◎81回目(1104)~81回2スレ目   「画像お題 恐竜時代」 「がおー!」 「わーっ、にくしょくきょうりゅうだ!たすけてくれぇ」 あわててうみににげこむこがたのきょうりゅうたち。 そのようそうはまさに、あびきょうかんです。 「うおぉ、あしつった、おぼれがぼ」 「おれぁまだしにたかねぇ、しにたかねぇよぉ」 「くそぅ、でけぇずうたいしやがって、おれにちからがあれば・・・」 「どうかな?」 「うーん、いまいち」 ----------------------------------------------------------------  凶暴な主が支配する風景だのに、  その光景は、宗教画のように崇高ですらあった。  一切の緑が無い、原始に近い肌の上に、四本の足で立つ怪物が居る。  10か20か、いやそれ以上か、人など、蟻にしか過ぎぬ身の丈を誇る、  爬虫類の形相と肉体をしたそれは、浜辺の先、波と供に荒れ狂う同じ異形に向って叫んでいた。  岸からさほど離れてない場所で乱舞するのは、十本に近い首長の竜である。  まだらや黄土の地肌を銀に光らせながら、彼らはその長い首を絡ませあうように、  まるで、踊るかのように、波打ち際の皆もを破壊しているのだ。  瞳より奥まで裂けた口は、笑っているようにも思えた。  こんなにもおぞましい者達の饗宴――だが、  空に渡る、澄み切った白光が、全てを許す神のようにも思えて、  その光景はあくまで、自然だった。巨大なる自然であった。  かつてこの地表にあった住人達による、ある日の風景。  この光景に感銘を受ける人は、自然と涙を溢れさす人は、多分、  懐かしいと、心の底でどうしようもなく思っているのだ。 (サドロリあき) ---------------------------------------------------------------- そこは遥か昔、人の居なかった時代を彷彿とさせる地獄絵図だった。 暗澹とする空には僅かな日の光しかない。 遠く雷鳴のこだまする中、御伽噺の獣が闊歩し。 幻想の世界の生き物がその顎を開き大海を埋め尽くしていた。 最早そこに人の姿を晒せる余地はない。 岩陰に隠れるように、利明は身を縮ませ息を殺していた。 「ここ何処だよ………」 利明はメイジの甘言に乗ったのを後悔した。 (新あき) ---------------------------------------------------------------- ――古来より地球には数多くの種族が栄えた…… 単細胞生物、魚類、植物、昆虫類、爬虫類、そして人間。 「としあきとしあき!今ナショナルジオグラフィっクスでやっていましたが、その時代で一番優れた種族が地球を制圧するそうですよ! 」 晩御飯作りにいそしむ僕の所に、興奮したように目をきらめかせるメイジが飛びついてきた。 「へぇ、そうなんだ。じゃあ今は人間が一番なんだね」 「いいえ!」 僕の言葉をメイジが強い勢いで否定する。 「フタナリこそが人類の更なる進化の証! 私ととしあきでホモフタナリエンスという新人類を作りましょう!」 「……」 ホモってのが、どこか引っかかった僕でした… ---------------------------------------------------------------- 「ねぇ、お兄ちゃんどうやったらそんなに大きくなれるの?」 急いでいた、早く家に帰らなければママンに晩御飯を奪われる。 この海を越えた先の安息へ往かねばならんのだ、自分の躯が疎ましかった、胃が大きいのだ、 万人の食事量では足りない。一食抜いただけで餓死する自信がある。 しかしだ、こんな純粋そうな子達を無碍に扱うのも忍びない。 「そ、それはね、たくさん食べてたくさん運動すればいいと思うな?」 優しくあやす様に、俺は一人一人の質問に丁寧に答えていく。 まるで俺を食い殺す様にわらわら群がってくる子供達。俺は空腹が顔に出だした、 とても苛苛するのだ。紳士でいるのも限界に近い、どうにか子供達を満足させてやらねばならん。 「もっと他には? 僕達皆お兄ちゃんみたいに強くなりたいんだ!」 自分は優しい憧れのお兄ちゃん、何度も何度も自分に魔法の呪文を言い聞かせる。 「そうかい? 嬉しいなじゃお兄ちゃんはそろそろ帰るよ………」 「え~待ってよ~もっと構ってよ~」 ---------------------------------------------------------------- 俺のかさかさ胃袋がフェステバルを繰り広げ、一人のだんじりファイターが胃に刺さった。 紳士もお兄ちゃんも、衝撃でなぎ倒されていく理性。 一匹を丸呑みにすると、暫し硬直の後、蜘蛛の子散らす様で皆逃げ出した。 弱肉強食とは良いものだ、躯を大きくしたいならば、よく眠よく食べ生き残れ。 ---------------------------------------------------------------- 泡立つ波をかき分け、響き渡る海竜の唸り。 夜明けの日を浴びながら、聳えるような巨竜の上げる咆哮。耳を打つ、生命の響き。 「って、何でこんな所に居るんですか、俺?」 思わず素で何処かの誰かに聞いてしまった。誰か答えをくれ。 「…トシアキが見てた、テレビみたいです」 「さっきまで見てたエヌエッ」 ギョワー!とかホゲー!みたいな叫び声に、俺の台詞はかき消され… 「逃げるぞ、メイジ!」 「ドコにですか?」 「とにかくここから逃げる!!」 俺はメイジの手を握ると、砂を蹴って走り出した。 砂丘を駆け上がろうとするが、どうにも滑っていけない。靴の中に砂が入る。 「あっ…!」 メイジが砂に手を取られてコケた。 あぁ、畜生!脱げ掛けていた靴を捨てて、俺は両手でメイジを抱えあげると 恐竜を避けて砂丘の向こうを目指して駆け出した。 **************************************************** 木々の間から見える天には、鮮やかに浮かぶ真円の月。 「あー、腹減った」 「お月様、パンケーキみたいです」 目の前に大きく茂るシダ植物を掻き分けながら俺は進む。 「俺にはチーズに見える…そういや、昔の方が月は地球に近かったっていうなぁ」 「今がその昔なんですね」 「そうだなぁ…お、蝶の大群だ」 近場に群居しているのか、紙ふぶきの様に大量の蝶が天を渡って行く。 眩いパンケーキの月に照らされながら飛ぶ蝶は、まるで物語のワンシーンのようだ。 「おわぁ足にナンか刺さった!」 あぁ、砂丘で靴を捨てたのは失敗だったか…。 片足でバランスをとりながら、刺さった刺?をゆっくりと抜く。 唾をなすろうとして顔を近づけるが、そこまで体は柔らかくない。 バランスを崩して倒れそうになり、とっさに近場の巨木に寄りかかった。 何もかもがデカイな…。遠くで恐竜の吼える声が聞こえる。リアルすぎて夢みたいだ。 上げたままの片足にメイジの手がそっと触れた。 跪く様に顔を近付けると、少し唇をすぼめて唾を貯めたのだろう、小さな赤い舌で足裏のキズを舐めた。 あー、くそ。…そんな状況じゃちっともないのに、萌えてしまった己に自己嫌悪。 (改行できないあき) ――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――   「画像お題 フタナリ」  なんという存在か。ソレの前に居る少女は、激しく動揺していた。  ああなんたる事から、これは、目の前のこの存在は、  自分の全てを見透かしているのだ。  それは人形であって、人形でない。心ある人形などどこにもない。  全くの異種であるそれは、その心で、右手に掴む物がある。  蓋。  歴史とは、戦う以前に食す事である。食べなければ生きていけぬ。  歴史の争いの引き金も、僅かな食料を巡っての争いであった。  蓋。  それは食の歴史において生まれた、鍋がなければ価値のない器具。  ただ蓋だけを用いても、一切の使い道がないのに、それなのに、  目の前は、人形であるソレは、たった一言呟く事で、それに命を吹き込んだ。 「蓋ナリ」  膝を崩し屈服する。メイジは言葉を失った。蓋とその心の前に。 (サドロリあき) ---------------------------------------------------------------- メイジは陽気に誘われたのかフローリングに横になったままそのまま眠ってしまった。 サインペンを手に眠る姿は歳相応の少女の姿だ。 微笑ましい光景に思わず頬が緩む。 と、利明はメイジが描いていた絵に視線を落とした。 そこに描かれていたのはかのキテレツサイ様が残したコミュニュケーションからくりの姿だった。 手には鍋蓋を握り、傍らには「ふたな」まで文字が読んで取れた。 利明はその絵を摘み上げると早々に流しで燃やした。 利明にはメイジの感性がわからなかった (新あき) ---------------------------------------------------------------- 「ほーらメイジ、今夜はフランス料理だぞ」 「……と言っても、お肉屋さんのコロッケなんですけどね」 「しかし、元々はクロケットと言って立派な……」 「それは日本のカレーライスをインド料理と言うくらい無理があると思います」 「……ところでメイジ」 「何ですかトシアキ」 「コロッケが好物なサムライをどう思う?」 「……なんですか、その奇天烈な組み合わせは」 「そう、キテレツなんだよ」 「…………?」 ――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――   「画像お題 ワイン」 メイジ「お尻に入れるネタは禁止しますよ、としあき」 としあき「ぅくっ!?」 メイジ「どうせ『お前なんかチンコの代わりにこれで十分!』とか 『ハハハ、直腸から直だとキクだろう?』とかいう安いエロネタをするつもりでしょう」 としあき「……責めるのはメイジだよ?」 メイジ「許可します」 ---------------------------------------------------------------- ヌーヴォーといってもようは一番酒に当たるものであってそれは成熟したワインと違って味は格段に落ちるものなのだ。 私は利明に黙ってヌーヴォーを拝借するとグラスを傾けた。 紫の液体が月明かりに青白く照らされる。 利明が酔いつぶれる横でそっと今年の実りに口付けをした。 やはり美味しいものではない。 それでもこの言い知れぬ懐かしさと幸福感は遠い日の思い出なのかもしれない。 (新あき) ---------------------------------------------------------------- 食卓に並べた缶ビールを見て、メイジが言った。 「…トシアキは、お酒を飲むですか?」 「あ、うん…つってもそんな強くないんだけど」 缶を持ってためすがめつ眺めていたメイジは、缶を食卓に戻すと俯いて、黙り込む。 「どうした?」 俺は食卓に今日のおかずを並べ終えると、ニヤニヤしながらコップにビールをなみなみと注いだ。 今日は実家からパクッてきたエビスだぜ。 「私は、お酒、あんまり好きじゃありません…アレは良くないものです…」 溢れた泡が垂れ落ちる前に、親父くさく慌てて唇をコップのふちに当て、一口すする。 「パパ達の中には、お酒を飲むと、私をたくさん殴る人、いました」 「…」 「酔うと加減が出来ないんだって…後で笑って言う…でも…」 伏せられた長い睫毛の端に、涙が光ったような気がして、 俺は、口をつけていたコップを静かに食卓へもどした。 「俺は…君を殴ったりしない…」 「知ってます・・・判ってます、けど、お酒の匂いは…ゴメンナサイ、トシアキ」 思い出しちゃうのか…。 しょうがない、これはあとで肉でも煮るか。 (改行できないあき) ---------------------------------------------------------------- 床に転がる幾つもの空瓶。 「えへへぇ~おちんちんランド、開園です!!」 普段の落ち着いた彼は何処へやら。 赤ら顔のノブが、ズボンを下着ごと勢いよく脱ぎ捨てる。 「「わぁい!!」」 としあきとメイジは、諸手を上げてそれに応えた。 「私も負けてられませんねぇ、同じく開園です!」 メイジも負けじと服を脱ぎ捨て、下半身を露わにする。 「「わぁい!!」」 今度は、としあきとノブがそれに応える。 晩酌の一時は、既に狂宴の様相を呈していた。 翌朝、としあきは全裸で目を覚ました。 傍らには、同じく全裸で眠るメイジとノブ。 としあきは、いつの間にか体液まみれで切れ痔になっていた自分の身体を見遣り、深く嘆息した― (即興あき) ---------------------------------------------------------------- 久しぶりに家の簡易ワインセラーを覗いてみると、 この間開けたブルガリアワインはワインビネガーもどきになっていた。・・・ちょっと味見してみようか。 「おお、すっぱ!」 飲めないほどじゃないんだけど、たくさん飲む気にはなれない。とすればお料理に使わざるを得ない!! なんて、本当はお料理にも向かないんだけどね。今日は鶏のワイン煮込みを作りまーす。 では、出来上がったものがこちらに・・・あるわけが無いのでちゃっちゃと作る。 出来上がったところで、はたと気付いた。 そもそもお酒が飲みたくてセラーを見たのになぜか料理をしている不思議・・・!! まあ、おつまみにもちょうどいいからメイジと一緒につつこうか。 「メイジ。お夜食食べよ」 「太るよ?お姉ちゃん」 「うっ・・・」 (忘却あき) ――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――   「文字お題 月と蝶」 それは夢なんだろうと、ぼんやりとした頭の中でそれだけははっきりと感じることが出来た。    青い月。      広がる草原には散る花が舞っている。        何時しか花びらは軟らかく舞う蝶に。 そして……… 「ノヴ……」      ああ、彼女はそんな風に僕の事を優しく呼んではくれない。 僕は激鉄を起こすと幻想をみる自分につきたてた。 (新あき) ---------------------------------------------------------------- 今まさに轟音は途絶えた。 硝煙の地に立つ者は、不動にして巨躯。 後背には宵闇をまとい、頭上には脆い月光が照らす。 傍らには、獰猛の残り香をあげる骨董物の対戦車ライフル。 彼は、深く息を吐く。 何処からともなく現れた蝶が、その肩にとまる。 色彩は淡く、慰めるかの様に羽をはためく。 彼は、その羽に指を伸ばすが触れる事はかなわない。 寸で、その肩を飛び立つ淡い羽。 それは、遥か天の灯りを受けて儚く消え入った。 彼はまた、硝煙の地にて独り佇む。 (かなあき) ----------------------------------------------------------------