Wikiと授業に関して。 1.授業 筋道だてて具体的に考えてみましょう。 ①現在の授業の形 現在の授業の形は、生徒にとって非常に受身形であることは否めないでしょう。 意識なさっている先生方の授業はともかくとして、生徒参加型というには程遠い状態です。 例えば授業では、先生は生徒に向けて以下のモノを発信します: ・黒板による、文字及び図による説明 ・口頭による補助説明 ・生徒に対する質問(理解度及び授業態度チェック) ・参考文献の指示 対して、生徒は先生の発信に対して以下の応答を行います: ・興味無し ・板書の記録 ・参考文献の参照 ・説明に対する反応(理解・疑問・感想) ・授業に対する要求及び愚痴(★ ・感想の共有(to生徒) ②理想の授業の形 次に理想の授業の形を考えて見ましょう。 生徒が積極的に授業に参加して意見し、それを受けてよりよい方向の授業を先生が行うというものです。 フィードバックというシステムがあります。発信された内容を発信側に戻して、活性化させるシステムです。 例を挙げると Aが発言→Bがそれに対して意見(Aに戻す)→Aがそれに対して発言→Bが・・・ という感じです。互いにフィードバックをすることで、議論が発展します。 理想的な授業では、先生はまず生徒に向けて以下のモノを発信します: ・黒板による、文字及び図による説明 ・口頭による補助説明 ・生徒に対する質問(理解度及び授業態度チェック) ・参考文献の指示 先生の発信に対して、生徒は先生の発信に対して以下の応答を行います: ・板所の記録(決められた係、若しくは先生が行います。情報は共有スペースにアップロードされます) ・説明に対する反応(疑問、感想、指摘)を共有スペースに発信 生徒の発信に対して、先生と生徒は以下の応答を行います: 先生→指摘に対する反映・疑問点の解消・よりわかりやすい説明の追及・議論への参加 生徒→疑問に関する解決案、感想に対する意見  これにより、生徒間のフィードバック、生徒と先生の間のフィードバックが発生し、授業が活発化します。 ③現実的な授業の形の提案 理想は固まりました。ですが現実は甘くありません。 共有スペースに関しては、ネット上にスペースを設けるのが一番手っ取り早いでしょう。 問題は発信方法です。 基本的に携帯やパソコンによる意思伝達は会話に劣ります。機器の扱いに慣れていない場合、入力すらまともにできない可能性が危惧されます。 しかし音声による伝達では、同時に聴くことのできる数に限りがあり、また整理も困難です。 理想的なのはすべての生徒が音声認識を搭載したインカムで授業に参加することですが、現実的ではないでしょう。 ネットを使わない方法での共有スペースの構築はおそらく無理ですので、この時点で機械の扱いに慣れない人間は切り捨てることになるでしょう。 せめてできるのは機器の扱いに秀でた人間が周りの意見を代弁するぐらいでしょうか。 すなわち現時点では機器の扱いができる人間だけしか共有スペース上の議論に参加できません。これが制約その1です。 次は機械本体の問題です。議論に参加する人間は参加するために共有スペースにアクセスできる機器を所有している必要があります。 例えばそれは携帯、パソコン、PSP、DS等です。PSP、DSはリアルタイムな文字の入力に適していません。ですから却下です。 残るは携帯とパソコンですが、まず携帯の場合を考えます。携帯は大半の人が所有していますが、通信料がかかります。携帯をメインに使うことに場合、通信料のために使うのを拒む人が出てくるでしょう。(僕とか) 次にパソコンの場合を考えます。まず学校に持ち込めるパソコンを持っている人自体があまり多くありません。さらにPCを使う場合は教室内に無線ネットワークを構築し、さらに電源を必要があります。 パソコンなら所有しているかどうか、携帯なら料金の問題で制約が課されます。これが制約その2です。 さらに機械を使うことによる副次的な問題です。 PCでも携帯でも、彼が議論に関して意見を打っているのかゲームで遊んでいるのかを判別するのは困難です。 仮に良い環境が整ったとしても、生徒自身に議論への参加の意思がなかった場合、議論に参加はしないでしょう。 また生徒の参加を促進するために得点制を導入することはできません。なぜならば完全に平等な参加体制は不可能だからです。おそらく他の方法でも強制的に生徒を参加させることはできないでしょう。これが制約その3です。 制約をまとめてみましょう。議論に参加するのは、機器の扱いができ、パソコン又は携帯を所有しており(携帯の場合は通信料制約がないこと)、議論に参加する意思のある人間だけです。 この条件で絞った場合、議論に参加する人間は1クラスあたりで非常に少ない人数となるでしょう。人数が少なくてはフィードバックの効果は薄れます。むしろ仲間内でのヒソヒソ話になってしまうからです。 さらに人数が少ない割に投資しなければいけない設備は高額なものとなります(無線LAN等。) 結論。 ネットを利用した授業展開は確かに理想的で、実現できた場合の効果は大きいでしょうが、この学校では非効率的でしょう。 2.Wikiに関して 結論としては、Wikiは授業に関して言うのならば必要ないでしょう。 Wikiの内容が授業で役に立つわけではないですし、授業の内容がWikiにアップされたからといってそれはWiki形式である必然性はどこにもありません。 これからはWikiと授業は完全に切り離して考えるべきです。Wikiと授業には何の関連性もありません。互いに必然的なメリットは何もありません。関連性があるように見えてるのはそれは虚像です。 生徒間における、学校提供のコミュニティスペースとしてWikiが一部に活用されているのは確かです。 クラス外にも有益な情報を載せているところをあつめようというのも非常に良い発想だと思います。 WikiとHPに関しては、完全に生徒主体で考えていいと思います。WikiもHPも生徒の、生徒による、生徒のためのコミュニティースペースということで。正直生徒管理にして何も問題は無いのでは。 HPの構築に関してもLOPTで話し合う必要は無いのではないかと思います。むしろWikiの管理権限を委譲していただく方向で話を進めたら楽なんじゃないでしょうか。 というのが僕の考えです。