秋の青空の下、メイジが学校に向かっていました。 いつも途中まで二人で通学しているのですが、今日は一人ぼっちです。 さわやかな朝の涼気と裏腹に、メイジの気分はすぐれませんでした。 少し後ろにはノヴが歩いています。やはり沈んだ表情です。 実は昨日、二人はこれまでにない大きなケンカをしてしまったんです。 強い言葉で相手をなじり、心とプライドを傷つけました。 ノヴはチラチラとメイジの様子をうかがっているようです。 後ろで泣きそうな顔をしながら、それでもメイジの後を歩いていたノヴでしたが、 意を決したようにメイジに駈け寄りました。 ******************************************************* 「あっ、あの…」ノヴは勇気を振り絞って声をかけました。 すると、今まで後ろを見向きもしなかったメイジが、急にクルリと身を翻します。 彼女はニッコリと笑って「一緒に学校行きましょう、ノヴ!」と手を差し出しました。 自分の言葉を遮られたノヴは少し戸惑っていましたが、やがて理解したようです。 おずおずとその手をとり、はにかむように笑いました。 二人はいつもの木立を抜けて、仲間たちが待つ学校に向かいました。 ***************************************************** 「…ということがあったのです、としあき」 夕食時、メイジは今朝の一件をとしあきに語っていました。 としあきは「ハハッ、よかったじゃないか」と口では言っているものの、そのさまは無惨でした。 瞳は焦点を失って宙を泳ぎ、心拍は乱れ呼吸は不規則です。嫉妬しまくりです。 心配したメイジが声をかけるものの、何を言っても右から左でした。 「身も心も捧げているのに、こんなに信用がないなんて…」メイジは少し残念でしたが、 まだとしあきには女心が解らないようでした。エロゲーのやりすぎに他なりません。 彼はいい男になれる日がくるのでしょうか?