89 :エディータ/クロイツの着崩し軍服/陸戦重砲型:13/09/18 21:18:02 ID:L9omWa/w 【アフリカ戦線スエズ運河防衛ライン 仮設基地内】 太陽は今日も元気に大地を照らす。 ちょっと元気すぎて加減してほしいのが本音。 ついでに、隙を見つけては忍びこんでくる砂まで敵に回るんだから始末におえない。 それでも人間はシャワーと洗濯で落とせるだけマシな方。 「うっがががが。まーた詰まってる!!」 砂色の髪の持ち主は、荒っぽい手つきで愛機のサンドフィルター清掃中であった。 整備が悪ければ自分が死ぬし、自分が死ねば戦力が減る。 戦力が減ればスエズの防衛が難しくなり、制圧されれれば人類は動脈の一本をぶった切られるに等しくて。 「……とか考えたって、めんどいもんはめんどいんよなぁ。  でも任せっきりもなぁ」 整備班に任せてもいいのだけど、簡単な部分くらいは自分でやりたい気持ちもあり 彼女の結論は、“周りにあわせる”でした。 はて、他の連中、整備どうしてたかしら 90 :ミーナ/ロンバルディア軍野戦服 :13/09/18 21:31:03 ID:YSMhQ0nZ 古めかしい鎧風のユニットの清掃と点検をしているのは、フランク連合の人物のようであった。 鼻歌でも歌いながら、全く苦にしていない様子で整備をしているようである。 灼熱の太陽ですら、彼女の心を煩わせるものでもないらしい。……地理的に、ここアイギュプトスから故郷も近いし。 「いつ見てもこのロリカは美しい。ロンバルディアの勇士の命を守るのにこれより相応しいユニットもそうはあるまい」 「……む?」 苦にしていない、というよりは最早楽しんでいる節がある。 彼女は視線を感じたのか、くるりと振り向いて視線の主を探し、エディータを発見。 「どうかしたかね、帝国の」 それから、とりあえずはそう声をかけた。 91 :エディータ/クロイツの着崩し軍服/陸戦重砲型:13/09/18 21:43:05 ID:L9omWa/w >>90 「いやー、熱心だと思って」 ロンバルディア組にとっては、ここを抜かれると海上からも攻撃が来るわけで。 気合も入るよなぁ、と。 クレタ・キプロス・スエズの三角形が維持できてるうちは、ロンバルディア東方は安全か。 「こう暑いと一杯やりたくなるよね。  これだけ暑けりゃ、我が愛機はソーセージだって焼けちゃうぜ」 クロイツ帝国の人間はビールが好きすぎる疑惑あり。 それは置いといて、愛機を調理器具扱いするのは如何なものか。 フレームに直結した大盾は、たしかにBBQには便利そうだけど 92 :名無しさん :13/09/18 21:54:26 ID:YSMhQ0nZ >>91 「命を預ける愛機で腸詰なんぞを焼くとはけしからん……とは言えんな」 歴史的に、ちょっと色々心当たりがある国のひと。 古代のころの勇猛さは最早お伽の話とすら言われるが、ことこの惨事において、そのかつてを思い出さずにはいられない。 そのためのロリカ型のユニットであった。 「……酒は判断力を鈍らせる。ソーダ水あたりで我慢するんだな」 少しの油断からほころびは生まれ、そこから崩壊するのだとマジメくさった様子で言う。 93 :タチアナ@ヴォルガ連邦/陸戦快速型:13/09/18 21:57:14 ID:WvcKW7t4 『あつーい、あつーい、あつ~~~いあつ~~~~~~~~~~~い』 遠くから近づいてくる異国語の声。 楽しんでいる人もいれば苦しむ人も存在する。 顔を赤くしてだらだらと汗を垂らすのは茶革の耳垂れ帽子をかぶった白人の女性。 ノースリーブのシャツの上に日光避けの羽織りを着てるかと思えば、 下はもはや殆ど水着か下着の同程度の総面積のホットパンツである。 いかにも男性の目を集めそうな生足露出中なう 『こんだけ暑けりゃ飲んでも変わらんさ、さぁさもう一杯』 おそらく母国の言葉だろう。ぶつくさいいながら 二人の近くで足を止め、無色の液体が入った瓶からラッパ飲み。ぷはぁー と、どうもエディータの言葉が耳に入ったみたいで目をそちらに向けた。 「ズトラーストヴィッチ!なんだか美味しそうな単語が聞こえたキがしたけド、 なにか企んでいたリするのかイ?」 どうにも訛りの残る共通語を話しながらも、馴れ馴れしく話しかけてきました。 94 :ミーナ/ロンバルディア軍野戦服 :13/09/18 22:03:59 ID:YSMhQ0nZ >>93 「む、ヴォルガの……。貴公、また飲んでいるな?」 無色の強そうなお酒。 それはもう特産のウォトカで決まりだろう。 「貴公の行いのせいで風紀が乱れたらどうするつもりだ」 ぎりぎりぎり。 ロンバルディア出身者とは思えないぐらい大真面目な彼女は非常に鋭い眼光で睨みつける。 95 :エディータ/クロイツの着崩し軍服/陸戦重砲型:13/09/18 22:06:14 ID:L9omWa/w >>92 「見ての通りのポンコツなんでね」 熱砂の中を駆け抜けた歴史が、重砲を主力とした機体のあちこちに。 こいつ、今が初めてじゃないな。絶対何度も焼いてるくちだ。 「奇襲されたら、そんときはそんとき。  ってか飲むパンだからな? だから大丈夫!」 さっさと機体を起動して、日当たりの良い場所に移動するようで。 無限軌道の軋みが趣味人にはたまりませんな。 >>93 「コイツの盾でおやつを作るのさっ」 支給品の缶詰から腸詰め各種登場。 帝国のレーションの、ソーセージ系の豊富さは特筆モノ。 愛機の放熱系の熱も回して一気にあっためるようで。 「で、楽しみはこっちな!!」 ビールは、倉庫の片隅で冷やしたのが保管されておりましてん 「まーヴォルガの連中には水っしょ?」 96 :タチアナ@ヴォルガ連邦/陸戦快速型:13/09/18 22:15:00 ID:WvcKW7t4 >>94 「我ガ命の水サ!」 悪びれる様子もまったく無くて、ウシシと笑う様と一緒に答えた。 彼女が飲んでない日があったらおそらくそれは一日中寝ていた日ぐらいであろう。 整備員いわく彼女が1年で飲む量が一番少ない月は2月。 なぜなら1年で一番日数が少ない月だから 「風紀乱れても戦いに勝ちゃいいのサ。風紀良くても肝心の戦いに負けちゃだめだロ」 しれっ >>95 「ハラショー!」 とびっきりの笑顔でサムズアップである。 「しっかし、祖国の同志たチに劣らヌ使い方だなナ、気に入ったヨ」 祖国じゃほとんど勝手に冷えてくれますからねぇ。 「水というよリソーダだナ。水はこっちサ」 常に持ち歩いている形の瓶を取り出して見せてやりましょう。 97 :ミーナ/ロンバルディア軍野戦服 :13/09/18 22:21:05 ID:YSMhQ0nZ >>95-96 「ぬ、ぐ……貴公ら……」 不良生徒を相手する体育会系委員長(実在するのか?)の図。 何も言わないわけにもいかないがあんまりガミガミ言って引き締めても彼女らの場合、アルコールが抜けるとそのまま力の減少でもしそう。 「乱れた風紀で勝てる戦なんぞあるか痴れ者!」 「……最悪、動けるのなら構いはせんが……それは別として、貴様はその娼婦崩れの格好をどうにかしろヴォルガの!」 飲むのも食うのももう諦めよう。 その辺りで無茶した分戦闘でも無茶してもらおう。というか言われんでもしそう。 でも、とりあえずは。 タチアナには服を着てほしい彼女であった。 98 :エディータ/クロイツの着崩し軍服/陸戦重砲型:13/09/18 22:26:14 ID:L9omWa/w >>96-97 「帝国の照準器は酔ったくらいじゃ狂わないのさ、と」 ……上手にやけましたー ぷしゅっ。ぷはぁ。この一杯のためにいきてるぅぅぅぅl 「それにほら、あたいはシラフでも酔ってるようなもんだし」 ほんとに堅物帝国民なのか怪しい発言を繰り替えす図。 まぁ、かの国は天幕に男連れ込んだセイバー使いもいるらしいので 結構個人差があるのでしょう。 「あーでも、服は着たほうがいいね。  砂漠で素肌出すと後がひどいぜ?」 99 :タチアナ@ヴォルガ連邦/陸戦快速型:13/09/18 22:35:11 ID:WvcKW7t4 >>97 「アタシが負けルのサ、こまったことにネ」 いつだったか、ウォッカの補給が途切れた時の タチアナはとにかく酷かった。手は震える、口から呪詛の如き言葉が漏れつづけ 殆ど使い物にならなかったという。 「娼婦だってェ!?ハッ、そいつは聞き捨てならないネ 暑いンだから涼しい格好ぐらいさせろってのサ。まさかこレがパンツに見えるわけないよナ?」 あくまでも際どい切り込みが入っているホットパンツの事は ズボンと言い張ります。まぁ、実際ズボンなんだけど。 本当に脱がないだけマシなのか? 「ふン、フランクのれんちゅーは心にも貞操帯でもつけてるのかしラ」 >>98 「連邦は酔ってなきゃむしロ当たらないのヨ」 出来たというなら一つひょいっといただきましょう。 ビールも貰って瓶で蓋付きならば豪快に歯で開けてラッパ飲み。 ……一回で最後まで飲んじまったぞ、コイツ。 「認めたくないガ、ビールは帝国の方ガ上だナ」 口元を腕でグイッと吹きます。 「いちおー日差しよけの羽織りはつけてるじゃないカ」 ここで作られた羽織物らしく民族衣装っぽい文様付きの 羽織っていて足までカバー。 生地が分厚いマントみたいなもん? 100 :ミーナ/ロンバルディア軍野戦服 :13/09/18 22:50:00 ID:YSMhQ0nZ >>98 「……ついに飲んでしまった」 暑い日差しに晒されてビールが美味い! なるほど道理だ。地元民も近くのパブで飲んだくれているであろうことも想像に難くない。 「まぁいい。動けるんだろう。動けよ」 帝国人はビール飲まないと死ぬともいうし。 水よりも安いんでしたっけ。ビール。 >>99 「だらしない格好はやめろと言っている! プリマスのパンクみたいな格好を軍人がするものか!」 「連邦の誇りはないのか?」 無いと言い切られたら諦めるしかない。 せめて、せめて長い裾の下衣を穿いてほしい。 101 :エディータ/クロイツの着崩し軍服/陸戦重砲型:13/09/18 22:56:51 ID:L9omWa/w >>99-100 「動いてるぜ~~」 こんなのが鉄十字持ってるんだから世界は広い。 やる気が復活したのか、足回りの油差し再開。 なお、保護者の管理下なら未成年でも飲んで良かったりとか それ系の法規の破綻っぷりはすばらしいですよ。 「なんなら試し打ちするかい?」 対フィーンド用大口径砲は、ちょっとした戦車砲サイズなのでした。 こんなの酔っぱらいに撃たせていいんでしょうか。 「ついでに、衝撃でそのマントもどきもふっとばすか!!」 102 :タチアナ@ヴォルガ連邦/陸戦快速型:13/09/18 23:04:01 ID:3uXgbCRW >>100 「プリマスもパンクも知らないけド、こっちだっテ好きで軍人になったわけじゃなサ!」 と、大きな声をあげて言ったかと思えば、ぎょっとした顔を見せて なにかを伺うように周りを見渡す。 それから表情を歪め。 「悪いけド、聞かなかったことにしテ。借り一つニするかラ」 両手を合わせて、前かがみになって上目遣い。 ここまで似合わない上目遣いも珍しい。 誇りに対してはスルーしとこう。 こんなの持ってるわけないネ >>101 「試し打チ!したいとこだけド」 右目を細め、周りをグルッと見渡し小さくため息。 「羽織り飛ばされチャ困るからナ。さっさと逃げよっト。ダスビダーニャ!」 というわけで逃げるように立ち去るのでした。 FO 103 :ミーナ/ロンバルディア軍野戦服 :13/09/18 23:14:15 ID:YSMhQ0nZ >>101 「試射? そんなもん、演習場でないとできんだろう」 小火器をちょっと射撃場で、というわけにもいかない代物。 でもって、演習場はちょっと使いたいからあけて、というわけにはいかんはず。 「……空撃ちで我慢しとけ。弾も油も血も無駄にできるものは一つもないはずだ」 すぐに奴らは来るぞ、と。 >>102 「うん……?」 わけありの様子。 赤い怪物のあの国、何かよからぬことでもしているのかしら。 「変なヨッパライだな」 とりあえず、見送ることしかできず。 //んでは自分も離脱しますー。絡みありでした。 104 :エディータ/クロイツの着崩し軍服/陸戦重砲型:13/09/18 23:19:03 ID:L9omWa/w >>102-103 「埋まってりゃこじ開ければいいのさ!」 ヒャッハー、とセイバー起動。 ぶっ放すと決めましたのでぶっ放しに行きます。 「電探か哨戒から連絡来てからで間に合うって!!」 バカけたサイズの砲撃音が響くのはこの半刻ほど後のことである。 // おつかれさまでしたー 105 :天城 初恵/黒髪黒目三つ編みおさげ/ジェット格闘戦型:13/09/19 21:39:12 ID:rjF/6ozG アルビオン王国南岸に位置する「ポンペイ・シティ」。 ゴールの地に面するこの街は100年来の軍港を擁し、対岸の敵を常に鋭く見据えてきた。 この星においても、人類同士が盤上を睨み、肉の駒を倒し合う時代があった。 だがそれも10年前に終わり、いまはあらゆる国家の連合軍が、新たな戦争の最前線に集っている。 フィーンド――それが、1945年に生きる者すべての敵の名前だ。 《7時方向、海上・海中にF力場反応あり、当市へ向けて急速に接近中。到達までの予測時間、20分!》 《防空部隊およびセイバーユニット部隊は早急に戦闘配備について下さい!繰り返します――》 その夜、『奴ら』が南の海に現れたという警報が響いた。 アルビオン基準時で00:34分。眠りかけていた者たちを、一斉に叩き起こすように。 人類とフィーンドの戦闘の主軸は、近頃アイギュプトス共和国にあった。 だが敵は世界各地に大小のコロニーを築いているとされ、圧倒的な物量を誇る。 そして、兵力の逐次投入や突入偵察さえ平気で行うのだ。どこがいつ襲撃を受けても不思議ではない。 とは言えポンペイで敵の反応を検知したのはおよそ25日ぶりだ。 街が、そして基地が揺れているのを、誰もが感じていた。  * * * 基地には「戦闘更衣室」という空間が存在している。 出撃用ハッチや地下通路に連絡したこの部屋は、セイバーユニット装着者が戦闘前の着替えを行うための場所だ。 セイバーには、特殊なインナーウェアや装甲の下地を必要とするものも多いのだ。 「……わたし、実戦は初めて、なんですよね」 その中で、几帳面に畳んだセーラー服を抱えた黒髪の少女が、誰にとなく呟いた。 彼女は天城 初恵(あまぎ・はつえ) ――2週間前にアルビオンに来たばかりという、瑞穂出身の新兵だ。 大人しい彼女にはまだあまり知り合いが居ないのだろう。声には、助けを求めるようなか細い響きがあった。 106 :エルゼ/帝国軍服/航空爆撃型:13/09/19 21:50:07 ID:eXAwv+Ky 「こんな時間帯に出撃って……嫌になりますよ、全く」 気だるげな声を上げながら、軍服から着替えを行っている女性が居る。 グロースクロイツの軍服を着ているという事は、おそらく帝国軍人なのだろう。 だが彼女が持つ雰囲気は、一般的に捉えられている帝国軍人のそれとは異なっていた。 「……貴方、瑞穂から来た新兵でしょ?  嫌になりません?うら若き乙女がこんな夜更けに重労働なんて」 と。 ぐだぐだと文句を垂れていた彼女――エルゼは、ふと>>105に声を掛けた。 言葉こそは同意を求めるものだが、しかしその口調はどこか一人心地である。 107 :ミーナ/きがえちゅう :13/09/19 21:55:01 ID:hhFyrijn >>105 「心配するな、皇国の。胸を晴れ、皇国のもののふとやらの力を見せてみろ」 そこに話しかけたのは、褐色肌の大柄な少女だ。 フランク連合はロンバルディア公国出身の人物だ。 着替え中なので、自然と下着姿である。体格の良いヨーロッパ人ということで、そのスタイルはなかなか見所がある。 「弱気でいては勝てる戦も勝てんさ」 >>106 「軍人の務めとはそういうものだろう、帝国の」 「帝国軍人は弱音を吐かないと聞く。勝利を祖国に捧げるのだな」 あつくるしい体育会系は嫌われる、とはいうが。 弱音を吐く人物を激励するような人も必要なのが軍隊というところ。 そもそも、軍隊というからには体育会系の人間の方が多そうだ。 たとえそれが、少女達によるものであったとしても。 108 :ヨゼフィーネ(ヨゼ)/焦茶髪青紫眼ふんわりレイヤーボブ/ロケット近接空戦型:13/09/19 21:58:17 ID:S1yFXnwP >>105 「あらあら……」 そんな少女の姿に気づいたのは現在のメンバーの中でも歳が最も近く そして同じ空戦型で近接戦用のセイバーを操る少女、ヨゼフィーネであった 「ハツエ、わたしもこれで実戦は3回目の新人だけど、きっと大丈夫」 グロースクロイツの軍服を脱ぎ終えた彼女は初恵に近づくと励ますと共に微笑みを見せた 柔らかそうなダークブラウンの髪の毛と合わさってどこか人懐っこさを感じる 「わたし達はどっちにしろ後方は出来ないから、みんながサポートしてくれるよ」 胸の前で両手の指を絡ませながら、開いた瞳でパチンとウィンクをしてみせるた >>106 「あら……、エルゼってばいつも同じこと言ってる」 同じ帝国軍人である彼女だが、年齢も階級もエルゼの方が上だろう しかし呼び捨てや愛称で呼ぶのは、彼女の癖の様なものらしい、軍人としては褒められない気質だ 「確かに帰ってくると髪の毛がぱさぱさになってるのは気になっちゃうけどね」 109 :テン・ナイトフォールズ/水色髪ポニテ/スピードタイプ陸戦型:13/09/19 22:01:26 ID:+Yz3cMPf 「すみません!遅れました!」 少し遅れて室内に入ってきたのは、水色髪を後ろで縛ってた少女。 急いでここまで来たせいか、若干息切れしているようだ。大方先程まで寝ていたのであろう、髪に少し乱れが見える。 110 :チェルシー/空戦偵察型:13/09/19 22:05:34 ID:Wq+H9UbT >>105 天城と同じ戦闘更衣室。彼女と五つほど離れたロッカーの前で。 既にインナーウェアに着替え終えていた少女は、ブラウンの髪をいかにも苛立だった様子で掻き毟ると予期せぬ不運を内心で愚痴っていた。 最前線への派遣は珍しいことではないが、ここ最近比較的落ち着いていたらしいこの基地に。 まさか来て一夜が明ける前に警報が鳴るとは。冗談じゃない、と。 「…せいぜい。足を引っ張らないでくださいね」 フィーンドに対する実践は始めてのことではないとは言え、彼女自身も経験はかなり浅い。 むしろ、決して生易しいものではないと知っているからこそ余計に緊張が走る。 胸に手を当てるまでもなくわかるほど鼓動が強く早くなり、膝さえ震えだしそうな今。 他人の不安を落ち着かせることなんて到底できそうもなかった。 「いえ、すいません。どうか無事を祈っています…」 乱れた髪を伏せたまま、一度も天城の顔を見ることなく、なんとかその場を取り繕うと。 背筋だけは伸ばして足早に更衣室を出ていこうとする。 この部屋には自分以外にも、励ましに適した人種がどうやらたくさんいそうだったから。 111 :エルゼ/帝国軍服/航空爆撃型:13/09/19 22:08:10 ID:eXAwv+Ky >>107 「カッチリしてますねえ、まるでウチの先輩達みたい」 ロンバルディアにはおおらかな性格の持ち主が多いと聞くが……。 どうやらこの女性はむしろウチ――帝国寄りの気性の持ち主らしい。 エルゼはその熱気にやや気圧される。 「言われなくとも仕事は果たしますよ。しょうがないなあ」 全く、私は戦いとか嫌いなのに、全く……。 不満げにブツブツ呟きながらも着替えを進めていく。 >>108 「そうやって呼ぶのはプライベートの時くらいにしてくださいよー。  もし呼び捨てされてるのバレたら先輩達にドヤされるの私なんですから……」 帝国軍は規律を重んじる。無論、上下関係も、だ。 もし後輩に呼び捨てされていると上司に知られれば、『何後輩に舐められてんだアァン?』的な声が聞こえて来るに違いない。 そう言いつつも、プライベートに関しては呼び捨てでもオッケーという所が彼女の気質を如実に表していた。 「……どーせ、私の髪は元よりぱさぱさですよ」 艶のあるヨゼフィーネの髪をどこか羨ましそうに眺めながら、エルゼは小さく呟いた。 >>109>>110 「どーやら他の人達も集まりつつあるみたいですねー。  ……私の出番減れば良いんだけど」 どこまで働きたくないんだろう。 112 :御雲 玲花/瑞穂所属の黒髪ポニテ/近接特化の空戦型:13/09/19 22:09:23 ID:oIkmUJql 「……っと、すいません。道に迷い遅れてしまった次第です」 皆が着替え始めた頃、落ち着いた口調とは裏腹にドアを蹴破るような勢いで、一人の少女が入室してくる。 黒眼黒髪の、瑞穂皇国の軍服を着用した少女だ。 ここにく来るまで全速力で走ってきたのか多少息切れしており、その度にポニーテールがゆさゆさと揺れている。 113 :名無しさん :13/09/19 22:16:02 ID:rjF/6ozG >>106 「はい。瑞穂海軍より出向の天城 初恵と申します。  ……たしかに眠いのは否めませんね。時差ぼけが抜けても、24時間臨戦態勢ではあまり変わりません」 言葉が帰ってきたことが嬉しそうに、小さく頬を綻ばせながら、名乗りを兼ねて彼女は答える。 それから、自分より15cmは高い彼女の目と、整った顔立ちをじぃ、と見て、 「夜更かしが肌にどうこう、というのは、あまり考えたことがありませんが」 恥じらうように、そう答えた。 >>107 大きいといえば、こちらは隣のグロースクロイツ人以上だ。 精悍さと女性的な魅力が同居した姿に、ちいさくため息をつきそうになる。 「ありがとうございます。……もののふ、ですか。  遠からんものは音に聞け、近くば寄って目にも見よ――と、言って立ち止まってくださる相手なら良かったのですが」 フィーンドは時に不条理な行動をとる一方で、容赦と自己の無さの一点で完全に合理的な存在だ。 励ましに一礼で答えながら、彼女は対峙する敵の姿を思い浮かべていた。 ちなみに体つきは痩せており、バストは慎ましい。 >>108 「……ボールマンさん」 訓練中にもたびたび顔を合わせた相手の声に、振り向く。 「そういえば、わたしより先輩さんでしたね  ふふ、そんなことを言って貰えたら、頼りにしてしまいますよ」 ウインクに、優しくはあるが、緊張もあってぎこちない笑顔を返して。 「背中を預かってしまったからには、わたしのことも信じて頂けるよう、尽力します」 114 :ミーナ/きがえちゅう :13/09/19 22:17:25 ID:hhFyrijn >>108 「帝国のは個性的な連中が多いようだな……」 何かステレオタイプな帝国軍人をなかなか見ない。 スエズの時もそうだったが、ここポンペイシティでもそうか。 「……ああいう手合いはどうも長生きするんだよな」 マイペースなその様子には何やら包容力すら感じる。 自分より四つも下だというのに、変な迫力を感じた。 >>109 「急げよ。陸戦型はそこまで求められてないらしいとはいえな」 どうも相手は飛行編隊が中心らしい。 陸戦ユニットがどこまで動けるか、よくわからないが……。 >>110 「……うむ。あのぐらいが普通そうだな」 緊張しているのだろうか? そこからいらいら、かりかりしているのがわかる。 声をかける暇もなく、さっさと出て行かれたので、かける言葉も空へと消えた。 >>111 「私はロンバルディア軍人だからな」 戦争ではいろいろと間の抜けた話のついて回るロンバルディア、ではあるが。 かの国の量産ユニットに代表されるように、ロンバルディアはかつての軍事大国への復古を目標にしている節がある。 彼女もそのクチなのだろう。 「それでいい。国を背負っているんだ、気張っていけよ」 115 :テン・ナイトフォールズ/水色髪ポニテ/スピードタイプ陸戦型:13/09/19 22:27:02 ID:NXJUiOZh >>114 「は、はいっ!すみません!」 慌てて着替え始めるテン。 着替えながらふと考えた。 (……今回は陸戦型はあまり求められてない、か。でも、できることがない訳じゃないし、頑張らないと。……お姉ちゃんならこういう場合どうしてたんだろう……) 116 :ヨゼフィーネ(ヨゼ)/焦茶髪青紫眼ふんわりレイヤーボブ/ロケット近接空戦型:13/09/19 22:30:44 ID:S1yFXnwP >>110 「あらあら……」 チェルシーの背中を見てどこか残念そうな表情を見せる もちろん自分も彼女の様に緊張をしていない訳ではない 訳ではないのだが、ヨゼフィーネの場合は戦闘以前に空を飛ぶということ自体が相性が良かった 水の中を魚が自由に泳ぐような、そんな高揚が緊張を打ち消していたのかもしれない 「後で話しかけにいこうかな」 >>111 「わたしは愛称で呼ぶ方が好きなんだけれど、でもエルゼ……じゃなくてエーベルハイト中尉がそう仰るのも分かるので、訂正したいと思います」 口ではこう言っているがその表情はどことなく残念そうだ 「でもは頭はエルゼみたいな金髪の方がよかったなぁ、それに私のは癖っ気だし」 彼女の愚痴に耳を傾けながら自らの髪の毛に触れる、色素の濃い焦茶色の髪の毛だ どちらかと言えば風になびいて美しい色を見せる金髪の方がヨゼの好みなのだが、生まれ持ったそれは仕方がない そして早速エーベルハイト中尉と呼ぶのを忘れている、天然である >>113 「ヨゼ」 指を立てて強く推してくるヨゼフィーネ、その意図をつかむのは簡単だろう 名前で、しかも愛称で呼べと言っているのだ、帝国の気質にしてはかなり珍しいフレンドリーさである 「信じて貰えるように……そんなこと言われたら先輩なんて持ち上げられたわたしも頑張らなくちゃいけなくなっちゃう  ハツエはずるい、ずるいなー」 >>114 「あら?」 視線に気が付いたのか、顔を上げてそちらに向けた 無意識にひらひらと手を振っているところを見ても、軍人の動きとはとても思えないだろう 117 :名無しさん :13/09/19 22:34:44 ID:rjF/6ozG >>109 「おはようございます。  ……大丈夫ですよ、まだみんな着替えています」 天城は滑りこんできた彼女に小さな声で語りかけたが、いかんせん聞こえていたかどうか。 とはいえ致命的な遅刻ではない。このまま着替えれば周りと同時に出撃できるだろう。 >>110 「あ、了解……しました」 冷たい言葉に面食らったが、そう思われるのは尤もなことだ。 新兵とは当然ながら弱いものであり、弱いということは死にやすいということだ。 ……だからといって、戦線を担う者としての責務が減るわけではない。 「お互い生き延びましょう。そうしたら、食堂でお夜食でも……あっ」 心が強張っているのはお互い様。震える言葉だけが、チェルシーの背中を追いかけた。 >>113 「あれ、あなたはもしや……?」 最後に更衣室へ入ってきたのは、同郷人――武門生まれの達人として祖国で度々名が上がる、御雲 玲花だった。 記憶が正しければ、確か顔合わせは初めてのはずだ。 「同じく瑞穂海軍の天城 初恵です。お話は伺っています。  この基地にいらしたのですね……いえ、セイバーはその数の少なさゆえに、移動が激しいというのは分かっているのですがっ」 「馬を並べることができるだなんて、考えてもみませんでした」 静かな面差しに今はいくばくかの興奮の色を浮かべて、彼女を見る。 /次の自レスで出撃シークエンスに移ります 118 :エルゼ/帝国軍服/航空爆撃型:13/09/19 22:37:27 ID:eXAwv+Ky >>112 「これで……大体揃ったのかな?」 慌てて入ってきた少女を見て、エルゼは誰に呼びかけるともなく呟いた。 >>113 「…………?」 何故か恥らいを見せた初恵を見て、エルゼは不思議そうに首を傾げる。 自分がどのように見られているか、全く分かっていないのだろう。 というのも、帝国の中では、エルゼが容姿面で目立った事など一度とて無いからだ。 「まあ、初陣って事だし、どんどん周りに助けて貰ったら良いですよ」 あ、私は頼らないでくださいねー、しんどいですから。と一言付け加えて。 エルゼは半ば茶化した感じに、彼女に励ましの言葉を掛けた。 >>114 「そんな重たそうなもん背負いたくはないんですがねー」 下手に傷つけたら面倒な事になりそうだし。 「今回はこっちがメインらしいですけど、そっちも遅れを取らないで下さいよ?」 帰ってきたら全滅、とか嫌ですからねー。と軽い口調で。 >>116 「そんな良いもんでも無いんですけどねー。  隣の芝生は何とやら、って奴でしょうか」 どうも人間は自分が持たないものに憧れを抱くらしい。 ついでにエルゼはヨゼフィーネの天然に気づいたが、訂正は諦めた。言っても聞かないもん。 「ヨゼの事だし、どーせいつもみたいに活躍するんでしょーが……気は引き締めて下さいよ?」 こちらは一応先輩で上司だ、呼びかけは欠かさない。 119 :御雲 玲花/瑞穂所属の黒髪ポニテ/近接特化の空戦型:13/09/19 22:53:33 ID:oIkmUJql >>117 「初めまして、ですね」 遅刻した手前、申し訳なさそうに頭を掻きながらも、 同郷の者がいるということに、仄かな安心感を得て、柔和な笑みを浮かべて答える。 「瑞穂の旗を背負うものとして……いや、同じ戦場を駆ける者として、お互い頑張りましょう」 >>118 「私で最後のはずです。……いえ、遅刻など本当に申し訳ない」 基地の間取りを把握していなかった自分のミスだ、ととても申し訳なさそうに首を垂れる。 しかしすぐに顔を上げた時には、気持ちの切り替えも終えていて、 専用のロッカーを見つけると、素早く着替え始めるのだった。 120 :ヨゼフィーネ(ヨゼ)/焦茶髪青紫眼ふんわりレイヤーボブ/ロケット近接空戦型:13/09/19 23:01:55 ID:S1yFXnwP >>118 「染めるのはお父様に止められているので、経験できない以上やっぱりうらやましいなぁー」 中には金髪は頭が悪く見えるという人間もいる、ヨゼの父はそこまでではないが実の娘がそう見られるのは嫌だということか 空軍の大佐であった彼女の父親はエルゼでも遠目に見れば上司にあたる。 娘を箱入りで育てた割にいざ軍に所属するとなれば試作機をあてがったりと結構な無茶をした 堅物そうなあの大佐が育ててこんな娘なったということは、家での親馬鹿加減が目に浮かぶ様だろう 「了解しました、わたしの装備はいつも通りフォーゲルシメーレ1つなので、活躍も周りの人の手があってこそです」 返事だけはいっちょ前という言葉はよくあるが、彼女のこれはまさしくそれを体現している 特有の雰囲気は消しきれないのか少し締まらないからだ ちなみにヨゼのプロポーションは年齢と身長を鑑みれば良い発育と言える とはいえ周りが自分より高年齢のものが多く、見劣りしてしまうのだが >>119 「よろしくお願いします」 ヨゼフィーネも瑞穂の2人と同じく空戦のポイントマンを務める事となる それはスーツを見ても分かることだろう、彼女のスーツは帝国製だが彼女らのそれと酷似しているからだ ほんわかとした緊張感が少し欠ける笑顔を見せながら頭を下げた 121 :名無しさん :13/09/19 23:12:32 ID:rjF/6ozG >>116 「あ、すいません、ヨゼさん」 どうやら初恵、誰に対しても敬称略できない病気にかかっているらしい。 「気を悪くしてしまったなら、申し訳ないです。  でもヨゼさんのことも、皆さんの実力も、わたしは信じますよ」 「だからこそ、わたしも誰かに頼られることができるって思いたいんです。  そう思わなきゃ……怖い、ですよ」 初恵が、戦闘インナーに包まれた自分の身体に視線を落とす。 誰かに必要とされる喜びがあるからこそ戦う。そうでなければ、本当にやっていられない。 >>118 「はっ。ではどうにか生き延びて参ります、中尉殿」 軽い雰囲気の激励に対して、彼女はなおさら硬くなって答えてしまう。 時にソロリティ(女子友愛会)と揶揄されるほどの仲になることもあるセイバー装着者同士だが。 初恵に関してはこの付き合いづらさが表に出てしまい、知り合いが少ないのかもしれなかった。 >>119 「ありがとうございます。  ……皇国のもののふの末席を汚す者として、共に戦えることを光栄に思います」 東の果てに浮かぶ祖国、瑞穂に思いを馳せる。 いつまた帰れるかは分からないが、なんとしてでも生き延びなければ。 何を言っても、魂が還るべき場所はそこなのだから。 >>ALL 全員が着替えを完了したところで、7人の適合者たちは何も無ければそのままハンガーへ向かい、自身のセイバーを装着、発進するだろう。 敵の戦力や部隊の作戦についての情報も、そこで耳にすることになるはずだ。 《襲来したフィーンドの一群から、中型F力場反応を4つ検知しました》 《そのうち航空攻撃タイプが2体、高エネルギー体を抱えた爆撃タイプが1体、水陸両用タイプが1体と推測されます》 《空戦チームは3体の鼻先を抑えて、都市への攻撃を阻止してください》 《陸戦チームは水陸両用タイプの対処および、航空3体に付随する小型フィーンドへの砲撃をお願いします》 各人のディスプレイに表示されるのは地図。 この基地はフィーンドの襲撃を想定して、迎撃用の埋立地を海岸に備えている。 南西から迫る敵がこの領域を超える前に戦闘を開始、ただちに撃滅するのが今回のミッションということだった。 122 :ミーナ/近接陸戦型:13/09/19 23:18:46 ID:hhFyrijn >>121 「よし……行くぞ、プラエトリアン!」 セイバーユニット「プラエトリアン」を装備した彼女はまさしく武人といった外見となる。 現代の技術で再現された古代の軍団兵そのものの姿であるのだ。 「発進する!」 脚部の車輪が回転し、軽快なスタートを決める。 自走するローラースケートのようなものだが、走行時の安定性はなかなかのものだ。 悪路の走破性もこんな見た目で案外高いし、最悪は歩けばいいのだ。 123 :テン・ナイトフォールズ/水色髪ポニテ/スピードタイプ陸戦型:13/09/19 23:30:09 ID:NXJUiOZh >>121 (航空3体に両用1体……) 情報を確認するテン。 どことなく不安そうな表情だが (不安だけど、やるしかないよね。見ててね、お姉ちゃん。) 亡き姉に思いを馳せ、決意を決めた表情になった。 そして、遂に出撃する。 124 :エルゼ/帝国軍服/航空爆撃型:13/09/19 23:30:12 ID:eXAwv+Ky >>119 「そこまで気に病む必要は無いですよー」 首を垂れて謝罪した彼女を、エルゼは軽く笑い飛ばした。 気にする必要は無いと。 「こういうのはお互い様ですから、ね?」 素早く着替えを行っている様子を微笑みながら見つめ。 >>120 「あー、ヨゼのお父さんならねえ……」 直接上司に持った事は無いが、それでも同じ組織の人間だ。噂くらいは洩れ聞こえて来る。 その彼が娘に対してここまでの手を打っているというのだから、やはり親は子に弱いのだろう。 「……何でいつもこの調子で、それで活躍するのかなあ」 納得いかない様子で首を傾げる。 >>121 「……お堅いなあ」 返ってきた声を聞いて、エルゼは苦笑。 でもまあ、この方が新兵らしくて清々しいくらいだ。 むしろ新兵なのにヨゼみたいに余裕持ってたら、こっちが不安になる。 「っと、着替え終了」 着替えを終えたエルゼは、ハンガーに向かう。 そして装着するのは、己がセイバー――航空爆撃機・ヒンメルブルク。 ゴテゴテとした外装のそれを装着した彼女は、そのままカタパルトにセット。 「――――エーベルハルト機、出ますよ」 一声直後、鉄の塊は勢いと共に空へ上がった。 「ターボジェット、ジェットスラスター、共に異常無し。 計器確認――正常。武装確認――良し。視界確認――良好」 飛行を続けながらチェックを行うエルゼ。 その腕部に備えられた戦術ユニットのディスプレイに、作戦エリアの地図が表示される。 確認すると、どうやらフィーンドの集団は南西より迫っているらしい。 「了解っと――――まあ、私の出番は後の方になりそうですけどねー」 何せこのヒンメルブルク、重装備のあまり速度が通常のセイバーより劣っている。 自然とエルゼの位置は部隊の最後尾になるだろう。 125 :チェルシー/空戦偵察型:13/09/19 23:32:53 ID:Wq+H9UbT >>121 空戦型フィーンドの、危険領域への侵入阻止件撃墜。 おおよその役目は瑞穂の格闘型2機と帝国の格闘型1機爆撃型1機。 自身の役目はおおよそかく乱と支援。そしてなにより3機の動きを抑止してしまう。所為邪魔にはならないこと。 もう一つ最重要事項は、しっかりと他国の空戦兵器の戦力をデータに焼き付けて帰還すること。 火力では戦闘型には大幅に劣る。わざわざ前に出てでしゃばる必要はないのだ。 「BraveChicken 五号機………でます!!」 元より空気抵抗に強い設計で、出撃時の反動は比較的ましなほうのはずなのに。 実践前となれば訓練時の何倍にも重量がまし、後ろ髪が何かに引っ張られる感覚が爆発的に増加する。 気は進まないが、ここに今いる以上は行くしかない。 空中に打ち上げられると同時に、脚部ブースターの制御を開始。両足を前にだし、慣性を徐々に打ち消しながら滞空する。 いやというほど繰り返してきた作業で、その方法は身体に染み付いている。 ブレの少ない安定した浮遊ができているのを確認するとわずかに気分が落ち着いた。 「後は、支持された地点へ向かうだけ」 敵は現在どの辺りまで接近してるのだろうか。 126 :ヨゼフィーネ(ヨゼ)/焦茶髪青紫眼ふんわりレイヤーボブ/ロケット近接空戦型:13/09/19 23:38:45 ID:S1yFXnwP >>121 (ヨゼでいいのになぁ……) ぼんやりとそんなことを考えつつ、出撃前のハツエの言葉を思い返していた 「わたしにはやっぱり、ちょっとわかんないな」 曲がりなりにもヨゼはお嬢様、他人に頼られることも他人を頼ることもいい意味でも悪い意味でも慣れてしまっているのだ そんなことを呟きながらヨゼはカタパルトへと足をかける そのセイバーを着込んだ姿はすらりとすっきりと……いや、あっさりとしていた。 彼女のセイバー『シュネーフーン』はハードポイントに推進機関を備えた装甲を追加している つまり一般的なセイバーよりも装甲は若干厚い、それならばシルエットは全く逆に感じるはずだ。 こう感じてしまう理由は単純だった、『翼』がないのだ。 『シュネーフーン』は翼を持たない世にも珍しい空戦型セイバーなのである 「コネクト……ヨゼフィーネ、出ます!!」 カタパルトから撃ち出されるヨゼフィーネ、翼はなくも彼女の体から尾を引く光が広がっていた >>124 「エルゼ、中型と当たるのは初めてだから……モリオンを初めて使うことになると思う」 後方を飛行するエルゼに対しての通信 彼女は今までの出撃の中で中型と当たったことはない、となると当然モリオンも実戦使用されたことはないのだ 「だからきっといつもより迷惑かけちゃうかも」 ヨゼが語るには射出は準備中らしく、出てくるのは後になりそうだが…… 127 :御雲 玲花/瑞穂所属の黒髪ポニテ/近接特化の空戦型:13/09/19 23:43:13 ID:oIkmUJql >>120 「こちらこそ、共に頑張りましょう」 いささか緊張感に欠けた、いやリラックスしていると言うべきか そんな笑みを浮かべる彼女に応え、こちらも穏やかな微笑みを返す。 ふと気になったのは、彼女の着用するスーツ。 自身が使用するものと酷似するソレに、謎の親近感を覚えながらも、手を休めることなく出撃の準備を進めるのだった。 >>121 「皇国の武士の名に恥じぬ様、そして皆の健闘を祈って」 そう言ったところで、少女はふっと表情を和らげると、 「……頑張りましょうね」 そう優しく告げると、己のスーツを身につける作業に戻るのだった。 ――――――――― ディスプレイに次々と浮かぶ情報に目を通しつつ、機体との接続の最終確認を自動で行い、 彼女が駆るのは、鮮烈な真紅のセイバーユニット《桜華零式≫。 瑞穂の量産機である「橘花弐式」の面影を残しながらも、独自の発展を遂げた最新鋭機でえる。 「起動、確認」 そう告げると同時にコアに命が吹き込まれ、獣の唸り声のような、低い機械音を発し始める。 腰部、肩部にそれぞれ二つずつ、計四つ搭載された大型ウイング=スラスターが光を宿す。 「≪桜華零式≫御雲玲花、参る!!」 紅蓮の機体が、高速で飛翔する。 高度を高めつつ、編隊を崩さぬよう、目的地へと先行して進み始める。 128 :天城 初恵/黒髪黒目三つ編みおさげ/ジェット格闘戦型:13/09/20 00:08:18 ID:vCqw7fQP 次々と飛び立っていく少女たちの中に、初恵の姿もあった。 彼女の身を包むのは、深緑の具足の如き空戦型セイバー、橘花弐型。 瑞穂の制式機にして初の純国産ジェットユニットを搭載した、同国の象徴と言える機体だ。 「……同調確認。橘花弐型、天城 初恵で出ます!」 火花を散らすカタパルト。飛び立てば、髪留めタイプのヘッドセットから仮想HUD画面が現れ、90度に畳まれていた翼が開く。 脚部には車輪の他に、大型の推進補助システム。「手筒花火」の異名をとる、当機の機動性の要だ。 さて、セイバーユニットは――少なくとも、橘花弐型に関して言えば、2つの操縦系統を備えている。 ひとつめは、『コア』との同調を利用したBFS(ブレイン・フィードバック・システム)。 推力調整や仮想HUDのオンオフ、武装担架の操作、緊急の力場発生などが、思考で瞬時に行われる。 ふたつめは、パワードスーツとしての特徴であるMSS(マスター・スレイブ・システム)。 肉体と連動して強化装備が動き、戦乙女たちの鍛えあげられた技能をダイレクトに反映してくれる。 つまるところ、セイバーユニットとは肉体の延長線上にあるものである。 時代をいくつも飛び越えた性能と言われる力があろうが、最後に頼りになるのは自分の腕と生存への欲求だ。 同じ『コア』から力を引き出すセイバーとフィーンド、この二者を分かつもの。 それは、生きる意志を持つ者の意地に他ならない――!! >>all かくして、生存をかけた闘争は始まった。 高速型の機体には、敵の姿が。偵察能力の高い機からは、敵の戦力が見えてくるだろう。 逆楔型の編隊を組んで飛行するのは、航空フィーンド。 最後尾はデビルレイ型と呼ばれる、巨大なブーメランのような形状をした爆撃種だ。 周辺をレーザーで武装した「エイのような」小型飛行種、ロッヒェンB型が20体ほどで護衛。 その塊から500m近く海岸に近い先鋒には、ファルケン型と呼ばれる戦闘機じみた形状の中型が二体。 更に少し遅れて、少女たちは海上を猛スピードで駆けてくる影が見ることになる。 それは、脚部が大型のフロートユニット状になった人型の外貌を持つ――未確認の種だった。 だが、まだ武装がわかるような距離ではない。 砲撃が届く可能性は十分にあるが、少なくとも、このフィーンドから仕掛けてくる様子は見えなかった。 >>空戦部隊 あなた達の姿を視界に捉えた先鋒二体のフィーンドは、腹部から生えた旋回機銃状の器官からレーザーを放ってくるだろう。 くるり、と前方を扇状に薙ぎ払うレーザーが二本、交差して襲いかかる。 とはいえ光線は細く、発射直前に砲身の発光があるため、回避や防御兵装使用の余地はある。 129 :エルゼ/帝国軍服/航空爆撃型:13/09/20 00:24:13 ID:3A9T4Wzs >>126 「モリオンって……」 整備の時、幾度か見た覚えがある。 粒子を持った、とてつもなく巨大な実体剣。 確かに、あれを実戦で初めて用いるというのは、こちらもそれ相応の覚悟が必要となるだろう。 何せあれだけの代物だ、もし誤れば味方に被害を与えかねない。 「…………んー」 だが。 「……しょーがないですねー。 その代わり、ババッとでっかいの、やっつけて下さいよ?」 エルゼは至極軽い口調で。 笑みを返した。 >>128 「先鋒フィーンド二体、後方は何やら小さいのが大きいのを守ってるみたいですねー」 ヒンメルブルクの偵察能力はそこまで高くない為、具体的な種別までは判別出来ない。 そして、その後方から猛スピードで迫る種別に関しても、ヒンメルブルクは発見出来なかった。 「出来れば先手を打ちたい所ですがー――そうはいきませんよねえ」 迫り来るフィーンドのレーザー。 ヒンメルブルクに緊急回避を行うだけの機動性は無い。 ならば、取る手は一つだけ。 「エフ=フィールド、前面に集中展開」 言葉と同時、BFSは自動でフィールド出力を調整。 ヒンメルブルクの前方にエフ=フィールドの膜を展開。 防ぐ。 「……そして、これが本当のレーザーって奴です」 フィーンドのレーザー攻撃を凌ぎ切った直後、ヒンメルブルクは行動を起す。 腕部の戦術ユニットを展開、連結していたレーザーガンの起動を確認。 照準は先鋒のフィーンド二体。 横一線に薙ぎ払うつもりだ。 「これで、どうです――?」 レーザーの太さはフィーンドのと比べてもさほど変わらない。 だが、あの巨体で回避するだけの能力を持ち合わせているのだろうか。 130 :テン・ナイトフォールズ/水色髪ポニテ/スピードタイプ陸戦型:13/09/20 00:24:45 ID:ExWsKgD4 >>128 「なんだろうあれ……見たことのない種だけど……」 ふと海の方を見ると、見慣れない姿が。警戒し、水上の未確認種に右腕の火炎放射器を向ける。とは言え、まだ射程距離ではないだろう。 また、航空の方も気になるところ。だが、どのみちテンの装備ではもっと近づかないと攻撃は届かないだろう。 131 :チェルシー/空戦偵察型:13/09/20 00:25:52 ID:zJab2wZ5 >>128 破格の機動性とは言えBC型はあくまで偵察支援を目的とした性質。 感知範囲の広いゴーグル型モニターにははっきりと敵の戦力が映し出される。 そこからは速やかな情報処理。気を落ち着かせて、無駄のない報告を。 『後方で一際目を引く爆撃種と、それに追従する小型機がおおよそ20ほど。  それに先行しているのは中型の戦闘機型が2。砲撃してきます!!』 どれも過去の戦闘でデータにはある種だ。 猛速で迫る小型で、人の形を取った不定要素以外は。 『―――っ!!? もう一つ、接近するUNKNOWNを確認しました。 これは…セイーバーユニット?』 交差する光線は右足のブースターの出力を上げ、大きく下へ身を逸らす様にして対処する。 身振りが大きかったためかレーザーは大きく離れた位置を通過。 しょっぱなから被弾するわけには行かない。 (確認しないと、ヘタをすれば混乱が起きる・・・!) RRー14を構えつつ、手の甲からカメラポッドを射出。 そのままデータ不明のUNKNOWNへ。 カメラポッドの視界はそのままモニターの一部分に映し出される。 外装さえ把握すればそれが何かはわかる可能性は十分アリ、仮にわからなくても、向こうがポッドに攻撃をしたら。 その時点で警戒度を高めることくらいはできるはず。 132 :ヨゼフィーネ(ヨゼ)/焦茶髪青紫眼ふんわりレイヤーボブ/ロケット近接空戦型:13/09/20 00:28:47 ID:xT16LqGn >>128 「コンタクト、あれが中型……さすがにモリオンは間に合わなかったみたい―――――来たっ!」 中型フィーンドとの接触とそこからの攻撃、ヨゼはレーザー光を視認したことで瞬時に回避行動をとる 履いた大型スラスターの他に、背部と両肘、そして両膝のスラスターが方向を調整 体ごとくるりと回転させてスラスターの推進光が輪を描き、レーザーの斜線上すれすれをすり抜ける その動きはまさしくバレルロール いや、海中を鮮やかに泳ぐ人魚が身をひるがえしたかのような軽やかさすら保っていた 「ファルケンの射程が思ったより長い、ここは――――」 そして彼女の翼が向かった先は――――――『上』 敵の上方に移動したヨゼは体を振るようにして機体を切り返す 伸びた耳の様なアンテナが下を向き、少女の体には不釣り合いな足の大型推進ユニットが天を見上げる 雷鳥は黒雲の中で活発になるという、故にその名にライが与えられたとされる だがそのまま2体の内、右側の上空へと真っ直ぐ落ちてくる彼女は雷鳥ではなく『雷』そのものとも見えた 「Durch(貫け)!!!!」 引き金に欠けられた指に力が込められ、雷と共にある雨の様に銃弾が降り注ぐだろう フォーゲルシメーレに用いられる銃弾は8.38mmx58mm特殊弾、対フィーンド用に新造された代物だ 7.62mmx51mm弾より0.76mmx7mm大型化したそれは大きさ以上の威力を再現する、それは彼女の叫びと同じく標的を穿ち貫くだろう! 口を開いた彼女の瞳に出撃前の優しげな色はない 銃弾と同じく射殺すという言葉を体現する強さ、それでいて彼女の銃に備えられた巨大なバイヨネットの様な鋭さ 仮に敵へと落ちてくるヨゼフィーネという雷の進路上に敵がいたのであれば レーヴェンヘルツ―――獅子王と名付けられた880mmという大きさを持った、無骨で鉈の様な刃が引き裂くであろう! 133 :御雲 玲花/瑞穂所属の黒髪ポニテ/近接特化の空戦型:13/09/20 00:42:10 ID:yIFVBcz9 >>128 目的地へと接近を続け、やがて敵の本隊を視認出来る距離まで迫る。 そして、一足遅れて来る未確認種のフィーンド、どのような力を秘めているか分からない以上、アレは後回しにするべきだろう。 「となると、まずは編隊を切り崩すか」 直後に放たれたレーザーを、機体を捻ることで容易く回避し、 同時に両腰にマウントされた、日本刀を模した兵器を手に取り、二刀流に構えると、 同時に四機の大型ノズルが一斉に火を吹き加速、一旦降下した後、編隊を切り崩さんとその横方向から迫る。 「まずは、一撃」 編隊を構成する、小型フィーンドの集まりに肉薄した瞬間、手にした日本刀が紅い燐光を発する。 その光の正体は超出力のレーザー。斬撃の瞬間に放たれるそれは、フィーンドの堅牢な装甲を容易く切り裂く。 更に、このレーザーの特筆すべき点は、自在に射程を延長することが可能ということ。 つまりそれは、刀のリーチを超えた広範囲を一気に薙ぎ払う攻撃も出来るということで――― 編隊の一角をまるごと切り落す、真紅の一閃が放たれる。 134 :名無しさん :13/09/20 01:00:36 ID:vCqw7fQP >>129(エルゼ) ヴン、と捻れた異音を発して、ファルケン型たちはその身をくるりと翻す。 反応が早かったのは向かって右側の方で、こちらは素早いロールによって、レーザーの損害を背中に掠るのみに抑える。 敵は飛行型の中でも空戦タイプだ。その機動性は、サイズ不相応なものである。 一方左側のファルケンはわずかに動きが遅れ、巨大な光軸に左翼を消し飛ばされた。 だが、その損傷はじくじくと蠢動する細胞によって徐々に塞がれようとしている。 すぐさま再生することはないが、フィーンドとはコアを潰さなければ埒があかないものだ。 とはいえ、片翼の喪失がファルケン――仮にBとする――の運動性を削いでいることは疑いようはない。 >>131(チェルシー) 飛び交う弾雨をすりぬけて未確認種に迫ったカメラポッドは、至近で敵の姿を捉えた。 全高4m程度の歪な人型――特にその巨大な上腕は、既知種「キャバリアー型」と酷似している。 それに対し腰から下は多脚ではなく、機械的なホバー装置となっていた。 機構を満載した末端肥大型の両足。おそらく、類似した海戦型セイバーもあるにはあるだろう。 外見上はあくまでもフィーンドのそれである。 そもそもセイバー技術はフィーンドのテクノロジーを応用したものであり、これだけでは卵が先か鶏が先かは分からない。 ひとつ言えるのは、人間を同化侵蝕した個体では無さそうだ、ということぐらいだ。 なお、武装といえそうなものは巨大で硬質な両腕だけ、だが……。 刹那、カメラポッドに向けて左腕が翳されると、不意に空が歪む。 きわめて強力な――接触した物体を圧潰するほどのエフ=フィールドが、弾丸のように放たれたのだ。 >>130(テン) 間髪入れず、海上のフィーンドは加速し、右腕を盾めいて構えながら急激にテンへ向けて距離を詰めていく。 もし接近を許してしまえば、空いた左腕が砲弾の如き殴打を加えてくることは想像に難くない。 防御も、真ッ正面に対しては盤石である。 ――しかし、或いは。面を制圧する、広大な攻撃範囲を持つ武装に対してはどうだろうか。 /続きます 135 :名無しさん :13/09/20 01:19:17 ID:vCqw7fQP >>132 とどろきと共に放たれた無数の弾丸を、二体のファルケンが掻い潜っていく。 異形の推進ユニットから青白い光を漏らす、悪しき流星。 しかしながら、この弾幕は単純なヨーやロールだけで避けきれるものでもない。 無傷だったA個体の装甲表面がすこしずつ削り取られるのを感じたか――B個体が、動いた。 ごぉ、という爆音とともに光の尾が伸び、B個体は最大戦速を発揮する。 言ってみればアフターバーナーを燃焼させた状態だ。安定を欠いたまま、ぐんぐんと加速し、そして。 構えたヨゼフィーネと刺し違えるつもりで、激突を試みる! ――かと思われた、その瞬間。 「……ッ、させません!」 対峙する人とフィーンドの間を、4本の飛行機雲が横切って行く。――目を凝らせば、ロケット兵器だ。 それは迫るB個体に食らいついて爆ぜ、下腹をえぐり取り、弾き飛ばし、速度を奪っていく。 そして最後の一発で、闇の中でさえ「黒い光」を放つ『コア』が、露出した。 >>133 そのとき、刀の襲って来る側にいた10体が動きを見せた。 これらは本体からしながら更に密接した陣形を作り出し、大規模なエフ=フィールドを編み上げたのだ。 剣が振りかざされれば、連鎖する爆音。 これだけのフィールドを形成しても10体は破壊されたが――反対側の10体は無事で、デビルレイ型の損害も軽微だ。 ファルケンBの動きといい、これといい、敵は犠牲を恐れない。それがフィーンドの強さなのだ。 そして残りのロッヒェン型は浮上、とうぜん迎撃を試みて、一斉にレーザーを放ってくるだろう。 一本一本の威力はさほどではないが、網目のような照射が少女を襲う。 この時レーダーを見る余裕があれば、背後から近づいてくる味方機影があるのがわかるだろう。 ……橘花弐型の反応だ。 「少し、お待ちください」 彼女が辿り着けば、すぐさまロッヒェン型に向かって機銃を連射し、注意を引きつけてくれる。 そうしたら、あとは近接防御手段を欠くデカブツを叩き潰すだけと言えるのだが。 136 :エルゼ/帝国軍服/航空爆撃型:13/09/20 01:22:20 ID:3A9T4Wzs >>134 「一体の機動力を削ぐ事は出来ましたか――Herrlich」 だがいずれも未だ健在だ。 このまま正面より火力をぶつければ、撃墜は可能かも知れない。 しかし迫り来る後続と消費エネルギーを考えると、それは得策とは思えなかった。 ちらり、とエルゼは周囲の戦況を伺う。 「こちらの航空格闘戦力は揃ってますねー……では」 言葉が途切れ、エルゼが空を見上げる。 直後、ヒンメルブルクは上空へと飛翔を開始した。 ヒンメルブルクは鈍足だ。通常のセイバーと比べ、推進速度は遅れを取る。 しかし、通常のセイバーより巨体であるにも関わらず、その上昇速度は引けを取らない。 それは、ヒンメルブルクが元々そういう風に設計されているという事を如実に表していた。 「……さて、どんなもんでしょー」 そしてもし何事も無く高高度へ到達したならば。 ヒンメルブルクはその位置より測定を開始。 敵フィーンド全個体の位置把握を始めるだろう。 137 :テン・ナイトフォールズ/水色髪ポニテ/スピードタイプ陸戦型:13/09/20 01:22:33 ID:3UPZekM+ >>134 「速いっ!」 右腕の火炎放射器から炎を放ちつつ、後退する。 これは、攻撃というより敵の接近を防ぐための処置のようだ。 「さらに接近されたら……まずいよね……どうすれば……こんな時、お姉ちゃんだったら……」 さらに後退しつつ、思考する。もしも、姉がこの戦場にいたならば…… 「これしか……」 姉の考えと一致するかどうかは定かではないが、テンは懐から小型球状爆弾を取り出すことにした。 もし、敵にさらに接近されたならこれを近距離から叩き込むつもりだ。尤も、テン自身も爆風に巻き込まれる危険性があるが… 138 :チェルシー/空戦偵察型:13/09/20 01:27:51 ID:zJab2wZ5 >>130>>134 やはり既存チェルシーの持つデータには無い形状。 間違いなくフィーンドのそれである肥大した上腕、フィーンド感染者でないことはそこから把握できる。 少なくとも単なる撃墜対象として見ることができるのなら、楽かはともかく単純だ。 『テン機、UNKOWNがそちらへ向かいました。形状は特殊ですがはっきりとした敵意はあります』 『どうやらエフ・フィールドを射出する能力を持つようなので、ご注意を』 ワイヤーを巻寄せ回収したカメラポッドは、先端ごと丸々、無残なまでに焦げ溶け落ちている。 元より丈夫な作りではない。 データの採集は側部にたどり着いた際映りこんだもののみ、となるがこれ以上悠長に鑑賞するのは愚策。 『……援護します』 テンへ接近しようとするUNKNOWNへ向け、RRー14の射撃を開始。 弾幕は一点集中ではなく。相手の上へばらまくように、目的は装甲を貫くことじゃない。 とにかく相手の動きを抑制すること。猛進のスピードを緩めること。速さにおいてはこちらにも自信がある。 例えこちらに狙いが来たとしても、しばらくの時間稼ぎはできるはずだ。 139 :御雲 玲花/瑞穂所属の黒髪ポニテ/近接特化の空戦型:13/09/20 01:38:20 ID:yIFVBcz9 >>134 「決め切れない、か」 斬撃はフィーンドと群に確かなダメージを与えるも、切り落とせたのは約半数。 すると、接近する反応に気付く。それが橘花弐型のものだと知ると、すぐにその意図を察して、一気に下降。 ロッヒェン型からの集中砲火から逃れると同時に、橘花弐型の射線から離脱する。 「アンノウンは一先ず任せるとして、まずはあのデカブツを落とす……!」 落下を続け、編隊を真下から見上げる位置に辿り着く。 その瞬間、スラスターが再び火を吹き、急上昇を実行する。 二本の刃を握り締め、狙うはコアが剥き出しになったB個体。 瞬時に肉薄すると同時、超出力のレーザーを纏った斬撃が、そのコアを目掛けて精確に叩き込まれる。 この斬撃が決まろうと決まらなかろうと、桜華零式は攻撃の直後に機体を捻じり込むように回転させて、 付近を飛ぶA型に一気に接近、そのコアが存在するであろう場所をめがけて、同様に真紅の斬撃を振り下ろす。 140 :ヨゼフィーネ(ヨゼ)/焦茶髪青紫眼ふんわりレイヤーボブ/ロケット近接空戦型:13/09/20 01:43:28 ID:xT16LqGn >>135 「きゃぁっ!?」 横から介入をしてきたもう一騎のファルケン、不意を突かれた形になった彼女を救ったのは初恵のロケット弾だった ファルケンBを穿ったロケット弾が装甲を吹き飛ばし、そのコアが垣間見えた瞬間だった 「―――――今!!」 驚きの色は消えうせた、体を切り返すヨゼは真っ直ぐと銃口を向けて引き金を引く それは破壊された装甲の再生を防ぐために そして収束する光、その両足と、両腕と、背中から広がる輝き まるで弦に番えられた矢が弾き出されるように、轟音と光を羽の様に広げて閃光となる 真っ直ぐに構えられたバイヨネットを先頭として、その身全てで槍とでもいうかのような――― 風を塵を雲を切り裂くその銀閃は ただただ真っ直ぐ、視界に映る黒い宝石をとらえていた―――――!! 141 :名無しさん :13/09/20 02:05:04 ID:vCqw7fQP >>137 >>138 (テンとチェルシー) ラット・ライフルの的確な連射は、未確認種の力場を少しずつ、だが確実に、雨垂れのように穿っていく。 そして牽制の火炎放射は意外な効果を齎す。フィーンドのホバーの冷却機(ラジエータ)が、高熱で変調を起こしたのだ。 水上を翔けてきた筈の敵の動きは、今や通常のキャバリアー型と大差ないレベルにまで落ちている。 なおも小回りを利かせて向き直り、唸り声をあげながら力場を纏った拳でテンを殴ろうとする、が。 この攻撃さえ凌いでしまえば、退避しながら足元に爆弾を転がすことだって出来るだろう。 それを阻む防御用の腕に関しては、チェルシーが引きつけてくれている。 >>139 >>140(ヨゼと玲花) 銃剣と閃刃、交叉する2つの斬撃はそれぞれに過たずコアを捉え、更に胴体をも吹き飛ばす。 バラバラになったB個体の残骸は落下しながら爆散し、跡形もなく消滅した。 だがA個体は一筋縄では行かず、大きく機首を下げた。半ば失速するようにして、斬撃を躱す。 数秒の「落下」のあと、再度空力を取り戻したファルケンA個体は、その後はほぼ垂直に上昇を試みるだろう。 >>136(エルゼ) 上空から確認することのできる戦況は、以下のとおりだ ・最前衛に天城と御雲、中列にヨゼ、少し後方にチェルシー、地上前線にテン、後方でミーナが都市防衛ラインを死守 ・敵フィーンドのうち、ファルケンB個体とロッヒェンB型10体は完全沈黙を確認。残り10体は橘花の機銃で殲滅中 ・デビルレイ型に損傷はなく、ファルケンA個体のダメージも現時点で軽微。未確認種は速度低下を起こしている これらの情報は、同部隊に配属されている以上、用意にデータリンクできるだろう。 間合いということでいえば、高高度を取っているエルゼにとって全域が砲撃可能範囲だ。 そしてエルゼが注意深く状況を見ていたなら、ファルケンA個体が高速で上昇を始めることが分かるはずだ。 一定の高度で宙返りを決めて反転するA個体――ミーナはその背中に、異変を見る。 ――ハッチ内部に隠された無数のマイクロミサイルが、今まさに放たれようとしているのだ。 本数は、数十本としか判断できない。だがその攻撃対象が『空中にいる全員』であることは明らかだった。 A個体は、赤い非殺傷性ガイドレーザーを、空戦型5機めがけて放ってくる――! >>all その後ファルケンA個体は、無数のミサイルをスプレーのように投射してくるだろう。 ジェットエンジンの熱を追尾する特性をもったそれは、一人あたり10本前後襲いかかってくるはずだ。 撃ち落とすか、防御するか、回避するか。どれにせよ一筋縄ではいくまい。 或いは、再度接近してくるファルケンを叩き落すことに集中する、という選択肢もあるが――。 「……はッ!?」 なお、この攻撃はロッヒェン型を機銃で撃ち落とし、デビルレイ型に超振動剣で襲いかかろうとする初恵の背にも、平等に襲いかかる。 誰か一人くらいは、そのことを覚えていても良いかも知れない。 142 :テン・ナイトフォールズ/水色髪ポニテ/スピードタイプ陸戦型:13/09/20 02:26:51 ID:1R7mibik >>138,>>141 「エフ・フィールドを!?厄介な能力があるみたいですね…… すみません。援護、感謝します。」 チェルシーの援護を受け、勝機が見えてきた。 「今なら……いけるっ!」 スピードタイプのサラマンダーならば、これくらい避けられる。エンジン付ホイールを駆使し、拳を回避。 そのまま、持っていた爆弾を敵の足元へ転がした。 問題はミサイルの方だ。避けるにしても、数が多すぎる。 「え、ミサイル!?ど、どうすれば……ええと、そ、そうだ!」 何を思ったか、再び懐から爆弾を取り出す。そして、それをミサイルに向かって投げつけた。相殺狙いのようだ。 爆風は怖いが直撃よりマシ。そう考えての行動だ。 143 :エルゼ/帝国軍服/航空爆撃型:13/09/20 02:31:08 ID:3A9T4Wzs >>141 「ロッヒェン型は大方殲滅済み。 残るはデビルレイとファルケン、そして未確認種ですが――」 ここまで把握を終え、戦術ユニットを通じてデータリンクを終えた所で、エルゼの言葉は途切れた。 その理由はファルケン型の見せた行動。 それが放つレーザーは、エルゼをも含む空戦型五機に照準を定めるガイドレーザー。 照射の光を浴び、しかしヒンメルブルクが動じる事は無かった。 「これは、急がないとマズいですよねー……!」 焦りを滲ませる言葉とは裏腹に、その行動は一切の迷いを見せなかった。 まずヒンメルブルクの背部ミサイルポッド・脚部ミサイルポッドが展開。 55mmのマイクロミサイル三十連装と、72mm三連装ミサイルポッドだ。 狙う先はファルケンA個体。 マイクロミサイルを放った際に展開されたファルケンA個体のハッチ。 そこに目掛けて、三十六発全てをぶちかます。 誘導付きだ、逃がしはしない。 「続いて第二射……!」 肩部に一門ずつ連結された7.6cm単装砲、及び腰部連結のコイルガンをマウント、展開。 狙う先は未だ無傷のデビルレイ型。 コアを狙うつもりはない。 ファルケンの攻撃に乗じての突破を阻止する為、一瞬でも動きを止めようというのである。 装填完了――発射――発射――発射! 三発の砲弾が遙か上空より、デビルレイを射貫かんとばかりに風を切る。 「後はミサイル迎撃のみですが……!」 それが一番難しいのだが、しかしここで仕損じる訳にはいかない。 ヒンメルブルクは手に装備していた軽機関銃を投げ捨て、腕部の戦術ユニットを展開。 レーザーガンを使用する。 ヒンメルブルクの残りエネルギーは少ない、ここで外せばエフ=フィールドの出力不足で致命傷は免れないだろう。 だからこそ、やるしかない。 「――この一閃にて、薙ぎ払う……!」 光線を超え、長大な光剣と化したレーザーで、ヒンメルブルクはマイクロミサイルを切り払おうとする。 そして、切り払うのは自分に向かってくるものだけではない。 「そっちもやばそうですしねー――!」 ヒンメルブルクは、初恵に襲い掛かるマイクロミサイルをも、切り払おうとしていた。 144 :ヨゼフィーネ(ヨゼ)/焦茶髪青紫眼ふんわりレイヤーボブ/ロケット近接空戦型:13/09/20 02:34:00 ID:xT16LqGn >>141 「ありがとハツエ!」 ファルケンのコアを貫いたヨゼは、自分以上の功労者である初恵へと礼を伝える 「わたしはハツエのこと、頼れるよ」 何かを思い出したかのように、ぱちりとウィンクを送りながら言葉を紡ぐ それは出撃前に初恵が言った台詞に対する答え……なのかもしれない ふとそんな茶目っ気のある表情が一変して、そのままヨゼは後ろを振り向いた 何かの存在に気付いたかのように、何かの存在を察したかのように 「きた―――――」 後方、つまりは海側ではなく陸側から何かが空を切って接近してくるのが、各自のセンサーに捉えられるはずだ 大きさ的には6m程度の縦長、F=フィールドとは少し異なった特殊な領域を発生させるそれ 基地から射出されたものでほぼ間違いない、では何だというのだろうか それは戦闘機ではない ミサイルでもない ましてやセイバーではない 飛来する黒に対して手を伸ばすヨゼに反応するかのように、それはその身を引き延ばす。 引き出されたのは平行に配置された2本の棒、それに指をかけたことで漸くにして全容が見えてくる ただただスケールが違いすぎたのだ、それをそう捉えるには 「―――――わたしの『剣』が」 最大全長5.8m、刃渡りのみで4.6m―――――― 一般的な1階の高さが3mであると言えば、その異常な大きさが伝わるだろうか 縮退炉と同等の能力を有するコアを持ち、内部に走る粒子サーキットが光の線を黒の刀身に映し出す 対中大型個体決戦用巨大実剣『モリオンブリンガー』、彼女の振るう本当の剣 線ではなく面を薙ぎ払うような一撃が、自身と初恵、そして広すぎる間合いの中ミサイルを打ち砕く その大剣の最初の仕事はただ振りかざし、自身と仲間に迫るミサイルを薙ぎ払う事だった 「ここからはわたしの時間だ――――!!」 彼女のセイバー『シュネーフーン』の持つ姿勢制御システムMSACS、本来ならば安定した飛行を行うために必要なそれを解除する 完全マニュアル操作ですべての推力を一方に収束、このセイバーにウィングはない、だからこそ安定というものをかなぐり捨てた加速というものが与えられる 集約したスラスター光は箒星の様に広がりを見せ、あたかも体から光によって作られた翼があるかのように その軌道はおおよそ飛行とは呼べたものではない 時に直角にすら曲がるその動きは闇夜に線が引かれるような超高速にして超変則機動 流星と見まごう動きでファルケンへと接近しモリオンブリンガーを高らかに構える 「サーキットセレクト……モードシュライ!!platzen(弾けろ)!!!!」 振り下ろされるは圧倒的質量による黒の一撃、さらに圧縮された粒子が収束されたその刃は切断時に爆砕を行う 破壊を体現したこの刃、受けきれるものか――――――!! 145 :チェルシー/空戦偵察型:13/09/20 02:34:21 ID:zJab2wZ5 >>141 (どうやら上手くいったようですね…) 空域でのファルケン中型が一つ、反応が消失するのをモニターで確認。 取り巻きの小型も初恵の掃討により約半分程度にまで減っている。 地上の中型――UNKNOWNもテンの火炎放射器と自身の牽制が聞いたのか動きはかなり鈍っていた。 残りは弾薬パック一つを撃ち切るまで牽制を続けたかったが、そうは問屋が下ろさないらしい。 「広範囲一斉射撃……」 チェルシーがそれに気づいたのは、ファルケン型が浮き上がり、赤いレーザーサイトを周囲に展開して数秒後。 振り返った時には既に投射の予備動作に入っており、とっさに背部ウィングを展開する。 戦慄した。 桁外れのミサイル量。装填数の減ったRRではとても容易に撃ち落とせる量ではない。 幸い、ファルケン型とは他機に比べ距離が開いていたため、接近するまでにRRの銃口を向ける余裕はあった。 「落ち着いて、落ち着いて。落ち着いて照準を―――今っ!」 ミサイル郡の最も先行してきた対象と照準があった瞬間、引き金をひき。 それと同時にウィングとブースターの出力をあげ、急速に上昇する。 数もあればどうやら追尾性もあるらしい。もはや冷静に狙いを定めていられるほど距離は離れていない。 自身の飛行した軌跡にそってライフルを乱射する。 取りこぼしがあった場合は最悪グレネードでの相殺もしくは障害物での衝突を狙う。 初恵に向かうミサイル迎撃の余裕はない。 一発喰らえばフィールドがあるとは言え、ヘタをすれば馬鹿にもならない装甲なのだ。 146 :御雲 玲花/瑞穂所属の黒髪ポニテ/近接特化の空戦型:13/09/20 02:40:58 ID:yIFVBcz9 >>141 斬撃を躱され、更に追撃を仕掛けようと身構えるが。 数秒間の落下の後、再び上昇してきたファルケンの挙動に、眉を潜め―――すぐさま回避行動へと移行する。 「この距離は……少々不味い」 スラスターノズルを一方向に集束させ、無理矢理ファルケンの元から飛び退くと同時、 放たれた無数のミサイルが、自身を目掛けて一直線に迫り来る。 反射的に機体を持ち上げ、一気に上昇。追尾してくる十数のミサイルを確認すると同時に、ターン。 高速度を維持したまま、ミサイル群を真っ向から迎え撃ち―――接触の瞬間、両手に構えた真紅の刃で全てを薙ぎ払う。 放たれた紅蓮の一閃は、ミサイルが巻き起こす爆炎すら両断する。 そうして爆炎の中に一瞬だけ生じた、隙間のように僅かな安全地帯。その中を桜華は無謀にも突っ込み―――潜り抜ける。 「……喰らえ、物の怪」 神掛かった技量と機体性能があって、ようやく可能な芸当を成し遂げ、 そしてミサイルを超えた先に待ち構えるのは、ミサイルを打ち尽くしたフォルケンの姿。 彼女の構える二本の剣が、一際強い輝きを発する。 刀身より発生する高出力レーザーが刃を形成し、何処までも伸びてゆき―――――― 「――――――鳳仙花・最大出力」 中型フィーンドですら容易に切り裂く超巨大刃が二つ、 交差するように、振り下ろされた。 147 :ヨゼフィーネ(ヨゼ)/焦茶髪青紫眼ふんわりレイヤーボブ/ロケット近接空戦型:13/09/20 02:43:43 ID:xT16LqGn >>144 //しまったターゲットがファルケンに偏ってるwwデビルレイに変更でお願いします 148 :名無しさん :13/09/20 03:29:50 ID:vCqw7fQP >>142 キリキリと車輪を鳴らして未確認種の拳を回避し、更に爆弾を転がす。 上空のミサイルに向けて、追加の爆弾を投げ上げる。細かい動きの積み重ねが、勝利を引き寄せていく。 フィーンドが腕を引き戻そうとした直後、突き上げる爆風。 重ねて、脚部浮遊ユニットに誘爆。衝撃は内部のコアまで達し、全身が焔の中に崩れ落ちるのが見えた。 体内を破壊されてしまえば、自慢の力場も意味を為さぬ。 そしてミサイルもすんでのところで食い止められることになる。 破片をもろに浴びでもしなければ、重篤なダメージを負うことはないだろう。 ひとつひとつの動きは地味でも、もたらす結果は十全だった。 >>143 フルオープンアタック。兵器という兵器、武装という武装を解き放つエルゼの攻撃は、正しく殺戮の嵐だ。 降り注ぐ三十六のミサイルを、さしものファルケンもすべて逃れる事はできない。 いくつかは狙い通りハッチに吸い込まれ、またいくつかは推進器に追いすがって、弾ける。 目に見えて機動は鈍り、敵の体内は第二射もあり得ない状態に追い込まれたろう。 次にデビルレイだが、流石に強力なフィールドを形成している。 だが三発の同時着弾砲撃の威力は、それを上回った。球形の力場に、大穴が穿たれたのだ。 つきぬける衝撃はその巨体を揺るがし、敵は姿勢制御に労力を割り当て始める。 最後にミサイル。これはもう、清々しいまでに薙ぎ払われた! 光のなかで無数の華が開き、大気を震わしながらも、爆炎が彼女たちを焦がすことはない。 それは初恵も例外ではない。寸分狂いなく、迫るミサイルだけを叩き落としていく。 助けられたことで初恵は、何か言いたげにふるりと身を震わせたが。 このチャンスを無駄な動きで潰すわけにはいかない。一瞬だけ顔を向け、今は再び敵に立ち向かう。 >>145 大胆なすらスターの噴射と、決死の銃撃が織りなす機動、それは舞踏にも似ている。 全力を尽くして放つ攻撃はひとつひとつが糸を引いて這いよる脅威を、フィールドを貫く直前で墜としていく。 今はまだ、天使とダンスを共にするべき時ではない。 最後の一発は危ういところまでチェルシーに迫ったが、グレネードまで使えば対処は可能。 あなたは情報の主人、斥候。自分の身を護り尽くすことこそが、最大の貢献となるのだ。 >>146 年季のお陰だろうか、ここ一番の動きはやはり図抜けている。 瑞穂の最新鋭機は玲花のスキルをフルに表現し、この芸術とも言える回避を成し遂げた。 悪魔のハヤブサは、エルゼの攻撃で羽根を毟られたも同然。 真っ向勝負の斬撃に対して抵抗を行う余地などなく、ずんばらりと両断される。 機械とも生物ともつかない断面に、ふたつに割れた黒い塊が見えたかと思うと――身体ごと、爆ぜ散った。 149 :名無しさん :13/09/20 03:30:15 ID:vCqw7fQP >>144 天を支える柱がほんとうにあるとするなら、こんな形をしているのだろうか。 剣の一振りが嵐を齎し、ミサイルはことごとく砕け散る。爆風がわずかに届くかもしれないが、わずかだ。それほど剣は異常だった。 恐ろしいまでの姿に目を丸くしながらも、初恵はその意を汲んで動いた。 姿勢を整えながら全速で市街へ向かおうとするデビルレイに、エルゼが開けた大穴から残り五本のロケットを注ぎ込む。 立て続けの爆発が晴れると、ついにぐらつく巨体の背中にコアが顔を出した。 「……トドメを、お願いします!」 ――言われるまでもないだろう。 モリオンブリンガーはデビルレイの分厚い装甲を、木屑のように粉砕していく。 爆発と二段構えの攻撃は、1ミリ厚の修復も赦さない。 剣が振り下ろされた後、デビルレイは真っ二つに鳴ったファルケンと対照的に「消滅」した。 コアの崩壊による自壊が起こるより先に、フィーンド細胞が全て死滅してしまったのだ。 >>all 《……フィーンド25体、沈黙!》 《残存F力場反応なし。フィーンドコア、全ての消滅を確認!》 《作戦は成功です。セイバー部隊、帰投願います》 女性オペレーターの声を聞きながらあなた達が還るポンペイ・シティ市街地に、ざっと見て被害はない。 軍事基地にはレーザーの流れ弾痕と思しき線がいくらか引かれていたが、幸いにして死者は出なかったようだ。 誰のレーダーにも新たな反応はなく、終わった、と判断してもいいだろう。 新種のサンプルがほとんど残らなかったのは痛手だが、フィーンドに自壊の性質があり、捕獲の余裕は無かった以上、しかたのないことだ。 ――とにかく、この街はあなた達の活躍によって、また守られたのだ。 150 :チェルシー/空戦偵察型:13/09/20 03:48:07 ID:zJab2wZ5 >>148 『デビルレイ型。ファルケン型。UNKNOWN。それぞれの沈黙と消滅の確認――了解しました。  BraveChicken5号機、帰投します』 近距離で炸裂したグレネードの爆風で弾き飛ばされた後、再びスラスターを吹かせて空中での態勢を安定させる。 後半の無茶な飛行がたたったのかエネルギー残量はイエローゾーンの中間を容易に切っている。 RRの弾薬パックは一発たりとも残弾はありはしない。 だが、確かに今戦闘は終わった。 無事未確認タイプのフィーンドと、帝国や瑞穂の空戦型セイバーユニットの情報を持ち帰ることができる。 そして何よりこうして無事、生き残ることができたのだ。 「―――はぁあ、怖かった」 背部ウィングの収納、そして帰投報告まで終え気が抜けたのか。 心うちに押し込めておくことができなかったのだろう。 がくり、と頭を垂れながらぽつりとそうこぼし。 後に声に出ていたのに気づいて。 恥ずかしくなり頭を掻き毟りながら「ポンペイ・シティ」基地へと帰投することになるのだった。 151 :ヨゼフィーネ(ヨゼ)/焦茶髪青紫眼ふんわりレイヤーボブ/ロケット近接空戦型:13/09/20 03:59:44 ID:xT16LqGn 己が一撃による爆炎と黒煙を剣の翻りで打ち払い、その間から姿を月光の下へと見せる そこにデビルレイの姿はない、目の前の障害は退魔の晶剣が打ち滅ぼした―――そう、倒したのではなく滅ぼしたのだ 周囲をくるりと一瞥し敵性反応がないことを確認すると、ようやくして剣を降ろした 「任務完了……うふ、帰ろっハツエ、エルゼ、みんな」 ブリンガーを左手に右手を胸に当てて微笑む姿に、刃を振い引き金を引く際の面影はない ヨゼフィーネはその父である大佐の血を間違いなく継いでいる、戦う姿はその豪快さと強面で鉄血で恐れられるその姿を体現したかのようだった 「ところでブリンガーはやっぱり欠陥品ね、演習の時も思ったけどこれ帰るときは手持ちなの何とかならないのかな……」 しかし本人はそんなこと知ったことではない、父と似ているなんて娘である彼女が思って居いる訳もないのだ どこか溜息が聞こえてきそうな言葉を漏らしながら、恨めしそうに自らの剣を見据えながら帰路へ着くのだった 152 :シルキィ/ふわふわ金髪ボブ&白いワンピース、黒のチョーカー:13/09/20 18:05:33 ID:HnWfvmCg ――――スエズ前線基地内・中庭―――― ふわふわの金髪をなびかせながら、ふわふわと歩を進める少女がひとり。 右手にもっているのは一冊の文庫本。 身にまとうのはシンプルなアイボリーホワイトのワンピースとサンダル。 そして、黒いチョーカー。 午後の日差しが優しくなった頃の時間。 憩いの場である中庭では、すでに数名の人々が、思い思いの時間を過ごしていた。 そこに今ひとつの人影が加わった。 先客達は、彼女の首もとの黒を見ると微妙な表情をする。 あの子が例の、だれかがそうつぶやいた。 しかしとうの彼女はどこ吹く風で、一本の木の下へ。 すとん、と腰を下ろして文庫本のページを開く。 微風の中、ゆっくりかすかに紙がめくられる音が響く。 ぺらり……ぺらり……ぺら…… 「Zzz」 やがて、止まれば、かわりに漏れるはちいさな寝息。 木の幹にもたれ、文庫本を控えめな胸元に預け、サンダル履きの両足を前に投げ出して。 あどけない顔で居眠りをする『首輪つき』に、声をかけてみる者はいるのだろうか? /八時位までになりますが……よろしければ 153 :天城 初恵/黒髪黒目三つ編みおさげ/ジェット格闘戦型:13/09/20 22:13:28 ID:vCqw7fQP ここはアルビオン南岸、「ポンペイ・シティ」基地内の洗面所。 そこで、一人の少女がうがいをしていた。 既に正午を回っているというのに彼女はやけに眠そうな様子で、しきりに目元を擦っている。 「寝かせてくれたのは有難いですが……ううん、もうお昼ですか」 控えめな所作で水を吐き出すと、大きな鏡に映った自分を見て、ぽつり。 彼女がこんな夜更かしをしなければいけなかったのには理由がある。 昨夜、この街に久々のフィーンドによる襲撃があり、少女は最前線で迎撃任務に参加していた。 ――しかも初の実戦。 身体に傷をつけることは無かったが、極限の集中を何十分も続けて戦うのは、新兵の彼女には特に堪えた。 それでも辛うじて昼に起きてきて、これから向かう先は食堂だ。 いつもは一人で食べることに抵抗のない彼女だが、今日はふと視線を巡らす。 誰か、昼食を共にできる人なんて、いないかなぁ……と。 なお、セイバーユニット部隊は一度の戦闘で全てが前線を張るわけではないし、移動も激しい。 昨日フィーンドと直接に砲火を交えていない者も、きっと居ることだろう。 154 :ヨゼフィーネ(ヨゼ)/白金髪青紫眼やわらかレイヤーボブ/:13/09/20 22:29:14 ID:xT16LqGn >>153 「あら……?」 独特のやわらかさを備えた、どこか間の抜けているような声が初恵の耳に聞こえるだろう 声の方へと視線を動かしてみれば、先日と同じ微笑みを見せる少女の姿が映るはずだ 「ハツエ!こんにちは……じゃなくておはようみたい」 ヨゼの言葉を察するに、彼女は規則的に起きたのだろう 既にきっちりと黒の軍服に着替えており、ブラウスの首元を結ぶリボも黒のストッキングもばっちり決まっている。 「前回はお疲れさま、ハツエはこれから訓練なの?」 だがほんの少しだけ肌が赤みを帯びているというか いつもなら空気を含んでやわらかそうで髪の毛がどこか潰れてしまっている印象を受けるはずだ 155 :名無しさん :13/09/20 22:30:34 ID:UgnfSrQN >>153 「ニシシ……儲け儲け。本の移動をさせる手伝いだけでお菓子が貰えるなら簡単な労働だよねーっ……て、およ?」 偶然にも其処を通りかかったのは、彼女よりも二つ歳が離れた少女 名は一明 優実と言ったか――兎に角、つい先日この基地へ移動してきた為、必然的にも転入生めいて目立つだろう 目立つのはその為だけで無く、性格の所為でもあるのだが 小さなタケノコの形に作られたお菓子を一つ頬張って、悪巧みを隠しきれませんといった笑顔を浮かべ、洗面台に立つ彼女へと近づいた 「こんにちは……いや、その寝ぼけ顔を見るとおはようって言った方が正しいのかな? よし――おっはよー!!ほらほら、ちゃちゃっと歯磨きしてご飯の所に行かなきゃ、他の食いしん坊達に全部食べられちゃうぞっ!」 ドーンと擬音でも付きそうな位の勢いで突撃。そして、わしゃわしゃと髪を撫でながら抱擁 移動早々に話題と一つとなったのはこの性格のため。何を隠そう紹介早々に近くの子にちょっかいを掛けたりするのだからしょうがない 少女が驚いたなら成功と言わんばかりに笑うだろう。驚かずに冷静に対処されたなら、どちらが年上か分からない位にむつけるだろう 結果が何であっても、後から訪れたりしたら疑問に思えるような光景が出来る訳で 156 :天城 初恵/黒髪黒目三つ編みおさげ/女学生風セーラー:13/09/20 22:53:20 ID:vCqw7fQP >>154 「あ、おはようございます。ヨゼさん。お元気そうで何よりです」 対する初恵はというと、いつもの三つ編みではなく、簡単な二つ結びのお下げ。 私服兼基地内服のセーラー服だけは、ぴっちりと着こなしているが。 「……ヨゼさんは丁度切り上げてきたところですか? お疲れ様です  わたしは3時からだったので、まずお昼ご飯です。」 汗に濡れたのだろうか、上気した様子の顔を見やりながら。 「あ、あの。よろしければ、ご一緒に……」 昨夜の戦闘で親密な仲になったとはいえ、彼女はもとより社交的なことが得意ではない。 頭でっかちの弊害で、まくし立てるときはまくし立て、冗談も飛ばすが、肝心なときに自信が出ないのだ。 一緒に、とまで言って、彼女は恥ずかしそうに口を噤んだ。 >>155 ……その時、背後から謎の腕。 だが初恵は大きな反応は見せず、かと言って受け流そうとしたりもせず、 「――え、何ですか? ……ごめんなさい、もう一度言って下さい」 と、ある意味ではいちばん酷な答えを返すだろう。 あまり交流の無い相手からの突然のスキンシップにうまく対処できるほど、彼女はまだ出来ていないのだ。 157 :ヨゼフィーネ(ヨゼ)/白金髪青紫眼やわらかレイヤーボブ/:13/09/20 23:11:33 ID:xT16LqGn >>155 「きゃっ!? 」 初恵へと話しかけることばかり気にしていたヨゼだったが、突如として話し相手に起こった変化に眼を大きく開いて驚きの声を上げる その反応は当の初恵よりも良い……という何とも言えない状態である 彼女も初恵も水を使っていなかったのは幸いか、水がかかるという事故はなかったようだ そんなヨゼは事を起こした本人の姿を見て何かを感じたらしく、少し首を傾けながら疑問符を浮かべた。 「あら……?初めまして、あなたも瑞穂の人でしょ?」 そう、ヨゼは彼女の姿をまだ見たことがなかったのだ 少なくとも先日のスクランブルの際にはその姿を見ていなかった、おそらくは時間がずれていたのだろう そして瑞穂の人間だとヨゼが半ば断定的なのはその容姿だ、瑞穂の人間は東洋人の中でも特に特徴的に見える 「わたしはヨゼフィーネ・ボールマン、グロースクロイツに所属しています、ヨゼって呼んでね」 胸元で両手の指を絡めながら、屈託のない笑顔を見せて挨拶をする少女 帝国の黒軍服を身に纏う姿はこういった若年齢には服に着せられているような感じはまるでせずよく似合っている 年齢と言えば優実と同じ位……いや、初恵と優実の間くらいだろうか? そして、もしかしたらこのメンバーの中では1番背が小さいかもしれない 「あなたの名前は?」 厳粛さをある種売りにしている帝国軍人とは思えない、ぽわぽわとした雰囲気を見せながらそんなことを訪ねてきた >>156 「うん、わたしは早い時間からあって、今さっきシャワーを浴びてきたところ」 どうやら汗ではなくシャワーを使った後だったらしい、それならば同じ水場で近しい洗面台を通ったのも納得だ きちんと乾かしはしたのだろうが、まだどこか水気を含んでいるプラチナブロンドの髪の毛に指をかけて光に透かしている 「ブリンガー……昨日使った剣なんだけど、初めての実戦投入だったからその調整もしなくちゃいけなくて、周りに人がいない早い時間にやっていたの」 昨日使った剣と言えば、あの巨大な実剣の事で間違いない、本人も実戦では初使用だとあの時漏らしていた 確かにあのサイズでは周りに人がいる環境で取り回すのは難しい、ある種の貧乏くじの様な物だろうか 「あら……?」 彼女が言いかけた内容をヨゼは理解しているとはとても思えない反応を見せた 事実何を言いかけたのかは分かっていない、だから次に出てきた言葉はほんの偶然だった。 「そうだ、起きたばかりって事はハツエはご飯まだでしょ?わたしもなの、さっきからおなかが鳴りそうで……一緒に食べない?」 自らの腹部に手を当てて空腹であることを示しながら、ほんの少し照れたように頬を染めて笑った 158 :一明優実 :13/09/20 23:26:43 ID:UgnfSrQN >>156 がっくりとした文字通りの様を見せて、頭を垂れた ぶーぶーと文句を垂れながらもお菓子を食べて、やがては離れる 「別に何でも無いですよーっと ……所で、話を聞くに今からご飯食べに行く所?」 食事前だというのに、よくもまあ食べれると感心するくらいにカリカリと頬張っていた 答えを待ちながら、カリカリと食べていた所に >>157 掛けられた声に対しては、きょとんとした様子を見せた ヨゼが驚いたことに対しての反応なのか、自分の国を見事言い当てられた事に対してかは分からない 「凄いねぇ~……言い当てられちゃったよ うん。初めまして、だね。宜しく、え~と……ヨゼ 取り敢えず、親睦の印として一個食べる?」 笑顔には笑顔で応えて、菓子の一つをひょいと緩い弧を描きながら投げ渡そうとした 国が違えば、制服も異なる。勿論、気質だって大きく違うだろうから衝突する事だってあり得ない話でも無いはず ……少なくても、この場では関係のない話かもしれないが 「私は、一明優実。渾名は……無い、かな? つい最近この基地に来たばかりで右も左も分からなくてさ~……ほら、場所によっては何か規則とかありそうだから まあ、幸い今までそんな場所に勤務した事は無いんだけど……ヨゼってば何か詳しそうだし、色々知ってる事とか無い?」 些細な情報でも良い。来たばかりだから、施設であろうと何であろうと全てが大切な情報に変わりはない 訪ねられた事にはしっかりと返し、続けて訊ね返す 159 :名無しさん :13/09/20 23:46:40 ID:vCqw7fQP >>157 拙い言葉を代弁するような提案に、初恵は、 「ほ、本当ですか。ぜ、ぜひ、ご一緒させて下さい……!  ありがとうございます……ヨゼ……さん」 こんなに喜ばなくても良いのに、という程に目を輝かせながら、頭を下げてくる。 慇懃というか、固すぎるというか。傍から見てて面白いような動きかもしれない。 それから、仕切りなおすようにこほん、と一つ咳払いをして。 「……それにしても、あの剣は途轍もない代物でしたね。  通常弾や突撃してくる小型種はイザ知らず、爆発性のものを切り払えるなんて考えてもみませんでした。  ほんとうに、助けられたのです」 対フィーンド武装が大型化するのは宿命のようなものだが、それでもモリオンブリンガーは突き抜けた設計だ。 キャッチできなかった場合にどうなるかとか、帰投時は流石に邪魔だなぁとか、思う所は無いでもないが。 アレのお陰で、爆撃種にかける時間とリスクを大幅に短縮できたのは間違いなかった。 >>158 「そんな感じ、だと思います。  ……あっ。自己紹介、まだでしたね。わたしは天城……天城、初恵(あまぎ・はつえ)です」 名前や顔立ちからして、彼女もまた瑞穂の出身なのだろう。 そう言えばこんな子が組に一人くらいは居るかもなあ、と初恵は思った。 嫌いにはなれない……というか、その積極性は羨ましい。 「一明さんも、食堂に?  もう既にお菓子を食べているみたいですが……」 一緒に行こう、とまでは言えずに、ぼんやりと訊くだろう。 160 :ヨゼフィーネ(ヨゼ)/白金髪青紫眼やわらかレイヤーボブ/:13/09/20 23:58:51 ID:xT16LqGn >>158 「あら?ありがとう……ドリル?」」 小さな三角錐型の親睦の印を手のひらに受け取ると、その姿を見てヨゼは首をかしげる 確かに見えなくはない、帝国人にはなじみのない形状だったのかもしれない 形状に一抹の疑問を感じても、ひょいと口に入れてしまえば関係はない サクサクと歯で噛みしめ、舌で甘いチョコを味わえばその疑問も吹っ飛んでしまったのだろう 「甘くておいしい!瑞穂の食べ物はほんとふしぎ……ユーミね、宜しく!」 瑞穂の人間はラストネームが最初に来てファーストネームが後ろに来ることを、瑞穂人だと見抜いたヨゼは当然知っている それでもわざわざ名前で、しかも一見すれば愛称とも取れそうな呼び方をしたということは、相当人間関係がイージーな分類に入るのだろう 「あら……、わたしはアルビオンの人じゃないから施設の全ては分からないかも」 「それに、わたし、その……規則の方もあんまり詳しくなくて……」 だんだんと言葉尻が弱くなっていく、確かにヨゼのこの姿を見る限りとてもじゃないが規則に詳しいとは思えない むしろ彼女は相当ゆるい、上官を愛称で呼んでしまうくらい……割と致命的な方向で 「あっ!うふふ、でも今からなら一か所案内できるかもしれない」 何か思いついたらしく、どこか悪戯っぽい笑みを浮かべるヨゼ 初恵との話の流れを考えれば、十中八九食堂に付き合せるつもりだろう >>159 「よかった、お昼にはちょっとずれた時間だし、一緒に食べる人はいないと思ってたの」 うなずいてくれた彼女の姿にどこかほっとした様子を見せた 初恵は寝ていて、ヨゼはシャワーと理由こそ違えど同じことを思っていたようだ こういった思考はやはり年相応ということだろうか 「一人でご飯はやっぱりさみしいから、ふふっ、ハツエが寝坊すけで良かった」 丸々とした片目をぱちりと閉じてウィンクをして見せながら、小気味のいいジョークを転ばせる 先日の出撃前もそうだったが、時折こうったじゃれる様な発言を混ぜ込むタイプらしい ぺろりと舌を見せながら、初恵の切り替えた話題に耳を傾けた 「あれは中身が中身だから……あの剣もコアを持っているんだけれど、ちょっと変わりものらしいの、フィールドも普通の物とはちょっと違うし」 かなり言葉を濁しているところを見て、中身は別国の人間には教えられないということか 前回の戦闘で『パターン』という言葉を使っていた以上複数の状態があることを示す、つまり無知であるということは決してないのだ 危険な代物だから、それとも独占技術としてとって置きたいからなのかは……聞くことも考えることもできない話だろう 「ところでハツエ、いいよね?」 急にこんなことを言いながら、胸元で両手の指を絡めながら首を傾ける 何について尋ねているかと言えば、優実を昼食に連れて行ってもいいということで間違いないだろう 161 :一明優実 :13/09/21 00:16:21 ID:eEiKU/p7 >>159 「初恵……?ああ、本を整理してたときに同じ瑞穂出身者居ないかなーって探してたんだけど 君がその一人かぁ。昨日、出たんでしょ?お疲れ様~」 名前に引っ掛かりを覚えて記憶を辿るが、何て事は無い ついさっき、名前だけなら見たばかりだ ヨゼにも自分の事を紹介していたので、その事を介して初恵にも同じ様に名前を告げた 「んっ。私も今からご飯食べに行く所 今までは友達とわいわいやってたんだけど、場所が変わったからねー。最初は、ご飯と寝ることが楽しみ!って所だから ……ああ、コレ?前菜だよ前菜!色々重い物持って疲れちゃったからさ~……まっ、食堂の場所を探すためにぶらぶらしてるっていうのもあるんだけどさ」 >>160 「ふふふ……ドリルに見えるなんて、帝国出身らしいね どー見たって竹の子……あれ、いや、ドリル……?い、一応竹の子っていう物に見た立てるんだよ、コレ」 まさかの答えで思わず口元に笑みを作ってしまい、渡した物が何たるかを教えようとした だが、言われて見直してみれば取れるに……フィーンドの装甲を削れそうな物に見えなくも無い いや、それ所かそうとしか見えなくなってきた。パッケージを見せながら一応を枕詞に正解を教えた 「そうでしょ~。これが一番美味しいお菓子だからねー あ、茸の形したのもあるけどあれはお腹壊しちゃうから食べちゃ駄目だよ?」 宜しくと言われたら頷いて応えた そして、お菓子に対しての偏見的な事を言ったら満足した様に笑った 「ありゃ、そうなの?てっきり此処の人かなって考えたんだけど――でも、それなら国が違くても私とお仲間だね でもさ、帝国の人なら厳しそうだなって思ったんだけど……ヨゼを見てると、みんながみんなそういう訳でも無いみたいだねー 私としては、そっちの方がバリバリ厳しい人より断ッ然良いんだけどね」 ヨゼが規律にもそう詳しくないと知って、帝国人に抱いていたイメージが変わりつつあるのだろう それじゃあ地図でも探してみようか……考えて居た折、笑みをみたら心中を察することが出来ず、首を傾げた 162 :名無しさん :13/09/21 00:42:29 ID:UYSi/NFN >>160 「ひどいです……いつもは30分前行動、ですよ」 冗談だと分かっているのかいないのか、微妙な頬のむくれ方で、そう主張した。 瑞穂人の定型通り、いつもの初恵は勤勉な部類の人間である。事実、遅刻は今の所いちども無い。 或いは、この寝坊に一番ショックを受けているのは初恵自身なのかもしれなかった。 「ううん、穏やかではありませんね。そのコア、生きている時はどんな個体だったのでしょう。  ……まぁ、分かりませよね。特に暗黒大陸の深部など、何がいてもおかしくないですし」 ブリンガーについては、言葉の上ではそれだけで切り上げるだろうが、顎に手を当て考える様子がある。 この10年で人類は『コア』の活性と不活性を操り、兵器に転用するまでになった。 だが肝心のフィーンドそのものについてはあまりに不明な点が多い。 ひとつ分かっているのは、現状では彼らと同じ天を戴く選択肢は無い、ということだけ。 いつどこで生まれ、何のために侵略するのか。そして、何故地球なのか――知識として、分かるものなら分かりたいものだが。 「はい……ヨゼがいいなら、わたしは歓迎です」 とはいえふたりは難しい話をできるような立場ではない。話を切り替えるのが正解だろう。 癖なのだろうか、よく胸元にある指のほうに注意を移して、問いに答える。 >>161 「はい、そちらこそ、出向早々に災難だったと思います。  一明さん、マメなんですね。わたしはまだ僚友のことには不案内で」 人付き合いに対する初恵の姿勢はいささか受動的だ。 しかも外出を好まず、私室に篭って本を読むか、手紙を書いている事が多い。 同郷人や気さくなヨゼフィーヌのお陰で少しずつ変化の兆しは見えているが、それでもこういう所はダメだった。 「そういえば、お手伝いをして貰った……なんて、言ってましたっけ?  わたしはお団子の方が好きですけれど、そういうのも良いですね」 彼女からは、態度と言いおやつに釣られる要素と言い、人懐こい犬のようだな、だなんて印象を受ける。 知り合いにあまり居ないたぐいの――いや、そもそも知り合いが余り多くはないのだが。 「では、そろそろ行きますか?  ……ちなみに、きのこのお菓子は別に毒があったりはしませんよ」 なんとかそこだけはツッコミを入れながら、時計を見て移動を促す初恵。 食堂では、様々な国の伝統をふまえた料理が提供されていることだろう。 ロンバルディア人や華夏人のコックも居て、評判はなかなかいいとか。 163 :ヨゼフィーネ(ヨゼ)/白金髪青紫眼やわらかレイヤーボブ/:13/09/21 01:01:28 ID:28qk+/O8 >>161 「あぁ!バンブスシュプロス……バンブーシュートなんですね、言われてみると確かに……」 パッケージに描かれる絵と、それと比較する様に映っている実物の写真を見比べながらうんうんと首を縦に動かした 彼女の中に本のある知識としてある、生えている状態のタケノコも確かにこんな形状をしていた どうにもヨゼの中ではカットされたタケノコのイメージが強く、瑞穂の様に形が残っている状態は知識の中のものでしかないらしい 「あら……、確かにキノコは毒がありそうだもんね」 そんな間違った知識を鵜呑みにしてしまっている、お菓子であることを考えればそんな訳がないと分かるのだが しかし今後誰かが訂正しなければ、このまま記憶してしまうだろうことは間違いない 「あら!そうだね、ユーミもわたしもどちらもゲストね」 優実のお仲間という言葉に共感を見せ、口元に手を当てて微笑みを見せる が、その表情は続く「規律」や「厳しさ」の話題になると影をひそめてしまった 「あら……、わたしはどちらかというと怒られる側だから……」 同じ「あら」でもこちらは全くトーンが異なる 先ほどゲストの行での「あら」が浮いているなら、こちらの「あら」は間違いなく沈んだものだ どこへ向けられているか分からない苦々しい笑みをこぼした 帝国軍人としてはヨゼは立場も気質も間違いなくアウトローだ、実際ヨゼの様な性格の人間は少ない 彼女を基準に考えたら100%痛い目を見るだろうが…… 「ユーミも食堂を探してたのね、じゃあ好都合ね、一緒にいきましょっ?」 初恵との会話を聞いていたのか微笑みを見せながら、言葉でその背中を押した >>162 「あら……怒らせてしまったならごめんね、でもハツエは確かに几帳面な感じかも」 まだ出会って日も浅いが、会話やその行動からとても模範的で……どことなく肩肘張っているようにも見える ヨゼは口調等以外は基本的に模範的ではあるが、そういう緊張感が足らないと自分でも感じていた 「それは分からない、わたしも渡されただけだから……」 この言葉に嘘はない、コアの出所は自国であるというだけで元は何だったのかは知らないのだ。 それはパーツの加工場がどこにあるかは知っていても、加工前の小さなケーブルの様な部品単位の段階ではどこで生産されたのか分からないのと似ていた 命を預ける代物であるだけにそれは一種の恐怖でもある、それを飲み込んでさえもその剣を振る意味が彼女にはあるのだろう 「じゃあ決まりね!……あら?」 初恵の言葉に嬉しそうに答えると、その視線の先にあるものに気づき自らも顔を下へ向けた 「もしかして、これ気になっちゃう?子供のころからの癖なの、どうしても治らなくて……」 胸の前で開いた両手の指を、それぞれ対する指の隙間に絡めるという行動 初恵の勘通りこれはヨゼの癖だった、しかも自然とこの姿を取ってしまうほどに慣れ親しんだものだ ただこれは悪い事ばかりではない、基本的に嬉しいことがあった時や楽しい時にしかこの癖は出ていない 一種のボディランゲージなのだ、もっとも本人は気づいていないのだが。 164 :一明優実 :13/09/21 01:19:05 ID:eEiKU/p7 >>162 「マメって言うか何て言うか……暇潰しみたいなものかなぁ 部屋に籠もってるのもつまんないし、それにほら……初めての場所って迷子になっても冒険みたいでワクワクするでしょ?」 脳天気である事は明白 一つの場所に留まっていないとは優実の勤務態勢の顕れでもあるし、何よりも性格を強く示している様にも思える 以前の場所と同じ様に、友人間でワイワイガヤガヤと騒ぎたいのが本音だから――とは、この際伏せておこう 「そーそー。新しい本が入ったみたいだから、古い本を奥の書庫にしまう手伝いのご褒美でね お団子かー……満月の時に空を飛びながら食べるっていうのも良さそうだけど……えへ、そんな事に使ったら怒られそうだよね」 新しい本が入庫したとの情報。初恵が予め耳に入れていたかは分からないが、もし知らなければここで知った事になるか 空になってしまったパッケージを丸め、ポイと放り投げたら見事にゴミ箱の中へと吸い込まれていった 「……む、初恵はもしかして異端者? 同じ国出身だからといって、私は其処だけは譲らないよッ!! ……へ?一緒に行っちゃってもいいの?」 >>163 「そうそう、そのバンブ……ばぁんぶぅしゅぅと? よ、よく分からないけど多分それ!」 対して、聞き慣れない言葉を珍しそうに聞いた 同じ様に流暢に発音してみようと挑戦するが、当然言える筈も無い 最後に疑問符をくっつけて誤魔化してはみたものの、やはり本国の人間が聞けば還って聞き取り辛い結果となっているだろう 「だから、茸を食べている人を見掛けたら異端者だーっ!って叫びながら威嚇すると大丈夫だよ そうすれば無理矢理食べさせようとしてくる人も居なくなるからね ほへー……ヨゼの事だからやるときはやる人間っ!て気がするんだけどなぁ 私も何時も怒られてばっかりだったから、何となく分からない訳でも無いんだけどね」 更に大きく間違った知識を植え付けたら、別な意味での新たな仲間の誕生である 優実が怒られる側であるというのは、その性格からしても分かりやすいだろう ばっかりだったと言うのは、時が経って少しは昇進しているから、怒ることが出来る人数が減ったため それでも依然として叱られ続けている事に変わりはないのだが 「そうだねー。じゃあ、お言葉に甘えて私も着いて行っちゃおうかな? そうと決まればレッツゴー!」 そんなこんなで急かしてみたら、直ぐに一行は食堂へと着くだろう 165 :名無しさん :13/09/21 01:41:47 ID:UYSi/NFN >>163 「いえ、不快に思っているわけではありません……ただ、ですね……」 昨日の着替えや以前の訓練の時も含めて、ヨゼが指をそうするのは何度か見ている。 だが、それに対して感じていることを何と表現すればいいのやら。 顔を抑え、うーと唸って、自分の語彙と格闘した挙句――。 「乙女らしい、とでも言えば良いのでしょうか。  その亜麻色の髪といい、とても……か、可愛いと思いますよ?」 赤い頬にほんのりと憧れを滲ませて、彼女は身も蓋もない結論を出した。 可愛いから、自分にはないものだから、気になっていたのだと。 「それが偽るところのない気持ちなのですが……どう、でしょうか」 >>164 「ふふ、わたしも一明さんみたいに思えればいいのですけれどね。  どうも新しい場所に着くと、何より先に間取りとか部屋の調度を気にしてしまいます」 「迷子を楽しむ、かぁ……受け売りはできませんが、参考にしますね」 そのいい加減ともとれる態度に、初恵は意外にもなんとなく感心した様子だった。 とん、と手を打つと、メモするような指の動きに移っていくのは、奇異にも映るかもしれない。 周りの反応を見てきた事で、彼女もそろそろ自分の在り方が強張っていることに気付いてきているのだ。 だけれど、ずっとそれで来たから、そうしている方が却って楽だったり、助かっている面もある。 切り替えはすぐにまるごと、とは行かないのが悩みどころだ。 「わたしとしては、新しい本の方が気になりますよ?  ……ええ、大丈夫。ヨゼさんとあなたさえ良ければ、ということですから……では、共に」 繰り返しますが茸のお菓子も食べられますよ、と付け加えると、彼女も食堂の方へついていくだろう。 物珍しいロンバルディアのトマトスパゲッティを頼むと、ため息と共に座り込んで。 暫くの間争いの日々を忘れて、他愛のない、だけれど大切な時間を過ごす。 瑞穂を出て以来ずっと本の虫で通してきた彼女だが、たまにはお喋りも悪く無い、なんて思うのだった。 /ヨゼさんの人がそろそろ落ちるということなので、こんな具合ですかね? 166 :ヨゼフィーネ(ヨゼ)/白金髪青紫眼やわらかレイヤーボブ/:13/09/21 02:30:24 ID:28qk+/O8 >>164 「あらあら……ごめんなさい、つい言いなれた言葉が出ちゃった」 この舌が悪いとぺろりと口から舌を出す仕草は、どこかバツが悪そうに見えた つい口から出てしまったバンブスシュプロスでは分からないと考えて、バンブーシュートと言い直してみたがそれでも伝わらなかったらしい 異文化である以上伝わらないのも仕方がないが、何を指しているかは分かってくれたのは幸いだった ちなみにこの時ヨゼは、バンブスシュプロスのイントネーションは先頭の「バ」で、後ろのシュプロスはプとロを合体させながら高さを変えないで発音する またバンブーシュートは先頭の「バ」と、シュートの丁度伸ばすところの『ウ』で抑揚を付けると教えた 「異端?毒じゃなくて……???」 優実の言いぐさに疑問符を一杯頭に浮かべながらも、ごり押し気味の無理やりな説得力に首を縦に振ってしまった 判断がついていない間に見事にやりこまれてしまったと言えるだろう、酷い 「確かに任された仕事はきちんとこなしますわ、でもこう……どうしてもラストネームで呼べなくて」 なるほど確かにこれは怒られると納得するはずだ ラストネームに階級を付けて呼称するのが基本である中で愛称でしか呼べないのはまずい 優実と同じくこちらも性格の問題ということか ちなみにこちらが怒られていないのは父親の威光である、空軍の大佐というのはやはり馬鹿に出来ないということか >>165 「乙女らしい……」 軍役となって以降、この仕草を見るのは基本的に軍人なので、(表面上は)そんなことをいう人物はいなかった 初恵と同じく気恥ずかしくなったのか、組んでいた指を離してしまった 「あらあら……」 笑顔を表情に張り付けて冷静を保っている ……が朱が指しているのが見て取れた、帝国の人間は肌が白い人が多い ヨゼもその例に漏れない故にどれだけ取り繕うとも、その体が肌が状態を顕著に現してしまうのだ。 「その、ね、ありがとうハツエ……」 つまるところ、ヨゼも顔を赤くしているのである 「……この仕草が可愛いなんて、お父様みたい」 ヨゼに悪意はない もう一度言うが、悪意はない 「よし、2人ともいこっ」 頭の中身を切り替えて上っていた血を冷ますと、2人と並んで食堂へ向かうのだった ちなみにヨゼが頼んだのは当り障りのないラザニア、しかし上に粉チーズを増してかけるというスペシャルな一品を作ったらしい /私情で申し訳ないです、ごめんなさい……ありがとうございました!おやすみなさい...zzz 167 :タチアナ@ヴォルガ連邦/陸戦快速型:13/09/21 23:35:41 ID:JphEaE2/ フィーンド襲来の警報がイエズス運河の基地内に響きはじめた。 セイバーユニットを伴った歩哨部隊に対してフィーンドである小型種のミュルメクス型と 少数のロッヒェン型が襲撃し、救援信号を基地に入ってきたのである。 護衛のセイバーユニットが一機居るとはいえ、早急に救援に入らなければ部隊に被害は拡大するだろう。 ―――――― 視点は変わり件の戦場に映った。 轟音と硝煙の香りと砂埃が舞う砂漠地帯で地上をわらわらと 行進しているのは1mほどある昆虫にも似たミュルメクス型のフィーンドである。 それに対して向かい出ているのはヴォルガの セイバーユニットを駆るタチアナである。肩部に装着された ライフルと機関銃をたくみに使い、快速で戦場を移動しながらうまく大量のフェーンドを捌ききっている。 『ああもうっ!救援はまだか!』 しかし、当人には着々と疲労が溜まっていた。 彼女の背中には簡易陣地を構築し援護射撃を加えている陸軍の部隊があるが、 そこに対してミュルメクス型が接近させぬように右に左へと移動しながら攻撃しているため さらに疲労が蓄積していく。ミュルメクス型もまた大量に残っている為、このままではやがてフィーンドの波に飲み込まれてしまう。 そうして頭上には数十体のロッヒェン型のフィーンドがおり 時折、簡易陣地やタチアナにも攻撃を加えている。 状況は明らかに劣勢であった。 /援軍として登場してください。 即座に攻撃してもOK 168 :ヨゼフィーネ(ヨゼ)/白金髪青紫眼やわらかレイヤーボブ/近接空戦ロケット型:13/09/21 23:55:25 ID:28qk+/O8 >>167 そんな戦場へと迫る機影がセンサーに映るだろう どちらもその大きさは人間大、何よりも特徴的なエフ=フィールド反応を示すそれらは、彼女らへと差しのべられた手 その一つは空を舞って戦場へと、滑り込む 「タチアナ!!」 無線からその幼さを残す声が聞こえるや否や、けたたましい発砲音が上空から木霊する 巨大で無骨なバイヨネットが取り付けられた新鋭のアサルトライフル―――――― それを両手に、合わせて二丁 左右それぞれから放たれる8.38mmx58mmという鉛の雨が、上空をたむろするロッヒェン型の姿を貫くはずだ 見上げれば亜麻色の髪の毛からウサギの耳の様なアンテナを生やし その手足から光を持って空を翔ける少女――――グロースクロイツ帝国のヨゼフィーネの姿があった 「状況はっ!?」 169 :清水 陽咲 『瑞穂皇国』:13/09/22 00:04:30 ID:2ccg/zDS >>167 迷彩塗装を施した旧式のセイバーユニットが、砂塵を巻き上げながら、交戦状態の前線へと疾駆する。 彼方遠方に位置取っていた陸軍部隊に、無限軌道を全力稼働させて、見る間にその距離を縮めていく。 見えるは地を覆い尽くさんが如く、大量の宿敵、怨敵、フィーンドの群れ。上空、地上問わず、攻撃を仕掛けている。 彼女――――瑞穂皇国所属の援軍、清水陽咲は、既に30mmのレールガンのアイサンサイトの照準を合わせ始めていた。 「―――――――― いよっし!!」 無数に蠢く一体、ミュルメクス型フィーンドへ向けて照準器を中央に合わせて、引き金を引いた。 不安定に揺れる行進間射撃でありながら、電磁誘導により加速した弾丸は正確無比にフィーンドの一匹を貫かんと放たれる。 援護射撃を加え続ける陸軍兵達の横を疾走し、駆け抜けてフィーンドの群れの中へと身を躍らせる。 ヴォルガ連邦のセイバーユニット。その横に並び、随分と背も年齢も高い彼女へ向けて、不遜に笑って親指を立てる。 「援軍だ!参戦するぞ!!旧式だって――――――――!!」 そう言うと、30mm電気投擲砲の先端に取り付けられて刃――――ハルバードの様なそれを赤熱させて、再度駆け出した。 また一体のミュルメクス型フィーンドの頭部に向かって、その槍斧の様な刃を力任せに振り下ろす。 フィーンドの攻撃を、紙一重で回避しながらの戦闘で、荒唐無稽で、非常に危なっかしく感じる事だろう。 「――――――やれば出来るんだぜ!  この程度の劣勢!オレ一人で一気にひっくり返してやる!!」 170 :タチアナ@ヴォルガ連邦/陸戦快速型:13/09/22 00:15:06 ID:ggDOcCas >>168 無線、これはタチアナのセイバーユニットにはついておらず まず後方の簡易陣地に届いた。そのおかげ援軍が来た事が 簡易陣地の中で居た兵士たちに判り、ロッヒェン型の攻撃により少なからぬ 死傷者が出ていた兵士たちの士気が上がる。 その中で部隊の隊長がヨゼフィーネに対して短い礼の言葉と 状況を無線で説明するだろう。 『ミュルメクス型の数は不明だが100よりは多くないはず。タチアナ氏の お陰で大分減ったがそれでも多い。空に居るロッヒェン型はおそらく13体いる! 地上の援護は出来るが、ロッヒェン型に対して有効な装備が無い。 ロッヒェン型の相手をお願いした!』 陣地の方に目を向ければ、空に向かって手を降っている兵士も居るが 果たしてそれはヨゼフィーネの視界に入ってだろうか そうしてタチアナは空に特徴的なF反応が現れ さらにロッヒェン型とは違い音に気がついて空を向く。 「見ての通りダ!空のヤツをさっさと片付けてくレ!」 近接してくるミュルメクス型に対して機関銃の7.62mm弾を掃射しながらタチアナは 怒号にも近い声で返した。 援軍にきたヨゼフィーネが放った鉛の雨はタチアナの頭上にいたロッヒェン型の二体を撃墜することが出来た。 そうして、まだ空に残っているロッヒェン型は11体。 急襲されて編隊を組もうとしているらしいが、2体のロッヒェンが腹部についた機銃から 弾をバラ撒きながらヨゼフィーネの正面から突っ込んできた! 171 :タチアナ@ヴォルガ連邦/陸戦快速型:13/09/22 00:29:01 ID:ggDOcCas >>169 ヨゼフィーネに少し遅れて清水陽咲が戦場にたどりつく。 遠距離から発射されたレールガンは正確に狙われたミュルメクス型の 頭部についたコアを正確に破壊し、粉々になった。 『ハッ!もう一体古いヤツがきやがったか!』 自分と同じ旧式のセイバーユニットが援軍として来たことに 気がついたタチアナは、親指を立ててくれた清水に向かってニッと笑った。 そうして敵陣に向かって飛び込んでいった彼女をみて苦笑を浮かべた。 「セイバーユニットが三体モいれば十分ダ! 大きイのが来なければ大丈夫だナ!援護すル!」 ミュルメクス型のヘイトが殆どが清水に集まり、彼女を狙っていく中で こちらに来る一部のミュルメクを40mmライフル砲で撃ち狙うタチアナ。 これでセイバーユニットよりも脆弱な兵士にミュルメクスが来ることは万に一つなくなった。 後は敵陣に飛び込んだ清水の働き次第だろう。 彼女が振り下ろした刃が一体のミュルメクス型の頭部を破壊する。 しかし、すぐに移動しなければ危険だろう。数で押してくるミュルメクス型は 彼女を包囲しようと彼女に向かってくる。足元まで接近を許してしまえば戦車装甲すら食い破る 強靭な顎で清水の装甲を破壊し同化を試みようとするだろう。 十数体。今、これが清水機に対して包囲を試みようとしているミュルメクス型の数だ。 172 :ヨゼフィーネ(ヨゼ)/白金髪青紫眼やわらかレイヤーボブ/近接空戦ロケット型:13/09/22 00:39:04 ID:/LWFLEWX >>169 「あらあら、ヒナタ……」 同じく救援として駆けつけた瑞穂皇国の陽咲はと言えば、やはりというべきか突撃していた。 ヨゼは実は彼女のお守りも仰せつかっていた、なんでもかなり無茶をするとの話だ そしてその言葉は半ば実現された状況にあった とはいえ状況が状況だけに彼女の方をフォローするのは自分では難しい ここはタチアナの手腕に期待するべきだろう >>170 今回は救援及び小型の掃討が目的である、となれば6メートルという馬鹿げたサイズの実剣を持ち出す理由がない それ故に今作戦での兵装はフォーゲルシメーレを二丁、そして予備弾倉を複数というかなりの軽装であった 「分かった、下はヒナタとタチアナに任せる!」 命中と2機の撃墜を確認し、編成を組もうと試みる11機のロッヒェン型に照準を合わせる しかし指をかけた引き金を引く前に彼女は気づいた、自らへと向けられた敵の銃口に。 「クッ……」 体ごとセイバーを大きく翻し、ヨゼは放たれる機銃を大きく旋回させながら逃げる 当然突撃をしてきていた2機のロッヒェン型は、ドッグファイトに持ち込もうと追いかけるだろうが―――― 「なんてねっ!」 それは一瞬の出来事だった 差し向けられた脚部大型推進ユニットが一瞬大きく光を放つと、次の瞬間にはロッツェン型の前方からその姿が消えていた 否、消えたのではない――――気づけば彼女はロッツェン型2機の上にいたのだ 方法は単純、発光で視界を遮った瞬間に、スラスターの出力を調整し頭を軸にして逆上がりの様に体を救い上げる――― 後は頭も引き上げてしまえば、直線で進む敵の前から姿が消えるというわけだ、それは飛行機では実現不可能な自遊空間戦術 「durch(貫け)!!!!」 上を取ったヨゼは左右の銃口をそれぞれに向け、指をかけた引き金に力を込めた そうするだけで銃口から銃弾が撃ち出され、ロッツェン型の背中へと打ち付けられるはずだ 彼女の言葉通り、貫くだけの力を込めて 173 :タチアナ@ヴォルガ連邦/陸戦快速型:13/09/22 00:57:08 ID:ggDOcCas >>172 パラパラパラと放っている弾を追いかける形で 突撃してきたロッヒェン型の2機。編隊を組む時間を稼ぐために、 また囮とはいえ彼女を落とすためにドックファイトに持ち込もうとしている。 そしてその動きを読みきっていたヨゼは 閃光を残し、重力からの支配を逃れたかのように上昇、 ロッヒェンのそれぞれの無防備な背中に向けていた。 彼女が引き金を落とすのと殆ど同時にロッヒェン型の2機は 空をとぶ機能を失いパラパラと粉々になりながら地上に落ちていった。 だが、敵はまだ残っている。2機は囮になったおかげで 残りの9機は3機ずつの三つの編隊を組み、ヨゼに射撃を加える。 だが、狙いが定まっていないのと距離があるのもあって、よっぽど運が悪く無い限り命中しないだろう。 ただ弾幕が張られている形となっているので、移動した方がいいだろう。 また、注目することに弾幕の中に赤い光線が混じっており、どうやらレーザーガンを装備しているロッヒェン型が混じっているようであった。 敵の形は二つの編隊が縦に2列の陣を取り弾幕射撃を加えている。 そしてレールガン装備を先頭にした編隊が射撃せずに、上昇、ヨゼの頭上から急襲を目論んでいる 174 :清水 陽咲 『瑞穂皇国』:13/09/22 01:01:02 ID:2ccg/zDS >>172 「あ、ん?」 何処かからか自分の名前を呼ばれた気がして、一瞬だけ、救援のセイバーユニットの一機、空へと視線を向ける。 腕利きの航空ユニットの使い手の様で、空のフィーンド達は彼女の手で如何にか出来そうだ。 そう言えば、以前、戦闘から帰還した際に振動剣をへし折って怒られた際、何か何時もと違うような事を言われたような。 そんな他愛も無い事を少しだけ思い出して、それを記憶の片隅にすぐさま追いやって、陸の敵達を睨むことにした。 >>171 自分の相手はこの眼前の大量のミュルメクス型。ただ、上空にも大量のフィーンドが、攻撃を仕掛けている。 しかし、腕利きのセイバーユニットが一機。上空でフィーンドを貫いたのを認めた。 ならば、この陸上を踏み荒す彼等の相手に専念しようと、十数の敵機達を睨み付けて、再度照準器の中央に一体を重ねる。 「足引っ張んなよな!!オレに当てたら、許さねーからな!!」 生意気にも、タチアナの言葉にそう返して、また30mm電気投擲砲の引き金を引いた。 また一匹、この皇国製レールガンの高性能と、彼女自身の戦闘センスにより、針の穴を貫くように、正確にコアを狙い撃つ。 弾倉に籠められた弾丸は残り六発。敵機は残り数十機。弾倉の予備はあるが、弾倉交換の時間が、隙が惜しい。 ならば、やはり大の得意で、大の好物な近接戦闘だ。適当な敵フィーンド一体へと、肉薄し。 「てぇぇぇぇぇぇや!!!!!」 その顎が彼女を捉えきる前に、フィーンドを仕留めんと槍斧の刃が頭部へ振り上げられる。 そうして、順調にフィーンドへ、近接戦闘によって攻撃を仕掛ける中、前方の敵へと傾倒し過ぎ、散漫になった背後。 ミュルメクス型フィーンドの一体が、彼女の脚部装甲を破壊し、同化を試みんと大顎を開いていた。 寸前に漸く気付いた彼女が、振り返る。 もしも、タチアナの援護射撃がそのフィーンドを撃破するか、或いは一瞬の隙を作ってくれたのならば。 「邪魔をォォ!!するなぁ!!」 握っていた30mm電気投擲砲を放り投げて、腰に納められて振動剣を勢いよく引き抜いて。 フィーンド一体の頭部を斬りつける――――否。フィーンドへと叩き付けることが出来る筈だ。 175 :ヨゼフィーネ(ヨゼ)/白金髪青紫眼やわらかレイヤーボブ/近接空戦ロケット型:13/09/22 01:20:12 ID:/LWFLEWX >>173 見事2機を落としたがフォーゲルシメーレの弾薬が怪しい。 発砲数を詳細に覚えている訳ではないのだが、介入時の連射を考えればそろそろ危険か さらにこれ以上敵に態勢を立て直す時間を与える訳にはいかない――――となれば、あの方法を使うしかない 「リロード!」 そう判断した彼女はまず右手に握られたフォーゲルシメーレに対して、右足を持ち上げて太ももをぶつける 正確にはぶつけたのではなく履いた大型の推進ユニットの一部にマガジンを引っかけたのだ、そのまま腕を引けば無理やりだがマガジンが落ちる そのまま流れる様な動きで、膝を持ち上げた際に若干浮いたお尻をさらに右側へと捻った すると腰にマウントしていた予備マガジンがフォーゲルシメーレ本体と見事にかみ合い、ガチリという金属音を立てながらはまり込む そして横に倒したフォーゲルシメーレに対して頭を振りかぶる 彼女のウサギの耳の様な長く鋭いアンテナがコッキングレバーを引っかけ、手元まで引き戻された リロード完了――――――――この間3秒未満 二丁持つことによるリロードの手間を、卓越した体とお尻の動きだけで解消して魅せた 同様の事を左側でも行えば、フォーゲルシメーレは6秒もたたずに完全復活を遂げる ちなみにこのお尻の動きが嫌いでヨゼはこのリロードをあまり好んでいない 今は緊急時なので触れはしないが、下から誰かが見ているかと思うとちょっと複雑な心境になった ヨゼは大きく広げた足をそのままに、出力を調整して射撃を回避しながら水平に移動する その動きはさながら側転だ、先ほどの上を取ったそれを合わせてどこか曲芸染みた変則的な飛行である 「弾はともかく、レーザーとレールガンはまずい、ね……!」 今はこちらを狙っているから問題がないが、地上を狙われては手に余る 利き腕として命中率が勝る右を上にいるレールガンを構えた3機に宛がい、左は前方の2列に対して宛がう 遠方射撃は得意ではない、ここはリロードしたばかりなのだから物量で押す! 「schwunghaft(跳ねまわるように)!!!」 二つの銃口からそれぞれ別の方向へと撃ち出される鉛の塊 それはヨゼが言う跳ねまわる様にばら撒かれ、空気の振動である音を貫く 定めた標的たちを食い破らんとするために――――! >>174 本体はこういう役目はレイカかエルゼのが向いてる しかし出撃可能なのが自分しかいなかった故、仕方がない処遇なのだ そしてヨゼは思った レイカやエルゼが向いていると考えれるならば、自分よりもタチアナの方が向いていると それに今のところ無茶はしていそうだが危険はしていない様に見受けられる スタンドプレーによるチームプレイを発揮しているのであれば、それに越したことはないのだ 176 :タチアナ@ヴォルガ連邦/陸戦快速型:13/09/22 01:23:40 ID:ggDOcCas >>174 「わざわざお前が当たリに来なければナ!」 ライフルの弾倉に残っていた1発を清水に向かっているミュルメクス型に放ち、 腹部に命中させ、沈黙させる。 そこで前に向かってライフルを倒し、急いで弾倉にリロードをする。 それでに十数秒ほどかかる。その間、清水の事を信じ任せていた。 ミュルメクス型のコアの位置は頭部。 わざわざこちらに接近してきて、弱点を前に向けているのだから コアを破壊するのは容易だ。回避行動を持たないフィーンドは 狙われたら最後、コアを貫かれて完全に沈黙した。 そうしてもう一体、斧槍でやすやすと屠り破壊する。 だが、そこで生まれた隙をフィーンドは逃さず、その背中にアリのような 顎を開き噛み付こうとしていた。タチアナはリロードしている為援護が出来ない。 このまま食いつくとおもった瞬間、そのミュルメクスの体に徹甲弾が叩き込まれ 体が揺れる。絶好の機会を逃したミュルメクスはそのまま反撃してきた清水に 振動剣を叩きこまれ、潰された。 今の徹甲弾を誰が撃ったのだろうか。タチアナはリロードで撃てないはずだった。 後ろの方を見れば、簡易陣地から兵士たちがそれぞれの武器で援護射撃を加えていた。 先ほど、清水を助けた徹甲弾は陣地にいる兵士が大砲で放っていたのだ。 戦いは決して一人では勝てない。よくよく見れば援護射撃によって動けないフィーンドすら居る。 「すまなイ!今、援護に戻ル!」 余裕と体力を取り戻したタチアナが叫び、清水の方へ近づき 右翼側から清水を襲うフィーンドに射撃と砲撃を加えていた。 清水の周囲に居るミュルメクスは残り8体。見れば散発的にミュルメクスは撤退を始めていたが 決して敗走しているわけでもなく、残っているミュルメクスはまだまだ攻撃を加えてくる。 背後のミュルメクスを潰したミュルメクスの一体は今度は正面から 清水の足に齧り付こうとする。そうしてもう一体、同じようにべつの脚に噛み付こうと大口を開く。 177 :タチアナ@ヴォルガ連邦/陸戦快速型:13/09/22 01:33:25 ID:ggDOcCas >>175 僅か三秒の間のリロードの間の中で、接近してくる編隊の射撃が始まった。 タ、タ、タと刻むような音が近くを通りぬけ、赤い閃光が尾を残し頭上を通り過ぎる。 だが、一発の命中せずに彼女はリロードを追え、流れるような動作で水平に移動した。 ――余談であるが負傷し、地面の上で横になった負傷兵の一人は 双眼鏡でヨゼフィーネを眺め、そしてお尻リロードの瞬間を見てしまい、見事目に焼き付けていた。 ヨゼフィーネのファンの一人になったのは言うまでもない。 またほかに数人の兵士が見ていて、ヨゼの懸念はあたっていたというしかないだろう。 水平に移動し、ロッヒェンの弾幕から逃れるも 敵もその動きに追随し、そちらに機首を変え再び射撃。 178 :タチアナ@ヴォルガ連邦/陸戦快速型:13/09/22 01:33:52 ID:ggDOcCas >>177 /途中送信です、これには返レスしないでください 179 :タチアナ@ヴォルガ連邦/陸戦快速型:13/09/22 01:43:51 ID:ggDOcCas >>175 僅か三秒の間のリロードの間の中で、接近してくる編隊の射撃が始まった。 タ、タ、タと刻むような音が近くを通りぬけ、赤い閃光が尾を残し頭上を通り過ぎる。 だが、一発の命中せずに彼女はリロードを追え、流れるような動作で水平に移動した。 ――余談であるが負傷し、地面の上で横になった負傷兵の一人は 双眼鏡でヨゼフィーネを眺め、そしてお尻リロードの瞬間を見てしまい、見事目に焼き付けていた。 ヨゼフィーネのファンの一人になったのは言うまでもない。 またほかに数人の兵士が見ていて、ヨゼの懸念はあたっていたというしかないだろう。 水平に移動し、ロッヒェンの弾幕から逃れるも 敵もその動きに追随し、そちらに機首を変え再び射撃を加えるも、 変則的な飛行をしているロッヒェンにはやはり当たらない。 そして、ヨゼの反撃が始まる。 上から急襲してくる編隊に対しての射撃に対し、先頭のレーザーガンを装備している ロッヒェンが機首を変え、急上昇し辛うじて避けるもその後ろに居る2機目、3機目に 吸い込まれるように命中し、きりもみ状態で堕ちていった。 残った6機の方には命中したらしいが、コアにダメージを与えていないようで 蜘蛛の子を散らすように列を崩し分散。そのままヨゼに向かってくる事無く 撤退するかのように背中を向け、後退していく。彼らを追撃してもいいかもしれないが、 忘れてはいけないのは、レーザーガン装備のロッヒェン型の1機だ。 それの位置は真っ赤な太陽を背にしつつ、ヨゼの頭上におり 挑発でもするかのようにヨゼを見下ろしている。 後退していくロッヒェン型を追撃しようとした途端に頭上から背中を撃ちぬくつもりだ。 また、こちらに向かってくるにせよ太陽を背にしているからヨゼの不利となる。 なるほど、残ったロッヒェンは中々わかっているようだ。 180 :清水 陽咲 『瑞穂皇国』:13/09/22 01:59:41 ID:2ccg/zDS >>175 「――――――ちっ!見せつけやがってよっ!!」 彼女の考える事なぞ、知る由も無く、清水陽咲は彼女の見事な弾倉交換に、称賛混じりの恨み言を吐いた。 数える事三秒。流れるような所作で完了させた彼女のリロードは、技術うんぬん以前にプロポーションが足りない陽咲にとって。 陸軍兵を引きつけるそれは、賞賛よりも先に多くの嫉妬心を生み出す事に至っていて。 その嫉妬心は、次の一撃に強く籠められる事になった。 >>176 斬りつけられて沈黙、と言うよりは、叩き潰されて、ミュルメクス型はその活動を停止させた。 援護射撃により出来た隙が無ければ、今頃セイバーユニットの一部を切り離す事になっていたかもしれない。 そうなれば、最悪、考えるのも悍ましい事になっていただろうか。となれば、その恩人は何処だろうと視線を巡らせ。 「―――へっ!一般歩兵さん達も中々やるじゃん!!」 通常兵器を使用した通常の歩兵である彼等を、陽咲は一欠片たりとも頼りにはしていなかった。 その認識を少し改めて、援護射撃を加えてくれる彼等にサムズアップを返して、再度フィーンドと対峙する。 タチアナと彼等の援護射撃も相まって、残るフィーンドは8体となっていた。 両手の指で足りる数ともなれば、もうあと一歩。こちらには三機のセイバーユニット達がいる、そうそう負けはしない。 しかし、その僅かな慢心が祟ったか。ミュルメクス型二体に、肉薄され、大顎に捉えられかける。 「くっ!嘗めやがって!この虫ケラめ!!この野郎ォ!!!!!」 正面から向かうミュルメクス型一体へ向けて、先程一体を潰した振動剣をまた、叩き付けようと振り下ろす。 既に余りにも乱暴な扱いに曲がっていた振動剣は、より強く振るわれたこの一撃でその刀身が直角にへし折れる。 ああ、またどやされる、と思いながら、セイバーユニットの左右の履帯を同じ速度で、反対方向に稼働。 その場を動くことなく方向転換――――――超信地旋回により、もう一体のミュルメクス型へと狙いを定める。 「旧式だが、この距離ならお前なんてぇ!!!」 そしてすぐ目の前のミュルメクス型に、右肩部に装備された九七式五七粍主砲を放った。 陽咲の言う通り、旧式のセイバーユニットに標準装備された旧式の主砲だ。 今となっては心許ない物だが。しかしそれでもこの距離なら、小型フィーンド一体程度難なく吹き飛ばせる筈だ。 撃破を確認できたのなら、無限軌道を全開で放り投げたレールガンを回収し、他フィーンドへと照準を合わせる 181 :ヨゼフィーネ(ヨゼ)/白金髪青紫眼やわらかレイヤーボブ/近接空戦ロケット型:13/09/22 02:07:28 ID:/LWFLEWX >>179 3機は落としたがもっとも落としたかった上のレーザーロッヒェンを落とし損ねている その位置取りを見て基本的に温厚である彼女でも忌々しく眉をひそめた 太陽を背にしている以上射撃兵器では照準を付けづらい……それ自体はまだいい 問題はこちらだ、レーザーは光学兵器で太陽光も同じく光 下手に下から突っ込んだら光同士が混じって識別できず回避できない可能性がある、有視界での戦闘を前提とするヨゼには相性が悪い 「なら……」 そもそも装備がこのシメーレしかないのだ、考えるだけ無駄なこと 彼女のウサギ耳は通信アンテナでもリロード用部位でも、ましてや愛玩用に取り付けられている訳ではない MSACS……機動補助自動制御器官と呼ばれるセイバーの機動と姿勢の制御を補助する重要器官なのだ。 何故ならヨゼのセイバー『シュネーフーン』はウィングが無い、物理的手段での空力による姿勢制御を捨てているのである 何故このMSACSの話題が出てきたのか……その理由は簡単だ、このMSACSの機能を一時的に解除したからである そうすることで彼女の完全マニュアルによって全身のスラスターの方向を操作できる もう一度言うがシュネーフーンは物理ウィングを持たない、だからこそ機動性能が不安定であるほど機敏になるという稀有な性質を持つ 仮にこの性質を前提として、姿勢維持と機動制御を捨てて全てのスラスターを同一の方向に向ければどうなるだろうか? 「……schattenhaft(消えるように)」 彼女の呟きのまま、ヨゼの姿は彼女のスラスター光の中へと消えた それは青空を閃光のままに分け断ち、大きく旋回するようなコースをとって上空のレーザーロッヒェンと同じ高さまで昇り詰める 雷鳥(シュネーフーン)はキジ科の鳥だ、彼らは須らく美しい翼を持つ―――――― 白と黒のツートンである彼女のセイバーは今白い光の翼に包まれていた、宛ら箒星であるかのように 今の彼女には風も追いつけない 「ハァァァァァァァアアアアアアアアアア!!」 時に直角にすら曲がる超高速にして超変則の機動を見せながらレーザーロッヒェンへと近づき 彼女は握った銃のバイヨネット―――― レーヴェンヘルツ(獅子王)を持って振りぬいた 雷獣を切り裂いた事によって与えられた剣が、その伝説を体現するかのように――――――――!! 182 :タチアナ@ヴォルガ連邦/陸戦快速型:13/09/22 02:26:21 ID:ggDOcCas >>180 小型フィーンドに対してならば通常兵器も決して無駄ではない。 歩兵も役立たず出ないことを認識できた清水はサムズアップを彼らに向け、 兵士の方もポーズなり決めて返していた。しかし、戦場に無駄な動きは禁物。 気がつけば足元に2機のフィーンドが居て、齧り付こうとしている。 大顎の先端が装甲に触れるか触れないかの距離で、 振動剣に潰されたミュルメクスは潰れ、コアにヒビが入り、 痙攣しながら地面に倒れ伏す。 もう一体に対してタチアナは射撃を加えたかったが 清水に対して近すぎており誤爆の可能性を考えると、ほかの一体に対して 援護射撃を加える。 「ちゃんト見てなさイって!」 叫ぶタチアナ。振動剣を折った清水は 残る一体に対して超至近距離で砲撃を加え、頭部に大きな穴を開けさせた。 当然、コアもかけらも残っていない。 残ったミュルメクスは6機、いなタチアナの射撃で5機に減った。 さらにタチアナ自身も清水の元にかけつけ、近くに断っていたミュルメクスに蹴りと射撃を加えた。 残り4機。 「ふン、これぐらい一人でも片付けられるでショ?」 残った4機はほとんど同時に突っ込んで来たが、 タチアナは清水に挑発するような言葉をかけ、 自身はさも撃たないように余裕ズラをかましている。 /確定描写での攻撃をどうぞ >>181 太陽を背にレーザーロッヒェンは悠然と待っていた。 この胸に飛び込んでこい、というかのように、腹部の機銃を左右に揺らしながら待つ。 距離があるからか、弾は撃ってこない。 そこでヨゼフィーネが突っ込んできた。 ただし、切り札ともいうべきものを発動していた。 タ、タ、タ、タ、セミオートライフルの間隔でレーザーロッヒェンは 接近してくるシュネーフーンにレーザー弾を打ち込む。 しかし、一切の法則を無視し空を泳ぐように縦横無尽に駆けてくる鳥に当たるであろうか。 当たるわけがない。 五発目のレーザー弾を放つ直前に、ヨゼのバイヨネットが Fフィールドを破り、さらにコアに刃を突き立て、穿ち、切り裂く。 切り裂かれてしまったロッヒェンがどうなるか言うまでもなかろう。 183 :ヨゼフィーネ(ヨゼ)/白金髪青紫眼やわらかレイヤーボブ/近接空戦ロケット型:13/09/22 02:48:35 ID:/LWFLEWX >>182 放たれる光線の合間を縫うように動く、その姿は空の海を泳ぐイルカが人魚の様にも見えた 振りぬかれた獅子の爪は見事に獲物を捕らえて引き裂く 荒ぶる王の爪は狩りの為に振るわれたのではない、ただその存在に死を与える為に振るわれたのだ ロッヒェンを切り裂いたヨゼは足を大きく広げながら体を全力で捻り切る。 姿勢制御をマニュアルでやるということは、自身の動きは体を動かして生まれる反作用による姿勢制御に頼る他ない AMBACと称されるそれとスラスター制御による反作用を合わせ、切り裂いたロッヒェンから数m離れた中空で漸く停止する MSACSを再始動させてから周囲を見渡し、目標の完全破壊と周囲のロッヒェンの撤退を確認した 「うふっ、ミッション終了です……その、お疲れさま」 両手に持った銃を腰にマウントすると、先ほどの戦いで見せた剣幕も凄味も感じさせない歳相応……よりは少し幼そうなはにかみを見せる どこか口どもって、そしてほんの少し頬が赤いのは、ヒナタの通信を聞いていたからだろう ばっちりお尻の動きを見られたと分かっているのだ、流石に恥ずかしいらしい 184 :清水 陽咲 『瑞穂皇国』:13/09/22 02:59:37 ID:2ccg/zDS >>182 九七式五七粍主砲の一撃を受けて、ミュルメクス型の頭部はコアの欠片も残さずに粉々に吹き飛んだ。 それを確認して、煤に汚れた頬を得意気に笑みの形に吊り上げて、長い砲身を持ったレールガンを構える。 残りは6、しかしタチアナの手によってミュルメクス型2機は沈黙、残りは4機。 そう問いかけた彼女の、挑発行為にも近い言葉に、陽咲はまんまとそれに乗って。 「当たり前だろ!手を出すなよ、俺が全部倒す!見惚れるなよな!!」 無限軌道を全速力で回転させ、4機のミュルメクス型フィーンドへと突っ込んだ。 先ず一機目。不安定に揺れる事も物ともせず、アイアンサイトの中央にフィーンドの頭部を合わせ、30mm電気投擲砲の引き金を引く。 先程披露した行進間射撃と同様、それはミュルメクス型のコアをその頭部ごと吹き飛ばして、行動を停止させた。 30mm電気投擲砲を構え直す。グリップを握るのを放棄し、槍を握るかの如き構えに持ち替えて、先端の刃を赤熱させる。 ミュルメクス型一機の眼前へ。すぐさまその大顎で陽咲を貫かんとするより先に槍斧がコアを刺し貫いた。 「って、りゃあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁあああ!!」 そして刺し貫いたミュルメクス型ごと槍斧を大きく振るって、残る2機の内の1機へと思い切りぶち当てる。 よろめいたミュルメクス型。其の隙を突いて頭部を刺し貫けば、残るは1機。 既に行動を停止したフィーンドの背中へと駆け上がって、それを足場にして、ミュルメクス型の背中へと飛び移る。 「これで、終い、だ!お、らぁぁ!!!!」 暴れのたくるミュルメクス型に振り落されそうになりながらも、その背中から頭部のコアへと目掛けて槍斧を振り下ろす。 赤熱した槍斧に頭部を寸断され、更に其の身体の半分までも刃が喰い込んだところで、その一撃は止まった。 「これで全部、か? ―――――― どうだ、見たかー!!!」 そう言って、ミュルメクス型フィーンドの背中から、タチアナや、陸軍兵達に向けて。 誇らしげに30mm電気投擲砲を片手で振り上げて、勝利の鬨を挙げた。 185 :タチアナ@ヴォルガ連邦/陸戦快速型:13/09/22 03:09:01 ID:ggDOcCas >>184 「おーお、応援するヨ」 君たちが来るまで戦い抜いてきたのだから、後は楽させてくれ、というかのような口ぶりだ。 事実、そう思ってすら居る。これぐらい片付けてできるだろうとも、清水を信頼しているのもあるが。 「ふわァ」 もはやあくびをあきながら、清水の戦いぶりを眺めるタチアナ。 結果はもう決まっているのだ。二度目のあくびが出そうになった時に、 清水は4機すべてを屠っていた。 「ハラショー!ハラショー!ダバイ!勝利の酒を飲みに行こうじゃないカ!」 勝利の鬨をあげる清水を見て、くるりと反転。 もはやタチアナの中では酒のことしか入ってない。 だが、陸軍兵士は清水の動きに見とれており、盛大な歓声と拍手をあげていた。 >>183 地上での戦いも終わり、空を見上げるタチアナ。 援軍が来るまで露出させていた左目は、すでに眼帯で覆われて 残った片目でヨゼを眺めていた。幸いというべきか、タチアナのユニットには 無線機能がついておらず、上を見る余裕も無かったため、お尻リロードの事は知らない。 「スパシーバ、援軍助かったヨ」 一息つきながらも、早足で陣地の方に向かっていくタチアナ。 その理由は一つ、そこに置いてきたウォッカにありつくためである。 彼女にとってウォッカは命の水であり、また燃料でもあるのだ。 「いやァ、空のガとにかく鬱陶しかっタからネ。助かっタ、ほんとに」 見れば、タチアナの装甲にロッヒェンの機銃によって 与えられた被弾痕も確認できる。 大事に至らなくて、運が良かったのか。 「ン、そーか、戦利品があるといいナ」 簡易陣地に帰っていくセイバーユニットとすれ違うように 箱やら抱えた一般歩兵と将校らしき者が急いでフィーンドの死骸が転がっている方向へ向かう。 目的はおそら使用できるくコアの回収だろうか。 回収できたら、それは研究か 或いは新しいセイバーユニットを作るために使われるのだろうか。 186 :ヨゼフィーネ(ヨゼ)/白金髪青紫眼やわらかレイヤーボブ/近接空戦ロケット型:13/09/22 03:25:59 ID:/LWFLEWX >>184 どうやら陽咲の方――――地上も無事にフィーンドを片付けたらしい。 被害の全容は分かってはいないが、大事には至らなかったとみるべきか 足の速い2人で来た甲斐があったというものだ 「お疲れ様、ヒナタ」 ゆっくりと地上へと降りてきたヨゼは、巨大な推力機関で伸びた足のランディングギアを地面につけると ミュルメクスの背中で仁王立ちする陽咲に向けて微笑んで見せる 無茶なことをしていたようだが、言うほどの怪我はないようだ、どこかほっとした様に息を吐いた 「わたしたちはこのまま当初の予定通りに、部隊の帰投まで護衛をかねて同行ね」 お姉さん風を吹かせたいというわけではないが、どことなく忘れているような気がしたので口を開いた >>185 「あらあら、間に合ってほんとによかった」 お酒の飲んでいることに少しばかり呆れている様な「あらあら」の言い方だったが、咎めるつもりはないらしい こういった生還の贅沢というものを否定するほど野暮ではないということか。 「それにしても編隊飛行をするなんて、そうあることじゃないよね、それにあのレーザータイプは逆光まで理解してたみたいだし……」 最後に切り伏せたフィーンドの事を思い出す 逆光――――― それは生物の構造とこちらの戦術を理解していなければ出てこない回答だ。 つまり、それをどこかで学習した個体であったということになる 「あら……コア、回収できるかな」 ヨゼは如何にも自身が無いという表情をしている 剣で切った最後のは論外として、至近距離で発砲したドッグファイトを仕掛けてきた2機はまぁ無理だろう 最初に落とした奴は時間がかなりたっているし、まぁ途中落としたのであれば何とかなりそうだろうか 187 :清水 陽咲 『瑞穂皇国』:13/09/22 03:39:16 ID:2ccg/zDS >>185 長大なレールガンを肩に担いで、タチアナの下へと、誇らしげに帰ってくる陽咲。 しかし彼女は既に背中を向けていて、それに軽くむくれ顔で、不満の様子を隠そうともせず。 自分の者より遥かに大きなその背中に、嫌味を投げ掛ける。 「っげ、早速酒の事かよ……これだからヴォルガの連中は…。」 しかし簡易陣地の彼等は、歓声と拍手で出迎えてくれて。 それに応えるべく、「いえーい!」何て言葉と共に、空いた左手でまたサムズアップを作って、彼等への返答とした。 後はもう、処理は彼等に任せて帰るだけ帰……る……だけ……。 「うわー……また怒られるー……折っちまったもんなー……。」 先程放り捨てた振動剣を思い出して、中身の無い鞘が携えられた左腰に手を添えてみる。 何らかの奇跡でも起こって、この鞘が満たされないだろうか――――――そんな現実逃避じみた願望を頭に浮かべて。 少しだけ足取り重く、少しだけ俯きがちに歩を進めた。 >>186 「ん?―――おう!見てたか!?オレの活躍を!」 空のフィーンドを屠ったセイバーユニットの彼女が、ゆっくりと地上へと足を着ける。 微笑みかけられたそれに、屈託の無い、混じりけのない笑顔を返して、誇らしげにそんな言葉を投げ掛ける。 さっきまでの嫉妬心は何処へやら。おそらくへし折れた振動剣と共に折れてしまったのだろう。 「そうだな、帰――――――予定通り?」 そう言えば。先程戦闘中に思い出していたことを、記憶の片隅からまた掘り起こす。 お前はあんまりにもやんちゃが過ぎるから、次の出撃にはお守りを付けさせてもらう。 そんな旨の事を言われて、陽咲は猛反発、更には取っ組み合いにまで発展しかけた、様な気がする。 「あー!!もしかして、お前がオレのお守り役か!いらねーよそんなのー!  戦闘も帰投もオレ一人で出来るよ!馬鹿にすんなよなー!」 そう言って、彼女に背を向けて、おかんむりな様子でさっさかさっさかと歩き出してしまった。 188 :タチアナ@ヴォルガ連邦/陸戦快速型:13/09/22 03:48:39 ID:ggDOcCas >>186 生還の贅沢の為に、というよりかは ただ必須だから適当な理由つけてでの飲みかもしれない。 と、簡易陣地につくとなぜか一部の兵士がぽわわ~んとした表情で ヨゼフィーネを見ていた。彼らの共通点は、空を見ていたことである。 あとは語るまでもない。 「帰りもよろしくネ」 さっさと簡易陣地につくと酒瓶を受取、早速ラッパ飲み。 残念というべきか少数ながらも死傷者は出ていた。どれも、空戦型 のフィーンドによる被害のようだった。地上型のフィーンドに関しては タチアナが辛うじて防ぎきっていのか。 「ンー?よくわからないけド、がくしゅーしてるって事なノ?」 空に関しては門外漢だったために、そこまで興味はなさそうでった。 今日の手応えを思い出すに、地上のフィーンドは、昔から変わっていない気がした。 精々、新たな形状のを見かけるぐらいか? 「マ、ああいう仕事は彼らに任せヨ」 さて、部隊が所有する数台のトラックには負傷者と死者を運ぶだろう。 女を歩かせるものじゃないよ、とセイバーユニットたちもトラックに乗るよう進められるが どうするか?タチアナは快諾し、すでにトラックに乗ったが。 >>187 「1に酒で2に酒さ3,4抜かしテやっぱり酒ダ!」 嫌味に対してこの返事だ。 酒飲み具合に関しては、ヴォルガに敵うところは多くはないだろう。 さて、陣地につけば兵士たちの歓声と歓迎を受けるだろう。 なんせ、獅子奮迅の勢いでド派手に活躍したのだから。 さて、簡易陣地にとくに用はない。 後は、基地に帰還する際に負傷者たちとトラックに乗るかどうかを勧められるだけか。 189 :ヨゼフィーネ(ヨゼ)/白金髪青紫眼やわらかレイヤーボブ/近接空戦ロケット型:13/09/22 03:59:52 ID:/LWFLEWX >>187 「あらあら……ヒナタ、一人で帰投したらぶっとばされるよ」 困っているようで楽しんでいる様な微妙な声色で、陽向の上げ足を取ってみせた ヨゼも陽咲も戦闘に来たのではなく救援に来たのだ。 遠足は帰るまでが遠足、救援も連れて帰ってくるまでが救援なのである。 このまま帰ったら振動剣の事も含めてアイアンパンチでジャッジメントされかねない、本当に 「ほらヒナタ、運んでくれるらしいからトラックに乗ろ?」 屈託ない柔らかい笑みを浮かべながら、胸の前で広げた指を組みながらそう告げてくる 怒りを感じている陽咲とは対照的に、こちらは落ち着いているどころか少し嬉しそうにすら見えた。 大らかなヨゼの性格というべきか、陽咲がどれだけ怒鳴っても可愛いとしか感じないからか 「それと、わたしの事は『お前』じゃなくて『ヨゼ』って呼んで?」 ……どうやら前者で間違いなさそうだ >>188 「あら……???」 見られたであろうことは分かっているだろうが、兵士たちが何故こんな状態になっているかはてんで理解していない 笑顔のまま頭に大量の疑問符を浮かべながら首を傾ける光景がそこにあった。 「わたしもフィーンドの生体は詳しくないので……どちらにせよ、報告書は作らないといけないですけど」 ペロリと舌を出しながら、如何にもバツが悪そうな笑顔を見せる。 確かに戦闘をした以上報告書は必要だ、ヨゼにも、タチアナにも、当然陽咲にも…… お酒ラッパ飲みしている彼女に、否応なしに迫ってくる現実を見事に突きつけた形になったかもしれない そしてヨゼはトラックに乗り込む、激しく動いた上に日が照って少し蒸れていたのもあって、木陰になるトラックの中は少しだけ涼しかったのであった――――― 190 :清水 陽咲 『瑞穂皇国』:13/09/22 04:16:59 ID:2ccg/zDS >>188 「3、4抜かさなくても酒だろーに。ウィスキーで溺死しちまえよ。」 呆れ顔でそう言って、大歓迎の中を歩んでいく。 そんな顔もすぐに誇らしげな顔に代わって、「英雄の凱旋だな!」と、高揚感に満たされながらそう言った。 自分よりも背の高い彼等がよってたかって讃えてくれている辺りも、中々ポイントが高い。 トラックに乗るかどうか勧められた陽咲は、一も二も無く了承した。 最後に、軽く簡易陣地の彼等へと手を振って、そのトラックの中へと乗り込めば。 獅子奮迅の活躍の代償が一気に来たか、うとうとと、柔らかな眠気に襲われて。 >>189 「う、うう……それも、そうだけど……くっ!!」 「ぶっとばされるよ」 其の言葉に、お冠に大股に歩いていた陽咲の足取りがピタッと停止する。 確かに、このまま意地を張って帰れば怒鳴られるだけでは済まされない。拳骨の一発や二発は貰ってしまう。 はっきり言って冗談じゃない。今に限って言えば、もしかしたら、フィーンドよりもよっぽど恐ろしいかもしれない。 「……わ、分かったよっ。一緒に帰ればいいんだろ?」 彼女の柔らかな笑いに絆されたのか。結局陽咲は折れて、共に帰還する事を承諾した。 元よりトラックに乗る事には了承していたのだから、迷いなくその中へと足を踏み入れかけて。 彼女のその頼みに、少しだけ逡巡した後に。分かった、と頷いて。 「――――――分かった、ヨゼ。じゃ、一緒に帰ろう。」 そう言って、彼女も微笑みを返して、トラックの中へと乗り込んだ。 それから、数分も経たずに、清水 陽咲は微睡み始めた。槍斧を振り回し、フィーンドと戦った戦士の姿も形無しに。 トラックを揺り籠にして、報告書や、帰ったら怒鳴られる事も全部忘れて、ゆっくりと夢の中へと落ちていった。 191 :ヴェーラ・イリイニチナ・ドラニシヴァ 潜水隊所属 :13/09/22 23:29:48 ID:T2tnUEnO アルビオンのとある基地。 ヴォルガからはるばる海を越えてやってきたが、今のところ私に出動はかからない。 フィーンドによる襲撃がない……筈もなく、空や陸の連中は毎日朝も夜もなく忙しそうにしている、のに。 出動がかからないのならなぜ私達を呼び寄せる必要があったのだと、軍の上層部連中に向かっ腹が立つ。 しかしそんな不満をぶつける相手もおらず、ただ無為に時間は過ぎていく。 そんな仕事をしていない自分が一丁前に食堂を使うのも気が引けて、基地の中庭で一人遅い昼食中。 「……基地の料理はまだマシね。アルビオン料理じゃないのにして正解だったわ」 失礼な独り言をこぼしながら弁当を食べ進める。 192 :タチアナ(ターニャ)・トハチェフカヤ@ヴォルガ連邦/陸戦快速型:13/09/22 23:43:35 ID:qAz0cHBs >>191 某将官からの部屋での用事が済み、さぁて酒保で 酒を確保しどこかで楽しむか、とスキップ気味で移動するのは 左目に眼帯をしたヴォルガの女性だった。頭には茶革の耳垂帽子を装備しており そうして服装は軍服姿のそれ。さすがに将官の前に出るのだから普段の服装で基地内を移動するのはまずい。 そうして移動していれば、中庭にいる人影に気が付き それが同郷の人物なのか、と思えば。 『そこに一人で居るのはヴォルガの同志かい?』 ヴォルガの言葉を使いながら、窓から頭を出してこんにちは。 見かけない顔であるが、どこの所属なのかしら 193 :ヴェーラ・イリイニチナ・ドラニシヴァ 潜水隊所属 :13/09/22 23:54:38 ID:T2tnUEnO >>192 『あらどうも。そちらはどこの所属だったかしら?少なくともウチではなさそうだけど』 こちらも自国の言葉で返す。 やや東側のなまりが聞いて取れるだろう。 『そんな格好で良くいられるわね。  なにかいいことでも?』 座ったまま上を見上げて言うこちらは、タンクトップにスパッツと結構軽薄な服装だ。 この辺りは男達の通りが少ないとはいえいかがなものか、と思う人は思うだろう。 194 :趙・文心(チョウ・ウェンシン)/ローター式空戦型:13/09/23 00:00:26 ID:Ijsx4Pzt >>191.192 「あれ、こんな場所でご飯?珍しいんだ」 そんな様子のヴェーラとタチアナに、深い藍色の髪でシニヨンをつくった東洋人の少女が話しかけてきた 少女は身軽なシャツ姿に柔らかそうな生地のタオルを肩にかけており、見ればしっとりと汗もかいている 基地内の位置情報を知る者ならば、彼女の歩いてきた方角からトレーニング帰りであると推測出来るだろう しかし、彼女らの話している言語を聞いて、 「わ、分からん……」 共用で話されている英語と自身の母国語以外はてんで駄目である彼女は、飛び交いはじめている言語を聞いて思わず気さくに話しかけたことを後悔し始めるのであった 195 :タチアナ(ターニャ)・トハチェフスカヤ@ヴォルガ連邦/陸戦快速型:13/09/23 00:03:23 ID:m6uY16/G >>193 『おおっ!雪も降らない乾いた大地にようこそ! アタシはタチアナ・トハチェフスカヤ曹長さ。所属は陸軍だね ターニャって呼んでくれ』 久しぶりに話すヴォルガ語がどことなく懐かしいのか 顔が緩んでいるように見える。 そのまま勢いあまって窓から中庭へジャンプ。シュタ。 そうしてすぐに殺人的な直射日光を浴び、げっそりとした表情を見せ 直ちに日陰ポイントに移動。アチー 『ハッハハ、ちょっとお偉方さんに呼ばれてね。 報告とか色々していたのさ。普段はもっと涼しい格好しているけどさ」 雪のような肌をしたヴェーラの格好を見ては 『わかっているとは思うけど、直射日光には気をつけな? 一瞬にしてその白い肌が真っ赤に焼きただれちゃうぜ』 196 :タチアナ(ターニャ)・トハチェフスカヤ@ヴォルガ連邦/陸戦快速型:13/09/23 00:06:47 ID:m6uY16/G >>194 『ン?』 声をかけられたきがして振り向き、趙の方を見るタチアナ。 どうにもしどろもどろな表情を見せているのを見て、タチアナは 気軽に歯をむき出しにした笑みを見せる。 「ハッハ、遠慮するナって。そっちも来なヨ」 ヴォルガの訛りが残る共通語で彼女に話しかけて さらには右手を出して招き寄せる。 ヴォルガの人には珍しく、誰にでも愛想がいいようだ。 197 :趙・文心(チョウ・ウェンシン)/ローター式空戦型:13/09/23 00:20:52 ID:Ijsx4Pzt >>196 タチアナの気さくな様子と、なにより理解できる言語を耳にしたことでほっと胸をなでおろし。 ついでバツが悪そうに苦笑いを浮かべると、 「遠慮なんかしてないですよ。ただちょっと聞きなれない言葉で話してたもんだから」 内緒話かなー、なんて思って。冗談交じりにそう言いながら、そちらへ歩み寄るのだった 自分より歳上なタチアナを相手には、軽口は叩きながらも一応は敬語。彼女のスタンスである 198 :ヴェーラ・イリイニチナ・ドラニシヴァ 潜水隊所属 :13/09/23 00:24:43 ID:6+2i4eDC >>194 (瑞穂……いや) 近づいてきた異邦人を東洋系と認め、瑞穂皇国の人間かと推測するが、その口から聞こえてきた言語から再び思考を巡らせる。 (……恐らく、華夏かしら?  あの頭のは瑞穂の奴が持ってたマンガで華夏人が着けていた奴によく似ているわ) 「貴女も、トレーニング帰り?」 一応、共通言語で返す。ヴォルガの言葉が理解できるかもしれないが、だからといって自国語で話しかけるなんてそんなプリマスじみた真似は出来ない。 彼女のきた方向は私も通った道。 私もつい一時間ほど前までは利用していたのだ。 無料で多種多様なマシンを好きなだけ使えるのは軍属になったかいがあったと思うには十分だ。 と、言うのは押さえる。 まだ彼女にとって私は冷たそうな外人女でしかないはず。そのイメージは壊せない。 >>195 『ええ、どうも。ウンザリするわ』 料理がおいしくないことも出撃がないことも自分の所属する隊にも。 それは言っても仕方のないことだが、思う分には自由だろう。 『私はヴェーラ・ドラニシヴァ。好きに呼んでくれて結構よ。  所属は海軍』 自己紹介にこちらもかえし、更に忠告にも返す。 『普段日が当たらないのよ。日光浴位しないとね。  それに日焼け止めもきちんと塗ったわ』 そういって弁当を入れていたと思しき籠からそれを取り出してみせる 199 :タチアナ(ターニャ)・トハチェフスカヤ@ヴォルガ連邦/陸戦快速型:13/09/23 00:35:56 ID:m6uY16/G >>198 『暑イと寒イなら寒イ方がマシな気がするネ。溶けルも凍ルも勘弁だけどサ』 まさか全体的に不満を持っている事に思っていないタチアナ。 精々、この気候ぐらいだろうと思っているらしい。 「ヴェーラちゃんね、わかったヨ。コンゴともヨロシクね」 ヴォルガの言葉と共通語入り混じっての会話。 そろそろ共通語にヴォルガの言葉がまじりだす頃か。 『なるほどネ。そういうことなら大丈夫だネ』 日焼け止め、そういうのもあったか! >>197 「悪いネ。こういう時に母国語ぐらイ話さないト忘れてしまいそうなノ」 ニッッシ、と笑っては右手で自分の胸をさして 「アタシはタチアナ・トハチェフスカヤ曹長。てっとり早クターニャって呼んでいいヨ」 続いてヴェーラの方を向き。 「んデ、彼女がヴェーラ・ドラニシヴァ。好きに呼んデいいってサ」 自分の胸にさしていて指を、今度は唇にあててながらさらにヴェーラを紹介する。 「ちょっト怖いかモしれないけド、仲良くなったラ そうでもないんだヨ」 ココらへんは完全にタチアナのイメージであるが、ともかくそうヴェーラを紹介した。 ついさっき知り合ったばかりだというのに。 200 :趙・文心(チョウ・ウェンシン)/ローター式空戦型:13/09/23 00:54:33 ID:Ijsx4Pzt >>198 初対面の相手だ。それとなく顔を見て、いろいろと推測していることは伝わってくる 特に華夏人は、先のフィーンド襲撃の件もあって色々と先入観を得られやすいのだ (……ま、気にしてないけどね) 「そうそう。日課としてやらないとすぐ鈍っちゃうからね。最近日課通り越して趣味になりつつあるよ」 彼女からも共用語が返ってきたことで、会話に本来の自分を取り戻しつつ。 それくらいしかやることがない、というわけではないが。彼女の場合そこにいるのが一番落ち着くのだという。 「ヴェーラ、だって?アタシは趙・文心。よろしくね」 タチアナ経由で入手した名前を呼んで快活に笑みを浮かべ、挨拶とした >>199 「あはは。まあ自分の国の言葉が一番馴染み有りますしねえ」 自分も、家族といれば自然とそれを使うのだ。きっとそれと同じこと、と納得して、 しかし同時に気付くのは、家族以外にそれを使う相手がいないこと。 奴らのせいで、という思いから瞳に憎しみを宿らせるが、それも一瞬のことで。 「あ、アタシは趙・文心。よろしくお願いします、ターニャさん」 「怖くはないけど、割と無口なタイプ?ですよね、彼女」 本人が隣にいてこの台詞。本人にも真っ向から言える彼女の性格だからこそ、なのだろう 201 :ヴェーラ・イリイニチナ・ドラニシヴァ 潜水隊所属 :13/09/23 01:08:02 ID:6+2i4eDC >>199 『脱ぐにも限度があるもの。暑いってのは本当に嫌ね』 取り敢えずはタチアナの言葉に乗っかっておこう。 わざわざ自分の身の上まで愚痴るなんて、全くクールとはいえないもの。 「コチラこそ、宜しく。タチアナさん」 いきなりファーストネームで呼ぶのは少しキャラか違うけど、愛称で呼ぶよりはこっちの方がらしいはず。 僅かなヴォルガなまりはあるものの、流暢な共通言語を口から紡ぐ。 「ええ、骨が折れるのも困るから」 任務となれば深海でなくとも、全身をスーツで覆い顔まで隠すのだから日の光は浴びれるウチに浴びておきたい。 ここは只でさえ晴れが少ないのだ。まったく、嫌になる。 と、タチアナの文心に向けた発言に内心少々穏やかでない。 代わりに自己紹介してくれたのはクールな私の印象にプラスなったはずだが、その後に続いた言葉はそれを崩していないか。 >>200 「私も日課のようなものね」 出撃がないのだからやることも特にないし。 「……また施設で会うかも、ね」 流石に施設に行きまくる理由は格好悪すぎて言えない。 「……よろしく、 趙・文心 」 華夏はファーストとラスト、どちらが名前だっただろう? 分からなかったので取り敢えずフルネーム呼びだ。 その後のタチアナとの会話で、自分のイメージがさほど崩されていないことにほっとする。 勿論、表情には出さないが。 202 :タチアナ(ターニャ)・トハチェフスカヤ@ヴォルガ連邦/陸戦快速型:13/09/23 01:23:42 ID:m6uY16/G >>200>>201 趙の目の中で一瞬なにか映ったのを見て、タチアナは 唇を一瞬とがらせる。まあ、あの怪物たちに抱く感情は誰も似たようなものだろう。 「無口っていうカ、口数少なイのは最初のうちヨ。多分」 初対面だからまったく適当な事を言っている。 >>201 『あ~でも寒い方がウォッカが美味しんだよね。 いつどこで飲んでも美味しいとはいえ』 そういえばたっぷりと無色の液体が詰まった瓶を片手に持っていたな、コイツ。 と、ここでタチアナは距離を取って二人に向かって声を出す 「う~そろそろアルコールを補充しないトいけないからサ、 いちど離れるネ!それじゃ、またヨ!」 というわけで中庭に出る際に使った窓から基地の中にin そのまま脱兎の如く走り去ろうとします。 ……アルコールを補充ってなんだ? 203 :趙・文心(チョウ・ウェンシン)/ローター式空戦型:13/09/23 01:38:48 ID:Ijsx4Pzt >>201 「……じゃあその時にはアタシの天才的射撃術をその目に収めることになるね!」 大口を叩くのは自信の現れか否か。実際その腕は平凡の域を出ないものなのだが。 「フルネーム呼びとはまた珍しい……文心で良いよ、そっちが名前。  そっちは、ヴェーラが名前で良かったよね?」 確認するような口調で尋ねる。ファミリーネーム呼びが彼女の中での普通のようだ >>202 自分が漏らしたその感情について、気付かれなかったかそれとも気付いた上で流されたのかは分からない どちらにせよ助かったと、内心で安堵の息を吐きだした (珍しいことでもないだろうに、嫌がる人はとことん嫌がるもんね。復讐ってやつ) 「仲良くなれば自然と会話も増えますよね、多分」 確証もないことを想像で話す二人。 「お疲れ様でーす」 お辞儀をして見送ると、「お酒かぁ……」などと呟いて。 飲んだこともないそれに小さく憧れの感情を示していた 204 :ヴェーラ・イリイニチア・ドラニシヴァ:13/09/23 01:54:26 ID:6+2i4eDC >>202 「うら若き乙女が太陽の下でする発言じゃないわね」 言って、ため息をつくのも忘れない。ため息はクールな女につきものだ。 実際、まだアルコールになれていない私はあんなもの何がおいしいのか分からない。 身体を温めたいならホットチョコレートを飲めばいいのだ。 「今からあの調子じゃ、彼女の将来が不安になるわね」 これは結構本心だったり。 軽く手を振って見送りながら呟くのだった。 >>203 「言うものね。ぜひ見せてもらいたいわ」 大仰な台詞を挑発するような子供っぽいことはしない。 自分のスキルを必要以上に誇示するのもまたらしくないため、こちらはあくまで受け身な返しになる。 「……もし時間があるときに会えば、格闘術の訓練に付き合って貰ってもいいかしら?  華夏は体術に秀でていると聞くわ」 創作で得た知識だが、大きく間違ってはいない筈だ、きっと。 「文心、ね。  そうね、ヴェーラでいいわ」 こちらを気遣わせてしまっただろうか、うーむ。 無知が知れたとなると少々恥ずかしい。 205 :趙・文心(チョウ・ウェンシン)/ローター式空戦型:13/09/23 02:10:02 ID:Ijsx4Pzt >>204 「か、格闘!?悪いけどアタシそっち系は専門外なんだよねえ  セイバーユニットが空戦型とはいっても、後方支援に特化したタイプだからさ」 その機体特性から、近接戦闘の経験は皆無で、故に力にはなれそうにない 期待に添えなくて残念だ、という表情でそう告げる 「そういう間合いに入り込むまでの訓練なら相手してあげられるんだけどねー」 彼女に出来るのはあくまで射撃、ということだ 「うん、じゃあ改めてよろしく、ヴェーラ」 206 :ヴェーラ・イリイニチア・ドラニシヴァ:13/09/23 02:23:07 ID:6+2i4eDC >>205 「そう、いえ気にしないで頂戴。  私の知識が間違っていただけだもの」 また無知を……いや、国民全員が格闘家である筈が無いのだ、不得手な者も当然いるだろう。 それを予測出来なかったのは痛いがそれでもまだセーフ、今回はセーフだ。 イメージを崩すには至らないだろう。 「こちらこそ、文心。  戦場で会う機会はないでしょうけど、トレーニングではお世話になるかもしれないわ」 は。 つい自虐じみたことを言ってしまった。 207 :趙・文心(チョウ・ウェンシン)/ローター式空戦型:13/09/23 02:37:09 ID:Ijsx4Pzt >>206 「ま、アタシの場合生まれ育ったのは華夏だけど軍人としては合衆国所属だからね  そういう事情もあるってことで受け止めといてよ」 知識不足のせいだけではない、とフォローのつもりで口を開く ヴェーラの持っていた知識が正しいかどうかは文心本人にも分からない。 彼女としては格闘戦といえば寧ろ隣国、瑞穂の領域であったが、これもイメージでの話だ 「セイバーのタイプが違うとなかなか一緒の戦場にはならないからね。ヴェーラは空じゃないんだ。海?陸?」 彼女の発言を自虐とは捉えず、単純な疑問を投げかけた 208 :ヴェーラ・イリイニチナ・ドラニシヴァ 潜水隊所属 :13/09/23 02:55:12 ID:6+2i4eDC >>207 殆ど亡国となった華夏だ、所属も移っているのか。 あまりそこに口は出さないでおく。 それがスマートな対応だ。 しかしなるほど、訓練も特に受けていないということだろう。 国柄とはイメージで語れないものだ。 ……アルビオンの食事が不味い、というのはイメージから外れて欲しかったが。 「海の中ね。  同じ海軍の連中とも戦場じゃ殆ど顔を合わせないわ」 もっとも目立たず、セイバーの汎用性も低い。 武器は地味だしとにかく華のない舞台だ。 どこの戦場でも暑いと言うことがないのが数少ない利点だな。 209 :趙・文心(チョウ・ウェンシン)/ローター式空戦型:13/09/23 03:14:09 ID:Ijsx4Pzt >>208 「麗島の方に行く手もあったんだけど……まあ、ツテがあってね」 この言葉を最後に口を閉ざす。ヴェーラも追求してこないことだし、この話はここで終わり、ということだろう 歩み寄るくせに変に距離を取ろうとしているな、と今の自分を評価する その反面、仕方のない事と思いもする。まだ初対面だし―――というのは言い訳だろうか 「へえ、海戦型。なんていうか専門職、って感じだよね」 空から陸、陸から空への攻撃は不可能ではない。しかし、海中の敵に満足に攻撃できるのは海中からのみ、と彼女は考える。そういった意味での「専門職」だ そう考えると、口数の少ないヴェーラの性格も『職人気質』という言葉に当てはまるものがある、という気がしてくる 210 :ヴェーラ・イリイニチナ・ドラニシヴァ 潜水隊所属 :13/09/23 03:40:05 ID:6+2i4eDC >>209 ツテというのがなにかはしらないが、あるものを使うに越したことはない。 国を襲撃され、文心にも抱えるものがあるだろう。 それを果たすために国を渡ったのなら私はどうこう言うことは出来ない。 「専門職なんて。  文心のいる空が羨ましいわ」 思わず本音が漏れた。 今はイメージを守るなんてことをやっているから口数も減らしているが、本当は喋ることは好きだ。 実際は職人気質なんてものとはずいぶん遠い人間なのだ、この少女。 そのときチリリリリ、とくぐもったベルの音が聞こえてきた。 「っと、ごめんなさい。  そろそろ行かないと合同訓練に遅れてしまうわね」 籠の中からタオルに埋もれた時計を取り出しベルを止めると、 言いながら籠を持って立ち上がり更衣室の方へ体を向ける。 「また会いましょう」 顔だけ振り向いて言うと颯爽と歩いていくのであった。 内心、これは決まった、などと思いながら。 //ぶった切りですみません、ちょいと 寝落ちの危険が出てきたので失礼します //ありがとうございましまた、またお願いします 211 :趙・文心(チョウ・ウェンシン)/ローター式空戦型:13/09/23 03:58:08 ID:kB62e5JA >>210 「あー、そうだね。空ってのはやっぱり憧れるもんだよね……」 成る程。ヴェーラの思いを一端ながら理解した つまりそれは、主たる戦場の空への憧れ、と言ったところだろうか (だとしたらアタシとちょっと似てる、かな……) 彼女の場合、空という領域には居るもののあくまでその立ち位置は後方 本音を言えば、もっと前線に出てもっと多くの敵を屠りたいのだが――――と、思案しているところで鳴るベルの音 「あ、もうこんな時間?すっかり話し込んじゃったね」 じゃあ自分も此方の用事を済まそうと立ち上がって首にかけたタオルを折り畳みながら、 「うん。じゃあまた」 その自信に満ちたように見える後ろ姿を見送るのであった /はーい、此方こそ遅くまでお付き合いありがとうございましたっ /お休みなさいー 212 :清水 陽咲 『瑞穂皇国』 旧式陸戦型:13/09/23 12:15:53 ID:EWIwvDlX イエズス運河仮説基地。 先日のフィーンド襲撃の際に起こした毎度毎度の武装の損壊で、こっぴどく怒られた彼女――――清水 陽咲は。 大小新旧、様々なセイバーユニットの並ぶだだっ広いドックの単独での清掃を言い渡されていた。 枯れ草色の野戦服の、袖と裾を大きく捲り、頭に布を巻いて、額や鼻先に汗を伝わせながら、長いモップを手に。 せかせかと。時折通りすがる整備員にからかわれながらも、案外と真面目にこなしていた。 「ちっくしょう、あのハゲ…!思い切り拳骨しやがって……!!」 おー、いてて。何て言いながら、モップを動かす手を止めて、巻いた布の下にあるたんこぶを右手でさすさすと擦る。 そうしたなら、集中が切れたとばかりに左手で支えていたモップを手放して、ドックの床の上に何の抵抗も無く寝転がった。 「はぁー、もう、疲れた!休憩だ!ちょっと休憩!腹減ったなー!!」 残りはまだまだ、半分以上もある。そう思うと気が遠くなって、今すぐ投げ出したい気分になる。 しかしそうしてしまえばぶっとばされる。一度だって嫌なのに、何度も拳骨を喰らうなんて悪夢以外の何物にもならない。 憂鬱な気分になって溜息をつき、ジャリジャリとしているが、冷たいドックの床に、頬をくっ付けた。 213 :藤堂=コーデリア・バレンタイン/"BULLET LIFE":13/09/23 12:52:20 ID:GYODH3sa >>212 今日付けでイエズス運河仮設基地に異動となった私は、現地の昼食もそこそこに済ませ、ドックに繋がる廊下を走っていた。 フィーンドの襲撃にもある程度耐えられる鋼鉄製の廊下を脇目も振らず通り抜け、セイバーユニットの格納庫へと向かう。 その理由は、と言えば 「はッ、はッ、はッ……」 荒い息を整えることもなく、私は格納庫に滑り込む。当然、足元で寝転がる少女には目もくれず。 ざりざりざりっ、と砂利を撒き散らして急ブレーキをかけ、横一列に並べられているユニットを眺める。 その中から、私は一機のユニットを見つけて あった、と喜びの声を上げた。 私がここまで走ってきた理由は、自分の愛機を確認するためだった。 「よかったぁ……うん、大丈夫だった。  ……あ、こんにちは!」 そこまで経って、私は足元の少女に声をかけるだろう。 もちろん、私に彼女の心境が分かるはずもない 実に呑気なことに、こんな所で昼寝するなんて変な人だなあ、と思っていたぐらいだ。 /お、遅れました……! 214 :清水 陽咲 『瑞穂皇国』 旧式陸戦型:13/09/23 13:13:47 ID:EWIwvDlX >>213 ぐったりと、そこに身体を預けていると、何やら急ぎの様なのだろうか、短い間隔でこちらに迫る足音を聞いた。 もしかして、また叱られるのだろうか。 また私は何か悪い事をしただろうか、と昨今の生活を思い浮かべてみるも、心当たりがあり過ぎて逆に困った。 まぁなるようになるさ、と。其処から動く事も無く、疲れた身体をギリギリまで休める事にして。 其処に滑り込んできたのは、背の高い、一人の少女だった。 「んぉ……!よう!!」 はて、見覚えの無い顔だと思い乍ら、かけられて挨拶の言葉に仰向けに寝転がりながら片手を挙げて返事をよこし。 ぺったりとドックにくっつけていた上体を持ち上げて、緩慢な動作で立ち上がった。 背の低い陽咲は、彼女の顔を見上げる形で覗き込み。 「見かけない顔だな!新入りか?何が大丈夫だったんだ?」 不遜に。恐らくは年齢も上であろう彼女に向かって、遠慮も無しにそう問いかけた。 掃除道具を辺りに放りっぱなしにしながら、屈託なく悩みの無さそうな、明るい笑いを彼女へとかけながら。 /問題なしです!のんびり行きましょう!! 215 :藤堂=コーデリア・バレンタイン/"BULLET LIFE":13/09/23 13:37:07 ID:GYODH3sa >>214 「はい! 本日付けでここに異動した、藤堂=コーデリア・バレンタインです。  よろしくお願いしますね!」 アッシュブロンドのポニーテールを揺らして、私はそう答えた。 目の前で私を見上げる少女は、薄黄色を帯びた肌色からして恐らく瑞穂の出身だろう。 私より背の低い、まだ幼さの抜け切らない顔をした彼女を見て、随分と元気なのだなあと思う。 歳相応な快活な笑いを投げかけられて、私は少しお姉さんぶろうと、優しげな微笑みで返してみた。 「えっとですね……私の機体がちゃんと運ばれてきたか、気になって来たんです。  前に、機体だけ置いていかれたことがあって……」 あれは今年の春のことだった。するべき書類手続を忘れて、こっぴどく上に怒られたのを今でも思い出せる。 けれどもそれだけが理由ではないのが、本当の所で――しかしその話をするとかなり長引くだろうから、今はやめておく。 「あなたの、お名前は?」 私は彼女の名前を聞いていなかったのを思い出して、質問する。 実を言うと、私はまだ彼女のことを清掃員か何かかと勘違いしていたのだった。 216 :清水 陽咲 『瑞穂皇国』 旧式陸戦型:13/09/23 14:03:12 ID:EWIwvDlX >>215 「おう!そうか、よろしくな!えーと……藤堂、でいいか?」 彼女の名前を聞くと、首を傾げながら、少し自信無さげに彼女へと、そう確認を求めた。 瑞穂皇国にはミドルネームという概念が存在せず。他国の名前には、なかなか慣れる事が出来ていない。 しかしながら、そんな異国の名前に瑞穂皇国の耳慣れた言葉が、苗字が紛れ込んでいた。 咄嗟にそれを選択した物の、何か、相手に不愉快な思いをさせてはいないだろうか。 幼いながらも、不遜ながらも、そんな心配と共に、彼女の顔を見上げていた。 「ふーん……駄目だなそんなの!セイバーユニットは自分の命を預ける相棒だ!  そんなんじゃ駄目だからな!もっと大切にしないと!」 彼女よりも年齢が下にありながら、彼女よりも背丈も低くありながら、こんな場所で清掃に勤しんでいながら。 分かったような口を聞く様で、しかし彼女にとって不思議と説得力を持っているように見えて、それも其の筈。 「オレの名前は清水ヒナタ!気安くどうとでも呼んでくれよ!よろしくな!  そしてオレも同じ、セイバーユニットの適合者だ!オレの機体は……あれだ!」 こんなところでモップやブラシや箒と戯れながらも、フィーンドと戦うセイバーユニットの適合者だからだ。 横一列に並べられたセイバーユニットの内の一つ、瑞穂皇国製の、旧式の陸戦型セイバーユニットを指差した。 傍らには長大な皇国製レールガン、先端に槍斧の様な刃を取り付けた物が、ラックに吊り下げられ。 そして瑞穂皇国の刀を模した振動剣――――を納めていた筈だった、中身の無い鞘が立てかけられていた。 217 :藤堂=コーデリア・バレンタイン/"BULLET LIFE":13/09/23 14:34:48 ID:GYODH3sa >>216 【っと、少し用事が入ってしまいました……】 【今日はお返しできそうになくなってしまったのですが、凍結していただいてよろしいでしょうか?】 218 :清水 陽咲 『瑞穂皇国』 旧式陸戦型:13/09/23 14:37:50 ID:EWIwvDlX >>217 /了解しましたー! /ではまた後日返信をくだされば!一旦お疲れ様でしたー! 219 :ミーナ/ロンバルディア軍服 :13/09/26 21:24:26 ID:83ffa/vV ――アイギュプトス共和国 首都 セイバーを脱げば、そこにいるのは年相応の小娘である。 本来ならば学生であるはずの身分でありながら、鉄火場へと放り込まれるのだ。 それが望んだものにしろ、望まぬものにしろ――休暇でぐらい、自分の歳を思い出す必要がある。 「――で、ランチか」 基地の整備班、班長のシバさん(仮名)の発案で、非番の娘らは町に繰り出すよう言われた。 女同士の友情というものもあるだろう、と彼は言うのだが……。 どうにも、遊ぶということに慣れのない娘、ミーナはどこか困惑した様子であった。 220 :ヴェーラ・イリイニチナ・ドラニシヴァ 潜水隊所属/ワンピース:13/09/26 21:40:37 ID:rp/srysl >>219 物資輸送の護衛という形ではあったが、任務を与えられたのは喜ばしいことだ。 喜ばしいことだが……この頭のオカシイ暑さはどうにかならないものか。 往復での護衛任務故、まだあと数日はこの国に滞在しなければならない。 料理の不味い国からこんな国。 フィーンドはもう少し攻めるところを考えてほしい。 「……」 飯を食ってこいと言われても、この国は殆ど来たことがないのでなにを食べればいいのかもわからない。 それに暑さで口を開くのも億劫だ、なにか適当に食べれるものがいいのだが。 ちらりとロンバルディアの先輩を見やる。 ロンバルディアの先輩、とはおかしな表現だが年齢的に先輩と呼ぶに他ないのだからしょうがない。 とにかく、この先輩はこの国についても先輩だ、なにかいいお店を知らないだろうか。 なんだか先輩の挙動が優れないが、まあこの暑さだし。 221 :ミーナ/ロンバルディア軍服 :13/09/26 21:49:18 ID:83ffa/vV >>220 「なぁ、連邦の」 ここまで一言もロクな会話がないことに彼女は危機感すら感じていた。 ロンバルディア人は情熱的で社交的だと思われがちだが、必ずしもそうであるとは限らない。 彼女は、その一般的なロンバルディア人のイメージよりも大分、大人しい性分であった。 無口な子を相手にすると、変にマジメなせいで空回りすることすらある。つまり今だ。 「アフリカは初めてか?」 きょろきょろと何かお店を探しながら、とりあえず何か話さなければ、とそんな事を聞く。 222 :ヴェーラ・イリイニチナ・ドラニシヴァ 潜水隊所属/ワンピース:13/09/26 22:00:49 ID:rp/srysl >>221 「基地から出たのは初めてです。何分、暑さには弱いので」 その顔には汗が浮かび、鋭い目もなんだか弱って見える。 胸元からぱたぱたと外気を取り込むがあまり効果のほどは感じられない。 ちなみにこの少女、無口なのはあくまでキャラ作りであるが、今ばかりは本当に口数が減っていた。 「ミーナさんはここに長くいるのですか?  ……この国にはなにかさっぱりしたものはあるのでしょうか?」 途中、水筒で口を潤しながら喋る始末。 失礼だとかは二の次になっている。 223 :ミーナ/ロンバルディア軍服 :13/09/26 22:11:12 ID:83ffa/vV >>222 「そうだな。結構長くはなる。たまにヨーロッパを回ることはあるが……」 暑い。確かに暑いが、国の誇りたる軍服をだらしなく着るわけにもいかない。 あまり気の利いた私服を基地に置いてない彼女は、否応無く、そんな暑苦しい格好をするハメになっていた。 「外で食事をとった経験はあまりないが、そうだな……」 「さっぱり……基本どの料理にもスパイスが入っているものだと思ったほうがいいな」 適当な全国展開のチェーン店でも探すなら話は別だが、とぐるりを見渡す。 合衆国の巨大コーヒーチェーン店なら見つけた。 224 :ヴェーラ・イリイニチナ・ドラニシヴァ 潜水隊所属/ワンピース:13/09/26 22:20:29 ID:rp/srysl >>223 「……上くらい、脱いだらどうですか?  別に私くらいしか見ませんし、私は気にしません」 上官(?)に意見するのははばかられるが、見ているだけで暑いのだ。 軍服という奴はごてごてし過ぎている。 「余計に暑くなってしまいますね……」 この国の人はなにを考えているのだろう。 暑いときに辛いものを食べてなにが楽しいのだ。 と、ミーナの見やった方向へ目をやるとプリマスに本店を持つコーヒーショップが。 「ミーナさん、取り敢えずあそこに入りましょう。  とにかく日の下にいるのは限界です」 いうと、返事も聞かずずんずんと進んでいってしまう。 このヴォルガ人、かなり自由気ままだ 225 :ミーナ/ロンバルディア軍服 :13/09/26 22:26:26 ID:83ffa/vV >>224 「そうするわけにはいかんな……」 そんなところを市井の者に見せるわけにはならん。 彼女は本気でそんな事を言う。 「そうだな。エスプレッソでも飲もう」 賛成し、その後をついていく。 店に入れば、常識的には冷房が効いており、外とは天国と地獄程の差がある。 コーヒーの良い香りも漂ってくる。食欲が沸いてくるのではないだろうか。 軽食しかないけどね。 226 :ヴェーラ・イリイニチナ・ドラニシヴァ 潜水隊所属/ワンピース:13/09/26 22:44:27 ID:rp/srysl >>225 「なら軍服なんて着てこなければ……」 ここまでいって一つの予想が頭を過ぎる。 このロンバルディア人の女性が軍服大好きでもないかぎり、そういうことなのではないだろうか。 「食事をとったら、服を見ましょうか」 私としても滞在用にもう2着ほどあってもいいと考えていたので都合がいい。 それに日傘も必要だ、このままではぶっ倒れる自信がある。 店に入り、やっと一息付けた。 ひとまずアイスコーヒーを頼み、ついでにBLTサンドイッチというのを頼む。 基地にいたプリマスが最近本国で流行り出したと言っていたので気になっていたのだ。 227 :ミーナ/ロンバルディア軍服 :13/09/26 22:56:53 ID:83ffa/vV >>226 「賛成だ。こういう事があるなら、気の利いたものが欲しい」 あんまり女の子らしい服装は苦手……というよりはなかなかサイズがない。 背丈が男と同等かそれ以上ぐらいに大きな女はマイノリティである。 故にそれ向けの服を売る店もまた少ない。 「……なんで私はこんなものを」 ボーッとしたせいか、エスプレッソコーヒーまでしか注文を考えていなかった。 そのため、とにかく目に付いたものを注文したのだが。 「超長エクレア」なる、非常識なシロモノをうっかり頼んでしまうことになった。 228 :ヴェーラ・イリイニチナ・ドラニシヴァ 潜水隊所属/ワンピース:13/09/26 23:11:44 ID:rp/srysl >>227 「服の気が利くか利かないかなんて、着る人次第です。  貴女には貴女なりのファッションがありますよ。」 コーヒーでのどを潤し、空調により汗も引いてきた。 それによって口の回りも滑らかになる。 「折角のスタイルですから、生かさない手はありませんね。  こちらの気候にあわせるとなれば、ぴったりとしたパンツスタイルよりゆったりしたシルエットになりま、す……が。  ええと、……失礼しました。」 しまった、少々喋りすぎてしまった。  さきほどまで口が重かったためについ、だが、私のイメージは大丈夫だろうか。 「なるほど、これがBLT……」 話題をそらすため強引なハンドリングをとる。 丁度いいタイミングで来てくれた、ありがとうBLT。 「ミーナさんはなにを頼んだのですか……  っ!?」 それはエクレアと呼ぶには余りに(ry しかし十分すぎるボリューム、圧倒的なクリーム、艶やかなチョコレート! とても……美味しそうです。 しかし、私にはクールでドライなヴォルガ人少女のイメージが! 少女は一人脳内で頭を抱えるのだった。 229 :ミーナ/ロンバルディア軍服 :13/09/26 23:18:38 ID:83ffa/vV >>228 「……驚いたな。ファッションの心得があるのか、君は」 おしゃれの国のイメージのあるロンバルディアなのだが、彼女はその限りではない。 軍人にそんな物は無用だろうと切り捨ててきたゆえだ。 「そういうことなら是非見立ててもらいたいところ……うん?」 ヴェーラの視線を探る。 自分に向いているのはわかる。自分のどこだ? ……おへその辺り? いや意味がわからない。もっと手前か。テーブルの上。 そこにあるのは何だ? 棍棒のようなエクレアではないか。 「……甘いの、好きか?」 ナイフできこきこエクレアを切り分けてみる。 とろりとカスタードが切り口から零れた。 230 :ヴェーラ・イリイニチナ・ドラニシヴァ 潜水隊所属/ワンピース:13/09/26 23:29:33 ID:rp/srysl >>229 「そんな大したものはありませんが、まったく無いわけでもありませんので」 流石に上官にロンバルディア人の癖に疎いんですね、とは言えない。 私と違ってなるべくなった兵士であるらしいこの女性は、その辺のことに興味を抱かなかったのだろう。 「ああええまあはい。、ひ、人並みには」 甘いのが好きかと聞かれてテンパるなど、と自分でも思う。 ここでさらっと応対できていればまだ違っただろうに。 頭を落ち着けるためコーヒーを大きく一口飲み、BLTサンドにかぶりつく。 「っ!……げほげほっ」 むせた 231 :ミーナ/ロンバルディア軍服 :13/09/26 23:34:51 ID:83ffa/vV >>230 「……ならわけてやろう。私一人じゃむなやけがする」 テンパった挙句慌ててコーヒーを飲んでむせた様子を見て、クスクスと笑ってそう言う。 確実に、これまでのキャラ作りが逆効果になった瞬間だろう。 不良がたまにいいことすると過大評価されるが如く。 普段無表情気味の子がかわいいことすると針小棒大にかわいく見えるのだ。 「隠すことでもないだろうに」 食べさせてやろうか? 何て冗談も飛ばしつつ。 食後の買い物は、なかなか和やかになりそうだ。 //時間も近いのでこんな感じで~! 絡みありでした。 232 :ヴェーラ・イリイニチナ・ドラニシヴァ 潜水隊所属/ワンピース:13/09/26 23:46:54 ID:rp/srysl >>231 「……自分で食べられますから」 むせたのと恥ずかしさとで朱に染まった頬を感じながら、今まで通りでからかいに返す。 まったく、まったくもう。 「別に隠しているとかでは……。  ただそれこそ似合いませんから」 自分ではそう思っている。 年頃の娘が甘味好きでなにが悪いという気持ちもあるが、やはり自分のような人相の女がケーキをぱくつくのはなんだか痒い。 貰ってしまったのでエクレアはいただくがまったく、本当に 「……おいしぃ」 //ありがとうございましたー 233 :エディータちゃんと兵隊さん :13/09/27 22:15:07 ID:CSxzt1VN 【ナイル中流域@哨戒任務中】 北部アフリカの防衛活動の一環として、陸戦部隊は今日も荒野を走るわけです。 アルビオンや瑞穂の技術山盛り対空レーダーサイトは大変に有効ですが 地形を盾にするなど抜け方はいくらでもありますので。 「とは言っても、なーんもないんだけどねー」 対戦車火器装備の歩兵小隊に同行中の大砲使いはとても暇そうでした。 双眼鏡で空を見ていた一人の兵士の声を聞くまでは。 「中型と、小型が3か4くらい?」 対空砲弾でも届かない高度で、そのフィーンド群は飛行中。 爆装してるのと、その護衛機といった感じ。 「すぐに最寄り基地に打電!  迎撃機上げてもらって!!」 【ぴこーん:爆撃ユニットの防衛ミッションが発生しました。  迎撃チームは高度6000を目安にカイロ南方空域へ出撃してください】 【なお、陸戦バカの今日の出番はここまでです】 234 :エルゼ/帝国軍服/航空爆撃型:13/09/27 22:25:10 ID:rTUGPWA5 >>233 「……全く、私まで出撃する必要無いと思うんですがー」 地上部隊からの打電を受け、スクランブル発進を余儀なくされたエルゼ。 その表情はむすっとしたもので、見るからに機嫌を損ねている。 というのも、つい先程まで珍しく手に入れた甘味料を食していたからで。 そうこうしている内に高度は6000近くに達し、そろそろ目的の空域である。 「さーて、敵さんは何処に居るんですかねー」 エルゼはそう言葉を発すると、頭部の「ヒルシュホルン」の索敵機能を展開した。 本職の偵察ユニットには大きく劣るものの、Hu-61とてそれなりに優秀な索敵能力を有している。 地上部隊からの事前情報からしても、それ程厄介な敵でもないと判断出来る。 故に、索敵は無事に成功するだろうと彼女は踏んでいた。 235 :ヨゼフィーネ(ヨゼ)/白金髪青紫眼やわらかレイヤーボブ/近接空戦ロケット型:13/09/27 22:34:52 ID:47gQj92U >>233 高度6000ともなると、そういったものを相手取る専用の武装か同じく空を飛べる人材を割り当てることになる 必然、同じくグロースクロイツに所属して且つ空戦セイバーの使い手であるヨゼに声がかかる 距離的にもシュネーフーンの足の速さならば打って付けだったというわけだ 一つだけ問題があるとすれば、彼女が射撃戦に向いていないということだが――――― そこは、同じく出撃を命じられた周りの人物が何とかしてくれるだろう 「エディが言ってたのは、確かここらへんだよね」 目標空域に到達したヨゼの今回の装備はいつも通りのアサルトライフル1本 話によれば中型が1機いるらしいが、その周囲は小型だけとの事 最初から持ち出す理由はあんまりないと判断されたのか、こちらもいつも通り『追って射出』だった >>234 「数はそこまで多くないらしいけど、中型がいるって話だから、そう隠れたりはできないよね」 エルゼと並行して飛行しながら、彼女の――――ひいては彼女の持つレーダー反応を待つ 「まだお風呂に入ってなくてよかった、もし入ってたら、もう一度入らなくちゃいけなかったし」 機嫌が悪そうな彼女とは違って、ヨゼはどこか余裕がありそうな笑顔のままくるりと回って見せた 236 :メイ・サンダーソン@航空隊所属 :13/09/27 22:37:55 ID:V6oAfa0O >>233 「飛行型の迎撃……って言っても数機なんだよね? だったらサクッと終わらせてティータイムにしちゃおうよ。 アルビオンの紅茶は世界一! ってね」 陸戦部隊からの打電を受け出撃する一つの「白」。 戦乙女の名を関するセイバーユニットを着用した少女は高空にて高速の飛行を行いながらも、 まるで女学生が試験前に学友に話すかのような軽口を叩く。 >>234 「うーん、まだ目視じゃ見えないなー…… えっと……エルゼさん……だっけ、索敵とかお願いできるかなー?」 自力での索敵を諦め、既に索敵ユニットを展開しているエルゼに声をかける。 「空戦における速度と火力の確保」を追求した「ヴァルキリーA2」には各種センサー類も付随しており、索敵ができないというわけではない。 だが、 (セイバーユニットの計器類とか、未だにどーやって見ればいいのかよくわかってないんだよね…… 飛行機なら多少わかるんだけど……) この通り、まだ実戦慣れしていないのだ。 そんな自分の判断よりは慣れている人間の索敵のほうが確実だろう、 命を預けるならそちらのほうがいい。 まだ、自分はただ指示に従い敵を撃つだけだ。 237 :フィーンド役担当 :13/09/27 22:46:19 ID:CSxzt1VN >>ALL 特に電探妨害等をかけてるわけではないらしく 編隊ごと上昇中のフィーンド一家はすぐに補足できました。 小型4に中型1というのは、この距離の索敵でも間違いない模様。 位置もほぼ正面。 問題は、索敵に呼応するように中型相応の粒子砲が エルゼたち周辺に向けてぶっ放されてきたことである。 索敵の電波からの逆探による牽制射。 間違いなくこの延長線にフィーンドの群れはいるけれど ここで正面から突入すればすぐに小型からの火線も伸びてくるでしょう。 正面から仕掛けるか、位置取りを変えるかはご自由に。 その場合、小型機の妨害が予想されます。 それを回避すれば、見えてくるのは『空を泳ぐエイ』といった出で立ちの中型フィーンドと その護衛機らしいヒレを拡大して口をなくしたサメみたいな小型フィーンドの群れが捕捉できます。 238 :エルゼ/帝国軍服/航空爆撃型:13/09/27 22:55:31 ID:rTUGPWA5 >>235 「地上からの情報だと、中型1に護衛の小型複数って言うじゃないですか。 そんなのヨゼ一人でも充分片せるじゃないですかー?」 索敵行為を行いつつ、エルゼはヨゼの様子を横目で見遣る。 何故か余裕のある態度を示しており、それがエルゼの機嫌を余計に悪化させる。 なんでこんなに元気なんですかねー…? 「まー、出来る限り私には敵さん近づけないで下さいよ?」 エルゼの両手に持った軽機関銃で対応出来なければ、あとは好き勝手やられるだけである。 格闘戦は得意な方々にしてもらうとしよう。 >>236 「いーまやってますよー……っと」 たどたどしく声を掛けられたものの、それに対するエルゼの口調はどこかそっけない。 今エルゼの脳内にあるのは、基地で食べ残してきた甘味料の事だけだ。 ただでさえ貴重なのに、今回手に入れたのは珍しい本国産のバウムクーヘン。 逃す訳にはいかないのだ。と……? 「……だいじょーぶですから。分からない事があったら私達に聞いてくださいね?」 どこか初々しい様子のメイを見て、エルゼはそう声を掛けた。 こういう気配りもまた、先輩である自分の役目だと認識しているが如く。 >>237 「敵編隊、このまま正面に、展開――っ!?」 索敵を行い、腕部の「テュール」で距離と位置を確認。 だがその直後、眼前から粒子砲が迫ってくるのを認識。 逆探されていた――!? 「散開――!!」 僚機二名に声を掛けると、しかしHu-61自身はその場に留まる。 Hu-61の機動力では、無傷で回避する事は難しい。 ならば、ここで食い止めるのみ。 Hu-61は前面にエフ=フィールドを展開。 迫り来る粒子砲に対して、防御の態勢を取った。 239 :メイ・サンダーソン@航空隊所属 :13/09/27 22:56:22 ID:V6oAfa0O >>237 鳴り響くアラート、敵による攻撃がこちらに向かっているのだ。 この瞬間よりメイにとってここは戦闘空域。 特に目の色が変わるわけでもないが、多少真剣な面持ちにて動き出す。 「即断、上ッ!」 自身の持つ「十則」に従い、深く考えるよりも足を下へと真っ直ぐに伸ばすことを選択。 足の動きに連動して動く大型ブースターが火を吹くと、メイの身体は上方へと方向転換する。 「さぁて、ここからどうするか、だよね……」 撃って来たということはその先にフィーンドがいる、ということ。 群れと言っていた以上、さらなる追撃が来るのも遅くはないだろう。 だから、その前に動くことにした。 >>ヨゼ、エルゼ両名 「突っ切って撹乱しようと思うんだけどどうかな!?」 無線があるなら無線で、無線がないならば肉声で声をかける。 自身のセイバーユニットの機動性によって敵を思い切り掻き回すことで二人を動きやすくしよう、という算段だ。 賛成されればその通りに動くし、反対されれば両名の指示に従うだろう。 240 :ヨゼフィーネ(ヨゼ)/白金髪青紫眼やわらかレイヤーボブ/近接空戦ロケット型:13/09/27 23:07:14 ID:47gQj92U >>237 「くる―――っ!」 ピクンと長くとがったウサギの耳の様なアンテナ――――ではなく、ヨゼの頭跳ねた。 向き直る彼女の視界の先から、恐らく中型フィーンドから放たれたのだろう閃光が走り抜ける ヨゼは瞬時に体を切り返し、出力の制御によって上方へと飛び抜けた。 彼女の先ほど居た場所を光の槍が貫く、間一髪避けきれたということだろうか >>238>>239 「錯乱――――ね」 メイの言葉を聞いて後方を振り返るヨゼ、見れば黒く巨大な――――ミサイルが彼女の元へと向かってきている 否、それは鋭く光を反射する剣、その大きさは6m――――彼女が振るう『剣』だ 「わたしの剣がきたみたい、そうなると錯乱には回れなくなるけど……」 メイへと振り返りならが彼女の案を聞き直す つまり錯乱に回れるのは彼女ひとりと言うことだ、初めての出撃では若干ハードルが高いかもしれないが…… 「エルゼ、どうする?」 241 :エルゼ/帝国軍服/航空爆撃型:13/09/27 23:13:47 ID:rTUGPWA5 >>239>>240 「錯乱ですかー……?」 メイの言葉に、エルゼも無線で言葉を返す。 確かにメイの提案は、その機動力を上手く活かせられれば有効な手だ。 だが、どうやらヨゼは錯乱行為に参加する事は出来ないみたいだし、こちらの攻撃が誤爆する可能性も否定できない。 ヨゼの問いかけを耳に流しながら、エルゼは一瞬考えを深める。 「――では、私が先に爆撃を行うので、その直後にメイが吶喊して錯乱を行ってください。 あわよくば小型を全て撃墜するくらいの勢いで。 そして残った中型が戸惑っている間に、ヨゼがぶすりと一撃。 ――これでどうですか?」 即興で考えた案だが、果たして二人は乗ってくれるだろうか。 242 :フィーンド役担当 :13/09/27 23:14:44 ID:CSxzt1VN >>239 真正面からの直撃弾。 連続して受けたらフィールドを抜かれる可能性は十分にありそう。 さらに中型(便宜上マンタ型とでも言おうか)は追撃として そのヒレの下から高速な何かを2発、発射してきた。 なるほど、空対空誘導弾、というわけである。 マンタっぽいのに寄生する小型フィーンドとでも言えばいいのか それともそこまで含めてマンタ型のパーツなのかはわからないけれど 粒子砲を正面から受けて、そこから加速に入られる前に叩き落とそうってことらしい。 射出後のマンタは機首を上げてエルゼの真上を抜けるつもりのようで。 それもそのはず。 遠目から見てわかるくらい大きな対地攻撃用っぽいのがマンタの腹に下がってますね。 >>239-240 二人の作戦決定を先んじる形で、上昇から高度を速度に変えた小型フィーンド2x2機が 小口径の粒子砲を放ちながら突っ込んできますよ。 一機目はわざと避けやすい火線を作り、二機目がメインアタックを担当らしく、 攻撃にあわせて食らいつかない限り一撃離脱を許す形になりそうです。 非常にわかりやすい一撃離脱ですが、教科書に忠実なだけに厄介そうです。 しかもこの小ザメども、防御はともかく小回りは相当に効きそうな動きを見せてたり。 243 :メイ・サンダーソン@航空隊所属 :13/09/27 23:40:11 ID:V6oAfa0O >>240-241 「了解! アシストはボクに任せて!」 言い終わるが速くブースターを吹かせ急加速。 まだ敵には突っ込まない、言われた通りに爆撃を待つ。 ならばその急加速の標的は── >>242 上方より突撃してきたフィーンド二機だ。 小型とはいえ粒子砲を貰えばそれなり以上に痛いだろう、空戦型の走行の薄さ故それは仕方が無い。 ならばそれを避けるためにはどうすればいいか、至極単純だ。 「当たらなきゃいい、ってね……!」 一機目の放った粒子砲に対し、バレルロールのような形で回転しながら回避。 だが本命の二発目はその回避先を狙う一撃。 来るであろうとわかっていても回避しづらい攻撃だ。 ただ避けるのも難しいし、普通に避けるだけでは離脱を許してしまうだろう。 「だけど、ヴァルキリーの機動性なら……!」 足を動かし、地面に対して水平の体制を取っての加速。 まるで空で背泳ぎでもするかのような動きで粒子砲の一撃を見下ろしながら回避すると 「回避だけの動きじゃないよ……っ!」 左手を後ろに引き、背部ユニットに接続された火器を握る。 ビーム重機関銃、戦闘機における機銃の役割を果たす武装だ。 右手で砲身を支えながらアームごと引き出し、両手で構える。 「……捉えた」 射撃の間は何も考えるな、旋回し攻撃の為に正対しろ、 その十則に従うようにして離脱する敵を上方へ追いながらも正面に捉え、撃ち続ける。 雹嵐の名を冠するその光弾たちは、小型フィーンドならばひとたまりもないだろう。 244 :ヨゼフィーネ(ヨゼ)/白金髪青紫眼やわらかレイヤーボブ/近接空戦ロケット型:13/09/27 23:45:32 ID:47gQj92U >>241 「エルゼ、分かった――――けど、そうも言ってられないみたいだよっ!」 エルゼの作戦にこのまま耳を傾けたいのは山々だったが敵の行動が思ったよりも早い。 こちらの位置を察知して先制攻撃をしてきた時点で察するべきだったかもしれない、既にこちらに対して打って出てきている 「よろしくね、エルゼ」 パチリとウィンクを見せた後、迫ってくる2機の小型に対して顔を向け直した >>242 「ブリンガー!!」 彼女の声に吸い寄せられた黒い影は、2本平行に供えられた柄を露わにして彼女の手元へと収まる ヨゼの身長は152cm 対して彼女の剣『モリオンブリンガー』の全長は5.9m―――つまり単純に考えて彼女の4倍と言うことになる 元から小さかったヨゼの身長が、そのスケールの違いによってさらに小さく見えるほどだ 「領域展開!」 彼女は左手でその建造物を持ち上げると、刃を横にしてフィーンドに刀身を見せるように構える。 通常平均幅にして1m、これだけで盾と言えるだけの大きさ さらに内蔵した重力縮退コアを用いてのエフ=フィールドとは異なった『重力領域』の展開を行えば…… それは、一種の巨大な壁と言っても差支えが無い物体へとなり替わった 「はああぁぁぁぁ!」 出力を集結させ、迫る小型フィーンドの真正面から迎え打って出る様に飛び立つ。 壁としたブリンガーで誘導もメインも関係ない、どちらの粒子砲を丸々真正面から受けて弾く 回避を取ったメイとは全く逆の、豪快とも取れる様な戦術―――― そしてそのまま、真っ向から飛ぶ虫を叩き潰すかのように巨大な質量の塊を振りかざす 「この一撃で……つぶれろ!!」 彼女の振るうそれが描いた軌跡には、空を舞う塵ひとつ、巻き上がる風ひとつ残さない―――――!! 245 :エルゼ/帝国軍服/航空爆撃型:13/09/27 23:48:45 ID:rTUGPWA5 >>242 「――っ、まずっ!!」 何とか粒子砲を防ぎきったは良いが、今のでエネルギーの二割近くが削られた。 しかも相手は間髪置かずに次の攻撃を。 こちらに飛来する高速の物体が二発。 エルゼは、半ば直感的に行動を起こした。 「これ、で――!」 脚部ユニットと連結搭載された三連装ミサイルポッドが左右それぞれ展開。 「ヒルシュホルン」との連動によって、飛来する二発の物体に照準を定める。 間を置かず発射。 左右それぞれ三発、計六発のマイクロミサイルが、二発の物体を叩き落とさんと空中に舞った。 一瞬の間を置いて、爆散四散! 今度も無事防御に成功した。 が。 「……どうやら悠長に話してる時間はくれないみたいですね!」 上空を通過していく中型フィーンドの腹部を見て、エルゼは小さく歯軋り。 >>243>>244 「――後は任せましたよ!」 一度抜けられれば、Hu-61の推力では追いつけそうもない。 だから、後は任せるしかない。 Hu-61は出力を抑え、結果として地上側へ落下していく。 「全弾、発射!」 そして。 エルゼは、Hu-61の残る火力全てを、フィーンドの編隊に発射した。 背部・脚部のミサイルポッド、腰部のコイルガン、肩部の単装砲二門。 全て、余す所無くぶつけた。 246 :フィーンド役担当 :13/09/28 00:01:11 ID:O1RA611U >>243 一機目が駆け抜け、続く二機目に殺到する光芒。 確かな命中の手応えとともに、この戦闘最初の撃墜が記録さます。 重機の牙を全身に受けたサメっぽいのはあっさりと空中で細切れになり そのまま消滅となりました。 残った一機は後衛撃墜に気づいてるのか気づいてないのか そのまま速度を利用して……、全弾発射耐性のエルゼちんの脇腹を突く気か、こいつ! >>244 ふぃーんどのなかのひと の脳内によぎったのは 雑誌で引っ叩かれるハエさんでした。 こう、ビターン って感じに。 まさしく一機目はその目論見通り、横腹を殴打されて空中分解。 問題は二機目だ。 刀身を振りぬいた直後に、二機目のサメがヨゼの腹に食らいつきに来ます。 この速度でこの大きさなら兵器としても十分すぎる威力ですね。 >>245 ちょと確定ぽい? 編隊といっても射線の範囲にはマンタさんくらいしか…… いや、その腹にこそ問題がありました。 先ほどのコバンザメよりも更に小さな大量のぷちフィーンド。 本来なら市街地や基地に落下して広範囲に同化汚染をばらまくそれが 今回は一機のセイバーめがけて殺到です。 それはまさしく弾幕と弾幕のせめぎあい。 問題は、メイちんへの攻撃から目標を切り替えた小型サメタイプが 弾幕合戦の脇から急襲してくること。 なお、76mmの直撃ならさすがのマンタも堕ちます。 その際、しっぽ部分のブレードにうっかり斬られないように注意 247 :メイ・サンダーソン@航空隊所属 :13/09/28 00:14:36 ID:MWEzrw98 >>244 射撃がひと段落着けば、ヨゼによって振り下ろされる一撃に震える空気を肌に感じ、 「ひゃー……あれが「モリオン」かー…… 噂通り、いやそれよりもすごいなー……」 ため息が出るような豪快さにもはや笑いがこみ上げてくるが、今はそれを我慢して次の動きに移る。 >>246 二機まとめて撃墜とまで上手くはいかなかったが一機目は堕とした。 心中に十分な手応えと共に次にやるべきことも湧き出て来る。 「ボクは眼中にないって? フラれた乙女の恨みは重いよ……」 そう言いながら左手の重機関銃を背部のウエポンラックに戻せば、 今度はと右側から狙撃砲を引き出し、左手で砲身を支えつつ頭部ユニットのバイザーを降ろす。 狙撃体制に入り、敵を注視しようとすればその行先のエルゼにはまた別のフィーンドによる質量攻撃が迫っていて。 「だったら」 声では一つ言うだけ、しかし思考と行動は射撃の為のシークエンスに入り、 1から2秒ほどのエイミングと一瞬の呼吸をおけば、 息を吐くようにして反エフ力場狙撃砲「ウルブズクライ」はその砲口より声を上げる。 それも一発ではない、反動が収まればまた一発、さらにもう一発と放ってゆく。 二発目以降の標的はエルゼへと迫る極小型フィーンドたち、 少しでも負担を減らせればいいが、果たして。 248 :ヨゼフィーネ(ヨゼ)/白金髪青紫眼やわらかレイヤーボブ/近接空戦ロケット型:13/09/28 00:28:00 ID:cb3ojjHw >>246 小型を1機叩き潰したヨゼは大きくその体と刃を振りかざす 「っ―――!!」 だが、すでに仕留めきれなかった1機がクロスレンジへと近づいて来ている モリオンブリンガーは大きすぎる、中距離近接戦闘と言う類を見ない運用方法が前提となっている点からもその異常性が伺えるであろう。 一撃の威力に比例する様に、引き戻す時間がそれなりにかかる……つまりクロスレンジには基本的に向いていない兵器なのだ だが、それを知らないヨゼではない 彼女は腰から下げたアサルトライフル、フォーゲルシメーレに手をかけるのではなく、その『両足』を小型に向って差し向けた。 ヨゼのセイバーであるシュネーフーンはロケットエンジンに近い構造を持っている。 エネルギー兵器から応用された、粒子を噴出する際の反作用によって飛翔しているのである ここで重要なのはこの技術がエネルギー兵器の応用であり 使用しているのがそのエネルギー兵器と何ら変わらない『圧縮粒子の加速』であるという点だ つまり――――― 「チャージ……!」 脚部の大型大出力スラスタ―『ミルヒシュトラーセ』に集約する力 集められたエネルギーが閃光を放ち、既に光が漏れ出している、ヨゼは形の良い小さな口をそっと釣り上げた 「Meteor!!」 限界までチャージすれば、それは単なる推進機関のそれを超え―――超短距離用エネルギーキャノンと変化する ミルヒシュトラーセとは天の川、そしてヨゼが叫んだ言葉は「メテオール」……つまり隕石を、流星を意味する 大気で燃える流星の命は短い、だがその輝きは地上にいる人間ですらその存在に気付くほど。 すなわちヨゼの足から放たれた閃光は彼女の語る流星の如く 闇を、夜を、空を莫大な発光と共に切り裂いて、目標を飲み込み――― そして、その跡には何も残さず消えるのだ 「そこっ!!」 そしてその反動を以って、ヨゼは片手のモリオンブリンガーをエルゼへと向かう小型フィーンドへ投げつけた 当たるか当たらないかではない、その進路をふさぐ為に 249 :エルゼ/帝国軍服/航空爆撃型:13/09/28 00:39:30 ID:jhCszH9c >>246 あー……。 そこは誘導能力でミサイルポッド展開したって事で……。 ともあれ今は眼前の目標だが……。 弾幕をかいくぐり、こちらに迫ってくるのは小型フィーンド。 落下行動を取りつつも、Hu-61ははっきりとそれを認識していた。 「っ……!」 先程の全弾発射で、既に実弾系統は弾薬が尽きている。 エネルギー残量も僅かで、有効な反撃手段は取れそうにもない。 ならば、どうするか。 エルゼは一瞬考え込み、しかし即決した。 「――アーマーパージっ!!」 弾薬の尽きた背部・脚部ミサイルポッド及び肩部単装砲を切り離したのだ。 身軽になったHu-61は、勢いをつけて更に落下。 そして切り離された武装は、小型フィーンドの軌道上に切り離されたままで――。 250 :フィーンド役担当 :13/09/28 00:50:36 ID:O1RA611U >>ALL 噴光の中に一機が消え、経路を遮られた上での狙撃でまた一機が消え これで護衛機の掃討は完了である。 リーダー各のマンタも今は76mm砲弾の直撃で空中三等分。 子機の方は切り離された装備に殺到し、抜けた数機も 援護狙撃によってことごとく撃墜 これでたぶん、勝利宣言しても大丈夫でしょう。 とりあえず全機撃墜 お疲れ様でした。 251 :メイ・サンダーソン@航空隊所属 :13/09/28 01:05:50 ID:Wa4KQEGp >>250 狙砲の咆哮が何機かのフィーンドを堕とし、 同時にヨゼやエルゼによる攻撃でフィーンドの群れは全滅。 不慣れな手つきで索敵ユニットを展開し頭部アンテナを張り上げて見るが反応は無し。 つまり、戦闘終了だ。 「んー……終わったぁー……っ! やっぱ疲れるねー、帰ったらお茶の前に軽く寝よーっと」 戦闘が始まる前と同じく暢気にして能天気、 空戦の絡まないいつものメイである。 「あ……でもその前に報告書とか書かないといけないんだっけ。 ボク考えるより感じるタイプだからなー、擬音多くなっちゃって怒られるんだよねー」 あははー、と笑いながらウエポンラックに武装を収納、 周りの様子を伺いながらも帰投の体制に入る。 252 :ヨゼフィーネ(ヨゼ)/白金髪青紫眼やわらかレイヤーボブ/近接空戦ロケット型:13/09/28 01:11:58 ID:cb3ojjHw >>250 ただし推進機関である以上その威力はイコール推力となる…… つまり敵を吹っ飛ばす威力は、同時に自分も吹っ飛ばすだけの反作用になるのだ いくら全身の他のスラスターで反動制御を行おうとしても、最大の出力を誇る『飛行の要』の全開と比べれば劣ってしまう つまりヨゼの体はブリンガーを投げつけた後でも、メテオールの反動によってくるりと縦方向に回転してしまったのだ それを止める為に、彼女は両足を広げた状態から横方向に全力で腰を切り さらに各部のスラスターによって無理やり勢い別方向へと流してを殺す、見事に姿勢の正常化をやってのけた 「索敵……は、もうしなくても大丈夫、かな?」 体勢を立て直したヨゼは周囲を見渡すも、敵影は存在しない……となれば作戦は終了である >>251 「あらあら、報告書もあるけど、まずは回収できそうなコアを確認しておかないと」 その場で持って帰れそうなものは持って帰るし、無理そうなら哨戒していたエディータ達に回収して貰う必要がある 何分コアは数不足だ、消滅してしまう前に手に入れられるなら手に入れたいのだろう 「それに、あれも回収しないと、ね……」 困ったような笑顔を浮かべるヨゼの視線の先には、重力領域で何とか大地に深くは刺さらずに済んだ巨大な剣があった つい投げつけてしまったが、本来なら手から放すべきではない―――回収が面倒くさいからである 届くのはほぼ自動だが、持って帰るのは手動、決戦兵器であると同時に欠点兵器なのだった 253 :フィーンド役担当 :13/09/28 01:16:11 ID:O1RA611U // 以後は各自にお任せします お疲れ様でした 254 :メイ・サンダーソン@航空隊所属 :13/09/28 01:18:39 ID:Wa4KQEGp >>252 「あっ…………」 完全に頭からスッ飛んでいたらしく、間抜けな顔をしながら基地へと向いていた身体をくるりと向き直す。 「そりゃセイバーユニットも電気やら燃料で動いてるわけじゃないしねぇ…… いやー失敗失敗、たはは……」 そう言いながらもセンサーを起動、 残されたコア反応があれば回収していくし、無ければその確認だけしてオサラバだ。 >>253 /お疲れさまでした! 255 :エルゼ/帝国軍服/航空爆撃型:13/09/28 23:58:21 ID:7A0EIjdP ここはアイギュプトス共和国はスエズ運河、その付近にある名も無き前線基地。 昼夜問わずフィーンドの脅威に晒されている、前線ではよくある基地の一つだ。 ここでの「平穏」は、内地の何倍もの価値を持つ。 そして、今まさに、その「平穏」を余す所無く満喫している女が居る。 場所は食堂。時間は日中だ。 ちょうど昼時を過ぎたばかりという事もあり、食堂の中は閑散としている。 その中に、女は居た。 手には細長い柄のスプーンが握られ、身体はゆさゆさ揺れている。 本国の先輩から「あまり生気を感じないわね」と評された事もある顔には、打って変わったような満面の笑みが浮かんでいた。 それは何故か。 「――まさか本当にお目に掛かれるとはー……」 ごくりと唾を飲み込む音。 彼女の目の前には、これまた細長い器にふんだんに盛り付けられた、大量の甘味料が存在していた。 クリーム、プリン、アイスにメロン、ストロベリーやらチェリーやら……。 とにかく大量の甘味料が、彼女の前に所狭しと存在しているのだ。 「パルフェ……!」 英語で言うならパフェか。 まさかこの前線基地でお目にかかる事が出来るとは。 本国に嗜好品として調達を打診してみたものの、まさか本当に来るとは思わなかった。 ごねてみるものである。 「――さて」 そこで女、エルゼは一度周囲を見回す。 もし他の装着者たちに「これ」の存在を知られたら、もはや独占は不可能。 故にエルゼは、巡回任務などで装着者が出張っている事が多いこの時間帯を選んだ。 当の本人は任務どうしたって?赤痢とチフスとマラリアを併発したのでお休みしました。 「ん……いただきまーす」 サクリとスプーンでアイスの部分を一掘り。 そして、いよいよそれを食そうと、大きく口を開けて、スプーンをそちらへ動かしていく。 256 :鳴海・亜季/瑞穂皇国軍服 :13/09/29 00:09:50 ID:Q6HmRkzn >>225 「ほほぅ、これがパフエ、とやらですか」  いざ、というところで、頭上からにゅっとそれが顔を覗かせた  重力にボブカットを引かれて逆立てている彼女は、斥候を主に担当している忍者……ではなく、皇国軍人である 「小官、面白いものを見かけたようですねぇ、ねぇ、エーベルハルト殿」  いつもの眠そうな顔を、にんまりと意地汚い顔に歪めている少女は果たしてナニをかんがえているのやら 257 :エディータ/クロイツの着崩し軍服 :13/09/29 00:13:36 ID:XPdhcA1X >>255 ガチャッ そのタイミングで食堂に来客なるぞ。 「………お、おう」 3日ぶりに帰ってみたらなんか美味しそうに食べてるところに遭遇した。 ……こっちはこっちで手に上等そうなウィスキーのボトルもってやがった。 どうやら甘味戦線には不参加者の模様。 それよりも問題は、彼女と一緒に来てた兵士の皆さんである。 エルゼちゃんにそそがれる、「カーワイー」の目線の束。 イメージブレイクの音が聞こえる予感 258 :エルゼ/帝国軍服/航空爆撃型:13/09/29 00:32:25 ID:AirWZjcH >>256 「…………」 軋む音が響いた。 否、それはエルゼが首を回す音である。 視線を頭上へ向け、にんまりと顔を覗かせた亜季の方へ。 その表情は、零になっていた。 「……さ、さささ流石はヤーパンニンジャといった所ですか」 フラットに固まった表情から漏れる言葉は、しかし震え声。 いつも通りの、余裕のある口調を演じようとして、かえって酷さが目立っている。 というかいつどうやって近づいたコイツ!? 「は、ハーン……分かりました、ここは交渉といこうじゃないですか――」 少し間を空けて、冷静さを取り戻そうとしたエルゼ。 そしてそのまま亜季に口止めを呼びかけようとして―― >>257 死んだ。 エルゼ=ツー=エーベルハルトは、この時の心象を後にそう懐古したと言う。 エディータの持つウィスキーに少し心惹かれるものの、そんな事を感じている場合ではない。 問題は、その後ろにこそあった。 エディータと一緒に食堂に入ってきた兵士達。 揃いも揃って同一の目線を向けていている。 エルゼはその事実を一瞬で認識し、肩を震わせながらテーブルにうなだれた。 見れば、耳まで真っ赤になっている事が分かるだろう。 しばらくそのままうなだれているままのエルゼ。 しかし―― 「…………う」 う? 「――――――――う、がにゃああああああああああああああああああああああ!!!!!」 突如奇声を上げて立ち上がったエルゼは、懐に携帯していた9mm拳銃を辺り構わず発射しようとした。 見れば分かるだろうが、今のエルゼは一ミリも正気を保っていない。 拳銃の狙いは滅茶苦茶で、万一乱射しまくった所でおそらく当たる事は無いだろう。 259 :エディータ/クロイツの着崩し軍服 :13/09/29 00:48:51 ID:XPdhcA1X >>258 あ、お酒と甘味両方いけるんだ、とか考えてたが これはヤバイ。 参謀サマからちょろまかしたのを皆で分けようと思った結果がこれだ。 「……総員、たいひーーーー!!」 ここはあたしが引き受けた! とりあえず手近な食卓をひっくり返して防壁化。 兵士の皆さんには帰ってもらいましょう。 小隊長にウィスキーボトルはパス。 「おいNINJA! ミズホテクでなんとかしろ!!」 とりあえず脱走を防ぐ位置にはついてくれるそうでs 260 :鳴海・亜季/瑞穂皇国軍服 :13/09/29 00:58:49 ID:Q6HmRkzn >>257  ありゃりゃ、これは交渉決裂かも?  ふふーん、どうしたものかなーと考えつつ >>258 「ふふふ、まぁ、こちらとしては秘密にしたかったんですが時すでに遅しお寿司」  どうしてこうなったんでしょうね、と思いつつ、天井からしゅたっと降り立つと 「だめですよー、基地内での発砲事件はさすがに小官もみ消せませんねー」  物理的証拠が残ってしまったら、さすがにそんなことは起きなかったであります!という報告は難しい  なので 「甘味はこういうとき効くって聞きますからねー」  すべるように移動するや、テーブル上にさびしく残されてしまったスプーンを掬い上げ、ぴんと弾いてアイスをエルゼの口へ投擲  同時、手を絡めるように拳銃のハンマーにどこからか取り出した硬いものを挟み込む 「任務完了?」 261 :エルゼ/帝国軍服/航空爆撃型:13/09/29 01:08:20 ID:AirWZjcH >>259 「にゃっ、にゃああああああああああああああああ!!!」 スパンパパンパパン! 訓練の賜物だろうか、錯乱していようと関係無しに連射の動きは滑らかだ。 銃弾は360度、分け隔てなくバラ撒かれていく。 しかしこの勢いで弾薬を消費すれば、あっという間に弾が尽きるのでは――? 「――――――!!」 弾が尽きると同時、エルゼは素早い動きで懐から予備のマガジンをセット。 空のマガジンをグリップの底から弾き出すと、一瞬先には既に新たなマガジンが装填されている。 チャカッ。 鉄が鳴り、撃鉄が下ろされようとする。 目の錯覚だろうか、エルゼの眼鏡が一瞬煌いた気がした。 >>260 「あ、ああああああああああああああああああああ――――――!!」 そしてエルゼが弾丸を弾き飛ばそうと、銃口を亜季の方へ向けた時だった。 「むぐっ、――――――っ!?」 エルゼの口に異物が突っ込まれた。 冷たく、それでいて滑らか。 口の中で溶けるそれは、バニラの風味を余す所無く弾け飛ばす。 「――――――むふー……」 エルゼの脳内に花が開いた。 阿修羅が如き人相だったエルゼの表情は、今や溶けそうな程に満面の笑み。 そのままペタリと地面に座り込み、発射を拒絶された拳銃はカラカラ……と床を転がっていく。 これにて一件落着、である。 262 :エディータ/クロイツの着崩し軍服 :13/09/29 01:24:18 ID:XPdhcA1X >>260-261 ひょいっと拳銃ゲット。 ナイスNINJA! 「一件落着、とはいかないんじゃねーかなぁ?」 壁穴だらけ。 まぁ、上にチクるなんてことは(自分の保身のために)やりませんけど。 でもほら、足音が聞こえるよ? 「これだけぶっ放せば、そりゃ歩哨の皆さん集まっちゃうよねぇ?」 パフェの続き、どうすんのさ 263 :鳴海・亜季/瑞穂皇国軍服 :13/09/29 01:30:57 ID:Q6HmRkzn >>261>>262 「ですねぇ…・・・」  さて、どうしたものか  女性が多いために『あるもの』さえいれば、実は発砲事件自体はどうにかなったりはするのだが 「もし、お二方? 小官に策があるにはあるんですけど」  口裏あわせと、手間賃と、あとスケープゴートがほしいかなって   264 :エルゼ/帝国軍服/航空爆撃型:13/09/29 01:32:09 ID:AirWZjcH >>262>>263 「ほわー…………」 拳銃を拾ったエディータがパフェについて言及しているが、しかしエルゼには聴こえていなかった。 先程までの感情の反動だろうか、今のエルゼは心ここにあらずといった様子。 まさに「脳内お花畑」である。 そんな状態の彼女がパフェをどうこうなどという事にまで頭が回る筈も無く。 この事態の対処は残された二人に託される事となった。(他人事) 265 :エディータ/クロイツの着崩し軍服 :13/09/29 01:41:54 ID:XPdhcA1X >>263-264 「まぁ、その策を聞こうじゃないか。  策次第だけどね?」 よし、今度カメラを買おう。 エルゼちゃんの写真を残しておけなかったのはもったいなさすぎる。 「明日からクールなエルゼちゃんは甘いもの大好きエルゼちゃんとなるわけですが」 にまぁ 266 :鳴海・亜季/瑞穂皇国軍服 :13/09/29 01:50:40 ID:Q6HmRkzn >>265 「ひとつ目、小官たちがほかのひ……あー、装着者たちに笑いものにされますが  ごきかぶり、あるいはクモにビビッて乱射したことにする」  なお、こういった事案は過去に実例がある  普段は戦場を駆け、フィーンドを狩る戦乙女たちと言っても、女性であることに変わりはないのである  しかも、幼い少女――気持ち悪い虫が怖くても仕方がない 「ただ、小官の手元に生憎在庫がないんですよねぇ  クモとか好きな変態さんでもいれば別ですけど」 「二つ目は、もっとでかい花火を打ち上げちゃうこと。何人のスケープゴートが必要化はわからないですけどねぇ  こっちは亜種として、事件の発端をほかの人にかぶせちゃうってのもありますね」  エディータがつれていた兵士を使えばなんとかなるだろう  そんなほいほい営巣行きになりたい兵士がいるかどうかはわからないが 「三つ目、というかまぁ、これが一番楽なんですけどね  賄賂ですよ、賄賂」 267 :エルゼ/帝国軍服/航空爆撃型:13/09/29 01:58:14 ID:AirWZjcH >>265>>266 「――――――」 未だ夢心地と言った様子のエルゼ。 自分の間抜けな姿が二人の視線に晒されている事など露にも思わない。 というかそんな事は端から頭には浮かんでいなかった。 そうこうしている内に二人の話し合いは進んでいったようで。 「――――――はぬっ!」 そうして二人が採るべき作戦を決定すると同時か、あるいはその直後。 ようやくと言うべきか、エルゼが我を取り戻した。 まるで二日酔いの酔っ払いのように首を振りながら、ぼやけた視線で周囲を見遣る。 何故か銃撃の痕が生々しく残っていた。 「――っ、敵襲!?」 はっ、とエルゼの意識が覚醒する。 そして周囲を警戒しながら、近くで何やら話し合いをしている二人に近寄っていく。 「二人とも、一体これはどういう――――」 どうやら、彼女は自らの狂態をこれっぽっちも覚えていないようである。 268 :エルゼ/帝国軍服/航空爆撃型:13/09/29 02:08:53 ID:AirWZjcH /あ、もし即断じゃなかったら作戦決定するまで>>267無視でお願いします 269 :エディータ/クロイツの着崩し軍服 :13/09/29 02:08:59 ID:XPdhcA1X >>266 「19歳、19歳  あと、取り乱したのはコイツだけね?  あたし、一発も撃ってないから☆ミ」 1つ目確定で、しかも1人に全部おしつけ 「あたしら2人で取り押さえたってことにしようそうしよう。  ネタはサソリってことで。その辺にやまほどいるし  本命が行方不明ってことで、ね?」 270 :鳴海・亜季/瑞穂皇国軍服 :13/09/29 02:14:19 ID:Q6HmRkzn >>269 「うーん」  できれば貸しを作っておきたかったのだが、まぁ、仕方ない 「では、そういうことで」  亜季が虫に錯乱するは、どう考えても所属的に無理なので仕方ない >>267 「敵襲だったらだいぶ楽だったんですけどねー……」  まさかのすべてを忘れているエルゼにじと目を向けつつ 「錯乱したエーベルハルト殿がやらかしたのです  ちょっと、不気味な虫がいまして」  ということにしろ、という無言の重圧がエルゼを襲う! 271 :エディータ/クロイツの着崩し軍服 :13/09/29 02:17:46 ID:XPdhcA1X >>267 「ほい、返却。この中で9パラ使ってるのエルだけだからね?」 線条痕見るまでもなく、証拠バッチリ。 「いくらきもいの出たからってぶっ放しはやばいって~」 にこやかな圧力その2 272 :エルゼ/帝国軍服/航空爆撃型:13/09/29 02:24:18 ID:AirWZjcH >>269>>270 「…………!!??????」 いきなり何言い出すかこいつは。 そう言いたげな表情を浮かべるエルゼ。 不気味な虫……? エルゼにはとんと身に覚えが無い。 そこで少し前の記憶を思い出そうとする、が。 「――――――ッ!?」 メシリ、と。 不意に来る頭痛。 まるで思い出すなと、本能が理性にセーブを掛けているみたいに。 生理的な嫌悪感と共に、痛みはやってきた。 「…………俄かには信じ難いですがー……」 それに加えて正面からの重圧である。 本当かどうか判断しようにも覚えてなければしようが無い。 それにこの状態では、まともな判断が下せるかどうかも怪しい。 エルゼはちらりとエディータの方を横目で見る。 亜季の言っている事が本当かどうか、視線で問うているのだ。 273 :エルゼ/帝国軍服/航空爆撃型:13/09/29 02:30:27 ID:AirWZjcH >>271 「……マジですか」 エディータが持つ拳銃を手渡され、その感触を確認。 間違い無い、自分のだ。 ふと床を見ると、そこには空になったマガジンが。 物的証拠は万全、という事か。 「えー、あのその、ですねー…………」 二人から無言の圧力を感じる。 こちらには判断するべき記憶が無いのに。 どうするべきかどうするべきかどうするべきか……。 エルゼの頭の中はごちゃごちゃになっていき。 「…………ごめんなさい」 ぺこりと、訳の分からないまま頭を下げた。 もう何が何やらで泣きそうになる。 274 :エディータ/クロイツの着崩し軍服 :13/09/29 02:35:59 ID:XPdhcA1X >>273 「じゃあ、上手いことごまかしてネ」 ディータちん脱出開始。 銃撃音を聞いた兵隊さん達が集まってくる音。 シリアス落ち、頑張ってネ // おちまふの 275 :鳴海・亜季/瑞穂皇国軍服 :13/09/29 02:39:35 ID:Q6HmRkzn >>273 「まぁ、小官たちも女の子ですからねぇ  虫くらい怖いですよ。うん」  実際、それでかなりヤバイことになった基地もあったそうである  それを教訓にして、虫除けには気を配ってはいるのだが、どうしたって虫は入り込んでくるのである 「特にヴォルガ連邦出身の方々なんかは、虫にかなりの嫌悪感があるみたいですよぉ  あのあたりは虫が少ないらしいですから」  なはは、と笑いつつ 「それに引きかえ、うちとか華夏とかは虫が多くて……食べるくらいですよ?」 >>274 うわぁ、こいつ一抜けしやがった、と思いつつどう誤魔化したものかな、と思案する まぁ、どうにかできるだろう。……たぶん 276 :エルゼ/帝国軍服/航空爆撃型:13/09/29 02:51:55 ID:AirWZjcH >>274 「あっ……!」 呼び止める暇も与えず逃走したエディータ。 同国の人間とは思えない非情さだとエルゼは随分自分勝手に思う。 >>275 「……ミルベンケーゼより酷いですねー、それ」 食虫とか生理的に無理だわーといった様子。 ※ミルベンケーゼとは、クロイツ(ドイツ)の地方で作られるダニ入りチーズの事である。 ドタドタと騒がしい音が廊下の方から響いてくる。 どうやら騒ぎ(?)の音を聞きつけた連中がこちらに向かってきているらしい。 はぁー、と溜息をついたエルゼ。 「どうやら、もう採るべき手段は一つしか無いみたいですねー……」 全く身に覚えのない罪なのが癪だが。 覚悟を決めたエルゼは、亜季と二人でこちらに向かってきている連中を待ち構えた。 後日、この一連の騒ぎに関するエルゼの処分が決定した。 一週間の階級降格(中尉→兵長)及びその間のトイレ掃除係。 お偉いさんというものも、女の泣き落としには弱いようである。 /時間も時間ですしここらでしめましょーか /お疲れさまでした! 277 :セリ/プリマス/重装四脚:13/09/29 22:29:18 ID:1jafjWQv 時刻1230、アウギュプトス共和国、運河沿岸─── 「……なんだかんだ、暑いじゃないですかぁ」 10月初頭、アフリカでは比較的涼しいとされる季節──なのだが、重装備となれば、話は別だった。 金属をふんだんに用いたセイバーユニットからの照り返しに、思わずため息混じりのぼやきが漏れる。 彼女──セリに与えられた任務は『哨戒任務』。比較的安全な人類の生存権を歩くだけの、だ。 交戦の可能性が殆ど無いそれは、日々出撃に追われるセイバー乗り達にとって、余暇と言って良いほどに気楽なもので。 「あ゛ー……お腹空いたぁ」 セリもまたその例に漏れず、運河の脇をのんびりと歩きながら、景色と、束の間の平穏を漫喫していた。 意味もなく脱力したうめき声を上げて、歩行を『腰から伸びる巨大な四脚』に任せたきり、当の本人は体重をセイバーに委ね、完全に観光気分。 そろそろお昼にしましょうか、なんて、誰に言うでも無く呟いて、機体を運河の方へ旋回させる。 雲ひとつ無い好天、きらきらと輝く水面と、行き交う船肴に静かな昼食を。彼女にとって、数少ない娯楽の一つだった。 278 :ヴェーラ・イリイニチナ・ドラニシヴァ 潜水隊所属/ワンピース:13/09/29 22:46:02 ID:7LS8ffIa >>277 ざばん、と。 突然目の前の運河から飛び出す何か。 太陽光を反射するシルバーのそれは、よくよく見ればヴォルガの潜水型セイバーであることが分かるだろう。 ぷし、と空気の抜ける音がし、その頭部を覆うフルフェイスヘルメットに手をかけ、それを外す。 さらりとプラチナブロンドの髪が下りてきて、その顔が日の下に晒される。 直上からの太陽光に顔をしかめながら、眼前のセリを見つめる。 「……貴女も休憩?」 水面に下半身を沈めたままセリに声を掛ける。 ちょっと某童話の泉の女神のよう。 ただし、眩しさのせいで睨むように見えるのが難点。 さらにこいつ自身が眩しいのも難。 279 :名無しさん :13/09/29 23:07:56 ID:1jafjWQv >>278 「んーぅ……、ん、んー!?」 それが起こったのは、彼女があくびを伴う伸びをして、ちょうど細い目で水面を眺めていた時のことで。 一瞬にして視界に現れた、何やらきらきら輝く物体を、眩しいのも忘れ、眼を見開いて凝視していた。 尤も、眼前のそれがが潜水に向いたセイバーであるという事を理解するのに、そう時間はかからず。 「……ええ、そんな所です」「哨戒任務の途中で、食事を摂ろうかと」 「そちらは運河を渡る所ですか?…ご苦労さまです」 次の瞬間には、一人の時とは違う声色、少し堅苦しい話し方で、水面に留まったままのヴェーラに接していた。 セリの後背部から張り出た、巨大なバックパック。 そこから『背中から生えた二本の機械腕』で取り出したプリマスの携帯糧食を、彼女へ示してみせる。 潜水型を目の当たりにしたのは初めての事で、物珍しさとヴェーラの腹部塗装からくる眩しさが、セリの顔をなんとも言えない具合に歪ませて。 ……生来の弱気な目鼻立ちもあってか、その表情は怯えているように見えなくもなかった。 280 :清水 陽咲 『瑞穂皇国』 旧式陸戦型:13/09/29 23:08:29 ID:Y6Rgzvvl >>277 あちらこちらを飛び回り、今日はアウギュプトスの青天の空の下。 瑞穂皇国の歴戦と言えば聞こえのいい、旧式のセイバーユニットが、ゆっくりと運河沿岸を移動する。 セイバーユニットの点検とは名ばかりに、無限軌道を鳴らしながら、彼女は運河周辺を散策していた。 手に持っている、竹と和紙で出来た瑞穂の避暑アイテム、オウギと呼ばれる物で、自分をパタパタと仰ぎながら。 「あっつ~……瑞穂の方は、もう、涼しいのかな~……。」 母国瑞穂に思いを寄せて、頭の後ろに腕を組みながら特別宛も無く運河を行き交う船を横目に見つつ。 そうしていれば、規則正しい腹時計がきゅうとなって、彼女に昼時をお知らせした。 そう言えば、弁当の類は持ってきてないぞ、ならば一度基地に戻るしかない、ときてしまえば、この散策も終わってしまい。 後はどんな雑用を押し付けられる物やらと、少し憂鬱な気分になりながら、散策を止める事は無く。 その道中に、一つ、同胞をの姿を見つければ、少しだけ履帯の速度を上げて、彼女の下へと駆け寄った。 「……なー!今からお昼か?」 そう言って、階級も年齢も無く、馴れ馴れしく彼女へと話しかける。 セイバーユニットの分を加えて、漸く180に届く少女の低身長が、その四脚のセイバーユニットの彼女を不遜に覗き込み。 281 :セリ/プリマス/四脚陸戦 :13/09/29 23:27:35 ID:1jafjWQv >>280 「……え゛?」 今日二度目の、同胞との出会い。 普段は静かな昼食の時間だけに、セリは一瞬言葉を詰まらせてから陽咲の方を見やる。 艶のある細い黒髪に、控えめな顔立ち、それは紛れもなく、瑞穂人に見られる身体的特徴だった。で、あるにも関わらず。 彼女が装着しているセイバーの肩には、プリマスに所属している事を示すエンブレムが貼り付けられていた。 「そ、そうですよ?」 「沢山"積んで"いるので、よければご一緒しませんか?」 覗きこんでくる陽咲の馴れ馴れしさは看過して、軽く笑みかけて提案をひとつ。 それと一緒に、背負った巨大なバックパックを手の甲でかんかんと叩いてみせる。 その間も眼が陽先の方を向いていたけれど、彼女が手にしているオウギなる小物がどうやら気になるらしく。 瑞穂人にとっては馴染み深いその品物へ、ちらちらと横目がちの視線を送るのだった。 282 :ヴェーラ・イリイニチナ・ドラニシヴァ 潜水隊所属/ワンピース:13/09/29 23:31:25 ID:7LS8ffIa >>279 「ちょっとしたお使いをね。  本当にちょっとした用事だったのだけど運河を泳いだ方が速いし、地上は暑くて仕方ないから」 セリの怯えたような顔から少々長めに喋ってみせる。 クールに見られるのはいいが、怖がられるのは目指すところとちょっと違う。 「タイヤや無限軌道とは違う音がしていたから十中八九セイバーが通ってるんだろうと思ったけど、予想通りだったわね。」 「……でも、もう一人近くにいた気がするけど」 水面にあがる前には確かに音があったのだが、 追い抜かれたのだろうか? >>280 いや、いた。 瑞穂の兵がきゅらきゅらと現れる。 こうしてみて、陸上型も様々なのだと改めて思わされた。 潜水型はどうにもバリエーションが乏しくて面白くない。 マニアに言わせれば違うのだろうが、生憎その気はないのだ。 283 :清水 陽咲 『瑞穂皇国』 旧式陸戦型:13/09/29 23:50:25 ID:Y6Rgzvvl >>281 「おぉ、やった!喜んで!!  そうだ、じゃあ名前を教えないとな!オレの名前は清水ヒナタ!どうとでも呼んでくれ!!」 お昼を一緒にしませんか?そんな問いかけに一も二も無く、話が早いと頷いた。 これでまだ、しばらくは基地に戻って床掃除をさせられるのを長引かせることが出来る、と言うそんな邪な物と。 単純に、今から食にありつけるという、素直な欲望のままに、屈託なく笑った。 そうして扇で自分をパタパタと煽いでいると、彼女の、それに対する視線が目についた。 瑞穂人ならば、見慣れている物なのだけれど。そんな疑問が口に出る前に、彼女のセイバーユニットのエンブレムに目が行った。 「……あれ?」 自分と同じ、瑞穂人の顔立ちをして、艶やかな黒髪を持つ少女のそれは、プリマス所属のセイバーユニットに施される物だ。 勿論、自分の旧式のユニットには、瑞穂皇国の物が、ボロボロになりつつも張り付けられている。 無論、彼女の物とは違う。ふぃっ、と。少しだけ首を傾げて。 「ん?瑞穂人じゃないのか?どう見てもそう見えるんだけど……?」 そう言って、煽いでいた扇を音を立てて閉じる。 >>282 「ん、わっ、潜水型か!何だか、今からフィーンドとやり合いにいくみたいだな!」 運河の中、潜水型のセイバーユニットを身に纏った彼女を視認して、物珍しげな視線を送った。 彼女は旧式の陸戦型を賜ってまだそれ程経ってはいない、まだまだひよっこの内の一人だ。 潜水型はおろか、海戦型だって数える程しか見たことの無い彼女には、結構な興味の対象だ。 上から下……いや、下は水の中か。彼女を興味深げに眺めて。 「オレは清水ヒナタ!よろしくな!」 また馴れ馴れしく。この中では一番年齢も背も低いであろう彼女は、馴れ馴れしくそう言った。 284 :ヴェーラ・イリイニチナ・ドラニシヴァ 潜水隊所属/ワンピース:13/09/30 00:06:35 ID:TlYv8Lyx >>283 「一応の武装はあるけど、戦闘は無理ね」 二人目の陸軍女子に応えながら背のハードポイントを見せる。 本来魚雷や対空ミサイルを搭載するそこには、つるっとした装甲のようなものが。 それは突然かぱっと開き、何かの包みが落ちてきた。 それをヴェーラは器用にキャッチすると向き直り、包みを開いてヒナタに見せる。 「パンだもの」 言うと、ちょっとした野菜と薫製肉を挟んだそれをもぐもぐとかじり出した。 「……、ん。  私、というか、《チュリエーニ》が珍しい?」 パンを飲み下すと、ヒナタの視線を感じていたのか問い掛ける。 知名度がないのも他国故なのも分かるが、やはり微妙にへこむ。 285 :セリ/プリマス/四脚陸戦 :13/09/30 00:08:17 ID:ffLszhhD >>282 「'ちょっとしたお使い'、ですかぁー」 書簡か何かの輸送だろうかと当たりを付けるが、同胞とはいえ多国の軍人である以上、深く追求はしなかった。 ヴェーラの言葉を真似るように言葉を返すあたり、どうやら興味は抱いているのだが。 「水の中からでも聞こえるんですねぇ、さっすが潜水型……」 「多脚型の駆動音は独特そうですから、次に会うときは水中からでも私が居るかも……って、勘ぐられてしまうかもしれませんねぇ」 冗談めかして語りつつ、その間近に現れた'もう一人'へ一瞬目を遣って。 「あ、良ければ潜水型さんもどうですか?プリマスの軍用糧食、マズいですけど」 「……セリ、セリ・カタヤマといいます、お見知り置きを」 彼女に言った手前、ヴェーラに提案しないのは礼に欠けるかと、人体のそれよりも数段長いアームで、糧食のパッケージを手渡す。 何の事はない、ソーセージを挟んだパンの袋である。……日持ちする分、生地がパサついてはいるが。 冷たい印象を与える彼女の外見を前に、突っぱねられてしまうかもと危惧していたが、果たして……? >>283 「じゃあー……、ヒナタさんでいいですか?」 はい、と件のソーセージ入りパンの袋を、手の届く範囲に居る彼女には、手で差し出して。 味はお察しの通りであるそれを、セリもまた「んぐ」と頬張り始めた。 「……まっず、……ああ、私はセリ・カタヤマです」「片山瀬理、ともいいますね」 「国籍がプリマスの、瑞穂人といった所ですかねぇー……ややこしいでしょう?もぐ」 「とはいえ、瑞穂の文化に直接触れた事は殆ど無いので……一口に同郷の士、とは言いがたいかもしれません」 小さいころからプリマスで過ごしてきたせいで、と注釈を添えてから、細い目をしてもう一口。 扇へと変わらず向けられる視線の理由は、そこにあるのかもしれない。 286 :ヴェーラ・イリイニチナ・ドラニシヴァ 潜水隊所属/ワンピース:13/09/30 00:26:58 ID:TlYv8Lyx >>285 「……そうなのよ」 忘れ物かました同胞に『模擬戦までに届けて!お礼はするから!』と言われて、そのお礼に釣られたからとは言えない。 だってそんな俗っぽいのは私のイメージとあわないもの、なんて。 なので深くは語らず、黙するのみ。 「音は水の中の方が速いから。  音のパターンはデータが取れたと思うから、水際を歩けば分かると思うわ」 出されたものも貰わないのもなんなので頂くことに。 巨大なアームからものを受け取り、両手が埋まったために(メットは背面バックパックに引っかけております)セイバーの突起部を使ってパッケージを開ける。 「……アルビオンのよりはマシね」 セリ自らが不味いと言っているので遠慮なく言わせて貰う。 しかし第三者国が被害に遭っているのはどういうことだろう? 287 :清水 陽咲 『瑞穂皇国』 旧式陸戦型:13/09/30 00:36:51 ID:SKx+NUgH >>284 背中には、凹凸の無いつるつるとした装甲があって、何かあるのかと、其処に視線を注いでいると。 突如としてそれが開けば、何かの包みが上げられて、彼女がそれを手に取った。 その中身は、彼女にも馴染み深い主食に、肉と野菜を挟んだもので。 「……、はははっ!何だよそれ!」 どんな物が出てくるかと思えば、真面目な顔してそんな所から出したパンを頬張り出す、何て。 彼女の冷厳な外見とは裏腹な行動に、思わず笑い声を上げてしまった。 その姿は、実に実に愉快そうで。 「ははは……おう!潜水型とか、初めて見た!オレは陸戦しかやった事ないしなー。」 そこでようやく笑うのを止めて、彼女の問いかけに隠す事も見栄を張る事も無くそう答えた。 潜水型セイバー何て、そうそうお目にかかれない環境にいる事がほとんどの彼女は、眼福とばかりに好奇心を多分に含んだ視線を送り続ける。 >>285 手渡された、ソーセージが挟まれたパンを受け取って、「ありがとな!」と、彼女へと礼を口にした。 封を開けて、それを頬張る……はっきり言って、其処まで美味くは無い。むしろ……。 然し。顔を僅かに顰めただけで、文句も言わずにそれを頬張り続けるのは、瑞穂人の「勿体無い」精神と言う物だろうか。 一度、それを呑み込んで。 「おう!何とでも呼んでくれ!オレもじゃあ、セリって呼ぶからな!」 彼女の名を聞いて、早速とそう馴れ馴れしくも呼び捨てに、彼女はそう言った。 国籍がプリマスの瑞穂人。清水陽咲にはこれまた珍しい存在だ、それも、瑞穂の文化を殆ど知らないと聞く。 しかし、彼女が教えられるものなど数える程も無い……ならば、と。 「それじゃあ、セリは瑞穂の事、全然知らないのか……ん、じゃあ、これ、やるよ!  もうすぐ涼しくなるから、はっきり言ってちょっと間が悪いかもだけどな!」 上質な竹に、開いてみれば張られた和紙には煌びやかな瑞穂らしい絵が描かれている、そこそこ上等な物なのだろう。 其処まで悪いプレゼントでは無い……かな?何て考えながら、片手に握っていた、閉じた扇を彼女へと差し出した。 288 :セリ/プリマス/四脚陸戦 :13/09/30 00:55:20 ID:ffLszhhD >>286 「……いいですねぇ、極秘任務って感じで……人知れず重要な任務をこなすなんて、かっこよくありません?」 同意を求めるように言う、セリの脳裏に浮かぶのはもちろん、瑞穂の歴史的なスパイである、アレの姿だった。 自前の食事を用意していたにも関わらず、存外、気さくに受け取ってくれたヴェーラへ人当たりの良い笑みを送ってみせる。 「──はい、'アレ'はダメです」 「以前前線部隊への物資補給任務の際に積んだ事がありますが、ただの残飯にしか思えませんでした」 「フィッシュアンドチップスペースト……うぅ、思い出すだけで頭が」 で、にこやかな笑顔はそのままに、アルビオンの戦闘糧食を一蹴。 料理に関しては雑な人間の多いプリマス国民をして残飯と言わしめるアルビオンの戦闘糧食とは、果たして。 >>287 マズいが、背に腹はかえられないのだ。話に聞けば、瑞穂の糧食は美味なものが多いと聞く。 いいなぁ、なんて、馴染みの無い母国への憧れを募らせつつ、パンを頬張る陽咲を眺めていた。 「お、おぉぉおぉ……いいんですか?こんな高嶺の花、拝領つかまつっても」 それから、先ほどまで興味ありげに見つめていた扇を手渡され、しどろもどろしながら受け取るセリ。 口にした表現が的確なものかは別として、'瑞穂かぶれの瑞穂人'の気を引くのには、うってつけのアイテムだったらしい。 「ふふっ、ありがとうございます……まこと恐縮の極み」 「代わりと言っては何ですが、戦場で是非、この恩義に報わせて頂きたく……!」 昂ると口調が変わる性質らしい、そこはかとなく時代を感じさせつつちぐはぐな言葉遣い。 内心で瑞穂に精通している私かっこいい、なんて思いつつ、陽咲へ一礼してみせる。 失笑を買うのか、はたまた……? 289 :ヴェーラ・イリイニチナ・ドラニシヴァ 潜水隊所属/ワンピース:13/09/30 00:58:34 ID:TlYv8Lyx >>287 「……」 む、なにやら笑われてしまった。 表情は殆ど変わらないが、ちょっと悔しいような悲しいような。 クールなヴォルっ娘のイメージが出来る前に崩れてしまった……? ちなみにこのバックパック。いくつかの収納部と一つの開閉部が上手いことなっていて、指定した収納部のものだけを取り出せるのだ。 べんり。 「陸戦型だもの、空戦型みたいに空さえ繋がってればどこへだっていけるなんてこと無いものね。  私も陸には上がれないし、そもそも私達は数が多い枠じゃないもの」  水上組はどうか知らないが。 どちらにしろ華は空だ。 ヒナタの眼差しに比べて随分暗いことを考えているのだった。 290 :ヴェーラ・イリイニチナ・ドラニシヴァ 潜水隊所属/ワンピース:13/09/30 01:12:41 ID:TlYv8Lyx >>288 「ええ、そうね……」 なんだか罪悪感を感じなくもないが、前向きに捉えてくれているならと否定はしない。 どんなイメージになっているかは想像の外だが。 笑みに対して小さく微笑みかえし、鮮烈にアルビオンを斬って捨てる発言に少々固まる。 瑞穂人なのに、と思いながらも環境が人を作るのだな、とも思う。 その後、ヒナタになんだかおかしな態度を取り出したのを見て、その考えは確信となった。 ぱんは丸飲み気味にさくっといただきました。 今はバックパックから取り出した水筒を傾けております。 291 :清水 陽咲 『瑞穂皇国』 旧式陸戦型:13/09/30 01:20:19 ID:SKx+NUgH >>288 頬張っていたそれを、一気に口の中に押し込んだ。だらだらと食べるよりは、一気に終わらせる方がいい。 喉に詰まらせかけながらも、それを飲み込む。こういう時、無性に瑞穂の料理が恋しくなる。 もしかしたら、一番、両親の顔が見たくなる瞬間なのかもしれない。 「いいよいいよ!どうせ実家に帰れば幾らでもそう言うのあるしな!遠慮すん……な……。」 何だか、動揺でもしているのだろうか、しどろもどろに受け取った彼女に向けて、彼女は明るくそう言い放った。 そう。途中までは。彼女のとことんまで畏まった口調を聞くまでは。 しどろもどろに受け取った彼女とはまた逆に、今度は陽咲が彼女の対応に狼狽える番になった。 漸く、一礼によって止まってくれた彼女に対して、唐突な出来事におっつかなかった頭が漸く回り始めた! 「か、顔を上げてくれ!そんな大したものじゃないんだよ!本当に、いいから!」 だから顔を上げてくれ!と、彼女に、心からの切実に、彼女に向けて心から懇願した。 「ず、瑞穂の人間でも、そこまでかしこまることはそうそうないからな……。」 そもそも、陽咲がそんなに礼儀の正しい人間では無い訳だが。 それでも。たかが扇子で拝領つかまつる、何てのは、礼儀に疎い彼女でも流石におかしいと。 >>289 「……あ、あれ?笑っちゃ……ダメ……だったか?ごめんっ。」 表情は変わらないまま、沈黙してしまった彼女に、段々と不安の影が彼女の顔に差し込んでいく。 やはり、笑ってしまったのが気に障ったのだろうか。昔から、気が利かないという自覚はある。 謝罪の言葉と共に、彼女へと一礼した。 「まぁなー。まぁ海や空に出来ない事と言ったら、落とされても這って帰れる事、くらいかな!  …でも、この空の下で戦ってる事は変わりはない、陸だろうが空だろうが海だろうが、みんな戦友だって、そう思わないか?」 292 :ヴェーラ・イリイニチナ・ドラニシヴァ 潜水隊所属/ワンピース:13/09/30 01:43:07 ID:TlYv8Lyx >>291 「いえ、なにも気にしてないわ。こちらこそごめんなさいね、不安にさせたかしら」 いけないいけない。 ふてくされるような態度をとったのでは自分のイメージを下げるだけだ。 過ぎたことは気にせずにいこう。 「確かに私達は墜とされたら殆ど帰ってこれないものね。  陸は確かにそういう面じゃ有利だわ」 生存率も大切な指標だ。 「そうね、同じ敵に向いてる今は、そう言えるわね」 ちょっと意地悪な言い方をしてしまう。 正直いつ終わるとも知れぬ戦いだ、今はほぼ半永久的な意味を持つが……。 293 :セリ/プリマス/四脚陸戦 :13/09/30 01:45:04 ID:ffLszhhD >>290 「……?」 一瞬、ヴェーラの表情が強張ったのを見て、不可思議そうに首を傾ぐ。 奥ゆかしい外見に反して毒舌というか、プリマス人らしく裏表が無いというか。 唯一、外見相応なのは、纏っているのが支援向けのセイバーである、という事くらいだろうか。 「……こうなると何を運んでいたのか、ちょっと想像しちゃいますねぇー……新型セイバーの設計図とか」 「となると、やっぱり海中は危険……フィーンドが少ないんですか?それで、海路を使ったとか」 ヴェーラがどう感じるかは定かではないが、本当の意味での'ただのお使い'が、どんどん壮大な方向へ膨らんでいく気がする。 >>291 「……うーん、やっぱりダメ、ですかぁ?」 所々間違えつつも、'瑞穂式の喋り方'を真似たつもり──なのだが。 実際に瑞穂人の前で使うと、何故だか笑われるか、止められるかしてしまう。セリにはそれが不思議で仕方ないらしい。 懇願されてはさすがに止めるほか無かったが、それでも彼女は、頭に疑問符を浮かべながら陽咲に問う。 「……テレビや本の中だと、皆さんこういう口調をされているのですけど」 「なぜだか瑞穂の軍属の皆さんは、そういう喋り方はされませんよねー……現にヒナタさんも」 当たり前と言えば当たり前なのだが、どうやらプリマス人にはそれがわからないらしい。 「こんな立派なものを持たれているあたり、結構な家の生まれなのかなー……なんて、思いましたが」 294 :ヴェーラ・イリイニチナ・ドラニシヴァ 潜水隊所属/ワンピース:13/09/30 01:58:30 ID:TlYv8Lyx >>293 「……それ以上は、いけない」 セリの追求に良心がすり減り、これ以上はキャラが保てなくなりそうだ。 水筒と包みをバックパックへ放り込む。 「そろそろ基地に戻らないと行けないの。   失礼するわね」 バックパックにひっかけていたメットを装備し首のポイントとメットのポイントを接合、水中へ沈んでいく。 その後、水面には白泡だけが残るのだった。 //ちょと寝落ちの危険が出てきたのでその前に、 お二方ありがとうございました、乙ですー 295 :清水 陽咲 『瑞穂皇国』 旧式陸戦型:13/09/30 02:12:01 ID:SKx+NUgH >>293 「……いや、ダメ、ではないと思うんだが。うーん、間違いは確かにあるけど。  そう、そう言うのは、公の場でしか使わないんだ。プリマスで言うと……大統領が、話すときとか?」 瑞穂の言語体系は世界の中でも類まれなほどの難度を誇っており、他人に説明するのはなかなか難しい。 頭を捻って考えた挙句、少し大袈裟ではあるだろうが、分かり易く偉い人の名前を例に出してはみるが。 瑞穂人の自分でも、自国の言葉を説明するのは難しい。何だかおかしな話ではあるが。 「あー、そうだな。オレはまぁ、そういう畏まったの、苦手なんだよねー。  と、言うか。この喋り方、よく母さんに怒られるんだよなー、女の子らしくないーってさ。お前それでも大和撫子かーって。」 結局、押さえつければ押さえつける程よく跳ねる、ゴム鞠の様な彼女は、結局言葉遣いを治す事無く家を出た。 屈託なく、快活に笑う少女には、確かにお淑やかな言葉遣いは似合わないような。 「んー、俺の家はー、そうだなー、確かに結構古くまで辿れるけど、それだけだよ。  ちょっと古い物が家に残ってるだけって感じ。そうだなー、分かり易く言えば、サムライ?」 名のある家なんてものじゃない。何処にでもいる様な下級武士の血を引いているだけの、古いだけの家だ。 けれど、それらには誇りを持っている。その血と、受け継がれた技術のお陰で、彼女が前線で滅茶苦茶に暴れ回る事が出来ている。 元気が有り余り過ぎて、怒られるくらいに。 「でも、大和撫子って言ったらセリの方が似合うかな。というか、ピッタリ?」 国籍何て関係なく、彼女は自分よりもよっぽど瑞穂の美人らしいと、彼女の下から顔を覗き込んで、そう言った。 そうして、やっぱり、とでも言いたげに頷いて視線を外すと、頭の後ろで腕を組んで。 「それじゃあオレはもう少し散歩を続けようかな…いや、名目上はセイバーユニットの点検だった。  セリは、まだ仕事があるのか?」 >>294 /ありがとお疲れ様でしたー!おやすみなさい! 296 :セリ/プリマス/四脚陸戦 :13/09/30 02:35:44 ID:ffLszhhD >>294 「?……あ、あぁ、ごめんなさい」 「それじゃあまた、いつか」 感付かないまま、メットを被るヴェーラへ、素手で手を振って。 潜航してから暫く、水面に残る水泡を、背中を見届けるように眺め続けるのだった。 //お疲れ様でした!おやすみなさい >>295 「……そ、そうなんですかぁ?」 「勉強不足ですねぇ……、私、瑞穂人なのに、もっと勉強しなくちゃ」 思えば、瑞穂人と深く話し込む事はこれまで殆ど無かった気がする。 陽咲のたとえ話はプリマス国民のセリにとっては想起するのに易く、 同じプリマスの友軍からはなまじ好評な時があるだけに、セリは驚きを隠せない様子だった。 もっと適切でかっこいい言葉遣いを扱ってみせる、なんて内心決心しつつ、暫く陽咲の話を聞いて。 「それにしてもやっぱり、瑞穂の家は厳しいんですね」「私の両親ももちろん瑞穂人ですが、不思議とそういう事は」 「───……サムライ?」「ヒナタさんって、サムライの方……なんですか?」 やはり気になる事といえば、その一点──なのだけれど。 「私、初めて見たかもしれないです……うう、お話を聞きたい所なのですけど」 「はい、そろそろ帰投の時間なんです……」 嬉々として陽咲を見つめる傍ら、バックパックに積んだ連絡無線から、ノイズの混じった上官の声が届いてきていて。 名残惜しそうにしながらも「ごめんなさい」と、別れを告げようと頭を垂れるのだった。 もし、陽咲がその場を離れるのなら、セリも基地の方へ旋回して、帰路を進み始めるが──? 297 :清水 陽咲 『瑞穂皇国』 旧式陸戦型:13/09/30 02:56:05 ID:SKx+NUgH >>296 「うん、そうだ!俺の家は、代々―――っと。」 そう、得意気に語り出したいけれど、そろそろ時間が来てしまったようで、ちぇー、なんて言って、唇を尖らせる。 けれども、上官からの命令ならば仕方がない。陽咲だって、反抗こそすれど、一応は命令に従ってはいるのだ。 「それじゃ、また会ったらまたオレと話してくれよな!  今度は瑞穂の面白そうな土産、もっと持ってくるからさ!」 けれども、人並みには愛国心はある彼女にとって、自国の事、ひいては自分の事を教える、と言うのは意外と楽しかった様で。 だから、彼女が先ほど自分に昼食を一緒にしないかと言ってくれた様に、指を一本立てて、そんな提案をしてみる。 余り美味しくないパンをくれた恩返し、もうちょっとくらいしてもいんじゃないかと、そんなお節介な心持ちで。 「それじゃあな、セリ!オレはもうちょっとこの辺をふらつくから!」 そう言うと、セイバーユニットの無限軌道が、きゅらきゅらと音を立てて、その場からくるりと方向転換。 基地から真反対へと転身すると、身体を捩り、彼女へと右手を振って、帰路へつく彼女を見送って、運河沿岸の昼下がりの散策を再開した。 結局、暫くの間基地には帰らず、上官から凄まじい剣幕で通信を入れられて漸く帰ったというのは、また別の事。 /これで〆で!遅くまで絡みありがとうございました!楽しかったですー! 298 :セリ/プリマス/四脚陸戦 :13/09/30 03:14:35 ID:ffLszhhD >>297 「はい、楽しみにしていますね……それから、お話の方も」 手を振りながら、その場で転回する陽咲の背中を見送ってから、 自らも四脚を駆動させ、陽咲とは逆の方向へ回頭して一人、来た道を戻り始める。 「……大和撫子、ですかぁ」 そういえば、このくだり──返事、しそびれたけども。 瑞穂かぶれにとってその賛辞は、世辞だったとしても嬉しくなるもので、 セリは誰にも見られていない事を確認しながら、一人でにやけ顔をして物思いに耽るのだった。 ……尤も、時折歯に衣着せぬ物言いをするあたり、本物の撫子とはいくらか相違点が存在するのだが。 //お疲れ様でしたー!こちらこそ、です それではおやすみなさいー 299 :エディータ/クロイツの着崩し軍服 :13/10/12 00:24:54 ID:pvRLaf/p 【野営陣地@砂漠の岩陰】 いくつかの天幕に、駐機した陸戦セイバー数機とその分のキャリア。 適合者の半分は睡眠を確保し、残りの半分は即応待機。 砂漠の片隅とはいえ、ここはフィーンドどもの勢力圏すれすれである。 大岩の上の見張り員から連絡があればすぐ飛び乗る体制だ。 なので、お酒はNGである。残念。 そう、それは飲むパンがなきゃ死にかねないクロイツ民や 元気の出る水がないと死にかねないヴォルガの民であっても、だ。 「せっかく綺麗な星空なのになぁ」 紙タバコから紫煙くゆらせ、天を仰ぐ適合者その1 アルコールがたりねえ。 ソーセージはある。 じゃがいももある。 バターもチーズもある。 だがアルコールがたりねぇ。 「いやまぁあたしらが飲んだら、随伴の皆が死にかねねーしなぁ」 あるこーるがたりねぇ 300 :タチアナ(ターニャ)・トハチェフスカヤ@ヴォルガ連邦/陸戦快速型:13/10/12 00:33:16 ID:zGvjAN5G >>299 アルコールが無い。なぜ、こんな所に来てしまっただろうか。 顔色真っ青、手のひらプルプル、寒くないはずなのに歯の根が合わずにガチガチ 言っている人がここに居ました。体育座り安定です 『ブツブツブツブツブツブツ』 口からは呪詛のような、いや、本当に呪詛がこぼれていました。 ヴォルガ語なので理解不能だけど。 「ミズ、ミず、みズ……ミズ」 かれこれこの調子だ。 よく、病院送りにされないな。 301 :エディータ/クロイツの着崩し軍服 :13/10/12 00:41:14 ID:pvRLaf/p >>300 「……そっちはそっちで、軍より病院レベルだしなぁ」 こんなアル中まで戦場に放り込まなきゃいけないって 人類の終末も冗談抜きで近そうだ。 まぁ、言葉通りにお水をあげよう。 本当にお水なので安心するといい。 「せめてアルビオンの連中がいればねぇ  セイバーから茶が出てきただろうに。  たーにゃんはジャムよりブランデー投入派っぽいけど」 ちょっと焦げ目のついた骨付きソーセージを網から回収。 パリッジュワッハフハフ。 あぁ、これにビールがないとか拷問に近いぜ。 302 :タチアナ(ターニャ)・トハチェフスカヤ@ヴォルガ連邦/陸戦快速型:13/10/12 00:48:07 ID:zGvjAN5G >>301 「ウウウゥウウゥゥウ」 震える手で頭抑えながら髪の毛ワシワシ。 あ、帽子かぶってから帽子に無い爪立てる始末 水受取れども、一口飲んだ瞬間にむせてしまったぞ。 「なんデ、なンで、こノ、こんなのニ……!」 若干、一息入れられるこの時間についに発狂か。 声を低めに抑えているのは、もはや長年の軍人の性か。 「いつまデ、こんなコトしなけれバならなイんダ?」 どっしりと据わった目でエディちゃんを見ます 303 :エディータ/クロイツの着崩し軍服 :13/10/12 00:58:19 ID:pvRLaf/p >>302 スキットルにお酒が入ってないのは彼女の良心か悪意か。 まぁ、砂漠の行き倒れにお酒なんて入れるわけにもいかんし 水分補給は義務だし? 「あたしらの当番はあと1時間と27分」 軍用コートの袖をめくって確認。 クロイツ軍がパイロット向けに生産してる蛍光文字盤採用の腕時計。 自動巻きで肉厚な逸品です。 「明日は夜明け前に行動だし、寝酒も危ないかもねぇ。  そもそもセイバーはシラフで乗るもんだし」 コアの共鳴と駆動音と砲声の合奏はいいものですから 304 :タチアナ(ターニャ)・トハチェフスカヤ@ヴォルガ連邦/陸戦快速型:13/10/12 01:08:31 ID:zGvjAN5G >>303 ちなみに、彼女がこっそり持参していたウォッカの瓶がありましたが 移動していた最中に瓶が割れたらしくお釈迦になって この砂漠の貴重な水分になったとか。 「……アタシ、こレ終わったラ一番偉イ人に直談判しにいク」 死亡フラグじみたものを立たせる発言が来ました。 たしかにこれだと戦闘に支障があるかもしれないしね。 いつもの働きも酒があってからこそ、というヴォルガの人間はおかしい。 「機体に燃料いれるじゃン?だから乗っていル人にモ 燃料が居るんだヨ。あぁぁあ!戦車だったラ、戦車だったラ アルコールがそのまマ入っていたのニィ!」 工業用アルコールでも問題なし、と。 そういえばこっち来て間違えてそういうのを飲んで 失明しかける事件を起こしてたな、こいつ。 「……フィーンドめ、来るなラきテさっさと終わらせテやル」 最後に大きなため息をついた所で、明後日の方向を睨むターニャだった。 これも原因が酒不足というわけだが、こんなところでまだ歩哨は続くエンドとしましょうかね 305 :エディータ/クロイツの着崩し軍服 :13/10/12 01:24:32 ID:pvRLaf/p >>304 「ま、酒臭くて拒否られるだろうけどなー。  ついでに狐オヤジは消極的禁酒主義者だしなー」 危なくて合わせてもらえないだろ、この酔っぱらいめ。 あとクロイツアフリカ方面軍の一番偉い人は無理そうです。 「うん、酒は休暇か休憩中くらいが一番さ。  ニィちゃんたちがネクタイを緩めるのと同じようなもん」 あくまで燃料じゃなく、嗜好品と割り切ってるタイプ。 お酒好き同士なのにこの落差はなんなのか。 ヴォルガはやっぱり謎すぎるぜ。 「終わらせれるならとっくに終わってるさ」 ま、のんびり待ちましょう。 交代前に軽く一杯くらいは付き合ってやるから。 んじゃおやすみなさいな 306 :白壁 美代子/瑞穂・重雷装海戦型:13/12/11 22:34:48 ID:PR0FZyjy 瑞穂皇国委任統治領・マリアナ諸島近海。 いつもは穏やかな太平洋の水面が、今日は見渡すかぎり不穏な色に染まっていた。 爆炎の赤、水柱の白、そして――フィーンドの黒。見れば分かるだろう、そこは既に戦場だ。 瑞穂中心の各国混成軍による商戦護衛隊とフィーンドの交戦は、間もなく開始から1時間を迎えようとしているが、一向に敵の攻勢は止まない。 余りにも、物量が違いすぎるのだ。 特装歩兵たちが敵陣の一角を崩したとしても、櫛の歯を挽くように次が来て。 こういう事を続けていると、強いのは人間ではなく、疲労や苦痛の概念を持たない『敵』の方になる。 「ちくしょう、これじゃあ虎の子のマルロクを使っている隙もない。  後ろに母艦級が控えてるのは分かりきってるって言うのにな……!!」 次々と降って湧くタスクを虱潰しに処理しながら嘆息するのは、海上で駆逐隊を率いる少女だ。 瑞穂海軍少尉、白壁 美代子。装備は、巡洋海戦外骨格『番匠改(ばんじょう・かい)』。 青みの濃い黒の乱れ髪と、狼のような鋭い目つきから、その激しい気性が窺い知れる。 実は、つい先程偵察隊の一名から、後方に海上大型フィーンドの存在を認めた、という報があった。 だが膠着した戦場を辛うじて抜けだしたろう彼女に、強力な力場を持つ推定カテゴリー4を討つ兵装は無い。 時間稼ぎの空爆、そこからのとんぼ返り。これがせいぜいのものだろう。 嗚呼、もし自分に――この部隊で唯一、思念誘導魚雷を備えた自分に、尊い時間を与えてくれるなら。 腕利きの僚友が、空からなり海からなり、後方の隊から合流しに来てくれたなら。 四半刻ほど前に飛ばした救援要請が速やかに通り、この最前線が潤うことを、柄でもない神仏に祈りながら。 彼女は駆逐隊の隊列に沿って形成される戦線を、爆雷と砲弾の限りを尽くして、必死に維持しようとしていた。 307 :エルゼ/帝国軍服/航空爆撃型:13/12/11 23:11:04 ID:n8w4NjXV >>306 「――――――こーいう防衛戦って、私の役目じゃない気がするんですけどねー」 マリアナの空を切り裂く一条の線。 ターボジェットが火を噴き、最大加速を機体に与える。 空戦型としてはかなりの大型であるそのセイバーユニットは、名をヒンメルブルク――――――「空飛ぶ要塞」と呼んだ。 それを乗りこなすのは一人の少女。 くすんだ金髪を持つ、穏やかさを感じさせる雰囲気の少女だ。 彼女の目を覆うバイザー型のユニットには、捉えられる限りの現状の情報が表示されている。 「うわ、何かヤバげだし、でも私も偵察任務から直行で弾薬とかあんまり持ってないんですよねー………」 はぁ、と溜息を吐きながらエルゼはユニットを操作、現場の装着者との通信を図る。 「――――――あっあー、聞こえます?  こちら、グロースクロイツ帝国空軍中尉のエルゼ=ツー=エーベルハルトですけど。  救援要請受けてこっち来たんで、とりあえず当座の指示をお願い出来ますかー?」 言いながら、エルゼは背部のミサイルポッドを展開。 彼女がいるのは戦場の高高度。 索敵装置を使い、30のミサイル全てにそれぞれ別の獲物をロックオン。 一発の威力は低いが、それでもある程度の牽制になってくれると幸いだ。 「それに――――――こーいうのはやったもん勝ちってねぇ!」 言い放ち、彼女は、30のマイクロミサイルを戦場へ放った。 308 :名無しさん :13/12/12 00:21:39 ID:xZeecDjg >>307 「おーっ、 当方は皇国海軍少尉・白壁 美代子(しらかべ みよこ)だ。早駆けでの協力に心から感謝する。  そうだな。差し当たっては……空の敵の鼻を抑えてもらいたい……」 ここまで告げて、白壁は空に引かれた30の白煙と、小気味よい風切り音を聞く。 流石に仕事熱心だ、と。からりとした、然し喜色の滲んだ声でつぶやいた。 命中弾が出て、空戦隊の指揮官が重ねるように指示を飛ばせば、 すかさず麾下の橘花弐型たちが散開し、隊列を崩したフィーンドの一群を逆包囲する。 こうなればこちらのもので、少なくとも雑兵はトンボを取るように落ちていくだろう。 「これよりあたしは、遠方に展開する母艦級フィーンドに長距離誘導魚雷での奇襲を敢行する。  だがそれには、とてもじゃないが雑魚の相手はしてられない位の集中が必要だ。  その間、エルゼ中尉には、接近する水上目標への攻撃を願いたい。まぁ、露払いって事になっちまうんだが」 上空からなら、黒い波のように押し寄せるフィーンドと、駆逐隊の戦いの様がジオラマのように見えるだろう。 飛沫を上げ、白いウェーキを刻みながらながら、連続する砲撃に対して決死のステップを踏む彼女たち。 現状善戦しているようだが、このままではジリ貧で押し負けることは避けられない。 「……あれでもちっこい奴らが多いんだ、ここを抜ければ横須賀でラムネが飲めるって喜んでる。  すまないが、頼まれて呉れないか」 指揮管制と魚雷の誘導にベストな場所を探しながら、ミサイル攻撃を終えたエルゼに、 跳ね返りのセイバー乗りらしいぶっきらぼうな口調で、白壁はそう告げるだろう。 309 :エルゼ/帝国軍服/航空爆撃型:13/12/12 01:08:57 ID:AmY9ESV/ >>308 「りょーかいりょーかい。  あ、ついでに上空から手に入れた戦域情報そっちに回すんで。  なんかの役には立つでしょー、多分」 そう通信すると、エルゼは腕部に取り付けられたユニットを操作。 現時点で手に入れた可能な限りの情報を、白壁少尉のセイバーユニットへと転送した。 転送が完了したのを確認すると、彼女は眼下の戦場に目を落とす。 護衛部隊は未だ踏ん張っているようだが、如何せん数の違いは圧倒的だ。 このままでは押し負ける事は必然で、エルゼ一人が援護に回った所で優勢に押し戻せるかどうかも分からない。 「――――――でも、まー、やらない訳にはいきませんからねえ」 静止状態の機体を動かし、ターボジェットに火が入る。 機体の上下を逆転させ、頭に血が上るのを自覚しながら、しかしエルゼは戦場に目を落としたままで。 「急降下爆撃はうちの十八番だって所、見せ付けてやりますよっ!」 言葉と同時、背部のターボジェットエンジンが全力駆動。 エフ=フィールドを展開してもなお感じられる圧力と共に、無骨な鋼の塊が、戦場へと急降下していった。 頬をかすめる風圧に心地よさを覚えながらも、エルゼは急速に接近してくる海上から目を離さない。 ………すっごい数ですねえ。 フィーンドの数は膨大で、しかし気圧される訳にはいかない。 出来る限りの敵数を認識すると、腕部ユニットと同調したレーザーガンを起動。 その狙いを真下、フィーンドの群れに構えると、 「………これが、新時代の爆撃です!」 言って、高熱量の光の束を、勢いよく照射した。 310 :名無しさん :13/12/12 01:50:15 ID:xZeecDjg >>309 エルゼに追いすがろうとした利口なフィーンドは、しかし、その速度を越える事が出来ない。 ぐんぐんと、蒼い海が迫ってくる。 無数にうごめく単眼たちは、落ちてくるヒンメルブルクを反射的に眇める。 だが、撃ち落とすには――些か遅い。 稲妻のごとく降りてきた影を『認識』するのが、既に交戦中のフィーンド達の精一杯と見えた。 「射線は、こうだな……総員、一時退避!」 情報を受けた白壁のセイバー、番匠改は水雷戦隊の嚮導を担当することを念頭に置いた設計だ。 即時に部下たちのコンソールにデータリンクを行い、推測射線を空けるよう促す。 そして、次の瞬間――。  ――『しゅゥ』と、想像しがたいような音色と共に、海水が煮える。 『なぎ払う」とは、本当はこういうことを言うのだろう。 駆逐隊との戦闘に集中していた低級フィーンドの多くは、閃光にコアや推進部を巻き込まれ、爆沈。 先ほど白壁が「ちっこい」と言っていた部下達から「わぁ」だの「すごい……」だの、感嘆の声が漏れた。 だが、まだ安堵するには早い。 水中に逃げ込んでレーザーを散乱させる、という回避手段を実行した奴らがいたからだ。 そういう連中は、装甲の外郭を削られながらも自ら沈降し、直撃を避けていく。 エルゼと駆逐隊が敵の行方を探しているだろう間に、聞き慣れた異音が彼女たちの耳を劈いた。 ――水中から低空のヒンメルブルクに向けて、六発の対空ミサイル。 それらは、まさに矢継ぎ早と言った短い間隔で襲いかかるだろう。どうにも、無視できるサイズではない。 311 :エルゼ/帝国軍服/航空爆撃型:13/12/12 02:13:18 ID:AmY9ESV/ >>310 「………流石に全部は無理だったみたいですねー」 脚部のジェットスラスターで機体に急制動を掛け、低空で姿勢を整えながらエルゼは冷静に状況を把握。 粗方の小型種は潰したようだが、それでも水中に逃れた奴らがいるらしい。 水中では、レーザーの威力は落ちる。 それに、レーザーガンは排熱中で、しばらくは照射を行う事は難しい。 ではどうやって水中のフィーンドを駆逐するべきか。 考えを張り巡らすエルゼの下方、水中から、突如として六発のミサイルが放たれた。 短い間隔で迫り来るそれらは、エフ=フィールドを展開してもおそらく無事では済まないだろう。 ならば迎撃する必要がある。 「――――――捉えてます!」 高速で迫る六つの物体を、しかしエルゼは捉えていた。 バイザー型ユニットを通してそれら一つ一つに照準を定め、ロックオン。 脚部の三連装ミサイルポッドが、左右それぞれで展開される。 六対六、数は同等だ。 「だったら迎撃出来るでしょう………!」 叫び、エルゼは、六発のミサイルを下方目掛けて撃ち放った。 312 :白壁 美代子/瑞穂・重雷装海戦型:13/12/12 02:22:17 ID:xZeecDjg >>311 /すいません、明日は少し早いので、いったん絡みを中断しても宜しいでしょうか? /明日以降は9時より後ならば返信出来ると思います 313 :エルゼ/帝国軍服/航空爆撃型:13/12/12 02:22:56 ID:AmY9ESV/ >>312 /了解です! 314 :白壁 美代子/瑞穂・重雷装海戦型:13/12/12 02:27:23 ID:xZeecDjg >>313 /もう少し文章を早く書けるよう、頭をほぐしておきます。おやすみなさいませ! 315 :名無しさん :13/12/12 22:54:04 ID:xZeecDjg >>311 エルゼの目論見通り、ミサイルはそれぞれに激突。 鐘を衝くような轟音を立て、二重の爆発を巻き起こしたが、余波だけで力場の向こう側まで届くことはない。 《みんな、隊長と帝国の中尉殿を守らなきゃ!》 《言われなくても、わかってるっての》《ラムネ、ラムネ……》 ミサイルの出現地点を追うように、駆逐隊が動く。 彼女たちは、腰部にマウントした4連装対フィーンド魚雷を水中に一斉に解き放った。 だがその背後で、また新たな影がふたつ、みっつ、忽然と浮上する。 ――金属製の深海魚のような、中型のフィーンドだ。 「……くそっ、危ねぇ!」 水上に鰭を並べた三匹は、口吻部の連装砲を展開。このまま妨害がなければ、水上戦力へ一斉砲撃を始めるだろう。 だが白壁は思念誘導魚雷の操作に集中している。しかも経過時間と偵察機からの情報を勘案すると、大詰めというところ。 隊長の信頼にかけて威嚇射撃を敢行するものの、できて二発。命中弾を出すには至らないようだった。 だが幸いにして、敵は水上に顔を出している――。 316 :エルゼ/帝国軍服/航空爆撃型:13/12/13 00:35:27 ID:U9THqLZc >>315 「………浮上っ!」 駆逐部隊の背後、三匹のフィーンドが浮上したのが目に入る。 見れば、相手は既に連装砲を展開済みで。 このままでは背後を取られた駆逐部隊は、その一斉砲撃の餌食となる事必然だろう。 それだけは防がねばならない。 エルゼは半ば反射的とも言える早さで、対処の動作を取っていた。 「ミサイルは弾切れ、レーザーガンは排熱中で使えないし………だったら!」 言って、操作するのは肩部ハードポイントに連結した単装砲。 左右それぞれ一門ずつの9.2cm砲は、誘導能力こそはないものの、小型艦艇の主砲にも匹敵する威力を誇る。 それを以って狙い撃つのは、三匹のフィーンドの内、右と左の一匹ずつ。 逸れる事無く直撃させられたならば、コアを貫く事も可能な筈だ。 だが、例えそうなったとしても未だ中央のフィーンドは健在。 それに対しても対処を行う必要がある。 「――――――こいつはとっておきなんですけどねえ」 エルゼはそう呟くと、腰の後ろに手を回す。 カチリという音が響くと同時、腰部に取り付けられた機具が動作。 それらは迅速といえる速度で展開を進めていき、一瞬後には長大な砲筒を完成させていた。 『コイルガン』と、そう呼称されるそれは、バチバチと電にも似た光を放っている。 「一回限りの最大火力、受けれるもんなら受けてみて下さい!」 肩の単装砲で左右のを、そしてこのコイルガンで中央のフィーンドを屠る。 いける筈だ。エルゼは、自らの機体に全幅の信頼を置いている。 汗が額より生まれ、頬を伝っていくのが分かる。 ここで外せば、大惨事が生まれてしまうかも知れないのだ。 (………いけるはずです) エルゼは心の中でそう呟き、狙いへ向けて射撃した。 317 :名無しさん :13/12/13 01:12:19 ID:nRMpO8Q6 >>316 砲撃体制に入ったフィーンドは低速航行に入り、幾らか狙いを定めやすくなる。 それがエルゼの神業にとって、最後のひと押しとなったか。 間断なく、そして躊躇なく放たれた三矢は、過たずフィーンドのコアを穿ち抜いた。 砕け散る装甲細胞、光を失う単眼。敵も味方も、死ねば沈んでいくのは同じ。 であるからには、最後の最後まで足掻こうとするのも変わりなかった。 コイルガンの超初速弾で中枢を消し飛ばされるより、ほんの一呼吸前。中央の個体が砲弾を連発していたのだ。 『ドワゥ!』という断末魔と共に煙が吐き出され、発砲の衝撃で海が泡立つ。 フィーンドそのものは崩壊しながら水面に没していったが、弾道に目立ったブレはない。 このままでは、駆逐隊に命中弾が出るかもしれない―― 「 ……待たせた、なぁっ!!」 ――そんな刹那、白壁が動いた。 左腕の防盾にエフ=フィールドを集中させながら、咄嗟に主機に鞭を打つ。 横滑りするような強引な動きで馳せて、射線上において自らを盾に。 「ぐ、こいつらの死に場所はここじゃねぇ……テメェらにやらせちゃ、あたしが浮かばれねぇ!」 鐘を衝くような激しい音が、何度も鳴り響いた。 標準型海戦セイバーである番匠改の力場出力は、軽装型である部下達よりもずっと高い。 それでも、無傷とはいかないが。ざりざりと水上を後退し、蹈鞴を踏みながらも、彼女は良く耐えた。 ……やがて、ぴたりと音が止む。 血の滲む腕を、誇るように掲げながら白壁は、 「敵とエルゼが動くほんのすこし前に、大物に魚雷をアテた。ヒヤヒヤしたが、あの感触は良いアタリだぜ。  推測される敵の規模じゃ、コアを中破してるはずだ。奴は撤退し、増援はもう止まる……」 と、周囲の状況を確認しながら告げるだろう。 彼女が言うとおり、僅かな敗残個体を処理した後は、もう次の『波』が寄せてくることはなかった。 318 :エルゼ/帝国軍服/航空爆撃型:13/12/13 01:59:31 ID:U9THqLZc >>317 「………お疲れ様です」 腕を掲げる白壁の横、低空飛行から接近してきたエルゼの機体。 呆れたような表情で、しかし口調は彼女の行動を褒め称えるような柔らかさをもっており。 頭部のユニットを使って周囲を索敵、状況情報を収集する。 「………どーやらその通りみたいですね、周囲からフィーンドの存在は検知出来ません」 索敵を終え、その結果を隣の少尉へ告げる。 「――――――終わったみたいですよ?」 肩をすくめ、ため息交じりの苦笑と共に。 319 :名無しさん :13/12/13 02:39:25 ID:nRMpO8Q6 >>318 念のため確認したが、指揮用電探にも部下が装備している超音波探信儀にも、敵の反応は無かった。 逆に言えば遠方の母艦型は逃した、ということだが、さしあたって問題はない。 損傷がコアに加わっている以上、容易に持ち直す事はできないからだ。 それに、敵も個体数が少ないタイプを特効同然に使い潰すことはしない。 「おう。おかげで、海も静かでいい景色になったぜ。  首を取るにはちっと兵力が足りんが、さしあたって物資の護送は果たせそうだ」  シーレーンは島国の血管、根詰まりを起こさせるわけにはな……っと!」 空を仰げば、航空部隊が空中集合し、帰投準備を始めていた。 白壁も部下に対して威勢よく号令をかけると、彼女たちを合流させ、安否を確認する。 「ひぃ、ふぅ、みぃ……よし、全員揃ってるな。  エルゼ中尉、流石に単騎で来るだけのことはある。新米ともども恩に着るぜ。  自分らだけだったら死人が出てたろうよ……」 「しかし連中、小さいとはいえ母艦級を通商破壊に用いるとはな」と、忌々しげに白壁は付け加えた。 フィーンドは戦力の逐次投入による超広域警戒を可能とするだけの、巨大な勢力を備えている。 だから常の海上護衛戦は小競り合い(それでもセイバー無しでは敗北あるのみだが)が多い。 こんな丁重なお出迎えは、久方ぶりなのだ。 「……何はともあれ、あたし達も戻るとしよう。  瑞穂の土をまた踏めること、嬉しく思う。海で死んだら骨も拾われねぇから、な」 とは言え、戦況を分析するのは後で行うこと。 素気無い皮肉を混ぜながらも礼を言いつつ、引き止めなければ彼女は撤退していくだろう。 エルゼもまた、自身の艦か近場の飛行場へ戻っていくのだろうか。 320 :エルゼ/帝国軍服/航空爆撃型:13/12/13 06:02:55 ID:U9THqLZc >>319 「………別に一人で来たかった訳じゃないんですけどね」 ぼそりと一言。 どうにも周囲に展開していて具合の良かった機体がエルゼのみだった訳だが。 本人とて、一人で来るより多数で来た方がよっぽど楽できたと思っている様子。 ぽりぽりと頭を掻きつつ周りを見渡す。 どうやら全員無事らしい。 言葉を残して去っていく白壁達を手を振って見送ると、 「さーて――――――燃料残ってる内に、私もさっさと帰頭しますか」 と一人呟き、一番最寄の飛行場へと連絡取りつつ向かうのであった。 /色々と拙い所満載だったり最後遅れたりですみません! /ありがとうございました!