参加してくださったPLの方々に感謝を込めて。ログをお送りさせていただきます      ドラゴン2人のお姫様  1章:プロローグ:竜は獲物を見つける   ルキスラからはるか離れた山中 森に囲われた一角に、その塔はある 周囲の木は刈り取られ、30mはあろうかという塔の各階を照らすのに用いられている 何を思ったか 1匹のワイバーンが塔の近くを飛んでいる 遠方からきて道に迷ったのだろうか その翼を疲れたように羽ばたかせながら、ゆっくりと塔の周りを旋回する すぐに降りることはなく。まるで何かを恐れるように小さく唸り声を上げながら しかし、やがて疲れに負けたのかワイバーンは塔の頂上に着地する 羽を小さくはばたかせて、翼の筋肉の疲れを飛ばしながらワイバーンは周囲をきょろきょろと見渡す 先の方には、洞窟のように1つ下の階へ空いている穴がある あの中ならば、夜を快適に過ごせる。そう本能が言ったのだろうか? ワイバーンは爪で塔の床を引っ掻きながら 洞窟へ向かう 洞窟は大きな階段のようになっており、奥に行くと少しはこの初秋の夜の寒さもまぎれそうだ たとえ蛮族等がいても、食料にすればいい ワイバーンは新しい住処を見つけたことに、満足したように小さく喉を鳴らすとさらに歩を進める 1階分ほど降りていくと、開けた空間が見える ドアは大きく開かれている そこには、松明の光で輝く黄金の山が そこには、まだ新鮮なシカの肉が そして・・・その持ち主だろうか? 人が数人怯えたように角に集まっている 大した相手ではない。ワイバーンは余裕をもって距離を取り そのブレスを人の群れへ吐きつけようとする     と・・・・     バキバキゴキバキ     ワイバーンは不思議な音を聞く   その音が、自分から出ていると知るまでには少しの時間が必要だった ワイバーンが痛みを感じ、悲鳴を上げて反撃を行おうと 当たりを見渡した瞬間 ゴキッ ワイバーンの首はだらりと垂れさがり、その胴体は崩れ落ちる そして、その体をさらなる巨体が踏みつける そこには、漆黒の鱗を持った竜が つまらなそうにワイバーンだったものを見ていた 「この聖域に踏み入るとは・・・ゴミが・・・」 竜が何か合図をすると、数人の蛮族が部屋に入ってくる そして、指示を受けるとあたりに飛び散った血などをふき取ってゆく 奥の人間たちはそれを恐ろしそうにただ見ているだけである しばらくして作業が終わると、蛮族たちはお辞儀をして部屋から出ていく それを見届けた竜は財宝の山に座り、その山の中から竜に手に収まるほどの水晶を取り出す 奥の人々は、それを見ると慌ててできる限り角へ、他の者を押しのけて部屋の角へ行こうとする 自分が選ばれることが無いように祈りながら それを目の端で捉えながら、竜は祈りをささげる あんな人間など、いくらでも変わりは居る。 今となっては知る者がいない神への祈りを 始祖神と共に名を連ねるはずだったその神への祈りを そして、適当に1人の人間を選ぶと 水晶に向かい呪文を唱える 角に集まった人の方から聞こえる悲鳴を意に介さず、竜は水晶を覗く そして、その眼は興奮に輝く そこには 黒い毛玉と木刀を交える少女の姿が映っていた そして、しばらくすると水晶は違う光景を映し出す そこには 酒場のような場所の机で寝ている猫が映っていた 「次こそは・・・本物であるといいものだ」竜はそう隣の部屋にある血にまみれた祭壇を思い浮かべながら言う 「さて、行ってくるとするか」 小さく魔法の呪文を唱えると、竜のいた場所には男の姿が そして、もう一度呪文を唱えると その姿は消えていた・・・・・・・・・・・