「タイトル」
裁判の傍聴という修羅場をともにくぐり抜けた我々は、"大切なナニか"を取りもどすことができました。
これで、ゲーム制作に入る準備はカンペキです。
デザイナーはキャラクターの試行錯誤、プログラマーは基本的なシステム作り。
ぼくが最初にやったのは"タイトル案出し"でした。
これがバシッと決まれば、"○○チームの巧です"と自己紹介も可能になり、よりチームの結束が固まるはず。
当時、主人公の名前が"爽果(そうか)なるほど"だったので、
とりあえず「なるほどくんの〜」シリーズをいくつか考えました。
『なるほどくんの 絶叫裁判』
『なるほどくんの 弁護道断!』
『なるほどくんの 出るトコ出ようか!』
『よかったね なるほどくん』‥‥など。
‥‥このシリーズの中に"逆転法廷"というのもありましたが、
当時はあまり注目されませんでした。
これではあまりにフツーなので、次はちょっと、文学的なアプローチです。
『美しき判決』
『琥珀色の証言』
『君の瞳に異議あり』
『ハムスターを育てよう』‥‥など。
‥‥アキラカに社交辞令のタイトルが1ケ、見受けられますね。
文学的なアプローチは、なんか全体的に微妙なイヤらしさが漂っていて、
あまりウケがよろしくなかった。そこで最後に、インパクト一発勝負のタイトルを考えてみました。
『サバイバン(SURVIBAN)』
『べんご3兄弟』
『潔白ブギ』
『BINGO BENGO』‥‥など。
『サバイバン』
これが、このゲームの最初のタイトルです。
‥‥チームで発表したとき、一番ウケがよかったので決めました。
それから半年ぐらいは「サバイバンチームでーす」と名乗っていたのですが‥‥。
いつごろからか、
「なんか、変身しそう」
「宇宙刑事みたいッス」
などの声が聞かれるようになり、ついにプロデューサーから、
「意味がわからん」
と、至極もっともな意見が出されて、立ち消えてしまいました。
‥‥でも、半年間の呪縛はなかなかのモノで、このゲームはある種、ぼくの中では今でも『サバイバン』だったりします。