THE RED THIRTEEN (ビリーがした うろ覚えの話) 超かっこいい冒険者ビリーが、星屑の欠片亭に降り立つ数ヶ月前。 レーゼルドーン大陸、エイギア地方、某所。赤の13傭兵団が防衛 していたのは、大きな城門を持つ、最前線の谷底の砦だった。月の 隠れる晩、ここに数千の蛮族が押し寄せてきていた。 ゴォオォォオオ・・・・ 「うーん、うーん・・・」モジモジ 「い、いいか、絶対開けるなよ?!  だって しょうがないじゃないか!  あ、あんなのが来たら――増援が来るまで保たせないと、  俺たちはひとたまりもないぞ!」 「ビル、ごめんちょっとトイレ」 テケテケ 「!!ちょ、馬鹿やめろーーちょっとまってええええーーー?!」        ガシャ・・・ン・・・ッ ズドドドドッドドドドッドドオドドドドドドドドドドドドドドオー ズガバキドシャンッッグワラララアアズズドドドドドーーー・・・ 「ごめんビル」 「げぼ・・・ぶぁ、だぁがら言ったのに・・・この、蛮族の犬め・・  ひ、ひひ、逃げた仲間にも散々言いふらしておいたからな!  全部お前のせいだって・・・ひゃ、ひゃははははあh」 「めんぼくしだいもございません」 「・・・くそ、呪われろナッシュ!――貴様は永遠に裏切り者だ・・  お前が門を開けなければ俺はまだ生きていたかも知れないのに  お前が開けなければオマエが門を開けなけれ・・・ヴぁ」・・・ ・・・ボキュッ・・・ぶしゃ 「・・・・あっちゃーー・・・」 やっちゃったー 破裂した後も、首は暫くゴボゴボとしゃべり続けた。その傍らで、 暫くボケッと動かなかった男は、やってきた禿鷹をおいしく頂き、 そのままてふてふと歩き始める。 そして2度と谷に戻ることはなかった。  それから俺は、ビリーと名乗っている。  果たしてアレさえなければ、増援まで保ったのか? 分からないが、  ビルは全部俺のせいだと言っていた。    まあ、しごくごもっともだと思う。    俺には、百人余りの仲間の死に、かなりの責任があるし、その奥さん  や子供を、不幸のズンドコに突き落として路頭に迷わせたんじゃない  かと思う。    正体を見破った関係者に刺されるのが先か、ビルの呪いが届くのが先  かは分からない。けれど、まあその時はその時。やることやっちゃっ  たワケだから、なるよーにしかならないってのは気が楽なことだった。      うん、こんどはしっぱいしないようにしよう・・・ 「――ぶえっくしょい!! うー、ちょっち風が出てきたな」ずずー ルキスラの空に星が流れる。 夜明けはまだ、遠かった。                           (おわり)