大きな揺れが長く続くおそれがあるということです。
古村教授は「大きな揺れが長く続くことで超高層ビルなどに深刻な被害が出るおそれがある。従来の地震対策は主に、揺れの強さに力点がおかれてきたが、今後は揺れが続く時間も考慮して対策を進めていくべきだ」と話しています。

長周期地震動への対策は

建築の専門家は、「長周期地震動」で揺れやすい超高層ビルでは、建物の揺れを抑えて揺れが続く時間を短くする対策が必要だと指摘しています。
建築が専門の東京理科大学の北村春幸教授によりますと、超高層ビルは、「長周期地震動」による大きな揺れを考慮して設計されているものの、揺れが長く続いた場合は建物を支える柱とはりのつなぎ目などに大きな力がかかり続けるため、建物の構造に被害が出るおそれがあるということです。
北村教授が、東海地震と東南海・南海地震が一定の時間差で起きた場合に東京で建物の構造にかかる力の大きさを分析した結果、去年3月の巨大地震の際の3倍近くに達することが分かりました。
北村教授は「去年3月の巨大地震では、揺れを抑える制震装置を取り付けたビルで揺れの大きさや継続時間を抑える効果が確認されている。巨大地震による被害の危険性を低くするには、建物の揺れを抑える対策をできるだけ取り入れていく必要がある」と話しています。

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