DQ・FF連盟、バトロワ参戦!! PART2

1 :名前が無い@ただの名無しのようだ :02/10/22 08:05 ID:xyL919vP

━━━━━説明━━━━━
こちらはDQ・FF世界でバトルロワイアルが開催されたら?というテーマで、
主にsage進行で進められている、全員参加型リレー小説スレッドです。
全てのレスは、スレ冒頭にあるルールとここまでのストーリー上
破綻の無い展開である限りは、原則として受け入れられます。
レス内容に「ものいい」のレスが付けば、当該レス者同士を含めての雑談スレへの移動となり、
判定が行われます。ストーリー以外のレスは雑談スレで行われます。
前スレ DQ・FF連盟、バトロワ参戦!!
http://game2.2ch.net/test/read.cgi/ff/1030688114/
FFDQバトルロワイアル感想・雑談・討論用スレ
http://game2.2ch.net/test/read.cgi/ff/1032538880/

説明は>>2-10…に収めたい。

2 :名前が無い@ただの名無しのようだ :02/10/22 08:06 ID:i3hM/6xf
新井最高

3 :名前が無い@ただの名無しのようだ :02/10/22 08:06 ID:???
+基本ルール+
・参加者全員に、最後の一人になるまで殺し合いをしてもらう。
・参加者全員には、<ザック><地図・方位磁針><食料・水><着火器具・携帯ランタン>が支給される。
 また、ランダムで選ばれた<武器>が1つ、渡される。
 <ザック>は特殊なモノで、人間以外ならどんな大きなものでも入れることが出来る(FFUのポシェポケみたいなものです)
・最後の生存者のみが、安全に帰宅することができる。
・日没&日の出の一日二回に、それまでの死亡者が発表される。

+首輪関連+
・参加者には生存判定用のセンサーがついた『首輪』が付けられる。
 この首輪には爆弾が内蔵されており、着用者が禁止された行動を取る、
 または運営者が遠隔操作型の手動起爆装置を押すことで爆破される。
・24時間以内に死亡者が一人も出なかった場合、全員の首輪が爆発する。
・日没時に発表される『禁止技』を使ってしまうと、爆発する。
・日の出時に現れる『階段』を二時間以内に降りなかった場合も、爆発する。

+魔法・技に関して+
・初期で禁止されている魔法・特技は以下の通り↓
「レイズ」「アレイズ」「リレイズ」「フェニックス(転生の炎)」
「ザオラル」「ザオリク」「ザオリーマ」「メガザル」「メガザルダンス」「精霊の歌」その他、復活系の魔法・特技
・全体攻撃の範囲は「攻撃側から見えていて、なおかつ敵と判断した相手全て」。


4 :名前が無い@ただの名無しのようだ :02/10/22 08:07 ID:???
※現在の禁止技:
 復活系の魔法・特技。
 ルーラ、バシルーラ、テレポなどの転移呪文・魔法。および、リターン、デジョン。

+戦場となる舞台について+
このバトルロワイヤルの舞台は日毎に変更される。
毎日日の出時になると、参加者を新たなる舞台へと移動させるための『旅の扉』が現れる。
旅の扉は複数現れ、その出現場所はランダムになっている。
旅の扉が出現してから2時間以内に次の舞台へと移らないと、首輪が爆発して死に至る。

現在の舞台はアリアハン→FF6帝国領への移り変わりの時期。


5 :名前が無い@ただの名無しのようだ :02/10/22 08:07 ID:???
━━━━━お願い━━━━━
※一旦死亡確認表示のなされた死者の復活は認めません。
※新参加者の追加は一切認めません。
※書き込みされる方はCTRL+F(Macならコマンド+F)などで検索し話の前後で混乱がないように配慮してください。
※参加者の死亡があればレス末に、【死亡確認】の表示を行ってください。
※又、武器等の所持アイテム、編成変更、現在位置の表示も極力行ってください。
※人物死亡等の場合アイテムは、基本的にその場に放置となります。
※本スレはレス数500KBを超えると書き込みできなります故。注意してください。
※その他詳細は、雑談スレでの判定で決定されていきます。
※放送を行う際は、雑談スレで宣言してから行うよう、お願いします。
※最低限のマナーは守るようお願いします。マナーは雑談スレでの内容により決定されていきます

6 :スラリソ ◆5VrxCs/8kA :02/10/22 11:50 ID:???
生存者リスト
【ガライ 装備品 銀の竪琴(破損、ただし弦を張り替えれば使用可)  現在位置 新フィールドへ 行動方針 特になし】
【ホイミン 装備品 大地のハンマー(装備不能) 現在位置 新フィールドへ 行動方針 特になし】
【グレーテ 瀕死 腹部に怪我 足を負傷 右腕に火傷) 所持武器:裁きの杖 現在位置:旅の扉で移動中 行動方針:逃げる】
【アモス/ファリス/ロック 
 所持武器:妖剣かまいたち 水・1,5リットル/食料3ヶ月分&毒薬 水1,5リットル×2 吹雪の剣/クイックシルバー フィアーの書×7
 現在位置:旅の扉で移動中
 行動方針:レナの捜索】
【アリーナ/ギルバート/リディア
 所持武器:イオの書×4 リフレクトリング/なし/なし
 現在位置:移動中
 行動方針:不明】
【ソロ 装備品 スーツケース核爆弾 現在位置 新フィールドへ 行動方針 デスピサロを倒す】
【ティファ 装備品 無し 現在位置 西部山脈南部 行動方針 クラウドたちを探す】
【ティーダ/アルス:生存。落ち込み気味。 所持アイテム:いかづちの杖/鋼の剣 行動方針:新フィールドへ。ゾーマを倒す(ゲームを中止する)】


7 :スラリソ ◆5VrxCs/8kA :02/10/22 11:51 ID:???
【デスピサロ:生存 所持アイテム:正義のそろばん、『光の玉』について書かれた本 行動方針:新フィールドへ。所持している本を手がかりに進化の秘宝を求める】
【バーバラ/レナ:シーフ 所持武器:果物ナイフ/メイジマッシャー 現在位置:旅の扉で移動中 行動方針:仲間の捜索/ファリスの捜索】
【サマンサ 所持武器:勲章(重装備可能) 現在位置:旅の扉で移動中 行動方針:アモスの「変身」の謎を知りたい】
【バッツ:魔法剣士 白魔法/王子クーパー/王女アニー/パパス
 所持武器:ブレイブブレイド/天空の盾、マンゴーシュ/なし/アイスブランド
 現在位置:新フィールドへ
 行動方針:非好戦的だが、自衛はする。レナとファリスを探す。最終的にはゲームを抜ける/両親探し/両親探し/子供達の安全確保と両親さがし。最終的にはゲームを抜ける。】】
(パパスは遅れて扉に入ったため、はぐれる可能性もあります。)

【エビルプリースト 所持武器:危ない水着 現在位置:新フィールドへ 行動方針:天空の勇者(ソロ・クーパー)の始末。好戦的】
【エアリス:所持武器:無し 現在位置:新フィールドへ 行動方針:不明】

【セフィロス:所持武器:日本刀・正宗・へんげの杖 現在位置:移動中 行動方針:全員殺す】
【ギルガメッシュ 所持武器:エクスカリパー 現在位置:移動中 行動方針:移動中につき不明】
【カイン:所持武器:ビーナスゴスペル&マテリア(回復) 現在位置:移動中 行動方針:移動中につき不明】
【アーロン&リュック:所持武器:鋼の剣&無し 現在位置:移動中 行動方針:移動中につき不明】
(セフィロス カイン リュック アーロン ギルガメッシュ 生きていれば新フィールドへ ただし1人は下半身全損)


8 :スラリソ ◆5VrxCs/8kA :02/10/22 11:51 ID:???
【クラウド 所持武器:ガンブレード 現在位置:新フィールドへ 行動方針:不明】
【リノア 所持武器:妖精のロッド・月の扇/ドロー:アルテマ×1 現在位置:新フィールドへ 行動方針:スコールに会う】
【セリス 所持武器:ロトの剣 現在位置:新フィールドへ 行動方針:不明】
【アーサー 所持武器:ひのきの棒 現在位置:新フィールドへ 行動方針:不明】
【デッシュ 所持道具:ミネアの首輪 現在位置:次の世界 行動方針:エドガーと合流と首輪の解除】
【セーラ 装備品 癒しの杖 ブレイズガン 現在位置 新フィールドへ 行動方針 レオンハルトを探す】
【ハーゴン/マゴット 武器;グロック17、グレネード複数、ムーンの首、首輪×4/死神の鎌 場所;移動中 行動方針;ゲームから脱出/仲間との合流ゲームの脱出】
【ゼニス 所持武器:? 現在位置:旅の扉内 行動方針:物見遊山】
【エドガー 現在位置:新フィールドへ 武器:ボウガン&天空の鎧(装備不可) 行動方針:魔法使い、デッシュを探し首輪を解除する】
【リバスト 所持武器:まどろみの剣 現在位置:新フィールドへ 行動方針:互いが合意の上で、剣による戦いを行う】
【アイラ 所持武器:チェス板、駒 現在位置:旅の扉内部 行動方針:マリベルの捜索】
【テリー 所持武器:チキンナイフ 現在位置:新フィールドへ 行動方針:謎の剣士の敵を取る】
【ティナ 所持武器:エンハンスソード、プラチナソード 現在位置:新フィールドへ 行動方針:仲間を探す 備考:テリーに殺されるのならばかまわない】
【セシル 所持武器:暗黒騎士の鎧 ブラッドソード 源氏の兜 リフレクトリング 現在位置:新フィールドへ 行動方針:皆殺し(ハーゴンorエドガーを最優先ただし遭遇すれば他のキャラでも殺す)】
(セシルはエドガー、ハーゴンを殺せば新たな力を得るということをエビルマージと契約済み)
【ラムザ ジョブ:忍者 スキル:白魔法 装備武器:天空の剣 対人レミラーマの杖 現在位置:次の世界 行動方針:アグリアスを探す】
【ヘンリー 所持武器:ミスリルアクス 現在位置:新フィールドへ 行動方針:皆殺し】


9 :スラリソ ◆5VrxCs/8kA :02/10/22 11:52 ID:???
【ジタン、フライヤ 所持武器:仕込み杖、エストック 現在位置:新フィールドへ 行動方針:ヘンリーを追う】
【ピエール/マリベル/ビビ/フローラ(右腕喪失) 所持武器:珊瑚の剣/エルフィンボウ/ギサールの笛/爆弾岩×10 現在位置:新フィールドへ
 行動方針:とりあえず状況説明・とんぬらを探す】
【ラグナ 所持武器:? 現在位置:旅の扉内部 行動方針:スコールの捜索】
【エリア:生存 所持武器:ミスリルナイフ 現在位置:新フィールドへ 行動方針:現状の打開】
【イリーナ 所持武器:銀玉鉄砲(おもちゃ) 現在位置:新フィールドへ 行動方針:弱そうなヤツを脅して武器を奪う】
【ティファ 所持武器:ボムのかけら×5 現在位置:新フィールドへ 行動方針:クラウドを探す】
【オルテガ 所持武器 水鉄砲 グレートソード 覆面 行動方針 新フィールドへ アルスの存在を確認する 確認したら合流する】
【導士 所持武器:天罰の杖、黄金の腕輪(進化の秘宝) 現在位置:新フィールドへ 行動方針:なるべく動かない。戦闘は避ける】
【ケフカ 所持武器:弓と毒矢(49本)と解毒剤 現在位置:新フィールドへ 行動方針:施設の整ったところで首輪を複製。】
【ザックス 武器:バスターソード 現在位置:新フィールドへ 行動方針:非的好戦的、女性にはやさしく。
【モニカ 所持武器:ブロードソード 現在位置:旅の扉内 行動方針:グレーテを探す 少しパニックは収まってきている】
【ゼル 所持武器:イオの書×3 現在位置:新フィールドへ 行動方針:スコール達を探す】
【ピピン/エーコ 所持武器:大鋏 現在位置:新フィールドへ 行動方針:ジタンを探す、できれば他の仲間にも会う】

10 :スラリソ ◆5VrxCs/8kA :02/10/22 12:02 ID:???
【ホンダラ 所持武器:加速装置(作動中) 現在位置:旅の扉 行動方針:敵から逃げ回る】

【トーマス 所持品:鉄の爪 薬草×10 トム爺さんの分の食料 手紙 碁石(たくさん) 現在位置:東部民家より旅の扉へ 行動方針:生き残る】
【ホフマン/メルビン/ライアン/ルーキー/ガウ 現在位置:ワープ中
 所持武器 ギガスマッシャー/虎殺しの槍/?/ブーメラン/なし
 行動方針 とりあえずクイナをさがす
【クイナ 現在位置 旅の扉を物凄い勢いで落下中 行動方針 スライムをたべる 】
(クイナははぐれる可能性あり。)
【アグリアス ジョブ:ホーリーナイト スキル:時魔法 装備武器:スリングショット 現在位置:新しい世界へ 行動方針:剣の確保とゲームにのる】
【ラファ ジョブ:天道士 アビリティ:黒魔法 所持武器:鉄扇 モーニングスター なべのふた 現在位置:移動中 行動方針:ラムザとの合流】
【とんぬら(DQ5主人公) 所持品:なし 現在位置:新フィールドへ 行動方針:パパスに会う】
【スコール 所持品:氷の刃 現在位置:新フィールドへ 行動方針:人形状態? ?→とんぬら】
【エッジ 所持武器:忍者ロング 現在位置:移動中 行動方針:リディアの保護】
【フラットレイ 所持武器:ダイヤソード 現在位置:新フィールドへ 行動方針:どこかに隠れる】
【ベアトリクス 所持品:なし 現在位置:いざないの洞窟側の森 行動方針:放心状態。左腕が潰れている】

(新フィールドに、エドガーのここまでの研究結果を記したメモが十枚、ばらまかれました。)


11 :スラリソ ◆5VrxCs/8kA :02/10/22 12:14 ID:???
FF6帝国領マップ情報

http://ime.nu/ff6.guide.free.fr/cartes/map-Balance.jpg
ここを参照のほど。南部の島です。
NO21アルブルクの町
NO22ツェンの町(付近の森にチョコボ屋)
NO23マランダの町(付近の森にチョコボ屋)
NO24帝国首都ベクタ(魔導工場・魔導研究所)
NO25封魔壁
NO26封魔壁監視所


12 :スラリソ ◆5VrxCs/8kA :02/10/22 12:19 ID:???
直リンスマン…
FF6帝国領マップ情報

ttp://ff6.guide.free.fr/cartes/map-Balance.jpg
ここを参照のほど。南部の北海道の形に似た島です。
NO21アルブルクの町
NO22ツェンの町(付近の森にチョコボ屋)
NO23マランダの町(付近の森にチョコボ屋)
NO24帝国首都ベクタ(魔導工場・魔導研究所)
NO25封魔壁
NO26封魔壁監視所

これらが次回の舞台となる帝国領の村町情報です。

13 :ゾーマ ◆RwZOMA/dbM :02/10/22 14:23 ID:???
帝国領最東部に聳える、荘厳且つ幽玄な丘陵。
その峰々の隙間からほど走る陽光を浴び、巨大な鉄の城は黄金に輝く。
鉄の城の壁面からは、数多くのパイプやら煙突の様なものが突き出ており、
その全てが白煙を吐き続け、幾千もの白線が暁の空へと立ち昇って行く。
至る所から断続的に聞こえてくる金属音は、
主を失い、永遠のルーチンを強いられた機械達の悲鳴のようで……。

ガストラ帝国――機械に支配された、鋼鉄の世界。

アルスとティーダは、鉄の城の頂に設置された双頭クレーンの間に座り、
眼下に広がる鉄と石で構成された街を見下ろしていた。
朝焼けに染まるそのパノラマは、
アルスにとって「機械」という未知なる存在が蔓延する未来文明であり、
一方、ティーダにとっては、博物館でしか見たことが無いような、
旧式で無骨な機材が所狭しと立ち並ぶ、古代文明とも言えるものであった。

勇者は微動だにせず、最も高い場所から街を俯瞰する。
彼の炯眼は、如何に小規模の戦闘であろうと見逃さないであろう。

この状況故の焦燥から生まれた戦闘であれば、説得し、止めさせる。
この状況故の愉悦から生まれた戦闘であれば、大魔王さえも打ち倒した力をもって、裁く。

勇者ロトの正義は、どんな世界に於いても、決して変わる事は無い。

【アルス/ティーダ
 所有アイテム:鋼の剣/いかづちの杖
 現在位置:魔導研究所(?)の頂、双頭クレーンの場所
 行動方針:帝国首都内での戦闘を発見し次第駆けつける/
 PKK(プレイヤーキラーキラー)/最終的にはゲームを覆す】

14 :1/2 :02/10/22 15:11 ID:???
あのターバンの男は無事だっただろうか?
ベアトリクスは、いざないの洞窟の近くに座り込んだままそんな事を考えた。
今は物言わぬ屍でしかないガーネットを胸に抱いて。

ベアトリクスは見ていた。真っ赤に染まった剣を持った少年が、いざないの洞窟に入っていくのを。
あの中には、ターバンの男が居たはずだ。まあ、とっくに次の舞台へ移動したとおもうが。

「っ…!」
何気なく身をよじった拍子に、つぶれた左腕がずきりと痛む。
ふふ、と、ベアトリクスの眼帯に隠されていない方が笑みの形を作った。
もう少しの辛抱だ。もう少し痛みに耐えれば、ガーネット様の元に…。

気がつけば、視界がぶれていた。震えている?いや、地面が揺れている。地震だ。
同時に、首輪がうぉんうぉんとうなり声を上げ出す。
ベアトリクスには、それが福音に聞こえた。天使が自分をガーネットの下に連れて行ってくれると、思った。

15 :1/2 :02/10/22 15:13 ID:???
ふと海の向こうを見れば、海が崩れ去っていた。
まるで鏡を割るかのように、穏やかな海面をたたえたまま、ばらばらになって無限の闇に落下していく。
それを確認した瞬間、首輪は唸る事を止めた。
(ガーネット様…!)
目を瞑り、ガーネットを強く抱きしめる。

ぼん、と、どこか遠くで音がした。同時に抱いたガーネットの感覚が消失し、頬が風を切る感触がそれに変わる。
だが、それも一瞬の事。どんっと言う衝撃を頭に喰らって、ベアトリクスは目を開けた。と言うよりは、衝撃で勝手に開いた。
首のない自分が、ガーネットを抱いている…。
その光景を網膜に焼き付けたまま、吹き飛んだベアトリクスの首はその一切の思考と生体機能を停止した。


崩壊は、あっさりとしていた。
空高くから見れば、それは大陸を映しだした鏡が割れていく様に見えただろう。
至極あっさりと、数々の死を貪欲に飲み込んだ大陸は消えた。

【ベアトリクス:死亡】
【アリアハン大陸:消失】

16 :名前が無い@ただの名無しのようだ :02/10/22 16:01 ID:???
空間が裂け、一組のパーティが姿を現す。
どうやらはぐれたものはいないようだ。
辺りを見回す。主なき工場は今も動き続けている。
「ここは魔導工場のようだな。」
「知っているのか?」
リーダーはアモス。そして側にいるのはファリスとロック。
「ああ、どうやら現在の舞台は俺がよく知っている舞台だぜ、アモッさん。」
「それは心強いな。…俺には何がなんだかよくわからん。」
アモスは頭をかく。ファリスがはははと笑う。
「とにかくどうするんだ。アモス。」
「役立つものはないか探してみようか。」
アモスは辺りを見回す。クレーンにベルトコンベア、エレベータに目の前にある、プロトアーマー。
アモスの目にはどれも新鮮なものに見えた。
「ああ、アモッさん、そのプロトアーマーは動かないぜ。動力部がはずされている。」
背後からロックの声が聞こえる。
「俺の知り合いのエドガーなら動力部を作ることはできると思うが…俺には無理だぜ。」
「それは残念。…そっちは何か見つかったか?」
「…正直、何が有用で何がそうでないかがよくわからない。修理器具らしいものしか見つからないな。」
ファリスは頭を振る。正直参っているようだ。
「先にメシにしないか?腹が減ってきた。」
「そうだな。…アモッさん!何やってんだ?」
「このプロトアーマーとやらの装甲をはがしてみる。何かに使えそうだからな。先に飯食っててくれ。」
そういってそこのプロトアーマーから無理やり装甲をはがし始めた。
ロックたちは先に食事をとることにした。

【アモス/ファリス/ロック 
 所持武器:妖剣かまいたち 水・1,5リットル/食料3ヶ月分&毒薬 水1,5リットル×2 吹雪の剣/クイックシルバー フィアーの書×7
 現在位置:魔導工場
 行動方針:食事 レナの捜索 アモスはプロトアーマーの装甲をはいで何かを作成中】


17 :1/3 :02/10/22 16:17 ID:???
「クーパー!アニー!絶対に離れるなよ!」
破壊的なうねりの中、クーパーとアニーを小脇に抱いたままバッツは叫んだ。
あの魔道士をまいて、旅の扉に飛び込んだとたんこれだ。
外からの魔力が旅の扉に影響し、まるで嵐の中に放り込まれたようだ。
嘔吐感を堪えつつ、バッツは目を見開く。
自分の手元も見えない蒼の奔流の中、遠くに紅い光が見えた。
(出口…?)
そう思った瞬間には、乱暴に旅の扉の異空間から乱暴にはき出された。

「どわっ!」
乱暴に固い地面に放り出されて、バッツはそれでも何とか受け身を取って立ち上がって…。
「うわっ!」「ぐぇっ!」
そのとたん、後ろの空間からクーパーがはき出されてきて、バッツは地面にものすごい勢いでキスをした。
「きゃあ!」「ごぶっ!」「どあ゛っ!」
悪い事は重なる物。続けてはき出されたアニーのおしりをまともに喰らって、クーパーとバッツは情けない悲鳴を上げた。
「ご、ごめんなさい…。」
顔を赤らめながら、アニーがそそくさとクーパーの上から退く。
クーパーも同じように立ち上がり、地面と熱い抱擁を交わしていたバッツもようやく立ち上がった。
「二人とも…怪我無いか?」
少々痛む頭を押さえながら、バッツは双子に聞いた。双子は揃って首を横に振る。
やれやれ、あれだけやって3人とも怪我がないとは、よほど悪運が強いと見える…。

18 :2/3 :02/10/22 16:19 ID:???
(…3人?)
自分たちはたしか、自分とクーパーとアニーと…。
「…パパスおじさまが、いない…。」
アニーが小さく呟いた。そうだ、あの、頼りになる男がいない。
そう口に出したとたん、アニーは青くなって震えだした。クーパーも、びくっとなって辺りを見回す。
バッツも、一瞬戸惑った。心の中で。
だけどすぐに、頭の隅の方の冷静な部分が囁いてくる。
こんな時、パパスならどうした?あるいは、父ドルガンであったなら…。

「…大丈夫だ。」
しばしの沈黙の後、バッツは確信を込めてそう言った。
「パパスさんが死ぬはず無い。最後まで行けば逢える。パパスさんとも。二人の親とも。」
レナとファリスとも…逢える。最後まで、ゾーマの前まで行けば。その過程で、絶対に。
双子が、未だ不安げにこちらを見返してくる。バッツは、力強く頷いた。
「うん…そうだよね!」
「パパスおじさまも…お父様もお母様も…生きてるよね…。きっと。」
クーパーは得意の空元気を発揮して、アニーはバッツの言葉と気持ちを冷静に判断して、頷いた。
もう、不必要なまでに怯えては居なかった。

「さて…ここは何処かな?」
何となく気恥ずかしくなって、バッツは頭をかきながら辺りを見渡した。
狭い部屋だった。3メートル四方くらいの空間に、槍やら剣やらの武器が散らばっている。武器庫のようだが。
「いい所に飛ばされたかもな…。」
そう呟きながら、バッツは壁に掛かった盾に手を伸ばした。

19 :3/3 :02/10/22 16:23 ID:???
ポロッ…。
バッツが手を触れたとたん、立派なこしらえの盾は真っ黒な炭の塊になって砕け散った。
「…。」
今度は横にある鎧に手を伸ばしてみた。同じく炭のようになってボロボロと崩れていく。
「…こんな出来損ない、飾っとくなよ…。」
ぼやきながら、今度は壁にある槍と剣を見て…
ボロボロボロボロッ…。
今度は、手を伸ばそうとする直前に崩れ落ちる。
…何となく、あのゾーマとか言うヤツにからかわれている気がする。
「…つまり、これは全部使えないってわけだ。」
いわば、背景なのだろう。この武器の山は。
バッツは舌打ちしながら、部屋の隅のドアの方に向かった。こんな張りぼてだらけの部屋に用はない…。
「あったー!バッツ兄ちゃん!使える武器があったよ!」
その、クーパーの明るい声にバッツが振り返った。見れば、クーパーの幼い手に大量生産品のロングソードが握られている。
バッツはそれを見ながら壁に掛かった剣に手を伸ばしてみた。やはり触れる前にボロボロに崩れ、炭の塊に変わる。
「やっぱりからかってやがるな…。」
ゾーマへの対抗意識をもう一段階ランクアップさせながら、バッツは扉を押し開いた。なるべく慎重に。

【バッツ:魔法剣士 白魔法/王子クーパー/王女アニー
 所持武器:ブレイブブレイド/天空の盾、ロングソード/マンゴージュ
 現在位置:封魔壁管視所武器庫
 行動方針:非好戦的だが、自衛はする。レナとファリスを探す。最終的にはゲームを抜ける/両親探し/両親探し】


20 :1/2 :02/10/22 18:49 ID:???
痛い・・・・・闇の中少女は自分の全身を襲う痛みに悶えていた
特に脇腹と背中が痛い、まるでそこにだけ力が集中しているようだ
と、その時、肉が弾け脇腹と背中から何かがずるりと生えてくる・・・・脇腹からは足が
足といっても人間の足ではない蜘蛛の足だ、さらに背中からは巨大な蝙蝠の翼が覗いている

「あ・・・・あたし・・あたし」
少女は自分の身体の変化に恐怖の喘ぎをもらす
痛みは未だに続いていたが、それよりも身体が熱いまるで溶けてしまいそうだ
見ると自分の両腕が溶けて、鉤爪状のものへと形が変わっていきつつある
さらにその腹も溶けて、蟲としか形容できないおぞましい生物のそれへと姿を変えて行く
そのとき不意に闇が開ける、そこに立っていたのは------自分
おぞましい蟲の身体に自分の顔が乗っているのを見て、少女---リュックは悲鳴をあげた。
そしてまた暗転、おそるおそる瞳を開くと、そこは草原だった。
「あれ?」
リュックは不思議そうに周囲を見渡す、先程のあれは何だったんだろうか?

私・・・たしかあの男に斬られて・・・・・でもなんか大丈夫みたいだし
それに何だかいつもより身体が軽いや
そういえばなんだか嫌な夢を見てたようだけど、思い出せない、なんだろ?まぁいいや
アーロンとはどうやらはぐれてしまったようだ、それにティーダも探さないと
リュックは少しだけ自分の状況を怪しんでみたが、やがてそんなことは忘れて平原の中へと
消えていった。

それを密かに見送る影がある、エビルマージだ
彼が下半身をセフィロスに寸断され、虫の息だったリュックを施術によって回復させたのだ
だが、どうして?

21 :2/2 :02/10/22 18:49 ID:???
彼の長年の研究である、あらゆる魔物の長所を集め究極の魔物を生み出す-----
それは魔王バラモスの骸とアルテマウェポンを基本ベースとすることでほぼ完成の域に近づいていた。
だが、それでも今のところそいつは培養槽の中で蠢く肉塊でしかなかった
あまりにもハイブリッドが進みすぎた結果、肉体の異常進化・増殖を抑制する方法がなかったのである
それさえ解決すれば、精神のコントロール方法についてはすでにある程度の目処がたっているだけに
エビルマージの野望----------ゾーマを玉座から追い落とし、自らが新たなる大魔王として君臨する-------
ことも夢物語ではなくなるのだが・・・・・・・

そう、リュックに施した施術こそ
彼女の身体にそいつの肉体の一部を植えつけた事に他ならなかった。
その繁殖・復元力はわずかな時間で彼女の下半身を完全に復元した事でも充分に窺い知れる
果たしてその行きつく果てはいかなる事になるものか・・・・・・
まさにエビルマージにとってリュックは興味深い実験材料であった。

そして今まさに自分の肉体が少しずつ魔性の物へと変化しつつあることもしらず
リュックは元気に平原を駆けていた。

【リュック 装備 なし 現在位置 マランダの街北の平原 行動方針 仲間を探す】
(基本身体能力UP 超回復能力あり) 
 

22 :1/2 :02/10/22 18:54 ID:???
リュックの姿が完全に見えなくなってから、エビルマージはゆっくりと動き始める
その時だしぬけに水晶玉からゾーマの姿が写しだされる
『エビルマージよ、セシルの件といい、先程からなかなか面白いことをしているようだな』
エビルマージは平伏し答える
「はっ!少々動きが少ないと思いまして」

『それにあの小娘に殖え付けた例の物は、失敗作ではなかったのか?』
「あれは確かに失敗作ですが、人体実験がまだでした物で・・・・・」
『まあよい、それよりも先のフィールドにまだ1人残っているようだが、いらぬ手出しをする暇があるのならば
己の立場について考えて見るのもまた良いと思うが』
「はっ、ただちに始末の方、つけてまいります」
エビルマージの返答を聞いてから、水晶玉からゾーマの姿が消える
エビルマージは水晶玉を懐にしまうと、先程までの戦場だったアリアハンへと降り立っていく
上手くいったと覆面の下で笑いながら・・・・・・


23 :2/2 :02/10/22 18:55 ID:???

急速に崩壊していくアリアハンに降り立ったエビルマージは
ベアトリクスの始末をつけた後、大急ぎで岬の洞窟に向かう
そこにはあれがある・・・あれさえ手に入れれば我が野望は夢ではなくなる・・・・・・しかし

「ば、バカな・・・誰だ!誰が持ち去った!!」
岬の洞窟の奥深くで(おそらく異なる時空を流れに流れてそこに行きついたのであろう)
それの存在が確認されたとき、エビルマージは研究室の中で小躍りせんとばかりに喜んだものだ
例の魔物の肉体部分の制御はそこに安置されてあった腕輪に隠された進化の秘宝を解析し使用することで
初めて完成に向かうはずだったのだ・・・・・あれが手に入らないのならばゾーマ言うところの失敗作と
それほど変わりはしない。(彼はゾーマに研究は失敗したと伝えてあった)

戦場となっている間に用も無くこんなところに降りてしまえば流石に怪しまれる
だから戦場が完全に移行するまで我慢したというのに・・・・・・
あの腕輪は何もしらんやつにとっては古ぼけた骨董品でしかない

しかしそれに秘められた秘密を然るべき者に悟られると厄介な事になる
なんとかして取り戻さねば・・・・しかしゾーマに動きを疑問視されることにでもなれば元も子もない
すでに崩壊、消滅したアリアハンの上空で頭を抱えて煩悶するエビルマージであった。


24 :名前が無い@ただの名無しのようだ :02/10/22 21:43 ID:???
――浮遊感…
…続いて、急激な落下感――

「ぶばっ!?」
豪快に地面と口付けを交わすイリーナ。
――ジャリッ
「……おまけにディープキスですかい…はぁ、ついてない」

ここが次のステージね。
えーっと、目の前には海。右には、こっちも海。左……も海。
じゃあ後ろ……!

やま。

「……………アレを越えて行け、と…?」
どっと疲れが出たイリーナは大きく息をつくと、その場に寝ころんだ。

【イリーナ 所持武器:銀玉鉄砲(おもちゃ)
 現在位置:島の最北端  行動方針:弱そうなヤツを脅して武器を奪う】



25 :名前が無い@ただの名無しのようだ :02/10/22 22:46 ID:???

… … … … … … … …

目が覚める。体中が痛む。
「…どうやらまだ生きているようじゃの…」
満身創痍の体をグレーテは起こした。
旅の扉の前まで来て…あとは覚えていない。
どうやら落ちるように飛び込んだようだ。
そのまま気を失ったまま旅の扉を抜けて今、ここにいるようだ。
「ここはどこじゃ?」
地図を広げてみる。地図はアリアハンが描かれていたはずであったがそれはまったく違うものを描き出していた。
地図には4つの村が描かれていた。
今いるところはどうやら民家だ。窓の外を見る。ここは森の中の一軒家のようだ。
あれこれ観察しているうちに再び傷が痛み出した。
「出血はどうやら収まっているようじゃな…」
とにもかくにもこの傷では行動はできまい。
少し体を休ませることにした。

【グレーテ (瀕死 腹部に怪我 足を負傷 右腕に火傷 出血は収まっている) 所持武器:裁きの杖 現在位置:ツェンの近くの森のチョコボ屋 行動方針:休息】


26 :オルテガ :02/10/23 18:18 ID:???
青い線が体に絡み、ほどけては上の方に流れていく。
どこまでも青く不規則に歪んだ空間をゆっくりと下っていた。
旅の扉を使うのは初めてではない。出口が近くなると自然にスピードは落ちるはずだ。
しかし、一向に速度が落ちる気配は無い。こんなに時間がかかるものではないのだが。
「おかしいな。こんなに時間がかかるものでは、、、!!!」
唐突に風景の変化が急になった。落下速度が次第にあがってくる。そして自分の真下に出口があらわれた。
そして、速度を殺さぬまま出口に吸い込まれていった。

「なるほどな。出口に扉が無いとこうなるのか。」
変化に気づき着地に備えたため、なんとか無傷で着地できた。
周りを見渡すと、どうやら森の中のようだった。
「さて、どうするか。…ん?」
地面に奇妙な足跡がついていた。まるで大きいヒヨコのそれのような。
「…行ってみるか。」
そしてほの暗い森の中を歩き出した。


【オルテガ 所持武器 水鉄砲 グレートソード 覆面  現在位置 マランダ周辺の森
      行動方針 足跡をたどる アルスの存在を確認する 確認したら合流する】



27 :名前が無い@ただの名無しのようだ :02/10/23 18:49 ID:???
「これはこれは。なんとも立派な門じゃのう…」
ゼニスは緊張感のかけらもない声でその門を見上げていた。
封魔壁、最深部。
幻獣界とこの世界をつなぐ唯一の門。
そこだけまったく違うものに見えた。
門を開けようと試みるが巨石で閉ざされている上自分の身長の数百倍の大きさがあろう門はびくともしない。
少し残念そうだがゼニスの表情は喜びに満ちていた。
「やはり、わしの知らぬものがたくさんじゃ…」
つり橋を引き返し、封魔壁の外のほうへ歩き出した。
この洞窟の外はどんな世界が広がっているのだろう。
まだ見ぬ世界に逸る気持ちを抑えて歩き出した。

【ゼニス 所持武器:? 現在位置:封魔壁のある洞窟最深部 行動方針:物見遊山(封魔壁から脱出)】


28 :名前が無い@ただの名無しのようだ :02/10/23 21:07 ID:???
青い光の渦が急激に変化し、新たな舞台を映し出す。
ヘンリーは空中に放り出される前に体勢を整え、難なく着地した。
「……ッ」
が、彼は顔をしかめた。押さえたのは足ではなく、左の頬。
指の間から、醜く焼け爛れた肌が覗く。よくよく見れば、左腕にも火傷を負っている。
マリベルとビビが放った、火炎魔法の傷痕だ。
風がヘンリーの身体を撫でる度に、鈍く強い痛みが伝わってきた。
「…くそっ!」
我慢できないほどの痛みではない。左腕も、決して動かせないわけじゃない。
しかし、今持っている武器は、重量のある斧。
手負いの状態や、まして片腕などで満足して振りまわせるような代物ではない。
並みの相手なら、それでも呪文を駆使すれば、まだ仕留められるだろうが……
(ピエール……パパス、……それに、あいつ)
脳裏に、仲間と、死んだはずの恩人と、親友の顔が思い浮かんだ。
――3人の強さは本物だ。それは、間近で見ていた自分が良く知っている。
(こんな状態じゃ、不意をついてもあいつらを倒せねぇ……傷を治すか、もっと良い武器がないと……)
そこまで考え、ヘンリーはゆっくり歩き出すと、民家の中へと入っていった。

【ヘンリー(顔の一部と左腕に火傷) 所持武器:ミスリルアクス
 現在位置:アルブルクの町・民家 行動方針:皆殺し/ひとまず回復薬か武器を探す】

29 :アーサー :02/10/23 22:00 ID:???
蒼い光に飛び込み、何分、あるいは何秒かが経った。
渦の回りが速くなり、外へ放り出される。
「うわっ!」
難なく足で着地する、つもりだったがアーサーは勢いよく尻から落下してしまった。
「あいたたたた・・・・・」
彼は立ち上がり、付近を見渡してみた。
少し先には海が見え、その反対には森が見える。
「・・・大丈夫かな」
アーサーは頼りない武器を握りしめる(本当は変な銃剣だったんだけどな・・・)
「あ!」彼はとても重要なことを思い出した。
そして右手を握りしめ力を込めると地面に向かってある呪文を唱え腕を振り下ろした。
「ギラ!」
紅い帯のような形状の炎が手から放出され、土に当たり消えていく。
(そうだ。魔法戦士の僕には武器なんて必要ないんだ!)
とりあえず彼はマランダの方向へ進んで行った。
【アーサー 
所持武器:ひのきの棒 
現在位置:マランダと南の海の中間地点 
行動方針:マランダ方面へ移動】

30 :1/3 :02/10/24 05:11 ID:???
旅の扉を抜けた先は……完全な異世界であった。
「????」
「あのな、その辺の建物の建築法や道端に生えてる草が微妙に違うぞ?」
さて今後の方針だが、
「………」
「確かにこれだけ首輪があればある程度の解析は可能だな、現在位置を確認したら取り掛かろう。」
周囲の様子からすれば町の様だがマップには複数の町が載っている、明日の朝町の名前
を間違えて爆死という可能性も無い訳ではない。
「……?」
うん?わしのマップに何か挟まってるな、多分ワープの途中で挟まったのだろうが…
「むぅ……」
このメモが真実だとすると……いやしかし……
「どう思う?」
わしはマゴットにメモを渡した。

31 :2/3 :02/10/24 05:13 ID:???
あれから数分後、我々は位置を確認する為町の外で地形を監察していた、どうやら此処はツ
ェンらしいな。
「………」
あれからマゴットはメモを片手に考え込んでいる、我々の得意分野はあくまで魔法、その魔法を
アンチマジックで遮断されるとなるとやれる事はかなり制限される。
ぬ、う、う、う、……
「………」
「実験?」
「…………!」
む、確かに本当にアンチマジックが掛かっているか確認する必要があったな。
我々は早速実験の準備に取り掛かった。
「行くぞ。」
いってわしは首輪の一つを高く投げ上げる、それを追う様にマゴットの口から高く細い旋律が
流れ出てやがて力ある言葉へと変わる。
「メラ!」
チーン……
首輪は何の変化も無く地面に転がった。
我々は次の実験に取り掛かる、今度は首輪に町で発見した二本のロープを取り付け、一本を近
くの森の木に結び、もう一本を我々が引っ張るのだ。
「では始めるか。」
「………」
確かに首輪にはアンチマジックがかかっている様だ、にも拘らずゾーマが“魔力でコントロール
している”と、あのメモには書いてある、もしそうだとすればアンチマジックを抜ける為の何ら
かの手段が有る筈だ。ただそれだけで説明するとちと主催者側の頭数が……。
轟ッッッッッッ!!
「やはりな……」
爆発した首輪を見ながらわしは1人呟く、魔力でのコントロールのみだった場合の欠点、それは24
時間体制の監視が必要になる事だ……この爆発では首輪の中の確認は不可能だが威力がわかっただけ
でもよしとしよう。


32 :3/3 :02/10/24 05:16 ID:???

「目立ちすぎたな、森に隠れるぞ。」
「………」
「チョコボ小屋?」
首輪の解析には便利だろうが、先に誰かがいた場合まず確実に奇襲を喰らうな、さてどうしたものか。
【ハーゴン 武器:グロック17、グレネード複数、ムーンの首、首輪×3
場所:ツェン付近の森 行動方針:ゲームから脱出】
【マゴット 武器:死神の鎌 
場所;ツェン付近の森 行動方針:仲間と合流、ゲームから脱出】
※アンチマジック確認しました。

33 :ホイミン :02/10/24 17:55 ID:???
「うわぁぁぁぁぁ!!!」
初めての旅の扉を使った移動を彼は楽しんでいたのだが、、、
いきなり落下がはじまった。そして出口の向こうに見えるのは……石床………
「へぶっ!」
顔から落ちた。少し平たくなった顔をさすり、恨めしそうに出口を見上げ………
「どひぃぃぃぃぃぃぃ!!!」
ハンマーが落ちてきた。かなりのスピードで。
「なんとぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!」
わけわからん叫び声をあげ、素早くみかわした。そしてハンマーが着地し、、、、、
建物全体が揺れた。小規模の地震だったが部屋中にある棚が倒れ、そこに並べてあったガラス瓶が音を立てて割れる。
ハンマーが何度もバウンドし、そのたびに新たな揺れが加わる。

そして一通りの破壊が収まった後、そこにホイミンの姿は無かった。よく見ると、倒れた棚に体を挟まれ気絶していた。
部屋の隅の方では、いくつもの薬が混ざってできたへんななにかが静かに排水溝へ流れていった。


【ホイミン 装備品 大地のハンマー(装備不能) 現在位置 アルブルクの町 道具屋 行動方針 気絶中】




34 :1/3 :02/10/25 16:01 ID:???
「…。」
ひゅうひゅうと肌寒い風が吹く草原。野ネズミやらウサギやらが、せわしなく歩き回って餌を求めていた。
だがふいに、一匹のネズミが異変に気づいた。なにやら空間がぐにゃりと歪んで…。
              がつっ!
いきなりレオンハルトが空中から現れ、落ちてきたはずみで野ネズミを踏みつぶした。

また自分が他の命を奪った事にも気づかず、レオンハルトは辺りをゆっくりと見渡した。
「……ここが墓場…か。」
感慨深く、レオンハルトは呟いた。
見渡す限りの平原。真っ青な空。雄大な山々…。自分の死に場所としてはもったいなさ過ぎるくらいだ…。
「…そうでもないか。」
後ろを振り返ったレオンハルトは、そう言って前言を撤回した。
背後には城が見えた。立っている所から五百メートルほど離れた所に、半ばスラム化した城下町の門もあった。
嫌な感じのする城だった。でたらめなカタチの鉄の塊を、いくつも集めてでたらめに組み合わせたような、不格好で醜悪なオブジェ。
自分の墓場としては…まあ、こんな所か。裏切りと死に満ちた自分の死に場所としては。

レオンハルトは、城の方に振り返ると歩き出した。あそこに名のある、自分に死を与える者が居る事を願って。

35 :2/3 :02/10/25 16:12 ID:???
町は、不快な匂いで満ちていた。
鉄とイオウと、石炭、石油……。こんな匂いばかりする所で、人は生きていけるものなのだろうか?
歩いている内に人影を見た。一人か、二人か…。さっさと視界から消えてしまったので、詳しい事は分からなかったが。
(ここには居ないのか…誰かが)
そう思いながらいくつめかの角を曲がった時…。
どんっ、と言う衝撃がレオンハルトを襲った。
思わず、蹌踉ける。だがそれは致命的な物では無かった。何しろ、人とぶつかっただけなので。
反射的に、神経を最大限に研ぎ澄ませて角の向こうに振り返る。
そこには、男が立っていた。
レオンハルトより少し年上の、壮年の剣士。グルグルと渦を巻いた奇妙な剣を油断無く構えて、こちらをしっかりと見据えて。
圧倒的は覇気が、男から溢れ出しているのを肌で感じながら、レオンハルトは歓喜に打ち震えた。
自分にはもったいないくらいの戦士が、ここにいる…!

レオンハルトとぶつかった戦士…リバストはまどろみの剣を油断無く構えながら、じっくりとレオンハルトを観察していた。
強い。身体に震えが走るほどに、目の前の男は強い…!
リバストの頬を汗がつうっ、と流れた。こちらを確認したレオンハルトが、剣を構えた!

36 :3/3 :02/10/25 16:13 ID:???
「…殺るのか?」
レオンハルトが唐突に問いかけてきた。奇妙に生気のない声で。
「殺し合いになど興味はない。一度は無くした命だ。ただ、貴方と一度、試合がしたい。」
リバストがそう答えると、レオンハルトはげげんな顔をした。まさか『試合』を申し込まれるとは思っていなかったらしい。
だが、すぐに顔に笑みを宿し、リバストに問いかけた。剣を構え直して。
「…ルールは?」
「相手の身体に一度でも刃先が触れれば勝ち。」
リバストは簡潔に答えながら、心の中で喜びの声を上げた。勝負を受けた!受けてくれた!

レオンハルトは、全身から剣気をみなぎらせながら、小さく呟いた。リバストが聞き逃してしまいそうな声で。
「この勝負がついたら…。」
「…安心するといい。どちらにせよ、私の命の一つや二つ、喜んで差し出すさ。貴方にはそれだけの価値がある。」
リバストの返答に、レオンハルトは首を振った。皮肉な笑みを顔に浮かべて。
「違う…勝負が付いたら…俺を殺せ。」
その言葉に、リバストが一瞬戸惑い…その隙をつくかのように、レオンハルトは飛び出した!
「安心しろ。勝負で手は抜かんさ…!」

【レオンハルト:生存 装備品:銅の剣 暗黒騎士の兜 ライブラの呪文書 現在位置:ベクタ城下町 行動方針:リバストと真剣勝負。決着が付いたら殺してもらう】
【リバスト:生存 所持武器:まどろみの剣 現在位置:ベクタ城下町 行動方針:レオンハルトと真剣勝負】

37 :名前が無い@ただの名無しのようだ :02/10/25 22:48 ID:???
ツェンの町…一番大きな家。
おそらく町一番の金持ちの家だろう。
その者はそーっと顔を出してみる。
…誰もいない。
自分の戦闘力に自信はあるがいかんせん武器がない。
アイラは他の参加者の姿がいないと悟るや姿を現した。
ここに着いてゆっくりしていたとき、何か物音がしたため隠れたのだ。
せまっ苦しいところだったのだろうか思いっきり伸びをする。

辺りの調度品からここは自分の知る世界とはまったく異なるのを知る。
「まさに右も左もわからない。わね。」
でも慣れていた。自分は放浪の民だったのだから。
…これだけ大きな家だから何かあるだろうとアイラは捜索を始めた。

【アイラ 所持武器:チェス板、駒 現在位置:ツェンの町の奥の家地下 行動方針:マリベルの捜索 家の捜索】


38 :名前が無い@ただの名無しのようだ :02/10/26 01:15 ID:???
封魔壁監視所と封魔壁をつなぐ橋の上。
一つの影が見える。
辺りにはそれ以外の影は見えない。

狐狩りの名犬。トーマスである。
トーマスは見晴らしのいい橋の真ん中で食事をしていた模様である。
ある程度食事を終えたのだろうか。再び動き出した。

その拍子に背中のリュックから橋の真ん中に無造作に碁石が散らばる。

歩を進める先は。
封魔壁の洞窟。マグマ渦巻く洞窟に向かっていた。

【トーマス 所持品:鉄の爪 薬草×10 手紙 碁石(20個くらい) 現在位置:東部民家より旅の扉へ 行動方針:生き残る】
(碁石が複数橋にばら撒かれました)

39 :名前が無い@ただの名無しのようだ :02/10/26 12:20 ID:???
トーマスの現在位置は
【魔封壁の洞窟と監視所の間の橋→魔封壁への洞窟】です。

40 :名前が無い@ただの名無しのようだ :02/10/26 19:03 ID:???
大陸西部の砂漠。
「どわぁ!ぐわっ!どわぁぁぁ!!」
旅の扉の出口から放り出されてきたのはギルガメッシュ。
背中から砂地にたたきつけられその直後、坂を転げ落ちる。
やっと止まって、起き上がり辺りを見る。
…敵がいない。
先ほどまで戦っていたやつ…セフィロス…の姿は見えない。一緒に戦っていた者の姿もない。少し飛びこんだ時のずれがあっただろうか。
ギルガメッシュは砂漠で空を見上げていた。
「…化け物か…あいつは…!」
数の上では圧倒的にこっちが有利だった。だが、戦況は圧倒的に不利だった。
自分も腕には自信がある。だが、そのはるか上をいく強さだった。
自分とセフィロスの間に越えられない壁があることを感じた。
「………」
無言で落としたエクスカリパーを拾い、南に向かって歩き出した。

【ギルガメッシュ 所持武器:エクスカリパー 現在位置:西部砂漠 行動方針:やや落ち込み気味 南へ向かう】


41 :名前が無い@ただの名無しのようだ :02/10/26 19:06 ID:???
>>39
魔封壁でなく封魔壁です…度々すみません。

42 :名前が無い@ただの名無しのようだ :02/10/26 21:19 ID:???
目の前に広がるは鋼鉄の城。
陽光を受け地面にもう一つの影という名の黒き城が浮かぶ。
休むことが許されない機械たちが黙々と働き続ける。
時に聞こえてくる機械たちの悲鳴は何に向けられているのだろうか…
主なき鋼鉄の城は何よりも冷たく映ることだろう。

上を見れば空気は汚れ、ここの空だけ黒く淀み、頭上を覆う鉄骨は今にも落ちてきそうである。
下に目を向けると都市の床は黒く汚れ、散乱する小汚い木箱が目に付く。
そんな都市が生みだす雰囲気なぞ容易に想像できる。
…そしてここを統べていただろう君主も。

この汚れきった都市にはあまりにも不釣合いな女性…
澄んだ水のような美しさを持つ水の巫女エリアは都市の入り口に立っていた。
彼女の目にはどう映ったのだろう…
この人の創りしあまりにも汚れた都市を。
とにかく誰かに会おう。そう思って都市へ足を踏み入れた。

【エリア:生存 所持武器:ミスリルナイフ 現在位置:ベクタ入り口 行動方針:誰かに会う 現状の打開】


43 :1/2 :02/10/26 22:18 ID:???
渦の中を抜けるとそこは街の中だった
とりあえずエッジは偵察を兼ねて辺りを見回す
すると彼の視線の先に人影が見える、どうやら行き倒れのようだ。

「おい、しっかりするんだ」
エッジは行き倒れの、ぼろぼろのドレスをまとった少女に近づき介抱しようとする
が、そのとき、かちりっと撃鉄が上がる音をエッジは確かに聞いた。
「!!」
慌てて避わそうとするが、わずかに遅かった、振り向きざまに少女から放たれた氷の弾丸が
エッジの左肩を貫く
「ううっ・・・・」
よろめくエッジだったが、何とか持ちこたえそのまま街の外へと逃げる
ここで戦ってもいいが、この少女がどれほどの使い手かは分からない・・・・今は退くべきだ
逃げるエッジを何発か弾丸がかすめるが、それにかまうことなく一目散にエッジは外へと駆けていった。

「あーあ、逃がしてしまいましたわ」
セーラはさも惜しい獲物を逃したといわんばかりに呟く
この方法なら間違い無く仕留めることが出来ると思ったのだが・・・・・
撃鉄を起こすのが早かったか・・・・・もう少しだったのに

フラフラと街を歩くセーラだったが、ふと、ガラスに写った自分の格好を見る
ドレスはぼろぼろで、あちこち破れて下着が見えている、それになんといっても泥だらけだ
「まぁ・・・・・こんな姿では騎士様に出会ったとき、はしたない女だと思われてしまいますわ」
セーラは先程の戦闘のことなどすっかり忘れ、新しい服を物色しに街の奥へと入っていった。

44 :2/2 :02/10/26 22:19 ID:???
「ち・・・くしょう、俺とした事がざまぁないぜ」
街を出たところの森の入り口で肩を押さえ、ふらつきながらエッジは自分自身に悪態をつく
忍者でありながらあんな単純な手に引っ掛かった自分が情けない
地面に腰を下ろしどうしたものかと思案中のエッジだったがそのとき背後から不意に
「あのエッジさん・・・ですか?」
声をかけられて慌てて振り向く、そこには優しげな雰囲気をたたえた女性が立っていた

「ああ・・・俺はエッジだが、何故知っている?」
「やっぱりそうでしたか、私はエアリスっていいます、カインさんに聞いたとおりの外見だったからすぐわかりました」
「!!カインに会ったのか!」

カインという単語を聞き、立ちあがるエッジだったが傷の痛みに耐えかねてそのままふらついてしまう
「ええ、前の戦場では一緒でした、詳しい話は治療してからにしましょう」
エアリスはエッジに肩を貸すと、そのまま森の中へと入っていった。

【セーラ 装備品 癒しの杖 ブレイズガン 現在位置:マランダの街  行動方針:着替え&レオンハルト捜索】
【エアリス:所持武器:無し 現在位置:マランダの街近くの森 行動方針:エッジの傷の治療】
【エッジ 所持武器:忍者ロング 現在位置:マランダの街近くの森 行動方針:傷の治療】


45 :名前が無い@ただの名無しのようだ :02/10/26 23:21 ID:???
「…かような場所なら研究が進むというものだ。」
魔導研究所にてピサロは微笑を浮かべた。
自力で研究もしていた。だがここまでの施設はなかった。
あれこれ物色する。
「なるほど。これは…ふむ。しかし…」
そこにあるスイッチを入れてみる。
「これは…なるほど。サンプルの保存か…」
デスクに座ってあれこれ考える。
「器具が足りないな。…探しに行くか。」
デスクにあった書類一通り目に通す。見ると複数器具が足りないことが気づく。
研究所案内がある。それを見るとこの研究所は工場に繋がっているという。
工場にあれこれ注文をつけることもあろう。
ピサロは工場へと向かった。

【デスピサロ:生存 所持アイテム:正義のそろばん、『光の玉』について書かれた本 行動方針:研究所内部を歩き回り器具を集める】


46 :名前が無い@ただの名無しのようだ :02/10/26 23:58 ID:???
ピサロが研究所を後にして数分後
研究所の奥深くの壁が地響きを立てて動き出す・・・デモンズウォールだ
最初はここで傷を癒し、獲物を待ち伏せるつもりだったが、ピサロの気配を察知して考えが変わった
あれには勝てない・・・・・早く逃げなければ
化け物の本能で危険を感じたデモンズウォールは研究器具をなぎ倒しながら壁に穴を開け
そこから城下街へと逃げ出していった。

【デモンズウォール(負傷) 装備品:天空の兜(装備不能) 現在位置:魔道研究所からベクタ城下街へ
行動方針:デスピサロから逃げる】
(魔道研究所は半壊状態)

47 :1/2 :02/10/27 17:27 ID:???
帝国領アルブルグ。帝国でもっとも美しい町の南東の森で、セフィロスは死にかけていた。
リュックを胴を両断した僅かな隙に、フリオニールの悪あがきをまともに喰らってしまったのだ。
皮膚はぐつぐつと『煮立ち』、所々が『炭化』している。
ただ、神が気まぐれで与えたような美貌と美しい銀髪だけは、どういう具合が全くの無傷だったが。
だが、セフィロスは確信していた。自分は、死なない。
一本の大樹に背を預け、セフィロスは無表情のまま心の中で繰り返した。自分は、死なない。
……なぜ、死なないのだ?
セフィロスの思考が、なにかに引っかかる。
生きたいから『死にたくない』という、なにかに対する哀願でもなく、
あの黒髪と記憶の中の金髪に会って何かを確かめるまで『死ぬわけには行かない』という決意でもなく、
ただ、『死なない』という事実だけが頭を巡っていく。何故だ?
そして…何故『死なない』のだ?死なないで何をするのか?
…何をするかは決まっている。殺すのだ。では、何故殺す?
何故死なない…何故殺す…何故何故何故何故何故何故何故何故…?
セフィロスの心の『何故』という心の声に合わせて、胸がどくんと鳴った。
しかし、それは心臓の鼓動ではあり得ない。
何しろ、彼の胸がどくんと言う音に合わせて彼の胸の中心が十p近くと飛び出していたのだから。

48 :2/2 :02/10/27 17:29 ID:???
セフィロスの止まり賭けた心臓に、何かが寄生していた。
ヌメヌメとした、細胞の塊。狂った科学者はそれを『ジェノバ』と呼んだ。
その細胞が、脈打っていた。セフィロスの胸板を突き破るほどに。
どくんどくんどくんどくんどくん…!
それに耐えられず、セフィロスの肋骨がへし折れて、それでも鼓動は止まらない…!

ぶちっ。

何かが切れる音がして、そして。
『変化』が始まった。
セフィロスの中の『ジェノバ』が、凄まじい勢いで神経細胞の触手を伸ばし、その指先に至るまでに根を張った。
根が張った部分が、急速に再生していく。煮えたぎる皮膚はどんどん冷えていき、ずたずたの筋繊維が以前よりも頑強に再生する。
全てが終わった時、セフィロスの『何故』は消えていた。
何故殺すか?何故生きるか?理由はない。殺す。全て。自分の手で。
そしてそれは、自分の命よりも優先される…。
セフィロスは立ち上がり、アルブルグに向けて歩き出した。正宗以外の全ての荷物を放り捨てたまま。
…セフィロスの『ジェノバ』の触手は、その脳にも達しようとしていた。

【セフィロス:所持武器:正宗 現在位置:アルブルグに移動中 行動方針:全員殺す。理由は『無い』】
(日本刀と変化の杖は、アルブルグ南東の森に放置されました)

49 :メルビンとか :02/10/27 18:28 ID:???
「もう、姿は見えませんね。」
ホフマンら五人は比較的安定した青い流れの中をゆっくり下っていた。
先に旅の扉に入ったクイナの姿はすでに見えなくなっている。
「出口は一緒ではないかもしれないでござるな。」
「うむ。しかしそうなるとまた発見するのは難しいでござるなぁ。」
「それじゃ、もうほっといてもいいんじゃない?」
「そう言うわけにもいかないでござろう。でも探す方法がないでござるし…。」
「そもそも、何で先に飛びこんだんでしょうか?」
「うーむ。ガウ殿、なにか知らないでござるか?」
「…ガウゥ。」
「わからないでござるか…。」
「そうですか。………ってこの言葉わかるんですか?」
「いや、なんとなくでござる。」
「…………。」
「…あれ?なにかこっちにくるよ。」
「そんなわけ無い…って本当に近づいてくるでござるな。」
「本当ですね。……なんか凄く速くないですか?アレ。」
「!!!皆避けるでござる!」
「避けるって、どうやって?!」
「まずい!もう手遅れでござる!!!」

どか!

「ぬう!」「!、ホンダラ殿!」「うわっ!」「ガウ!」「へぶっ!」

「出口でござる!落ちるでござるよ!」
『うわーーーーー』

50 :メルビンとか :02/10/27 19:11 ID:???
――――波音が耳をくすぐる。塩のにおいが気持ちイイ。口の中がザラザラする。
なんでこんな所で寝てるんだろう?たしか、さっきは、、、、
ガバッ!
「みなさん大丈夫ですか!!??」
ホフマンは辺りを見回した。他の四人は、、、
「!メルビンさん。ガウくん。大丈夫ですか?」
「ガウガウ。」
「…ホフマン殿……。ワシは大丈夫でござる。他の皆は?」
「ここにいたのは僕達だけみたいです。さっきのぶちかましで別の所にいったんじゃぁ。」
「そうでござるか…。」
「とりあえず、服を乾かしませんか?ここ、少し寒いですよ。」
「うむ。そこらへんの流木でも集めるでござる。」


目を覚ましたルーキーは側に倒れていたライアンを起こして他の三人を探していたのだが、、、
凄いモノをみつけてしまった。
直径2メートルぐらいの深いクレーターの真中にクイナが突き刺さっていた。
少しの間熟孝し、結論をだした。気配を探る。なし!土の固さ。良好!後腐れ。なし!
「よし。埋めよう!」

〜小一時間後〜
「ルーキー殿。だれかいたででござるか?」
「ううん。だれも。他の所にとんじゃったんじゃないかなぁ」
「そうでござるか…。ところで何でそんなに汚れているんでござるか?」
「少し穴うm…ゲフンゲフン。穴掘りしてたんだ。」
「ほう。いやぁなつかしい。ワシも昔はよく訓練を抜け出して穴掘りしたものでござるよ。」
(ほんとにやってたんか?このオッサン)
「とにかくここにはいないみたいでござるな。」
「そうだね。これからどうする?」
「地図にはここから北に町があるでござるからいってみるでござる。」

51 :メルビンとか :02/10/27 19:34 ID:???
さっきぶつかった時、加速装置は外れた。
まる一日飲まず食わずで走っていた彼にとって、それは大変幸運なことだっただろう。
しかしその時変なふうにぶつかった彼の体は、装置が外れたせいでバランスを失い、
縦に回転しながら扉をぬけた。スピードを少しも殺せずに、、、。

最後にみた映像はゴツゴツに隆起した岩肌。
そしてホンダラだったものは赤いぼろぞうきんに姿を変え、その人生にピリオドをうっていた。

【ホフマン/メルビン/ガウ 現在位置:島最西端の砂浜
 所持武器 ギガスマッシャー、虎殺しの槍  行動方針 焚火 仲間をさがす】
【ライアン/ルーキー    現在位置:ツェンの南  
 所持武器 ?、ブーメラン         行動方針 町へ 仲間をさがす】
【クイナ  (死亡)    位置:島最西端の砂浜            】
【ホンダラ (死亡)    位置:封魔壁の洞窟の上           】

加速装置はどこかに行ってしまいました。


52 :メルビンとか :02/10/27 19:49 ID:???
スマソ間違えた。
【クイナ  (死亡)    位置:ツェン南  】




53 :名前が無い@ただの名無しのようだ :02/10/27 22:58 ID:???
身軽にセリスは旅の扉から降り立つ。ああ。ここは覚えている。
鉄でできた城。その内部。
…嫌な思い出しかないけど。

ここはガストラ帝国の脳のいわば脳髄にあたるところ。
ベクタの城のガストラ皇帝がえらそうに陣取っていた部屋。

欲に囚われたおろかな皇帝。
私利私欲のために戦争を始めた皇帝。
やつの手に何人もの命が消えたのか。
結局はケフカの手の内で踊っていたに過ぎないが。

だけど。奴がいなければ、仲間に。ロックに出合うことはできなかっただろう。
「…皮肉なものね…」
彼女はため息をつく。
…そうだ。ロックもこれに参加していたはず…

会いたい。
ふと、そう思ったが早いか。ロックを探しに足が勝手に動き出していた…



【セリス 所持武器:ロトの剣 現在位置:ベクタ、ガストラ皇帝の謁見の間 行動方針:ロックを探す】


54 :1/2 :02/10/28 20:04 ID:???
「なっ・・・なんということだ!!」
ケフカは目の前の惨状に我が目を疑っていた
己の力を文字通り全て注ぎ設計した魔道研究所が見るも無残な状態になっていたのだ
「私の苦労は・・・・・・私の野望は一体・・・・・・」
ぶつぶつと呟きながら廃墟同然の研究所を歩きまわるケフカの目に1人の男の姿が入る

「きっ・・・・キサマか、キサマが私の研究所を!!」
それが事実無根の八つ当たりだということはケフカも分かっていた
しかしそれでも怒りのぶつけどころが欲しかった、でなければ狂ってしまいそうだ
(もっとも、彼は普段から半分狂っているようなものだが)

ケフカは問答無用で男へと攻撃呪文を浴びせる
「ファイラ!!」

クラウドは辛くも自分に迫る火球を避ける
「随分いきなりだな」
壁に穿かれた大穴をたまたま覗きこんだらこのザマだ、まったく余計なことをするものではない
しかしこうなった以上は戦わなければ
クラウドはガンブレードを構えると一直線にケフカへと突っ込んでいく
再び火球がクラウドをかすめるが気にせず、さらにスピードを上げ、剣に気合を込める
それを受けて刃が輝き始める
「くらえっ!!凶斬り!」
ガンブレードがケフカの身体をとらえ、凶の文字を描くようにその身体を斬り裂いた。

55 :2/2 :02/10/28 20:12 ID:???

「ちいっ!!」
一瞬で懐に入られてしまった、この男・・・・強い
寸前の所でなんとかわしたものの、かなりの傷を負ったことは間違い無い
肉体を強化してなければ一溜りもなかっただろう
ケフカの道化服がみるみる血で染まって行く・・・・だがしかし、ケフカは己が血を自分の顔に塗りつけ・・・にぃと笑う
「これでキサマの運命は決まった・・・・・楽には死なせんよ」
マントを翻し、呪文を唱える
「バニシュ」
と、同時にケフカの姿がクラウドの視界から消える
クラウドはケフカの気配の方向にガンブレードを振るうが虚しく空を切ってばかりだ
「ファイア」
背後で声がする、振り向いたクラウドの身体に先程の物よりも小さい火球が直撃する
のけぞるクラウドに
「サンダー」
火花が散ったかと思うと、痺れるような痛みがクラウドの全身を走る
「ブリザド」
無数の細かい氷塊がクラウドの身体を傷だらけにしていく

「畜生・・・・なぶり殺しか」
相手の位置はわかっている・・・しかしどうしても捉らえる事ができない
このままでは・・・・・
壁にもたれ荒く息をするクラウドへ姿を消したままのケフカが楽しげに囁く
「まだだよ、まだこんな楽しいショウタイムの幕は下ろさせないよ」
勘弁してくれ、と言わんばかりに皮肉げに笑ったクラウドの頬を殴りつけようとしたそのとき
「メラミ」
何処かからか放たれた火球がケフカの背中を直撃した。


56 :3/2 :02/10/28 21:05 ID:???
「やれやれ・・・・」
研究所を見下ろせる中二階でサマンサはクラウドの後ろ姿を見送る
最初はどちらに加勢しようか迷ったが、よくよく考えると道化服なんぞを普段から着ているような奴が
マトモであるはずが無いし、ましてあんなやり口で相手をいたぶるのである
「全く・・迷う必要は無かったですね」
自分の真下の壁の無残な屍を覗きこむサマンサだったが、そのときケフカの体が不意に動き出した
「嘘でしょう・・・・」
普通なら死んでいるはずのダメージを負っていながら、ケフカはフラフラと立ちあがり工場棟の方へと歩き出していた。

「おのれっ・・・・・・」
混濁した意識の中、あるのはただ自らの目的のみ、そんな状態でケフカは工場へと向かっていた
「見ておれ・・・アレを・・複製し・・・・そうしたら」
「ほほう、アレとは何だ?聞かせてもらおうか」
またしても背後からの声にケフカはぎこちなく振り向く・・・そこには貴族を思わせる雰囲気の男が立っていた
貴公子といいほどの気品に満ちていたが、耳が尖っている辺りおそらく魔族なのだろう。
「言え・・・・・」
その男、デスピサロの瞳が妖しく輝く・・・・それを見てしまったケフカの口が勝手に開き
少しずつ『アレ』の秘密をしゃべり出す
「おお・・・・」
驚きと喜びでデスピサロの顔がほころぶ、それこそ捜し求めていたものに違いない
しかしそのわずかな気の緩みが術の集中を解いてしまう

デスピサロが気がついたときにはすでに遅く
そのわずかの隙にケフカは自分の舌を噛み切ってしまっていたのだ
「貴様っ、これからが肝心なのではないか!!」
デスピサロの罵声にケフカは高笑いで答える
もっとも笑い声の代わりに血泡が溢れ出しただけだったが・・・・・

この程度の情報を卯のみにすると、むしろ却って研究の妨げになるかもしれない
貴様も魔学を齧った者なら分かるだろう・・・・・くくく
襟首を掴み罵声を飛ばすデスピサロをあざ笑いながら、ケフカは余裕の表情で息を引き取った。

57 :4/2 :02/10/28 21:30 ID:???
腹いせにケフカの死体を蹴りつけるデスピサロの横から気配がする
「誰だ?」
デスピサロの声に応えて物陰からサマンサが姿を現し、貴族の礼法に従いデスピサロへとひざまずく
「先程の話、私も聞かせていただきました、ここは是非私に研究を手伝わせて頂きたい所存でございます」

その言葉を聞き、デスピサロは怪訝な顔をする
「いいのか・・・貴様らと我ら魔族とは敵同士ではないのか?」
サマンサはその問いに不敵な笑顔で答える

「ふふ・・・確かにそうですが、私も魔学の徒、今の話を聞いてはじっとしておれませぬ」
あの男の変身も確かに興味深いが、それよりもこちらの方が遥かに価値が高い
私の推測が正しければ・・・・・・・

「いいだろう、人間は気に入らんが、そこまで言うなら力を貸して貰おうか、余の名は・・・・・ピサロだ」
デスピサロは意外なことにサマンサの願いを聞き入れた、この女魔法使いがどれほどの力を
秘めていようが、あれを手に入れた私の敵ではありえないだろう・・・・・・
それに例え人間であろうとも助手がいればそれはそれで役に立つそう判断してのことだった

「感謝します、私はサマンサ、よろしくピサロ卿」
相変わらずの不敵な笑顔でサマンサはさらに深く頭を下げる
そして2人は連れ立って工場の中へと入っていった。

【クラウド 所持武器:ガンブレード 現在位置:ベクタ城下町へ 行動方針:不明】
【デスピサロ:生存 所持アイテム:正義のそろばん、『光の玉』について書かれた本
 現在位置:魔導工場 行動方針:進化の秘宝の研究を進める】
【サマンサ 所持武器:勲章(重装備可能) 現在位置:魔導工場 行動方針:デスピサロを手伝う】
【ケフカ:死亡】


58 :450 :02/10/28 21:36 ID:???
申し訳無い
>>55>>56の間にこれを入れてください

その衝撃でケフカの姿が再び現れる
「だっ、誰だ、誰が私の邪魔を・・・・・」
そこまで言いかけてケフカは、はっと振り向く、そこにはガンブレードを構えたクラウドの姿があった
「遊んでくれたお礼をしないとな・・・・」
愛想笑いのようなものを浮かべて後ずさるケフカへとクラウドはこれまでに溜めに溜めた鬱憤を
ガンブレードに込めて叩きつけた

「画龍点晴!」
刃から生まれた竜巻がケフカの身体を斬り刻み、遥か彼方へと吹き飛ばしていく。
自分と向い側の外壁に叩きつけられピクリとも動かないケフカの姿を確認すると
そのままクラウドは城下町の方へと向かっていった

59 :名前が無い@ただの名無しのようだ :02/10/29 00:39 ID:???
封魔壁南西の岬。そこには今、四人の人間がいた。

じゃりっ…。
草原の草を乱暴に踏みしめて、スコールは辺りを見回した。
誰かが、いたはずだ。ここに。ついさっきまで。確かに見た。
もうすでに手になじんだ氷の刃を握りしめて、スコールは『敵』を探し始めた。ひどく虚ろな目で。

「マズイ…わね。」
岬に転がった大岩の陰で、アリーナは小さく呟いた。
視線の先にはスコールの姿。血にまみれた刃を握った、スコールの姿。
ここに転移してきたとたんにあのアブナい男とはち合わせしてしまったのだ。何とか今は仲間3人で身を隠しているが。
「な、何なんだろうあいつ。あんなに剣が血まみれで…ひょっとして…。」
ガクガク震えながら、ギルバートが怯えた声を上げた。その瞳は焦点が合わさっていない。
「うん。たぶん…やる気なんだと思う。」
アリーナの返事に、今度はリディアがひっ、と声を上げた。やる気。つまり、人を殺せるという事。
「これは…ちょっと手荒な事をしないと逃げられないかもね。」
「手荒なこと…って…。」
アリーナの深刻な声を、ギルバートがオウム返しに聞き返す。
アリーナは仲間…ギルバートとリディアに向き直り、人差し指を立てて続けた。
「あたしがアイツを思いっきりぶん殴って注意引くから、その隙に二人は走って逃げてね。」

60 :2/4 :02/10/29 00:40 ID:???
「ち、ちょっ…!アリーナさん!アイツ、剣…!むぐむぐっ!」
慌てて声を上げるギルバートの口をアリーナがさっと塞いだ。
「剣持った相手と殴り合って勝った事だってあるわよ。それに、こういう事できるの、あたしだけでしょ?」
そう言うと、アリーナは全身を強ばらせた。いつでも飛び出せるように身構えて…。
その姿を、ギルバートはずっと見ていた。強い人だ。自分とは比べ物にならないくらいに。
それに比べて、自分はどうだ?アリーナとリディアに頼り切りで、一度など全滅の危機まで招いた。
アンナが見たら、なんて言うだろう?アンナが…。
ギルバートが、ぎしっと掌を握りしめた。とても、強く。
そうだ、あの日、カイポの村で、アンナに約束したじゃないか!強くなる。勇気を持つって!
「…アリーナさん。」
ギルバートが、小さく、ただ力を込めて言った。もう少しも震えずに。
「…アリーナさん。僕に、良い考えがあるから…試させてください。」

「考え?」
「はい。僕もすぐ逃げ出すから、だから、リディアちゃんをお願いします。」
ギルバートはそう言うと、すっくと立ち上がり、真っ直ぐにスコールの方に歩いていってしまった。止める暇も無い。
「ギルバート、大丈夫かな…?」
怯えきった声で、リディアが呟いた。とても不安そうに。
「大丈夫…だと思う。ギルバート、自信たっぷりだったから…ほら、リディアちゃん、行くわよ…!ギルバートのがんばり、無駄にしちゃ駄目だから…!」
そう言いながらリディアの小さな体を抱きかかえて、アリーナは歩きゆくギルバートを見た。
(がんばって、ギルバート…絶対、また会うんだからね!)

61 :3/4 :02/10/29 00:41 ID:???
スコールは訝った。少し離れた岩の陰から、羽帽子をかぶった男が突然現れたのだ。
だが、驚きも疑問もすぐに虚空に消える。虚ろな心だけを抱きしめて、スコールは男に向き直った。

ギルバートは、確かな死を感じながらスコールと向かい合っていた。
考えなんて、これっぽっちも無い。あの場の、出任せだ。ああでも言わなければギルバートを行かせてはくれなかっただろうから。
「さあ、来い…僕は丸腰だ。怖くなんて無いだろう?」
そう言いながら、ギルバートはゆっくり左に移動した。スコールがゆっくり近づいてくる。そして…。
「二人とも!今ですっ!」
ギルバートの声と共に、リディアを抱きかかえたアリーナが岩陰から飛び出した!
ギルバートが立っている場所からはだいぶ離れた迂回ルートを走って、信じられない速度で逃げていく。
「……!」
ギルバートが囮であることに気づいたスコールは振り返り、アリーナ達を追って走り出して…。
後ろから突進してきたギルバートのタックルを食らって地に伏した。
「…!」
「行かせるもんか…行かせるもんかぁ!」
ギルバートは倒れたスコールにしがみつき、必死でその体を押さえつけようとする。
スコールはぎりっ、と歯がみして、ギルバートを引きはがすべく氷の刃を振り上げた。そして。

ごつっ!

嫌な音を立てて、冷たい刃がギルバートの背に突き立てられた。
「が…!」
肺を傷つけられたせいで、悲鳴すらも空気に解けて消えていく。
彼は、最後の力を振り絞って、北の方を見た。アリーナの紅いマントは、もうすでにずいぶん遠くに見えた。
(これでいいんだよね。アンナ。)
その思考を最後に、ギルバートの全てが静止した。

「……。」
スコールはギルバートから刃を引き抜くと、しがみついたその死体を振り払った。妙に安らかな顔の死体は、あっさりそこらに転がった。
…もう死体には興味など無い。スコールはアリーナを追って走り出した。

62 :4/4 :02/10/29 00:43 ID:???
リディアを抱えたまま、アリーナは疾走していた。鍛え抜いた足が、アリーナにすさまじい速度を与える。
(ギルバート…。)
アリーナは心配になって、少し後ろを振り返った。ほんの少しだけ。
…後ろからは、スコールが剣を構えて追いかけてきていた。
「そんな…!」
もう追いかけてきた?ギルバートは?まさか、もう、死んだ?
背筋が凍り付く。今の今まで会話を交わしていたギルバートが、死んだ?
スコールは不自然なまでの速度でアリーナを追いかけていた。リディアというハンデがあるとはいえ、100メートルはあった距離が、もう後30メートルほどまで詰まってきている!早すぎる!
逃げ切れないと判断したアリーナは、勢いを殺しながらスピードを落としていく。
立ち止まった次の瞬間には、少し乱暴にリディアを放り出す。
「リディア、あたしがアイツの相手するから、逃げて!」
スコールに向き直ったアリーナの絶叫に、リディアは怯えながらも、それを拒否した。
「わ、私だって…。」
しかしその言葉は、アリーナの怒号にあっさりかき消された。
「ギルバートが死んだの、あなたを逃がすためなのよ!行かないんだったら、あたしがあなたを殴るからね!」
その言葉に、リディアは今度こそどうしようもない恐怖を感じて…あらぬ方向へ、一直線に逃げ出した。
(…ごめんね。)
心の中でリディアにわびながら、アリーナは走り寄ってくるスコールに飛びかかった!

【アリーナ 所持武器:イオの書×4 リフレクトリング 現在位置:封魔壁南西の岬 行動方針:スコールを倒す。】
【リディア 所持武器:なし 現在位置:封魔壁南西の岬 行動方針:逃げる】
【スコール 所持品:氷の刃 現在位置:封魔壁南西の岬 行動方針:人形状態 アリーナを殺す】
【ギルバート:死亡】

63 :名前が無い@ただの名無しのようだ :02/10/29 00:44 ID:???
「だいたい何スか!そのコスプレみたいな衣装は!!」
ティーダは自分の大声で目が覚める・・・・慌てて周囲を見渡す、どうやら小屋の中みたいだ
「あ、気がついたんだね、良かった、扉から出たときそこのテーブルに頭ぶつけて気絶しちゃってたんだよ」
隣でアルスは安堵の一言を漏らす、そういえば頭が妙にヒリヒリするな、とティーダは頭をさする。

「ねぇ・・・・・所で」
ティーダに大事が無いことが分かると、アルスは急に悪戯っぽい顔をする。
「ユウナって誰?」
その言葉を聞いて、ティーダの肩がびくんっ!と刎ねあがる
「と・・・・友達、友達ッスよ」
あんな夢を見てしまった直後だったので尚更恥ずかしい。

「ふぅん、でもティーダ、さっきからユウナ、ユウナってずっと言ってたよ」
「ふっ太股とか、胸とか見てないッス」
「だれもそんなこと聞いてないんだけど・・・・・もしかしてその人ティーダのGF?」
ズバリ核心を突かれる一言にティーダの日に焼けた顔は真っ赤に染まる
それを見たアルスはますます興味津々という感じでティーダに突っ込んでくる。

(勇者って言っても俺たちと変わらないッスね)
照れ笑いしながらもティーダはずっとここまで張り詰めた表情だったアルスの顔がほころんでいるのを見て
ほっと胸をなでおろす。またこれでお互い仲良くなれそうだ・・・・・・
と、窓の外に人影が見える、アルスも気がついたようだ、二人で窓の外に注目する
影は二人組の男女、男の方は傷を負っているようだ、女の肩を借りている。
「大変ッス、早く助けるッス」
ティーダはアルスの言葉を待たずに飛び出していく
相手に敵意が感じられないことを確認し、それに続いてアルスも2人組-----エアリスとエッジを助けに向かった。

【ティーダ/アルス:所持アイテム:いかづちの杖/鋼の剣 現在位置:マランダの森のチョコボ屋 
行動方針:ゲームを止める】
【エアリス/エッジ 合流】


64 :1/3 :02/10/29 02:03 ID:???
岩陰でリディアはうずくまりしくしくと泣いていた
皆行ってしまった・・・・ギルバートもアリーナも・・・・・
「私をひとりにしないでよぉ〜!!」
「1人にするわけが無いでしょう」
そんなリディアの慟哭に答えるように、声が聞こえる・・・この声は!!
そう、かすり傷だらけだったが声の先にはアリーナがしっかりと立っていたのだ
たまらずリディアはアリーナにすがり付き泣きじゃくる
「もう、もう会えないと思ってた・・・・・もうだめだと思ってた〜〜」
「私も本当はもうだめだと思ってた・・・・・でもそのとき助けがきたのよ」
そんなリディアの髪の毛を撫でながらアリーナは何が起きたかをリディアに語った。


どうして倒れないの?
目の前の男にはここまでかなりのダメージを与えているはず、しかし奴は大して応えてないようだ
何だか痛みとかそういう感覚とは無縁のような感じがする、まるで人形のような・・・・・・・
こんな相手と戦ってしまえば、いずれは押しきられてしまう
だからといって苦し紛れに一発KO狙いに行けば間違い無くカウンターを喰らう

手をこまねいているアリーナへとスコールはまた刃を一閃する
袖口が切り裂かれ血が飛び散る・・・・・すぐ背後には断崖が迫っている
アリーナは追い詰められつつあった。
そしてスコールがトドメの刃を振るう、アリーナは観念したかのようにその場にへたり込む
(ごめんね・・・・・・リディア)
しかしその直後響いたのはスコールのうめき声だった。


65 :2/3 :02/10/29 02:03 ID:???
凄い。
アリーナは突如現れた少女をただ眺めていた
ふるふるとゆれる大きな胸も凄かったが、何よりその拳法の腕前は明らかに自分以上だった。
スピードはこちらが勝っているかも知れないが、パワーは確実に彼女が上だろう
「見てる場合じゃないわ、加勢しなくちゃ!」
そしてアリーナのスピードと少女のパワーが絶妙のコンビネーションを織り成し
みるみるうちに今度はスコールが断崖へと追い詰められていく
そしてついに少女のサマーソルトがスコールの顎に入る
空中に吹っ飛んだその身体にアリーナがトドメの掌底を入れ
スコールは切り揉みしながら遥か下の海面へと姿を消した。

「大丈夫?」
少女はアリーナへと手を差し伸べる
その手を握りながらアリーナは少女に名前を尋ねた
「ティファ、ティファ=ロックハートよ」
そう名乗った少女の胸がまた誇らしげにぷるるんっと揺れた。

66 :3/3 :02/10/29 02:04 ID:???
「で・・・そのティファって人はどうしたの?」
「うん・・・・探さなきゃいけない仲間がいるからって先に行っちゃった」

アリーナの表情は浮かない
彼女はまた1つソロに関して気がかりな話を聞いてしまった
彼がそれと知らず危険な兵器を持ち歩いているというのだ
それに加えてギルバートの話もある
別れ際にソロのことは任せてとティファと約束しただけに・・・・・・・・こちらも急がないと
だが、その前にやらなくてはいけない事があった。

「行きましょうリディア、私たちはここを去る前にギルバートさんのお墓を作らないと・・・・・」
それを聞いてまた、リディアの瞳から涙が溢れ出す
「やっぱりダメだったんだ・・・ギルバート」
再び泣きじゃくるリディアを抱きしめるアリーナの瞳からもまた、涙が止めど無く溢れていた。

【スコール:生死不明】
【ティファ 装備品 無し 現在位置 封魔壁南西の岬→監視所へ 行動方針 クラウドたちを探す】
【アリーナ/リディア 所持武器:イオの書×4 リフレクトリング/無し 現在位置:封魔壁南西の岬
行動方針:ギルバートを弔う】


79 :1/4 :02/10/29 21:21 ID:???
「…盾か?」
「そのつもりだが?」
アモスが持ってきたのは見てくれは悪いが三つの盾である。プロトアーマーをばらして作ったようだ。その分頑強に作られている。
「アモッさん。ずいぶん無理矢理な溶接だな。…あれ?溶接器具なんてあったか?」
「ああ。あれなら呪文でやった。」
アモスはしばらく語った。自分はイザという若者に助けられて仲間になったこと。ダーマの神殿で呪文や特技を身につけたこと。実は上の世界と下の世界があったこと。魔王デスタムーアのこと。…無二の親友のこと。
親友のことを話しているうちにアモスの表情は暗いものとなった。…ハッサンのことだ。
「…すまん。アモッさん。」
「いや、構わんさ…やつのことを覚えてほしかった。それだけさ。」
アモスはどっかと腰を落ち着け、遅い食事を始めた。

その様子を見ていた者がいる。
魔僧エビルプリーストである。
一度は奇襲を企てたのだが、アモスの様子を見て気が変わった。
アモスが意外にも呪文の使い手であるということ。
どれほどの呪文を使うのはわからないが呪文をあのように使える技量があることがわかった。
呪文の素質は未知数だが、呪文を器用に扱えるということである。
もう少し様子を見ることとした。


80 :2/4 :02/10/29 21:21 ID:???
「…これからどうする?」
ファリスの差し出した食料を少し口にしてアモスは立ち上がった。
「そうだな…ここは工場だからアモッさんの呪文をある程度使えばいい代物があるんじゃないか?」
「俺も同じ意見だ。」
「俺の魔力も無限じゃないぞ。…だけど、いいものがあればそれだけ身を守りやすくはなるな。…ここを移動しよう。」
ロックが指をさす。
「あのクレーンで次の区画へ進もう。案内は任せてくれ。」
「そうだな。よし。奥へ進もう。」
アモスがゆっくりと動くクレーンに飛び移る。
「焦るなよ!アモス!」
ファリスの声にふと振り向く。
アモスの目に飛び込んできたのは二人の姿ではなくイオナズンの詠唱を終えて今にも放とうとするエビルプリーストの姿。
二人はまだ気づいていない。
「二人とも!伏せろ!!!」
アモスは不安定な体勢で二人の前に飛び出た。アモスの詠唱は完了していた。
工場を揺らす爆音が辺りに響いた。何とか倒壊は免れたようだ。


81 :3/4 :02/10/29 21:22 ID:???
「ぬわっ!」
間合いを詰めたエビルプリーストを襲ったのは爆風。間合いを詰めすぎてはない。おそらくマホカンタかそれに似たような呪文による反射であるということを悟る。
「アモス!」
「アモッさん!」
二人の声が重なる。
「くっ…!」
すぐに霧は晴れる。アモスは己の置かれている状況を悟った。足場がない。
イオナズンの衝撃はマホターンで反射した。しかし、その際発生した爆風を防ぐことはできなかった。
爆風はアモスを足場のないところに吹き飛ばしたのである。
「二人とも!逃げろっ!!」
アモスはそういい残し、漆黒の闇へと消えていった。
「まずは一人…」
そう呟き、エビルプリーストは次の詠唱へと入った。
「アモッさん!」
「…ロック!そんな簡単にくたばるやつじゃない。…そんなことより、まずはこいつをどうにかしないと。」
「ああ、そうだな…!」
二人はエビルプリーストと向き合った。

【ファリス/ロック 
 所持武器:食料2ヶ月20日強分&毒薬 水1,5リットル×2 吹雪の剣 小型のミスリルシールド/クイックシルバー フィアーの書×7 小型のミスリルシールド
 現在位置:魔導工場
 行動方針:レナの捜索 エビルプリーストとの戦闘】
【エビルプリースト 所持武器:危ない水着 現在位置:魔導工場 行動方針:天空の勇者(ソロ・クーパー)の始末。ファリス、ロックの始末】


82 :4/4 :02/10/29 21:22 ID:???
深い…!どこまで深いのだろう。
間違いなくこの深さで落ちたら死ぬであろう。…だが、アモスは落ち着いていた。
確かに自分は呪文の素質は無いに等しい。だけど、自分はそんな中呪文を身につけてきた。
呪文の素養では負けていても呪文の器用さでは少なくとも研究所などに篭っている呪文学者よりは勝っているだろうとも思っている。
徐々に床が見えてくる。
「まだ…!」
アモスの手に力が集まる。風が、凪ぐ。
「バギ!」
アモスの手から真空の竜巻が地面に向けられた。ブレーキにするのだ。
スピードは次第に殺されていく。アモスが地面に着くころ、スピードは完全に殺されゆっくりと地面に降り立った。
アモスは上を見上げる。かすかに爆音が聞こえる。…この高さではよじ登っていくのは不可能だ。
エレベータらしきものを見る。…故障しているのか。どうやら動かない。
トロッコを見る。確かこのトロッコは外に通じているとロックが言っていた。ここから脱出する際に使ったといっていた。
アモスの腹は決まった。トロッコのスイッチを乱暴に押し、走り出すトロッコに飛び乗った。

【アモス  所持武器:妖剣かまいたち 水・1,5リットル 小型のミスリルシールド 現在位置:トロッコで移動中 行動方針:ロック、ファリスとの合流】
(魔導工場に被害が出ています)


83 :名前が無い@ただの名無しのようだ :02/10/29 22:30 ID:???
「みんな、それにティファさん.......どこかなぁ」
ソロは右手に岩山を見ながら、未だに開かないスーツケースを振りまわしていた
「あ」
手が滑った、スーツケースはソロの手を離れ藪の中に飛んでいく
ソロは藪をかき分けスーツケースを取りに行く.......そこには

金髪の少女が倒れていた、頭が割れて大量の血が流れている
おそらく即死に近い状態だろう
明らかにスーツケースの直撃を受けたものだ
それを見たソロの口から、ミネアの時と同じく自分に言い聞かせるような呟きが漏れる
「違う、僕じゃない、僕のせいじゃない.........」
「そうだ、この人はもっと前に死んでいたんだ、それで殺したのはデスピサロだ!!
デスピサロめ!絶対許さないぞ」
またしても勝手な解釈でむりやり自分を納得させたソロは
スーツケースを抱えその場から走り去った。
 
どうやら彼は気がつかなかったようだ
ぶつぶつと呟いている間に金髪の少女.......リュックの頭の傷が徐々にふさがりつつあった事を
ソロが去って数分後
「何があったんだろ、ゆっくり用も足してられないな」
自分が先程まで死にかけていたことも知らず、リュックは再び歩き始めていた。

【ソロ 装備品 スーツケース核爆弾 現在位置 マランダ北部山岳地帯 行動方針 デスピサロを倒す】
【リュック 装備 なし 現在位置 マランダ北部山岳地帯 行動方針 仲間を探す】
(基本身体能力UP 超回復能力あり) 

84 :名前が無い@ただの名無しのようだ :02/10/30 03:07 ID:???
静かな…波の音。
封魔壁監視所からはるか南の岬。
身を隠す場所も何もない。そんなところにラファは立っていた。
ここにいるとすべてが嘘のように思える…
「だけど…」
首輪に手を触れる。それは紛れもない事実。
己の定められし世界に引き戻される。
「ラムザ…兄さん…」
ふと、ここにいない兄とこれに参加しているラムザの名前が出る。
「まだ、私には希望がある…だから、兄さん、待ってて。必ず、生きて、帰るから。」
ラファは賭けた。ラムザなら絶対にこのゲームから脱出できる何かがあると。
足元の石を蹴る。それはどういう意味を持つのか。
それは彼女しかわからない。
彼女は急ぐように駆け出していった。

石を蹴飛ばした先、岬の下になる。
波打ち際ででセシルは舌打ちしていた。
まさか気づかれているとは思えなかった。
セシルは先にこの地へやってきていて偶然にも空間がひずんだためとっさに岬の下へ身を隠したのだ。
どのようなやつが出てくるかわからなかったためだ。
そしてラファが現れ、しばらく様子を見ていて今飛び出さんとしたときにその小石がぶつかってきたのである。
その小石はセシルに攻撃を思いとどまらせるに十分だった。
「あの女め…」
…ゆっくりと岬へ上ってくる。ラファの姿ははるか遠くだ。
「まあいい。俺の狙うべき獲物ではない…」
セシルは頭の中に獲物の二人の姿を思い浮かべる。
ゆっくりと歩き出した。
…すでに彼は戻れないところまで足を踏み入れているのだ。

【ラファ ジョブ:天道士 アビリティ:黒魔法 所持武器:鉄扇 モーニングスター なべのふた 現在位置:封魔壁監視所南の岬 行動方針:ラムザとの合流 セシルからの逃亡 進路を北へ】
【セシル 所持武器:暗黒騎士の鎧 ブラッドソード 源氏の兜 リフレクトリング 現在位置:新フィールドへ 行動方針:皆殺し(ハーゴンorエドガーを最優先ただし遭遇すれば他のキャラでも殺す) 進路を北西へ】
(セシルはエドガー、ハーゴンを殺せば新たな力を得るということをエビルマージと契約済み)

85 :名前が無い@ただの名無しのようだ :02/10/30 03:10 ID:???
四半刻程かけてわしらは当面の目的地チョコボ小屋に辿り着いていた。
「いるな……。」
「???」
「気配でわかる。」
 わしとて邪教集団のトップとして200年以上君臨し続けていた男、暗殺者や熟練の戦士なら兎も角、
その手の事に慣れぬ輩に遅れは取らん。
 今現在わしの考えている脱出方法は儀式魔法を使ったものだ、その為にクリアーしなければならない
条件は触媒と時間。
 うち触媒に関しては1人でも集められない事は無いが、時間だけはわしが1人しかいない以上いかん
ともし難い、触媒の量にもよるが一時間以上かかってしまう筈だ。
 ではどうするか?簡単だ、協力者を集めて周囲を固めさせれば良い、わしが使う邪法を見ても眉一つ
動かさずに協力してくれる者で。
 そこでわしはマゴットに覚悟を決めさせるべく幾つかの小細工をして来た訳だが…ふむ、これはチャ
ンスかもしれんな。
「…少し様子をみるぞ。」
「……」
わしらは小屋の周囲を移動して窓を探す、ククク…誰だか知らぬが仕掛けて来い、そしてマゴットに殺
されろ、ククク…。

【ハーゴン 武器・グロック17、グレネード複数、ムーンの首、首輪×3
場所・ツェン付近の森のチョコボ小屋周辺 行動方針・ゲームから脱出】
【マゴット 武器・死神の鎌 
場所・ツェン付近の森のチョコボ小屋周辺 行動方針・仲間と合流、ゲームから脱出】
        VS?
【グレーテ (瀕死 腹部に怪我 足を負傷 右腕に火傷 出血は収まっている) 
所持武器・裁きの杖 現在位置・ツェン付近の森のチョコボ屋 行動方針・休息】

86 :名前が無い@ただの名無しのようだ :02/10/30 03:10 ID:???
セシルの現在位置は
【封魔壁監視所の南の岬】です。
申し訳ありません。

87 :1/4 :02/10/30 16:33 ID:???
フラットレイは、焦っていた。
封魔壁へと続く谷で、フラットレイは崖にぱっくり開いた穴の中に身を潜めていた。
殺すのは一人でいい。最後の一人だけで。だから、今は隠れている。
だが…。
(外を歩いている…誰がだ?)
足音がする。二人か、三人。何事かを話しながらこっちの方に歩いてくる…。
(落ち着け。殺し合う必要は…無い。)
そう思った。最後の一人でいい。だから、隠れてやり過ごせば…。
汗をかいていた。極度の緊張から。首筋を指先でぬぐうと、冷たい感覚が触れた。あの、忌々しい首輪。
コレが爆発したら、まず死ぬ。だが、逃げたり、アイツラに明確な反抗の意志を示したりしなければ、そんな心配は皆無だ…。
その時、フラットレイの脳裏にエビルマージの言葉がよぎった。
“また、24時間以内に誰も死ななかった場合も、爆発だ。”
…最後に人が死んでから、どれくらい経った?最悪の場合、時間は後十時間と少し。
やる気のヤツらはいるらしいが、もしもそいつらが後十時間、人を見つけられず、殺せなかったら…。
フラットレイは、ダイアソードを握りしめた。時間を稼がなければならない。
フラットレイは、穴の中から弾丸のような勢いで飛び出した。

「大丈夫?アリーナ…。」
隣を歩くリディアの心配そうな声…そう言えば、会ってからずっと心配そうな声ばかり出している気がする。この子は…に、アリーナは笑顔で答えた。
「へーき、へーき。大した怪我、してないし。」
そう言って、軽い調子で手を振る。そう、ちょっとした切り傷や擦り傷だけで、大した怪我などしていない。
ただ、精神的な疲労が激しかった。ソロがミネアを殺してしまったかも知れないと言う事。そして何より、ギルバートが死んだ事だった。
あの時は、妙に落ち着いていたので…そして、考えがあると言っていたので任せてしまったが…。
付いていっていれば良かったのではないか?一緒にいれば死なずにすんだのでは?
彼を弔った後、それを考えずに済ますためにアリーナは歩いていた。とても早く、ただリディアが追いつける程度には押さえて。
いつの間にか、内陸部に入り込んでいた。右の方に崖が見える。
そして彼女らの耳に、剣と剣がぶつかり合う音が響いてきた。戦いの音が。

88 :2/4 :02/10/30 16:34 ID:???
「…!」
剣戟の音が聞こえた次の瞬間には、疲れ切っていたアリーナの精神は覚醒していた。
横を歩いていたリディアを引っ張って抱きすくめて、少し遠くに見える谷に、崖の真ん中にナイフで切り込みを入れたような谷の入り口に向かって走っていた。
「戦ってる…?」
リディアが小さく呟いた。谷の真ん中で行われている戦いを見て。
そう、戦っていた。見知らぬ誰かが。
片方は男。二十歳くらいの茶色い髪の男だ。少し後ろに紫色の髪の子供が二人いる。
もう片方は…なんだ?アレは?ネズミの顔をした男…男かどうかは分からないが、とにかくネズミ人間だ。
どちらも剣を握って、戦っている…と、今の今まで後ろで見ているだけだった子供の一人が動いた。右手を掲げ、アリーナに取っては信じられない一言を言い放つ。
「ライデイン!」
子供の手から紫電が迸る。凄まじいイカヅチがネズミ人間の傍らを焼き尽くした。
ネズミ人間はその一撃に驚いたようで、戦いを放棄して逃亡を始めた。目の錯覚かと疑うような跳躍力で崖を上っていき、その向こう側へと消えていく。
だが、アリーナの意識は別の所に飛んでいた。
雷撃呪文?まさか。アレは勇者の血統…ソロにしかあつかえないはずだ。だが、今のは間違いなく…。
“男の子が、雷の魔法で女の人を…”ギルバートはそう言った。
目の前のあの子供とソロはずいぶん年齢が離れているが、“男の子”と、ひとくくりに出来る年齢差だ。まさか…あの子供が?
思考が、固まっていく。ソロがミネアをが殺すはずがない。あんな呪文を使えるヤツだってそんなにいるはずが無い。だったら…。
アリーナが、立ち上がった。ゆっくりと、怒気を込めて。
「アリーナ…?」
リディアの問いかけ。アリーナはそれに、走り出しながら答えた。
「アイツラがミネアを殺したかもしれない…!」と。

ふう…と、バッツは小さくため息を付いた。強かった…。
逃げるフラットレイを見送って、バッツは自分にかかっている魔法を解除する。
あの、妙な機械だらけの基地みたいな所を出る時に“アビリティ”を時魔法に変更していたのが幸いした。魔法の力が無かったら、今頃は…。
「助かったよ、二人とも…。」
そう言いながら、首を巡らせる。視界の端に紅いマントが映った。

89 :3/4 :02/10/30 16:35 ID:???
(え?)
と思う隙もあればこそ、バッツはいきなり腹部に重い一撃を喰らって宙を舞った。
今更のように、「危ない!」というクーパーの声が聞こえてきた。

背筋がゾクリを冷えるような怒気を放ちながら、アリーナはクーパーを睨め付けた。
ひっ、と声を上げてアニーがへたり込む。
クーパーは、やはり怯えながらもアリーナを睨み付け返す。天空の盾とロングソードを構えて。
…この時、クーパーがアニーと同じように怯えて戦う意志を放棄していたら、アリーナは攻撃を止めていただろう。だが、クーパーはほんの少しだけ、意志が強すぎた。
ぎりっ、とアリーナが歯を食いしばる。そして。
烈風のような拳がクーパーめがけて突き出され、それはかろうじて天空の盾に受け止められた。

「ぐ……。」
地面にはいつくばったバッツは、ジンジン痛む腹部を押さえて立ち上がろうとした。骨格や内臓に損傷はないようだが…。
ぐっと顔を上げると、クーパーがさっきの赤マント…どうやら女のようだ…と戦っている!
「くそっ…!」
バッツは口から一筋の血を流しながら、魔法の詠唱に入った。

何度も強烈な拳を繰り出しながら、アリーナは歯がみした。
自分の攻撃がことごとく防がれている!それも、なにか『盾が勝手に防いでいる』ように見える。
焦るクーパーの腕を盾自身が導いて、防がせている…!
がしっ、とアリーナの腕が盾を掴んだ。そのまま盾を引っ張って、クーパーの防御をがら空きにする…!
(この子が、ミネアを…!)
アリーナの頭に血が上り、拳が振り上げられ…。
脇腹に弾丸のような衝撃を受けて吹っ飛ばされた!

90 :4/4 :02/10/30 16:36 ID:???
「あ…。」
目の前からアリーナの姿が消えたとたん、クーパーはその場にどっかと座り込んだ。緊張の糸が、切れた。
「大丈夫…?」
ようやく立ち上がったアニーが、クーパーに走り寄ってくる。
ごめん、ごめんと謝るアニーに「いいよ、大丈夫だから。」と答えて、ぐるっと辺りを見回した。
右の少し離れた所に、アリーナが倒れている。そして自分の前には、バッツが。
「バッツ兄ちゃん?!」「バッツさん!」
クーパーとアニーは、慌ててバッツに駆け寄った。
「ああ、二人とも…無事だったか…。」
衰弱し、ボロボロの身体を引きずってバッツは立ち上がった。
今の瞬間、バッツはクイックと言う“時間停滞魔法”を使い、アリーナに思いっきり体当たりしたのだ。通常の時間軸から見れば凄まじい速度で。
その代償として、その魔力の大半を使い切ってしまったが。
「大丈夫?!」
「ん…まあ何とか生きてるけど…少しきついな。スタートの場所に戻って…少し休むか。」
そう言いながらバッツは、少し遠くで倒れているアリーナを抱き上げた。息はある。気絶してるだけだ。
「その人、どうするの?」
「連れてくよ。気が付いたら、説得してみる。」
バッツはそう言って封魔壁監視所に向かって歩き出した。無論、双子もそれに従った。

リディアは、連れて行かれるアリーナをじっ、と見つめていた。
まさか、三対一とはいえ、アリーナが倒されるとは思わなかったから。
でも、あの人達は“トドメ”を刺さなかった。ひょっとして…。
リディアはゆっくりと、バッツ達の後を追い始めた。

【アリーナ/リディア 所持武器:イオの書×4 リフレクトリング/無し 現在位置:封魔壁へ続く谷間
 行動方針:気絶・クーパーをミネア殺しと勘違い/バッツ達を追う】
【バッツ:魔法剣士 時魔法/王子クーパー/王女アニー
 所持武器:ブレイブブレイド/天空の盾、ロングソード/マンゴージュ
 現在位置:封魔壁へ続く谷
 行動方針:非好戦的だが、自衛はする。レナとファリスを探す。最終的にはゲームを抜ける。封魔壁監視所へ戻る/両親探し/両親探し】
【フラットレイ 所持武器:ダイヤソード 現在位置:封魔壁へと続く谷から離脱 行動方針:どこかに隠れる。時間を稼ぐ。】

91 :ライアンとか :02/10/30 19:39 ID:???
「…この町には人の気配は感じないでござるけど、どうでござるか?」
「…いるとしても二、三人だね。警戒するにこした事はないけど。」
ライアンとルーキーの二人はツェンの町が見える小高い丘の上にきていた。
手持ちの武器が心もとないので十分様子見しておきたかったのだ。ここに来た目的はもちろん
武器の調達だった。日の傾き具合からみて、日没まであと四時間といったところか。できれば
暗くなるまで待ちたかったが、これ以上人が増えたりしたら困る。行くとしたら真中の一番大きい
家なのだが…。
「そういえば、ライアンさんの支給品ってなんだったの?」
「む?袋の中を見たときナニも入ってなかったようでござったから…」
「もう一回よくさがしてみたら?」
地面に袋の中身を出してみた。少量の食料、水袋、魔法のランタンと地図。
そして袋の底に、コブシくらいの包みが入っていた。
「なんだろコレ?あけてみたら?」
「…(ゴソゴソ)……眼帯…でござるか?」
縁は青灰色の鉱物でできており、眼球にあたる部分は虚ろな闇を抱いていた。
「こんなモノみた事あるでござるか?」
「無いよ。つけてみたら?」
目を閉じ、左目の所にそれをあてた。その質感に反して着けた時の感触は悪くない。
おもむろに手を離した。重さはほとんど感じない。ごく自然に肌についているみたいで
どこも止めていないのに落ちる気配は無い。そして目を開けた。



92 :ライアンとか :02/10/30 20:26 ID:???
「…ムウ……」
ライアンは低く唸ると辺りを見回して、そして視線をツェンの町にむけた。
唇の端は笑みの形に歪み、先程まで虚ろな闇を抱いていた眼帯のソコにはまるで目のように
動く赤い光点が浮かんでいた。
「どうしたの?ライアンさん。」
不安そうにルーキーが見つめている。もしコレが呪われてたりしたら…。
「ム?いやいやコレは大した物でござるよ。着けてみるでござるか?」
ライアンは眼帯を外しルーキーに手渡した。そして装着し、目を開けた。

最初に見たのは風に揺れる木々の梢。いつもと違うのは、その像に赤い残像がついていた
ことだ。いや、その像にあわせて木が動いているから残像と言うには語弊があるだろう。
町を見ると、視力が良くなったように細部まで確認できる。隠れている人だろうか、赤いマークが
町の中に2つ確認できる。今ならどんなに速くて小さな的にもこのブーメランをあてることができるような気がした。

「うわぁ。すごいねコレ。」
眼帯を手渡しながら率直な感想を述べた。
「うむ。なかなかの品でござるな。町の中にいる者は二人、場所もわかるでござる。
 まず無人の家から調べてみる事にするでござる。」
「うん。あ、このブーメランはライアンさんが持って。僕より使えそうだし。」
それにアノ眼帯をつけていればはずすことは無いだろう。アレはそういう力を持っている。

そして彼らはこの丘を後にした。

【ライアン/ルーキー    現在位置:ツェンの丘  
 所持武器 スナイパーアイ、ブーメラン  行動方針 町へ 仲間・武器をさがす】




93 :名前が無い@ただの名無しのようだ :02/10/30 22:42 ID:???
ベクタ北。狭い山道を幼いテリーは駆けていた。
その目には涙を浮かべながら。
その手にはチキンナイフを握りながら。
その顔は憎悪の表情を浮かべながら。

「許さない!許さない…!」
手に握られたチキンナイフは憎しみと、悲しみと、恐れで如何なる剣よりも鋭い輝きを宿していた。
彼を守ってくれた剣士はすでにない。
剣士を殺したのは緑髪の女性。
煉獄の火炎で焼き殺した女性。
涙に濡れた瞳で捕らえた女性。

疲れも忘れ、ただ、当てもなく走っていた。剣士の敵を討つ。ただそれだけで。

【テリー 所持武器:チキンナイフ 現在位置:ベクタ北の細道 行動方針:謎の剣士の敵(ティナ)を取る 邪魔するのなら手当たりしだい】


94 :名前が無い@ただの名無しのようだ :02/10/30 23:47 ID:???
「騎士様はどんな服がお好みかしら?」
マランダの街の民家で、セーラは洋服ダンスから次々と服を引っ張り出しては試着していく
「これなんかどうかしら?でも少し大人し過ぎるかも」
少し首を傾げると、また服選びを始める
結局、彼女の気に入るような服は無かったようだ
渋々ながら、白いロングスカートにブラウス、それと緑色のチョッキを羽織ったものに落ちつく

まるで姫君というより街娘だが、あのようなみずぼらしい姿よりはまだマシというものだろう。
着替えも終わったし、早速これから・・・と思った矢先こちらに近づく何人かの姿が見える
姿は4つ、1人は片腕を失っているようだ、青い顔をして仲間の肩にしがみついている
しかしそれよりもセーラはその傍らに従う異形の騎士の姿に眉をひそめる
「まぁ・・・・汚わしい、あのようなモンスターを連れて」

そうだ、あれはきっと騎士様の行く手を阻む敵に違いない、ならば私が倒さなければ
4対1とはいえ仲間の振りをして慎重に行動し、油断を誘い1人ずつ殺していくようにすればなんとかなるかもしれない
「騎士様、待っていてください、必ずやセーラは貴方のお役に立ってみせますわ」
それからしばらくして
「ここでしばらく休もう」などと声が聞こえ、扉が開く
セーラは手はず通り
「まぁ・・・大変、大怪我をされてますわね・・・こちらのベッドへ」
とピエール達を部屋の中に招き入れるのであった。その懐に銃と殺意を忍ばせて・・・・・・

【セーラ 装備品 癒しの杖 ブレイズガン 現在位置:マランダの街 行動方針:ピエール一行を殺す】
【ピエール/マリベル/ビビ/フローラ(右腕喪失) 所持武器:珊瑚の剣/エルフィンボウ/ギサールの笛/爆弾岩×10
 現在位置:マランダの街 行動方針:休息】

95 :名前が無い@ただの名無しのようだ :02/10/31 00:07 ID:???
訂正
ピエール一行の所持武器の中にある爆弾岩×10 は
爆弾石×10 です。

96 :名前が無い@ただの名無しのようだ :02/10/31 01:07 ID:???
「はぁ・・・・」
ガライは渦潮を上げる海原を見ながら溜息をついた
これからどうすればいいのだ・・・・・・竪琴の弦も切れてしまった
街もいくつかあるようだが、正直1人で近づくのが怖い・・・・・
「せめて誰か連れがいれば・・・・・・」
と、周囲を見渡すと岩場に1人の男が引っ掛かっているのが見える
ガライは慌てて駆けよって男を浜辺へと引き上げる、あちこち痣だらけだが
まだ温かいし息もある・・・生きているようだ。

「しっかりしてください、しっかりしてください!」
ガライは必死で呼びかける・・・ここに送られてようやく出会えた人間だ。
もしかしたら仲間になってくれるかも
ガライの必死の祈りが通じたか、男は目を開け、周囲と自分の身体を見渡し、それからゆっくりと立ちあがる
「気がついたんですね、よかった・・私はガライといいます、いや話せば長くなるんですけど、実は・・・・・」
興奮状態で話し始めるガライは男が両手に何時の間にか石を握っていた事に気がつかなかった。
ぐしゃり

ぐちゃっ、ぐちゃっ・・・・・
ガライの頭が原型をとどめないほどに叩き潰されて行く。
こうしてガライを殴り殺すと、スコールは何事も無かったかのようにまた獲物を求め歩き始めた。

【スコール(負傷) 所持武器:なし 現在位置:アルブルク南東の岬 行動方針:人形状態】
【ガライ:死亡】


97 :1/4 :02/10/31 02:30 ID:???
「少し様子を見るぞ…」
私とハーゴンが移動を開始したその時、ほんの僅かに小屋の扉が開き、女の方が顔を出した。
「!」
 凄い火傷…それに足にも大きな傷…、次の瞬間私は立ち上がって呪文を唱えていた、この人は深く
傷付いている、だけどまだ死ぬ程の負傷ではない筈、一度傷を治してから話を聞いてみよう、そし
てもう一度、もっとまともな脱出方法を三人で相談しよう、きっと何か別の方法が…
「ベホィ…」
ウォォォン!!
 彼女が振り上げた杖に導かれ、風が唸りを上げて私に襲いかかる、えっ……私の呪文は間に合わな
い、必死で精神を集中してダメージを…
「!」
 脇腹を裂かれた、呪文の集中が途切れてしまう、崩れる私の喉に真空の刃が…そんな…私、ただ…
「マァゴォォォット!」
 間一髪、私はハーゴンに突き飛ばされていた。

98 :2/4 :02/10/31 02:33 ID:???
ウォォォォン!
「ぬうう……」
 再び振るわれる真空の刃、私を庇ってそれを背中で受けるハーゴン…さん。
「馬鹿者……」
 私の事ですか?
「弱き者は容易に恐怖に心を喰われる、あの状態の相手に不用意に呪文など使うからこうなる。」
ウォォォォン!
 ハーゴンさんの緑の血が私の服を斑に染めていく、はやく治療を…
「その前にけりを付けろ、魔力は…無限……では…」
 私の手に『それ』を押し付け力を失っていくハーゴンさんの身体、再び振るわれようとする真空の刃。
させない!
「メラゾーマ!」
 私の造り出した火球は女に向かって突き進み女は素早く扉の影に隠れた、確かにメラ系の呪文は単体
にしか効果が無い上に対象が見えていなければ効果がない、だから私の火球は正確に扉の脇の壁を吹き
飛ばす、女は……姿が見えない、それでもいい。私は更にハーゴンさんに渡された『それ』、グレネー
ドと首輪を小屋の中に放り込む、そして…
轟轟轟ゥゥゥゥゥン!!
 爆発するグレネード、その爆風に歪められる事で爆発する首輪、その二つの爆発に耐えられなかった
小屋は崩壊した。

99 :3/4 :02/10/31 02:35 ID:???
 それから5分ほど後、私は瓦礫の山で彼女に再会していた、更に酷くなった火傷、折れ曲がった手で
しっかりと握り締められた杖、もう何処へ行ったのかわからない両足……余程爆発が近くないと首輪は
反応しないのだろう、辛うじて生きているものの既に彼女を助ける術は私には…無い。
「ヒュゥヒュゥ」
 彼女は何か喋っている様だが私にはただの呼吸音にしか聞こえない…ひょっとしたらさっきの勝負の
途中でも何か言っていたのかもしれないが、風のせいで聞こえなかった。でも彼女の意思はわかる、そ
の瞳が語りかけてくる、まだ生きていたいと。
「………。」
 私は鎌を振り上げる、もうこれ以上余計な逡巡は許されない、皆の為に、ハーゴンさんの為に。
「ヒュゥヒュゥ」
 恐怖に彩られた瞳、戦慄く唇、私の心の奥から湧き上る恐れ、その全てを振り払い。
 鎌を振り下ろす事で私は彼女と過去の私に別れを告げた……

100 :4/4 :02/10/31 02:37 ID:???
「ふむ、これで良し。良くやってくれたな。」
「…………」
 わしはマゴットの持ち帰った首に印を書き込みつつ労いの言葉をかける。
 やっとマゴットも完成したといって良いだろう、少々身体を張ったのは予定外だが、最初からベホマ
の期待できるマゴットと組んでいるのだからあの程度ならリスクでも何でもない。
 今後は次の協力者を育てるべきなのだろうが…いや、時間的にその余裕はないと思って良いだろう、
後は脱出メンバーの選定と首輪の解析と触媒集めと……
「………」
「む、そうであったな。」
先の事より今の事、またも目立ってしまったわしらは戦利品をしまうとこの森を後にした。

【グレーテ 死亡】
【ハーゴン 武器・グロック17、グレネード複数、ムーンの首、グレーテの首、首輪×3
場所・ツェン付近の森から北に移動 行動方針・ゲームから脱出】
【マゴット(呪文連発によりMP減少気味) 武器・死神の鎌、裁きの杖 
場所・ツェン付近の森から北に移動 行動方針・ゲームから脱出、仲間と合流】
※ツェン近郊のチョコボ小屋が崩壊しました


101 :オルテガとか :02/10/31 19:24 ID:???
スタート地点から何かの足跡を辿ること1時間、森の少し開けた所に小屋が建ててあった。
小さな井戸と小屋の裏に畑があり、入り口の上には鳥の頭を描いた看板がついていた。
中に誰かがいる気配はない。が、一応そこらへんの小石を屋根に投げ待つこと数分。
やはり誰もいないみたいだ。そして幾分警戒しながらもその小屋の扉をくぐった。

中は割と広かった。出入り口は家畜用と人間用と共通らしく扉は大きくとってあり、
床は藁で敷き詰めてあった。壁際には螺旋階段がついている。外から見た時には
わからなかったが二階建てのようだ。おそらく人間用の部屋は二階にあるようだ。
しかしここに入って一番印象に残ったのはこの強烈な臭いだった。獣のようで獣では
無く、鳥のようで鳥でもないこの形容しがたい獣臭さは生きとし生ける物全てを拒絶
しているようだった。ここから出ようと思ったが足が少しも動かない。意識が朦朧としてくる。
さすがに生命の危機を感じた彼は活路を見出そうと部屋を見渡す。しかし無情にも役に立つ
物は見当たらない。不意に足元の感覚が失われ、たまらず地面に倒れた。床も、壁も、天井も
ぐるぐる回っている。手足の感覚も無くなってきた。最後の力を振り絞り何かないかと
手持ちの袋を開ける。この中にも何も役に立つ物は無かったはずだが……。
あった。それはすっかり存在を忘れていた因縁のアイテム。

    覆    面     

ほとんど麻痺しかけた頭でなんとかソレを引っ張り出し、かぶった。
すると今までの不快感が朝霜のように消え去り体の隅々まで感覚も戻った。
なぜか先程まで感じていた臭いも消え去っていた。意識はまだはっきりしないが
小屋の奥に何かいることくらいはわかった。おそらくあの臭いの原因だろう。

オルテガはしっかりした足取りで小屋の奥に向かって歩き出した。




102 :1/3 :02/10/31 19:57 ID:???
ズズズッ・・・と何やら遠くから轟音が響くと同時に、
先程まで順調に稼動していた機械が動かなくなる
デスピサロとサマンサは顔を見合わせる
「どうやら動力関係に何らかのトラブルが発生した模様ですね」
「うむ、少し調べてきてくれないか?」
サマンサは頷くと、そのまま工場の奥へと歩いて行く

1人になったデスピサロは再び資料の閲覧を始めていたが、こちらに近づく気配に気がつく
この気配は・・・・アリアハンの城内で出会った二人組ではないか
今は厄介事は避けたい、そう思いこの場を離れようとしたデスピサロだったが
少し遅かったようだ、続きの棟への扉を開け放した途端まともに2人と鉢合わせしてしまった。
彼らもそれは同じだったようだ、一瞬妙な沈黙が周囲を包むが
アルスが剣を抜き躍り掛かるよりも早く、デスピサロは工場の奥へと逃げ出していた。

「まてっ!今度こそ逃がさないぞ!!」
アルスは必死の思いでデスピサロを追う、あわててティーダも一緒に追う
デスピサロも必死に逃げるが、様々な機械が設置された工場内では思うようにスピードが出せない
みるみるうちにその差は縮まっていく。
仕方なさ気にデスピサロは振り向く、2人同時は骨が折れるが・・・やれない事も無い
それを見て、アルスとティーダもじりじりと間合いを詰めていき、アルスが再び剣を構えたとき、
デスピサロの背後に人影を見る・・・・あれは
「サマンサ!サマンサじゃないか!ちょうど良かった、探していたんだよ、これで3対1だ」
しかし、サマンサはアルスの喜び様とは正反対に表情を変えることなく、言い放った
「いいえ、2対2ですよ・・・・・・・ ヒャダルコ!」
アルスとティーダの足下に氷塊が叩きつけられた。


103 :2/3 :02/10/31 19:59 ID:???
「どうして・・・サマンサ、嘘だよね、こんなこと」
震える声で話しかけるアルスへ、サマンサは表情を変えることなく淡々と告げる
「アルスさん・・・申し訳有りませんが、ここで倒れるのは貴方たちの方です
 アレを知る前に出会えていれば私は貴方に味方していたでしょう・・・・ですが運命は皮肉ですね」
余りのことに言葉が出ないアルスの足下にさらに氷塊が叩きつけられる。

「かつての同志のよしみで、ここは退いてくだされば良しとします・・・・ご決断を」
どれくらいの時間がたったのだろう、やがてアルスはふるふると頭を振ると
なおもデスピサロへと剣を向ける、しかしその構えはまるで力が入ってなかったし
その瞳には涙が光っていた。
そしてティーダはそれを黙って見ている事しか出来なかった。

「なるほど・・・・それが答えですか・・・では私も本気を出させていただきます」
サマンサの口が再び呪文を紡ぎ出す。
「ドラゴラム!」
巨竜へと変身したサマンサは容赦なくアルスへとブレスを発射した。

どうして・・・僕たちは固い絆で結ばれた仲間だったじゃないか
本当は逃げ出したかった・・・・だが、勇者としての本能がそれを拒絶した
だからあえてそれでも立ち向かう事を選択したのだ。
しかし、実際は自分に迫るブレスを目の前にしても身体が動かない
ティーダがアルスを突き飛ばすのがあと数秒遅ければ、黒焦げになっていただろう

「何してるッスか、今は逃げるッスよ!」
しかし、サマンサとデスピサロは巧妙に2人を追い詰めていく
逃げ道はもはや無いかと思われたが、そのときティーダが壁際の何かに気がつく
「ここっ、ここから何とか逃げられそうッスよ!早く」
ティーダはアルスの肩を掴み強引にダストシュートに放りこみ、自らもそれに続く
今のサマンサの巨体ではここをくぐることは出来ない・・・・・こうして2人は何とか難を逃れた。


104 :3/3 :02/10/31 19:59 ID:???
それからしばらく後、人間の姿に戻ったサマンサにデスピサロが尋ねる。
「サマンサよ、貴様連中をわざとあの方向に誘導したな」
「お見通しでしたか・・・・流石ですね」
「かつての同志とか言っておったな・・・・まぁいい次に出会えば貴様も容赦すまい、では行くぞ」

今度はサマンサが怪訝な顔をしてデスピサロに尋ねる
「行く・・・とはどちらへ?」
「知れたことよ、あの道化が言っていた腕輪を探す、どうやらここで
これ以上の研究は無理なようだからな」
それだけを言うとデスピサロは足早に工場の外へと進んでいく
ちらりともう1度だけ後ろを振り返り・・・それからサマンサはデスピサロの後を追った。


その頃、うずたかく積みあげられたゴミの山の中
アルスは壁をばむばむと叩きながら泣きじゃくっていた
「どうして!どうしてなんだよぉ〜〜〜サマンサぁ!!」
そんなアルスにかける言葉もなく、見つめる事しか出来ないティーダだった。

【デスピサロ/サマンサ: 所持アイテム:正義のそろばん、『光の玉』について書かれた本
 勲章(重装備可能 現在位置:魔導工場→外へ 行動方針:腕輪を探す】
【ティーダ/アルス:所持アイテム:いかづちの杖/鋼の剣 現在位置:魔導工場のゴミ捨て場 
 行動方針:ゲームを止める】


105 :オルテガとか :02/10/31 20:23 ID:???
奥には長い間手入をしてなかった様に荒んだ飼育場所があった。
水飲み桶は乾き、寝藁は汚れてぼろぼろ。そしてそこに大きな生物一匹横たわっていた。
馬より一回り大きく、体全体に黄色い羽毛を持ち、その足はとても強靭にできていた。
しかし酷く痩せていて羽は汚れていた。生きたままここにずっと縛りつけられていたのだろう。
おそらく、ここの住人を消されたその時から。

もう死んでいるだろうと思い、近づいてその胸にふれる。しかしその肌はまだ暖かく
本当に小さいが心臓の鼓動も感じられた。くちばしの間から息が漏れていた。
袋から水袋を出し、くちばしの間から流し込む。ゆっくりのどが水を嚥下し、
水袋が空になる頃には首をもたげ、目を少しこちらに向け、か細く鳴いた。
「待っていろ。すぐ水を持ってきてやるからな。」

オルテガは桶を抱え、外の井戸に向かった。桶を洗い水を満たし、ついでに畑に生えていた
大根のような野菜を数本抜くと、それらを抱え小屋の中に戻った。
鳥はまだ立てないほど衰弱しており、頭の脇に置かれた桶になんとか首だけを
突っ込んで飲んでいた。オルテガは野菜をバラバラに砕き、少しずつ口の中にいれていった。
よほど乾き、飢えていたのだろう。すぐに全て食べきってしまった。
同じ事を4、5回繰り返すと、鳥はなんとか立ちあがり、羽を広げ大きくいなないた。
そしてオルテガを見つめ、彼の体を甘噛みした。そして外に出たそうに檻の仕切りを
くちばしで軽く叩いた。
仕切りを外すと鳥は目を輝かせ、軽い足取りで外に走っていった。



106 :オルテガとか :02/10/31 20:25 ID:???
外に走っていく鳥を見送ったオルテガはまずこの小屋を掃除しようと決心した。
まず建物の窓を全て開け換気をし、寝藁を全て取り替えた。外を走っていた鳥を捕まえ
ブラシをかけ羽をキレイにした。井戸から水を汲み水飲み桶に水を満たし、畑から
野菜を引き抜き飼葉桶に混ぜて入れておいた。ふと気がつくともう日が落ちかかっていた。
小屋の中は入った時に比べ見違えるほどキレイになっていた。
心地よい疲労感と心を満たす充実感。夕暮れの中を駆ける鳥の姿を見て彼はふと思った。

農業ってイイ、と。
【オルテガ 所持武器 水鉄砲 グレートソード 覆面  現在位置 マランダのチョコボ屋
                           行動方針 目標喪失中】

107 :1/2 :02/11/01 00:00 ID:???
足早に去っていくデッシュを見送るセシル
慎重に背後から近づくつもりだったが、何故か感づかれてしまった。
ふぅ、と息をつくセシルだったが、背後の気配に素早く振り向く
そこにはエビルマージが立っていた。

「ふふ・・・・何を勿体つけておる、貴様の技量ならば充分に殺せたはずだ」
セシルはそれを聞いてエビルマージに喰ってかかる
「僕は僕自身の判断で戦います、あなたに指図までされる覚えはない」
エビルマージは何も言わず、ただ水晶球をセシルへと差し出す
そこに写るのは、苦悶の表情を浮かべるローザの姿だった・・・・・

「勝ち残ったのはいいが、手遅れにならんとも限らんぞ・・・・ふふふ」
嘲るように耳元で囁くエビルマージを振りほどき
「僕はお前を殺してやりたいよ・・・・・」
血を吐くような声で言い残すとそのまま平原へと駆け出していった。

まぁよい、せいぜい励むことだ・・・・
セシルの後ろ姿を見ながらエビルマージは考える
殺戮を繰り返し生まれた憎悪と血に塗れた猛き魂、これもまた例の超魔獣を目覚めさせる鍵
まさにここはうってつけの舞台だ。
しかしゾーマは一体何を考え、この戦いを企てたのか・・・・・
そこがエビルマージの唯一の不安といえば不安だった。
ただの座興のように振舞ってはいるが、その真意は計りかねる。

秘宝も探さねばならんがここはひとまず戻ろうと上空に上がり
そこからふと地上を見るとセシルはようやく決心がついたのだろう
黒髪の剣士・・・確かザックスとかいったか?の後を追い始めた。

「そうだ・・・戦え、戦いこそが我が野望を成就させる・・・・セシル=ハーヴィ
 果たして我が供物となってくれるのは貴様なのかな?」
それだけを呟きエビルマージは姿を消した。

108 :2/2 :02/11/01 00:01 ID:???
【デッシュ 所持道具:ミネアの首輪 現在位置:封魔壁監視所付近の平原
 行動方針:エドガーと合流と首輪の解除】
【セシル 所持武器:暗黒騎士の鎧 ブラッドソード 源氏の兜 リフレクトリング 
 現在位置:封魔壁監視所付近の平原 行動方針:皆殺し
 (ハーゴンorエドガーを最優先ただし遭遇すれば他のキャラでも殺す)】
【ザックス 武器:バスターソード 現在位置:封魔壁監視所付近の平原 行動方針:非的好戦的
 女性にはやさしく。】

109 :スラリソ ◆5VrxCs/8kA :02/11/01 03:50 ID:???
ゾーマ城…
光の中では決して見えず、闇の中で浮かんで見える。
誰もがその場所を知っているはずであるが、誰もがその場所を知らない場所。

余分なものを一切取り払った部屋。
あるのはゾーマのが鎮座する玉座とゾーマ自身。そして水晶玉である。
窓の外は地獄の雷が輝き、刹那の美しさを引き出す。

「この地はなかなかによい舞台だ…」
ホビット細工のグラスを片手にゾーマは水晶玉を眺めていた。
「…準備は抜かりないな…?」
傍らの部下に問う。旅の扉を出現させた者と同様のようだ。
どう大きく見積もっていても人間の腰ほどの大きさしかない。
だが、ゾーマが絶対の信頼を置いている。その実力を問うのは愚問というものであろう。
「はっ…」
「…先ほどからエビルマージが何かと飛び回っている…」
「万事問題なしだ。」
「…よろしい。ではやれ。」


110 :スラリソ ◆5VrxCs/8kA :02/11/01 03:53 ID:???
聞くからに邪悪な声を持つもの。それが辺り一面に響き渡る。
「参加者の諸君…
 新たな地には慣れたか…?
 慣れようが慣れまいが私の知ったことではないがな…

 新たなルールについて説明する。
 新たな禁止呪文の追加である。
 …「ラナルータ」である。

 この呪文を知らぬものもいよう。
 そんなことはどうでもいいことであるがな。

 闇に落ちし者の名前は日没時にゾーマ様が直々に発表なさる。
 ゾーマ様のお声を聞ける機会だ。感謝するがいい。

 最後に。ゾーマ様のお力でこの地に雨を降らせるとの事だ。
 日没後に雨が降ることであろう。

 …以上だ…せいぜい楽しいゲームを我らに見せてくれ…」

「…エビルマージの仕事ではあるがご苦労であった。」
ゾーマはねぎらいの言葉をかける。
「…どうする?やつは放っておいてもいいのか?」
「しばらくは踊らされるのも悪くはないであろうな…」
「お手並み拝見ということか…」
「そういうことだ…」


111 :スラリソ ◆5VrxCs/8kA :02/11/01 03:55 ID:???
【生存者に新ルールが伝わりました。ちなみに>>110の下6行は参加者には聞こえてません】

112 :名前が無い@ただの名無しのようだ :02/11/01 04:40 ID:???
フラットレイは先程の戦いの場からできるだけ離れようと移動していた。ここまで来れば大丈夫か。
その瞬間突然体が重くなる。しまった。魔法を受けたのか?その瞬間、何かが飛んできた。
とっさに回避しようとするが体が思うように動かない。右肩に激痛がはしる。襲撃者はどこだ。
再び何かが飛んできた。とっさにジャンプして回避する。いた。敵は金髪の女性のようだ。
すばやい!狙いがつけられない。ジャンプ攻撃をあきらめて着地した瞬間を狙って
なにかが飛んでくる。それはまともに胸を直撃した。痛みと共に骨の砕ける嫌な音がする。
肋骨が何本かやられたらしい。激痛をこらえながら敵に接近しようとするが、
敵は自らにも魔法をかけているのか、異常な機動速度で接近を許さない。
逃げようとしても追いつかれてやられてしまう。相手を倒すしかない。また何かが飛んできた。
ならばカウンターでジャンプ攻撃だ。しかし起死回生の一撃は紙一重でかわされてしまった。
その直後、敵の魔法攻撃による黒い球体が直撃した。体から力が抜ける。気が遠くなる。

一瞬気を失っていたようだ。足跡が近づいてくる。とどめをさしにくるのか。最後のチャンスだ。
もっと近づいて来い。今までのお礼をしてやる。そうだ。もっと・・・・
足跡が大きくなる。フラットレイの体にあたる日差しがかげった。今だ!ダイヤソードを
相手に突き立てた。骨を砕き肉を貫くたしかな手ごたえ・・・おびただしい血が体に降りかかる。
敵は彼の脇に倒れた。やったぞ。俺は助かったのだ。しかしフラットレイは剣を引き抜こうとした時、
何かが違うことに気がついた。倒れていたのは女性だったが髪が黒髪だったのだ。
その時背後に気配を感じ振り返ろうとした瞬間、頭部に強い衝撃を受けて意識を失った。

113 :名前が無い@ただの名無しのようだ :02/11/01 05:23 ID:???
すいません。ゾーマの放送の直前ということにしてください。

アグリアスはねずみタイプの亜人の頭をラファーが持っていたモーニングスターで砕くと、
ラファーの死体からダイヤソードを引き抜いた。同僚として生死を共にしたラファーの死は
アグリアスの心に動揺をもたらしたが、だが、彼女はオベリア様のもとへと戻るという使命があった。
最後の1人がもとの世界へ戻れる。だからいずれは、彼女と殺し合いになったはずだ。
アグリアスは自分を無理やり納得させると、そのことを頭の隅に追いやった。

ヘイスト、スロウ、グラビガ・・精神の消耗が激しい。当分魔法は使えないだろう。
しかし、剣が手に入った。採算は十分とれた。
アグリアスは新たな敵を求めて、帝都の方へと移動を開始した。
【アグリアス ジョブ:ホーリーナイト スキル:時魔法
       装備武器:スリングショット ダイヤソード なべのふた
       現在位置:封魔壁監視所付近
       行動方針:ゲームにのる】
【ラファ 死亡】【フラットレイ 死亡】
鉄扇 モーニングスター放置

114 :113 :02/11/01 08:48 ID:???
たびたびすいませんが113を無効にしてこれを代わりに入れてください。
ゾーマの放送直前の話です。

アグリアスはねずみタイプの亜人の頭をラファーが持っていたモーニングスターで砕くと、
ラファーの死体からダイヤソードを引き抜いた。アグリアスは倒れた敵にとどめをさそうとした時
近づいてくる気配に気づきとっさに身を隠したのだ。その結果ラファーは倒れていた敵に不用意に
近づき命を落としたのだ。彼女は私の変わりに死んだのだ。同僚として生死を共にしたラファーの死は
アグリアスの心に動揺をもたらした。だが、彼女はオベリア様のもとへと戻るという使命があった。
最後の1人だけが元の世界へ戻れる。だからいずれは、彼女と殺し合いになったはずだ。
アグリアスは自分を無理やり納得させると、そのことを頭の隅に追いやった。

ヘイスト、スロウ、グラビガ・・精神の消耗が激しい。当分魔法は使えないだろう。
しかし、剣が手に入った。採算は十分とれた。
アグリアスは新たな敵を求めて、帝都の方へと移動を開始した。
【アグリアス ジョブ:ホーリーナイト スキル:時魔法
       装備武器:スリングショット ダイヤソード なべのふた
       現在位置:封魔壁監視所付近
       行動方針:ゲームにのる】
【ラファ 死亡】【フラットレイ 死亡】
鉄扇 モーニングスター放置

115 :1/6 :02/11/01 12:39 ID:???
「ん…。」
どこかで不気味な声が聞こえた気がして、アリーナはゆっくり目を開けた。
髑髏の穴を風が通り抜けるような音。それに明確な『意味』が込められたら、こんな感じに聞こえるかもしれない。。
「…以上だ…せいぜい楽しいゲームを我らに見せてくれ…」
ゲーム…?そうだ、自分達は今、殺し合いをしている。それで、ギルバートが…ギルバートが死んで、リディアと一緒に歩いてて…。それで…!…っ!
アリーナは、未だぼんやりしている自らの意識に渇を入れて、思いっきり立ち上がろうとして…。
縛られた手足が意識に付いていかず、思いっきりこけた。
「いったぁ…。」
頭に出来た小さなコブをさする事も出来ずに、アリーナはそこらを転がった。いつもなら、クリフトが「大丈夫ですか」などと言いながら駆け寄ってきて…ホイミを使ってくれる。
だが、今、彼女の前に存在しているのは、彼女にとっての敵だった。
「あなた達…!」
彼女は縛られている手足を器用に扱い、しっかり起きあがって座り直してから『敵』を見つめた。
「あなた達…コレはどういうつもり?」
見つめる対象が発火しかねないほどの怒気を込めて『敵』…目の前に座る青年、バッツ=クラウザーを睨み付ける。
バッツはその瞳を真っ正面から浴びながら、手の中に残っていたパンの一切れを口に放り込んだ。
その後ろに隠れている子供二人も、口をもぐもぐさせながら、怯えた目でこちらを見ている。
「どういうつもり…って、縛ってる。暴れられたら困るしな。」
バッツは申し訳なさそうに言いながら、狭い部屋…封魔壁監視所の武器庫…の窓に歩み寄った。
晴れ渡った空を見て、呟く。
「ラナルータとか言う魔法が禁止になった。それから、夜から雨になるみたいだ。」
疲れたバッツの声音。回復呪文をかけてもらったとは言え、アリーナから受けたダメージは大きい。
その、疲れたバッツを庇うように、子供の一人…アニーが『本題』に入った。
「あの…どうして、私達を…その、殺そうとしたんですか?」

116 :2/6 :02/11/01 12:41 ID:???
そのアニーの問いに、アリーナは少々動揺した。少なくとも、その内面で。
理由はある。コイツラが…ミネアを殺した『かもしれない』からだ。
だがその理由も、頭が冷めてみるとどうも乱暴な結論に思えた。
ソロでない、と言う保証は…残念ながら…無いし、雷撃呪文を使えるからと言って即座に『犯人』と決めつけるには無理がある。
それに、相手がやる気なら、恐らく自分はとっくに死んでいる。
…どうも、ギルバートの事で精神疲労が溜まっていたようだ。この、自分らしくもない思考の暴走の原因は恐らくソレだろう。
だが、確かめておく必要はあった。
「あなた…そこの男の子は…人を殺した?私の友達を殺した?」
「殺してなんか無いよ…まだ、誰も。」
「…本当に?」
すぐに答えを返した男の子…クーパーをアリーナは更に問いつめた。ソロがミネアを殺したと、信じたくないから。
クーパーは、天空の盾を掲げて応じた。普段は、剣を使っていたが。
「…この天空の盾に誓って、ボクはそんな事は…してない。」
そのクーパーの言葉に、アリーナは少なからず驚いた。
天空の盾?まさか。それはソロにしか使えないはずで…。
だが、すぐに納得する。広い世の中、もう一人か二人『天空の勇者』が居たりしてもいいだろう。
「…ゴメンね。勘違い…だったみたい。」
アリーナがそう言うと、バッツはため息を付きながら彼女のいましめを解いてやる。
「…ごめんなさいね。まだ、痛む?」
「傷はクーパーの魔法ですぐ治ったよ。魔法力も…いくらかは。」
そんな会話を交わすアリーナの目の前に、何か茶色いモノが突然現れた。丸パン。
「あの…これ、あなたのザックに入ってたものですけど…。」
アニーが、まだ少し怯えながら、手に持ったパンをアリーナに渡した。
アリーナはアニーを怖がらせないように笑顔を作り、ありがとう、と礼を言った。少し、場の空気が和らいだ。

117 :3/6 :02/11/01 12:42 ID:???
「ふう…食べた食べた!」
大きめの丸パンを、あっと言う間に食べきったアリーナは、すっくと立ち上がると言った。
「ホントにゴメンね。私、仲間も探しに行かなくちゃいけないから…リディアはどこ?」
何気ない最後の一言に、和んだ場がぴきっ、と凍り付く。ハタから見てて面白いくらいに。
「ひょっとして…。」
「一緒に誰か…いたんですか?」
クーパーとアニーの呟き。それが、凍り付いた時間を一気に溶かし蒸発までさせた。
「あぁぁぁっ!あ、あなた達リディアおいて来ちゃったの?!何やってるのよ!」
「ってぇっ!そっちがいきなり襲いかかってきたのにそんなヒマなんて無いって!」
「は、は、は、早く助けに行かないと!」
「早く行かないと雨が降って来ちゃうよ!」
狭い武器庫が滅茶苦茶に混乱する。その混乱はひとしきり続き…いきなりばたんと開いた扉の音でいきなり収まった。
扉の開いた音に反応し、全員がさっと扉の方に振り向く。
そこには、緑色の髪の少女が一人、立っていた。
「リディア…。」
安心したように、アリーナがへたり込む。そう、ドアを開けて入ってきたのは、リディアだった。
ふう…と、全員が一斉にため息を付いた。さっきまで大騒ぎしていたのが馬鹿みたいだ。
そんな、色々と疲れたような顔をしているバッツとアリーナを見て、リディアは慌ててなにやら言い訳めいた事を口にする。
「あ、あの、その、お話は、外で聞いてて、怖かったから、外で待ってて…ごめんなさい!」
勢いよく謝るリディアを見て、バッツは苦笑し、アリーナはほっと胸をなで下ろす。
アニーとクーパーがリディアに駆け寄り、「一緒に御飯を食べよう!」と、子供らしい笑顔を浮かべた。
リディアも笑顔で双子に続こうとした、その時。

黒い爆圧と共に吹っ飛んできた男が、小さな武器庫を滅茶苦茶に破壊した。

118 :4/6 :02/11/01 12:44 ID:???
「っててて…。」
ぶつけてしまった頭をこすりながら、ザックスは黒衣の男を睨め付けた。
あの野郎!いきなり攻撃してくるなんてどういう了見だ!ソルジャーじゃなかったら大怪我だぞ?!
両手でバスターソードを握りしめ、黒衣の男…セシルとしばし睨み合う。
ちらと後ろを見ると、男が二人と…おしとやかそうな女の子と謎めいた美少女、それによく鍛えられた体のスポーツ美少女が呆然とこちらを見ている。
「ここから逃げろ!ヤツはやる気だ!」
さすがに気の利いた台詞は出なかった。

リディアは呆然と、黒髪の男と向かい合うセシルを見ていた。男…ザックスの声など、耳にも入らない。
セシルがいる!今、目の前に!
「セシル!」
瞳に涙を溜めて、リディアがセシルに駆け寄る。よかった!生きていた!これで、助かる…!
セシルが、ためらいもなくリディアに剣を向けた。その切っ先にう゛ぉんと闇光が迸り…黒い濁流となってリディアを襲う。
リディアはそれも目に入らないかのように、真っ正面から濁流に突っ込もうとして…。
「危なぁぁぁぁぁいっ!」
絶叫と共に飛び出したクーパーに押し倒されて、何とか黒の濁流から逃れた。

クーパーに押し倒されたリディアは、呆然と青い空を見上げていた。
(今のは、何?セシルは、聖騎士になったんだよね…なんで、黒い鎧を着ているの?なんで、あの黒いのを撃ったの?なんで、私を殺そうとしたの?)
脳裏に赤が過ぎる。火の赤。燃える村。血の赤。倒れた母。黒い赤。暗黒騎士と竜騎士…!
「あああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああっ!」
リディアは、絶叫した。そして、それに次いで発生した物理的な何かが、覆い被さったクーパーを吹っ飛ばした!

吹っ飛んできたクーパーを受け止めてから、バッツは信じられない思いでリディアを見つめていた。アニーも、アリーナもザックスもセシルも。
リディアの身体から、なにか白い影が生まれていた。白い影…霧が、よく見知った生物の形をとる。翼を持った、ドラゴン。
「いゃぁぁあぁぁぁぁぁあああああぁぁぁぁっ!」
リディアの絶叫とともに生まれた火柱と雷撃、それに霧で出来たドラゴンのはき出したブレスが、魔封壁監視所をただの一瞬で廃墟に変えた。

119 :5/6 :02/11/01 12:47 ID:???
「っ……!」
アリーナは、ただの一瞬で起こった破壊に目を剥いた。
稲妻は階段を一撃で吹っ飛ばし、立ち上がる火柱は監視所の小屋の一つを瓦礫に帰る。ブレスは今なおあらゆるモノをなぎ倒し続けている。
「何なんだよアレは…っ!」
バッツはクーパーを地面に下ろし、足下のアニーの頭を撫でてやると、きっ、と霧の竜を睨み付けた。止めなければ…!
バッツは両手を上げて呪を紡ぎ、唱えた。「スロウ!」と。
その魔法がリディアに届く一瞬前、ドラゴンの身体が紅く輝いた。暴走したリディアの魔力が『ヘイスト』の魔法を紡いだらしい。
…その二つの魔法が“時間差を持って”激突した場合、後から紡がれた魔法が優先される…はずだった。
しかし、この瞬間は勝手が違った。何しろ、二つの魔法は寸分の狂いもなく“同時に”効果を発揮したのだから。

リディアの周囲の時間が混乱した。進み、停滞し、停止し、そして逆回転をも始める。位相が反転し、時間軸がずれる。そして。

かっ、と言う閃光が目を裂いた。音も衝撃も熱もない爆発に、監視所が神々しく照らし出される。
「…っ。逃げるぞ!二人とも!」
そう叫んで、バッツは傍らのクーパーの手を握った。そしてクーパーも、傍らの小さな手を握りしめた。
アリーナも、すぐ近くにチラリと見えた手をがしっと掴む。
バッツとアリーナ、それにザックスは、それぞれがバラバラに、外に向かって逃げ出した。
…光が収まった時、そこに立っているのはセシルだけだ。
セシルはちっ、と舌打ちすると、彼らが逃げていったのとは逆の、封魔壁の方に歩き出した。
リディアを、追いたくない。そんな、セシルの良心の最後の抵抗だった。正真正銘、最後の。

谷を通り抜け、平原をしばらく走ってから、バッツはふうと息を一つ付いて座り込んだ。
「クーパー、アニー…大丈夫か?」
荒く息を付きながら、バッツは振り返り…目の前の光景に唖然とした。
自分の手はクーパーの右手を掴んでいる。では、クーパーの左手は…?
クーパーは、ぐっすり眠る緑の髪の小さな女の子の手をしっかり握りしめていた。

ちょうどその頃少し離れた場所で、アリーナは間違えて連れてきてしまったアニーと共に途方に暮れていた。

120 :6/6 :02/11/01 12:48 ID:???
【バッツ:魔法剣士 時魔法(魔法力消耗)/王子クーパー/リディア(幼児化)
 所持武器:ブレイブブレイド/天空の盾、ロングソード/なし
 現在位置:封魔壁前の砂漠北側
 行動方針:非好戦的だが、自衛はする。レナとファリスを探す。最終的にはゲームを抜ける。/両親探し/気絶】
【アリーナ/王女アニー 所持武器:イオの書×4 リフレクトリング/マンゴージュ 現在位置:封魔壁前の砂漠南側
 行動方針:仲間を捜す/両親探し。クーパーも探す】
【セシル 所持武器:暗黒騎士の鎧 ブラッドソード 源氏の兜 リフレクトリング 
 現在位置:封魔壁の洞窟へ 行動方針:皆殺し
 (ハーゴンorエドガーを最優先ただし遭遇すれば他のキャラでも殺す)】
【ザックス 武器:バスターソード 現在位置:封魔壁前の砂漠 行動方針:非好戦的
 女性にはやさしく。】

121 :名前が無い@ただの名無しのようだ :02/11/01 16:10 ID:???
激戦区から遠く離れたマランダの町。
ゾーマの放送を聴いたエドガーは雨が降ると聴き、急ぎ近くの民家へやってきた。
鳩が多い。そういえばマッシュが伝書鳩の代筆をやっていたと…
ここのようだな。

空を見上げる。
まだ夜が更けるのには時間はあるが…真っ黒い雲が出始めている。

なぜ、雨を降らせるとわざわざ告知したのだろう。
エドガーは怪訝に思っていた。
自分の送ったメモを流そうと…いや、それはない。それだったらもっと早く雨を降らしていたはず。
この雲はもしかすると、監視のための雲…いや…

エドガーは深く考えた。
それがただの単なる雲であると知らずに。
…最も、それを知るすべはないのだけど。

【エドガー 現在位置:マランダ民家 武器:ボウガン&天空の鎧(装備不可) 行動方針:魔法使い、デッシュを探し首輪を解除する 思考中】


122 :メルビンとか :02/11/01 19:46 ID:???
彼らは今、マランダからだいぶ北の平原まで来ていた。
焚火を起こして服を乾かした後、はぐれたライアン達を探すため
町の近くまで行ったのだが、ガウがおそらくライアンの側にいるであろう
ルーキーの気配を感じないらしいのでそのまま北に向かったのだ。
そして例の告知があったのがついさっき。日没まではもうあまり時間は無い。
それまでに町に戻るのは不可能に近かった。

「…地図では雨がしのげそうな所はありませんねぇ。」
「しょうがないでござるな。
 ここから北に山があるでござるからそこに洞穴があれば…」
「雨が降りそうな気配は無いんですけどねぇ。」
日は少し傾いてはいたが空はまだ青く、それらしい雲は見当たらない。
「遺失魔法には天候を変えるモノもあるでござるから。」
「なんでそんなこと知ってるんですか?そんなの聞いたこと無いですよ。」
「ワシが若い頃にはあったでござるよ。」
「あなた、年いったいいくつなんですか。」
そんなことを話ながら歩いて、山の麓につく頃には西の空が少し赤く色付いていた。

「それじゃあガウ殿。いいとこが見つかったらおたけびをあげるでござるよ。」
「ガウ!!」
ビシッと敬礼すると一目散に山へ走っていった。
「…かなり飼いならしてますね。いつのまにあそこまでしつけたんですか?」
「いや、前に少し羊飼いをやってたでござるから。」
「…今までどんな生活してたんですか?」
「戦士を中退した後少しばかり笑わせ……ム!合図があったでござる。」
(ちぃっ。もう少しだったのに)
そう呟いて走っていくメルビンの後を追いかけていった。



123 :メルビンとか :02/11/01 20:21 ID:???
(これで五度目…)
頭の中のどうでもイイ部分でそんな事を考えていた。
たしかに見つけるのは速い。場所も普通に探していたら見つからない所ばかりだ。
しかしどこも何かしら問題を持っていた。入り口が狭かったり天井にあたる部分に
穴が開いていたり。入ろうとしたとたん入り口が崩れた時は死ぬかと思ったよ。
「もう時間ないですよ。どうするんですか?」
山を照らす赤い光が日の入りが近いことを示している。
「うむ。しかしコレしか方法はないでござるからなぁ」
半ば本気で雨の中で野宿するのを覚悟したその時、6度目の合図が聞こえた。

「今度のはわりとまともですね。」
安堵の息を漏らしつつそう呟いた。最初にいた所から少し北に行ったところの
山の中腹にゴツゴツとした岩に隠れる様に開いていた。中はなかなか広く、床は
さらさらと乾いていた。これなら浸水する恐れはないだろう。メルビンは得意そう
にしているガウにリンゴをあげていた。本当にこの二人は仲が良かった。

一度ふもとに下りて低木の枝を集め、それで入り口に中からふたができるようにする。
これで中で光を灯しても外からはわからないだろう。日没まであと少し。
三人は外に出てゾーマの告知を待つ。夜明けから半日、また多くの人が死んだので
あろう。ただ自分の大切な人の名前が言われないよう、身を硬くして祈っていた。

【ホフマン/メルビン/ガウ 現在位置:マランダ北の山
 所持武器 ギガスマッシャー、虎殺しの槍  行動方針 雨宿り 仲間をさがす】



124 :hage :02/11/01 23:01 ID:???
hage

125 :1/2 :02/11/01 23:10 ID:???
「するとセーラ殿もまた一国の姫でございましたか、いや街娘に身をやつそうとも」
あふれるその気品、私はとうにお見通しでしたよ」
ピエールは照れ隠しにハハハと声を出して笑う
セーラもまた釣られて笑ったが、それは浅ましくも人間のふりをする愚かな化物に対しての
嘲笑の笑いだ。

ピエールの背後で笑うマリベルとビビについても同じ感情をセーラは抱く
こんな賎しい化物風情にたぶらかされるような輩はロクなものではないだろう。
やはり生かせておけば、きっとあの騎士様に害を成すことになるだろうとの思いがますます強くなる

セーラは三人と雑談しながらもいかにして彼らを殺すかをひたすら考えていた
しかし正直、勝算があるとは思えない、だが考えようによってはこれはもう1度
騎士様に出会うための試練なのではないのか?そう考えると気が楽になる。

セーラは計画通り、ピエールたちに話を振る。
「そういえば、皆様がこちらの街に入られる前に人影を見ましたわ
・・・なんとなく皆様が探してらっしゃる方と面影が似ているような気が・・・・」
それを聞いてピエールたちは相談事を始める、結論はすぐに出たようだ。
ピエールは申し訳無さ気にセーラへと頭を下げる。

「セーラ様、フローラ様を任せてもよいでしょうか?」
「ええ・・・ちょうど良く眠っているようですし、ここは私にお任せください」
「ご無理を言って申し訳無い・・・・ではマリベル様、ビビ様、行きましょうか、
 あ、それからセーラ様、ドアにはしっかりと鍵をかけておくよう用心して下さい」
こうして三人は民家を出て街の中心部へと向かっていった、後にセーラと疲労のため
ベットで眠っているフローラを残して。

126 :2/2 :02/11/01 23:11 ID:???
上手くいった・・・・・さてここからが肝心だ。
彼女はフローラの身体の横に置いてある大きな枕に手を伸ばすと
それをフローラの顔にありったけの力で押しつけた
フローラも気がついたようだ
枕の下からフローラの苦悶の息遣いが伝わってくる、傷つき動かない身体で必死にもがき
圧迫から逃れようとする。

しかしそれでもセーラは全体重をかけて、フローラの顔に枕を押しつけ続ける
はぁはぁと息を荒くしながらもセーラは己の中に生まれた新たなる感情に戸惑っていた
・・・・この高揚した気分は、爽快感は一体!?
何時の間にかフローラは動かなくなっていた、それでもなおセーラは枕から離れようとはしなかった

素敵・・・こんな気分は初めて・・・・
フローラの死体を眺めながらうっとりとセーラは自分の肩を抱きしめる
これが試練を乗り超えた達成感というものなのかしら?
騎士様、セーラはまた1歩貴方に近づきましたわ、ですから待っていてください
必ずおそばに参ります。

軽くワルツを踏むようなステップで小踊りするセーラだったが、
窓の向こうに落胆したような表情でこちらに戻ってくる三人の姿が見える。
「いけないわ、後始末をしないと」
慌ててセーラは苦悶の表情のままのフローラの死に顔を整えはじめた。

【セーラ 装備品 癒しの杖 ブレイズガン 現在位置:マランダの街 
 行動方針:ピエール一行を殺す(ついに殺人の快感に目覚める)】
【ピエール/マリベル/ビビ/ 所持武器:珊瑚の剣/エルフィンボウ/ギサールの笛/爆弾岩×10
 現在位置:マランダの街 行動方針:休息】
【フローラ:死亡】


127 :名前が無い@ただの名無しのようだ :02/11/01 23:25 ID:???
「むう…?」
何だったんだ、あの告知は?リレミトやルーラを禁止した時は定時のメッセージと一緒だったろうに。
それにわざわざ雨を降らせる理由もわからん、そんな事に魔力を使ってどうするつもりだ?
「マゴット。」
「?」
「ラナルータとは、いかなる呪文だ?」
「………」
聞いた限りでは特に問題は……いや……昼夜の逆転……雨……そうか!
「わかったぞ!何故ゾーマが雨を降らせるのか!」
「……?」
ククク……成る程、意外と底は浅かったという事か…ククク……。
「………」
「まだ推論の段階だ、それより雨宿り出来る場所を探すぞ。」

【ハーゴン 武器・グロック17、グレネード複数、ムーンの首、グレーテの首、首輪×3
場所・ツェンの北の山脈 行動方針・ゲームから脱出】
【マゴット(呪文連発によりMP減少気味) 武器・死神の鎌、裁きの杖 
場所・ツェンの北の山脈 行動方針・ゲームから脱出、仲間と合流】
※何かに気付いた模様?

128 :名前が無い@ただの名無しのようだ :02/11/01 23:46 ID:???
「スコール、会える、よね。」
アルブルグの東の広大なる砂漠。
砂漠は…静かだった。

挫けそうになったこともあった。
だけど挫けなかった。
泣き出してしまいそうになったこともある。
だけど泣かなかった。
心の拠り所を求めて彷徨い歩く。
「スコール、今どこにいるの…?」
愛しい者の姿を思い空を見上げる。
風がまた吹く。
雨が近い。雨の特有の匂いを感じる。
「…西に町があったわね。…スコールも来てくれるといいけど…」
彼女は知らない。彼がすでに戻れないところにいることを。

【リノア 所持武器:妖精のロッド・月の扇/ドロー:アルテマ×1 現在位置:新フィールドへ 行動方針:スコールに会う】


129 :名前が無い@ただの名無しのようだ :02/11/01 23:51 ID:???
>>128の現在位置は【アルブルグ東の砂漠】に修正です。

130 :1/2 :02/11/02 00:26 ID:???
アルブルク南東の岬。
血塗れの男が一人、海を見渡していた。
その血はどうみても彼の血のみとは言い切れず、
明らかに返り血が付着していると用意に見て取ることができた。
その姿を見れば、万人が疑うことなく彼がゲームに乗ったと理解することができるであろう。
そしてその瞳は、もはや正常とは言い難かった。
明らかに狂気の色が浮かんでいる。

いうまでもない、先ほどにアリーナたちと一戦を交え、敗れて気絶したものの、
きづいた後なんの躊躇もなく傍にいたガライを無惨にも殴り殺したスコールである。

もはや彼はもとの道に戻ることなど到底不可能としか思えなかった。
しかし、辺りの景色を眺め、ゾーマの放送をきき、一人歩くうちに、その心情にはやや変化の兆しが見えた。

もともと彼がこのような状態になったのは、
大きくいってしまえば死への恐怖。殺戮への恐怖。
彼の心は脆く、それらに耐えうることができなかった。
しかし、幾重の殺傷、そして先ほどの少女らとの一戦は、彼自身に直接的な死を感じさせ、実戦は脆弱な心を強くした。
ガライを殴り殺したとき、彼は殴る手が痛いと微かに感じたのだ。ほんの、微かに。
とはいえ、相変わらず彼の瞳の狂気は色褪せることなどなかったが・・・。
決定的な何かが、彼には欠けていたのかもしれない。


131 :2/2 :02/11/02 00:27 ID:???
「・・・ここは寒い」

久しぶりに言葉を発した。

地図を見た。少し遠いが、街がある。

人が集まりそうなところだ。

彼は歩いた。

一連の動作はあまりに自然だった。

そしてそこには、浅いけれども思考があった。

もっとも、ただ、それだけ。マリオネットの糸は依然健在、彼に殺戮への衝動を駆り立てていく。


【スコール(負傷) 所持武器:なし 現在位置:アルブルク南東の岬→マランダの町 行動方針:人形状態?】


132 :1/2 :02/11/02 00:53 ID:???
ゴミ捨て場の中をティーダとアルスはとぼとぼと歩いていた。
「ごめんね、ティーダみっともないところみせちゃって」
「別にいいッスよ、勇者だって泣きたいときは泣いてもいいッスよ」
その言葉を聞いてアルスはまた黙り込む
「ご、ごめん変な事言ってしまって」
あわてて弁解するティーダだったが、アルスは笑ってそれに応じる

「そうだね・・・・僕、ティーダに会えて本当によかったと思うよ
ありがとう・・・・ティーダがいなかったらとっくにくじけていたと思う」
これを聞いてティーダは顔を赤くする
「そんな、感謝するのは俺の方ッスよ!」
そして2人はお互いの顔を見合わせ笑うのだった。

そのときゴミ捨て場の床が振動と共に大きく開く
主を失ってなお処理システムは稼動し続けていたのだ
大量のゴミが地下深く、奈落の底へと落ちて行く
アルスは判断良く壁に取り付いたが、ティーダは逃げ遅れてしまった
辛くもアルスが伸ばした手に捕まり難を逃れるが、このままだと落ちるのは時間の問題だ
「アルス!手を離すッス、このままだと2人とも助からないッスよ」
「離すもんか!だって君は・・・僕の友達だから・・だから絶対離さない!!」
しかし、床の傾斜はますます大きくなっていく、それにあわせてアルスも少しずつ奈落の方へと
引きずられていく、そのとき何処かからか声が聞こえた。
「レビテト!」

アルスとティーダは急に身体が軽くなるような感覚を覚えていた
なんだか空を飛んでいるような・・・・・見ると足が床から浮きあがっている。
さっきの声の方向を見ると、女の子が手招きしていた。
「ぼさっとしないで!はやくこっちに」
2人は何だか泳ぐような気分で足をばたつかせながらなんとかゴミ捨て場を脱出した。


133 :2/2 :02/11/02 00:54 ID:???
ゴミ捨て場を抜け出すとそこは草原だった。
一息ついたアルスとティーダは思い出したように改めて命の恩人にお礼を言う
「あろがとうございます、おかげで助かりました、ところであなたのお名前は?」
「私はティナ=ブランフォード、良かったわ間に合って」
そのまま2人は色々と話をしながら草原の中を進む、しばらく行くとティナが何かを見つけたようだ
厳しい顔で地面を見つめている。
見ると草原になにやら這いずったような痕がある、それははるか西の方に続いていた。

ティナはしばらく考え込んでいたが、やがて申し訳無さ気に2人に頭を下げる
「実は2人にお願いがあるの・・・・倒すのを手伝って欲しいモンスターがいるの・・・・」
暫しの沈黙、しかしティナには答えが分かっていた、せっかく助かった命をまた危険にさらす
人間が何処にいるというのだ・・・・・
「ごめんね・・・やっぱり無理・・・」
だがアルスとティーダは快くティナの依頼にこたえたのだった。

「ええ、モンスター相手なら僕たちもお役に立てると思います、手伝わせてください」
ティナは予想外の言葉にびっくりしたような顔をしている。
「いいの・・・でも君たちも」
「いいッスよ!あそこでティナさんに会わなければ今ごろ死んでいたッス!
 だからこれは恩返しッス!!」 
恩返し、という言葉を聞いて少し照れたような表情をしたティナだが、笑顔で頷くと
「そう・・・なら遠慮なくお願いするわね、2人ともよろしく」
と手を差し出す、そしてアルスとティーダも笑顔でその手を握り返すのであった。

【ティナ 所持武器:エンハンスソード、プラチナソード 現在位置:ベクタ西の草原
行動方針:デモンズウォールを追う 備考:テリーに殺されるのならばかまわない】
【ティーダ/アルス:所持アイテム:いかづちの杖/鋼の剣 現在位置:ベクタ西の草原 
 行動方針:ティナに協力する】


134 :名前が無い@ただの名無しのようだ :02/11/02 01:05 ID:???
激しい剣戟が聞こえる。
レオンハルトの疾風のごとき剣の鋭さにリバストはかつてない高揚感に襲われていた。
リバストもまたそれに相応しい激しい突きを繰り出す。
レオンハルトもまたリバストの未だ見たことのない剣裁きに惚れ込んでいた。

幾度となる剣同士のぶつかり合い。
戦士双方に疲れの色は見えない。
またとない好敵手に出会えた喜びか。
時が経つにつれその剣の鋭さは増し、二人の辺りには光が満ちているように感じられた。

リバストが飛翔すると思えば地を駆け、
レオンハルトが切り払いが来ると思えば諸手突きが繰り出される。
舞踏を舞っているが如く二人の剣戟は美しかった。

そして再び二人の戦士の影が重なる…


135 :名前が無い@ただの名無しのようだ :02/11/02 01:05 ID:???
「…名前は。」
「リバストだ。」
「俺はレオンハルトだ。」
「…いい、名前だな。」
「…ああ。」

次の瞬間レオンハルトが見たのは天空。
自分が倒れていることを知る。
胸に手を当てる。
血が出ている。これはおそらく心臓に達しているのだろうな…
ああ。負けたのだな。
「…お前の勝ちだ…」
「……」
「…お前のすべてが見えたような気がする。…お前にも見えただろう。俺のすべてが。」
「…ああ」
「…ふふ。俺たちは不器用だな。このような形でしか分かり合えないとはな。」
「…ああ」
「…俺の人生の中で一番楽しかった。そして、一番心が晴れたときだ。」
「…もうしゃべるな。」
「いいんだ。裏切りと死に塗れた俺にとっては…」
時が一瞬止まる。
「天に昇らん思いだ…」
レオンハルトの目が閉じる。
リバストは空を仰ぐ。
…空に一番近い。そんな場所へ彼を埋葬しよう。リバストは物言わぬレオンハルトの体を背負い無言でベクタを離れて行った…

【レオンハルト 死亡】
【リバスト 所持武器:まどろみの剣 現在位置:ベクタ入り口 行動方針:レオンハルトの埋葬】


136 :ソロとか :02/11/02 01:24 ID:???
「ここなら大丈夫そうだな。」
例の告知があった時から今までずっと山の中で雨のしのげそうな所を探していた。
だいぶ疲れているみたいだ。それに手に持ったケースの重みがその疲れに拍車を
駆けている。早く休みたい。そう思ってフラフラと中に入っていった。
すでに先客がいることに気付く術は無かった。

幾分ひんやりとした空気が頬をなでる。中を見渡し座り心地のよさそうな所を探す。
そして目に入ったのは誰かのザック…。それと同時に首筋にひんやりとした刃があてられた。
「動くな。少しでも変な動きをしたら斬る。」
幾分声を抑えソロに刃をあてた者…ラムザは言った。
(くそっ!油断した)
ソロは気を抜いていた自分に悪態をつく。いつもならこんなヘマはしないのに。
このゲームが始まってから一番濃厚に死の香りがする。
「まずそのケースを捨ててもらおうか。」
ソロは足元にケースを置く。ラムザは姿勢を崩さないようにケースを奥の方に蹴った。
「…オレを殺す気なのか?」
声がかすれている。普通の人だったらケースに注意がいった時に反撃できたのだが
少しも隙を見出せない。この状況を自分には打破できない。そう思った。
「君次第だ。」
簡潔に言うと、手馴れた手付きでボディチェックを始めた。
一通り調べるとソロの背中を軽く突き倒した。たまらず数歩前によろめく。
「一つ質問をする。君はやる気なのか?」
殺気はまだ解けてはいない。ソロの目をじっとみつめるラムザの目には
彼には嘘は通用しないと思わせるなにかがあった。
「いや、やる気は、無い。」
なんとか声にだせた。ラムザの目はまだソロをみつめている。



137 :ソロとか :02/11/02 01:25 ID:???
不意にラムザの目から殺気が消え、いつものやさしいかんじになった。
「ごめん。驚かせたみたいだね。」
そういって剣を鞘にしまう。
ソロは緊張が解けたのとかなりの疲労感で、たまらず地面にヘたれこんだ。
「あ〜〜〜。もう。」
いろいろな感情が混ざり合って言葉にならなかった。しかしなぜかこの青年に
対してイヤな感情は持てなかった。先程まで感じていた雰囲気は霧散していた。
「ほんとにゴメン。でもああするしかなかったんだ。」
ソロが怒っていると思ったラムザは必死に弁解していた。そんな姿がソロには
とてもおかしく見えた。
「いや、もういいよ。警戒して当たり前なんだし。」
軽く笑みをうかべそう答えた。彼が悪人とは思えなかった。
「そう言ってくれると助かる。ぼくはラムザ。君は?」
「ソロだ。」
いまだ地面に座っていた自分に差し出された手を強く握り、そう答えた。

「ところでその剣なんだけど・・・。」
「え?この剣か?」
あれから今ままでの事を話し合って一段落ついた時、さっきから気になっていた
ラムザの持っていた剣。かつて自分の使っていた天空の剣について聞いた。
「前の島で拾ったんだ。重過ぎて全然使えないけどね。」
「それ、前にオレが使ってた剣みたいなんだ。少し貸してくれないか?」
傍らに置いてあった剣に手をかける。見覚えのある形と重さ。もはや手に馴染んだ
グリップの感触がコレが自分のモノだという事を確信させる。
おもいきり剣を鞘から引き抜き、かまえた。………しかし剣は手から落ち、
地面にあたって金属質な音を立てた。手が滑ったワケではない。ただ、鉛のように
重かった。いままで感じたことが無いくらい、とても。
「な?おもいでしょう。こんな剣使える人なんているのかな。」
「…ああ。……そうだな。」 平静を装って剣を鞘に収め、元の位置に戻した。
しかしソロは激しく動揺していた。この剣は間違い無く本物だ。それなのになぜ!
なんでオレがつかえないんだ!!オレは勇者なんだぞ!!!

138 :ソロとか :02/11/02 01:30 ID:???
ソロは気付いていなかった。剣が自ら持ち主を選ぶ事。
そして自分自身が既にこの剣を持つ資格を失っていた事に。

ソロは結論をだした。
この剣はニセモノだ、本物はこんなモノじゃない。と。


【ラムザ ジョブ:忍者 スキル:白魔法 装備武器:天空の剣 対人レミラーマの杖 
          現在位置:マランダ北の山 行動方針:アグリアスを探す】
【ソロ 装備品 スーツケース核爆弾 行動方針 デスピサロを倒す】



139 :名前が無い@ただの名無しのようだ :02/11/02 05:35 ID:???
体が痛い…
辺りが暗い…
体が…動かない…

体に重圧がのしかかる。
意識が途切れ途切れになる。
ああ。俺もここまで…

いや、
ここで終わるわけには行かない。悲しむ人がいるから。
…死ぬわけには行かない。待っている人がいるのだから。

目がかっと開かれる。
その瞬間。
光が辺りに満ちる。

「もう…気が…つかれたのですか…」

アモスは辺りを見回す。
どうやらここは酒場のようである。
自分はソファに寝かされていた。
そして、声の主を見る。


140 :名前が無い@ただの名無しのようだ :02/11/02 05:39 ID:???
「…あなたは。」
彼女は美しい。…それ以外の言葉は野暮と思えた。
「私はエリアと申します。…お怪我のほうは…大丈夫ですか。」
体を起こす。一体どうしてここにと思ってみる。
「気がつけばこちらのものだ。…俺はアモス。…いったいどのくらい気を失っていたのだ?」
「おおよそ、一時間半…派手な音をしたのでそちらに向かっていたら派手に横転したトロッコとあなたが倒れていましたのでここまであなたを担いできたのですが…こんなに早く目覚めて本当に大丈夫ですか?」
「回復の心得はある。…情けないところを見せてしまったな。」
…そうだ、あれからトロッコに乗ったはいいんだが…外に出てもまったくスピードは落ちずにコーナーを曲がりきれずにクラッシュしたんだ…
いやはや、自分ながら情けない。怪物が尻に噛まれた時位恥ずかしい。
「…お尻…ですか?」
「あ、いや…独り言だ。」
恥ずかしいもほどがある。声に出てしまった。
「…あれから、ゾーマからの通信がありました。…お話します。」
「待ってくれ。…なぜ、そんなに親切にしてくれる?」
エリアを言葉で制し、立ち上がる。まだ体が痛む。
「私は、このゲームに対し、何らかの行動をしたいと思っています。…ですが、私は戦士でもないし、魔法の知識もそれほどありません。…勝手なお願いですが。あなたの力を借りたいのです。」
「…命の恩人の言葉に断る理由はない。」
「よかった…。あの、どちらに行くつもりですか?」
アモスは自分の体にベホマをかけ体調を整えていた。剣を持ち盾を持ち。
「友が戦っている。苦戦は免れない…」
「…一緒に行きます。話はそちらに向かいながら。ゾーマの部下らしい者が雨が降ると言ってました。なるべく早くに合流したいですね。」
エリアはミスリルナイフを手に持った。意志は固いようだ。
「雨か…急ごう。」
アモスはエリアを連れて、酒場を後にした。

【アモス/エリア  所持武器:妖剣かまいたち・水・1,5リットル・小型のミスリルシールド/ミスリルナイフ 現在位置:ベクタ酒場→魔導工場 行動方針:ロック、ファリスとの合流】


141 :1/3 :02/11/02 09:41 ID:???
ツェンの町の北。そこにある山脈は地元の人間から“階段山脈”などと呼ばれていた。
しかし、山のカタチは“階段”などと表現できるような生やさしいモノではない。
その山脈の“階段”とはつまり、上ったっきり帰ってこれない、天国か地獄への“階段”なのである。
そんな山脈の頂上近くの、なにかの具合に開いた浅い洞穴。
レナ=シャーロット=タイクーンとバーバラは、そこで焚き火の暖をとっていた。

「雨、か…私、雨は嫌いだな。」
バーバラの独り言のような呟きに、レナは小さく頷いた。
雨。しとしとと降りしきる雨。ざあざあと地面を抉る雨。そのいずれもが、たいがいの人間を憂鬱にさせる。
何より、『今』の状況での雨は致命的な要素となりうる。激しい雨の音は、他の…致命的な音までもをかき消してしまう。
だけど、雨の後には太陽が顔を覗かせ、その恵みが大地を潤すのだ。
二人はどんよりとした空を見ながら、二言三言、他愛ない会話を交わす。
……いつの間にか、レナが小さくメロディを口ずさんでいた。バーバラは言葉を止め、しばしそのメロディに聴き入る。
それは、旅人のメロディだった。宮廷で流れるようなクラシックとはどこかが違う。
それは全てを知ろうと駆けめぐる風のように。それはいたわりを持ってせせらぐ水のように。
それは勇気を胸に抱き燃える炎のように。それは希望の全てを受け入れる大地のように。
そしてそれは、万人が駆けめぐりたいと願う大空のように。
「なんか…すっごく元気が出てくる曲ね。」
以前に比べればずっと明るい声で、バーバラが評する。
その言葉を聞いて、レナは少女らしい、満面の笑みを浮かべた。このゲームの中で、初めて。
「バッツに教えてもらったの。名前は…“大いなる翼を広げて”。」

「大いなる翼…かぁ。」
瞳を煌めかせて、バーバラが空を見る。
翼を持って、空を飛びたい。金色の翼。金色の鱗。黒い角。巨大なあぎと…。
「…?」
バーバラは、つい今さっき脳裏に浮かび、そして一瞬で消えたイメージに疑問を抱いた。
今のは…何だ?

142 :2/3 :02/11/02 09:42 ID:???
イリーナは、へとへとになった身体を引きずって、やっとこさ“階段山脈”を登り切った。
全く何なんだろうこの山は!まるで人が上るのを断固として拒否してるみたいだ。
(だけど、タークス仕込みのサバイバル技術の前に上れない山なんてなぁい!)
心の中で得意げに勝利宣言…山に対する勝利宣言をしてから、イリーナはふと後ろを振り返った。
海が見えた。限りなく広がる海を。
山を征服した事の、ささやかなご褒美。とても気分が良くなる。
(タークス辞めたら登山家…ってのもいいかも。)
そんな、未来への希望を胸一杯にふくらませたイリーナの耳に届いてきたモノがあった。さわやかな、メロディ。

(はっ!ワタシってばなにしてるのよっ?)
いつの間にかふらふらとメロディに誘われて歩き続けたイリーナは、突然はっ、と気が付いた。
このメロディは人間が奏でているモノだ。間違いない。こんな美しい曲を奏でるネズミやらムカデやらがいるはずがない。
人がいる。そしてソイツは、敵なのだ。
イリーナは、うかつな自分を戒めるように頭をこんこん叩いた。
そして辺りを見回すと…いた。少し離れた洞穴の奥に、女の子が二人いるのが確かに見えた。
片方の、秋桜色の少女…とは言っても、イリーナより一つか二つ上に見えたがとにかく…の腰には、短剣が一本。
アレならば、今手にしているオモチャよりはずっとマシだろう。
「いよっし、タークス希望の星、イリーナ行きますっ!」
ざっ、とイリーナは彼女達にむかって駆けだして…。
岩にこびりついていたコケに足を取られて、思いっきり転倒した。

143 :3/3 :02/11/02 09:45 ID:???
「ふにゃ…ツォンさぁん……そんな所触っちゃ嫌ですよぉ…きゃ♪」
横で幸せな寝言を呟くイリーナをみて、パンを囓りながらバーバラはくすくす笑った。
外で倒れていたイリーナは頭にでっかいコブを作って、しかもオモチャの銀玉鉄砲を握りしめていたのだ。
こんな武器でこんな中を…よほど怖かったに違いない。
「ツォンさん…って、恋人の名前かな?いいなぁ…。」
バーバラの呟きに、レナはきょとんとした顔になる。
「アレ?バーバラちゃん好きな人いないの?カワイイのに…。」
…その言葉に、バーバラは飲み込みかけたパンを吹き出しかけた。何とか堪えたが。
「ゴホゴホ…あ、あはは…ちょっとね。」
ごまかし笑いを浮かべながら口の中のパンを飲み下す。
まあ、いいな、と思う男性がいるにはいるが……しかし、まあ。
「レナは恋人いるから気楽でいいよね。バッツ…だったっけ?」
…レナは、飲みかけた水を思いっきり吹き出した。手加減なしで。
「ゲホゲホ…あ、あはは…そんなのじゃないのよ。ホントに。バッツは…。」
妙にうわずった声で言うレナ。咳が収まると、ふうと息を付いてもう一度支給されたマズイ水に口を付ける。
そう、そんなのじゃないのだ。バッツは多分、ファリスの…姉さんの事が好きだから、だから…。

レナは知らない。ファリスは、バッツがレナを好きだと思っていて、身を引こうと考えている事に。
ついでに、バッツが「どうして自分は女の子にもてないんだろう」という勘違いにも程がある悩みを抱えている事に。

【バーバラ/レナ:シーフ 所持武器:果物ナイフ/メイジマッシャー 現在位置:ツェン北の山脈頂上付近 行動方針:仲間の捜索/ファリスの捜索】
【イリーナ 所持武器:銀玉鉄砲(おもちゃ) 現在位置:ツェン北の山脈頂上付近  行動方針:弱そうなヤツを脅して武器を奪う・気絶中】

144 :1/2 :02/11/02 14:33 ID:???
見慣れない大地に放り出されてから、1・2時間。
「やぁっと着いたぜ…」
ゼルは呼吸を整える。その顔には、疲労の色がありありと滲んでいる。
無理もない、この街=アルブルクを目指して、山の中を全力で走り続けていたのだ。
これで疲れないのは、アンデッドか『リノアしか見えない』モードのスコールぐらいだろう……
などと考えながら、休めそうな場所――目に映った民家の扉を開けた。
その瞬間。

ばっしゃぁああん!

頭上から、逆さになったバケツと液体が降り注いだ。
警戒をすっかり忘れていたゼルは、もろにびしょ濡れになってしまう。
「なんだよ、子供のイタズラか!?」
怒りに任せ、床のに落ちたバケツを蹴っ飛ばし、……そこで、彼は気がついた。
液体から漂う匂い。キツイ酒、つまりは『アルコール』の匂いに。
「……まさか」
ゼルの感じた悪寒を肯定するように、奥から炎の灯ったビンが飛んできた。

「うわああああああああ!!」

避けきれなかった。炎は、一瞬にして燃え広がった。
全身を焼かれる苦痛に、地面の上をのた打ち回る。
その視界の端で、人影が近づいてくるのが見えた。
(……スコール、リノア、それに、…………)
最期の時を覚悟した彼の脳裏に、あの、三つ編みの図書委員の姿が浮かんだ。
(……帰れなくて、ごめんな。)
いつの間にか、彼の瞳からは涙がこぼれていた。
しかし、それも束の間の事。
人影は容赦なく、手に持った武器で彼の身体を分断していた。

145 :2/2 :02/11/02 14:36 ID:???
「ちっ……ロクなモンがないな」
ヘンリーは少年(ゼル)の死体からふくろを奪い取り、中身を物色していた。
しかし入っていたのは、基本的な道具を除けば魔道書が数本だけ。
それも、彼が元々知っているイオの呪文だ。
(まぁいい。無いよりはマシだろう)
そう思いなおし、魔道書を自分のふくろに移しかえる。
そして、今まで作っていた火炎瓶を全部、ベルトにくくりつけた。
「……日没後に雨が降る、とか言っていたな」
雨の中では、折角作った火炎瓶も役に立たない……が、残念だとは思わない。
むしろ雨の方が、参加者の動きが止まる分、不意打ちもしやすくなるだろう。
「……さてと」
ヘンリーは、今だ燃え続けている少年の身体を蹴った。
炎が戸口にこぼれた酒に燃え移る。
やがてこの家全体を焼き尽くすであろう火のゆらめきを背に、ヘンリーはアルブルクの町を後にした。

【ヘンリー 所持武器:ミスリルアクス イオの書×3 火炎瓶×3
 現在位置:アルブルクの町→ベクタ方面へ 行動方針:皆殺し】
【ゼル 死亡】
(*家が一軒燃えています。消火しない限り、雨が降るまで燃えつづけます)

146 :名前が無い@ただの名無しのようだ :02/11/02 14:40 ID:???
マランダの街から北に離れた平原でエアリスとエッジは遅めの昼食をとっていた。
エッジの肩の傷はエアリスの力で回復に向かいつつある。

「戦いを止めるだと、しかしそれは思ったよりも難題だぞ」
エッジはエアリスに釘をさす
「戦いに乗った者もいるのだろう? 俺の考えだと今生き残っているのは大体70人前後だと思う・・・
 そのうち ゲームに乗っているのが大体10人くらい・・・
 それもここまでのペースを考えると徐々にその数は増えつつあると考えた方がいい
 正直、自分たちが生き残るための戦いを考えた方がいいと思うぞ」

しかしエッジの言葉にエアリスは静かに首を振る
「それでも私は一人でも多くの人を救わないといけないの・・・・私にそれを託して死んでいった
トルネコさんのためにも、もちろんそのためには倒さねばならない敵がいることは承知しています
傷の具合はもう大丈夫なようですね、では」

エアリスはペコリと頭を下げて東の方へ歩いていこうとするが、それをエッジが呼びとめる。
「しゃあないな、君には借りもあるし・・・・・少なくともその借りを返せるまでは付き会ってやるぜ」
(悪い、リディア・・・俺はこの人を置いてはいけないよ)
「さっき雨が降るとか言っていたな、なら急ごう」
そして2人は連れ立って平原を進んでいった。

【エアリス/エッジ:所持武器:無し/忍者ロング 現在位置:マランダ北部の平原→ベクタへ
 行動方針:戦いを止める】

147 :名前が無い@ただの名無しのようだ :02/11/02 15:55 ID:???
「たっ・・助けて誰か!」
ここはマランダとベクタとの街道のちょうど中間にある谷間
そこでモニカは、得体の知れない巨大な壁に追われていた
息を切らせて必死で逃げるが、壁はそれをあざ笑うように常に一定の距離を置いて
モニカを追う・・・まるで狼が兎を嬲るように

どれだけ走っただろうか?谷間の出口が見える・・・もうすぐ
そう思ったモニカの足がもつれる、そんな・・ここまできて
頭から転倒したモニカを見て、壁はスピードを上げて迫る、追いかけっこは終わりのようだ
自分の目前に黒々とした石の腕が迫るのをみて、モニカは悲鳴すら上げられずにがたがたと震えていた

しかしその時、モニカの背後から割って入った影が、壁が伸ばした腕を断ち斬った。
モニカがはっと視線を上げると、そこには大男が彼女をかばうように剣を構えていた。
その男は苦々しげに剣の刃を見つめている、その刃にはわすかだが刃こぼれが出来ている
ここでやりあっても勝ち目は無い・・・・と、なれば

男はモニカの手を握り
「逃げるぞ、掴まれ」
と、一言だけ言うと男はモニカを自分の肩に担いで全速力で逃げ出した。
【デモンズウォール(負傷) 装備品:天空の兜(装備不能) 現在位置:ベクタ⇔マランダ間の谷間 
 行動方針:獲物を追う】
【モニカ 所持武器:ブロードソード 現在位置:ベクタ⇔マランダ間の谷間 
 行動方針:デモンズウォールから逃れる】
【アーロン:所持武器:鋼の剣 現在位置:ベクタ⇔マランダ間の谷間 
 行動方針:デモンズウォールから逃げる】


148 :名前が無い@ただの名無しのようだ :02/11/02 16:02 ID:???
 寒い、乾いた風が吹き抜ける。
 道無き道を、とんぬらは歩いていた。あるいは登っていた。
 旅の扉に飛び込んで、ついた先は草木もない山間だった。
 周囲を警戒したが、あの剣士はいないようだ。
 というか、警戒するまでもなく、誰もいなかった。隠れる場所さえなかった。

 まったく、極端な場所に飛ばしてくれるものだ。
 主催者の底意地の悪さに溜息をつきながら移動を始めて半日近く。
 その途中でその主催者の放送を聞いた。

「…雨だって?」

 とんぬらは愕然とした。
 標高の高いこの辺りは、はっきり言って寒い。
 おまけに雨露を凌げる場所さえ見当たらない。しかも、降り始めるのは夜だという。
「…凍死確定」
 なんて間抜けな死に方だろう、とんぬらは笑おうとして…失敗した。
 はやく、この山脈を下らないと。父さんにあえないまま終わるなんて、ごめんだ。
 
 そして、太陽が西の空に差し掛かった頃。
 何とかとんぬらは眼下に平原を見下ろせるところまで来ることができたのだった。

 道具袋から地図を取り出す。周囲の地形…海岸線の形や、山脈の外観から見当はついた。
「北西にツェン、南東に封魔壁、山脈を越えた南西が…首都のベクタか。
 今更山越えはできないとして、ツェンか封魔壁か…距離は大体同じかな」

【とんぬら(DQ5主人公) 
 所持品:なし
 現在位置:ベクタ北東、ツェンと封魔壁の中間
 行動方針:パパスに会う】

149 :ホイミンとか :02/11/02 21:27 ID:???
144の少し前の話です。

「……あれ。ここは……うわぁっ!」(ドシン!)
ふらふらと体を起こしたらバランスを崩してカウンターから落ちてしまった。
辺りを見回すと、部屋の中は台風でも来たかの様に荒れていて棚の所に置いてあった
のだろういくつもの薬瓶が割れて床の所ドコロに水溜りを作っていた。
なんでこんな所にいたのか全然思い出せない。無い首をひねっていると聞き覚え
の無い声が自分の名前を呼んだ。
「おうホイミン。やっと気がついたか。」
声のした方を見ると、空の薬瓶をいくつか抱えた、緑の髪の男が階段から降りてきた。
もちろんこんな人は知らない。自分が知っている人間はライアンさんぐらいだ。
「びっくりしたぞ。ここに入ったらいきなり棚の下敷きになってるんだもんな。」
まるで自分の事をよく知っているかの様に喋っている。
「どうしたんだ?黙り込んで。頭でもうったか?」
「えーーと、一つ聞きたいんだけど。」
「?。なんだ?」
「…あんた誰よ。」
緑の髪の男ヘンリーは浮かべた笑顔をこわばらせた。どうやら人違いのようだ。



150 :ホイミンとか :02/11/02 21:28 ID:???
「えーと、それじゃあお前はトンヌラのトコの奴じゃないのか。」
「うん。それとさ、顔とかヤケドしてるみたいだけど…」
「へ?ああ、前の世界でやられたんだ。」
「大丈夫?すごく痛そうだけど。」
「ああ。薬を探しにココに来たけど、全部ダメになっているみたいだしな。」
「ぼくで良かったら治しましょうか?」
「出きるのか?頼む。」
ホイミンの触手の先に淡い光が灯る。数本の触手が傷口に近づいた。
次第に痛みが消えていく。新しい皮膚が再生し、ただれていたソコが
他の所と同じ白い肌に戻った。
「…もう痛くないですか。」
「ああ、助かったよ。火傷跡が残るか心配だったからな。」
「どういたしまして。ぼくも助けてもらっちゃったみたいだしね。」
「…あれ?おい、壁の所になにか書いてあるぞ。」
ヘンリーは部屋の奥の壁をゆびさした。
「え?どれどれ。」
ホイミンほフヨフヨとただよいながら、指差された所に行った。
「………ヘンリーさん。ナニも書いてな…」
レンガでできた壁が二つに割れ、拡散していく。目の焦点があわない。
体が動かない。浮遊感が失われていく。
そしてホイミンはなにが起きたのかわからないまま、
床にできた水溜りの中に落ちていった。体を真っ二つにして。

「ふん。手間かけさせやがって。」
青い液体の付着した斧を側にあった手拭いでふき取りながら
新たにできた青い水溜りに悪態をついた。
「ちっ。おまけにナニも持っていやしねえしな。」
見つけたザックの中身はとっくに自分のに移し替えて二階に置いてある。
もちろんめぼしいものはナニもなかったが。大地のハンマーは一階のどこかに
埋まっているはずだった。
「ビンは見つかったし、そろそろ移動するか。」
カウンターに置いておいたビンを抱え二階に戻っていった。

151 :ホイミンとか :02/11/02 21:29 ID:???
「中身は酒場で探せばいいな。」
少しばかり増えた荷物を整理して、斧を持ってヘンリーは立ち上がった。
部屋にあった町の地図で大体の場所はわかっていた。火炎瓶なんか何度も作っている
無論、人に向かって使って見た事は無いがな。そんな事を考えていた。そのとき背後でドアを開ける音がした。
「!!! だれだ!」
階段を上る音は聞こえなかった…はずだ。
「…なんだ貴様、まだ生きていたのか。」
開かれたドアから現れたのは、ついさっき殺したばかりのホイミンだった。
しかし、先程までの雰囲気は無い。青かった体は透き通るような緋色になり、
触手はそれに映えるミントグリーン。そして一番変わっていたのは、先程まで
理性の光を灯していた目が、いまでは虚ろな光に変わっている。

「ちっ。死に損ないが。くたばれ!」
手に持った斧を一閃させる。しかしホイミンはなんなく身かわすと、ゆっくりと
ヘンリーに近づいていく。
「この!よけるんじゃねえ!さっさとくたばりやがれ!!」
後退しながら斧を何度も振り下ろす。しかしホイミンは全て難無くかわしていた。
ホイミンは触手を数本振り上げた。
(ホイミスライムのくせに攻撃か?笑わせやがる)
そんなに速くもないスピードで振り下ろされた触手を斧で受け止め……
異常な手応えを感じた。受け止めきれず、斧が弾かれ部屋の奥に飛んでいった。
背中に壁があたる。もう後は無い。目の前でふよふよ浮いているホイミンの触手
が急に何本か消え…。ヘンリーはなんとか身をひねって攻撃をかわす。
さっきまでいた所に触手が突き刺さり、壁を貫いていた。
(うそだろ。ホイミスライムにこんな攻撃力は…)
もはや全てにおいてヘンリーは追い詰められていた。このままではやられてしまう。
(こうなったら…)
ヘンリーはマントを外してホイミンに投げつけた。
体がマントに絡まり、少しだけ動きを止め触手を使ってマントをバラバラに切り裂いた。
しかしそこにヘンリーの姿は無かった。窓は開け放たれていた。ホイミンはゆっくりと
ソコから宙に身を躍らす。しかし、既にヘンリーの姿はどこにも無かった。

152 :ホイミンとか :02/11/02 21:30 ID:???
いくつモノ薬品が不均等に混ざりあった液体は、ずっと心に封じてきた
魔物としての本能。開放されずに蓄積されてきた、人間の戦士と旅をしていた
時の経験値。そしてホイミン自身の資質を開放してしまったのだ。
知っている者がコレをみたら、こう呟いただろう。
「進化の秘法」と。

(…ぼく…どうしたんだろう…。…なにも考えられない。
 …なにも思い出せない。…………体がゾワゾワする。)
もうヘンリーの事は忘れていた。ふらふらとしながら町をさ迷っていた。
(…ぼくは…どうしたら……。…人間…に……なる…殺す……ライアン…サン…)
会いたい。
自分が人間になれることを信じてくれたただ一人の人間。
(ライアン…サン…。)
ホイミンはおぼつかない足取りで北に向かっていった。

ヘンリーは町から去っていくホイミンを見送り、道具屋の二階に戻っていた。
ザックは持ち去られていなかったし、斧も残っていた。
斧を持ち上げ……。ヘンリーの顔が強張った。
強固なミスリルでできた斧に、凹みができていた。
さっきのホイミスライムがやったのだろう。
自分がまだ生きていることを、まだ信じる事ができなかった。 


【ヘンリー 所持武器:ミスリルアクス イオの書×3 火炎瓶×3
 現在位置:アルブルクの町 行動方針:火炎瓶を作る】
【ホイミン(強化)  所持武器:なし  現在位置 北へ 行動方針 ライアンを探す】

153 :1/5 :02/11/02 23:39 ID:???
夕刻近い平原の中で生死を賭けた追いかけっこはまだ続いていた
「どうやらわずかでもダメージを与えた方がまだマシかもしれんな」
さんざんあちこち走りまわったが
このままではいずれ追いつかれ踏み潰される・・・幾分かでもひるませる事が出来れば・・・・

モニカを背後の茂みに隠し悲壮な覚悟で剣を構えるアーロンだったが
そのとき聞き覚えのある声がする・・この声は・・・・
「アーロン、よかったまた会えて、アーロンが走ってくるのが見えたから急いでこっちに来たんだよ」
何時の間にかリュックがアーロンのすぐそばまでやってきていた

「お前・・・何処から来たんだ」
「うんっとねー、あそこの丘の上」
リュックの指差した先の丘は、とてもじゃないが、ここまで急いでやって来れる距離ではないように思えた
それに良く見ると汗一つかいていないし、息一つ乱していない。

少しだけ疑問に思ったアーロンだがそんなことを考えている暇は無い、リュックはリュックで
「アイツと戦うの?なら手伝うよ、ちょっと貸してくれる?」
ちゃっかりモニカの持っていたブロードソードを借りて、アーロンの隣で構えを取っている。
そしてしばらくたって不気味な振動と共に巨大な壁が2人に迫ってきた
「来るぞ!!」

そのころ
「地鳴りがする・・・アイツはこの近くにいるわ」
「ティナさん・・あ、あれ」
アルスの指差した先にはティナの説明通りの壁が2人の戦士と戦っていた


154 :2/5 :02/11/02 23:40 ID:???
「!!」
2人の姿を見たティーダがいきなり走り出す
慌ててそれを追うティナとアルス
「ちょっといきなりどうしたんだよ!」
「今戦っているのは、俺の仲間なんスよ、早く助けないと!」

それを聞いた二人は頷くとティーダに合わせて全力疾走で戦場へと走る
アルスは剣を抜き、ティーダはディクトシュートの準備をし、ティナは呪文の詠唱を始め
3人一丸になって目前の巨大な壁、デモンズウォールへと襲いかかった。

そしてさらにそれからわずかに遅れて
「おいおいデモンズウォールじゃねぇか!!・・・こりゃ厄介な相手だぞ」
偵察目的で先行していたエッジは樹木の上に立ち、さらに戦いの様子を観察する
デモンズウォールを取り囲むようにして5人が戦っているのが見える
彼らは1人1人はかなりの腕前だったが、デモンズウォールには通じていないようだ
「やべぇな・・・このままだとあいつらやられるぞ・・・・」

そのときゆさゆさと幹が揺れる、見るとすぐ下にエアリスが待っていた
少し考えていたエッジだったが、やがてエアリスに
「わりぃ、俺ちょっと用事ができちまった、だからしばらくここで隠れてな、すぐ戻る」
とだけ木の頂上から告げるとそのまま樹木伝いに戦場へと向かった。

「くそっ・・・どうすれば倒せるんだ!」
腹立たしげにアルスが叫ぶ
とにかく装甲が硬くて刃がほとんど通らない、だからと行って不用意に魔法を喰らわすと
バラバラに砕けた瓦礫が周囲に降り注ぎ却って危険だ。


155 :3/5 :02/11/02 23:43 ID:???
その叫びは残りの4人の気分も代弁していたらしい、疲れきった表情で顔を見合わせる
と、その時戦場に割って入る影がある
「バラバラに攻撃してもだめだ!、そいつを倒すには1点に攻撃を集中してまず完全に装甲をはがすんだ!!」

エッジのその言葉を合図にこれまで闇雲に攻撃していた5人はしめしあわせて攻撃を始めようとするが
なかなか上手くは行かない
エッジの叫びを聞いたからかどうかは知らないが、デモンズウォールが俄然反撃に転じたからだ

「狙うったって何処をッスか!」
雨あられと吐き出される瓦礫を紙一重で何とか避けながらティーダがぼやく
残りの面々とてそれは同じだった・・・・反撃に出たデモンズウォールの猛攻から
逃げるので精一杯だ。

そんな中、ティナは攻撃には加わらずデモンズウォールの動きをじっと観察している
(何処かにあるはず・・地下室で出会った時につけた傷が・・・・・)
じっと目を凝らすと、デモンズウォールの足元、地面すれすれの位置が何かの液体で滲んでいる
「見つけたっ、みんな・・・・」
そこに大量の瓦礫が飛んでくる、しかし観察に集中していたティナは
それを避けられる状態ではない
(駄目・・・避けられない)

「邪気封印!!」
その時、光と共にティナに殺到した瓦礫が全て弾け飛び、そして幾分デモンズウォールの動きも遅くなったようだ
「大丈夫ですか?」
この声・・・まさか
そう、エッジの予想通り、がさがさと茂みの中からエアリスが得意げな笑顔で姿を現したのだった。


156 :4/5 :02/11/02 23:44 ID:???
エッジは納得がいかないようだ、エアリスに食って掛かる。
「隠れてろって言っただろ!!、足手まといなんだよ!!」
エアリスも言い返す
「私だって少しは役に立てます!!、事実立ったじゃないですか!!」
「そんなことより皆聞いて、あそこに傷があるわ・・そこに攻撃を集中して!」

ティナの言葉を聞き、アルスたちが動き出すよりも早く
デモンズウォールは今度は石造りの巨大な腕を何本も振りまわしてアルスたちを牽制する
もちろんその間にも瓦礫は休むことなく降り注いでいる。
「以前戦った時よりも強くなってやがる・・まいったな」
エッジがぼやいている間にも巨石の拳をなんとか防いだ、アルスの鋼の剣が弾かれて根元から折れる
それを見たティーダが何かを思いついたようだ

「アルス、借りるね」
ティーダは折れた剣を抱えると、そのまま全速力でデモンズウォールの懐深く、
傷跡の場所へと走りこむ
自分めがけて飛んでくる瓦礫をギリギリで避けていくティーダ、
さすがはスポーツで鍛えただけはあるが・・・・しかしその行く手に巨大な拳が唸りをあげて迫る

「あいつ!いい格好しやがって・・・影縫い!!」
エッジの術で腕の振りがぎくしゃくと鈍くなる、そのおかげで何とかティーダはギリギリで
すり抜けることが出来た
「早くしろ!術のかかりが弱い!!」
身体を低くして迫り来る腕を避けていく
いかにスローモーになっているとはいえ、恐怖が消えたわけではない

「うおぉぉぉぉぉっ!!」
ティーダは恐怖を振り払うように雄たけびをあげると最後の腕を避け
毒々しい体液が流れる傷口へと鋼の剣を突きたてた。

157 :5/5 :02/11/02 23:47 ID:???
が、ティーダの側面からまた腕が迫る、どうやらまだ残っていたようだ
これは完全には避けられなかった、自分から飛んでダメージは最小限に押さえてはいたが
吹っ飛んだティーダを空中でリュックが受けとめる、リュックの腕の中でティーダは叫ぶ

「今ッス!!アイツに雷撃をかけるッス!!」
ティナの身体が光り・・その姿が幻想的な獣の姿へと変わっていく
アルスが持てる精神力を全て集中し呪文を唱える、エッジが気合と共に印を切る
「サンダガ!!」「ギガデイン!!」「雷迅!!」

ちなみに数拍おくれてエアリスが、落ちていたいかづちの杖をかざしたが何も起こらなかった・・・・・
それはともかく相乗効果でその威力は単発の撃った時の数倍になっているだろう
それら三者三様の雷が鋼の剣を通じてデモンズウォールの全身を駆け巡る
ぶしゃっ!!
そしてデモンズウォールの全身を囲む装甲が帯びただしい量の体液と共に弾け飛ぶ
それでもよろよろと何歩か動いたが、もう1度大量の体液を吐き出すと
それっきり2度と動く事は無かった。

それを見ると一気に気がゆるんだのだろう
7人は力が抜けたようにへたり込んでしばらく動く事はなかった。


【アルス、ティーダ、ティナ、エッジ、エアリス、リュック、アーロン、モニカ
 所持武器/鋼の剣/ブロードソード/忍者ロング/エンハンスソード/プラチナソード/いかづちの杖
 現在位置:マランダ北部平原 行動方針:とりあえず休憩】
【デモンズウォール:死亡】


158 :アーサー :02/11/03 12:07 ID:???
マランダの森を通過し、彼はアルベルクへ向かって走っていた。
「くそ・・・雨が降ったら得意のギラの威力も半減してしまう・・・」
クラウドと別れ一人になってから彼は怯えていた。
自分では焦っていると思っているが、先程からかすかな物音にも反応している。
彼はアルベルクに向かって走っているのではない。
恐れから、恐怖から逃げているのだ。

【アーサー 
所持武器:ひのきの棒 
現在位置:アルベルク西付近 
行動方針:アルベルクへ移動】



159 :名前が無い@ただの名無しのようだ :02/11/03 17:21 ID:???
灰色の雲が空を高く駆け巡る。湿気を含んだその雲から大粒の雨が降り注いだ。
フライヤは立ち止まって空を見上げていた。
雨を凌げる場所が何もない草原では、ただ耐えるしかない。
地面はぬかるみ、あちこちで水溜りができあがっていた。

・・・あの日の故郷もこんな雨だった
かつてジタンやビビたちと共にブルメシアを訪れた時を思い出す。
国から逃げ出そうとしていた同胞、生きる希望を失いかけていた夫婦、
アレクサンドリアの女王、将軍ベアトリクス、そしてクジャ・・・
故郷で出会った者たちの数々。
あの日の記憶が鮮明に甦って、フライヤの心をかき乱した。
・・・だがフラットレイ様はいなかった

フラットレイを探し続けて世界中を駆け巡ったフライヤにとって、
ブルメシアへの帰郷は最後の希望だったのだ。
すなわち、誰でもいつか故郷に帰るはずだ、あのお方ももう戻っているのではないか、と。
――それは結局叶わなかった

雨はますます激しさを増してきた。
水を含んで重たくなった衣服がフライヤの体にのしかかる。
これから待ち受ける運命を暗示するかのように。
フライヤに恵みの雨が降ることはないのだろうか。


「おーいこっちだ。町がある、雨宿りできるぜ」
そのとき、雨の音に負けない大きな声でジタンが呼ぶのが聞こえた。

【ジタン、フライヤ 所持武器:仕込み杖、エストック 現在位置:マランダの町近く 
 行動方針:町へ移動】

160 :名前が無い@ただの名無しのようだ :02/11/03 17:41 ID:???
道具屋の扉が開かれる。先ほどの放送で目を覚ましたラグナの姿が見える。
「おーおー…今にもきそうだな。」
南の空が真っ黒い。下手したら南のほうは降り出しているかも…
…まだ、この最北の地ツェンが降り出すにはまだ時間があるだろうが。
あれから支給された食料を食べておなかいっぱいになったラグナはまた昼寝をしたのだ。
「あいつは大丈夫かな〜」
欠伸をかみ殺しながら呟く。
地図を眺める。今度は間違いなく普通に見る。
「…どうしよっかな。今から走って行けばベクタとやらに辿り着けそうだが。」
再び欠伸が出る。
「やめたっ。もう少し寝るわ。」

暢気なものである。

【ラグナ 所持武器:? 現在位置:ツェンの町 防具屋 行動方針:寝る】





161 :1/3 :02/11/03 18:17 ID:???
眠りこけているリディアを見ながら、これからどうすべきかバッツは思案に暮れていた。
彼女が幼児化したことも驚きであったが、今はそれよりも考えるべきことがある。
これからどこに行くか、だ。
さすがに戻るわけにはいかない。

バッツは、躊躇なくリディアに剣を向けた男のことを考えた。
あの男とこの少女は、どうやら知り合いのようだったが――男は、やる気だった。

バッツは彼が恐怖に駆られて狂気に走ったとはなかなか思えなかった。
たしかにあの瞳は普通ではなかったかもしれない。
だが、狂気のそれとはまた違う気がした。
彼は、確固たる理性のうえで行動しているようにみえた。
ただ、少しばかり歪んだ理性のうえで――

もっとも、歪んだ理性の行き着く先など決まってはいるが。
今となっては彼はもう元の道には戻れないように思えた。少なくとも、バッツには。
(いや、もしくは・・・)
バッツはリディアを一瞥すると、すぐにまた視線を戻した。


とりあえず、バッツは次の行く場所を決めるために地図を見た。
「ここから一番近いところは、アルブルクの町・・・かな」
パパスとアリーナに合流する必要がある。
そのためには、どこか町にいくのが一番いい。
それに、もしかしたら・・・いるかもしれない。大切な仲間が。



162 :2/3 :02/11/03 18:17 ID:???
――レナ、ファリス・・・

ふと、思った。
自分は、彼女らに会ってどうするつもりなんだろう。

思えば、なんの考えもなしにここまできた。
不可能を可能にする、そんな大それたことを考えながら、
その具体的な方法などまったく思いつきもしなかったのだから。

――ゲームを止める・・・本当に、そんなことができるのだろうか。

ゲームから逃げ出すことは、まず無理だろう。
どうもここは、自分たちがいた世界とは別の世界のようであったし、前の舞台も同じであった。
いや、それより・・・

――この舞台は、いったいどうなっているんだろう。

あのゾーマとかいう奴が作ったのだろうか。
いや、大陸を作るなど、それこそ不可能だ。消すことはできても、作り出すことはできない・・・。
ならば、いったい・・・

はたとバッツは我に返った。
そんなこと、考えてもしようのないことだった。
どうもさっきから考えていることがどんどん飛躍していくな、
そう苦笑しながら、彼はクーパーを呼びかけた。



163 :3/3 :02/11/03 18:18 ID:???
「次の目的地が決まったぞ。アルブルクの町だ。もうすぐ雨が降るとゾーマがいっていたからな、
 砂漠を抜けて草原からいく。雨の中の砂漠は厳しいからな。」
「うん・・・このこは?」
「そうだな・・・俺がおんぶでもするよ。もしも急に敵が現れたら、
 俺は手をすぐには放せなくなるけど・・・。ま、そのときは頼むぜ。」
「う、うん・・・」
クーパーはやや不安げながら、しかししっかりとロングソードを握りしめた。

歩き出した後も、バッツは考えていた。
自分が本当にするべきことを。
なんとかなるではない、具体的ななにかを。



【バッツ:魔法剣士 時魔法(魔法力消耗)/王子クーパー/リディア(幼児化)
 所持武器:ブレイブブレイド/天空の盾、ロングソード/なし
 現在位置:封魔壁前の砂漠北側→アルブルクの町
 行動方針:非好戦的だが、自衛はする。レナとファリスを探す。最終的にはゲームを抜ける。
       暫定行動方針としてパパス、アリーナ(アニー)との合流/両親探し/眠り】


164 :1/3 :02/11/03 19:54 ID:???
「?」
リノアは首を傾げた。
鉛色に変わった空、その一角が赤い光に照らされている。
……そう、ちょうど自分が向かっている、アルブルクの街がある辺り。
(赤い……炎……まさか、火事?)
胸騒ぎがした。とてつもなく、不吉な。
だけど、行かなくてはならないような気がした。
何が起こったのか、この目で確かめなくてはいけない――そう思ったときには、彼女は既に走り出していた。

熱風が辺りを包み込んでいる。
その家は、最早原形がわからないぐらいに燃えていた。
だが、そんなことはどうでもよかった。
リノアの目を引いたのは、近くの地面にこぼれている、血の跡の方だ。
大量の血溜まりから、何かを引き摺ったように、火事の家へと続いている赤黒いライン。
そして街外れの方向に、点々と続く同じ色の跡。
(何があったんだろ……)
恐怖を感じつつも、リノアは街外れへと続いている血を辿ることにした。

165 :2/3 :02/11/03 19:57 ID:???
こんもりと盛られた土。その上に、自分と同年代らしい青年が十字に組み合わせた木を立てていた。
その傍ら、年端もいかない少女が、小さな花を置いている。
「あの、誰か……亡くなった…んですか?」
リノアは思わず話しかけた。
二人は、彼女の存在に驚いたように目を見張る。
「あ……ごめん。悪気はないの。ただ、ちょっと気になって……って、不謹慎だよね。本当、ごめん」
「あ、いや、そういうわけではないのですが」
頭を下げるリノアに、青年は慌てて首を振る。そして、少し視線を逸らしながら、口を開いた。
「もしかして……あなた、リノアって名前、だったりしませんか?」
「え?」
名前を言った記憶はないし、会ったこともない。
それなのに、何故この青年は自分の名前を知っているのだ?
困惑するリノアに、少女が言った。
「ゼルって人から聞いた……っていうより、聞かれたの。あなたのこと」

166 :3/3 :02/11/03 19:59 ID:???
「ゼル?!」
ゼル・ディン。バラムガーデンのSeed。大切な仲間。
彼の名前を、こんなところで聞けるとは思ってもいなかった。
「どこで会ったの!? もしかして、一緒にいるの? ねえ!」
いてもいられず、リノアは二人に詰め寄る。
だが、二人は何も答えずに、視線を逸らした。
その視線の先は………
「………え?」
十字架。花束。作られたばかりの、小さな墓。
「……冗談、だよね? まさか、そんなことって」
リノアは助けを求めるように、青年を見つめた。それから、急いで土を掘り返し始めた。
二人は、何も言わなかった。青年は俯いたままで。少女は、哀しげな視線をリノアに向けていた。

「……何、これ」

出てきたのは、顔のない、腕もない。胸から下だけの、ところどころが焼け焦げた身体。
しかしそれは、この間まで一緒にいたゼルの姿を、断ちがたく留めていた。
「全身は、見つからなかったんだ。……あの火事に、巻き込まれたんだと思う」
青年の言葉も聞こえなかった。
リノアは、ゼルの前で泣き崩れていた。

【ピピン/エーコ 所持武器:大鋏 現在位置:アルブルクの街外れ 行動方針;ゼルの埋葬】
【リノア 所持武器:妖精のロッド・月の扇/アルテマ×1
現在位置:アルブルグの街外れ 行動方針:放心状態】

167 :名前が無い@ただの名無しのようだ :02/11/03 21:02 ID:???
>>157の捕足です

【エアリス:所持武器:無し】  
【エッジ:所持武器 :忍者ロング】
【アルス:所持武器:無し(天空の兜 回収)】  
【ティーダ:所持武器:いかづちの杖】  
【ティナ:所持武器:エンハンスソード/プラチナソード】  
【アーロン:所持武器:鋼の剣】  
【リュック:所持武器:ブロードソード】  
【モニカ:所持武器:無し】  
【以下8名の現在の行動方針:マランダ北部平原にてとりあえず休憩】

【デモンズウォール:死亡】

168 :アーサー :02/11/03 22:32 ID:???
(アルベルクってとこに着いたらまずは家を探して休憩だな・・・・)
アーサーは、ただひたすら走っていた。
マランダの森を抜けて約2時間。

ようやく彼はアルベルクに着いた。
彼の目に入ったのは民家や街道などではなかった。
火、炎。
燃えている家であった。
初めは一軒しか燃えていなかったが近くの民家にその炎が引火し、三軒ほどの家が
炎で包まれている。
その炎の被害にあったのは家だけではないようだ。
その炎の中を目を凝らして見ると、人と思われる物体が倒れているのが見える。
「あ・・・・・あ・・・・あああああっ!!」
彼は悲鳴にならない声を上げアルベルクから脱出し、北へ。
ベクタの方角へ逃げるように走って行った。

【アーサー 
所持武器:ひのきの棒 
現在位置:アルベルク 
行動方針:ベクタ方面へ移動】


169 :テリー :02/11/03 22:46 ID:???
・・・・・雨?
ゾーマからの放送を聞いたテリーは、慌てて来た道を引き返した。
体力の少ない自分が雨の中を走り、風邪でもひいてしまったら剣士の仇すら討てず
弱っているところを殺されてしまうかも知れない。
慌ててはダメだ。
冷静にならなければ自分で自分の首を絞めることになる。
テリーはそのことを知っていた。
(それにこんな武器じゃだめだ・・・これじゃあ誰も倒せない)
しかしティナへの怒りが消えたわけではない。
魔導研究所の扉を開け、テリーは中へ入っていった。

【テリー 
所持武器:チキンナイフ 
現在位置:ベクタ・魔導研究所
行動方針:謎の剣士の敵(ティナ)を取る 雨が降り終るまで武器の調達、休息】


170 :名前が無い@ただの名無しのようだ :02/11/03 22:53 ID:???
>>10>>51に疑問。
前スレの217見たら武器はブーメランじゃなくてくないだけど・・・

171 :名前が無い@ただの名無しのようだ :02/11/04 06:51 ID:???
南に真っ黒い雲が見える。
南はもう、降っているのかしら。
首都ベクタから西の山道。結構急な坂のため近くの木の下でミレーユは休憩していた。
「これじゃあ雨に濡れてしまうわ…」

ミレーユはひとつ気がかりがあった。
テリーがこれに参加しているのは知っている。
…だけど、二人いるということ。
彼女の知っているテリーが二人いるということ。
年齢の違いはあれど二人のテリーがいることが信じられなかった。

そして、その二人が同時に行動しているはず…だった事。
どう占っても幼少のころのテリーしか見えず、もう一人のテリーは見えない。
嫌な予感がする。
もう一人のほうのテリーのはなんと呼ばれていたかしら。
思い出そうにも思い出せない。
兎にも角にも彼女の足は限界に近かった。少し、休もう。そう思った。

【ミレーユ 所持武器:ドラゴンテイル 現在位置:ベクタ西の細い山道 行動方針:テリーに会う】

172 :パパス :02/11/04 09:27 ID:???
「む…。」
パパスは痛む頭を振って、立ち上がった。
…何があった?
旅の扉に飛び込んだ後、扉が『歪んで』…後のことは、さっぱりだ。

「熱いな…。」
呟きながら辺りを見回してみれば、紅い光が目に付いた。
赤。ぐつぐつと煮立つ溶岩の赤。
…熱いはずだ。狭い洞窟の中で、ぐつぐつ溶岩が唸っているのだから。
「気絶していたのか?」
呟きつつ、座り込む。そして考える。
どれくらい気絶していた?そして…あの双子とバッツは…どこだ?これからどうする?
「…考えていてもしょうがない…な。」
あっさりとそう結論づける。現在の状況からソレを推測する事は、ほぼ不可能だ。
パパスは立ち上がり、ゆっくり歩き出した。適当な方向に。

【パパス
 所持武器:アイスブランド
 現在位置:封魔壁の洞窟
 行動方針:バッツと双子を捜す。最終的にはゲームを抜ける。】


173 :ゾーマ :02/11/04 10:16 ID:???
静止した闇の中で、唸り声が聞こえた。
魔性のモノの咆哮か。闇に封じられた犠牲者の苦悶の声か。
それを知る者はいない。この世界の『支配者』ですら、それがどちらなのかは分からない。
知ろうとも思わない。どちらにせよ『支配者』にとってこの上なく心地の良い声だったから。
声の源は、ただ「ゾーマの城」と呼ばれていた。

空になったグラスから手を離すと、それは重力に従って床に落ち、砕け散った。
僅かに残ったワインが血のように床に広がる。そこまでは、普通だった。そこまでは。
割れたグラスから、際限なくワインがこぼれる。どう考えてもそのグラスには入りきらないくらいに。
それは、ワインではなく血だった。このゲームで流された全ての。
それを見てグラスを落とした者…ゾーマは髑髏のような顔を笑みのカタチに歪めた。
正義。友情。愛。この血は、それらを信じていた者達の血だ。血を流させた者も同じモノを信じていたはずだ。
(所詮は欺瞞に過ぎぬか…)
そう思いながらゾーマが指を鳴らすと、グラスの欠片はあっさり消失する。血と共に。
「時間だ。放送を始めろ。」
心が底冷えするような声で、ゾーマは傍らの影に命じた。
影はカタカタという足音を立てながら放送基材に向かう。
そして…放送は始まった。

174 :ゾーマ :02/11/04 10:19 ID:???
「参加者の諸君…元気かな?
 そろそろ納得したか?このゲームのルールに。
 出来ないのならかまわん。さっさと死ぬといい。逃れる手段はそれだけだ。
 さて、我が手に抱かれた者の名を告げるとしようか。
 
 「ベロリンマン」「モンスター爺さん」「トム爺さん」「ガーネット」「パノン」「トルネコ」「フリオニール」
 「セッツァー」「謎の剣士」「ベアトリクス」「クイナ」「ホンダラ」「ケフカ」「ギルバート」「ガライ」
 「グレーテ」「ラファ」「フラットレイ」「フローラ」「レオンハルト」「ゼル」「デモンズウォール」
 
 …以上だ。
 いいペースだ。多くの魂が我が手の中にある。
 …貴様らが殺したのだ。だが気に病む事はない、もっと殺すがいい。生きたければ…な

 …クッ…ハハハハハ…!」

175 :ゾーマ :02/11/04 10:21 ID:???
放送が終わった事を確認して、ゾーマは正面に手を伸ばした。
ふっ…とその手元に、さっき砕け散ったはずのグラスが現れる。
ゾーマはグラスの中のワインに口を付け、ニヤリと笑う。
不気味な笑みそのものが呪文となり、発動する。
…最初はぽつぽつと遠慮がちに、やがて我が物顔で雨が、降り始めた。

「エビルマージはどうしている?」
ゾーマは、唐突に影に…目の前の小さな影に問いかける。
「移動している…次の獲物を見つけたと見える…。」
独り言のように影が言う。影とゾーマは、共におかしそうに笑った。
「全てが思うままに行くと思うな。エビルマージ…。」
ゾーマは飲み干したグラスをことっ…と傍らに置く。
…黒い影がばっと振り返り、その身を包むローブを引きはがした。
ローブの下にあった腐肉と骨の塊が、立ち上がった。かちゃかちゃと音を立てて骨が組み合わさり、元のカタチを取り戻す。
もうすでにそれは『小さな影』ではなかった。
「あのような者にそれを言っても無駄でしょう。」
腐肉と骨を引きずるソレは、昔、『大魔王バラモス』と呼ばれていた者のなれの果てだった。

【フィールドに雨が降り出しました】

176 :名前が無い@ただの名無しのようだ :02/11/04 13:30 ID:???
 アーサーはアルベルクから離れるように北に向かっていが、雨がぽつぽつと降り出したかと思うとあっという間にざーざー降りになってしまい、
近くに見えた木々が折り重なるかのようになっている場所で雨宿りをしていた。

「すごい雨だ…」
 気を落ち着かせるかのように体の力を抜き、樹にもたれかかるアーサー。

「雨か…子供のころを思い出すな…」
 わざわざ雨の日を選んで魔法の練習させられたっけ。

「アーサー! この雨にも負けないほどの火力を生み出すんだ!」
「そんなこといってもできないよ、父さん…」
「ロトの血を引きしお前になら容易いことのはずだ」
「お前にはご先祖さまのように武器も魔法も自在に扱えるようになってもらいたいのだよ」
 自在に、か。
 今の僕はなんて中途半端なのだろう。

「ロトの血か…」
 僕は本当にロトの血を引いているのだろうか? ロトの装備すら満足に扱うことのできない僕はなんなのだろう。
 そういえば…旅の扉で僕を助けてくれた女性がロトの剣を持っていたような…。
 ロトの剣を思う存分振り回せれるようになったなら…ゾーマも倒せるだろうか? こんな中途半端な僕から脱出できるだろうか?
 そんなことを考えながら眠りについていった…。

【アーサー 
所持武器:ひのきの棒 
現在位置:アルブルクとベクタの中間地点 
行動方針:ベクタへ移動】

177 :1/3 :02/11/04 14:04 ID:???
ゾーマの放送の少し前
マランダの北、大陸のほぼ西端に位置する岩山のふもとでアルスたち8人は野営の準備を始めていた
もう少し休憩していたかったが、雨が降る前に多少なりとも凌げる場所へと移動しておかねばならなかった
アルスとアーロンがいろいろと準備をして回る中、ティーダはその傍らで寝かされている
「やっぱ俺も手伝うッス、あいたたた」
「今は無理をなさらない方が・・・・・」

起きあがろうとして脇腹を押さえるティーダを野草を摘んで帰ってきたモニカが抱きとめる。
威力を押さえられていたとはいえ、やはりデモンズウォールに殴られた傷は、かなりの深傷だった
回復呪文で処置してはあるが完全復活までには、まだ多少時間がかかるようだった。
退屈そうにごろりと寝返りをうつティーダの背中を、モニカがやさしくさすっていた。

アルスたちがドタバタと働いているころ
「行ってしまうのね・・・・・・」
そこから少し離れた広場で、エッジがエアリスに別れを告げていた。

「ああ、これだけ人数がいれば俺なんか必要無いだろ・・・まだ借りも返していないってのに悪ぃな」
それを聞いてエアリスは少し申し訳ないような表情になる。
「借りなんて、そんなもう充分・・・・」
「まっ、とにかくそんな訳だ、俺は一足先に行かせてもらうぜ」
そのまま走り去ろうとしたエッジをさらにエアリスが引き止める
「じゃあ、せめて皆に一言でも・・・・」

それを聞いてエッジは照れたように笑う
「そういうの苦手でね、よろしく言っといてくれよ」
「分かったわ、でもまた会えるよね?」
エアリスもそれ以上引き止めようとはしなかった、エッジは心配そうに見つめるエアリスへ笑顔で応える
「当然じゃねぇか!次会うときはもっと大勢の仲間を連れてきてやるぜ!!、じゃぁまたな!!」
そう言ってエッジが印を切ると木の葉が舞い散り、それが晴れた時にはエッジの姿は何処にも無かった。


178 :2/3 :02/11/04 14:05 ID:???
それからさらに少し離れた茂みの中
「あ・・・あああっ・・こっ・・こんなの、どうして・・・?」
リュックは茂みの中で右手を押さえて恐怖に震えていた
その右手は黒々とした鉤爪と化していた・・・・なんでこうなってしまったのか・・・・

頭の中がぐるぐるぐるぐると回る・・・・何が何だかわからない
泣き叫びたい気分でいっぱいだけど、なぜか涙も叫びも出ない
「どうしよう・・・こんなの見られたら・・・あたし」
頭の中に何かかがおぼろげに浮かんでくる・・・・何だこれは

リュックは頭をぶんぶんと振って、必死でそれを追い払おうとするが
それはますます明確な形になって行く、いやだ、思い出したくない・・でも・・・もう駄目・・・
リュックは力なく木の幹にもたれてうずくまっていく・・・・その時

「リュックさん?どうしたの?」
「!!」
何時の間にかティナがすぐ近くまでやってきていたのだ
「何でもないよ、ちょっと転んでケガしただけだよ」

どうしてこんな冷静に対処できるのか・・・リュックは自分に驚いていた
「そう?大したことないからいいけど、あ、もうすぐ食事だから」
「あ。そうなんだ、ちょっと待ってて」
いつの間にか頭に浮かんだ何かはまた思い出せなくなっていた
リュックは自分のシャツの袖を破って、それを右手に巻きつけてカモフラージュする

大丈夫・・・バレやしない、そう自分に言い聞かせリュックは茂みから出ると
足早に皆が集まっている方へ進んでいった。

179 :3/3 :02/11/04 14:06 ID:???
それを見送るティナだったが、少し妙な顔をしている
リュックの襟元から覗く背中にウロコのようなものがびっしりと張りついていたような気がしたのだ
あれは一体・・・・・
「気のせいよね」
それ以上深く考えることなく、ティナもまたリュックの後を追った。

そしてしばらく経って、地震と共に死亡者を告げる放送が始まった・・・・・・。

【アルス:所持武器:無し(天空の兜 回収)】
【エアリス:所持武器:無し】  
【ティーダ:所持武器:いかづちの杖】  
【ティナ:所持武器:エンハンスソード/プラチナソード】  
【アーロン:所持武器:鋼の剣】  
【リュック:所持武器:ブロードソード】  
【モニカ:所持武器:無し】  
【以下7名の現在位置および行動方針:大陸西端の岩山付近にて野営の準備】

【エッジ:所持武器:忍者ロング 現在位置:大陸西端の岩山付近→東へ
 行動方針:仲間(リディアたち)を探す】

180 :名前が無い@ただの名無しのようだ :02/11/04 17:12 ID:???
雨か・・・・・
上に向かって尖がっているキレイな金髪も、水分を吸収して下に下がってしまった。
クラウドはガンブレードを右手に持ち、肩に掛けた状態でアルベルク方面へと走っていた。
ケフカとの戦闘後、彼はマテリアの重要さを思い知らされた。
ケフカによって作られた傷は微々たるものだったが、マテリアの無い自分の力では
攻撃魔法どころか回復魔法も使えない。
走りつづけていると目の前に木が生茂り、雨宿りができそうな場所が見つかった。
クラウドが雨を防ごうと中に入ると先客がいた。
前のフィールドで行動を共にしたアーサーだった。
彼は赤ん坊のような寝顔で眠っていた。
肩をすくめ、クラウドは近くに落ちていた石を彼の頭に軽く投げた。
「うう・・・ぅぅん・・・」眠っていた顔がやや険しくなる。
(雨が降れば誰でも雨宿りをしたくなる。この木と木の間のポイントは雨をしのぐ
ためにそういった連中が来るはずだ。そいつら全部が殺し合いを望まないとは
限らない。そんな所で呑気に眠るとはな・・・・)
石を何度か投げてもアーサーは目覚めない。
ドカッ!
アーサーを蹴り起こす(?)とクラウドはアルベルク方面へと走って行った。

【クラウド 
所持武器:ガンブレード 
現在位置:アルベルクとベクタの中間地点 
行動方針:アルベルクへ移動】


181 :180 :02/11/04 17:20 ID:???
すいません。
アルベルク⇒アルブルク
です。

182 :名前が無い@ただの名無しのようだ :02/11/04 17:23 ID:???
雨が降る。しかし、その音も、ましてはゾーマの放送も聞こえていなかった者たちがいる。
魔導工場。
アモスと離れ離れになったファリスとロック。
エビルプリーストの絶え間ないイオナズンの爆音にすべてはかき消されていた。

エビルプリーストの魔力は無尽蔵か…
隠れそうなところをイオナズンで破壊していく。
パイプ、クレーン、ベルトコンベア…
まさに無差別。

魔導工場は頑丈で倒壊の恐れはない。
が、工場内部の被害は甚大といっていいだろう。
再び爆風と衝撃が魔導工場を襲う。

「勘弁してくれよ…」
ロックがぼやく。ファリスが頭を小突く。
「仕方ない!散るぞ!」
プロトアーマーが木っ端微塵となる。何度めかの衝撃が魔導工場を襲う。
ロックは離れてクイックシルバーをエビルプリーストに向け何度か打ち込む。
エビルプリーストの注意がロックに向かう。
ファリスは物陰に隠れる。すかさずジョブチェンジ。
忍者。アビリティは…


183 :名前が無い@ただの名無しのようだ :02/11/04 17:23 ID:???
ファリスが飛び出す。
両の手にはプロトアーマーの破片を持って。
「食らえ!」
エビルプリーストは待ってましたとばかりにイオナズンを打ち込む。
片方をイオナズンが凝縮されている球体に打ち込む。
球体は爆発する。
すかさずもうひとつを打ち込む。
…手ごたえはあったはず。埃でよくは見えないが。
「ロック!来い!」
「待て!ファリス!」
ファリスにその声が聞こえたのはエビルプリーストの脇をすり抜けようと思った瞬間。
イオナズンの詠唱はほぼ完了していた。まさに今にも打ち込もうと。
しまった!ファリスは死を覚悟する。
だが、次の瞬間。イオナズンの球体は消えうせる。
エビルプリーストの手から血が出ている。
「急げ!ファリス!」
クイックシルバーが命中していたのである。詠唱の完了を妨げるには十分であった。
ファリスは意を決し、
魔導研究所の奥へと消えていった。ロックも急いで後を追う。
すかさずイオナズンをエビルプリーストは打ち込む…が、もはや手遅れ。
脱兎の如き二人の速さに詠唱が完了させる間を与えなかった。

…ファリスのアビリティは「!とんずら」であった。
エビルプリーストは悔しそうに舌打ちした。
【ファリス ジョブ:忍者 アビリティ:!とんずら/ロック 
 所持武器:食料2ヶ月20日強分&毒薬 水1,5リットル×2 吹雪の剣 小型のミスリルシールド/クイックシルバー フィアーの書×7 小型のミスリルシールド
 現在位置:魔導工場
 行動方針:レナの捜索 アモスとの合流】
【エビルプリースト 所持武器:危ない水着 現在位置:魔導工場 行動方針:天空の勇者(ソロ・クーパー)の始末】


184 :1/2 :02/11/04 18:14 ID:???
(よかった。雨が降ってからすぐに街に着いて)
東の砂漠にいたリノアはアルベルクに到着した。
真っ先に目に入ったのは家だった物と思われる物の燃えカスだった。
(何があったんだろ?あの家燃えていたのかしら?)
そんなことを考えながら道具屋と思われる建物の前で彼女は足を止めた。
ここなら雨も防げるし便利な道具があるかも!
リノアは扉を開け、中へ入った。
中を見ると争ったような形跡があった。
(・・・・?誰かいるの?)
彼女がそう思った瞬間。
上に通じている階段から足音が聞こえた。
「誰ッ!?」妖精のロッドを構え、階段の方を向く。
翠の髪をし、上流な家系の物と分かる衣服を来た青年がそこに立っていた。
右手には斧を持っている。
階段を下りると彼は、リノアの足元に斧を滑らせた。
「戦う気は無いんだ。そっちも武器を置いてくれないか?」
安心するような笑顔で彼は言った。
「・・・・・分かったわ」リノアはヘンリーを信用し、ヘンリーにならい武器を彼の
足元へ滑らせた。
「オレはヘンリー」
「・・・私はリノア」

185 :2/2 :02/11/04 18:14 ID:???
ヘンリーとリノアはしばらく自分達の経路を話し合った。
「ところでリノア。君はこのゲームにどう言った意味で参加してる?」
「どう言った・・・・って・・・?」リノアが困惑する。
「オレはこのゲームを中断したいんだ!あのゾーマとか言うやつを倒して!」
ヘンリーがこぶしを握り締める。
「ああ、そういう意味ね。私は仲間を探してるの」リノアが答える。
「そっか。実はこの殺し合いにオレの仲間も参加してるんだ・・・・」
ヘンリーが声を落とす。
「ま、とりあえず上で話そう。ここで話していて誰かに感づかれるとまずい・・・」
二人はお互いの武器を拾い上げ階段を上っていった。
階段を途中まで上っていったあたりでヘンリーが立ち止まった。
「ところでリノア・・・・実はオレ・・・・このゲームを終らせるる方法を知ってるんだ」
後ろにいるリノアの方を向き、ヘンリーが言った。
「・・・・・本当?」リノアが疑わしい目つきで答えた。
「ああ、本当だ。その方法とは・・・・」
そう言ったか言い終わらなかったかの内にヘンリーはリノアを突き飛ばした。
「キャッ!」リノアは階段から転げ落ちた。
ヘンリーは階段から跳躍しリノアの額めがけ斧を振り下ろした。
グシャッ!
骨が砕け、血が飛び散る音がした。
「・・・・・ゲームを終らせる方法・・・・それは・・・・」
顔にかかった血を拭き、ヘンリーは続ける。
「オレ以外の人間を全員殺す事だ・・・・」

186 :名前が無い@ただの名無しのようだ :02/11/04 18:14 ID:???
【ヘンリー 
所持武器:ミスリルアクス イオの書×3 火炎瓶×3妖精のロッド・月の扇/ドロー:アルテマ×1
現在位置:アルブルクの道具屋 
行動方針:火炎瓶を作る】

【リノア:死亡】



187 :訂正 :02/11/04 18:17 ID:???
終らせるる⇒終らせる

188 :1/2 :02/11/04 18:34 ID:???
 山から下りたとんぬらは、とりあえずツェンに向かう事にした。
 持っていた武器を前の世界で失ってしまい、何も武器がない状態である。
 こんな状況でうろつくのは、あまりにも危険すぎた。何か武装する必要がある。
 例え町で武器が手に入らなかったとしても、森に行けば杖がわりの棒ぐらいは見つかるだろう。
 そして、日が傾きかけた頃、ツェンの町にたどり着いたのだった。

 とんぬらは直接街には入らず、森の中に潜む事にした。
 町に入れば何か武器が手に入るかもしれない。だが、襲撃を受ける危険もある。
 それに、モンスターとの旅に慣れきっていたとんぬらにとって、野宿はそれほどつらいものでもなかった。
 
 何か、武器になりそうな気を探して歩く。
 その途中で、爆発の跡地のようなものを見付けた。
 それほど、古いものではないようだ。誰かが、戦ったのか…
 足元に炭を何気なく踏み潰し、ここがそういうところだということを、あらためて認識する。

 その時だった。ゾーマの放送が流れたのは……



 とんぬらは愕然とした。妻が死んでいた事。勿論、それもある。
 だが、それよりも驚愕したことがあった。
 放送を聞いたとき、自分は。

 ほっとしたのだ。



189 :2/2 :02/11/04 18:35 ID:???
 ガッ!
 側の木を思い切り殴る。
「妻が死んだ…殺されたって言うのに、僕は…」
 ゴッ!
 もたれかかるように、頭を打ちつける。
「僕は…父さんが生きている事を喜んでいた…」

 クーパーとアニーは、幼い頃から親と離れ離れになっていた分、甘えん坊だが依存心は少ない。
 いざという時は親に頼らないで、自分の判断で戦う事ができる。
 だが、とんぬらは。幼い頃の、父親との悲惨な別れがコンプレックスになっていた。
 その悲しさと後悔を糧に、とんぬらは生きてきたのだ。

「最低だ…ごめん、フローラ。僕は、最低だ」
 ずるりと、木にもたれかかる。そして、空を見上げた。
 ポツ、ポツと頬にうつ雫が、涙のように伝って落ちる。
 僕は、泣けないみたいだ。だから、夜が終わるまで、こうして君の冥福を祈るよ。
 夜が終わったら、子供たちを捜す。そして、きっと助けてみせるから…

 どれだけ、そうやってすごしていただろう。
 ふと、気配を感じたとんぬらが視線を地上に戻すと、そこには。

「…ベホマスライム?」

【とんぬら(DQ5主人公) 所持品:なし 現在位置:ツェン側の森
 行動方針:王子と王女を助ける、パパスに会う】

【ホイミン(強化)  所持武器:なし  現在位置:ツェン側の森
 行動方針 ライアンを探す】

190 :ライアンとか :02/11/04 23:17 ID:???
大粒の雨が屋根に落ち、地面に跳ね、窓を叩く。
月の光すらない雨の夜は冷たく、さびしい。
闇は安らぎをもたらすと同時に心の暗い部分を刺激する。
時間の流れは意味をなさない。夜はまだ始まったばかりだ。

「ライアンさん。大丈夫?」
あの放送からどのくらい時間がたったのだろう。ずっとベッドにうつむいて
座っていたライアンに、ルーキーがおずおずと尋ねる。
「…クイナの他に…その……誰かいたの?」
「…うむ。…トルネコ…殿。共に旅をしてきた、大事な仲間でござった。」
──しばしの沈黙に雨の音だけが埋められていった。
「…ごめん。聞かなかった方が良かったよね。」
「…名前だけでも覚えておいてほしいでござる。…せめてもの弔いに。」
「…うん。」

「ずっとこうしている訳にもいかないでござるな。」
「…もういいの?ぼくの事なら気にしなくても……。」
「いや、いいんでござる。
 これからどうするにしても、時間は……無駄に……できないでござる。」
適当な言葉が見つからない。しぼりだすようにその言葉を口にした。
「…そう。…これからどうするの?」
「この家にはめぼしい物はなかったでござるから、
 向かいの一番大きい家に侵入するでござる。
「あそこの家には、まだ誰かいるんじゃなかったっけ?」
「うむ。だが、いい物があるとしたらココしかないでござる。それに…」
「うん、わかった。ぼくが煙突から入って裏口をあける。ソコから入ってきて。」
ココに来たときから侵入を決めていたので、下見はもう済んでいる。
「うむ。…すまないでござる。一番危険な事を任せてしまって……。」
「ううん。気にしないで。」

191 :ライアンとか :02/11/04 23:19 ID:???
ルーキーはライアンからブーメランとスナイパーアイを受取ると、家の外に出て、
屋根に登った。屋根伝いに屋敷の煙突まで行く予定だ。雨に足を取られる恐れも無く
、難無く煙突までたどりついた。ソコまで見て、ライアンは足音を殺して裏口まで行く。
待つ事一分、止め金を外す音が聞こえた。
「ライアンさん。速く!」
抑えた声でルーキーは言った。
ライアンは音も無くドアの隙間に体を滑らせる。入った所は、どうやら厨房のようだ。
「中の者は?」
「気付かれてないみたいだけど、おかしいんだ。昼間からずっと同じ部屋にいるみたい。」
「ふむ……。」
理由を考えてみても、それらしい答えは見つからない。
「とりあえず、接触してみるほかないでござるな。」
刃物を探してはみたが、妙な炭があるだけだった。やむをえず壁に
かかっていたフライパンを二個つかむと、部屋の出口に向かって歩き出した。

【ライアン/ルーキー    現在位置:ツェンの屋敷  
 所持武器 フライパン スナイパーアイ/ブーメラン 行動方針  町へ 仲間・武器をさがす】

192 :名前が無い@ただの名無しのようだ :02/11/04 23:40 ID:O+LC4Pj6
ヤバくないか?

193 :名前が無い@ただの名無しのようだ :02/11/05 00:14 ID:???
うろたえるな!!!

194 :ぴっぴかちゅ :02/11/05 01:37 ID:???
これマジ???
http://ime.nu/www61.tok2.com/home/tripsage/

195 :名前が無い@ただの名無しのようだ :02/11/05 01:47 ID:???
此処はツェンの北の山脈の麓、そこにある小さな洞穴に我々は非難していた、現在は雨が降り始めてか
ら一刻程だろうか、既にマゴットは眠っている様だ……随分と精神的に辛い事が続けて起ったからな、
魔力を回復する為にも今はこの方が都合が良い。
それにしても……結構他の連中は乗っている様だな、幾らなんでもハイペース過ぎるぞ?放送毎に死亡
者数は減る傾向に有ると予想していたのだが見事に裏切られてしまったな、まぁマゴットを殺人者とし
て鍛えるには丁度良いかもしれんが。
さてと、目の前の問題を片付けねばならん。
ふむ…殺気は無い様だな、ならば…
「気配が漏れておるな……」
ピピン「くっ……」
妙な武器を手に立ち上がる男と角の生えた少女。
「このフィールドを抜けるまでの停戦を提案する、わしの連れはやや疲れているので少し休ませたい、
それにわしの呪文も武器も大きな音を立てるものが多い、どちらが勝つにせよ此処に留まる事は危険だ
ろうな、返答は?」
マゴットを起こして奇襲をすれば勝てたかもしれんが、それでは明日以降に響く。
さて、どう出る?

【ハーゴン 武器・グロック17、グレネード複数、ムーンの首、グレーテの首、首輪×3
場所・ツェンの北の山脈 行動方針・ゲームから脱出】
【マゴット(呪文連発によりMP減少気味、仮眠中) 武器・死神の鎌、裁きの杖 
場所・ツェンの北の山脈 行動方針・ゲームから脱出、仲間と合流】

【ピピン/エーコ 所持武器・大鋏 
場所・ツェンの北の山脈 行動方針・ジタンを探す、できれば他の仲間にも会う】
※停戦交渉中

196 :スラリソ ◆5VrxCs/8kA :02/11/05 01:52 ID:???
>>184-186は無効です。
理由については雑談スレ2のほどを参照を。

FFDQバトルロワイアル感想・雑談・討論用スレ 2
http://game2.2ch.net/test/read.cgi/ff/1035812242/

197 : :02/11/05 03:07 ID:???
                 
            
           
       
〠<お前らまとめて逝ってよし  
                   
                   
                      
         

198 : :02/11/05 03:08 ID:???
                            
                       
                      
                  
〠<お前らまとめて逝ってよし            
                   
                               
                      
               
 

199 :名前が無い@ただの名無しのようだ :02/11/05 06:00 ID:???
私は待つのは嫌い。
なぜなら待つのは心苦しいから。
自分の目で見て、自分の耳で聞いて、自分の力で行動を起こしたほうがいいと思うから。
たとえ自分の力が及ばないとしても。
…だけど、あの人は待っていてといっていた。
一瞬で吹き飛ぶかもしれない。そういっていた。
あなたは大丈夫なのと聞くと。
「呪文の心得はある。大丈夫だ。」
そう言った。
待つのは…嫌い。

魔導工場前。
入り口近くにて雨宿りするわけでもなく雨にただ濡れて待ち人を待つ美女。
水の巫女エリア。
しばらくすると工場から人影が見える。
アモスである。仲間を探して工場に入っていったのである。
「どうでしたか?」
アモスを出迎える。
「あの悔しそうな顔を見るとどうやらロックたちは逃げ切れたようだ。」
「そうですか。…よかったですね。」
「ああ。」
「これからどうしましょうか。…この雨…激しくなりそうですが。」
「…このままだと風邪を引く。だから先ほどの酒場に戻ろう。」
「それがいいですね。」
二人は激しくなる雨の中酒場へ駆けて行った。


200 :名前が無い@ただの名無しのようだ :02/11/05 06:03 ID:???
先ほどの酒場に着いたころ。雨はさらに激しくなった。その激しさはあまりの激しさで前が見えなくなるほど。
「びしょびしょですね。」
「全く。これじゃあここから動けないな。」
酒場の椅子にどっかと座りカウンターから持ってきた酒をグラスに入れる。
エリアは酒場の奥に入っていった。
意外といい酒だな。アモスは口にした酒の感想をつぶやいた。
エリアが奥から出てくる。
「…あの、酒場の奥から着替えになりそうな服を見つけましたので…少し向こうを向いてくれませんか?」
「あ、ああ。」
アモスが向こうを向く。それを確認してからエリアはカウンターの中に入る。
ちらりとアモスのほうを見る。ちょっと頬を染めていた。
「…意外と若いのかな。」
ぼそりとアモスに聞こえない声でつぶやいていた。
アモスは棚から持ってきたワインを一人飲んでいた。
「…」
エリアは着替えを始めた。
あまり服の種類はないけどこの際贅沢は言ってられない。
ちらりとアモスを見る。はっきりと頬を紅く染めていることを確認していた。
「早く着替えてくれ。」
「あ、ご、ごめんなさい。」

【アモス/エリア 所持武器:妖剣かまいたち・水・1,5リットル・小型のミスリルシールド/ミスリルナイフ 現在位置:ベクタ酒場 行動方針:ロック、ファリスとの合流/着替え中】


201 :195 :02/11/05 07:27 ID:???
>>195は無効です、ご迷惑をおかけしました。

202 :1/2 :02/11/05 08:41 ID:???
バッツの真っ赤なマントとクーパーの真っ青なマントが、山間の岩の辺りでこんもりとうずくまっていた。
その下にはバッツと、今だ眠るリディアと、あまりの衝撃に動く事すら出来ぬクーパーとがいた。
「魔法剣…ファイア!」
ぼんっ、と言う音と共に手にしたブレイブブレイドが炎を纏う。
「…っく。」
ほとんど消耗し尽くしたバッツの魔力を無理矢理絞り出した炎は、倒木とマントで作った簡単な屋根の下で赤々と燃え上がった。
…これでいい。魔法剣は唱えてしまえばかなりの時間安定する。その間動かなければ多少の魔力回復は見込めるだろうが…。
バッツは紅いマントの屋根をつっと見上げた。マントの表面積はあまり広くなく、リディアとクーパーを雨の冷たさから守るためにバッツの半身は雨を浴びっぱなしだった。
それでなくても、マントにしみこんだ雨水がぽつぽつと落ちてきて、クーパー達を冷たい手で愛撫する。
…早く町に行かなくちゃいけない。こんな簡易テントで雨をしのぎ続けられる訳もない。
事実、柱代わりの倒木は今にもマントの重みで折れてしまいそうだ。
だが…動きたくても動けなかった。クーパーが居たから。

あの忌々しいゾーマの放送。
ソレが終わった時、バッツはクーパーの歩みが止まったのを確認した。
なんでだ?という思いはなかった。だいたい予想は付いた。誰か知り合いが死んだのだ。
誰が死んだかもすぐに知れた。「母さん…母さん…。」というクーパーの虚ろな呟きを聞いて分からないヤツがいたら、ソイツは相当な馬鹿だ。
それっきり、クーパーは自分の意志で動いてはいない。バッツに引っ張られて、簡易テントの真ん中にリディアと座らされて、それっきり。
バッツは燃える剣を地面に突き刺して焚き火代わりにすると、ザックの中からパンをとりだして囓った。体力のある今の内に何か食べておかないと…。
だが、ソレを一口囓っただけでバッツはザックにパンをしまい込んだ。食欲がない。パパスと居る間にちょこちょことった仮眠のおかげで、眠気はないが。
「…クーパー?」
ふと、問いかけてみた。返事がないのは、分かり切っていたが。

203 :2/2 :02/11/05 08:42 ID:???
バッツ兄ちゃんが、ボクに問いかけてくる。
返事をしなくちゃ……でも…でも…。
ごめん、って心の中で謝るだけで、結局返事は出来なかった。凄く疲れてる訳じゃない。何か…心が、重い。
……“死んだりしない”って思ってた。
誰が死んでも…ピエールは、ピピンは、父さんは…母さんは、死なないと思ってた。
だって、大魔王だって倒したんだよ?あの、邪悪そのもの…大魔王ミルドラースだって。
…ボクが子供だったんだと思う。ここでは、死ぬって言うのは誰にでも…ボクにでも…来るんだ。
心の底から怖い。動きたくない。ここでいつまでもじっとしていたい。
…ボクって嫌なヤツだ。アニーだって怖がって…ひょっとして死にそうになってるかも知れないのに。
…ボクは勇者だぞ!怖がっちゃ…いけないんだ…ボク…は。

どうやら眠ってしまったらしいクーパーを見て、バッツはほっとした。
眠れるのなら、大丈夫だ。
バッツはブレイブブレイドをいつでも引き抜ける体勢で、座り込んでいた。

【バッツ:魔法剣士 時魔法(魔法力消耗)/王子クーパー/リディア(幼児化)
 所持武器:ブレイブブレイド/天空の盾、ロングソード/なし
 現在位置:封魔壁前の砂漠北側とアルブルクの町の中間地点で待機
 行動方針:非好戦的だが、自衛はする。レナとファリスを探す。最終的にはゲームを抜ける。
       暫定行動方針としてパパス、アリーナ(アニー)との合流/両親探し・眠り/眠り】

204 :1/5 :02/11/05 11:38 ID:???
どうしてこんなことになってしまったのか・・・・・
土砂降りの中、ティーダはとぼとぼと歩いている、その背中に気を失ったエアリスを担いで
発端はそう・・・・

草木を編んで造った屋根の下で、アルスたちは休息を取っていた
放送の内容にはあえて誰も触れようとはしなかった
ある者は胸をなでおろし、またある者は心を痛めたのだろうが・・・・・・

誰かが近づいてくる、人数は2人・・・ティナとアルスが剣を構える
「待って下さい、灯りが見えたもので・・・・僕たちは争うつもりはありません」
先頭の金髪の若者が両手を後ろ手に組んで声を張り上げる
それを見て、ようやくティナとアルスは剣を下ろし、彼らを迎え入れる
「ありがとうございます、僕はラムザ、そして彼が・・・・」
「ソロです、よろしく」
そう言って二人は頭をペコリと下げるのだった。

それからしばらく経って
「そうですか・・・・トルネコは最後にそう言っていましたか」
ソロはエアリスと長々と話しこんでいる
「トルネコは僕の仲間です、あいつの志は僕の志でもあるんです、だから絶対この戦いを止めましょう
デスピサロを倒して!!」
と、熱弁を振るうソロだったが、エアリスは何か妙な違和感を彼に感じていた
何と言うか空々しいものを感じるのだ、まるで何かを必死で隠しているような・・・・

ティファの様子を知ることが出来たのはうれしかったが・・・・
そういえばティファのことを話すときソロはものすごくうれしそうな顔をしていた
実際、今もしきりにティファの事を尋ねている
(きっとティファのことが好きになっちゃったのね、でも、彼女が好きなのは・・・・)
「で、エアリスさん、ティファさんの・・・・・・」
そこでソロの言葉が止まる、驚愕に歪んだ表情で・・・その視線の先にあったもの、それは・・・


205 :2/5 :02/11/05 11:39 ID:???
「ソロさんこの剣、偽物なんかじゃ無いですよ、確かに少し重いですけど切れ味は凄いですよ!」
アルスはソロが持っていた剣を構えている、たしか偽物とかいって無造作に放り出していたものだ
驚愕と屈辱に満ちた表情のソロへと、さらにアルスは神経を逆撫でするような一言を放つ
「ソロさん、もしよかったらこの剣、僕に使わせてくれませんか?」
・・・・ぶちり。
「なんで・・・・なんでお前が使えるんだよ!!この剣はなぁ!!勇者しか使えないんだよ!!」

ソロの大声に一同は静まりかえる、アルスは何が何だか分からない様子で呆然と立っている
「お前なんか勇者じゃない・・お前なんか、お前なんかぁ〜」
次の瞬間、ソロはアルスに殴りかかる
「ちょっと、やめなさいよ」
ティナがソロを引きはがそうとするが、ソロはアルスの髪の毛を掴んで離さない。
たまらずアーロンが強引に2人を止めようとしたその時

「おうっ・・・・おおおおおっ」
突然リュックが苦しみ始める、彼女にしては珍しく何故か隅の方で大人しくしていたので
皆、彼女に注意を向けていなかった。
「熱いっ、熱いよう・・・助けてぇ」
喘ぎと同時にリュックの腹の中から巨大な蜘蛛の脚が飛び出し、ちょうど正面にいたアーロンの身体を貫いた
さらに背中から巨大な蝙蝠の翼がむくむくと生え、全身を黒いウロコが侵食していく
その凄まじい光景にそこに居る誰もが凍りついたように動けなかった。

そうしている間にもリュックの姿は魔獣としか形容できないものへと変貌していった
そいつはキチキチと大顎を鳴らし、ぶら下げていたアーロンを放り投げる
そのドスンという音で、呪縛が解ける。

ラムザはひぃと声を上げて我先に飛び出し、ティナはモニカを連れて外に出る
ティーダは何が何だかという表情で立ちすくんでいる、そしてリュックの進む先にはいたのは・・・・・


206 :3/5 :02/11/05 11:41 ID:???
「大地のッ、息吹!!」
気合と共に光がリュックを包み込む、リュックの身体が、ふるふると震え出したかと思うと
その巨大な大顎から声が聞こえ出した。

「えあ・・・りす」
「リュックさん・・・気をしっかり持って!!」
「ありが・・と・・で・・・も・・げ・・んか・・・おねが・・い、わた、わわ・・たしを・・・」
最後の言葉はほとんど聞こえなかったが、その言葉を聞いたエアリスが愕然となる、
その間にかつてリュックだったそいつは宙に舞いあがり
「キィェェェェェッ」
と咆哮すると、そのままどこかに飛び去っていった。

そこにいた誰もが呆然と雨に打たれ夜空を見つめる中、ソロが勝ち誇った表情で叫ぶ
「やっぱりそうだったんだ、お前らもデスピサロの仲間なんだな!!ははぁ。
 さてはトルネコを殺したのもお前らだな・・・僕を騙そうとしても無駄だぞ!」
「そんな!!ちょっと・・何を」

反論しようとしたエアリスだったが、突然背中に鋭い痛みを感じその場に倒れる
振り返ったその先には
「ティナさん・・・・どうして・・・・」
血走った目で剣を構えるティナの姿があった

ティナはエアリスの声も届いていないようだ、むやみやたらに剣を振りまわしている
さてはあの咆哮のせいか!
そう気付いたアルスがティナを取り押さえにかかる、しかしその時ソロに対する警戒を解いてしまっていた。

【リュック(魔獣化):所持武器:無し 現在位置:不明(恐らく大陸西部一帯)行動方針:不明 】  
(先程の咆哮にはレベル3コンフュの効果あり、その他にも特殊能力あり

207 :4/5 :02/11/05 11:43 ID:???
その隙を見逃さずソロの口から呪文が放たれる
「ライデイン!!」
雷撃が走る先にはモニカの姿があった。そう、れっきとした知己であるにも関わらず彼は彼女に
攻撃を仕掛けたのだ・・・・
さらにその時・・・・地響きと共に大量の土砂が彼らの方へと降りそそぐ
もともと地盤がゆるかった上に豪雨が重なったためだろう、突如発生した山津波は容赦なく
彼らを飲みこんでいった。

どれだけの時間がたったのだろうか?気がついたときは、そこには泥しかなかった
アルスもアーロンもティナもモニカも居なかった、
自分の隣に倒れていたエアリスを背負い、行くあてもなくティーダはさまよっていた。

「ティーダ君・・・・大丈夫?」
何時の間にかエアリスは気がついていたようだ
「俺は何とも・・・傷は・・・どうッスか?」
「うん・・・痛いけど、浅く斬られただけだから大丈夫だと思う、血も止まったし
 いいよ、下ろして」
それからまた沈黙、ティーダはエアリスと並んで雨の中を黙々と歩く
不意にティーダが口を開く
「ねぇ・・・エアリスさん、リュック、最後に何て言ってました?お願い私を・・・・の後」
エアリスは辛そうな表情でティーダから視線をそらす
「いいッスよ・・・覚悟は出来てるッス・・・・」
「殺して・・・・って言ってたわ・・・お願い私を殺してって・・・・・」
「そうッスか」

不思議と何の感情も起きない、涙も流れない
あまりにも多くのことがありすぎた・・・・・・もうどうしたらいいのか分からない
抜け殻になったような気分でティーダはただ雨に打たれるに任せていた。

【エアリス(負傷)/ティーダ:所持武器:無し/無し 現在位置:大陸西端の岩山南側 行動方針:不明 】  
(かなり落ちこんでいます)


208 :5/5 :02/11/05 11:45 ID:???
「お願いします、この人を助けてください!お願いします、この人を助けてください!」
モニカは雨の中、闇に向かって声を限りに叫んでいた
その背後には腹に風穴をあけられ、さらに背中が黒焦げのアーロンが寝かされている

彼が傷ついた身体をおしてモニカを呪文からかばい、さらに山津波からも救ったのだ
しかし、彼もそこまでが限界のようだった。
その巨体に残された命の灯火は、今まさに燃えつきようとしていた・・・・

モニカは最後の希望にすがり叫び続ける
「誰かいませんか?この人を助けてください!お願いします、この人を助けてください!」

【モニカ/アーロン(瀕死):所持武器:無し/鋼の剣 現在位置:大陸西端の岩山北側 
 行動方針:助けを求める(数時間以内に何らかの処置が取られない場合、アーロンは死亡)】  


生暖かい潮風がラムザの頬を撫でる、海が近いようだ
しかし今のラムザにはどうでもいいことだった・・・・何故なら
「ラムザは僕のことを裏切らないよね・・・・・あのアルスって奴は何処に行ったんだい」
ソロがラムザに詰問する、その瞳は嘘のように冷めていて、それが返って恐ろしかった。

ラムザは震える手で適当に闇の中を指差す、実はどこに行ったかなんて知る由も無かったが
正直にそう言ってしまえば、この場で間違いなく殺されると判断してのものだった。
「そう、嘘は言ってないよね?信じていいよね?・・・ありがとう」
ソロはラムザが差した方角へと視線を向けそして呟いた。

「勇者は僕1人でいいんだ、そうだよね?」
ラムザは黙って頷くことしかできなかった。
ソロはラムザが指差した方向へと歩いていく
それに従いラムザはとぼとぼと後を追う、その手にスーツケースを持って。

【ラムザ(ジョブ:忍者 スキル:白魔法)/ソロ:所持武器:スーツケース核爆弾/エンハンスソード 
 現在位置:大陸西端の岩山西側 行動方針:アルスを追う】  

209 :6/5 :02/11/05 11:45 ID:???
「ティナさん・・・やっと気がつきましたね、大丈夫ですか?」
「・・・・・アルス君?」
ティナは慌てて周囲を見渡す、ひどい惨状だ・・・・
「ごめんね、あの叫びを聞いたら何が何だか分からなくなって・・・・」
ティナはうつむきかげんでアルスに詫びる
「仕方が無いですよ・・・・」
アルスもまた暗い表情でティナに応じた。

それからしばらくアルスとティナは誰かが埋まって無いか探してみたが
幾つか武器は見つかったものの、誰も見つけることはできなかった

捜索が一段落して、ティナはうずくまり頭を抱え込んでしまう
正直、もうくじけそうだった・・・・しかし
「ティナさん、こんなときだからこそ頑張らないと駄目ですよ!きっと皆大丈夫ですよ」
ティナはアルスのその声にはっ、と顔を上げる
「君は強いんだね・・・・すごいわ」

いや、そんなことはないのだろう・・・アルスも辛いに違いない、きっと今の自分以上に
それでもこうやって立ちあがろうとしているのだ・・・・負けてはいられない
「そうだね・・・じゃあ探しにいこうか」
きっと引き攣ってしまっているだろうな・・・そう思いながらも精一杯の笑顔を作り
ティナはアルスと共に歩きはじめた。

【アルス/ティナ:所持武器:対人レミラーマの杖・天空の剣/プラチナソード 
現在位置:大陸西端の岩山東側 行動方針:仲間を探す 】  

(いかづちの杖、天空の兜、ブロードソードは現在不明、探せば見つかるかも)


210 :削‎除忍 :02/11/05 12:57 ID:???
こちらへどうぞ!
http://ime.nu/www61.tok2.com/home/tripsage/

211 :トオル@話にならない馬鹿 :02/11/05 14:42 ID:???
俺のホームページです(素)
http://ime.nu/www61.tok2.com/home/tripsage/

212 :名前が無い@ただの名無しのようだ :02/11/05 15:03 ID:???
またミスってしまいました
>>205>>206の間に入れて下さい

そこにはエアリスがいた、逃げ遅れたのだろうか?いや。
「危ないっ!」
誰かの叫び声が聞こえるがそれでもエアリスはその場から動かない
何かに集中しているようだった、そして・・・・


213 :カイン :02/11/05 15:06 ID:???
ごごごごご…と言う音と共に足下が滑り出す感覚を覚えて、カインは慌てて立ち上がった。

今さっきまで、人がとても上ってはこれないであろう(それこそ、カインに匹敵する竜騎士でなければ上れまい)山の上でカインは睡眠をとっていた。
エアリスの事は気になるが、慌てて探してもしょうがない。
体力をしっかりやしなっておかなければ、合流した所で守りきれないのが落ちだ。
眠りから覚め、雨が自分に降りかかっている事を自覚しても、カインはしばらく動かなかった。
セシルはどうしているだろうかとぼんやり考えながら…。
そして、そろそろ動こうかと立ち上がろうとしたその時、山の鳴動が始まった。

崩れ落ちる山の欠片を踏みしめてカインは高く跳躍した。
足場がこの上なく不安定なのにもかかわらず、その動きは機敏だ。
岩山に生えていた痩せた木を蹴っ飛ばして、泥の激流に足を取られる前に飛び上がって、飛んでくる石を槍で弾き飛ばして…!


その流れがやっと止まった時、辺りはただの泥の平原と化していた。
所々岩石が突き出してるっきりで、延々と続く不毛の平原。
「……。」
しばらく、ソレを眺めやる。
とりあえず、どこかに移動しようとしたカインは、自分の槍に何か見慣れない物が引っかかっているのに気づいた。
兜。金でも銀でも無い煌めきを持った兜だ。カバーできる部分が極端に少なく、頭を守るのには役に立ちそうにない。
だが、その輝きは奇妙に神々しかった。こんな雨の中なのに。
“ホントの持ち主が見つかるまでなら俺を使ってもかまわないぞ。”
何となく、兜がそう言ってきた気がした。何故かは分からないが。
かぶってみると見た目に反して相当重いが、それでもなにか暖かい感じがしてくる。
ソレをかぶったまま、カインは歩き出した。とりあえずは、当てもなく。

【カイン:所持武器:ビーナスゴスペル&マテリア(回復)天空の兜 現在位置:内陸西端の岩山のどこか(土砂崩れで詳しい現在位置不明) 行動方針:エアリス、セシルと会う】

214 :名前が無い@ただの名無しのようだ :02/11/05 21:20 ID:???
封魔壁監視所が全壊していたのを驚愕しつつもその先にある封魔壁の洞窟へ向かう一つの影。
「なんだろこれ?」
雨の中雨宿りできるところを探していた導士は封魔壁への洞窟へとつながる橋の上で何かを発見した。
無造作に散らばるそれは碁石。
「…この辺に何かあるのかな。」
周りを見回すも雨のせいで全く見えない。
目の前には洞窟があるはず。
だけど…
「橋の下がいいかも。」
そう呟いて橋の下にもぐりこんでいった。

【導士 所持武器:天罰の杖、黄金の腕輪(進化の秘宝) 現在位置:新フィールドへ 行動方針:なるべく動かない。戦闘は避ける】




215 :メルビンとか :02/11/05 21:37 ID:???
雨に濡れる暗闇の中、この洞窟の中は光と暖かさに満ちていた。
出入り口は一ヶ所しかなく、そこも光が漏れないようにしてある。
壁にある一部の岩盤に衝撃力を緩和させた炎の魔法を当て、空気を暖めている。
しかし、光に浮かぶ顔はどれも沈んでいる。
中の空気は、とても、冷たかった。

人の死には慣れていた。何人も、何十人もの死を見つめてきた。
自分の大事な人、アイラ殿もマリベル殿も、まだ生きている。
だが、他の二人は違う。多くの命が失われた事、大事な人を失った事。
二人はまだ、その衝撃を受け止めるにはあまりにも若かった。

「メラミ」
夜になってから三度目、奥の壁に魔法を当てる。岩盤は一瞬赤く赤熱し、
すぐに黒い肌を取り戻す。雨は夜明けまでやみそうに無かった。
「…二人とも、ナニか腹に入れといた方がいいでござるよ。」
メルビンはパンをかじりながら二人に話しかけた。
「…はい。大丈夫ですからそんなに心配しないで下さい。」
力のない笑みを浮かべて、ホフマンは答えた。しかし、ガウは暗い所で
ひざを抱えて座っていた。声は聞こえてなかったようだ。
「…ガウ殿……」
なんとなくわかる。この子は初めて大切な人を失ったのだろう。
メルビンはガウの肩を抱いた。
「…ガウ殿。…無理は良くないでござるよ。泣きたい時は、泣いた方がいいんでござる。
 思いっきり泣いて、泣けなくなるまで泣いて、そしてその後、
 少しだけ元気を出すんでござる。ほんの少しでいいでござるから………。」
ガウの肩が小刻みに揺れ、呼吸が不規則になり、嗚咽が漏れる。
ガウは、メルビンの腕の中で、思いっきり泣いた。
ホフマンはその場を離れ、出口の側で、少しだけ泣いた。

216 :メルビンとか :02/11/05 21:40 ID:???
「…寝ちゃったみたいですね。」
「うむ。だいぶ無理をしていたみたいでござるからな。」
洞窟の真ん中の一番暖かい所で、ガウは泣き疲れて眠っていた。
「強い子でござる。…本当に。」
「…こんなに小さな体で、どんな生き方をしてたんでしょうか」
「…ホフマン殿も寝た方がいいでござる。番はワシがしておくでござるから。」
「…わかりました。少し寝たら交替します。」
「うむ。時間になったら起こすでござ・・・」
『ズゴゴゴゴォォォ………』
その時、突然洞窟全体が揺れ、轟音が外から聞こえてきた。
「なにがあったんでしょうか!?」
この洞窟自体はあまり被害は無かった。しかし、外で何かがあった事は明白だ。
「わからないでござる。ワシが外に出て確かめるでござる。
 ホフマン殿はここで待っていて欲しいでござる。」
「わかりました。入り口にカンテラおいときますから。」
「ガウ殿も、ココで待っていて欲しいでござる。」「ガウ!」
「よし。いい返事でござるよ。」
メルビンはガウの頭をなで、槍とカンテラを持ち外に飛び出した。

暗闇が周囲を覆い、雨音が壁を造り、雨粒が体を容赦無く叩く。
いつからずっとこうしていたのだろう。もはや自分でも自分の出しているはずの
呼び掛けが聞こえない。なんども意識を失いそうになった。しかし自分の掴んでいる、
自分の助けなくてはならない命が、かろうじて自我をつないでいた。
ずっと、護ってもらってばかりだった。ここに来るまでも、来てからも。
ここで負けるわけにはいかない。自分に負けないためにも闇に向かって呼び掛け続けていた。
「だれか、助けて、、、ゲホッゲホッ」
喉が負荷に耐え切れず、激しく咳き込む。喉の奥が鉄錆びの味がする。
声がかすれて出ない。頭が熱く、重くなっていく。
「ごめんなさい。アーロンさん。」
傍らに倒れている彼に向かって謝った。目から、涙が流れていた。
そして、最後に光を見たような気がして、モニカは意識を失った。


217 :メルビンとか :02/11/05 21:41 ID:???
洞窟の中で、ホフマンとガウはじっとメルビンの帰りを待っていた。
メルビンが出ていってから30分経っている。
不意にガウの耳が洞窟の出口へ向き、ガウは立ちあがった。
「ガウ」
「どうしたんだい?」
「ガウ。メルビン、呼んでる。」
そう言い切る前にガウは駆け出した。
「ちょっと待って、ぼくも行くよ。」
ホフマンもガウの後を追って洞窟の外に駆け出した。

「…大分酷…すね…」
「…む。…とか…でござる…」
聞き覚えの無い声でモニカは目を覚ました。
「………!」
声が出ない。喉がやられているみたいだ。
「ガウ!」
「あっ。目を覚ましたんですか。」
緑の髪をした少年と、上半身裸の気の良さそうな青年が目に入る。
「………」
「ちょっと待ってください。…これを」
水袋を受取り、少しだけ飲む。水が喉に染みて痛かった。
「…ありが…とう。…あ…なた…は…?」
「ぼくはホフマンです。あなた、雨の中で倒れていたんですよ。」
頭が急速に活性してくる。記憶が溢れてきた。
「…あ…。アー…ンさん。いっしょ…た人…は?」
「大丈夫です。いまから治療しますから。」
「…私…も…手伝…い…ます…」
「あなたは弱っています。ここで寝ている事が、あなたのする事です。」
その通りだ。疲労のため体はもう少しも動かない。私にできる事は無いのだ。
「…わかり…ました…。アーロン…さんの…事…御願い…します…。」
意識が再び落ちていった。モニカは新たに着せられた男物の服につつまれていた。

218 :メルビンとか :02/11/05 21:42 ID:???
「眠ったでござるか?」
「はい。……こっちはどうですか?」
そこには、上半身裸にされた男がうつ伏せに寝ていた。大量の血溜りがソコにできていた。
「だいぶ酷いでござる。」
「……」
「幸い骨折は無いが、全身ひどい打撲でござる。それに…ギザギザな刃物で
 臓器を傷つけられているでござる。あと、背中が一面炭化しているでござる。
 こちらは表面だけでござるが、傷口から臓器までやられているでござる。
 …体力も血も、もう残ってないでござる。すぐに治療を始めるでござる。」
「ぼくはどうしたら?」
「お湯を沸かして、全身を拭いてほしいでござる。ガウ殿!」
「ガウ!」
「外で水を汲んできて欲しいでござる。」
「ガウ!」
「…治るかどうかわからないでござるが、二人とも手伝ってくれるでござるか?」
「ガウ!」
「もちろんですよ。……もう、人の死ぬ所なんて見たくありません。」
「…それでは始めるでござる。」
回復魔法の淡い光がアーロンを包む。一番被害が酷い背部から腹部にかけて
力を集中させていく。出血が止まり、心臓の音が安定していった。
この人を死なせたくない。みんな、心は一つだった。
 
──あれからもう三時間経つ。
まず傷口を埋め、それから臓器を治していく予定だった。
しかし、まだ全行程の半分も進んでいない。メルビンの額には汗が浮かび、
呪文を呟く声にも疲労の色が見えた。
「…メルビンさん!脈が…少なくなって…」
「むう…」
他にどうしようもなかった。傷が体力を奪っていく。自分の力では両方を同時に
抑えることはできない。術のパターンを変え、体力を回復させながらだましだまし
やっていくしかなかった。

219 :名前が無い@ただの名無しのようだ :02/11/05 21:42 ID:???
↑死ね

220 :メルビンとか :02/11/05 21:45 ID:???
──それから2時間後
ついにメルビンの魔力が底を尽いた。魔法の光は消え去り、再び血が流れ始める。
メルビンは荒く息を吐きながら崩れ落ちた。
「!!! メルビンさん!!!!」
「ガウ!!」
「……ガウ殿……ホフマン殿……すまないでござる。…もう…ワシには……」
メルビンは白目を剥いて倒れた。それは、アーロンの死亡宣告と同じだった。
もうこの中には治療をできる人はいない。いまからだれか探しにいっても手遅れだろう。
「そんな……。どうにか…どうにかならないんですか?」
そこには悲壮な表情を浮かべたモニカが立っていた。
「……すいません。……もう、どうすることもできないんです。」
「そんな!大丈夫って、大丈夫って言ってたじゃないですか!この人は…
 アーロンさんは………私…なんかの……ために……」
「……すいません。」
泣き咽ぶモニカに、ホフマンはただ謝るしかなかった。
「ガウゥ…」
「…ガウくん。…もう…ダメなんだ…。もう…。」 「………」
「……ぼくも、魔法が…使えて…いたら…。」   「………」
「…ごめん……ごめんね……」          「………」
「……?ガウ君…。何を……!?」
突然洞窟の中に風が吹き荒れ、ガウの体から白い光が発せられた。

ガウは目を閉じ、両手を前に出して、明らかに人語ではない呪文を唱え始めた。
その旋律に乗って、白い風が洞窟の中を駆け巡った。
「いったい…これは……」
「この白い光……まさか…ホワイトウィンド!?」
「なんですか!それ!!」
「高レベルの回復魔法です!でも、決して人間には使えないはず……」
白い風がアーロンの体を宙に持ち上げ、全身を包み込んだ。
様々な白が、いくつも重なり、混ざり合い、溶けていく。

221 :メルビンとか :02/11/05 21:47 ID:???
洞窟の中を吹き荒れていた風が次第に収まり、アーロンを包み込んでいた
風がほどけ、霧散していく。
アーロンが地面に着陸するのと同時にガウの体が崩れ落ちた。
「!! ガウ君!!」
「アーロンさん!!」
ホフマンはガウに、モニカはアーロンに駆け寄った。
「…良かった。寝てるだけみたいだ。そっちは?
「…大丈夫です!アーロンさん、大丈夫です!!」
モニカの顔は、歓喜に震えていた。
『やった――!!』
ホフマンとモニカは互いに抱き合って喜んでいた。
そしてその後、裸の上に男物の上着を着ていただけだという事に気がついた
モニカに、ホフマンは思いっきりビンタされたのだった。

闇はまだ深く、雨はまだ降り続いていた。

【モニカ/アーロン(大丈夫な重症):所持武器:無し/鋼の剣 
   現在位置:大陸西端の岩山北側  行動方針:全員の回復を待つ】  
【ホフマン(ビンタ)/メルビン(疲労大)/ガウ(疲労大) 現在位置:マランダ北の山
  所持武器 ギガスマッシャー、虎殺しの槍  行動方針 全員の回復を待つ】

222 :名前が無い@ただの名無しのようだ :02/11/05 21:56 ID:???
↑死ね

223 :1/5 :02/11/05 22:28 ID:???
探し人が見つからず、落胆したマリベル達を、セーラが出迎えた。
「どうでしたか?」
「全然ダメ。影も形も見つからなかったわ」
「……そうですか。確かに、先ほどお見かけしたのですけれど……
もう、別の場所に行ってしまわれたのかもしれませんわね」
我が事のように肩を落とすセーラに、ピエールは優しく言葉をかけた。
「いや、あまりお気になさらないでください。…ところで、フローラ様のご様子は?」
「静かにお休みになっておられますわ。当分は、お起きにならないでしょうね」
いかにもお姫様らしい、育ちの良さそうな笑顔で、セーラは言った。
ピエールとビビは、そんな彼女を完全に信用しているようだ。
だが、マリベルは……セーラの態度に胡散臭いものを感じていた。
何と言うか、全てが大げさで、芝居がかって見えるのだ。
最も、ビビやピエールに相談したところで笑い飛ばされるのは目に見えてるし、
だからこそ二人と同じように、セーラを信頼する、という態度をとっているのだが……

「あら、マリベル様」
当のセーラにいきなり話しかけられ、マリベルはビックリして飛びあがった。
「は、はい?」
「スカートが、随分汚れてしまってますわ。
幸い、まだこの家には服がありますし、どうでしょう。お着替えになっては?」

224 :2/5 :02/11/05 22:30 ID:???
「…………」
セーラの言うほどではない気もしたが、良く見ると確かに裾が擦りきれたり、土埃がついたりしている。
「……そうね。じゃあ、お言葉に甘えて」
「私の家ではありませんけどね」
クスリと笑いながら、セーラはクローゼットから幾つかの服を出した。
あまり好みではないが、文句は言っていられない。
「じゃあ、この真中の服、お借りするわ」
「フローラ様が寝ていらっしゃるから、気をつけてくださいね」
「わかってるわ」
そしてマリベルは、着替えの為に奥の部屋へと入った。

それから十数分後――放送が、流れ始めた。
それと同時に、マリベルは部屋から飛び出した。
「ぴ、ピエールさん……大変! フローラさんが!」
「!?」
3人が慌てて部屋の中に入る。
ベッドの上、眠っているようなフローラ――その身体は、既に冷たくなっていた。
「マリベル、一体何があったの!?」
「わからないわよ! ちょっと様子がおかしいと思ってたけど……触ったら、冷たくなってて……」
「そんな……フローラ様……」
困惑するビビとマリベル、愕然とするピエール。
そしてセーラは――
「……貴方が殺したんでしょ」

225 :3/5 :02/11/05 22:32 ID:???
『!?』
「だって、私が見たときはフローラ様は生きていらっしゃったもの。
そうよ、貴方が殺したんだわ! 他に誰もいないんだもの!」
セーラの手には、ブレイズガンが握られていた。
その銃口をマリベルへと向け、狂ったように叫ぶ。
「近づかないで!」
「冗談じゃないわ! 何であたしがフローラさんを殺さなきゃいけないのよ!」
「ウソをつかないでよ、この殺人鬼! そう言って、私も殺すんでしょう!」
「セーラ様、落ちついて……!」
「あたしは殺してなんかない! 殺したのは……」
「来ないで……来ないでよぉおおおお!!!」

ダンッ! ダン、ダン!!

ピエール達の制止も間に合わなかった。
氷の弾丸は、正確にマリベルの胸――心臓の位置に当たっていた。
そのまま、壁に激突し、マリベルは動かなくなる。
「あ……あ……私、一体……」
セーラは放心したように腕をだらりと下げる。
放送は、既に終わっていた。
少しの間、凍りつくような沈黙が流れた。
……そして、ついにピエールとビビは気付かなかった。
セーラの瞳に、恍惚の色が浮かんでいたことには。

226 :4/5 :02/11/05 22:35 ID:???
「……ピエール様、行きましょう。
フローラ様の埋葬をしないと……雨が降り始めると、大変ですわ」
呟いて、セーラはフローラの傍に寄った。
その言葉に、ピエールとビビも我を取り戻し、彼女を手伝いフローラの体を担ぐ。
そして3人は、ぽつぽつと雨の降り始める表へと出ていった。

……残された部屋の中、マリベルの身体がぴくりと動いた。
肩がわずかに上下する。目が、きょろきょろと辺りを見まわす。
「……ふーっ。死んだふりってのも、中々辛いわね」
けろっとした表情で呟くと、彼女は手早く元の服に着替え始めた。
「全く、とんでもない女だわ! このマリベル様を罠にかけようなんて!」
フローラの死には、着替えはじめる前から気がついていた。
そしてセーラへの疑惑を確信に変え……万が一に備え、知っている限りの防御呪文を唱えておいたのだ。
「……さてと、あの女が帰ってくる前に……」
脱いだ服にシーツやそこらへんにあったものを詰め、人の形に整える。
そして被っていた頭巾を乗せて、仕上げにヒャドを胸の辺りに三発。
「私が生きていることを知れば、あの女……絶対殺しに来るでしょうからね」
近づけばすぐに見破れるダミーだが、それでも時間稼ぎにはなるはずだ。

227 :5/5 :02/11/05 22:36 ID:???
「旅の扉が出るまで、バレなきゃいいんだけど……」
マリベルはそっと窓から外に出た。
あの女を今、倒すことはできない。やれば間違いなくピエールやビビを敵に回すことになる。
それだけは絶対嫌だったし、何より――
マリベルは、ポケットの中のメモを握り締めた。
街の片隅に落ちていた、首輪に関するメモ。
『殺す』、『殺される』以外の第三の道は、おぼろげではあるが既に見えているのだ。
(絶〜〜っっっっ対に! 皆と一緒にフィッシュベルに帰るんだから!)
一人決心を固め、彼女はこっそりとマランダを後にした。

【セーラ 装備品 癒しの杖 ブレイズガン 現在位置:マランダの街 
 行動方針:ピエール一行を殺す】
【ピエール/ビビ 所持武器:珊瑚の剣/ギサールの笛/爆弾岩×10
 現在位置:マランダの街 行動方針:フローラを埋葬する】
【マリベル 所持品:エルフィンボウ、エドガーのメモ
 現在位置:マランダ北の山脈へ 行動方針:セーラから逃げる/メルビンかアイラを探す】

228 :名前が無い@ただの名無しのようだ :02/11/05 23:08 ID:???
「ピサロ卿。前々から話したいことがありましたが。いかがいたしましょう。」
ベクタ南の山道。工場を出た二人は黄金の腕輪を探してここではない都市。アルブルグに向かっていた。
あれからあちこちをさまよっていたが放送を聴き、雨が降りだしてくるということなので人が集まりそうな場所を求めていたのだ。
「…なんだ?」
「進化の秘法というものにひとつ心当たりがあります。…最もそれは物ではなく、一人の参加者でありますが。」
「…何?進化の秘法をその力に振り回されずに自分の力にしたやつがいるというのか?」
「はい。前の世界のときに自分の意思で魔物に変身し、自分の意思で変身を解いたのです。」
…アモスのことである。
「仔細を話せ。…興味深い。」
「構いませんわ。…ですが、あの町についてからでも遅くはないと思いますわ。」
「それもそうだな。…よし、あの町に着いたら話せ。その男のことを。」

【デスピサロ/サマンサ: 所持アイテム:正義のそろばん、『光の玉』について書かれた本
 勲章(重装備可能 現在位置:ベクタ南の山道→アルブルグへ 行動方針:腕輪を探す】
(アモスのことをデスピサロが知りました)

229 :名前が無い@ただの名無しのようだ :02/11/06 07:34 ID:???
緊急保全age

230 :名前が無い@ただの名無しのようだ :02/11/06 09:35 ID:???
「これでは動けぬな。」
滝のように降り注ぐ雨。視界はゼロに等しい。
このようなときに動き回ると体力は瞬く間に失われるだろう…
封魔壁の入り口。
辺りは闇に落ち、光という光は見えない。
まだ、中のほうが溶岩で明るかった。
パパスは剣を油断なく構え、辺りを見回す。
「…気のせいか?」
ふと足元を見る。犬が全身を震わせて濡れた体から水を飛ばしている。
…首輪がある。この犬も「参加者」であるんだな。
「このような犬まで…。ここでは寒かろう。奥に行こうぞ。」
トーマスは尻尾を振りながらパパスの後についていった。

【トーマス 所持品:鉄の爪 薬草×10 手紙 碁石(20個くらい) 現在位置:東部民家より旅の扉へ 行動方針:生き残る】
【パパス 所持武器:アイスブランド 現在位置:封魔壁の洞窟 行動方針:バッツと双子を捜す。最終的にはゲームを抜ける。とりあえず暖を取る。】


231 :名前が無い@ただの名無しのようだ :02/11/06 09:36 ID:???
トーマスの現在位置は【封魔壁の洞窟】です…

232 :1/2 :02/11/06 09:53 ID:???
しばらく前まで“リュックだった”物体は蝙蝠の翼をはためかせて帝国上空を飛行していた。
その速度は、滑空や羽ばたきではあり得ないスピードだ。何か、別の力が関わっているようだが。

アルス達から離れて数十分。すでにソレは大陸の真反対の位置に到達していた。

…ヒトの匂いがする。
かなりの高空で飛行しながら、ソレは地上の匂いを認識していた。
ひどくゆっくりと、ソレは降下を始め…匂いのする場所、橋の上へと着陸した。


導士は、橋の下で黄金の腕輪を眺めやっていた。
「何なんだろ…コレ。」
見れば見るほど不思議な感じがしてくる。
古代の紋様と装飾が施された腕輪の、その黄金と黄金の隙間から黒いオーラがにじみ出てくるのを感じる。
「捨てた方がいいかも…。」
導士は、その腕輪が“危険”であると認識した。
怖い。危ない。趣味悪い。なんかもやもやしてる…。
と、その時、導士は頭上…橋の上に何か“圧迫感”を感じた。
橋の上に立っているのではなく…何か、空から降下してくる感覚。
「…?」
導士は橋の上に上がり、封魔壁監視所側の空を見上げてみた。
何となく、光るペンダントを身につけてゆっくり下りてくるエリアの姿を想像したが…そちらの空に見えるのは、雨粒と雲でしかない。
導士は何気なく振り返って…そして、硬直した。
いつの間に現れたのか背後には、トカゲに蜘蛛の脚と蝙蝠の翼、ついでに甲虫の大顎を付けた異形の怪物が出現していたのだ。
「っ…!うわわわああああっ!」
それに驚いて、導士は監視所の方に駆けだした。手にした黄金の腕輪をほっぽり出して。

233 :2/2 :02/11/06 09:56 ID:???
ソレは、導士を追おうと身をかがめた。
エネルギーが足りない。この身体を身体として維持するには。
そして、逃げていく導士に飛びかかろうと脚に力を溜めて…止めた。
目の前の虚空に舞う黄金の腕輪を見て。
その時、ソレの中では二つの意志がせめぎ合った。
“アレを手に入れろ。アレが必要だ。”
“アレを壊せ。アレは必要ない。”
その意識は一瞬の間に数百回もぶつかって…結局、前者が勝った。
ぶうん、とカギヅメが振われる。そのカギヅメのさきっぽに、腕輪がすっぽりはまりこんだ。
そのとたん、ソレの身体が爆縮する。カギヅメが引っ込み、脚が縮んで、鱗が滑らかな皮膚へと変化し…。
ソレは…否、リュックはヒトの形を取り戻していた。きちんといつもの服も身につけて、意識もしっかりと持ってそして…右の二の腕にあの腕輪を身につけて。
「……あ。」
意志を取り戻したリュックの唇から、声が漏れた。信じられない、と言う思いのこもった声が。
自分が化け物になっていた事。アーロンを殺してしまったかも知れない事。この腕輪のおかげで…“進化”の方向が定まった事。
それらを突然認識する。他にも色々な事を腕輪が教えてくれる。
…リュックは腕輪が身につけられた方の腕を見て、試しに“進化”を命じてみる。
腕輪は命令を忠実に実行した。右腕がたちまち硬質化し、巨大な三つ又のカギヅメへと姿を変える。
ひっと怯えた声を上げて、リュックは“退化”を腕輪に命じた。たちまち腕が元のカタチを取り戻す。
意識を失いそうになる自分を叱咤して、頬をぴしゃぴしゃ叩く。
この腕輪さえあれば何とかなる。そうだ。コレさえあれば助かるかも知れない!
リュックは、通常ではあり得ない速度で駆けだした。こんな雨の中でも前がハッキリ見える。
みんなと、合流しよう。早く、早く!

【リュック(魔獣化制御・身体能力上昇):所持武器:進化の秘宝 現在位置:封魔壁に通じる橋 行動方針:仲間と会う 】  
(魔獣時の能力を行使可能・腕輪を失えば再び暴走の危険性有り)
【導士 所持武器:天罰の杖 現在位置:封魔壁監視所方面へ 行動方針:化け物から逃げる(逃げ切ったら身を隠す)。戦闘は避ける。】

234 :ヽ( ・∀・)ノ ウンコー :02/11/06 19:18 ID:???
ヽ( ・∀・)ノ ウンコー

235 :名前が無い@ただの名無しのようだ :02/11/06 23:16 ID:???
「お待たせしました。」
「…ん。」
着替えを終えたエリアがアモスの横に座る。
「…なんだ?それ。」
「酒場の奥に落ちていたんですけど…誰かの落し物でしょうか。」
エリアが持ってきたのは加速装置。持ち主を失ったそれは持ち主の場所と全く異なる場所に飛ばされていたのだ。
「…なるほど。」
えーと、こういうときはどうしたらいいのかな。
「…えっへん。」
とりあえず胸を張ってみた。
「…」
「…」
アモスの肩が小刻みに震える。
「…あ、笑いましたね?」
アモスが横を向く。エリアが回りこむ。
「…なぜ隠すんですか?」
悪戯めいた表情を浮かべた。この人、結構恥ずかしがり屋なのかな。
「…と、とりあえず。それは持っておいてくれ。」
「わかりました。…結構恥ずかしがり屋なんですね。」
「ほっといてくれ。」
そしてしばらく時が過ぎる。


236 :名前が無い@ただの名無しのようだ :02/11/06 23:17 ID:???
二人は何を話すでもなく静かに座っていた。
なんとなくだけど。この沈黙は悪くはないわ。エリアはそう思っていた。
暖炉には赤々と薪が燃えていた。目立つかもしれないが体が冷えるだろう。ということでアモスがつけたのだ。
ふと、外を眺める。
「雷が光ってますね…」
「…あれは…」
窓の外に稲妻が見える。…そうなのか。アモスは悟った。
「…勇者の資格を持つものだけが使える呪文…ライデイン…」
「…え?」
「誰かが稲妻の呪文を使ったんだ。」
誰が使ったんだろうか。…ミレーユ?バーバラ?
できれば全く違う人であればいいのだが。
「勇者…」
「このゲームに乗ってしまった“勇者”がいるのだろうな…」
「あなたは勇者ではないのですか?」
「…どうだろう?」
「…意地悪。」
「お互い様…」
明日の命があるかもわからない。このゲームから抜けれる当てなんかあるはずない。
明日はあの雷使いの勇者と戦うのかもしれない。
明日じゃない。今日かもしれない。
または他の人と戦うのかもしれない。
だけど…この人と、少しでも長くいたい。
我侭かもしれない。でも、私のできることをしていけばいいと思う。
エリアはふとそんなことを思った。

【アモス/エリア 所持武器:妖剣かまいたち・水・1,5リットル・小型のミスリルシールド/ミスリルナイフ・加速装置 現在位置:ベクタ酒場 行動方針:ロック、ファリスとの合流】


237 :1/3 :02/11/06 23:35 ID:???
「なるほど・・・やはり人体に対しての移植は無理があったようだな」
リュックの変貌を目の当たりにしてエビルマージは納得顔で頷く。
やがて水晶球の画像は、突如発生した土石流によって泥1色となる
エビルマージは舌打ちして画像を切り変える、そこはどうやら橋の下のようだ。
橋の下には白い服を着た男が雨宿りをしている・・・・その腕には・・・・

「見つけたぞ!」
ついに腕輪を見つけた、薄暗い廊下で、水晶球を片手にエビルマージは狂喜していた
・・・・が。喜んでばかりもいられない
ここで自ら降り立って腕輪を奪取することは容易い、しかし・・・・・・
これ以上目立つ動きはしばらくは避けたほうがいいとの思いが彼を縛っていた

誰か刺客でも送るか・・・・・と考えながら研究室に入ろうとしたエビルマージだったが
その時何やら気配に気がつく、侵入者か!?
「貴様!!ここには誰も通すなと言っておるではないか!!」
エビルマージは門番を務めている動く石像に向かって叱責する
「し・・しかし」
動く石像は狼狽しながら、しどろもどろで返答する・・・・・

「しかしもかかしもないわ!」
エビルマージの右手が唸って光る、力任せに石像へと光球を叩き付けようとした時
「よさぬか、わしが無理に言ったのだ」
研究室の中の声にエビルマージは驚くと同時に、慌てて研究室に入ると声の主に対して頭を下げる

「これはこれは師匠殿、いや軍師閣下とお呼びした方がよろしいですかな?」
「堅苦しい真似は止さぬか、とうにわしは現役を退いておる・・・それに叔父と甥の仲では無いか」
紫色のローブに頭巾姿の魔道士、アークマージはエビルマージをやんわりとねぎらう
「ほほう・・・ついにここまで完成させたか、流石は我が甥よ、わしの為に良くやってくれたわ」
強大な培養槽の中の物体を覗き見てアークマージは満足気に頷く

238 :2/3 :02/11/06 23:37 ID:???
別にアンタのためじゃない、とエビルマージは思ったが黙っていた
魔力は強力だが魔学のセンスは無きに等しかったアンタの机上の空論を
ここまで形にしたのは誰なんだよ?とも言いたげだったが

「これでわしの野望もあと数歩のところで叶うわ・・くくく、我が甥よでかしたぞ
わしが魔界に君臨した暁には相応の礼をくれてやろう」
「はっ、有り難き幸せです」
そう言いながらも、今、エビルマージは改めて確信していた
この死に損ないの権力欲の権化が生きている限り、自分の野望が叶うことはないと・・・・

嗅ぎ付けられた以上は仕方ない、殺すか・・・だがどうやって?とりあえずは殺害の意志を固めたエビルマージだったが
奴もかつてはゾーマの側近の1人、今の自分なら負ける気はしないが、自ら手を下し
事が公になれば全てが水の泡になりかねない。
ふと水晶球に目をやると、そこに映っていたのは腕輪を手にして、自らの肉体を制御したリュックの姿だった。それを見たエビルマージに一計が浮かぶ・・・・しばらく時間を置いて
彼はアークマージへと水晶球を見せる。

「実は叔父上、この少女ですが、なかなか好みではありませんか?」
「ほほぅ・・・・おいしそうな小娘じゃのう、わしにくれるのか?」
アークマージはいやらしくリュックの顔と身体ばかりを見ている。
エビルマージはそこで溜息まじりにアークマージへと言う
「しかし、残念なことに今はゾーマ様の命令でみだりに降りる事は禁じられておりまして・・・」
「なぁに、かまう事は無いわい、わしとて軍師と呼ばれた男よ、多少の勝手は今でも許されよう」


239 :3/3 :02/11/06 23:38 ID:???
この色ボケジジィが・・・覆面の下でぺロリと舌を出すとエビルマージは困惑するようなそぶりを見せながら
「そうですか・・・ならばもう止めませぬ、ですが一つだけお願いが・・・・
あの娘が着けている腕輪を持ってきて頂けませんか?」
と、それとなくアークマージに水を向ける

腕輪と聞いて少しだけ怪訝な顔をしたアークマージだったが、エビルマージがそっと小指を立てるのをみて
にんまりと笑う
「ほほう、研究一途の貴様にも春が来おったか・・・任せておけい、その程度のことは造作も無いわ
つくづくわしは良い甥を持ったわい・・・・くくっ、生身の女を抱けるのは久しぶりじゃ
では早速降りるとするか」
頭巾を涎で汚しながら、ふるふると杖をつきアークマージは研究室を出ていく。

衰えた頭脳と肉体ではどうせ腕輪の価値も理解できまい・・・・・と思ってはいたが
まさかここまでとは・・・・エビルマージは流石に頭を抱えてしまった。
まぁいい、どちらに転んでも損はない、詰問されれば止めたが勝手に降りたとでも言えば良い。
「さて欲ボケジジィが勝つか、実験材料が勝つか、見物だな」

【アークマージ:地上へ】
(その能力はすでに衰えています、それでも強いことは強いですが)

240 :名前が無い@ただの名無しのようだ :02/11/07 00:27 ID:???
age

241 :1/2 :02/11/07 01:05 ID:???
ゾーマは玉座に1人佇んでいた。
しかしそこにいたのはいつもの威厳に満ちた巨体ではなく、かなり小柄な姿のように感じられる
そのゾーマだが、先程からしきりに自分の手を気にしているようなしぐさだったが
やがて鏡の前でゆっくりと自分の身体を包む衣服を脱ぎ捨てていき、一糸まとわぬ姿となる。

そして鏡に映し出されたその姿は、大魔王とはとても思えぬ美しい少女の姿だった
しかし良く見るとその白い肌の至るところに無数のひび割れが生じているのが見える
まるで今にも崩れ、砂になってしまいそうな古ぼけた陶器のようだ・・・・
「やはり、もう長く保ちそうに無いようだな・・・・・」
その唇から発せられたのは荘厳さに満ちたいつもの声だった。

いかに魔族と言えども、この世界における絶対の理・・すなわち滅びから逃れる事は叶わぬ
それは無限の魔力を誇る大魔王とて例外ではない
魔力ではその精神を繋ぎとめることは出来ても、永遠に肉体を維持することは不可能なのだ

しかし、方法が無いわけでもない、他人の肉体を奪いその中に自らの精神を移植させる
遥かな太古に失われたこの邪法によって、ゾーマは文字通り悠久の時を生きてきたのだ
だが、誰でもいいわけではない、大魔王ともなれば、その絶大な魔力を余すことなく
受けとめられるそんな肉体の持ち主を選ばなくてはならない・・・・

そう・・・ゾーマしか知らぬこの戦いの目的は一つ、戦いを潜り抜け生き残った者を依代にし
また再び新たな肉体を手に入れるためのものだった。


242 :2/2 :02/11/07 01:06 ID:???
しかし正直飽きた・・・・・
もはや自分が元々何で誰だったのかすらも思い出せない
まさか最初から大魔王であったはずではないだろうが・・・・・

ゾーマは皮肉っぽく唇を歪めて1人ごちる
「のう、エビルマージよ、我もかつては貴様と同じだったのかもしれんな・・・・」
彼が玉座を狙っていることなど、とうに承知していた、果たしてどんなやり口で来るのか
それはもはや脅威ではなく期待にすらなっていた。
「だが、ただでこの玉座くれてやるつもりは無いがな・・・心して挑むが良い」

何時の間にかゾーマは衣服をまとい、すでに普段の姿へと戻っている
その視線の先の巨大な水晶に、戦場の様子が着々と映しだされる
彼ら1人1人の姿を見ながら、ゾーマは静かに呟いた。
「あるいはそなたたちが我に終焉を与えることになるのであろうかな?・・ふふふ」

243 :しょうちゅうだい ◆toOoOooOoo :02/11/07 01:35 ID:???
いいか。天才と呼ばれる連中は、
みんなどこかがオカシイんだよ。
逆に言えば、オカシイところが
あるボクは天才なんだ。

244 :名前が無い@ただの名無しのようだ :02/11/07 06:27 ID:???
「冗談じゃないぜ…」
「あいつには二度とかかわりたくないな。」
「早く誰かと会おう。…放送を聴けなかったのは厳しいからな。」
ファリスとロックは漆黒の空と降り注ぐ雨を見て言った。
エビルプリーストを振り切ったのはいいが二人は放送を聞き逃した。
聞き逃したことを気づかせてくれたのは轟音。雨の音である。
イオナズンの激しい爆音にすべてがかき消されていたのだと気づくのはさほど難しくはなかった。
急いで外に向かう。途中、何者(デモンズウォール)かがあけた大穴で容易に外に出ることができた。
二人を待っていたのはバケツをひっくり返したような大雨であった。
「アモッさんはどこにいるんだろうな。」
「アモスはこの放送を聴いたはずだろうからな。アモスに会えれば一番いいが。」
アモスはこの放送を聴いてはいない。よってハズレ。もっとも放送の内容は知ってはいるためアタリともいえるかもしれない。
「アモッさんはそう遠くには行ってない筈だぜ。」
これはアタリである。
「なぜなら、俺たちを探しているはずだから。」
「違いない。だが、この雨の中歩き回ってはないはず。どこかの建物にいるはずだが。ロック。ここのことは知っているんだろう?案内してくれよ。」
「ここから一番近いのは宿屋だぜ。」
「宿屋は…だめだ。」
意外な言葉がファリスから出る。
「ベッドを見ると眠りそうになってしまう。眠ったらもっと大事な放送を聞き逃す羽目になる。」
「…違いない。」
宿屋の線は消えた。正しい選択だったかもしれない。
「他に何かあるか?」
「武器屋と防具屋、そしてリターナーの拠点の小屋がある。」
「リターナー?」
「この、帝国と戦っていた組織さ。…俺も所属していた。…もっと奥に行けば酒場もある。さらに奥には帝国の城があるが…あそこまで行くと体が冷え切ってしまいそうだ。絶対に誰かがいそうなもんだが。」
「…どうする?」

【ファリス ジョブ:忍者 アビリティ:!とんずら/ロック 
 所持武器:食料2ヶ月20日強分&毒薬 水1,5リットル×2 吹雪の剣 小型のミスリルシールド/クイックシルバー フィアーの書×7 小型のミスリルシールド
 現在位置:ベクタ街中  行動方針:アモスとの合流 現在どこへ行くか思案中】


245 :1/2 :02/11/07 16:19 ID:???
「こんな雨の中ですまんが…。」
リバストはそう呟きながら、目の前のこんもり盛り上がった土の塊に、墓標代わりに銅の剣を突き立てる。
その下に眠っているのは……こんな言い方をしていいのかは、リバストには分からなかったが…彼の友だった。
名前はレオンハルト。彼がどんな人間だったかは剣を通してしか分からなかった。彼がどうして死を望んだか?本当の理由を聞く事は出来ない。
ただ…少なくともその最後を看取ったリバストには、彼が“死ぬべき”人間だとは思えなかった。
ベクタを囲む山脈の中で最も高い山…恐らくは、この大陸でもっとも空に近い場所に、レオンハルトは埋葬された。

(さて、これからどうするか…)
リバストは雨に打たれながら、思考の海へと沈んでいく。
もともと、最後の戦いが終わったら死ぬつもりだった。今の彼は生き延びる事に…正確には他者を押しのけてまで生にしがみつく事に…執着はなかった。
なにしろ、自分は一度死んでいる。心躍る戦いと言う望みを果たした今、これ以上何の望みがあるというのだ?
…リバストはゆっくり目を開いた。ヘットバンドにささっている真っ白な羽が、雨の勢いに負けて地面に落ちていた。
リバストは無言で、ソレを元の位置に戻し、放りだしたまどろみの剣を手に取った。
(レオンハルト。向こうでもう一度戦ろう…!)
リバストは手にした剣を振りかざし、己の腹に向かってそれを振り下ろした!

246 :2/2 :02/11/07 16:20 ID:???
……ばきっ!

その手が、ピタリと止まる。背後で、何かが折れる音がしたから。
リバストは驚き、振り返る。
背後には、彼がたった今作ったレオンハルトの墓がある。その墓の墓標代わりの銅の剣がぱっきりと折れていた。何の衝撃も、無かったのに。
安物の銅の剣が、まるで伝説の勇者の剣みたいに見えた。地面に突き刺さったままの刃も、地面に落ちた柄も、とても誇らしくその存在を誇示していた。
何もなかったのに折れた?それに、今のタイミングは、まるで…。
「お前が止めたのか?レオンハルト…。」
そうとしか思えなかった。都合がいいとも思ったが、とにかく…。
「…わかった。」
リバストは頷き、立ち上がった。
リバストは、ゆっくりとした足取りで山を下り始めた。しっかりとした足取りで。
レオンハルトが死ぬなと言うのなら、もう少し生きてみてもいいだろう。
ただ…それにしがみつこうとは、やっぱりこれっぽっちも思わなかったが。

【リバスト 所持武器:まどろみの剣 現在位置:ベクタ周辺の山脈 行動方針:今のところ無し】

247 :999 ◆999get6Oxw :02/11/08 03:39 ID:???
なんだよこれ・・・
http://ime.nu/akasaka.cool.ne.jp/kickback/

248 :名前が無い@ただの名無しのようだ :02/11/08 23:42 ID:???
激しくなる雨の中。森の中でとんぬらとホイミンは向かい合っていた。
「……」
「……」
敵意はなさそうだ。そう思った。
多少、様子がおかしいが…
「ねえ…君」
「……」
とんぬらは異変を感じた。
このベホマスライム…何かが違う。
「ライアンサン…ドコ?」
「…?」
「ライアンサン…ライアンサン…」
「…ライアンさん?」
そうか。この子はライアンさんを探して…
「ごめんな。…ライアンさんにという人には…あってないんだ。」
「……」
「……」
「ライアンサン…」
ホイミンはとんぬらに背を向ける。
「あ、ちょ、ちょっと!」
とんぬらは引き止める。だが、ホイミンにその声は聞こえていない。
とんぬらは悟った。ライアンさん。その人が彼の唯一の心の拠り所であるのだと。
ホイミンはおぼつかない足取りで森の外へと向かう。
…とんぬらはその後姿をただただ見守るだけだった。

【とんぬら(DQ5主人公) 所持品:なし 現在位置:ツェン側の森 行動方針:王子と王女を助ける、パパスに会う】
【ホイミン(強化)  所持武器:なし  現在位置:ツェン側の森→ツェンの街中へ 行動方針 ライアンを探す】


249 :名前が無い@ただの名無しのようだ :02/11/09 01:43 ID:???
>>130-131を修正します。

【スコール(負傷) 所持武器:なし 現在位置:アルブルク南東の岬→マランダの町 行動方針:人形状態?】

【スコール(負傷) 所持武器:なし 現在位置:アルブルク南東の岬→アルブルクの町 行動方針:人形状態?】

次にスコールを書かれる方は注意してください。


250 :山崎渉 :02/11/09 02:13 ID:???
(^^)

251 :名前が無い@ただの名無しのようだ :02/11/09 02:17 ID:???
雨が降る。
雨の音、水溜まりのできる様、それは彼女の心を強く惹き付けた。
それは彼女が水の巫女故に他ならない。

現在アモスと行動を共にしているエリアだったが、
誰かと一緒にいるというのは少なからず彼女に冷静な思考の時間、そして何よりも心を与えた。

酒場の窓から雨が降るのを見ながら、エリアは精神を集中した。
雑念はない。今までとは違う。
死の恐怖に怯えていることを認めないで、気丈に、とにかくがむしゃらに進んでいた、
つい先刻までの自分とは違うのだ。
今なら受け入れられる。自分自身を。恐怖を。
傍には、頼りになる人がいる。


――感じる。

この感触に、エリア自身驚嘆した。
それはとても懐かしい、もう二度と触れることのできない感覚だと思っていたから。
だが、たしかに感じる。

――クリスタルの、光が・・・。近くに火、北に水、南に風、西に土・・・

信じられないが、クリスタルに導かれた光の戦士のそれに違いなかったのだ。
彼女の心は高揚した。

――彼らが、今、ここにいる・・・?


252 :↑1/2 2/2 :02/11/09 02:18 ID:???
火はファリス、水はレナ、風はバッツ、そして土が導師を示すものだったが、
彼女はそのことを知っている筈はなく、
当然思い浮かべたのはかつての四人の少年であった。
もっとも、その中の1人はたしかにここにいるのだが・・・。

気が付いたら、彼女は駆けだしていた。
四人の場所は手に取るようにわかる。興奮を抑えきれない。
そして少なくともこの近くに、火のクリスタルに導かれし戦士がいる。

会いたい、今は唯それだけが彼女の願い。
彼らに会えばなんとかなるのではないか、なんの根拠もない希望。
しかしそれが彼女を強く突き動かしていた。

「・・・何をしている!?」
エリアの異変に気づいたアモスの制止も彼女の耳には届いていない。
酒場を飛び出していった彼女に、仕方なくアモスも後に続いた。



【アモス/エリア 所持武器:妖剣かまいたち・水・1,5リットル・小型のミスリルシールド/ミスリルナイフ・加速装置 現在位置:ベクタ酒場から飛び出す
 行動方針:ロック、ファリスとの合流/火のクリスタルの戦士(ファリス)に会う。興奮のあまり直情的に動いている】


253 :名前が無い@ただの名無しのようだ :02/11/09 02:20 ID:???
>>251修正 下から六行目
> ――クリスタルの、光が・・・。近くに火、北に水、南に風、西に土・・・
の部分で、×西に土→○東に土 です。


254 :名前が無い@ただの名無しのようだ :02/11/09 17:37 ID:???
ベクタ、リターナーが拠点としていた小屋。
「全く…様ないな。」
雨が降ったことは幸運にも彼に安息の地を与えた。
これほどの激しい雨なら下手に出歩くものもいないだろう。
火傷に凍傷。
あいつの性格の捻じ曲がったのが手にわかるほどの傷であった。
生かさず、殺さず。
もっとも、そいつがすでに死んでいるのを知る由もなかったが。
これほどの傷で戦闘を行うのは自殺行為である。
もし…他の選手に出会ったら…自分の最後である。
ならば、どうするか。
殺られる前に殺る。
それだけであった。

【クラウド(重傷) 所持武器:ガンブレード 現在位置:ベクタ、リターナーの小屋 行動方針:待ち伏せ】


255 :ロムカートリッジの容量が足りない! :02/11/10 02:17 ID:???
ロムカートリッジの容量が足りない!

256 :254 :02/11/10 08:09 ID:???
>>254
は無効です。申し訳ない。

257 :名前が無い@ただの名無しのようだ :02/11/10 13:13 ID:???
「なんじゃ。これじゃあ、歩き回れないじゃないか。」
残念そうな声が聞こえる。心底残念なのだろう。
外への近道の存在があったもののわざわざ遠回りしてきたのである。
数々の仕掛けを触ってみたり消えたりする通路にどきどきしながらも入り口にたどり着いたゼニスを待っていたのは豪雨であった。
「そうじゃ。確かこの中に…」
袋の中を探る。取り出したのはアンブレラ。
「これさえあれば雨も平気じゃな。」
アンブレラをさして雨の中を悠々と歩き出していった。

【ゼニス 所持武器:アンブレラ 現在位置:封魔壁→監視所跡地 行動方針:物見遊山】


258 :1/3 :02/11/10 16:51 ID:???
漆黒の闇。夜の闇。それはただの闇ではなく、ヒトの心に恐怖を落とす闇だった。
そして、雨。冷たい雨。震える雨。人の心を追いつめる、雨。
その中をひた走る、一つの影があった。
その影は、こんな雨の中でも非常識に早くて…そのくせ、息一つ切らしていない。
それ以前に、影は『雨に濡れて』すらいなかった。
影に雨粒が触れるが早いか、ソレは陽炎のように消失する。今走っている砂漠は泥沼みたいになっているのに。
影の、金色の髪がふわっと揺れた。影の名はリュック。“元人間”。

「気味悪いの我慢すれば色々便利かもね…。」
リュックはそう呟きながら疾走を続けていた。異常に上がった…リュックの意志で上げた…体温のおかげで雨粒は触れた端から蒸発していく。
初めて“理解した”瞬間は気が狂うかと思ったが、慣れてしまえばどうって事はない。
ちょっと力を押さえれば、普通の人間と変わらないのだし。
…リュックはただただひた走る。ティーダとアーロンを探して。

「ふぉふぉふぉふぉ…いたわい…。」
殺し合いの舞台…帝国本土の上空で、紫色の影がおかしそうに揺れた。
毒々しい紫色のローブを身に纏った老人…アークマージ。
その身体も雨に濡れていない。もっともこちらは、雨が身体に触れてすらいない。
アークマージは、顔を隠すローブの下で、嫌らしい笑みをにやっと浮かべて見せた。
「いたぶりがいがありそうじゃ…イイ声で鳴くじゃろうて。くけけけ…。」
アークマージが、泥の海へと変じた砂漠に降下を始めた。

259 :2/3 :02/11/10 16:54 ID:???
リュックは何となく背筋が寒くなって足を止めた。
鋭敏になった神経が、何か…何かを警告している。空の上から、何か…?
思わず上空を見上げたリュックは、絶句した。
普通人ならば決して見上げる事はかなわない雨の中、全身をすっぽり覆うローブを纏った何かが降下してくるのがハッキリ見えた。
「あ、アレ…。」
下りてくる者を知っている。ゲームが始まった時見たあの……。
ゲームの解説役はエビルマージであって、アークマージではない。だが、リュックには、その二人の区別はつかなかった。
「アイツが…っ!」
逆らえば首輪が…と言う事を一瞬忘却した。
瞬時にリュックが“進化”する。
右腕が真っ黒で巨大なカギヅメに転じ、背中から二枚の蝙蝠の羽が生えそろう。
どおんっ!
炸裂音と共に、泥となった砂がはじけ飛ぶ。リュックはアークマージめがけて飛行を開始した。

「ぬ…?」
アークマージのだらけきった脳は、その瞬間を認識できなかった。
いきなり眼下の砂漠にどでかいクレーターが現れて…。
気がつけば、その眼下の砂漠に顔面を埋めていた。
「?!?」
アークマージが動揺する。今のは何だ?さっきまで空を飛んでいたはずだ。なんで砂漠の泥の中に顔を突っ込んでいるのだ?なんで腹がズキズキ痛むのだ?
アークマージは、認識できないほどのスピードで殴られた腹に激痛を感じながらうつぶせになった身体をひっくり返す。
空の上に、あの娘がいる。何故か、蝙蝠の翼を生やしてそして、右腕を異形に変じて…。
ぶん、と娘…リュックがその異形の腕を振う。
そのとたん、アークマージの周りの泥が跳ね上がり…その泥と一緒に、アークマージの下半身が宙を舞った。

260 :3/3 :02/11/10 16:55 ID:???
「うがぁあぁぁぁ…!」
非常識なくらい長時間空を舞う下半身…己の下半身を見て、アークマージが絶叫する。遅れてやって来た激痛に。
同時に腹からずるっと大量の“何か”が外にはみ出していく感触が…。
(に、ににに逃げるんじゃ、早く早く早く!え、ええええエビルマージのヤツに下半身をつつつ作ってもらわねば!ぁぁぁ!)
「る、るるるるぅぅぅらららぁぁぁぁぁ!」
ただの悲鳴にしか聞こえぬアークマージの声。しかし、その言葉に秘められた“力”はきっちりと発動した。
アークマージの視界がダメージのためではなく歪み、そして次の瞬間には別の場所を移しだしていた。ゾーマの城のとある一室を。


「っあぁっ……くはぁっ…!」
(な、何コレ…!)
リュックは、砂漠と言う名の泥水のたまり場で苦しげな声を上げた。
何なのだろうこれは?アレが逃げた…消えてしまった後、地上に降りて、あの羽とカギヅメを元に戻したとたんに、お腹の辺りが焼け付くような…!
(…ひょっとして…!)
何か、ぴんと来る物があった。
化け物になった時、かろうじて身体に引っかかっていたザックに手を突っ込み乱暴にあさくる。取り出したのは、パン。
「っくんぐっ!」
手にしたパンを思いっきり貪る。ろくに噛まずにごくんと飲み込むと腹の焼けるような痛みが少し遠のいた。
そう。つい今までリュックを襲っていた腹痛は、空腹から来た物だったのだ。恐らくは、“進化”のせいだろう。
(あんまり変身しない方がいいかもね…食べ物、いっぱいあるってワケでもないし…)
一緒に取り出した水筒の水を飲みながら、リュックはそう思った。

【リュック(魔獣化制御・身体能力上昇・空腹):所持武器:進化の秘法 現在位置:封魔壁前の砂漠 行動方針:仲間と会う 】  
(魔獣時の能力を行使可能(レベル3コンフュ・真空波)・腕輪を失えば再び暴走の危険性有り)

261 :1/4 :02/11/10 23:07 ID:???
雨の音だけが聞こえる。
ベクタの町を数歩出たところ、ぽつんと一本だけ木が立っているその下。
そこに小さいながらも凝った石の墓が立てられる。
見えるのは三つの影。…もっとも、そのうちの一人はこの墓の主を殺したものであるのだけれども。
「フローラ様、…このピエールがいながらあなたを守りきれなかったこと…痛恨の極み…」
その横にビビが黙祷をささげている。
表情は読み取れないが悲しんでいるのは間違いない。…そして、その犯人がいっしょにいたマリベルということを。
もっとも、彼女は陥れられていただけであり、そばにいる女性が真犯人であることは知ることではないが。
…そして、表面上は悲しい様子を装っているがフローラを殺し、マリベルを陥れた張本人。セーラは次の標的、ビビを以下に殺すかを考えていた。
(こいつはどうして殺してやろうかしら…待っててください、騎士様、あなたと私の間にある障壁を私が取り除いて差し上げます。ですから、騎士様。私を早く迎えに来てくださいませ…)
「ピエール様、名残は惜しいでしょうけど…その探している人の為…まずはお生き残りくださいませ。…さあ、まずはあの宿に戻りましょう。」
「そうだね…」
セーラの次なる標的、ビビが呟く。
彼にはフローラより、マリベルのことがショックが大きかったことだろう。
いきなり、フローラを殺すなんて信じられない、信じたくない。
そんなことが頭の中を思い巡る。
…宿屋の前に戻ってきたときにセーラは人影を見つけた。
ああ、あれも障害なのね…
「ピエール様、先に宿に戻ってくださいませ。私、ちょっと…」
そう言ってそそくさと宿屋の前から防具屋のほうへと走っていった。
ピエールたちは訝しげにそれを見送っていった。


262 :2/4 :02/11/10 23:11 ID:???
「…参ったな。はぐれてしまった。」
ファリスは辺りを見回した。すばやさならけして負けては無い。だが…その土地勘がないというのは大きなハンデになる。
とりあえず酒場に向かってみようの事。ロックの先導で向かっていたが、目の前が見えないほどの大雨であるため見失ってしまった。
「どうか、しましたか?」
ぎょっとして後ろを向く。そこにはセーラが立っていた。命を狙えた瞬間であっただろう。ファリスはそう思った。
「あ、ああ。…あの、頭にバンダナ巻いた男を見なかったか?こんな感じに。」
ふっと、何かが切れる。ファリスが大袈裟に説明する。セーラはきょろきょろして辺りを見回す。
「そういえば、あの小屋に誰か入っていったのを見ましたわ。」
「そうか。ありがとう。」
ファリスが走ってその小屋に向かう。この小屋です。とセーラに指差された扉を開けて中に入る…
「ロック!」
と叫んだ瞬間壁が目の前に迫って、いるはずが無い。勢いよく飛び込んだため目の前の壁に顔をぶつけたのである。
右を見る。壁。左を見る。壁。…なるほどここはロックの言っていたリターナーの小屋なのか。確かに狭い。
行き違いになったのかな。そう思い振り向く…
「…さよなら。私の障害になる人。」
素早く横に…かわせない。壁がある。上に!その一瞬の迷いが命取り。 腹部に冷たい衝撃が走る。
「…あ…!?」
自分のアビリティが白魔法でないことを悔やんだ。
「その油断が命取りよ。」
そしてもう一度引き金を引く。
「く、くそっ…」
その声はすでに力ない。
「しぶといわね。さっさと死んでしまいなさい。」
もう一度引き金が引かれる。
「…あ…ロック…アモス…」
「まだ息があるようですわね。」
もう一度引き金を引く。もはやよける力は残っていない。
「…レ、レナ。…バッツ。ご、めん。」
「それが最後の言葉かしら?…これが最後ね。さよなら。」
豪雨の中、銃声が二、三響く。それは雨音でかき消される。
すでにそこには物言わぬファリスが横たわっていたのであった。
小屋から出たセーラの顔には喜色満面。なんともいえない高揚感、達成感がまた込みあがっていたのだった

263 :3/4 :02/11/10 23:12 ID:???
セーラはあえて自分の雰囲気をさらすように心がけた。
このバトルロワイアルにある参加者はどれもこれも緊張という名の結界を張っている。
その結界を張っている相手にそれを破る術が無い者はどのように戦うか。
単純である。結界を相手に解かせる。…この場合は相手に安心させるのである。
どんな短い時間でもいい。少しでも信じたらそれでいい。
エッジのときは取り逃がしたけど、次は狙いは過たない。そう心に決めていた。
相手を殺せなかったら、敵を増やすだけなのだから。

セーラはあの宿屋へと戻っていくのであった。
途中何かと話しかけてくる男性がいた。話の内容から先ほどの女の連れであるとわかった。
今、気づかれてはまずい。とりあえず、適当な方向を指差す。
動揺が顔に現れなければいいけど。

【ファリス 死亡】
【ロック クイックシルバー フィアーの書×7 小型のミスリルシールド 現在位置:ベクタ街中  行動方針:ファリスを探す】
(ファリスのアイテムはリターナーの小屋に放置されています)


264 :4/4 :02/11/10 23:15 ID:???
宿屋。マリベルの残した人形を二人が見つめている。
マリベルが生きていたことにほっとするものの迷っていた。
セーラはもうすぐ帰ってくることだろう。それまでにこの人形をどうしようかと考えていたのだ。
結局一人になることは危険だがビビがマリベルを埋葬しに行ったとすることにした。
まだ、セーラの目的はわからない。少なくとも簡単に信じれる人ではないことはわかった。
…だが、証拠は無い。
もしかしたら本当にマリベルがやったのかもしれない。もしかしたらセーラが手にかけたのかもしれない。
とにかくビビはマリベルに似せた人形を外へ隠しにいくことにした。
どうやらセーラは近くにいなかったようだ。ほっとするも急ぎ適当な場所に隠せるところを探すのであった。
セーラに見つからないことを祈って。

しばらくしたらセーラが戻ってきた。
それを見計らい適当なところに人形を隠してきたビビが戻ってくる。
どうやら中では何事も無かったようだ。ピエールがうまく話してくれたらしい。
とにかく、用心しないと。

【ピエール/ビビ 所持武器:珊瑚の剣/ギサールの笛/爆弾石×10
 現在位置:マランダの宿屋 行動方針:セーラの様子見(疑心暗鬼)】
【セーラ 装備品 癒しの杖 ブレイズガン 現在位置:マランダの街宿屋 行動方針:ピエール一行を殺す】

265 :. :02/11/11 00:34 ID:???
.

266 :1/2 :02/11/11 02:26 ID:???
「ねえ、もうここから出ても大丈夫かな?」
雨宿りにツェンの山の洞窟の奥の方で休んでいたバーバラがレナに訪ねた。
「ええ…でも何か入り口の方が騒がしいわ。きをつけて。」
現在シーフのレナの感は鋭い。
「わかった」
バーバラはそれを信用して足を潜めて洞窟の入り口へとむかった。
洞窟の入り口では魔物と兵士、そしてそれぞれの傍らには少女が二人。
その二組がなにやら交渉中のようだった。
バーバラはどきりとする。レナ(とイリーナ)のいる洞窟の奥へ戻ろうとしたが不幸にも感づかれてしまった。
「何者だっ!」
魔物―ハーゴンの低いおどろおどろしい声と視線がバーバラに向けられた。
「きゃあっ!!」
「バーバラちゃんどうしたの!?」
その声に奥からレナが飛び出す。
「ほう。まだこんなに鼠がいたとは…」
ハーゴンの瞳が冷たく光った。
兵士、ピピンは新たに現われた二人に早く逃げるように叫んだ。


267 :2/2 :02/11/11 02:27 ID:???
しかし。
「…こんなに人数がいたのでは騒がしくて休養を取ることもできまいな。よかろう。やはり先程の話はなかったことにさせてもらうぞ…」
言うが否やハーゴンは眠ったままのマゴットを抱え、洞窟の外へと飛び出した。
「こういう物に頼るのは好きではないのだが…」
一言だけ漏らすとためらいもなくグレネードを洞窟に向かって数発投げ入れた。
洞窟の中の4人が声を上げる間もなくものすごい爆音があたりに響き渡る。
次の瞬間巨大な岩がいくつもガラガラと崩れ、洞窟そのものが潰れてしまった。
ハーゴンは岩の下から4人の肉塊らしきものから首輪を回収する。
武器や防具は跡形もなく消し飛んでいたが首輪だけは残っていた。
「おや?まだ一人いたのか…」
洞窟の奥だった部分からおそらく女である死体が現われた。
そこからもしっかりと首輪を回収する。

爆音のせいだろうか、マゴットが目を覚ました。
「起こしてしまってすまなかったな。山を降りてから休ませてやるからな」
「…」
マゴットは何も言わずに頷く。ただ、目線は崩れた洞窟へと注がれていた。

【ピピン/エーコ/レナ/バーバラ/イリーナ 死亡】
【ハーゴン 武器・グロック17、グレネード複数、ムーンの首、グレーテの首、首輪×8
場所・ツェンの北の山脈 行動方針・ゲームから脱出】
【マゴット(呪文連発によりMP減少気味) 武器・死神の鎌、裁きの杖 
場所・ツェンの北の山脈 行動方針・ゲームから脱出、仲間と合流】

268 :名前が無い@ただの名無しのようだ :02/11/11 07:53 ID:???
>>261-264は無効です。
詳しくは雑談スレまで。

269 :孫悟空 ◆yGAhoNiShI :02/11/11 17:28 ID:???
ドラゴンボールZ
フジ(関東)で毎週月曜16:30〜放送中!!

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と〜けたこおりのな〜かに〜♪恐竜がい〜たら〜たまのりし〜こ〜みたいね〜♪

270 :名前が無い@ただの名無しのようだ :02/11/11 19:05 ID:???
ジタンとフライヤはマランダの町でゾーマの放送を聞いた。
二人ともに、自分の愛する者の名があった。

ガーネットも、フラットレイも、一体どこで、誰に。

余りにも唐突だった。
お互いを慮る余裕などなかった。

ジタンは町から飛び出していった。衝動に駆られて。
フライヤは泣いた。 薄暗い家の中でただ一人。

【ジタン 現在位置:マランダ近辺 所持武器:仕込み杖 行動方針:不明
 フライヤ 現在位置:マランダの町 所持武器:エストック 行動方針:特になし】

271 :1/4 :02/11/11 23:09 ID:???
雨は相変わらずやまない。
短いの休憩だったが、それでも消耗された魔力もある程度は回復した。
眠っている依然クーパーのリディアを一瞥した後、
バッツは自分が一睡もしていないことに気づいた。
猛烈な睡魔が襲ってきたのだ。
バッツは慌てて頭を振り、顔を軽く叩いて目を覚まそうと試みる。

「まずいな・・・こんなところで寝るわけにはいかないっていうのに」

とりあえずは眠気を少し紛らわしたものの、
早く町に行かなくては如何ともし難い。
いくらなんでも、何日も眠らないことなど無理だ。
ましてや、このような神経の張りつめた緊迫した状況では・・・。

この二人も今まで全く眠らなかったのだろう。
本当によく眠っている。

――せめて今だけでも楽しい夢をみてほしい・・・。
  このゲームは、悲しいことがあまりにも多すぎる・・・そして、本番はこれからだ・・・

幸い二人の寝顔は安らかだ。
悪夢をみて魘されているということはない。
もしかしたら、名前を呼ばれた人の夢を見ているのかもしれない。


272 :2/4 :02/11/11 23:10 ID:???
思えば、ここまでに大事な人の名がひとりとして呼ばれていないのは、まったくもって幸いである。


暫くの間バッツは物思いに耽っていたが、雨は益々激しくなり、
簡易テントでこれ以上休むのはもはや限界であると悟った。
気は引けたが、少なくともクーパーは起こさなくてはならない。
行動を開始するには、それが最低限の条件だ。

バッツはクーパーの方を見やった。

「・・・起きてたのか」
「・・・・・・」
「これ以上ここに留まるのは無理だ。雨もやみそうにないしな、町に行くぞ」
「・・・・・・うん」

バッツは久しぶりにクーパーの声を聞いた。
吹っ切れているようにも思えたが、まだどこか割り切れないところもあるようにバッツには思える。

「・・・なあ、クーパー。俺な、本当は町には行きたくないんだよ。」
「え・・・?」
「この雨だ、恐らく大抵の参加者はどこか雨宿りできる場所に行く。町なんて、うってつけだもんな。
 何人もの人が集まるさ。・・・このゲームに乗ってる奴も。」
「・・・・・・」
「自分から危険に身を晒すようなもんだよ。それでも、俺たちは行かなければならないんだよな。」
「・・・・・・」
「覚悟は・・・」
「できてるよ」


273 :3/4 :02/11/11 23:10 ID:???
思わず振り返った。クーパーの顔には一抹の不安だって見えなかった。

「・・・どうも俺が思ってたよりも、相当に強いみたいだな」

クーパーはそんなことない、と断って、一つ深呼吸をし、話した。

「夢を見て、ね。しっかりしなきゃなあ、って思ったんだ。
 バッツの話を聞いて、それを現実で自覚した、ってところかな。」
「夢?夢・・・か。どんな夢なんだ?」
「秘密だよ。」
「ケチ。」

あはは、とクーパーは笑顔を見せると、出発の準備を整えた。

――乗り越えたか。・・・まあ、これが乗り越えられなかったら、生き残ることなんて無理だろうな・・・

バッツは少しばかり安堵し、リディアをおぶると、いまだ会うことない姉妹を思い巡らせた。
彼女たちの行く末が、彼のもっとも大きな心配事であることには変わりない。
無事を祈るしかない自分がなんとも不甲斐ない。

ふと、クーパーの声がした。


274 :4/4 :02/11/11 23:11 ID:???
「リディア、そのままじゃ風邪ひかない?」
「ん・・・ああ・・・雨に直接当たるからな・・・でもマントはもうないし・・・」
「だっこしたら?」
「抱え込んだらちょっとはマシになるだろうけど、めちゃくちゃ歩きづらそう・・・」
「う〜ん・・・できるだけ雨のあたらないところを速く行くのがいいね・・・」
「まあ・・・そうだな。」

相変わらず雨はやむどころか激しさを増すばかりだ。
二人は一気に駆けだしていった。

空はどんよりと曇っており、木々は風に流されていて水が滴っていた。
草原は地平線の彼方まで見えるが、アルブルクまではそう遠くはない。



【バッツ:魔法剣士 時魔法(魔法力消耗)/王子クーパー/リディア(幼児化)
 所持武器:ブレイブブレイド/天空の盾、ロングソード/なし
 現在位置:封魔壁前の砂漠北側とアルブルクの町の中間地点から駆けだしている
 行動方針:非好戦的だが、自衛はする。レナとファリスを探す。最終的にはゲームを抜ける。
       暫定行動方針としてパパス、アリーナ(アニー)との合流/両親探し・眠り/眠り】


275 :名前が無い@ただの名無しのようだ :02/11/11 23:13 ID:???
>>274ちょっと修正。最後のバッツの状態。

×時魔法(魔法力消耗)→○時魔法(魔法力少し消耗)

276 :スラリソ ◆5VrxCs/8kA :02/11/12 03:59 ID:???
>>266-267
は無効。詳しくは雑談スレまで。
http://game2.2ch.net/test/read.cgi/ff/1035812242/

277 :1/4 :02/11/12 15:56 ID:???
アルブルグ。帝国都市の一つ。
ただひたすら家と石畳が続くこの町は、イオウと鉄の匂いに満ちて…いた。ついこの前までは。
今はもはや、その匂いを生み出すモノは存在し得ず、雨がソレを全て押し流す。
そして今その匂いに取って代わるモノは、濡れた石と血の香りだった。

「ピサロ様、逃げましょう…!」
アルブルグのメインストリートに、声が響いた。
ざあざあと降りしきる雨にまけない声量でサマンサが叫んだ。
魔道のマントもとんがり帽子も、雨のせいでぐしょぐしょにへたっている。
だが、その隣に立っている暗黒の貴公子は素知らぬ顔で正面の“敵”をにらみ据えている。
その身体は全く濡れていない。水滴の一粒も彼に触れてはいない。まるで彼に触れるのを恐れるかのように。
貴公子の名はデスピサロ。進化の秘法を求めし闇の帝王。
「ピサロ様…!」
サマンサは重ねて叫ぶ。目の前で立っている“敵”…コイツは…怖い。とんでもなく、とてつもなく!
「黙れサマンサ。コレを掃除せねば安心して秘法を探せん。」
ピサロはサマンサの言葉を一蹴し、“敵”を睨みながら笑って見せた。どこからどう見てもあざけりにしか見えぬ笑みを。
その挑発に乗ったわけでもないだろうが、“敵”は行動を開始した。
う゛ぉんっ!
唸る。風が唸る、雨が唸る、“敵”の手にした巨大な日本刀が唸る!
十数歩の間合いが…“敵”とサマンサ達との間合いが…一瞬で詰まった。
“敵”のスイングで、日本刀がどんっと言う空気を切り裂く咆哮を上げる。
ソレは、巨大な獣の牙と化してピサロに食らいつく!
「イオナズン!」
日本刀に食らいつかれるが早いか、ピサロは微動だにせずに呪文を解き放った。
日本刀はピサロの服に小さな裂け目を作っただけで、名残惜しそうに爆圧で吹っ飛ばされる。ソレを手にした“敵”の身体ごと。
“敵”の身体が宙を舞い、何度も石畳と左右の家屋にぶつかりながら人形みたいに飛んでいく。
その家と石畳も、爆発の余波で一気に崩れ去る。アルブルグのメインストリートは一瞬で地獄と化した。

278 :2/4 :02/11/12 15:57 ID:???
「やった…。」
目の前に生まれた瓦礫の山を見て、サマンサが呆然とした声を上げた。
一瞬の出来事で、何が何だかさっぱり分からなかったが…結果だけで見るとどうやら、“敵”を倒す事が出来たようだ…。
「下がれ。最低でも三歩だ。」
突如、ピサロが呟いた。サマンサに向けて。
「…?」
訳も分からず、サマンサはピサロの言葉に従った。正確に三歩、後ずさる。一歩、二歩…三歩。
三歩下がった次の瞬間、目の前にすっ…と日本刀が現れる。ずどおんっ!っという轟音と石畳の砕ける音を、それからしばらくして知覚した。
ついさっきまでサマンサが立っていた場所に、日本刀…正宗と言う銘の刀が投げつけられたのだ。“敵”の持っていた刀が。
「ッ〜!」
驚きに声も出せず、サマンサがへたり込んだ。下がらなければ、死んでいた…。
「そこで座っていろ。邪魔だ。」
ピサロはこともなげに呟くと、瓦礫の山の一点に向けて跳躍した。右手に正義の算盤を握りしめて。
ピサロが跳躍していった辺りで瓦礫が弾けた。四方八方にレンガを飛び散らせて、“敵”が立ち上がる。
銀色の髪、死神のような真っ黒な服。立ち上がった“敵”…セフィロス。
先ほどの大爆発にもかかわらず、セフィロスは全く傷ついていなかった。
否、数カ所ほど打撲痕と焼けただれた皮膚が見える。が、それだけだ。家を根こそぎなぎ倒すような破壊力を受けたハズなのに。
セフィロスは飛びかかってくるピサロを確認すると、右手を無造作に持ち上げた。
まるでその手に吸い込まれるかのように、ピサロの正義の算盤は受け止められる。
その手をぐいっと引っ張ると、ピサロの身体は為すすべもなく宙を泳ぐ。
そのピサロの腹に、セフィロスの弾丸のような拳が思いっきり突き立てられた!

普通に人を殴っても絶対に出ないと思われる、ばごんっ!と言う炸裂音。その音に、サマンサの意識が覚醒する。
少し離れた瓦礫の海で、ピサロがセフィロスに滅多打ちにされている…!
(助けなければ…進化の秘法の事を知るまでは、死なせるわけには!)
そのために、アルスまで裏切ったのだ…こんなところで死んでもらっては困る!
「ベギラゴン!」
雨のせいで重くなった袖を強引に持ち上げて、呪を紡ぐ。アルブルグをまばゆく照らし出す烈光が、サマンサの手から迸った!

279 :3/4 :02/11/12 16:00 ID:???
アルブルグの外れの所にある小さな家。
こんな状況にも関わらず、その家にはランプの明かりが灯り、そして暖炉の火がほの暖かい空間を作りだしていた。
「珈琲…飲みますか?」
グランバニア王国近衛兵隊の制服を身に纏った青年…ピピンが、そう言ってテーブルに盆を置いた。
「ワタシ飲む〜♪」
部屋の窓にかじり付いていたエーコが、にこにこ笑ってテーブルの方に歩いてくる。
ひょいっと手を伸ばして珈琲のカップを手に取ろうとした所で…ピピンに優しく静止された。
「エーコちゃんにはホットミルクを作ってあるから…。」
「え〜…ワタシそーゆー子供っぽいのはな〜…。」
「子供ッぽいって…エーコちゃんは…。」
「すとーっぷ!それ以上言ったらワタシ怒るよ〜?」
そんな、漫才みたいなやりとりをみて、テーブルに備え付けられた椅子に座っていた黒髪の女性…リノアはクスリと笑った。
「ありがとう…いただきます。」
リノアはカップを手に取ると、その中の琥珀色の液体を少し喉に流し込んだ。
ほろ苦くて、どこか甘い…。そんな味が口の中に広がって、体が少し温まる。
「…おいしい。」
「ありがとうございます。ボク、これだけが取り柄でして…。」
ピピンがそう言って頭をかいた。どうやら照れているらしい。
リノアはクスクス笑いながら、カップをテーブルの上に戻した。
その時、どぉん、と小さな音がして、窓ガラスがビリビリ震えた。どこか遠くで…爆発があったらしい。
「また…誰かが」
リノアは、顔をしかめて何かを言おうとした。
しかしその言葉は、灼熱の閃光と共に部屋に飛び込んできた男のせいで中断された。

……雨のせいでぐしょぬれになった髪の隙間から、光が飛び込んでくる。その後から、爆音。
「……?」
ソレを知覚して、スコールは顔を上げた。目にかかる髪を払いのけようともせず、今光が瞬いた方を見た。
……何も感じない、何も思わないスコールは、虚ろのみを連れてそちらの方に歩き出した。

280 :4/4 :02/11/12 16:02 ID:???
【デスピサロ(中程度のダメージ)/サマンサ: 所持アイテム:正義のそろばん、『光の玉』について書かれた本
 勲章(重装備可能) 現在位置:アルブルグ 行動方針:腕輪を探す。セフィロスと戦う】
【セフィロス(かなりのダメージ):所持武器:正宗(現在手放しています) 現在位置:アルブルグ 行動方針:全員殺す】
【ピピン/エーコ 所持武器:大鋏 現在位置:アルブルクの街外れの家 行動方針;仲間を捜す】
【リノア 所持武器:妖精のロッド・月の扇/アルテマ×1 現在位置:アルブルグの街外れの家 行動方針:スコールを探す?】
【スコール(負傷) 所持武器:なし 現在位置:アルブルクの町 行動方針:人形状態?リノア達の方に移動】

281 :名前が無い@ただの名無しのようだ :02/11/12 20:17 ID:???
「…なんにもないね、この家。」
「うむ。最初から無かったか、誰かが持ち去ったんでござろう。」
「でもなんだろ、この黒炭。宝箱ん中こればっか入ってるんだもんなぁ。」
「むう。部屋の所々にもそれがあったでござるしな。」
もちろんその黒炭はもともとなにかのアイテムだった。―――見た目は。
一度触れると黒炭に戻ってしまうものだ。
「こんなんじゃあどこの部屋も同じだろうね。」
「…こうなったら先客と接触してみるしかないでござるな。」
「…やっぱりそいつ部屋から動いてないんでしょ?」
「うむ。なにかあったのかもしれないでござるし。」
「場所は?」
「二階の西よりの部屋でござる。」

エントランスの階段を上り、中央の廊下の西端。樫の木で作られ、流麗な彫刻を
施してある他より少し大きめの扉。おそらく寝室であろうそこに昼間からずっと
だれかがいるはずだった。ここまでわざと足音を立てて歩いてきたのだが、
反応らしい気配は感じられなかった。
「おかしいでござるな。やはりなにかあったんでござろう。」
「…なんだろ。なにかへんなかんじがする。」
「…カギがかかっているみたいでござるな。準備はいいでござるか?」
「うん。気をつけて。いやなカンジがする。」



282 :名前が無い@ただの名無しのようだ :02/11/12 20:17 ID:???
『バキ!!』

渾身の力でドアを蹴破り、そのまま廊下の左右へ大きく跳んだ。不意打ちを警戒
したためだ。しかし反応は無い。―――そう。なにも無かったのだ。
おそるおそる中を覗く。そこには赤い鎧をきた女性が倒れていた。
「死んで……るみたい……」
ルーキーは彼女に近よっていろいろ調べている。外傷は特に見当たらないが…。
(なにか不自然でござる。この眼帯は死体にも反応するんでござろうか。
 それにこの微妙な腐乱臭。数時間放置されたくらいで……!!!!)
「ルーキー殿!!」
「えっ?」
状況を理解できずライアンの方を向くルーキー。
ナイフを握った女性の腕がゆっくりとあがり……振り下ろされた。

避けられるはずも無いこの攻撃を、ルーキーは器用にも体の真ん中に穴をあけて
これを避ける。スライムだからできる芸当であろう。
「そんなっ!心臓はたしかに止まってたはず!!」
距離をとりながらルーキーは驚愕の叫びをあげた。
女性は無造作に突き刺さったナイフを抜き、ゆっくりとした動作で立ちあがった。
反対の手には一振りの剣と……彼女の装備には不釣合いのくすんだ紫色の指輪がしてあった。
「…くさった死体……でござるか?」
「…見た目はずいぶん綺麗だけどね。」
軽口をたたける余裕はまだ残っていた。唐突に雷光が部屋を照らす。
握った刃物がきらめき……しかしその目は生気を宿してはいなかった。
確かに死んではいなかった。しかし、生きてもいない
「…来るでござる……!」
彼女はゆっくりと体を傾け……俊敏な動きで二人に襲いかかった。



283 :名前が無い@ただの名無しのようだ :02/11/12 20:20 ID:???
不死者にはふさわしくないスピードで繰り出された攻撃をライアンは両手に持ったフライパンを
巧みに操って受け流す。アイラは動きを殺さぬまま反対の手にもったナイフを突いた。
ライアンは一歩下がり、紙一重でこれをかわす。そのまま間合をつめ、フライパンを
側頭部をめがけて振り下ろす。しかしアイラは不安定な体勢なのに大きく地面を蹴り
身をかわした。まったく無駄のない攻防がそこで繰り広げられていた。
そのあいだルーキーは何もしていなかったわけではない。できなかったのだ。
ルーキーのレベルは決して低くないのだが、それでもこの暗闇の中ではやっと二人の
動きを目で追える程度だった。援護などできるはずも無い。
打ち合う事数合、ライアンは大きく出口の側へ跳んだ。
「ルーキー殿!ココでは不利でござる。逃げるでござるよ!!」
「わかった!」
二人は踵を返し、エントランスに向かって廊下を走った。
「エントランスで戦うの?」
「うむ。ヤツは暗闇を苦にしてないようでござった。あそこなら照明があるはずでござる。」
「…でもどうしてあんななってるんだろう。」
「おそらく、呪いのアイテムでござろう。」
「見当はついてる?」
「たぶん、あの指輪でござろう。アレを破壊できれば・・・」
「じゃあ、ぼくがブーメランでやる。その眼帯があればできると思うし。」
「うむ。拙者が一階におびき寄せるでござる。ルーキー殿は二階から狙って欲しいでござる。」
「わかった。なんとか体勢を崩してね。」
―――そして、視界が開けた。

【ライアン/ルーキー    現在位置:ツェンの屋敷  
 所持武器 フライパン×2 スナイパーアイ/ブーメラン 行動方針 指輪の破壊】
【アイラ(ゾンビ) 所持武器:死者の指輪 マンイーター さざなみの剣 現在位置:ツェンの屋敷 行動方針:戦う】

284 :名前が無い@ただの名無しのようだ :02/11/12 20:25 ID:???
ちょっと修正
所持武器 フライパン×2 / スナイパーアイ ブーメラン 


285 :1/2 :02/11/12 22:46 ID:???
此処はツェンの北の山脈の中腹、そこにある小さな洞穴に我々は非難していた、現在は雨が降り始めてか
ら3刻程過ぎた辺りだろうか、そろそろマゴットも起こしても良い頃…
「動かな…」
ドウッッッ!
「くっ」
ドウッッッ!
「あうっ」
振り向き様に女の構えた銃を弾き飛ばし、左足にも一発叩き込む、うん?反応は女の方が速くなかった
か?普通倒れているのはわしの筈なんだがな?
「……戯言を抜かす暇があったら引き金を引け、これはそういうゲームの筈だ…。」
「ま、待って下さい私はただ……」
「ただ?」
「ただ、武器が欲しかっただけで……」
「言い訳にならんな。」
少し混乱しているのか?それは兎も角。
……不味い……目の前の女はあと一回引き金を引くだけで片がつく。
他の気配が此方に近付いてくるー恐らく交戦音を聞いたのだろうーまぁ、これも良しとしておこう。
だがほんの一瞬、気配が二つに増えたのはかなりの問題だ、この状況でわしに察知される事も無く接近
する事が可能な隠身の技の持ち主……ならば。

286 :2/2 :02/11/12 22:47 ID:???
「武器が欲しいのだな。」
「え……?」
「なら呉れてやろう、ほれ。」
わしはピンを抜いてないグレネードを一つ女の後ろの斜面に放ってやった。
女は必死で手を伸ばすがほんの僅かの差で届かない、そしてグレネードは形にもよるが結構転がりやす
い格好をしている、だから斜面に投げたりすると……
地形にもよるがそれなりに転がって行き…
「キャァァァァ!」
夜中に雨でぬかるんだ斜面を負傷した足で走ろうとしたりすると滑り落ちる事になる。
気配の方は……やはり女の方に移動する様だな。
「起きろマゴット、移動するぞ。」
「……(目をゴシゴシ)」
念のためにつる草とグレネードを使った簡単なトラップを仕掛けると我々は陽のある間に調べておいた
雨露の凌げそうな場所に撤退した。

【ハーゴン 武器:グロック17、グレネード複数、ムーンの首、グレーテの首、首輪×3
現在位置:ツェン北の山脈中腹 行動方針:ゲームから脱出】
【マゴット 武器:死神の鎌、裁きの杖 
現在位置:ツェン北の山脈中腹 行動方針:ゲームから脱出、仲間と合流】
※現場から逃走しました、直前までいた場所にトラップ有り。

【イリーナ(左足被弾) 所持武器:グレネード×1 
現在位置:ツェン北の山脈中腹 行動方針:不明】
※現在斜面を滑り落ちてます、銀球鉄砲は放置されました。

【バーバラ/レナ:シーフ 所持武器:果物ナイフ/メイジマッシャー 
現在位置:ツェン北の山脈中腹 行動方針:仲間の捜索/ファリスの捜索】
※斜面を滑り落ちてるイリーナを追っている模様。


287 :1/2 :02/11/13 01:04 ID:???
「エビルマージよ・・・頼む、助けてくれ」
豪雨の中、セフィロスとデスピサロが戦いを繰り広げていたころ、アークマージは
上半身のみで這いずるようにようやく研究室に辿り着いた
だが、エビルマージはそれを見ても別に態度を変えることなく、黙々と水晶球をかざして
世紀の一戦に見入ったままだ。

「我が甥よ、何をしとる・・・はようわしの身体を修復せんか!?」
アークマージが大声を張り上げてようやくエビルマージは
床に這いつくばる自分の叔父を頭巾越しに眺める。
「ああ・・・これは叔父上失礼を、まさか生きてお戻りになられるとは思いませんでしたから」
その言葉を聞いて、ようやくアークマージも状況を悟ったようだ。
「え・・・エビルマージィィィィ、貴様謀ったな!!」

「ようやくお気付きになられましたか、叔父上も鈍くなったものですね
あの娘は私が作ったこいつの細胞を殖えつけているのですよ」
と言って背後の培養槽にちらりと目をやる。
「上手く共倒れになってくれればと、最初は思ったのですが、考えて見れば
勝負になるはずがありませんでしたね・・・・これが叔父上と私の差ですよ」

その言葉を聞いて、アークマージは激昂する、
このような歴然とした形で自分との差を見せつけられてなお、彼の傲慢な自尊心は
事実を認めようとはしなかったのだ。
「にゃにお〜〜っ師より優れた弟子なぞおらぬわ!!死ねぃ!!イオナ・・・・」
「ストップ」
しかし、おそらくアークマージが自信を持って繰り出そうとした渾身の呪文は
エビルマージの一言で中断され、さらにその身体はまるで文字通り時間を止められたように
微動だにしなくなった。

288 :2/2 :02/11/13 01:05 ID:???
彫像のように動かなくなってしまった、かつての師へとエビルマージは講釈を始める
「今、私は異世界の呪文について研究してもいるのですが、これがなかなか興味深くてですね
我々の世界の物と違い、かなり複雑な体系・系列があるようですが」
そこでエビルマージは言葉を切り、彫像のようになったアークマージをちらりと見る
「その分、面白い呪文もありましてね、デジョン!!」

呪文の発動と同時にアークマージの背後に突如としてブラックホールが出現し、
少しずつではあるがその身体を飲みこんでいく
「ふむ・・・使いこなせばこんなものではないのだろうが、今の状況での使用には多少無理があるか」
神妙そうに頷くエビルマージの視線の先で、その身体が半ばまで暗黒の中に飲みこまれてから
ようやくアークマージが口を開く

「わしは・・・・どうなるのだ?」
もはや命乞いの言葉すら出てこない、我ながら間の抜けたことを、と思ったが
それでも聞かずにはいられなかった。
「さぁ?まぁ確実に言える事はこれから叔父上はあの世に行くという事です
天国か地獄かは存じませんが・・・念のため書いといてあげますよ」

エビルマージはアークマージの頭巾に”地獄に行く”と書きこむとそのままアークマージの身体を
ブラックホールへと蹴り落とした。
その時アークマージの頭巾がめくれ、もはやミイラ同然の顔面が姿を現す
その余りの醜さに思わずエビルマージは顔を背けてしまった。

だからエビルマージは気がつかなかった、暗黒の片隅にわずかながらも大地のような物が
見えていた事に・・・・・

(アークマージ:死亡?)


289 :名前が無い@ただの名無しのようだ :02/11/13 07:15 ID:???
───この道を曲がれば───火のクリスタルの戦士が…!
エリアの目の前に人影が見える。あの人?…いや、違う!
エリアは危険を察知した。相手の武器が空を切る。
足元がぬるりとすべる。雨が滑りそうになるも何とか踏みとどまる。
ミスリルナイフを構える。だけど、自分に戦う力はない。
少しだけ、相手の顔が見えた。…あの人は…
そう、彼女も見ていた。妻を目の前で殺された復讐の鬼、いまや狂戦士と堕ちたヘンリーである。
ヘンリーはベクタについたばかりであった。そして最初に目に入った獲物、それがエリアであった。
ヘンリーが一歩踏み込み。ミスリルアクスを振り下ろす。
エリアが一歩下がってかわす。
また迫る。
また一歩後ろに下がる…
背中にどん、と壁が当たる。
もう、逃げ道はない。そう思ったとき。

エリアの頭上で金属音が響く。
何とか追いついたアモスが二人の間に割って入ったのだ。
武器と武器とがぶつかり合う。
アモスがヘンリーの腹を思いっきり蹴り飛ばす。
「イオ!」
間合いを空けられたヘンリーはすかさず呪文を唱える。
決まった。そう思ったが。
「イオラ!」
さらに強力な爆風がイオの爆風を飲み込む。
「バギマ!」
すかさず、次の呪文がヘンリーが襲う。
真空渦を前転して避けつつ…
「マヌーサ!」
幻惑の呪文がアモスを包む。
(かかった!)


290 :上は1/3これは2/3 :02/11/13 07:16 ID:???
ヘンリーが間合いを詰める。…が、その瞬間。
ヘンリーの武器は空を切る。…自分がマヌーサにかかっているのだと。
アモスはマホターンを唱えていたのであった。
その隙をアモスは逃さず、つかみかかり投げ飛ばす。
派手な音が聞こえる。
どこかの家に突っ込んだようだ。
…気絶したか?とにかく相手に動きは無い。
アモスはふうと、ため息をついた。
「…あの、その、先走って…ごめんなさい。」
背中を壁に預け、エリアが座り込んでいる。
どうやら腰が抜けてしまったらしい。
「これで、貸し借りなしだ。…このままここにいるとまたあいつが襲い掛かってくるだろう。ここを離れるぞ。」
「…あの、話を聞いてくれませんか?」
「なんだ?」

「…この近くに強い力を持った「勇者」がいるのか。」
ベクタ防具屋。このままじゃ風邪をひくというので腰を抜かしたエリアを抱きかかえてちょうど近くにあったここに来たのである。
いいものがないかと探してみるがどれもこれも触っただけで灰になる。
灰にならないと思うとさび付いてたりしてロクに使えないものだった。
防具とは関係ない、毛布を袋に詰め込んでいる。
「はい。まだ近くにいます。…その人と合流できれば…何とかなると思います。」
「もう大丈夫か?」
「あ、まだ、ちょっと…」
カウンターの中の椅子に座らされたエリアが言う。まだ、腰が抜けたままのようだ。
その答えが返ってくると同時にまたアモスが防具屋の中を色々捜索する。
どれもこれも灰になるものばかりであったが。
エリアがその間にも意識を集中する。
火のクリスタルの戦士…
意識を集中したその瞬間、防具屋の扉が開く。


291 :3/3です :02/11/13 07:17 ID:???
「あ、あなたはっ!」
意識は前に飛び出すも、自分が腰を抜かしていたことをすっかり忘れていたエリアは椅子から派手に転げ落ちた。
その物音にぎょっとしたアモスが顔を上げる。
「あ、アモッさん!」
「アモス!無事だったか!」
抱き起こされたエリアは一瞬どういうことか理解できなかった。
「…ああ。なんとかな。」
ああ、そっか。この火のクリスタルの戦士ともう一人とアモスさんは知り合いなんだ。
エリアはほっとした。

【アモス/エリア/ファリス ジョブ:忍者 アビリティ:!とんずら/ロック 
 所持武器:妖剣かまいたち・水・1,5リットル・小型のミスリルシールド/ミスリルナイフ・加速装置/食料2ヶ月20日強分&毒薬 水1,5リットル×2 吹雪の剣 小型のミスリルシールド/クイックシルバー フィアーの書×7 小型のミスリルシールド
 現在位置:ベクタ防具屋
 行動方針:合流を果たしたため現在は不明 適当に雑談でもしているか使えそうなものの捜索をしているか】 
【ヘンリー(気絶?) 所持武器:ミスリルアクス イオの書×3 火炎瓶×3 現在位置:ベクタ宿屋 行動方針:皆殺し】


292 :1/2 :02/11/13 17:54 ID:???
もうどれくらい雨に打たれているのだろう・・・?
洞窟の中で黒髪の剣士を見失って以来、セシルはひたすら標的を求め豪雨の中をさまよっていた
地図を見るともう島の西端に近い、いつのまにか島を横断してたらしい
「夜明けまでにはまだ時間があるな・・・・・」
音を立てないようにそっと林の中を進んでいくと岩山が姿を現す

目を凝らすとそこに男が銃を構えて立っているのが見える
屈強な体格の男だったが、銃を構える姿は正直あまり様になっていなかった
扱いに慣れていないのだろう。

男の背後の洞窟に灯りが見える、どうやら他に何人かいるようだ
セシルの手には道すがら作った弓がある・・・・セシルの腕前なら充分に命中させられる距離だ
しかし、仕留めたのはいいが騒がれてしまっては元も子もない
もう少し手前におびき寄せなければ・・・・・
セシルはがさがさと手もとの草をわざと揺らして音を立てる
何度かそれを繰り返すと、男は恐る恐るながらも林の中へ向かって来る。

がさがさがさ、何か音がする
ホフマンは銃をかまえなおすと、そろそろと音の方向へと足を進める
メルビンたちを起こそうか、と思ったがやめた
皆疲れている・・・・それにこのメンバーの中で1番働いていないのが自分だという
妙な引け目もあった。
「ちょっと様子を見るだけ、大丈夫」
自分に言い聞かせるように呟くとホフマンはそのまま林の中に入っていった。


293 :1/2 :02/11/13 17:55 ID:???
「おかしいな・・・・」
音の場所は確かこのへんのはず・・そう思いあたりを見まわすホフマンだったが
その時足元に妙な抵抗を感じる
「・・・・?」
ホフマンが足元の糸に気がついた瞬間、その首筋は暗闇から放たれた弓矢によって射抜かれていた
「・・・・っ!・・・っ!」
ホフマンは必死で叫ぼうとするが、首をやられているために声が出ない
視界が血潮で真っ赤に染まる。

それでも、もがきながら仲間の元に戻ろうとするホフマンだったが
その時、暗闇から躍り出たセシルがもがくホフマンの心臓に深々とブラッドソードを突き立てた。
(やっぱり・・・・皆起こしておけばよかった・・・)
だが、後悔してももう遅い。
金魚のようにぱくぱくと口を動かしながら、ホフマンは息絶えた。

セシルはホフマンの死を確認すると、その手に握られていた銃を奪い取る
これから先、多対一の戦いが多くなるだろう
正直、剣だけでは心もとない だがこれで何とか戦える
ホフマンの死体を林の奥に隠すと、セシルは改めて地図を見る
「マランダの街か・・・・・」

ここからなら夜明けまでに充分たどりつける、それに近辺にめぼしい拠点も見当たらない以上
扉もおそらくここに出現するだろう、向かって損は無い
ここで戦うよりも先を急ぐべきだ、そう判断したセシルは洞窟の中にいるであろう参加者を
捨て置き、南へと走り去った。

【セシル 所持武器:暗黒騎士の鎧 ブラッドソード 源氏の兜 リフレクトリング 
 ギガスマッシャー  現在位置:マランダの街へ 行動方針:皆殺し
 (ハーゴンorエドガーを最優先ただし遭遇すれば他のキャラでも殺す)】

【ホフマン:死亡】

294 :名前が無い@ただの名無しのようだ :02/11/13 17:56 ID:???
>>293
1/2ではなく2/2です
申し訳無い

295 :名前が無い@ただの名無しのようだ :02/11/14 00:01 ID:???
>>293
それから持ち物の中に
弓矢(手製)も加えておいてください
なぜか今まで書きこめなかったので、遅くなってしまいました

296 :名前が無い@ただの名無しのようだ :02/11/14 12:34 ID:???
この豪雨の中、砂漠を横断するひとつの影。
アグリアス・オークス。
その足に迷いはない。
彼女は迷うことなく帝都ベクタに向かっていた。
砂の山から帝都ベクタを見やる。
「…まだ遠いか。」
地図から見てもベクタにいくには山道を超えていかねばなるまい。
ふと自分の左前方を見る。
突如左側に閃光が見えた。
地図を思い出す。
「帝都には人が集まると思ったが、意外にもあのアルブルグとやらにも人が集まっているかもな。」
この豪雨の中あれほどの閃光を出すことができる。そんな魔法を彼女は知らない。
少なからず一筋縄ではいかない。それだけはわかった。
しばらく思案する。
そして、再び歩き出す。
アルブルグかベクタ。どちらかに行くかは彼女のみぞ知る。

【アグリアス ジョブ:ホーリーナイト スキル:時魔法 装備武器:スリングショット ダイヤソード なべのふた 現在位置:東部砂漠→アルブルグかベクタ 行動方針:ゲームにのる】




297 :1/3 :02/11/14 16:12 ID:???
「ピピンっ!ピピンっ!」
必死なエーコの声が、リノアの耳に届いてくる。
(え…ピピンって、あの兵士の服を着た人で…ソレで今、何か飛び込んで…)
「っ…!」
遊離していた意識が、思考の過程で現世に戻ってくる。
自分が…そしてピピンとエーコも危機にある事を思い出し、がばっと起きあがる。
その拍子に美しい黒髪がひとふさ、瓦礫の隙間に奪われてしまった事にもかまわずに。
「ピピンっ!」
リノアは絶叫し、エーコの声が聞こえてきた方に駆け寄る。
瓦礫に何度も足を取られて、それでも全く止まらずに。

さほど離れてはいない所に、エーコとピピンはいた。
エーコは瓦礫の山の真ん中で座って泣いていた。破壊の瞬間を受け入れられずに。
その足下にピピンはいた。
その気弱そうな顔を苦痛に歪めて、右の脚を瓦礫の山に埋めて。
「なんて事…。」
リノアは驚きながら、さっと後ろに振り返った。今突っ込んできたのは、一体…?
答えはすぐ知れた。だいぶ離れた道の真ん中で、3人の人間が戦っている…!
さっき突っ込んできたとおぼしき銀髪の男が刀を振えば、黒衣の男が爆発波を撃ち出す。黒衣の男の仲間らしいとんがり帽子の女が閃光を撃ち放つ。
その激しい戦闘に背を向けて、リノアはピピンの救出を始めた。瓦礫にロッドを突っ込んで、てこの原理で持ち上げる。あっさりと、ピピンの脚が自由になった。
「っく…すいません…。」
恐らくは骨折しているであろう脚を押さえて、申し訳なさそうにピピンが立ち上がった。くずおれそうになったその身体を、エーコが必死に支える。
「そんな事はイイから、早く逃げよう!」
リノアは叫び、戦いが起こっている道とは反対方向に走っていく。
無論、ピピン達もそれに習った。

298 :2/3 :02/11/14 16:13 ID:???
「はっはっはっはっ…!」
走る。走る走る走る!ピピンとエーコの手を引っ張って、走る走る走る!
ざあざあと降りしきる雨の中、リノアは走った。スコールに会うまでは…死ぬわけにはいかないから。
「だい…じょう…ぶ?」
ぜぇぜぇと息をあえがせながら、リノアが後ろの二人に問いかける。
エーコはまだ小さいし、ピピンは脚に怪我をしている。そろそろ休憩しないと…。
そう思いながらリノアは後ろを振り向く。豪雨の中、自分の右手を掴んだピピンが苦痛にあえぎながら走っているのがかろうじて見える。
そしてエーコは…と首を回した所で、リノアの歩みは唐突に止まった。
自分の意志で止まったのではない。いきなり何かにぶつかって、そのまま地面に倒れてしまったのだ。
「いったた……。」
濡れた地面に思いっきりオシリを打ち付けてしまったリノアは、痛むお尻をさすりながら立ち上がる。
(今、何にぶつかったんだろ…木かな……でもこんな所に木なんて生えてたっけ?)
雨に打たれ続けたせいでぐらぐらする頭を押さえて、リノアは正面を見据えた。
分厚い雨のカーテンの向こう側に、何かが…いや、“誰かが”立っている!
「あ…。」
エーコが恐怖に怯えて一歩下がる。ピピンが激痛を訴える脚を引きずって何とか立ち上がる。
だが、リノアは動かない。目の前に立っているのはひょっとして…?
あの真っ黒な髪は?あの額の傷は?目の前に立っているのは、ひょっとして…!
「スコール…?」
もはや、雨のカーテンが視界を覆い尽くす事はなかった。雨の中でも、ハッキリ見える。目の前に立った愛しい人が。
「スコール!」
信じられないと言った風に、リノアが声を上げた。スコールがいる。これからはスコールが一緒…。
スコールが、こちらに歩み寄ってくる。ゆっくりと。
「スコール!」
リノアは駆けだした。スコールに向かって。
どむっ!
リノアがスコールに抱きついた瞬間、何か嫌な音がした。
…リノアの腹にスコールの拳が突き刺さってから、リノアが気絶するまでには1秒もかからなかった。

299 :3/3 :02/11/14 16:15 ID:???
凄まじい速度で振われた拳が、雨粒を弾き飛ばして空を切る。
リノアが倒れると同時にピピンに回し蹴りが入り、ピピンが倒れ伏す前にはエーコの首筋に手刀がたたき込まれていた。
最後にエーコが倒れた所で、スコールは動きを止めた。
降りしきる雨のなか、倒れたリノアの姿が目に飛び込んでくる。
(…………リノア?)
浅い思考の中で、その名前が浮かぶ。ただ、その名前が持つ意味…彼にとっての彼女の存在は、まるで脳裏にも浮かばなかったが。
スコールは倒れたピピン達にとどめを刺すためにそこらの地面から手頃な大きさの石を持ち上げた、とその時。
「……すこーる…?」
後ろから声がした。振り返れば、殴り倒したはずのリノアが立ち上がっている。
「…殺すの?殺して、生き残るの?」
リノアの唐突な問い。しかし、人形のように虚ろな状態のスコールはソレに反応する事は無かった。
…リノアの問いに、スコールは反応しなかった。ただ、なにかの拍子に…首が縦に動いた。
「…そう。」
リノアは頷くと、石を握りしめたスコールの手に、自分の手をそっと重ねた。
「でも、この人達は止めて…今は。」
リノアはスコールの手首を握りしめ、明後日の方向へと歩き出した。

スコールがおかしい事くらい、リノアにだって分かっている。
だけど、スコールも頼れなくなったら自分はどうすればいい?
誰も頼れないなんて嫌だ。怖い、凄く怖い。
(……だから、何だってする。スコールと、一緒にいられるなら。人殺し…だって。)

【スコール(負傷) 所持武器:なし 現在位置:アルブルグの街外れ 行動方針:人形状態?】
【リノア 所持武器:妖精のロッド・月の扇/アルテマ×1 現在位置:アルブルグの街外れ 行動方針:スコールと行動する】
【ピピン(右足負傷)/エーコ 所持武器:大鋏 現在位置:アルブルクの街外れの家 行動方針;仲間を捜す・気絶中】

300 :1/2 :02/11/14 19:18 ID:???
「このまま進めば街があるはずッスよね」
「うん・・・・」
もう何回、同じ会話を繰り返しただろうか?
ティーダとエアリス、2人ともかなり疲労している上に、相変わらず気分は晴れない
一刻も早く街に辿り着きたかったが、足取りは重くなる一方だった。
もっとも・・・どこにいても安全な場所なぞ存在しないということは2人とも痛感していたが

やがて2人の眼前に行く手を阻むように森が立ちはだかる
そう広い森ではないことは頭では理解していても
木々の隙間から覗く暗闇は2人を躊躇させるには充分だった。
だからといって迂回する気力も体力ももはや残ってはいなかった
2人は力なくへたり込んだまま立ちあがる気配すらなかった。
そこに・・・・

クポッポー

その鳴き声に2人は顔を見合わせる
「あれって・・・・確か」
鳴き声に続いて森の奥から一匹のチョコボが姿を現した
チョコボは座りこんだままの2人の前まで歩み寄ると、そこで腰を下ろし
その背を彼らの方へと差し出した。

「乗れって言っているのかな?」
「さぁ・・・・でもちょうどいいじゃない」
確かに少し都合が良過ぎるような気分もしたが、それでも渡りに舟とはこの事だ
それにこれ以上物事を勘繰って考えると何も出来なくなりそうだ
「じゃあ、お願いするッスよ」
ティーダが手綱を握り、エアリスがそれに続く
2人が乗ったのを確認すると、もう1度高くいなないて
チョコボは森の奥へと走っていった。


301 :2/2 :02/11/14 19:18 ID:???
【エアリス(軽傷)/ティーダ:所持武器:無し/無し 現在位置:マランダのチョコボ屋へ移動中 
 行動方針:どこかで休息】 

302 :1/3 :02/11/14 23:37 ID:???
 ブン!
 アイラの剣が空を斬り、ライアンは身をかがめてそれをかわす。
 不利なのは目に見えていた、こちらにはフライパンしかないのだ。だが。
(婦女子を助けられずして、何が王宮の戦士か!)
 肩から突っ込み、アイラを弾き飛ばす。アイラは力無く吹き飛んだ。そしてゆったりと身を起こす。
 どうやら、あの状態になるとダメージを受けなくなるらしい。
「………」
 代わりに理性もなくなるのだから、差し引きゼロかもしれないが。
 他には目もくれずひらすら自分を追ってくるアイラに、ライアンは思った。この調子でいけば、何とかなるかも知れぬ。
 階段を下りる。吹き抜けの広間だ、そこまでアイラを誘導できれば、後は煽動しているルーキーがやってくれる。我々の勝ちだ。
 ライアンは上を見上げた。階の上に、赤い鎧。刹那、雷光が走って部屋の中を照らす――――

「な、にッ!?」
 ライアンが見たのは、二階から何の躊躇もなく飛び降りるアイラの姿だった。
 次の瞬間、アイラに圧し掛かられ、床に叩きつけられる。
 息が詰まった。痛みが脳髄に伝う。だが、気絶するほどではない。
 剣を突き刺さんと振り上げたアイラの腕を掴み抵抗するものの、アイラは空いている、紫の指輪が嵌ったほうの腕で、ライアンの首を掴んだ。
「ぐ、おお…」
 しまった、ライアンの背中に脂汗が伝う。
 こんな乱戦になっては、狙おうにも狙えない。あの眼帯があったとしても、目標は自分の首の側なのだ。指輪を砕く衝撃で、自分の咽喉も逝ってしまう。
 みし、みしと。咽喉の辺りが嫌な軋みを立てた。
 押えているほうの腕の感覚が段々と消えていく。

 もう、駄目だ…そして、ライアンの体は、力を失った……

 ごきっ。


303 :2/3 :02/11/14 23:40 ID:???
 それは自分の首で鳴った音ではなかった。
 不意に、自分を押さえつけていた圧力がなくなる。
 朦朧とする意識を強引に呼び覚まして目を開けると、そこには。

 不可解な方向に首を曲げた、アイラと――――

 ――――紅い体、緑の触手で彼女を宙擦りにしているモンスターの姿があった。

 からん、アイラの手から剣が落ちる。
 モンスターは無造作にアイラを放り投げた。石ころを捨てるように、ポイ、と。
 派手な音と共に、調度品を巻き込んで倒れるアイラ。

「…ライアンさン」
 モンスターが、喋った。その口調は、聞いたことがある…
「な、何…お主、まさか」
「あいたかったァ。…えへへ」
「ホ、ホイミンか!?お主、一体…そもそも、その姿は?」

「ライアンさ〜ん」
 二階からルーキーが降りてくる。
「よかったあ、どうなることかっておろおろしちゃったよ」
「うむ、心配をかけた。拙者もまだまだ修行が足りないでござる」
「でもよかったよ。そっちのベホマスライムさん、ライアンさんの仲間…?」
「うむ、仲間でござる。もっとも、拙者が知っているホイミンは、」
 青い体のホイミスライムであったが。
 そう続けようとしたライアンが見たのは、素早く後退したルーキーと、ルーキーのいた場所を貫いた緑の触手だった。


304 :3/3 :02/11/14 23:40 ID:???
「うわぁっ!」
「ホイミン、お主…!?」
 じりじりと、ルーキーのほうに向かっていくホイミン。

「もんすたー、もんすたー。ライアンさンに近付く敵、ライアンさンに近付くのは敵」
 
 ルーキーに襲い掛かるホイミン。慌てて逃げるものの、かわしきれずルーキーは触手に弾き飛ばされる。
「うわーっ!」
「ルーキー殿っ!ホイミン、おぬしは!」

「敵は、倒す。ライアンさンを傷つける奴は許さない、ライアンさンに近付く奴は許さない」

「正気を、失っているのか…!?」
 体が変質しているのもそれが原因だろうか。しかし、何か呪いの装備を身につけているようにも見えない。
 ホイミンはルーキーに止めを刺そうとしている。迷っている暇はなかった。
「許せ、ホイミン!」

 ぱぁん!!
 ライアンはフライパンでホイミンを背後から殴り倒した。
 僅かにふらつくホイミン、その隙をぬってライアンはルーキーの元に駆けより、ルーキーを掬い上げる。
「ここは…逃げるでござるよ!」
「ら、ライアンさん、あのホイミンってひと」
「わからん…どうやら正気を失っているようでござる。元はちょっぴり気弱だが優しい、魔物とはとても思えないものだったのだが」
 ライアンは屋敷の扉を開け放つ。外は今だ雨が降り、止む様子はない。この雨の中、出歩くのは自殺行為に近い。
 だが、留まっているわけにもいかない。ライアンは、降りしきる雨の中へ飛び出していった。

【ライアン/ルーキー 所持武器 フライパン×2/スナイパーアイ ブーメラン
 現在位置:ツェンの屋敷の外 行動方針 ホイミンから逃げる】
【アイラ(ゾンビ) 所持武器:死者の指輪 マンイーター 
 現在位置:ツェンの屋敷 首が折れている。行動不能】
【ホイミン(強化) 所持武器:なし
 現在位置:ツェンの屋敷 行動方針 ライアンに近付く奴を殺す】

305 :1/4 :02/11/15 01:03 ID:???
「早く止まないかなぁ」
アリーナは大木の下でアニーと共に雨宿りしながら降り続く雨粒を眺めている
やはり途中の街に立ち寄った方が良かったのか
しかし砂漠の出口にあったアルブルクとかいう街からは火の手が上がっていたし
ベクタもなんとなく嫌な感じがするとアニーが言ったので結局ベクタの南にある森の中で
2人は雨宿りをしていた。

夜が明けるまでまだ多少時間があるが、そんなに長い時間でもない
扉の事も考えるとやはりどこか街の中に移動しておいた方がいいのかもしれない
そう考えながら再び闇の中、目を凝らすとそこに2つの人影が近づいて来た。

「ねぇ、ラムザ?いないね・・・アルス」
「で・・・でも確かにこっちに行ったんだよ」
「君、嘘ついていないよね?信じていいよね?裏切らないよね?」
ソロは涙ぐんでラムザの手を握り何度も確認する。
そのたびにラムザはソロに向かって頷かなければならなかった
正直泣きたい気分で一杯だった・・・・いやこの頬に伝う液体は雨粒では無く
実は涙なのかもしれない・・・・・

しかしそろそろ限界だった・・・ごまかしきれるのもあとわずかだろう
そうなる前に誰でもいいから通りがかってくれないだろうか?
祈るような気分で歩くラムザだったが、ふと目にした森の中に人影を見つける
「ソロさん、あれ、もしかして」
「油断しちゃ駄目だ!この島はデスピサロの手先だらけだ」

2人は身を低くして、そっと様子をうかがう
だが向こうの方はすでに気がついていたようだ、やはり警戒しながらもこちらに近づいてくる
どうやら女の子のようだ・・・・とソロに言おうとした瞬間
もうすでにソロは女の子に向かって手を振りながら走り寄っていた。


306 :1/4 :02/11/15 01:06 ID:???
「早く止まないかなぁ」
アリーナは大木の下でアニーと共に雨宿りしながら降り続く雨粒を眺めている
やはり途中の街に立ち寄った方が良かったのか
しかし砂漠の出口にあったアルブルクとかいう街からは火の手が上がっていたし
ベクタもなんとなく嫌な感じがするとアニーが言ったので結局ベクタの南にある森の中で
2人は雨宿りをしていた。

夜が明けるまでまだ多少時間があるが、そんなに長い時間でもない
扉の事も考えるとやはりどこか街の中に移動しておいた方がいいのかもしれない
そう考えながら再び闇の中、目を凝らすとそこに2つの人影が近づいて来た。

「ねぇ、ラムザ?いないね・・・アルス」
「で・・・でも確かにこっちに行ったんだよ」
「君、嘘ついていないよね?信じていいよね?裏切らないよね?」
ソロは涙ぐんでラムザの手を握り何度も確認する。
そのたびにラムザはソロに向かって頷かなければならなかった
正直泣きたい気分で一杯だった・・・・いやこの頬に伝う液体は雨粒では無く
実は涙なのかもしれない・・・・・

しかしそろそろ限界だった・・・ごまかしきれるのもあとわずかだろう
そうなる前に誰でもいいから通りがかってくれないだろうか?
祈るような気分で歩くラムザだったが、ふと目にした森の中に人影を見つける
「ソロさん、あれ、もしかして」
「油断しちゃ駄目だ!この島はデスピサロの手先だらけだ」

2人は身を低くして、そっと様子をうかがう
だが向こうの方はすでに気がついていたようだ、やはり警戒しながらもこちらに近づいてくる
どうやら女の子のようだ・・・・とソロに言おうとした瞬間
もうすでにソロは女の子に向かって手を振りながら走り寄っていた。

307 :2/4 :02/11/15 01:13 ID:???
アリーナはアニーを残して、人影の方へと近づく、と相手はこちらに気がついたようだ
駆け足で近づいてくる、その姿は見覚えがある、いや見覚えどころじゃない
アリーナもまたその人物に手を振りながら、走り寄って行くのだった。
「ソロ!」

アリーナの声に答えるようにソロはアリーナの手を取り堰をきったように話しかける
「アリーナ!アリーナなんだね!!良かった、そうだ!ミネアとトルネコが
 デスピサロの仲間に殺されたんだ!それに僕の偽者もいるんだ!大変なんだ!
 ねぇ、アリーナなら分かってくれるだろ!僕、頑張っているんだよ、でも
 皆僕を裏切ってばかりなんだよ!!」

一方的にまくし立てるソロの話を聞きながらも、アリーナはそう喜んでばかりもいられなかった
色々と確認しなければならない話もある
どう話を切り出そうか・・・・そう考えていた時
「あっ!!」
不意にソロが叫んだ。

今だ、ソロがアリーナと話しているわずかな隙を突いて
ラムザは脱兎のごとくその場から逃げ出そうとした
忍者の訓練を受けている今の自分の足なら逃げ切れる、そう判断しての事だったが・・・・

「ぐっ!!」
激痛と血飛沫・・・・見ると自分の腹を剣が深々と貫いている
力なく転倒したラムザの背中越しに声が聞こえる
「ラムザ・・・・やっぱり君もデスピサロの仲間だったんだね・・・ひどいよ信じていたのに」


308 :3/4 :02/11/15 01:16 ID:???
嘘付け・・・と言いたかったが
悪態をつくには血が流れすぎているようだった
それは赤い絨毯のようにラムザの身体を包み込んでいく
それを見てラムザは綺麗だな、と思った、優柔不断の自分にはもったいない。
遠くで、実際はすぐ近くなのだろうが、ソロとアリーナが争う物音が聞こえる
だが・・・もうどうでもいい・・・・心残りが無いわけでもなかったが

ラファ・・・僕もそっちへ行くよ・・・もう少し要領良くやれれば良かったけど
少し運に見放されたみたいだ・・・・おかげで・・・・・

【ラムザ:死亡】


どうして・・・どうしてなの?、ねぇ・・ソロどうしてなの?
一瞬の出来事だった、逃げようとした男へとソロはためらいもなく剣を投げつけたのだ
腹を貫かれた男はまだぴくぴくと動いてはいたが、それが致命傷であることは明白だ。
そしてソロは何事も無かったかのようにラムザの身体から剣を引きぬく

「ああ、アリーナ、ここはデスピサロの手先だらけなんだ、皆、僕らを狙っている
だからこうするしかないんだ」
「それに偽勇者もいるんだ、名前はアルス、放っておくと大変なことになると思う
 だから早く倒さないと、アリーナも協力してくれるよね」
ソロはアリーナへと手を差し延べる、だがその手は無常にも払い除けられた
「触らないで!!」

アリーナの目から涙がぽろぽろと零れ落ちる
信じていたのに・・・・・・
もはやミネアを殺したのが誰だとか、危険な兵器をもっているだとかそういう話は
どうでもよかった、ただ自分の1番信じていた仲間が、友が変わってしまった驚き
そしてその手を反射的に拒絶してしまった自分・・・・
それを認めることはとても哀しく辛い事だった・・・

309 :4/4 :02/11/15 01:20 ID:???
それでもアリーナは虫けらのように人を殺し、平然としている目の前のかつての仲間を
どうしても許す事は出来なかった。
涙は止まる事はないだろうが、キッと眦を精一杯つり上げるとアリーナはソロへと言い放つ
「あなたは私の知っているソロでもなければ勇者でもない!!ただの人殺しよ!!」

それを聞いてソロの顔色が見る見るうちに変わっていく、驚愕から怒りへと
「アリーナ・・・君まで僕の邪魔をするの?僕を裏切るんだ・・・・・ひどいよ」
ソロは泣きながらそれでもアリーナへと剣を向ける、それに合わせてアリーナも構えをとる。

そしてにらみ合いが始まる、構えを取りながらアリーナは思案をめぐらせる
ここで戦うのは簡単だ
だが、アニーはどうなる・・もし私が倒れればアニーは1人になってしまう
ここは何としても退かないと

はあっ!と一言気合を入れるとアリーナはソロへと突進する
それに応じてソロもアリーナへと突っ込んでいく
が、アリーナの身体がソロの剣の間合いに入る寸前、アリーナは地面に手をつくと
そのまま前方宙返りの要領で夜空へと舞いあがった、そして
「イオ!」
ソロの頭上に稲妻が走る。

まさかアリーナが呪文を使うとは思っていなかったソロは思わず後退する
その隙を縫ってアリーナは素早く森の中へと逃げ込み、そしてアニーの手を引くと
全速力で森の奥へと走る。
早くこの子をバッツさんか、信用の出来るだれかに託して、ソロを止めないと・・・・
そう思いながら・・・・・・

ソロはしばらく追うそぶりを見せていたが、アリーナのスピードには追いつけない
と判断すると、地団駄を踏みながら夜空に向かって叫び続けていた。
「どうしてなんだ!!、なんでみんな僕を裏切ってばかりなんだっ!!」
「もう・・誰も信じたりなんかするもんかあっ!!」

310 :5/4 :02/11/15 01:24 ID:???

【アリーナ/王女アニー 所持武器:イオの書×4 リフレクトリング/マンゴージュ 
現在位置:ベクタ南側の森の奥 行動方針:アニーを託せる人物を探す ソロを止める(倒してでも)
/両親探し。クーパーも探す】

【ソロ:所持武器:スーツケース核爆弾/エンハンスソード 現在位置:ベクタ南側の森の入り口
 行動方針:?】  

【ラムザ:死亡】

311 :名前が無い@ただの名無しのようだ :02/11/15 01:30 ID:???
訂正
イオの書は残り3つですね

312 :age :02/11/15 10:49 ID:???
age

313 :age :02/11/15 10:56 ID:???
age

314 :age :02/11/15 11:16 ID:???
age

315 :オルテガとか :02/11/15 20:10 ID:???
―――身を刺す冷気と屋根をたたく雨の音に、オルテガは目を覚ました。
空が見えないため今の時間はわからなかったが、おそらくだいぶ経っているだろう。

…日没時の放送を聞いてからまったく記憶がなかった。働かない頭を無理に動かし
状況を確認しようとする。確か、日没前にあの妙な鳥を小屋に入れてから小屋の中で
放送を聞いていたはずだ。その後二階へ登り、そして………
だめだ。そこから思い出せない。今居る場所は、小屋の二階みたいだが。
ゆっくりと身を起こす。そこでやっと自分がびしょびしょに濡れている事にきがついた。

今着ているモノはマントとパンツのみ。戸惑いながらもテーブルの上に置いてあった
ランプに火を灯す。部屋のそこら中に自分の服が脱ぎ散らされていた。剣は……
あった。すぐ側に落ちていた。ふと後を振り向き……、窓が開け放たれており、その前に
側にあの覆面が落ちていた。ふらふらとそこまで歩いていき、覆面を拾い上げる。
覆面の内側は虚ろな闇を抱いており、なぜかそこをみていると記憶が甦りそうになってくる。
そしてオルテガは、震える手で覆面をかぶった。

――――記憶が溢れ出した。

316 :オルテガとか :02/11/15 20:11 ID:???
(よかった。アルスの名前は無い。)
安堵のため息をついて二階へのはしごを上った。外は既に雨が降り出している。
今日はここで夜を明かす事になるだろう。昼間の労働に疲労した体をひきずって、
部屋の入る。なかなか広い部屋で、あまり飾り気の無い部屋だった。とりあえず
奥のベッドまだ歩み寄り……部屋の真ん中で立ち止まった。彼の目は部屋の壁、
そこにかかっている鏡を見つめていた。

そこには見慣れない姿が映っていた。うすく汚れた覆面をかぶっている自分の姿。
なんでこんなモノをかぶっているんだ。…そうだ。この小屋に入った時、臭いが
きつかったからだ。こんなのは自分の姿ではない。

こころの奥底で何かが鎌首をもたげはじめる。

自分の姿?本当の自分とはどういう姿だ?これがオレの姿ではないのか?
本当はコレを望んでいたんじゃないのか?

オルテガは苦しそうに片手で覆面を抑え、体を支えていることができず跪いても
なお、その目は鏡の中の自分を見つめ続けていた。

目も前が真っ赤に染まる。心の中の何かが、激しく暴れまくっている。
頭の中でいくつものタガがはずれる音を聞いたような気がした。

「オレは……。オレは…………!!!!!!」

―――――そして、絶頂が訪れた。

317 :オルテガとか :02/11/15 20:12 ID:???
「フォオオオオオオオオオオオオオオッ!!!!!!」
いままで抑えていたもの全てが爆発した。全身の筋肉が膨張し、白目に怪しい光をたたえ、
雄叫びをあげた。体の奥はたまらなく熱い。耐え切れずオルテガは高く跳躍し、服を
脱ぎ散らかした。
「クロスッッ!! アゥッッッ!!!! (脱衣)」
覆面とマント、それにパンツ以外全て脱ぎ捨て、オルテガは見事に着地した。
「…コレが……オレの姿……。」
新しい自分に小一時間酔いしれた後、唐突にあさっての方を振り向き、(その延長上
にはマランダの町があるのだが)呟いた。
「ムッ!悪の臭い。」
オルテガは剣を手に取り、窓を開け夜の闇に身を躍らせた。
そして申し合わせたかのように鞍を着け、着地地点に走りこんできたチョコボに飛び乗った。
オルテガは真っ直ぐマランダに向かっていた。悪を滅ぼすために。

【オルテガ 所持武器 水鉄砲 グレートソード 覆面  現在位置 マランダのチョコボ屋 行動方針 マランダの町へ】

最初の方は夜更け、後半は日没直後ってことでヨロシク。

318 :1/3 :02/11/15 22:30 ID:???
アルブルグの街での激しい戦闘は未だに続いていた
その戦いはもはや街全土に飛び火し、すでに街は廃墟と化しつつある
そんな中、ピピンとエーコは未だに気絶した状態だった
そして戦いの当事者たちはそんなことなぞ意にも介さず。彼らの倒れている
裏通りにまで侵入しようとしていた。

エーコとピピンの身体をはさむようにセフィロスとデスピサロ、そしてサマンサが対峙した
その時だった。
一陣の風と共に黒い翼を広げた何者かが、彼らの間に割って入り
そしてエーコとピピンの身体を掴み上げるとそのまま北の方角に飛び去っていく
時間にしてわずか3秒足らずのことだった。

そしてそれを合図に再び戦いが始まる
セフィロスの踏みこみを大きく後ろに跳んで避けたデスピサロは隣のサマンサに耳打ちする
「サマンサ!さっきのあれを見たか」
「はい、確かに」
「間違い無い、あれこそ進化の秘宝・・・・ならば長居は無用だ、離脱するぞ!!」
「お任せ下さい、ですが少しだけ奴を遠ざけていただけませんか?」
「任せておけ!メラゾーマ!!」

超特大の火球がセフィロスに向けて放たれる、しかし彼にとって真正面からの攻撃なぞ
造作もなく避けられる、ただあまりにも巨大な火球だったので斬り込むのは諦めて
下がらざるを得なかったが・・・・
そしてその隙にサマンサが呪文を完成させる
「レムオル!」


319 :2/3 :02/11/15 22:31 ID:???
デスピサロとサマンサの姿が背後の闇に同化して消えていく
慌ててセフィロスが正宗を彼らの立っていた場所へと振り下ろすが
それは虚しく空を切るばかりだった。
彼はしばらくそれを繰り返していたがやがて諦めると、正宗を鞘に収めそのまま街の外へと去っていった。

「ねぇ・・・気がついた?銀髪の奴には気をつけた方がいいよ」
エーコはその呼びかけにゆっくりと瞳を開ける
声は聞こえるがまだ頭がぐらぐらする、すこし打ち所が悪かったようだ
おぼろげながら目の前の相手の姿が見える

その背中には大きな黒い翼が生えていた・・・・・
「ひっ!!化け物っ!!」
軽い混乱状態に陥っていたエーコはとっさに手に持っていた大鋏を
リュックの腹に突き刺してしまった、紫色の血がだくだくと流れ出し
リュックは仰向けに倒れてしまう。それを見たエーコはもう1度ひっ!と叫ぶと
そのままピピンを担ぎ、岩場の向こうへと逃げていった。

エーコたちが逃げ去ってから
「化けものかぁ・・・・だよね、そうだよね」
悲しげに呟くとリュックはゆっくりと起き上がった、その腹の傷はすでにふさがっている
そして再び歩き出そうとしたリュックだったが
「ぐっ!!」
突如全身を走った激痛に思わずうずくまってしまう。

やはり究極生物の細胞は普通の人間であるリュックの身体にはあまりにも負担が大き過ぎたのだ
それは進化の秘宝をもってしても補う事が出来ない、致命的な差だった

リュックもそれを悟っていた・・・自らの死という形なのか
それとも今度こそ心まで魔に蝕まれてしまうのか
ともかく自分に取っての破滅の時が近づいている事に・・・・


320 :3/3 :02/11/15 22:32 ID:???
「でも・・・それでもやれることはやらないと・・・化け物でも出来る事・・あるはずだから」
痛みが収まるのを待って、再びリュックは歩き始める
自らに迫る破滅の恐怖を振り払うように、力強く。

【デスピサロ(中程度のダメージ)/サマンサ: 所持アイテム:正義のそろばん、
『光の玉』について書かれた本 勲章(重装備可能) 現在位置:アルブルグ近辺 行動方針:腕輪を探す】
【セフィロス(かなりのダメージ、ただし自動回復):所持武器:正宗 現在位置:アルブルグ 
 行動方針:全員殺す】
【ピピン(負傷)/エーコ(軽い混乱、時間と共に回復) 所持武器:無し 現在位置:アルブルグ北の岩山 
 行動方針;仲間を捜す】

【リュック(魔獣化制御・身体能力上昇):所持武器:進化の秘法 現在位置:アルブルグ北の岩山 
 行動方針:仲間と会う 】  
(魔獣時の能力を行使可能(レベル3コンフュ・真空波)・腕輪を失えば再び暴走の危険性有り
 ただし腕輪を持ってしてもいずれ暴走あるいは死が訪れる)

(大鋏は放置)

321 :セーラとか :02/11/16 01:32 ID:???
町外れにある小さな森。見つけられる限りの花を供え、出きる限りの細工をした
十字架を刺す。三人は雨の降り始めた薄暗い森の中で黙祷を捧げていた。
放送は既に墓を作っている最中に流れていた。ビビは自分の知っている三人の
名前が出たことに酷く落ち込んでいるようだ。

「…ピエールさま。そろそろ戻りませんか?コレ以上は体に毒ですわ。」
「セーラ殿…。先に戻っていて下さい。もう少しこうしていたいのです。」
「…わかりました。ビビ君はどうするの?」
「ぼくは…戻るよ。」
「…そう。それじゃあピエール様、あまり無理をなさらぬように。」
内心セーラはほくそえんでいた。この汚らわしいモノ達と付き合っているのも
少々疲れていたところだった。ここでこのクロンボを殺しておけば残りはあの
最も汚らわしい生物だけだ。ああ、待っていて下さい私の騎士様。セーラはこの
試練に耐えて見せますわ。ああ、私の騎士様。せめて名前だけでも知りたいものだわ。
そんな事を考えながら家に帰っていった。

ビビはセーラが着替えに隣の部屋に入ったのを確認してマリベルの死体に近づいた。
二人とも気付いてなかったみたいだが、確かにさっき、ゾーマはマリベルの名前を
言わなかったはずだ。調べてみると案の定、中身はマリベルではなかった。でも、なんで
生きているならココから逃げたんだろう?もし、マリベルの言ってた事が本当だとしたら?
フローラさんを殺して、マリベルを殺そうとしたのがセーラさんだとしたら?
よく考えてみたら、マリベルがフローラさんを殺すはずが無い。セーラさん、いや、あの女に
気付かれないうちにピエールさんに伝えなきゃ。
意を決して立ちあがり、外に向かって走りだそうとしたビビは、足を氷の弾丸に
貫かれ、その場に倒れこんだ。

322 :セーラとか :02/11/16 01:33 ID:???
「部屋にあの小娘の服が無いと思ったら、やっぱり生きてたんだねぇ。」
先程とは違うドレスに身を包まれ、片手で銃を弄びながら部屋からセーラが出てきた。
「やっぱり、フロー……くあっ!」
再び氷の弾丸が、もう片方の足を貫く。
「大きな声を出すんじゃないよ!」
恍惚の笑みを浮かべながら、ビビに脅しの言葉をかける。他人の命を完全に手中に
収めているこの快感。セーラは完全にこの状況に酔っていた。
「そうさ。あの女を殺したのもこのわたくし。楽しかったわよ〜。障害者みたいな
 なりして、ジタバタもがくんですもの!」
「どうして…どうしてこんな酷いことができるんだよ!!」
「ふん。モンスターは汚らわしいモノ。それと仲良くしているあなた達も汚らわしいもの。
 汚らわしいモノをゴミ箱に捨てる事の、どこが間違っているっていうの?」
「…狂ってる。」
「狂っているのはあなた達の方じゃなくて?それにしても、あの小娘が生きてたのは
 失敗だったわね。まあ、いいわ。」
「どういうこと?」
「あなたを殺したのも小娘のせいにすればいいのよ♪
 あの馬鹿な騎士はまんまとだまされてくれるでしょうね。」
「…いつまでもみんなが騙されているかと思ったら大間違いだぞ……!!」
「遺言はそれでいいわよね?それじゃ、おやすみなさい。馬鹿なぼろぞうきん君」
ビビはしっかり目をつむった。セーラは三発続けて発射した。
氷の弾丸は、哀れな標的にその牙を剥き……
しかし、射線軸上に突き刺さった剣に、その全てが弾き散らされていた。



323 :セーラとか :02/11/16 01:35 ID:???
「ガハハハッハハハハッハ!!!」
部屋の中に、朗々とした高笑いが響く。
「だれ!?出てらっしゃい。」
「そう言われては出ないわけにはいかないな。とう!」
いつのまにか開け放たれた天窓から、彼は室内に飛び降りた。
「いっ、いやあーーーーーーーー!!!!」
セーラの悲鳴が木霊する。
「なに!?なにがあったの!??」
ビビはセーラの悲鳴を聞き、恐る恐る目を開けて、、、、、
「はあうっ!」
そのまま気絶した。
何を隠そうこの男は、覆面マントにパンツ一丁。それのみに
極大まで発達した筋肉をつつみ、しかもそれを強調するかのようなポーズを
取っている、どこから見ても真性の変態さんだった。もちろんオルテガ、彼である。


324 :セーラとか :02/11/16 01:35 ID:???
「だれよあなた!名を名乗りなさい!!」
「ふん!貴様に名乗る名など無い!!だが、コレだけは言っておこう。
 悪しき心は私が正す。我こそは愛の戦士!!」
「愛の戦士?」
「あと月の戦士!!」
「………」
いや、もう、どうでもいいです。だから変態ってイヤなのよ。
「付き合ってられないわ。死になさい!!」
セーラは銃を構え、連射した。
「まて、まだキメゼリフの途中ではないか。」
そんな事を言いながらもオルテガは弾丸の全てをマントで絡め取る。
「そんな物が、私に通用すると思っているのか?」
「…嘘。」
セーラは完全に戦意を失っていた。オルテガは両手を頭の後ろに組み、じわりじわりと
セーラに近づいていく。
「いやっ!やめてっ!こっちにこないで!!!」
「さあ、お仕置きの時間だ。」
「いや、いやーーーーー!!!」
背中に壁があたり、腰が砕けた。眼前にはもう既にアレが迫っていた。
しかしその絶体絶命の危機に、また新たな乱入者が加わった。

325 :セーラとか :02/11/16 01:36 ID:???
「大丈夫ですか!?セーラ殿!!」
「ああ、ピエールさん。助けて、私、、、私、、、!!」
「この!セーラ殿から離れろ!!!」
ピエールはオルテガに斬りかかった。オルテガは素早く身をかわし、地面に突き刺さった
自分の剣を引き抜く。
「ピエールさん。こいつが、ビビ君を殺したの!私も殺される所だった!!」
セーラは部屋の奥で気絶しているビビを指差して言った。
「おのれ!たたっきってくれる!!」
「おろかな。どちらが信用できるか、みてわかるだろう。」
「ピエールさん。変態の言う事をまに受けちゃだめよ!!」
「もとより承知。いくぞ!」
そして、ピエールとオルテガの戦闘が始まった。
どちらが勝っても嘘がばれるだろう。セーラは気付かれないよう、この二人から逃げた。

326 :セーラとか :02/11/16 01:36 ID:???
もうどれくらい走っただろう。気がつけば、さっき来た町外れの森に来ていた。
荒い呼吸を静めながら一本の木に寄りかかった。
「もう、ここまでくれば安全でしょうね。」
夜明けまでここで時間をつぶそう。もう少し奥まで行けば、発見される事は無いだろう。
そこまで考えて……あれ?
「なんでこの木、柔らかいのかしら?それになんか生暖かいわ」
「それは私の(****)だ!!」
「キャアアアアアアアアアアアアア!!」
あわてて飛び退く。手に残った妙な生暖かさがキモい。
「なんであなたここにいるのよ!!」
「言ったであろう?お仕置きの時間だと。」
「……私をどうする気よぉ。」
「決まっている。あの愚かな騎士と同じ運命を辿らせてやる。」
「……御願いやめて……いや…いやーーーーーー!!!!!!」

闇が深い森の中に、セーラの叫びが響き渡った。

327 :セーラとか :02/11/16 01:44 ID:???
「ふむ。この姿になっていられるのは三時間が限度か。」
オルテガは自分の体をあちこち触りながら呟いた。
「そろそろ帰るか。」
いつのまにか側にはチョコボがたたずんでいた。オルテガはそれにまたがり、
小屋へと帰っていった。近くで気絶しているセーラを見向きもせずに。

そして、ジャンプして二階に戻ろうとした時に窓枠に頭をぶつけて気絶したんであろう。
そこで全ての記憶が甦った。オルテガは覆面をはずそうとした。
その時、小屋の外で誰かの声がした。
「チョコボ小屋っスね。ここで休もうッス。」
「そうね。ありがと、チョコボ君」
「クエ♪」
まずい。速く服を着なければ……。
ガクン!
思わず倒れこむ。また例のナニかが鎌首をもたげ始めた。
(ダメだ……早く……オレは……オレは…!!!!)

――――――そして、絶頂が訪れた。

【オルテガ 所持武器 水鉄砲 グレートソード 覆面  現在位置 マランダのチョコボ屋 行動方針 あらくれる】
【アルス/ティナ:所持武器:対人レミラーマの杖・天空の剣/プラチナソード 
             現在位置:マランダのチョコボ屋 行動方針:雨宿り】  
【ピエール(気絶)/ビビ(気絶) 所持武器:珊瑚の剣/ギサールの笛/爆弾岩×10
             現在位置:マランダの街 行動方針:特に無し】
【セーラ(気絶) 装備品 癒しの杖 ブレイズガン 現在位置:マランダの街外れの森 
                     行動方針:特に無し】


328 :セーラとか :02/11/16 01:48 ID:???
アルスじゃないや。こっちでヨロシク。

【エアリス(負傷)/ティーダ:所持武器:無し/無し 現在位置:マランダのチョコボ屋  行動方針:雨宿り 】  

329 :名前が無い@ただの名無しのようだ :02/11/16 13:14 ID:???
雨の中、とぼとぼと歩くひとつの影。
失意に落ちた戦士、ギルガメッシュ。その足取りは重い。
セフィロスと自分との超えられない壁。
何度目かのため息が出る。
ギルガメッシュはふと顔を上げる。
「…町か?ここまで歩いてきたのだな。」
地図を思い浮かべる。ああ、確かここはマランダの町といったな。
この豪雨の中人影がちらほら見える。明かりがついている建物もある。
今の自分には戦う力はない。
そう悟ったギルガメッシュは辺りを見回した。
ふと木箱が目に入る。
あれに隠れよう。
なぜかそう思ったギルガメッシュであった。

【ギルガメッシュ 所持武器:エクスカリパー 現在位置:マランダの町入り口付近の木箱 行動方針:失意状態 戦闘からは逃げる】


330 :1/2 :02/11/16 13:46 ID:???
ベクタに向かう険阻な山道、そのほぼ頂上でティファは一息ついていた
相変わらず誰にも出会わないが・・・・
やはりアリーナたちと同行すべきだったか・・・そう思いながら
少し溜息をつく・・・その時だった。

ガサガサという、わずかな草ずれの音と同時に背後の茂みから斬撃
紙一重で交わしたが、わずかでも遅れていれば危なかっただろう
ティファが振り向いた先には金髪の女剣士がいた
「ちょっと待って、私は戦うつもりはないの」
「問答無用だ!貴様になくとも私にはある」
何とか説得をしようとしているティファにはかまわず、アグリアスは呼吸を整え、技の体勢に入る

「命脈は無常にして惜しむるべからず、 葬る! 不動無明剣!」
アグリアスの誇る必殺の聖剣技、今までこれを避けた者はいない、だが・・・
「何っ!」
ティファの身体を斬り裂くはずの刀身はその目前で止まっていた
ティファは避けられないとみるや、とっさにアグリアスの手元を掴んでいたのだ。

「わ、私の剣を止めただと、だがっ!!」
アグリアスはそのまま力任せに押しきろうとする、ティファもまた負けじと押し返す
力比べがしばらく続く、だが、ティファは力を入れつつも何かを狙っているようだった
アグリアスがより一層、剣に力を込めたと見るや、ティファは力を抜きその身体を
アグリアスの懐へと滑りこませる


331 :2/2 :02/11/16 13:46 ID:???
力の行き場を無くし、たたらを踏むアグリアス
ティファはすかさずその身体を抱え込むとそのままフロントスープレックスの要領で
山道へと投げ飛ばした、ごろごろとアグリアスの姿が崖下に転がっていくのが見える
やがてその姿は闇の中に消えて見えなくなった
傾斜こそ急だが、下には一面に草が生えているので死ぬことは無いだろうが・・・・・

しかし彼女を投げ飛ばしたティファの方も肩を押さえてうずくまっている
「メテオドライブをかましてやるつもりだったけど・・・・痛っ」
ティファの左肩には刃の形をした痣が出来ている
直接斬られたわけでも無いのに・・・・もし受けとめることが出来なければ
文字通り真っ二つになっていただろう。
左腕が上手く上がらない、どうやら筋だけでなく骨までやられてしまったらしい。

誰かに治療してもらわなければ・・・・
そう思いながらティファはふらふらとベクタの方へと歩き始めた。

【ティファ(負傷) 装備品 無し 現在位置 ベクタに向かう山道途中 行動方針 クラウドたちを探す/傷の治療】

【アグリアス ジョブ:ホーリーナイト スキル:時魔法 装備武器:スリングショット ダイヤソード 
 なべのふた 現在位置:ベクタ東南の岩山 行動方針:ゲームにのる】
(彼女の負傷の度合いに付いてはお任せします、運が良ければ無傷かも)


332 :1/5 :02/11/17 01:05 ID:???
雨は相変わらず止む様子はなく、地面をたたきつけるような音があたりを鳴り響いていた。
ベクタの防具屋に、少し雨に濡れた四人がいる。

四人の表情はいずれも険しかったり、不安そうであったり、決してよいものとはいえなかった。
それも当然といえば当然かもしれない。
なにしろ、話があまりに急であったから。特に、ファリスにとって。

ロックとファリスは最初、新しい1人の少女の存在に驚いていたが、
すぐにアモスよりわけを聞かされてとりあえずは納得をした。
すると、やや興奮気味に少女は早口でファリスを捲したてた。
最初はなにを言っているのかわからなかったが、何回も説明し、落ち着いてくるうちに、
その内容を理解しはじめた。そしてそれは、ファリスを当惑させるには十分なものであったのだ。

「・・・つまりなんだ、あんたは水の巫女で、俺たちクリスタルの戦士の位置がわかる、と」
「ええ、そういうことです。」

ファリスは不信感を隠せない様子だったが、それでも熱心にエリアの話に聞き込んでいる様子であった。
なにしろ彼女の話が本当ならば、妹のレナやバッツとの合流の手だてがつくことになる。
そこへ思案しているファリスをよそに、今まで黙っていたロックが口を挟んだ。

「あのさあ・・・こんなこと聞いていいのかわからないけど・・・」
「なんでしょうか?」
「・・・・・・クリスタル・・・って、なに?」
「・・・・・・実は、私も知りたかった。」
「「・・・え?」」

ファリスとエリアは顔を見合わせた。


333 :2/5 :02/11/17 01:05 ID:???
「クリスタルを・・・知らない?
「あーっと、その、まあ、なんだ、うん」
「・・・やはり、住んでる世界が違うようだな・・・」
「そのようですね・・・」

もっとも、ファリスとエリアも違うのだが、当然今の二人にとってそのようなことはどうでもよく、
とりあえず基礎知識となることをロックとアモスに教えた。
二人ともこういったことはあまり得意ではないらしく、とても拙い説明であったが。

「わかったようなわからんような・・・。でまあ、お前はその火のクリスタルっていうやつに導かれし戦士、ってところなのか?」
「・・・そうだな。」
「で、彼女が水の巫女で・・・他にもクリスタルの戦士って奴の場所がわかるんだよな?」
「はい、そうです。」
「・・・なあ、その話は・・・本当なのか?」
「もちろんです!・・・信じてくださらないのですか?」
「いや、そういうわけじゃない・・・」

ファリスは口を噤み、暫く何か考える素振りをしたあと、尋ねた。

「俺は今まで、水のクリスタルに巫女がいるなんて話は聞いたことがない。」
「それは・・・恐らく、私とあなたもまた、住んでいた世界が違うからだと思います。
 ですが、同じようにクリスタルを主とした世界であったのでしょう。」
「それとひとつ。あんたは、水、風、土の居場所をいってくれたが、
 俺の仲間の、その土の戦士って奴は、このゲームには参加していない。」

それを聞いたとき、エリアの顔がぱっと明るくなった。

「そうなんですか!?ならきっと、その方は・・・私の・・・知っている人・・・」
「・・・なるほど・・・な。」

ファリスは剣を握り、立ち上がった。


334 :3/5 :02/11/17 01:06 ID:???
「ファリス・・・?」
「・・・北に、水を感じるといっていたな・・・多分、俺の妹のレナだ。
 南にいるのはバッツだと思う。・・・合流する。しなくちゃならない。
 ロック、アモス、世話になった。それと・・・エリア、といったな。ありがとう。」

簡潔にそれだけいうと、ファリスは防具屋を出ていこうとした。

「お、おい、ちょっと待てよ!妹さんと探すの、協力するっていったじゃないか!」
「・・・迷惑はかけられない」
「・・・このまま1人でつっこんで、放送で名前を呼ばれる方が迷惑だ。」
「・・・・・・」

ファリスが振り返る。アモスはさすがに些か不謹慎であったと感じたのか、下を向いて頭を掻いていた。

「・・・それに、そのクリスタルというのも興味深いしな・・・」

取り繕うようにそういうと、それっきりアモスは何も言わなくなった。
そこへ、落ち着いた、透き通った声が聞こえた。

「ファリスさん・・・彼らと合流するのには、私の力が必要ではないでしょうか。」
「・・・それは、そうだが・・・」
「私は、私のためにもお願いしているんです。会いたいですよ・・・別世界の、クリスタルの戦士たちに・・・
 あなたがたは、その中でも光の戦士のようですが・・・。」
「・・・・・・ああ・・・」

ファリスの肩の力がふっとぬけた。

「・・・決まりだな。」
ロックが悪戯っぽくにやっと笑う。
「すまない・・・」


335 :4/5 :02/11/17 01:06 ID:???
四人は、豪雨の中北に向かって歩き出した。
暫く雨宿りをしてからの方がいいとアモスは提案していたのだが、
ファリスの様子を見るとそういうわけにもいかない。
居ても立ってもいられないらしく、とにかく忙しなく動いている。
仕方なく、四人は北へと行ったのだ。

「ファリスさん・・・その、レナさんとバッツさんに、合流してからでいいんです・・・
 もしよければ・・・土の・・・戦士とも、合流を図っていただけないでしょうか・・・」
「・・・ああ。」
ファリスは聞こえているのかどうかわからないような返事だったが、
それでもきっと、会うことになるだろうとエリアは確信に近いものを感じていた。

「しかし・・・4人くらいならまだいいが・・・。これ以上人数が増えると、行動しにくくなるな・・・。」
「アモっさん、そういうことはいうもんじゃないだろう?」

そういいながら、ロックはふと思った。
ファリスは、大切な人のためにこんなにまで必死になっている。
多分、エリアもそうなんだろう。
自分はどうだろうか。
自分にも、いたのではなかったか・・・守るべき人が。

「・・・・・・」
ロックはなんとなしに立ち止まってベクタの城を一瞥し、再び歩き出した。

――俺は、本当にここでこんなことをしていていいのだろうか

そんな一抹の想いが、ロックの脳裏を過ぎっていた。


336 :1/5 :02/11/17 01:06 ID:???
ティーダとエアリスが小屋に入ろうとしたときだった
「フォオオオオオオオオオオオオオオッ!!!!!!」
奇声と共に人影が2階から舞い降りる、それは覆面マントにパンツ一丁という奇怪な姿をしている
そいつは2人には気がつかないまま、チョコボに飛び乗るとまっしぐらにいずこかへと消えていった

2人とも余りのことで声が出ない、ようやく搾り出すようにティーダがうめく
「今のは一体・・・・」
「さぁ・・・・・」
ともかくティーダとエアリスは顔を見合わせながらも、小屋の中に入っていった。
「お邪魔しま〜す」

小屋は外から見たよりも広く食料や医薬品等、必要なものは全て足りていた
男物の衣服が散乱しているのが気にかかったが・・・・
なによりお風呂があるのがうれしい、2人ともすでにぬれねずみだ
早速2人は風呂を沸かす準備を始めていた。

そのころ・・・・

「はぁ・・はぁ・・何なのかしら?一体」
気絶から覚めたセーラは、ぼやきながら森の中をさまよっていた
もはやマランダの街には戻れない、夜が明けて扉が出現するまでこうやって時間を潰すしかない
前方に灯が見える、どうやら民家のようだ
さらに近づくと民家からすこし離れた場所に、もう一つ小屋がある
湯気が立っているのが見える、あの離れは風呂なのだろう・・・・・
そういえば男が水を汲んで、女が薪をくべているのも見える。

さらに観察を続ける、どうやら風呂が沸いたのだろう
男の方がそのまま離れの中に残り、女は母屋の方へ戻っていく
そこまで見届けたところでセーラの心の中に宿った殺人への渇望が頭をもたげてくる


337 :5/5 :02/11/17 01:07 ID:???
【アモス/エリア/ファリス ジョブ:忍者 アビリティ:!とんずら/ロック 
 所持武器:妖剣かまいたち・水・1,5リットル・小型のミスリルシールド/ミスリルナイフ・加速装置/食料2ヶ月20日強分&毒薬 水1,5リットル×2 吹雪の剣 小型のミスリルシールド/クイックシルバー フィアーの書×7 小型のミスリルシールド
 現在位置:ベクタ→北(レナの居場所はエリアによりわかります)
 行動方針:レナの捜索/クリスタルの戦士との合流/レナとの合流/とりあえずは共に行動する】


338 :2/5 :02/11/17 01:07 ID:???
「どちらを先に殺そうかしら?・・・・男性の方は無防備ですけどなかなか立派な体格ですし
やはり女性の方から殺したほうがいいかしらね、私よりトロそうですし」
セーラは狙いをエアリスに定めると靴下を脱ぎ、それに石を詰めこんで手製のフレイルを作る
銃を使えば確実なのだが、この銃は以外と動作音が大きい・・・
ここは隠密性を重視した方がいいだろう。女を殺し、何食わぬ顔で男に助けを求める
そういう青写真がセーラの中では描かれていた。

ドアの前まで来ると、なるべく哀れっぽい声を出しながらノックする
「助けてくださいまし!先程覆面の男に襲われて酷い事に・・・・・」
ドアの外から気配がするのが分かる、さあ来い、これで頭を砕いてあげる
ドアの側面に移動し、フレイルを構えるセーラ、ドアが開いてエアリスが姿を見せる・・今だ!
セーラは振りかぶるとフレイルをエアリスの頭へと振り下ろす、しかし
「あ・・・金貨みっけ♪」

フレイルはいきなりしゃがみこんだエアリスの頭をかすめるにとどまり、
そして頭の代わりにドアの板をぶち割ったのだった
その音で振り向いたエアリスとセーラの視線が交錯する・・・・その瞬間
セーラは第2撃を振り下ろす、エアリスは転がるように小屋の中へと飛びこむ
こうして戦いが始まった。

そしてそのころティーダ君は・・・・・
「むにゃむにゃ・・ユウナ何っスか、その姿は・・・まるでコスプレっス・・・」
バスタブに肩まで浸かったまま寝ていた。


339 :3/5 :02/11/17 01:09 ID:???
ティーダが夢の中でユウナと再会していた頃
母屋の中では激戦が繰り広げられていた
体力的にはスラム育ちのエアリスに分があるのだが、何分手負いの身だ
セーラの急襲に今のところ防戦一方だ
一方のセーラも王宮育ちで体力には自信が無い、はぁはぁと早くも呼吸を荒くしながら
フレイルを降りまわしている。

「うっ!」
足をすべらせエアリスが転ぶ、これまでか・・・・・
「あっ!」
しかしセーラも足がもつれ転んでしまう、そして一層ムキになってエアリスに襲いかかる
エアリスは手元にあったイスをかざして、フレイルを防ぐ、フレイルがイスに絡まって取れなくなる
セーラはフレイルを諦めると、今度は食器棚の皿やコップを手当たり次第に投げつける
エアリスはテーブルを倒すと、その陰に隠れて様子を伺う
そろそろネタ切れかな・・・とちょっとだけ顔をテーブルから出すと
ぶおんと唸りを上げて中華包丁が飛んできた。

「このっ!」
今度はエアリスが反撃に出る番だった、あちこちに散乱している皿やコップを拾っては投げる
拾っては投げる!
セーラは流し台の鍋を持つと、器用に自分に飛んでくる皿を弾き落としていく
ちなみに2人とも頭に血が上ってブレイズガンだのリミット技だのはすっかり忘れてしまっていた
ここまでは・・・・・

「痛っ!」
背中を走る痛みにエアリスは顔をしかめる、どうやら傷が少し開いてしまったようだ
だがその痛みはエアリスを我に返したようだった。
業を煮やしたか中華鍋を振りまわしてこちらに突撃するセーラへとエアリスは両手をかざす
「邪気封印!」


340 :4/5 :02/11/17 01:09 ID:???
光がセーラの身体を包む、それが消えたとき、そこには床に突っ伏して眠るセーラの姿があった
そして離れでは・・・・・
「全然、太股や胸の谷間なんか見ていないッス!本当ッス」
相変わらずティーダが眠っていた。

それから30分後
エアリスは未だに眠り込んだままのセーラの身体を物置の柱へと縛り付けている

あの最初の一撃を振り下ろしたときのセーラの顔・・・あれは明らかに確信犯の表情だった
おそらくエッジを襲ったのも彼女なのだろう、服こそ違うが話してくれた特徴と一致する
本来なら同情の余地などないはず・・・・・

しかしそれでも出来れば誰にも死んでもらいたくないし、出来るなら殺したくない
でも自分を殺そうとした相手を許すほど出来ちゃいない・・・・
その矛盾した思いの末に出た結論がこれだった。
考え様によっては非常に甘く、ズルいやり方かもしれないが
運があれば助かるだろう・・・・・運が無ければここに取り残され、そして・・・・

一瞬芽生えた残酷な思いを打ち消すように頭を振るエアリスの隣では
ティーダがセーラの荷物をチェックしている
「大丈夫、細い杖が1本あるだけで、武器になりそうなものは無いッスよ」
「そう・・・でも一応取り上げておこうか」
エアリスはセーラの荷物の中から癒しの杖を取り出すとそれを自分の荷物袋に放りこむ 
「そろそろ夜明けッス、街に行きましょう」
そして2人は傘を差してチョコボ屋を後にした

しかし2人は重大なミスを犯していた・・・・
埃臭い物置の中で眠りつづけているセーラの懐の奥には
未だにブレイズガンが忍んだままになっていたのだった。


341 :5/5 :02/11/17 01:10 ID:???
【エアリス(傷は治療済)/ティーダ:所持武器:癒しの杖/無し(医薬品、食料等補給済)
 現在位置:マランダの街へ移動中 行動方針:街へ向かい、扉出現に備える 】  
【セーラ(睡眠) 所持武器:ブレイズガン 現在位置:マランダのチョコボ屋物置 行動方針:特に無し】


342 :名前が無い@ただの名無しのようだ :02/11/17 19:36 ID:???
雨の中。人影がひとつ。
その足取りは重い。遠目にみても何かがあったということが見て取れる。
…自分とセフィロスとの壁を感じたギルガメッシュ。
たとえどんなに修行、実践を重ねて成長しても、新たな壁が自分の前に立ちふさがっているのだろう。
半ばふらつく足を引いて、ふと顔を上げる。
町?目の前に
「そうか。マランダという町があったな。」
頭の中に地図を思い浮かべる。
そして辺りを見る。
…誰かいるのだろう。明かりの付いた家が見える。
今は戦いたくない。失意の中におちた状態では戦闘なんてできたもんじゃない…
「隠れるところはないか…」
辺りを見回す。
町入り口にある木箱に目を向ける。
「あれに隠れよう…」
なぜかそう思った。妙な奴である。
木箱の中に窮屈そうに身を入れる。
ここなら辺りを見回せれる。様子を見るのにもちょうどいいのである。
木箱に開いた穴から辺りをうかがう。
雨の中、動く影が見える。ここから動かずにとにかく待つことにした。

【ギルガメッシュ 所持武器:エクスカリパー 現在位置:マランダの町入り口の木箱 行動方針:隠れて様子見 備考:失意】


343 :名前が無い@ただの名無しのようだ :02/11/17 21:52 ID:???
「いつになったら止むのかしらね……」
岩山で一人眠れない夜を過ごしていたマリベルは、
相変わらずの勢いで振り続ける雨に、ため息をついた。
もう夜明けまで、後1〜2時間ほどという頃だ。
本当は雨が止んでから、マランダに戻ろうと思っていたのだが、
これでは夜明けまで……いや、タイムリミットまで振り続けるかもしれない。
「この周辺で旅の扉が出そうなところなんてマランダだけだし、
タイムリミットギリギリになるとマズイし、ビビやピエールさんも心配だし……」
……色々言っているが、本当は、こんな場所に一人でいるのが心細くなっただけだ。
「やっぱり、今のうちに戻ろう」
マリベルはそう決意し、エルフィンボウと山道で拾ったいかづちの杖を手に、洞穴を後にした。

【マリベル 所持武器:エルフィンボウ・いかづちの杖
 現在位置:マランダ北の山脈 行動方針:マランダへ戻る】

344 :名前が無い@ただの名無しのようだ :02/11/17 22:02 ID:???
突然轟音と共に島全土に声が響き渡った。

「ゾーマ様からのお言葉を伝える!!諸君、心して聞くが良い
 今宵散華せし者は2名!その名は「ホフマン」と「ラムザ」」

風と雨音にさえぎられ、誰が話しているのかはわからないが
大魔王にふさわしき威厳を備えたゾーマの声と違い、その声は妙に参加者たちの気に障った。

そんな事を知ってか知らずか、声の主は朗々とメッセージを続ける
「今また「変革」の時がきたり、これより諸君たちには扉をくぐり新たな世界に向かってもらう
 
「マランダの街」「ベクタ城内」「ツェンの街」「アルブルグの街」
「封魔壁監視所跡地」「大陸西部砂漠」

以上6箇所に旅の扉を出現させる。詳しい場所については自分で探し当てよ、とのお言葉だ」

「すでに承知だとは思うが、その旅の扉が出現して2時間以内にそれに入り、次の世界に向かうこと!
 それを拒むものは死あるのみである!」

最後の方はほとんど絶叫のようになっていた、ようやく声の主もそれに気付いたのだろう
コホンと一つ咳払いをすると、今度は落ちついてもう1度同じメッセージを繰り返す

「以上だ!・・・・諸君らの流す血、そして悲嘆の叫びこそ我が主ゾーマ様の糧
 より一層励むがよい!ガハハハハハッ!」

下品な笑い声と共に放送は終わり、同時に雨は止み東の空が白み始める
そして言葉通り各所に旅の扉が出現した。


345 :1/4 :02/11/17 22:59 ID:???
「何!もう夜明けか」
放送を聞いてファリス一行は慌てて周囲を見渡す
雨の行為で何時の間にか東の空が明るくなってたのに気がつかなかった
それに時計を見るのも怠っていた・・・・・
さらにそれからしばらく進むと、突然エリアが立ち止まり小首をかしげる。

「反応が消えた?」
「はい・・・・先程までは感じることができたのですが、今しがた、全く感じることが出来なくなって
 おそらく先に扉をくぐったのか・・・それとも・・・・」
そこから先は聞きたくなかった、レナが死んだなどと
だがそうなると予定を変える必要が出てくる、もはや北に向かう意味は無くなったし・・・・
ここからツェンまでだと急いでようやく時間ギリギリで辿り着ける距離だ
だがベクタなら楽に戻れる。
「仕方ない、ベクタまで戻ろう・・・・次の世界で出なおしだな」

そうしてベクタまで戻った4人だった、街の入り口までは何事も無く辿り着けた・・・
しかし城に続く大通りに入った瞬間だった。
「!!」
ファリスがエリアを、ロックがアモスを真横に押し倒す、わずかに遅れて剣風が彼らの立っていた場所を一閃する
あと0.1秒遅ければ4人の首は飛んでいただろう・・・・・
そしていつのまにか彼らの目前には銀髪の剣士、セフィロスが静かに佇んでいた。

「くそっ!」
先走ったロックがクィックシルバーを連射する
放たれた弾丸は狙い違わずセフィロスの身体に命中するはずだった
だが弾丸はセフィロスが正宗を一閃する事で全て弾かれていた・・・・しかも
「あああっ!」
ファリスが胸を押さえて床に倒れ込む、押さえた手の隙間から大量の血が溢れ出している
弾き返された弾丸は跳弾となってファリスの胸に命中したのだった。


346 :2/4 :02/11/17 23:00 ID:???
予想外のアクシデントに顔面蒼白になる一同を尻目に
セフィロスは悠々と距離を空けると、どうする?といわんばかりに正宗を肩に担いでいる
その胸中は、デスピサロとの戦いでの鬱憤をここで晴らしてやろうとの思いに満ちていた。

そんな中、アモスが意を決したように一同に告げる
「ここは私が引きうけた、先に行くんだ!」
「アモッさん、でっ・・でも」
アモスはロックに自分の荷物を渡して、その肩を掴み言い聞かせる
「いいから行け!・・・お前まで抜けたら誰が2人を守るんだ!それに今のお前は動揺している
 これでは犬死するだけだぞ!!」
その言葉にロックは静かに頷くと、エリアと共にファリスを担いで城内へと入っていく
そしてアモスはセフィロスの行く手を阻むように道路に立つ

「貴様がどれだけ強いのか知らんが、その余裕が命取りだぜ!」
アモスの姿がモンストラーへと変わっていく
しかしそれを見てセフィロスは驚くどころかますます楽しそうに笑みを浮かべる
「ガァァァァッ」
咆哮と共にアモスの拳がセフィロスに迫る
しかしその拳はセフィロスのかざした刀によって防がれ、さらにセフィロスが刀に気合を込めると
拳もろともアモスの片腕は砕けて、千切れ飛んだ。

それでもアモスはひるむことなく体当たりを敢行する
だがセフィロスはすでに空中に逃れていた、そしてセフィロスの手から突き出された正宗が
アモスの大きく開いた口に突き刺さり、その先端は後頭部に抜けていた・・・・・
そしてスローモーションのようにアモスの身体が傾いていく。
物足りんな・・・少しは遊べると思ったのだが・・・・・
ひとまず正宗を鞘に収め、ロックたちを追おうとしたその時だった。

347 :3/4 :02/11/17 23:00 ID:???
アモスの両目が生気を取り戻すと、突如地響きと共に飛びあがり
セフィロスの背中めがけキックを放つ。
それは、今は亡き盟友ハッサンが放ったのかと見紛うほどの見事な蹴りだった。

寸での所でその蹴りを避けたセフィロスだったがさらにアモスはセフィロスの襟首を掴み、壁へと投げ飛ばす
だがセフィロスは空中で体勢を直すとアモスの肩へと袈裟懸けに正宗を振り下ろす
肩から胸の半ばまでを一気に両断されたアモス・・・しかしそれでもその動きは止まらない
片手でセフィロスの首を握り、首の骨を砕こうとする
「いいかげんにしろ・・・・」
腹に据えかねたセフィロスの言葉と同時に再び正宗が振るわれ、
今度はアモスの腹が真一文字に切り裂かれ、大量の血と共に内臓が飛び出してくる。

セフィロスはアモスの手を解くと、そのままロックたちを追おうとする
終わった・・今度こそ・・・・だがしかし!
またしても背後の異様な気配に振り向いたセフィロスの腹部にアモスの頭がめり込む
今度はセフィロスといえども避けられない、錐揉みをしながらその身体が城壁へと叩きつけられ
バウンドしたところにさらに体当たりを受け、セフィロスは数メートル離れた道路へと墜落する。
ふらふらと起き上がり、正宗をかまえなおすセフィロスだったが
その顔には明らかに焦りの表情が浮かんでいた。

何故だ、何故コイツは倒れない?
正宗を一閃するたびに、アモスの肉体は確実に切り刻まれ、そのたびに血と骨と内臓が飛び散っていく
たとえ魔獣と化していてもとうに息絶えているはずの傷である
だが・・・それでもアモスは未だ倒れることなく、その力を持ってセフィロスをその場に留め続ける
その力の源・・・・それが何であるのかは分からないが、友も仲間も無く守るものすらも無い
そんなセフィロスには決して理解する事ができない物であるとだけは言えるだろう・・・・・


348 :4/4 :02/11/17 23:01 ID:???
セフィロスは何時の間にか自分がじりじりと後退していることに気がついた
その身体からはじっとりと汗が流れ出て止まらない
何だ・・・この不快な気分は・・・・・これは恐怖か・・・バカな!
この私がこんな化け物風情に恐怖しているというのか!?

自分の背中が壁に密着する・・もう下がれない
もはやセフィロスはただ闇雲に正宗を振りまわしているだけだった
その顔に浮かぶのは恐怖の表情に他ならない
ずるずる・・ずるずると、もはや原型を留めぬほどずたずたに刻まれた身体を引きずって
アモスがセフィロスに迫る。

その速度はもはや亀のようにのろかったが、それでもセフィロスは1歩も動けない
「〜〜〜〜〜!!」
セフィロスが声にならぬ悲鳴を上げ、目を閉じる
だが・・・そのときアモスの気配が急に消えた。
恐る恐るセフィロスが目を開けると、そこにはセフィロスのわずか数歩手前で力尽きている
アモスの姿があった。
奇しくもそれはロックたちが扉をくぐり新たな世界へと向かったのと同時だった。

人間の姿に戻ったアモスの身体は先程の巨体が想像できないほど小さかったが
その死に顔には満足気な笑みが浮かんでいた。
恐る恐るその骸に手を触れ・・完全に死んでいるのを確認し、胸を撫で下ろすと
足取りも重くセフィロスはゆっくりと扉に向かった。

もっとも扉をくぐる頃には恐怖は消え去り、またいつもの表情に戻っていたが・・・・


349 :5/4 :02/11/17 23:01 ID:???
【エリア/ファリス(瀕死状態) ジョブ:忍者 アビリティ:!とんずら/ロック 
 所持武器:妖剣かまいたち・水・1,5リットル・小型のミスリルシールド/ミスリルナイフ・加速装置/食料2ヶ月20日強分&毒薬 水1,5リットル×2 吹雪の剣 小型のミスリルシールド/クイックシルバー フィアーの書×7
小型のミスリルシールド 現在位置:新フィールドへ
 行動方針:レナを含むクリスタルの戦士との合流およびファリスの治療】

【セフィロス:所持武器:正宗 現在位置:新フィールドへ 行動方針:全員殺す】

【アモス:死亡】

350 :オルテガ(荒)とか :02/11/18 00:47 ID:???
「…なるほど。間隔が短かったか。ここまでか。」
雨は既に小降りになっており、夜明けが近い事がわかる。
小屋に入っていった二人組が出ていったのを見送り、今度はしっかり一階から入る。
チョコボを小屋に入れ、えさと水を与える。コレに乗ればマランダの町まで
およそ30分。少しくらい休憩する時間があるだろう。1時間の休憩で20分。
私の活動時間だ。もうすぐ変身が解けるだろう。相方も記憶が残っているだろうし…
ふと物置が目に入る。なんとなくではない。微かだが悪の臭いがする。
中を覗いてみると、案の定先程の悪女が捕まっていた。寝ているようだ。
オルテガはどうしようか思案し……。決めた。もう一人の自分に任せよう、と。

二階へ上がり、体を拭き、服を着る。
ヘンに倒れて気絶しても困るのでベッドに座り、覆面をはずした。

―――不意に意識が浮上する。ふと時計を見つめ……硬直した。
針は見間違いでなければ7時を指している。思い出した事は町まで30分。
地図でみる限りここらヘンの扉は町に出現するだろうという事。それだけ。
放送を聞き逃した事が悔やまれるが、今は悠長にしていられない。急いで荷物をまとめ、
窓から飛び降り、チョコボに乗ってマランダの町へ向かっていった。

【オルテガ 所持武器 水鉄砲 グレートソード 覆面  現在位置 マランダのチョコボ屋 行動方針 次の世界へ移動】

351 :1/2 :02/11/18 01:12 ID:???
「……」
「む、もう朝か」
どうも余り眠った気がしない、やはり夜中に騒ぐものではないな。
「死亡者と旅の扉は?」
「…………」
確かに雨が降っておればそんなものかもしれんな。
「でかける前に少し言っておく事がある。」
「?」
本来ならもっと前に言っておくべき事だったのだがな、
それは特殊すぎる状況のせいですっかりわし自身が忘れておった事実。
「わしは今後魔法を使えん。」
「!?」
有り得る筈の無い状況ゆえ、忘れかけておった事実。
「厳密に言えば今はまだ幾らか使えるがなるべくなら使いたくない、
最も数日中には完全に使えなくなる筈だ。」
「!!!!!」
……あのな、お前も術者だろうが。
「儀式魔法はお前が使え、術が使えずとも教える事は可能だ。」
「………」
「ならどうする?貴様が幾ら弱音を吐いた所で状況は変わらん、やるか、やらないか、それだけだ。」
「……」
「わしは無駄な事はせん、お前の才能なら充分に可能だ。」
とはいえかなりの詰め込み授業になるだろうがな、ついでにマゴットを壊す事も諦めねばならぬが…。
二兎追う者は一兎も得ず。
「行くぞ。」
「………」

352 :2/2 :02/11/18 01:13 ID:???
【ハーゴン(数日中に呪文使用不能) 
武器:グロック17、グレネード複数、ムーンの首、グレーテの首、首輪×3
現在位置:ツェン北の山脈中腹 行動方針:ゲームの破壊】
【マゴット 武器:死神の鎌、裁きの杖 
現在位置:ツェン北の山脈中腹 行動方針:ゲームから脱出、仲間と合流】
※ツェンに向けて移動開始

353 :名前が無い@ただの名無しのようだ :02/11/18 01:55 ID:???
焼け焦げた匂いが漂う封魔壁跡地。
雨に濡れながら旅の扉の前に佇む影が一人…と一匹。
「早く行くべきだ。ここも安全とはいえない。」
パパスが傍らの小さな影、トーマスに語りかける。
トーマスはクゥンと鳴いて座り込む。
「私は人を待っている。限界まで待つつもりだ。」
尻尾を振ってこれに答える。
「…そうか。」

しばらくするとひとつの影がやってくる。
のんびりと、ゆっくりとした足取り。およそこのゲームに参加してるとは思えない。
影の主はゼニス。
ゼニスは手を上げてパパスに挨拶をする。
パパスは頷いてそれに応える。
ゼニスはそのまま旅の扉に入る。

雨の中の影二つ。待ち人を静かに待つ。

【ゼニス 所持武器:アンブレラ 現在位置:新天地へ 行動方針:物見遊山】

【トーマス 所持品:鉄の爪 薬草×10 手紙 碁石(20個くらい) 現在位置:封魔壁跡地 行動方針:パパスについていこうと思ってはいる】
【パパス 所持武器:アイスブランド 現在位置:封魔壁跡地 行動方針:バッツと双子を捜す。最終的にはゲームを抜ける。跡地の旅の扉にて限界まで待つ】


354 :名前が無い@ただの名無しのようだ :02/11/18 02:17 ID:???
もはや完全な廃墟と化している封魔壁監視所跡地、そこから洞窟へと続く橋のたもとに
旅の扉は出現していた。

そして今、それに飛び込もうとしている人影がある、まだ幼い少女のようだ
だが、何か様子がおかしい・・・・・

「ふふ・・・面白い物を手に入れたわい」
その声と同時に少女の姿が変化し本来の姿、魔僧エビルプリーストへと戻っていく
その手に握られているのは変化の杖・・・・
そしてそのまま扉に入ろうとするが、ふと思い出したように洞窟の方向を見る。
「おお・・面白い事を思いついたわい」
そう1人ごちると橋に向かって呪文を唱える。
「ヒャダイン」
橋を支える柱が瞬時に凍りつく、それを確認するとまた呪文を唱える。
「メラミ」
今度は凍りついた柱が急速に解凍され、逆に赤く輝くほどに熱せられる。
それを何度か繰り返すと、さすがに頑丈なはずの柱もヒビが入りガタガタになってしまう。

「これぐらいでいいだろうて・・・・ふふふ」
橋の下には増水した海面がうねりを上げている、落ちればまず助かるまい・・・・・
それをこの目で見届ける事が出来ぬのが残念だ、そう思いながら今度こそエビルプリーストは扉に入った。

【エビルプリースト 所持武器:危ない水着 現在位置:新フィールドへ 
 行動方針:天空の勇者(ソロ・クーパー)の始末】

(橋は半壊状態です)

355 :名前が無い@ただの名無しのようだ :02/11/18 02:20 ID:???
>>354
無効で結構です・・・これだからリレー小説は面白い・・・・

356 :名前が無い@ただの名無しのようだ :02/11/18 02:33 ID:???
というわけで>>354の改訂版です

ゼニスやトーマスたちがそこに辿り着く少し前の出来事

もはや完全な廃墟と化している封魔壁監視所跡地、そこから洞窟へと続く橋のたもとに
旅の扉は出現していた。

そして今、それに飛び込もうとしている人影がある、まだ幼い少女のようだ
だが、何か様子がおかしい・・・・・

「ふふ・・・面白い物を手に入れたわい」
その声と同時に少女の姿が変化し本来の姿、魔僧エビルプリーストへと戻っていく
その手に握られているのは変化の杖・・・・
そしてそのまま扉に入ろうとするが、ふと思い出したように洞窟の方向を見る。
「おお・・面白い事を思いついたわい」
そう1人ごちると橋に向かって呪文を唱える。
「ヒャダイン」
橋を支える柱が瞬時に凍りつく、それを確認するとまた呪文を唱える。
「メラミ」
今度は凍りついた柱が急速に解凍され、逆に赤く輝くほどに熱せられる。
それを何度か繰り返すと、さすがに頑丈なはずの柱もヒビが入りガタガタになってしまう。

「これぐらいでいいだろうて・・・・ふふふ」
橋の下には増水した海面がうねりを上げている、落ちればまず助かるまい・・・・・
それをこの目で見届ける事が出来ぬのが残念だ、そう思いながら今度こそエビルプリーストは扉に入った。

ゼニス一行が扉の前に到着したのはぞれからわずか数分後だった。

【エビルプリースト 所持武器:危ない水着 変化の杖 現在位置:新フィールドへ 
 行動方針:天空の勇者(ソロ・クーパー)の始末】

(橋は半壊状態です)

357 :セリス1/2 :02/11/18 06:21 ID:???
セリス・シェールはマランダ近郊の森の中、ひとり放送を聞いていた。
放送の中に自分の大切な仲間の名がなかったことに心から安堵する。
立ち上がって降りかかった水滴を払いつつ、何とはなしに辺りを見回す。
この帝国領はセリスが生まれてから今までの大半の時間を過ごしてきた土地だった。
当然、土地勘も働く。仲間たちを探すには都合がいいはずであった。
それでもセリスは自分から動く気にはなれなかった。
この場所は『崩壊』していない。
自分が元いた世界では、ケフカの手によって世界はいちど滅んだ。
今のこの世界は崩壊する前の帝国領を模している。
ここからでもはっきりと、機械に覆われた首都ベクタの姿が見えた。
視線を動かし、自らの両手を見つめる。
長手袋に覆われた両手はわずかな汚れも見えなかったが、セリスの目には
かつて自分が殺めた何千もの人の血で染まっているように見えた。
悔恨と自嘲の念が沸きあがってくる。
なぜここから動けなかったのか、なぜ仲間を探そうとしなかったのか、
ようやくわかった気がする。

負い目なのだ。

この土地は、かつての自分を・・・『常勝将軍セリス』を否応にも意識させてしまう。
乗り越えたはずの罪の意識。
ロックに出会い、本当の自分を見つけられた気がした。
あの『魔大陸』での闘いで過去の自分と決別できたと思っていた。
だがそれは偽りだったようだ。
(全然、吹っ切れてないわ、私・・・カッコ悪い)
こんな情けない顔は誰にも見られたくない。特に、ロックには。
とにかく今は次の世界に行くことを考えよう。
これ以上ここにいたら、気分がどうにかなってしまいそうだった。
いちばん近くの旅の扉の出現地(マランダ)に向けて歩き出す。
その時だった。

358 :セリス2/2 :02/11/18 06:25 ID:???
―――逃げるのかい?

思わず、足を止める。

―――逃げるのかい?君の罪から

また、聞こえた。
聞き間違いようがない。タガの外れた甲高い声。
自分と同じく人工的に魔導の力を注入され、壊れてしまった男。
ひとつ間違えれば自分がそうなっていたかもしれない。
同じくこのゲームに参加しており、既に死んだはずの男。
「ケフカ―――あなたなの!?」
驚愕して辺りを見渡す。自分以外の気配は感じられない。
だがしかし。

―――君は本当におバカさんだねぇ。どんなことをしても罪が消えることはないのに

(やめて・・・)

―――許されることなどない罪を抱えて、君はこれからどうするんだい?

(お願い、やめて・・・)

―――耳を塞いだってダメさ。君はもう僕に気づいてしまったんだからね

「やめてェェェェェェェェェェェェェェ!!!!」
あらん限りの絶叫を残し、セリスは走り出した。
自らの罪の意識に捕らわれてしまったことに気づきもせず。

【「セリス」: 
 所持武器:ロトの剣 現在位置:マランダ近郊の森
 行動方針:錯乱(とにかく新フィールドへ)】

359 :1/3 :02/11/18 09:53 ID:???
雨がやんだ。たったそれだけの事で、体が急に軽くなる。
倒れたバッツの右腕を引きずりながら、クーパーはふと空を見上げた。
太陽が、自分と『もう一人』を黄色く美しく照らし出す。
(…後何回、見られるかな。)
とつぜん脳裏に浮かんだ思いを、思いっきり頭を降ってうち消す。
(そんな弱気な事でどうするんだよ!みんなで…生きてるみんなで…帰るんだろ!)
下手をすれば再び沈んでいきそうな気持ちを叱咤する。そうだ。バッツ兄ちゃんだって、脱出するって…!
クーパーが引きずっているバッツに、振り返る。
バッツは眠っていた。何か、とんでもなく幸せそうな顔で、仲間の名前とおぼしきモノを呟きながら。
…この際、寝言で出てきた名前が全部女の子の名前である事は気にしないでおく。
なんとなく、叱咤した気持ちが別方向に萎えていく感じがするが、まあそれは放っておいて。
(しょうがないよね。疲れてるんだし。)
そう思えば、バッツの幸せそうな顔にも腹は立つまい。

どうしてこうなったかの説明は、簡単である。
あの後、バッツは雨の中をクーパーと共に走っていて…急に、こけた。
睡眠不足と足場の悪さ。これらを考えれば別にドジと言うわけでもあるまいが。
あろう事かバッツはコケた姿勢そのままで眠ってしまったのだ。
…神経が太いのか、それともよほど疲れていたのか。
とにかく、それからはクーパーがバッツを引っ張って歩いてきたのだ。
町はもうすでに大きく見えていた。途中爆発が見えて立ち止まったりもしたが…もうすでに、町は目の前にある。

「大丈夫…?まだ時間あるし…休もうか?」
クーパーが、隣を歩いている『もう一人』に問いかけた。小さい女の子にこれ以上歩かせるのも…
「大丈夫。私ずーっと寝てたからこれくらい…。」
隣でバッツの左腕を一生懸命引きずっている少女…リディアはにっこり笑って見せた。

360 :2/3 :02/11/18 09:57 ID:???
自分の隣で歩いている少女…リディアはどう見てもクーパーより一つか二つ下だろう。
しかし彼女は、強がって見せながらバッツを引きずり続ける。

…リディアは、バッツが眠ってしまうのと入れ替わりに目覚めた。
バッツがコケて、その手から放り出されて地面にお尻をしたたかにぶつけて…それで、目覚めた。
…起きた直後はとても混乱していたけれど、クーパーがなんとかなだめすかすと、しくしく泣きながらもこちらの言う事を聞いてくれた。
歩いている内に落ち着きも取り戻して、ぽつりぽつりと自分の事を話し出した。
故郷の村が燃やされた事。それを意図せず実行した人のこと…。
最後に、巨大な海竜に飲み込まれたところまでしか覚えていないと、彼女は語った。どうやら記憶までも退行しているらしい。
彼女の言葉の端々に、セシルと言う名前が何度も出てくる。
その名前が出るたびに、クーパーの表情が少し暗くなる。その名前を知っていたから。その名前の人物が、リディアを殺そうとしていたから。
その事は伏せて、クーパーは根気強くこれまでの経緯を説明した。自分たちは…殺し合いをしていると言うことを。
ただ、それを理解しているのかしていないのか、リディアは大きな反応を示すことは無く、必死でバッツを引っ張り続ける。

「うんしょ!どっこいしょ!」
隣でバッツを引っ張るリディアの声が大きく響いてくる。
だがその声とは裏腹に、バッツの身体は遅々として進まない。
「…やっぱり休もう。」
クーパーがもう一度声をかける。リディアは、今度はうんとうなずいて、その場にしゃがみ込んだ。疲れていた。
朝靄の中、鳥の声すらしない静かな夜明け。その中に、二人は座って、空を見上げていた。
「リディア…ご飯食べたら?なんにも、食べてないでしょ?」
そういって、クーパーは自分のザックの中からパンを一つとりだしてリディアに渡す。もうあまり入っていないが…しょうがない。
「ありがと♪クーパー♪」
リディアが、眩しいくらいの笑顔を浮かべてクーパーに礼を言う。
それを見たとたん、クーパーの顔や耳がかっと熱くなって、胸がどきっと、可愛く音を立てた。
「…別に…。」
ぷいっとあさっての方向を向いて、クーパーがわざと素っ気なく言う。顔を真っ赤に染め上げて。

361 :3/3 :02/11/18 10:02 ID:???
その様子に、リディアがあれっと首を傾げた。
「どうしたの?顔、真っ赤だよ?」
「…何でもない。多分。」
胸のドキドキ…訳の分からない気持ちから来るドキドキに翻弄されつつも、クーパーは答えた。やっぱりわざと素っ気なく。

え?どうしてわざと素っ気なく返事をするかって…?何となくである。
そう。何となく。

【バッツ:魔法剣士 時魔法(睡眠)/王子クーパー/リディア(幼児化・記憶退行)
 所持武器:ブレイブブレイド/天空の盾、ロングソード/なし
 現在位置:アルブルクの町近郊
 行動方針:非好戦的だが、自衛はする。レナとファリスを探す。最終的にはゲームを抜ける。
       暫定行動方針としてパパス、アリーナ(アニー)との合流/両親探し/セシルを捜す?】

365 :名前が無い@ただの名無しのようだ :02/11/18 12:13 ID:???
雨がやむころ、やっとベクタにたどり着いた。
実言うと服を乾かす時間がほしい。そう思う、美女ミレーユ。
だけどそんな時間はないに等しい。

ベクタの街中に入る彼女を衝撃が襲った。
仲間、アモスが倒れているのであった。駆け寄ってベホマを唱えるも…すでに手遅れであった。
救いはその顔が満足げであったこと。彼のことだ。命を投げ出して救おうとした何かがあったのだろう。
「…アモス。アモスの遺志は受け継ぐわ。…何を守りたかったか。それを私に見せてちょうだい…」
ミレーユはおもむろに占いを始める。
しばらくするとミレーユの頭の中に三人の人影が見える。
一人が意識を失っている。瀕死の重傷であろう。
「…この人、達ね。…わかったわ。私が合流してみせる。絶対に。」
バーバラのことも、もちろん弟、テリーのことも心配であったが…占い師のカンというものか。今はこっちのことが大事だと、そう思えたのだ。
少なくとも、彼が命を投げ出してまで守ろうとした人たちを助けないわけにはいかない。
「…だけど、少しは泣いてもいいわよね…」
頬を涙が伝う。溢れんばかりの感情を押し殺して。

しばらくの沈黙が流れる。
だけど彼女は何もしないわけではない。
アモスを弔い、アモスの荷物を自分の袋にまとめ、ゆっくりとベクタの城へ歩き出した。
一度振り返る。…アモスの姿が見えた、ような気がした。
決意するように再び歩き出す。

【ミレーユ 所持武器:ドラゴンテイル・妖剣かまいたち・小型のミスリルシールド・水筒1.5ℓ 現在位置:ベクタから旅の扉へ 行動方針:占いで見た三人に会う(ロック、ファリス、エリア9】

368 :1/3 :02/11/18 12:42 ID:???
マランダの街の武器屋、そこの屋根裏にセシルは潜んでいた。
窓からは旅の扉が口をあけて待っているのが見える。

外に向けて銃を構えるセシルの傍らには数本の火炎瓶がある。
ランタン用の白ガソリンを利用しているそれの威力はヘンリーの物とは比べ物にならない。
しかし作るのに手間取ってしまったために、彼は自分の本来の標的の1人であるエドガーが
扉の出現と同時に今潜んでいる武器屋の前を堂々と横切ってとっとと扉に飛びこんだことは知らなかった。

セシルが標的を待っていたその頃、そこから少し離れた家の中ではちょっとした騒ぎが起こっていた。
「このピエール、一生の不覚!あのような女狐にむざむざフローラ様を殺させてしまった!!
 このお詫びは我が命を持って!!」
そう叫ぶなりピエールは手にした剣を自分の心臓へと突き立てようとする。
「ちょっ・・・ちょっと」
「止めてくれるな!ビビ殿!守るべきものを無くして何が騎士ぞ・・・死なせてくれい」
ビビは必死でピエールの手を握り剣を取り上げようとする
だがそれでもピエールは剣を手放そうとはしない、そんな光景がしばらく続くが
突然ビビが、大声で叫び出す。

「何だよ!いくじなし!辛いのはピエールさんだけじゃないんだぞ!! 僕だって、他の皆だってそうさ
 大切なものを失って、でもそれでも何とかしたいって頑張っているんだ!」
その言葉にピエールは、まるで稲妻に打たれたように立ちつくす。
ビビは涙を流しながらピエールに懇願する。
「死んだら・・・もう何も出来ないし、何も残らないんだよ・・・だから自分から捨てようなんて
 考えないでよ・・・・お願いだよ」


369 :2/3 :02/11/18 12:42 ID:???
ビビの涙の雫がピエールの手に零れ落ち・・・そしてこわばっていたピエールの顔に余裕が戻ってくる。
ピエールはビビの肩に手を置いて、頭を下げる。
「ビビ殿・・・・私は騎士としての名誉のみに拘り、大事な事を忘れていたようだ
 それを君の涙が思い出させてくれた・・・・・」
もはやその顔は死を望む者のそれではなく、勇敢な騎士の表情だ。
「ピエールさん!」
「生きてこそまた大切なものを見つける事も、取り戻す事も出来る・・・・いざ行かん!
 我らの大切な誰かを守るために!」

そうして意気揚揚と2人は旅の扉に向かう、そして扉が設置してある広場に差し掛かったとき
ビビの目に道の向こうから手を振り走ってくる少年と騎士の姿が入った・・・・
その正体を知った、ビビの目にまた涙が溢れ出す、ただし今度は嬉し涙だ。

「ジタン!それにフライヤさん、よかった・・もう会えないと思ってた」
「ビビ!無事だったんだ!」
仲間たちは抱き合ってお互いの無事を祝福する、それはまさに生きていたからこその奇跡の再会だった。

「ね・・・生きているって素晴らしいよね」
「全くだ、このピエール感謝の言葉もない」
こうして4人は笑顔を浮かべ、扉へと向かっていた。
だが、彼らはまだ分かっていなかった・・・幸せな時はこの呪われた世界では長くは続かない事を・・・


370 :3/3 :02/11/18 12:42 ID:???
セシルは標的が現れたのを知ると火炎瓶を全部、網の中にいれ、それをゆっくりと振りまわし外へと投げる
遠心力のついた網は、山なりの軌道を描いて飛んでいく、そしてそれがジタンたちのちょうど真上に達したその時
セシルはギガスマッシャーを続けざまに2発、網の中の火炎瓶めがけ発射した。

1発目は威力をあえて弱めた・・・瓶が割れて中のガソリンが大気に触れて気化していく
そこに2発目が命中する。
結果、瞬間的だがメラゾーマにも匹敵する灼熱地獄が、扉に入ろうとしていたジタンたちを包み込んだ。
炎が晴れたその時、そこには何の痕跡も残ってはいなかった。
が、セシルの耳には炎の中、重なるような幾人かの悲鳴が確かに届いていた。

そしてまたセシルは壁にもたれ、また次が通りかかるのを待つ
火炎瓶を全部使ってしまったのは失敗だったと思いながら・・・・・・


【ジタン/フライヤ/ピエール/ビビ 所持武器:仕込み杖/エストック/珊瑚の剣/ギサールの笛/爆弾岩×10
現在位置:新フィールドへ 行動方針:不明】
(全員大火傷の可能性あり)

【セシル 所持武器:暗黒騎士の鎧 ブラッドソード 源氏の兜 リフレクトリング 弓矢(手製) 
 ギガスマッシャー  現在位置:マランダの街 行動方針:皆殺し
 (ハーゴンorエドガーを最優先ただし遭遇すれば他のキャラでも殺す)】

【エドガー 武器:ボウガン&天空の鎧(装備不可) 現在位置:新フィールドへ 
 行動方針:魔法使い、デッシュを探し首輪を解除する】

372 :1/3 :02/11/18 18:21 ID:???
「あった、旅の扉ッスよ!」
民家の屋根の上に昇り、辺りを見まわしていたティーダが、小声で叫ぶ。
下で待つエアリスに場所を示しながら、彼は身軽な動作で飛び降りた。
「ちょうど誰もいないみたいだし、行くなら今のうちッスよ」
「そうね……下手に皆を待つより、先に行った方がいいかもね」
二人は頷いて、歩みだす……が。
「危ねぇ!」
旅の扉がある通りに出ようとした時、何者かが二人を押し倒した。
「何するん……!?」
その上を、銃弾が掠めて飛んで行く。立っていたら、間違いなく頭に命中していただろう。
さらに、目の前で炎が、自分達を守る壁のように燃え上がった。
「早く、こっちよ!」
見ると、一人の少女がいかづちの杖を振りかざしている。
言われるまでもなく、3人は急いで少女のいる民家の影へと隠れた。

373 :2/3 :02/11/18 18:23 ID:???
「ふぃー……あんたらのお陰で助かったみたいッスね」
「ああ、無事で良かったぜ。さっきも4人ほど、やられたみたいだからな」
ギルガメッシュと名乗った男の言葉に、少女――マリベルは何故か怒りを表した。
「ちょっと、変なこと言わないでよ! 皆、あんな炎ぐらいで死ぬタマじゃないわ!」
その口ぶりから察して、『4人』は彼女の知り合いだったのだろう。
仲間を死なせたくない、死んでほしくないという気持ちが、痛いほどわかる。
「絶対、ゾーマをぶち倒して皆で帰るのよ! それまで死んだりしてたまるもんですか!」
……マリベルの言葉に、エアリスとギルガメッシュは顔色を暗くした。
自分が絶対に敵わないであろうセフィロス、その彼が傷1つつけられなかった大魔王ゾーマ……
二人が暗くなるのも当然だ。
一気に重苦しくなったムードに、ティーダは慌てて話題を変えた。
「ところで、マリベル……だっけ? その杖、どこで拾ったンスか?」
もともとは自分の物だったいかづちの杖を指し示しながら、尋ねる。
「北の山の中よ。それがどうかした?」
「……あの、こーんな大きなオッサンとか、黒髪ツンツン頭の男の子とか」
「こんな、緑の髪の女戦士とか、綺麗な金髪のお姫様とか、見ませんでしたか?」
「全然見てないわ。残念だけど」
「俺も、そんな連中は見てないな」
「そうッスか……」
がっくりと肩を落とすティーダとエアリス。どうやら、皆は別の方向に行ってしまったらしい。
……あの山から一番近い町はここだし、しばらく待てば会えるかもしれないが……

374 :3/3 :02/11/18 18:24 ID:???
「それより、アイツをどうするかよ。このままじゃ、旅の扉にだって入れないわ」
マリベルが武器屋の上を示す。さっきはわからなかったが、多分あそこから狙撃しているのだろう。
とりあえず、『戦闘はできるだけ避けたい』という点では、全員の意見が一致した。
「……二人とも、魔法とか使えないんですか?」
「使えねぇことはないが、無駄だな。奴さん、リフレクか何か張ってやがる」
「何か、飛び道具とかは?」
「弓矢ならあるけど、これで銃と打ち合えっていうのは厳しくない?」
『………う〜ん』
4人は一様に手を組んで、同時にため息をついた。

【ティーダ/エアリス/ギルガメッシュ/マリベル
 所持武器:無し/癒しの杖/エクスカリパー/エルフィンボウ・いかづちの杖
 現在位置:マランダの町 行動方針:どうにかして旅の扉に入る】

375 :1/2 :02/11/18 22:52 ID:???
 朝、か。
 とんぬらは雨に濡れた体をゆっくり起こした。
 先程の放送の中に、子供たち…パパスの名前はなかった。まだ、助ける機会はあるのだ。
 とんぬらは森を抜けると、街に入る。念の為正面からではなく東の森を抜けて入ったのだが、街の中は静まり返り、人っ子一人いない。
「…誰もいないのか。争いがあったような形跡もない…」
 これならわざわざ野宿をする必要もなかったかもしれない。
 そんなことを考えながら、とんぬらは民家に忍び込んだ。
 何しろ、ずっと雨に打たれていたのだ、少し寒い。マントがあれば少しは違っただろうが、あいにく前のフィールドで使い捨てている。

 結局、とんぬらは毛皮のコートを頂戴する事にした。暖炉に火をくべ、服についた水を絞って乾かす。ついでに、食事をとっておく事にした。
 制限時間はわずか2時間。子供たちの事は心配だが、時間内に別の旅の扉の地までいく事は不可能だろう。
 だから、今、探しに街を出ることは出来ない。今出来るのは、次のフィールドで動き回れるよう、体力を回復させることだ。
 食事を終え、服を乾かすと、とんぬらは旅の扉を探すために民家を出た。

 暫く歩くと、向こうに大きな屋敷が見えた。遠目からはよくわからないが、扉が開いている…
 誰か、いる…いや、いた、ってことだろうか。
 とんぬらは周囲を警戒しながら、屋敷の中に入った。
 
 屋敷の中は静まり返っていた。警戒するまでもなく物音一つしない屋敷の中を歩いていく。
 と、階段のある広間で、とんぬらはそれを見つけた。
「…剣?何でこんな所に」
 無造作に捨てられている剣を拾い上げる。念の為調べてみたが呪いの類いは、ないようだ。
 ちょうど丸腰で頼りなかったところである。いただいておくことにしよう…

 カラ…

 とんぬらは咄嗟に剣を構えた。物音がしたほうに剣を向ける。
 かさ…かさ…何か、擦るような音。
 慎重に、音のするほうに足を踏み出す。そこで見たものは。

376 :2/2 :02/11/18 22:53 ID:???
「…腐った死体?」
 いや、腐っていないからリビングデッドというべきか。
 体の半分が調度品に埋もれた、動く女性の死体だった。上手く除けれないのか、もがいている様は少し滑稽である。
 近寄ってみる。すぐ側まで来ると、首があらぬ方向に曲がっているのが確認できた。これでまだ動くのだから大した者である。
「大丈夫かい?」
 声をかけると、ぎょろり、と視線がとんぬらに向いた。
 死体の凝視である。並みの人間なら悲鳴を上げるか驚いて腰を抜かすだろう。
 だが、とんぬらは普通ではなかった。色々な意味で。
「なるほど、首が折れて平衡感覚が狂ってるのか。よし…」
 とんぬらは死体の首に手を添える。正しい方向に矯正するとベホイミを唱えた。

「これでいい。もう出られるはずだ」
「………?」
 女性(ゾンビ)は、するっと調度品の合間を抜けた。そして、じっととんぬらを見ている。
「えっと、聞きたいことがあるんだけど、いいかな?まず、ここには誰かいるのかい?」
「………」
 女性は微かに口元を動かす。
「いないのか。旅の扉の事は…わからないよね。なら、君は何故あんな所にいたんだい?」
「………」
 女性は微かに首を傾げる。
「わからない?何でここにいるのかも?目的も?」
「………………」
 女性は微かに俯く。
「名前は?」
 女性は少し間を置いた後、微かに口を動かした。
「ア…イ…ラ。アイラさん。それが君の名前かい?」
「………」
 女性、アイラはこくこくとうなずく。
「そっか。……じゃあ、僕は行くけど」
 アイラはなかまになりたそうにじっととんぬらをみている!
「わかった。一緒に行こうか」
 アイラが仲間に加わった!アイラは微妙に嬉しそうにうなずいた。

377 :2/2 :02/11/18 22:54 ID:???
【とんぬら(DQ5主人公) 所持品:さざなみの剣 現在位置:ツェンの屋敷
 行動方針:王子と王女を助ける、パパスに会う アイラ(ゾンビ)を仲間に】
【アイラ(ゾンビ) 所持武器:死者の指輪 マンイーター 現在位置:ツェンの屋敷
 行動方針:ゾンビ状態中はとんぬらについていく。死者の指輪が外れたら???】

378 :名前が無い@ただの名無しのようだ :02/11/18 23:15 ID:???
「…これか。」
見るからに醜い。鉄板がむき出しになり、それは所々錆付いている。
その城は今まで見てきたどんな城より醜かった。
ベクタ。その城の前。リバストは城の扉に手をかける。
少し名残惜しそうに友の墓のある山を見る。
そして城の扉を開ける。

…鉄板を乱暴につなげ合わせた。そんな感じの城の中。
城というのはどの時代、どんな場所でも人を見守り続けてきた存在であると彼は知っている。
この城は何を今まで何を見て、守り続けたというのか。
そして、今、このゲームで何を見たというのか…出会い、別れ、再会…
自分たちのことも見ていたに違いない。

何を感傷的になっているのだろう。
やれやれと溜息を付き、旅の扉に飛び込んだ。
とにかく生きろといった友のため、もうしばらくは生きてみよう。

もちろん、未練がましく生きながらえるつもりはゆめゆめない。
天空(ソラ)にいる友ともう一度剣を交えたいからだ。

【リバスト 所持武器:まどろみの剣 現在位置:ベクタの城の中の旅の扉から新天地へ 行動方針:今のところ無し】


379 :1/5 :02/11/19 01:45 ID:???
マランダの街外れの狭い裏路地にエアリスたちは潜み、向いにある武器屋の様子をうかがっていた
彼女たちのすぐ近くにある民家には、この緊迫した状況にも関わらず何匹かの鳩が止まっている

あれから10分ほど経つが・・・・動きは無い、少し退屈したマリベルが鳩の群れに視線を移した時
鳩が一斉に民家から飛び去った・・・・と、同時に
「後ろだ!!やられた!奴はもう武器屋にはいねぇ!!」
ギルガメッシュの叫びと同じくして彼らの背後の路地から闇を纏った騎士が銃を構え襲いかかる。

「ギラ!」
「バカッ、呪文は!!」
ギルガメッシュがマリベルを止めるが、わずかに遅かった。
セシルに直撃するはずの閃光は、屈折したかと思うとそのままマリベルへとはね返る。
直撃こそ避けたもののマリベルは地面に頭を打ちつけ気絶してしまった。

だが光がマトモに目に入ったか、わずかにセシルもまた彼らから視線をそらしていた。
そこにギルガメッシュが斬りかかる、セシルもまた素早く飛び退くと剣を抜いて応戦する。
刃と刃が激突し、暗い裏路地に火花が散る。
「泣いている・・・・お前の武具が泣いているぞ、俺には分かる・・・やりなおす気にはならんのか!」
セシルはギルガメッシュの言葉には答えず、ただ黙々と剣を振るう。

エアリスとティーダはそれを固唾を飲んで見守るしかなかった・・・・
しかしどうやらギルガメッシュの剣技がセシルのそれを上回っていたのだろう。
エクスカリパーがセシルの頚部を捉らえる。
「峰打ちだ・・・しばらく頭を冷やせ」

決まったぜ!・・・といわんばかりに背中を向けようとしたギルガメッシュだったが
何事も無かったかのように立っているセシルの姿を見て、狼狽の色を見せる。
「何・・バカな、峰打ちとは言えエクスカリバーを受けてなぜ立っていられる!」


380 :2/5 :02/11/19 01:45 ID:???
先程のクールな態度は何処へやら、焦りまくりったギルガメッシュは
無茶苦茶にエクスカリパーを振りまわす。
「くぬやろ、くぬやろ、くぬやろっ」

そんなギルガメッシュをみて溜息をつくとセシルがブラッドソードを一閃させる。
すると、エクスカリパーは粉々に砕け散った。
「バカなぁ〜〜聖剣エクスカリバーが砕けるなどと、そんなことがあってたまるかぁ〜!」

頭を抱えてわめきちらすギルガメッシュ・・・そして呆れ顔でそれを見ているエアリスとティーダ
そして、セシルがそろそろ終わらせようと、ギガスマッシャーに手を伸ばした時だった。
「!」
セシルの手前わずか数十センチの所に恐らく上空から放たれたのだろう1本の槍が突き立っていた。
その槍を見たエアリスは空に向かって叫ぶ
「カインさん!カインさんでしょ!、助けに来てくれたのね」

そしてエアリスの呼びかけに答えるように、竜を形どった衣装を身に着けた騎士が
路地裏へと舞い降りたのであった。
「セシル・・・・これは一体どう言う事だ・・・・」
「セシル・・あなたがセシルさん!?・・・カインさんも、それにエッジさんも心配してたわよ
 こんなに想ってくれる仲間がいるのに、どうしてこんな事するのよ」
カインとエアリス・・・2人の問いかけにセシルは悲しげにうつむき答える。
「ローザのためなんだよ・・・・」

路地裏を出ると、つい1時間ほど前まで雨が降っていたとは思えないほどの青空が広がっている、
そんな青空の下でセシルとカインは対峙していた
そしてその傍らでは、それを固唾を飲んで見守るエアリスたちの姿があった。


381 :3/5 :02/11/19 01:46 ID:???
「お前は騙されている・・・奴らが約束を守ると思うか?」
「たとえ、可能性が限りなく0に近くても・・・僕はそれにすがるしかないんだ・・・
 だって僕にはローザしかいないんだ・・・・ローザは僕の全てだから」
今度はカインが悲しげにうつむく番だった。
「もし願いが叶ったとして、修羅道に堕ちたお前を見て、ローザが喜ぶとでも思っているのか?」

セシルもまた悲しげに首を振る。
「僕を決して許さないだろうね・・・・でもどんなに憎まれても恨まれても罵られてもかまわない・・
 僕はただローザが生きていてくれればそれでいいんだ、だから!」
セシルは剣をカインに向ける。
「だから僕はたとえどれだけの血を流してでも、ローザを必ず甦らせてみせる・・・君にも邪魔はさせない!」

カインも槍を構える。
「ならば俺もお前を倒さなければならない・・・俺もまたローザを愛していた・・・・
 だからそのローザが愛した、誰よりも優しかったセシルを守るために、今のお前を倒す」

2人は大通りに進み出ると、円を描くように間合いを取り呼吸を整える、すぐ近くでは扉が唸りを上げている。

「こんなこと止めるッスよ!」
止めようとしたティーダをギルガメッシュが制止する。
「2人は親友同士なんだろ!早く止めないと・・・こんなの間違ってるッスよ!」
「親友同士だからこそ誰も立ち入ってはならんのだ・・しかし、悲しすぎるぜ・・・・・」

今まさに、無二の親友同士の壮絶な決闘が始まろうとしていた・・・・だがその時だった。
突然中規模の爆発がセシルとカインを襲う
一同が振り向いた先にはマリベルがいた・・・その瞳は爛々と輝き、痛いほどかみ締められた唇からは血が流れ
さらに頭には大きなコブが出来ている。
そういえばマリベルのことを忘れていた・・・
だがその様子はどう考えても忘れられていたのを怒っているわけではなさそうだ。


382 :4/5 :02/11/19 01:49 ID:???
「いかん!、バーサクしているぞ!」
マリベルがいかつちの杖を振りまわすと、あちらこちらに爆発が起こる。
文字通り敵味方の区別なしの乱れ撃ちだった。
もはや決闘どころではない、逃げ場所を無くしたカインは仕方無しに扉に飛びこむ
そしてマリベルもエアリスの手を振りきるとそのまま扉へと入っていった。
 
そして混乱が収まると、セシルもまた荷物をまとめ扉へと向かう。
「今は見逃します、ですけど次に会えば今度は容赦無く殺します」
殺すという言葉を聞いて興奮気味のティーダを、ギルガメッシュが押さえこむ
そんな姿を見て、思い出したようにセシルが微笑む。

「あなた・・・僕の武具が泣いているって言ってましたよね、確かにそうかもしれないです
 だって、もう僕は涙を流す資格さえ失ってしまった・・・・だから代わりに泣いてくれているんだと
 思うんです・・・・・」
3人の表情が暗くなったのを見て、セシルは慌てて取り繕う。
「ごめんなさい、別れ際につまらないこと言ってしまって・・あ、それとあの剣はエクスカリパーっていう
まがい物ですから、そんなに気にしなくてもいいですよ、それじゃ」
扉の中に消えていくセシルの背中は何故かとても小さく見えて、3人はやりきれない思いで見送ることしか出来なかった。
「俺達も・・・・行くか」
ポツリとギルガメッシュが呟き、エアリスとティーダが力無く頷く・・・・・
「もう・・・・止められないわね・・・・彼が乗ってしまった列車は途中下車は絶対に出来ない
 終わりが来るまで戦い続ける運命・・・・」
「そんなの、あんまりッスよ・・・・・」
もちろん自分の願いをかなえるために、他人の命を犠牲にしていいはずは無い・・・・・
しかしそう割りきるには彼らはあまりにも優しすぎた。

押しつぶされそうな悲痛な表情のまま、彼らも新たな地平へとその身を移した。


383 :5/5 :02/11/19 01:50 ID:???
【マリベル:所持武器:いかづちの杖、エルフィンボウ 現在位置:新フィールドへ 
 行動方針:不明(軽いバーサク状態、時間と共に回復)】

【カイン:所持武器:ビーナスゴスペル&マテリア(回復) 現在位置:新フィールド 行動方針:セシルを止める】

【セシル 所持武器:暗黒騎士の鎧 ブラッドソード 源氏の兜 リフレクトリング 弓矢(手製) 
 ギガスマッシャー  現在位置:新フィールドへ 行動方針:皆殺し
 (ハーゴンorエドガーを最優先ただし遭遇すれば他のキャラでも殺す)】

【ティーダ/エアリス/ギルガメッシュ/ 所持武器:無し/癒しの杖/無し/
 現在位置:新フィールドへ 行動方針:不明】

384 :ルーキーとか :02/11/19 13:49 ID:???
―――――夢を見ていた。
どんな夢だったか思い出せない。ただ、暗く、冷たい湖の底のような夢。
その真ん中に誰かいたような気がする。長い髪をした、優男。
ナニか言ってた気がする。なんだっけ?オモイダセナイ。

「おう、目ぇ覚ましたか。」
そちらを見ると、髪の長い、黒髪の男…夢で見たのとは違う…が立っていた。
「ルーキー殿。やっと起きたでござるか。」
こっちはいつもと同じ、ピンクの鎧を着た戦士、ライアンさんだ。
「おぬし、逃げている途中で意識を失ったんでござるよ。」
…ああ、大体思い出した。
「ココ…どこ?いま何時なの?」
「ここは町の防具屋でござる。つい先程夜明けの放送があったばかりでござるよ。」
「ごめん。だいぶ眠ってたみたいだね。」
「気にしないでほしいでござる。おかげでワシも休憩できたんでござるから。」
「そういえばラグナ殿。ワシらが寝ている間にナニかあったでござるか?」
「おう。ピンクのうねうねしたのがおまえさんらの事を聞きに来たぞ。」
「すると、うまく追い払ったんでござるか?」
「ああ。おまえさん達が北の山に行ったっていっといた。」
「すまないでござる。」
「気にすんナ。好きでやってんだから。」

385 :ルーキーとか :02/11/19 13:50 ID:???
「ライアンさん。あのべホマスライムの事なんだけど…」
「うむ。ホイミンの事でござるか。」
「うん。ライアンさんはあの人とどうゆう関係なの?」
「…昔、ある事件で知り合ったんでござる。あの頃は普通のホイミスライムで
 ござったが。ホイミンは人間になりたいと言っておった。そのためにワシと
 ずっと旅をしてきたんでござるが……。あんな行動をしたのは初めてでござる。
 ワシの事は覚えているようでござるが……。あの時感じた気配はまるで……。」
「…野生のモンスターみたいだった。」
「うむ。しかし、なぜあんな事に……。」
「ねえ、話しを聞いてて思ったんだけど、ホイミンって人
 自分から仲間になりたいって言ってきたの?」
「うむ。それがどうかしたんでござるか?」
「ぼく達モンスターが人間の仲間になる時、一度邪気を抜いてもらう必要があるんだ。
 そういう能力を持った人にやってもらわない事には……。」
「つまり、ホイミンは以前から邪気とやらを持っていた、という訳でござるか?」
「うん。たぶんそれが覚醒しなかっただけなんだと思う。それが今になって……。」
「なんとか元に戻す方法はないんでござるか?」
「魔物使いの能力者がいればなんとかなるかもしれないけど……。」

「…事情はよく読めねえけど、そろそろ出発した方がよくねえか?」
「いや、ワシは時間までここに残っているでござる。」
「…ホイミンさんの事?」
「うむ。北の山に行ったのならココに戻ってくるはずでござる。」
「そう。じゃあ、ぼくも残るよ。」
「そうか。オレは先に行くけど、あまり粘らないほうがいいぞ。」
「うむ。ラグナ殿、世話になったでござる。」
「ああ。また生きて会おうな。」
そしてラグナは新たな舞台へと旅立っていった。

386 :ルーキーとか :02/11/19 13:51 ID:???
【ライアン/ルーキー 所持武器 フライパン×2/スナイパーアイ ブーメラン
 現在位置:ツェンの防具屋 行動方針 ホイミンと魔物使いを探す】
【ラグナ 所持武器:? 現在位置:旅の扉  行動方針:スコールを探す】

387 :名前が無い@ただの名無しのようだ :02/11/19 20:11 ID:???
……どれほど歩いたのだろうか?
ようやく、見慣れた……とは言い難くなった町、アルブルクの風景が目に入る。
背中で眠るエーコの様子を気にかけながら、ピピンは痛む足を引き摺った。

何があったのか、良く分からない。
気がつくと、そこは町ではなく岩山の中で。
怖いものでも見たのか、自分の傍でエーコが泣きじゃくっていた。
やがて泣きつかれて眠ってしまった彼女を背負い、
地図を見ながらどうにかここまで辿りついたのだ。

足が痛い。いや、本当に痛いのかどうかさえわからなくなってきた。
ぼんやりと霞む視界の中、遠くに人影が映る。
『……!!』
向こうもこちらに気付いたらしい。何か叫びながら、近寄ってくる。
(……敵か? ……だとしたら、もう……ダメだ)
傷ついた足を引き摺り、雨に打たれながら、山の中を歩いてきたのだ。
戦う体力など、欠片も残っていない。
いや、もう立っている気力さえ、殆どない。
(すみません、王様……王子、王女……それから、エーコちゃん……)
ピピンはそのまま、ぱったりと地面に倒れた。
『……ン! ピピン、しっかりして!』
どこか聞き覚えのある声だとは思ったが、それが誰のものかを思い出す前に、彼の意識は闇に飲まれた。

【ピピン(気絶&負傷)/エーコ(睡眠) 所持武器:無し
 現在位置:アルブルクの近郊 行動方針:不明】
【バッツ:魔法剣士 時魔法(睡眠)/王子クーパー/リディア(幼児化・記憶退行)
 所持武器:ブレイブブレイド/天空の盾、ロングソード/なし 現在位置:アルブルクの町近郊
 行動方針:非好戦的だが、自衛はする。レナとファリスを探す。最終的にはゲームを抜ける。
       暫定行動方針としてパパス、アリーナ(アニー)との合流/両親探し/セシルを捜す?】

388 :名前が無い@ただの名無しのようだ :02/11/20 00:05 ID:???
「派手にやってたようだな。こりゃ。」
ザックスは灰になった何かを蹴っ飛ばす。
「さて、どうしようか…」
目標となる旅の扉は近くにある。目と鼻の先と形容してもいいだろう。
だけど、そこには憮然と立っている影が見える。
後姿ではあるが日に焼けた隆々とした筋肉。
着ている物はこういう表現はおかしいが綺麗に使い古され、いかにも歴戦の勇士といった風貌。
それでいてどことなく気品も感じさせる。そんな男が旅の扉前に立っている。
後姿であれそれほどの「氣」を持つものだ。無駄な争いは嫌うに違いない。
…だが、このゲームに“参加”している可能性は決して否定できない。
まともにやりあえばやられるやも知れない。
もちろん自分の腕には絶対の自信を持っている。
だが、あの男の腕は自分自身にも測ることができない。技量や経験とは異なる強さを秘めている。
ザックスの額に一筋の汗が伝う。
胸の鼓動が自分の耳に大きく聞こえる。
情けないがここは一気に旅の扉に飛び込むが吉か。
だが、気づかれたらこっちの命はない。
ザックスの全神経をその男に向ける。
地面の感触を確かめる。
…行くぜ!
大地を蹴り、飛翔する───


389 :名前が無い@ただの名無しのようだ :02/11/20 00:06 ID:???
「ワン!!」
「だおわぁ!!」
まさに不意討ち。思わずザックスは声を上げる。
それでもって派手にすっ転ぶ。あっと思ったがもはや手遅れ。
全神経を集中してため、自分の横のことには神経が回らなかったようだ。
いや、人間の接近なら気づいただろう。だが、そこにいたのはトーマス。犬である。
その辺のどこにでもいる犬に注意を払うことはまずない。
「はは、いや、参ったな。」
頭をかきながら立ち上がり前へと進む。
パパスは振り返らない。
「…行くがいい。私は…ここで人を待っている。」
パパスは振り返ることなくザックスに言う。意外な反応にザックスは驚きの色を隠せない。
「いいのか?おっさん。」
「ああ。」
ザックスの瞳にパパスの背中はどのように映ったか。それは本人のみぞ知る。
「…恩にきるぜ。じゃあな!」
そういい残してザックスは旅の扉に飛び込んだ。名前くらいは聞いてもよかったか。そう思っていた。それだけの価値がある人物だった。
パパスはまだ、旅の扉の前でトーマスとともに待ち人を待っている。

【トーマス 所持品:鉄の爪 薬草×10 手紙 碁石(20個くらい) 現在位置:封魔壁跡地 行動方針:パパスについていこうと思ってはいる】
【パパス 所持武器:アイスブランド 現在位置:封魔壁跡地 行動方針:バッツと双子を捜す。最終的にはゲームを抜ける。跡地の旅の扉にて限界まで待つ】

【ザックス 武器:バスタードソード 現在位置:封魔壁監視所跡地から新天地へ 行動方針:非好戦的 女性にはやさしく。】


390 :1/2 :02/11/20 03:49 ID:???

「ふぅ」
朝日に照らされ水面がきらきらと輝く中、大きく背伸びをしながらクラウドは港を歩いている。
雨に濡れてベチャベチャになった髪の毛も、いまはいつものツンツンヘアに戻っている。
彼は、港に停泊していた、ぼろ船の中で1夜を過ごしていたのだ。
そして扉はアルブルグの街の奥、海に面した堤防の一角に設置されていた。

最初は夜を徹してエアリスとティファを探そうとは思っていたのだが、
激しい雨をみて考えが変わった、あの2人のことだ、わざわざ雨の中動き回る事はないだろうと。
それでここで休息を取るつもりだったが、すっかり熟睡してしまっていた。
おかげで放送も聞き逃してしまったし、扉もこうしてすぐ近くに出現してなければ
探すのに一苦労していただろう。

水面のきらめきに目を細めながら港を歩くと、扉が見えてくる、先客がいるようだ。
(あれは....アーサー)
どうやら彼も無事1夜を過ごす事が出来たようだ。と、彼もクラウドに気がついたようだ
笑って手を振り駆け寄って来る。

「クラウドさんも無事だったんですね!」
「ああ、おかげさまでな」
それからしばらく扉の前で2人は雑談を始める、聞き逃した放送の内容も教えてもらえた。
エアリスもティファも、まだ無事のようだ。
ほっと胸を撫で下ろすクラウドにアーサーが声をかける。

「じゃ、そろそろ行きましょうか」
その言葉にクラウドは迷うような仕草を少しだけ見せ、すまなそうな顔でアーサーに告げる。
「悪いが、まだ一緒には行けない、俺はここに残って仲間を待つ」
「そうですか....ではご無事を」
アーサーは何とかして説得しようと考えたようだが、クラウドの決意が固いのを見て諦めたのだろう。
軽くお辞儀をすると扉の中に消えていった。


391 :2/2 :02/11/20 03:52 ID:???
それから、何をするでもなく1人で街の方角を見ていたクラウドだったが、
ふと、遠目に誰かがこちらに近づいて来るのが分かる。
「誰だろ....もしかして、ティファかエアリスかな?」
そうこうしているうちに影はどんどん近くなっていき、やがて港の中に入ってくる。

残念ながら、それはエアリスでもなければティファでもなく
妙にひらひらした装飾過多の服を身に付けた男だった。
もっとも、そのひらひらはあちこち焦げた上にぼろぼろに破れていたが.....
男はクラウドに気がつくと、ひらりと水面を跳んですぐ隣に着地する。

「早く逃げろ!畜生、話し合いの余地すらねぇ!」
「お...おいアンタ、一体」
「話は後だ、こんな一本道にいたら逃げられねぇ、行くぞ!」
エッジは状況が理解できないクラウドの体を掴み、そのままもつれるように扉へと飛びこんでいった。

そしてそれからしばらく後。
「起きたかサマンサ.....体は大丈夫か?」
「ええ...私としたことが魔法の使いすぎでダウンしてしまうとは、ですがもう大丈夫です」
そう言って体を起こしたサマンサの目に妙なものが入る。

「おや....この地面の焼け焦げは?」
「ああ、ちょっとな、お前には関係の無い事だ、体が大丈夫ならもう行くぞ」

デスピサロはサマンサには構わず、さっさと先に歩いていく。
それを見て、サマンサも服装を整えると、慌ててその後を追うのだった。

【アーサー 所持武器:ひのきの棒 現在位置:新フィールドへ 行動方針:不明】
【エッジ:所持武器:忍者ロング 現在位置:新フィールドへ 行動方針:仲間(リディアたち)を探す】
【クラウド:所持武器:ガンブレード 現在位置:新フィールドへ 行動方針:仲間を探す】

【デスピサロ/サマンサ: 所持アイテム:正義のそろばん、『光の玉』について書かれた本 勲章(重装備可能)
 現在位置:アルブルグ 行動方針:腕輪を探す】

392 :名前が無い@ただの名無しのようだ :02/11/20 10:45 ID:???
デッシュは洞窟の入り口で外のまぶしさに目を細める。
洞窟の中でかなり迷ってしまった・・・・放送を聞く限りエドガーはまだ大丈夫みたいだが、
ともかく、さて先を急ぐか。

そう思いながら洞窟から監視所へと続く橋を渡り始めるデッシュだったが
橋の中途まで来たところで突然橋がぐらぐらと揺れる。
「!」
見ると橋の土台がボロボロに腐食している、このまま進めば間違い無く崩れ落ちる。
あと20数メートル先には扉が待っているというのに・・・・
這いつくばるように身体をそっと低くして、デッシュは対岸に助けを求める。

「助け・・・・」
が、声を出した瞬間、また橋はぐらりと揺れ、しかもあちこちに亀裂が走る。
これでは恐ろしくて声も出せない。
下を覗くとそこには濁流がうねりを上げている、落ちれば死あるのみだろう。

(あと1時間しかないってのに、こんなところで・・・・畜生)
浮遊大陸で浮名を流した優男っぷりはどこへやら、冷や汗を流しながら、
誰かの救いの手を祈るような気分で待つ、デッシュだった。

【デッシュ 所持道具:ミネアの首輪 現在位置:封魔壁洞窟への橋
 行動方針:エドガーと合流と首輪の解除】

(橋は崩壊寸前です)

393 :メルビンとか :02/11/20 16:16 ID:???
(…おかしい。外に出てからもう何時間も経つわ。)
モニカは迷っていた。ホフマンが外へ様子を見に行ってからだいぶ経つ。
大丈夫だから。そう言っていた。本当に大丈夫なのだろうか。
となりにいる三人、アーロン、メルビン、ガウは死んだように眠っている。
起こした方がいいんじゃないか。しかし、彼らの事を考えると、どうしても踏ん切りがつかない。
自分で探しにいこうか。しかし、闇はまだ深く、雨はまだ冷たかった。
探しに行こうと思う心のどこかで、あの青年がひょっこり帰ってくるだろうという期待があった。
とりあえず、今まで着ていたホフマンの上着を脱ぎ、乾かしておいた自分の服を着た。
御礼もまだ言っていない。今はただ、早くあの青年に帰ってきて欲しかった。
夜明けの放送の、ほんの数分前の事だった。

「メルビンさん!メルビンさん!起きてください!!」
モニカは激しくメルビンの体を揺すった。落ち着いてなんか居られなかった。
「…むう。…ああ、えーと…。」
(この娘は…確か…雨の中で…!!!)
「あの男はどうなったんでござるか!?」
しかし、モニカはメルビンの質問など聞いていなかった。
「ホフマンさんが…。ホフマンさんが……!!」
メルビンは理解した。まず、アーロンが助かったという事。
そして、ホフマンの身になにかが起こったという事。
メルビンはモニカの目をしっかり見つめて言った。
「落ち着いてほしいでござる。…状況を説明してくれるでござるな?」
モニカは力なくうなずき、たどたどしく状況を説明した。

394 :メルビンとか :02/11/20 16:16 ID:???
「ふむ、モニカ殿。ワシとガウ殿でホフマン殿を探してくるでござる。」
「いいえ、私も行きます。」
「時間が無いんでござる。荷物をまとめ、ここでまっていてほしいでござる。」
「…わかりました。」
「すぐに戻ってくるでござるから。…ガウ殿。」
「ガウ。」
「ホフマン殿が死んだでござる。」
「!!!!」
「探しに…いくでござるよ。」
メルビンは目の奥に、ガウは全身に落胆の色を見せ、洞窟の外へ出ていった。

洞窟からほど近い茂みの中で、首を矢で射抜かれ絶命したホフマンを発見した。
銃を持っていっていたはずだが、周りに落ちていなかった。
メルビンは近くに穴を掘り、ホフマンの遺体を丁寧に埋葬した。
ガウは身動きせず、ホフマンを見つめていた。両手は握り締められ、震えている。
頬には涙が流れていた。少年にとって、この事実は重過ぎた。
埋葬が終わり、メルビンは静かに十字を切った。
「…ガウ殿。ホフマン殿を殺した奴はわかるでござるか?」
穏やかな言葉。しかし、そこには激しい怒りが見え隠れしていた。
ガウの心も同じだっただろう。荒野で生きてきた彼の心は強かった。
そしてガウはちから強くうなずいた。


395 :メルビンとか :02/11/20 16:17 ID:???
「…ここは……。」
メルビン達が出ていって程なくして、アーロンが目を覚ました。
どうやら、洞窟の中のようだ。入り口から漏れる光が夜明けだという事をしめしていた。
記憶がはっきりしない。最後に見た映像は、眼前に迫りくる土砂崩れ。その前に確か……
頭が急速に覚醒した。反射的に腹部を触る。のこぎりの様な足で貫かれたはずだ。
…おそらく、リュックに。しかし、傷は見当たらなかった。誰かが治療してくれたのだろうか。
「ああ、アーロンさん。目を覚ましたんですね。」
歓喜の笑みを浮かべ、モニカが駆け寄ってきた。ここまで来てやっと、
自分が土砂の中でかばっていたのがモニカだった事に気がついた。
アーロンはモニカの目をしっかりみつめて言った。
「悪いが、状況を説明してくれないか?」
モニカの顔が一転して暗くなり、ぽつりぽつりと今までの事を説明した。

396 :メルビンとか :02/11/20 16:18 ID:???
モニカが全てを説明し終えた時、ちょうどメルビン達が帰ってきた。
「アーロン殿、目を覚ましたんでござるか。傷は大丈夫でござるか?」
「ああ、あんたがメルビンだな。助かった、礼を言う。」
「礼ならこちらのガウ殿に言ってほしいでござる。ワシはナニもできなかったでござるから。」
「ああ。…それと、…ホフマンの事だが……。」
「気にしないでほしいでござる。おぬしはナニも悪くないんでござるから。」
「……すまない。」
「……これからの事でござるが、モニカ殿、ここから最も近い旅の扉は
 『大陸西部砂漠』で間違いないでござるな?」
「はい。でも、マランダに比べて少し近いといったぐらいですし。」
「うむ。しかし、残り時間があと一時間と30分ぐらいでござる。
 どちらも距離的にだいぶ厳しいでござるから、少しでも近いほうが…。」
「俺なら大丈夫だ。気にするな。」
「うむ。それでは出発するでござる。」
「…メルビンさん。ひとつ、御願いがあります。」
「…なんでござるか?」
「少しの時間でいいから、ホフマンさんの御墓に寄らしてください。」

『ホフマンの仇を追わなくていいの?』
ホフマンの墓の前にいる二人の姿を見ながら、ガウはメルビンに問い掛けた。
「言ったでござろう?マランダには時間内にはつけないと。」
『でも……。わかったよ。』
「そやつの臭いは覚えているでござるな?」
『うん。絶対忘れない。絶対ホフマンの仇をとってやるんだ!』

397 :メルビンとか :02/11/20 16:21 ID:???
「すまない。時間をかけたな。」
「いや、それじゃあ出発するでござる。」
「ガウ!」
そして四つの影は数多くの悲劇が起こった山脈を後にした。それぞれの心に傷を残して。

【モニカ/アーロン:所持武器:無し/鋼の剣 
   現在位置:大陸西端の岩山北側  行動方針:西の砂漠へ】  
【メルビン/ガウ 現在位置:大陸西端の岩山北側  
  所持武器: 虎殺しの槍 /なし 行動方針 西の砂漠へ ホフマンの仇をうつ】






398 :test ◆yGAhoNiShI :02/11/20 23:21 ID:???
あげてやるか

399 :鈍行発展 :02/11/20 23:40 ID:???
鈍行発展

400 :1/3 :02/11/21 01:46 ID:???
「あれぇ、ここどこぉ?」
イリーナはもうかなりの時間、平原をさ迷い歩いていた。
左足の傷はかすっただけで大したことは無かったが......人恋しくてたまらない。
そういえば崖から滑り落ちていくときに誰かが後を追いかけてきてくれていたような気もする。
 
そんな事を考えながら、とぼとぼと歩くイリーナの目の前に大きな城が見えてくる。
「あれは.....」
ごそごそとイリーナは袋の中から地図を取り出し、現在位置を確認する。、
「えー、もうこんなに歩いちゃったの〜〜やだなぁ」
イリーナはすでにツェンを通り越し、ベクタにまで辿り着いていたのだ。
しかも自分の経路もついでに確認すると、同じ場所を何度も行ったり来たりを繰り返していた。
そのため直線距離ならさっきの岩山から4時間程度のベクタまで到着するのに、
途中、野宿をしたとはいえ、ほぼ1晩中歩き詰めだった事になる。

「......」
事実を知って疲れがどっと押し寄せたのだろう、先程まではぶつくさと独り言を言っていたのだが、
無言で茂みの中に入るとそのまま座りこんでしまった。

それからしばらく経過して.....。
「どうして開かないんだっ!」
手持ち無沙汰だったソロは歩きながら、再びスーツケースと格闘していた。
叩く!蹴る!殴る!斬る!。
再びあらゆる方法を試したのだが、依然として開かない、こうなったらまたギガデインを....
と、思ったがそれは流石にやめた、精神力の無駄遣いだし。

「あー、もういいや、こんなの」
流石に嫌気がさしたのか、ソロはまた不用意に手近な茂みの中にスーツケースを放りなげる。
そして先を急ごうとしたのだが......。
「ちょっと、こんなものいきなり投げないでよ、危ないじゃないの!」
ぎくり....っとして振り帰った先には、金髪の女性、そう、イリ−ナが立っていた。


401 :2/3 :02/11/21 01:47 ID:???

「!!」
どうせコイツもデスピサロの手先に違いない!戦うべし
反射的に剣を抜こうとしたソロだったが寸前で思いとどまる。
先程と比べると、ソロの頭も多少は冷えていた、勇者であるからには誰も彼も疑ってばかりではいけない
やはり冷静になった上で判断しないと......そう自分に言い聞かせながら、ソロは軽く頭を下げる。
「すいません、そのカバンが開かないもので、ついイライラしてしまって」

イリーナは手に持ったスーツケースをしげしげと眺めている。
「これは.....」
良く見ると取っ手のところに神羅のマークが刻印されている、本体に刻まれている
円を囲むようにして、三つの台形が組み合わされたマークは何だったか忘れてしまったが。
と、イリーナは何かを思いついたのだろう、ソロに向かってにやりと笑う。
「ねぇ、これ開けてあげようか?」

イリーナは懐から自分の社員証を取り出すと、それを取っ手の部分のスリットに差しこむ。
と、空中に綺麗な女性の姿をした、ホログラムが映し出される。
『神羅社長室直属、総務部調査課”タークス”のメンバーと確認いたしました、アクセスを承認します』

無機質な機械音声と同時に女性の姿はコンソールを備えたパネルへと変化する。
ソロはその光景を驚きの表情で眺めている
「ふふっ、凄いでしょ」

イリーナはにこりとソロに微笑むが、その内心は冷や汗ダラダラだった。
(機密レベル.....ダブルSですって、何なのよこれは!)
空中に映し出された情報は、このカバンが最重要機密1歩手前だ、という事を示していた
いかにタークスだろうと、これ以上先の情報は無条件に知ることは出来ない。
(プロテクトを破るしかない.....か)

いつの間にか、イリーナはプロテクト破りに夢中になっていた....自分が知る限りのコードを、
次々と入力していく、はっ、と気がついた時にはかなりの時間が過ぎ去っていた。
(いけない、本来の目的を忘れるところだったわ)

402 :3/3 :02/11/21 01:49 ID:???
イリーナは作業をしながら、ちらりとソロの様子を見る、ソロは次々と起こる未知の体験に、
あんぐりと口をあけて、画面に見入っている。
(今だっ!)
ソロが最新テクノロジーに気を奪われているスキに、イリーナは素早くソロの腰に下げている剣を奪い取ると、
そしてそのまま逃走する.....はずだった。

だが、イリーナの手が剣に届く寸前、その手はソロによって阻止されていた。
その顔が見る見るうちに怒りの悲しみが入り混じった凄まじい形相に変わっていく。
「そうか、やっぱりお前もデスピサロの手先だな!よくも僕を裏切ったな!」
「ですぴさ?何よそれ、新手のピザのチェーン店?」
ばれたからには仕方ない、居直ったイリーナは廻し蹴りをソロへと放つ。
「ツォン先輩直伝のキックよ!あんたなんかに交わせるはずが....」

だが、イリーナ自慢のキックは軽々とソロに見切られてしまった。
「な....なんでなんで!?」
見事なまでに空振りし、尻餅をついたイリーナへと剣を向け、ソロは言い放つ。
「勇者には邪悪な攻撃は当たらないようになっているんだ!覚悟しろ!」

まかりなりにもつい最近まで勇者だったソロの大上段からの一撃を何とか交わしたのは、
流石はタークスと誉めるべきだろう。
そしてそのまま、イリーナは振り帰ることなく脱兎のごとくベクタの街へと逃げ込んでいく
(た....助けてツォン先輩、ルード先輩.....この際レノ先輩でも構わないからっ)
「助けてぇぇぇぇぇっ!」
背後にソロの気配を感じながら、足の負傷のことも忘れて、ついでに手持ちの手榴弾のことも忘れて、
ひたすら逃げるイリーナだった。

【イリーナ(左足負傷) 所持武器:グレネード×1 現在位置:ベクタの街 行動方針:逃げる】

【ソロ:所持武器:スーツケース核爆弾/エンハンスソード/イリーナの社員証 現在位置:ベクタの街
 行動方針:追う】  

403 :スラリソ ◆5VrxCs/8kA :02/11/21 02:40 ID:???
次マップ ロンダルキア台地に移動済みのキャラクター。
【エリア/ファリス(瀕死状態) ジョブ:忍者 アビリティ:!とんずら/ロック 
 所持武器:妖剣かまいたち・水・1,5リットル・小型のミスリルシールド/ミスリルナイフ・加速装置/食料2ヶ月20日強分&毒薬 水1,5リットル×2 吹雪の剣 小型のミスリルシールド/クイックシルバー フィアーの書×7
小型のミスリルシールド 現在位置:新フィールドへ
 行動方針:レナを含むクリスタルの戦士との合流およびファリスの治療】
【セフィロス:所持武器:正宗 現在位置:新フィールドへ 行動方針:全員殺す】
【オルテガ 所持武器 水鉄砲 グレートソード 覆面  現在位置 マランダのチョコボ屋 行動方針 次の世界へ移動】
【ゼニス 所持武器:アンブレラ 現在位置:新天地へ 行動方針:物見遊山】
【エビルプリースト 所持武器:危ない水着 変化の杖 現在位置:新フィールドへ 行動方針:天空の勇者(ソロ・クーパー)の始末】
【セリス 所持武器:ロトの剣 現在位置:マランダ近郊の森 行動方針:錯乱(とにかく新フィールドへ)】
【ミレーユ 所持武器:ドラゴンテイル・妖剣かまいたち・小型のミスリルシールド・水筒1.5ℓ 現在位置:ベクタから旅の扉へ 行動方針:占いで見た三人に会う(ロック、ファリス、エリア)】
【ジタン/フライヤ/ピエール/ビビ 所持武器:仕込み杖/エストック/珊瑚の剣/ギサールの笛/爆弾石×10 現在位置:新フィールドへ 行動方針:不明】
(全員大火傷の可能性あり)
【エドガー 武器:ボウガン&天空の鎧(装備不可) 現在位置:新フィールドへ 行動方針:魔法使い、デッシュを探し首輪を解除する】
【リバスト 所持武器:まどろみの剣 現在位置:ベクタの城の中の旅の扉から新天地へ 行動方針:今のところ無し】
【マリベル:所持武器:いかづちの杖、エルフィンボウ 現在位置:新フィールドへ 行動方針:不明(軽いバーサク状態、時間と共に回復)】
【カイン:所持武器:ビーナスゴスペル&マテリア(回復) 現在位置:新フィールド 行動方針:セシルを止める】


404 :スラリソ ◆5VrxCs/8kA :02/11/21 02:41 ID:???
だぁ!
>>403は誤爆!申し訳ない!

405 :1/4 :02/11/21 14:52 ID:???
幾分、朝日が差しているとはいえ、城の大広間は未だに仄の暗い、
そんな中、はぁはぁと戦いの息遣いが聞こえて来る。
「ふんっ!」
ヘンリーは片手で持った斧を勢いよく振り下ろすが、その起動はわずかに波打っている。
それをティファは素早く飛び退って距離を取るが、次の瞬間肩を押さえて苦痛の表情を浮かべる。
そしてまた、はぁはぁと呼吸の音だけが続く。

「たあっ!」
今度もまたヘンリーから仕掛ける、すり足で距離を詰めると今度は斧を振り下ろすのではなく、
穂先をティファの方へ向け、突き出していく、
(後ろには避けると間に合わない、ならっ!)
ティファは瞬時にしゃがみこんでヘンリーの突きを交わすとそのまま向う脛にローキックを入れる。
「ぐわぁっ」
鍛えようの無い急所に一撃を見まわれ、思わず斧を落とし足を押さえるヘンリー、
それには構わずティファは扉が設置されている広間の奥の小部屋へと急ぐ。

(チャンス!)
ヘンリーは足を押さえながらも笑みをもらすと、火炎瓶を取りだしティファへと投げつける。
しかし・・・
ティファは何と火炎瓶をオーバーヘッドで蹴り返した、火炎瓶はひゅるひゅると音を立てて、
ヘンリーの頭上を超えて、廊下の方へと飛んでいった。
しかしそこに2つ目の火炎瓶が放たれる、着地寸前のティファには今度こそ命中するかと思われたが、
またしても、今度は何処かから放たれた石礫が火炎瓶を中空で砕く。
火炎瓶は爆発することなく床を濡らし、そしてティファは扉の中へと飛びこんでいった。

「誰だ!誰が邪魔をした!」
「私だ・・・まぁ、話を聞け」
ヘンリーの叫びに応じるかのように、いつの間にか開け放たれていた反対側の扉の影から、
女騎士-----アグリアスが姿を現した。


406 :2/4 :02/11/21 14:53 ID:???

ティファとヘンリーが戦っていた頃、廊下ではイリーナとソロの追いかけっこが続いていた。
「あっ・・・そうだ、手榴弾があったんだ」
ようやく思い出したイリーナはすばやく手榴弾のピンを抜くと振り返りもせず後ろに投げる。
5つ数えたか、数えないうちに大爆発。
もうもうと煙が立ちこめる中、それでもイリ−ナは走り続ける。
と、その時

「!!」
自分のすぐ目の前にどこからともなく火のついた火炎瓶が飛んで来るのが見える。
イリーナは素早くスーツを脱いで手に持つと、それで火炎瓶を払い飛ばす。
火炎瓶は壁に当たって燃えあがり、周囲を明るく照らす。

と、明るくなった廊下に影が踊る、イリーナが振り向いたときには
すでにソロは床を蹴って空中に飛び上がり、剣を振り下ろそうとしていた。
「なんの!タークス奥義っ!真剣白刃取りっ」
イリーナは両手を頭の上にかざしソロの剣を見事に受けとめ反撃する・・・はずだったが、
ソロの斬撃の鋭さはイリーナの予想を遥かに超えたものだった。
「え・・・」
そう、ソロの剣はイリーナの手をすり抜け、その頭上を直撃したのだった。
そのまま頭頂部から顔面の半ばまでを断ち割られ、こうしてイリーナは絶命した。

「お前が悪いんだぞ!お前が僕を裏切ったから悪いんだ!」
ソロはイリーナの死体に向かって罵声を放つ。
ラムザに・・・・そしてアリーナまでもが自分を裏切りデスピサロの走狗と成り果てて、
(ソロはそう思いこんでいる)いるのだ。
そして今、またしても、だが・・・・
「違うよね・・ティファさんだけは違うよね、あの人だけは僕の味方だよね?」
うつろな瞳で自分に言い聞かせるようにソロはぶつぶつと呟く。
「会いたいよ・・・・早くティファさんに会いたいよぉ」


407 :3/4 :02/11/21 14:54 ID:???
頭を抱えて悲しげにうめくソロの耳に何やら話し声が聞こえてくる
この先の大広間のようだ。
再び剣を抜いたソロだったが、痛みに顔をしかめる、先程の爆弾は何とか避けたものの無傷とはいかなかった
ここは自重すべきだ、そう考えたソロはベホイミを唱えるとしばらく床にもたれて休憩に入った。

そのころ大広間では、
「貴様ぁ!何故邪魔をした!」
ヘンリーは突如現れたアグリアスに向かって叫ぶ。
アグリアスは表情を変えぬまま答える。
「獲物を横取りした事については謝る、だが、あの娘は私のプライドに賭けて、私が仕留めねばならん!」
無手の相手に聖剣技を止められた・・・・初めての経験にして屈辱だった。
その屈辱は再戦をもって仕留める以外に晴らす方法は無い。

それに・・・アグリアスは額に巻いていた包帯を外す、そこには深々とした裂傷があった。
投げ飛ばされた時、ティファの指がアグリアスの額をえぐったのだ
これだけ深いと治癒呪文でも傷跡は残ってしまうだろう。

「只倒すだけではあきたらん!私のプライドに、私の顔に傷をつけた報い、思い知らせてくれる!」
と、そこまで言ったところで、アグリアスはヘンリーに向い奇妙な提案をした。

「私と組まぬか?獲物を奪った詫びだ、手を貸してやる、その腕では満足に斧も振るえまい」
予想外の申し出にヘンリーはかなり面食らったようだ。斧を構えたまま、アグリアスの話を聞いている。
「私にはもはや何も残ってはおらぬ、今この胸中にあるのは己の命脈続く限り戦い抜き、
 生き残りたいという渇望のみ」

ラムザの死を聞かされたとき、アグリアスの全身を言い様の知れ無い喪失感が駆け巡った
そう、もはや生き残りフレイヤの元に戻る以外に、彼女にとっての救いの道は残されていなかったのだ
それにあの娘を追うにしても、盾はあったほうがいい。
そのためには利用できる物は利用させてもらう。どんな手を使ってでも・・・・。

408 :4/4 :02/11/21 14:54 ID:???
しばらく考え込んだ後、ようやくヘンリーが口を開く。
「生き残れるのは一人だぞ」
「ならば最後に決着をつけるのがお前と私ならいいわけだ、最も寝首を掻いても構わんぞ
 出来るならな」

「そうか・・・いわばお前も俺と同じなのだな、いいだろう・・・力を貸してくれ、俺はヘンリー」
もちろんヘンリーもアグリアスを利用するだけ利用し、頃合を見て寝首を落とす
そういう計算が成り立っての判断だった。
「私はアグリアスだ・・・では行くか、それと一言だけ言っておく、あの娘は私に譲れ」

こうして、奇妙な同盟は成立し、二人は連れ立って扉をくぐり
そしてそれから遅れること5分、回復したソロも扉へと入っていった。

【ティファ(負傷) 装備品 無し 現在位置 新フィールドへ 行動方針 クラウドたちを探す/傷の治療】

【ソロ:所持武器:スーツケース核爆弾/エンハンスソード 現在位置:新フィールドへ 行動方針:?】  

【ヘンリー 所持武器:ミスリルアクス イオの書×3 火炎瓶×1 現在位置:新フィールドへ 行動方針:皆殺し】
【アグリアス ジョブ:ホーリーナイト スキル:時魔法 装備武器:スリングショット ダイヤソード 
 なべのふた 現在位置:新フィールドへ 行動方針:ゲームにのる】
(崖から落ちた際のケガはカスリ傷程度です)

【イリーナ:死亡】

409 :1/2 :02/11/21 16:15 ID:???
ーツェン北の山脈の麓ー
「べホマスライム?あれは全滅した筈だが?」
「………」
うん?ひょっとして貴様もわしとは異なる世界の出身か?
だが目の前にいるピンクのクラゲに似た魔物はべホマスライムに間違いない。
「ラ……イ…アン…」
は?
「ライアンサン、ドコ?」
「知らん、はぐれたのか?」
わしの言葉に頷くべホマスライム。
ほほう、ならこんな手も有りだな。
「ライアンに会いたいか?」
「アイタイ。」
「この近辺ではぐれたのか?」
「ウ……」
わしの言葉に頷くべホマスライム。
一瞬おかしな表情をした様にも見えたが、多分気のせいだろう。
「ならこんな所にいる必要はない、旅の扉の前で待っていれば必ず来る。」
「アリガトウ…」
くるりと振り返って街へと移動する間抜けを我々はある程度間隔を空けて追跡する。
ククク…魔物の魂が触媒に使えるかは判らぬ、ならばせいぜい囮にでもなって貰おう。


410 :2/2 :02/11/21 16:17 ID:???
【ホイミン(強化) 所持武器:なし
 現在位置:ツェン北山脈の麓 行動方針 ライアンを探す】
※街へ移動

【ハーゴン(数日中に呪文使用不能) 
武器:グロック17、グレネード複数、ムーンの首、グレーテの首、首輪×3
現在位置:ツェン北山脈の麓 行動方針:ゲームの破壊】
【マゴット 武器:死神の鎌、裁きの杖 
現在位置:ツェン北山脈の麓 行動方針:ゲームから脱出、仲間と合流】
※ホイミンを囮にして町へ移動


411 :ルーキーとか :02/11/21 19:28 ID:???
「ねぇ。ホイミンさん見つけたらどうするの?」
店の商品を物色しながらルーキーはライアンに聞いてみた。
「・・・」
「・・・」
「ねえ、もしかしてナニも考えてなかったの?」
「…いや、まあ、その、、、」
ルーキーはため息をついた。確かに彼にしてみたら放って置けないんだろうし。
「この町には戻ってくるだろうけど、ぼく、またどつかれるのはいやだよ」
たぶん、ライアン一人で接触する分には問題ないと思う。問題は、その時周りにいる
人だれでも殺そうとする事だろう。その時ライアンが止める事ができるだろうか?
確かめて見るためにまた死ぬ思いをする覚悟はまだない。
時間はまだ余裕がある。旅の扉はちょうどこの建物の正面の広場にある。
なんとなく窓から外を見て……。ルーキーは硬直した。
いままでなぜ気がつかなかったのだろう。眼帯はさっき外して道具袋にいれてある。
アレをつけていると目が疲れるからだったのだが。
そこには先程屋敷で見つけたゾンビがいた。しかしルーキーが硬直したのはそのためではない。
彼女といっしょにいたターバンの男のせいだ。
一目見てわかった。この独特の雰囲気。間違い無い。彼は魔物使いだ。
ルーキーはどうしようか迷った。ライアンはこの事にきづいていない。
向こうには、先程のゾンビがいる。それに今にも旅の扉に入ってしまいそうだ。
かける言葉が見つからない。ヘンな事を言ったらこっちを攻撃してくるか、
迷わず扉にとびこむだろう。ああ、だめ、なんとかしなきゃ、、、
助けをもとめてライアンの方を振り向く。しかし、そこにライアンの姿は無かった。
不意に外からライアンの声が響く。
「そこの青年!逃げるでござるよ!そいつは正気でないんでござる!!」
正気じゃないのはおまえだおっさん。さっきから黙っているだけだと思ってたけど、
先に気付いて問答無用でとびかかってったとは。気持ちはわからんでもないが、最悪だ。
その声に反応して、相手のゾンビがライアンに迫りくる。
もうどうしようもない。ルーキーはあわてて表に出て、叫んだ。
『やめて(ろ)、敵じゃない』
ルーキーととんぬらの声は、見事に唱和した。

412 :ルーキーとか :02/11/21 19:29 ID:???
「すいません。うちの人がヘンな事して」
「いや、止められなかったぼくのほうも悪いんだから」
「本当にすまなかったでござる」
「気にしないで下さい。慣れてますから」
広場の真ん中で三人は互いに謝りまくっていた。無防備な事この上ないが。
「あなたは魔物使いなんですか?」
ルーキーはとんぬらの隣にいるアイラを見て言った。
「うん。この人はソコの屋敷で見つけたんだ」
「しかし、彼女はモンスターじゃないでござるよ」
「こんな状態だしなぁ。原因がよくわからないし。」
なるほど。明るい所だと指輪が目立たないもんな。
「たぶんこの指輪のせいだと……」
ルーキーは絶句した。通りの向こうからホイミンが近づいてくる。
まだホイミンの事は説明していない。それにたぶん彼はかなり強い。
止める事を考えて戦いながら作戦を決めるなんてほぼ不可能だ。
そこまで考えたが、さらに状況は悪化した。
ホイミンのだいぶ後ろいる人が魔法をうってきたのだ。あの術式は、たぶんイオナズン。
いまから扉にとびこんでも間に合わない。ライアンととんぬらの位置からでは死角になっていて
二人とも気付いていない。ダメだ。いまから呪文を唱えても間に合わない。

ルーキーが死を覚悟した時、アイラがとんぬらの剣をぶんどり、その剣を振りかざした!
一瞬後、耳をつんざく音と暴力的な光が広場を破壊した。しかしなぜか爆発はこちらには
届かなかった。三人ともナニが起こったのかわからなかった。ただ呆然とアイラの方を見ている。
アイラはそんな三人を掴み、旅の扉へとびこんだ。

413 :ルーキーとか :02/11/21 19:31 ID:???
【ライアン/ルーキー 所持武器 フライパン×2/スナイパーアイ ブーメラン
 現在位置:旅の扉 行動方針 次のフィールドへ ホイミンを説得する】
【とんぬら(DQ5主人公) 所持品:さざなみの剣 現在位置:旅の扉
 行動方針:王子と王女を助ける、パパスに会う 次のフィールドへ】
【アイラ(ゾンビ) 所持武器:死者の指輪 マンイーター 現在位置:旅の扉
 行動方針:ゾンビ状態中はとんぬらについていく。死者の指輪が外れたら???】

414 :ホイミンとか :02/11/21 19:33 ID:???
ホイミンはとても喜んでいた。さっき会った人の言った通り町にライアンさんがいた。
(さっき会った時はどつかれちゃったけど、たぶんぼくが悪かったんだろう。
今度は気をつけなきゃ。周りにいる人は……敵かな?ライアンさんに聞いてみよう。
あれ?この魔力波動は…?)
ホイミンは後ろを振り向いた。
(さっきライアンさんのいる場所を教えてくれた人だ。でも、なんであんな魔法を…?)
魔法の名と共にいくつもの光球が町の広場へと飛んでいった。
振り向く間も無く、さざなみの剣によって反射された無数の光球がホイミンを直撃する!
吹き飛ばされ、地面に叩きつけられるホイミン。しかし、こともなげに起き上がると
無残にも破壊された広場を見た。もちろんライアン達の姿無い。
(ライアンさん…?どこ行ったの。ライアンさん?ライアンサンライアンサ
 ンライアンサンライアンサンライアンサンライアンサンライアンサンライ
 アンサンライアンサンライアンサンライアンサンライアンサン……………)

心に暗いナニかが広がってくる。キッと自分の背後を睨んだ。あいつが、あいつが
ライアンさんを殺したんだ。
『アイツラヲコロセ』
ホイミンは心に広がる闇に身を任せ、ハーゴン達に襲いかかった。

【ホイミン(強化・魔法耐性を確認) 所持武器:なし
 現在位置:ツェン 行動方針 ハーゴン達を殺す。】(ライアンが死んだと思ってます)
【ハーゴン(数日中に呪文使用不能) 
武器:グロック17、グレネード複数、ムーンの首、グレーテの首、首輪×3
現在位置:ツェン 行動方針:ゲームの破壊】
【マゴット 武器:死神の鎌、裁きの杖 
現在位置:ツェン 行動方針:ゲームから脱出、仲間と合流】

415 :スラリソ ◆5VrxCs/8kA :02/11/21 21:20 ID:???
新スレが立ちました。
リレー小説の内容は以後こちらに書き込み願います。

FFDQバトルロワイアル PART3
http://game2.2ch.net/test/read.cgi/ff/1037879784/


read.cgi ver7.00p (02/06/29)