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別に新ジャンルじゃない「ひょんなことから女の子」
- 1 : 国会議員(静岡県) :2007/04/06(金)
15:28:02.91 ID:+PT4kOIZ0
- ここは「ひょんなことから女の子」スレです。
誰かが女の子になったり、何かが女の子になったりしています。
デフォのキャラがいないので、自由にキャラを作って下さい。
別に新ジャンルじゃないし既出も上等。何でも自由、ただし節度を持って。
あなたも「ひょんなの子」を妄想してみませんか?
・過度のリアル報告・自虐、自動保守は避けましょう。
・書きたければ迷わず書こう。長編でもSSでも何でもおk。
・投下する時はコテや作品名をつけるとまとめやすいです。
まとめwiki http://ime.nu/www12.atwiki.jp/hyon/
避難所 http://ime.nu/jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/computer/31732/
- 2 : 天の声(宮城県) :2007/04/06(金)
15:28:16.63 ID:NC1EXv1U0
- .. .._/
/⌒⌒^⌒ ⌒\
彡|l|川l|l|川l川l川l)
(l|l l|川l|l|l|川|l|l| l| )
( ,.三ニ=、 ,.=ニ三、 |_
| (..o..) (..o ..) ..ig) <あーたしサクランボwwwwwww
i  ̄.../ ヽ  ̄ /
ヽ く_ _>、 |
| /,=ニニ=、 /
.ヽ i <l‐l‐l‐l> /
\ヽ`ニニニ'/
. ̄ ̄ ̄ ̄
- 3 : 番組の途中ですが名無しです(群馬県)
:2007/04/06(金) 15:28:24.13 ID:zv1VHc3P0
- 2get
- 4 : 国会議員(静岡県) :2007/04/06(金)
15:57:08.20 ID:+PT4kOIZ0
- ほ
- 5 : 造園業(栃木県) :2007/04/06(金)
16:33:24.23 ID:ne3foVOi0
- 過疎り杉
- 6 : 国会議員(静岡県) :2007/04/06(金)
16:59:50.98 ID:+PT4kOIZ0
- やっぱ人いないなぁ保守
- 7 : Webデザイナー(アラバマ州) :2007/04/06(金)
17:28:01.10 ID:pgCeTRLk0
- ブランクの人です。保守代わりに作品投下
- 8 : Webデザイナー(アラバマ州) :2007/04/06(金)
17:29:05.56 ID:pgCeTRLk0
- 絶大な力を持った王のあとは大体すぐに滅びゆくもの
それでも、何とか平和を保つことができたのも、世が平和だったから
平和と言っても、一部がにぎわうだけで、大多数は圧政に苦しんでいたりもする
そんな世界で、若くして両親と死別した新しい王様の話
ガーン、ガーン、ガーン
6時を告げる、大きな鐘の音。この時計台が、ある王国の真ん中にある
先代が立てた街のシンボルとして、今でも多くの人に愛されている……と思う
「ふぁぁ……」
この音で目を覚ますのが、年若い王の日課である
「お食事の用意ができまし、た……?」
目を覚ましたばかリの、まだ青年には届かない少年を食卓につかせるのもいつも通りだ
ただ、今日は少しばかり勝手が違った
「んー、どうした?私の顔に何かついているのか?」
言葉につまり呆然と立ち尽くす男を見て、王は何がおかしいのか分からず、だんだんと機嫌が悪くなる
「はやく言わんか!それともこの城から出て行きたいのか!」
一人の人間の職を本人のわがままで奪う、この国で“王”という権限はそれほどまでに強い
いや、相手は使用人である、という意味では当たり前のことではあるが
- 9 : Webデザイナー(アラバマ州) :2007/04/06(金)
17:31:49.21 ID:pgCeTRLk0
- 「失礼ですが、貴方はどなた様でしょうか」
「お前は仕える主の顔も知らぬのか?それとも私の顔はそんなに覚えにくいのか?」
イライラとした表情が、文字通りの顔だけでなく、発言、言葉一つ一つに現れている
「その首に乗っているものは藁か、それともカボチャか!インコの方がまだ覚えがいいぞ!」
意味も分からず、哀れに、延々とののしられる男は、幸いそれなりに賢かった
「(王の寝室に寝ておられるのだから、それなりの立場におられる方だろう。それならば丁重に扱うべきが礼儀。)初めにも申し上げましたが、食事の準備ができましたので、お早めにお願いいたします」
「わかった、わかった。着替えたらすぐに向かうから、とっとと下がれ」
「それでは失礼します」
キィィ、と金具はだけが擦れ、扉はほとんど音を立てずに閉まる
いつもと同じように音がならないよう、ゆっくりと閉じていったのを見て、ほんの少しだけ機嫌を直した王
ふぁぁと再度あくびと伸びをすると、いつものように鏡へ向かい鏡を見て絶叫する
「あれ?私の髪の毛、こんなには長くなかったはずじゃ……」
いや、絶叫というには遠く、思いのほか冷静であった
- 10 : Webデザイナー(アラバマ州) :2007/04/06(金)
17:34:16.46 ID:pgCeTRLk0
- 「おい、朝起きたらこうなっていたのだが、お前は何かしらぬか?」
王の朝食は、むやみやたらにでかい食事の間、ではなく、いかにもこじんまりとした私生活の場に運ばれる
そこには人間が多くいるわけでなく、給仕が部屋の前までで帰ってしまえば、常、王の最も信頼する人間、ただ一人しかいない
その唯一の男に王は聞いた
「私にはとても想像がつきません。そんなことより、これからの王の不在をどうにかしないといけないことで頭が一杯です」
若い背筋の伸びた長身の、といっても少女になる前の王よりも4つか5つほどしか年の変わらない兄弟のいなかった王が兄のように慕ってきた男
言葉の一つ一つはいかにも丁寧だが、他の家臣とはどこか違う
唇の端を持ち上げながら大げさに頭を抱える仕草、態度はとても敬っているようには見えない
「お前は私を馬鹿にしているのか?そんなことどうでもいいではないか」
「いえいえ、これは重大なことですよ?もし早くあなたを元に戻せなければ世間は混乱するに決まっているでしょう」
「むぅ……。それじゃ、私の変化についてお前は何か心当たりがあるというのか?」
「いいえ、全く。まぁこれも逆に考えてみたらそうわるいことでもないでしょう?」
「逆?」
「王、としてあなたは顔が知れ渡りすぎている。でも今のあなたはどう見ても以前の王とは全く別人です」
「つまり?」
「これを機に街へ遊びに行くとか、そう言ったこともできるじゃないですか」
- 11 : Webデザイナー(アラバマ州) :2007/04/06(金)
17:36:33.37 ID:pgCeTRLk0
- ここまで言って、男ははっと気がつく
目の前の少女の目がきらりと光った、男にはそう見えた
「それは名案だな」
笑顔。満面の、笑み。不安、ものすごい不吉な予想が頭をよぎる
「あの、王様。これはあくまで例えで……!」
予想は、確実に現実となる、そう判断した男は懸命に手を伸ばした
ただ、ソレよりも王の動きの方が速かった
「わはははは、さらばじゃぁ……!」
窓をピシャンと空けて、外へ駆け出す
王の部屋が二階であったなら、あんなことを口にしなければ、こんなことにはならなかったのに
様々な思念が駆け巡る
「……貴方も、まさか“王”を名乗るわけにはいかないでしょう!」
そう、すこしでも王の気を引いて、追いかけねば
窓の外へ向かって大声で叫ぶ
「ティアナ!母上の名前ならよかろう!」
男の思惑などまったく知り得ないうら若き乙女
後ろを振り返り模せずに、そう言い放って、いつのまにか城壁の向こうへと消えていく
「どうして、法律で王の名前はつけられないというのに、王妃の名前は赦されるんだ……」
元気に走っていった王の後ろ姿を、とても困った風に、それでも少し嬉しそうに男は呟いた
- 12 : Webデザイナー(アラバマ州) :2007/04/06(金)
17:41:15.85 ID:pgCeTRLk0
- 〜城外〜
城の外はなかなかににぎわっている
仮にも城下町、そこに、貧しきは存在せず、近づくことは赦されず
そのかわりそこそこ程度の高い人間ならば、自由に行き来することのできる王国の表
「ふぅ、ここへくるのも久々だな」
活気溢れる表通りの市場
季節の果物が、陸続きであるにも関わらず、新鮮な魚が、そして肉が延々と、道続く限り並ぶ
「うぐぅ……美味しそうなのにぃ……」
王とはいえ、買い物に金が必要なことくらい常識として知っている
今現在の自分の立場上、勝手に持って行くわけにもいかないことも知っている
……そして、一番の問題は朝食をきちんと食べなかったことだということも知っている
王の現在の所有物は、前髪が目に被らぬよう男につけてもらった髪留めと服のみ
そして服も、急いで、その場の勢いで城を出てきたしまったため、寝間着と、そののうえに羽織った上着だけ
昔、誕生日のお祝いと、器用ではなかった母親が丁寧に作ってくれた上着
お世辞にも上品とはいえず、上辺だけで見れば、ここら下々の人間と似たような服だが
遺品であり、大切な思い出であり、なにより王族二関係があるとはバレず、そして丈夫だ
「あいつの言う通り、普段からこれを着てすごさずに正解だったな」
だらしなく涎を垂らした王の、目の前にちらつく、この国の庶民の食べ物の代名詞
パンに焼いた肉と野菜を挟んだだけの簡単な料理であるが故の功績である
「くそぅ……どうして私はお金を持っていないのじゃ……」
空腹時にはいささか刺激が強過ぎるこの匂いを背に、王はまた、とぼとぼと歩き出した
- 13 : Webデザイナー(アラバマ州) :2007/04/06(金)
17:41:55.09 ID:pgCeTRLk0
- まぁこんな感じでいかがでしょ?
少々作風が違う気もしますがご愛嬌 保守
- 14 : クリエイター(愛知県) :2007/04/06(金)
18:14:41.55 ID:BeABbvBz0
- GJ!
- 15 : Webデザイナー(アラバマ州) :2007/04/06(金)
18:32:28.95 ID:pgCeTRLk0
- >>12
この後の展開は黒、思いのほか白。どっちがいいでしょう?
現状は真っ黒ですが 保守
- 16 : 留学生(広島県) :2007/04/06(金)
18:35:30.00 ID:4ldA2fXp0
- 黒のち白希望
- 17 : 配管工(樺太) :2007/04/06(金)
19:15:15.78 ID:8iP6BtnJO
- ほ
- 18 : カエルの歌が♪(群馬県) :2007/04/06(金)
19:22:53.36 ID:JnoWCsz10
- ってゆうか携帯厨ここはいってみろ
超うけるww
http://ime.nu/hey.chu.jp/up/source3/No_0406.xxx
- 19 : 名無しさん@(樺太) :2007/04/06(金)
19:43:12.42 ID:Rs/iZ+GFO
- 俺の話、一旦リセットして
最初から始めるけど
いいかな?
- 20 : 船員(樺太) :2007/04/06(金)
19:48:36.16 ID:OpLPtc8+O
- おk
- 21 : Webデザイナー(アラバマ州) :2007/04/06(金)
19:49:57.55 ID:pgCeTRLk0
- 無問題
- 22 : 配管工(樺太) :2007/04/06(金)
20:14:24.97 ID:8iP6BtnJO
- ほ
- 23 : 神主(神奈川県)
:2007/04/06(金) 20:27:59.35 ID:CzVCPBOr0
- 一人暮らし怖いから書いてみようかと思う。
ある程度書けたら投下する。
- 24 : 名無しさん@(樺太) :2007/04/06(金)
20:45:09.96 ID:Rs/iZ+GFO
- タイトルは
『蒼空に青い手を』
登場人物
桜井 勇(さくらい ゆう)
高校一年生
素直クールでドライな性格
榊原 奈津(さかきばら なつ)
高校一年生
優しいけどちょっとキツイ性格
というか…男から素直クールになった話なんだけどね
- 25 : Webデザイナー(アラバマ州) :2007/04/06(金)
21:16:23.73 ID:pgCeTRLk0
- >>12
続き、書けたので投下〜
- 26 : Webデザイナー(アラバマ州) :2007/04/06(金)
21:19:18.70 ID:pgCeTRLk0
- 「お嬢ちゃん、腹ぁ空いてんのかい?」
みてくれ、危ないオヤジ
筋肉隆々でもっさりした髭、微妙に張った腹、短い足
左手には酒、全体的にごわごわしていそうな体毛、怪しくない場所を探す方が難しい
「お前のような下賎な物に付き合っている暇はない」
王は一蹴する。痛い目に遭うかもしれない、一般人なら考えそうなそんなことはおかまいなしに、横を通っていく
「フン、見た感じそれほど貧乏ってわけでもなさそうだが」
荒くれは一人ではない。幾人もの視線が、道を歩く間に降り注ぐ
「おい!お前らはこんな早くから酒に溺れているのか?少しは働いたらどうだ」
にやにやと笑う男ども
「そいつぁそうだなぁ、嬢ちゃんこっち向けや」
ゴキュッゴキュッと酒を飲み干し、空になった空き瓶を丁度男の方を向いた少女目掛けて投げつける
ビンは頭のほんの少し左を通り、後ろでおおきな音を立ててくだけちる
「ゲハハハハ!寸とも動かんとは度胸あるじゃねぇか!それともチビって動けねぇか?」
とたんわき上がる下品な笑い
口からはつばが飛び、酒の匂いがより強くなる
- 27 : Webデザイナー(アラバマ州) :2007/04/06(金)
21:20:26.68 ID:pgCeTRLk0
- ゴロツキのリーダーなのか、男は新しい酒をもって来させると、コルクを噛み、思い切り引き抜く
「酒、飲んだことあるか?」
「あるわけなかろう」
少し声の震えたその答えに、また周囲で笑いが巻き起こる
男はたってそばにより、頭の上で、酒瓶を逆さにした
髪を、頭を、顔を、そして上着をつたって、体中が酒にまみれる
「どうだいお嬢ちゃん。初めての酒の味は!?」
少女の目に涙が浮かぶ
「お、お、お、!悔しいか?悔しいのか!?」
ギャラリーはよりいっそう、酒でずぶ濡れた少女をはやし立てる
「……この上着は、母上から頂いた大事な上着だ!」
少女はそう叫ぶと、自分に酒をかけた張本人に飛びかかった
- 28 : Webデザイナー(アラバマ州) :2007/04/06(金)
21:23:45.06 ID:pgCeTRLk0
- もちろん力で敵うはずがない。少女の両腕は荒くれの片手で行動を封じられ、小さい体は宙に浮く
「嬢ちゃん、確かに勇敢だなぁ、あ?」
男を睨もうにも、無理矢理に体は別方向を向かされる
首の後ろから回ってきた腕が顎を掴む
「泣くなら、最初っから突っかかってくんなよ?それくらい分からねぇのか?」
耳に息がかかる。悪寒、背筋がゾクゾクする
「お前さん。文無しで腹が減ってんだろ?俺たちがたらふく喰わせてやるよ」
涙で滲む視界、そこに現れる男達
皆が皆、前よりも下品に、にやにやと笑い、次々にズボンを下ろし、下着を脱いでいく
「恨むなら美人に産んでくれた母上様にしてくれよ」
男どもの手が、上着のボタンを引きちぎるように無理矢理……
「おいおい、下はこんだけかぁ?」
「ゲハハ本当は誘ってんじゃねぇか!」
「こんなチッチェのは初めてだな」
「ゲヒヒ、久々の女だぁ!」
目前の野郎どもの目、言葉、動き、全てが狂気
王は心の中で、なぜ城を抜け出してしまったのかを考える。そして後悔する
- 29 : Webデザイナー(アラバマ州) :2007/04/06(金)
21:24:55.23 ID:pgCeTRLk0
- 下に着ていた寝間着もはぎ取られー
「こいつ、こんななりして男モンの下着っすよ」
「こんだけ可愛けりゃ男だってかまわねぇよ」
「おいおい、こんだけの人数、こいつ一人じゃ足んねぇんじゃねぇの?」
ー覚悟する
そう、何が起こってもいい、最悪の覚悟を
「おいおい、お前ら、俺が最初だろ!?おうおう、きちんと女じゃねぇか」
粗末なベッド、そこらの箱に古ぼけたつぎはぎだらけのマットがしかれただけの、簡易ベッド
「初めてか?だとしたらちょっとワイルドだな!」
わき起こる嘲笑と、ソレを制する男の声
そしてベッドに仰向けに押し倒されて、目の前には昨日まで自分が持っていた、気色の悪い物
「幾らでも泣け。俺たち全員を相手にして生きてられるかわからねぇ」
「生きてるうちに後悔のないようにな!」
醜い野郎の顔といっしょに、目には見えないけれど、確かに近づいてくるものがある
“死”
- 30 : クリエイター(アラバマ州) :2007/04/06(金)
21:25:19.07 ID:6rgAEN0w0
- 夢中になってるとこ悪いが「ひょんなこと」の「ひょん」って何なんだ?
- 31 : Webデザイナー(アラバマ州) :2007/04/06(金)
21:28:06.89 ID:pgCeTRLk0
- 「どおおおおおおおりゃあああああああぁぁぁぁぁぁぁ!」
そこらに大きな声が鳴り響く
そんな声に耳も貸さずに、目の前の男は露出した少女の肌を撫で回す
「いい加減にしろぉ!てんめぇぇぇらぁぁぁ!!」
男の巨体が急に飛び込んできた青年の足で吹き飛ばされる
「いいか、大の大人が、昼間っから酒を飲んでだべっているのは認めよう」
壁に豪快な音を立てて突っ込んだ男には目もくれず、そこらで目を丸くしている男達へ語り出す
「力にもの言わせて女の子襲うってのはどうよ?」
それだけ言って、少女の方へつかつかと歩ていく
「おい、大丈夫か?」
「だ、大丈夫に見えるのか?」
実際に、恐怖から解放された安心か、酷く歪んだ顔と、ぼろぼろこぼれる涙
服を破かれた時に着いた赤い痕と上着以外を着ていない事実。どうみても大丈夫ではない
「お前ら、その労力を別なことに使えよ」
酒に濡れた少女の上着のボタンを丁寧に上から止めて、小さい体を抱きかかえる
普段なら無礼者と怒り立てるが、今は安心できるからか、そんなことを言う気にはならなかった
男は続ける
「……腐ったこの国をどうにかするとかさぁ」
少女もとい王の耳に入った言葉を、王自身は疑った
「腐った、国?」
「あれ?君は……そうか裕福なところのお嬢ちゃんか」
抱きかかえる、その強さは変わらないが、顔が一瞬、こわばる、目が、濁る
「ちょうどいい。君の知らない世界を見せてあげようか」
青年は少女の重さを苦にする様子もなく、ひらりと壁を飛び越えていった
「ぐぞう……あんガキャあ覚えてやがれぇぇ!」
負け犬の遠吠えは実によく響く
「その台詞何度目だぁ?クソジジイぃ!」
青年の声も、よく響く
- 32 : とき(神奈川県) :2007/04/06(金)
21:29:14.85 ID:B97rfszH0
- wktk
>>30
前スレから拝借
つ http://ime.nu/oshiete1.goo.ne.jp/kotaeru.php3?q=13545
- 33 : Webデザイナー(アラバマ州) :2007/04/06(金)
21:29:49.73 ID:pgCeTRLk0
- 以上です、そこまで黒くはないですか?
適当に続いていく予定です
>>30
夢と希望。正確には違うかもしれないけど 保守
- 34 : とき(神奈川県) :2007/04/06(金)
21:34:40.36 ID:B97rfszH0
- なんというボケ潰し/(^o^)\
>>33
GJです。個人的に黒いのは救いのない展開くらい
- 35 : 留学生(広島県) :2007/04/06(金)
22:00:44.88 ID:4ldA2fXp0
- GJ!
- 36 : 天の声(長屋) :2007/04/06(金)
22:06:45.46 ID:3r8rlLN80
- >>33
GJ!
だけど……どこが黒いのか分からなかった俺はもう駄目かも分からんね
>>34
某スクールデイズのBadとか?
- 37 : 名無しさん@(樺太) :2007/04/06(金)
22:12:31.42 ID:Rs/iZ+GFO
- 【蒼空に青い手を】
無表情な男は走っていた
それは体育の授業でアップとしてトラック三周
ただ三周だけなのに男は半分ぐらいで急に身体が苦しくなり倒れこんでしまった
その男の名は
桜井 勇
そう、勇は倒れて保健室に運ばれた
その時、勇とは幼馴染みの女の子が付き添ってくれた
優しい女の子の名は
榊原 奈津
奈津は心配そうに静かに眠る勇を見つめていた
- 38 : 名無しさん@(樺太) :2007/04/06(金)
22:16:47.99 ID:Rs/iZ+GFO
- ちょっとここまで止めときます
全然…文が思い浮かばない
- 39 : 女性音楽教諭(埼玉県) :2007/04/06(金)
22:25:47.27 ID:IDuS+SBe0
- 前々スレ212の続き投下します。
- 40 : 女性音楽教諭(埼玉県) :2007/04/06(金)
22:26:54.08 ID:IDuS+SBe0
「なあ、姉貴……」
無駄だと判りつつ、俺は万に一つを信じて口を開いた。
「駄目」
即答された。駄目か……。……いやまだだ。ここで諦めるな俺!
「…………そう言わずにさあ。俺の気持ちにもなってくれよぉ」
「なんか裕也女の子になってからずいぶんと弱弱しくなったよね〜。う〜ん、正直今の声と上目遣いにはグッときたかも」
「うげ、ソレは嫌だな……って、ええいやめぃ! こんな往来で抱きつくなあ!!」
可愛いな〜ホント可愛いな〜〜とか言いつつ俺を抱きしめてくる姉貴から何とか逃れようとするが、この体の華奢な腕力では力ずくでは決して姉貴にはかなわない。
その上俺はつい先日まで男だったのだ。
本当に小さい頃を除いて姉貴からこんな過激なスキンシップを受けたことも無かったし、押しのけようとして手に感じる柔らかい感触にたじたじになってる俺では、どの道抜け出すこと何か出来ない。
- 41 : 女性音楽教諭(埼玉県) :2007/04/06(金)
22:27:59.58 ID:IDuS+SBe0
周りの通行人たちの、微笑ましいものを見る視線がとてもイタイ。
「…………ひゃあぁあ!! ちょ! 姉貴ドサクサにまぎれて何を!?」
胸! 今姉貴俺の胸触ってる掴んでるぐにぃって!!
姉貴の手にもまれて面白いように歪む己の乳が眼に入った。
「う〜んでっかいな〜いいないいな〜。すっごい柔らかいよね〜これ」
通行人の、ざわめくような声が羞恥を感じさせる。
というか何人か足を止めてこっち見てないか。ええい見るな!! 見世モンじゃねえんだよ!!
「……って姉貴はいつまでもんでやがるんだっ!!」
繰り出した裏拳は見事に姉貴の鼻っ面に決まり、ひるんだその隙に俺は何とか脱出することに成功した。
「いったたあ。何するのよ〜」
「ソレはこっちのセ・リ・フ・だ!!」
「あ、あはは〜。ごめんごめん。ちょっと調子に乗りすぎたかな」
俺はそのままギロリとこちらを見てた通行人たちにガンを飛ばした。
慌てた様に、往来に流れが戻っていく。
ったく恥ずかしいったらない。頬が熱かった。絶対いま俺の顔は真っ赤になってる。
「それにしても口調以外はどう見ても女の子みたいね〜。その仕草とか」
「へ?」
指摘されて、俺は正面のショーウインドが反射する自分の姿を眺めた。
顔を赤らめた少女が、前かがみに胸を庇うように抱いて上目遣いにこちらを見ている。
結構ショックを受けた。
「何というか、そそるよね〜」
「……おっさんかよ……」
とりあえず、背筋を伸ばしてから突っ込んだ。
胸が強調されてしまい、欝になった。……いや、どないせーちゅうねん。
- 42 : 女性音楽教諭(埼玉県) :2007/04/06(金)
22:29:06.52 ID:IDuS+SBe0
逆効果というかなんと言うか……、無駄になった姉貴への説得を続けることは諦め、俺は意を決して店内に入った。
「なによ〜裕也のためなんだよ? 私だってホントは気が進まないってのに〜」
じとっとした俺の視線に気付いたのか、姉貴も負けじとやる気ない目つきを返してくる。
その言葉には嘘はないだろう。実際、瑞穂先生(そう呼ぶように本人に言われた)の説得にも、かなり腰が重たげだった。
……しかしなあ。
「何で元弟の胸のでっかさを再確認させられなきゃいけないのよ〜」
「さっき人の胸散々もんだ奴の言葉じゃねえぞそれ」
呆れたように突っ込みつつ、俺は正面に広がる光景を目に入れまいと虚空へ視線を泳がせる。
「あれ、やっぱり恥ずかしい?」
「……当たり前だろ」
察しの良い諸兄ならばすでに気付いているだろうか。
俺は今日、瑞穂先生に言われてこうして姉貴とともに自分用の女物の服を買いに来ていた。
そして、最後の締めくくりに訪れたここ。
そう、俺と姉貴は今、下着ショップに来ていたのだ。
- 43 : 女性音楽教諭(埼玉県) :2007/04/06(金)
22:29:37.17 ID:IDuS+SBe0
「いらっしゃいませ、何をお探しでしょうか?」
店内に入ったはいいが、俺は何かちょっと顔を赤らめつつ上のほうを眺めていて、姉貴もやる気なく俺の横に突っ立ているだけだ。
そんな二人組みの様子を不振に思ったのだろうか、店員が営業スマイルを顔に貼り付けつつ俺に話しかけてきた。
……ってなんで俺なんだ!? どうせなら姉貴に話しかけろよ――!
「え、えっとぉ、その」
ちらりと姉貴に助けを求める視線を送る。
姉貴はめんどくさそうにしつつも口を開き、
「この子の下着を買いに来ました。店員さんの裁量で適当に選んであげてくれません? あ、予算はこのくらいで、ショーツとブラを十着ずつくらいお願いします」
そういってひょい、と俺を店員のほうに差し出した。
「――姉貴!?」
俺を差し出すって、そんなに自分の胸がコンプレックスだったのか!? とはさすがに言わない。
それより、
「っと待て! そんな大金……!」
「あ〜いいからいいから。瑞穂先輩のプレゼントだから気にしない」
そんなこと言われても、これまで買った服代も瑞穂先生のお金だ。
いくらTS症の患者として研究材料となることへの報酬だとしても、貰いすぎではないだろうか?
研究材料とはモルモットみたいでいやな言い方だが、実際には週に一度の検査と普段の生活を報告するだけなのだし。
「――ではご案内しますね!」
だが、大口の客を逃すまいとしたのか、店員に引きずられていった俺はそれ以上の追求が出来なかった。
当たり前だけど、瑞穂先生には今日帰ったら絶対にお礼を言わなきゃな。
……お金を出して買ってもらったものが、女性用の服下着という俺にとって嬉しくないものだとしても。
- 44 : 女性音楽教諭(埼玉県) :2007/04/06(金)
22:30:16.34 ID:IDuS+SBe0
「お疲れ〜、てか本気で疲れてるねそんなに大変だった?」
「……ああ、男には結構な地獄だったよ……」
ぐったりとしつつ、紙袋を姉貴に渡す。それを姉貴は車のトランクに放り込み、バタンと閉めた。
「いつかは一人で買いに行かなきゃならなくなるのに、そんなんで大丈夫かな〜?」
「いきなり最初から順応できるわけないだろ」
いや、正直いつまで経ったって慣れたくもないが。
もしいつか平然と一人で下着を帰るようになるのなら、その俺はきっと、何か大切なものを失ってしまったのだろう。
「馬鹿なこと考えてないで戻ろ? ほら乗った乗った」
姉貴が今日の買出しのために、瑞穂先生から借りた車に乗り込む。
俺も助手席に乗り込み、シートベルトを締めた。
「胸強調されてるね〜」
「姉貴今日ソレばっかりだな」
この話題に触れたいのか、触れたくないのか、一体どっちなんだか。
- 45 : 女性音楽教諭(埼玉県) :2007/04/06(金)
22:30:59.07 ID:IDuS+SBe0
姉貴がさっき、帰ろ、ではなく戻ろ、といったのは、俺が今病院に入院しているためだ。
いつか男に戻るための細い希望と、あと色々な実務的な理由から、俺は瑞穂先生の研究に協力することに決めた。
そして、現在は女性化に伴う体への影響などを、入院期間中の変化ふくめ、かなり詳しく調べてもらっているのだ。
実務的な意味とは、俺のこれからの生活についてだ。
戸籍は俺の戸籍の性別だけを変更するらしい。つまり俺は、伊達裕也(女)になるわけだ。
名前の変更も提案されていて、恐らく、優宇、になると思う。結構迷ったが、俺の名前と音が似ていて、別に男の名前としても違和感のない中性的な響きに妥協した。
まさかいつまでも裕也を名乗り続けるわけにも行かないのだし。
更に、学校のこともある。が、これは意外にすんなりと決まった。
姉貴の学校への結構な影響力も関係しているのだろうけど。いや、影響力ったって棚簿たで手に入れたものだけど。
閑話休題。
俺は、伊達優宇という伊達裕也とは別の人間として編入することになるらしい。
- 46 : 女性音楽教諭(埼玉県) :2007/04/06(金)
22:31:34.14 ID:IDuS+SBe0
「裕也、寝ちゃった?」
「まさか」
思考を止め、返事を返す。そうしてから、自分が寝かけていたことに気付いた。
こう、色々と考え事をしていていつの間にか寝ちゃう寸前みたいな。
思ったより、疲れているらしい。この体になって、予想以上に体力が落ちていることが影響しているのだろう。
いつもどおりに動いていると、直ぐに息が切れるし翌日筋肉痛に苦しむ体なのだこいつは。
「なんか用か?」
外はとっくに日が沈んで、車のライトがこの時間それほど交通量の多くない県道に立ち込める闇を切り裂いていく。
「うん。明日ね、美弥呼ちゃんに電話するから」
「……そうか」
俺が編入する予定のクラスは、もともと俺が所属していたクラスではない。
因みに俺、つまり伊達裕也は既に高校を転校したことになっている。
そこに同じ苗字で名前も似ている女の子が編入してはいくらなんでも不自然だろう。
まさか同一人物とは思われなくても、痛くない腹を探られるのも面白くない。
だが、全く知らぬクラスにいきなり放り込まれるというのもかなり不安だ。
当たり前だが俺は元男。女子高生の生態なんざまるで知らないし、女としても右も左もわからぬ新参だ。
浮くことはほぼ間違いないだろうし、下手したらオカマに思われるかもしれない。
そこで、俺の幼馴染である椿木美弥呼に俺のことを打ち明け、頼ることにしたのだ。
いや、俺は例え幼馴染だろうがこんなザマ見せるのには抵抗があったのだが、やはりクラスメイトに協力者が一人でもいないと辛いと二人に説得された。
- 47 : 女性音楽教諭(埼玉県) :2007/04/06(金)
22:32:12.74 ID:IDuS+SBe0
そして、それを、いよいよ明日打ち明けるということなのか。
「放課後に病院に呼ぶからね。基本的に説明するのは私と瑞穂先輩だけど、裕也にも立ち会ってもらうつもり」
「……ん」
俺が気のない返事をしたのが気になったのか、姉貴はわざとらしく快活な声を上げる。
「なになに〜!? やっぱりその姿見られるの恥ずかしい? 今の裕也って美弥呼ちゃんより背低いもんね。あの子格好いいし並んだらカップルに見えちゃうかもね〜。もちろん裕也が女の子のほうでさ!」
「あいつが男っぽいだけだろ。別に俺は必要以上には女の子っぽくない……と思う」
「胸以外わね〜」
「――もうそれいい加減にしろ。飽きた」
等間隔に並んだ街灯が、チラチラと暗闇の車内を照らしては後ろに飛んでいく。
「……やっぱり怖い? 美弥呼ちゃんに会うの」
当たり前のように見抜かれていた不安を、俺は隠すのを諦めて本心を吐露した。
「信じてるよ。姉貴と、親父と、瑞穂先生と、美弥呼を」
震えた声に、姉貴は笑って、任せときなさいと胸を叩いた。
- 48 : 女性音楽教諭(埼玉県) :2007/04/06(金)
22:33:29.93 ID:IDuS+SBe0
- 以上。見づらいという意見がありましたが、とりあえず現状維持。
見づらかったら教えて下さい。
それと題名募集中。
- 49 : 名無しさん@(樺太) :2007/04/06(金)
22:56:04.01 ID:Rs/iZ+GFO
- >>48
シンプルに
『俺と姉』ってな感じは?
- 50 : 女性音楽教諭(埼玉県) :2007/04/06(金)
23:08:47.93 ID:IDuS+SBe0
- >>49
アイデアありがとうございます。
う〜む。しかし次回か、その次位から学校に舞台が移りますし、
そうなると姉が主役級、というわけにはならなくなるのですよ。
出番がなくなる訳ではないのですが……。
- 51 : 名無しさん@(樺太) :2007/04/06(金)
23:27:39.53 ID:Rs/iZ+GFO
- >>50
『蒼空と恋』
どうかな?
- 52 : 天の声(長屋) :2007/04/06(金)
23:41:11.80 ID:3r8rlLN80
- >>50
シックザール
Schicksal
独語 運命、宿命
まあ、辞書を引いた最初のページにあっただけだけどね(´・ω・`)
- 53 : クリエイター(樺太) :2007/04/07(土)
00:24:10.46 ID:3HigJ9CbO
- あげ
- 54 : チャイドル(長屋)
:2007/04/07(土) 01:19:21.37 ID:fs7lKCL30
- さて、みんな寝てそうだから保守代わりに投下しますね
「Another」体育祭編 後編
※なお、今回はほんのわずかですが性的表現を含みます。苦手な人はご注意下さい
あくまでもわずかだから期待もしないで下さいw
- 55 : チャイドル(長屋)
:2007/04/07(土) 01:29:11.50 ID:fs7lKCL30
- 「みんな精一杯頑張ってたよ。それで準優勝だった。それでいいじゃないか」
「でも、この女は……」
「そんなことないよ。美幸ちゃんも頑張ったよ。ね?」
「う……うぁ…うぁああああ」
友之の言葉に、優しい笑顔にまた涙が溢れてくる。
そうだ、誰もわかってくれないなんてことはなかったんだ
俺を一番よく知っているやつが、この世界に来ていたんだ
「男にはわかんないよこういうのは!だまされてんだから!!」
「そんな……そんなわけないよ!大体この子の何を知ってるって言うんだよ!!」
「……ッ!?」
俺も初めて聞く友之の大声に、一瞬女子が怯む。
そう、こいつは少なくとも「この世界」では一番俺のことを知っている
だけどこの言葉の本当の意味が分かるのは俺だけで……
「……ふーん、そういう仲なんだ西村君。すっかりたらしこまれてたわけね」
「本当に男って馬鹿だよね。すぐだまされちゃうもんね」
「ち、違う!そういうんじゃ……」
- 56 : チャイドル(長屋)
:2007/04/07(土) 01:33:39.14 ID:fs7lKCL30
- 「はいはいそこまでよ」
「え?夏紀ちゃん!?」
「あれ?夏紀?」
いつの間にか、夏紀ちゃんも来ていた。
「誰のせいで負けたというなら、100m走でスタート失敗して二位だった私にも責任があるわよね?一位と二位じゃ点が違うから」
「いや……私たちはそんなつもりじゃ……」
「そして、何らかの種目でもしビリにでもなってたら、その人にも責任がある。違うかしら良子?」
「う……」
図星を指されたのか、二人とも黙り込む
「大体私たちがあそこまで粘れたのも、男子を張り切らせることのできた美幸ちゃんのおかげよ。違う?違わないわよね男子をたらしこめるんだから」
「く……」
自分たちの言葉を使って反論され、何も言い返せない二人。
- 57 : チャイドル(長屋) :2007/04/07(土)
01:43:50.15 ID:fs7lKCL30
- 「誰のせいで負けたとか、そんなガキみたいなこといつまで言ってんのよ!みんなが全力を尽くして準優勝だったんだよ!誇りに思いなさいよ!!この話はこれで終わり!!いいわね!?」
「わ、分かったわよ……」
夏紀ちゃんの迫力に、すっかり萎縮する二人
「あと、美幸ちゃんにきちんと謝りなさい。」
「ご……ごめんなさい」
「っく……ひぐ……」
声を出すことができず、ただうなずくだけの俺
「よし、これで一件落着。友則、美幸ちゃん送ってあげて」
「え?」
「『え?』じゃない。泣いてる女の子がいたら黙って送ってあげる。これ常識よ」
「あ、うん、分かった……でも夏紀は?」
「私よるとこ思い出したから一人で行ってくる。じゃーねー」
「あ……れ?向こうから誘ってきたのに……」
- 58 : チャイドル(長屋) :2007/04/07(土)
01:50:39.14 ID:fs7lKCL30
- 帰り道
「今日は……ありがとな……」
ようやく落ち着いた俺は、さっきの礼を言う
「ううん、僕は何にもできなかったよ。もし夏紀ちゃんが来てくれなかったら……」
「余計にこじれていたかもな……」
それはそうかもしれない。でも、
「でもな、この世界で俺のことを分かってくれる人がいたんだと思うだけで、俺は安心できたんだぜ」
「え……」
「あの時、すべてをぶちまけたかったけどそんなことをしても信じられるわけないし……今までの不安とかもでてきてさぁ……」
「うん」
「誰も分かってくれないと思ったら余計に辛くなってさぁ……っ」
「うん……うん……」
やべぇ……また涙が……
「だから……ありがとう……ありがと……っく…う…うわぁああああああ!!」
とうとう耐えられなくなって、学校よりもさらに大きな声で、俺は泣いた
友之はそんな俺を
「大丈夫……僕がいるから…大丈夫だよ」
「えぐ……うん……うんっ!」
優しく抱きしめてくれて……それが凄く心地よくて
でも何だかどきどきして……
- 59 : チャイドル(長屋) :2007/04/07(土)
01:57:19.60 ID:fs7lKCL30
- 「う……あ……」
「あ、夕焼けだ」
夕焼けの光を浴びた友之の顔がとても美しいものに思えて
「友之、もう大丈夫だ。離してくれ」
「あ、うん」
これ以上このままでいたら変な感情が生まれそうな気がして
「必死に」友之から離れる
「じゃ、帰ろうぜ。久しぶりに泣いたら腹減ったよ」
「そうだね」
いや、もしかしたらもう……
「はぁ……っ…ともゆき……ともゆきぃ……」
その夜、俺はこの体になって初めて自慰をした
「だめだ……ダメだって……あぁ……」
許されないことだと知りながら……叶わないことだと知りながら……
- 60 : チャイドル(長屋) :2007/04/07(土)
02:00:11.79 ID:fs7lKCL30
- 今日はここまでです
性的描写?そうだよこれだけだよ!
期待しちゃった人サーセンwww
というわけでやっと最終章、「文化祭編」に入れそうです
- 61 : 渡来人(愛知県) :2007/04/07(土)
02:03:04.72 ID:B2pHgNtJ0
- >>60
乙です!
これからの二人の関係・展開に期待してます
- 62 : 訪問販売(静岡県) :2007/04/07(土)
02:16:07.10 ID:dmUZGLz80
- 弟とマリオやってたら投下するの忘れてました・・・
マリオの100%クリアまでの時間の長さは異常
- 63 : ホームヘルパー(広島県) :2007/04/07(土)
02:18:53.81 ID:GZDijZaJ0
- GJ
- 64 : 訪問販売(静岡県) :2007/04/07(土)
02:22:29.78 ID:dmUZGLz80
- >>60
遅れながらも乙です
それじゃ保守ついでに投下してみます
- 65 : 訪問販売(静岡県) :2007/04/07(土)
02:24:24.05 ID:dmUZGLz80
- 「―――の人は今日いつもと違うことに出会うでしょう」
いつものようにテレビの音に耳を傾けながら朝食を取る。
サラダを口に含み・・・パンにフォークを刺す。
―――パシィン!!
「寝ながらご飯を食べるな!」
そう言いながら俺の顔を左右同時に叩くのは七海――姉だ。
しっかり者で男の俺からしても頼れる存在なのだが・・・。
「人前でそんなことして恥ずかしい目に会っても知らないぞ!」
・・・見ての通り少々おせっかいである。
そんなことお構いなしに朝食を進めるのが俺、高橋忍だ。
読み方はしのぶ、男でも女でも使えそうというのが親の本音らしい。
ふとテレビに目を向ける。画面左上に移る数字は6:50。
時刻を知るなり行動を起こす。学校で寝るために!
そうと決まったらパンなんて目じゃない。牛乳と共に流し込むだけだ。
人が変わったかのように準備を全て済ませ、暴走したかのように家を飛び出す。
「行ってきます」なんて言葉は無用。今するべきことは学校で寝ることだ。
学校までは約5分、歩いて5分。走れば2分と言ったところだろう。
脳からは睡眠セヨ睡眠セヨと暗示をかける。
そんな俺が自分の机の上で寝るまでの時間は10分にも満たなかった。
- 66 : 訪問販売(静岡県) :2007/04/07(土)
02:26:06.07 ID:dmUZGLz80
- ――海が見える場所での昼寝は気持ちがいい。
潮風に煽られ、波の音が心地よい。とても気分がいい。
空には太陽と少々の雲。流れ行く雲というのは見てるだけで時間がたつのを忘れる。
そう、雲が、雲の流れが、・・・あの雲が?
……いてぇ!!
突然激痛に襲われる。
起き上がろうとすると後頭部に痛みが走り、椅子ごと後ろに倒されたことに気づく。
「ほら、こうすればあっという間に起きるわけさ」
「なるほど。これなら間に合うね」
俺への対処法を説明するのが鈴木高次――コウだ。
その隣で相槌を打つのが木下智之、トモだ。
周りには誰もいない。したがってこの二人が犯人と決め
「お前等覚悟はいいか・・・俺の貴重な睡眠を邪魔しやがって!!」
そう目前の敵に向かって威嚇したのだが。
「起きないお前が悪い。起こす身にもなれって奴だ」
「早くしないと置いてくぞ!」
と、呆れたかのように返答され、笑い混じりの声で急かされる。
「まだ誰も来てないんだからもうちょっと寝かせてくれよ・・・」
「なーに言ってんだお前は。もう4時間目、次は体育だぞ!」
そう言われ時計を見ると・・・11:38。
「もっと早く起こせええええええ!!!」
- 67 : 訪問販売(静岡県) :2007/04/07(土)
02:29:47.27 ID:dmUZGLz80
- 現実を知り、慌てて着替える。
今の時刻は11:39、まだ間に合う・・・!
目的地は体育館。そこへ向けて走り出し、
「二人とも早くしないと送れちまうぞ!」
「お前は何様のつもりだ!」
そうは言うものの声は笑っている。
コウとトモとは小学校からの付き合い。
よく喧嘩したり馬鹿なことをする、そこらへんのガキと同じだった。
中学に上がってからもそれは変わらず、学校では常に明るい存在として扱われていた。
・・・よく目をつけられなかったものだ。
今では高校2年。3人共同じ学校だ。
そして全くと言っていいほど大人しくなっていない。
過去を振り返りながらも走るのは止めない。遅刻はしたくない。
全速力フルスロットルブースターオン床とキス。
・・・体育館中に笑い声が響き渡る。
後ろから見ていた2人は腹を抱えている。
誰の目から見ても今の姿は「まぬけ」そのものだ。
この年になって人前で転ぶと、いくら馬鹿なことやってる人でも流石に恥ずかしい。
急いで身体を起こし、笑って誤魔化そうとしたのだが体が妙に重い。
・・・結局身体を起こすことなく俺の中に幕が下りた。
- 68 : 訪問販売(静岡県) :2007/04/07(土)
02:31:49.10 ID:dmUZGLz80
- と、今回はここまでです
・・・見直してみると文が少したりなかったかも
- 69 : 忍者(京都府) :2007/04/07(土)
03:15:05.97 ID:Zi2bx1050
- 干す
- 70 : 渡来人(愛知県) :2007/04/07(土)
03:58:28.31 ID:B2pHgNtJ0
- あげ
- 71 : 渡来人(愛知県) :2007/04/07(土)
04:39:59.19 ID:B2pHgNtJ0
- 最後の保守
- 72 : 講師(神奈川県) :2007/04/07(土)
05:52:39.54 ID:NXUColIS0
- ほ
- 73 : べっぴん(コネチカット州) :2007/04/07(土)
07:01:15.85 ID:TVFtRcQAO
- 守
- 74 : すっとこどっこい(長屋) :2007/04/07(土)
09:51:57.35 ID:og0porD70
- ほ
- 75 : 代走(コネチカット州) :2007/04/07(土)
10:27:24.11 ID:vKy22Y00O
- あげ
- 76 : 渡来人(愛知県) :2007/04/07(土)
10:49:48.46 ID:B2pHgNtJ0
- age
- 77 : 留学生(樺太) :2007/04/07(土)
11:38:44.02 ID:tBv7h+8NO
- 「こっちが僕の部屋だから」
柳内さんに連れられて彼の部屋に入る。
…広い。ザッと見て畳が30枚分はありそうだ。
テーブルの上にノートパソコン、他にはベッドとタンス、クローゼットしかなく些か殺風景な感じがする。
「そこの椅子に座っていいですよ」
勧められるままに座る。
「柳内さん、早速だけど私が女の子になったのは何故なの?」
「まぁ、ぶっちゃけて言うと…………」
「言うと?」
「貴方は私の魔法にかかりました」
「成程。魔法なら仕方ないですね」
「普通の子ならもっと驚くのですけど………」
あまり驚かない私に柳内さんが驚く。
「普通の子ではないって事ですよ、柳内さん?」
そう言って私は彼に向かって右手を尽き出すと
「もっと簡単に説明しなさいよ!!!!」
叫びながら魔力を載せて解放。油断していたのか部屋の隅まで吹っ飛び、壁に打ち付けられる。
「イタタタタ…」
腰を擦りながら立ち上がるが、大して痛そうには見えない。壁にぶつかる間際に衝撃を殺したのだろう。
「…須川さんも魔法使えるんですか。だったら余計な説明は必要ないですね」
「そ〜ゆうこと」
私は一泡吹かせてやった喜びから笑顔になる。「あ、可愛い。今の笑顔は卑怯で
- 78 : 留学生(樺太) :2007/04/07(土)
11:41:18.66 ID:tBv7h+8NO
- コピペミスったOTL
- 79 : 留学生(樺太) :2007/04/07(土)
11:43:20.02 ID:tBv7h+8NO
- 「こっちが僕の部屋だから」
柳内さんに連れられて彼の部屋に入る。
…広い。ザッと見て畳が30枚分はありそうだ。テーブルの上にノートパソコン、他にはベッドとタンス、クローゼットしかなく些か殺風景な感じがする。
「そこの椅子に座っていいですよ」
勧められるままに座る。
「柳内さん、早速だけど私が女の子になったのは何故なの?」
「まぁ、ぶっちゃけて言うと…………」
「言うと?」
「貴方は私の魔法にかかりました」
「成程。魔法なら仕方ないですね」
「普通の子ならもっと驚くのですけど………」
あまり驚かない私に柳内さんが驚く。
「普通の子ではないって事ですよ、柳内さん?」
そう言って私は彼に向かって右手を尽き出すと
「もっと簡単に説明しなさいよ!!!!」
叫びながら魔力を載せて解放。油断していたのか部屋の隅まで吹っ飛び、壁に打ち付けられる。
「イタタタタ…」
腰を擦りながら立ち上がるが、大して痛そうには見えない。壁にぶつかる間際に衝撃を殺したのだろう。
「…須川さんも魔法使えるんですか。だったら余計な説明は必要ないですね」
「そ〜ゆうこと」
私は一泡吹かせてやった喜びから笑顔になる。
「あ、可愛い。今の笑顔は卑怯です」
赤くなってうつ向く柳内透。
「好きです!一発やらせてください」
そう言って私に襲いかかる。ヒョロヒョロの見た目からは想像出来ない腕力があることに驚いた。
「ちょ、待て!私まだ中二だぞ!止めろロリコン!」
「柳内透28歳。断じてロリコン等ではない!」
…ってパンツ脱いでる!誰か助けて!
- 80 : 留学生(樺太) :2007/04/07(土)
11:43:53.19 ID:tBv7h+8NO
- 投下終わり
マッタリ書いてるんでかなり遅いです
- 81 : 留学生(樺太) :2007/04/07(土)
12:48:28.67 ID:tBv7h+8NO
- 過疎っちまったOTL
- 82 : 渡来人(愛知県) :2007/04/07(土)
13:28:53.54 ID:B2pHgNtJ0
- GJ!
- 83 : 不動産鑑定士(埼玉県) :2007/04/07(土)
14:36:44.68 ID:HkcGgyxs0
- GJです。
保守。
- 84 : 巡査(アラバマ州) :2007/04/07(土)
15:33:53.59 ID:M1b7fXv20
- 28が中学2年に恋しても普通だよねwって友達と喋ってたらちょっと引かれた
俺、間違ってない……よね?
- 85 : 巡査(アラバマ州) :2007/04/07(土)
16:34:33.94 ID:M1b7fXv20
- 保守
- 86 : VIPからきますた(dion軍)
:2007/04/07(土) 16:55:53.84 ID:1epqcxbi0
- テステス&保守
- 87 : バンドマン(滋賀県) :2007/04/07(土)
17:59:17.57 ID:pk96/gaG0
- ほ
- 88 : 渡来人(愛知県) :2007/04/07(土)
18:25:29.89 ID:B2pHgNtJ0
- し
- 89 : 渡来人(愛知県) :2007/04/07(土)
18:51:42.72 ID:B2pHgNtJ0
- の
- 90 : 理学療法士(神奈川県) :2007/04/07(土)
18:52:22.35 ID:lE8Z6rkl0
- か
- 91 : オカマ(中国地方) :2007/04/07(土)
19:21:41.29 ID:aJCflPQP0
- |
- 92 : 留学生(樺太) :2007/04/07(土)
20:07:50.88 ID:tBv7h+8NO
- び
- 93 : バンドマン(滋賀県) :2007/04/07(土)
20:23:41.91 ID:pk96/gaG0
- ぃ
- 94 : VIPからきますた(dion軍)
:2007/04/07(土) 20:47:20.70 ID:1epqcxbi0
- 星のカービィとは懐かしいですな
じゃあそろそろ投下します。まずは連投規制対策っと
- 95 : VIPからきますた(dion軍)
:2007/04/07(土) 20:57:25.87 ID:1epqcxbi0
- 第二話
勇人「とりあえず起きるからさ、どいてくれ」
考察うんぬんの前にまずは起きなければ話にならん。一度起きた以上、二度寝は勘弁。トモも来るし
鈴「あ、そっか」
鈴が僕の上からどいた。けど、少し脇にずれただけで布団の上にいることには変わらない
しかし、割と軽かったな。まぁ優曰く、人間にして大体中学生くらいだからか
勇人「ふぁ〜〜」
布団から出て背伸びしながら大欠伸
勇人「んじゃー、とりあえ・・・」
頭をボリボリ掻きながら鈴のほうを見る
勇人「ず・・・」
なんとなく僕の時間が止まる。鈴を見たまま
鈴「ん?どうしたのぉ?」
さぁ、ここでシンキングタイム2回目突入だ
- 96 : VIPからきますた(dion軍)
:2007/04/07(土) 20:57:56.12 ID:1epqcxbi0
- 猫ってさ、結構可愛いよな?犬も可愛いけど、まぁ同じくらい?
猫耳は人間がつけてもいいけど、やっぱり元祖である猫が一番いいよな?見てて和むし
いやいや、問題はそこじゃないんだ
猫はさ、とりあえず野生の生き物なんだよな
哺乳類で、4足歩行で、一応役割としては身体の保護である体毛
で、ここで人間についての考察
哺乳類なのは同じ、4足歩行じゃなくて2足歩行だな。んで、体毛はあるが、はっきり言って無いに等しい。見た感じでは
さらに、他の動物には無い、知能をいうものもある
人間は様々なものを生み出してきたわけだ。代表としてエジソンあたりが妥当だろう。あの人は偉大だ
いやいや、また話が逸れた
まぁ・・・
人間ってさぁ・・・「服」着るじゃん?猫って着ないじゃん?
目の前の鈴って言葉は話せても頭の中は猫じゃん?でも顔を初め、全身は一応人間なんだよ
要するに、だ
見た目女性の鈴も頭は猫なんだから、普通に服なんか着ているわけなくて
- 97 : VIPからきますた(dion軍)
:2007/04/07(土) 20:58:57.43 ID:1epqcxbi0
- 勇人「う・・・」
鈴「う?」
はっきり言って、そういうのは冗談で優に言われたことはあっても、実際、免疫力皆無なわけで
勇人「うわああああああああ!!!!」
結論、叫びました。凄い大きな声で。顔真っ赤です、性的な意味で
鈴「おぉぉ!やっと本領発揮だぁ!じゃあ遊ぼうぅ!」
と言って鈴が物凄い速度で迫ってくる。色んな意味で凄い怖かった僕は
勇人「来るなあああああああ!!!!」
更に凄い速度で逃げる。が、途中で豪快に転倒
勇人「がッ!」
誰かがぬるぽしたわけでもないのに、いやそうじゃなくて。うつ伏せに倒れたので顔面強打。痛いけど逃げないと・・・
だが、起き上がろうとした瞬間
鈴「ヒップドロップぅ!」
背中に凄い圧力がかかる。考えなくても分かる。鈴にのしかかりをされた
- 98 : VIPからきますた(dion軍)
:2007/04/07(土) 20:59:25.41 ID:1epqcxbi0
- 勇人「やめろおおお!ちょっと待ってくれ!!!」
鈴「やだよぉ、待たないよーん。どれだけ暇だったと思ってるのぉ?」
いくらそんなに重くないと言っても、力の弱い僕を動けなくするには充分すぎる質量だった
勇人「待て!!待て!!落ち着けえええ!!!!」
さっさと逃げなかったのが問題なのだろうか。途中で転倒したからなのだろうか
更に悪いことに
トモ「お、勇人。鍵開けっ放しじゃーん。入るぜー。お邪魔しまー・・・」
こんな声が聞こえる
トモ「す・・・」
部屋の中に沈黙という言葉が流れる。叫んでた僕も騒いでた鈴も何か言っていたトモも沈黙。皆揃って、状態異常:沈黙
トモの視界から、客観的に判断してみよう
まずはうつ伏せの僕。その上に見知らぬ女性がのしかかり。しかも裸
まぁ・・・明らかに問題あるよな。というか、これで問題無いって言う人がいるとは思えん
ってなわけで
- 99 : VIPからきますた(dion軍)
:2007/04/07(土) 21:00:03.12 ID:1epqcxbi0
- トモ「お・・・お邪魔しました・・・」
こう言って玄関を閉めるのも無理ないよな。でも主観的に見たら全然違うわけで
勇人「おい、トモ!!!待ってくれ!!!お願いだから、誰でもいいから!!優もはやく起きてくれ!!!」
もう考えられないくらい大きな声で叫ぶ
勇人「お願いだから・・・お願いだから・・・誰か助けてくれえええええ!!!!!」
あぁ・・・なんか人生終わった感じがする
- 100 : VIPからきますた(dion軍)
:2007/04/07(土) 21:01:15.81 ID:1epqcxbi0
- 第二話終了です
続きを書きながら他の方の作品を待つことにします
- 101 : 留学生(樺太) :2007/04/07(土)
21:31:25.33 ID:tBv7h+8NO
- 投下しようかな
- 102 : 留学生(樺太) :2007/04/07(土)
21:36:54.84 ID:tBv7h+8NO
- ―30分後。
私の抵抗も願いも虚しく、柳内透に女の子が最も望まない形で処女を奪われてしまった。
「………………変態」
それだけ言うので精一杯。
「……………………」
気まずい雰囲気が流れる。
柳内さんも我に返ったのか、落ち込んだ顔をしていた。
…私よりも。
「透様〜、お茶をお持ちしました………って何をなさってたんですか。お二人とも裸で?」
「…ヒック…あっ…………あまがわざ〜ん」
やって来た天川さんに泣きながら抱きつく。
「ど、どうしたんですか須川さん?…まさか………透様!」
天川さんはようやく状況が呑み込めた様だった。
「………やっちゃいました」
「事情は分かりました。とりあえず須川さんは着替えましょう。立てますか?」
立ち上がろうとしたが腰が抜けてしまっているようだ。うまく立てない。
「では、私が連れていきます。それと透様は部屋を片付けておいて下さい」
「…はい」
しょんぼりしている柳内さんを残して部屋を後にした。
- 103 : 留学生(樺太) :2007/04/07(土)
21:37:44.17 ID:tBv7h+8NO
- 天川さんの部屋で着替えをしてもらい、温かいお茶を飲むと気持ちがほんの少し落ち着いてきた。
「大丈夫ですか?」
「………はい」
「恐かったですか?」
「………はい」
「透様の事が好きですか?」
「………はい」
ちょっと待て。今の返答は違うぞ?
「好きじゃないです!それどころか嫌いです!大っ嫌い!私のことを女の子にした挙句………レ………レレレ………レイプしたんですよ!?」
「…ふふふ。それだけ言えれば大丈夫ですね」
天川さんはにこっと笑って抱き締めてくれた。
「透様に言いたい事を言ってやればいいですよ!」
「はい!」
- 104 : 留学生(樺太) :2007/04/07(土)
21:38:21.21 ID:tBv7h+8NO
- 再び柳内さんの部屋。
「須川さん………」
「いつまで落ち込んでんのよレイプマン!」
「レ、レイプマン?」
「私が間違った事を言いましたか柳内さん?」
「い、言ってません」
「それで………あんなことをした理由は?」
「須川さんがあんまり可愛かったもんだから理性が吹っ飛びました」
まぁ、そんなところだろう。
天川さんの部屋の鏡で今の私の姿を確認したが、かなりの美少女だった。
「…い、痛かったんだからね!」
「ご、ごめんなさい」
「まぁいいわ。さっきの事は忘れてあげるから!」
「許してくれるの?」
それまで黙っていた天川さんが語気を荒げる。
「許してあげるなんて昌ちゃんは言いましたか透様?『忘れる』って言ったんです!」
「はい!」
「透様!責任をお取りなさい」
『はい?』
ポカンと口を開く私と柳内さん。
え?責任って何?
私は犬に噛まれたと思っての意味で忘れると言ったんですが?
「昌ちゃんと結婚しなさいと言ったんです!」
『…???………はい〜!!!???』
何、この急展開?
- 105 : 留学生(樺太) :2007/04/07(土)
21:39:21.19 ID:tBv7h+8NO
- レイプされて直ぐに立ち直る奴なんていないがスルーしてくれ。
投下終わります
- 106 : 渡来人(愛知県) :2007/04/07(土)
22:14:04.26 ID:B2pHgNtJ0
- GJです!
- 107 : 留学生(樺太) :2007/04/07(土)
22:49:36.14 ID:tBv7h+8NO
- ほ
- 108 : 理学療法士(神奈川県) :2007/04/07(土)
22:59:34.91 ID:lE8Z6rkl0
- Shizuoka Ego◆iqP3HuSAqUと言う者です。
投下してもいいですか?
- 109 : 留学生(樺太) :2007/04/07(土)
23:01:23.12 ID:tBv7h+8NO
- >>108投下されるのをwktkしてる人はいっぱいいるんだぜ?
投下しちゃいなよ!
- 110 : 理学療法士(神奈川県)
:2007/04/07(土) 23:02:47.07 ID:lE8Z6rkl0
- 「…………ん」
今、何時だろ? そう思って時計を見ると、6:30と表示され
ていた。
「ふああぁ……」
6時半か、とりあえずトイレに行って、それから顔洗って、朝食
を済まして…………そうだ、昨日の夜ビデオに録ったキスダムを観
ないと、…………いや、待て。なんでだろう、観てないハズのキス
ダムの内容が分かるのはどうして?
「……あああぁぁっ!」
しまった!6時半は6時半でも今は午後6時半だ!!昼寝してた
らいつの間にかこんな時間になってたらしい。
「とりあえず夕食の準備……」
ピンポーン。と、玄関のチャイムの音が聞こえた。もう全く、ど
うしてこんな時に人が来るんだ。ってか誰?
「はい、どなたですか?」
「あ、どうも新都新聞の者です。えー……妹さんですか?」
…………この人は一体何を言ってるんだ?
- 111 : 理学療法士(神奈川県) :2007/04/07(土)
23:05:08.13 ID:lE8Z6rkl0
- 「えー、ご本人がいらっしゃらないようでしたらまた後日、ご挨拶
に伺いますが」
「あの、ボクが本人ですけど?」
「…………でも、この部屋の借主は男性となってますが」
「ボクは男ですよ」
「またご冗談を。もしかして、お兄さん、中にいるんですか?」
この人は頭がおかしいに違いないね。絶対そうだね。
「だからボクですってば」
「アナタはどう見ても女の子じゃないですか」
ボクのどこら辺が女の子なのかと小一時間…………ってアレ?
「……ボク、胸、あります?」
「えー、いや、その、なんて言ったらいいんですかね……」
「…………と、とりあえずですね。今、その……智衣太はいないん
で、お引取り願います」
「そうですか。それでは」
そう言って、新聞社の人は帰っていった。
- 112 : 理学療法士(神奈川県)
:2007/04/07(土) 23:06:17.09 ID:lE8Z6rkl0
- 「さて」
とりあえず鏡の前に行く。するとそこにはかわいらしい女の子が
立っていた。右手を動かすと左手が、左手を動かすと右手が鏡の中
でも動く。……間違いない、この女の子はボクだ。
「…………よしっ!」
意を決して服を脱ぐと、小ぶりだが形の良い胸と、大切なものが
消え去った股間が目に映った。完全に女の子だ。…………うん、コ
レはどう考えてもえっちなコトをするべきだよね。そう思い込み、
おそるおそる自分の胸を揉む。ん、コレは中々…………良い。思っ
ていたほどじゃないけど、気持ち良い。…………じゃ、じゃあ次は
もう、アソコしか残ってないよね…………ぐぅぅぅ。
「……お腹空いたなぁ」
よし、とりあえず続きはご飯を食べてからにしよう。そう考え、
さっき脱いだ服を着なおす。そしてコンビニでお赤飯のおむすびを
含む数点を買ってきて食べた。
- 113 : 理学療法士(神奈川県)
:2007/04/07(土) 23:10:00.63 ID:lE8Z6rkl0
とりあえず以上です。
大学入って、一人暮らしになって、新聞の勧誘がウザかったから書きました。
新聞なんてほとんど関係ないけどさ。
完結できるようにガンバりたいです。
- 114 : 留学生(樺太) :2007/04/07(土)
23:14:52.35 ID:tBv7h+8NO
- >>113GJ!
- 115 : バンドメンバー募集中(コネチカット州)
:2007/04/07(土) 23:21:36.97 ID:JX3IgcTDO
- YGかYJかの読み切りに「ひょんなことから女の子」な漫画あったよな?
- 116 : オカマ(中国地方) :2007/04/07(土)
23:29:20.48 ID:aJCflPQP0
- いぬぶろのやつ?
- 117 : バンドメンバー募集中(コネチカット州)
:2007/04/07(土) 23:55:22.64 ID:JX3IgcTDO
- 詳しく覚えてねーけど、主人公が幼女になって同僚が……みたいな
- 118 : とき(樺太) :2007/04/08(日)
00:11:51.39 ID:iVlZH00xO
- ほ
- 119 : DCアドバイザー(栃木県) :2007/04/08(日)
00:17:49.83 ID:8qNlmH/v0
- たぶんだけど、ユキ・ミーツ・ガールだと思うが
幼女ってほどじゃないから、いまいちわからんな
- 120 : 候補者(中国地方) :2007/04/08(日)
00:30:05.88 ID:GVIh4Uqj0
- http://ime.nu/kasamatusan.sakura.ne.jp/cgi-bin2/src/ichi84042.jpg.html
これか?
- 121 : 配管工(樺太) :2007/04/08(日)
00:58:34.02 ID:Hp8D3sRxO
- ほ
- 122 : 通訳(埼玉県) :2007/04/08(日)
01:07:30.40 ID:ORrwCOdK0
50です。続き投下しよう……とおもったんですが。
えー今回、女の子になった主人公が全く出てきません。
なんか書いてたらそうなっちゃいました。
スレのコンセプトから外れるので、投下しようかどうかかなり迷ったのですが、
まあ人物や設定の紹介だと思ってくださればなんとか。
かなり長いんで失礼します。
……投下してもいいですかね?
- 123 : わさび栽培(愛知県) :2007/04/08(日)
01:30:59.88 ID:ab8sst/Q0
- あげ
- 124 : わさび栽培(愛知県) :2007/04/08(日)
02:05:00.72 ID:ab8sst/Q0
- ひ
- 125 : 客室乗務員(広島県) :2007/04/08(日)
02:10:38.77 ID:r24qFzX50
- >>122
待ってるよ
- 126 : わさび栽培(愛知県) :2007/04/08(日)
03:25:01.31 ID:ab8sst/Q0
- あげ
- 127 : わさび栽培(愛知県) :2007/04/08(日)
03:52:41.45 ID:ab8sst/Q0
- あげ
- 128 : ピアニスト(静岡県) :2007/04/08(日)
04:05:35.90 ID:dcAP5SJc0
- ほ
- 129 : わさび栽培(愛知県) :2007/04/08(日)
04:27:13.61 ID:ab8sst/Q0
- う
- 130 : わさび栽培(愛知県) :2007/04/08(日)
05:01:33.80 ID:ab8sst/Q0
- き
- 131 : ピアニスト(静岡県) :2007/04/08(日)
05:51:04.56 ID:dcAP5SJc0
- おやすみ保守
- 132 : こんぶ漁師(樺太) :2007/04/08(日)
07:41:23.67 ID:rSnSlEZ+O
- 寝起き保守
- 133 : 名人(コネチカット州) :2007/04/08(日)
08:55:14.38 ID:oadVKqk+O
- YJの読み切り、いぬぶろのユキミーツガールだったよ
教えてくれてサンクス
おっぱい揉まれるところに感動したんだ
つか幼女じゃなかったな…スマソ
- 134 : 海賊(アラバマ州) :2007/04/08(日)
09:54:43.77 ID:1IA35fQ80
- グレンラガンがディ・モールト面白いですね
>>31の続き、投下ぁ
- 135 : 海賊(アラバマ州) :2007/04/08(日)
09:56:54.54 ID:1IA35fQ80
- たっ、たっ、と軽快に屋根の上を跳ねる
頬に当たる風と、空の青さ、太陽の光が心地いい
加えて、抱きかかえる青年の心音、そして安心感
一瞬見せた目も、今は昼の太陽みたいに、少しの陰りもない
「さぁ、到着だ」
思い切り持ち上げられて、絨毯でもしかれているみたいに、ふわりとおろされる
「まあ入れ入れ」
案内された先に有るのは、今まで見たこともない、みすぼらしい、木でできた小屋
「ここがお前の家か?」
「貴族のお嬢さんにはゴミみたいでも、俺の大切な家さ」
扉の中に入っていくその背中は物寂しげに見える
(……大切な家)
この上着を貰ったばかりのことを王は思い出す
母親が精一杯作ってくれた嬉しさではしゃぎ回る子どもの前で
「まるでボロ切れだ」
どこかで、誰かがそう言った
子どもを傷つけるには十分な言葉だ
「すまぬ」
「ふん、相当にいい暮らしをしてきたみたいだねぇー?」
言葉一つ一つはちくりと引っ掻く程度にとげを持っている
「豪華なお菓子も、椅子もないけどな」
ヒビの入った年季の入ったカップを渡される
「これは?」
「俺の命の水」
透明な、水のような、どこか懐かしい、花の香り
- 136 : 海賊(アラバマ州) :2007/04/08(日)
09:59:20.91 ID:1IA35fQ80
- 「おいしい……」
「まずいっつったって、ソレ以外お前にやれるもんはねーけどな」
ここで、ごそごそと動いている姿が目の端に映った
「ところで、お前はなにをしている?」
「服。そのままじゃ悲惨だろ?」
確かに
服は酒まみれ、ここへくる際に、跳び回ったせいで誇り等々、汚れが目立つ
「だ、だがこの下……」
上着のボタンに手をかける途中、さっきの、男連中に囲まれていたことを思い出す
「とりあえず、この服だけ受け取れ、そしたら奥にでも行ってるから」
「そうか、お前はいいやつだな」
やれやれ、と首をすぼめて、青年は部屋から出て行く
「しかし、私は本当に女なんだなぁ」
上着を脱いで、下から現れる何の屈託もない綺麗な体
胸の膨らみはそれほどはないが、もとより女の体というものもよく知らない王には
微妙に膨らんでいるというだけで、女と認識するにはそれほど難しくなかった
「このような庶民の服をきるのは初めてじゃ」
渡された服を、一枚一枚、いつもと違って手伝いはいないので、悪戦苦闘しながら
なんとか着衣する
「どうだ、そこな男!似合うか?」
「貴族の娘にしちゃえらく質素だな」
「それでも、私は素敵だと思うぞ」
「あいあい、さいですか」
相手を貴族、高貴な育ちと知っていても、青年は完全に素で対応して、言葉遣いも汚い辺り、あまりよい身分ではなさそうだ
- 137 : 海賊(アラバマ州) :2007/04/08(日)
10:01:02.17 ID:1IA35fQ80
- 「ところで……」
「なに?」
「いつからそこで覗きはじめた?」
「鼻歌まじりでシャツを着ている時、だったかな。いい食生活してんだな、綺麗な肌だったぞ」
さも当たり前のように、感想を言う
シャツを着ている時、ほぼ最初から、ということか
「こんの無礼者があぁあぁぁぁ!」
近く似合ったカップを思いっきり投げつける
「服代ってことで勘弁しろよ」
そこそこにはやいガラスの塊を、難なくパシと掴む
「……お前、すごいな!」
あまりの巧みさに、王は怒りを忘れて感心した
「あまり怒りっぽいと人生楽しくないだろ、かんしゃく娘」
「うぐぐ……」
そんな考えもまた、すぐに流れていった、が
- 138 : 海賊(アラバマ州) :2007/04/08(日)
10:01:40.35 ID:1IA35fQ80
- さあこれからハヤテのごとくですね
あと、この作品のタイトル募集中 保守
- 139 : こんぶ漁師(樺太) :2007/04/08(日)
11:11:33.30 ID:rSnSlEZ+O
- ほ
- 140 : わさび栽培(愛知県) :2007/04/08(日)
11:41:29.55 ID:ab8sst/Q0
- す
- 141 : ゴーストライター(埼玉県) :2007/04/08(日)
12:11:48.36 ID:6r+BYT2F0
- 122です。
47の続き投下します。
今回ひょんな子が登場しないのでご注意を。
あと題名は「女の子になるしっくざぁる(独語で運命)」
にしました。アイデアくれた人dクスです。
- 142 : ゴーストライター(埼玉県)
:2007/04/08(日) 12:13:21.23 ID:6r+BYT2F0
- 本日、帝江州高校1年B組のクラス委員である椿木美弥呼の突き抜けた上機嫌っぷりに、学校中が注目していた。
実際おかしいのだ。少々頑固で融通の利かぬきらいのある少女だが、クラス委員を務めていることからも判るとおり真面目で成績も優秀なため教師の受けは悪くない。
生徒会では一年生ながら副会長を務めているところからもそれは伺えるだろう。
容姿も女の子にしては170cmとかなりの長身であり、中世的なその面立ちとあいまって同級生の女の子からは憧れられ、上級生のお姉さま方からは可愛がられている。
さらに中学生時代の伝説というか武勇伝というか、まあその影響で学園の不良たちからかなり恐れられている伊達裕也と幼馴染みの関係でもあり、彼の姉で学園の影の支配者と噂される伊達志津香保険教諭との親交も深い。
まさに、この学園の有名人の一人である。
彼女は知らないがファンクラブがある程なのだ。
因みにその内訳は男女比1:1と、なんというか独特なものがある。
そんな彼女が今朝登校してくるときに上機嫌そうに鼻歌を歌っていれば、それは噂にもなる。
一瞬で学校中を駆け巡るというものだ。
彼女の周りの人間から見て、いや、誰から見てもここ一週間の彼女の様子が相当に不機嫌だったことも噂の伝達速度に拍車をかけていた。
誰もが彼女の上機嫌の理由を知りたいと思っていたのである。
- 143 : ゴーストライター(埼玉県)
:2007/04/08(日) 12:13:48.64 ID:6r+BYT2F0
- 「…………で? みやっち今日ずいぶん上機嫌みたいだけど何かあったの?」
そして今は昼休み。
机を寄せてお弁当を開きつつ彼女の親友の一人である藤津久未が上げた疑問に、クラスに残っていた約半分の生徒が黙って聞き耳を立てた。すうっと、喧騒が静まる。
「え? えへへ。そうか? そう見えるか?」
なんと言うか、本気で言ってるのだろうかと皆は思った。今なお顔がにやけているのだ。
これが上機嫌に見えずに何に見えるというのか。
「うん、いやホントなんかあったの? そんなにやけちゃって。正直不気味なんだけど」
机を寄せ、一緒にご飯を食べていた面子の一人。これもまた美弥呼の親友である柳葉夕菜の突っ込みは、割と容赦無かった。
「不気味はひどいな。それにそれが人にモノを聞く態度か?」
その言いように、美弥呼はむ、として顔を引き締めた。
不気味といわれたことが結構気になったのだろう。なんと言うか、必死ににやけそうになるのを我慢しているように見える。
そんな美弥呼の様子に、教室内にいた彼女のFCメンバー数名が男女問わずに悶えた。
- 144 : ゴーストライター(埼玉県)
:2007/04/08(日) 12:14:15.88 ID:6r+BYT2F0
- 「ま、不気味は言い過ぎだよゆーな。そんで? ぜひ何があったのか聞きたいなー。みやっち昨日まですっごい不機嫌だったじゃん? ぶすっとしちゃってさ」
こーんな感じに、と久未は自分の両頬を手で押し、顔の中心に寄せた。
正直かなりの面白顔だ。
私は昨日までそんな顔をしていたのか……と、美弥呼はかなりショックを受けた。
「そんな……、何で教えてくれなかったんだ!?」
「ああ、もう!! ボケにマジで返さないでよ話がすすまない――!」
机をがたんといわせ、立ち上がった夕菜の怒鳴り声が教室中に響く。
この面子のボケと突っ込みの割合は2:1だが、夕菜の忍耐はそう強いものではなく、いまいち突っ込みとしては機能しない。
それでもボケ二人はしっかりとその任務をこなすため、この1年B組では、日に一度は激発する彼女を見ることができるのだ。
「――それで!? 結局なんで美弥呼は機嫌がいいの!? 教える気があるのならとっとと喋りなさい!!」
「もーなんでゆーなはそうすぐ切れるのかなー。ホラ見てよ。周りのみんな怯えてるよ?」
怯えていない。さすがにもう6月も後半となればこのクラスが出来てから二ヶ月以上経つ。
学校がある日は大抵見られる光景に、慣れぬ輩はさすがにいなかった。
「久未は黙ってて!」
ぎろりと睨み付けられ、久未はしぶしぶ口を噤む。
そして、教室は一瞬静寂と緊張に包まれ、美弥呼はゆっくりとその口を開き、
「………………教えない」
その言葉に、だああ、と弛緩した。
- 145 : ゴーストライター(埼玉県)
:2007/04/08(日) 12:14:55.74 ID:6r+BYT2F0
- 「――まあ、美弥呼が秘密にしたいっていうならいいけどね」
そう言って座り、卵焼きを口に放り込む夕菜。彼女の性格は判りやすく、非常に熱しやすく冷めやすい。
そのため、彼女が切れても、これまで特にクラス内の雰囲気が悪くなるということはなかった。
「私は気になるなー」
未練がましく言いつつも、ま、教えてくれないなら諦めるよー、と久未も箸を持って食事を再開し始める。
美弥呼にずばっと質問できる立場の二人が追求を諦めたのを悟ってか、これまでじいっとして聞き耳を立てていた教室はようやく動き出し、直ぐに昼休みの喧騒が戻った。
「でもこれだけはきかせてほしーなー」
いや、久未はまだ諦めていないらしい。再び教室の喧騒が止まる。
「なんだ?」
ま、判りきったことなんだけどさー。久未はそう前置き、
「いい事あったんでしょ?」
「ああ」
「そ」
嬉しそうに頷いた美弥呼に、久未は今度こそ笑って追求を諦めた。
夕菜も頬を緩めつつ食事を続けている。
- 146 : ゴーストライター(埼玉県)
:2007/04/08(日) 12:15:31.71 ID:6r+BYT2F0
- なんだかんだで、二人にとって美弥呼は大切な友人だ。
そして、最近不機嫌というか、元気がなかったのを心配してもいた。
美弥呼は隠しているようだったが、彼女達はその理由を知っていたのだ。
彼女の幼馴染みである、伊達裕也の突然の転校。
一週間前に起きたソレは、他クラスのことながら彼が美弥呼に並ぶほどの有名人(ベクトルは逆だが)だったこともあり、彼女達も当然伝え聞いていた。
彼女達自身は伊達裕也のことは噂以外には、美弥呼からの又聞きでしか知らない。
だが、美弥呼が彼と実に仲が良いことは察していた。
美弥呼は彼のことを親友だと呼んでいたが、二人は正直彼らに男女の仲を疑っていた程である。
その伊達裕也が、一週間前突然に転校した。美弥呼が、それにショックを受けていることは誰の目にも明らかであった。
だから、彼女が今上機嫌に笑っていることは、美弥呼を心配していた二人にとっては当然嬉しいことであり、それ以上は無理に望むものでもないのだ。
そのまま、三人は上機嫌に食事を続け、ソレを見た教室は三度目の喧騒を取り戻した。
- 147 : ゴーストライター(埼玉県)
:2007/04/08(日) 12:16:06.37 ID:6r+BYT2F0
美弥呼は、にやけそうになる顔を懸命に引き締めつつ歩いていた。
不気味と呼ばれるのはやはり心外である。
今は放課後、彼女は生徒会に所属していたが特に今日は仕事は無い。
いや、例え仕事があったところで今日はお休みを貰うつもりでいたが。
今朝、保険教諭である伊達志津香からかかってきた電話を美弥呼は頭の中で思い浮かべた。
『もっしも〜し。志津香おねえちゃんだよ美弥呼ちゃん一週間ぶりだね元気にしてた?』
「志津香さん!?」
電話に出た声、そしてその特徴的なマシンガンのような口調を聞いて、美弥呼は本気で驚いた。
一週間前、突然知らされた幼馴染みの転校に美弥呼は大きなショックを受けた。
学校ではさすがに顔に出さないようにしていたし、家族にも心配をかけまいといつも通りの彼女を装ってはいた。
何より、美弥呼の両親は中学生時代のこともあり、裕也のことを快く思っていないのだ。
市議である自分の父に聞けばもしかすると裕也のことを聞けるかもしれないとも美弥呼は考えたのだが、結局聞けず仕舞いだった。
何より美弥呼がショックだったのは、裕也が引越しをしたという事実以上に、ソレを自分にも知らせずに消えてしまったということだ。
彼女は、裕也のことを親友だと思っていたが、彼は違かったのだろうか、と。
無論それに対しての苛立ちもあった。
- 148 : ゴーストライター(埼玉県)
:2007/04/08(日) 12:17:07.19 ID:6r+BYT2F0
- それでも、美弥呼は出来うる限りの努力をした。
彼のクラスの友人や、中学生時代から自分裕也さんの舎弟っすからとか言っていつもくっついていた美濃川健太郎に話を聞いたりもした。
しかし、誰も裕也の行き先どころか、引っ越した事実を聞いたのも自分とほぼ同時期という有様だった。教師連中も同様だ。
あと事情を知っていると思われるのは、裕也の姉である志津香と、二人の父親である伊達次郎。
まず考えたのは志津香に事情を聞くことだ。
美弥呼は彼女と仲がいい。小さい頃は、志津香おねえちゃんといって慕っていたし、その頃の親交は未だに途絶えていない。
だが、彼女は一週間ほど休暇をとってしまったらしく、保健室にいるのは代理の先生だけ。
最後の砦と、美弥呼は裕也の家に電話もかけた。
もし、この電話番号は現在使われておりません、と言われたりでもしたら、彼女は直接家に乗り込む気だった。
裕也が引っ越してからその日ですでに三日が経っていて、美弥呼はかなり切羽詰った心境だったのだ。
早く裕也を見つけないと、二度と会えないような気がして。
- 149 : ゴーストライター(埼玉県) :2007/04/08(日)
12:17:35.71 ID:6r+BYT2F0
- 願いが通じたのか、電話は通じていて、その上、裕也の父親が出た。
「もしもし……! あの、椿木美弥呼です。おじさん、お久しぶりです」
『あ、ああ。美弥呼ちゃんか。久しぶり。そうだね、入学式のとき以来かな』
「はい。急に電話してすいません。それで、その、今日電話した理由なんですけど……」
『……判っている。裕也のことだろう?』
「は、はい! 急に転校したって聞いて、その、訳を知りたくて……」
だが、彼女の願いが通じたのもここまでだった。
『すまないが、裕也のことについては私からは何も喋れない』
「え……?」
『理由も話せない。すまない』
察してくれと、重々しい口調で言われたら、美弥呼にはもうすいませんでしたといって電話を切る以外に出来ることは無かった。
受話器を置いて、座り込んだ。嗚咽は、自分の部屋に戻るまでは飲み込んだ。
- 150 : ゴーストライター(埼玉県)
:2007/04/08(日) 12:18:37.12 ID:6r+BYT2F0
- そんなことがあって、悲しいけど、凄く凄く落ち込んでいたけど、それでも裕也の捜索を自粛していた矢先にかかってきた電話である。
美弥呼が驚くのも、無理もないというか当たり前であろう。
「志津香さん休暇って今までどうしていたんですか!? 裕也の転校と何か関係があるんですか!?」
落ち着いてと、そういった志津香の声は今さっきの挨拶の能天気さはすっかりなりを潜めて、受話器を通じて伝わる久しぶりの志津香の真面目オーラに美弥呼は息を呑んではい、と頷いた。
『そのこと、というか裕也のことについてちょっと志津香ちゃんに話しておきたいことがあるの。今日の放課後暇かな?』
「は、はい」
志津香は今裕也のことについて、と言った。
今日は特に予定は無かったが、例え急な用事が出来ても強引に休む決意を美弥呼は固めた。
『水原総合病院ってわかる? 巳柳町にあるんだけど』
「はい、判ります」
去年、美弥呼の父親が入院したところだ。簡単な胆石を取る手術で直ぐに退院したが、彼女は二度ほど見舞いのためにそこに行ったことがあった。
- 151 : わさび栽培(愛知県) :2007/04/08(日)
13:19:07.10 ID:ab8sst/Q0
- gjです
- 152 : 配管工(樺太) :2007/04/08(日)
14:22:23.03 ID:NDEyL4cKO
- 保守
- 153 : こんぶ漁師(樺太) :2007/04/08(日)
15:11:54.37 ID:rSnSlEZ+O
- ほ
- 154 : 配管工(樺太) :2007/04/08(日)
15:59:30.30 ID:NDEyL4cKO
- し
- 155 : 客室乗務員(広島県) :2007/04/08(日)
16:35:09.49 ID:r24qFzX50
- どちらもGJ
>>138
『王様と私』とか
- 156 : ピアニスト(静岡県) :2007/04/08(日)
17:18:42.20 ID:dcAP5SJc0
- ho
- 157 : こんぶ漁師(樺太) :2007/04/08(日)
17:18:56.15 ID:rSnSlEZ+O
- ほ
- 158 : こんぶ漁師(樺太) :2007/04/08(日)
17:46:56.70 ID:rSnSlEZ+O
- ほ
- 159 : 配管工(樺太) :2007/04/08(日)
18:22:55.15 ID:NDEyL4cKO
- た
- 160 : 配管工(樺太) :2007/04/08(日)
18:54:37.09 ID:NDEyL4cKO
- る
- 161 : ピアニスト(静岡県) :2007/04/08(日)
19:17:11.20 ID:dcAP5SJc0
- の
- 162 : 配管工(樺太) :2007/04/08(日)
19:40:40.03 ID:NDEyL4cKO
- ひ
- 163 : ボーイッシュな女の子(滋賀県)
:2007/04/08(日) 20:11:34.95 ID:y2Jy5MvB0
- か
- 164 : 野球選手(長屋)
:2007/04/08(日) 20:20:19.59 ID:duAqpXON0
- り
ってとこで切らせてもらって投下行きます
「Another」
- 165 : 野球選手(長屋)
:2007/04/08(日) 20:25:22.89 ID:duAqpXON0
- 「おはよう駿。今日は早くに学校行ってたんだね?どうかしたの?」
「あ……いや、昨日宿題のプリント忘れてきちゃってさ。あは、あはははは」
「ふーん……」
もちろん嘘だ。
昨日のことがあって、顔があわせづらかっただけだ
「はぁー……」
休み時間、自然にため息が出る
「どうしたの美幸ちゃん、ため息つくなんて珍しいね」
洋子が声をかけてくる
「うん、ちょっとね……」
「今のため息……ひょっとして恋の悩みかにゃ?」
ぴく
ざわ……ざわ……
「な……ちが、違うって!!」
必死に否定するが、クラスのみんなには火がついてしまったらしい
「な、何だってー!?東さんが恋の悩み!?」
「相手はどこの誰だ!?」
「ちょっとタマ殺ってくるわ……」
「ちょ……翠…目が怖い」
「だって……男があの胸であんなことやこんなことをって考えると……あああああああ!!」
「あんなことやこんなこと……あああああああああああああ!!」
「もう駄目だ……生きる希望が無くなった。」
……えらいことになってしまった
「大変だねみんな……」
友之……月のない夜道には気をつけろよ
- 166 : 野球選手(長屋)
:2007/04/08(日) 20:29:39.77 ID:duAqpXON0
- 「えーと、じゃあ文化祭の出し物決めるけど……おーい男子、いい加減帰って来い」
「うばー」
「へにゅうー」
朝からずっと男子はこんな状態だ
「あらら、まったくもって魂ここにあらずって感じだね〜パワ○ロで言うと灰色の顔で『登板まであと4日』って感じ?」
「また分かりにくい喩えを……」
「えーと。じゃあ誰か意見のある人」
夏紀ちゃんが周りを見渡す。
「いいんちょいいんちょ!」
「いいんちょはやめて翠……で、何?」
「コスプレ喫茶を提案します」
ぴく……
あ、男子が少し反応した
- 167 : 野球選手(長屋)
:2007/04/08(日) 20:37:49.04 ID:duAqpXON0
- ( ゚∀゚)アハハ八八ノヽノヽノヽノ \
- 168 : 野球選手(長屋)
:2007/04/08(日) 20:40:11.09 ID:duAqpXON0
- 誤爆ったorz
ごめんなさい投下終わったら吊ってきます
「はぁー……コスプレ喫茶かぁ」
「なんか今日はため息ばかりだね美幸ちゃん。レモンティーでもどう?」
そう言って差し出してくる洋子。
「あ、ありがと洋子……また人々の視線にさらされるのかと思うとね」
男の子なのに……くやしいっ!
「あはは。でもそれは美幸ちゃんが魅力的だからだよ」
「うーん…自分ではぜんぜんそうは思わないんだけどなぁ」
なにしろ男だからな中身は。まあ体は……と思うけど
「人間ってそういうもんだよ。で、朝のため息は何だったの?」
「えーと……」
答えられるわけがない
「やっぱ恋の悩みだよね。それも叶いそうにないっていう感じの」
……エスパーですかあなたは?
「で、どうなの実際?」
「えーと……おっしゃる通りです……」
「え?マジで!?やっぱそうなの?」
「え、あ……えーと……」
かまかけかよ!!
「え?相手は誰?いいなぁ……美幸ちゃんなら誰でも思いのままだもんね……」
母さんは言っていた「魅力的だといっても好きな人に好きになってもらえるかは別」だって
今の俺は、それを身をもって感じている
「運命の相手」と結ばれるしか俺たちには無いのだから……
それが歴史の必然なのだから……
- 169 : 野球選手(長屋)
:2007/04/08(日) 20:42:36.51 ID:duAqpXON0
- しかも順番間違えたぁあああOTZ
ごめんなさい>>168の前にこれです。もう駄目かもしれん俺……
「えーと……本気?体育祭前も言ってた気がするけど」
「ガッツリ本気。どうせ美幸ちゃんが誰かの手に落ちるならその前に……」
黒い……黒いよ翠さん……
「このクラス美人が多いから収入もガッツリ見込める」
まったくもって黒いよこの人。ていうかキャラ変わってない?
「それだああああああああああああああ!」
「うわ!男子が復活した!!」
「えーと……このばあい男子は何をするの?」
「トイレ掃除でも靴磨きでもするから!どうかこの案を採用させてくださいッ!!」
いいのか?それでいいのかみんな!?
「け、けど女子のみんなは……」
「はーい!賛成。一度やってみたかったんだ」
「別にいいんじゃない?ある程度稼げたらみんなでパーティでもしようよ」
「ジュースィーポーリー!イエー!!」
「じゃ決定って事で」
「まじで?」
あ、俺と夏紀ちゃんハモった
- 170 : みどりのおばさん(鹿児島県) :2007/04/08(日)
20:43:49.78 ID:61SsS+TJ0
- wktk
- 171 : ボーイッシュな女の子(滋賀県)
:2007/04/08(日) 20:45:00.85 ID:y2Jy5MvB0
- 吊るのは完結してからにして
- 172 : 野球選手(長屋)
:2007/04/08(日) 20:46:07.25 ID:duAqpXON0
- 「そんなことは無いよ……というかぜったい無理な人だもん」
こんなこと言っていいのかは分からない。だけど誰かには知って欲しい
そんな思いから口が動いていく
「えー?どれだけ凄い人なのその相手?」
「凄いっていうか……言いにくいんだけどその人には昔から一緒にいる女の子がいてね」
「ん?」
「その娘は私の理想の女の子でね……」
「うん……」
「その人はその女の子と結ばれるのが運命だっていう気がしてね」
「……うん」
「なにより……私じゃ……敵わない……気が…っく…してぇ」
「……」
あれ?何で俺泣いてんだ?
「ぐす……この気持ちに気付いたのは…最近で……ぇく」
でも口は止まらない
「だから……無理なんだよぉ……」
もう駄目かも知れない俺。精神的にも人間的にも
男なのに……男だったはずなのに!
「……西村君かぁ」
「ふぇ?」
名前を出してないのに一発でピンポイントで当てる洋子
分かるのか今ので……
「はぁー……何から何まで私といっしょか」
「え?」
何だそれ?
- 173 : 野球選手(長屋)
:2007/04/08(日) 20:50:49.71 ID:duAqpXON0
- 「私もね、西村君のこと好きだったんだ。でも、夏紀には勝てないって思ってさ……ずっとそばにあんなに可愛い子がいたんじゃ入りこめないって思ったんだ」
「え?ええ?」
まじで?でも前に夏紀ちゃんのこと応援してるって……
「でも、なんていうか、美幸ちゃんが感じたように、一番お似合いなんだよねあの二人。だから、あ、これは無理だって。だから奥手な夏紀を応援するようになったんだ……バカかな私」
「ううん、そんなことないよ。だって……私も同じ気持ちだから」
運命を知っているから、そうならないといけないから……
「そっか……つらいね、お互い。」
「……うん」
「頑張りなよ……って言っても無理か。まぁ、男は星の数ほどいるんだからさ」
「うん」
たとえ星の数ほどいても、結ばれる相手は一人で、その相手を俺は知っていて……
でも話せたことで少し気は楽になったから
「ありがと洋子。ちょっと元気でた。聞いてくれて、気付いてくれてありがと」
「うん。」
「美幸ちゃんでも適わないと思うんだから、私なんか……」
「何か言った?」
「ううん、なんでもない!じゃあね!」
「あ、うん、バイバイ」
- 174 : 野球選手(長屋)
:2007/04/08(日) 20:52:15.39 ID:duAqpXON0
- 今日は以上です
じゃあ逝ってきます。
∧||∧
( ⌒ ヽ
∪ ノ
∪∪
- 175 : みどりのおばさん(鹿児島県) :2007/04/08(日)
20:52:59.43 ID:61SsS+TJ0
- >>174
乙!
そして逝ってらっしゃい
- 176 : 配管工(樺太) :2007/04/08(日)
20:53:53.68 ID:NDEyL4cKO
- つふっかつドリンク
- 177 : ボーイッシュな女の子(滋賀県)
:2007/04/08(日) 20:58:03.98 ID:y2Jy5MvB0
- あたりが出たのでもう一個
- 178 : ネコ耳少女(dion軍) :2007/04/08(日)
21:22:12.58 ID:ytKdpI4S0
- >>176
配管工とかピッタリだNE
>>177
ボーイッシュな女の子ってww
- 179 : ボーイッシュな女の子(滋賀県)
:2007/04/08(日) 21:24:51.17 ID:y2Jy5MvB0
- >>178
そうそう、せっかくだから何か書きたいんだけど浮かばない
- 180 : ネコ耳少女(dion軍) :2007/04/08(日)
21:26:58.84 ID:ytKdpI4S0
- >>179
とか言ってたら自分はネコ耳少女だった
自分の作品と連動してて笑ってしまった
- 181 : 配管工(樺太) :2007/04/08(日)
21:27:15.83 ID:NDEyL4cKO
- >>178はネコ耳少女じゃないかwwwwww
- 182 : わさび栽培(愛知県) :2007/04/08(日)
21:29:15.78 ID:ab8sst/Q0
- みんな個性豊かな方たちですねwwww
- 183 : 前社長(埼玉県) :2007/04/08(日)
21:54:18.58 ID:8swAXqV+0
- 150です。
ぶつ切りになってますが、朝は何かエラーで
おさるさんが出てしまって最後まで投下できませんでした。
って訳で続き投下します。
ぶつ切りになっていたらまたエラーが出たと思ってください。
- 184 : 前社長(埼玉県) :2007/04/08(日)
21:56:09.38 ID:8swAXqV+0
- 『良かった。名目が研修の為の休暇なんでさすがに学校まで迎えにはいけないからさ〜』
はははと笑って言う志津香の言葉は色々と突っ込みどころが満載な気がしたが、美弥呼にはソレより気になっていることがあった。
「裕也、病気で入院してるんですか!?」
更に疑問がある。何故、学校に引っ越したなどと言ったのか。それに裕也は確か突然引っ越す二日ぐらい前から病気で学校を休んでいた。
ということは、まさか――。
『美弥呼ちゃんが懸念しているようなことは無いよ? 命にかかわるような病気じゃない。詳しいことは美弥呼ちゃんが来てから説明する。今ここで言っても多分信じてもらえないしね』
「……? どういう意味ですか?」
『だからソレも含めて……ね。あと私から電話があったことは、先生とか友達には内緒にしといて。それじゃあ放課後よろしくね。あ、それとあとひとつ』
- 185 : 前社長(埼玉県)
:2007/04/08(日) 21:56:52.72 ID:8swAXqV+0
- 「はい?」
『多分さ、これから裕也美弥呼ちゃんにすっごい迷惑かけると思うんだ。でも見捨てないであげてね? 正直今の裕也には美弥呼ちゃんだけが頼りだからさ〜』
「え? あ、は、はい! 任せてください!」
『うん、それじゃあ今度こそじゃあね〜。放課後また会いましょ〜』
美弥呼は、通話の切れた受話器を、暫く握ったままじっとしていた。
自然に、笑みがこぼれてくる。
裕也は、決して自分を軽んじて引っ越したわけではないのだと知った。
そして、今の彼は美弥呼の助けを必要としているような事態らしい。
ソレが、嬉しかった。
正直、美弥呼は裕也に頼られた経験なんてまるでない。逆なら結構よくあるのだけど。
いつまでも受話器を握ってないで学校に行かねばと、美弥呼は制服に着替えるために自室へと戻った。
着替えている間、美弥呼は自分では自覚せずにずっと鼻歌を歌っていた。
その上機嫌そうなメロディーは、彼女が学校に着くまで途絶えることは無かった。
- 186 : 前社長(埼玉県)
:2007/04/08(日) 21:57:24.14 ID:8swAXqV+0
そしてようやく迎えた放課後である。自然、早歩きになってしまう歩調で、美弥呼は帰りを急いでいた。
校門は、帝江州高校が原則生徒の部活強制参加を義務付けているためか、放課後が始まったばかりのこの時間はかなり閑散としている。
その校門を上機嫌にくぐろうとした美弥呼は、ふとあることに気付いて足を止めた。
そして吐いたため息は、これまでの一週間分にはいたため息の総量に匹敵するほどに、深いものだった。
そのまま、うんざりと校門に寄りかかっている男を眺める。
- 187 : 前社長(埼玉県)
:2007/04/08(日) 21:58:02.32 ID:8swAXqV+0
- 身長は、190cmを超えているだろう。そして、その長身が細く見えないほどがっしりとまるでボディビルダーの如く張り付いた筋肉が、夏服であるYシャツを今にも突き破りそうだ。
顔は、正直高校生とは思えない。強面の極致というべきか。これで高校生を名乗るのは正直年齢詐称ではないかと常々美弥呼は思っている。
その、まさに無く子が見たら黙るだろうただし失神してという強面をゆがめさせ、
「よう美弥呼、待ってたぜ」
そう言った。
もう一度ため息をつく。どうやら、彼が用のあるのは自分ではないという、淡い期待も破られたらしい。
そんな美弥呼の内心を無視しているのか本当に気付いていないのか、男は暑苦しい笑みを浮かべている。
「……九郎熊先輩。何か私に用ですか?」
本当に、似合いの名前だと思う。美弥呼が感じるのは、関心よりも滑稽さだが。
- 188 : ボーイッシュな女の子(滋賀県)
:2007/04/08(日) 21:58:26.79 ID:y2Jy5MvB0
- 規制食らったわけだな
- 189 : 前社長(埼玉県)
:2007/04/08(日) 21:58:40.62 ID:8swAXqV+0
- 九郎熊哲也。3年生の男子で、そしてどの高校にも大抵はいるろくでなしの不良の一人であり、そのろくでなしどもの親分みたいなこともやっている。
これでも3年J組のクラス委員だ。きっと、単純にクラスの親玉という響きに誘われて受けているのだろう。
その関係で、美弥呼は彼と多少の面識があった。もっとも、クラス委員会や生徒会の仕事は、ほとんど女子の方のクラス委員に任せているようだが。
「おいおい、せっかく待っていてやったのに何か用? はねえだろ?」
いまだ上機嫌そうな声に、美弥呼は片眉を跳ね上げた。早く病院に行きたいのに、厄介なことになったと。
「待っていてくださいと、頼んだ覚えはないんですが」
その言葉に、ようやく自分が歓迎されていないことに気付いたのだろうか。九郎熊はじろりと美弥呼をねめつけ、
「んだよ、せっかく今日お前が上機嫌だって聞いたからわざわざ誘いに来たのによ」
「誘い?」
「おう。どうせ今日は生徒会も何もないんだろ? ちいっと俺に付き合わねえか? いろいろと面白いところを案内してやるよ」
“でえと”のお誘いという奴らしい。美弥呼はうんざりと首を振った。
- 190 : 前社長(埼玉県)
:2007/04/08(日) 21:59:40.08 ID:8swAXqV+0
- 実際うんざりしていたのだ。裕也の引越しを聞いたときから今日で一週間。
美弥呼はかなり落ち込んでいたが、それ以上に不機嫌でもあった。
その理由が、こういう輩の出現、そして増加だ。
美弥呼は知らぬことだがファンクラブはあっても、彼女は高校に入ってから誰かに告白されたとか言う経験は皆無だった。
どういうわけなのかは美弥呼は理解しがたいのだが、なんでも自分が親友の裕也とデキていると思われていたらしい。
そして、中学時代は近隣に知れ渡るほどの悪名でならした裕也が恐ろしく、美弥呼に告白する勇気のある奴は居なかったのだそうだ。
それが、裕也の転校で崩れた。
だが、今日までその手の輩の全てを美弥呼は冷酷にあしらってきていた。
強引に迫る不届き者には、延髄に蹴りをぶち込んで沈没させた。
「………………」
だが、これはどうすればいいのだろうか。美弥呼はようやく今の状況が不味いということに気付いた。
冷酷にあしらって、この男を逆上させるのは良くないだろう。
普通の有象無象の輩なら美弥呼にとって何するものぞだが、目の前の男は違う。
美弥呼は、裕也がもし喧嘩になったら面倒くさそうな相手として、彼を上げてるのを聞いたことがあったのだ。
- 191 : ボーイッシュな女の子(滋賀県)
:2007/04/08(日) 22:13:13.79 ID:y2Jy5MvB0
- またか?
- 192 : 前社長(埼玉県)
:2007/04/08(日) 22:20:49.12 ID:8swAXqV+0
- 『本気でやれば勝てないとは思わないけどな。
ただ素人の喧嘩ってのは前提として度胸が決まってる奴同士の場合は、結局体格とパワー勝負なんだ。
あいつ俺よりでかいしパワーも有りそうだし、馬鹿みたいに正面から挑んだら負けるかも知れん』
見れば判る。裕也は180cmを超える長身だったがこの男はそれをはるかに超す190cm以上の超巨漢だ。
「どうしたんだ? ああ、俺が怖えのか? 心配すんなよ。俺女の子には優しいぜえ?」
その顔で猫なで声を出すなと美弥呼は思った。鳥肌が立つ。
「申し訳ないですが、今日は大事な用事があるので失礼してもいいでしょうか」
一応、最低限の礼儀は通しつつも、美弥呼の答えはぶっちゃけこれまでの輩をあしらう時のとまるで大差なかった。
早く病院に行きたいという焦りが多少浅慮な行動を招いたのだろう。
彼女が、この一週間で大分経験値を稼いだが、そもそも告白されるという行為になれてなかったというのも一因だろうが。
その言葉に、そもそも乗り気な様子を見せなかった美弥呼に苛立っていた哲也は顔色を変えた。
「……っち。いいから来いって。退屈はさせねえからよ……!」
- 193 : 前社長(埼玉県)
:2007/04/08(日) 22:21:22.95 ID:8swAXqV+0
- 強引に美弥呼の手を掴む。
「……っな!?」
とっさに美弥呼は周囲を見渡すが、先ほど説明したとおり今の時間校門周辺の人通りは皆無だ。
「は……なせ!!」
それでも悲鳴をあげれば衆目は集められるだろう。そうすればこの男も暴力には訴えられまい。
とはいえ美弥呼にもプライドというものがある。
悲鳴をあげるべきか、迷いつつ掴まれた腕を振り払おうと美弥呼は暴れ、その手が、偶然哲也の目に当たってしまった。
「てめえ――――!!」
つかまれた腕が離され、直後、振りかぶった拳が美弥呼を襲う。
「――くっ」
類稀なる運動神経の賜物か、美弥呼はその一撃を飛び退るようにしてかわす。
だが、第二撃目では対処できないだろう。
哲也は、年下の少女に自分の一撃がかわされたのに驚いたのか、一瞬美弥呼を見開いた眼で眺め、
「へえ、面白いじゃねえか」
にやあ、と笑い更に拳を振りかぶった。
- 194 : 前社長(埼玉県)
:2007/04/08(日) 22:21:57.64 ID:8swAXqV+0
- 気に入らなかった。早く裕也に会いたいのに、それを邪魔するこの男が。暴力で、人を従わせられると信じて疑っていないだろうこの男の性根が。
ぐ、と体に力を込めた。一発、加えないと気がすまない。
幸い、男ならば誰でも持ってる克服できぬ弱点というものを美弥呼は知っている。
例え一撃でのされようが、一矢、それも急所に一撃をかましてやろうと美弥呼は足に力を込めた。
カウンターを“そこ”に食らわせれば、いかにこの男とてただでは済むまい。
それでも、当てられるか判らないし、失敗した場合を考えれば美弥呼にとっては分の悪い賭けとなるだろう。
自分の圧倒的優位を判っているのか。哲也はニヤニヤと笑いつつ、虎に反撃を決意したおろかなネズミをあざ笑い、
そして、
「――なにをしているんですか?」
第三者の声が、この状況をひっくり返した。
- 195 : 前社長(埼玉県)
:2007/04/08(日) 22:22:44.19 ID:8swAXqV+0
その声の持ち主は、空手着を来ていた。
その時点で、おかしいと哲也は思った。
九郎熊哲也は去年まで空手部に所属していた。そして、空手の試合等の方は反則を多発するため成績はあまり良くなかったが、ルール無用の喧嘩では一年の頃から部内でも一番強かった。
そのため、去年の冬に校外で大喧嘩をやらかして停学処分を受け空手部を辞めさせられた今でも、部内の現2、3年生に強い影響力を残している。
当然だ。空手部の連中は皆哲也より弱いのだし、さらに空手部の現部長は中学の頃からの自分の子分、腰巾着であるのだ。
だから、空手部で、自分の行動を邪魔する奴なんざいないはずだ。
だがそいつの顔を見て、哲也は成る程、と納得した。
――――厄介な奴が出てきやがったな。
- 196 : 前社長(埼玉県)
:2007/04/08(日) 22:23:28.69 ID:8swAXqV+0
- 忌々しげに、その男を睨み付ける。
早苗浩介。哲也の記憶によれば、確か中学生の空手全国ベスト8にまで進んだ奴である。身長は170台前半と精々標準で高いほうではない。
その上見た目も細身なのだ。
しかし、胴着の下には針金を巻きつけたかのような強靭な筋肉を持っている。
引っ越してしまったらしい伊達裕也と並んで、この高校で自分と喧嘩をして勝負になるだろう男の一人だと哲也は認識していた。
それでも哲也は、一対一なら浩介にも負ける気はしない。所詮スポーツ空手でならした奴だ。ルール無用の実践ってモノを思い知らせてやればいい。
だが、彼に続くように十名ほどの一年生が進み出て来たのはさすがの哲也にも頂けなかった。いかに哲也でも、十対一ではリンチにしかならない。
恐らく、校外を周回するロードワークに行こうとしていたのだろう、他の空手部の連中も遠巻きにこちらを見ている。
タイミングが悪かったとしか言いようがあるまい。
空手部の部長に目配せするが、首を振られた。
一年生を諌めさせることは彼なら出来なくないだろう。
だがもし失敗して言うことを聞かせられずに、この多人数で乱闘にでもなったら今度こそ空手部は廃部に追い込まれるだろう。
ソコまで大事にするほどのことではあるまいと哲也も納得した。
- 197 : 前社長(埼玉県)
:2007/04/08(日) 22:24:27.64 ID:8swAXqV+0
- 「……おいおいおい、何だよ? 空手全国ベスト8の奴が十人がかりで一人をリンチする気かあ!?」
わざと張り上げた声に、さすがに校門にこれだけ人が集まったら目立つのだろう、態々校庭や体育館から来たと思われる輩まで、多数の衆目を集めることができた。
これで自分をリンチにすることは出来ないだろう。当然哲也も迂闊なことは出来なくなったわけだが。
周りの注目を集めていることに気付いたのか、浩介は多少顔を赤らめつつ、だが言葉は冷静につむぐ。
「そんなつもりはありません。ただ、先輩が椿木さんに暴力を振るおうとしているように見えたので、止めに来ただけです」
「そりゅあ見間違いって奴だろぉ? 俺にゃあそんなつもりは全然無かったんだからなあ」
ふてぶてしく答える哲也に、しかし浩介は特に苛立った様子もなく、
「そうみたいですね。僕の見間違いみたいでした。……それで? ではいったい何をしてたんですか?」
「浩介」
声を上げたのはこれまで黙っていた美弥呼だった。
- 198 : 前社長(埼玉県)
:2007/04/08(日) 22:25:34.27 ID:8swAXqV+0
- 「別に何も無い。ちょっとここで会ったんで話してただけだ。そうですよね先輩?」
「お、おう」
「というわけで先ほども言ったとおり私は急いでるんで帰ります。さようなら先輩。……浩介、正直助かった、礼はいつかする」
「いらない、別に礼が欲しくて……」
「フフ、判った判った。じゃあな。また明日」
「ああ、また明日」
見事な長髪を翻し、哲也と浩介に一度づつ頭を下げて、そのまま振り返らずに美弥呼は早歩きで去っていった。
それを見送り、自分を睨みつける一年生たちにうんざりとため息を吐くと、
「……ち、萎えたな。俺も帰るわ」
そう言って哲也も校門の外に歩き出した。
「はい、さようなら先輩」
慇懃無礼を絵に描いたような態度で挨拶をした浩介に、哲也は振り返って凶悪な一瞥をくれるが、当の浩介は涼しい顔だ。
未だに己に敵意を向けている身の程知らずな一年坊主どもに舌打ちをしつつ、哲也も家に帰らんと校門をくぐる。
背後に突き刺さる彼らの視線は、実に不快なものだった。
- 199 : ボーイッシュな女の子(滋賀県)
:2007/04/08(日) 22:26:15.54 ID:y2Jy5MvB0
- 対策
- 200 : 前社長(埼玉県)
:2007/04/08(日) 22:27:29.53 ID:8swAXqV+0
これまでで一番上手くいったかな、と志津香は思った。
裕也を裕也だと信じさせる、その一点に限っては。
彼女がいるのは廊下だ。後ろに、病室から聞こえてくる涙交じりの怒鳴り声を聞きつつ、窓を開けた。
泣いているのは裕也ではない。美弥呼である。
志津香と瑞穂の説明を黙って聞いていた美弥呼が説明が終わった後最初にしたことは、
何故自分に教えてくれなかったのかと裕也に飛び掛り詰め寄ることだった。
予想外の行動に、室内にいる当の美弥呼以外の誰もが度肝を抜かれた。
志津香は瑞穂が何かに驚いているところなんて数えるほどしか見たことが無いので、それにもびびった。
そして美弥呼は半分泣きながら大声で自分が裕也が突然引っ越したことをどれだけ心配していたか、
自分が理由を教えてもらえなかったことについてどれだけ苛立ったか、不安だったかを大声で叫び始め、
その小っ恥ずかしい告白もどきに耐え切れなくなった年寄り二人は、あとは若いモンに任せてと、こうして出てきたわけである。
「いや〜、美弥呼ちゃんにも参っちゃうな〜」
あそこまで感情表現が豊かな子だったろうか。
……豊かな子だったなあ。小さい頃は直ぐ泣く怒る喜ぶな子だった。最近は大人びてなりを潜めていたおかげですっかり忘れてた。
懐からタバコを取り出す。口に咥え、火を……、
「っと〜。何するんですか先輩〜」
点ける前に、取り上げられた。
「病院内は全面禁煙です。どうしても吸いたかったら外でどうぞ」
「はいはい。判りましたよ〜」
そう言ってタバコを取り戻し、箱の中に戻す。
- 201 : 前社長(埼玉県)
:2007/04/08(日) 22:28:37.85 ID:8swAXqV+0
- そんな志津香の様子を呆れたように眺め、瑞穂は自分の分だけ買ってきたコーヒーを口に運んだ。
「相変わらずけちですね」
「あら、裕也君の服代全額出した私にそういうこと言う?」
「私に対してはいつもけっちぃじゃないですか。先輩に奢られた経験なんてそうないですよ?」
「志津香は甘やかすとすぐ怠けるからね」
恨みがましい目つきで己を睨む志津香に、瑞穂はきっぱりとそう返した。
「それで? どう?」
主語を省略した問いに、しかしさすがに志津香は間違えることも、ふざけることもしない。
「美弥呼ちゃんはいい子ですから。まあ裕也が女の子になっちゃったことにショック受けちゃうかもな〜って思ってたんですけど、意外にそんな気配もないですし」
そうだろうか、と瑞穂は思う。彼女から見て、美弥呼の爆発は裕也が男になったことへのショックも多分に含んでいるように感じた。
まあ、彼女自身、自分の気持ちを今でも正確に認識していないようだったが。そりゃあ、混乱して興奮もするだろう。
- 202 : 前社長(埼玉県)
:2007/04/08(日) 22:30:04.16 ID:8swAXqV+0
- その自分の分析は志津香には伝えない。瑞穂に言わせれば、このブラコンお姉ちゃんも十分恋愛音痴の一人である。伝えないほうが面白い。
「男女で親友って、ありえるのね」
「どうですかね〜? 気付かなかったけど、もしかしたらどっちでもいけるってタイプかも……いたぁ!」
ふざけることもしないという言葉を訂正、やっぱりふざけた志津香を軽く小突く。
だが、志津香という女性はおよそ外見というか、普段のなりからは想像も出来ないが、根本は真面目で、頭も悪くない。
そして、基本的に善人で、弟への愛情はとても深い。
その事をよく知っている瑞穂は、志津香のふざけた意味を正確に理解していた。
「もう心配はないって事?」
「――美弥呼ちゃんはいい子ですから」
先ほどの答えを繰り返した志津香に頷きを返し、もう一度、コーヒーを口に運ぶ。
あの少女は、瑞穂が知るTS症患者の中では、本当の意味での理解者がかなり多い方である。
瑞穂自身は見たことも受け持ったこともないが、家族にすら受け入れてもらえない例というのも、珍しくはないらしいのだ。
それを考えれば、このコーヒーほど彼女の前途は苦いものでもないのかもしれない。
そう瑞穂は思い、病室を振り返った。
既に、泣き声も怒鳴り声もやんでいるようだった。
- 203 : わさび栽培(愛知県) :2007/04/08(日)
22:49:55.56 ID:ab8sst/Q0
- 支援あげ
- 204 : キンキキッズ(神奈川県) :2007/04/08(日)
22:51:00.11 ID:7so393Fo0
- ってかさる?
- 205 : キンキキッズ(神奈川県) :2007/04/08(日)
22:53:55.87 ID:7so393Fo0
- よし、じゃあパパが投下しちゃうぞ。
- 206 :
キンキキッズ(神奈川県) :2007/04/08(日) 22:55:52.96 ID:7so393Fo0
- さてと、夕食も済んだことだし…………そう思っているとまた、
ピンポーン、と玄関のチャイムが鳴った。一体誰なんだ?
「はい、どちら様ですか?」
「智衣太…………えっと、智衣太、いますか?」
ドアを開けると、そこにいたのは大学の友達である大ちゃんだっ
た。
「なんだ、大ちゃんか」
「…………俺の名前知ってるの?」
「知ってるのって、そりゃあ……」
……しまった。ボク、今は女の子なんだった。
「君は、智衣太の妹さん?」
「は、はい。その…………智衣です。智衣って言います。で、です
ね。大ちゃんの名前のコトは、兄が"大ちゃん"って友達がいるって
よく話してたから、それで知ってたんです」
とりあえずそういうことにしておこう。うん。
- 207 : キンキキッズ(神奈川県)
:2007/04/08(日) 22:56:47.34 ID:7so393Fo0
- 「で、智衣太は?」
「えっと、その…………ゲーセンに行きました」
「ホント? 遊ぼうって約束してたんだけどなぁ……」
ゴメン、大ちゃん。すっかり忘れてて、今思い出したよ。
「じゃあ帰ってくるまで上がって待ってていいかな?」
「あ、いや、それは…………」
「ダメカナ?」
ダメダヨ♪って言いたいけどそういうワケにもいかないよなぁ。
…………よし、もうしょうがない。なるべくなら誰にも言いたくな
かったけど、大ちゃんには話しておこう。
「どうぞ、上がってください」
「お邪魔します」
- 208 : キンキキッズ(神奈川県)
:2007/04/08(日) 22:57:40.67 ID:7so393Fo0
- とりあえずベッドに腰掛ける。
「えっと、あのね……」
と、そう言いかけた時、天井が目に映った。…………うん、ワケ
が分からない。
「智衣ちゃんって、何歳? 多分中学生だと思うけどさ、俺のスト
ライクゾーンど真ん中なんだよね」
…………へ?
「暴れなければ手荒にはしないから」
これは、ひょっとするとひょっとして…………
「大丈夫、優しくしてあげるからさ……」
「んんんんっ!!?」
声が出せない。っていうか口がふさがれた。っていうか舌入って
る!ファーストキスなのに!!っていうかキスしないでよっ!!!
ちょっと落ち着こう、落ち着けないけど落ち着こう。今どうなって
るの? えっと、ボクは仰向けになってて、大ちゃんがキスしてき
てるってことは、大ちゃんはボクの上にいて…………大ピンチ?
- 209 : キンキキッズ(神奈川県)
:2007/04/08(日) 22:58:34.39 ID:7so393Fo0
- 神様仏様ゆりえ様、誰でもいいから助けて。SOS。男は狼でし
た。気をつけるべきでした。大ちゃんだけは大丈夫だなんてうっか
り信じてました。助けてえーりん!
犯されました。
- 210 : キンキキッズ(神奈川県)
:2007/04/08(日) 23:00:07.13 ID:7so393Fo0
- 今日はここまで。
最後はギャグのノリだったよね。
色々とヒドイよね。
先がまったく見えないけどガンバります!
- 211 : ネコ耳少女(dion軍) :2007/04/08(日)
23:03:07.56 ID:ytKdpI4S0
- 乙カレー ¥650
- 212 : 配管工(樺太) :2007/04/08(日)
23:05:50.12 ID:NDEyL4cKO
- GJ
- 213 : わさび栽培(愛知県) :2007/04/08(日)
23:05:59.14 ID:ab8sst/Q0
- 乙!
GJでした!
- 214 : 客室乗務員(広島県) :2007/04/08(日)
23:07:51.63 ID:r24qFzX50
- キンキキッズGJ!
- 215 : カエルの歌が♪(東京都) :2007/04/08(日)
23:10:31.01 ID:E3L2bEJp0
- サザンのトリビア
- 216 : みどりのおばさん(鹿児島県) :2007/04/08(日)
23:42:04.42 ID:61SsS+TJ0
- ★
- 217 : ボーイッシュな女の子(滋賀県)
:2007/04/08(日) 23:59:22.54 ID:y2Jy5MvB0
- さようならボーイッシュな女の子の俺
- 218 : 農業(樺太) :2007/04/09(月)
00:00:44.54 ID:yohEjYzlO
- 日付も変わったし投下しようかな
- 219 : 共産党幹部(愛知県) :2007/04/09(月)
00:04:47.44 ID:HuU15FFi0
- wktkwwktkw
- 220 : 農業(樺太) :2007/04/09(月)
00:10:05.18 ID:yohEjYzlO
- 「志津さん、それは話が飛躍しすぎているのでは?」
柳内さんが恐る恐る抗議する。
これについては私も同意。確かに飛躍しすぎだもん。
「飛躍しすぎですって?………そんなことはないと思います。透様は人として最低な行為をしたんです。ならば、その責任を取るのは道理ではないですか?」
「だからって何も結婚だなんて………ましてや私は男だったんですよ?」
「晶ちゃん、確かに貴方は男の子だったとお聞きしてはいます。でも今は女の子です。………透様のデタラメな魔法にかかったばかりに………」
そうだ!そもそも、人の性別を反転させる魔法なんて聞いた事がない。
「そういえば須川さんには説明がまだでしたね。僕の使った魔法について」
柳内さんの説明はこんな感じだった。
彼は1日に生産できる魔力が一般的な魔法使いの数千倍もあるため、普段は使う必要のない魔力(全体の八割くらい)を別次元ににある魔力のタンクにプールしているらしい。
しかし、その溜め込んだ魔力にも消費期限がある。それが今日『4月1日』なのだ。
期限日であるこの日に彼は15年程昔、遊び心からか
「エイプリルフールに自分の願望は現実になる」
という迷惑な魔法を構築してしまったらしい。
…魔法の域を越えているが。
「でも、だったら私を男に戻すことが出来るんじゃ?」
柳内さんは申し訳無さそうに
「残念ですが1年に一回しか使えないんです。一つの願いを叶えるにはタンクいっぱいの魔力が必要なので…」
私の質問に対する絶望的な答えをつきつけるのだった。
「とゆう訳で晶ちゃんは透様と婚約していただきます♪」
『だから何でそうなるんですか!』
またもや、私と柳内さんの叫びがシンクロしていた。
- 221 : 共産党幹部(愛知県) :2007/04/09(月)
00:22:20.62 ID:HuU15FFi0
- 乙っす!
- 222 : 農業(樺太) :2007/04/09(月)
00:34:27.71 ID:yohEjYzlO
- ―トゥルルルル!
その時、何故かタイミング良く携帯が鳴り響いた。
ディスプレイに表示された名前は
『霧咲弦吾郎』
私の母方のおじいちゃんだった。
「あきら!部活の先生からまだ来ていないと電話があったのだが何処で何をやっておる!」
うわぁ…。おじいちゃん怒ってるよ。
…って言っても今の私が喋るわけにはいかないしどうしよう?
なんて思っていると天川さんが私の手から携帯を取り
「初めまして。私、天川志津と申します。晶ちゃんの事ですが………ええ………今はこちらに居ります。………ええ………おいでになるのですか?………はい………分かりました」
あっという間に話をつけてしまった。
…っておじいちゃんがここに来るって言ってなかった?
「天川さん、おじいちゃんは何て?」
「ええ、今からこちらに来られると………」
言い終わる前に目の前の空間がグニャリと歪み、その中から
「こりゃ!あきら、何かあったら連絡を寄越せといつも言っておろうが!」
威勢のいい声と共にゲンゴローが現れた。
「あんたが天川さんか?」
「はい」
「それであきらは何処におる?」
「あなたの目の前に居られるお嬢さんが晶ちゃんですわ」
ゲンゴローは私を見つめ、抱きしめ、匂いを嗅ぎ
「確かにあきらの様じゃな。姿が変わっても魔力は変わっとらん」
私が私であることを確信したらしい。
「で、あきらをこんな姿にした奴は何処におる。ん?」
私と天川さんが部屋の隅にいる柳内さんを指差す。
「お前か?…………ん、貴様………」
「ははははは…。お久しぶりです。まさか須川さんのお祖父さんが師匠だったとは………」
え?何?二人って知り合いなの?
- 223 : 農業(樺太) :2007/04/09(月)
00:35:30.97 ID:yohEjYzlO
- 投下終わります。
次は新スレでの投下になりそうですね
- 224 : 共産党幹部(愛知県) :2007/04/09(月)
01:06:10.31 ID:HuU15FFi0
- こんどこそ乙です!
- 225 : 農業(樺太) :2007/04/09(月)
01:17:02.12 ID:yohEjYzlO
- 寝る前の保守
- 226 : 電話番(京都府) :2007/04/09(月)
01:17:55.50 ID:TaQ7fycz0
- mixiなんて始めるんじゃなかった
日記書いてると新ジャンルスレ巡りする時間がなくて困る
- 227 : ゆかりん(鹿児島県) :2007/04/09(月)
01:39:35.69 ID:8eM3B1aB0
- ★
- 228 : 講師(樺太) :2007/04/09(月)
02:47:36.59 ID:ktMPWkD+O
- ほし
- 229 : エヴァーズマン(広島県) :2007/04/09(月)
03:47:08.70 ID:KTZ835MR0
- 保守
- 230 : 声優(コネチカット州) :2007/04/09(月)
05:12:34.22 ID:CLmND6sEO
- ほ
- 231 : 代走(コネチカット州) :2007/04/09(月)
07:08:47.54 ID:CLmND6sEO
- 保守
- 232 : 留学生(樺太) :2007/04/09(月)
08:52:58.13 ID:mDaotfG6O
- あぶない保守
- 233 : 留学生(樺太) :2007/04/09(月)
10:07:01.96 ID:l5hjzd77O
- 寝坊保守
- 234 : パーソナリティー(埼玉県) :2007/04/09(月)
10:16:28.25 ID:oU+VW13N0
- ほっしゅ
- 235 : 割れ厨(コネチカット州) :2007/04/09(月)
10:52:12.99 ID:ZK6/8/DRO
- 誰も居ない保守
- 236 : 割れ厨(コネチカット州) :2007/04/09(月)
11:20:35.54 ID:t5mRJ38jO
- 久しぶりに来た保守
- 237 : 農業(樺太) :2007/04/09(月)
12:23:56.24 ID:yohEjYzlO
- とりあえず保守
- 238 : 共産党幹部(愛知県) :2007/04/09(月)
13:27:06.20 ID:HuU15FFi0
- そして保守
XXX
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