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新教育の森:子どもとゲーム 番外編 日常化した遊び、どう向き合うか - 毎日jp(毎日新聞)
 

教育

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新教育の森:子どもとゲーム 番外編 日常化した遊び、どう向き合うか

 ◇バーチャルな世界の功罪、見極めて

 22日から5回にわたり朝刊2面で「子どもとゲーム」の現状を報告した。ゲームが日常と化した時代にどう向き合っていけばいいのか。さまざまな分野の識者に聞いた。【三木陽介、椋田佳代、山本紀子】

 ◇生活習慣の乱れに注意--峯真人さん

 小児科医は生まれたばかりの赤ちゃんから18歳ぐらいまでの子どもの成長を見守っているが、最近は子どもが変わってきたと感じることがある。けんかをしても相手の痛みが分からない。昔は相手が出血したらやめたが、今の子は手加減を知らない。全体的に命に対する認識も変わってきている。

 小児科医の東京純心女子大の中村博志元教授のアンケート調査によると、小学校高学年でさえ、クラスに1人ぐらいは「死んでも生き返る」と答える子がいるという。私も「バーチャルな世界」が入り込んでいると経験的に感じている。

 それがゲームの影響なのか科学的に証明するのは難しいが、ゲームのやりすぎで朝起きられない子が増えているのは確かだ。ゲームが先なのか眠れないのが先なのかは分からないが、精神的に不安定な思春期の中学生が最初はストレスで眠れなくなり、そのうちゲームやネットを始め、ずるずるとはまってしまうケースは多い。ゲームが現実からの逃げ場になっていることもある。昼間、親の前ではゲームはやらず親が寝た後、深夜にやり始める。脳だけが疲れて体が疲れていないため眠くならず悪循環へと陥る。

 子どもたちのゲームを含めたメディアとの付き合い方は小児科医としても大きなテーマだ。小さいころから習慣化してしまうと、それがないと落ち着かなくなる。子どもの成長において生活習慣の乱れによる影響は大きい。その意味からも、ノーテレビ・ノーゲームデーのような取り組みは生活習慣を見つめ直す良いきっかけになると思う。

 ◇教育効果あり、学校で活用を--馬場章さん

 テレビゲームはコンピューターサイエンスの最前線。情報通信と娯楽が結びついたコミュニケーションツールだが、娯楽性が高いゆえ、批判されやすい。

 ゲームが問題視されがちなのは、一部のソフトに暴力表現が見られたり、一部のプレーヤーが長時間没頭するからだろう。よく犯罪への影響がとりざたされるが、因果関係は見いだせないはず。漠然とした不安から事件と結び付けているだけで、ゲーム不信が真の原因を見えなくさせている可能性がある。個々のケースを分析すれば、家庭や学校の問題など成育歴が影響していることが少なくないはずだ。

 最近は、教育的要素を取り入れたシリアスゲームも多く作られている。歴史を学ぶ「大航海時代Online」というゲームの教育効果を高校で検証したところ、小さなころから親しんでいるゲームによって学習への興味が増し、知識も定着しやすいことがわかった。ゲームの力を学校で活用すべきだ。

 オンラインゲームは自分の分身を自由に動かせるため、人を夢中にさせやすい。引きこもりの人が長時間プレーしている実態はあるが、ゲームが、他者との意思疎通や自己実現の方法を提供していることに意味がある。

 ゲームに他の娯楽と異なる異様な魅力があるのは事実。必要なのは、ゲームのプラス面とマイナス面を公平にとらえ、付き合い方を考え実践する教育だ。大人は「ゲームに子守をさせてはならない」ことを肝に銘ずるべきだ。親は、子どもとソフトの内容を話題にしたり共に遊ぶ時間を作ることが大切だと思う。

 ◇内容の判断は大人の責任で--浜村弘一さん

 映画や漫画に比べて親からゲームが悪者扱いされがちなのは、理解されていない部分が多いからだと思う。「やったことがない」「理解できない」と言って距離を置けば置くほど、子どもが何をしているのか分からず、ますます不安が募る。逆に近づいてみてほしい。一緒にプレーできなくてもゲーム中に話しかけてみるだけでもいい。「どう? 面白い?」と聞けば、子どもは一生懸命、面白さを伝えようとするものだ。

 私は自分がゲーム好きだったこともあるが、息子が3歳の時から一緒にゲームで遊んできた。14歳になる息子は今でもゲームが一番好きだが、ゲーム一筋というわけではない。サッカーもやったし、今は合気道をやっている。読書も好きだ。逆にゲームがきっかけで興味を覚え、リアルな世界に入ったこともある。例えば野球はゲームでルールを覚え、やってみたいというので一緒にキャッチボールをしたこともある。

 大切なのは、ゲームを与えて後はほったらかし、ではだめだということ。ゲームを「ベビーシッター」にしてはいけない。どんなゲームをやっているのか、親がもっと関心を持つべきだ。買い与える際もパッケージに張ってあるレーティング(年齢区分)のマークをチェックしてほしい。子どもが口にする食べ物の成分をよくチェックするのと同じ。大人が善悪の判断を責任を持ってやるべきだ。

 ゲームが特別視されず、映画や漫画と同じように大人が「このゲームは良い」とか「これは子どもにやらせるのはまだ早い」とか普通に語れる社会になってほしいと思う。

 ◇もっとリアルな遊び体験必要--天野秀昭さん

 子どもの遊び方の転換点は何度もあった。まずテレビが家庭に普及した昭和30年代。子どもの居場所が地域から家庭に移った。80年代の「ファミコン」の出現で子どもが1人でいる世界ができた。今は携帯電話や携帯型ゲーム機など、これまでにないものが出てきたのだから、遊び方が変わるのも当然だ。

 ゲームには功罪ある。現実では禁じられていることができ、ストレスの発散になっていると思う。そのエネルギーを大人にぶつけていた時代があるが、今はゲームに向かう。実はホッとしている大人も多いのではないか。

 携帯型ゲーム機は大人に干渉されない世界で遊べる。どんな場面で終了しても同じ場面から始められ、塾などで忙しい子に合っている。コミュニティーが崩壊したといわれるが、社会全体が「個化」を選択してきた結果だ。児童館や子育てサロンをはじめ、行政の政策も屋内へ屋内へと管理しやすい方に流れている。

 屋外で遊ぼうにも、アスファルトで埋められ、道路で遊ぶと危ないと言われる。子どもにとって魅力的な世界が減り、変わっていく環境に対応しようとしているのが現実だが、自由に遊ぶことが許されるなら今の子どもも本質的には昔と変わらない。

 リアルな体験があればバーチャルは怖くない。五感を伴う体験は意識で理解される記憶とは違う。ファミコン世代の30代に「小さいころ何をして遊んだか」と聞くと、真っ先に挙がるのは外での遊び。ゲームよりも、ゲーム以上の面白いリアルな体験ができなくなっていることの方が深刻な問題だ。

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 ■人物略歴

 ◇峯真人さん

 52年生まれ。小児科医。02年から埼玉県小児保健協会会長。小中学校でメディアとの付き合い方を指導している。00~05年まで旧岩槻市(現・さいたま市)教育委員長。

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 ■人物略歴

 ◇馬場章さん

 58年生まれ。早大卒。05年、東京大大学院情報学環教授に就任。専攻はコンテンツ創造科学。ゲームの娯楽性や将来性を研究する日本デジタルゲーム学会を06年に設立。

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 ■人物略歴

 ◇浜村弘一さん

 61年生まれ。ゲーム情報誌「週刊ファミ通」を発行するエンターブレイン社長。著書に「ゲームばっかりしてなさい。」「ゲーム産業で何が起こったか?」など。

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 ■人物略歴

 ◇天野秀昭さん

 58年生まれ。東京都世田谷区で冒険型の遊び場を運営するNPО「プレーパークせたがや」理事。約30年前から子どもの遊びの世界にかかわり続けている。

毎日新聞 2008年7月28日 東京朝刊

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