P12 柔らかいアースカラーのコットンをシルクオーガンジーでふわふわとラッピングしてる、少しレトロなデザイン。こういうスタイルに定番のコサージュじゃなく、ラベルピン使ってアクセントつけてるところがまた、俺好みだ。 (中略) P13 帽子本体はもちろんだけど、シルバーのラベルピンがまた、秀逸なんだよね。金属製なのに、どこか温かみを感じさせる、少し歪な?形。 P21 「ありがとうございました。……それと」  人目はばかるように、こっそりと声を潜め、耳元でこう囁く。 「帽子のご注文も、ありがとうございました。本日三時過ぎに、お店の方へお届けにあがります」 P23 「ほんとに君だったんだ?」 「俺だったんですよ。驚きました?」 (中略) 「おおっ、すげー、いい感じ!」  キヨが素直に称賛した。 「これ、フェルトとシフォン? あったかそうなのにモコモコしてなくていいな。シルエット綺麗!」 P26 「材料実費は一万円ぐらいッス。帽子とピン、帽子箱で箱が一番高い」 「じゃあ…」  妥当なのはこのあたりかな、という線を、こちらから提示しようとした時だった。さらりと爆弾落とされたのは。 「それが、俺とつきあえば≪プレゼント≫に。ピアスもついてくる」 (中略) 「ほー、そうきたか。…で? ピアスはどっちについてんの?」  ふふん、と鼻先で笑うように問い返してやると、返事は即答だった。 「俺」 「あっはは! そりゃそうだ! (中略) 「今後は小洒落たカフェで、恋人欲しいなんて呟くこともない」 「ぎゃああ、お前っ、ゆうてはならんことを!」