「としあきさん、どこへ行くの?」 夏の日差し、蝉の鳴き声、男の子に変装したメイジが尋ねる。 「今度はメイと一緒に女の子の服を買いに行こうと思って。」 「服、買ってくれるんだ・・・嬉しい・・・」 小さく微笑むととしあきの腕にしがみつく。 「えっと、必要なものだし、ね。あとほら生活用品とか、ほかに下着とか・・・も揃えなきゃ。」 青信号で歩き出す。10歳の少女と腕を組んで一緒に歩くことなんて今までなかったからどの程度のペースで歩けばいいのか戸惑 ってしまう。 メイジはクスクスと笑いながら 「ふふ・・・としあきさんの歩き方、ぎこちない。」「んなこと言ったってなぁ」 バツの悪そうな顔でとしあきは絡んでいたメイジの腕を離す。 「・・・あっ」 そしてそのままメイジの手を握り、歩調を速めた。 「としあきさん、ちょっ・・・速いですよぅ」 *********************************************************** 「ニッポンって暑いですね」 としあきとつながっていない側の腕で額の汗を拭うメイジ。 二人のつないだ手はすでに互いの汗でべたべたになっている。だがどちらとも離そうという素振りはなかった。 「もう…シャツもズボンも汗でくっついちゃうですよ。」 履いていた細身のジーンズが足に貼り付く感触が嫌なのか、時折歩きを止めもじもじと足を動かす。 「そうだなー、今度はスカート買おうな。メイの足スラっとしてるからミニとか似合うんじゃないか?」 「としあきさん…私こんな体だからミニはちょっと…。」 赤い顔で俯くメイジ。 「今だってちょっとお尻とかきつくて締め付けられるし汗でくっつくし…。だから…。」 話から無意識に視線がメイジの下半身に向く。そこには少女の体にはないはずのふくらみがあった。 「…メイ?」 「だって…としあきさんと手繋げられて…服買ってくれるって…嬉しかったんだもん…」 今にも鳴きだしそうな声。つないだ手がどちらともなく強く握られた。