←前へ 次へ→ 『十法界明因果抄』
(★213n)
鬼神・金剛神・畜生乃至変化人にもあれ、但法師の語を解するは尽く戒を受得すれば皆第一清浄の者と名づく」文。此の中に於て二乗無きなり。方等部の結経たる瓔珞経にも亦二乗無し。
問うて云はく、二乗所持の不殺生戒と菩薩所持の不殺生戒と差別如何。答へて云はく、所持の戒の名は同じと雖も、持する様並びに心念永く異なるなり。故に戒の功徳も亦浅深有り。
問うて云はく、異なる様如何。答へて云はく、二乗の不殺生戒は永く六道に還らんと思はず、故に化導の心無し。亦仏菩薩と成らんと思はず、但灰身滅智の思ひを成すなり。
平成新編御書 ―213n―