元のスレッド
FFDQバトルロワイヤル PART5
- 1 名前:名前が無い@ただの名無しのようだ :03/03/29 01:01 ID:ks0YBFAu
- PART4が落ちたのでたてました。
- 2 名前:名前が無い@ただの名無しのようだ :03/03/29 01:02 ID:GZ/fLodH
- ふーん
- 3 名前:中立派 :03/03/29 01:03 ID:QE434U+g
- どやどや
- 4 名前:名前が無い@ただの名無しのようだ :03/03/29 01:05 ID:dOWmoSfH
- http://icelake.hp.infoseek.co.jp/anime/one.swf
- 5 名前:名前が無い@ただの名無しのようだ :03/03/29 01:21 ID:hECjh6aB
- +基本ルール+
・参加者全員に、最後の一人になるまで殺し合いをしてもらう。
・参加者全員には、<ザック><地図・方位磁針><食料・水><着火器具・携帯ランタン>が支給される。
また、ランダムで選ばれた<武器>が1つ、渡される。
<ザック>は特殊なモノで、人間以外ならどんな大きなものでも入れることが出来る(FFUのポシェポケみたいなものです)
・最後の生存者のみが、安全に帰宅することができる。
・日没&日の出の一日二回に、それまでの死亡者が発表される。
+首輪関連+
・参加者には生存判定用のセンサーがついた『首輪』が付けられる。
この首輪には爆弾が内蔵されており、着用者が禁止された行動を取る、
または運営者が遠隔操作型の手動起爆装置を押すことで爆破される。
・24時間以内に死亡者が一人も出なかった場合、全員の首輪が爆発する。
・日没時に発表される『禁止技』を使ってしまうと、爆発する。
・日の出時に現れる『階段』を二時間以内に降りなかった場合も、爆発する。
+魔法・技に関して+
・初期で禁止されている魔法・特技は以下の通り↓
「レイズ」「アレイズ」「リレイズ」「フェニックス(転生の炎)」
「ザオラル」「ザオリク」「ザオリーマ」「メガザル」「メガザルダンス」「精霊の歌」その他、復活系の魔法・特技
・全体攻撃の範囲は「攻撃側から見えていて、なおかつ敵と判断した相手全て」。
※現在の禁止技:
復活系の魔法・特技。
ルーラ、バシルーラ、テレポなどの転移呪文・魔法。および、リターン、デジョン、ラナルータ。
+ジョブチェンジについて+
・ジョブチェンジは人が近くにいないときにできる。
そのときにになんらかのアビリティをつけることができる。
・ジョブ特性は、ダメージ回避、落とし穴回避、まほうバリア、薬の知識のみ備わっている
- 6 名前:名前が無い@ただの名無しのようだ :03/03/29 01:22 ID:hECjh6aB
- +召喚について+
・通常召喚は不可
・特殊召喚はOK(継承、ぶちきれ、アイテム経由)
+戦場となる舞台について+
このバトルロワイヤルの舞台は日毎に変更される。
毎日日の出時になると、参加者を新たなる舞台へと移動させるための『旅の扉』が現れる。
旅の扉は複数現れ、その出現場所はランダムになっている。
旅の扉が出現してから2時間以内に次の舞台へと移らないと、首輪が爆発して死に至る。
現在の舞台は、DQ2ロンダルキア。
ttp://xb_lim.tripod.co.jp/dq/2rondarukia.png
━━━━━お願い━━━━━
※一旦死亡確認表示のなされた死者の復活は認めません。
※新参加者の追加は一切認めません。
※書き込みされる方はCTRL+F(Macならコマンド+F)などで検索し話の前後で混乱がないように配慮してください。
※参加者の死亡があればレス末に、【死亡確認】の表示を行ってください。
※又、武器等の所持アイテム、編成変更、現在位置の表示も極力行ってください。
※人物死亡等の場合アイテムは、基本的にその場に放置となります。
※本スレはレス数500KBを超えると書き込みできなります故。注意してください。
※その他詳細は、雑談スレでの判定で決定されていきます。
※放送を行う際は、雑談スレで宣言してから行うよう、お願いします。
※最低限のマナーは守るようお願いします。マナーは雑談スレでの内容により決定されていきます
- 7 名前:名前が無い@ただの名無しのようだ :03/03/29 01:23 ID:hECjh6aB
- 書き手の心得その1(心構え)
・この物語はリレー小説です。
みんなでひとつの物語をつくっている、ということを意識しましょう。一人で先走らないように。
・知らないキャラを書くときは、綿密な下調べをしてください。
二次創作で口調や言動に違和感を感じるのは致命的です。
・みんなの迷惑にならないように、連投規制にひっかかりそうであれば保管庫にうpしてください。
・自信がなかったら先に保管庫にうpしてください。
爆弾でも本スレにうpされた時より楽です。
・本スレにUPされてない保管庫の作品は、続きを書かないようにしてください。
・本スレにUPされた作品は、原則的に修正は禁止です。うpする前に推敲してください。
・巧い文章はではなく、キャラへの愛情と物語への情熱をもって、自分のもてる力すべてをふり絞って書け!
・叩かれても泣かない。
・来るのが辛いだろうけど、ものいいがついたらできる限り顔を出す事。
できれば自分で弁解なり無効宣言して欲しいです。
- 8 名前:名前が無い@ただの名無しのようだ :03/03/29 01:26 ID:pcu4s68Z
- 書き手の心得その2(実際に書いてみる)
・…を使うのが基本です。・・・や...はお勧めしません。また、リズムを崩すので多用は禁物。
・適切なところに句読点をうちましょう。特に文末は油断しているとつけわすれが多いです。
ただし、かぎかっこ「 」の文末にはつけなくてよいようです。
・適切なところで改行をしましょう。
改行のしすぎは文のリズムを崩しますが、ないと読みづらかったり、煩雑な印象を与えます。
・かぎかっこ「 」などの間は、二行目、三行目など、冒頭にスペースをあけてください。
・人物背景はできるだけ把握しておく事。
・過去ログ、マップはできるだけよんでおくこと。
特に自分の書くキャラの位置、周辺の情報は絶対にチェックしてください。
・一人称と三人称は区別してください。
・極力ご都合主義にならないよう配慮してください。露骨にやられると萎えます。
・「なぜ、どうしてこうなったのか」をはっきりとさせましょう。
・状況はきちんと描写することが大切です。また、会話の連続は控えたほうが吉。
ひとつの基準として、内容の多い会話は3つ以上連続させないなど。
・フラグは大事にする事。キャラの持ち味を殺さないように。ベタすぎる展開は避けてください。
・ライトノベルのような萌え要素などは両刃の剣。
・位置は誰にでもわかるよう、明確に書きましょう。
- 9 名前:笑う悪魔 ◆638FJ29rIc :03/03/29 01:45 ID:Ao86IBlJ
- 【トーマス 所持品:鉄の爪 薬草×10 手紙 碁石(20個くらい) 現在位置:南東の森付近の平原。平原を南へ 行動方針:パパスについていこうと思ってはいる】
【パパス 所持武器:アイスブランド 現在位置:南東の森付近の平原。平原を南へ 行動方針:バッツと双子を捜す。最終的にはゲームを抜ける。跡地の旅の扉にて限界まで待つ】
【セフィロス:所持武器:正宗 現在位置:ロンダルキアへの洞窟(出口手前・ロンダルキア側)
行動方針:全員殺す・勝ち残る】
【エビルプリースト(現在の姿はファリス) 所持武器:危ない水着 変化の杖 ファリスのペンダント 現在位置:ロンタルギアの祠南に8マス・ファリスの墓
行動方針:天空の勇者(ソロ・クーパー)の始末】
【カイン:所持武器:ビーナスゴスペル&マテリア(回復) 現在位置:ロンダルキア洞窟近くの岩山
行動方針:セシルを止める】 (セフィロスへの苦手意識あり)
【リディア/エーコ/ピピン
所持武器:なし/なし/ロングソード
現在位置:ロンタルギアの祠
行動方針:セシルを探す?・祠で待つ/仲間を捜す・祠で待つ/リディアとエーコを守る。】
【リュック :所持武器:なし 現在位置:エビマジの研究室 行動方針:なし 】
【ミレーユ 所持武器:ドラゴンテイル・妖剣かまいたち・小型のミスリルシールド・水筒1.5? 現在位置:ロンダルキアの西の橋から南へ 東部の森へと向かう 行動方針:占いで見た人に会う(ロック、エリア)】
【ロック(全身に浅い傷) 所持武器:吹雪の剣 現在位置:ロンタルギア東の森(狭い方)から北へ
行動方針:エリアを守る】
(弾切れのクイックシルバーとミスリルシールドは森に放置されています)
- 10 名前:笑う悪魔 ◆638FJ29rIc :03/03/29 01:46 ID:Ao86IBlJ
- 【「セリス」:記憶喪失 所持武器:ロトの剣
現在位置:祠西の山岳地帯中腹 行動方針:人を探す】
【とんぬら(DQ5主人公)/ルーキー/王女アニー
所持品:さざなみの剣/スナイパーアイ ブーメラン/マインゴーシュ
現在位置:台地北の森と祠西の山岳地帯の境目あたりの湖畔
行動方針:王子を助ける、パパスに会う/ライアンと合流/クーパーを探す】
【エリア 所持武器:小型のミスリルシールド・ミスリルナイフ・加速装置・食料2ヶ月20日強分&毒薬
水1,5リットル×2 フィアーの書×7 小型のミスリルシールド 現在位置:ロンタルギア北の森(やや北西より、つまり北北西?(w)から風の反応へ
第一行動方針:森を抜け、風の反応に追いつく
第二行動方針:クリスタルの戦士との合流】
(エリアは一度だけ召喚魔法『シルドラ』を行使可能)
【ザックス 武器:無し(バスタードソードは地面に落ちたままです)
現在位置:ロンダルキアの洞窟5F 行動方針:とりあえずスコールを何とかする→エアリス・ティファの捜索】
【スコール(負傷) 所持武器:なし 現在位置:ロンダルキアの洞窟5F
行動方針:ザックスを殺す→人形状態ではあるがリノア以外は殺す】
【リノア 所持武器:妖精のロッド・月の扇/アルテマ×1 現在位置:ロンダルキアの洞窟5F
行動方針:スコールと行動する】
【マリベル/ラグナ(両足欠損)/エアリス/ティーダ/ギルガメッシュ 現在位置:ロンダルキア洞窟近くの雪原
所持武器:エルフィンボウ・いかづちの杖・エドガーのメモ/参加者リスト/ 癒しの杖/無し/無し/
行動方針:打倒セフィロス→このゲームから抜ける】
【バッツ(魔法剣士 時魔法)/クーパー
所持武器:ブレイブブレイド/天空の盾 現在位置:ロンタルギアの北西の森から南へ(中央の砂漠を通る)
第一行動方針:(戻るかそのまま南へ行くかは次の人に託します)
第二行動方針:アリーナ(アニー)、とんぬら、パパス、エーコの仲間(名前しか知らない)を捜す
最終行動方針:ゲームを抜け、ゾーマを倒す】
- 11 名前:笑う悪魔 ◆638FJ29rIc :03/03/29 01:47 ID:Ao86IBlJ
- 【セシル 所持武器:暗黒騎士の鎧 ブラッドソード 源氏の兜 リフレクトリング 弓矢(手製)
ギガスマッシャー 現在位置:大陸北部山脈、西の湖側 】
第一行動方針:参加者を殺す(エドガーorハ−ゴンを優先)
第二行動方針:不明
最終行動方針:勝利する。
【ライアン 所持武器:大地のハンマー
現在位置:祠西の山岳地帯 行動方針:仲間を探す?】
【アリーナ 所持武器:イオの書×4 リフレクトリング ピンクのレオタード
現在位置:地下通路(大陸中央付近) 】
第一行動方針:ソロを止める(倒してでも)
第二行動方針:クラウドをティファに会わせる
最終行動方針:ゲームを抜ける
【クラウド:所持武器:ガンブレード 現在位置:地下通路(大陸中央付近)】
第一行動方針:エアリスorティファを探す。
第二行動方針:不明
最終行動方針:不明
【デスピサロ/サマンサ:所持アイテム:正義のそろばん・『光の玉』について書かれた本・
勲章(重装備可能)現在位置:地下通路(大陸中央付近)】
第一行動方針:休息
第二行動方針:腕輪を探す
第三行動方針:勝利者となる(ピサロ)生き残る(サマンサ)
- 12 名前:笑う悪魔 ◆638FJ29rIc :03/03/29 01:48 ID:Ao86IBlJ
- 【ヘンリー 所持武器:ミスリルアクス イオの書×3 現在位置:ロンダルキアの祠西の山岳地帯】
第一行動方針:とんぬら達を追う(遭遇すれば他のキャラも倒す)
第二行動方針:皆殺し
最終行動方針:全てが終わった後、マリアの元へ逝く
【アグリアス ジョブ:ホーリーナイト スキル:時魔法 装備武器:スリングショット
なべのふた マンイーター 現在位置:ロンダルキアの祠西の山岳地帯】
第一行動方針:ヘンリーに見捨てられないようにする
第二行動方針:ティファを倒す
最終行動方針:元の世界に帰還する
【オルテガ 所持武器:水鉄砲 グレートソード 覆面 現在位置:ロンダルキアの祠の離れ
行動方針:、メルビン達と話し合う 離れの探索、アルスを探す】
【リバスト 所持武器:まどろみの剣 現在位置:同上
行動方針:同上】
チョコボが奥に隠れています。
【モニカ/アーロン:所持武器:エドガーのメモ(ボロ)/折れた鋼の剣 現在位置:祠の離れ
行動方針:モニカを助ける アーロンの傷を完治させる、仲間を探す】
【メルビン/ガウ 現在位置:祠の離れ 所持武器: 虎殺しの槍 /なし
行動方針 モニカを助ける、仲間を探す、ホフマンの仇をうつ】
【ゼニス 所持武器:アンブレラ 羽帽子? 現在位置:神殿南の山地 頂上
行動方針:夕方までのんびりする、神殿へ行く、物見遊山】
【マゴット(MP残り僅か、左目負傷、気絶) 武器:死神の鎌 現在位置:ハーゴンの執務室
第1行動方針:ハーゴンから儀式について習う
第2行動方針:不明
最終行動方針:ゲームから脱出、仲間と合流】
- 13 名前:笑う悪魔 ◆638FJ29rIc :03/03/29 01:49 ID:Ao86IBlJ
- 【ティファ(療養中) 所持武器:無し 現在位置:神殿近くの森(砂漠との境界線上)
行動方針:傷を癒す】(夕方の放送時までには回復)
【デッシュ 所持武器:なし 現在位置:神殿近くの森(砂漠との境界線上)
行動方針:エドガーに会う・首輪の入手】
【ジタン:所持アイテム:仕込み杖、グロック17、ギザールの笛 現在位置:神殿
第1行動方針:見張り
第2行動方針:サマンサとピサロの殺害
最終行動方針:仲間と合流、ゲームから脱出】
※ハーゴンの執務室に移動
【ハーゴン(あと二日で呪文使用不能、左手喪失、)
武器:グレネード複数、裁きの杖、ムーンの首、グレーテの首、首輪×2 現在位置:神殿近くの砂漠
第1行動方針:マゴットの治療
第2行動方針:授業 、
最終行動方針:ゲームの破壊】
【導師:所持武器:天罰の杖 星振る腕輪 現在位置:神殿近くの砂漠
行動方針:首輪の入手 エドガーに会う それ以外は不明】
※執務室へと移動開始
※キラーマシーンBとハーゴンのランタンは破壊されました。
- 14 名前:笑う悪魔 ◆638FJ29rIc :03/03/29 01:51 ID:Ao86IBlJ
- エドガー:所持武器:ボウガン&天空の鎧(装備不可)
現在位置:ロンダルキア中央西よりの山地
行動方針:魔法使い、デッシュを探し首輪を解除する、】
【アルス/ティナ: 所持武器:対人レミラーマの杖・天空の剣・黄金の腕輪/プラチナソード 、チキンナイフ
現在位置:ロンダルキア中央西よりの山地
行動方針:仲間を探す】
【バーバラ:所持武器:果物ナイフ・ホイミンの核・ペンダント・メイジマッシャー
現在位置;ロンダルキア中央西よりの山地
【テリー所持武器:なし 現在位置:中央西よりの山地の南にある平原
行動方針:謎の剣士の敵(ティナ)を取る、】
【ピエール 所持武器;珊瑚の剣 現在位置;神殿 行動方針:不明】
(結構迷ってます)
【セーラ(気絶中) 所持武器:アサシンダガー 現在位置:神殿 行動方針:騎士様を探す&皆殺し】
(ブレイズガンは神殿内に放置)
その他
※アークマージがロンダルキアの何処かにいます
※現存するキラーマシーンは神殿内部の一体のみ
※神殿の地下部分は完全崩壊、地下から神殿への侵入は不可能(詳しくは前スレ>>336-338)
- 15 名前:笑う悪魔 ◆638FJ29rIc :03/03/29 01:54 ID:Ao86IBlJ
- 【ソロ(暗闇もしくは失明) 所持武器:エンハンスソード、イリーナの会員証、スーツケース核爆弾
現在位置:現在位置:ロンダルキア中央山地の南にある平原(小島のある湖の西)
行動方針:助けを求める
最終行動方針:デスピサロ打倒(現在もその気があるかは不明)
尚、スレ保管所はここ。
http://chiba.cool.ne.jp/arcystal/index.html
- 16 名前:笑う悪魔 ◆638FJ29rIc :03/03/29 02:07 ID:Ao86IBlJ
- 「あら…」
セーラは目を開けると、きょとんと周囲を見渡す。
「ここは……?」
自分はあの忌々しい魔物どもに追われて、何時の間にか汚らしいゴミ捨て場に足を踏み入れて……。
セーラはそこからのことを頭を抱えながら思い出す。
そういえば何か夢を見たような気がする、確か黒い服を着込んだ、そうあれは…紛れも無い。
「騎士様…夢の中で私を導いて下さったのですね」
セーラは自分で自分の胸を抱き、うっとりと夢の中での出来事を回想する。
「ああ、あのまま目覚めることなく騎士様の腕の中でいつまでもまどろんでいたかった物を」
と、そこで自分の傍らに置かれている短剣に気が着く。
その短剣は普通の短剣と違い、刀身が黒く塗られている、闇夜での使用を念頭に置いた暗殺用の物だ。
だが、セーラはその黒い刃をみて、別の解釈をしたらしい。
「貴方と同じ黒…ああ、この短剣でもって、悪を成敗せよとの仰せですね…騎士様、
セーラは貴方のために戦い、貴方のために死ぬる所存でございます、ああ、でも出来るならば二人で」
と、1人で盛り上がってるセーラだったが、そこで話声が聞こえる、2人組のようだ。
セーラは素早く短剣を胸の谷間に収めると、ふらふらとまるで疲れきったかのように2人組、
ハーゴンと導師、の前に姿を現すのであった。
「お助け……くださいまし…」
「なるほどのう……人を探しておるのか」
「ええ」
執務室へ戻る道すがら、ハーゴンと導師、それからセーラは色々と話をしている。
「その魔物の騎士が、セーラさんの仲間を殺したんですか?」
「そうですわ!しかもその罪を私に着せようと、もう少しで私は殺されるところでしたわ」
ハーゴンも導師も、セーラに対してはまるで疑いを抱こうとはしなかった。
- 17 名前:笑う悪魔 ◆638FJ29rIc :03/03/29 02:08 ID:Ao86IBlJ
- セーラはつい数日前まで一国の姫君、その完全なまでの作法・話術等は彼らを篭絡するのには充分だった。
それにハーゴンたちは、長年の経験からまずはその人物の身のこなしに注目する、2人の見立てでは、
セーラはとてもじゃないが誰かを殺せるようなスキルを持っているようには見えなかった。
ともかく3人は執務室の前に立つ。
「をや、あの若造はどこに行きおった?」
ハーゴンはそこで護衛をしているはずのジタンの姿をきょろきょろと探し求める。
若造?あの金髪の方かしら?と、セーラは少し小首をかしげる。
「まぁいい、導師とやら頼みたい事がある」
ハーゴンは扉にかけていた魔法を解除し、開け放つ、とそこにはベッドの上で眠る女性がいた。
ハーゴンたちはその女性、マゴットのそばによって色々と治療を始める。
魔法で眠っているのだろうか?マゴットはうっとりと瞳を閉じている、顔半分は包帯で覆われてはいるが、
その顔を見た途端、とくん、とセーラの胸が鳴る。
(ああ……なんて素敵な)
あの眠れる女性の首筋をこの短剣で掻き切ったらば、どれほど良い声で鳴いてくれるだろうか?
あふれる血潮に身体を浸せばどれほど気持ちが良い事だろう。
その陰惨で、残虐な妄想に暫しセーラは我を忘れた、そう、やはりアークマージは彼女の心に重大な傷を
残していた、その影響の一端として、彼女の本来持っていた淫楽殺人癖がより病的に、かつ猟奇的、狡猾に
現れるようになっていたのだ。
そんなことは露知らず、ハーゴンたちはマゴットの治療を続けていた。
「どうじゃ…お主の呪文で直るか?」
「目の傷は多分大丈夫だと思う、体力と魔力についてはやっぱり無理をさせずに、、
このまま眠らせておくのが1番じゃないかな?、特に魔力の消耗がひどいからね」
「そうか、やはり刺激を加えずにこのまま寝かせておくか」
- 18 名前:笑う悪魔 ◆638FJ29rIc :03/03/29 02:09 ID:Ao86IBlJ
- 妙に神妙なその様子を見て導師がくすりと笑う。
「その人のことがよっぽど心配なんだね、もしかしておじさんの娘?」
「ばかをいえ」
一笑に付すハーゴンだったが、マゴットが大切な手駒であり、自分のプランの要であることは事実だ。
彼女に何かあれば計画は水泡と化す。
「魔法の効力が落ちておる……起こさぬようにな」
2人はそっと部屋を出て、廊下に出ようとする、その時初めてセーラが口を開く。
「あの……病人ですか?」
「まぁ、病気ではないが……過労といったところじゃな、それがどうかしたか?」
「いいえ、私になにかお手伝いできれば……こう見えても色々としつけられておりますので
そばについて看病くらいなら」
「そうじゃのう」
わざわざ看病を買って出てくれるのを断る理由は無い。
出来れば自分がそばに付いておきたかったが、キラーマシーンの件等、色々とある。
やはりここで大人しくしているわけにもいかなくなる。そのたびに扉をガンガンと叩かれるのは迷惑だ。
それにこの少女、わずかな時間だったが、話してみる限り怪しいそぶりは特に見えなかった、まず大丈夫だろう。
動きを見る限り、戦闘に長けているわけでも魔法が使えるわけでもなさそうだ。
「なら、その言葉に甘えるか、2時間ほどお願いできるか?」
だが、ハーゴンも導師も気がついていなかった…弱者には弱者の戦い方があるということを。
それは彼らが一流の使い手であるがゆえの重大な見落としだった。
と、そこに、とぼとぼとジタンが戻ってくる。
「どこに行っておった?」
- 19 名前:笑う悪魔 ◆638FJ29rIc :03/03/29 02:10 ID:Ao86IBlJ
- 「フライヤを弔いに……花を備えて腕を組ませてやるくらいならいいだろ…でも、身体がもうぐちゃぐちゃでさ、
腕を組ませるにも崩れてきちまって…」
そんな事だろうと思った、ハーゴンはジタンの肩に手を置く。
「持ち場を離れるな…後で略式で良ければ葬儀を行ってやる、ところでスライムの騎士を見なかったか?」
「いや、誰にも会わなかったぜ」
それからしばらく黙っていたジタンだったが、ふと呟く。
「なぁ、おっさんはこのくそゲームを壊して脱出するって言ってたな…だったら、
これから具体的には何をしようと思っているんだ?」
「話してもお前には理解できんぞ」
「俺は今まで、人を助けるのに理由なんていらないって思ってた……だけど
ダガー、ビビ、サラマンダー、フラットレイ、クイナ、ベアトリクス、そしてフライヤ…
こんなにもたくさん死んじまった、だから俺はあいつらのためにも絶対に正しい道を選ばないと
いけないような気がするんだ」
「頼む、アンタは何か理由があってまだ秘密にしておきたいんだろうけど、
このままだと自分が本当に正しいのか不安で仕方がないんだ」
そこで導師が口を挟む。
「僕にも聞かせてください、役に立てるかも」
「そうじゃな……」
たしかにギリギリまで伏せては置きたい、だがここまで来てつまらない理由で離反されるのも問題だ、
時間が無いし、人材は喉から手が出るほど欲しい。
差し障りのない概念・概要程度なら教えてもいいだろう、それでもかなり時間がかかるが。
「よかろう、ならジタンお前は会議室から机とイス、それから黒板を持って来い、この廊下で講義を行うぞ。
導師はワシと共に書庫へついて来い」
- 20 名前:笑う悪魔 ◆638FJ29rIc :03/03/29 02:12 ID:Ao86IBlJ
- 時間にして10分程度だが、また執務室を離れる事になる、出来れば自分は残りたかったが、
片手では机の持ち運びは不便だし、自分でなければほとんど焚書されたとはいえ、
書庫の本の位置は分からない、
ジタンを残してもいいのだが、今の状態で役に立つとも思えない。
ハーゴンはここをしばらく離れることをセーラに告げ、部屋の中から資料一式を取り出すと。
施錠の魔法を幾重にもかけた上で、さらにマヌーサを唱え扉が壁に見えるように偽装する、
見事な出来映えだ、これで大丈夫だろう。
ハーゴンたちは大急ぎで準備を進めに立ち去って行く。
そしてそれと時を同じくしてセーラはゆっくりと行動を開始したのであった。
【セーラ 所持武器:アサシンダガー 現在位置:神殿
第一行動方針:マゴットを殺す 第二行動方針:騎士様を探す】
【ハーゴン(あと二日で呪文使用不能、左手喪失)
武器:グレネード複数、裁きの杖、ムーンの首、グレーテの首、首輪×2 現在位置:神殿
第1行動方針:ジタンたちに授業
第2行動方針:マゴットに授業 最終行動方針:ゲームの破壊】
【導師:所持武器:天罰の杖 星降る腕輪 現在位置:神殿
第一行動方針:ハーゴンの授業を聞く
第二行動方針:首輪の入手 エドガーに会う それ以外は不明】
【ジタン:所持アイテム:仕込み杖、グロック17、ギザールの笛 現在位置:神殿
第1行動方針:ハーゴンの授業を聞く
第2行動方針:サマンサとピサロの殺害 最終行動方針:仲間と合流、ゲームから脱出】
【マゴット(MP残り僅か、左目負傷・睡眠中) 武器:死神の鎌 現在位置:神殿
第1行動方針: 睡眠し、体力・魔力の回復
第2行動方針:ハーゴンに呪法について習う 第3行動方針:ゲームから脱出、仲間と合流】
(授業は執務室前の廊下で行われます)
- 21 名前:笑う悪魔 ◆638FJ29rIc :03/03/29 02:15 ID:Ao86IBlJ
- それはセーラにとっては簡単すぎる作戦の筈だった。
ハーゴン達は遠くに行ってしまったし、マゴットはよく眠っている、加えてハーゴンは扉に呪文をかけて出て行ったから邪魔が入る余地など無い。
自分も脱出出来ないが、あの連中を騙すなど造作も無い事の筈であった。
「………」
マゴットが寝返りを打つ、セーラに背を向ける形で横になっているマゴットのうなじがセーラの目に飛び込んできた。
「まあ!」
セーラの心が激しく躍る、何と綺麗なうなじなのだろう、このうなじから流れる血が、マゴットが苦しみながら力尽きていく様が、見たい。
心の欲求のままにセーラがダガーを構えて近付いたその時。
「!}
「ぐぅっ!」
突然マゴットが反転してセーラの鳩尾に拳をめり込ませる、更に腹を押えて下がるセーラに近くにあった鎌を振り下ろす。
「あぐぅっ!」
「……」
武術の心得の無いセーラにその一撃を完全に交わしきる事は不可能だった、肩口を深く斬られ、その衝撃で転倒してしまう。
「お待ちください、マゴットさん、私は敵では」
ヒュンッ!
セーラの言葉を無視して死神の鎌が唸りを上げる、マゴットの目はガラスの様に感情を示してはいない。
「こ、此処にいるのもハーゴンさんに頼まれて」
更に一撃を喰らい、左足を半ばまで切り裂かれる。
「きゃぁぁぁぁっ!騎士様っ!騎士様ぁっ!」
怯え、混乱したセーラは左足を引き摺って扉へと這い進む、マゴットはその間に鎌を構え直して様子を窺う、
ようやく扉まで辿り着いたセーラは近くの壁に寄り掛りながら何とか立ち上がった。
セーラが知らなかった事が3つある、ハーゴンはセーラの事を疑わなかったが同時に頼りにならぬ人物=計画の駒としては使えないと判断していた事。
そしてマゴットは唯一ハーゴンの脱出方法を知っていながらハーゴンと共に生き残り、共に首を狩っている事。
だからこそハーゴンはマゴットに意識があった事を導師に秘密にし、更に部屋に鍵をかけた、セーラという獲物を決して逃さない為に。
扉を開けようと悪戦苦闘するセーラは背後からマゴットに切り裂かれた。
- 22 名前:笑う悪魔 ◆638FJ29rIc :03/03/29 02:17 ID:Ao86IBlJ
- セーラが自分の血溜まりで首を切られている頃、ハーゴンもまた書庫で自らの血溜まりに倒れていた。
突然吐血して倒れたハーゴンに大慌てで駆け寄り、回復呪文を唱え始める導師、癒しの光がハーゴンの身体に降り注ぐ。
「む、面倒をかけたな。」
「そう思うなら動かない事!」
身を起こそうとするハーゴンを導師が押し止める。
「ならばこの体勢で話す事にしよう、わしはもうじき死に至る、正確には3〜36時間といった所だろう」
海のような沈黙、石のような沈黙、そしてやっと導師の渇いた笑いがその沈黙を打ち破る。
「じょ、冗談でしょ?」
「こんな状況でジョークを飛ばせる程余裕のある人生を歩んできたつもりは無い。」
「じゃあこのゲームを壊すっていうのは嘘?」
「破壊はする、で、いつわしがジタン達と一緒に脱出すると言ったのだ?」
からかう様な笑みを浮かべながらハーゴンは今度こそ立ち上がりつつ首輪を放る。
「それ程知りたければわしの事も脱出計画の事も話してやろう、
それは兎も角貴様には仲間はおらんのか?いい加減心配してると思うのだがな」
(いるなら一旦追い返して逃走、いなければ引き込む事も考えて良いだろう、
船頭多くして船山に登るとも言うし、今日はもうこれ以上の揉め事は御免だ。)
- 23 名前:笑う悪魔 ◆638FJ29rIc :03/03/29 02:18 ID:Ao86IBlJ
- 【セーラ 死亡】
【ハーゴン(呪文使用不能、左手喪失、衰弱)
武器:グレネード複数、裁きの杖、ムーンの首、グレーテの首、首輪 現在位置:神殿の書庫
第1行動方針:授業
第2行動方針:不明
最終行動方針:ゲームの破壊】
【導師(MP減少):所持武器:天罰の杖 星振る腕輪、首輪 現在位置:神殿の書庫
第一行動方針:ハーゴンの話を聞く
第二行動方針:エドガーに会う
最終行動方針:不明】
【マゴット(MP0、左目負傷) 武器:死神の鎌、アサシンダガー、セーラの首(処理済)、首輪 現在位置:神殿の執務室
第1行動方針: ハーゴンに呪法について習う
第2行動方針:不明
最終行動方針:ゲームから脱出、仲間と合流】
- 24 名前:笑う悪魔 ◆638FJ29rIc :03/03/29 02:21 ID:Ao86IBlJ
- ―――彼女は眠り続けていた。
自我は容易にかき消されてしまうくらいに希薄ではあったが、
確かにソコに存在していた。
まったく意識が無いわけではない。
時々、短い時間ではあるが半覚醒の状態が訪れる事があった。
―――彼女は深い暗闇の海に浮かんでいた。
凶暴な、そして冷酷な暗闇。見えるものは何も無かった。
自分が何故ココにいるのか。自分が何なのかもわからなかった。
暗闇は圧倒的な冷たさと重圧を持って、彼女をかき消そうとする。
しかし、彼女は消えなかった。
何故、自分は消えてしまわないのか?
そこで初めて、彼女は自分が何かを抱えている事に気がついた。
圧倒的な暗闇に対抗する力強い光。
刃のような冷気に対する暖かい炎。
重圧に対するやわらかい力。
一枚の虹色の羽だけが、彼女を護っていた。
この羽は、自分に生きろと言っている。
彼女は悔しさと、はっきりとしたもどかしさと、絶望を感じた。
どうしたらココから抜け出せるのかわからない。
感情だけは、完全に覚醒していた。
しかし、それも次第に闇に落ちていく。
彼女は自分の抱えている炎を意識しながら、再び眠りについた。
【リュック :所持武器:なし 現在位置:エビマジの研究室 行動方針:なし 】
- 25 名前:笑う悪魔 ◆638FJ29rIc :03/03/29 11:56 ID:Ao86IBlJ
- 保守
- 26 名前:保管庫 :03/03/30 09:31 ID:S1c1U1zf
- 「じゃ、行こうか」
そういってバッツは、未踏の雪の中を歩き始めた。
「いいの?」
クーパーが追いかけながら尋ねると、バッツは振り返って答えた。
「もうすこしだけだ。城までは行かなくても、ここまできたんだからちょっとだけ行こうぜ。
エーコたちには心配をかけるかもしれないけどさ」
それっきりバッツはまた黙りこくってしまい、クーパーも話し掛けることはなかった。
しばらくして二人は森を抜けた。
「なにも、ないね」
しばらく続いた沈黙を破り、クーパーが口を開いた。
森を抜けたが、誰に会うわけでも何か見つかるわけでもなく、見慣れた白い地平線が続くだけだ。
バッツはそれに「そうだな」と小さく相槌を打ち、地図を広げた。
この先にはちょっとした山脈があり、越えるには骨が折れそうだった。
そこを抜けると、凛冽たる寒気のする大地にはおおよそ不釣り合いな砂漠が広がっている。
平地よりも移動に手こずることは間違いない。
どんなに粘っても最低限砂漠のあたりで引き返さねばならぬだろう、
もっとも、できるだけ早く祠に戻らなければならない以上、ここから先に進むのは理屈に合わないし、
体力を消耗する割りにはなんの収穫もない可能性が高い。
だがそれでも、バッツは進めるだけ進みたかった。
それは未知の大地を探検したいという生まれてから衰えたことのない子供じみた好奇心からでもあったが、
どちらかといえばレナとファリスの死に対する自分の心がまだ落ち着いていなかったからだった。
―――二人の生きた痕跡が、この地の何処かにあるんじゃないか?
勿論、それを見つけても現実はなにひとつ変わらないが。
バッツは地図をしまい、少し空の方を仰いで言った。
「山地を抜けよう。なにもなかったら、祠に戻る」
何を言われてもクーパーはバッツについていくつもりだったので、
それがやや理不尽な行動であっても、特に疑念をもたず素直にバッツの跡を追った。
- 27 名前:保管庫 :03/03/30 09:33 ID:S1c1U1zf
- 山道の傾斜は存外緩く、このまま続けば二人はさほど疲れずに山を抜けることができそうだった。
勾配がきつくなっていくようであれば、途中で引き返すことも十分に考えられるが。
路傍には逞しく雪を掻き分けている草がちらほらと見え、
バッツはそれらひとつひとつにいちいち目を配っていた。
見た目はちっとも綺麗ではなかったが、その姿は悠然としていて、
このゲームに参加しているものには少なからず感ずるところがあるのかもしれない。
特に、悲しみと怒りと、憎しみの最中にある者にとってはなおのことだ。
もっとも、その受け取るメッセージは個々によりけりといえる。
そうして、バッツはなにか物思いに耽っていたが、ふいに声を上げた。
先まで視界に映るどれにも関心を示さなかったクーパーも立ち止まっていた。
山の下に湖が見える。
それは別段他の湖と代わり映えのしないものだったが、
山の上からということが相俟ってか、水面に反射している光がとても煌びやかであった。
見る者の心情の変化という点でも、祠にある湖とは別物に見えるかもしれない。
二人はどちらが声をかけるともなく立ち止まり、しばらくの間その場に佇立していたが、
やがて聞こえてきた叫び声によって、須臾止まりかけた時の流れは何事もなかったかのように動き出した。
「なにがあったんだ?」
バッツは叫び声の方向に顔を向けた。その先にはこれまでと変わらぬ道が続いている。
「い、行こう!」
クーパーは硬直していた足を一気に解き放ってかけだしていこうとしたが、それをバッツはひきとめた。
「クーパー、ちょっと待てよ」
「えっ…なんで?誰か、いるかもしれないよ?」
落ち着いたバッツの声と対照的に、クーパーの声はやや興奮していた。
「誰かいるかもしれないから、待てっていってるんだ」
そういうと、クーパーは刹那バッツの顔を見つめ、すぐに「あ、そうか」と足を止めた。
そうこうしているうちに叫び声はますます激しくなり、悲鳴まで聞こえるようになった。
バッツは一息つき、言った。
- 28 名前:保管庫 :03/03/30 09:34 ID:S1c1U1zf
- 「クーパー、今の状況はわかってるなよな」
「う、うん」
おずおずと頷き返すと、そのまま続けた。
「この向こうに誰かいることは間違いない。それも、どうやらただごとじゃなさそうだ。
わかってると思うけどな、厄介事に関わったらろくなことがない」
クーパーは何も言わなかった。
バッツはそれを見ると、躊躇無くいった。
「行くか行かないかは、お前に任せる」
「…え?」
そのとき、にわかに空気が張りつめた。
「祠にエーコたちを残していること、俺たちの目的、そして今俺たちは殺し合いをしてるってこと、
そのへんをよく考えて、決断してくれよ」
「ちょ、ちょっと待ってよ!」
「なんだ?」
バッツは少し面倒くさそうに尋ね返した。そう言われると、答えることはできなかった。
クーパーからしてみれば、この事態はまったく予想していないことなのだ。
―――そもそも山に来たのはバッツ兄ちゃんの考えあってのことじゃ?
なんで、急にこんなことをいうのだろう?
クーパーは、叫び声が聞いたときにすぐにでも駆けつけたい衝動に駆られたが、
こう改まっていわれると、なんとも行動には移しがたい。
それはつまり、自分の行動に責任が伴われるという実感に他ならなかった。
バッツのことを見つめ直した。
一点の曇りもなく明るい好青年だと思っていたが、
それが今はなんとぶっきらぼうに見えることだろう。
それはまさしく彼が今まで見せなかった一面であった。
強烈な出会いは、初対面の者に通常あるべき壁をいくらか取り除いてくれたのだ。
だがしかし、目の前にいる青年はその壁を少しなおしてしまっていた。
それも、おそらくは無意識のうちに。
- 29 名前:保管庫 :03/03/30 09:36 ID:zmXoj9ZE
- ―――…いや
クーパーは思った。
バッツの中に燻っていたなにかが、今この場に吹き出たというのは少なからずあるだろう。
これが彼の一面であることは疑いようのない事実である。
しかしクーパーは、バッツは本当はいまこの瞬間にもあの場に行きたいのではないか、と感じた。
それはなんとなくそう感じたに過ぎないが。
とにかく、バッツは躊躇っている。
二人であの場に行くことに、躊躇っている。
彼の心の中では、欲求と戻るべきという理性とが葛藤しているに逕庭ない。
どちらをクーパーが選択しても、彼はほっとしてそれに従うだろう。
蓄積されたなにかは、バッツの一面を表した。
もっとも、その兆候はずっとでていたのかもしれぬ。
バッツの気持ちは、「戻る」とも「行く」とも定まっていない。
相変わらず湖は眩しいまでに光を放っている。
つい先までの騒ぎはもう聞こえなかった。
時間はない。
いまこの瞬間、すべての権限がクーパーに与えられた。
【バッツ(魔法剣士 時魔法)/クーパー
所持武器:ブレイブブレイド/天空の盾 現在位置:ロンタルギアの中央北西の山地
第一行動方針:(戻るかそのまま行くかは次の人に託します)
第二行動方針:祠に戻る
第三行動方針:アリーナ(アニー)、とんぬら、パパス、エーコの仲間(名前しか知らない)を捜す
最終行動方針:ゲームを抜け、ゾーマを倒す】
- 30 名前:保管庫2 :03/03/30 09:37 ID:zmXoj9ZE
- 既に日は傾きかけ、山の端にかかろうとしていた。この台地で散っていった幾千もの戦士たちの亡霊が
彷徨い出し、大地を蹂躙せんと蠢き出す時刻に,、小さな子供は何を考えて平原を歩いていたのか。
砂漠を越えてからは不安感が一層色濃くなった。
魔物はゾーマの力により排除されているから、その姿に怯えることはない。
何より危機は身近なもの、寒さと飢えだった。
敵を討とうという意思と、安らげる場所に早く行って楽になりたいという気持ちが天秤の上で揺れ動いていた。
エドガーと剣の稽古をする前から何も口にしていない。
大事に腰に巻きつけた袋は、確かめるまでもなく空の容器でしかなかった。
それでも手を突っ込んでみると、隅に固くなったパンのかけらがあった。
それを摘んで口に含んだ。
噛む所がほとんどないから歯軋りの音が聞こえただけだった。
その耳も、唸る風に長時間晒されて、嫌な音を遮ろうとするかのように遠くなりかけていた。
もう一人は、さながら方位を見失って大海原を彷徨う救命船のような者だった。
酷く自虐的な嫌悪感と、藁にもすがりたい魂からの叫びをごちゃ混ぜにした感情を持ちながら、
ここが何処かもわからずに平原を虚ろっていた。
光を失った目は轟き渦巻く感情とは裏腹に、穏やかで透き通っていた。
【テリー所持武器:なし 現在位置:中央西よりの山地の南にある平原
行動方針:謎の剣士の敵(ティナ)を取る、】
【ソロ(暗闇もしくは失明) 所持武器:、イリーナの会員証、
現在位置:ロンダルキア中央西よりの山地の南の平原(テリーより少し西)
行動方針:助けを求める
最終行動方針:デスピサロ打倒(現在もその気があるかは不明)
- 31 名前:保管庫3 :03/03/30 09:41 ID:zmXoj9ZE
- 突然室内に引っ張り込まれたモニカ。
あまりの事態に思わず暴れようとしたが、口を塞がれ間接を決められ、あっさりと動きを封じられた。
動かない分にはなんら問題ないが、もがくだけでも節々がきしんで痛む。
喚くこともできず涙目の彼女の姿に、リバストは眉をひそめた。
「いささか乱暴ではないか?」
「安全に越したことはない。それにことを聞いたらちゃんと開放するさ」
オルテガは淡々と、モニカ言う。
「というわけで、少し話を聞かせてほしい。こんな状況なんで乱暴なのは勘弁してもらうがな」
オルテガはそう前置きしてモニカたち一行について尋ねる。
威圧的な男二人に、モニカは青ざめながらこれまでの経緯を話す。
二人は黙ってモニカの話を聞いていたが、壁の化け物に襲われたときに助けてくれた少年のことを話すとオルテガが反応した。
かなり…モニカにとって、意外な反応だったが。
「おお…そうか、そんなことがあったのか。アルスは心正しく育ってくれたのだな」
「その名前は会ったときにも聞いたな。誰だ?」
リバストの言葉に、オルテガは誇らしげに言う。
「わが息子だ」
「エーっ!!」
と。モニカの声が室内に響いた。
――――
メルビン、ガウ、アーロンの三人は離れの様子をうかがっていた。
戦闘経験のないモニカから目を離したのは明らかに失敗だった、しかし今はその責任所在について問うことに意味はない。
アイコンタクトと小声でどうするかを相談しあう。
ガウが自分が暴れて中の気を引くといえばメルビンがそれを窘め、メルビンが話し合ってみようかといえば中にいるのがどんなヤツかわからないから危険だとアーロンがいう。
――ならばどうすればいいのでござるか。
――相手が何であれ、目的があるなら次の行動に出るはずだ、そこで先手を取る。
――がう…。
――まだ、どんなヤツなのかはわからん。だが、今の状態で暴れては逆にモニカが危険だ。
――冷静でござるな。まったく正論でござる。
- 32 名前:保管庫3 :03/03/30 09:42 ID:zmXoj9ZE
- そういったわけで、三人は息を殺して中の様子をうかがっていたのだった。
――ガウ殿、中の様子はどうでござるか?
――モニカが何か話してる。
――無事でござるか…
とりあえず、すぐには命をとられなかったことにほっとしながら、警戒を続けてしばらく。
「エーっ!!」
離れの中から、モニカの声が聞こえてくる。切羽詰った様子はない、が…
中で何かがあったことは間違いないだろう。
――アーロン殿、ガウ殿!
――がう!
アーロンは無言で半ば折れた鋼の剣を抜き、うなずこうとする…
――いや、待て。
研ぎ澄ませていたアーロンの勘が、森の向こうから誰かがやってくる気配を察知していた。
その次の瞬間にはガウも気配に気付く。
――誰か…来る。
――むう、前門の虎、後門の狼といったところでござるな。
メルビンは油断なく虎殺しの槍を構えながら、つぶやいた。
――――
エビルプリーストは前方に人の気配を感じて身を隠した。
彼(姿は彼女)の接近は既に気付かれていたのだが、自分に自信を持っているものは自分が出し抜かれることを考えもしないものだ。
「さて、ここは思案のしどころじゃ…じゃない、しどころね」
どうやら、向こうにいるのはそろって男らしい。ならば自分が出て行っても油断するか、受け入れてくれる可能性もある。
だが、無力な女性を装うということはそれだけで身を危険に晒すことになる。
「なにやら取り込んでいるようだし、様子をみるのもいいか…じゃない、いいかもね」
- 33 名前:保管庫3 :03/03/30 09:46 ID:kaZrk/4n
- 祠の中にいるピピン、リディア、エーコは恐々と外の様子をうかがっていた。
これまでも何人かが祠に気付かず通り過ぎていった。しかし、オルテガが祠に気付いてからというもの、空気が違う。
そして今、そのオルテガが騒ぎを起こしている。もう、隠れていられなくなるかもしれない。
「いいですか二人とも。もし、外の誰かが祠の扉を開けたら、扉の合間を抜けてわき目もくれずに逃げなさい。
そしてできるならばクーパー様たちと同流するんですよ」
「でも、ピピンは…?」
「こんな足でも、何とか二人が逃げる時間くらいは稼げるでしょう」
この足ではとても走れない、という言葉は省いて、ピピンは微笑んだ。
もう自分は逃げることはできない。けれど、剣を振ることならできるだろう。
「そんな…そんなの」
今からもう泣きそうなリディアの頭を優しくなでる。
「僕だって死ぬのはいやですよ。でも、こうなることはずっと前から覚悟していましたから」
主から譲られたロングソード。それとともに託されたまだ幼い子供たち。
そう、私は誰かのために戦おうとしている。誰かのために死のうとしている。
「…馬鹿だよ。そんなことしたって誰も喜ばないよ」
「ええ。自己満足です。そして、そうやって生きることを誇りに思う男もいるんですよ。
おぼえておきなさい。そうすればきっと、エーコちゃんはいい女になれる」
「エーコはもうイイ女だよっ!」
エーコの強がりを、ピピンは心の底から好ましく感じた。
自分はきっと最後まで後悔しないだろうと思った。それが、嬉しかった。
- 34 名前:名前が無い@ただの名無しのようだ :03/03/30 09:46 ID:kaZrk/4n
- とんぬら、アニー、ルーキーの二人と一体は湖を架ける橋を渡っている。
一行の行く手を遮るものはなく、特にアニーは上機嫌だった。
クーパーには悪いが、頼もしさではやはり父親は別格だ。
父親と一緒にいるだけで、もう何も恐くない。側にいるだけで勇気が湧いてくる。どんな敵とも戦える。
それは子供特有の純真さと残酷さかもしれないが、子供特有ゆえ、アニー自身は気付かない事である。
「この橋を越えた南の平原に出たら、誰かに会えるのかなぁ」
「南の平原に出たら、湖沿いに西に行ってみよう。地図だと、僕たちが雪崩に巻き込まれた山道はそこに出るみたいだから」
とんぬらとルーキーはそんなことを話している。アニーは興味がなかった。父に任せておけばいい。父が間違える事なんてないんだから。
こうして、ルビスの加護に守られているはずの祠にいくつもの意思が集っていく。
その先に何があるのか、誰も知らないままで。
【オルテガ 所持武器:水鉄砲 グレートソード 覆面 現在位置:ロンダルキアの祠の離れ
第一行動方針:アルスを探す】
【リバスト 所持武器:まどろみの剣 現在位置:同上
行動方針:特になし】
【モニカ:所持武器:エドガーのメモ(ボロ) 現在位置:祠の離れ
第一行動方針:オルテガたちから逃げる…今は和解の方向?
第二行動方針:アーロンの傷を完治させる
第三行動方針:仲間を探す】
チョコボが奥に隠れています。
- 35 名前:保管庫3 :03/03/30 09:47 ID:kaZrk/4n
- 【アーロン
所持武器:折れた鋼の剣 現在位置:祠の離れのそば
第一行動方針:モニカを助ける
第二行動方針:仲間を探す】
【メルビン/ガウ
所持武器: 虎殺しの槍 /なし 現在位置:祠の離れのそば
第一行動方針:モニカを助ける
第二行動方針:仲間を探す
第三行動方針:ホフマンの仇をうつ】
【エビルプリースト(現在の姿はファリス)
所持武器:危ない水着 変化の杖 ファリスのペンダント 現在位置:祠の離れの手前
第一行動方針:アーロン、メルビン、ガウの品定め】
第二行動方針:天空の勇者(ソロ・クーパー)の始末】
【ピピン
所持武器:ロングソード 現在位置:ロンタルギアの祠
第一行動方針:外の騒ぎが静まるのを待つ
第二行動方針:リディアとエーコだけはなんとしてでも守る】
【リディア/エーコ
所持武器:なし/なし 現在位置:ロンタルギアの祠
第一行動方針:外の騒ぎが静まるのを待つ
第二行動方針:祠から逃げてバッツたちと合流
第三行動方針:仲間(セシル?)を捜す】
【とんぬら(DQ5主人公)/ルーキー/王女アニー
所持品:さざなみの剣/スナイパーアイ ブーメラン/マインゴーシュ
現在位置:北の森から祠に架けられた橋
第一行動方針:クーパー、ライアン、パパスとの合流】
- 36 名前:保管庫3 :03/03/30 09:47 ID:kaZrk/4n
- かなりたくさんの人が集まってます。
オルテガたち、メルビンたち、エビルプリーストはお互いかなり近くにいます。
そこから少し離れた場所にピピンたちがいて、
騒ぎが起こったら気付く位置にとんぬらたちです。
- 37 名前:保管庫4 :03/03/30 09:50 ID:/zxmiQyc
- 嫌な予感は現実のものとなって、テリーの脳髄を刺激した。
おどろおどろしい人とおぼしき影を見たときから、テリーは体が石のように硬直して動けなかった。
見たこともなければ想像したこともない。敗残兵などという言葉は知らないが、知っていたらまさしくそれに近い
ものだと認識しただろう。
魔物ではなく人間で、自分の方に向かって歩いてくると確実にわかった時、
これは敵だと直ちにテリーは判断した。
テリーにとって魔物は良き友であり、頼れる仲間だった。知らない魔物も、テリーに襲いかかってくることはなく
連れ合いの三体の仲間(同じく魔物)にのみ牙を剥いた。、
何故なのかはわからなかった。ただそういうものなのだと、幼い心で理解した。
一方このゲームで凶暴さを見せつけた人間には、ひたすら恐ろしい感情だけを抱いた。
タイジュの国は皆穏やかで、策略性や攻撃性とは縁遠い人たちばかりだった。
それがこのゲームに巻き込まれたことで、考えを改めさせることになった。
――優しそうな人たちも本当は恐ろしい心を持っているんじゃないか
今いるこの世界だけが特別なのだと信じたかった。だがもしかしたらこれが人間の本当の姿なのかという
考えが頭の片隅をよぎったとき、テリーは子供心に酷いものだと思った。
見かけは大袈裟でとても角張っていて、陰険そうで怖い姿をしていても魔物は
餌をあげて手懐けたら、どんなペットよりも可愛かった。
一度仲間になれば、熱い友情が芽生え、苦楽を共にする人生のパートナーとなった。
力強さも、思慮深さも、勇敢さも、優しさも、全てテリーのために発揮してくれた魔物たちだった。
テリーは涙ぐんだ。今魔物たちはいない。いるのは自分を殺そうとばかり考えてる人間だけ。
ぽろぽろこぼれ出す雫を抑えようとぐっと歯を食いしばった。
「ちくしょう!」
足元に転がっていた石をおもいっきり投げつけた。
石は放物線を描いてすーっと伸びていき、テリーが拒んだ「敵」の胸に命中した。
鈍い音がして、うっという呻き声が聞こえた。
その人は胸を苦しそうに押さえながら崩れこむように倒れた。
- 38 名前:保管庫4 :03/03/30 09:50 ID:/zxmiQyc
- あまりに呆気なかった。怒りに震えて猛然と掴み寄ってくることを予想していたのに。
テリーは暫し茫然と佇み、やがて用心することも忘れ近づいていった。
その人は地にうずくまったまま顔を上げようとしない。
緑の鮮やかな髪が顔に張り付いていて、不自然な形でまとまっているのが目に付く。
「……」
テリーは血の気が引いた。顔を上げたその人は、泣いていたのだ。
近所の子供が転んで足を怪我したときに、母親を泣きながら呼んでいる光景を思い出した。
そんなに痛かったのか それとも子供に石を投げつけられたことがとても悔しいのか
テリーは直立不動のまま、驚いてそれからどうすることもできなかった。
「うう……痛い…よ」
その声を聞いた途端に、テリーの心はガラスの破片が突き刺さったかのように痛みだし、
今までに感じたことのない激しい後悔の念が込み上げてきた。
この人は僕に何かをしたわけじゃない。僕が、ただ歩いていたこの人に石をぶつけたんだ。
ひどいことを僕がしたんだ。
魔物だってこんなことをしたら、僕を嫌いになる。嫌だ……そんなの
信じられるだろうか。まだ信じていたい。人間はきっと信じられる。
微かに残っていた人間への期待が想いを強くしていった。
テリーは唇を噛み締めた。想いを遂げるには勇気をふり絞らねばならない。
半分起き上がったその人をぐっと見つめた。
「さっきのは、僕が、やった…」
- 39 名前:保管庫4 :03/03/30 09:52 ID:/zxmiQyc
- 「誰!? 誰がいるんだ。もうやめてくれ!」
テリーは言葉に詰まった。想像もつかない言葉が返ってきたからだ。
何を言ったのか瞬時には理解できなかった。
その人の目は先程流した涙は消え失せ、代わりに何処を見つめているのかわからない
不可思議さで飾られていた。
テリーはずっと視線を逸らさなかった。そしてようやくわかった。
ならばと、その人の手を握り締め、優しく話しかけた。
「僕はテリー。大丈夫だよ。何もしないから。
名前教えてよ」
その人はびくっと体を震わせて、怯えていた。その顔は目を細めて神に助けを乞う哀れな羊だった。
やがてテリーがいつまでも手を離さずにいるのを受け入れたように
深く頷いてゆっくりとつぶやいた。
「ソロ……」
そこだけ周りから隔絶されてしんみりとした空気が漂っていた。
まだ大人になりきれていない、しかしずっと年上の少年が、幼子にすがりついて泣いていた。
苦しい身の想いを涙声で訴えながら。
テリーはむっとするような臭いに顔をしかめながらも、荒ぶる心に一さじの鎮静剤を盛られたような、
奥底では充足するものを感じていた。
【テリー所持武器:なし 現在位置:中央西よりの山地の南にある平原
行動方針:謎の剣士の敵(ティナ)を取る、】
【ソロ(暗闇もしくは失明) 所持武器:、イリーナの会員証、
現在位置:ロンダルキア中央西よりの山地の南の平原
最終行動方針:デスピサロ打倒(現在もその気があるかは不明)
- 40 名前:保管庫5 :03/03/30 09:54 ID:/zxmiQyc
- えっちらおっちらとジタンはイスを持って執務室の前に立つ。
いくらなんでも数回に分けて運ばなければ、とても人数分を揃える事は出来ない。
面倒くさい作業だったが、それでも余計なことを考えずに済むだけでもマシというものだろう。
ともかくジタンはイスを設置して、また会議室にとって返そうとしたのだが……。
ズルリ。
背もたれを持つ手に妙な感触を残してイスが廊下を滑る、いぶかしげにジタンが床を見る、そこには。
「これは…血?」
いかにマヌーサで偽装していても、扉の隙間から溢れ出す赤いものまでごまかすことはできない。
くんくんと鼻を鳴らすとやはりかすかだが血の匂いが漂ってくる。
この部屋にいたのは……マゴットとそしてあのセーラとかいう女の子だ。
「何があったんだ……」
そのまま扉のある場所を押してみる……簡単に開いた、と同時にむせかえるような血臭が溢れ出す。
何回嗅いでも慣れない匂いだ、ジタンは鼻をつまんで思わず目を伏せる、と同時に彼は見てしまった。
あのセーラの首無し死体を……。
いきなりの死体とのご対面、しかもついさっきまで確かに生きていたのに……その残酷な事実に、
耐えきれず”うう”とうめき声を上げてしまったジタンだが、次の瞬間には抜け目なく状況の確認を行う。
「なんて奴だ…逃げようとした相手を後ろから…」
ぱっと見ただけでも分かるのは、セーラの傷がほとんど背中側についている事だ、さらにおぞましい事実も分かった、
血痕の状況から見て、おそらく彼女は生きたまま首を刎ねられたということだ……。
そういえばマゴットは!?
ジタンは周囲を見まわすが、ハーゴンの呪文の効果か、視界がやや悪い…部屋の中に隠れてるのかもしれないし、
もしかすると先に逃げたのかもしれない。
外に探しに行きたいが、あともう少しだけ状況を知りたい、ジタンはさらに死体を調べようと自分の背中を、
廊下側から部屋側に向けたその時、部屋の奥の机の下に息を潜めて隠れていたマゴットがジタンへと、
襲いかかったのであった。
- 41 名前:保管庫5 :03/03/30 10:02 ID:LaCNqs9S
- その回避し得ないかと思われた致命の一撃をジタンは紙一重で回避した。
視線を下に向けていたから助かった、それでもし床に映る相手の影を発見する事が出来なければ、
間違いなく彼もセーラと同じ運命を辿っていただろう。
「な!おまえはっ!」
次々と振り下ろされる鎌を床を転がりながら避けるジタン。
いきなりの攻撃に驚き慌てるジタンだったが、その正体を見てまた驚く、そうその姿はまごうことなく、
マゴットその人だったからである。
「おい!正気に戻…」
ジタンはマゴットに呼びかけるが、それは横薙ぎの鎌の一閃でさえぎられる。
今度も紙一重で避けたジタンは冷や汗を掻く、あと少し遅ければ首を斬り裂かれていた。
さらに容赦なく踏みこんでくるマゴットの斬撃を右に左に交わしながら、ジタンはあることに気がつく。
セーラの身体についた傷、あれは曲刃系の武器でつけられた傷だった、そう、例えば…
「まさか!お前がセーラを…」
その言葉にマゴットは答えない、ただクスリ…と笑っただけだ、その笑顔を見てジタンは確信した、
コイツは正気だ…素面でセーラを殺し、さらに今度は俺まで、ってまさか!
自分でこれまでわずかながらも感じていた様々な疑惑がここにきて一本の糸で繋がり始めた。
(おっさんは確かにこのゲームを壊すって言った…だけどもそれは俺たちのタメじゃない、
あくまでおっさん個人のため、俺達は駒ってことか?)
いや、駒ならまだマシだった、今の状況ではどう考えても生贄としか思えない。
ハーゴンへの怒りがふつふつと涌いてくるが、とりあえずは今この場を切りぬけなければ、
生贄にされてからでは文句も言えない。
- 42 名前:保管庫5 :03/03/30 10:04 ID:LaCNqs9S
- ここでマゴットの状態についてわずかながら説明させていただく。
実はハーゴンは余りに消極的なマゴットの性格に不安を感じ、万が一を考えマゴットにはイザというとき
攻撃的に動けるよう、あくまでも軽い暗示を何度かに分けてかけていたのだが、
力の源であるシドーを失った事により、ハーゴンはわずかずつであるが自らの能力の制御が利かなくなりつつあった。
それは彼本人にもわからない、微妙なものであったが、その微妙な狂いが積み重なり、
暗示は彼女の精神に過度の重圧を与え、そして蓄積された負担がある一点を越えたとき、
それは恐るべき形となってマゴットの精神を押しつぶしたのであった。
そう、今の彼女は活動的を通り越し、意識こそ明晰ではあるが、人間的な感情が麻痺した、
いわゆるソシオパスとなっていたのだ、今の彼女はハーゴンやアルスですらも平然と手にかけるであろう。
そしてまた、その開花したありあまる攻撃性をいかんなく発揮して、再びマゴットはジタンへと迫る。
しかし今度はジタンも反撃に出る、抜き放った仕込み杖で鎌を受けとめるとそのまま手首を返して
鎌の刃を天井に向けさせ、マゴットの力を分散させるとそのまま肩から体当たりをかます。
たまらずマゴットは手を離してしまい、スッポ抜けた鎌は壁に突き刺さる。
そして体勢を崩したマゴットの襟元を両手で掴むと、そのままジタンは背中から床へと倒れこみ。
その反動で相手を投げ飛ばすそう、柔道で言う巴投げだ。
だが、床に倒れこんだその時、ジタンの目に目を見開いたままのセーラの生首が入る。
この予想外の物体に動揺したジタンの手元が狂い、マゴットはあさっての方向へと飛んでいき
やはり壁に叩きつけられる。
駄目だ、これじゃ入りが甘い、来る。
そう考えたジタンは慌てて起きあがろうとするが、完全に起きあがったとき彼が見たもの…それは。
- 43 名前:保管庫5 :03/03/30 10:05 ID:LaCNqs9S
- 実はマゴットが叩きつけられたのは、死神の鎌が突き刺さった壁の真下だった、
鎌はその衝撃でそのまま下へと滑り落ち、そしてまさにギロチンのごとく、マゴットの首を半ば切断したのだ。
どう考えても致命傷だ、しかしそれでもマゴットはまだ立ちあがろうとする。
がたがた、がたがたとまるで壊れかけの自動人形のように、首から噴水のように血飛沫を上げながら…
その恐るべき光景に流石のジタンも動けない…だがそれも長くは続かなかった。
やがて、プツリ、という音と共にマゴットの首は完全に胴体から千切れて、手前に組んでいた
自らの腕の中に転がり落ちる、そのまるで自分の首を抱いているかのような奇妙な亡骸、
それはセーラの残した呪詛の成せる業だったのかもしれない。
ジタンは部屋の真ん中にへたり込んだまま動こうとはしない。
これからどうする、これ以上面倒に巻き込まれたくないならこのままずらかるのも手だ、
だがもし自分が逃げたとして、その後はどうなる?
またあの男は同じ事を繰り返すような気がする、それを関わりのないこと、と割りきるには、
ジタンは関わり過ぎていた、それとは別に騙されていたという怒りも、もちろんある。
「とりあえず騙してくれたお礼はしないとな…」
こうしてジタンはセーラの首を持つと、そのまま部屋の外へと飛び出していった。
【ジタン:所持アイテム:仕込み杖、グロック17、ギザールの笛 現在位置:神殿
第1行動方針:とりあえずハーゴンに一言
第2行動方針:サマンサとピサロの殺害
第3行動方針:仲間と合流、ゲームから脱出】
【マゴット 死亡】
- 44 名前:保管庫6 :03/03/30 10:06 ID:LaCNqs9S
- 「おい…何のマネじゃ?」
書庫から出て、執務室に向かうハーゴンたちの前にその行く手を阻むようにジタンが立ちはだかる。
その剣呑な雰囲気はただ事ではない。
「よくも…騙してくれたな」
「何の話じゃ?」
「俺達を犠牲にして、テメェたちだけで逃げようと思っていたんじゃねぇのか?」
それを聞いてハーゴンは無心ぎくりとしたのだが、勤めて平静を装う。
(そのテメェの中にワシは入っておらんがの…だが似たようなもんじゃ)
「何を言うかと思えば、いいか?不安なのは分かる、じゃがの……」
「だったらこれは何だ!」
ジタンはハーゴンへと何かを投げつける、それはセーラの首だった。
それを見て導師がひぃと声を上げる。
「調べたら傷のほとんどが背中についていた…どう考えても逃げようとしている所を強引に襲ったとしか思えない」
「俺達もああいう風にするつもりだったのか!答えろ!」
それを見るとハーゴンも流石に平静ではいられなかった。
「バカな…わしはそこまでしろとは命じてはおらぬ!」
確かにセーラを供物にしようと思ったことは事実である、だがそれはあくまでも後々のことで、
今この場で手を下すつもりなど無かった、万が一を考えマゴットにはイザというとき攻撃的に動けるよう、
軽い暗示をかけていたが・・・。
もしや…もうすでに自分の力を思うように操る事が出来なくなっている…だからほんの軽い暗示も、
思わぬ形でマゴットへと影響を及ぼしたのか…。
「それで、マゴットは…マゴットはどうした!…まさか」
答えを聞くまでもなく、ハーゴンは執務室へと走る、そしてその扉近くで物言わぬ骸と化したマゴットを見たとき、
「なんと…なんということじゃ…」
ハーゴンはふらふらとマゴットの亡骸に歩みより、その場にへたり込む
まぶたを閉じればここまでの数々の画策が甦ってくる、あと少し…あと少しで上手く行くはずだったのに。
- 45 名前:保管庫6 :03/03/30 10:08 ID:agLvUprh
- ハーゴンは自分を呪わずにはいられなかった、確かに手を下したのはジタンだ、しかし元を正せば
策を弄した挙句の結果である、彼は人の心を操るのに長けていたが故に人の心を侮り過ぎたのである。
「このロンダルキアはワシにとっては……聖地などではなく死地でしかなかったのかぁ〜〜〜」
するとハーゴンの身体からしゅうしゅうと煙が上がり、肌にはシワが刻まれ、その髪は白くなり抜け落ちていく
力の源であったシドーを失って以来、その肉体・魔力の崩壊を必死で食い止めてきたハーゴンだったが
この衝撃は大きかった、そしてついに力を繋ぎとめていた儚き1本の糸がぷつん、と切れたのだった。
「おっさん…」
後から追いついたジタンが見たものそれはただの無力な老人、ただ眼光だけは未だに鋭いままの姿だった。
実はジタンも不安だった、1時の感情に流され、人を殺めてしまった事に対する後悔。
だから彼は願っていた、自分の思っていた通り、ハーゴンとマゴットが自分を騙していて欲しかったと、だが。
その結果は皮肉なものだった。確かにハーゴンは自分を謀っていたのだろう、しかし…マゴットの亡骸のそばで
うなだれる姿は彼の想像していたものとはかけ離れていた。
「おっさん……そこまでしなきゃいけなかったのか?」
「ああ、必要ならばワシは神でも殺した、いわんやおぬしらごとき」
「騙したワシが…憎いか?殺したいか?」
そのハーゴンの呟きにジタンは答える事が出来ない。つい数分前まではそうだったのに。
(ちくしょう…おれこれじゃバカじゃないか…ちくしょう)
そんなジタンの内面の葛藤も知ってか知らずか、ハーゴンはジタンへと頭を下げる。
「だが、ワシはまだ殺されるわけにはいかぬ!ワシの全てを奪ったあの者にせめて一糸報いるまでは!」
「改めて頼む!この通りだ……お前の力をワシに貸してくれ!その後でならこの命くれてやる」
枯れ枝のようになった身体の何処にそんな気力があったのだろう?
しかもハーゴンが…この尊大な男が恥も外聞もなく血涙を流しながら土下座をしているのである。
その鬼気迫る姿にジタンは圧倒された。
- 46 名前:保管庫6 :03/03/30 10:09 ID:agLvUprh
- 重苦しい沈黙の中、ようやくジタンが口を開く。
「あんたのためじゃない…殺さなくても良かったのに、殺しちまったマゴットのためだ…」
「そうか」
ハーゴンもそれ以上の言葉は発さない、ただ。
「こっちへこい」
ハーゴンはジタンを連れてまた別の部屋へと向かう。
「導師、お前もじゃ」
その言葉で物陰から様子をうかがっていた導師も、はっ、と気がついたように後を追うのであった。
それからしばらく経過して、ハーゴンの私室内。
「良いか、これの術式が完璧に解ける者でなければ連れてきても無駄じゃ、30分以内に解けぬ者は失格として扱え」
ジタンは数枚の紙を手渡されている、そこにはぎっしりと何やら難しい字が書きこまれていた。
どうやら魔法の公式のようだ。
「それと、これも持って行け」
ハーゴンが続いて茶ばんだ紙を渡す。それには地図が記されている。
「このロンダルキアの地下には縦横に通路が通っておる、そのマップじゃ」
「地上を歩くのとでは距離にして4倍は得が出来る、うまくやれば全土を十分回れるはずじゃ」
ワシはもう少しは保つかもしれんが、おそらく明日の朝までの命、それまでに必要な知識を全て伝えねばならぬ。
じゃからこの時計で0時になるまでに戻ってきてくれんかの」
ジタンは手渡された時計を見る、現在15時、ということは後9時間しかない……。
- 47 名前:保管庫6 :03/03/30 10:10 ID:agLvUprh
- 一方。
「これは単純に魔力の強さや知識のみを問う問題ではない、ぶっつけ本番で儀式を成功させるには、
特別なセンスが必要、つまりこれはそのセンスを計るのが目的、それに魔力は人数でカバーできるしの」
そう声をかけるハーゴンの隣で導師は先ほどから例の術式にかかりっきりだ、
白魔法マスターの彼がてこずるあたりが問題の難易度を物語っている。
「おい、お前は行かないのか?」
ジタンの言葉に導師は申し訳無さ気に答える。
「僕は残るよ…病人を放ってはおけないから、そうだ、君にこれを」
導師は星降る腕輪をジタンへと差し出す。
「君は足が速いからきっと役に立つよ、それとお願いがあるんだけど、ここのすぐ東の森に、
ティファって胸のおっきな女の人と、デッシュってちょっとちゃらちゃらした男の人がいると思うから
よろしく伝えといて!」
「ああ、じゃあもう行くぜ」
「無理をしないで!危ないと思ったら逃げてよ」
ジタンは導師の言葉に背中越しに手を上げて応じると、そのまま足早に部屋を後にしていった。
それを見送るハーゴン、全てはジタンがどのような魔法使いを何人連れてくるかにかかっている。
それによって儀式の内容、方法も、果ては結果までもが変わってくるだろう、
そのための準備は整えておかねば……頭を抱えながら問題に取り組む導師の隣で、
ハーゴンは震える手で書物のページを紐解いていくのであった。
- 48 名前:保管庫6 :03/03/30 10:11 ID:agLvUprh
- 【ハーゴン(呪文使用不能、左手喪失、衰弱・老化)
武器:グレネード複数、裁きの杖、ムーンの首、グレーテの首、首輪 現在位置:神殿自室
第1行動方針:儀式の下準備
第2行動方針:不明
最終行動方針:ゲームの破壊】
(作中には書きませんでしたが、ジタンにいくつかグレネードを渡しています)
【導師(MP減少):所持武器:天罰の杖 首輪 現在位置:ハーゴンの自室
第一行動方針:問題を解く
第二行動方針:ハーゴンの看病
最終行動方針:不明】
【ジタン:所持アイテム:仕込み杖、グロック17、星振る腕輪、ギザールの笛 グレネード複数
試験問題・解答用紙複数(模範解答も含む)、時計
現在位置:神殿から外へ
第1行動方針:魔法使いを探す
第2行動方針:サマンサとピサロの殺害 最終行動方針:仲間と合流、ゲームから脱出】
- 49 名前:保管庫7 :03/03/30 10:14 ID:lvKEzwZY
- ハーゴンの出した課題である術式の解読を行っている導師。
周囲には、この神殿にまだ残っていた知識の残骸である何冊かの書物が集められ、無造作に散らばっている。
拡がってページがめくれている状態の本。
それは、このロンダルギア地方の特性について書かれたものだった。
曰く。
この地方は、現実と幻覚との境界がひどく希薄な特性があり、それを利用した方術を行うのに適した一面がある。
とある精霊神ルビスに使える神官は、この地方のどこかにある祠をロトの血を引く者にのみ見える結界を張ってそれを守る礎の一つとし、その所在を隠しているらしい。
異界の神々を祭る西の神殿は、それら神々の加護の証を持つものでなければ己の中に抱く安らぎの地に永遠にを奪われる幻覚を見せられる。
もちろんこういった幻術を操るには、高位の魔力やそれに相当する能力、特殊な血脈などの要素が必要不可欠とされる。
その才覚に及ばない魔力は本来の効果を発揮することは難しいといわれ、知能の低いアンデッド程度をだますのが関の山だと思われる。
逆を言えば、力ある要素を取り揃えることが出来れば、幻を現実そのものとして具現化させることも可能であるだろう。
理想的な条件が――――意図的にせよ、偶発的にせよ――――重なれば、例えば…この世のすべてを破壊するとされる呪われた剣と、隼のような素早さを兼ね備えた剣を、次元的な位相を虚構によってずらすことで、一本の剣として力を兼ね備えさせることも可能なことだろう。
そのページを一瞥した導師の脳裏に、先程のハーゴンの言葉が蘇る。
「これは単純に魔力の強さや知識のみを問う問題ではない、ぶっつけ本番で儀式を成功させるには、特別なセンスが必要」
きっと、ここに書かれている『力ある要素』っていうのも同じことなんだろうなぁ、と思う。
自分にそれだけの資質があるのだろうか?
いや、迷っている時間はない。ジタンが条件に合う人物を見つけ出し、協力を取り付け、無事に戻ってこれるかどうかはわからないのだから。
導師は、再び術式の解読に頭を悩ませ始めた…。
【導師(MP減少):所持武器:天罰の杖 首輪 現在位置:ハーゴンの自室
第一行動方針:問題を解く
第二行動方針:ハーゴンの看病
最終行動方針:不明】
- 50 名前:保管庫8 :03/03/30 10:14 ID:lvKEzwZY
- ザックスとスコールはそのまま素手の殴り合いに移行した。
元々剣使いである二人にとって格闘術は専門ではなかったが、それでも素人のリノアが立ち入れる領域ではなかった。
超近接状態でザックスが拳を繰り出せば、スコールはそれをしゃがんでかわし、そのまま足を払う。
綺麗に転倒したザックスはお手本どおりの受身を取り、そのままで蹴りを放つ。
最初はかわしかわされの攻防も、次第にお互いの攻撃が決まり始めて動きが止まる。
こうなると、負傷しているスコールの方が不利だ。顔面を殴られ、尻餅をついたところにザックスが馬乗りに圧し掛かる。
「これで、終わりィッ…!?」
スコールの動きを封じようとして自分の動きも止まる、そこに付け込む隙があった。
リノアは背後から妖精のロッドを思い切りザックスの横顔に叩き込む。
それ自体の威力はたいしたことは無いが不意をつかれてザックスは倒れる。
「スコール!」
その脇を抜けて、リノアはスコールの手を取る。
はぁ、はあ、と息を切らすスコールに人間味を感じて、リノアは少し嬉しくなった。
「行こう」
スコールの手を引いて駆け出すリノア。それに黙ってついていくスコール。
そんな二人の足音が遠くに消えた時、ザックスはダルそうに上体を起こした。
「ちェ、そう言えばそうだったな…あの子は、あいつを」
すぐにまた、地面に倒れる。ヒリヒリと頬が痛んだが、それ以上に胸がムカついた。
「これじゃ、道化師じゃねーか。クソッ」
- 51 名前:保管庫8 :03/03/30 10:15 ID:lvKEzwZY
- ザックスが追ってこないことを確認したリノアとスコールは走るのをやめた。
ただ、手は繋いだままだった。繋いだ、と言ってもリノアがスコールの手を掴んでいるというのが正確だろうが。
スコールと離れたくない、ということもある。それ以上に、離したらどこにいってしまうかわからないことが不安だった。
人気のない洞窟の中を進む。何度も迷いながらもさしたるトラブルもなく、出口近くまで来ることができた。
そこで彼等はその男に遭遇した。
暗くてよく見えないが、体格のいい男性である。腰には剣が下げられていた。
向こうはこちらのことに気付いていないようだけど、どうすればいいのだろう…とリノアは迷う。
スコールは迷わなかった。
「あっ!」
リノアの手を振り払い、その男めがけて疾走する。
殺到してくるスコールに気付いた男、だが彼が反応する前にスコールは彼の脇に入り、腰の剣に手をかける。
剣を半ばまで抜いたところで、スコールの腹に、男の筋骨隆々とした肘がめり込んだ。
弾き飛ばされるスコール。その拍子で男の腰から剣が抜け、地面に落ちた。
「スコール!」
男はリノアのほうをちらりと見た。そしてすぐに、スコールに視線を戻す。
スコールはふらつきながら落ちた剣を拾い立ち上がる。男はそれを冷ややかに見つめていた。
「賢しいな、小僧。そうやって人を騙して生き抜いてきたか」
重い、大人の声が洞窟に響く。それを断ち切ろうとスコールは一歩前に出ようとした。
その前に、男の足が前に出た。スコールは前に出るのをやめて、一歩退いた。
もう一歩、男が前に踏み出す。それにあわせてスコールは後退する。
「どうやら、性根が腐っているようだな。親に代わって私が仕置きしてやろう」
- 52 名前:保管庫8 :03/03/30 10:16 ID:lvKEzwZY
- 男が前に進めば、スコールは下がる。男に向けた剣の先が揺れ、スコールの頬に一筋の汗が伝う。
緊張を断ち切るように、スコールは男から奪ったアイスブランドを振るう。
男はかわそうともしない。アイスブランドはかわすまでもなく空を斬るのみ。
「小僧、覚えておくがいい。戦場では闘気の勝るほうが勝つ」
スコールの目に、その男が大きくうつった。これまで出会ったことのない、強い力とそれを固める年齢を重ねた大人の存在が、果てしなく大きく見えた。
「腐抜けた魂と曇った気合、体だけで振ったそんな剣が、このパパスに通用すると思うな!」
刹那、スコールは殴り飛ばされた。顔面の骨格が歪むかのような強烈な一撃。
剣を取り落とし、洞窟の壁に叩きつけられる。そこに、追い討ちをかけるパパス。
リノアは呆然と目の前で繰り広げられる惨劇を見ていた。
一撃一撃がスコールの中の何かを削り取っていく様を、呆然と見ていた。
そして、スコールが完全に抵抗をやめ、成すがままにされているのに気付いて、ようやくリノアは我に返る。
「やめて!」
なおも拳を振るおうとするパパスと、ほとんど自力で立っていないスコールの間に飛び込む。
「お願いだから…止めてください。私たちが悪かったです、だから」
「だから、何かな。お嬢さん」
だから…言葉を続けようとして、リノアは口篭もる。だから…私は何をしたいんだろう。何が出来るんだろう?何が…
そんなリノアをパパスは射るような視線で見ていたが、すぐに見切りをつけて視線を外す。
床に落ちたアイスブランドを再び腰に戻すと、物影のほうに何か合図を送る。
物影から出てきたのは、一匹の犬である。近くまで来たことを確認すると、パパスは口を開いた。
- 53 名前:保管庫8 :03/03/30 10:19 ID:b1UxEmBz
- 「子供と青年を探している。青みがかった髪の、10ぐらいの双子と、茶色の髪の20ぐらいの青年だ」
「…解りません。でも、奥に男性がいます。その人なら何か知っているかも」
「そうか。では会いにいくとしよう」
パパスは犬のトーマスを伴い、洞窟の奥へ歩いていく。威風堂々としたその姿には一片の揺るぎもない。
直後、スコールは力無く倒れた。地面に触れるところで慌ててリノアが抱きとめる。
「スコール…」
スコールはボロボロだった。これが、自分の弱さを隠すために人を殺めてきた報いなのだろうか。
自分より強いものに成す術もなく嬲られ、まもるべき人に逆に助けられる。
なんて、惨め。…何時しか、スコールの瞳から涙が零れ落ちた。
【スコール(気絶) 所持:真実のオーブ
現在位置:ロンダルキアの洞窟地下一階
第一行動方針:なし】
【リノア 所持:妖精のロッド・月の扇/アルテマ×1
現在位置:ロンダルキアの洞窟地下一階
第一行動方針:スコールに着いていく】
【ザックス 武器:バスタードソード
現在位置:ロンダルキアの洞窟5F(移動してるかも)
第一行動方針:エアリス・ティファの捜索】
【パパス 所持:アイスブランド
現在位置:ロンダルキアの洞窟地下一階(奥へ)
第一行動方針:奥の人物(ザックス)と接触
第二行動方針:バッツと双子を捜す。
第三行動方針:ゲームを抜ける】
【トーマス 所持:鉄の爪 薬草×10 手紙 碁石(20個くらい)
現在位置:ロンダルキアの洞窟地下一階
第一行動方針:パパスについていこうと思っている】
- 54 名前:保管庫9 :03/03/30 10:21 ID:b1UxEmBz
- 日が完全に落ちるには、まだ少し時間がありそうだった。
紅の空に浮かび上がった白い月が、太陽を追うように山の線の向こうに沈んでいく。
それをミレーユは森の中で、声を潜めながら見ていた。
占いに出てきた人物は確かにこの森近くにいるはずだった。
中に分け入りしばらく散策して、出会いの時を今か今かと待ち続けたが、結局誰も現われなかった。
それとも行き違いになったのだろうか。
もう一度占ってみようとしたが、何故か気が落ち着かず集中力が沸かなかった。
少し間を置いて何度か実行を試みても、やはりダメだった。
病み上がりの時のような気だるさが全身を襲い、気が削がれてしまうのだ。
自分のセンスを疑い出しため息をついた。
いい加減、別の場所を探そうと森を抜けようとしたそのとき。
背筋に悪寒が走り体が思わず反転した。
木の陰からそっと外を覗ってみると、南の方から歩いてくる者が見えた。
長身で銀髪をした精悍な男だった。
自分にはない強靭な精神力で雪原を踏み鳴らし、真正面のみを見据えながら北へ歩いていった。
男が一歩進むたびに、周りの空気が膨張して破裂しそうだった。
ミレーユが隠れ蓑にしている木も連動して震えていた。
残された足跡にさえも抑えきれんばかりの衝動が注ぎ込まれているようで、ミレーユは圧倒された。
ミレーユは大きな吐息をついた。今度は心からの安堵のために。
誰もいなくなったことを確認すると、森から出て男が向かっていった方を見つめた。
日はほとんど沈みかけていたが雪明りで思ったより遠くまで見えた。
あの先は間違いなく嵐だろうと予感して、ミレーユは肩をすくめた。
【ミレーユ 所持武器:ドラゴンテイル・妖剣かまいたち・小型のミスリルシールド・ 現在位置:ロンダルキア東部の森 行動方針:占いで見た人に会う(ロック、エリア)】
【セフィロス:所持武器:正宗 現在位置:ロンダルキア東部の森→祠の方へ向かう
行動方針:全員殺す・勝ち残る】
- 55 名前:保管庫10 :03/03/30 10:22 ID:b1UxEmBz
- 祠の離れの中は騒然としていた。
「オルテガ殿、今すぐここを出よう!」
「何故だ? もう少し話を聞いても」
「わからないか、外を取り巻く『気』が変わっている」
言われてみると確かに只ならぬ気配が接近していることがわかる。
この娘の連れとはまた別の人物。他にもまだ誰か来る……?
「ここが見つからなければ良いのだが、そう都合よくいかないだろう。
もし火でも放たれたら事だ」
「む、わかった。このお嬢さんは……」
モニカが不安そうな顔をして座っていた。オルテガはどうしたものかと頭を掻いたが、
やがてすっと手を差し出した。
「仲間はすぐ近くにいるんだったね?」
「え、ええ。外にいるはずです」
モニカはオルテガの手を取って立ち上がった。
「お嬢さん、申し訳なかったな」
「いえ、私は別に。息子さんのことは驚きましたけど」
二人を待っていたリバストが声を強めて言った。
「早くした方がいい。敵は待ってくれんぞ」
そのとき祠の方で物音がした。
「そうだ、向こうにも何人かいたな……」
【オルテガ 所持武器:水鉄砲 グレートソード 覆面 現在位置:ロンダルキアの祠の離れ
第一行動方針:アルスを探す】
【リバスト 所持武器:まどろみの剣 現在位置:同上
行動方針:外へ出るか、祠の人物をどうにかするか】
【モニカ:所持武器:エドガーのメモ(ボロ) 現在位置:祠の離れ
第一行動方針:仲間と合流
第二行動方針:アーロンの傷を完治させる
第三行動方針:仲間を探す】
チョコボが奥に隠れています。
- 56 名前:保管庫10ー2 :03/03/30 10:23 ID:b1UxEmBz
- 「…アーロン殿」
「ああ…見られて…いるな」
アーロンの言葉に、メルビンは無言で頷いた。
南の方から現れた何者かは、じっと息を潜めてこちらを伺っている。
気配はほとんど感じられない。
もちろんこんな芸当のできる奴など、まともな人間ではない。
「どうする? どんな人間かわからんが…」
相手に聞こえない様に、アーロンは小さい声で問いかけた。
「十中八九、味方ではないでござるな。
こんな気味の悪い視線はまともな人間が出せる代物ではないでござる」
「こちらから仕掛けるか。相手にやる気があるのかはわからないが、
先手を取られるのは面白くない」
「うむ。わしが隙をつくるでござる。飛び道具があるやもしれぬでござるから、
正面からは避け、左右から挟みこむ形で行くでござる」
「わかった。中にいるモニカが心配だ。すぐにケリを…!!!」
その時、思ってもみない事が起きた。
三人が行動に移す前に、森の中にいる何者かが足早にこちらから遠ざかっていくのだ。
「話が聞こえていたのでござるか!?」
「たぶんな。おそらく、時間を置いたらまた来るだろう」
「うむ。追いかけたい所でござるが…」
「やめておこう。先にやらなくてはならない事がある」
建物の中にいる連中には、未だに動きが無い。
モニカが叫んでからは静寂を保ったままだ。
さっきの奴がまたいつくるのかわからない。
しかし人質をとられている以上、こっちの相手には先手を取る事が出来ないのだ。
どうしたものか…。と三人が考えを巡らせていたその時、
南の森の方からの女性の叫び声が、保たれていた静寂を切り裂いた。
- 57 名前:保管庫10−2 :03/03/30 10:25 ID:45RTkmsQ
- 「アーロン殿!!」
「ああ。俺達より向こうを優先したんだな」
「うむ。見過ごすわけにはいかないでござるな。
わしとガウ殿で行く。アーロン殿はここで待機していて欲しいでござる」
「…わかった。気をつけろよ」
この状況で半怪我人の自分がどれだけ足手纏いになるのか
アーロンもよくわかっているのだろう。
メルビンとガウを見送り剣を鞘に収めると、建物の中の様子に意識を集中させた。
今、自分が果たさなくてはならない仕事に専念しなくてはならないのだ。
「とんぬらさん、今の悲鳴は!」
「ああ。助けに行かないと…。
アニー、ここで待っていて。すぐに戻るから」
「イヤ、行かないで!」
アニーはとんぬらの服の裾をつかんで離さない。
「アニー…」
「なにがあるかわからないのよ。もしなにかあったら…私……」
「………」
アニーは目に涙を溜め、服の裾をより強く握りなおした。
「イヤ…イヤなの……」
とんぬらはすすり泣く娘を抱きしめた。
お互いに程度の違いはあれ、離れたくないのは同じだろう。
それに、おそらくこの舞台には安全地帯など存在しないのだ。
「…これじゃあ行けないね」
「………」
「えっと、僕が見てくるよ。とんぬらさんはアニーについていてあげて」
「ルーキー。…ごめん」
「気にしなくていいよ。でも、なにかあったら助けにきてよ」
「ああ。約束する」
ルーキーはスナイパーアイを装備すると、まっすぐ悲鳴のした方へ走り出した。
- 58 名前:保管庫10−2 :03/03/30 10:26 ID:45RTkmsQ
- 「足跡は残っているでござるな。ガウ殿、臭いを追えるでござるか?」
「ガウ!!」
ガウは地面に残った足跡を嗅ぐと、南西の方角へと走り出した。
メルビンも後ろからついて行く。
途中足跡が増え、おそらく襲われた女性も同じ方向へ逃げているらしい事がわかった。
木々の隙間を縫う様に走る事数分、森が開け、
切り立った崖と、対岸の島へ渡る吊り橋が見えた。
「ガウ!」
「この橋を渡っていったのでござるな。行くでござるよ!!」
そう言って二人は吊り橋の上を駆け出した。
ちょうど半分まで来た所であろうか、前を走っていたガウが急に立ち止まった。
「どうしたんでござるか?」
「ガウゥ…。(臭いが…消えてる…?)」
メルビンの顔がこわばり、弾かれたように後ろを振り返った。
対岸にいたのは、紫の髪をした女性の姿。
「しまった! 罠か!!」
女性は醜く顔をゆがめると、掌に生み出した火球を吊り橋に叩きつけた。
「ガウ殿! 逃げるでござる!!」
「ガウ!!」
間一髪、二人は橋が落ちる前に対岸にたどり着くことが出来た。
後ろを振り返ると、さっきの女性の姿はどこにも見当たらない。
火に包まれた吊り橋があげている、黒い煙しか見えなかった。
(どうしよう。すごいものをみてしまった。
キレイな女の人が変な杖をふると、メルビンさんそっくりに変身したんだ。
それだけじゃない。変身する直前、一瞬だけど気配を隠すのをやめた時、
…アイツの体からものすごい瘴気が漏れたんだ。あんなの、高位の魔族じゃなきゃ…。
アイツの向ってる方向は、地図で祠が書いてあった方みたいだ。
橋の方が気になるけど、先にとんぬらさん達と合流しないと)
- 59 名前:保管庫10−2 :03/03/30 10:27 ID:45RTkmsQ
- 「…どうなっているんだ」
つい数分前から立ち上った黒い煙を、アーロンは歯がゆそうに見上げていた。
煙とメルビン達が向かっていった方角は一致していた。
「…あの二人に何かあったのか?」
建物の中は未だに沈黙を保っている。
今すぐ向こうの様子を見に行きたいが、モニカを放っておく訳には行かない。
体を二つに裂いてしまいたい衝動に襲われる。
どちらも自分の命の恩人であり、大切な仲間なのだ。
その時、森から誰かが姿を現した。
「アー…ロン…殿……」
現れたのは傷だらけになったメルビンだった。脇腹から血を流している。
「どうした! なにがあったんだ!!」
アーロンは今にも倒れそうになっているメルビンを支えた。
「罠…だったんで…ござる…。ガウ殿は…」
「わかった。もう喋るな」
「モニカ殿は…どうなったで…ござるか?」
「まだ中にいる。さっきから何も動きがない」
そういってアーロンは見えない祠の方を向いた。
「なるほど。そこに祠があったんだな」
耳慣れない言葉。アーロンがその言葉の意味を理解する前に、
メルビンの右手に発生した雷撃が、アーロンの体を絡め取った。
「ぐ…がぁ…」
「ほう、確かにここに何かがあるな」
メルビンは地面に倒れこんだアーロンを一瞥すると、
アーロンの向いた方向を調べ始めた。
「貴様…何者だ……」
アーロンは剣を構え、フラフラと立ち上がった。
- 60 名前:保管庫10−2 :03/03/30 10:28 ID:45RTkmsQ
- とんぬらは帰ってきたルーキーの話を聞くと、アゴに手をやって思案し始めた。
「…行こう。祠の中にだれかいるかもしれない」
とんぬらはそう言って立ち上がった。
「………」
アニーは心配そうにとんぬらを見上げる。
「アニー。さっき話しただろう。
ぼくは死なない。おまえやクーパーを残して死ねるわけはないだろ?」
とんぬらはアニーの肩に手を置いて、ゆっくりと話し掛ける。
「大丈夫。ぼくがどれだけ強いかわかってるだろ?」
アニーは黙って首を縦に振る。
「ここで隠れていなさい。でも危なくなったすぐににげるんだよ」
「…私も行く。もう離れたくない!」
少女の決意は固く、曲げる事はできないようだ。
「…わかった。急ごう。もう祠についているかもしれない」
「ぐうっっ」
見えない衝撃波にアーロンの体は吹き飛ばされ、近くの木に叩きつけられた。
「わしか?…そうだな。次の姿は貴様にしようか」
「一体…何を……!!!」
メルビンは袋のなかから奇妙な杖を取り出し、呪文を唱えた。
奇妙な煙がメルビンの体を覆い、次の瞬間、メルビンの姿はアーロンそっくりになった。
「こういう事だ。まあ、貴様は見事にだまされてくれたわけだな」
アーロンもどきはそう言うと、印を組み呪文を唱え始めた。
「同じ人間が二人もいるのはおかしいからな。貴様はしばらく眠っておれ」
- 61 名前:保管庫10−2 :03/03/30 10:30 ID:BCqMWAAx
- 少しずつアーロンの体から自由が奪われていく。指先が痺れて動かない。
舌が全く動かない。モニカに危険を知らせる事も、もはや出来ないようだ。
(くっ…意識が……気を…失っ…て……たまるか…)
「安心しろ。殺しはしない。もっとも、誰も貴様を助けに来る者などいないのだがな。
ヒョーッヒョッヒョッヒョッヒョッヒョぶっ!!!」
えらそうに高笑いをしているアーロンもどきの後頭部を、
彼方から飛来したブーメランが直撃した。
【アーロン(怪我・半冷凍
所持武器:折れた鋼の剣 現在位置:祠の離れのそば
第一行動方針:気を確かに持つ
第二行動方針:モニカを助ける
第三行動方針:仲間を探す】
【メルビン/ガウ
所持武器: 虎殺しの槍 /なし 現在位置:祠から南の島
第一行動方針:アーロンとモニカを助けに行く
第二行動方針:仲間を探す
第三行動方針:ホフマンの仇をうつ】
【エビルプリースト(現在の姿はアーロン)
所持武器:危ない水着 変化の杖 ファリスのペンダント 現在位置:祠の離れのそば
第一行動方針:この場にいる全員の始末】
第二行動方針:天空の勇者(ソロ・クーパー)の始末】
【とんぬら(DQ5主人公)/ルーキー/王女アニー
所持品:さざなみの剣/スナイパーアイ ブーメラン/マインゴーシュ
現在位置:祠の離れのそば
第一行動方針:アーロンもどきを倒す
第二行動方針:クーパーをみつける】
祠から南にある橋は焼け落ちました。
- 62 名前:保管庫陸戦型 :03/03/30 10:31 ID:BCqMWAAx
- 不意をつかれ、エビルプリーストは横によろけた。
今はアーロンの姿をしている事も忘れ、血走った目を衝撃が襲ってきたほうに向ける。
雪の中駆け抜けてくる人影一つ、剣を抜き放って振りかぶる。
「何者だぁっ!」
言うが早く魔力を構成し、イオナズンの魔法を唱える。相手の動きは速いが、こちらのほうがもっと速い…!
突進してくる人影の周りに光の粒が浮かび、それが連鎖自壊していく…
寸前。
「はぁぁぁぁっ!」
男の掲げた剣から光のベールが生まれた。それは、エビルプリーストも知っているある呪文と同じ現象である。
大爆発。だが、その衝撃は男に届かず、エビルプリーストに跳ね返ってきた。
「ぬうううぅぅっ!」
両腕を突き出して耐える、だがそれにも限界があった。
腕に無数の裂傷が生まれ、宙に投げ出されて雪の上を撥ねて転がる。その衝撃か、変化も解けて凶相の老人に戻った。
慌てて変化の杖で再び変化しようとする…それ自体には何の意味もなかったが、強襲に彼も混乱していた…が、
杖を持っている手にブーメランが直撃し、取り落としてしまった。
ブーメランは何かの元に戻っていく。何か。それはスライム。
あの「スライム」に邪魔をされた。エビルプリーストの頭に血が上った。
魔属の王ですら駒にしてきた自分が、最底辺の魔物に虚仮にされた。
紫のターバンをしている男もそうだ。選ばれし者でもない人間の分際で、自分を出し抜こうなどと大それたことをした!
今も、自分に害をなそうと迫ってくる。許せない。あの男と、あの屑モンスターだけは…!
- 63 名前:保管庫陸戦型 :03/03/30 10:32 ID:BCqMWAAx
- 彼自身は頭に血が上っていて気付いていないが、状況はエビルプリーストにとって絶体絶命だった。
相手は魔力反射ができる戦士、自分はろくに武器も持っていない、こんな状況で勝てるわけがない。
だが、彼にもまだツキは残っていた。
一つはとんぬらたちがエビルプリーストを仕留めようとした矢先に離れの扉が開いたこと。
「お父さん、危ないっ!」
後方に控えていたアニーがヒャダルコを唱えて入り口付近に氷柱を作り出し、
とんぬらとルーキーは一旦足を止めて離れの入り口に視線を向けた。
そして、もう一つ。
エビルプリーストが弾かれたあたりに、ちょうど祠の入り口があったこと。
その扉の向こうには息を殺した人の気配に、エビルプリーストが気付いたことだった。
【エビルプリースト
所持武器:危ない水着 ファリスのペンダント 現在位置:祠の離れのそば
第一行動方針:この場にいる全員の始末】
第二行動方針:天空の勇者(ソロ・クーパー)の始末】
祠(ピピンたち)の存在に気付きました。変化の杖を落としました。
【とんぬら(DQ5主人公)/ルーキー/王女アニー
所持品:さざなみの剣/スナイパーアイ ブーメラン/マインゴーシュ
現在位置:祠の離れのそば
第一行動方針:エビルプリーストを倒す/オルテガたちとの対応を決める
第二行動方針:クーパー・パパス・ライアン・アイラをみつける】
祠の離れからオルテガたちが出てこようとしたのでヒャダルコで入り口を塞ぎました。
- 64 名前:保管庫指揮官用 :03/03/30 10:33 ID:BCqMWAAx
- 「ぬっ!?」
「ちっ、いきなり仕掛けてきた!」
リバストが舌打ちしながら凍りついた扉を拳で叩いた。
「呪文か、厄介だな。相手は見たのか?」
「いや、見えなかった。……蹴破れば出られそうだがどうする?」
「無論、行くまで!」
オルテガがそう息巻いた。
「待って! 今のは私の連れがした事かもしれません」
それまで黙っていたモニカが突然口を開いた。
少し息を弾ませ、振り返ったオルテガとリバストと交互に視線を交わす。
「まさか。誰が出てくるか確認もせずいきなり攻撃してきたんだ。
もし扉を開けたのが我々でなくお嬢さんだったらどうなる。仲間なんだろう?」
「え……そうだったんですか?」
モニカが不可解な表情をした時。
「しっ! 静かに」
そう言ってリバストが部屋の奥の壁に寄り聞き耳を立てるのを見て、オルテガたちは口を噤む。
「……声がする」
祠の方からだ。
「くはははは これぞまさしく人間の盾」
「卑怯だぞ!」
「子供を離せ!」
微かにそんな声が聞こえてくる。リバストもオルテガも瞬時に事態を悟った。
「我々のことは眼中になかったわけか」
リバストは弾かれたように部屋の入口まで駆け寄り、力任せに凍りついた扉を何度も蹴りつけた。
「こいつもただの足止めだ。厄介払いされるとはな」
「それにしても忌々しい。悪の臭いがぷんぷんする」
オルテガも加わり、扉は二人の勇者の猛攻に晒された。
扉は今にも音を立てて崩れそうだった。
モニカが遠巻きに声を殺しながらじっと二人を見守っていた。
- 65 名前:保管庫指揮官用 :03/03/30 10:37 ID:LZBXm8ch
- 【オルテガ 所持武器:水鉄砲 グレートソード 覆面 現在位置:ロンダルキアの祠の離れ
第一行動方針:アルスを探す】
【リバスト 所持武器:まどろみの剣 現在位置:同上
行動方針:外へ出る】
【モニカ:所持武器:エドガーのメモ(ボロ) 現在位置:祠の離れ
第一行動方針:外へ出る
第二行動方針:アーロンの傷を完治させる
第三行動方針:仲間を探す】
チョコボが奥に隠れています。
- 66 名前:保管庫改 :03/03/30 10:39 ID:LZBXm8ch
- あれからジタンは彼自身のスピードと腕輪の力もあって順調に地下道の中を進んでいた、
かのように思われたが、ここに来て少々事情が変わっていた。
ジタンは息を潜め、柱の影から様子をうかがう、その先にはデスピサロとサマンサの姿があった。
「2度あることは3度あるっていうけど、厳しいな、さてどうする」
時間を考えると後戻りするのは避けたいところだ。
(あの2人…神殿に入ったのかな?)
ふと、ジタンは地下に入る前に出会った二人の男女、ティファとデッシュのことを思い出していた。
結局ティファたちとは、ただ導師からの伝言とフライヤの死、それだけを簡潔に伝えたのみで別れた。
言いたいことが無いわけでもなかったが、あの出来事はフライヤ自身が誰のせいでもなく、
誰が悪いわけでもない、と言い残しているのだ、ならばジタンが言うべき事は事実を伝えるのみだろう。
ジタン自身の心境はともかくとして…。
と、そこで。
「おい、そこで隠れている奴、これで3回目だがまだ懲りぬのか?」
気配を完璧に絶っていたはずなのに…男からかけられたその言葉に流石のジタンも背筋が寒くなるのを覚えた。
これまで2度戦い、2度とも力量の差を見せつけられている。
武器やアイテムが多少増えたところで、さしてその差が覆ることはないだろう。
逃げるか…いや逃げるにはもう遅い、どうする。
だったら、いちかばちかだ。
この話にあいつらが飛びつくかどうか…声をかけてきた以上あいつらも問答無用ってワケじゃなさそうだ。
わずかでも助かる可能性があると分かれば、もしかすると態度が変わるかもしれない。
(そういえば、2回とも仕掛けたのは俺からだっけ?)
ともかく、ジタンは覚悟を決めると、足元に武器を投げ捨て両腕を頭上で組み。
抵抗の意志の無い事を示しながら、ゆっくりと柱の影から彼らの前へと進んでいった。。
「なぁ…俺の話も少しだけ聞いちゃくれないか?」
- 67 名前:保管庫改 :03/03/30 10:41 ID:LZBXm8ch
- 一方そのころ、デスピサロたちがいる通路の厚い壁を隔てた向こう側では、
部屋を飛び出そうとするアリーナをクラウドが制止していた。
「まてよアリーナ、何処へ行こうっていうんだ」
「決まってるじゃない!今やってきた人を助けるのよ!」
クラウドはアリーナの行く手を阻むように立つと、説得を続ける。
「俺は今は動くべきじゃないと思う、声を聞く限りあいつらに戦う意志は無いみたいだし
それで今やってきた奴が戦いを仕掛けて返り討ちにあうのは、自業自得というものだ…
俺達が動くべき問題じゃない」
「じゃあ、このままにしておけというの!」
「俺は俺自身と、そして何より君が生きてこの状況を抜け出すことが第一だと考えている、
それに君は命の恩人だ、危険に晒すわけにはいけない」
この部屋を出て先に進むには、今デスピサロたちがいる場所を絶対に通過しなければならない。
つまりあの2人が動かない限り、彼らも動く事は出来ないのだ。
「とにかくもう少し様子を調べてからにしよう、俺たちがやらなくちゃいけない事は戦うことじゃない
逃れる事だ」
こうして引き続き2人は通風口に耳を近づけて、向こう側の様子をうかがうのであった。
「すげぇ、2人とも正解だ」
それからしばらくして、ジタンは自分の賭けが成功した事にほっと胸を撫で下ろしていた。
脱出の儀式の話を持ちかけたところ、2人は興味津々といった感じで喰いついてきた。
しかしなによりもデスピサロが賛成の意を見せたのが意外だった、これにはサマンサも驚いていたが。
ともかくジタンはハーゴンから託された問題を2人に見せて、解いてもらうよう頼んだ。
「我々の力量を疑うとは…」
これには2人もやや機嫌を損ねたが、一発勝負である以上それも仕方が無いと割りきって
彼らは問題に取り組んでいた、そしてその結果が今、出たのであった。
- 68 名前:保管庫改 :03/03/30 10:45 ID:LZBXm8ch
- 「難問でした、これは単純に強力な魔法の使い手というだけでは解答する事ができない
魔法知識や実際の儀式の運用に長けた者、あるいは元々そういった類の分野に特別なセンスを
発揮できる者でなければ解けないでしょうね」
余裕の表情のデスピサロとは正反対に、正解に胸を撫で下ろすサマンサ。
「とにかく、正解者が見つかって良かったよ」
ジタンもまた胸を撫で下ろす、これでまずは2人、導師が解答出来ていれば3人。
人数としてはこれでも充分かもしれないが、まだ時間がある。
それに唯一の仲間の生き残りであるエーコを探すという、新たな目的もあった。
と、そこでサマンサがやや挑発的な態度でジタンに問いかける。
「そういえば私を倒そうとは思わないのですか?」
挑発には乗らず、ジタンはしれっと答える。
「無事に脱出できたら、改めて考えるさ」
確かにビビの一件は正直、まだ遺恨が残ってはいる。
だがフライヤの件を通して、必ずしもサマンサの行動が悪いと言えるものであったのか、と考えると
ジタンにもサマンサを否定する資格は無いように思えるのだ。
それにマゴットの事での負い目もある。この事は今言うべきだろうか?
いや、この場でもめれば全てが水の泡だ、黙っておくか、放っておいてもいずれ分かるだろう。
その時はその時で考えればいい、折角丸く収まったのだから。
色々あって幾分疑り深くなったとはいえ、基本的にお人よしの彼は2人の協力を疑ってもいなかった。
しかし、当然デスピサロたちには裏があった。
実際、ジタンが問題の答え合わせに手間どっている間に2人の間でそれらのことについて、
話はついていたのである。
それはジタンに悟られぬよう、高位の魔法使いが用いる特殊な言語で行われていた。
これで聞き取られる心配は無かったし、例え聞こえてもジタンには理解不能だっただろう。
- 69 名前:保管庫改 :03/03/30 10:51 ID:A164Gprn
- 以下が会話の概要である。
「しかし、ピサロ卿がこんな眉唾な話に乗るとは意外でしたよ」
「確かに眉唾だ、だがそれでも材料をそろえて煩雑な手はずを整えてくれるというのであれば
それだけでも価値はある」
「と、いいますと?」
「そうだ、儀式を乗っ取る、乗っ取って何を行うかはまだ決めてはおらんが、今言える事は
腕輪を手に入れていない状態で、易々と脱出などさせるわけにも、するわけにもいかん
と、言う事だけだ」
「神殿にはお前1人で行け、私は後で合流する」
「何かお考えでも?」
「私の目的はあくまでも腕輪を探すことだ、もし腕輪が入手できればその時は脱出の儀式に賭けるのも
悪くは無い、それに他の連中の状況を知るいい機会だ」
「私がもしも戻らぬ時は、その時はお前が、お前自身の判断で儀式を動かすが良い
ハーゴンとやらの話に乗るもよし、その他を選ぶもよしといったところだろうかな」
「了解いたしました、それではご無事を」
その後、デスピサロがジタンに同行を求めたとき、明らかにジタンは嫌そうな顔をしたが、
「こんな大事な計画をお前のような無鉄砲な奴だけに任せてはおれん」
そう言われると、思い当たる事がありありなのだろう、バツの悪い表情に変わる。
それにサマンサが先に向かってくれるのなら、その分時間に余裕も出来る。
そういった事情も手伝って、結局渋々ながらも同行を承知したのであった。
こうして3人は、それぞれ必要事項を打ち合わせた後、デスピサロたちはそのまま東へ、
サマンサは西へと向かったのであった。
- 70 名前:保管庫改 :03/03/30 10:52 ID:A164Gprn
- だが、しばらくすると西に向かったはずのサマンサが、何故か引き返してきた。
サマンサの手にはジタンから受け取った手榴弾が握られている、その数は3つ。
神殿には魔法の効かないロボットが徘徊してる可能性があるという事で受け取ったのだ。
さらに右手には星降る腕輪がはまっている。協力を盾に強引にねだり、
神殿につき次第、本来の持ち主に返すという条件付でgetしたのだった。
サマンサは殺気の篭った視線で、通風口の向こうを睨む。
「先ほどの屈辱は倍にして返えさせて頂きますよ」
この向こうにアリーナとクラウドがいるということはデスピサロから聞いている。
風向きの関係でデスピサロの力を持ってしても向こうの様子までは聞き取れなかったようだが。
恥辱のほかにも理由がある、あのアリーナとか言う娘はピサロの宿敵の1人。
ここで倒す事が出来れば、またとない援護射撃になるはずだ。
視線が通らなければ正確な攻撃は行えないし、大規模魔法を下手に使えばこちらも危険に晒される上、
何より魔法を刎ね返すアイテムを所持している、だがこれならば。
サマンサは手榴弾のピンを抜き、それを通風口の中へと放りこみ、足早にその場を去ったのであった。
- 71 名前:保管庫改 :03/03/30 10:52 ID:A164Gprn
- そしてその向こう側では。
「さっきから何も聞こえない、ってことはいっちゃったのかな?」
「いや、あともう少しだけ待った方がいいだろうな」
相変わらずクラウドとアリーナが通風口のすぐそばで耳を傾けていた。
あの闖入者が現れてからしばらく経過して、急に彼らの声が聞き取りにくくなった、
どうやら場所を少し変えたらしい、それでもわずかな物音で彼らがまだあの付近にいる事だけは理解できた。
そしてつい数分前、それらの音が全く聞こえなくなったのだ。
と、その時、通風口から突如として音が聞こえだした。
それは話し声とは違い、何かが高速でこちらに向かってくるような音だ、
2人ははっと顔を見合わせるが、すでに遅い。
その時には手榴弾が2つ、彼らの間を分かつように床へと転がり落ちていた。
「!!」
ずぅぅぅぅん。
「さて、先を急ぐとしましょうか」
爆発音を遠く背後で聞きながら、振り向くことなくサマンサは事も無げにそう言い放つ。
相変わらず冷たい笑みを浮かべながら。
- 72 名前:保管庫改 :03/03/30 10:53 ID:A164Gprn
- 【アリーナ 所持武器:イオの書×4 リフレクトリング ピンクのレオタード
現在位置:地下通路(大陸中央付近) 】
第一行動方針:ソロを止める(倒してでも)
第二行動方針:クラウドをティファに会わせる
最終行動方針:ゲームを抜ける
【クラウド:所持武器:ガンブレード 現在位置:地下通路(大陸中央付近)】
第一行動方針:エアリスorティファを探す。
第二行動方針:アリーナを救う
最終行動方針:不明
【サマンサ:所持アイテム:勲章(重装備可能)星降る腕輪 手榴弾×1
現在位置:地下通路(大陸中央付近から西へ)】
第一行動方針:神殿に向かう
第二行動方針:生き残る
第三行動方針:不明
【デスピサロ:所持アイテム:正義のそろばん・『光の玉』について書かれた本・
現在位置:地下通路(大陸中央付近)から東へ】
第一行動方針:腕輪を探す
第二行動方針:偵察
第三行動方針:不明
【ジタン:所持アイテム:仕込み杖、グロック17、ギザールの笛 グレネード複数
試験問題・解答用紙複数(模範解答も含む)、時計
現在位置:地下通路(大陸中央付近)から東へ】
第1行動方針:魔法使いを探す
第2行動方針:エーコを探す
最終行動方針:ゲームから脱出
- 73 名前:笑う悪魔 ◆638FJ29rIc :03/03/31 00:38 ID:1fDTRITs
- 保守。
- 74 名前:笑う悪魔 ◆638FJ29rIc :03/03/31 00:46 ID:1fDTRITs
- 保守。
- 75 名前:保管庫キャノン :03/03/31 01:48 ID:c+nt7XS+
- とんぬらは何もない空間から突然現われた扉に視線を移した。
扉は子猫が通れるかどうか、といったところでアニーの魔法によって凍結させられている。
中の様子は窺えないが、扉の向こうに人がいることには違いはない。
「お父さん、どうしよう?」
「…そうだね、この状況で乱入されるのは困るな。アニー、頼めるかい?」
「はい」
アニーはうなずくと呪文を唱え始める。これで少しは時間を稼げるだろう、この隙にあの邪神官を討つ。
とんぬらは再びエビルプリーストに視線を向けた。
何故か、エビルプリーストのいた所のすぐ側に扉が現われていた。
視線を外していた時間は僅かなものだ、これまた突然現われたもう一つの扉に驚いたが、
扉から飛び出してきた一人の少女と、
「きさま、リディアちゃんを離せ!」
聞きなれた男の声に、とんぬらは更に驚愕した。
エビルプリーストは自分に剣を向ける兵士に嘲笑うように笑みを浮かべた。
「ふん、その剣でどうするつもりかな?」
うぐ、と…腕の中にいる少女、リディアが呻き声を上げる。
腕からはどす黒い血が流れていた。扉を開いた時にいきなり切りつけられたせいだ。
それでもう一人の少女は取り逃がしてしまったが…しかし一人でも十分事足りる。
「やめろ!」
「やめて欲しいのならそれ相応の態度というものがあるだろう?まずはその剣を捨ててもらおうか」
「…くッ」
ピピンは下唇を噛んだ。リディアは泣きそうな目で自分を見ている。
それが何を訴えているのか、結局はわからないまま………ピピンは剣を捨てた。
「結構、では早速だがお別れだ」
リディアが何を言おうとしている。だが、エビルプリーストの腕が咽喉に食い込んで、声を上げられない。
エビルプリーストはリディアを拘束したまま、外へ飛び退いた。
空いている手に光の粒が集まりはじめて。それがまるで、リディアの瞳から涙が零れ落ちているようだった。
ああ、この子はきっと凄い美人になるんだろうな――――
――――それが、最後だった。
- 76 名前:保管庫キャノン :03/03/31 01:49 ID:c+nt7XS+
- 「お父さん、今の声」
「ああ…ピピンだ!」
「とんぬらさんの知り合いなの?あの子も?」
ルーキーが森の奥へと消えていく少女を見ながら言う。
ちょうど、メルビンたちが向かったほうに駆けていく少女の姿を確認して、とんぬらは首を横に振った。
「いや…多分、ここに来て知り合った子だと思う」
「そっか。あっちの橋は落ちているから、結局戻ってこなきゃいけないんだけど…」
と、扉の中からエビルプリーストが飛び出してくる。刹那、扉の向こうから激しい轟音が鳴り響いた。
「………!」
二人と一匹は息を飲む。それが何を意味しているのか、理解できずに。
エビルプリーストはイオナズンの余波を心地よく感じながら、厭らしい笑みを浮かべて三者に相対する。
「くくく…動くなよ」
「人質…?」
「そういうことだ。武器を捨ててもらおうか」
ああ、そういうことか。とんぬらは思った。子供を人質にとられ、何も出来ないままやられた、ということ。
咽喉の奥がヒュゥ、と音を立てた気がした。遥か昔の、けして忘れられない刃の冷たさを思い出して。
「いいのか?この子供の命が惜しくないのか?」
あぅ、と捕らわれの少女がうめく。その顔は涙と鼻水でぐしゃぐしゃだった。
とんぬらは無造作に剣を捨てた。ルーキーも、迷いながらもブーメランを捨てる。
「結構結構。くくく…くはははは!これぞまさしく人間の盾といったところか!」
「卑怯だぞ!」
ルーキーが怒ったような声を上げる。
怒っている。ああ、そういうことか。とんぬらは思った。
――――この状況は、あの時と同じじゃないか。
それに気付いた時、とんぬらの内から急激に怒りの感情が溢れた。
そして叫ぶ。
「子供を離せ!」
- 77 名前:保管庫キャノン :03/03/31 01:51 ID:c+nt7XS+
- 一方、一人冷静なのがアニーだった。
先程呪文で凍らせた扉を、中にいる者たちが蹴破り始めた事にもいち早く気付いていた。
父は離れにいる者たちを頼むといった。そして氷結の呪文はすでに唱え終わっている。
扉はすぐにでも蹴破られそうだが、呪文を放てば更なる氷が扉を塞ぐだろう。
だが、あえてアニーは呪文を放たなかった。
勿論、命は大切だ。助けられるのなら、そうしたいと思う。
しかし父親と天秤にかければ、どちらに傾くかは言うまでもないことだ。
父が、見ず知らずの少女のために死んでいく…そんな事は、認められない。絶対に。
有頂天のエビルプリースト、泣きじゃくるリディア、怒りのとんぬら、ルーキー。
その裏側でアニーは子供とは思えない…いや子供だからこそなのだろうか…冷静さで隙を突こうとしていた。
- 78 名前:保管庫キャノン :03/03/31 01:51 ID:c+nt7XS+
- 【エビルプリースト
所持武器:危ない水着 ファリスのペンダント 現在位置:祠の離れのそば
第一行動方針:この場にいる全員の始末】
第二行動方針:天空の勇者(ソロ・クーパー)の始末】
リディアを捕らえています。
【リディア
所持武器:なし 現在位置:ロンタルギアの祠の外
第一行動方針:エビルプリーストから逃げる
第二行動方針:祠から逃げてバッツたちと合流
第三行動方針:仲間(セシル?)を捜す】
エビルプリーストに捕まっています。
【エーコ
所持武器:なし 現在位置:ロンタルギアの祠の外
第一行動方針:バッツたちと合流
第二行動方針:仲間を捜す】
祠から逃げ出す事に成功しましたが、向かっている南の端は落ちています。
【とんぬら(DQ5主人公)/ルーキー/王女アニー
所持品:さざなみの剣(捨て)/スナイパーアイ ブーメラン(捨て)/マインゴーシュ
現在位置:祠の離れのそば
第一行動方針:エビルプリーストを倒す
第二行動方針:クーパー・パパス・ライアン・アイラをみつける】
とんぬら、ルーキーは武器を捨てました。アニーはそのままです。
とんぬらにはマホカンタがかかっています。アニーは氷結の呪文をすぐに撃てます。
【ピピン 死亡】
オルテガたちが出てくるタイミングはお任せです。
エーコについては誰か補完してください。おながいします。
- 79 名前:保管庫 :03/04/01 01:01 ID:s8WvrebR
- 地下道に響く爆発音は、当然東に向かうデスピサロたちにも聞こえていた。
その音に慌てて引き返そうとするジタンをデスピサロが制止する。
「待て!、サマンサならば大丈夫だろう、あれは引き際をよく心得ている、
滅多な事で間違いはしまい」
「あいつから仕掛けたかも知れないぜ」
「まさか、ならもっと確実な方法が幾らでもある、魔法使いなのだからな」
そう言ってジタンをなだめるデスピサロだったが、もちろんサマンサの意図は充分理解していた。
(サマンサよ、援護射撃のつもりか、味な事を)
結局、それ以降戦いの物音は一切聞こえる事は無く、ようやく納得したジタンはまた先へ進む。
そしてまたしばらく進んだ時、ジタンはまた足を止め今度は何やら地図を見比べて考え始める。
「おかしいな」
「何がだ?」
「いや、俺としてはこの島にある祠に行きたいんだけど、地下道が通って無いんだ」
デスピサロも地図を確認する、なるほど確かに地下道は祠一帯、北東の湖を避けるように通っている。
引き続きデスピサロは、地下道マップと支給品の地図を見ながら思案をめぐらせる、その結論は。
「地形から考えるにおそらくこの島は浮き島だ…だれかが人工的に作った」
地下道マップは誰が調べたのかは知らないが単にトンネルの通路だけでなく、
その深さや地盤等の状態についても詳しく書きこまれていた。
それが無ければ彼もこの事実に辿りつけなかっただろう。
「人工島?それって何か不味いのか?」
意外な展開について行けず、首をかしげるジタン、デスピサロはできの悪い生徒に補習を行う、
教師のスタイルで続ける。
- 80 名前:保管庫 :03/04/01 01:01 ID:s8WvrebR
- 「さしあっては不味いわけではない、だがもしその事を知らずに、派手な戦いでもやれば、
もしかすると、突如として島が沈む、という事もありえないともいい切れんな」
「しかも悪い事にその湖の地下には断層がある…もし島が沈めばそれを引き金にして、
局地的な地震が起こりうる可能性すらあるが、それでも行ってみるか?」
意地の悪いデスピサロの言葉に、ジタンは苦笑いで応じるのみだった。
【デスピサロ:所持アイテム:正義のそろばん・『光の玉』について書かれた本・
現在位置:地下通路(大陸中央付近)から東へ】
第一行動方針:腕輪を探す
第二行動方針:偵察
第三行動方針:不明
【ジタン:所持アイテム:仕込み杖、グロック17、ギザールの笛 グレネード複数
試験問題・解答用紙複数(模範解答も含む)、時計
現在位置:地下通路(大陸中央付近)から東へ】
第1行動方針:魔法使いを探す
第2行動方針:エーコを探す
最終行動方針:ゲームから脱出
- 81 名前:保管庫 :03/04/02 01:41 ID:x4FJiq0r
- 一体、何時間ほど歩いただろうか。
「ようやく山岳地帯を抜けられるようでござるな」
ライアンは安堵の息をついた。同時に、見失ってしまった仲間達のことを思う。
特にホイミン……あの不吉な夢は、何を暗示していたというのか。
ライアンは空を見上げた。太陽は既に傾いているが、日没にはまだ時間がありそうだ。
(次の放送を聞けば、あの夢が正夢かどうかもわかるでござる……)
雪山で、長い間気絶していたライアンは知らなかった。
放送回数が増えたこと、正午に流れた放送で禁止魔法が追加されたこと、ホイミンの名前が呼ばれたことを。
最も、戦士のライアンにとって、禁止魔法の追加などなんの意味もないのだが。
「……歩きどおしで疲れたでござるな。少し一休みとするか」
ライアンは岩陰に身を隠した。そして昼食を食べていないことに気付き、
バックから食料を取りだして食べ始める。
「腹が減っては戦ができぬと申すからな」
ツェンの街で果物や瓶詰めを見つけていたこともあり、あと二日は食料の心配もない。
そういう事情もあって、彼は盛大に食事にありついた。
- 82 名前:保管庫 :03/04/02 01:42 ID:x4FJiq0r
- そんなライアンを見つめる視線が、二つ。
「(ごくっ)……いいなぁ〜、オレなんかちょっとしか食べてないってのに」
「何よ、食料なら私達の分を分けてあげたじゃない」
「あんなちょびっとじゃ、食べた気がしないッスよ」
「だったら、そこらへんの雪でも食べて我慢しなさいよ」
ライアンの隠れている岩とは少し離れた、木の陰で。
ティーダとマリベルは、そっと様子を伺っていた。
目的は、もちろんセフィロス打倒のメンバーを勧誘するためだ。
比較的足が早く、戦闘能力もあるティーダ達が仲間探しをする間に、
エアリスとギルガメッシュとラグナが作戦を立てる……そういう手筈になっている。
「で、どうする?」
ティーダはぱらぱらと、参加者リストのページをめくる。
選ばれし者の一人、バトランドの王宮戦士――この文と本人を見る限り、そう悪い人物とは思えない。
「あのオッサン、見た目も結構強そうだし、オレはいいと思うんだけど」
「見た目だけって可能性もあるけどね」
しかし、ライアンが決して見た目だけの戦士ではないことは、マリベルも察していた。
一見無造作に食事をしているようだが、全く隙がない。
それに脇に置かれたやたらとデカいハンマーからは、並々ならぬ魔力が放たれている。
あの武器だけでも、貴重な戦力となることには間違いない。
とりあえず、どうやって声を掛けるか――二人がそう思った、その時。
「いい加減出てきたらどうでござるか?
人の食事をジロジロ見るなど、あまりいい趣味とは言えないでござるよ」
「!」
予想だにしなかった一言。
驚きのあまり、ティーダ達は反射的に木陰から飛び出していた。
- 83 名前:保管庫 :03/04/02 01:42 ID:x4FJiq0r
- 【ライアン 所持武器:大地のハンマー
現在位置:祠の南西・山岳地帯と雪原の境目あたり
第一行動方針:食事&休憩
第二行動方針:はぐれた仲間を探す
第三行動方針:ホイミンの安否を確かめる
(正午の放送を聞き逃しています。放送回数が増えたことも知りません)】
【マリベル/ティーダ 現在位置:祠の南西・山岳地帯と雪原の境目あたり
所持武器:エドガーのメモ/いかづちの杖・参加者リスト
第一行動方針:仲間を集める、
第二行動方針:打倒セフィロス→ゲームから抜ける】
【ラグナ(両足欠損)/エアリス/ギルガメッシュ 現在位置:ロンダルキア洞窟近くの雪原
所持武器:エルフィンボウ/癒しの杖/無し/
第一行動方針:作戦会議
第二行動方針:打倒セフィロス→ゲームから抜ける】
- 84 名前:名前が無い@ただの名無しのようだ :03/04/03 01:52 ID:sKGk4cPJ
- 保守
- 85 名前:笑う悪魔 ◆638FJ29rIc :03/04/05 00:02 ID:uLPuoH0F
- 保守
- 86 名前:名前が無い@ただの名無しのようだ :03/04/06 03:57 ID:Ydf1MJ/a
- ほっしゅほっしゅ。
- 87 名前:名前が無い@ただの名無しのようだ :03/04/06 12:46 ID:IJjaM5sZ
- 保守
- 88 名前:名前が無い@ただの名無しのようだ :03/04/06 15:11 ID:Xj2f544m
- ほしゅ
- 89 名前:名前が無い@ただの名無しのようだ :03/04/07 16:02 ID:kJmeo9bL
- 保守
- 90 名前:ほしゅ :03/04/07 20:50 ID:ZaPWq3Rl
- ほしゅ ほしゅ ほっしゅっしゅ。
- 91 名前:名前が無い@ただの名無しのようだ :03/04/07 21:10 ID:YDZ+snYI
- 用はドラクエが天野画になり、エフエフは主人公しゃべらなければ双方納得てことでよいですね?
- 92 名前:名前が無い@ただの名無しのようだ :03/04/07 21:36 ID:nUgNUZIM
- 29
- 93 名前:名前が無い@ただの名無しのようだ :03/04/07 21:51 ID:ntGytMzc
- >>91
意義なし男くん
- 94 名前:不セイン :03/04/07 23:14 ID:Bq/Af7BB
- サーバーを接続できマンセー
- 95 名前:名前が無い@ただの名無しのようだ :03/04/08 18:26 ID:uHb2q1ze
- 保
守
- 96 名前: :03/04/08 19:01 ID:lOU8LlgK
- 96
- 97 名前:名前が無い@ただの名無しのようだ :03/04/08 21:51 ID:MQoYfluV
- 顔文字板のDQスレも保守するだけの日々が続いたが
このスレもそうだな
保守ぴたる
- 98 名前:逆襲の保管庫 :03/04/08 23:59 ID:SL5CsYn6
- 「おい!おい!起きてんのか!」
耳もとの声にギルガメッシュはゆっくりと目を開けて、声の方向を見る、と、そこには、
一匹のカエルがひょこひょこと歩いている。
「作戦会議をしようって言ったのはお前だろ、寝てんじゃねーよ」
さらにカエルは大声を張り上げる、だがギルガメッシュはカエルがしゃべるという異常事態にも、
全く動じず、当たり前のように返答する。
「腹へってんだよ…お前はそんななりだからカロリー少なくって済むんだろうけど、なぁラグナさんよぉ」
「ただ寝てるだけなら別に人間のままでもいいんだけれどな」
そう、このカエルの正体は、ト−ドによって変化したラグナだったのである。
両足を失ったラグナを出来るだけスムーズに連れて歩くための手段であった。
ひょこひょこと自分の周囲をうろつくラグナカエルをギルガメッシュはぼんやり見つめる。
その下あごには超ミニサイズながらも、例の首輪が光っていた。
(カエルになればもしかしてと思ったんだが…無理だったか。)
「なぁ…お前も出来るだけカロリーを消費せずに大人しくしておいた方がいいぞ。人間に戻ったら
ふらふらで戦えませんじゃ困るからな」
木陰で丸くなって、やはり大人しくしているエアリスの方を見、それから何故か自分のそばから離れない
ラグナカエルを不思議そうに眺める。
「なぁ、なんでエアリスじゃなくって俺なんだ?スケベそうな顔してるくせによ?」
「出来れば俺もお前さんじゃなくって、エアリスの胸の谷間がいいに決まってる…でもな
さっき忍び込もうとしたらエアリスは俺になんて言ったと思う?」
カエルの姿のラグナはそこでぶるぶると身体を震わせる。
「今度やったら、お尻の穴にストロー刺しこんで、そのままぱぁんってやっちゃうからね…てよ」
「そ…それは怖いな」
- 99 名前:逆襲の保管庫 :03/04/09 00:01 ID:MaTwi+s7
- エアリスのその一言はラグナカエルには死にも勝る恐怖だっただろう。その恐怖はもしかすると、
自らの幼き日々を思い出してのことかもしれない。
「きっと子供の頃やってたに違いないぜ」
「人は見掛けによらんな…」
そこまで話すと、またラグナカエルは落ちつき無くひょこひょこと飛びまわる。
ギルガメッシュは今度は灰色の空を見上げると、別のことを考え始める。
自分はあの時爆死したものだとばかり思っていた、今の自分は”おまけ”のようなものだと。
だからこそ、セフィロスを倒そうなどというある意味無謀な計画を企てる事も出来た。
おまけの命を無駄にするつもりは無いのだが、せめて有意義に使いたいというわけだ。
英雄っぽくって2度目の最後を飾るには、なかなかのものだろうと自分では気に入っているつもりなのだが、
なんとなく思うのだ。
爆死した後、まだ何かがあったような気がする…大切な何かを忘れているような…、
ギルガメッシュは珍しく頭をフル回転させ、必死でおぼろげな記憶を呼び戻そうとする。
もやがかかった脳裏にある人物が浮かび上がる、白い髭をたくわえた、いかにも賢者を思わせる、
温和な容貌の老人だ、その隣には雪の結晶を纏った美女もいる。
そこまで思い出したところで、また、もやが深くなってゆく、これ以上は今は無理のようだ。
(そういや爺さん何か言ってたような…新しい仲間だとか何とか、ああ、よくわかんねぇやな)
とにかく空腹で考え事をしても無駄だ、ギルガメッシュは再び目を閉じて丸くなる。
「腹、減ったな…ティーダのやつ、俺がトイレに行っている間に俺の分まで食べやがって…」
- 100 名前:逆襲の保管庫 :03/04/09 00:02 ID:MaTwi+s7
-
【ラグナ(両足欠損・現在はカエルの姿)/エアリス/ギルガメッシュ 現在位置:ロンダルキア洞窟近くの雪原
所持武器:エルフィンボウ/癒しの杖/無し/
第一行動方針:作戦会議
第二行動方針:打倒セフィロス→ゲームから抜ける】
ギルガメッシュは死亡後、召喚獣となっています。(本人に記憶無し
記憶を全て取り戻すまでは人間として扱う)
老人はラムゥ、美女はシヴァです
- 101 名前:名前が無い@ただの名無しのようだ :03/04/10 01:15 ID:DmHNKJIL
- 保守
- 102 名前:名前が無い@ただの名無しのようだ :03/04/10 21:00 ID:DfThVge6
- ほしゅ!
- 103 名前:名前が無い@ただの名無しのようだ :03/04/12 00:59 ID:XxDcsjCq
- ホシュ
- 104 名前:名前が無い@ただの名無しのようだ :03/04/12 23:12 ID:yqQ/aQkx
- ほ し ゅ る か ?
- 105 名前:名前が無い@ただの名無しのようだ :03/04/14 01:51 ID:poIMpI8m
- ほ し ゅ る ろ う か !
- 106 名前:名前が無い@ただの名無しのようだ :03/04/14 21:03 ID:QZ9nQdmL
- あ ぼ ー ん
- 107 名前:保管庫 :03/04/15 01:27 ID:EsGhIdyO
- リディアは絶叫していた。エビルプリーストの腕が咽喉に食い込んで
ろくに声も出せなかったが、目から涙がこぼれ、胸の奥がひゅうひゅうと鳴っている。
悲しいこともある。ただ、それ以上に許せなかった。
剣を捨て、すまなさそうに自分を見るピピンの姿が、爆炎に飲み込まれて消えていく姿が瞼に焼き付いて消えない。
ピピンは命をかけて自分たちを救おうとしてくれた。なのに自分はそれに答えられなかった。
だから、自分が許せなかった。
そしてまた、剣を捨てた男性が目の前にいる。自分のせいで、死んでしまう。
そんなことは許せなかった。
もがき、暴れる。だが、エビルプリーストの腕はまったく揺るぐことはない。
自分が身動きするたびに締め付けはきつくなり、意識は遠くなっていくが、
それでもリディアは絶対に諦めるわけには行かなかった。
そんなリディアの精一杯の抵抗も、エビルプリーストは歯牙にとめない。
彼は武よりも文の性質であったが、腐っても魔族である。小娘が暴れたところで動じることなどない。
「さて、先ほどの例をさせてもらおうか。おっと、貴様はマホカンタが効いていたな」
エビルプリーストは邪悪な笑みを浮かべながら、とんぬらが捨てた剣の方へ歩いていく。
ルーキーは悔しげに、とんぬらは静かな怒りを秘めながら、身動きひとつせずそれを見ていた。
そんな二人にエビルプリーストは舌打ちする。剣を拾い上げ、ゆっくりととんぬらに近付いていく。
「その目、気に入らんな。貴様は危険だ」
とんぬらは冷たい目でじっとエビルプリーストを睨みつけていた。
抵抗する様子はない。手をだらりと下げ、無防備な姿で佇んでいる。
一歩、一歩近付くにつれ、リディアの焦燥は積もっていき…
エビルプリーストがとんぬらを切り殺そうと剣を構えた、その時。リディアの中の何かが切れた。
- 108 名前:保管庫 :03/04/15 01:28 ID:EsGhIdyO
- 刹那。強烈な力が弾けた。
「うおおッ…!?」
リディアの全身から緑色の光が溢れて視界を塗り潰す。
突然生まれた衝撃にエビルプリーストはリディアを投げ捨てる、だが現象は止まらない。
何らかの力が集まって一つの物体として具現化していく。
「ば、馬鹿な…!?」
それはリディアを包んで巨大化していき、遂には巨大なドラゴンを形どった。
音もなく、雪原に突然現われた白いドラゴンは鎌首を下に…エビルプリーストに向ける。
エビルプリーストはパクパクと口を上下させた。何かを言おうとしたが、声にならない。
ドラゴンは口を開いた。咽喉から白い煙が零れる。
熱も冷気も電撃もない霧のブレス。次の瞬間、彼の全身を激しい痛みが襲った。
本来なら、耐え切れた攻撃かもしれない。だが、ゾーマの魔力に包まれたこのフィールドでは、
魔法に制限がかかっているように、耐性にも彼が思っている以上に制限がかかっていた。
こんな筈ではなかった。エビルプリーストは、自分がどこで誤ったかを考えた。
あの小娘を人質に取ったとき、逃げることを考えなかったことか。
いや、そもそもあの小娘を人質にしてしまったことか。
それとも…
そんなエビルプリーストの全身を氷柱が貫き、彼の存在はそこで潰えた。
とんぬらは呆然とその一連を見ていた。
とんぬら自身は、エビルプリーストが攻撃を仕掛ける瞬間を狙っていた。
幸いな事に自分にはマホカンタがかかっている、エビルプリーストは直接的に自分に手を下すだろう。
そこに付け入る隙がある。危険だったがそれしかない、と思っていた。
だが、実際はそれを行う前に、少女が少女自身の力で自分を救った。
自分は…自分が人質になったあの時、自分は見ているだけだったのに。
- 109 名前:保管庫 :03/04/15 01:28 ID:EsGhIdyO
- 霧のドラゴンは攻撃を終え、存在する所以を失ったそれは静かに消えていく。
現われたとき同様、音もなく消えた後には倒れ伏すリディアの姿があった。
少女の下に駆け寄る。意識を喪失しているようだ、一見して少女の顔色が酷く悪い事が確認できる。
念の為に脈をとってみると、あるにはあるが恐ろしく弱い。
あのドラゴンを呼んだ際に力を使い果たしてしまったのだろう。
このままでは危険かもしれない。
とんぬらはリディアを抱き上げた。少女の軽さに、何ともいえない気分になる。
こんな少女も、この馬鹿げたゲームの参加者なのだ。それがやりきれなかった。
振り向くと、アニーがこちらに歩いてくる。何となく、不機嫌そうだった。
実際、アニーは不機嫌だった。
「お父さん、何で剣を捨てたの?」
「アニー?」
「お父さんは、私よりあの子が大事なの?」
とんぬらが不思議そうに自分を見ている。それがまたアニーの癇に障った。
「お父さんは死なないっていったじゃない!なのにあんな子の為に剣を捨てて!」
「アニー…」
今にも泣き出しそうな娘の前で、困惑する父親。
そんな気が重くて窒息しそうな状況で、ルーキーはかなり控えめに口を出した。
「ねぇ…そろそろ中の人たちが出てきそうなんだけど?」
次の瞬間。
離れの扉が蹴破られ、見るも無残な姿に成り果てた扉が雪原に投げ出される。
扉が地面に倒れた勢いで雪が舞い上がった。
ちらつく雪の影に、男が二人現われる。
オルテガとリバストだった。
- 110 名前:保管庫 :03/04/15 01:31 ID:zwJ8r872
- 【リディア
所持品:なし 現在位置:ロンタルギアの祠の外
第一行動方針:エーコ、バッツたちと合流
第二行動方針:仲間(セシル?)を捜す
力を使い果たして昏倒しています。そう簡単には回復しません】
【とんぬら(DQ5主人公)/ルーキー/王女アニー
所持品:さざなみの剣/スナイパーアイ ブーメラン/マインゴーシュ
現在位置:祠の離れのそば
第一行動方針:リディアとオルテガたちとどう接しよう?
第二行動方針:クーパー・パパス・ライアン・アイラをみつける】
【エビルプリースト 死亡】
- 111 名前:名前が無い@ただの名無しのようだ :03/04/17 02:10 ID:mPTGbc3H
- ホシュ?
- 112 名前:名前が無い@ただの名無しのようだ :03/04/17 22:43 ID:JHNCZhup
- ホシュ!
- 113 名前:保管庫 :03/04/19 00:32 ID:bowcbfVP
- 「おい、なんか変な音がするんだけど」
地下道を進んでいたジタンが立ち止まろうとする、背後にいたデスピサロも気がついていたらしい、
すかさずジタンの襟元を掴むと、そのまま踵を返して引き返そうとする。
「振り向くな…走れ!全力で!」
その時岩盤を突き破り、おびただしい量の地下水が通路へと溢れ出す。
まさに濁流とも呼ぶにふさわしい暴力的なまでの水流が2人を飲みこもうと迫っていた。
その変化は地下だけではなく、そこからさほど離れていない祠島にも現れていた。
突如彼らの足元の地面が、ぴしぴしとひび割れたと同時に大量の水が地割れから噴出してくる
これだけでも容易ならざる状況だというのに、さらに空気の流れが急激にささくれだってくる。
これは…間違い無く竜巻の前兆、それに悪い事に巨大な魔力の要素を感じる。
だが、彼らがそれに気がついたときはすでに遅かった、大音響と共に島は竜巻に包まれ、
まずは離れがバラバラに吹き飛び、一匹のチョコボと共に竜巻に巻き上げられたのを皮切りに、
その場に居合わせた者達も、次々とはるか上空へと消えていく。
デスピサロが浮島と表現した、祠島だが、彼を持ってしても見ぬけなかったのは、
この島が単なる浮島ではなく、それその物が魔力を帯びて浮いていたということ。
はるかな昔、この地を築いた先人たち(おそらく地下道を掘ったのも彼らだろう)
によって作られた物であるのだろうが、管理するものも無く、打ち捨てられた状況の中、
老朽化が進み、蓄積された魔力がいつ暴走してもおかしくない状況であったのだろう。
そこに来て、先ほどの戦闘が呼び水となり、ついに風船が破裂するかのごとく、膨張したそれは、
一気に噴出したのであった。
- 114 名前:保管庫 :03/04/19 00:33 ID:bowcbfVP
- そのころようやく安全圏へと脱出したデスピサロたちは、その恐るべき様を固唾を飲んで見続けるしかなかった。
妖しく光る巨大な竜巻、それも1つだけではなく、複数の竜巻が重なり合って付近を覆っているのが分かる。
その凄まじい光景を眺めていたデスピサロだが、あることに気がついたようだ。
「あの竜巻…あれはルーラ?、まさか自然発生するとは」
おそらく暴走、噴出した魔力が様々な条件の元、あのようなルーラという形になったのだろう。
もっとも今、目の前で起こっているのはルーラとは逆の作用をもたらす魔法、バシルーラなのだが。
さらに目を凝らすと、竜巻の頂点からいくつかの光が四方へと散っていくのも見える。
すると、そのうちの1つがこちらへと向かってくる。
「気をつけろ、近くに人が降ってくるぞ」
デスピサロがジタンに声をかけるかかけないかの間に、ばしゅんっ!という音がしたかと思うと、
そこには緑の髪の少女が気を失った状態で、雪原に倒れていた。
一方、竜巻に中途半端な形で巻きこまれてしまい、ただ湖に投げ出されてしまっただけの者たちもいた。
投げ出されたショックで気絶したアニーを抱えたとんぬら、それからアーロンの3人だ。
彼らは崩壊したつり橋のロープにつかまり何とか難を逃れてはいたが、
地盤沈下の衝撃で発生した大渦が容赦無く彼らを飲みこもうとしていた。
とんぬらのすぐ後ろでアーロンが叫ぶ。
「俺に構うな、早くロープを切れ」
激流の中、彼らがつかまっているロープは3人分の体重を支えるにはあまりにも細過ぎた。
このままでは3人とも渦の中に飲み込まれてしまうだろう。
- 115 名前:保管庫 :03/04/19 00:39 ID:bowcbfVP
- 「俺は身体が動かん…頼む」
無言のとんぬらをアーロンはさらに促す。
水面下を見ると彼の身体にロープが絡んでいるのが見える。
だが…それでも、とんぬらには判断がつかなかった、理屈では彼の言葉が正しいのはわかる、
しかし、それでも自分が助かるために他人を見殺しには出来そうになかった、だがしかしその時、
腕の中でアニーが小さな唸り声を上げる。それを聞いたとき、とんぬらの中から迷いが消える。
「すいません!」
とんぬらはさざなみの剣を抜き、素早くロープを切断した。
アーロンの口元が”それでいい”とわずかに微笑んだような気がしたが、
その次の瞬間には、彼の姿は渦の中に消えていった。
こうして渦の中から何とか脱出したとんぬらは、アニーを抱えて島へと戻る。
島は半分以上水没していたが、その頂に位置する祠はまだ無事のようだった。
「とりあえず濡れた身体を乾かさないと…」
自分の中の罪悪感を振り払うように呟くと、とんぬらはそそくさと祠の中へと入っていった。
だが、その一方で隣の島から彼らを睨みつける視線があった。
その視線の主はモニカ、幸か不幸か、彼女も竜巻に巻きこまれたものの、
隣の島に弾き飛ばされただけですんだのである。
だが、そこで彼女が見たものは、無常にもロープを切断されて、
波間に消えていくアーロンの姿だった。
そう、彼女にはとんぬらが救いを求めるアーロンを見捨てたとしか見えなかったのだ。
「許さない…よくもアーロンさんを」
- 116 名前:保管庫 :03/04/19 00:42 ID:bowcbfVP
- >>115はミス!修正版を見落としてました。
しかも>>114とかぶってるし
とんぬらのすぐ後ろで、麻痺した身体を必死に動かしてアーロンが叫ぶ。
「お、おお、、れれえ…かま、うな、ろろ、ロープ…切れ」
激流の中、彼らがつかまっているロープは3人分の体重を支えるにはあまりにも細過ぎた。
このままでは3人とも渦の中に飲み込まれてしまうだろう。
「かか、からが動か…頼む」
無言のとんぬらをアーロンはさらに促す。
水面下を見ると彼の身体にロープが絡んでいるのが見える。
だが…それでも、とんぬらには判断がつかなかった、理屈では彼の言葉が正しいのはわかる、
しかし、それでも自分が助かるために他人を見殺しには出来そうになかった、だがしかしその時、
腕の中でアニーが小さな唸り声を上げる。それを聞いたとき、とんぬらの中から迷いが消える。
「すいません!」
とんぬらはさざなみの剣を抜き、素早くロープを切断した。
アーロンの口元が”それでいい”とわずかに微笑んだような気がしたが、
その次の瞬間には、彼の姿は渦の中に消えていった。
こうして渦の中から何とか脱出したとんぬらは、アニーを抱えて島へと戻る。
島は半分以上水没していたが、その頂に位置する祠はまだ無事のようだった。
「とりあえず濡れた身体を乾かさないと…」
自分の中の罪悪感を振り払うように呟くと、とんぬらはそそくさと祠の中へと入っていった。
- 117 名前:保管庫 :03/04/19 00:43 ID:bowcbfVP
- だが、その一方で隣の島から彼らを睨みつける視線があった。
その視線の主はモニカ、幸か不幸か、彼女も竜巻に巻きこまれたものの、
隣の島に弾き飛ばされただけですんだのである。
だが、そこで彼女が見たものは、無常にもロープを切断されて、
波間に消えていくアーロンの姿だった。
そう、彼女にはとんぬらが救いを求めるアーロンを見捨てたとしか見えなかったのだ。
「許さない…よくもアーロンさんを」
【デスピサロ:所持アイテム:正義のそろばん・『光の玉』について書かれた本・
現在位置:祠の湖南岸の森】
第一行動方針:腕輪を探す
第二行動方針:偵察
第三行動方針:不明
【ジタン:所持アイテム:仕込み杖、グロック17、ギザールの笛 グレネード複数
試験問題・解答用紙複数(模範解答も含む)、時計
現在位置:祠の湖南岸の森】
第1行動方針:魔法使いを探す
第2行動方針:エーコを探す
最終行動方針:ゲームから脱出
【リディア(気絶中)所持品:なし 現在位置:祠の湖南岸の森
第一行動方針:?
第二行動方針:エーコ、バッツたちと合流
第三行動方針:仲間(セシル?)を捜す】
- 118 名前:保管庫 :03/04/19 00:48 ID:bowcbfVP
- 【とんぬら(DQ5主人公)/王女アニー
所持品:さざなみの剣/マインゴーシュ
現在位置:湖の祠
第一行動方針:身体を乾かす
第二行動方針:クーパー・パパス・ライアン・アイラをみつける】
【アーロン(怪我・半冷凍)
所持武器:折れた鋼の剣 現在位置:不明
第一行動方針:?
第二行動方針:仲間を探す)
【モニカ:所持武器:エドガーのメモ(ボロ) 現在位置:祠の南の島
第一行動方針:?
第二行動方針:仲間を探す】
以下、バシルーラに巻きこまれた人々
【オルテガ 所持武器:水鉄砲 グレートソード 覆面 現在位置:不明
第一行動方針:アルスを探す】
【リバスト 所持武器:まどろみの剣 現在位置:同上 行動方針:特になし】
【ルーキー 所持品:スナイパーアイ ブーメラン/現在位置:不明
第一行動方針:クーパー、ライアン、パパスとの合流】
【エーコ 所持武器:なし 現在位置:不明 行動方針:?】
それとチョコボ一匹
また、離れの中にあったであろう品々はロンダルキア全土に降り注ぐでしょう。
祠のある島は現在、南北ともに橋が崩壊し孤立状態です。
- 119 名前:保管庫 :03/04/19 00:48 ID:bowcbfVP
- 場合によっては巻きこまれた可能性がある人々
【メルビン/ガウ 所持武器: 虎殺しの槍 /なし 現在位置:祠から南の島
(バシルーラに巻きこまれているのなら不明)
第一行動方針 アーロンとモニカの救出
第二行動方針:仲間を探す
第三行動方針:ホフマンの仇をうつ】
- 120 名前:保管庫 :03/04/19 00:53 ID:bowcbfVP
- 「酷いもんだ。せっかくあんたに直してもらった体をまたこんなにしてしまった。
バングルさえ身に付けていれば手榴弾ぐらいで、ぐっ、こうやって喋るのも辛いな」
仰向けに横たわるクラウドは体に積もった砂埃や突き刺さった鉄片を感じながら言った。
「うっぅぅぅう」
すぐ近くでアリーナの呻き声が聞こえた。
姿を確認しようと首を動かした途端に激痛が襲い出す。
「ううっ……大丈夫か」
だが返事がない。クラウドは痛みを堪えて出来うる限りの声を出した。
「生きているの、かあっ!」
がたんという音がして一瞬の静寂の後、
「聞こえてるわよ……」
アリーナの小さな抗議の声が聞こえてきた。
「そうか、すまない」
クラウドはそれで心を落ち着かせた。
「しかし、どうしようもないな。今度は二人ともダウン、か」
さっきから喋っている間に聞こえる、滴り落ちる水滴のような音は血なのだろう。
唇からも流れてくる血のおかげで、口の中は鉄分を含んだ味で満たされていた。
「やったのは間違いなくあの二人、それも女の方だ。
表面は取り繕っていても目に殺気が篭ってた。怖かったな、あれは……」
気力を振り絞ってそんなことを言ってはみたが、何が起こるわけでもない。
だが体を動かせずアリーナの容態もわからない以上、生きていることの確認のためにも
必要なことだと思っていた。それに暗い部屋の中で無音のままでいるのは不安になる。
クラウドはもう一度呼びかけてみた。
「体はどんな具合だ、痛みは耐えられそうか?」
闇の向こうで悲痛な声が聞こえてきた。
「痛いよ、ものすごく痛い……」
- 121 名前:保管庫 :03/04/19 01:01 ID:bowcbfVP
- 【アリーナ 所持武器:イオの書×4 リフレクトリング ピンクのレオタード
現在位置:地下通路(大陸中央付近) 】
第一行動方針:ソロを止める(倒してでも)
第二行動方針:クラウドをティファに会わせる
最終行動方針:ゲームを抜ける
【クラウド:所持武器:ガンブレード 現在位置:地下通路(大陸中央付近)】
第一行動方針:エアリスorティファを探す。
第二行動方針:アリーナを救う
最終行動方針:不明
(二人とも重症。しばらく放置されると持ちません)
- 122 名前:保管庫 :03/04/19 01:01 ID:bowcbfVP
- 「こんなところにいたのか…」
エビルマージは舌を打ちながら、スライムナイト――ピエールに近づいた。
彼の手には、大量の花が抱えられている。おそらくは、フライヤに捧げるための。
雪と氷が支配するこの世界で、これだけの花を集めたことは十分賞賛に値するだろう。
が、エビルマージにとっては、過去の幻影に縋りつく軟弱者の行為としか映らない。
「さすが、人間に仕えていた恥知らずだけはあるな。とんだ役立たずだ」
「………」
「…まぁいい。貴様にラストチャンスをやろう」
黙ったままのピエールを一瞥し、エビルマージは呪文を唱えた。
霧と光が集まり、虚空にとんがり帽子を被った女の姿を描き出す。
「見ての通り、魔法使いだ……名前はサマンサ。
この女の命を取ってこい」
本当のことを言えば、こんな下等な魔物など捨て置きたかった。
ただ、このままではサマンサはハーゴンに接触し、ゲーム脱出の方法を知るだろう。
魔法使いのサマンサは、使える呪文こそマゴットに劣れど
その魔学の知識と研究心は、仲間をはるかに凌いでいる。
まだこのゲームをぶち壊されるわけにはいかない以上、
早急に手を下さねばならないのだ。彼女がハーゴンと接触する前に。
それができる距離にいて、なおかつ付け込む隙があるのは、ピエールしかいない。
そうでなければ、誰がこんなゴミクズのような魔物を相手にするものか。……
- 123 名前:保管庫 :03/04/19 01:06 ID:bowcbfVP
- 「まだ迷っているか……なら、一ついいものを見せてやる」
沈黙を続けるピエールに痺れを切らしつつも、エビルマージは再び呪文を唱えた。
今度は静止映像ではなく、動画だ。サマンサが何か喋っているが、声は聞こえない。
その足元には、黒焦げの何かがあった。ピエールはハッと息を呑む。
「わかるか? 貴様と一緒にいた、ビビとか言う魔導師だ」
ビビの手がわずかに動いた。サマンサは冷酷な視線を彼に向けて、手をかざす。
サマンサの口が呪文を紡ぐ。手の平に氷の刃が生まれる。
それが瀕死のビビに向かって降り注ぎ――そこで唐突に、幻影はかき消えた。
「貴様の仲間を殺したのはこの女だ。それなのに、何を悩む必要がある?」
これは嘘だ。サマンサはたしかにヒャドを打ち込んだが、
それはビビの苦痛を和らげるためであって止めを刺すものではなかった。
「こいつさえ殺せば、望む力をくれてやるというのだ。悪い話ではないだろう?」
これも嘘だ。なぜ、ゴミクズの願いをわざわざ叶えてやる必要がある?
まぁ、呪いで狂戦士に変えてやるというのも面白いかもしれないが。
「それとも、貴様は仲間の無念を晴らしてやりたくないのか……?」
ダメ押しの一言に、ピエールがかすかに身を振るわせる。
「……それが本当なら、確かに悪い話ではないな」
かかった! エビルマージはローブの下でほくそ笑んだ。
しかし、ピエールは静かに言葉を続けた。
「だが、断る」
エビルマージがその意味を理解するのに、
そして喉元につきつけられた抜き身の剣に気がつくのに、10秒を要した。
- 124 名前:保管庫 :03/04/19 01:11 ID:bowcbfVP
- 「ゲスが……全てが貴様の思い通りになると思うな!」
ひっ、とエビルマージは青ざめた声を漏らした。
それだけの気迫が、ピエールから発せられていた。
呪文を唱えることさえ思いつかず、蛇に睨まれたカエルのように、身を震わせる。
「我が剣は守りのためだけではない、それ以上に邪悪を断つために捧げたのだ!
例え貴様の言うことが真実であったとして、サマンサに罪を犯させたのは誰だ?
セーラがフローラ様を殺したのは何のためだ?
ヘンリー様が変わってしまったのは誰のせいだ?!
……ゾーマが、貴様らがそのように仕向けたからだろう!
貴様のような邪悪に屈したとあっては、
死んでいった人々に、とんぬら様に、そして仲間達に顔向けできぬわ!」
ピエールの言葉を聞きながら、エビルマージは己のミスを後悔していた。
あの時、アークマージを無視してピエールを追い詰めておけばよかったのだ。
フライヤの死に動揺していたピエールならば、容易に堕とすことができたのに。
なまじ、考える時間を与えてしまったせいで――あの因業ジジイが!
だが、エビルマージの命運も完全に尽きたわけではなかった。
「今すぐその首切り落としたいところだが、そういうわけにも行くまい。
貴様のお陰で思い出したが、私にはまだやるべきことがある。
消えろ。そして二度と私の前に姿を見せるな」
剣の切っ先が、わずかに離される。
エビルマージは慌ててルーラを唱え、姿を消した。
【ピエール 所持武器;珊瑚の剣 現在位置;神殿の付近
第一行動方針:フライヤを弔う
第二行動方針:とんぬら・クーパー・アニーを探し、守り抜く
最終行動方針:ゲームを脱出し、諸悪の根源を断つ】
- 125 名前:保管庫 :03/04/20 00:03 ID:gT5QCbTA
- 本スレ98〜100を無効とさせていただきます。
- 126 名前:保管庫 :03/04/20 00:03 ID:gT5QCbTA
- ティーダたちを先行させておいて、ラグナたち3人は作戦会議中なのだが、どうも様子がおかしい。
「で、こうやって3人でセフィロスをどうやって倒すかを考えているのだが…」
と、ギルガメッシュ。
「これっぽっちもまともなアイデアが出ないのはどう言う事だ?」
その言葉にラグナが軽口を叩く。
「そりゃ、お前の頭が悪いからじゃないのか?」
「なんだとう、そういうこというやつが1番頭がわるいんだぞ」
自分でも気にしているのか、鼻白んだ表情でラグナに言い返すギルガメッシュ、さらに口撃しょうとする
ラグナをエアリスが止める。
「2人とも小学生みたいなこと言わないでよ、恥ずかしい」
という具合に和気あいあいとした、会議というより団欒のような雰囲気なのである。
「だいたいなぁ…お前らこの俺を舐めている、何を隠そうこの俺は…」
とここらで1つかましておく必要があるかとばかりに、自慢話を始めるギルガメッシュ、
だが話に夢中になりすぎていて、何時の間にかエアリスもラグナも自分のそばから離れているのにも、
背後に迫る気配にも、気がついていない。
そして、ようやく気がついたときにはすでに遅く、振り向いたギルガメッシュの眼前に巨大な蹄、
そして星が瞬いたかと思うと、そこで彼の意識は闇に遠のいた。
闇の中を漂うギルガメッシュの脳裏に、懐かしい光景が甦ってくる。
『バッツ!お前とは一度……1対1で勝負したかったぜ!いい友だちをもったな』
まずはネクロフォビアとの戦いで自爆した自分の姿だ。
(そういや俺ってこの時死んだんだよな…なんで生きてんだろ?)
(でもまぁ、自分が死ぬところなんか見たくても見れるもんじゃないから、ちょっと
得したような気分だぜ)
- 127 名前:保管庫 :03/04/20 00:04 ID:gT5QCbTA
- しばらくすると闇の中から急に白くまぶしい世界へと背景が変わる。
そこにいたのは氷の結晶を纏った美女、それから蛇とも龍ともつかない巨大な長いもの、
包丁を構えたカモノハシもどき…そんな異形たちの姿。
(ここは地獄か天国か…それにしてもなんか忘れているような)
そんな不思議な光景をぼんやりと眺めていたギルガメッシュだったが、そこでまた視界が開けていく、と。
「あ、起きた」
気がつくと上から自分を覗きこむエアリスの顔がある、どうやら夢だったようだ。
(なんかリアリティ溢れる夢だったなぁ)
そう思いながらも身を起こすと、そこにはチョコボを軽々と乗りこなすラグナがいた。
「あのチョコボに正面衝突したのよ、それにしても頑丈ねぇ」
「まぁな」
(なにせ自爆して生きてるんだもんな…我ながら凄いぜ)
一方のラグナはすっかりご機嫌だ。
「こいつはラッキーだぜ、これで俺も遠慮しなくっていいってもんだ」
文字通り手足のようにチョコボを操っている。
今までのお前の態度のどこに遠慮があったよ、とエアリスとギルガメッシュは顔を見合わせたが、
まぁ何も言うまいと溜息をつく。
「あれ?この子…もしかして君は昨日助けてくれたチョコボ君?」
エアリスの問いかけに誇らしげに吠えるチョコボ。
「ご主人様は?もしかしてはぐれちゃったの?」
と、エアリスの頭の中に覆面をかぶり、奇声を上げる男の姿が甦る。
「わかった!いぢめられて逃げ出してきたのね、無理も無いわ、マスクをかぶった変態だったもの」
その言葉にチョコボは声を出して反論するが、もちろんエアリスには通じない。
- 128 名前:保管庫 :03/04/20 00:08 ID:1/jLHEZY
- 「変態?もしかしてお前の友達じゃないのか?」
ラグナが笑いながらギルガメッシュをちらりと見る。
「俺の何処が変態だ!お前ら俺を何だと思っている!」
エアリスもくすくすと笑いながら追い討ちをかける。
「そりゃ友達を悪く言いたくないのはわかるわ、だけど…」
「だぁかぁらぁ〜〜、もう勘弁してくれ」
「まぁ…本当にいぢめられていて、しかも変態かはともかく、見つかるまでの間
俺を乗せてはくれるかい?」
話の流れに困惑していたチョコボだったが、ラグナの言葉に再びくぇ〜と元気良く鳴く、
どうやら前の主人同様、ラグナも気に入られたようだ。
「よっしゃ、じゃあ探しにいこうな」
そのころ、彼(もしかすると彼女かもしれないが)の主人たる変態仮面…いやちがう。
勇者?オルテガは、湖のほとりで何やら叫びを上げていた。
「なっ、何も見えん、どうしたというのだ俺の瞳よ!精霊ルビスよ!我に光をぉぉぉぉぉ」
闇に包まれた視界の中、必死で空に手を伸ばし、叫びつづけるオルテガ。
「太陽よ、愛に勇気をあたえてくれぇぇぇぇぇ」
だが彼は知らなかった、自分の覆面が単に前後逆になっているだけだという事を、
そしてそんな彼を虎視眈々と狙う銃口があるということも。
- 129 名前:保管庫 :03/04/20 00:08 ID:1/jLHEZY
- 【ラグナ(両足欠損・チョコボに騎乗)/エアリス/ギルガメッシュ 現在位置:ロンダルキア洞窟近くの雪原
所持武器:エルフィンボウ/癒しの杖/無し/
第一行動方針:チョコボの主(オルテガ)を探す
第二行動方針:打倒セフィロス→ゲームから抜ける】
【オルテガ 所持武器:水鉄砲 グレートソード 覆面 現在位置:大陸中央、西の湖のほとり
第一行動方針:アルスを探す】
【セシル 所持武器:暗黒騎士の鎧 ブラッドソード 源氏の兜 リフレクトリング 弓矢(手製)
ギガスマッシャー 現在位置:大陸北部山脈、西の湖のほとり 】
第一行動方針:参加者を殺す(エドガーorハ−ゴンを優先)
第二行動方針:不明
最終行動方針:勝利する
- 130 名前:保管庫 :03/04/21 01:04 ID:q56OKlyu
- 地下道の中をカインはランプをかざして進んでいた。
彼もまた、地面の陥没にあい、この地下道に迷い込んでいたのだ。
空中戦を得意とするカインにとって、このトンネルは戦いにくい事この上ない、早く抜け出したいが、
肝心の出口が見当たらない。
そんな状況で困惑してたところに、だしぬけに響いた爆発音、もしかすると誰かに出会えるかも。
そう思って先を急ぐカインだった。
「爆発音がしたのはこの当たりだったはず」
わずかだが血の匂いもする…その匂いを辿ってカインはさらに地下道を進む。
やがて彼は、とある部屋の前に辿りつく、血の匂いと火薬の匂いがぷんぷんする。
ここに待ちがいなさそうだ。
扉を開けると、一面瓦礫だらけの中に、1組の男女が倒れ伏していた。
「おい!大丈夫か!?」
闇の中、ランプの光をかざすとわずかに2人のまぶたが動く、意識はほとんど無いが、
まだ死んではいないようだ、早速カインは2人の傷の状態を確認する。
女の方は両手足と肋骨が折れているらしく、出来そこないの人形のような、
奇妙な姿で横たわっている、外傷についてはそれほど多くも無く、出血も少ない。
おそらく爆風を受けて壁にたたきつけられたのだろう。
男の方は女とは逆で、骨折はしていないようだが、その代わり全身にくまなく外傷があり、
おびただしい量の出血が認められる…。
そして2人に共通して言えるのは、このままだと、あと数時間も保たないという事、
傷が傷だけに運び出す事も出来なければ、助けを見つけて戻って来れるかもかなり微妙だ。
彼のバックの中には、この数日間、山野で摘んで歩いた薬草が1通り揃ってはいるのだが
とてもじゃないが今の2人に使ったところで、どうにかなるとは思えなかった。
重苦しい思いでカインは頭を抱える。
- 131 名前:保管庫 :03/04/21 01:05 ID:q56OKlyu
- だが……カインの脳裏につい数時間前の光景が甦る。
かなわぬであろうと知りながらも、あの銀髪の剣士に立ち向かっていった少年の姿を。
「そうだな…また逃げるわけにはいかないな」
カインはせっせと薬草を煎じ、すりつぶし、口に含ませ、様々な方法で彼らに処方していく
その甲斐があったか、男の方は意識が戻ったようだ。
しかしクラウドはカインに感謝の言葉を言う前に、床に転がっている槍へと手を伸ばす。
「それを…その槍を貸してくれ」
カインから槍を受け取ると、クラウドはマテリアのはまった槍を自分の身体の前にかざし、
回復呪文の語句をたどたどしくも唱えていく。
「ケアル」
温かい癒しの光が周囲を覆っていく、
だがそれは同時にクラウド自身の命の光を奪う行為でもあった。
「おい!やめておけ!ムチャだ」
だがカインの制止も聞かず、クラウドはさらに2度・3度と魔法を唱える。
しかし…何回目かで、彼はおびただしい量を吐血し、そのまま倒れてしまった。
だが、それでも確かに効果はあったようだ、それからすぐに女の方がゆっくりと目を開いて
きょろきょろと周囲を見渡しはじめている、どうやら彼女も命の危機を脱したようだった
「あなたが助けてくれたの?」
横になったままの姿勢でアリーナはカインに話しかける。
「感謝なら俺じゃなくて、この男に言うべきだな、見ろよ」
カインはランプの向きを変えて、クラウドの傷だらけの身体をアリーナに見せる
「この傷の状態や爆発の状況からみて、多分…爆発から身を呈して君を守ったんだ、それに
お前がこうしてしゃべれるのも、こいつが回復魔法を唱えたおかげだ」
- 132 名前:保管庫 :03/04/21 01:05 ID:q56OKlyu
- 「そ…そんな…私っ助けを呼び!あああっ」
立ちあがろうとしたアリーナは、その瞬間身体を走った激痛に身悶えする。
「ムチャだ!重傷であることには変わりは無いんだぞ」
「でもでもっ!私っ、ねぇ助けてよ…出来るんでしょう、お願いよ!」
そのアリーナの涙まじりの視線に絶えられず、カインは顔を逸らす。
「俺は白魔法を使えない…薬草でなんとか傷だけは塞げた、だがもうそれだけではどうしようもない…出血が多すぎる
さらに衰えた体力で魔法まで唱えている、もう俺にはどうしようもない」
ランプの光の下、クラウドの顔は青白く、まるで古ぼけたマネキンのような印象を受ける。
あとわずかの時間で、本当にクラウドは2度と物言わぬ無残な姿に成り果ててしまうのか。
そう思うとアリーナはやりきれなかった。
「私…守られてばかりだ…ごめんね…ごめんね」
どれほどの時間が経過しただろうか?
すすり泣くアリーナの声が聞こえる中、意を決したようにカインが呟く。
「1つだけ…方法がある、この男の生命力に賭けてみるか」
と言うなりカインは自分の手首を切り裂くと、そこから滴る血をクラウドの口へと運ぶ。
「俺の身体にはわすかだが龍の血が流れている、その血をもし受け入れる事が出来れば救えるかもしれん」
だが、そういうカイン自身も半信半疑だ、所詮それは伝承の中の話に過ぎなかったし、
そんなことで命を救えるというのなら、誰一人として彼の仲間は命を落とさなかっただろうし、
それに彼の得意技である超人的な跳躍力にしても、それは血の力だけではなく、凄まじいまでの修練の賜物だし、
何より彼自身の力は通常の人間となんら変わらないのだ。
- 133 名前:センギアの保管庫 :03/04/21 01:06 ID:e5T8r8rP
- 地下道の中をカインはランプをかざして進んでいた。
彼もまた、地面の陥没にあい、この地下道に迷い込んでいたのだ。
空中戦を得意とするカインにとって、このトンネルは戦いにくい事この上ない、早く抜け出したいが、
肝心の出口が見当たらない。
そんな状況で困惑してたところに、だしぬけに響いた爆発音、もしかすると誰かに出会えるかも。
そう思って先を急ぐカインだった。
「爆発音がしたのはこの当たりだったはず」
わずかだが血の匂いもする…その匂いを辿ってカインはさらに地下道を進む。
やがて彼は、とある部屋の前に辿りつく、血の匂いと火薬の匂いがぷんぷんする。
ここに待ちがいなさそうだ。
扉を開けると、一面瓦礫だらけの中に、1組の男女が倒れ伏していた。
「おい!大丈夫か!?」
闇の中、ランプの光をかざすとわずかに2人のまぶたが動く、意識はほとんど無いが、
まだ死んではいないようだ、早速カインは2人の傷の状態を確認する。
女の方は両手足と肋骨が折れているらしく、出来そこないの人形のような、
奇妙な姿で横たわっている、外傷についてはそれほど多くも無く、出血も少ない。
おそらく爆風を受けて壁にたたきつけられたのだろう。
男の方は女とは逆で、骨折はしていないようだが、その代わり全身にくまなく外傷があり、
おびただしい量の出血が認められる…。
そして2人に共通して言えるのは、このままだと、あと数時間も保たないという事、
傷が傷だけに運び出す事も出来なければ、助けを見つけて戻って来れるかもかなり微妙だ。
彼のバックの中には、この数日間、山野で摘んで歩いた薬草が1通り揃ってはいるのだが
とてもじゃないが今の2人に使ったところで、どうにかなるとは思えなかった。
重苦しい思いでカインは頭を抱える。
- 134 名前:保管庫 :03/04/21 01:09 ID:q56OKlyu
- だが、それでも今はその御伽話にすがってみる以外、方法は無い。
ぽたりぽたりとカインの血が流れる音がだけが聞こえる中、時間だけが過ぎていく。
意識が遠のいていく…これ以上は危険だ、だがそれでもカインはその手をクラウドの口から離そうとしない。
その鬼気迫る表情は、ただの善意だけでは無い事は確かだ。
「どうしてそこまでするの?」
アリーナの言葉にカインは即答する。
「償いだよ」
カインは思い出す…あの時、洞窟の入り口で自分は何も出来ず、逃げ出してしまった、
もしわずかでも勇気を振り絞れていれば……。
だから、今度こそ救う、そのためならば…だが、もはや限界のようだった。
へたりこむカインの手首に、アリーナは素早く薬草をあてがい包帯を巻いてやる。
「まだ…だ、まだ」
「もういいわ!そこまでしなくってもいいわ!やるだけのことはやったじゃない!
後は祈りましょう、出来るのはそれくらいよ」
アリーナは冷え切ったクラウドの手を握り、ひたすら祈りの言葉を口ずさむ。
さらに時間が経過する中。
「見て!」
「おお…」
死人のように青ざめたクラウドの肌に赤みがさしてくる、どうやら奇跡は起こったようだった。
「よかった、本当によかった」
クラウドの胸にすがり付き、嬉し涙を流すアリーナ、その様子をまぶしそうに見つめるカイン、
もしかすると彼は失った恋を思い出しているのかもしれない、事実カインから見た2人の姿は、
仲睦まじい恋人同士のそれに思えた。
- 135 名前:保管庫 :03/04/21 01:10 ID:q56OKlyu
- だが、果たして2人は気がついていただろうか?
クラウドの全身から、わずかだが妖しげな光が漏れ出していた事を、そしてその口からは、
聞き取れぬほどの小声で謎の言葉が口ずさまれていた事を。
そう、奇跡にはそれに見合った代償が必ず付きまとうものなのだ。
【カイン:所持武器:ビーナスゴスペル&マテリア(回復) 現在位置:地下通路(大陸中央付近)
行動方針:セシルを止める】
(セフィロスへの苦手意識あり)
(現在著しく体力を消耗しております、戦闘不能)
【アリーナ 所持武器:イオの書×4 リフレクトリング ピンクのレオタード
現在位置:地下通路(大陸中央付近) 】
第一行動方針:ソロを止める(倒してでも)
第二行動方針:クラウドをティファに会わせる
最終行動方針:ゲームを抜ける
(生命の危機は脱したが重傷、無論戦闘不能)
【クラウド:所持武器:ガンブレード 現在位置:地下通路(大陸中央付近)】
第一行動方針:エアリスorティファを探す。
第二行動方針:アリーナを救う
最終行動方針:不明
(生命の危機は脱したが重傷、無論戦闘不能)
(魔晄中毒の症状が出てきています)
クラウドの回復は、龍の血と魔晄エネルギーとの化合ゆえの回復です、
したがって他のキャラには効果ありません
- 136 名前:名前が無い@ただの名無しのようだ :03/04/23 18:26 ID:CZ/2yu28
- http://www.gcastelo.com/cgi/br2/brmain.cgi
- 137 名前:名前が無い@ただの名無しのようだ :03/04/24 19:01 ID:pmxrhSbS
- 保守なみんEX タケダ
- 138 名前:保管庫 :03/04/25 01:45 ID:62mvL8y8
- 「ほら、きれいになったよ」
テリーはソロの服に残っていた粉雪を払いながら言った。
二人の足元には、薄汚れた雪とボロボロになった青い布切れが落ちている。
「……ありがとう」
声が聞こえた方向に、焦点の合わない視線を向けて、ソロはわずかに微笑んだ。
相変わらず、彼の世界は暗闇に包まれたままだ。
それなのに、ソロは確かに、安らぎというものを感じていた。
ずっと、ずっと、自分が生まれる前よりもはるか昔に、どこかで会っていたような…
そんな不思議な懐かしさが、心の中にあった。
(なんでだろ)
テリーもまた、不思議な感覚に囚われていた。
ソロといると、なんとなくだがタイジュの人々を思い出すのだ。
もちろんソロとタイジュの国で出会ったことなど、一度もない。
最初はソロの色鮮やかな緑の髪に、タイジュの木の葉っぱを連想したせいかとも思ったが、
どうもそれとは違うような気がする。
(ほんとうに、なんでだろ?)
テリーはしばらく首を傾げていたが、やがて気を取りなおした。
(……ま、いいか)
- 139 名前:保管庫 :03/04/25 01:46 ID:62mvL8y8
- 信じるものを失ってしまった苦しみ、信じることができずにいた悲しさ。
同じような心の傷を負った者同士、テリーとソロが惹かれ合ったのは必然なのかもしれない――が。
テリーにとってははるか未来の、そしてソロにとってははるか昔の、
遠い時代の伝説を知る者は、別の考えを抱くかもしれない。
――かつて天空人の先祖を救った英雄の記憶を、その血の中に受け継いでいたとすれば。
夢世界の管理人たちの末裔から、限りなく夢に近い異世界の人々と同じ雰囲気を感じ取っていたとすれば。
少年達の出会いは、因果の糸が手繰りよせた、ゲームマスターの思惑をも超えた偶然だったのかもしれない、と。
今、二人は腰を降ろして、自分達の仲間や故郷、冒険の思い出話に花を咲かせている。
事情を知らない者が見れば、年代を超えた数年来の親友だと思うだろう。
それほどまでに、二人のお互いに対する警戒心はすっかり失せていた。
彼等の胸中にあるのは、なんとも言えぬ懐かしさと、親愛の情と、切な願い……
「――できることならずっと、この『今』が続いてほしい」
ささやかで、どんな夢よりも儚く、そしてあまりにも不相応な願い。
だが冷徹な運命の神が、二人の願いを叶えることはなかった。
【テリー所持武器:なし 現在位置:中央西よりの山地の南にある平原
行動方針:謎の剣士の敵(ティナ)を取る、】
【ソロ(暗闇もしくは失明) 所持武器:、イリーナの会員証、
現在位置:ロンダルキア中央西よりの山地の南の平原
最終行動方針:デスピサロ打倒(現在もその気があるかは不明)】
- 140 名前:保管庫 :03/04/25 01:47 ID:62mvL8y8
- 日が暮れる直前、バーバラは目を疑う光景を目撃した。
雪まじりの荒地に腰を下ろしている二人がいた。
探しものにとんでもない爆弾を結わえ付けられたような気分だった。
バーバラは人間一人分ほどはある岩の陰に隠れて恨めしい視線を送っていた。
――冗談じゃないわよ なんであいつとテリーが一緒なの!?
ソロがいてテリーがいる。悪魔と天使が手をつないでお遊戯している。
言い知れぬ嫌悪感がバーバラの身体を貫いた。
思わず鞭でテリーを絡めとって、強奪してやりたい衝動にかられた。
手にしている武器はナイフと短剣だけなので、それは無理な相談だが。
二人は今向き合って談笑している。
ひとまずテリーに危機はないとわかり安堵した。
しかし心の中の別のところでは憤りが収まらなかった。
惨劇の記憶が甦ってきて、血が滲みそうなほど強く唇を噛み締める。
手が、指が、ぴりぴりと痺れて勝手に動き出しそうになる。
このまま我慢を続ければ、バーバラの精神は限界を超えてしまうかもしれない。
何故ここまで怒りが沸いてくるのだろう。
理由を言葉にしてみればこういうことだった。
「レナお姉ちゃんを殺していながら笑ってる……」
【テリー所持武器:なし 現在位置:中央西よりの山地の南にある平原
行動方針:謎の剣士の敵(ティナ)を取る、】
【ソロ(暗闇もしくは失明) 所持武器:、イリーナの会員証、
現在位置:ロンダルキア中央西よりの山地の南の平原
最終行動方針:デスピサロ打倒(現在もその気があるかは不明)
【バーバラ:所持武器:果物ナイフ・ホイミンの核・ペンダント・メイジマッシャー
行動方針:テリーを救う
- 141 名前:保管庫 :03/04/25 01:50 ID:qemotjKs
- 自分の背後の物音にセリスは思わず振り返る、とそこには何故か巨大な樽が落ちていた。
不思議そうに空を見上げるセリスだったが、さらにそれだけではなく、
引き続き幾つか鍋や、農具、さらにはチーズの塊までも空から落ちてきたのである。
「何なのかしら?」
いきなりの不可思議な現象に首をかしげながらも、セリスはチーズの塊だけを拾うと
ゆっくり先へ進む、何者かに後をつけられているような気がしたので、
そのまま西へは向かわずにとりあえず東に戻ったのだ。
おそらくはこの森を抜ければ崖の上から見えた、湖のほとりに出るはず、湖に出たらとりあえず
チーズでも食べよう、そういえば何も食べていないし。
しかし歩く事で不安は幾分まぎれたが、人恋しさは忘れられない、さらにチーズを見て空腹感まで涌いてきた。
自分の肩を抱くような仕草をすると、また再びセリスは歩き出す。
(寂しいのならあの時後をつけてきた人に声でもかければよかったのに…
記憶は無くしても命は惜しいのかしら)
そう皮肉気に心の中で呟きながらも先を急ぐ。
やがて彼女の目の前にきらきらと光る湖面が現れ、
そして夕暮れの光がこれまで暗い森の中をさまよっていたセリスの身体を包む。
が、セリスは森の出口から1歩も動こうとはしない。
決して夕日に見とれているわけではない、そう、彼女の目の前の岩場に、
1人の巨漢がひっかかるような形で打ち上げられていたのだ。
- 142 名前:保管庫 :03/04/25 01:51 ID:qemotjKs
- セリスはこの予想外の展開にすこし慌てながらも男に駆け寄り、その首筋に手を当て、脈の有無を確認する。
どうやら意識は無いが脈はある、少なくともまだ生きているようだ。
しかしセリスはそれ以上は動こうとはせず、考え込んだままだ。
歩きながらも思い出した事が幾つかある…その中の1つに、ここが戦場だという認識も含まれていた。
生きて帰れるのは1人、という声がおぼろげながらもセリスの脳裏に響く…。
ならば彼も敵、なのだろうか?
じっと立ちすくんだままのセリスの足元でぴくりとも動かないアーロン、
その生命はまさに風前の灯であった。
【セリス:記憶喪失 所持武器:ロトの剣 現在位置:大陸北東の祠の湖のほとり
行動方針:不明】
(思い出したのはスタート時の説明の一部です)
【アーロン(怪我・半冷凍)所持武器:折れた鋼の剣 現在位置:大陸北東の祠の湖のほとり
第一行動方針:?
第二行動方針:仲間を探す】
(巨大な樽等は祠の離れにあった物です)
- 143 名前:保管庫 :03/04/26 01:37 ID:/qIZlahO
- 「おん…おん…」
「?」
アリーナがその声に気がつくか気がつかないかの間に、その唇はクラウドの唇に塞がれていた。
「!!」
そう、カインの与えた龍の血は、確かにクラウドの命を救った、だがそれはクラウドの身体に潜む
魔晄の力を急激に活性化させたゆえのこと、そして彼はその副作用として、
一時的な魔晄中毒による精神錯乱を引き起こしていたのだ。
「お、おい、やめるんだ」
クラウドの異変に気がついたカインがよろめきながらも、制止しようと近寄る。
「があああっ」
「うぷ」
だが、どこにそんな力が残っていたのだろう?錯乱状態ゆえの限界無視の力で放たれた膝蹴りを、
まともにみぞおちに受け、思わずつんのめるカイン、さらに首筋に手刀を受けて、
成す術もなくカインはその場に昏倒してしまった。
こうして邪魔者をいとも簡単に退場させると、クラウドは間髪入れずアリーナを押し倒す。
その瞳は異様に光り、血走っている。
精神錯乱により、本能がむきだしになり、抑制できなくなっているのだ。
今、クラウドは自分の中に潜む忌まわしき獣にいいように操られるままだった、そして
アリーナのレオタードに手をかけたときだった、いきなりクラウドの手が止まる。
どれくらいの間、そのままの姿勢でいただろうか、クラウドの手がぎくしゃくとレオタードから、
離れる、その手の行く先は……。
「おおっ!」
ぶしゃっという妙な音と共に血飛沫が飛ぶ。
クラウドはなんと自分の傷を自分の手でえぐり取り、そして弾けるようにアリーナから離れたのであった。
- 144 名前:保管庫 :03/04/26 01:37 ID:/qIZlahO
- 呆然としたままのアリーナへと、クラウドは途切れ途切れの言葉を呟く。
「グゲゲ、アリーナ早く逃げ…俺何するか…ガァァァァッ」
さらなる痛みがわずかの時間、クラウドに正気を与えてくれているのだろう。
さらにクラウドは床に頭を打ちつけ、泣きながら己の中の獣欲に抗い続ける。
俺に構うな、逃げろと叫びながら、だがそれでもクラウドの中の獣は目の前の獲物を襲え、喰えと
非常な命令を下しつづける。
「お願いクラウド、自分の中の悪魔に負けないで!」
そうだ、出会ってわずかな間だけど何時だってクラウドは自分を救ってくれた…だから今回も
きっと大丈夫だ、必ず……
再び頭を抱え、悶えるクラウド、そして再び起きあがったとき、その目はまた爛々と輝く、
獣の目になっていた、が、それでも最後の理性を振り絞りクラウドは途切れ途切れの言葉で叫ぶ。
「俺の中の悪魔め…お前の思い通りには決して」
クラウドは震えながら口を開き…舌を伸ばす。そう、彼は舌を噛み切り自ら死を選ぼうとしているのだ
「いけない、クラウド」
アリーナは必死で起きあがり止めようとする。
立ちあがるだけでも激痛が走る身体を引きずり、アリーナはクラウドになんとか飛びつくと
口の中に手を突っ込もうとするが腕が全く動かない、なら。
とっさにアリーナは今度は自分から唇を重ね、クラウドの口を強引に開じさせまいとする。
クラウドの歯がアリーナの唇に、頬に突き立ち、みるみる間にその顔は傷だらけになっていく。
- 145 名前:保管庫 :03/04/26 01:39 ID:/qIZlahO
- 「がぁぁぁぁっっ!」
その最中再び錯乱したクラウドの貫手がアリーナの片目を貫く、眼球を指先でぐりぐりと掻き回され抉られる激痛に耐え
いや、もう身体中激痛だらけで何処が本当に激痛なんだが分かりゃしない。
それでもアリーナはクラウドから離れようとはしなかった。
「クラウド…負けないで」
「あああっ…助けて助けてくれぇ!」
クラウドはアリーナの身体をさらには自分の身体をも無茶苦茶にかきむしり、その肌を朱に染めていく
「お願いだ、俺をとめてくれよぉ、やっと見つけたのに」
何時の間にか狂乱は終焉し、クラウドはアリーナの胸の中ですすり泣いていた。
「やっと…やっと出会えた…」
「?」
「好きだ…生きて出会えたら必ず伝えようと思ってた、好きなんだぁ」
(そう…出会えたんだね)
アリーナには理解できた、クラウドは今きっと幻の世界にいるのだろう、そしてそこにいるのは。
彼が求めてやまない最愛の人。
「君は…君はどうなの?俺のこと…好き」
アリーナの頬にぽたぽたとクラウドの涙が落ちる、普段なら不快なはずのその感触も何故か今のアリーナには
心地よく感じられた。
アリーナは自分の血に塗れた手を振るえながらも伸ばし、優しく微笑み、ゆっくりとクラウドを抱きしめる。
いや、そうしたかったがやはり腕が全く動かないのだ…。
(ごめんね、腕が動いたらよかったのに)
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